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1976-03-04 第77回国会 衆議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年三月三日(水曜日)委員長指名で、 次のとおり小委員及び小委員長を選任した。  畜産問題に関する小委員       今井  勇君    江藤 隆美君       加藤 紘一君    片岡 清一君       島田 安夫君    染谷  誠君       山崎平八郎君    角屋堅次郎君       島田 琢郎君    芳賀  貢君       津川 武一君    瀬野栄次郎君       稲富 稜人君  畜産問題に関する小委員長   山崎平八郎————————————————————— 昭和五十一年三月四日(木曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 湊  徹郎君    理事 今井  勇君 理事 片岡 清一君    理事 島田 安夫君 理事 菅波  茂君    理事 山崎平八郎君 理事 井上  泉君    理事 角屋堅次郎君 理事 中川利三郎君       足立 篤郎君    上田 茂行君       加藤 紘一君    吉川 久衛君       佐々木秀世君    澁谷 直藏君       中尾 栄一君    森下 元晴君       渡辺美智雄君    柴田 健治君       島田 琢郎君    竹内  猛君       野坂 浩賢君    芳賀  貢君       馬場  昇君    美濃 政市君      米内山義一郎君    津川 武一君       瀬野栄次郎君    稲富 稜人君  出席政府委員         農林政務次官  浜田 幸一君         農林大臣官房審         議官      森 宏太郎君         農林大臣官房予         算課長     石川  弘君         農林省畜産局長 大場 敏彦君         農林省食品流通         局長      今村 宣夫君         食糧庁次長   下浦 静平君         林野庁林政部長 犬伏 孝治君  委員外出席者         外務大臣官房外         務参事官    井口 武夫君         農林大臣官房企         画室長     小島 和義君         農林省農林経済         局金融課長   若林 正俊君         農林省構造改善         局農政部長   渡邊 五郎君         農林省構造改善         局建設部長   岡部 三郎君         農林省農蚕園芸         局稲作対策室長 松山 光治君         農林省農蚕園芸         局植物防疫課長 本宮 義一君         農林省農蚕園芸         局畑作振興課長 伊藤 律男君         林野庁指導部長 藍原 義邦君         水産庁漁政部長 森実 孝郎君         海上保安庁警備         救難部海上公害         課長      佐藤 弘毅君         労働省労働基準         局安全衛生部安         全課長     野原 石松君         建設省道路局地         方道課長    三野栄三郎君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 三月三日 漁業再建整備特別措置法案内閣提出第一八号)  農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 湊徹郎

    ○湊委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野坂浩賢君。
  3. 野坂浩賢

    野坂委員 皆さん多忙のようでありますから、まず政務次官にお尋ねをしておきたいと思います。  去る二月四日以降、国会はロッキードの問題で異常な空気であるということは御案内のとおりであります。この中で、問題の解明はされておりませんが、いまその焦点にあるのは病床にある児玉氏、そして証言が行われましたけれども非常に疑いを持って見られておるのは丸紅だ、こういうふうに指摘しないわけにはまいらないと思うわけであります。三木総理を初め日本の名誉にかけて、あるいは民主政治の根幹に触れる問題である、こういう立場から、この解明を急がなければならない、こういうふうに私どもは思うわけであります。政務次官もそのとおりにお考えでありましょうか。
  4. 浜田幸一

    浜田政府委員 先生指摘のように、今回のロッキード問題は日本民主主義、すなわち議会制民主政治そのものの崩壊につながる問題であり、国民不信を解くためにも本問題については徹底的な解明をし、一日も早くその真実国民の前に知らさなければならないことであると考えております。
  5. 野坂浩賢

    野坂委員 きのうも予算委員会丸紅ロッキードの改定問題が問題になり、法務大臣はその事実関係についてさらに調査をするという答弁を行っておりますことは御承知かと思うのであります。いわゆる中身としては丸紅は偽証の疑いがあるということなのであります。この丸紅証言についてはあなたもお聞きになっておると思うのでありますが、疑われる点が多々あるというふうにお考えでありますか。
  6. 浜田幸一

    浜田政府委員 ただいま日本の三庁合同捜査が行われておりまして、その事実解明は行われるものである、正しく結論が出されるものであると思います。本問題に対する先生の御質問につきましては、私自身がその質疑応答を聞いておりまして感じますことは、非常につじつまの合わないことが多過ぎる、このように考えております。
  7. 野坂浩賢

    野坂委員 世に言われる丸紅商法というのは御存じですか。どういうことですか。
  8. 浜田幸一

    浜田政府委員 私は知っておりません。
  9. 野坂浩賢

    野坂委員 一般に言われております丸紅商法というのは賄賂とか贈賄とかそういうもので今日まで伸びたということが世論としては言われております。  それで、きのうもわが党の同僚議員からも質問がありました。たとえば土地買い占めもあります、あるいはまた、資料をいただいておりますように、丸紅指定業者となって米とか麦とか牛肉とか木材、こういうものを輸入しておる、こういうことは御存じだろうと思うのであります。この事件解明するという意味で、東京都を初め各地方自治体がそれぞれ公共事業指名を取りやめるという決断をしております。このことについてはどうあなたはお考えになりますか。
  10. 浜田幸一

    浜田政府委員 この問題につきましては、丸紅が実際的にロッキード問題での追及を受けておりますが、農林省の関与いたしておりますたとえば穀物、木材、そういう問題についてはそういう事実が明らかでありませんので、現在の段階ではその措置については農林省自体としては考えておりません。
  11. 野坂浩賢

    野坂委員 私が尋ねておりますのは、地方自治体が別に大きな問題はなかった、しかしロッキード事件解明についてあなたもいま指摘をされましたように、つじつまの合わない点がたくさんある、国民疑いの目を持っておる、そして丸紅がある程度の事実を知っておる、このことを解明しなければならない、また国民もそれを知らなければ日本の名誉というものは払拭できない、その焦点丸紅である、こういうふうな立場から地方自治体の突き上げが始まって、それぞれの公共事業発注停止をする、こういう決断を下した、このことについてはあなたはどうお考えですかということを聞いておる。
  12. 浜田幸一

    浜田政府委員 自治体の問題につきましては自治体の長が決定することであり、わが農林省といたしましては、もし農林省関係について不正の事実が明るみに出ました場合にはその時点で対処する考えでございます。
  13. 野坂浩賢

    野坂委員 私とあなたとはちょっとかみ合わない点があるのです。地方自治体はそういう一つ自分たちのことについてあるわけではないけれども、このロッキード事件に対する丸紅の態度は遺憾である、こういう意味でこのような丸紅やり方については納得ができないから、真相解明のためにも公共事業発注停止をする、こう言っておるわけです。  それで、いままで農林省関係でも、たとえば四十六年の七月から四十八年の一月、あるいは四十七年の秋から四十八年の春にかけて豚肉の関税脱税事件、あるいはモチ米食糧管理法違反、こういうことをやっておりますね。そしてこれと同じようなことか  同じようなといいますか、それ以上に憎むべき丸紅商法というものが今回の問題を生んでおるということは、だれもが承知をしておる事実なんです。このときには三カ月程度停止だったんですが、やはり丸紅そのものについて反省を求め、そして世界が知っておるこの事件世界が知っておる丸紅、こういうものはみずから自粛すべきだ。だからロッキードとの契約を来年春までにはやめる、こういうふうに言い、檜山さんも会長を辞任するという一幕もあったわけでありますから、早急にこの問題を解明するためにも、政府関係するすべてのものについて丸紅に対してはもっと調査をする必要があるし、われわれが担当する米なり木材なりそういうものについても十分検討して丸紅真実を言うような方向というものへ持っていく必要がある、私はこう思うのです。それについては、あなたは事実関係があればやるんだけれどもということですが、出て暴露されるまでもなく、いまの状態農林省としては考えるべきではないか、こういうことを言っておるわけです。その点どうですか。
  14. 浜田幸一

    浜田政府委員 先ほど先生から御指摘のありました、たとえばモチ米の問題、畜産の問題、そういう問題については、先生からも三カ月の停止処分をしたということが言われておりますが、そのような措置をとったことがございます。第一の場合は六カ月、第二の場合は三カ月であったと記憶いたしております。  第二番目の御指摘の点でございますが、食糧庁に対して、丸紅商法がいかぬのではないかという御意見と承りますが、食糧庁丸紅に対しまして輸入許可権を与えておりますものについては、私どもの知る範囲内においては、現在そういう問題は一切ございません。また、システムそのものがそういうことが行われないようにできております。  第三番目の木材等の問題につきましても、現在の段階ではそういう疑惑は持たれておりません。  さらにその次の御質問でございますが、現在行われております問題を提起いたしましたロッキード問題の解明を急ぐために、農林省そのもの許可を取り消す云々という御主張がございますが、その問題は、先ほどお答え申し上げましたように、現在司法当局捜査段階でありますので、現在の段階で私どもといたしましてはそういう措置をとる考えはございません。
  15. 野坂浩賢

    野坂委員 当時土地買い占めをやったということはきのうの質問でも明らかですが、何に使っておるんですか。土地買い占めてその土地丸紅は何に使っておるか、また何をしようとしておりますか。
  16. 浜田幸一

    浜田政府委員 私の方といたしましては、丸紅が何に使おうとしているか、理解するところではございません。
  17. 野坂浩賢

    野坂委員 だから、やはりそういうことを調査をして、本当に丸紅が利潤の追求を行っておるだけで国民立場に立っていないということであれば、われわれはこういう指定業者についても改めて考え直さなければならぬ、私はそう思っておるのです。それについてはどういうお考えですか。
  18. 浜田幸一

    浜田政府委員 この問題は、調査をいたしてみませんと正しいお答えをすることはできないと存じますが、丸紅土地を動かすその背景として考えられることは、それが住宅供給の面に寄与しようとしたものであるのか、ただ単にその土地が売られることによって利益だけが追求されたものであるのか、その辺の確認をいたしておりませんが、もし先生からの御指摘であれば、わが省としてもそれらの問題については調査をして御回答することにやぶさかではありません。     〔委員長退席菅波委員長代理着席
  19. 野坂浩賢

    野坂委員 調査をしてこの委員会につまびらかに御報告をいただきます。要求をしておきます。  第二番目の質疑でありますが、余り米通称超過米、この委員会では豊年米と呼ぶことになっておりますが、現在、この予約限度数量超過米というのは、現時点ではどの程度あるでしょうか。
  20. 浜田幸一

    浜田政府委員 お答えをいたします。  現在の段階で至急に処理をいたさなければならないものは五十万トンでございます。
  21. 野坂浩賢

    野坂委員 この余り米通称豊年米は、私ども農家責任がないと思っておるわけです。これは政府責任処理をするということになろうと思いますが、そうですか。
  22. 浜田幸一

    浜田政府委員 政府指導を含めて、協力をいただいて処理しなければならない問題だと考えております。
  23. 野坂浩賢

    野坂委員 この買い上げ値段でありますが、これは食糧管理法三条で「政令ノ定ムル所ニ依リ」と書いてありますね。これは一万五千五百七十円ですね。そうですね。
  24. 浜田幸一

    浜田政府委員 この問題については担当官から御説明させます。
  25. 下浦静平

    下浦政府委員 予約限度超過米につきましては、先生よく御承知のとおり、昨年十一月二十八日をもちまして対策を決めたわけでございますが、この対策によりまして、手厚い助成のもとに自主流通米に準じて、自主流通米の流れるルートを通じましてこれを販売するということで、集荷機関側におきましてもそういう方向で全面的に取り進めておりますし、大方需要者側との話し合いが終わったというようなことになっておりますので、政府がこれを買い上げるということは、いまのところはまだ私ども考えておらないわけでございます。
  26. 野坂浩賢

    野坂委員 何かの案で、その残量については政府措置をすると書いてありますね。それは、政府買い上げるということを考えていないということとどういうことになりますか。
  27. 下浦静平

    下浦政府委員 先ほど申し上げました予約限度超過米対策の一番最後の項でございますけれども、そこに政府措置考えるということが書いてございます。その点の御指摘かと思いますが、これば確かに政府買い上げを含めてこの残量については考えたいという意味でございますが、先ほどもお話し申し上げましたように、この五十万トン程度予約限度超過米につきましては、全量五月ごろまでにこれをさばくという方針のもとに、全農等集荷機関、それから需要者団体との話し合いが全面的に行われまして、ただいまの段階では、おおむね全量先ほど申しました方式でさばかれる見込みでございます。その意味先ほどああいうお答えを申し上げたわけでございます。     〔菅波委員長代理退席委員長着席
  28. 野坂浩賢

    野坂委員 五月三十一日ですか、最終的にやるのは。
  29. 下浦静平

    下浦政府委員 六月に入りますと大分陽気も暖かくなってまいりますので、まあ六月までは持ち越したくない、五月中にという目途でございますので、さように御理解いただいてよろしいかと存じます。
  30. 野坂浩賢

    野坂委員 それはひとまずおきまして、もう政務次官もお出かけのようですから、浜田さんに伺いますが、この食管法三条政令で定めたというところなんです。米価審議会米価は決めますね、販売価格買い上げ価格も。政令で定めるところの金額というのはそれだと思うのですね。そのとおりでしょう。
  31. 浜田幸一

    浜田政府委員 お説のとおり、限度内のものにつきましては、政令で定めるという条項で決定されます。
  32. 野坂浩賢

    野坂委員 その政令も、母法限度まで。それならば、ほかのものは関係ないのですか。限度以上のものが出たら、幾らに買ってもいい。しかし農民は、できた米は政府及びその政府の指定する業者でなければ売れないことになっているのですよ。農民には責任がないのじゃないですか。あなた方が、出てきたからやむを得ぬというようなことは、政府の一方的な見解じゃないですか。法律の趣旨に沿わないじゃないですか。
  33. 浜田幸一

    浜田政府委員 担当官より説明させます。
  34. 下浦静平

    下浦政府委員 先ほど政務次官からお答えがございましたとおり、食管法三条の規定によりまして定められておる買い上げ価格でございますが、これは国民の必要といたします米につきまして適用される価格でございまして、したがいまして、これは限度内の米について適用されるということでございます。それから限度外限度を超過いたしましたものにつきましては、流通ルートというのが政令で定められておりますので、自主流通米と同様のルートによってこれが販売されるということになるわけでございまして、この三条価格の適用はないということになるわけでございます。
  35. 野坂浩賢

    野坂委員 下浦さん、それはおかしいですね。政府が来年度の限度数量の割り当てをしますね。いままでもしましたね。どの程度したかというと、百万トン少なく考えておったのですね。それを、農家皆さんはそれ以上に協力をしたのですね。五十年の当時、面積数量について何%協力したのですか。
  36. 浜田幸一

    浜田政府委員 担当官より御説明させます。
  37. 松山光治

    松山説明員 お答えいたします。  五十年におきます要調整数量でございますけれども、当初百万トンの予定でやっておりましたが、転作と通年施行、両方合わせました実施見込みによりますれば、百八万トンという結果に相なっております。
  38. 野坂浩賢

    野坂委員 浜田さん、担当官ではなしに、あなたと話をする。というのは、政府は当初、百万トンを農家皆さんに対して少なくしてくれと言ったのですね。数量には必ず面積がつきますね。それに対して一〇〇%以上、一〇一%も協力したということは、気に入らないけれども農家政府の言うことを聞く、協力をしたということですね。その与えられた面積で汗水たらして——私とものところはカメムシという虫のために五億円も農薬を使ったのです。異常なものでした。そして指数としては一一三の成績を上げてきた。全国的にそういう傾向が強かったのですね。農家につくれ。農林省としては、超過米とは言わないで豊年米と言う意味は、それを高く評価をしたということなのです。安倍農林大臣も、あなたの前の政務次官江藤さんもありがたいことだと言ったのです。だから、農林省農家に対して敬意を表するという姿なんだ。それを、買い上げるときには安くするかもしらぬというようなことは——私はこういう状況を見ると、つくった農家皆さんには責任がない。しかも食糧管理法は、あれだけ激論をしながら答申をして、そして最終的に政府が決めた一万五千五百七十円というもので、これはもう絶対だと思うですね。しかも、余ったから買わぬと言っても、農家皆さんは他に転売をするということはできないわけです。政府に売らなければならぬという義務があるわけです。「売渡スベシ」と書いてあるわけですね。だから、その点については農家皆さんには責任がないことじゃないでしょうか。事、米の問題についてあなたの考え方はどうでしょう。
  39. 浜田幸一

    浜田政府委員 実際に私ども調整をお願いして御協力をいただいて、そして話し合いの中で決められたそういう努力目標に向かって生産をされ、それが上回った場合については、当然先生の言われるような御見解になると思います。ですから、そういう問題が特に、先ほど担当官から御説明を申し上げましたように、自主流通米という指導体制の中で処理されないで困ったものがあるとすれば、その責任は私どもが果たさなければならないと思います。
  40. 野坂浩賢

    野坂委員 大体わかりました。そういうふうにして進んでいただきたいと思うのですが、その金額は、米価審議会で決めた金額ということになりますか。
  41. 浜田幸一

    浜田政府委員 買い上げ価格につきましては、米価審議会の決定した価格ということで決定するわけにはまいらないと存じます。その間の問題につきましては、またよりよく検討した上で発表させていただきたい、このように考えます。
  42. 野坂浩賢

    野坂委員 問題はその辺ですよ。いままでの道程としては、農家皆さんは結局それで買ってもらえると決めて、新聞で発表されて、農協が言って、県や町が言って、みんなそういう気持ちでおるわけですね。責任がないわけですから。政令で定めたというのも、いわゆる政府買い上げ米というものは決まっておるわけですから、それよりも下回るというようなことはこれは考えられぬことですね。これは法律違反ですよ。政令限度数量がそうだからといって勝手な解釈をして——これは法律の方が政令より上回るのじゃないですか。そうじやないですか。だから、それなればやはりきちんとしてやらなければ、限度数量面積も何でも協力させておいて、そして一生懸命に産米改良をやってできたものを、それは政府は買わぬ、買うけれども安い、こういう二段米価方式というものは、きわめて農政に対する不信を招くことになると思うのですよ。あなたは政務次官になられて、ここで答弁をすればいいということではなしに、農家の心情に立って、これからどうやって生産意欲を向上させるのですか。
  43. 浜田幸一

    浜田政府委員 先生の御意見に反論を申し上げるつもりは決してございませんが、逆の場合はいかがでしょうか。幾ら指導しても米がとれ過ぎて消費が進まないといった場合に、わが農林省はいかがいたせばよろしいでしょうか。政令の定めるところによってすべての価格が決定され、買い入れの量が幾ら上回ってもいいということには私はならないと考えます。でありまするから、先生からの御指摘もこれあり、それらの価格の問題につきましては、農民生産意欲を減退せしめないという状態の中で配慮はいたさなければならないと存じますが、定められた額で買うことが必ずしも今日の日本農政水準の上に農民利益を守るためにもベターな方程式ではない、このように私は考えております。
  44. 野坂浩賢

    野坂委員 まあ意見はありますが、浜田さん、こうです。たとえば米がたくさんとれた、そうすれば、その米を基礎にして、そのために米の消費拡大を図っていく、学校給食もやる、こういうことが出てくるわけでしょう。一方、四百八十万トンも外麦というものが輸入をされておる、こういう実態ですね。したがって消費をどうやって伸ばすかということを農林省考えていかなければならぬ。外国から麦を輸入するよりもある米で日本国民というものが消費をどうするかということを考えていくことも、農林省としての責任じゃないですか。そういうことを考えれば、それだけ消費を拡大する、そうすれば輸入はこれだけ減らす。農林省のいまのやり方はこういうかっこうでやらない。米はこういう計画をとる、しかし過去と比較計算をして人口のふえた分だけは麦に計算をして麦の輸入数量を決めるというやり方、こっちは従来どおりやっておる、これだけやってやれなかった場合は麦を輸入をしてこれで助かるという、そういう姿の政策というものは、これまた問題があるんじゃないですか。
  45. 浜田幸一

    浜田政府委員 ただいま余剰米の問題から基本的な資源対策食糧資源の問題に移行いたしましたので、見解を申し上げておきたいと存じます。  私は、ただいま先生が言われました基本的な考え方につきましては大賛成でございます。私自身も矛盾を感ずるものであります。消費は伸びない。しかし伸びない理由は何であるかと言えば、それは消費者が米を食わなくなったからであります。それにかわるものとして四百五十万トンも小麦を主食として食べている。その中には赤字が八百五十億円もある。そもそも原則としては、外国から買いました小麦は買った値段に経費を加えて売るのがあたりまえであるのに、そこに八百五十億円も食管赤字を出して売っているところに問題があることも事実であります。  ただし、これは国民の嗜好によって決定される問題でありますが、やはり指導理念としては農林省が米を正しく理解をしてもらう運動を徹底的に行うべきであり、そしてたった一つ米資源というものを一千二百万トンに限定すること、あるいは一千三百万トンとったものを正しく国民食糧生活の上に理解してもらう姿勢を徹底的に行っていかなければ、私は日本農業の前途は暗いと思うのです。ですから、現在先生から言われましたその食糧資源対策の一環としての米に対するものの考え方は、私は先生と全く同じ考え方であります。だからといって、現在の段階国民小麦を食う、米を食わない、そういう中で米の生産量は限定されてくる。限定されてきた場合には、そういう形の中で、指導理念を持つことは正しいことでありますから、これは徹底して指導理念を発揮していかなければいけませんが、現状の中における農民の所得というものを真剣に考えた場合に、余剰米が多過ぎて二百万トンも三百万トンも出てくるような形になれば、それはどうするのかということになりますと、基本的には農民が困るわけでありますし、農業予算もそのことに食われて基盤整備全体に及ぼす影響も悪く出てまいるわけでありますから、そういう問題につきましては私どもも鋭意研究をいたしまして、先生の言われたとおりに指導もいたしてまいりたいし努力をしてまいりたいと思いますが、出発点にありました問題につきましては、私の方といたしましてもいま少し研究をさせていただきたい、このように考えます。
  46. 野坂浩賢

    野坂委員 方法はいろいろあると思うのです。時間ばかりかかりますから多くを申し上げませんが、まず米を食うような指導をやるということはわかりました。  それから、いまの問題は幾らでも解決のできる具体的な問題があるのです。それはこういうことがあると思うのです。たとえば、いま五十万トン残っておる、そういうお話ですね。政府がいままで限度数量買い上げましたね。それを配給に回さないで五月に買うというのは、自主流通米にそれを乗せていままでの買い上げ米というものは倉の中にしまっておって配給計画にそれを出させていく、残ったものは備蓄に回す、あなた方はこういう計画なんです。それならば買い上げしたものをどんどん普通の計画に乗せて、同じ備蓄にするならば超過米というものを、同じことなんですから、備蓄米に回したらいいじゃないですか。そうすれば少しも値段についての問題はないじゃないですか。
  47. 浜田幸一

    浜田政府委員 先生の御指摘一つの方法論として考えられるところであります。
  48. 野坂浩賢

    野坂委員 そういうことで進めてもらって、われわれは二段米価というようなものを農民の中に植えつけて問題が起きないように処理してもらう措置をしてもらうように要望しておきます。  それではその次には、いまの問題にひっかかるわけですが、来年度の予約限度数量なり面積というものをまた今度出されておるわけですね。これはいろいろ問題点があると思うのですが、これは再検討してもらわなければならぬのじゃなかろうかと思うのです。でこぼこがあるんじゃないか。こういう積算の根拠をひとつ教えてもらいたい。
  49. 下浦静平

    下浦政府委員 昭和五十一年産米の事前売り渡し申し込み限度数量の問題でございますが、これは限度数量が八百七十万トンということに需給計画上決められたわけでございます。この数字は前年に比べまして十五万トンの減ということに相なっております。したがいまして、私ども大分都道府県別の配分に当たりましては苦心をしたところでございますが、やはり基本的には生産調整の始まります以前、昭和四十二年から四十四年までの産米の平均政府売り渡し実績、これをもとにいたしまして、それから昭和五十一年度の水田総合利用対策の目標でございますとか、あるいは土地改良事業の通年施行実施見込み等に基づきまして算定をいたしました数量を差し引きました数量を第二の段階の基礎ということにいたしまして、これをさらに所要の調整を経まして決定をいたしたという次第でございます。
  50. 野坂浩賢

    野坂委員 来年度の予約限度数量の各府県割り当てをしておりますね。これは非常に問題もあろうと思っておるわけですが、ここでやるともう私は十五分しかないのでやれませんから、その根拠をもう一度書類にして出してほしいと思います。要望しておきます。  それからもう一つ、あなたお帰りですから、米の値段というものは農民にも消費者にも非常に関心の高いところです。この米価審議会委員ですが、これは非常に長い間のいろいろ経過があって、国会議員等も行っておった。しかし、それは国会は国会でやってくれというかっこうで引き揚げられた。紆余曲折がありましていろいろあるわけですが、消費者生産者と学識経験者、三者構成ですね。これは一遍再検討してもらわなければ、たとえば労働者の代表とか、あるいは同盟でも総評でも、そういう方たちはすべて出ておるが、生産者の代表も非常に少ない。あとは学校の先生とか評論家とか、こういう方々が多いわけですね。本当に米を食う者、つくる者、こういうところにもつとウエートと大きな影響力といいますか、意見の集約ができやすい、こういうところで考えていってもらいたい。消費者はたった三名だ。生産者は四名だ。あとは中立というか学識経験者だ。こういうのはちょっと問題ではなかろうか、こう思うのですがどうでしょう。
  51. 浜田幸一

    浜田政府委員 お答えいたします。  現在の米価審議会の構成そのものは、あらゆる角度からいろいろな配慮をいたしまして実は決定したものでございまするので、先生の御指摘はわかりますが、いますぐそれを変えるということは非常にむずかしいことだと考えております。
  52. 野坂浩賢

    野坂委員 余り強くというわけではありませんが、これは大学の教授、先生方もおいでですね。評論家が多いですね。しかし、現実に米をつくる人の代表あるいは消費者の代表というものは非常に少ないですね。あらゆる角度ということは私はよくわかりませんけれども、これだけ関心が高まった消費者なり生産者のウエートが少ないじゃないですか。これは政府にとって答申を出させるに便利だ、こういう意味では私はわかると思うのです。それは、あらゆる角度という角度とは、ちょっと角度の見方が違うのじゃないかと思うのですが、この改選期に当たっては、そういう全般の状況というものを十分考えられて検討してもらう必要があるだろうと思います。それについてどうでしょう。
  53. 浜田幸一

    浜田政府委員 基本的な考え方として、当然よりよく検討して次の段階にも臨まなければなりませんので、検討することはやぶさかではありません。
  54. 野坂浩賢

    野坂委員 次に入ります。  これから土地改良法等が提案をされるわけですが、この間同僚議員からもお話があったと思うのですが、基盤整備事業は、県営の場合がたしか二百町歩、団体営の場合が圃場整備事業等は二十町歩、こういうふうに適用されておると思いますが、そのとおりかということと、補助率はどういうぐあいになっておりますか。
  55. 岡部三郎

    ○岡部説明員 御説明いたします。  農業基盤整備事業の補助率につきましては——基盤整備事業の中にもいろいろな種類がございます。たとえば圃場整備等につきましては、御指摘のように一団地が二百町歩以上のものにつきましては県営で実施いたしておりまして、一団地が二十町歩以上のものにつきましては団体営で実施いたしております。  補助率につきましては、一般の基盤整備の場合には大規模なものが小規模のものよりも高率になっておるという例がございますが、圃場整備等の場合には、規模の大小にかかわらず補助率は一定でございます。
  56. 野坂浩賢

    野坂委員 たしか四五じゃないですか。——そうですね。そうしますと圃場整備のときに、私は四十八年から、櫻内農林大臣のときにも質疑をして、画一的な補助方式というものは問題があるじゃないですかと言ったら、櫻内氏は、そのとおりだ、これから変えていかなければならないとおっしゃったのですね。平たん地といいますか、圃場整備事業は平均四十万円ぐらいかかるというふうにあなたは理解されておりますか。平たん地は幾らで、中間地は幾らで、山間地はどの程度とお考えです。分けて説明してください。
  57. 岡部三郎

    ○岡部説明員 圃場整備事業の十アール当たりの単価につきましては、いま先生おっしゃったとおり、平均して四十万円ほどでございます。地域別の差につきましては、ただいま数字を持っておりませんが、中山間地域におきましては、どうしても団地構成が小さくなりますので、団体営事業が多くなろうかと思います。また、平場の地域におきましては相当まとまった団地がとれますので、県営規模の事業が多くなろうかと思います。県営規模の事業と団体営規模の事業で比較いたしますと、十アール当たり単価は、五十年度の実施計画の単価で見ましても、ほとんど変わりございません。
  58. 野坂浩賢

    野坂委員 それは単価を同じようにしておるのですよ。それは違うのです。山間地なんか平たん地の倍かかりますよ。そんな認識では困りますね。山の方に上がって大変なところに圃場整備をしようとすれば、高いのはあたりまえですよ。山間地と平たん地の収量も、所得も、山間地の方が少ないですよ。高いところに同じ補助率を掛ければ、収入の少ない人たちは、絶対額が高いから、地元負担は大きくなりますね。そういうことになりますね。だから、いままでの大臣がそういう画一補助方式というものは変えていかなければならぬ、こう言っておられたと思うのですよ。あなたはどうお考えなんですか。
  59. 岡部三郎

    ○岡部説明員 平場の地域と中山間地域とでは、確かに先生おっしゃいましたように、平場の県営事業を主とした圃場整備等におきましては、相当高度の施設を伴った、たとえば末端水路のライニングであるとかパイプラインであるとかいうふうな事業が行われておりますし、中山間地域の団体営事業等では必要最小限の施設をやっておるというふうなことが、先ほども申しましたように、結果としては十アール当たり単価にほとんど影響がないのではないかというふうに考えております。  さらに、制度的には中山間地域等の自然条件が非常に厳しい、傾斜もきついというふうなところにつきましては、一般の平場の県営事業でございますと、圃場整備の場合には、一区画が三十アール以上ある地域が三分の二以上なければいかぬというふうな規定がございますが、中山間地域等の場合には、こういう規定を大幅に緩めておりまして、三十アール以下の区画でもできるようなことにしておりますので、そういう点が十アール当たり単価に影響しておるのではないかというふうに考えております。
  60. 野坂浩賢

    野坂委員 そんなことはありません。もっと調査をしていただきたいと思うのです。それはもちろん三十アール一区画でつくりたいのですができないのです。しかし、その実態がわかって、一反でもやむを得ぬ、一反半でもその区画はやむを得ぬ、ケース・バイ・ケースでいく、こういうことについては了としておるわけです。しかし、現実にそれは単価が高いのです。だから四五%で定率で同じだとおっしゃっても、所得の少ない山間地域の人たちは出し前が多いのです、地元負担というものば。これは将来考えてもらわなければならぬ、こう思います。この点はさらに事務当局としても考える、この程度のことはやってもらわなければ、画一補助方式とかそういうことでは、やはり農政の手厚い姿ということにはならぬと私は思いますね。考えるべきだ。どうです。
  61. 岡部三郎

    ○岡部説明員 中山間地域の基盤整備事業につきましては、御指摘のとおり従来の制度ではなかなか実施が困難だというふうな部面も多分にございます。五十一年度の予算案におきましては、これらの中山間地域を主な対象といたしまして、既存の制度では基盤整備を実施することが非常にむずかしいというふうな場合に、数個の農業集落をとりまして、こういうところの農業生産基盤と環境基盤とを一体的、総合的に実施するための農村基盤総合整備事業というものを新設いたしまして、実施をいたす予定にいたしております。こういう事業によりまして今後中山間地域の基盤整備は一層促進されるのではないかというふうに期待をいたしております。
  62. 野坂浩賢

    野坂委員 いまお話がありました農村基盤の総合整備事業というのは、ことしから出てきた。補助率は、内地は五五%で北海道は六〇%、こういうものですが、内地というのは、われわれのところは山地帯で山間地帯が非常に多いわけですから、これらは、ことしなんか一県に一カ所ですからね、だからそう大きくなかなかできない、こういう実情なんです。だから圃場整備事業についても十分考えてもらわなければならぬということが一点。  それから二点目は、いま盛んに裏作奨励をしていますね。いまも浜田君が言っておったように、麦作とか飼料作物とか、あるいは奨励金を十アール当たり五千円出すとかいろいろありますね。しかし、現実にこの基盤整備事業に問題がありますのは、表土をとってしまって心土が表面に出てくるんですね。いわゆる肥え土がとられて下のものが表面に出てくる。そして粘土質のあるところは排水を思うようにしない。だから水がたまって、圃場整備事業をやっても翌年とか五年ぐらい根が腐ってしまうから裏作はつかぬのですよ。しかもコンバインなんか入ってこない、こういうのがたくさんあります。それならば排水すればいいとお考えでしょうけれども、県営で二百町歩なら二百町歩になると地元負担はプールになるわけでしょう。プールになりますと、なるべく単価を下げたい、平地、中間地じゃそうなりますね。だから一定の限度しか進まないという点がありますから、そういう点については十分配慮してもらって私は時間がもう五分しかないのです。だから、それらの点については第一点に申し上げたのです。裏作ができるような圃場整備をしてもらわなければ、あなた方の考え方意味がない。そういうことで指導してもらいたい、こう思うのですが、その点をどうするかということ。  もう一つは、二次構なら二次構、構造改善事業は一つは基盤整備のような仕事もありますね。その次には、上物の構造改善事業がありますね。たとえば機械がありますね、大型機械を導入する。いま言ったように、中山間地でコンバインを入れるということになりますと四条以上だ、あなた方はこう書いてますね。そんな機械は入らぬのです。自分が構造改善で買って、それをほかの人に貸して、また二条のコンバインを買ってやる、こういう矛盾したことがあるわけです。だから、その地域に合わせるようにしてもらわなければならぬと思うわけです。皆さんの中では、それは二条でも三条でもよかろう、こういうふうに私たちも大体聞いておりますけれども、そういう点も、採択の基準というものについてはやはり弾力性を持たしてもらわなければ、買った物が生きてこない。生きる農政にしてもらいたい、こういうことをあなた方に申し上げるわけです。それについてはどういうふうにお考えでしょう。善処していただけますか。
  63. 岡部三郎

    ○岡部説明員 御説明の前に、農村基盤総合整備事業の補助率でございますが、内地、北海道とも五五%でございまして、沖繩が七五%でございます。  お尋ねの第一の中山間地域における圃場整備事業の実施方式につきましては、さらに検討をしてまいりたいと考えております。  二番目の、裏作導入のために圃場整備事業が十分な効果を発揮していないではないかという御質問でございますが、圃場整備事業は、申すまでもなく、汎用耕地化をいたしまして裏作導入を図ることを目的の一つといたしております。ただ、御指摘のように、非常に重粘土質の湿田等におきましては、従来の区画整理による整地工をやっただけでは、もちろん裏作ができるような基盤はできないわけでございまして、これと並行して地下水をコントロールするための暗渠排水あるいは心土破砕というふうな工事を実施しなければならないわけでございます。ところが、区画整理直後はなかなか地盤が安定をいたしませんものですから、暗渠等を埋設いたしましても、それが破損したりして十分な機能を発揮しないというふうなこともございます。それからまた、重機械を入れるために基盤の粘土が固まって十分な排水ができないというふうなこともございます。したがいまして、こういう整地工をやった後、ある程度地盤が固まりましてから、暗渠排水等の工事を並行いたしまして、地下水のコントロールを図ると同時に、心土を十分裏作に適したように改善をする工事を圃場整備事業の中で実施をいたすことで現在指導をしております。  ただ、過去において実施しました圃場整備等の中には、御指摘のように、排水が十分でないというふうな地区もあろうかと思いますが、こういう地区につきましては、暗渠排水等の単独事業もございますので、そういうもので十分な手当てをしてまいりたいというふうに考えております。  なお、構造改善事業の点につきましては、農政部長の方からお答えいたします。
  64. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 構造改善事業に関します点についてお答えいたします。  構造改善事業は、御存じのように、農業構造の改善を実現するということで、各種の基準によりまして、特定地域に対しまして総合助成事業を四年間にわたりまして集中的に実施するというようなことで、たとえば、圃場整備にありましては二十ヘクタール以上、あるいは機械導入につきましても十ヘクタール以上という基準がございます。ただし、圃場整備のような場合におきましては、山村等の特殊な事情の地域におきましては、これを十ヘクタールまで引き下げるというような工夫をいたしております。  御指摘の機械導入の点につきましても、理念といたしましては、大規模な能率のよい経営を創出するということになっておりますが、これが農家の過剰投資を招くことがないような営農指導とか、そういう面については十分留意いたしたいと思いますし、また構造改善事業以外でも、中山間部地帯に対しましては、山村振興対策等の各種の事業もございますので、それぞれの地域に適合した事業を御紹介し、またそういうことになりまして地域の実態に合った事業を進めてまいりたい、このように考えております。
  65. 野坂浩賢

    野坂委員 もう時間が来て、紙をもらっておりますからやめますけれども、建設部長さん、手直しをしてもらえますね。本当に十年ぐらいかかりますよ、前の土地みたいになるのには。だから、県営事業なら県営事業をやる。賛成ですね。それをやってもらって、裏作ができるようにしなければならぬ。そういうことは、やわらかくてすぐにはできぬ。だからそれは、単独事業もあるけれども、できるようにしてもらって、それは追い打ちをかけてやってもらわなければできませんよ。ここだけの話ではだめですから、そういうことは各府県に十分おろしてもらう、こういうことを約束してもらいたいということが一つ。  それから、農政部長さん、その地域に合わせて適正に指導するということですけれども、いま私が指摘をしておるのは適正にやっていないのです。たとえば、コンバインは四条以上というようなことではなしに、地域の皆さんが二条でなければぐあいが悪い、こう言っていらっしゃるのですから、その基準をそこまで下げる、この程度のことはできるのじゃないですか。過剰投資を農家皆さんにやらせなくてもいいというふうなことなんですから、これは二条でいく。これならいいということならば、それでやったらどうなんですか、こういうことです。
  66. 岡部三郎

    ○岡部説明員 暗渠排水等の工事は、現在も実施中の圃場整備におきましては、圃場整備事業の中で完了時点までに実施するというふうに指導をいたしております。
  67. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 機械導入についての御指摘でございますが、先ほど申しましたように、構造改善事業は総合助成方式をとりまして、共同利用施設を中心に補助をいたしております。したがいまして、助成の体系として、補助対象となるべきもの、あるいは融資対象になじむものというような仕分けも考えなければならないと思いますが、技術的な点はなお私ども研究させていただきたいと思います。
  68. 野坂浩賢

    野坂委員 納得できませんね。ちょっとあなた待ってください。これは総合利用だということをよく知っておるのですよ。第二次構段階に入ってきますと広いところばかりじゃないのですから、だからみんなが四条ではぐあいが悪い、三条か二条にしてもらえないかというようなことならそれでもいいじゃないですかということです。そんなに四条以上でないと絶対に認めないというような、それが農政だとは私は思わぬのです。そのことが農家の実態に合っているか。これ以下はだめなんだということではなしに、本当にこれで最も効果があるということを、ケース・バイ・ケースということがよく言われるわけですから、そういう措置を基準の中に考えられたらどうですか。たとえば特認なら特認事項としても政府はその程度のことはやるべきだ。それが温情ある農政じゃありませんか。農家に密着した農政をやってもらいたい、こういう意味なんです。どうですか。
  69. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 御指摘の点はなお研究させていただきたいと存じます。
  70. 野坂浩賢

    野坂委員 研究をして善処するように要求をしておきます。  これで私の質問を終わらなければなりません。  この間、出かせぎの労働者が栃木県の茂木町大瀬橋の橋梁建設に当たって六人の死亡事故を見ました。これについては労働省なりあるいは建設省からそれぞれ担当官に御出席いただいております。時間がございませんので、改めて質問にそれぞれの委員会に午後から出かせぎに出るかもしれませんが、御了解をいただきまして、質疑をこれで打ち切らざるを得ませんので、その点おわびをして、私の質問をこれで終わります。  どうもありがとうございました。
  71. 湊徹郎

    ○湊委員長 次に、米内山義一郎君。
  72. 米内山義一郎

    ○米内山委員 政務次官はいないのですか。いなければいなくてもいいです。  前の国会の農林大臣の所信表明に対して竹内委員が農地法の問題について質問したところ、農林大臣は、農地法の趣旨と、優良農地をつぶさないというたてまえで農地法をかたく守っていく、こういう答弁があったのですが、農林省はいまもあの大臣の言明どおり農地法の適用について厳格にやっていますか。
  73. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 私ども、大臣の御趣旨を体して厳正に実施しているつもりでございます。
  74. 米内山義一郎

    ○米内山委員 それでは、この一年間に、事務要領あるいは転用基準、そういうものについて厳格に改めるような通達あるいは要綱等の改正がありましたか。
  75. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 今回私どもが廃止をいたしますことを予定しておりますのは、従来実施いたしてまいりました水田転用に関します暫定基準というのがございます。この点につきましては、本年度をもちましてこれを終了するということで、転用の規制についてはなお厳正に対処したい、こういうふうにいたしております。
  76. 米内山義一郎

    ○米内山委員 それでは農林大臣はただこの委員会でしゃべったにすぎない。これはなくなった建設大臣が青森で言ったようなこととは多少違うかもしれないが、なぜそういう質問が出たかというと、農地法を守っていくということを、その場限りにいいかげんにやっているから出たので、いいかげんにやっていることはいけないから、これからやると言ったが、その後何も具体的に通達等を出さないとすれば、その場限りの答弁だと考えられるが、これはあなたは大臣じゃないから御答弁を必要としません。  そこで、きょうは、いま時の人というか、国際興業、小佐野賢治氏の所有する会社が、青森県のむつ小川原開発区域で何をやっているかということから始めてみたいと思うのです。  青森県の六戸町というところに、国際興業株式会社が人口八千人という団地を造成中であります。その中には農地を含んでいる。したがって、法五条による許可申請がなされ、その申請に基づいて審査がなされた上で農地転用の許可が出されたものと思うのですが、この事実をあなたはご存じですか。
  77. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 御指摘の青森県六戸町の国際興業株式会社に関します農地転用につきましては、四十九年七月七日に転用許可を与えておりまして、全体面積は百三十ヘクタール、うち農地転用許可対象面積は三・四ヘクタールと承知いたしております。
  78. 米内山義一郎

    ○米内山委員 その許可申請に当たり、申請の理由とか事業計画の内容というのはどういうものですか。
  79. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 いま細かい資料が手元にございませんが、住宅を建てまして分譲住宅を実施するということを計画いたしまして、所要の資金計画、事業計画等を提出してまいりまして、東北農政段階におきまして農地転用許可基準に照らして処理いたしたものでございます。
  80. 米内山義一郎

    ○米内山委員 その計画の規模というのはどういうものですか。面積はわかりましたが、何戸ぐらいの団地をつくろうというのですか。
  81. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 お答えいたします。  事業計画に示されております内容によりますと、一般住宅千三百五十二戸、集合住宅十二棟、百六十八戸、鉄工業団地住宅百八十六一尺あとその他公共施設等の職員、従業員等のための施設等があるというふうに承知しております。
  82. 米内山義一郎

    ○米内山委員 実はこの六戸町というのは人口一万三千人ぐらいの町ですが、ここに当初一万五千人の居住する団地をつくるというものだったのですが、常識的に考えられないような場所なんですよ。  そこで、これはその後どうなっているかよく調べて次の委員会かその後で御答弁を願うのですが、一つ申し上げるならば、この土地というのは青森県に元来あった十和田観光電鉄株式会社というものの所有地なんです。国際興業がその会社そのものを買って経営権を持ったわけです。そうしてその所有地を自分が経営権を持つ電鉄会社から国際興業に移したのです。右手から左手に移るときに、取得したときの帳簿価格というのはおおよそ三千万。それが一平米三千三百円、つまり百二十ヘクタールで三千万のものが坪一万円で右手から左手に移る。そうしてそれに開発許可をとり、農地転用の許可をとると大変なことになるんですよ。そうしてこれは登記簿にはっきりありますが、この土地が東京へ持ってくると四十億円の根抵当に組まれている。土地というものは、いまただ土地の皮をはいで整地した程度状態です。  こうして見ると、国際興業の商売というか手口というものは、単に土地を開発するとか買って売って転がしてもうけるということじゃなく、金融対策のためにも土地をつぶしているということは明瞭なんです。そうして国際興業がこの会社の経営権を電鉄からバスから温泉、ホテル等含めて二十三億円で買った。経営権を買収した。二十三億円の買い物というものは青森県では小さいものじゃないんです。恐らく取得時としては最大の買い物です。これを小佐野賢治という魔法遣いのようなのが買うと、その一部分で金が四十億にふえるということなんです。こういうふうなことだから、よしんばその中の四町歩足らずであっても、農地転用の許可に当たっては、その事業の性質なり、その経営者の手口というか商法というようなものを考えながらやらないと、形の上では整っておっても実質的には農地法に違反せざるを得ない、こういうことです。このことは、この開発申請書の書類の中に国際興業が観光電鉄会社から買った価格等明瞭にありますから、農林省としてもこのことを精細に調査しておいていただきたい。  それからさらに、この国際興業が十和田市の真登地というところに百ヘクタール余りの土地を買っている。これば農業法人が所有しておって、山林もあるが明らかに農地です。これはどういう許可手続を経て、さきの農業法人から国際興業の所有地に移っているのか。これもひとつ御調査を願いたい。  さらに、この地域はむつ小川原開発のあおりを受けて非常に土地買い占めが行われる。有象無象のブローカーも買っているが、特に国際興業、丸紅あるいは伊藤忠というようないま話題の大商社が大規模な土地買い占めをし、名目は住宅団地とか別荘地というようなことになっているが、とてもそういう条件のありそうな場所でないのに開発許可がなされたりしているところを見ると、何も農林省農民土地農業用の土地を守るという意図はない。ですから、青森県の特にむつ小川原開発区域というのは十一、二カ町村にわたっておるが、この地域における国際興業及び丸紅、さらには伊藤忠などの大商社が買って所有している土地について、調査の上、後日報告を願いたいと思います。いかがです。その調査は可能ですか。
  83. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 ただいまの御指摘の案件につきましては、私どもの部局内で可能な限り調べて御報告いたしたいと思います。
  84. 米内山義一郎

    ○米内山委員 じゃ次に、本題のむつ小川原開発の問題についてお尋ねします。  私の知る限り、見る限り、むつ小川原開発における農地法違反と言っても差し支えないが、農地法無視の開発というのは日本じゅうになかろうと実は思っておるのですが、日本最大であり、かつ、最も悪質なものだ。悪いという点は何かというと、日本の経団連を中心とする財界と政治権力、さらに地方政治権力、さらには官僚、こういう四者が結託してやっている大がかりな農地法違反である、農地法無視の事案であると私は考えている。したがって、私は、御承知のとおり今度で四度目の国会になるが、一貫してこれを追っかけているわけです。なぜかというと、これは日本一だと思うから。同時に、これは私の郷里の問題でもあるし、農民、漁民の問題でもあるからなんだが、何しろ農林省も大きい仕事をやるときは継続事業と言って二年も三年もかかるのが普通だが、今後もかかると思う。  そこで、むつ小川原開発に対して農地転用の事前審査というものをやりましたね。やったのです。このときの計画内容はどういうものです。五千五百町歩の線引きの中の農地を買い受ける交渉をしてもいいというのが内示だったのです。その後この状態がどうなっているかということを御存じですか。
  85. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 御指摘のように、昭和四十七年十二月に農地転用の事前審査の内示をいたしまして、その後会社におきまして用地の取得に入られた。これはむつ小川原開発会社でございますが、現在これによります土地取得の状況等の報告は参っておりますが、いずれにしましても、これは、私どもは農地法上事前審査の内示を与えたというもので理解しております。
  86. 米内山義一郎

    ○米内山委員 そこで、農地転用の事前審査を与えたとこう言うが、事前審査の内示を受けた段階で実質的な買収行為をやっているわけです。現にこの地域の開拓者は百世帯以上がその場所にいないのです。したがって、農地はどうなっているかというと荒廃しています。上弥栄という数年前に建てた鉄筋コンクリートの小学校が廃校になっている。児童生徒がなくなっている。事前審査の内示を与えたということで、一体こういうことはやってもいいと考えて内示をしたものですか。
  87. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 ただいまのむつ小川原開発区域の土地の状況でございますが、これは全般的に私どものつかんでいる状況を報告させていただきたいと思います。  現在、地域内の水田の状況について申しますと、休耕中のものが約八十ヘクタールほどございますが、その他は五十年には水稲の作付がなされている。なお、普通畑につきましても、三、四〇%の耕作放棄地を除きましては飼料作物等が植えつけられ、あるいは牧草畑についてはほぼ全面的な利用が図られているというように県からの報告を受けて、そのような状況と私どもは理解しておるわけでございます。
  88. 米内山義一郎

    ○米内山委員 われわれも現地にいるので知っているが、一〇〇%正確じゃないが、そういう実態はあり得ません。第一、人がいないのだから。ただ、牧草の場合は多年性の作物だから生える、それをだれかが刈り取って牛に食わしているだけでしてね。このままでいくと、これは木が生えるのです。そうして山林原野の形に直ることは明白なのですよ。こういうふうなことですから、この場合県は正直なことを言っていると思いますか。県を信用してそれが本当だというならこれは別ですが、国会で指摘されたならば県と別個に、農林省が直接調査すべき必要があると思うが、いかがです。
  89. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 私ども必要があれば調査をいたす考えはございますが、当面東北農政局、青森県を通じて状況の把握に努めたいと存じております。
  90. 米内山義一郎

    ○米内山委員 そこで、その中で土地を売った人が行くところがない。そうして土地を売って協力した人を、その希望に基づいて居住地をつくるのだということで、新住区というものを設定し、これには農地転用の許可処分がなされています。私はあえてこれには触れません。いままで触れないで来たが、なぜ触れないかというと、二百五十三名の人が移るということで一定規模の転用の許可を受けているが、二百五十三名なんというのは行く場所でもないし、行ける条件にもないのだ。そこで、二百五十三名というのはだれとだれとだれだということを聞いてもいままで答えがないのです。というのは、中身が架空だということを疑われても仕方がないと思う。これはことしの六月に完成してぼつぼつ移る人があるかもしれないが、いま冬の季節にはキツネも通うような場所ではないので、これは恐らくそのときにうそであったことが明らかになると私は思う。こういうときに、申請がうそであったという場合に、許可をした農林省としてこれにどう対応します。
  91. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 御指摘の新住区、いわゆるA住区の件かと存じますが、本件は昭和四十九年十一月に転用の許可をいたしまして、最近の状況の報告を受けておりますが、現在工事全体の四割程度が進捗しておる。現時点におきましては、降雪のため十二月以降作業が中止されておりますが、雪解けを待って作業が開始される予定だと承知しておりますので、計画どおり事業は進んでおるものと承知しているわけでございます。  なお、完成後二百五十三名の入居予定という点につきましては、前々から六カ所村なりにこうした氏名等が提出されているという状況を把握いたしておりますが、A住区の完成とともにこれらの移転が行われるものと私どもは予想しておる段階でございますので、これが提出しました申請の計画と直ちに食い違っているというふうには私ども現在の段階では判断しておりません。
  92. 米内山義一郎

    ○米内山委員 そこで、この二百五十三名というものの氏名を六カ所村なりあるいは青森県から取り寄せて、次回までに資料として提出してもらいたいと思うが、それはできますか。
  93. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 よく関係機関と相談しまして、お答えできるようにいたしたいと思っております。
  94. 米内山義一郎

    ○米内山委員 これは申請そのものがうそであったか真実であるかということを証明するための重要な問題点であるから、関係機関と相談の上必ず資料として提出してもらいたい。  さらに、同じこの開発計画の問題だが、事前審査の内示をした場合の開発計画の内容というものは、石油精製二百万バーレル、石油化学一年四百万トン、さらに火力発電一千万キロ、こういう大きなものを立地させるから五千五百ヘクタールの線引きをして、その中の農地転用をしたいから事前審査の内示を賜りたい、こういう申請。ところが近ごろこの計画を訂正しまして、第二次基本計画というものを青森県が国土庁に提出しました。そうすると、中身は半分になった。二百万バーレルという現在でも日本の精製能力の三分の一というもの、世界最大でしょう。そのために石油精製用の用地予定地として二千四百ヘクタールの線引きをしておる。現在日本の六百万バーレルの石油精製工場は全部で四百ヘクタールの土地におさまっている。それの三分の一の計画をして二千四百ヘクタールの土地、こういうふうに内容がなっているのです。ところが今度はそれが五十万バーレルに変わった。それでも、中身は小さくなっても入れ物が変わらぬということは、一体これは農地の壊廃を最小限度にとどめる、こういう農地転用許可基準とは著しく矛盾する。石油精製、石油化学も同様半減、四分の一になる。そうするとすれば、この問題について、農地転用の事前審査の申請というものをし直さなければならないと思う。先の内示が有効ですか。それとも農地法の趣旨からいって、転用の許可基準に照らして、このままでいいのかどうかということをお伺いしておきたい。
  95. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 御指摘の第二次基本計画につきましては、農林省の方にも昨年末協議がまいってきておりますが、御指摘のように、工業開発規模におきましては、第一次基本計画より縮小されている、相当手直しの面があることは事実でございますが、その内容、取り扱いの検討につきましては、従来行われました閣議口頭了解との関係も含めまして、関係省庁と十分協議、調整を行うということになっておりまして、現在提出してまいっております第二次計画の県側の案におきましては、予定地域の面積におきましてはほぼ変わりがないというふうに承っておりますが、なお、私ども慎重に検討をいたしたいと考えております。
  96. 米内山義一郎

    ○米内山委員 そこで、この申請者であるむつ小川原開発株式会社というものはどういう会社であるか、農林省はこれをどう考えておるか。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 第三セクターとか称する新しい仮面をかぶってやり出したものだが、要すれば北東公庫が出資する、青森県が出資する、半分は経団連そのもの、こういうふうな大企業の出資の会社である。しかもこれは普通の会社であって、法律上のいかなる特権もない会社なんです。この会社の近ごろの経営内容を御存じか。経営内容が悪ければ、あなた方が転用の許可をしてもその後の仕事をやる能力がないはずです。破産者、準禁治産者のような者に許可を与えるということはおかしい。この会社の現在の運営状況について知っていることがあったらお尋ねしたい。
  97. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 むつ小川原開発会社の構成につきましては、御指摘のとおり、北東公庫、青森県、民間企業によります合弁のいわば国策会社でございます。本会社の状況につきまして、私どもは、先ほど来申し上げましたように、閣議了解の線に沿いまして、関係各省の調整を図った計画の上に立ちまして、現在目的に沿って事業が実施されているというふうに承っております。  それ以外の状況については目下のところ把握しておりません。
  98. 米内山義一郎

    ○米内山委員 それでは恐らくあなたはこの会社の設立目論見書というものを詳しく理解していないだろうと思うが、いかがです。御存じですか。この会社が創立される目論見書というものを読んだことがありますか。
  99. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 会社の概況について先ほどお答えしたとおりでございまして、御指摘の点についてはまだ見てない部分があると存じます。
  100. 米内山義一郎

    ○米内山委員 じゃ、この会社の性格を知らずに事前審査の内示をしたと言われても仕方がないでしょう。この会社の性格というものは目論見書にちゃんとあるわけです、商法上の問題だから。その点にも一つ大きい問題点がある。近ごろの経営経理状態について決算報告書等ごらんになったことがありますか。
  101. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 むつ小川原開発会社の報告につきましては、第四期までの決算の報告書は私どもに参っております。
  102. 米内山義一郎

    ○米内山委員 それを見て不思議でないのかどうかということです。たとえば、私は指摘しますが、この会社は授権資本六十億、払い込み済みが三十億です。そうしてその後四十九年、五十年の払い込むべき残額の半分はまだ未払いです。しかるに今日この会社は四百億の負債をしょっています。資本金三十億の会社が資本金の十倍以上の借金をしょっておる。すでに今日では金利は一日一千万になっています。ところがこれは金利を納められないのです。転用の許可を受ける前に石油会社がここに立地するとか、石油化学工場が来るとかいう段階でなければ土地は売れないでしょう。そこまで行くには港湾ができるかどうかの問題もある、漁業等の調整の問題もあります。さらにこの場所は二つの軍事基地の真ん中にある。一つは、日本とアメリカ合衆国の何とかというむずかしい法律だが、要すれば日米安保条約に基づく米軍に提供した射爆撃場がある。そこから十キロくらい北の方には自衛隊法による飛行機に対する高射砲の射撃演習場がある。これは海に向かって危険区域を設定している。こういう場所に石油シリーズのコンビナートなんというのは実際常識上考えられない。そこで政府が、あなた方がおっしゃるとおり閣議口頭了解の中で十二省庁が会議を開いて了解したというのは、防衛庁がこの射爆場の撤去について同意をしたということか。同時に、この中には農林省所管の馬鈴薯原原種農場がある。さらに林野庁所管の国有林野がある。こういう政府部内で調整すべきものが先なんです。それはほとんど触れずに民有地にだけ、しかも農地だけに手をかけたというところにこの開発の進め方の手口の悪さというものが私はあると思うのです。そこで、この十二省庁の中で防衛施設、農林省の所管の原原種農場、さらには国有林、これについての政府部内の調整というものはどうなっていますか。
  103. 伊藤律男

    ○伊藤説明員 お答え申し上げます。  農林省の上北の馬鈴薯原原種農場につきましては、第二次基本計画におきまして開発に支障のないように適地に移転を図るものとしてその時期及び施設計画等について別途農林省と地元と協議するというふうに青森県の計画にはなっております。  私どもといたしましては、先生御存じのようにバレイショの原原種の配付につきましては、地元はもちろんのこと、全国に八つ馬鈴薯原原種農場がございますが、上北の農場は全国の農場の中で北海道と本州を結びます接点にもございまして、そういう意味から非常に重要な原原種農場になっております。そういうことで、私どもといたしましてはこの原原種農場の移転につきましては、原原種の生産に絶対に支障のないように、また継続できますように、青森県からの協議を受けまして、移転の条件、それから移転の候補地、そういうようなものがいろいろ出てまいると思いますが、十分検討してまいりたいと思っております。
  104. 米内山義一郎

    ○米内山委員 そこで、この会社の問題ですが、これは当然のことかもしれないが、去年のいまごろは三百十四億の負債だった。ところが、今日は四百億にふえている。土地は売れていない。そうすると、利子も払っていないのですよ。今日の金融制度の中で百万か二百万の手形の不渡りでも会社が倒産するでしょう。この会社はどういうことをやっているかということは明らかなんです。社長の交際費も金利も、貸借対照表を見ると資産になっている。未成不動産というものになって、資産になっている。普通の企業であるならば、金利なんというものは損失科目になる。これは粉飾です。それから金利をどこから出しているか。少なくとも去年あたりは一年に二十五億ぐらいの金利の支払いがあったと推定される。要すれば、Aの金融機関に金利を払うのを、Bの金融機関から土地を買う資金として借りる、その金利はまたCから借りるというような、実に日本のいまの世の中で考えも及ばないようなからくり決算をやっている。金融のモラルの上からも許されるものじゃない。しかもこの中に、法律でできている北東公庫、業務方法書も明確なんですよ。北海道・東北開発のための設備投資の長期運転資金を貸すというのは北東公庫なんです。金貸しが一番多く株を持って、そしてその会社が育たないから金利まで貸しているというのはこれも法律違反の問題もある。こういうことで今日問題になっているのは、昭和二十八年以来土地ブームの時代に日本の企業が九億円も土地を買い込んだ、そのうち七億は借り入れ金、これをこのままにしているとパニックが起きる。そしてこのむつ小川原の推進力になった経団連が、今日、買い占め土地の金利をまけてもらうとか政府に肩がわりしてもらうとかという研究会がきょう始まるそうだが、こういう矛盾の中に、ほっておけば土地買い占めた企業が倒産するというのだが、私は土地買い占めの会社が倒産する前に一番先にこれは倒産しなければならないと思うのですよ。しかも金利を払えない上に無担保でしょう。三十万や四十万の無担保じゃないのですよ。四百億の貸し金が無担保。なぜ無担保であるかというと、農転の許可がとれないから所有権の移転がない。当然でしょう。しかもこの会社の貸借対照表を見ると、農地法から言うと買わなかったと同じ土地が資産になっているが、これは架空でしょう。阿部社長というのが、私は命がけでございます、こう言う。四百億の負債に個人保証していると言ったって、この人はどの程度の資産家だか知らないが、四百億の債権から見たら何ほどでもない。  こういうふうなものだから、今後この問題を前進させる根底に当たっては、企業が立地するかどうかということと、もう一つ許可の条件というのは出ています。特に農林省の仕事だから農林漁業に支障があるかないかということに十分な配慮をしなければならぬ。これだけの大企業をやるのに、工業用水を取る場所は小川原湖という湖しかない。私は組合長を二十数年やってきまして、いまはただの理事だが、十月八日に青森県が説明に行った。二時間説明したが、何も説明していない。うそなんだ。ここには九億トンの水が流入するから、この程度の水を取っても差し支えないという説明です。それで同意を得たいと言うのだが、九億トンの水が入るには雨がなければならぬ。自然雨量というものをどう見るか知らないが、平均雨量を一体何ぼと見るかと言ったら千六百七十ミリだという。実際のこの辺の雨量というものは千二百ミリ前後だ。自然条件でしょう、雨量というものは。こういうものまででっち上げて、これをこのままで開発させられたものならば、農業用水はもちろん生活用水も水産業もどうなるか不安にたえない。一例を並べればこういうお粗末なものなんです。ですから今後農業、漁業を守る役所である農林省は、この点について慎重な調査の上に行政上の措置をなされたいと思うのです。  それからもう一つ、最後になりましたが、この隣に東北電力と東京電力の二社が同じ場所に二千万キロの原子力発電基地をつくるというが、これはできるでしょうか。あなた方はこの前はできると思って許可しましたと言ったが、いまもそう思っていますか。
  105. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 お答えいたします。  東通村の東北電力、東京電力に対します転用許可を与えました地区につきまして、現在調査工事等が行われている状況等は報告を受けて、私どもはそれに従って完成されるものと考えております。
  106. 米内山義一郎

    ○米内山委員 それはあなた方の主観でしょうが、現在の諸情勢から見て二千万キロの原子力基地をつくるということは技術の問題もあります、電力の需給の問題もあるのですよ。あんな遠いところにそんな大量の電気をつくって、送電コストをどう考えるかということから見てもおかしい。ましてや三兆円近い設備投資を必要とするものに、いまの電力資本にそんな能力があるとは私は考えられない。いまもそうだし、以前もそうなんです。ですからこの問題こそ私は詐欺による取得だと思うのです。要すれば、農地法八十三条の二の規定によって処分しなければならぬ性質のものじゃなかろうか。さっきも最初に申し上げたが、農地法を厳格に守るというならば、この八十三条の二によって処分した事例は全国に何回ありますか。
  107. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 ただいま手元に資料がございませんので、後刻資料をとりまして御報告いたしたいと存じます。
  108. 米内山義一郎

    ○米内山委員 この条文が空文化しているということは、要すれば、農地転用の申請というのはうそのやりほうだいだということです。許可さえとればいいのだということになる。そうして許可後それが目的のように使われているかどうかということについてもあなた方農林省は監督する義務がある、こういう点から見ても、前国会における農林大臣の言明というものは単に国会だけの答弁じゃないか、私はこう疑わざるを得ない。そういうわけで、この問題は私から見ると、継続事業でことしは四年目になるが、今後ともあなた方には聞きづらいこともあるかもしれないが、やっていきます。  それから、むつ小川原開発をこういうふうな状態に陥れたのは農林省ですよ。これをよく覚えておいていただきたい。事前審査の範囲というものは売買の交渉を始めてもいいということです。交渉を始めてよろしゅうございますと言ったら、儀礼上手付金を払ってもいい。ところが、これはほとんど土地の全額に近いものを払っているから四百億の借金になったんです。私はこれをここで指摘したでしょう。そのとき小沼という局長が、全額でなければ違法でありません、しかし税金分残して全額じゃないか、所有権が移っているんじゃないか、仮登記をしているが所有権の移転とは認めないから合法です、こういうふうに農林省がやれやれと言ったからこういう借金になったんだ、手付金程度のものなら、景気が悪くなってやめても農民も困らぬし、買った方も困らなかった。こういう事態をつくったのは農林省なんですよ。恐らくこれは、訴訟になったとき彼らば法廷で、農林省がこう言ったからやりましたと言うに違いないんだ。そうして、こういうことをやった役人は次々と天下りしていく。小沼何がしというのは、調べてみたら競馬協会の常務理事だ。役人をしているより何倍金が入るかわからぬ。このむつ小川原開発にはその前の農地局長が天下っているんだ。だから私は悪質だと言うんだよ。政治権力、金力、そうしてそれに官僚が一体になっている疑いがある。これは日本の正義として追及しなければならないのは、何もロッキードだけじゃないんだ。この間においてピーナツが飛んだかどうか私は知らぬけれども、現実に日本の国土が荒廃し、農業が壊滅の状態になっているんだ。農地法の命ずることと反対のことをあなた方はやったんだ。いずれこれは今後かなり長期にわたって問題点を明らかにしたいと思います。  きょうはこれで質問を終わります。
  109. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 次に、美濃政市君。
  110. 美濃政市

    ○美濃委員 本日は、てん菜問題と保証乳価の問題、二点について若干の質問をしたいと思います。  最初に、北海道のてん菜の問題ですが、非常に耕作意欲が減退して、現在作付が大幅に減少するという見込みなんですが、道庁から入っておる情報はどういうふうに把握されておるか、まず最初にお聞きしたいと思います。
  111. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 道庁からの情報によりますれば、ただいま先生おっしゃいましたように、てん菜の作付面積は必ずしも伸びない状況にありますが、御存じのとおり五十一年度の予算におきましては生産奨励措置を相当思い切って講じたところであり、また道庁自身も、それぞれ道単で一億円をもって土地改良その他の事業を行うというふうに、面積はなかなか増加をいたさない、むしろ減少するというふうな状況でありますが、関係者において鋭意努力中というふうに承っております。
  112. 美濃政市

    ○美濃委員 私の調べたところでは、全道全部はまだわかりませんが、いままで北海道のてん菜の約半分を生産しておる十勝においては、前年度二万三千ヘクタールの作付反別が、現在では一万五千ヘクタールがちょっと切れておりますね、現在作付しようという希望をまとめたところでは。そうすると、前年度の六五%、これが実際なんですが、全道的にはどういうふうになっておるか、減少ぐらいじゃないわけですね。まあ、これも減少のうちではあろうけれども。北海道のてん菜というものが全然消えてなくなる方向へ動き出した、こう言っても過言でない状況でなかろうかと思うのです。こうなる原因にはいろいろの原因があるわけですが、実際そういう状況で北海道のてん菜作付が推移した場合、ことしの収穫期になりますと、工場の操業も、全工場が操業できないから、工場の休止という問題ができてくるでありましょうし、いろいろ甘味資源特別措置法等によって、政府が起きた事態に対して損失を見なければならぬ事態も発生するのでないか、こう思うのですが、それについてどのようにお考えになっておるのか伺いたい。
  113. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 道の甘味振興審議会の五十一年度の答申では、やや努力目標的ではございましょうが、五万ヘクタールというふうな答申をいたしておりますが、先生指摘のように、十勝が非常にむずかしい状況にございます。私は、まあ、こういう時世でありますから、てん菜の生産が急速に拡大していくというふうには思っておりませんけれども、しかし、てん菜の生産が壊滅的な方向に向かって進んでおるというふうにも理解をいたしておらないわけでございます。てん菜は、何と申しましても北海道の畑作における基幹作物でございますから、農業経営の中にそれをうまく取り入れてその振興を図るということはぜひとも必要なことでございますので、農家の方々の十分な御認識と関係者の努力によりまして、ぜひとも北海道のてん菜の作付面積を維持し増加していくように努力をなすべきものであるというふうに考えておる次第でございます。
  114. 美濃政市

    ○美濃委員 こうなってくるには二、三の原因があると思うのですが、まず第一の要因は価格問題でありますが、これについてことしば価格をどのように措置しようとしておるのか。去年は秋に延ばしたわけですね。収穫期に価格の決定を延ばしましたけれども、実情は、やはり依然として生産者の希望というものは播種前決定を強く要求しております。これに対して農林省としてはどう対応するのか、これをまずお聞きしたいと思います。
  115. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 昨年、価格を決めますときに、畑作物についての全体的なバランスをにらんで決めるために十月に価格を決めたわけでございます。その際、施行令を改正いたしまして、十月三十一日までに決定するという形にいたしたわけでございますが、糖価の異常な低落というふうなこともございまして、四月に決めた方がよかったじゃないか、結局十月に決めて何ら得をしたことはなかった、片やまた、その一万八千三百円が射程距離に入ったというふうな話もありまして、農家の期待感というのがはぐらかされたというふうな状況にあったことは事実であろうと思います。しかし、私、考えますのに、やはりてん菜の価格を決めますときに、昨年につきましては、算定方式をいろいろ変えまして、通常、従来方式でありますれば六%程度の上昇でありましたのを、算定方式を変えまして九・三%にしたというふうな経緯がございます。したがいまして、やはり十月に諸般の情勢を十分検討して決定するのが適当ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  116. 美濃政市

    ○美濃委員 もうそれは結論ですか。これは、生産者に去年のようにうそを言ってはだめです。射程距離に入ったというニュアンスが出たのは今村局長のときではなかったですから、私はあなたの責任だとはしませんけれども、やはり農林省事務当局から射程距離に入ったというような表現が行われるような——砂糖か高かった要因もありますけれども、それは悪意を持って言ったとは思わぬわけです。何とか指導価格でそのぐらい持っていけるだろうというような話がちらほら出たことも事実ですね。しかし、それが悪いというふうには私はここで指摘するわけではないのです。それなりに何とかしたいという誠意でありますから、それをどうこう言うわけじゃないけれども、しかし生産者にしてみれば、だまかされた、こう受け取るわけです。誠意であっても、生産者の受ける感じは誠意じゃなくて、射程距離に入ったといって耕作推進をやらされて、そうなると思ってつくってそうならなければ、だまされたという気持ちになるのは当然ですね。そのだましたことがいいとか悪いとかいうことを、過ぎ去った問題ですから、いまここで言おうとするわけじゃない。しかし、ことしはだましてはだめだ。だめならだめではっきりした方がいいんじゃないですか、そうすれば壊滅しますから。これはもうはっきり壊滅するということを私は申し上げておきます。  恐らくいま動いておる状態も減りますよ。春も決めないんだ、秋何ぼに決まるのかわからぬ、だけれどもビートをつくりなさい——生活をしておるのですからね。官庁に勤めている皆さんだって、給料が決まらぬで、やるだけやれ、何ぼ払うかわからぬということで働いている人はいないんじゃないですか、いまの社会に。そういうことでは、いま動いておる作付意欲は農林省が公表することによってこれはまたぐっと悪化しますから。何ぼになるかわからぬ、とにかく政令を改正したんだから価格の決定は秋です、秋に何ぼに決まるかわかりません、つくるだけつくりなさい、奨励金といってみたってたかが十億です。均てんしたとしても微々たるものでしょう。五万ヘクタールに十億を均てんしたら何ぼになるのですか。しかも機械とかその他の補助ですから均てんしないんでしょう。均てんしたとしても魅力のあるようなものじゃありません、大きく食い違ってきた場合は。  たとえば五万ヘクタールつくって、四トンとして二百万トンですね。それに対して、生産者の期待を私は申し上げますけれども、前年度は一万八千円、ことしは物価の高騰によって二万円です。そうすると、二万円ということは現在の指導価格からいくと四千円の差ですから八十億です。意識的に八十億円の経済上のいわゆる耕作意欲に対する対立が政府の施策との間にできておるわけですね。それを十億ぐらいであめをしゃぶらそうといったって、そうはいかぬですよ。ですから、私は申し上げておきますが、政令を変えたんだからどうしても秋でなければ決められない、しかも決定する価格はいまはわからない、従来どおり算定はパリティだ、これをはっきりした場合にはいまつくろうとしておる反別が私はまた減っていくと思います。いま計画した反別もさらに減る。私がさっき申し上げたように、もうこれから反別が伸びるという予想は私にはありません。何ぼ減るかということでありまして、そこをどうするかということを、きょう明らかにできなければ近く明らかにしてもらいたいと私は思う。政府は明らかにすべきである。農民をだまさないで、どうするということをはっきりすべきだと思う。きょうここでできぬければ、一週間後なら一週間後くらいでいいと思うのです。三月の中旬ごろまででまだペーパーポットも間に合いますから、十五日ごろまでに態度が明確になれば、つくる、つくらぬという選択は間に合いますから、きょうここで局長がはっきりできるならば、政府の方針はこうですというなら言うべきであるだろうし、きょう無理であればよく検討して近い日時にその態度を明確にすべきであると私は思うのです。どうですか。
  117. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 まず、射程距離に入ったということを私の方で申し上げた覚えはございませんで、どこからそういう話が出ましたのかは必ずしもはっきりはしていないのですけれども、とにかく射程距離に入ったということの話があったことはあったようでございます。私の方から射程距離に入ったということを申し上げたつもりはございません。  それから第二点の価格の決定時期はいつかということでございますが、私は価格を十月に決めたいと思っております。そうなるとビートの作付は壊滅するのではないかというお話でございますが、実は昨年パリティで一万二千百四十円に決めまして、奨励金の三千八百六十円を入れまして一万六千円ということの農家手取り価格の水準にいたしたわけでございます。その三千八百六十円を、これが全額仮に国が肩がわりをいたすということになりますと、それだけで六十億を超えるわけでございますので、その奨励金の措置といたしまして事業団の交付金に四十一年度として百七十二億円の予算を計上いたしたところでございます。今後の糖価の水準がどういうふうになるかはわかりませんが、その奨励金の処理問題というのが五十一年度の予算編成におきます非常に重要な問題であったことは御案内のとおりでございます。  一万六千円の農家手取り価格の水準は低いじゃないか、それでは農業生産の意欲はわかないでビートの面積は減るばかりではないかという御指摘であろうと思いますが、私は、今後価格を決定いたします場合に総体的な農産物の価格の問題あるいは農家の所得の問題その他を十分勘案して決定すべきものであると考えておりますが、しかし価格のみによっててん菜の作付面積が増加するかどうか、もちろん価格はそれは相当な要因であることは確かでございますが、北海道の畑作物全体の問題をこの際十分検討する必要があるのではないか。六十万ヘクタールの畑作面積の中で相互にかみ合いをしておるような状況のもとにおいては、なかなか北海道の畑作の健全な発展というのは期しがたいのではないかというふうに思っております。それと同時に、価格の相対問題その他につきましても十分検討をしていく必要があると思っております。そういう意味において、現在価格委員会のようなものを省内に設けまして、そういう問題の検討を急いでおるところでございます。したがいまして、価格ももとより大切でございますが、北海道全体の畑作のあり方あるいはてん菜の奨励の対策その他につきまして十分な検討を行っていく必要があるというふうに思っておる次第でございます。
  118. 美濃政市

    ○美濃委員 いま局長の話を聞いておると、総合的な畑作の価格対策、これはどういう意味ですか。高い方へ地ならしするのですか、低い方へ地ならしするのですか。現在六十万ヘクタールの中で、いわゆる奨励金を含めた価格条件等によって作付が変動することばどうかと思うという意味でしょう。だからそこを地ならしするということなんでしょう、小委員会を持って云々ということは。その地ならしというのはどういうことなんですか。低い方へ地ならしするのですか。それじゃ北海道の畑作農民はもう所得的にまいってしまうと思うのです。高い方へ地ならしをするのであれば、やはり参議院に私ども法律改正を出しているあれらを政府はよく検討して、生産費所得補償方式方向へ地ならしするのであれば私ども異議ありません。しかし、パリティで低い方へ地ならしして報復手段のような、奨励金でもつけて、たとえば大豆に三千円べたつけする、奨励金をつけたから大豆の耕作意欲がそれでやっと起きる、そういう報復手段のように、高いものがあるからビートが伸びないのだから低い方に地ならしして、大豆の奨励金とか麦の奨励金をもぎとってしまう。そういうのは私は報復的な地ならしでないかと思うのです。そうじゃなくて、高い方へ地ならしするというなら、生所方式に思い切って糖安法の改正をする。いまからでもこの国会に間に合うわけですから。政府が出してくれさえすれば、恐らくこれはいまからしたって全会一致でさっさと通っていくと思う。ただ糖安法の中の二十一条のパリティを生所方式と変えるだけですから大した問題ないわけですから、法制局だって何だってそれは。予算上の問題、財政負担上の問題があるだけでありまして、法律的には何ら問題ないわけだから、さっさともうことしのてん菜耕作に間に合わせるわけです。そういう方向へ地ならしさせたらどうですか。小委員会なんか持つといったって、小委員会を持って何を検討するんです。その方向をお聞かせ願いたいと思います。低い方へ報復的な地ならしをしようというのか。高い方へするんだったらこの際思い切って生所方式に踏み切ればいいんでしょう。そうすれば問題は相当変わってくると思うのです。どうですか。
  119. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 相当価格あるいは北海道の畑作問題を検討いたしますときに、何も報復的に低い方へ低い方へと地ならしをするというふうに考えておるわけではございません。しかしながら、同時にまた生産費所得補償方式によってすべて地ならしができるかどうかということにつきましては、またこれは非常な問題があるかと思います。  これは私は必ずしも省内のコンセンサスを得ておるわけではありませんが、やはり北海道の農家、どういう農家の階層をとるかわかりませんけれども、一定の階層の農家の所得がまあまあまあまあという表現が必ずしも適当ではございませんけれども、一定の水準に達する、そういう経営全体をとらえての価格問題ということをそろそろ検討すべき時期に来ておるのではないか。これを考えます場合に、輪作体系をどうするかとかあるいは輪作を確実にやった者についてたとえば奨励金を出して一定の水準に所得を保つというふうなことを考えます場合に、果たして適正に輪作が行われたのかどうかというふうないろいろなきわめて困難な問題がございますが、私は個々の作物をとらえて、それを奨励金をつけ、あるいはまた価格算定方式をどうするこうするということももとより重要でございますが、北海道の畑作全体の問題をとらえたときにはそういうふうな新たな観点からの検討を要するのではないかと思います。これはただ私が考えておることでございますから実行上いろいろ問題がございますし、またそれがいいかどうかということの非常な検討を要すると思いますが、そういう問題として北海道の畑作問題を考えていくべき時期に来ておるのではないかというのが私の考えでございます。そういたしまして、全体の適正な輪作体系のもとにおける北海道の作付、それからその所得問題価格問題というふうに物を考えていくのがいいんではないかというふうに考えておりますが、それは非常な検討を要する課題でございます。
  120. 美濃政市

    ○美濃委員 いま局長の言われたことも全然わからぬわけじゃないのです。それから、前のことで言っておきますけれども局長は非常に射程距離を引き合いにしておるけれども、あなたの局長のときじゃないのですから、あなたがそう言ったとか、そういう態度をとったとかいうことじゃない。時点が違いますから。当時あなたは局長でなかったわけですから。今村局長はその点については神経的に物を考えてもらわぬでもいいと思うんです、過ぎ去った問題ですから。私の言っておるのは、もうだましてはだめだということを言っておるのです。去年も申し上げたように、射程距離に入ったという問題は悪意で言ったわけじゃなくて、大体外国糖がずっと高かったものですから、糖価が高ければ奨励金でそのくらいに持っていけるのではないかというニュアンスがどこかから出たのをある程度強く反映するように表現されたということであって、だまそうと思って悪意を持って行われた表現ではないということを私は理解しておりますから、それはそれでいいのです。だけれども、ことしはそういうことじゃだめだと言っておるのであって、去年やったことを追及しておるわけじゃないのです。  それで、いま局長の言っておるただいまの表現もわからぬわけじゃないけれども、間に合わぬじゃないですか。間に合わせますか。たとえば輪作体系を整えるための奨励金というのは一つの新しいアイデアを表現されましたが、そういうものはもう予算だって間に合わぬでしょう。ことしの作付振興には間に合わぬと思うのです。どうですか。そういういまの発想はことしのてん菜の耕作の条件にどう結びつくのか、それをお聞かせ願いたいと思います。
  121. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 いま私が申し上げたようなことが直ちに五十一年度の価格決定に間に合うというふうには思っておりません。五十一年度のてん菜の価格を決めます場合に非常な問題は、私は恐らく奨励金問題だろうと思います。これはもとより基準価格をどうするこうするという問題はございますが、恐らくまたもう一度問題として、しかも重要な問題として出てまいりますのは奨励金の問題であろうかと思います。現在の奨励金の水準を政府が肩がわりいたしますと、先ほど申し上げましたように約六十四、五億の金が要るわけでございます。もとより金が要るからどうこうということはございませんが、いまのようなてん菜糖製造業者の肩がわりという形の奨励金の出し方というものは、これは一にかかって国内の糖価いかんによるわけでございますから、そういう国内の糖価の水準によって奨励金が動くというふうな価格の決め方というのは、私は必ずしも適当ではないのではないかと思っております。  したがいまして、そこら辺の問題につきまして十分検討する必要があると思いますが、国内糖の一つの問題は、国内糖のそういう変動におんぶといいますか背負われたような形の、それによって左右されるような農家のてん菜糖の手取り価格水準という問題をどういうふうに考えていくかということが、恐らくは五十一年度の価格決定における最大の問題ではないかというふうに考えています。これはいまたとえば私がここで奨励金をそれじゃ何ぼ出せるとか出せぬということを申し上げる段階ではございませんし、また申し上げられませんが、しかし五十年度の価格を決めますときに大方の意見の一致しましたところは、やはり昨年の農家手取り価格の水準を下げるわけにはいかぬ。どうしても下げるわけにはいかないので、たとえば昨年の奨励金を出し得たような状態では同時にまたない、とすれば、農家手取り水準を下げないでしかも奨励金が出せるようにするためには、それは国と会社が責任を持つというのが基本ラインでありまして、そういうラインに基づいて五十一年度予算の編成をいたしたような次第でございます。したがいまして、恐らく五十一年度の価格を決めます場合におきましても同様な考え方で一万六千円の農家手取り価格水準を切るわけにはいかない、しかもまたそれをベースにしてどういうふうに上げていくかということになりますと、私が先ほど申し上げた奨励金問題というのは恐らく五十一年度価格決定におきます非常な重要な問題になろうかというふうに認識をいたしております。
  122. 美濃政市

    ○美濃委員 いま局長考えておる問題点はそうであろうと私は思います。その問題点をどう整理するかということが、局長が言われたように五十一年産てん菜の価格決定ということになるのですが、きょうの場合、やはり決定の時期は秋という態度を検討するというところまでいきませんか。短い期間にひとつ検討してみるという意思はありませんか。やはりあくまで決定の時期は秋ですか、どうですか。
  123. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 秋に決めたいと考えております。
  124. 美濃政市

    ○美濃委員 いまの問題点の整理は、やはりこれ以上ここで詰めるのは無理だと思いますから、決定するにしても、いま局長の言われた問題点の整理をする方向が、できれば今月の中旬までに、大体こういう方向でこれこれの問題点は整理するという、内示的な方向が明らかにできれば、その方向がよければ、耕作意欲はさらに進んで五万ヘクタールになるでしょうし、あるいはその方向が悪ければ四万ヘクタールを割る、こういう状態になってくると思うのですが、それはあくまで無理ですか。いまある程度短期間に整理して、播種前——播種前というのはぺ−パーポットですよ、育苗ですね、ぺ−パーポットのまきつけする前に問題点を——いま局長か言われた問題点はそうだと思うのです。その問題点の整理の仕方がよければ耕作意欲が起きるでしょうし、それを早期に、はっきりした的確な決定じゃないですから、その問題点を処理する方向というものを明示することができるかどうか。きょうは、それ以上ここで論議するのは無理だと思うので日にちを置きますから、日にちを置いてそれに取っ組んでやってみる、やってみた結果、できなければできないでまたあれだと思うけれども、やってみるという気持ちがおありになるか。それとも、やらぬで秋まで投げておく。秋の収穫期になってそれらの問題点の、いま言った整理は、いわゆる収穫期、価格を決定する時期に検討する事項であって、いまはもう手をつけないという御意見か。それともある程度播種前にその方向を検討して、それで明示できるものは明示するという考えに立てないかどうか、これをお聞きしたいと思います。
  125. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 問題が問題でございますので、私たちは秋までほったらかしておくというような気持ちは毫もございませんが、鋭意検討を続けていくつもりでございますが、しかし播種前にまた調子のいいことを言いまして、だまくらかしたということになっては困りますので、そういう点につきましては、私としては十分検討をいたしたいと思いますけれども先生農家のお立場に立ってのお話は十分理解できるところでございますけれども、播種前にそれを決めるということはきわめて困難な状況にあるというふうに認識をいたしております。
  126. 美濃政市

    ○美濃委員 次に、四十九年の十月に糖価安定法によって国内産糖の目標生産費等が諮問されておりますが、この中で、私は、問題点を一、二指摘しておきたい、こう思うのですが、まず第一に、五十三年度を目標としたてん菜の生産目標の中で、平均収量を、昭和五十七年の生産目標をヘクタール当たり四十九トン七百として、当面五十三年の十アール当たりの収量を四トン六百八十キロ、こういうふうに推計をされておるわけですが、まずここで私は、一つ価格問題、別の問題で、てん菜の耕作というものがこのように落ち込んでおる原因というのは、無計画な場当たり的な金肥の施用量というもの、これは改良普及所あるいは糖業等から示されたわけですね。そうして有機質の還元がないところへ、百二十キロとか百三十キロとかという無機質肥料で一時的にてん菜の収量を四十トン以上、四十八トンとかあるいは一番多くとったときは五十トン近い一時的な収量を上げたというところに一つの問題が出てきておると思う。今日になると、それは無機質肥料によって地力を破壊してしまって、そして最近の歩どまりの低下原因もそれに関連がある、こう思うのです。もう操業が終わったのですが、去年の、実際に糖業が買った平均反収は、北海道はどうであったか、もう出たと思うのですね。歩どまりの状況はどこに落ちついたのか。一三%が大きく割れるという状況だったのですが、どういう結果になったかお聞かせいただきたい。
  127. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 五十年の反収は三・六七トンでございます。歩どまりは一二・七五%ということになっております。
  128. 美濃政市

    ○美濃委員 こうなった原因は、私がいま指摘したことにあると思うのです。外国の例を申し上げて失礼ですけれども、たとえば西ドイツあたり、私は先年しさいに調査してきましたけれども、余り多くの金肥は使っておりません。同時に、北欧諸国は肉が主食でありますから、経営は、日本で言えば酪農てん菜ですね、略称でてん酪、こう北海道では言っておりますけれども。地力の維持は十分伴っておるのですね、畜産経営ですから。それで金肥は余り使っておりません。ソビエトへ行きますと、クラスノダールの地帯、あの穀倉地帯ですね、昔ウクライナと言いました。この地帯では、日本の金肥の施用の三〇%ですね、ソビエトの肥料の使い方は。肥料を多く使うと、無機質肥料を多く使うから、やはり肥料公害、質の悪い食糧が生産される。だから肥料は余り多く使わないという耕作方法をとっております。それは一つは地力維持と、無機質肥料はできるだけ量を使わないようにするというつくり方をしている。日本はそうじゃないわけですね。もうとにかく現在北海道の畑作経営なんかというと、一体農業の収支がどうなのか、結局化学肥料と機械に所得が食われてしまっておる。農民は裸になっちゃうんだ、裸でかせいでおるというのが現実ですね。それほど金肥を使うところに問題がある。今後日本においても百二十キロとか百五十キロとかというような金肥の施用は、これはてん菜はもとより、あらゆる作物において厳に制限する、あるいは指導上そういう使い方をしないようにするという農政が展開されるべきであろうと思うのです。この点についてどうですか。
  129. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 私は先生の御趣旨のとおりだと思います。とにかく北海道のビートの面積をふやさなければいかぬ、反収を上げなければいかぬということで、それ価格も上げろ、それ何とかと、こういうふうなことで、とにかくビートをつくってきたというのが実情ではなかろうか。したがいまして、ヨーロッパのてん菜の生産のように、本当に農業経営といいますか、酪農経営といいますか、そういうことに組み込まれたてん菜の生産ではどうもない実情にあるのではないか。したがいまして、それだけ価格価格ということに非常な強い力が働いてきて、実際上の土地をつくる、あるいはまた経営に織り込まれたビートをつくる、そういう認識は北海道の場合非常に薄いのではないか。最近の反収の動向でありますとか、あるいは歩どまりの動向等を見ますと、これではどうしてもいけないので、やはり土地づくりといいますか、そういうふうな形、あるいはまた本当に酪農に取り入れられたようなてん菜の生産ということが行われなければ、地についた生産が行われないのではないかという感じがいたしております。  そういう点も含めまして、農蚕園芸局におきまして今回新たな生産対策の予算も講じたところでございますが、しかしこれはなかなか問題がむずかしゅうございまして、酪農が専業化すればするほど、ビートをつくるだけの時間的余裕がないという形になりまして、酪農が専業化し大型化していくと、またビート生産がそこの経営から離れていくというふうな実情にもございます。したがいまして、そこの仕組み方をよほどうまく考えないと、口では経営と密着したビートの生産と言いましても、現実的にそれがなかなか行われないというふうな問題があろうかと思います。そういう観点に立っての今後の検討は十分行ってまいりたいというふうに考えております。
  130. 美濃政市

    ○美濃委員 ビートの質問は、まだ不十分でありますけれども一応以上で終わりたいと思います。相なるべくは要請申し上げた——非常に困難だという意見を述べられておりますけれども、できるだけ近い期間にてん菜の反別が現在よりも伸びるように、縮むんじゃ困りますから、現在よりも作付意欲、さらにもう少しビートをつくろうかという気持ちに北海道の生産者がなるような政策の打ち出しをひとつ十分検討して、可能な限りそういう政策の打ち出しをしてもらいたい。繰り返しますが、それがうそを言ったことになるのじゃ困りますけれども、そうならないようなことを、残されたこれからの、今月の中旬ごろまでに可能な限度における努力を十分していただきたい。要請申し上げまして、きょうはこれで終わります。  あと畜産問題で若干質問したいと思います。  畜産局長がお見えになりましたので、近く加工原料乳補給金法による価格の決定が行われるわけですが、畜産審議会の酪農部会とか、大体最初にスケジュールをちょっとお伺いしたい。どういうスケジュールになっているか。
  131. 大場敏彦

    ○大場政府委員 今月末までに原料乳の保証価格等の価格決定、それから食肉等の価格決定をしなければならないわけでありますが、私どもただいま予定しておりますのは、畜産審議会の総会を十二日に開きまして、それからこれはよけいなことであるかもしれませんが、十五日に飼料部会を開いていただく、それから十七日に酪農近代化方針を諮問いたしております酪農部会を開いていただくということにしております。あと食肉の関係と原料乳の関係の部会をいつ開いていただくかということにつきましては決めておりません。決めておりませんが、事務的には私ども二十五日から三十日の間にそれぞれ一回ずつというふうに予定して、もちろんこれは最終的には審議会で御都合を決めていただくということになっております。そういう心組みでおります。
  132. 美濃政市

    ○美濃委員 この保証乳価の決定に当たって、主要な加工原料乳生産地域の五人規模製造業労賃を従来とっているのですが、これはやはり直さなければ、五人規模製造業労賃では酪農経営が所得的に非常に行き詰まっておるのですが、これはことしはぜひ直さなければならぬと思うのです。これに対する御意見を承りたいと思います。
  133. 大場敏彦

    ○大場政府委員 このところ非常にいろいろ生産者の方々ともお会いして意見を伺っておる最中でございますし、それから私ども内部でいまいろいろ議論をしておる過程でございますから、率直に申し上げまして決まった考え方はただいま現在持っておりません。ただ昨年の計算の実態を見ますと、先生御存じのとおり、酪農の飼育労働費につきましては、主要加工乳の原料地帯の五人以上の製造業労賃をとっている。それから飼料作物の栽培労働費につきましては、農村の雇用労賃とそれから製造業労賃のちょうど半分をとっている、こういった経過になっているわけであります。  そのよって来ている昨年の議論の経過を振り返ってみますと、飼育労働につきましては、周年の拘禁性の問題だとか、あるいは長時間拘束されるという問題だとか、それからそう急にはとってかわれない労働の熟練性の問題とか、そういった労働の特殊性に着目いたしまして製造業の労賃で評価している、こういった事情があると思います。  それから飼料作物の労働費につきまして半分ずつそれぞれとり合っているということにつきましては、われわれの理解といたしましては、飼料作物の労働はややそういった飼育労働とは異なりまして、熟練性あるいはその他の労働の質にいたしましても、どちらかといえば耕種労働に近い、こういった形で、元来はかわるべき労働の評価としては雇用労賃でいいのではないかという考え方があるわけでありまして、現実に主要農畜産物につきましての生産調整につきましては雇用労賃をとっているわけでありますが、ただ昨年、一昨年の経過を見ますと、背後にありました配合飼料価格の異常な値上げとか、あるいは諸物価の異常な高騰、そういった常ならざる経営圧迫要因があったということに着目いたしまして、その経営を改善するためには自給飼料の増産を緊急にしなければいけない。その刺激対策という意味で臨時特例的にとった、こういったふうに私どもは理解しているわけであります。  来年度どうするかということにつきましては、いま私ども内部でいろいろ議論の経過を踏まえまして、また外部の御意見をも伺って研究中でございますので、ただいま現在のところは、率直に申し上げまして態度を決めているわけではございません。
  134. 美濃政市

    ○美濃委員 この機会にもう一つ聞いておきたいのですが、根室の大規模酪農建設で建て売り牧場をやっておりますね。これが大体二億くらいかかって、去年六戸入ったはずですが、売り渡し価格は何ぼに決まりましたか、八千万から八千五百万と聞くのですが。
  135. 大場敏彦

    ○大場政府委員 申しわけございませんが、ただいまその数字を持ち合わせておりません。構造改善局の方で所管しておりますので、後から数字はお届けいたします。
  136. 美濃政市

    ○美濃委員 大体そのくらいだろうと思うのですが、ただ局長にも私は別に資料提出してありますが、最近大型設備をした農家は、七千万、七千五百万という負債になっておるわけであります。それの最近の収支の状況というのはもう元利償還と現金支出経費に、そして搾乳量は百五十トンあるいは二百トン近い搾乳をしても、元利償還と現金支出の経営費を払ったら所得は手元に残らないという実態が出ておるわけです。恐らく根室の大規模酪農地帯のあの五十頭の建て売り牧場も、一時的にはそうなってしまうと思うのですね。これらの対策はどういうふうにお考えになっておりますか。大きな設備をしてどうにもやれないのですがね。それはもう倒産、離農なんかすると大変なことが起きると思うのです。畜産局としては、これはやれぬということがはっきりしておるわけですね。早急に手を打たなければならぬ。どうお考えになっておりますか。
  137. 大場敏彦

    ○大場政府委員 酪農の場合に従来から経営規模の拡大ということがいわれておりまして、現に、特に北海道等におきましてその規模拡大というものが顕著に進んでいるわけでありますが、それが、ややもすれば限りなき規模拡大というぐあいに批判される向きもあるわけでございます。私ども、もちろん今後も、従来みたいなような階層分化というものはあり得ないとは思いますが、やはり規模拡大の方向はあり得るし、またそういう方向で進めていくべきだと思っております。  しかし、四十頭だとか五十頭だとか、家族労働で飼養し得る限界までかなり近づいてきているような大規模の農家につきましては、これをさらに規模拡大するというようなことではなくて、やはりそういったものはそういったものなりに、経営の中身をいかにして改善していくかということに重点を置くべきじゃないか。具体的に申し上げますればいろいろな事柄があるわけでありますけれども一つは過剰投資をしている向きも必ずしもなきにしもあらず、こういうこともありますので、その点につきましてはやはり冷静に考えていく必要があるだろう。  それから乳牛の素質の問題につきましても、果たして十分であるかどうか、その他生産技術なり経営技術の点につきましていろいろ改善していくといった考え方で、いたずらに規模を拡大し、また、設備投資を過剰にしていくということだけではなくて、経営の中身を改善して経営をかたいものにしていく、そういった方向ではないかと思っております。  それから経営規模拡大の過程におきまして、当然設備投資というものが、これは国の制度資金の世話やき等によりましてかなり投下されまして、一方において負債がかなり多額に上っているということは先生の御指摘のとおりであります。それからまた、逆にそれはある意味におきましては、他面におきましては資産として保有しているということでありますから、負債額が多いということをもって直ちに議論すべき問題ではないとは思いますけれども、しかし、それはやはり経営上の圧迫要因としてはかなり重く見ていかなければならない問題だろうと思っております。  北海道の場合におきましては、先生御存じのとおりそういった多額の負債が固定化しているということが問題になりまして、その経営圧迫要因というものを除くために、四十八年、四十九年にかけまして自創資金を使いましてそういった借りかえをしたということもあるわけでありまして、今後その負債整理対策につきましてよく実態を道庁とも相談いたしまして考えていきたいと思っておるわけであります。
  138. 美濃政市

    ○美濃委員 以上で終わります。
  139. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 この際、午後一時四十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時四十四分休憩      ————◇—————     午後二時五分開議
  140. 湊徹郎

    ○湊委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。加藤紘一君。
  141. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 農林大臣の基本的な方針に対して若干の質疑をさせていただきます。  まず最初に農業の担い手の問題であります。大臣の先日の方針説明の中に国内農業の自給率を高めるためには、意欲的に農業に取り組み、農業生産の担い手となろうとする者を積極的に育成、確保していくことが必要なんだということが強く述べられておりますけれども、いま農村地帯でよく問題になりますのは、国が期待している農業者というのは一体どういうところなんだろう、中核的な担い手という言葉になると、どうも国は専業農家の大きいところ、そこの長男で農業高校をしっかり卒業したあたりを考えているんじゃなかろうか、国はわれわれを相手にしているのかねというような兼業、特に二種兼業の人たちの感情があると思うのです。この辺は非常に微妙な問題でありまして、農業に将来希望を持つか持たないかという、非常に迷っているところ、特に農業高校卒業前後の若い人たちの間ではかなり大きな問題だろうと思うのですが、まず最初にその中核的な担い手という言葉の中に、農林省としては具体的にどんなことを考えておられるのか。たとえばそれは専業農家とか兼業農家とか、そういう分類は考えてないのですとか、その辺をひとつ明確にしていただきたいと思います。
  142. 小島和義

    ○小島説明員 お答え申し上げます。  ただいまお話がありましたように中核農家というのは必ずしも専兼の別にこだわるという考えは持っておりません。ただいまの統計上の区分によりますと、兼業農家の中には農業をみずからの職業としているようなりっぱな男子農業者がおる場合でありましても、家族の構成中にたまたま他産業への従事者がおるというふうな事情やら、あるいは東北のように季節的な制約から農業だけでは完全に労働力を使用できない、こういうふうな制約がありまして分類上兼業農家に入っておるというものも含まれるわけでございますから、専兼の別によりまして中核農家であるかどうかという差別をするつもりは全然持っておりません。
  143. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 その辺の感じが十分に伝わっていないところが一つの問題ではないかと考えます。よく米価運動のときに、われわれ米だけでは食えない、だからもうちょっと米価をと、それから農業生産だけでは食っていけないのだ、それで具体的にうちの家内も縫製工場か電子部品工場にちょっと働きに行っているけれども昔はこんなことなかったね、政治家の方でも、そうですね、農業だけで食える政策をしなければならぬしというような話をするというパターンがいままで大分固まってきていると思うのですね。それで発想の中に、本来農家というのは農業だけでやっていくのだ、ほかに働きに行ったらちょっとそれは昔から比べたら堕落なんだ、家が落ちぶれたのだというような受け取り方というのは、特に東北の農家なんかでは強い。ですから私は、兼業も何もそんなに悪いことなんじゃございませんよ、いま室長がおっしゃいましたような、たとえば米づくりの場合にはどうしても時間が余ってしまうのだし、そこで働くのは何も堕落ではございませんよというような点をもっと強く出さないといかぬのじゃないかなという感じがいたします。  それで具体的にちょっとお伺いいたしますが、専業農家というのはいま大体何%で、一種、二種がどの辺になっておるでしょうか。
  144. 小島和義

    ○小島説明員 農家数の比率で申し上げますと、五十年センサスの結果でございますが、専業農家が全体の一二・四%、残りが兼業農家でございますが、うち二五・四%が第一種兼業農家、六二・一%が第二種兼業農家、こういう結果になっております。
  145. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 これはちょっと前の昭和三十八年ころの統計だと思うのですけれども、その当時の統計で見ますと、専業農家よりも、実は兼業、特に一種の方が、土地生産性から資本効率、それから労働の生産性もいいという統計が出ておるわけです。具体的に言いますと、十アール当たりの農業収入を見ますと、専業農家では、当時三万五千四百円、一種兼業で三万六千円、専業を上回っておるわけですね。さすがに二種兼業になりますと二万四千七百円と下がっておりまして、このデータというのは、私らの一般的な常識から見て、兼業の方がどうせ生産性も下がっているのだろうという一般的なイメージから言いますと、土地生産性も労働生産性も資本効率もいいということは意外だという感じがして、見たのですけれども、それが、現時点の最近のデータではどういうぐあいになっているか、もしわかりましたらお聞きしたいと思います。
  146. 小島和義

    ○小島説明員 御指摘のように、最近の数値で見ましてもほぼ同じようなことが言えるかと存じます。  専業農家で申しますと、十アール当たりが九万円でございます。第一種兼業農家の場合が十万円、二種兼になりますと六万五千円くらいという傾向が出ております。ただ、これを都府県、北海道にばらしてながめてみますと、都府県の場合には、専業農家が十二万六千円、それから一種兼の場合には十一万七千円、二種兼の場合が六万六千円ということで、専業の方がやや高いという傾向が出ております。それから北海道の場合には、北海道の農家の構成が畑作あるいは酪農というふうな、比較的大面積を保有して行っております農家が大体専業農家の分類に入りまして、それが十アール当りの所得ということになりますと、おしなべて北海道は低くなってまいります。全国平均いたしました場合に、専業グループの中の北海道分がききまして、それで専業のところが十アール当たりちょっと低くなるという結果ではないかと思っております。
  147. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 そうすると、専業でも一種兼業でも、内地から見れば大体同じような生産性を上げている、それで、特に一種兼業の場合には、農業以外の収入で、一戸当たりの収入から見れば、専業よりも逆にいいような感じであるというのがデータとして出ているわけですから、兼業農家がちょっとみじめだというような感じは、実態的には余り出ていないということが言い得るわけですね。  それで問題は、二種兼業なんですけれども、二種兼業というものは、将来どういうふうに位置づけていくかというのは大きな問題だと思います。かなり中核的に、専業的にやっている方にしてみれば、まあその人たちが何とか土地を手放して、われわれ専門的にやっている人に任せていただきたい、こういうような感じがあるわけで、まあ国もそこはなかなか言えなかったけれども、本音を言えば、ある種のそういう期待感を持っている。過去十年間の農業政策というのはそうであったけれども、逆に言えば、それがなかなか進んでこなかったというのは、土地に対する感情の問題が意外にきいていだということだろうと思うのですね。この情勢というものは、高度経済成長がこれから進まずに、いままでよりも、農業にuターンするというか、農業に比重を持って人々が考えるようになったならば、二種兼業というのは私はなかなか減っていかないのじゃないかというふうに思うのです。  そこで問題なのは、日ごろ会社勤めしている、ときたま家に帰って三反歩、四反歩いじっているというのが、昔から比べればかなりミゼラブルな、非常に悲しげな様相を呈するのですけれども、しかしそれも、考え方を転換してみれば、案外いい行き方なんじゃないですかというような感じを、もっといろいろな面でわれわれ強く出してもいいのじゃないかな。たとえば工場で働いておる、同僚はサラリーマンの子供からやはりサラリーマンになった、または工員になった、しかし、あいつのうちはたんぼがあって、食う米くらいは奥さんがつくっておるというような、非常に優雅なものだというような感じをわれわれ持ってもいいのじゃないかなという感じがするのですけれども、その二種兼業の位置づけをこれからどう考えておられるのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  148. 小島和義

    ○小島説明員 ただいまの点は、第二種兼業農家の生活が非常に裕福であるという点については、私どもの実感としてもそういうことがございますし、また統計的な分析から見ましても、第二種兼業農家が、いわゆる勤労者世帯と家計費の水準で比較いたしましても、四十九年、五十年くらいの結果では逆に勤労者世帯を上回っておる、こういうふうな結果が出ておりまして、そういう実感というものを裏づけておるという気がいたします。したがいまして、もちろん、個別に見ますといろいろ問題はあるわけでありますが、生活のレベルという点から見れば、おっしゃるように非常に恵まれてきておるというふうなことが言えるかと思います。  問題は、そういう農家というものを農業生産の上においてどのように評価するかということでございます。御指摘のように他産業主、農業従というふうな仕事をいたしております人の中にも屈強な男子労働者がおられまして、もちろん、通常は他の産業に従事しておるわけでありますが、農作業の中の基幹的な重労働部分はそのような労働力によって担われておる、生産性も結構高い、こういうような農家があることは事実でございます。ただ、こういう農家の人たちというのはもともとは農業者でありまして、農業の省力化が進んでいきます過程において、先ほどお話しのように、年間それほど多くの日数を働かなくてもいいということから、次第次第に他産業に対する傾斜を深めていったということでございまして、もともとは農業者であった、こういう事実がございます。今回のセンサスの結果で見ましても、年間百五十日以上働いております農業従事者は三割くらい減少いたしておりますが、九十日から百四十九日まで働いておる農業従事者というのが逆に数がふえておる、こういう結果がそれを裏づけておると思います。  ただ問題は、これから新しく生まれてくる農業の従事者、農業の後継者と申しますか、そういう第二種兼業農家の中に生まれてきた跡継ぎの人たちというのは、もともと農業者として職につくということではなくて、初めからサラリーマンの子弟として生まれ育ち、それぞれ就業先を求めていくということになりますと、これらの農家層が、長期的に見て日本農業の担い手たり得るかどうかということについては、いまから相当心配していかなければならぬのではないかというふうに考えておりますが、現状の判断としては、おっしゃるようにまだ相当な力を持っておる、こういうふうに判断しております。
  149. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 室長が最後におっしゃいました、これから二種兼業のうちの二代目がどうなるかというのが今後の大きなポイントで、構造的に変わっていく一つのかぎになるかと思うのですけれども、それはごく自然にできることでありまして、何とかそれまでの間、意外にあなたたちの生活も、昔から考えれば非常にさみしい気持ちもあるかもしれないけれども、ほかの社会でも働き、農業でもそれなりの貢献をしているのだというような、いろいろな意味での農業白書等における評価、書き方というものももうちょっと考えていった方が、何か農村の崩壊というイメージが救われるのじゃないかなということを感じますので、御検討いただければと思います。  次に、大臣の方針の説明の中に、これからの農業政策の基本として長期的視野に立った需給見通しと生産目標を設定してがんばっていくんだというお話があったわけですけれども、その点に関して、今後日本人の食生活パターンをどう考えていって、そしてどう設定していったらいいかということをお聞きしたいと思います。  私たちは片方に、国内食糧の自給率を上げなければならぬ、それは当然であるという大きな前提があるわけです。それと同時に、食いたいものを食いたいということをやっておるわけで、私これを長期的見通しに立って、国民が食べたいものを供給するんですよと片方でいきながら、自給率もまた上げていきますよという、この二つというものは細かく考えていったら相反する結果になるのじゃないか、その点をもうちょっとクールに分析して国民に知ってもらった方が、いろいろな農業政策の進め方が楽なんじゃないかということを考えるときがございます。端的に言って、われわれの国土と条件から言って本当に豚肉をたらふく食えるのでしょうか、チーズやバターをいま十分に安く食えるような日本なんでしょうかという議論がもうちょっとあってもいいように思います。たしか去年の五月ですか、「農産物の需要と生産の長期見通し」を立てられました。それがこれから昭和六十年までの農業の基本になっていく一つの目標設定だろうと思うのですけれども、まず最初にその設定がどういうふうになされたかをお聞きしたいと思います。六十年までの間に、お米の消費は一人当たりどういうふうな感じになると御判断なさっておりますか。
  150. 小島和義

    ○小島説明員 昭和六十年時点におきます米の消費量は、基準年次の昭和四十七年から見まして、一人当たりとしましては傾向としては減少し、人口増がございますから相殺されまして大体千二百十万トンぐらいのところというふうに考えております。
  151. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 どうして減るのでしょうか。どうして減るという予測ができるのでしょうか。
  152. 小島和義

    ○小島説明員 六十年の需要というのは、結局いろいろな要素がからんでまいりまして結果として実現するものでございますので、基礎になりましたものとしてはこれまでの一人当たりの需要傾向がどうであったかということと、それから日本人の人口が全体としてどうなるか、その二つを要素にいたしまして組み立てたものでございますから、一人当たりの米消費量という点では、これまでの傾向というのはきわめて微々たるものではございますが着実に減ってきておる。近年はやや下げ幅が少なくなってきておりますけれども、まだその傾向は完全にとまっているとは言い切れない。こういう実態を踏まえまして、一人当たりの消費量としては現在時点よりもやや減というふうに見たわけでございます。
  153. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 米の消費量は、最近学校給食だ何だかんだと言ってやっているわけですけれども昭和六十年に八十一・五になる。それはいまの御説明ですと、端的に言ってこれまでの傾向線をたどりました、こういうことですね。しかし、本当にそうなるのでしょうかねという一つの疑問と同時に、仮にそうなるとしても、そのままそうならしていいのでしょうかという別個の問題があると思うのですね。確かに米の消費量は下がっている。消費量を上げろ上げろと言っている農家でも、大抵昼はうどんなんか食っておりますね。農協にはインスタントラーメンが一ぱいスーパーにあるという状況ですからそうなるかと思うのですが、同時にこれはある種の政策でかなり変動し得るものだということも言い得ると思うのです。ですから逆に、これまでの傾向線をたどった消費の見通しを設定しているということは、これから余り政策的な手も打たないということが背後にあるのじゃないかと言わざるを得ないと思うのです。その中で一番重要なのは消費者米麦価比率の問題ですね。昭和三十五年に約百十四キロぐらい食べていた。それで現在九十ぐらいまで落ちて、また八十一・二まで落ちますよ。実は、この落ち込みと消費者米麦価比率が落ち込んでいたのと大体同じ傾向線をたどっておりますね。ですから、これは麦の値段、米の値段の相関関係でかなり変化し得るのだということを、需給目標を設定されるときにファクターに入れられましたでしょうか、どうでしょうか。
  154. 小島和義

    ○小島説明員 今回の需給見通しの策定に当たりましては、需要の傾向というのはいわばあるがままにとらえて、それを一応需給見通しの基礎といたしております。しかし御指摘のように、需要をあるがままにほうっておいてそれで需給見通しを立てるというのは、日本のように非常に土地資源に恵まれない国の場合に果たして適切なのかどうかというふうな問題提起が、この需給見通しを審議いたしました際の農政審議会の中の議論にもございまして、日本人の食生活が今後どういうふうに向かっていくのかということについて、あるべき姿というものも踏まえましてさらに検討してみる必要があるのではないか。今回の需給見通しにはそういうことは直ちには織り込まれてはおりませんが、今後の日本の食糧需給問題を考える場合に、そういう検討結果も踏まえてさらに長期的に検討するようにということを農政審議会からも指摘をされておりました。私どもも、目下そういう意味の勉強をいたしておるわけであります。
  155. 浜田幸一

    浜田政府委員 いまの加藤先生からおっしゃられている問題は一番大事な問題だと思いますので、ひとつ私の方からも御答弁をさせていただきたいと思うのでございますが、この長期見通しを立てます場合に一番問題になりまた国会でも御議論をいただかなければならない問題は、第一番目の問題として、現在米を一千二百万トンということで抑え、同時に主食の部分である小麦については主食で四百五十万トンの小麦輸入していくというパターン、現在輸入穀物の中で小麦の占めるシェアは約五百五十万トンと言われておりますが、その中で生産は十七、八万トンであります。それを両方合わせますと、主食関係で約千六百万トンから千七百万トン必要とするわけでありますが、米を千三百万トンつくれるものを百万トン抑えた場合に、たとえば他の穀物需要が伸びていくであろうかということも一つ考えなければなりませんが、これを十年間推し進めてまいるとすると、人口の増減はあるにいたしましても約一千六百万トンか七百万トンの主食について、日本で自給自足のできる米は千二百万トンで抑える、とすれば、不足するものが小麦以外の何かに転化した場合でも、それだけのものは輸入しなければなりませんよということが基調になっているわけであります。ですから、私はこう考えるのです。米資源がただ一つのわが国の満ち足りた資源であるとするならば、これはやはり今後の農政の長期展望の中にあっても、当然その計画を変えさせる努力というものをしていかなければいけない。というのは、輸入に頼ることをでき得るだけやめて米に頼らざるを得ないというのが民族の悠久の安定の上で私は必要なことだと考えております。  ただ、現在の時点で長期目標というものを立てるとすれば、過去における状態と今後の見通しの中で一つのものをつくっていかなければなりませんから、そういう中で考える場合にはそういうことになりますということで御発表申し上げた内容になると思うのです。  先生先ほどから言われておりまするように、米消費に対するもう少し積極的な努力をしなければならないのではないかという問題がございます。私は、きのうお答え申し上げましたが、もし一食茶わん一杯の米を国民全体がよけい食べてくださるようになれば、あなたの言われるとおり、農政も食料供給もあらゆる面で経済的にも節減ができますし、民族の将来のために安全だと考えております。  ですから、いま御議論されておりまする見通しに対する一つの議論の内容でございますが、やはり私はその一歩前に、国会が何をすべきかということを御決定をしていただかなければならない問題だと思っておるのです。政府はもちろんそうなんです。きょうの午前中も先生に御説明申し上げましたが、たとえば文部省で三五%値下げをしまして、そして米を食ってくださいという、日本がこういう形で本当にいいのか、しかし現在の段階ではそれしかないと思ってやったことなんで、本当は、私は母親の心というものは、親の温かみというものは、弁当をつくる母親の手から伝わるものだと思っておるのです。だから、将来の食糧供給という問題をパーフェクトに考えるとしますれば、当然これは弁当持参でおかずだけを給付するとかそういう形に変わっていかなければ、私は日本農政の上から見て、食料資源の上から見てやはり正しい形じゃないと思っております。しかし、そういう国民に対する、消費者に対する御理解をいただきまする前に、そういうことを知っていただくための一つの方法としてこういう形もやむを得ないのではないか、そういう努力があることを御理解をいただきたいと存ずるのであります。
  156. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 よくわかりましたが、まさにこの穀物消費というのはいろいろな形で変わり得るものじゃないかということは、もっともっとわれわれ心に入れておかなければいかぬのでないかなという感じを改めていたす次第です。  先ほど私申し上げましたけれども、三十五年当時、消費者米麦価比率というのは八二・八、米が一キロ百円とすれば小麦が八十二円ぐらい。それがダダダダダダッと音を立てて下がってきまして、四十九年には六一ですね。五十年、去年の九月ですと四四ぐらいまで私が見たデータでは下がっております。すると、昔に比べて小麦の感じが半分の安値に下がっている。こうなればどう考えたって麦を食べるというのが当然なんじゃないかな。ですから、われわれも、いま政務次官がおっしゃいましたように国会の場でも果たしてその消費者麦価というのは安ければ安いに越したことはないのだけれども日本農政全体からどうあるべきかということを議論して消費者麦価ということを考えていかなければいかぬと思いますし、自給率向上なんというのは案外この辺にもひそんでいるのではないかということを感じますので、われわれもやると同時に、政府の方でも御判断いただきたい、こう思います。  特に、いま生産調整が悪いとか、いろいろ議論がありますけれども、これは江戸時代から米をつくっている人が急にその地域で米をつくるなと言われても変化できないから、米をつくっているわけですね。また、米づくりが一番銭になるように米価が、農産品価格が横並びで決められておる。それで米の消費が落ちるような価格政策になっているというのが最大の問題ではないかなというふうに感じます。  それで、その価格の政策というのがこれから大切だと思うのですが、「食糧問題の展望と食糧政策の方向」、こういう農林省で出されているものでも、大体需要の誘導というのが必要であるということまでは書かれていますけれども、読んでみます。「需要の動向に応じた農業生産の誘導について生産振興奨励措置と併せて、」次なんですが、「価格政策の需要と生産に対する誘導調整機能が十分発揮されるよう配慮することが肝要である。」と言っていますけれども、ここでもやはりまだ一つもたもたしていまして、価格政策で需要というのを誘導していくのだと、はっきり言って、日本人は米と納豆とサンマの開きとみそ汁で食ってくださいというような感じのわかりやすい発言がもうちょっとこういうものの中でもあってもいいのじゃないかな。誘導しなければならぬけれども、それは生産と需要と両方を誘導しますというような、何となく逃げたような書き方で行われていますね、この書き方は。それはかなり単純に、もっとわかりやすく言ってほしい。それを言うべき時期にもう来たのではないかなという感じがしますけれども、その辺については、日ごろはっきり言うと言われている政務次官、ひとつお願いいたしたいと思います。
  157. 浜田幸一

    浜田政府委員 私は、加藤先生の御指摘は今後の日本の将来を考えるときに、まことに時宜を得た御意見だと思っております。  私はやはり日本の将来を考えるときに、米と魚あるいは納豆、そういう御指摘のとおりの食生活に対する指導理念を徹底していかなければならないときだと考えております。なぜかと言いますと、先ほど先生から御指摘のございましたように、豚肉や牛肉をそんなにたらふく食べていいのだろうかということがありましたが、これは国民の嗜好によって定められるものですから、頭から無理に抑えられません。抑えられませんが、抑えるということ、規制をすることと指導理念とは違うわけでございまして、そういう点で、指導理念の発揮は十二分にしていかなければならないと思っています。  同時に、食生活のカロリーでありますが、たとえば米を中心にした食生活の中で二千五百カロリー程度のカロリーを、これはカロリーの原点というものについては多少の変動はあるかもしれませんが、そういう食生活のあり方に対する指導理念についても、やはりもっと明確にそういうものに変えていく必要がある。そうでなければ、いつになっても矛盾の中に矛盾が繰り返されていくような農政にならざるを得ないような状況に置かれている。  特に最後に、もう一点だけお答えしますが、価格政策の行き過ぎというものが行き過ぎた場合に、本当に農民を正しく守る形になるだろうかという問題が一つございます。そういう問題をも含めて新しい課題としていままさに第一歩を突き進めていかなければならない問題だ、このように考えております。
  158. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 わかりました。  次に、これもちょっと基本的な問題なんで、若干空理空論に終わるかもしれませんけれども、ひとついまの農業政策の基本的な問題でお聞きしたいと思います。  たとえば東北の米単作の寒冷地で米をつくっています。どうしても八月の下句とか出来秋から春まで暇になります。そうしたら、農家は何をしたらいいのだろうかと考えます。そのときに、じゃこれをしなさいと、どこかに答えを求めるわけですけれども、その答えを与えるのはだれなんでしょうか、だれであるべきなんでしょうか。
  159. 浜田幸一

    浜田政府委員 当然、農業のあるべき姿を正しく理解している農林省でなければなりませんし、食糧供給の責任者である農林省でなければならないと思います、その指導理念は。
  160. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 そこで、その辺が一つ大きな問題になるのですね。農林省としてみれば、そう政務次官のようにはっきり言っていただければありがたいのですけれども、個々の農家経営の問題は、実は個々の農家考えるのですということで、最終的になるとその辺にいままで逃げてこられたと思うのです。また個々の農家も当然考えなければいかぬというふうに思いますし、農協も指導していかなければならぬと思います。  しかし、いまの農業政策全般を見ますと、だれが決めていくのかということがはっきりしない。お互い何かごしゃごしゃやっているうちに決まっていく。この前は米をつくれと言うのでつくったら今度は生産調整か、これは農林省が悪いの、ミカンをつくり過ぎた、つくり過ぎた方が悪いのと、いろいろやるわけですね。その辺があいまいな中に決まっていくと思うのですけれども、その中にすぽんと一つ鋭い武器みたいなのが入ってくるのです。それは何かといいますと、補助金なんですね。どうすべきかと考えているときに、こういうことをやったら補助金差し上げますよというのが農林省から来るわけです。またそういう補助金制度をつくりましたとわれわれ政治家も言いまして、どうかねやらぬかね、ここまでがんばったんだから、こう言うわけですね。そこから何も考えないで、事業をやったら三割から四割補助金をもらえるそうだからやるべえかという感じでスタートしまして、経営そのものが自分の土地と家族構成に合ったものかどうかというのを考えないで始めてしまうというケースが非常に多いと思うのです。  それで問題は、私は、農家というのはなぜ農家をやっているかといいますと、まず第一は長男だからというものですね、家を継がなければならぬから。それから二番目には、まあ国民の食糧をつくってやらなければならないという大義名分があるかもしれませんけれども、それは最近大分下がってきた。もう一つの魅力というのは、一国一城のあるじでだれにも文句を言われないしおもしろい商売だからやる、これがかなり決め手になっていると思うのですが、ところがそれを大きく崩していくのが補助金政策でないかなというふうに思うのです。たとえば米づくり時間が余ったから養豚をちょっとプラスアルファ加えてみましょうということになる。そうしますと、何頭以上やらなければ補助金を出しません。養豚団地のつくり方も、パイプの太さが大体これで、コンクリートの厚さがこれにしないと構造改善事業の補助金は出ませんよとやっているわけですね。それでいやいやながらそれをやります。そうするとその後に会計検査院というのが参りますね。それでパイプの太さは大丈夫ですかと言う。私は、補助金というのは国民の税金をすぽんと生で差し上げるのですから、役所のシステムとしてそれをやらざるを得ないというのは当然わかるのですけれども、しかしこれがいつまでも続いていいものだろうかという疑念というのはそろそろ持たなければいかぬ時期になってきたのではないか。非常に農家のやる気をなくするもとがこの補助金政策に内在してないかという反省というのがそろそろ出てきてもいいではないか。そういうふうに見てみますと、戦後の農林省予算というのは一般会計ではずっと一〇%、ことし一〇%を切ったの切らないのというのがありますけれども、大体一〇%が続いている。ところがその補助金政策にかわって大きく進めるべきだと私が思い、また諸外国でもほとんどの農業の政策では採用されているいわゆる融資制度、財投の方は、かなり最近比率が下がってきているのではないかというふうに思いますけれども、その辺数字的にいかがでしょうか。
  161. 石川弘

    ○石川政府委員 いま先生指摘になりましたこと、補助金の持っておりますもろ刃の剣といいますか、いい面と悪い面の両方が、たまたま悪い面という形で顕著にあらわれたという点での御指摘かと思います。補助金はいろいろ種類ございますけれども、特に先生いま御指摘になりましたような農業経営を改善するという観点から交付いたしております補助金につきましては、御指摘のとおり経営をいたします農家の方々あるいは集団の方々が本当に自主的にそういう経営をやるという前提がありませんと、せっかくつけました金が死に金になるというおそれは十分あるわけでございます。私どもとしましては、そういう経営に携わる人たちが本当に使える金という形でぜひ交付したいという考え方をしておるわけでございます。そういうことに国あるいは県の指導とかあるいは農協の自主的な営農指導というものがございませんと十分な効果を発揮しないということで、極力自主性を高めるという手法で考えたいと思っております。  いま先生指摘になりました財投のシェアでございます。三十五年から四十年代に農林財投全体で申しましても国の財投の中で七%代ぐらいの時期もございましたけれども、その後高度成長の中でどちらかと申しますと都市的な投資と申しますか、生活環境、下水道とか産業道路とかも含めますけれども、そういう都市的投資の伸びが大変多くなっておりまして、いまお話がありましたように四十九年、五十年あたりのシェアで見ますと四%を若干割るというような結果になっておりまして、そういう御指摘も当然のことでございますので、われわれかなりことしの財投では努力をいたしましたつもりでございます。シェアで申しましてもことしは四・七%までシェフアップいたしております。伸び率もことし国の財投全体は一一四・一でございましたけれども、一三七・二まで伸び率も伸ばしております。
  162. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 問題は、いまでもいろいろな制度金融があるわけですけれども、それがなかなか借りにくい、それも原因していますか、農家自体で補助金をもらった方がおもしろいのであって、国からお金を借りるというのは返さなければいかぬしというので余り需要がないという側面もあると思うのです。ただ私ら戦後の日本の鉱工業の成長を見てみますと、これは政策的なものであったわけですけれども、各種の低利の金融を受けまして、債務者利得でかなり高度経済成長してきたという側面は否定できないと思うのです。農家はそこに余り気がついていない。補助金をもらってみずからの体をむしばんでいるということも否定できないように思うので、今後農業政策を進めていく際に、政務次官もおっしゃいましたように政策の基本理念は農林省がやるのでございますということでございますから、補助金のもろ刃の剣というものにもつと目を向けて、融資制度、もちろん長期低利で、余り細かく言わないで幅を持った制度というものを農協及び普及所等を通じて流していくという制度の転換を考えていただきたい、こう思います。
  163. 浜田幸一

    浜田政府委員 第一の問題につきましては、当然いま先生のおっしゃられたようにもっと農民が使いやすい、そして農家の意欲を向上させるような金融制度への改善の道を鋭意努力いたしておりますが、より一層の努力をすることにいたしたいと思います。  もう一点、前の問題に戻って大変恐縮でございますが、補助金の問題等について御見解が述べられました。しかし私は、価格政策の問題もそうなんですが、実際に農業所得が他の産業所得と比較してどうであるかということを考えた場合に、必要なものを生産させる農民に対して政治がどのような対応を示したらいいかということになりますと、つくったものを価格で守るかあるいは価格政策をやめて一反当りの補助政策をして、たとえば日本全国の農民については反当三十万なり五十万出しますという形にして価格政策を排除するか、その方法論はいろいろあると思いますが、現在では和洋折衷論で行っているわけですね。ですからそういう問題についてはこれから新しい形で検討を加えていかなければならないと思いますが、安倍農林大臣になりまして皆様方にも御協力をいただいて、実はやる気のある農民がこういうことをやりたいという場合には、それは政府も、農林省も思い切って金を出そうではないかと、個所づけとしてはまだ大変少のうございますし、予算としても少のうございますが、何といたしましてもやる気になってもらう、それは誇りを与える以外にない。そういう中で、まだ細かい予算づけではございますが、鋭意努力をいたしておるところでございますので、先生本日御指摘になりました点等につきましては十二分に今後研究させていただきたいと存じます。
  164. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 この補助金と融資政策の問題というのは実は大きな問題だと思いますし、今後もこの委員会でいろいろな形で議論を続けさせていただきたいと思いますが、本日はこれまでにしたいと思います。  ついでで恐縮でございますが、一言ちょっとお聞きしておきたいと思うのですが、農機具の問題で必ず近代化資金というものが出てまいります。それで、近代化資金を農協から借りるものだから農機具を買わされてしまったなんというせりふが、大分論理の飛躍がいろいろあって出てまいりますけれども、いまこの委員会でもしょっちゅう問題になっております農機具、私は、これの解決の道というのはモデルチェンジの規制とかも一つ大きくありますけれども、やはり農機具を買った後の修理、部品の供給、アフターケアについて正常なる競争が行われるということが一番だと思うのですが、いまのところどうも農協系統から農機具を買うというシステムに固定されておりまして、なぜ固定されているかというと、近代化資金が農協から出るから買うんだという形なんです。いわゆる農機具商さんにも、もうちょっと近代化資金を使う道を考えて、商系と農協系統とが農機具のアフターケアの問題について正常なる競争をするという状態がもうちょっと出てもいいと思うのですが、具体的には近代化資金というのは商系はなかなか使えないようになっているわけです。原資というものが農協である。また銀行が原資を出してもいいのだけれども、なかなか出ない。この制度がもともと農協系統から始まりましたのでというのがその趣旨だと思うのですけれども、農協がだめだというのではなくて、もうちょっと他の部門のシェアを上げるということは考えておられませんでしょうか。
  165. 若林正俊

    ○若林説明員 農機具の導入につきまして農業近代化資金が重要な役割りを果たしておる点は御指摘のとおりでございます。制度的に申し上げますと、農業近代化資金を利用していかなる機種、機材を導入するかという選択は組合員であります農業者に任せられている。この場合に農業協同組合が主たる資金供給機関でございますが、その主たる金融機関であります農業協同組合は他の事業も兼営しておるという関係から、ややもすればみずからの機材の販売とこの近代化資金の利用とを直接結びつけるという傾向が予想されるわけでございます。したがいまして、近代化資金制度を発足いたしました際に、この点については、選択は組合員の自由に任されている旨を厳に徹底し、農協の取り扱う限定されたる機材とリンクすることがないようにという指導をいたしておりまして、その後も数回にわたり行政指導をしてまいっておりますが、昨年の暮れに一部地域において公正取引委員会の強制調査の対象になった事例もございますように、広い全国規模で考えますと、ときどきそのような事例が出てまいっております。当衆議院におきましてもそのような御指摘をいただきました後、私ども調査などを通じてやはりそのような心配があるという点を再度確認いたしまして、先般指導の徹底を図るという方途を講じたところであります。  ただ、なお金融機関といたしましては、制度上は農業協同組合以外の、銀行その他の金融機関をすでに指定してございまして、後具体的に利子補給をいたします都道府県が関係金融機関と毎年利子補給契約を締結いたします。この利子補給契約を締結する相手方金融機関として、ある県は農協系統金融機関のみと契約をする、ある県は他の金融機関も含めるというように差がございますが、これは私どもは基本的には都道府県知事の選択にゆだねております。この場合にさらにこれを徹底するために商業系統の組織からは、もっと積極的に農協以外の金融機関を指定すべし、そのような行政指導を展開すべし、またそういう民間の金融機関に農機具融資枠のようなものを保証して割り当てるべし等々御議論がございますが、しかしこれは農機具を導入する、利用の公平を図る、つまり農協と農機具商との不当な競争条件を排除するということから、いまのような指導に直ちに入ることにはなかなか問題があるのではないか。つまり農業者に対する融資は、特に制度融資は指導金融という立場も持っておりまして、当該機械の導入がその入れようとする農業者にとってどのような効果を持つかといったような点を営農指導と結びつけまして、または営農相談を通じまして機械の導入を通じた経営の近代化を図っていく、こういう命題を持っております。したがいまして、銀行その他の金融機関が農業融資についての体制といいましょうか、相談に応じられる体制というものを逐次拡充していただけないと、ただ原資を供給し、農機具商の販売についても近代化資金の利用が円滑にいくようにという観点だけからは、その指定金融機関を具体的に広げるということを、一般的にそれを進めることはむずかしい。その辺の判断はやはり都道府県知事さんにお任せした方がよかろう、こう考え指導いたしております。  そこで、それとは別に、どのような供給機関から機械を入れようとも近代化資金は公平に利用できるのだという点を、利用者であります農家までさらに趣旨徹底を図っていくということが当面の課題ではなかろうか、こう存じておる次第でございます。
  166. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 それは理屈の上ではそのとおりだと思うのですけれども、しかし書類を書くのを手伝ってくれた農協の職員が近所の人であったりして、いろいろ義理人情が絡みまして、農協から銭を借りたらやはり農協から買わなければならぬというのが、この世の中の常だと思っているのじゃないでしょうか。そういう意味で、いまの最後のくだりはなかなかそうはいかぬぞということを少し考えていただきたいと思います。  それから原資を銀行が提供するだけでは意味がないのだ、指導しなければいかぬのだというお話がありましたけれども、その指導の側面は確かにありますけれども、しかしどの機械がいいかというのは、本能的に農家の人が見きわめるのであって、それよりは正当なる競争が発生した方がより農家のために利益になるのじゃないかというところも十分考えておいた方がいいのじゃないか。それで都道府県に任せてありますということですが、現実には農林省がやはり系統融資、農協団体融資優先だというのが行き渡っていまして、なかなか金融機関利用というのを都道府県が勇気を持ってしないという実情がございますので、その辺はどちらでも県知事がやればやれるのですよというあたりを、本音としてもうちょっと出して指導していただきたいな、こう思います。  最後に一つだけちょっと簡単にお伺いいたしますが、リンゴ及びサクランボの輸入に関して、コドリンガという害虫の問題がよく議論になっておりますけれども、米国産サクランボの輸入及び北朝鮮の原料用のリンゴの輸入に関し、その後防疫の問題はどうなっておりますか、及びコドリンが以外にサクランボの場合にはチェリーフライという新しい問題が議論になっておるのですが、その点をお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
  167. 本宮義一

    ○本宮説明員 いまの御質問のコドリンガの問題でございますが、米国の桜桃にはコドリンガが付着するということで、これの検疫措置といたしまして、これはもうすでに四十六年から米国の植物検疫当局とわが国の植物検疫当局とがこの検疫問題についての処理を検討を続けてきております。それで、このサクランボの問題につきましては四十九年に米国が殺虫試験をいたしまして、その結果を送付してきておりますので、これについて目下わが国の植物検疫専門家によって検討を続けておるところでございます。  それから北鮮リンゴの問題でございますが、北鮮にコドリンガが発生しているのではないかというようなことが一部外国の文献にも出ておるわけでございますが、わが国ではそれらの文献等あるいはまたこれを出しました英連邦の昆虫研究所、それからまた韓国政府への照会等から、現在の検討段階では朝鮮半島にコドリンガがいるというようには断定し得ませんので、現在のところはこれを禁止地域としておりません。それゆえに昨年の十月、十一月にわたりまして北鮮から原料用のリンゴが輸入されました。それで、これにつきましては厳重な検疫を実施いたしまして、一船目はリンゴ自体が非常に傷んでおりましたのでこれは輸入されない形でございますが、第二船につきましては、これを輸入検査いたしました際に数種の害虫が発見されましたけれども、その後慎重にこれを同定いたしました結果、コドリンガではないという断定をいたしております。  それから最後の御質問のオウトウミバエにつきましては、これもアメリカにわが国に未発生のオウトウミバエがおりますので、桜桃の輸入解禁の際にはこれについても十分慎重に検討する、完全な殺虫処理ができるということを前提にしてこの問題を検討いたしたいというふうに考えております。
  168. 加藤紘一

    加藤(紘)委員 終わります。
  169. 湊徹郎

    ○湊委員長 次に津川武一君。
  170. 津川武一

    津川委員 きょうは、まず第一に出かせぎ者対策、特にその事故、それから食管、過剰米、開田など米に関したこと、そうして時間がもしあれば、加藤委員がいまやられたような担い手だとか専業農業をどうするかということをやってみたいと思っております。  そこで、昭和四十四年でしたか、荒川の架橋工事で青森県の出かせぎ者八人が水没して死にましたし、ついこの間、次官の千葉県でゴルフ場建設の土崩れで秋田県の出かせぎ者が七人ばかり死んでおります。二月二十日、栃木県の茂木町の架橋工事で、今度は山形県の出かせぎ者六人が潜函、ケーソンという中に閉じ込められて亡くなっておりますが、農林省はこういう事態を御存じでございましょうかしら。この状態に何らかの対策を施しましたでしょうか、まずこれをお伺いします。
  171. 浜田幸一

    浜田政府委員 ただいま津川先生の御指摘の問題につきましては、この事故発生後、農林省といたしましては直ちに労働省に対しまして、その事実の究明と善後策に対して十二分な手当てをするように御要請を申し上げました。
  172. 津川武一

    津川委員 事態の究明を労働省などに申し入れた、それはだんだん聞いていきます。  その次に、ことしの二月二日、出かせぎ農民自分たちの困っているところを農林省、労働省、厚生省、大蔵省に解決するよう頼みもし要求する集会を開きました。私もそのときに農林省に一緒についていきまして、次のことを申し上げました。  渡という建設会社がございます。ここでは賃金を決めないで二十日間も働かせておった、こういうことなんです。飯場がない。事務所の中に机もふろ場もトイレもある。飯台がない、そこでふろ場の上にふたをかけた、それを飯台にしてその上に御飯、おしんこ、おかずなどを置いて食べておった。この状態に対して農林省はぜひ状態を見る必要がある、現地に行って見てきて必要な対策をとるようにと申し入れましたが、農林省はこれをおやりになったのでございましょうか。
  173. 浜田幸一

    浜田政府委員 そういう申し入れが先生を初めとしまして関係者からあったということを聞いておりますが、私はまだ見に行っておりませんが、担当官からお答えをさせます。
  174. 渡邊五郎

    ○渡邊説明員 先般出かせぎの方々からの御要求につきまして、私ども関係省庁に要望すべき事項は率直にその事項について要請をいたしますとともに、農林省で検討すべきものは検討しております。  なお、いま御指摘の現地へ直ちにというのは、目下まだ手配してない状況でございます。
  175. 津川武一

    津川委員 出かせぎ対策、あれほど切実な問題。いいですか、賃金が決まってないで働かされている。飯場がなくて、ふろ場の上にふたをして、そこで飯を食っている。これは生活ではない。こういうことを出かせぎ農民は受けている。これを二月二日の日に見に行ってほしいと要望しました。あれから一カ月、どうして行ってみなかったのでございます。
  176. 浜田幸一

    浜田政府委員 この問題については、まず第一の所管が労働省ということでございまして、労働省と農林省と共同でそういう形のものを見させていただくということになっておりまして、たまたまその時期が先生指摘のように一カ月以上おくれておりますが、今後は政務次官が注意をいたしまして、私の命令によりまして必ず視察をいたすようにいたし、善後措置を講じさせていただきたいと存ずるわけです。
  177. 津川武一

    津川委員 はしなくも次官がこれは労働省でございましてと言う。ところが農業基本法の第二十条に何と書いてあるかというと、「就業機会の増大」とあって、こうして就業機会を増大するために社会保障の拡充等必要な施策をしなければならぬと書いてある。今度農林省は、出かせぎ対策のために就労促進の予算を組んだ。これはよろしい。だが出る前までのことだけしかやっていない。出てしまった後の出かせぎ者に対しては予算も組まないし、行ってもみない。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 せっかく省の中にそういうセクションを設けながら私は行政がかたわだと思うわけです。そこで浜田政務次官、やはり農林省は直接出ておる出かせぎ者に対しても配慮しなければならないし、対策を持たなければならぬと思いますが、いかがでございます。
  178. 浜田幸一

    浜田政府委員 その問題につきましては、先生指摘のとおり、農民が出かせぎに出るわけでございまするから、私は先ほど答弁でも、それは労働省だけに関係のある問題だとお答えいたしたのではございませんで、労働省と農林省のこれは共同所管になると思います。そういう形でお答えを申し上げましたので、その点はまず御了承をいただきたい。  それからいまの問題につきましては、ただいま御答弁申し上げましたような内容で、兼業農家の出かせぎ労働者でございまするから、その問題に対する対策につきましては、当然私どもとしても、本年度を初めといたしましてより前進さしていかなければならない問題である。ただ問題が非常に各般にわたりますので、そういう問題について果たして十二分な手厚い状態ができるかどうかは別といたしまして、最善の努力を尽くさなければならないと考えております。
  179. 津川武一

    津川委員 さっきの飯台のない飯場は、住所も電話も農林省に連絡してあります。次官がこれを必ず命令して調査させる、今度は出かせぎ者の現場についても農林省自身対策をやる、こういうことなので非常によかったと思います。私はきょうは質問した意味があったと思います。  そこで、建設省来ていますか。それじゃこの問題は建設省が来るまでもう少し待つことにして、次にお米のことをやります。  この間、農林大臣の所信表明のときにいただいた五十一年度の農林省の予算の説明書、その中で、食管費の増高を来さないようにする、こうありますが、これはどういう意味でございます。
  180. 浜田幸一

    浜田政府委員 お答えをいたします。  食管によって生じます負担額、それをできるだけふやさないようにしたい、極力減らしていきたいというのが基本的な意味でございます。
  181. 津川武一

    津川委員 建設省来たそうですから、これは後で続けます。  二月二十日に、大林組の那珂川という川に対する架橋工事で山形県からの出かせぎ農民が潜函の中で亡くなりましたが、このことを御存じでございますか。
  182. 三野栄三郎

    ○三野説明員 知っております。
  183. 津川武一

    津川委員 昭和四十四年、荒川の架橋工事で青森県の農民八人がそこで死んだときには大臣が現場に行っておりますが、今度は建設大臣は現場を調査に行かれましたか。
  184. 三野栄三郎

    ○三野説明員 お答えいたします。  事故がありまして、県から報告を受けました。建設省といたしましては、私の課の担当官を即刻派遣をいたしまして現地の事情の調査をいたしました。
  185. 津川武一

    津川委員 七年前のときには坪川建設大臣が現地を調べた。今度の事件で建設大臣は行って調べましたか。
  186. 三野栄三郎

    ○三野説明員 お答えいたします。  大臣は行っておりません。
  187. 津川武一

    津川委員 大量死亡事故がふえるたびごとに建設省はだんだん事故に対して不感症になってきたんじゃないか、こういう事実をまず私は指摘して、次の質問を始めていきます。  あのケーソンにはコンプレッサーが何基ついておりました。
  188. 三野栄三郎

    ○三野説明員 お答えいたします。  三基でございます。
  189. 津川武一

    津川委員 そのうち実際に稼働させるのは何基で予備が何基、一基、二基、三基、具体的に答えていただきます。
  190. 三野栄三郎

    ○三野説明員 県からの報告によりますと、使用しておりましたときには二基作動しております。予備を一基持ちまして、二基で作動しているというふうに聞いております。
  191. 津川武一

    津川委員 非常に高圧でやる危険な仕事なので、コンプレッサー二基でやって予備一基を持っておるのが常識でございますか。
  192. 三野栄三郎

    ○三野説明員 お答えいたします。  私の経験では、予備が一基あれば通常の工事であれば十分だというふうに考えております。
  193. 津川武一

    津川委員 つまり必ず予備は必要だということでございますね。
  194. 三野栄三郎

    ○三野説明員 予備は必要だと思っております。
  195. 津川武一

    津川委員 そこで一号機は予備であった、三号機が過熱して、それに気がついた。調べてみたら、コンプレッサーを冷やす水を揚げるポンプに故障が起きておった。そこでこれを修理した。そしてすぐ人を入れた。故障が起きたならば、それで本当に作業できるのかどうか確かめて、大丈夫だというときに人を入れるべきだったのが、今度の場合、修理したまま入れているのですが、この事実はわかっておりますか。わかっておったら、これはどうでございます。どう思います。
  196. 三野栄三郎

    ○三野説明員 こういった潜函工法をやります場合には、そういった災害を未然に防止し、安全に施工するということが当然必要でございまして、労働安全衛生法にもそういった規定がございます。もちろんそこには責任者もおり、確認をして仕事にかかるということがたてまえだと思います。
  197. 津川武一

    津川委員 つまり故障が起きたの。人を入れないで、そのとおり人が入れる状態であるかどうかを確かめてやるべきだったんでしょう。
  198. 三野栄三郎

    ○三野説明員 私が聞いておりますのは、現地の責任者はその故障をした後確認をして、それで十分であるというふうに判断をして潜函の中に作業する人を入れたというふうにお聞きしておりますが……。
  199. 津川武一

    津川委員 故障が起きたのは四時十五分、そして四時三十分に人を入れているのですよ。ケーソンでこれはできますか。これを具体的に調べてこの次報告すること。  第二の問題、一号機は予備、二号、三号機でやっていた。三号機に故障を起こした。そこで、予備をかえて一号と二号でやった。三号機は故障だ。予備がない。故障した予備、役に立たない予備で人間を潜函に入れた。この事実は御存じでございますか。
  200. 三野栄三郎

    ○三野説明員 私が報告を受けておりますのは、二号機と三号機で運転をいたしておりまして、それで、冷却水を送っておりますポンプが故障いたしましてその二号機と三号機が過熱をする状態になったということで、一たんそれをとめまして、それで一号機を三号機にかえて、一号機と二号機で運転を始めたということでございます。
  201. 津川武一

    津川委員 そのとき三号機は機能していなかった、故障機だった、つまり予備機はなかった。そこで一号と二号でやって、一号で今度入れてみたらふれができて使えなかった。あわ食って故障の三号機と二号機でやった。三号機が燃えた、そして煙が入ってしまって死んでしまった、こういう事実を皆さんがお調べになっているかどうか。だから、前のときは建設大臣が現場に行っているのだ。今度は建設省が不感症になって構っていないのだよ。この事実はどうでございます。
  202. 三野栄三郎

    ○三野説明員 この事故で六人もの方が犠性になったということは、建設事業を進めております私どもといたしましてやはり重大な関心を持っておりますし、そういった事故が今後ないように、そういうことも含めまして即刻担当官を派遣して実情調査したという実態でございます。
  203. 津川武一

    津川委員 皆さんのところの高気圧障害防止規則の中に避難のための防具がなければならぬと書いてある。今度の場合、中に入っている人が何か起きたときに逃げる防具がありましたでしょうか。
  204. 三野栄三郎

    ○三野説明員 お答えいたします。その辺の詳細はちょっと存じあげておりません。
  205. 津川武一

    津川委員 私は、国会議員としてこれくらい調べた。人間の生命を預かる工事に問題があったときに、建設省はこれを調べていないとは何事でございます。予算委員会の分科会で聞くから、必ずこの点をさらに調べておいて報告してもらいたい。  その次に、皆さんのこの規則、何と書いてあるか。高圧でやるときには事故が起きるとひとりで出られないから、高い気圧の中に人間が入っているから、事故が起きたときにその患者を救える病院と相談しておきなさい、こういう工事をやっているから警察と相談しておきなさい、消防署とこういう工事をやっているから相談しておきなさいと書いてある。これですが読みますか、「土木工事安全施工技術指針」建設省大臣官房技術調査室監修、この中に序文を書いているのがだれかというと、建設大臣官房技術参事官宮内章、こういう形で皆さんがやらなければならない。事故が起きてみたら、連絡してなかったから、消防署は減圧させて人を救出するものを持っていなかったのだ。消防署が来ても、どうにもならないのだ、あわ食ってマスクをやっていったら、そのマスクは役に立たないで入れないのだ、こういう状態なんです。こういう作業をやる場所をちゃんと連絡して対策を打っておけば、イの一番に持ってこなければならないのは救急車は酸素ボンベでなければならない。その酸素ボンベを持ってこないんだな。人工呼吸して酸素ボンベやって人を救っていかなければならぬ。この体制をしがなければならぬ。しいてなかった。これは御存じですか。
  206. 三野栄三郎

    ○三野説明員 私どもが県から報告を受けておりますことをお話しいたしますと、そういった危険な作業でございますので、当然そういった故障があった場合のいろいろな体制それから緊急の事態の救急体制等につきまして計画を立てて、発注者の県の方に報告をしておるというふうに聞いております。
  207. 津川武一

    津川委員 私が資料提出要求したら、大林組の潜函工法の施工規則、これは必ずあるはずだが、それを私に出さない。これを大林組からとること。発注者は栃木県庁、施工者は大林組。したがって、設計者の栃木県庁の監督日誌、それから大林組の施工日誌、この三つを次の分科会の労働省のときまでに出していただきたい。そうしなければこの論議ができない。非常に重大な問題に対して驚くべきほど建設省は冷淡だ。きょうは労働省をことさらに呼ばなかったのは、労働省はみんなこれと対比して覚えている。本拠の建設省がこういう状態なんです。  もう一つ。事故の起きたのは四時十五分ごろ、消防署への通報は五時二十八分。この間一時間十分、何しておったか。大林組と大豊組は機械の修理に躍起になっていて、中に入っている人間を忘れてしまった。いいですか。こうして消防署が五時二十八分にこれを受け付けて、消防署が出動したのが五時二十九分、現地到着が五時四十四分、ここまではいい。救出したのが六時十八分。これでは助かるべき人間も死なしてしまった。  そこで、現在、大林組並びにあの下請の大豊組がどのくらいケーソン工法の経験があるのか、これを調べて出してもらいたい。  全国でいま潜函工法で幾件の工事が行われているのか、これも出していただきたい。  そうしていま言ったみたいに、各必要官庁に連絡してあるかどうか、その潜函工事をやっているところの消防署が救出できる体制にあるのかどうか、患者が出たときに、特殊な患者だから、これを治療する病院、体制があるのかどうかといった点を調べてきてもらいたい。  そして、もっと言うならば、三基コンプレッサーが動くと、予備と本物とは別な動力系統でつないでなければならない。本物が動いている動力系統に故障が起きたときに、同じ系統でやっていると補助機が動かないから、こういうものを間違いなくやられているか確かめてみる。確かめてみるまでぼくは本当から言うとケーソン工法での工事はとめるべきだと思うのですが、確かめてくれますか。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席
  208. 三野栄三郎

    ○三野説明員 お答えいたします。  ただいま先生から幾つかの資料の提出の要求がございました。私どもといたしましては、先ほどお話しありました業者の社内の安全規則と申しますか、そういうものにつきましてはこれは先ほど先生からお話ございましたように、私どもといたしましては土木工事安全施工技術指針というものをつくりまして、これによって関係のところの指導をしているというようなことになっております。民間の業者の社内のそういった規則につきましては、私ども発注者でもございませんし、そういうものを取り寄せるというわけにはまいりませんので、その点だけは御勘弁いただきまして、あと御要求のありました点あるいは詳細に調べろという点につきましては、帰りましてよく調べて早い時期に御提出いたしたいというふうに思っております。
  209. 津川武一

    津川委員 私は、二十日の四時十五分ごろに事故が起きて、その夕方現地に行ってみましたよ。大林組の工事担当常務は、建設省から出せと言えばこの規則を出しますと言っているのです。あなたたちはどうして出せないと言うのですか。あなたたちは一体だれのための役人なのですか。大林組が、あなたたちが言ってくれば出すと言っているものを、出すなと言って指導しているのですか。  ロッキード事件において三木さんがアメリカに資料を出せと言ったとき、何と言った。条件がつけば出せないと言っている。これは三木さんが条件をつけなさいとアメリカに言っていることなんです。だから見てごらんなさい、条件をつけている。これは三木さんのやり方です。いいですか。大林組の技術担当の重役が、皆さんから要求が来れば、建設省から要求が来れば私は上げますと言っている。あなたたちが出せないというのはどこから出たのですか。大林組の番頭になるにもほどがあると思います。一回出かせぎの農民の側に立ってみてくださいよ。どうしてもこの規則は必要だ。取ってきてください。いかがです。
  210. 浜田幸一

    浜田政府委員 ただいまの発言中、大林組の問題は私どもも正しく追及いたしますが、いま先生から言われました三木総理大臣と同じだという問題については、わが政府といたしましてはそういうことは全くいたしておりません。国会で本日も明確に御答弁申し上げてありますとおり、私どもの方といたしましてはロッキード問題については解明を急ぐということでございますので、その問題とこの問題を兼ね合わされての御論議は、政府にとりまして大変迷惑でございますので、御訂正を賜りたいと存じます。
  211. 津川武一

    津川委員 私たちは三木総理の発言をどのように評価するかは、政党人として余りにも当然であります。三木総理の発言の、条件がつかなければ発表する、これは聞く相手にとってみれば、条件をつけることを具体的にさそっている具体的な行動だ。したがって、ゆうべからのテレビ、新聞を見てごらんなさい。何と言っているか。条件をつけると言っているじゃないですか。物のみごとに合致していて、浜田次官から抗議を受けるいわれは毛頭ありません。
  212. 浜田幸一

    浜田政府委員 この問題は大切な問題でございます。率直に申し上げまして、いま先生のお言葉でございまするが、私ども政府は、政府の威信にかけて疑惑は明確にするという態度を国民の前に明らかにいたしております。日本共産党がどのように解釈するかは御自由でございますが、それは政党のあり方として私がとやかく申し上げるべきでございませんが、国民政府の信頼をより低下せしめるような発言は、国会の権威にかかわるものと考えまして、御訂正願いたいということを申し上げるだけでございます。
  213. 津川武一

    津川委員 国民が求めているものを国会議員が発言することは国会の権威を高めることであって、ここで私は論争を繰り返さないで、いずれ私たちもまた予算委員会なり、特別委員会が設置された場合、またこの問題をあなたを相手にしてやってもよろしいが、建設省いかがです。
  214. 三野栄三郎

    ○三野説明員 ニューマチックケーソン工事の作業に当たりましては、労働災害の防止のためにあるべき規則というのが労働安全衛生法に定められているわけでございます。この法律に基づきまして、施工業者というものは独自の研修なりそういうものをやっているわけでございます。私どもといたしましては、先ほど申しましたような要綱をつくりまして、そういう安全の確保を図るように指導しているわけでございますので、私どもが直接社内のそういった規則について関与するというようなことはやっておりませんので、先生がどうしても欲しいとおっしゃるならば、私は先生にかわって資料の要求を会社の方にいたします。私どもとしてはそういう関係にございますので、そういうものを請求して取るという立場でございませんので、よろしくお願いいたします。
  215. 津川武一

    津川委員 ついでにもう一つ。あのケーソン工法、コンプレッサー一体の体系は全部大林組のものじゃないのです。下請の大豊組のものでもないのです。これのチャンポンなんです。私たちは、安全規則をつくるとすれば、下請でもいい、全部が大豊組のものならばここで統括できる。大林組のものならば統括できる。そこで大豊組と大林組がこの工法をやるとき、工事の工法の打ち合わせが終わっているかどうか、これが心配なんです。事故の起きた現場のときには、この規則の中には厳重に書いてある。全部にわたって管理する人がおり、と書いてある。管理する人がいなかった。だからそこらあたりが規則にどうなっているか、どうしても見たいので、いま建設省から、私にかわって要求すると言うから、これ以上問題にしないで、これで終わります。建設省の皆さん御苦労さんでした。お帰りになっていただいて結構です。  大分時間がなくなりましたが、その次は、今度の皆さんの「総合食糧政策の展開」の中に、逆ざやは計画的に解消する、買い入れ制限は続ける、開田は抑制すると言っています。そこで逆ざやの計画的解消というのはどういう意味でございますか。
  216. 浜田幸一

    浜田政府委員 昨年度、逆ざやの問題につきましては、生産者の値上げが決定されましたと同時に、消費者価格決定をいたしました。その中で正当な消費者の負担をしていただくという御理解と御協力を得まして、実は四二%を三八%まで低下せしめたところでございます。それをでき得ますならば、本年度もそのパーセンテージは米価審議会等の御決定をいただかなければならないところでございますが、私どもの方とすれば、現在そのパーセンテージがどの程度かということははっきりお答えできませんが、同じようにできるだけその差を縮小してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  217. 津川武一

    津川委員 食管費の増高を来たさないということは、生産米価が上がれば上がった分だけ消費者米価を上げるという意味でございますか。これが一つ。  逆ざやの計画的解消というのは、生産米価が上がっても消費者米価を上げないと逆ざや解消にならない、こういう意味でございますか。お答え願います。
  218. 浜田幸一

    浜田政府委員 そのとおりでございます。
  219. 津川武一

    津川委員 そこで、五十年産米の超過米処理はどうなっておりますか。
  220. 浜田幸一

    浜田政府委員 五月三十日までにあと五十万トン程度処理をいたさなければいけませんが、大体処理できる見通しにございます。
  221. 津川武一

    津川委員 食糧庁長官が私に、最終的にはやはり北海道米がことしあのとおりだったから、青森県米が最終的に売りさばくに問題があるだろう、食糧庁も乗り出してこいつを処分してみよう、私にも協力せい、それで私も協力しました。最終的にどうなっております。
  222. 下浦静平

    下浦政府委員 予約限度超過米の青森県産のものにつきまして、若干御説明申し上げます。  青森県におきましては、県間調整以前の発生見込みといたしましては四万トンちょっとぐらいの見込みでございましたが、県間調整を二回にわたりましてやりました結果、県間調整後の見込みといたしましては三万五千トンぐらいの発生の見込みでございます。これは全国的にそうでございますけれども、この超過米につきましては、できるだけ自県で消費をしていただこうということで、これは東北等につきましては県外搬出数量がかねてから多いわけでございますのでなかなかそうもいきませんが、やりました結果、大体協議が調っておりますのが、自県消費見込みといたしまして、この三万五千トンのうち一万三千トン、それから県間流通見込みといたしまして二万二千トン、このような数字になっております。それから最後の県間流通見込みといたしましては、この二万二千トンのうち約半分の一万一千トン強が北海道向けということをただいまのところでは計画いたしておる、そういう状況でございます。
  223. 津川武一

    津川委員 食糧庁、なかなか数字がややこしいので、これを県民に明らかにする意味で私から数字を申し上げてみますから、これでいいかどうか確認してみてください。超過米四万五千五百トン。それで二回にわたる県間調整で六千六百二十七トン調整した。残ったのは三万五千五百トン。食糧庁が仲に入って販売計画を立てたのは、県内で一万二千七百トン消費する。北海道に一万一千百トン出してやる。東京、神奈川以南に一万二百トン売りさばくようにがんばってみる。こういうことで三万四千トンを処分して、あと一万千五百トン残る。これも何とか東京以南で消費するようにがんばってみたい、こういうことだと思うのですが、このとおりでございますか。
  224. 下浦静平

    下浦政府委員 先生からの数字の具体的な御提示がありましたけれども、ちょっと細部が違っておりますが、県間調整前発生見込み数量といたしましては、私どもでは四万二千トンと踏んでおります。それから調整後に三万五千トン。以下はこの三万五千トンのうち、先ほど申し上げましたように一万三千トンが自県、その他が県間流通、こういうことでございます。
  225. 津川武一

    津川委員 そこで、この売る米の値段が最終的に幾らになります。時間がないから私の方からお伺いしますが、生産者の手取りは一万三千円超しますか。そこいらで落ちつきますか。いかがでございます。
  226. 下浦静平

    下浦政府委員 全国的に申し上げまして大体その一万三千円前後の生産者手取りになるようにということでやってまいっておりますので、青森県につきましては先生承知のように減額米ということになっておりますのでやや不利かとは思いますけれども、おおむね一万三千円に近いところで落ちつくんではないかと考えております。
  227. 津川武一

    津川委員 そこで政務次官、三等米で買うと一万五千五百七十円、超過米でやると一万三千円前後。これは明らかに二段米価でありませんか。農林省は頑強に二段米価でないと言っていますけれども、同じ米の生産者をなぜこのように区別するのか。これでも二段米価でないとおっしゃるのか、次官からお答えいただきます。
  228. 浜田幸一

    浜田政府委員 二段米価ではないと思います。
  229. 津川武一

    津川委員 そこで、ことしの五十一年産米の青森県の政府の買い入れ、去年は三十六万六千六百五十トン、ことしは三十五万八千二百トン。少し減った。それで青森県庁も懸命になって稲転をやる。通年施行もやる。こういう点でこれを消化するためにいまがんばっております。これはそれなりによかったと思います。これを反別でも割っています。反別で割ったときに、天候がよかったら増産になる。これほどうれしい話はない。このうれしい話の成果を政府の買い入れ米としてとっていただかなければならぬと思うのです。面積で渡していますよ、数量と二つで。したがって、つける農民はその自分の面積をそう考えておる。非常に天候がよかったときに、私も天候のいいことをひたすらに願いますが、浜田さん、いかがでございます。
  230. 浜田幸一

    浜田政府委員 御質問の趣旨に正しくお答えになるかどうかわかりませんが、私も生産調整はいたしたといえども、天候に恵まれて米がよけいとれるというその状態については、好ましい状態だと考えております。
  231. 津川武一

    津川委員 これはまた詰める機会があるかと思いますが、そこで雪が消えればもう皆さん、種の支度をしている。米をつけるかっけないかは、米の値段がどうなるかでかなり決まるわけです。そこでことしの五十一年産米の米価がどうなるかです。きのう全中は三一・九%の加工乳の価格を要求しております。いままでどのくらいであったかというと、八十円二十九銭だったものを百五円八十六銭。三一・九%値上げを要求した。労働賃金、家族労働費が、NHKはいま聴視料の値上げを要求している。国会にかかっている。その中で人件費は約一〇%アップしている。農林大臣の親分の福田副総理、施政演説で物価は八%ぐらい上がる、こう言っているわけですね。一方では、皆さんが、食管費の増高を来さない、こう言っている。農民がそういう点で労働賃金や物財費が上がった分だけ上がるというならば生産に取り組むし、ここいらで、生産米価は仮定でそのときになってみなければわからないと言わないで、物財費や労働費がそう上がっていくならば、それに相応した分に決めなければならないと思いますが、この点、農林次官、いかがでございます。
  232. 浜田幸一

    浜田政府委員 ただいま先生指摘のように、労働賃金、他の諸物価、そういう経済的なものを含めまして検討中でございまして、現在の段階でどのようになるということを申し上げられる段階ではございません。十二分に研究、努力をいたしてまいりたいと考えております。
  233. 津川武一

    津川委員 いままでの生産米価決定方式をとるとすれば、物財費、労働費に相応した分だけ上げなければならないと思いますが、十分考えると言っていますが、その点大丈夫ですか。
  234. 浜田幸一

    浜田政府委員 もちろん、責任をもって配慮をいたします。
  235. 津川武一

    津川委員 最後に、開田抑制の問題です。  いま沢地、山地帯、沢地はいいとして海岸地帯、これで本当に農業をやろうとすれば稲作が一番よろしい。したがって、依然として開田が進んでいる。あの四十五年みたいに七万ヘクタールなどはいっていないけれども、いまだに一万二、三千ヘクタール、農民の自主開田、自力開田が進んでおる。皆さんの「総合食糧政策の展開」では、これは好ましくないと言っている。しかし抑えるわけにいかない。そこで本当はそういう山間地帯はお米をつくって、平場地帯はほかの方に転作できる態勢であるから、そこいらで稲転をやって、山間地帯の稲作、開田はときによっては認めてもいいのではないか、これが具体的なものじゃないかと思う。そこで農民はどうしてもほかの作物よりも開田に走る、これが現実。ところが抑えたいと農林省は言っている。とすれば、そこで開田でなくてほかの作物で農業をやれるような、こういう形の施策、援助が必要かと思いますが、まずこの基本的な態度を次官から聞きます。次官の答えいかんによって、私はそういう地域を持って次官のところへ相談にいきますから、いかがでございます。
  236. 浜田幸一

    浜田政府委員 ちょっと答弁が長くなって大変恐縮でございますが、お許しをいただきたいと存じます。  現状の農政の基盤整備の推進の中にありましても、実は山間地帯はその恩恵に浴することは少ないという欲求が私のところにもたくさんきております。そこで、そういう山間地帯の基盤整備に関しましても、今回は特別な配慮をいたしまして、まだ十分ではございませんが、それらの方々にも手の届くような対策をいま立てつつあるところでございます。その基本的な方針に従いまして、山間地帯の農業所得の向上というものは一体どうあるべきかという問題につきましては、現在鋭意検討中でございます。  いま、先生は、直ちにそういうものについては稲作の開田を認めるべきではないかという問題について御提起があったところでございますが、基本的に山間地帯の開田を認めました場合に、たとえばどの程度生産量が上がってくるのか。それが現在の計画にどのような影響を与えるのか。そういう問題についても十二分に検討いたしてみなければなりませんので、私の方といたしましても本問題については十二分なる検討を加えてみたい、このように考えております。  特に農業生産所得の問題についてもう一点だけ申し上げさせていただきますと、歩く農業から乗る農業に転換をいたしました。そして農業所得そのものを前進させるために何が役立ってきたかと言えば、一つには農薬であり、一つには機械だと言われております。しかし、山間地帯には十分な機械化農業を行うだけの余剰スペースもありませんので、そういう問題等の兼ね合いもあわせて検討していかなければならない問題であると考えております。十二分に検討させていただきたいと存じます。
  237. 下浦静平

    下浦政府委員 先生の最後の御質問についてでございますけれども、私どもは全国的に八百七十万トンの限度数量を内示をいたしております。これを受けまして、各県の段階先生のおっしゃいましたようなことも考慮に入れながら末端まで流してまいるということになろうかと思いますので、その点はお含みおきをいただきたいと存じております。
  238. 津川武一

    津川委員 終わります。
  239. 湊徹郎

    ○湊委員長 次に、瀬野栄次郎君。
  240. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣の所信表明に対する三月二日の質問に引き続き、昭和五十一年度農林漁業関係予算に関連して、本日は特に林業、漁業について、農林省、外務省、運輸省、海上保安庁当局に質問いたします。  林業関係について最初にお伺いいたしますが、林野庁は昭和五十一年度林野関係予算の特色はどのように説明されるか、まず最初に伺いたいのであります。
  241. 藍原義邦

    ○藍原説明員 林野関係の予算について御説明申し上げます。  林野関係の予算につきましては、総額千七百十九億九千万円でございまして、そのうち公共事業が千三百九十三億、非公共事業が三百二十六億でございます。この伸び率は全体で一二〇・六%、公共事業で一一八・四%、非公共で一三〇・八%でございます。  内容の主なものといたしまして、公共事業につきましては、まず造林に関連いたします下刈り、雪起こし等の育林の補助対象の拡大でございます。これは普通林地につきましても一定の条件を満たすものにつきましては、いま申し上げました下刈りあるいは雪起こしの助成をしようというものでございます。  それから二番目に治山に関係いたしまして激甚災害対策特別緊急事業というものを五十一年度から考えております。これは激甚な災害が発生いたしました地区につきまして災害の再発生を防止するために早急に荒廃地の復旧を行うための事業でございます。  それから非公共につきましては、まず初めに林業改善資金制度の創設でございます。これは現在の森林資源の状況から見まして間伐を緊急かつ効率的に推進すること、あるいは林業労働に従事する者の労働災害を防止するための施設を整備すること、さらには林業後継者等が近代的な林業経営を担当するにふさわしい者となること等に関連いたしました助成をするために、林業者等に対して短・中期の無利子資金の貸し付けを行う制度を創設するものでございます。  それから次に、中核林業振興地域の育成でございまして、これは将来にわたりまして林業を振興することによりましてその地域全体の発展の中核的な役割りを担うと見込まれる優良な林業地帯におきまして、林業生産条件の整備、林業と農業その他の業種との適切な組み合わせ等によりまして労働力の定着化の促進あるいは林業労働安全対策の充実等々のことを考えまして、計画的に推進することを内容とする中核林業振興地域育成特別対策事業を実施することにいたしております。  それから最後に、林業労務改善促進事業を五十一年度から推進することにいたしておりますが、これは林業労働者の就労の安定化、社会保障制度の適用促進等、就労条件の向上及び労働安全管理体制の整備等を図るために、主要な林業地域に現場で行う林業労務改善推進員を設置することでございます。  以上が五十一年度の林野予算の特徴でございます。
  242. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 五十一年度林野関係予算の特色というべきものをおっしゃっていただきましたが、このほかにあえて申し上げれば、大規模林業圏の開発林道等がございますが、これもことしは一四四・三%の伸びでありますけれども、事業量は十七・六キロメートルということで、前年度十七・七キロメートルに比べますと残念ながら減少をしております。いわゆる諸物価、資材等の値上がりということでやむを得ないかと思いますけれども、これらについても今後自然環境を維持しつつ、調和を図りながら推進を図る方向で格段の留意をお願いしたいということをつけ加えて申し上げておきます。  そこで、ただいま御説明いただきました中で、林業改善資金助成法がございますが、これは近く当委員会で審議をすることになっておりますけれども、この制度そのものが、林野の林業的利用の高度化及び林業技術の向上を図るため、林業生産方式の導入、林業労働にかかわる労働災害を防止するための安全衛生施設の導入、林業後継者の養成等についての林業従事者等の自主的な努力を助長し、林業の発展を図るため、林業従事者等に対して中短期の無利子資金の貸し付けを行うということになっておりますけれども、資金の内容を見ますと、林業生産高度化資金、林業労働安全衛生施設資金、林業後継者等養成資金、この三つが柱になっておりますが、近く当委員会において詳しくは審議しますけれども、その前にぜひ伺っておきたいことは、資金の貸し付け等を政令でいろいろと指定をすることになっております。その政令事項は、林業生産高度化資金の関係でございますと、現時点で間伐をやるべきものが百五十万ヘクタールあるとされておりますし、また今後十カ年で四百万ヘクタール必要である、こういうふうにも言われております。また償還期限等についても政令で縛ることになっておりますし、いろいろ政令事項等が検討されておると思いますけれども、いずれ法案の審議に当たっては、内容については細かく当局の見解を承ることになりますが、いまどういったことを政令事項として検討しておられるか、現時点で発表できる範囲で結構ですからお述べいただきたい、かように思います。
  243. 藍原義邦

    ○藍原説明員 この法案につきましては、後ほど国会で御審議を願うことになっておりますけれども、いま検討しております政令につきまして御説明申し上げますと、貸付資金の内容として、団地間伐の促進のための資金、それから防振チェーンソー等の購入のための資金、さらには林業後継者等の研修のための資金、こういうものを定めていこうかということで考えております。また、償還期間を定めること、このほか、本制度の運用に必要な措置等々を定めてまいろうということで、現在進めております。
  244. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 なお、もう一点伺っておきますけれども先ほどもちょっと申し上げましたが、現時点で間伐は百五十万ヘクタールぐらい必要であるし、戦後植林した物が逐次間伐の必要が出てくるわけですから、今後十年間では約四百万ヘクタールに及ぶ、こうなりますと、間伐用の作業道、集運材用の作業施設等に必要な経費もかなり出てくると思うのですけれども、今後将来にわたってこういった資金については相当量要ると思いますけれども、その辺は当局はどういうふうに見通しを立てておられるか。初年度であるので、貸付金額二十億円、国庫補助十三億三千万、こういうようなことでスタートを切るわけですけれども、その辺についてはどういう見解をお持ちであるかお伺いしたいと思います。
  245. 藍原義邦

    ○藍原説明員 細かくは今後さらに御検討いただくことになると思いますけれども、いま考えておりますのは、主として間伐を行うための作業道の作設等に対しての貸し付けということを中心に考えていきたい、このように思っております。
  246. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 きょうは大臣も林野庁長官も不在であるので無理かと思いますので、いずれ当委員会における本法審議に当たっていろいろとお伺いすることとして、次の問題に入りたいと思います。  国土利用計画の全国計画の素案というものが、ことしの一月九日環境庁企画調整局、国土庁計画調整局共管によって出されておるということは御承知のとおりでございます。この計画をちょっと見ますと、内容について一々触れませんけれども、森林面積四十一万ヘクタールを宅地や農地造成に振り向けるというようなことになっておりますが、そういうことになりますと、ざっと東京都の二倍にも相当する森林面積が振り向けられるということになるわけであります。しかも、昭和六十年度までにこれが実施をするというような計画になっておりますが、もちろん私としても、若干の森林、原野等が宅地、道路に振り向けられるということはわかるわけでございますけれども、四十一万ヘクタールのこの算出の根拠というものがどこにあるのか、これを当局にお伺いしたいのであります。  一説には、この計画は単なるビジョンに終わるのではないかということで、楽観的な見方もある、こういうふうに言われておりますけれども、いやしくも両省が共管で出すこの国土利用計画がそういうことであってはならぬし、また必要なものは林野においても提供せねばならぬこともわかりますけれども、四十一万ヘクタールということになるとかなり大きな面積になるわけですけれども、その算出の根拠について当局はどういうふうな見解をお持ちであるか、お伺いしたいと思います。
  247. 藍原義邦

    ○藍原説明員 国土利用計画の素案につきましては、いま先生がおっしゃいましたように、昭和六十年までに森林面積が約四十一万ヘクタールの減少が見込まれた形で、現在素案ができておりますけれども、これは限られたわが国の国土資源の中で、森林の多角的機能を高度に発揮する上で大きな支障を生ずることのない範囲内で、他の土地利用との調整を図るという考え方に基づいて、マクロに計算された数字でございます。私どもといたしましても、森林の持つ公益的な機能なり、その他森林の持ついろいろな機能の高度な発揮につきまして支障のない範囲内で、他の事業との調整ということで考えられたマクロの数字ということでございます。
  248. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 四十一万ヘクタールを宅地や農地造成に振り向けるというのは、マクロ的にやったということでございますが、国土利用計画素案によりますと、いま申しましたように四十一万ヘクタールを宅地、農地造成に振り向けるということになっておりますが、これに対して大蔵省、環境庁、それから建設省及び林野庁当局等各省庁において、どのような見解が出ておるのか。というのは、素朴な国民の批判によりますと、地域によっていろいろ格差もあることもよくわかりますが、これでは自然環境の破壊をするのじゃないか、ある人に言わせれば、第二の列島改造に通ずるということにもなりかねない、こういうように心配をする人もあるわけです。私はその心配はもっともだと思うわけですけれども、そこで、各省庁のこの素案をつくるについての要求その他を私仄聞するところによると、合計して百十五万ヘクタールぐらいの要求があった、それがいろいろな経緯を経て、いまマクロ的に四十一万ヘクタールということを言われましたが、いわばつかみによって四十一万ヘクタールということにしたというのが事実のようでございますが、私は林野庁としても、いわゆる自然環境を維持するという意味からも、経済的機能を維持する点から、十分に対処されることが望ましい。今後各省庁とも十分な検討をして、これらには対策を講ぜられるように望みたいところでありますけれども、その辺について各省庁はどういうふうな見解であったか、その点を述べていただきたい。
  249. 藍原義邦

    ○藍原説明員 お答えいたします。  この計画は国土庁で調整されておられますので、どういう状況であったかということについては、申しわけございませんけれども、私の方からお答えすることができませんので、御了解いただきたいと思います。  ただ、林野庁といたしましても、先ほど説明いたしましたように、森林の持つ多角的機能を高度に発揮する上で支障のないような範囲内で、他の土地利用との調整を十分図っていきたいというふうに考えております。
  250. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 部長だからやむを得ぬかもしれぬけれども、当然、この素案が出れば、国土庁と環境庁でまとめるということはよくわかるのだけれども皆さんとしては重大な関心を持って、どういう省庁の意見が出たかということは知っておかないと、向こうが言うとおりなんていうことをされたのでは困るから、私はあえてそういうことを言っておるわけで、内容は私も十分わかっているのだが、国民の目から見ると、やはりこれは第二の列島改造になってはいけないという不安もあるので、林野庁としては、しっかりそういった各省庁見解も聞き、この素案に対してこういう見解を持っているということをまとめて、ひとつ推進を図ってもらわぬといかぬ、こういうふうに申し上げるわけです。長官もいないことだし、部長で、その程度しか答弁できないかもしれぬけれども、むしろ林野庁にひとつしっかりしてもらいたい、こういう意味で私はあえてこの問題を取り上げて申し上げたわけでございます。  次の問題に進みまして、マツクイムシ被害防除対策についてお伺いいたします。  マツクイムシについては、この六年来しばしば当委員会でも政府考えまた林野庁の考えを追及してきたところでありますが、最近マツクイムシがかなり猛威をふるっておる関係から、警告を発する意味であえて若干の質問をしておきたい、かように思うわけであります。  マツクイムシの被害が年々猛威をふるって、その後を絶ちません。特に九州及び瀬戸内海から、最近ではそのマツクイムシ前線というものが猛烈な勢いで北上しておる傾向にあります。そこで、四十九年度だけでも、私が承知しておるところでは金額にして約八十四億円の被害、これを木造住宅にしますと、二DKくらいで五万戸くらいの戸数が建つというようなことにもなるわけです。被害面積で見ますと約二百三十万ヘクタールのうち千葉県の面積に相当する五十万ヘクタールくらいが被害に遭っている、こういう計算になるわけですが、まことに被害額は大きい。八十四億円も年間被害が起きるほどならば、相当な対策費を講じてやっても、これはもう国民は納得すると思うわけです。そういった意味で、この被害の実態、どういうふうに一番新しいデータで農林省はつかんでおられるか、その点まずお答えをいただきたい。
  251. 藍原義邦

    ○藍原説明員 先生ただいま御指摘のように、マツクイムシの被害につきましては、四十七年度に被害量といたしまして七十三万立方でございましたものが、四十九年度には百万立方になりまして、年々ふえる傾向にはございます。しかしながら、一方、ただいまも私どもの方で防除をいたしておりますので、地域によりましては減りつつあるところもございますが、逆に、一部東日本の方で発生するという事態もございまして、傾向としては少々ふえる状況にあるということでございます。
  252. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 マツクイムシが年々ふえておりますが、原因はいろいろ言われているけれども、的確にどこに原因があるか、ひとつ改めて明確にお答えいただきたい。
  253. 藍原義邦

    ○藍原説明員 先生十分御存じかと思いますけれども、マツクイムシの被害は、松の幹の中にマツノザイセンチュウという線虫がおりまして、これをマダラカミキリが運びまして、それに基づいて松が枯れるという、マツクイムシによる被害という形になっております。従来このマツノザイセンチュウが松を枯らす主役であるということが十分わかっておりませんでしたけれども、これが新しくわかりましたので、四十八年以降は予防法を徹底して、マツノマダラカミキリがこのザイセンチュウを運びますので、この運び屋を殺せばマツノザイセンチュウが松の幹の中に潜入するのが防げるという形で、予防を中心に推進してまいっております。こういう形で今後予防を推進してまいることによりまして防除してまいろうという考え方でございます。
  254. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 マツノマダラカミキリが運ぶところのザイセンチュウ、これは三、四年前ですが、熊本の林業試験場でこれがはっきりわかりまして、その当時当委員会で私、質問いたしまして明らかになったわけですが、そういうことは十分承知しておりますけれども、林野庁は昨年、予防事業の対策として、マツノマダラカミギリを対象とした調査を実施しておられるようだけれども、これは何カ所調査されて、どういう効果があったか、またマツノマダラカミキリによる被害は全体の何%ぐらいあったか、その点明らかにしていただきたい。
  255. 藍原義邦

    ○藍原説明員 調査結果を御報告いたしますと、調査個所は茨城県ほか二十五県でやりました。そして二百五十一カ所の標準地をとりまして調査した結果、空中散布によるものとの効果を考えまして比較いたしますと、五〇%以上効果の上がったものが全体の九〇%ございます。それから二一ないし五〇%のものが九%でございます。二〇%以下のものが一%でございまして、大半のものが空中散布による効果が上がったという調査結果になっております。
  256. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 その調査の結果、マツノマダラカミキリが運ぶところのザイセンチュウ被害というのが全体の九〇%あったやに聞いておるが、そのとおりですか。
  257. 藍原義邦

    ○藍原説明員 いまお答えいたしましたもののほとんどがマダラカミキリの被害の結果の調査でございます。
  258. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そうすると、いま発表になった以外のものは、どういうマツクイムシの被害ですか。
  259. 藍原義邦

    ○藍原説明員 お答えいたします。  ほとんどがと申し上げましたのは、九九%マツノザイセンチュウでございまして、そのほかに、にせのザイセンチュウというようなものがございますけれども、一%程度でございまして、ほとんどがマツノザイセンチュウでございます。
  260. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 にせのザイセンチュウが若干で、九九%ほとんどがマツノマダラカミキリによるザイセンチュウの被害であるということのようでありますが、このマツクイムシがだんだん北上していっているというこの原因について先ほどは明確でなかったけれども、天候その他いろいろ作用していると思うが、私が一々言えばそれまでですけれども、どういうふうに林野庁はつかんでいるのか。林野庁はよく認識しておってもらわぬと困るので、あえて認識の度合いを引き出すために聞くわけですから。たとえば、昭和四十八年度、かなり天候が異常気象でありましたね。四十八年の春からずっと天候は異常気象でございましたから、マツクイムシのいわゆるマツノマダラカミキリが大量発生して、四十八年ごろから被害がまた相当ふえてきたわけですけれども、われわれが各県を回って承知しておる範囲では、そのときの後遺症がまだ残って、とれていないというふうなことも一つの大きな原因であるというふうにわれわれは見ておるわけですが、その辺おっしゃらぬけれども、林野庁、そんなことは原因としては全然承知しておられないのか。また、駆除費が安いために、補助も少ないためになかなか駆除ができないとか、あるいはだんだん奥地になってきた、あるいは労働力が足らないというようなこと。総じて言えば、私は予算をもっと多くつけて、そして駆除費の補助を上げない限りは、これは徹底した駆除はできないと思う。また、空中散布だけではなかなか公害の関係で地域住民にもいろいろ被害が出て問題になりますから、空中散布を全部やるというわけにもまいりません。そういったことで労力、経費の問題、それから四十八年度春以来の異常天候による異常発生の後遺症等によって、その分がまだ相当響いているのではないか、こういうようにも私は思っておるわけですけれども、その他いろいろまだあるわけですが、そんなことが原因としていわゆるマツクイムシが猛威をふるっているということにはならないのか、そういう点はどういうふうに理解しておるのか、ひとつ部長、お答えいただきたいと思います。
  261. 藍原義邦

    ○藍原説明員 お答えいたします。  先生指摘のように、私どもも異常気象が非常に原因しているのではなかろうかということで考えておりますけれども、なおどういう原因であるか、その辺につきましては現在調査をいたしております。  さらにそのほか、林業試験場におきましても、このための薬剤防除のあり方あるいは地上散布のあり方等、いろいろな問題について検討いたしておりますし、また各都道府県の試験場におきましても、これにつきまして検討していただきまして、今後マツクイムシの防除につきましては全面的にわれわれとしても努力してまいりたいというふうに考えております。
  262. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 林野庁長官もきょうはいないので余り詳しく聞いてもあれだと思いますが、もう一点お伺いしておきます。  原因については調査中ということで、これはもうずいぶん昔からのことなんですが、いつ聞いても調査中では困るわけで、もっと的確に把握してもらいたい。昨年度も調査をしておられますし、たびたびこれは指摘して問題にしてきた問題であります。わかり切ったことをあえて聞いたのは、林野庁がもっと腹を決めて的確に掌握して、もっと真剣に取り組まないと、年間八十四億、百億と被害を受けておるマツクイムシに対して、もうなすがままに放置しておるような状態で今後蔓延の一途をたどっておる、北上しておる、こういうことを思いましたときに、場所によっては一本が何百万、何千万もするようないわゆる老松、有名な松もあるわけです。そういったものが枯れるということは忍びない。そういったことで、各有名な松原が次々に侵されつつありますので、徹底した、本腰を入れた防除対策を講じてもらいたい、かように、激励の意味も兼ねて申し上げるわけです。  そこで、いま試験場でも云々とおっしゃいましたが、御承知のように山口県の林業試験場でも、ことしの二月、試験研究結果を発表しております。林野庁は当然御存じであろうと思うが、「マツノザイセンチュウ及びニセマツノザイセンチュウの分布と被害状況、ツチクラゲによる松枯損について」というようなことで調査報告が出ておるわけですが、この中で、新薬剤開発試験それから更新用の代替樹種の検討結果、代替樹種としてマツノザイセンチュウに強い抵抗性を示して成長量も早いテーダ松を挙げておられるようでありますが、林野庁としても十分このことはもう御承知と思いますけれども、もちろんこのテーダ松というのは御存じのように北米に多いわけですが、有効土層など立地条件で大きく左右されるわけでございますから、この結果については将来どうするかということは、これはまだいろいろ問題のあるところでありますけれども、いずれにしてもこういった研究結果を踏まえて今後の対策の中に入れて将来推進を図るということでいろいろ取り入れてもらわなければいかぬと思うけれども、試験結果が大いに反映しないようなことでは困るし、またこれらについてはどういうように掌握しているか、この点もう一点最後に承っておきたい。
  263. 藍原義邦

    ○藍原説明員 お答えいたします。  先生指摘のように、抵抗育種の試験あるいは薬剤の研究等十分進めておりまして、私どもも都道府県の試験研究あるいは国の林業試験場の研究等を、総合的にその試験研究結果を踏まえつつ、抵抗性の強い樹種等を見出して今後その対策に当たりたいというふうに考えておりますが、樹木の成長はきわめて時間がかかりますし、その効果がわかりますのは相当長期かかりますので、私どもといたしましても将来に禍根のないように、十分その辺を慎重に対応しながらマツクイムシの防除を進めるとともに、その今後の跡地の対策にも推進を図っていきたいというふうに考えております。
  264. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 部長は答弁は簡潔で結構だけれども、マツクイムシ防除対策については林野庁長官とも十分かねがね協議をされて、これは真剣に取り組んでおられるだろうと思うが、これ以上にひとつ真剣に取り組んでもらいたい。特に林野庁は、マツクイムシの被害区域の九割を占める民有林に対して、十二億五千四百万円の予算で三万ヘクタールの薬剤散布などを予定しておられるようですけれども、いずれにしても地方自治体または個人が薬剤散布に要する費用というものを半額負担せねばならぬということで義務づけられておる。そのためになかなかこれが十分な効果を発揮しない。また地方財政の圧迫それからまた過疎というような問題もあって、いろいろ困難な条件があるわけですけれども、私は先ほど申しましたように、一年間に八十四億も被害が出ているこのマツクイムシの損害に対して十二億円内外では全く少ない。もっと国費を投じても当然これは効果が上がる問題でありますから、そういう意味でやはり国庫補助、助成、こういったことについて十分ひとつこの上ながら検討されて、本気になって日本のマツクイムシ駆除に当たってもらうように重ねて要望しておきます。  この点については林野庁長官にもよく申し上げていただいて、毎年ここでやるけれども、いつまでたってもこれが下り坂にならない。残念に思う。そういう意味で、警告を発する意味であえてこの問題を取り上げたわけですから、今後とも対策には十分留意していただきたい、このことを申し上げておきます。  以上で林野庁関係を終わって、時間の関係もございますので次の問題に入りますから、退出されて結構です。御苦労さまでした。  次に、通告いたしておりました島根県沿岸油汚濁事故対策に関する問題について関係省庁にお伺いしたいと思います。  昭和四十八年二月に発生した島根半島沿岸の漂着油による大汚染事故以来しばらく影をひそめていたわけでありますが、漂着油による汚染事故が特に本年に入って再び頻発していることは御承知のとおりであります。隠岐島を初めとして石西部、出雲及び石東部と、すでに三件も発生し、島根県沿岸のほとんどが漂着油によりまして汚染されるという事態が生じ、魚介類に大きな被害をもたらすとともに、イワノリ、ワカメなどは壊滅状態になっております。さらに、漁場は荒廃し、漁民の生活は破壊され、漁業関係者はもとより、県並びに市町村はその対策に追われて困惑の極に達しているというのが現状でございまして、これまた避けて通れない重大な問題でございます。瀬戸内海の水島コンビナートのように原因者がはっきりわかっていると問題ないのですが、この場合は原因者がはっきりわかっていないというところに大変な問題があるわけで、先日も島根県知事から特にこの問題について強い要請があったわけで、関係省庁としても十分そのことについては御承知であろうと思うし、対策をとっておられると思いますが、ことしになって、五十一年一月七日隠岐郡の五箇村、都万村、西ノ島町、一月三十一日になって益田市、三隅町、二月三日に平田市、大社町、出雲市、湖陵町、多伎町、大田市、仁摩町、温泉津町というように、島根県全域にわたって被害を受けております。特に五十一年一月七日は推定一億六千万円の被害であると言われております。そういったことで、地元住民は全く塗炭の苦しみに打ちひしがれておるわけですけれども、この被害状況についてまず水産庁はどう把握しておられるか、お答えをいただきたい。
  265. 森実孝郎

    森実説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、本年に入りまして三件の原因不明の廃油による漁業被害が問題となっております。すなわち一月の隠岐島島後沿岸それからさらに石西沿岸、それから二月の出雲部と石東部沿岸でございます。これにつきましては現在係官を現地に派遣いたしまして、被害の状況の把握と対策指導に当たっておりまして、まだ被害報告は確定しておりません。ただ、中間的な状況といたしましては、隠岐島島後沿岸については、先生指摘のようにかなりの漁業被害が出ているのではないだろうか。他の二件についてはいまのところ目立った漁業被害はないように中間報告されておりますが、これはあくまでも中間報告でございますので、なお詳細を確定したい、かよう思っております。
  266. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、海上保安庁にお伺いしますけれども、海上における防災、警察の立場から、海上保安庁においては航空監視の充実を期するなど、より厳重な監視と取り締まりの体制を強化して、再びこういう事故のないように十分強力な措置を講じなければならぬけれども、これに対してはどういうふうに承知をし、どういうふうな体制をとっておられるかお答えをいただきたい。
  267. 佐藤弘毅

    ○佐藤説明員 日本海におきます海洋汚染に対処するために、海上保安庁では、日本海沿岸の海上保安部所属の巡視船艇及び新潟及び福岡の航空基地所属の航空機によりまして、定期的な監視、取り締まりに当たっております。そのほか年二回の全国一斉取り締まり、あるいは日本海ブロック一斉取り締まりという取り締まりを実施いたしております。そのほかに、日本海を管轄いたします各管区本部の管内の特別取り締まりを実施いたしております。このような取り締まりを実施いたしまして、海洋汚染の発見あるいは排出者の究明等に全力を挙げているところでございます。  いま先生の御指摘のございましたように、本年一月初旬から二月の初旬にかけまして、隠岐諸島及び島根県沿岸一帯に油の漂着事故が発生いたしております。これに対処しますために、海上保安庁では、二月十七日から島根県の周辺海域を中心にいたしまして、日本海の海洋汚染に対します季の特別指導、監視、取り締まりを実施いたしております。特に島根県沿岸につきましては、巡視船を常時配備するとともに、羽田航空基地、広島航空基地、福岡航空基地、鹿児島航空基地、こういうところに所属いたしております航空機を動員いたしまして、夜間監視を含めて、密度の高い特別監視を実施しているところでございます。また、日本海各港に出入いたしますタンカーあるいは廃棄物排出船等に対します臨船指導あるいは立入検査というものを強化しているところでございます。
  268. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間がないのではしょって各省庁にお伺いしますが、次は運輸省に、不法行為者に対する罰則の強化という意味からこの問題について伺います。  油汚濁事故防止を何としてもやらなければ、もとを断たなければ沿岸漁民は大変困るわけでございますので、海洋汚染防止法等の関係諸法令の罰則規定のうち、不法投棄者に対しては営業停止の行政罰を加える、こういったことで今後いろいろ強化していかなければならぬ、こういうふうに思っているんですけれども、いずれこれは海上保安庁その他によって原因者等も究明していただかなければなりませんが、その点については運輸省関係はどういうふうにお考えであるか、お答えいただきたい。
  269. 佐藤弘毅

    ○佐藤説明員 ただいま先生の御指摘のありました件でございますけれども、官房の安全公害課の方から、この点につきましては、私どももこの法律に関連いたしておりますので、私の方から答弁するように言われておりますので、お願いいたします。  ただいま海洋汚染防止法の一部を改正する法律案といいますものを今国会に提出いたしておるところでございます。この法律の中におきましていま先生の御指摘のありました点につきまして御説明申し上げますと、油の排出につきまして、現行規定におきましては、故意の油の排出、これは「六月以下の懲役又は二十万円以下の罰金」ということになっております。この「二十万円以下の罰金」というところを「三十万円以下の罰金」というふうに、十万円アップするという法案の内容になってございます。それから過失の油の排出でございます。これにつきましての現行規定は「三月以下の禁錮又は十万円以下の罰金」ということになってございますけれども、この「十万円以下の罰金」といいますものを「二十万円以下の罰金」というふうに十万円アップするという法案の内容になっております。
  270. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 さらに運輸省にお伺いしますけれども、原因者不明の油汚濁事故対策に関する立法措置ということになりますが、国、地方公共団体、油輸送企業等の責務の明確化をせよということも当然必要になってくる。そういった意味で、海洋並びに沿岸環境の保全に関する現行法には原因者不明の油汚濁防除措置が明確にされていないために、現実には地方公共団体並びに住民は、自衛の立場からみずからの負担で苦しい防除作業を行っているのが現状であります。よって、万全な防除対策がとられるように法的措置をぜひやらなければならぬと、かように思うのですが、これについてもどういうようにお考えであるか、これは地元住民の切なる声でありますけれども、十分立法措置に対する対処をしていただきたい、かように思うのですが、お答えをいただきたい。
  271. 佐藤弘毅

    ○佐藤説明員 原因者不明の漁場の油濁の被害に対します救済措置といたしましては、現在財団法人の漁場油濁被害救済基金というものが設立されております。これは五十年の三月三日に設立されまして五十二年三月三十一日までこの基金が存在するということになっておるわけでございますが、この基金によりまして被害漁業者に対します救済基金の支給あるいは汚染漁場の清掃に対します助成を行っておるということでございます。この基金は暫定措置でございますので、今後の措置といたしましては水産庁を中心に検討される予定であるというふうに聞いております。この基金につきましては、海上保安庁の所管ではございませんが、そのようなことになっておるというふうに私ども聞いておるところでございます。
  272. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この点について水産庁にお伺いしますけれども、いま各関係省庁から端折っていろいろお伺いしましたけれども、いずれにしても原因者がわからぬために困っておるわけです。原因者が韓国船であるとか外国船であるとかいろいろ言われておりますが、海上保安庁の方ではっきりわかりますと外交ルートで当然外務省にお願いし、いろいろ対策を講じていただくということになりますが、原因者がわからない、しかし被害を受けている、こういったものに対して事実島根県沿岸漁民は大変困惑しているわけです。だから漁業公害の一環として原因者不明による油汚濁事故に対しては漁場油濁被害救済基金を設けて漁業被害者救済の方途を講じられておるわけですけれども、島根県の漁業関係者もこの基金の発足により一応救済はされているとはいうものの、何しろ基金の量も少ないし、また五十年度、五十一年度の二カ年度にわたる暫定的なものにすぎないので、法制化により一層の拡充を図れということで、大変憂慮して要請がなされているわけですけれども、原因者がわからないという場合の救済、そしてまたどういうように水産庁は対処しておられるか。こういつたことがことしになって頻繁に起きておりますので、これらに対する漁民を守るための水産庁としての決意等お伺いしたいのであります。
  273. 森実孝郎

    森実説明員 御指摘のうち、まず現在島根県等の沿岸で発生しております油濁の救済措置の問題について触れたいと思います。  これにつきましては先生も御案内のように、漁場油濁被害救済基金がございまして、すでに昨年発生いたしました石東部の沿岸の油濁の清掃費用についても助成を行うことが決定しております。本年発生いたしました三件につきましても、調査結果を待って、漁業被害については御案内のように救済基金を、また防除清掃に伴う費用については防除清掃費の助成を実施したいと思っております。予算措置といたしましては大体要求額が本年度の状況としては賄えると考えております。  それからなお今後の問題でございますが、まさに御指摘のように原因者不明の油濁その他の被害に対する救済措置をどうするかは水産業にとっても非常に重要な政策課題であると理解しております。現在専門家の参集を得ましてわれわれとしても研究会を開いておりまして、この研究会の結果を取りまとめまして関係各省と調整して、明年度以降の対策の準備に取りかかりたい、かように思っております。
  274. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間の関係もありますので、島根県のこの問題については特に格段の対策を講じて漁民の不安を除くようにしてもらいたい。  さらに、ソ連の漁船団によるごみ公害の問題につきまして通告しておきましたのでお尋ねします。  ソ連漁船団の投棄する廃棄物によって太平洋沿岸、これは原因者がはっきりわかっているわけですが、深刻な被害が漁民に出ております。このため千葉県小型機船底曳網漁協の皆さんがソ連大使館、外務省、水産庁へ操業の即時中止などを申し入れておりますが、水産庁はこのことについては十分承知しておられますね。
  275. 森実孝郎

    森実説明員 十分伺っております。
  276. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで先般これについても、われわれ当局に強い申し入れをしたわけですが、実は三日から六日までの四日間掃海作業を実施するということで、昨日から始まっております。御承知のように昨年の八月末に一度掃海作業をやったわけですけれども、その後も相当量のごみ公害がありまして、五十一年一月の申し入れになったわけでございます。これまた近年だんだん累増しております。  そこで千葉県知事が洋上視察を二月二十日にやったわけであります。この洋上視察をやった際、相当数のソ連漁船を確認いたしておりまして、掃海中はどいてもらいたい、掃海中は危険であるからソ連漁船は海域から出ていただきたい、もちろんこれは十二海里の設定ができれは一応解決する問題でありますけれども、いわゆる日ソ漁業協定も結ばれておるわけですから、そういった意味でぜひひとつどいてもらいたい、こういうふうに言っているけれどもなかなかソ連はどかないということで、きのう、おとといの状況を見ましてもその要請がかなえられておりません。  しかも昨日、その掃海作業の状況を私電話等で現地に問い合わしてみましたら、ソ連漁船の名前が入ったかん詰め等がたくさん漂着している。掃海作業できのう一日で揚げたのが空きかん、びんなど、魚を入れる大きなビニールの袋に八十杯、またサバの頭、すなわちこれはソ連漁船がかん詰め等をつくった残滓でありますが、こういったものがやはりビニール袋に八十杯、その他ロープ、針金等、トラックで約八台分もあったわけであります。  そういったことで、申し入れを一月やったにもかかわらず、さっぱり改まっておらぬし、また知事が船で、先ほど申しましたように二月二十日沖合いをずっと見て回りましたけれども、一向に改める姿が見えない、しかも新しいごみがいまもどんどん漂着しているという状況です。こういったことをよく御承知であるか、また掃海状況はどういうふうになっておるか、お答えいただきたい。
  277. 森実孝郎

    森実説明員 まず御指摘のうち、ソ連側がこの問題についてどういう協力なり誠意を示しているかということでございますが、二月九日に外務省を通じまして事実関係をソ連に通知いたしまして注意を喚起いたし、また指導の徹底を要請したわけでございます。それで二月十六日にソ連側は日本近海で操業を行っているすべてのソ連漁船に対して海洋汚染の防止に関する諸規定を遵守するよう指示するとともに常時監視体制を設けた旨通知してきております。  なお、清掃中の退去の問題でございますが、昨日の事例で申し上げますと、われわれといたしましては、清掃中ソ連船が操業または仮泊した場合においては作業の実施に支障を来たすということで立ち入らぬように要請しましたところ、操業予定区域には昨日は立ち入っておりません。  以上でございます。
  278. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 操業区域には立ち入ってないとおっしゃるけれども、この海上投棄の中止の要請をいまも答弁がございましたように二月二十三日水産庁長官に申し入れを行い、二月二十四日には長官から外務省を通じてソ連大使館に申し入れをし、その後一週間後に大使館より海上投棄をやめるという回答をもらっているわけでありますけれども、ただいま御答弁もありましたけれども、実際問題、昨日も現地の状況をつまびらかに調査してみますと、ごみの中には新しいごみがたくさん入っておりまして、いまだにやまってない、連日続いている、こういうことが確認されています。  こういったことでございますから、再度強力に大使館に申し入れをして即刻中止してもらうようにしなければ、千葉県漁民はこれまた大変な苦境に立たされるわけであります。ひとつその点をぜひ再度申し入れ、強力な交渉をしてもらうようにお願いしたい。  最後に、外務省を呼んでおりましたが時間がなくなりましたので一点だけ外務省にお伺いして質問を終わることにします。  御承知のようにいよいよ三月十五日からニューヨークで第三次海洋法会議が開かれる。そこで先日来わが党の林委員もいろいろと沿岸十二海里及び経済水域の二百海里について質問してまいりましたが、私一点だけ外務省にお伺いしておきたいことは、三月十五日から海洋法会議が始まるとなれば、われわれも日米関係のいろいろな海洋法の問題の困難さということは理解をするわけですけれども、先般来議員連盟でも検討してまいりましたが、三月十日前後には交渉のために日本からも係官が派遣されるということになります。また議員の中からも代表を送るということになっておりますが、この今回の海洋法会議において結論が出るか出ないか、いずれにしても十二海里は設定するという方向でいま進んでおります。いずれにしても避けて通れない問題として、わが国周辺の経済水域、こういったことに関して、わが国の固有の領土である北方の歯舞、色丹、国後、択捉の四島、それから竹島及び尖閣列島の取り扱いというものがきわめて重大な問題になる。これは慎重に対処してもらわなければいかぬわけでありますけれども、これらの問題についても当然いま煮詰めておられるだろうし、昨日も自民党の関係の水産部会でいろいろ検討されたやに聞いておりますが、三月の九日には閣議決定して、いよいよ日本の態度を決めるという段階であろうと思います。各省庁ともいま鋭意意見を取りまとめておられる段階であろうと思いますけれども、北方四島、竹島、尖閣列島等については、どういうようなお考えで臨まれる考えでおられるのか、現時点ではいろいろむずかしい問題もあろうかと思うけれども、この問題については重大関心を持っている一員でありますがゆえに、この機会に考え方、また、どういうふうに検討しておられるか、現時点で発表できる範囲でお答えいただきたい。その二点を、水産庁と外務省にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  279. 森実孝郎

    森実説明員 現在、事情を確認中でございまして、確認の上、必要があれば速やかにソ連側に強硬に申し入れたいと思っております。
  280. 井口武夫

    ○井口説明員 お答え申し上げます。  海洋法会議は三月十五日から始まりまして、これは確かにいま先生がおっしゃいましたように、領海十二海里、経済水域二百海里等の重要な問題をパッケージで解決するように国際的な努力が行われております。海洋法会議は経済水域、大陸だな、領海、こういう重要な問題について一律に国際的な規則を定めるという会議でございまして、特に、特定の国の特定の領土の領有権というようなものを主張する会議ではございません。いま御指摘になったような島に対しましても、領海、経済水域、こういう問題は、確かにこの会議で決まる規則に従って全部定められるということでございます。わが国の北方領土、竹島、尖閣列島の主張は従来からも国際的に非常に主張されておりまして、理解をされておるわけでございますが、海洋法会議自体はそういう特定領土の解決をするというような形の会議ではございませんので、一律に経済水域、領海等を国際的に定めるという性質の会議でございます。
  281. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 一応終わります。
  282. 湊徹郎

    ○湊委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時五十三分散会