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1976-02-27 第77回国会 衆議院 予算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年二月二十七日(金曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 荒舩清十郎君    理事 井原 岸高君 理事 小山 長規君    理事 塩谷 一夫君 理事 正示啓次郎君    理事 山村新治郎君 理事 小林  進君    理事 楢崎弥之助君 理事 松本 善明君    理事 山田 太郎君       伊東 正義君    上村千一郎君       植木庚子郎君    小澤 太郎君       大野 市郎君    奥野 誠亮君       北澤 直吉君    倉成  正君       黒金 泰美君    櫻内 義雄君       笹山茂太郎君    瀬戸山三男君       田中 龍夫君    谷垣 專一君       西村 直己君    根本龍太郎君       藤井 勝志君    保利  茂君       前田 正男君    松永  光君       三塚  博君    森山 欽司君       安宅 常彦君    阿部 昭吾君       阿部 助哉君    石野 久男君       岡田 春夫君    田中 武夫君       多賀谷真稔君    堀  昌雄君       安井 吉典君    湯山  勇君       田代 文久君    中路 雅弘君       林  百郎君    石田幸四郎君       正木 良明君    小沢 貞孝君       河村  勝君    小平  忠君  出席国務大臣         内閣総理大臣  三木 武夫君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      福田 赳夫君         法 務 大 臣 稻葉  修君         外 務 大 臣 宮澤 喜一君         大 蔵 大 臣 大平 正芳君         文 部 大 臣 永井 道雄君         厚 生 大 臣 田中 正巳君         農 林 大 臣 安倍晋太郎君         通商産業大臣  河本 敏夫君         運 輸 大 臣 木村 睦男君         郵 政 大 臣 村上  勇君         労 働 大 臣 長谷川 峻君         建 設 大 臣 竹下  登君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長         北海道開発庁長         官       福田  一君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      井出一太郎君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      植木 光教君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      松澤 雄藏君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 坂田 道太君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      佐々木義武君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 小沢 辰男君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 金丸  信君  出席政府委員         内閣法制局長官 吉國 一郎君         内閣法制局第一         部長      角田礼次郎君         国防会議事務局         長       内海  倫君         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         給与局長    茨木  廣君         総理府恩給局長 菅野 弘夫君         青少年対策本部         次長      望月哲太郎君         行政管理庁長官         官房審議官   川島 鉄男君         行政管理庁行政         監察局長    鈴木  博君         防衛庁参事官  伊藤 圭一君         防衛庁参事官  平井 啓一君         防衛庁参事官  岡太  直君         防衛庁長官官房         長       玉木 清司君         防衛庁防衛局長 丸山  昮君         防衛庁装備局長 江口 裕通君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         経済企画庁総合         計画局長    宮崎  勇君         経済企画庁調査         局長      岩田 幸基君         法務大臣官房訟         務部長     貞家 克己君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君         外務省経済局次         長       賀陽 治憲君         外務省条約局長 中島敏次郎君         大蔵省主計局長 吉瀬 維哉君         大蔵省主税局長 大倉 眞隆君         大蔵省関税局長 後藤 達太君         大蔵省理財局長 松川 道哉君         国税庁次長   横井 正美君         文部省初等中等         教育局長    諸沢 正道君         文部省大学局長 佐野文一郎君         文部省体育局長 安養寺重夫君         厚生省児童家庭         局長      石野 清治君         厚生省年金局長 曾根田郁夫君         社会保険庁年金         保険部長    河野 共之君         農林省農蚕園芸         局長      澤邊  守君         食糧庁長官  大河原太一郎君         通商産業省機械         情報産業局長  熊谷 善二君         運輸省航空局長 中村 大造君         郵政省貯金局長 神山 文男君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         自治省財政局長 首藤  尭君         自治省税務局長 森岡  敞君  委員外出席者         会計検査院長  佐藤 三郎君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  大塚  茂君         予算委員会調査         室長      三樹 秀夫君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十七日  辞任         補欠選任   庄司 幸助君     中路 雅弘君   正森 成二君     田代 文久君   矢野 絢也君     石田幸四郎君   小平  忠君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   石田幸四郎君     矢野 絢也君   小沢 貞孝君     小平  忠君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和五十一年度一般会計予算  昭和五十一年度特別会計予算  昭和五十一年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これより会議を開きます。  昭和五十一年度一般会計予算昭和五十一年度特別会計予算及び昭和五十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  理事会の協議により、総括質疑保留分について質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。阿部哉君
  3. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私は、積み残しの質問に入る前に一点だけお伺いをしておきたいのは、ロッキード事件捜査について、やはり国民は、真相を究明するのではなくて、結局何かもやもやとした中で消えてしまうのじゃないかという危惧の念を持っております。丸紅税務調査についてやはり同じような疑いを私自身も持つわけであります。ユニットであるとかピーナツであるとか、ああいうたぐいの領収証を出したその見返りとして金の流れがあった。金の流れがあったと見たから外為法違反皆さん捜査されたわけでしょう。そうでしょう。金の流れがあったという疑いがあるから捜査された。その金の流れがあったという疑いがあるとすれば、伊藤大久保専務のところに金がとまっておるとすれば、このお二人の脱税容疑という問題が出てくるだろう。それから先に、コーチャン証言のように、政府高官流れたとすれば、政府高官のところで脱税容疑が出てくるわけであります。これは、外為法違反捜査をされたけれども国税犯則取締法違反でなぜ捜査に踏み切らなかったのか、その点だけお伺いしたいと思います。
  4. 大平正芳

    大平国務大臣 丸紅につきましては、一月の中旬以来定期的な調査をいたしておるわけでございます。その間、御指摘のようにロッキード問題が出てまいったわけでございますが、それも念頭に置きましていま調査を続行いたしております。  もとより、この調査を通じまして法人税法違反あるいは所得税法違反というような容疑が出てまいりますならば、阿部さんが御指摘のような措置はとらなければならぬわけでございますが、ただいままでのところ、私どもそういう容疑を固めるに至っておりませんので、まだ普通の調査段階での調査を進めておるというのが今日の実情でございます。
  5. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それは、任意調査をいままでずっとやってきたというだけなんですよ。私の申し上げるのは、二、三日前に強制捜査に入った。しかし、それは外為法違反で入ったのであって、国税犯則取締法による強制捜査に入ったのではないというところに問題がある、私はこう言っているのです。金の流れがあると見たから皆さん強制捜査に入ったのでしょう。そうすれば、当然そこに起きてくるものは、どこかに脱税容疑がかかってくる。それは当然国犯法違反なんですよ。大体国民皆さんは、強制捜査するぞするぞ、こう言いながら入ってみたって、証拠隠滅するのはあたりまえだというのが国民全般の見方だと思うのです。私はそのような答弁をしておる限り、この問題に政府が熱意があるというふうには解釈できません。  ただ、私はきょうは積み残しの問題がありますので、この問題に深く入れませんけれども国民はそういう疑惑を持っておるという点を、私は皆さん腹におさめておいていただきたいと思うのであります。  私はこの委員会におきまして、三木総理の耳にたこができるほど執拗に、憲法財政法、その原理、原則について強調をしてまいりました。その後、ロッキード事件が発生した。この事件によって主権在民主権国民の手にしっかり握られておることがいかに大切なことか、どこかの黒幕などに握られるのではなしに、国民がしっかりと主権を握っておるということがいかに大切かということが私ははっきりしたと思うのであります。  しかし、三木さんの一月二十九日の私の質問に対するお答えは、私は大変不満であります。三木さんはこうおっしゃっておるのであります。赤字公債発行についてでありますが、「景気の回復というような問題を早急に解決しようとするならば、やはりやむを得ない措置としてやったわけでございまして、阿部君もごらんになってもおわかりのとおり、世界どこの国においても、財政赤字公債発行できるということでないとなかなかやはり財政政策というものは遂行できませんから、各国とも予期せないような事態になってきた場合には赤字公債によって財政政策の目的を達成しておるわけであります」、こう言っておる。あなたは、どこの国も、こうおっしゃる。これは一体どういうことなんですかね。一国の総理大臣というならば、こちらが政治基本をお尋ねするのだから、あなたもやはりそういう見識でお答え願いたいのであります。  私は大体日本憲法財政法というものは、この規定は、景気が上がったから、あるいは景気が下がったからということで軽々しく左右されるべきではないという考えを持っておるのであります。また国債発行について、外国でもやっておるじゃないかと、こう世間並みのようなことをあなたはおっしゃるけれども日本憲法はそういう点では世界に例のないりっぱな憲法だと私は思うのであります。総理大臣は、本来ならば胸を張って、憲法を、この精神を強調すべきではないか、私はこう思っておる。ところが、あなたは都合のいいときには外国並みだと、こう言う。また別のところでは、日本は資源がない特殊の国だ、こう言っておる。そのときそのときで、特殊性を強調してみたり、外国もやっておるんだからいいじゃないかという程度のお考えで、憲法やこの財政法運用をやられたのでは困ると私は思うのであります。私は、日本憲法財政法は幾たびかの大変な経験を通してでき上がったと思うのであります。それは、一九三〇年代の大恐慌であるとか、あるいは戦争中におけるところのABCDライン石油を初め諸物資の経済封鎖であるとか、さらに戦争という死の犠牲を踏まえて日本憲法財政法ができ上がっておるということをまず三木さんはしっかり胸におさめて、総理としての憲法財政法運用に真剣に取り組んでいただきたいということで私はいままで申し上げてきたわけでありまして、いまのこの時点でロッキード問題などという大変な黒い疑惑を受けておるということを考えてくると、いまこそ憲法財政法をしっかりと踏まえて、御答弁に、また施政に当たっていただかなければ困ると私は思うのですが、もう一度その点で私は総理の所信を伺ってから始めたいと思います。
  6. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 阿部君の、憲法財政法、こういうものを厳格に踏まえて政治は行わなければならぬというのは、私は全く同感であります。当然のことでございますが、私は、外国の例など、外国がやっておるからいいじゃないか、そういうことを申したのではないのです。景気調整機能というものを財政は相当持ってきておる。したがって、財政法の中には特例公債のような公債発行することを予定してないことは事実でございますが、しかし今日のような事態になってくると、それなら増税ができるかといったら増税はできぬ。あるいは予算の思い切った削減をするかといったらそれはできない。そういうことになってくると、財政面日本景気の維持、発展というような政策を遂行しなければならぬわけでありますので、したがって特例法を出しまして、国会の御承認を得て特例公債発行しようというわけでございまして、これが憲法とか財政法を踏みにじっておるとは私は思わないし、外国がやっておるからいいということではない。財政の持っておる景気調整機能というものは、これは世界的なものであって、それでなければ実際こういうふうな、いままでにないようなスタグフレーションという新事態に対して対処する方法がなくなってくるわけですから、その道を財政法は縛ってはいけない。そういう場合においては、国権の最高機関である国会の御承認を得て、その事態に対処して財政運営方法というものが考えられてしかるべきだということでございます。
  7. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私はその程度の――この事態になったのを、皆さん石油危機だ何だという形で外的な条件で責任を逃れるようでありますけれども、ここまで日本財政が曲ってきた責任一体だれかとった人がおるんですか。日本政治責任というものが余りにもなさ過ぎるじゃないか。一体ここまで財政がひん曲がってしまった責任をだれ一人とった人もいないじゃないですか。私はこんなことで、皆さんの言う一方的なお話だけでは国民は納得しないと思うのです。国民にも正しいやり方をしてもらいたいとおっしゃるならば、やはり一番政治の頂点にある皆さんのところで責任の所在を明確にせなければいかぬと思うのであります。  私は次に移りますが、まず、私がこの前の質問で強調いたしましたのは、国債償還計画についてであります。二月の六日大蔵大臣が提出された財政収支試案は、これは私が要求したものにこたえたものではございません。国債国民担保にした以上、国民が理解できるように、十年後にどういう手段返済をするのか。皆さんは十年後には耳をそろえて返しますからということで言っておるけれども一体十年後にどういう手段返済をするのか。政治責任を含めて具体的な計画、つまり、どのように経費を節約するのか、あるいはどのような税金で、だれの負担でこれを返済をするのかということを私は問いただしておるわけでありまして、この試案は私の要求にこたえたものではありません。それだけに、大蔵大臣からもう一度、どのようにして十年後に返済するのか、お答え願いたいのであります。
  8. 大平正芳

    大平国務大臣 十年債を発行いたしますと、この発行分割発行でなくて一括発行でございますので、十年たちますと政府義務といたしまして償還しなければならないわけでございます。これは政府の法律上の義務でございまして、いかなる手段を使いましても十年後に発行いたしました公債を償還しなければならない立場政府がおりますことは、申すまでもないことでございます。特例公債の場合、政府はこれを借りかえによって得た財源によって償還するという方法はとらないということを国会で申し上げておるわけでございます。そういたしますならば、そういう前提でまず考えなければならないことは、特例公債脱却することを当面の目標にまずしなければならないと思うのであります。阿部さんの御要請の十年間の償還財源の見当をつけるに当たりましても、第一歩といたしまして、特例公債から脱却する方途をまず探らなければならないのがわれわれの立場であろうと思うのであります。その特例公債から脱却が成りまして、それからその次の展望が開かれてまいりまして、第二段階においてどのような償還財源わが国財政に期待できるかということが第二の展望として私どもが探求していかなければならない目標であろうと思います。  そこで、いま当委員会に提出いたしました財政展望試案というものは、阿部さんの言われる御要請に対しましての第一歩要請にこたえたものである、そういうものとして御検討を煩わしたいと思います。
  9. 阿部助哉

    阿部(助)委員 これは第一歩だとこうおっしゃるのですが、この試案はまあそれはそれにして、私は大変重大だと思うのです。これは大蔵大臣政治責任をかけてここへお出しになったのですか。それとも、官僚がつくったものをただあなたは取り次いだだけのものなんですか、どうなんです。
  10. 大平正芳

    大平国務大臣 私は乏しいながら大蔵大臣でございまして、国会に対して責任を持っておる立場でございます。事務当局の書いた紙切れを伝達するような使者ではございません。
  11. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私は、それならばお伺いしますけれども、これは国民に対する重大な挑戦だと私は思うのであります。  まず第一に、増税の問題であります。この財政展望を見ますると、四十年から四十八年までの平均――この時代にGNPに対する減税前の税収見込み、まあ弾性値一・一であります。ところが、これから皆さんは低成長時代に入るとこう言っておる。それにかかわらず、税の伸びは一・六、大変にこれは高いのであります。毎年二〇%程度増税が見込まれるわけであります。ことに、皆さんのこれを見ますと、五十二年、五十三年度に当たっては、高度成長時代にもなかった二四・三%の税の伸び、言いかえれば毎年税金が四分の一ずつ高くなっていくというめちゃくちゃな重税になっていくわけであります。これだけの重税をやるといえば、一体何で税金を取るのですか。私はそのことが一番大事だと思うのです。国民にこれから負担をかけるのです。国民負担をかけるときに、だしぬけにかけるのではなしに、こういう検討をして、こういうふうにやりたいと思うというぐらいのものを出せないで――国民担保にして借金をしておる、そのときに、それも出せないというのでは余りにもお粗末なんじゃないか。一体何でこの税金を取るのですか。
  12. 大平正芳

    大平国務大臣 阿部さんにお聞き取りいただきたいのでございますけれども、この財政展望歳入歳出があるわけでございます。  そこで、あなたいま歳入のことばかりおっしゃいますけれども、これから先どのような歳出考えなければならぬかということにつきまして、一つの手がかりといたしまして、政府考えておりまする経済計画概案に盛られた考え方というものを歳出化した場合に、どのぐらいの財源を必要とするであろうかということを、まず前提にはじいておるわけでございます。もし、そういうことを必要としないというのでありますならば、あなたの言われる歳入は要らないわけなんでございます。もし、そういう歳出が今日の日本の状況からいたしまして必要だとすれば、その財源をどのようにして調達するかということを国民とともに考えるのは、当然財政当局責任であろうと思うのであります。財源は天から降ってくるわけじゃございませんから、国民と一緒に考えなければならぬわけでございますが、こういう前提歳出がこれだけ要るとするならば、そしてしかも、歳入考え方基本に、今日の実情におきましてわが国国民はどの程度の税の負担に耐えられるであろうかという検討経済計画概案にはあるわけでございますから、それも援用いたしましてはじいてみますと、この程度財源負担には耐えていただかないと財政のバランスはとれてまいらない、いわば特例公債からの脱却の道は開かれてこないという展望をその表を通じて示したと思うのでございます。  しからば、第二の問題として歳入でございますが、どういう方法で、どういう税目で、いつ国民負担を求めるかということにつきましては、まだその展望では何も答えていないわけでございます。  そういう財政展望に立ちまして、これから私どもが懸命にこの問題の検討を進めまして、国民の期待にこたえる案を案出してまいらなければいかないわけなんでございまして、そういうことを考え手がかりといたしまして、あなたのせっかくの御要請もあり、この財政展望を試算してみたというわけでございますので、そういうものとして評価をしていただきたいと思います。
  13. 阿部助哉

    阿部(助)委員 税収は降ってくるわけじゃないのですよ。あなたのおっしゃるとおりです。どっかから取るのです。そのどこから取るかというところに問題があるわけであります。だから、それを大まかにでも出さなければ、一体、また低所得層負担をかけていくのか、高所得層はそのまま放置しておくのかというあたりに一番問題がある、こう私は初めから言っておるのです。  あなた、私は、歳出の面は時間がありませんからはしょって申し上げますけれども皆さん財政展望を見ると、五十年から五十五年度まで、歳出の規模は一五・七%の増であります。これは高度成長期であった四十年から四十八年の一七九%の増と比べてみてそれほど減ってはいないのであります。しかも、その歳出の中身を見ると、公共事業費は五年間で平均して一五・五%の増であります。高度成長期の一六・二%と比べてこれまた大差がないのであります。要するに、別の言葉で言えば、依然としてこれは列島改造型であると言って私は言い過ぎでないと思うのであります。その反面、社会保障費の方はと言えば、一六%の伸びにとどまりまして、これは四十年から四十九年度の平均二一%と比べて大変な落ち込みであります。公共事業関係高度成長期と大した差なしに伸びていく、そして社会保障という一番生活のお困りになっている方々の方への対策は、二一%から一六%とこれはがっくり落ちていくわけであります。まさに高度成長型というか、大衆負担において列島改造を進めようという構想になっているという点で私は大きな不満があります。  しかし、きょうはこの問題で私は時間をとるわけにいきませんので、一つ聞きますけれども皆さんはこの第一案で――時間がありませんから一案で申し上げますけれども特例公債は五十五年度にゼロになります。しかし、そのときには公債残高は全部で五十一兆四千億であります。公債費は四兆四千億であります。これは五十五年ですよ。十年後の特例公債償還のとき、一体公債費は幾らになるという見積もりなんです。これぐらいの見当はついておるのでしょう。どうです。
  14. 大平正芳

    大平国務大臣 いま御検討いただいておりまするこの試算は、中期的ないわば展望を示したものでございまして、昭和六十年というようなところへの展望をやってまいりますにはいろいろな前提が要るわけでございます。  先ほど申しましたように、第一前提といたしまして、昭和五十五年までに特例公債から脱却するということをわが政府のもろもろの政策との整合性を維持しながらやってまいりますとするならば、財政的な姿はこういう姿のものになりますということを示したまででございます。あなたの言われる六十年の展望はどうかということはまた全然別な問題になってまいるわけでございます。私は、まだその六十年の展望をいま国会でお答えする用意はないわけでございますが、第一段階における中期的な展望の吟味を通じまして、あなたの言われる第二段階展望をより確実なものにするように努めるのがわれわれの任務であろうと思っておりますが、いまの段階におきまして第二段階の、つまり五十年後半期の財政展望をお示しする用意はまだございません。
  15. 阿部助哉

    阿部(助)委員 第二段階だとか第一段階と言うけれども皆さん国民担保にして借金をされるのですよ。国民担保にして借金をするならば、その返済計画というものがあって、そのときにどうなるかということがわからなければ、皆さん、国だから安易にそう借金をするけれども、普通のしゃばで一体こんなことで金を貸す人がありますか。第二段階がわからないだなんということで、十年後に返済しますと言いながら十年後はわかりませんじゃ、借金をするにしては余りにもずさんじゃないですか。  大体、こういう形で公債は増額をしていく。五十五年度にすでに五十一兆億の公債がたまってしまうのですよ。それについてあなたは、公債償還には真剣に取り組みますと言って、さきの臨時国会予算委員会の最終日にあなたは特に発言を求めて幾つかの約束をしておるわけであります。一体その約束をあなたは果たしておるのですか。  あなたの約束をいま申し上げればこういうことでございましょう。特例公債の償還には、まず第一に、公債残高の百分の一・六はいままでどおり繰り入れます。これが第一であります。第二番目には、これから剰余金については、従来、原則として二分の一に相当する額を充ててきたが、「特例公債償還までの間は、その全額を充てる予定であります。」と言って約束しておるのです。そのほかに、歳出の面でスクラップ・アンド・ビルドをやって節約をいたしますとか、政策減税を全面的な見直しをして増税をしますとか、新規財源検討して税調に諮りますという約束をしておる。一体この約束、果たしておるのですか。果たしてないじゃないですか。  私、時間がないから私の方で申し上げますけれども、ことし、四十九年度の剰余金が出ておるわけです。五十年度はまだ終わっておりませんから。四十九年度の剰余金を国債整理基金に幾ら投入しました。
  16. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 四十九年度決算におきましては、財政法六条の純剰余金が四百六億七千二百万円でございます。この純剰余金の二分の一を下らない金額は、これを生じました年度の翌々年度までに償還財源に充てなければならないことになっておりまして、国債整理基金特別会計に繰り入れる額は二百三億三千六百万円、こういう額に相当するわけでございます。
  17. 阿部助哉

    阿部(助)委員 剰余金は二百九十一億一千万円ですね。そうですね。
  18. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 そうです。
  19. 阿部助哉

    阿部(助)委員 繰り入れたのは二百三億ですね。違うじゃないですか、そうすると。剰余金は国債償還に充てるために全部繰り入れますと、こう約束しておる。これは私に対してじゃない、国民に約束しておるのです。この償還に少しでも足しにしようということで、あなたはこの前の、償還計画をやかましく追及されたときに約束しておるでしょう。「剰余金繰入れについては、従来、原則として剰余金の二分の一に相当する金額を充ててきたが、特例公債償還までの間は、その全額を充てる予定である。」、こう約束したんですね。この予算書を見て、二百九十億の剰余金があるにかかわらず二百三億しか入れないというのは、これは約束違反じゃないですか。だめです、こんなもの。
  20. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 ただいま御指摘のありましたように、二百九十一億でございますが、二百九十一億の中には特定財源が含まれておるわけでございます。交通安全対策特別交付金の財源相当額四十億とか空港整備事業費等財源の相当額四十七億、こういうものを引きまして、残りの二百三億を繰り入れたわけでございます。  それから、いま御指摘のように、将来の問題といたしましては、剰余金が発生いたしましたら二分の一を上回る額全額を繰り入れていこうという約束になっておるわけでございますが、阿部委員御承知のように、五十年度の補正におきまして初めて特例公債発行するということで、四十九年度剰余金は特例公債を圧縮するための財源として繰り入れたわけでございまして、そういう意味でその差額が出たわけでございます。
  21. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そんなのは答弁になりません。皆さんそれなら予算書を――この約束をした後に予算ができておるのですよ。予算編成をした後にこの約束をされておるならば、私はこれは認めます。大臣の約束は前であって、予算編成はその後なんです。剰余金は全部繰り入れますと約束しておるのです。しかも、予算書の中には剰余金とちゃんと出ておるじゃないですか。それならこの剰余金をもう一遍直してきなさい。これは訂正をしてくれない限り、この予算審議はこれは続けるわけにいきません、こんなうそをついて。それならば剰余金じゃないのですよ。剰余金とちゃんとここに出ておるわけです。それを全額繰り入れるという約束をしておるにかかわらず、明らかに違うじゃないですか、金額が。こんなずさんな予算をわれわれは審議をするわけにはまいりません。大臣、これをはっきりしてください。
  22. 大平正芳

    大平国務大臣 国会政府がお約束いたしましたことは重大なことでございまして、政府はその実行を保証しなければならぬ責任を持っておりますことは仰せのとおりでございます。いまあなたが御指摘の、「昭和五十年度の公債発行の特例に関する法律の規定により発行を予定する公債償還計画表に関する補足説明」という姿において、政府国会に対して、特例公債の償還はこれこれの財源をもって充てるつもりでございますということを申し上げたわけでございまして、昭和五十年度の公債発行の特例に関する法律に関連いたしましてのお約束でございまして、いまあなたの御指摘のは四十九年度の剰余金の問題でございまして、私はこれを約束違反とは考えておりません。
  23. 阿部助哉

    阿部(助)委員 大臣、それは詭弁ですよ。これから赤字公債は五十五年まで大体なくならぬのです。剰余金が出るはずがないのですよ。それは一億や二億のごく端数としては出るかもわからぬけれども、少なくとも剰余金は出ないのです。そうするとあなたは、これは当分の間、空約束をしたということになる。国民を愚弄したということになるのですよ。あなたはここで、剰余金は全額国債償還のために整理基金の方へ回します、こう約束した。その後でこの予算書はできておるわけであります。約束違反ですよ。それを、四十九年度の剰余金だからどうだこうだなんと言うのは、これは詭弁ですよ。これは予算書を直してもらわないと、私は国民のために審議できないと思います。だめですよ、これは。そんなインチキを言ったってだめです。
  24. 大平正芳

    大平国務大臣 仰せのように、いまの問題は、「昭和五十年度の特例公債については、満期が到来する際に全額を現金償還することとし、財政法第四条第一項ただし書の規定に基づいて発行される公債について行われているような借換債の発行収入による償還は行わないものとする。」ということが第一項にお約束されておるわけでございます。昭和五十年度の特例公債発行についてということでございまして、私ども、四十九年度の剰余金からこういう措置をいたしますということを、全額繰り入れますということをこの補足説明でお約束をしたわけではないわけでございます。しかし、ここにお約束してあります定率繰り入れ、それから剰余金の全額繰り入れ、それから予算繰り入れ、これは厳粛な国会に対する約束でございますので、政府は厘毫もこれをたがえるつもりはないわけでございます。
  25. 阿部助哉

    阿部(助)委員 これは全くの詭弁ですよ。これから当分の間、剰余金はないのです。剰余金が考えられるのは、この時点では四十九年度だけなんですよ。それで約束をし、その後で予算編成をしておるにかかわらず、それをごまかしてしまった。交通安全対策費だとかあるいは空港整備特別会計への繰り入れなんというものは、剰余金でやらなければならぬという規定は何もありません。私もこれは調べてみました。そんなばかなことはないですよ。これはもう問題になりませんよ。皆さんの約束は、このような国民に対するわけのわからないごまかしをやっていく限り、大臣が幾ら十年後に耳をそろえて償還しますなんて言ったって、計画も出さない、約束は破る、それで一体国民が信頼することができますか。できません、そんなもの。私はこれは、剰余金なら剰余金のところを直すとか、予算書を直してこない限り、この予算審議には応ずるわけにはまいりません。
  26. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 御質問にございました四十九年度の剰余金は二百三億でございますが、阿部委員すでに御承知のように、五十年度の補正予算ですでに財源として繰り入れているわけでございます。したがいまして、もしその段階において五十年度の補正で繰り入れませんでしたら、特例公債が二百三億だけよけいに出ている。したがいまして、これを償還財源に入れるか、あるいは特例公債をそれだけ圧縮できるかという問題でございまして、その点ちょっと御説明いたしておきます。
  27. 阿部助哉

    阿部(助)委員 委員長もごらんになってわかると思いますけれども予算書には前年度繰り入れ二百九十一億と、こう載っておるのですよ。使ってしまったらこれは剰余金でここに載るわけがないじゃないですか。予算書はインチキを書いておるのですか。予算書はうそを書いておるのですか。予算書を見てごらんなさい。二百九十一億とちゃんと予算書に載っておるじゃないですか。いまみたいな答弁したって、これはだめです。
  28. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 五十一年度にも載せてございます。ただ、ただいま御説明いたしましたとおり、五十年度補正でこれを歳入として組み入れなければそれだけ特例債が増額されているわけでございます。私ども償還財源として積み立てるか、あるいは特例債の発行をそれだけ圧縮するか、この二つの選択を迫られているわけでございまして、今後、この過年度の剰余金ではなくて、五十一年度以降発生する剰余金、これは特例公債とか四条公債を出している間は、阿部委員が先刻御指摘のとおり、剰余金というものはなかなか発生する性格ではないかもしれません。ただ私ども、将来、経済の摩擦的な動向によりまして剰余金が発生いたしましたら、それは全額繰り入れるということでございます。五十年度の特例債がそれだけ圧縮されていることは事実でございます。
  29. 阿部助哉

    阿部(助)委員 だめですよ。予算書がそれじゃインチキだということです。あなたの言うようなことを言うならば、この予算書は、剰余金が二百九十一億という、これはうそだということなんですよ。剰余金は二百三億しかなかったということなんですよ。これは予算書を直す以外にはないです。予算を直す以外にない。
  30. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 ちょっと、いまの阿部委員の御指摘でありましたが、五十一年度は二百九十一億入っておりますし、二百九十一億のうち特定財源に充てる分は特定財源歳出にいきますし、それから二百三億相当分は公債の償還に充てられるわけでございまして、この点説明しておきます。
  31. 阿部助哉

    阿部(助)委員 ではこれは保留しますが、これはいま幾ら言ってみたところで、予算書がうそであるか、答弁がうそであるか、私はどちらかと思う。だから、統一見解をきちんと示してもらうということで、これは保留したいと思いますが、いかがですか。
  32. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 承知しました。保留の件について理事会で協議して結果を出します。  安井吉典君。
  33. 安井吉典

    ○安井委員 残りの時間がわずかですから、すぐ問題点に入りますが、まず初めに大蔵大臣に、この大蔵省がお出しになった財政収支試算なるものは、特例債をも含めて国債をどんどん発行して、昭和五十五年度には五十一兆円という大きな額になり、その年の財政規模は四十三兆円ですから、そういうような膨大な財政規模をつくりながら、これでいけば国税は二%、地方税は一%の負担率を上げなければいけない。つまり増税の地ならしのために、増税の予告編のためにお出しになったような気がする。さらにまた、こんな膨大な国債発行はインフレにつながるおそれが多分にある。私はそう思うのですが、その点どうですか。
  34. 大平正芳

    大平国務大臣 この収支試算は、ただいま政府が持っておりまする経済計画概案に盛られたもろもろの思想、計画というものを、一応財政的な数字の姿にしてみますと歳出はこういう見当になるのではなかろうか。したがって、それに見合う財政のバランスをとるためには、歳入としてこういう措置が必要になるのではなかろうかという試算を提示したまででございます。この試算を見まして、果たしてそれではここにいう歳入歳出ともこういう姿で進めていいか悪いかの判断を、政府国民もともに考えていただきたいというのがこの財政収支試算の持っておる意味でございまして、これを何か国民に対して負担を求める一つの素地にしたいとかなんとかいう、そういう初めから予定した考え方でこの試算をいたしたというものではないわけでございます。そこに盛られておる、いま政府が持っておるいろいろな計画を、公共投資なら公共投資あるいは社会保障なら社会保障計画というようなものを、そのまま財政計画として、歳出として保証してまいるということにすればこれだけの財政規模になるじゃないか、それを埋めるためにはこれだけの歳入が要るじゃないか、そのためには公債をこれだけ出さなければいかぬということでございまして、そういう計算をしたまででございます。特定の意図を持ってやったわけでなくて、特例債はいつごろになったらこれから脱却できるかという展望を把握する一つの手がかりとして、また、財政計画を今後年々歳々編んでまいります場合の手がかりとしてつくってみたものでございまして、政府が特定の意図を持ってやったというように曲解されないようにお願いしたいと思います。
  35. 安井吉典

    ○安井委員 曲解されないようにとのお話でありますけれども、曲解せざるを得ないわけですよ。放漫財政をずっと続けてきた結果、今後こんな膨大な赤字をどんどん公債発行で埋めていかなければいけないということを出しておいて、一方で公債の償還のためには増税よりほかないということをお出しになっているわけですからね。これは、償還の方法をどうするのかという問題提起に対して、増税ですよ、増税をがまんしなさい、増税を覚悟しなさいという予告編としか私は受け取れないわけであります。そしてまた、国債発行がこんな多くなれば、私は、インフレへの懸念が強まって、経済見通しそのものも大きく変更を迫られてくることになりはしないかという疑問を持つわけですが、ちょっと議論する時間がありませんのでそれは後でいたすことにいたしますが、自治省がお出しになったこの地方財政収支試算につきましても、たとえば公共投資が、国は平均伸び率一五・五%を見ているのに地方の場合は一三・五%しか見てない。地方財政を何か規模を縮小しようというふうな意図があるのではないかということ。あるいは地方税についても一%の負担率引き上げ、これは地方税においても何か新税を考えているのではないかという疑問も出てきます。あるいは地方債の方も、昭和五十五年度になりましたら地方債の償還費は、過去の償還費は二兆八千億円になるわけですね、その年の地方債の借入額は二兆七千六百億円で、その年借りた地方債を全部突っ込んでもその年の借金払いができないという状態があらわれています。ですから、地方債への対策が必要ではないかという問題も出てくるわけであります。  しかし、時間が足りなくなりましたから以上の点は省略して、私は、一番問題になるのは収支が赤字という形で試算を出している点、この点だけひとつ伺っていきたいと思いますが、ケースIあるいはケースIIを見ましても五十二年度及び五十三年度は赤字、Iでは五十四年度も赤字という形で出ています。国の方は収支バランスがとれたような形で出ているのに、自治体の方はそうなっている。とりわけ非常に奇異に思うのは、五十二年度には地方財政は二兆円ぐらいの赤字が出ているわけですね。ところが、翌年は一兆円赤字が減って、その翌年また一兆円減って、今度は黒字になっちゃうという、こういう試算のあり方であります。これは余りにも不向然な安易な見通しで、地方財政の危機だ危機だ、こう騒がれているこの実態が、まるで二カ年度、一年間に一兆円ずつぽんぽんと赤字が減っちゃう、こういう気楽な出し方のように受け取れるわけであります。何か地方財政の危機を小手先だけでなぶっているのではないかと、こういうふうな印象さえ受けるわけです。特に五十三年度、五十四年度は赤字になっていて、その赤字をどうするのかという対策が全然ゼロですね。そうしますと、翌年の方を繰り上げ充用していかなければいけないということになると、それ以後のこの計画というやつは全部狂ってしまいます。一体どうするのか、この問題を。これは自治大臣の責任でつくられたものだと思いますので、伺います。
  36. 福田一

    福田(一)国務大臣 お答えをいたします。  確かにいま御指摘になった数字を出しておるわけでございますが、そこで問題は、この試算をつくりましたその基礎になったものは、やはり国の試算を一つの基礎として一応組んだわけでございます。しかし、今後の昭和五十二年度、三年度、四年度、五年度として見た場合に、順次赤字が減るかあるいはそれほど減っていかないかという意味においては、やはり試算というものでございますから、試算のI、試算のIIというものをつくってお出しをしておるわけであります。  ただいま御指摘があったのは、試算のを基準にしてお話があったのだと思うのでありますが、経済の運営というものは、私は素人でありますけれども、なかなかむずかしいものであって、そう簡単に二年、三年、四年、五年の先まではっきり見通すということは非常にむずかしい。そこで一応の考え方、一応の試算というものをつくって、それを一つの基礎にしながら今後の経済の運営についての基準を定めていくというか、考え方をそこへ求めていくということが正しいんだと思うのでございまして、いま御指摘のあったようにそういうような点がここで明瞭に解明できるかということになれば、こんなことを申し上げては恐縮でありますが、それは試算でございますからして、試みの算なんでございまして、確定案ではないわけでありまして、私たちとしてもそこまではなかなか申し上げることは困難だと思います。  しかし、いま御指摘のうちに、たとえば税制の問題において、税金が相当負担がふえてくるであろう、いわゆる税金がふえるであろうという御指摘がございましたが、今日のような、高度成長から低成長へ入ってまいりまして、しかも国としての支出が切り詰められない、あるいはある程度福祉予算等を伸ばしていかなければならないということになれば、いろいろの面も考慮しなければなりませんけれども、ある程度増税というものもわれわれとしては覚悟しなければならないし、国民もまたその程度のことの覚悟を持ってやっていただくようにしなければならないんじゃないかと、私はそう考えておるわけでございます。
  37. 安井吉典

    ○安井委員 納得できるようなお答えではありません。私はその問題を詰めるゆとりがありませんので、ただ最後に、地方財政と国の財政との抜本的な見直しをやるのだ、と自治大臣、この間も言われました。三木総理大臣もそういうことを言われました。地方交付税法第六条の三第二項にも、交付税の税率によって交付が行われていて、余りにも地方財政の実態と違う場合には、「地方財政若しくは地方行政に係る制度の改正又は」三二%という「率の変更を行うものとする。」という規定があります。抜本改正というのはこの意味も含まれて自治大臣の御発言があったのだと思うのですが、昭和五十年度も実態に沿わないし、昭和五十一年度は、大蔵大臣は三税の三二%だと思い込んでいるかもしらぬが、実際は主税の四三%分が交付されなければ明年度の地方財政はうまくいかないということが予算の中で明らかにされているわけであります。だから、交付税率の三二%を引き上げるのか、それとも地方行財政の制度を抜本的に改正するのかという、そういう岐路にもうすでに来ていると思うのですが、自治大臣どうですか、自治大臣のお考えを伺います。
  38. 福田一

    福田(一)国務大臣 お答えをいたします。  確かにいま仰せになりましたように、今年度すなわち五十一年末におきましては、交付税率の問題を含めて検討をいたさなければならないということを申し上げたことは事実でございます。いまもその考え方には変わりはございません。ただし、経済のことでございますから、今後どのような動きになっていくかということを十分見きわめることが必要でございますと同時に、行財政の見直しをするということも一つの大きな問題点になっておるわけでございます。すなわち、交付税率をどうしても上げるかどうかということについては、行政あるいは財政の面におきまして地方が負担している分を国が負担するような形に変えることができれば、この交付税率を上げないでも済むかもしれません。そういうような問題も含めて今後検討をいたしますということを申し上げておるわけでございまして、いまの段階におきまして交付税率を直ちに引き上げるということをお答えすることはいたしかねるのでありますけれども、しかし、これは一つの大きな問題点であるという意味においては御指摘のとおりであると思って、真剣にこれから検討をいたしてまいりたいと思うのであります。
  39. 安井吉典

    ○安井委員 交付税率の引き上げをも含めて地方行財政制度の見直しをことしじゅうにやる、こう理解していいですね、自治大臣。
  40. 福田一

    福田(一)国務大臣 御指摘のとおりでございます。
  41. 安井吉典

    ○安井委員 大蔵大臣、いまの問題、これは国と地方とにかかわる問題です。自治大臣のとおりでよろしいですね。
  42. 大平正芳

    大平国務大臣 検討しなければならぬ問題だと思いますけれども、いまの内外の経済の状況から申しまして、経済の状況、非常に流動的でございます。したがって、財政もまた中央、地方を通じて流動的な段階でございますので、根本的な制度の改正というようなことにはなじまない時期であるように私は思います。
  43. 安井吉典

    ○安井委員 これは自治大臣と大蔵大臣で話が違うじゃないですか。同じ政府の中でそれは違うでしょう。大変ですよ、それは。総理大臣、どうですか。
  44. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 大蔵大臣の申すのは、いまの経済状態、こういう中でなかなかむずかしい問題だということを現実に即して言ったのですが、やはり行財政というものの根本的見直しはいたさなければならぬわけでございますから、大蔵大臣指摘するように、いまはなかなか困難なときではあるけれども政府は取り組みたい考えでございます。
  45. 安井吉典

    ○安井委員 大蔵大臣大蔵大臣のニュアンスと総理大臣のニュアンスとこれはみんな違いますよ。それでよろしいんですか。
  46. 大平正芳

    大平国務大臣 私は、検討しないと言っているのじゃないのです。検討はいたします、しかし、いまの時期は大変むずかしい時期であるということだけをつけ加えて申し上げたわけです。
  47. 安井吉典

    ○安井委員 それは時期を後にずらすのなら問題はないわけです、いつやっても。しかし、いまで、五十年度と五十二年度の状態をとらえて地方交付税法第六条の三の規定でいま問題が提起されているのだということを私は申し上げたでしょう。これはひとつ政府の中の統一見解をお出しください。ことしじゅうに明確にこういう方針を、改革に取り組むというそのことについて明確にしていただきたいと思います。委員長、それをお願いします。予算委員会が終わるまでにやはりこれは明確にしていただきたいと思います。
  48. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 大平大蔵大臣、よろしゅうございますか。いまの明確にということで福田自治大臣と……。
  49. 福田一

    福田(一)国務大臣 私が申し上げたことと大蔵大臣の申し上げたところとが非常に違っておるような印象を与えておりますけれども、私はそうは思っておりません。私は、検討をするということを申し上げたのでありまして、こうこうするということを申し上げた意図はございません。
  50. 安井吉典

    ○安井委員 ですから、後で明確にしてください。
  51. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 後で明確にするように。
  52. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 政府としてこれの検討をいたします。
  53. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これにて阿部哉君、安井吉典君の質疑は終了いたしました。  次に、松本善明君。
  54. 松本善明

    ○松本(善)委員 二月の四日の本委員会で、航空自衛隊のレーダーを米軍が使って攻撃的な空対空訓練計画をやっているという問題を問題にいたしました。このバーナム中佐のガリガン米第五空軍司令官に対する報告については、防衛庁ないし外務省で調査をされたか。どういう事情であったか。まず御報告をいただきたいと思います。
  55. 丸山昴

    ○丸山政府委員 本件に関しまして府中の在日米軍基地に照会をいたしました。先方からの回答は、ガリガン司令官が沖繩に巡視をいたしましたときに、ここに指摘のございますバーナム中佐からのブリーフィングがあった、大体、要旨はここに出ておりますような中身のことをブリーフをしておる、大筋においてこのとおりであるということでございます。  それから、ここに「攻撃的空対空訓練計画」という、これはアグレシブ・エア・ツー・エア・トレーニング・プランということのようでございますが、このアグレシブという意味は、実戦的という意味合いであって、特に侵略的な意味を指しておるものではないということでございます。
  56. 松本善明

    ○松本(善)委員 航空自衛隊の要撃管制サイトのレーダーの能力を伺いたいのですが、航空性能で一体どのあたりまで届くのか、御答弁をいただきたい。
  57. 丸山昴

    ○丸山政府委員 詳細につきましては、正確な数字は差し控えさせていただきたいと思いますが、御案内のように、もちろん高度によってその覆域が違ってまいるわけでございますが、通常、覆域は二百マイルというふうに申し上げております。
  58. 松本善明

    ○松本(善)委員 そうすると、航空性能では朝鮮上空はもちろん覆うということになりますね。
  59. 丸山昴

    ○丸山政府委員 対馬にございますレーダーは、朝鮮半島の上空を覆うことになると思いますが、問題のこの前御指摘ございました沖繩は覆うことにはなりません。     〔委員長退席、正示委員長代理着席〕
  60. 松本善明

    ○松本(善)委員 航空自衛隊のレーダーは沖繩も使うし、それから対馬も使うということを、米軍が使うということを前提として伺いますが、安保条約の五条発動以前、要撃作戦についてレーダーを使うということはできないのだという趣旨のことを前回答えましたけれども、五条発動以前の場合、安保条約の六条、言うならば米軍が極東の平和と安全のためにということで日本以外で活動する場合、そういう場合にたとえば朝鮮有事の際に、この米軍の行動に対する航空自衛隊のレーダーによる協力というのは行わないのか行うのか、この点をはっきりお答えいただきたいと思います。
  61. 丸山昴

    ○丸山政府委員 まず最初に、五条以前の事態においてレーダー誘導は行わないのだという趣旨にこの前私のお答えがとられておるとすれば、これは私の説明不足でございまして、あの前後をごらんいただければ、平時においては御案内のように松前・バーンズ協定がございまして、対領侵措置についてアメリカがカバーすることがある場合においては、当然、当方が要撃についてのレーダー誘導を行う、こういうことになるわけでございまして、五条以前におきましては、当然、いま申し上げました平時のあれに入りますので、平時の事態におきましては、松前・バーンズ協定に基づいて行うということでございます。  それから、いまお話がございました、わが国が平時であって朝鮮半島が有事である、そこで日本から米軍機が、直接の作戦行動でなくても――直接の作戦行動、これは当然、事前協議の対象になるわけでございますが、そういう問題は別として、それが参ります場合に、わが自衛隊の航空管制組織がこれを誘導するかどうか、こういう問題でございますが、私どもの管制は要撃機に対して、つまり目標機に対して要撃機を誘導する、入ってきた侵入機に対して要撃機を誘導する、こういう任務を持ち、また、そういう機能を持っておるわけでございます。したがいまして、もしわが国を発して韓国に行くということであれば、これは目的地がはっきりしておるわけでございますから、何もわが方の誘導を必要とせず自力で先方に行けるわけでございます。つまり、われわれが誘導管制をいたします趣旨は、侵略機がある、侵入機がある、それに向けて要撃機を誘導してやる、その誘導する仕事がわれわれのレーダー管制の任務でございまして、いま申し上げましたように、朝鮮のどこそこの飛行場へ行く、そういう目的のために直接日本から飛び立っていく米軍機をうちのレーダー管制で誘導する必要はないということでございます。
  62. 松本善明

    ○松本(善)委員 そうすると、確かめて言いますが、五条発動時はわが国の有事である、その前の事態の場合は平時と考えて松前・バーンズ協定によって誘導するのだ。こういうことになると、一般的に言えば他国の有事、朝鮮有事の場合もその場合に入る、こういうことを前段で言われたというふうに思いますが、そういうことですか。
  63. 丸山昴

    ○丸山政府委員 わが国に対する直接の武力侵略がありました場合には、これは御案内のように、安保五条ということになるわけでございます。この直接の侵略がない場合においては、安保五条以前の状態ということになるわけでございまして、その場合にはわが国に対する領空侵犯、いわゆる警察行動の対象ということになるわけでございまして、それについて米軍機が要撃をする場合においては、当方の管制レーダーによりまして目標機までの誘導を行う、こういうことでございます。
  64. 松本善明

    ○松本(善)委員 そうすると、後段について聞きますが、朝鮮の有事の場合、韓国へ行くのは自力で行けると言うけれども、ここで朝鮮有事の場合に米軍が戦闘をするというときには、一切航空自衛隊のレーダーは使わないということでありますか。
  65. 丸山昴

    ○丸山政府委員 五条の事態以外の場合は、あくまでもわが国の領空侵犯に対する措置でございまして、いわゆる戦闘行動というものについては、わが自衛隊の管制は関与をいたしません。
  66. 松本善明

    ○松本(善)委員 前回防衛庁長官が、有事の場合の協定を検討するということを言われましたのは、これは五条発動時のことでありますか。それとも五条発動以前で、米軍が朝鮮有事の際などで戦闘行動をする場合のことでありますか。
  67. 丸山昴

    ○丸山政府委員 御案内のように、五条発動前におきましては、当方はあくまで対領侵措置ということで、それは松前・バーンズ協定がカバーをいたしておるわけでございます。五条の事態におきましては、先日大臣から御答弁申し上げましたように、現在協定がございません。したがいまして、この協定は五条の事態を想定しての協定ということに相なるかと思います。
  68. 松本善明

    ○松本(善)委員 そうすると、米軍との共同作戦をする場合のレーダーの使い方についての協定が準備をされているということでありますか。防衛庁長官からもお答えいただきたいと思います。
  69. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 今度開きますところの日米防衛協力の対象にはなりますけれども、いまは考えておりません。
  70. 松本善明

    ○松本(善)委員 朝鮮へ米軍が行く場合の航空自衛隊のレーダーは一切使いませんか。一定のところまで使いますか。
  71. 丸山昴

    ○丸山政府委員 先ほど申し上げましたように、要撃管制にのみ使うということでございますので、実際上も当方のレーダーの誘導ということを必要といたしません。実際問題としてもその必要がございませんし、当方としてのたてまえから申しましても要撃管制だけでございまして、それ以外に朝鮮に向けて飛ぶものについての誘導は行うことはございません。
  72. 松本善明

    ○松本(善)委員 べ-シックドクトリンによれば、攻勢的な航空作戦、これがどういうものとして規定をされているか。べ-シックドクトリンというのは米空軍の教範です。これについて防衛局長から伺いたいと思います。
  73. 丸山昴

    ○丸山政府委員 べ-シックドクトリン、ちょっと手元にございませんし、私、詳しく読んでおりませんので、お答え申しかねます。
  74. 松本善明

    ○松本(善)委員 べ-シックドクトリンによりますと「攻勢対航空作戦は、通常、敵国領土内の空地における敵航空機、ミサイル及び高射砲陣地、航空基地、指揮統制組織、燃料貯蔵施設、並びに敵国の航空戦力組織を構成するか、又は支援するその他の目標を捜索し、これらを撃破するために、実施される。」ということになっております。これは米空軍の教範でありまして、自衛隊の訳によるものであります。航空幕僚監部のつくったものであり、航空自衛隊の訓練資料によるもので、国会にも提出をされているものであります。米軍はこういう攻勢的な航空作戦をやるわけでありまして、敵国領土内での戦闘もやるわけであります。  そして特に一八戦術戦闘航空団、私が前回問題にいたしました第一八戦術戦闘航空団というのは、これは日本の防空というよりは攻撃的な任務、日本の防空以外の任務を持っている、これが特徴であります。また、サイミントン委員会でのマッギー在日米軍司令官兼第五空軍司令官の一九七〇年の発言でも、日本に駐留する米国軍隊は、第一義的に日本本土の直接防衛のためにそこにいるのではなく、日本の安全を含むその地域の他の条約上のコミットメントを実行するためにいる、こういうふうに述べております。でありますから、一八戦術戦闘航空団の攻勢的空対空訓練計画に航空自衛隊のレーダーを使うということは、これは非常に重大な問題であります。後で総理防衛庁長官にもお聞きしますので、よくお聞きいただきたいのでありますが、こういう訓練は、たとえば朝鮮上空での戦闘やあるいは公海公空上での米軍の戦闘について、訓練は平時のものとして、その訓練の性質のいかんを問わず、松前・バーンズ協定によって行われているのだということが前回以来の答弁の趣旨であると思いますが、その点について答弁を聞きたいと思います。
  75. 丸山昴

    ○丸山政府委員 御案内のように、在日米軍が日本の基地を使用いたしますのは、安保第六条にございますように、日本の安全と極東の平和と安全のために日本の基地を使用するというその駐留目的が明記されておるわけでございまして、在日米軍が訓練を行います際、ただいま申し上げました日本の安全及び極東の平和と安全ということの目的に合致したその範囲内のものである以上、安保条約に違反するものではないというふうに判断をいたします。
  76. 松本善明

    ○松本(善)委員 そうすると、結局いわゆる五条発動時以外の米軍の行動でも、極東の平和と安全のために米軍が行動をするという限りにおいては、五条以外で米軍が行動する場合についても、訓練であるから松前・バーンズ協定でやれるのだということで、航空自衛隊は米軍の行動が安保条約の範囲内であるならば訓練時に協力をして・いる、こういうことですね。
  77. 丸山昴

    ○丸山政府委員 米軍の訓練ということになりますと、いま御指摘になった根拠として松前・バーンズ協定は、御案内のように日本に対する対領空侵犯機がありました場合に、現在は第一義的に航空自衛隊がこれを排除するという責任を負っておるわけですが、同時に、松前・バーンズ協定によってアメリカも日本要請に基づいてできるという、こういう趣旨になっておるのでございまして、ただいまの先生の御指摘の問題は、日本において在日米軍が訓練をいたしますその範囲は、安保第六条の日本において基地を使用する、在日米軍基地を使用する目的、すなわち日本の安全及び極東の平和と安全、そのために行うものである以上、これは安保条約に違反するものでないというふうに考えるわけでございます。
  78. 松本善明

    ○松本(善)委員 防衛庁長官に伺いますが、いま再々、前回以来松前・バーンズ協定というのが答弁の中に出てまいります。ところが、これは実は秘密にされておって国会に提出をされていないわけであります。私どもは、それが当然のことのように防衛局長答弁として出ることについてきわめて遺憾であると思う。ここで私が聞きたいのは、まず第一に防衛局長に、あなたが答弁をされた松前・バーンズ協定については、米軍の問題についてどのように書いてあるのか。英文とそれから日本文でここで御答弁をいただきたい、その条文どおりに。
  79. 丸山昴

    ○丸山政府委員 松前・バーンズ協定は、かねてから申し上げておりますとおり米軍との間の取り決めでございまして、この点については、対領空侵犯措置を行うというその本来の任務の特殊性、それから中身については当方のみならずアメリカの機密にも属する問題であるということで、この趣旨につきましては御説明を申し上げてございますが、原文その他については、アメリカの了承を得る必要もございますので、在来から御提出を差し控えさしていただいておる、こういうことでございます。
  80. 松本善明

    ○松本(善)委員 防衛庁長官と申しましたが、やはり総理に伺った方がいいと思います。  いま話に出ましたように、松前-バーンス協定というのはたびたび出るわけです。出るわけですけれども、議員の方は正確なものを知らない。それで国会の論議ができるわけがありません。これは一九五九年以来のものであります。これは何としても、これだけ議論になっているわけですから、やはり国会に提出されなければならないと思います。そして、もし必要ならばアメリカにもその措置をとって、そして国会に提出さるべきであると思います。この点について総理大臣がそのような措置をとられるかどうか、伺いたいと思います。
  81. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 それを、一つの協定そのものを日本だけでお出しすることはできませんが、そういう意味で、この協定の含まれておる内容というものは答弁でも申しておりますが、これは必要がありますれば、そういう内容についてこういう内容のものだということは明らかにいたしていままできておるから御理解を願えると思いますが、必要があればさらに詳細に申し上げて結構だと思います。
  82. 松本善明

    ○松本(善)委員 そういうことでは納得できないですよ。これは足かけ十七年間も国会に秘密にされて、国会答弁では平気で言っている。しかもそれには、いま話が出ましたように、米軍が極東の平和と安全のために行動する場合についても、航空自衛隊がレーダーで協力するという訓練がされるということまで含まれている。これは原文で見なければなりません。私は、その点について聞く前に、これは英文と日本文、両方あるのかどうか、これを伺いたいと思います。
  83. 丸山昴

    ○丸山政府委員 これは英文と日本文と両方ございます。  それで、先ほどから申し上げておりますように、この松前・バーンズ協定は、領空侵犯に対する措置、これの手続を決めておるものでございまして、この中身は、実際に領空侵犯に対して当方が対抗措置をとる場合に、相手方にそれを知られておれば大変仕事がやりにくくなる、そういう本来の性格を持っておるものでございます。  それから、ただいま先生が御指摘ございましたように、平時において松前・バーンズによって自衛隊が、仮に朝鮮に有事がありました際にそこへ飛んでいく航空機に支援をするという、そういうことをおっしゃっておるわけでございますが、それは先ほどから申しておりますように、わが国に対する領空侵犯があったものに対して当方が要撃をするというそのことに限定をされておるわけでございまして、直接在日米軍の航空機が韓国へ飛ぶ場合、これは目的地がはっきりしておるわけでございますから、自力で当然飛べる。何も日本のレーダーの誘導をやってもらう必要はないわけでございます。入ってくる領空侵犯機の位置がわからないからそこまでレーダーで誘導してもらう、これが本来の防空管制の中身でございます。  それから、松前・バーンズの取り決めの中身については、在来申し上げておりますように主な中身は、まず第一番目にアメリカの第五空軍と航空総隊との間で日本の領空侵犯に対する措置実施上の細目事項を明らかにすることを目的とする。それから第五空軍とわが航空自衛隊の総隊とは別個の指揮系統を保持する。それから警戒態勢、いわゆるDEFCONと言われるものでございますが、これを高めるに当たっては、相互に緊密な調整を行う。ただし、そのおくれが日本の防空を危うくするような場合においては、一方的に警戒態勢を高め、その後に調整を行うこともある。それから、府中の作戦指揮所、COCでございますが、これは第五空軍と航空総隊との双方の指揮中枢とする。それから防空管制所と防空指令所に第五空軍の連絡員、アドットと言っておりますが、これを配置する。これは現在は府中とそれから那覇と二カ所だけになっております。それから、隣接極東地域との関連情報の交換は第五空軍司令官の責任である。こういう趣旨のものでございます。
  84. 松本善明

    ○松本(善)委員 私は先ほどの総理答弁では満足できないのです。これをやはり英文と日本文、これは当然に国会に提出されなければならないと思います。私は、この点については国会で決議をしても提出をさるべき性質のもの。国権の最高機関で、これだけ論議をされておりながら、十年以上論議されておりながら、それが国会議員には渡らないで、そして一防衛局長がとうとうとここで述べる。そういうようなことで国政の審議は十分にできるものでないことは明らかであります。これは理事会で御協議をいただきたい。私は、この提出はきわめて重要な問題で、朝鮮での米軍の作戦行動にどうするかというきわめて重要な問題でありますので、この点は提出を求めますから、理事会で御協議をいただきたいと思います。
  85. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 松本委員に申し上げますが、松本委員はその道の大家でお詳しいとおり、これは性質上いままで公表はいたしませんが、支障のない限り説明をするにやぶさかでない、こういうことできております。もちろんこれは理事会でお諮りいたしますけれども、そういう経緯はよく御承知でございますので、この際重ねて松本委員にその点も申し上げ、御質問を続けていただくようにお願いいたします。
  86. 松本善明

    ○松本(善)委員 これは行政府は行政府考えがあると思いますが、これはアメリカに対する措置も含めましてこの時点で何としても国会で解決しなければならない問題でありますので、これは御協議をいただきたい。そして私はこの点については、これが提出された上で質問するということで、その点の質問は留保をいたします。  そして総理に伺う前に防衛庁長官に伺いますが、私はきわめて重大なことが答弁をされていると思います。訓練について言うならば、米軍が極東の平和と安全のために行動する場合についても、松前・バーンズ協定によってこれは協力をすると言う。そういう訓練では協力する。私はこのバーナム中佐の報告もそういうものの一つであるというふうに思いますけれども、そういうことになりますと、平時は米軍が極東の平和と安全のために行動する、いわゆる五条にかかわらない場合であっても、平時だからということでそれにはいろいろな訓練を協力をする。特にこのバーナム報告では、航空自衛隊の地上要撃管制サイトの利用をふやすことで、その作業関係を改善し、言語の障害を少なくするということまで言っている。しょっちゅう使えるようにする。これは戦闘時にやはり使うために訓練をしておるわけです。平時は平時だけれども、戦闘時はこれは別だ、こういうことには絶対なりません。戦闘の準備のために訓練というのはあるのでありますから。これは、いまなされておることは、米軍がいわゆる五条発動時以外についても戦闘する場合の訓練もやっておるということであります。私はこういうことがやられているということは重大なことであると思います。この点について防衛庁長官総理大臣一体どう考えておられるか。この問題については私が考えているような事態になりますことはもう大変なことであると思いますので、まず見解を伺っておきたいと思います。両大臣から。これは局長の問題ではありません。
  87. 丸山昴

    ○丸山政府委員 事実認識の問題で私の方から一言御説明を申し上げておいた方がよろしいのではないかと思いますので、説明をさせていただきます。  先ごろ御提出がありました資料にも書かれておりますように、わが方がレーダーで米軍機を誘導いたしますその実態は、先ほど申し上げましたように、侵入機が参ります、訓練の場合には目標機でございますが、その目標機に向けて要撃をする航空機をレーダーの誘導によってそこの位置まで持っていってやるということでございます。このレーダーの管制所でやります仕事は常にそういうパターンを繰り返しておるということでございます。したがいまして、この訓練にたとえば空中戦闘その他の問題がございます。ありますが、これはそこの目標機を要撃機がとらえてしまえば後は要撃機の方の問題であって、レーダーの管制を必要としないわけでございます。したがいまして、わが方がアメリカの訓練に組み込まれているという御指摘、これは全然当たらないというふうに思います。  それからわが管制所とそれから飛んでおります米軍機のパイロットとの間の言語障害その他を除去してやるということは、これは先ほど松前・バーンズでもありましたように、領空侵犯に対してわが国が航空自衛隊だけで足りない場合においては当然米軍機にやってもらうわけでございまして、平生から言語障害その他の問題を取り除いておくということは、当然われわれとして行っておかなければならない。われわれの立場からも当然それを望んでおることでございまして、御指摘の点については事実関係はいま申し上げますようなことを前提としてお考えをいただきたいと思います。
  88. 松本善明

    ○松本(善)委員 防衛局長の説明はまた違ったことを言っているのですよ。その点ちょっと言っておきますと、これはもちろんいわゆる敵機に遭遇するところまで持っていくというのがレーダーの任務で、それから先は航空機がやるわけですけれども、その持っていくというところが現在の航空作戦では非常に重要なのです。最も重要と言ってもいいぐらいなんです。だから問題にしているわけです。それをアメリカの訓練計画の中に組み入れているというふうに言うか、防衛局長のようにそれはそうではないと言って強弁をするかは別問題です。私がいま聞いておりますのは、総理大臣防衛庁長官に聞いておりますのは、先ほど防衛局長答弁によっても明らかなように、極東の平和と安全のために米軍が行動する場合の訓練については、これは平時のことであるからやっておるんだ、松前・バーンズ協定の範囲内で、安保条約の範囲内でやっておるんだ。しかしこれは、訓練だからいいと言っているけれども、先ほど申しましたように訓練はそのまま戦闘に移行するものだ。そういう米軍の訓練のために航空自衛隊のレーダーが使われている、しかも、それになれるようにされているということは、これは重大な事態なんだ。そういうような、米軍が五条以外の作戦行動にも使えるような訓練をしているというふうに、それも安保条約の範囲内だということでやっていること以外の何物でもないと思う。その点について、総理防衛庁長官の見解を伺いたい、こういうことであります。
  89. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 先ほどから防衛局長がるる御説明を申し上げているとおりなのでございまして、わが国の、安全を守るために、領空侵犯、そういう事態に対してこのレーダーサイトを使っておるわけでございます。それは松前・バーンズ協定によって使っておる、こういうことでございます。また、有事の際は日本に侵入いたします敵機を要撃する、それに対していろいろわれわれがまた利用をする、こういうことでございまして、別に御疑問になるのが私にはよくわからないわけでございます。
  90. 松本善明

    ○松本(善)委員 それでは防衛庁長官に伺いましょう、大変重要なことですから。  先ほど極東の平和と安全のために米軍が動く場合、これの訓練はやるということを防衛局長は言ったのです。いまあなたの説明ではそのことは抜けております。違うのですよ。先ほど防衛局長が言ったことは非常に重要なことであります。防衛庁長官に伺いますが、米軍がわが国のいわゆる防衛のために、五条発動時以外の場合^極東の平和と安全のために、わが国の防衛ということに、いわゆる防衛にかかわらない場合行動をする、そういうようなことについての訓練を平時だからということでやっているというのが先ほどの答弁であります。それは安保条約の範囲内だ、安保条約の範囲内で米軍が行動する限りは、日本の航空自衛隊のレーダーの協力を得て訓練のときはやるのだ、こういう答弁ですよ。その訓練は重大なことだとは考えないかということの質問です。
  91. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 米軍の訓練でございますから、しかもそれは日米安保条約に反したものでない限りにおいて、どのような訓練をされるということにつきまして、われわれは関知しないわけでございます。
  92. 松本善明

    ○松本(善)委員 これはまた非常に重大な答弁であります。三木総理、この訓練は戦時にはそのまま戦闘に移行するものです。極東の平和と安全のために米軍が行動する限りは、安保条約の範囲内である限りは航空自衛隊が協力をする、これでいいですか。これは大変な事態であります。総理答弁を聞きたい。
  93. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 自衛隊のレーダーサイトで米軍を誘導するということですが、訓練の場合に限らずですね、これはなぜやるかと言えば、日本の上空を侵犯してくるような敵機といいますか、そういうようなものがあった場合にこれを迎え撃つためのものでありまして、ほかのことをやっているわけではないのだ、日本を侵すものがあったときにこれを要撃する、これを誘導するためにレーダーサイトで協力をしておるわけですから、ほかの何でもやっておるわけではないのですよ。日本を侵すものに対して、これを迎え撃つための訓練でありますから、これは一向、日米安保条約及び松前・バーンズ協定において差し支えないものだと思います。
  94. 松本善明

    ○松本(善)委員 いま総理の言われたことと防衛庁長官の言われたこととは違うのですよ。極東の平和と安全の場合というのは、日本が攻撃をされない場合でもあるのですよ。その場合に当然だということを言ったんですよ。防衛庁長官の言ったことは間違いですか。これは私は、この点については非常に大事な問題ですから、内閣としての統一見解を求めたいと思います。
  95. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 私が申し上げたのは、訓練でしょう、訓練のことを申し上げているわけです。米軍の訓練のことですよ。ですから、訓練が安保条約の範囲内において米軍でなされるということについてわれわれは関知しない。いいんじゃないですか。そこがどうしてもわからないわけでございまして、領空侵犯の偵察行動、そのことにつきましては、これは当然わが国の安全を守るためにやらなければならぬことなので、レーダーサイトを使わなければならぬ。しかもあくまでも要撃という、向こうから侵入してきたときに対してどうするかということなんで、おわかりにならないのが私はわからないわけでございます。
  96. 松本善明

    ○松本(善)委員 とんでもないんですよ。日本が攻撃をされた場合以外の極東の平和と安全のために行動をするという場合のことについても、訓練ならば、安保条約の範囲内の行動を前提として米軍がやるならば、これは訓練の場合であるから構わないのだ、航空自衛隊のレーダーサイトを使っても構わないのだ、これが先ほど来の防衛局長防衛庁長官の一貫した答弁です。それは安保条約違反でない、そういうふうにあなた方は言おうとするのだろうと思うのです。しかし、これは日本国民の平和と安全にとっては大問題なんです。あなた方は、日本が攻撃をされた場合以外の場合についても、訓練なら構わないと言っているのです。私はこの問題については――いまP3Cの問題などで日本とアメリカの共同作戦の行動に重大な疑惑が持たれております。この点については松前・バーンズ協定が提出をされて、そして徹底的に論議されなければならない重大な問題だと思いますので、この問題についての質問は留保して、中路委員の関連質問をお許しいただきたいと思います。
  97. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 答弁ありますか。――丸山防衛局長から答弁をいたします。
  98. 丸山昴

    ○丸山政府委員 私は実態をお話し申し上げておるわけでございますが、当方の誘導を支援をいたしますということは、繰り返して申しておりますように、わが国に対する領空侵犯に対する措置である、そのことを当方としてはやっておるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、アメリカがわが国の安全にかかわりのない極東の平和と安全という概念を先生は立てられておるわけでございますが、実際的にそういうものがあるかどうかは別といたしまして、概念的にそういうものがもしありといたしましても、その訓練はあくまでもやはり、日米安全保障条約の範囲内で行われるものであるというふうに私どもは承知をいたしておるわけでございます。したがいまして、この訓練そのものについて、先ほどから申しておりますように、わが方が関与しておりますのは、侵入機に対して要撃機を誘導するという、それだけのパターンでございます。したがいまして、そのアメリカが行います訓練がどういう内容のものであるかということは、当方はこれには関知をしておらない、その部分だけについて関知をしておる、こういうことでございます。したがいまして、この点について先生からの御指摘のような疑念はないというふうに私どもは判断をいたします。
  99. 松本善明

    ○松本(善)委員 事実関係の認識はわかりますが、これは政治的には非常に重要な問題です。これは改めて質問をいたします。
  100. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 中路雅弘君。
  101. 中路雅弘

    中路委員 時間が限られていますので、私は、昨日も論議になりましたPXLの問題についてしぼって御質問しますが、まず総理は、総理であるとともに国防会議の議長でありますからお尋ねしますが、昨日P3Cの購入をめぐる問題、これについては、いやしくも国民疑惑が持たれるような決定、こういうことはしないという答弁をされています。また、内閣としても調査をするという約束をされています。防衛庁だけじゃなくて、当時の経過を調査をするという約束をされていますが、いまこの問題でどのような疑惑が出されているのか。またどのような問題を調査をされるのか。最初に一言お聞きしたいと思います。
  102. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 総理からお答えになります前に申し上げておきたいと思いますが、それは、次期対潜機の問題について、第一は、次期対潜機につきまして、すでに国産の方針が決まっていたものを白紙にしたのではないかという点であろうかと思います。この点につきましては、昭和四十七年十月九日、国防会議議員懇談会の了解事項のうち、「国産化問題は白紙とし、」という表現が、一般には国産化は白紙としと解されがちであり、国産化の是非についての従来の論議を白紙にしてという意味が通じていなかったことによるものと思われます。しかし、次期対潜機が国産と決定されたこともなければ、したがいましてそれを取りやめたということもございません。これは大蔵省と防衛庁の間にいろいろ議論があったわけでございまして、私どもといたしましては、国産化を前提とした研究開発、そういう予算をくれ、こうやってきた。それに対して終始大蔵省の方では、それは国産化を前提とした研究開発はいけないんだ、こういうことで一貫しておる。しかしそれはひとつ白紙にと、こういう意味だと解しておるわけであります。  第二は、防衛庁は事前に次期対潜機の国産を前提とした研究開発は困難なことを知らされていたかどうかであります。この点につきましては、防衛庁としましては、かねてより国産化を前提とした研究開発は認めがたい旨の大蔵省の意向を承知しており、さらには、国防会議の開かれる前日にも大蔵省の同様の意向が伝えられ、防衛庁もやむを得ないものといたしておったのであります。  第三は、十月九日の国防会議議員懇談会の了解事項が特定の人々によって決められたのではないかという点でありますが、この了解事項の内容は、当日の議員懇談会における審議を経た上で決められたものである。  これが私が事実調査を行いました結果、一般にも二月二十一日に発表いたしました内容でございます。それにつきましては、「次期対潜機問題の経緯について」ということで詳しく申しておりますが、それは省略をいたします。
  103. 中路雅弘

    中路委員 私は、総理とそれから、長官にきょう御質問したいので、ほかの皆さんは時間もありませんから……。  総理に聞いていく前に、じゃ、長官がいまお話をされましたからその問題から入りますが、四十七年度の次期対潜哨戒機の調査研究費六億八千六百万円が計上されていましたが、この予算がこれで執行停止になった。これはなぜ執行停止になったわけですか。
  104. 江口裕通

    ○江口政府委員 御指摘予算は、基礎調査研究ということで六億余の予算予算上計上されておりました。前後いたしますが、四十五年度、四十六年度につきましても同様な予算が基礎調査研究ということであったわけでございます。ところが、たまたま四十七年の十月に至りまして、御存じのような了解事項及び国防会議の決定というのが行われたわけでございますが、その了解事項によりまして専門家会議というものが設置されることになった。その際、輸入を含めて、技術的な観点からこの問題を検討するということになってまいりましたので、予算の面、調査研究の面におきましても、そういったあらゆる改造面あるいは輸入面あるいは開発面、いろいろな面を検討いたしまして、予算の執行の効率化を図るという必要があろうと考えられたわけでございます。そういう意味で、専門家会議の開催の方向が決まるまで一応執行を停止するという措置がとられたものと解しております。
  105. 中路雅弘

    中路委員 いまもお話しのように、四十五年度、四十六年度は予算が計上されて、川崎重工その他と契約されて執行されているわけです。四十七年度になりまして、この六億八千六百万円の予算が執行停止になったのは、いまもお話しのように、四十七年十月九日のいま問題になっています国防会議議員懇談会の了解事項、これによって執行停止になったということをいま答弁されているわけですが、私の方からお話ししますが、この四十七年の十月九日の国防会議の決定の中には「対潜哨戒および早期警戒機能向上のための電子機器等の研究開発を行なう。」となっています。明らかにこの十月九日の決定は、専門家会議で慎重に検討するという申し合わせとあわせて、この研究については、この表現の限り、PXL搭載機器に限定された研究というふうになっています。それまでの防衛庁がとっておられた方向、あるいは四十七年の二月に四次防の大綱が決められましたが、この中では、いま私が読み上げたような表現にはなっていない、決定にはなっていない。「対潜哨戒及び早期警戒機能向上のための各種装備等の研究開発を行なう」ということになっていまして、いまのこの四十七年の十月九日の国防会議、これが「電子機器等の研究開発」に変わっているわけです。したがって、この了解事項によって予算の執行が停止されたのはいま答弁されたとおりですが、最初の四十七年二月のこの四次防大綱にいう「各種装備等の研究開発」の中には、国産用の機体は入っていますか。
  106. 内海倫

    ○内海政府委員 お答え申し上げます。  四次防の大綱が決定いたしました際の「対潜哨戒及び早期警戒機能向上のための各種装備等の研究開発を行なう」、この場合の「各種装備等」という場合の理解は、対潜機能向上にかかわる装備、技術等を包括的にとらえたものでありまして、航空機あるいは電子機器等のすべてを含み得るという概念であると解されております。  それから、先ほどお話のありました十月九日の主要項目で決定されております「機能向上のための電子機器等の研究開発を行なう。」といたしておりますが、この場合は大綱で定められております「装備等」の中で、特に例示といたしまして、非常に重視しなければならない電子機器というものを例示いたしまして、「電子機器等」といたしたことで、概念的には、かつまた性格的には異なるものではないということを当時了解いたしておりましたが、しかしながら、このことに関しまして大蔵側と防衛庁側とでその解釈の認識が非常に対立いたしまして、それが、いわゆる十月九日においてそういうふうなことに伴う一切の論議を白紙にするということが、結局あの了解事項につながるもの、こういうふうに理解いたしております。
  107. 中路雅弘

    中路委員 いまのような、全く後からつじつまを合わせるような答弁じゃ困るのです。  二、三例を挙げますが、たとえばこれは経団連の発行しております防衛生産委員会の四十八年二月の「特報」、この百三十七号では小田村経理局長、それから同じく百三十八号では山口装備局長、それぞれ防衛庁の局長が語っていますが、たとえば山口装備局長はこの中で、対潜哨戒機の問題、四十七年度の段階予算ですね、それは電子機器だけじゃなくて、機体の研究開発を行うことになっているということを述べています。そして四十七年度の予算の中に機体を開発するという予算も入っていたが、専門家会議にこの問題が提起されたので、国産機用の機体の開発というところまでいかない、予算の執行が困難になったという理由を、主としてこの国産用の機体の開発がとめられたということで予算の執行ができなくなったんだ、ということを言っています。また、同じところで経理局長も、国産化の問題が白紙に戻ったということで、この国産化の問題とは何であったかということで、それは国産用の機体を含めた基本設計を行って試作をするという計画であった、ということも言っているわけであります。  また、この予算が執行される場合の、それを契約する川崎重工が当時どういう状況にあったか。たとえば、これは「航空情報」に掲載されています。この国防会議、十月九日の直前の「航空情報」ですが、この直前まで川崎重工はどういう理解をしていたのか。「川崎重工は、四十七年度予算に防衛庁が計上した次期対潜機の調査研究のうち、約七億円を受けて、同機の基本計画をつくることになった。」。そしてこの中では、いままでの集中計算装置の研究とともに、「機体とこの集中計算装置とを組み合わせた形の、基本計画をまとめることになったもので、このために四十七年度は約百人の技術者が動員される予定である。」ということも報道されていますが、この十月九日の直前まで国産用の機体を含めた研究調査、これの予算措置が、四十五年、六年、そして七年度は特に機体を含めて予算措置がとられていたことは事実なんです。きのう防衛庁長官は、防衛庁の願望であった。願望じゃない。予算措置までとられていたのです。これは事実なんです。だから国産化の問題を白紙還元。何もないところに白紙にするということじゃないということはきのうも問題になった。防衛庁長官は、この白紙還元の文言がいまおかしいんだということじゃなくて、その白紙還元の言葉じゃなくて、事実そのことで予算措置までとられていた。とられていたからこそ、この了解事項が出たためにその予算の執行が停止になった、これが事実ではないですか。
  108. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 少し御理解を賜りたいと思うのですが、四十五年、四十六年、四十七年の予算はあくまでも研究開発の予算でございます。この点については大蔵省側の強いお話がございまして、国産化の研究開発ではないということをわれわれは承知をしておるわけです。  いまちょっと基本設計のお話がございましたけれども、あの基本設計がたとえば四十八年度の予算に入れられるか入れられないかが、機体をやるかやらぬかの実は境目でありまして、本当に国産化に行くか行かぬかなんで、それまでの予算はあくまでも研究開発、しかも、それは国産ということを前提としたものではないという強い大蔵省側の意向があったということを御理解賜りたいと思うのです。そのことが十月九日のところで白紙ということで、大蔵省側とわれわれと――われわれの方はそういうふうにして四十八年度から基本設計に入るという願望は持っておりましたけれども、しかし、あくまでもそれは研究にとどめておったわけです。(「うそ言え」と呼ぶ者あり)いや、うそじゃないのです。それは本当なんです。私の事実調査の結果、そうなんですよ。そこで、ここが非常に大事なところなんです。  ところで、大蔵省側と防衛庁とこんなにしてやっておったんじゃいけないから、それをひとつ白紙にしなさいというふうになったのがあの了解事項、こういうふうに私は承知をしておる。こう申しますけれども、これは防衛庁側の事実調査でございますから、やはり国防会議の事務局長のあの有権的な解釈をひとつお聞き取りをいただきたいと思います。
  109. 中路雅弘

    中路委員 予算措置までとられているのです。これは願望じゃないのです。私が言ったように、明確に国産用の機体を含めた研究開発の予算措置が四十七年度にとられた。それならなぜ執行停止になるのか。この還元の了解事項があったからこそ執行停止になったのです。そうでなかったら執行停止にならないのです。また防衛庁は、これは日の目を見なかったのですが、四十八年度の予算ではPXLの基本設計計画で二十六億円の予算を計上しようとしていたのです。これが四十八年度が見送られたのもこの四十七年度の了解事項があったからなんです。だから、明らかにこの十月九日のその直前までは予算計上されて、そういう研究開発が続けられていた。その中には国産用の機体も入っていた。あなたたち自身の局長が皆言っているじゃないですか、いろいろなところで。川崎重工もそういうことで準備をしていたのです。それが十月九日の閣議了解によって白紙還元になったから予算が執行停止になったので、明らかにそういう方向で計画が進められていたということは事実なんです。だから、輸入にするか国産にするか、こういうことが全く白紙で、それを了解事項にするならば、何も白紙還元ということを言わなくてもいいのです。  私は、この問題と関連して、時間がないので続けて話しますが、この十月九日の閣議了解事項について、先日久保現在次官が発言があって、皆さん調査をされて訓戒とされましたけれども、この久保次官の発言は、先ほど言うように、前日電話で連絡があった、国産化は認めがたいという大蔵省の電話があった、これは事実誤認だと。これは大蔵省がそういう意向を持っていたということは、前日電話がなくともずっと皆さんも承知なんです。問題は、十月九日のこの了解事項が了解事項として国防会議に出される。しかも、さらに専門家会議を持って検討するというようなことが、防衛庁が知らない、関知をしないで当日決められた。国防会議議員懇談会に最終的にはかけられたでしょう。その前に田中総理、そして当時の後藤田副長官、相沢主計局長、この間で相談をされて、そうして国防会議議員懇談会に出された。だから、この点については防衛庁は相談がなかったということは、増原長官もその後述べておられますし、この点については大筋、久保次官の発言は間違いがないところなんです。  もう一つ補足しますと、いま国防会議の事務局長来ていますが、当時の国防会議の事務局長の海原事務局長は、二月の十一日に私たちの記者に会見をしまして、新聞で報道されていますが、こういう趣旨を語っています。この十月九日の会議の直前に田中総理、二階堂官房長官、後藤田官房副長官、相沢主計局長の四人が総理室に集まった、後藤田副長官から、PXLの問題は専門委員会を設置して検討するという趣旨のメモをもとに、相沢氏らが会議にかける文章をつくって、そして会議にかけたのだということを、当時の国防会議事務局長が語っているわけです。このことは久保次官の発言をすべて裏づけるものなのです。末梢的なことで、事実誤認があったということで長官報告していますけれども、久保発言によって提起された疑惑の中心問題は、まさにここにあるわけなんです。この大筋については関係者は皆認めているところなんです。どうして久保氏の発言が、誤認があって訓戒処分をされるということが、どこに――いま私が言ったこの問題、中心の問題については、直前にこの四者で会議があった。この了解事項がつくられる過程は、防衛庁は当日出されるまで知らなかった、相談にあずかっていなかった。ここにどこに間違いがありますか。
  110. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 大分違っているところがあると思います。それは一つは、前日、つまり八日の日です。これは日曜です。しかしながら、そのときに大蔵側から言ってきたのは、こういうことなんです。支援戦闘機は国産にしてもよろしいと、PXLの問題については断念してほしいということが伝えられてきたわけです。そのときは増原長官以下皆さんこれを聞かれまして、これはやむを得ないかなあと思われたわけです。しかしながら、あのときの防衛庁全体としての問題は、PXLの問題よりも支援戦闘機を国産に決めてもらうかどうかということが最大の課題だったのです。そこをまず御認識をいただきたい。久保次官も当時防衛局長としてそこにおったのですけれども、ところがそれすらも欠落して、そして記者会見に臨んだのです。ですから、やはり推測というのは、人間の記憶というのは案外当てにならぬものだと私は思ったわけでございます。と申しますのは、増原長官自身も大蔵側からそういったことを後から言われてみれば、ああそうかなあというふうには言っております。もう増原長官の頭の中には支援戦闘機だけがあったように、私の事実調査からはあったのです。しかし、後から私がこういうような事実調査を示しましたら、そうだったかなあと、こういうことでございます。  それからもう一点、非常に大事な点ですけれども、これは二月ですね、つまり四次防の大綱が決められたときに、果たしてこの国産化が決まっておったかというと、決まっておらないのです。ここをひとつよく御理解を賜りたいと私は思うのでございまして、四十五年、四十六年、四十七年は研究開発、しかもそれは国産化を前提としたものでないということでございまして、われわれ防衛庁だけから言うと、国産化をねらっていたけれども、しかしながら、国防会議でもあるいは内閣全体として、政府決定としてはそういうふうにはなっておらなかったということなんです。ここは非常に大事なところだから申し上げておきたいと思います。
  111. 中路雅弘

    中路委員 全く、私の質問をした、この中心の問題、大蔵省はそういう意向だということは防衛庁も聞いていたでしょう。しかし、それが国防会議の了解事項として当日提起をされたという問題について、この中心問題の疑惑については何も答えられていない。そうして、ここの申し合わせで田中総理の方から出た意見で、専門家会議を設けるということが出た。私は、時間がもう来ていますから、近づいていますから、まとめて言いますが、この武器の、兵器あるいは航空機、この機種の選定の問題は、主として防衛庁が中心に当たらなければいけない問題だ。防衛庁設置法でそのことは明記されてある。防衛庁設置法の防衛庁の権限の第五条の四項に、所掌事務の遂行に直接必要な装備品、船舶、航空機、こういうものは調達をするということが防衛庁の権限に属しているのです。防衛庁が中心で、それが輸入の場合には通産省も入るでしょう。あるいは予算では大蔵省とも相談しなければいけない。そういう問題が国防会議では話されるでしょう。しかし国防会議に別に専門家会議を設けて、高度の技術を要するから専門家会議、この高度の技術を要する専門家会議が決められてから十カ月も全然発足しない。  この専門家会議のメンバーは、国防会議の議長である三木総理の内閣のときに最後の答申が出たのですから御存じだと思いますが、私から話しますと、数人の委員ですね。たとえば岩尾さん、農林漁業金融公庫副総裁。吉光さん、日本開発銀行理事。ロッキードの飛行機が札束で飛ぶと言っても、皆さん、この最も高度の技術を要する航空機の機種を決めるのに、特別の専門家会議を設ける、この専門家の人たちがみんな銀行の副総裁や開発銀行の理事で、これで結論が出るはずはありませんでしょう。こういう専門家会議を設けること自身が問題なんです。防衛庁に全く相談なしに、事前に相談なしにこういう専門家会議が提起をされて、それが十カ月間発足もしない。そして発足をする翌年の八月の直前の七月に、きのう問題になりました児玉譽士夫とこのP3Cについてのコンサルタントの契約が結ばれているのです。五十機売れば二十五億円という契約が、この専門家会議の発足の直前に結ばれているのです。それから、これが結論を出すのに一年半かかっているのです。もう国産では間に合わないというところまで時間が延ばされているのです。  私は、時間が来ていますから、まとめてお話ししましたが、このPXLの問題は、いま二、三取り上げましたように、全経過についていろいろの点から大きな疑惑があるのです。この経過と、いま問題になっている金の流れの問題を究明しない限り、国民疑惑は晴らされない。また、私たちが田中総理、後藤田副長盲あるいは相沢主計局長を証人喚問として要求しているのも、ここにあるのです。どうして皆さんがこの証人喚問を拒否されるのか、私は……
  112. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 中路君に申し上げます。  時間が参りましたから、結論に入ってください。
  113. 中路雅弘

    中路委員 その点で最後に総理に、こういう疑惑を晴らすというところまでこの問題は中止をしなければならないということ、そして私たちの要求している証人喚問については自民党総裁としても当然応じなければならない、このことを強く要求して、最後に総理答弁を求めたいと思います。
  114. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 しばしば私が申しておるように、こういう自衛隊員自身の立場から考えてみましても、国民疑惑を持つような装備で自衛隊というものが職務を執行するということは、これはやはりそういうことであってはならぬわけでございますから、事態を、国民疑惑が解消できるようにこれは徹底的に究明をして、そしていろんな機種の選定についても国民疑惑のないような決定をいたさなければならぬというのが、私の強い決意でございます。
  115. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 これにて松本善明君、中路雅弘君の質疑は終了いたしました。  次に、安宅常彦君。
  116. 安宅常彦

    ○安宅委員 統一見解、配られておるでしょうか。――では、それまで……。全部配ってからだ。
  117. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 資料を配っておりますから、どうぞ。
  118. 安宅常彦

    ○安宅委員 この間の私の武器輸出に関する質問で、政府は統一見解を出す、こういうことになってきょうの日程になったわけであります。ここで非常に重要なことは、この統一見解について私二、三確認をしておきたいことがあります。  これは第一枚目の「政府の方針」、(三)、これは輸出貿易管理令の別表一〇九など、こう書いてありますが、この問題は、ちょうど去年の十一月だったと思いますけれども、通産省の当局から、武器の直接製造設備それから武器の関連製造設備、こういうものも輸出はいたしません、こういう答弁を得ておるわけで、そのために追加になったのだと、私はそう思っております。したがって、ここには直接製造設備というのが入ってないが、関連設備まで入っているからもういいのだ、それも含まっているのだ、というふうに当然理解していいと思いますが、この別表一〇九というのは直接製造設備のことを言っているわけであります。したがって、たとえば別表の七九、こういうものも皆入っているのかどうか。とにかく、そういう関連の設備などというのはどういうことを指しているのか。これをちょっとお伺いしておきたいと思います。
  119. 熊谷善二

    ○熊谷(善)政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘の一〇九の項などでございますが、この武器製造関連設備の中にはただいま御指摘の一〇九項の「兵器専用の工作機械、加工機械及び試験装置並びにこれらの附属品」、これと、それからただいま先生御指摘の七九の項の「軍用火薬類の製造設備及びその部分品」を含めておりまして、一般の工作機械等は入っておりません。
  120. 安宅常彦

    ○安宅委員 私がなぜそんなことを聞くかといいますと、あなた方は、武器の輸出について、言うならば別表の一九七から二〇五までを言っているのだ。今度は二枚目に書いてある「武器の定義」のところで言っておりますよね。ところが、それだけじゃないのですね。たとえば五四には、「軍用航空写真作成装置及びその部分品」とかいろいろなそういうことまで出ているのですから、そうしますと、軍用の航空写真というのは一体どういう軍用機に積んで、そしてこれは人を殺傷するための一番大事な軍用写真を撮るのですからね、爆撃をするための。こういうものは一九七から二〇五までの中に入ってないのじゃないですか。  それから五十年の十一月ですか、参議院において共産党の星野力さんだと思います、それから内藤さんも加わって必死にそこのところをついておるのですけれども、あなた方は、この武器輸出ということは、別表の一九七から二〇五までを基礎にしてこの武器三原則というのは発展してきたのでございまして、とかうまいことを言って、とうとうごまかし切って逃げ切っているのですね。そういうやり方は非常におかしいので――これは東京計器という会社から韓国に対してだったと思いますが、レーダーを出しているのですね。軍用レーダーと魚群探知機みたいなものとは大変違うのでございますけれども、そういうものに汎用に用いられるなどとごまかしておいて、そして別表の一九七から二〇五までのところに隠されているのだということを、後でおかしいではないかと言ったら、通産省の説明は、実はその中に入っておるのだというのです。一九七から二〇五までの間、どこに入っておるのですか、軍用のレーダーは。
  121. 熊谷善二

    ○熊谷(善)政府委員 お答えいたします。  レーダーには気象観測用、それから……(安宅委員「時間がないですから、三十分しかないから、どこに入っているか、それだけでいいのです。一問一答にしてください」と呼ぶ)レーダーにはいろいろございまして、いわゆる追尾用のレーダーというのがございます。これはいわゆる敵をとらえましてそれに発射をする、こういうものにつきましては一九七の項と一九八の項に該当いたしております。
  122. 安宅常彦

    ○安宅委員 そういう確認をした上で、たとえば(二)の「外国為替及び外国貿易管理法の精神にのっとり」というのに「憲法」というものをつけた、これは私はある程度評価します。ただこの問題、どうしても納得がいかないのが二つあるのです。一つは、二月二十三日付の朝日新聞で政府が統一見解を出すはずだという記事が載っています。これには統一見解の具体的なところまで全部きちっと書いてあります。これは政府でだれが発表したのですか。こんなことを発表したって何だって、新聞記者が非常に大きな取材活動をしてとるということについては私は何にも文句は言いません。だけれども、たとえばその中で、四十七年の予算委員会答弁田中通産相が慎むと言ったのを、いまの内閣はケース・バイ・ケースだと言ったのはおかしいということだと思いますが、慎むという表現を使ったことがあるため、この項も「野党側に押し切られた。」。内閣の統一見解を出すときに、何で野党側のだれから押し切られたのでございますかね。安宅常彦かどうか知らないけれども……。こういう発表をするあなた方の感覚が少しばかじゃなかろうかと思うのですね。そして、たとえば防衛庁の見解というのは、いろいろ鉄かぶとが武器でジェット機が武器でないなんてばかなことがあるかと言って、漫談みたいになってみんな笑っちゃってごたごた言っていたけれども、あのときのは本当は重要なことなんですよ。そのときに輸送機のC1などの準武器はその三原則に当たらないとの態度は変わっていない、こういうことまで朝日新聞は書いてある。それはなぜかと言いますと、これは理事さんにぜひひとつお願いしたいことがあるのですが、この武器輸出についてのところにはC1なんてどこにも入ってないのです。ようございますか。なぜ入ってないか。あのとき防衛庁が出してきた資料というのは、初め、武器とは何だと言ったら、拳銃と小銃と機関銃と迫撃砲と銃剣だ。それはおかしいじゃないかと言われたら、今度少しロケット弾だの手りゅう弾だの戦車だの書いてきて、それでもおかしいじゃないかと言ったら、三つぐらい出してきたのですね。それを統一見解例示として出せということをあのとき言っているのですよ。きょうの統一見解の中にその表が一つ抜けているのです。朝日新聞はその表を見ているからそれを書いているのです。でなかったらC1なんということは書けるわけがないのです。その表は私持っていますよ、率直に言うけれども。これはその表を出していただきたい。――委員長、いいですか、それで。
  123. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 安宅委員に申し上げます。  ただいま御要求の「武器輸出三原則における「武器」の例示」、通商産業省作成のリストを提出いたします。
  124. 安宅常彦

    ○安宅委員 朝日新聞ですっぱ抜いているとおり、これには輸送機というのは、軍用輸送機も何もないのですよ。頭から軍用のところの航空機は、戦闘機、爆撃機、対潜機まで書いてあるけれども、救難機だとか練習機だとか、いろいろあるのですよ。救難機は書いてあるな。輸送機なんか抜けておって、そして輸送機というところは対象外品目の方に例示しているのですよ。こんなばかな話はないのですね。私はここをどうしても納得できないのです。これは防衛庁からもらった資料のうちの写真ですよ。これはぜひ内閣の閣僚の皆さん見てください。この写真、これはごらんのとおりですよ。落下傘部隊の連中が輸送機の前で、この人たちを乗せるために口をぱっくりあいているんですね、いいですか。こっちの方は火砲や弾薬や、そういうものを後ろの方からおろすためにそういう設備がちゃんとあることは明らかになっている。そしてパラシュートでぱあっといま飛び出したところが出ている。いいですか。これがあなた民間機で武器でない、軍用機じゃない、こんなばかなことはないと私は思っているのですよ。この点について、納得がいかない第一点ですから、通産大臣から、それでもこれは対象外品目か、これをまず聞きたい。
  125. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 C1につきましては、先般の委員会でもお答えいたしましたが、通産省ではこれを武器でない、こういう考え方でございます。なぜかといいますと、それは汎用性が非常に高て
  126. 安宅常彦

    ○安宅委員 それでもだめかと聞いているのですよ。時間が三十分しかないんだから……。
  127. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 いまたしかおっしゃったように、自衛隊でも使ってはおりますけれども、汎用性が非常に高いということのために通産省では武器でない、こういう考え方でございます。  ただ、しかしこれを輸出する場合には、武器と見られる軍用機としての懸念のある特有の設計がありましたならば、十分チェックいたしまして配慮するつもりでございます。
  128. 安宅常彦

    ○安宅委員 チェックというのは一番おかしいんで、通産官僚なり、特にあなた、三木内閣総理大臣三木内閣のアキレス腱は案外河本さんじゃないかとみんな言っているのですよ。兵器産業界あたりにちゃんとC1は輸出してやるぞと言ってしまったものだから、頑強に通産省だけこの問題で抵抗している。しかも、その一番親分は大臣だ、こういうふうに見ているのですよ。あの彼の頭はもうけるそろばんだけでしかないと思う。そんなことを言ったら失礼かもしらぬけれども、こういう話まで出ているのですよ。だからそういうように言われているのです。気をつけなければならぬ。だから、チェックする方法として、このようなC1の、少なくとも軍用に供せられるためには、単なる輸送機と違って床もずっと厚いんだ、これは防衛庁で言っています。それから、こういうシステムが簡単なものではあるけれども、中にできているというのです。だから仕様書を変えて、純然たる民間の輸送機として輸出する方法はあるのじゃありませんか。あやふやなものを、役人が、議会なんか大したことはない、安宅なんて山形の山ザルがわかるもんかということで、適当に恣意に、ほしいままにチェックされたらかなわないのです。そういうふうに、一般の民間の航空機と同じような仕様に全部つくり変えるならば、これはいいと思うのですよ。大したことじゃないと防衛庁も言っていますからね。そういう考えはありませんか。ただチェックするだけじゃだめですからね。
  129. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 先ほども申し上げましたように、構造的には爆撃機にも、戦闘機にも改造できない、こういう構造になっておりまして、なるほど床が重い物を積めるようにはなっておりますけれども、それはこの普通の貨物機と比べますと、別に特にこれががんじょうであるとか、そういうことではないのです。でありますから、この前申し上げましたが、アメリカあたりでも災害用にこれを使っておるとか、民間でずいぶん使っておるわけですね。しかし、先ほども申し上げましたように、誤解があるといけませんので、武器と見られる軍用機としての懸念のある特有の設計がありましたならば、それを十分チェックいたしまして、これは簡単に取り外しができますから、誤解のないようにいたしまして、輸出の許可を与える場合には、そういう処理をしたい、こう思います。     〔正示委員長代理退席、委員長着席〕
  130. 安宅常彦

    ○安宅委員 私は普通の、簡単にとあなたおっしゃるけれども、落下傘部隊ががあんとおりるような装置とか、この人たちを積み込むためには、前の方がぱっくりあくようになっておるでしょう。そんな簡単にいかないですよ。だから仕様書を変えて、民間の輸送機というふうに変えれば、私らそこまで文句言わないですよ。よろしゅうございますか、総理大臣。そういうふうに指導いたしますということぐらいあなた言いなさいよ。どうですか。
  131. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 落下傘部隊というふうにおっしゃいますけれども、これは、アメリカあたりで民間に使っておりますのは、たとえば災害が発生をしたり、それから森林に火災が発生する、そういう場合には救助隊員とかそれから消防隊員とかそういう者が出かけていきまして、そこから飛びおりるわけですね。それから同時に、救援用の物資を落下傘でおろしたり、あるいは消火用の物資をおろしたりする、そういうことのために民間で使われておるわけです。でありますから、C1から物をおろす設備は、これは軍用とは関係ないのではないか。それがあるために民間にも使われるのだ、私はこう思います。しかし、それ以外の軍用機としての懸念のある特有の設計、こういうものがありましたならば、いま申し上げましたように、誤解のないように指導したいと思います。
  132. 安宅常彦

    ○安宅委員 とにかくあなたは一生懸命ごまかしていますよ。だから朝日新聞では「防衛産業界、思惑はずれ」なんて書いてありますが、なに思惑どおりさ、こんなものは。だからC1を突破口にして何とかしてやりたい、これは政府部内にそういう空気があることは事実ですね。一月十三日の毎日新聞をごらんなさい。丸山防衛局長というのがおりますな。この人何と言っておるかというと、武器の単価を安くして国防の予算を使わないようにするためには、輸出をどんどんやってコストを下げた方がいいという気持ちもあるなんてあの人も言っておりますよ。そういうきな臭い発言が政府部内から出ておるのですよ。こういうばかな時代に――私がこの間言ったように、こういう時期は非常に危険な時期だと言っておるのですよ。それでしかも兵器産業界がいろいろな提言をしておるでしょう。この間、これは共同の記事だと思いますが、静岡新聞というのに出てきたのですが、ここには、軍事というのは、援助だけやってきた、今度は、いまや貿易の時代になってきた、これは非常に重大な問題だ、アメリカとソ連が特に世界で果たしている役割りというのはひどいものですね。武器をどんどん輸出して世界を制覇しようと考えておるのかどうかわかりませんけれども、そういう空気の中で、もう死の商人などというものではなくて、死の政府、死の国家だと書いてある。こういう時期だから気をつけろということを言っておるのですから、仕様書を変えるぐらいやって、純然たる民間の輸送機にしてやったらどうですかと言ったら、そうですと言えばそれで終わりなのに、滑ったの転んだの、消防団をおろすなどと言ったって、そんなことであなた理屈は通らないと思うのです。あなた方の統一見解ですから、私はこれ以上触れません。  それでは、今度は一つ一つ思惑外れでない、思惑どおりだということを証明するために、何と言いますか、暴露していきたいと私思うのですけれども、防衛庁は、自衛隊法の八十七条に基づいて自衛隊の任務遂行のために武器を保有することができる。ところが、その武器というものはどういうリストになっておるかということは、ないと伺っておりますが、そのとおりですか。
  133. 江口裕通

    ○江口政府委員 自衛隊法上の武器としての、いわゆる先生御指摘のリストというようなものは、従来必ずしもその必要がございませんでしたので、現在まだ整備しておりません。
  134. 安宅常彦

    ○安宅委員 おもしろい軍隊だと思いますね。法律に基づいて武器を保有することができるといったら、武器というものの定義を決めて、そうしてこれぐらいの武器を持っているということでリストをきちっとしておくのが本当は法律に基づいた整理の仕方じゃないでしょうかね。どこからどこまでが武器だということについてはここに、二ページの「武器の定義」に、それぞれの法令または行政上の運用において用いられておる、したがってその定義はそれぞれの法令などの趣旨によって解釈すべきだ、ただ輸出するときはこうだ、と書いてあるだけです。こんなでたらめなことがありますか。だから三木さん、この間私、笑われたんですよ。あんたがこのことで答弁できなくなって、そこまで立ってきたところはいいけれども、くるっと後ろを向いたところがNHKのテレビに出ておったです。かっこう悪い話ですよ、あなた。武器の定義というものはきちっとして政府統一見解を出しなさいと言ったんです。ところが、できないから、それぞれの法令によってやるんだ。こういうふうになっているようですけれども、ここは統一見解どうしても出せないわけですな、政府は。どうなんですか。それぞれ皆違うのですよ。ここは統一できなかったかどうか。できなかったらできなかっただけで結構です。
  135. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 法律で「武器」という言葉を使ってありますのは武器等製造法、それから自衛隊法、それから警察官職務執行法と、この三つの法律で「武器」という言葉があるわけです。それからさらに行政面では、武器輸出三原則という場合に「武器」という言葉を使っております。で、法律で言います場合には、いま申し上げました三つの法律はそれぞれ目的が違いますので、法律で言う「武器」というのは定義が全部違っておるわけです。でありますから……(安宅委員「いや、統一できなかったのかということさえ聞けばいいのです。時間がないのです」と呼ぶ)そういうことがありますので、「武器」という言葉の統一見解を全部の法律を通じて出すということは大変むずかしい、こう思います。
  136. 安宅常彦

    ○安宅委員 むずかしいから出せなかった、統一見解は。その武器の定義については統一できなかった、こういうように理解していいですね。
  137. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 そうです。それぞれの法律によって解釈が違います。
  138. 安宅常彦

    ○安宅委員 それで防衛庁に聞きますが、通産省も関連があります。私はそこをついたんですよね、朝日新聞に基づいて。どういう点を統一見解を出すのか知らぬけれども、たとえば航空機だったら民間も軍用機もない。つくってもいい。ただ、軍用機をつくるときは防衛庁と協議しなければならないとかという条文が一つあります航空機製造事業法というのがありますね。それから武器等製造法というのがあります、あんたおっしゃったとおり。それには航空機とか軍艦は書いてないですよ。ようござんすか。航空機は辛うじてあるのです。それはそういう軍用の飛行機をつくるときは防衛庁長官と協議しろと書いてあるのです。軍艦のやつは何もないのです。どこまでも兵器じゃないのですね。武器じゃないのですね。だからおかしいのですよ。石川島播磨なり三菱で戦艦をつくって、艤装はわが国でやります、砲を積んだりレーダーを積んだりするのは皆わが国でやります、だから船体だけ注文いたしますといった場合に、それは武器かと言ったら、武器じゃないと言ってあんた方の下僚はがんばっておるのですよ。これは思惑外れどころか、思惑どおりじゃないかということを言うために私はこれを言っておるのです。そういうことになりはしませんか。どうなんですか。
  139. 熊谷善二

    ○熊谷(善)政府委員 お答えいたします。  輸出貿易管理令上の武器といたしましては、私ども、たとえば先生御指摘の戦艦というふうなことを考えているわけでございますので……(安宅委員「駆逐艦でいいよ」と呼ぶ)駆逐艦でもございますが、ところが、それの駆逐艦用のいわゆる本体をつくりまして、火器を載っけないが艤装は現地でというような場合には、これは私どもも軍用船舶の特有の、完成品ではございませんがその部分をなすものといたしまして、武器としての取り扱いをいたしております。
  140. 安宅常彦

    ○安宅委員 だから法律がめちゃくちゃだから、あなた、あんなこと局長言っているけれども、大臣はよくわからない。そうして、あの局長さんともう一人の人が来たのですよ、私の部屋に。来いと言って、説明しろと言った。そうしたらその若い人はもういたけだかになってがんばるのですよ、そういうものなんだって。だから河本さんの会社の船と同じに扱っているのよ、軍艦も船体は。いいですか。そうしてそれを艤装はこっちでやらなければいいんだって、がんばるのですよ。そういうことを局長があわ食っていま答弁したって、私はそうですかと言うわけにはいかない。そう言うわけにいかない。だから武器の輸出に関する統一見解らしいものは出ているから、私はこれに文句をつけたら三時間だってあるのです。だけれども、武器の定義ということについて、非常に重要な部面についてはあなた方は統一見解を出すに至らなかった。それぞれの法律で解釈するほかない、こういう解釈しかできなかった。見解の統一はできなかった、こういうふうに理解します。  したがって、たとえば「武器の定義」の(二)の中に、一番最後の三枚目のところに具体的な例示として「護衛艦、戦闘機、戦車のようなものは、右の武器に当たると考える。」、考えたってしようがないじゃないですか、これは。あなた方はそんなこと言っているけれども。だからこの護衛艦なら護衛艦の船体は構わない。艤装はわが国でと言ったときはしようがない。わが国でと言わなくても、ある会社が――ここに直接輸出するのじゃないですからね。丸紅みたいなのがほかにあってピーナツ食って、そうしてそこから今度は艤装は別な会社が分担すれば、すうっと輸出することができるというふうになるのです。思惑外れどころか思惑どおりなんです。こんな統一見解ではいかぬから、したがって法律を将来改正するとかいろんなことを含めて、さらに統一見解を出すよう要求します。委員長、お取り計らいを願いたい。それまで私の質問は留保したいと思います。
  141. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 わかりました。
  142. 安宅常彦

    ○安宅委員 ちょっと委員長、だからこの表を出したがらなかったのですよ。
  143. 吉國一郎

    吉國政府委員 ちょっと法律問題でございますから、私どもの方も……(「三百代言だろう」と呼び、その他発言する者あり)三百代言じゃなくて、法制局で相談を受けましたのでちょっと御説明申し上げておきますが、「武器」という言葉に限らず、あらゆる法令用語はいろんな法令でそれぞれ使われておりまして、その意味が違うことは安宅委員も御承知のとおりでございます。  たとえば「商品」という言葉をとりましても、独占禁止法、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律で、たとえばカルテルを取り締まっておりますが、その場合の「商品」というのはもうあらゆる商品が入っております。それに対して商品取引所法の「商品」というのは、限定された意味が商品取引所法で規定をされております。それと同様に「武器」という言葉も、たとえば武器等製造法であるとか自衛隊法であるとか、それぞれの法令によってその目的、趣旨に従って範囲が限定されております。武器輸出三原則における武器とはこういうものだということで、きょうの統一見解と称するもので御説明申し上げましたが、先ほど御指摘のございました駆逐艦なり戦闘艦なりの船体だけをつくって、それを輸出することができるじゃないかということでございますが、ここでいま御指摘のありました護衛艦、戦闘機、戦車のようなものは武器であるということは、これは自衛隊法上の武器の解釈でございまして、輸出三原則につきましては前に書いてございますように、武器の定義というものは輸出三原則を適用されるものはこういうものであるということで、この輸出貿易管理令の別表第一の第二〇一の二に、「軍用船舶及びその船体」というのが明らかに輸出の承認の品目になっております。したがって、その完成品の駆逐艦なりあるいは完成品の駆逐艦の船体、船のボデーでございますか、それが輸出される場合には当然承認でチェックをされます。したがって、ほしいままに輸出されるなんということは全くございません。その意味で法律的な見解だけをちょっと申し上げておきます。
  144. 安宅常彦

    ○安宅委員 いや、それは違うんです。まるっきり違う答弁ですから、それを私言ったら時間がないから、それを論争したらたまったものじゃないから、統一見解を出せないと言っているのですから、これはひとつ理事さんの方で頼みます。いまのは時間に加えてもらっては困る。
  145. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ただいま安宅君の御質問に対し、統一見解を出すよう理事会で研究することにいたします。
  146. 安宅常彦

    ○安宅委員 どうもありがとうございます。吉國さんのような三百代言的なことではごまかされませんから。  これで終わります。
  147. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これにて安宅常彦君の質疑は終了いたしました。  この際、暫時休憩いたします。本会議終了後、直ちに開会いたします。     午後零時五十二分休憩      ――――◇―――――     午後三時十五分開議
  148. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。正木良明君。
  149. 正木良明

    ○正木委員 再質問の機会を与えられまして感謝いたします。  この前、私の武器輸出に関連しての質問に対しまして、資料を要求いたしましたが、その資料が提出されました。それに関連して質問をいたします。  まず第一に、通産大臣にお尋ねいたしますが、この「銃砲弾等の通関輸出額と輸出承認額」の資料、通産省の提出に係るものでございますが、この中で、一九七三年、中華人民共和国に対して、通関輸出額につきましては六十八万三千円通関されておりますが、この輸出承認額が全部ゼロになっておりますが、この関係をお答えいただきたいと思います。
  150. 後藤達太

    ○後藤(達)政府委員 ただいまの先生の御指摘の点につきまして、私の方から御説明をさせていただきたいと存じます。  数字を通産省の方と突き合わせて調査をいたしましたところ、御指摘のように通関輸出額が一九七三年におきまして、中華人民共和国に六十八万三千円ございます。それから輸出承認がされておりません。これは御指摘のとおりでございます。  そこで、こういうことが起きました経緯につきまして若干説明をさせていただきたいと存じますが、この通関の申告が出てまいりましたときに、これは内容は捕鯨砲用の薬きょうでございます。火薬の詰まっていない管でございますが、これが他の捕鯨砲とかあるいは部品などと一緒の申告書で通関の申請が参りました。捕鯨砲及び部品につきましては通産省の承認がございまして、承認書も確認をいたしたところでございますが、そのとき手違いで見誤りまして、薬きょうにつきましても承認があるものと誤認をいたしまして通関をしたものでございます。したがいまして、大変手違いでございまして、御指摘を受けましたことを非常に恐縮に存じております。
  151. 正木良明

    ○正木委員 これはやはり問題が問題でございますから、大蔵大臣からひとつお答えいただきたいと思います。
  152. 大平正芳

    大平国務大臣 事務上の遺漏でございまして、大変申しわけございません。今後そういうことのないように注意いたします。
  153. 正木良明

    ○正木委員 それではこの内容を信頼いたしますと、いわゆる武器に類する銃砲弾の輸出はなかったものと判断をいたします。今後武器輸出につきましては相当強い決意で臨んでいただきたいということはもちろんであります。  さて、それに関連をいたしまして、午前中にも御質問があったようでございますが、武器の輸出について、武器輸出三原則の問題に関連いたしまして統一見解が出されております。  これは委員長、お伺いいたしますが、これは議事録に記録してもらうためには読み上げてもらわぬといかぬのですか、それとも――読み上げないといけない……。
  154. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 理事会で便宜お読みにならなくとも載せるような相談をいたします。
  155. 正木良明

    ○正木委員 ぜひ載せていただく方法をとっていただきたい。(発言する者あり)
  156. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 それでは簡単にお読み願って。
  157. 正木良明

    ○正木委員 それじゃ総理大臣読んでください。――内閣の統一見解だから、総理大臣にやらしてください。
  158. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 この前も、武器の問題につきましては私から便宜説明した経緯がございますので……(「総理々々」と呼ぶ者あり)
  159. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 正本君、従来の関係から通産大臣から政府の統一見解を読み上げます。
  160. 正木良明

    ○正木委員 ぼくはこんなことで時間をとりたくありませんが、内閣の統一見解を総理大臣がやれないという理由は何ですか。
  161. 三木武夫

    三木内閣総理大臣   一、政府の方針    「武器」の輸出については、平和国家としての我が国の立場から、それによって国際紛争等を助長することを回避するため、政府としては、従来から慎重に対処しており、今後とも、次の方針により処理するものとし、その輸出を促進することはしない。   (一) 三原則対象地域については、「武器」の輸出を認めない。   (二) 三原則対象地域以外の地域については、憲法及び外国為替及び外国貿易管理法の精神にのっとり、「武器」の輸出を慎むものとする。   (三) 武器製造関連設備(輸出貿易管理令別表第一の第百九の項など)の輸出については、「武器」に準じて取り扱うものとする。  二、武器の定義   「武器」という用語は、種々の法令又は行政運用の上において用いられており、その定義については、それぞれの法令等の趣旨によって解釈すべきものであるが、   (一) 武器輸出三原則における「武器」とは、「軍隊が使用するものであって、直接戦闘の用に供されるもの」をいい、具体的には、輸出貿易管理令別表第一の第百九十七の項から第二百五の項までに掲げるもののうちこの定義に相当するものが「武器」である。   (二) 自衛隊法上の「武器」については、「火器、火薬類、刀剣類その他直接人を殺傷し、又は武力闘争の手段として物を破壊することを目的とする機械、器具、装置等」であると解している。なお、本来的に、火器等をとう載し、そのもの自体が直接人の殺傷又は武力闘争の手段としての物の破壊を目的として行動する護衛艦、戦闘機、戦車のようなものは、右の武器に当たると考える。  これが武器輸出についての政府の統一見解であります。
  162. 正木良明

    ○正木委員 そこで総理にお尋ねをいたしますが、この中の(一)で「三原則対象地域については、「武器」の輸出を認めない。」(二)には「三原則対象地域以外の地域については、憲法及び外国為替及び外国貿易管理法の精神にのっとり、「武器」の輸出を慎むものとする。」となっていますね。「認めない」というのと「慎む」というのはどんな違いがあるのですか。
  163. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 「認めない」ということは、言葉のとおり認めないということであります。「慎む」という言葉は、慎重にする、こういう意味でございます。
  164. 正木良明

    ○正木委員 いまのお答えで通常解釈いたしますと、三原則対象地域については、武器の輸出申請が出されたときには通産省はその許可を承認をしない。しかし、三原則対象地域以外については、武器輸出については慎重には対処はするけれども承認を与えることあり得べし、こういうことですか。
  165. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 そのとおりであります。
  166. 正木良明

    ○正木委員 この前の質問のときにも、総理にも再三申し上げましたけれども憲法の精神からいっても、日本が平和国家としてしかも国連中心主義で、国連の中でいわゆる軍縮問題にしろ国際的な平和努力の問題にしろ、日本が平和国家としての成果というものが定着しつつあるというところに活動の重みというものが当然生じてくるわけでありまして、三原則該当地域以外にはいわゆる武器の輸出を可能にする道を開いておくということは、私は決して今後の日本にとって好もしいものではないと思いますが、総理いかがですか。
  167. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 これは「慎むものとする。」ということで政府の消極的な態度を表現してあるわけでございます。
  168. 正木良明

    ○正木委員 一切武器の輸出はしないという、いわゆる三原則にかかわらず武器の輸出はしないということは、三木内閣として、総理として明言できませんか。
  169. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 政府の統一見解のごとく「慎むものとする。」ということが政府の見解でございます。
  170. 正木良明

    ○正木委員 私の質問に答えてもらいたいと思うのですが、一切武器輸出はしないということをあなたは明確にここでおっしゃることはできませんか。
  171. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 だから一方は「しない」、こちらは「慎む」といたしたわけでございます。
  172. 正木良明

    ○正木委員 そうすると、これを押し問答していてもしようがありませんけれども三木総理は平和を口にするけれども、武器輸出ということについては三原則対象地域外には輸出をする可能性を残す。それは慎重でありましょう。慎重にするとはおっしゃっておりますが、「認めない」というのと「慎む」というのはこれはおのずから違うわけでありますから、そういうふうに受け取ってよろしいですか。
  173. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 平和を口にするということは――これは要らぬことだと思いますが、平和を口にするけれどもこうやってするというのは、そういう意味でわれわれが平和というものを、日本が平和主義というものを捨てるという意味ではありませんよ。平和を口にするけれどもということではなくして、やはりこれはできるだけ慎重にしたい。従来の速記録も私読んでみたのです。そうしてやはり政府がずっと――田中通産大臣のときですかね、その速記録も読んでみて、慎むという態度、その中に政府が進んで武器の輸出を奨励しようというような立場でないのだけれども、やはり慎重にこの問題に対処していこうということで、そういうことを政府はずっと方針としてきておるわけで、やはりこれを踏襲していきたいと考えておる次第でございます。
  174. 正木良明

    ○正木委員 するかもしれないということしかとれませんね。  武器の定義でございますが、これは午前中安宅委員がいろいろと御質問なさいまして統一見解を求められているようです。そういう意味については私は繰り返して申し上げませんが、こういうきわめて重要な武器、平和とは全く直接関連のある武器の輸出をするかどうか、しかもその武器はどういうものを指すのかどうかということについて、法律によっていろいろ解釈が違うということであってはならぬだろうと思うのです。そういう意味では、私は安宅委員と全く同感であります。したがってこの問題については、どうかひとつ政府において、武器というのはいかなるものであるかということを法律ごとに見解を異にするのではなくて、統一されたものを出されることが必要であると私は考えますので、その統一見解を要求いたします。この点は午前中も保留になっておりますので、委員長の方でその点の統一見解のお取り計らいをいただきたいと思います。
  175. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 承知しました。
  176. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 その統一見解にも書いてありますように、武器という言葉は、武器等製造法それから自衛隊法それから警察官職務執行法、そこでそれぞれの法律の趣旨に沿って言葉が使われておるわけです。だから内容が若干違うわけです。また行政的に言っております武器三原則、この武器ももちろん内容が違うわけです。でありますから、これを何もかも通用するような、一本にした武器という定義をつくれ、こう言われましても、なかなかこれはむずかしいと思います。そういう意味で、各法律ごとに武器という趣旨はこれこれしかじかであるということを詳細きょう午前中にお配りいたしました統一見解で申し述べておるわけでございまして、どうかその点で御了解願いたいと思います。
  177. 正木良明

    ○正木委員 これは了解できませんから、ひとつよく考えてください。それがしかるべきことであると私は思います。委員長、よく相談してください。
  178. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 御要望は承っておきます。
  179. 正木良明

    ○正木委員 それで別表の例示部分によりますと、この前の質問のときも問題になりましたC1は何に当たりますか。
  180. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 これはいわゆる武器三原則にいう武器ではございません。
  181. 正木良明

    ○正木委員 C1が自衛隊から日本航空機製造株式会社に開発が発注されて、このことが問題になったことはこの前の質問のときに詳しく申し上げました。その結果、田中内閣当時に統一見解が出されたことも、御承知のとおりであろうと思います。少なくとも民間機しか製造してはならぬ、開発してはならぬという日本航空機製造株式会社に対して、自衛隊からC1の開発が発注されたということ自体が不当なものであるという、いわゆるそういう考え方のもとです。したがって、少なくともC1は民間機でないことは事実なんだ、民間機ならばそういう問題は起こらないわけですから。  そこで通産大臣、このC1はいま民間で使っておりますか。
  182. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 いまお述べになりました経過につきましては、私も速記録を読みまして承知をいたしております。航空機製造法では民間機をつくる、こういうことが書いてあるわけです。民間機をつくるというその航空機製造会社に対しまして自衛隊からの発注はあった。自衛隊からの発注があったということで問題になったわけでございます。決してそのことが武器であるということにはならぬと思うのです。  そこで、いま御質問がございました民間に使っておるかどうかということでございますが、これと全く似た性能の飛行機がアメリカにございまして、アメリカではこれを十数機いま使っておるという例がございますが、C1を現在民間で使っておるかどうかということにつきましては、政府委員から答弁をさせます。
  183. 熊谷善二

    ○熊谷(善)政府委員 お答えいたします。  C1につきましては、現在日本におきまして自衛隊に納めます物だけでございまして、民間では使っておりませんが、ただたびたびこの委員会におきまして議論になりました胴体後部を開く方式の同型のものにつきましては世界各国でこれが飛んでおるわけでございます。
  184. 正木良明

    ○正木委員 同型というのはどういう意味ですか。同型の物が世界各国で使われておるということは、C1と同型の物が日本から輸出されたということですか。
  185. 熊谷善二

    ○熊谷(善)政府委員 輸送機は大きく分けまして、貨物を、前部と後部二つに分けて区別されますが、C1と同型と私申し上げましたのは、後部から荷物を積み込む、こういう型式のものが世界で飛んでいるかということを申し上げまして……(正木委員「C1じゃないじゃないですか」と呼ぶ)これはC1と同種、同型でございます。ただC1自身ではございません。
  186. 正木良明

    ○正木委員 だからC1は自衛隊で試作品が二機とそれからその後十一機納入されたのみであって、民間では使われていないのじゃないですか。ぼくは同型のものなんて質問していますか。ぼくがいま問題にしているのはC1じゃありませんか。少なくともC1は日航製に自衛隊が発注をして、日航製がこれを開発することは不当であったということが、田中内閣の統一見解ではっきりしているわけじゃありませんか。しかも、それが日本の民間で使われているかと言えば、使われていないじゃありませんか。ならば、C1は少なくともいわゆる政府の韜晦した答弁の中でも民間機とは言っていないのです。軍用機とは言わないけれども、少なくとも自衛隊機とまでしか言っていないのです。そうじゃありませんか。ということになれば、C1をそのまま民間航空機として輸出することが適当であるかどうかということは議論しなければならぬでしょう。同型のものが世界各国にあるからどうのこうのということは問題外です。少なくとも自衛隊が軍用に開発させたC1が民間機ですでに使われているならともかくも、そうではなくて、C1をそのままあなた方が輸出するかもしれないというような危惧があるから問題にしているのじゃありませんか。C1をそのまま輸出の承認の対象にするのですか。それとも自衛隊が発注して開発したC1については、何らかの変更を加えて、そうして輸出承認を与えるかどうか、この点の見解について簡単に述べてください。
  187. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 きょうも午前中に答弁をいたしましたように、誤解があってはいけませんので、そこで輸出する場合には、軍用といいますか、一部装備を変更いたしまして行いたい、こういうことを申し上げたわけでございますが、誤解のないようにその点は処理をしたいと思います。
  188. 正木良明

    ○正木委員 もう一度尋ね直しますが、少なくともC1はそのままの形では輸出承認の対象にはなりませんね。
  189. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 そのとおりでございます。
  190. 正木良明

    ○正木委員 これから言っても押し問答ですから……。  ちょっと問題は変わりますが、非常に緊急な問題でありますのでお尋ねをいたします。  福田総理にお願いしたいと思いますが、実は……(「大きな声を出すな」と呼ぶ者あり)怒らせるようなことを言うのが悪いんじゃないか。大きい声を出さなければわからぬじゃないか、これは。(「みっともないじゃないか」と呼ぶ者あり)おとなしく最初から聞いているじゃないか、何がみっともないんだ、韜晦の答弁ばかりするからよくないんじゃないか。  副総理はこの間産業労働懇話会で、本年の三月、いわゆる年度末消費者物価指数一けた維持は非常に微妙になったという発言をなさいましたね。それで、きょう経済企画庁から発表された資料によりますと、二月度において東京都区部においては消費者物価指数昭和四十五年を一〇〇として一八一・五、前月比が〇・八、前年同月比一〇・七、まさにこれは二けたになったわけであります。ただ全国平均の場合、一カ月おくれでありますからこれは一月でありますが、これも四十五年を一〇〇として指数が一八〇・四、前月比一・八、前年同月比九・〇。産業労働懇話会でのお話では、一番大きな理由は生鮮食料品、野菜が天候が悪いために値上がりをしたということ、そのほか公共料金の問題等も触れられておりますけれども……。  率直にお聞きいたしますが、いわゆる三木内閣の公約であるところの来月三月三十一日、一年前の消費者物価指数、一けたで抑えられる御確信がございますか。これは東京都区部と全国に分けてお答えをいただきたいと思います。
  191. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 冒頭申し上げておきますが、一けた一けたと、政策目標としてこう言っておりますが、これは全国値のことでございます。これはひとつ御了知おき願いたいのです。  そこで、二月の消費者物価指数が本日発表されたわけです。それによりますと、東京区部、これが一〇・七という年間上昇率であります。そこで、それを全国に換算いたしますと九・五、こういうことになるわけであります。さて、そういう実態を踏まえて三月の消費者物価水準がどうなるか、こういうことでありますが、東京の区部の問題でありますが、これはいま一〇・七という二月の情勢を踏まえてみますと、なかなかむずかしそうな感じがいたします。率直に申し上げます。しかし、努力はいたしますけれども、むずかしそうな感じがいたします。  それから三月の全国数値、これは四月下旬にならぬとわかりませんけれども、推計が東京区部からできるわけであります。まあしかし、全国値に換算した場合の三月の消費者物価水準は、これは正確には四月末になるわけでございまするけれども、その時点において大体一けた目標を達成できるのではないか、しかし、これはかなりの努力を要する、こういうふうに考えておりますので、これを微妙と、こういうふうに表現をいたしたわけであります。  いずれにいたしましても、二月の消費者物価水準が東京区部とはいえそういう状態になったというその背景は、一つは生鮮食料品、中でも野菜でございます。干天の関係で野菜の価格が暴騰したということでございます。しかし、二月の物価水準というのは二月中旬の調査によるものでありますが、下旬になりますと反動的と申し上げますか、政策努力の影響もありまするけれども、今日この時点において野菜の価格はかなりもう下落を来しておるのであります。その勢いは三月にも続くものと、こういうふうに見ておりますが、なおこの上とも努力をいたしまして、国民皆さんに、家庭の皆さんに御心配のかからないようにいたしたい、こういうふうに考えておるところであります。
  192. 正木良明

    ○正木委員 お話の趣旨はよくわかります。ただ、東京区部で申し上げますと、この二月の実績が出た後、東京区部で九・九%まで持ち込もうといたしますと、三月はどう計算いたしましても〇・三三ぐらいの前月比にならないとこれは維持できないというような状況に追い込まれるわけです。したがって、この〇・三三というのは恐らく無理な数字ではないかと思いますから、東京区部においては一けた台を維持するのは恐らく無理なことでしょう。ただ全国平均でどういうふうな形になるか。私どもは、政府が約束なさった一けたというのは国民も期待していることでありますから、ぜひ実現していただくように努力していただきたいと思うのです。  ところが副総理、努力すると言っても、雨だとか天気の問題は努力のしようがありません。要するに野菜の値上がりが今回の消費者物価の高騰をもたらしていると私は思いますけれども、しかし、実際はこれだけに責任をおっかぶせるわけにいかないし、努力のしようがないだろうと私は思います。だからといって、にわかに流通過程の問題をどうこうするというわけにはまいりませんし、同時に、いま野菜が上がったから消費者物価指数は上がったと言うけれども、実は過去一年間ずっと見てまいりますと、少なくとも昭和五十年一月からタマネギにしろキュウリにしろナスにしろキャベツにしろ、白菜、ネギ、バレイショ、こういうものはおしなべて非常に天候に恵まれたというか、前年比ががた落ちなんです。したがって、実は今回まで一けた台に持っていくために消費者物価を抑えてきたのは――生鮮食料品ではいままではキャベツなんかずいぶん売れなくて大変な状態が起こって値下がりがあったということが、一つの下支えになっておるわけです。したがってこれは天候でございますから、こういうふうに前年比下がる場合もありましょうし、前年比大きく上昇する場合もありましょう。したがって、いま副総理がおっしゃったどうしても努力をするというならば、少なくとも政府の力で何らかの形で物価上昇というものを抑えられるような品目というものに変えられてくるんじゃないかというふうに私は思います。  何といいましても、公共料金の値上げ等の問題は経済企画庁は物価上昇寄与率は全部で一%ぐらいだとおっしゃっていますけれども、しかし、公共料金それ自体の押し上げる物価上昇寄与率は一%であるかわかりませんが、これによって波及的に物価上昇というものは起こってくるということを考えなければなりません。同時にまた、これは河本通産大臣が非常に御熱心でありますけれども、いわゆる新価格体系ないしは新価格水準と言われるような形で、いわば大企業製品というものがむしろ企業を救うという意味で上がっていくのを黙認している、むしろ通産省あたりは奨励しているんじゃないかというような印象さえ受けるような形のものがあります。したがいまして、今後公共料金の抑制の問題、同時にまた一般製品の価格上昇について、何らかの形でブレーキをかけるということでなければ、私は三月末一けたというものは達成できないだろうと思う。なおかつ福田総理がお約束なさっているのは、昭和五十一年の年末の物価上昇については、大体預金利率並みぐらいまでは抑えたいということをおっしゃっておりましたね。そういうように考えてまいりますと、この三月には抑え切れない、なおかつ年末におけるところの目標の物価指数にまでも到達できないかもしれないというようなことが予想されるのですが、その辺の事情というか、御見解を承りたいと思います。
  193. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 事は卸売物価と消費者物価に分けなければならぬと思うのです。卸売物価は、景気が上昇するというのにつれまして多少上昇の傾向をとると思うのです。需給がかたくなるというようなことから自然そういう傾向になります。しかし消費者物価の方は、直接的に卸売物価からそう大きな影響は受けまい。消費者物価を動かす要素という中で注目すべきは、賃金、それと公共料金であります。  そこで、賃金につきましては、これは私はその決定に介入はしないという姿勢をとっておりますが、労使の間で良識ある決定にこぎつけていただけるものと考えております。  公共料金、これは原油の輸入価格が四倍になって、大方の商品につきまして価格の改定が行われた。しかし公共料金はこれは政府が影響力を、決定権を持つ価格でございます。そこで、ああいうような狂乱と言われるような状態下において公共料金の引き上げを行うということは妥当でない、こういうふうに考えまして、一部のものは引き上げを行いましたが、大方引き上げを控えておったのです。しかし、この状態をずっと続けるわけにはいかぬ。もうインフレの火の手が消えるというような状態になりました今日になりますると、公共料金の改定問題も取り上げなければならぬ。そこで、大体三ヵ年ぐらいの目途で公共料金の基本的な改定を行う。そこでことしは、五十年度におきましては酒、たばこ、郵便料金の改定、それから五十一年度、五十二年度にわたりまして国鉄、電電等の料金改定を行う。この公共料金問題が一回りいたしますると、これは後の物価という状態はかなり楽になる、そういうふうに見ておるのでありますが、とにかくいまが物価政策といたしますると一番大事なときであります。ことに五十年度の一けた目標の問題です。三月だけが残っておる。三月というこの月に対しましてはやはり公共料金の問題があるのです。麦の売り渡し価格を引き上げた。これの影響が三月には出てくる。それから果物の端境期に当たりますので、そういう果物の価格が引き締まるという傾向がある。それに対しまして、暴騰いたしました野菜価格、これは引き下がりの傾向を持つであろう。彼此勘案いたしまして、とにかく一けた目標全国値の九・九以内というのは実現できそうであるし、またこれは農林省が中心になって、これは農林省では野菜大作戦と称しておりますが、かなりの努力をいたしておりますので効果が出てくるであろう、こういうふうに考えております。いずれにいたしましても、消費者物価問題は国民が非常に関心を持っておりますので、最善を尽くしたい。  それから、そういう問題を抱え、公共料金問題なんかを抱えながら五十一年度の物価問題というのがあるわけです。公共料金につきましては、五十年度つまり本年度ですね、本年度における物価への影響度は大体二・七%ぐらいになると思うのです。酒、たばこ、郵便料金、私鉄でありますとかまた地方の公共料金、そういうものを全部ひっくるめまして二・七ぐらいの影響、それを二%ちょっとという程度に五十一年度においては抑えたい、こういう基本的な考え方をいたしておるわけであります。それから賃金の状況はどうなるか、これはわかりませんけれども、非常な大づかみの展望といたしまして八%程度というものはぜひ実現をいたしたい、また実現できる、こういうふうに考えております。
  194. 正木良明

    ○正木委員 いろんな矛盾が出てきていると私は思うのですが、余り時間がありませんから簡単に言いますけれども、五十年代前期経済計画概案では、五十一年から五十五年の消費者物価上昇率は六%台というふうに見ていますね。ところが、実際来年度物価見通しは年度平均で八・八%というふうな見通しを立てている。かと思うと、副総理は去年の二月の衆議院物価特別委員会で物価見通しについて、五十年度は一けた、五十一年度は預金利子の程度までというような、預金利子の程度ということになりますと、一年ものの定期預金で六・七五ですからね、これよりまだ下回るということになるわけです。  いずれにいたしましても物価の問題は、三木内閣としては、われわれが景気対策の問題を口にすると常におっしゃっていたことは、景気景気だけれども物価だけは何とかしたいということで盛んにおっしゃっておった政策であります。しかも基本政策と言うべきでしょう。ですから昭和五十年度においては当初予算においては四・三%の実質的な経済成長率を見込んでいながら、これは達成できない。さらには物価の方も約束どおりはいかないということになりますと、これはもう国民にとっては踏んだりけったりということになるわけです。  特にまた去年の春闘におけるところの賃金の問題、賃上げの問題にいたしましても、やはりそういう政府の約束があって、あの一三%というような平均の、労働者にとっては非常に低いという、福田総理が非常によくできたとおっしゃるのですからこれはもらう方にとっては低かったに違いないと私は思いますが、そのぐらいの賃金上昇しかあり得なかったということは何を意味しているかというと、政府はあれぐらいやかましく言っているのだから、物価の方でちゃんと安定させてくれるであろうからということでまあ涙をのんだに違いないと私は思いますし、去年予算委員会で私が質問いたしましたときにも、このことについては、賃金をこれだけに抑えたんだから、物価の問題をあなた方のお約束どおりおやりになりませんと労働者を裏切ることになりますよということをはっきりと申し上げておるし、決してそういうことはありません、物価できちんと抑えますということをお約束なさったわけですから、この問題はきわめて重要な問題であろうと思うのです。だから国民、勤労者、また中小企業経営者、従業員にとっては、片方では倒産、失業という脅威を日常受けるというような不況の深刻下の真っただ中にいて、片方ではまた物価上昇というダブルパンチを受けなければいかぬという状況にあるということをよくお考えいただいて、少なくともあらゆる手段を尽くして物価安定のために努力をしていただきたいと思います。やはりそれはいろいろの問題があって、公共料金の値上げはやむを得ないというような弁解をなさっておりますけれども、公共料金だってまだ上がっていないのがずいぶんあるわけですから、これがことしじゅうに仮に上がるといたしますと、国鉄にいたしましても、また電話料金にいたしましてもNHKにしましても、そういうものがどんどん上がってくるということになってくると、これはもう公共料金の値上げというものの占めるものも非常に大きくなるでしょう、いま二・三%とおっしゃいましたけれども。さらにはまた、この新価格水準政策によるところのいわゆる一般製品の値上がりということもあり得るわけであります。  したがって、私は、物価情勢は決してもうそれこそ三木総理が大みえを切られるほどの大成果が上がったものとはまだ思っておりません。まだ努力をしていただかなければなりません。そのくせ、物価を抑えるためにますます抑制政策を続けていくと、それこそ経済が失速してしまうかわからないというような不況の深刻化というのが片方に待ち構えているわけですから、そういう意味で、時間がありませんので議論をするあれはございませんけれども、これについては政府のせっかくの御努力というものを特にお願いを申し上げておきたいと思います。  それで、えらい短い時間をぎょうさんいろいろなことに使うて済みませんけれども、一つだけちょっと総理に聞いておきたいことがあるのです。――いまのちょっと簡単に。
  195. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 普通の環境でありますと、経済というものは循環現象でありまして、多少のインフレあるいは多少の不況、そういうようなものは一年、一年半ぐらいで片づくものでございますが、今度はとにかく石油ショックという、これはもう世界的な大きな衝撃を受けておるわけでありまして、ちょっと時間がかかる。国民にも大変御心配をかけておる、こういうふうに思います。思いますが、五十一年度はインフレの基調というものはもうとにかくこれでなくなったというようにしたいと思っているのです。同時に景気につきましても、昨今多少そういう徴候も出てきておりますが、五十一年度におきましてはとにかく五%ないし六%、その辺の成長はぜひ実現をいたしたい、これも私は実現をできる、こういうふうに考えております。
  196. 正木良明

    ○正木委員 それじゃちょっとまた問題が移りますが、ロッキードの問題に関連しまして、きのう総理は非常に力強くおっしゃったことは、いまロッキード事件ではしなくも暴露されたことは、アメリカの多国籍企業は不法行為によって売り込み合戦をやった。したがって、こういう多国籍企業の活動というものについては正常な企業活動にしなければならぬ、これはOECDもそれをやっているけれども、私も非常に強い関心を持っているし、これは国際的なルールをつくらなければならぬのだというふうに総理はおっしゃいましたね。私は非常に前向きの態度で結構だと思うのです。  ところが、いまアメリカのロッキードの問題だけが大きくクローズアップされておりますが、果たしてこれはロッキードだけの問題かというと決してそうじゃないのじゃないかという気がいたします。そのほかに、やはりアメリカの航空会社もありましょうし、石油会社もありましょうし、コンピューターの会社もありましょうし、アメリカが多国籍企業として海外で企業活動しておるというような業種というものは複雑多岐にわたっているでしょう。その中には日本の企業と競合しておる業種もありましょう。航空機の問題なんかないかもわかりませんけれども、そのほかにはたくさんあるかもわかりませんね。それで、三木総理は、多国籍企業の国際的なルールを決めなければいかぬ、それを積極的にやっていただくことは結構なんですが、捕らえてみればわが子なりというようなことにならぬかいなと私は心配しているわけです。日本の企業というのは、商談を成立させるためには必ず銀座へ行って一杯飲まなければいかぬことになっているわけですから、これは国際的な企業活動をする場合に、やはりきちんとした正常な企業活動のらち外に足を踏み外しておるというような場合もあるのではないかと私は思うわけです。  たとえば、現にアメリカは日本へロッキードを売り込んでまいりましたけれども、あのチャーチ委員会ではっきりしたことは、いろいろな国に売り込み合戦をやっているということですよ。だから、そういう航空機以外の物についてだって、やはり日本以外でそういう不法行為によるところの売り込み合戦をやっていると見なければなりません。その競争に参加している日本が競争に打ち勝つためには、ある意味の政治工作資金であるとか賄賂であるとか、またリベートであるとか、そういうものが使われていないという保証はないわけです。また、そうしないといわゆる国際競争には勝てない場合もあるかもわからないからです。そういうときに日本の企業がそういうことをするということについて、日本で果たしてどんな形でチェックができますか。たとえばアメリカの、これは行政委員会でありますが、証券取引委員会は、これを株主の利益を保護するという意味において、正常な企業活動を求めるという意味においてチェックしましたね。このことは今度のロッキード問題が発覚した端緒になっているわけですから、そういうものが日本にあるのですか、どうでしょう。
  197. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 多国籍企業の小委員会も、これはああいういろいろなスキヤンダルの摘出というよりかは、一つの国際的ルール、何か余り海外において不正が行われて、そのことがアメリカの信用にも関するし、その国の社会にも非常な害悪を与えるからということで始まったわけですが、だからアメリカ自身も多国籍企業というものに対しては真剣に何か立法化しようということに、これは多国籍企業ですから国籍的なまたがりを持っているので、でき得べくんば国際的な何かルールというものができる方が好ましいのですね。日本の場合は多国籍企業と言われるようなものは、正木君も御承知のように、日本自身がそこまでいってないわけですね。しかし、大企業で海外に進出しているものはあるということ、これに対しては自己規制的なコードというものを持って、そして経団連なんかが中心になって、そして皆自分自身の自己規制の規律は持っておるんですね。しかし、まあそれは自己規制でありますから、そういうことで、やはりロッキード事件などが与えた教訓というものは、もし日本がああいうことをよその国で行うということになれば、その社会を腐敗さす大きな原因をつくるわけですから、だから私は、あの事件が起こったときに通産大臣に言ったのは、日本の場合もこれを一つの教訓として、海外に進出しておる大企業などに対して、従来の自己規制に加えて、何かこういうものに対して監督を強化する方法というものをひとつ具体的に通産省として検討してほしいということを言ったわけですが、通産省でも検討するということなんで、これは非常にむずかしい方法ですが、しかし海外で競争するわけですから、普通の商習慣におけるようないろんな取引上の利益を相手にも与えなければならぬけれども、賄賂というようなものは非常に害悪を流しますから、こういうことで、この問題は真剣に通産省でも、いまここでこういたしますというような結論が出たわけではございませんが、検討をいたしてまいらなければならぬ問題だと考えております。
  198. 正木良明

    ○正木委員 それはそれで私は結構だと思いますが、企業にみずから姿勢を正すということを求めるということは、これはもちろん必要なことでしょう。しかし、それで事足れりというような考え方だと私は甘過ぎるだろうと思うのですね。おととしの予算委員会でわが党の矢野書記長が丸紅脱税事件のことをいろいろ申し上げましたが、実はあれだって丸紅がアメリカにつくっている米国丸紅という現地法人があるのですね、これがアメリカの国税庁から脱税容疑で摘発されたのが端緒でこっちもわかってきたということなんですよ、私はそういうふうに聞いておりますが。というふうに、最近のそういう事件だって大商社が、総合商社や大企業が海外で企業活動して、悪いことをしてわかってくるのは全部よその国からわかってくる。日本みずからの監視能力であるとか、またチェック能力というのは皆無と言ってもいいんじゃないかというふうに私は思っているわけですね。  たとえばアメリカがやったのは、先ほども申し上げましたように、ロッキードの問題をやったのは、いわゆるアメリカの証券取引委員会が、ロッキード社が増資の問題について証券取引委員会へ申請を出した、それで書類を持ってこいと言った。この書類の中には国際的に非常に危険なものがありますからというのでワシントン地裁へ訴えた。それでワシントン地裁がどうすべきかというのでキッシンジャーに意見を求めたら、それは国際的な信義の問題があるし、国際的に非常に大きな影響のあるものだから余り出さぬ方がよろしいということになって、いまこのままきておるわけでしょう。いわば今度のロッキード事件というんだってアメリカの証券取引委員会というものがやはりこの端緒をつくっているわけです。彼らは何のためにそれをやったかというと、決して摘発することが目的ではなくて、証券取引委員会は株主の利益を保護するために存在する機関であるというので勇気を出してやっているわけです。ところが、日本にもやはり戦後こういう証券取引委員会というのがありましたが、これは昭和二十七年に解散しておりますわな。その後、証券取引法という法律はできたけれども、この内容を見てまいりますと、要するに株式の売買、証券の売買をするようないわゆる証券会社を規制するための法律ではあるけれども、一般の日本の株主を保護するためにいかなる活動をするかというような形での証券取引審議会というのは存在していませんわ。  こういうふうに考えてまいりますと、やはりそういう日本が独自でチェック機能を果たせるような組織というものも、いまやもう多国籍企業の時代に入りつつある現在においてはやっておかなければならぬと私は思いますよ。そうじゃなかったら、よその国でロッキード問題と一緒になって、日本のこういう商社もだれそれに賄賂を渡したなんて向こうから上がってくるかもわかりませんよ。そんなことは願うことではありません。願うことではありませんが、そういう危険だってないとは言えないわけでありますから、私はここでもう詰めた話をできませんから、これは総理に申し上げておきます。通産大臣にも申し上げておきます。大蔵大臣にも申し上げておきますが、こういう独自のチェック機能を持つ機関ないし組織というものを日本ももう持たなければならないときが来ているんだから、これは早急に御検討をいただきたいということであります。
  199. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 私からもお答えしておきます。  労働省と経営者と労働組合が中心になりまして、日本では多国籍企業研究会というのをやっております。そして、東南アジアその他に三者構成でずっと視察して、日本自体のコードをひとつつくろうということで、数日前もやったことでございます。こうした事件が起こったときでありますから、数日前の会議で、さらにお互いの姿勢というものと、あるいはOECDあたりのコードというものを参考にしながら、三者構成でしっかりやろうというふうなことでやっていることも御理解いただきたいと思います。
  200. 正木良明

    ○正木委員 これで終わりますが、それは非常に結構だと思います。ただ、それだけで満足せずに、それを基本として、なお二歩も三歩も前進する形で進めていただくようにお願いをいたしまして、質問を終わります。
  201. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 これにて正木良明君の質疑は終了いたしました。  次に湯山勇君。
  202. 湯山勇

    ○湯山委員 先般のこの委員会で取り上げました主任制の問題について、積み残し部分として御質問を申し上げます。  非常に短い時間でございますから端的にお尋ねいたしたいと思いますが、二月三日に、一体どれくらいの県が、あるいはどれくらいのところでこの主任制というものが三月一日から実施されるかということを御質問申し上げましたのに対して、初中局長から「それではごく大ざっぱに申し上げますと、端的に言って省令の施行日でありますところの三月一日に、まあ問題なくやれそうだというような発言をしておられました教育長が約三分の二ぐらい、あとはもう少し時期的に検討したい、こういうような言い方でございました。」これで大体三分の二程度はやれるんだなということで、報道関係もそれを報じました。さて、もう三月一日はあと二日ばかりになりましたが、この答弁には間違いございませんか。
  203. 永井道雄

    ○永井国務大臣 先生にお答え申し上げます。  先般、初中局長が申し上げたのは先生のおっしゃったとおりでございますが、その後の情勢の推移を見ますと、その数をかなり下回るように私どもは情報を聞いているわけでございます。
  204. 湯山勇

    ○湯山委員 数はどれぐらいでございますか。
  205. 永井道雄

    ○永井国務大臣 流動的でございますから正確には申せませんが、教育長の報告が初中局に参っておりますところでは、まず三分の一程度ということで、この前を大分下回っております。
  206. 湯山勇

    ○湯山委員 わずか全国で四十七しかありません。都道府県教育委員会というのは四十七です。三分の一程度というのは大体どれぐらいですか。この前は、数は少ないけれども一々当たってこういう感触ということでしたから、非常に不満でしたけれども私は一応それでおさめましたが、いまになりまして、三分の一なんて数じゃなくて、どの県はできる、どの県はできないということがまだ把握できてないのですか。
  207. 永井道雄

    ○永井国務大臣 先ほど申し上げましたように、もちろんそれぞれの県から情報を得ているわけでございますが、これは私も前から申し上げているように、今度の主任といいますのは、従来考えられてまいりました主任が、どちらかというといわゆる中間管理職的な考えでございました。それで、私はこれをむしろ指導職、そうして連絡職……。
  208. 湯山勇

    ○湯山委員 ちょっと、数だけ言ってください。それはこの前で知っていますから。
  209. 永井道雄

    ○永井国務大臣 ちょっと簡単に。そこで、数ということは、四十七を三で割ったぐらいの数ということに相なるわけでございます。
  210. 湯山勇

    ○湯山委員 それでは、文部大臣の御答弁によれば、十五以上の県が三月一日から実施できる、つまり管理規則の改正ができるということですね。間違いございませんか。
  211. 永井道雄

    ○永井国務大臣 大体三分の一程度。いま十五以上と先生非常に限定なさいましたけれども、私、そこまで限定をいたさないで……。
  212. 湯山勇

    ○湯山委員 これは、私は二つ重大な問題があると思うのです。  その一つは、この前は三分の二ですから、総理お聞きいただきましたように、全国の三分の二できるのと三分の一じゃ大変な違いです。一体、これは意図的にこの前そういう発言をなさったのか、能力がなかったのか、あるいは国会を軽視しておるのか。総括質問総理もおられるところでの政府委員答弁というのは、文部大臣の責任だけじゃなくて、この答弁には総理にも責任があると私は思うのです。それがいまになって三分の一というのでは、それは私は重大な責任があると思う。一体この責任をどうおとりになるかという問題が一つです。  第二の問題は、今日になってどの県がどうということがまだ言えないということです。私はきのう資料要求いたしました。どの県ができて、どの県は怪しい、どの県はできそうだという資料を要求しましたが、出ません。一体、こういうことで審議ができますか。私はこれができないというのは、そしてまたこれが、ロッキードほどではないにしても、今日、年度末を迎えて全国的に暗いものをもたらしています。その責任一体だれにあるか。これは文部省自体にあるんじゃないですか。私は、この責任の問題は後で追及いたします。  それから第二の資料、何県はできる、できないという資料、すぐお出し願いたいと思うのですが……。
  213. 永井道雄

    ○永井国務大臣 別に自治体の名前を隠しているわけでも何でもありませんが、そこで先ほどちょっと御説明申し上げたのですけれども、まあ私は、当初来この指導職というものについて、やはり御理解を得ながら進めていくべきであるということでございます。そこで、それは御父兄もありますし、教育委員会あるいは先生方もありますから、そういう意味合いにおきまして、非常に限定した形で自治体の名前を御報告できにくい面があるということは御理解いただけるかと思います。
  214. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 ちょっと私から申し上げます。  文部大臣にお答えをいただきたいのですが、いま湯山委員要求をいたしました県別の状況の資料はいかがでございましょうか。各県別の資料のことについてお答えをいただきたいと思います。
  215. 永井道雄

    ○永井国務大臣 決まりましたものについてはもちろん申し上げられます。初中局長の方から御答弁申し上げます。
  216. 諸沢正道

    ○諸沢政府委員 お答えします。  現在の時点で県及び県内の市町村の教育委員会、市町村につきましては全部または一部になりますが、管理規則の改正の済みましたのは岩手県、香川県、愛媛県、鹿児島県の四県でございます。
  217. 湯山勇

    ○湯山委員 いま総理お聞きのとおりですね。三分の二と言えば三十を超える数です。三十以上の都道府県でできる見通しだということをここで言われたのが、現在わずか四県しかできていない。それを文部大臣は十五以上できる。あと二日ですよ。一体こんなむちゃな話ありますか。間違っておったらだれが責任をおとりになります。総理、だれが責任をとるか、ひとつ総理からおっしゃってください。
  218. 永井道雄

    ○永井国務大臣 当然この問題は私が推進していることでございますけれども、なお御理解をいただきたい点は、先ほど申し上げましたとおり、十分に趣旨というものを御理解願いながら進めていくということは、この教育界におきまして事柄を非常に理解の上に進めていく上に望ましいことでございますので、その点から申しますと、教育長の方々が一月ほど前に言われた数が現在減っているということも、私は、その教育長の方々の御判断によることでございますから、必ずしもそれを責めるべきものではないというふうに考えております。
  219. 湯山勇

    ○湯山委員 もう一度申しますよ。それは、この前のとき文部大臣いまのようなことをおっしゃったのです。理解も得ておる、各新聞も支持しておる、だからできます。無理はありませんということで、局長もまた無理なくやれるのがこれくらいだという答弁をしておるのです。それで見ると、三十以上にならなければ三分の二になりません、四十七ですから。いま四というと、十分の一でしょう。これで一体無理なくやれるか、無理がなかったと言えるかどうかです。その場限りのことを言って、もしこの機会がなかったら、恐らくこのまま行くんじゃないですか。私はそれは許せない、教育ですから。御答弁、結構です。総理、私は責任問題は後で言います。これは後でやりますから……。  それから、今日こういうことがやれないような事態になっているのを非常に無理をして、ある教育委員長を議員の人が呼んでいろいろやったということが新聞に出ておりました。いろいろな手を使って促進して、こんな状態です。  さて問題は、一体この諸規定の手続、人事院に勧告してもらうような諸規定の手続が完了したのはいつでしたか。これは二月の十日にやっと諸規定が完了しておる。去年の三月の七日に人事院へ文部省が申し込んでおいて、その間諸規定の改廃整備が必要だというので、できたのはこの二月の十日です。こんなことで一体いいかどうかです。文部省自体は約一年かかっている。それを都道府県へ持っていって十二月の終わりに出して、わずか一月、二月、三月一日にやれ、これは無理じゃないですか。どうですか。
  220. 永井道雄

    ○永井国務大臣 これは先生が御指摘のように、昨年の三月七日人事院に要望いたしましたわけでございますが、それ以後、教育長ないしは教育委員会等からのいろいろの要望というものも承る時間というものが必要である。そこで御承知のように、昨年末、この主任制度に関する学校教育の施行令ができたわけでございます。先ほどの二月十日は、これも御案内のように、それに基づきましてできました国立学校に関する付属のものでございますので、まず大筋というものは昨年末にでき上がっているというふうに御理解をいただきたいと思っているわけでございます。
  221. 湯山勇

    ○湯山委員 文部大臣、これはこの前おっしゃったように、人事院の勧告というのは国家公務員に対してなされるわけで、国家公務員に対しての諸規定の整備ができなければ勧告はできないわけです。それを私は申し上げておる。というのは、これは予算委員会ですし、予算に関連したことですから。いいですね、私の言うとおりでしょう。いかがですか、文部大臣。
  222. 永井道雄

    ○永井国務大臣 ただいま先生の御指摘のとおり、国立学校に関する人事院の勧告というものが基礎になりますが、同時にそれが基準となって、従来、公立学校の教員の待遇も決まってくるというものでございます。
  223. 湯山勇

    ○湯山委員 お認めになったとおり、これは二月の十日です。いいですか。これじゃ人事院も大変作業しにくいと思うのです。だから、まだ一体あの二百三十億ばかりは何に使うかわかっていない。これじゃ予算審議できないのですね。  さて、このような状態になって、各都道府県がいま直ちにこれができないという理由はいろいろありますけれども、今日まで非常に給与関係は乱れております。たとえば今年度の人事院勧告、これは教育公務員は地方公務員の中でも違って、教育公務員については国立学校の給与、これを基準として定める。ただ単に準ずるじゃなくて、基準として定めることになっておることは御存じのとおりです。すると、大体国立学校どおり行っていなければなりませんが、人事院勧告が実施されていない県は幾つございますか。文部大臣、おわかりでしょうか。
  224. 永井道雄

    ○永井国務大臣 いまの点、第二次給与改善について申しますれば四つの自治体でございます。
  225. 湯山勇

    ○湯山委員 人確法に基づく第二次給与改善、これは四つだそうです。私が申し上げておるのは全体です。国家公務員全体に対して人事院が給与勧告しましたね、それが行われていない県、これは幾つでしょう。――いいですよ、私が言います。十県でしょう、文部大臣。四十七の中で、国家公務員を基準としてやらなければならないというのが、十県いまだに行われておりません。こうでこぼこをこしらえておる。それから第二次人確の三%と四%、これはおっしゃるとおり四県です。ただしかし、人事院勧告によって標準職務表を適用せよという勧告で、校長は特一、教頭は一等級、この格づけをやれ、これの実施状況はいかがですか。
  226. 諸沢正道

    ○諸沢政府委員 校長の特一等級の格づけのまだ済んでいない県は八県でございます。それから教頭の一等級の格づけのまだ済んでいない県が九県。それから、そのすでに実施をいたしております県についてどれだけの校長、教頭についてそれぞれ上級の等級になっておるかということを申し上げますと、校長につきましては、三十九県において実施をいたしまして、総数二万五千三百三十六人のうち、特一等級にいたしましたのが一万三千六百一人ですから五三・七%でございます。教頭につきましては、二万四千六百三十六名中一万八千二十四人ですから七三・二%、こういうことになっております。
  227. 湯山勇

    ○湯山委員 ただいまのように、国家公務員を基準として行う教育公務員の場合は、一般の公務員のように国家公務員に準じてという言葉もないのですけれども、それとは違ってもっと厳密にやれと言っておるのに、校長の場合は五三%余り、五三・七%しか行われていない。教頭の場合は七三・二%しか行われていない。まだ大分残っているのです。  そうすると、人事院総裁にお尋ねしますが、文部省は今度長年勤務した人は一等級へ移すということをやってほしいということをお願いしておるそうですか、地盤がこんなでこぼこで一体実施できますか、まず人事院総裁
  228. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 お答えをいたします。  特一等級、一等級についての格づけの状況につきましては、ただいま文部省の方からお話があったとおりでございます。御承知のように、私の方の所管は国立学校でございますので、直接地方の問題になりますと、これは文部省所管ということに相ならざるを得ませんので立ち入ったことは申し上げかねますが、そういう状況があることはこれは事実でございますね。その場合に、また別個に、要するに一般の教諭の方々の一等級への格上げと申しますか、そういう問題が提起されて、要望としても出ておることは事実でございます。また、これは別に文部省だけではなくて、先生御承知のように、国会のそれぞれの専門の委員会等においても附帯決議等がなされておるのであります。その事実は私たちといたしましてもこれは踏まえて考えております。直接の責任は国立学校でございますけれども、事実上従来も、いまお話しになりました地方公務員の教員の給与決定の原則からいたしましていろいろ波及をいたしますことも、それは全然知らないというわけにもまいりませんから、そういう意味では横にらみをしながら事柄を考えておりますが、いまお尋ねの点につきましては、われわれは、順序といたしましてはやはり特一、一等級の充足が確実に確立された後において、次にやるべき筋合いのものじゃないかと思います。
  229. 湯山勇

    ○湯山委員 私はいまの人事院の御答弁のとおりだと思うのです。これができてなくて、地ならしできないでこぼこのところに持っていって、かぶせると言ったってそれは何の役にも立ちません。これは行管が監督するのかどこが監督するのか、もう一遍文部省の行政内容をうんと調べて立て直さなかったら、私大変じゃないかと思うのです。これが一つ。  次、人事院の方へお尋ねいたします。人事院はやはり国立の学校を対象にして勧告をお出しになられるはずですが、そうなると、教務主任というのは一つぐらいあるかと思いますけれども、大体学年主任などは国立でいえば付属しかないと思いますが、これはいかがでしょうか。
  230. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 原則的には付属でございます。
  231. 湯山勇

    ○湯山委員 そこで、国立学校の付属というのは公立学校とは非常に違っている。人事院総裁いま言われたように、付属を対象にして出された勧告が果たして公立学校へそのまま適用になるかどうか、この違いをいま御指摘申し上げたいと思うのです。もし間違っておれば後でまた言っていただく。  まず、付属の校長さんというのは大学の教授がなります。だから一般の学校の校長さんとは違っている。それから、付属の教頭というのはしたがって大体一般の学校の校長さんのような役目をしている。これが一つ。  その次、大事なのは職員構成です。普通の公立学校であれば、新規採用になったのを辞令でもって各学校へ持っていきますから、ひょっとすると校長さんはうちはどんな先生が来るかわからないというようなことも多いのですが、付属の場合は、すでに経験を持っている人からその校長なり何なりが選抜して教員を採用してくる。これは後で申しますけれども、付属の学校には特別の役目があります。それは何かというと、設置法の何条でしたか条文を一々申し上げませんけれども、とにかく大学の教育研究に協力するという任務と、それから学生の教育実習を担当する、この任務がありますから、勝手に配られたのでは困るので、県内なり、東京ならどこになるかわかりませんけれども、場合によれば全国的な視野で先生を選抜してくる。ですから一般の公立学校とはうんと構成が違います。したがって、新卒というようなのは余り来ないし、年齢――年齢といっても平均は別として、私が幾つか文部省から資料をいただいて見ましても、たとえば卒業したての人が来ておるというようなのは専科であって、音楽の非常に堪能な人とか体育の堪能な人、こういう人であって、大体数年の経験を持った人が来ています。まだあります。それから、多くの場合児童生徒も無差別じゃなくて、これも選抜しておるのがほとんどです。こういう任務を持って、こういう形で編成した人に対して勧告をする。  特にこの中で問題なのは学年主任です。指導、助言ということが重要な任務だとおっしゃいますけれども、それだけの経験を持って、しかもいまですから五人なり六人なりその教諭自身が指導しなければならない。たちまちそれをやっておるのですから、またできる能力を持っている。そういう人ですから、別に学年主任が指導するというようなことはありません。むしろ得意得意によって相互に研修はあります、あるいは教えてもらうことはありますけれども、学年主任だからといって他の人を、同じ学年の担任を指導するなんということはこれは不可能です。理科の得意な人に他の教諭が、これをやってくれ、どうやるとか、その道具を置いておいてくれとか、それはありましょう。これはどうもやりにくい、これでやったらいいかという、それはありますけれども、主任だからといって指導、助言というようなことは教科についてできない。  そうなってくると、人事院が勧告の対象にされる国立学校の主任と、それから一般の公立学校の職員とではその点非常に違っている。いまの任用の仕方にしても構成にしても違っている。これは、人事院総裁、お調べになってお認めになっていらっしゃるでしょうか。
  232. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 先刻も申し上げましたように、私の主管は国立学校、今回の場合は付属ということの実態になるわけでございます。これの点につきましては、いまお話がございましたように、規則の改正がこの間の十日に行われたのであります。この規則の内容というものを現在いろいろな角度から検討しながら作業を進めておるような段階でございます。文部行政の推進、指導につきましては、これは文部省が主管でございますので、その判断と責任において措置をされてまいることでございますので、でき上がった規則というものは十分参考にしてまいらなければなりませんが、先生御指摘になりましたような、二十七条でございましたか、規定は正確ではございませんが、そういう点については付属学校の特殊性というものがあることは事実でございます。そういう点の評価は、今後どういうふうにやっていくかということは、今回の措置と並行いたしまして、さらに追って検討を続けてまいりたい、かように考えております。
  233. 湯山勇

    ○湯山委員 そうなりますと、人事院総裁、お尋ねします。  従来のように一律にやっていくということであれば、それは、国立学校に対してなされた勧告は余り抵抗なく行くわけです。それでもなおかつ、いまのように教頭については三〇%ばかり残っているし、あるいは校長については半分ばかりまだ実施されていない。それだけじゃなくて、全体の公務員に対してなされた勧告さえも、教育公務員は基準として行わなければならないのに、なお十県もやっていないところがある。そこで、そういうことを頭に入れながら付属に対して勧告するといっても、これは余りにも違い過ぎるのですね、主任というような問題は。教員の構成がそういうことですから、指導、助言ということが非常に重要な任務だというその指導、助言の内容が、学年主任がその学年の他の担任に指導、助言をするというような場合はまずないわけです。相互にはあります。しかし、主任だからというのでやる場合というのはまずない。そうなってくると、いままでの勧告と違って、私が心配するのは、人事院は忠実に国家公務員である付属の先生に対する勧告をなさる。もちろんそのときに地方公務員も考慮にお入れにはなりましょうけれども、しかし、何といっても国家公務員を対象にして勧告をなさると、実情は地方公務員に合わない。たとえが非常に悪いですけれども三木総理はスマートですから、スマートな服を着ておられる、私はこういうふうにずんぐりむっくりしておりますから、三木総理に合わしてつくった服を私に着せるというような食い違いが必ずできてくると思いますが、この点、いかがですか。
  234. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 これは実は私がお答えをすることが適当であるとは思いませんですが、われわれとしては第一義的には付属学校を対象にしてやってまいります。これでもってどういう措置が講ぜられますかということは、現在いろいろ検討中でございますので、この席上でいま明らかにすることはできませんですが、これが出ました際に、それを受けて地方にどういうふうにこなしていくかということは文部省の指導方針であり、また、これを受ける各地方教育委員会の方針の問題ではないか、かように考えます。
  235. 湯山勇

    ○湯山委員 それだけ違うものであれば、むしろ人事院はそういう主任についての勧告は、なさるとしても付属だけにして、地方の場合は事情が違うのですから、地方の人事委員会が勧告するということもあっていいんじゃないでしょうか。この点、いかがですか、藤井総裁。
  236. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 立場といたしまして、各地方委員会がやるべきであるかどうかということについては、私としてはこれ以上言明いたしますことは差し控えさしていただきたいと思います。文部省の問題である……。
  237. 湯山勇

    ○湯山委員 この前もここまででとまったのです。二百三十億というのは何に使うか、それの使い方によってわれわれ賛否を決めなくてはならない。いままでのように、三%はベースアップに使う、四%は手当でというので、国家公務員に対してなされた勧告がそのまま行く体制ならば、これは問題ありません。今度は、いまのように違ったものへ、異質なものへ勧告して、それを地方へ持っていく。どうなるか、どう使われるか、まだ全然わからない。しかも決まった枠の金を、それを主任手当で抜くのですから、どれだけ抜いてどれだけが一般に行くのか、これもわからない。それからまた、長年勤めた人に対する一等級の適用、これもいま人事院総裁言われたように、まず、さきの勧告をやってほしい、それもできていない。それじゃ、一体この予算は何にどう使われるかということが全然わかりません。これでは私は審議できないと思う。委員長も専門ですからよくおわかりのとおりです。ただ額が幾らになるかわからないというのじゃないのです。性質がわからない。これではまた審議できないと私は思います。  一体、そういうことについては文部省がなさることだということですが、文部省はこれについて案がおありですか。この金をどう使うかというのをはっきりしてください。
  238. 永井道雄

    ○永井国務大臣 この点は、先般もすでに先生に申し上げたとおり、文部省は、給与改善二百億を超える額を四種類に使っていただきたいというふうに人事院に御要望申し上げているわけでございます。その最も大きな額というのは、恐らくは教員全体の給与、これを上げていくことでございますが、そのほかに、先ほど先生の御指摘がございましたような普通の教諭がいわゆる一等級あたりになっていくということは、これはやはり附帯決議にございますことですし、これは要望している点、さらに主任それから部活動担当の先生、この四種類にわたりまして予算考えたわけでございます。
  239. 湯山勇

    ○湯山委員 それじゃ、一般にはどれだけが上がるのですか、全体の先生は何%。
  240. 永井道雄

    ○永井国務大臣 これは御承知のように、五%というのを二年度に分けましたわけですから二・五%ずつということですけれども、しかし、いま申し上げましたように四種類を含めましたので、一般の先生方がどの程度、二・五%のうちを占めるかということにつきましては、これはいままでの公務員の給与が決定されるプロセスにおきましても、人事院においてお決めいただいて勧告を受けて決まるということであることは、私が改めて申し上げなくても、先生もそのようなものとして御理解いただいていると考えるわけでございます。
  241. 湯山勇

    ○湯山委員 お聞きのとおり、人事院は、文部省においてやるべきだ、それは勧告を土台にしてというのもあるかもしれません。しかし、地方公務員と国家公務員とでこれだけ違えば、地方で勧告してやるのが妥当じゃないか。それについても、それは文部省の方でお決めになることだ、こういうことです。結局、文部省はこの前からも人事院寄っかかり、人事院はそうじゃない、もっと文部省しっかりしてくれぬと困る、もらったのは二月の十日じゃないか、しかも地ならしも何もできていないじゃないか。  そこで、総理、いいですか、時間がなくなりましたから。いまのように文部省の処理もできていません、非常におくれておる。それから無理がある。そして、この前の判断も間違っている。まだどうするかもわからない。上げなければならぬものもほうってある。こういう状態ですし、また、付属に対する勧告が一般に当てはまらないことも、いま人事院総裁言われたとおりです。そうなってくると、ここで私は、この前いいかげんな判断でここまで進めてきた責任というものは政府にあると思います。その責任一体どうおとりになるかという問題です。私がここで提案申し上げますから、本当に真剣に聞いてください。  幸か不幸か、さっきの五%、これはいまのベースにすれば三・四%ばかり、二年に分かれることになりました。五十一年度に一・七、五十二年度に一・七です。そこで、人事院もとてもいまのような作業は簡単にできることじゃありません。今度の一・七は一律に行く。まだ次のまでには一年あるのです。さっき文部大臣が幾ら言っても、一年間かかってPRもしてきて、意見も聞いて、なおかつ今日四県しかないという状態でやるのは無理です。やることが無理です。こういう無理をやるから、文部行政というものはいまのように初中局長がすぐにやめなければならないということになる。これはやってごらんなさい、また初中局長やめなければなりませんよ。私は責任を問いますよ、無理したら。  それは別として、とにかくこの体制というものは非常に問題が大きい。総理の御決断で――これは大蔵大臣にお尋ねしますが、半分、ことしのはもういい、教員に出す分だから一・七は一律に出して、もし何か手当でもつけるのなら、来年のでつけたって別に問題ないし、いまこれは無理にやったって全部実施できるものじゃありません、いまの大勢ですから。わずかに四つしかできていないこの状態で。あす、あさってあると言われれば、あす、あさって仮に五つ六つできたにしても、文部大臣が言う十五を超えるところまではまいりますまい。三月末まで待ったって十五そこそこじゃないですか。総理、これはいま総理大臣からやめるということはおっしゃれますまい。ですから、この問題は、いまの人事院総裁の御答弁といい、文部省の体制といい、この実態といい――実態というのには幾つもありますけれども、とにかく正規の人事院勧告さえ十県も実施されていない。教頭、校長のそれは半分と七割ぐらいしかできていない。こんなので主任手当を出したってどれだけできるでしょう。  こういうことを考えますと、大蔵大臣もこれは分けたって構わぬのじゃないでしょうか。大蔵省としては、無理に今度のへ主任手当というものを割り込ませなくても、その必要が本当にあって合意を得られるならば、残りの半分のときでもちっとも構わぬでしょう。いかがでしょう。
  242. 大平正芳

    大平国務大臣 まだ人事院の判断を聞いておりませんので、給与の問題は何とも申し上げられません。
  243. 湯山勇

    ○湯山委員 いまのような状態で、全然わかっておりません。制度は三月一日からやれと言う、幾ら出すのか、どれに出すのかわからない、こういう状態ですから、総理、要点だけはお聞きいただいたので、これはもう一遍検討しなければならぬということにならないでしょうか。私は、それだけでいいですから、これはもう一遍検討しなければならないということの意思表示をお願いしたいと思うのです。
  244. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 湯山君、政府責任ということを言われるわけですが、責任の追及は簡単にできますが、こういう問題はどうなんでしょうか。この一つの教務主任というようなもの、これは教育の充実に活用すれば役立つのですね。それをテレビなんかで見ると、なかなか反対運動が起こって、初めの文部省の予定は実際それぐらいに持っていこうとしておったのでしょう。しかし、その後全国的に反対運動が起こってなかなか進まない。教育というものが政府責任問題よりも、これは各党が党の立場を離れて、この問題に対しても、教育それ自体よりも反対運動のために精力を使っているわけですからね。だから、私にそれをもう一遍検討したらどうだと言う前に、何かこういう問題、これは教育のためにいいことは間違いないですよ。管理職でないのですからね。その制度というものを、組合などもこれをできるだけ実際に合うようにして活用すれば悪いわけはないですよ。これは管理体制を強化しようというものじゃないでしょう。教育のために、やはり教務主任のようなものがあって、できるだけ教育を充実しようというのですから、そういう点で私は何かこの問題を、日教組の人たちも反対と言って猛烈な運動をしておるのだが、もう少し教育それ自体を子供たちの立場に立って、せっかく大蔵省でも人事院の勧告があったら予算もつけようと言うのですから、何かこれを活用できるような道を考えるということがいいのだと思うので、いまこれを検討し直せと言っても、私は検討し直すと言うことはできません。
  245. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 湯山委員に申し上げます。  時間が来ましたので、これ限りにしてください。
  246. 湯山勇

    ○湯山委員 総理、私の考え総理の言うようなことを言っているつもりです。というのは、二月の三日に私が質問したときには、反対があっておるのです。それから状況はそんなに変わっていないのです、鹿児島で何かあったぐらいのことで。しかし、それにしてもまだ四県しかできていないというのは、やはりまだそれはよく徹底していない。私もまだ賛成とも反対とも言っておりません。そこで方法としては、これは一応べたにやって、一年間――無理に三月一日なんてこんな忙しいときに、学校はがたがたです。異動の直前、こんなときに無理しないで、私は、こういう制度というようなものは話せばわかると思うのです。そうすれば、さっきのように、せめて三分の二なり八割なり合意したものを実施していくというのがたてまえなんで、そういうことに立ち返っていったならば、いまこれは無理押しする必要がどこにあるでしょう。私はまだ一度も、これは反対だから絶対やめいなんて言っていませんよ。検討したらどうですか、こうこうこうだ。現に主任は皆学校にあるのですから、それをどうするかという問題はあるでしょう。待遇改善の問題もあります。しかし、それをいまのような形で無理に押して、こなれないままでやったのでは、しかも地盤もできていないでこぼこの上に重ねたのではいかぬから、もっと冷静にそういう立場を離れて検討するという必要がありはしないか。局長が三分の二は大丈夫ですというような言い方をしたり、そういうことをしないで、現実に立ってもう一遍考えてみるということは必要ではないか。一般論としてでももう一遍御答弁願います。
  247. 永井道雄

    ○永井国務大臣 ただいまの先生の御意見に対しまして、総理がお答えになります前に、担当いたしている人間として一言させていただきたいと思います。  これはいろいろ各方面の要望もあり、また私も考えて、教育指導それから連絡調整というふうなものを置くことによって教育というものを強化していく。全国的な世論調査によりましても、教育行政に父母が最も望むものは教員の質の向上であるということでございます。ところで、きわめて遺憾でございますが、日教組は制度化絶対反対という線が昨年に出たわけでございます。制度化反対があるから、要するに議論ができない。にもかかわらず、国会におきましては幸いに日教組と御関連の先生方も、衆院、参院において御討議をいただくことができたわけでございます。そこで、私はそうした御討議を踏まえまして、さらにこれを省令化しまして、さらにまた、なおそういう状況におきましても絶対反対ということでございますと、これは議論ができない。しかし、そういう状況におきましても、全国各地で実現をしていくときには、私は、わが国の教育においては、たとえ組合においてそういう立場があっても、本当に教育というものを静かにしていくために、よく御理解をいただきながら進めていただきたいということを教育長の方々などにもお願いしていることが、時間をおくらせている一つの重要な理由でございまして、私は、そのこともまた先生に十分に御理解をいただく、そういうことでございますならば、これは絶対反対というようなことでなく、中身の吟味ということがございますならばさほどの問題を生じないはずでございますし、また、そういう議論は衆参の文教委員会においても行われたわけでございますので、さような事情を御理解の上、私は、この制度を進めていく上に先生の御協力も得られればきわめて幸いと考えている次第でございます。
  248. 湯山勇

    ○湯山委員 もう一遍。終わりますが……。
  249. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 またの機会でどうですか。  湯山勇君に申し上げます。時間が大分経過しましたから……。
  250. 湯山勇

    ○湯山委員 いま答弁求めていないのに――これはこういうことです。私は、日教組が反対だからなどということを一言も言っておりません。大学の付属、それと教育委員会と、大臣がそういうことをおっしゃってはいかぬです。  三木総理、かつて人確法のときには私ら反対したのです。教員組合との関係は申しませんが、衆議院で反対、参議院で修正して、またこっちへ返って賛成して通ったいきさつがあるのです。こういうのでなければいかぬのであって、これをやはりやらぬといかぬ。で、そのためには、いま急いではいけないということ、三木総理おわかりいただいたでしょうか。それだけ、わかったらわかったと、三木総理
  251. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 いま進行しておるときに、もう一遍検討し直すんだというようなことは混乱が起こりますよ。そういうことはよくないわけですが、湯山さんも非常に物わかりのいい方でございますから、どうかこれに対して、これができるだけ円滑に行われることが好ましいのですから、いろいろ御意見があれば承りますよ。しかし、ここで再検討をするというようなことは、そういうことは申し上げることはできません。
  252. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 これにて湯山勇君の質疑は終了いたしました。  次に小沢貞孝君。
  253. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私は、三点ほどありますが、最初に、幼児の保育及び教育に関する問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  就学前の幼児は学校教育法によって幼稚園、これは文部省で扱っております。それから児童福祉法によって乳児、幼児の方は保育園に入れておるわけです。これは厚生省であります。それに企業の中で企業内託児所、これも児童福祉法ではありますが、これは労働省で扱っておる。こういうぐあいに同じ就学前の乳児、幼児について三省にまたがっておるわけであります。そして大変混乱をしておるわけであります。子供はその役所のセクショナリズムのために犠牲になっておる、こういうように言っても差し支えないような状態ではないか、こう思います。  現状は、幼稚園は約二百三十万人、乳幼児の一九%、それから三歳ないし五歳の子供の三九%に当たっております。保育園の方は約百五十五万人で、乳幼児の一三%、三ないし五歳の子供の二二%、それだけを園に入れておるわけであります。ところが、ある県に行けばもっぱら保育園ばかり、こういうところもあります。また、ある県へ行けば幼稚園ばかりで保育園はない、市町村においてもそれと同じような現象が起こっております。ところが場所によっては、三歳から四歳までは保育園に入れて、後、幼稚園へ通わせている、こういうようなぐあいに、就学前の児童が保育園、幼稚園、それから役所も厚生省、文部省、労働省、こういうぐあいで大混乱が起こっているわけであります。  そこで行管は、これについて何らかの措置をしろと、こういう勧告を下したようでありますが、基本的な問題で行管でさらに要約したものがあります。  「1幼稚園(文部省)及び保育所(厚生省)の整備計画は、相互に調整されていないうえ、国、都道府県、市町村を通ずる整合性に欠けている。2そのためもあって、両施設は地域別にみて、極端に偏って設置されている。3一部地域では三-四歳までは保育所、四-五歳から幼稚園という区分入園所が行われている。4保育所に高年齢児を優先的に入所措置し、幼稚園の代替施設的に運用している市町村が多数みられる等の問題があるにもかかわらず、文部、厚生両省は有効な対策を講じていない。」こういうような問題意識の上に立って、行管がこれを何とかしなければいけないという勧告を下したやに聞いておるわけであります。  ごく要領よく一、二分で行管から御答弁をいただきたい、こう思います。
  254. 松澤雄藏

    ○松澤国務大臣 ただいまの御質問の点ですが、幼児の保育及び教育に関する行政監察の結果に基づいて行いました勧告につきましては、二月十日両省から回答を受領したところでありますが、両省とも、勧告の趣旨を尊重して、そして前向きに対処していきたい、こういうふうに言うておりますので、今後これらの問題を大いに私たちの方は監視、監督するというふうな立場でやっていきたいものだ、かように思っております。
  255. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いや、私の質問しているのは、どういう内容の勧告をしたか、簡潔に勧告の内容を御答弁……。
  256. 松澤雄藏

    ○松澤国務大臣 ただいま御答弁申し上げたようでございまするが、行政監察の結果として、幼稚園とか保育所の設置、運営が不統一で調和がとれてないなどの問題がありましたので、両省に対して、家庭及び乳幼児全体の立場に立って、そして関係審議会の委員など学識経験者を構成員とする協議の場を設けるなどして、総合的な見地から問題を検討するということにいたしたのでございます。
  257. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 以上の勧告に文部省及び厚生省あるいは労働省も何か言われたかと思いますから、ごく簡潔にその答申といいますか、対処の仕方を御答弁いただきたいと思います。
  258. 永井道雄

    ○永井国務大臣 幼稚園と保育所は、これは当然いろいろの面で協力すべきものでございますので、行管からの勧告に従いまして、まず一つには、厚生省との従来の協力関係に進めまして、やはり協議会という形で問題を詰めていくということが一つ重要であると考えております。  もう一つは、やはり問題点につきまして、教育の点で、保育所とそれから幼稚園重なり合いながら、なおさらに協力していく方向につきましての調査を行っていくという、この二点を行うことによって行管からの勧告にこたえたい、かように考えている次第でございます。
  259. 田中正巳

    田中国務大臣 あの行管の勧告につきましては、はなはだ傾聴に値するものが多々あるものと思いますので、われわれはこれに協力をいたそうと思っております。先ほど行管長官から御答弁がありましたとおり、中児審と中教審との合同の審議会を設けるということについて賛成をいたし、去る十日にこのことを行管に報告をいたしました。なお、厚生省独自でもこうした行管の勧告内容に対応して今後いろいろと問題を掘り下げて実施に移していきたいと思いますが、何分にも日本の保育制度というものは長い間日本の社会の中に定着をしているものでございますから、一朝一夕にはなかなかいかぬと思いますが、できるだけそうした方向にのっとって保育の制度も改めていきたいというふうに思っております。
  260. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 行管の勧告は、労働省に対してはありません。しかしながら、先ほど先生おっしゃるように、企業内の託児所、こういうものを労働省の方で加勢しておりますので、三つ子の魂百までですから、大事なお子さん方の教育については熱心にやってまいりたいと、こう思っております。
  261. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 行管の勧告は、両方からそれぞれ学識経験者か何か出し合って協議するみたいなことですが、これは主体が、一体だれがやるか。これは本当にいま厚生大臣の御答弁にあったように、保育園も長い歴史と伝統を持っております。幼稚園も長い歴史と伝統を持っております。そして、保育園の方は中央児童審議会、それから幼稚園の方は中央教育審議会か、たしかそういうところでいままでもずいぶんやってきただろうが、これは言うならば役所の両省のちょうちん持ち。片一方は学校教育法であり、片一方は児童福祉法であり、そういうことを主張し合う程度であって、同じ子供がもう三省に分かれて奪い合いだか、何といいますか、末端においては全く混乱をしているわけであります。  だから私は、うんと簡単に言うならば、両省から離れて児童庁――教育と保育とこれはもう画然と法律が分かれていますから、この児輩には教育法であります、この児童には児童福祉法であります、そういう区別をする必要がないんではないか、こういうように考えます。たとえば、保育にかける子供ということになれば、私は理由は幾らでもつくと思うのです。いまのこういう時代ですから、これは保育にかける児童だという認定は市町村長がやるわけですから、幾らでもできるわけです。四歳でも五歳でもみんな保育園でございますと言って措置している市町村もあるわけです。だから、従来のようなやり方では、勧告に基づいて両方でひとつ審議会なり、協議しましょうと言ったって、なかなかいつまでも進まない。これはもう明らかなことであります。だからこれは、役所をふやすことがいいかどうかわかりませんが、こういう混乱の中にあっては、やはり展望としては児童庁、そういうものを設置するという目標をにらみながら、これは総理府でしょうか、総理府総務長官あたりで間に入って、そういう目標のもとに審議会をつくって検討をする、こういうことをしなければ、この混乱はいよいよ続いていく、こう考えます。総務長官のところかあるいは行管か、どちらからか御答弁いただきたいと思います。
  262. 植木光教

    植木国務大臣 ただいま御指摘のように、幼児の保育及び教育というものは大変重要な課題でございます。この点につきましては、いまお話しのように、文部省及び厚生省におきましてそれぞれ連絡協議をしておられるわけでございますが、行管から勧告が出まして、先ほどお話しのように、両省の間でまず協議をしようという積極的な姿勢が打ち出されたわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、ただいま直ちに総理府に審議会を設置するということは考えておりません。ただ、両省の御検討、協議の行方というものは全国民の関心事でございます。私どももその点について、御指摘のようなこと、また行管が勧告をしました趣旨が十分に生かされるように期待をしているところでございます。
  263. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 せっかく両省で協議するので、それにこしたことはないわけです。ところが、これは文部省が主体でやるのか、厚生省が主体でやるのか、両方からちょうど歩み寄ったときに、これはよしと言ってやるのか、行司役もなければ、推進役もないわけであります。だから、これは完全に三省にまたがっている問題なんだから、総理府総務長官なり何なりが指示して、行司役なり司会者なり何かなければ進まないわけだ。きれいな返事をしていたって全然進まないと思うので、だからその推進を少なくとも総理府なり何なりがやるか、こういうことはどうでしょう。
  264. 植木光教

    植木国務大臣 ただいま両省及び労働大臣からも御答弁がございましたように、この問題についての積極的な取り組みがこの場において答弁せられたわけでございます。必要に応じまして三省の担当者の方々と御協議をするということについては、あるいはまた必要に応じて調整をするということについては、やぶさかでございません。
  265. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 まあ総理、そういうわけですから、これは積極的に行司役が入ってやっていかなければできませんから、推進していただくように要望して、次に進みたいと思います。  一円のアルミ貨幣というもの、これは廃止をしないかということであります。これは理由があるわけです。この前の質問のときに、郵政大臣の関係があって私いろいろ調べたのだが、郵政省の貯金の方では十円を最低として貯金をしている。そして、その貯金の金利計算に一円以下の何銭というのが出るわけであります。それが、全国で二十八貯金局があって、そのうち現在まで、ちゃちな機械化でありますが、機械化できたところが十八だけで、あとまだ十カ所の地方貯金局においては相変わらず一円以下のものを金利計算して、こういう台帳をつくっている。そして国には法律があるわけであります。国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律という法律があって、一円を最低の単位として国の債権債務等、四捨五入だか、切り上げてやれと、こういう法律があるから、郵政省としてはその法律に忠実に、そしてあとの十地方貯金局は手書きで、こういうカードをつくって一円だの幾らだのという金利を計算している、こういうことであります。  私はこの間、国鉄の再建問題で、国鉄の職員一人一体一年幾らかかるだろう、こう思って計算してみたところが、当局側の負担等も合わせて、一人一年間四百万円であります。これを計算してみると、十二で割ると月に三十三万三千円であります。それを一ヵ月二十五日とすると、一日一万三千四百円であります。一時間幾らにつくか。八時間拘束、七時間実働で割ってみると、一時間千九百円につくわけであります。それを六十分で割ると、一分間三十二円であります。まあ大体国鉄の人も郵政省の人も、あるいは国家公務員全体、一分間三十二円ぐらいの賃金及び当局側負担を含めてこれだけでやっているのではなかろうか、こう思います。  だから、民間へいけば、たとえば民間の企業が部品を請け負うときに分単価幾らというように、一分間の単価は幾らで請け負わせてくれますかということで、民間の企業等は請け負いの部品をつくる等のときには分単価幾ら、一分間の単価二十円、それなら引き受けましょう、いや、十円、十五円じゃ安過ぎてとてもできませんとかいうことがやはりめどになっているわけであります。だから、一分間三十二円の一般の賃金のものに一円前後の金利計算などをやるようなことをいまずっとやっているわけであります。  私は、そういう矛盾からもはや一円という通貨はやめてしまった方がいいではないかというように考えます。それには、昭和二十八年の小額通貨の整理及び支払金の端数計算に関する法律、このときに一円以下の銭の金をやめてしまえ、こういう法律をつくっていま一円以上になっているわけであります。先ほど読み上げた国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律は、昭和二十五年だと思いました、あの時分から比べると物価は恐らく三十倍前後になっていると思いますから、あのときに一円というものを最低にしたんだから、いま私は十円を最低にしたい。十円にするということは国の能率を上げたりする上からは大変必要ではないか、私はこういうように考えるわけであります。それがどうしてもいけないならば、また後で提起をしたいと思いますが、五万円札をつくるか、デノミネーションをやって、それじゃ一円というものを生かされるか、そういう方向に発展していくのではないかと思います。第一段のこの問題について、これは大蔵大臣から御答弁をいただきたい、こう思います。
  266. 大平正芳

    大平国務大臣 お説まことにごもっともでございますけれども、一円はまだわが国の通貨の基本的な単位でございまして、一円貨とか五円貨は取引上現実に使用されてもおりますので、これを廃貨するという考えは持っておりません。  それからデノミの問題でございますけれども、デノミについても、十分これを是認すべき理由がいろいろあると思いますけれども、今日の場合、経済が安定し、物価が安定することに全力を注ぐべき段階でございますので、いまこういう流動的な事態においてデノミを実施するというようなことについては、目下のところは考えておりません。
  267. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 廃貨ということをいま急に持ち出して一円をやめてしまえと言っても、大蔵大臣としては、すぐできるとはこれはなかなか言いがたいことだと私は思うのです。それであるならば、通貨は残しておいて――これはほとんど使われていないわけであります。デパートやスーパーへ行って、百円だと高いから九十八円という値をつけるときに二円のおつりにくっつけてくるだけであって、あとは一般の人はみんな退蔵して、引き出しか何かにためてあるだけであります。したがって、現実として私は一円は役に立たないと思いますから、これは検討事項にしていただきたいと思いますが、もう一つの国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律、これはぜひ直してもらいたいと思います。そういう細かいことをやっているものだから、一分間の賃金が三十二円の人が細かくこういうカードへそろばんでもって金利計算をやらなければならないわけであります。原因は私はそこにあるとわかった。郵政省へ行って、何だ、こんな一円や二円の金利なんということを、あなた方は一分間三十二円かかる、五分も十分もかかってやっていたら、この金利を書き込むだけでそのコストは百円にもつくわけです。だからその法律、国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律、昭和二十五年にこれができておるわけです。いま物価は三十倍にも上がっておるわけだから、少なくともこの改正に手をつけて能率を上げるということ、そういうことに取り組まなければならない時期ではないか、こう思います。大蔵大臣、どうでしょう。
  268. 大平正芳

    大平国務大臣 まことにごもっともでございますけれども、ただ、先ほど申しましたように、一円貨が現実に使われておるわけでございまして、スーパーマーケットでございますとか……。
  269. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そのことを言ってないのです。それは廃貨の方はすぐできないが、この法律が直らぬか、こう言っているのです。金利を一円まで計算するようなそういう法律を直せばもっと能率が上がるのではないか、こう言っているのです。
  270. 大平正芳

    大平国務大臣 よく検討してみます。
  271. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 大蔵大臣はよくわからないので、それではどうしてもこれをすぐあしたやめろということは、私はなかなか困難だと思うが、国の債権債務は一円が最低の単位だという法律が二十五年前にできているわけです。それだもんで、郵政省とかあるいはどこのお役所へ行っても、一円という金利なり五十銭以下の金利を上げたり下げたりということを国で忠実にやらなければいけないようにできているわけです。私は郵政省とかほかの役所に行っても、そんなものはいまどき実質価値はないんだから、五円か十円の単位の金利にしたらどうだろうか、こういう提起をしたところが、いや違います、国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律で全部、電電公社であろうと公社公団、お役所は縛られておるからそうはいきません、とこう言うから、少なくともこの法律を直して、一円単位ではなくて最低十円ぐらいに直さなければならないのではないか。もう二、三十年も前の法律ですから、物価も二、三十倍に上がっているのだから、最低十円の金利計算なり何なりしたらどうか、こういうことを言っているわけです。勘違いをしないように……。
  272. 松川道哉

    ○松川政府委員 ただいま先生御指摘のように、昭和二十五年に国の端数計算の法律をつくりまして、それから三年たって小額の通貨を廃止したわけでございます。  それから、ただいま御指摘のように、そのころからいままで、物価がどのぐらいに上がったか、ちょっと私、いま手元にCPI、消費者物価指数を持っているものですから、これで計算いたしますと、二十八年度からいままででは三・四六倍、二十五年度からいままででは四・五〇倍でございます。それから言いますと、いま一円というのは、当時の五十銭以下の小額とはちょっと違いまして、まだ価値を持っている。そうして、それは先ほど先生が例としてお挙げになりましたようなスーパーマーケットのほかに、金利の計算にも使われておりますし、それからまた、たとえば家族の医療費の計算にも使われておる。電気、ガス、水道の代金にも使われておる。それからまた私どもの月給の計算にも使われておる。そういうようなことで、現に流通している高も、金額で言いましても全体の流通しておる通貨のうちの二・二%を占めております。  そういうようなことで、一円というのは現在まだ通貨の単位として機能を果たしておるので、昭和二十五年当時の一円未満の小額のものとはまだ違うのじゃなかろうか。もう少しこの一円というのは置いておく必要があるのではなかろうか、このように私ども考えております。
  273. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 その昭和二十五年と比べて三倍か四倍という倍数も、私どうもはっきり計算をしてこなかったのですが、実は私の提起する方向というものは、これは大蔵大臣認めていただいて、いまの役所の人の賃金は一分間三十二円だ、こういうことを頭に置いて、一円の金利の上げ下げに十分も二十分もかかってやっているようなばかなことをやめる方向で、これを、法律を二つばかり直さなければなかなかできないことだと思います。至急御検討をいただいてこういう問題に取り組んでもらうように、これはひとつ要望をしておきます。  しからば今度は、この三日ばかり前にも、千円札はついに発券番号が番号切れになってしまって、これは百二十九億六千万枚が近く発行になって、これでもう番号をつけようがない。前と後ろにアルファベットを三つくっつけておいて、まん中に六けたの番号が千円札にずっとくっついているわけです。なくなってしまった、こういうわけで、今度は何か開闢以来初めて色の違った札にするのだそうであります。そのところにもこういうことが、番号切れがすぐに来ないようにするため、お札の発券枚数を減らし、五万円札などを発行すればといったアイデアも飛び出したが、それではただでさえくすぶっているデノミとの兼ね合いもあって、結局発券番号の色を変えて番号を新しくゼロからつけ直す、こういう千円札を近く発行する、こういうような記事であります。これは一月の十八日の新聞に大きく出ておるわけですが、「難しいデノミに代わって」、一万円札は洪水だから、限界に来てしまっておるから、五万円札を発行したらどうだろうか、こういう大分大きな見出しで出ておるわけであります。去年の十二月二十九日に出回っている日銀券は八割二分六厘、八二・六%が一万円札、だから、一万円札ばかりが主軸になっているわけであります。昭和三十二年九月末に千円札が八六%に達したときに五千円札の発行に踏み切ったわけであります。  それから主要な国の最高額の紙幣と中心紙幣、これを比較してみると、アメリカにおいては百ドル、約三万円の最高額の紙幣であります。それから中心紙幣は二十ドルで六千円であります。西ドイツへ行くと、一千マルク、十二万円の最高額の紙幣であり、一般中心紙幣は百マルク、一万二千円。イタリーは四万五千四百円、中心紙幣は四千五百円というぐあいに最高額紙幣と中心紙幣とが十倍、場合によれば五倍、こういう開きになっているのが世界の状態だと思います。ところが日本は最高額紙幣一万円、中心紙幣、さっき言ったように八二・六%出回っているわけですから一万円、こういう国はどこにもないわけで、一万円札をこんなに勘定するのもこれまた能率の上からも大変なことではないか、こういうように考えるから、いまデノミがどうすることもできないというならば、やはり五万円札の発行に踏み切るべきではないか、それがいやならデノミをやるべきではないか、どっちか選択しなければならない時期に来ておるのではなかろうか。これは経済企画庁長官には質問通告を出してなかったわけですが、大蔵大臣及び副総理から御答弁をいただけばありがたいと思います。
  274. 大平正芳

    大平国務大臣 千円札の記号、番号の組み合わせが一巡した後どうするかについて、これは若干手直しをして発行を続けるということは御指摘のようにいま検討中であることは事実でございます。  それから、五万円札の発行でございますが、現在のところ高額銀行券がなければ取引上支障があるという状況ではまだないと思いますので、いまのところそういう計画は持っていないわけでございます。
  275. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 どうもデノミ論議に関係してくるのだろうと思いますが、まあ何兆円というような計算単位がずいぶん多くなるようになり、また一方、さっきからお話しのように、一円というものの価値、これにも問題が出てきている、私はこういうふうに思うのです。ですから、経済が非常に安定をして、国民も経済生活に不安がないというような時期になったら、いま小沢さんが提起されておるような諸問題、これは考えるべきものである、こういうふうに考えるのです。  それから、円の対外価値から見ましても、三百円前後の円が一ドルだというような状態ですね。こういうことにつきましても、これは、多少国際社会における対ドル円価値、そういうことで感触を持つわけでございますが、要は、先々の経済状態につきまして、国民全体がそう不安はない、物価の状態も景気の状態ももう国民が安心して暮らしができる、そういうような状態になったときの問題じゃないか。いま余り通貨論議をしますと、これは逆に少し不安を投げかけるようなことになりはしないか、こんなような感じでございます。
  276. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 経済安定で国民の不安がない、こういう物価の状態はということで経済企画庁長官もたびたび発言しているわけであります。  そうすると、大体いつごろ安定をするか、いまの状態から、一言……。
  277. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 まあこれから先の問題ですから、いつごろといいますか、ことしじゅうには粗ごなしというかはできるというふうに思っておりますけれども、まだ本当に国民が経済の状態について安心だという状態とは言えないと思います。もう少し時間をかしていただかなければならぬだろう、かように存じます。
  278. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そういう答弁を総合すると、ことしじゅうには粗ごなしができて、その次に入るぐらいのところへいくと大体安定をする、こういう時期が来るであろう、こういうように副総理からの答弁では理解できますから、そのころにはデノミはやらざるを得ない、こういうように総合的に理解させていただいて、先に進ませていただきたいと思いますが、いいですか。粗ごなしはことしじゆうに終わる、経済の安定はその少し後には来るであろうということになれば、私は時期は大体わかるわけであります。だからそういう時期になったら、いまの対外問題及び国内の安定問題と両々相まって、そのころにはデノミをやらざるを得ない、こういうように総合的に私は理解できるわけです。それで御発言がなければ先に進みたいと思います。
  279. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 そういうふうに端的にきめつけられると非常に当惑するのですが、要するに経済について不安のない時期、そうして同時にもう一つつけ加えますと、これは国民がデノミということについて正しい理解をすることが必要であろうと思うのです。これはいわゆるデバリュエーションとデノミネーションというものが非常に混同をされて理解される傾向があるわけであります。デノミというものは通貨の呼称の変更でありまして、これは実質的な影響はないはずなんでありますが、それがずいぶん違った方向で理解されがちなんで、その辺のPRというか国民の理解、これの行き届くということもまた非常に大事な要素である、そういうふうに考えますので、まあ当面はデノミというようなことはもう本当に考えるべきじゃないと思うのです。もうひたすらに経済の安定に取り組むべき時期である、そういうふうに存じます。
  280. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 次の問題、私は農林大臣に米の消費、この拡大について御質問をいたしたいと思います。  お手元に資料を差し上げてあると思いますから、見ていただきたいと思います。  日本で米が余ったがために、作付転換等、ことしから名前は変わっているかもしれませんが、昭和五十年度あたりには一千何億の金をかけて米の作付転換をやっているわけであります。それから、たしか昭和四十五年前後からだと思いましたが、余った米の処置に困って、これをえさに払い下げるために、これは五、六年間で約一兆円の国費をかけて、ことしも五、六百億予算がたしか計上されていると思いますが、一兆円の金をかけてこの余った米を処理している、こういう現状ではないかと思います。昭和五十年度では百万トン、五十一年度においては九十万トンの生産調整をやらなければいけない、こういうのが現状ですが、穀類全体の展望から見ると、昭和六十年度までいってもまだ三割七分ぐらいしか穀類全体では自給体制が整わない、いわば大変憂うべき状態にあるわけであります。  ところが、それほど穀類の自給体制が整わない、石油ショック以来、食糧についてもそういう不安を国民は持っているというそのさなかに、九十万トンだ、百万トンだという、膨大な金をかけて作付転換をやらなければならない、こういうことから、農林省もそうでしょうし、農協あたりもそうですか、米の消費拡大ということに力を入れてきている、まことに結構なことだと思いますが、根本を間違ってはいないか、私はこう思うわけであります。  その表を見ていただきたいと思います。  大きな表の昭和三十五年度においては、輸入小麦の政府買い入れ価格が二万六千円で、輸入小麦の政府コスト価格が二万七千九百円で、輸入小麦の政府売り渡し価格が三万六千六百円で、輸入麦の利益が百八十億、昭和三十五年にはあった、外国から安く買ってきて政府は高く売って、そして食管会計の黒字を百八十億つくって国民に売っておったわけであります。その一番右の端の数字が米に対する麦の比であります。それは八割二分八厘であります。米が百円とすると麦は八十二円八十銭、こういう値段で売っておって、食管会計百八十億の利益を得ておったわけであります。それがだんだん変わってきてしまって、米に対する麦の価格比が、昭和三十五年八二・八%のものが、八三になり七七になり六九になり、ずうっと下がって五一、五一、五二、四八、六一、昭和五十年度においては四一・四、ちょうど米に対して麦は半分の価格で売っている、こういうわけであります。私は物価対策上、安いほどいい、これにこしたことはないと思いますが、たとえばこの表で見ていただけば、下から四行目の昭和四十八年度における輸入麦の食管会計の赤字は二百九十八億、約三百億、それから昭和四十九年度においては千四百億、五十年度においては千三百七十五億、それだけの赤字を出して、米と麦との価格の比を、かつて八割二分八厘であったものをいま四割一分四厘というぐあいに半値にしているわけであります。これでは幾ら農協中央会が米の消費をやれ消費をやれ、農林省が逆立ちをしたところで、米の消費が進もうはずがないわけであります。しかも、繰り返すようですが、ことし一千億、去年も一千億ぐらいかけて、米をつくり過ぎるからほかのものをつくってくれという国の補助金を出し、昭和四十五年以来一兆円の金で、余った米をえさにするために国家財政を注入し、いまこの三、四年で約四千億の金を、昭和四十八年から今日まで約四千億の金を、外国から麦を入れてきてそれを安く売るためにこれまた赤字を出す、こういうことになるならば――この四、五年か五、六年で二兆円の金をかけて米の消費を促進させなんで小麦の消費を促進させる、こういうことをやってきているわけであります。これを根本的に直さない限り、私は米の消費促進はできないんではないか、麦価と米価の消費者価格のこの格差にメスを入れなければならない、こう思いますが、どうでしょう農林大臣。あるいは、これは大蔵大臣財政の問題とも関係があると思います。
  281. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 小沢委員に申し上げますが、時間が来ておりますから……。
  282. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 確かに、おっしゃるように対米価比が、いまの資料で示されましたように三十五年が八二一八%、五十年が四一・四%というふうに非常に下がっておるということは非常に大きな問題だ、食糧政策上大きな問題だ。そうしてこれが、米の消費拡大を推進する上におきましてもまた問題を投げかけておることは確かでありますし、また、財政上の大きな問題になっていることも確かでございます。したがってわれわれは、やはりこの麦につきましては現在逆ざやが三三・四%あります。一月二十日に二〇%値上げをいたしたわけでございますが、さらに三三・四%残っておるわけですが、この逆ざやを段階的に解消して、そうして財政的には食管の赤字もこれでもって解消していく、そうしてそれを積極的な農政費に転換をしていくということが食糧政策上から正しいあり方である。現在は、この逆ざやについて見れば、いわば海外の農産物、農民に対して補助金を出しておるというふうな考え方にもつながっていくわけでございますから、われわれとしてはこの逆ざやを段階的に解消していく、そうしてそれが米の消費拡大にもつながっていくというふうに考えておるわけでございまして、いまおっしゃるような基本的な考え方のもとに今後とも麦に対するところの対策政策を進めてまいりたい、こういうふうに思っておるわけであります。
  283. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 終わりますが、要望だけ。  せっかく表を差し上げましたので、いま一つの小さい表を見ていただきたいが、昭和三十五年と五十年の一般の日用品の価格を比較すると、右の端にありますが、米が二四一、小麦はたった一八〇、牛肉は四七〇、ずっと真ん中のところの理髪料は八六〇、パーマは六五〇、こういうぐあいに、物価がこういう状態にあるにもかかわらず、さっき言ったように小麦だけ不当に安くしていることが、私はこれは消費者物価に影響するからいきなり上げろとは必ずしも言わないが、米価との比較においては不当に安くして、圏内でお役所が一生懸命に米の消費、消費と言ったって、価格政策の上からは外国の小麦を買ってきて日本の食管、世の政府はそこに赤字をつぎ込んで安くしてやって売っている。こういうかっこうですから、外国の農民に補助金を出してやって、日本の米の消費というものを進まないようにしている。こういう矛盾があるわけですから、これはぜひ根本的に考え直していただいて、しんから、価格政策の上からも米の消費が進むように、こういうことを要望して、質問を終わります。
  284. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 これにて小沢貞孝君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  285. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 この際、参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。  本日、参考人として、新東京国際空港公団総裁の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  286. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     ―――――――――――――
  287. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 阿部昭吾君。
  288. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 成田空港の情勢が、御案内のように非常に緊迫をしてきておるのであります。そこで、前の委員会の際にも指摘をいたしましたように、成田空港は九五%完成をしてほんのわずかが残っておるという段階はなしに、まだまだこれからなんであります。前回申し上げましたように、これからの方がむしろ大変なんであります。私の計算では、大体二兆数千億を成田空港及びその関連のことに費用をかけなければ、国際空港として機能できる状態にはならない。  たとえば、前の航空局長で現在日本航空に天下りをして成田担当の常務をやっておりまする手塚良成さんという人、この人は去る二月十八日の東京地裁の証言の中で、いまもし成田空港が開港したならばこれはえらいことになります、お手上げですと、こういう証言をしておるのであります。  同時にこの人は、日本航空の社内誌の中に、アクセスの問題、つまり成田空港から都心までの公共旅客輸送の手段であります。この問題が大変な問題だ。したがって、この手塚、前の航空局長、今日の日航常務はこう言っておるのであります。「とにかく日本の行政は、いよいよせっぱ詰まらないとやらないんですよ。」これは座談会の記事であります。「成田がオープンして、実際にふん詰まりにならないと……。高位高官の車が動けなくなって、予定時刻に遅れないと」アクセスの問題は「できないんじゃないか(笑)。」とこう言っておるのであります。  そこで皆さん、確かにこれからが大変なんであります。成田新幹線、ちっとも進んでおりません。私は相当本腰を入れても、十年以上かかってもめどは立ぬだろうと思います。立たないのです。湾岸道路、これは建設省が大体昭和五十六年度ころまでと、こう言っております。これも現在積算で、三千五億円という積算をしております。私は最近の傾向からいって、四、五千億は間違いなく必要だろうと思います。成田新幹線は、鉄建公団総裁の積算によりますると、現在三千七百六十億程度の積算、これはしかし、まだ十年ではちょっとめどが立たないでしょう。恐らく七、八千億、もっとかかるかもしれません。成田空港の第二期工事というのは残っておる、いま滑走路一本しかないのでありますから。これは恐らくまだ四、五千億は間違いなくかかる。大阪判決によって、とにかくど真ん中につくった空港でありますから、騒音公害その他、これは大変な金額になります。さらに、いま公団及び運輸省が大変なへまをやりまして、建設省が注意したにかかわらず、滑走路はつくったけれども、航空保安施設用地、皆さんのお手元にあります略図にございますけれども、滑走路の両わきにはみ出す部分でありますあるいはジェット燃料の輸送パイプラインというものをこれは計算に入れておかなかった。したがって、いま千葉県のあたりではジェット燃料パイプラインを、あるわずかな工区でありますけれども、六千万かけてパイプを埋め込んだと思ったら、五千九百万かけてその掘っくり返しの工事をやっておる。そこで、ジェット燃料を、続きませんからしようがない、鹿島港の方から運ぼう。きのうあたり大体鹿島町のあそこからジェット燃料を暫定三年間運ばすためにどういう条件をつけるか。鹿島開発の積み残しをこの際全部やらせよう、商業港をもう一つつくらせなければだめだなんという議論が起こっております。神栖町におきましては新しい鉄道の新設をやってくれなければこの三年間の暫定輸送を認めないという条件であります。まだまだいろいろな条件があるのであります。これは一体どのぐらい銭がかかるのか。  したがって、私はこの際、経済企画庁長官に伺いたい。  この間、その第三期空港整備五カ年計画というものを認定されたわけであります。この認定をやります場合に、成田空港というのは将来この程度もっと金をかけなければ国際空港として機能しないということなんだということを前提として、第三期空港整備五カ年計画というものを策定されたのかどうか。それから大蔵大臣の方も、そういうことをしっかり踏まえておって、いまの成田空港のいろいろな事業費の関係というものを考えられておるのかどうか。この際に実は経済企画庁、大蔵省、運輸省、三者事務当局参りましての説明はこうであります。経済企画庁は、私の方は卸であります、大蔵省は小売でございます。そうして運輸省、公団は、これは消費者の方であります。したがって経済企画庁の方は、マクロな段階でいま一体こういう事業に五カ年間というこの期限の間にどれだけの銭を突っ込めるかということを考えたのであって、もっと細目のことは小売の方の大蔵省や消費者である運輸省や公団の方でやってくれるのであって、わが方は卸でありますから先々行ってどのようになるかはあずかり知らざるところであります、こういう答弁なんであります。五カ年計画とかそういうものは一体そういうものなのかどうか。今後われわれは五カ年計画、そういうふうに理解してよろしいのかどうかということを副総理に伺いたい。
  289. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 五カ年計画は、これはまだ正式なものができておりません。概案ができておるわけでございますが、正式なものができましても、個々のものの積み上げというわけじゃないんです。五カ年間全体の経済の動きを、大勢としてどういうふうになるだろうか、そういう中で公共投資にはどのくらいの投資配分ができるであろうか、その公共投資の中で道路にはどのくらいであろうか、住宅にはどのくらいであろうか、上水道、下水道、航空、港湾、治山治水、農林漁業、そういうものにどのくらいの配分ができるかという大まかな見当をつける作業、それが中期計画になるわけでありまして、それを今度は組かく踊りまして、どういう事業にどういうふうに配分するというそこまではやってない、そういう性格のものであります。
  290. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 運輸大臣、聞いていませんよ。運輸大臣に聞いていないのだ、まだ時間はいっぱいありますから。  そこで、私は前の委員会の際に、運輸省はすでに羽田空港の拡張計画というものに昭和四十六年以降全力を挙げて取り組んできておるのです、膨大な国費を投じてその調査をやってきた、その調査報告書を国会に出しなさい、こう言いましたところ、出すこと断じてまかりなりませんと言って、いまでも運輸省はこれを拒んでおるのであります。この羽田拡張計画というのは一案から四案までつくっておるようであります。この四案までも四十七年の十月に出されました報告書でありますから、その以降若干積算の根拠は上がっておるでありましょう。しかし、二千数百億から一番小さい案では一千億ちょっとで羽田拡張ができるという報告を出しておるのであります。これから二兆円も、二兆数千億突っ込まなければ国際空港として機能しない成田、それも簡単にいきませんですよ。しかし羽田、現在国際空港の拡張があの運輸省の調査報告によるようなものでいけるのならば、私は、マクロな立場で経済企画庁も大蔵省も考えなければならぬ問題じゃないか、こう思って、運輸大臣の方にその資料の提出を求めたところ、頑強に拒んでおるわけであります。  私は、そこで具体的なことでお伺いしたいのでありますけれども、お手元にありますこの資料の中にありますように、昭和四十六年で羽田空港はもう発着回数が過密になっちゃってパンクするという前提に立っておったのです。ところが、お手元に差し上げてありますように、四十六年でパンクしたんじゃなくて、最近は航空機が問題の全日空のトライスターのような大型機がどんどん入ってきましたから、だんだんこういうカーブから、四十六年から下がってきておるのです。パンクじゃなくて、下がりつつあるのですよ。発着回数が減少しつつあるのです。このことをぜひ念頭に置いていただきたい。これは運輸省航空局からちょうだいした資料によって明らかなんであります。  さらに、これは運輸大臣に伺いますが、この間私現地に行ってみましたら、運輸省のこの間抜けかげんというのは端的にあらわれていると思ったのでありますけれども、成田空港がなぜ開港できないかというのは、皆さんの方は鉄塔が立っておる、ジェット燃料のパイプラインができない、したがって反対があってできない、こういう説明をしておるのです。しかし、問題はそこにあるのじゃないのです。皆さんの方が公共の利益を名目とする成田新国際空港をつくろうとしたのであります。そうすると、国際空港でありますから滑走路の用地だけじゃだめなんであります。航空保安施設用地もジェット燃料のパイプラインの施設も、これは全部土地収用法の対象にしておかなければならなかった。前回申し上げたようにこれは外しておる。だからいま、なかなか事は運ばないようになっておるのであります。運ばないようになって、いままですでにもう六千億からいろんなものを含めて突っ込んで、これが全然投資効果を発揮しないまま宙づりになっておるわけでしょう。この責任を運輸省も公団もちっとも感じておらぬということであります。建設省が注意したにかかわらず、皆さんの方は土地収用法を発動しないで保安施設用地もジェット燃料のパイプラインの用地も任意で、話し合いでいこうということをとったわけであります。私は、任意で、話し合いでやること、賛成であります。しかし、土地収用法の適用のできる措置はちゃんとやっておって、その上で任意の話し合い、幾らやってもいいのであります。そして、どうしてもだめなところはいつでも強制、強権力でいけるようなこと、これがわれわれが土地収用法の改正案を審議したときの基本的な立場なんであります。肝心なところを運輸省、公団は怠ったのであります。そのために六千億も突っ込んでおって、投資効果全然上げないままでパアになっておるわけですね。この責任をちっとも感じていない。  そこで、あそこの現地に行くと、開港予定日、供用開始予定日、これは運輸大臣告示であります、法に基づく、航空法に基づく運輸大臣告示、昭和四十六年四月一日開港予定、これは法律に基づく告示と現地掲示なんですよ、それがいっぱい立っておるのです。開港予定が昭和四十六年四月一日というのを、いまでもちゃんと法律に基づく行為として告示しなければならぬということになっておるものなのであります。昭和四十六年四月一日の告示をあのままにしておるというのは、どうも運輸省の間抜けかげんというやつが端的に象徴されておるように思うのですが、あれは運輸大臣、どうですか。
  291. 木村睦男

    ○木村国務大臣 成田空港の開港は、御承知のように、すでに四十六年の予定日から五年になんなんとしておくれておるわけでありますが、これにはいろいろ事情があるわけでございます。ことに、先ほど強制収用のお話もございましたのですが、強制収用の地域と、それから話し合いによって土地を取得しようという地域とそれぞれあるわけでございますが、いずれもいままで数年間にわたって、阿部委員御承知のように、非常に反対があったわけでございます。(阿部(昭)委員「なぜ収用法をやらなかったか」と呼ぶ)収用法によっても反対があってなかなか進んでこなかったというのが実情であるわけであります。そのほか、いま御指摘のような他のいろんな事情があることも重々承知しておるわけでございます。  そういうことで今日まで延び延びになっておるのでございまして、四十六年の告示が古い証文のようになってしまっておることは私も感じておるわけでございますが、一応四十六年を目途にしてスタートしたということでございますので、今日の段階におきましては、残余の問題をできるだけ早く解決いたしまして開港の運びに持っていきたい、こういうことで目下鋭意努力をしておるところでございます。
  292. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 あなたの方では事業計画を変更しておるはずなんです。運輸大臣が認可をした事業計画は公団の方から変更認可申請が出ている。そしていまの一期工事、つまりA滑走路の供用開始は四十六年の四月一日なんと言ったってこれはばからしい話ですから、ちゃんと変更してあるでしょう。変更した日も、たしか供用開始予定日が去年の十二月一日ですか、これもまたずれちゃっておるわけです。だから私は、もっと国民から見てなるほどと納得のできるようなことをやらないと話にならぬと思う。この根幹は、全部あなた方が土地収用法の適用を誤ったというところにあるのですよ。六千億も金をかけて、これが全然投資効果を発揮しないで宙に浮いているということにちっとも責任を感じないではありませんか。土地収用法があってもできなかったとおっしゃるけれども、土地収用法があり、特措法でやったところは用地取得をやったではありませんか。土地収用法はできないなんというものではなかった。いまからではできませんよ。いまからではできなくなっちゃった。そのできなくなった責任は、あなた方はちっとも感じていないのです。六千億もつぎ込んだ金をパアにして、公団も運輸省もちっとも責任を感じていない。  そうすると大臣、この開港予定日の告示を変えることは当然でしょう。もう日が過ぎちゃっているのですから。これはどうです。一言でいいです。
  293. 木村睦男

    ○木村国務大臣 開港予定日は一応の予定でございますので、今日の段階でも一日も早くということで努力をしておりますので、これはこのままでいきたいと思っております。
  294. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 航空法でちゃんと書いてあるのですよ。供用開始の日、これは告示をし、現地に掲示をしなければならないとあるのです。ならないとかなるとか、そのことは別にしても、その掲示を四十六年のやつをそのままにしておくということは、日本政府、運輸省の間抜けかげんというものを端的に明らかにしておるだけなんです。これはやはり変えなければいかぬのじゃないですか。総理大臣、どうです。――運輸大臣に聞いていない。
  295. 木村睦男

    ○木村国務大臣 やはり一応の目途になっておりますので、そこでそういうような開港を目途に立てて、そうして一日も早く開港しようということで、それが非常に公団の心の締まりにもなりますので、その意味でそのままで行きたいと思っております。(小林(進)委員「そんなこと、君、勝手に出てきてしゃべってはだめだ。そういうような無秩序な審議をやられたんじゃ、われわれは審議できません。これは国会の本筋に反するものだ。それはだめです」と呼ぶ)
  296. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 これは小林君お怒りのようでありますが、これは法律事項ですからね。そういうことですから、運輸大臣の方がそういうことをよく知っておると思って、何にも他意はないのです、お答えしたのですが、やはりこれは阿部君の言われるように告示をしなければならぬわけです。この第一期工事の予定日というものは、昭和四十六年というものにしておったのですが、いま第一期の完成工事が終われば、これを変えようとしていますからね。実際不自然ですからね。いまごろ四十六年開港予定日というのは、何年も過ぎておかしいですから、それが第一期の完成工事というものが済めば、それはできるだけ早く取りかえますから……。
  297. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 そうしますと、開港予定日の法に基づく告示というものは変えますね。期限が終わったやつを立てておくというのは間抜けもいいところだと思うのです。これは変えるという総理の御答弁で私は納得します。  それから、皆さん、いま一番問題の、鉄塔というのが中心でもめておるのです。この鉄塔というのは、皆さんのお手元にあります図面でもわかりますように、公団の用地の中に立っておる鉄塔じゃないのですよ。これも土地収用法の、つまり空港の用地の中に公団は含めなかったのです。したがって、いまは民有地の中に妨害鉄塔と称するものが立っておるのです。したがって、いまあの鉄塔を撤去する、これは一体どの法律に基づいて撤去させるのですか。運輸大臣、一言でいいですよ、時間がないから。
  298. 木村睦男

    ○木村国務大臣 航空法によりまして空港の設置の告示をいたします。それ以後……(阿部(昭)委員「わかった。それだけでいい」と呼ぶ)
  299. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 そうしますと、奇妙なことが起こるのです。この妨害鉄塔と称するものは民有地――土地収用法をやりませんから、民有地の上に立っておる鉄塔なんです。この鉄塔を――航空法で飛行機の進入の表面というのがあるわけです。それから水平表面というのがある。これによってあの鉄塔の高い分だけが航空法上撤去を求めることができるのですよ。  したがって、私は自治大臣に伺っておきたい。いずれあそこでぶつかるでしょう。千葉県の県警本部長は間もなくどこかへ転勤されるか退職をされるかという状態にあるそうであります。そこで非常な熱意を燃やして、私がここにおる間に――かつてあのもめたときに何名かの警察官が殉職をした。したがって、私がここにおる間にひとつあすこで一戦交えようという大変な意欲を燃やしておるそうであります。そこで、あの鉄塔は根っこからひっくり返すと大変なことになるのですよ。これも公団、運輸省があすこの場所、当然に航空法、土地収用法の対象になれる地域をしなかったがゆえにこういうばかげたことが起こっておるのです。また再びあすこで血が流れるでしょう。そういうことがなぜ起こるかということになると、運輸省、公団がばかなことをやっておったからなんです。私はあすこでいずれまた血が流れるようなことが恐れられてなりません。したがって、あの鉄塔は根っこから切り取ることができるんじゃなくて、航空法上、一定の高さより上だけを切り落とすことしかできないのです、いまは。このことを指摘をいたしておきます。  次に、会計検査院おいでくださっておると思うのですが、私は先ほど申し上げましたように、あのジェット燃料のパイプラインの水道工区というわずかのところですが、六千万かけて工事をやって、いま五千九百万かけてそいつを掘っくり返す工事をやっています。こういうむだというのは、一体会計検査院はどういう検査をなさっておるのか。適当です、不当です、あるいは適当でない、一体どういう判断をなさるのか。それから、本来土地収用法を成田空港が必要とするすべての用地に収用及び使用の強制力を持つことができるようにしておれば、これから茨城との間に三年間の暫定輸送のために莫大なものを出さなければならぬとか、あるいはいまの航空保安施設用地の問題で妙な道路工事をやらなければならぬとか、こういうむだはなくて済んだはずなんであります。したがって、いろいろに行われておるこのむだというものに対して、会計検査院は一体どういう検査をされてきたのか、伺いたいのです。
  300. 佐藤三郎

    ○佐藤会計検査院長 いま阿部委員のおっしゃった工事内容については、つまびらかに検査して承知いたしております。そして、事実手戻りがあり、むだになっているということも、これも事実でございます。その場合に、収用法をかぶせておけばそういうむだがあるいは省けたかもしれないということも、これは先生おっしゃるとおりだと思うのです。ただ、私ども立場といたしましては、だからすぐ国損になったんだという因果関係、これは当初の任意買収でやる、収用法でやるという、その当初の見込みをどう見たかという見込みの問題に入ってまいりますので、不当事項として責めるという証拠固めは非常に困難な問題になっておりますので、私どもとしては正面から不当として取り上げるというわけにはまいっておらないわけでございます。  まあしかし、おっしゃるように利子だけでも三百何十億というような事態、不経済な事態を来しておるのも事実でございますので、これは今後私ども検査報告を書く場合に、そういった事態について何らかの方法で記述していきたい、こういうふうに現在考えております。
  301. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 院長、たとえば埋めたパイプを再び掘っくり返す、あるいは本来アプローチエリアと呼ばれる航空保安施設用地などというものが土地収用法を発動できる状態になっておれば、いまのような四千メートル滑走路使えないのですよ。滑走路の中に保安施設用地を七百五十メートル埋め込んだわけです。滑走路は四千メートルできちゃったけれども、七百五十メートルは、航空保安施設用地の滑走路の外にはみ出す分のものの用地確保ができない状態に公団や運輸省がやってしまいましたから、滑走路の中に航空保安施設を埋め込んであるわけです。これもいずれ、四千メートルの滑走路を三千二百五十メートルでいいなんということにならぬでしょうからやらなければならぬでしょう。これも二重工事になる。私はきのうおいでになった方々見ますると、みんな運輸省出身者が多い。この問題でおいでくださった院長の部下の方々は運輸省出身者が非常に多かったのです。私はやはり会計検査院というのは独立機関だと思って、その権威を確信しておるわけです。もっとやっぱり正確な検査というものがなければならぬと思うのです。空港公団だけでいままで二千何百億、直接の仕事をやった。金利だけで三百八十何億か支払っておるのです。すでに投下された関連のいろいろなものを含めますと、運輸省直轄でやっておる部分もありますから、その他の周辺整備事業等々合わせると、六千億を投下して、これは全然投資効果を上げないままで宙に浮いておるのです。  こういうことに対して、本質は土地収用法の適用を誤ったということなんです。この責任は厳しく追及されなければならぬのですよ。おくれておるのは妨害とかなんとかがあることはあり得るわけでしょう。あり得るわけです。あり得るわけですから初めてこの土地収用法というものがあるわけでしょう。ところが、その土地収用法の当然とるべき措置を怠ったのです。怠ったために莫大なむだが行われておる。このむだを会計検査院がちっとも検査しないというのはおかしいじゃありませんか。私に来ましたのは、みんな通り一遍の検査だけです、いままでのは。  そこで、たとえばこういう例がございます。強制収用でやったところは十アール当たり百四十万円で強制買収したわけです。ところが、強制収用を起業地の中から当然含めるべきところを外しておりましたからできない。そこのところは任意買収でやらざるを得ない。これは十アール当たり四百九十万円も払っておるんです。公共のためにおのおのが忍ばなければならぬ受忍の義務は公平でなければならぬのですよ。農林大臣おりませんか。おりますね。印旛沼干拓地に四ヘクタールの代替地をもらって入植した皆さんもたくさんいます。二ヘクタールもらって行った人もいるんです。今度は私は農林省に聞いてみますと、成田のために印旛沼をやったんじゃないんだ、目的は別にあったのに、みんな成田の公団の不始末の後始末をわが方でやらざるを得ないというのが、私がお聞きしました印旛沼関係者の言い方であります。  それから院長、もう一つこれはお調べ願いたいのでありますが、私はある本で読んだのでありますけれども、小川明治という亡くなられた方がおります。ところがこの人は死んだ。死ぬときに、いまの用地の中に墓地があるのです。この墓地に、死後もあばかれないようにというので、コンクリートで、ひつぎを全部セメントで固めて埋めてくれということを遺言した。そうすると、この墓地のいわば収用のために裁決申請が行われたんです。その補償額は六万六千何がしなんです。その以外に石原という理事が仲に入って二百三十万円、後でまた払っておるのであります。これは、まさか二百三十万円というお金が石原理事のポケットマネーじゃないと思うんです。公団の費用であることは間違いないと思うんです。こういう事実は、一体会計検査という立場になるとどういうことになるのか。公団といえども、運輸省といえども、何をやってもいいということにはならぬはずなんであります。     〔正示委員長代理退席、委員長着席〕 これらの点もぜひひとつ御調査を願いたい。  それから運輸大臣、いまの四千メーター滑走路、片一方の七百五十メーターのアプローチエリア、航空保安施設は用地確保が終わって工事も終わった。片一方の方はできないから、滑走路の中に埋め込んで、四千メーター滑走路が三千二百五十メーターしか使えない状態になっておる。ところが、いまこれをやる、本来のところをやらなければいかぬのですから、その工事実施計画の認可はいつなされたか、これを伺いたいのです。
  302. 木村睦男

    ○木村国務大臣 着陸のときには七百五十メーター中に入ってまいりますが……(阿部(昭)委員「それはわかっておる。認可をいつやったかということです。」と呼ぶ)四千メーターの滑走路そのものは使いますので、別に工事上変更の認可は必要ないのではないかと思いますが、なお詳細は航空局長から答弁いたします。
  303. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 四千メーター滑走路には、両端に七百五十メーターずつの航空灯であるとかいろいろな航空保安施設をそろえなければ四千メーター使えないから、いま着陸のときは三千二百五十メーターでいいが、離陸のときは四千メーターほしい、こうなるわけでしょう。しかし、この用地確保ができないために計画を変更、つまり工事実施計画を変更して、その認可を運輸大臣が与えて滑走路の中に埋め込んだのですよ。しかし、いま鉄塔をひっくり返してあそこに七百五十メーターの工事をやらなければいかぬわけでしょう。この工事の実施計画は、運輸大臣がいつ認可をされたか。
  304. 木村睦男

    ○木村国務大臣 非常に込み入っておりますので、航空局長から答弁させます。
  305. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 四千メートル滑走路の南端から七百五十メートル内部に航空灯火を設置する件につきましては、航空法施行規則の規定によりまして、一般の設置基準と異なる方式による設置承認、こういうことで処理いたしております。
  306. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 私が聞いているのは、承認のことを聞いているんじゃないのですよ。承認をして中に埋め込んだのでしょう。設置基準を変えて中へ埋め込んだ。その設置基準に基づく承認をして、そして工事の実施計画の変更認可をして中へ埋め込んだ工事をやったのでしょう。今度の本来的なところにやる工事実施計画の認可はいつしたかということであります。
  307. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 これは昭和四十四年の十月三日に航空灯火の工事実施計画について認可をいたしております。
  308. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 そういたしますと、その認可をしながら――その認可というのは滑走路から外れた七百五十メーターのところをやったわけでしょう。そこは用地確保が土地収用法を発動できませんから、怠っておりますからできない。したがって、滑走路の中に、設置基準の変更承認をして、そして工事実施計画の変更認可をして中に埋め込む工事をやったのでしょう。そうすると、今度本来のものをこれからやろうとしていまやっておるわけでしょう。その工事実施計画の変更認可はいつなされたかということを聞いておるのです。
  309. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 先生御指摘の件についての実施計画の変更認可はいたしておりません。
  310. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 いたさないということになると、どうして中の工事ができたのですか。二重工事をいま皆さんやるのですよ。それも法律に基づく行為なのです。そのあれを工事実施計画の変更認可もやらずに中に埋め込む工事をやったというのは、これは法律違反ですよ。答弁はよろしい。  そこで、私は時間がありませんから、最後に、運輸大臣、この前私が指摘をいたしました羽田空港の拡張計画、これはあなたの方ではコンサルタントにやらしたもので運輸省自体のものではない、こう言っておりますが、これは違うのですね。運輸省の中で正規のものとしてちゃんとできておるのですよ。お手元にもその抜粋を差し上げてありますけれども、「航空局では四十六年七月、飛行場部長委員長とする東京国際空港拡張計画作成委員会を設置し、東京国際空港の拡張計画について総合的な検討を重ねてきた。本委員会の最終的な結論を得るためにはまだまだ細部にわたる多くの検討を終わる必要があるが、現在までの作業結果の概要を整備して中間報告をした。」こう言っておるのですよ。  したがって、これはコンサルタントのものではなくて、運輸省が年々大変な予算を投じてやってきた調査なんです。この資料を出しなさいと言ったら、どうしても出せませんとこの前言いました。まだ二兆円以上かかる成田空港、羽田ならば、この中にありますように、一番でかい計画でも二千数百億でできると書いてあるのです。その以降積算単価も若干変わったでしょう。しかし私は、この計画を出していただかなければ、政府国会予算審議をやっておるのでありますから、一体この莫大なむだをこのまま本当にやる気があるのかどうかという踏ん切りをつけなければならぬと思う。したがって、予算審議のためどうしてもこの資料を出してもらいたいと思います。どうですか、運輸大臣、簡単でいいですよ。時間がありませんから、出せるのか、出せないのか。
  311. 木村睦男

    ○木村国務大臣 前回その話がございまして、その資料もよく見ました。そして実情も聞きました。それは……(阿部(昭)委員「出すか出さぬか言ってくれればいいのです、簡単に」と呼ぶ)出すのは遠慮させていただきたいと思います。その理由を申し上げます。
  312. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 そこで私は申し上げておきますが、この資料は昭和四十九年三月十三日、運輸委員会において、当時の航空局の隅説明員がそのときにお手元にありませんということで、隅説明員はいずれ改めて後ほど御報告いたしますと言って、運輸委員の一部の人にはこれを渡しておるのです。予算委員のわれわれに出さぬというのはどういうことですか。一切出せないと言っているが、運輸委員の一部にはちゃんとこれが渡っているのです。われわれを差別するのですか。したがって、私はこの際、この四十七年、四十六年の調査報告書と、その以降、膨大な予算を投じてやった調査報告書の提出を求める。それがなければ、ちょっとこれ以上の審議は私はできないのです。
  313. 木村睦男

    ○木村国務大臣 御説明を申し上げますが、その調査は、運輸省の中で一つの委員会をつくりまして、そこで一部検討をいたしましたものをもとにいたしまして、外部の調査機関に調査してつくらしたものでございまして、非常に地域的にも膨大なものになっておりますし、まだ利害の調整等が全然できていない計画調査資料でございます。それからそれ以外に、年数のたちました今日見ますとやはりいろいろな欠陥もあるわけでございまして、そういうものを外部に出しますといろいろな誤解や悪い影響を起こしかねないので、出すのは遠慮させていただいておりまして、運輸委員の方にお配りしたことはございませんです。
  314. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 いま私の手元にちゃんと、四十六年、四十七年分はわが党の議員の人が国会質問して、後ほど御報告に参りますと言って運輸省の航空局の隅説明員がちゃんと持ってきたものであります。そして予算委員会には出せないということは、私は納得がいきません。したがって四十六年、四十七年のこのものはもちろんのこと、その以降も継続して調査をされておりますから、この資料をぜひ提出を求めたいと思います。
  315. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ちょっと待ってください。  木村運輸大臣にお話ししますが、運輸委員会に出してこっちへ出さないということは、ちょっとおかしいと思うのですが、運輸委員に出したものは出す、こういうわけですか。
  316. 木村睦男

    ○木村国務大臣 運輸省といたしましては運輸委員会の方にお出ししていないのですが、どういうわけでそういうふうに出ましたのか、それもよく調べてみないとわからないものですから、運輸省としては正式には出しておらないわけでございます。
  317. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 出していないのですか。
  318. 木村睦男

    ○木村国務大臣 出しておりません。
  319. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 出していないのが出たというのはおかしいな。
  320. 木村睦男

    ○木村国務大臣 いま事情を聞きますと、当時正式に出したものではないそうでございますが、運輸省の係の者が一部運輸委員の方に差し上げたということでございますので、それと同じものは当委員会にもお出しいたすようにいたします。
  321. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 わかりました。それを提出をいただいてから、しかるべき機会に私はさらにただしたいと思います。
  322. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 しかるべき機会と言ったって、一般の質疑が行われるときどうぞやってください。それはそうですよ、ひっかかりをつけては次から次へ延ばしていってはやりくりの見当がつかない。一般の質疑のときにどうぞおやりください。  それから、出すべきものは、木村運輸大臣、こせこせしないでとっとと出しなさい。
  323. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 以上で終わります。
  324. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これにて阿部昭吾君の質疑は終了いたしました。  次に多賀谷真稔君。
  325. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 先般福祉年金の問題と遺族年金の問題で公約違反という点から質問をしたわけですが、この点についてもう一度お伺いをいたしたいと思います。  私は、福祉年金の水準につきまして、いわば軽費老人ホームに少なくとも入れる程度の福祉年金を差し上、げたらどうかということを申したわけであります。そしていろいろ論議をいたしました結果、まず田中厚生大臣としては、福祉年金の水準は大体軽費老人ホームに入居できるくらいの水準にいたしたい、こういうように考えられておると判断してよろしいですか、私のこういう質疑に対しまして、田中国務大臣は、大体その程度のことを考えていま腐心をいたしております。こういう答弁がございました。  さらに、公明党の大橋君の質問に対しまして、田中国務大臣は「先般私は予算委員会で」、というのは私との応答であります。「総理もおっしゃいましたが、月額二万円程度の福祉年金を支給いたしたいということを申しておりましたものですから、これは公約でございますから、何としても財源を見つけてこれを実行いたさなければならないというかたい決意のもとにあれやこれやの手法を駆使いたしまして」云々と言っておる。そして、大橋君が続いて、ではあなたは「五十一年度には二万円を実施する、こういうふうに見ていいですね。」こういうことに対しまして、田中国務大臣は「二万円の方は、私は必ず実施をいたしたいというふうに思っております。」きわめて明快にお答えになったわけであります。これがどうして実現をできなかったか。これは、私はただ厚生大臣一個人の問題ではないと思うのです、それを総理は裏づけをしておるわけでありますから。これは内閣全体であり、この経費については少なくとも大蔵大臣も応援をしてやらなければならない問題だと思うのです。しかも予算委員会で起こった問題で、そして公約をいたしておりますというのが、田中厚生大臣がみずから発言をなさっておるわけであります。  一体これがどうして、今度の予算案によりますと、一万二千円が一万三千五百円程度になったのか、これは一体どういうようにお感じになっておるのか、お聞かせを願いたい。
  326. 田中正巳

    田中国務大臣 本件につきましては、この前も御質問がございましたが、当時私どもといたしましては、福祉年金の支給金額、言うなれば福祉年金におけるナショナルミニマムは、先生もいろいろおっしゃいましたが、二万円程度のものが結構であろうと考えておりました。しかし、これについては非常な――いまの制度は一般会計のみに依存しているものですから、多額の予算を必要とするものですから、したがって、ナショナルミニマムとしてそのようなことを目標にしつつも、それを実現するためには財政方式の切りかえ等をいたさなければならないと当時から考えておったわけであります。かようなわけで、いろいろと財政方式のことについてわれわれも当時から腐心をいたしておりましたが、大橋委員の御質問のときには、最初から長い間の質疑を、会議録でごらんになればわかりますが、もうあれは財政方式の論議に終始をしたわけであります。つまり、年金の積立金をこの財源に利用したらどうだとか、このことができるとかできないとかいう議論がございまして、したがいまして、私どもとしては、そういったようなやりとりの後に、もしそれができるならば、そういう財政方式の切りかえができた暁には、その程度のナショナルミニマムの実現をいたしたいのだということを申すつもりでございましたが、あの節私は用心深く、もし財政方式の切りかえができた場合にはというふうに前提要件を申しておけばよかったのでございますが、その文句が欠けておったものですから、したがいまして誤解を生じ、いろいろと皆さんに御迷惑をかけた件については大変私としても申しわけなく思っておりますが、私の申し上げた真意はそのようなことでありますし、会議録の中からそういったような趣旨は読み取れていただけるものというふうに思っております。
  327. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私どもが公約と言ったのではないのですよね。これはあなたみずからが「先般私は予算委員会で、総理もおっしゃいましたが、月額二万円程度の福祉年金を支給いたしたいということを申しておりましたものですから、これは公約でございますから、」ときわめて明快におっしゃったわけです。ですから私は、その田中厚生大臣の意欲はよくわかるのです。意欲はわかるけれども、これをなぜ皆さんが、総理以下大蔵大臣が応援をして実現をしてやらなかったか、これは私は内閣全体の問題ではないかと思うのですよね。そして確かに、その手法をいろいろ駆使しているのだという話はあります。しかし、それならばなぜ全体でこれをバックアップしてその実現をしてやらなかったか、これが私は問題、総理はどういうようにお考えですか。
  328. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 この福祉年金は、一万二千円にしたときには相当思い切った給付金額を引き上げたわけであります。私もやはり、田中厚生大臣の言うように、まあ二万円程度に引き上げることが理想といいますか、一応の目標だと私は思います。けれども、多賀谷君御承知のように、いまのような、全部国庫の支出ですからね、千円を乗せれば六百億くらいの財政負担が伴うわけですね、千円だけでも。これを二万円ということになったら、四千億円近くのやはり財政支出を伴うわけで、これはいまの本年度の予算、五十一年度の予算編成の中でこういう財源というものは容易でないことは多賀谷君もおわかりのとおりで、これをだから田中厚生大臣は、恐らくいまのような方式でなしに、新しい財源の調達方法というものを検討しようという、そういう検討を厚生省も行っておるわけでございましょうから、そういう自分の考え方も述べて、何とかしてこれを実現したいという意欲がそういう答弁になったわけでしょうが、いま本人自身からも言っておるように、その上に財政のいまのような負担方式といいますか、これを変えてというような前提をつけておればよかった――実際そのとおりだと思うのですが、本人は何もそのときだけで答弁したらいいというような厚生大臣ではないわけですから、非常にまじめに福祉政策に取り組んでいられるのですから、何か国会でただその場の限りというのではなくして、非常に熱意を持った発言だと思うのですが、今日の財政事情で四千億円近くの財政負担というのはやはり容易でなかったという事情も勘案して、言葉の足らなかったことは事実ですよ、そういうものはやはりつけ加えておくべきであったのですが、多賀谷君の御理解を得たいと思う次第でございます。
  329. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は、ただ田中厚生大臣の公約違反だけ言っているのじゃないのです、内閣の公約。しかも、一万二千円を一万三千五百円にしたというのはこれは思い切ったと言うけれども、何が思い切ったのですか。(三木内閣総理大臣「この前の七千五百円から言って」と呼ぶ)この前七千五百円を一万二千円にしたとき思い切ったと言いますけれども、私は、歴代の自民党内閣が一体福祉年金というのをどう見ているかと言うのです。いいですか、昭和三十四年の十一月に発足した、そのときは千円でしたよ。しかし、昭和三十四年度の予算、すなわち一兆四千九百五十億円ですよ。今日は二十四兆二千九百六十億円ですよ。予算でも実に十六・二倍伸びている。それから国民一人所得でも、これは国民所得の伸びを見ましても実に十三・三倍伸びている。ですから千円というものが、普通の予算どおりの伸びにしてもいま一万六千円になるのですよ。国民所得の伸びだけを見ましても一万三千三百円になる。何も思い切ったことじゃないのです、これは。この平均値でいくのなら何も福祉政策じゃないですよ。一番低い層を上げてやるというのが福祉政策でしょう。しかるに何ですか、今度の一万三千五百円は、伸びは一二・五%ですよ。一二・五%というのは生活保護の伸びと同じですよ。老人ホームの生活費の伸びと同じですよ。ですから、これは福祉年金を上げるという意欲が全然ない。言うならば後退をしている、こう思わざるを得ない。すなわち、五年年金を見てごらんなさい。五年年金は御存じのように、一万二千円のとき一万三千円でしたよ、千円の差です。今度は千五百円の差に拡大をしたのですよ。十年年金でもそうでしょう。十年年金は一五・八%伸びているのですよ。ところが福祉年金は一二・五%しか伸びていないのです。差が拡大しているのです。これが一体福祉年金を増額する方向に行っているかというのです。行ってないでしょう。私はこの姿勢が問題だと言うのですよ、第一に。福祉年金を二万円にすると言った、財政が悪いからできなかったと言う。しかし、近づけることがあたりまえでしょう。全然近づいてないのです。差がだんだんついておるのですよ。すなわち、拠出制と無拠出制の差をつけた、これが私は問題だと思うのですよ。一体総理はどういうようにお考えですか。あなたは思い切ってと言うけれども、全然思い切ってない。予算伸びどおりにいっても一万六千二百円になってなきやならぬ。しかも、これは私の計算は、三十四年度は全部の予算です。今度は当初予算だけです。総合予算主義でいってことしは補正予算を組まぬといえぱ別ですけれども、補正予算を組むとなるとさらに率は上がっていくのですよ。こんなにお年寄りを踏みにじってきておるのですよ。お年寄りは寿命は延びないのですから、もう待てないのです。現実にこういう政治が行われておる。そうして拠出と無拠出の差を拡大をした。ですから、これは一体どういうことでそういうように拡大をしてきておるのか。私は、その意欲はわかるけれども、全然出てきたものは逆になっておる。二万円が実現できなかっただけでなくて、差が拡大している。これは非常に問題だと思う。どのようにお考えですか、総理
  330. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 私は、最初に三木内閣の予算のときに七千五百円を一万二千円にしたわけで、予算の普通の伸びが多賀谷君ごらんになっても、そんなに一遍には――まあ伸び方としては大きい伸び方でした、七千五百円を一万二千円にしたわけですから。最後までそれで予算のときに問題になったぐらいですけれども、どうしてもやはり福祉年金というものはこれは少し給付の額を上げなければならぬということで、この最初の予算編成のときにこれを三木内閣として取り上げたわけですが、いま言われるように、だんだんとこの福祉年金というものが生活保障的な意味を持ってきて、最初私が政調会長のときに、あの福祉年金というのは昭和三十四年ですか、つくったのですよ。それは生活保障というよりも、お年寄りの方の何かお小遣いでもという意味であったわけですが、今日はやはり生活保障の意味を持ってきましたから、そうなってまいりますと、その金額というものは、多賀谷君御指摘のように、金額が少額に過ぎることは御指摘のとおりです。しかし、これを賦課方式も加味したりして――いまのような方式ではやはり非常な財政上の制約を受けると思いますよ。したがって、この方式は変えなければならぬ。  それで、一つ言えることは、やはりいまの福祉年金の給付額というものは少額に過ぎる。しかし、それをやるためには、いまの一つの財源の方式というものはやはり新たなる観点に立って検討されなければならぬ。まあ厚生省もそういう見地に立ってこの問題と取り組んでおるわけで、やはり福祉年金というものは今日の場合、急を要するものの一つであるという多賀谷君の認識とわれわれは変わらないのです。したがって、これをいままでのような方式をひとつ変えようという角度から、いまこの問題の検討を厚生省においてやっておるわけでございますから、この問題はいまのままでいいとは思っていないのですよ。これは改革を加えなければならぬ重要な問題点の一つであると考えておりますから、将来においていろいろ多賀谷君の御意見なども頭の中に入れて、この問題は処理してまいりたいと考えております。
  331. 田中正巳

    田中国務大臣 福祉年金の今年の金額については、財政事情で、確かに私どもが所期しておったよりも伸び率が悪かったということも私も残念に思っております。  財政伸び国民所得の伸びとの比較についていまいろいろお話がありましたが、初期のころの福祉年金の性格というものと、今日のわれわれの踏まえているものと違うわけでありまして、昭和三十八、九、四十年ぐらいまでは年に百円ぐらいずつ上がってきた、そのリカバリーがきかないものですから、最近馬力をかけますけれども、なかなかうまくいかないというのが現状だろうと思います。
  332. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 当初は小遣い銭ぐらいだと言いますけれども、当初の福祉年金は十年年金と同額なんですよ、総理。いいですか。年金そのものが二十五年たって二千円ですよ。十年の人は千円ですよ。そして、福祉年金は十年年金、十年掛けた人と同額の千円だったのですよ。ですから、十年年金と福祉年金は同額で出発したのですよ。それが小遣い銭だというならば、二千円だって小遣い銭でしょう、二十五年掛けたって。ですから十年たって千円になる。そうして掛けない人も七十歳。それは六十五と七十はずいぶん違うんですよ、同じ千円でも。余命年数が、大体男子の場合は六十五を超えた人は十三年でしょう。女子の場合で十六年ですから、その五年間というのは非常に大きいウエートですから、掛けたからといって十年年金と、無拠出でやるからといって同じ金額というのは、これは決して不当ではない。むしろ均衡をとっていると思うんですよ、その意味においては。十年掛けても千円、掛けない人はそのかわり七十だけれども千円、同額で出発したわけです。二十五年掛けた人が二千円だったんですよ。今日、言うならば十年年金は二万円になっているんですよ。ことしの予算は二万五百円。ですから、二万五百円にすると、当初あなたが起案をしたと言われる国民年金法の制定のもとの精神に返るんです。そこに私は問題があると思うんですよ。ですから、二万円という金額を思いつきで言っておるわけじゃないんですよ。十年年金を二万五百円にしたら、なぜ福祉年金を二万五百円にしないのですか。それは当初はそういう出発でした。  そうして、総理、一回聞いてみたいと思うのですけれども、このライフサイクル計画というものは三木総理自体の提唱であったわけです。この「生涯設計計画」というのは、自民党の中で、あるいは政府の中でどういう位置づけがされているのですか。これをひとつもう一度あわせてお聞かせ願いたい。
  333. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 この設計計画は、今年度の予算の中にも調査費を計上されて、自民党自身にも調査会をつくりまして、この問題を取り上げて――いままでは問題を具体的に取り上げて一つの行政ベースで検討するということにはなってなかったわけですが、本格的にこの問題を取り上げて、その中にはナショナルミニマムという思想が強く出ておりますから、当然に年金問題というものは大問題になるわけですから、そういう意味からも、この問題は初めて政府の一つの検討調査会をつくって検討に入ろうという、いま段階でございます。
  334. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 これは総理昭和六十年になりますと、国民年金と福祉年金は同額ですよ。国民年金と福祉年金は同額にしてあるのですよ、この計画書には。ですから、拠出、無拠出にかかわらず、ある程度の年金を与えようという思想なんです。ところが、今度の予算は何ですか。差がついておるじゃないですか。それが第一、出発から全く――もちろんこのライフサイクルに書いてあることとは真反対の方向に行っておるし、また、厚生大臣が公約された精神にすら残念ながら背反をしている行き方をしている。今度の一二・五%というのは、われわれは不満ですが、政府政府として、一応この水準なら何とかいけますという生活保護とかあるいは養護老人ホームの生活費とかというのと同額なんです、一二・五とか一二・六というのは。それと、いまからどんどん上げなければならぬというものと、大体この程度ならまあまあ満足ですよというものと同じ率で上げておる。これは全く許せないと思うのですよ。大蔵大臣、どうですか。聞くところによると、あなたのところで削っておるのでしょう、大体。
  335. 大平正芳

    大平国務大臣 田中厚生大臣、きわめて福祉年金に御熱心でございまして、私は、七千五百円から一万二千円に去年引き上げたのでございますので、ことしは一服をしていただきたいという気持ちで実はおったわけでございますけれども、厚生省の方の強い御要請で一二・五%の引き上げに同意いたしたわけでございます。  この委員会におきまして田中さんが引き上げたいという強い願望を述べられたことが、内閣全体の公約であるというようなことにお受け取りになりましてきょうお話があるわけでございますけれども、そういう願望を述べられたわけでございまして、それについて厚生大臣として最善を尽くされたわけでございますので、私は何も内閣としてこれは公約を怠っておるというようには考えていないわけでございます。私ども、乏しい財源の中で鋭意福祉予算につきましては細かい配慮をいたしておりますことは、多賀谷さんが一番よく存じていただいておるはずだと思うのでございますので、その点は御理解を賜りたいと思います。
  336. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 公約という言葉を使ったのは私じゃないですよ。最初は田中厚生大臣が使い、しかもこの予算委員会の席です。あなたもいらっしゃった。そうして、私が言っているのは、一応政府としてはこの程度はまあまあ満足、われわれは不満だけれども、満足ですという生活保護だとか、それから養護老人ホームの生活基準であるとか特別養護老人ホームの生活基準と同じしか上げていないというのが問題だ。しかも、五年年金はさらに一五%以上上げておるじゃないか。十年年金も一五%以上上げておるじゃないか。一番上げなければならぬ福祉年金を、一応政府としてはこの水準は大体まあ適当であると思うという水準と同じ額にしておるじゃないですか。同じ率にしか上げてないじゃないか。これを私は言っておるのですよ。ですから、その精神はまるきり反対の方向に行っているじゃないか。格差は拡大しておる。いままで五年年金と福祉年金は千円しか違わなかった。今度は千五百円差が出てきておるのですよ。そうして一方では、積み立て方式からあるいは賦課方式へというような話をしながら、まるきり逆の方向に転換をしておるじゃないか。しかもこの人は七十歳の人ですよ。私はこの一事を見ても、福祉政策に対する政府の姿勢を正さなければならぬと思う。全くこれはわれわれどう考えても――同じ率で上げるというならまだいいですよ。本来ならば福祉年金の方をぐっと上げなければならぬ。ところが福祉年金は、どちらかというと大体この水準ぐらいでいいというものと同じくらいに上げておる。これは問題じゃないですか。前進の姿は見えないで、後退です。総理、どういうようにお考えですか。
  337. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 福祉政策というものは、この内閣としても特に力を入れておるわけでございます。昨年度の予算などを多賀谷君ごらんになっても、五十年度の予算というものは福祉政策というものは飛躍的に増大した。ことしは、財政的事情によって必ずしも十分だとは申せませんけれども、しかし、福祉政策というものはこれからもやはり政治の中心の題目になっていくことはわれわれとしてもよく承知して、いろいろ多賀谷君御不満の点もあろうと思いますが、できるだけ精いっぱいのことはやっておるわけで、こういうのに不熱心だというものではございません。何とかしてこれを前進させたいと思っておることは事実でございます。個々についてはいろいろ御不満の点があることはよく承っておきます。
  338. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 福祉年金の対象者は、いまさら言うまでもないのですけれども、イギリスやアメリカのように年金ができて、イギリスの場合は三年で成熟したというのです。アメリカの場合は年金制度ができて直ちに完全年金に入ったのですね。これは皆過去の勤務を見たからですよ。いまのお年寄りは、掛けなかったからということじゃなくて制度がなかったのですから、ですから、そのことは考えてやらなければならぬ。格差がつくようなやり方というのは全く矛盾しているのですよ。積み立てた者と、それから積み立てようにも積み立てられなかった者との、いままでよりも格差の拡大をするなんということは、私は政策としてはもってのほかだと思うのです。ですから、三木さんが幾らりっぱなことをおっしゃっても、政策は逆に行っているのですよ。政策が停滞しているのではないのですよ。逆の方向に行っているのですよ。私は、ここで責任を問いたいと思うのです。単に二万円ができなかっただけでなくて、逆の方向に行っている。格差が拡大しているというのはどういうわけか。これは総理に、どうしても総理に私は姿勢を聞きたいと思うのですね。りっぱなことをおっしゃっておってもだめなんですよ、これは。総理、答えていただきたい。
  339. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 それは私、これは一つの考え方を示したのであって、この問題の考え方というものは、総括的な考え方はこれはやはりわれわれとしても賛成であるし、そういうことで……(「総論だが、各論にならぬ」と呼ぶ者あり)その各論について、これから調査費も設けて検討しようというので、この書いてあるような内容がいまの政策にならぬのは当然でございます。五十一年度の予算に計上して、これからこの問題を検討しようということでございまして、多賀谷君の御指摘になっておる福祉年金の問題、こういう年金制度全般について、当然にこの検討というものは取り上げられる大きな題目でございますから、われわれとしては、将来に向かっては、この福祉年金のようなこういう一番生活の保障を必要とする年金については、今後ともこれは思い切って改革をしたいという考え方でございます。
  340. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 問題指摘にとどまったわけですが、残念ながら時間もありませんので、さらに遺族年金問題もありますけれども、これは別の機会にいたしたいと思います。  とにかく総理、公約違反という、ただ言葉じりをとって言うわけじゃないけれども、精神すらじゅうりんをされておるという、これは許し得ない問題だ。これは今後さらに予算委員会並びに、法案もかかっておりますから、さらにわれわれは許し得ない問題として追及をすることだけを申しまして、本日の質問を終わりたいと思います。
  341. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 以上をもちまして、総括質疑は全部終了いたしました。  次回は、明二十八日午前十時より開会し、一般質疑に入ります。  本日は、これにて散会いたします。     午後七時四分散会