○小林(進)
委員 のど元過ぎれば熱さを忘れるという
言葉もあるぐらいでありまするし、あんまりどうも温室の中にぬくぬく入っておりますと、世の中のありがたみさえわからぬと思うのでございまするけれ
ども、世の中には、
企業というものはそれば幾万、幾千万もあるのでございます。しかし
企業というものは、全部、申し上げるまでもなく、これは
一つの危険は自己において負担する。それは、しがない、大道で店を張っているものも、それは
一つの
企業であり商売であるからには、必ず危険というものはついて回るのですよ。当たれば成功するだろうし、見込みが違えば失敗するだろうし破産もするだろう。しかし、そこに、自由主義
経済というか、
企業のまたおもしろさがあるのであります。その
企業の自己危険負担の中で、
金融資本だからということだけで、こうやって
政府から特別の保護を受けなければならぬ理由は、皆さん方から見ればあたりまえでしょうけれ
ども、その他の一般の自由業者や自由職業に従事している者から見れば、やはり大変それは納得できない皆さん方の理屈なんです。
私はまた申し上げますけれ
ども、一体
銀行が四〇%も五〇%も大きな損失で破産をした
——震災でやられたと言うけれ
ども、それは古きいにしえの物語であって、いまわが
日本の独占の中に、ここらにいらっしゃる自民党
政府や内閣が一体皆さん方をつぶしますか。新しきときには、山一証券なんか、
一つの証券会社も、倒れそうになれば、国の税金をどんどん追い込んで、ちゃんと助けているじゃありませんか。そういう中で、古い昔物語をして、私はこういう
政府の保護を受けているのは決して恩典だとは思わないなどという主張は、少し私は、その世間の目というか大衆の目を恐れざる、思い上がりの
言葉ではないかと感ぜざるを得ないのでありまして、私は、それは危険負担のために、その危険に備えて、それは何兆円の金を皆さん方が引当金のために貯蓄なさるのは一向差し支えないのであります。二兆円が、現在まあ恐らく二兆円くらい引当金がありましょうけれ
ども、五兆円になろうと、十兆円になろうと、それは構わない。それを引当金と称して
政府の保護を受けて、税金をまけてもらっているという、私はそれを言っているのだ。それを過保護ではないかと言っているのでございまして、まあ時間もありませんから言いませんけれ
ども、七十五国会でわが党の
阿部委員が、ちゃんとこれは例を出して言っております。もう時間もないから駆け足で言いますけれ
ども、「四十八年下期で、都市
銀行の貸し倒れ額はほとんど
数字にあらわれていないのであります。三木総理、これをごらんになっていただけばよくわかります。
銀行全部ですが、この太陽
銀行のところをごらんになってください。たとえば太陽
銀行の場合は、
貸出金が三兆一千九百七十四億円、これに対して貸し倒れ額は千三百万円」これに対して貸し倒れ引当金、引当金で無税で貯金しているのが四百三十億円だ。四百三十億円無税で貸し倒れ金に当てて、その中で実際に倒れたのは千三百万円、スズメの涙じゃないか。それであなた方は、あとはそのかわり引当金と称して、それをどこかでこの無税の金を皆
融資をして、二重にも三重にももうけていらっしゃるでしょう、とは言いたいけれ
ども、そこまでは推定ですけれ
ども、まあそういうような、私は
金融機関が保護を受けていらっしゃるという事実に対して、皆さん方はどうお考えになるかと言うのでありますが、いや、これはあたりまえだ、ちっとも恩典だとは思わないという御返事をいただきましたから、これはこの点でひとつ終わりにいたしまして、時間もありませんから次にいきます。
私は、次に、税の不公平の問題を、これはいまちょうどいみじくも租税特別措置法、けちくさい租税特別措置法の改正案をお出しになりまして、いま本
会議でやっと通してきたばかりでございまして、それによれば、三分の一を縮小し……(「提案があっただけだ」と呼ぶ者あり)趣旨説明であります。まだ通ったわけじゃありません。提案をして、三分の一を縮小し、新しく四項目を加えて百八十九項目のいわゆる特別措置法をお出しになった。なかなかけちくさい改正案でございますが、そんなことをやっていると時間がありませんからいきますけれ
ども、その中には、私は時間があればこれは全部読み上げたい、
企業に対する
税制上の措置について。
まず、法人税法の規定によるものの特例だ。
1は、受取配当等の利益不算入。2、各種引当金。
——急いでいきますから……。貸し倒れ引当金、返品調整引当金、賞与引当金、退職給与引当金、特別修繕引当金、製品保証等引当金。3が欠損の繰り戻しによる還付。
二が租税特別措置法の規定によるもの。
1、特別償却。まず特定設備等の特別償却で、公害防止設備、無公害化生産設備、工業用水道の転換設備、労働安全衛生設備、廃棄物再生処理設備、省エネルギー設備、製品安全検査設備、民生安定機械等、電子計算機、特定鉄道設備、原子力発電設備、地中送配電設備、ガス供給設備、船舶、航空機等、これはみんな租税特別措置法で税金をまけている。それから低開発地域等における工業用機械等の特別償却、これも無税。
それから割り増し償却。特定備蓄施設等の割り増し償却で、石油貯蔵施設、トラックターミナルの荷扱い場及びその付属設備等。それから障害者を
雇用する場合の機械等の割り増し償却。新築貸し家住宅等の割り増し償却。
3は配当軽課措置。配当等に充てた所得に対する法人税率の特例、法人の受けた配当等の益金不算入の特例等。
4、各種準備金。価格変動準備金、海外市場開拓準備金、海外投資等損失準備金、公害防止準備金、自由貿易地域投資損失準備金、金属鉱業等鉱害防止準備金、特定鉄道工事償却準備金、原子力発電工事償却準備金、特定ガス導管工事償却準備金、電子計算機買い戻し損失準備金、株式売買損失準備金、証券取引責任準備金または商品取引責任準備金、それから渇
水準備金、違約損失補償準備金、異常危険準備金、探鉱準備金または海外探鉱準備金等。
それから5には圧縮記帳であります。特定の資産の買いかえの場合の圧縮記帳、特定の資産を交換した場合の課税の特例、特定法人の現物出資による株式等の圧縮記帳。
6、収益計算上の課税の特例。社会保険診療報酬の所得計算の特例、寄付金(法人が支出した寄付金のうち一定の限度額は、損金に算入する)。
7、その他。交際費等の損金不算入。
第三はキャピタルゲインの課税であります。
1は有価証券譲渡所得の非課税。2、事業用資産相互の買いかえ特例。
これを読み上げれば切りがない。これはみんな大
企業に対する課税上の特例です。これほどまで特例を与えられている。だから外国人の
企業者は言うんだ。
日本で
企業をやれば、どんな無能力でもばかでも必ず成功する。これくらい十重二十重に
政府の保護を受けているのだから
企業をやって損失することはないわいと言われているのがもっともと思われるくらい、これほどの特例法があるのでございます。
まずこの中で私は御
質問いたしまするが、きょう午前中もありました交際費、四十八年が一兆六千五百億円、四十九年が二兆円弱、この中にも当然私は政治献金が含まれているものと思うのでございますが、一体
金融代表の皆さん方はこれをどうお考えになっているか。皆さん方がお出しになっている政治献金がこの交際費の中に入っていることをお認めになりますかどうか。
それからいま
一つは、ロッキードの問題がいま
日本のみならず世界を震骸させておりますけれ
ども、このロッキードのコーチャンという副
会長は言っているのだ。
日本という国はこういうようなリベートといいますか献金といいますか、贈収賄しなければならない国なんだから、私は差し上げたのでございます。こういうことを言われておるのでございます。
日本はこういう
企業があるいは政党その他に政治献金をしたり、リベートをやったり、贈賄するのが長い間の習慣になっていると言われているのでございまするけれ
ども、
金融資本家の立場からこの問題をどうお受け取りになっているか、簡単にひとつ御所見を承っておきたいと思うのであります。