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1976-03-04 第77回国会 衆議院 本会議 第9号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
五十一年三月四日(木曜日)
—————————————
昭和
五十一年三月四日 午後一時 本
会議
—————————————
○本日の
会議
に付した案件
地方税法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
) の
趣旨説明
及び
質疑
午後一時十一分
開議
前尾繁三郎
1
○
議長
(
前尾繁三郎
君) これより
会議
を開きます。
————◇—————
地方税法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提
出)の
趣旨説明
前尾繁三郎
2
○
議長
(
前尾繁三郎
君)
内閣提出
、
地方税法等
の一部を
改正
する
法律案
について、
趣旨
の
説明
を求めます。
自治大臣福田一
君。 〔
国務大臣福田一
君
登壇
〕
福田一
3
○
国務大臣
(
福田一
君)
地方税法等
の一部を
改正
する
法律案
について、その
趣旨
を御
説明
申し上げます。 最近における
社会経済情勢
の推移にかんがみ、
明年度
の
地方財政
においては、国と同一の基調のもとに、
地域住民
の
生活
の安定と
福祉
の
充実
を図るとともに、景気の回復を促進するための諸施策を講ずることが必要であり、一方、
歳入面
では従来のような大幅な税の
自然増収
を
期待
することは困難であります。このような
状況
にかんがみ、
地方行財政
の一層の
改善合理化
に徹するとともに、
地方財源
の
確保
に特段の配慮を加える必要があります。
明年度
の
地方税制
の
改正
に当たりましては、
住民負担
の現状と、このような
地方財政
の実情とにかんがみ、
地方税負担
の
軽減合理化
に意を用いる一方、その
適正化
と
地方税源
の
充実強化
を図ることといたしております。 以下、その概要について御
説明
申し上げます。 第一に、
地方税法
の
改正
であります。 まず、
住民負担
の
軽減合理化
を図るため、
事業税
における
事業主控除額
の
引き上げ
、
個人住民税
における
障害者
、
老年者等
の
非課税範囲
の拡大、
住民税
及び
事業税
における
白色申告者
の
専従者控除限度額
の
引き上げ
、
不動産取得税
における
新築住宅控除額
の
引き上げガス税
の
税率
の
引き下げ等
の
措置
を行うことといたしております。 次に、
地方税負担
の
適正化
と
地方税源
の
充実
を図る見地から、長期にわたって
税率
が定額で据え置かれているものについて
見直し
を行い、
住民税均等割
の
税率
をおおむね三倍
程度
、
自動車税
及び
軽自動車税
の
税率
を、
一般乗り合い用バス
を除き、自家用車についてはおおむね三〇%
程度
、
営業用車
についてはおおむね一五%
程度
、
軽油引取税
の
税率
を三〇%、それぞれ
引き上げ
ることといたしております。 なお、この場合、
住民税
の
均等割
につきましては、低
所得者
に対しては
課税
しないこととする
措置
を講じております。 また、
不動産取得税
、
固定資産税等
における
非課税等
の
特別措置
のうち、三十二項目について整理を行うほか、
事業所税
につきまして、
課税団体
の
人口基準
を三十万に引き下げることといたしております。 次に、
固定資産税
につきましては、
宅地等
について、
評価
がえに伴う
税負担
を調整するための所要の
措置
を講じ、
一般農地
についても、段階的な
調整措置
を講じながら
課税
の
適正化
を図るとともに、三
大都市圏
の
C農地
及びその他の
市街化区域農地
に対する
課税
については、引き続き
検討
する等の
措置
を講ずることといたしております。 第二に、
地方道路譲与税法
の
改正
でありますが、
地方道路税
の
税率
の
引き上げ等
に伴い、
地方道路譲与税
の五分の一の額を新たに
市町村
に対して譲与する
措置
を講ずることといたしております。 第三に、
国有資産等所在市町村交付金
及び
納付金
に関する
法律
の
改正
でありますが、
日本国有鉄道
に係る
市町村納付金
について、
特別措置
の
適用期限
を二年延長することとしております。 以上の
改正
により、
明年度
におきましては、
給与所得控除
の平
年度化
に伴う
個人住民税
の
減税
を含めて二千三百六十七億円の
減税
を行う一方、
自動車関係諸税
の
税率
の
引き上げ等
により二千百四十六億円の
増収
が見込まれますので、差し引き二百二十一億円の減収となります。そのほか、
地方道路譲与税等
におきまして三百八十七億円の
増収
が見込まれます。 以上が
地方税法等
の一部を
改正
する
法律案
の
趣旨
であります。(
拍手
)
————◇—————
地方税法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提
出)の
趣旨説明
に対する
質疑
前尾繁三郎
4
○
議長
(
前尾繁三郎
君) ただいまの
趣旨
の
説明
に対して
質疑
の通告があります。これを許します。
小川省吾
君。 〔
小川省吾
君
登壇
〕
小川省吾
5
○
小川省吾
君 ただいま提案をされました
地方税法等
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、
日本社会党
を代表いたしまして、
三木総理
並びに
関係閣僚
に御
質問
を申し上げます。
地方財政
は、打ち続くつくられたインフレと不況にさいなまれ、さらに加えて、
政府
の
中央
集権的な
地方財政政策
によって、破局的な深刻な
財政危機
に直面をしております。いまにして抜本的な対策を確立しない限り、
地方自治
は名目のみの
自治
に終わってしまい、底なしの泥沼の底に沈んでいってしまうのではないかと思います。 そこで、まず
三木総理
に
お尋ね
をいたします。 第一に、五十一年度の
税法改正
を提案するに当たり、黒いロッキードは、
政治
への不信とともに、
国民
の
納税意欲
に大きな影を落としているわけであります。いままさに
確定申告
のさなかにあるわけでございますけれ
ども
、
中小零細商工業者
や、あるいは
源泉徴収
の
勤労者
や、そしてまた
国民
の大多数が、いまほど反税、
厭税
の
意識
を強めているときはないと思うのであります。そしてまた
国税
、
地方税
に従事をしておる
税務関係職員
は、このことで深刻に頭を痛めておるわけであります。ロッキード問題を脱税問題だけでよもや収束させるとは思わないし、また、させてはならないわけでありますが、この際、
総理
にお
伺い
をいたしたいと思うのであります。 前回の本
会議
の中で、
決議
を受けて
三木総理
は
決意
を表明いたしました。しかし、私
ども
は、何か
総理
の
決意
のトーンがダウンをしてきているのではないかと
懸念
をいたしておるわけであります。そしてまた、昨日来の外電の報ずるところによりますと、
証券取引委員会
の
ヒルズ委員長
は、
証券取引委員会
はいろいろの
意味
で
外国政府
に
協力
をしてきたけれ
ども
、しかし、この際、今後も
協力
をしていくけれ
ども
、
証券取引委員会
が司法省や
司法当局
に約束しているような
条件
を
外国政府
に取りつけていくことが
条件
だというふうなことを言明しているわけであります。そういう
意味
では、
国民
は、
三木総理
が
提供
を受けた
資料
を
政府高官名
を含めて全面的に公表していくという
決意
について疑念を持つわけでありますが、このことが
納税意欲
に大きく
影響
をしてまいると思うわけであります。そういう
意味
で、
提供
を受けた
資料
は、
政府高官名
を含めて全
資料
を公開していかない限り、
納税意欲
は旧に復しないと思うわけであります。(
拍手
)そういう
意味
で、
総理
の重ねての
決意
と、ロッキード問題と
国民
の
納税意欲
について当然
一言
あってしかるべきだと思うわけでありますけれ
ども
、
総理
の所信を求めたいと思うのであります。(
拍手
) 第二に、ますます
形骸化
をしていく
地方自治
、
地方行財政
を将来に向けてどういうように保障をしていくのか。
総理
は、就任以来しばしば、
地方財政
については
見直し
をします、洗い直しをしますというふうに言明をいたしてきたところであります。しかし、昨年の年末までは、七十六
臨時国会
までは、五十二年度から
地方財政
は
見直し
ますということを言ってきておりましたけれ
ども
、最近に至っては、どうも五十三年度からというふうなことを言い始めているようでございますが、何といっても
地方財政
の
見直し
には、
行政事務
の再
配分
と
税源
の再
配分
が不可欠であることは言を待たないところであります。
国対地方
の
税源
は、現行の七対三を少なくとも五対五に再
配分
をする
方向
に持っていくべきであります。
総理
の
見解
はどうか、
お尋ね
をいたすところであります。 第三点として
伺い
たいのは、最近、
自治体
の幹部に会うとよく話が出るのでありますが、
公立校
の
授業料
や
手数料
、
使用料
の
値上げ
、あるいはまた
職員
の
賃金
の
切り下げ等
をしないと
起債
が
許可
にならないという話が出るのであります。
自治省
が
起債許可
の
てこ
にどうも利用しているのではないかというふうに思っているわけであります。
地方自治
の
尊重
を公約する
三木内閣
のもとにおける
自治省
の
指導
としては、何としても
理解
に苦しむところでありますし、
地方自治
の
尊重
でありますどころか、
自治
への挑戦であり破壊であると思うわけであります。根本的には
起債
の
許可制
も当然やめるべきであるということは、私
ども
が長い
間主張
をいたしてきたわけであります。 このような
自治省
の
自治体指導
について、当然これは改めていくべきでありますけれ
ども
、
総理
はこの点についてどのように考えるか、
総理
の
見解
を伺うところであります。 次に、
大平大蔵大臣
に
お尋ね
をいたしたいと思います。
地方財政
が
国家財政
と不可分の
関係
にあることは当然でありますけれ
ども
、引き続く国債の
多発下
における
地方財政
の将来の問題でありますが、
地方債
の増発ばかりが能ではないはずだというふうに私
ども
は当然思っているわけであります。今後の
国家財政
のもとにおいての
地方財政
の中での
地方税
の展望について
大蔵大臣
はどう考えるか、
伺い
たいと思うのであります。 そしてまた、
地方自治体
の特に
知事会等
では、
社会福祉財源
としての
目的税
として
社会福祉譲与税
を創設すべきであるという
主張
が
かなり
強いわけでありますけれ
ども
、
大蔵大臣
の
見解
はどうか、
お尋ね
をいたすところでございます。 次いで、
農林大臣
に
一言
だけ
お尋ね
をいたしたいのでありますが、今回の
法改正
で、
一般農地
の
固定資産税
が増税をされているわけであります。
農業外収入
に依存をしている農民の
生活
は、まさに苦境に立っていくばかりでございます。 この原案に至るまでの
経過
の中で、どうも
農林省
の
アクション
が、
農林省
の
農地課税
の増額についてやめるべきであるというような
主張
が弱きに過ぎたのではないかと思っております。
地方財源
の
確保
ということに押しまくられて、
日本農業
と
農業者
の保護の
アクション
がどうも手抜きになったのではないかと心配をしているわけでありますが、この点についてはいかがなのか。 また、今後
地方税
における
農地課税
について、私
ども
は、
農用
に供している限り、
都市周辺
の
農地
であろうとも当然
農地課税
で、
収益還元方式
の
課税
でいくべきであるというふうに思っているわけでありますけれ
ども
、
農林大臣
は、今後、
地方税
の中における
農地課税
についてどう取り組んでいくのか、お
伺い
をいたすところであります。
最後
に、
担当大臣
である
福田自治大臣
に
お尋ね
をいたしたいと思います。 三千三百の
自治体
の
期待
と、そしてまた、
国家公務員
以下の五十年度
給与改定
に押し込められた全
地方公務員
の恨みを込めてお
伺い
をしていくので、前向きの
答弁
をぜひしていただきたいと思っております。(
拍手
)
地方自治
は
民主主義
のとりでと言われております。その
意味
で、
全国
の
自治体
の
福田
さんに対する
期待
は大きく強いわけであります。が、どうもなかなか
期待
にこたえてくれないではないかというような声が、最近では大きくなりつつあるわけであります。
地方財政危機
の
打開
にこそ
タカ派
の本領を発揮してほしいという声が沸き起こっているわけであります。 そこで
伺い
ますが、第一に
税法
の
改正
でありますけれ
ども
、
税制調査会
の
答申
がない限り
改正
には踏み切れないのかどうかということであります。
地方行政委員会
の
審議
の中で、どれほど強く、どれほど大きく取り上げられ、しかも
附帯決議
の中で
決議
をされたような条項にあっても、
税調
の
答申
がなければ
税法
の
改正
に踏み切らないということは、これはおかしいと思うわけであります。そしてまた、特に
地方
六
団体
と言われる
知事会
や
市長会
、
議長会等
の強い
決議
や
要請等
があろうとも、
税調
の結論がなければ
法改正
には踏み切れたいというのは、どうもそんなばかな話はないと思うのでありますが、いかがでございますか。 いまこの点に
関連
をするわけでありますけれ
ども
、
法人事業税
の
外形標準課税
の問題であります。
委員会
であれほど強く取り上げられ、
知事会
を初め
全国
の
地方
六
団体
の中でも強い声が上がっているわけでありますが、
税調
の中で時期尚早だということになるとすれば取り上げられない。このことは、
自治省
がやる気になればそんなことはないはずだと思うわけであります。 これだけ
自治体
が
財政
に苦しんでいるときこそ、この導入に踏み切れないのは何ゆえなのか、なぜ
外形標準課税
に踏み切れないのか。何千人あるいは何万人と
従業員
を雇用している
企業
にあっても
均等割
の
税額
だけだというばかな話はないというふうに思うわけであります。
大臣
の
見解
をお
伺い
をいたすところであります。(
拍手
) 第三点といたしまして、懸案だった
事業所税
が昨年の
改正
でようやく日の目を見ました。
審議
の中で特に強い
主張
のあった
課税団体
について、今度
人口基準
を五十万から三十万に下げるわけであります。 しかし、私
ども
の
主張
というのは、
課税団体
というのはその
自治体
の
条例
に任せるべきであるという
主張
だったはずであります。
都市的環境
を持っている
自治体
の
条例
に任せればよいのではないかというふうに私
ども
は思っているわけであります。百歩譲ったとしても、少なくとも三十万人の
人口基準
に加えて、少なくとも
県庁所在地
の
都市
を含めるべきではないかというふうに思っております。
県庁所在地
は、
企業
や
金融機関等
の支店や、あるいは
各種団体等
の本店や
事務所等
が集中をし、そしてまた、諸
団体
の
会議
が集中して開催をされるわけであります。県都なるがゆえの支出が実は思った以上に多いのは、議員の諸君が御
承知
のとおりであります。たしか福井市を含めて三十万以下の県都は二十市を超えるはずであります。
県庁所在地都市
は
事業所税
の
課税団体
に当然含めるべきだと強く
主張
をするものでありますが、
大臣
の
見解
はいかがか、
お尋ね
をいたすところであります。 第四点として
自動車関係税
についてお
伺い
をいたします。
地方道路目的財源
としての
関係税
の
引き上げ
について一応
理解
をいたすところでありますが、いまや
生活
の一部と化した
自動車税
の
引き上げ
については、納得をいたしかねる点があるわけであります。 これらの中で、
公害源
としての
排ガス規制基準合格車
について
税率
を
据え置き
にした点は
評価
をするところでありますが、たしか次の
排ガス基準
は五十三年度
規制
のはずであります。五十三年度
規制
についても、このような
据え置き
の
措置
をとられるのかどうかという点がまず
一つ
であります。 そしてまた、この
自動車関係税
に
関連
をして
お尋ね
をしてまいるわけでございますけれ
ども
、特に、
中央
でも
地方自治体
でもそうでありますけれ
ども
、官庁、
自治体
は
かなり
の
公用車
を抱えているわけであります。しかし、ながめてみますると、大部分は二千cc以上の車が置かれているわけであります。私
ども
の経験に徴してみても、そしてまた、現在のメカといいますか、いわゆる
機械工学技術
の水準から言っても、あるいはまた
購入価格
や
燃料消費量
の面からながめてみましても、あるいは官公庁の
公用車
を使用しての出張の
度合い等
をながめてみましても、二千cc以上の車でなければならぬというようなことは、すべて必要としているわけではないというふうに思っています。そういう
意味
では、千六百cc以下の車であっても、十分に用を足せるというふうに思っているわけであります。
職員
の
給与
から、あるいは
事務用消耗品
に至るまで、
諸事節約
を説いている
自治省
が、このことについて
一言
も触れないというのはおかしいと思うわけであります。当然、
財政窮迫
の折から、
自治体
に対して、これらの点について、必ずしも二千cc以上の車を必要とする場合ばかりではないのではないかという
指導
があってしかるべきだというふうに思いますけれ
ども
、
大臣
の
見解
を
伺い
たいと思います。 第六点として
法定外普通税
についてお
伺い
をいたしたいと思うわけであります。 各
自治体
は、
財源確保
のために
法定外普通税
に着目をして、
課税対象
の選択に意を用いているところであります。
自治省
も原則としては認めていくような意向にあることを
承知
をいたしておるわけでありますが、熱海の
マンション税
については一応
承知
をいたしておりますけれ
ども
、現在時点において、どのような
法定外普通税
を認めてきているのか、
お尋ね
をしたいと思うのであります。 そしてまた、このことに
関連
をして、
法人
の
外形標準課税
を
条例
で取り上げたり、あるいはまた
事業所税
を
法定外普通税
ということで取り上げていくような場合について、
自治省
は当然協議に応じていくべきでありますし、
指導
をしていくべきだと思いますけれ
ども
、この点についてはいかがなのか、お
伺い
をいたすところであります。
最後
に、今回の
法改正
で
電気税
の
非課税
について幾つかの点を落としているわけでありますが、まだまだ
かなり
の
非課税
の
品目
が残っているわけであります。しかし、いま
自治体
では、大牟田市の
電気税訴訟
に見られるように、各
自治体
において
電気税
の
非課税品目
の問題が大きく取り上げられているところであります。私
ども社会党
では、少なくとも二、三年の
経過措置
を置い
てこ
の
非課税措置
を全廃をしていくべきだというふうに思っているわけであります。 また、
租税特別措置法
によるところの
特別措置
の
地方税
へのはね返りといいますか、
影響
を完全に遮断をいたすべきだというふうに思っています。いまこそその絶好の機会であるはずであります。この二点についてのお考えはどうなのか。 以上、
福田自治大臣
に対しまして、
地方財政
の
危機
を
打開
をしていくような
決意
を込めた
答弁
を求めて、私の
質問
を終わりたいと存じます。(
拍手
) 〔
内閣総理大臣三木武夫
君
登壇
〕
三木武夫
6
○
内閣総理大臣
(
三木武夫
君)
小川
君の御
質問
に
お答え
をいたします。 最初にロッキード問題に対する私の
決意
についてでありますが、
三木総理
が最近その
決意
がトーンダウンしたのではないかという御
懸念
でございますが、私は、これだけの
国民的疑惑
に包まれたロッキード問題を、臭い物にふたをするということで
日本
の
民主政治
というものが健全に発展していくとは思わないのです。したがって、これはもう徹底的に真相を究明して、
国民
の前にこの
疑惑
を明らかにしなければ、
日本
の
民主政治
は将来取り返しのつかない致命傷を負うというのが私のかたい
決意
であります。(
拍手
)したがって、私の
決意
は日に強くなりこそすれ、トーンダウンすることは絶対にないということを明らかにいたしておきます。(
拍手
) アメリカから
提供
される
資料
につきましても、
提供
される先方が
条件
をつけてくれば別でありますが、
条件
がついてない限り一切の
資料
は公開するということを明らかにいたします。(発言する者あり)そのことは、私が
条件
のついてない限り公開するということは、しばしば
予算委員会
においても私が述べておるところでございまして、何にもトーンダウンしたというわけではないのでございます。 それから
税法違反
について、これは
小川
君の言われるとおり、
税法
に対しての徴税が厳正でなければ、
納税者
の
意識
に非常な悪
影響
を及ぼすということは、
小川
君の御
指摘
のとおりでございます。したがって、
所得税法
の
違反
については、たとえば
児玉譽士夫
に対しては、二月の二十四日
強制調査
に入って、その後も
関係会社
を初め
関係者
に対して多数の
調査員
を動員して、ただいま事態の解明に努力しておることは御
承知
のとおり。速やかに問題を解明して厳正な
処置
をとるということを明らかにいたしておきます。そのことが、
納税者
の
国民
に対してそういう
政府
の態度を御
理解
を願うことが必要であると思いますので、その点を明らかにいたしておく次第でございます。 第二の点は、
地方財政
というもの、これを見直す必要があるということですが、これは私もいつも述べておるとおりでございまして、今日の
地方行政
、
地方財政
、ともに
高度経済成長期
における伸びに従って膨張してきたわけでございまして、これから
経済
が安定した
適正成長
の路線に変わるわけでありますから、これに即応して
地方行政
も
地方財政
の
あり方
も見直さなければならぬわけでございます。 そういうので、今後
行政
、
財政
の両面にわたって、
政府
も
見直し
をいたしておりますが、何分にも今日の
経済
が非常に
変動期
でありますから、なかなか的確な見通しを早急につけることは困難もございますので、多少の時間は、これはいただかなければなりませんが、
地方制度調査会
、
税制調査会等
の意見も徴して、
地方行政
、
地方財政
の
あり方
に対しては、
政府
は全面的な
検討
をいたす
決意
でございます。 第三には、
政府
は、料金であるとか、あるいはまた
使用料
、
手数料
、こういうようなものの
値上げ
で、
賃金引き下げ
を
指導
しておるのではないかという御
指摘
でございますが、
政府
は、
起債
の
許可
をするについて、そういうふうな
手数料
であるとか
使用料
の
値上げ
を
てこ
にして、そして
賃金
の抑制を図っていく、そういう
指導
は一切いたしておりません。
政府
は、
地方財政計画
の
策定どおり
に、
地方財政
の運営が支障を来さないようにする
処置
をいままでとってまいっておるわけでございます。どうか、
地方団体
においても、
地方財政
の
体質改善
に、みずからも一層努力されるよう
期待
するものでございます。
お答え
をいたします。(
拍手
) 〔
国務大臣大平正芳
君
登壇
〕
大平正芳
7
○
国務大臣
(
大平正芳
君) 私に対しましては、
地方税
の
強化
、
社会福祉譲与税構想
についてどう思うかという御
質疑
でございました。 御
承知
のように、
地方税収入
は、今日すでに
国税
七に対しまして三の割合にまで達しております。
交付税
、
譲与税
を加えますと、これが五対五にまでなっておるのでありまして、決して少なしとしないと思うのであります。なるほど、税収が思うに任せない
状況
でありますことは御
指摘
のとおりでございますが、これは
経済活動
が不振だからでございまして、
地方税制度
のせいではないと思います。 また、今日
地方税
の
収入
が
地方
的に相当偏在いたしておりますので、これを
強化
すると
地方
的な偏在、落差がさらに大きくなるというようなこともございますので、お説の
地方税
の
強化
につきましては、なお慎重に
検討
を要する
課題
であると心得ております。
社会福祉譲与税構想
でございますが、
全国知事会
からもこういう
構想
が出ておりますことも
承知
いたしておりますけれ
ども
、いま申しましたような、
地方税制度
の
強化
に対しましてにわかに賛成できないような
趣旨
から申しましても、また、
中央
、
地方
を通ずる
行政事務
の
配分
との
関連
におきましても、この問題も直ちに賛成するわけにはまいりませんで、いろいろな角度から、なお慎重に
検討
すべき
課題
であると心得ております。(
拍手
) 〔
国務大臣安倍晋太郎
君
登壇
〕
安倍晋太郎
8
○
国務大臣
(
安倍晋太郎
君)
お答え
いたします。 第一の農政についての
基本姿勢
の問題でございますが、これは
総理
が
施政方針
で述べましたように、
農業
の
振興
なくして
日本経済
の繁栄はないと考えております。したがって、
高度経済成長
の過程で
農業
にもいろいろと問題が生じてきておりますが、活力ある
農業
と、これを担う
農業者
の育成という観点に立って、各般にわたる総合的な
政策
を講ずべく、全力を傾注してまいる
決意
であります。 また、
お尋ね
の
一般農地
の
固定資産税
の問題につきましては、第一に、すでに
昭和
三十九年以来相当長期間
税額
が据え置かれ、その間、
農業所得
も増加をしておること、第二に、
宅地等
の
税額
との不均衡が拡大してきておること等から、
農地
の
税額
を据え置くことは必ずしも適当でないと考えられる面がありますが、一方、
農業経営
、
農産物価格
に及ぼす
影響等
を考えれば、その
引き上げ幅等
につきましては、慎重に対処する必要がありますので、このような基本的な考え方に立って
自治省
と強力に折衝をしてきたところでございますし、今後ともそういう
方向
で努力を続けてまいりたいと考えております。 〔
国務大臣福田一
君
登壇
〕
福田一
9
○
国務大臣
(
福田一
君)
お答え
をいたします。
政治
の大きな
目的
の
一つ
が
国民生活
の
充実
にあり、私としては、
国民生活
と直結している
地方自治
の
振興
につきましては、ただいま
小川
さんから御
指摘
がありましたとおり、今後大いに努力をいたさなければならないとかたく覚悟をしておる所存でございます。 そこで、八項目について御
質問
がございましたので、以下、順に
お答え
をいたしたいと思うのでございますが、
地方税制
の
改正
に国会や
知事会等
の要請がある場合でも、
税制調査会
の
答申
がない限りこの
改正
に踏み切れないかということでございますが、これはもうすでに御案内のように、税制の
改正
につきましては、
総理
大臣
の諮問機関である
税制調査会
に
審議
をお願いして、そし
てこ
れを行っておるところでございまして、この
税制調査会
には
地方自治体
の専門家も入っておりますし、また
政府
側から
資料
を提出いたします場合には、国会においていろいろ出された意見は、全部これを出しておるわけでございますので、この点をひとつ御
理解
を賜りたいと思うのであります。 それから、
法人事業税
の
外形標準課税
の導入については、国会や
知事会等
の要請があったにもかかわらず実現されていないのはどういうことか、こういうことでございますが、これも
小川
さんはおわかりと思いますけれ
ども
、
事業税
における
外形標準課税
の導入につきましては、
政府
は、昨年の
税制調査会
に対して、その対象を特定の業種等に限定することがいいか悪いか、売上金額とか総資本とか付加価値等の各種基準の外形標準としての適否の問題
税率
の定め方、こういうようなことについて
検討
をお願いしたのでありますが、まだ結論を得るに至っておりませんでした。まあこれは、時期尚早であるとか、将来の税制の姿との
関連
をも考慮して考えるべきであると言われておるのでございます。 また、
事業税
につきましては、これは収益活動を行っている事実に担税力を見出して
課税
する税でありまして、
地方団体
の
提供
する
行政
サービスに対して必要な経費を分担するという性格を持つ税であると考えられます。したがって、その
課税
標準については、所得のみでなく、事業の規模ないし活動量を的確に測定することのできる外形標準を用いることが適切であるとのお考えについては、私も異議はございません。そこで、この
趣旨
を踏まえまして、今後とも、
税制調査会等
の
審議
を煩わしながら、
検討
を続けてまいる所存でございます。 次に、
事業所税
を
課税
するかどうかは
自治体
の
条例
に任せるべきであるということでございますが、これにつきましても、実は
税制調査会
におきましては、今度は人口三十万くらいまではよかろうというお話でございましたが、そこで、その
意味
で今度
改正
案を出しておるのでございますが、
小川
さんは、
県庁所在地
まで
課税団体
にしてはどうか、こういうことでございますけれ
ども
、
県庁所在地
には人口十万ないし二十万の
都市
もございまして、人口、
企業
の集中の
状況
とか、
都市
環境の整備の緊要性、こういうようなことを考えますと、いま直ちに
事業所税
の
課税団体
に適するとは考えられませんけれ
ども
、今後もひとつ
検討
をさしていただきます。 それから、排ガス
規制
適合車に対する優遇
措置
はどうかということでございますが、低公害車に対しましては、未対策車に比して販売価格とか燃料費等が割高となっておりますので、今回、五十一年と五十二年につきましては、二年間に限って税制上の優遇
措置
を講じたのでございます。ところが、五十三年度の
規制
適合車につきましては、
規制
基準そのものがまだ決まっておりません。したがって、これが市販される段階において、その販売価格や燃費等の
状況
を見定めて
検討
をなすべきものであると考えておるわけでございます。 次に、
地方団体
に対して、
諸事節約
をしておる時代であるから、ひとつ
公用車
については千四百ccまたは千六百ccクラスの小型車で十分と考えるがどうかという御
指摘
でございますが、私はこれは
一つ
のりっぱな見識であると存じております。しかし、こういうことにつきましては、それぞれの
自治体
が自分で自主的に対処していただくことが正しいのではないかと考えておるのでございまして、
小川
さんのおっしゃるようになれば、
一つ
のいい結果が生まれると考えております。 それから、これまで
法定外普通税
としてはどのようなものを認めておるかという御
指摘
でございますが、まず県税といたしましては、沖繩県が課する石油価格調整税、
市町村
税といたしましては、商品切手発行税、砂利採取税、広告税、林産物移出税、犬税、文化観光施設税があり、
課税団体
は四十六
団体
でございます。 なお、先ほどは熱海市が別荘等所有税を設けることになったがという御
指摘
でありまして、われわれとしては、これは適当であると思って今回認可をいたしたのでございます。 なお、
事業所税
の
課税団体
の範囲につきまして、今度の
地方税法
の
改正
案では三十万ということにいたしましたが、これを
法定外普通税
として認めるべきかどうかということにつきましては、昨年の
税制調査会
の
答申
でも、この税の性格から見て
課税団体
の範囲を今後さらに拡大することについては慎重に対処すべきであるという
答申
がございますので、この
趣旨
を体してまいりたいと考えておるところであります。 その次に、
法人事業税
について
条例
で外形基準を導入することにした場合、
自治省
はどのように
指導
するかという
意味
の御
質問
があったと思いますけれ
ども
、これは、いささか詳しくなりますけれ
ども
、
地方税法
の第七十二条の十九におきましては、
事業税
の性格にかんがみまして、都道府県は事業の
状況
に応じ、資本金額、売上金額、
従業員
数等のいわゆる外形標準を
課税
標準として用いることができるものとされております。 しかし、一般には、この特例規定により
事業税
の
課税
標準に外形標準を導入いたしますにつきましては、対象業種の選定をどうするかという問題がまずあります。それから所得
課税
との均衡をどうするかという問題があります。また、
課税
標準の捕捉をどうするかという問題があり、さらに、二つ以上の
地方団体
に事務所や事業所を設けて事業を行っておる
法人
についてはいかがにするかという問題もございますので、したがって、これらの面を考慮しつつ適切な
指導
を行いたいと思っております。
最後
に、産業用電気の
非課税措置
の問題でございますけれ
ども
、これはもう従来の御
指摘
のように、いつも問題になっておりますけれ
ども
、現行の基準を
見直し
て
非課税品目
を整理合理化すべきであるという意見と、消費税である
電気税
の
課税
に当たっては、原料
課税
を排除する見地から現行の基準を維持すべきであるという意見の対立がございます。 しかしながら、われわれといたしましては、今後これを順次整理をいたしてまいるつもりでございまして、五十年度におきましては二十四
品目
、また明五十一年度においては引き続き八
品目
について廃止することにいたしておるわけでございます。(
拍手
)
前尾繁三郎
10
○
議長
(
前尾繁三郎
君) これにて
質疑
は終了いたしました。
————◇—————
前尾繁三郎
11
○
議長
(
前尾繁三郎
君) 本日は、これにて散会いたします。 午後一時五十五分散会
————◇—————
出席
国務大臣
内閣総理大臣
三木 武夫君 大 蔵 大 臣 大平 正芳君 農 林 大 臣
安倍晋太郎
君 自 治 大 臣
福田
一君 出席
政府
委員 内閣法制局第三 部長 茂串 俊君