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1976-02-10 第77回国会 衆議院 予算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年二月十日(火曜日)     午前十時四分開議  出席委員    委員長代理 理事 小山 長規君    理事 井原 岸高君 理事 塩谷 一夫君    理事 正示啓次郎君 理事 山村新治郎君    理事 小林  進君 理事 楢崎弥之助君    理事 松本 善明君 理事 山田 太郎君       伊東 正義君    上村千一郎君       江崎 真澄君    小澤 太郎君       大野 市郎君    奥野 誠亮君       北澤 直吉君    倉成  正君       黒金 泰美君    櫻内 義雄君       笹山茂太郎君    瀬戸山三男君       田中 龍夫君    谷垣 專一君       西村 直己君    根本龍太郎君       野田 卯一君    藤井 勝志君       保利  茂君    細田 吉藏君       前田 正男君    森山 欽司君       安宅 常彦君    阿部 昭吾君       阿部 助哉君    石野 久男君       岡田 春夫君    川俣健二郎君       田中 武夫君    多賀谷真稔君       堀  昌雄君    安井 吉典君       湯山  勇君    青柳 盛雄君       林  百郎君    山原健二郎君       小川新一郎君    高橋  繁君       小沢 貞孝君    小平  忠君  出席国務大臣         内閣総理大臣  三木 武夫君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      福田 赳夫君         法 務 大 臣 稻葉  修君         外 務 大 臣 宮澤 喜一君         大 蔵 大 臣 大平 正芳君         文 部 大 臣 永井 道雄君         厚 生 大 臣 田中 正巳君         農 林 大 臣 安倍晋太郎君         通商産業大臣  河本 敏夫君         運 輸 大 臣 木村 睦男君         郵 政 大 臣 村上  勇君         労 働 大 臣 長谷川 峻君         建 設 大 臣 竹下  登君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長         北海道開発庁長         官       福田  一君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      井出一太郎君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      植木 光教君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      松澤 雄藏君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 坂田 道太君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      佐々木義武君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 小沢 辰男君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 金丸  信君  出席政府委員         内閣法制局長官 吉國 一郎君         内閣法制局第一         部長      角田礼次郎君         国防会議事務局         長       内海  倫君         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         給与局長    茨木  廣君         青少年対策本部         次長      望月哲太郎君         警察庁刑事局長 土金 賢三君         行政管理庁行政         管理局長    小田村四郎君         行政管理庁行政         監察局長    鈴木  博君         防衛庁参事官  伊藤 圭一君         防衛庁参事官  平井 啓一君         防衛庁参事官  岡太  直君         防衛庁長官官房         長       玉木 清司君         防衛庁防衛局長 丸山  昂君         防衛庁人事教育         局長      竹岡 勝美君         防衛庁衛生局長 萩島 武夫君         防衛庁経理局長 亘理  彰君         防衛庁装備局長 江口 裕通君         防衛施設庁長官 斎藤 一郎君         防衛施設庁総務         部長      安斉 正邦君         防衛施設庁施設         部長      銅崎 富司君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         経済企画庁国民         生活局長    藤井 直樹君         経済企画庁総合         計画局長    宮崎  勇君         環境庁自然保護         局長      信澤  清君         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君         法務省刑事局長 安原 美穂君         法務省矯正局長 石原 一彦君         外務省アジア局         長       中江 要介君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君         外務省欧亜局長 橘  正忠君         外務省条約局長 中島敏次郎君         大蔵省主計局長 吉瀬 維哉君         大蔵省関税局長 後藤 達太君         大蔵省理財局長 松川 道哉君         文部省初等中等         教育局長    諸沢 正道君         文部省大学局長 佐野文一郎君         文部省体育局長 安養寺重夫君         厚生省児童家庭         局長      石野 清治君         食糧庁長官  大河原太一郎君         通商産業省貿易         局長      岸田 文武君         通商産業省機械         情報産業局長  熊谷 善二君         運輸省鉄道監督         局長      住田 正二君         運輸省自動車局         長       高橋 寿夫君         郵政大臣官房長 佐藤 昭一君         郵政大臣官房電         気通信監理官  佐野 芳男君         郵政省貯金局長 神山 文男君         建設大臣官房長 高橋 弘篤君         自治省行政局長 林  忠雄君         自治省財政局長 首藤  堯君         自治省税務局長 森岡  敞君  委員外出席者         防衛庁事務次官 久保 卓也君         会計検査院事務         総局第二局長  高橋 保司君         日本国有鉄道副         総裁      井上 邦之君         予算委員会調査         室長      三樹 秀夫君     ————————————— 委員の異動 二月十日  辞任         補欠選任   阿部 昭吾君     川俣健二郎君   庄司 幸助君     山原健二郎君   田代 文久君     青柳 盛雄君   正木 良明君     高橋  繁君   矢野 絢也君     小川新一郎君   河村  勝君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   川俣健二郎君     阿部 昭吾君   小川新一郎君     矢野 絢也君   高橋  繁君     正木 良明君   小沢 貞孝君     河村  勝君     ————————————— 本日の会議に付した案件  証人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  昭和五十一年度一般会計予算  昭和五十一年度特別会計予算  昭和五十一年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 小山長規

    小山(長)委員長代理 これより会議を開きます。  委員長の指名により、私が委員長の職務を代行いたします。  昭和五十一年度一般会計予算昭和五十一年度特別会計予算及び昭和五十一年度政府関係機関予算、以上三件を一括して議題といたします。  理事会協議による質疑を行います。楢崎弥之助君。
  3. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私は冒頭に、昨日の防衛庁記者クラブにおける坂田防衛庁長官久保事務次官PXL白紙還元に関する記者会見内容は非常に重要なものを含んでおり、私がいまから質問する問題に直接かかわる関係がありますから、久保事務次官を、事務次官ですから恐らく説明員としてで結構ですから、直ちにお呼びいただきたいと思います。どうでしょうか。
  4. 小山長規

    小山(長)委員長代理 よろしゅうございます。直ちに手続をとります。
  5. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それでは、久保次官がお見えになったら、ちょっと合図してください。
  6. 小山長規

    小山(長)委員長代理 はい。
  7. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そこで、私は防衛問題から入りたいと思います。  私は、ここに一九七七年度米国国防報告、これはうラムズフェルド国防長官報告でございます。並びに一九七七年度軍事情勢報告、これはブラウン米統参議長報告であります、これを読みまして、いろいろこの中には重要な問題を含んでおりますので、まずそこから質問に入りたいと思います。  ラムズフェルド報告では、ソ連海軍力の飛躍的な増強で、西太平洋における海上航路が危険になっておるという認識のもとで、脅威対象を明らかにソ連規定をいたしております。そのソ連という脅威に対抗する手段として、日本西太平洋で対潜水艦作戦を遂行する能力を改善することは日本利益である、米国はこの分野日米協調が増進することを希望する、と述べられております。  これを、いまの個所をこの文書指摘をいたしますと、まずソ連仮想敵国——仮想敵国という言葉が悪いならば対象国でもよろしゅうございましょうが、たとえばこの国防報告の中では、太平洋における艦隊はハワイとアラスカヘの海上交通路について保持できるが、水上艦艇の不足のために、西太平洋への交通線を防護することはむずかしい。この情勢は、ソ連核攻撃能力潜水艦増強によって恐らく一層危険が増大しておる、こういう個所ですね。それからまたこういう個所があります。「われわれは海上支配の負担を同盟国海軍と分かち合うことを多分見込めるであろうことは幸甚である。しかしながら、これらの利点をもってしても、海軍は大西洋と太平洋でのソ連海軍艦艇を巻き込む海上戦闘においては、海上支配に対する展望がいささか不確定であると推定しておる。西太平洋における日本の対潜戦闘を遂行する能力を改善することは日本利益であり、またわれわれはこの分野における米日協調増強することを期待しておる。」、こういう個所があるわけですね。  それからまたブラウン報告の方では、(四)に「脅威」という項目を設けまして、こう書いてある。「アジア太平洋地域における主要な潜在的軍事的脅威は、ソ連脅威である。」、こう明確に「脅威」という項目の中で規定をいたしております。そしてそのための日米潜共同作戦表明しておるところは、先ほど御報告しましたとおり、「日本が空からの攻撃、海からの侵入に対し守るに十分な軍事力を維持し、太平洋の主要な交通線を守るに当たって米国を補完する対潜水艦能力を開発するのを奨励するのが米国政策である。さらに日本では返還された基地通常民間管理下に入り」——これは基地のところですから後で言います。こういう文書でいま私が指摘したとおり、対潜共同作戦日米がしたい。その必要性は、西太平洋におけるソ連のいわゆる戦力の増強であるという認識になっております。したがって、日米共同作戦自衛隊を巻き込む意思構想を、公式に両報告表明をしたことになっております。公式に、日米共同作戦自衛隊を組み込む、その意思表明しておる。また、その構想を公式に表明をいたしておる。このような米側の公式の意思表示あるいは希望表明に対して、総理はどのようにお答えになるおつもりか、それをお伺いいたします。——総理の御見解を聞いておるのであります。
  8. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 私も梗概は読んで承知しておりますが、防衛庁長官からお答えをいたします。
  9. 坂田道太

    坂田国務大臣 大体、楢崎委員からことしの米国国防長官ラムズフェルド及びブラウン統合参謀本部議長の御説明、そのとおりだと思いますが、ただちょっと違いますのは——昨年とことしと基調ではそう変わっておりません。それから、去年のたしかブラウン報告におきましても対潜能力という云々もございますし、今日もそれは変わっておりません。
  10. 楢崎弥之助

    楢崎委員 全然私の質問に答えてないのです。いいですか。私は説明を聞いておるのじゃないのですよ。いまこの両報告を見ますと、日米共同作戦自衛隊を組み込む、こういう意思構想表明されておるじゃありませんか。だから、こういう構想——もう、あなた、いいです。こういう構想に対して、これはアメリカ側からの公式の表明あるいは公式の希望ですから、それに対して総理はどのようにお答えになるつもりかということをさっきから聞いておるのです。——いいです、あなたは。だめですよ。(坂田国務大臣「ちょっと説明をしたい」と呼ぶ)説明は要りませんよ。だめですよ、時間がないのだから。私は拒否しますよ。だめですよ、委員長
  11. 小山長規

    小山(長)委員長代理 内閣総理大臣からやってもらいます。
  12. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 これは在米大使館からの報告を承知しておるのですが、ステートメントの随所で、米国北東アジア地域における主要な政策目標は、同地域における安定した軍事的、政治的均衡を維持していくこと、及びその他の太平洋地域での安定と、公然たる侵略に対する抑止力を強化することであり、日本との緊密な安全保障上の連帯関係を維持することは、今後とも東アジアにおける米国防衛政策の重要な目標である旨を述べている趣である。そのためには、わが国に一定の規模、能力を具備した米軍兵力が存在すること自体が実態的抑止効果となるのであり、そのために一定の区域、施設の存在が不可欠となるとの認識報告しておるというのが私の受け取っておる報告でございまして、その言ってあることは格別、われわれが考えてみても、非常にわれわれと考えの違ったものだとは、この報告を読んで私は思ってないのでございます。
  13. 楢崎弥之助

    楢崎委員 いま委員長、おわかりになりましたか、何をおっしゃっておるか。  もう一ぺん言いましょうか、大事なところですから。特にブラウン統参議長は、「日本日本本土を空からの攻撃、海からの侵入に対して守るに足る十分な軍事力を維持し、太平洋の主要な交通連絡網を守るため米国の補助となる対潜水艦能力を開発するのを助成するのが米国政策である。」、これは言葉のとおり。わかりやすいでしょう。しかも、日本にそういうことを要請するその脅威対象ソ連である、と明確にブラウンさんは言っておるわけです。だから、これに対してどう総理お答えになるつもりかということを言っておるのです。そういうことじゃ困るとか困らぬとか。さらにもう少しつけ加えるならば、こういう構想であるならば、一体日米安保条約とは何なのか。日米安保条約の現在の情勢に応じた新しい一つの具体的な内容がここに浮かび上がってくる。つまり、日米安保条約というもの、そしてそれによって自衛隊が組み込まれるであろうこの安保体制というもの、これはもっぱらソ連脅威に対抗するということに、これは論理的にならざるを得ない。したがって、日本は完全に対ソ米戦略に積極的に組み込まれることになるわけです。こういう構想に対して総理はどうお思いかということをさっきから聞いておるのです。
  14. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 日本日米安保条約を結んでおるのは、日本の安全、またそれに関連する極東の平和と安全というものを維持するということで安保条約を結んでおるわけですから、仮想敵国を持って、対ソ作戦のために日米安保条約を結んでおるものではない。どこも仮想敵国を持ってこの条約を結んだのではない。日本の安全を守ろうという点で、日本の独自の防衛力では足りないから、集団安全保障体制、すなわち日米安保条約を結んでおるということですから、いろいろな人が発言したからといって、それで安保条約上の日本が結んだ目的あるいは自衛隊の行動が制約を受けるというものではありません。日本はあくまでも日本の安全というために思っておるので、いろいろな防衛力を整備していこうというのも、それはよそから言われたというのではなくして、日本の必要から日本が自主的に判断をするわけでございます。
  15. 楢崎弥之助

    楢崎委員 全然答えになっていないのですね。いろいろな人がいろいろなことを言うのじゃないのですよ。ここではラムズフェルド国防長官が議会に報告した国防報告の中で言っている。もう一人はブラウンアメリカ統合参謀本部議長が言っている。それをいろいろな人がいろいろなことを言っているが、なんて、そんなごまかしたことを言っちゃいけませんよ、あなたは。私の答弁をはぐらかしちゃいけませんよ。しかも、さっきも言ったとおり、ブラウン議長はこの報告の中で、こう書いてありますよ。「(四) 脅威」というところ、「アジア太平洋地域における主要な潜在的軍事的脅威は、ソ連脅威である。」。明確にしてある。したがって、ソ連脅威として、いわゆる仮想敵国として行われるアメリカアジアにおける戦略というものに自衛隊安保条約を通じて組み込まれるということは——しかも、今度ブラウン議長が今月末来るのですよ。そしてまさに日米防衛分担を話し合う。こういうことが議題になる。だから、私はそういうことを聞いておるのですよ。  そこで、この際に非常に重要なのは、これからどんどん日米防衛協力あるいは防衛分担が話し合われていく。一体その協力あるいは分担というものは日本はどこまでできるのか。日本憲法を持っておりますから。だから、そういう日米防衛協力限界というものを明確に総理はお持ちになっておかぬと大変なことになる。  それで、ひとつこの日米防衛協力限界というものを後でもいいから文書でお示しをいただきたい。それは、一つ水域分担はどうなるのか。その水域分担限界はどこまでか。もう一つ機能の点であります。憲法上どういう機能分担し得るのか。それを文書でひとつ、いまでなくていいから、この予算委員会間じゅうで結構ですからお示しをいただきたい、これは重要なところですから。いまの点にお答えいただきたい。
  16. 坂田道太

    坂田国務大臣 冒頭に、われわれの自衛努力ということに対して、シュレジンジャーがそれを評価し、そして日本憲法というものを私は説明いたしまして、できることとできないことがある、しかしながら自衛のために必要な防衛努力を、民生を著しく圧迫せず、また同時に他国に脅威を与えない程度努力をするということを私は言った。そこはよくわかるというのが向こうの言い分で、それはラムズフェルドになってからも同じなんです。そのために対潜能力というものをわれわれは期待している、それはそのとおりだ、こうなっているわけです。  それから、まさにいまおっしゃった、憲法で一体水域をどうするのかということですけれども、われわれの従来の考え方から言うと、憲法では水域分担はやり得ないということ。それから機能分担はあり得る。しかし、機能分担と言いましても、先生御指摘のとおりこれは非常にむずかしい問題ですね。実は、できることとできないことをどういうふうにやるのかということを話し合うというのが、これからの安保協議委員会内容になってくるわけでございます。  でございますけれども、御指摘の資料の要求がございましたから、どの程度に差し上げられるかわかりませんけれども、あるいは非常に抽象的になるかもしれませんけれども、われわれの方でひとつつくってみたいと思っております。
  17. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうすると、いまおっしゃった御答弁の中で、防衛分担のうち水域分担については憲法上しない、それが第一段でしたね。第二段は機能の面で、非常に具体的に詰めなくちゃならぬ問題がある。重要です。  それで、その辺をいまアメリカ側から要請がいろいろありましょう。機能の点では、たとえば対潜作戦あるいは海上輸送路の確保とか、あるいは防空とか兵たんとかありましょう、そういう機能のうちで、一体具体的にはどうなるのかというお考えを、いまでなくて結構だから、この予算委員会が終わるまでにひとつ文書でお示しをいただきたいということを言っているのです。いまでなくて結構ですから。
  18. 坂田道太

    坂田国務大臣 可能な範囲内におきまして作成いたしてみたいと思います。
  19. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そこで、この報告によりますと、恐らく、この情勢報告をやったブラウンさん自身が今月末来るわけですから、当然この報告に基づいて話し合いが行われると思いますよ。そうすると、この報告ではいわゆる対潜作戦中心になっておる。そこで、日米防衛協力を対潜作戦でやる場合に今後どのような新しい装備が必要と思われますか。
  20. 坂田道太

    坂田国務大臣 この問題も実は少し取り違えていらっしゃると思うのですが、ブラウンさんが見えますのは、この間もお答えしましたように表敬に参るわけでございまして、日米会談というようなものではない。しかし来られてお会いをするわけでございますから、やはりことしのブラウンさんの書いた意味はどういうことかというようなことについてはお話し合いをしますし、あるいはラムズフェルドにかわってどうなんだというようなことも話しますし、あるいは日本周辺軍事情勢等についてはお話をすると思いますけれども、それはいわゆる日米会談というようなそういうものではないということをひとつ御了承願いたいと思うのでございますが、そうなっておりますから、だからそう……
  21. 楢崎弥之助

    楢崎委員 あなた何が言いたいのですか。
  22. 坂田道太

    坂田国務大臣 いや、私言いたいのは、何か日米会談というのを、この間たとえばシュレジンジャーと私とやったような……
  23. 楢崎弥之助

    楢崎委員 あなたは私の質問を聞いてないのです。いいですか、ゆっくり聞いてくださいよ。あなたは先入的な何かの意思があるのだ。その意思におびえて何か妙なことばかり言うのです。私が聞いておるのはそうじゃないのですよ。恐らく日米防衛分担の中で当然対潜作戦というものが中心になるであろう。いいですか、今度はその話はしないならしないでいいのですよ。どっちみち来月は日米防衛協力委員会が発足するのですからそのとき問題になる。私が聞いておるのは、そういう際に対潜作戦中心になるが、もし対潜作戦中心になるならば、今後どういう新しい装備が必要と考えられるかということをあなたに聞いておるのです。ブラウンさんがどう言うであろうこう言うであろうということを聞いているのじゃないのであります。  もう一つ、じゃ一緒に聞いておきましょう。  対潜作戦に直接必要な兵器とはどういうものがありますか。一緒お答えください。
  24. 坂田道太

    坂田国務大臣 潜水艦、それから対潜哨戒機、それからそれに付随しますいろいろのソーナーとかなんとかいうような装備でございますね。
  25. 楢崎弥之助

    楢崎委員 まあそういうことです。まことに常識的なお答えで感心をいたしました。  それにあえてつけ加えるならば、あなた方がDLHと称しているやつでしょう。長官、おわかりですか。
  26. 丸山昂

    丸山政府委員 お答え申し上げます。  ただいま対潜の装備として固定翼の対潜機、それからそれに付随いたしますソーナー、こういうお話がございましたが、そのほかにソーナーとそれから対潜の攻撃用兵器装備しております水上艦艇、それから固定翼の対潜機のほかに、回転翼の対潜機がございます。この対潜機を載せるのが、ただいま私ども持っておりますのはDDHと言われるヘリ搭載の護衛艦でございますが、ただいま先生御指摘のDLHというのはそれをやや大型にしたものであるというふうに理解をしております。
  27. 楢崎弥之助

    楢崎委員 非常に正確なお答えでありました。つまり潜水艦は、すでに私が何回か指摘したとおり、もはやいまの原潜型にすべてなっているのですね。推進機関がまだ原子力を使ってないだけであって、スタイルは涙滴型、それから艦体はアメリカの原潜よりも非常に強い鋼材を使っておる。推進力が原子力推進じゃないだけで、あと原子力推進を載せれば、たとえば「むつ」のああいうものを載せれば、すぐ原潜になる。そこで、DLHはいわゆる空母の小型ですね、ヘリコプターを載せる、これは今後問題になるはずです。当面さしあたって問題になっておるのはPXLじゃありませんか、どうですか。
  28. 坂田道太

    坂田国務大臣 対潜哨戒機のP2J、これはやはり性能の点におきまして十分ではございませんので、これをもう少し機能のいいものにかえたいという希望を持っておるわけでございまして、それがいま言われておるPXLということかと思います。
  29. 楢崎弥之助

    楢崎委員 このPXL、次の対潜哨戒機ですね。だからXがついている。このPXLの国産化を決めたのはいつですか。——時間がないから私の方から申し上げましょう。いいですか。あとでああそうですならそうです、そうでないならそうでないですと言ってください。
  30. 丸山昂

    丸山政府委員 お答えいたします。  国産化はまだ決定されておりません。ただいまの段階は、研究開発をするか、それから外国機の導入をするかということにつきまして検討中というところでございます。
  31. 楢崎弥之助

    楢崎委員 第三次防技術研究開発計画の概要が四十三年二月二十九日に出されておる。その中の技術研究開発項目の中に、主要項目の中に「対潜飛行艇」というのがあるじゃありませんか。技術研究開発の対象になっている。これは国産化を目指してやることになるのでしょう。そのための技術研究開発計画でしょう。いいですか、研究開発期間、昭和三十七年から四十三年まで。四十二年度予算二十二億六千二百万、四十三年度予算二十六億四千五百万、そうなっておりますね。それからさらに、第三次技術研究開発計画、この項目の中にも入っていますね。文書、たくさんありますよ。  それから、対潜飛行艇の試作から——いいですか、試作を言いましょうか。四十一年から四十三年に向けて試作をする。四十二年は試作と技試が一緒になっている。四十三年が実試。四十五年、四十六年は試作、それから技試。こういう計画で、すでに技術研究開発計画に乗りかかっておった。これは間違いありませんね。
  32. 丸山昂

    丸山政府委員 ただいま御指摘のございました対潜用の飛行艇、これは制式PS1としてただいま私どもの実戦配置になっておりますこの航空機の研究開発並びに国産の系列に伴います予算であるというふうに了解をいたします。
  33. 楢崎弥之助

    楢崎委員 わかりました。先に進みましょう。  そこで、私はまず、国産化の決定の時期、これを——国産化は決めておりませんとあなたはおっしゃいましたが、それではこれは何ですか。昭和四十七年二月七日四次防大綱、国防会議決定、同二月八日閣議決定、この内容はこうなっております。「各種誘導弾、電子機器ならびに対潜哨戒及び早期警戒機能向上のための各種装備等の研究開発を行なうとともに、技術研究開発体制を強化する。」、この「各種装備等」の「等」の中に機体が入っておりますか。
  34. 丸山昂

    丸山政府委員 これは国防会議決定でございますから、本来国防会議の事務局から御答弁申し上げるのが至当かと思いますが、私どもは、防衛庁といたしましては、ただいまの「各種装備等」の「等」の中には、当時の時点においては機体が含まれるというふうに了解をいたしております。
  35. 楢崎弥之助

    楢崎委員 まさにそこなんです。ここで明確になった。機体が含まれるということは、これは国産化ですよ。機体を含めて国産化の方向で研究開発を行う、これを明確にしておきたいと思います。  そこで次に、四次防の主要項目について四十七年十月九日、国防会議、閣議決定が行われている。例の平和時の防衛力限界等々がこうなったときですよ。御記憶にあるでしょう、国会は空白になった、予算委員会、そのときですよ。このときの主要項目の決定事項を見ますと、「空対艦誘導弾を含む各種誘導弾ならびに対潜哨戒および早期警戒機能向上のための電子機器等の研究開発を行なう。」、こう変わってきた。二月八日閣議決定は「各種装備等」になっておったのが、十月九日段階では「電子機器等の研究開発」と変わってきた。では、この「電子機器等」の「等」の中に機体が入りますか。
  36. 丸山昂

    丸山政府委員 これも国防会議決定並びに閣議決定でございますので、私どもがこれに対して有権解釈を下す立場にございませんが、防衛庁といたしましては、当時この「電子機器等」の「等」には機体を含むという考え方をいたしておりました。
  37. 楢崎弥之助

    楢崎委員 大蔵省の考え方はどうですか。
  38. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 当時の予算の内容のことでございますので、項目を私ども点検いたしてみますと、艤装関係とか電子情報機器とかいうことは書いてございますが、機体というような明白な表現はないと記憶しています。
  39. 楢崎弥之助

    楢崎委員 おわかりのとおりであります。この四十七年十月九日閣議決定の四次防主要項目について、大蔵省と防衛庁は見解が違う。この「電子機器等」の中に防衛庁は依然として機体が含まれる。つまり国産化の方向はまだ捨てられてないという理解である。大蔵省はそうではない。機体は含まないと理解している。機体が含まないということであれば、この時点で国産化は白紙になる。それが証拠にこの国防会議前の国防会議議員懇談会の了解事項は一体どうなっておりますか。「次期対潜機、早期警戒機等の国産化問題は白紙とし、今後輸入を含め、この種の高度の技術的判断を要する問題については、国防会議事務局に、専門家の会議を設ける等により、慎重に検討する。」。問題はもはや明確であります。この時点で、依然として防衛庁は、機体が含まれる、まだ国産化は捨てられていない。大蔵省は、機体は含まれないと理解する。つまり国産化の方向は白紙になった。それを裏づけるのが、いま申し上げたこの日の、同じ白の国防会議議員懇談会の了解事項であります。そうすると、防衛庁がどのように、これは機体が含まれると思っておりますと言ってみたって、これは国防会議議員懇談会というのはどの程度の権威があるかわかりませんが、三木総理、これはどの程度の権威があるのですか、国防会議議員懇談会とは。あなたが議長でしょう。これは、国防会議議員懇談会とはどういう性格のもので、どういう法的な根拠で設けられたものですか。
  40. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 国防会議の事務局長からお答えいたします。
  41. 内海倫

    ○内海政府委員 お答え申し上げます。  国防会議は、明らかに法律上の言葉でございますが、在来、国防会議においてとっております解釈は議員懇談会も国防会議の一形態である、こういうふうにとっております。ただ、決定をするときは国防会議という言葉で行いますが、決定を行わないで国防問題等を論議あるいはいろいろ意見の交換等を行う場合は、議員懇談会という名前においてこれを行っております。
  42. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうすると、この四十七年十月九日の国防会議議員懇談会のこの了解事項は、国防会議は了解されたんですか、承認されたんですか。
  43. 内海倫

    ○内海政府委員 仰せのものは議員懇談会における了解でございまして、国防会議の正式の決定というものではございません。
  44. 楢崎弥之助

    楢崎委員 しかし中身は同じだとおっしゃったでしょう。ただ形式的に、それを正式化するときは国防会議と切りかえると、こういうお話があったんですね。
  45. 内海倫

    ○内海政府委員 そのとおりでございます。
  46. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そしたらこれは国防会議の決定と見ていいわけですか。
  47. 内海倫

    ○内海政府委員 くどくなりますが、形式を申し上げますと、決定をいたします場合は、国防会議の名前においてこれを決定し、その国防会議という形で招集されたものにつきましては、閣僚のいわゆる議員の全署名をいたします。それから議員懇談会の形で行われる場合は、議員の署名は行われません。
  48. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私はそういう形式を聞いているのではない。国防会議の決定と同じ意味を持つかと聞いているのです。
  49. 内海倫

    ○内海政府委員 厳密な法律上のあるいは法的な効果という意味においては、国防会議決定と議員懇談会の了解とは異なると私は思います。
  50. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私はいまの答弁は了承できません。このような重要なことを、そういうあいまいなことで過ごすわけにいかない。これが白紙還元されたのかどうかがあいまいじゃありませんか、それだと。
  51. 内海倫

    ○内海政府委員 先ほど申しましたように、法律上の意味合いの効果は異なりますけれども、しかしながら、たとえば国防会議における方針を決めるとか方針を定めていくというふうな意味における効果は、私は同じであろうと思います。
  52. 楢崎弥之助

    楢崎委員 あなた、くどくどとずいぶん時間かけて説明したけれども、結局同じということでしょう、実質的には。
  53. 内海倫

    ○内海政府委員 実質的には私は変わらないと思います。
  54. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そう初めから言えばいいのですよ、何もあなた。  そうすると、ここで明確になったことは、四十七年二月七日の国防会議決定、二月八日の閣議決定では、国産化ということが決まっておったのに、四十七年十月九日に結局それは白紙還元になった。内容は、今後輸入を含め検討をする。その点がまた明確になりました。いま読み上げたとおり、専門家会議をつくって検討する、以後はどうするか。ところが専門家会議ができたのは一体いつですか。
  55. 内海倫

    ○内海政府委員 お答えいたします。  昭和四十八年八月、日付はいまちょっと正確に覚えておりませんが、八月でございます。
  56. 楢崎弥之助

    楢崎委員 八月十日であります。つまり小一年かかっておる。私は何度もその間質問したからもう繰り返さない。サボっておったのですよ、つくるのを、故意に、私に言わせると。  そして専門家会議が答申を出したのはいつですか。
  57. 内海倫

    ○内海政府委員 昭和四十九年の十二月の二十六日か七日でございます。
  58. 楢崎弥之助

    楢崎委員 四十九年十二月二十七日であります。つまり、専門家会議をつくってから一年以上かかっておる。専門家会議をつくって検討しようと言ったときから二年かかっておる。ここが実は問題のポイントなんです、一つの。あなた方は故意にサボった。しかも、ここにまた、明くる日の十二月二十八日の国防会議議員懇談会で了解事項というものを出しておるのです。この内容がまたまことにわけのわからない内容、どっちにもとれるような内容。だから私はここで、このポイントで言えることは、いいですか、いまのP2Jがだんだん老朽化していって、かえなければならぬ時期は大体来年か再来年でしょう。だんだん決定を延ばしておって、国産化が間に合わないような事態をつくり出す。そしてどうしても国産化じゃ間に合わぬから、いずれは国産化することにはなっても、ここでひとつつなぎの対潜後継機が要る、こういう状態をあなたたちは故意につくり出したんだ。つまり、言うならば、問題のP3Cをつなぎとして、まず突破口としてこれを輸入する、その状況づくりをあなたたちはやったんだ。P3C輸入を内定したのは、いつですか。
  59. 内海倫

    ○内海政府委員 もしお許しくださいますならば、先ほどの非常に時間がかかったという問題について若干の……(楢崎委員「いや、許さない、それは。時間がない」と呼ぶ)それじゃ、あえて申しませんが、それにはいろいろ事由のあることを申し上げておきます。まず事務局長が交代いたしました。人選に非常に難航いたしました。これが非常に大きな理由でございます。その点は御了解を得たいと思います。  それから、輸入を決定したということはございません。
  60. 楢崎弥之助

    楢崎委員 あなたのその三百代言的な言い方からすれば、正式に決定したことはございません、でしょう。内定を昨年十一月したじゃありませんか。
  61. 内海倫

    ○内海政府委員 いたしておりません。  もう一度申しますと、専門家会議における答申に基づいて、これはもう一度政府において調査検討するというふうに国防会議の議員懇談会で了解されて、もう一度政府に返されたものでございます。現在、政府はそれに基づいて検討をしておるところでございますから、決定とかそういうものでは全くございません。
  62. 楢崎弥之助

    楢崎委員 あなたはもういいよ。あなたの答弁は拒否します、私は。
  63. 小山長規

    小山(長)委員長代理 楢崎君に申し上げます。久保防衛事務次官が……
  64. 楢崎弥之助

    楢崎委員 これがはっきりしてきたら、あなたの困ることが出てきますよ。私は、これは何回も聞いている、内部的にも。内定したということも聞いているのですよ。あえて名前は言わないが、責任のある人ですよ。そんな言い方はおよしになった方がいい。そんなばからしい質疑応答を私はここでしませんよ。
  65. 小山長規

    小山(長)委員長代理 楢崎君、久保防衛事務次官が出頭しました。
  66. 楢崎弥之助

    楢崎委員 久保事務次官にお聞きをいたします。  きょうの朝刊、きのうのテレビニュースでも言っておりましたが、あなたがきのう記者会見をされた。そして、いままさに私が問題にした十月九日段階で国産化方針が白紙還元になった——これはあなたの記者会見内容ですよ。「国防会議の当日、田中首相の部屋に、首相と後藤田官房副長官、相沢大蔵主計局長が集まり決めたものだ。」、この部屋の中には「防衛庁サイドの人は入っていなかった」、したがって、この「白紙還元の話は直前まで知らされなかった」。ところが、あなたは、どうしたことか、けさの午前零時何分かに再度記者会見をされて、実はあれは思い違いであった、訂正されたということがまた載っておる。  お伺いをいたします。あなたが昼の記者会見内容を訂正された個所は、どこですか。
  67. 久保卓也

    久保説明員 元官房副長官と元主計局長総理の部屋に入られて、AEW、PXLの白紙還元について協議をされたということについて訂正、取り消しをしたわけです。訂正をしたわけでございます。
  68. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうすると、いまのお話では、と後藤田官房副長官と相沢主計局長がその部屋に三人でおられたことは、否定されていないわけですね。  次に、あなたはこの白紙還元の相談にあずかりましたか。
  69. 久保卓也

    久保説明員 私の記憶では、あずかっておりません。
  70. 楢崎弥之助

    楢崎委員 あなたは当時の防衛局長であります。私も、あなたの考え方はともかくとして、非常にあなたは鋭いし、正直な人だと常日ごろ思っておりました。これは本当です。いままでの防衛局長よりも、現在の防衛局長よりも、あなたは非常に正直に物をすぱっと言う人であった。これは事実です。私の印象です。  そこで、防衛局長という重要な地位にある人が、こういう白紙還元というような重大な、百八十度の方向転換の話について全く相談を受けなかったというこの点について、あなたはどのような御感想でありますか。
  71. 久保卓也

    久保説明員 これは私自身、当時のことを思い直し、また当時の関係者も含めてどういうことであったかということを相談してみましたが、もともと問題になっておりましたのは、詳しく申しませんが、F5戦闘機のことでありまして、そして国防会議の当日了解事項ができたわけであります。そこで、その了解事項というのは、つまり、いま白紙還元とおっしゃいましたけれども、必ずしも白紙還元ということであるよりも、AEW、PXLというのはきわめて高度な技術を要するものであるから、それを単純に国防会議で決めるのは適当でない、したがって、従来この問題についていろいろ意見があったものを一応白紙に戻して、もう一度専門家という人たちの集まりの会議で慎重に議論をした上で決定をしようということでありますから、これは従来の路線をそう大きく変えたものではない、やはり慎重を期するということならばわれわれも了承できるということで国防会議で了承をされたもの、私どもは発言する場ではございませんので、そういうふうに空気を私ども関係者は察知をしたということでありました。
  72. 楢崎弥之助

    楢崎委員 従来国産化で来ておったのに、それがもう一遍白紙に返って——白紙に返ったというのは、私は何回も質問していますから、白紙に返りましたという御答弁は何回もいただいているんですよ。そして輸入に決まったとはその段階では私は一つも言ってないのです。結局輸入にするか国産化にするかをもう一遍白紙の立場に立って考えよう、そういう意味内容を私は白紙還元と言っておるのです。お間違いのないように。それは間違いない、何回も私はここでやったのですから。  そこで、これは、この新聞の報道するところを見てみますと、これは経済情勢等も含めて、まさにあなたにとっては突如として聞かされた、こういうことなんでしょう。
  73. 久保卓也

    久保説明員 私ども——少なくとも私ども以下ではその国防会議の席上知らされているわけです。私の上司で島田次官がおられたわけでありますが、昨日来連絡がとれませんのでまだ確認しておりませんから。私以下の段階では、現在いる者の意見を徴したところ、その場で確認されているということであります。
  74. 楢崎弥之助

    楢崎委員 結局、防衛庁サイドは、全然この百八十度コペルニクス的な転換に対して相談にあずからなかったということも事実である、いまの御答弁で。  それじゃ、一体そこに何があったのか。つまり、これはまさにあなたの言葉にもありますとおり、政治的な決定である、こういうことになるわけですね。  そこで私は、一応ここで、実際に国産化のために技術研究開発にいろいろ予算を出したのですが、この委託契約の概況について私の方から言いますから、そうならそうと言ってください。  四十五年度、このPXLの契約の概況は——PXLの予算契約の概要です。千九百十八万円、これが川崎重工。二百三十万円、これは航空工業会。合計二千百四十八万円が技術調査研究委託費として執行された。四十六年度同予算額は三億百万円、これは川崎重工に同じように委託契約をさした。四十七年度予算は、このPXL予算は六億八千六百万円。これは先ほど申し上げた平和時の防衛力限界をめぐって新機種が議長預かりになって凍結されましたね。覚えておられるでしょう。だから、これは結局は執行されなかった。この四十七年度の六億八千六百万は。四十八年度は、つまりいまの経過で白紙に還元されたから、予算がついていない。それ以降予算はついていない。予算的に見るとそういう経過ですね、間違いありませんね。
  75. 岡太直

    岡太政府委員 一つだけ、四十六年度に予算額が三億百万でございますが、先生の方は契約の方を申されませんでしたが、契約を申しますと二億八千九百二十万四千円で契約いたしました。予算額が三億百万で、契約の額は二億八千九百万円でございます。そのほかはそのとおりでございます。
  76. 楢崎弥之助

    楢崎委員 なお、五十年度予算ではいよいよ輸入をするということで、海外調査のために出張しておりますね。この出張旅費が百八十二万二千円になっておる。これも間違いない。以上が予算的に見た経過であります。  そこで私が言いたいのは、これほどの銭を、国民の税金をいままで国産化のために使ってきた。これが白紙還元のために——一体これだけ使ってきたものは何になったであろうか。まあ、将来ということを言えば理屈は立つかもしれませんが、これは一応御破算になった。国費のむだ遣いでしょう。そうじゃありませんか。全く浪費なんです。この点について、会計検査院見えていますか。見えてなかったらちょっと呼んでいただきたいと思いますが……。
  77. 小山長規

    小山(長)委員長代理 すぐ呼びます。
  78. 楢崎弥之助

    楢崎委員 だから、こういうふうに国民の税金を使っておるのですから、これをいまさらパアにするというのには、よほどの理由がなくちゃこういうことにはならないと私は思うのですよ。よほどの理由がなくちゃ、こんなわかり切ったことを。よほどの理由とは一体何か。それなんです。それが先日来六日の集中審議でも問題にいたしました、このロッキード社のいわゆる賄賂事件と関係がここに出てくるわけであります。  そこで私は、六日の集中審議でいろいろ指摘をいたしました。大事な点だけもう一遍おさらいをいたしますと、この白紙還元の政治的な背景、それとロッキード社の賄賂事件との関係をひとつ明確にしてみたい。四十九年の八月三十一日、九月一日、田中・ニクソン・ハワイ会談が行われたことはこの前指摘したとおりです。ここで十億ドルの対米緊急輸入の中から、三億二千万ドルをいわゆるエアバスを含む民間航空機の緊急輸入、それを合意されたわけです。これは発表されたから表面に出ました。実はそのときに二つの密約があった思われる。一つは、問題にいたしましたすでにそのときエアバスの機種はトライスター、いま一つはこのP3Cオライオン、ロッキード社製です、これを輸入する。この二つの密約が行われたと見なければならない。  そこで一体、P3Cは、現在価格で一機幾らになっていますか。そして防衛庁は、もし輸入する際、何機を必要と考えておられますか。
  79. 丸山昂

    丸山政府委員 P3Cの場合でございますと、これはただいま私どもポスト四次防の作業をやっておりますので、全体の防衛構想の中で数並びに機種を決めてまいらなければならないわけでございまして、P3Cの場合にどうなるかということについては、いまの段階ではっきり申し上げられないわけでございますが、かねがね申し上げておりますように、現在われわれが固定翼潜機として保有しておりますのはP2J、P2BそれからF2F、こういったものを合わせますと約百機でございますので、その航空機の性能その他から考えましてこれをオーバーすることはないというふうに考えます。
  80. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうすると希望機数は百機程度、価格は五十億とも言い六十億とも言われておる。こういうふうに言われておるのは、部品も含めた全体の価格ですか、それとも機体の価格ですか。一体、そういう一機の価格の中に占める機体の価格は何%ぐらいですか。
  81. 江口裕通

    ○江口政府委員 近着の「エービエーション・ウィーク」という雑誌がございますが、それによりまして七七年度の米海軍の調達予定P3Cの価格が出ておりますが、約千九百万ドル程度と言われております。それについては、一応部品は入っておらないのではないかと推定いたされます。(楢崎委員「何%ですか、機体は」と呼ぶ)ちょっといま手元に資料がございませんので、後でまた申し上げます。
  82. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そのくらいのことは常識じゃないでしょうかね。いいですよ、正確なところ、すぐ調べて御報告ください。  おわかりのとおり、この六十億円という金額は、これは部品が含まれてない。そうすると、一機大体百億ぐらいになるんじゃないですか。それの百機と言えば幾らになりますか、予算的に考えますと——一兆円ですね。これは大変な金額です。商社から見たら、のどからよだれが——どういう表現で言ったらいいんでしょうか。(笑声)つまりトライスターの価格に比べて、このP3Cの方は大変な金額になるんです。いいですか。だから、あの献金、賄賂が渡されたというあの年月を見てみますと、最低言えることは、まずトライスター、機種が決定されたのが四十七年の十月三十日ですから、それ以降の献金分は少なくともトライスターとは関係ない。P3Cのものと思わざるを得ない。しかも、いまの金額から考えるならば、まずトライスターで突破口を開く、そして本命の一兆円商品であるP3Cの布石をこのトライスターでやった、このように思うのが普通であります。しかも、四十七年九月一日のハワイ会談後たったの一ヵ月で、先ほど申し上げたせっかくいままで国民の税金を使って国産の開発のために委託研究をやらせておったそれを、たった一月の間に、防衛当局には全然相談せずに、田中総理と後藤田官房副長官、それに相沢主計局長、この三人の間で決定された。たった一月の間に。だから、九月一日のハワイ会談ではP3C輸入の密約が行われたに違いない。客観的な動きはすべてそうなっておる。しかも、言われておるところでは、相沢さんも後藤田さんも田中さんのグループじゃないんでしょうか。うなずかれておりますから、お詳しいでしょうからそうだと思います。そうすると、まさに田中一家でこの白紙還元を行ったということになるじゃありませんか。だからこれもまた田中金脈の一環と言わざるを得ない。  したがって、私はここで委員長にわが党として要求をいたしたいと思います。田中角榮氏、後藤田氏、相沢氏を証人として当委員会に喚問せられんことをお願いをいたします。その点いかがでしょうか。
  83. 小山長規

    小山(長)委員長代理 証人喚問については、きのうの理事会で特定いたしております。ただいまのは追加の要求でありますので、改めて理事会で相談をいたします。
  84. 楢崎弥之助

    楢崎委員 さらに、ここに明白にしておかなければいけないことは、これはいずれ証人喚問のときにはっきりするでしょうが、民間機の場合は、形式的には全日空の新機種選定委員会で機種を選定する仕組みになっておる。いいですね。しかし、このP3Cというのは政府の決定事項である。したがって、このために金が動いたとすれば、明らかに贈収賄の疑いが生まれる。それを指摘をしておきたいと思います。  さっきの機体のパーセント、わかりましたか。
  85. 江口裕通

    ○江口政府委員 対潜機の機体比率は、現在ございますP2Jを例にとりますと、約五〇%でございます。  それから、先ほど先生ちょっと御指摘になりました点で一点だけ申し上げたいと思いますが、ロッキードから、たとえばP3Cを導入するといたしました場合、二つの方法がございます。一つは完全輸入でございます。それからもう一つはライセンス輸入でございます。完全輸入の場合はかなり先生の御指摘のような数字に近い数字が出るわけでございますが、ライセンス生産の場合はライセンスフィーを払うという形になりますので、このフィーの大きさが問題でございますが、全体を輸入するという場合とは数字が大分違ってくるということでございます。
  86. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そこで総理指摘をしておきたいのでありますけれども、せんだっての私の質問に対しても、三木内閣は関係ありませんと胸を張って声を大にしておっしゃいました。ところが、もし問題の人が現閣僚から出たときには、仮定の問題でありますけれども、直ちに三木内閣に関係する。  さらにいま一つは、このP3Cの問題はまさに三木内閣が間近に抱えておられる政治課題であります。したがって、再度私は総理に要請をしたい。このロッキードの賄賂問題が明白に解明されるまでは、このP3Cの輸入については取りやめるべきである。これだけはひとつ明確にしていただきたい。
  87. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 防衛庁の機種について国民の疑惑を受けるということはよくないですから、国民の疑惑を受けないように慎重な態度で機種の選定をいたします。  前段の仮定の問題についてはお答えはできません。
  88. 楢崎弥之助

    楢崎委員 いずれ私どももこの次期対潜哨戒機の問題については十分国会からの監視をいたしたいと思いますので、事態を見守りたいと思います。  久保説明員はお帰りになって結構です。  次に、自動車の排ガス規制の問題に移りたいと思います。  なお、この自動車の排ガス規制に移るまでに、時間の関係がありますから、一言、この防衛問題に指摘をしておきたい問題があるわけです。  これはブラウン議長が、この在日米基地をもうこれ以上減らすとアメリカ戦略に大きな影響を与えるという指摘をこの報告でなさっていらっしゃる。したがって、在日米基地の問題については、一方においては今度は予算削減の観点からの問題がアメリカにはあるわけでありますから、今後在日米基地の抱える問題は、せんだっても私が指摘しましたりエントリーの問題、再使用の問題。一遍自衛隊なら自衛隊に管理さしておって維持費は日本側に持たせる、そして必要なときにぱっと使う、この方式であります。いま一つは、基地のリロケーションの問題である。なるべく日本側の負担で基地を稠密化し、集約化し、質的に高める、これを日本の費用でやる、この問題が出てきます。  そこで私は一点だけこの件で聞いておきますが、いままでのリロケーションで支出した金額及びアメリカから要求されておるリロケーションの問題について、いろいろこれから折衝はなさるのでしょうが、その折衝はいまからやることを前提にして、アメリカ要求されておるいまの状態を日本の金額に直せば合計どのくらいになるか。この試算をひとつ明らかにしていただきたい。
  89. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 お答え申し上げます。  米軍施設のいわゆるリロケーションなどに要した工事費は、昭和四十六年から四十九年まで支出したものとそれから本年度の支出計画額、これを加えまして、さらに一般会計、特別会計全部合わせまして約九百七億九千八百万円でございます。  また、五十一年度予算としてこの委員会で御審議をお願いしておる予算要求額は、一般会計、特別会計合わせまして約三百五十六億二千三百万円という金額でございます。  それから最後にお尋ねございました、今後どの程度金がかかるかということですが、これは御質問にもございましたように、これから日米間の調整を整えてだんだんと詰まっていくということになりますので、まことに大ざっぱな目の子の計算しかできませんが、いま話に出ておるものを仮にただいま考えられる単価で単純に計算してみますと、大体五十二年度以降試算額として約千七百五十億円かかるということになりますが、これはまことに目の子の試算でございまして、こういうものが今後どうなっていくかということは今後の折衝いかんにかかっておるというふうに考えております。
  90. 楢崎弥之助

    楢崎委員 お聞きのとおり、これはいまから折衝して、なるたけ費用の少なくかかるようにするという余裕はまだあるわけですけれども、目を見張るような金額を使ったし、またびっくりするような予算をこれから行使しなければならない、このリロケーションのために。で、このリロケーションの問題については大平さんとずいぶんやりましたね。そして統一見解を出されました。少なくともとんでもない形の変わるようなものをつくってはいけない、そういうものに日本の費用を使ってはいけない、大体見合うものでなくちゃいけないという統一見解でありました。その点私はきちっと守っていただきたい。われわれはとりあえず三沢、岩国のリロケートの模様を調査に行きますけれども、あのときの問題があるから。これは十分ひとつ予算上も監視をしていただきたい。  時間がありませんから、リロケーションとリエントリーの問題は別の機会にしたいと思います。  そこで、自動車の排ガス規制の問題に移りますが、新国民車構想というものを打ち出された。これは一体いまどうなっておりますか。運輸省……。
  91. 木村睦男

    ○木村国務大臣 自動車局長からお答えいたします。
  92. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答えいたします。  実はこれは数年前に、私の記憶では、通産省が新国民車構想というのをお出しになったと記憶いたしております。これは現在通常使われておりますたとえば二千CC前後の車よりももっと小型で、日本の国情ないしはエネルギー事情等に合った車というふうに考えております。具体的にどのくらいの大きさのものにしたらいいかということにつきましては、まだ全く白紙でございますが、何とか、最近の排気ガス公害の問題、エネルギーの問題、あるいは日本の道路が非常に混雑しているというふうな問題から考えまして、日本の社会に合った、いわゆるもっと小型で効率のいい車をつくることが必要なんじゃないかというふうに考えておりますが、しかし、これは生産の段階の問題になりますと通産省の御所管でありますので、十分関係各省相談いたしまして、近い将来そういったことが出てくればいいなというふうな程度のものでございます。
  93. 楢崎弥之助

    楢崎委員 いま全然出ていませんか、メーカーの中で、具体的に。
  94. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答えいたします。  まだ出ておりません。
  95. 楢崎弥之助

    楢崎委員 後で申し上げるけれども、あなた方はメーカーと懇談会を定期に持っておられるようですが、情報の収集については全然なっておりませんね。後で指摘しますけれども、トヨタの覆面車30Bというのがある。これは後で私説明しますけれども。だから、国民車構想は現にある、白紙じゃない、こう私は指摘をしておきたいのであります。  そこで、五十三年規制についてでありますが、環境庁にお伺いいたします。  せんだっての新聞報道によると、いわゆる自動車のNOXの低減技術検討委員会がもう一遍メーカーを呼んで検討するということになっておったのを、二月二日にこう発表しておる、四月に予定していたメーカーからのヒヤリングを取りやめる。これはその理由をひとつ明らかにしていただきたい、取りやめた理由を。
  96. 小沢辰男

    小沢国務大臣 別に取りやめたという決定をしたわけではございません。ただ、先生方は、御承知のように全部大学教授なものですから、入学試験その他のいろいろなあれがありまして、それを少し延期している、こういうだけのことでございます。
  97. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうすると、延期ということですね。  それじゃ、長官、メーカーの中で一社でもこの五十三年規制のエンジン開発について成功をし、量産化なりそういった見通しが立てば、予定どおりこの五十三年規制を行われますね。
  98. 小沢辰男

    小沢国務大臣 すでにごらんいただいているかどうかわかりませんが、私どもの検討委員会の四人の先生方は二十六回も昨年検討会をやりました。メーカーの研究所等にも実際に参りまして、いろいろ検討をいたしていただきました。その検討の中間報告を昨年十二月にいただいております。その中に詳しく各社の開発状況がございますが、なお、五月ごろにはまたさらに第二次の検討委員会の報告をまとめ、ことしの秋には最終的な態度を決定する、こういうことになっております。  一社でもとおっしゃいますけれども、やはり全体の開発に——ただ、研究段階で成功いたしましても、実際の実用化の問題についてはいろいろな問題が関連してまいりますから、私どもは技術検討委員会をせっかく委嘱いたしましたので、この検討委員会の先生方の結論を待って実施をしたい、またこの秋にはそのめどはつく、こういうふうに考えております。
  99. 楢崎弥之助

    楢崎委員 いまお話しのとおり、この検討委員会のめどがまだ立っていないという、大まかに言えばそういう発表が行われた直後、実はどんどんどんどんめどが立ちましたといってメーカーが発表していますね。言うなら、検討委員会の発表は全くナンセンスみたいな形になってしまう。たとえば本田技研は、CVCCエンジンの改良開発成功、これはことしの一月二十日に発表している。量産見通しを明らかにする。次に富士重工、SEECIT方式エンジンの改良、商品化のメドを今秋までに出す、これはことしの一月十六日に発表しておる。東洋工業、ROSCOロータリーエンジンの開発成功、これはやはりことしの一月二十六日に発表しておる。三菱自工は、いわゆるリーンリッチエンジンの新開発を行う、量産化のめどがつくと発表している。これは昨年の十二月の三十日であります。日産はことしじゅうに結論を出すと言っておる。トヨタだけが二年延長説を明確に言っておる。だから、ほとんどのメーカーがめどはあると言って発表しておるのですね。だから、この検討委員会の検討は何を検討されておるのか私はさっぱり見当がつかないのでありますが、そういう状況である。  そこで、あなたがおっしゃったような条件の開発に、量産化、実用化のめどをつけた開発に一社でも成功したならば、あなたは依然として五十三年規制を行いますか、と言っているんです。
  100. 小沢辰男

    小沢国務大臣 いまおっしゃいましたような各社の目標達成状況というものについては、東洋工業、本田、富士重工、日産、三菱、それぞれ全部検討委員会の先生は把握いたしております。ただし、あの中間報告は、御承知のように九月までの検討の結果をまとめたものでございますから、その後のものは確かに入っておりません。したがって、今後二回ぐらい先生方の時間をいただきまして、この開発状況のチェックをすぐやる、こういうことになっております。  最後の御質問の、一社でもついたらと言いますが、開発にめどがつくということは、大体私この秋には本田技研なりその他についてめどがついてくるだろうと思います。したがって、その開発のめどがついたものを私どもの先生方で十分検討していただいて、安全性なりその他に問題がなければ、もちろん当然五十三年規制の実施の時期は、いろいろ出る車の量にもよるが、全体の一%程度しかできないものをやってみてもなかなか車の需要にこたえられないということにもなりますので、その辺のところは検討委員会の先生方の客観的な、技術的な評価によって、私どもはそのままひとつやっていきたいと思います。決してその他の政治的配慮はいたしません。
  101. 楢崎弥之助

    楢崎委員 この排ガスの問題についてはいろいろ過去もありまして、そうおっしゃってもなかなか信頼できないところがあるのですよ。どうもいまの御答弁を聞いておっても非常に積極性が見られない。  そこで私は、この問題と絡めて、モデルチェンジの問題に入ってみたいと思うのであります。  四十九年の四月末ですか、通産省は機械情報産業局長の通達で、メーカーあて、このモデルチェンジに対する自粛を要請されたと聞いておりますが、そのとおりですか。それは文書としてありますか。
  102. 熊谷善二

    ○熊谷(善)政府委員 お答えいたします。  四十九年の五月に、モデルチェンジの自粛につきまして関係のメーカーに対しまして、モデルチェンジは公害、安全対策等社会的な要請にこたえるものを最優先して行うことにしてほしい、また、単に構造変更を目的とするモデルチェンジは特別の場合を除きまして極力自粛されたい、こういう通達を出しておりまして、その後モデルチェンジにつきましては、運輸省に出されました型式承認の際の協議の段階におきまして詳細に内容を検討して、指導をいたしております。
  103. 楢崎弥之助

    楢崎委員 この政府見解に自工会は協力をそのとき約束したと聞いておりますが、その後今日まで協力しておるかどうか。また、その状態。自粛がどのように行われているかをあなた方はどのように追跡調査をされておるか。具体的にお答えください。
  104. 熊谷善二

    ○熊谷(善)政府委員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、私どものモデルチェンジのチェックポイントでございますが、一つは、公害対策の技術が機能にどの程度貢献するものに変わっているのか、また、保安基準との関連がどうであるか、また、省燃費等の対策に効果があるか等々、特定の基準に基づきましてチェックをいたしておるわけでございます。先ほども申しましたように、当方の具体的な指導の段階は、運輸省との協議の際に具体的に出されます型式につきましてチェックをいたしておるわけでございます。全体の私どもの今回の通達につきましては、おおむねその指導に従って徹底されておるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  105. 楢崎弥之助

    楢崎委員 当委員会でもせんだっての、去年でしたか、臨時国会だったと思いますけれども、駆け込み生産のことが問題になりましたね。駆け込み生産については、その後改善されましたか。
  106. 熊谷善二

    ○熊谷(善)政府委員 お答えいたします。  前回、当委員会におきまして駆け込み生産問題が討議されまして、その際、私ども各メーカーから生産計画を毎月とりましてチェックをいたしていたわけでございますが、九月の時点の計画と、それからその後の十月から十一月にかけましての生産の状況に問題点がございまして、先般この委員会でお答えいたしましたような指導をトヨタについて行ったわけでございます。  その後の状況につきましては、九月時点の調査と十二月時点の私どもの調査と比較いたしますと、総数におきましておおむね対策車、未対策車の計画はほぼ予定どおり実施されてきたというふうに考えられております。
  107. 楢崎弥之助

    楢崎委員 あなた方の資料によると、五十一年、ことしの一月から三月の生産見通しの中で対策車と未対策車の比率は九五・六%。この数字は、ほとんど未対策車の駆け込みを示しておるんじゃありませんか。大部分が未対策車でしょう。これは駆け込み生産が行われるということをあらわしておる数字じゃありませんか、どうですか。
  108. 熊谷善二

    ○熊谷(善)政府委員 四月から十一月までの国内向け乗用車の生産の数字でございますが、私ども九月時点におきまして、対策車の生産がこの四月から十一月までの間に約二十九万台であると考えておりました。ここに実績として出ておりますのは二十八万八千台でございまして、これは全体の約一五%に相当いたします。御承知のように、十二月に入りまして以降はツーサイクル車を除きまして全部切りかわっておるわけでございますが、この十一月までに至る間、各車種の生産段階でのいろいろな段取りの調整、また型式承認、その他手続もございまして、十一月の時点におきましては約半分のものが対策車というふうに各月逐次上がってきておりますが、トータルといたしますと、四月−十二月の合計をいたしますと約二割が対策車である、こういう実績になっておるわけでございます。
  109. 楢崎弥之助

    楢崎委員 あなたがどんなにおっしゃろうと、パーセンテージの上から結局駆け込み生産をあらわしておるじゃありませんか。ちっとも直っていない。あなたのところは、排ガス規制のためと称してモデルチェンジあるいはマイナーチェンジの型式申請を受領するのでしょうが、どんなものがいま申請されておりますか。各メーカーのモデルチェンジの計画中の車種や、あるいは立ち上がり、生産開始の時期、あるいは台数、こういったものをどの程度把握されておりますか。
  110. 熊谷善二

    ○熊谷(善)政府委員 お答えいたします。  先ほども申し上げましたように、私どもが各社からの資料に基づきましてチェックをいたしますのは、型式承認申請を運輸省に提出されまして、その後運輸省から当方に資料をもとに協議がございます。その段階で通産省のモデルチェンジ自粛の指導の実態を把握し指導をいたしておるわけでございまして、全体の詳細につきましては、その都度運輸省の方の型式承認の出された数字をもとにしてチェックをしておるわけでございます。協議のあった都度指導をいたしておるというのが実態でございます。
  111. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答えいたします。  二月七日現在で、型式指定の申請を受け付けておりますのが二十七型式でございます。内容は七社でございますが、二十七型式でございます。(楢崎委員「どういう車種があるか」と呼ぶ)いまちょっと持っておりませんので、戻らしていただきます。——お答えいたします。会社別に申し上げますと、トヨタ、クラウン一型式、カローラ一型式、スプリンター一型式、コロナ三型式、セリカ一型式、カリーナ二型式。日産、チェリー一型式、サ二一二型式、ブルーバード三型式、ローレル二型式、スカイライン二型式、バイオレット三型式、シルビア一型式。いすゞ、フローリアン一型式、そのほかクーぺ一型式。それから三菱、これはちょっと字がはっきりいたしませんが、シグマ三型式、ミニカ5一型式。本田がシビック一型式、アコード一型式。ダイハツがフェローMAX一型式。スバルレックス一型式。合計二十九でございます。先ほど二十七と申しましたが、もう二つふえまして二十九型式でございます。
  112. 楢崎弥之助

    楢崎委員 いまおっしゃられたものの生産開始の時期をつかんでおられますか。
  113. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 生産開始の時期につきましては把握いたしておりません。
  114. 楢崎弥之助

    楢崎委員 この生産開始時期を把握しておらぬと、またこれは駆け込み生産という事態がわからぬでしょう、時期を明確にしておかぬと。  時間がないから私の方から言っておきますけれども、普通フルモデルチェンジの場合には大体どのぐらい人間を必要とし、どのぐらいの金がかかると思っておられますか。
  115. 熊谷善二

    ○熊谷(善)政府委員 お答えいたします。  モデルチェンジにつきましては、一概には申し上げられませんが、概して基礎設計の段階から約三年程度の期間がかかるというふうに承知をいたしております。  お金につきましては、個別のケースによって違うかと思いますが、ちょっといま手元に資料を持っておりません。
  116. 楢崎弥之助

    楢崎委員 少なくとも百億円以上はかかるんですよ。二百億という資料もあります。私はここに持っておりますが、数百億と書いてあるものもあります。大変な金がかかる。そして大体一月に五千人程度要る。百万単位の時間がかかる。大変なこれはモデルチェンジには金も人も要るのです。時間も要る。  そこで、これはなかなか発表したらいかぬそうですけれども、私は、いわゆる自動車愛好者や自動車を使っている人、いまから買おうという人があるかもしれないからはっきりしておきますけれども、車種名、それから社内開発記号、それから生産開始の時期、ずっと以下言います。  日産の場合は、まずブルーバード、社内開発記号UX、これはフルモデルチェンジ、発表は大体ことしの七月ごろの予定である。生産開始の時期はまだわかりません。いま数を言っておきますが、セダンが一万二千七百台、ハードトップが三千四百台、それからVWが四千五百台。スカイライン、BPは一万七千台、生産開始時期は五十二年五月、フルモデルチェンジ。ローレル、BQ、七千五百台、フルモデルチェンジ。これはずっと各月ごとに工試、生試が出ておりますけれども、生産開始の時期はまだ未定であります。バイオレット、VX、一万八千台、生産開始時期は五十二年四月、フルモデルチェンジ。サニーエクセレント、VZB、生産開始時期は五十二年十月、フルモデルチェンジ。サニークーぺC二万一千五百台及びサニーセダンA二万六千台、生産開始時期は五十二年一月、フルモデルチェンジ。セドリック、グロリア、一万台、これはマイナーチェンジ。プレジデント、百五十台、これもマイナーチェンジ。フェアレディZ、S30、六千五百台、これはマイナーチェンジ。最後三つは生産開始時期が明らかでありません。そしてこの日産では、フルモデルチェンジあるいはマイナーチェンジの前に、五十一年の排気対策が完了したエンジンをいままでの車に載せるという方針で進めておるようであります。  それからトヨタ。有名なマークII、P1、九千四百五十台、このうちセダン三千台、バンが二千台、生産開始時期は五十二年三月。カローラ、159B、五万一千四百三十台、そのうちクーペ四千台、バンが一万五千台、生産開始時期は五十二年四月。スプリンター、164B、これは一万二千二百五十台、このうちクーペは七千台、これも五十二年三月。全部いままで言ったのはフルモデルチェンジであります。そして、先ほど指摘をいたしました30Bというのは経済車、三万台を目標にしておる。これは生産開始は五十二年の秋になる模様であります。これが有名な省資源対策の大衆車であります。クラウン、180B、これが一万百台、ハードトップは三千、生産開始時期は五十二年二月。コロナ、150B、二万七千三百台、五十二年三月生産開始。このクラウンとコロナはマイナーチェンジ。さっきの30Bというのは全然新しい車であります。  そこで、私が指摘したいのは、このモデルチェンジは自粛をする、単なる売らんがためのモデルチェンジは自粛をするという方針でありますが、これらはそうじゃないのですね。モデルチェンジの条件としては、たとえば公害対策とかあるいは省資源とかあるいは新開発とか、そういう場合はよろしかろう、単に売らんがためのモデルチェンジはだめだ、金を食うばかりだから、それは一般の消費者に迷惑かけるからという方針であった。これで、公害対策車あるいは省資源あるいは新開発と思われるものはいま何種ありますか。ないんですよ。もし、あなた方が規制に間に合わせるためということを言うとするならば、それはうそなんだ。いままでのモデルチェンジをしないものに一部はずっと乗せてきているのです。  だから私が申し上げたいのは、こういうむだなことをやめて、金を食うモデルチェンジ、百億を超すと言われておる、人間も一月に五千人も要る、百万時間以上要る、こういったことをやめて、まさに環境庁長官、五十三年規制車の開発に取り組みなさい、これを私は申し上げたいのです。いま一つは、それぐらいの金があるならば、そんなばからしい売らんがためだけのモデルチェンジだけの金があるならば、いままさに欠陥車の問題がある、安全対策のための手を施しなさい、これを私は言いたいのです。  それで、時間がなくなりましたので、この安全対策の問題についてお聞きをしておきますけれども、アメリカに対して輸出しておりますね。これはアメリカの方は非常に安全対策について規制をしておりますから、このアメリカに対して輸出をしておる車と国内車、国内で販売しておる車のその安全対策上の違い、それをちょっと簡単に言ってください、もう時間が少なくなりましたから。
  117. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答えいたします。  自動車の規格、安全性等につきましては国際的な問題でございますので、国際会議等でできるだけその辺をそろえるということにいたしておりますが、一部国産車と対米輸出車の間に違いがあります。  端的に申しますと、車両の内装材の繊維の問題、難燃性繊維、燃えにくい繊維というふうなものが輸出車に使われているという問題がありますが、ただこれにつきましては、なぜそれじゃ国産車にもそれを全部適用しないかということにつきましては、アメリカの輸入する先の方が指定してきておりますので、そういう難燃性の使用をして出しておりますけれども、実はその難燃性を施した加工自体の耐久性が若干問題がございますので、まだ国産車全般にそれを及ぼすというところまでいっておりません。これは研究いたして、なるべくそろえたいと思っております。
  118. 楢崎弥之助

    楢崎委員 異なことを承りますね。大体四十七年の九月から、たとえばアメリカに輸出しておるものはシートは難燃性のものを使っていますよ、そうしなくてはいけないから。それがなぜ日本のものに使えないのですか。  ここに私新聞を持っておるけれども、これは四十八年の十二月十二日、鹿児島で車が、ちょっとお父さんが子供二人を入れて外しておる間に燃え出した、それで助けにいこうと思って走っていった、四分間で全焼ですよ、四分間で。子供二人が焼け死んだ。これは燃えやすいシートを使っているからです。いま日本の車全部そうですよ。なぜか。あなた方が言っておるのは、燃えたときに変なガスが出る。じゃアメリカに輸出しておる方は、難燃性のもののシートから妙なガスが出ても輸出して、日本の場合は、それを使うと妙なにおいが出るからぐあいが悪いのだ、どこでそういう理屈が立つのですかね。どこへ立つのです。アメリカ人にはにおいは余りわからないのですかね。一体何やっておるのです。
  119. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答え申し上げます。  アメリカに輸出しております車につきましては、アメリカの法規制に従った規制で出しております。したがいまして、アメリカの法規制に合った難燃性を確保されておりますけれども、私どもとしては、これを日本の体制として強制するにはまだ若干問題が残っているということでございますので、なお検討を重ねまして、問題のない材質にいたしました上でこれを強制するようにいたしたいということでございまして、運輸技術審議会という審議会がございますが、そこの審議会の場などを使いまして、なるべく早くこれを規制の方向にいたすべく検討いたしたいと思っておりますが、現在のところまだ問題が若干残っておるわけでございます。
  120. 楢崎弥之助

    楢崎委員 あなたの方からもらったものには「燃えたときの毒性ガスの処理問題がある」と書いてありますね。そういう問題があるものをアメリカには輸出しておるのですか、そういうシートを張って。これは何とおっしゃろうとわれわれには理屈としてわからないですよ。一体欠陥車として各メーカーがいわゆるクレーム代として払っている金はいまどのくらいあるのです。
  121. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答え申し上げます。  自動車のメーカーが欠陥対策の処理をいたしますときの経費ですが、各社それぞれにございますけれども、合計いたしまして約二億円ほどでございます。
  122. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それはどなたか知らないけれども、リコールされた分だけなんです。実際に内部でチョイナチョイナで片づけておるのです。チョイナチョイナという言葉は悪いですが、どう言うのでしょうか、内部的に……(「ないしょないしょ」と呼ぶ者あり)ないしょないしょで片づけておるのです、金やって。実際は百億を超すと言われておるのですよ。いいですか、それほどの欠陥車がある。道路運送車両法百条によって立入調査権があるのですよ。なぜこういう欠陥車に対して十分立入検査をしないのですか。  それからもう一つ、車両欠陥の発生防止に関する研究の予算は一体幾らになっておりますか。約束した分ですけれども。
  123. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答えいたします。  そういう項目で整理した数字はわかりません。
  124. 楢崎弥之助

    楢崎委員 全然予算はつけてないのです。この欠陥車をなくすための研究の費用というのは全然ない。だから何もやっておらぬということですよ。いいですか。「型式指定自動車メーカーの監査状況」というものをあなたのところからもらっている。この中に「自動車メーカー監査内容」として、たとえば「品質に関する管理状況」とか、あるいは「外注品等に関する品質管理体制」とか「リコール体制」とか書いてある。これだけのことを一応項目としてやっていることになっているが、何やっているのですか、予算もなしに。全くのおざなりの監査ではございませんか。  そこで、四十四年の六月の通達で、陸運事務所に専門官を置くように約束しましたね。置いてますか。
  125. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答えいたします。  陸運局に事故公害課というのをつくりまして、そこに専門官を配置いたしております。
  126. 楢崎弥之助

    楢崎委員 いや、現実に各地の陸運局におりますか。全国に何人ずつ配置しているのですか。
  127. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答えいたします。  九つの陸運局に一人ずつ配置いたしております。九人でございます。
  128. 楢崎弥之助

    楢崎委員 公害関係の検査員はそのほかにおるのですか。
  129. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 検査の仕事は車両検査の仕事の一環としてやっておりますので、これはいわゆる車両検査官の数がそれに当たると思いますけれども、検査の仕事は、公害に関する検査の仕事もいわゆる一般の安全に関する車両検査の仕事と一緒に処理いたしておりますので、車両検査官の数ということになると思います。
  130. 楢崎弥之助

    楢崎委員 あなたはうそを言っているのだ。こういう欠陥車をいろいろ指導するための立ち入り調査その他をするそういった専門官はいないのですよ。あなたがいま言っておるのは、実際に公害関係の排ガスの検査をする、それと、民間の車検場の専門官だけを置いておるのですよ。欠陥車関係の調査官はおりませんよ。よく調べて返事してください。そういう無責任なことを……。
  131. 小山長規

    小山(長)委員長代理 楢崎君に申し上げます。  質問時間が終了いたしますので、結論を急いでください。
  132. 楢崎弥之助

    楢崎委員 とにかく時間かかりますものね。委員長、私も協力しますけれども、もうすぐ終わりますよ。  だから、約束どおりきちんと、こういった安全対策のためにも責任のある専門官を各現地に置くべきである。それから環境庁長官、これから排ガス規制をどんどんやるのですが、経過車と申しますが、一たん検査に通って外に出て使用されておるやつの検査体制はないのです。そういうものを検査する人はいないでしょう。あるいは各陸運事務所に器具ありますか。これはないのです。全く底抜けになっているのです。幾ら規制車をつくったって、ちょろちょろと検査のときに、あなた方となあなあやって、まあよろしかろうと許可もらったらもうそれでおしまい。後どんな車つくったって——全くなっておらぬですよ。だから私は、そういう点も十分ひとつこれからやってもらいたい。いまのような体制では、排気ガス対策なんて全然しり抜けになっているのです。何か言いたいことございましたら、それをお聞きして、私はこれでやめます。何か言いたいことないでしょう、私が言ったとおりだから……。
  133. 小山長規

    小山(長)委員長代理 木村運輸大臣、明確に。
  134. 木村睦男

    ○木村国務大臣 排ガスの問題と欠陥車の問題、両方あるわけでございますが、その使用の段階におきます十分な監督、監査等、いま御指摘のように十分でない点も多々あると思います。今後ともこの点は十分注意をいたしまして充実を期したいと思っております。
  135. 小山長規

    小山(長)委員長代理 これにて楢崎君の質疑は終了いたしました。
  136. 楢崎弥之助

    楢崎委員 会計検査院が来られたので、一言だけ、さっき残っておりましたから、会計検査院がお見えですから……。
  137. 小山長規

    小山(長)委員長代理 会計検査院の分だけ質疑を延長します。
  138. 楢崎弥之助

    楢崎委員 一問でよろしゅうございます。  お聞きになっていなかったと思いますけれども、概略言えば、いわゆる次期対潜哨戒機、これを国産化する方針で、四十五年度には二千百四十八万円使っている。四十六年度には三億百万のうち二億八千九百万使っている。四十七年度の六億八千六百万というのは執行しなかった。ところが、これほど金を使っておって国産化の方向で技術研究開発を行う。川崎重工等と契約を結んでやっておった。委託契約を結んで、金をやってやらしておった。突如としてこれが四十七年の十月九日白紙に還元された。そしていまの方向は、P3Cオライオンを輸入するというふうに変わってきた。百八十度の転換である。こういう事実に対して、全く国民の税金のむだ使い、全くのむだ使いになっている。捨てたようなものです。会計検査院はこういう事態に対してどのような見解をお持ちですか。
  139. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 いま先生御指摘のように四十五年度、四十六年度、相当大きな金を使っています。そして政策の変更ということでこれらの研究がいわば表面的にはむだになったようなかっこうでございますが、これはどこまでも政策の変更でありますので、その辺の事情につきましては、われわれ会計行為を批判する立場からはとかくの表現は差し控えたいと、こういうふうに考えます。
  140. 楢崎弥之助

    楢崎委員 委員長、これでやめますが、何のための検査ですかね、あなた方やっているのは。国民の税金が正しく使われておるかどうかを検査するのでしょう。だから、不正事項とか違法事項を指摘しておるじゃありませんか。それにこういう事態に対して何も言うことありませんなんて、何たることですか。もう時間がないから、また質問の機会がありましょうから、なお追及をすることをここで予告しておいてやめます。
  141. 小山長規

    小山(長)委員長代理 これにて楢崎君の質疑は終了いたしました。  次に青柳盛雄君。
  142. 青柳盛雄

    青柳委員 宮本日本共産党委員長らに関する治安維持法違反事件の問題は、戦後の民主化措置によりまして完全に解決済みのものであって、いまさら国会で論議をするようなものではないわけであります。ことに宮本氏らに対する判決なるものは、昭和二十年、勅令七百三十号によりまして、「将来に向かって刑の言い渡しを受けざりしものとみなす」ということになっておるわけでありますから、法律的には存在しないというに等しい。つまり法廷で再審等の対象にもなり得ないし、また、まして国会の場においてその権限のない問題を黒白を明らかにするというような形での論議はできないわけであります。にもかかわらず、この問題について稻葉法務大臣は、衆議院の本会議あるいは予算委員会におきましてしばしば発言をされましたが、それが明らかに不当であるということで、私ども日本共産党国会議員団はその答弁の取り消しを求めたのでありますが、稻葉法務大臣の方から、委員会その他の場所で答えたいというような御回答がありましたし、わが党としてもこの問題は黙過することはできないというふうに考えますので、二、三の点について御質問いたします。  まず、法務大臣は一月二十八日の参議院本会議におきまして、わが党沓脱議員の質問に対し、「戦前の裁判所が下した判決の内容の当否について意見を申し述べる立場には私はないわけです。」と明確に答弁をされました。稻葉法務大臣は現在もこのような立場をとっておられるのかどうか、この点をまずお尋ねしたいと思います。
  143. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 まず第一番に、昭和二十年五月四日の確定判決には付記があって、将来に向かってその効力を失う意味、つまり将来に向かって判決の言い渡しがなかったものとみなす、こういうことがあるんだから、一切御破算という御見解のようですが、それは、私は見解を異にいたします。確定判決があったという、一条の事実そのものは全部御破算、一件落着、こうなるのではない。これが一つお答え。  それから、一般的に、参議院の沓脱議員の質問に対して答えていることは、いまでもそのとおり、一般論として確定判決の当否について学問的な批判をすべき立場にない。確定判決には行政機関も国民もこれに従うものである、こう思っております。
  144. 青柳盛雄

    青柳委員 総理にお尋ねいたしますが、いま法務大臣が最後に言われました、裁判の当否について行政機関である政府がその意見を述べるということは、立場上、越権的なものである、そういう趣旨の答弁がありましたが、総理もこの態度が正しいとお考えになるかどうか、その点をお尋ねしておきます。
  145. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 現在の政府が、過去の裁判という、過ぎ去った裁判に対して、この当否を述べる立場にないという法務大臣の答弁は、私は妥当だと思うわけでございます。
  146. 青柳盛雄

    青柳委員 ところが、一月三十日の当予算委員会におきまして、稻葉法務大臣は、民社党の塚本議員の質問に対していろいろと判決内容について発言をされ、「裁判所の認定の方が事実に適合するように私どもは判断をいたしておる次第です。」と答弁をされました。これは明らかに裁判の当否についての独自の見解を表明したことになると思いますが、あなたは、この前の答弁とこの答弁との食い違いということをお認めになりますか。
  147. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 それは違うのです。矛盾してないと私は思っているのです。塚本議員に対する私の答弁の本旨は、この事件について、共産党の不破議員などもそうでしたが、かねがねリンチ行為はなく、小畑氏の死因は異常体質によるショック死である、こう主張されておりますが、当時、裁判所において有罪判決が確定している以上、法治国の政府、国民として、裁判所の終局的な判断を尊重すべきことは当然の事理であって、右判決が共産党の御主張とは違う事実を認定しているとしても、その判断が変更されないのに、一概に判決の認定の当否を言うことは適当でない、判決の中に述べてある事実が間違っておる、でっち上げだというふうに言うことは適当でない、こういう趣旨の答弁でございます。したがって、一方において、一般論として、沓脱議員に対する答弁として、裁判所の確定した判決について、当事者でもない政府が一般的にその当否について論評を加えるという立場にはないということと符節を合しておればこそ、矛盾撞着はないと私は思うのでございます。
  148. 青柳盛雄

    青柳委員 まさにこれは詭弁というものでありまして、稻葉法務大臣が塚本議員の質問に対して述べているところをはっきりさせた上でさらに質問を重ねたいと思いますが、「塚本さんの御質問の、ショック死か、異常体質による死か、こういう点については、判決の内容を読んでみますと、」云々というふうにいろいろのことを述べられて、こういう点をいろいろと総合すると、「これはやはり異常体質による自然死という——自然死ではないが、異常体質によるショック死というよりは、外傷による外傷性ショック死という裁判所の認定の方が事実に適合するように私どもは判断をいたしておる次第です。」と、はっきり評論をするというか、自己の相異なる主張の一方をとるという態度をとっているわけであります。単に確定判決の内容がこうでありますという紹介——そのことを紹介すること自体も、私どもは、その意図が明らかに、国会で論議がされ、しかもそこで政府がそれに介入すべきでないという点を踏み外している点において不当だと思いますけれども、それよりもさらに進んで見解を述べられる。決して、判決がこうなっているからそれを紹介したというようなものではなくて、明らかに政府が、判決は正しいんだ、こういうふうな立場を表明するということに帰着するわけです。これは私どもは、明らかに前の答弁と矛盾をするし、同時にそれは越権行為である、政府のとるべき態度ではない、こういうふうに考えるわけでありますが、いまの御答弁を聞いておりますと、何か、判決で決まったことを言っただけであって、別に政府の見解なるものはそこには入っておらぬのだというようにはとれないわけであります。この点、重ねてお尋ねをいたしたいと思います。
  149. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 私はこういうふうに思います。  最高裁の確定判決は、やはり再審等でその事実が覆されない限りは国も国民もこれに、三権分立の当然の帰結として従うべきものだ、したがって確定判決に示された事実をも含めて、確定判決はこれを尊重すべき立場に法務大臣もある、国民もある、こういう立場で、塚本さんの質問に対し、事実として尊重するほかはない、こういう意味で申し上げた次第であります。
  150. 青柳盛雄

    青柳委員 三権分立で、政府が確定判決について異を唱えるというようなことはこれを乱る、つまり、判決を尊重する立場から逸脱するという観点から、ただ判決の結論を紹介したというのであるならば、これはもう単なる事実の紹介というにすぎないわけでありますけれども、それ以上も進んで、これに対して異議を唱えている当事者がある、あるいは第三者がある、これはけしからぬのだ、自分は判決の方を正しいと思うのだというふうな論評をすること自体が、政府として公的に許されている権限を逸脱するものではないか。これでは三権分立の立場から明らかにそれていってしまって、政府は、無罪になった判決が正しいんだとあくまでも言い張るのと同じように、有罪になった判決もあくまでも正しいんだ、幾ら当事者が何と言おうとそれはもう政府の見解であるというような、いかにも判断を——結果を尊重するということとは違うわけでありますから、その点はごまかしてはいけない問題だと思います。明らかにこれは取り消さなければならない問題だと思います。  なお、ついでに言っておきますと、この判決以外の資料に基づいてこのような意見が出されているというその点であります。判決の内容をいろいろと紹介するような形態をとりながら、たとえば「ふろしきをかぶせたりして、こうやっているうちにおかしくなったから、ふろしきを取ってみたら死んでおった、」とか、そこでたまげて人工呼吸などをしたと宮本氏が陳述しておられるというようなことを言っておりますけれども、これは、全く判決書には書いてないことをあたかもあるように引用いたしまして、事実この発言の内容なるものは、公判での宮本氏の陳述の一部をきわめて不正確に述べたものでありますが、そんなことも判決書には書いてないのです。むしろこの判決の特徴の一つは、被告人に殺意があったとして殺人罪で起訴し、予審終結決定もそのとおり殺人罪で公判に回しましたけれども、もともと殺意がなかったという客観的事実を認めざるを得なかったにもかかわらず、この点にこの判決は触れておらない、記載を省いているということにあるわけです。  また法務大臣は、先ほども引用いたしましたように、これが体質上のショック死であるか、それとも外傷性のショック死であるかというようなことが論争されておって、それが判決に記載されてあるかのごとくに言われましたけれども、判決のどこを読んでみましても、異常体質によるものであるということを宮本氏が主張した、しかしそれはそうとは認められないんだというふうに決着をつけたんだ、そういうふうな判決の記載はないわけです。つまり法務大臣は判決を紹介するかのごとく装いながら、実際はどこからか入手したらしい情報によって、資料によって、あたかも自分の見解が正しいというようにしようとする作為が見えるわけで、この点も事実問題として明らかに逸脱をいたしている。かように考えますが、いかがですか。
  151. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 いまの青柳委員のおっしゃることはそのとおりで、私の記憶違いでまことに相済みませんが、しかし、こういう点は判決文を読んでお答えしたわけです。ピストルを持っていたことについては、判決文の中にも、それはこうこうだと述べているけれどもそうだと、この点はそれでいいですな。それからいまの活を入れたけれども生き返らなかった、こういう点は、判決文にはありませんことを判決文にあるかのごとく述べておったとすれば、それは私の誤りです。そうしてそれは他の共犯者の判決、その中で見たような気もするので、いま調査をして答弁します、これはわからぬから。  それから、さるぐつわをはめたり針金で縛ったりなんということについては、私は宮本さんがそんなことを述べているなんということをちっとも言っておりません。ただピストルの点と活を入れたという点で、活を入れたという点はあの判決にはない、ピストルを持っておったという点については宮本さんの公判陳述にある、こう判決にある、こういう説明です。
  152. 青柳盛雄

    青柳委員 これは言ったとか言わないとかといろいろと陳弁されますけれども、会議録をよくお読みになればわかりますことなんで、すでに私たち書面をもって抗議した議員に対して、公式の場所で回答をされるというふうに言ってこられたわけでありますから、当然いままでに会議録などは全部お読みになって答弁を準備していられることだろうと思いますが、たとえばさるぐつわだとかその他のことは全然いま私は質問しておりませんし、それは本会議で春日議員の質問に対する答弁の中にあるという程度のものであります。いまピストルのことを誓われたりして、それは判決に書いてある。確かにそうかもしれませんけれども、私は書いてあることを育ったからどうこうということをいま問題にしているのではなくて、全く書いてもないことまであえて述べられて、そして判断をしている。問題は、裁判所の立場を支持するというよりも、論争の中に入り込んで、そして一方の主張を正しいと思うというように越権的な行為をしていることに本質がある。これは明らかに政府としての態度から外れているのであるということを強調したいわけであります。  この点について再びお尋ねいたしますが、結論として、意見を述べたのではないと、御主張をいつまででも続けられるのかどうか。それからいまの会議録か何かをよく調べた上で、言わなかったこと、判決に書いてないことを言ったのはどうされるというのであるか、それをはっきりさせていただきたい。
  153. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 まず第一番の点ですが、確定判決には拘束力がありますから、行政機関もこれに拘束されることは当然で、それに拘束されないで、あの判決に述べている事実は全部でっち上げだとかうそだとかいうのならば、非常に越権的な行為と言えるかもしれぬけれども、確定してある以上は、判決に書いてあることは事実をも含めて尊重すべきものでしょうな、こう言うことはどうして悪いのでしょう。これが一つです。いいですか。  それからもう一つの、宮本氏が公判廷で述べておることでもないのを、いかにも述べてあるかのごとき答弁をしている——この点は私の記憶違いでしたからね。それで、それはどこかで見たのだ。しかしそれは、恐らく共犯者がたくさんありますから、膨大なあの判決、その中にどこかにあるかもしれません。ですから、それは調査の上、全くなかったらなかったというので陳謝するし、あれば、ここにございましたね、こういう御返事をいたしましょう、こういうわけでありますから、法務委員会等で明らかにしてまいる所存です。
  154. 青柳盛雄

    青柳委員 判決をどう読んでも、先ほど私が引用したようなことは書いてありません。これは客観的事実です。これをその場逃れに、いずれ後ほどなどと言っていること自体、私はとうてい承服するわけにいきません。  時間がありませんから先に進みますけれども、次に、宮本委員長の釈放及び復権に関しては本会議及び予算委員会で質疑が行われておりますので、これに関連して次の点を質問いたします。  昭和二十年十月四日のGHQの指令に基づいて行われた政治犯の釈放は、当時の新聞報道によりますと約三千名と言われておりますが、その釈放の形式及びその内訳をお尋ねしたいのであります。すなわち、治安維持法違反のみの者の数、それから治安維持法違反のほかに観念的競合とか牽連犯として他の罪名のついている者の数、さらに治安維持法違反のほかに併合罪として他の罪名がついている者の数、それぞれ明らかにしてもらいたいのであります。  次に、昭和二十年、勅令七百三十号によって復権した者についても、同じく先ほど述べましたような治安維持法違反のみの者の数、治安維持法違反のほかに観念的競合、牽連犯、あるいは併合罪として他の罪名のついている者の数をそれぞれ明らかにしていただきたいのであります。
  155. 安原美穂

    ○安原政府委員 お答えいたします。  御指摘昭和二十年十月四日の指令に基づいて政治犯の釈放が行われた場合のその数、その他詳細のお尋ねでございますが、前回にも申し上げましたように何分三十年前のことでございますので、現在詳細につきまして調査中でございまして不明でございますが、現在手元に発見いたしました記録の断片等を総合いたしますと、刑の執行中のものにつきましては、その釈放の手続、形式は、刑の執行停止ということであったことは間違いないように思われます。  なお、何名釈放されたかにつきましては調査中で、詳細、正確なことは申し上げかねますが、当時の新聞等の資料によりますと、約三千人が釈放されたということになっておるのでございます。
  156. 青柳盛雄

    青柳委員 私の質問は、さらに罪名がどうであったかということの内訳を聞いているわけであります。  それからさらに、七百三十号による復権者の数あるいは罪名によるその内訳、これをお答え願いたい。
  157. 安原美穂

    ○安原政府委員 罪名別の内訳、それから七百三十号による復権者の数並びにその罪名別の内訳等につきましては、先ほど申しましたように、正確にお答えするには目下調査中でございますので、しばらくお待ちをいただきたい、かように思います。
  158. 青柳盛雄

    青柳委員 正確に答えるためには時間を要すると言う、それはわからないわけではありませんけれども、私がいまここで問題にしたいのは、宮本氏には別罪がついているというようなことで釈放自体がおかしいのだとか、あるいは復権がおかしいのだとかいうような、全く非法律的な、また非合理的な議論が展開されかかっておる。また法務大臣も、奇妙きてれつであるなどという、本当に奇妙きてれつな答弁をしているわけであります。その点を明らかにするためには、いま言ったような問題についての明確な答えが必要だからお尋ねしているのですが、正確を期するということで、いま直接お答えがない。しかし、私どもの調査によりましても、この政治犯の釈放が執行停止という形で行われたのは何も宮本氏だけではない。非常に多いということ。それからその政治犯の中には、治安維持法のほかに他の罪名が付せられているという人が宮本氏らのほかに多数おられるということ、それから勅令七百三十号で復権された人々についても同様の状況であるということが明らかになっているわけであります。これを政府の調査によってどの程度裏づけられるかと思って質問したのですが、いま答えがありませんから、その点だけを明確にして先に進みます。  七百三十号による資格回復を法務大臣は公職選挙法違反者の復権と同じものであるかのように言われておりますけれども、これは七百三十号の資格回復の歴史的な意味や、その法律的な特質をわざと無視し、これを選挙違反に対する恩赦による復権というような、民主的な世論から大きな批判を受けあるいは反対を受けているものと同列に論じることによって、勅令七百三十号の本質を世人の目から隠そうとしているものと言わなければなりません。勅令七百三十号は、ポツダム宣言の実施に伴って、戦時中の政治犯の釈放と資格回復措置として、治安維持法など弾圧法に違反するとの理由で刑に処せられた者に対して「刑ノ言渡ヲ受ケザリシモノト看倣ス」と規定しているのであります。わが国の法令で、このように「受ケザリシモノト看做ス」というような文言を用いているものは他に全くなく、またほとんどないと言ってもよいのであります。法務大臣が例に挙げた公職選挙法及びその他の罪名に適用される恩赦法——昭和二十年当時は恩赦令でありますけれども、これなどを見ましても、大赦は「言渡は、効力を失う。」、特赦は「言渡の効力を失わせる。」、復権は「資格を回復する。」などとなっておるのでありまして、決して「言渡ヲ受ケザリシモノト看做ス」などとなっておりません。法務大臣は、このような文言上の相違というものを認められるのかどうか。この点を簡単にお答え願いたいです。
  159. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 文言上の相違を認めればこそ、この間のような答弁が出てくるわけです。奇妙きてれつであるとか、法理論としては、実定法の説明としては、まことに説明のしにくい問題であるという意味で奇妙きてれつと申し上げたわけであります。
  160. 青柳盛雄

    青柳委員 どうも先ほどの法務大臣の答弁は、そういう場合に言ったのではない。ああいうおかしな表現を用いられたのは、特別な扱いが政治犯についてあったということの特殊性について奇妙きてれつと覆ったのではなくて、宮本委員長にこれを適用したことがおかしいのだというふうに言っておるのであります。しかし、問題はそういうところにあるのではなくて、明らかに戦後措置としてこのような特徴的な措置がとられたのだ、これこそが日本の民主化のために欠くべからざるものであったという点を、この「言渡ヲ受ケザリシモノト看做ス」というような表現によってあらわしているということを私は強調したいわけであります。  大体、この問題をめぐる稻葉法務大臣の発言には、憲法の民主的原則を守る意思を疑わせるものがあります。不破書記局長質問に対し、稻葉法相は、「治安維持法、治安維持法と言いますけれども、あなた、当時の日共というものは暴力で革命をやり、政府を転覆しようとしておった事実があるわけです。それに対して政府がいろいろ防衛手段を講ずることは当然じゃないですか。」などと言って、治安維持法擁護の発言をされました。しかし、もともと共産党創立前から治安警察法などというものがあり、また特別高等警察というようなものをつくって、それらの法律やそういう機構で共産党への弾圧が繰り返されたのであります。そして、その弾圧を一層強化するために治安維持法がつくられ、改悪を重ね、特高警察も強化された。この治安維持法は第一条で、国体の変革を目的とする結社活動を処罰するとしておって、たとえば主権在民という民主主義を言っただけで処罰される規定になっております。さらに昭和十六年の改悪では、単に国体の変革や私有財産制度の否認を目的とする結社や活動だけでなく、国体を否定し、さらにはまた神宮もしくは皇室の尊厳の冒涜事項の流布を目的とする結社や活動までも罰することにしているのであります。これを見ればわかりますように、そういう目的そのもの、そのための結社そのもの、活動そのものが治安維持法違反だと言っているのであって、手段が暴力であるとかないとかいうようなことを問うているものではないのです。また、共産党の運動だけを対象にしてこういう治安維持法ができたものではない。その本質が、明らかに国民の民主的な権利をじゅうりんする、社会の進歩を妨害するというものであって、国民の思想、信条を処罰し、結社の自由を弾圧する希代の悪法であった。この点を法務大臣は無視しておられるわけです。  さらに稻葉法務大臣は、去る一月三十日、不破議員が、治安維持法時代に行われた特高警察の拷問、虐殺の事実等を述べた際に、「今日の時点で当時の司法行政一般について一概にその是非を論評することはいたしかねます」などとも言っておりますし、また警察のやったことに対して、そのような事実を認めることは「警察の権威に関する」というようなことも言って、答弁を断るという態度を表明しました。しかし、現憲法下の司法制度は、予審制度とか特高警察組織とか長期の勾留、警察署における被疑者のたらい回し、予防拘禁、弁護権の制限など、はなはだしく人権を無視した戦前の司法制度や司法行政への深い反省に立っていることは明らかであります。この事実から見ても、法務大臣が戦前の司法行政一般を論評することはできないなどというのは、現憲法の精神を少しも理解していないことを示すものではないかと私は考えます。  われわれは、戦前の個々の裁判についてとやかく言っているのではなくて、戦前の非道な人権じゅうりんの司法制度一般について、あるいは特高警察の残虐なやり方についての反省を求めているのです。それにもかかわらず、答えられないという稻葉法務大臣の答弁は、現憲法下の国務大臣としてとうてい許されない発言であると考えるものであります。  時間がありませんから、さらに先に進みますが、こういうような状態の中で、総理大臣にお尋ねいたしますけれども、いまの日本の教育制度について、やはり戦後の民主的な措置に対する逆行現象というものがありはしないか、この点について簡単にお答えをいただきたいと思います。
  161. 小山長規

    小山(長)委員長代理 稻葉法務大臣から発言を求められております。許します。
  162. 稻葉修

    ○稻葉国務大臣 あなたは私のことを、いかにも私の思想が、何というのかな、特高警察流の思想を持っているみたいな、いろいろな悪口雑言みたいなことを並べられましたが、私はそんな男ではないです。あの当時は旧憲法治下ですよ。そうして、その憲法に従い制定せられた刑事訴訟法その他の法律も、これはやはりその当時としては守らるべきものだったのでしょう。そうでしょう。いまの新憲法の時代に、旧憲法の時代でできた事柄を、あの当時の法制下にあるものとしていまの法制を予見して、いろいろな裁判について、とかく、間違っているとかそれからでっち上げだとか、そんなことを言ったって通らぬのじゃないですか。そういうことだけを、それを私は言っているのです。いまの共産党の諸君は、まあ暴力は否定する、そして議会を認める、言論の自由も認めるとか、教師も労働者ではなくて聖職だなどと言うから、それはいまのと昔とは全然違うのですから。昔はもう明確に、あらゆる文書その他を調べてみても、暴力をもって時の政府を転覆するという時代であったのですから、その当時、転覆されてはかなわぬからといっていろいろな防御策を講ずるのは当然じゃないでしょうかと、こういうことを申し上げただけであって、治安維持法はまことに結構な法律であったなどと、いまの時点でこれを評価しているのではありませんから、誤解のないようにお願いします。
  163. 青柳盛雄

    青柳委員 明らかに過去の反省というものは考えないで、過去はそれでよかったんだというような考え方、これで現在の憲法の感覚と言えますか。過去の事柄が非常に非民主的であったという反省の上に立って、初めていまの憲法を尊重するという気持ちが確信としてわいてくるわけです。ところが、過去、当時としてはやむを得なかったんだというようなことを言って、この治安維持法の存在を合理化する、しかも、それは共産党だけを対象にしておったのじゃないんだというような、希代の悪法を弁護するような態度そのものを私は問題にしているわけです。  時間がありませんから、先ほど質問いたしました現在の教育問題について、果たしていまと同じような、ポツダム宣言後の日本の状況から離れつつあるような状況はないのかどうか、この点をお尋ねしたいと思います。総理からお答えをいただきたい。
  164. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 現在の教育は、日本憲法にも示されておるような民主的な、文化的な国家の建設を目的として、そして世界の平和あるいは人類の福祉に貢献をする、こういう憲法の決意を教育の上で具現していこうというこの教育基本法の精神に沿うて教育は行われておるということを信じます。
  165. 小山長規

    小山(長)委員長代理 山原君から関連質疑の申し出があります。青柳君の持ち時間の範囲内でこれを許します。
  166. 山原健二郎

    ○山原委員 いま総理答弁に、教育基本法に基づいてやられておるというお話がありましたが、いま自民党内に教育基本法を抜本的に改廃をしようとする動きがあることについて、自民党の総裁として三木総理は御承知でしょうか。
  167. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 私はこの教育基本法を尊重していきたいという考えでございます。
  168. 山原健二郎

    ○山原委員 昨年の十一月十五日、雲仙で開かれました全国私立中学高等学校理事長・校長研修会での発言が出ております。これは自民党前文教部会長の西岡武夫氏の発言であります。この中に、「私が申しあげたいのは、この時点で憲法を改正するのは非常に難しい。しかし、教育基本法をこの際、全面的に改めるべきではないか。このことは、憲法改正と同じぐらい政治的問題になると思います。しかし、そういう問題を語りうる時期が来たと私は考えております。これは六・三・三制の問題、その基本的問題としての教育基本法の全面的改正、といったことに今後とりくんでいきたい。」こう述べております。さらに、質疑応答の中で西岡氏は、「教育基本法については、改正という考えはございません。現在の教育基本法を廃止をして、新しいものを、という考えでありまして、ですから全面的に書き変えるということでございます。実は、いま私は、重大な発言をしておるのでございますが、近い将来にこの方針を自民党文教部会として発表するつもりでございます。」みずから重大発言として、このように公的な場所で話されているわけですが、これについて総理の見解を伺いたいのです。
  169. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 教育基本法には、日本の学校教育について非常に細かい規定がございます。したがって、そういう規定については検討を加える場合があるかもしれませんが、私は教育基本法に盛られておる精神というものを変える考えはない。教育基本法に述べられている基本的精神というものは少しも誤ってはいない。個々のいろいろの学校制度については、検討すべきものはしてよろしい。教育基本法の精神を根本的に改正しようという考えは持っておりません。
  170. 山原健二郎

    ○山原委員 教育基本法は、もちろん細かいことを書いているわけではありません。いま総理は、教育基本法を遵守していくという立場をとられたわけですから、もしこれが事実であるならば、自民党文教部会のこのような作業は総理として中止をさすべきではないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  171. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 政党がいろいろ現行法規について検討をするということは、これはやはり政党の活動として当然でありますが、私が言っているのは、教育基本法に盛られている精神、私はこれを改める考えは持っていないということでございます。
  172. 山原健二郎

    ○山原委員 自民党文教部会におきましては、これだけではありません。さきに発表されました高等学校制度の中間まとめによりましても、教育基本法に対する攻撃部分があるわけです。そういう点で、自民党内に教育基本法の改廃、西岡氏の言葉によれば全廃という言葉も使われているわけですが、そういう動きがあることは事実で、これを聞いた人たちが言っております。恐怖を感じたとさえ言っている。こういう事態でありますから、この問題については総裁としてもはっきりした態度をとっていただきたいということを私は重ねて要請をいたしておきます。  二つ目の問題です。これは現在問題になっております学校における主任制度の問題でありますが、この問題についていままでの文部当局の考え方は、現在制度化されていない主任であっても、上司であり、職務命令を出せるという、いわゆる管理職としての考え方を指導方針として出してまいりました。それは明らかに新学校管理読本の中にも書かれているわけです。ところが、文部大臣は参議院におきまして、私の考えはそれとは違うということをはっきりと述べているわけです。文部大臣の考え方と文部当局の指導方針と違う点が出てきたわけです。中間あるいは下部の行政機関としては、文部大臣と、また現実に指導している文部当局との見解が違った場合に、一体どちらを信頼していいのかという問題が出てきておるわけであります。この点について、文部大臣の見解をまず伺っておきたい。
  173. 永井道雄

    ○永井国務大臣 ただいま先生の御指摘になりました学校管理読本には、主任というものをいわゆる中間管理職的にとらえております。しかしながら、これの編著者というものは、文部省の人はおりますが、しかし、私的な研究団体であります。そして私は文部大臣でありまして、私が発表いたしました見解は文部大臣としての見解であり、さらに見解を具体化しまして、文部省令、次官通達におきまして、今回の主任というものは管理職ではなく、教育、指導、助言、連絡調整に当たるといたしておりますから、これが文部大臣並びに文部省の見解であります。
  174. 山原健二郎

    ○山原委員 文部省内にある法令研究団体のものだということでありますけれども、これは昨年の十一月に出された新しい読本です。この前文にどう書いてあるかというと、これは昭和四十四年以来、文部省主催の校長・教頭研修講座において使用されている、しかもそれは文部省公認として採用されているということがはっきり書かれているわけです。しかも、文部大臣になられてから一年経過した昨年の十一月に、改めてこれが出されておる。中身は全部一緒ですね。昨年九月の中堅教員研修会、これは一ヵ月続いております。校長・教頭研修会、これは三週間続いております。さらに現在行われておる、きょう終わるところの研修会でもこれが教典として使われているのです。これに基づいて法規演習が行われておるのです。そしてこの方針に基づいて全国にこれが波及していくという状態ですね。だから、文部大臣が幾らこれは違うのだと言ったところで、これが現に生きて動いているのです、稼働しているのです。これが全国の学校管理運営の規範になっているわけですね。文部大臣がこれは私の見解と違うと言うならば、少なくとも私が指摘しましたところの、主任は上司でなく、職命は出せないというお考えならば、その個所だけでも撤回をするか、修正をするか、見直しをするか、そういうことが行われなければ、口で幾ら言われても、これが生きて動いておるということについてはどう結末をつけられるのですか。
  175. 永井道雄

    ○永井国務大臣 国会は国家における最高の機関であり、その国会におきまして、私は、主任は上司として職務命令を出すことはないと、文部大臣として申したわけでありますから、これが公に優先するものと考えます。これは、国会という場がそれほど重要であるということであり、また行政の責任は私にあるということであります。これは繰り返しになりますが、したがいまして、その読本の中にある、上司として職務命令を出すという考えは文部省の考えではございませんし、国会において論じられているものではないのであります。
  176. 山原健二郎

    ○山原委員 法制局長官に伺いたいのですが、法令が出されまして、それに対して文部大臣のコメントが出るという場合に、一体それはどれだけの制約力を持つのか。法令は法令として動いていくのじゃないでしょうか。法制局長官の見解を伺いたい。
  177. 吉國一郎

    吉國政府委員 お答え申し上げます。  法令が一たん公布されますと、法令自体、的な存在としてそれ自体が一つの効力を持ってくるということは当然のことでございますが、法令については、これの適用について解釈ということが当然問題になるわけでございます。解釈につきましても、これは社会に通有する、昔からの、自然法時代からのあらゆる法学的な知識を総合して判断すべきことは申すまでもございませんが、通例、解釈の方法として有権解釈というものがございます。たとえば、国会において憲法に基づいて法律を制定せられるときに、憲法の解釈を前提にいて法律を制定せられる、それによって憲法のある特定の個条の解釈が有権的にいわば確定をするというようなものがございますが、それと同様な意味におきまして、学校教育法の施行というものにつきまして、第三条なり第八十八条に基づいて、文部大臣が有する権限を行使して今回の学校教育法施行規則が制定されたわけでございますが、その施行規則につきまして、これを具体的な場合に適用する際に必要な解釈というものは、当然その法令を施行する立場にある文部大臣のいわば有権的な解釈というものが非常に大きな解釈のしんになると思いまするので、ただいま文部大臣からるる申し上げましたように、学校教育法施行規則の今回の改正につきまして、文部大臣の見解であるとか文部省の通牒であるとか、あるいは次官の通達というものによって文部省の解釈が示されておりますので、その解釈に従って法令が施行される社会的な可能性が非常に強いということは申せると思います。
  178. 山原健二郎

    ○山原委員 社会的な一定の拘束力は一時期あるかもしれませんけれども、法令は法令として動くことは、もうこれは現実の問題なんです。  そんなこと言っておったら大変なことになるのですよ。その証拠に、文部省は今度の主任は中間管理職ではないと書いてありますけれども、文部省の意向に沿って先行的に行っているところの愛知県におきましてどういう事態が起こっておるかと申しますと、愛知県では教務主任、校務主任を管理職としてはっきりと内規で規定しているのです。さらに一例を挙げますと、愛知県の豊橋市教育委員会の昭和五十年度学校教育指導要綱、この中には管理職、中間管理職としての職責として教頭、教務主任、校務主任、学年主任、係主任と、このようにはっきりと中間管理職として規定をいたしております。  そうしますと、いわゆるこれに基づいて行われておる、しかも文部省の意向に沿って先進的に行ったところの愛知県においては、すでにこの主任というのは管理職として規定をしているという事実があるわけです。そうしますと、現在省令を出し、しかもいろいろなコメントをつけたところの文部省としては、愛知県が管理職として取り扱っているこの主任制度というのは正しいと判断をするのか、あるいはそれは撤回さすのか、どういう態度をとられるのか、まず伺っておきたいです。
  179. 永井道雄

    ○永井国務大臣 文部省は省令におきまして、主任は指導、助言、連絡調整ということを決めて、そして各都道府県を指導しているわけでございますから、ただいまのような愛知県の考え方は、当然省令に従って変わるべきものであると考えております。
  180. 山原健二郎

    ○山原委員 もし愛知県教育委員会が文部省のこの指導に対して仮に従わない場合——現在従えるような状態じゃないのです。校長、教頭、主任まで発令をして、新聞に辞令まで出るという状態ですよ。しかも管理職として位置づけている。それを、学校管理規則を変えるということは容易なことではありませんが、それをやられる予定ですか。もし聞かなかった場合には、どういう処置がなされるのですか。
  181. 諸沢正道

    ○諸沢政府委員 お答えいたします。  愛知県の学校管理規則が現在どういうふうな規定になっておりますか具体的に私は承知いたしておりませんけれども、管理規則の改正につきましては、先般文部省におきまして参考案となる準則を示しております。その準則の規定するところは、学年主任、教務主任等の主任を通じて、その職務内容は、当該所管する事項についての連絡調整、指導、助言であるというふうにいたしまして、それぞれの県及び市町村においてそのような規定を盛り込んだ管理規則をつくっていただくことを指導いたしておりまして、愛知県でもその線に沿って改正をしたい、こういうふうに返事をいただいておりますので、私どもとしましては、愛知県はそのような線に沿って改正をしてくれるものと期待をしておるわけでございます。
  182. 山原健二郎

    ○山原委員 じゃ愛知県の場合は、現在やられておることは変更するという立場を文部省としてはとられるということは明確ですね。  ところが、今度は鹿児島県の例です。あなた方は準則を出されたと言い、地方教育委員会の自主性を尊重する——あるいはいままでの主任の選出に当たっての校務分掌としての選び方、たとえば職員会議で合意に達して、今度はこの方を教務主任にしていただこう、なっていただこうというような話し合いをして教務主任が選ばれるというさまざまな形態があるわけですね。そのいままでの選び方を変えるものではないと通達の中にも書いておるわけです。ところが、今度省令に基づいて出された、その第一号である鹿児島県の学校管理規則はどうかというと、一律統一的に地教委の任命となっているわけですね。しかも発令の形式も、辞令はこれだということを示すわけです。これは文部省が考えておるようなものではなくして、すでに県段階においてまさに統一的、画一的な指導がなされている、こういう状態になっているわけですね。そして、恐らくこれも中間管理職としての役割りを果たすであろうことはこの中の文章を見ましてもわかります。たとえばあの文章の中には、教員の言うことなど余り聞く必要はない、毅然として選べということまで書かれているわけですね。まさに文部省が口ではさまざまなことを言って、管理職ではない、選び方もいろいろあるんだ、地方教育委員会の自主性だなどと言っても、もう県段階で一律に地方教育委員会の自主性というものも奪う、また学校における選出の方法も一律化していくということが、現実に省令が出た後ではやすでに出ているわけですね。  こうなってまいりますと、文部省がさまざまなことを言いましても、これはまさに国民を欺瞞する言葉であって、現実には管理職としての体制が全国的に波及しようとしておるこの現実の姿、これを文部大臣はどうお考えになっておるか伺っておきたいのです。
  183. 永井道雄

    ○永井国務大臣 私の考えでは、今日まで主任というものは自然発生的に出てきたのでありますけれども、しかしそれを一方、管理的にとらえる考え方があり、そして他方、それに対して反対したいという立場も出てまいります。そこで、そういうやり方ですというと、校長と教頭がおられましてこれが管理をしているわけですから、学校は管理社会のようになってしまうという情勢がありますから、私は、国民の要望というものは教育の強化にあるという考えに基づきまして今回の見解を示し、それを省令化したわけであります。  そこで、従来からの考え方を脱し切れない人々の中に相当の考え方の修正をしていただきたいということはあると思いますが、私たちといたしましては、あくまでもこの省令というものは大事な考えでございますから、これを貫徹いたしますことがわが国の学校教育を強化するゆえんであると考えて、すべての都道府県につきましてその方針をもって臨む考えでございます。
  184. 山原健二郎

    ○山原委員 そのようなお考えを持っておったとしても、いま鹿児島県の現実に出ている管理規則はこうなっていますよ。「「校長の意見をきいて、教育委員会が命免する」こととし、これを明文化することとした。」「辞令については、各市町村の様式の統一を図ることが望まれるので、」と、別紙にこれを添付しております。さらに任命に当たってはこう書いています。「いわゆる主任等の回り持ち、あるいは多数決などの不見識な選任があってはならないこと。」「地教委教育長及び校長は、適切な命免及び選任をきぜんとして行うよう最善をつくすこと。」こうなってまいりますと、文部省が言っておることとは違うわけです。もし仮に鹿児島県教育委員会が文部省の通達あるいはあなた方の準則を守ろうとするならば、こういう方法もありますけれども、これは地教委によって自主的に問題を解決すべきであって、文部省の方にはこういう考え方があるのですよというぐらいの付記があってもしかるべきですね。それが全くないのです。一律にこれをやりなさい、こう出ているわけだ。現実に昨日発表されました八つの町における管理規則は全く県の統一したものをそのまま採用しておるという実態です。こうなってきますと、どんなに文部大臣がいろいろ口で中間管理職ではない、あるいは従来の選び方を変えるものではないなどと言っても、この制度化された主任制というのは、まさに画一化され統一化されて国家統制の道につながっていくということは明白だと考えます。したがってこれを撤回をして、そして国民的合意を得る、その作業を続けるべきであると私は思います。同時に、この主任制度が当初出てきたときは、昨年の三月七日にあなたが人事院総裁に対して主任制度を出しているのです。昨年の三月七日には国民的合意は全くなかったわけです。そういう意味で、これから考えましても当然撤回すべきだと思いますが、文部大臣の見解を伺って、私の質問を終わります。
  185. 永井道雄

    ○永井国務大臣 昨年の三月七日に人事院に申し入れをいたしましたのは、先生の御指摘のとおりであります。その申し入れといいますのは、これは文部省内における学校教員の給与に関する調査会、これの報告に基づいて要望をいたしたわけでありますが、その要望の中に、規定の整備を待って考えていただきたいということを言っているわけでありまして、まだその段階におきましては私たちは規定の整備ができていなかったということであります。そこで、それ以来この規定というものをどう整備するかという角度から考えて到達いたしましたのが、中間管理職ではなく、先ほどから繰り返し申し上げるような教育指導のための主任という考えで、これに達したわけでございます。そしてこの問題について、私は管理的に考えるというものはとらない、他方においてもうこの改善というものは考えない、この考え方もとらないということで私どもの立場を明らかにいたしましたから、したがいまして、そういう各方面の意見も聞いて到達いたしました省令というものを撤回する考えを持っていない次第でございます。
  186. 青柳盛雄

    青柳委員 私の質問をこれで終わります。
  187. 小山長規

    小山(長)委員長代理 これにて青柳君の質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  188. 小山長規

    小山(長)委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和五十一年度総予算審査のため、不況・雇用問題について、来る十二日、十三日、十四日の三日間、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  189. 小山長規

    小山(長)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  午後三時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時十三分休憩      ————◇—————     午後三時六分開議
  190. 井原岸高

    ○井原委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小川新一郎君。
  191. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私は、きわめて短い時間ではございますが、地方財政と自動車排気ガスについて、総理並びに関係大臣にお尋ねいたしますが、四十五分の間でございますので、明確にひとつ要点をお願いいたしたいと思います。  最初に、自動車排気ガスの問題についてお尋ねいたしますが、いま総理のお手元にお渡しいたしました、私がつくった——昭和四十七年の十月五日に、環境庁が、大気の環境汚染の規制の中で、自動車の排気ガス規制というものを五十年、五十一年と二回に分けて行っていくんだ、こういうことで規制値を告示したわけでございます。で、四月十一日にアメリカのマスキー法一年延期という発表がありましたが、当時の三木環境庁長官は、日本の五十年、五十一年規制は後退しないと発表なさった。そしてこの辺から、私どもの健康と生命の維持ということからクリーン三木という、政界のクリーンも、また大気のクリーンも、そしてすべての問題に清らかにこれからの日本をやっていかなければならぬということで、私どもは、この大気汚染の問題と自動車の排気ガスを非常に密接な問題としてとらえながら、三木内閣の公約として見詰めてきたわけでございますが、残念にも、昭和四十九年一月二十五日に五十年規制の省令が公布された後、六月の十八日に三木環境庁長官は、五十一年の規制NOXO・二五グラムは断念する、こういうことになったわけであります。越えて六月の二十一日に三木長官が各自動車メーカーにデータ提出を要求、トヨタ、日産はデータを出しませんでした。この一月二十五日の五十年規制から五十年規制を実施するまでが、その隣の方に日程が書いてありますが、二十二ヵ月と六日間かかっているわけであります。そしてその五十年規制ができないということで、五十一年の暫定値を〇・八五、〇・六以上ということで、この五十一年暫定値を決められた、こういうことでございますので、実は私どもは、昭和五十三年にこの五十一年規制を完全実施するということがあたかも確実に法の規制のもとに明確にできるものと実は思っておった。ところが、よくよく調べてみましたら、この五十一年規制は、三木総理が告示をなさったころの五十一年規制というのは、理想の旗に近づく——昭和四十七年十月五日のものは、こういうふうになっておりますね。自動車排出ガスの量の許容限度の設定方針だ、設定方針を公示したのだ。でありますから、五十一年の〇・二五グラムというものは必ずしもやらなくてもいいんだ。これはあくまでも旗ですから、理想ですから、やらなくていいとは言わぬけれども、やらなくても、できなくても何ら差し支えがない。これが五十一年規制に向かって出発をしていくんだという過程の発表なんですね、これをよくよく見ると。どこにも政府は五十一年の規制を、〇・二五グラムを自動車にやらせるのだと言っているところは一つもないんですね。これは私どもが非常にいままで錯覚を起こしている。実は五十三年から、五十一年規制というものは法律に従ってもう絶対このことはやるんだということは、まだどこにも述べていないわけです。ただ設定、要するに好ましい、こういう方針に向かって理想の旗を差し上げたんだ、だから〇・二五グラムは、これに向かって進んでいくんだという公布でございまして、昭和五十年、五十一年暫定値のようなこの大気汚染の環境庁の公布をもとにして、運輸省令や道路運送車両法を改正するというところまではできないわけですね。これは、私よく確かめてみたら、そのとおりなわけです。でありますから、あくまで昭和五十一年〇・二五グラムというのは理想の旗なんだ。だから、五十一年にやらなくても暫定値で乗り切ってしまったわけだ。じゃ、一体この五十一年規制というものは完全にやるのですかどうなのか、ここが法律に従ってやるのかやらないのか。それは、やる時期は五十三年になるか、五十四年になるか、五十五年になるかはまだ見通しがつかないにしても、〇・二五グラムの五十一年排気ガス規制という問題は、理想の旗ではなくて必ずやるんだ、こういうふうにはまだ政府としてはお示しになっていないやに私は思っておりました。きょう実はわかったわけです。それに対してます総理、お考えはいかがでございましょう。
  192. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 小川君から資料をいただきまして、このとおりだと思います。アメリカのマスキー法が延期になったときに、アメリカでもこういう技術開発ができないのだから当然日本も延ばしてくれるべきだという声があったわけですが、私はやはりそれを後退しない考えだから、みんな技術開発をやってもらいたい、環境庁長官をやめる寸前までメーカーを呼んで、そうして一体どうなんだということを申しましたのは、アメリカでできないといっても、平地当たりの自動車の数量は約十倍ぐらい多いのですね、日本の方が。そういう点で、大気汚染という点ではアメリカよりも日本がもっと深刻に考えなければいかぬということで、五十一年の規制というものを何とかしてできないかということで最後まで努力したのですが、NOXの〇・二五グラム、これはどうしても技術開発ができないということで暫定値ということになったわけですが、いま小川君の御質問のように、これは理想の旗であって、できてもできなくてもいいんだというのならば、そんなに努力はしないので、これはぜひとも達成したいという目標であって、理想の旗ではないということでございます。
  193. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 理想の旗ではない、目的に向かう。だけれども、これを自動車に必ずやらせるという法規制はまだないわけですね。そうであれば、目標であっても理想の旗であっても同じでございますね。  これは環境庁長官からよく聞きたいのですが、もうその辺の、自動車排気ガス規制ができるとかできないとかいう議論は、私も四年間にわたって予算分科会でやってきましたから、よくわかっているのですよ。問題は、環境庁が総理の言われているこの悲願を実際にやらせる、目標とか何だとかいうことじゃなくてやらせるということが——世間の人は、一体やらせるんだか目標なんだかわからないから、いろいろな議論が出ちゃっているのです。やらせるというんだったらどうなのかということが出てくるのであって、やらせるのでもなければ、やらなくてもいいんだという、これはあくまでも努力目標なんです。その告示なんですよ、この言っていることは。だから、環境庁が自動車メーカーに対して、昭和五十一年に決めた〇・二五グラム、一台の自動車が一キロ走るのに排出するNOXを〇・二五グラムにはやらせます、そのために法律をつくります、そこから初めて議論が出発するのです。ところが、だれに聞いてもできないから、三木総理大臣は、その理想の旗には近づかなかったけれどもややそれに近い暫定値をおつくりになって、昭和五十一年暫定値というのを公布なさって、その自動車を駆け込み増産したとかしないとかで、右の欄にあるようにトヨタ自動車がたくさん売れたとか売れないとかという議論が出てくるのです。私が言っているのは、いまその議論をしているのではなくて、〇・二五グラムは必ずやるんだということを明言していただけますか。
  194. 小沢辰男

    小沢国務大臣 先生の御指摘のように、四十七年十月五日の告示は、大気汚染防止法の十九条によりまする自動車排ガスの量の許容限度を次のように定めるという設定方針を環境庁の行政方針として決めた告示でございます。その中身は、第一として五十年規制、第二として五十一年規制と、こうなったわけでございますが、五十一年規制としての設定方針は〇・二五になっておるわけです。ところが、いま総理がおっしゃったように、結局いろいろな検討をやってみたけれども、技術開発がそこまでいっていないというので、五十年の暫定規制をやり、私になってから五十一年の暫定規制をやったわけです。したがって、おっしゃるように、この告示は、そういう面から言えばもう、五十一年の四月一日からこういう設定方針でいこうと言ったにもかかわらず、五十一年度の規制は暫定値になったんだから、この告示はどうも理想——これだけやりたいというあのときに自分の気持ちを表明したけれども、今度は実際と違っているから、改めて告示をきちっとやって、その実施時期はともかくとして、〇・二五は自動車の排気ガスの本当にぎりぎりの線としてやるんだぞということを何らかの形で示さなければならぬじゃないかと先生がおっしゃるのは、私もよく理解できます。     〔井原委員長代理退席、小山(長)委員長代理着席〕 私も着任してからこの告示がどういう性質のものかということをいろいろ検討したのですが、まあ、せっかくこうなっておるものを、行政方針だし、設定方針として自分たちの環境庁所管行政の範囲内の方針を決めた告示だから、いわば理想の旗として残しておこうじゃないかというので残しておったのですが、先生の御議論を聞いてみますと、なるほどそういう点がどうも明確でないじゃないかという点もございますので、十分検討してみますが、先ほどもどなたかの質問に申し上げたように、いま四人の先生方が技術検討会をつくっております。この秋には、何とか検討会の最終結論を出していただくことになると思います。したがって、ことしの秋には、実施時期はともかくとして、五十三年規制、いわゆる中公審から五十三年までに〇・二五を達成するように努力しなさいという答申までいただいておるわけですから、先生御指摘の、四十七年十月五日の告示の二号目にある五十一年の規制値を設定方針としたものを、実施時期はともかくとして、何らかひとつ明確な方法で明らかにしていくのがやはり先生のおっしゃるようにいいことじゃないかと考えますので、私ども十分その趣旨を体して、善処するように至急検討してまいりたいと思います。
  195. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 総理、整理いたしますと、総理が一番理想の旗と掲げた、昭和五十一年から走る車は、いまは一キロ走るのに一・二だ、一・二グラムの窒素酸化物をまき散らしている、これじゃ大気が汚染するから、おれは五十年にはNOXをここまでにする、五十一年には〇・二五まで下げるぞ、こう言ったことが、あたかも昭和五十一年の車から〇・二五グラムの自動車がすべて出発するように思ったわけです、国民も、私たちも。ところがその議論が、遅くなったとか、自工会がどうだとか、政治献金がどうだとかと、いろいろな議論が出てきた。いろいろな問題が出た。しかし、〇・二五では自動車メーカーができませんよ、勘弁してくださいと言うのを受けて、三木総理が理想の旗を断念したのが、ここで言っておるところの、昭和四十九年の六月十八日にあなた御自身が断念なさったのですよ。五十一年からできないのだ、わかった。じゃ五十三年にこの理想の旗はできるのか、もしもその前にだってできれば、二年間前だってやってもいいんだということを総理は議事録ではいっぱい言っていますよ。それほど御熱心なことはよくわかります。ところが自動車メーカーは、五十一年規制を必ずやらなければならないんだということはだれも言ってないのです。これはあくまで理想の旗なんです。目標値なんです。だからおれたちはこの目標値に向かって走っているんだけれども、できなければこれはしようがないじゃないか、できないものはやったってできないじゃないか。その辺のことがよくわかるから、環境庁もそれから通産省もはっきり五十一年規制というものは法律の上でやるんだとは決めてないわけですよ。そこを私たちはいままで錯覚を起こしていたわけです、みんな。ほかの方はともかくとして私は。それでよくよく調べてみたら、このままでいったら、一体いつになったら自動車は〇・二五を達成するのかということになりますと、自動車メーカーができたから〇・二五にやるんだというんだったら、これはもうだれだってできるのです。私だってできるのです。三木さんでなくてもできるのです。三木総理大臣は〇・二五を車にはやらせるぞ、だからおまえたち努力しろ。やるんだと決めれば、あとはいつかという年度の問題が出てくるわけです。その年度の問題を私は次の議論として、まず〇・二五は何らかのかっこうで自動車業界にやらせると、環境庁長官がきょう新しく出されたわけです。いままでは全然なかったわけです。それはいかがですか。
  196. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 これは単に理想の旗を掲げるだけでは目的は達成できないのですから、大気の汚染を防ぐということですから、したがって、これはやはり実行さすということでなければ意味はないわけですから、環境庁長官の言うように私も考えております。
  197. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これで〇・二五というものは、いつかとは言わないけれども、必ずやらせる。これはいいわけですね。  それじゃ今度環境庁長官、先ほど、きょうここでやらせるということがはっきりしました。〇・二五グラムは自動車業界では必ずやる。ただし、自動車業界のいろいろなまたあれもあるでしょうから、それが要するにこの九月の学者先生方の御意見を待って決めるのでございましょうか。
  198. 小沢辰男

    小沢国務大臣 おっしゃるように、四人の検討会の先生方がこの秋までには最終結論を出しますので、その結論を受けまして、私どもがこの実施の時期その他について正式な態度を決定したい、かように考えます。
  199. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 環境庁長官、そうすると、学者先生方が九月に出されて、自動車メーカーはできないと言っても、もう〇・二五グラムはやることになったのですから、ただできないと言っても、それができるのはいつかという議論になるわけであって、〇・二五グラムがもう一遍できませんなんて後退することはないんでしょうな。
  200. 小沢辰男

    小沢国務大臣 窒素酸化物の低減はどうしても〇・三五まで移動発生源については達成をしたいと先ほど申し上げたとおりでございます。  その実施時期については、いま言いましたように、検討会の先生方の技術開発の状況のチェックと研究と、そういう見解をもとにして実施時期を決めたい。それが、検討会の先生方の研究の結果をもとにして、やはりあれは〇・二五は無理だから〇・五にするとか六にするとかというようなことでは決してないわけでございます。
  201. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 総理、そういうことになったわけですね。そうすると、昭和五十三年からできるか、五十三年の末にできるか、五十四年にできるかは九月の学者たちの意見を待たなければできないということでございますが、私は、きょうのこの議論で初めて政府が、〇・二五グラムを必ず実施させるということで非常に満足な答弁を得たと思いますので、もうこの問題はこれ以上追及いたしませんが、少なくとも昭和五十三年をめどにということでございますので、環境庁長官、ひとつその線で決意を最後にお願いをいたしまして、この問題は私はもうこれで終わらせていただきます。
  202. 小沢辰男

    小沢国務大臣 総理も申し上げましたように、この決意は変わらないわけでございます。
  203. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 次に、昭和五十二年度の地方財政の問題についてお尋ねをいたしますが、項目的に整理をいたしましたので、最初に総理、さっと言っておきます。  一番目は総理大臣に、五十二年度に地方行財政の抜本改革を行うのかどうか。二番目は自治、総理に、地方財政の中期計画を提出せよ。抜きまして、次は、五十一年度地方財政対策を決める際に自治、大蔵両省の間で覚書が交わされているのかどうか。五番目に、地方債の消化について。六は、直轄事業の地元負担金について。七は、自主財源の安定化という、非常に長いのでございますけれども、短い時間でございますから、ひとつよくお聞きいただきたいと思います。  地方財政の問題については、いまさら議論するあれはございませんが、総理は至るところで、昭和五十二年からはもう抜本的に、根本的に地方財政というものを改め直し、考え直し、そして地方行政の、また財政の面で自治体の安定を図っていかなければならない時代に来た。六%ないし七%の安定経済が続いたといたしましても、いまのようなふくらみ切った地方財政というものは非常に危惧感を持たれております。その問題について私はいろいろなところでいろいろと議論を交わしてきたのでございますが、地方の行財政の抜本改革、まあ抜本というのは何なのか、新聞報道では五十二年度から総理がおやりになるとおっしゃっておりますが、一体それはどこを改正されるのか、これは小手先の改正に終わるのか、それとも基幹的な問題にまで総理が、例の自治大臣と大蔵大臣の覚書に基づいた、五十年度の財政の問題についてお話し合いがございましたように、五十三年度からたとえば地方交付税率のアップということになれば、その準備は五十二年からしなければならないことになっております。そういうことになりますと、来年においての地方行財政の抜本改革というものを総理はいかがお取り組みでございましょう。
  204. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 長い間高度経済成長のもとに、それに見合うような行政の組織になってきたわけでございますが、それが安定的な適正成長の時代に入るわけですから、そういう大きな日本の経済路線というものが転換をするわけですから、行財政においてもやはりその大きな変化に即応した行財政のあり方が要求されることは当然でございます。したがって、地方財政についても国と地方との一つの事務の分担であるとかあるいはまた地方財政のあり方であるとか、まあ一つの行政事務の分担、財政の面のあり方、こういうものがやはり抜本的という中には当然含まれると思うわけです。これはやはり、私は本会議でも述べたと思うのですが、一年でこういう大きな行財政というものが抜本的に改正を達成できることは至難の業で、まあ三年くらいかかるだろうということを言ったわけですが、いま日本の経済も流動的でありますから、したがって、ここで昭和五十二年から抜本的な改正というところにはまいりませんが、どうしてもこの問題は避けて通ることのできない問題でございますから、今後地方の自治体のあり方というものは、いろんな審議会においてもこれは審議を当然にされておるわけでございますから、いま言ったような根本に触れた、地方行財政のあり方というものには根本的な検討を加えてみたいという考えでございます。
  205. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 その答弁は大体聞いておりますので。そうしますと、五十二年度はやらないのでしょうか。
  206. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 やらぬというわけではございません。しかし、抜本的というような改革には、一年で来年というわけにはいかぬが、やはり来年も、じっとやらずにおるというのではなしに、改革すべきものは改革するけれども、根本的な再検討ということはそれくらいの時間がかかるだろう、こう考えておるわけでございます。
  207. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、重ねてお尋ねいたしますが、五十三年——まあ一、二、三年ということで五十三年、五十年からお約束になっておりますから五十三年。来年は地方交付税制度を改革するのか、それとも国庫補助事業を整理するのか、超過負担の解消制度のために、単価差だけでない、対象差とか数量差も入れるのか、それから地方税制度、起債の許可制度のあり方などについても総理は何らかのメスをお入れになられるのか。これは総理と自治大臣はもうお話し合いがついておると思います。その点については自治大臣はよくわかっていますから、年じゅう委員会で私、自治大臣の御高見は拝聴しておりますので、こういう場所じゃないと総理大臣とやりとりができませんので、短い時間でございますから、親切な総理大臣のことでございますから、どうでしょうか、ひとつ何らかのかっこうで五十二年は示唆を与えていただけますか。
  208. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 われわれが取り組まなければならぬと思っておる問題には、交付税の問題がございますね。それから国と地方との事務分担の問題がある。それはやはり補助金の問題と結びつくわけです。それから地方財政の起債なんかの問題。こういう当面どうしてもやらなければならぬ問題が相当あるわけですから、これはやはり五十二年というものを目標にして取り組んでいく考えでございます。
  209. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 交付税制度を改めるということは非常に大きなことで、三二%の国税三税を何%にアップするかということはいまここで明確にできないにしても、来年は交付税制度それから事務の分担、超過負担制度、それから起債の許可のあり方についてと、いま四点申されました。これに間違いございませんね。
  210. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 いま申し上げたのは、五十二年を目標にして検討いたしたいという問題を挙げたわけですが、いま起債の問題といっても非常にむずかしい問題を含んでおりますので、この問題と取り組んでみる、こういうことに受け取っていただきたいと思います。
  211. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 総理が初めて具体的に四つの項目を挙げられたということは、私どもも非常に前向きにこれを受けとめます。この総理の前向きの答弁を引き継いで自治大臣、いずれこれからやるわけですが、総理はこれをやるとおっしゃったんだから、あとどうやるかの技術的なテクニックについては自治大臣と組まなければならぬと思います。  そこで大蔵大臣、中期財政見通しは今後毎年出されますか。それが一つ。  それから、私が非常に遺憾に思うことは、自治大臣、これは重ねてお尋ねいたしますが、大蔵省の国の中期財政計画が出されて——いつもあなたおっしゃるのは、国の財政と地方の財政というのは車の両輪なんだ。その三千三百余の地方公共団体の昭和五十一年の地方財政計画ができた。この地方財政計画は借金財政計画だ、こういう見通しの中で、その見通しのついた中期財政計画の地方の分は一体いつ出るのか。この二つ、大蔵大臣からまずお尋ねいたします。
  212. 大平正芳

    ○大平国務大臣 この間お目にかけましたのは、五十四年、五十五年の財政展望の試算というものでございます。毎年これをつくる考えは別にないわけなんでございまして、とりあえず、いつごろ特例公債から脱却できるかというようなお尋ねでございましたので、こういうような前提で政府の諸施策等の整合性を持ちながら試算してみますとこういう見当になりますというのが、この間の一応の試算でございます。したがって、お求めがございますならばあるいはまた考えなければいかぬかもしれませんけれども、ただいままでのところは、一応この間差し上げたので御審議を願いたいと思っております。
  213. 福田一

    福田(一)国務大臣 お答えをいたします。  地方財政に関する一応中期の見通しにつきましては、大蔵省の見通しも出てまいりましたので、これらも参考にしながら、もう三、四日すれば、われわれの方も案を提出さしていただけると思っております。
  214. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 非常にスピードでおやりになられたようなことで私たちも感じておりますけれども、大変な作業ではありますが、三、四日というのは間違いないと思います。  そこで大蔵大臣、この中期財政見通しによると、五十二年度に具体的な増税をしなければならないと主張しているのと同じでございますが、具体的にはどのような増税をお考えなんでございましょうか。
  215. 大平正芳

    ○大平国務大臣 そういう具体的な税目の構想は、まだ持っておりません。つまり、この程度の増収を期待しないといけないという見当をつけたわけでございまして、それをどういう税目で埋めてまいるか、あるいは経済の回復が早くてそういう新たな税目を起こさなくても歳入が期待できるのか、それは今後の経済の推移によって変わることでございます。しかし、いずれにいたしましても、新しい税目を起こす、あるいは既存の税制で増税を考えるというようなことになりますと、国民の負担にかかわることでございますので軽々にできませんから、税制調査会その他で十分念査をしていただいた上で考えなければならぬと思うので、ただいま具体的な構想を持っておるかというお尋ねに対しましては、まだそういうものは持ち合わせていないというお答えをせざるを得ないと思います。
  216. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 まあ具体的な構想はないにしても、この国の財政を乗り切るための構想について、大蔵大臣が何らかの腹案があると私は思って実は質問したのでございますが、その考え方を踏まえて昭和五十一年の地方財政計画を見たときに、非常に大型の借金財政を強いられているわけでございます。  五十年度当初の地方債の総額は二兆八千三百五十億でございましたが、五十一年度では六九・三%も伸びて四兆八千十億にも上っておりますが、中でも民間の縁故債は、五十年当初の六千七百三十五億から五十一年度は三・五八倍もの非常な伸びとなっており、二兆四千百三十億になる。一兆二千三百億が地方銀行引き受け、こういうことでございますので、大蔵大臣、自治大臣、昭和五十一年度には何らか大蔵と自治との両大臣の取り決めなどというものがあるんでございましょう。五十年度のときにはありましたね。この間の臨時国会においてお示しをいただきました。昭和五十一年度地方財政に対する大蔵、自治の何らかの取り決めというものはなされたのでしょうか。
  217. 福田一

    福田(一)国務大臣 御質問のように、今年度は四兆八千十億円の起債をしなければなりません。したがって、縁故債も相当の多額に上ることは御指摘のとおりでございます。  そこで、われわれは、これが担保適格債でないと日銀のオペの対象にならないというので、非常に心配を——というのは、縁故債の募集がどうなるかということで非常に心配をいたしまして、実は予算を編成いたしました十二月の二十四日のことでございますが、次のような内容の覚書をしたわけでございます。  読ましていただきます。これは何も秘密のことではございません。  「昭和五十一年度の地方財政対策を講ずるに当たり、次のとおり申し合わせる。」覚書ですね。「一、両大臣は、毎年度の国、地方おのおのの財政状況を勘案しつつ、交付税特別会計の借入金の返還について、」相当多額のものがありましたから、「協議の上必要があると認めるときは、その負担の緩和につき配慮を行う。」それから「二、昭和五十一年度の地方債計画に基づき発行される地方債のうち政府資金引受け以外のものについて、両大臣は、その完全な消化に努めるものとする。」こういう覚書を交わしておるわけでございまして、われわれとしては、大蔵省が十分に日銀とも連絡をとっていただいて、縁故債の消化は完全にやっていただけるもの、こう存じておるわけであります。
  218. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 地方債、特に縁故債の完全消化ということをいまお聞きしたのでございますが、完全消化をするためには幾つかの条件が出てまいりますが、地方銀行がこれを引き受ける、その地方銀行の窓口が狭まらないように大手の証券会社等がこれをまた引き受けるようなことをいまやっておりますが、大蔵省は、証券会社が縁故債を引き受ける場合、地銀が引き受けたものを買い取ることを禁止しているようなことをいま言っておりますが、こういうことは一体どうなのか、これが一つ。  それから、総理、これは大事なことなのでございますが、地方債というのは日銀の担保適格銘柄じゃないのですね。これはぜひとも担保適格銘柄の中に地方債を入れていただきませんと、買いオペの対象ということではございませんが、地方銀行やまたは地方の金融機関は——政府の債券についてはできるけれども、地方債の縁故債を完璧にはできないのじゃないでしょうか。この点どうなのでございましょうか。その点が二点目。
  219. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 縁故債を日銀の担保適格のものにするべきではないかというお話ですが、まだ日銀との間に話がついていないのです、この問題に対して。意見は一致していないのです。今後ともこの問題は継続して、そして話を続けていくつもりでございます。地方としてはそういう一つ必要性というものがあろうかと思いますので、日銀との今後の交渉を継続していこうと考えております。
  220. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、縁故地方債が消化できなくなるような場合に対しては、私どもが危惧しておることは、次に日銀の債券オペレーションの対象に加えるかどうかということが出てきますし、もう一点は、その縁故債を完全に円滑に消化させるためには、現在の公営企業金融公庫を改組して、地方団体金融公庫を設立しなければならないという意見を常任委員会では詰めてきたわけなんです。この問題は地方制度調査会でももう提言としては何度も、総理の主宰していらっしゃる地方制度調査会ですから、総理がいまになって日銀との詰めがどうのこうのということになっていくと、担保適格要件というものをいまごろになってそう言われたのでは、これはもう地方公共団体の縁故債消化について非常な隘路になるのじゃないか。この三点について大蔵大臣、いかがです。
  221. 大平正芳

    ○大平国務大臣 第一点の、縁故債を日銀のオペレーションの対象にすべきではないかという問題でありますが、これはちょっと話が本末転倒でございまして、日本銀行が適正な通貨を供給する場合にオペレーションをやるわけでございます。したがって、その縁故債の消化を円滑にするためにオペレーションをやるのではないのです。ですから中央銀行といたしましては、そのオペレーションをやる場合に、みずからの適正通貨を供給する目的にふさわしいものを選ぶわけでございます。したがって、地方債の縁故債のように一地方にかたまっておるとかいうものを取り上げなければならぬというようなことを日銀に強いるわけに私はいかぬだろうと思うのです。しかし地方債でも、公募債の場合は今度オペレーションの対象にいたしておるわけでございます。  ただ問題は、そういうことをしなくても、この消化の問題につきましては、先ほど自治大臣からもお話がございましたように、全幅的に大蔵省も金融機関を動員いたしまして御協力申し上げるという決意をいたしておりますので、また今日から明五十一年度の金融情勢を展望いたしますと、そんなに小川さん御心配なさるような状況ではございませんので、私はこの消化には支障はないと思っております。また、支障がないようにしなければならぬと考えておりますので、しばらく金融当局にお任せをいただきたいと思います。  それから第三の問題でございますが、公営企業金融公庫の改組問題、これは仰せのようにこれを改組して一般的な地方財政全体、公営企業金融だけでなくて地方財政の立場から、もっと広い業務分野を持つところの金融機関に改組すべしという見解を持たれておる向きもあるし、自治省からも予算の編成時にそういう御要請がございましたことは事実でございます。しかし、私どもこれにはにわかに賛成できないわけなのでございます。と申しますのは、そういうことをすれば地方財政の運営が楽になるかというと、そういう型のものではないと考えておるのでございます。  ただ、地方公営企業がしからばいまのままの状態でいいかというと、そうもいきませんので、ことしは、予算をごらんいただいてもわかりますように、この公庫には相当思い切って資金を供給いたしておりまするので、そういう改組にはにわかに賛成できませんけれども、この機能を活発にしてまいるということにつきましては、極力御協力を申し上げなければならぬと考えております。
  222. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 時間がもう参りましたものですから、最後に直轄事業の問題をお尋ねいたしますが、建設大臣、昭和五十年の十二月に納めなければならない直轄事業の裏負担分、公共事業の裏負担分は四七・一%しか納まっていない。きょう現在で六二%しか納まらない。一体この直轄事業の裏負担分については、財政法上いろいろな問題があるのですが、これは自治大臣、その前にちょっと、建設大臣のいまのお話を聞く前に、地方公共団体がこう財源が苦しくなってきますと、直轄事業の維持管理費だとか、また規定に決まってないものの直轄事業については、ことさら金を納めなくてもいいんではないかという議論がある。これは、自治省の財政の見解について出ておるわけですね。それについては建設省とは意見が違ってくるではありましょうけれども、自治大臣、これはどうお考えになりますでしょうかね、直轄事業の負担金の納入についての考え方。
  223. 福田一

    福田(一)国務大臣 御案内のように、法制的の問題はまずあれとしましても、公共事業というものは、住民の福祉向上のために図るべき社会資産の充実ということになりますから、それについて公共団体が一応当初こういうものをやってもらいたいということを各省に要望をいたしておるわけであります。そうして、要望しておいて、それが割り当てがあった段階において、私の方はそれは要りませんよ、それは負担できませんよというのは、私はいかにも地方公共団体としても不見識な話であると思っております。したがって、一応決まった分については消化を、まあ、いままではやってきたわけでありますけれども、今年度は御案内のように非常に財政が窮乏をいたしましたために、その納入が非常におくれておる。しかし、われわれは、この年度末、三月末までには大体納まるものと実は考えておるわけであります。  しかし、こういうような事態を踏まえて、度においてこういうことが起きてはいけない、またそれでは景気浮揚にも役立たないということで、来年度は裏負担の分についてはもう九五%まで起債でめんどう見る、残りの五%については交付税でめんどう見る、こう言うて一〇〇%にしてありますから、そこで、年度初めの予算編成のときに、公共事業については全額消化するという形において予算の編成をやってもらいたいということを申し入れているようなわけであります。
  224. 竹下登

    ○竹下国務大臣 小川委員お答えいたします。  大筋は自治大臣が答弁申し上げたとおりであります。五十年度直轄事業地方負担額は、補正を合わせまして二千百三億円、うち第一回納入告示分、これは納期限は御承知のとおり九月十日であります。これは六百六十九億円で、九九%となっております。ただし、十二月十日を納期限とします第二回納入告示分は四百九十二億円で、御指摘のとおり六二%ということになっておるわけであります。     〔小山(長)委員長代理退席、正示委員長代理着席〕 しかしながら、自治大臣のお力によりまして、知事会も納入問題について従来の方針を解除をした、こういう傾向にございますので、これから自治大臣の御協力を得まして推進してまいりますならば、当初の目的を達成することができるであろう、また、できなければならぬというふうに思っておるわけであります。財政法等はもとよりでありますが、道路法、河川法で一応法定されたものでございますので、そういう出資を期待しながら今後とも努力をしてまいりたい、このようにお答えを申し上げます。
  225. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、直轄事業の裏負担分を起債でめんどう見てくださることはありがたいのでございますが、すべてそれが昭和五十三年からの地方公共団体の起債の返還期間が来るわけでございます。その五十三年度からの問題の中で、直轄負担金を現金で納め得られないものが、すなわち十二月の十日までに納めなければならない限度が四一%しか納まってない。しかも四十七都道府県のうち二十五府県がゼロだ。総理、一銭も納まってない。埼玉県の例を挙げますと、二百七十億も赤字が出た。この中で二十八億の裏負担分については納められなかった。納めますと非常にベアの問題などに響いてくるので、これを延期しているわけです。いまの御説明でも六三%しか納まってない。こういう状態では、直轄負担の裏負担分が大変な中に、国が維持管理すべきものまでも地方公共団体がめんどうを見ることについて財政法上いろいろな疑義が出てきて、おれたちは金を納めなくてもいいんだというようなムードがいま地方公共団体の中に盛り上がってくるならば、五十一年度財政計画の中に穴があくし、昭和五十一年の一般会計の国の予算の中にも穴があいてくる。こういう問題について私は危惧を示し総理の言われる公共事業が景気浮揚の引き金になるという中で、直轄事業の裏負担分を納められないためにその計画事業を返上したり、その計画がゼロになったりすることであったならば、この総理の言われている精神が地方公共団体のすみずみにまで行き渡らないということを私は明確に指摘しているわけなんでございますので、どうかひとつその最後の私の気持ちをおくみ取りくださって、総理の御決意を伺って、私の質問を終わらせていただきます。
  226. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 公共事業が景気浮揚の大きな柱であると考えておりますから、そういう直轄事業が、公共事業を施行することが不可能にならないように、あらゆる努力を政府としてはいたします。
  227. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 これにて小川君の質疑は終了いたしました。  次に小沢貞孝君。
  228. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 まず第一に、総理並びに宮澤外務大臣に、周恩来死後の中国の情勢と日中関係についてお尋ねをしたいと思います。ちょうどきょうは日中議連主催の周総理の追悼会が、先ほど日比谷の公会堂であったばかりであります。私もまた中国の偉大な政治家周恩来総理の逝去に哀悼の意を表するものであります。  中国の行政の最高責任者であった周総理の逝去によって、中国の内政、外交にも各方面でいろいろな変化が生まれつつあるのではないか、こういうことでマスコミ等は報道をしておるわけであります。日中関係においては何か変化が生まれているのかどうか、まずその点をお伺いいたします。第一点であります。  第二点は、日中関係の当面する最も重大な課題は言うまでもなく日中平和条約の締結交渉であり、この条約交渉について周総理の逝去が何か影響を及ぼしているかどうか、条約交渉の現状についても簡潔に報告を願いたいと思います。  第三点は、日中平和友好条約交渉に対する政府の基本方針はどうなっておるか、改めて総理からこれは明らかにしていただきたい、こう思います。  というのは、宮澤外務大臣は、昨年十一月七日の参議院予算委員会で、日中平和条約の焦点である覇権条項の問題について、四原則を明らかにしておるわけであります。一つは、覇権反対は特定の第三国に向けられるべきものではない。二つ、中国と共同行動をとるという意味ではない。三つ、世界のどこでも覇権を求める試みには反対する。四つ、国連憲章の精神に一致するものである。この四原則が中国側に確認されれば、覇権条項を条約本文に明記してもよいと言われましたが、この発言に間違いがないか、これは宮澤外務大臣から確認の本院における答弁をいただきたい、こう思います。  そこで、三木総理に、宮津四原則は政府の方針として、総理の立場から——本院においてはまだ恐らく総理からそういう発言がなかったと思います。言明をいただきたいと思います。  以上四点であります。特に最近は華国鋒が首相代理になるということで中国の情勢に何かいろいろ変化があるのではないか、こういうようなことが、意想外なこれは人事でありますから、言われております。あるいはまた、実務派と文革派の何か権力闘争があるのではなかろうかというような報道がなされているときであります。どうぞ宮澤外務大臣からの確認の御発言と、総理から、それを政府の方針とするかどうか、その辺を明確にしていただきたい、こう思います。
  229. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 周恩来総理が逝去されまして、われわれとしても哀惜の感にたえないのでございますが、しかし、日中間の関係というものは、両国とも、日中永遠の友好関係を維持していきたいということが両国のかたい決意でございますから、周総理の逝去によって日中関係の基本が変化するとは思っておりません。また、新しい首脳部というものもやはりこの方針を踏襲していくものと信じておるわけでございます。  また、宮澤君の述べられました覇権に対する四原則と言われておるものは、覇権というものに対しての日本考え方を述べたものでありまして、日本は覇権というものをこのように考えるという、日本の覇権に対する考え方を述べたものであって、これが政府の方針あるいは平和友好条約の交渉の条件というものではないわけであります。日本考え方を述べて、こういう考え方に対して内外の理解を求めたいということでございます。
  230. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 いわゆる四原則と申しますか、四つの問題点につきましての性格は、ただいま総理大臣の言われましたとおりでございます。なお、そのようなわが国の考え方について日中間の理解が得られるならば、このような考え方をいわゆる本条に設けることについてどうかというお話でございましたが、私は、基本的な理解が得られるのであれば、前文であるか本条であるかということはごく技術的な問題にすぎないというふうに今日まで考えてまいっております。  なお、このようなわが国の考え方全体は、中国側においてもわが国の考え方というものとしては承知をしておられるであろうと考えられる幾つかの理由がございます。恐らくそれにつきまして、中国側としても長いこといろいろ検討をしておられるのではないかというふうに私どもは考えているわけでございます。  周恩来首相が亡くなられました以後、先ほど御指摘のようないわゆる総理代行を置くといったような人事があったと承知しておりますけれども、何分にも他国のことでございますので、あれこれ申し上げることは遠慮をいたすべきかと存じます。ただ、周恩来首相の存在が偉大でございましたから、逝去されたということはやはり中国内部にそれなりの影響なしとしないというふうに考えておくことが正しいのではないであろうか。ただし、それ以上につきましてかれこれ申し上げることは差し控えるべきであろうかと存じます。
  231. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 時間の関係で私は簡略に申し上げますが、考え方を述べたものという総理の御発言と、いま宮澤外務大臣の言うのは、前文であろうと本文であろうと、こういうことを盛り込まれればそれによって交渉は締結する、こういうように受け取れるわけであります。そのとおりでいいかという、イエスかノーかの、これは政府の方針だと、こういうように御答弁総理からいただければいいわけです。  それから、周総理の亡くなった後影響があるだろう、こういうように言われましたが、具体的には、この交渉が長引くとか、どういう影響があるだろうか、簡潔に、これも宮澤外務大臣から……。
  232. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 最後の点について申し上げますことは、何としても他国の事情、それも私どもが判断すべき材料をほとんど持っていない国情についていろいろ申し上げることになりますので、差し控えたいと考えておるわけでございますが、何分にも故周恩来総理は、日中正常化のときに、わが国の田中首相と相ともに正常化を実現された、大きな仕事をされた方でありますので、その方が逝去されたということは、われわれとしてはやはり哀悼にもたえませんし、また残念なことであったと考えておりますということのみを申し上げておきたいと思います。
  233. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 日本の政府は共同声明を後退させないというのが基本的な考えでございますから、この共同声明の趣旨を条約の中に入れることに対して何らの異議はないわけでございます。
  234. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 時間の関係でこれにこだわっているわけにはまいりませんので、先に進みたいと思います。  総理にお尋ねしますが、端的に申し上げて、かつての臨時行政調査会、多分初代の会長は佐藤喜一郎氏であったと思います、そのときと同様に経営管理に堪能な民間人を主として構成員とする臨時行政調査会、ああいうものをこの機会に発足させる意図はないか、こういう点についてお尋ねをしたいと思います。  ちょうど資料が入ったわけですが、その当時臨時行政調査会の会長の佐藤喜一郎氏が、序の一番最初にこういうことを述べているわけであります。「直接間接、いろいろな形で税金を払っている国民の立場からは、国の行政が親切に、また能率のよいものであることを望むのは当然である。とりわけ最近、政府が」ここです。「国債を発行するようになったからには、真剣に行政の効率化、合理化を、特にこの際、再検討すべきである。」全くいまの情勢と変わりがないわけであります。「均衡財政で国債を出さなければムダをしてもよい、と言うつもりはない。しかし、国債発行は、いわば政府が将来の財源を先借りすることだ。ムダをしながら借金することは許されない。」これがその冒頭言葉であります。ちょうど私はいまその時期ではなかろうか、こう思いますので、行政の簡素化あるいは機構の改革について格段の努力を払わなければならないときではなかろうか、こういうように考えるわけであります。ところが、やはり政府が自分から、特にいま官僚の本能は、機構をみずから簡素化する、こういうことはその体質から出てくるはずがないわけであります。どうしてもそれには政府が蛮勇をふるって不退転の決意を示すことが大切ではないか、そしてそのためには、技術革新と国際競争の中で企業の近代化、合理化を図るために常に体を張って取り組んでまいった民間経営者と、そしてこれに対応してきたそこの労働者、こういうような意見というものをどうしても反映させなければならない、こういうように私はこの時期において強く感ずるわけであります。総理から御答弁をいただきたいと思います。
  235. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 大きく反省してみて、行政改革に対して政府のやり方は手ぬるいというそしりは免れないと私は思っておるわけです。しかし、いまは大きな情勢の変化があるわけでございますから、これに適応した行財政のあり方というものは、これはどうしてもこの機会において考え直さなければならぬわけでございます。いま御承知のように行政監理委員会がございまして、これは民間から入っておるわけなんです。非常に行財政の問題と取り組んでもらっておるわけでございますが、小沢君の御指摘のように、これはどうしても大きな政治の課題であると、そういうことで、行政監理委員会だけで根本的にこの問題と取り組むことが十分かどうかということは私もいま真剣に検討いたしておるわけでございまして、まだ結論に達してはおりませんが、やはり必要だったならば新しい仕組みも考えなければならぬが、何とかいまの機構というものを活用してできないかということをいまは考えておるわけですが、この仕組みで時代の変化に即応した行財政のあり方というものがいまの仕組みではなかなか無理だということならば、新しい仕組みも考えたいと思っております。
  236. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 実は一週間か十日前だと思いますが、わが党の玉置委員質問に答えてやはり臨時行政調査会の話が出ましたが、いままでの機構だけで十分だというのではなしに、もっと行財政の簡素化、合理化を推進するような何らかの仕組みが要るのではないか、これはそういう御答弁であったと思います。これは総理、いまやらなければ、この赤字国債をこれだけ発行するといういまやらなければ、なるべくむだ遣いをしない行政をやりたいという国民の期待にこたえるわけにはいかぬと思うわけです。総理答弁はいつでも、いままでの機構で適正かどうか検討してみてというように、これはとりようによれば、雨降り候、天気にはござなく候、やる意思があるがごとくなきがごとく、こういう答弁であるわけです。だからきょうは、その機構その他についてはまた別として、これに対して取り組む、前の臨時行政調査会のような式のものを何らか発足をする、こういう前向きの答弁を期待するわけです。どうでしょう。
  237. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 これは、いままでずいぶんこういう問題を取り扱うべき審議会のようなものがあるのですね。いま私が挙げた行政監理委員会もそうですし、国でも地方にも皆そういう問題を検討する審議会等があるわけですから、できればいまあるような審議会を、時代の要請というものが前よりも非常に強くなってきておるわけですから、これが活用できることが、次々に審議会あるいは調査会というものをつくるよりも、いまの一つの機構をもっとやはり活用できる方法はないかということを考えてみる必要はあると思うのです。  だから、いま小沢さんはここでこれに対して、仕組みは別としてやるということを言えと言うのですが、まだやるということを申し上げるのには少し時期が早いと思いますので、これはそういう強い御意見もあって、われわれもごもっともな意見だと考えておりますので、十分にこの問題と取り組んで、そして政府としての結論を出すことにいたします。
  238. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 大切な問題だから、総理答弁もわからぬではないが、これはどの大臣が担当でしょう、いまある監理委員会その他、行政管理庁の長官のところですか。いまあるものは、私がいま求めているようなものについて一体具体的に何に取り組んでいるか、残念ながらわれわれ一つもそれを新聞紙上その他で拝見しないわけであります。何にもやってない、こういうように端的に考えるわけです。何をやっているか、行政管理庁長官いますか。
  239. 松澤雄藏

    ○松澤国務大臣 現在やっているのは、いまお話しにございましたように、きょう回答をもらいましたが、保育所とかあるいはまた幼稚園とかその他のもの等々をやっております。しかし、現実の問題として、ただいま総理からお話がありましたように、何とか活発な御発言等を願うようにしたい、こういうふうに考えまして、ただいまのような問題等をそれぞれ答申をしてくれるようにというふうな意味で、各省に向かって発言をしておるような現況でございます。
  240. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 総理、ちょっと聞いてください。何にもやってないわけだ。きょう私が後で幼稚園、保育園、これを労働省、厚生省それから文部省にまたがっているものを一体なにするのだ、こう質問しようと思ったら、きょうあわてて文部省と厚生省から回答が来たみたいなことで、これは末端の小さな行政を何とかしたいという程度のことで、私たちがこの機会に望んでいることとは全く違う。何にもやってないわけなんだ。やってないから発足をさせなきゃいけない。これは大所高所から総理の決断でスタートさせなければならないことではないか。どうでしょう、総理
  241. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 だから私の答弁は、これは何もその場限りの答弁ではないのです。やはりこういうふうな財政の状態になってまいりますと、どうしたってやはり国民とすれば、行財政に対して、こういう時代に即応して一遍見直してみるべきであるということは当然なことだと思いますので、この問題については、いますぐにここでこういたしますという結論には達しておりませんけれども、これはどうしても政府が取り組まなければならぬ大きな課題であるという問題の意識は持っておるわけでございますから、できるだけこの問題をどうするかという結論は、政府として出さなければならぬと考えておるわけでございます。
  242. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは、大変前向きな答弁と理解して、いますぐではないが必ず取り組む、こういうぐあいに理解をして先に進ませていただきます。  これはやはりいまと同じようなことで、最後にこれはまた総理から御答弁をいただけばいいわけです。  去年の一月二十八日の本会議で今度は、公営企業、公共企業体、そういうようなところの合理化のためにわが党の春日委員長質問をしているわけであります。質問の簡潔な要点だけを申し上げますと、「政府は、三公社五現業を初め、中央、地方の公営企業について、その経営実態を徹底的に洗い直すために、ここに公営企業体近代化審議会とも言うべき権威ある国の機関を設置することとし、かつ、その企業体は、この審議会が指示した所要の合理化を実行するまではその料金の値上げは行い得ないように、この際、所要の法的措置を講ずべきであると思うが、政府の見解はいかがでありますか。(拍手)」こう書いてある。それに対して総理答弁は、こういう答弁であります。これも要点だけですが、「やはりこの公共料金の値上げの場合には、それだけの徹底的な合理化というものを行うことが前提になるということは当然のことでございまして、この御提案は大変に示唆に富んだ建設的な御提案だと思いますが、政府のほうで、御承知のようにいろいろな審議会があるわけでございます。いろいろな審議会がございますから、どうしても洗い直さなければならぬことは事実でありますが、いままでの既成の」また同じようなことを言うわけです。「既成の審議会でその目的が達成できるかどうか、できない場合には、御指摘のような審議会なども必要だと思いますが、できるだけ、いままである審議会を活用できぬかという点で、検討をしたいと思います。」  ちょうど一年余たちました。これはもう質問してみれば答弁がすぐ出てまいりますが、運輸省には運輸審議会があるわけです。運輸審議会は何をやったかというと、去年の料金値上げ、ことしの運賃値上げ、これだけしかやっておりません。郵政には郵政審議会があります。これもまた郵便料金の値上げしかやっておりません。もし違っていたら担当の大臣から御答弁をいただきたいと思いますが、やっておりません。  そうすると総理、過去一年間実績を私はじっと見ておったが、既存の審議会で、わが党委員長の提案したこと、総理が検討をしてみて、既存の審議会でやれるかどうか、それを見て設ける、こう言ったけれども、私は過去一ヵ年間、これを大事なことだと思ってじっと見てまいりましたが、何もしていないわけです。こっちの方は一年間検討をする時期を総理に預けておいたわけであります。総理、どうでしょう。これは私がこれから逐次、国鉄の問題なり何なり質問をした後で、なるほど必要だと、こういうことがおわかりだと思いますから、それまでに考えて、これはどうしてもこの機会に発足をさせるという言明をいただきたいわけです。  そこで、私は国鉄当局にお尋ねをいたしたいと思います。これは大変な事態だと私は思いますが、時間の関係で簡潔に答弁をいただきたいと思います。  数日前に、自民党の運輸部会か何かへ、五十五年までに五万人の減員、これは中身は三万五千人ふえるから純減は一万五千人だ、こういうように聞いておりました。私たちの党のヒヤリングでもそう聞いておりました。そうしたら、きょうは自民党に言われて、あわてて一週間ばかりの間に直してきて、六十年までに六万五千人減らします、こういうものを持ってきたやに聞いておるわけです。聞きたいことは、国鉄の再建のこれだけの重要な問題が、三日や四日でころころ変わるようなことが果たしてできるものかどうか、そういうことであります。私は過去の国鉄の再建案を見ると、ものの二年間ともったためしがないわけです。一年半ばかりたてば前のやつはだめだったと言ってまた抜本、また抜本と次々と変わってくるわけであります。だから総理、こういうのを見ても、運輸審議会なり何なりでそういうものを根本的に検討したためしがない、こういう理由の一つにもなると思います。どうでしょう。これもそう簡単に——国鉄いますか。この問題だけでも……。
  243. 井上邦之

    ○井上説明員 お答えいたします。  国鉄の再建につきまして一番柱になりますものは、やはり要員の合理化であろうと思いますが、その要員合理化につきましてころころ国鉄の考えが変わったというふうな御指摘でございましたけれども、そうではございませんので、前総裁以来国鉄は、四十四年以降十年間に十一万人の人間を減らします、国鉄当局としてその意思表明いたしたわけでございます。自来、四十四年から今日まで現実に四万四千人の人間を減らしてきております。残りが六万何がし残っておるわけでございますが、要員合理化、また、それに伴って行います要員縮減、これはやはりそう申してはなんでありますけれども、やりやすいものからやっていくというのが実態でございまして、現在までいろいろ機関士の乗務員を一人にしますとか、いろいろな施策の面あるいは機械をもって人力にかえるというような、投資をもってするような要員減、いろいろなことをやってまいりましたけれども、現在残っておるのはやはりむずかしいものが残っておるという事態でございまして、今後お約束を果たしまするにもかなりな時日をかしていただかなければこの実現はむずかしい、こういうことでございます。  したがいまして、先般、国鉄当局として五十五年までに要員合理化は五万人行います、ただし、その間要員増もやはり考えていかなければなりませんので、三万五千人ほどは増要素がございます。差し引きまして二万五千人は減らします、こういうことを表明いたしましたが、これは現時点でかなり実行性のあると申しますか、これは五年間にやり得るというものを申し上げたわけでございまして、まだお約束のものについて残っておるわけでございますが、これはかなり時日を要しますので、かすに時日をもってさしていただきたい、かようなことを申し上げたわけでございまして、考え方がころころ変わっておるわけではございません。考えは一貫してやってまいっておりますが、ただやれる事態と非常にむずかしくなった事態、そういうかみ分けでいままでのようなことを申し上げておる、こういうことでございます。
  244. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 国鉄の副総裁にお尋ねしたいと思いますが、私たちもきょう党内でちょっと論議したのですが、たとえば地方線七千二百キロぐらい赤字だ。これはいい悪いは別ですよ。別だけれども、そういうものを政府から補助をもらってやろう。それが三分の一がいけないの、四分の一だ。大蔵省は四分の一を認めたとか聞いておるのですが、これを抜本的に——どうせ補助を半分なり三分の一出すなら、地方公共団体かあるいは民間等公社みたいなものをつくって分離してしまうとか、地方線ですよ、これは赤字が出るに決まっていると思う、いろいろの必然性があって。そういう根本的な改革案、あるいはまた、地域的に電力会社が九電力に分かれている。これは確かに九電力に分かれている中で同じような仕事をやっているけれども、これはやはり競争原理が働いて一生懸命で合理化をやっている。だから、たとえばいっそのこと、九州の国鉄、四国の国鉄、北海道の国鉄というように根本的に分割するというような案、あるいはまた、私はいつも思うのだけれども、この間もこういう話を聞いた。浜松の工場へ、あの近くの静岡県のEという民間会社がレイオフ、一時帰休で暇だったもんでアルバイトに行った。そうしたらE会社の人が、国鉄のこの工場は実働二時間しか働いてない、そういうことでびっくり仰天して帰ってきた。今度はそれを聞いた民間の自動車部品をつくっている工場の人が、あのなまけているE会社さえびっくりするというならば下には下があったものだなあ、こういう話であります。これは現実にあった話であります。民間会社では、この修理工場なんというものが国鉄には十九もあるのですか。そんなものを持っているところはいまないのです、どんな会社に行ったって。たとえば東洋高圧に行けば、そういう修理工場みたいなものを東洋エンジニアリングにして独立会社にして、修理もいままで請け負ってやる、新しい技術も開発するというように、これは民間会社というものはみんなそういう苦労をしているわけです。だから、そういう工場を分離するとかいう考え方……。  以上三つぐらい具体的例を挙げたが、これを国鉄の内部で、自分で検討したことがあるか、こういうことを運輸審議会が検討したことがあるか、こういうことを私は聞きたいわけです。あったかなかったか、この一点だけでいいわけです。その答弁を後でいただきたい。総理、そういうわけであります。恐らくそういうことについては、国民の注視の的である国鉄についてそういう抜本的なことの検討の機会もなかったと思う。  今度は、その後ろに郵政大臣がいるけれども、郵政省の貯金というのは、十円以上貯金してよろしい、こういうことになっている。ところが、別の、国のいろいろ契約の四捨五入だか何かやるのには、一円というものを最低単位にしろ、こういように書いてある。六千三百万件ある貯金のうち、ちゃちな機械化が済んだものが、二十八貯金局の中で、いま進行中のものも入れて十七しかない。そうすると、あとの貯金局というものは、こういうカードをつくって十円受け入れた、あるいは千円受け入れた、その貯金の金利は幾らか、こういうことをやっているわけです。これは民間の人から見たら、こんな非能率なことをいままだやっているか、これはびっくり仰天をすると思うわけであります。  二つ、三つだけ例を挙げたわけであります。国鉄からは、そういう抜本的な合理化案というものを本当に真剣に検討したことがあるかどうか。総理からは、かかる事態だから、一年間私はわが党委員長の提案を待っていたわけですが、公営企業等近代化審議会(仮称)、そういうものでいい。この機会に発足させなければならない、こう思うわけです。総理からの御答弁
  245. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 審議会がやはり値上げの問題ばかりで、近代化、合理化の検討をしてないということは事実と違います。これはやっておるわけでございます。そればかりではなしに、国鉄の場合でも国鉄再建の懇談会等もあって、審議会ではないけれども、この問題で一つの審議会としての意見書を出したことも御承知のとおりであって、やはり公共企業体というものがこのままではいかぬ。小沢君の言われるとおり、これはもう非常な危機の中にあるわけでございますから、こういう問題について審議会も重大な関心を持つのは当然でございますし、そのほかにいま言った国鉄では、国鉄再建の懇談会もあったでしょう。そういう問題で先般来意見書を出しておりますが、これは国鉄総裁の諮問機関としてつくったわけです。そういうふうな近代化あるいは合理化というものについては、重大な関心を公共企業体としては持たざるを得ない課題でございますから、関心を持ち、いろいろ検討もしておるのですが、もう少しやはりこういう時期にこの審議会などが活発な活動をしなければならぬと私は思います。  したがって、まず公共企業体は各公共企業体によってあり方が違うわけですから、一遍に公共企業体全体の合理化ということになれば、企業体の態様が違うだけに、審議会というものは非常に膨大な審議会にならざるを得ない。でき得べくんば、個々の公共企業体というものが個々の企業体の上に立って、そして合理化、近代化をやるということが好ましいとは思いますが、従来のやり方が活発でなかったということについては反省しなければならぬ点もありますので、この問題と取り組んできておったわけでございますから、一層これに対して、もう少しやはりこの問題をこれからの一番の大きな課題として取り組むようなことにいたしたいと思っております。
  246. 木村睦男

    ○木村国務大臣 総理の御答弁にちょっと補足をいたしますが、審議会関係のことにつきましては、運輸省に運輸審議会というのがございます。御承知のとおりでございますが。これは許認可事項につきまして審議をして運輸大臣に答申をするのがその使命でございますので、そこで国鉄の再建とか、そういう問題は、この審議会としては建議としてはできますけれども、本来の使命といささか違う点がございます。  そこで、今回の国鉄の再建策をつくるに当たりましては、私のところで国鉄再建問題懇談会というのをつくりまして、そこに諮問いたしまして、私が直接司会をいたしまして、十一月に一応のまとめをして再建の方策をまとめたわけでございます。なお、国鉄には諮問委員会等、国鉄自体の委員会がございまして、いまお話しの合理化であるとかあるいは外部委託の問題等は、国鉄におきましてもそういう委員会に諮問をして答申をいただくというふうな仕組みになっておりますが、今後一層御趣旨を生かしまして、これらの委員会、審議会といったものを十分に活用いたしたいと思っております。
  247. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは、聞きもしない運輸大臣出てきたから私はお等ねしますが、この一週間ばかり前に自民党から、五万人削減案じゃだめだ、六万人だか六万五千人、きょう持ってきたのは、どれだけ国鉄再建問題懇談会が真剣に討議をして、その結果出てきたものか、その経過、それを説明していただきたい。運輸審議会がやるかと思ったら、それは料金の値上げしか答申しないんだそうですから、これはないも等しいんだが、私的な機関としてそういうものをつくってあると、こう言うから、私が言う合理化その他の問題に本当に根本的に取り組むような機関であるかないか、こういうことをお尋ねしたいために私は再質問するわけです。
  248. 木村睦男

    ○木村国務大臣 国鉄再建問題懇談会では、合理化あるいは人員削減等の問題もいろいろ出まして、いろんな御意見が出ました。この懇談会は、それらの意見をまとめて答申をいただくということではなくて、各委員のそういった御意見をいろいろと聞きまして、それを参考にして再建のいろんな案をつくったわけでございまして、ただいまの五万の人員整理というものは、その中で出ましたいろんな意見等も参考にいたしまして、国鉄を中心に実際にできるかどうかという積み上げ計算等をやりまして一応考え出した整理の案でございます。
  249. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いまの答弁を聞いていてもおわかりのように、一運輸大臣が私的につくった、いろいろな意見が出てくるのはあたりまえであります、そういうものではやりおおせるものじゃないわけです。だれが考えたってそうなんです。これは国全体が取り組まなければならないほどの大問題なんです。したがって、もっと大きな、大所高所からこの経営近代化というものを進める権威あるものがなければだめだ、こう言っているわけですから、さっきの総理答弁は、もう少し待てと、一年間も待ってきたわけです。一年間待ってきたが実績何にもなし。したがって、いま発足をしなければ総理の一年前の公約に違反する、こういうことになるわけです。
  250. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 公共企業体の全体としての問題を検討するために、内閣に何かスト権の問題とも関連をして、公共企業体の財政の面、あるいは経営のあり方、それから労働関連法規、これを検討するための懇談会形式の機関を設けたいと考えております。これを発足さすことによって、小沢君の御指摘のような意味は、ある程度これは果たせると思います。そのことがやはり公共企業体の再建ということに関して、財政から経営から労働法規の問題に関連した、そういう懇談会を設けたいと考えておりますから、それは、いま御指摘のような公共企業体のあり方の根本的な検討という目的にもかなうものだと考えております。これはできるだけ早く発足させたいと思っております。
  251. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 総理のそれは、私は非常に重大な発言だと思います。スト権問題についても、確かにこの答申の中に、「四十万人を超える職員をかかえた巨大企業である現在の国鉄が労務対策等の側面で組織管理の限界を越えているのではないか、」云々とありますから、こういうところでも経営形態の問題も論議しなければならなさそうであります。だが、いま私の言っているあの臨時行政調査会の佐藤喜一郎会長の発足のときには、これは法制局か行政管理庁長官に聞きたいが、あれは何か臨時立法があったわけですか。いま総理の言うのは、このスト権の問題にあわせて、私の言う企業近代化の問題についても、あわせて別な任務を持たせてやろう、こういうことですから、これは出発のところが違うものを一緒にしようと、こういうわけです。だから、この前のときには、臨時行政調査会のときは臨時立法か何かつくってやったか、総理のあの、いまの一言だけで臨時行政調査会と同じような、この公営企業近代化審議会、こういう式のものができるのかどうか。
  252. 小田村四郎

    ○小田村政府委員 臨時行政調査会につきましては、昭和三十六年十一月法律第百九十八号をもって特別の立法をいたしております。臨時行政調査会設置法という法律がございました。
  253. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 小沢委員に申し上げます。  時間が参りましたので、結論にお入りください。
  254. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それじゃ最後に、この前のときはそういうように立法でやったわけです。いま総理の言われたことは、やはり立法事項としてやるのが筋ではないか、こういうように考えますが、その答弁をひとつ。
  255. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 いま考えておるのは、懇談会の形式をとりたいと思っております。
  256. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは、この前の臨時行政調査会、ああいうものは立法でやって権威あるものができた。懇談会では、私は権威はないとは言わないが、大体スタートが違うのだから……。スト権をやるために企業のあり方を検討しようというのと、国民にこたえるために、企業を合理化するために権威あるものをつくろうというものとをいま合体しようと、こういう言明でありますから、その目的をきちっと果たすためには立法化してやるのが筋ではないか、こう思います。
  257. 三木武夫

    三木内閣総理大臣 これは臨時行政調査会とは目的が違うと思います。十二月の一日に政府の基本方針を出しました。この線に沿うて政府は、いま申したような、いわゆる当事者能力あるいはまた公共企業体の経営のあり方、こういうものを全面的に再検討し、それと関連のある労働、いわゆるスト権の問題等も解決しようというために置くわけでございますから、したがって、臨時行政調査会の目的とは違うけれども、この懇談会においても公共企業体のあり方というものが当然に検討されなければ、そうでなければ、この問題を掘り下げて、いま言ったスト権の問題についても掘り下げて政府としての結論を出すのには十分ではございませんから、こういう機関も設けようと思っておるわけでございますが、合理化、近代化の問題というものを直接の目的とするものではございませんから、これは別個の問題としなければなりませんが、こういうものも一つの関連はある、懇談会としてはこういうものも政府は考えておるということを申し上げたわけでございます。
  258. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 時間ですから終わりたいと思いますが、とにかくスト権からスタートしたものに公営企業を近代化するという目的のものをあわせてやろう、こういう前向きの答弁ですから、一応それを了承をして、時間ですから終わりたいと思います。
  259. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 これにて小沢君の質疑は終了いたしました。  これより、理事会の協議により、保留分の質疑を行います。湯山勇君。
  260. 湯山勇

    ○湯山委員 先ほど文部大臣から、今回の給与改定につきまして、昨年の三月七日人事院に申し入れをしたという御答弁でございました。これは今年度の三月の人確法に伴う給与改善の予算が本年度組まれているということによるものだと思いますけれども、それから見てもう十一ヵ月以上たっております。     〔正示委員長代理退席、小山(長)委員長代理着席〕 今日なお給与の勧告が出ていないというのは一体どこの怠慢なんですか。どこの責任でしょう。文部省なのか人事院なのか、それとももっとほかのところなのか、一体この責任の所在というのはどこにあるか、ひとつ簡単に御答弁願いたいと思います。
  261. 永井道雄

    ○永井国務大臣 どこの怠慢かということに直接になりませんが、昨年の三月七日に主任についての手当てにつきまして人事院に要望いたしましたが、その文章中に「規定の整備と相まって、」ということがございます。そこで規定の整備の問題は当然文部省がやりますことでございまして、三月七日の時点ではまだできていなかったわけでございますから、それ以後時間をかけたという点におきましては私どもに責任がございますが、同時に、重要なことでありますから時間がかかったという点もございます。
  262. 湯山勇

    ○湯山委員 文部省で規定の整備が終わったのはいつですか。
  263. 永井道雄

    ○永井国務大臣 十二月の末でございます。
  264. 湯山勇

    ○湯山委員 国立学校設置法の省令は規定の整備のうちに入りませんか。
  265. 永井道雄

    ○永井国務大臣 入ります。
  266. 湯山勇

    ○湯山委員 そうでしょう。それじゃいつになりますか。
  267. 永井道雄

    ○永井国務大臣 これは——。(湯山委員「きょうです」と呼ぶ)そうです。
  268. 湯山勇

    ○湯山委員 三木総理、これは大事なんです、聞いてください。もう一遍これを言わなければならないことになったのは大変残念ですけれども、昨年の三月七日に——(「自民党、定数不足」と呼ぶ者あり)
  269. 小山長規

    小山(長)委員長代理 自民党の人数、いま入れます。(「やめよう、やめよう」と呼び、その他発言する者あり)
  270. 湯山勇

    ○湯山委員 それじゃ待ちます。理事さんが言うんだから……。
  271. 小山長規

    小山(長)委員長代理 入れますから、ちょっと待ってください。(「やめよう、やめよう」と呼び、その他発言する者あり)
  272. 小山長規

    小山(長)委員長代理 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  273. 小山長規

    小山(長)委員長代理 では速記を始めてください。  残余の質疑は追って行うこととし、この際、証人出頭要求の件についてお諮りいたします。  昭和五十一年度一般会計予算昭和五十一年度特別会計予算及び昭和五十一年度政府関係機関予算審査に関し、ロッキード問題について、来る十六日午前十時に小佐野賢治君、若狭得治君、渡辺尚次君、十七日午前十時に児玉誉士夫君、檜山広君、松尾泰一郎君、伊藤宏君、大久保利春君、以上八名の諸君を証人として本委員会に出頭を求めたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  274. 小山長規

    小山(長)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  衆議院規則第五十三条の規定により、その手続をとることといたします。  次回は、来る十二日午前十時より開会し、不況・雇用問題について、集中審議を行います。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時十一分散会