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1976-05-11 第77回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年五月十一日(火曜日)    午前十時十分開議  出席委員    委員長 板川 正吾君    理事 越智 通雄君 理事 大石 千八君    理事 加藤 紘一君 理事 高橋 千寿君    理事 萩原 幸雄君 理事 松浦 利尚君    理事 山中 吾郎君       三塚  博君    安田 貴六君       吉永 治市君    加藤 清政君       中村  茂君    和田 貞夫君       野間 友一君    有島 重武君       石田幸四郎君    和田 耕作君  出席政府委員         経済企画政務次         官       林  義郎君         経済企画庁長官         官房参事官   朴木  正君  委員外出席者         参  考  人         (東北電力株式         会社取締役社         長)      若林  彊君         参  考  人         (北海道電力株         式会社取締役社         長)      四ツ柳高茂君         参  考  人         (北陸電力株式         会社取締役社         長)      原谷 敬吾君         参  考  人         (九州電力株式         会社取締役社         長)      永倉 三郎君         参  考  人         (主婦連合会事         務局長)    清水 鳩子君         参  考  人         (日本生活協同         組合連合会組織         部長)     谷川  宏君         物価問題等に関         する特別委員会         調査室長    芦田 茂男君     ————————————— 五月十日  公共料金引上げ反対等に関する請願渡部一  郎君紹介)(第四一六二号)  同(土井たか子紹介)(第四一九九号)  国民生活安定対策等に関する請願竹村幸雄  君紹介)(第四一九六号)  公共料金値上げ反対等に関する請願河上民雄  君紹介)(第四一九七号)  同(河上民雄紹介)(第四三一七号)  公共料金物価値上げ反対等に関する請願(塚  田庄平紹介)(第四一九八号)  同(塚田庄平紹介)(第四三一八号)  公共料金値上げ反対に関する請願中島武敏  君紹介)(第四三一四号)  同(平田藤吉紹介)(第四三一五号)  同(松本善明紹介)(第四三一六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件(電気料金改定問題)      ————◇—————
  2. 板川正吾

    板川委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件、特に電気料金改定問題について調査を進めます。  本日は、電気料金改定問題につきまして、参考人として東北電力株式会社取締役社長若林彊君、北海道電力株式会社取締役社長四つ柳高茂君、北陸電力株式会社取締役社長原谷敬吾君、九州電力株式会社取締役社長永倉三郎君、主婦連合会事務局長清水鳩子君、日本生活協同組合連合会組織部長谷川宏君、以上の方々に御出席をいただいております。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  参考人の各位には、御多用のところ御出席をいただき、まことにありがとうございました。  御承知のとおり、電気料金改定について、去る四月五日、北海道東北電力会社から平均値上がり率三九・一五%、三五・二二%、四月八日に北陸、九州両電力会社から三三・四〇%、三一・九五%の申請がなされており、いずれも五月十五日を実施希望日として通産省に認可申請の手続がなされております。  これらは、さき電気事業審議会料金部会の答申の線に沿い、今後二年間の電力需要の想定と、人件費燃料費及び設備材料費値上がり等を見込んだものでありますが、平均改定率三〇%台は、四十九年の一斉五六・八二%に次ぐ大幅な値上げ率となるため、一般消費者生活を直撃し、不況産業界その他にも甚大な影響を与えるものと考えられます。  一方、三月全国消費者物価指数は、前年同月比一けた台を達成し、ようやく安定基調に向かう矢先、四月には東京都区部で二けた台の物価上昇機運を示している状況であり、今回の料金改定波及効果として生活必需物資に与える影響はきわめて大きく、これらの料金改定が再び引き金となって、公共料金主導型の物価上昇再燃に結びつく可能性が十分考えられます。  言うまでもなく、電気事業公共性が高く、一般需要家産業界各種団体等においてその料金改定については最も深い関心が寄せられております。  原価主義に基づく電気料金改定あり方については、国民各層十分納得のいくきめ細かい説明が必要であり、国民理解が得らることが肝要と存じます。  本日は、さき電気料金改定申請を行った電力四社並びに消費者方々に、それぞれの立場から、その実態対策値上げに至った理由、御所見等を伺うことといたします。何とぞ本問題について忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。  次に、議事の進め方でございますが、電力会社側からは、まず各社共通事情を含め総括的に若林参考人から十二分程度、続いて三社の特殊事情四ツ柳参考人原谷参考人及び永倉参考人からそれぞれ六分程度お述べいただき、次に清水参考人及び谷川参考人からそれぞれ十五分程度要約して御意見を承りたいと思います。その後、委員からの質疑に対してお答えをお願いいたします。  なお、念のために申し上げますが、参考人委員長の許可を得て御発言を願い、また、委員に対しては質疑ができないことになっておりますので、さよう御了承をお願い申し上げます。  まず若林参考人お願いいたします。
  3. 若林彊

    若林参考人 私は東北電力株式会社取締役社長若林彊でございます。  今回の電気料金改定に関連いたしまして、申請四社に共通する事項並びに当社事情につきまして申し述べます。  まず第一に、電気料金改定理由でございます。  第一には、燃料費高騰でございます。電力業界は、昭和四十八年秋の石油ショックに端を発しました燃料費の暴騰に対処しまして、緊急避難措置として四十九年六月に料金改定お願いしました。これによりまして、辛うじて目前の収支破綻を避けることができました。しかしながら、その後も石油並びに石炭価格上昇を続けまして、これに環境対策としての燃料良質化為替レート円安傾向が加わりましたために、燃料費増大の一途をたどっております。とりわけ、五十年度の石炭値上げ及び石油標準価格の設定は、事業収支に対する新しいしかも大きな圧迫要因でございます。  第二には、設備関連費増加でございます。設備産業という事業の特質から、公害防止安全確保等社会的要請高度化にこたえるための膨大な追加投資が必要となっております。これに資材機器代上昇が加わりまして工事費増大する一方、内部留保低下に伴いまして借入金増加し、このために減価償却費支払い利息等資本が著しく増高しております。  第三には、人件費公租公課一般経費もまた増大しております。この間におきまして、私どもは可能な限りの合理化実施いたしましたほか、修繕費繰り延べ一般経費大幅圧縮、諸準備金の取り崩し、不動産の売却、減配などの非常手段によりまして現行料金の維持に努めてまいりました。しかしながら、いまやこのような対策限界に達しました。たとえば修繕費一つをとっても、これ以上の繰り延べを続けますと、設備機能低下、さらには劣化を早める結果となりまして、電気安定供給に問題を生ずることが危惧されるに至っているのでございます。  以上のような理由から、同様な厳しい経営状態に陥りました私ども四社は、ここに電気料金改定申請するのやむなきに至った次第でございます。  もとより、昨今の未曽有不況のさなかで、このようなお願いがいかに御迷惑なものであるかは十分に承知いたしております。そのために、今回申請いたしました原価につきましては、燃料費修繕費を初め、費用全般にわたってより一層の企業努力前提とした水準のものとしております。  何とぞこれらの事情を御賢察の上、御理解を賜りますようお願いを申し上げる次第でございます。  なお次に、このたびの料金改定では原価計算期間を二年としておりますが、その主なる理由三つについて申し述べたいと存じます。  第一には企業体質脆弱化であります。  前回改定では、いわゆる石油危機の直後の緊急避難ということもありまして、一年の原価計算期間認可をいただきましたが、その後二年を経過しました。現在では、四社の企業体質は著しく脆弱化しております。そのため、前回のように一年原価で二年も持たせることはとうてい不可能でありまして、仮に渇水等事態が起こりますと、原価計算期間内でも再び料金改定お願いせざるを得ないようなおそれがございます。  第二には料金の安定でございます。  このような頻繁な料金改定が行われますとしますと、公共料金あり方として望ましいものとは考えられません。また料金改定実態としまして原価計算期間認可時期のずれによる収入不足が生じ、その繰り返しによって経営基盤を立て直すことが困難となり、長期的にはかえって割り高料金水準になることが懸念されます。このような事態はぜひとも回避したいと考えるのであります。  第三には原価予測精度向上であります。  経済安定成長の路線に入ることから、前回よりは予測精度を高め得るものと判断しまして、今回は二年で申請をした次第でございます。  次に、当社東北電力事情について簡単に御説明を申し上げます。  お手元に差し出しました「改定申請について」に記載されておりますように、燃料費関係におきましては一五・九%の不足設備関連費ではその増大によりまして一〇・三%の不足人件費その他の経費におきましてはその増大により九%の不足、合計しまして三五・二二%の不足となり、今回の改定申請となった次第でございます。  次に、この三月で終了いたしました五十年下期の収支状況について御説明申し上げますと、五十年下期は当初から大幅な収支不足が懸念されておりましたために、修繕費も通常の約四〇%程度削減し、その他経費につきましても徹底した合理化によりまして縮小、繰り延べを織り込みまして、さらに前期繰越金の一部を取り崩して、何とか八分配当をいたしたいということでスタートいたしました。  しかしながら、不況長期化による需要の伸び悩み、あるいは長期にわたる異常渇水、平水の八二・九%でございまして、燃料価格上昇など、予想をさらに上回る厳しい要因が山積しまして、諸経費の一層の削減合理化に努めましたものの、大幅な収支不足となりました。そのため固定資産売却特定引当金の取り崩しを行った上に、さらに前期繰越金十三億円を取り崩すことによりまして、辛うじて年八分配当を確保する見通しがついた次第でございます。この結果、内部には、法に定められました取り崩しのできない積み立てを要する利益準備金退職給与引当金のみがあるというような最悪な経理状態となる見通しとなりました。引き続きまして五十一年上期につきましては、前に述べましたような見通しによりまして正常の決算は不可能となる見通しでありまして、健全経営回復は困難となる状態が予想されますので、今回の申請となった次第でございます。  なお、当社特性について申し上げますと、当社の管内は全国に比して地域が二一%、人口密度は一〇・五%、しかも風雪害など過酷な自然条件下にございまして、産業構造面でも一次産業ウエートが非常に高いことが特徴でございます。  こういった地域特性当社需要特性供給設備特性にあらわれております。すなわち、需要面では、電灯のウエートが、全国が二三%であるに対しまして東北は二一%、電解・電炉などの電力消費産業主体とした大口電力ウエートが五五%と高いということが特徴でございます。また、供給設備面におきましては、電源構成比率はかつては水力主体でございましたが、現在は火力が七割を占めているようなこと、あるいは地域が広大で需要が疎散しているために、全国に比べ多くの送変電配電設備が必要であり、しかも効率が悪いこと、並びに今後の数年間は系統規模の拡大あるいは新幹線対策などから、超高圧二十七万ボルトの基幹送電網を形成していかなければならない時期であり、そのために投資額増大していることなどが特徴でございます。  最後に、経営効率化実情について申し上げたいと思います。  当社は、これまで新技術の積極的な導入により、発、送、変、配電設備自動化機械化、広範囲な事務処理機械化組織機構の整備など、長期的な観点に立った効率化施策を進めてまいりました。この十年間で社員が大体一万四千五百の中から千三百人に及ぶ要員の少数化を図りました。さらに電力各社相互協力によるいわゆる広域運営の強化、充実によりまして、高騰する原価の吸収にも努めてまいりました。こうした長期的観点に立った合理化努力に加えて、節減、合理化への限界に挑戦することをモットーに、設備燃料資材などの効率運用の徹底、設計の合理化、工法の改善による工事費圧縮、諸経費の徹底した削減などに最大努力を尽くしてまいりました。  以上いろいろ申し述べましたが、当社は今後とも従来以上に厳しい効率経営努力いたすとともに、電力安定供給とサービスの向上会社の総力を結集してまいる決意でございます。何とぞ事情賢察の上、御理解、御高配を賜りますようお願い申し上げます。  以上でございます。
  4. 板川正吾

    板川委員長 ありがとうございました。  次に、四ツ柳参考人お願いいたします。
  5. 四ツ柳高茂

    四ツ柳参考人 北海道電力四ツ柳でございます。  本日は当社電気料金改定につきまして御説明申し上げる機会を与えられましたことを御礼申し上げます。  ただいま東北電力若林社長さんから料金改定をやらなければならぬ事情につきましてお話がありましたが、当社も全く同様な事情にございます。共通問題につきましては、重複をしますので、省略いたしまして、北海道電力特殊事情にしぼってお話し申し上げたいと思います。  恐れ入りますが、お手元に「電気料金改定申請について」という印刷物がございますが、その十一ページをごらん願いますと、現行料金原価に対しまして五十一年、五十二年の申請原価が七百九十八億円高騰しております。そのうち石炭石油燃料費高騰の分が二百八十八億で、三六%を占めており、設備関係費が二百七十二億円で三四%を占めておりまして、この二つで原価高騰の七〇%になっておるわけでございます。  まず燃料費について申し上げますと、当社産炭地電力会社といたしまして、従来から国の石炭政策に積極的に協力してまいりまして、石炭使用量も現在年間三百万トン以上の消費をしております。この石炭量全国の九電力全体の使用量の七〇%を占めておりまして、資料六ページの表にございますように、当社の総供給力の四一%を石炭火力で賄っている実情でございます。この石炭火力当社供給力の主力になっておるということは、北海道の大きな特色でございます。したがって、石炭価格の動向が原価に大きく響くわけでございまして、資料四ページの表にありますように、基準炭価は一昨年に引き続き昨年も二二%以上引き上げられました。さらに今年度以降は第六次石炭政策実施になりますので、大幅な引き上げが避けられない見通しでございます。このような石炭価格上昇によりまして、五十一年、五十二年度の平均石炭費現行料金織り込みの約一・九倍に高騰する見込みでございます。  それから石油事情につきましては、ほかの電力会社と同様な事情がありますが、特に北海道の場合は、今後増加する電力需要に対応して、水力発電の開発というのは余り多く望み得ませんし、石炭生産量も大幅に増加するということが期待できない現状から、当分の間は石油火力によって賄っていかなければなりませんので、資料六ページの表にあるように、石油火力のシェアは、現在二四%でございますが、昭和五十二年には三二%になるというようなことで、このために石炭よりも割り高石油消費量が年々増加する、こういうような当社特有燃料事情から、現行料金原価の約二九%を占めております燃料費が、昭和五十一、五十二年度平均では約一・八倍に高騰いたします。  次に設備関係費でございますが、御高承のように、北海道需要密度が著しく希薄でございまして、かつ広大な過疎地を抱えておりますので、資料九ページの表にありますように、需要密度は他地域の六分の一でございます。たとえば配電線は一需要家当たり地域の一・九倍の長さ、送電線販売電力量当たり地域の三倍の長さが必要だというようなことになりまして、本州各地よりも設備効率が非常に悪い状態でございます。そこへ石油ショック後急激な資材代用地代工料等が値上がりしております。また、環境対策等工事費の急増もありまして、建設価格資料の八ページの表にありますように一・五倍から一・八倍と高騰しておりますので、設備効率が悪いところへ設備建設費が高くなるということから、設備関係費増大は強く原価に響いているわけでございます。  また、昭和四十二年から四十七年にかけて引き取りました、きわめて過疎地域であります農漁村受電自家用設備設備更新の時期に入ってまいっておりますし、また資料の十三ページ以下に写真がございますような北海道特有風雪害で非常に停電があるわけでございますが、これの対策も急がなければならない。そういう特殊な事情がございまして、この現行料金原価の三三%という最も大きなウエートを持っております設備関係費が、昭和五十一年、五十二年度平均では約一・七倍に著増することになるわけでございます。  以上の燃料費あるいは設備関係費以外の経費につきましても、人件費を初めいずれも現行料金原価を上回っておりまして、五十一年、五十二年度の平均総括原価は、現行料金原価に比べまして約一・七倍に高騰したわけでございます。  当社は、こういう高騰し続ける原価を極力吸収していくために、あらゆる面におきまして経営効率化を徹底してまいりました。しかしながら、このような経営努力をもってしても、以上申し上げましたはなはだしい原価高騰を吸収することは不可能な状態でございます。このために現行料金のままでは正常な事業運営も困難となりまして、電力安定供給に重大な支障を来すことになりますので、やむを得ず今回料金改定申請をいたしたわけでございます。  当社は、以上申し上げました特殊事情のために、値上げ幅も三九・一五%と四社の中で最高のものになりまして、時節柄まことに心苦しく存じているわけでございます。もちろん、当社は安易に料金改定お願いするというのではなくて、この申請に当たりましては、昨今の厳しい社会情勢経済情勢にかんがみまして、原価の策定につきましては、最大限の経営合理化前提としまして策定したわけでございますので、何とぞ当社特殊事情等につきましても実情を御賢察くださいまして、基礎産業としての電気事業が安定的な経営基盤の上に運営されるよう特段の御理解を賜りますことをお願い申し上げます。  以上をもって終わります。
  6. 板川正吾

    板川委員長 ありがとうございました。  次に、原谷参考人お願いいたします。
  7. 原谷敬吾

    原谷参考人 北陸電力社長原谷でございます。  きょうは私ども料金問題につきましてお話を申し上げる機会を与えていただきましたことを深く御礼を申し上げる次第でございます。  このような時期に料金改定お願いいたしますことは、皆さんに大変御迷惑をかけることでありまして、心から申しわけないと考えておる次第でございます。  改定お願いしなければならなくなりました事情につきましては、いま御両氏からお話がありましたことと私どもはほぼ軌を一にいたしておるのでございますが、当社の場合、これを数字的に申し上げてみますと、二カ年間で平均一カ年分の赤字五百億円のうち、燃料及び燃料関連費が約五〇%、それから設備増加に伴う資本費並び修繕費が約三〇%、残りの二〇%が人件費公租公課等で占められておるような次第でございます。  特に燃料費につきましては、昨年の十二月設定されました重油標準価格が、高硫黄分重油が非常に割り高になっておりまして、当社では環境対策といたしまして排煙脱硫装置を多く設置いたしまして、高硫黄分重油ウエートを置いて運転してまいりましたものですから、この標準価格の決定が非常に大きな負担増と相なっておるのでございます。  もちろん、企業合理化につきましては最大の重点を置いて今日まで運営をいたしてまいりました。たとえば昭和四十年から今日に至ります間に、総従業員六千人余りのうち実質千四百人ほどの従業員合理化いたしまして、その他業務全般にわたって自動化機械化等を積極的に進めておるのでございますが、これらの合理化もほぼ限界に近づきまして、今回の申請のやむなきに至ったのでございます。  物価情勢も非常に微妙な段階でございます。また景気の回復も、まだまだ水面下にあります産業界のことを思いますと、今回の料金改定はまことに心苦しいのでございますけれども電気事業といたしましては、常に三年先、五年先を見まして、電力安定供給のため、電源を初め送電線変電所配電線等流通設備に絶えず工事資金を投入しなければならないのでございますが、その資金は非常に膨大でございまして、これを増資社債並びに借入金で賄っておるのでございますけれども経営がある程度安定いたしませんと増資はもちろん不可能でございますし、社債その他の借入金も非常に困難になりまして、現在進めております各般の設備工事の遂行に大きな支障が出ることを心配いたしておるのでございます。他企業と異なり、この電気事業特殊性につきまして、何とぞ深い御理解を賜りたいと思うのでございます。  なお、五十年下期の決算につきましては、まだ最終の数字は出ておりませんけれども、期の当初には非常に憂慮すべき事態が予想されましたので、まず修繕費等につきましては、計画的にこれを繰り延べまたは圧縮いたしまして、約十五億円ほど捻出をいたしております。また経営全般にわたる徹底した合理化あるいは不用資産の一部売却等をいたしました。これによって約十億円ほどの費用を浮かしております。また、幸いにことしの二月、三月になりまして非常に豊水に恵まれまして、このために予想いたしておりましたよりも燃料費を約十億円ほどセーブすることができました。それに前期繰り越し利益金、税込み八億円、これをも全部取り崩しまして、どうやらこの下期は八分の配当が辛うじてできるというような決算に相なろうかと思っておるのでございます。  なお、この先、このままでまいりますと、五十一年の上期におきましては百六十億円ほどの赤字が予想されるのでございまして、非常に憂慮をしておるような次第でございます。  繰り返して申し上げる次第でございますが、このような時期にこのようなお願いを申し上げるこは非常に心苦しく、申しわけのないことでございますが、電気事業が置かれております立場に深い御理解を賜りまして、一日も早く御認可がいただけますよう念願をいたしておる次第でございますが、何とぞよろしくお願いを申し上げる次第でございます。  どうもありがとうございました。
  8. 板川正吾

    板川委員長 ありがとうございました。  次に、永倉参考人お願いいたします。
  9. 永倉三郎

    永倉参考人 九州電力永倉でございます。  本日は実情につきまして御聴取いただく機会をつくっていただきましたことを心から御礼申し上げます。  お手元に差し上げてございます「電気供給規程変更認可申請の概要について」、それによりまして少しく当社特徴的な点を述べまして御説明申し上げます。  私の方は、四月八日付をもちまして三一・九五%の電気料金改定申請を申し上げました。  四十九年の料金改定後の当社収支状況について申し上げますと、大きな影響がございましたのは、四十八年上期から五期連続して渇水であったということでございます。特に四十九年上期は出水率七八・一%という、上期といたしましては当社創立以来二番目の渇水でございました。また、料金改定実施期日のずれによる収入不足が約百八十億円でございますが、さらに不況による電力需要の伸び悩みということもあったわけでございます。石油価格につきましては、四十九年六月の電気料金改定から五十年十二月までに為替レートの円安推移、そういうものを加えましてキロリッター当たり四千三百円の高騰を見ております。また物価や労務費も見通しを大幅に上回って上昇いたしました。資本費を初めとする諸経費高騰要因となっております。  もともと当社需要密度は、御承知のとおり、九州地方は非常に温暖の地でございまして、人家が広く散在していることもございまして、たとえば可住地面積当たりの販売電力量、人口一人当たりの電力使用量配電線キロメーター当たりの配電需要など、いずれも九社の中でビリから二、三番目というところでございまして、全国比でまいりますと大体六割から八割、そういうふうな地域特性でございます。  こういう状況にございますので、当社販売電力量当たり工事資金はより多く必要でございます。  次に、当社電源は、当地方の立地条件から火力、原子力電源は広く各県に分散いたしております。水力は南部の宮崎県などに偏在しているということでございまして、輸送設備がより多く必要でございます。  また、九州が他地区と特に異なる点は、離島が多いということでございまして、約五十万人、十三万世帯の人々が生活をいたしております。当社の離島における発電設備は約十二万キロワットでございますが、これは全国離島の六三%を占めております。その離島の需要増加は今後約一〇%の伸びが予想されるわけでございますが、供給原価は収入の約二倍を要しまして、四十九年度の赤字額は三十億円に達しております。  以上述べました情勢下にありまして、当社は、経費の節減を図ることはもちろんでございますが、徹底した設備効率化、組織業務の合理化努力いたしまして、四十二年から五十年までの間に二千二百九十六名の要員の節減を図りますとともに、原子力発電工事償却準備引当金、公害防止準備引当金などの諸引当金を四十九年六月料金改定直後の昭和四十九年上期に全額取り崩すほか、修繕費一般経費を大幅に削減するなど、あらゆる緊急対策を行いまして、辛うじて今日まで二ヵ年の間現行料金の維持をしてまいったわけでございます。  今後の見通しでございますが、二ページに記載いたしております燃料費につきましては、五十年十月の原油価格の上昇及び十二月の標準価格の設定に加え、さらに環境保全のための燃料の良質化などによりまして、五十一、五十二年度の価格の平均は、四十九年度料金改定時の価格に対しましてキロリッター当たり六千八百円、約三〇%上昇いたすこととなると考えております。消費量も約一〇%増加いたしますので、このための燃料費は約五〇%増加することになりました。  次に、三ページに記載いたしてございます資本費でございますが、近年電力需要は、夏季の冷房需要影響によりまして、最大電力の伸びが電力量の伸びを上回る状態でございました。特に南国でございます九州ではこの傾向が非常に著しゅうございます。こうした電力需要増加に対しまして、電力安定供給を図るための原子力を初め、地熱、LNGなど各種電源の開発を推進するとともに、基幹送電系統の整備強化、環境保全、公衆保安などの対策の推進を図っております。特に環境保安対策につきましては総工事費の約二五%に達しているのでございます。  以上申し述べましたことから、供給設備は約三〇%増加いたしまして、一方、建設単価は資材代機器代、工費の上昇によりまして約二倍に高騰いたしておりまして、減価償却費、支払い金利などの資本費は約七〇%増加することになるわけでございます。そのほか人件費修繕費及び公租公課などの諸経費も物価の上昇により増加いたしております。  以上により、当社の五十一、五十二年度の原価平均は四千八百九十一億円に達しまして、四十九年度の原価に対して約五〇%増加いたします。一方、現行料金による収入は約一四%増加いたしまして三千七百七億円でございますので、差し引き一千百八十四億円の原価割れになる見込みでございます。これは三千七百七億円の収入に対しまし三三・九五%の不足でございます。その内訳は四ページに記載のとおりでございます。  以上改定理由について申し述べましたが、申請に当たりましては、要員の一層の合理化を初め燃料費修繕費及びその他諸経費など費用全般にわたって徹底した圧縮を図ったものでございます。今後とも一層の企業合理化努力いたしまして、電力供給の安定とサービスの向上に全力を傾注いたす所存でございます。  厳しい経済環境の折でございます。まことに心苦しい次第でございますが、何とぞ事情賢察いただきまして、御理解、御高配を賜りますようお願い申し上げます。  以上でございます。
  10. 板川正吾

    板川委員長 ありがとうございました。  次に、清水参考人お願いいたします。
  11. 清水鳩子

    清水参考人 主婦連合会事務局長清水でございます。  電力会社の、いま申請が出ましたのは四社でございますけれども、あと残る五社もいずれ近く申請が出るということでございますから、私はいま四人の方のお話をむしろ電力九社の話というふうに受け取って聞いておりました。  会社は、燃料費それから資本人件費などのコスト上昇収支最大に悪化したのだ、これ以上どうしようもないということをおっしゃっておりましたけれども、私たちが拝見します限りは、他の企業に比べても決して収益は悪くない、むしろいい方でございまして、どうもその点が納得できないわけでございます。  それから、納得しろと言われても、私たち一体どれだけの資料が渡されているのでございましょうか。何もわからないものに納得しろと言われても、私は、トータルで出てくる収益の状況ですとかそういうものから判断すると、どうしてもこの値上げ申請には賛成するわけにはまいらないのでございます。  特に五十年度の下期の決算がまだ出ておりません。五十年度下期の決算が出ておりませんときに、赤字を納得しろと言われても、これは国民感情としては全く無理な話でございます。  それから、会社によりましては、企業、大口需要家の消費が減退して電力が余ったというふうなことも聞いております。それで会社側がため息をついたというふうな記事も読んだことがございますけれども、そういう中でどうしてこの膨大な投資をして設備を拡大し、その供給を広げていかなければいけないのか、この点についても納得ができないのでございます。私たちの生活消費財一般を見てみましても、どれ一つとして需要は足りないというものはないのです。どれもこれも大体供給が上回って、それに需要が追いついていないのです。それなのになぜ電力だけが供給が不足しているというのですか。それがわかりません。  私たちは四十八年の石油パニックのときに、日本は資源のない国だから、できるだけこういう石油とか電力等資源を多量消費するものを切り捨てていこうということを経験して、そうしていまでも私たちはそういう電力消費型の生活を見直しているわけでございます。たとえば、いまプラスチック容器の問題が大きな消費者運動になっておりますけれども、これ一つをとりましても、やはり資源をむだにしたくないという、私たちがむしろ国の政策に協力したということでございます。それから、家電メーカーに対しても、エネルギーの消費量を表示してほしいというふうな運動をいまでも続けております。それから、電力をたくさん必要とする化学肥料を農産物の生産に使わないように、できるだけ有機農法の農業に転換できないのか、そういうふうな切実な運動を私たちはしてきております。こういう省資源に努めれば努めるほど私たちが料金値上げを押しつけられるのでは、これはどういうふうに解釈したらよろしいのでございましょう。むしろ、電力資源、そういうものを節約した私たちに対して電力会社は何らかのサービスを提供してもいいのではないかと思うのです。  それから、よく会社は、消費者の電灯の消費が伸びたとかルームクーラーの消費が非常に伸びて電気が足りなくなっているのだというようなことをおっしゃいますけれども、これは特定の過密住宅ですとか、それから住宅構造に原因しているのでございまして、これは全般的な議論にはならないと思います。むしろこういう議論を私たちに向けて出すということは、これは向ける矛先が逆でございます。こういう社会構造、住宅環境にした政府に対して電力会社はむしろ矛先を向けるべきで、私たちのように弱い消費者に対して矛先を向けるべきではないのではないでしょうか。  そうしてこういうところで消費されている電力と、それから生産されている電力の比率を見れば、もう皆様よく御存じでございますけれども、家庭用が二十何%でございます。それに対して私たちが支払っている料金の負担というのは逆に三〇%を超えているわけでございます。私たちはただでさえ、さっき委員長がおっしゃったように、いろいろな物価の上昇とそれから収入の減退の中で非常に生活が圧迫されております。その中で、なぜ弱い者がこうした大企業の安い料金によって出てきた赤字のしわ寄せをしょわなければならないのか。これは何もいまに始まったことではございませんけれども、こういう料金体系のあり方というものを私はこの機会にもう一回国民参加で洗い直していただきたい。私たちは何でもかんでも公共料金値上げにやみくもに反対しているわけでは決してございません。ただ納得できないから賛成するわけにはまいらないのでございます。ぜひその点の御理解をいただきたいと思います。  それから、設備投資の中で原発の問題がございますけれども会社は住民にないしょで早目早目に土地を買収しているし、そして日本に核の材料がないですから、十年先、もっとそれ以上先の契約金を今度の値上げ申請の中にもちゃんとコストとして計算しているではございませんか。こういういつ使われるかわからないその設備に対して、なぜ私たちが料金で負担しなければならないのか、負担すべきところは私たち消費者ではないように思います。  それから、原子力の発電についても、これは工事費その他非常に経費がかかることでございます。これが高度経済成長の中で、ある程度国の経済に余裕があって、そして少しでも産業電力を安くして国の経済を発展させるというときでしたら話はまた別でございますけれども、今日のように減速経済ということをうたっているときに、話があべこべで、これでは非常にちぐはぐした議論でございます。これは何も専門の知識を持たない一般の消費者でも、このちぐはぐな政策に対してはだれしもが首をかしげている、そういうふうに思えます。  ですから、今回の値上げというものが、どうしても供給が先行して需要を駆り立てる、そして莫大な設備投資によって景気を回復する、そしてあげくの果てはそのしわ寄せが一般消費者に及ぶということでございまして、私は本質的に納得するわけにはまいらないのです。  それから、家計への影響については、委員長がもう代表しておっしゃっていただいたようなものでございますけれども、もう一つそれにつけ加えさせていただければ、電気というものは卸売物価に及ぼす影響が一番強いということです。いま卸売物価が八カ月も高騰しているときに、最も卸売物価に影響の強い電力を上げるということが、回り回って消費者物価にどういう形で反映するかということはもう申し上げるまでもございません。そういう意味でも、私は今度の値上げというものは、三〇%ないし四〇%という大幅であるだけに、本質的に非常に多くの問題を抱えているので、安易にこれを政府が認めてほしくないと思います。  きょうは谷川さんと私と二人が消費者代表でございますけれども、本当はここへ来て意見を述べたい消費者はさぞかしたくさんいることだと私は思います。私は大変言葉が下手でございますけれども、ぜひ十分御配慮をいただいて、この値上げ申請に対しては厳粛な態度で臨んでいただきたいと思います。
  12. 板川正吾

    板川委員長 どうもありがとうございました。  次に、谷川参考人お願いいたします。
  13. 谷川宏

    谷川参考人 日本生協連の谷川でございます。  いま主婦連の清水さんがお考えを述べられたわけでありますけれども、私も清水さんの御意見に基本として賛成でございまして、今回の電力料金値上げ申請につきましては実に重大な疑問を持っている者でございます。  第一に、国民生活への重大な圧迫が起きるという問題でございます。今回の値上げ申請は、やはり現在の情勢の中で考えてみますと、上げ幅が非常に超大幅であるというふうに言わざるを得ませんし、したがいまして、全体的な物価上昇の大変な引き金になるということは火を見るよりも明らかではないかというふうに思いますし、同時に今回の申請が一昨年六月の六〇%近い値上げからわずか二年しかたっていない中のことでございます。したがいまして、その結果、電力料金は、仮に今回の申請が通ることになりますと、二年前に比べまして全体で二・一倍にも達することになるというふうなことでございまして、これが国民生活に大変な重荷になることはだれが見ても明らかではないかというふうにまず第一思うわけでございます。  それから第二には、先ほどからるる御説明があったわけでありますけれども、各社の申請理由がやはり消費者といたしまして全く納得できないものであるという点が第二の問題でございます。たとえば、申請書を拝見いたしますと、北陸電力さんの場合に、当社収支は破綻に瀕するに至りましたというふうにおっしゃっておられますし、北海道電力さんの場合は、現行料金のままでは正常な事業運営を行うことはきわめて困難であるというふうな言葉を使っていらっしゃいます。あるいは九州電力さんの場合も、収支の破綻は避けられないというふうにおっしゃっておられるわけですが、そのように各社ともまさに破産状態だと言わんばかりの表現を使っていらっしゃるわけでありますけれども、同時に、ついせんだって四月二十六日付の日経新聞を見ますと、きょうも御出席でございますけれども電気事業連合会の副会長さんが記者の質問に答えまして、四社は内部留保が全体として底をついてしまったというふうに言っていらっしゃるわけでございます。  ところが、事実はどうかと申しますと、たとえば北海道電力さんの場合には、昨年九月期の決算で税引き利益は前期比で一三三・六%という数字が出ておりますし、九州電力さんの場合も一二一・五%という数字にあらわれておりますように、軒並み増益状態ということがはっきりあらわれているのでございます。同時に、やや具体的に九州電力さんの場合の税引き利益の額を見てみますと、四十九年の上期に三十三億円、下半期が四十一億円、そして五十年の上期になりますとこれが五十億円というふうなことで、着実にもうけはふえているのではないかというふうに考えざるを得ないわけでございます。  それから、同時に、内部留保の面でいいましても、すでに御承知のように、九社合計で八千五百億円という巨大な金額に上っているわけでございまして、特に前回値上げ前の昭和四十九年の三月期に比べましても一千億円以上の積み増しが行われているという状態でございます。  こういった実態をながめますと、電力会社経営というのは悪化どころか明らかに好転しているのではないかというふうに、消費者立場では率直に考えざるを得ないわけでございまして、そういうふうになりますと、これはまさに高収益下での不当な値上げ計画というのが私どもの大変率直な感じであるわけでございます。  したがいまして、かなり率直に申し上げれば、各社の値上げ申請書につきましては、私ども立場では非常に疑問が多い、むしろ事態を正しく表現していないのではないかというふうな感じすら私どもとしては持たざるを得ないというのが率直な感じでございます。  同時に、清水さんの方からも御指摘があったわけでございますけれども燃料費高騰その他経費増加ということを各社とも理由にしていらっしゃるわけでありますけれども、それらについてもやはり私ども十分納得のいく資料が出されているというふうには思えません。たとえば燃料購入の契約の中身でありますとか、あるいは通常の経営でありますればある程度燃料の備蓄あるいは先買いというふうなものも当然あるのが常識ではないかと思うのでありますけれども、そういうふうな点についての詳しい納得のいくデータが何ら示されていない状況の中では、申請についてとても素直に受け取るわけにはいかないというのが、全国民の率直な感じではないかというふうに思うのでございます。  そうなってまいりますと、経営状況は全体として好転をしているのになぜ料金値上げを急がなければいけないのかという点につきまして、同時に私ども非常に大きな疑問を持たざるを得ません。その点で一つ気になりますのは、これは清水さんの方から御指摘のあった原発の問題等にも触れるわけでありますけれども、特に五十一年度に予定をされております設備投資が非常に巨額であるという問題でございます。私どもが聞いた資料によりますと、九社の設備投資の計画は、仮に五十二年度分からの繰り上げも含めますと、二兆九千億円、約三兆円という大変大きな金額に上っているようでありますし、それから電源開発会社の問題等も含めて考えますと、三兆二千億円というまさに巨額なものになっているわけでありまして、特に五十年度に比べて八二%増という私は非常に異常なふくれ上がり方ではないかというふうに思うわけであります。したがって、こういった巨大な設備投資を賄う資金を得るための値上げではないのかという疑問が当然出てくるわけでありますし、しかも、そうした設備投資の中で原子力発電所の建設を非常に重視していらっしゃるところに消費者としましては非常に重大な問題を感じないわけにはいきません。御承知のように、すでに完成をしております原発、十二基でございますか、そのうちでこれまでにすでに五基が原子炉に故障を起こしているというふうにも聞いておりますし、そういう状態では、この問題につきましては全く国民的な合意になっていない問題ではないだろうかというふうにも思うわけでありますが、そういう中身を含んだ急速なあるいは巨額な設備投資につきましては、私ども非常に重大な疑念を持たざるを得ないということがあわせてございます。  それから、これも先ほど御指摘がありましたけれども、特に濃縮ウランの買い取りの問題に絡んで、アメリカとの関係で、非常に早い段階で契約を結び、かつ大変巨額な前渡金を支払う契約になっているというふうに聞いておりますけれども、こういうことは全く一方的な契約ではないかというふうにも思いますし、同時に、消費者の素朴な感じといたしまして、八年、十年先に購入をするウランの前渡金まで電気料金の中に組み込まれているというふうなことにつきましては、本当にこれは納得のいかない問題であるというふうに言わざるを得ないわけでございます。  それから同時に、もう一つ私どもとしまして非常に大きな問題を感じるわけでありますが、いまも申し上げましたような非常に大規模な、そして問題を含んだ設備投資計画なり、あるいはそのための資金の調達計画というものが、一体どこで、だれによって決められているのかという点につきまして、非常に根本的な疑問を覚えます。聞くところによりますと、こういった計画につきましては、いわゆる産業構造審議会のメンバーの方々によって決定をされるというふうに伺っているわけでありますが、そのメンバーを拝見いたしますと、たとえば生命保険でありますとかあるいは銀行でありますとか、そういったいわゆる金融機関、それから鉄鋼、石油、自動車などのいわゆる巨大企業の代表の方々ということでありまして、いわゆる消費者、勤労者の代表は一人も含まれておりません。  同時に、私はこういう点からも問題があるのじゃないかというふうに思いますのは、やはり国権の最高機関である国会の審議がそこに絡むという形になっていないという点につきましても、これは国民全体の意思を反映させるという点から見ましても、非常に重大な問題を含んでいるのではないかというふうに思うわけでございます。  そういう点を見ますと、電力業界実態というのは、率直に申しまして、いかに国民の前に明らかにされていないかということについて改めて驚かないわけにはいかないというふうに思いますし、そういう点では国民の前に開かれた電気事業でなければならない。特に電気というものが国民生活を左右する基本的なエネルギーであるというふうな点から言いましても、やはりその点がいま一番強調されなければいけないことではないか。  したがって、国民各層の代表が参画した形での電力の将来計画あるいは投資計画、あるいは国会審議の中でのそういう問題についての決定というふうなことをまず検討することが先決問題ではないかというふうに私は思うわけでございます。したがって、現在の諸計画につきましては、一だんそうした場での再度の検討を経た上で確定されていくというのが最も望ましい道ではないかというふうに思うものでございます。  時間がなくなってきておりますけれども、先ほどもちょっと御指摘がありましたように、いま私ども日本生協連、全国的な組織の場でいろいろな情報が来るわけでございますけれども、この電力値上げにつきましては、まさに全国的に非常に幅広い層から疑問とそれから批判の声が上がってきております。北海道では、たとえば三月の末に民間公聴会が開かれておりますけれども北海道消費者団体連絡会というところを中心にしまして非常に多くの人々が反対に動き始めておりますし、それから関西でも、関西の消費者団体懇談会というふうなところを中心にしまして、予想される値上げ申請に対しましてすでに幅広い人々の行動が始まってきているという状態であります。九州では、四月二十七日に九州地方の生活協同組合が一カ所に集まりまして九州全体としての意思表示を行い、九州電力さんとの話し合いを行ってきているという状態であります。しかし、これらは氷山の一角であります。多くの国民の中に非常に大きな不安と批判がいま急速に広がりつつあるということではないかというふうに思うのであります。特に、たとえば五月八日付の朝日新聞を見ましても、今回の申請認可をされれば日本の電力料金は先進国で最も高い水準になるというふうに言われているわけでありますけれども、そういうことでありますれば、本当に不況とインフレの二重苦にあえいでいる勤労者の生活にとって非常に重大な問題になる。したがって、多くの国民が反対するのは当然であろうというふうに思うわけであります。  私は電力各社の皆さん方に特にここで御要請を申し上げたいのでありますけれども、たとえば北海道におきましては、前回値上げの際に北海道電力さんは道労評との間で、次に値上げをするときには必ず事前協議をするというふうに約束をされたと伺っております。しかし、その約束は守られていないというふうに北海道の人は語っております。あるいは九州では、去る四月二十七日の生協代表の申し入れに対しまして、九州の各地区できちんとした説明をするという確約をされたというふうにも伺っているわけであります。私は、九電さんのそういう態度は非常に結構だというふうに思うわけでありまして、これほど重大な問題である以上、今後徹底的な住民、消費者との対話をぜひ積み上げていただきたい。そしてその中で、いままで私の方からも申し上げたようないろいろな点について十分な資料の提供を行っていただきたい。万一にもいろいろな意味での合意ができる前に強行されるというふうな状態はぜひ避けていただきたいというふうに思うものでございます。  さっきも申し上げましたように、申請内容自体について多くの消費者が非常に疑問を持っているわけでありますし、それから同時に、これは四月二十八日の読売新聞でございましたが、九電さんの場合に、たとえば三月の電灯、電力需要実績は二月に引き続いて非常に順調だというふうなことも報告をされているようでありますけれども、そんなことを見るにつけましても、各社の値上げ申請に対する疑念は強まる一方であるというのが率直な感じでございます。したがって、そうした中で急いだ形での問題の処理は、私は端極に言いますと、政治不信すら招きかねないような問題を含んでいるのではないかというふうに思いますし、したがって、値上げ計画そのものを一たん撤回をされまして、そして電力事業あり方についての国民的な合意をもう一遍つくり直すというふうなことが、現在の時点では一番先決問題ではないだろうかというふうに思っていることを申し上げまして、私の意見陳述を終わりたいと思います。
  14. 板川正吾

    板川委員長 ありがとうございました。  以上で参考人各位の御意見の御開陳は終わりました。     —————————————
  15. 板川正吾

    板川委員長 これから各参考人に対して質疑を行いますが、まず各党一巡の質疑をおおよそ一時間程度行い、その後フリートーキング形式の質疑で議事を進めることにいたします。  各委員は挙手をして質疑の申し出をしてください。  なお、会議録作成の都合から、委員長の許可を得た後御発言をするようお願いいたします。  質疑者も参考人方々も座ったままで結構でございます。  また、本日は本会議が午後一時から開かれる予定となっておりますので、質疑される方もお答えいただく方も、それぞれ簡潔にお願いいたしたいと思います。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。越智通雄君。
  16. 越智通雄

    ○越智(通)委員 早速お伺いいたしたいと思います。  私どもは、三〇%を越える電力料金値上げ、物価の安定に非常に憂慮しております。しかし、同時に電力の安定的な供給というものを図っていかなければいけない。今後、昭和五十年代の最初の五年間を見通しまして大体六%ぐらいの経済成長を遂げていきたい、それに見合っただけのきちんとした電力の供給が確保されなければ、景気の安定も国民生活の安定もできない、このように考えております。  そこで、一番先に一つだけ消費者の代表の方に伺いたいのですが、ただいまいろいろ国会のあり方まで御議論いただきましたが、どうも肝心なことが聞けなかったように思うのですが、標準的な家計費の中で電力料金は一体どのくらいを占めているのでしょうか。そして、その家計簿の上から見て、今度の値上げがどれだけこれからの家計に響いてくるかという点についての御見解を伺わしていただきたい、このように思うわけです。  質問だけ先に全部申し上げます。  それから、電力四社の方には、どなたでも結構ですから、お答えいただければありがたいと思いますが、やはりいま大きな問題になってまいりますのは、これからの供給計画をどのくらいに見込んでいくか。社によりますと、この申請書の中に五十二年度一〇%くらい供給量をふやさなければならぬという文句も見えておりますが、これから先の供給量の考え方がはっきり出てないようにお見受けするのですが、それに見合った投資規模ということになるわけですから、今後の供給計画をどうお考えか、御説明をいただきたい。  それから四社に対する第二点は、いま非常に問題になっておりますのが内部留保と申しますか、あるいは採算と申しますか、経理の仕方が一番苦しいというところでありますが、先ほどの、どの社長のお話だったか失念いたしましたが、取り崩せるものは全部取り崩した、あと残っている内部留保は取り崩せないものだ、こういう御説明があったと思いますが、いま残っております内部留保、たとえば退職引当金みたいなものでございますと取り崩すわけにいかないわけでございます。一体取り崩せないものとはどういうものをいっているのか、それを金額的に、あるいはどこかの社が代表で事例としておっしゃっていただいても結構ですが、御説明をいただきたい。  それから第三点は、電力料金改定と申しましても、電力料金は個別、用途別にいろいろの差があるわけでございまして、当然もっとこっちをふやしたらどうだとか、こっちを減らしたらどうだ、こういう議論があるわけでございます。臨時電力とか大口電力については、確かに各社によりましてその上げ幅は似ておりましても、もとになる値段、これが七円のところもあれば十円のところもある、臨時だと二十円のところもあれば三十円のところもある。差がばらつきがございます。電力料金の体系についてどういうお考えで進められているのか、多少手直しをしたということを書いていらっしゃるところもございますけれども、もしそれが個別原価の計算に基づくものであるならば、その説明をはっきりしていただきたい。大口などはかなり単位としては安くなっているわけですが、その点についての明瞭なる御説明をいただきたい。  質問時間が十分に限られておりますので、取りまとめて御質問いたしました。簡潔にお答えいただきたいと思います。
  17. 清水鳩子

    清水参考人 家計費に占める電気料金の割合というのは、先生が御指摘になりましたように、決して高い数字ではございませんし、それでもって家計が相当圧迫されるということはその数字をもっては言えないと私は思います。一けたで、一けたもかなり低い数字でございます。  ただし、たとえば電力の間接的な波及効果というのですか、そういうものは私たちははかることができないわけですね。私が申し上げた家計への影響というのは、そういう間接的な波及も含めて申し上げているのでございます。たとえば一番すぐはね返るかなと思うのは、私鉄とかクリーニング代とか、それから理髪料、美容料金とか、そういうものはすぐそのままはね返ってまいります。たとえばワイシャツのクリーニング代の百五十円が百七十円になったといって、その二十円の中の電力が幾らであるかということは私たちには計算することはできないので、総合的な意味で申し上げております。
  18. 若林彊

    若林参考人 ただいまの御質問に四人のうちからそれぞれ分担してお答えいたしたいと思います。  私からは御質問の供給計画について御説明申し上げたいと思います。  この供給計画につきましては、毎年長期五カ年計画、さらに十年先を見通しましてまず需要を想定いたします。そしてそれに対応する供給計画を立てるという順序でやっております。  需要の想定につきましては、日本電力調査会におきまして、全国から集まりまして想定をいたします。需要は、何といいましても御承知のGNPにある程度の弾性値、一ないし一・一というかっこうで従来出ておるわけであります。それに一般の電灯の伸び率等につきましては、やはりトレンドを考えまして、それによって想定しているわけであります。  今回の需要想定におきましては、五十年−五十五年の間で、全国では六・四%、それから五十年から六十年の間で六・四%、こういうことで需要想定をいたしております。  それに対応いたしまして供給計画を立てるわけでございますが、供給計画を立てるのには、大まかに言いまして、安定供給ということからある程度の予備力を考えなければならない。この予備力は私どもといたしましては九%から一〇%程度のことを予備力として考え、それに対応して供給力を——どういう電源開発をするかということになるわけでございます。  電源開発につきましては、昨年の十二月に政府がエネルギーの今後の長期計画を策定されました。その方向に従いまして私どもは今度計画を立てたわけでございます。その中でも特にいわゆる脱石油ということを考え、それにかわる電源開発、具体的には原子力発電を大宗といたしまして、そのほか水力の再開発あるいは新しいエネルギー、LNGあるいは地熱発電、こういったものをそれぞれ計画しまして、六十年までの電源開発計画を立てておるわけでございます。  簡単にその内容を申し上げますと、全国昭和六十年になりますと、水力が大体二二%、それから火力が五三%、その中には新しいエネルギーとしましてはLNG火力が一四%、地熱が一・一%、原子力が二五%、合計いたしまして一億九千百二十万キロワット、こういう計画を立てておるわけでございます。  以上、供給計画についての御説明を終わりたいと思います。  いま一つ内部留保のことについての御質問でございました。それは最初に私が申し上げましたごとく、私の方の事例を申し上げます。  退職給与の引当金は税法によって決まっておるものでございまして、私どもの五十年の下期の見通しでいきますと四百八十三億、これは退職給与引き当てでございます。それからいま一つは利益準備金でございます。これも法律によって決まっておるものでございまして、これが八十二億ございます。その他のものは冒頭で説明申し上げましたように、渇水準備金あるいは特定引当金、その他全部今度取り崩すということになっております。  以上で内部留保の関係の御説明を終わります。
  19. 原谷敬吾

    原谷参考人 三番目のお尋ねの個別原価配分のことについて御説明申し上げますと、これは通産省に設けられております電気事業審議会で学識経験者の方々がお集まりになりまして、慎重に御審議をなさいましたルールがございます。それは、電灯とか小口電力大口電力、業務用とか、いろいろな需要区分別に、まず電源の方の需要、それからその他の部門の需要とに分けまして、電源の方につきましては、それぞれの需要グループが電源に占めます最大電力の比率と電力量の比率、それから夏の一番ピークがかかりますそのときの比率、これは二、一、一という比率で配分されております。それで固定費が配分されております。それから、その他の流通部門の比率は、山元の最大電力の比率と山元の電力量の比率、これを二、一の比率で配分をされて、それが固定費の配分になっております。電力量の方は電力量自身でございます。それはみな同じでございますが、この固定費の配分の差が需要区分別の料金の差になってあらわれておるということでございます。  以上でございます。
  20. 板川正吾

    板川委員長 松浦利尚君。
  21. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 参考人の皆さん、来る木曜日に電力料金の問題について、政府とわれわれ委員との間で議論をすることになっておりますから、その参考資料にするために質問をさせていただくということで、簡潔にお答えいただきます。  清水さん、谷川さん、どちらでもいいのですが、実は私たちのところにいろいろな注文が来ております。消費者代表の意見を聞く現在の公聴会制度というものは非常に問題がある、本当は反対するのが非常に多いのに、可否同数を出席させるとか、そういった意見が出ておるのですが、そういう公聴会制度のあり方についての御意見をお聞かせいただきたいと思います。  それから、電力各社の皆さん方には、東北電力の社長さんに主としてお答えいただきたいと思うのですが、燃料費高騰したからということを盛んに言われるのですね。ところが、過去の統計をとってみますと、これは先般の料金値上げのときにも議論になったのですが、燃料費がずっと下がった時代があるわけですね。燃料費が下がった段階で、中国電力でしたか、若干料金を下げられたという経験があるのですが、燃料費が上がったときは消費者にかぶせて、下がったときには料金そのものに何も影響を与えない、そういうことについて消費者の方が非常に不満を持っておるわけですね。そういうものについて、若林参考人から代表して御意見をお聞かせいただきたいと思うのです。  それからもう一つ、これは参考資料ですが、間違っておればぜひ修正していただきたいのですが、これは私の方で調べたのですが、昭和五十年度の上半期の四電力会社の純利益、北海道電力二十三億、東北電力四十七億、北陸電力二十一億、九州電力五十億、それから資本準備金を除く内部留保北海道電力二百六十六億、東北電力五百五十八億、北陸電力二百五十四億、九州電力五百六十四億、この数字に間違いがあるかないかをお聞かせいただきます。これは各電力会社からお聞かせください。  それから次に、今度の料金改定の中に設備投資、それは何年先の設備投資を見越して料金の中に組み込まれておるのか、そのことをお聞かせください。  それから、これも若林さんに代表してで結構でありますが、需要の伸びを今度の計画書では非常に低く見積もっておるわけですね。五十一年、五十二年の想定需要の伸び率を非常に低目に想定しておられるというのは理解できない。そういう想定というものが四電力会社とも低く見積もられておるのですが、これに対して、もっと伸びるのじゃないか、こういう意見があるのですが、その点についての科学的な根拠をお知らせいただきたいと思う。  それから、最後になりますが、これは九州電力にお聞きしましようか、生産されるものの電灯と電力の使用比率は、九電の場合どうなっているのか、電灯に何%、電力の方に何%。  以上お聞かせをいただきたいと思います。
  22. 若林彊

    若林参考人 ただいまの御質問にお答えいたしますが、順序は変わるかもしれませんが、内部留保は、五十年上期で、おっしゃる数字でございます。  それからいま一つ、燃料が過去に下がったことがあるのではないか、そのときにどういうふうになったのかという御質問がございました。これは各社によりまして実情が違いまして、私の会社の場合を申し上げますと、これは三十二年に例の石炭の価格を千二百円引きというのを三年間か四年間でやる、そういうことが進められたときに、実はそれが決定した時点で私の方は料金更改をしたのです。そのときにはすでに燃料の価格が下がったものという前提で査定を受けておるのでございまして、この点は、私の方の会社に限っては燃料によって利益を得たということでなくて、それがあのとおり下がりませんでかえって苦しんだということになっております。  それから次に、需要の見方でごごいますが、これについては四ツ柳参考人から御説明を……。
  23. 四ツ柳高茂

    四ツ柳参考人 需要の伸びが少ないじゃないかというお話がございましたが、実は昭和五十年度の需要の伸びが、一−三月に異常に伸びたようなことになっております。これは、寒波の襲来とか、自家発電を持っておるところが自家発を抑えて電力会社の方から電気を買う、そういうような現象あるいは一時的な生産増というようなことがございまして、そういう特殊事情がございまして、当社の場合はそういう分が約二億四千万キロワットアワーほどあるわけでございます。それを除きますとそんなに異常にふえてきたということではなくて、特に自家発の方で振りかえられたものは、これは一時的な現象でございます。そういうようなことで、それを差し引きますと、大体五十一年度は六・二%になるのじゃないか。計画の方は六・七%になっておりますので、そういう点で、異常なものを除きますと、決して過大な需要想定にはなっていないというふうに考えております。  それから、先ほど五十年度の利益が北海道二十三億という話がございましたが、この数字はそのとおりでございますが、この二十三億はほとんど大部分が配当金でございます。  それから内部留保の分が二百六十億。これは資本準備金を除いたものが二百六十六億ということで、この数字は仰せのとおりでございます。
  24. 原谷敬吾

    原谷参考人 内部留保につきましては、先生のおっしゃったとおりの数字で間違いございませんん。  それから利益につきましては、いま北海道の社長が言われましたとおりに、配当金及び利益準備金を合計したものが二十一億に相なっております。
  25. 永倉三郎

    永倉参考人 御指摘の内部留保は、そのとおりでございます。  それから電灯・電力費でございますが、九州では電灯がキロワットアワーで二六%、収入で四二%でございます。
  26. 谷川宏

    谷川参考人 公聴会の問題でございますけれども、三つほど考えていることがあるのでございます。  一つは開催の場所でございますが、おおむね東京を中心にした地域に限られてしまっているという点については、消費者全体として非常に大きな疑念を持っておりまして、何とかして全国の各地で、一定の制限は当然あると思いますけれども、しかし、広い地域の住民の声が反映されるような、そういう開催形態をぜひ御検討願いたいという点が第一点でございます。  それからもう一つは、公聴会を開いた場合の運用の問題でございますけれども、何と言うのでしょうか、いわゆる言いっ放し、聞きっ放しというのが普通の形になっているように思うのでございますけれども、やはり公聴会自体の中で、話し合いといいますか、中身を深め合うといいますか、そういうふうな運用が何とかできないものかなというふうなことを率直にいつも感じております。  それから第三点は、しゃべる人の選び方の問題でありますけれども、先生の方からおっしゃったような可否同数というやり方については、私ども実際にどういうふうに選ばれているのかというあたりがよくつかめないものですから、意見も具体的に出しにくいのですけれども、ただ、率直な感じとしては、可否同数というのは、一見民主的なようだけれども、やはり実態を反映させていないのじゃないかというふうに思うのですね。私はやはり値上げ問題等の場合には、消費者といいますか、利用者といいますか、これが最大の利害関係人だろうというふうに思います。したがって、賛成があるか反対があるかは別にしましても、ともかく消費者代表なり利用者代表で圧倒的に数が占められるという形の中で審議されるのが一番望ましい形ではないかというふうに思っております。ですから、関係利用者が比較的少数で、消費者、利用者が比較的多数という形の中で編成されることがもしできれば、むしろその方が実態的ではないかという、そんな感じを持っています。
  27. 板川正吾

    板川委員長 野間友一君。
  28. 野間友一

    ○野間委員 ただいま、清水参考人あるいは谷川参考人の方から、収益状況の悪化が実態とは違うのではないか、あるいは電気事業についてはもっと開くべきではないか、こういうお話がございましたが、それに関連して若林参考人から少しお伺いしたいと思います。  あなたのところでは、ことしの一月から三月末、四月二日ごろまでだったと思いますが、売電されておる地域、青森から福島まで各民間放送に対して、東北電力がスポンサーとなって十分間の帯番組をずっと流しておられました。この中身を見てみますと、いろいろテーマはございますけれども、日本人はこれでよいのかとか、あるいは資源エネルギー問題、それから主婦の意識構造と、さまざまなテーマが取り上げられておりますが、これを見ておりますと、たとえば、日本人は義務よりも権利ばかり強調する、これは誤っておるとか、あるいは、しかもいまの教育論もそうであるとか、さらに、私ちょっと意外に思ったのは、日本女性の意識構造について、台所の経済感覚で国家の財政政策を批判する女性、理論に優先する感情で物を判断する女性に対して、視野の広い目で物事を判断する必要性を説くというような中身も設定されて、これを電波で流されたということなんですけれども、こういう点、どうも私たち考えますのは、実態が、たとえばその内部留保の問題から、あるいは燃料費が四十九年の申請のときでも予測と実態とはかなり違っておるというような問題、さらに需要予測についても、今度の申請を見ますと、かなり低目に見積っておられるように私は感ずるわけですけれども、そういう点について、もっと開いてそして消費者の皆さんに十分納得のいく説明をされるというようなことが至当であっても、どうもこういう方向で何か世論、特に消費者をマスメディアで操作をされるというようなことはアンフェアではなかろうかという感じがするわけですけれども、このことは料金値上げをスムーズにする一つの土壌としてねらっておられたのではなかろうかと思う。これが私企業、まあ公益性はありますけれども会社の一つの主張としてなされるならともかくとして、一つのスポンサーとしての番組の中でこういうものをやられるのはどうなのかというふうに私たち思うわけです。  その点について若林参考人の御見解なり御意見、さらにその経緯、ねらいですね、そういうものをお聞かせ願うのと、清水参考人あるいは谷川参考人には、消費者立場からどうごらんになるのか、この点についてひとつお伺いしたいと思います。
  29. 若林彊

    若林参考人 ただいまラジオ番組のこと、それから需要想定のこと、それから燃料費の実績、この三つの御質問があったと思いますが、第一のラジオ番組のことにつきましては、私どもは十年このかたいわゆる地域の福祉に奉仕する、こういう経営方針を立てまして、そういうことから、地域経済の発展を願う意味で微力ながら協力を申し上げ、同時に地域方々の文化の向上につきましても、本当にこれが微力でございますけれども、何らかのお役に立ちたいということから、十年このかた文化講演会その他のいろいろ教育関係のことについても私どもでできることをやっておりまして、大変それは地元の方々の好評を受けて現在も続いておる状態でございます。また、ラジオ、テレビにつきましても、同じように地域方々の文化の向上というような意味で御協力を申し上げて、これまた好評を得ておるわけであります。  ただいま御指摘のことにつきましては、いまいろいろと昨今、この国会の商工委員会でも話があったことを聞いておりまして、実は私も驚きましていろいろ調べました。確かに担当の段階の議論の中で、いろいろのそういうような不穏当の言葉が持ち出されておったことは事実だということを確認いたしました。しかし、最終的にはこれは放送法に従いまして放送局が企画を全部やりまして、それによってやっているというのが実情で、これは現在のところ私どもは何もそれについて苦情を聞いておらないわけでございます。ただ、そういう過程があったということに対して、私もその担当者を厳重に戒めておるような次第でございまして、これが非常にいろいろと誤解を生み出したということにつきましては、まことに申しわけなく存じておる次第でございます。  それから第二の、四十九年の燃料費に差があるというお話がございました。これは燃料費を算定しましてから実際は需要も変わり、あるいは水力の水の出方が違うわけであります。それによって実際に算定したものとは変わったものが出るのはやむを得ないのでございますけれども、四十九年の場合には、上期は豊水、下期は渇水という状態で、ここの中でまた特別な事情がございまして、南部方面には他社の事故の関係、そして取水状況も南部に偏って、渇水がひどかった、こういうことから非常に火力発電の場所が変わってきたということでございます。  これらに対してわれわれはどういうことをしているかといいますと、これは専門的になりますけれども、いわゆる自動で水、火力経済的な負荷を配分する方法をとっておるわけであります。これは私ども自慢するわけでありませんけれども、私の会社で長年にわたりまして発明、考案をいたしまして、この四十九年の春先からようやく自動で試運転から入っていくということができました。これによりまして、手動でやっておるよりも非常に効率が上がって、いわゆる火力の再経済性のある運転につながるということがありますし、また一方、火力発電所には、これも四十九年の夏以降に初めて設置したのでありますが、これは火力燃料硫黄分を自動的に調整するラインブレンダーというのをそれぞれ四カ所の発電所につけました。こういうようなことをやりながら、一方ではまた、東北の場合は特に油が現地で生産されませんから……
  30. 野間友一

    ○野間委員 簡潔で結構です、時間がありませんから。
  31. 若林彊

    若林参考人 もう少し言わせてください。  そういうことで五千トンの専用船のタンカーを雇い入れました。こういうことによりまして最も輸送費の再経済性を追求した、そういう効率運営の成果でこういう結果が出た、こういうことでございます。  それからもう一つ、需要想定でございます。これは先ほども御質問がございましたが、需要想定はいわゆる経済の実質成長率の弾性値にある程度の関連があるわけで、従来は一から一・一、そういうことでありますので、たとえば私どもが七・一%というものを五十二年に需要増として想定したということは、実際に現在考えられております実質経済成長率の予想が六・四前後ということからいいますと、非常に大きなものまで見ているということが言えるのではないかと思います。  以上であります。
  32. 清水鳩子

    清水参考人 いまの野間先生のお話ですけれども、最近こういう傾向が非常に多うございまして、やはり電波という公器をそういういわゆる一つの世論操作というか、まして世論という一つの精神的な、人の心の中にまで踏み込んで公器を乱用するということは、公共企業体としては一番慎むべきことであって、私はこれは単なる小さい事業者がした行為とは全く異質であって、かなり重大な問題を含んでいるというふうに思います。
  33. 板川正吾

    板川委員長 有島重武君。
  34. 有島重武

    ○有島委員 最初に、今度の値上げが行われますと先進国の中で世界一の高値になってしまうということでありますけれども火力発電の燃料については、これは世界情勢に従って不安定なわけでございます。それから原発ということになると、これはさらに不安定要素が加わって、将来の燃料費に異常があれば、さらにどこまでどうなってしまうのか、非常に不安定要素が多過ぎるのではないかというふうに思います。こうしたことはわが国にとっては、避けられないことなのか、それとも、そんな宿命的なものではなしに、将来は本当にこれを安定させていくという見通しの上に立たれておるのか、そんなところまではとても考えていないというようなことなのか、その点をまず電力側のどなたでも結構でございますが、若林さんから伺いたいと思います。  それから第二番目に、需要想定は、いまおっしゃったように、今後の成長率の想定にスライドしてやっていらっしゃると思いますけれども電力の節約について、どの程度まで節約できるのかということについて、電力側ではどんなふうに考えていらっしゃるのか、そういうことはほとんどネグリジブルに考えていらっしゃるのか。これは電力側と同時に清水参考人谷川参考人のお二方から、電力の節約の可能性についてどんなふうに考えているのか、以上二点をお伺いしたいと思います。
  35. 永倉三郎

    永倉参考人 ただいまの燃料としての油が非常に不安定だということは御説のとおりでございまして、政府におかれましても、油の非常に不安定ということ、それに伴いまして燃料の多様化ということ、それをわれわれも課題といたしまして、今後の電源開発につきましていろいろ検討をいたしております。  油をなるたけ減らすということのために、原子力発電というのが一つの非常に有力な決め手でございます。ただ、原子力発電ということにつきましては、それに先行いたします安全性という問題がございます。われわれ電力事業者といたしましては、原子力の安全性については十分確保できるということを前提として、またそういう努力をもって原子力の開発に取り組んでおりますし、六十年には四千九百万キロワットの原子力の開発をということで、その努力をいたしております。  また原子力につきましては、御指摘のように、非常に設備費は高うございます。普通の油の発電所に比較いたしまして約倍かかります。しかしながら、現在私の方の玄海原子力一号、それで試算いたしますと、油の燃料費用は十分の一ということでございまして、でき上がりは大体二分の一程度のでき上がりの単価ということでございます。  安全性を確立いたしまして、そして少しでも経済性のある原子力というものに取り組む、それからそのほかにLNG、地熱、そういうものを開発いたしまして、なるたけその油にかかるかかり方というものを小さくしょうという努力をいたしております。
  36. 有島重武

    ○有島委員 いまのお答えでございますけれども、原子力燃料石油燃料よりも将来ともに安定供給が得られる、そういうふうに思っていらっしゃるわけでございますか。そこのところをお伺いしたい。
  37. 永倉三郎

    永倉参考人 現状ではそういうふうに考えております。  また、原子力燃料のウランにつきましては、大体十年から十年以上の契約ができております。値段は少し逐次高くなっておりますけれども、相当長いそういう契約というのもできております。
  38. 清水鳩子

    清水参考人 どのくらいの量で節電できるかということでございますが、私は、むしろ原発その他含めて、電源開発の将来の見通しというのは、そう楽観できないと思うのですね。そういう意味だったら、やはりいまある経済成長の六%という枠の中で、一体その資本蓄積にどのくらいのウエートがかかっていて、そして生活中心と言うんですか、福祉中心、その部分にどれだけウエートがかかっているかという、その配分の問題をまず明らかにして、その配分の割合の中で、私たちの生活に関係のある経済成長でしたら、それはそれなりの需要の拡大というのは、私は認められると思うのですけれども、いまはそうじゃなくて、産業用の多消費、いわゆる資本蓄積の方の電力需要の拡大を見越しているわけですから、むしろ、その計算を立てるとしたら、そちら側の計算を立てないと話が逆になるのじゃないかと思うのですね。私たち、まめに電気をつけたり消したりして、それだけでも相当電気消費量が違うというのは、この前各電気会社が相当データを出されていますから、それはトータルをとればすぐ出てくると思いますけれども、むしろ私は、その六%の経済成長の中で配分がどういうふうになっていくかということの方が問題は大事なのじゃないかというふうに思うのですけれども
  39. 谷川宏

    谷川参考人 いわゆる品不足パニック以来、消費者生活態度が非常に変わってきているというふうに言えると思うのですけれども、私は最近の生活協同組合の組合員の動向なんかを見ておりまして、たとえばいまのこの物価高の中で非常に安いものだけを追求するような向きがあるようでありながら、実は全体的には、非常に納得のいく、品質の問題でありますとか、そういうふうなことを落ちついて求めるように消費者は全体として変わってきている。その点で言いますと、電力の使い方等につきましても、消費者生活態度というのは、基本としてかなり健全な方向へ進んできているのじゃないかというふうに私は思いますので、その点では、むしろ、一般国民は問わず語らずにエネルギーのむだ使いというふうなことについては、かなり気を使うようになってきているのじゃないかというふうに思うのです。  ただ、いまからの問題として、少し私たちも深めてみたいなというふうに思いますのは、あれだけ過大な設備投資をやる中では、また新しい消費需要促進といいますか、たとえば新しい家電の売り込みというふうな問題と結びついた、そういうふうな点については消費者としてはむしろ警戒をしていきたい、いく必要がある、そんな問題と絡めながらいまの先生の御指摘の問題はとらえていきたいなというふうに思っております。
  40. 板川正吾

    板川委員長 和田耕作君。
  41. 和田耕作

    和田(耕)委員 公共料金の問題は、特にこれからのこういう審議については、かなり科学的な実際のデータに基づいた判断をしていくという空気をつくっていかなければならぬと思うのですね。これまで公共料金国民生活に非常に関係が深いわけですから、いろいろな思惑でもって議論をしたというケースが多かったと思うし、それはそれで意味があったと思うのですけれども、この段階になりますと、全般として他の物価に比べて公共料金は低目に抑えられておったということは事実だと私も思います。したがって、この公共料金の問題は今後いろいろな、消費者消費者として当然の要求、理由をもって反対をされる、経営者は経営者でもって、これまたとてもたまらぬのでということでやるわけですけれども、そこらあたりは余りサバを読まないで要求をするなり、あるいはそれに対して判断をするという雰囲気をつくっていく必要があると思うのですね。  そういう点から二、三質問をしたいのですけれども、今度の電力料金値上げの際に、最初新聞で伝えられておったのは六〇%ぐらいの値上げを求めるという報道がありまして、これに対して福田副総理は、これはとてもじゃないがそんなことはいかぬ、三〇%ぐらいならというような報道があって、そういうような経過を私、記憶しておるのですけれども、結局、今回は三〇ないし三二、三%ということになっておるようなのですが、そこらあたりにもちょっとサバを読むようなところがまだ経営者の方にも残っておるのじゃないかという感じがしてならないのですが、この問題についてのあけすけな御説明を第一にお願いをいたしたい。  それからもう一つは、先ほど松浦君の質問にもありましたが、五十年の上期は、これはそう大したことはないにしても、黒字をはっきり計上している。下期になりますとまだはっきりしていない。清水さんも指摘されたように、下期の状態がはっきりしないのに値上げを求めるのはおかしいという御意見もあったのですが、それは私は説得力のあることだと思うのですけれども、下期について、たしか東北電力でしたか、とにかく配当をやっと賄える程度でかつかつだというような見通しを持っておられるようですが、果たして下期の収支について各会社はどのような予想を持っておられるのかということが第二点。  それから第三点は、消費者側の方から、そう赤字でないのに値上げを求めるのは、今後の設備の拡大というものを必要以上に組み込んでおるのではないかという一つのあれを持っておられる。特にその中に原子力の発電という問題なんかも出てきておるのですけれども、私の意見を述べるところじゃないのですけれども、今後はやはり原子力発電というものは、安全性を確保した上でかなり急ピッチに進めていく必要があるというふうに私は思っているのですけれども、今後の設備拡大ということになると、いろいろな見通しというものが前提に立っているわけです。ここでは実際の数字を持っての値上げという問題になりますから、余り言うべきことを言わないで、隠しながらというようなことではいけないと思うのですね。そういう面で、今後の拡充計画とこの三〇%前後の値上げということとどのように関係しておるのか。余り詳細なことじゃなくていいのです。大体のところを御説明をいただきたい。以上です。
  42. 若林彊

    若林参考人 ただいまの御質問の最初の第一点は、私、冒頭の陳述で申し上げましたとおり、こういう厳しい経済環境でございますので、私どもといたしましてもあらゆる努力をいたしまして修正幅については最低限度でやったつもりでございます。  それから第二点、これも私が冒頭に申し上げたとおりでございまして、五十年の下期の予想は、先ほど申し上げましたように、利益準備金退職給与引当金以外は何もありません。こういう予想でございます。
  43. 四ツ柳高茂

    四ツ柳参考人 料金にサバを読んだんじゃないかという話がございましたが、これは私ども先ほど申し上げましたように、こういう厳しいときでございますので、もうぎりぎりいっぱいの原価で査定した。それが北海道はたまたま先ほど申し上げました特殊事情もございますので、ほかの三社よりは高い値上げ幅になったわけでございますが、決してそういう水増し的なものを考えているわけではなく、この原価でもなかなか大変だというふうに考えております。  それから、五十年上期が増益の形に出ているんじゃないかという話でございますが、これは社債の枠を確保するために上期に増資をやったわけでございます。増資をやりましたために、配当の分だけ——これはもうどうしても配当せざるを得ないわけでございますので、八分の配当をしたわけです。その分だけ増益になったという形でありまして、決してもうけがたくさん出たのだということではございません。  それから、下期につきましては、東北電力さんと同様、修繕費その他の経費を極力圧縮しまして、しかも繰り越し利益も取り崩してこの八分の配当はどうしても確保しなければならぬというようなわけでございます。そういうことで下期の決算は減益の形になることが予想されます。  それから、設備につきましては、先ほどの話にありましたように、需要見通しに従ってそれに伴う供給力をつくる、そういうことでございますので、決して必要以上の設備を計上しているわけではございません。
  44. 原谷敬吾

    原谷参考人 第一点の、料金の水増しじゃないかというお話に対しましては、いま御両氏のおっしゃったとおりでありますが、たとえて申しますと、燃料でございます。油は昨年の十月にOPECが一〇%の値上げをいたしております。そのときには、ことしの六月まではこれで行くということのギャランティーがあるだけでございまして、七月以降はどれだけか上がるであろうと思うのが常識的かと思うのでございますけれども、私どもは今回の申請には、七月以降も値上げを全然見ないで、現在の標準価格、現在のOPEC価格そのもので算定をいたしておるというような一例もございますので、御了承いただきたいと思います。  それから、下期につきましては、これは冒頭に申し上げましたように、八分配当が辛うじてできる。いままでの崩せるものはみんな崩して八分配当をやる。その八分配当をやらなければまた金が借りられないということから、そういう決算をしようといたしておるような状態でございます。
  45. 永倉三郎

    永倉参考人 前段の、少し甘く申請をしているんじゃないかということは、三社と全く同じでございまして、そういうことはいささかもございませんし、特にこういうような時期に値上げお願いをするということでございますので、実際に事務者にもっと下げる要素はないのかというようなことを督励して、いろいろ案をつくったわけでございます。  それから、下期の配当。いつも配当しながら値上げをするのかというおしかりを受けるわけでございます。私の方は約一千億円の資本金でございますが、これに対する適正な配当というものがなければ電気事業としての運営ができないということでございまして、当初からこれだけの収入、その中で必要なものを使って、そして残りが配当分以上出たということではございませんで、配当をするその金額に合わせまして、むしろ必要な経費削減するというふうなことまでしておるという実情でございます。
  46. 板川正吾

    板川委員長 質疑が各党一巡いたしましたので、この後、質疑を希望される方は挙手をしてお申し出をしていただきたいと思います。
  47. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 先ほどから内部留保の問題が大きく論議されておりますが、谷川参考人が、去年に比べて一千億増の八千五百億、これがたしか九電力全部の数でございますね、そしていま各社の内部留保事情をお聞きしたわけですが、その中のほとんどが退職引当金と利益準備金ですか、われわれはちょっと見ますと、かなりお金がたまっているのに値上げという感じではちょっと納得できないというのが、単純に私たち出てまいります。しかし、退職引当金という考えになりますと、非常に論議があるところだと思うのですけれども値上げのこの時期においてそういう引当金の問題も内部留保として認める気分になれないというような感じでございますが、それが一つ。内部留保の問題は非常に大きな議論になろうと思いますので、お聞きしたいと思います。  それから清水参考人にお伺いしたいのですが、結局、今度の物価の騒ぎというのは、オイルショックで、石油に全部依存しています日本の経済を考えますと、こんなひどい騒ぎはもう二度とやってもらいたくないという気分は国民全員が持っていると思うのです。そうなりますと、あと残るのは、電力について見ますと、石炭か原子力しかない。原子力については現在故障があってなかなか問題だから、原子力発電は将来どうも不安定だ、それからまた、そのために核エネルギーの先物を手当てしておくのは問題だという御発言がたしかあったと思います。しかし、現在うまくいかないということと将来はこっちの方に行かなければいかぬというのとは別個の問題でございますね。そして将来は核分裂の原発からさらに進んで核融合に行かない限り、日本はアラブの王様にいつまでも家計簿をぐるぐると動かされる時代が続くと思うのですけれども、原子力発電そのものについて、現在がどうのこうのということではなく、その評価を清水参考人からお伺いしたいと思います。
  48. 谷川宏

    谷川参考人 退職給与引当金そのものを内部留保として認めることの是非という点では、私は特にここではっきりした見解を申し上げる用意はないわけですけれども、ただ、その内部留保自体がそれぞれの項目ごとに本当に妥当な積み方がされているのかどうかというふうな点につきましては、いろいろもう少し実態を詳しく知りたいものというような感じを持っております。
  49. 清水鳩子

    清水参考人 原子力についての評価ですけれども、これはかなりわからない部分が多いですから、結論的に将来は原子力でやるべきだとかべきでないとか言うことは、私はなかなか言いにくいと思います。私は個人の考え方から言えば、やはり核の購入の契約の問題とか廃棄物の処理の問題、それから、そういう技術開発とか住民とのコンセンサスとか、そういうものが十分得られた段階では、原子力の導入ということは否定はしない考えです。  ただ、その前提についてはかなりの期間が必要だし、結論をどちらにというふうに出すには、まだまだ余りにも前提条件が欠けているというふうに思います。ですから、現在の時点では、原子力を導入するということについては私は反対です。
  50. 中村茂

    ○中村(茂)委員 今回の大幅な電気料金値上げに当たって、会社の姿勢について、特にその中の政治献金についてお伺いしたいというふうに思うのですが、電気料金は、私が申し上げるまでもなく、認可料金です。ですから、決まってしまえばもう収入は保障される、こういう関係になっています。ですから、清水参考人谷川参考人が言われましたように、納得できるものでなければならない、こういう性格を持っていると思います。  それから、会社は税法上の相当な優遇措置が行われています。しかし、この優遇措置が行われているということは、それが消費者国民に還元されなければならぬ性格を持っているというふうに思うわけです。  今回の値上げは三〇%以上、非常に大幅な値上げであります。また、聞くところによれば、政府の方で、これを二年にわたって二段方式でどうだというようなことが言われています。そうなってまいりますと、二年でありますから、ことし上がり、来年また上がる。今回の大幅な値上げで五年なり十年保障されるということなら国民も納得するでしょうけれども、二年。そういういろいろな内容が含まれているというふうに思います。  ですから、こういう重要な大幅値上げに当たっての会社の姿勢ということになれば、皆さんが企業献金、いわゆる会社の政治献金についてどういうふうにいまお考えになっているか、その点をお伺いいたしたいというふうに思うのです。統一した考え方を持っていれば、一人代表で結構ですし、それぞればらばらだとすれば、四人の参考人から。それから、清水参考人谷川参考人、いずれでも結構ですが、一人代表して、こういう公共というふうに言われる企業企業献金というものについてひとつ見解をお聞きしたい、こういうふうに思います。
  51. 若林彊

    若林参考人 ただいまの御質問にお答えいたします。  第一の姿勢の問題でございますけれども、私ども公共料金を扱っておる者としましては、何といいましても長期に安定するということが第一でございまして、そのためにあらゆる経営効率化あるいは合理化、そういう努力をするということが大切だと思っております。さらに地域方々との協調ないしは対話ということが非常に大切と考えておりまして、そういう方向であらゆる努力をしておるつもりでございます。  第二の政治献金の問題でございますが、これは一昨年の八月に、政治献金を今後一切やめるということを表明いたしました。これはもう四社みんな同じだと思いますけれども、それ以後それによってやっておりますし、現在もその精神に変わりありません。
  52. 谷川宏

    谷川参考人 事業の公共的な性格というふうな点から言いまして、やはり特定の者に対する献金というふうなことは全くあってはならないことだろうというふうに思っております。
  53. 和田貞夫

    和田(貞)委員 電力会社は唯一の独占企業だと思うのです。燃料の場合は、これはまだしもガス会社の都市ガスで生活しておるところもあれば、石油であるいはまきであるいはプロパンでというところがありますから、都市ガスが高ければプロパンでしんぼうするとかまきでしんぼうするということは、現実にやろうと思えばできるわけです。交通機関でも、一部の地域ですが、離島でバスも電車も利用できないというところでは自転車で、あるいは徒歩で生活するというところもありますが、現実の姿として、電灯のかわりに、いまさら私たちの生活様式の中で、ろうそくでというわけにはいかぬわけです。そういうところからあなた方の会社はきわめて強いものですが、消費者はきわめて弱いものです。  先ほど公聴会のことも言われたし、いままた政治献金のことも言われたわけですが、こういう値上げにかかわらず、あなた方の方で実際に国民の合意によるところの会社経営ということに持っていくために、あなた方みずからが積極的にそれぞれの地域の住民の皆さんに、自分の会社はこうなんだということで原価を公開して、住民の皆さんと常に納得のいけるコンセンサスを繰り広げていく、こういう考え方になれないかどうか、それが一つですね。  それから、きわめて飛躍的な意見になりますけれども会社経営ではとてもいけないということであれば、これ以上国民の皆さんに迷惑をかけることはできない、忍びないということであれば、われわれの責任ではどうしても経営ができないのだから、一挙に九電力合わせて国の方に持っていって、国の方で経営してくれぬかというところまで持っていくような考え方がないかどうか。飛躍した二点目の意見ですが、二つについて、あなた方の意見をひとつ聞かせてもらいたい。
  54. 板川正吾

    板川委員長 若林参考人、簡潔にお願いいたします。
  55. 若林彊

    若林参考人 はい。  ただいまの第一点の御質問は、私どももそういう方向で最大努力をいたしております。  第二点の問題は、いまの経営ではだめだ、国に上げろというようなお話でございますけれども、これは電力再編成以来、私どもこの九分割、九社体制、それに電源開発を加えて十社体制であらゆる努力をしてまいっております。そういうことによりまして、現在も地域と密着したこういうブロック体制で経営が最も合理的にまた効率的にやれるものと信じております。そういう努力をしております。  私どもといたしましては、さらにそれを実のあるものにするために、いわゆる広域運営の拡大ということで、あたかも九社プラス一社、十社が一社であるかのごとく電源を、ないしは基幹送電線については最経済性を追求してそれをやっておるような次第でございまして、いまの経営体制が最もいいものと信じております。
  56. 加藤清政

    加藤(清政)委員 電力会社若林さん、四ツ柳さん、原谷さん、永倉さんのお四人からお答え願っても結構ですし、統一された見解でしたらば、どなたか代表してお答え願っても結構だと思います。  電気料金の算定について、二カ年間の全体計画を基礎にして今度決められたということですが、それについてお尋ねしたいと思うのです。日本の経済も高度成長から低成長へ移行された。そして経済見通しが非常に不安定な中にあるということと、一方、物価につきましても、今年の四月にはもうすでに消費者物価指数は一〇・二%というようになっておりますし、卸売物価も昨年の十一月までは大体〇・三%程度でありましたが、昨年の十二月から〇・六%ないし〇・八%に上昇して高水準になってきた。したがって、公共料金の引き上げは即インフレの再燃につながるのではないかという大変不安と焦燥に国民が駆られてきたという中において、いま政府ですら経済見通しがわからない。五ないし六%の成長率を目途にしておりますけれども、五十年度の予算編成に当たって実質成長率四・三%、それを基礎にして経済見通しを立てたけれども、政府ですら財政の見通しを誤って、問もなくそれを二・六%に改定せざるを得ないというきょうこのごろの激変する経済情勢の中にあるわけですね。そういうことで、オイルショックのときには、前回は一年間ということであったけれども、本来は三年間を基礎にして電気料金の算定がされておったのだという話でありますけれども、こういう激変の中で、しかも経済見通しについてお考えになるとき、なぜ必要最小限度の中に算定を求めなかったかということですね。一年間で当然考えるべきだと思うのですが、この点についてのお考えをひとつどなたか統一してか、お四人からお答え願えれば結構だと思います。  それからもう一点、七五年の九月の決算で、東京、大阪、名古屋の上場会社八百五十六社のうち利益率を上げた百社が上がっておるのですが、その中に電力会社が含まれておるのです。先ほど配当の問題で、不況のときには資産を売却してそれに対応するというようなお話があったのですが、利益百社の中に電力会社が含まれておるのは、資産を売却して利益を上げたのかどうか、それとも本当に利益があったのかどうか、その点についてどなたかお答え願いたいと思います。
  57. 若林彊

    若林参考人 ただいまの御質問の二カ年原価のことにつきましては、冒頭で私申し上げたとおりでございまして、その前に四十九年のときに一年原価でやったために、それを二年もたせたということで企業の中身が非常に弱体化したことは事実でございます。  そういうことを二度と繰り返したくないということから今度は二年ということで、先ほど三つの理由を申し上げまして、そういうことから二年分で改定お願いしたい、そして安定させたいということをお願い申し上げたわけであります。  それから第二の問題の、利益の中にそれが含まれているかどうかという話は、私ども会社は不動産売却が入っております。
  58. 四ツ柳高茂

    四ツ柳参考人 北海道の場合は、そういう遊休不動産というのはそうたくさんございませんので、不動産の売却はしておりません。実はこの決算に不動産の売却も考えたわけでございますけれども北海道の場合は出水率がよかったということで、繰越利益は吐き出しましたけれども、不動産の売却までいかないでもということで、不動産の売却はしておりません。まあ、不動産の売却そのものが余り大して大きなものじゃないということでございます。
  59. 原谷敬吾

    原谷参考人 二カ年原価の問題につきましては、いま申されたとおりでありますが、七五年上期には資産は売却しておりませんけれども、今度の三月期では、先ほどもお話ししましたように、不動産ではございませんけれども、一部資産を売却することにして決算をしようと考えております。
  60. 永倉三郎

    永倉参考人 九州電力におきましては、四十九年上、下、五十年の上とも相当金額の不動産の売却をいたしております。
  61. 野間友一

    ○野間委員 それぞれの電力会社の方にお願いしたいのですが、五十年度の下期の決算、この中身は私たちまだわかりませんので、これをお出しいただきたいというのが一つと、それから二つ目は、退職給与引当金内部留保のうちの一定部分を占めるという話がありましたけれども、各社それぞれどの程度のものであり、しかもこれが従業員の何%分ぐらいになるのかですね。この点お答え願うのと、最後に、先ほど東北電力参考人にお聞きしましたけれども、ここに文書がありますが、この文書の中を見ますと、このラジオ番組のねらいが、料金改定のスムーズな展開を図るための土壌をつくることにしたいということもございますので、この文書の成立についてひとつ御確認を願いたい。この三点です。
  62. 若林彊

    若林参考人 ラジオ番組のをただいまちょうだいいたしましたけれども、これは実は私ここで初めて見るので、先ほど申し上げましたように、恐らく担当員の最初の折衝の段階でいろいろとこういう私見が出されたものというふうに想像します。  それからその次の退職給与の引当金につきましては、これは法人税法によりまして、従業員の二分の一が退職した場合で算定しておるわけです。
  63. 板川正吾

    板川委員長 三月決算資料を出していただきたいということですが、各社とも御異存ありませんか。
  64. 若林彊

    若林参考人 これは実はまだ社内で決定しているものでございません。
  65. 板川正吾

    板川委員長 いや、済んでから。
  66. 若林彊

    若林参考人 済んでからなら出します。
  67. 板川正吾

    板川委員長 それでは決算が済みましたら出していただきたいということをお願い申し上げます。
  68. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 各電力会社の社長さんに伺っておりますと時間がありませんので、代表して原谷参考人永倉参考人にお伺いをするわけでございます。  新聞記事の報道によりますと、一月下旬に、通産大臣と九電力の社長と懇談会を開かれた。そのときに、景気浮揚のために電力業界が五十二年度の設備投資の一部を五十一年度に繰り下げてやってもらいたいというような話が出たというのでございますけれども、最近の経済情勢を見ますと、公共投資の予備費にいたしましても、これを凍結するというような話も出ておる。あるいは五十一年度の公共事業費につきましても減速をしようというような状況になっておりますけれども、そういった情勢下におきましては、もしその要請が事実で、各電力会社がそういう姿勢で取り組むとすれば、当然これは見直しをしなければならないのではないかということで、この点についての御意見をお二人にお伺いしておきたいと思います。  もう一点、いわゆるナショナルミニマム、シビルミニマムといわれる公共料金の体系については、最近そういうような要求が非常に強いわけであります。われわれ考えますに、一般消費者立場で考えますと、産業界にかなり安く売られている電気料金にいたしましても、そういうものは、一般消費者が使用するいろいろな製品の原価に含まれておる、こう考える。そういうふうに考えてみますと、一般の最終末端の消費者におきましては、家庭で使う直接使用の電気という問題をあわせて考えてみますと、これは生産手段でないわけですけれども、いずれにしましても二重に電気料金というのは一般最終末端の消費者が負担をしておる、こういうふうに考えざるを得ないわけですけれども、そういった意味におきまして、今回の三〇%値上げということになりますと、相当な負担が直接、間接にあらわれてくるわけでございまして、生産手段ではない家庭料金をどう擁護していくか、こういった問題について、今後明確な姿勢を示していかなければ、国民の皆さんの賛同は得られないのではないか、こういうふうに思いますので、これらの御要求に対してどういう姿勢でおこたえをされようとされているのか、この二つの問題をお伺いします。
  69. 原谷敬吾

    原谷参考人 第一の景気浮揚策云々の問題でございますが、これはお話のとおり、八千億円を電気事業全体でということであります。私どもは非常に小さい会社でありまして、そのうちの百四十三億でございますが、これはいずれも仮発注をして、メーカーに目標を与えて刺激をするというだけでございまして、現金を全然支払いするものでもございませんし、時期を繰り上げるものでもございませんで、仮発注をしようというだけのことでございますので、御了承いただきたいと思います。  それからいま一つ、シビルミニマムの問題でございますが、これは私どもの例で申しますと、電灯需要家全体の三割五分が百二十キロワットアワーの中におきまっております。さらに電力量で申し上げますと、それを超過して使われる方も、そのベースの部分は百二十までは安いのでございますが、それですと五六%がシビルミニマムの料金の適用がされておる、こういう状態でございまして、ナショナルミニマムというものをどう考えるかということによっていろいろ意見もあることでございますけれども、大体現行の百二十キロワットアワーというのがほぼ妥当な線ではなかろうか、こういうふうに考えておる次第であります。
  70. 永倉三郎

    永倉参考人 第一点の繰り上げ、いま原谷社長から申し上げたとおりでございまして、別に金がそれだけ要るということでなくて、繰り上げて発注、内示みたいなかっこうでひとつやろうということでございまして、私の方では大体二百億円上積みというようなことで検討いたしております。  ナショナルミニマムの百二十キロでございますが、私も、いまの北陸電力と同じように、九州電力の管内で百二十キロ以内の需要家が約五〇%でございます。したがいまして、大体百二十キロというのはほぼ適正なシビルミニマムではないかと考えております。先般の公聴会で私いろいろ聞いておりますと、百二十キロでは少ないのではないかといういろいろな御要望が非常に強うございました。
  71. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 若林参考人にちょっとお尋ねしておきますが、商工委員会社債発行限度に関する特例法案というのがいま審議されておるのです。これに対しては、私も新聞等で見たのですが、電力各社の皆さん、余り乗り気ではないというような空気を、日経新聞でしたか、何かちょっと拝見したことがあるのですが、このことについて、今回の電力料金値上げとの関係があるというふうに皆さん方は感じ取っておられるのか、あるいは余り関係ないと考えておられるのか。この法案が成立しなかった場合の電力会社にとっての得失ですね、通らなかった方がいいのか、通った方がいいのか、その点をひとつ聞かしてください。
  72. 若林彊

    若林参考人 ただいま御質問の御趣旨ですが、私ども社債特例法案が通らなくてもいいといったようなことは一言も申し上げたことはございませんし、ぜひこの国会で通していただきたいということで、これは九電力一緒になっていろいろとお願いに行っている状態でございまして……
  73. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 本当ですか。
  74. 若林彊

    若林参考人 ええ。とんでもございません。
  75. 板川正吾

    板川委員長 最後に私、委員長から一言質問したいのですが、電力の総需要昭和六十年に八千百五十四億キロワットアワー、こういうふうに想定をして、そのうちの二五%を原子力発電で補っていきたい、こういう御承知のような方向であるわけであります。六十年に六十基の原子力発電ができるという想定でもあります。原子力発電一基一千五百億円あるいは三千億円というふうに莫大な費用がかかる。こういう目標を達成するために、たとえば九電力体制といういまの体制で果たして妥当なのかどうか。たとえば発送電についてはこれをもっと集約していく必要があるのじゃないか、こういう感じを持つわけであります。この点について、九州電力さん以外はいまのところ原子力発電を持ってないようでありますが、将来そういう持つ方向にあるだろうと思います。これについてお考えを承りたいと思います。この一点で結構です。どなたか代表でも結構です。
  76. 若林彊

    若林参考人 ただいまお話のございましたように、昭和六十年原子力が二五%という計画でございます。原子力の推進には御承知のように、いろいろ現在も問題がございます。一つは、やはり核燃料サイクルの確立ということが一番大きな問題でありますし、もう一つは、何といいましても、技術がいろいろ進んでございますけれども、その中でいわゆる技術の統一といいますか、規格の統一、こういうことで、余りいろいろなことをここで出さないで、たとえば軽水炉について完全にマスターしていく、こういうことがまず第一に必要じゃなかろうか。  そういう意味で、これは一社だけでいろいろ研究してもだめでございます。核燃料サイクルの問題にしましても、これは官民挙げての大きな問題でございます。したがいまして、そういうことに対して九社一緒になってそういう体制をつくりつつあるわけですし、また、その技術開発問題にしましても、電気事業連合会の中に特別の原子力関係の開発の委員会を設けましてそこで検討している。  そういうことで、いろいろと研究されたそれをもとにして各社が自主的に開発していく、こういうことでありまして、最初から全部自分だけでやるということはこれはもう不可能でございます。そういう体制でやっていくということでございます。
  77. 板川正吾

    板川委員長 わかりました。  これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、お忙しいところ長時間にわたり御出席をいただき、貴重な御意見をお述べくださいましてありがとうございました。ここに委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。(拍手)  次回は、明後十三日、木曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十二分散会