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1976-05-18 第77回国会 衆議院 農林水産委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年五月十八日(火曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 湊  徹郎君    理事 今井  勇君 理事 片岡 清一君    理事 島田 安夫君 理事 菅波  茂君    理事 井上  泉君 理事 角屋堅次郎君       江藤 隆美君    加藤 紘一君       吉川 久衛君    中尾 栄一君       藤本 孝雄君    森下 元晴君       島田 琢郎君    竹内  猛君       野坂 浩賢君    芳賀  貢君      米内山義一郎君    諫山  博君       庄司 幸助君    津川 武一君       瀬野栄次郎君    林  孝矩君  出席政府委員         行政管理庁行政         監察局長    鈴木  博君         国土庁地方振興         局長      近藤 隆之君         農林政務次官  浜田 幸一君         農林大臣官房審         議官      森 宏太郎君         農林省構造改善         局長      岡安  誠君         農林省構造改善         局次長     福澤 達一君         農林省畜産局長 大場 敏彦君         農林省食品流通         局長      今村 宣夫君         農林水産技術会         議事務局長   平松甲子雄君         食糧庁長官  大河原太一郎君         水産庁長官   内村 良英君  委員外出席者         防衛庁経理局施         設課長     小谷  久君         防衛施設庁施設         部施設企画課長 三条 俊郎君         環境庁水質保全         局水質規制課長 島田 隆志君         国土庁水資源局         水資源計画課長 堀  和夫君         大蔵省主計局主         計官      宮下 創平君         厚生省公衆衛生         局保健情報課長 林部  弘君         厚生省環境衛生         局水道環境部水         道整備課長   国川 建二君         厚生省環境衛生         局水道環境部参         事官      森下 忠幸君         農林大臣官房審         議官      小笠原正男君         農林大臣官房企         画室長     小島 和義君         農林省構造改善         局農政部長   渡邊 五郎君         農林省構造改善         局建設部長   岡部 三郎君         建設省計画局技         術調査官    中沢 弌仁君         建設省河川局河         川計画課長   栂野 康行君         建設省河川局開         発課長     佐々木才朗君         北海道東北開発         公庫理事   小川としやす君         参  考  人         (日本中央競馬         会理事)    瀬川 良一君         参  考  人         (水資源開発公         団総裁)    山本 三郎君         参  考  人         (水資源開発公         団理事)    山本  弘君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 五月十四日  辞任         補欠選任   森下 元晴君     田村 良平君   瀬野栄次郎君     伏木 和雄君 同日  辞任         補欠選任   田村 良平君     森下 元晴君   伏木 和雄君     瀬野栄次郎君 同月十七日  辞任         補欠選任   神田 大作君     安里積千代君 同月十八日  辞任         補欠選任   諫山  博君     庄司 幸助君 同日  辞任         補欠選任   庄司 幸助君     諫山  博君 同日  委員安里積千代君が退職された。     ————————————— 五月十四日  みそ加工原料米売却合理化に関する請願(小  沢貞孝紹介)(第四三六五号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第四三六六号)  同(吉川久衛紹介)(第四三六七号)  同(倉石忠雄紹介)(第四三六八号)  同(羽田孜紹介)(第四三六九号)  同(中澤茂一紹介)(第四五〇一号) 同月十五日  道頓堀場外馬券売場設置反対に関する請願(  和田貞夫紹介)(第四五六七号)  同(小沢貞孝紹介)(第四八七四号)  同(北側義一紹介)(第四八七五号)  同外一件(玉置一徳紹介)(第四八七六号)  昭和五十一年産米事前売渡限度数量増枠に  関する請願松浦周太郎紹介)(第四六七三  号)  同(佐々木秀世紹介)(第四七七〇号)  みそ加工原料米売却合理化に関する請願(小  坂善太郎紹介)(第四八〇二号) 同月十七日  道頓堀場外馬券売場設置反対に関する請願(  荒木宏紹介)(第四九三〇号)  同(井岡大治紹介)(第四九三一号)  同(神崎敏雄紹介)(第四九三二号)  同(久保田鶴松紹介)(第四九三三号)  同(土橋一吉紹介)(第四九三四号)  同(中澤茂一紹介)(第四九三五号)  同(東中光雄紹介)(第四九三六号)  同(正森成二君紹介)(第四九三七号)  同(三浦久紹介)(第四九三八号)  同(村上弘紹介)(第四九三九号)  同(浦井洋紹介)(第五〇二七号)  同(栗田翠紹介)(第五〇二八号)  同(中島武敏紹介)(第五〇二九号)  同(林百郎君紹介)(第五〇三〇号)  同(津金佑近君紹介)(第五一六三号)  同(林百郎君紹介)(第五一六四号)  同(松本善明紹介)(第五一六五号)  同(湯山勇紹介)(第五一六六号)  米の消費拡大に関する請願湊徹郎紹介)(  第五〇二五号)  みそ加工原料米売却合理化に関する請願(林  百郎君紹介)(第五〇二六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 湊徹郎

    ○湊委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島田琢郎君。
  3. 島田琢郎

    島田(琢)委員 私の今回の質問は、砂糖についてであります。  まず、質問の第一点は、沖繩砂糖についてでありますが、五十年産サトウキビ収穫も終え、また砂糖の製造も終えておるわけであります。沖繩サトウキビは、沖繩にとってはほとんど唯一に近い大事な地場産業であり、農業も大半がこのサトウキビに主力を置いて進められておるのはいまさら言うまでもありません。したがって、サトウキビ日本砂糖産業の中で占める重要な作物の  一つとして、政府もまた農業基本法第八条で重要農産物の指定を行うなど、あらゆる諸般の施策を進めてきた点について、私どもは、沖繩産業あり方について幾つかの提言をしてまいりましたが、過般沖繩において開催されました海洋博覧会の開催をめぐります段階でも、私どもは、沖繩あり方についての幾つかの提言を交えて議論を進めてきたわけであります。  海洋博覧会も終わって、沖繩はいままたもとの状態に戻っているのでありますけれども、しかし、私どもが期待しているようないわゆる地場産業育成が今後進められていくかどうかには、まだまだ幾つかの問題点を含んでおりますから、十分監視をしていく必要があると考えておるわけです。きょうはサトウキビに限定をいたしますが、サトウキビの昨年の実態等をお示していただいた中で当面対策を進めなければならぬ二、三の点についてお尋ねをしていきたいと思いますので、ごく簡単で結構ですから、これら実態を前年との比較においてお示しをいただいて、その後で問題点について質問を続けてまいりたい、こう思います。
  4. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 お尋ね沖繩県におけるサトウキビ生産状況でございますが、沖繩県におきますサトウキビ生産は前年に比べて大体一五%ふえておりまして、百三十三万トンのサトウキビ生産が見込まれております。  その内訳でございますが、収穫面積はごくわずかの増加でありますが、十アール当たりの収量は約一四%ふえております。生産量は、四十九年に比べて五十年は大体一一五%ということに相なっております。  それに伴いまして沖繩県におきます五十年産の甘庶糖でございます。それは一社を除きまして全部操業が終了いたしますが、十四万二千トンの生産が見込まれておりまして、前年に比べまして約一八%の増ということに相なっております。
  5. 島田琢郎

    島田(琢)委員 いま局長から御説明のありました限りにおいては、四十九年に比較して沖繩砂糖実態というのは非常に前進をしているというふうに数字の上では受けとめられるわけであります。しかし私は、この際一層生産基盤を確立して、特にサトウキビの置かれている実態というものを詳細に把握をしてまいります中でどうしても急がれなければならないのがこの基盤整備だと思うのです。これも局長の耳にはたこができるほどいままでも聞かされていることでありますから、いまさらの感がするかもしれませんけれども、しかしこれは沖繩サトウキビ農民の悲願とも言えるような条項でありますから、私ども真剣にこの基盤整備という問題について取り組む必要がある。重ねてそういう認識の上に立ってお尋ねするわけですけれども、当然これについては休業補償というような一つ措置がないと、永年作物でありますから、ことしつくって秋に収穫したら畑があくという性質のものでありませんから、そういう点については基盤整備というのがほかの作物とは形を変えなければならないものであります。これはいまさら言うまでもないわけであります。この考え方についてはいかがですか。もう何回も聞いているのですが、どうも前向きに取り組むという姿勢が出てこないのですが、いかがですか。
  6. 福澤達一

    福澤政府委員 沖繩におけるサトウキビ生産振興につきましては、復帰直後以来、まず基盤整備というものが一番大事な問題であるというような認識のもとに、その指導体制を強化すると同時に、年々その事業量増加しながら進めてきておる現状でございます。特に、沖繩農業を展開させるためには、基幹であるサトウキビ振興ということがまず第一の問題点であるというふうに受けとめまして、その後農業用水確保あるいは農道の整備区画整理あるいは農地保全等事業を通じまして、生産の安定と省力化に努めてきておるわけでございます。  また、沖繩における基盤整備の問題につきましては、その促進を図る意味におきまして、採択基準あるいは補助率等の特別の優遇措置を講じて、積極的に進めてきておるわけでございます。  なお、後段のサトウキビ振興に伴う基盤整備を行っている地区の休耕補償という問題についてのお尋ねでございますけれども基盤整備事業のうち圃場整備などの面工事についての植栽については、この事業受益者土地についての申請事業であり、同意に基づいて行われておる仕事であるということ、それからまた畑の他の作物と比較してみまして、その取り扱いに均衡を失する恐れがあるという点に基づきまして、それをやることによりまして基盤整備全体に波及する問題であるというようにこれを受けとめておりますので、休耕補償を行うことは現在まだ考えておらないわけでございます。しかし、沖繩におけるサトウキビ経営に悪影響を与えないように、工事を実施する段階におきましていろいろ留意いたしまして、できるだけそういう支障のないような方法を考えております。  たとえば面工事の実施の時期を改植時期となるべく一致させるように施工計画を進めるとかあるいは面工事は、工事早期発注を行って、その年度内に植栽ができるようにするとか、あるいはまた面工事受益農家をその仕事に優先的に雇用するようなことを施工業者に指導するとかそういう面を考えまして、面工事の完了後のサトウキビの新値とか育成費用について、さらに農業近代化資金活用等を図るなど、受益農家の一時的な経営負担というものを解消するように努めてまいりたいと思っておるわけでございます。
  7. 島田琢郎

    島田(琢)委員 私は、一昨年になりましょうか、国政調査沖繩対策特別委員会の立場で沖繩に参りましたときに試験場を見せていただきました。この試験場で大変御苦労なさっている職員の皆さん実態にも触れてまいったのであります。圃場も見せてもらいましたが、反収優に十トンを超すようなりっぱなサトウキビがつくられているのですね。ところが先ほど局長から、沖繩は前年比一一%の反収増加を見た、こういう報告がありましたけれども現実には五トン前後、そんなところにあるわけですから、まだまだ試験の成果が一般圃場に及んでいないということが言えると思うのですね。先ほど次長お話に出されておりました水資源確保の問題についても調査をいたしましたが、大変な御苦労をされていることを私もよく承知をいたしました。しかし、まだこれからなんですから、問題点がたくさんあることを私も承知いたしますけれども、何といっても試験場でとれる十トンはむずかしいとしても、その八割に近いくらいの成果をもうそろそろ上げませんと、サトウキビをやめて次何かつくるといったような、ほかの地域とはおのずから基礎条件が異なっておる沖繩のことでありますから、やはり沖繩にはそれなりのかなり重点的な、抜本的な基盤整備なりあるいは生産振興なりというものが行われませんといけないわけですね。  そういう意味で、ぜひ休耕補償の問題については、いま次善の策を示されたわけでありますけれども、しかしそれでは全体的に進度がおそくて、基盤整備は何年かかったらできるのかというようなことが現地に非常に不安がありますのは、私はそういう点にあるのだと思うのです。もっとひとつ抜本的に、私どもが言っているような休耕補償を思い切ってやりながら、急いで基盤整備生産振興に寄与していくという姿勢でぜひ沖繩サトウキビを考えてもらいたいと思うのです。  一言で結構でありますが、これは所管するのは構造改善局だから、次長がお答えになっているわけでありますけれども、これは今村局長からも考え方を聞かしてもらいたいと思っているのでありますが、私がいま申し上げたような点についての、是非論はあるのでしょうけれども、ずいぶん長いこと主張されている点ですから、ぜひ検討するという考え方は示してもらいたいと思うのですが、いかがです。
  8. 福澤達一

    福澤政府委員 先ほども申し上げましたように、沖繩農業に対するサトウキビの位置づけというのは非常に大切なものであるというように受けとめておりますので、今後ともサトウキビ振興に対する基盤整備というものの促進について努力をしてまいりたいと思っております。
  9. 島田琢郎

    島田(琢)委員 そこで私はさらに、その後沖繩実態調査をいたしました中で、きょうは余り時間がないものですから、簡単に全貌に触れておきたいと思うのですけれども皆さんすでに御承知のとおり、沖繩が返還されてから五年でありますが、軍事基地の中において返還さるべき土地と見込まれるのは二万七千ヘクタール、ところがいままでに実質返還されているのは七千八百ヘクタールにしかすぎません。しかも問題なのは、返還された約八千ヘクタールの利用方向が明確でない、つまり利用計画がないということであります。これは細切れ返還だとかあるいはまた復元に対する補償とか地籍問題というものが解決しないとなかなかこの利用計画を立てにくいということはわかるのですけれども、それにしても八千ヘクタールのうち利用されているというのは五%足らずの三百六十九ヘクタールなんですね。これは農地として利用できると見込まれる土地現実にはたった五%しかいままで返還されている中で利用されていないということで、これは大変問題なわけです。  ですから私は、サトウキビ基盤整備というのを急いでやりながら、こうした返還されてくる土地に対してもやはり利用計画を明確にして、私の、現地における皆さん方の御意見などを総合しての意見としては、サトウキビなりパイナップルなりこういう地場産業として活用していきたいという希望が強くある。これはぜひひとつ積極的に、これはひとり農林省だけの責任ではなくて、所管する総理府なり沖繩開発庁なりの責任だと言ってしまえばそれまででありますけれども、しかし少なくとも農地として復元して、少しでもサトウキビを増産していくということで積極的な利用を図るべきだという考え方を強く持っているものですから、この点もひとつお尋ねをしておきます。
  10. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 サトウキビ沖繩におきます基幹的な作物で、パイナップルと並んでこれ以外作物がないわけでありますから、そういうサトウキビ生産振興については十分な留意をもって対処する必要があると思います。  同時に、先ほどお話がありました反収でございますが、かつては八・二トンくらいまで行ったことがあるわけでございますが、現在は約七トン程度の反収ということになっています。したがいまして、今後の生産振興方向としては、一つは御指摘のような基盤整備の問題であり、同時にもう一つは、機械化その他を伴います経営合理化という問題であろうかと思います。そういう意味合いにおきまして、沖繩サトウキビ生産振興のために、御指摘のような土地利用という点につきましても、私たち沖繩県と十分協議しながら、その合理的な利用につきまして十分配慮をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  11. 島田琢郎

    島田(琢)委員 ぜひそういう方向でひとつ前向きに取り組んでいただきたいと思います。  そこで、砂糖生産も終わって市場に出回ってくる時期になっているわけでありますが、再販問題というのが当然沖繩ではあるわけであります。これは原則的には自由市場でありますから、政府が積極的に介入していくということには限度があることは私どもよく承知しているわけでありますが、最近はどうも買い手の側からの値切りなどがあって、なかなかこれがスムーズにいかぬというような実態もあるようでありますが、行政府としてはどのようにこれを見ているのでしょうか。
  12. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 沖繩でできます砂糖は、そのできた粗糖を国内におきます親会社に売るわけでございまして、その間の子会社から親会社へどういう価格できておるかということは、これは商行為、商取引の問題でございます。私たちとしましては、その沖繩でできましたものを糖価安定事業団で買って、そして輸入糖価格その他を参酌しましてそれを売り渡すということが制度上のたてまえでございますから、そのできた砂糖親会社にどういうふうに売るかということは、本来親会社子会社取引関係でございます。したがいまして、それに農林省がとやかく言うことはいかがなものであろうか、こういうふうに思うわけでございますけれども、最近のような糖価の低迷の状況におきましては、親会社としても非常に経営が苦しい、大きな会社におきましては大体百億台の赤字を出す、こういうふうな状況にございます。同時に、子会社としてもこういう時期におきましては経営がなかなか苦しい、お互いに苦しい同士が一体その砂糖をどういうふうに引き取るかという話でございますから、その再販価格決定というのは、御指摘のように非常に難航いたしておるわけでございます。  そこで、私たちは基本的には、そういうふうに親会社子会社取引関係でございますから、両者が十分協議してその価格を決めてもらうということがたてまえであろうかと思いますけれども、最近のような状況のもとではそうばかりも言っておれないものですから、農林省としては一定のガイドラインを示して、そういう考え方に基づいて親会社子会社とよく話をしてもらいたいということに努力をいたしてきたわけでございます。  親会社子会社と申しましてもいろいろな関係がございまして、扶養義務があるような一親等のような親会社子会社もございますし、またいとこのような親会社子会社もございますから、その取引価格を一律にどうこうするということはなかかかむずかしいわけでございます。したがいまして、そこに若干の幅があることは私は当然のことであると思いますけれども、大勢として取引価格というのは大体こういうものだという線に落ちつくことが最も望ましいわけでございますから、そういう観点に立ちまして、現在再販価格決定、取り決めにつきましては、私たちも中に入りまして鋭意努力中でございます。  大体甘庶糖操業も終わりかけておりますし、六月の決算期を控えておるわけでございますから、それに余り事態を遅延しないように、その事態を収拾することに努力いたしたいと考えておる次第でございます。
  13. 島田琢郎

    島田(琢)委員 さて、これもサトウキビ生産農民の長い間の要求でもありますが、やはり生産費所得補償方式というのはサトウキビにおいてぜひ採用してもらいたい買い上げの際の方式である。これも局長に対しては、もう耳にたこができるほど繰り返し現地からの要求があるわけです。それがゆえに、私どもは、参議院においてすでに砂糖三法の改正案を提案して、ぜひビートを含めた国内産砂糖原料価格決定に当たっては、生産費所得補償方式をもってこれを買い上げするようにせよ、こういうふうに提案をいたしておるところであります。まあ非公式な場所等を含めて、局長からは、この方式採用についての難色が示されているのでありますけれども、これはきょうは余り時間がありませんから長い論議は避けますけれども、ひとつ簡単にあなたの真意とするところを披瀝願いたいと思います。
  14. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 沖繩奄美サトウキビが、早く言いますとそれしかつくる物がないという観点におきまして、内地というか本土の米に匹敵する作物であるから、そういう作物については生産費所得補償方式価格を決めるべきではないかという御主張につきましては、私も十分承知をいたしておりますが、そういう作物重要性ということと価格をどういうふうに決めるかということは、すぐに結びつけて考え得ればそれは結構なことでございますが、なかなかそういうぐあいにはまいらないというふうに思うわけでございます。これは私の考えですけれども生産費所得補償方式をとるということは反収に余り振れがない、言葉をかえて言いますと技術水準一定のレベルに達しておる、しかも反収の振れがない、しかもそれが基幹的作物であるという、そういう要素が前提にあるのではないかというふうに思います。したがいまして、サトウキビの当面の問題は、価格も当然重要でございますけれども、もっと生産基盤なりあるいは経営なりという問題を考えていくことが、価格そのものよりももっと重要な問題ではないかと思います。いまの沖繩奄美サトウキビ生産状況ということを考えてみますれば、やはりここで一段と農家の方々も、あるいは政府としても特段と配慮すべき生産対策があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  15. 島田琢郎

    島田(琢)委員 いまの生産費所得補償方式をめぐる問題のやりとりは、これだけではとても言い尽くせないわけでありまして、私はこれだけに時間を割いて、いつか十分議論をしたいと思っておるわけでございます。  さて、沖繩サトウキビ生産奨励金、これは政府責任を持たなくてはいけませんが、もう収穫も終わり実態は明らかになったわけですから払わなくちゃいけないのですが、いつ払いますか。
  16. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 サトウキビ生産奨励金につきましては、トン当たり三千七百六十円ということで、内九百円は買い入れ価格に織り込むような処理をいたしたわけでございます。したがいまして、残りの二千八百六十円を今後どうするかという問題でございます。  で、あの価格を決めますときには、沖繩奄美サトウキビにつきましては、国と企業とがその奨励金につきましては責任を持つということにいたしたわけでございます。したがいまして、大体操業も終わり、あるいは糖価の推移も見きわめられる時期に至りましたので、製糖終了後速やかに財政措置を検討の上、所要の対策を講ずる必要があるというふうに考えております。
  17. 島田琢郎

    島田(琢)委員 六百円は糖価に織り込む、こういうことですか。
  18. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 砂糖のコストに織り込みましたのは九百円でございます。
  19. 島田琢郎

    島田(琢)委員 宮下主計官、この沖繩復帰特別措置法に基づく砂糖消費税の免除というのは、これは来年の五月で切れるわけですが、これもすでに何回かあなたのところに陳情もあり、これはこれだけではなくてもうたくさんあるのですから、これだけのことでということにはならぬかもしれませんが、これは特に私が言いたいのは、ここでやはり砂糖がつくられてきたということに対する、占領下における長い間の忍従の歴史があります。そういうものを踏まえてこれもひとつ入れられたという経過があるのですが、これは十分お考えいただけるんですね。
  20. 宮下創平

    ○宮下説明員 お答え申し上げます。  砂糖消費税の軽減措置の問題につきましては、ちょっと私担当でございませんですが、ほかのいろいろの案件と一緒に聞いておりますから、担当の方によく連絡をして検討するようにいたします。
  21. 島田琢郎

    島田(琢)委員 さて、ビートに移ってまいります。  とうとうビートは私どもが心配してまいりましたような方向になだれを打って突き進んでまいりました。きわめて残念なことであります。現地は、この事態を受けて、過般一月に非常事態宣言をいたしました。まさに置かれている生産の立場における耕作農民の不安と、それを加工して地場産業として煙を吐き続けてきたビート糖業にも、非常に大きな赤信号をともすに至りました。そもそもビートもまた、先ほどサトウキビで触れましたように、農業基本法第八条で重要農産物として指定されて、しかも、甘味資源特別措置法におきましては第九条で、生産振興計画を立てて、その計画については都道府県知事から農林大臣に申請される、農林大臣はそれを受けてこれを認定していくという作業が義務づけられているわけであります。その状態いかんによっては、これまた甘味資源特別措置法第十二条によって指導、援助を行わなければならない、こういうふうになっているのであります。非常事態宣言を発したこ事態を、政府としてはどう受けとめておられますか。
  22. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 非常事態の宣言ということにつきまして、恐らく先生のおっしゃっておりますことは、過般年末に北海道知事あてに北海道農民連盟の委員長その他が「てん菜の非常事態に対処する対策の展開に関する要請」ということを行って、同時にまた、年明けの四月に「てん菜の生産振興ならびにてん菜糖業振興に関する要請」というものを私も北海道の農民連盟から受けておりますが、そういうことの内容を踏まえての先生のお話であるというふうに理解をいたすわけでございますが、北海道のてん菜につきましては、てん菜は北海道畑作の基幹的作物であるということについては私たちも十分認識をいたしておるわけでございます。したがいまして、最近の生産状況に対処いたしまして、その生産振興を図りますために、生産基盤整備でありますとかあるいは機械の導入等の生産対策につきましては、本年度予算につきましても十分配慮をいたしたところでありますし、価格につきましても、糖価安定事業団の売買操作等を通ずる価格政策の適正な推進を図ってまいる所存でございます。  ただ、私は非常に疑問といたしておるところがございます。それは、北海道の畑作面積は四十年では七十万ヘクタールでございましたが、五十年には約八十万ヘクタール、そこに十万ヘクタール畑作面積がふえております。ところが、牧草地が三十万ヘクタールふえておるわけでございますから、普通畑の面積は、四十年には六十万ヘクタールでありましたものが、五十年には約四十万ヘクタールに相なっておるわけでございます。したがいまして、その間二十一万ヘクタール普通畑作の面積が減っておるわけでございますから、そういう北海道の生産状況を踏まえますれば、ビートもある程度減るということはやむを得ないことではないかと私は思います。小麦もふえ、ビートもふえ、それから豆もふえ、バレイショも全部ふえるということは、その四十万ヘクタールの中の問題でございますから、その生産につきましては十分北海道の輪作問題ということを究明する必要があるというふうに考えておる次第でございます。
  23. 島田琢郎

    島田(琢)委員 そうしたら私はお尋ねするんですけれども、そもそも糖価安定法に基づいて甘味資源審議会が開かれて、その中で四十九年の九月十日、かなり積極的な議論がなされ、しかも、これを踏まえて建議がなされています。建議の内容について披露するまでもありません。しかも政府は、このときの作付面積というのが七万ヘクタール、目標をそこに置いているんです。収量もかなり高いものであります。原料は三百三十万トンを確保するという方針が打ち出されている。北海道においては、第三期総合開発計画によって七万五千ヘクタール、三百三十八万トンの原料ビートを確保するという方針が決められて、それは四十五年の七月十日に閣議決定されている。さらにまた、五十年五月十六日公表されました「農産物の需要と生産の長期見通し」つまり六十年長期見通しにおいては七万七千ヘクタール、三百九十万トンの原料ビートを目標にして今後ビートの生産振興を図っていくという方針が打ち出されている。いま局長の言ったのとは大変な違いじゃありませんか。あなたは、ビートが死んでいくのはやむを得ないと言っている。なぜこういう方針をお出しになったのですか、そうしたら。まことに矛盾ではありませんか。
  24. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 六十年度の長期見通しにおきまして七万ヘクタールということを見通しておるわけでございますが、これは北海道畑作の全体的な面積を、私の記憶では十何万ヘクタール絶対量をふやすという前提に立っておるわけでございます。私は、何も北海道のビートが減るのはやむを得ないということを申し上げておるのではございませんで、見通しはそういう前提に立って七万ヘクタールということを立てておるわけでございますから、要するに北海道の畑作の絶対面積をふやすということがまず必要であろう、もしその絶対面積がふやせないで、いま私が申し上げたように四十万ヘクタールの中でどういう作付をするかということに相なりますれば、北海道の輪作問題として北海道のビートの位置づけあるいはビートの面積あるいはその生産の可能性という問題を、輪作問題の一環として十分検討する必要があるということを申し上げた次第でございます。
  25. 島田琢郎

    島田(琢)委員 それならお尋ねしますけれども、確かにおっしゃるとおり畑作で北海道の総体の面積を押さえてまいりますれば、いま言ったように四十万ヘクタール程度にしかならないわけです。そうすれば、おのずから輪作体系というものを確立していこうとすれば、どうしてもビートに割かれる面積というのは四万ヘクタール前後にしかならぬということも、これはおっしゃるとおりです。絶対量七万ヘクタール以上確保するという方針についてはそれじゃどうお考えですか。
  26. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 私は生産担当部局の長ではございませんので責任あるお答えはできませんけれども、そういう北海道の全体的な面積の拡大ということを前提にして七万ヘクタールのビートをつくりたいという、そういう政策的意欲のあらわれた見通しであるというふうに理解をいたしております。
  27. 島田琢郎

    島田(琢)委員 農蚕園芸局はお見えですか、畑作振耕課。あなたの局としてはこれは生産振興所管。いま今村局長は、畑作振興は私の所管でないと、こういうふうに言っている。これもまことに心外な発言でありますけれども、まずそれじゃ畑作振興課、あなたの方ではどういう計画をお持ちですか。
  28. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 ただいまも申し上げましたように、現実は普通畑はすでに四十一万ヘクタール程度に減少をいたしております。これだけを考えますと、長期見通しの七万七千ヘクタールを六十年に達成をするということは大変困難であります。したがいまして、長期見通しを達成いたしますためには、今村局長が申し上げましたように普通畑面積の拡大と、もう一つは牧草地との調和を図っててん菜と畜産、これの有機的連携を図ることによって何とか目標に到達すべく努力をしていくということは、今後の大きな課題であるというふうに考えている次第であります。
  29. 島田琢郎

    島田(琢)委員 私は個人的な立場で畑作農業確立への提言と称して若干の考え方をまとめて皆さんにも提案をいたしました。いまお示しになった考え方とまさにその方向は一にするものであります。ただそのやり方については、私は非常に多くの疑問と問題点を持っております。逐次その点も触れていきますが、まず私は今村局長に、ことしの見通し、非常に暗い結果に終わっている。間もなく植えつけが終わりまきつけが終わって実態が把握されるわけですが、来月には実態調査が行われるわけです。恐らくいま見通されているように四万一千ヘクタールそこそこで、昨年の四万八千ヘクタールを大幅にまたぞろ削るような面積にしかならぬようであります。この原因は一体何なのかということを、この機会に冷静に考え直してみなければならぬと思うのです。いまいみじくも議論になった北海道畑作の現況というものの中から割り出されてくるビートの耕作面積確保という点が一つあることは、非常に重要な項目であります。しかし、それと同時並行して幾つかの原因が挙げられると私は思うのです。私はその原因を全部並べ立ててみますから、その点についての反論があればひとつお聞きをしたい。  その第一の原因は、まず生産費を大幅に割るような告示価格に原因があります。たとえば昨年十月に決められました五十年度の政府告示価格で、励奨金抜きで考えてまいりますと、家族労働報酬というのは完全に赤字であります。いまさら私が数字を挙げて説明するまでもないと思いますけれども、念のために示しておきましょう。生産調査結果であらわれております第一次生産費は一万三千七百三十五円であります。告示されました最低生産価格は一万二千百四十円、つまり生産費を一二%も割る価格で告示されてある。しかも家族労働報酬は、いま言ったように一万二千百四十円ではじき出してまいりますと三十八円の赤字です。奨励金を入れてやっとこ農業臨時雇い労賃の四百二十四円を少しオーバーする四百六十九円ということであります。低くて問題にならぬと言われた乳価に比べてみても七七%、米との対比においては六一%でしかない。これが昨年決められたビートの家族労働報酬の単価なんです。これがまず第一の点であります。しかも、つけ加えておきますと、競合作物と言われているバレイショであるとかあるいはそのほかの農作物と比べてみると、その一時間当たりの労賃の比較ではまさに最下位であります。バレイショと比べると話にならない。しかも先ほど私が触れたように、今後の見通しとその目標においても比較すると話にならないほど大幅に下回る実績であります。しかもその達成はほとんど困難だと言われているような状態にいま置かれている。五十一年度の見込みなんかにおいては、もはや比較する必要がないほど大変な実態の差になっているわけであります。  これだけの原因ではないのですけれども、ともかくてん菜というものが北海道の農業の中で、あるいはまたそれが産業の中で果たした役割りというものの認識において、こういう認識が所管する行政庁の姿勢の中にあらわれてこない限りどうにも解決できないという感じさえするのであります。つまり言ってみれば、行政介入しているとこれは両刃の剣で、時には殺してしまうということに手をかすことになりかねないというような状態が、これはビートばかりではありません、いわゆる行政介入で決められる価格においては、すべてそういう生かしも殺しもするという性格を持っておるのでありますけれども、それをよい方に運用していくということが行政の責任なんでありますが、いまのビートに至っては全然そういう考え方が出てこない。ここのところに私は行政の責任を厳しく追及したい点があるのであります。  いま示しました点について、反論があればお聞きをしたいと思うのです。
  30. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 ビートは北海道の畑作物における基幹的な作物でございますから、そういう観点に立ちましてビートの生産あるいは価格ということについて十分配慮をすべきことは当然のことであるというふうに理解をいたしております。したがいまして、価格を取り上げてみますと、先生御存じのとおり四十八年はビートの価格は、農家手取りの水準でいって八千五百六十円であったわけでございます。五十年は奨励金を含めまして一万六千円に相なっております。したがいまして、二年の間に約倍の価格の引き上げに相なっておるわけでございまして、それは四十八年が低かったからだと言えばそれまででございますが、そういう点におきましても決してビートの価格問題というのをないがしろにしておるわけではございません。ただ問題は、御指摘のように生産費ということと関連して申しますと、ビートほど手間のかかる作物はないわけでございますし、またビートほど肥料その他を食う作物はないわけでございます。したがいまして、時間当たり労賃をとりますればバレイショと比べて問題にならないわけでございまして、北海道のようなバレイショの生産状況から言いますと、北海道の時間当たりバレイショの農家手取り額は内地の米をしのぐような状況でございます。そこにいきますと、ビートは生産そのものの態様として非常なハンデキャップを背負っておるわけでございますから、価格ももちろん重要でございますけれども生産にも大いに力点を注ぐと同時に、先ほど申し上げました北海道の輪作体系の中でビートというものをどういうように考えていくか。ビートをつくれば後作もよくできるということも言われておりますが、そういうように前後作の生産を全部考えて、そしてビートを北海道の輪作体系の中にどういうように位置づけるかどうかということが今後の問題であろうかと思います。  それから同時に、三千八百六十円の奨励金の問題でございますが、恐らくこの十月に価格議論いたしますときに、その三千八百六十円の奨励金をどうするかということはことしの価格決定の非常に重要な問題に相なるかと思います。それは、北海道のビートというものをどういうふうに考えるかということともあわせまして、この十月の価格については十分配慮をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  31. 島田琢郎

    島田(琢)委員 先ほど畑作振興課長のお話の中でも、今後の畑作農業というものの考え方の片りんをうかがい知ったのでありますけれども、最近農林省調査を進めてまいりました土壌の健康診断というものが明らかにされました。つまり土づくり運動、こういうものをいま展開しているようであります。その基礎となる実態の診断が行われたわけでありますが、その結果を承知いたします限りにおいては、日本農地を中心にしたいわゆる土壌の健康というものが非常に問題になる。つまり端的に言えば、きわめて憂慮すべき不健康な状態にいま陥ろうとしているということが指摘されている。そこで私はぜひこの際、一つの提案ですけれども、てん菜、ビートをつくる土地については土地改良を必ずやることを義務づけるような行政の責任というものをはっきりさせていく必要があるように思うのです。これは全体的には土づくりを積極的に進めるということに尽きるのでしょうけれども、しかしこれは全体的にそういう問題を解決するのには余りにも総花的になりかねないような状態にありますから、特にこういう作物を重点的に指定して、そこのところから土地改良を積極的に進めていく、こういう施策が当面抜本的に必要だと私は思うのです。畑作振興を手がけております農蚕園芸局の所管になるのでしょうか、この点の考え方を含めて、土づくりに対するこれからの計画などを、簡単で結構ですが、もう時間がなくなってしまいましたので、余り長いお話を聞くことができませんので、その概要だけでもこの際、私の提案を含めてお聞かせを願いたいと思います。
  32. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 わが国の耕地土壌の具体的性格を把握いたす目的で実は昭和三十四年度から昭和五十一年度までの長期にわたりまして各都道府県の協力を得まして全国規模で地力保全基本調査というものをやりまして、必要に応じて中間で単純集計をいたしたものが最近新聞にも出ておりましたが、この調査昭和五十一年度で終了する予定であります。これはわが国全体の耕地の大部分、五百万ヘクタール以上の土壌の特色を調査分析をしたわけでありまして、まだ中間集計でありますが、それの結果だけを簡単に申し上げますと、わが国の水田で何らかの改良をしなければいけない土壌の占める面積は全体の約三九%ある、それから普通畑におきましてはこれが六七%ある、樹園地におきましては六四%もあるというような結果になっております。主な原因といたしましては、たとえば水田では土壌の還元が強くて根腐れなんかを誘発しやすいとか、耕うんがむずかしいとか、瘠薄土でありますとか、漏水過多でありますとか、こういう問題が原因の大部分を占めておりますが、普通畑につきましては、瘠薄土なりあるいは養分の欠乏なり過乾なり侵食なり、こういうものが原因になっておるわけであります。こういうよな調査が五十一年度で完了いたしますので、五十二年度から抜本的な分析をいたしますとともに、こういう土壌の特性に応じた地域別のきめの細かい土づくり対策を今後とも進めてまいらなければならないというふうに考えております。そういう中で心土破砕その他必要な土地改良的な工事もやっていかなければならないところもかなりあるわけでありまして、この調査の結果を踏まえまして、原因別の、土木的な工事を含めました総合的な土づくり対策をさらに強化してまいりたいというふうに考えているわけであります。また先ほど申し上げました特に北海道の畑作につきましてはビートを適正な輪作体系の中に織り込んでいくということによって地力の維持が図られるというようなこともありますので、そういう問題も含めて早急に調査結果の分析検討をして新しい土づくり対策をさらに強化拡充していきたいという計画を持っている次第であります。
  33. 島田琢郎

    島田(琢)委員 きょうはこれで私の質問を打ち切りまして、この続きはあすまたやらせてもらうことにいたします。
  34. 湊徹郎

    ○湊委員長 次に、竹内猛君。
  35. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、先般の国連海洋法会議に伴う日本の漁業の問題を中心とする政府の、農林省の食糧の需給の長期計画に関連する問題と、それから茨城県の霞ケ浦を中心とする県西用水事業に関する問題と、茨城県に起きている県の漁連の不正事件を中心とする農林省の取り扱いについて、この三点を中心として質問をいたします。  まず、最初に「農産物の需要と生産の長期見通し」にも明らかにされておりますように、六十年の水産物の生産目標が一千二百万トンという形になっており、たん白質も現在より五%の増加を予測し、農政審議会の報告並びに農林省の農産物の需給見通しの上にこの国連海洋法会議並びにソ連の漁獲制限というような問題は大きな変化を来たすのではないか、こういうように私は考えます。たとえば、四十九年においては一千八十一万トンの漁獲があったものが、二百海里の関係から言えば、これはかなり減るであろう、こういうふうに言われております。これらに基づいて農林省の方では何かいま再検討する計画なり意思があるかどうか、まずそれからお伺いします。
  36. 小島和義

    ○小島説明員 お答えいたします。  農産物の需給見通しにおきましては、その一つの参考といたしまして、水産物の長期の需給見通しというものを行っておりますが、これは食生活全体におきますところの栄養供給量を検証するというために行ったものでございます。その中におきましては動物性たん白質の全体の消費というものはこれからもふえ続けるというふうに見ておりますが、その中の水産の占める割合というのは、基準年次でありますところの四十七年と六十年とそう変化はないというふうに見ております。  水産物につきましては、御指摘がございましたように、国際的な漁場制約が強まるというふうな問題もございますけれども、一方またわが国のこれからの政策努力によりまして、沿岸国との協力、協調による海外漁場の確保あるいは沿岸漁場の整備開発、新漁場の開発というふうな政策努力を行うことによって水産物全体の供給を確保するという道もございますので、そういう努力を通じまして長期見通しの線は維持できるというふうに目下のところは見ておるわけでございます。
  37. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これは前の水産三法を審議するときにもたしか問題になったはずでありますけれども、いままで一千万トン、それ以上漁獲をしていたものが海洋法会議の二百海里問題等々を中心として漁獲が減るということについては繰り返し答弁を聞いてきたことだと思うのです。したがって、いまの答弁から言えば、余り変化はないと言われるけれども、水産庁の方は、いままでの答弁といまの話と、どうですか、一緒になっていますか。違っているのじゃないですか。
  38. 内村良英

    ○内村政府委員 先生も御案内のように、現在海洋法会議が結論を得ずに続いておるわけでございまして、今後の遠洋漁業のいわゆる国際的環境がどうなるかということについては、必ずしもまだ明確な予想を立てがたい状況にあるわけでございます。したがいまして、そういった状況でございますから、私どもといたしましても直ちに農産物の長期見通しを改定する必要はないというふうには考えておりますけれども、今後の推移いかんによっては、遠洋漁業でかなり漁場が狭められる。その狭められた面はもちろん沖合いなり沿岸で補わなければならぬわけでございますが、いずれにいたしましても現在非常に流動的な段階でございまして、この段階で長期見通しを改定する必要はないものと私どもは考えているところでございます。
  39. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そのないという確信があるならいいけれども、これは先般参考人としてここでいろいろ話をされた漁業界の話を聞いてみても、やはりこれは従来から見たら非常に厳しい、こう言っているのです。これは聞かれたとおりだと思うのです。記憶に残っておると思うのです。それで、たとえばカツオにしてもマグロにしても、あるいは鯨にしても、非常に漁獲が制限をされている、だから減船をしなくてはならない、そのために離職をする者が出るのではないかという形でいろいろな法案の取り扱いをした経過がある。もし確信があるのなら、何もあんなことをすることはない。だから、その点は本当に間違いなくこのまま押し通せるかどうかということについては、私は大変危惧を持っておるものだから、なお重ねてこの点は尋ねて、将来もし誤りがあったらこれは責任を追及しなければならない。それはどうですか。
  40. 内村良英

    ○内村政府委員 昨年長期見通しをつくる場合に、水産物の需給をどう見るかという問題があったわけでございます。その段階におきましても、実は海洋法会議の結論も出ておりませんし、いろいろ漁業を取り巻く与件がまだ明確でなかったわけでございます。本来ならば、先生御指摘のようにそういったものについてはっきりした条件を入れまして、そのもとで供給量をはじくというのが理想的なわけでございます。しかしながら、昨年つくりました段階でその点がはっきりしない。そのことは、やや経済水域二百海里がもう世界の大勢だとかいうふうなことは言われておりますけれども、海洋法会議の動向を見ますとなおいろいろな問題があるということで、私どもといたしましては明確な与件として、いわばそういった需給見通しの作業の前提の与件を明確に固めてかかるところまではまだ固まっていないということでございまして、昨年の場合もそういう状況なものでございますから、従来の趨勢に多少資源的な面を入れまして漁獲高をはじいておるわけでございます。その条件は、現在も残念ながら余り変わっていないというところで、今後海洋法会議ではっきり結論が出、さらにわれわれといたしましてもソ連及びアメリカ等二国間交渉をやりまして、これからの漁場確保については努力をしていくわけでございますから、そういった面の姿が明らかになった段階でやはり作業としてはやるべき話であって、現在のところそういった点が明確になっておりませんので、先ほども繰り返し申し上げましたけれども、長期見通しを直ちに数字的に改定する必要はないというふうに考えておるわけでございまして、問題意識がないわけではございません。
  41. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 なお私は、にもかかわらず心配なんです。つまり、六十年の段階では千二百万トンというのが計算されている。その千二百万トンを保障する内的外的要因というものは、実際これはきわめて心配なんですね。近海というものはもう公害で汚染をされている。したがって、とる漁業からつくる漁業へという方向に移っていくことはよくわかるけれども、それにもかかわらずなおこの千二百万トンという現在よりもより漁獲を高めていくということの保障が非常にむずかしいという問題。それからソ連との関係にしても、毎年毎年漁獲量は抑えられてきている。さらにこれがふえるという可能性は余り考えられない。そうだとすれば、日本の漁業が大きく拡大をして、そしてこの六十年展望に基づく総たん白質の量を現在の七十九・一グラムから八十三・三グラムへと高めていく。その総たん白質が七十九から八十三という段階の中で、動物性が四十・四グラムですか、その中の約半数以上がこれは魚介類であるから、だからこの魚介類の見通しを誤るとするならば、それを保障する意味において、今度は逆に補完をする意味において畜産にこれは頼らなければならない。そういうことから、現在余り楽観した方向をとっていると、問題が明らかになったときには非常に迷ってくるということになるわけだから、少なくとも農政の責任を持つものとすれば、余り楽観の方向ではなくて、少なくとも腹の中では——いま長官から言われたように、強がりを言うのは結構だけれども、実際問題が起こったときに大いにあわててまた今度は畜産を振興しなければいかぬというようなことでは困るから、そういうのもあわせてこれは考えていかなくてはいけないというふうに私は考える。その点はどうですか。
  42. 内村良英

    ○内村政府委員 先生御指摘の点は、私どもよくわかるわけでございます。私どもといたしましても、そういった問題意識を持って今後沖合い、沿岸漁業の振興を図らなければならぬということで、すでに問題に取り組んでいるわけでございます。ただ問題は、数字的なものとしてあらわす場合にはやはりその数字的なものの前提になる与件がはっきり固まっていないと作業ができないわけでございます。したがいまして、繰り返し申しておりますけれども、現在の段階では改定する必要はない。しかし、もう少し姿がはっきりしてきましたら数字的な面についてもはっきりしなければならぬということは先生御指摘のとおりでございます。ただ、いまのところ作業を行うのには余りにもまだ流動的な段階だ、こういうことでございます。
  43. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それで私は大変先を心配するようだけれども、やはり動物性たん白の中の四グラムぐらいはどうしてもこれは畜産で補完をしなければならないというように思うのです。だからたん白にしてその四グラム分というものを補完をするためには、畜産の方に対してかなり負担をかけなければならない。まずそれはえさにおいて、あるいは飼育の頭数において、あるいはこれを進めていく金融の面において、流通の関係において、多くの問題がこれはまた当然出てくると思う。漁業が苦しいと同じように畜産はさらにえさの問題で苦しいわけです。そうい点について畜産局の方では、これはもちろん農林省がいま言うような、長官が言われるように与件がはっきりしないから何とも言えないということになれば、与件のはっきりしないことに畜産局だって答えはできないと思うけれども、本当の腹の中はやはりこれはそういうことじゃないと思うのですね。やはりもうすでに準備をしておかなければならないと思うのですけれども、畜産局の方はこれに対して何か考えていることがあるかどうか。
  44. 大場敏彦

    ○大場政府委員 六十年の数字的な見通しを数字的に直ちに変更する必要があるかどうかということにつきましては、先ほど水産庁長官からお答えいたしましたように、今後の検討課題であるというふうに私どもも考えておるわけであります。ただ一般的な趨勢といたしまして、先生御指摘になりましたように漁業をめぐる国際環境あるいは沿岸漁業にしても、かなり環境が今後厳しくなっていくということば、これは間違いない事実でございまして、逆にそういった水産の方でもいろいろ御努力は願うわけでありますけれども、そういった困難、環境の厳しさから、その厳しさのはけ口といいますか、その逆の供給の確保という要請が畜産業の方にかかってくるということは、私どもも実感としてそのように感じておるわけであります。六十年見通しでは、畜産物は人によりましてはかなり意欲的に見通しているのじゃないかという御指摘もあるぐらいでありまして、牛乳、乳製品等につきましては、四十七年から六十年の間に約四割二分ぐらい、肉につきましては五割弱ということで、かなり大幅な需給の拡大ということを見通しておるわけでございますから、私どもは決して少ない数字とは思っておりません。そういう意味で、水産物の方の環境の厳しさが畜産物の方の需給の拡大ということにいまの時点で直ちにつながるとは考えておりませんが、方向としてはそういった問題意識を絶えず持ちながら行政を進めていきたいと私どもは思っているわけであります。
  45. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 与件の問題が確定しなければ先の方に作業が進まないということですから、これ以上この問題をやりますと時間だけ空費してしまうことになるが、いずれにしても、私どもがいろいろ見聞するところ、それほど楽観した状態ではないと思う。だから水産庁の方もそれなりに努力はしてほしいし、畜産局も、この畜産の振興の問題については、飼料その他の問題についていずれまた別な機会で議論をすることがあろうと思うけれども、万般の努力をして、国民に十分に計画されたたん白が供給できるように努力をしてほしい。企画室でも余り楽観しないような方向で取り上げてもらいたいと思うのです。この問題はこれ以上触れていきませんが、これはいずれまた別な機会に議論したいと思います。  そこで、現実の生々しい問題を二つ、三つ出していきたいと思う。それは、先月の茨城県の各新聞ですが、大体四月二十日ごろを中心として、県の漁連の中に従来から問題がわだかまっていたわけでありますけれども、原子力発電所の補償金をめぐっていろいろな疑惑が出てまいりました。県議会でもこれは取り上げられた。そしてその後、最終的にはいままでの役員が辞職をして、役員の入れかわりという形になったけれども、しかしこの中には許しがたい幾つかの問題があるから、水産庁としては茨城県漁連に起きている問題をどのように把握をされて、どうされようとするのか、まず総体的なことについてお伺いします。
  46. 内村良英

    ○内村政府委員 茨城県漁連の原子力発電の補償に関連いたしまして疑惑を持たれた事件につき、当該漁連及び県庁より事情を聴取したところ、次のようでございます。  原子力施設周辺海洋地帯整備事業として実施する漁業振興施設の資金についてでありますが、動力炉・核燃料開発事業団が茨城県東海村に建設した使用済みの核燃料再処理工場に関連し、茨城県漁連は、原子力施設周辺海洋地帯整備事業の実施を国に要望してきましたが、昭和四十九年四月六日、科学技術庁長官と県漁連会長との会談の結果、海洋地帯整備事業として実施する漁業振興施設として、一万トンの大型冷蔵庫の設置費、概算の設置費十二億円でございますが、これの全額助成の確約が得られまして、同じ年の四月三十日に、動力炉・核燃料開発事業団を通じて、資金の一部として二億五千万円の支払いをなされましたが、県漁連会長はその一部を一時流用したわけでございます。このことが、昭和五十年八月二十八日に開催された沿岸漁協組合長会議において、関係者の事前の了解なく取り進められたということで問題になりまして、県漁連会長は同年の十一月二十日付をもって、事業団との間に総額十二億円の支払いに関する協定書の締結及び覚書の交換を行いまして、五十年度分として五億五千万円が同年の十一月二十七日に支払われておりまして、現在まで、先ほどの二億五千万円と合わせまして八億円の支払いがなされ、これは漁連に全部入金済みでございます。したがいまして、現在のところ、先ほど申しましたように、四十九年四月三十日にもらいました金の二億五千万円の一部を県漁連会長が他に流用したわけでございますが、それはすべて返されておりまして、そういった問題は一応治癒しているという形になっております。  次に、昭和四十九年の十一月二十九日に、事業団理事長と県漁連会長との間で、使用済み核燃料再処理工場建設に係る漁業補償協定が締結されましたが、この交渉の最終段階で、県漁連会長は、口頭をもって、補償金のほかに若干の調整金を欲しいということを要求いたしまして、了解を取りつけたわけでございます。その後、県漁連会長からの要請によりまして、事業団は昭和五十年の五月十二日に三千万円を現金で支払いましたが、会長はそのうち一千万円を、いわゆる先進地視察ということで、米国原発視察旅費、これには漁連及び加工連の会長並びに漁連の専務等十二名が参加したわけでございますけれども、その経費に充当したわけでございます。残額の二千万円については、同年八月事業団に返済されているということになっております。  そこで、私どもいろいろ茨城県の漁連を監査いたしたわけでございますが、いわゆる金銭上の問題につきましては、一部流用したものが返されておりますし、治癒されておるわけでございます。  なお、米国の先進地視察に使った一千万円、これは遊びに行ったのじゃないかというような批判が新聞等にも出ておりましたけれども、この種のものについて先進地の視察ということはよくやることでございまして、調べてみますと、ちゃんと原子力施設を見に行っておりますので、特に不当だということも言えないのじゃないかというふうに考えておりまして、経理面の問題は全部治癒されておるわけでございます。  しかしながら、私どもといたしましてこういうことでは非常に困りますので、ことしの四月十二日から五日間常例検査をしました際に、漁業補償に関連して漁連が受け取った資金の一部を会長が一時流用していたこととか、さらにまた補償に関連した事業計画について、一部役員が、漁連の業務執行機関たる理事会の議や、関係漁民の十分な理解を得ることなく、独断的にこういうことが行われているということは非常に遺憾である、今後は補償交渉を初め事業計画を進めるに当たっては、理事会の議を経ることはもちろん、関係漁民の合意の上に立って実施するようにするとともに、法令、定款等にのっとった業務の遂行が図られるよう執行体制の正常化に努めるべきではないかということを現地指摘し、そのように指導したわけでございます。  その結果、五月二十日開催の通常総会で、いわゆる執行体制の刷新が図られる見込みでございますし、私どもといたしましても、漁連でございますから、直接水産庁が監督しているということもございますので、このようなことが起こらないように十分指導していきたいと考えておるわけでございます。
  47. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いま報告があったような事実だと思います。問題がここに幾つかあるのは、第一は補償の基準ですね。補償の基準が全くわからない。どういう基準で補償したかという問題、これはきょうここでわからなければ、後でいいです。  それから、水産庁が四十九年の十二月にも水協法に基づいて抜き打ちの検査をしているという事実もあります。その内容を出してもらいたい。  それから、私の知るところでは、この補償が総額二十五億五千万円という補償額になっているはずです。そういうような多額の金が、ほとんど末端の組合員に知らされないような状態で、特定の人間の間だけでやりとりをされたという不明朗さというのがあった。これはいま指摘をされておりますが、こういう点について、これはああいうところですから、今後もないとは限らない。だから、これは厳重にこの問題についての——要するに、民主主義の原則がおかしくなっている、こういう点について、なお監視をしてもらいたいということもあります。  それから、アメリカへ旅行に行ったという、三千万の調整資金の中の一千万の金で行ったというなら、報告があるはずだ。その報告をぜひ出してもらいたいと思うのです。遊びに行かないという事実を証明するものは報告書があるはずだ。一千万円もの金を使って十何人かが行っているんですから、その報告はぜひ出してもらいたい。  それから、なぜ二千万返したかということですね。返したその理由は何か。おかしいじゃないか。組合員に相談もしないで、そういうものを返すということもおかしい。調整が終わったのかどうなのか。  それから、現在予定されている出沼浅吉という県会議員が会長になろうとしているのですが、これも役員がかわれば問題が解決するわけではないと思うのですね。いままでの問題はそのまま残っているわけだし、一部はそれは経理上の問題が解決したけれども幾つかの問題は残っているはずだから、やはり残った問題について、なお疑問の点は追跡をして、今後かかることのないようにしていかなければ、茨城県の漁連に大変な汚点を残すことになるので、ぜひそのようにしてほしい。この点について、長官からひとつ答えをいただきたいと思います。
  48. 内村良英

    ○内村政府委員 ただいま申し上げましたように、私どもといたしましても、今回のこういった事件の経緯にかんがみまして、茨城県の漁連につきましては十分な指導をしていこうというふうに考えております。特に執行体制がかわるわけでございますので、新しい執行体制といいますか理事者に対しまして十分指導してまいりたい、こう思っております。  なお、御要求のございました資料につきましては、極力これを提出するようにいたしますけれども、第二番目の検査の結果でございますが、組合の検査結果につきましては、そういった検査という事柄の性質上、今日までも提出しておりませんので、概要を御説明するということで御容赦願いたいと思います。そのように取り計らわせていただきたいと思います。
  49. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 なるべく詳細に説明をしてもらいたいと思います。これは将来に疑点を残さないために。そうしないと将来のためによくない。  次いで、私は、茨城県の霞ケ浦の水を中心として、県西用水事業というものがいま大変心配されている状態であります。一体これは完成をするのかしないのか。いつになったらできるのかという心配があります。  そもそも三十七年ころからこの問題に手がつけられてきた。県西地域というのは、わが国でもまれな農業地帯であり、しかも、これは野菜生産の地帯でもあるし、広範な地域であります。それで、水がないために思うようにできなかったので、これに水を入れて、そして大いに農業を前進させようということから始まって、大変農家から期待を寄せられたものであります。三十九年に事業計画ができて、県西用水事業推進協議会が発足をし、四十年には国の基礎調査も行われた。にもかかわらず、現在依然としてその実態がつかめない状態で混迷をしている。このことについて、これは農林省だけではなくなってきているようです。関係省庁からこの県西用水に対する計画と考え方を報告してもらいたいと思います。
  50. 福澤達一

    福澤政府委員 霞ケ浦の県西用水のお問い合わせでございますけれども、霞ケ浦の水を利用いたしまして、いわゆる県西事業というような構想を打ち出したのは、ただいま先生のおっしゃられたように昭和三十年代からでございます。この地域における農業開発という一つの目的の貫徹のためにそういう構想が打ち出されて以来非常に長くなっているということでございますが、その後、先生も御承知のように、社会情勢が非常に変化いたしまして農村地域というものが変わってまいります。そういうものの中で、基本的な構想というようなものがなかなかつくりにくくて、それを具体的に県が立案して、構想というものができ上がったのが三十八年であったと思うわけでございます。国はそういう県の一つの構想に対する要請を踏まえまして、四十五年から直轄調査地区といたしまして霞ケ浦用水の調査を開始いたしました。五十年度から全体設計事業地区として採択をしたわけでございます。以来、四十五年から五十年に至りまして、事業計画の構想、その後の変化あるいは地元関係者との協議というようなものも含めまして、そこに最も適当な現時点における計画を充実するための調査を進めてきたわけでございます。  四十五年から四十九年度までにおける農林省としての調査の最終的な構想といたしましては、関係市町村が下妻市外五市十六町三村にわたっておりまして、受益面積は水田で一万二千百ヘクタール、畑が一万四百ヘクタール、合わせまして二万二千五百ヘクタールの受益地を考えているわけでございます。そして、この灌漑計画の中における水の利用といたしましては、霞ケ浦から農業用水を毎秒最大二十・五トン、上水道、工業用水を含めまして七・五トンを用水する、こういう構想でございます。  国と県あるいは市町村との事業に対する分担と申しますか、区分といたしましては、国営事業といたしましては水田五百ヘクタール、畑地関係につきましては百ヘクタールまで国営事業としてこれを取り上げまして、灌漑施設を設置する。その末端の事業につきましては、圃場整備あるいは畑地地帯の総合土地改良事業等、国の補助をいたしまして、県営事業あるいは団体事業で対応する。さらに末端におきましては、国の補助対象外という問題がございますので、農林漁業金融公庫の融資を受けて実施する。こういう三段構えの構想でこの事業を取り上げたい、こういうように考えておりまして、四十五年から四十九年度までに要した調査費は一億四千万円でございます。五十年度から地元の要望を受けまして、全体設計地区として着手いたしました。五十年度におきましては二千五百万円、五十一年度におきましては五千万円を予定いたしまして、鋭意全体設計地区の取りまとめに現在力を尽くしているところでございます。
  51. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 計画の概略はわかるわけですが、そういう中で三十五年からの所得倍増計画があり、農業基本法が三十六年にできて以来、農業の中に変化が起こってきている。茨城県のその地区も単純な農業地域だけでなしに工業が導入をされる、そのために労働者がそこに住むようになる、したがって、工業用水あるいは都市用水というものが必要になってきた。当初農業用水として出発をした計画が今度は総合的な用水に変わりつつあるというのが現状だと思うのですね。現在、県西用水事業というのは、単に農業だけではなくてそうした総合的なものになっているわけなんです。その問題に関する配分の基準というのは、いまちょっと説明があったけれども農業用水あるいは都市用水、工業用水と分けたときに、農業の方ははっきりしますね、灌漑面積が明確であるけれども、都市用水になると、人口がどれだけふえて、そしてどういう工場が来るかということがあるのではっきりしない。それだからいつまでたってももたもたして、最末端の農家の負担というものはどれだけになるかという計算ができないという状態じゃないかと思う。それを総合的に取り締まるのは農林省だけではないと思うのですね。もう一つ調整機関があるはずだから、県西用水事業に関する農林省以外の機関の考え方があるとすれば、それを出してもらいたい。
  52. 堀和夫

    ○堀説明員 お答えいたします。  先生御指摘のことにつきまして、四月十六日、利根川、荒川水系における水資源開発基本計画が決定されております。この中で、昭和四十五年から六十年に至る利根川、荒川に依存する地域、これは一都五県でございますが、この地域の水需要量を毎秒約百九十五トンと想定いたしまして、これに対する水資源の開発及び合理化促進するという基本的な計画でございます。  この計画の中で茨城県における水需要といたしまして想定いたしておりますのは、霞ケ浦周辺並びに利根川沿岸の各都市における水道用水、それから霞ケ浦及び県西地域に対する農業用水、さらに鹿島、県西等の地域に対する工業用水等の必要水量として毎秒約五十二トンを想定しておるわけでございます。こういう目標を立てまして、この中でこの目標に対しまして現在の霞ケ浦開発事業はもちろん、さらに霞ケ浦を中心といたしました水資源の高度利用、こういうものの推進を図っていくという大綱が四月に策定されたところでございます。こういう基本計画の基本方針に沿いまして、各事業の実施段階で個別の配分が定められるというふうに考えております。
  53. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いま国土庁の方から最も新らしい報告があったわけですが、人口の増加とかあるいは工場の配置というような問題に関しては、国としてはどういうような考え方を持っておられるかということについて質問したいと思うのです。  ここに私は茨城県が出した「県西地域総合開発計画」というのを持っていますが、これを見ますと、いま言うところの市町村を中心として、ここは現在は農業地域ですが、やがてここでは工場が入ってきて、農業人口がいま十二、三万おりますけれどもこれを半分にして、農業人口を工業人口に置きかえようとしている、こういう計画がここに一つあります。  もう一つは、今度は「霞ケ浦用水事業関連都市用水事業基本計画」というものがことしの春に出されておりますけれども、これによると、現在茨城県が二百三十万の人口を持っていますが、やがて昭和六十年にはこれを三百万にしよう、こういうことになって、いまの県西開発の計画とほぼ一致したような形でこの地域に工場を入れて人口を大きくふやしていく、こういう計画があるわけです。  そうなると、農業地域として出発をした水が、やがてはこれは工業用水あるいは都市用水に変化をしていくのではないか、こういう心配が当然ある。この点について都市計画なり開発計画を担当されている機関からこの辺のことについてお伺いをしたい。
  54. 中沢弌仁

    ○中沢説明員 お答えいたします。  茨城県の県西地域は首都圏の近郊にございまして広域的な生活圏を形成しておりまして、本地域の発展方向といたしましては、幹線道路網の整備推進によります首都圏各地域との連絡を強化していくということのほか、都市と農村の一体的な整備を図る必要があるということで、先生御案内のように、すでに一部は都市開発区域、一部は近郊整備地帯に指定されておるわけでございますが、建設省といたしましては、現在全国的にいま地域住民の生活環境条件を整備するということをねらいといたしまして、地方生活圏という考え方である地域を選択し、所管行政につきまして、たとえば街路、地方道、公園、下水道、河川等につきまして重点配分を行いつつ、地方生活圏の整備を進めるという立場をとっておるわけでございます。  それで、茨城県におきましては、この県西地域を地方生活圏の対象として選択いたしまして、昭和四十九年度から県と十分協議をいたしまして、人口、産業等の現状並びに将来の趨勢等を勘案しつつ、いま申し上げたような所管事業の重点的な執行を行っているところでございます。茨城県当局におきましては、現在県の長期計画を持っておりますけれども、一応目標年度は昭和五十年となっておりまして、現在聞くところによりますと、見直し作業を行っておりまして、建設省といたしましては所管事業の推進という観点から県と十分協議し、指導調整を行ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  55. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いまの説明で大体問題が理解できます。  理解ができるわけですから、先の方へ進んでいきますが、このように都市化される、あるいは工業が入ってくる、農業も水が必要だ、こういうふうに水が三方面から要求されているけれども、なおそのほかに東京からも千葉からも霞ケ浦の水は求められています。そんなに水を求められているにもかかわらず、水そのものが霞ケ浦に実際入ってくるのか、いま説明がありました利根、荒川水系の配分第三次フルプランがいつ実行されるのか、十年先だと聞いているけれども、これはどうなのか、この辺はどうですか。
  56. 堀和夫

    ○堀説明員 先ほど先生の御質問に対しまして、利根川、荒川に依存する地域の水需要を百九十五トンと御説明申し上げましたが、この中で約百六十トンでございますが、この供給事業につきましては昭和四十五年から鋭意実施されておるわけでございます。それで、残りの三十五トンにつきましては、早急に調査を進め、必要な措置を講ずるということになっておりまして、基本計画におきましては、昭和六十年度までに完成を目途として計画が策定されておるということでございます。
  57. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それではその心配はない、こういうふうに考えてよろしいですか。
  58. 堀和夫

    ○堀説明員 水資源開発は、百六十トンの現在の水資源開発にいたしましても、この計画期間におきましての投資額が八千八百億円というような投資額になっておりますので、かなりの努力を要するものというふうに基本計画策定上考えておりますが、一応努力をして達成すべきものだというふうに考えております。
  59. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 水の方が努力をするという見通しがあるとすれば、今度はその水質の問題にきわめて憂うべきものがあります。霞ケ浦の汚濁というものは、私は前にもここで取り上げてきたわけですが、これは日本一水が汚れていると言われるぐらいに汚濁の度合いは激しいものであります。それは、ここへ流れ込んでくる川もそうでありますし、それから周辺の下水の処理もできておらないということで、さらにまた鹿島の工場に送水するという関係からして、仮にそこが干ばつになった場合においても海水を入れることができないという形で、四十八年には魚がほとんど死んでしまうほどの状況がありました。こういう事態について環境庁の方では、この霞ケ浦の水をどういう形できれいにし、いつごろまでにこれの始末をするかということについての見通しなり予算なり方法についてはどうなっておるのか伺いたい。
  60. 島田隆志

    島田説明員 先生御案内のように、霞ケ浦につきましては四十七年の十月に環境基準の当てはめが行われておりまして、Aということで、達成期間が四十七年から五年を超える可及的速やかに達成という目標になっております。代表的な指標でございますCODで見ますと、環境基準が三ppm以下ということでございますが、残念ながら先生御指摘のとおり、四十九年度の測定結果でございますが、平均値が六・七ということで、非常に高いレベルを示しております。一方、環境基準に適合するかどうかということで、検体数で見てみますと、わずか〇・四%しか達成してないというきわめて悪い状況でございます。このために、茨城県等におきましては非常に厳しい上乗せの排水基準等を設けまして、工場、特に畜舎関係もございますが、そういうものの規制の強化をしてきているわけでございます。  一方、生活排水というものが、いま先生が御指摘ございました下水の問題というものがございますので、霞ケ浦湖北流域下水道ということで下水道事業がいま推進されているところでございます。さらに、ことしの三月二十三日でございますが、水源地域対策特別措置法に基づきます霞ケ浦に係る水源地域整備計画が定められまして、特に促進を叫ばれております下水道事業あるいは屎尿あるいはごみ処理施設、畜産汚水の処理施設の設置と整備あるいはヘドロ等の河川あるいは霞ケ浦の浄化事業というようなことを大幅に取り込んでいただいておるわけでございます。今後、これら諸施策を的確に実施していくことを、われわれ各関係省庁とも協議しながら強力に進めてまいりたいと思います。
  61. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 もう少しその点についてお伺いしますが、水質汚濁防止法もあるし、それから周辺地域の整備計画やいろいろなものがありますが、向こう十年間に総額二千五百余億円をかけてこの流域四十三市町村を実施するというような計画も、国、県、地域の分担で行われようとしておりますが、関係市町村が負担をする分が六百三十四億もある、大変巨額だということで、市町村では、これはとても不可能だ、こういうふうに一服している状態なのです。その間に畜産の汚水、ごみあるいは屎尿、いろいろなものの処理施設もなかなか計画ができないわけでありまして、こういうことについて財政上の問題についての保障なり裏づけなり、そういうものはあるかどうか、その点をもう一度お伺いしたいのです。
  62. 島田隆志

    島田説明員 先生御指摘ございました今回の整備計画に基づきます事業費につきましては、建設省あるいは国土庁あるいは県、地方公共団体ということだと思いますが、いわゆる公害防止設備につきましては、私どもの方としましては、公害防止事業団というところが、あるいは国が直接施設を設けるとか、あるいはそういう施設を設けるものに対して融資していくという制度がございます。そのほか、環境庁が実際霞ケ浦がどうなっていくかという環境把握のためのいろいろな調査を進めております。あるいは県が常時環境を監視するという意味で、それに対する助成を行っております。  事業費というものは直接環境庁でございませんので、ほかのところから御回答いただいた方がいいのじゃないかと思います。
  63. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これでおしまいにしますが、地元においては県西用水に対する一つの不安があるのですね。それは、水は高いところから低いところへ流れてくるというのが普通ですが、この県西用水の場合には、一度霞ケ浦の低いところから筑波山に水を持ち上げて、そして幾つかのところに調整池をつくって、そこへ流し込んでパイプで配付する、こういうかっこうになっている。なぜ鬼怒川や小貝川や、あるいは利根本流から水を取らないか、あるいは那珂川から水を導入しようという声もあるけれども、それができないかという問題、これが一つです。  そういうことと同時に、やがて工事費が高まるわけですね、そういう工事をしますから。工事費が高くなるというと、農業は、農畜産物の価格が安定しないのにこの工事費に対する負担だけは明らかになってくる。こういうことになると、農業はこの水を使えなくなってしまう。やがて愛知用水のような二の舞になるのではないか。つまり、農業振興するという名目で農民を納得させて水は引っぱったけれども、やがては農業ではなくて、これは工業の水利用方向に行ってしまうのではないか、こういう心配があるわけですが、これに対して、そういうことはないという保障はありますか。これを聞いて最後にします。
  64. 福澤達一

    福澤政府委員 お答え申し上げます。  第一点の問題につきましては、なるほど低いところから高いところへ水を上げて灌漑するというようなことは、エネルギーの問題から考えても問題があるというような見解があると思います。しかしながら、水源を他に求めて導水をしてくるという場合に、その地域が非常に開発されておりまして、一つの送水路をつくるにいたしましても、工事を実施する上において非常に問題があるという見解のもとに、現在は霞ケ浦を中心として、そこを水源としながら水を取るということで全体設計の計画をいま検討しておるわけでございますが、もちろん先生おっしゃいましたような点も十分考慮した上で私どもは最終的な判断をしていきたいというように考えておるわけでございます。  なお、後段の時期を失することによりましてますます工事費が高まり、それが農業、農民に大きな負担になってくるという点につきましては、確かに工事費の増高というのはいままでの趨勢から考えてある程度のことはやむを得ないと思うわけでございますが、そういう面につきましても、あの地域の農業振興という全体の立場に立ちまして、農民負担が十分それに償っていくようなことも踏まえながらこの計画というものに最終的な努力を重ねて、早期にこの事業の着工並びに完了を図るように努力をしてまいりたいと思うわけでございます。
  65. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 終わります。     —————————————
  66. 湊徹郎

    ○湊委員長 この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産業振興に関する件について、本日、日本中央競馬会理事瀬川良一君、水資源開発公団総裁山本三郎君、水資源開発公団理事山本弘君を参考人として出席を求め、その意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 湊徹郎

    ○湊委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  この際、午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時二十二分休憩      ————◇—————     午後一時四十五分開議
  68. 湊徹郎

    ○湊委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を続行いたします。諫山博君。
  69. 諫山博

    諫山委員 国土庁に質問します。  昭和四十九年七月三十日に総理府告示で発表された「筑後川水系における水資源開発基本計画」というのがあります。これは筑後川水系の水の多面的な利用という立場から策定された基本計画ですが、その中で水の用途別需要見通しとして上水道用水毎秒九立方メートル、工業用水毎秒七立方メートル、農業用水毎秒七立方メートル、計毎秒二十三立方メートル、こういうことになっています。この目的を達成するため、とりあえず次の施設の建設を行うということで両筑平野用水事業、寺内ダム建設事業、筑後大堰建設事業、福岡導水事業というのが挙げられています。  そこで、この中の筑後大堰建設事業について幾つかの点を質問します。  まず、基本計画では、筑後大堰建設事業では都市用水及び農業用水さらにあわせて新たな都市用水の確保のために工事を進めるのだということが記載されています。この筑後大堰建設事業の中には工業用水のために水を取るという計画は現在も将来とも入っていないのかどうか御説明ください。
  70. 堀和夫

    ○堀説明員 お答えいたします。  筑後大堰は、昭和四十九年の基本計画の一部変更で福岡導水事業とともに基本計画に加えられ、現在に至っておる事業でございます。それで筑後大堰は両筑平野用水事業、寺内ダム等の水の取水を行うとともに、筑後川下流水利事業にも資するものでございますが、なお筑後大堰自体で〇・三五トン開発することになっております。それでこの〇・三五トンについては基本計画におきましては都市用水〇・三五トンという扱いになっております。  詳細につきましては今後の調査検討を待って決定するということになっております。
  71. 諫山博

    諫山委員 この基本計画ではとりあえず次の施設の建設を行うということで筑後大堰の説明が出ているわけですが、これは現在の計画においても将来の計画においても工業用水のための水を取るという計画はないということになるのですか、それとも将来のことはわからないことになりますか。
  72. 堀和夫

    ○堀説明員 筑後川の水資源開発基本計画におきましては、昭和五十年度における水需要を目標二十三トンということで、現在まで七・五トンということで供給事業を実施しておるわけでございますが、長期的に見た場合に北部九州地域の水需要はかなりの逼迫が予想されますので、現在国土庁におきましては筑後川及び関連水域を含めて需給の見直しを行っておる段階でございます。
  73. 諫山博

    諫山委員 筑後川流域の農民はこの事業のために農業用水が不足するのではないか、先祖伝来のあの筑後川の水が十分利用できなくなるのではないかということを大変心配しております。そしてその一つとして工業用水にとられるのではないかという危惧が大きいわけですが、この点は見直しという表現も使われていますが、明確に、絶対に工業用水には取らないんだということは説明できないのですか。
  74. 堀和夫

    ○堀説明員 お答えいたします。  筑後川水系の水資源開発基本計画の見直し作業に現在かかっておりますが、基本的な考え方といたしましては流域内の従来からの水利用、これは農業用水が主なものになるわけでございますが、従来からの水利用の経緯を十分尊重いたしまして、筑後川における水資源の開発の可能性を踏まえて水資源開発の基本計画を策定するということにしております。
  75. 諫山博

    諫山委員 これでは農民の心配にこたえたことにならないのです。上水道用水としてあの大堰が利用されることは農民はみんな知っています。しかし、工業用水がどうなるのかという問題については、見直しということは言われるけれども、工業用水にとるのかとらないのか説明がされておらないわけです。もっと具体的に説明ができませんか。
  76. 堀和夫

    ○堀説明員 現在基本計画の作業中でございますが、この基本的な考え方といたしましては、流域の水利用の経緯を尊重するということと、さらに、こういう水資源の逼迫しているときでございますので、生活用水を重点的に考えていく。なお北部九州の調和ある発展ということを考えました工業用水等の水利用を総合的に考えまして、それで筑後川における従来の水利用の経緯、歴史、そういうものを考えて、各省、各県と協議をして基本計画を策定していく、そういうつもりでございます。
  77. 諫山博

    諫山委員 そうすると、工業用水には使わないのだということはこれだけ念を押しても言われないから、多分にその可能性があるというふうに私は理解せざるを得ないのですが、この点農林省どう考えていましょうか。
  78. 福澤達一

    福澤政府委員 筑後川水系の水資源開発基本計画におきましては、その骨子とする内容といたしましては、まず既得水利権というようなものに優先的な配慮を払う。したがって、農業用水それから水産業関係の必要用水、そういうものに十分な配慮をする。したがって、流域優先という思想をその中に打ち出しておるということになっております。したがいまして、農林省の立場といたしましてはそういう配慮のもとに農業用水というものが確保されまして、支障のないような形でこの計画が成り立つように考えておるわけでございます。
  79. 諫山博

    諫山委員 大きな井ぜきがつくられ、その水がさまざま利用される。当然農業用水に影響が出てくるわけですが、これを都市用水に使う、農業用水に使う、これは非常にはっきり説明されていますが、工業用水がどうなるかということはごまかしたままなんです。工業用水にはとらないんだというような説明もされているけれども、突き詰めていくと計画の見直しということのようですが、農林省としてはあの筑後大堰の水は工業用水に利用されるんだと思っていますか、されないんだと思っていますか。
  80. 福澤達一

    福澤政府委員 筑後川水系水開発全体の問題としてこれは検討されるものでございますが、私どもといたしましてはその中の農業用水に対する支障がないということに重点を置いているわけでございまして、それ以外の都市用水というものについての考え方というのは、関係各機関並びに福岡、佐賀両県というような関係機関の協議の結果検討されるべきものと考えておりますので、将来の時点の問題をいまの段階でお答えするわけにはちょっとまいらないと思うわけでございます。
  81. 諫山博

    諫山委員 私は、農林省にしても国土庁にしてもこの点はきわめて無責任だと思います。基本計画の中には都市用水に使う、農業用水に使う、このことは明記をされておりますが、工業用水のことは伏せられているのです。そして将来工業用水に使わないのかと詰めて質問しますときわめてあいまい、これは見直しというような言葉が出てくる。私は、農業用水に優先的に使うという立場は当然だとして、この点農民の非常に深刻な不安の的になっているという点を国土庁も農林省も明確にしながら、農民をだますというようなことにならないように希望します。この工事に賛成か反対かという問題が問われているのに、何に使われるか明確にされないままだというのは一種の詐欺的な行為ではないかというふうに思うわけです。  次に、この工事に関連しまして日本住血吸虫病との関係が地元で大問題になっております。この病気がどんなに恐ろしいものであるかということは、たとえば明治二十年ごろから佐賀県の奇病ということで大変社会問題になったことです。一例を挙げますと、戦時中久留米市の宮ノ陣町の荒瀬というところでは、村の人たとが徴兵検査でだれも甲種合格にならない。これは荒瀬の宝満宮が村の青年を守って甲種合格にしないのだろうということが戦時中言われておったそうですか、実際は宝満宮が徴兵の魔よけの役割りを果たしていたのではなくして、風土病である日本住血吸虫病のために健康な青年がいなかったんだということが証明されているそうです。  昭和二十八年六月筑後川では大水害があったわけですが、久留米大学は筑後川のすぐ近くにあります。久留米大学も洪水のときに水浸しになって、学生が水深一メートルのところで水浸しになったいろんな道具を洗った。ところが、一カ月くらいすると学生が一斉に四十度の熱を出して、初めは腸チフスではないかといって大騒ぎしていたけれども、いろいろ調べてみると日本住血吸虫病だということが判明した。これが久留米大学の報告に出ております。昭和二十八年のことです。この問題が解決されないまま現在の計画を続行していいのかどうかというのが久留米市議会を初めとしてさまざまなところで問題になっているわけです。この点について昭和五十年七月三十日付厚生省水道環境部水道整備課から「諫山議員の質問に対する回答」という文書が寄せられました。この中に、仮にセルカリアが水道原水中に混入していたとしても、三つの方法でこれは死滅するのだということが指摘されています。第一は衝撃、第二は塩素消毒、第三はろ過操作、このおのおのについて後で質問したいと思いますが、この三つの方法でセルカリアが死滅するのだということが強調されている以上、セルカリアが原水に混入する可能性は残っている、ミヤイリガイはまだ取水口あるいは大堰の予定地の上流に生息している、こういう立場で、事業を進めているのか、もうミヤイリガイは生息していないという立場で進められているのか、厚生省いかがでしょうか。
  82. 国川建二

    ○国川説明員 お答えいたします。  先生のお尋ねの、たとえば久留米市の水道の取水の点等に関して申し上げますならば、かつて、数十年前は別といたしまして、戦後一連の各種のミヤイリガイそのものの生息状況、分布状況等の調査が行われてきているところでございまして、現在久留米水道企業団が取水を予定しておる地点の周辺並びにその上流域におきましては、ミヤイリガイそのものが現在生息していないと判断されております。したがいまして、住血吸虫そのものは、ミヤイリガイを中間宿主とする疾病でございますので、現在の段階では水道の原水に住血吸虫の病原体そのものが混入するおそれはないもの、こう判断いたしております。  なお、あの地域のきわめて限られた一部の地域、下流の方でございますが、一部の地域等には現在なおミヤイリガイの生息していることがわかっている地域がございます。ただ、数年来の調査によりますと、それらのミヤイリガイの実態調査等の結果からでは、日本住血吸虫のセルカリアに感染したミヤイリガイは、いまのところ、ここ数年来発見されてないというような状況でございまして、水道原水が汚染されれるおそれはまずないものというふうに考えておる次第でございます。
  83. 諫山博

    諫山委員 そうだとすれば認識不足もはなはだしい。計画を根本的に検討し直さなければならないという感じを強くします。私のところに、経済企画庁・建設省調査、「日本住血吸虫病対策調査要旨」というのがあります。この中では八ページに、「昭和四十六年度からはゴルフコースとして使用されており昭和四十七年度の調査では遂に宮入貝を見出すことができず事実上絶滅したものと考えられる。」こう書いてあります。長戸石地区のことです。ところが、同じところを調査した昭和五十年三月の久留米大学塘教授の報告では、四十七年度の調査で発見できなかったので絶滅したものとして一たん調査を打ち切った、ところが四十八年七月、住民の届け出でゴルフコースのところでミヤイリガイが発見された、となっております。ここで発見されたと言われているのは、大堰予定地よりか上流です。厚生省はこの事実を知っているのかいないのか、知っているけれどもこの報告は誤りだとお考えなのか、どうでしょう。
  84. 国川建二

    ○国川説明員 お答えいたします。  ただいま先生のお話しになりました五十年三月の調査で、長門石地区の一部、筑後川の河川敷、あそこにゴルフ場がございますが、そのゴルフ場と堤防の間の湿地帯と申しますか、その限られた一部でございますが、そこにミヤイリガイが生息しているという報告がありますことは承知いたしております。
  85. 諫山博

    諫山委員 そうすると、ミヤイリガイが完全に死滅したとは言えないじゃありませんか。例を申し上げれば切りがありません。昭和五十年四月の塘教授の報告では、「我々は宮入貝生息分布について充分な調査を行なっていないので見逃している生息地が残っていることを最も恐れている。」と書かれております。また同じ報告書の中に、「一旦、潰滅していると思われていた鳥栖市江島の畑に、又甘木市馬田の休耕田及び溝に、更には長門石町地先にいずれも地元民の協力によって発見された事実から、人海作戦による徹底した宮入貝分布調査再点検の必要がある。」こういう報告書を提出しています。これは厚生省も当然知っているはずですが、十分な調査を行っていないと指摘されていますが、昭和五十年四月以後この報告に基づく十分な調査が行われたのかどうか。また、人海作戦による再点検の必要があると言われていますが、人海作戦による再点検が行われたのかどうか。どうでしょう。
  86. 国川建二

    ○国川説明員 住血吸虫対策そのものにつきましての所管は公衆衛生局の方でございますが、私の関係いたしております水道に関連する問題につきまして申し上げますならば、先生先ほど指摘のように、長門石地区のゴルフ場の近くといいますのは、一応予想されております筑後大堰の建設予定地点より直上流だと理解しております。したがいまして、水道の水源としての水の利用というような意味では、厚生省も当然でございますが、関係者十分協議いたしながら、現在日本住血吸虫の予防対策といたしましてミヤイリガイの撲滅を図るということで鋭意今日まで努力を続けてきておるところでございまして、さらに今後も河川に関係する部分につきましては、河川管理者の方に改修工事等を行っていただく、あるいは内陸部分等につきましては水路等をコンクリートライニングする、あるいは必要な地域につきましては薬剤を散布するというようなことを進めるべく、担当の局の方で鋭意その対策を講じているところでございまして、そういうことで遺憾な手落ちのないように今後推進いたしたいというように考えておる次第でございます。
  87. 諫山博

    諫山委員 厚生省はもっと厳格に物事を処理する必要があると思います。一番最初に私が質問したのは、ミヤイリガイが生息していないという立場で作業を進めているのかということだったのです。それに対して、もう生息していないという立場です、という答弁でした。ところが、久留米大学のいろいろな調査結果を指摘すると、必ずしもそうではない、生息しているらしい、そして、いろいろ絶滅の策を講じていますというようなことのようですが、ミヤイリガイはまだ生息しているのだ、この立場をはっきりしながら問題を考えないととんでもない誤りが起こるということを申し上げておきます。  この問題で私も何回となく久留米大学を訪問して事情を聞いてきました。ことしの二月三日、久留米大学の塘教授、阿久沢助教授、そのほかの人と共産党の人たちがいろいろ懇談をして、その模様を速記録で残しております。この速記録は厚生省にも渡してあるのですが、この速記録の中に次のようなことが出ております。塘教授の談として、ミヤイリガイがいる以上絶対安全とは言えない、こう言いながら、利根川で十五年間発見できなかったのに十五年たってミヤイリガイが発見されたという例が指摘されている。また、高尾先生の言葉として、一万個調べた中で一個だけ感染しているミヤイリガイがあった、だからおろそかにできないのだということが述べられているわけです。ミヤイリガイにしてもセルカリアにしても、調べて、いなかったのでいないと断言することはできません、こういう指摘がされているのですが、まだミヤイリガイの問題が根本的には解決していないという立場で厚生省も国土庁も物事の処理をしなければならないと思うのですが、国土庁どうですか、この点。
  88. 堀和夫

    ○堀説明員 私ども国土庁の前身であります経済企画庁時代に、いろいろこの種の調査をやっておるわけでございます。それでこの問題につきましては、今後とも関係各省と十分協議をいたしまして必要な調査あるいは対策をとっていきたい、そういうふうに思っております。
  89. 諫山博

    諫山委員 厚生省の私に対する文書の回答で、セルカリアが水道原水中に混入していたとしても次のような方法で死滅するはずだと言いながら三つの方法が指摘されています。その第一が機械的衝撃です。私も久留米大学で機械的衝撃で本当にセルカリアが死滅するのかどうかということをいろいろ聞いてまいりました。それに対する久留米大学側の説明では、いまのところ断言できないということです。厚生省にお渡しした塘教授と共産党側との対談の中でも圧力をかけるとかかき回すというようなことが言われているけれども、いまのところ実験をしてはいない、実験すること自体が非常にむずかしい、こういう説明がされています。また、高尾先生からはポンプの衝撃試験について、衝撃試験で数が少なくなったのは事実だけれどもそれで死んだということにはならないのだ、もっと実験を繰り返さない限りこれだけでは論文にはならない、いままでやったのはきわめて簡単な実験にすぎないのだというようなことを述べながら衝撃でセルカリアが死滅するという言い方に科学的な疑問を提起されております。厚生省、この点は久留米大学にぜひ確かめてくれと私は要望していたのですが、どうなりましたか。
  90. 国川建二

    ○国川説明員 先生からいただきました速記録と申しますか、ということにつきましては、塘先生に伺いましてそのようなことがあるのだということについては承知いたしております。
  91. 諫山博

    諫山委員 そうすると、機械的な衝撃によってセルカリアが死滅するはずだという厚生省の第一の論拠は久留米大学の専門的な研究結果で崩壊したということになるわけです。  第二番目に厚生省の文書が指摘しているのは、塩素消毒によって死滅するとの報告もあるということです。この点もいろいろ調査いたしました。確かに塩素を二七ppmぐらい吸入すれば三十分でセルカリアが死滅する。一〇ppmの場合には三時間以上セルカリアは生存している。ところが水道で実際に塩素を使用できるのは二ないし三ppmだ。だから飲み水に使うための塩素消毒という点から見れば、塩素によってセルカリアが死滅することはあり得ない、セルカリアが死滅するほど塩素を使うなら飲み水として利用できなくなる、これが久留米大学の研究結果だと思いますが、この点久留米大学に問い合わせていただいたでしょうか。
  92. 国川建二

    ○国川説明員 塩素消毒に対する報告があることを承知いたしております。
  93. 諫山博

    諫山委員 そうすると、塩素消毒でセルカリアが死滅するというのは一般的な議論であって、上水道の塩素消毒でセルカリアが死滅することにはならないじゃないか。厚生省その点どう説明されますか。飲み水として適用できないくらい塩素を使うなら別としてということになるはずです。
  94. 国川建二

    ○国川説明員 日本住血吸虫の病源体でありますセルカリアの塩素との関係につきましては、わりあいにその実験等が少ないのでございます。したがいまして、久留米大学のただいま先生がおっしゃいました実験も一つの貴重な意見だと思っております。また同時に、これは外国の文献ではございますけれども、比較的残留塩素の量が少なくてもかなり影響が出ているという報告等もございます。したがいまして、塩素消毒によって死滅するという表現が確かに言葉足らずという点はございますけれども、セルカリアそのものの状況と申しますか、という関係から塩素消毒が少なくとも効果はあるというふうに私どもは一応考えておるわけでございます。
  95. 諫山博

    諫山委員 外国の文献を引っ張ってこなければ説明できないようではとても私たちは安心できません。厚生省がこの問題で一番科学的な根拠のよりどころとしたのは久留米大学の実験でしょう。久留米大学でだめだと言っている、ところが外国の文献ではこうだということで国民が納得しますか。  第三番目の方法として厚生省が挙げているのは、ろ過するからだということです。このろ過作用について久留米大学では、実際これを実験してみようとすれば大変な実験になる、とてもそういう実験はできない、そしてろ過によってもセルカリアは通過する可能性がある、こういう説明をしています。これは塘教授と共産党代表との話し合いの中で塘教授から述べられた言葉です。ろ過によって果たしてセルカリアが死滅するのか久留米大学に問い合わしてくれと言っておったのですが、どうなりましたか。
  96. 国川建二

    ○国川説明員 水道の場合、特に久留米の水道、最近の浄水方法は普通薬品沈でん及び急速ろ過方式という形で浄水操作を行っているわけでございます。御承知のようにろ過池ではいわゆるろ過膜というものを形成させまして、そこを水が通過する際に微生物、一般細菌等も含めましてろ途するわけでございます。私ども承知しておる範囲では、日本住血吸虫は国内でもかつては山梨県あるいは岡山県、広島県、いろいろな地域であったわけですが、それらの地域で飲料水を得る方法といたしまして、もちろん生水等に接触することによって感染をするわけでございますから、少なくとも水は水道をつくってそしてろ過して飲むように指導をしてまいってきているところでございまして、この場合につきましても沈でん、ろ過によりまして十分除去できると実は確信している次第でございます。そのためだけの必要な実験というようなものはデータはございませんけれども、これは日本のみならず世界的にも、ろ過することによりましてそれらの不純物を除去し安全な水質を得ることができるというように考えているところでございまして、まあ仮にということで原水にセルカリアが混入した場合でも水道で除去することは十分安全だというように考えておる次第でございます。
  97. 諫山博

    諫山委員 国土庁に質問します。  風土病の原因であるミヤイリガイが生息していないとは言えない、これははっきりしました。久留米大学に行けばこのことはすぐわかります。また、生息しているとしても次のような方法でセルカリアが死滅するんだと言って厚生省が挙げている三つの方法がすべて根拠がないということも明らかです。久留米大学はもともとこの問題の最高の権威で、厚生省も久留米大学の岡部教授の見解をもとにすべての作業を進めておったはずです。ところがその科学的な根拠が崩れているということになると、この事業計画そのものが根本的な再検討を迫られる、こういうことにならざるを得ません。この水は私の住んでいる福岡市でも飲み水として使おうとしているのです。福岡県だけではなくて佐賀県の方まで、広範な地域でこの水が利用されようとしております。ところが、恐るべき風土病の蔓延の危険性があるということになると、科学的にもっと研究し直すべきではないか。ミヤイリガイの生息状態がどうなっているのか、厚生省が言っているような方法で本当にセルカリアが死滅するのか、こういう問題の再検討を国土庁に要望したいと思いますが、どうですか。
  98. 堀和夫

    ○堀説明員 お答えいたします。  国土庁におきましては、水資源開発基本計画を策定するという立場で考えておるわけでございますが、水質そのものについては国土庁の所管することではありませんが、水資源開発に関連いたします基礎調査といたしまして、各省と十分協力いたしまして、水資源開発促進法による調査をしておるわけでございます。  それで、先生御指摘のミヤイリガイにつきましては、各省御協力のもとに種々対策が講じられておる、また水道対策としても対策が講じられておるというふうに聞いておりますので、現在直ちに調査をするとかそういうような考えは持ってないわけでございますが、なおこの点については十分考えてまいりたいというように思っております。
  99. 諫山博

    諫山委員 私は厚生省に具体的な幾つかの提案をしたいと思います。  第一は、ミヤイリガイの生息状況の根本的な調査です。久留米大学の説明では、人海作戦による広範な検討が必要だと言われております。ただ、久留米市はやりたいけれどもなかなか金がない。久留米大学でも資金不足を訴えておられます。私は、もっと金をつぎ込んででも根本的な生息状況調査をやるということが必要だと思いますが、厚生省はそのことをやるつもりがないのかどうか、そのことだけ答えてください。
  100. 林部弘

    ○林部説明員 お答えいたします。  私どもといたしましては、四十八年に国のレベルで調査を実施いたしておりまして、その後は府県並びに地元の調査報告について指導をいたしながら状況をずっと経過を追って観察をしてきておる状況でございますので、いま直ちに調査を行うという計画は現在のところ持っておりません。
  101. 諫山博

    諫山委員 厚生省にもあるまじき無責任な答弁ではありませんか。昭和五十年四月の久留米大学塘教授の報告の中では、「生息分布について充分な調査を行なっていないので見逃している生息地が残っていることを最も恐れている。」と書いているのですよ。「人海作戦による徹底した宮入貝分布調査再点検の必要がある。」と書いているのですよ。この文献を見ているでしょう。これだけの文献を読みながら、四十八年にどうだこうだということで調査をしようともしないというのですか。責任ある答弁をしてください。
  102. 林部弘

    ○林部説明員 直近の調査でございますが、府県それから福岡県衛生部久留米保健所、久留米大学、久留米市それから建設省の工事事務所、地元等が参加をいたしまして、四月の上旬から下旬にかけて調査をいたしておりますが、その調査の結果の中のセルカリアの有無等については現在まだ報告書が参っておりませんので、私どもといたしましては、現在の時点ではこの調査報告が福岡県衛生部の方から届きました時点で調査の実施について検討してまいりたい、そのように現在考えているところでございます。
  103. 諫山博

    諫山委員 私たちは筑後大堰そのものに反対しているのではないのです。筑後川の水の利用計画というのはきわめて大切です。ただ、きれいな水を利用するようにしたいというのが私たちの願いです。  そこで、最後に建設省に要望します。この問題を根本的に調査する。そして調査が一応結論が出るまでは工事はストップする。とりわけ大堰の位置、取水口の位置をもっと上流に上げるというのが地元民の切実な要求になっております。ミヤイリガイの生息の危険性のないところで大堰をつくったらどうかという合理的な提案がされているわけです。さらに厚生省としても、これだけ大きな風土病で、福岡県、佐賀県で大問題になっているのですから、根本的にこの問題を調査し直すということをこの機会に最後に要望したいのですが、簡単に建設省、厚生省いまの点だけ答弁してください。
  104. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 建設省から御答弁申し上げます。  建設省が担当いたしておりますのはせきそのものの建設事業でございまして、いわゆる水を取水したり導水したりする施設はこれは利水省の担当施設になっているわけでございます。せきそのものの効用につきましては、先生御案内のように現在上鶴ぜきというせきがございまして、いろいろ農業用水の取水であるとか筑後川の河床の安定であるとかそういうことに役立っておるわけでございますが、洪水の疎通という面からまいりますと、せきが古いせきで出っ張っておりますので、これは障害になるわけでございます。それで新しい洪水疎通能力を増大させるというような治水上の観点、あるいは上鶴ぜきが従来持っておりました治水、利水の効用を再現するというような観点、そういった機能が筑後川大堰の中の非常に大きな部分を占めております。あわせて塩水の遡上等がない地点で取水の安定を図るというふうな効用があるわけでございます。そういった上鶴ぜきの従前の機能等に着目いたしますと、現在のせき地点が調査の結果では一応最高のものである。多少上下に動かしますと、川なり等の関係で洪水時に水当たりが起こるとかいろいろなことがございまして、現在の調査の結果ではあの地点が最良のものである、こういうふうに考えておるわけでございます。  ただ、御案内のようにせきに着工いたすと申しましても、ことしもできれば事業実施方針等整えまして、仕事にかかろうと思えばかかれる状況になっておるわけでございますが、その際、まず貯水池内の護岸あるいは洪水敷の整地、そういった貯水池内の整備から着手をいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございまして、そういった整備によりますれば、先ほど厚生省からもお話がありましたように、ある意味ではセルカリア対策の一翼を買うことができるのではないかというようなことも内々期待はいたしておるわけでございます。そういった状況でございます。
  105. 国川建二

    ○国川説明員 御指摘の点につきましては、先ほど私若干説明が不十分だった点ございましてあるいは誤解を招いたかもわかりませんけれども、取水地点より下流域、しかし大堰の上流域の河川敷あるいはその他の地域で今後ともミヤイリガイそのものが再び発見されるというようなことの可能性を先生御指摘になったわけでございます。そういう意味では、住血吸虫予防対策事業というものといたしまして十分関心をもちまして、これに対して必要な大堰が建設されるまでの間には各種の土木的な工事を含めまして十分対策を講じていきたい、そのための必要な調査等も毎年県当局で行っているところでございますが、これらの状況等も十分勘案しながら手落ちのないように十分措置いたしたいと思っております。
  106. 諫山博

    諫山委員 終わります。
  107. 湊徹郎

    ○湊委員長 次に、庄司幸助君。
  108. 庄司幸助

    庄司委員 行政管理庁の行政監察局長さんがいらしていると思いますが、まず私は、「農業機械化に関する地方監察結果の概要」というおたくの東北、中国両管区行政監察局が実施した報告書、この問題で質問をしたいと思います。  この報告によりますと、農林省の補助事業により導入する機械の基準がいろいろあるわけですが、その導入基準が十分利用されていないということをまず第一点で挙げています。  第二点は、この機械の導入状況を調べてみると、その農業機械の七〇%が合格機ではない——不合格とは書いてありませんが、合格していない、こういうふうな報告があります。  それから三番目の問題は、農業機械の利用状況を調べたわけですが、広島、宮城などを調べると八・一%が遊んでいるという報告があります。  最後に、型式検査合格機の流通状況、これについて触れていますが、何か宮城の経済連が販売した機械の五〇%だけが合格機である、さらに、防護装置、安全装置の問題が非常に不備だということに触れまして、生命共済支払いの三五%が農業機械の安全装置の欠陥に基づくけがやその他だ、こういう指摘があるわけです。  この点について行政管理庁として報告を受けているんだろうと思うのですが、この点正確にお調べになったのかどうか。それから、調べた結果このような報告について政府として確信を持って発表できるのかどうか。第三点は、これは宮城と広島だけの事例のようでございますけれども、これは中国と東北の一つの典型的な県ですが、こういうことがあるとすれば全国的にもやはりこういう動向があるんだろうとわれわれは考えざるを得ないのですが、その点を今後行政監察の全国的な対象になさるつもりなのかどうか、その辺まず簡単にひとつ御答弁願いたいと思います。
  109. 鈴木博

    ○鈴木(博)政府委員 お答え申し上げます。  行政管理庁といたしまして、ただいま御指摘のございました農業機械化をめぐる監察は、われわれ地方監察と申しておりますが、主として管区及び地方局において四十八年度以降実施いたしてまいっております。ただいま御指摘のございました中国管区、東北管区のみにとどまらず、大分地方局あるいは栃木の地方局、それから中部の管区等におきましても、同種類の監察を実施いたしてまいっております。それらの監察を通じまして、その取り上げました内容は、大体ただいま先生の御指摘になりましたとおりでございまして、細かい数字上の問題等はございますが、大筋においておおむねそのような実態になってございます。  また、これにつきましての政府としての発表はどうかという御質問に対しましては、先ほども申し上げましたように、これは地方の管区及び地方局において実施いたしましたので、それぞれの現地においてこれをしかるべく措置をいたしております。また、それぞれについては農林本省の方にも御通報いたして、それに対して前向きの回答等にも接しておりますので、改めてこれを政府として発表する必要は現在はないのではなかろうかとわれわれ思っております。  それからまた、全国的に本庁が主導権をとって実施するかどうかという御質問に対しましては、これは先ほど申し上げましたように、相当農業機械化が進んでおります地区においてこの監察が実施されておりますし、さらにまた本年度におきましても、現在米どころであります新潟県でありますとか、あるいは機械化が相当進められております北海道管区等におきましても、これを実施する計画になってございます。したがいまして、そのような諸情勢とあわせて今後において判断してまいりたい、このように存じております。
  110. 庄司幸助

    庄司委員 そうしますと、この東北、中国両管区の調べた結果は、全国的にも共通の問題点を含んでいるということになります。そうしますと、これはやはり行政監察ですから、個々の件についてはいろいろおたくの出先からそれぞれ注意があるだろうと思いますけれども、しかし政府の行政の問題について問題点があれば、当然これは農林省の行政についての一つ問題点になりますから、つまり農業機械に対する農林行政の問題点となるわけですから、その点でやはり監察報告の中に入れるような方向で御調査なさるのが当然じゃないかと私は思うのですが、その点簡単にひとつ御決意のほどをお願いします。
  111. 鈴木博

    ○鈴木(博)政府委員 お答え申し上げます。  まさに御指摘のように地方監察でございましても、その効果につきましては、われわれ中央で実施いたしましたものと同じように考え、かつ農林省の方にも回答を求め、その結果を得ておるわけでございまして、その意味におきましては、農林省におきましても現地だけの問題でなしに、全国的な問題と認識されまして、それぞれ善処しつつある問題でございます。したがいまして、しばらくその努力の結果を見守りました上で、全国的な監察をする必要があるかどうかということについて判断してまいりたいと存じますので、御了承いただきたいと存じます。
  112. 庄司幸助

    庄司委員 どうせこれはあさって決算委員会で行管がかかるわけですから、行管はこれぐらいにしたいと思いますけれども、これは非常に重大な問題なんです。この農林水産委員会でも予算委員会でも、わが党の中川利三郎議員や私などが再三この問題提起を農林省に行っている問題なんです。それがおたくの行政監察に明確に出てきたという問題なんですよ。その質疑応答の中で、農林省は、いろいろ検討する、あるいは法制化もするとかと答えていますが、これがなかなかはかばかしくいかない中でおたくのこういう監察結果が出たというところが私は重大なんだろうと思うのです。  それでは農林省にひとつ伺いますが、このいわゆる農業機械の問題についての行政監察があって、いろいろ御報告があったといういまの御答弁ですから、これは全国的にこういう行管からの報告に接したのかどうか。それから、接して、これはえらいことになったとお考えになっているのか、あるいは相も変わらずいままでどおりカタツムリの歩み方のような指導でいいものかどうか、どういうふうにお考えになっているのかひとつ御答弁願いたいと思います。
  113. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 農林省といたしましても、地方監察局の調査の結果などを参考としてちょうだいをいたしまして大いに反省をいたしますとともに、型式検査の対象機種でありながら型式検査の受検率が低いものの急速な向上を図るということを進めます一方、特に最近問題になっております安全対策につきましては、一日の猶予もできませんので、本年度、五十一年度を中心といたしまして安全点検を思い切った形で取り進めるということをいたしまして、補助あるいは融資、これらにおきまして、少なくとも安全性が確認されたものでなければ流通することのないようなそういう基礎条件を本年度中に確立をしていきたいというふうに考えている次第であります。
  114. 庄司幸助

    庄司委員 それでは、行管の指摘の問題で一つ一つ伺っていきます。  第一番目の問題は、この行管の結果の概要、こう書いてあります。「一、高性能農業機械の導入基準」「各種補助事業等により高性能農業機械を導入する場合、都道府県は、当該都道府県の高性能農業機械導入計画に定める導入基準により、それぞれ高性能農業機械の適否を審査することになっている。」——そして、いまの御答弁だと全国一律のようですが、これは宮城県だけ出ています。——「しかし、宮城県が定めている上記の導入基準をみると、草地関係については、立地条件等によって異なる高性能農業機械の利用実態に適合したものとなっていない。このため、上記導入基準は各種補助事業のうち、最近高性能農業機械を最も多く導入している草地関係補助事業の審査に十分利用されていない。」こう述べています。  それで、これは、この点に関する昭和四十年八月十日の農林事務次官の通達があるわけです。その点でこの通達の改廃問題、これは中川議員に対する大臣の御答弁で、通達を早急に改善する、こういうふうに述べられましたね。それが具体的に改善された通達が出ているのか、いないのか。まあ多分出ていないだろうと思うのですが、いないとすればいつまでにお出しになるのか、どういう内容でお出しになるのか、これをひとつ御答弁願います。     〔委員長退席、片岡委員長代理着席〕
  115. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 宮城県の五十年度の緊急粗飼料増産対策事業などに導入した機械の経緯などを調べてみますと、相当傾斜度のある草地におきましては、作業効率の高い四輪駆動型式のものがどうしても必要であるということでありますとか、収穫等の高性能の作業機とセットになったそういう同じ系列の機械を入れる方が効率的であるというようなことから、かつての次官通達に適合した機種をいろいろ探しました結果、たとえば四十八、九年度におきましては、トラクターにおいては型式検査の受検率が非常に低かったということもありまして、その合格機から選定をするということがなかなか十分にまいらなかったという実情にあるわけであります。そういったような地域の実情に合いました、特に畜産関係でありますが、そういったようなものを末端で導入する場合の基準といいますか、そういうものを早急に検討しているところでございます。  それからもう一つ、基本的な次官通達の改定問題でありますが、実は、これは従来型式検査を中心に考えた通達でありましたが、この型式検査のスピードアップと申しますか、これのみによって最近問題になっております農業機械の安全を確保するということでは相当経費なり時間もかかります。そこで、私どもは五十一年度におきまして型式検査の対象機種以外でありましても、安全問題を中心にいたしまして画期的な安全鑑定のやり方を実行することにいたしまして、それの対象機種も相当ふやしたわけでありますが、これの関係の予算も成立をいたしまして、そういう安全鑑定と従来からあります型式検査、この両方をにらみました新しい事務次官通達をここ近々に発したいということで、いま原案を整備しているところであります。
  116. 庄司幸助

    庄司委員 近々とはいつごろですか。
  117. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 一、二カ月中には出したいというふうに考えておるわけであります。
  118. 庄司幸助

    庄司委員 型式検査と安全鑑定、この問題はいま論じてもいいのですけれども、これも一つ問題はあるのですよ。それは後で時間があれば触れます。  次に伺っておきたいのは、いわゆる国庫補助事業で導入する農業機械、これは合格機の中から選定することになっている、これは通達にそう書いてあります。ところが、行管の調べだと、導入機の主力をなす大型機三十ないし六十PS級で型式検査に合格し、市販されているものが少ないため、合格機でないものが七〇・六%選定されている、こう書いてあります。だから私は、合格機でないものは不合格機だ、こう言いたいのですが、おたくの方の言いわけだと、いや、これは受検したものはいわゆる合格、不合格が決まるけれども、受検しないものは不合格機ともみなせない。だから受検漏れが相当あるという問題があるのですね。これは何遍も問題になっているわけです。だから、その点でやはり強制的に受検させるという方途が講ぜられなければ百年河清を待つような問題ではないかと思うのです。その点、中川議員も私も農林大臣に再三お願い——お願いというと語弊がありますが、要求したわけです。ところがこれが、検討には値すると思うけれども、何分むずかしいとか、なかなかにょろにょろとお逃げになって、全然この点が進展していない、こういう感じがするのですね。だからその点で、この補助対象事業は行管から指摘されているのですから、当面少なくともこれぐらいは全部強制的に検査を受けさせる、あるいは検査を受けたもの以外は対象にしないという措置をとってしかるべきだろうと思うのですが、これは補助対象事業の問題だけで私は聞いていますから、その点ひとつお答えください。
  119. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 先生御指摘のとおり、たとえば乗用トラクターを見ますと、四十八年度当時は、流通しておりました型式のうち、検査を受けて合格したものが一割もないという状態でありました。四十九年度もおおむね同様な姿でありましたが、最近、私どもの強力な行政指導の結果、たとえば昨年度五十年度はこれが三分の一以上検査を受けに参るというふうになってまいりましたし、ことしも少なくとも五〇%以上トラクターについては型式検査を受けに来るようになるということで、逐年著しい改善の努力をしているつもりであります。しかしながら、この検査をする機械化研究所の機能、組織等の問題もございまして、農業機械の性能と、それから安全面と、両方をそろえなければいけない型式検査が完全に全機種行き渡りますまでには、まだ若干の年数がかかろうかというふうに考えているわけであります。  そこで、実は五十一年度の予算におきまして、私どもはそのうちの安全面、これだけは早急に確立をすることが急務であるという考え方に立ちまして、型式検査の対象機種以外の機種も含めまして、全体で型式検査対象機種九機種と、型式検査の対象になっておらない相当重要な農業機械、これが約十四機種ございますが、これを選んで、本年度中に全部安定鑑定の対象にする。そういたしますと、両方で、主要な農業機械で安全その他で問題になります九〇%以上のものが型式検査なり安全鑑定なりの対象になってまいるという方向で、ことし一年大いに努力をしたいというふうに考えているわけであります。  そうなってまいりますので、実は先ほど申し上げました次官通達の改定の際も、国の補助事業によって導入する農業機械については、まず型式検査の対象機種になっているものにつきましては、型式検査の合格機種でなければならないということのほかに、型式検査の対象になっていない機種にありましては、安全鑑定の対象として定められたものは、全部安全鑑定が済んだという証明がなければ、それも補助対象にしてはならないというようなことで、さらに従来の対策を大いに進めることに本年度からいたしたわけでありまして、本年度中にその安全鑑定についてはほとんど全部の型式を一年間で完了するような方向で本腰を入れてまいりたいというふうに考えているわけであります。
  120. 庄司幸助

    庄司委員 まあそれは一歩前進でありますが、このほかいろいろ欠陥農機具の問題もあるわけです。これは私が去年の十戸、一、二の事例を挙げて御指摘申し上げましたが、安全面はそうやってもちろん前進させていただく必要がありますが、欠陥農機具をつかまされて、それで農家が不経済になっているという苦情が非常に多いのです。だから、その点で、やはり型式検査なり農業機械化研究所での受検能力をもっともっと広げて、まあ私も提起しましたが、たとえば三十万円以上の農機具については全部検査を受ける義務づけをやる、これはこの検査の義務づけやその他の問題で現に請願も参っているわけです。これは急いでもらう必要があるのです。だから、それは確かに私も現実論に立てば、ことしいっぱいでやれというのはなかなか無理だろうと思いますが、少なくとも二年計画なり三年計画で計画を立てて進めていくということがやはり大事だと思います。この三年計画なりそういう計画を立てておやりになる決意があるのかどうか、その辺お答え願います。
  121. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 型式検査の受検機種が大変ふえてまいりましたし、この型式検査の対象として、主要な農業機械のほとんど全部をカバーしてまいりたいという、われわれの基本的な考え方には変わりはございません。したがいまして、こういうものにつきましてはできるだけ速やかに年次計画を立てて、型式検査の方にも逐次持っていきたいというふうに考えているわけでありますが、先ほど申し上げました安全鑑定というのは、そのスピードをおくらせるということではなくて、その中で安全問題だけは大変急務でありますので、本年度一年はその安全鑑定にできるだけの力を注ぎたいということを申し上げたわけであります。したがいまして、ことしも実は機械化研究所の型式検査のためのいろいろな機能の増強の対策も予算措置を講じているところであります。
  122. 庄司幸助

    庄司委員 いま年次計画をお立てになるというお話を聞きましたが、この年次計画をもうちょっと具体的に話してもらいたいのです。安全鑑定の面ではことしじゅうに九〇%なり一〇〇%やる。じゃ、あとの欠陥農機具をつかませられないための検査も含めて、農民の要求するような安全対策と欠陥対策、こういうものを含めて一体昭和五十何年度までに完成させるのかという問題です。その辺の計画を立てておられるのかどうか。立っておるとすれば何年度まで、立っていないとすればお立てになるのかどうか、この点ひとつ簡潔にお答え願います。
  123. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 現在検討中でありまして、まだ計画自体は立てておりません。したがいまして、何年度までにということも含めて鋭意検討させていただきたいというふうに考えております。
  124. 庄司幸助

    庄司委員 検討中だというならば、いつまでに御検討を終わりますか、その御検討の期間。その辺のめどがないと、これはなかなか当てにならないわけですから、それをひとつ……。
  125. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 安全鑑定の進捗状況も踏まえながら、来年度から実行できるような方向で具体的な年次計画を立ててまいりたいというふうに考えているわけであります。
  126. 庄司幸助

    庄司委員 大変くどいようですが、来年度を第一年度とした何カ年か計画になる、そういう計画をおつくりになるというふうに理解していいのですか。
  127. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 そのとおりであります。
  128. 庄司幸助

    庄司委員 それをひとつ確認しておきます。  それから、八・一%が遊休状態で、行管の指摘だと、大変もったいないとは書いてありませんけれども、これは言外にそういう意味を含めているんだと思います。農家経済の状況から言ってもこれは見過ごしてならない問題だという問題意識だろうと思うのです。  この遊休する原因ですね。これは一つは、やはり頻繁なモデルチェンジの問題もあります。その中には無用なモデルチェンジもいっぱいあるのです。それから部品の問題もあるわけですね。これも再々議論になっている問題です。この点について私はくどく聞きませんが、これも請願書にあるわけです。部品の円滑な供給の問題、いたずらなモデルチェンジはやらないでくれという請願も入っております。その点で、この行管の報告を踏まえてあなた方どういう御決意があるのか、これもひとつ簡単に御答弁願います。
  129. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 ただいま御指摘がありましたように、広島の例で言いますと、新型の農業機械を買うことによって、前に持っていた農業機械の八%くらいが遊休化しているではないか、これはもったいないではないか、こういうお話でございまして、そういう実情は確かにございます。そういうふうな新型機の購入によりまして既存の機械が遊休化するような場合といたしましては、既存の機械の方が大きさなり能力などから見て、自分の利用する規模から見て、大き過ぎた、あるいは小さ過ぎたというような問題がありましたり、あるいは古い型式で性能が悪いというような場合ですとか、あるいは故障なんかで使用することができなくなってしまったというような場合があるわけでありますが、いずれにいたしましても、既存機械の修理なり整備によって、何も新しい機械を買わなくても済む場合もあるわけでありまして、この辺につきましては、先生御指摘のとおり、私どもといたしましても、通産省を通じまして、部品のストックあるいは部品の共通化と申しますか、JIS規格設定によりまして部品を共通化してもらうというようなことをいろいろと指導を願っておるところであります。  それから、御指摘がありましたような不必要なモデルチェンジというのも大変好ましくない話であります。したがいまして、たとえば売らんがためのモデルチェンジ、こういうものが出てまいりましても、農林省としては、農業団体を通じまして、そういうだけの理由ではとても値上げは認められないよ、こういうような指導もやっておるわけでありまして、そういう面からも、不必要なモデルチェンジによる過当な売り込みと申しますか、こういうものは防ぐように今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  130. 庄司幸助

    庄司委員 JIS規格で部品の共通化を図るという御答弁ございましたが、これはぜひ早急に通産省におかれても進めていただきたいと思うのです。こんなむだな話はないと思うのです。広島、宮城で八・一%が遊休しているということになると、これは全国の農家の数を調べてみたら膨大な金額の遊休だろうと私は思うのですよ。そうでなくてさえ、農家はいまいわゆる生産者米価が非常に安く抑えられている問題、あるいはその他の作目が価格上の問題を抱えて、本当にいま機械化貧乏だというようなかっこうで、もう塗炭の苦しみなんです。だから、そういう点でぜひ部品の共通化は進めていただきたいと思います。  それからもう一つ、型式検査合格機の流通状況をいろいろ述べた中で、経済連販売の五〇%だけが合格機だ。せめて経済連ぐらい合格機だけを売るような御指導を私は願っていいのじゃないかと思うのですよ。経済連というのは、御承知のとおり農家のための組織なんです。農民の組織ですね。経済連ぐらいは合格機を扱ってもらいたい、こう思うのです。これは御商売の関係もいろいろあるかもしれませんけれども、しかし、ほかの農機具屋さんと性格が違うのですね。  そのような御指導上の問題と、それから共済支払いの三五%が防護装置の不備でのけがないし死亡だ。これは東北と中国管区の指摘だけですが、全国でいくと一体何%なのか、これは非常に大事だと思うので、全国で、安全上の問題で、防護装置の不備の問題でけがをした件数あるいは医者にかかった医療費あるいは死亡した人の数、これはぜひ農林省調査して発表してもらいたいと思うのです。また、行管でも、これは当然これだけ言ったわけですから、アメリカのチャーチ委員会ではありませんけれども、とにかくこういう欠陥があるといった限り、どれぐらい一体これで農民が損害を受けているのか、数字をやはりお調べになった方がいいと思うのです。これを、時間もありませんから、もしあるならば資料として当委員会に出していただきたいと思うし、ないとすれば調査していただきたい。そして発表してもらいたいこれを要望します。よろしゅうございますか。
  131. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 生命共済との関係の数字につきましては、私ども調査をした数字を持っておりませんので、何らかの方法で調査をいたしたいというふうに存じます。  それから農協の販売するものにつきましても、先ほど来申し上げましたとおり、本年度は型式検査対象機種以外の機種につきましても、少なくとも安全面では相当な安全鑑定システムを整備をいたしますので、農協が近代化資金の融資の対象として、制度資金の融資の対象として販売をする、こういう農業機械につきましても、型式検査の対象外でありましても、安全鑑定は少なくとも受けていなければ制度融資の対象にもしないということで指導してまいりたいというふうに存じております。
  132. 庄司幸助

    庄司委員 ひとつくれぐれも、安全鑑定は非常に大事ですからやってもらいます。それはもちろんですけれども、欠陥農機具を農民がつかまされてはかなわないということなんですから、この欠陥農機具についての検査も、さっきのように年次計画を立てて、強制検査の対象になるように進めていただきたい、これは強く要望しておきます。  時間もありませんから、農機具の問題はこれぐらいにして、最後に私は、今年の生産者米価の問題について、これは食糧庁長官いらっしていると思いますが、強く要望だけしておきます。  一つは、安倍農林大臣が五月十六日のたしか十二チャンネルでの対談をやっています。その他いろいろな報道がなされておりますが、どうも生産者米価は一けた台で抑え込んで、消費者米価だけは逆ざや解消のためどんどん上げる、あるいは同時諮問で同時決定などという報道もあるわけです。その点にかんがみて、次の点を強く要望しておきます。  一つは、生産者米価は農民の強い希望である都市勤労者並みの労賃による生産費を償うように決めていただきたい。それから第二番目は、この場合、六割の農家生産費を償わない現行の平均生産費、これによる算定を改めてもらいたい。日本人が必要とする米の全量の生産費を償うように、農協も要望しておりますが、さしあたり八〇%バルクライン方式などによる決定を考えてもらいたい。それから三番目は、消費者米価は、物価対策を考えて、次々と公共料金が上がっていますし、物価もまた上がる傾向がありますから、大幅引き上げはやめてもらいたいということです。それから四番目は、逆ざやの解消をねらいとした生産者米価の抑制や消費者米価の大幅引き上げを実現するための同時諮問、同時決定、これは食管法にも違反するものでありますから、これをやめてもらいたい。  それから最後に、昨年産米についても非常に大問題になりました超過米の問題です。この超過米はぜひなくす方向で、ひとつ全量買い上げをこの際決断をもって実行してもらいたい、この点を強く要望しまして私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  133. 片岡清一

    ○片岡委員長代理 ただいま日本中央競馬会理事瀬川良一君に参考人として御出席いただいております。  参考人には御多用中のところ御出席をいただきましてありがとうございます。  参考人の御意見委員からの質疑に対するお答えによってお述べを願います。  質疑を続行いたします。林孝矩君。
  134. 林孝矩

    ○林(孝)委員 きょうは中央競馬会の問題に関して総論としてお伺いしておきたいと思います。  やや旧聞に触れますが、あえて指摘して中央競馬会の姿勢を伺いたいわけでありますけれども、川人事件のその後の経過についてお伺いいたします。  競馬が非常に繁栄の兆しを見せたのは昭和四十年代に入ってからのことだと私は理解しているわけです。この著しい発展の背景を中央競馬会ではどのように受けとめられておるか、その点についてまず伺いたいと思います。
  135. 瀬川良一

    ○瀬川参考人 瀬川でございます。ただいまの御質問に対してお答えいたします。  まず川人事件の経過について御説明いたします。  昭和五十年、昨年でございますけれども、六月七日午前七時ごろ、日本中央競馬会競走馬保健研究所、これは都内の世田谷にございます。この保健研究所の庶務課長をしておりました川人康二が警察当局に逮捕されまして六月二十八日に起訴されたわけでございます。目下東京地裁におきまして公判中でございます。  この川人の容疑は、後楽園場外発売所の所長をしておりました——この所長の時期は昭和四十五年十月から五十年二月まででございますが、この所長をいたしておりました四十八年の春ごろから昨年までの間、後楽園の施設内での両替を容認すること、もう一つは払い戻しに便宜を供与する、これの見返りといたしまして当たり馬券の両替屋であります劔持美津男、これから累計しまして約一千万相当のもてなしを受けた、さらに金品の贈賄を受けた、こういう疑いによるものでございます。両替屋が営業することにつきましては、後で申し述べますけれども、政令違反とは解しておりませんが、川人が両替屋に払い戻しの一部を委託しておる、そういう疑いを持たれたものではないかということも考えられるわけでございます。  参考までに申し上げますが、劔持は暴力団住吉連合の組員でございます。なお、中央競馬会役職員の贈収賄につきましては、中央競馬会法第三十七条によりまして三年以下または五年以下の懲役に処するということに相なっております。  昭和五十年六月七日逮捕されました川人は、六月二十八日付で日本中央競馬会法違反で起訴されました。そこで中央競馬会といたしましては、同日付で、職員就業規則第二十六条第一項第一号によりまして、本人に対し公訴提起に基づく休職を発令いたした次第でございます。東京地裁におきます公判は、以来一カ月一度程度開かれておる模様でございまして、現在尋問及び証人調べをほぼ終わりまして、本年の六月下旬から七月上旬にかけまして結審となる予定でございます。  なお、本人は昨年七月十九日保釈されて以来自宅で謹慎中でございます。  以上でございます。
  136. 林孝矩

    ○林(孝)委員 まだ質問のあれが残っておるわけですけれども、この競馬が繁栄した背景を中央競馬会がどのように受けとめられておるかという点……。
  137. 大場敏彦

    ○大場政府委員 私から便宜お答えいたします。  競馬が繁栄している背景をどのように考えるか、こういうことでございますが、私ども、競馬は確かに一面ギャンブリングスポーツという性格を持っておりますから、これが過熱すると弊害が伴う、いたずらに射幸心をあおるという結果、社会的弊害を伴うということは十分認識はしております。しかし一般大衆の日常の娯楽として、公正にこれを運営していけば、健全なるレジャーとしてやはり育っていくという考え方を持っておりますし、またそのようにすべきものだというふうに思っております。  競馬が繁栄しておりますことについてどう思うか、こういうことでございますが、私どもといたしましては、健全化そのこと自身、とやかく非難あるいはまた手放しで称賛するという立場をとっておりませんが、いずれにいたしましてもギャンブリングスポーツ、また健全なレジャーとしての競馬が公正な形、健全な形で社会に定着してきているということは言えるのじゃないかと思っているわけでございます。
  138. 林孝矩

    ○林(孝)委員 中央競馬会としての受けとめ方を私は聞いているのです。あなたは答えているのを後ろから引っ張ってやめさせることは失礼ですよ。中央競馬会としての問題として私は聞いているわけです。したがって、これは中央競馬会の姿勢を伺いたいと冒頭に私は申し上げているわけですから、答弁をさえぎらないようにしてください。
  139. 瀬川良一

    ○瀬川参考人 ただいま大場畜産局長からも御説明ございましたように、競馬会といたしましては、いまや競馬はいわゆる国民の健全娯楽として非常に大衆化されてまいっております。数字で申し上げますと、五十年の中央競馬、いま十カ所開催しておるわけでございますけれども、その十カ所の入場者が約千五百万ほどございます。場外発売所が大小合わせまして十四カ所あるわけでございますけれども、この場外発売所を利用したファンというのは場内競馬場へ行っておりますファンの大体三倍ぐらいあるだろうというふうにいま考えておりまして、そういう面から考えましてもいまや中央競馬はいわゆる一般大衆の健全娯楽としてまさに定着しつつあり、さらにファンがふえていっておるというような状況から見ましても、健全娯楽として大衆に定着をしておるというふうに考えております。
  140. 林孝矩

    ○林(孝)委員 健全娯楽として大衆に定着しておる、その底辺は、主催者に対する信用の上に成り立っていると私は考えます。先ほど事件の経緯あるいは処分等の話がございましたが、この信用の上に成り立っているその主催者である中央競馬会の職員の中から、こうした収賄容疑で逮捕され、起訴されるというような事件が発生しているところに問題があると私は指摘するわけです。  そこで、いわゆる両替屋等の暴力団との関係、これに対する中央競馬会の基本的な対応姿勢等に関して、掘り下げた議論もしたいわけでありますけれども、きょうは総論としてお伺いし、指摘するにとどめますが、とりあえずこの事件を踏んまえて、監督、指導の立場にある農林省としてはどのような対策を講じたか、農林省並びにその当事者たる中央競馬会の見解を伺っておきたいと思います。
  141. 大場敏彦

    ○大場政府委員 ただいま御指摘になりましたように、競馬が大衆に広く受け入れられているという根底は、結局はファンの信頼ということであるわけであります。それが崩れるおそれをもたらした先年の事件はまことに残念なことでございますが、それに対しましては、私ども結局はえりを正して綱紀の粛正、厳正と、それから競馬の健全施行というところに問題をしぼって、競馬会自身が対応をしていくというような考え方を持っておりまして、そのためには私ども指導官庁といたしましては、事件直後、これは畜産局長名でありますが通達を出しまして、職員の服務規律の厳正化の問題だとかあるいは投票の払い戻しの業務組織の整備の問題だとかあるいは厩舎管理体制の強化の問題だとか、そういった点に重点を置きまして、厳重に中央競馬会に対して指導をした経緯がございます。  それから、昨年、ことしとかけまして、具体的に申し上げますれば昨年の秋ブロック別に、これは地方競馬の問題でございますが、いろいろ中央競馬会からの地方競馬の主催者に対する対策のヒヤリング、それから指導の実施をいたしましたし、それからことしの四月から五月にかけましても同様重ねて、これも地方競馬でございますが、そういった個別ヒヤリング及び指導の実施をいたしております。  競馬会の方から具体的にとった措置につきましては御答弁があろうかと思いますが、その後たとえば後楽園の窓口の増加をしたとかあるいは場外の締め切りの時間を延長したとかいう形でファンに対するサービスを図るという措置も図っております。それからもちろん、後楽園の中央競馬会の管理施設の中でそういった両替業務が行われることが望ましくないことは当然でございますので、これは事件直後直ちに排除をしたというようなことも競馬会の方から報告を受けております。
  142. 瀬川良一

    ○瀬川参考人 中央競馬会といたしましてとった対策でございますけれども、中央競馬会の役職員におきましていわゆる綱紀の厳正、これについて場苑所長会議あるいは場外所長等も集めまして強く理事長の方から指示いたしまして、この綱紀厳正につきまして指導を強化いたしました。  なお、両替行為につきましては、これ自体は違法であるというふうには考えておりませんけれども、しかしこれが暴力団の資金源になる、こういう場合が多々あるかと思いまして、こういうものに便宜供与を与えますといわゆる社会的な問題となりますので、競馬会といたしましてはいわゆる両替屋が施設の中でこの種の業務を行うということにつきましては、警察の御協力もいただきまして管理外に直ちに排除いたしました次第でございます。  なお、両替屋がおりましたのは後楽園と浅草場外でございまして、その他の場外は施設内にそういうものは全然おりませんでした。後楽園につきましてはいま申し上げたとおり、浅草につきましてもいわゆる施設内からは直ちに外へ排除したということでございます。  なお、競馬会の休みの日でございます火曜日は払い戻しの休日にしてございます。なお、年末年始というのもございますけれども、普通火曜日が払い戻しの休日、この休日にファンが来て、競馬会の施設が休んでおるということで両替屋を利用する、あるいはまた払い戻しの窓口が非常に込んでおる、待ち時間がもったいないというようなことで両替屋を利用する。混雑しておるために待ち時間が惜しい、両替屋で両替をして帰るというのが大部分じゃないか、そういうふうにわれわれ考えましたので、直ちに払い戻しの窓口を約倍広げまして、払い戻しの時間、できるだけ速やかに払い戻しできるようにそういう措置をとりました次第でございます。  なお、従来払い戻しの時間を競馬終了後三十分で切り上げておったのでございますけれども、こういう事件でございました直後さらに三十分延ばしまして、現在は最終競走の終了後一時間払い戻しをやっております。こういうのが競馬会としてとった措置でございます。
  143. 林孝矩

    ○林(孝)委員 二点伺います。  一点は、場外馬券売り場の占める比重がどういう状態になっておるか。  二点は、場外馬券売り場の混雑、周辺環境汚染の心配、こういうものがどのような形で処理されておるか。この二点について……。
  144. 瀬川良一

    ○瀬川参考人 ただいまの御質問についてお答えいたします。  現在、中央競馬会の場外発売所は、関東におきまして九カ所、関西におきましては、中京地区を入れまして五カ所、合わせまして十四カ所で業務を行っておるわけでございます。  発売所の昨年の状況でございますが、関東におきましては、最大の施設を持っております後楽園場外では、これは土曜、日曜一日平均でございますけれども、来場するファンは約八万名ほどでございます。一番少ないのは、銀座におきますサービスセンターでございますが、これはごく小さい場外施設でございますが、ここには一日大体六百人程度参っております。来場者は場外発売が始まる九時ごろから大体レース終了の前ぐらいまでに来場するわけでございますけれども、ピーク時といいますと、大体午前十一時ごろから午後二時ごろまでになっております。関西におきましては、大阪におきましては梅田と難波がございますけれども、梅田が最高一日大体五万人程度、それから神戸が、小さいのでございますけれども、これは大体二万人程度ファンが来場しておるわけであります。各場外発売所とも窓口に比べましてファンの来場が多いというようなことで、館内は相当な混雑をいたしておるわけでございます。  一カ所に大ぜいのファンが集まると当然そこに紙くずが散らばる、あるいはたばこの吹いがらが散乱するというようなことが出るわけでございますけれども、これらもわれわれといたしまして清掃員を多数配置し、あるいはまた相当広範囲に配置をいたしまして、できるだけそういうごみの散乱を防いでおります。  さらに、マイカーで来場するファンもあるわけでございますけれども、これらにつきましては、関係方面の御協力によりまして、本会でももちろん警備員を巡回させる、あるいは立哨させまして、厳重に監視をさせておる。ごみ等につきましての苦情はいまのところ周辺住民からはほとんどございません。  以上のような状況でございます。
  145. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それから場外馬券売り場の増設について、中央競馬会においてはどのように考えられておるか、これは長沼答申との関連でお答え願いたいと思います。
  146. 瀬川良一

    ○瀬川参考人 今後の場外発売所の対策をどう考えておるかという御質問でございますが、ただいま申し上げましたように、現在の場外発売所は大変混雑をしておるということは事実でございます。本会といたしましては、ただいまも申し上げましたように、この混雑が住民に悪い影響を与えないように、ごみの問題あるいは車の問題等に対していろいろ対処しておるわけでございます。これはいま申し上げましたとおりでございます。  そこで、このままではこれから増加していくファンになかなか対処しがたいということで、いままで既設の場外の増設あるいは近くに分館をつくるというようなことをいたしまして、収容力の増加を図ってまいったわけであります。さらに、従来発売につきましては手売りであったのでございますけれども、これも四、五年前から逐次機械化にいたしまして、できるだけ滞留時間を短くしてファンに便宜を与えるというように、機械化も競馬場、場外とも大方完成いたしました。  さらに今後の対策でございますけれども、電話投票によって投票券を購入するという制度も現在試験的に行っておりますけれども、本年の秋から一般公募をいたしまして、逐年拡大してまいりたい。ただ、こういうようなことをいたしましても、やはり今後ふえるであろうと思われるファンにはなかなか対処しにくいということもございますので、こういう混雑の緩和を図るためにやはり新しい場外の増設を検討してまいらなければならぬというふうに考えております。
  147. 林孝矩

    ○林(孝)委員 畜産局長に同じ質問についてお答え願いたいと思います。
  148. 大場敏彦

    ○大場政府委員 昭和三十六年七月でございますが、公営競技調査会の答申がございました。これは先ほど先生が御指摘になりました長沼答申でございます。それによりますと、「馬券、車券等の場外売り場については、現在のものを増加しないことを原則とし、設備及び販売方法の改善に努力する。」こういった内容になっているわけであります。  これと今後の場外馬券売り場の増設の取り扱いという関係がどうかということでございますが、いま読み上げましたように、場外売り場につきましては、現在のものを増加しないことを原則とするという長沼答申でございますので、事情によっては場外売り場の増設も図り得るというふうに私どもは考えております。率直に申し上げまして、三十六年当時と現在とではかなり競馬をめぐるいろいろの社会的な情勢、それから競馬自身の規模も変わってきておりますし、現在の競馬場、場外売り場そのものが非常に過密な状態になって、あるいは事故の発生すら危惧されているところもあるわけでありますから、場外馬券の発売所の増設は絶対ないということにわれわれは理解する必要はない、こういうふうに考えております。  ただ、具体的にいかなる場合にどのような設備を増設するかということにつきましては、個々の場外売り場についての設置の必要性の問題だとか受け入れ体制とか、いろいろむずかしい問題がございますから、そういうものをよくにらみ合わせて慎重に律していきたいと思っているわけであります。
  149. 林孝矩

    ○林(孝)委員 中央競馬会にお伺いしますが、場外馬券売り場の設置の短期及び中、長期計画、こういうものをお持ちになっておるかどうか、この点についていかがですか。
  150. 瀬川良一

    ○瀬川参考人 先ほども申しましたとおり、ファンは年々増加しておるわけでございます。この施設がいわゆるファンとの比率から少ないというようなこともありまして、言いますと私設馬券屋、いわゆる俗称のみ屋と称しておりますけれども、これが相当はびこっておる。これがまた暴力団の資金源につながるというような、いわゆる社会的には非常に大きな問題もあるわけでございます。そういうことでございまして、総論的には農林省の御指導も得まして場外を増設していきたい、それがひいては国の利益にもつながることであろうというふうに考えております。実際にどこの地域にどういうものをつくるかということにつきましては、いまのところある程度の服案は持っておりますけれども、やはりいろいろな条件が適合しませんとなかなかうまくまいりませんので、その地域地域の諸条件あるいはまた個々についての具体的環境、そういうこともいろいろございますので、そういう点を十分考慮いたしましてやってまいりたい、こういうふうに考えております。
  151. 林孝矩

    ○林(孝)委員 先ほども話がありましたように、大衆娯楽として定着をしている反面、やはり批判もあることも事実です。四十年を起点にしますと、競馬が著しい発展をし始めてから十年の歴史が流れているわけです。その中で私が申し上げたいことは、これは中央競馬会に申し上げたいわけですが、定着するという背景に一つ欠けておることがあるのは、先ほど信頼ということを私申し上げましたけれども、いわゆる日本の経済の高度成長の中にあって、一つのレジャーとして潤沢な資金源を背景にして競馬が繁栄したということもあるわけですね。そうしますと、中央競馬会としての主体的な運営また判断というものは、この間において当然なされてなければならなかった部分があると思うのです。もちろん農林省の所管になりますけれども、いま中、長期あるいは短期の計画をお持ちであるかどうかということを伺ったのは、一つは、そうした計画を当然持つべき立場にあるのが中央競馬会じゃないか。いまお話のあったのですが、どこにどういうものをつくるかということではなしに、そういうことを発表することがいろいろな面に影響を与えるということであるならば、そうしたことではなしに、中央競馬会として当面こういう方向で考えておる、しかし将来においてはこうでなければならない、これが、大衆娯楽の定着化というものを中央競馬会の努力によって——大衆の資金力によって、あるいはファンの意識によって盛り上がるという、単なるそうした意味ではなしに、中央競馬会の努力によって問題を起こさないように、さらに運営等においても、あるいは、これは運営の中に入りますけれども、人員の配置であるとか設備であるとかあるいは組織、機構等においても、この十年の間に当然考えられなきゃならないことがなされてなかったという一つの問題があるわけです。こういうことが、冒頭に申し上げました収賄、贈賄等の問題となって起こっておる。これはやはり今日までの中央競馬会独自の運営の仕方のあいまいさ、あるいはそうした雰囲気というか、世情に流された運営の仕方、努力のなさというものがそこにあると私は思う。このことを指摘をせざるを得ないわけです。まして中央競馬会は全額政府出資の特殊法人であるわけでしょう。そうしますと、当然のこととしてそうしたことがなされて競馬会の存在も認められることになると思うのです。この点について、参考人はどのように受けとめられるおつもりか、お答え願いたいと思います。
  152. 瀬川良一

    ○瀬川参考人 ただいま大変ありがたいお言葉をちょうだいいたしたわけでございますが、先生おっしゃっておる趣旨、まことにもっともと思います。われわれといたしましては、その趣旨を踏まえまして大いに努力してまいりたいと思います。
  153. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それから、確認をしておきたいわけですけれども、中央競馬会が場外馬券売り場を設置する場合に、地方競馬会側からアクションが起こるのか、あるいは設置する場所の地域からアクションが起こるのか。これはどちらの方が筋論としては適切なのか。  この点だけお伺いして中央競馬会の問題は終わりたいと思います。
  154. 瀬川良一

    ○瀬川参考人 ただいまの御質問でございますけれども、現在十四カ所場外発売所があるうち競馬会で持っておる施設は二カ所でございまして、横浜と渋谷だけでございます。あとはいわゆる施設業者が提供したものを借りておるということでございます。まあみずから行わなければならぬという場合もあるかと思いますけれども、設置するための経費と申しますか、こういう点を考えますと、やはり施設提供者がいまして、その提供者から借りるということが現在の段階では適当ではないか、将来また変わってくると思いますけれども、現在の段階では、施設提供者からどうかというお話も相当数ございますので、いまのところはそのように考えております。それで、環境等十分配慮いたしまして、ここならやれるかなというところをなにしまして、それ以後話を進めていくというふうにしてまいっておりますし、ここのところはそういうような形で進むべきじゃないかと考えております。
  155. 片岡清一

    ○片岡委員長代理 参考人には、本日御出席をいただきましてありがとうございました。林孝矩君。
  156. 林孝矩

    ○林(孝)委員 次に、施設園芸用ビニール及びプラスチックの処理問題についてお伺いをします。  これは最近全国の農家にあっては重大問題であるということで騒がれてきたわけでありますけれども農業技術の発展によってビニールハウスあるいはトンネル栽培等による施設園芸が年々盛んになってきた。現在ではほとんどの園芸作物にこの方式が栽培農家の中で実施されておるわけでありますが、このハウスやトンネル栽培には多量のビニールまたポリエチレン等が使用されるわけです。これは通常一年くらいで使用不能になって、この廃棄物を処理しなければならないということになるわけです。この種の廃棄物は燃やしますと人体にきわめて有害な塩素ガスを発生する、比重の関係から地上に残存して公害源となる、こういう問題があります。かといってそのままの形で残すということも保管の問題がありましてなかなかできない。また、土に埋めても分解することはほとんどないというわけで、農家においては大なり小なり頭を悩ましている問題なのであります。特に、例のオイルショック以降この問題が顕在化しておりまして、この問題の対策というものが非常に大きな比重を占めてきているわけです。  この問題の一つ対策以前の認識として申し上げますけれども、これらの農家の排出するビニールが、いわゆる廃棄物の処理及び清掃に関する法律というのがあるわけですけれども、その廃棄物の処理及び清掃に関する法律でいうところの「産業廃棄物」に当たるものかどうか。また、そうであるのであれば、当然これに違反して処分した者はその罰則の適用を受けることになるわけですけれども、そうなるのかどうかということを、これは厚生省から最初に答弁をしていただきたいと思います。
  157. 森下忠幸

    森下説明員 お答えいたします。  廃棄物処理法では、事業活動に伴って生じましたいろいろな廃棄物のうち、法律あるいは政令で特定いたします十九種類のものがございまして、たとえば廃油、潤滑油の古くなったようなものとか廃酸、硫酸の古くなったようなものとか廃プラスチック、こういうものが挙がっております。お尋ねのビニールでございますけれども事業活動に伴って生じたプラスチック系の廃棄物でありますので、廃棄物処理法上の廃プラスチック類に該当するわけでございます。  なお、事業活動の範囲でございますけれども、廃棄物処理法が四十五年のいわゆる公害国会において改正されまして、そのときに事業活動の範囲につきまして、共通の概念として、私企業の生産活動に限らず国、地方公共団体などの公共サービスとか公共事業、こういうものも含むとなっておりますので、施設園芸などを行っております農家事業者として扱われることになっております。  それから、農家の方がこういうものを不適正な処分をしたときにどうなるかということでございますが、たとえば河川とか公共の水域にこういったビニール類を不法投棄いたしますと、現行法令上直罰がかかることになっております。それから、御自分の処分地の中で適正でない処分、法令で定められましたやり方、いろいろあるわけですけれども、そういう処分に合わないという場合には都道府県知事、あるいは全国にちょうど三十ほど保健所を持っている政令市がありますけれども、ここの市長が改善命令をかける。その改善命令に従わなかった場合に罰則を受ける。繰り返しますが、河川等に不法にぽいとほうり投げますと、直罰。それから、処分地で処理基準に合わない処分をいたしました場合には、処分の改善命令がかかりまして、それに違反した場合には罰則、こういう形になっております。
  158. 林孝矩

    ○林(孝)委員 ただいま説明のありましたように、農家が直接その適用を受けるということであります。農家がそうした適用を受けるということになりますと、これはもう全国的な問題でありますが、その是非の問題については別の機会に譲ることとして、一応農家事業者であるという前提の上に立って考えれば、自分で出した廃棄物は当然自分の責任においてこれを処分しなければならない、こういうことになるわけです。国や自治体に責任はないということにその場合はなるわけですけれども、この点について農林省ではどのように認識されておるか、伺いたいと思うのです。
  159. 森宏太郎

    ○森(宏)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生が御指摘のように、施設園芸用の廃プラスチックの処理につきましては、事業者であります施設園芸の農家個々が責任は持つわけでございますけれども、ただ、日本の施設園芸の実態から申しまして、非常に経営規模が零細でございますし、またそれに伴いまして、個々の施設園芸農家の自主的な処理に任すということにつきましては、やはりこの問題の解決をおくらせるという可能性もございますわけで、かような観点に立ちまして、いま先生の御指摘のように、市町村なりあるいは農業協同組合等の生産団体につきましても、これは廃棄物処理法上の責任はございませんけれども、やはりこの施設園芸の健全な発展なりあるいは環境の保全という観点から、市町村なり生産者団体の方で施設園芸農家を指導しあるいは援助し、協力するという体制が必要であろうか、かように思っている次第でございます。
  160. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それでは、国及び地方自治体それから農協、この施設園芸用ビニールの廃棄問題に対してどのような現状にあるか、把握されておりましたら伺いたいと思います。
  161. 森宏太郎

    ○森(宏)政府委員 農業用の廃プラスチックの排出が年々非常にふえてまいっておりますが、現在年間約十万トンの——これは廃塩化ビニールフィルム並びに廃ポリエチレンフィルムが主体でございますけれども、十万トンもの物が出ております。そのうち特に野菜関係が非常に多いわけでございまして、約八万トンの廃プラスチックが出ておるわけでございますが、これの処理問題が施設園芸の健全な発展のためにも、また環境保全を十全に図るという観点から言いましても、非常に重要な問題、あるいは単に一地方なり一県の問題でなしに、全国的な視野に立って取り上げなければならない問題というふうに認識をしてまいっている次第でございます。こういうような観点に立ちまして、農林省といたしましては四十七年から園芸用廃プラスチック処理施設設置事業という事業を新たに補助事業として設けまして、これは四十七、四十八、二カ年間で四千五百五十万ほどの国費を補助金として出しておる次第でございますが、そういう事業を行いますとともに、従来からやっております広域営農団地総合施設整備事業の中で、この廃ビニール、廃プラスチックの処理施設——再生加工関係でございますが、それに対して助成を、四十七年、四十八年行っております。これは約二億七千三百万円の国庫経費を計上いたしている次第でございます。  それらの事業によりまして、廃プラスチックの適正な処理を促進するということを行っておるわけでございますが、さらに指導の徹底を期する意味におきまして、本年三月十六日に「農業用廃プラスチックの適正処理体制の強化について」という事務次官通達を出しまして、この中で廃プラスチックの問題に関しまして指導体制整備強化あるいは適正処理推進の啓蒙指導、さらには、すでに先ほど申しました補助事業によって設けられた処理施設の効率化等につきまして、都道府県を指導する事務次官通達を出したところでございまして、現在関係県におきましてはこの通達に従いまして鋭意この問題についての取り組みを行っているところでございます。
  162. 林孝矩

    ○林(孝)委員 いまその廃プラスチック処理施設の設置状況それから稼働状況に少し触れられた話がありましたけれども、いわゆる効果の面は、私は心配しておりますけれども事業を廃止した、事業中止というところも出てきておる。非常にいわゆる効果の面での弱さがあらわれておるわけです。と同時にその施設園芸の行われている各県にそうした行政指導あるいは援助等が積極的に行われているかと言いますと、まだまだ貧弱な状態もあります。私のいる奈良県なんかにおいては、ほとんどそれは行われておりません。そうしたことで、非常にいま全国の農民の中での問題として起こってきておるわけです。廃棄物の処理及び清掃に関する法律の第十一条に、「都道府県知事は、当該都道府県の区域内の産業廃棄物の適正な処理を図るため、産業廃棄物に関する処理計画を定めなければならない。」このことについても実行されているというところは非常に少ないということもありますし、またいま国会で審議されておりますところの廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律案、この中でも、改正案の要綱四の「記帳義務」というのがありまして、農家事業者であり、そこから出る塩化ビニールが産業廃棄物であれば、今回の改正によって農家も記帳義務を生じるという形になるかと思うのですが、その点はどうかという点についてお伺いしたい。  それからもう一点は、やはりその改正案の第十  一条の処理計画として、いま読み上げた第十一条の問題、このことについて実際各県で確実にやっているのかどうか、この点について伺っておきたいと思います。
  163. 森下忠幸

    森下説明員 お答えいたします。  改正法案によりますと、事業者はその適正な産業廃棄物処理のために産業廃棄物に関しまして帳簿をつける、つけたものを保存するというふうなことが新たに義務づけられるわけでございますが、これは、今回事業者に対しまして新たな義務が生じるということでございますので、特に排出量も少ないところとかあるいは出します廃棄物が環境上特に問題とならないというふうなものにつきましては、政令で定めるところによりまして義務を免除するということになっております。どういう範囲の事業者をこれから除外するかということにつきましては、今後検討いたしますわけでございますけれども、たとえばサービス業など、こういうものは非常に産業廃棄物を出す可能性が少ないわけで、こういうものは業種として除くということも考えられますほか、それぞれの業種ごとに小規模なものにつきましては適用を除外するという方向で考えてまいるわけでございます。ただし、メッキ汚泥のような有害産業廃棄物を出す場合には、小規模でありましても帳簿をつける、これを保存するというふうなことは義務として課すわけでございます。御指摘農業者に対しましては、現在私ども実態調査しておりますので、その結果をまちまして御趣旨に沿うように政令の段階で検討いたしたいと思います。  それから二番目のお尋ね産業廃棄物処理計画でございますが、これは都道府県知事がその区域内の産業廃棄物の適正な処理を行わせるために計画をつくるわけでございます。昭和五十一年の五月現在で四十七都道府県のうち三十六都道府県が計画をつくっておりますが、その計画は具体性に乏しいものも多いわけでございまして、今後これをより具体的な計画にするように計画の見直し等につきましてガイドラインをつくって県に示し、指導するということも考えております。それから、そのほか県独自の構想といたしまして、県が直接あるいは一部資金を出して広域処理のための事業体をつくっておるというところも十二ほど現在あります。そのほかにあと十ほど計画が出てきておりますので、こういった具体的な受け皿としての処理体系の整備とあわせまして十一条の処理計画そのものを具体化していくように指導してまいりたいと考えております。
  164. 林孝矩

    ○林(孝)委員 農林省に伺いますが、いまの御説明のように義務づけがさらに改正されて多くなった。ところが事業者である農民は個人であったりあるいは農協を結成しておる組合員であっても、まだそこまで農協が働いておらないという場合に、これから農林省として、この問題はあくまでも事業者である農民の一個人の問題として考えていかれるのか、あるいはこの問題の解決のために農林省が農協あるいは地方自治体に対して行政的な指導あるいは財政的な援助、そうしたものを積極的にやっていかれるのか、お伺いしたいと思います。
  165. 森宏太郎

    ○森(宏)政府委員 先ほどもお答えを申し上げましたけれども、国といたしましては四十七年度以降補助事業を組みまして、この問題についての処理に当たってきたところでございますけれども先ほど先生御指摘のとおり、実は四十七、四十八年度の二カ年の補助事業で設けました処理施設の稼働状況が必ずしも当初の予定どおりに動いていないわけでございます。それにつきましてはいろいろな問題はございますけれども、二カ年間の実績にかんがみまして、このままの形で継続することが必ずしも適当でないということで、四十九年度をもちましてこの事業は一応打ち切っておるわけでございまして、今後あるいは現在時点でこのハイプラスチック問題について農林省といたしましては、先生の御指摘のように施設園芸農家の立場を十分考慮いたしました、あるいはその責任を十分勘案いたしましたきめ細かな指導を行っていかなければならぬことが一つと、それから、せっかく設けました四十七、四十八年度二カ年にわたりまして設置いたしました処理施設の適正な運営につきまして、一層関係者に努力をしていただくための指導、これが必要であろうという観点に立ちまして、先ほども申し上げました三月十六日の次官通達の中におきまして、そういう関係者をもって構成をいたしました適正処理のための協議機関、協議会を設置をいたしまして、関係者打って一丸となってこの問題の前向きの進展のための方策を検討していただく、そういう基本的な姿勢で現在指導している次第でございます。
  166. 林孝矩

    ○林(孝)委員 財政的な面あるいは行政的な面での積極的な取り組みを要望しておきます。  最後にイチゴの病気対策についてお伺いしますが、昭和四十九年を前後して萎黄病が流行してイチゴに非常に重大な影響を与えました。このことについて数点質問を申し上げて時間がありませんので終わりますけれども、第一点は、たとえば無病苗の育成、その育成をやっている地域のその後の経過についてお伺いしたい。それから最近、また新しい病気として急性萎凋症というような病気が流行し始めておる。こういう病気に対する対策がどうなっておるかという点が第二点。それから第三点は、いわゆる土をよくするということに対する農林省考え方、水も関係しますけれども、いわゆる土から病気が入っていくあるいは水から入っていくということが考えられますので、それに対する農林省対策、こうしたことは一体どうなっておるか、土つくり運動等もございますけれども、その点、この三点についてお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  167. 森宏太郎

    ○森(宏)政府委員 私、所管をいたしております食品流通局関係事項につきましてお答え申し上げます。  イチゴにつきましては、先生の御指摘のとおり、四十三年ごろから萎黄病という糸状菌、カビの一種のようでございますけれども、それに基づく病気が発生をしてまいっておりまして、イチゴの主産県のみならず全国的に広がりつつある状態でございます。そのような状態にかんがみまして、特に主産県の被害が著しいわけでございまして、四十九年の数字で申し上げますと、五百四十八ヘクタールの被害が主要五県の主産県で発生しております。栽培面積に占める比率といたしましては一三・六%というふうな数字になっております。  このような状況にかんがみまして、農林省といたしましては、ただいま先生からお話がございましたように、無病の健全な苗を育てるという対策を四十九年度から野菜の無病苗育成事業という形の補助事業といたしまして、四十九−五十年の二年間で約一億二千万の助成をいたしまして、毎年三つの県、合計六つの主要イチゴ生産県について行ったところでございます。この中身は、一つは県の試験場などに対します原々種苗の生産施設、それの助成、補助でございますが、それと生産団体に対します原々種苗の増殖施設の補助でございます。それらを合わせまして、いま申しましたように、二年間で一億二千万ほどの助成をしております。  なお、五十一年度につきましても、やはり六千万余りの予算を計上いたしておるわけでございます。  それから、それに加えまして、やはりこの病気の発生はいろいろな原因がございますけれども、日照不足でありますとかあるいは湿度が高いというようなものが原因の一つになっておるわけでございますし、また土壌の中にあります病原菌が大きな原因でございますので、それら土壌の消毒のための技術の徹底あるいは健苗の使用を奨励するというような形の技術指導、これもあわせて行っているところでございます。  なお、県独自におかれましても、主要県ではこの対策を講じておられまして、それらの特にこの萎黄病の対策に熱心な県におかれましては、発生が多少下回っているような数字の報告を受けております。
  168. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 お尋ねの中に私の方の所掌の関係も入っておるようでございますから、その点についてお答えをいたします。  先生お尋ねのイチゴの急性萎凋症でございますが、これは最近奈良県のほかに愛媛であるとか福岡であるとか長崎であるとか、イチゴの促成栽培地において、一−三月の低温期に根の黒変を伴う萎凋症が発生しておるということでございまして、これは従来の、いままで知られておるイチゴの病変とはちょっと違ったものではないかというふうに考えられるわけでございますから、国の試験場でございます野菜試験場の久留米支場であるとか、あるいは奈良県の試験場、愛媛県の試験場、福岡、長崎の試験場、こういう県の試験場、そういうものの協力を得て原因の究明に当たっておりますし、また、防除対策をどのような形にしたらいいかというようなことを原因の究明を通じて考えていくということを、目下鋭意やっておるところでございます。  それから、先ほどお尋ねの土の件でございますが、私ども仕事との関係におきまして申しますと、土壌に有機質がなくなるということで、土壌に団粒性が少なくなるというようなことから、水分の保持力であるとかあるいは栄養分の保持力であるとか、そういうようなものが乏しくなる、あるいは耕しにくくなるというような性質が出てくるというようなこともございますし、また微量要素の欠乏も起こるというようなこともあろうというような形のことが私どもの試験研究の成果からも得られておるわけでございまして、そういう意味からも土づくりということが必要であろうということでございまして、試験研究の方途といたしましても、畑作においては、コンバインを使用した場合のわら稈類の土への施用と、その際の地力なりあるいは微生物に対する影響であるとか、あるいは畜産廃棄物の土壌還元の方途なり、そういうような形のものを鋭意研究いたしておるところでございます。
  169. 林孝矩

    ○林(孝)委員 終わります。
  170. 片岡清一

    ○片岡委員長代理 次は、米内山義一郎君。
  171. 米内山義一郎

    ○米内山委員 防衛庁の方からお尋ねしたいと思います。     〔片岡委員長代理退席、委員長着席〕  まず、むつ小川原開発に関係することですが、あの開発区域の非常に重要な場所に三沢の対地射爆場がある。同時に、掘り込み港湾の予定地にすぐくっついた北側には高射砲の射撃演習場がある。二つの重要な防衛施設が現在あるわけです。おととしの予算委員会の分科会で、防衛庁長官にこの問題について将来どういうふうに処理するか、こう質問しましたが、この問題はなかなかむずかしい、行ってくれというところはあっても、来てくれという場所はないものだ、まあ、ピッチャーがいてもキャッチャーのいない野球のようなものだ、こういうふうな答弁を聞いたことがありますが、それからまる二年たっております。しかも、この開発計画というものは、当初石油精製二百万バレル、つまり世界にないわけです。日本の石油精製設備は現在で六百万バレルぐらいでありましょう。それのおよそ三分の一という大規模な、さらに石油価格におきましては、エチレン換算で年四百万、わが国の現在の総生産設備というものは二百万トン内外だと思いますが、その上に膨大な世界最大の火力発電所を立地する。これを開発計画の第一次基本計画の内容として、五千五百ヘクタールの地域を開発区域としている。ところが、今日、経済情勢の変化によるものか何か知りませんが、第二次計画というものはおよそ四分の一ないし五分の一に縮小されている。だが、この開発区域の五千五百ヘクタールの線引きには変更がない。しかもその中には重要な防衛施設があって、現存して、しかも三沢の射爆場のごときは、単に自衛隊法によるものじゃなくて、安保条約に基づく在日米軍の地位協定に対する国際条約にも関連するものですから、その機能、施設から見てもきわめて移転困難なものだ。廃止は不可能に近いものじゃないかと思う。計画が縮小しても、今日依然としてその部分の二、三百ヘクタールのものは区域からはずされないということに、私は非常な不信を持っているわけです。何ゆえにこういうばかげたことがやられているのか、こういうことに疑問を持ちますので、防衛庁としてはこの二つの防衛施設の移転について具体的に検討されているかどうかということです。  それから、開発を推進している政府内部の調整の問題、さらに地元青森県との間にどういうふうな折衝が現在まで行われておったかということをまずお尋ねしたいと思う。
  172. 三条俊郎

    ○三条説明員 むつ小川原開発計画につきましては、防衛庁といたしましては、十分御協力申し上げる考えであることは従前と変わりはございません。第二次基本計画につきましては、本年一月二十二日、防衛庁において青森県側から計画の概要を聴取いたしまして、さらに三月二十九日には関係省庁の担当者会議意見の交換をしたところでございます。  第二次基本計画によりますると、計画区域内に所在する防衛施設、すなわち六カ所対空射場及び三沢対地射爆撃場につきましては、防衛機能を阻害することのないよう、また県の計画遂行に支障のないよう地元と調整しつつその解決を図ることとされておりますので、当庁といたしましてもこの趣旨に沿って、関係機関の間で相互に十分納得のいく調整が図られるものと期待しておるところでございます。
  173. 米内山義一郎

    ○米内山委員 これはあなたでは答弁がきわめて困難な問題だと思うが、青森県に協力するという御趣旨はわからないわけでもないが、この問題がそんな程度のもので答弁になっているかどうかということを問題にしなければいかぬと思う。われわれはだてや冗談でこういう質問をしているのじゃないのです。一体これでいいというなら、これが防衛能力に支障のない限り協力したいと言うが、そうすると防衛能力というものとあの機能がどういう関係があるかというところまで議論しなければいかぬ。いずれこれは場所を改めて大臣か防衛施設庁長官から詳しく聞きますが、そうすると、いまの段階で移転する考えもあるということですか、しない考えもあるということですか。この点だけ明確にしてください。
  174. 小谷久

    ○小谷説明員 お答え申し上げます。  十分代替する機能が得られるような場合には移転することも考えております。それから、移転しないで両立し得る場合も、地元との計画のすり合わせによってはあり得るかとも考えております。
  175. 米内山義一郎

    ○米内山委員 きわめて功妙なような、きわめて愚劣な答弁だと考えます。  防衛施設に影響を及ぼさないということは、演習をやるということですか、やらないということですか。それとも適当な場所に代替地があればということですか。実際軍事上の問題なのですから、毎日兵隊が演習しているのですよ。どんな高い大砲を買ったって兵隊が熟練しなければ空鉄砲になるでしょう。これはあなた、飛行機乗りが政治と癒着していいかげんな根拠で飛行機を買うのよりももっと兵隊が怒る性質のものなんだ。この点についてどう思います。
  176. 小谷久

    ○小谷説明員 まだ具体的な移転先の検討に入っておりませんので、また、果たしてその適切な移転先が得られるかどうかにつきましてはなかなか困難な問題があるかと思いますけれども、従来と同等以上の演習が行える場所であるということが確認されれば、当然移転の問題は具体化し得ると思っております。
  177. 米内山義一郎

    ○米内山委員 それならそうと最初から言えばいいんですよ。具体的な検討に入っておりませんと言えば、それでわかるのだ。まあいいや、それでたくさんだ。  じゃあ建設省いらっしゃいますか、河川局。むつ小川原開発というものは、安い広い土地、それから豊富にとれる水、しかもこの会社の企業目論見書を見ると百万トンないし二百万トンの工業用水がとれる、こういう前提に立っているわけです。そこで、この河川が開発を前提として一級河川になったのは近ごろなわけです。したがって、これは建設省直轄河川になっております。建設省は、この開発を踏まえながら、この河川をいろいろな河川法に明示された法律の命ずるところによって管理しなければならぬ。その原則は第一は治水、しかる上に利水、さらに河川の維持という三原則があるわけです。国の直轄河川になってから日も浅いから、まだ私は完全な調査もなかろうと思うし、したがって計画もあり得るはずがないと思う。あったとしても構想という段階じゃなかろうかと実は時間的に思っておりますが、かなり急がれているわけです。この問題が決まらないと肝心かなめのむつ小川原開発会社が破算、倒産する可能性もあるわけだから、急がれているだろうと思う。  そこで、まず第一に、治水計画ができているか。そうして治水計画を立てるためにはいろいろな調査が必要です、これは自然の問題ですから。そういう基本的な問題等の調査が完了しているのか。そうして治水計画の段階に入っているのかということをまず最初にお尋ねしたいと思います。
  178. 栂野康行

    ○栂野説明員 お答えいたします。  高瀬川の治水と言いますと、やはりむつ小川原湖周辺の洪水はんらんというのを防ぐのが第一義でございます。したがいまして、その湖に入ってくる流量を早く海に吐くということで、湖から下流の流下疎通能力をまずふやすということで、現在計画並びに調査を進めておる次第でございます。と同時に、いわゆる河口ぜきの建設、あるいは湖周辺の湖岸堤をどういうふうにつくるべきであろうかということを現在鋭意検討しておる段階でございます。  以上でございます。
  179. 米内山義一郎

    ○米内山委員 開発を急ぐの余り、こういう治水計画を無視したような水の利用計画を立てるということは、これはきわめて危険な問題だ。そこで、私は承っておくが、これもやはりおととしの予算委員会の分科会の当初ですが、仙台建設局がこの湖からは百二十万トンの工業用水がとれる可能性がある、こういうことが発表されたのをぼくは新聞で見たのです。そうしてその当時建設省に質問通告をしましたところ、あなたのような方だったと思うが、建設省で河川管理のかなりな権威者の方、琵琶湖の水資源開発の計画を立てたという大変高級な技術者の権威者が見えまして、そんなことはございません、まだそういうことを発表できる段階ではございませんとこう言うから、私はそのとき質問をやめておるわけですが、大体そういう調査について開発を非常に急ぐの余りお粗末をやっちゃ困るということです。たとえば私はこの湖の漁業組合長を戦後二十何年やって、いま代議士をやっておりますから平理事でおります。昨年の十月に、この開発騒ぎが起きてから五年ぶりかに、青森県の開発室が初めて正式に小川原湖の今後の水利用の問題について説明をし、同意を得たいということで来たのです。私はそのときに、一体何億トン水が入る。およそ九億トン、その放水量は幾らか。そうして降水量のうち蒸発量、あるいは季節的に浸透もあるし、どの率で湖に流下して資源として使えるか、九億トン、そうしたら千六百七十ミリの降水量だ、こう言うのですよ。皆さんも御承知でしょう、全国の各府県の雨量統計というものは四十年刻みで出ています。青森県の平均雨量は幾らかくらいは御存じのはずです。しかも青森県の中で奥羽山脈を背にして、日本海側とわれわれの小川原の東側では降雪量の差だけでも二百ミリは不足なんです。千六百七十ミリというと日本の豪雨地帯になるわけです。一体これはだれがどこで調査したのだ、これは建設省の調査だと言うのですよ。建設省にそういう調査があるとしたら、間違ったのでもいいですから、いついつのどこの資料にそういうものがあると言ってください、ないならないと言ってください。
  180. 栂野康行

    ○栂野説明員 お答えいたします。  高瀬川流域の中と近くの雨量観測所、現在八カ所ございます。それはいずれも気象庁の所管になっておる観測所でございまして、青森県におきましてもまた建設省でも使えるという資料でございます。  それで、降雨資料から高瀬川流域の平均降雨量を換算してみますと、平均の年間雨量は、十カ年の平均でございますけれども、千四百ミリという結果が出てございます。  先ほど先生おっしゃいました千六百七十ミリという数字でございますけれども、これは流域内の七戸川、その流域内に三カ所の雨量観測所がございまして、七戸川流域でいきますと平均の年間降雨量が千六百七十ミリということでございます。
  181. 米内山義一郎

    ○米内山委員 それは七戸川という川は非常に短い川でして、上流は山岳部になっている、豪雪地帯ですよ。そこにはロボットの雨量計もありますから、これはあるいはうそじゃないかもしれない。しかし、地形から見てあの流域というものは七千町歩近い湖を加えて八万ヘクタール弱なんです。そうしてそのうち太平洋岸の部分というものは県下でも雨量の少ないところです。どう計算しても、そういうことにはならぬ。多い部分をとればそうなるかもしれぬということなんですね。だから、この計算が誤っておると、すべてが誤ると思うのです。それからあの辺の面積に対するいわゆる開田率と申しますか、たんぼというものは、水も不足なときにものすごい蒸発力を持つものでしょう。湖面からも蒸発する。こういうことを計算すると、私はいろいろな専門家からも聞き、専門書も読みながらやると、大変な危険がある。そんな百万トン、二百万トンなんというものはとれるかということです。  そこで、技術的な問題として聞いておきたいことは、あの地域では降水量の何%が流量として行くか。たとえば霞ケ浦の水資源開発の場合は五〇%と押さえております。これをやはり面積に対する水田率などから見ると、向こうの方が水の消費が多いと私は考える、これは霞ケ浦付近も水田が多いが、八万ヘクタールの中のあの地域の水田率というものは。そうして考えてみると、何%くらいの雨量が開発可能の水になるかということを専門的な皆さんの御知見を承りたい。
  182. 栂野康行

    ○栂野説明員 お答えいたします。  霞ケ浦が五〇%流出率という先生のお話でございます。それで高瀬川流域がどの程度の流出率であろうかということでございますけれども、高瀬川流域でいきますと、豪雪といいますか、雪が大分降りますものですから、いわゆる霞ケ浦よりか大分流出率がふえるだろうということは十分想像されます。したがいまして、現在流量資料あるいは雨量資料、そういうものを含めまして鋭意検討中でございます。
  183. 米内山義一郎

    ○米内山委員 その点は了解します。  したがって、こういう開発というものはまず第一に安全性と申しますか、地域の住民に対する福祉の保障というものを前提にしなければできない。したがって、建設省としては今後この調査資料等は当然公開しなければならぬと思うのです。自然現象なんだから、どこから何ぼ金を借りているというようなことじゃないから、どうかこの点だけはひとつ今後住民の要求、住民の要求を代表している国会に対してはすべて隠し立てすることなく、意図的に加工を加えることなく明らかにすることができますか。
  184. 栂野康行

    ○栂野説明員 先生のおっしゃるとおり、資料というものは全然手を加えるべきものでもありませんし、また隠し立てするべきものでもありません。その点につきましては、またいろいろ先生にも資料をお見せいたしたいというふうに考えております。
  185. 米内山義一郎

    ○米内山委員 それは技術官庁としてはきわめて当然のことだと思う。  そこで、河川の問題というと水の量のことを中心に考えるが、質の問題もある。あの湖にはだれが何と言っても、どこの資料が何と言っても、現状では約七億トンを超える貯水量があると思います。平均して一〇〇〇ppmのクロールがある。これはクロール換算で一〇〇〇を下ることはありません。これが防潮水門をつくって淡水化へいくわけだが、北浦の淡水化というものは、淡水化を始めるときに一〇〇ppmしかなかった。それが鹿島に住友金属が立地してもう工業用水の規格まで下がらなかったという事実があるんですよ。一〇〇ppmのが一〇〇〇ppmなんです。しかも、北浦の湖の形状というのは細く長い刺身ざらみたいなものです。小川原湖というのはああいう平野にありながら、ちょうど昔漢方薬を砕いた薬研のような状態にあるから、貯水量に対する河川の注入量が少ないということを言っている。これはなかなか理学的に考えても、工業用水に適応する淡水化というものは私らの後ろにいる学者の研究では五年、七年では可能でないということが言われているが、建設省はこういう工業用水を開発するというなら、そのものの性質と改善の方法をどう研究されていますか。
  186. 栂野康行

    ○栂野説明員 お答えいたします。  小川原湖は汽水湖でございまして、先生おっしゃるとおり塩分濃度が高うございます。したがいまして、あそこに河口ぜきをつくりまして、塩が海から入るのを防ぐ。そうしまして、だんだん淡水化に持ってまいりたいということでございます。それで、現在、その辺は非常にむずかしい問題でございまして、いわゆる水質の問題とあわせまして鋭意現在検討中でございます。
  187. 米内山義一郎

    ○米内山委員 もう一つの問題は河川維持の問題です。私から説明するまでもなく、あれは海に最も近いいわば海跡湖なわけですね。しかも、海との標高差というものはきわめて少ない。東京湾平均潮位とあそこに一番近い鮫、八戸市の平均潮位の差というものはきわめて少ないのですね。そうすると、小川原湖の平均水位というものはいわゆるTPプラス二十センチ前後、こういうことになる。したがって、小川原湖の水というものは上流の降った水よりも潮の干満によって海の影響を受けているんです。だから、塩分が濃いということになるんです。これに平均水位よりも高い水門をつくったとき、海の水は遮断されるだろうが、そこから起きる影響というものを考えてみれば、あの単調な海岸で非常に北東風によって高潮が起きるんです。これまでに、あの七千ヘクタールの湖が周辺の標高低いたんぼを一メーター七十も増水する。そうすると、湖の面積が倍になるのです。私はその地域の土地改良事業をやったんだ。たんぼへ行く道路の上を漁業組合の漁船でエンジンかけて歩くぐらいの状態が出て、それが二週間も減水しないという事態が起きるんです。これが私の知っている——まだ六十七歳にしかならないけれども、忘れることのできないような大被害が三回あるのです。あなた方はこの開発をやるならば——これは新聞記事はありますよ。だが、この災害の原因というものを、河川の工学的な解析をしたあれはないのです。そうして記録もない。大正八年に起きた最大の問題は、もうこれを知っている老人さえないような状態、しかし一番近いのは十四、五年前にあったわけですが、まずこの問題を真っ先に調査して着手してもらいたい。これは強く要望しておくことです。そういうことで、まず建設省としては河川法の三原則に基づいて間違いなくやるということだけ表明してもらえば、私はきょうの質問は打ち切りたいと思います。いかがです。
  188. 栂野康行

    ○栂野説明員 お答えいたします。  河川の本質は、やはり洪水から人命、財産を守るという治水が基本だろうと思います。その調和におきましていかに利水計画を立てていくかということでございまして、先生のおっしゃるとおりそういうことを踏まえまして十分検討してまいりたいと思います。
  189. 米内山義一郎

    ○米内山委員 建設省に対する質問は終わります。  それでは今度農林省。これは主に三月五日の本委員会における私の質問に対して、調査しておりません、調べてお答えしますという御答弁のことだけを、きょうは補足質問といいますか、やります。どだい政府調査なしに答弁するということはおかしい。聞いてから、知らないことはそれはあるだろうが、しかし問題になっている懸案事項についてですからね。  まず第一は、今度新たに取り上げた問題は、むつ小川原開発のあおりを受けて、あの辺に有象無象の土地ブローカーが殺到した。さらにはその後に三井不動産を先頭に国際興業あるいは丸紅というのはこの開発周辺に膨大な土地取得をやっている。青森県全体とは申しませんが、あの地域に、これは竹中工務店も含むのですが、こういう中央の大手が取得した土地状況というものを調査の上お答えいただく約束がありますが、調査が済んだらお答え願いたい。
  190. 岡安誠

    ○岡安政府委員 御質問のむつ小川原開発地域内におきます農外資本といいますか、丸紅、竹中工務店、三井不動産その他によります土地の買い占めにつきましては、青森県が市町村を通じまして把握いたしました農林地移動情報の報告によりまして私ども承知しておりますが、この情報報告のうち、農用地に関しましては農地法所定の許可申請を行う以前の取引段階において把握した情報でございますので、面積等につきましては正確なものとは言えませんけれども、農用地に係ります主なものを申し上げますと、三井系統の内外不動産関係で約六十一ヘクタール、それから伊藤忠関係が約四十五ヘクタール、それから京成電鉄関係が約三十九ヘクタールと、さらに国際興業関係が約四ヘクタールというふうに承知いたしております。
  191. 米内山義一郎

    ○米内山委員 それは大変な違いなんだ。この前質問していますのは、国際興業が十和田観光電鉄会社というものを株式で買収した。その観光電鉄会社の社長の財産も引き継いだ。これだけで百二十四ヘクタールある。これに人口八千人という団地計画を立てて、大きな看板をかけて地球の皮はぎをやっている。これに付随して四ヘクタール近い三・幾ヘクタールの水田の転用許可処分が農林省から出ています。転用許可処分を受けるには、いわゆる農地法五条の手続及び転用基準その他の通達に基づいて、仮にそれが自分の屋敷を転用するときでも厳しく規制されている。まず第一に考えなければならないのは、その計画が架空であるのか、実現の可能性があるのかということを審査するようにちゃんと事務要領にあるじゃないですか。そうすると、これを許可するに当たって、小佐野賢治の出した人口八千人の団地計画のどこに実現の可能性があると判断したか、その根拠だけ承りたい。
  192. 岡安誠

    ○岡安政府委員 いま先生の御質問のケースは、六戸町におきまして、国際興業が宅地造成のために買い取りまして、一部農地が入っておりますので、農地転用の許可申請をしたケースだと思っておりますが、これにつきましては、私ども農地転用許可基準によりまして厳正に審査を行いました。資金計画それから事業計画等からこの転用目的の実現は確実であるというふうに判断して許可したものでございます。またこれとは別に、青森県におきましても、県の土地利用対策要綱に基づきまして、この件についての事業実施計画書というものを徴しまして、それを承認いたしておるわけでございまして、私どもは、この転用につきましては確実にその目的が達成できるものというふうに判断をしたわけでございます。
  193. 米内山義一郎

    ○米内山委員 申請を厳格に審査して確信を持ったと言うのだが、これは確信の問題じゃないのだよ。実際にこういう大企業とか小佐野なんというのが何をやっておるのかお知らせします。これは青森県に出した文書の中に明白だ。あれは前所有者から見ると帳簿価格三千万、それを十和田観光電鉄に譲り、そしてその株主である国際興業に売り渡しになるとき一平米三千三百円になる。いわゆる坪一万円にいくのです。そしてそれが開発許可をとって、東京の銀行へ来ると四十億の根抵当が組まれるのだ。これは登記簿の写しがありますから、決して捏造でもデマでもないのです。この会社を手に入れるのに小佐野が出した金は二十三億ですよ。そうすると、その一部分で資金量がふえるということだ。  こういうことの手助けをしておるのがあなた方の厳正な審査であり、態度だとするならば、社会正義の上からこれは軽視できない。それはピーナツ食ったかどうか、私は見ていませんし、またそうも勘ぐりたくないけれども、この種の土地の買い占めがいま日本経済の首を絞めておるじゃないですか。そんないいかげんな答弁じゃいけないですよ。あなた方は、いわば政府高官という部類に入るか入らないかわからぬ。しかし、公務員でしょう。憲法というものを考え、基本的な国家公務員法なり服務規律というものがあるし、さらに農地法の転用基準、その事務取り扱いというものは、一般国民から見ると窮屈なほど網の目の細かいものなんです。そうして多数の国民がこのために不自由を感じている。しかし、これは農業保護の上から日本では必要な法律なんです。だから安倍農林大臣も、就任の所信演説に対して竹内君が質問したら、農地法は厳格に守っていく、こう言っている。あなた方は、気分と答弁では厳格だかもしれないが、これは問題だ。いいですか。これは後でまた大臣が出たときに聞き直します。  そこで、同じようなことなんですが、むつ小川原開発会社に対して、新住区というものを転用許可処分しておる。これは、開発会社に土地を売った農民が行く場所がない、早く行き先を決めてくれという切なる願いのもとに申請するものだという理由なんです。しかも、その人数が二百五十三名ある。したがって、これは七十ヘクタールという基準が出るわけです。そこで、私は、これは一体本当なのかうそなのかと疑ってみた。二百五十三名はだれとだれであるかということが一応確認されないと、七十ヘクタールが本当だかうそだかわからぬ。県知事に聞くと、これは六ケ所の村長を信用した、じゃ名前を明らかにせいと言うと、六ケ所の村長が書き出した名前だから六ケ所の村長の同意を得なければ発表できない——青森県議会では、これで二年ももめている。このとき名前を一体何のために秘密にしなければならないか。  そこで、このことを頼んである。県及び六カ所と連絡してお答えするという約束がある。きょうは氏名を並べてもらうあれはないけれども、それはできますか。青森県から名簿が来ておりますか。
  194. 岡安誠

    ○岡安政府委員 いま御指摘の場所は、新市街地としてA住区と言われるところへの入居希望者が二百五十三名おるわけでございますが、その名簿を持っているかということでございますけれども、これはもう毎度お答えをしているとおり、この氏名につきましては六カ所村の村長が承知をいたし、その名簿を所有しているわけでございますが、私どもの聞いておる範囲によりますと、この二百五十三名の方々の名前といいますか、それはその後大きな変化はないというふうに聞いております。また、関係機関にその事実を確かめましてもそのような返事を得ておりますので、私どもは、当初転用を認めました目的等は変更がないものというふうに理解をしておるわけでございます。
  195. 米内山義一郎

    ○米内山委員 それがあなたのおっしゃるとおりなら、何も質問する必要はないのですよ。最初から二百五十三名というのがはっきりしておれば、何も聞く必要ないのです。ただ、そこで、この前はこう言ったのだ。「この二百五十三名というものの氏名を六ケ所村なりあるいは青森県から取り寄せて、次回までに資料として提出してもらいたいと思うが、それはできますか。」答えは「よく関係機関と相談しまして、お答えできるようにいたしたい」いまのが国会における国会議員の前回の質問に対する答えですか。なってません。これはきょうはできないだろうから、あえてあなた方をいじめるつもりもないから……。  それから、前回の質問に対して、むつ小川原開発会社は国策会社だ、こう言う。戦争中は聞いたことがありますよ。一体これの法律的な根拠なり、行政上いかなる権限でこういうことがあるのです。
  196. 岡安誠

    ○岡安政府委員 むつ小川原株式会社の性格等につきましては、私がここで申し上げるまでもなく先生十分御承知のわけでございますが、私どもが国策会社というふうに考えておりますのは、この会社につきまして特に法令上の根拠によるものではありません、確かにこれは商法に基づく株式会社でございますが、私どもはこの会社の目的というものが、国が大いに関係をしている、そういうような事業であるということと、それからその資本構成の点におきまして北海道東北開発公庫とか青森県というような公的機関の出資の割合が非常に多くなっているというような点に着目をいたしまして、これは一般の株式会社とは違うということからそういうことを申し上げたわけでございます。繰り返すようでございますが、法令上根拠があるというような筋合いのものではございません。
  197. 米内山義一郎

    ○米内山委員 上級公務員、政府高官は、政治家の政治家的答弁ならこれは別だが、あなた方が自由にできるのはうちに帰ってビールを飲むぐらいのものなんだ。公務を執行するときは法律の網の目の中でやっているものですよ。しかもこういう重要な問題で抜け穴をみずからつくるということは、これは綱紀上の問題だ。こういうことが今日のいわゆる構造汚職の一端だと私は思う。  そこで、北東公庫が金を出しているから国策会社だそうだが、総資本のうち何ぼ出しているか。それから、もちろん筆頭株主なのはわかっているが、公的な株主は何で何%か。その他一般平等割りで持っている株主というのは通常言う庶民であるが、どういう性質かということを考えるにはこれは大事だ。  それから今日現在でもいいし十二月決算でもいいですが、北東公庫から幾ら金を貸しているか。それから、その他から幾ら借りているか。生命保険もあるだろうし市中銀行もあるし地方銀行もある。総額幾らあるか。  それから、北東公庫が利子を受け取っているかということなんです。貸し金だから利子取るでしょう。あなたの方はわりあい安いけれども、一般金融機関は年率にして九%くらいでしょう。不思議に思うのは、この会社には創立以来売り上げが一銭もないんだ。ここ当分、水の問題、防衛庁の問題等決まらないと売り上げが出ない。だから北東公庫が、まずあなた方自身が利息を受け取った事実があるかどうか聞きたい。
  198. 小川としやす

    ○小川説明員 お答え申し上げます。  先生の御質問の第一点は、公庫がむつ小川原開発株式会社に対してどれくらいの資本を出資いたしておるかということだろうと存じますが、その金額は十億でございます。トータルの資本金は三十億でございます。それで、その他の資本構成でございますが、三十億円のうち十億円が北東公庫、五億円が青森県、残りの十五億円が一般の民間会社でございます。  次に、これまでに一体どれくらいの融資をしておるかということでございますが、昭和五十年十二月末現在で事業総額三百八十一億円のうち百四十六億円を私ども一から融資いたしております。したがいまして、これを差し引きましたものが民間からの借入金額というふうになります。  それから、私どもが貸しましたものの利子、これを受け取ったかどうかという御質問でございますが、私ども一の貸し付け条件の際据え置き期間を設けておりまして、まだその期限が到来しておりませんので、現在までは利子を受け取っておりません。  以上でございます。
  199. 米内山義一郎

    ○米内山委員 時間も超過しましたから、これ一問で……
  200. 小川としやす

    ○小川説明員 間違いました。  利子は受け取っております。失礼いたしました。
  201. 米内山義一郎

    ○米内山委員 受け取らないとおかしいと思うんだ。  それから、利子の問題になったが、その他の北東公庫以外の金融機関も利子は受け取っているでしょうね。  それから、担保を取っているかということです。それはあるでしょう。しかし、大部分の値段の張る農地農地転用の許可になっていないです。恐らく今後農政構造改善機構が厳密に審査するというから、石油工場なり発電所ができる可能性があるまではこれは許可にならないとする、そうするとどうなるかということ。  その次には保証の問題です。担保をとらなければ保証が必要です。金融機関ですから。国策会社といったって、法律的根拠がない。北東公庫は法律の業務方法書でやっている。ましてや一般市中金融だって、保全経済会のようなものじゃないでしょう。人の預金を預かっているでしょう。担保もなし保証もないという金融はあり得ない。しかもあなたが利子を取っているとすれば、あなたに納める利子の財源は何だと思います。北東公庫から借りるために青森の地方銀行から借りる。そこに利子を納めるのに生命保険から借りる。こういうものはシンジケートというものか、この構造がこの開発の中で非常に重大な問題にいまなってきた。しかも日本の大企業は買い占めた土地にいま首締められて、政府が買ってくれないか、地方公共団体が肩がわりしてくれないかというときに、しかも、一般株主というけれども、これは経団連そのものでしょう。小さいものは入ってないでしょう。しかも金利なり経費というようなものは増資でやるのが企業の倫理というものなんだ。利子まで借金でやる日本の経済を代表する大企業というのは、世界的に見てもこっけいだ。こういう意味でむつ小川原開発会社は国策会社だというなら私は納得する。世間一般並みの公平な見解で政府金融機関なり公益的な金融事業というものは、この実態から見てなされているとは見られない。これこそ、食ったか食わないか知らないが、金融、財界、官界の黒い癒着の表現じゃないか。まだ北海道にもあることは知っているけれども、二つも三つも飛び火させたって、これは大問題にならないから、ひとつこの問題について、将来公庫が——よそにもやっているというなら別ですよ、おまえさん、利子だけは入れてくれ、入れないと言たなら、あの銀行へ電話かけてやるから、そこから借りてきて入れなさい。利子のたらい回しでしょう。しかも年間四十億はかかるのですよ。三十六億として一日一千万ですよ。ここでこんな議論してたら仕事は進まないですよ。あなた方がいいかげんな答弁やれば、一日延びれば、株主の損だか金融機関が損だか、最後に北東公庫が保証しているはずだ、そうすると政府がしりぬぐいするということにならざるを得ない。北東公庫がこの金融に対してどの金額で保証しているか、担保はどうだ、保証はどうだ、この点で明確に答弁あれば、きょうはやめます。
  202. 小川としやす

    ○小川説明員 御質問の点が幾つかあると存じます。まず公庫以外の金融機関が利子を受け取っているかどうかという第一点でございますが、もちろん受け取っております。  次に、公庫は担保をとっておるかということでございますが、むつ小川原開発株式会社が買収を行っている土地には二通りございまして、農地と非農地とに分かれております。このうち非農地につきましては、会社が所有権を取得した段階におきまして公庫は市中共有銀行とともに抵当権を設定しております。次に農地の方でございますが、開発会社は現在買収を進めておるわけでございますが、地主との間におきまして農地法上の転用許可を停止条件といたしますところの売買契約を締結いたしております。これに基づきまして所有権の移転請求権保全の仮登記を会社が行って、権利の保全を図っております。そういうことで債権の保全を図っておるわけでございますが、将来農地の転用許可がなされまして、会社の方が所有権を取得した段階におきまして、公庫は直ちに抵当権を設定いたしたいというふうに考えております。それで保証でございますが、これは会社の役員の保証をとっております。  それから、担保につきまして申し加えておきますと、むつ小川原開発株式会社の事業につきましては、非常に大規模な工業基地を開発するものでございまして、完成までにはかなり期間を要するのじゃないかと思います。それで当社の買収した土地につきましては、この開発計画に基づきまして、港湾とか道路とか、そういったような付帯設備が造成されまして、工業団地としてできた段階において売却するものでございまして、買収価格よりもかなり高い価値を生むものと想定いたしておりまして、この段階におきまして貸付金の返済は確実に行われるというふうに私どもは考えております。  それから、第三番目でございますが、先生の御質問は利子が非常にかさんでおるということで、今後その利子の加重負担によって会社の事業運営がむずかしくなるのではないかというような御懸念かと存じますが、私どもといたしましても、この問題につきましては常に重大な関心を払っております。確かに、会社が設立された当初と今日に至る間には経済的、社会的諸条件の変化がかなり大きいものだと思いますし、会社の運営も当初のとおりいくかどうか、全然こういった社会、経済の変動の影響を受けないということは言い切れないと存じます。しかしながら、長期的に見ますと、ここに大規模工業基地をつくるという目的につきましてはいささかも影響を受けるところはないものと存じます。しかし、私どもは今後も関係省庁と緊密な連絡をとりまして慎重に会社の事業運営を見守ってまいりたい、こういうふうに考えております。  以上でございます。
  203. 湊徹郎

    ○湊委員長 米内山君、簡潔にお願いします。
  204. 米内山義一郎

    ○米内山委員 会社の金利は複利になるのですよ。増資で利子を払ってないでしょう。売り上げはないでしょう。ですから、結果的には複利になる。さあ、いまの金利を複利で計算してごらんなさい、何年で倍になるか。土地が安いといって見込みを立てたが、大変な結果だ。こういうことです。これは申し上げておくだけにします。  それから、会計検査院の検査の対象になったことがありますか、公庫全般の事業の中でむつ小川原開発がどういう実態を持っているかという。それだけ答弁を聞いて終わります。
  205. 小川としやす

    ○小川説明員 第一点の利子の問題につきましては、私どももその点重大な関心を持っておりまして、各種の計画が順調に進められるよう関係官庁にいろいろお願いしてまいる所存でございます。  次の会計検査の対象になったかということでございますが、むつ小川原開発株式会社が会計検査の対象になったことはございません。
  206. 米内山義一郎

    ○米内山委員 終わります。
  207. 湊徹郎

    ○湊委員長 次に、島田琢郎君。
  208. 島田琢郎

    島田(琢)委員 私は、山村振興法に基づいてその事業団体として十年余にわたる実績を積み重ねてまいりました山村振興調査会が先般解散をする、この一連の動きを見ておりまして非常に疑問を感ずる点がありますので、まず当初には許認可権を持っております農林省構造改善局長お尋ねをしてまいります。  いま米内山委員からもいろいろな団体の問題についてお話があったのでありますが、これは各省庁同じような傾向にあるのですが、調査会あるいは公社、事業団、そういったたぐいのものが大変たくさんあり、当委員会においてもしばしば農林関係におけるそうした機関の問題に触れて質疑がなされております。私どもは、このすべてが悪い、こう言うのではありませんけれども調査会という名目の中で、果たす役割りが一定の評価を受けながら、現実にはなかなかそれが一般的に問題を幾つか含みながら運営されていることをしばしば耳にするわけであります。しかし、昨年十年間の時限延長をやりました山村振興法に基づくこの調査は全国各地の千三百団体を超える山村振興事業町村から非常な期待を受けていると私は聞いてきました。ところが、私なんかにしてみれば、まさに寝耳に水のごとく解散が行われる。しかも、農林省は過般この解散について認可をしたことになっているわけです。どうも腑に落ちない。一体この間の事情はどんな点があったのか、この機会にひとつ明らかにしてもらいたいと思うのであります。
  209. 岡安誠

    ○岡安政府委員 先生御質問の山村振興調査会でございますが、これは昭和四十年に山村振興に関します諸調査を実施することを目的といたしまして、民法に基づきまして財団法人として設立された団体でございます。調査会はそれ以来目的といたします事業を実施してきたわけでございますが、ことしの三月二十六日に開催されました理事会、それから評議員会におきまして解散の決議がなされて、四月九日付で農林大臣に対しまして解散の認可申請書が提出されましたので、私ども慎重に審査をいたしました結果、五月十二日付をもちまして農林大臣から解散の認可を行ったわけでございます。  山村振興調査会の解散の理由として挙げておりますのは、経済情勢その他の事情の激化によりまして経営の財政的基盤が弱化し、かつ会長、理事長の辞任の申し出に伴いまして後任に適当な者も得られず、このままでは経営の維持、事業の遂行など、同会の運営が著しく困難になりまして、重大な事態を招くおそれがあるのでやむを得ず解散したいというものであったと理解をいたしております。
  210. 島田琢郎

    島田(琢)委員 許認可権を持っておる構造改善局、つまり農林省は、解散の時点における調査が十分なされていたかどうかについては、私は疑問を持ちます。たとえば評議員会における、あるいは役員会における決定だ、それがそのまま申請として上がってきたから認めたのだ、その認めた理由は財政難と後継者の問題だ、こういう説明であります。  それならお聞きしますが、果たして財政難に陥っていたかどうか疑問なしとしません。十一年間にわたる会計決算の状態は全部披露はできませんけれども昭和四十九年の会計決算と五十年の二カ年間だけを調査してみました。損益計算書の結果によりますと、全体の収支バランスがあって繰越勘定が二百四十五万三千四百十七円、黒字決算をしている。五十年度はどうか。これまた収支差し引きで七十万円黒字決算であります。財政難なんという理由はどこに成り立つのでしょうか。  さらに国は昭和四十年設立以来ずっとこの補助金を出してきました。補助金を出すには出すだけの理由があって、必要と認めたから出したのだろうと思うのです。またこの種調査の性格とか仕事の目的、あらゆる面から考慮いたしますときに、これは非常に重要な役割りを担っているということは容易に理解されますから、私どもは国の補助の問題についても当然のことと受けとめています。事業費総額に占める割合も相当大きくなっています。しかし運営全体は多いときで八三%、少ないときでも五〇%を割ることがないような実態ですが、残りのいわゆる事業費というのはそれぞれ積極的な事業収益の中でこの運営がなされておるということは明らかであります。この四十七年、四十八年、四十九年、五十年と四年間のデータを私は調べてみたのであります。非常に健全な財政運用がなされておる。理由にならないではありませんか。  さらに後継者難、こうおっしゃるが、どうもこうなってくると、私はいよいよわからない。一つの団体を運営する責任というのは、あらゆる角度からその重荷に耐え切れないというほどの責任も課せられるのは当然であります。しかしそこを踏み耐えてみごとに運営をしていくのが、団体をしょっている責任者の義務でもあります。一体全体、やめたくなったからやめたいという、これは仕方がありません。しかし一人や二人の運営ではないのです。役員がおり、評議員会があり、全国から網羅されている人材がたくさん集まってこの会を組織している。引き受け手がないというのも、私は理由にならぬと思うのです。いわんや、私はきめつけた言い方をいたしますと、山村振興調査会なるものはまさに農林省の天下り機関、役員に並べている顔ぶれを見ても、農林省のいわゆる官僚ではありませんか。やる気になれば、農林省から天下りで人材を送り込むことだってできるわけだ。現にやってきたのですよ。この調査会に限って後継者難というような理屈は、ああさようでございますかと理解するわけにはいきません。こんな薄弱な根拠で解散申請を受理した態度は私は軽率に過ぎると思うのですが、いかがですか。
  211. 岡安誠

    ○岡安政府委員 根拠が薄弱であると、いかにも役所は——民法によって設立されました一般の財団法人の解散その他につきまして、法的処理が違法であるなら格別、その団体が解散をしたい、客観的にももう継続していくことは困難であるというようなことである場合には、私どもは不認可にするという特段の事由がない限り、これは認可せざるを得ないわけです。無理無理存続しろというわけにもまいらないという点がまずございます。  財政状況につきまして、先生も御指摘のここ数年間の収支、確かにこの財団法人は繰越金等がございまして、大きな赤字を拘えるというようなことではないわけでございますけれども、解散に当たりまして、これはいろいろ聞いたことで、正式に文書に書いてあるわけではございませんけれども、行く先を考えまして今後うまく財政的に運営ができるかどうかということを考えた場合に、今後その辺についてやはり自信がないというようなこともあったやに聞いているわけです。たとえば市町村からの委託調査というのが従来は非常に多かったわけでございます。四十八年では一千万円を超えるような委託費があったり、四十九年は七百万円を超えるような委託費があったわけでございますが、五十年は計画上は四百万円を超えるようなことになっておりますけれども、実際は大体百五十万円程度というように、きわめて減ってくる、いわばこの団体の存立の基礎となっているような市町村からの受託調査費が非常に激減をする。今後もそういう傾向にあるというようなことは、この団体の今後の存立については重大な問題があるというふうに判断をしたのではなかろうか、私どももそういうふうに考えておるわけでございます。
  212. 島田琢郎

    島田(琢)委員 前段は、幾ら局長がそういう御答弁をされても、私は理解ができません。そういう何かもっと別な背景があったのかと勘ぐりたくなるのであります。しかもこの調査については、非常に全国的にも的確に行われているというふうに私どもは受けとめています。いま後段で局長が述べられた山村振興地域調査の実績等について、私は反論があるのです。これもまた四十一年発足当初からの調査の報告書が一覧表になってまとめられております。これを見ますと、四十九年までずっと十四、十三、少ないときでも十一、非常にたくさんの地域から調査の依頼があり、それを着実にこなしているではありませんか。確かに五十年についてはがくんと落ちた。報告によれば五十年は一カ所、一件であった。私はどうもおかしいと思うのです。連年こういうふうに十カ所以上の依頼があってそれに応じてきて、報告も的確になされてきた。確かに中間において若干の問題があったということも率直に聞いております。しかし、それはもう問題としては解決されている。何かこの裏に意図的な背景があったのではないかと勘ぐりたくなるじゃありませんか。どうも私はそういう感じがしてならないのです。しかも山村振興調査会の解散というような問題が出て以来、良識ある人たちからこの存続あるいは再建を要望する声が上がっています。特に山村振興調査会の再建に関する要望書なるものは、私はこれは真剣に受けとめる必要があるとさえ思います。そうそうたる学者あるいはいままでコンサルタントや地域の実態調査に協力してくださった学者先生方が名前を並べている。再建を強く望む声であります。こういう声を無視して山村調査会なるものを一方的につぶしてしまうというのは、気に入らなければいつでもつぶすというような態度に直結するじゃありませんか。これは非常に慎重に取り扱わなければならない重大問題だと思うのです。しかも、どこからの話か私はわかりませんけれども、こうした先生方の連名による再建要望に対して、先生方の飯を食う場所なんかつぶしませんから御心配なくという返事が返ってきたそうであります。こういう話は不見識じゃありませんか。こういう先生方は自分たちの飯食う場所がなくなるから要望書を出しているんじゃないのですよ。失敬きわまる発言であります。事実だとしたら、私はこれは取り消していただかなければならぬ、こう思っているぐらいであります。しかも、山村振興調査体制の強化にかかわる今後の問題点幾つか残しているわけでありますから、こうした事実を十分御承知の上で五月十二日解散認可に踏み切られたのかどうか、再度お尋ねをします。
  213. 岡安誠

    ○岡安政府委員 私どもも、解散の申請書が出ましてからは慎重に諸般の事情を調査したつもりでございます。ただ、いま先生の御発言の学者先生に対する発言云々の件は私ども承知しておらない点でございまして、そういうことを言った覚えもないわけでございます。私どもは従来からこの財団法人山村振興調査会が果たしてきた役割りというものは評価するにやぶさかではございませんが、今回解散するに至ったという事情、これも最終的には、残念ながらいたし方がないので認可せざるを得ないというふうに判断して認可をいたしたということでございます。
  214. 島田琢郎

    島田(琢)委員 国土庁にお尋ねします。  五十年四月から十年間の延長がなされました。同時に次官通達で、いままでの補助金を出す団体が変わりました。つまり国土庁長官の認めた団体というふうに改まったわけであります。この意図するものは何なのですか。
  215. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 補助金を出します団体は、従来補助金の交付要領で、経済企画庁当時は山村調査会に補助するという形になっておりましたが、ほかの補助金、委託費関係もそうでございますけれども、こういうものは最も適当なところへ出すのが望ましい、毎年毎年その内容等によってふさわしい団体に出す方が望ましいということで、「国土庁長官が適当と認める民間団体」ということにしたわけでございます。
  216. 島田琢郎

    島田(琢)委員 これは十年間調査会に対して補助金を出してきたのですよ。昭和五十一年の予算は幾らになっておるのですか。
  217. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 約三千六百万円が予算計上されております。
  218. 島田琢郎

    島田(琢)委員 対象としたのはどういう団体ですか。
  219. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 予算の要求あるいは成立の現段階においては決めておりません。
  220. 島田琢郎

    島田(琢)委員 決めてないで、これは慣例に従って予算を取るということができる仕組みになっているのですか。
  221. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 山村の実態について調査するというのは、御承知のように山村振興法の中にも規定がございまして、国の方といたしましても毎年補助金がついておるわけでございます。これを従来は運用の上で山村調査会という団体に出しておったわけでございますけれども、今後はほかの各種の補助金、委託費と同じように、こういう特定の団体に権利として与えるということ自体は非常に好ましくないということでございまして、その年度その年度、調査する内容によってふさわしい団体に交付するというふうに昨年から改めておるわけでございます。
  222. 島田琢郎

    島田(琢)委員 五十年までは山村調査会に出しましたね。これはどういう判断に基づいたのですか。
  223. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 五十年には山村調査会というのがございまして、内容につきましては、先ほど農林省の方からお話がございましたようにいろいろ問題はございましたけれども、これが一つの大きな財源となっておることは事実でございますので、交付したわけでございます。
  224. 島田琢郎

    島田(琢)委員 五十一年も明らかに山村調査会を想定したのでしょう。
  225. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 想定と申しますか、予算要求段階及び予算成立の段階においては想定しておりません。内容によりまして、本年度は何をやるかということが予算ではある程度の方向は決まっておりますけれども、具体的に補助する場合におきましてはそれを詳細に、こういうことで調査しろということになるわけでございますが、その段階において判断するということになろうかと思います。
  226. 島田琢郎

    島田(琢)委員 解散した山村調査会は、それでは好ましくないという認識においては農林省と一致したということですか。
  227. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 好ましくない好ましいという問題ではございませんけれども、先生御承知のように四十八年度の調査ではいろいろ問題が起きまして、国土庁が引き継ぎましたときにも補助金の交付を若干おくらせたような経緯もございます。  それから、山村調査会の内容、御承知かと思いますけれども、山村連盟からの補助金が絶たれておりますので、職員を賄うだけの財源がないために御案内のように現在三名でやっておるという非常に弱体な状況でございます。したがって、ここへ補助するのかどうか、もし補助するとなればよほどその補助の目的を達するようなしっかりとした体制でやってもらわなければならないということになろうかと思います。
  228. 島田琢郎

    島田(琢)委員 そもそも四十九年まで十一件、十五件とこなしてきたこ調査活動がたった一件に落ちてしまったというのは、まさにそうした職員体制にも問題がある。一生懸命やったのだけれども、三人の力では全部こなすことができなかったという事情も背景にはあるはずだ。意図的にそういうふうに追い込んできて、そうして国土庁まで一緒になって補助金の問題にまで今後そういう配慮を加えていかなければならぬというようなことだったら、これは役員会で決議せざるを得ないところまで追い込まれるのですよ。私はこの調査会の役員は、申し上げて悪いけれども、明らかに経営能力を失った無能者だと思わざるを得ません。だから、交代すること、これは仕方ないと思います。しかし、一緒くたにして組織までつぶしてやめるという手はないじゃありませんか。どうしてそんなことに農林省も国土庁も加担するのですか、おかしいじゃないですか。
  229. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 お答えいたします。  農林省といたしましては、先ほど局長から答弁いたしましたように、従来より財団法人として必要な指導監督を行ってきたところでございますが、先ほど申しましたように解散の決議がなされまして、四月に認可申請書が提出され、担当の方で審査した結果、このたびやむを得ず解散の認可をせざるを得ない、このことは非常に残念なことではございますが、現在の法令の点からいっても、やはりこの際解散せざるを得ないという判断に立ち至ったわけでございます。
  230. 島田琢郎

    島田(琢)委員 渡邊さんのお読みになった文書は、それはそうだ。そんなことはわかってますよ。ぼくの聞いているのは、言っては悪いけれども、これは擬装解散の感じさえするのですよ。もう覆水盆に返らずということなのかもしれないけれども、こういうケースは好ましことではないのですから、もう一回白紙に返して認可を取り消すという考えはないのですか。
  231. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 この調査会の存続につきまして私ども審査いたしました結果、客観的にも困難であり、解散はいたし方ないものと考えております。
  232. 島田琢郎

    島田(琢)委員 渡邊さん、重ねて聞きます。白紙に戻すべきです。好ましい解散認可でありません。いかがですか。
  233. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 私ども厳重に審査した結果の結論でございますので、この結論を変える方針はございません。
  234. 島田琢郎

    島田(琢)委員 そうしたら、この後どうするのですか。
  235. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 私どもは従来の指導監督の範囲内で指導監督いたしまして今日の事態に至りまして、その事後処理のことについても多少の相談はございますが、会の責任者が自主的に処理するものと期待しております。
  236. 島田琢郎

    島田(琢)委員 ちょっとよくわからなかったのですが、新しく会をつくるということですか。
  237. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 いや、そのようなことを申しておるのじゃございませんので、解散後の処理でございますね、残務整理その他につきましては調査会の責任者が処理するものと期待しております。  新しい機関ができるかどうかというようなことは、私ども全く存じ上げておりません。
  238. 島田琢郎

    島田(琢)委員 しかし、局長、予算は先ほどおっしゃったように三千六百万あるんでしょう。調査活動は必要ですね。必要でないのですか。部長はいまその後は自主的にできる、それは自主的にできるものかもしれない。しかし、必要だから十年間毎年三千万近いあるいは三千万を超える助成金を出して山村振興にかかわる調査をやってきたわけですね。一定の評価をしているんでしょう。あと要らないのですか。
  239. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 調査をこれからも続ける、特に山村の置かれている現状からいきますともっともっと完備した形で進めていかなければならないということは当然でございまして、私どもそれは今後とも推進したいと思っております。ただ、いま先生御指摘のこの調査会、いま解散しました調査会に補助するかどうかということとは全然別でございます。私どもはその調査の目的を達する適当な団体に、テーマによっていろいろ違うかもしれませんが、そういう団体につきまして、急に解散いたしましたのでこれからどこにするか現在の段階では決めておりませんけれども、いろいろ関係方面とも相談しつつ本年度の予算の執行に努めてまいりたい、このように思っております。
  240. 島田琢郎

    島田(琢)委員 局長、誤解されては困るのです。先ほど私は渡邊さんに認可を取り消せ、取り消さないと言うから、取り消さないのならこれは調査活動をどうするのかと次の質問をしているんですよ。私はいまの調査会の事後処理のこともいま渡邊部長から話があったからそれはそれでわかったけれども、どうしても取り消せないというんだから、しかし調査はやらなければならぬでしょう。どういうことで今後やるつもりなんだと、新しい考え方をあるんなら示しなさいと言ったんですよ。
  241. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 先ほどの答弁で、会のその後をどうするのかと私が申しましたのは、責任者をもって清算事務等の会の解散に伴う事務の処理をしておるということを申し上げたのでございまして、ここで調査等を考えるというふうには恐らくならないだろうと存じます。
  242. 島田琢郎

    島田(琢)委員 少なくとも調査会のあり方については、やはり農林省の天下り機関だなどという批判やそしりを受けないような中立機関であるべきです。お金を出しているからくちばしを入れるのも当然だという姿勢ならもう何をか言わんやであります。しかし、いま十年間の経験をけみしたわけですね。新しく調査活動に入る団体についてはそれらを踏まえた、やはり装いを新たにした真に地域山村振興のいわゆる推進に役立つ機関でなければならないのは、これは私が言うまでもありません。そうした点をしっかり踏まえて、同じ前車の轍を踏むようなことのないようないわゆる行政上の特段の指導を私は最後に強調して、私の質問を終わりにいたします。
  243. 湊徹郎

    ○湊委員長 ただいま水資源開発公団総裁山本三郎君、水資源開発公団理事山本弘君に参考人として御出席いただいております。  参考人には、御多用中のところ御出席をいただきましてまことにありがとうございます。  参考人の御意見は、委員からの質疑に対するお答えによってお述べ願いたいと存じます。  質疑を続行いたします。島田安夫君。
  244. 島田安夫

    島田(安)委員 琵琶湖の総合開発事業について質問をしたいわけでありますけれども、これは各関係省庁が多岐にわたりますので、いずれ次々と機会を得て所管大臣のこれに対する見解等を求めていきたいと思うのですけれども、きょうは大臣が出席でありませんので、まず、順序は逆になりますけれども水資源開発公団あるいは水産庁、これらの機関に対して質問をいたしたいと思います。  この事業は、私の方が申し上げるまでもなく、大阪、兵庫、これが非常に水資源が枯渇をしておる。そこで琵琶湖の水位を一・五メートル切り下げることによってこれらの地域に水を供給したい。事業費が四千二百七十億という大変な事業であります。確かに最近の水資源の活用等こうした問題を考えていきますと、この事業の持つ国家的な意義というものは理解できるわけでありまして、私どもは、私を含めまして関係する漁業者等この事業に反対するものではないわけであります。ただ、この事業の施行によってそこに大きな被害を受けるものが出てくる。そこで、この被害をどうするか、こうしたことについて、われわれといたしましては、原因者があってそれがたとえ一部の者であっても被害を受けるということになれば、この被害について完全に被害を完補していかなければならない、これは当然だと考えておるわけでありますけれども、現在きわめて遺憾ながら水資源開発公団はこうした責任をとろうとしない。そこで、全国の琵琶湖の資源であります稚アユを放流しております八百数河川が今回水資源開発公団並びに国を相手取って訴訟を提起すべく着着と準備をいたしておるところであります。委任状は大体七百河川ばかり集まりましたので、近く訴訟に踏み切るわけでありますけれども、私はそういう経過にかんがみ、委員会を通じて事実関係といいますか、今日そうならざるを得なかったいろいろの問題点について究明をしておきたいというふうに考えますので、以下順を追って質問をいたします。  まず最初に、国が行うこういう俗に言われております公共事業、そこで被害が出た場合においては、当然私は原因者である国が被害に対する補償をしなければならないものというふうに解釈をいたしておるわけでありますが、これについて水資源開発公団の総裁はどういう見解をお持ちですか。まずお伺いしたい。
  245. 山本三郎

    山本(三)参考人 お答えを申し上げます。  私どもの行っておる事業は、公共事業でございますので、公共事業の施行に伴いまして損失を受けるものに対する補償をどうするかというのが三十七年の閣議決定になっておるわけでございまして、その補償基準要綱に基づいて行うように定められておるわけでございます。したがいまして、その内容といたしましては、やはり損失の対象となるものは土地等の権利に伴うものであるということになっておりまして、それに準じまして私ども補償を行っておるのでございます。したがいまして、権利を持っておるか持っておらないかということが、いまの要綱に基づく補償の場合には非常に問題点になるわけでございます。
  246. 島田安夫

    島田(安)委員 私はここで法律論争を起こそうとは思いませんけれども、法治国である限り、権利あるいは義務というようなものに関連なくして当然原因者によってそこに被害がある、こういうことになりますと、その被害については完補すべきだという考え方を持つわけなんですが、水資源開発公団の総裁、補償要綱に基づいて補償するのだから、そこにどのような被害が起きても関知しないのだという意味にとれる答弁がありましたけれども補償要綱の中にはそのように明記してあるのですか、明記してありましたらその条項をつまびらかにしていただきたいと思います。
  247. 山本三郎

    山本(三)参考人 お答え申し上げます。  先ほど申し上げました損失補償基準要綱の第四条に、損失の補償土地等の権利者に対して行うものとされておりまして、それ以外の者に対する補償というのは非常に制限的に、それに直接関係して、たとえば隣接土地に関する工事費の補償とか少数残存者補償とかあるいは離職者補償というものは特別に考えてもよろしいというふうに定められておるわけでございます。
  248. 島田安夫

    島田(安)委員 このような解釈が今日問題を紛争させる。私は、八百の単協と言いますと関係者は約四十万人であります。加えてまた、最近の漁業権の行使等につきましては、御承知のように今日、日本の河川に入漁する遊漁者というのは一千万人と言われております。なぜ今回のこの琵琶湖の開発問題について私どもが数年間にわたって厳しく公団等にこの対策を誤まるなという指摘をしておるかということでありますけれども、一歩誤まりますと、全国の河川にアユそのものが期待できなくなる。内水面漁業にとりましては、また私は、ただ内水面漁業ということのみならず、日本の国土保全といいますか、もうちょっと次元を高くいたしまして、清流に銀鱗が躍る、アユが躍る状態というのは、われわれ日本人の民族の有史以来今日まではぐくまれ育ってきた期待する一つの自然環境ではなかろうかと思います。  これが、この問題いかんによっては全国の河川からアユがなくなってしまう。このような重大な問題ですから、公団に対しましてもこの措置を誤ることなく、かりそめにもせっかく大阪や兵庫に水の供給ができても、琵琶湖における全国で唯一の資源でありまして、諏訪湖にもどこにも育たない、日本の琵琶湖という池にだけ稚アユが生息をし、これが全国の八百河川に放流されておる、こういう現実を踏まえて何とか、どのような結果になってもこの稚アユの保存というものが各河川に放流できるような、そういうことを考えろという指摘をしてきたのですけれども、いま答弁がありましたようにこの解釈、とうていわれわれ当事者間の交渉ではなかなか解決がつかぬのじゃないかと思うのですが、まことに遺憾にたえない。私がいま申し上げましたように、この問題をそれぐらい深刻に考えておるとするならば、過去三年有余、内水面漁業は対策委員会というものを設置して、これが水資源開発公団といろいろ折衝した。また建設省あるいは国土庁、これらの関係省庁ども話し合いをしてきた。しかし、総裁であるあなたは、この問題について、積極的に会議に出るとか、あるいはまたわれわれのこの切実な要求というものを慎重に考えて対処されたことがあるのか。理事は出るけれども、三年半の間に、私が行ったときにようよう初めて一回あった。しかも、それも一言も発言なし。そこで、公団自体がそのような姿勢では、今後の水資源の開発、こういう問題私はまあ国家的な事業だから、あるいは水資源の再開発だからということで安んじて公団の手にゆだねておくわけにはまいらない。  そこで、お尋ねするわけですけれども水資源開発公団の現在の構成ですけれども、役員は何人おいでになりますか。
  249. 山本三郎

    山本(三)参考人 お答え申し上げます。  役員は、総裁、副総裁、理事が八人、監事が二人でございます。
  250. 島田安夫

    島田(安)委員 十人ですか。
  251. 山本三郎

    山本(三)参考人 監事を含めて十二人でございます。
  252. 島田安夫

    島田(安)委員 そうしますと、総裁、副総裁は理事ではないですか。総裁、副総裁、理事が八名ということですが、理事は十名で、監事は二名でしょう。
  253. 山本三郎

    山本(三)参考人 総裁、副総裁を含めないで、理事が八名。
  254. 島田安夫

    島田(安)委員 総裁、副総裁は理事ではないのですか。
  255. 山本三郎

    山本(三)参考人 理事ではございません。
  256. 島田安夫

    島田(安)委員 そうしますと、総裁、副総裁、理事八名、監事二名の中で、官僚でない民間人がこの中に何人ありますか、官僚の退職者でない役員。
  257. 山本三郎

    山本(三)参考人 お答えいたします。  役員は、前歴としてはみんな官吏の経験を持っております。
  258. 島田安夫

    島田(安)委員 そうしますと、俗に新聞等でしばしば指摘しております天下りということですね。定年になって、水資源開発公団という事業体がそこにある、まあその辺に行って、仕事の内容はどうあろうと、月給をもらって勤務していらっしゃる。私は、この三年有余にわたる公団と私の方の連合会との交渉の経過を見ますと、まさにそう言わざるを得ないような公団の姿勢ではないかというふうに思います。いやしくも、こういう全国に波及する問題、しかも、行政訴訟によって解決を図らなければ進展しないというようなこういう重大問題に、総裁みずから何とか解決ができないものか。あるいはまた、私どもは決して補償金を出せというような単純な要求をいたしておりません。将来積極的に、この水資源の利用によって琵琶湖のアユというものが完全に被害を受ける、これはお認めになっているわけですから、こうした被害を受けた後、じゃアユの種苗というものをどうやって生産するのか、こうしたことについてあなたは本気でお考えになったことがありますか。
  259. 山本三郎

    山本(三)参考人 この問題につきましては、私どもといたしましても非常に重要な問題であると思考いたしておるわけでございますので、各省庁とも十分連絡をいたし、また全内水面漁連の幹部の方たちともいろいろとお話をいたしております。その内容といたしましては、やはりアユ苗資源の確保をいたすためにぜひ維持対策事業をやろう、もともと総合開発事業の中にその問題がうたわれておりますし、また各省の会議におきましてもこれをぜひ積極的に進めようということでございますので、私どももそれに積極的に協力をいたしておる次第でございます。
  260. 島田安夫

    島田(安)委員 積極的に対処したということでありますけれども、きわめて遺憾ながら積極的に対処しておらない。公団の理事の一人がちょこちょここの問題で国土庁や建設省あるいは水産庁に行った事実はありますけれども、あなたが、こういう重大な問題だから総裁みずから何とか積極的に前向きに解決しようとされた業績は、私は全くないと思います。たとえばお亡くなりになりましたけれども、前の仮谷建設大臣、あるいは現在の金丸国土庁長官、両大臣にも私はこの問題について話をした。ところが、両大臣とも何だ、そんな重大な問題初めて聞いた、公団はけしからぬ、これがまず両大臣の答弁。仮谷建設大臣からは公団の今回の事業に関連して行った補償そのものについても一つの厳しい批判があった。早速私は公団に対して、所管大臣ですら公団の漁業権に対する補償というのはおかしいと言っているんだから、善後策について協議しなさい、このように指摘したけれども、仮谷さんがお亡くなりになる二十日前、ある機会に私は仮谷建設大臣と会って三十分ばかり懇談したけれども、公団からその後私の方に、困った問題ですから何とか対処したいと思う、どうしたらいいでしょうかというような報告は受けておらない。そこで、まあ大臣というのは大変忙しい職業でもありますし、またいきなり大臣というわけにはまいらぬだろうから、せめて次官とか局長クラスにまでは話が通っておるかと思って聞いてみるけれども、一向に聞いたことはない、そんな問題になっているのですか、異口同音にそう言っている。いまあなたの言うことはおかしいじゃないですか。相談をしております。前向きに努力しております。努力をしておらない。極端に言うと、あなたは毎日公団へ出て、お茶を飲んで、新聞を読んで、何かあるかい、ああそうか、こうやって帰っておる、そうすると月給だけはちゃんと決まった日に入ってくる、こういうことだから、新聞等で高級官僚の天下りに対する厳しい批判があり、世論もまた何だという反発があるわけであります。あなたはかっこうのいいことを言っておられるけれども、これは私のはっきりした一つの事実に基づいた発言であるから、今後も公団の総裁をお続けになって、全国各地の水資源の再開発、こうした問題にあなた自体がお取り組みになるとすれば、私は日本の国にとっても大変な損失じゃないかというふうな極端な考え方すら持つわけです。いまいろいろおっしゃるけれども、あなたはまず日常の勤務自体を変えるというような姿勢を示されないと、今後この重要な開発公団の仕事に不適任といいますか、おやめになっていただかなければ、私はこれは日本のために大変な損失ではないかというふうに思うのですが、どうですか。
  261. 山本三郎

    山本(三)参考人 私といたしましては、従来も懸命にやってきたつもりでございますけれども、今後とも十分気をつけまして事業の推進を図ってまいりたいという覚悟でございます。
  262. 島田安夫

    島田(安)委員 大変に不満であります。  政務次官が時間がないようでありますから、政務次官に一つだけお尋ねをしておきます。  日本は法治国家であります。洋の東西を問わず、いやしくも国が行ういろいろな事業、これは公共事業と呼んでおりますけれども、これらの事業によって第三者に被害が出る、こうした被害が出た場合においては、原則的な一つ考え方として、国は当然この事業の推進によって起こる被害についてはこれを完補すべきだと思いますけれども、優秀な、しかもいろんな意味で多岐にわたって非常に判断力の豊かな政務次官であります。政務次官の答弁を一言お願いしておきます。
  263. 浜田幸一

    ○浜田政府委員 お答えいたします。  島田先生の申されまするとおり、一般論としてはまことにそのとおりでございます。
  264. 島田安夫

    島田(安)委員 そこで、ちょっと方向を変えまして水産庁長官質問いたしたいと思うわけでありますが、いずれまた法廷で、漁業者とはどういうものが漁業者ということになるのか、あるいは広義の意味における漁業権というものの範囲はどういう分野に及ぶのか、こうした点については意見をお求めする機会もあろうかと思いますので、きょうはちょっと観点を変えまして、琵琶湖の稚アユは、御承知のようにほかでとれない、ただ日本列島の中で琵琶湖だけで生産される。年間平均しますと、去年おととし三百五十万トンぐらい、八百有余の全国の河川に放流しているわけであります。キロ当たりが大体四千円から五千円。こういうことになっているわけでありますけれども、このアユは、水産資源保護法という法律の中で、貴重な資源として現在保護指定を受けているのはアユだけだというふうに私は理解しているわけでありますけれども、長官どうですか、そのように解釈していいですか。
  265. 内村良英

    ○内村政府委員 先生御指摘のとおりでございます。
  266. 島田安夫

    島田(安)委員 そういたしますと、水産資源保護法という法律は、アユの資源について何とかこれを温存していかなければならないという——アユだけということになりますと、まさに法律がそこにある、これのねらいがアユと言ってもいいと思うのですけれども水資源開発公団の総裁は、この水産資源保護法を読んだことがありますか。
  267. 山本三郎

    山本(三)参考人 お答えいたします。  抜粋は読んだことがございます。
  268. 島田安夫

    島田(安)委員 抜粋といいますと、短い法律ですから、抜粋も何もないと思いますけれども、じゃあなたに質問いたしますけれども、いいですか、本当に読まれましたか。お読みになっておらないでしょう。十行ほどしかありませんから、抜粋も何もありません、この法律には。  そこで、再度水産庁長官お尋ねするわけでございますけれども、この琵琶湖の総合開発事業、これは毎秒四十トンの水を阪神に流すというわけでありますが、これによって一メートル五十の利用低水位といいますか切り下げになるわけであります。そうなってまいりますと、アユの生息状態等から考えていきますと、大体水深一メートル前後に産卵をしてこれがふ化される、二メートルもあるところでは決して卵は生まない、こういう一つのアユの習性があるわけでありますが、一メートル五十も切り下がりますとアユの産卵地帯というものは干上がってしまいます。  一部この被害についていろんな評価がありますけれども、私どもは、大体五割はこれによってだめになるだろうというような私どもなりの調査等による推定をいたしておりますが、この事業によって長官はどれぐらいの被害があるように認識をされるのか。  また、現在、八百余の河川に琵琶湖の稚アユを放流しているわけでありますけれども、これは全国で必要とするアユ種苗の何割ぐらいに該当するのか、こうしたことがわかりましたら、ちょっとただしておきたいと思います。
  269. 内村良英

    ○内村政府委員 私ども承知しておりますところでは、水面が一メートル五十センチ下がることによりまして、アユの生産が四割減るというふうに聞いております。  それから、琵琶湖の稚アユは、他の河川に供給される種苗の全国平均でございますけれども、七割に達しております。
  270. 島田安夫

    島田(安)委員 そこで、これから申し上げることはいずれ私は裁判の一つの大きな争点にもなってくると思いますので、長官にお答えをいただきたいわけでありますけれども、琵琶湖におけるアユ漁業の実態、これにつきましては、長官は長く水産関係仕事をしておいでになりますので、十分御承知と思いますけれども、アユ漁業というのは、御承知のように水揚げをされる、漁民が採捕する、それだけでは価値は零であります。なぜならば、こんなものであります。それを放流することによって初めて、アユの種苗としてそこに価値が生じてくる。そうなってまいりますと、実際に琵琶湖で操業する漁民のとる稚アユというのは、それを水揚げをして陸につけて蓄養施設に入れて蓄養をし、水漕車等で運んで放流する、放流できて初めてアユ種苗としての価値があるわけであります。これはだれがお考えになっても当然だろうと思います。死んだアユを百貫目持ってきましても、恐らく利用価値はないわけであります。  そうしますと、操業の目的、アユ種苗を採捕する目的そのものは、漁業者といえども放流する河川に持っていって放流できる、これまでを一貫してアユの種苗確保といいますか、採捕、こういうことになっているわけでありますけれども、そういう操業実態というのは、われわれから言いますと、今後国が考えるべきあるいは水資源開発公団が当然考えていかなければならない大きな原因の一つにもつながってくると思うわけでありますけれども、長官はアユ種苗というものの実態についてどのように認識をしておられるのか、この際お聞かせ願いたいと思います。
  271. 内村良英

    ○内村政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたように、琵琶湖のアユは、琵琶湖で育つ限り、水温とえさの関係で、大きな魚体にはなりません。これを内地の河川に放流いたしますと、環境が変わるということもあるかと思いますけれども、それによってりっぱな魚体になる。人間が食べあるいは遊漁者がそれを楽しむということのりっぱな対象になるわけでございます。  そこで、アユの種苗供給につきましては、ただいま先生から御指摘がございまして御答弁申し上げましたように、大体琵琶湖のものが七割でございます。それから、その後の流通形態も、先生の御指摘のような実態になっておりまして、琵琶湖のものは比較的輸送等にもたえる。海の河口でとったものは弱いのに対して、琵琶湖のアユは輸送上のロスも少ないというようなことから、内地のアユ資源として非常に大事なものであることは先生御指摘のとおりでございます。
  272. 島田安夫

    島田(安)委員 そこで今回の、またこれもどうするかということに関連する一つの問題になってくるわけでありますけれども、現在申し上げるまでもなく、水資源開発公団もよく御承知のとおり、そこで琵琶湖の漁民が採捕しました種苗というものは内水面漁連がこれを一手に受けて、また最前指摘いたしましたように、これは水産資源保護法の保護を受けている唯一の種苗でありますから、責任を持ってこれを全国の河川に放流をしておる。ところが、いま水産庁長官の答弁にもありましたように、この種苗が四割は確実に減産になる。そうなってまいりますと、われわれが必要量としておる三百五十トンないし四百トンの種苗というものは永久に生産されない、こういうわけであります。したがって、半減するとすれば、あとの二百トンというものについては、具体的に私どもが長年にわたってこの種苗の自然ふ化等を実質的にやってきておるわけであるから、これについて公団は二百トンの資源を確保するための具体的な援助をしたらどうかという話を、私は一部漁民等の間に立ってしばしばしたのだけれども、馬耳東風というか、とにかく漁業権に対して百二十七億補償したからあとは一銭も出しません、金の要ることはようやりません、こういう一点張りの回答だったのだが、いまいろいろ話したようにそれでは済まされない、大変な資源だから何とかしろと申し入れていることなんだが、今日もなおそういう考え方であるのかどうか。簡単にイエスかノーかお聞かせいただきたい。
  273. 山本三郎

    山本(三)参考人 お答えいたします。  ただいまのお話のとおりアユ苗の確保というものは非常に重要な問題でございますので、各省の打合会におきましても、また総合開発計画の中においても、琵琶湖の周辺に資源の維持対策事業といたしまして人工河川をつくろうということで、四十八年に試験水路をつくりまして、四十八、四十九、五十年と試験水路を実験しております。その結果につきまして評価委員会をつくっていただきまして、それの結果を見て今後対策を講じていくと、こういう趣旨になっておるわけであります。
  274. 浜田幸一

    ○浜田政府委員 私は先ほど一般論でそう思うと申し上げましたが、せっかくの機会でありますから農林省姿勢だけを島田議員に申し上げます。  島田委員がいま一生懸命やっておられるのは、私はやはり漁業補償の閣議了解事項の中において、そういうものの取り決めにおいて配慮が足りなかったのではないか。だから結局訴訟で争う以外にないという結果になったと思うのです。法治国家としては、当事者同志で話ができない場合には当然裁判所で争うということになりますが、事、水産業という関連補償の問題については、指導奨励のために守るものは資源として守らなければならないというたてまえからいけば、その基本を決めたところに配慮の足りない点があったのではないかというのが私どもの見解であります。そういう点につきましては、いま水産庁長官から御答弁を申し上げましたけれども、稚アユの確保という問題につきましては今後最善の努力農林省といたしましてはいたす所存でございまするし、同時に長期的な展望の上に立って八百河川の中で生活をされておられる人たちに対する配慮というものは積極的に行ってまいりたい、このように考えております。  時間がないのが残念でありますが、また次の委員会でお呼びをいただければもう少し具体的に申し上げさしていただきたいと思います。ぜひ機会をつくって議論をさしていただきたいと思います。
  275. 島田安夫

    島田(安)委員 政務次官も公務のため退席のようでありますけれども、いま政務次官が指摘になりましたように、アユ資源というものは、これはやはり現在の河川の現況等あるいは内水面漁業の実情等から考えましてどうしても確保しなければならないであろう、これは一般論でありまして、まさにそのとおりであります。また閣議了解事項とおっしゃいますけれども、閣議了解事項というよりは、所管大臣ですら、こういう問題が今日出ておって、そして国を相手に行政訴訟をしなければどうにも解決ができないというようなことを知らなかった。加えてまた前大臣は次のようなことを言っております。これは水資源開発公団が交渉の原則を誤った、なぜ百二十七億の中で琵琶湖の生産者分、さらにこれを放流するまでの全国内水面漁連、この二本立てに区分して補償しなかったのか、私は理解に苦しむ、これが所管大臣である建設大臣の見解であります。これはテープにもとってありますし、公団の常務理事を目の前にして仮谷建設大臣はそのようなことを指摘しておる。したがって、私は公団に誠意があるなら前向きに幾らでもこの問題は解決できるではなかろうかと思うのに、どうも熱意がないのか、やる気がないのか、避けて通るという考え方でおられるのか、まあだんだんエキサイトして、ついに訴訟に持ち込まなければならないというような事態になったわけでありますが、私は今日こういう事態を迎えたということは、あげて公団が悪い、こうまあ認識を、いま二、三総裁から答弁を受けましたけれども、その答弁によってもますます確信いたしました。  そこで公団に関連してお伺いするわけでありますけれども、いま水産庁長官の答弁にもありましたように、アユというのは琵琶湖で、あのままでおりましたら全然金になりません、全部死滅しちゃうのです。こういう普通食ぜんに上るようなアユには生長しない。種苗として初めて価値がある、こういうことであります。したがって、アユの生産が五割減産になるから、これについて補償するということになれば、放流によって初めてキロ当たり四千円、五千円という価値というものがそこに発生されてくる。放流できないアユというのはそれこそまあ肥やしにすると言ってはなんですけれども、こんなものどうにも利用価値がないわけでありますから、放流までをつないで一貫したアユ種苗としての価値判断をしていかなければならないというふうに思うのだけれども、これについてどう思いますか。
  276. 山本弘

    山本(弘)参考人 公団といたしましては、先ほど水産庁長官の琵琶湖のアユ資源に対する御見解のとおり、その全国的重要性認識しておるつもりでございます。しかしながら、公団が行いますところの水資源開発の琵琶湖における事業に伴いまして、水位が下がることによってアユが減産するということにつきましての補償といたしましては、これは現実にアユ種苗を採捕されておるところの漁業権者にしか補償はできないという、先ほどから総裁がるる申し上げておるような補償基準要綱による制約があるのでございます。しかしながらアユ資源の重要性にかんがみまして、琵琶湖総合開発事業は、この琵琶湖のアユ資源が開発事業を行いましても安定的な供給が図られるような水産対策があわせて考えられておる。すなわち先刻来総裁が御説明申し上げましたところの人工河川による維持事業によって安定供給を図るということで進んでおるわけでございまして、このことにつきましては総合開発法の制定の当時からそういう形で進められてきておりまして、また現在、内水面漁連との間に問題になっておりますところの全国河川漁業のアユ資源確保に対する対策としてこれを進めていくというふうになっておるわけでございまして、私たちはこの事業を行うことによって、しかもそれが単なる公団だけの考えじゃなしに、技術的な評価を国家的レベルで評価してもらうというかっこうで評価を受けまして、これをどういうふうに実現していくかにつきましてまた各省との協議、支持を受けて、そして公団が協力し得る点につきましては全力を挙げてやってまいりたい、かように存ずる次第でございます。
  277. 島田安夫

    島田(安)委員 これはきわめて抽象的な答弁で、なるほどアユが二百トンばかり減産になるけれども、人造湖等の設置によって何とかその対策をやっておるのだから了解しろ、こういう考え方でありますけれども、じゃあ人造湖等を設置することによって確実に、減産される琵琶湖の全生産高の約四割、補償額が四割であるから四割というかっこうに一応たてまえ上はなっておるわけでありますが、われわれは、五割になるのか六割になるのか、これはこの事業を実際に開始してみなければわからないという一つの不安感もあるわけであります。それと同時に、われわれの長い過去の体験から言って、現在公団がやろうとしておる人造湖等の措置によっては被害が完全に補てんできない、これだけは確実であるというふうに認識をしておる。もし幸いと言いますか、この事業で一メートル五十水位を切り下げる、そして公団の言うように二、三の人造湖等による増殖対策をやる、これによってせっかく公団が意図しておるように減産されるものがカバーできる、これによってかわって生産できる、こういうことが確約づけられれば何をかいわんやだけれども、これは未知数の問題であります。アユの種苗がなぜ琵琶湖だけに生息するのか、これも今日いろいろ研究をされておるけれどもまだ究明されない、そういう時点の中で、若干の施策、施設をするからこれによって被害額は十分補てんできるだろうというような考え方、もしこの事業によってできなかった場合はどうなるのか。八百余の河川はアユを放流できなくなる。これに対して公団はどう責任をとるのか。役人をやめて公団に入りましたけれども三、四年たちましたので私はやめて、現在は一市民であります、大変気の毒なことになりました、日本の河川にアユというものがなくなりました、これでは済まされないではないかというのが、私どもが公団の現在の考え方に対してそれでは理解できませんと言っていることなんです。あんたがおっしゃるように、じゃあ人造湖等を設置することによってアユの減産は完全に補てんできるのですか。どうですか。自信があるのですか。
  278. 山本弘

    山本(弘)参考人 現在姉川で実験人工河川をやっておりますが、これにつきまして先ほども申しましたように公団だけということじゃございません、滋賀県ということでもございません。関係の各省庁の御了解、御支持を得ました評価委員会をつくっていただきまして、そして評価をしていただくようにいたしておるのでございます。そしてこれはまたちょっとあれでございますが、実はただいま、将来の水位変動を予測いたしましてすでに漁業権者に対する補償は終わっておりますけれども、しかしまだ水位変動操作を行っておりません。水位変動操作を行うにはまだ若干の期間があるのでございます。その期間内におきまして技術的評価を行って、そしてその評価に従った対策を立てていくということに十分時間があるというふうにわれわれも考え、各省庁の御理解も願っておるわけでございまして、いましばらくわれわれのこの人工河川の問題については、その成果について見守りを願いたい。またわれわれとしましては、ただいま実験の途中でございますけれども先ほど言いましたように正式の評価は、東大の大島泰雄名誉教授を委員長とする委員会を最近つくっていただきましたけれども、それはまだできておりませんが、ただいま実験の段階におきましてやっておる技術者の報告等を聴取しましても成績は非常にいいということで、われわれとしては非常に意を強くしておるわけでございますが、そういう事情でございますので、いましばらくひとつ、維持事業、人工河川事業、これについて御理解を賜りたい、かように存ずる次第でございます。
  279. 島田安夫

    島田(安)委員 成績がいいとか悪いとか、そういうデータは何にもないのが実情でしょう。本来ですと、やはりこれだけの大事業でありますから、これによって起こる他の原因の究明、被害等の原因あるいは補償の問題、こうした問題が完全に行われた後において、この開発事業というものが進められるべきでありますけれども、一方的に事業はどんどん進んでおる。そこでわれわれは仮処分による工事の執行停止、こういうものもあわせて求めていかざるを得ない、ここまで先鋭化いたしておるわけでありますけれども、たとえば最前からしばしば出ておるように、現在の公共事業等を行うに当たって、そこに被害があっても、権利、いわゆる物権といいますか、土地等に対するもの以外は補償できない、こういう一方的な解釈をしておられるようでありますけれども、過去の公共事業を推進するに当たって、建設、港湾あるいはこれら水資源の開発等に関連しても補償した実例は幾らでもある。もしそういう事実があるとすれば、あなたは、公団の総裁は、いま「土地等」の「等」の解釈についても二、三の事例を挙げてはっきりおっしゃったけれども、どうされますか。責任をおとりになりますか。私は事例を数件持っておる。
  280. 山本三郎

    山本(三)参考人 お答えいたします。  私どものやった仕事については、いまの補償要綱によらないようなものはございません。
  281. 島田安夫

    島田(安)委員 私どもではなしに、国が行う各般の事業……。
  282. 山本三郎

    山本(三)参考人 ほかの事業については私の申し上げる範囲でございませんので、御勘弁いただきたいと思います。
  283. 島田安夫

    島田(安)委員 そういたしますと、ケース・バイ・ケースで幾らでもできるということであります。やろうと思えば幾らでもできる。「等」という解釈は、法律上これとこれというような意味を志向しておりません。加えてまたそういう法律の解釈を前提として、この琵琶湖の総合開発に当たっては両院ともに、この措置法の設定に伴う付帯意見というものをつけている。この付帯意見の中でも、たとえば「琵琶湖の水資源開発事業により生ずる湖水位の低下に伴う被害影響の特異性にかんがみ、生活基盤を失う者に対する生活再建、予測しがたい事後の被害に対する補償等について万全の措置を構ずること。」こういう付帯意見が、衆参で若干表現は違いますけれども、ついておるゆえんのものは、このかつてない大事業、これを行うに当たって、そこに被害が出るであろうから、そうした特別な被害、あるいはまた事後において発生するような被害であっても、予測しがたいものであっても補償だけは十分しなさい、こういう附帯意見がつき、なお閣議了解事項という話がありましたけれども、じゃ閣議にこの琵琶湖総合開発の問題が付せられるに当たって、どのような補償に対する方針が閣議で了解されたのか。私の調べているところによると、全くそんなことはない。関係大臣も知らないと言う。余りにも一方的な解釈ではないのか。再度これをどのように解釈されるか、答弁願いたい。
  284. 山本三郎

    山本(三)参考人 お答えいたします。  お話のように、琵琶湖総合開発特別措置法の審議の際に、衆議院におきましても参議院におきましても、ただいまお話のような生活再建あるいは事後補償の問題について附帯決議がつけられておりますが、私どもは立法当時の経緯から見ますと、直接には滋賀県における対策及び処置にかかるものというふうに理解しておるわけでございまして、しかしながら先ほどお話のように、本事業が全国の漁業、特に内水面漁業に及ぼす影響が大きいということで、その実施に当たっては琵琶湖における資源維持対策事業を行うということにしておると解釈いたしておるわけでございます。
  285. 島田安夫

    島田(安)委員 しばしば言っておりますように、琵琶湖に資源維持対策事業をしましても、果たしてこれでアユの種苗というものが減産にならずに済むのかどうか。公団もこれによって減産にならぬようであれば補償金を払う必要なかったでしょう。どうですか。いろいろなことはやるけれども、何とかそんなことはやるけれども、被害は四割あるから百二十七億払ったのと違いますか。いま聞いておると、この事業をやることによって完全に被害は補てんできます。したがって試験研究の結果も上々だと言っております。こういうことであれば、百二十七億の琵琶湖の漁民に渡した金というのは行き過ぎになるのじゃないですか。いわゆる事業開始までにはこの事業も一方的にやってきて、事業開始の時点においては被害がないということであれば、何も漁業権補償として、琵琶湖のアユは四割ないし五割は減産になっちゃうだろう、こういう認定をして補償金を払う必要はないじゃないですか。
  286. 山本弘

    山本(弘)参考人 先ほども申し上げておりますように、琵琶湖の水位を下げる事業を行うわけでございますので、琵琶湖で現実に魚を採捕されておる漁業者の方々、すなわち漁業権を持っている方々に対してその受ける被害を想定して、予測いたしまして補償いたしたのでございます。したがいまして、補償補償でございまして、いまの維持事業というものは先ほどもるる申し上げておりますように、琵琶湖の持つ種アユの重要性にかんがみて総合措置法の中で一つの政策として維持事業を設けられ、また振興対策事業も水産対策として掲げられておるということなのでございまして、われわれといたしましては、これはあくまで別個のものである、かように考えておるのでございます。したがいまして、われわれといたしましては、この維持事業に対しましていろいろやっておりますが、これはいわゆる先生が心配しておられる全国に対する種アユの確保という見地から行っておるのでございまして、補償として行っておるわけではございません。
  287. 島田安夫

    島田(安)委員 あなたと理論のかみ合わないことは過去十数回にわたっていろいろ論議をしたけれども、どうにもならないわけですから、いまさらあなたに私の主張に同意を求めようとは思いません。しかしながら、原則的に被害があることだけは事実である、こういうことを指摘したかったわけでありまして、たとえば予測してというようなことが出ますけれども、予測じゃなくて、いろいろ試験調査の結果四割は被害がある、このように公団は認定したわけでしょう。あるであろうと思いながら出したということでなしに、過去の経過はいろいろなことがあっても、補償金を払ったということは、この補償金のもとになる被害額というものは、結局四〇%の被害について補償金を払います、四〇%は被害があります、こういうことでしょう。どうですか。
  288. 山本弘

    山本(弘)参考人 先生御指摘のとおりでございまして、たとえば水位が下がりますと、魚の産卵をする場所がなくなる、あるいは狭められる、そういう問題も起こりますし、またあるいは水位が下がることによって従来の漁法ができなくなるということがございます。それがいつどういう時期に来るかということによって被害のあらわれ方は違うのでございます。それでもって過去何十年の統計資料から今後の水位の予測をいたしまして、そうして現実にどれだけの被害が出るだろうかということを計算をして被害額を算定したものでございます。それを一口に予測というふうに申し上げた次第でございます。
  289. 島田安夫

    島田(安)委員 こだわるようですけれども、予測は経過であって、そこに補償金として払うに当たっては被害が四割あるということを認定しないで、予測だけで補償金の支払いの執行をするのですか、契約を結ぶのですか。いろいろな経過があり、予測であるけれども、しかしながら結局四〇%の減産になるということは、公団みずからがこれを確認し、認めて四〇%に対する百二十七億の補償金を払ったんでしょう、どうですか。
  290. 山本弘

    山本(弘)参考人 そういった先ほど申しましたような形で予測をいたしまして、そうしてその程度の被害が出るということを認定いたしまして、そうして算定をいたしたものでございます。
  291. 島田安夫

    島田(安)委員 ちょっと愚問になるかとも思いますけれども、全国の河川が稚アユの放流あるいは配給事業その他一切の行為をやらない、たとえば滋賀県の漁民等に対して漁具の補修費であるとか、あるいは操業に当たっての一日当たりの賃金補償、こうしたものも一切やらない、こういうことになってくると、琵琶湖のアユは百二十七億どころか一億も一千万もしない、資源としては零である、こう思うわけですが、これについてはどうですか。
  292. 山本弘

    山本(弘)参考人 お答えいたします。  最近琵琶湖の種アユの全国の河川に対する放流量と申しますか、需要と申しますか、これは非常にふえてきてまいっておるのでございます。(島田(安)委員質問から全然違う、そういうことでなくして、放流することによって初めて価値が出るのであって、とるだけでは、放流全然しないということになれば、零に等しいでしょうと言っているんだ」と呼ぶ)それでその数がふえてまいりまして、先ほど指摘のように十数年前は恐らく八十トンとか百トン台でございましたが、最近は三百トンを超しております。三百二十トンとか四十トン。実際の需要の集計は、実際に出荷される量よりも需要が多いというふうに聞いております。そういうふうな状況でございますので、われわれはこの種アユの確保のための先ほど事業をやるということなのでございまして、先生の御質問、仮定の質問でございますが、私それについてはちょっと答弁を申し上げられません。そういうようなことが実際に起こるのか起こらないのか、ちょっと私たちは想像もできませんので御容赦願いたいと思います。
  293. 島田安夫

    島田(安)委員 ——————————————————————  私の質問はそういう意味でなしに、琵琶湖の稚アユというものは、河川に放流されることによって初めてそこにアユの価値評価というものが生まれてくる。これを放流しなければ価値は零じゃないか。アユ種苗としての価値というものはそこに生まれぬじゃないか。河川に放流することによって初めて生まれるのじゃないか。そこで、この種苗というものを内水面が必要とし、内水面が手を加えて、配給組合をつくったり、あるいは漁具の前渡金を出したり、あるいは操業補償をしたり、いろいろな立場でこのアユというものを保存し、採捕させてきた。この採捕者、すなわちそこに権利があるから、権利だけで、実際に漁業者に連なるそういう行為に対しては全然知らぬというのであるから、じゃ内水面漁連がアユはもう要りませんと言えば、アユの価値というものは零になってしまうのじゃないか。最前水産庁長官指摘したように、琵琶湖のアユというのは大きくはならない。こんなものでダウンしてしまうのですよ。どう思いますかという判断だから、判断ができないとかなんとかいうような問題じゃないでしょう。放流することによって初めて琵琶湖でとれるアユというものは種苗としての価値がそこに生まれるかどうか、そういうことを聞いておるのに——あなたの答弁は要らない。総裁はどう思いますか。
  294. 山本三郎

    山本(三)参考人 いま先生のおっしゃることは、確かに稚アユだけではアユの価値と申しますか、食料に供するようなりっぱなアユにはならない、こういうことは私もそのとおりだと思います。
  295. 島田安夫

    島田(安)委員 あなたの方とこれ以上同じような問題で質問を繰り返してもどうにもならないということは最初からわかっている問題でして、委員長、三十分ばかり大臣に対する質問、あわせてまた私は、機会あるごとに建設省あるいは国土庁長官等に法的な見解等を求めて質問をしていきたいと思いますので、きょうはこれで私の質問は終わります。
  296. 湊徹郎

    ○湊委員長 ただいまの島田安夫君の発言中、不穏当の発言があれば、後刻速記録を調査の上委員長において善処いたしたいと思います。
  297. 島田安夫

  298. 湊徹郎

    ○湊委員長 ただいまの件に関しては、後刻速記録を調べた上理事会において協議したいと思います。
  299. 島田安夫

    島田(安)委員 七時過ぎまでということでありましたが、やはり大臣が出席されておりませんので、引き続いてあすに質問を持ち越したいと思います。  本日はこれで私の質問を終わります。
  300. 湊徹郎

    ○湊委員長 参考人には本日御出席をいただきましてまことにありがとうございました。御苦労さまでございました。  次回は、明十九日水曜日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時五十五分散会