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1976-08-26 第77回国会 衆議院 内閣委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年八月二十六日(木曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長代理 理事 木野 晴夫君    理事 阿部 喜元君 理事 竹中 修一君    理事 松本 十郎君 理事 大出  俊君    理事 中路 雅弘君       大村 襄治君    中村 弘海君       古屋  亨君    松永  光君       三塚  博君    吉永 治市君       瀬長亀次郎君    鈴切 康雄君       受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 坂田 道太君  委員外出席者         内閣法制局第一         部長      茂串  俊君         国防会議事務局         長       内海  倫君         防衛庁参事官  水間  明君         防衛庁参事官  平井 啓一君         防衛庁参事官  岡太  直君         防衛庁長官官房         長       亘理  彰君         防衛庁防衛局長 伊藤 圭一君         防衛庁人事教育         局長      竹岡 勝美君         防衛庁経理局長 原   徹君         防衛庁装備局長 江口 裕通君         防衛施設庁長官 齋藤 一郎君         防衛施設庁施設         部長      銅崎 富司君         国土庁長官官房         災害対策室長  山本 重三君         外務省アジア局         次長      大森 誠一君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君         外務省条約局外         務参事官    村田 良平君         外務省国際連合         局外務参事官  大塚博比古君         大蔵省理財局国         有財産第二課長 秋山 雅保君         大蔵省理財局特         別財産課長   松岡  宏君         農林省農林経済         局金融課長   若林 正俊君         海上保安庁次長 間   孝君         内閣委員会調査         室長      長倉 司郎君     ————————————— 委員の異動 八月十二日  辞任         補欠選任   大石 千八君     赤澤 正道君   三塚  博君     石田 博英君   吉永 治市君     木村 武雄君 同日  辞任         補欠選任   赤澤 正道君     大石 千八君   石田 博英君     三塚  博君   木村 武雄君     吉永 治市君 同月二十六日  辞任         補欠選任   大石 千八君     大村 襄治君   旗野 進一君     古屋  亨君   林  大幹君     中村 弘海君   箕輪  登君     松永  光君 同日  辞任         補欠選任   大村 襄治君     大石 千八君   中村 弘海君     林  大幹君   古屋  亨君     旗野 進一君   松永  光君     箕輪  登君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国の防衛に関する件      ————◇—————
  2. 木野晴夫

    木野委員長代理 これより会議を開きます。  国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 坂田長官中立堅持だそうでございます。ところで、こんな政治情勢なんですけれども、自衛隊は大丈夫ですか、皆さんの方は。
  4. 坂田道太

    坂田国務大臣 陸海空の自衛隊職務に影響があってはならないと思っておりますので、十分気をつけてまいりたいと思います。
  5. 大出俊

    大出委員 どうも与党の皆さんにクーデターがはやるものですから、何々グループなどという方々も組織の中にはおいでになるわけでございまして、そこらはひとつシビリアンコントロールの実をぜひ上げておいていただきますようにお願いをしておきたいわけであります。  そこで、こういう時期でもございますからできるだけ能率的に、きょうは特にねらいを持たずに長官のあるいは防衛庁考え方、物の判断等を少し承っておきたいと思っているわけであります。  そこで、まず朝鮮半島をめぐるトラブルがございますが、外務委員会その他ですでに質疑が行われている問題ではありますけれども、この委員会も国の防衛という意味で無関係ではございませんから、少し突っ込んだ長官の御見解を聞きたいのであります。  これは調べてみましてわからない点がたくさんございます。そこで、まず包括的に、今回の三十八度線をめぐりますトラブル米軍の将兵が殺傷された云々という問題もございますが、すぐその前に、無反動自走砲等による撃ち込みなどという問題もございました。この一連のできごとを防衛庁サイドとしてはどういうふうに分析をされ、一体何が原因で、これはどういうことなのかということ、予見し得る近い将来に簡単に言えば危険がないという分析を先般基盤防衛力構想その他に絡みまして外務省との間での詰めの結果として明らかにしておられるわけでありますが、まずそこのところの御見解長官に承りたいわけであります。
  6. 坂田道太

    坂田国務大臣 後で伊藤局長から御報告を申し上げたいと思いますが、この事件が起こりました原因はいろいろあろうかと思いますけれども、まず危険が今後拡大するかどうかというようなこと、この点につきましては私どもは拡大しないだろうという判断をいたしておるわけでございます。  確かに北と南と強力な軍事力を対峙させておりますし、今度ばかりではなくて、越境事件あるいはゲリラあるいは海での衝突等もございました。しかし、基本的にはやはりアメリカ韓国に駐留をいたしておりますためにその抑止力が効いて平和維持ができる、また今後もこれ以上拡大するようなことはあるまいというふうに考えております。
  7. 伊藤圭一

    伊藤説明員 ただいま大臣から御説明申し上げたとおりでございますが、当時の状況経緯をいろいろな報告から簡単に申し上げますと、八月十八日の午前十時四十五分ごろ、板門店共同警備区域内で国連軍側が通常行っているポプラの木の下枝伐採作業を行っておりましたところが、北朝鮮側警備兵がやってまいりまして口論となり、北朝鮮側から殴りかかってきて双方衝突事件が発生いたしました。その結果、米軍将校二人が死亡いたしまして、韓国軍将校その他米軍兵士四名、韓国軍兵十四名の者が負傷したというのが事件の概要でございます。  いま大臣からもお話ししましたように、何しろ南北百万の軍隊が対峙している状況のもとでございます。まして、一昨年でございますかベトナム陥落後は非常な緊張の高まりが一部にございましたが、その後、経過といたしましては幾分鎮静するというふうに聞いておりましたところ、今回こういう突発事故が起こったわけでございます。やはり軍隊警戒態勢をしきながら対峙しているところにはそういう突発事故も起こり得るということがございますし、またそれが紛争になる危険がないとは言えないわけでございますが、アメリカ中国、ソ連、こういった大国がこの地域紛争というものに対して大きくしないように努力をしている現状などから判断いたしまして、この事件が大きく発展することばないというふうに考えておるわけでございます。
  8. 大出俊

    大出委員 これは、外務省山崎さんお見えになっておられますから、外務省側からも承っておきたいのでありますが、この事件はどういう背景で、また、双方言い分が違うわけでありますけれども、本当の原因は一体何だったのかというところ、この辺をひとつ外務省の側はどういうふうにお考えでございますか。
  9. 山崎敏夫

    山崎説明員 基本的には、わが国といたしましては朝鮮半島の平和と安定を最も念願しておるわけでございまして、今回のこういう事件板門店において起こったことは、外務省といたしましても非常に遺憾と考えております。また、なぜこういう事件が起こったかというお話でございますが、この点につきましてはただいま防衛庁からもお話がありましたように、あの境界線をはさんで南北の百万の軍が対峙しておるということから、どうしても緊張がときどき起こるということかと思います。ただ、板門店の今回の事件につきましては、それが共同警備区域内において起こったということでございまして、両方軍隊共同で警備しておるということのために、ささいなことが思わぬ発展を遂げることがあり得るのではないかというふうにわれわれも考えます。この問題に関して両方言い分はかなり食い違っておりまして、われわれとしましても、その事実関係についてはいまだにつまびらかにいたさない点がいろいろございますので、その評価といいますか、そういうものについては具体的に申し述べることは差し控えたいと思いますけれども、ただ、いずれにせよ二人の米軍将校が亡くなったということは事実でございます。われわれとしましては、この問題が両方の理性のある措置によって事件が拡大しないようにするということを念願しておる次第でございます。
  10. 大出俊

    大出委員 これは、一連のいろいろな出来事がこの前後にありまして、どうも取り方によれば一つの伏線だと見なければならぬ、そういう出来事もございます。  そこで、大きな筋から承ってまいりたいのであります。一つは、これは外務省の分野かもしれませんが、七月二十二日にキッシンジャー国務長官シアトル演説をしているわけでありまして、駐韓米軍維持重点が置かれているわけであります。これは御存じのとおりに、民主党候補カーター氏が段階的に四万二千の在韓米軍の撤退を公約をしているわけであります。これに対して激しく、一言で言えば、そんなことをしたのじゃアメリカ極東戦略が成り立たぬという意味の反論を旧来からしてきていたわけであります。しかもキッシンジャー氏が、この種のものを言うことを選挙情勢等との関連もあり久しく差し控えてきたという経緯がありますね、それが一体なぜ七月二十二日というところでわざわざこの問題を取り上げて——この中身を読んでみますと大変いろいろな意味がある。もちろんこれは国連総会をにらんでいるという面もございましょうが、特に日本の問題にも非常に深く触れてこの演説は行われているわけであります。私は実はあるところで、この演説が出てきたときに、一つ間違うと三十八度線をめぐって何かが起こるのではないかと言ったことがあるのでありますけれども、その後、六十二ミリの無反動自走砲等を持ってきて撃ち込んだという事件が起こりましたり、さらに今回の問題が起こる、こういうわけなのであります。しかも、二十二日の演説というのはフォード大統領と十分な打ち合わせの上で行われている、新聞はこう報じているわけであります。この辺をアメリカ国内の事情を踏まえて一体どういうふうに受け取ったらいいのか。しばらくこの種の発言をしていないキッシンジャー国務長官が、なぜ一体こういう時期にこれだけのものを言ったか。米韓軍維持重点が置かれている。カーター氏は段階的にこれを撤退させると言っているわけでありますが、ここらのところがどうも明確でない。外務省は一体この辺をどういうふうにお考えでございますか。
  11. 山崎敏夫

    山崎説明員 七月二十二日のシアトルにおけるキッシンジャー演説に関しましては、われわれも注意深く分析いたした次第でございます。これは、われわれの聞いておりますところでは、シアトル——アメリカの西海岸の都市における演説でもあり、アメリカアジア政策中心演説したいということは前もってわれわれも聞いておりました。その関連におきまして、日本及び朝鮮半島の問題に触れたのは当然であったと思います。  わが国について触れておりますところは、従来からフォード大統領及びキッシンジャー長官が申しておることのいわば繰り返しでございまして、日本重視姿勢というものをより明確にしておりまして、その点においては特に目新しい点はなかったと記憶しております。  朝鮮半島の問題に関しましては、あの地域に依然として不安定な情勢が存在することは指摘しておりますが、同時に、この問題の解決は結局南北の直接の対話によって進めるほかはないということを強調し、その関連において関係当事国による会議を開きたい、それをしかも九月から始まる国連総会中に、何ならニューヨークででも、あるいはその他の場所ででも開きたいということを言って具体的な提案をしているわけであります。——ちょっと失礼しました。その点は、会議を直接に開くというよりは、そういう会議を開くことについて予備的な話し合いニューヨークでいたしたいというふうに言っておるわけであります。  この点は、なぜこの時期にこういうことを言ったかということは、思いますに、毎年朝鮮問題に関する決議案両方陣営から出て、不毛の論議を繰り返しておっては意味がない、そこでもう少し建設的な措置を探求しようということから提案したものだと思いますし、またこの八月中旬に開かれました非同盟会議、これはコロンボにおいて開かれたわけでありますが、その動向をもにらんで、アメリカとしてもそういう平和探求姿勢を明らかにしたものだと私たちは受け取っております。したがいまして、このキッシンジャー演説というものは、単に朝鮮半島において緊張をつくり出すというふうな意味演説したものとしては受け取っておりません。これはむしろ、その緊張を緩和する方策を探求する一つ具体的提案としてわれわれは受け取っております。残念ながら、この提案に対する北側反応ははっきりはいたしておらないわけでございます。完全に拒否したかどうかということもはっきりはいたしておりませんけれども、積極的な反応はいままでのところ見られておりません。そして、その後の経過を見ますと、結局北側の方でも国連において決議案を出す、そこでまあこれに対抗するためにやむを得ずこちらの陣営においても決議案を出すというふうになった次第でございます。しかしながら、われわれといたしましては あくまで朝鮮問題の解決当事者同士話し合いを通じて行われるべきであり、われわれはその環境づくりのために最大限の努力をすべきであると考えておる次第でございます。
  12. 大出俊

    大出委員 これは防衛庁長官坂田さんにも承りたいのでありますが、いま私が申し上げた二十二日のシアトルにおけるキッシンジャー演説アジア情勢中心になっているわけでありますが、この中で「これらのアジア政策説明に当たって、長官は繰り返し、日本の役割の重要性を強調し」——キッシンジャー演説世界週報に載っておりますが、特にここに問題がありますのは「アメリカにとって、日本との同盟関係以上に重要なものはない」という断定的な言い方をして、アジア緊張緩和あるいは安定というふうな意味における広範な基盤だということを言っているわけですね。「日米両国安全保障上の要請について共通の理解を深めており、最近、設置された防衛協力委員会はこうした安全保障体制を強化することになろう」という言い方をしているわけです。これは非常に大きな食い違いがありまして、坂田さんの旧来からの言い方は、だから安保協議委員会下部機構としてつくったわけなんでしょうけれども、きわめて事務的な役割り、こういう言い方しかしていないわけであります。ところが、ここでキッシンジャー国務長官が述べております防衛協力委員会は全く対照的でありまして、世界的なレベルで物を見て、対ソ戦略の一環としてきわめて重要な役割りを持っているということを明らかにしているわけですね。そうすると、ここらのところもそう簡単に、そうかと言って見過ごすわけにはいかないわけであります。なぜ一体七月二十二日のこの時点でここまで触れた演説をしたのかということです。防衛庁の側は、これは防衛協力委員会をおつくりになった当事者でございますから、簡単にこの演説を見過ごしているはずはないのでありまして、一体これはどういうことになっているわけでありますか。
  13. 坂田道太

    坂田国務大臣 これは御案内のとおりに、昨年八月二十九日にシュレジンジャー国防長官と私と会談をいたしまして、二点について合意をし、そして安保協議委員会下部機構として日米防衛協力小委員会を設けるということに合意をいたしまして、この七月の八日に発足をしたということでございます。しかも、この安保協議委員会の新たな日米防衛協力小委員会というものは、日米安保条約というものを機能的に有効に働かせるためのものであるということでございまして、これは日本の安全にとって非常に大事なことだと考えましたからやったわけでございますし、同時に、日本が安全であるということは、朝鮮半島政治的安定、あるいはひいてはアジアの安定ということにもつながるわけで、それは同時に最近のローカルないろいろの問題もやはり世界政治にはね返っていく、こういう関係から考えますと、やはりアジアにおける安定ということが非常に重要なわけでございまして、そういうふうにしてずっと考えてまいりまするならば、キッシンジャーアメリカ外交政策としてこの小委員会発足意味を大事なものと考えられたということは自然なことであるというふうに思うわけでございます。
  14. 大出俊

    大出委員 どうもはっきりしないわけでありますが、この点だけは指摘しておきたいのでありますが、この防衛協力小委員会役割りというものに対する見方が、いま長官が言っていることとキッシンジャー国務長官が言っていることとの間には、まさに百八十度違うわけですね。大変大きな考え方の相違がある。アメリカの側というのは、まさに対ソ戦略をも含めて、この防衛協力小委員会というのは、アジア安全保障という意味で、全くがっちり日本アメリカというのは作戦的にも戦略的にもこの防衛協力小委員会というので保障していくんだという。ところが、皆さんの方は専守防衛というのをたてまえにして、全く事務的なものだ云々だと前から言っているのですが、その限度で物を考えているという。これは話にならぬ食い違いがある。どっちなんだという結論が出ていない。これだけはっきり申し上げておきたいのであります。  そこで、まず八月五日に、両方言い分が食い違っているのですけれども、北の側によると、午前九時四十七分ごろ、国連軍側から五十七ミリの機関砲などで砲撃を加えてきたというわけですね。これは五日の日です。その後米側、つまり国連軍側というのですかね、こちらの方は。わが方の発砲事件というのはでっち上げで、話が逆だ、逆に北側がわが方に対して八十二ミリ無反動砲八発、これを撃ち込んできた、こういうことで、この非武装地帯の撃ち合いということで五日の日にまず一つ激しいやりとりが行われているわけであります。いきなり今回のポプラの木を伐採した云々という問題で問題が起こったわけじゃない。七月の二十二日、ここでキッシンジャー演説がまず行われて、そしてこれに応じて宮澤外務大臣も、これを歓迎するということをすぐ談話をお出しになっている。韓国外務大臣もまた、二十三日、翌日でございますけれども、このキッシンジャー演説歓迎するということで演説をしておられる。日本韓国は、七月二十二日のキッシンジャー提案というものに対して即応して、賛成、歓迎という意思表示をされている。まさに日米韓一体状況がほんと、こう出てきている。これは昨年九月の三木・フォード会談——日韓米、これを見直しまして、日韓米一体化という意味における共同声明らしきものも出されている。あわせて七月には、日米防衛協力小委員会発足をしている。こういう中で、これらのことを前提にしてキッシンジャー演説が行われた。宮澤外務大臣韓国朴外相、ともに歓迎演説をなさる。途端に、月かわって八月に入る。軍事境界線における撃ち合いが行われる。北の方は、南から撃ってきたと言う、機関砲を撃ち込んだ。南の方は逆に、北の方から撃ち込んだと言う。まあ両方で、撃ち込まれた、撃ち込んだと言う限りは、これは撃ち合いに違いないわけであります。これはそういう前提があるのですね。この前の段階の状況というのは一体どういうふうに御判断をなさっておられるわけですか。外務省からまず承りたいのですが……。
  15. 山崎敏夫

    山崎説明員 七月の二十二日のシアトルにおきますキッシンジャー長官演説に関して宮澤大臣がこれを積極的に評価するコメントをされたことは事実でございますが、この点は、先ほど申し上げましたように特に国連における朝鮮問題の討議を踏まえてこの問題について何か建設的な方策はないものかということをわが方としても探求いたしておりますので、こういう具体的な提案ができたことは非常に結構なことで、これに北側の方でも積極的に反応することを期待するという意味で仰せられたわけでございまして、その限りにおいてコメントされたものと承知しておりまして、朝鮮半島における軍事情勢との関連においてコメントされたものではないと考えております。
  16. 大出俊

    大出委員 いまの点、防衛庁の方は一体どういうふうにお考えですか。これは一連流れがあるのですね。アメリカ国内選挙をめぐりましては、さっき申し上げたように四万二千の在韓米軍を段階的にアメリカに帰す、カーター公約ですよ。これを激しく非難をするフォード陣営、こうなっているわけですね。そういうやりとりの中で、七月二十二日のシアトル演説になっている。この中で日本役割りをきわめて高く評価して、防衛協力小委員会、これの政治的な役割り、戦略的な役割りというものを高く評価した演説になっている。もちろんこれは、国連総会をも踏まえましての緊急準備会談中国を入れて四カ国でやろう、こういう扱いになっているわけであります。日本防衛協力小委員会にも触れているわけであります。  つまり、このキッシンジャー提案考え方というものを正面から歓迎をした日本宮澤外務大臣——もちろん韓国も同様であります。そのすぐ後に、五日という日に、三十八度線の撃ち合いという問題が起こった、しかもこの撃ち合いの結果は、調査団を派遣しようじゃないかという提案をして、それをめぐっていろいろなやりとりが続いてきている、そこで十八日に今回の問題が起こっている、こういう流れなんですね。これは一体防衛庁の方はどういうふうに受け取っておられるのですか、おたくの防衛協力小委員会なるものも大きくキッシンジャー提案の中に入っている一つの大きな役割りになっているわけですから。
  17. 伊藤圭一

    伊藤説明員 まず、先ほど申し上げましたように大軍が対峙しております。したがいまして、いままでも毎年十件近いトラブルというものがあの三十八度線を中心にして起こっているという事実がございます。したがいまして、今度の板門店事件というものも、過去の動きからしますと、そういった意味の、軍が対峙していることによって起こった一つ事件ではないかというふうに軍事的には考えられるわけでございますが、その他の問題につきましては、いま外務省の方から御答弁したとおりでございます。
  18. 大出俊

    大出委員 もう少し続いて承りたいのでありますが、この今回の問題をめぐりまして幾つかの見方があるわけでありまして、わからぬ部分も非常に多いわけであります。  さっきの外務省あるいは防衛庁説明によりますと、ポプラの木の下枝国連軍側伐採をしていたら、結論を言えば殴りかかってきた云々、こういうわけです。それで殺傷事件になった。ところが北朝鮮側言い分は、ここに明確な北側の発表がありますけれども、アメリカ側が「オノを持った十四人の無頼漢」と書いてありますが「を動員し、共同警備区域内にある立木を切り倒そうとしたので、一方的に切ることはできないと再三警告した。ところが敵側は要求に応ずるどころか、いどみかかってきたので、自衛措置を取った」こういうことになっているんですね。これは、両方の言っておることをそのまま読んでみれば、それなりに相手が悪い、こういうことになっているわけですね。  そこでもう一つは、確かに、リマに続いてスリランカで非同盟諸国会議が行われている。タイミングは、片っ方はアメリカの大統領選挙で半島問題は大きな争点になっている。韓国側からすれば、恐らくフォード政権でなければ困るという認識を持っている。ここに幾つか私は資料を持っておりますけれども、これはこの中にたくさん出てきているわけであります。片や、スリランカにおける非同盟諸国会議に向けて百人からの代表団を送ったという形の北側の動きもある。余りと言えばこのタイミングが合い過ぎるのですね。  そこで一つは、大統領選挙を前にして、フォード大統領が朝鮮での緊張を必要としたという物の見方、これも方々で散見をされる分析であります。それからもう一つは、いま私が申し上げたスリランカにおける非同盟諸国会議というものを前提にした北側の動き、そういう物の見方をする分析もある。非常になぞが多いわけでありますけれども、一体これは何が真実なのか、ここらあたりがはっきりしないと、予見される将来に半島における危険はないという分析をされている防衛庁なんですけれども、そうですかと言うわけにまいらぬ。一体今回のこの仕掛けというのはどうなっておるのかという点を掘り下げて見ておく必要が当然あるはずだと私は思っておるわけですが、防衛庁外務省ともに、一体これはどういうことになるのか、そこらの分析はどういうふうにお考えになっておられるわけですか。長官、どうですか。
  19. 坂田道太

    坂田国務大臣 批判とか判断とかいうのは別といたしまして、いまおっしゃいましたようなことも私どもは聞いてはおるわけでございます。したがいまして、そういうことの背景もわれわれはよく調査をし検討をし、そして今度のこういう事件がこれ以上拡大しないということを望んでおるわけでございます。しかしながら、いま防衛局長から申し上げましたように、とにかくあれだけの軍事力両方対峙いたしておりますと、ちょいちょい小さなトラブルは起こる可能性があるということでございまして、私どもといたしましては、これがこれ以上大きな戦争に拡大するというふうにはいま判断はいたしておりません。しかしながら、こういった小さなトラブルというものは今後とも起こらないとは言えないというふうに判断をいたしておる次第でございまして、その点につきましては、今後とも背景になりますものをもあわせて十分検討をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  20. 大出俊

    大出委員 私がいま承ろうとしたことに対する答えになっていないわけであります。アメリカの側にも国内的な事情がある、これはわれわれが見てもわかるわけでありまして、どうも八年間共和党政権が続いているわけでありますから、このロッキード事件なんかも疑れば幾らでもその原因たり得るものはあるわけでありますけれども、今回のカーター氏の政策、フォード氏の政策で真っ正面からぶつかっている、つまりその一つの大きな争点がアジア、極東の軍事情勢というものと絡んでいる、あるいは外交情勢というものと絡んでいる、こういう中で出てきている問題、これは間違いないわけであります。  しかも、この対応の仕方をながめましても、普通の常識からすれば、いま言われるような二つの軍事力が対抗している、だから間々起こるという程度のことならば、その背景に大きな政治的な動きというものがないならば、いきなりミッドウェーが朝鮮海域に出かけていく、これはどういう連絡がありどういうことになっているのかも承りたいのであります、横須賀が母港でございますから。大変早い、まさに即応体制と言っていい動きであります。あるいは本国からはエンタープライズが出航する、沖繩からも幾つかの航空部隊が韓国に飛んでいる、あるいはF111くらいまで出かけている、グアムからB52が非武装地帯のこちら側を数機周回する、こういうことでありますが、ここらのところは、それならば一体どういうふうに皆さん分析をされておられるのか。しかもミッドウェーは母港は日本でございますから、外務委員会でも田君その他から質問が出ていたようでありますけれども、一体どういう体制をアメリカ側はこの事件に対して軍事的にとったのかという点もあわせてお知らせをいただきたい。しかも、それは日本防衛庁なり外務省なりとの間でどういう連絡が行われていたのか。さらにもう一点、自衛隊の側は一体この情勢に対してどういう対応をなさったのかという点をはっきり承っておきたいのであります。
  21. 山崎敏夫

    山崎説明員 フォード大統領が大統領選挙をにらんで朝鮮半島における緊張を必要としたのであるというお話でございますが、私たちとしてばそういうふうには考えておりません。具体的に見ましても、結果的にアメリカの軍人が二人殺されるようなことを仕組むことはちょっと考えられないわけでございますし、また、今回フォード大統領がこれに対応してとりました措置に関して、カーター民主党大統領候補は早速これを支持する旨の意見を表明しておるわけでございまして、この問題に関してアメリカの共和党と民主党との間で対応ぶりについて大きな意見の相違があるようにも見えないわけでございます。そういう意味で、この問題をフォード大統領が自分に有利に利用するために仕組んだものであるという考え方はいささかうがち過ぎた見方ではないかというふうに私たちは思います。ただ、この事件それ自体の詳細の事実につきましてはわれわれも十分承知しておりませんので、それ以上のコメントは差し控えさせていただきたいと思う次第でございます。  それから、ミッドウェーの出港に関しましては、われわれの方にも二十日の午後に在京のアメリカ大使館から連絡がございまして、この空母ミッドウエーを中心とする第七艦隊のタスクグループが海上待機任務につくために横須賀を出港しますという連絡を受けて、現実には二十一日の早朝に出港したようであります。その行き先についてはわれわれとしては通報を受けておりません。新聞報道等で承知している限りでございます。それから、F4の一個飛行隊が朝鮮半島に移動いたしました件に関しましては、別途その点は連絡がございまして、それは十九日の正午ごろ在京大使館から私の方に連絡がありました。十九日に嘉手納の飛行場からF4の飛行隊が韓国内にある米軍の基地に移動する旨の連絡を受けております。  われわれはこのいずれもの通報を受けまして、これは安保条約の関係規定から見て事前協議の対象となるものではないと判断いたしまして、その通報を受け取ったわけでございます。
  22. 伊藤圭一

    伊藤説明員 いまアメリカ局長から米軍の動きについては御説明申し上げたとおりでございますが、私どもといたしましては、やはり有事即応の体制にある在韓米軍がそれなりに必要なときには力を発揮できるのだということを端的にあらわしたものだというふうにとらえております。自衛隊といたしましては、今度の事件がございました後、情報を入手する努力をいたしまして、当直体制を充実したりしまして、刻々いろいろな方面から情報を取る努力をしてまいりました。
  23. 大出俊

    大出委員 キューバ危機のときの先例もあるわけでありますが、自衛隊はただ単に情報を取るというだけ、こういうことですか。
  24. 伊藤圭一

    伊藤説明員 特に警戒態勢をとるというようなことではございませんで、いまお答えしましたように情報を取る配置を強化したということでございます。
  25. 大出俊

    大出委員 米軍について、いまお話を聞いていると大変おわかりのようでありますが、いかなる態勢をとったということになるのでございますか。
  26. 伊藤圭一

    伊藤説明員 在日米軍につきましては、いま移動いたしましたファントムそれからミッドウェー等でございましたが、そのほかは特段の警戒態勢にあったというふうには聞いておりません。在韓米軍は十九日から警戒態勢に入ったというふうに聞いております。
  27. 大出俊

    大出委員 これは段階があるわけでありますが、いま情報を取ったというお話でありますが、どの辺までの段階を想定をした警戒態勢であったわけでございますか。
  28. 伊藤圭一

    伊藤説明員 在韓米軍警戒態勢というのは、外出している者をといいますか休暇をとっている者を取り消したりして、いわゆる警戒態勢としてはそう高いものではないというふうに聞いております。
  29. 大出俊

    大出委員 もう一つここで承っておきたいのであります。いま私が二つの例を挙げたわけでありますが、大統領選挙に必要だったのではないか。そうしたらいまのお答えは、米軍将校二人が殺害をされるというふうなことなんだから、そういう意図はなかったのではないかというのですが、こういう犠牲が出たということがアメリカ世論を大変大きく刺激していることはアメリカの新聞でも明らかでございまして、アメリカに対する大変大きな刺激になったから、カーター氏の方も旧来からそこが一つの弱点と言われておったわけでありますから、この時点でぽんと切りかえて、これはもちろん国家の安全保障の問題もございましょうから、支持をするという転換の早さを示した、こういうことであります。だからフォード氏の方からすれば、カーター氏の政策に対して、言わないことじゃないじゃないか、段階的に四万二千引き揚げてしまうということになった日にはアメリカ極東戦略そのものが成り立たぬという言い方を、ひいてアメリカ安全保障上ゆゆしきことになるということを警告をすると言っていたわけでありますから、この限りは、フォードさんにすれば、言わないことじゃないじゃないか、カーター、あんなばかなことを言って、あれで大統領をやっていけるかということになるわけでありますから、全くそれは不利である、弱いと言われた世論調査もありますけれども、結果的に一つポイントをかせいだことになる。したがいまして、私はそうきれいごとで物事は済まぬという気がするのであります。だがしかし、そうではないだろうという、そこから先のことはわからぬがという推測でございますね。非同盟諸国の会議がありましてそれに向けてという分析もあるのですが、これとても結果的に北側の対応の早さというふうなことを考えれば、そうでもないのではないかという意見も出てくる。  それで、お答えを聞いていないのですけれども、アメリカの側が仕掛けたものでないとすれば、残るのは一つ北側の仕掛けということがあるわけですが、そこらはどういうふうにお考えですか。
  30. 山崎敏夫

    山崎説明員 実はその朝鮮半島情勢分析に関しましては、私自身直接の所管ではございませんので、どうも権威のあるお答えを申し上げかねるわけでございますが、アメリカ及び韓国の一部には、北鮮側から仕掛けたものではないかという意見がかなりあることは事実でございます。しかしながら、その後の経過を見ますと、金日成主席は今回の事件の発生を遺憾に思うという回答を寄せておるようでございまして、そういうこと、その他の動きから判断いたしましても、北側としてもそれほど完全に仕組んだものであったろうかという気がいたすわけでございます。しかしながら、先ほどからも申し上げておりますように、この事件の事実の詳細につきましてはわれわれとしても十分に把握しておりませんので、決定的な判断というものはいたしかねるわけでございます。いずれにいたしましても、われわれとしてはこの事件が両者の誠意ある措置によって拡大しないということについて、強く念願しておる次第でございます。
  31. 大出俊

    大出委員 これは防衛庁にもう一ぺん承りますが、坂田長官、私はいまの両方の答弁を聞いていますと、ずいぶん無責任きわまるという気がするのです。これは六九年の日米共同声明でも韓国問題がその中心点なんですね。それから昨年九月の三木・フォード会談でも、見直しとは言いながら日韓米三国に関する問題というのはポイントなんですね。しかも基盤防衛云々という、あるいはいわゆる防衛白書などを見ましても、このすぐ隣なんですから、この分析一つの焦点なんですね。そういう大変重要だというふうに見なければならないはずの三十八度線をめぐる今回の紛争について、詳細に分析してないからわからぬとか、何となく情報を聞いているとか、そういう無責任な話は私は全くもって怠慢きわまると思っているのです。  これは不思議なことは幾つもある。これを見ますと、二十一日のちょうど正午に、軍事休戦委員会北側の代表である韓首席代表、この人が突然、フラッデン国連軍首席代表に単独会見を申し入れて秘密会談をおやりになった。十九日にスチルウェル国連軍司令官が金日成人民軍最高司令官に送った抗議メッセージに対する同司令官の回答という形の答え方が出てきている。そして最初は、あっさり、それじゃ遺憾の意を表明したのだから結構ですと言ったのじゃないです。これは遺憾の意の表明になってないということでけったかっこうになっている。ところがその後でまたぽんと変わりまして、遺憾の意を表明したということで、まあ了承とは言っておりませんが、賠償問題が起こったり、あといろいろな問題がありますけれども、話し合いの場をつくるという方向に急激に動いていく。なぞが非常に多いですね。ここらを皆さんの方で事細かに分析をしていかなければ、防衛を担当される長官以下でございますから、しかも、アメリカの方はこんな警戒態勢なんだがこっちは情報を取っているだけだ、こういう話、それだけで事を済ませるのじゃ、国民の目から見れば一体この問題は何だったんだろうかと大きな疑惑、疑問がある。こんな大きな騒ぎが起こる本当のところは一体何だったんだろうか。常日ごろから韓国との関係というのは、日米共同声明その他でくどいように述べられている。ところが、こういうことが起こったんだが、何か腕を組んで情報を聞いていれば事が済むということであったのでは、しかも担当の外務省の方も、きのうも私は朝鮮半島の問題ということを申し上げてある。にもかかわらず、担当が違うから確たることは言えないとか、まるきり——これは国会の委員会でございますから、しかもこれは防衛を担当する委員会でございますから、そういう無責任な話を黙って聞くわけにはいかぬです。これはどういうことなんですか長官、こんないいかげんなことでは任しておくわけにはいかぬじゃないですか。
  32. 坂田道太

    坂田国務大臣 この事件が起こりましたときにちょうど国防会議が開かれておりまして、私たちの知る限りの情報、それに基づいてのわれわれの判断、これはちゃんと幕僚長から報告をいたさせましたし、私からの判断も申し上げております。それからまた、これ以上大きく拡大するということはあるまいというのが最終的な判断でございます。したがいまして、これから先のいろいろの情報等については十分調査するという態勢にあるわけでございます。  また、ちょうどそのときにスチルウェル国連軍司令官が日本に参りまして、私とも約一時間お話をいたしまして韓国情勢について承りましたし、また私からも国連軍司令官に私どもの考え方も申し上げました。しかし、そのときにはスチルウェル司令官から、こういうことが起こるとかいうような話は実は何にもなかったわけで、したがいまして、こういうことがアメリカ側から仕掛けられた、仕組まれたというふうには私は判断しておらないわけであります。  で、その翌日、スチルウェル司令官は京都へ参りまして休養をとっていたわけでございますが、しかし、この事件が起こりましたので直ちに引き返して、その晩、陸幕長主催のディナーパーティーをやるはずだったのですが、それには出席しませんで、直ちに韓国へ帰った、任務についたということでございます。
  33. 大出俊

    大出委員 そうすると、国防会議が開かれていた、そこに幕僚長が報告をされたというのですが、その報告の中身というのは概略どういうことなんですか。これは外務委員会でもいろいろやりとりをされたようですが、新聞その他を見る限り明確でないのですね。きわめてわけのわからぬやりとりになっている。これではやはり困るのです、あれから日にちはたっていて、きょうは二十六日なんですから。さっきおっしゃった、概略こうこうだということを報告した、そしてこれは拡大をしない、こういう報告をしたというならば、それなりに中身がわかっていておっしゃっているわけでしょう。いまのスチルウェルさんのことはわかりましたけれども、一体これはどういうふうにわれわれの側としてはとらえればいいのですか。いまのところ、もう少しはっきりしていただけませんか。
  34. 坂田道太

    坂田国務大臣 これは先生の御質問に答えているとおりをお話を申し上げたわけでございます。それ以上のことは申し上げておりません。
  35. 大出俊

    大出委員 そうすると、これは偶発的な出来事というふうに判断をされたということなんですか。
  36. 坂田道太

    坂田国務大臣 先ほど伊藤局長から申し上げましたように軍が対峙をしておる、しかも過去においてもかなり小規模の事件は起こっておる、こういうような実態の報告を受けておる、しかしながらアメリカがプレゼンスをしておる限りこれ以上拡大することはあるまい、こういう報告を受けていたわけで、軍事的な立場から申し上げたわけでございます。
  37. 大出俊

    大出委員 そうすると、長い年月二つの軍事力軍隊が対峙をしてきている、そういう中で今回のようなことが偶発的に起こった——これはいまのお話を聞いていると偶発的だという意味だと思うのですね。その限り、偶発的ならば、これはアメリカの側、南の側が仕掛けたものでもない、また同様に北側が仕掛けたことでもない、そういう事件である、したがって、米軍韓国にこれだけの勢力を駐留をしている限り、これ以上拡大をすることはないだろう、こういうことになるわけですか。
  38. 坂田道太

    坂田国務大臣 少し違うのでございまして、偶発的とかいう言葉は実は使っておらないわけで、事実関係だけを申し上げて、ただしこれ以上拡大することはあるまいという私の判断は申し述べておいたわけであります。
  39. 大出俊

    大出委員 そうすると、偶発的でないとすると、要するにわからないというわけですか。事実関係がこうこうであった、それ以外はわからない、何がどうなのか。
  40. 坂田道太

    坂田国務大臣 何がわからないということではなくて、一応のいろいろの説もあるけれども、しかしいまわれわれが承知しておることはこういうことだ、しかし今後の発展ということについてはアメリカが駐留しておる限り大きな戦争に拡大するというようなことはあるまいというふうに申し述べておるわけであります。
  41. 大出俊

    大出委員 いろいろな説があるが、われわれが承知している限りこういうことだと言う。こういうことだというのは、二つの軍事力が対立して存在をしておるということで旧来いろいろなことが起こっておるという形の中の一つである、こういうことなんですか。
  42. 坂田道太

    坂田国務大臣 大体そうでございます。
  43. 大出俊

    大出委員 外務省はどうなんですか、それでいいわけですか。
  44. 大森誠一

    ○大森説明員 今回の事件につきましては、これが果たして意図的に行われたものであるか、あるいは全くの偶発的なものであるか、いずれであるかということについて、われわれとしてはそれを判断するだけの材料をいままでのところ入手いたしておらないわけでございまして、その点についていずれであるかということについての判断は差し控えざるを得ない、こういう状況でございます。
  45. 大出俊

    大出委員 そうすると、こういうことになりますね。こういうことははっきりしておかぬといかぬと思って、くどいようですが申し上げておるのですがね。つまりいろいろな説がある、仕掛けた仕掛け人がいるとかいないとかいう説があるわけですね。というふうなものであるのか、あるいは偶発的なものであるのか、いずれにしてもそのことを判断する材料を持ち合わしていないというわけですな。いないから判断ができない、つまり差し控えたい、こういうことですな。ということになると、これは逆にひっくり返せば、あるいは仕掛け人がいたのかもしれない、その可能性も否定できない、偶発的であるという断定もできない。何か仕掛けがあったということについても、そうではないとこれまた断定ができない、ひっくり返せばこういうことになりますね。どうですか、そこのところは。
  46. 大森誠一

    ○大森説明員 今度の事件につきましていろいろな推測というものも行われており、またそのような推測を行うことも可能であるかと存じますけれども、いずれであるかということを明確に断定するだけの材料はわれわれとしてはいまのところ有していない次第でございまして、したがってその点についてコメントすることは差し控えたい、そういう趣旨でございます。
  47. 大出俊

    大出委員 そうすると坂田長官外務省判断からすれば、材料を持ち合わしていないからいずれとも断定ができないということになる。これだけの軍隊が対峙をしているということになれば、かつて日本の戦争の歴史をながめてみても、蘆溝橋事件だとかいろいろあって、後世の史家が語るところによれば仕掛け人がいたことになる。蘆溝橋の爆破事件がそうです。だから、そうなると、これだけの軍隊が対峙しているということは一つの仕掛けがあれば何かが起こる、その可能性を常に持っておるということになりますな。そういう理解をしてよろしゅうございますか。
  48. 坂田道太

    坂田国務大臣 朝鮮半島においてはまさにそのとおりで、やはり小規模のトラブルというのは今後とも起こらないとは言えない状況にあるというのが私たちの判断でございます。
  49. 大出俊

    大出委員 そこで、それじゃ念のために承っておきたいのですが、私はやはり私どもの党の立場等からいたしましても外交優先という考え方を持っておりまして、不安定な状況である限りは外交努力の結果として安定させなければならぬことになる。もちろん国連総会を控えてのいろいろな提案があることは承知しておりますけれども、この際改めて承っておきたいのですが、防衛を担当する防衛庁の側という立場で、この朝鮮半島の問題というのはどうあるべきなのかということですね、この安定に向けて。そこらのところは一体防衛庁の立場からするとどういうことになりますか。
  50. 坂田道太

    坂田国務大臣 私どもは、今度考えております基盤防衛力の考え方にいたしましても、どうやって戦争を未然に防止し平和を維持するかということのために一定の防衛力を持っておらなければならないというような防衛力の意味づけを具体化しておるわけでございまして、その意味合いにおきましてこの外交努力というものが最優先でなければならないというふうに私どもは考えております。
  51. 大出俊

    大出委員 外務省に承っておきたいのですが、いま私が申し上げた趣旨に従って、軍事的に見てきわめて不安定である、二つの大きな軍事勢力が対立をしているということであるから。それならば、隣の国日本ですから安定を求めなければならぬわけでありますが、外務省の立場からするとどういうことになりますですか。
  52. 大森誠一

    ○大森説明員 朝鮮半島情勢につきましては、ただいま長官が申されましたように、ただいまのところやはりある種の緊張状態というものが存在するということは否定できないかと思います。私どもの判断といたしましては、ただいまのところ南北双方軍事力というものは一応均衡しておるし、また在韓米軍というものも存在しておりますし、近い将来に直ちに大規模な軍事衝突というようなものが起こるという可能性は少ないかと思いますけれども、しかし今回の事件に見られましたように、そこに緊張状態というものが続いているということは否定できない、こういうふうに考えております。したがって、わが国の安全にとって非常に大きな関連のある朝鮮半島の平和と安定ということにつきましては、わが国としても重大な関心を持っているということは当然なことでございます。  一つの問題といたしましては、南北双方がともに願っている朝鮮の南北の平和的な統一というものがいずれの日にか招来されることがわれわれとしても最も望ましいところと考えております。しかしながら、非常に残念ながら現在南北間の対話というものもとだえている、こういう状況でありますけれども、われわれとしては何とかこの南北間の対話が再開されるということを切に願っているわけであります。  また、たとえばキッシンジャー国務長官が提唱いたしましたような、単に南と北だけではなくて、さらにそれに直接の当事者を加えた話し合いというようなことによって、つまりそういう国際的な話し合いというものによって朝鮮半島の平和の枠組みというものがつくられるならば、それも非常に望ましい方向であろうと考えているわけでございます。  そういう方向で、わが国としてもできる余地があればそういうものがもたらされるように何とか努力をし絶えず道を探りたい、このように考えている次第でございます。
  53. 大出俊

    大出委員 時間の関係もございますから、きょうは防衛庁外務省考え方をただしておくという限度にしたいと思うのでありますが、ここで長官一つ承っておきたいわけであります。  いまおっしゃるその基盤防衛力というようなことも考えて、軍事的な二つの対立する勢力があって不安定である、だから基盤防衛力等を考えながら対処していきたいんだということをおっしゃるわけですが、いま長官の言われる基盤防衛力構想などというもので、朝鮮半島に不安定な状況があって、そこでこれが大きなものになったという場合に、具体的にこれに対処し得るという想定をお持ちなんだと思うのですね。防衛協力小委員会などというものもその一環でお考えになっているんだろうと思うのであります。それをもう少し具体的におっしゃるとすれば、この基盤防衛力構想というものを踏まえて、そういう場合でも、つまり専守防衛ということをたてまえにするこの国の安全の保障は可能である、こういう判断なんですか。
  54. 坂田道太

    坂田国務大臣 私はかねがね申し上げておりますように、わが国の安全というのは、一つには国民の国を守る意思、それから必要最小限度の防衛力、そしてそれば、かつての軍国主義時代のように他国に脅威を与えたりあるいは侵略したりするものであってはならない、それからうちにあっては自由主義、民生を圧迫するようなものであってはならない、過大でもない、過小でもない、そういう自衛力である。しかしそれだけで国を守れるかと言ったら、大規模の侵略事態あるいは核の攻撃ということに対してはわれわれで対処できませんから、日米安保条約が必要である。したがって、国を守る意思と防衛力とそして安保条約、この三つによって日本の独立と安全というものを守るというのがわれわれの防衛構想のたてまえでございます。しかも、アジアの安定にとって日本の国が安全であり、かつ政治的な安定をしておるということが、ひいては朝鮮半島に対しても安定的要素になり得るという意味において日本役割りというものがあるというふうに考えておるわけでございまして、軍事的によそ様のいろいろの軍事紛争に介入するというようなことは絶対にやるべきではないというふうに思っておるわけでございます。
  55. 大出俊

    大出委員 ここで、防衛協力小委員会発足ということがいま出ましたが、基盤防衛力構想というものを踏まえて、ポスト四次防と言ったらいいのでしょうか、この件について少し承っておきたいのでありますが、ローリング方式をおとりになるという、つまり五カ年なら五カ年の計画は防衛庁自身がお持ちになっておって表に出さない、年々予算の要求をしていくという形の中でこれからやっていこうということになる。新聞等を見ますとそういうふうに受け取れますね。それで、本年度のものは二十八日ですか、明らかになさるようでありますから、これは私の方が先に発表するわけにまいりませんので、この件については触れませんけれども、そこで承りたいのですが、このポスト四次防は幾つもポイントがあります。この前お出しになった正式には「日本防衛」でございますか、白書がございます。それを踏まえて承ってまいりたいのですが、まず、防衛力整備の限界というものがこの基盤防衛力という構想の中であるような気がするわけですね、長官の述べておられることの中に。それはポスト四次防という段階を踏まえて、陸海空に分けまして限界は一体どこに、何を基準に求めるのか、そこのところをまずお答えいただきたい。
  56. 坂田道太

    坂田国務大臣 昭和三十二年に決めました基本方針、これを踏襲したいと思っております。したがいまして、国力、国情に応じてということなんで、やはりそれはそれに対応すべきものであるということでございます。  しかし、私たちが今回提案しようと思っておりまする平和時に常備すべき基盤防衛力というものはどういうものかということにつきましては、昨年来、長官指示でいませっかく作業を進めておるわけでございます。国防会議におきまして、総理大臣つまり議長の諮問がございまして、それに応じていま検討を進めておるわけでございますが、それは、あらゆる事態に対して欠落のない機能を持った防衛力、こういう考え方のもとに進めておるわけでございます。  それは、国際情勢考え方につきまして、第二次大戦後の一番大きい変化は何かというと、やはり核が出現してきておる、そして核競争が続けられておる、しかし、そのために大量破壊が行われる、これは耐えがたいことである、これはぜひとも避けなければならぬ、核戦争はどうしても避けなければならないというのが至上命令である。そうなってきますと、核は使いにくくなってきた。したがってその結果としては、また、通常戦力といいますか軍事力といいますか、そういうものが物を言う一つの特徴が出てきておる。たとえば、最近のフランスの新しい防衛計画をながめましても、核に対するお金の使い方よりも通常兵力に少し重点を移していこうという芽生えも出てまいっておる。これは、一つにはNATO体制とワルシャワ体制とでは、先生御案内のとおりに、ワルシャワ体制の方が普通の通常兵器は明らかにNATOよりもすぐれておる。ただ核の支えによってバランスが保たれておる。こういう事態もあるかと思いますが、したがいまして、今日、超大国、核を持っておる米ソあるいはそういう国々と、核を持たない中小国の軍事力と、その軍事力の差がこんなにはなはだしい時代はかつてなかったと思います。しかし、核がなかなか使用しにくくなり、かつ通常兵力が物を言う。しかも通常兵力も、第二次大戦後は中東戦争でも、場合によってはベトナムでも朝鮮半島でも非常に限定的に使用される。つまり目的、手段、方法あるいは地域、期間、そういうものが限定される。そうなりますと、中小国の持っておるある程度小さい軍事力でも意味のあるものになってきておる。そういう一つの第二次大戦後の戦争のあり方についての変化が生まれておる。そういう実態を踏まえまして日本の国を考えた場合に、中ソの対立、米ソのデタントの基調、それは変わらない。朝鮮半島の軍事的対立、対峙はあるけれども、しかしアメリカのプレゼンスがある限り戦争が起こるというふうには考えられない。となると、日本に対する脅威は何なんだろうかと考えれば、安保が有効に働いてはおるものの、実質上第七艦隊が、中東戦争とかあるいはインド洋で何か事が起こるというようなときに、奇襲的に起こり得る侵略事態、それは恐らく小規模以下の軍事力の行使であるだろう、それに対しては即応力を持った力を持っておきたい。それが大体の規模で、それを平和時のいわば規模だと考えればいいのではないだろうか。まずそれをわれわれの手の届く整備すべき目標に考えようというのが実は基盤防衛力の考え方でございますし、それにはいろいろの防衛の機能が欠落なく、ともかく備わっておる。言葉をかえて申しますならば、小さいけれども大きい役割りを果たすようなそういう防衛力、しかもそれが安保条約というものと絡み合った場合においては、私の申します小さい軍事力であっても防衛の大きい役割りを果たし得る。日本の経済あるいは外交努力、民生安定、そういうものをひっくるめたトータルフォースからいったらかなり大きい防衛力になるという考え方、これがいま私たちが考えておる防衛力でございまして、おのずとそれから規模というものも、言葉では限定はできませんけれども、あるいはしかと御説明はできませんけれども、しかしながらそう大きいものではないということは言えるかというふうに思います。
  57. 大出俊

    大出委員 いまお話をるる聞いたわけですが、きわめて抽象的なわけでありまして、平時とかあるいは有事とかいうお話もありますが、この種の枠組みというものをはっきりさせるためには、数であるとか量であるとか質であるとかいうことで物を言う以外に実際問題としてはないわけですね。そんなに大きなものじゃないと言ったって、何が一体具体的には大きなものでないのかということがわからなければ意味がない。  そこで、承りたいのですが、このポスト四次防で考えておられる基盤防衛力という骨組み、骨格、これを中心考えた場合に、陸上十八万人体制というのがまずありますね、実際には十五万五千ぐらいしかありませんけれども。これは十三師団、北海道七師団から始まって、あれは一番機動力を持っていますけれども、混成団が一つあるわけですけれども、そこで十三師団プラス二混成団なんという話が出てくる。北海道から二千人ぐらい人を浮かして、これは枠で浮かすのか人で浮かすのかわかりませんが、それを九州の方に持ってきて新しく何か師団編成みたいなものをやろう、そういう話がちらちら出てくる。したがいまして、陸というのはいまの十三師団プラス混成団が一つある。今度は北海道から二千人ばかり人を節約して持ってきて、九州かどこかにもう一つつくるということを考えておられるのかどうか。それはまた何を意味するのか。いまの日本自衛隊というのは本来対ソシフトをしいているわけですから、だから中心は北海道へ置いているわけですね。そこで二千人持ってきた後は集中的に戦車集団を置くのだなんということが出てくる。その物の考え方というのは一体どうなんだろうか。基本的に十八万人体制は崩さないということなのかどうかということを含めて、その編成は基盤防衛力構想というものをずっと見通して動かない、そういうものなのかどうかという点が一つ。  時間がありませんからあわせてひとつ承っておきたいのですけれども、陸の装備というものはそういう師団体制とあわせましてこれから一体どういうふうにしていこうというのか。たとえば、AHだとかあるいはバートル107だとかあるいはH1HとかOHだとかLRだとかたくさんありますね、こういうふうなもの。装備の関係はそれとくっつけて一体どういうふうに考えるのか。これが陸に関する承りたい点であります。  海でございますけれども、いま四護衛艦群ですか、一と四が横須賀だと思います。二が佐世保ですか、三が舞鶴ですか、こうなってますね。これはどっちにしても一護衛艦群を組むとすれば六、七隻要りますね。これをふやそうというわけですね。それで制服の皆さんや何かと論争してきているようですが、海の場合護衛艦群を一つふやす。これは日本海の方へ持っていく。そうすると、一と四は横須賀なんだが、三が舞鶴にあって二が佐世保にある。もう一つ日本海の方に一護衛艦群つくる。それはやっぱり六、七隻要るのだろうと思うのですが、いまの全体の規模からこれはどういうふうにしてそっちに一つつくろうというのか。それだけこれから装備の面でふやしていこうというのか。しかも日本海にというねらいは一体何なのか。海の場合にそこらのところは一体どういうふうに考えたらいいのかという点ですね。海上自衛隊の場合も、PS1だとかUS1だとかTC90だとかKM2だとかいろいろありますね。HSSだとかあるいはRHだとかS61Aだとかたくさんあるわけですね。このHSS2にランスのレーダーの搭載が可能かどうかなんというようなことを検討するとかいろいろありますが、あわせて特にPXLの問題が海の場合にはございますね。このPxL、これはいまロッキード問題でこういう騒ぎになっているわけでありますけれども、一体海についてこれをどういうふうに——P2Jなんかにしても専門的に見れば限界があるわけでありまして、そこらのところは、何か最近は国産をするのかしないのかというようなことをもう一遍議論をするがごとくしないがごとく、少しおかしな感じがするのであります。あるいはCP140などというような、これはカナダが開発している飛行機でありますが、CP140などを、これはオーロラですかね、持ってくるとかこないとか妙な動きが見えるわけでありますが、海に関してここのところは一体これからどういうふうにお考えになるのか、この辺を聞かせていただきたい。  それから空ですけれども、いま問題になっているFX、これは一体この二十八日に御発表になるという予算に間に合うか間に合わないのか。間に合わぬのだろうと思うのですが、間に合わぬとすれば、これは一体後から積み込むことを考えておられるのかどうか。FX問題は改めて承ります。調査団を派遣された報告も出てきている。一体これからどういうふうにこれを進めていこうというふうに考えておられるのか、後から改めて承りますが、あわせて空の場合はこれを承りたいわけであります。特にAEWなどというのは将来に向けてどういうふうにお考えになっているのか。  一つ落としましたが、陸上の場合に、対地支援の戦闘機を——少しコブラを持ってくるとか持ってこないとかいうのがあります。何かお考えのようでありますけれども、ここらのところは一体どういうふうに考えておられるのか。  そこで、戦闘機でいって大体何機ぐらいになるのか、主要艦船でいって大体何十隻ぐらいになるのかということ。戦闘機三百五十機ぐらいなら三百五十機と、あるいは主要艦船にして六十隻なら六十隻と、PXLというのは将来百機なら百機導入したいとか、戦闘機の中にはFXを含めてこんな規模だとか、そういうものが具体的になければ、基盤防衛力構想というものは平時を想定していて、国際的な大戦以後の状況から見て核は不使用である、となると小国の通常の軍備というものが大事になるというお話なんですけれども、それは一体どういうものかというアウトラインが浮かんでこない。したがって、大ざっぱにいま並べましたが、陸海空に分けてみて幾つか言った目玉みたいなものがございますが、含めてどういうことになるのか、一括少しお答えをいただきたい。
  58. 坂田道太

    坂田国務大臣 ずいぶん広範な御質問でございますから、私の答えられる範囲内においてお答えをさせていただきまして、以下につきましてまた答えられる範囲内において防衛局長からお答えを申し上げたいと思います。  基盤防衛力の大体の数的なことを申し上げますと、大体陸は十八万、それから海空、これは人数にいたしますと、いま四万程度でございますけれども、四万四、五千といいますか、そう大きくはならない。ただし、いろいろの近代兵器にかわっていくに応じた人員の増はお願いしなければならぬ、こういうふうに思っております。そして具体的な問題については、いませっかく最終の段階で詰めを行っておるわけでございます。  それから、先ほど申しましたようなわが国を守る防衛一つの理念のもとに、どういう防衛機能を持つか、つまり欠落なき防衛機能は何であるかという、言うならば防衛の大綱といいますか、そういうものは国防会議で近くひとつ御決定を願いたいというふうに思っております。それに基づきまして、今度はポスト四次防のいわゆる整備計画というものを考える。そして、ポスト四次防の整備計画をいままでみたいに五年なら五年の固定方式にするのか、あるいは若干ローリング方式にするのか、その点も最終的にはまだ決まっておりません。しかしながら、幾分このローリング方式を取り入れた方がいいのではないかというふうにいまは考えております。  そこで、そういうようなことが大体取りそろいました段階で、本年度の予算は規模はどう、具体的にはどうということでございます。その本年度の概算要求については、一応毎年の例でございますけれども、八月三十日までに出さなければなりませんから、それはそれなりに出しますけれども、さっき御指摘がございましたようなFXその他の問題について若干追加をお願いするということもあり得る、こういうことです。  それから、先ほどの防衛理念に基づきまして、その理念があって、一体それではどういう部隊の編成がいいのかということが次に出てきます。あるいはまたどういう装備がそれにふさわしいのかということが出てくる。そういうことで、今度はいろいろの兵器の選択ということが行われなければならない、そういう順序だと思うわけで、これにつきまして、陸海空について、それぞれ伊藤局長から答えられる範囲内においてひとつ答えてもらいたいと思います。
  59. 伊藤圭一

    伊藤説明員 いま先生のお話を伺っておりまして、実は私も防衛局長になりましてから基盤防衛力の中身について勉強いたしておるのでございますが、どうも私以上に詳しいような感じがいたします。実は私自身も、四次防をやりますとき防衛課長として詰めたほどまだ詰めておりません。したがいまして、まだ結論を得ていない問題が多いものでございますから、具体的になかなか申し上げられないと思いますが、まず、基盤防衛力が発表になりまして、一体規模はどのくらいになるのだろうかというのが当時からの御疑問であったろうと思います。これにつきましては、先生も御承知のように、四十八年の二月に防衛庁は平和時の防衛力というものを出しました。あれば国会で白紙に還元されたわけでございますけれども、あの時点で防衛庁考えましたのは、現在のような平和時といいますか、そういう状況が続くという前提、もう一つは安保体制が有効に働くだろうという前提、そのもとにおいてわれわれが持つべき防衛力のめどというものはこんなものだろうということを勉強したわけでございます。したがいまして、四十八年のあの時点といいますのは、オイルショックはございませんでしたけれども、日本の経済というものが従来のような高度経済成長から徐々に動きつつあった時代でございます。そういったものを踏まえまして私どもで勉強したものでございますが、基盤防衛力の内容を私が勉強する過程におきまして、大体規模としてはああいうものだろうというような感じがいたしました。しかしながら、あのときには何しろ一カ月ぐらいの勉強でございましたので、内容を詰めるに至っておりませんでした。あの規模の中で、平和時に持っておくいわゆるすきのない防衛力というのはどういうものがいいのかという観点から、基盤防衛力の機能的な面からの詰めがなされておるようでございます。そして、ポスト四次防においては、その中で早く手をつけるべきものという観点から計画を練っておりまして、その考え方に基づきまして、五十二年度の概算要求にも幾つかお願いしているところでございます。  いま御質問ございました陸上自衛隊の問題でございますが、いまでも私どもは北方の防衛を陸上自衛隊としては重視する必要があるということは考えております。しかしながら、十三個師団、一混成団という形で全国に配備しておるわけでございますが、いわゆる装備の変更によってある一部のマンパワーといいますか、そういうものを西の方に移すことができるのではないかという検討もいたしております。  それから装備品につきましては、これは特に変わるものはございませんけれども、機動性を重視する観点から、火砲を自走化するとか、あるいはその自走化された火砲が有効に動くためのFCSを向上させるとか、あるいはヘリコプターなどによる機動運用をする、そういった観点から内容を詰めている段階でございます。  海上自衛隊につきましては、御承知のように、平和時の防衛力のとき自体に四群、五群という問題がございました。現時点におきましては、一群が六ないし七隻の編成になっておりますが、本来一群というのは八隻の編成でタスクフォースをつくりたいというのが海上自衛隊考え方でございます。したがいまして、物理的に申しますと、四群が五群になるとそれだけ隻数がふえるというのは当然でございますが、日本海、太平洋というよりは、やはり高練度にあるものが幾つあるのかという観点から議論をいたしております。まだ結論は出ておりませんけれども、充足の状況その他によってどういうふうになっていくかということが今後の検討の課題だと思っております。  PXLにつきましては、いろいろロッキード問題なんか起きましてから御議論も国会でございましたけれども、私どもといたしましては、何といいましても原子力潜水艦に対するリサーチ、それから攻撃という観点から見ますると、現在のP2Jでは非常に能力が劣ってきているというような考えがございますし、一方P2Jそのものがだんだん除籍になっていくという問題もございますので、どうしても性能の高い対潜哨戒機ということで、その要求性能、運用構想、その他につきまして検討を進めている状況でございます。  航空自衛隊のFXの問題でございますが、これは私どもとしましては昨年来研究を重ねてきております。そしてまた調査団も帰ってきておりますけれども、なお詰めなければならぬ問題、主として費用対効果というような問題が残っておりますので、これも今後できるだけ早く方針を定めていただきましてお決めいただきたいというふうに考えております。  なお、AEWにつきましては、これは三次防時代からの懸案でございます。低空侵入に対する捜索能力の欠如というものがございます。しかし、何分にもAEWというのは飛行機そのものが高く、また維持するのもなかなかむずかしい問題がございます。したがいまして、とにかくこういう機能を何とか持つような形、それにはどういう形でポスト四次防あるいは基盤防衛力の中で処理していったらいいかというようなことをいま検討している段階でございます。  以上でございます。
  60. 大出俊

    大出委員 ぼやっとしているので、要点だけ時間がありませんから承りたいのですが、四十八年の防衛力の限界、このときに一カ月御勉強になったというのですが、当時お出しになったのは、空が何機で、海が何トンで、陸が何人か、ここでもう一遍言っていただけませんか。
  61. 伊藤圭一

    伊藤説明員 平和時の防衛力では、陸上自衛隊十八万、海上自衛隊四ないし五群、二十五万トンないし二十八万トン、航空自衛隊約八百機でございます。
  62. 大出俊

    大出委員 そうすると、陸の十八万は今度構想としては変わらないですね。これは対ソシフトと私さっき申し上げましたが、北海道は戦車群を中心にして、二千人ばかり抜いて、九州なら九州にもう一つ混成団か何かつくるという構想、要するに陸は十八万で平和時の防衛力と変わりない、だが編成は変わる。北海道から二千人ぐらい抜いて、九州かどこかにもう一つ混成団か何かつくる構想があるように思いますが、これはそういう理解でいいか、お答えください。
  63. 伊藤圭一

    伊藤説明員 人数はちょっとわかりませんけれども、九州の方に一部の定員を持ってこようという構想は持っております。
  64. 大出俊

    大出委員 それは何のために……。
  65. 伊藤圭一

    伊藤説明員 これは、ポスト四次防の中におきまして、師団そのものの改編というものを研究し、でき得ればそれをしたいと思っておりますが、その最初といいますか、いわゆる北の方の機動力を強化することによって浮いたものを九州の方に持ってくるということで、一つは九州の隊員たちの郷土配置なんかも可能にできる。それから、全体のバランスからいって、そういう方向に定数を持ってくるというのも、いわゆるバランスのとれた配備になるという考え方でございます。
  66. 大出俊

    大出委員 どうなんですか。そう言ったって、福岡の春日町ですか、四師団があり、熊本には八師団があるわけでしょう。別府には砲兵隊があるわけでしょう。韓国に持っていこうと思えば、これは一日ぐらいでぱっと行っちゃうんだから。それをまたふやそうなんというのは——昔、六百九十四トンか何かのフェリーボート、大函丸なんか使って演習したことがあるのですが、私は、これを九州に持っていくというのには何かの意味があるような気がする。防衛協力小委員会なんかございまして、最近きな臭い半島の話をさっきしましたが、少しどうも対ソシフトをこっちへ持ってきて、有事即応の体制か何かを考えるくらいのことを、もちろん専守防衛でしょうけれども、お考えになる。だって、それは春日町の四師団、熊本の八師団、別府には砲兵隊があるのですから。ないのじゃないのですから。そうでしょう。そこへまた持ってきて混成団か何かこしらえて置くというのには、この編成というのは何か理由がなければおかしいじゃないですか。
  67. 坂田道太

    坂田国務大臣 いま伊藤局長から申し上げましたように、陸の配備の仕方を郷土防衛という考え方、その色彩を強めたいというのが一つでございます。したがいまして、あいております四国等もこれの中に入っておるわけであります。  それからもう一つは、平和時においてこの実力部隊を維持するということ、これは非常に大事なことだと思うのですけれども、その置き方が、やはりその地域その地域における実際の募集の能力ですね、それにやはり合致した形においてその定員等も考えた方が充足率をきちんとできるのじゃなかろうか、つまり、たとえば九州出身は非常に多いわけでございますね。北海道にも、東北にも、北のところにも多いわけです。そうしますと、だんだん年をとってきて、おやじさんが亡くなった、できれば北海道に行っているのを九州へ帰してほしいというようなこともあります。そういうようなことから考えますと、定員と実員との関係で、むしろ定員を改めた方が充実するというような考えも実はあるわけでございます。
  68. 大出俊

    大出委員 それは、九州の自衛隊は曹クラスの自衛官の方々が多い。まあ北海道の場合には大変に欠員が多いとか、欠員が多いところは、だから欠員になったのを定数を持ってこよう、九州の方でそれをふやそう。あわせて教育訓練だとか、災害出動だとか、人員の採用なんというようなことをお考えになって、郷土防衛隊的な色彩を強めていくという政策ですな、それじゃ。そう理解していいのですか。
  69. 坂田道太

    坂田国務大臣 そのとおりでございます。
  70. 大出俊

    大出委員 そうすると、陸は特に改めて対地支援戦闘機なんというようなものをお考えになるつもりはないですか。
  71. 伊藤圭一

    伊藤説明員 陸に対地支援戦闘機というものは考えておりません。
  72. 大出俊

    大出委員 ヘリボーン作戦をこしらえて以来、バートルを使ったり何かしてやっていくということでいいわけですな。そうすると、大体四十八年当時の物の考え方、それを少しひねって、人員だ、訓練だ、災害だ、郷土防衛だというかっこうで人を集めるというふうなことを考える政策をお持ちだというわけですな。そう変わっていない。  海の場合の四ないし五群というのですが、主要艦船というのは、八隻でというなら五、八、四十隻なんですね。そうすると、主要艦船でいきますと大体どのくらいの隻数——二十五万トンないし二十八万トンというのが前の四十八年の平和時の防衛力ですけれども、何隻ぐらいをお考えになっておるのですか。一護衛艦隊群ですか、護衛艦群をふやすわけですか。
  73. 伊藤圭一

    伊藤説明員 これがいままだ結論が出ておりませんで、議論しておるところでございます。このトン数というのは、現在五十一年度末で約十九万トンぐらいになっております。ですから、そういうものから推定いたしますとそれほど、いわゆる二十五万−二十八万の中におさまるかどうかちょっと、具体的にはまだ計算はしておりません。
  74. 大出俊

    大出委員 これは日本海の方にふやすということなんですけれども、どの辺を考えておられますか。たとえば米子の先の境港とか、どこかあの辺を考えておられますか。
  75. 伊藤圭一

    伊藤説明員 これは日本海の方にふやすといいますか、いまの隊群の置かれておりますのは、いわゆる定係港でございまして、そういう意味からすると、仮に五群にした場合どこに置くかという作業まではやっておりませんけれども、現在定係港がないのが、大湊なんかございませんですね。したがいまして、新たなところをつくって置くというようなことではならないと思います。
  76. 大出俊

    大出委員 海の規模というのは大体そういうことなんですね。そうすると、二十五万トンないし二十八万トンというのは今日も大枠としては変わらないという考え方をお持ちですか。
  77. 伊藤圭一

    伊藤説明員 これは大体それを超えることはないと思います。
  78. 大出俊

    大出委員 そうすると、ここでPXLが問題になってまいりますが、PXLは、CP140などは改めてお考えなんですか。
  79. 伊藤圭一

    伊藤説明員 これは新たに後方基地として考えておりません。
  80. 大出俊

    大出委員 そうすると、輸入というならやはりP3Cにしぼって考えておられるわけですか。
  81. 江口裕通

    ○江口説明員 いまのCP140の問題でございますが、これはいまの後方基地として必ずしも考えておらないということでございまして、まあ問題点といたしましては、カナダが御存じのように七月二十一日に契約をいたしました。その中身でございますが、機体といたしましては従来のP3Cの機体を使っております。しかし、中身のいわゆる対潜機器あるいはアビオニクスというものはS3Aのものを主として使いました。それに独自の改良をしておるということでございます。それで、私どもの方が現在それに着目しておりますのは、従来S3Aというのは艦載機ということでわれわれのイメージにありまして、いわゆる大型の対潜機ということには必ずしも合致しないということでございましたけれども、いまのようなプロセスから見ますと、そういうことも不可能ではないというふうな考え方をしておるわけでございます。そういうことで、なおこれからも調査をする必要があるのではないかという考え方を持っております。  それから輸入の問題でございますけれども、私どもの従来から考えておりますのは、少なくともP3Cクラスのものを考えていきたいということでございまして、それ以下であるということはまずいのではないかということでございますので、いま言ったようなS3Aのものを積むとか、そういうものを全部考えの対象に入れましていろいろこれから検討してまいりたい、かような考え方をいたしております。
  82. 大出俊

    大出委員 つまり距離の短い——S3というのはS3Cですね、Cというのは距離が短いわけですね。だから、これをシステム改造して長距離のものに、たとえば九時間飛ぶとかいうようなことに変えようというのには金がかかるということだったですね。カナダの場合には、これは一億二千万ドルかけてシステム改造したわけですね。そして発注している。ロッキードの機体ですけれども、これは。だから、その意味では物の役に立つわけですね、いまお話しのS3CをAに変えたということは。したがってこれも、だからいまのお話からすると対潜機の候補機にはなるわけですね。だからCP140オーロラなども含めて考える、こういう意味なんですね、いまのあれは。そうですか。
  83. 江口裕通

    ○江口説明員 現在のところ考えておりますのは、着目いたします点が、主として中の搭載機器というのにわれわれは非常に注目をしておるわけでございます。いわゆるアビオニクスというようなものを中心といたしまして、何といいましてもこれが対潜機の生命でございます。そういうことから着目してまいりますと、やはりいまわれわれが、従来はS3CなりS3Aについては、御指摘のような点でこれをそのまま採用することはできないと思っておったわけでございますけれども、いろいろいまの諸情勢がございまして、そういうものの中身を、従来のP3Cの機体に積み込むという考え方も不可能ではないということが一応立証されたということでございます。そういう意味で検討の対象にはいたしたいということでございます。ただ、しかしながら、いわゆる候補機種というところまでまだ話を詰めて考えておるわけではないわけでございます。
  84. 大出俊

    大出委員 要するにCP140というのは、機体はP3Cなんですよ。そうでしょう。ただ、その中に積載するのにシステム改造をやったということですよね。だから、要するに皆さんの方の考え方は、PXLについてはP3Cというのをあくまでも導入しようという考えがあるわけですか、中身の積載機器の変化はあっても。そこのところはどうなんですか。これは長官に聞いておかないとちょっとぐあいが悪いんですけれども、ロッキードの問題もあるから聞いているのです。
  85. 坂田道太

    坂田国務大臣 やはり、あらゆる場合を考えて選定しなければならない事態になったというふうに思います。一応P3C級のという考えではありますけれども、それにいたしましても、どんどんやはり技術も進歩しておりますから、そうして、現にカナダでも開発したものを選定しておるわけですから、そういう情報もちゃんとつかんだ上で、せっかくつくるならばという考えに立っておるわけであります。
  86. 大出俊

    大出委員 それはいつごろまでにお決めになるおつもりですか、予算との関連もありますが。
  87. 坂田道太

    坂田国務大臣 これは、とにかくP3Cがロッキード事件でこういうふうにやかましくなっておるわけでございますから、この成り行きというものを、やはり経過を見ませんと実は決められない関係にあるわけです。しかしながら、時期といたしましては、かねがね申し上げておりますように八月概算中ということも一つの時期でございましたけれども、それはとても無理でございます。したがいまして、十二月の末の最終の予算編成期までにはいずれか決めなければならないというふうに考えております。
  88. 大出俊

    大出委員 これは、P3Cというと、ロッキード問題で国民感情もこれあり、どうもぐあいが悪い。CP140オーロラというのを持ってくるのだというようなことになると、こんなこともあったから少し防衛庁も物を考えるかなということになる。あとは導入の仕方が残る。そういう意味では、やはり国民感情を無視しては防衛はできませんからね。少しこれは考えてみる必要があるように思うのですが、いかがですか。
  89. 坂田道太

    坂田国務大臣 だから、そこを柔軟に考えて、やはり国民に疑惑のない方法を選択しなくちゃいかぬ。でございますから、いい知恵があったら教えていただきたいというふうに思います。
  90. 大出俊

    大出委員 わかりました。  時間がありませんから、空を承っておきたいのでありますが、八百機という機数なんですけれども、いまスコードロンで計算してみても、今度のFXは何機導入をお考えになっているのか、まず聞きたいのです。それによって決まってまいりますが、機数の基盤防衛力で考える枠組というのは大体どのくらいを想定なさるわけですか、戦闘機で申しまして。
  91. 伊藤圭一

    伊藤説明員 FXの機数というのもまだはっきり決めているわけではございませんが、約八百機と言っておりましたときには、練習機なんかを全部含んでおったわけでございます。練習機は、御承知のように、T33のように、86Fを導入しましたときにパイロットを急速に養成するためにかなり多量に持っていた練習機なんかもございます。  そういうものを整理いたしまして、FXになりますと非常に能力が上がりますから、86Fが落ちるにつれて、あるいは104が落ちるにつれて、それに対応する機数を考えながら防衛上必要な機数を決めていただくということになると思いますが、大体、現在持っております十三個飛行隊、こういった単位を維持していきたいと考えておりまして、そのために機能を落とさないで維持する機数というものを考えてまいるわけでございますが、現在持っております戦闘機の数よりは減ってくるだろうということで、先生がいまおっしゃいましたような程度の機数というものが一応考えられるわけでございます。
  92. 大出俊

    大出委員 私はさっき三百五十機と言ったのですが、多少代替期間があるから前のが残るとして、104なんというのはもともと制限飛行みたいなことをやっているのだから考え方は別にありますが、大体戦闘機で言ったら、いまの十三飛行隊、まあ予備機を入れても二十機か二十一機だと思うのですね、スコードロンで言って。そうすると、大体十三ならば三百機、前のが残ったりいろいろ考えてみても大体三百五十機ぐらいではないかという気がするのですけれども、そんな見当じゃないですか。
  93. 伊藤圭一

    伊藤説明員 いわゆる練習機なんかを除きまして、作戦機としましては大体そんな感じのものになると思います。
  94. 大出俊

    大出委員 そこで承りたいのですが、調査団がお帰りになって、小松さんですか、報告を出された云々……、何か膨大な資料があるのだそうですね、大変たくさんの資料が。  そこで、一つだけ承っておきたいのですが、F15になる可能性きわめて大だということで、というのは、F14というのは海軍機でございますし、前から私、言っておりますが、例の推力重量比というのがございますね。推力を機体重量で割った数字でございますが、推力重量比、あるいは翼面荷重、翼の単位面積当たりどのくらいの重さを負担しているかということですね。旋回性だ云々だということが絡んでまいります。格闘戦闘ですな、戦闘機同士の。ここらの問題と、それからソビエトの飛行機などの最近の傾向その他からいきまして、どうもとんでもない遠くの方まで飛んでくる航続力を持つものができていますから、専守防衛と、こう言うわけでありますけれども、どうしてもその辺が、つまり推力重量比であるとかあるいは翼面荷重だとかというような問題になって、格闘戦闘というようなものの範疇を考えるようになってくる。そうなるというと、ちょっとどうも、F14ではという気がする。それからF14そのものについての目玉になっております性能、装備というふうなものからいきまして、専守防衛の国だということになると果たして射程が長過ぎはせぬかという——空対空のミサイル、フェニックスなんというのがありますからね。これが二百キロメートルくらいの射程を持っていますから、そうすると、これは後で問題になるところでありますが、そんなことをいろいろ考えますと、どうもF15くらいになっていく可能性が強い。F14は、おまけに二回ばかり墜落事故を起こしているという現実もあります。16はまあ問題にならないということですから、その辺だろうという気がするのでありますけれども、その辺はどう動いているのですか。
  95. 伊藤圭一

    伊藤説明員 御承知のように、調査団が帰ってまいりまして、八月十日に航空幕僚長に報告を出しております。私どもそれをまだ見ておりません。いずれその調査団の結果報告というのも一つの要素に考えて、現在航空幕僚監部、それから必要な内局の関係者も協力いたしましていろいろ問題を詰めている段階でございますから、まだお答えできる段階ではございません。
  96. 大出俊

    大出委員 これはいつごろを目途にするのですか。さっきの予算の話ですが、長官、このFXを大体いつごろお決めになって、予算的にはどうするつもりなのですか。この二十八日に御発表になるというものにはないわけですか。
  97. 坂田道太

    坂田国務大臣 これは先ほどもちょっと触れましたけれども、二十八日には間に合わない。しかしながら十二月の予算編成時期までには決めなければならない、こう思っておるわけでございます。しかしいつもと違いまして、何ですかアメリカの法律等も新たにできたようでございますから、手続やその他いままでよりも非常に時間等がかかるように思います。したがいまして、それを逆算いたしまして、いま鋭意検討を進めているというところでございます。
  98. 大出俊

    大出委員 そうすると、陸海空のおおむねの大きな枠が大体わかってきたわけでありますが、FXはまだ先があるというわけですね。  そこで、二つだけ聞いて終わりたいのですが、一つは、ソ連海軍の最近の日本近海における大変な動きが目に見えるわけでありますが、これは一体何がねらいなんですか。つまり、海軍力の誇示だとか、日米中の接近を警戒するとか、いろいろなことが言われておりますが、ソビエトの戦略体系を見ますと、ポラリス原潜式の弾道弾原潜、ここに非常にウエートが高くなってきておりまして、私どもが調べている限りでも、SSBNが、SSNじゃなくてSSBNが五十五隻と言われているわけですね。それから潜水艦発射弾道ミサイル、SLBM、これが七百八十四基などと言われているわけです、英国の戦略研究所などの言っていることによりますと。これはアメリカを追い越すという雲行きです。これを一体どういうふうに見て、これと坂田さんが前から言っておられる防衛協力小委などとの関係は一体どういうことになるのか、ちょっとそこに触れていただきたい。
  99. 坂田道太

    坂田国務大臣 最近のソ連の海軍力の増強というものは著しいものがあると思います。確かにこの潜在的な脅威というものは高まりつつあるというふうに思います。     〔木野委員長代理退席、竹中委員長代理着席〕 したがいまして、私どもといたしましては、日本の安全という立場からこの動きに対しては注目を怠ってはならないと思っております。しかし、ただいまソ連が何かわが国に対して顕在的な脅威になっているかというふうに見ますと、そうではないというふうに判断をいたしておるわけでございます。  それから日米防衛協力委員会との関係でございますが、これはあくまでもあらゆる脅威あるいは潜在的脅威に対しまして、起こり得べき事態に対して対処できる日本の最小限度の防衛力というものを固めておくということが前提となりまして、日米安保条約が有効に機能するならば、このあらゆる脅威に対して対処できるというふうに考えておるわけでございます。
  100. 大出俊

    大出委員 いまの点は議論を始めると長くなりますからやめますが、最後に施設庁長官、まだ外務省関係もありますけれども、承っておきたいのですが、横浜の金沢区に小柴の貯油施設というのがございます。ジェット燃料その他を貯蔵しているところでありまして、再三私が取り上げておりますが、これはいまどこまでどういうふうに、十八号タンクの移設問題その他を含めまして進んでおるのかという点と、今後どういうふうにお考えになっておられるかという点。それから鶴見の貯油施設問題で、横浜市の安全調査その他の問題でいろいろございますが、これは現状どういうふうになっているのかという問題と、もう一つ、瀬谷の通信基地のところに海軍道路というのがございますが、この移管をめぐりましていろいろ旧来から問題が続いておりますが、この三点の経過をちょっと御報告おきいただきたいのでございます。
  101. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 お尋ねの小柴の貯油タンクでございますが、これはただいまのところ、移設しまして、そして跡を返還しようという基本的な方針で、大体移設の費用が約七億ばかりかかります。五十一年度でほぼ半額の三億何がしの予算がついておりますので、いま米軍と話をして、具体的に申しますと施設委員会にかかりまして、さらに下部の部会にかかって、どういうぐあいの内容でもって移設をするかという詳細を詰めております。本年度予算がついておりますから、本年度中には本年度分の工事をやりたいというふうに考えております。さらに残った部分は、来年度三億何がし概算要求をするつもりでおります。そういう段取りになっております。  それから鶴見の問題でございますが、結論だけ申しますと、この問題については、たてまえは米軍が管理権を持っておって、そして米軍がもっぱら責任を持ってやるということでございますが、地元の横浜の強い御要望がございまして、これに対して私ども現地レベルあるいは司令部のレベルで折衝を重ねておりますが、ただいまの時点では、やはり米軍が、視察をする、あるいはまた現地で事情を説明するということはオーケーするけれども、たてまえを崩すことはできないということをまだ固執しておりますので、私どもは今後とも横浜市とよく話し合って、そうして市が実際的に目的をかなえられるようにということに、これはわが方だけでは処理に限界がございますので、関係省庁とよく協力をして十分調整したいというふうに思っております。  それから最後に上瀬谷の問題ですが、これも返還をするということについてはなかなかオーケーを出しません。二4(a)ならどうだということでございますので、これらも今後さらに調整に努力をしたい。なお、あそこで事故が起きた場合に自賠法の問題がありますが、これは道路法にいう道路でなくても、一般公共の用に供しておる道路であれば、事故があった場合に自賠法の支払いはできるという運輸省の解釈のようでございますので、その点については当面いいかと思っておりますが、今後努力してまいりたいと思います。
  102. 大出俊

    大出委員 わかりました。  ちょっと時間が過ぎて済みません。
  103. 竹中修一

    ○竹中委員長代理 午後一時十分より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十分休憩      ————◇—————     午後一時十三分開議
  104. 竹中修一

    ○竹中委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  国の防衛に関する件について調査を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中路雅弘君。
  105. 中路雅弘

    ○中路委員 きょうは、米軍の施設、特に貯油施設の問題を中心にして御質問したいのですが、最初に一点ばかりお聞きしておきたいのです。  報道によりますと、防衛庁がPXL、次期対潜哨戒機の選定について、午前中も若干質疑がありましたが、ロッキード社のP3Cの改良機といいますか、CP140オーロラですね、これをPXLの候補の対象とすることを決めたというような報道があるわけですが、この問題に関して、またこれと関連しまして、PXLの選定の作業の問題についてどのようにいまお考えなのか、また進めようとしておられるのか、最初にお聞きしておきたいと思います。
  106. 坂田道太

    坂田国務大臣 次期対潜機の問題につきましては、ただいま基盤防衛力という構想のもとで、その機種について、国内開発あるいは外国機の導入及びこれらの折衷案、おのおのの案につきまして最終的な検討を進めておりますけれども、まだその成案を得るには至っておらないわけであります。  先般八月の二十日、国防会議におきまして、昭和五十二年度以降にかかわる防衛計画の大綱というものの審議を行っておるわけでございますが、この調査検討を進めまして、昭和五十二年度予算編成、つまり本年の十二月ぐらいまでには所要の措置をとりたいと考えております。八月三十日まで出さなければならぬ概算要求の中には、これは含めない考えでございます。また、決定に際しましては、その経緯等をできるだけ国民の前に明らかにいたしまして、国民から見て疑惑がないような、そういうやり方をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、カナダが採用いたしましたCP140を検討の対象の一つに加えまして、その詳細をいま調査する必要があるというふうに考えておりますが、候補機種の取り扱いというふうには考えておらないわけでございます。しかし、日進月歩いたしまする軍事兵器のことでございますから、その間、CP140の内容等が非常にいいというようなこと等も含めまして、さらに検討いたしたいというふうに思っております。
  107. 中路雅弘

    ○中路委員 いまのお話ですと、このCP140、これは候補機種としての扱いはまだそこまでいってないけれども、検討の対象の一つに加えるというお話なわけですが、機体はロッキード社のP3Cであるわけですし、先日の田中角榮の逮捕、起訴の理由というのは主としてトライスターに絡む収賄に限定されていますが、参議院を中心調査特別委員会で軍用機の問題が検討されているわけですが、P3Cにまつわる疑惑というのはまだ解明されていない。また、ロッキード事件全体で、金額でも最大のルートというのは児玉譽士夫のルートでありますし、また、この中では、児玉譽士夫自身がP3Cの売り込みに成功した場合に二十五億円もの成功報酬を支払うことを決めたコンサルタントの契約も結ばれているということも問題になっているわけですし、ロッキード事件の中で、自衛隊の主要兵器の決定というものと絡んで、この問題が非常に重要な問題になっていて、まだこの点では十分解明されていない。長官も何度かこれに関連した質疑の中で、ロッキードの問題の黒白を明らかにするということが、このPXL決定の前提だという意味の答弁もされているわけですね。私は、こういう段階で、いわば事実上ロッキードのP3C改良機ですね、これをすでに検討の対象として加えてこの作業を進めていくということになれば、先ほど長官が言われた国民の疑惑という点からも、あるいは長官の国会でのいままでの、黒白がはっきりするということが前提だと言われた点からも、やはり非常にまずい結果になるというふうに思うわけです。P3Cに関する問題では、野党の方から何人かの証人喚問の要請も出ている、この問題も解決してないという段階ですから、私は、このP3Cの機種を事実上いま検討の対象として加えて選定作業を進めるということはいまの段階では中止すべきだというふうに考えるのですが、もう一度お尋ねしておきたいのですが、いかがでしょう。
  108. 坂田道太

    坂田国務大臣 私といたしましては、P3Cというものが国民の疑惑の一つになっておるわけでございますから、やはりこのロッキード問題の今後の推移を見定めた上で最終的な決定をしなければならないというふうには思っておるわけでございます。しかしながら、また、われわれ国防上の見地から申しましても、現在使用いたしておりまするP2Jが性能の点においてかなりおくれておるということも事実でございますので、やはり私どもといたしましては、P3C級のその程度の性能を持った次期対潜哨戒機というものを選び出すということにつきましてあらゆるオプションを考え、検討しておるわけでございます。これを中止するという考えはございません。
  109. 中路雅弘

    ○中路委員 PXLの問題できょう論議を続けるつもりはないのですが、たとえば私たちと立場は違いますけれども海原氏ですね、先日国会にも証人で来ました。彼などはいわば対潜哨戒機のP3Cそのものの不要論ですね。かつて防衛局長をやり、国防会議の事務局長をやった中でもこういう意見もあるということで、このPXLをめぐる問題というのはさらに防衛論議としても十分尽くさなければならない問題も含まれていると思いますし、特にP3Cということになれば、ロッキード事件の問題で中心一つであり、解明されていないという時点ですから、私は、こういう時点でそれを対象の候補に挙げて選定の作業を進めるということは、一応解明されるまで、長官のいままでのお約束どおり、少なくとも一時中止をすべきだ。今後、輸入をどうするか、P3C級のを入れたいといういろいろ論議の問題はあると思いますけれども、少なくともこの問題がまだ解明されてないわけですから、いままでのお約束からいっても、今後、選定作業をいつから始めるかということは別にしても、少なくともいまのこの問題が解明されるまでこの作業は中止をすべきじゃないかというふうに思うのですが、いままでの国会での答弁からいっても、当然長官のこういう立場で選定に当たるべきじゃないか。もう一度そのことをお聞きします。
  110. 坂田道太

    坂田国務大臣 私は、国会におきましてもたびたび申し上げておりまして、中止するということを申し上げておるわけではございません。そして疑惑をとにかく晴らすということは私ども考えておるということでございます。これにはいろいろ議論があると思いますけれども、中路さんのような説をなす者もあるわけなんで、それも国民の若干部分を代表されると思うのでございまして、ただP3Cやめたらいいじゃないかと、あっさりしていいのですけれども、そうなると、今度はまた国産でやるということに決まってしまう、いままでの手続上の関係から……(中路委員「P2Jで大丈夫でしょう」と呼ぶ)それはまたちょっと中路さんと意見を異にするわけなんで、確かに海原さんが対潜哨戒機について何か問題があるようなお話でございますけれども、われわれは一貫して対潜哨戒機そのものの機能がわが防衛上不必要であるというふにはいまだかつて考えたことはないわけでございます。そういうことでございます。ここが一番大事なところで、もう少しP3Cの解明が明らかになり、そういう段階で、国防上も、それからまた同時に疑惑もないような形でひとつ機種の選定の作業も進めていきたい。それをやるにつきましてはいろいろのオプションを考えておかないと、その場でできませんので、あらゆる場合を予想してわれわれは作業を進めておる。したがいまして、中止をする考え方はないということでございます。
  111. 中路雅弘

    ○中路委員 FXの問題もありますし、PXLの問題はいずれ改めて機会を見て質疑したいと思うのですが、いずれにしましても、先ほどから述べていますように、ロッキード事件中心一つがP3Cの問題をめぐる疑惑の問題であるわけですし、これがまだほとんど解明されていないという段階でPXLの選定作業を進めていくということは中止すべきだということを私たちはもう一度強く主張しておきたいと思うのです。  きょうの質疑中心の問題ですが、時間が限られていますからしぼって質疑をしたいのですが、在日米軍の施設、特に横須賀、横田、それから三沢、厚木という主要な米軍施設と関連のあります貯油施設の問題を中心にしてお尋ねしたいのです。  昨年の二月の予算委員会第一分科会で、水島の事故の後ですが、特に自衛隊米軍の貯油施設の問題について質疑をいたしまして、当時の久保施設庁長官は、この米軍の貯油施設について、施設の静態的な面は把握しているけれども動態的な面は全く承知していないと、当時答弁されています。また出席をした消防庁としても、米軍の貯油施設やタンクの状況については全く把握してないという答弁をされていまして、またその際に、米軍米軍の安全基準でやっているはずだという答弁もありましたので、重ねてお聞きしましたら、当時はまだ米軍の安全基準、マニュアルも施設庁はほとんど入手していない、一部しか入手してない、近く手に入れて検討するというお話もありました。またその際の久保さんの御答弁の中で、アメリカの参謀長の名前で昨年の二月十八日に、米軍の運営する全石油貯蔵施設の状況及びその運営並びに整備の手続について点検するように全軍に指令をした、こういう回答があったので、今回の米軍の総点検の結果をわれわれ施設庁ももらって検討して、その上で政府として米側に必要ならばいろいろ改善の要請その他もやりたいという御答弁を私の質疑の終わりにいただいているわけです。  まず最初に、米軍が全施設、石油の施設について総点検を指示をして、その点検の結果を施設庁ももらって検討したいと当時御答弁されているのですが、これは米軍からどういう回答があってどのように検討されたのか、最初にここから御質問したい。
  112. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 いまお話しのように、水島における三菱石油の事故の直後、政府としても米側に石油施設の安全を再三にわたって注意を喚起しまして、その結果、米軍としても最大の関心を払うと同時に貯油施設の総点検を実施するということを約束しましたのは、いまお尋ねの中にお話があったとおりでございます。その結果米軍は総点検を行って、昨年の四月二十四日付でもってわが方に回答をよこしております。その内容は大体、総点検を行った結果、おおむね満足のいくものである、発見された僅少の欠陥についてはすでに是正措置をとっておりますという趣旨の回答をよこしております。  そういうことで、わが方としてもその後こういう米軍の石油施設が付近の方々の大変な不安を招くということがあってはならないので、その後もいろいろ事故がある都度注意を喚起し、要望を重ねるという状況でございます。
  113. 中路雅弘

    ○中路委員 いまのお話ですと、昨年の四月の二十四日に回答があった、この回答はおおむね満足のいくものだった、おおむね良好だ、僅少の問題については改善措置をすでにとっているという回答があったということですね。そうしますと、その後もいろいろ米軍施設に絡んで事故が起きています。たとえば、横須賀でもことしの四月ですか、運河に油が漏れて、いま使っていないと思いますが、パイプの修復をしなければならない問題も起きていますし、先日は八戸で油送管から米軍のジェット燃料が噴出するというような事故等、絶えず新聞の社会面にも、この米軍の施設の、沖繩初め特に油の関連した事故が相次いでいるのですが、きょうはこの貯油施設だけに限って御質問したいと思うのです。  最初に現状ですが、横須賀、横浜、鶴見それから八戸、あと佐世保に海軍関係の貯油施設があるのですが、幾らこの石油タンクがあるのか、個所といまの現状、皆さんがつかんでおられる現状、ごく簡潔でいいのですが、最初に御報告していただきたい。
  114. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 いまお話しのように全国にある米軍が使っておる貯油施設のごく概況でございますが、まず八戸に七基ございます。それから、ちょっとこっちの方へ参りまして横須賀の吾妻基地、ここには二十二基ございます。それから小柴には二十三基、これは二十五基ございましたが、二つ撤去したので二十三基ございます。ただいまお話のございました鶴見には十八ございます。それから九州の方へ行きまして庵崎、ここには六基ございます。それから横瀬に十三基、赤崎に三十二基というぐあいにございまして、われわれつかんでおる実態を以下簡略に申し上げますと、あちこちにありますが、庵崎では前に事故がありまして、その結果四基、事故のあったものを空にして現在使用しないという状況にございます。それから小柴では基地の中にタンクを移設することにしております。それから吾妻地区には、先ほど御指摘があったように油漏れがございまして、この油漏れのあったものは新井運河の海底を通っておるので、この海底から油が漏れるのをおそれて目下その修理を厳重にやってもらうことにしております。それから八戸では、先般やはりパイプラインから油が漏れまして、その原因を調べましたところ、米軍が発注しておる工事の中で、工事業者の工事上の瑕疵でもって油が漏れてきたということが判明しましたので、これて対しては汚染地に対するとりあえずの対策を行うと同時に、この工事上の瑕疵について十分な措置をするというふうにしております。それから鶴見では、かねがね横浜市で大変な関心を持っておられまして、タンクそのものの安全と、それから御案内だと思うのですが、二つ基地がありまして、その間はパイプラインでつながっておりますが、安善橋と称する橋の下をパイプラインが通りておりまして、これが消防法の基準に達しておらないという問題がございまして、その措置については横浜市と協議して特に安善橋をかけかえるという問題がございますので、それに関連してわが方としてもパイプラインの安全を図っていきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  115. 中路雅弘

    ○中路委員 私きょうこちらに持ってきたのですが、これは英文で書かれていまして相当膨大なものですが、米軍の内部文書なんです。皆さんの総点検の結果ということですね。施設庁には、先ほどお話しのように、おおむね満足いく、良好だという回答を寄せられているのですが、この米軍の貯油施設についての説明の内部文書ですが、これを見ますと、大変な状態になっているのですね。この文書は、私が質問します少し前の七三年の十一月十四日にアメリカの太平洋海軍の施設工兵軍団司令官フィッシャー少将、提督が横須賀に視察に来た際に、海軍補給廠の関係者が視察について太平洋軍のフィッシャー提督に出した貯油施設全般についての報告書です。いまお話しになった佐世保、八戸、横須賀、鶴見、この全体の報告書のわけですが、相当詳しい資料もつけられているのです。  この報告書を読みますと、説明とともに現地のスライドを使いまして、たとえば八戸のパイプだけでも三十こまぐらいのスライドを使いまして、パイプの現状について詳しいスライドによる説明もやっているわけです。相当膨大な文書なので、私はこの中から一、二問題を抜き出して取り上げたいと思っているのですが、その前に、この文書の前段で書いているところを一、二御紹介しますと、御存じのように、陸軍から海軍に貯油施設の管理が移されたのが一九七一年ですが、この移された当時のことも若干記載されています。防火、安全機能の面で全く欠陥だらけだったということが詳しく記載をされていまして、その後海軍の調査によって、補修の必要の緊急度、先ほどお話しになった石油タンク全体について補修の必要な緊急度別に三つの段階に分類をしまして整理をしているのですが、一番危機的修理と言っていますが、危急を要するタンク、それから緊急に修理をしなければいけない、第三番目に年度別に修理をしていくという三つに分けまして、全体として当時の予算でこの修理を緊急にやるためには総計で二千八百万ドルの補修費が必要だということをこの文書の中では計算をしています。とりあえず国防省の予備費から六百三十万ドルの支出、これが決定されまして、いまの中の危機的な修理それから緊急の修理という部分だけでも補修の工事をしなければいけないということで、プロジェクトチームをつくって、これによりますと、P109というプロジェクトチームをつくって補修工事をいま始めてきたということなんですね。八戸のパイプについても、これば二百三十ドルというまだわずかですけれども、初めて予算をつけて七二年からパイプラインの小規模の修理を始めているということも書かれていますけれども、こういう全体の状況調査をした米軍の結果がここに書かれてありまして、その後ドルの関係で九十九万ドルの追加も必要だということも出ていますが、二千八百万ドルの補修費が緊急に必要だということも記載をされています。  各所の状況について詳しく記載をされているのですが、その中で一例を挙げますと、これで見ますと、先ほどお話しの小柴タンク二十数基の中で満足なのは二基なんですね。特に小柴の貯油施設は、ジェット燃料ですから非常に揮発性の高いJP4、この貯蔵をしているわけですが、この中でJP4の貯蔵に十分に適すると考えられるタンクは二基だけだということが書かれています。そして当時の調査をした際のタンクの状況は次のとおりであるとして、満足なものが二基、満足し得ないもの五基、これは制限された資金投下で修理は可能だ、現状のままでも発火点の高い製品の貯蔵には若干使用できるだろうというのが五基ですね。それから本格的な修理作業が必要だという不適なものが九基、問題のあるものが四基ということで記載をされていまして、二十基余りの中で満足なのは二基しかないということが小柴についても詳しく記載をされている。  そうしまして、いろいろ表が出ていますが、いま言いました米軍の欠陥タンクや、あるいは若干の予算をつけて危機的な状態をプロジェクトをつくって補修をするというこのP109のプロジェクトの工事のために石油タンクの使用が不能になっておるというのがありますが、それがタンク別にパーセントが出ていまして、全部合計しますと、いま言いました佐世保、横須賀、八戸ですね、全タンクの容量の三六%、三割が当時使用不能の状態になっています。特にこれは七三年末ですが、先ほど言いましたジェット燃料が一番ひどくて、油別、種類別で見ますと、ジェット燃料規格四号ですね、JP4が最も深刻であって、まあ小柴なんかがこういう状態ですから、この関係を全部合計しますと五七%が使用不能という状態にあるわけですね。小柴の場合も二十基余りのうち満足なのは二基しかありませんから。そしてこの使用不能の状況が詳しく出ていますが、たとえば構造上の欠陥だとか、タンクの内部の鉄板の壁が腐食し切っているとか、あるいはひび割れがあるとか、全部一目でわかるということで説明をしています。穴のあいたものだとか、あるいは樹脂が全部おっこちてきたというようなもの、こういう現状が書いてありまして、現状のままでは閉鎖するか貯蔵量を減らすか、あるいは石油の種類を変えるか、こういうことしか解決方法がない。しかしこれは軍事的に見て全く不可能だ。太平洋軍司令部区域の石油支援の構想を全体として変更しなければ、この根本的な改善はできないということも述べてあるわけです。  いま小柴を例に挙げたのですが、これはアメリカ軍自身が自分たちでスライドもつくり、詳しく調査をして説明書にして提督に出している内部の文書です。皆さんの方には、先ほどのお話ですと、その後の総点検の結果、ほぼ良好だということを米軍から施設庁に報告が来ているのですが、片方では三六%が使用不能になっているということの報告書を内部ではまとめています。これはどういうことなんですか。
  116. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 ただいまお話しの一九七三年十一月十四日付の米軍報告書というものは、私ども承知しておりません。いま手元の参考の資料の方を拝見して、かつまた、いまいろいろ詳細に御指摘がございましたが、どういう性質の報告書であるか私ども承知しておらないので、その内容について一々お答えができないのでございますが、米軍が非常に貯油施設に真剣に取り組んでおるということは私どもにもうかがわれまして、先般実は私、鶴見の現場にも行ってみたのでございますが、非常に真剣になって取り組んでおる、昨今の日本の一般の貯油施設に対する規制の状況など十分に勘案しながら努力をしておるという様子がうかがわれます。そういった意味で、米軍がナーバスになっており真剣に取り組んでおるということはわかっておりますが、いま御指摘の報告書がどんなものであるかは、私存じません。
  117. 中路雅弘

    ○中路委員 この全文、必要ならば後で皆さんの方にあれしてもいいのですが、先ほど言いましたように、この報告書は正規の報告書なんですね。太平洋軍の視察にわざわざ来た軍司令官ジョン・R・フィッシャー海軍少将のために作成された報告書だということが、ここに前文に記載されています。それで横須賀の場合はいろいろスライドも使って、あるいは現場も案内して詳しく説明したということなんですが、私が昨年御質問したときには、先ほど言いましたように、施設庁は、米軍米軍の安全基準でやっているのだというお話だったので、その安全基準は持っておられるのですかと聞きましたら久保長官は、いや、まだ施設庁は全部手に入れていないのだということですね。それじゃ点検しようもないじゃないかということです。油漏れの問題が大きい問題になり、それから昨年石油コンビナートの防災法が成立をした。国内法は尊重するということが地位協定の上でも当然記載されている、米軍の状態がどうなっているかということがわからなければ防災対策も立てられないではないかというお話をしました。久保さんの当時の答弁では、米軍の基準はまだ全部手に入れてないけれども、その内容の一部は聞いています、全般的には当時のわが国の消防法あるいはそれに関連する規則、そういったものとほぼ似たものだ、部分的には米軍の基準の方が少しきつくなっているところもあるみたいだという答弁をされているわけですね。近く全部手に入れたいというお話ですが、この答弁でも日本の基準とほぼ変わらない基準だということを答弁されています。その基準に照らしての米軍の点検、安全管理−日本と全く違った、あるいはもっとずんと厳しい基準でタンクを検査したというのじゃなくて、米軍のほぼ日本と変わらない基準によって検査をした結果が、いま私が小柴の一例で挙げましたけれども、こういう現状だ。そして日本の側には、ほぼ良好だ。しかし毎回、ほとんど毎月のように米軍のこういう油関係、沖繩を初めとして油漏れだとか事故があるということから見ても、あるいは私も吾妻島倉庫地区には直接、昨年でしたか中へ入れていただいて見て回ったのですが、旧海軍の施設をそのまま使っているタンクが多いですね。だから横須賀の横山市長も全く老朽化しているのだということを繰り返し言っています。  もう一例だけ私ちょっと例を挙げたいのですが、この前問題がありました八戸のパイプですね。これは先ほど言いましたように三十枚のスライドを使って、一枚ずつ、このスライドに基づいてこの中では説明をしているわけです。たとえば、二、三カ所だけその説明のところを見てみますと、外から見に行きますと パイプは橋のところだけしか見えないのです、私も見てきましたけれども。この三十枚のスライドの説明を見ると、外から見える橋のところだけおおむね良好と書いてありますね。だから、ちょっと外から見せていただいただけではこの現状はわからないと思うのです。この八戸パイプは特にジェット燃料JP4を運んでいるわけですが、約十六・四マイルの三沢基地までの二本のパイプ、最近は、この説明書によりましても一、ミッドウェーの到着以後事態が大きく変わって、このジェット燃料の使用が非常にふえているという説明もいろいろしています。このパイプラインに依存しているのだということで、説明を見ますと、パイプの現状は非常に憂うる状態にある。汚染だとか火災、すぐこういう原因になりかねない。保安は非常に問題が大きいということを述べている。あるいは、私も地形はよくわかりませんが、パイプラインが農地を横切っているところをスライドで説明しながら、漏れる危険があって、漏れた場合には、この地域の人命にもいろいろ危険な影響を与えるとか、あるいは他の個所では、地域の住民を危険に陥れかねない、ここに注目してほしいということで、何の防護の設備もないのだというスライドによる説明もあります。あるいは、パイプラインのバルブに言及して——今度の場合もバルブの事故ですが、パイプラインの継ぎ当てが腐朽をしてどういう状態にあるかという説明をしているところもあるわけですね。パイプが非常に劣悪で老朽になっている、取りかえが必要だということを各所で言っています。パイプラインが働かず、あるいは破損し、あるいは火災、汚染などの起こった場合に大きな事変になりかねないという事実を考慮しなければいけないということで、早期にこの問題の改善が必要だということを、三十枚のスライドを使って説明をしている。  こういう点で、施設庁の方でも、いままで安全基準も知らなかった、やっと米軍自身が点検をした結果をもらう。しかし、それは先ほど言ったように、おおむね満足すべきものだとか、しかし一方でたびたび油漏れやパイプの事故は起きている、内部では米軍はこういう説明をしているという関係ですから、この時点で、私は米軍の施設の防災について根本的な対策を考えなければいけないのじゃないか。横浜市が繰り返し鶴見の貯油施設については立ち入りの調査を要求しています。しかし、米軍はいまなおこれについて受け入れていないという状態です。これもこの前の委員会で私取り上げたのですが、たとえば日本と同じ、駐留している西ドイツですね。西ドイツのボン協定あるいはこれに関連した外国駐留軍に対する補足協定等を見ますと「ドイツの代表者及びその指名する専門家に対し、ドイツの利益を保護するために必要とするすべての合理的な援助(施設への立入りを含む。)を与えるものとする。」ということで、西ドイツの場合に、たとえば日本で言えば施設庁や消防庁や関係の自治体が立ち入りの調査をするということをこの協定あるいは補足協定の中で義務づけているわけですね。日本の場合には地位協定でこの義務規定がない。しかし、十六条では、日本国内において国の法令を尊重する尊重の規定もありますし、三条では「施設及び区域における作業は、公共の安全に妥当な考慮を払って行なわなければならない。」ということもうたわれておるわけですから、少なくとも現状がどういう現状になっておるのか、どういう防災対策が必要なのか、こういう問題について施設庁等が現状について十分知っていなければならない。自分たち自身でも、調査米軍と話をしてするということが防災対策上特に必要だと思うのです。後で資料は、必要ならば皆さんの方にも私も協力したいと思うのですが、こういう現状を、動的な状態は、米軍から報告を取る以外に、実際に皆さん調査も点検もほとんどされてないという現状ですから、やはり根本的にこの問題については改善の対策が必要だと思うのですが、長官いかがでございますか。
  118. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 いまいろいろ例を挙げてお話しでございますが、私どもが認識しておるところでは、たとえば八戸の問題については、御承知だと思うのですが、これは最初八戸の鮫地区というところに昭和二十四年に建設したタンクでございましたが、それを昭和三十七年から四十年にかけまして河原木地区というところに移設しております。そういう経過から見て比較的新しいものである。戦前からあるものがかなりあるのでございますが、八戸についてはわりあい新しい時期に移設をしておる。したがって、そう老朽しておるとは経過から見ては考えられないというふうに思います。それからパイプラインも、一部市街地を通っておるところについては、四十三年から五十一年までの間、危ないというので移設をしました。それで、新しい時期に移設をしておるということから考えて、移設部分についてはそう問題がありそうには思われない。移設しなかったところについては、かなり古いものですから、老朽の可能性があると思うのですが、先般油漏れがあったところは、工事の過程において瑕疵があって油が漏れたということでございまして、一部そういう古いものがあるかと思うのですが、これは大体において海岸の砂浜のところが多うございまして、総体的に見て、八戸については先ほど来御指摘の報告書と符合するようなことはないような気がいたしております。  しかしながら、いずれにしても古いものが非常に多うございますし、それから、米軍以外のところの石油施設については規制が非常に厳しくなっておるのに、米軍の施設だけがいわば盲点になっておるということになってはいけないということで、私どもも関心を強めて、そしてこの実態の把握ということに努力してまいりたいというふうに思っております。  ただ日本の場合、先ほどお話しになった地位協定がございましして、その明文の範囲内で私ども努力しておりますが、いずれにしても実質的にどういう状況であるかということはあらゆる機会に私どもも知っていく、そして米軍に対して申し入れることは申し入れていくという態度で臨みたい。ことに、事故があった場合にはこれは明白でございますから、被害が比較的少なくて済んだのは不幸中の幸いであるという考えで、ケース・バイ・ケースで厳しく米側に要望してまいりたいというふうに思っております。
  119. 中路雅弘

    ○中路委員 時間が限られていますから長く続けられませんが、そういう立場からすれば、たとえばいま横浜の市長が強く要求していますね。鶴見の貯油施設について国内法に基づいて一応検査をしたいという当然の要求をしているわけですが、米軍はこれをまだ受け入れていない。外務省はきょうお見えになっておりませんけれども、施設庁も関連があるわけですから、少なくともいまの立場からすれば、横浜市長の要請はぜひ実現するように日本政府としても米軍と強く交渉もし、助言もし——長くこのままの状態であるわけでしょう、両方解決しないまま。少なくとも、横浜の鶴見の貯油施設は理由もあるわけですし、これについてはまず最初、いまのような立場で調査をするということで、米軍ともう一度きちっとした話を施設庁の方からもして、実現できるようにできませんか。
  120. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 鶴見の施設については、長くお答えせずに要約して申しますと、横浜の市長から強い御要望がございまして、私どももこの要望を踏まえて、米軍に横浜市の御希望がかなえられるようにという努力をしてまいっておりますが、たてまえとして米軍の施設については米軍が管理権を持っておるという問題がございますので、なかなかその間の調整がうまくまいりません。私どもとしては、できるだけ横浜市とよく相談をして実際的な目的が達成されるように、ことに中に入ってそしてよく施設を見、あるいは不審の点は問いただす、事情を聞くといったようなことで、実際的な目的が達成できるように努力してまいりたいというふうに思っております。米軍姿勢が必ずしも柔軟じゃございませんので、外務省等とも協議の上、対処してまいりたいと思っております。     〔竹中委員長代理退席、木野委員長代理着席〕
  121. 中路雅弘

    ○中路委員 大臣、お休みみたいですけれども、ちょっと最後に……。  外務省見えてないので、直接のあれじゃないですけれども、閣僚としてお願いしたいのですが、全体として米軍の施設について日本政府としても状況をよく知っておかないと、防災対策上も非常にまずいわけですね。そういう点で、防衛施設庁や消防庁関係、公害関係の省庁、あるいは関連の地方自治体から特にいまいろいろ要望が出ているのですが、そういう関係者が米軍との話の上で、重要ないま問題になっている施設について一度現状がどうなっているかという説明も聞き、あるいは日本の国内法も六月一日からは防災のコンビナートの法案も新しくできているわけですから、そういうのに基づいた、やはり現状がどうなっているかという調査もやる。その上でないとお互いにどういうように改善していくのかということも出てこないわけですし、私が取り上げましたように、一方では、内部ではこういういろいろ現状についての、老朽や危険についての報告書も出ているわけですね。それについてやはり日米間できちっと共同調査をするということも、私はいま非常に大事になっているんじゃないかというふうに考えるわけです。そういう点で、施設委員会なりそういう場で、個々の省庁が何か物を言っているというだけでなくて、政府として一度アメリカとこの米軍施設の現状についての調査について協力も得て、現状をしっかりつかむことができるように話していただきたいと思うのですが、最後にいかがですか、この質問については。
  122. 坂田道太

    坂田国務大臣 これはあるいは外務大臣がお答えになることかもしれませんが、私どももやはり施設庁を持っております関係もございますし、また日本国民の安全ということにもかかわる問題でございますので、十分検討いたしまして、場合によってはそういうような機会を持ちたいというふうにも思っております。
  123. 中路雅弘

    ○中路委員 直接はまた外務省を通しての問題ですからこれ以上お話ししませんけれども、ぜひとも外務省ともよく相談をしていただいて、特に先ほど横浜市の話をしましたが、関係の市町村、自治体ではそれぞれの個々の施設について強い要望があるわけですね。住民の安全の立場から言えば当然のことなので、これはぜひ実現できるように、ひとつ政府の方でもアメリカとの折衝をやっていただきたいということをもう一度お願いしておきたいと思うのです。  時間も非常に限られていますので、あと一、二点問題にしたいのです。  これは、きょう大蔵省松岡さんお見えになっているので松岡さんにお尋ねしたいのですが、例のいま問題になっています基地の跡地の処理基準として、六月二十一日の国有財産中央審議会の答申に基づいて最近出されました三分割有償という新しい基準をめぐっての問題です。この点については全国知事会あるいは渉外関係主要都県知事連絡会議あるいは全国市長会、防衛施設周辺整備全国協議会、こういう文字どおり保守、革新を問わず全国の関係自治体、知事、市長からもこの新しい処理基準については反対だという強い声が上がっているし、要望も出ているのは大蔵省も御存じだと思うのです。この問題についてまた神奈川県下でも、最近では八月に関係の神奈川県の県知事、市の代表者で緊急要望書が大蔵省に出ています。これも御存じだと思います。私はこの緊急要望書は当然の要請だと思いますし、ぜひとも再検討を大蔵省の新しい処理基準についてはやっていただきたいというふうに思います。この問題はきょうは時間が限られていますので、そのことを一言述べておいて、もう一つは、この処理基準は最近松岡さん自身があっちこっちで話していられるのですが、旧軍港都市、ここでは四市が御存じの軍転法が適用されている都市ですが、この軍転法対象の都市にも特に三分割方式は適用するのだということを大蔵省でいろいろお話しされているということから、関係の都市で大問題になっていまして、横須賀市もきょう臨時市議会をこれで招集しているわけです。松岡さんのお話しされているのはどういう中身なのか。先日は横須賀の場合は市長が、きょうお見えになっていませんが、吉岡次長と二時間お会いして、いろいろこのことで話した。市長からは話を聞いているのですが、いまの時点での大蔵省のお考えをこの場所で最初にお聞きしたい。簡潔で結構です。
  124. 松岡宏

    ○松岡説明員 いわゆる三分割方式は、大都市及びその周辺に所在する返還財産をめぐり競合する需要を調整する方法として、国有財産中央審議会から答申されたものでございます。旧軍港市に所在する返還財産につきましてもこの方式の枠外にあるというものではございませんので、個々の返還財産ごとに具体的に検討を行いまして、三分割方式による調整になじむものであれば当然三分割方式による調整が図られるべきものである、こういうふうに考えております。  なお、三分割方式に付随して同時に打ち出されました統一処分価格の方針でございますが、旧軍港市にはこの関係は及ぼさないということになっております。と申しますのは、旧軍港市における国有財産の処分条件につきましては、旧軍港市転換法という特別の法律がございまして、これによりまして特別の優遇措置が定められております。その関係が優先する、こういうことだからでございます。
  125. 中路雅弘

    ○中路委員 要点だけ二、三お尋ねしていきますけれども、きょうは、個々に審査して三分割になじまないのであればということで、頭から全部適用だという言い方とはちょっとニュアンスを変えておられるわけです。この軍転都市、いわゆる軍転法という特別法と国有財産法、一般法との関係の問題にも論議が出てくると思うのですが、国有財産審議会で決められた答申ですね。軍転法の対象都市の所管がえの問題や跡地をどうするかという問題については、軍転審議会でいままで処理をされてきたわけですね。これは皆さんからも資料でいただいていますが、四十七年十二月十四日の大蔵省の通達で明らかにされているわけですね。だから中央審議会や地方審議会でやるのではなくて、軍転審議会でどうするかということを審議をされてきたわけです。こういう立場から言えば、もし皆さんの方が三分割も原則的には適用するのだというお考えならば、これは当然軍転審議会でまずそのことを論議しなければならないですね。中央審議会で論議したやつを下部機構でもない軍転審議会にすぐそのまま当てはめようとするから、だから軍転審議会の対象都市はびっくりする。寝耳に水という状態になるわけです。現にお話を聞いたのですが、横須賀の基地対策の課長が軍転審議会の会長の江澤さんですか、これは中央審議会の今度答申された会長も同じですね。この江澤さんに六月二十一日以降心配なのでお尋ねしたら、旧軍港都市は対象にしないのだということを横須賀市には答弁をされている。答申を出された本人が、両方会長を兼務されているのですが、片方には適用しないのだということを言っておられる。それを大蔵省が勝手に、適用するのだ——答申を出した本人の方がそう言っているのですから、これは松岡さん、もう一度検討し直す必要があるのじゃないですか。
  126. 松岡宏

    ○松岡説明員 ただいま中路委員御指摘の軍転審、正確には旧軍港市国有財産処理審議会、これは旧軍港市が平和産業港湾都市へと再建される過程におきまして必要となる国有財産の処分に関し調査審議するための大蔵大臣の諮問機関でございます。今後とも従来どおり、処分される国有財産の範囲とか相手方とか譲渡価格等につきまして個別の財産ごとに御審議をいただくことになっております。その審議の対象となる個別財産ごとの処理案をあらかじめ国と地元の関係者とで協議するわけでございます。その協議に際しまして、個別事案ごとに、必要かつ適当であれば、三分割方式により競合する需要の調整を図ることになる、こういうふうな考え方で臨んでまいりたいと思います。  なお、軍転審議会の江澤会長の発言なるものに言及されましたが、私ども直接そのことは会長から確かめてございませんが、そんたくするに、旧軍港市に所在する大口の返還財産であっても、その地形とかあるいは需要の競合度合い等を勘案して、この三分割方式による調整になじまないものであれば、それは三分割方式とは別に処理される、こういう意味のことをお答えになったのではないかと考えます。
  127. 中路雅弘

    ○中路委員 時間が間もなく来ますので、まとめて私の意見を簡潔に整理をしていきますと、いまなじまない場合というお話も出ましたけれども、一つは今度の三分割有償の答申が出た背景ですが、これが諮問されたのはたしか四十八年ですね。その答申が今度出たわけですね。そのきっかけは例の関東計画ですね。関東計画によって首都圏周辺の大規模な基地が返還される、需要も殺到する、その後の処理をどうするということを中心に諮問をされて、大規模な基地の跡地の処理基準ということで検討されてきたということですが、たとえば、いま直接すぐ対象になる横須賀の衣笠弾薬庫四十三万平米、これは四十七年にすでに返還されている土地ですね。それで、地元では都市計画決定が公園墓地としてすでになされているところなわけですし、軍転法によりますと、地元の転換計画の促進と完成にできる限りの援助を与えるという趣旨のことが義務づけられている。こういう趣旨からいっても、この諮問が始まる前にすでに返還もきれ、都市計画決定もされている、最終的に軍転審議会にかけられるのがまだ延びていたというだけですから、この趣旨からいっても、たとえば衣笠弾薬庫に限っても、これも対象だと言うのは全く、この三分割方式そのものに私たち反対ですが、しかし、これの背景からいっても、対象外だということは初めから明白じゃないかというふうに思うのです。  また、私も現地へ直接行ってみました。大蔵省の皆さんの案内で中へ行ってきましたけれども、弾薬庫ですから平地じゃないのです。全く山で、谷合いに道路があって弾薬庫になっていたわけですから、これを三分割するといったって、どんな三分割使用をするのだと、私もびっくりしたのですね。現地も見ないままそういう話をされるのも非常に適切ではない。公園墓地といってもなかなか大変なんです。しかし、恐らくそれぐらいしかできないだろう。しかも、大蔵省の答申でも、その周辺の地域との総合的な調整のとれた跡地利用ということを言っています。横須賀市は四十三万平米にさらに周辺を加えた六十万平米をすでに予定をして公園墓地をつくっているわけです。しかもこの山のところへ需要が殺到するということは考えられないし、こういう点で全く対象としていま論議をしていくことにも恐らくならないところじゃないかというふうにも思うのですね。  だから、時間も限られていますから私は結論的に言いますと、最初衣笠弾薬庫も適用になりますという松岡さんのお話だったけれども、恐らく現地の事情も御存じないからそういう話があったのだろうというふうに解釈しまして、この問題についてはもう一度いろいろの角度から検討もしていかなければいけない問題でもありますし、特にまた、主分割になじまないのであればというお話もきょうありますから、全くいろいろの角度から見てなじまないものですから、一番最初の簡単に適用されるのだというお話、これは私たちも単純にきょうはとらないようにしておきたいのですが、十分地元の事情やあるいは軍転法の趣旨というものも検討されて、十分関係者が納得できるようなこの問題の扱い、解決をしていただきたいということを要望したいのです。あと一問だけあるので、この問題については最後にそのことをお願いしておきたいのですが、いかがですか。きょうは横須賀とも話をされた吉岡次長がおられないので、直接松岡さんにお聞きしたい。
  128. 松岡宏

    ○松岡説明員 具体的に衣笠弾薬庫についてでございますが、目下のところ検討中でございまして、結論を申し上げる段階には至っておりません。  なお、先生の御指摘の中に、三分割の答申のもとになる諮問が昭和四十八年四月になされたということで、返還時期等から考えて衣笠弾薬庫は全く無関係であるという御議論がございましたが、四十八年四月に大蔵大臣から国有財産中央審議会へ諮問されました内容は、主要な米軍提供財産の返還後の利用についてということで諮問がなされております。したがいまして、今回の三分割答申は、主要な米軍提供財産の返還後の利用ということを一般的に答申したものでございます。返還済みの大口返還財産の利用計画が現在未定のものにつきましては、一般的に押し及ぼされる関係にございまして、そういう意味では、衣笠弾薬庫も対象になるわけでございます。
  129. 中路雅弘

    ○中路委員 この問題はこれで終わりますけれども、この四市につくられた旧軍港市転換法というのは、いわゆる旧軍港市が旧軍用財産を活用して平和な港湾都市として発展をするように地元自治体に対して国が特別の処置をとるということを中心にした特別法です。大蔵省の皆さん考えるのは、この三分割もそうなんですが、この法の趣旨を主として経済的な面、基地問題というのは経済問題、たとえば跡地をどうするかという財政問題だけにしぼって問題をとらえられる。基地問題というのをもっと政治的な背景からこの返還の跡地をどうするかという観点で論議をしていけば、もっと関係の地方自治体とも私は一致点が見出せるのじゃないかと思うのですが、そういう点でも、この軍転法の立法の趣旨そのものも非常に狭く、経済的な処理面だけでとらえようとされているというところに行き違いもあるのではないかと思うのです。この点もよく検討もしていただきたいと思いますし、これはぜひ、きょうは衣笠について適用をすぐするとかいうお話ではないので、十分検討するというお話ですから、関係者とも一致ができるようにひとつ要望も聞いて、処理については慎重にやっていただきたいと思います。これはあとの需要がほとんどございません。  防衛庁がおられるのでこれも一言だけ聞いておきたいのですが、この衣笠弾薬庫の跡に自衛隊が、たとえば三分割でなくても、入りたいというような、それは全くないですね。念を押しておきたいです。ちょっと突然のあれですが、平井さんおられるが、委員会の席できちっとしておいていただきたい。
  130. 平井啓一

    ○平井説明員 衣笠弾薬庫が返還になりました跡につきまして、一時期海上自衛隊が使用したいということでいろいろと地元と折衝をした経緯がございましたが、現在の段階におきましては、諸般の事情であそこの海上自衛隊による使用というものは見通しとしては困難であろうというふうに考えます。
  131. 中路雅弘

    ○中路委員 ずいぶん客観的な言い方ですね。困難であろうというような客観的な言い方をしないで……
  132. 平井啓一

    ○平井説明員 そういうただいま申し述べたような状況でございますので、自衛隊としては衣笠弾薬庫の跡地を使用する計画は持っておりません。
  133. 中路雅弘

    ○中路委員 それじゃ時間が来ましたのでもう一、二問だけ、これもまとめてお尋ねします。  これは改めて別の機会に時間をとってお尋ねしますが、横田基地の汚水処理の問題でお尋ねしたいのです。これは基地の中でも全国でここだけだと思うのですが、東京都が四十七年度から五十二年度まで御存じのように多摩川の流域下水道を建設しているわけですけれども、この終末処理場については九〇%の部分の建設費の四分の三、管については三分の二が国庫補助がついて、残りの三分の一を東京都と関係市町村が半分ずつ負担するということになっているわけですし、横田基地を抱える福生とか瑞穂、こういう関係の市が負担分をそれぞれ負担しているわけですね。その中に横田基地分も当然入っているわけです。横田基地から排出される汚水を公共下水道を通して流域下水道に流すということになっておるわけですが、そうだとすれば米軍側はこの負担について一定の金額を当然見なければいけないと私は思うわけです。調べてみますと米軍の方は負担してない。流域下水道であり、市町村が皆負担しているわけですが、米軍は負担をしていない。市民はそういう形で税金という形で負担をしているわけですね。調べてみますと、米軍側は一切負担をしていないのですが、施設庁で見舞い金ということで市町村にその分の金を出しておられるわけです。これもお聞きしてもいいのですが、すでに資料でもらっていますから、ここで福生、武蔵村山、羽村、拝島、立川、瑞穂と各市町村に年度別に出されている見舞い金、ちょっと計算してみましたら、総額で二億を超える見舞い金が出されているわけですね。見舞い金というのはどういう性格なのか。市町村を調べますとこれが雑収入になっているわけです。皆さんの方は見舞い金ということで市町村に金を出して、受け取る市町村の方は雑収入。雑収入といったって、大変な額なんですよ。何千万という額が雑収入になって市町村の会計に入っているわけです。一体これはどういう性格のものですか。
  134. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 いまのお尋ね、簡単に要点だけお答えしますと、日本政府が米軍に施設を提供するに当たっての必要な経費を日本側において負担するという地位協定の解釈の範囲内で、一定のものについては当然の場合がある。この場合も私ども地位協定上当然のものだと考えております。横田の基地に非常に大規模な施設が設置されるようになってきまして、当初施設庁では下水排水計画を独自に計画したようでございます。ところが、東京都でいま御指摘の流域下水道計画ですか、があるので、結局それと競合してはかえっておかしいじゃないか、一本化を図ろうという話になりまして、いまのようなかっこうになっております。この場合に、横田基地の排水面積、人口比の割合で見舞い金を払う。見舞い金というのは、いま申し上げたような負担金を払う法的な根拠がないものですから、予算上見舞い金ということになっておるわけでございますが、本来日本政府で負担しておかしくないというふうに思っております。
  135. 中路雅弘

    ○中路委員 だから法的な性格はどういう性格なんですか。いま法的な根拠がないとおっしゃったでしょう。だから、法的にはどういう性格の金なんだと私は言っている。
  136. 銅崎富司

    銅崎説明員 見舞い金の観念でございますが、補償費と異なりまして法律あるいは契約というものに根拠はないわけでございますけれども、実損という面は確かにあるわけでございますので、公平の原則から救済措置として行う金銭上の給付であろう、そういうふうに考えております。
  137. 中路雅弘

    ○中路委員 市町村の方では扱いもいろいろなんですが、私が調べたところでは雑収入に入っているところが多いんですね。だから非常に性格がはっきりしないものですね。小さい町では比重は大きいですよ、何千万。もう少し詳しく言いますと、たとえば福生市で見ますと、四十八年度は一千四百四万五千円、四十九年度が三千四百八十万八千円、五十年度が四千五百万一千円ですね。一つの町で四千五百万ということになれば大変な額ですね。これが雑収入ということで入れられる。片方では見舞い金で出しているということですから、私はこの金の性格はもう少し明確にしていかなければいけないだろうという主張からきょう御質問しているのです。たとえば五十年度合計しますと、九千六百三十一万一千円、約一億近くの金がいわば雑収入だとか見舞い金だとかいうことで入っているから、負担金なら負担金ということをきちっとさせなければいけないじゃないかという考えなんですね。市町村の方から言えば施設庁から負担金ということで来ている、あるいは施設庁の出す方も項目ではっきりさしておくということでなければ非常にまずいのじゃないかという考えから御質問しているのですが、もう一度はっきりさしていただきたい。
  138. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 私どもこの理解については先ほど来御説明したとおりでございますが、市町村が雑収入で受けておることがいいかどうかというような問題もあるやに思いますので、その辺のところを検討してみたいとは思います。
  139. 中路雅弘

    ○中路委員 市町村がいろいろ流域下水道や公共下水道、これについて負担をしているわけですね、一定の国庫補助以外に。これは当然また市民の税金で賄われているわけですから市民が負担しているということになるわけです。しかし米軍側が何も負担していない。いまお話しのように、法的に米軍側、基地側が負担を義務づけられているわけではないわけですけれども、しかし一切負担しないというのはぐあいが悪いということだろうと思うんですね。そこで、結局施設庁が見舞い金ということで事実上肩がわりするという性格になっているわけです。だからこれは本来実質上米軍が負担しなければいけない金ですが、それを施設庁が肩がわりするということ、これも国民の税金なわけですね。そういう点で私は、こういう性質のものは本来的には米軍が負担すべき問題じゃないかというふうに考えるのですが、この点はどうなんですか。
  140. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 その点は最初にお答えしたように、現在の地位協定上施設を提供する場合の必要経費で、この種のものを日本政府が負担することは協定の精神から言って当然ではないかというふうに私ども思っております。
  141. 中路雅弘

    ○中路委員 しかし、施設庁が行政費の中から見舞い金という非常にあいまいな形で出すということの法的な根拠が、じゃ逆にどこにあるのか、少し筋が通らないのじゃないか、文字どおり米軍の汚水処理というか、しりぬぐいまでやらなければいけないということにもなるわけです。この点で私は米軍が当然負担すべきだという主張ですけれども、しかし皆さんおっしゃるように、それは施設庁が肩がわりしてやるのだ、これ自身は論議になりますけれども、そうだとすればその性格をはっきりさせておかないと、負担金なら負担金ということで明確にし、市町村の間でもこの性格ははっきりさしておくということが必要じゃないか。終わりにそのことをもう一度、この関係は明確にしておいていただきたい。市町村のどこに入っているのかということを大分調べたのです。やっと雑収入の中にありますということでわかったのですね。これじゃまずいんじゃないかというふうに思っているのですがね。
  142. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 日本側で負担すべきものと考えて、本来、先ほど申し上げたように独自の工事をやろうと思ったところが、東京都の計画と競合するということで、そういう経緯から見舞い金で支出する方はしておるわけですが、市町村の側の扱いというものについていまお話しのような点があるということでございますので、私どもその点についてはどういう方法がいいか、現状でいいのかあるいはもっといい方法があるのかということを検討してみたいと思います。
  143. 中路雅弘

    ○中路委員 これで終わりますが、もう一つ、これは施設庁の直接担当じゃないのですが、たとえば流域下水道ですね。東京都の流域下水道へ今度流すわけですね。そうしますと水質の関係の法案から言いますと、相当汚染度の高いのは途中で一定の処理をしてやらなければいけないということになっていますね。だからいまもうすでにつながる、五十二年あたりから出てくるわけですけれども、私たちちょっと現地の話を聞きましたら、米軍の方でそういう中間的な処理をしていく施設は全くまだ考えてない現状らしいというお話なんです。しかしこれはどの程度の汚水が出てくるかということの結果にもよると思うのですが、そういう調査も、やはり関係の市町村にもなるかと思いますが、やって、そういう施設が法的に必要ならばやらないと、ただ流域下水道へどんどん流し込むというだけでは済まない問題ですね。この点についても一応関係者の間で検討をしなければいけないと私は思うのですが、いかがですか。
  144. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 いまの汚水の問題は一般の環境、要するに基地があるための環境問題として一般的な基準で私ども臨んでいきたい。したがって排水される場合に、一般の民間がやっておる程度のものは流し得ると思うのですが、基地の外で非常に制約を受けておるものをそういう基地だけが流すというようなことがあれば、これはやはり措置すべきだろうと思っております。
  145. 中路雅弘

    ○中路委員 終わりますが、横田基地の問題は改めて、きょう時間がなかったのでできないだろうと思っていたのでありますけれども、御存じのようにあの周辺の住宅から油がにじみ出たり、大変な事態が周辺の団地にもたくさん起きていますね。これは恐らくあの基地の中のいろいろ処理ということが十分でない結果だろうと私は思うんですが、これも問題点を十分明らかにして、改めて取り上げていきたいと思います。  大分私時間を超過してあれですが、受田先生が来るまでちょっとやっておってくれというので若干延ばしてやっていたんですが、終わりの施設庁長官の時間もあるでしょう。私どもの方の瀬長議員の質問にそうなると響いてきたので、これで終わっておきます。
  146. 木野晴夫

    木野委員長代理 それでは速記をとめて。     〔速記中止〕
  147. 木野晴夫

    木野委員長代理 速記を始めて。  受田新吉君。
  148. 受田新吉

    ○受田委員 最初に板門店事件を議題にしたお尋ねをいたします。  先般、板門店において起こりました南北朝鮮の境界線における事件、これに対して政府の見解をさき伺いました。私ただ一つ気にかかることは、この事件におきまして当然関係する問題として、韓国にある国連軍の性格の問題でございます。韓国にある国連軍は、これは国連憲章の精神を尊奉して行動する部隊であるか、あるいは日米安保条約に基づきまして、その行動は日米安保体制の関連において許されるという立場がございますので、国連憲章の精神とはいささか異なる行為も認められるのかどうか、この問題を伺ってみたいと思います。  特に国連憲章第二条の四項に、「その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を慎まなければならない。」という規定があるのでございますが、これとの関連で御答弁を願いたい。——それではこの問題は後にお答えをいただくことにいたしまして、別途質問を続けます。  私、小川中国駐割日本大使がこのたび帰られて発言をされたことの中に、ふと気にかかる言葉があるのでございます。それは日本の現在の政情に対しては非常に不安があって、中国当局として、日中の間における新しい条約の設定への前進に非常な壁があるという意味のことが予想される談話を新聞報道で承りました。この点、現政権がぐらついていることに対して、中国当局が非常な不安を抱いておる、中国の態度は一貫しているが、日本側の態度によってこの問題がすぐ解決しそうにないという意味の発言に承ったのでございまするが、これに対して御見解を伺いたいと思う。
  149. 大森誠一

    ○大森説明員 ただいま先生が御指摘になりました小川大使の発言というものは、多分けさの新聞に一部報道されております記事に基づいての御指摘かと存じますけれども、私どもが承知しておりますところでは、この日中平和友好条約の締結については、中国も以前と変わらぬ熱意を有しているということを、小川大使の今回の帰国直前に先方の韓念竜外交部副部長会談した際に得た印象であるというふうに伺っている次第でございます。私どもとしては、特に中国側がこの条約の締結がおくれていることについて、日本の政情を指摘して何か議論したというふうには必ずしも伺っていない次第でございます。
  150. 受田新吉

    ○受田委員 小川さんが一年ぶりに帰られて、中国の新しい政権、華政権になっても日本に対する外交方針は一貫しておる、ところが日本側のもたついた政権の現状から、これを相手にするのには非常な不安があるという意味の印象を語った談話、私も現にそう思うんです。この点、覇権問題等をめぐって日本防衛にも影響するような中国との関係をわれわれ考えるときに、むしろこの際、日本から特別の大使あるいは総理か、これに準ずる重大な任務を持った特使を派遣するなどの期待を持っておったわけでございますが、これが現状においては不可能である、こういうことになりますね。事務当局として御答弁をいただきます。
  151. 大森誠一

    ○大森説明員 日中平和友好条約の交渉をどのように今後推し進めていくかという点、特にただいま先生が述べられましたどういうレベルでの交渉をするかというような点につきましては、非常に高度の政治判断の問題であろうと存じますので、事務当局の者といたしましては、その点について申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  152. 受田新吉

    ○受田委員 そういうことになると皆御遠慮することになるわけですが、海洋法を御所管されている局長は……
  153. 村田良平

    ○村田説明員 条約局の参事官でございます。
  154. 受田新吉

    ○受田委員 きょうは、特に新聞を拝見して感じた——海上保安庁の海洋法の改正に伴う措置として領海十二海里、経済水域二百海里という問題を前提にした海上保安装備計画の充実を拝見したわけです。これは、海洋法そのものは必ず成立するものとして海上保安庁は立案計画、発表されたのかどうか、それに対して条約局の御答弁、お答え願います。
  155. 村田良平

    ○村田説明員 いま先生御指摘になりました、海上保安庁がいかなる考え方のもとに措置をとったかということは私ども十分存じておりませんけれども、ただ、従来の海洋法会議の進展から見ますと、先生御指摘のとおり、領海十二海里あるいは経済水域二百海里ということが原則としては定着しつつあるということは言えると思いますので、そういう事態が将来起こることに備えて検討を進めているものであると考えます。
  156. 受田新吉

    ○受田委員 保安庁次長……。
  157. 間孝

    ○間説明員 先般、海上保安庁の新海洋秩序に対応する体制の整備ということで、巡視船艇あるいは航空機の増強計画を新聞に発表いたしたわけであります。これは、ただいま外務省の方からもお答えのございましたように、現在進行いたしておりますこの新しい海洋法の制定の動き、これを見ながら、将来予想される事態に備えて体制の整備の計画をいま進めておるところでございます。ただ、お断り申し上げますが、この計画と申しますのは、必ずしも海洋法そのものと直接結びつくものではございません。現在、海上保安庁が抱えておりますいろいろな問題、これに対処をいたしていく上におきまして、当面この程度のものはどうしても必要である、しかも、将来新しい海洋秩序ができるということを見通して考えました場合に、それも含めて必要な最小限度のものとして現在計画を進めておるわけでございます。
  158. 受田新吉

    ○受田委員 いま条約局のお話を承ると、もうこの海洋法の見通しは非常に明るくて、すぐにでも成立する可能性があるという理解のようでございます。それに備えてヘリ積載大型船などの海上保安庁の増強三カ年計画ができた。必ずしもそれではないと言いまするけれども、それを前提にしておるということは新聞報道で伺っておるわけで、それを前提にしてないとは言えないわけですね。  そうすると、この領海問題は、もう見通しとしては定着しているというような御答弁でございまするが、これは今会期の中で期待ができるのですか。
  159. 村田良平

    ○村田説明員 先ほど定着していると申し上げましたけれども、それは領海を十二海里まで拡張すること、あるいは経済水域二百海里を認めるといういわば原則につきまして各国のコンセンサスがほぼでき上がっておるということでございまして、しかしながら、そういったような新しい海の秩序をいかなる条件のもとに認めるかということにつきましては、なお交渉が行われておるところでございます。たとえば経済水域を二百海里まで認めるといたしまして、その部分が果たして公海であるのかどうかというふうな点につきましては、現在ニューヨークでまさに討議が行われておるところでございまして、したがいまして、原則としてのコンセンサスは定着しつつございますけれども、非常に早くそれに関連する諸条件について合意が達成されるかどうかということになりますと、なお相当紆余曲折が予想をされると思いす。今会期におきまして完全にそういった諸点について合意ができる可能性はどうかということは、いまの段階で即断いたしかねますけれども、かなりむずかしいのではないかという感じてございます。
  160. 受田新吉

    ○受田委員 かなり困難である、——またもう一つニューヨークで公海問題等も出ておるということでございますが、日本側の考え方としては、そういう近く決められる問題点だけは一応頭に入れて御研究願っておると思います。  そこで、今度は防衛に関するこれにつながる問題点を指摘したいのですが、領海が十二海里となることで国際海峡となる海峡、これは日本の場合、また世界の場合、余りだくさんはないと思いますが、お答え願います。
  161. 村田良平

    ○村田説明員 領海が十二海里に広がることによりまして、従来公海部分のありました国際海峡に使用されておる海峡の公海部分が消滅するという事態に備えまして、そういった海峡については特別のレジームをつくろうということで、現在海洋法会議で審議が行われているわけでございます。ただ、この点につきましてもなお審議が続いておりますので、具体的に、わが国の周辺におきましてどの海峡が新しい海洋法のもとにおける国際海峡かということを申し上げるのは、なお時期尚早ではないかという感じがします。
  162. 受田新吉

    ○受田委員 いかなる場合にも対処する体制というものは日本国は用意しておかなければならぬ。その場で急に態度を決めるというような生ぬるい不用意の政府であっては安心できないわけです。こういう場合にはこういう、こういう場合にはこういうという対応策を常に用意しておかなければいかぬわけです。外務省は答えが出るまでは対応策を全然考えなくてぼんやりとながめておって、答えが出たら大急ぎで不眠不休でやろうというようなのろまな役所かどうかを御答弁願いたいのです。
  163. 村田良平

    ○村田説明員 私の申し上げた答弁が若干舌足らずであったかと思いますけれども、そういう趣旨ではございませんで、いかなる海峡が国際海峡であるかということを最終的に決定するにつきましては、今後の海洋法会議における議論も踏まえまして、最終的にでき上がりました条約に基づいて解釈を下すべきものである、こういう考えでございます。
  164. 受田新吉

    ○受田委員 いま指摘しました十二海里が通った場合に国際海峡となるのがどれかという指摘もできないような外務省とは私は思わなかったのです。その場合はこうなるという答えが出ると思った。その予備調査もしてないようなのろまな外務省であるというのをいま承ったわけで、私が質問したことに答えていらっしゃらぬ。お答え願いたい。
  165. 村田良平

    ○村田説明員 いま海洋法における討議の基礎となっておりますのは、委員長が非公式な文書として作成した単一草案というものでございますが、これによりますと、国際海峡とは国際航行の用に供せられる海峡ということになっております。したがいまして、恐らく最終的には常識的な判断が必要かと思いますけれども、従来わが国を含めまして諸外国の船舶が非常に多く通航しておる海峡というのは、一般論といたしましては恐らく国際海峡とみなすべきであろうと思います。そういう点から言いますと、わが国の周辺におきまして、幾つか非常に国際的な航行の用に供せられる量が多い海峡がございますので、こういった海峡は国際海峡ということになるというふうに一応推定しています。
  166. 受田新吉

    ○受田委員 公務員としては優秀な外交官がはべっておられる外務省ですから、常にそうした対応策を真剣に研究して、用意しておかなければならぬ。ニューヨークの様子を見てそのうちに答えを出しましょうというようなことではいけない。資料は常に用意しておかなければいけないと思うのです。  わが国の周辺である津軽海峡、対馬海峡等はこの問題にひっかかる海峡だと私は思うのですが、どうですか。
  167. 村田良平

    ○村田説明員 津軽海峡あるいは対馬海峡については、国際海峡であると考えることが恐らく妥当ではないかと思います。たとえば対馬海峡、いわゆる東水道の場合でありますと、十二海里ずつそれぞれ領海がふえましてもなお公海部分が若干残るというふうな海峡でございまして、果たしてこういった海峡が国際海峡とみなされるべきかどうかということは、今後さらに海洋法の議論を通じて結論を出すべきものと考えます。
  168. 受田新吉

    ○受田委員 この新しい事態が起こった場合、これらの海峡が自由航行となった場合に、そこを国籍不明の軍用機が通航することに対してはどうなるのか。防衛庁はどう判断しておるのか。もう論議されていることですから、お答えの準備はできておると思います。
  169. 伊藤圭一

    伊藤説明員 現在、対馬海峡におきましては外国の飛行機が通っております。津軽海峡では外国の飛行機が通ったということは余り聞いておりません。しかしながら、外国の飛行機が通るということについて領空侵犯ということになりますと——まあ領空侵犯しない形で通るということになると思います。したがいまして、いまの領空侵犯の態勢あるいは防衛の体制から考えまして、直ちに非常に大きな影響があるというふうには考えておりません。
  170. 受田新吉

    ○受田委員 国籍不明の軍用機が通航することに対しては、従来スクランブルをかけてきたわけですね。それがもう今度は公然と自由航行ができるということになるならば、その際はスクランブルはやめるということですね。
  171. 伊藤圭一

    伊藤説明員 これは、どういう形になるかわからないものでございますから、いまお答え申し上げるのは非常にむずかしいのでございますけれども、現在のような形の領空侵犯の態勢を維持していきたいというふうに考えております。
  172. 受田新吉

    ○受田委員 自由通航が許されるような状態になってもスクランブルはそのまま続けるというのですか。それはちょっとおかしいのではないですか。
  173. 伊藤圭一

    伊藤説明員 どういう形になるのか、まだはっきりわかりません。というのは、現在でも通っていないところは通っていないわけでございますから、そうして現在の領空侵犯態勢をとっているわけでございますから、現在の領空侵犯態勢というものが非常にふぐあいになるというふうには私どもはまだ考えていないわけでございます。
  174. 受田新吉

    ○受田委員 通っていないと言ったって、それは通る場合も予想できるわけですね。スクランブルというものはそういうことを予想してやるわけです。今後は自由通航ができることになれば、スクランブルはもう必要がなくなるという態勢に私はなると思ったのですが、自由通航の時代が来ても従来の態勢は続ける、すなわちスクランブルは引き続きかける、こういうのは私、ちょっと理解に苦しむわけです。
  175. 伊藤圭一

    伊藤説明員 スクランブルというのは、領空に入ってからスクランブルをかけるのではございません。したがいまして、領空を侵犯するおそれのある飛行機をレーダーでつかまえましたときにはスクランブルをするわけでございます。したがいまして、同じような態勢をとっていくということになると思います。
  176. 受田新吉

    ○受田委員 それが、従来のような認識であるならばスクランブルをかけたものが、今度新しく日本の領海化した海峡の自由に航行できるところを自由に通るという意味で通るやつにまでそれを追跡する——スクランブルというのは追跡していくわけでしょう、それがちょうど自由航行のできる海峡を通ることになれば追跡する必要はないことになるのです。
  177. 伊藤圭一

    伊藤説明員 先生は、飛行機というのは勝手に飛んでいるというふうにお考えかと思いますけれども、飛行機というのは常に出発点それから行く先というものを地上で把握しているわけでございます。したがいまして、レーダーで見ておりますのは、いわゆるそういった敵、味方の識別のつかないもの、そういうものに対してスクランブルをかけているわけでございます。したがいまして、現在でも公海上を通っているものでもわからないもの、そしてまたわが領空に近づく危険のあるもの、そういうものに対してはかけるわけでございますから、飛んできたもので、しかも敵、味方がわからないもの、そういうものにはスクランブルをかけるということになると思います。
  178. 受田新吉

    ○受田委員 ただ、自由通航ができるようになった事態はもう公然と飛んで差し支えないことになる、こういう理屈で飛んでくる。それに対してはたてまえとしてはもう全然警戒をしないという、船の場合でもそうですね、潜水艦が通るときでも同じことです、浮上した場合、従来とは違った認識にならなければならぬ、飛行機だろうと潜水艦であろうと。自由通航という問題になってくると、防衛上の新しい事態が起こると私は判断するのですが、従来と同じものだとおっしゃるから私はちょっと問題があると言うのです。
  179. 伊藤圭一

    伊藤説明員 繰り返すようでございますが、船と飛行機は違うわけでございます。船はあるコリドールがありますとそこを自由に通るかもしれませんけれども、飛行機というのは常に前もって連絡をしなければならないわけでございますし、またその狭いところを黙って通るということはほとんど不可能でございます。したがいまして、敵、味方わからないものについては、領空に近くなりますとスクランブルをかけるというのは従前のとおりだろうと思います。
  180. 受田新吉

    ○受田委員 これは防衛当局としては、今度の新しい領海及び水域の設定に対処して、従来と空の場合は変わらない、それから潜水艦の場合は当然変わってくる、こう分類して考えておられるのですね。ちょっと私、意味がよくわからぬ。
  181. 伊藤圭一

    伊藤説明員 特に分類しているわけではございませんが、機能的に見まして、飛行機に対する措置というのは変わらないだろう、それから船の場合には、防衛の観点からいたしますと、これは自衛に必要な範囲で公海上でも行動することになっておりますから、そういう観点から防衛上は考えていきたいというふうに考えております。
  182. 受田新吉

    ○受田委員 私、長官に対する質問でちょっとポイントを押さえて三つほどお尋ねしてみたいことがあるのです。  長官、あなたは先般、自民党の造反大臣たちが一堂に会して反三木結集勢力の決議をされたときに、これに参加しておられない。あなたの談話を拝見して、りっぱな防衛庁長官だと思いました。防衛庁長官としては中立を守る、私は三木内閣総理大臣の指揮監督を受ける防衛庁長官である、これは非常にりっぱな態度である。内閣総理大臣防衛の指揮権の最高権威にいらっしゃる。防衛庁長官はその指揮監督を受けながら三軍を率いる指揮官として重大な最高のポストにいらっしゃる。その意見が違うて、いつ外部の武力侵略があるか、いつ治安出動をしなければならぬかわからぬというときに、総理がそれに対して対応策を出そうとするときに、造反防衛庁長官がおって、私は知りませんよと言うて造反部隊の方へ駆け込むような防衛庁長官であったら、これは私も大変不信であり、また自衛官にしても、総理と防衛庁長官が意見が違うて、おれたちはどっちの言うことを聞けばいいのかというようは不安を抱くことにもなる。そういうときに坂田防衛庁長官は、国務大臣、同時に防衛庁長官としてこの造反国務大臣の仲間入りはしない、こういう態度をとられたことは、三軍の自衛官の皆さんに対する一応の安堵感というものも与えてきたと思うのです。いまや総理と閣僚の大半とがにらみ合いをしているというようなあさましい現実、国家国民を忘れたような形になっているこの政治の現実、国民が本当に政治不信を抱いている状態です。派閥で日本政治をやるのでなくして、国家国民を考え政治というものを願っているときに、坂田防衛庁長官の態度は日本防衛の最高責任者としてごりっぱであったと思いますが、長官、私のその意味における激励に御答弁を願いたいと思う。
  183. 坂田道太

    坂田国務大臣 これはいまおっしゃいましたとおりで、職務の重さといいますか、それがそうなければならないということをあたりまえに態度で示したというだけでございます。
  184. 受田新吉

    ○受田委員 あたりまえのことをやる大臣が少ないわけでございまして、その点坂田防衛庁長官に敬意を表しまして、いまから大臣にお答えを願いたい問題のその第二の問題に入っていきます。  私はシビリアンコントロールという問題を非常に真剣に考え、長いことこの問題を常に当委員会で提起してきたのでございますが、過去の事例を見ますとどうもこのシビリアンコントロールに対する国民の信頼を欠く問題が続出してきたわけです。まあ大臣もよく反省しておられることですが、機種選定の問題等何回かその変更が試みられておる。それから国防会議にかける事項とおぼしきものが懇談会などで処理されておる。沖繩に対する物資を持ち込む事件などが非常に当時問題になった。三つ矢の教えじゃないが三矢事件。シビリアンコントロールの立場から見て、過去において幾つか反省しなければならぬ問題があったことを長官御存じと思うのですが、シビリアンコントロールに対する国民の信頼を本当に得るためにどうあるべきか、いまの機構でよいのか。先般井出官房長官が国防会議の構成その他についての見解を表明しておりましたが、長官として、これに対して国民の信頼にこたえる、防衛体制に対するいま指摘したような問題を含めた御答弁を願います。
  185. 坂田道太

    坂田国務大臣 私はシビリアンコントロールの真の意味というのは、やはり実力部隊たる陸海空の自衛隊政治優先という形でコントロールする、言うならば国会がその一番大事な場所であるというふうに思うわけです。     〔木野委員長代理退席、竹中委員長代理着席〕 なぜならば、主権在民の世の中において選ばれた国会議員の皆様によって構成された国会、しかもまた、内部におきましては総理大臣中心とした国防会議中心としてコントロールする、こういうたてまえになっておるわけで、第一にはやはり私は、いま私の口から申し上げてはいけないのかもしれませんけれども、国会自身でひとつ常任委員会はぜひともつくっていただきたいというふうに思います。そうでなければ真の意味におけるシビリアンコントロールの実現はなかなか困難であるということ、それが一つ。  いま一つは、やはり今日の防衛というのは単に軍事力のみによってではなくて、外交、経済、民主安定、そういったいろいろの観点から総合的な平和維持の機能として働かなければならないわけでございますから、やはり国防会議中心として、もうちょっと実質的に安全保障の広い意味からいろいろの場合に議論をし、また備え、そして措置ができるようにしていただきたい、かように思うわけでございます。  また、従来わが自衛隊の中におきまして、いろいろシビリアンコントロールに反するような問題があったことにつきましては、防衛庁長官を初めといたしましてわれわれシビリアンが十分管理監督、そしてその運営よろしきを得なければならぬ、こういうふうに思っておるわけでございます。  国防会議につきましては、これまた総理大臣がお考えいただかなければならないことでございますけれども、やはりもう少し活発な論議をしていただきたいというふうに思っております。私就任いたしましてからいままで国防会議を開くこと五回、それから国防会議議員懇談会を開きますこと五回、約十回開いておりまして、いままでより少しは開かれるようになってまいったわけでございますが、これから一層国防の問題について、安全保障の問題について議論をする、討議をするということが、やはりシビリアンコントロールを達成する道であるというふうに思っております。
  186. 受田新吉

    ○受田委員 長官防衛庁長官という地位は、あなた御自身が構成員の一人でもある国防会議、これに対して非常に影響力を与えておると思うのです。それは従来国防会議の出す原案が、防衛庁の当局が用意したものをそのまま国防会議事務局も大半はうのみにして出したというような問題もあるわけで、この点について、もっと外交問題も含め、経済問題も含め、国民の意思等も含めて平和的な外交努力、国民の合意、経済の実情等を勘案して高度の国策決定でなければならないのですね。その点あなたは非常に幅を広げて、在任中にいま申し上げた高い観点からの国防というところへ認識を持っておられるし、それから、ちょっとおもしろいと言っては失礼ですが、基盤防衛力、こういう名称も創造——これはどこから出た言葉でございましたか、それも含めて、新しい観点から日本防衛考えようとしておられるのですね。そこで、ひとつ思い切った改革をやられる必要があるのです。それは、私はここで何回か提案いたしましたが一向にまだ前進していない。国防会議の構成、国防会議という機関を防衛庁設置法の末尾にちょっと入れておるのですね。国防会議の構成等に関する法律が別にできているけれども、その根元は防衛庁設置法の末尾にあるのです。むしろこれは別途、そういう末尾にあるようなものでなくして、特別に大きな前提としてこれをうたって防衛庁設置法から外すべきだと思うのです。それが一つ。  それから、引っかけて言います。治安出動、自衛隊法七十八条にある治安出動、これは内閣の考え方一つでやれるようになっている。国会の意思を最初は問わなくてもいいことになっている。むしろ治安出動というようなものは、この最も重大な防衛出動と対応するものであるから、国会の意思を前提にするということに変えてはどうか。国防会議の職務権限の中に付議事項として、治安出動のようなものはそれは当然かける、表面に押し出していいのじゃないかという問題も一向に実を結んでおらぬ、そういうような問題を根本的に考え直していくときに来ておるのではないかと思うのでございますが、御意見を承りたい。
  187. 坂田道太

    坂田国務大臣 それは先生のお考えは非常に貴重な御意見でございますし、あるいはあるべき姿はそうではなかろうかと私は考えるわけでございます。しかし、これはあくまでもやはり総理大臣中心となってお考えいただかなければならない問題だと思います。もちろん私として必要な限度におきましてはアドバイスをいたすつもりでおります。私は、現在与えられておる国防会議の中におきましても、もし国防会議議員の皆様方が本当に安全保障という観点に立って、しかも先生御指摘のような考え方を精神に持って運用するならば、いままでよりずっと変わった国防会議の運営ができるというふうに思っておるわけです。日本人はともいたしますると、制度を変えるときには非常に一生懸命でございますが、それを運用する場合に、どうも人を得ないがために結局その制度が生きないということが間々あるわけでございまして、私は、やはりまず現在ある制度を十二分に生かすということに工夫をこらし、そして実際やってみて、どうしてもそれでなければいけないというときに初めて制度の改革に踏み込んだらどうだろうかという、実は私の立場上でもございますけれども、そういう現実的なアプローチを考えておるわけでございまして、いま私ができます最大限のやり方といたしましては、総理にお願いし、官房長官にお願いし、各国防会議のメンバーの方方にお願いいたしまして、現在ある国防会議を本当に生き生きとしたものにいたしたい、あるいは先生のおっしゃるような精神に基づいてひとつ改めたらどうだろうかということをいま強く御要望を申し上げておるということでございます。
  188. 受田新吉

    ○受田委員 長官お話の中で、制度は生かして、なるべく変更しなくてもやり方で変えていきたいんだというお話でございましたが、しかしそれも限界があるわけです。時の流れ、それは素直に受けとめなければならないわけです。  たとえば、いま国防会議の構成員の中に通産大臣、科学技術庁長官、官房長官というのが入っていない。考えてみると経済を抜きにはこの国防は考えられない、通産大臣を入れよう、それから科学技術庁長官は科学技術の進歩の中で防衛考えるべきだ、そして内閣の番頭の官房長官を当然入れるという方針は何年にできたか、四年くらい前の閣議ですでに決まっておるのじゃないですか。それが一向に正式メンバーにもなっておらぬということ、あれは閣議決定ではなかったのですか。何かそういう方針になっておると思っておるのですが、それが一向に実を結んでおらぬ。やはりメンバーとしてはいま申し上げたような人も入れて、本当に真剣に高度の防衛国策を決めるべきだ。これはやはり閣議で一遍決めておきながら、その法の改正さえできぬということにどこやらこのシビリアンコントロールに対する熱意の欠如がある。いまなるべく制度を変えたくないと長官がおっしゃったが、そういうところがやはりここへ響いておるのじゃないですか。
  189. 坂田道太

    坂田国務大臣 やはり先生御指摘のとおりに、そういうものをきちんとしなくてはいけないと思っております。恐らくこれは閣議決定がなされておりますけれども、正式のメンバーにはなっておられない、しかし関係の閣僚が出席できるようにはなっております。——入れておると思っています。
  190. 受田新吉

    ○受田委員 正式のメンバーではないが意見は聞くということと、それに対する決議権を持つということでは違うのです。やはりいま申し上げたようなあれは閣議決定になっていなかったのですかね。あれは閣議で決めたのではなかったのですか、申し合わせですか。
  191. 坂田道太

    坂田国務大臣 恐らく閣議では決定になっていると思います。
  192. 受田新吉

    ○受田委員 閣議決定になったものがどうして法改正に出てこないのかですね、これは一つ問題ですよ。そしてオブザーバーで従来意見を聞きよるが、それよりいいと一遍決めておきながら、それがいつまでも閣議決定が実行されないというようなことは内閣の指導力にも影響しておるわけなんで、これが法律の改正になり得ない事情がどこにあるのか、どこかに抵抗勢力があるのかどうか、事務当局はわからないでしょうか。これは大臣でなければわからないですかね、抵抗勢力はどこにあるか。潜在勢力でも結構です。
  193. 坂田道太

    坂田国務大臣 私、そこのところはどこにあるかわかりませんが、やはり国会に提出しなければならないので、その辺の考慮が従来あるのではないかというふうに思います。しかし、やはりこの辺は改めて考えなければならない問題だと思います。
  194. 受田新吉

    ○受田委員 国会に対する気がね、むしろわれわれはこうしたシビリアンコントロールというようなものが強化されるということを願っておるわけだし、それから他の野党の方々には御異論があるのですが、うちの方は防衛委員会を国会の中へ常任の性格を持って設置することを願っておる、そういう状態でありまして、是とするときはこれを実行に移して結構なはずです。国会を気がねしてやられる筋としては、一々国会が壁になるというようなことで、そうした問題さえも差し控えておるという、いま大変大事な問題を私伺ったのでございますが、制度の陰で現在の制度をなるべく生かしてという、そんな消極的なところで日本のシビコンが成立するとは思いません。  それからもう一つ、昭和四十七年十月九日は、田中国会議議長から例のPXL白紙還元の提議があって、議員の方々がそれに異議なし、あっさり決まったというわけです。そういうことは私むしろ、議員が、正式メンバーがたくさんおれば、そのたくさんのメンバーから意見が出て、かんかんがくがくたる意見の結果、その議長提案が決まるとかあるいは葬られるとかあるべきだと思うのですが、長官、国防会議の正式の会合、何回か経験されましたか。
  195. 坂田道太

    坂田国務大臣 先ほど申しましたように正式の国防会議は五回、それから議員懇談会が五回、十回経験しております。
  196. 受田新吉

    ○受田委員 その際、議員たる大臣たちがかんかんがくがん所論を開陳して、祖国を思い、国民を思って意見が交わされたかあるいはシャンシャンに終わっておるか、御答弁を願いたい。
  197. 坂田道太

    坂田国務大臣 私はかねがね申し上げておるように、もう少しやはり実質審議が行われるべきだと思います。わりあいに静かなる会議に終わっておりました。私、歴史をひもといてみますと、約二十年になりますが、前半の十年ぐらいは統幕議長等もかなり出まして、そして国際情勢軍事情勢についての報告もしておるように聞いておるわけでございますが、あとの十年はきわめて形式的になって、最近でございますと、主要装備をただ承認を受ける、それから予算編成をやるときに、そのちょっと前の時間に国防会議を開いて、そしてそれを御承認を得て、そして閣議決定をするというふうになっておりましたので、これではいかにもふさわしくないのではないだろうかと思いまして、私意見を申し上げまして、できるだけ国防会議を開いていただく。特に軍事情勢等もお話し合いをしていただきたいということで、昨年はベトナムの陥落、アメリカ軍の撤退、それに基づいて同じような事態が朝鮮半島で起こるならばどうだろうかというような国民の心配もございまして、統幕議長にも説明をさせたということで、最近はかなり活発に議論が行われてきておる。この間の八月の二十日には約二時間いたしまして、これはかなり国防会議にふさわしい議論が、討議がなされたということを申し上げておきたいと思います。
  198. 受田新吉

    ○受田委員 かつて中曽根防衛庁長官在任中に、国防会議の事務局長は茶くみであるという発想に基づく御発言があったわけです。歴代防衛庁長官の言行録を御記憶に相なっておるかどうか、御答弁願いたい。
  199. 坂田道太

    坂田国務大臣 いまの話は、受田先生から初めて承った次第であります。
  200. 受田新吉

    ○受田委員 恐れ入りました、それが初めてということなら。それは非常に大事な発言なんです。つまり、防衛庁長官の認識の中に、国防会議というものはほんに据え物である、弱いものだ。防衛庁がリーダーシップを発揮してやればいいのだというので、国防会議の事務局長というのは大体次官級の人がなっているところでありますが、指定職では非常に高い水準にあるポストです。しかし、防衛庁長官の茶くみのような地位にしかないように見られておる。元長官御自身の発言です。そこで国防会議の性格が弱まり、権能が薄められ、そして議員の構成を拡大するその閣議決定、これの方へ持っていかないし、防衛庁設置法の末尾に小さく規定されておるということです。いま申し上げたような諸点を勘案して、防衛庁長官は、国防会議というものはシビリアンコントロールの一つの拠点であるということをもっと大きくクローズアップさせるべきだと思うのです。  もう一つ外務省来られましたね。これは非常に大事なことで、さっきの質問にひっかけて聞くのですけれども、日本におる在日米軍がこの板門店事件で出動しているということになるのではないか、お答えを願いたい。
  201. 山崎敏夫

    山崎説明員 沖繩の嘉手納基地におりますF4飛行隊の一隊が今回の板門店事件関連いたしまして、八月十九日、嘉手納基地から朝鮮にあります米軍の基地に移動したということは事実でございます。
  202. 受田新吉

    ○受田委員 その移動した場合には、国連軍という性格を持つのかどうかです。
  203. 山崎敏夫

    山崎説明員 この点に関しましてはわれわれとしては詳細を承知しておりません。
  204. 受田新吉

    ○受田委員 国連局の参事官。
  205. 大塚博比古

    ○大塚説明員 いまアメリカ局長が言われたとおりでございます。私ども詳細承知しておりません。
  206. 受田新吉

    ○受田委員 移動した場合に、韓国に行けば、韓国におる米軍というのは国連軍じゃないですか。
  207. 大塚博比古

    ○大塚説明員 韓国におります米軍というのは、在韓米軍の司令官の指揮下にあるわけでございますが、安全保障理事会の決議に基づきまして、一九五〇年の決議でございますが、いわゆる国連軍というものが結成されましたときに、アメリカ政府が、国連軍の司令官は米国政府が提供するというオファーをして、それを受けておりまして、したがいまして現在韓国におりますいわゆる在韓米軍の司令官は同時に国連軍の司令官でもあるわけでございます。
  208. 受田新吉

    ○受田委員 私は在韓米軍の司令官の傘下に嘉手納から行った飛行部隊は入るのじゃないかという質問をしているわけです。
  209. 大塚博比古

    ○大塚説明員 いま申し上げましたとおり、法律上は、全く法律上から見てみますと、そのいま先生がおっしゃいました個々の軍隊の構成員がどちらの司令官の、すなわち司令官というのは一人でございます。ただ肩書きが二つあるわけでございますので、どちらの肩書きで行動しているかという点になりますと、具体的なその軍隊の構成員がどちらの肩書きの司令官の指揮のもとに行動したかどうかということは詳細は存じておりませんということでございます。
  210. 受田新吉

    ○受田委員 それは、やはり日本の基地から飛んでいった部隊が韓国に移動したということは、日米安保条約の原則から言ってもわれわれ重大な関心があるわけでございますから、それは横須賀の方からも出ておる、グアムからも出ておるということになれば、それらを総合的に見て、日本の基地から出た部隊があるのだという答えが出る。そうすると、それが韓国へ移動しておるということになれば、これは日米安保体制の上からも大事な問題だ。すでにさっき報告を受けたというか、どうですかね、あれ。
  211. 山崎敏夫

    山崎説明員 このF4一飛行隊が嘉手納基地から韓国にあります米軍の基地に移動いたしますに先立ちまして、外務省に対して通報があったことは事実でございます。
  212. 受田新吉

    ○受田委員 この米軍の移動ということは、今度の板門店事件をただ単に突発的な事件であるとするならば、そういう大がかりな移動はなかったと思うのです。突発的なものと判断をしたとは私は思いませんが、いかがでしょう。
  213. 山崎敏夫

    山崎説明員 ちょっと御趣旨を十分理解していないかもしれませんが、むしろ板門店におきますいわば突発的に起こった事件に対応する一つの警戒措置としてこういう移動が行われたものと考えております。
  214. 受田新吉

    ○受田委員 もしこの事件がそう重い問題でなければ、いま申し上げたような各所から韓国に移動するというのは明らかにそれは大きな軍事的示威、デモンストレーションということになると思うのです。だから突発的な事件にしては余りにも大がかりな示威運動をやっておるとしか見えません。したがって、韓国の在日米軍国連軍なんだ。いまお話のとおり、一九五〇年の安保理事会の決議に基づいて国連軍となる。あちらへ移動したら国連軍の指揮下に入る。それがわからぬというのはどうも私はわからぬです。韓国におる部隊の中に国連軍の司令官の部下にない部隊が、別に米軍がおるというようなのは、どう見ても軍事系統の上からも理解できないですよ。そういう意味で、国連軍として行動する部隊だということです。そういう解釈になる。韓国におる国連軍といえども、やはり国連憲章の精神には従わなければならぬ。  これはひとつ参事官の大塚さんに私聞きたいのですが、国連憲章第二条四項にある「その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を慎まなければならない。」というこの規定は、韓国国連軍といえども同様の使命があるのではないですか。
  215. 大塚博比古

    ○大塚説明員 先生から御指摘のございましたのは、国連憲章第二条四項の規定のことをおっしゃっているのだろうと思いますが、この規定はすべての加盟国に対する義務という形に形式上、文言上はなっております。
  216. 受田新吉

    ○受田委員 そればそうなんです。だから、いまの一九五〇年の安全保障理事会で決まったというものであっても、やはり国連憲章のこの条項に従わなければならぬと私は思うのです。何か韓国だけ特典が別にあるのですか。
  217. 大塚博比古

    ○大塚説明員 ちょっと御質問の趣旨、あるいは取り違えたかもわかりませんが、念のために申し上げますと、いわゆる国連軍司令部と申しますのは、朝鮮事件が勃発しました直後に安全保障理事会が、これは一九五〇年でございますが、いわゆる北側からの南側に対する攻撃を「武力の行使」というふうに認定いたしまして、すなわちこれは国連憲章で言えば三十九条の「平和に対する脅威、平和の破壊又は侵略行為の存在」というのがあったと決定をいたしまして、それに基づいて、それではそういった「国際の平和及び安全を維持し又は回復するために、」どういう措置が適当であるかというのが、同じ国連憲章の三十九条に安全保障理事会の勧告権限としてございますが、それに基づいて設置された機関でございます。その問題と先ほど御指揮のございました第二条四項の問題、これは私先ほど御説明いたしましたように、すべての加盟国に対する義務という形になっております。したがいまして、二条四項と三十九条との関係がどうなんだということにあるいはつながるかとも思いますが、三十九条は先ほど申し上げましたように、安全保障理事会自体、すなわち国際連合自体がある特定の行為を「平和に対する脅威」あるいは「平和の破壊」または「侵略行為」というふうに判定して、その結果構成された国際連合軍司令部でございますから、当然これは国連憲章に基づく行為でございます。そうしてみますと、最初に戻りまして恐縮でございますが、二条四項というものの書き方は、すべての加盟国に対する義務である。しかも、その条文をもう一回読んでみますと「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、」——ここでちょっと強調したいのでございますが「国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。」こういうふうになっておりますので、当然安保理決議に基づきます国連軍司令部というのは国連憲章に基づくものである、したがって、国連憲章の目的に従って行動しているユニットであると考えます。
  218. 受田新吉

    ○受田委員 しかし、その後の休戦協定で安保決議の米軍国連軍は武力行使を一応抑えられておるのではないですか。
  219. 大塚博比古

    ○大塚説明員 ちょっとこれも私御質問を取り違えたかもわかりませんが、休戦協定というのはまさにその言葉が示しておりますとおり、双方当事者はその武力を行使しない、要するに、お互いに戦闘行動をとらないという趣旨でございますので、当然その休戦協定の上から、武力行使を初めに一方の方からやるということはもちろん休戦協定違反になるわけでございます。
  220. 受田新吉

    ○受田委員 長官、これは長官として考えておいていただいて——板門店事件が起こった、日本の基地から米軍が飛び立った、その移動の通告を受けた、そしてそれは国連軍としての傘下に属しておるかっこうになってきた。もう一つは、これは米軍の自衛権の行使かどうかという問題があるのです。行使となってくると、今度日米安保体制につながってくる。それで日本がこれに対して巻き込まれる危険があるというような一つの不安が起こってくるわけです。こういう問題をひっくるめてお尋ねをさしてもらいたいと思っております。これは時間が参っておりますので、いまの問題を提起しておきまして、このたびの大がかりな軍事行動というものと国連軍の関係、そして日本の自衛権行使と称して米軍が動く場合に、日本の安保体制に基づく責任というようなものへ波及する危険を十分この際検討しておいてもらわなければならない。  最後に法制局、一つだけ私は聞きたいのですが、憲法七十二条の内閣総理大臣の職務権限、それから内閣法の六条、七条、八条にわたる総理大臣の権限の中に、憲法では「行政各部を指揮監督する。」という大まかな規定があって、そして内閣法では、閣議の決定に基づくものについては「行政各部を指揮監督する。」こういう行為があるわけです。これは当然当委員会がこの問題を十分討議をせなければならぬ基本問題でございまして、ロッキード事件関係して新しく論議をロッキード委員会でもされておりますが、基本委員会として、担当委員会として私は明確にしておきたいと思うのですが、行政各部の指揮監督をするときに、閣議の決定なきものに対しては内閣法のたてまえから言えば責任がないということになるのかどうかです。
  221. 茂串俊

    ○茂串説明員 ただいま御指摘のとおり、憲法七十二条におきましては、関係部分だけ読みますと「内閣総理大臣は、内閣を代表して 行政各部を指揮監督する。」という規定にとどまっておりますが、内閣法の六条に参りますと、これも御指摘のように「内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する。」と定めておりまして、いわば指揮監督権の行使の方法をより具体的に規定しておるわけでございます。その憲法七十二条が「内閣を代表して」と定めておりますその趣旨でございますが、それは憲法上行政権が内閣そのものに存するとされておりますことの結果にほかならないわけでありまして、これを受けて会議体たる内閣の意思に従った指揮監督権の行使を担保するために、内閣の機関意思決定の方法である閣議にかけて基本的な方針を定めた上で、これに従って内閣総理大臣が指揮監督を行うということを要請しておるものと思うのでございます。したがいまして、ただいま御指摘の点につきましては、この第六条の規定があります以上、内閣総理大臣が閣議の決定、すなわち内閣の意思と無関係に行政各部を指揮監督するということは許されないことであると思いますし、またこれは御質問になかったかと思いますが、閣議で決定した方針に反した指揮監督をするということも許されないことであるというふうに理解しております。
  222. 受田新吉

    ○受田委員 田中前総理のトライスター導入に対する権限というものは、これはロッキード事件の刑事的な扱いでは職務関連ということになっておるようでございますが、行政権の行使に当たってはやはり職務権限というのは非常に大事に考えなければいかぬ問題で、基本的な論議としては、この第六条は閣議決定に関してのみ指揮命令ができるという理解ですね。  それで、それに関連してもう一つ別の意味から、第八条の「内閣総理大臣は、行政各部の処分又は命令を中止せしめ、」と中止権があるのです。そしてそれは「内閣の処置を待つことができる。」とこうあるのです。これはどうですか。ある意味で言えば、中止させる、一遍決めたことをやめさせる、処分を取り消させる、こういう権限があるわけですね。これは大変な権限ですよ。これはどうなんですか。
  223. 茂串俊

    ○茂串説明員 ただいまの中止権の点でございますが、確かに第八条の規定はございますが、これもある意味では個別的な処分あるいは命令の中止についての規定であろうかと思いますが、この規定をただいま御指摘のようなことに直ちに発動するとかなんとかいう問題の規定ではないというふうに考えております。
  224. 受田新吉

    ○受田委員 防衛庁長官、私はこれで質問を終わるのですが、あなたは総理大臣から指揮監督を受ける場合には、防衛問題全般について指揮監督を受けるわけでしょうか。あるいはある特定の問題閣議決定以外の問題は指揮監督を経ない、防衛に関しては閣議決定以外で総理大臣の指揮監督を受けなくても済むのがあるのかどうか。特殊な役所でございまするので、これはどうですか、事務当局が勉強しておられれば別ですが、防衛庁には閣議決定以外で総理大臣の指揮監督を受けないでやれる、たとえば内部規定などはそういうことだろうと思いますが、どんなのがあるか。ちょっと役所としては特殊な役所でございますので、坂田長官自身もそういう意味で指揮監督を受ける。おれは中立を保ちたいと言ってあの造反部隊の方へ入らなかった。そうでしょう。ほかの大臣は、総理が何を言おうとおれは行くんだというので行っておる。これは当然、普通であれば総理の罷免権があるんだからみんな首を切らにゃいかぬ。首を切らにゃいかぬほどですが、やはり何かある意味では、やめもしない、首をよう切らぬだろうということも言うというようなことで非常に困った、つまり指揮命令権の発動としての行政事務の遂行に大変困る事態がいま国家は起こっておる。これはやはり行政法をどう扱うか、その中に内閣法、憲法の精神をどうやるかというようなことで、総理というものの地位が、あれほど強大な権限があるにもかかわらずいまはさっぱりだということになると、これは大変なんですが、防衛庁では総理の指揮監督を受けない部門というものは何か、お答えを願いたい。特殊な役所ですから……。
  225. 亘理彰

    ○亘理説明員 ただいまの御質問、予想しておりませんでしたので、にわかの答弁であれでございますが、一般的に内閣総理大臣は行政各部を指揮監督されるわけでございまして、その限りにおいては防衛庁も他の各省と異なるところはないと思います。日常の業務については防衛庁長官に委任されている事項が大半でございますから、もちろん防衛庁は総理府の中の組織でございますからその意味の特殊性はございますが、一般的には、他の各省について内閣総理大臣が行政各部を指揮監督する権限をお持ちでございます。その点で基本的に防衛庁と他の各省と異なるところはないと思います。
  226. 受田新吉

    ○受田委員 内閣総理大臣の指揮監督を受ける防衛庁長官防衛庁長官のなす行為は内閣総理大臣の指揮監督のもとに行われておるんじゃないですか。もうちゃんと自衛隊法にもうたってあるし、自衛隊を動かす場合だけが指揮監督で、そのほかは委任されておる。指揮監督権の行使、委任といえどもこれは指揮監督権には影響ない。委任してあっても、最終責任は委任した者が責任を負わなければいかぬわけです。
  227. 亘理彰

    ○亘理説明員 先生のお示しのように、自衛隊法七条に「内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する。」ということでございますが、日常の業務については防衛庁長官に委任されておるわけでございますから……
  228. 受田新吉

    ○受田委員 法制局の第一部長さん、委任された業務については委任した者が最終責任を負わなければいけないですか。
  229. 茂串俊

    ○茂串説明員 基本的にはそういうことだと理解しております。  ちょっと補足しますが、委任の意味でございますが、法律上正規に委任しておるという場合でございましたら、やはりその委任を受けた者が最終的に責任を負うということでございます。
  230. 受田新吉

    ○受田委員 鈴切さんの質問に割り込んで済まぬことをしましたが、私、いまの事態に当委員会は十分行政権の行使について討議して、そして官紀綱紀の粛正、そして国民の奉仕者としての機能が十分発揮できるように、いま内閣自身の中に造反大臣がたくさん出るような不信の政治情勢というのはこれは残念ですよ。もう国の一番基本が、総理大臣の言うことを副総理も大蔵大臣も聞かぬ。いつやめいやめいとか騒いで、私は別に総理の肩を持っているのじゃないですよ、この状態は悲しいですよ。それはやはり指揮監督権の本体というものをどこへ置くか。そうするとやはりそこには厳粛に指揮監督権の行使に協力する体制をしく。もし気に入らぬときにはやめていけばいいのです。そしてどうしてもやめないのがあれば罷免する、罷免権を発動するとかいうことになればいいのが、何やらヘビの生殺しのようにしていっておるのは残念ですから、これはやはり法制局も、総理大臣の御用法制局かあるいは与党内の多数の勢力の御用を承る法制局か、これは今後よくお立場を考えていただいて、日本の法制局としてやってもらいたいです。よろしゅうございますか。  質問を終わります。
  231. 竹中修一

    ○竹中委員長代理 鈴切康雄君。
  232. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いまも受田先生からお話がありましたこのたびの自民党の政変劇でありますけれども、防衛庁長官は政変騒動について中立的な立場をとられてきたわけであります。そのことについてはそれなりの理由があるでありましょうし、また私はかなり賢明なことだとも思うわけでありますけれども、まず、そういうことから考えまして、防衛庁長官が中立的な立場をとられたというその御真意についてお伺いいたします。
  233. 坂田道太

    坂田国務大臣 別に余り他意はないのでございますけれども、とにかく防衛庁長官という役目から考えますと、やはり陸海空の自衛隊を総理大臣の命を受けまして統括する、そういう立場にあるわけでございまして、そういう意味から申しますと、やはり総理大臣が職にあられる間は忠実に総理大臣の命を受けて行動をするということでなければならないのじゃないかというふうに思いましたがために、いろいろ理由はあるかと思いますけれどもこの際は御遠慮申し上げた方がいいということで、署名もいたしませんし、議員総会にも出席をしなかったということだけでございます。
  234. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 幸いにして、あなたは石井派という派閥におられるような状態ではありますけれども無派閥に近いということがあなたをして良心的な立場をとらしたというふうにも一面私は考える点もあろうかと思うわけでありますけれども、要するに三軍の武力集団をつかさどっておる防衛庁長官として、この政変騒動というものについてはやはり自衛隊員に対する影響はかなり重大である、そのために防衛庁長官としては踏みとどまったのだ、そういうふうに理解してよろしゅうございましょうか。
  235. 坂田道太

    坂田国務大臣 そのとおりでございます。
  236. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 この政変劇がどういうふうに発展するかは予測がつかないことでありますけれども、すでに十四閣僚は一緒の行動をとって、やめるときにはやめる、こういうことをある程度決意したらしいわけでありますけれども、坂田防衛庁長官は、十四閣僚がやめようがやめまいが現在の防衛庁長官としての立場を貫いていかれるお考えですか。
  237. 坂田道太

    坂田国務大臣 そのとおりでございます。
  238. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それはそれくらいにして、防衛の問題に入りたいと思いますが、実は防衛庁長官が五十二年度以降の防衛力の整備計画案の作成を指示されましたね。当時と現在の国際情勢分析、確かに板門店におけるところの衝突事故があったわけでありますけれども、いわゆるデタントの基調という問題に対しては変化がないとお思いになっておりますか。それとも変化があるとするならば、あなたが指示をされたときから変化があったということの判断に立って、ポスト四次防としてはどのようにそのところに手心は加えられるのか、この点についてお伺いします。
  239. 坂田道太

    坂田国務大臣 長官指示は昨年の四月一日に第一回やりまして、それから十月第二回やったわけでございますが、第一回のときには、実はまことに申しわけない話で、サイゴンが落ちるとは予想しておりませんでした。しかし、その後の全体のデタント、まあ今度の防衛白書では抗争と共存というものの間を一張一弛ということを繰り返すという、そういう基調はいまも変わっておらない。それからNATO、ワルシャワ体制に見られるような非常に緻密な合理主義的な形において軍事力の均衡が保たれておるところと、それからアジアあるいはアフリカ、そういうようなところとではいささか事情が違うということで危険な要素も若干残る、たとえば隠された危険、あるいは不安定な危険、不確定な危険という、若干は残る、特にそういうことは朝鮮半島で北と南とがあれだけの兵力を投じて対峙をしておる状況、しかもときどきはトラブルがある、こういうような限りにおいてやはり危険は残る、しかしアメリカのプレゼンスがある限りにおいては、これは大きな紛争にはなるまいということは、そういう基本的な考え方はいまも変わっておらないというふうに判断をいたしておる次第でございます。
  240. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 八月の十日とそれから八月の二十日に第一回並びに第二回の国防会議が開催されたわけですけれども、それはポスト四次防に絡んで、ポスト四次防の大綱をまずつくろうということですけれども、二回おやりになって、さらにまだ検討をお進めになっていくのでしょうけれども、防衛庁としては大綱はいつごろまでに決めた方がよい、そのようにお思いになりましょうか。
  241. 坂田道太

    坂田国務大臣 できるだけ早い機会にこの大綱だけは決めたいと思っております。できますならば、九月いっぱいにでもひとつ仕上げてもらいたいという希望を持っておるわけでございます。
  242. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 九月いっぱいに大綱を決めたいという防衛庁の御意向はわかるのですけれども、御存じのとおりロッキード事件におきまして主要閣僚がいろいろの政変騒動等に巻き込まれた状態の中にあって、なかなか国防会議の開催ということがむずかしい状態にいまなっているわけですが、この次の国防会議の開催はいつになりましょうか。  それからまた九月に大綱を決めて、そしてその後のスケジュールは防衛庁としてはどのようにお考えになっていましょうか。防衛庁としてやはりある程度のこのポスト四次防に対する計画というものをこの際はっきりしておきますことが、より以上こういう問題の解決には非常にスムーズにいくのじゃないかと思いますので、その防衛庁考え方についてお伺いいたします。
  243. 坂田道太

    坂田国務大臣 この政変関係のこういう激動をしておるというのは、実はもうこの一カ月ばかり前からありましたけれども、この八月二十日の時点におきましてもかなりいろいろ各閣僚ともお忙しかったわけでございますが、とにかく開くことができまして、しかもいままでになく二時間も実質審議をしていただきました。でございますから、この九月の段階といえども、私はそう悲観的には実は考えておらないわけでございます。  それからこれからの運びでございますが、まず大綱を決めていただいて、それからポスト四次防の整備計画というものを作業を進め、そして来年度の予算要求並びにその決定を十二月の末にはひとつまとめたいというふうに考えておるわけでございまして、いままでのところまだ支障はないように思います。ただFXの問題につきまして、調査団も帰ってまいりまして、いままだ私は報告を聞いておらないわけでございますが、御承知のような多国籍企業の問題等もございまして、アメリカにおいていろいろ細かい手続等がいままでより複雑になっておりますので、それだけ事務量はふえてまいっておるということは予想されますので、この点につきましても事務当局については十二月の末までにはいずれにしても決めなければならないので、逆算してひとつやるべきことはちゃんとやっておけ、あらゆる場合に即応できるようにしておきなさいということはかねがね申して今日まで来ておるわけでございます。
  244. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 概算要求を前にしまして、防衛庁としてはポスト四次防の中の目玉商品と言われているPXL、これについて機種とかあるいは輸入、国産、これは別といたしまして、防衛庁内部における意思の統一、これは図られたかどうか。もう少し詳しく申し上げますと、内局においてはP3C程度の対潜哨戒機ということを想定して、大体六十機ぐらいだ、それは日本海で有事の場合にはできるだけ民間の海上輸送を制限をするということで何とかできるのじゃないだろうかという物の考え方。また海幕の方では、いやそうじゃないのだ、百五十機は要るだろうということで、いま現在が哨戒が二日に一回というような割合だから、やはり一日に一回の哨戒をしなければならないという考え方。この考え方というものは、両方とも接点を見出しながら、今度の概算要求にはそれなりの姿が出たと思うわけでありますが、その点についてはどういうふうになりましょうか。
  245. 伊藤圭一

    伊藤説明員 いま先生のおっしゃいましたような点をいま議論しているところでございます。と同時に、P3C級のものというものをどういう形で装備していくかという点につきまして、輸入という考え方あるいは国産という考え方、それから搭載機器を輸入して、そして国産の機体に積むという考え方、そういうものについて研究をしているわけでございますが、最近またカナダで新しい形の対潜哨戒機というものを輸入したようなこともございます。したがいまして、そういうものを十分検討いたしまして、日本で一番いいやり方というものを、いろんな検討した結果を大臣にお示ししまして御案内いただこうと思っておりますが、実はまだその作業が進んでおりません。したがいまして、今度の概算要求には具体的には要求いたしておりませんが、いま機数の問題が具体的なお話として出ましたけれども、六十機というのは一番最初の第一次防衛力整備計画をやりましたときのP2V7を国産するときの希望の機数でございました。それにS2Fというような対潜哨戒機を加えまして、一応海上自衛隊の対潜哨戒機の勢力というものを維持しているわけでございますが、性能が向上することによってこれがどの程度の機数でよいのかという点をあわせて検討したいというふうに考えております。
  246. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 実は、ポスト四次防というものは総体的な計画になるわけですね。概算要求もしょせんはその一環にして五十二年度から要求するわけですから、総体的な計画の中において、PXLというものの機数もまだいま検討中であるというのでは、これは出しようがないじゃないですか。総体的な計画の中にあって、PXLだけは特別に機数もまだわからないというのでは、これは防衛庁が大蔵省へ行ってこれから予算折衝をされるのでしょうけれども、そういうことから言いますと、全く説得力がないですね。だから、たとえばP3C程度の対潜哨戒機であるとするならば何機必要であるかということは、これは機種とかP3Cとか——P3Cというとすぐびくびくしてしまう、そういうのではなくして、それぐらいの程度で何機かということについては、総体的な計画の中に含まれないわけにはいかないと思うのですが、その点についてはいかがでしょう。
  247. 伊藤圭一

    伊藤説明員 ポスト四次防というものでございますが、いま大臣から御説明いたしましたように、基盤的な防衛力、すなわち現在のような状況の中で、すきのない防衛力というものはどういうものがいいかということを大綱の中に織り込んでお示しいただきたいと私どもは考えているわけでございます。それに対しまして、そういったすきのない防衛力で早急にやらなければならないもの、そういうものを選びまして、ポスト四次防の中に具体的な計画として私どもは持ちたいと思っているわけです。  そういう考え方からいたしますと、いま先生おっしゃいましたように、一回程度の対潜哨戒能力を持つ、それから一方には、船団護衛のための直衛のオペレーションをやる、そういう形になりますと、一応の試算というものはございます。これはいままで四次防までやってまいりました対潜哨戒機の機能といいますか、機数、そういうものとそう変わるものではございませんけれども、能力が非常に変わってまいります。したがいまして、その細かい点の詰めというものをなお勉強したいというふうに考えておるわけでございます。
  248. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 要するに、能力はP3CはP2Jの十倍くらい、防衛庁長官はこうおっしゃった。この根拠も実は私もよくわからないのです。どこからそういうふうなP3CがP2Jの十倍の力があるのか、その根拠を実は示してもらいたいくらいに思うのです。それはそれとして、とにかく私が申し上げたように、P3C程度の、程度なんですから、何機必要なんだということなんですよ。はっきり言ってもらいたい。
  249. 伊藤圭一

    伊藤説明員 具体的な数字というのは、年末までにはっきりさせたいと思っております。いまの時点ででは何機かと言われましても……。
  250. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 大体ですよ。
  251. 伊藤圭一

    伊藤説明員 大体と申しますと、いま持っておりますのがP2Jを八十機程度持っておりますから、その程度以上にはならないという気がいたします。
  252. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そういうふうに答えていただけばいいのです。あなた防衛局長になられてからまだ日が浅いので、つい防衛に専念をされるようでありますけれども、何でも国民には知らしておかなければならぬ問題は知らしておかなければならぬと思います。  実は今度の概算要求です。PXL並びにFX、これは概算要求の中には全く入っていないということでしょうか。
  253. 伊藤圭一

    伊藤説明員 概算要求の中に、予算要求としては出ておりません。
  254. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 五十二年度の概算要求ですが、一兆七千百九十一億円、これに間違いありませんか。
  255. 原徹

    ○原説明員 概算要求は三十一日に出す予定でありまして、防衛庁の中に手続がまだ残っております。したがいまして、その数字が正しいとか正しくないとか、まだ正確に言える段階ではございませんが、感じとしてはそんな程度のようでございます。
  256. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 感じとしてはというのはおかしいですね、もう印刷ができちゃっているのですから。印刷ができて、私はそれなりに知っているのですが、それは大幅に変更され、またつくり直すのですか。一兆七千百九十一億円です。
  257. 原徹

    ○原説明員 そういう案がございまして、これを庁議にかけるという手続が実は残っているわけであります。多分それで決まると思いますが、手続がまだ残っておりますので、そういうふうに答弁させていただいたわけでございます。
  258. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうすると五十一年度はたしか一兆五千百二十三億円ですから、伸びは一三・何%くらいですか。
  259. 原徹

    ○原説明員 その数字で申しますと一三・七%でございます。
  260. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 また後でちょっと触れますけれども、先ほどもちょっとお話ありました、ロッキード事件の解明とは別に、いま防衛庁としてPXLについて考えられている機種としてのパターンはどういうものか、先ほどちょっとカナダのCP140でしょうか、それ以外、たとえばS3の電子機器を積みながら国産という考え方なんかも一つの案ではないかと思うんです。いろいろ案があるのですが、そういう検討をされている案というものはどういうものがあるか、その点について、ひとつ……。
  261. 伊藤圭一

    伊藤説明員 P3C級というので、P3Cを輸入をするということも検討いたしました。それからまた、P3Cの電子機器を積んだ機体というものの研究開発の可能性、そういうものも検討いたしております。それから、両方とも国産できるのではないかということも検討いたしております。その過程におきまして、S3の搭載機器を積んで機体をつくるということについては、S3の電子機器というものは、いわゆる艦載機とコンタクトしなければ能力が出ないのではないかというのが一般のわれわれの認識でございました。したがいまして、S3という飛行機そのものを輸入するのでは航続距離が短いから、わが方のオペレーションには向かないのではないかという考えもございました。ところが、今度のカナダの購入したものを見ますと、S3に積んであります電子機器をP3の機体に積んだということが出ております。したがいまして、S3の電子機器そのものも外洋遠くオペレーションできるような機能を持っているのではないかということをもう少し調査してみたいというふうに考えておるわけでございます。
  262. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 考えられる中において有力な考えにまとまりつつあるというのは何でしょうか。
  263. 坂田道太

    坂田国務大臣 これはまだどっちが有力というわけにもまずまいりませんで、しかしあらゆる場合を想定して検討はいたしております。御安心をいただきたいと思います。
  264. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 PXLあるいはFX、AEWの輸入とかライセンスとなった場合に、米国の武器輸出管理法ということから考えて、FMS方式で行われるとなれば政府間取引になりましょうか。
  265. 江口裕通

    ○江口説明員 先般アメリカの方の法制が変わったことは御存じのとおりでございますが、その中で、いま御指摘の点は、二万五千ドル以上の主要装備品は一応カテゴライズ、定義づけられておりまして、そういうものについてはNATO諸国以外の国に出す場合にはすべて政府間取引によるべしというふうに法制が変わってまいりました。そういう意味におきまして、何らかの形でわれわれが主要装備品をアメリカから輸入あるいは導入をしようといたす場合に、そのプロジェクトの金額が二千五百万ドル以上でございますれば一応政府間取引、これは俗称FMSと言っていいと思いますけれども、そういう形になろうかと思います。  しかしながら、直ちにこれがいまわれわれが考えておりますFXでありますとか、あるいはPXLに連なるかどうかということはなお検討の余地があると思います。なぜかと申しますと、たとえばFXで申しますれば、従来わが国がこういうものを採用してまいりましたときには、外国品といえども原則といたしましてライセンス生産をやっております。ライセンス生産をいたします場合は、技術のノーハウを譲り受けますと同時に部品等の輸入もいたしております。したがいまして、まとまって、いわゆる完成機輸入のようなロットで入ってくるというものではございません。ですから、そういう場合にはかなり相当の部分が政府間取引にはならないということになり得るわけでございます。しかしながら、これはどの程度扱い、どの程度のものがどういうふうになっていくかということはこれから検討いたすわけでございますが、現段階におきまして最小限度申し上げられることは、たとえば通常こういうプロジェクトになりますと最初二機とか三機とかは完成機輸入をいたします。それからあるいはノックダウンという形になります。そういうことでいわゆる完成機輸入というものが若干機なりとも発生した場合には、恐らく二千五百万ドル以上のものになり得る可能性があるわけでございますので、そういった部分については少なくともFMSになるのではないかというふうに考えます。
  266. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これにつきまして、防衛庁長官、今度はロッキードの問題で商社を通じて買うとかいうことが大変問題になって、そして黒い金が流れたわけですけれども、そういう点から考えますと、防衛庁長官はこの問題について、防衛庁として、輸入にせよライセンス生産にせよ、どういうふうな姿が望ましき姿であるかということについてお考えをお持ちになっていましょうか。
  267. 坂田道太

    坂田国務大臣 まだ私としましてはどういうのがいいと先生にお答えできるような案を持っておりませんけれども、しかし、とにかくこういう問題が起きたわけでございますから、何とかして国民の疑惑にならないように、確かに厳正公平、そしてそこまでやるならば、これはいろいろ言われてきたけれども、選択としてはこの案、この案、この案、比較検討すればこの案しかないのじゃないかという私どもが最終的に決定しました案が少なくとも国民の皆様方から御納得のいただける選定の方法、私はそれは絶対ないとは思わないので、あり得ると思うものですから、それだけにこういう委員会の機会にいろいろの案について先生方から御注意をいただき、御検討をいただき、それを踏まえて、それが疑惑に包まれることのないようなやり方で決めたいというふうに思っておるわけでございます。
  268. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 防衛庁長官は抽象的にどの案、どの案で、そして最終的にこの案と言ったって何だかさっぱりわからないですね。もうちょっと具体的におっしゃってくださいよ。商社を入れないとかこういうふうにやるとかということをもう少しはっきり言っていただかないと……。これは装備局長の方がいいかもわかりませんね。
  269. 江口裕通

    ○江口説明員 今回ロッキード事件等におきまして、われわれが味わった経験といいますか、非常に不幸な経験でございますけれども、それはいろいろあるわけでございます。端的に、従来いろいろロッキード委員会等で御審議いただきましたポイントを考えてみますと、結局いわゆる不当な国際取引と申しますか、スキャンダルめいたものが起きる可能性のあることをこういった大きな取引について極力——いわんや政府の調達するものですから、厳重に排除するように考えなければいけない。具体的に申しますと、たとえば商社等の不当介入というようなものもやはり機種選定のときにおいては十分排除するように考えなければいけないというような問題もあろうかと思います。それから、あるいはいわゆる裏金が動くということが言われております。私ども必ずしも実態を掌握しておるわけではございませんが、そういう御指摘を受けております。そういうことのないようにするにはどうしたらいいか、あるいはそういうものがもし動いたとした場合に、それが価格に割り掛けられておりはしないかということで、じゃ、たとえばこういった輸入等を扱います場合にはどうやって価格をチェックしていくか、こういうような問題がいろいろ挙げられてきておるのではないかと思うのです。  それを具体的な取引に焼き直して申しますと、一つは、たとえばこういったものを輸入いたします場合には、輸入品の価格を、いかに適正な価格をつかむかという問題だろうかと思います。したがいまして、われわれは従来ともこの輸入品の扱いにつきましては厳正な調達をしておるつもりでございますけれども、しかしながらなお考えるところがございますので、またそういうことを反省しておりますので、やはり価格のチェックと申しますか、それについては十分な体制をとっていかなければいけないし、やり方についてもそういうやり方のできるようなものにしなければいけないと思っております。  それから、さかのぼりますが、いわゆる商社等の介入の問題でございますけれども、これは一長一短がございまして、必ずしも全部が全部商社の介入行為というものが否定されるべきものではございません。したがって、その中で非常に問題になりますのは、何らかの不正な取引が別途行われまして、これが何らかの影響を与えるということを考えなければいけないということでございますので、私どもの考えておりますのは、少なくとも機種選定に当たりましては、そういう動きのないような方法を考えたい。ですから、たとえばFMS等がそういうことが考えられるわけでございます。単にこれのみならず何かそういう方法はないであろうか、あるいは具体的に代理店契約等が行われておれば、その実態を把握して、そこからどういうものはいい、どういうものはいけないということがとれれば、それも一つの方法であろうかと思います。したがいまして、そういうような方法をまじえまして、いまいろいろ方法を考えておる、こういう段階でございます。
  270. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 AEW、これは専門家会議でPXLと同時に答申が出されて、輸入の方向がいいだろうということが出ているわけでありますが、空飛ぶレーダー導入については、やはり米国のグラマン社のE2Cでいかれるのか、それにかわって何か別にそれよりも以上に優秀なのがあるからこういうのも考えているというふうにおっしゃるのか、その点についてはどうでしょうか。それからまた、購入契約と収得する期日というのはどういうふうにお考えになっておりましょうか。
  271. 伊藤圭一

    伊藤説明員 五十二年度の予算にはAEWというのは出ておりません。ポスト四次防の中で考えておるわけでございます。現時点で考えますと、あるいは専門家会議の、当時考えておりまして、いまも変わっておりませんが、E2Cという飛行機がいいだろうというふうには考えております。
  272. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ロッキード事件で、機種選定について常に黒い霧がまつわっているというような世論の声がありまして、今度の問題についても大変に問題になっているわけでありますけれども、今後は、機種選定について国防会議の重要事項として国防会議にかける、これは文民統制強化のための措置ということで閣議決定された内容になっているわけでありますけれども、重要事項としてかけるかけ方にやはり問題があるのじゃないだろうかと思うのですけれども、そういう点について、機種選定にまつわるところのいわゆる国防会議にかけるかけ方、これはどういうふうにお考えになっておりましょうか。ただ結論的に、それぞれ選考してきて、これにいたしますからと言ってやられるのか、あるいは逐一、国防会議を開きながら、そういう問題についていいとか悪いとかいう問題をかなりディスカッションしながらやられるのか、その点についてはどうなんでしょうか。
  273. 内海倫

    ○内海説明員 お説のように、重要事項として、主要な防衛庁の使用する武器につきましては、国防会議で、一応国防会議に諮問を受けて答申、決定、こういうことになるわけでございますが、国防会議そのものが、御存じのように大臣方のお集まりでございますから、それを技術的な面でいろいろ的確に判断していくということはなかなか容易なことではございませんで、やはりそれを要する防衛庁側に、運用面でも技術面でも本当の専門家が多数いるわけでございますから、そこで十分検討し、さらに、それが財政的な観点、あるいは、もしそれが国産云々というふうな問題であれば通産等とも事務的にしっかり固めて、資料を提供して、その上で国防会議判断を仰ぐということがやはり適切に行われなければならない、こういうふうに思います。
  274. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 実は国防会議について、国防会議が非常に今度のロッキード事件との関連で言われているわけでありますけれども、総理大臣もいち早く国防会議のあり方について抜本的な改組も必要であるということから、国防会議のあり方について一部修正でなく、権限とか組織もあわせて基本的に改正する必要があるのじゃないかというふうに、新たにそのことをたしか命ぜられたわけでありますけれども、国防会議の議長である総理がそういうふうに言われた以上は、あなたの方としても当然具体的にその問題の検討に入っておられて、ある程度の結論が出ておられるかと思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  275. 内海倫

    ○内海説明員 仰せのように、国防会議の、特に総理からは、運営面を中心にして十分再検討してくれというふうな御指示を受けておりますし、私どもも事務当局者としましていろいろ考えなければならないと思っております。しかし、現在いまどういうふうな具体的な成案を持っておるか、それを示せとおっしゃるならば、私は、大変申しわけございませんが、まだそういうふうな形でお示しするというふうなものは持っておりませんが、しかし、私どもとしましては、欧米各国のこういう類似組織についてかなり詳細な資料を求め、また国会でも、先生先刻御存じのようにずいぶん論議が行われておりますし、また二、三の党からもいろいろ御見解をいただいております。さらに民間有識者からもいろいろ私どものところに具体的な内容を含んだ提案あるいは考え方等に対する意見等もありますので、こういうものも収集いたしておりまして、これらを総合的に検討いたしまして、どういうふうな形にまとめるのが一番いいのかということをいま事務局内でいろいろ検討をいたし、また各省の意見も逐次聞いていきたい、こういうふうに思っております。  ただ一、二申し上げられることは、やはり法律上の構成が、国防会議というものが防衛庁設置法の一部に規定されておる。またそのほかに、国防会議の議員の構成に関しましては、国防会議の構成に関する法律というふうなものが別途出ております。これらにつきましては、やはり法体系を整備しなければならない。これも非常に大きな問題であろうと思っておりますし、それから事務局そのものもこのままの現状でいいのかどうか、こういう問題も考えなければならないと思いますし、さらに国防会議の議員の構成というふうなことにつきましてもさらに検討をしていかなければならないと思います。また、現在、防衛庁設置法に、内閣総理大臣から諮問を受ける国防会議の諮問事項というものが規定されておりますが、現在の諮問事項だけで十分であるかどうか。特に、最近のように非常に安全保障というふうな問題が大きく出ております際でございますから、そういうふうなものをどう取り扱うか、こういうふうなことも私どもが検討しなければならない問題であります。  そういうことが、いま私どもが検討、勉強いたしておる段階で、はなはだ申しわけございませんが、いま私どもから御説明できるような具体的なものはまだ持っておりません。
  276. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは、そういうふうなことで皆さん努力して、大体いつごろまでにそういうことの案をまとめられようとしているのですか。
  277. 内海倫

    ○内海説明員 いまの段階では、できるだけの努力をしてと、こういうふうにお答えをする以外にはございません。
  278. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 実は四次防の大綱、四十七年の二月の七日ですがね。この中で、技術研究開発の部分がございますね。ちょっと読んでみますと、「各種誘導弾、電子機器ならびに対潜哨戒および早期警戒機能向上のための各種装備等の研究開発を行なうとともに、技術研究開発体制を強化する。」ここに大変な問題を残した、私はこう思うわけです。  本当はきょう国防会議のメンバーの閣僚がおられましたら一人一人聞いてみたいと思うのですけれども、たとえば、その「各種装備等」の「等」の中に機体が含まれるか、こういうふうにもしお聞きした場合、防衛庁の方は、機体が含まれると認識しております。このようにおっしゃるでしょう。それから通産省の方もそうですね。ところが大蔵省の方は、いや、機体は含まれておりません、むしろレーダーとかソナー、コンピューターというふうな搭載の装備である、こういうふうに恐らく返事が出てきます。それから大臣にお聞きしたら、その「装備等」の「等」の中に機体が含まれるかどうかという重大な問題については、恐らく答えられないか、ちぐはぐな答弁をしてしまうと私は思う。こういう重大な問題を残してしまった。だから、やはりこの四次防の大綱は大変に今度のロッキード問題のつけ入るすきを与えた大綱であるがゆえに、今度のポスト四次防における大綱はこんなあいまいなやり方はしないとお約束できますか。
  279. 坂田道太

    坂田国務大臣 はっきりした大綱をひとつお決めいただきたいというふうに思っております。
  280. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 防衛庁長官も、私がいま指摘したところは重要な問題であった、そのように御認識でしょうか。
  281. 坂田道太

    坂田国務大臣 そのとおりに考えております。
  282. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 確かに私もそうだと思うのです。三次防の大綱を見てみますと、もうすでに技術研究開発関係には「高等練習機」と書いてある。それから「レーダー搭載警戒機、輸送機等の航空機」こういうふうにもうはっきり出ているのですね。これですぱっと国産の線で進んだわけです。ところが四次防は、防衛庁考え方と大蔵省の考え方の折衷案で、ここでいわゆる「装備等」ということでごまかしてしまった、ここに大きな禍根を残したということですね。  私は、いろいろ研究してみますと、ここにすべては集約されてくるわけですから、そういう点について、今度のポスト四次防の大綱については、これはもうきちっと決めて、そういうふうなすきの入らないようにしてもらいたいと思うのですが、今度のポスト四次防に、技術研究開発はどういうものを考えておられますか。
  283. 岡太直

    岡太説明員 現在いろいろ検討しておりますけれども、一番主要に考えておりますのは、まずミサイルでございます。それから、今後電子戦というようなものが非常に盛んになってくると思いますので、外国から導入できないようなこういうものは自分で勉強しなければなりませんので、エレクトロニクス、そういうふうなもの、さらに、今後情報であるとか警戒監視という問題が起こりますから、そういうふうなセンサーなりシステムというものに力を注いで研究開発の計画をつくりたいと思っております。
  284. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ミサイルも、艦対艦のミサイルですか、それともどういうふうなミサイルをお考えになっていますか。
  285. 岡太直

    岡太説明員 現在四次防でやっておりますのは空対艦ミサイルでございます。これは、FST2改に搭載いたしまして、艦隊といいましょうか、船を攻撃する、これをさらに発展いたしまして、艦対艦なり、あるいは逆に、ちょうど要塞の重砲と申しましょうか、陸から船を撃つ、そういうふうなミサイルにまで発展させていこうということで、一つのミサイルから発展させまして、これをいろいろと共通のコンポーネントを持って、艦対艦なりあるいは地対艦なりに発展さすといったような考え方で、いま空対艦の計画を進めております。
  286. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 原子力推進の艦艇の云々というお話ですけれども、研究開発の部分としてはどういうふうな点を考えておられるのでしょうか。
  287. 岡太直

    岡太説明員 原子力推進につきましては、研究開発を実施する計画は現在のところ全然ございません。
  288. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 大分時間がたったので、それじゃもう少し……。  とてもとても一時間や一時間半くらいでは論議が尽きないわけでありますけれども、昭和五十二年度以降のいわゆるポスト四次防の防衛力の整備方針というのはどのようにお考えになっておりましょうか。
  289. 伊藤圭一

    伊藤説明員 ポスト四次防の計画というのは、その前に防衛白書、そのほか長官指示等で検討いたしております基盤防衛力というのがございます。基盤防衛力というのはどういうことであるかといいますと、現在のような状態のもとで日米安保体制が有効に働いているということを前提にいたしまして、常備すべき自衛隊の勢力というものはどういうものがいいのだろうかという観点から検討されたものでございます。そしてこの常備すべき自衛力によりまして平和を維持すると同時に、小規模の侵略以下のものには直ちに対処できるような内容の防衛力にしようということで検討されているわけでございます。その中で、四次防までにやりました防衛努力によってどの部分が埋まっており、またどの部分がまだこれからやらなければならないかということを検討いたしまして、ポスト四次防の期間ではその優先度を考えまして、どこを伸ばし、どこを充実していくかというような考え方に立っております。と同時に、すでに自衛隊発足いたしましてから二十数年たっております。そしてそれぞれの装備品につきましても新しく知っていかなければならないものがございます。そういうものをリプレースしながら防衛力を高めていこうという努力でございます。
  290. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、五十二年度を単年度といたしまして整備する構想をやめて、従来どおりの五年計画になるのか、あるいはローリングシステムをとるのか、その点もう少し詳しく……。
  291. 伊藤圭一

    伊藤説明員 これはまだ最終的に結論は出ておりませんけれども、先生も御承知のように、四次防までというのは将来の所要防衛力を目指しまして非常に急速に防衛力整備に努力していた時期でございます。それで平和時の防衛力が出まして基盤防衛力という考え方を打ち出しましたことは、従来のような所要防衛力に向かってしゃにむに進むという形から、やや内容充実という形に変わってまいります。したがいまして、四次防までは、とにかく今後五年間これだけの防衛力を整備するに当たってはどれぐらいの金額の規模のものを防衛庁が必要としており、政府としてもこれを決めようというようなところから、がっちりした五年間の計画というものを組んだわけでございます。基盤防衛力、すなわち防衛計画の大綱を決めていただきまして、一方におきましては民生を圧迫しない、そしてまた所要の防衛力をいろいろな事情を勘案いたしまして整備していくという立場に立ちますと、五年間では一応防衛庁としてはこういうものを整備する努力をしていきたいということを考えておりまして、それが毎年度の予算の中で具体化されていくということになろうかと思います。したがいまして、四次防までやりましたように、各年度を積み上げました五年間のがっちりしたすべての固まった計画という形になるのか、あるいはそのうちの五十二年度、最初の年というものば予算の裏づけのあるがっちりしたものにしておきまして、また一年かかって次を見通すという一応の計画を持っておって、それを見直していくという方法になるのか、そこのところはもう少し国防会議等で御議論いただいて御判断いただきたいというふうに考えております。
  292. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 基盤防衛力というように言われているのは、少なくとも防衛庁長官は十年を見通してということを言われましたですね。十年を見通したときに、それでどうなるかという問題ですけれども、主要装備等はたとえば一年一年に考え方が変わるわけにいかないでしょうから、そういう意味から言いますと、主要装備については一応五年度を見通すのか、あるいは十年度の長期計画を見通すのかという問題と、さらに必要人件費並びに必要経費等は単年度方式でいかれるのか、その点についてどういうふうにお考えになっていましょうか。
  293. 伊藤圭一

    伊藤説明員 十年度先を見通すといいますと、一般的にいいますとなかなか国際情勢なんかも十年先というのは見通しにくい点がございます。ただ軍事技術の面ではいわゆる中期的な展望といたしまして一応十年程度先を見越しながら装備品を考えていかなければなりません。したがって、主要装備品につきましては、十年後のことを考えながら計画を立てる必要もあろうかと思います。また、人件費あるいは艦船、航空機の修理代、そういったものは毎年度、単年度の予算になじむものだろうと思います。したがいまして、予算の規模として十年間をがっちり決めるというものではなく、主要装備品につきましては十年先を見ながら、予算的にいいますと、国債でも五年間でございますから、計画としては五年間という形でいくのではないかというふうに考えております。
  294. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ですから、いまのことをもう少し私の方から申し上げますと、やはり主要装備は十年間を見通した上において、少なくとも国債とかそういう関係から言うと五年間が、主要装備の十年間見通した上のうちの五年間、それからもう一つは必要人件費並びに経費は毎年毎年見直していくというローリングシステム、こういうふうに考えていいのでしょうか。
  295. 伊藤圭一

    伊藤説明員 大体そのような考え方に立ってやっていきたいと思います。
  296. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうなりますと、なぜそういうふうにしたかという問題なんです。私、先ほど一兆七千百九十一億円という数字が、はからずも経理局長と同じ考え方であったということなんですよ。そうなりますと、いままでの四次防計画のようなことになりますと、積算をすると大変な金額になりますね。これはもう大変な金額です。私、ちょっと積算をしてみたのですけれども、まず同じような一三%台ということで考えてまいりますと、五十二年度が一兆七千百九十一億円、それから五十三年が一兆九千四百二十五億円、五十四年が二兆一千九百五十億円、五十五年が二兆四千八百三億円、五十六年が二兆八千二十七億円、合計いたしますと十一兆一千三百九十六億円になるのです。大変な金額なんですよ。しかも、主要装備がPXLもFXもまだこれにプラスアルファということになりますね。そうすると大変な金額になるということ、これに対して、余り大きいのでポスト四次防は四次防のような予算計画にすれば国民の皆さん方がびっくりしてしまって、いやもう十一兆から十二兆、十三兆になんなんとする防衛云々ということで言われはしないかということも多分に防衛庁長官、考慮に入れられたのじゃないですか。
  297. 坂田道太

    坂田国務大臣 やはり防衛計画といいますか、あるいは防衛力というのは、民生を著しく圧迫しないということが一つの要素でございますから、できるだけひとつつつましやかに、そしてなおかつ有事の際に対応できる即応力を持ったものをつくっていこう、そういうことを実現するためにはどういう知恵があるだろうかということで、いま知恵を先生方を含めましておかりしているところでございます。しかし、いまの数字は概算要求でございますから、毎年のことでございますけれども、いままでのような経済成長は望めませんし、おのずと落ちつくところに落ちつくのではないだろうか。まあ皆さん方の御協賛を得られるようなものにしなければならないと思っておるわけでございます。
  298. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 一応五年間を防衛庁の腹として考えているというわけですけれども、概算要求、これは必ずしも大蔵省でオーケーというふうに出るわけではないのですけれども、五年間、重要装備品並びにこういうふうなローリングシステムにしていきますと、大体何兆円くらいかかるという御計算になっていましょうか。
  299. 原徹

    ○原説明員 いろいろ各幕で計算しているものもありますが、まだ防衛庁として大綱をこれからお決めになるという段階でございますから、私ども全体としてどのくらいになるかという数字は持っておりません。ただ一般に、防衛費につきましては国会で御検討いただいておりますGNPに対する一%程度という考え方はあるわけでございます。いずれにいたしましても、これは確かに概算要求でございますから、それは民生の施策を圧迫しない程度において毎年度予算をふやしてもらう、そういうふうに考えております。
  300. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 防衛庁長官、私と前にここで防衛力及び防衛費の限界についてやりとりしましたね。あなたは一%以内と実に明快に御答弁になったのですけれども、いま経理局長は一%程度ということを言われたのですが、これはいつ変わったのですか。
  301. 坂田道太

    坂田国務大臣 大体GNP一%程度——以内ということを申し上げたと思います。だけれども、われわれの頭の中では大体GNP一%程度という考えでおるわけでございます。それが先ほど申します、著しく民生を圧迫しない程度だというふうに思います。もちろん、従来経済が非常に活発で高度成長経済のときでございますと、以内ということでもこれはもうかなりのものだったと思いますけれども、やはり低成長時代になりますと、ひとつぎりぎりいっぱいぐらいはお認めいただきたいものだというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
  302. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 防衛庁長官、食言なさいましたね。防衛庁長官はしょっちゅうにこにこ笑われてはごまかされちゃう。大体これは大変なことですよ。一%以内とそれから一%程度では、もう月とスッポンの違いですから、程度ということは、一・九%でもこれは程度になるのですよ。二%になれば、これは二%になって、極端に言えば一・九%だってそうなるのであって、程度ということでごまかされては困りますよ。防衛庁長官は一%以内というふうに明確に答弁されたのですから、その範囲内で何とかおさめていただく。私はそれで認めるわけじゃないですけれども、国民の皆さん方は大変にその点心配されている。防衛庁長官が一%以内というふうに明確に答弁された。その一%以内でも問題があるのじゃないかということで、多くの国民の皆さん方は思っておられる。さらに一%程度ということに変更されたということは、先ほど私が申し上げましたように十一兆何千億あるいは十三兆円という膨大な防衛費がかさんでくるので、計算をしてみてどうしてもこれは一%以内では賄い切れない、そういうことで防衛庁長官は程度というふうにこの点をお変えになったのでしょうか。
  303. 坂田道太

    坂田国務大臣 私がGNPの一%程度と言ったのは、先生おっしゃるように一・九%みたいなことを考えておるわけではないので、まあ大体一%程度ということなんでございまして、御承知のように、私防衛庁長官になりましていろいろ数字を知らされてまいりますと、かつては一・何%まであったのがだんだん今度は減りまして、そして結局大蔵省との折衝の過程ではございますけれども、その年その年は以内以内と考えておりましたら、この五年なら五年を、あるいは十年を考えてみますと、ずっと下がってきちゃっているわけでございますね。ところが一面において、たとえば基地の対策、住民対策、これはやはりもう少し考えてあげなければいけないのじゃないかとか、あるいは自衛官の給与は、やはり曹士の食糧費ぐらいはただでしなくちゃいけないんじゃないだろうかと考えておりますと、何も一・九%まで一%程度なんとは考えていないのだけれども、〇・九を一%のところまで上げるくらいはお許しいただけるんではないだろうか、それは著しく民生を圧迫することにはならないんじゃないだろうかというような気持ちで申し上げておるということをひとつ御了承を賜りたいと思います。
  304. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私極端に、一・九%でも一%程度というふうにとれる場合もあるんではないかということを申し上げたのであって、だから〇・九%から一%というところまで上げていただくのは、一%以内でいいんじゃないでしょうか。〇・九%から一%まで上げてもらうならば、これを超さなければ一%以内ということになるんじゃないですか。その点どうなんでしょう。
  305. 坂田道太

    坂田国務大臣 まあそういうことですが、やはり日本の安全にとって必要欠くべからざるものであるならば、しかも私どもが財政的見地から一%で逆算しまして防衛計画というものを練るんじゃなくて、そうじゃなくて、積み上げた結果が大体ここでおさまるというところで、むしろ国民の方方に理解を十分に持っていただく、そういう、防衛構想として欠落のないあらゆる機能を持っておる形で、積み上げた結果としてそれが一%であったならば、それぐらいは鈴切先生といえども御了承を賜るんじゃないだろうかという、こちらも非常にティミッドな気持ちで実は申し上げておるわけでございまして、私がここで先生に対してGNP一%以内と申し上げたことはそのとおりでございますが、しかし、まず財政があって、それで逆算して、そしてつじつまを合わせる、そういうような防衛構想では国民はなかなか納得できないんじゃないか。一つ防衛構想があって、それをいろいろ積み上げた結果があるいは私の言うように一%ぐらいになったとするならば、それくらいのことはお許しいただいた方が国民の方にも非常に納得もいくし、またわが自衛隊諸君の士気も上がるんじゃなかろうか、こういうようなことでございますので、こういうところをひとつお察しいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。
  306. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私はそれに対して決していいと言っているのじゃないのですよ。防衛庁長官が歯切れよく一%以内とこう言われたとき、防衛庁長官も非常に歯切れのいい方だなあと私思っていたところが、帰ったら防衛庁内部で、防衛庁長官一%以内なんてえらいことを言ってしまったということで、そういうことから大分突き上げがあったらしいというようなうわさば聞いているのですけれども、まあそれはそのくらいにしますが、いずれにしても大変な防衛費というものが積算されてくるわけであります。  もう一、二問ですから……。  基盤防衛力の整備は一応十年間をめどにしてやられるというわけでありますけれども、かつて防衛庁が出されたいわゆる平和時というもの、そして国会においては認知もされなかったわけですけれども、しかし、あの皆さん方が頭をひねって出された平和時のいわゆる上限でしょうか。大体その装備というように見てよろしいでしょうか。
  307. 坂田道太

    坂田国務大臣 大体はそのようにお考えいただいて結構だと思いますが、大体、陸につきまして人員で申しますと十八万、それから海、空につきましては、いま四万とちょっとと記憶をいたしておりますが、まあこれが多少近代化その他のことでふえる部面はあっても、そう著しくこれまた上がるというものじゃない。まあ四万五千、四万五千というようなことで、平和時における防衛構想を当時出しましたときとほぼ同じだとお考えいただいて結構じゃなかろうかと思います。
  308. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 平和時といわゆる緊張時と有事というのがあるわけですけれども、いま申されたその装備は、平和時における、憲法の許容できる最大限のものであるというふうに考えていいでしょうか。
  309. 坂田道太

    坂田国務大臣 侵略事態や安全の問題については、なかなかそこを量的に換算できないので、昭和三十二年度の国防方針、国力国情に応じて云々というのがございますが、今度の基盤防衛力も実はそれの線に沿っておるわけでございます。しかしながら、おのずとそこには限界があるわけでございまして、先生おっしゃるようなふうにお考えいただいて結構だと思います。
  310. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これで終わります。
  311. 竹中修一

  312. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 施設庁長官が早目にお帰りになるというので、軍用地問題から先に質問申し上げたいと思います。  いまの沖繩に適用されておる軍用地の暫定使用法、これは来年の五月十四日には切れるわけであります。これに対してはこの前もいろいろ質問いたしましたが、きょう質問いたしたいのは、これは沖繩県議会でも全会一致で反対を決議し、さらに、新しく選挙され当選した平良幸市知事も反対しておる。これについて施設庁としては、いまの暫定使用法にかわる新しいものを出す意思があるのか、あるとすればいつ出すのか、こういった点についてあらかじめ御意見を承りたいと思います。
  313. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 自衛隊または駐留軍の用に供するためにいわゆる暫定使用法によって現在使用しておる土地の中で、この法律による使用の期間が経過した日、つまり昭和五十二年五月十五日以後やはり引き続いて自衛隊または駐留軍が使用する必要のあるというものがございます。こうしたものを、法律の期限が来るまでに何とかこの権原を得なければならないというふうに思っております。その方法としてはいろいろございますけれども、わが方では、この法律の期限が来たときに何としても法に基づいて適正に使用できるように検討してまいりたいということでいろいろやっておりますが、いまお尋ねの立法問題もその中の一つとして私ども検討しております。事務担当しておる私どもとしては、できるだけ早くどうするかということを決定して臨みたいというふうに考えております。
  314. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それじゃ、出すかどうかはまだはっきり決めていないということですか。
  315. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 現在、御承知だと思いますが未契約の土地がまだ相当残っておりますので、理論的にはこの未契約の土地について契約が済んでしまえば立法の必要はございませんが、未契約の土地については恐らくかなりのものが残るのではないかというふうに思っております。そういう意味では、どうしても残った場合の措置として立法の措置が必要であろうかと思って、内々事務当局としては法案の検討をしておりますが、いつ出すかということについては、まだ決めるに至っておりません。
  316. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この問題については、いま申し上げましたように県議会も全会一致ですからね。知事が反対している。  これはこれとして、私はきょう、防衛庁長官もおられるので、お二人の意見を聞きたいと思いますが、むしろ平和を願う県民としては、軍用地問題は次の五つの項目を柱として立法化する必要があるのじゃないかというふうに考えていますので、これを一応申し上げて御意見を承りたいと思うのです。  第一に、戦災と米軍の接収で生じた地籍の混乱を、関係地主の民主的話し合いと納得を通じて国が責任を持って解決する、これが一つであります。  第二番目に、地籍を確定するために基地内への立入調査権を保証すること。  第三番目に、基地返還後も地籍が確定しない元軍用地については、地籍が確定するまで国が地主に対して軍用地代と同額の管理費を支払う。  四番目に、解放軍用地の復元は国の責任で迅速かつ完全に行う。市街化地域の解放軍用地については、国の責任で区画整理を行う。  五番目に、解放軍用地で農業を営んだ場合に引き合い安定した収入が得られるよう、政府が農民に責任を持って農業政策を進める。  この五つの項目を柱として立法化するということが、やはり平和を願う全県民のあるいは国民の世論だと思うのですが、こういったことについて、いま五点挙げましたが、一つの点はどう思いますか。もう一つは、これを柱として立法化するということが検討の余地があるかどうかという問題です。
  317. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 いま五つの項自をお挙げになってどう思うかという御意見でございますが、まず、私どもがいま立たされておる立場は、先ほど申し上げたように現在暫定使用法で法律に基づいて使用しておる土地の中で契約が終わらない分、しかも来年の五月十五日以降になっても引き続き使用する分について、これを使用するという観点からいかなる対策があろうかということを考えておるわけでございますが、それに関連していま瀬長先生が御指摘になったいろいろな問題が出てくるのかと思います。私どもとしては、防衛施設庁あるいは防衛庁の立場としては、当面米軍が使っておる、あるいは自衛隊が使っておる土地の使用権原をどうして得るかという問題で、これをめぐる一般の、たとえばいま御指摘の中には農業政策の問題だとかあるいは土地の区画整理の問題だとか、いろいろな行政分野にわたる分野がございまして、必ずしも私が責任を持ってお答えできることばかりではございませんが、私どもの考え方としては、あくまで現行の法律、現在の法律そのままで済むものならもうそれで終わらせたい、そのためには、先ほど申し上げたように現在の法律の中に契約努力をするようにということがございますので、一生懸命契約努力をやって、それで済むものなら済ませたいという考えでおります。  それが済まない場合には一体どうするかということでございますが、その場合には、たてまえといたしましては強制的な収用手続に移らざるを得ない。それは米軍の使用しておる土地についてはいわゆる特措法でございますし、したがって、もし新立法しなければそういう現行の強制手続に移ることになるわけですが、その場合に地籍が未確定のものについては、手続上実測図面をつけたりしなければならない、特定しなければならないという手続上の問題がございまして、あるいはまたそれが非常に憲法的な理論につながってきまして、どうしても境界未確定の土地を確定しないと強制手続に移れない、現在本土において一般に行われている方法がとれないということが私ども当面しておる難点でございます。  そこで、先生がお話しになった第一の、混乱しておる土地を国が責任を持って解決しろという問題に触れてくるわけですが、御承知のように土地の所有権の問題はあくまで所有者の民事関係の話でございまして、所有者同士が話し合って解決する、私法と公法の違いがここにございまして、私ども行政府が個人の権利を勝手に決めるわけにいかない。所有者同士が土地の境界を決めることに大変御不便を感じたり資料の不足をお感じになる場合に、私どもは解決の方向に向かうように最大の努力をいたしますが、最後に納得しない者を、こういう境界で処置をしてくれということが法律上どうしてもできない仕組みになっておりますので、第一点の先生が御指摘の、国が責任を持って解決するということについてはおのずから限界があるというふうに思っております。  それから、米軍の施設の中に立ち入って調査をするということ、これについては現在でも了解を得て施設の中に立ち入るということをやっておりますし、それから今回のような境界を確定するという目的のためには協力をすることを米軍に約束させましてそういう目的が達し得ると思っております。  それから、返還後も境界の確定しない軍用地に対して、確定するまで地代相当のものを管理費として払えということでございますが、これはいまある程度、ごく短期間でございますがやっておりますので、これは必ずしも立法の問題にすぐ結びつくというふうに私は考えておりません。  それからその他の問題は、最初に申し上げたように農業政策の問題であったり区画整理の問題であったりするので、私がここで責任を持ってお答えをする範囲をはみ出るかと思います。
  318. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この問題はきょう突然出した問題ではないのです。これは五月の末に共産党国会議員団として政府に要求して、官房長官にちゃんと出してある中でこの五項目が入っております。これにつきまして、これは本当にこういったような体系的に立法化されるのであれば、沖繩の軍用地問題は米軍のためにではなく、県民のための解決策として最善だ。これは農業問題にしてもそうです。御承知のように、返還は要求する地主でも、現在返されたのではすぐは使えない。管理費にしても、一年は管理費があるのだが、一年過ぎるとほとんどなくなって、三年以後は全然ないというふうなことでは、これはどうにもならないのだ。一応これは後でも質問したいのですが、沖繩の軍用地というのは、大体あれは総動員法のもとでやられたかどうかは後で聞きますが、日本軍がやった。第二段階に占領軍がやるわけなのですから、そういったような軍用地は、いわゆる占領前の日本軍時代から混乱してきて、それで現在まで続いて混乱している、日本政府は請求権を放棄した、こうなりますと、やはり国民の財産でございますから、日本政府がどうしても責任を持ってやらなくちゃいかぬ。現在の情勢はどうかというと沖繩の復帰前に解放されたものは開発庁、復帰後の方は施設庁、両方になっていますね。これもずっと前から、なぜ国として一元化しないのかということを要求しておりましたが、私、いまの五項目については当然検討されなければ、あなた方が出そうとする問題についても非常に混乱が起こるのじゃないかと思うのですよ。たとえば米軍については特措法という問題がありましたね。では、自衛隊はどうする。自衛隊がいますね、自衛隊がとどまる基地はどうする。収用委員会の七名のうち六名までは調べたのですが、ほとんど反対だ。これはできないですよ。だから事実、これは別として、この前も話しましたので抜きにしますが、いま私が申し上げた五項目は、各関係省庁で検討された上で、立法化すべきであるかという問題について検討してもらいたい。これについては、私、坂田防衛庁長官の御意見も承りたいと思うのです。この問題は総理府だけでも、沖繩開発庁ですか、そこだけでもできないし、国としていまの問題を解決するためにやはり立法化措置をとらなければ、地籍問題すら解決しないというふうな混乱状態になっておると思いますので、この点について防衛庁長官、どうお考えですか。一応御意見を承りたいと思います。
  319. 坂田道太

    坂田国務大臣 これは非常にむずかしい問題と思いますけれども、ただいま齋藤長官から申し上げましたような線でわれわれとしては考えておるということを申し上げておきたいと思います。非常にむずかしい問題ということは私承知をいたしております。また、いまここにお並べになりました五つの問題につきましても、さらに私の方でも検討をいたしてみたいと思っております。
  320. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この出しました五つの問題を柱にして立法化するならば、沖繩の軍用地問題は県民の立場に立って解決される、完全とは言えないまでも十分納得し得るような方法だと私は考えておりますので、この点についてはぜひ防衛庁長官その他関係省庁が意思を統一して検討してもらいたいと思います。  それからいまの軍用地問題とも関連いたしますが、総動員法——これは法制局、来ておられますか。治安維持法などとともにあった総動員法、これはいつ廃止されたのか。
  321. 茂串俊

    ○茂串説明員 国家総動員法の廃止の措置でございますが、この法律は昭和二十年の十二月に議会を通りました法律第四十四号という法律で廃止されまして、その廃止法律は昭和二十一年四月一日から施行されております。
  322. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 このいわゆる総動員法は、戦争に協力する、金がある者は金を、物がある者は物をということで動員された悪法なんですが、この総動員法によりまして国民の財産がどのように接収され、とりわけ土地がどういうふうに接収されたか、そういった内容についておわかりですか。
  323. 茂串俊

    ○茂串説明員 当時の国家総動員法の実施、運用の経緯はどうかという御質問でございますが、私どもの立場からしますと、いわゆる法令の関係につきましてはいろいろと調査したわけでございますけれども、それがどのように運用され、実施されたかという歴史的な事実につきましては、私どもの立場としては把握することができないわけでございます。その辺は御了承願いたいと思います。
  324. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは法制局として調査できますか。
  325. 茂串俊

    ○茂串説明員 法制局の立場としましては、このような調査をする権限もございませんし、またそういう立場にもないということでございますので、御了承をいただきたいと思います。
  326. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次に大蔵省に質問いたしますが、最初に、沖繩の最南端にある西表というのがあるのですが、その西表で旧日本軍に接収された用地が幾らぐらいあるか、大蔵省の方でわかりますか。
  327. 秋山雅保

    ○秋山説明員 百六十四万三千平方メートルでございます。
  328. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 西表だけで……。
  329. 秋山雅保

    ○秋山説明員 はい。
  330. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは地主は何名くらいいましたか。
  331. 秋山雅保

    ○秋山説明員 ちょっと、ただいま手元に資料がございませんので、わかりかねます。
  332. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これはぜひ調査してもらいたいと思います。  私がこの前行きましたが大体二十二名までわかっておりますが、この売買契約というのですか、お金をもらったのが一人もいないのですよ。全部日本勧業銀行の定期預金に入れられて一銭ももらっていない。八重山もそのとおり。宮古もそのとおり。読谷村というのがありますが、そこもそのとおりです。  そこで、この前もいろいろ質問しましたので、きょうは沖繩県議会でまとめて出した決議案、旧日本軍用地の返還に関する意見書、これでは全部で一千百万平方メーターということになっていますね、これはどういう法律に基づいて接収したのか、この法的な根拠、これをちょっと教えてください。
  333. 秋山雅保

    ○秋山説明員 大分古い話でございますけれども、一応私どもの調べた範囲では、通常の売買、いわゆる民法上の通常の売買によって国有地になっている、かように考えております。
  334. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 通常の売買というと、地主対国なら国、これが合意しなくちゃいかぬわけでしょう。あれはほとんど合意していないですね。そして現金もほとんどやっていないですよ。現金のかわりに何が出されたかというと、いま申し上げました二つの方法がとられておる。一つ日本勧業銀行の定期預金にすぐ入れて判を押して持っている。一つは、ここに見本を持っておりますが、債券ですよ。これはたとえば割増金付戦時貯蓄債券、株式会社日本勧業銀行、ここにあるのは昭和十七年二月もあるし、十六年十二月もありますし、十七年四月もある。たとえば十五円とか七円五十銭とか七円五十銭、いろいろあるわけなんです。これは向こうの地主が渡された債券のいわゆる写しなんです。それで現金をほとんどもらっていないということからすると、むしろ普通の売買契約でないということはあの状態では大体想像がつくのではないか。民法ならば、一応おまえの土地一万坪、これは一等地だから幾らで買うのだと承諾して、そして契約が成り立つのが民法上の契約なんだ。それじゃないという反論は幾らでもあるのですね。資料持っておりますが、これはきょう質問をするつもりはありませんが、事実民法に基づいてやられたということをはっきり政府答弁として答弁できますか。
  335. 秋山雅保

    ○秋山説明員 私どもといたしましては残されている記録でしか一応判断できないわけでございますけれども、一つの例といたしまして石垣島の場合の例を挙げますと、登記簿上の登記原因が売買というふうに書いてあるということ、それから土地売り渡し証書であるとか、あるいは代金支払い書であるとか、こういうふうに国の所有権を裏づける資料がちゃんとあるということから、あたりまえの売買、かように考えておる次第でございます。
  336. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 たとえばこの前大蔵省の係から聞きましたら、法は民法とは言わずに、実はいわゆる会計規則に基づいてとかいうふうな話をしていましたが、会計規則は法じゃないわけですから、支払いのいろいろな手続を書いたもので、民法でやったという政府答弁は私きょうが初めてじゃないかと思うのですよ。その点は再確認していいわけですね、政府として民法でやったと。  そこで、たとえば当時の、占領軍ですから占領軍がやってきて、国有地はヘーグ陸戦法規に基づいて占領軍が管理するというので移って、その前に軍が地主に返したところがありますね、これは御存じですか。
  337. 秋山雅保

    ○秋山説明員 ただいま正確な資料を持ち合わせておりませんが、一部そのような話があるということは聞いております。
  338. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは何に基づいて返したかというと、さすがに、あれは高等弁務官と言っておりましたが、その土地問題についての諮問機関があって、諮問機関の勧告案の中にこういった土地の接収のいきさつは民主主義的ではない、返すべきだという勧告文がついて高等弁務官に渡されているのですよ。それに基づいて八重山の一部の地主が返還されたという実例があるわけなんです。だから、一部返されたということは一応御存じなんですね。
  339. 秋山雅保

    ○秋山説明員 おっしゃるとおりでございます。
  340. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この点は民法ということがはっきりしましたので、果たして民法でこのようなことができるのかどうかという矛盾点は次の機会に譲ることにいたします。  次に質問申し上げたいのは、例の板門店事件を契機として、在日米軍あるいは米本国からあるいはグアムからアメリカの陸海空軍と特殊部隊、これが何々基地から何々が、どういう機種が、さらに現在どういう態勢に入っているか、これは外務省の方に情報が入っていると思いますが、最初にこの点から御説明をお願いしたいと思います。
  341. 山崎敏夫

    山崎説明員 御承知のとおり、八月十八日に板門店一つ事件が起こりまして、米軍将校が二名殺害されたわけでございます。それに関連いたしまして、八月十九日に外務省に対してアメリカ大使館から通報がございまして、F4一個飛行隊が沖繩の嘉手納基地から韓国にあります米軍の基地に移動するという旨の事前通報がございまして、この飛行隊は同日韓国内の基地に到着したようであります。  それから、その翌日米側から同じく通報がございまして、F111戦闘爆撃機の一個飛行隊が米本土から韓国に移動するという通報がございました。この行動の詳細はわれわれも承知しておりません。  それから、その同じ日の二十日に、ミッドウェーを中心とします一タスクグループが海上待機任務につくために横須賀を出港する旨の通報がございまして、このタスクグループは翌二十一日の早朝に横須賀を出港いたしました。それ以外には、日本本土には直接関係ない問題でございますが、B52がグアムの米軍基地を出まして韓国上空で訓練任務につくという通報があった次第でございます。
  342. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 嘉手納基地から横田にKC135が十五機移動した、これは御存じですか。
  343. 山崎敏夫

    山崎説明員 これは直接韓国情勢関係があるのかどうかはわれわれにはわかりませんが、その点につきましては、八月十九日、KC135十五機が台風避難ということで嘉手納基地から横田基地に移動したわけでございます。この点についてもアメリカ側からわが方に通報がございました。
  344. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 岩国からはどういう機種が出ておりますか。
  345. 山崎敏夫

    山崎説明員 岩国基地の動きについては承知いたしておりません。
  346. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 岩国からAV8ハリアーが一飛行隊十六機、これが移動したということは事実のようなんですが、こういう通報はないのですか。
  347. 山崎敏夫

    山崎説明員 そういう通報は受けておりません。恐らく事実ではないのではないか、事実に反するのではないかと思います。
  348. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 横須賀からミッドウェーが行ったという点は御答弁がありましたが、厚木からミッドウェーの艦載機ですね、これは何機ぐらい飛んでいっていますか。
  349. 山崎敏夫

    山崎説明員 御承知のとおり、ミッドウェーが横須賀に入っておりますときは艦載機は通常厚木基地に移動しております。したがいまして、ミッドウェーが出航いたす場合には厚木基地におります艦載機はミッドウェーに戻るわけでございます。何機戻ったかということは詳しくは承知しておりません。
  350. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それで、現在ミッドウェーからB52も派遣されてその周辺でいわゆる爆弾投下訓練をやっているといったようなことでありますが、いま出動された米の軍事力、これはほとんど帰っていないのですね。ずっと向こうに待機している。それで、たとえばミッドウェーはどういう行動をやっているのか、あるいはいまのF4とかさらにアイダホから行ったF111、そういったものはどういうことをやっているのか、こういったような防衛態勢というのですか、これについておわかりですか。
  351. 山崎敏夫

    山崎説明員 F4にしろF111にしろミッドウェーにしろ、それが移動した後の具体的な任務、行動については米軍から特別に通報を受けておりませんし、われわれとして情報を持ち合わせておりません。
  352. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 沖繩にいる第三海兵師団が千八百人韓国に移駐したという報道が行われておりますが、これは御承知ですか。
  353. 山崎敏夫

    山崎説明員 そういう一部の報道があることは承知しておりますが、われわれとしてはそういう通報は受けておりませんし、それは恐らく事実に反するのではないかと思います。
  354. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 アイダホから飛んでいったF111、この爆撃機の航続距離は幾らぐらいかおわかりですか。これをお聞きしますのは、これは給油機がないと行けない機能を持っておるのです。
  355. 山崎敏夫

    山崎説明員 資料によりますれば航続距離は三千百五十海里でございます。それで、先ほど私ちょっと言い忘れましたが、F111は戦術戦闘機でございます。
  356. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私がこれを聞きましたのは、アイダホから朝鮮まで行くのに約一万キロメーターある。そうなりますとどこかで給油しなくちゃいかぬでしょう。給油はどこでやったのかおわかりですか。
  357. 山崎敏夫

    山崎説明員 その点についてわれわれは承知しておりません。
  358. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 実は沖繩から横田にKC135給油機が十五機移動したという点は、沖繩の新聞の報道では、台風避難だというようなことを言っていましたが、あのとき、沖繩本島は台風は余り吹いていないのですよ。吹きそうだということは言っていますが、台風は吹いていないのです。それでこれを調べましたら、嘉手納よりも横田で給油した方が緯度として——大体アイダホのマウンテンホームという基地は四十三度、それから横田が三十五度四十分、嘉手納が二十六度二十分、この距離は大体千五百から二千キロメーターある。むしろ嘉手納付近を通っていくよりは横田基地から飛んでいって給油する方が距離的に非常に近い。しかも、二千キロにわたるぐらい違ってくるという意味で、いわゆる防衛態勢、これは後でお聞きしたいのですが、防衛態勢に入るために、結局KC135が嘉手納から横田に来たという推定の方が軍事的に見て正しいのではないかと思うのですが、これはどうですか。
  359. 山崎敏夫

    山崎説明員 外務省として軍事的な評価をする能力を持ち合わせておりませんけれども、われわれとして通報を受けましたのは台風避難ということでございます。ただ、横田へ来るまでの途中あるいは着いてからそういう給油活動を行ったか否かということについては、われわれとしては承知しておらない次第でございます。
  360. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 実は航空年鑑あたりで調べましたら、F111の航続距離は胴体内タンクのみであれば五千九十三キロメーター、それから落下タンク四個ついた場合には六千六百キロメーターという航続距離がある。この飛行機の能力としてどうしても途中で給油しないといけないわけなんですよ。だからどこかで給油しなくちゃいかぬ。それで給油する場合には、軍事的に見て、早くそして経費のかからぬようにというのが大体作戦の最たるものでしょうから、結局、いまのKC135が横田に移ったということはそういうことからでも言えるというふうに私考えておるんですが、これはさておいて、そういうことが、なぜKC135がここへ移動したかという問題についても外務省として何ら通報を受けていないのですか。
  361. 山崎敏夫

    山崎説明員 先ほど申し上げましたように、十九日に台風避難のためKC135が十五機嘉手納から横田基地に移動するという通報は受けているわけでございます。これは日本国内における航空機の移動でございまして、別に先方は通報をする義務があるわけではございませんけれども、われわれは事実としてそういう通報は受けたわけでございます。
  362. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いまの朝鮮での緊張した作戦の場合に、米軍基地として日本基地がほとんど動き出した。横田基地のKC135がそういった給油をしている、こういった点もまず筋としては理論的なのですよ。これは否定するにはちょっとむずかしいんですね。横田基地もそういったような態勢にある。いま言ったように岩国は、私たちはずっと情報を調べておりますが、禁足令が出て戦闘態勢に入っている。それから横須賀はいまおっしゃったようにミッドウェーが行き、厚木の基地はほぼ全機が出撃している。横田はベトナム戦争時に匹敵するぐらいの騒音が——私この前行ったんですが、激しい騒音なんですよ、飛行機の爆音というものは。さらに嘉手納基地、いまおっしゃったようにファントムが行っている。この場合考えられることは、B52がもうすでにグアムから行っている。沖繩のファントムは、御承知のように第十八戦術戦闘航空団で、いつも問題になります伊江島射爆場や出砂島あたりで原爆投下訓練をやった機種なんですよ。B52はもちろんのこと原爆搭載できるものです。そういったようなことが、北から侵略、南からどうのこうのということは別として、現実に日本の基地全体がそういう朝鮮板門店のあの事件を契機として動き出しておる。  そこでお聞きしたいもう一つは、いわゆる防衛態勢として何かアメリカは五つぐらいに分けてあるようですね。いまの態勢は、五つのうちどの態勢であるのかおわかりですか。
  363. 山崎敏夫

    山崎説明員 われわれが承知しておりますところでは、在韓米軍警戒態勢第四から第三にいわば引き上げられたというふうに聞いております。これはしかし韓国においてであります。
  364. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 もちろん韓国においてですが、これは日本の基地から行った米軍、それにグアムから、それにアメリカ本土から行った。もうほとんどの、何といいますか、B52を初めとする陸海空、海兵隊まで——海兵隊はちゃんと読売新聞にも千八百人動いた、これは海兵隊の発表が報道としてきのうのに載っている。これは御存じないことだからいいとして、これが第三。第二はいわゆる戦闘準備なんでしょう。いわゆる防衛態勢、これはディフェンスコンディションと言うのですか、一になると戦闘開始でしょう。もう戦争なんですよ。いまもう二に至るいわゆる戦闘準備の前の態勢に来ている。いま新聞報道ではやや平静になったと言いながらも、その態勢はまだ解かれておらぬというのが現実としてある。まだ帰っていませんよ、嘉手納から飛んだのも。さらに横田におるKC135も現実にここにいます。そういったようなあれから見ると、実に危険な態勢であるということがはっきりしておるのですが、こういったような問題について、安保条約がある、日米韓軍事体制の一体化という問題がよく出ますが、まさにそういったような体制の中に入っていくんじゃないか、実感として。これは防衛庁長官どうお考えですか。大体いまの朝鮮に対する緊張状態のいわゆるDEFCONという第三に入っておる防衛態勢、これはロッキード問題で非常ににぎやかなものだから余り新聞には出ませんが、現地の新聞はあっちこっち騒いでいるのですよ。その点について非常に不安が国民の中にある。これについて、長官のこれに対する御意見なり御感想なりお聞きしたいと思うのです。
  365. 坂田道太

    坂田国務大臣 ちょうど八月十七日の正午だったかと思いますけれども、正午前でございましたか、国連軍の総司令官スチルウェル大将が防衛庁へやってまいりまして、お会いをして、一時間ぐらいお話をしまして、韓国情勢等も聞きました。ところが、そのときまだ事件は起こっておりませんので、何事もないようなことでございました。それで、翌日事件が起こって、スチルウェルさんは帰ったようでございますが、二十日にちょうど国防会議が開かれましたので、統幕議長も連れて、ほかの問題もございましたけれども、朝鮮半島板門店事件につきましても、私たちの承知しておることば御報告はいたしておりました。ただ、アメリカのプレゼンスがある限り、これ以上戦争は拡大しないだろうというふうに私は判断しておるということも申し上げたわけであります。こういうような事態、やはりわれわれといたしましては、一衣帯水の中にありますので、もし朝鮮半島で戦争が起これば、それは直ちにわれわれのところへ影響してくるわけであります。したがいまして、私どもとしましては、ここで何が起こっておるかということについては十分関心を持たなければならないと思いまして、いろいろの情報は収集をいたしておるわけであります。いまの状況では直ちにこれが拡大をするというようなことには至らないだろうというふうに思いますし、また、恐らくアメリカの方も、軍事的に見まして南北があれだけの兵力を対峙させておりますから、そしてアメリカ韓国との間には条約もあることでございますから、そういうようなことを考え朝鮮半島で戦争にならないようなためにはどうするかということでああいうような措置がとられたというふうに私は考えております。また、その意味において恐らくこれは鎮静化していくだろう、またそうあってほしいというふうに思っておるわけであります。     〔竹中委員長代理退席、木野委員長代理着席〕
  366. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは安保条約で許されている、許されていないという問題は抜きにして、現在の時点は、いわゆる米日韓軍事体制というものがどんなに危険なものであるか、いまアメリカ局長が御答弁されたことでもわかるように、私資料をいろいろ持っておりますが、いまの態勢はどういう態勢であるか、これは共産党の基地対策関係で全部調査して、写真が全部撮ってあります。これは言えることは、日本政府も知らぬうちに、もちろん日本国民も知らぬうちに、日本国民の意思に反して戦争に巻き込まれるという実態が今度の板門店事件中心にして起こっておるという事実を私は非常に大きく指摘したいと思うのですよ。事実われわれが調査したことだけも政府は余り御存じないようなことであれば、政府自体が——そういった防衛態勢三に入っておる、やがて戦闘開始というところまで来ないにしても、まだ常時そういった態勢にあるわけだ。これは国民は望んでおりません。国民の意思に反し、国民の知らぬうちに、政府すら知らぬうちに、そういった危険な状態にたたき込まれておるというふうなことを私指摘したいわけなんですが、こういった状態は何から来るのかという問題は後にして、この状態が早く解決するように努力するということは日本政府の責任じゃないかと私思うのですよ。単に、アメリカは多分怒らぬだろう、冷静になるだろうというふうなことではなくて、日本政府自身がこういった軍事行動は好ましくないという点をアメリカ政府に要求すべきではないかというふうに考えますが、長官、その点いかがでしょうか。
  367. 坂田道太

    坂田国務大臣 少し先生と私と意見を実は異にするわけでございます。朝鮮半島で事を起こさせない、そういう起こる事態を避けたいということは先生も私どもも同じだと思うのです。ただ、平時におきましてもいまの南北軍事力の対峙がある限りトラブルが起こるということは否定できない。その場合の平和維持の安全弁は何かといえば、やはり私はアメリカが駐留するということだと思っております。これがもしアメリカが撤退をするというようなことになれば戦争の可能性はいまよりも非常に大きくなるという考え方を私は持っておる。先生はそうじゃないわけです。その意味合いにおいて、今度の板門店事件が起こった、それは偶発か計画的か、これは歴史が示すだろうと思いますけれども、しかし、とにかくアメリカのプレゼンスということにおいて平和維持が可能になってきておる、そういうふうに私は信じております。したがいまして、いずれこれは鎮静化して、そして大きい戦争には拡大しないだろうという判断を持っておるわけでございます。また、そういうふうに私どもとしては日本国民のため、日本の安全のためにも希望いたすわけでございまして、むしろおることが必要であるというふうに私は考えております。むしろ平和を望むがゆえにそう思っておる。もしプレゼンスがなかったならば危ない、平和が乱される、戦争になる可能性がある、したがって日本の国民にも影響を及ぼしてくる、こういうふうに私は考えております。しかし、この意見に対しては先生とはあるいは違うかもしれません。私はそう信じております。
  368. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 むしろ政府の本心がいままさに暴露されたということで、私はもちろんその逆であり、日本国民の大半も逆に考えていると思います。現に防衛態勢三に入っている、まだ解けないという状態であるだけに。  時間がありませんので防衛関係は後に御質問することにして、最後に台風の問題です。防衛関係はもうそれでよろしゅうございます。  この前特に宮古、八重山を襲った台風被害が、これは時間がありませんので私の方で説明しますと、全体で金額に直して二十七億五千三百万円、特にそのうち農作物の被害が二十二億に達している。この問題について、緊急対策と恒久対策について政府の見解があると思いますので、述べてほしいと思います。
  369. 山本重三

    ○山本説明員 先般、先生御指摘の八月八日から九日にかけて台風十三号により八重山諸島を中心に被害が生じましたが、この被害につきましては、相当の民家が全壊または半壊いたした状況でございますので、直ちに、十日になりますが、災害救助法を石垣市、竹富町、与那国町に適用いたしまして住民に対する救援救護活動をやっておる状況でございますが、被害は、現在報告を受けておりますところでは先ほど先生御指摘のように二十七億に上りますが、その大半は農作物関係の被害でございますので、特に農作物関係の被害の対応策につきましては農林省の方からお答えいただきたいと思います。
  370. 若林正俊

    ○若林説明員 ただいまお話がございましたように、台風十三号の被害の相当部分が農業関係の災害のように県から報告を受けております。農業関係の災害のうち、作物災害関係が約二十億円、施設災害関係が三億円というふうに県からの報告を受けてございますが、詳細につきましては沖繩開発庁の総合事務局の方でただいま調査をいたし、調査の結果を待ってさらに具体的な対策を検討すべきだと考えておりますが、施設災害につきましては、それぞれ所定の災害復旧の仕組みがございましてこれらの措置によって行われるわけですが、金融上の措置といたしましては、施設関係については、沖繩振興開発金融公庫がございますが、その中に、農業関係の災害復旧の資金といたしまして低利長期の資金制度を持っております。また、経営関係の資金につきましては、農業関係については自作農維持資金、これも低利長期の資金でございます。これらを準備いたしておりますので、被害の実態、被害者側の資金需要などの実情把握をいたしまして、所要の措置を講じてまいりたい、このように考えております。
  371. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 農作物の被害が二十二億というのは、ほとんど八割近く農作物でございます。サトウキビとパイン、この問題について、法律を適用して救済するというのはいま何もないのですね。これ、どうなさいますか。
  372. 若林正俊

    ○若林説明員 ただいまお話し申し上げましたように、沖繩振興開発金融公庫法に基づきまして、各種資金が資金的には用意されております。この法律に基づきます金融上の措置として、私が申し上げましたような災害復旧等の関係融資が行われる、こういう仕組みになっております。これらの資金の流れ方としましては、農業関係の資金は農業協同組合をいわば受託の金融機関にいたしておりますので、農業協同組合を通じて資金需要を把握し、必要な融資措置を講ずる、こういう体制でございます。  なお、サトウキビにつきましては、試験的に農作物共済の対象にいたしております。加入者については共済金の支払いが行われる、このような態様になっております。
  373. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま御答弁のように、沖繩に台風がやってきて一番被害を受けるのが農作物、そのうちでもサトウキビ、パイン。このサトウキビ、パインがまだ共済制度の中にも入っていないということになると、災害を受けたら受けっぱなしで、ほとんど手が出ない。これについて、緊急対策としてどういうところから金を幾らぐらい出してやるのか、何か案がございますか。これは農林省だけで答弁できますか。
  374. 若林正俊

    ○若林説明員 沖繩振興開発金融公庫の中に、全体といたしまして相当の資金を用意しておりますが、具体的には、たとえば経営関係資金として非常に利用が考えられます自作農維持資金につきましては、すでに枠としては、一般の枠三億円、災害に要するものとして一億円、これは相互に流用可能でございますので、四億円の資金はあらかじめ予算上措置を講じております。なお、被害の実情、資金需要の実態を把握の上、これら資金で十分対応し得ない場合には、さらに他の資金との調整も制度的には可能でございますので、調査を待ってこれらの措置を講じてまいる、こういうことでございます。まだ、現地の総合事務局の方からは、具体的に政府機関としての調査結果はできておりません。
  375. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間がございませんので、私は、最後に提案をいたしまして、それに対する御答弁をお願いしたいのですが、一つは、台風が沖繩を襲わないという年はまれにしかないのですね。ほとんど毎年台風は襲う。だから特別に、もちろん風水害の問題に関連しますが、台風被害を受けた場合に、公共施設の問題は別として、個々の農民の被害に対して特別立法を考えられぬものかどうか。とりわけ沖繩は台風の通路であるだけに、この点をはっきり提起して検討を願いたいという問題と、もう一つは、被災者の生命と生活を守るために、次の四項目について現在の災害救助法などの改正をしてほしいという要望をします。  一つは、災害救助法の制限条項を撤廃して、災害を受けたすべての市町村に適用する。その救援に要した費用は全額国庫で負担する。これが一つであります。  二番目に、現行の災害救助法の救援対策の枠を大幅に拡大する、そしてすべての被災者に適用し、その衣食住に対する救援内容を改善し、被災者の生命と健康を保障する。この問題ですね。  三番目に、被災者に対しては国税、地方税、社会保険料、使用料、水道料金、手数料などについて大幅に減免を行うという問題。  四番目に、激甚災害特別財政援助法を根本的に改正し、災害の程度、地方財政の状況、補助率などの一切の差別的な基準を撤廃する、そして災害を受けたすべての自治体に適用する。激甚指定をめぐる陳情政治を一掃する。これは、陳情政治になりますとえてして非常に不平等になってくるので——こういったような激甚指定をめぐる陳情がいま相当盛んです。こういった陳情政治を一掃するためにも、いま問題にしました激甚災害特別財政援助法を根本的に改正して、災害の程度とか地方財政の状況がどうだとかという問題、補助率などの一切の差別的な基準を撤廃して災害を受けたすべての自治体に適用するということになれば、当然のことながらいわゆる激甚指定をめぐる陳情戦というのがなくなっていい。  この四点は、とりわけいまの被災者の生命と生活を守るために抜本的な改正案になるんではないかと考えております。これについては国土庁から御答弁をお願いしますか。
  376. 山本重三

    ○山本説明員 私どもも、災害対策として、災害によって被害を受けられた方に対して最大限の援助をするように常に努力をいたしておりますが、先生御指摘の、各種の災害対策、制度というものにつきましては、過去から長い歴史の過程の中において漸次改善されております。しかしながら、一方におきまして国におきまして財政上の制約というものもあると思います。そういう意味で、御指摘のようなことを直ちに実現するということは非常に困難だと思います。しかしながら、私どもといたしましてもできるだけ適切な災害対策がとれるように今後とも努力してまいりたいと思います。
  377. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま申し上げたことを本当に実現しなければ、いま御答弁あったとおりどろなわで、台風がやってきた、災害はもう大変なことになっておる。沖繩の台風は、御存じでないかもしれませんが、三十メートルというのは普通来ますが、四十メートルになるとこんな石を飛ばしますよ。突風は、四十メートルになると六十メートルぐらいでやってくる。この前八重山に行って、五年前に災害救助法などによって建てられたと思う小屋がありましたが、これが全部吹っ飛ばされ、八十二歳になるお年寄りが一人住んでいて、腰をやられて、どこに行ったかと思ったら、娘さんのところに行っている、訪ねましたら、もう起きられぬものですから、どなたかわかりませんが、もし今度そういった災害対策で建物でも建てるのであれば、四十メートルぐらいの平均風速でぶっ倒れるような家は建てないでほしい、命にかかわるということまで訴えておるのです。この問題は、当人になれば死ぬか生きるかの問題で、六十メートルの突風ということになりますと大変なことなんですね。アダンという非常に粘り強い木があります。これすら根から引っこ抜いていくのです。そういった意味で、いま私が申し上げた四点、とりわけ災害救助法の問題については、これは国土庁だけではなくて、政府が本当に真剣に——風水害もあれば干害もあれば冷害もある、その他いろいろあります、そういったような災害被災者が本当に安心して暮らしができる体制をもし政府がとろうと思えばできると思う。この予算という問題でも、防衛庁あたりに何十兆もやるということではなくて、むしろ健康の方向に回す。考え方が変わればできぬことないと思うのです。その点を強調いたしまして、さらに沖繩の問題でもう一つ。  台風の通路と言われているのですね。毎年やってくる。しかも農作物に被害を受けたらもうお手上げ。サトウキビの問題にしても、現にいま試験共済というのですか、パイナップルは入っていないのです。試験共済も五十四年ぐらいしかできないということになると、もう本当にお手上げだ。事実上、農作物の個人の被害についてはほとんど法的な措置の制度がない。そういう意味で、これは沖繩開発庁あたりとも関連する問題だと思いますが、沖繩の台風災害に対する、特に公共用地や事業でやっておるようなものとは別にしても、個個の住民の被害に対する台風災害特別法とかといったようなものを考えられぬのかどうか、これを検討してもらいたいということを要請しまして質問を終わりたいと思いますが、どんなものですか。
  378. 山本重三

    ○山本説明員 私どもといたしましても、実際に被害を受けられた状況というものがどういうものであるか、その点を調べてからでないとはっきりしたお答えはできないと思いますが、関係省庁ございますので、関係省庁と十分相談してみたいと思います。
  379. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最後に。いまの御返事ですが、実に無責任だね。あなた、台風が吹いてからもう何日になりますか。まだ調査してからこうするというふうなことでは問題にならぬと思うのですよ。そういう意味では、そういう無責任な姿勢だからこそ、現在までいわゆる災害に遭った被災者の個人個人の災害についての補償、あるいは法や制度がないといった点はそこら辺からも感じとれると思うのですが、これはいまから調査して対策をとると言うが、もう県からやってきておるでしょう。そういった点で、私、検討されてはっきりした答弁ができると思ったのですよ。そういった答弁では、まさに無責任きわまるものであると思うのですが、いかがですか。
  380. 山本重三

    ○山本説明員 私が申しましたのは、沖繩において特に特別立法が必要であるかどうか、それにつきましては確かに毎年台風にやられておるという状況は承知しております。そういう意味で、現在の災害に関する各種の制度以上にそういった制度が必要かどうかというものにつきましては、ほかの災害との比較その他十分調査しなければ結論が出ない、そういう意味で申し上げたわけで、現在の制度の上で、今回起きました台風に対する災害対策は、現行法でできるものにつきましては最大限の努力でやっていきたいと思いますし、関係省庁とも十分協議いたしたい、こういうことでございます。
  381. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 以上、終わります。
  382. 木野晴夫

    木野委員長代理 本日は、これにて散会いたします。     午後六時十七分散会