○河村
委員 私は、民社党を代表して、
昭和五十一年度
暫定予算案に対し
反対の
討論をいたします。
まず第一に私が述べたいことは、この
予算案を一切の質疑を省略して採決をしてよいものであろうかということであります。
言うまでもなく、本来国会は
審議の場であります。現在、不幸にしてロッキード事件をめぐる係争のために国会は停滞しておりますが、これは常態ではありません。去る二十四日、年度内
予算不
成立による
経済の混乱を避けるために、与野党の
政治休戦が
成立をして、ロッキード問題と切り離して
暫定予算の
審議を行うことに全党の合意が
成立をしたのであります。しからば、許された日時の間、与野党を問わず、国会は本来の任務を遂行するために、
予算案の
審議に最善の力を尽くすのが当然ではありませんか。
わが民社党は、このような
基本的な立場から、二十六日以降
予算案の質疑に入ることを提唱したが、残念ながら他党すべての同意を得ることができなかった。
社会、共産、公明の三党は
反対の
理由として、質疑を行うことによって、
政府にロッキード事件について発言の機会を与え、なし崩しに全体の
審議再開に持ち込まれるおそれがあるというようなことを述べているが、全く
理由にならない。
政府・与党みずからそのような意図がないと言明しているのみならず、万一、
政府が不当にこの場を利用しようとする企てがあるならば、いつでも
審議を打ち切ることだって可能ではないか。
さらに、不可解なのは
自民党の
態度である。何ゆえに質疑を行わせないという社共公三党に同調するのか。質疑の時間がないなどというのは
理由にならない。与党に決意さえあれば、二十六日以降
審議に入ることは可能であった。また、時間は少なくても、可能な限り
審議を尽くすことが当然ではないのか。それとも、与党
自民党は、国会を
審議の場だとは言っても、実は単に
予算案、法律案を採決する場だと考えているのか。
まして、今回の
暫定予算案は、単なる
暫定ではありません。四十日の長期にわたり、
一般会計二兆九千億、財投八千億を超える規模であり、かつ、
内容から見ても、事務的経常費にとどまらず、
不況対策としての
公共事業費、
福祉対策費等を含む異例のものであります。これを、いささかの質疑もせずに漫然として通過させるならば、将来に向かって重大な悪例を残すことになるであろう、われわれは深くそれを恐れるものであります。
わが民社党は、少数なるがゆえに、多数の圧力のもとに質疑を封ぜられました。しかしながら、少数の意見であっても正当な主張を認めるのが真の
民主主義ではないのか。私は、この際、各党の深い反省を求めるものであります。
さらに、私の述べたいことは、
政府・与党は、この深刻な
不況からの脱出期に
暫定予算を組むという好ましからざる
事態を招いたことをいかに考えているかということであります。
政府・与党は、恐らく野党の
審議拒否のせいだと言うでありましょう。確かに直接的にはそうであります。しかし、野党をやむにやまれぬ立場に追い込んだ
政府当局の
政治姿勢について反省がなくては、
事態の解決はあり得ないのであります。
それは一にかかって、
三木総理、あなたの
政治姿勢にあるのであります。この際、私はロッキード事件にあえて触れません。しかし、あなたの現在なすべきことは、この際、勇断をもって新たな行動を起こすことであります。もしそれができないというのであれば、あなた自身の
政治責任を明確にすることであります。あなたの決断を求めて、私の
反対討論を終わります。