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1976-03-29 第77回国会 衆議院 予算委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年三月二十九日(月曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 荒舩清十郎君    理事 井原 岸高君 理事 小山 長規君    理事 塩谷 一夫君 理事 正示啓次郎君    理事 山村新治郎君 理事 小林  進君    理事 楢崎弥之助君 理事 松本 善明君    理事 山田 太郎君       伊東 正義君    上村千一郎君       植木庚子郎君    小澤 太郎君       大野 市郎君    大村 襄治君       奥野 誠亮君    片岡 清一君       北澤 直吉君    倉成  正君       黒金 泰美君    櫻内 義雄君       笹山茂太郎君    谷垣 專一君       中村 弘海君    野田 卯一君       葉梨 信行君    藤井 勝志君       古屋  亨君    細田 吉藏君       前田 正男君    三塚  博君       山口 敏夫君    渡部 恒三君       安宅 常彦君    阿部 昭吾君       石野 久男君    佐藤 敬治君       佐野  進君    細谷 治嘉君       堀  昌雄君    松浦 利尚君       安井 吉典君    荒木  宏君       林  百郎君    林  孝矩君       渡部 一郎君    河村  勝君       小平  忠君  出席国務大臣         内閣総理大臣  三木 武夫君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      福田 赳夫君         法 務 大 臣 稻葉  修君         外 務 大 臣 宮澤 喜一君         大 蔵 大 臣 大平 正芳君         文 部 大 臣 永井 道雄君         厚 生 大 臣 田中 正巳君         農 林 大 臣 安倍晋太郎君         通商産業大臣  河本 敏夫君         運 輸 大 臣 木村 睦男君         郵 政 大 臣 村上  勇君         労 働 大 臣 長谷川 峻君         建 設 大 臣 竹下  登君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長         北海道開発庁長         官       福田  一君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      井出一太郎君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      植木 光教君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      松澤 雄藏君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 坂田 道太君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      佐々木義武君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 小沢 辰男君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 金丸  信君  出席政府委員         内閣法制局長官 吉國 一郎君         大蔵省主計局長 吉瀬 維哉君         大蔵省主税局長 大倉 眞隆君         大蔵省理財局長 松川 道哉君  委員外出席者         予算委員会調査         室長      三樹 秀夫君     ————————————— 委員の異動 三月十一日  辞任         補欠選任   大野 市郎君     深谷 隆司君   黒金 泰美君     高橋 千寿君   瀬戸山三男君     松永  光君   田中 龍夫君     大石 千八君   谷垣 專一君     瓦   力君   西村 直己君     大村 襄治君   藤井 勝志君     中村 弘海君   山崎平八郎君     宮崎 茂一君 同日  辞任         補欠選任   大石 千八君     田中 龍夫君   大村 襄治君     西村 直己君   瓦   力君     谷垣 專一君   高橋 千寿君     黒金 泰美君   中村 弘海君     藤井 勝志君   深谷 隆司君     大野 市郎君   松永  光君     瀬戸山三男君   宮崎 茂一君     山崎平八郎君 同月二十九日  辞任         補欠選任   瀬戸山三男君     細田 吉藏君   田中 龍夫君     中村 弘海君   西村 直己君     葉梨 信行君   藤井 勝志君     古屋  亨君   山崎平八郎君     大村 襄治君   阿部 助哉君     佐野  進君   田中 武夫君     佐藤 敬治君   多賀谷真稔君     松浦 利尚君   湯山  勇君     細谷 治嘉君   浦井  洋君     中島 武敏君   寺前  巖君     荒木  宏君   新井 彬之君     林  孝矩君   大橋 敏雄君     渡部 一郎君 同日  辞任         補欠選任   大村 襄治君     山崎平八郎君   中村 弘海君     田中 龍夫君   葉梨 信行君     西村 直己君   古屋  亨君     藤井 勝志君   細田 吉藏君     瀬戸山三男君   佐藤 敬治君     田中 武夫君   佐野  進君     阿部 助哉君   細谷 治嘉君     湯山  勇君   松浦 利尚君     多賀谷真稔君   林  孝矩君     新井 彬之君   渡部 一郎君     大橋 敏雄君     ————————————— 三月二十五日  昭和五十一年度一般会計暫定予算  昭和五十一年度特別会計暫定予算  昭和五十一年度政府関係機関暫定予算 は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十一年度一般会計暫定予算  昭和五十一年度特別会計暫定予算  昭和五十一年度政府関係機関暫定予算      ————◇—————
  2. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これより会議を開きます。  昭和五十一年度一般会計暫定予算昭和五十一年度特別会計暫定予算及び昭和五十一年度政府関係機関暫定予算、以上三案を一括して議題といたします。  まず、三案について政府より説明を求めます。大平大蔵大臣。     —————————————  昭和五十一年度一般会計暫定予算  昭和五十一年度特別会計暫定予算  昭和五十一年度政府関係機関暫定予算    〔本号(その二)に掲載〕     —————————————
  3. 大平正芳

    大平国務大臣 このたび、昭和五十一年四月一日から五月十日までの期間について暫定予算編成することといたしましたが、その概要について御説明いたします。  まず、一般会計について申し上げます。  暫定予算が本予算成立までの応急的な措置であることにとかんがみ、今回の暫定予算におきましても、暫定予算期間中における人件費事務費等経常的経費のほか、既定の施策に係る経費について行政運営上必要最小限度のものを計上することといたしております。  なお、新規の施策に係る経費につきましては、原則として計上しないことといたしておりますが、教育及び社会政策上等配慮から特に措置することが適当と認められるもの、たとえば、生活扶助基準等引き上げ失業対策事業賃金日額引き上げ国立大学の学生の増募等につきましては所要経費を計上することといたしております。  また、公共事業関係費につきましては、暫定予算期間中における事業継続的執行を図るため、所要額を計上することといたしております。  すなわち、一般公共事業につきましては、五十年度補正予算額のおおむね六分の一を目途に計上することとし、その枠内において、積雪寒冷地事業については、その円滑な実施を図り得るよう特別の配慮を加えることといたしております。  災害復旧等事業につきましても、災害復旧緊急性にかんがみ、過年発生災害復旧等のため必要な五十一年度所要額のおおむね九分の二を目途として計上することといたしております。  地方財政につきましては、四月に交付する地方交付税交付金として、五十一年度の国税三税収入見込み額を基礎として算定した普通交付税相当額の四分の一を計上するほか、地方債についても所要措置を講ずることといたしております。  歳入につきましては、税収及び税外収入についての暫定予算期間中の収入見込み額並びに前年度剰余金を計上したほか、公債金につきまして、暫定予算期間中において財政法の規定により発行を予定する公債に係る収入見込み額五千億円を計上することといたしております。  以上の結果、今回の一般会計暫定予算歳入総額は八千八百五十四億円、歳出総額は二兆九千二百二十三億円となります。  なお、これは、二兆三百六十九億円の歳出超過となりますが、国庫の資金繰りにつきましては、二兆五百億円を限度として、必要に応じ大蔵省証券発行することができることといたしております。  次に、特別会計及び政府関係機関暫定予算につきましては、いずれも以上申し述べました一般会計の例に準じて編成いたしております。  なお、財政投融資につきましては、対象事業につき、一般会計に準じ所要措置を講ずることとし、住宅金融公庫日本輸出入銀行日本道路公団等三十二機関について、暫定予算期間中に必要になると見込まれる額として、総額八千三百六十億円を予定いたしております。  以上、昭和五十一年度暫定予算につきまして、その概要を御説明いたしました。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきたいと存じます。
  4. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 以上で大蔵大臣説明は終わりました。     —————————————
  5. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これより質疑に入るのであります。が、理事会の申し合わせにより、この際これを省略し、直ちに討論に入ることといたします。  討論の通告がありますので、順次これを許します。小林進君。
  6. 小林進

    小林(進)委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案された昭和五十一年度一般会計暫定予算、同特別会計暫定予算及び同政府関係機関暫定予算三案に対し、反対の立場から討論を行います。  暫定予算について申し述べます。  まず第一に、四十日間の暫定予算編成に追い込まれた理由を考えると、その全責任三木首相にあると言わなければなりません。断固たる信念と決意をもって、国会正常化のために公約を履行されることを心から要望するものであります。  言うまでもなく、不況インフレの共存のもとで、わが国の経済財政国民生活はかつてない厳しい状況にあります。したがって、五十一年度予算がこれらの難題の解決に当たる大きな使命を持つのは明らかで、それにもかかわらず、一切の公約をじゅうりんをせられ、その上、経済運営経済政策上大きな失敗を重ねられておるのでございまして、まさに、三木総理経済音痴では今日の難局には対処できないのであります。三木内閣政権担当能力を完全に欠如している事実がまさに明白になったと言わざるを得ないのであります。  暫定予算は、その性格から言って、原則として政策的経費を計上できないものであって、それだけ予算経済的機能が減殺されるわけで、国民生活に与える打撃も大きい。今回は、国民生活にとって緊急かつ最低限の政策的経費として生活保護基準の一二・五%、失対賃金の一一・七%引き上げなどの経費を計上しているが、これらは緊急避難的内容から盛り込まれたものである。このような措置国民生活防衛が十分に達せられるものではなく、本予算成立が重要であるが、といって政府予算案ではその道さえ示されていない。暫定予算を最終的に吸収する本予算それ自体にも大きな欠陥がある、ここに第二の問題があるのであります。  政府の五十一年度予算は、不況克服インフレ抑制の展望を欠き、勤労国民に高負担、低福祉政策を押しつけ、社会的不公正を一層拡大するという最悪収奪予算となっております。  歳入の三〇%近くを赤字国債収入で賄うがごとき戦後かつてない借金予算を組む一方で、各種公共料金値上げ保険料引き上げを行い、年金支出公約を破って低く抑えるなど、大幅な福祉後退予算となっているのであります。この予算によって、三木内閣の一枚看板であった社会的不公正の是正は完全に放棄され、弱い者には強圧をといった最大の不公正を実施するものとなっているのであります。  税収不足を言いながら、不公正税制には手をつけず、高額所得者資産所得者、大企業優遇高度成長型税制を温存し、逆に所得税減税では物価調整減税すら実施しないという勤労国民負担増加租税政策を採用しているのであります。  また、景気浮揚不況打開の目玉としている公共事業支出内容も、日本列島改造推進大型プロジェクトを再び登場させて大企業のための需要増大策をとり、国民生活環境整備は依然としてわき役に追いやられている。このような公共事業拡大は、地価の上昇、インフレ再燃をもたらす危険が非常に濃厚であります。  一方、高度経済成長の過程で破壊された農林漁業の再建では、農業予算の比率が一〇%を割るといったように、農業基盤整備地域農業振興はいまなお重点政策として位置づけられることなく、五十年一年間で一万二千件を超える企業倒産、中でも不況のしわ寄せが集中している中小零細企業に対する対策も貧弱で、依然として弱い者切り捨ての予算となっております。  現在の経済危機打開国民生活向上財政構造転換にとっては地方財政充実が不可欠であるが、現状は国以上の深刻な危機を迎えておる。このため、住民サービスは低下し、かえって受益者負担拡大適用によって各種料金引き上げという負担増住民に強いる事態を招いている。地方財政危機公共事業中心景気対策の効果を半減させ、場合によっては足かせとなっているのは事実であります。それにもかかわらず、なおこの危機打開を従来どおりの借金場当たり的方策で糊塗しようとしているのは何としても許されない。低成長経済下国民生活優先にとっては地方財政の地位の向上税財源充実が必要であり、その一歩を踏み出す時期であるが、政府にはその意欲も計画も見られない。来年度からといった公約も実現の保証は何らないのであります。  以上のような大企業優先国民生活冷遇予算の中で、四次防の最終年度としての五十一年度では、一兆五千百二十四億円の防衛費支出が予定されている。兵器の国産化武器輸出軍需産業拡大につながる防衛費支出は二重、三重に国民生活を圧迫する結果となっています。日本防衛についても、世界の情勢を見るとき、非武装の方針の正しさと必要性が高まっているのは衆目の認めるところであるので、四次防を中止するべく大英断が求められている状況であります。政府は、日本の平和に逆行する思想が依然として堅持されていることは、まことに遺憾にたえません。  政府の本予算は、文字どおり国民収奪予算以外の何物でもない。かかる性格を持つ予算と連結をした暫定予算は、やはり認容するわけにはいかないのであります。  次に、インフレを抑え、不況克服、雇用不安の解消緊急課題に対処すべき具体的重点要求を示し、政府の本予算の組み替えの必要性を明らかにしておきたいと思います。  第一に、インフレ反対し、社会保障充実観点から、福祉年金は二万円以上に引き上げるとともに、支給月の一カ月繰り上げ、遺族年金の七割給付年金改正実施時期を七月からにする一方、年金関係審議会への労働者の代表を参加させることであります。また、医療保険の改悪をやめ、国鉄運賃電信電話料金などの値上げは中止すること、勤労者税負担軽減のために本人三万円の税額控除による所得税減税実施する必要があります。と同時に、前国会本院与野党一致成立した独禁法の改正を行い、大企業独占価格に対する規制の実施、さらに地方交付税率引き上げを含めた地方財政の確立等々を図る必要があるのであります。  第二には、雇用不安の解消雇用保障制度の改善の観点に立って、企業不当解雇を禁止するとともに、失業給付の百八十日間の延長、出かせぎ、日雇い労働者就業確保失業給付受給条件の緩和及び労働時間の短縮と週休二日制の完全実施などを実現することであります。  第三には、労働者労働条件の主要な柱の一つである賃金の問題で、特に現行の最低賃金法を廃止し、全国一律の最低賃金制を確立することであります。労働者生活防衛のためにも、また経済転換と現時点では不況対策の面からも大幅な賃金アップが必要であり、その制度改革の一環としての全国一律の最低賃金制実施すべきであります。  これに関して、第四には、スト処分の撤回、凍結とスト権を初めとする労働基本権を確立することであります。しかも、労働者間に分裂を持ち込み、教育の荒廃に拍車をかける主任制の導入を断じて中止をすることであります。  以上、暫定予算に対する反対理由等を述べてきましたが、最後暫定予算に当たってのわが党の態度を明らかにしておきたいと思います。  総理大臣基本的な姿勢に対しましては、われわれは断じて協力できないのでございまして、国会決議無視態度によってもたらされた今日の国会審議硬直状態において、国民生活を考慮した政治的配慮として、われわれは例外中の例外として暫定予算成立に協力をしたものであります。したがって、暫定予算成立後においても、誤った三木内閣態度方針自民党の三原則などが改められない限り、本格的国会審議には断じて応ずる意思はございません。国民の七割が政治不満を抱いている今日、国民不満と関心を素直にわれわれは受けまして、あくまでも三木内閣と対決をすることをかたく申し上げます。  日本民主主義を守るためには、三木内閣の総辞職の道だけが残されていると存じます。唯一最後の決断のときであり、有言不実行の汚名を三木総理大臣はすべからくそそがれることを要望いたしまして、私の討論を終わりといたします。(拍手)
  7. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 次に林百郎君。
  8. 林百郎

    ○林(百)委員 私は、日本共産党革新共同を代表して、政府提出昭和五十一年度暫定予算三案に対し、反対討論を行うものであります。  私は、討論に先立って一言申し述べておきます。  今日、予算委員会審議が二十日以上にわたって中断するとともに、四十日間にわたる暫定予算編成を余儀なくされるというきわめて重大な事態に陥っておりますが、この責任は挙げて政府自民党にあることを指摘しておくものであります。  以下、私は本暫定予算案反対する主な理由を具体的に申し述べます。  まず第一の理由は、公共事業関係費を貫く基本は、大企業向け景気対策となっていることであります。  一般会計中、公共事業関係費総額千八百八億円のうち、ほぼ三六%が道路、港湾、空港、工業用水など大企業中心産業基盤整備に振り向けられています。一方、住宅生活環境施設整備には約二一%しか回っていません。同様に財政投融資においても、国鉄日本鉄道建設公団、日本道路公団など産業基盤向けには総額の約二四%に達する多額の融資をする一方、住宅金融公庫住宅公団など生活基盤向けは約一八%に抑え込んでいるのであります。  住宅、下水道など生活環境施設、さらには学校社会福祉施設など不況対策の上からもすこぶる有効な国民向け投資は、国民の要望も強いにもかかわらず、政府は依然としてこのように抑え込み、産業基盤優先公共投資政策を根本的に改めようとしていないことは明らかであります。すなわち、政府の言う景気刺激とは、このような投資政策を見ましても、大企業本位のものであり、およそ中小企業国民とは縁の遠いものであるということを言わざるを得ません。  第二は、深刻な危機的事態に陥っておる地方財政に対してであります。  一般国民大衆向け事業推進力ともなるべき地方財政に対しては、できる限り手厚い予算措置を講ずることは、今日不況下における緊急の課題であります。抜本策はさておいて、本暫定予算の枠内に限ってみても、五十一年度政府予算地方交付税四月概算交付額一兆二千百九十億円を三千億円以上も減額して地方自治体を一層借金財政で苦しめるとともに、故意に——これは可能であるにもかかわらず、故意地方交付税を減額計上することによって、政府みずからの今日の事態責任を他に転嫁させる手段に使おうとしておると言っても過言ではありません。  第三に、財政投融資における融資資金の配分についてでありますが、これもまた大企業優先のものと言わざるを得ません。  資金総額のうち政府措置しておる割合を見ますと、そのほとんどを大企業が利用しております。日本開発銀行、日本輸出入銀行等に二三・六%以上を融資しているのに、中小企業が利用する中小企業金融公庫国民金融公庫にはわずか一三・二%にすぎないのであります。これでどうして未曾有倒産にあえいでおる中小企業に対する対策と言うことができるでありましょうか。  第四に、雇用失業問題の重大化にもかかわらず特別な配慮がこれに対してなされていないことであります。  この三月で完全失業者は、政府の予測でも百三十万人、実際には四百万人に達するだろうと言われておりますのに、この失対事業拡大などの緊急施策は全くとられていないと言って差し支えありません。これは深刻な状態に置かれておる失業者に対する政府の冷酷きわまる態度を如実に示すものであります。  以上述べたごとく、今日、自民党政府高度成長政策のもとで、インフレ不況同時進行福祉水準切り下げ失業者増大中小零細企業倒産未曾有の激増、さらには国と地方財政危機深刻化などにより、国民生活と経営、国の経済はかつてない危機にさらされていると言って差し支えありません。  しかるに、暫定予算がこのような性格を持った反国民的なものとなっておる、これはどこから来ているのか。これは、暫定予算とはいえ、その本質は歴代自民党内閣のとってきた高度成長政策のパターンを受け継いだものであるからであります。同時に、わが党がかねてから指摘してきましたように、アメリカに従属し、大企業本位の五十年度補正予算を引き継いで、さらに五十一年度予算、すなわち公共料金大幅引き上げをたくらみ、福祉切り下げ、大量の赤字国債発行など、不況対策を口実として国民に大きな犠牲を強い、大企業サービスをしておる戦後最悪とも言い得る五十一年度予算の一部をこの暫定予算がなすからであります。  いかに暫定という制約があるとはいっても、四十日もの長期にわたる予算である以上、国民生活防衛のための緊急の施策に必要な予算は当然盛り込まなければなりませんし、そのことはまた可能なはずであります。たとえば社会保障関係費拡大する。地方財政への交付税交付金の増額、交付税法に基づいて当初四月交付部分については行政的な配慮が加えられるのでありますから、これを増額する。あるいは失業対策に万全な事業費確保をする。中小零細企業対策充実教育研究機関に対する緊急対策費保障などであります。  さらに、破綻しつつある国の財政を立て直し、危機にある日本経済を民主的に再建するために、暫定予算という枠内、しかも緊急という枠の中でも、次のような予算措置を講ずることをわが党は強く主張するものであります。  すなわち、大企業本位産業基盤のための公共事業費を大幅に削減し、これを住宅学校など国民生活重点を置いた投資に振り向け、国の財政資金の流れを変えることが緊要であります。また、日米安保条約のもとで、アメリカに従属した日米共同作戦体制を強化する軍事費だとか、大企業プラント輸出など新しい植民地主義的な性格を持った海外経済協力の予算をできる限り削減すべきであります。また、公安調査庁など、国民と民主運動に対するスパイや弾圧のための経費は、全額これを削除するべきであります。  わが党は、以上の要求を強く主張いたしまして、ただいま議題となっております政府提出昭和五十一年度暫定予算三案に反対し、私の討論を終わります。
  9. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 次に、林孝矩君。
  10. 林孝矩

    ○林(孝)委員 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十一年度暫定予算三案について、反対討論をいたします。  今日の経済情勢は、依然として困難な局面が続いています。景気の動向はなお不安定であり、失業、中小企業倒産、その解決の先行きも暗く、しかも物価上昇の前途は楽観が許されない実情であります。  このような状況下で従前にも増して社会的不公正は拡大されつつあることは言うまでもありません。こうした実情は、歴代自民党内閣の大企業優遇国民生活軽視の高度経済成長政策の破綻と、それに三木内閣国民生活切り捨ての総需要抑制政策などの失敗、財界の意向を受けた大企業偏重の景気対策の誤りによってもたらされたものにほかならないのであります。  わが国経済は、現在、当面する厳しい局面の打開と安定成長への移行という課題を同時に解決しなければなりません。そのためには、まず、再び戻ることの許されない高度成長の幻影を追うのではなく、高度成長時代に築き上げられた大企業優遇国民生活軽視の制度や仕組みの改革に勇断をもって着手すべきであり、その上に立って国民生活を優先する景気対策実施するとともに、現実に不況インフレの被害をこうむっている社会的に弱い立場の人たちの被害救済に全力を挙げることであります。  ところが、政府自民党は、口では安定成長への移行を強調しながら、国会へ提出された来年度予算案は、高度成長時代の大企業優先国民生活軽視の仕組みに改革の意欲も、また安定成長への展望もなく、さらに、当面している困難な局面を国民の犠牲の上に解決しようとすらしているのであります。  わが党は、今日まで、予算委員会を通じて、国民生活切り捨て、大企業救済の来年度予算案を、国民生活優先内容に大幅に修正した上で速やかな成立を願ってきたのであります。したがって、今日、政府自民党責任によって国会の空白が続き、暫定予算編成を余儀なくされたことは、まことに遺憾と言わざるを得ないのであります。  暫定予算は、緊急的なものとはいえ、大企業救済、国民生活切り捨ての来年度予算の全くの先食いであり、われわれはこれを承認することはできないのであります。  来年度予算は、第一に、政府は、歳入不足を補てんするために赤字国債を含め七兆二千七百億円に上る巨額な国債発行を予定し、一般会計の三分の一近くを借金に頼ろうとしています。しかし、国債発行の大前提となるべき徹底した不公平税制の改正や補助金の整理、行政機構の改革などによる既定経費の洗い直しは、ほとんど見るべきものがないのであります。  さらに、市中消化と償還計画が全くあいまいで、インフレ阻止の具体策も盛られていない。このような安易な国債発行は、今日の深刻な財政危機の本質的な解決にほど遠いばかりではなく、インフレ促進となることは必至であります。  第二に、政府が景気回復策として最重点を置いたとする公共投資は、高速道路、橋梁、新幹線など、産業基盤造成の大型公共投資が中心となっており、公共住宅学校、保育所、病院など生活関連公共投資は後位に置かれています。  景気回復を目指す公共投資の主体は、地方財政の強化を前提に、生活関連社会資本の充実と一石二鳥の性格を持つ公共住宅などの大量建設に重点を置くべきであり、政府案では裾野の広い景気対策とはなり得ません。  また、公共事業予備費は、予備費の目的に反し、財政民主主義の精神にもとるものであります。  第三に、税制改正においては、低所得者に対する所得減税を実施し、インフレ不況の打撃を受けている多くの勤労者生活を守り、あわせて個人消費を喚起させ、不況を克服すべきであるにもかかわらず、これを見送ってしまっておるのであります。  また、大企業資産所得者の優遇税制の是正も、政府の宣伝とはうらはらに、租税特別措置の整理合理化も小手先で、しかも会社臨時特別税を廃止しようとするなど、不公平税制をますます拡大しようとしているのであります。  第四に、来年度最も懸念されていることは、インフレの再燃であります。にもかかわらず、政府案は、国鉄運賃値上げを初め、電報電話、NHK受信料、塩などの値上げを強行しようとする構えであります。これら公共料金値上げは、通産省の行政指導値上げによる新物価体系の形成や国債増発に伴う通貨膨張などと合わさって、物価を大幅に押し上げることは避けられません。  第五に、政府案の福祉関連予算は、健康保険においては、給与内容はほとんどそのままにして、保険料や初診料、入院費を引き上げようとし、国民、厚生両年金も、わずかの給付額をふやそうとしているものの、保険料引き上げをもくろんでおるわけであります。また、老齢福祉年金は、物価上昇分すらも考慮していません。  三木内閣のこのような姿勢は、受益者負担論を乱用して、一方的な高福祉、高負担を前面に押し出し、財政危機を弱い立場の人たちにしわ寄せしようとしていると言わざるを得ないのであります。  第六に、深刻な不況が続き、中小企業倒産失業者がなお増加しているにもかかわらず、中小企業倒産対策や雇用対策は、具体性を欠き、その多くを大企業本位の大型公共投資による景気回復策にゆだねてしまっています。  また、農林漁業対策も、農林漁業者の経営と生活の安定向上を図るにはほど遠く、きわめて貧弱であります。  第七に、危機に直面している地方財政対策は全く見るべきものがありません。すなわち、政府案は、地方交付税地方税の落ち込みに対して、多くを資金運用部資金からの借り入れや地方債発行に任せ、地方自治体に借金を押しつけるだけの対策しかとっていない。しかも、莫大な地方自治体の超過負担解消にも目をつむってしまっています。これでは、国民生活と密着して不況克服の重要な担い手である地方財政を見殺しにするも同然であります。  第八に、政府案は、相変わらず軍事力増強政策を踏襲しようとし、直面している財政危機をよそに、完全に破綻した第四次防衛力整備計画に固執して、本年度を上回る防衛関係費を計上したことは見過ごしにすることはできないのであります。  本暫定予算は、以上のような大きな矛盾を持つ来年度予算案の一部である以上、わが党は反対をせざるを得ないのであります。  最後に、来年度予算案成立のおくれが国民生活への重大な影響のないように万全の措置を要求し、反対討論を終わります。
  11. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 次に河村勝君。
  12. 河村勝

    ○河村委員 私は、民社党を代表して、昭和五十一年度暫定予算案に対し反対討論をいたします。  まず第一に私が述べたいことは、この予算案を一切の質疑を省略して採決をしてよいものであろうかということであります。  言うまでもなく、本来国会は審議の場であります。現在、不幸にしてロッキード事件をめぐる係争のために国会は停滞しておりますが、これは常態ではありません。去る二十四日、年度内予算成立による経済の混乱を避けるために、与野党の政治休戦が成立をして、ロッキード問題と切り離して暫定予算審議を行うことに全党の合意が成立をしたのであります。しからば、許された日時の間、与野党を問わず、国会は本来の任務を遂行するために、予算案審議に最善の力を尽くすのが当然ではありませんか。  わが民社党は、このような基本的な立場から、二十六日以降予算案の質疑に入ることを提唱したが、残念ながら他党すべての同意を得ることができなかった。  社会、共産、公明の三党は反対理由として、質疑を行うことによって、政府にロッキード事件について発言の機会を与え、なし崩しに全体の審議再開に持ち込まれるおそれがあるというようなことを述べているが、全く理由にならない。政府・与党みずからそのような意図がないと言明しているのみならず、万一、政府が不当にこの場を利用しようとする企てがあるならば、いつでも審議を打ち切ることだって可能ではないか。  さらに、不可解なのは自民党態度である。何ゆえに質疑を行わせないという社共公三党に同調するのか。質疑の時間がないなどというのは理由にならない。与党に決意さえあれば、二十六日以降審議に入ることは可能であった。また、時間は少なくても、可能な限り審議を尽くすことが当然ではないのか。それとも、与党自民党は、国会を審議の場だとは言っても、実は単に予算案、法律案を採決する場だと考えているのか。  まして、今回の暫定予算案は、単なる暫定ではありません。四十日の長期にわたり、一般会計二兆九千億、財投八千億を超える規模であり、かつ、内容から見ても、事務的経常費にとどまらず、不況対策としての公共事業費福祉対策費等を含む異例のものであります。これを、いささかの質疑もせずに漫然として通過させるならば、将来に向かって重大な悪例を残すことになるであろう、われわれは深くそれを恐れるものであります。  わが民社党は、少数なるがゆえに、多数の圧力のもとに質疑を封ぜられました。しかしながら、少数の意見であっても正当な主張を認めるのが真の民主主義ではないのか。私は、この際、各党の深い反省を求めるものであります。  さらに、私の述べたいことは、政府・与党は、この深刻な不況からの脱出期に暫定予算を組むという好ましからざる事態を招いたことをいかに考えているかということであります。政府・与党は、恐らく野党の審議拒否のせいだと言うでありましょう。確かに直接的にはそうであります。しかし、野党をやむにやまれぬ立場に追い込んだ政府当局の政治姿勢について反省がなくては、事態の解決はあり得ないのであります。  それは一にかかって、三木総理、あなたの政治姿勢にあるのであります。この際、私はロッキード事件にあえて触れません。しかし、あなたの現在なすべきことは、この際、勇断をもって新たな行動を起こすことであります。もしそれができないというのであれば、あなた自身の政治責任を明確にすることであります。あなたの決断を求めて、私の反対討論を終わります。
  13. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 以上で討論は終了いたしました。     —————————————
  14. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これより採決に入ります。  昭和五十一年度一般会計暫定予算昭和五十一年度特別会計暫定予算及び昭和五十一年度政府関係機関暫定予算、以上三案を一括して採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  15. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 起立多数。よって、昭和五十一年度暫定予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  17. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 本日は、これにて散会いたします。     午前十時四十七分散会