○
福田(一)
国務大臣 お答えを申し上げます。
御
指摘のように、中央の行政の簡素化が必要であると同時に、
地方の行政を合理的に見直すということも非常に大事な問題でありまして、いままでに行政調査会におきまして種々
指摘されておりまして、自治省としてはその線に沿ってある
程度指導はいたしておるのでありますけれ
ども、今後も一層この点は重視をして
施策の強化に努めてまいりたいと考えておるところであります。
次に、また、
地方の
財政が行き詰まっておるが、その原因は何であるかという御質問でございます。これはもう
玉置さんも御承知かと思いますが、大体高度
成長から低
成長へ入りまして、そうして
高度成長時代のいわゆる国の税収入が非常に減ってまいりました。そのために
地方交付税が非常に不足をいたすということに相なったわけであます。なお、
地方におきましても税収が非常に減りましたので、自己財源の調達が非常に困難を来たしておるという、この二つが大きな原因に相なっておると思うのであります。
同時に、今度は歳出の面で見ますと、
高度成長時代でございましたからして、単独事業であるとか福祉事業であるとかというようなものについて、将来に対する確たる歳入の見通しがないままにこれをやったような事実もあるのでございまして、これはすでに昨年来、
人件費の問題等において、数においてあるいはまた昇給の問題等について、国家公務員との間で差ができておるというような
一つの
指摘も大きくクローズアップされた原因に相なっておるわけでございまして、これらの点について、いわゆる歳出面においても
一つの大きな問題点があるということは事実でございます。
そこで、これについて、歳入の面につきましては、やはり国の政策でいわゆる
景気浮揚をいま図っておる段階でありまして、この
景気浮揚が図られる段階において税収入もふえてまいるでありましょう。また
地方の税収入もふえるでありましょうから、ある
程度はこれに期待することができると思うのでありますが、しかし、いまの
地方財政を大きくながめて見ますと、果たしてそれだけに期待しておっていいかということは大きな問題であります。この機会に、
地方交付税の見直しを考えてみるとか、あるいは起債の面におきましても、
地方債というものがいわゆる
担保適格債になっておりませんので、
地方銀行がこれを引き受けることに非常にちゅうちょをいたすような傾向があるということ等もにらみ合わせながら、これらの問題をにらみ合わせて
地方財政の
一つの見直しをする、いわゆる歳入面における見直しをするという必要があると考えるのであります。
一方、今度は歳出面におきましては、いまあなたが御
指摘ございましたが、確かに
人件費が、数においてあるいは量において非常にふえておるということをどのようにチェックするか、またいわゆる行政の簡素化というような形においてこれをどう見直していくかというような点を十分われわれとしては考えていかなければなりません。これに関連して、渡りであるとか一斉昇短という問題が従来しばしば行われておったことは事実でございまして、これが大きく
地方の
人件費の増加に連なっておるわけでございます。
御質問の御趣旨は、この渡りとか一斉昇短というものが法的に認められておるのかどうかということでございますが、これらのことば、条例によって決めればこれは認めるということになっておるのでありますが、従来行われておった渡りであるとか一斉昇短というのは、通常条例をつくらないで行政措置によって行われておったという点において法的に非常に疑義があるのでございます。したがって、この点は今後十分にやはり監視もし、またわれわれとしても指導をいたしていかなければならないのでありますが、これらの点については、これは
地方自治体がやることも大事であり、また中央が指導することも大事でございますけれ
ども、一般住民の監視というものをひとつ十分に期待をするというか、一般住民の方にもお願いをいたしたいと思うのであります。監察
委員会というのがございまして、これは主として
財政の問題を取り扱うところでありますけれ
ども、一般の住民からこういうことがあるからこれを監察してもらいたいという申し入れがあればこれはできることになっておるのでございます。現に
東京都において、ストがあった後の賃金カットの問題でそういう要請が出て行われたこともあるのでありまして、今後私たちとしては住民監視ということについて、もっともっとこれをわれわれとしては、奨励するというのもおかしいのですが、この住民のお方に御協力を願うということも必要ではないかと考えておる次第であります。