○
藤井(貞)
説明員 昨日付をもちまして、
国会及び
内閣に対しまして、
一般職公務員の
給与の
勧告をいたしたのでございます。本日は、早速当
委員会におきまして、この
趣旨、
内容の
説明をいたす機会を与えていただきましたことを、心から感謝を申し上げたいと存じます。
勧告の
内容につきまして、私から
概略の御
説明を申し上げたいと思います。
本年の
官民給与の
較差は、
金額にいたしまして
平均一万一千十四円、パーセントにいたしまして六・九四ということに相なったのでございます。この内訳は、
支払い済みのいわゆる四月現在の本
較差、これに当たるものが五・六四%、
金額にいたしまして八千九百四十六円。それから
遡及改定分、四月
時点においてはまだ支払っておりませんですが、その後妥結をして
遡及改定をするということが明確に相なっておりますものの分が一・三%、二千六十八円ということでございまして、合計六・九四、
平均一万一千十四円ということに相なった次第でございます。したがいまして、この
較差を埋めるための
改定を行うことが必要であるというふうに認めた次第でございます。
この
較差六・九四%は、本年度の
仲裁裁定の
定昇込みの八・八%、あるいは本年
春闘の
経過について
労働省から発表のありました八・八%というものに比較をいたしますと、やや
高目という
感じがいたします。ただ、これは御
承知でありますように、
労働省の発表いたしまする
春闘の結果と申すのは、その中のウエートを占めるものが
製造業が非常に多いわけでございます。
製造業が約八
〇%を占めるということに相なっております。
製造業につきましては、いろいろ景気の動向、
不況の
影響等を非常に受けやすい
職種でございますので、そういうようなことに相なったものかと
推定をせられるのであります。
人事院の
調査は、
製造業だけではなくて、いわゆる悉皆
調査的な考え方をもちまして
実施をいたします。その結果、第三次
産業その他につきましてもこれが
反映をしてまいるわけでございますが、第三次
産業その他の
部門におきましては、
製造業よりやや
高目に相なっておりまして、これが九・二%程度に相なったのではないかというふうに推測されるわけでございます。こういうことが溶け込みまして、
調査の結果、六・九四%という
数字に相なったものであるというふうに
推定をいたしておるのであります。しかし、全体といたしましては、
民間の
状況を
反映をいたしまして、幅といたしましては、いままでに非常に例の少ない低額の
勧告ということに相なっております。
そこで、その
配分に関しましても、
民間の
配分傾向等に留意しながらやってまいることにいたしましたが、
俸給表に
重点を置きながら、その他の諸
手当についても
改善を加える必要があると認めております。
俸給表の
改善につきましては、本年の
初任給の
状況なり、それから職務の
階層別給与の
上昇傾向等にかんがみまして、特別に
上薄下厚とか
上厚下薄というようなことでなく、ほぼ同率的な
改善措置ということに
重点が置かれております。
ただし、いろいろ御意見も承り、また組合の諸君からもいろいろ御要望の強い
中位等級につきましては、全体として非常に窮屈な幅の中ではございますけれども、できる限りの
配慮をいたしまして、いままでともすれば
初任給等が非常に上がり方が著しかったために、そのあおりを受けてどうも十分の
改善がおくれがちでございました
中位等級についての
改善については、特に
配慮を加えたつもりでございます。
初任給につきましては、
一般の景況を
反映をいたしまして、
大学卒で
現行七万七千三百円を八万二千五百円、六・七%の
アップ、
高校卒は六万六千円の
現行に対して七万三百円で六・五%の
アップということに相なります。
職種別に見た
改善といたしましては、
人材確保法との
関連がございますので、著しい逆転また不
均衡というものについて
配慮いたしまするために、
大学それから高専の先生につきまして
改善を加えることに特別の
配慮をいたしましたほか、
税務職員、
公安職員、それと
看護婦さんについても
配慮を加えております。
なお、
指定職の
俸給表につきましては、御
承知のように、昨年
民間の
賃金カットその他がございまして、本省の
課長さんクラスについていわゆる
管理職手当、これを
カットいたしました。それに右へならえをいたします
趣旨で、
指定職については
管理職手当がございませんので、
俸給表自体について
配慮を加えなければならぬということでかなりの
抑え込みをやったわけでございます。
課長さんの
管理職の
カットは一
年間の期限を切っておりましたので、この四月からそれは旧に復しております。そういうこともございまして、本年の
指定職の
俸給表につきましては、去年の
抑え込みの
分等を若干加味をいたしまして、その
回復等を図る
措置を講じております。本年、二年ぶりに
民間の重役の
給与の
調査を行いましたが、これは、われわれといたしましては、案外に
引き上げ率が高いというような
状況があることもございまして、それらの点を総合的に
配慮いたしながら
措置をいたそうと考えておる次第でございます。
それから
俸給表に並びまして、諸
手当につきましてもなるべく世帯
中心的な
手当というものに
配慮を加えながら、前に申し上げました
中位等級について、
俸給表とあわせて
改善措置が手厚く及ぶような
配慮を加えたいというふうに考えた次第でございます。
第一は
扶養手当でございます。
扶養手当につきましては、
配偶者について現在六千円を千円
アップいたしまして七千円といたします。それから
子供を
中心とする
扶養親族のうちの二人でございますが、これは二千円を二千二百円にする。それから三人目以降につきましては、従来いろいろ当
委員会でも御
指摘がございましたが、四百円ということでずっと
据え置きをしてまいっておったのでございます。ところが、本年の場合もこの分もかなり上がっておりますし、
実態を見ますと、
子供さんはだんだん少なくなっておりますけれども、親御さんがこれに該当する場合がかなり多くなってきております。そういうことも
配慮いたしまして四百円を千円に
アップをいたしたいと考えておる次第でございます。
第二に
通勤手当でございます。これは、
民間の
支給状況なり昨年の
私鉄運賃の
改定がございましたので、それらにつれて
最高支給限度額その他の、要するに
カバー率が大分落ちてまいっております。そこで、これに対処いたしまして
運賃相当額の
全額支給の
限度額を現在の一万円を二千五百円
引き上げて一万二千五百円ということにすることを
中心に
措置を講じたいということでございます。なお、
自転車等の
交通用具使用者の場合についても
所要の
改善措置を講ずる所存でございます。
第三は
借家借間の
居住者に対する
住居手当でございます。これにつきましては、現在
基礎控除額五千円ということに相なっておりますが、この
基礎控除額は
据え置きをいたしまして、それを超える分の
現行六千円分を千円
アップいたしまして七千円に、さらにその差額が七千円を超える場合におきましてはその超える額の二分の一の額を
支給をいたしますが、その額を
現行三千円を三千五百円ということにいたしまして、
最高支給限度額を
現行の九千円から一万五百円に
引き上げをいたしたいと考えておる次第でございます。
それから第四は、
医療職俸給表の適用を受けます、いわゆるお
医者さんを
中心とする
初任給調整手当の額でございますが、これは
一種から五種ございますけれども、例を引きますと、その中で一番高い
一種分、
現行十四万円でありますものを一万円
引き上げて十五万円にいたしたい。それとともに、いわゆる
医系教官、
病院のお
医者さん以外のいわゆる
医系教官と言われる方々に対しまして、これも
均衡上
制度を新設して今日に至っておりますが、これについても
現行の三万円を二千五百円程度
引き上げることにいたしたいということでございます。
第五は
宿日直手当でございまして、これは本年も
調査をいたしました。その結果、細かいことは省略をいたしますが、普通の
宿日直につきまして、
現行一回千三百円でありますものを千六百円ということにいたしたいということでございます。
それからポイントの
三つ目でございますが、これは種々当
委員会においても御
論議をいただきました、
期末勤勉手当の問題でございます。これにつきましては、
民間の
実態を
調査をいたしましたところ、四・九五カ月分という
数字が出てまいりました。これについては、私からもいろいろ申し上げましたように、
大変苦慮をいたしました。また従来のいろんないきさつがございます。こういう点を
総合勘案をいたしまして、できるだけの
措置をいたしたいという努力をいたしたつもりでございますが、遺憾ながら四・九五というものが出てまいりましたので、この点はやはり引き下げざるを得ないという結論に達しました。ただし、四・九五につきましては、これは差し引きをいたす場合で引き下げでございますので、この分は二けたは四捨五入をいたしまして五カ月といたしまして、〇・二カ月を減額するということにいたしまして、これを、
期末手当につきましては十二月分から〇・一、
勤勉手当については六月分から〇・一と、それぞれ
措置をいたすことにいたしました。ただ、これと同時に、六月の
勤勉手当につきましてはすでに
支給を完了をいたしまして
職員の手に渡っておるという
事情もございます。そういう点を
配慮をいたしまして、本年六月の
勤勉手当については、すでに
支給されております同
手当の額を下回らないように
経過措置を講ずることにいたした次第でございます。それから、これは事務的な問題でございますけれども、
勤勉手当の
勤務期間に応ずる
支給割合につきまして、
制度運用上の実情にかんがみて
合理化を図ることにいたしております。
以上が
給与の問題を
中心とする
勧告の
内容の
概略でございます。
最後に、例の
週休二日制に
関連しての問題でございますが、本年においても引き続いて
民間における
勤務時間、
年間休日数及び
週休制度の
実態について
調査をいたしました。その結果、微増ではございますけれども、
週休二日制を何らかの形で
実施している
事業所の
割合は昨年と比べましても一・五%増加して六八・九%ということでございますし、また、これに伴って
年間の
休日数も徐々にふえておりまして、
平均八十六日ということに相なっておることが明らかとなりました。
二日制の問題については当
委員会でも種々御
論議をいただきましたが、
テストを本年からやろうではないかということで政府にもお願いを申し上げておったのでございますが、非常に困難な諸般の
事情がございます中を大変御
配慮をいただきまして、その結果、
テストは十月から
実施に移そうということに相なったことは御
承知のとおりであります。したがいまして、
人事院といたしましては、その
テストの
実施の
状況と
問題点の
把握に努めまするとともに、今後も
民間の普及
状況等十分に見まして、
関係諸機関と緊密な連係のもとに、さらに
所要の
検討を進めるということで、真剣に本格的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
ただ、今後
本格実施をどうするか、その他の点につきましては、いまの
時点ではまだ申し上げる時期には至っておりません。もっぱら
テストの
実施状況なり
問題点の
把握ということの上に立って今後のことを
検討してまいりたい、かように考えておりますので、その点を御
指摘申し上げた次第でございます。
以上、ごく簡略で失礼でございましたが、今回の
勧告の
内容について
概略の
説明をいたした次第でございます。