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1976-07-29 第77回国会 衆議院 内閣委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年七月二十九日(木曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長代理 理事 木野 晴夫君    理事 竹中 修一君 理事 藤尾 正行君    理事 大出  俊君 理事 中路 雅弘君       上村千一郎君    塩川正十郎君       中馬 辰猪君    中村 弘海君       林  大幹君    古屋  亨君       松永  光君    山本 政弘君       鬼木 勝利君    鈴切 康雄君       受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      植木 光教君  委員外出席者         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         給与局長    茨木  廣君         人事院事務総局         職員局長    中村  博君         内閣総理大臣官         房人事課長兼内         閣官房内閣参事         官       角田 達郎君         総理府人事局長 秋富 公正君         行政管理庁行政         管理局審議官  加地 夏雄君         行政管理庁行政         監察局長    鈴木  博君         防衛施設庁施設         部連絡調整官  広田 徳久君         環境庁水質保全         局企画課長   西村 純幸君         法務省矯正局長 石原 一彦君         大蔵省主計局給         与課長     足立 和基君         厚生省社会局施         設課長     水田  努君         気象庁次長   岩田 弘文君         気象庁観測部測         候課長     山田 三朗君         気象庁海洋気象         部海洋課長   安井  正君         内閣委員会調査         室長      長倉 司郎君     ————————————— 委員の異動 七月二十九日  辞任         補欠選任   赤城 宗徳君     上村千一郎君   有田 喜一君     塩川正十郎君   大石 千八君     中村 弘海君   三塚  博君     松永  光君   箕輪  登君     古屋  亨君 同日  辞任         補欠選任   上村千一郎君     赤城 宗徳君   塩川正十郎君     有田 喜一君   中村 弘海君     大石 千八君   古屋  亨君     箕輪  登君   松永  光君     三塚  博君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公務員給与に関する件  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 藤尾正行

    藤尾委員長代理 これより会議を開きます。  先般、行政機構並びにその運営自衛隊及び公務員制度実情調査のため、委員を派遣いたしました。  この際、派遣委員から報告を聴取いたします。木野晴夫君。
  3. 木野晴夫

    木野委員 第一班の国政調査の結果を御報告申し上げます。  派遣班は、木野晴夫大出俊中路雅弘鬼木勝利受田新吉の五委員で構成し、兵庫県及び大阪府において和田貞夫委員現地参加を得て、六月二十八日から三十日までの三日間の日程で、行政機構並びにその運営自衛隊及び公務員制度実情調査目的として、海上自衛隊第三一航空群宇宙開発事業団種子島宇宙センター陸上自衛隊中部方面総監部陸上自衛隊第三師団大蔵省造幣局及び近畿管区行政監察局をそれぞれ調査したほか、米軍岩国基地を視察し、米海兵隊岩国基地司令官スタッツァー大佐と懇談をいたしました。  これら調査内容につきましては、時間の関係上、口頭による報告を省略し、委員長手元に提出いたしました報告書会議録に掲載されるようお取り計らい願い、それによって御承知をいただきたいと存じます。  また、各機関より受けました資料等は、当委員会調査室に保管してありますので、適宜ごらん願いたいと存じます。  以上御報告申し上げます。
  4. 藤尾正行

  5. 竹中修一

    竹中委員 第二班の国政調査の結果を御報告申し上げます。  派遣班は、木原実鈴切康雄竹中修一の三委員で構成し、六月三十日から七月二日までの三日間の日程で、行政機構並びにその運営自衛隊及び公務員制度実情調査目的として、海上自衛隊大湊地方隊海上自衛隊函館基地隊北海道開発局室蘭開発建設部函館営林局室蘭営林署陸上自衛隊第七師団及び航空自衛隊第二航空団調査いたしました。  これら調査内容につきましては、時間の関係上、口頭による報告を省略し、委員長手元に提出いたしました報告書会議録に掲載されるよう委員長においてお取り計らい願い、それによって御承知をいただきたいと存じます。  また、各機関より受けました資料等は、当委員会調査室に保管してありますので、適宜ごらん願いたいと存じます。  以上、御報告申し上げます。
  6. 藤尾正行

    藤尾委員長代理 これにて派遣委員からの報告聴取は終了いたしました。     —————————————
  7. 藤尾正行

    藤尾委員長代理 ただいま派遣委員から申し出のありましたように、派遣調査調査報告書は、これを会議録に参照掲載することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 藤尾正行

    藤尾委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書本号末尾に掲載〕      ————◇—————
  9. 藤尾正行

    藤尾委員長代理 公務員給与に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  10. 大出俊

    大出委員 行政管理庁皆さん厚生省方々の御都合があるようでありまして、実は給与を先に質問させていただいて、七月に出された勧告行管所管でございますので、絡んでそれに触れた質問をと思ったのでありますが、逆にさしていただきまして、植木総務長官藤井人事院総裁見えでございまして、恐縮でございますけれども、先に二、三十分そちらへ触れさせていただきたいと思います。と申しますのは、救護施設という施設全国百四十五ばかりあるわけでありますが、今回の勧告中身にその問題が触れられているわけでありまして、基本的な問題が幾つかございますので、行管考え方をまず承りたいのであります。  まず、どういう趣旨で今回この施設関係監察をされたのか、どういう名称で、いつ勧告をお出しになったのか、ちょっと簡単で結構でありますから、お答えいただきたいと思います。
  11. 鈴木博

    鈴木説明員 お答え申し上げます。  ただいま御質問ございました勧告は「生活保護に関する行政監察結果に基づく勧告」でございますが、今年の七月に勧告をいたしました。  勧告をいたしました趣旨でございますが、社会福祉施策の中で非常に社会的にハンディキャップを負っております人たちに対します各法律生活保護法等で見られております施設においての取り扱い状態でありますとか、きめの細かい配慮が行われているかどうか、そういうところを主眼に監察して勧告した次第でございます。
  12. 大出俊

    大出委員 救護施設がこの中に入っておるわけでありますが、勧告は「生活保護に関する行政監察結果に基づく勧告」、七月に勧告なさっておるわけであります。ここで救護施設、ここ三年ばかり、あるいは四、五年でも結構でございます。つまり百四十五施設今日あるのだろうと思いますが、この推移、どういうふうに動いてきたのか。私は数はふえてきておるというふうに見ておるわけでありますけれども、そこらのところはどういうふうになっておりますか。
  13. 鈴木博

    鈴木説明員 いわゆる多法多施策によりまして、各施設とも増加しておるわけでございます。収容人員等もふえてきておるわけでございますが、それらの施設の中でも特にいわゆる救護施設でございますが、このふえ方が、施設の数あるいは収容数におきましても、ほかに比べて非常に著しいものがございます。たとえば、四十年度と五十年度、十カ年の比較をいたしますと、救護施設の場合は、四十年度におきまして百八カ所でございましたものが、五十年度では百四十五カ所、それから入所定員におきましても八千三百三十四人というものが、五十年度では約一万三千人近くにふえておるという傾向が見られた次第でございます。
  14. 大出俊

    大出委員 そうしますと、救護施設というものは、現在、社会的なニードと申しますか、社会的な必要性と申しますか、あるいは価値といいますか、そういう意味で一体どういうふうにとらえればいいか。今回の監察結果を踏まえてそこをどういうふうにお考えになっておるかという点を承っておきたい。
  15. 鈴木博

    鈴木説明員 救護施設につきましては、この収容率を見てみましても、ほかの福祉施設に比べまして一〇〇%を上回っておるというよう実態でございます。これをいろいろ分析いたしましたところが、たとえば、ほかの施設の方に収容することができるであろうと思われる者もおりますが、また反面、いわゆる障害の複合した者、複合障害の者でありますとか、あるいは単一の障害者でありましても非常に重度な者でありますとか、こういうのはほかの施設収容ができない、そのために救護施設の方で全部それを抱えてやらなければならないというよう実態が相当の部分を占めております。したがいまして、一〇〇%を上回るという結果になったのではなかろうかという判断をいたしておる次第でございます。
  16. 大出俊

    大出委員 私は、全国十四の救護施設方々、そこの責任者園長さんであるとか、こういう方方と直接細かいやりとりを、苦労のほども含めて聞かせていただいたことがあるのでありますが、いまお話がございましたように、収容人員なんかも定員を上回っている施設幾つかある。ここなどは非常に国の側のあるいは自治体の側の対応の仕方に疑問もあれば問題もある、こういうふうにとらえなければならないと実は思っているわけであります。たとえば東京の八王子にあります救護施設、中西さんという方が責任者寮長さんでございますが、ここは百名定員、これは昨年ですけれども、百名定員だというのに百二名現に入っておられる。まだ入れてくれと言って大変要請が強いわけであります。  ここで一つ念を押しておきたいのですけれども、他の施設に入るべき者を入れているというお話がいまございました。だがこれは、そういう言い方というのは私は不当だと思うのですよ。なぜかといいますと、入れる側はしからば一体どこが入れるのかと言えば、お年寄りにしろ、身体障害のある人にしろ、重度にしろ重症にしろあるいは老人福祉法関連にしろ、こういうわけだと言って行ったときに、どこどこに入れますと言って片っ方で認めるところがあるわけですね。措置を命ずるところがある。その施設は当然受け入れざるを得ない、あたりまえです、という形になっているのではないですか、たてまえ上は。勝手に、そこにお年寄りがいるから連れてこいというのじゃないのじゃないですか。そこのところいかがですか。
  17. 鈴木博

    鈴木説明員 まさに御指摘のございましたよう実態というものをわれわれもやはり見たわけでございますが、たとえば、やや第三者機関的な精神薄弱者更生相談所、こういう専門機関等もございますので、そういうようなところで個々の保護者につきまして判断してもらいまして、どういう施設が適当かというような判定をしてもらって、それぞれに入ってもらうという措置も必要であろうということを一つ指摘したわけでございますが、他面、その福祉施設間における連絡調整的な機能というもの、これがやはり先行いたしませんと、そういう的確な判断があったとしても実行できないということもございますので、その辺は行政機関間におきまして最も的確な調整をして実効の上がるようにすべきであるということも指摘したわけでございます。
  18. 大出俊

    大出委員 その言い方にも問題がありまして、そう簡単なものじゃないと私は思っておりますが、時間の関係もありますので、いまの点は後から申し上げます。  そこで、みんなふえているんだけれども救護施設は特にと、こう言うのですが、減っているところもあるのですよ。更生施設なんて減っているのですよ。みんなふえているわけじゃない。つまり、いまお話しように、急激なふえ方をし、かつ施設拡充をされている。私の足元にも天神寮という施設がございますけれども、横浜市もずいぶん苦労しましたが、厚生省皆さんにも大変な御理解をいただいて、私も何遍かお話をしたことがございますが、大変りっぱな施設になってきていまして、前に火事があってあわてて飛んで行ったことまであるわけでありますけれども施設は数もふえている、機構も拡大をされている、しかも満杯だというのですね。だから、大変に社会的必要性というのは強い施設ですね。しかもこれは総合施設——複合障害なんていうほかに持っていきようがない人々がたくさんいるわけですからね、当然そうなる。それで、五十人とか単位が決まっておりますから、全国まんべんなく専門施設ができるわけじゃない。だとすると、どうしても救護施設というのは必要性が高くなる、当然の現象だと私は思うのですね。だから、ずいぶんたくさんの方々園長さんに集まっていただいて聞いてみますと、苦心惨たんしているんですね。大変な骨の折りようですね。  ところで、この勧告を見ますとそこに何にも触れてないんですね。これじゃお気の毒だという感じが私はするんですよ。寮長さん一人じゃない、あなた方の方で割り振っている定員に従って引っ張り足りない。もう夜勤なんてものは片っ端基準法違反だらけです。かつて皆さんの方で——水田さんもきょう来ておられたり、土屋さんお見えになっているかどうか知りませんけれども、私はかつて電話を入れて、一体これは基準法違反だらけでこれをどうするのだと言ったら、三年計画で何とかする——国が所管する施設で国が法律違反になっていることを承知の上で三年間とは何だと言って私は怒ったことがあるのです。まさに田中厚生大臣に私が質問したら、あわてて二年間に短縮するとこう言う。大蔵省にも大分文句を言いましたが、結果的に去年の予算のときに大蔵省要求人員をすぱっと認めたですね。それだけの意味があるからなんですね。せっかく八千人にも近い人が一遍にふえた。けれども、各施設に割ってみると、それで夜勤体制の面で基準法違反がなくなるかというと、全然なくならない。片っ端から基準法違反。しかも超勤などは払えない。片っ端からそうなんですよ。超勤、深夜勤なんてみんな払えない。しかし、そこで働いている人に納得してもらってやっているんですね。後から具体的な例も挙げますけれども、そういう苦労をしているにもかかわらず、この勧告の「救護施設」というところに書いてあるのを読みますと「救護施設は、精神上又は身体上著しい欠陥があるため独立して日常生活ができない要保護者収容して生活扶助を行うための施設である。」こんなことはあたりまえで、法律に書いてある。そうでしょう。何の意味もない。法律上そうなっている。だから、そこから下が調べた中身です。「今回、調査した二十三救護施設入所者についてみると、施設側判断によれば」とこう書いてあるんですね。「施設側判断によれば精神上又は身体上の障害の種類、程度等から、機能回復訓練、あるいは職能訓練等の専門的な福祉サービスの提供を行うことが適当な者が七百八人(入所者総数の三四・五%)に及んでおり、これらの者については、専門的な訓練等により社会復帰等が図られるよう関連社会福祉施設等への措置変更等を含めて適切な措置が講ぜられるべきものと思慮される。」と、ここにはこう書いてあるのですね。後に皆さんの方の結論がございますね。しかし、救護施設のところではこれしか書いてない。これは皆さんの方の言い分じゃないのですね。つまり施設側判断によれば」というのですからね。預かっている施設の長の方が判断をしてみて、これこれの方はこっちの方で専門的な訓練が必要だというふうにお考えになったということなんですね。そのことしかとらえていないですね。しかも、この勧告の背景に、基本的な分離収容と言われる物の考え方と、救護施設というものは本来必要なんだ、将来に向かっても必要なんだ、あるいは必要の度はますます増すのだという基本的な点に二つ違いがあるのだけれども、これはどっちをとっているのかという点に一つも触れないですね。どうでしょう。これは全く不親切な、全く意味のない——今日的に苦労し抜いている救護施設寮長さんや寮母さんやあるいは栄養士の方——栄養士というのは八十一人以上なんというばかな基準をつくっているのですけれども、八十一人以上なければ栄養士は置けないのだ、じゃあ八十人と八十一人とどう違うのだ、そんなことを言うなら。八十一人の寮ならば栄養士がいてちゃんと毎日栄養価値のある——それは金が少ないから苦労してやっているわけですよ。八十人のところには置けないのです。置けないから、しようがないから臨時雇いで頼み込んで来てもらってやっている。この人は三百六十五日いるのだ。いるのだが、人件費で払っているのじゃないのだから、定員に組み込まれていないのだから、だから、夏になってほかの寮母さん皆夏期手当もらったって、この人はもらえない。年末になって年末手当と言ったってこの栄養士さんはもらえない。そういうふざけたことをやっているわけですね。そうでしょう。そういう苦労をしている現状認識というものをなぜここにうたわない。あなた方調べて、さっきお答えになったでしょう。数はどんどんふえてきている、施設拡充をされてきている、それでも満杯だという、そういう社会的必要性が今日あるのだという。そうお調べになって、そうお考えになっているならなぜそれを書いてあげないのですか。これは全国施設の方は、やはり国がそこのところは認めておられるということになりますよ。そうでしょう。それが土台になって物を考えるのでなければ、こんな——ここでもう一点だけ申し上げておきますが「施設側判断によれば」と書いてあるけれども、何も施設の側から前に進み出て、この人とこの人は向こうへ送って機能訓練が必要だと言ったんじゃないと思うのですよ。あなた方の方が分離収容なら分離収容という頭があって、ああ、こうこういう身体障害者福祉法適用該当者みたいな人もいるわけだから、あるいは重度の人もいるわけだから、あるいは授産措置などが必要な人と見られる人もいるわけだから、この人たちはどうなんですかというのは、恐らくあなた方の方が聞いたんだと思う。そう言われれば収容施設の側も、それは適当にそういうところがあれば機能訓練等して差し上げたいと言うかもしれない。非常に不親切きわまる中身なんですね。何でこんなことになったかというのです、せっかく監察されて。
  19. 鈴木博

    鈴木説明員 ただいま大出先生指摘のとおりのいわゆる救護施設につきましては、大変な努力がその施設を支えておることは間違いのないところでございます。これは私ども監察しまして一同全部そう感じたわけでございます。ただ、勧告のいわゆるパターンと申しますかやり方といたしまして、そういった著しく身体障害欠陥のある者をめんどうを見るということが本来の施設の任務でもございました関係で、特にその分は相当の努力で支えられておりましたけれども、ほかのいわゆる勧告パターンを合わせまして、あえてといいますか、特には触れなかったわけでございます。しかし、その辺の御努力状況等につきましては、勧告先であります厚生省の方にも実態をよく御説明いたしまして、今後において十分配慮をされるように希望いたしておるわけでございます。今後御指摘のございました点は十分注意して見守ってまいりたい、このように存じます。
  20. 大出俊

    大出委員 私が、たまたま何回目かの救護施設関係の方にお集まりいただいて話をしている席上で、皆さん監察をしていることが話に出た。それはどういうことかというと、ここに原本がございますけれども、これは私あてに送っていただいたのですね。これは北海道救護施設協議会の会長の松島粧助さんから送っていただいた。実は当時、救護施設でこの本をいろいろ検討してこしらえておられた入所者処遇指針というのがあるのですね。いろいろなことが書いてあります。これを監察に行かれた行管皆さんがどうしても貸してくれというのですね。それで実はお貸ししたというわけですよ。妙なことを書かれちゃ困ると思いながら貸したというわけです。わしらは苦労しているのだけれども、なかなかわかってくれないというわけですね。そういう話が出てきた。非常に細かく聞いたというわけです、大変勉強になりましたというので。それで心配されるわけですね、変な監察をされては困るというので。そこで私も心配になったから、すぐそこからおたくの監察局長さんに電話を入れたのです。やっていますというわけですね。それでは、皆さん苦労のほどが身にしみてわかる話を聞いているので、たまたま私の担当の内閣委員会というのは行政管理庁所管委員会なんだから、みんなががっかりするようなものを書かれても困るので、監察の結果を一遍勧告をお出しになる前に聞かしてくれと、こう申し上げた。そうしますというお話です。そうしますというお話なんだけれども、全く何の連絡もなくて、ぽかりと出てきた。出てきてみたら、皆さんがぼくに異口同音に当時、監察をやっているのだけれども心配だと言っていた、ところがこれは……という言い方なんですね、皆さんの話では。私も大変にこれは、皆さんが、あのときに私どものいる前で電話をかけてあらかじめ監察結果をお話しになるということだったけれどもと私が問われまして、大変に困ったわけですけれども。それで皆さんの方の説明によると、厚生省とも相談をしてこうこうだと言う。それでは厚生省の方にもお出かけをいただかざるを得ないと思って、きょう実はお出かけをいただいた、こういう事情なんです。  そこで時間がありませんから、改めてじっくり聞かしていただきますが、きょうは審議を主にして考えておりますので、これは全く関係がないわけじゃありませんけれども、要点をしぼって実はこれから問題点をひとつ承っていきたい。  現状認識という面で先ほど来の御説明を聞けば、私が見ているところとそう差異はない、大変にいいです。ところが行管の方が私のところに説明に来られて何を言うかと思ったら、二十年、三十年先には専門施設にみんな行って、なくなる性格施設ですからというようなことをぽんとおっしゃった。これはまことに困るですよ。二十年、三十年先の話をするなら、生活保護法に基づく施設だが、救護施設というのは一体いつできたんだと聞きたい。いつこれはできたんですか、救護施設というのは。これを見ますと、かつて明治の時代からいろいろあったわけです。一番最初が救護法という法律、その次は社会事業法という法律、それから旧生活保護法になって、現生活保護法になっているんですね、変遷を見ると。これはある意味での救貧法なんです。出発は困った貧乏人を救うという法律なんですね。つまり救護施設対象者は廃人という見方をして、そして施設収容して平穏に生活をさせる、これが法の趣旨ですね。救貧法趣旨です。昔の救護法ですね。その思想が残ったままになっているというかっこうでは、まずいまの社会に適合しない。  そこで二つ承りたいのですが、さっきお話がありました分離収容みたいなことを現実にそれじゃできるか。断じてできない、これが一つむね別につくらなければならぬことになっているのですから、新しい法律は適用しないんだから。  それと、もう一つは、二十年、三十年たったらなくなる、まあそういう性格だと言うけれども、二十年、三十年先のことがわかりますか。今日、社会的必要性が四十年から五十年までの十年間でかくのごとく高まっている救護施設というものの存在を、じゃあどうするのだということになる。そこの根本的な問題を監察の方は一体どうとらえたのか、行管は。そこを承りたい。
  21. 鈴木博

    鈴木説明員 二十年後に救護施設がどうなるかというようなことにつきまして、私ども説明がもしそのような御説明をしておるといたしますならば、これは全く根拠のない、本当にその個人の見解だったと思うわけでございますが、私の立場といたしましては、将来この社会福祉施設がどのように進展し、またその分野においての科学というものがどういうふうに伸びていくかというようなあらゆる基盤の動きと合わせてこれは判断さるべきものでございまして、現在のいわゆる救護施設というものは、ただいま御指摘のございましたように最も古い歴史を持っておりますし、非常に複合した手に負えないよう方々をめんどう見るといたしますならばここ以外にはないわけでございますので、そういう面で、いよいよ現在の救護施設の任務も高まりこそすれ減退することば絶対ないという認識を私たちは持っているわけでございます。
  22. 大出俊

    大出委員 それなら、高まりこそすれ減退することがない社会的必要性のきわめて高いものを持っているということになるとすれば、今度はそこで働く人も、あるいは収容対象者の方々も、お互いこれは幸せにならなければいかぬですからね、それだけ高い必要性があるんですから。中身もよくしなければいけないですね、それから処遇も。そういうことになる。もちろん他の施設との関係が、これは社会福祉一般という意味でございます。ございますが、その中で救護施設というものの価値判断をして、なくなる云々でない、まだきっとふえるでしょう。そうだとすると、そういうところに対する対処の仕方というのは、もっと突っ込んで根本的に考え直す必要があるところに来ていると私は考えている。そういう意味で、そこから先になりますと、この間私が承ったら、おたくの話に七百八名というが、一体どういう人が対象になってどうなんだと聞いた。私も調べているから、ぼつぼつ本格的に調べようと思っている段階ですが、聞いたら、われわれ行管ば専門家じゃないからわからないと言うわけだ。わからぬ人が勝手なことを言うのは困るじゃないかと私は笑いながらそう言ったんですけれども、だから、わからぬ人に聞いてもしようがないので、厚生省の担当の水田さんがお見えになっておりますから、ここで、しからば一体、いま行管がそういう見方をしているとすれば分離収容なんかのことは当面考えられない、どうしてもそこが満杯になってしまう、必要性を持っておるわけですから。だとすると、この救護施設厚生省の所管の立場でながめてみていろんなことについて——特におたくの土屋さんなどは大変お詳しいわけですから、救護施設側だって大変感謝しておるわけです。水田さんもそうです。この問題で厚生省で詳しいのは水田さんと土屋さんしかいないんだと私は思うのです、かね。それだけに、いまやりとりいたしましたが、そういう上に立って、一体どうあるべきなのかという基本的な物の考え方をまずちょっと聞かしていただきたい。
  23. 水田努

    水田説明員 いま先生から御指摘のありましたように、救護施設社会福祉施設の原型でございまして、今日の社会福祉施設というのは非常に細分専門化いたしておりますが、それは逆に升目に盛り切れない人が出てきている、それを当然総合的に救う施設というものが、恐らく細分専門化すればするほど必要になってくるわけでございまして、その意味合いにおいて救護施設が、先ほど行政管理庁の方から御説明がありましたように、今日的な意味合いを持ってふえてまいっておるわけでございます。この点につきましては、勧告に当たりまして行政管理庁にも十分御理解をいただいた点でございまして、私どもは、救護施設というのは社会福祉施設がただいま申し上げましたように細分専門化すればするほど、その度合いに応じてその升目に盛り切れない人を救う重要な役割りを持つ機能である、したがいまして、そこの中に収容されるという方は複合性を持つ非常に重度の方が多いわけでございますので、この人たちのお世話をする職員の方等はいろいろの面で大変苦労なさっておられるわけでございまして、このことはひいては入所者の方の処遇に適切な面を欠くうらみがあるわけでございますので、何といたしましても救護施設入所者の処遇水準を高めるためには、いろんな意味合いにおいて職員の充実確保を図っていく、これが今後救護施設に課せられた最大の課題ではないか、こう思っております。  したがいまして、ことし初めて救護施設全国規模の研修会ができまして、そこに専門委員会をつくってもらいまして、行政のサイドと一緒にこの専門委員会で、今日置かれさらに今後ますます必要性の高まる救護施設の処遇の水準を高めるためのあり方というものを行政と施設が協力して方策を見出して、行政はそれを受け入れて予算上対処していく、これは一年くらいかけてじっくりやる。そういう抜本対策のほかに、当面五十二年度予算においても必要な措置をわれわれは講ずべく準備をいたしておる次第でございます。
  24. 大出俊

    大出委員 大変前向きなお答えをいただきまして、恐らく救護施設苦労されておる方々は喜ばれると思うのですけれどもね。そういうふうにお考えいただいているなら、余り時間もございませんから細か過ぎる質問はやめますけれども、実は幾つも矛盾があるのですね。  これは私、十四人ばかりの方々に聞いたのですが、横浜の小林亀松天神寮長さんなんかも、鹿島更生園だとか関連の施設がたくさんございますけれども、運動会をやると言えばバスで方々から来てみんな一緒にやる、演芸会をやると言えば近隣の東京からもみんな来るということで、施設収容者の方々が集まって一緒にやる。文化祭と言えばまた招待を出すというようなことで、交流まで一生懸命やっておるのですね、明るくしようということで。健康に生活してもらうためには、お年寄りにしろ、複合合併症をお持ちの人にしろ、あるいは重度の人にしろ、その必要があるわけですけれども、そういう苦労をしておられる。この方々から出てくる意見です。十何名かの方に聞きましたが、分離収容なんというようなことを前提にして救護施設考えられては困ると言うわけですよ。どんどん必要性は高まって、定員オーバーばっかりなんですからね。それでも入り切れないのですから。そこで言ったことをちょっと言っておけば、救護施設という総合的なものが必要かどうかということで議論がされてきている、全国的に分類収容、分類方式という問題が出てきている、しかしそれはまさに社会福祉にならないというのですね。専門施設をつくったのをながめてみると、どこへ行ってみたって六〇%ぐらいしか入っていないというのです。入れないのですね、その人が複合症を持っていれば、重症だって重度だって。だからそういう意味で、この天神寮もそうですけれども、入り切れないのですからね。そうすると将来はむしろ総合的なものを考える方向に行くべきではないのか。そうだとすると、そこから先に問題があるというわけですね。さっき申し上げたように、八王子の中西さんのところなんかは百名が百二名入っている。この中に重度の方が三十三名いるのですよ。これは本来なら適用法規が違うわけです。生活保護法じゃないのですよ、重度方々というのは。そうすると定員オーバーの百二名の中に重度の方が三十三名いるとすれば、重度の方に対する寮母さんの数という形になっていかなければならぬ。これは救護施設の基本要求というのを私この方々からもらっていますが、ここでは救護施設の中の収容者に、身体障害者福祉法、精神薄弱者福祉法、老人福祉法などをそれぞれ分けて適用すべきではないかという意見なんですね。だからこのことを逆にとられて分離収容の方向へ持っていこうなんということを考えられると困るから、うかつにはこれは言えませんが、中身をよくしようという考え方に立つと、こうなってくるのです。矛盾があるからという意味なんですね。  時間がありませんから言うだけ言ってからお答えをいただきますが、そこでこの八王子の中西さんのところの定員の積算の基礎、夜勤の職員、一人配置なんですね。一人配置で一体夜勤ができるかと言っているわけです。今度は人をふやしたからといって、この状態を変えようがないというわけですよ。ところが、重度なんという方の場合は二対一だったわけですね、こっちの法律でいけば。何で一体、重度の方が三十三人もいるというのに、それを見た寮母さん等の配置にしてくれないかというわけです。あたりまえですよ。生活保護法関連だからというのでそっちだけで、これは後から申し上げますが、事業費は幾らでございます。事務費は幾らでございますと算定をした。十月から七対一になったわけでしょう。いままで八対一だったわけですから、私もがたがた言いましたが、七対一にしてもらった。満杯で認めた厚生省の御努力は、本当に私は頭を下げているんですけれどもね。そうだとすると、実際に百二名、定員は百名なんですから、この中に三十三名重度の方がいるとすれば、かと言ってその施設専門施設にできないのだから、そこをなぜ見ないかという意見が出てくる。たくさん言っていますけれどもね。超勤や深夜勤というのは払えないというのですよ。払えないからしようがないから当直料というような形にしているというわけです。これははっきり言うと、人事院おいでになるけれども、違法ですよ。実際に夜間勤務しているんだから、宿直じゃないのだから、これは。そうでしょう。重度の方三十三人、おしめ、排便、排尿、全部夜やっているのですから。こんな当直ないでしょう。実務要員ですよ、夜中の。そうでしょう。国が見てくれないからしようがない、当直料として支払っている。これは実は当直でなくて夜勤でございますと、はっきり言っている。ちょっとばかりふやしてもらっても、どうにもなるものじゃないと言っている。これあたりは私は人事院にもぜひ一遍御検討いただきたいですよ。こういうことになっている。国が所管をしている、そういう国と自治体が八対二なんていって金を出し合ったりしてやっているわけですから、そういうところの勤務体制というものが、これじゃ話にならぬ。  それから久留米園というのがあるのですね。田中寿美子さんという方が寮長さんです。これは東久留米のひばりケ丘団地にある。こちらなんかでも、確かに教育訓練が必要な方々がいるというのですよ。しかし実際には入れられないというのです。つまり救護施設に入る方については属人的に一々何がしかの理由があるというのだ。とんでもないところの専門施設に行きようがないと言う、親族関係だってあると言う。そんなことを言ってとんでもないところにやられたんじゃ年じゅう行けないじゃないかということになる、周辺の御家族は。親戚だなんてこともあるのでしょう、遠縁でどうのこうのというのが。行けない、そうするとそっちに入ろうといったって入りようがない。そうすると一体、そういう何らかの事情があって救護施設に入っているのなら、救護施設に入ったから、専門施設じゃないからといって生活保護関連ということで片づけられたんじゃたまらぬというわけですな。それが、さっきここで申し上げた適用法規が違うのじゃないかという意見に結びつくわけですね。それから、東京の日野に東京光の園というのですか、光の国ですか、光の園ですね、田中亮治さんという方が寮長さんをやっておられるのですね。盲人の方が結構おいでになる。四十八年に別むねにして重度の授産施設をつくった。別むねにしないと法律適用してくれないから、専門施設と認めないから。仕方がないから別むねをつくった。むねが別だからというのでそっちはそっちの法律の対象になっている。そこは授産をやる、つまり何がしかの仕事をするよう訓練していた。ここでいろんな仕事をいまやっているわけなんですね。点字なんかの書物だとか、製本とか、印刷とか、袋をつくるとかやっている。何がしの収入になる。これは定員百十一名のところです。そこで、そうするとその収入、それから適用法規が違ったということでこっちは非常に待遇がよくなる。並んでいて、片っ方むねが違って専門施設だからというので適用法規が違うから処遇も高い、手当ても行き届く、定員もふえるから。そこでもって授産施設、仕事をするから収入がある。じゃ隣のもとの救護施設は一体どういうふうに見ればいいのだということになるわけです。だからこの論理からいけば、この救護施設に複合していまのよう施設をつくる、救護施設にその種の、つまり授産設備その他まで含めて施設をつくる、総合施設にする、そこに収容されている人たちの頭数の中で、年度当初に、重度なら重度が何名、盲人が何名、こういうふうに国に報告をして、それに従って適用法規に基づく措置をしてくれるということにするのが本来の筋ではないかという意見が出てくる。当然でしょう。これはいろいろございますけれども、横浜の天神寮なんかでもいろいろ聞いてみますと、遺族年金なんかでも天神寮に入っていると収入があるから出さない。老人ホームに入ると遺族年金というのは出るのですよ。全くそれは至るところおかしいのですね、いまのこの救護施設に対する物の見方、考え方というのは。だから私は、こういう点を踏まえて特別立法の必要もあると実は考えているのですが、こんな古い法律をほっぽっといてどうなるものじゃないのだから。社会的に高い施設に対してどういうふうにするかという、社会保障一般、他の施設の関連はあるけれども、そこも横目でにらまなければできませんけれども、どうするかという、そういうもっと具体的なものが必要だと私は思う。いかがでございましょうか。
  25. 水田努

    水田説明員 ただいま大出先生の御指摘の点は一々ごもっともなことであります。したがいまして、今日の実情に合った救護施設のあり方、これをどう持っていくか、他方との関連もよくにらみながらそのあり方というものを行政のサイドだけで発想するのじゃなくて、先ほども申し上げましたように、施設の代表の方と一緒に専門委員会でそのあり方を考えて、いま先生の御指摘のあったような諸々の問題等を同時に解決できるような方策もお互いに知恵を出しながら、ひとつよく腹を割って検討し合おうじゃないか、こういう機運が非常に出てまいっておりますので、私どもはそれをぜひ成功させたい、このよう考えております。またそれを実現するに当たって、もっと救護の関係について、御理解の深い先生の御協力を得ながら、私どもは、救護施設における施設運営のあり方あるいは入所者の処遇の向上、こういうものをぜひ図っていきたい、このよう考えております。
  26. 大出俊

    大出委員 結論を出しておきたいのですが、つまり処遇をめぐる中心は何かというと、事務費、事業費という分かれ方をしていますね、算定の中心は。だから救護の措置費というのは事務費と事業費である。事務費の場合は人件費と光熱、水道等を含めまして若干の管理費がございますね。そして事業費の方は、生活保護法に定めるところですから、保護基準でお一人当たり月額いま大体二万七千円とか二万八千円ぐらいになっておるのです本当にわずかです。月額二万七千円から二万八千円が生活保護法に基づく計算でございます。そこで、寮母さんの数がふえるということになれば事務費単価は上がることになるわけです。たとえば寮母さんが七対一に、ことしの十月からでございますか、去年のお骨折りでそういうことになるわけですね。これがたとえば六対一になれば、さっき申し上げた重症が三十三人もおいでになるところもあるわけですからね、そういう意味で言えば、ある意味で別な法規を適用したものに近いところまで上がっていくわけですね。だからいますぐ他の施設との関係があってできないとするならば、私は具体的に言えば、本年の十月一日から七対一基準ですか、七対一基準なら七対一基準というのを、収容者七名に対して一名という基準を来年あたり六対一ぐらいまでもう少し下げていただければ、さっき申し上げたように、夜勤体制で、当直でやっておるということなんですから、これは法律違反だと私は思うのです。もう少し何とか前向きに考えられるという気がするわけでありますから、そこらのところを、七十人施設なら十月一日から寮母さんが十人ですね。それをもう少し考えていただきたいという気がするのでございます。七十人施設の例を挙げれば七十人で寮母さんが十人。そのほかに、七十人だから、八十人以下ですから栄養士さんはないですね、八十一人以上しか置けないのですからね。指導員の方が一人か二人か知りませんがおいでになりますね。調理員の方が四人ぐらいいますね。それから事務員の方が一人、寮長さんが一人、こういう構成ですね。そうすると事務費の方は、この人員で積算をすればおおむね事務費の総額が生まれてきて、これに何がしかのプラスアルファが古い施設等についてはくっつく、大体こういうかっこうですね。そうすると、ここのところに一体どういう具体的な手を加えれば事務費の中身というのがふくらんでくるか。ここは一つ考える必要がある。この辺のところは具体的にどうお考えですか。
  27. 水田努

    水田説明員 五十二年度の予算につきましては、まだ省議が終わっていない段階でございますので具体的に申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、先ほど職員の点で、先生の御指摘のあった事項あるいはその他の事務費以外の管理費、その他についてはわれわれとしては努力いたしたいという気持ちを持っておることだけをお答えさせていただくことでお許しをいただきたいと思います。
  28. 大出俊

    大出委員 担当の課長さんですから、いまから、七対一に十月からなるやつを六対一にいたしますとおっしゃられぬと思いますけれども、実情はそうですから何とか御努力をいただかぬと、また基準法違反だという問題が出てまいりますので、実は事細かに調べ上げて基準法違反がこれだけあるじゃないかということをそのうちに言おうと思っておるのですけれどもね。  そこで、もう一つ事業費ですね。事業費というのは生活費がありますね。この中に被服だ、保健だ、衛生だというのはみんな入っているのでしょう。そこで、この事業費の方、これが実は食生活含めて生活のそのものなんですから、こちらの方についても何か考えなければならぬだろうという気が私はする。そこで、それならば考える方法というのはどういうことか。収容されている方々の色分けをして法律を厳密に適用すればさっき申し上げたようにこうなるわけです、いろんな法律があるわけですから。それで、高い方の法律該当者がたとえば百人の中に三十人いるとか、これはわかるわけですから、そこら辺を考えて、その分だけ上にプラスアルファができないか、事業費の面で。何かそこでひとつ考えなければならぬ、そういう必要性があるのではないかという気がするのですが、そこらのところはいかがですか。
  29. 水田努

    水田説明員 来年度の予算要求の枠も大変厳しいものがあるわけでございまして、私ども救護施設についていろいろ配慮を加えたいという気持ちは十分持っているわけでございますが、先生の御指摘の事項の中で、いろいろ私どもなりに緊急度を勘案しながら大蔵に対する予算要求というものをつくらせていただきたい、このよう考えております。
  30. 大出俊

    大出委員 去年も実は、さっき申し上げたのですが、八十一人と八十人というところで線が引かれて、八十一人以上でなければ栄養士が置けないというようなばかなことはないじゃないか、五十人から置いたっていいじゃないか。設置基準というものがあるわけですからね。だから、実際に栄養士さんを週決めで雇うなり何なりしなければできないのだから、保健所へ行って指示を得てなんて言ったって、実際には入寮者のためにならないのだからと言ったのですが、去年はやはり、いまおっしゃる重点が夜勤体制基準法違反をなくするところにあったから、だから切れるものは切れていったということになるのですが、だからそれはわからないわけじゃないのですが、きょうはこれを主にと思ったわけではないので、たまたま勧告が出ましたから申し上げているので、ひとつ行管の方も専門屋でないことは皆さんがお認めなんだから、厚生省の意見等もいろいろお聞きになった上でお出しになったとは思います。だが、この一番最後の勧告のまとめといいますか、これだけは承っておきたいのでありますが、この十四ページでございますかね、「保護施設入所者の処遇については、施設の設備及び運営についての最低基準の遵守励行に努めるとともに、入所者精神上又は身体上の特性を十分考慮してそれぞれの福祉ニードに応じたきめ細かな処遇を確保すること。」とこうありますね。「きめ細かな処遇を確保すること。」ということは、たとえば七対一というようなものを六対一にしてあげて、さっきおっしゃった救護施設の今日的価値をお認めになるなら、ここでまとめているこの中身というものは、たとえば七対一なら七対一を、できることなら六対一にしてあげて、寮母さんがもうちょっとふえて、当直だなんということで一晩じゅう仕事をしていることがないようにというような、そこまでお考えであるはずだと思うのですが、勧告をお出しになった行管の側はいかがですか。
  31. 鈴木博

    鈴木説明員 概して、ただいま先生御指摘になりましたような気持ちでこのきめの細かさということを言ったつもりでございますが、今後、所管省であります厚生省の予算的事情、あるいはいろんな事情がございましょうが、そういう点とも十分話し合いを進めて、なるべくきめの細かい合理的なものを実行するようにしていきたいと思っております。
  32. 大出俊

    大出委員 時間がございませんで、お忙しいところをお呼び立ていたしましたが、行管厚生省ともにいろいろ御用事がございますようですから、きょうのところは以上私の方からお願いを申し上げまして、もう少し考えていただきたい、こういうことで打ち切らせていただきたいと思います。皆さんありがとうございました。  大変どうも総務長官、人事院総裁見えのところでこちらの方に入っていきまして恐縮でございますが、これも寮母その他の方々の賃金、給与に絡みますので、ちょっと触れさせていただいたわけでありますから、お許しをいただきたいと思います。  公務員皆さんの賃金勧告は来月の十日ごろというふうに見てよろしゅうございますか。人事院、いかがでございますか。
  33. 藤井貞夫

    藤井説明員 いままでの当委員会におきましても、私から、去年は十三日でありましたけれどもそれより早めるような方向で努力をいたしておりますということを申し上げてまいりました。そして、具体的には十日を中心というような、前後というようなことをほのめかすようなことを申し上げましたが、本日は一歩前進ということでもまだございません。われわれの方の作業の終了の見込み、あるいは勧告をお受け取りいただく国会並びに内閣の御都合等もございますので、確たることは断定的には申し上げかねますが、いまお話しになりましたように、十日ごろということに相なるかと思っております。
  34. 大出俊

    大出委員 事務的には六日を目途にお進めのようでございますが、金曜日、火曜日というのが昔から人事院が出している勧告の日にちでございまして、これは内閣の閣議その他の都合等に合わせておられると思うのであります。だから、六日、十日というのは、片方は金曜日で片方は火曜日でございますからね。だから、大体十日ごろというふうに、そっちにウエートがあるというふうに見て、当委員会はけさほど理事会で十一日に開こうということにしたのですけれども、それが大きくずれても困るという気持ちがあっていまただしたわけですが、大体十日ということでございますから、そのように私どもも認識をして進めたいと思います。  そこで、具体的に幾つか承ってまいりたいのでありますが、まず基本給、これが勧告の面でどのくらいになるかという点。もういろいろ詰めてきておりますから、ずばずば聞いていきたいと思うのであります。これは六・五%前後ということを二、三私の質問に対してお答えになっているわけであります。ぎりぎりのところへ来ておりますけれども、大体六・五、これは最低限度確保していただかなければならぬと私は思っておるのでありますが、ここまで参りましたから、改めて、最低限度六・五%の確保というのは狂わぬのでしょうなという聞き方をしておきたいのですが、いかがでありますか。
  35. 茨木廣

    ○茨木説明員 まだ確たることは申し上げる段階でございませんけれども、この前大出さんの御質問を肯定するかのごとき御答弁を申し上げまして、大変新聞にも前後と言うたというふうに書かれまして、言うたそうではないかというあっちこっちからの照会が参って、大変こちらの方がお答えに窮した場面もございます。そういうことでございますので、きょうどうだと言われますと大変また困るわけでございますので、御勘弁いただけないかと思っている次第でございます。
  36. 大出俊

    大出委員 いや何も、この間は本音が出たわけでありますから、それを本音と受け取っておけばいいのですけれども、やはりここまで来ると、もう一歩進んで物を言いたくなるので、最低六・五%は確保できますか、間違いないでしょうね、間違いない、こういうことできょうのところは終わりにしたいのですよ。  なぜ最低限度という言い方をするかといいますと、昭和五十年の人事院勧告の官民較差の内訳を見ますと、本較差八・〇九%になっているわけですね。去年の勧告ですよ、一〇・八五のとき。これが給与改定終了事業所の四〇%なんですよ。ちょっと茨木さん、頭が数字でできているのでしょうから、お書きにならぬでもわかると思うのですけれどもね。給与改定事業所の四〇%をお調べになって、その官民——もう民調は終わっているのだから、ずけずけ言ったっていいのじゃないかと思うのだけれども、これを見ますと、それで八・〇九%となっているのですね。追加較差、いわゆる積み残し事業所と言われるもの、五月の賃金台帳に載っかっていくとか、それ以後のずれとか、いろいろありますけれども、これが二・七六%なんですね、積み残しを皆さんの方が集計をされたのが。これは事業所のパーセンテージにいたしまして、二七・五%なんですね。ところが、地方人事委員会の去年の集計をここに持っておりますが、これを見ると大体四〇%ぐらい拾っているのですね、積み残し事業所を。四〇%。地方でこれだけ拾えるのに、何で一体人事院は二七・五%しか積み残しを拾わないのか。二七・五%しか拾わないで二・七六%が出ているのですから、二七・五ではなくて四〇%まで拾い切れれば一%ぐらい高くなる。そうなると当然六・五は最低であって、ことしは春闘は早く終わっているわけですからね。労働省もサボったか故意か知らぬけれども、去年金融関係なんか調べない。金融関係はよかったのですよ。ことしだって調べれば、金融というのは、いまもうかっているのは銀行だけなんだから、そうなるとよけい出るのはあたりまえだ。そういう意味で、ことしは春闘は早く終わったということを人事院もお認めで言っているのだから、それならば積み残しを二七・五%という手はないではないか。四〇%まで拾い切れるとすれば、当然一%は上がるじゃないか。民調は終わったのだ、これから総理府の統計局の計算なのかどうか知りませんけれども調査諸表をいまだかつてお出しにならない人事院ですから、おっかぶせて物を言うのだけれども、だから最低六一五で、これ以下になるなどということはあり得ないと申し上げているわけなんで、この追跡調査、積み残し事業所などという問題をめぐりまして、ことしは去年の二七・五に対しまして、これでは二・七六が出ているのですけれども、もっと拾うのでしょうなということを聞きたいのですが、いかがですか。どのくらいになりますか。
  37. 茨木廣

    ○茨木説明員 民調の積み残しの問題でございますが、ことしは昨年よりも非常に広範に、現に人が各事業所に伺います日にちでございますが、五月の末から六月の十六日いっぱいまでのこの期間に、できるだけ後の方に行くようにという指示をして調査をしてございますので、昨年よりもやはり本較差の方に入ってくる事業所の数が多かったようでございます。むしろ積み残しの事業所数というふうに見ますれば、去年よりも少なく出るものというふうに私どもとしては考えております。それが一点でございます。  それから、この前にもお触れになられましたが、地方の人事委員会の積み残しの数でございますが、これは各地方ごとに事業所の展開しております種類が違いますので、ある団体によってはこちらの積み残し数よりも多い事業所が、額は決まっているけれどもまだ配分は終わっておりませんという返事をされたところがあると思いますが、全国的に見ました限りにおいては、やはり私の方の数字にこれは間違いなくなるわけでございまして、それ以上のものがありとすれば、それは人事委員会の方の勧告時期が私どもの方と同じ日でやっているわけではございませんから、そういう意味のもろもろを加えておればこれはまた別の問題でございますけれども、そういうよう意味の食い違いであろうというふうに考えております。
  38. 大出俊

    大出委員 それは茨木さん、だめですよ。私のところに都道府県人事委員会全部のやつが集計があるのですから、そんなことを言ったって一目瞭然、一つ残らず全部あるのだから、だめなんです。だから、私はどうも人事院が少しサボっているのじゃないかと思っているのですよ、その点は。手心を加えているという……。よくないですな。茨木さん、あなたちょいちょい、つまり幅を調整ようなどという下心があるよう見えるのですね。それだけあなたの方で拾ったって、調査諸表を表に出さないのだから、いや集計上こうなりましたなんというようなことを言えばわからぬので、そうでしょう。いま本較差の方がよけい入ると言うのだけれども、じゃ本較差は何%ぐらいになって、追加較差の範囲は給与改定事業所別でどのくらいになるのですか。あなたは全部わかっていると言ったじゃないですか。
  39. 茨木廣

    ○茨木説明員 較差の積み残しになりますものの事業所の拾い方でございますが、これは十六日の締め切り日までの間にそれぞれ調査員によってつかまえましたものをこちらの方としては集計をして、その事業所数を御報告申し上げておるわけでございまして、それ以外にそれを操作するとかなんとかいうことは絶対ございません。  それから、ことしの状況は追って勧告の際に報告で触れることになると思いますが、現在のところ、いま手元に幾らになりましたということは持っておりません。
  40. 大出俊

    大出委員 これは「都道府県の勧告内容並びに昭和五十年度人事委員会勧告の概要」ということで、各都道府県別に一体どのくらい拾ってどうなったかということは間違いなく全部ここにある。そんなことは茨木さんがおっしゃらぬだって全部ここにあるんだから。どこだってみんなよけい拾っていますよ。大変な違い。  それじゃここではっきり聞いておきたいのですが、要するに、ことしの本較差というのは去年より多いとおっしゃったんだが、どのくらい多いのですか。それから追加較差はむしろ減ったというのだが——もう一遍言いますが、去年は本較差で給与改定事業所の四〇%しか入れてない、追加較差で二七・五%しか拾っていない。地方人事委員会は大体四〇%積み残しを拾っているんですよ。これがことしはどういうように変わるんですか。あなたは口にしたのだから言ってくださいよ。いいじゃないか、そのくらい言ったって。
  41. 茨木廣

    ○茨木説明員 本較差に上がってまいります事業所数は、大体ことしの調査対象事業所の数の八割前後だろうと思います。それから積み残しに出てくるのが二割前後というようなことだろうというふうに思っております。
  42. 大出俊

    大出委員 ちょっと待ってくださいよ。本較差に入ってくるのが八割ですか、それで積み残しが二割ですか、それじゃそれで一〇〇じゃないですか。それじゃ積み残しも何も全部拾ったことになるじゃないか。給与改定事業所のうち本較差に出てくるのが八割だとおっしゃる。去年は四割ですよ。それで積み残しが二割だとおっしゃる。それじゃ一〇〇じゃないですか。全部じゃないですか。そう考えていいんですな、それじゃ。
  43. 茨木廣

    ○茨木説明員 その本較差の中に、調査されました中に四月時点で改定しましたものとそうでないものとあるだろうと思いますが、それらのことについてはまだとても私どものところの段階でわかる状況にはなっておりません。
  44. 大出俊

    大出委員 そこまで拾ったというなら、さっき申し上げたように、最低六・五というのは当然なことじゃないですか。そこから落ちることなんかないじゃないですか。それは荒唐無稽に労働省が春闘調査をしているのでもなければ仲裁委員会が裁定を出したのでもない。そうでしょう。それならあなた、そう逃げなくたって、六・五は押さえましたとなぜ言えないのですか。言ってくださいよ。
  45. 茨木廣

    ○茨木説明員 大出さんが大変御専門的な立場でいろいろなものを分析されておっしゃっていらっしゃるわけでございましょうから、私はそれなりの合理的な理由があるだろうという推定はつきますが、いま幾らになりましたということをここで太鼓判を押すというわけにはまいらぬので、そこはひとつ御理解いただきたいと思います。
  46. 大出俊

    大出委員 私の言い分をお認めになったお答えですから、私の方も自信を持たしていただくことにいたします。  一つだけつけ加えておきますが、この追加較差の算式、一三・〇%マイナス三%、これは定昇率三%になっているんですね。これはおかしいんですね。これを括弧に入れて二七・五%、つまりそれだけ拾ったんだから、追加較差分の給与改定事業所が二七・五ということなんですね。それが二・七六ということで去年の追加較差になっている。本較差が八・〇九、追加較差が二・七六、つまり一〇・八五の勧告が出る基礎になっているわけですね。これは少しどうもおかしいので、この三%というのは。一三・〇%マイナス三%とこうやるのですが、なぜ三%にするのですか。一つだけ承っておきたいのですが。
  47. 茨木廣

    ○茨木説明員 これは前にも触れたことがございますが、四十二年当時から、その前は四%台の相違から始まっておるわけでございますが、それが民間の定昇率が大体その程度ということであったと思いますが、そういうことで三%というものを差し引くということで一つの定数みたいなことになって、ずっと使ってまいったという経緯でございます。
  48. 大出俊

    大出委員 これを議論しますと時間がなくなりますから、同じことをお答えになりましたから懸案にして残しておきます。  そこで、配分について少し聞いておきたいのでありますが、旧来、人事院の言い分は、こういう上げ幅が比較的に小さくなるような年には、職員分布の非常に多いようなところには手をつけないというのがどうも旧来の人事院のたてまえ、浅井人事院総裁のころからそういう言い方をしたわけなんですが、後ろの方で悪人角野さんが笑っているけれども、どうもそれじゃ困るので、ことしは一体、生活困窮の度合い、世帯構成の状況等々あるはずでありますから、そこらを含めてどういうふうに——初任給から物を言わなければいけませんけれども、どのくらいにお考えなのか、そこらの概略のあなた方の構想というものがあってしかるべきだと思うのですね。いかがでございましょう。
  49. 茨木廣

    ○茨木説明員 ことしはこの前の委員会でも大変皆さん方から中堅層の、従来中だるみと言われておったようなところに配慮するようにというそれぞれの御発言がございました。ことしの民間の動向も、一昨年まであたりは初任給の人のところに重点を置いてやっておったわけでございますが、昨年からさま変わりになりましたので、その辺の、より上の方の段階のところに重点を置くように昨年あたりも変わってきている。ことしはさらに、いまは、委員会でも問題になりましたようなところに対応するところに重点が移ってきているということの傾向がございますようです。でございますから、やはりそういう点も踏まえながら、こちらの方といたしましてもできるだけそういう点に配慮しながら、いま検討を加えておるという段階でございます。大変その辺は原資がかかるわけでございますから、そこでちょっと努力いたしましてもなかなか大変だということはひとつお認めをいただきたいと思っております。
  50. 大出俊

    大出委員 その点は後で触れさせていただきますが、先ほど十日の勧告だというニュアンスでお答えいただきましたし、給与改定事業所、皆さんが御調査をいただいてどのぐらいまでできるのかと承ったら、本較差の方に八〇ぐらい入ってくる、積み残し二〇ぐらいというようなことをおっしゃいましたが、つまり去年よりよけい拾えるということになるわけですから、そうならば最低限度六・五で五を割ることはないという言い方をしたら、給与局長は、専門的な立場で分析をされてそういう結果なんだから正当性があると思うという言い方をしましたから、直接おっしゃっていませんが、間接的にお認めになった。つまり勧告は十日であり、どんなに間違っても最低限度六・五を割ることがない——正直に人事院が調べれば七%ぐらいいくはずなんですから、そういうふうに整理をいたします。  もう一つここで聞いておきますのは、懸案の、総裁、大分むずかしいお答えをいただきましたが、しかし前向きなお答えなんで私は感謝しているんですけれども、特別給、期末勤勉ですが、これはどうしてもここで期末勤勉を切るべきでないという私は執念を持っているんですよ。というのは、この間私お見せをしましたように、私のこの議事録をずっと調べてもらいましても、七回も調べただけで、さきの人事院総裁佐藤達夫さんがその都度言い切っているんですね。民間の期末勤勉というのは、景気がよくなったといってはふえる、そういう意味の波動性がある、だけれども公務員の期末勤勉手当は法定主義で法律で決めるんだ、だから民間が落ちたからといってそれを落とすなんということはしたくない、だからその意味で官民比較をしたら民間の方が高い、だけれども切ったんだ。私は訴えるぞと言ったこともある。暦年切りっ放しじゃないかと言ったら、その理由を執拗に繰り返されているわけですよ。これは責任継承の原則が今日の藤井総裁にあるんだから、だとすれば、前総裁がそれを言い続けてきたんだから——来年以降のことはまた相談しなければなりません、そういう漸減傾向がずっと存続するなら考えなければいけません。いけませんが、いまの景気動向をながめたって、これは総裁、聞いておいてほしいのですがね。この一−三月というところのGNPの伸びというのは三・五%あるんですよ。瞬間風速でとらえれば一四・七%ぐらいあるんですよ。そうすると、名目一三%、実質五・六%という一月の二十三日お決めになった経済企画庁の五十一年度の経済運営とその見通しというものを盾にとって、五・六%実質成長、三二%名目成長、こういう思想なんですよ、明確に。そうでしょう。五十年度の後半の企業業績というのをこの間私は必要があって調べてみた。大変にどこもいいのですよ。ばらつきはそれは多少ありますが、いい。むろんいいはずなんですね。公務員初め民間の賃金をガイドラインその他で抑えたわけだから、企業にとって賃金が低くなったんだから、低く抑えたんだから、それだけ業績がよくなるのはあたりまえ。そこへもってきて新価格体系という以来、いまは新々価格体系ですよ。片っ端から企業製品を値上げしてきているのですから、それは企業業績がよくなるのはあたりまえですよ。ここまで来ているんですからね。そうならばこの秋から暮れにかけて景気が上向くのははっきりしている。そうなれば来年はどうかということだって見通しはつく。だからことし官民比較で出たからといって、落ちがあったからといって、角野さんじゃないけれども、あなたのことを少し私は言い過ぎて恐縮だけれども、あれはいささかどうもそのやり方が気に食わぬで頭へきたもんだから言ったんだけれども、真意はそこにあるんじゃない。ともかく落としてもらいたくない、ことしは。そして来年の様子を見るべきなんだ。いまだかつて一遍も期末勤勉を落としたことがない人事院なんだ。落としましたという実績だけはぼくはつくりたくない。ここにおいでになる方はほとんど公務員なんですからね。期末勤勉というのはわれわれ議員だって一緒なんだから、これは同類なんだから、そういう実績をここでつくりたくないと思うんですよ。したがって、ここまで来たから承るのですけれども、総裁の真意は、その辺についてどういうところにございますか。
  51. 藤井貞夫

    藤井説明員 ただいまお述べになりました御意見は十分拝聴をいたしましたし、腹の中にはとくと入れておるつもりでございます。この特別給をめぐる周辺の問題点というのはいろいろむずかしい面がございます。そういうことで、私自身も、いまの集計がはっきりどのように出てくるかということを実ははらはらするというような気持ちで、大変心配して待っておるという段階でございます。  もうくどくどしくは申し上げません。この間もお話がございましたし、くだくだしく申し上げませんが、しかし過去において二けた台というものは切り捨ててきたという事実があることもこれはよく承知をいたしております。また民間の場合においては公務員の場合と違って、その基礎となるものが本俸、調整、扶養という三者ではなくて、他の手当的なものも含めておるものもあるということもこれは事実でございます。そういう点は十分頭に入れておりますが、要は、結果の出ぐあいということ、その出ぐあいがどのくらいであればどうかということはここで申し上げるには余りにも重大でございますので、これは差し控えさせていただきますけれども、その出ぐあいによりますけれども、最後の決定をいたしまする際には、いまの周辺のいろんな事情というものは私自身といたしましても頭に十分入れて決定をするという気持ちには変わりはございません。そのことは申し上げておきたいと思います。
  52. 大出俊

    大出委員 くどいようですが、いまのお話を承っておりますとよくわかるのですが、よく御理解いただいておりますから言うことはないのですが、心配だからもう一つだけ聞かしていただきますが、総裁のいまのお気持ち、つまり今次勧告をめぐる基本的な気持ちというものは、最大の論点になっている特別給でございますから、長らく人事院の歴史がございまして、一遍も落としたことがない、ですから、周辺の事情だとかいろいろな結果がどうなるかということとかあるけれども、現在の御心境としては、でき得れば手をつけたくないという気持ちがおありだ、こういうふうに理解をしておいてよろしゅうございますか。
  53. 藤井貞夫

    藤井説明員 従来の経過もございます。また、いろいろるる申し上げましたようなこともございますので、私といたしましては、心情的にはなるべく手をつけない方がよかろう、影響することも大変ですから。そういう気持ちは率直に言ってございます。  ただ、われわれといたしましては、あくまで仕事の中心が官民較差ということを基礎にして従来ずっとやってきておった。これはいろいろ御議論もございますけれども、それなりにやはり一応の各界の評価を受けて一応の定着は見てきておるというのは、そこにもあるという点がございます。事実、民間においては、去年あたりはやはり景況が非常に悪いというようなこと、また、この間御指摘がございましたけれども、民間の場合でも、調査の対象はいろいろ違いますけれども、統計が出ておるところではどうも余りおもしろくないような統計が出ておることも、これは事実でございます。それから、先刻お話がございましたことしの問題、今後の見通しの問題でございますけれども、これも専門の先生御承知ように、ことしの夏あたりも、実際言うと意外にやはり伸びなかったと申しますか、余り目立った伸びは示しておらないというか、また悪い面もあるというような点もございます。そういうようなことがございますので、私といたしましては大変苦慮をしておるということでございます。あくまで、いままで申し上げましたように、総合判断の基礎といたしましてはいろいろな情勢を見る、結果が出てきたから直ちにこれはもう一も二もなく減らすべきは減らすのだというような、そういう短絡的な考え方には立ちたくない、そういうことで大変苦慮をしておるんだということで、ひとつお察しを願いたいと思います。
  54. 大出俊

    大出委員 周辺の事情はいろいろある、あるが、しかし心情的には手を触れたくはないんだ、そういう気持ちはある。大変御苦労いただいておる気持ちがわかりますから、できる限りの御努力をいただくように申し上げて、この問題はここまでにしておきます。  私は、何と言われても、ここを削ったら、将来ともに、人事院のやることですから、歴史があるんですから、この長い歴史の中で期末勤勉手当に手を触れた総裁が藤井さんだということになるのですからね。そういう意味でこれは一つ重大な問題であるということ、人事院の存在価値にかかわる、こう思っておるのですが、そのことだけ申し上げておきたいわけであります。切りっ放しに切られてきた公務員諸君ですから、恐らく怨念になるだろうと思いますよ、この点は。藤井総裁おちおち夜も寝られぬことになると私は思うのです。  そこで、この中身、さっきちょっと触れましたから申し上げるのでありますが、確かにこういう時期にはとかく一律に物を考えるというふうなことがあるんですけれども、それにもかかわらず、やはりこの七等級の五というふうなところは、一種の結婚年齢なんですね。現行九万一千五百円、こういうわけでありますが、やはりここらはひとつ重点に、こういう時期でございますから、体系そのものを考えるに当たって大きく配慮すべきところという気が私はいたします。  それから、七等級の五というと、大体年齢的には二十七歳でしょうね。このくらいのところに来ると思うのですがね。それから五等級の七というと三十五歳、世帯形成、つまり三人になる。子供さんが一人ですね。こういう年齢だと思うのですね。ところが、五等級の十号以上をとってみますと、五等級の十号以上、五等級の七、この辺を中心に洗ってみると、集中的に公務員方々がおいでになるのですね。ここに二七%ぐらいおいでになるのですね。二七%ぐらい、四分の一。だから、ここのところを何とかしなければ、たとえば四等級に持っていくとか、あるいは体系是正をするとか、何か考えなければ、まさに文字どおり中だるみでございまして、公務員の戦後の採用状況その他がこういうかたまり方になっているのですけれども、私は問題が解決をしないという気が痛切にするのです。したがって、この辺のところをどういうふうに考えるかということだけは、総裁ひとつお答えおきをいただきたいのでございますが、いかがでございましょう。
  55. 藤井貞夫

    藤井説明員 まだ具体的な俸給表の作成等には入れない段階でございますので、確たることは申し上げかねるのでございますけれども、恐らくは、ことしの勧告に当たりましては、幅の問題等もございまして、上下余り較差のないいわば同率的な要素というものが強くなるということは予想されるのではないかと思っております。ただその間において、いま御指摘になりましたような点、これは公務員実態もございます。大変深刻な問題でございます。また、本年もやはり公務員の各組合等からも熾烈な要求が出されております。そういうような点もございますし、われわれもその必要性は十分認めておりますので、中だるみ関係の改善措置ということについてはできる限りの努力はひとついたす所存でございます。  これもしかし、御承知ようにそれぞれ幅がございますし、俸給表でずっとつながってまいることでもございますので限界はございますが、しかし、いままで経済発展に伴って長い間初任給関係というものが非常によかったということがございまして、その結果、要するに中高年齢層といいますか、そこらが相対的に言って余り処遇において芳しくなかったということは、これは私も認めております。そういうことも踏まえまして、いま御指摘の点については重点的に配慮をいたすとともに、俸給表のみならず、他の諸手当等につきまして較差が出てまいるものがございますれば、そういう点にはやはり重点的に配慮して具体案をつくりたい、かよう考えております。
  56. 大出俊

    大出委員 せっかくお答えいただきましたからそれでいいのでありますが、ちょっと気になるので一つだけつけ加えておきますが、ここにございます資料、これは農林省の資料なのですが、これを見ますと、初任給ですね、余り触れる気はないのでありますが、ただ、これだけは言えると思うのですね。八等級の三号——初号ですな。八等級の三号と、それからいま申し上げた五等級の七、これを見ると、四十九年で二対一になっているのですよ。五等級の七号、三十五歳のところが二、それから八等級の三号のところが一という比率になっている。これは年々落ちてまいりましてね、四十年にこれは二・六二と一だったのですが、落ちてきた。四十九年が二でとまったわけですね。ところが、五十年になったら一・九九対一になって、これまた落ちているのですね。だから、この二というところだけは最低限この辺の確保は必要ではなかろうか。公労協その他と比べればいろいろ問題はございますが、それはおのおのの組織の実情もございましょうから、職員団体あるいは労働組合の側からもいろいろ人事院とのやりとりもあるでしょう。だから大筋はそちら側に預けるとして、いまの点だけちょっと気になりますから、歯どめというよう意味で触れさせておいていただきます。  それから、あとことしの諸手当、扶養手当重点という考え方一つある。扶養手当、配偶者はいま六千円ですね。それから一人、二人までは二千円なんですね。この六千円を七千円ぐらいに上げてもいいんじゃないか、それから子供さんの一人目、二人目まで二千円を二千五百円ぐらいまで上げていいんじゃないかという意見が非常に強い。この辺をどうお考えか。時間の関係がございますので羅列して申し上げますから、お答えいただきたいのであります。  それから住宅手当というのは、建設省その他の報告を見ましても基準家賃は大分上がっているのですね。そうすると、これはやはりどうしても手を触れざるを得ぬところだろうと思う。ただ、さっき申し上げましたように、どうもこういう時期でございますから、何もかにもというのは言いにくいのですけれども……。それから通勤手当、これは私鉄運賃その他は上がって改定しているのですから、当然上がる対象になってくるのだろう。それからさっきちょっと別なところで触れましたが、宿日直手当ですね。これは給与が上がるということになるのですから、その三分の一、こういうわけですから、これも当然上がるんじゃないか、これはどうするのか。それから、調整手当には触れませんが、調整額、率、これは種目、内容ございますが、一体どういうふうにお考えなのか。  そこで大体この辺で、諸手当その他で割合としてどのぐらいになるか。仮に一五%ぐらいになるとすれば、はね返りが〇・五ぐらいありましょうから、残り八五、こういうことになるわけですけれども、とりあえずいま羅列的に申し上げましたが、人事院の考え方をざっとお話しをいただきたいのです。
  57. 茨木廣

    ○茨木説明員 いまいろいろお触れになられました扶養手当、住宅手当、通勤手当それから宿日直手当、これらについては民間調査を実施いたしました。いまはそれらの結果を見ながら検討をしておるところでございます。  扶養手当につきましては、民間の数字が出ますればできるだけそれを採用して上げたいというふうな気持ちはいたしておりますが、第一順位、第二順位者の問題になりますと、どうもそういうような数字はなかなか出にくいのではなかろうかなという推定をいたしておりますが、出た範囲内でできるだけ配慮をしてまいりたいというふうに考えております。  それから住宅手当につきましては、やはり民間の動向を見ましてその数字をよく検討した上で処理したい。  それから通勤手当につきましては、これから先のものをどうこうというわけにはまいりませんが、すでに上がっておりますものを基礎にいたしまして、従来カバーしておった線等もございますので、その辺の、どこの駅までは全額を出しておったかというようなことも検討しながら、最終的に全体の原資との関係を見ながら決めてまいるようにいたしたいというふうに考えております。  それから宿日直手当は、いま御意見もございましたが、民間の方を見まして、いまの御意見のような点も踏まえましてよく検討をいたしたいというふうに考えております。  それから調整額の点については、毎年指摘いたしておりますので、ことしも真剣に検討をいたしております。いたしておりますが、いろいろ問題点もございますので、どういたしますか、慎重に結論をつけていただこうというふうに考えております。ただ当然はね返り分は、仮にそのままにいたしましても、給与が上がりますればそのままの割合ではね返ってまいりますので、総額を食うことは間違いないわけでございます。  それから全体の配分的なことをおっしゃられましたが、大体昨年の例で申し上げますと、昨年はやはり八五%前後、八七に近かったと思いますが、これが本俸で、諸手当が八%程度、それからはね返りが五・一%というのが昨年の結果でございます。ことしはいまの扶養、住宅、通勤手当の計上の仕方によってどのようになりますか、その辺を考えながら、最終的な結果としても出てまいるわけでありまして、事前にこちらに何%というわけにもまいらぬかと思っております。  それから最後になりましたが、冒頭に触れられました初任給との関係は大変御理解ある御発言であったというふうに承っておりましたが、私どももその辺を大変苦慮いたしておるというのが実は率直な見解でございます。一方の三公五現等の関係等も前には問題になりましたけれども、それぞれ仕事の性質も違いますものですから、給与カーブの考え方もこちらと多少違う経緯もございますので、その辺の関係と、やはりことしは関係者の方の意向も、いまの初任給対三十五歳前後のところにつきましては、いずれの系統の団体についても似たようなことを言ってきております。片っ方は三十六歳でございますが。その辺をできるだけ踏まえて扱いますということになりますと、周辺に散っております——周辺と申し上げますのは調整手当でありますとか寒冷地手当でありますとか、そういうものが民間とか三公五現と違いまして緩みがございます。そういうものに散っておりますればやはり全体的に原資が苦しくなりますから、そうすると、初任給とその辺とを両方同時決定的ににらみながらしませんと、いずれかを優先的に決めてやるということはどうもやはり困難だというような感じに、だんだん二、三年検討してまいった結果なってまいりました。その辺を御理解いただきながら、正式の勧告がございましたら御吟味いただきたいと思います。
  58. 大出俊

    大出委員 大体人事院の考えはわかりましたが、時間の関係もございますから、理事会のお約束もございますので、いろいろ申し上げたい点がございますけれども、いまの点に触れていきますと時間がかかり過ぎますので、またいろいろあれば別の機会にひとつ話をさせていただきたいと存じます。  そこで、ひとつここで承っておきたいのですが、今日的段階で基礎になる公務員のベースというのは、つまり平均賃金というのは一体幾らぐらいになるのですか。たとえば五十一年四月で結構ですから。四月は出るはずですから。
  59. 茨木廣

    ○茨木説明員 十五万八千五百円程度と御理解いただきたいと思います。
  60. 大出俊

    大出委員 別なことを一つ言いますが、大蔵省の側の財源というのが、給与財源が五%組んであるわけですね。それから予備費三千億あるわけでありますけれども、私が聞いたところによりますと、この中に三%ぐらい給与財源が入っているということを言っていたわけであります、これは予算を立てたときに。だからそうなると、八%というのが予算上の予測なんですね。そうなりますと、これは給与引き上げ財源ですからね、この分は。だから私は、大蔵省きょう呼んでおりませんけれども、予算当局との関連で言えば、そんなにがたがたしなければならぬ筋合いのものではない。地方の場合も同様な、似た措置が行われておりまして、低くなっていけばそれだけまた返さなければならぬというようなことに自治体の側はなるわけでありまして、そういうことですから、そこらのところは予算事情は悪いことにはなっていない、私はそう思っているわけであります、来年以降はともかくとして。  そういう意味で、総務長官に承りたいのでありますが、いまやりとりをいたしましたような事情で、十日に勧告が出る。事務的には六日ということでお進めのようですけれども、ウエートは十日にいく。閣議もございますし、そのときにいつもの例でお持ちになるのだと思うのでありますが、どのくらいの時間がかかって法案ということで国会に御提出をいただけるものか。かつ、いま申し上げたような予算事情であることを私は承知しておりますが、何かそこでがたがたという要素があっては困りますので、そこらをどういうふうにお考えになっておられますか。ここまで来たわけでありますから、臨時国会との関係もございましょうし、承っておきたいのであります。
  61. 植木光教

    植木国務大臣 すでに御承知のとおり、政府といたしましては人事院勧告を尊重するというのが基本的なたてまえでございます。したがいまして、人事院勧告が行われましたならば、私どもは誠意をもってこれに対処をしてまいりたいと存じます。  ただいまお話しございましたように、国会がいつ開かれるか、また会期はどれくらいであるかという問題とも関連をしてまいりますけれども、私どもといたしましては、できるだけ早期に支給をいたしたい。これは当委員会においても常に御要請のあるところでございます。  そこで、早期支給を図りますためには、政府の取り扱い方針を決定しなければなりません。できるだけ速やかに方針を決定をいたしまして、そして法案作成に入るわけでありますが、従来の例によりますと、約一カ月かかっているのでございます。私は、一昨年に比べまして、昨年といいますか五十年度の作業を大いに督励をいたしまして数日縮めさせたというような例がございます。できるだけ速やかに法案が提案できますよう努力をいたしたいと存じます。
  62. 大出俊

    大出委員 予算事情も私が見る限り、それは全体として財源窮迫の折わからぬわけではないのですが、給与財源に限って見るといま私が申し上げたようなことでありまして、そう大変な騒ぎは起らぬはずだ。かつまた三公五現の方でも、料金値上げを出している国鉄、電電公社等にいたしましても、国鉄は運輸大臣が保証するようなことで一千億ばかり金を借りて支払うというようなこともやっているわけでありますから、出た場合にはぜひひとつ早急な御措置をお願いしたいのであります。人事院の総裁が近い将来、こっちから入ってくるというと、山田君以下ここにおいでになる委員部の方だとか皆さんがじろっと総裁の顔を見て、あれが期末手当を落とした総裁だなんて、腹の中で恨みの込もったまなざしだなんということにならぬようにお願いをしておきたい。これは私の執念でありますから、ここを申し上げまして総裁を牽制しておきませんというと大変心配でございますから、くどく申し上げまして、賃金の問題はここで終わらせていただきます。  植木総務長官に、長らく懸案でございました週休二日試行という問題をめぐりまして……。  試行問題について、人事院の次期勧告はそれにお触れになるのかどうかということもあるのでありますが、とりあえず総務長官に、新聞等で拝見はしておりますけれども、その後の措置、見通し等について、公式の場でございますから、お答えをきょういただきたいのであります。御努力には感謝いたしております。
  63. 植木光教

    植木国務大臣 人事院から要請を受けておりました週休二日制の試行につきましては、御承知ように一月に出されまして以来、半年にわたっていろいろ努力を続けてまいりました。事務的な調整はもとよりでございますけれども、同時に、一月末の閣僚懇談会におきましていろいろ御意見もございまして、その閣僚間の調整ということにも努めてまいったわけでございます。先般の委員会におきまして、七月中にやるかということでございましたので、それを目途にやりたいということを申し上げまして、七月二十七日に、国家公務員の週休二日制の試行についてということで関係閣僚懇談会の決定を見たわけでございます。  これにつきましては、もう御承知のところと存じますけれども、いろいろな社会、経済情勢あるいは公務部門における定員、予算の状況等から困難が伴うことは予想されるわけでございますけれども、人事院の要請にこたえるという基本的な態度を決めたわけでございます。これは、一年間の範囲内で現行の官庁執務時間のもとで試験的に実施をするということでございます。また、現行の定員、予算の範囲内で実施するとともに、試行官署または試行職種というものにつきましては各省庁が選定をするということにいたしました。また同時に、こういう社会情勢のもとでございますので、より厳正な服務規律の確保及び公務能率の向上に格段の配慮をすることによって、公務の運営に支障を来さないよう配慮を加えたいということを決めたわけでございます。もしも公務の運営上支障を来すようなことがありましたならば、これを中断をいたしましたりあるいは打ち切ることもやむを得ないということも決めました。  なお、試行開始の時期でございますが、本年十月を目途といたしまして、具体的方法は各省庁が人事院と協議して決めるわけでありますけれども関係省庁連絡会議がございますので、できるだけこれを通じて調整を図っていきたいということにいたしました。一年を経過いたしました後は、この試行の結果につきまして改めて閣僚懇談会において検討を加えるということにしたのでございまして、十月を目途といたしましてトライアルに入るというのが政府の姿勢でございます。
  64. 大出俊

    大出委員 大変これは御努力をいただきまして、この間、貧乏くじを引いたとおっしゃったなんということを私が言って失礼をしましたが、所管の大臣としての御努力をいただきましたことに感謝申し上げる次第でございますが、まあ、大変これは言ってみれば満足いたしかねる中身には違いないのでありまして、中断あるいは打ち切るなどというアクセサリーがついておるようでありますが、それはアクセサリーだろうと思うのであります。  そこで、これは人事院の側とあと打ち合わせをやっていくというのですけれども、人事院の側として、この決定を受けてどういうふうにお考えなんでございますか。かつまた、次の勧告に何か——この間私、労働省にその後の動きも承りましたが、つけ加えて物を言うとか、そういう考え方はございませんですか。
  65. 藤井貞夫

    藤井説明員 今後の段取りでございますが、これは各省庁とも事務的にはテストの計画案というものは一応できております。そこで、やり方といたしましては、各省庁が具体的に正式に人事院の方と御協議をいただきまして、これでもって御相談を申し上げて決定をいたしましたことをもとにして実施に移していくという段取りに相なるだろうと思います。  十月ということに相なりましたが、われわれ人事院といたしましても、ここまで参りますれば、そのころがやはり準備その他の点を考えましてもいい時期ではないだろうかという感じがいたしております。と申しますのは、これはよけいなことでありますけれども、八月になりますと各省庁ともそれぞれ、予算要求の作業というものはこれは大変なことがございます。そういうこともございますので、われわれといたしましては、並行しながら順次準備を進めまして、各省庁の具体的な協議というものを終わって、なるべく九月の初めごろには各省庁の具体案の協議を終わるところにまで持っていきたいという目標を持っております。と申しますのは、これはまた各省庁といたしましてもその趣旨を徹底しなければなりませんし、いわんや地方にそれぞれ機関を持っておる、支分部局を持っておるところにはなおさらその趣旨を徹底しなければなりません。そういうこともございますので、準備は、大変忙しいときでありますけれども、できるだけ精力的にやりまして、十月の試行というところにひとつ焦点を置いてやりたい、かよう考えております。  それから第二の点につきましては、これはいまも御指摘がございましたように、またいままでの当委員会でも申し上げてまいりましたように、今度のテスト計画の実施ということをお決めいただいたことにつきましては、もちろん人事院といたしましては一月ごろから一応の準備はやって、いつでもひとつ早目におやりくださいという体制をとってまいりましたこともございますので、そういう点の含みはございますけれども、その間、総務長官以下大変な御努力をいただいたことも事実でございます。これはわれわれ身をもって大変感謝を申し上げ、その御努力に対しては多といたしておるところでございます。ただ、このことがなお今日の段階においても、もっと具体的に申せば勧告をやります段階においても、まだ何らかの具体的な方向が出ておらないということになりますと、これは人事院といたしましてもやってくださいということで法的措置も講じ、また御連絡も申し上げておるというたてまえでございますので、そういうようなこともございますから、それまでに何らの意思表示、動きがない場合においては恐らく何らかの措置を講ずるというようなことは考えられたかもしれないと思います。また事実ことしも、ずっと毎年やっておりますが、週休二日制の試行状況というのも民間の実態調査をいたしております。その結果もそのうち出てまいると思いますが、それらの点をにらみ合わせながら、また七月二十七日にこういう措置がとられたということを前提といたしまして適切な態度を決定をいたしたい、かよう考えております。
  66. 大出俊

    大出委員 これはいろいろありますが、歴史的なことだろうと私は思っておるのですね。この間、銀行協会がお調べになった外国の例を挙げて御質問をいたしましたが、大変細かい調査でございまして、六〇年代からすでにやっておる国もそれはあるわけでありますけれども、この国、つまり日本が公務員のこの週休二日の方向をはっきり公式に確認をしたということでございますから、それが試行であっても非常に大きな価値ある問題だというふうに思っておるわけでありまして、何とかこれは成功させていただかなければならぬ。中断だの打ち切るなんということになったらえらいことになるという心配をするのでありますが、つまりこれだけの方向づけを、不満足ではあっても、藤井総裁であり植木総務長官であったからここまで来た、そういう意味で感謝を申し上げるわけであります。  最後に、一つだけ気になりますのは、職務専念義務の免除だとか特別休暇だとかいろいろな方法はあるわけでありますが、それらは具体的にはどういうふうに御相談になるのか。あるいは特に現業ですね、たとえば郵便局なんかの例がございますけれども、そういう問題を含めまして、そこらは一体具体的には、各省に任せるとはいいながら、一応比率もありますが、どんなふうにお考えなのか。最後に一つ気になりますのでちょっと聞いておきたいのです。
  67. 藤井貞夫

    藤井説明員 この点はすでに事務総長名の通達をもちまして試行基準問題点についてそれぞれお示しをいたしております。大体の大まかな線はそれで尽きているというふうに思っております。また、それに基づいて各省庁とも具体的に試行計画案をお立てになっております。それを今度正式に持ってまいられますので、その基準とも照合しながらやはり全体としての、同じ役所ですから、それぞれ特殊性はあったとしても、全体としてはやはり余りでこぼこのないように整合性を図りながらやっていきたいと思っております。
  68. 大出俊

    大出委員 わかりました。大変御努力をいただきまして、それがさらに前向きに前進をしていきますように期待を申し上げまして、お礼を申し上げておきたいと思うわけでありますが、ありがとうございました。  以上で終わりたいと思います。
  69. 木野晴夫

    木野委員長代理 午後一時三十分より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十六分休憩      ————◇—————     午後一時三十一分開議
  70. 竹中修一

    竹中委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  公務員給与に関する件について調査を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中路雅弘
  71. 中路雅弘

    中路委員 勧告の問題につきましては、前回の委員会でも時間をとってお聞きしておりますし、きょうの理事会で、十一日にさらに委員会を開くことに決まったわけなので、二、三、最初に簡潔にお尋ねしたいと思うのです。  一つ勧告の時期で、前回、昨年の十三日より早目にという方向で努力するという御答弁もありました。きょう、十一日に委員会を開くことを決めましたので、それ以前に勧告が出されるということを予定をして委員会を設定したわけです。できれば六日、あるいは遅くとも十日というところで勧告が出されないと、参議院が十二日ですか、委員会審議に間に合わないということにもなりますので、もう一度お尋ねしておきますが、勧告の時期は、その十一日の委員会前には勧告が出されるということを予定していいですか。
  72. 藤井貞夫

    藤井説明員 十日ごろということで作業を進めておりますので、そのように御承知おきを願えたらと思います。
  73. 中路雅弘

    中路委員 前後というのでなくて、ごろですから、十日を過ぎることはないと思うのですが……。  勧告の幅の問題でひとつお聞きしておきたいのですが、昨年の残りといいますか、春闘の後、調査を締め切った後の六月以後の分について、どの程度今度の作業の中に入ってきておるのか。お話を聞きますと、思ったより伸びているというお話もあるのです。これが勧告にも影響すると思うのですが、昨年のいわゆる残りですね、調査で今度取り上げている分、この中身はおわかりになりますか。
  74. 茨木廣

    ○茨木説明員 現段階では、どの程度昨年の勧告に入りました以後のものが入っておるかということはわかりません。これは勧告いたしました後時間をかけて分析をし、民間の方の動向も分析をしてみた上で、大体このぐらいであろうという推定をするわけでございまして、それはいまのところ全くわかりません。
  75. 中路雅弘

    中路委員 いずれにしても、前回、これは大出議員の質問で、六・五%前後というお話もありましたけれども、前後の前は取ってもいいような状況ですか。
  76. 茨木廣

    ○茨木説明員 午前中大出先生が、前後というのはどういう意味かわかりませんが、六・五を上下と言ったらいいのか、その下の方はどうもないというふうにあれしてもよろしいかということでございましたが、それに私も直接いまどうこうというふうにお答えするわけにいかないものでございますから、大変御専門のお方でございますので、それなりの合理性があるんでございましょう、こう申し上げたのでございますが、その程度でひとつ御推察いただきたいと思います。
  77. 中路雅弘

    中路委員 ではパーセントでなくて額ですが、最近のを見ますと、労働省や日経連の民間相場の額と比べますと、多少ばらつきがありますけれども、最近は大体近い数字が出ているわけですね。こういう点から見ますと、一万一千円ぐらいは乗せられるのではないかというふうに思うのですが、六・五%は下らない、七%の間というような感じですけれども、額はどれぐらい、たとえば一万一千円は乗せることはできそうですか。
  78. 茨木廣

    ○茨木説明員 それもまだわからないと申し上げる段階で、一応いまおっしゃられました数字は組合の要望数字としては承っておりますけれども、幾らでございますということはもう少し進んでみませんとわかりません。
  79. 中路雅弘

    中路委員 一番問題になっております特別給ですね。先ほども質問でありましたが、さっき総裁の発言で、周辺の事情を考慮に入れて決めていきたい、心情的にはこの一時金の引き下げというようなことに手はつけたくない気持ちだという御答弁もあったわけですが、先ほどもお話がありましたように、人事院が発足以来、職員の生活に急激な変化を及ぼすようなことは従来の運用からもやっておられないわけですし、特に前回も私も御質問しましたけれども、過去の経過を見ますと、官民較差は常に完全解消されているというのではなくて、二けた後は切り捨てられてきたわけですね。六〇年から七五年までで、累計しますと〇・九七%、約一カ月切り下げられているという経過もあるわけです。前回も私は、今回少なくとも一年は状況を見てこの問題について対処すべきじゃないかという意見も述べたわけですけれども、この問題について、いまの時期でまだ結果が出ていないわけですから確とした御答弁はむずかしいと思いますけれども人事院総裁としてのこの特別給問題の扱いについてのお考えを、基本的な点だけお聞きしておきたいと思います。
  80. 藤井貞夫

    藤井説明員 この点につきましては、先般の当委員会でも申し上げました。また、午前中にも申し上げたところに尽きるわけでございます。われわれあくまで、特別給につきましても、官民の較差、それの比較ということを骨子として最終的には決めるということがたてまえでございます。したがいまして、それの結果の出ぐあいだということを私は申し上げておるわけでありますが、その点絶対に、どんなに較差が出ても手をつけないというようなわけにはこれはまいらないということはもちろんのことでございます。この点は、御承知ように、本体となる給与自体というものにつきましても、いままではそういうことはございませんでしたけれども、場合によっては、経済が将来落ちつき、民間の企業活動というものも安定的になってきて、それに物価その他の諸要素が加わった場合に、あるいは減額というようなものが絶対にないということでもないわけでありまして、そういう点、情勢の適応の原則ということで、勧告義務につきましても五%以上であればやらなければならない、と同時にまた今度は反対に、引き下げなければならぬというような場合には、やはり勧告義務というものを規定しておるということから見ましてもこの点は明らかであります。したがって、結果の出ぐあいということについて私は深甚な配慮を持って、関心を持って見ておるのだということを申し上げております。  ただその際に、結果が出ましたときに、これをどういうふうにどの程度まで処置をしていくのかということにつきましては、るるいままで御指摘のありましたこれをめぐる諸条件を私も十分承知し、また事務当局にも検討をいたさせておりまして、それらの結果等を踏まえつつ総合的に判断を下すということを申し上げておるのであります。当然のことといたしまして、これは減らす要因があれば減らすのは当然だというような大いばりのことで私は申し上げる気持ちはないという意味で、いままで減額したことはずっとなくて来ておるわけでありますから、心情的にはなるべくそういうことのないことを期待をしたい。しかし、その点はやはり較差の原則ということが厳然としてございますので、それらの結果の出ぐあいを見つつ、諸般の情勢を配慮して最後的な措置を講じたいということを申し上げておる次第であります。
  81. 中路雅弘

    中路委員 結果を見てというお話ですので、これ以上詰めませんけれども、しかし、これをめぐる諸条件を十分検討して、踏まえてというお話ですから、幾ら落ち込みが出たということでその差をそのままやる、引き下げるということでも必ずしもないということでいまの御答弁を受け取っておきたいと思うのです。いずれにしても五・二カ月で、たとえば五カ月を割るということになると相当大きな影響もさらに与えるわけですし、いつの時期から幾ら引くのかということも私は大きい問題になると思うのですね。たとえばこれが十二月にやる、五・二の端数の〇・二をもし十二月にかためてやるということになれば、三万円から、四十代の人ですと四、五万影響するのじゃないでしょうかね、よく計算していませんけれども。その点では生活にも非常に大きな影響を与えますから、私はこの点は繰り返しませんけれども、いままで賃金の減額処置はなかったわけですし、特に急激に生活に影響を与える処置は避けるべきだと思いますし、歴史的にいままでの過去の経緯もあることですから、繰り返し要請しておきますが、この特別給の減額については、私の意見としては少なくともこの一年は状況をよく見ていくべきだという主張ですので、ひとつ慎重に取り扱っていただきたいということを重ねてお願いしておきたいと思います。  配分については前回少し時間をとってお尋ねしましたし、特に中だるみの改善についてはできるだけ努力をするという御答弁もいただいておりますから繰り返しませんが、扶養手当で少なくとも配偶者の六千円を七千円にすべきじゃないかという意見もありますが、千円の上積みですが、この点についてはお考えになっておるような御答弁も午前中ありましたが、手当の問題について一、二、お考えをお聞きしておきたいと思っております。
  82. 茨木廣

    ○茨木説明員 午前中お答えをしておったわけでございますが、扶養手当の問題は、要望としましてはいまおっしゃられましたようなことをお聞きいたしております。そこで、民間の出方を見て、その数字をのみ込み得るような民間の状況が出ますれば、そういうような処理をいたしたいということを配偶者については考えております。
  83. 中路雅弘

    中路委員 十一日に、勧告が出た時点で改めて論議をするということになっていますから、きょうはお考えをもう一度確認するという意味で二、三お聞きします。  もう一つ週休二日制の問題ですが、二日制の問題の論議の前に労働時間の問題で、官民の均衡という立場から見れば、いま民間の場合四十二時間になっているわけですし、公務員の場合、規則で四十四時間、これを動かすかどうかということは人事院の仕事の範囲の問題だと思うのですが、たとえば民間と同じ四十二時間ということになれば、隔週少なくとも二日の休日ということはやれるところはできるわけですし、その点で週の労働時間をどうしていくかという問題も私は基本的に検討しなければいけない問題じゃないかと考えているのですが、週休二日問題とも関連をするので、この問題については検討されているのですか。どういうふうにお考えですか、少しお聞きしておきたいと思います。
  84. 藤井貞夫

    藤井説明員 職員局長も参っておりますので、足らざるところは局長から補足的に申し上げることになると思います。概略のことをお話し申し上げますと、むろん勤務時間の点というのも、これは給与その他の問題と相並びまして公務員の勤務条件の大変大事な部面を占めておりますことは御指摘のとおりでございます。そういう意味で、公務員の勤務時間というのも大体民間ベースというものを右に見ながら決めてきておるような次第でございます。具体的には労働基準法その他がその対象になってまいって決められておることは御承知のとおりでございます。  それがその後、週休二日制の施行が漸次普及してまいりますに従いまして、当然のこととして勤務時間が漸次短縮をしてきている方向にあることはこれは御承知のとおりであります。そういうことがまさしく人事院といたしましても週休二日制の諸準備を整えるべき時期に来ておるのではないかという立場に立った直接の契機でもあるわけでございます。したがいまして、現在の全体の休日休暇の問題あるいは官庁の執務体制の前提のもとにおいて、勤務時間というものを民間が短縮の方向にあるからそれに合わせてということは中途半端であって、私はそのことは現在のところ考えておりません。やはり本筋である週休二日制の施行に従って結果的には勤務時間が短縮されてくるということが本来の姿であろうというふうに考えております。  そういうような面から、諸事情大変困難な折にもかかわりませず、テストの実施をひとつやっていただきたいということを申し上げ、総理府におきましても長官以下大変な御努力をいただきまして、ようやくこれがテストに踏み切るというめどが方針として確定をせられたのであります。この結果を待ちましていろいろな問題点を検討整理をいたしました結果、将来本格的な週休二日制をどういう形でやっていくかというのが次の日程に上ってくるわけでございまして、その時期において当然のはね返りとして勤務時間の短縮ということが結果的に出てまいるというふうに考えておるのであります。  しかし、それはそれといたしまして、民間の状況がどういうふうに推移をしているか等のことにつきましては常に深甚の関心を持って見ておりますし、また具体的に資料を整備いたしまして、種種の角度から検討を加えておる次第でございます。
  85. 中路雅弘

    中路委員 週休二日制の問題については、先日の二十七日ですか、関係閣僚の懇談会を開かれまして、新聞等でもすでに報道されていますが、確認しておきますと、十月を目途ということで、新聞でも十月の公算という報道をされています。この時期の問題と、それから十分の三以内の部門の選定は各省庁の判断に任せられるのかどうかということ、それから一年間の試行といまお話の本格的な週休二日制との関連の問題、こういった問題について、閣僚懇談会でお話をされた問題の要点だけ、長官からひとつお話を願いたいと思います。
  86. 植木光教

    植木国務大臣 十月を目途としてということを決定いたしたわけでございますが、これは、各省庁によってつくっております事務的な会議でございます連絡会議におきまして、これからできるだけ調整を進めてまいりたいと存じておりますけれども、各省庁と人事院との間でも、具体的にどういう方法で、どういう計画で行われるかということの詰めが行われるわけでございます。私どもといたしましては、十月に一斉に行われるということが好ましいという考え方のもとで、十月を目途としてということにいたしたのでございます。  それから、職種その他の選定につきましては人事局長からお答えをさせます。  試行と本格的実施との関係のことでございますけれども、本格実施につきましては特に意見を交換したわけではございませんが、決定しました最後に書いてございますように、この一年間テストを終わりました際に、もう一度懇談会を開きまして、そのテストの結果についていろいろ意見を交わし、協議をしたいというふうに考えておるのでございまして、人事院の試行基準におきましても、「実施上の問題点を検討し、今後の職員の勤務条件に関する勧告の基礎資料とする」というふうにうたっておられますので、私どもとしては、一年間このテストをやるということにしたわけでございます。したがって、いわゆる本格実施に直ちに移行するかどうかということにつきましては、この懇談会におきましては、先ほど申し上げましたように、一年後のテストの結果を見ることになっておりますので、まだ決めていないということでございます。
  87. 秋富公正

    秋富説明員 試行の具体的方法につきましては、各省庁それぞれ実情も異なっておりますので、それぞれがその省庁ごとに人事院と協議して定めることになっております。しかしできるだけ調整を図るべく、関係省庁連絡会議においても調整を図ってまいりたいと考えております。
  88. 中路雅弘

    中路委員 人事院、総理府に関連する問題、勧告に関連する問題は以上でちょっときょうはとめます。  この機会にきょう少し時間をとってお尋ねしたい問題は、公務員定員管理の問題です。総定員法に関連する問題で、一つだけ例を挙げて意見をきょう述べたいと思うのですが、気象庁の定員削減問題に関連さしてひとつお尋ねしたいと思うのです。  私のところにいただいた資料で、時間を節約する意味でいただいたものを先に読みますと「気象庁定員削減内訳」というので資料をいただきました。これで見ますと、第一次の定員削減、四十四年から四十六年の三カ年で、本庁、付属機関、地方機関合計しますと二百三十七名、第二次の四十七年から四十九年が合計で二百六十二名、第三次が五十年、五十一年で百三十名、それに五十二年の予定の三十三名を入れて百六十三名、合計六百六十二名という資料をいただいておりますが、一九六九年から三年ずつの三次の定員削減、これで見ますと、合計六百六十二名の削減ということになります。五十年度末の定員を見ますと、気象庁が六千五百三十名ですから、約一割の定員削減がやられているということになるわけですが、いまの数字は間違いありませんか。
  89. 岩田弘文

    ○岩田説明員 間違いございません。
  90. 中路雅弘

    中路委員 この総定員法が問題になった時期に、国会の政府答弁でも、特に気象庁のような農漁業あるいは交通安全、こういういろいろ地域住民に直接非常に影響のある部面、こういうところは、気象庁などについては人員の削減はするわけにいかないという当時の佐藤総理の答弁も議事録を見ますとたしか出ているわけですけれども、一律の削減ということで、これを見ましても全体の一割、六百名からの削減が続いてきているわけですが、この削減で気象観測の非常に重要なところでいろいろな問題が起きていますね。たとえば、いままでの気象通報所が漸次廃止されてきている。これは昭和二十八年のあの大豪雨を契機に国会で決議をして二十九年からやってきたわけですが、この気象通報所が廃止されて、設置当時八十四あったわけですが、この第三次の計画がやられますと通報所は幾ら残るかわかりますか。
  91. 岩田弘文

    ○岩田説明員 私ども、ただいま先生御指摘のとおり気象通報所の整理をいたしてまいりました。ただいままでに、正確な数字は覚えておりませんけれども、四十九カ所だったかと思いますが、整理をいたしまして、あと二十三カ所残っております。  これはなぜ整理をいたしたかといいますと、設置当時は、雨の測量をやりますロボットから電波の関係上中継基地が必要だということで中継基地を置きまして、それでやっておりましたところ、その中継基地を無人化することができるということで、先生御承知ように、最近の目覚ましい通信技術、通信工学の発達ということによりましてこの役割りがなくなって新しい通信の方法に代替できるということになりましたので、私どもこれの整備を進めてまいっておるわけでございます。これによりまして全体的な気象サービスの低下をもたらすというようなことはないと存じております。
  92. 中路雅弘

    中路委員 いまの問題は、この新しい自動観測の装置との関係で通報所の廃止の問題が述べられているわけですが、この問題は後で具体的に論議をしたいと思うのですが、通報所の廃止、それから観測回数が、毎時観測をやめて八回という、三時間ですか、観測にかわってきておるということ、それから特区以上の測候所から予報権限がなくなりましたね。地方気象台に予報権限をみんな与えるということで、予報権限がなくなっているわけですが、いまの通報所の廃止等でも、たとえば地域の人たちが、自治体を含めてこの廃止に反対をされているところ、いままでお話を聞きますと、福島の只見だとか広島の庄原ですか、こういうところは、地域の反対があって廃止をやめておられるわけです。また、いま言いました測候所の問題につきましても、岐阜の恵那ですか、これはぜひ格上げをして予報ができるようにしてほしいという、これは市の自治体を含めて、本日ですか、気象庁にも請願、要請に行きたいという話も聞いているわけです。地域でも、この通報所の廃止やその予報権限を取り上げるということについては、住民だけじゃなくて自治体を含めていろいろ反対の意見も強いという問題もあるわけですね。  こういう中で新しい観測体制ができたからということで、アメダスというのですか、このシステムとうらはらの関係で、いまお話しように通報所をなくすということをやってこられたわけですが、この体制でいまお話しされたような、たとえば十分の観測ができるのか。あるいは集中豪雨ですね、いま各所でいろいろ問題が出てきておりますけれども、こういう問題に十分対応できているのか。この点はどういうお考えですか。
  93. 岩田弘文

    ○岩田説明員 先ほどの御答弁の中で、通報所の削減を四十九カ所と申し上げましたけれども、四十三カ所いままで削減いたしております。御訂正申し上げます。  なお、この気象観測二十四回を八回にするということでございますが、御承知ように、気象庁というものは技術官庁でございまして、科学の進展、技術の進展に即応いたしまして技術革新というのが当然行われなければならない。新しいもの、新しいものに代替していって国民のサービスを改善していくということが私どもの役所の使命であろうかと存じております。当初二十四回観測をいたしておりましたときには、レーダーもございませんし、あるいは先生ただいまお話にございましたような、オンライン、リアルタイムでいつでも雨量その他の要素を把握できるいわゆるアメダスと申します地域気象観測システムというものもなかったわけでございます。それが通信技術あるいは電子工学、これを処理できるコンピューターシステムというようなものが整備をいたしまして、私どもといたしましては、よりよいサービスが国民にできるのじゃないか、気象予報業務の改善ができるのじゃないかというふうなことになってまいりましたので、通常のいわゆる人手の観測というものを、観測とそれから通報というのもでございますが、それを八回にいたした。二十四回の観測はしていないではないかという御疑問があるかと思いますけれども、二十四回というものは、昔は百葉箱というものがございまして、そこに気象庁の職員が出向いていって見ておったわけでございますけれども、ただいまは、室内におって、室内で自由にいつでも見られるという体制になっております。それを天気図のために本庁へ通報するというのが八回になっておるということが主でございまして、その他、二十四回というものは、空をながめるということもございますけれども、これもアメダスというものが整備されますし、あるいは最近台風のときに先生なんかもテレビでごらんになりますように、アメリカが打ち上げております軌道衛星から写真を撮るということになっております。また私どもといたしましても、ただいま日本独自で静止気象衛星というものを打ち上げる計画をいたしておりまして、これが来年の夏ごろには打ち上げられますと、従来気象と申しますのは、観天望気と申しまして、個々の地上で空をながめ空気を望むというような体制から、上から気象衛星が見てくれるという体制に、非常に発展をするわけでございます。この気象衛星が上がりますと、私どもの業務も画期的な改善が図られる、サービスも向上できるのじゃないかと存じております。
  94. 中路雅弘

    中路委員 技術が進歩することによって新しいシステムが入るということが、この気象の問題でも、地域の皆さんによりよいサービスになっていくというふうに生かしていかなければいけない。私も、技術進歩でいろいろそういう機械が導入されて改善をされていくということはとらなければいけないと思うわけですが、そのことによって逆に今度は、結果としてサービスが低下する、あるいはそこで働く職員の皆さんの労働条件にとって新しい問題、矛盾を持ち出すということでなくて、その機械の導入がもっといいシステムそれから地域の人たちにも役立つということでなければならないと思うのですが、私がこれから問題にしたいのは、この導入が——しかも気象で一番大事なのは、平時というだけじゃなくて異常のときですね。豪雨だとか異常の問題が起きたとき、そういうときに本当にこの効力が発揮できるかということが一番大事な問題ですね。だから、たとえばアメダスというシステムが設けられたということで、これが、局地の豪雨が起きたとかそういうものについて十分役立っているのかという問題、それから、いまおっしゃったように、いままで以上にその点で地域の住民の皆さんにもサービスになっている、あるいは職員の負担もいろいろな面で軽減されて、新しい分野でより一層サービスができるというふうになっているのかどうか、お考えはどうですか。
  95. 岩田弘文

    ○岩田説明員 サービスの面につきましては、大局的な見地から見ますと、たとえば気象庁で一番重要な問題は、天気の場合台風でございます。これはもう毎回テレビで台風のときに出ておりますように、一番端的に皆様方に接しておる絵は、ノアから受ける軌道衛星の絵であろうかと思います。そういうものが非常にわれわれの従来の業務に補強になっております。  それから、ただいまのところ軌道衛星からの写真は、日本の上空を軌道衛星が通りますのが一日二回でございますので、一日二回しか写せませんけれども、来年夏打ち上げる日本の静止気象衛星ですと、常にその衛星が日本を見ております。したがいまして、必要なときには二十四回の観測ができるということで、この静止気象衛星が打ち上がりまして、それが実用に供されるときになりますと、まずまず台風の進路等については外れるというようなことは恐らくないのではないかと存じております。  それから、ただいま御質問の小さな集中豪雨の問題でございますけれども、先般静岡の豪雨というような問題もございました。これは私も、予報の方々、いま詳しくは予報課長や何かからも説明を必要ならいたしますけれども、やはり気象現象の中にはまだまだ解明できないものがある。たとえば静岡の場合には、四国の上に低気圧ができましてその影響で伊豆に大雨が降ったということで、四国に低気圧が来て伊豆に大雨が降るということを的確にやる予報技術のシステムの開発というものがまだできていない状況だと聞いております。したがいまして、これからのサービスの改善、気象庁に課せられた使命と申しますのはやはり質のいい的確な予報をするということで、私どもただいま関係者の間で考えておりますのは、これからこういう短時間予報というものをいかに確実にしていくか。ただいまレーダーを実況の監視にしか使っておりませんけれども、レーダーから出てきているものをディジタルに直しましてこれを予報業務に使用するとか、そういう技術開発をいたしまして、よりよいサービスをやっていこうではないかというふうに寄り寄り協議をいたしておるところでございます。
  96. 中路雅弘

    中路委員 いま静岡のお話が出ましたから、この問題で幾つかお尋ねしたいのですが、いわゆるアメダスというシステムはいまお話しように主として雨しか観測できないわけですね。たとえば雲の高さだとか視界の状況、こういったものまでわかるような状況でありませんし、第一にこれまでの予報が、県にある地方気象台で出すということに変わったわけですね。御存じのように、私は神奈川県ですが、静岡県にしても山、谷、平野、こういう中で同じ県内でも全く違う気象条件の場合がありますね。神奈川県が雨だといったって、ある局地をとれば空は晴れているというところも当然あるわけですね。いままでは特区以上の地方気象台でデータを受けて、さらにその地域のデータを加味して予報を出すということで、地域ごとの予報が出せたわけですね。それが今度地方気象台一本になっているということですから、局部に起きる豪雨やこういう問題ではなかなか予報が出しにくいという問題も起きているのではないかというふうにも私は思うのですよ。そういう点で新しいシステムというのは有効に使われるということは必要なことなんですが、それについていまおっしゃったようにまだまだ研究しなければいけない問題点もある、あるいは限界もある。そういうものを含めて、全体として本当に住民にサービスになっていくのかどうかということで考えないと、人員削減が一方である、それとうらはらでカバーするという形でやっていけば当然矛盾が起きてくるというふうに思うのです。  いま静岡のお話が出ましたが、たとえば静岡の七六年の七月十一日の豪雨ですね。私はいただいたこの日報を見て驚いたのですが、アメダスの毎時の観測の数字が出ていますが、この日報を見ますと、集中豪雨のときに重要なところでアメダスがほとんど働いていない。たとえば集中豪雨でも、個所をとってみますと、松崎とかあるいは稲取、石廊崎、こういうところが大体集中豪雨の被害が集中したところですね。いまお話しの被害地域におけるアメダスの観測の日報で見ますと、たとえば松崎は十一日の十四時から後は毎時全部観測できないわけですね。だから全く集計も出てないですね。稲取というところも、十三時までは出ていますけれども、十四時以降二十四時まで全部数字が入っていません。だから集計も出ていませんね。これはどういうわけで出なかったのですか。
  97. 岩田弘文

    ○岩田説明員 アメダスの具体的な細かい問題につきましては、なぜ出なかったか、ただいま測候課長が参っておりますので、測候課長からお話しいたしますけれども、静岡の豪雨につきましては、ただいまの経過を申し上げますと、雨が集中的に降り出しましたのは九時以降だったかと存じております。その前に、私どもといたしましてはアメダスによりまして、静岡は降るのじゃないかということを名古屋の地方気象台——これは予報中枢と私ども申しておりますけれども、名古屋がまず管轄をいたしております。そういう危険があるという指示報を名古屋の地方気象台から静岡の気象台に出しているわけでございます。これはアメダスで把握をしたものと存じております。その後、集中豪雨によってアメダスがとまっておるじゃないかという御質問でございますけれども、このときには電話線とか電信の倒壊等がございまして、その後とまっておるわけでございます。そのときには別途代替措置を講じておるというふうに聞いております。アメダスは、私どもが大雨警報、大雨注意報、洪水警報というようなものを出す場合に、いわゆる住民の方々に対するサービスの低下というものにはなっておらないと存じております。  なお、細かいことにつきましては測候課長から……。
  98. 中路雅弘

    中路委員 いや、私が聞いているのは、集中豪雨の一番ひどかったところ、そこのアメダスが故障してしまっているのかどうか、理由をいまお聞きしたいのですが、ここは全部数字が入ってないでしょう。とまってしまっているのですよ。一番異常なとき、こういうときにこそ働かなければいけないのが、集中豪雨のとき、異常なときには故障してしまっている。どこを見ても全然働いていない。何でこんな事態になっているのかということをお聞きしている。
  99. 山田三朗

    ○山田説明員 お答えいたします。  七月十一日の伊豆半島方面の集中豪雨のときでございますが、先ほど次長も申し上げましたように、午前中はアメダスはずっと正常に、静岡県の二十六ヵ所全部動いておったわけでございます。その間に注意報も警報もそれぞれ出されておりました。昼ごろから被害が出始めまして、電柱が倒れましたり、橋が流れましたりしまして電話回線が切れましたから、公衆電話回線を利用して通信するこのシステムにおいては、電話線の切れたところは資料が入らなくなるのでございます。しかし、入らないままで放置していたわけではございませんで、気象庁専用の通信回線もございますし、静岡県の方もそれぞれ通信回線をお持ちでございますから、それらを活用してその三カ所の欠けたところのデータもすべて取って埋めております。したがいまして、先生もごらんになったかと思いますが、静岡地方気象台が出しましたこの雨の速報にはすべてデータが埋まっております。
  100. 中路雅弘

    中路委員 異常時には電話の問い合わせも殺到するわけですね。独自の回線を持っていませんから、これは入らなかった印の中でペケ印が故障だというのです。故障で毎時ずっと入らないところ。それからほかの符号がついているのは話し中というのですね。同じ電話回線を使っていますし、データ集約も、電話回線がそういうときには殺到するわけですから、回線使用のためにそれがストップしてしまう。この表はそのことを示していると思うのです。故障だけではなくて、いわゆる問い合わせが殺到して電話回線が詰まればもう使用不能になってしまうということをこの数字と符号は示しているのじゃないですか。そうじゃないですか。
  101. 山田三朗

    ○山田説明員 先生御指摘ように、公衆電話回線を利用する以上は話中もございます。これは一般的に電電公社さんの計算ですとおおむね一〇%ぐらいあるわけでございますから、これをシステム設計当時も十分考慮いたしまして三回ほど同じ個所を呼ぶわけでございます。そうしますと一〇%、すなわち〇・一の三乗になりますので、現実的には計算上は〇・一%の話中率になります。これは昨年いろいろな月に調べた場合もおおむね〇・一%ですし、先月の六月あるいは先々月の五月を調べてみますと、全国平均では〇・〇五%ぐらいでございます。それだけ低下しているわけでございます。しかし、いまのよう電話線が切れますと入りません。あるいは機械が故障することもやはりございます。復旧には努めますが、故障している期間もございます。それらもいまの六月五月、先月先々月の調べで見ますと、話中を加えて大体〇・四%ぐらい。  で、昨年の十回ぐらいの大雨についてもいろいろ調べてみましたが、すべて私たちが責任を持たねばならぬ注意報、警報発表のときには話中が障害になるほどは起こっておりません。たとえば昨年の青森の大雨でございましてもその他の大雨でございましても、おおむね夜中が多いのでございますが、夜中に強い雨が降って、それでちょっと降り始めたころに警報を出しておるわけでございますが、その強い雨が降って、数時間たって災害が起こって、そして次の昼間を迎える、しかしそのときにはまだ話中は障害になるほどは出ておりません。朝ニュースに出、新聞に出て、その日の晩の八時から夜間料金で電話料が安くなりますが、その時期になりましてから皆さん被害地の親戚等に安否照会の電話をおかけになると思うのでございますが、そのために話中が出て、その時期には障害になっている場合もございます。しかし、そのときにはもう被害から十数時間たったりしておりますので、私たちの業務そのものにはそれほど大きな影響は及ぼしていないのではないか。これも専用線にいたしますと、もちろんその辺が少し救えるわけでございますけれども、専用線は公衆電話回線に比べまして五十倍ぐらい経費を要しますので、われわれとしては費用効用といいますか、税金の有効な利用というふうなことも考慮いたしまして、公衆電話回線の方がいまの時点としては最適だということで使用しているわけでございます。
  102. 中路雅弘

    中路委員 全体私がお話ししているのは、何でも平時のことでぎりぎりいっぱいの体制をとっているわけなんです。人員でもそうですね。勤務の状態でも平常勤務の労働時間に基づいて人員査定をして、資料がありますが、ずっと人員を減らしてくる。だから平時で手いっぱいです。気象の問題というのは異常時が一番大事なわけですね。そのときになるとそれの対策が全然打てない、平時で手いっぱいですから。事実上手抜きになってしまう。いまのアメダスでも異常のときに働かなければいけないわけですね。計算上はいまおっしゃったようになるかもしらぬけれども、実際には動いてないですよ。計算上そうなると言ったって話中で、この数字を見れば話中話中とあるのです。毎時入ってないです。故障というのが入ってきている。専用回線ならまた別ですよ。異常のときにはそこへ集中するわけですから、話が集中するのはあたりまえなんです。使えなくなってしまうのですね。異常のときにこそデータが必要なんでしょう。いまそれがとれない体制になってきているというところに私は気象庁の皆さん——本当に住民サービスだってこのときが一番大事なわけですから、全体として気象庁のこういうところには人員の削減はやらないという趣旨が、すでに定員法案が論議になったときから問題になっている。そこをどんどん、一割の六百名から削減してくる。どこかへしわ寄せしなければいけない、だから通報所を廃止する。で、もう平常ぎりぎりいっぱいの定員にしていくということですから、結局集中豪雨だとかこういう異常なときになったら全くパンクしてしまうというのがいまの体制じゃないか。新しい機器を入れるのはいいと思うのです。しかし、それがさらに有効に働くのは、全体としてそういうところに限界もあるわけですから、そういうものをカバーした体制をとっていかなければ、この機器を入れたからあと全部つぶしちゃっていいんだということにならない。それが新しいもっと大きな矛盾をいま持ちだしているというのがこの一例で出てくるわけですね。  これは静岡だけではないですね。たくさん例が出ています。二年ほど前、宮崎の豪雨のときの問題も、これは国会でも運輸委員会かどこかで同じような問題で私は問題になったと思うのですが、たとえばこれはアメダスの問題で、鹿児島地方気象台の肝属川通報所ですか、ここの方が気象庁の組合の本部に報告書出しておられる。これを見ましても、これは六月二十四日ですか、アメダス大変なで全く通報ができない。このときはやはりの故障雨量ですね。三百二十二ミリ、百八ミリと記録しているのですが、これが全部、通報所の廃止やまたアメダスが故障して通報ができないということでの訴えの文書、報告もありますけれども、いまの静岡の例は決して特殊な例じゃなくて、こういうことが各所に起きているということは、このアメダスのシステムに全部頼ってしまうというだけではなくて、ここにもやはり一つの限界点あるいはまた研究していかなければならない問題があるわけですから、そういうものを含めて——他に金をかけなければいけないからということでどんどん一律に人員を削減していって、こういうところへしわ寄せするというのではなくて、私はこの問題について、体制について根本的に検討し直してみる必要があるのではないかというふうに考えているわけです。機械が肩がわりしてじゃなくて、機械が体制を一層補強していくということで考えていかないといけない、こういうところまで矛盾が来ているのですけれども、五十二年度、さらにまだ削減をされるわけでしょう。予定ですと三十三名ですか。  その前に、五十一年度の定員削減の問題ですが、五十一年度は六十五名削減ですね、それから五十二年度の三十二名の削減、この問題についてはどのようにお考えですか。また五十二年度は、じゃどこから三十三名さらに削減しようとお考えなんですか。
  103. 岩田弘文

    ○岩田説明員 まことに申しわけないのですけれども、先生への通報所の廃止の個所につきましての御説明がちょっと間違っておりました。  第一次、第二次、第三次までの削減を含めまして四十三カ所でございましたけれども、これはその前に若干の廃止をいたしておりますので五十九カ所廃止をいたしておりまして、現在残っておりますのが二十三カ所ということでございます。  なお、ただいま御指摘のございました五十一年の定員削減と申しますか、本年度につきましてはすでに六十五名所要の措置を講じております。すでに実施済みでございます。  それから次の年の問題でございますけれども、私ども気象庁におきましては、削減に当たりまして、業務整理対策本部ということで、長官以下各部長さんと地方の管区台長さん等をメンバーにいたします委員会をつくっております。これで毎年、どういうふうにやったら合理化ができるか、あるいは機械が発達していって代替措置が講じられるかということを検討をいたしております。本年、来年度の問題でございますが、三十三名につきましては、ただいま予算あるいは定員要求の資料の作成というものをいたしておりますので、ただいまのところこれに着手しておりませんが、定員、予算要求その他が終わりました段階におきまして、私どもそういう整理本部会を開きまして、衆知を集めて妥当な結論を出したいと存じております。
  104. 中路雅弘

    中路委員 たとえば、これは一般の新聞にも出ている、社会問題としても出されているわけですが、海洋観測、これも最近中止されたという問題が一般新聞にも出ていました。毎年五月から十月まで十回、潮ノ岬の南四百五十キロの太平洋上で定点観測をやっている観測船に海洋観測の観測員を乗せて、十カ所で水深二百五十メートルまでの水温を観測しているという問題を中止された。新聞報道によりましても、この中止によって黒潮の解明や冷水界の発生、成長、こういう究明ができなくなる、また漁業にとっても、データにとって非常に大きな打撃になるということも出ていますが、皆さんの方では、神戸の海洋気象台の船で年四回観測させるからカバーできるというお話ですが、これは回数も減っていますし、データも不足になると思いますし、定点もずれているわけですから、データとして使えるかどうかまだはっきりしないというお話も新聞等に出ております。これを見ますと、どのくらいの人数を削減するのかと私見ましたら、二隻の観測船にそれぞれ一人ずつ、計二人の定員の削減、これでこれだけ大きな問題になってくる。漁業にも影響するという問題ですね。だから、私は本当に住民サービスという立場でこの定員問題を考えていくならば、行政機構が膨大にふくれ上がるということを私は言っているのじゃないのですよ、できるだけ有効な行政機構というのを配置をしていかなければならないが、一番大事なのはやはり国民サービスですから、その部門にただ一律に定員削減して何でも切っていくということになれば、集中豪雨になってもその大勢がわからない。戻りますけれども、さっきの静岡の石廊崎、みんなとまっているのですけれども、石廊崎だけは十五時と二十一時だけ数字が入っているのです。これを聞きましたら、定時観測のための職員が測定して送ったため、ここのところだけデータが送られているということを関係者からお聞きしたのです。このように、やはりそこで職員の皆さんのあれがなければ、機械万能で頼っているだけでは、全く故障、お話し中でデータも出てこないということがはりきりしていますし、海洋観測でもわずか二名の定員の削減がやはりこれだけ大きな問題を抱えるわけですね。その点で、矛盾が出ているどころではない、逆にこういうところにはもっと体制をしっかりとらなければいけないというところへ、さらに六十五名、三十三名、一律の削減をみんなやっていくということになりますから、だから私は次の三十三名をどこから削るつもりなんだということをお聞きしているわけですけれども、もう一度根本的に、これは行管との関係の問題もあるわけですから後でお聞きしますけれども、気象庁としてまず皆さん考えをはっきりしなければいけないというふうに私は思ってまず皆さんにお聞きしているのですが、この静岡の例を見ても、このアメダスに頼るだけではやはり局地豪雨やこういう問題について十分の体制じゃないということは、計算上いろいろ言われても事実が示しているわけですから、もう一度この点で体制について検討してみるというお考えはないですか。
  105. 岩田弘文

    ○岩田説明員 ただいまの海洋観測の問題につきましては、こちらに海洋課長が参っておりますので、先ほど来申し上げておりますように、私どもは技術官庁、科学官庁でございまして、科学的に専門家の検討を経まして、そういうことをやめても支障がない、たとえば定点観測における海洋観測というものの学問的な見地に立ちまして、そういうことをやめても差し支えないということでやってきたわけでございます。なお、詳細につきましては海洋課長から御報告申し上げることにいたします。  また、アメダスの問題でございますけれども、私どもといたしましては、何が気象庁の基本的な使命かと申しますと、やはり国民のサービスと申しますのは災害の防止であろうかと思います。私ども災害防止と言いますのは、予報というのは言葉の性格上あらかじめそういうことを皆さんにお知らせするので、実際に豪雨が来たとき、降っておるときよりも、これから豪雨が降るぞということを早目にお知らせする、そのためにはどうするかというと、豪雨の降るところで観測するという意味ではございませんで、空気が御承知ように大循環で流れておりますので、あらゆる地点で把握ををいたしまして、それを全体的な大気の把握の上に立って予報をして、災害を未然に防止をしていくという立場でございまして、私どもといたしましては、世界各国から私どもの方へ資料が参っております。またそれを電算機で収集処理をいたしております。また国内各地の地点あるいは上層の高層観測等もやりまして、それによって天気図を作成をして、それを各中枢に流して、それを気象台に送っておるということで、予報の仕方、そういうものも画期的に通信技術の発達とともに変わってまいっておりますので、私どもといたしましては、なるべく早目に適正に的確な情報をお知らせするということが一番重要だということで、私ども寄り寄り、さらに進んだシステムの開発をいたしたいと存じております。
  106. 中路雅弘

    中路委員 先ほど言いました石廊崎、これも前はここで予報を出したわけですね、特区ですからね。それがアメダスの導入等とあわせて、第二次削減の中でここから予報権を取り上げたわけですから、だからいま住民サービスで予報だとかなんとかいうお話だったら、こういうものをどんどん取り上げてしまうということは逆行するでしょう。いまお話しになっていることも逆行しているわけですね。石廊崎自身がかつてここで予報を出したわけです。きょうお見えになっている、皆さんのところに行く予定の岐阜の皆さんも、指定を格上げをしても予報のできるようにしてくれという要請なんですね。これにこたえていくのがいま皆さんの答弁されている住民サービスの一番の基本なんです。それをどんどん取り上げていって、サービスしていると言ってもこれは話にならないし、実際第一線で業務をやっている皆さんの、いろいろたくさん私どもありますけれども、要望書を見ても、気象庁の予報官の皆さんのいろいろな要望書が出ておりますね、これもみんな、たとえば衆議院の災害対策特別委員会でも、自然災害の防止に資するための気象業務の整備拡充に関する決議、委員会でも決議をやっておりますね、災害対策に関する決議、幾つもやっております。その中では、人員や設備、観測網を大幅に充実させるということが、この中で自然災害の脅威から国民の不安を除く保証だということを言っているわけですから、国会の関係委員会の決議ですら、この点について気象業務については人員や設備、観測網をもっと整備しなければいけないということを言われている。しかし、実際には人員はどんどん削減していって、気象庁は六百人から削減する、そういうことになれば、この国会の決議にも逆行する方向じゃないか、また第一線に働いている予報官の皆さんやそういう人たちの意見を聞いて、どういうシステムが一番いいのかということを決めていかなければ、気象庁としての本当の仕事、役目を果たしていくことができないのじゃないかということから私はお話をしているわけですね。その点で、きょうどうするという結論を言っているわけじゃないのです。もう一度気象庁のこの一律にやってきた定員削減の体制がたくさん矛盾を持っている、地域でも自治体を含めて反対の運動も出てきている、あるいは内部の予報官からもたくさんの要望書や意見も出てきている、現実にそれで、このアメダスに頼ってこういう故障をして異常のときに動かない事態も起きてきているということですから、こういう体制についてもう一度検討し、あるいは五十二年度の三十三名の削減について十分慎重な、もう一度再検討が必要じゃないかという意見を述べているのであって、いまどうしろとは言っておりませんよ。こういう問題について一度内部で検討をされるという気持ちはないですか。
  107. 岩田弘文

    ○岩田説明員 先ほどから申し上げておりますように、私どもは技術官庁でございまして、いろいろ地方公共団体からの御意見がございますことも承知いたしております。しかしながら、私どもは、先生御承知ように大部分が科学者でございます。そういう科学者の集団でございますので、そういう方々が専門的な立場から、こういうことをしてもサービスの低下には影響ない、こういうふうにした方がさらに質のいい予報ができるのだという観点でやっております。  なお、ただいま六百人の削減というお話がございましたけれども、私どもには気象衛星でございますとか、そういう新しい大きなプロジェクトがございまして、そういうものにつきましては定員の増がございまして、第一次削減の初めのとき、四十三、四年ころに比べては、実質的には十四人、結果的には十五人の増員ということになっておりまして、全然そういう新しいプロジェクトなかりせば六百人の削減でございますが、新しい仕事にやはり六百何十人かの定員がついておりまして、全体的には十五名の増ということになっておりますので、気象庁全般の仕事面あるいは質的な業務の面から見て大いに改善をしておりますことを御理解いただきたいと存ずるわけであります。
  108. 中路雅弘

    中路委員 時間がありませんので、私もう一言話しておきたいのですが、いま片方増員のお話がありましたけれども、たとえば五十一年度八十一名増員になっていますね。うち二名が沖繩なので、事実上七十九名。削減が先ほど言いましたように六十五名なので、十四名増加しているというお話もあるわけですが、しかし、中身を聞いてみますと、七十九名の増員のうち五十二名は五十二年の一月から三月末までの三カ月定員ですね。実際、ふえたといったって、五十二名は三カ月定員、しかもほとんどそれはいまお話しの衛星用の職員ですからね、いままで問題になっているこの定員削減があるけれども、いや、ふやしているんだということにはならないわけですね。問題の性質が違うわけです。  私がお話ししているのは、定員法の最初のときから、気象庁のこういう住民サービスの部面は削減については十分慎重に考えなければいけないという指摘もあるし、あるいは国会の関係委員会で、災害が起きるたびに気象庁のそういう人員や設備については一層充実させなければいけないという決議がある。確かに、アメダスの話が出ていますけれども、私はそういうことは必要だと思っているのですよ。やめろと言っているのじゃないのですよ。しかし、定員削減とこれがうらはらになって、定員削減を一方カバーする意味でこれをつけられたのでは、本当の体制ができないのだ。そういう機械の進歩によって、技術の進歩によって一層カバーしていくということでなければだめだから、そのことをもう一度検討しないといけないということを私は主張しているわけなのです。この点は十分やはり御検討願いたいと思いますし、たとえばもっと職員の皆さんの意見を聞かなければいけないと私は思うのです。  一例だけ終わりに挙げますけれども、海水温を深さに応じて測定するXBTというのですか、ありますね。これは綱を何かおろして、引き上げる作業が大変危険だ、波で船が揺れて、海に落ちそうになるということで、いろいろ意見が出ているわけですね。私は職員の皆さんに聞いたら、自衛隊の方は、同じことをやっているのですが、使った綱は捨ててしまっているというお話を聞いたので、防衛庁に正式に聞きました。そうしたら防衛庁の防衛局から返事がありまして、皆さんと同じ作業、深海の水温をはかる器材、防衛庁は年間百個使用していますが、観測地点は明石です、この器材は一回ごとに捨てていると防衛庁は言っています。皆さんの方の職員の人たちは、防衛庁も捨てているのだから、これをもう一回また海から綱を引き上げると非常に危険な作業なので、こういうものはそうしないでほしいという意見も出ているわけですね。同じ官庁であって、片方の防衛庁は、きょうの返事でも、一回ごとに全部捨てているのだ。そして、細い銅線でつないで海中に落下させながら海水温をはかるのですが、そのまま海中に捨てられるけれども、細い銅線であるから別に他に危険を及ぼすようなことはない、だから捨てているという回答です。気象庁の方は、職員の方からそうしてほしいという要望があっても、危険な中でやらしている。これは同じ官庁でも非常に矛盾するのじゃないですか。
  109. 安井正

    ○安井説明員 先生のいまの御質問にお答えいたしたいと思いますが、気象庁で使っておりますのは、先生ただいまXBTというふうにお話いただきましたけれども、実際にはメカBTというのを使っております。これは細い銅線でつながっておるのではございませんで、太いスチールワイヤーでつながっておりまして、これを船上へ上げて、中の内蔵しました記録計に記録されましたものを読み取るようになっております。もちろん防衛庁がお使いになっておられるようなXBTを使用することも可能でございますが、XBTといいますのは、主といたしまして軍事目的で、非常に高速の艦船で使用するのが目的で開発されておりまして、もちろん一般海洋観測に採用することも可能でございますが、年間予算にいたしますと非常に高価なものでございますので、この導入につきましては、もちろん将来趨勢といたしまして考えざるを得ないとは思いますが、当分の間はまだメカBTでもって十分に目的を達していけるのではないかと考えております。
  110. 中路雅弘

    中路委員 時間の関係がありますので、いまの問題を詳しく詰めませんけれども、これは省庁は別なんですけれども、私は、総務長官にもいまの論議を聞いておいていただいて、やはり定員の一律削減というのは、ほかの省庁でも非常に矛盾をたくさん抱えていますね。こういった点は、もう一度検討をし直す必要があるのではないかというふうに思うわけです。法務省の登記所の問題とか、いろいろ委員会ごとに問題になっています。検討をしていただきたいと思いますし、行政管理庁が、新聞にも報道されていますが、総定員法が施行されてから、五十万六千名余りの枠で、いま言いました定員の枠を決めてやってきたわけですけれども、すでに五十年度からこういうやり方で数字的にも矛盾が出てきている。学校や病院関係の職員がいま増加してきていますから、五十一年度末、さらに来年度になりますと、実際にはこの総定員法に決められた定員を事実オーバーせざるを得ないという状態になってきておるわけですから、いずれにしても、この定員の枠をどうしていくのか。あるいは学校や病院関係の職員を総定員法の枠から外すかと新聞にも出ていますけれども、その総定員法そのものをいま検討する事態にならざるを得ないというところへ来ているわけですね。  最後に私は、行政管理庁に、この総定員法のいま持ってきています問題、来年度も考えてみて、どのようにいま検討をされているのか。特にその中で、いま言いました、一律の削減というのでなくて、十分住民との関係、国民との関係、そういうものを考えて、定員のあり方についても、いま根本的な検討が必要になっているのじゃないかというふうに思うのですが、この問題の終わりに、一言行政管理庁からも御意見をお聞きしておきたい。
  111. 加地夏雄

    ○加地説明員 総定員法の問題でございますが、ただいま御指摘ように、現在の総定員法の五十万千数百人のこれを上限にとりまして、確かに現実の定員事情は厳しくなっておるということは御指摘のとおりでございます。ただ、一方、御承知ように、現在のこういった社会情勢あるいは経済情勢、さらには財政事情というものを考えてみました場合に、やはり引き続きまして行政事務の簡素合理化というものを進めていくべきじゃないか、それによって行政コスト全体を軽減していく、こういう努力を図るべきではないか、こういう感じはいたしておるわけでございます。そういう状況の中で、私ども実は御指摘ようにいま一つの大きな問題でございまして、現在部内で検討しておる状況でございます。まだいまの段階としまして具体的にどうこうと申し上げる段階には至っておりませんので、この点はひとつ御了承いただきたいと思います。
  112. 中路雅弘

    中路委員 総務長官にちょっといませっかく論議を聞いていただいていたので、直接は関連はないのですが、各省庁にかかわる問題ですから、総定員法の問題と関連して各省庁の定員のあり方についてやはりいずれかの機会に十分検討をしていただいて、特にいま矛盾を持っている住民との関係、一律削減でやっていきますと大変な矛盾が起きますね。気象庁の皆さんはアメダスが入ったからということで言っていられるんですが、これは苦し紛れのあれで、実際には定員がそこで削減されていくのをこれでカバーしているのだということを言わざるを得ないという事態だと思うのですよ。こういう問題について、やはり政府としても定員の今後の公務員——私も定員がどんどんふえるということを言っているのじゃなくて、やはり削減するところは削減しなければいけないわけですから、そういう点での定員のあり方の問題について、やはり十分な検討も一度お願いしたいというふうに考えておるのですが、一言……。
  113. 植木光教

    植木国務大臣 いま行政管理庁からも答弁がありましたように、現在この定員問題は各省庁にとりまして非常に多くの問題をはらみ、また一つの今後の課題になっているということは事実でございます。閣僚間におきましてもいろいろ論議があるところでございまして、行政管理庁の適切なこれに対する対処を私どもは期待をいたしますし、さらに私どもといたしましても、各省庁間でいろいろ論議を重ねてまいりたいと存じます。
  114. 中路雅弘

    中路委員 時間がもう来ていますので、終わりに、ちょっとこの前の委員会質問した問題の続きなので、環境庁と施設庁はお見えになっていますか——ちょっと十分ほど……。  前回齋藤施設庁長官にお尋ねをした問題ですが、環境庁が全国の米軍基地の環境調査をやられた。その結果について先日お尋ねしまして、特に一カ所だけ、横須賀の問題を取り上げましたが、重要な大気汚染あるいは水質汚濁、こういった問題で環境庁からも指摘があって、その後米軍関係のところと話し合いをされているのですが、六カ月たった今日、何の改善にも着手されていないというだけでなくて、正式の回答も来ていないという問題を、七月十四日でしたか、この委員会での質疑で施設庁長官から答弁がありまして、私はその後七月十九日に横須賀の海軍基地へ直接、外務省を通してお願いして入って、環境庁が指摘をした個所を半日かけて全部見てきました。案内をしたアメリカの担当者である技術担当の将校等ともいろいろ現地で話をしたんですが、その中で幾つか私現地を見て驚いたんですが、また、近く正式に環境庁、政府にも返事をするという回答も得た問題もあります。大気汚染です。  時間もありませんから、当時の話を簡潔にしますと、いわゆる大気汚染の問題ですね。ボイラーから非常な硫黄酸化物が出ているという問題については、私は現地で大分詰めて話をしましたら、ことしの十月ごろから現在使っている重油をディーゼル油にかえて、来年の十月をめどにディーゼル油から白灯油に切りかえる計画だと、近く関係の省庁にもそのことをお答えするという話をしました。事実、重油がディーゼル油にかわり白灯油にかわれば、含有から言っても大幅な改善になることは事実だと思いますし、これはぜひ実施をさせなければいけないと思うのですが、しかしこの問題でも、六カ月たっても何の回答もないということだった、この前の委員会でも。私は現地へ行って担当者に話をして大分詰めた論議をして、初めてそういうことを言い出したわけですね。これは率直に言いますけれども、地元の横須賀市の実際の担当者とその後話をしましたら、今年の初めにこの問題について政府や米軍にも回答をほしいという要請書を出したら環境庁に呼ばれて、回答なんて文字を書いたらアメリカの方は何も言って来ないのだ、そんな強いことを言ったら。何か結果をお知らせぐださいぐらいに文章を直せと環境庁に言われて直したということまで言っているのですね。それで半年間何の返事もない。こういう姿勢では本当に改善すらできないですよ。  神奈川県はことしの四月から総量規制をやっているのです。横須賀市も市で総量規制をやっている。横須賀で一番硫黄酸化物の多いのは東京電力とこの米軍基地の二つなんです。この二つを除いたらあとはわずかなんです。その片方が全く手が触れられないということになれば、県や市がやっている総量規制も全部抜け穴なんです。それを半年間もほっておくということもこれはけしからぬ話だと私は現地へ行って思いました。  それから、時間がないのでずっと話してまいりますけれども、もう一つは、水質の問題で屎尿処理の場所へ行きました。前から話を聞いていたので確認したのですが、住宅から流れてくる水、浄化槽です、これが旧帝国海軍の浄化槽をそのまま使っていました。これを確認しました。大腸菌が出ている。何の改善処置もいまないですよ。どうするのだと言ったら、市の終末処理場につないでもらうよりしようがないと言っているのです。市は、そんなことをされたら容量だって何だってみんな根本的に構造を変えなければいけないから、そんなことは困りますと市の方は言っているのですね。そのどうするかという費用も日本政府が責任を持ってもらわなければ、米軍はそんなのは出せないということを言っている。だからそのまま、大腸菌が出たままいまたれ流しですよ。  それからもう一つは、護岸工事がないというので廃棄物のところが指摘されています。あれも現地を見てきました。ヘリポートの横に大きなごみ捨て場があって、私は車で行くときに、ここは汚染物質は捨てないことになっているのですと説明を受けました。環境庁なんかも行かれた場合に、恐らく聞き取りだったらそういう話で帰ってこられる。現場へ実際に行って、雨が少し降っていましたけれども、中をずっと見た。残土どころではないですよ、汚染物質で。もうぼろの布切れから紙くずからいっぱい山をなして捨てている。それが何の護岸工事もないですから、波が少しかぶると全部海の中へそのままほうり込まれている。海の中へ基地のごみを捨てていっている、全部ぶん投げているのですね。民間の会社だったら刑事問題ですぐ逮捕されますよ、いまこういうことをやっていたら。しかし米軍基地はこういうことが全く野放図でやられている。皆さん自身がそれを指摘しながら半年間何の改善の返答、処置もしていないということになれば、いかに地域でいろいろ規制をしても、こういう米軍基地が野放しにされているということになれば、全く総抜けですね。どうするつもりですか。きょうそれを私は環境庁あるいは施設庁の皆さんにお聞きしておきたい。いま返事が来ていない時点で私は現場でいまの問題は確認してきた。これは横須賀の例でありましたけれども、佐世保についても、あるいは全国の米軍基地の調査をされて、いろいろ調査結果を発表されておるでしょう。     〔竹中委員長代理退席、木野委員長代理着席〕 この問題について今後関係の省庁あるいは米軍の間でどのようにされるのかということを、時間も来ていますから簡潔にひとつお答えを願いたい。
  115. 広田徳久

    ○広田説明員 防衛施設庁の広田でございます。  先生御指摘の問題に関しましては、今月の委員会で齋藤長官もいろいろお答えをしていることは十分承知しております。率直に申し上げまして、現在のところ米軍からの回答はまだ得ておりません。大変申しわけないことだと思っております。  しかし、施設区域を、提供業務を所管しております防衛施設庁といたしましては、環境の問題につきましては、つかさつかさの環境庁さんにもぜひお願いはしなければいけないわけではございますけれども、提供業務をやっておる限りにおきましては、この問題につきましては長官初め非常に重大な関心を持ってございます。したがいまして、現在環境庁とも十分連絡をいたしまして、本問題についてどのように処置するかを密接な連絡をいましている最中でございます。最近環境庁さんの方でも米軍に対して何らかのアクションをとったという御連絡もいただいておりますので、私どもとしまして、防衛施設庁自体は、本来の業務に関しまして、率直に申し上げますと限度がございまして、なかなか力足らずというところもございますが、つかさつかさの省庁におきまして御協力を願いまして、今後とも強力に進めたいというぐあいには思っております。
  116. 西村純幸

    ○西村説明員 いま防衛施設庁からお答えがありましたけれども、そういうことでございます。  環境庁といたしましても、防衛施設庁あるいは外務省などとも相談いたしまして、先般、この春申し入れた改善要望事項、と申しますと屎尿浄化槽ですね、それの構造改善なりあるいは維持管理方法の改善なり、それから油の関係でございますね、ばい煙の関係ですとか、それから廃棄物の処理場の護岸の関係の改善の問題等につきまして、その後の検討状況、進捗状況等について報告を求めております。近々それが参ると思いますので、その際関係省庁集まりまして相談し、また地元の県、市とも相談をして、その改善が速やかに実施されるよう措置してまいりたいと思っております。屎尿処理施設に関しましては、施設そのものをつくりかえるという方法もございますし、それから維持管理方法を改善するという方法もございますし、その点はいずれかという形で米軍の方には申し入れたのでございますけれども、回答を待ちましてよく検討したいと思っております。
  117. 中路雅弘

    中路委員 これで終わりますが、私はいまの問題は全くけしからぬと思うのですよ。どうするか半年めどがついていないのです。日米合同委員会の中で航空機騒音の問題ではたしか分科会がありますね。しかし、その他の大気汚染や今度調査された排水問題については、協議する何の正式の機関もないわけです。この問題も外務省含めて関係の省庁で十分検討してほしい。関係の地方自治体の間でも、消防に関する相互の火災発生時の援助の取り決めがありますけれども、それ以外にはいまは何もないですね。だから、米軍基地からの特に公害問題ということになれば、何の規制あるいはそれを協議する機関すら日米の間ではないというのが現状なんですね。だから、何か物を言っても回答がこなければ半年間もそのままということですね。いま言いましたように、たとえば幾ら総量規制をやっても、その地域については最大の発生源であるところの実態がどうなっているか何もわからないというのがいまの現状ですね。放射能の問題を言いますと、放射能の場合だったら佐世保と横須賀の中に監視所があるでしょう。原子力潜水艦が入ってくれば、環境庁なりあるいは市の関係者が中へ入って機器を調べたり調査をすることをやっていますね。私はこれと考えは同じだと思うのです。水質の問題についても、公害関係あるいは環境庁が定期に行って水質を調査してみる。それが国内の基準を大幅に上回るとすれば、改善方の規制も要請しなければいけないというふうに思うのですよ。こういうシステムすらいまないわけですから、いま横須賀の問題を挙げていますけれども全国の米軍基地について根本的に、この問題は外務省、施設庁、環境庁含めて米軍との間で何らかの正式の協議をする機関なり取り決めが必要だというふうに思うのです。いま横浜市を初め沖繩もそうですか、油送管から油が流出するとかいう事故が相次いでいまして、こういう問題でいろいろ市の関係者の立ち入りの調査施設の改善、それから現状の点検、こういう要請が出ていますが、米軍は全部拒否していますね。説明はするけれども、その実態調査に入ることは拒否する。こういうことになれば、流れ出るのは同じですからね。横須賀で言えば東京湾です。ということですから、この問題について、私はきょう関係の省庁の大臣がおられませんからこれ以上詰めませんけれども、ひとつ施設庁、外務省、環境庁含めて、十分この問題についてどうしていくのかということについて体制も含めて検討していただきたい。植木長官は沖繩の方は関係されていますから、関連をしてですけれども、ほかは大臣がおられないので、関係の省庁にいまのお話をぜひ伝えていただいて、沖繩の米軍基地にも深く関係する問題ですから、基地に関連したこういういま起きています公害問題について、やはり日本の国内法を十分守っていただくということが必要ですから、この点について何らかの政府として対策、取り決めなりあるいは協議なりを正式にするものが必要だと思うのですが、この点について御検討願いたいと思うのですが、終わりにちょっと植木長官にもお聞きして終わりたいと思います。
  118. 植木光教

    植木国務大臣 基地内の環境問題については、私も沖繩関係で十分承知をいたしております。したがいまして、いま御指摘がありましたよう関係省庁がそれぞれその対策について協議する場を持つべきであるという点については同感でございます。この点については、ちょうど防衛施設庁及び環境庁の担当者もおられることでありますから、この機会に私としてはその考え方を生かしていただくようにお願いをいたしておきたいと思います。  なお、沖繩関係で私は知ったことでございますけれども、わが国の環境保全、すなわち公害防止法あるいは消防法等につきまして、すなわち日本の国内法について米軍基地の関係者が十分に熟知していないという事実が発見をせられまして、特にパイプラインの問題でありますとかいろいろなことがございましたときに私は大変驚いたのでございます。早速、外務省や防衛施設庁がいろいろ御努力をしてくださっているわけでありますけれども、そういう国内法というものがこういうものであるということを米軍基地に徹底をしない限り根本的な解決はあり得ないのでございますから、その点については、政府としては積極的にさらに努力をしてまいる必要はあると存じます。
  119. 中路雅弘

    中路委員 終わります。
  120. 木野晴夫

  121. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 給与のことにつきましては過日の内閣委員会審議をされましたので、給与の問題について若干後で触れたいと思いますが、実は私ロッキード問題特別委員会委員といたしまして、今度のロッキード問題についてその真相究明に当たってまいりました。今度のロッキード事件の汚職構造というものは、まさしく政、財、官、この三つの癒着以外にないというふうに私はあらゆる観点から考え、また、調査をしてまいります過程の中にあってそういうことがぶつかってまいりました。  そうなってまいりますと、やはり一つの大きな問題は、これは人事院に関係がある問題でありますけれども、天下りの問題。これは天下りの弊害はかねてから非常に言われておりました。おりましたけれども、今度ほど現実にそういう問題がクローズアップされたのではないかということは、実は今度のロッキード事件で私は痛切に感じているわけであります。  御存じのとおり、現在逮捕されております全日空の若狭得治、これはかつて運輸事務次官をやりました。それから全日空の専務である沢雄次、これは昭和四十一年七月には大臣官房長をやり、そして四十二年三月には航空局長をやっている。こういうふうに、言うならば官僚のトップクラスであり、現在は航空会社の最高幹部にあるわけであります。この天下り官僚は確かに国家公務員法によって承認に対して規制はされているとはいいながらも、実際にはこういうふうな形になって、官僚としての地位を利用して政界につながり、あるいはかっての地位を利用して行政面への圧力をかけていくというような状態が今度のロッキード事件には如実に見えてきているわけであります。過去の汚職事件をつまびらかに分析をしてみますとこういうふうなケースもかなりあったわけでありまして、そう考えてまいりますと、国家公務員法の百三条は私企業からの隔離を規定しておりますが、結果から言って、何も歯どめがないわけであります。  そういうところで、ちょっとお聞きをしてまいりたいと思うわけでありますが、まず、人事院総裁は今度のロッキード事件と天下り官僚の癒着をどのように思われているかということが一つであります。それと同時に、総務長官にもお聞きいたしますけれども、前総裁そして前総理大臣である田中角榮が五億円の外為法違反で逮捕された。言うならば最も手本でなくてはならない総理大臣——閣僚として今度のロッキード事件をどのように認識され、そしてまた、このロッキード事件を契機としてどのような自覚に立っておられるか、その点についてお聞きをしておきたい、このように思う次第であります。
  122. 藤井貞夫

    藤井説明員 ロッキード事件と言われるものの推移につきましては、私も、人事院に籍を置く者として、あるいは国民の一人といたしまして、深甚な関心を持って見守っておる次第でございます。ただ、公の立場で言いますと、事柄はいま司直の手にゆだねられて事件が進行中の段階でございますので、したがって、これの処置なり取り扱いなり批判なりというものは、それだけにきわめて慎重でなければならないという面もあるというふうに私は理解をいたしております。したがいまして、事件が明確になり、その全貌が明らかになってくる段階におきまして、各層においていろいろな反省が行われ、また批判が行われ、場合によっては何らかの措置が講ぜられるというような事態も起こってまいるかと思いますけれども、現在の段階において、私の立場からそれを軽々に言うべき時期には至っておらないということをまず前提として申し上げておかなければならないと思います。  ただ、御指摘になりましたように、今度の問題等と関連いたしまして、われわれの当面の課題として取り組んでまいっております公務員の企業への就職制限の問題と、この規定の運用の方法、態度の問題というようなものにもおのずからいろいろ問題点があるのではないかということで、とつおいつ思案をし、また心の中では検討をいたしております。そういう段階でございますが、今後事態が推移をしてまいります結果ともにらみ合わせまして、さらに考えていかなければならない問題が出てくれば、これに対して最善の措置を講じたいという心構えでおるわけでございます。
  123. 植木光教

    植木国務大臣 今回のロッキード問題につきましては、私自身ロッキード問題関係閣僚協議会の一員でございまして、当初から、この問題が国民の理解が得られるように解明せられるべきである。すなわち、言いかえますならば、これによりまして政治に対する不信が非常に大きくなっております。議会制民主主義そのものの危機であるとも考えるのでございまして、したがいまして、厳正に司直の手によって問題解明に当たられるとともに、国会におきましてもそれぞれの立場において真相究明のために御努力せられるということが、問題を解明していく上で非常に重要なものであるというふうに認識をしているのでございます。今後いろいろな事態が起ころうと存じますが、すでに閣議におきましても、総理から全閣僚に対しまして、この事件による国民の政治に対する不信というものはきわめて大きいものがある、司直の手に解明をゆだねるとともに、閣僚諸君もこの点については十分な決意を持って臨んでもらいたいという指示もございまして、私といたしましては、全閣僚が同じ思いであると存ずるのでございまして、今後さらに事態の究明が行われ、国民の政治への信頼の回復が一日も早く成りますように切願をしているところでございます。
  124. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 憲法には職業選択の自由というのがございます。しかし、国家公務員法の百三条はあえて私企業に対する隔離を決めているわけでありますから、それはやはりこういう弊害があってはならないということがこの大きな趣旨ではないかと私は思うのです。となりますと、憲法の職業選択の自由という観点から言うならば、この法律自体は大変矛盾をする点も出てくるわけでありますけれども、しかし、その上に立って、国民の福祉を考えあるいはいろいろの観点を考えたときには、そういう規制もしなくてはならないということであればおのずと規制の強化ということも今後考えられる問題ではないかと思うわけでありますが、先ほどそういうふうな趣旨お話がありましたからあえて具体的に申し上げますが、高級官僚の天下りは、私企業からの隔離ということは規定されておりますけれども、ワンクッションを置いて渡り鳥する天下り官僚の規制、これは非常にむずかしいにしても、今度の問題で言えるのは、たとえば若狭が運輸官僚を就職させるについては、あるファミリーに入れ込んでそして時が来ればその人材を引き抜いていくというようなやり方、これも一つは大変に問題があるわけでありますし、若狭氏自体がすでに、国家公務員法の規定から言いますならば確かに承認される事項であったにしても、現在は運輸省と関係のある航空会社の最高幹部になっているわけでありますから、そういう点についていままで心配されておったことがここにおいて如実に出てきたのではないかというふうに感ずるのですが、そういう点に対する規制の強化ということについてどう思っておられましょうか。
  125. 藤井貞夫

    藤井説明員 先刻申し上げましたように、事件がなお進行中でございますので、この結論がどういうふうに出てまいりますかということ等もにらみ合わせて、われわれとして措置すべきところがあれば、厳密に事態を認識して措置をすることに踏み切るということにはやぶさかではないという気持ちは持っておるわけでございます。  ただ、いま御指摘になりました企業との癒着問題、それと例の国家公務員法の百三条の関係をどういうふうに関連づけていくかということでございますが、これは鈴切先生も先刻十分御承知でお詳しいのでありますからして、私から詳しいことを申し上げるつもりもございませんが、この規定ができました当時の実情等を調べてまいりますと、むしろ当時は、こういう厳密な就職制限に関する、いわゆる職業選択の自由に関する規制措置というものが、どこか各国でもそういう事例があるのかとか、あるいはこういうことをやっていると運用いかんでは大変な就職制限で、公務員をやめた後の職業選択の自由に対する大きな規制になって問題ではないかというようなことも大変論議になったという経緯もございます。しかし、この点はその後いろいろな事情が変化をいたしまして、世間の見る目も大変厳しくなってきたということで、毎年われわれの方でいわゆる天下り白書というものを出しまする際に、これをめぐって各般の方から御論議をいただいております。新聞その他においても御批判をいただいておることはよく承知をいたしておるところでございます。  したがいまして、私たちといたしましては、この百三条の規定の適用につきましては、厳正な立場をもって事に当たらなければならぬということで、事務当局も督励いたしましてやっておるつもりでございます。ただ、本条の制定自体が、いまも御指摘ございましたように、憲法の職業選択の自由との兼ね合いの問題という大変むずかしい点を含んでおるわけでございまして、その接点にありますためにいろいろな問題を派生しているということも認識をいたしておるのでございます。ただ、本条が防止をすることをねらいといたしております企業との不正な癒着とか、あるいは公務員でありながら在職中に特定の企業に対して何か情実的な行為をして、そして何か不正の素地をつくるとかいうようなことはやはりほうっておけないということから、こういう規制が設けられてきたといういきさつもございます。  それはそれとして、いまお話もありましたように、やはり野放しにしては弊害が多いんだという実情が出てきているじゃないかという点等についても、われわれは十分承知をいたしているつもりでございますけれども、各般のいろいろな情勢との絡み合わせ、総合的な判断、それに基づいて法の適用を厳正にやっていくという態度できておるわけでございます。  過去の事例についてちょっと申し上げましたが、その後やはり国会でもいろいろこれの御論議がございまして、規定の改正が行われて、改正前はやめる前二年ということでありましたのが、五年に拡大をされたといういきさつがございます。ただ、やめてしまった者については二年間という制限ということで、今日まで来ておるわけでございますが、これ自体になお検討を要する点があるのかどうかという点は、いまお話のありましたこの問題を契機といたしまして、事態が明らかになりました段階において、憲法との関係その他を総合的ににらみ合わせながら善処をするというたてまえで、現在私はそういう心境にあって事態を見守っておるというところでございます。
  126. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 やはり私は、そういう弊害が出てきたということから、今度の問題を通じて反省をしなくてはいけない、このように思うわけであります。  そこで、実態の問題について人事院としてはよく知っているかどうかという問題が実はあるわけであります。それは、たとえば百三条第三項の規定で承認されていながら、長年たって事実上国の機関と密接な関係にある私企業への就職をしている者に対する実態調査、追跡調査というものがなされておりますか。その点についてはほとんど野放しになっているのじゃないですか。今度の問題について、若狭あるいは沢等についても、完全にこの問題の承認当時とは違った状態になっているということは、私は、大変に反省をすると同時に、追跡調査がなされていないのではないだろうかという感じがするのですが、その点についてはいかがでしょうか。
  127. 中村博

    中村説明員 百三条が命じておりますのは、離職後二年間の就職制限でございます。したがいまして、二年たちました後は、先ほど先生も御議論いただきましたように二十二条一項、職業選択の自由とのかかわりがあって、その二年を経過すれば後は自由であるということでございます。したがいまして、私どもの方としては、これを追跡調査するという法的な権限を持っておりませず、また仮に調査いたしましても、これに対する対応の手段を持たないわけでございまして、一にかかって、二年後におきます退職公務員の言動というものは、その方々の道義的な良心といいますか、それに基づくものである、そのようなかっこうで、百三条は憲法とのかかわりにおいていまのような規定になっておる、かように了承いたしております。
  128. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は百三条に対する解釈を聞いているのじゃないのです。そんなことはもうこちらはよく知っています。しかし、いま実態の中においてこういう問題が起こってきている以上、これを踏まえなければ、今後どういうふうなことをしてこれに対して規制を強化していくかということの判断がつかないのではないかということを私は申し上げているわけであって、そういう意味において、人事院総裁、いま言われたような通り一遍なことを言われるからそんな問題が起こるのであって、人事院総裁としては、私の言っていることはかなり傾聴に値するかどうか、その点についてお伺いします。
  129. 藤井貞夫

    藤井説明員 この点につきましては、問題の根源が明確になってまいりまする際に、それに対してどういうふうな姿勢をもってやっていくかということは、各般各層において恐らく反省が加えられるものだと思います。その中において、私たちの受け持ちの範囲、これも無関係ではございません。のみならず、そう申しますよりも、大変重要な関連を持っておることは事実でございます。しかし、われわれの受け持ち範囲、国家公務員法の規定は、問題全体を全部ひっくるめて、全責任を持ってこれでもって解決ができるという筋合いのものでないことはむろん御承知のとおりでございまして、いろいろな角度からそれぞれの問題点があるわけでございますので、政治の面においても、また合理的な経済活動の面でも、行政の指導の面においても、いろいろな角度から自省を加うべきは自省を加え、また反省を加うべきは反省を加えていくということからやりまして、そこにいろいろ今後こういうことを繰り返さないような賢明な解決策が生まれてくるのではないかというふうに考えております。  その過程におきまして、いま御指摘になりましたような百三条関係のことでも、われわれも検討いたしますけれども、これになお改善を加うべきものがあるようであり、また国会論議等を通じて、かくすることがよいのではないかというようなことでわれわれも十分合意ができまするものがございましたならば、その過程において何らかの措置を講じていくということについてはやぶさかではございません。
  130. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは、公務員給与の方に入りますけれども勧告につきましては、御存じのとおり国会並びに政府に勧告を出されるわけでありますが、例年のとおり間もなく勧告は出されるであろうと私は思うわけでありますが、この間、委員会で昨年より少し早く勧告出したいという御答弁が実はあったわけでありますから、そういうことを見ますと、私ども国会といたしましても、きょうの理事会で八月の十一日に当委員会を開こうという受けざらをつくっているわけであります。そうなりますと、ずばり言って八月十日の閣議、これを目指しておやりになっていましょうか。
  131. 藤井貞夫

    藤井説明員 午前中からも申し上げておりますように、私たちといたしましてはいまのところ十日ごろということで、大体その日取りについては御推察をお願い申し上げたいと思います。
  132. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 十日ごろということですから、閣議が開かれないと、勧告をそこで出されてもしばらく日にちが残るようなかっこうでありますが、総務長官、今度この勧告が出ましたら完全実施ということは総務長官のお考えの中にはそういうお気持ちがございましょうか。
  133. 植木光教

    植木国務大臣 従来から、政府といたしましては人事院勧告を尊重するという基本的なたてまえで臨んでおるのでございまして、したがって、その尊重の熱意と申しますか誠意と申しますか、これにはいささかも変わりはございません。財政事情厳しいときでございますが、給与担当閣僚といたしましては、この実施のために最大の努力を払う所存でございます。
  134. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 仲裁裁定と労働省の調査によりますと、民間のアップ率は八・八%というふうになっておりますけれども、定昇分については二・三%ですから、それを単純に引きますと大体六・五%という数字が出てくるわけでありますけれども、この六・五%の勧告を上回るのですか、それとも下回るのでしょうか。
  135. 茨木廣

    ○茨木説明員 私の方のアップ率の出し方が、先生も御案内のように公労委等のアップ率の出し方とこれまた違っておるわけでございます。直接官民比較からきました較差分がアップ率として結果的に出てくる、こういうことでございます。  そこで、先生がいまお聞きになられましたずばりという話でございますが、現在のところまだ私どもとしてもどうもいま申し上げかねる状況でございまして、午前中の答弁でもそういうようなことで、この前六・五%の前後かという大出先生の御質問があったわけですが、それに一定の幅を持って、そういうことでしょうなという話をこの前答弁申し上げたのですが、きょうはそうじゃなくて、今度は六・五%以上ではないかというような御質問がございました。それに対しましても、私といたしましてもどうも申し上げかねますが、それぞれ合理的な理由で推定されておることでございますから、それなりの合理的理由があるわけでございましょうというような感じのことを申し上げまして御了承を賜ったような次第でございますので、その辺のところで御推察をいただきたいと思います。
  136. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 大変歯切れの悪いお言葉でありまして、私の出したやり方とあなたの方の出したやり方と違っても構わぬです。私が出し出し方で一応六・五という数字が出たのですが、それを上回るか下回るか、それくらい言えないわけないでしょう。上へいくのか下へいくのか。私は、何%まで、これを聞こうということまで——あなたの方のお立場もあるし、人事院勧告という基本的な考え方もあるのですが、上回るか下回るかということぐらいちょっと言われたっていいじゃないですか。
  137. 茨木廣

    ○茨木説明員 これは結果がずばり出ておりますれば、上回るか下回るかと申し上げられますわけでございますが、まだいま作業中でございますので、それで確定的には、上回るとも下回るともどうも申し上げかねるような次第でございます。
  138. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 おかしな話で、たとえば人事院の給与局次長が地方人事委員会のメンバーを自治省に集められて、そしてそのとき、どうも期末手当が〇・六ぐらい落ちるということは必然的な趨勢だというようなことを言われたわけでしょう。ずばりと〇・六なんという数字が出ているわけです。そういうところでは話が出て、こういう場所では全然話が出ない。私はパーセントを聞いているわけじゃないのですけれども、上回るか下回るかというぐらいは言ったらどうでしょうかと言うのですけれども、こういうふうな数字まで出しておっしゃっているのに、これは要するに、それじゃ人事院においてはいわゆる政治的な意図で〇・六ということをおっしゃったのですか。
  139. 茨木廣

    ○茨木説明員 いま先生がお聞きになられましたのは今度のアップ率の問題でありますけれども、先般の人事委員会関係者の会にうちの次長が臨んで話をされましたのは期末勤勉の問題でございますが、これについては、昨年の五月からことしの四月までの間に民間が出しましたものについての推定計数の話でございます。そこで、それはすでに民間の方では実態はもう出されまして固まっておるものでございますので、当時次長は、それが労働省の調査等にあらわれました数字では、昨年と比較しますとこういう結果になりますという向こうさんの方の数字同士の話の例として引かれまして、昨年からことしはこういう問題があって、昨年の状況から見てくるといろいろ心配があるよということは、折に触れてお話関係者の向きにはしておるわけでございますが、そういうものの一種類として、やはりそのときに申し上げたようなことがございまして、別に政治的にどうこうということではございません。そういうような経過でございました。
  140. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 特別給についても民間のボーナスが低調であるので、公務員も期末手当を減額するというよう趣旨の話になっていますけれども実態調査の結果はどうなっていますか。
  141. 茨木廣

    ○茨木説明員 あれは、いまの一般の較差の作業が終わりましてから後に特別給の方の月数を出すという作業になりますので、これからの問題になります。
  142. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 前の総裁が、同僚議員の質問に対しまして、公務員の場合は法定主義で、法律で決めている以上、景気が悪いからといってすぐ引きおろすということはできない、こういうふうに言っているわけです。民間が高い場合には公務員の差を切り捨てをしているという場合も実際にはあったわけですね。昭和四十九年には民間が五・二八、公務員が四・八、本来ならば〇・四八上げるべきところを〇・四しか上げてないし、〇・〇八を切り捨てをしているということなんですが、今回も実態調査で民間の特別給が公務員より低く出た場合でも、法定主義というふうな常日ごろ言われている考え方、従前どおりの考え方を踏襲されていくつもりでしょうか、その点についてちょっと人事院総裁……。
  143. 藤井貞夫

    藤井説明員 先刻来ことしの較差の見込み、また特別給の見込みというようなことについてお尋ねがございましたが、給与局長が申し上げましたように、まだ結果が出ますには、いま鋭意作業をやっておりますが、もうちょっとかかります。したがいまして、局長からも私自身まだ報告は受けておりません。人事院会議にはそのうち出されまして、それを基礎に最終的な検討をいたすわけでございますが、今日の段階ではまだ出ておりませんので、はっきり申して、どのくらいになるかということは、予測になりますのでひとつ差し控えさせていただくというのが給与局長趣旨でございます。その点、御了解を賜りたいと思います。  それから、いま特別給の問題で種々御意見がございました。また、他の委員さん方からも、従来いろいろ御議論が出ておるわけでございます。これに対して私たちも、基本的な態度といいますか考え方というようなものについて、るる申し述べておる次第でございます。  前の時代に、前総裁が、この特別給の問題について、法定主義だから若干の切り下げといいますか端数整理といいますか、そういうものはまあやむを得ないのだ、そのかわり少しでも下がればすぐにそれに応じた下げ方をするというわけにもまいらないので、というよう意味のことを申されたというふうに私も理解をいたしておるのであります。ただ、いまお話しになりましたような、過去何年間にわたりまして、二けた以下の数字でございますけれども、出てきた数字について、それを端数を切り捨てたということがあることは事実でございます。これは私もその事実は十分認識をいたしております。その他、これをめぐる問題というのは大変むずかしい問題がございますので、私といたしましては、それらの事情を頭の中に入れながら、数日じゅうに出てまいりまする較差の出ぐあいというものともにらみ合わせて、総合的な、最終的な判断を下したいというふうに考えておるということをるる申し上げておるのであります。したがいまして、本当にどの程度出れば無視するのか、あるいはそのままでいくのかということについては、これも較差の出方次第を見守っておる者といたしましては、大変無責任になりますので、そのことは申し上げかねますけれども、しかし、従来のいきさつ、またこれをめぐるいまの切り捨て等の諸問題、その他のいろいろな点は、総合的に判断をいたして最終的決定をいたしたいという立場を申し上げておる次第でございます。
  144. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私ももう時間になりましたので、二問だけちょっと聞いておきます。  一つは、ことしの人事院が増額をしようとしている諸手当ですね、これはどんなものを考えておられるかということと。もう一つは、中だるみの中間職員についての俸給表の配分については、それに対して何らか配慮がなされなくてはならないということが常に論議の的になっているわけでありますが、そういう点についてはどのよう配慮されるつもりであるか、その二点をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  145. 茨木廣

    ○茨木説明員 ことし民間調査をやりました諸手当は、扶養手当、通勤手当、それから借家、借間者の住居手当関係、それから宿日直手当関係というような点でございます。そこで、これらのものにつきましては、民間調査の結果、現在のものを改善すべきであるというような資料が出ますれば、それらをできるだけ採用いたしまして改善をいたしたいというよう考えております。  それからもう一点の中だるみ是正という問題でございますが、この点につきましても、ことしの民間の動向もやはりそういうところに一つの重点があったようにも見受けられますので、そういう点も考え、原資の許す限り最善の努力を払ってまいりたいというようなつもりでただいま検討しておるところでございます。
  146. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 終わります。
  147. 木野晴夫

  148. 受田新吉

    ○受田委員 きょうは、先般の委員会質問して、答えを確認してない問題に一、二触れまして、当面する国政上の当委員会に関連のある問題に触れていきます。  この前お尋ねした問題の中に、公務員にひがみや不都合、不安を与えないために、できるだけ公務に従事する職員に給与の適正を図るべきである、この提案をいたしました。そして、憲法も男女の同権をうたっておるし、労働基準法においても男女の同権の原則をうたっているわけです。しかるところ、現在公務員になっている男女の比較論をちょっとお尋ねしたいのですが、女性の公務員は、行政(一)におきましてもおおむね四等級どまりが普通のようである。まあ高校卒、初級試験合格、二十三、四年たつと大体四等級あたりへ進んでいく。女性はこれより四、五年おくれる。四等級にはなかなかなれないで五等級どまり。枠外昇給は二分の一の賃上げしかできないという非常な制約もあるわけでございますが、これは男女の待遇差というものが現実にあることを人事院は知っているか、総務長官も御存じか、また御存じとあれば、これが是正についていかなる御措置をなさろうとしておられるか、それぞれより御答弁を願いたいのです。
  149. 茨木廣

    ○茨木説明員 女子職員の初級でというお話がございましたが、四等級どまりということにもなっていないので、初級試験合格者は男女合わせて、在職者全体の中で、二等級が二人、三等級が五十四、四等級が四百二十二、五等級が四千四百三十七、六等級が一万六千四百三十九、七等級が二万三千六百二十、八等級が一万八千五百十三という人数がおるわけでございますが、(受田委員「男子と比較して、比較論を申し上げておるわけです。」と呼ぶ)女子全体で、二等級のところに十九、これは初級、中級、上級を合わせております。三等級が七十二、四等級が三百九十四、五等級が五千六百七、こういう人数がおるわけでございます。  それで、女子と男子で差別があるかないか。これは折に触れて出る問題でございまして、組合等は職場のそれぞれの問題として、男子の方が早く昇給して、女子の方がおくれるのではないかという話がございますが、給与局の方で扱っております基準その他については、別にそういうような差別的な意味の扱い方は私の方としてもいたしておりません。まあそれぞれの職場の実態といたしまして、昇格いたします際にどの程度のどういう方を上げますかということで、それぞれ職場でいろいろ御判断をなさるものだというように私どもとして考えております。それで、それぞれの、特に女子の職員の多い職場等につきましても等級別定数の考え方等についてもずっといろいろ配慮を加えてまいっておるところでございます。そこで、いま先生がおっしゃられたよう意味の、当然差別が生ずるというような感じのものは、こちらの方としてはないように極力配慮いたしておるつもりでございます。
  150. 受田新吉

    ○受田委員 ないようにというが、現実に女子職員が多数いる職場もあるわけです。もう四等級に行くのが精いっぱい、大体五等どまりで、二十六年も七年もたっても四等級になれない。つまり男女の間に四、五年の差をつけているという現実は、すでに現場で歴然とした事実になってあらわれておるわけです。学校の先生の場合は一年ごととに昇給していきます。そして教諭という等級が一本でありますから、比較して非常にはっきりわかるものですからまともに進んでいく。公務員の場合は、上へ上がらないと、昇格しないと給与が差別されるわけでございますから、女性はなかなか昇格させないという問題があると思うのです。これは憲法の規定、労働基準法の規定から言っても大変な間違いであって、男女は同格で待遇をすべきである。この原則を、現実に第一線の職員ははっきり——ちょっと御調査されたらわかります。いま企業の上では——銀行などは、初め入社するときは同じようにしておっても、どんどん差をつけていく。これは民間であるから、労働基準法違反であると言えばそれまでのことでございますが、公務員の場合は男女同格にしていくようにしなければいけないわけです。長期勤続者の女性にもすばらしい勤務者がおる。精励恪勤する人はどんどん昇給、昇格させていくべきである。総裁、御答弁をいただきたい。
  151. 藤井貞夫

    藤井説明員 この方面の権威者であります受田委員には実情はよく御承知の上で、実情認識に立っての御見解であると承知をいたしております。  そこで私も、そういうことは御承知であることをたてまえといたしまして、ざっくばらんに申し上げたいと思うのでございますけれども、男女平等、同権、この取り扱いを平等にしていくということは、これは憲法上の大原則であります。国家公務員法においても地方公務員法においても、これは法律上明確に規定をいたしております。こういうことを申すまでもなく、私は、いま受田先生も御指摘になりましたが、民間と比べれば、相対的な問題ですけれども、やはり公務の部内では男女平等が相当前進しているというか進歩している、その尊重の度合いは進歩しているのが実情ではないかというふうに思っております。しかし、これは自画自賛というようなところまでは無論まいっておりません。できる限りその趣旨ば、さらに今後も努力をいたしまして、それを本当に現場において実現をするよう努力をしなければならぬというふうにかたく心に誓っておる次第でございます。  ただ、女性の場合、教員というような場面でまいりますと、これは非常に能力なり適格性なりからいたしまして、いまや男女を取り扱いを異にして、女性について不利なというようなことは現実面としてもできがたい状況であり、事実上実績の積み重ね等がありまして、そういうことは行われておりません。しかし、これも実際の姿を見ますると、やはり校長先生になる比率とか教頭になる比率とかというようなことから見れば、それが本当に平等に取り扱われておるかということになれば、結果的には、私はやはりなおいまだしであるという感じは率直に持っております。いわんや、他の公務の部門にまいりますと、理想は掲げて男女平等というふうに言っておりますけれども、それの現実の取り扱いといたしましては、理想よりはまだまだ遠いという姿にあることも現実の姿であろうと思うのでございます。  ただこれには、釈迦に説法でございますけれども、従来の社会的ないろいろな情勢、歴史的な沿革等の積み重ねもございます。それに、こういうことを申してはしかられるかもしれませんが、全体として見た場合の女性の責任感、自覚といったようなもの等にもなおやはり全然問題なしとはしない面も残されておるということは事実でございます。しかし、いずれにしても、社会全体の男女平等に対する考え方、それから特に男性の女性に対する考え方、また女性の自覚、そういった基本的な体制が徐々に進展をしつつあることも事実でありまして、それが現実の姿になって女性の職場進出その他においてあらわれてきておると思います。  私自身も、いままでの長い経験からいたしまして、女性を積極的に上級職に採用したというような経験もございます。その後、大変注目をしてその経過等を見守っておりますけれども、能力のある人はやはり十分こなせる、また、事実成績を上げてやっておるということがございまして、そういう積み重ねの上にだんだん実績もあらわれてくるのではないかということを期待をいたしております。しかし、それを自然に任しておくことは、これは許されないのでございますからして、われわれ人事院といたしましては、御指摘ような線に沿ってできる限りの、条件が同じであれば男女平等というようなことでやってまいっておりますし、その取り扱いといたしましては、制度的にやはり一番徹底しているのは公務員の部類であろうと思います。したがいまして、それだけに、現実の姿にもそれを反映せしめていくということは、心構え次第でさらに数歩の前進をさせることは可能であるという考え方に立っておりまして、今後ともその方面についてはさらにできる限りの努力をいたしまして、実質的な男女平等という、そういう理想の姿に進めてまいる努力は重ねてまいりたいというふうに思っております。
  152. 受田新吉

    ○受田委員 植木国務大臣はこうした人事行政を預かられるお役所のトップにおられる方です。いま人事院総裁の御答弁の趣旨に沿うて人事行政をなさる決意、そして現実にそれを効果あらしめておられるかどうかの御意見を承りたいのです。
  153. 植木光教

    植木国務大臣 御承知のとおり、昨年の国際婦人年に当たりまして、政府といたしましてもこの婦人問題、特に男女平等というものを実現しなければならないということで、政府内に、総理を本部長といたします婦人問題企画推進本部をつくったわけでございます。そして副本部長は総務長官であります私でございます。したがいまして、各界に対しまして婦人の平等な取り扱い及び各種社会参加ということを呼びかけておりますとともに、政府部内におきましても審議会の委員に、すなわち政策決定機関でございますから、各省庁が十分婦人登用に留意するようにということと、婦人を公務員に登用をするようにということを決定をいたしまして、この旨各省庁に対しましてすでに呼びかけているところでございます。  現実の姿といたしましては確かにいろいろ問題がございます。たとえば婦人の場合、専門的な知識を持っておられる方は非常に長く勤務せられてその専門を生かされるという点がございますけれども、比較的単純な事務に携わってそして早くやめていかれるというような現象もあるわけでございます。しかし能力がある人が十分にその能力に応じた登用をせられるべきは当然でございまして、たとえば総理府所管に属しております統計局等におきましては、女子職員の係長、主任者というのが非常に多く出ているということは御承知のとおりでございます。また上級職の人につきましても、これは他の企業等と違いまして、その定着率と申しますか歩どまりと申しますか、非常に高いのでございます。これらの方々はそれぞれその能力に応じた処遇を受けているわけでございまして、いまいろいろ職種の中で婦人を締め出しているところがございます。男子だけしか受験できないというようなものがございますけれども、この点については婦人対策本部あるいは労働省と人事院との間でいま協議を進めており、すでに解決を一部したというような点もございます。  御趣旨の点につきましては、私どもは熱意を持って取り組んでまいりたいと存じます。
  154. 受田新吉

    ○受田委員 私は冒頭に、公務に従事する方々にできるだけ給与が適正に支給されることを提案しました。いまの御答弁で努力をしようという御決意でありますから、国際婦人年にも関連して大いに男女平等の原則に立つ給与対策をお立て願いたい、人事行政を願いたい。  次に、初任とそしていよいよおしまいのやめる時点で、長い公務員生活の中で初任のころと四等、五等という程度まで進んだ時代と比較したときに、子供を二人でも三人でも抱えたころの公務員苦労は、これはまた特別のものがあることをわれわれは体験をしております。ところが政府は上薄下厚と称しながら、実はこの問題が忘れられておるのです。  つまり、高校卒初任給を一とした場合の号俸の倍率で、指定職の諸君が少々ダウンしておるということは一応認めますが、それ以上に大きくダウンしているのは、四等十五号に例をとってみても、十六年前ですから昭和三十五年に五・八四というところが、去年の五十年には三・七と半分近くダウンをしておるのが四等級十五号辺の諸君であります。五等級十五号辺は三・七二から二・二二にぐっと落ちている。このあたりの落ちぐあいは大変なダウンです。  そこで、いわゆる中だるみ是正という問題は、当然、十五年前と今日を比較してこんなに大きな差があるのでございますから、初任給の一と指定職の最高と比較して十倍に下がったじゃないかというても、その中だるみにおいてはさらに大きなダウンをしておるということの対策を一体考えられておるのかどうか。一般公務員と高級官僚との間のバランスというものがこれまたどうかというような問題で、私はあえて、そうした問題に人事院もそして総理府も真剣に取っ組んでいるのかどうか。おわかりかと思うのですが、もう十分御理解していただけると思います。配慮の余地があるのかないのか、そういうものは構わなくてもいいんだということかどうか、お答えをいただきます。
  155. 茨木廣

    ○茨木説明員 一番重要な点の御指摘をいただいたわけでございますが、私も二年ばかり前から、初任給問題がやかましかった折からそういうよう意味でいろいろな点を御説明申し上げておったわけでございますが、一番問題はその辺の五等級、四等級、三等級あたりのところに大変問題が生ずるのですということを申し上げておったわけですが、きょう先生からも的確に御指摘を受けたわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、やはり官民較差の許す範囲内で、まず一つは、できるだけ本俸に原資を戻すということをいろいろ考えていかなければいかぬ、たとえば調整手当でございますとかあるいは寒冷地手当の出し方等についても検討を加うべきものは検討を加えて、本俸に原資を戻すものは戻していかなければいかぬ、そういうことによっていま言ったような点の中だるみしておるところに原資を戻していくということを一つ考えなければいかぬ。  それから第二点の問題といたしましては、特にことしは、前の委員会でも大変御指摘がございましたので、やはり初任給と三十五、六歳前後の五等級の中間の辺のところの倍率というものを一対二は確保してくれろという要請が大変ございましたわけですが、この点についても私どもといたしましては最大限の努力を図ってまいらなければいかぬというつもりで考えております。  そこで、午前中もたまたまその関係の話題が出まして、まず原資のいかんにかかわらず初任給のところを固定的に決めまして、そしてそれからその官民較差の原資のある範囲内において俸給表をつくるというやり方をいままで毎年やってきたわけでございますが、そうなりますと余ったもので上の方をずっとなでますから、したがって、どうしたって一番下が厚くて上の方にいくに従って薄いということになってきて、一番生活の問題のあるところになると薄くなる、こういう点がございます。そこでやむを得ずその救済策として、一時凍結的に持ってまいりました扶養手当というものを今度は生かしてくるという措置を講じまして、世帯構成層から奥さん及び一子、二子等のところに重点的にそこの金額を今度は扶養手当の形で持っていくという形でいままで配慮をしてまいったわけでございます。その点はやはりなおしばらくそういう姿もあわせ考慮しつつ、中堅層の一番生活苦の多いであろうと思われるところにいろいろ配慮をしてまいらなければいかぬだろうというようなことを考えておるのです。  それからもう一つ、これもときどき先生にもおしかりを受けることもあるわけでございますが、級別定数上につきましても、できるだけ、各省の要望も大変熾烈でございますし、組合側の要望も熾烈でございますが、事情の許す限り出先機関等の対本省との関係の評価を再評価し直すというような観点を加えつつ、等級のずり上げと申しますか、そういう点も同時に併用いたしまして、結果的に待遇改善が成りますようにということも配慮をしてまいったわけでございます。それらいろいろなものを併用しつつ、いま御指摘なされました点の対策を考えていかなければいかぬだろうというふうに、従来もとってまいりましたが、今度の勧告の際にもやはりそういうことを一つの着眼点といたしまして十分検討してまいりたいというよう考えております。
  156. 受田新吉

    ○受田委員 もう一つ局長。等級別にくぎづけされて、級別定数の関係で抑えられているので、たとえば、五等どまりの人、これはもう役づきでない限りはそこへとまらなければならぬというのを、役はなくても、平であっても当然三等級までは持っていく、あるいは二等まで持っていくのもあるというようなそういう道、先般教職員の場合でも、教頭でなくても一等級へ持っていく道を開くと勧告の中へ入れておられるのです。したがって、級別定数を是正して、役がなくても、長期勤続者については、いままで五等どまりだったのを三等まで持っていく、特に成績優秀な者は課長ポストである二等までも持っていってやるというような、そういう配慮も一方でしてしかるべきだ。教職員の場合などは通し号俸的になっておるから救われるのですが、この点、予算等につきましては級別定数の改正をやっていく。枠外昇給で二分の一しか昇給せぬような余りにも悲惨なことをしないで、等級を引き上げることで救われるのですからね。  非常に苦悩の色を見せておられるようですが、事は簡単なことです。
  157. 茨木廣

    ○茨木説明員 大変お激励を受けまして意を強うしている次第でございますが、ただ先生のおっしゃるように勇敢にはなかなかいたしかねる。  いまでも一応、行政職(一)の俸給表で申し上げますと、やはりそれぞれの役職対応の等級をとっておりますので、五等級に上げます場合についても、いま御指摘ような点を考えまして、係長というよう意味の明確な指揮系統のあれでなくとも、専門官あるいは調査官とかというような名称をそれぞれ省庁にお考えいただきまして、それによって評価をしていくという方法も講じております。  それから、係長の下におります者で、昔は一般的に上級係員と言っておった層だと思いますけれども、主任というものを設けまして、主任については五等級にもやはり上げていくというような道を講じております。先生のおっしゃいましたようなりっぱな方で長年勤めていらっしゃる方でありますれば、いずれかの道で救われるはずであるというふうな気持ちでいま運用をいたしております。  級別定数の状況も、余り駆け足いたしましても大変でございますし、やはり年齢別分布というようなものも各省庁別に違いますので、その辺を見ながら鋭意努力をいたしておるところでございます。
  158. 受田新吉

    ○受田委員 政府にお尋ねします。  私まだ給与のバランスの問題を、きょうはそこへ常に頭を持ってきている。  人事局長、あなたはすでに人事課長として各省ににらみをきかざれた人事行政のオーソリティーでいらっしゃる。したがって、特別職と一般職とのバランスも十分考えておられると思います。特別職俸給表をいじくる責任者はどなたでございますか。
  159. 秋富公正

    秋富説明員 特別職俸給表は、総理府人事局で所管いたしております。
  160. 受田新吉

    ○受田委員 しからば局長にお尋ね申し上げたい。  この特別職俸給表の別表、内閣総理大臣の給料、国務大臣の給料、会計検査院長、人事院総裁——内閣総理大臣は百二十五万円、いま申し上げた三つの方は、ここにおられる植木先生と人事院総裁は九十万円——もらっておられますか。遠慮されたあれはどうなったのですか。大臣、一割カットはやめたのですか。もうもらわれるようになったのですか。ちょっとあれはどうなっていますか。
  161. 植木光教

    植木国務大臣 一割削減は廃止されまして、国債を十万円ずつ毎月買うということでただいまやっております。
  162. 受田新吉

    ○受田委員 わかりました。そこで、その次の問題。  私がしばしば指摘する問題点、国家公安委員会委員です。これは初め国務大臣クラスだったのが、われわれ指摘する関係でだんだん下げてこられたわけですね。一年のうちに、一週間に一遍ぐらいしかやらない、四、五十日しか勤務しないのに常勤の人と同じような給料をもらっておられる方々、その中に非常勤の勤務者が——いま参議院議員になられた藤井さんが新日鉄におられるころには非常勤であった。出勤した日だけ、三千円なり五千円なりをもらいおった。こういう非常勤の特別職のいわゆる大物をふやしていく方が国家経済にもなるし、どうでしょう。いま国家公安委員に非常勤がおられますかどうですか。  それから、いま私が指摘したような六十三万円クラスの委員会委員で非常勤がおられますかどうですか。
  163. 秋富公正

    秋富説明員 ただいま御指摘の国家公安委員の問題、これはしばしば先生から御指摘のあった問題でございますが、非常勤の国家公安委員と申しますのは、御承知のいわゆる特別職の俸給の法律の第四条でございまして、いわゆる営利事業を営み、あるいは金銭上の利益を目的とする業務を行いまして「当該職務、事業又は業務から生ずる所得が主たる所得となる」場合には、これは非常勤として、その出席された日に給与を支給するという形をとっておるわけでございます。
  164. 受田新吉

    ○受田委員 そういう非常勤の委員、特別職の公務員が、いまここに列記してある職種の中に何人かおるのかどうかです。たとえば公正取引委員会委員、地方財政審議会、中央更生保護審査会委員、航空事故調査委員会委員委員の中にそうした非常勤の委員を充てているのがあるかないか。国家公安委員もいま全部常勤になったのですか。
  165. 角田達郎

    ○角田説明員 お答えいたします。  特別職の職員の給与に関する法律の別表第一に各委員会委員の手当が書いてございますが、ここにたとえば原子力委員会委員の常勤の委員というように、常勤とわざわざ断ってあるところは非常勤の委員があるわけです。それから航空事故調査委員会の常勤の委員、これは非常勤の委員がおりますから、常勤の委員がここに書いてございますように五十八万五千円だというような書き方をしておるわけでございまして、この別表で特に常勤の委員というふうに限定して俸給を定めておるものにつきましては、非常勤の委員がおるというふうに 考えいただいてよろしいかと思いますが……。
  166. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、国家公安委員会に非常勤の委員を置いたのは何を根拠に置いたのですか。
  167. 角田達郎

    ○角田説明員 国家公安委員会には常勤の委員ばかりでございます。
  168. 受田新吉

    ○受田委員 いやいや、かつて藤井さんが、非常勤の委員がおったのですよ。何を根拠に藤井さんを任命されたかを聞いておる。
  169. 秋富公正

    秋富説明員 先ほど申しましたように、常勤でございますが、その所得が、他の業務あるいは事業から生ずる所得が主たる所得となる場合には、いわゆる定められました常勤の給与を支給いたしませんで、出席されたたびごとに日額を支給するという形でやっておるものでございます。
  170. 受田新吉

    ○受田委員 そこが非常にあいまいなんですね。つまり、事実ここに第四条の規定があります。収入が多い者は常勤であっても——常勤とは書いてないです。第四条に常勤とどこに書いてありますか。執務は、藤井さんの場合はもう新日鉄の副社長として精励恪勤しておる。だから常勤じゃできないわけなんです。常勤であるが俸給が多いから差し引くとどこに書いてあるか。やっぱり法律は忠実に解釈しないと納得できません。
  171. 秋富公正

    秋富説明員 御指摘ように第一条に特別職の職員を規定いたしておりますが、国家公安委員会委員につきましてはただ委員会というのみでございまして、常勤、非常勤のものはございません。これに対しまして、たとえば他の公共企業体等労働委員会の常勤あるいは非常勤というふうに、明確に常勤、非常勤を定めたのもございますが、第四条にございます第一条の第九号から第十四号までは、常勤ということをたてまえといたしましてできたものでございます。
  172. 受田新吉

    ○受田委員 ちょっとそこは非常に私はあやしいと思うのですがね。国家公安委員会委員、公正取引委員会委員というのがもう一つあるのです。これはどうなるわけですか。これは国家公安委員と並んで、これもまた給料の高いのをもらっておれば、常勤であるが月給を引くことになるのですか。
  173. 秋富公正

    秋富説明員 そのとおりでございます。
  174. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、ここに明確にしておかなければならぬのは、第四条の一、二という規定は、国家公安委員と公正取引委員会委員、その次の五十八万クラスの中にも、普通の行政監理委員会委員、地方財政審議委員とも常勤と書いてないところがあるのです。あるが、それにも高い月給をもらっている者が常勤で——ほかのところで本務を持っている者がこっちで常勤が実際できますかね。事実、別のところで本職を持って高い給料をもらっている者が、こちらの方の委員にも常勤で勤めることができますか。事実もうほとんど向こうへついておって、こちらへはある出席の日だけしか出れないような者に常勤ということが言えますかね。そうすると、いまの参事官のおっしゃったよう意味で、常勤と書いてないところ、常勤の委員と書いてないところと、それからもう一つ、国家公安委員会委員の常勤でないようなかっこうになっている委員、公正取引委員会その他の委員というものと、非常にあいまいになっておる。あいまいもことしておる。それで、月給というのはつまり出勤した日しか出さぬとなっているのですから、完全に非常勤の給与しか出しておらぬ。給与というのは正直ですからね。出た日にだけサラリーをくれるというのは、これは完全な非常勤ですよ。そうじゃないですか。出た日しかくれないものを常勤の職員というのはどういう意味ですか。ちょっと私には納得できないのです。一年のうちに四、五十日だけしか出ない藤井さんのような人に、あなたは常勤の国家公安委員です、こういうことならば待遇を二重に重なって出してもいいです。それなら二重にしてもいいです。それこそ筋が通らぬです。常勤なら常勤の給与を出さなければいかぬ。  ここへ大蔵省給与課長が来ておられるので課長さんにお尋ねするが、大蔵省給与課長が御担当されておる常勤の職員には給料を正当に出すが、常勤でない者には給料を出すべきでないとお考えではありませんか。常勤でない者には出た日しか給料を払わない、一年に五十日しか出ないときは、五千円か六千円かを、まあ一万円を、一年間に五十日出たら五十万だけ出すべきで、それをボーナスを入れて一千万を超えるのと同じように扱うというのはおかしいじゃないですか。これは常勤とは言えないでしょう。これは給与の専門である大蔵省としては、常勤なら常勤の給与を出すべきですよ。二重になったら税金で引けばいいのだから。一方でもらいおるから差し引くというなら、それはもう非常勤ですよ。給与法上の根本原則に反することをいまおっしゃっておられる。常勤なら常勤の給与を出さなければいかぬ。そしてそれを税金で差し引けばいいのです。  大蔵省主計局給課長の御答弁を願いたいです。
  175. 足立和基

    ○足立説明員 常勤、非常勤の役員につきましては、それぞれ職務の態様に応じまして適正な給与が支払われるべきだと思います。
  176. 受田新吉

    ○受田委員 だから、ちゃんとした常勤なら常勤の手当を出すべき者へ、出た日しか給料を払わぬというのは、これはおかしいじゃないか。手当ですよ。単なる日当ですよ。日給ですよ。どうも私は理解ができない。これを見ると、いまの四条はわれわれがよく知っていることです。四条の一、二、これは常勤であるからという意味でなくて、そういう給料が高い者へは日額で手当を支給するということがここに書いてある。いいですか。「当該職務、事業又は業務から生ずる所得が主たる所得となる者には、」こう書いて、それには「第二条に規定する給与は、支給しない。」こうなっています。所得は向こうにあるのです。だから、向こうの所得でやる。常勤は向こうなんです。こっちは実質上の常勤じゃないのです。どうも特別職の俸給表のつくり方に非常にあいまいなものがある。つまり、一体藤井先生のようなものはどっちになるのか。それなら、国家公安委員会委員で常勤の委員とその他の委員と分ければいいのです。みんなぴしっと全部分ければいい。わざわざこういうふうに別々にしておくのはどこに原因があるのか。次の委員会までに御調査の上、来月十一日に明確な御答弁を願うことにいたします。  給与課長さん、わざわざお越しいただいて大変御苦労でございますが、私はやはり給与のバランスの問題でどうしてもあなたにお聞きしておかなければいかぬのです。  各省の次官、局長クラスをおやめになると、特殊法人である政府出資の公庫公団あるいは事業団等に高級官僚が天下りをなさる。天下りをなさって総裁とかあるいは理事長とか理事とかいう立場にお立ちになると、その給料は国務大臣、事務次官以上の給料をおもらいになるわけだ。その天下りあそばした高級官僚の方々がいただかれる給料は、いまその公庫公団、いわゆる特殊法人で、高いところでどのぐらいもらっておるか、ちょっと御発表を願いたいのです。
  177. 足立和基

    ○足立説明員 公庫公団の役員の給料についてお尋ねでございますが、公庫公団の大きなものの総裁の俸給が現在八十二万円でございまして、副総裁は七十万円でございます。それから理事になりますと五十八万五千円、こういうことになっております。
  178. 受田新吉

    ○受田委員 七十万といいますると、指定職の最高よりも数万円高いわけです。そうでしょう。そうすると、その数万円高いポストへおつきになった方と、公庫公団の下からだんだんとお上がりになって役員になられた方と、給料は、役員手当は同じなんです。七十万なり八十万なりもらわれる方で、一方は下からだんだん積み上げてきた、国鉄なら国鉄で下からだんだん積み上げてきた、こういう方、それから外部から入ってこられた方。外部から入られた方で国家公務員である高級官僚の方は、以前は恩給法、現在は共済組合法によってもらっておられる共済年金あるいは恩給というものは、大体六割から七割近くあるわけです。そういう方が天下りして総裁、副総裁、理事になられる。一方は下から上がった方が役員になられる。たとえば同じ大蔵省の系列ならば、国民金融公庫とか中小企業金融公庫とか、下から上がった人と、大蔵省の局長や次官をやった人が来る場合と、あるいは開発銀行にしてもそうですね、そういうときに、役所から来た方は恩給を取りおる。五十五を過ぎると共済年金が入る。入ってくる方だけは、三十万なり四十万なりが、多少所得制限がありましても、大体その程度が別に来るわけです。同じ大蔵省の系列の役所で、下から積み上げた役員の方はそれがないわけなんです。同じ役員であっても実入りは違うわけでございまするが、一方は同じ国家資金でできた公庫公団あるいは特殊法人、一方は公務員である。どちらを選んでもいいというスタートに立った人に対して、国家公務員であった方が有利なという役員というのは、これは片手落ちだと思うのです。最近は、幾つもの公団公庫を渡り鳥のごとく歩かれた方々の通算ができたようでございます。やめるときにごっそり退職金をいただかれてほくそ笑まれた方々には現在通算規定ができたようでございますが、これは、やはり公務員として官庁の最高ポストに行ったら天下りをして、天下り先でまた次官や局長以上の月給をもらって、そして一方で恩給を給与の六割、七割もらって、そしてさらに五年なり十年なりぬくぬくと暮らしていかれるということになれば、これは一般の公務員から見たら非常にいやな感じですよ。  それから、同じ公庫公団の下から上がった人にしても、天下ってきた大蔵省の官僚によって上を押さえられた上に、天下った方は一方で共済年金をごっそりもらえる。同じ役員で、一緒にいすに座っておっても、一方は年金を毎月三十万、四十万もらえるぞとなると、同じ執務をしてもぐあいが悪い。ここは何かバランスをとる措置——大蔵省から来た役人は共済年金をもらうほどどこかで働いておるならいいですよ。同じような仕事をしておって、一方は横の方にこぶがドル箱一つ入っている。一方はそのこぶがない。同じ理事でも、やつはおれより三十万、四十万毎月よけい取っていやがるということになると、国民金融公庫にしても中小企業金融公庫にしても、くそっということになります。これをやらぬようにしていくにはどうしたらいいか。高度の政治判断植木先生に伺いたい。
  179. 植木光教

    植木国務大臣 私が知っております範囲内では、部内出身の役員になった者は一度そこで退職をいたしまして退職金をもらう、さらに、率としては国家公務員よりも低い場合が多いと思いますが、やはり共済年金をもらっているというふうに伺っているのでございます。  いずれにいたしましても、いま先生が御指摘になっておりますのは、公庫公団、事業団の内部職員の登用をもっと図っていけということであろうと思うのでございます。それからまた、渡り鳥についてももう少し自制すべきではないか、こういうことでございまして、渡り鳥の問題につきましてはいろいろな面で指導しておりまして、最近はだんだん少なくなってきております。
  180. 受田新吉

    ○受田委員 少なくなったですか。数が減ったですか。
  181. 植木光教

    植木国務大臣 はい。四十九年二月現在で七十四でございます。それから五十年十二月末現在では五十というふうになってきております。  それから、内部からの登用でございますけれども、これもだんだん多く登用されるように指導してまいっておりまして、ただいま国家公務員出身者が、五十年十二月末現在でございますけれども、三五・八%でございます。それに次ぎまして部内出身が二八・四%、民間出身が二二・二%というふうになっておりまして、この点については、さらに御指摘の点について努力をしなければならないと存じます。
  182. 受田新吉

    ○受田委員 植木長官、あなたの比較論で出されたものは、退職して役員になられた、こういうことですが、国家公務員の方も次官なり局長をやった人は、いま次官で退職したらどのぐらい退職金が出るか御存じでしょう。公庫公団でやめた方々よりもはるかに高い退職金をもらえる。退職金の比較の方でいっても公庫公団側が損です。ですからその比較論を、課長さんお帰りになって主計局長にも御相談していただいて、植木長官がその点努力するとおっしゃっておられますので、ひとつ十分バランスをとる。同じ公務に従事して待遇が違うというのはおかしいのです。私は、これは本当に士気に影響する問題でございますので、その提案をします。  さて、これからひとつ天下り人事の厳しいところを、鈴切先生はさっき質問してお帰りになったが、これを私は掘り下げてちょっと聞いてみたいのです。  国家公務員法第百三条の規定を分析してみたいのです。国家公務員法第百三条の審査を私終始やらしてもらいました。三十七年の改正でどうするかというとき盛んにやったのです。これで問題があるわけです。「職員は、離職後二年間は、営利企業の地位で、その離職前五年間に在職していた人事院規則で定める国の機関と密接な関係にあるものにつくことを承諾し又はついてはならない。」これは原則です。その第一の方は、その他の職を兼ねるやつでございますが、第一項と第二項、二つをあわせて「前二項の規定は、人事院規則の定めるところにより、所轄庁の長の申出により人事院の承認を得た場合には、これを適用しない。」人事院というのは大変大事な責任があるわけです。「営んではならない。」「承諾し又はついてはならない。」と禁止規定がある。禁止規定が一項と二項である。それを人事院が承認した場合は適用しないという大変な権限を持っておるのです。怪しいと思ったら、この一、二の原則を完全に守り抜いて、人事院が許さなければいいのですよ。だから前二項の規定が、つまり営業の自由という憲法の規定よりもむしろこの規定の方が、企業との癒着などを阻止する方が清潔で、営業は、その他の方の営業へ行けばいい。疑わしいところへつける、李下に冠を正してはいけない、これは動かしてはいけないのです。やはりそのぐらいの気持ちでやっていただかなければならぬのでございますが、いかがでしょうか。  人事院の承認をとられる場合には、職員局長、あなたが起案をされて人事官会議におかけになるのですか。やり方をちょっと聞きたいのです。
  183. 中村博

    中村説明員 私どもが各省大臣からの申請によりましてまず事務的に審査をいたします。そして事務的に審査いたしました結果パスいたしましたものにつきましては人事院会議で御承認を得る、こういうかっこうに相なっております。
  184. 受田新吉

    ○受田委員 藤井先生は、私、あなたのお人柄をいろいろなところから聞きました。ゆうべも寒川喜一君と話して、あなたのすばらしい人柄を承っております。非常な善良なお方である。したがって、総裁としてのその決断は本当に神の声、天の声として、びゃっと印判を押さないかぬです。——印判を押すようになっているのですか、サインですか、いまは。
  185. 藤井貞夫

    藤井説明員 印判の場合もございますし、サインの場合もございます。
  186. 受田新吉

    ○受田委員 私は印鑑無用論を唱える一人ですから、総裁のサインがあればそれでいいと思うのですけれども。  たとえば今度の丸紅——企業ぐるみの事件と言われておりますが、丸紅に首脳部で一人外れている立場の人がある。松尾社長です。企業ぐるみだから社長が真ん中でやっておるんだ、これはどうかと思っておったら、社長は事件が起こって後に後から天下り人事で、官僚のトップにおられた人が丸紅に入られた、こういうことです。危うく難を免れた。もう少し早く入っておったら、いまごろ拘置所で御苦労をされておられるわけです。私は、そういうことは本当に人間に運不運があると思うのです。田中前総理にしても、そういう自民党の金権体質の中の頂点に立って、ついにああした過ちを犯したということでありまして、これは御本人のやる前に、すでに自民党の体質かそうなっておった。そういうことをどんどん平気でやれる、勇気を持ってやれるような体質にあった。われわれ野党の中にそんな者がおったら、とっくの昔にけ飛ばされておるのですからね。これは長官も、同罪の党員としてえりを正しておられることがよくわかります。で、その意味では企業との癒着を防ぐためには、人事院の印鑑を押し、サインをすることをできるだけ少なくする。  それからもう一つ、そこで今度は救済規定があるのだ。それが六、七の行政不服審査それからその次の取り消しの訴え、そういう問題が一つあるのでございますが、この異議の申し立てとかあるいは取り消しの訴えというのが事実どのくらいあったのですか。職員局長のところで、この法律の規定で扱った件数を言うてください。
  187. 中村博

    中村説明員 いま先生御指摘の百三条の六項以下の異議の申し立て等につきましては、一件もございません。
  188. 受田新吉

    ○受田委員 一件もないような規定がここへ書いてあるわけですね。なかなか言い手がないのですよ。不服の申し立てをするのがないのですから、これは厳しくやってもいいのです。  だからどうでしょう。この二年間は過去五年間執務したことに関係あるというので、その例外としてはどんなのがあるのですか。鈴切委員から、さっき具体的にどんなのがあるかということを尋ねられたのじゃないかと思ったのですが、事実人事院が過去二年間に認めた件数を言うてください。
  189. 中村博

    中村説明員 昨年は百七十六人でございます。四十九年は百八十九人。
  190. 受田新吉

    ○受田委員 そのお認めになった人々の中には、どういう——一番偉い人はだれだれですか。具体的にお聞きしたいのです。
  191. 中村博

    中村説明員 官職の順に申し上げますと、次官一人、長官一人、本省局長三人でございます。
  192. 受田新吉

    ○受田委員 お名前と、どこへ行かれたかをひとつ……。
  193. 中村博

    中村説明員 通産事務次官をなさっていた両角良彦氏が電源開発、電発の総裁でございます。それから長官は、通産省の資源エネルギー庁長官山形栄治さんが日本長期信用銀行顧問をなさっております。それから局長クラス三人と申しますのは、運輸省の港湾局長の岡部保さんが総合開発機構顧問、それから日本公営の非常勤顧問でございます。それからさらに、同じく運輸省の船員局長住田俊一さんが日本航空開発常務取締役、それから郵政省の簡易保険局長の北雄一郎氏が日本航空の顧問でございます。
  194. 受田新吉

    ○受田委員 いまの顧問の場合は、常勤顧問ですか。
  195. 中村博

    中村説明員 いま申し上げました郵政省の北さんにつきましては、常勤顧問でございます。
  196. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、電源開発関係というと通産省に縁がありますね。それをお認めになったわけですか。
  197. 中村博

    中村説明員 細かい資料がいま手元にございませんが、この場合、電源開発会社というのは政府が七三%近い出資でございます。しかもこの任命は、政府の任命なさることに属することでございまして、特殊な機関として格別な取り扱いをしておる、こういうことでございます。
  198. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、大体特殊法人みたいなものですね。それに近いもの。  いずれにしても、二年間を超えたら自由なんで、もう野放しなんですよ。昔の役所に行って、かつての部下に、おい君と言えば、おいでくださった方は天皇としてこれを仰ぐ人もある。そうなると、二年たったら野放しになれば自然にそこに癒着が生じてくる。役所へのにらみがきく、腕前のある人は、かつての部下たちを十分籠絡できる、自社に有利な決定もさせられる、許認可もとれるということになってくると、そこに企業と官庁の癒着が当然起こってくる。この点、二年ということは少し短過ぎる。せめて五年というくらいにしてはどうかという提案をしたいのでございますが、五年くらいたつと縁が多少抜けてくる。長官、この国家公務員法の二年という禁止期間をさらに延ばすか、あるいは人事院が承認することをできるだけ避ける、人事院が机の上に置いてほっておくんですよ。人事院が行政機関の圧力でどんどん印判を押さぬように、法の精神を十分守る。憲法の営業の自由ということはまた別の方で考慮できる。できるだけそういう問題に厳しい態度をとっていくということはどうか。期限の延長と、もう一つ人事院の承認事項を厳しくすること、総理府の人事行政を厳しくすること。そして、いま現に行われている企業と行政機関との癒着を避ける努力をしてほしい。要望をしておきますが、答えを……。
  199. 植木光教

    植木国務大臣 二点問題があると思うのでございますが、公務員は全体の奉仕者でございますから、公共の利益のために勤務すべきものでありまして、まず国家公務員あるいは地方公務員を問いませんけれども、その在職中、営利企業と特別の利害関係を持つことによって、公務の公正な執行を誤ってはならない、このことはもう私から言うまでもございませんけれども、まず厳正にしなければならないと思うのでございます。  第二点の、ただいまお話しになりました問題は、私企業からの国家公務員の隔離につきまして、百三条というものが置かれているわけでございます。この内容が妥当であるかどうかということについては、いろいろ議論があるところでございます。職業選択の自由という問題もありますし、あるいはその専門的な知識であるとか体験を企業の中に生かしていくという必要があることもございます。しかし、企業に国家公務員、地方公務員を問わず公務員が就職をいたしましたならば、あくまでもその企業の営利のために活動をするということは必要でございましょうけれども、いやしくも出身省庁はもとよりのこと、官庁との間においていわゆる癒着を生じてはならない、企業活動そのものが、国民経済あるいは国民生活の向上発展に寄与するという立場から行わるべきものであると思うのでございます。ただいまの二年を五年にしてはということにつきましては、先ほど人事院においても検討を必要とするかもしれないというような御答弁もございました。私どもといたしましても、当面、現行の規定の適正な運用によりまして国家公務員法の立法趣旨が生かされるよう努力をいたしますとともに、企業と官庁との癒着の役割りを果たすことによって国民から指弾を受けるということがないように厳正な態度で臨んでまいらなければならぬと存じます。
  200. 受田新吉

    ○受田委員 委員長、時間が参っておりますから、もうこの次のポイントで質問を終わりますが、法務省の方どなたが来られたのですか。
  201. 石原一彦

    ○石原説明員 矯正局長です。
  202. 受田新吉

    ○受田委員 はい、わかりました。御所管事項にも関係するわけですから……。  実は、おととい田中前総理の逮捕ということには私自身大変なショックを受けたのです。党派は違うが、昭和二十二年、一緒に国会へ出てきまして、自来同期生、しかも、議員になった当時青年議員連盟というのをつくって、二十代、三十代の議員が、占領下において新しい国づくりに若い国会議員の力で力をいたそうと、お互い三十数名おりました。その中に田中君もおれば中曾根君もおる、石田博英君もおる。彼らみんな記憶しておりますよ。社会党の成田君。佐々木更三君は四十幾つでしたから、これは外れておった。うちの方ではいま生き残りは私しかおらぬじゃからね。大体三十数人。小坂善太郎君もおりました。そういうグループで、酒気を帯びて議場に入らざること、議員食堂においては酒を提供せざること、そして、お互い若き議員として新しい国づくりに精励すること、国会議員たるの品位を汚さざること、こういうような申し合わせをしてスタートした当時をなつかしく思うのです。しかし残念なことに、金権体質の政党にお進みになられて田中君の今日の悲劇を招いたことについてはまことに残念です。残念でありますが、真相を早く究明することに田中君協力していただきまして、新しい道を開くことに、勇気を持ってこの問題の解決に協力してもらうことを私は希望しておるわけですが、そういう意味で、私ちょっとお伺いしたいのですが、田中前総理を逮捕するというときに手錠をかけたんですかどうですか。手錠、捕縄。
  203. 石原一彦

    ○石原説明員 私矯正局長でございまして、逮捕されて拘置所に入りました後は私の所管の事務になるわけでございますが、逮捕して拘置所に留置するまでは検察庁の仕事でございますので、所管の局長は刑事局長になろうかと思います。しかしながら、私の知っている範囲におきましては、逮捕して拘置所に行かれるまでは手錠はかけておられなかったのではないかと思っております。
  204. 受田新吉

    ○受田委員 私、監獄法の規定の中に、暴行もしくは逃亡のおそれがある、あるいは自殺のおそれがある場合、こういうときには手錠、捕縄をやる。しかし、それは例外であって、普通は捕縄、手錠はかけないのがあたりまえで、つまり、いま申し上げたようなときに監獄法の規定で捕縄、手錠を使うことがある、また警察官の場合にもそういうやむを得ないときの規定があると私は思っているのですが、監獄法の規定に何かそんなのがあった記憶があるのですが、いま時間的に余裕がない。これは突然の質問になるんだが、いやしくも公務員の職務執行上の問題でありますから、お互いの内閣委員会の所管ですから、あえてお尋ねするのです。ひとつお答えいただきます。
  205. 石原一彦

    ○石原説明員 ただいま受田委員指摘のとおり、監獄法の十九条に「在監者逃走、暴行若クハ自殺ノ虞アルトキ又ハ監外二在ルトキハ戒具ヲ使用スルコトヲ得」という規定がございますが、この規定の読み方は、刑務所に入っている者、拘置所に入っている者、いわばへいの中にある者につきましては「逃走、暴行若クハ自殺ノ虞アルトキ」に戒具を使用するということになるのでございますが、監外にあるときにはそうした要件なく戒具を使用することができるようになっているのでございます。  したがいまして、ただいま申し上げた、先ほど先生から御質問のありましたような逃走のおそれ、暴行のおそれもしくは自殺のおそれがなければ監獄外にあるときに戒具を使用してはならないということにはなりません。しかしながら、実際上は逃走、暴行もしくは自殺のおそれがあるというときには、監外にある場合にありましても主として戒具を、手錠は戒具に入りますが、戒具を使用する場合が多いのでございます。
  206. 受田新吉

    ○受田委員 戒具ですから、手錠、捕縄がありますね、なわでおっ立てる。私は大久保専務の写真を見た。前に手錠をかけ、後ろに捕縄のなわが見えた。そうじゃないですか。
  207. 石原一彦

    ○石原説明員 大久保専務を拘置所から勾留尋問のために東京地方裁判所に護送いたしました際に手錠は使用いたしましたが、捕縄はかけておりません。  現在捕縄をかけますのは、数人を護送する際につないでおきませんといけませんものですから、それでかけるのでございますが、普通一人の者の護送の場合に、手錠と捕縄との双方をかけるということはいたしておりません。
  208. 受田新吉

    ○受田委員 私あるグラフを見たときに、後ろに見えるのがあれは捕縄であるというのが書いてあるものだから、ちょっと見えたですね、ひもみたいなのが。ははあ、これはやっているなと思ったんですが、暴行、逃亡、自殺のおそれがない、だれが見てもそういうときに——衆人環視の中にある、逃げようにも逃げられないときにわざわざ手錠をかけなくてもいいのじゃないか。つまり、年をとってよぼよぼしておるような人に手錠をかけるのは一つの人権問題、かけなければならないという規定か何か法律にあるのですか。手錠をかけなければならぬという、つまり在監でなくても取り調べ中でもいいし、護送のときには手錠をかける規定は、戒具を用いなければならないという規定はどこにあるのですか、法律の何にあるのか、あるいは規則でもいいです。
  209. 石原一彦

    ○石原説明員 御指摘のとおり、こういう場合にかけなければならないという規定はございません。こういう場合にかけることができるという規定が法律にあるわけでございます。
  210. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、もう衆人環視しておる、しかもある意味ではもう前非を悔い、著しくショックを受けている、しかも年をとっておる、こういうような者が、逃げようもなければ何もできない者にわざわざ手錠をかけなければならないというのであれば、ならないという規定がないのであるならば、それはもう年寄りが逃げようったってすぐひっつかまえればいいわけだし、自殺しようとすればすぐとめられるわけです。両側には検事や検察事務官がおる、そういうようなときにわざわざ手錠をかけていかなければならぬというような、いかにも旧時代的な監獄法という法律の名前そのものが、私、何か幽霊が出そうなような感じがするのです。監獄という言葉はもう旧時代的ですよ。早く名称を変え、早く法律を変えよという提案を何回か私はここで提案した。法務省設置法の改正の都度、私がこの委員会で十数年叫んだ問題を一向にやろうとしない。その監獄法にいまの戒具の規定が書いてある。それをいまかけなければならぬというのでないのに、逃げも隠れもしない人間にあえて手錠をかけて護送するということは、若く屈強の青年でいまにも逃げるかわからぬという分、これはもうそばにおるのが危なくてしょうがないというときならいいが、老いて余命幾ばくもないような人々へ手錠をかけて——おしっこに行くときは外すわけでしょう、だから、それはもう大変ですよ。周りにみんながおるんだから、暴行、自殺、逃亡のおそれがない。そういうときは衆人が環視している。あの護送の車の中などは逃げようがないですよ。そういうときなどは、むしろ自由のかっこうで、法律にも規則にも手錠をかけよと書いてないんなら、これはやらなくてもいいじゃないかと思うのです。  私はあえて、罪を憎んでその人を憎まずという趣旨で、いささか罪のざんげをしておる人に余りにも追い打ち的な厳しい措置というもの、しかもそれが法律にあり、規則にあるのならやむを得ません、しかし、それもそういうときは改正していいと思うのです。もうだれが見ても逃げようのないような人間に手錠をかけて引き立てる。捕縄というときには五、六人つなぐわけですからね。この問題について、矯正局長さん、法務省として差別をしないことは筋として通るが、常に手錠をかけなければいかぬ人間がおるから、つまり、いつ逃げるかわからぬ、二十前後の若い激しい思想の持ち主などぱっと逃げるかもしれぬのは、それは逃亡のおそれがあるんだから、その規定で手錠をかければいいですよ。しかし、逃亡のおそれもない、自殺のおそれもない、そして暴行を加えるわけにはいかぬ、六十幾つのおじさんが殴ってかかってきたって、これは簡単にすぐねじ伏せられますよ。そういうときの扱い方というものは、人間の罪を憎んでその人を憎まずという思想、その点で形式的な手錠をかけるようなことはおやめになったらどうかと私は思うのです。それは全く形式だ。これはいま、矯正局長が御所管とあるならば、私はこれをあえて提言しておきます。  つまり、暴行、脅迫、逃亡、自殺、そういうおそれがない者にはやらないというのが原則であるとするならば、その原則に従ってやるべきだ。田中前総理には、それは護送のうちにかけていなかったということであれば、田中君自身が逃亡しよう、自殺しようという気持ちがなくて、少なくとも自分は天の裁きに応じようという良心を持っておると思うのでございますから、そうやられたと思うのです。ところが、田中君には手錠をかけなかったが、大久保君には手錠をかけるとなると、今度はまた法のもとの平等の原則に反するわけだ。どちらも逃亡のおそれがない。ただ、逃亡のおそれがある分には手錠をかけるというなら、これは法のもとの平等であるが、しかし危険があるからかけるんで、この方の言いわけは十分成り立つ。局長の御答弁を願い、またこれについて国務大臣の御感想を伺いたい。
  211. 石原一彦

    ○石原説明員 最初に監獄法の関係について申し上げます。  私も矯正局長になります前、法務省の秘書課長をしておりまして、当委員会にはたびたび参りまして受田委員からの御質問にもお答えしたことがございます。その際からの懸案でございますが、監獄法の改正につきましては、現在監獄法改正部会をつくりまして検討中でございます。おおむね二年程度で法制審議会の諮問をいただきまして、国会に提出したいと思っております。この法律の所管は法務委員会ではございますが、受田委員かねての御主張でございますので、参りました際には迅速な御審議をひとつよろしくお願いしたいと思う次第でございます。  なお、手錠につきましてややくどくなりますが、少し説明させていただきますと、監外いわゆる刑務所外という言葉といたしましょう。所外にありますときには、条件がなくて戒具を使用することができるのであります。したがいまして、監外にあるときには逃走とか暴行とか自殺のおそれがなければならないということはないのでございまして、刑務所長なり拘置所長の判断で戒具を使用することができるということになっております。  一方、先ほど私は、こういうような逃走、暴行、自殺のおそれがあるときには、刑務所のへいの中、拘置所のへいの中におりましたときには戒具を使うと申し上げましたが、たとえば病気でありますとか身体障害者でありますとか、あるいは受刑者でございましても間もなく社会に出るという者につきましては手錠をかけるようなことはいたしておりません。  一方、所外にありまして護送をするような場合には非常に危険を伴うわけでございます。これは暴行のおそれ、自殺のおそれということで本人の点を中心に受田先生おっしゃったのだと思うのでございますが、こうした時代におきましては、他の人々から暴行をされる、あるいは自殺用のたとえば薬であるとか、かみそりの刃でもいいのですが、そういうものでも渡される可能性が決してないとは言えないのであります。しかのみならず、従前の逃走事故、特に護送途中における逃走事故の実態を見てみますと、逃走をしようとする者がおれは逃走すると言った例はないのでございまして、逃走しようとする前にはきわめておとなしく看守の言うことを聞いている、油断しますとさっと逃げてしまうということが多いのでございまして、そういうことになりますれば、私たちといたしましても職員の職責を問わなければならないということに相なるのでございます。そういうことで、個人のそれぞれの事情に応じて手錠を付するか付さないかということを刑務所長なり拘置所長はきわめて誠実に、かつ真剣に考えているのでございます。  それからもう一つは、特に拘置所に入りましたときにはどうしても心情が不安定になるのでございまして、ただいまロッキード事件について一人の方のお名前が出たのでございますが、ほかにも多くの方がおられますし、その方々の心情関係をここであからさまに申し上げますことは、かえって名誉等にも関係するので差し控えさせていただきたいと思います。  しかしながら、本日、田中前総理に手錠をかけませんでしたが、それは私どもに入った情報によりますと、相当多くの方が関心を持つといいますか、拘置所の周辺あるいは裁判所に着く際の周辺におきまして人が集まる、そのために不測の事態が生ずるおそれがありはしないかということがございました。そのために通常の看守の数、これもいろいろ危険な犯罪を生じたものでございますので、数を申し上げることは差し控えさせていただきますけれども、通常のものの二倍半ぐらいの看守を本日は動員いたしたのであります。したがいまして、手錠をかけなくても十分看守による監視の業務ができるということがございまして手錠をかけなかったのでございます。  その意味におきましては、手錠という問題だけを取り上げますれば、だれかにはかけ、だれかにはかけないということで一見平等に反するようなことではございますが、われわれはそれぞれの方方の心情とその人の傾向を考えまして考えているところでございまして、実質的にはすべて平等の取り扱いをしているところでございます。
  212. 受田新吉

    ○受田委員 ありがとう。わかりました。  私は、人権というものを一方で考えてあげるべきだと思います。多くの人の見る前で良心的に苦労している人に追い打ちをかけるようなことも残酷だと思っておって、私そういう点、人の性は善なりという立場を考えていって、素直に取り調べを受けようという人を過酷なやり方、人の面前でみせしめをさせるようなことをしなくても済む人には、そういうことをしなくてもいいということです。  一分ほど長官。この間せっかくの天皇在位五十年の祝福の式典の件については、その後すぐ閣議にお諮りになったことをあの翌々日やらに拝見したのですが、民間行事と、そして国の行事と、そしてその期日というようなものについても、ある程度煮詰めておられるのかどうか。一言だけお答えをいただいて、私の質問を終わります。
  213. 植木光教

    植木国務大臣 天皇御在位五十年祝典につきましては、すでに閣議で、この秋の適切な日に内閣の手によって行うということと、総理府が中心となってその準備を行うという了解をとりました。先週直ちに全省庁の官房長クラスの方々にお集まりをいただきまして、その祝典が行われるという旨を周知いたしました。いま準備に取りかかりつつあるところでございますが、近く全省庁ではございませんで関係省庁をもってします準備協議会という名称になろうかと存じますが、を設置いたしまして、ここで政府の行事、あるいは民間を加えての行事、あるいは民間にお願いするあるいは民間から自発的に行われる行事等について、いろいろ協議をしていただくことになっております。  期日につきましてはまだ確定をいたしておりませんので、この点についてはしばらく御時間をおかしくださいませ。
  214. 受田新吉

    ○受田委員 質問終わり。  どうも御苦労さまでございました。
  215. 木野晴夫

    木野委員長代理 本日は、これにて散会いたします。     午後五時十二分散会