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1976-07-14 第77回国会 衆議院 内閣委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年七月十四日(水曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長代理 理事 木野 晴夫君    理事 阿部 喜元君 理事 竹中 修一君    理事 藤尾 正行君 理事 松本 十郎君    理事 上原 康助君 理事 大出  俊君    理事 中路 雅弘君       大石 千八君    旗野 進一君       林  大幹君    三塚  博君       石橋 政嗣君    和田 貞夫君       鬼木 勝利君    鈴切 康雄君       受田 新吉君  出席国務大臣         外 務 大 臣 宮澤 喜一君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      植木 光教君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 坂田 道太君  委員外出席者         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         任用局長    今村 久明君         人事院事務総局         給与局長    茨木  廣君         人事院事務総局         職員局長    中村  博君         内閣総理大臣官         房総務審議官  島村 史郎君         総理府人事局長 秋富 公正君         警察庁警備局警         備課長     若田 末人君         行政管理庁行政         管理局長    辻  敬一君         行政管理庁行政         監察局長    鈴木  博君         防衛庁防衛局長 丸山  昂君         防衛施設庁長官 齋藤 一郎君         防衛施設庁総務         部調停官    高島 正一君         防衛施設庁施設         部長      銅崎 富司君         防衛施設庁労務         部長      古賀 速雄君         沖繩開発庁総務         局長      亀谷 礼次君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君         大蔵省銀行局総         務課長     宮本 保孝君         文部省学術国際         局国際教育文化         課長      川村 恒明君         労働省労政局労         政課長     元井 久夫君         労働省労働基準         局賃金福祉部企         画課長     仙田 明雄君         内閣委員会調査         室長      長倉 司郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公務員給与に関する件  国の防衛に関する件      ————◇—————
  2. 木野晴夫

    木野委員長代理 これより会議を開きます。  公務員給与に関する件及び国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 時間の関係もありますから、なるべく能率的に承りたいのであります。  人事院給与局次長角野さんあたりが、地方人事委員会諸君自治省が集めた席上においでになって、期末手当が〇・六ぐらいおっこちる、これは必然的な趨勢だという決定的な話をしている。いまも、同僚の上原議員に承りましたが、共同通信の記事で地方の各紙が一斉に取り上げていた、こういうわけでありまして、これは七月二日ですから、人事院給与局次長がそういうことを言ったということで私のところに方々から問い合わせが来て、電話でどうなんだとえらい騒ぎであります。  私も、人事院が確かにこの公務員賃金そのものストライキ権にかわる代償機関という性格を持っていることは認めるわけでありますが、それだけにこの種のことは慎重でなければ困るということで、前回、これは五月六日でございましたか、総裁に、五%以下であっても勧告をするとかしないとかなんということを、質問に対する答えであってもうかつになされては困る、それじゃ人事院が信用できなくなりかねないということになるということを再三私はここで詰めたわけでありまして、結果的に総裁は五%以下なんということは論外だということをおっしゃったから、それでこの大騒ぎは一応、まあ時期を待とうということで鎮静をするだろうと思って当時やめたわけですけれども、事もあろうに民間調査結論が出たわけでもない七月二日という時点にそういう不用意なことを言われて全国的に大きな騒ぎになるということを放任できない、これは一体何事であると言いたいわけでありますが、総裁これはいかがでありますか。
  4. 藤井貞夫

    藤井説明員 ただいまのお話は、私としてまことにうかつでございますけれども、そういう何か具体的なお話を申し上げたということは報告も受けておりませんですし、そういう決定的なと申しますか、具体的な言い方をするということは人事院立場といたしましてもとうていあり得ないことではないか、何かそこにやりとりの間の、また受け取り方のそごがあるのではないかというふうに思わざるを得ないというところでございます。いまのお話は、私といたしましても具体的に報告その他受けておりませんです。
  5. 大出俊

    大出委員 総裁報告を受けていないからそれでいいというものじゃない。前回も私はここで執拗に総裁質問したわけでありますが、結果的に質問に答えて五%以下云々という話をしたということなんです。これは地方人事委員会方々自治省が集めたわけですから、公の席上ですからね。その席上で物をおっしゃるとなると、これは公の出来事です。われわれが茨木給与局長に非公式に電話を入れて、期末手当が落ちる云々というのはどうなっているんだという話をした。茨木さんは適当なことを言っていましたよ。よしんばそのときに少し突っ込んだ話が私にあっても、これは人事院立場もあるわけで、非公式な話だから私も非公式に承りますが、その非公式な話もどうもちゃらんぽらんな話になっている。にもかかわらず、どうも人事委員会のそういう席上で、やれ〇・六おっこちるとかおっこちないとかなんという話をぬけぬけとあの時期にされるなんというのはもってのほかだ。私はまことにもって腹が立ってならぬわけでありまして、それじゃ人事院ストライキ権にかわる代償機関たる性格がおかしくなりはせぬかという気がする。悪く言えば、財政当局もあるのだから、あらかじめ世論操作をやっているとしか思えない。そういうやり方ならば中立性が疑わしくなるとさえ私は言わなければならぬと思っているわけでありまして、これは一体どういうことだったのですか。あなた、全く報告も受けていないと言うだけでこれは済まぬ。早急に、いまこの委員会質問をしている間にお調べください。御報告願いたい。いかがですか。
  6. 茨木廣

    茨木説明員 定例の人事委員会会議を招集された場面がございまして、御案内のように私の方と民調共同調査をやっておる間柄でございまして、いわば親戚同士の席上でございます。そこにこちらからしかるべく人を出してお話をいただけないかということで次長を差し向けたわけでございます。次長も大変、時期が時期でございますし、それからどうも、全くの秘密会でございますといいのでございますけれども、やはり記者団の方もいらっしゃるではないかということで、どうもその話の中でもそういうお話もちょっと触れたようでございますが、そういうことで大変注意をしながらお話ししたようでございます。しかし、組合等の話の中にも、いろいろ私どもとの間にもその問題はあるから、要するに昨年の数字が物を言っているわけでございますから、ことしの一番ポイントの問題として心配の種になっておったわけでございます。  そういうことでございますものですから、おのずからこちらのやっております民調の結果等はまだ調査集計途中のことでございますから全くわかっていないわけでございますけれども、いろいろなデータから言いますとそういうおそれがあるということで、向こうも現に県の方で今度勧告作業をおやりになる立場でございますものですから、多少腹を割ったような意味情勢的な分析をおやりになった、それをかいつまんで、いわゆるそこの一番あれなところだけを恐らく報道されたのではないか。その報道を私も見ておりませんので、初めてきょうここでその話をお聞きしたのですけれども、そういうことで大変やりにくかったということの説明も受けております。  そういうことで、十分注意はしてあったようでございますけれども、大変御心配をかけるようなことになって恐縮でございますが、そういう経緯でございます。
  7. 大出俊

    大出委員 一〇・八五の勧告をされたわけですから、それで改定をされたいまの国家公務員給与平均は一体幾らになっているわけですか。
  8. 茨木廣

    茨木説明員 去年の一〇・八五の勧告をやって、その後いろいろなものが積み重なっておるわけでございますが、これは間もなく結果が出てくるだろうと思います。まだ確とした数字をここで申し上げる段階まで至っておりませんが、そういうつもりでおります。
  9. 大出俊

    大出委員 いや、これは確たる数字を申し上げるわけにはいかぬと言ったって、改定をしたんだから、そこでつかまえていた平均給与というものはあるわけでしょう。
  10. 茨木廣

    茨木説明員 勧告後の昨年の段階におきます推計として考えておりましたのが、基礎給与で十五万五千百十七円でございます。
  11. 大出俊

    大出委員 それなら、これ六%、〇・六落ちるなんと言ったらこれは大変な額ですよ。そうでしょう。十五万ですからね、一万幾らになります。そうでしょう。それは、やはり地方皆さんにすればそんなことをぬけぬけと言われれば、すぐみんなふところ勘定にはね返るんだから。さっき人事院の方に一体平均給与幾らなんだと言ったら、いまなら十六万から十七万くらいでしょうと言っていましたけれどもね。そんなのはだれだって計算できるんだから、〇・六だなんて言い出せば。そうでしょう。それが仲間うちだから——仲間うちだからと言ったって、新聞に麗々と流れれば仲間うちじゃなくなるじゃないですか。そうでしょう。仲間うちだからよけいそんなことを言って、地方人事委員会におまえの方だってそのくらい考えて落とせぐらいのことを言いかねない。そうなると、人事院というのは代償機関どころじゃないということになる。もってのほかだと私は思っておる。これはたび重なるので前回どうもいろいろ聞いてみたら、茨木さんじゃなくて角野君だという。今回また角野氏だという。それで私じゃありませんというあなた方は言い方をして、それじゃああなた、次長は今度は逆にたまったものじゃないじゃないですか。あなた方はそのぐらい言っておけぐらい言ったんじゃないですか、どうなんですか。
  12. 茨木廣

    茨木説明員 別にどうこうということじゃございませんし、私どもとしましても共同調査をやっておる人事委員会のこれは会議でございますから、私どもが一切出ません、知りませんというのもこれまたおかしな話でございまして、やはり共同調査をやっておるお礼も申し上げなければいかぬし、それからそういう私どもが触れておりますいろいろなこともあらかじめお話ししておくということもやはりあれだと思うのです。ですから、その会議がそういう公開的な場所で行われておったというのももう一つ問題であったろうと思うのであります。ですから、そういうことを司会者の方がよく注意していただけばよかったんじゃなかろうかと思います。  ただ、その当時のいろいろなデータとしましては、こういう場合にはこういう数字になります、こういうものですと、いまの〇・六なんというような、恐らくそんな大きな数字にならないような推計のものもあるしというようないろいろなことを織りまぜてお話しなさったはずだと思うのですけれども、まあこれが一番強いもので出たんだと思いますけれども、しかし、そういう意味の基礎的なことについての中間段階の意思の疎通をやはり人事委員会の方とも図っておきませんと、私ども勧告を出しましたものを受けて向こうはすぐ業にかかるわけでございますから、勧告しました後、向こう会議を招集してというようなかっこうも例年行われておりませんし、せいぜい幹事的な方が集まる程度でございますから、そういうことでいろいろ基礎的なお話を申し上げさせたということでございますから、そういう大変御心配かけまして恐縮いたしておるわけでございます。
  13. 大出俊

    大出委員 という答弁ですが、これはここにおいでになる公務員という御身分皆さん全部関係がある。議員でもそうです、連動しておりますからね。すると、年末二・七だと思っていたら、〇・六どこかに行っちゃったら二・一にしかならないのだから。これはそうでしょう。そうなるとこれは穏やかでない。だからこれだけの大きなことになる。あっちからもこっちからもそれこそ一体どうなっているんだというわけだ。これは大騒ぎです。前回だって本当に往生しましたがね。だから私はこの際、では、そういう公の席で言ったんだから、これは公の席なんだから、どういうふうに言ったのか、この委員会の私の質問の終わるころまでにどういうふうにしゃべったのかはっきりしてください。いまでなくてもいいです、質問した後で結構ですから。総裁御存じないとおっしゃるし、給与局長もこういう場合にはこうなる、こういう場合にはこうなると言った。こういう場合には〇・六になるけれども、こういう場合にそんなにはならないと言った。ではそれはどういう場合とどういう場合と言ったのですか。一説によると、ゼロから〇・六だと言ったというのだからね。そうするとゼロの場合はどうなる。どういう場合にはゼロなんだ。で、ひとつあなた方は罪状明白になったら、ゼロの場合もあるんだと言うのだからゼロでいきましょう。後ではっきりしてください。  そこで承りますが、期末手当官民段差という問題がいつも出てくるわけでありますが、そこでまず承りたいのは、実は旧来余りこの問題が大きな議論に国会等場所でならない。その理由は、いままでの歴史の中で期末手当を切り落とそうなんという、マイナス勧告をする空気もなければ現実もない。ないから、多少ずつこれは問題をみんな感じていても、まあ落っこちるわけじゃないからということで過ぎてきているわけです。ところが中身そのものにとってみれば、大変に大きな問題が実はある。そこでそれを承りたい。  まず期末手当について皆さんの側で民間調査をおやりになる。特別手当と言ったらいいのかもしれません。正確には特別給と言ったらいいのかもしれません。特別給官民比較——皆さん民間期末手当、つまり特別給をお調べになるに当たって、職種も事業所もおのおの違う。この比較ベースというのは一体どういうふうにおとりになっておるのですか。
  14. 茨木廣

    茨木説明員 これは民間会社の方でもそれぞれ支給時期もいろいろございますし、そういうことで、前年の五月から当年の四月までの年間のそういう特別給的な支給しましたものを一切調査いたしまして、そして同時に民間年間給与、要するに決まって支給する方の給与もつかまえておるわけです。その中から超勤的なものを差し引くわけでございます。それで割り返すということで月数調査いたしておるわけでございます。
  15. 大出俊

    大出委員 そういうことで、あなたの方は比較をされて、まだ民調は終わっていない、こう言っているのですけれども給与局長自身は一体どうお考えですか。角野君が言ったというんだが、〇・六があって、それはこういう場合だ、こういう場合ならもう少し少ない場合もあるとか、ゼロから〇・六と言ったという説もあるので、こういう場合にはゼロだということになるわけですから、ゼロから〇・六と言ったというのだから、ひとつ局長から、次長じゃないのだから、茨木さん、あなた局長なんだから、局長から現状を……。公の席でそんなことを次長に言わしておいて、きょうは内閣委員会という国会の公の場所なんですから、人事委員会諸君を集めた席上で言えて国会で言えないなんてばかなことはない、担当委員会なんだから。だから角野君の言うゼロとは一体どういう場合なのか、そこから一番てっぺんの〇・六というのはどういう場合なのか、〇・六よりもう少し少ない場合があると言うのならそれは一体どういう場合なのか、全部これを言ってください。
  16. 茨木廣

    茨木説明員 私の方でいろいろ検討しておりました過程の中で出てまいりましたもの、たとえば労働省調査であります毎勤の調査、これからいろいろ推計しております場合でございますと、いま話題になっております数字の半分ぐらいのマイナス数字……(大出委員「半分というと〇・三ですか」と呼ぶ)大体そういうことでございます。この程度数字が出てくるのではないかという一つの推計がある。  それから、いま問題になっておりますような大きな数字が出てまいりましたのは、やはり労働省調査でございますが、上場企業のうち資本金二十億円以上、従業員数千人以上、労働組合のある企業二百七十一社、これを対象にしますと、どうも大変大きな数字になるおそれがある。
  17. 大出俊

    大出委員 〇・六というのはそれですか。
  18. 茨木廣

    茨木説明員 〇・六ぐらいの感じになるおそれがある。それが一番中心的なものでございます。あとは部分的な調査もありますけれども、部分的でございますので申し上げませんけれども……。  そこで、こちらの方はまた百人以上の民調対象企業全部について先ほど申し上げましたようなことで調査を進めてまいりますから、例年そういうような上場企業との関係では月数相違が出てまいることは御案内のとおりでございます。  そこで、ふたをあけてみなければいかぬので、仮にいまゼロもということになりますと、それは非常によくいった場合にはそういうこともあるということでお話しなさったのだろうと思いますが、まだ人事院としてはそういうものをつかまえていませんけれども、要するにそういう数字から推しますとそういう状況のおそれがありますということで、その当時の段階事情説明をしたという経緯だろう。ゼロであるということも私の方としては別に確認したこともございません。ただ、わからぬという意味で、そういう意味のどこかの数字の中になるという意味で申し上げていると思います。
  19. 大出俊

    大出委員 これ、ずいぶんおかしな話じゃないですか。いま、労働省の毎勤から推計をしたら〇・三落ちる——あなた方、いままで一度も毎勤でやりますと言ったことはない。人事院人事院方式でやっておりますからといつも言う。それから、労働省調査の特別な調査上場企業資本金二十億円、千人以上規模労働組合のあるもの二百七十一社、これが〇・六だ。あなた方はいままでこんなものをとったことはない。私が労働省資料を取り上げれば、いつもあなた方は人事院人事院方式でと逃げる。こんなときになったら何で一体労働省が先に出てくるのですか。それで、最後のゼロというのがまだわからないからと言う。取ってつけたようなことをあなた方は言う。人事院は百人以上規模企業を調べている。いつも月数相違がある、だからこれがゼロになることもある、それは非常によくいった場合だ。そうするとゼロなんというのはまるっきりわからない。つまり、そうなら人事院調査そのものはまるっきりわからないわけじゃないですか。人事院調査がまるっきりわからぬのに、いままで私が取り上げて労働省数字を出せば必ず否定してきたあなた方が、何で今回に限り毎勤で〇・三おっこちて、上場企業資本金二十億、千人以上、組合のあるところ二百七十一社なら〇・六になるなんて——マイナスですよ、落ちるのですよ、〇・六。こんなことを何で言い出すのですか。何でこれが前に出てこなければいかぬのですか。意図があることになるじゃないですか、そんなばかなことを言ったら。冗談じゃないですよ。そんなばかなことを聞いていられるか。
  20. 茨木廣

    茨木説明員 これは要するに、いままででも、先ほども触れられましたように、仮にマイナスにいたすといたしますと大変異例なことでございます。また、それぞれの職員ふところ勘定との関係もございます。そこで、四月以来のそれぞれの組合との会見の場合でも、相手の方もそれには触れたがらないわけでございますけれども、こちらとしましても、万一そういうことがございますと、突然というわけにいかない。そこは情勢判断として、こういうおそれがあるということをやはりあらかじめ話題の中には出しておかなければいかぬということがございまして、そういうような話もしておるところでございます。したがって、そういうような状況でございますので、地方の方の人事委員会にも、そういうようなものから見ますとこういうおそれもあるのですということで、ことしの問題点としてどうするかということをいろいれ考えておるところだということで、その当時の情勢として御連絡的な説明をしたわけでございます。
  21. 大出俊

    大出委員 穏やかでないことをあなた言うですな。まことにもってこれは不届き千万だ。いまの答弁ならば、これは明確な世論操作じゃないですか。そういう方向に動かそうという意図じゃないですか。人事院自体調査は何の結論も出ていないとあなたは言い切っている。人事院が百人以上規模企業調査をやっている。これと毎勤その他と月数相違がいつも出る、こう言っている。しかし人事院調査結論は出ていないと言う。ゼロになる場合もあり得るかもしれない、こう言っている。そうすると、人事院としては人事院システムで、毎勤でもなければ労働省特殊調査でもないといままで言い切っていて、いま皆さんの手元で調べられるのは毎勤と労働省特別調査しかない。その方でマイナスが出るからというので、そのことを異例のことだからあらかじめ言っておく、こう言う。そんなことならば明確に世論操作じゃないですか。異例のこともヘチマも、いまだかつて一遍も落としたことはないのだ、歴史的に。ないものが落ちる。しかも、落ちるか落ちないか、人事院集計はまだできていないじゃないですか。いないうちに毎勤をつかまえたり労働省特別調査をつかまえたりしてあらかじめ物を言っておく、人事院には結論がない。それを操作と言うのです。それじゃ人事院存在価値が疑わしくなるじゃないですか。しかもこれは全国の公務員皆さんに、地方公務員を含めてそれぞれ金銭的な大きな影響のあるものを——女房や子供さんのことを考えてごらんなさい、そんなことを言って。  総裁、これはどう考えますか。これは総裁に聞きたいのだ。不届きです。
  22. 藤井貞夫

    藤井説明員 どのような経緯でそういう発言があったかということば、先刻申し上げましたように私自身報告も受けておりませんですし、世論操作的なことの意図でやるとかいうようなことは私自身はとうてい信じておりません。そういうことはありようがないというふうに確信はいたしておるわけでございます。ただ、問題点として各人事委員会の方でも持っておることは事実でありましたろうし、その間質疑応答その他の過程で問題が出てまいった場合に、いま御指摘になりましたような資料は一応出ております。また、われわれの方も、この給与勧告時点だけではなくて、毎年いろいろな労働情勢その他、賃金経緯等については深甚な注意をもって推移を見守っておりますので、そういう意味では、各般資料を収集し、情報を集め、またそれに対する研究は怠っておりません。  そういうことで、資料がございましたものですから、恐らくこの資料によればこういうことなんだというような意味であるいは申し上げたのかもしれません。断定的に何かいま先生がおっしゃったようなことになりますと、何らかの発言があったことは事実のように察せられます。しかし、そのことがいま御指摘のような影響を、あるいは波紋を与えたとすれば、これは私といたしましてはなはだ遺憾千万でございます。われわれの方としては各般資料は無論総合的に検討をいたしますけれども、われわれの態度決定というものは、従来から御理解をいただいておりますように厳密な官民較差、調査をいたしまして、その調査の出ぐあいによって判断をしていくということでございますので、この点は今回の場合においても何ら変わっておりません。私ば、その立場は堅持をしていくということに強く決心をいたしておりますので、その点いろいろ物議を醸したことについては遺憾でございますので、おわびを申し上げておきます。
  23. 大出俊

    大出委員 私は非常にいやな気がするのですよ。ぼくもきのうきょうやっているんじゃないために、旧来からずいぶん毎勤も調べたり、きょうも労働省に御出席いただいておりますけれども、事前にずいぶん方々で物を聞いてみたり、私も組合の出身ですから、関係組合のいろいろな資料も集めてみたりしたこともあります。だが、人事院に対して、たとえば労働省調査がこうだからと物を言うたびに、皆さんから返ってくるのは、労働省労働省調査です、わが方人事院は全然別なシステムでやっていますから関知せずだ、いつも。ところが何で今回だけ——私もここに持っていますよ、労働省調査だってちゃんとここに持っていますが、何で一体労働省調査を、皆さん結論も出ていないというのに、先に物を言わなければいかぬのか。しかも、公式の席で言うからそれが新聞に大きく載る。茨木局長の、いま何となくしゃべってしまった中身からすれば語るに落ちるので、そういうことになったら困る、異例なことだからあらかじめ言っておかなければぐあいが悪い、だから言った——これを称して世論操作と言うのですよ。認識を与えておこうというわけだ。そうでしょう。そういうやり方というのは、人事院がそんな政治性を発揮しちゃいけませんですよ。そうでしょう、人事院性格上。後ろには予算官庁くっついているのだから。そんなことを言ったら、おさまるものもおさまりゃせぬです。本当に人事院存在価値を問われますよ、そんなことを言えば。まあ総裁はいまそういうふうにおっしゃいましたから、それ以上私はあえて追及はしませんけれども、しかし、どうも過去の事情、たび重なるこういうやり方というのは、私は不愉快千万だ。これは責任を明らかにしてもらいたいと私は思うのです。  そこで、時間の関係もありますから詰めるだけ詰めますが、後でもとへ戻ってもう一遍この問題、私は物を言いますけれども、まずさっきおっしゃった特別給に関する民調民間調査比較ベース、さっきちらっと茨木局長から話がありましたが、そこでまず申し上げたいのは、この比較ベース、これは人事院の参考四という、おたくの資料です。「国公行政職比較給与の内訳」、四十九年、五十年の資料がここにございます。これによると、民間のつまり特別給のとり方、まず給与の調整手当がある。それから住居手当、それから通勤手当、特地勤務手当、寒冷地手当、沖繩差額加算手当、で、諸手当の計を出して、五十年で言えばこれが六千三百十一円でございますね。それで俸給月額その他を入れていきますと十三万九千九百四十円という数字になっている。だから、平たく言えばこれは一種の所定内給与ですね。ところが、公務員の方の例から言えば、俸給月額、調整手当、これは調整額です、調整額も入ってますが、扶養手当、まあ人事院側に言わせれば三者ベースと俗に言っている基本給です。こういうかっこうになっているわけです。十三万三千六百二十九円、これが基準内の計です。つまり、こういう形で皆さんの方はおとりになっている。もっともそれは民間の場合に職種も違い、事業所が違いますから、こういうとり方しかないかもしれない。ないかもしれないけれども、明らかにこの比較ベースというのは内容が公務員とは違う。この点はどう考えておりますか。
  24. 茨木廣

    茨木説明員 いかなるものを基礎にして期末勤勉手当を出すかというのは、こちらの制度でございまして、向こうといまのベースが違っておるということは御指摘のとおりでございます。ただこの月数の出し方は、先ほど申し上げましたように向こうの、したがって、同じ分母になっておるものと分子との関係月数を出して、その月数をこちらに持ってくる、こういうやり方をやっておるわけでございます。  ただ、恐らくそれでは同じような分母的なものでというお考えがあるいはあるかもしれませんが、その辺になりますと両者の制度が相当違うものでございますから、そこで月数をどういうふうに持ってくることが一番あれだろうかということで、いまのやり方の月数の持っていき方をしておるわけでございます。そこをまたぎしぎしやっていきますと、支給のやり方でも、若い等級の方は民間ではそんな月数は出てない。古い方はもっと多く月数になっているというような問題までいろいろ比較していかないといかぬことになります。それぞれの公務員の世界と民間の世界と大変違う点もございますものですから、それをこちらに持ってくるものですから、そういうような意味月数で持ってくるということをやっているわけでございます。
  25. 大出俊

    大出委員 そんなことを、そんないいかげんなことを言うより答弁のしようがないでしょう。これはあなた、給与を初めてやっている人間でなければ、だれだってそんなことはわかることだ。ただ、いままで落ちないから、歴史的に落としたことがないのだから、だから問題にもしなかったわけです。意見としてはこの意見はいままででも賃金専門家の間にたくさん出ている。これは三者ベースでいけば本俸、俸給月額ですね、調整手当、扶養手当、これで計算をしている、つまり月数計算の基礎になっているのは中身はこれなんだから、これと、民間は通勤手当なんかにすれば期末手当の中に三千七百八十円もはね返っているのです、特別給の中に。公務員の場合には通勤手当なんか一銭も見てないじゃないですか。ちっちゃな額ではない。通勤手当は五十年度で三千七百八十円、これだけ比較給与の中に民間の場合は入っている。住居手当にしても九百九十二円入っている。寒冷地手当にしても千四百七円入っている。だから諸手当の合計六千三百十一円ある。これだけの違いが明確にあるものを、ただ単に、中身は全く違うのに、月数だけ合わして、民間が落ちたとか、だから今度公務員を落とすとか、これはもってのほかだ。なぜ一体、これはだれの目にも明らかなように、これじゃこの民間比較ベース公務員の三者ベース式に引き直してみないのですか。でなければ、公務員の三者ベースをなぜ民間に引き直す努力をしないのです。事実は、中身はそうだとあなた認めているのだから、明確に違うじゃないですか。民間の場合には、もう一遍言いますが、通勤手当で三千七百八十円特別給の中に入っている、住居手当が九百九十二円入っている、寒冷地手当が千四百七円入っている。同じ月数でもこれだけ民間は中身が高い。公務員の方に入っていない。にもかかわらず、民間が何カ月分の特別給をもらっているから公務員にも何カ月分、中身がまるっきり違うじゃないですか。この長い年月人事院方式と称して人事院がやってきて、国家公務員にそれだけ安い期末手当を払ってきた。長い年月、民間より低い期末、つまり特別給を払ってきた。これは、人事院の責任きわめて重大です。総裁、これをどうお考えになりますか。国家公務員あるいは地方公務員というのはペテンに遭って、民間より低い期末手当しか長い年月もらってない。これはいかがですか。総裁に聞きたい。
  26. 茨木廣

    茨木説明員 民間の方はそれぞれ会社もいろいろな会社が入っておりますし、いわゆる三者ベースに相当しますようなものとしてはっきり対応できるような区分がむずかしい、不可能と言ってもいいぐらいの感じでございますが、そういうことでございますから、民調のときも全部の給与をつかまえて、そこから時間外勤務手当に相当するものだけ、これははっきりいたしますから、そこで給与台帳からそれを引いたものを引っ帳って持ってくるというやり方をやっておるわけでございます。  そこで、いまのこちらに持ってきます場合には、こちらの給与のあり方が、三者のほかにいろいろ諸手当を設けながら、地域の差とかあるいは勤務の状況の実態の差に基づいて給与を支給していくというふうに変形をしつつ運用をしておるわけでございます。でございますから、こちらの三者ベースを民間に持っていくというような操作ということはなかなか困難な次第でございまして、おっしゃるような点はございますと思いますが、民間の場合でも全国的に展開している会社もございますけれども公務員ほどいろいろな条件のところに展開しているということはございますまいと思います。  そういうことで、やはり比較的同質的な、公務員よりも同質的な層の者にその会社でいろいろな根拠で、算定方法はいろいろあると思いますが、そういうことで特別給として出しているものをずばっと、出し方を問わずつかまえてきて、そして持ってくるものですから、そういう意味の、総体的な意味月数で持ってくる以外になかなか技術的にできがたいという点がありまして、従来ともこういう点はときどき話題にものっておりましたけれども、そういうことで来ておるわけでございます。
  27. 大出俊

    大出委員 そんな答弁では公務員を説得できはしないじゃないですか。通勤手当をもらってない人はいないんだから、民間だって官庁だって。そうでしょう。公務員だってみんな通勤手当をもらっているじゃないですか。そうでしょう。民間だって、会社が支給するとか官庁が支給するとかいうことは別問題、手当に違いない。  そうすると、民間の場合に、通勤手当だけで三千七百八十円、この持別給に入っている。紛れもなくそれだけ落ちている。国実公務員だって地方公務員だってみんな通勤手当を民間と同じようにもらっている。それが入ってなければ、それだけ間違いなく落ちている。それならば、俸給月額あるいは扶養手当、調整手当になぜこの通勤手当を入れないのですか。住居手当だって、さんざっぱら前総裁のときに私も苦心しましたが、ついに制度化されたんだから。民間の場合に住居手当が九百九十二円入っている。なぜこれを入れないのですか。民間に寒冷地手当を入れるんなら、なぜ一体公務員の寒冷地手当を入れないのです。民間の場合千七百四円も入っている。  細かいことは別として、住居手当、通勤手当、寒冷地手当だけ、これだけ三つながめてみたって五千円ばかりおっこっちゃっている。そうでしょう。方法がないなんと言ったって、三者ベースでやるというのは人事院が決めているんじゃないですか。われわれが決めたんじゃない。あなた方が勝手に決めたんだ、独断で。だから、あなた方が決めたんだから、あなた方が通勤手当を入れましょう、住居手当を入れましょう、寒冷地手当を入れましょうと言えば、ちゃんと五千円ばかりふえる。何で三者ベースでなければいけないのですか。どこの事業所を調べてみても、職種を調べてみても全部が入って、実際に実施されているから、比較ベースの中で所定内という形で出てくるのですよ。なぜ一体公務員は、それならば所定内じゃいけないのですか。いけなければ、所定内にしたらこうなるという具体的な数字を出してください。そうでなければ、どこから計算したって、公務員というのは通勤手当も特別給の計算の基礎に入れてくれない、住居手当も入れてくれない、寒冷地手当も入れてくれない、そのために五千円もおっこっている。長年それだけ低いものをもらってきていることになる。冷厳な事実ですよ。あなた方が比較ベースのとり方について方法がないとおっしゃることがわからぬわけではない。なければ、その民間比較ベースのとり方に逆に公務員の方を合わせればいいじゃないですか、この三者ベースでなくて。住居手当を入れる、通勤手当を入れる、寒冷地手当を入れる、入れていいじゃないですか。あなた方が決めたんじゃないですか、それは。
  28. 茨木廣

    茨木説明員 御意見はわからぬわけではございませんが、いまのところ、扶養手当でございますと、平均でいきますと大体奥さんに子供さんが一生のうちには二人ぐらいというのが一番平均でございます。そういうことで、やや、三十年間なり二十年間を通して見ますと、公平に運用される面があるという点がございます。それから調整手当は、これは一種の地域給でございまして、だからその地域の本来の基本給を一本の俸給表で動かしているものでございますから、その変形でございます。  そこで、そうなってまいりますと、大体ある地域に一律にということで均衡をとった形でおろしていけるわけでございますが、住居手当、通勤手当というようなことになりますと、それぞれ非常に個人的な事情が入ってまいりまして、遠くから通ってくる方は通勤手当がよけい要る、それに比例して期末勤勉手当をよけいに出すということもおかしなことになるものでございますから、そういう意味で、住居手当なり通勤手当を計算の対象にして、それに応じて期末勤勉手当を出しているということをやはりやっていないのだろう。その辺がやはり小さな地域にかたまって同質的におります民間の場合とやや違いますが、民間の場合には、恐らくそれを基礎には算定をしていないのだろうと思います、その特別給を出すときには。そんなことで、一番基礎的に、普遍的になりますものを基礎に入れまして、そうでないものを基礎に入れないというやり方で従来ずっと来たものであると思います。  これは大変おしかりでございましたが、人事院だけが勝手にやっているわけでございませんで、これは国会の御了承も得た形でこういう姿で決まっておるわけでございます。
  29. 大出俊

    大出委員 国会の御了承を得た姿で決まっていると言ったって、人事院が決めて出してきて、国会で修正なんかしたことは、私の時代に二百円ばかり動かしたことがありましたけれども、そんなことはいままでできたためしはないのだ。あなた方がそういう言い逃れはいけませんですよ、人事院が出したものは完全実施ということになっているのだから。そうでしょう。だから先生——どうも主任手当なんというものは、あんな法律廃案にしてしまいたいけれども人事院勧告なんだからと思うから継続審議しているんじゃないですか、ぼくらは。そうでしょう。尊重の義務をおのおの感じているからですよ、政府だって、国会だって。そうでなければ人事院存在価値がなくなるじゃないですか。だから人事院が三者ベースでなくて、通勤手当を入れる、住宅手当を入れる、寒冷地手当を入れる、民間がそうなっているのだからといってお出しになれば、人事院勧告したものは尊重しますよ、そんなことは。そういう言い逃れはいけませんよ、茨木さん、あなたは。そうでしょう。あなた方は理由がないじゃないですか。いまの説明は一生懸命言い逃れようと思っているだけのことで、そんなものはだれが見ても明らかじゃないですか。いままで落ちることがなかったから黙っていただけのこと。落とすと言われれば、それは、人事院は何をやっているのだ、ふざけるなと言わざるを得ぬじゃないですか。こんなべらぼうな話があるかと言わなければならないじゃないですか。  民間企業というのはその周辺にまとまっている——冗談言っちゃいけませんよ。いま住宅事情は悪いのだから、どんどん通勤距離というのは延びているのは天下周知の事実じゃないですか。民間なんて最近は特にそうだ。そんな安い土地を買おうと思えば、とんでもないところに行かなければ買えないのだ。公務員だけが二時間もかかって通っているのじゃないのですよ。そうでしょう。民間だって一緒でしょう、そんなことは。通勤手当をもらっているのは公務員だけじゃない、民間だけじゃない。両方もらっている。それなら、それがはね返って、事もあろうに三千七百八十円も民間特別給には入っている。何で一銭も認めないのですか、それじゃ。公務員の居住分布、通勤距離、民間の居住分布、通勤距離、それを比較して、それは民間の方がいま言うように短いというなら、短い比率を出して、じゃ、この三分の二認めるとか、何とかしなければ筋が通らぬじゃないですか。当然のことじゃないですか。住居手当だってそうですよ。民間の人たちだけが住宅借りて、手当を払って、家賃払って住んでるんじゃないんだ。公務員だってちゃんと家賃払って住んでる。公務員には公務員住宅があると言うのなら、民間だって社宅があるのです。その比率が違って公務員の方が優遇されていると言うのなら、その比率に応じて何分の幾つ入れるということにすればいいじゃないですか。寒冷地手当だって、職員分布の状況が違うと言うのなら違うで、本当にあなた方調べて違うんならば、違う比率に応じた入れ方をすればいいじゃないですか。それでなければ公平の原則は保てないじゃないですか。官民比較が原則なんでしょう。官民比較が原則なら、官民比較民間の方に入っていて公務員に入っていないというのは不合理じゃないですか。それじゃ、これは官民比較じゃないじゃないですか。人事院方式というものは、民間事業所を七千事業所調べて官民比較で決めることになっている。それなら官民比較の面で民間に入ってるものを何で公務員に入れない。景気が悪いということになると、途端に公務員のやつは減らそうとする。景気がいいときに民間は左うちわで喜んでいても、同級生集まって口もきけないような安月給もらっていても文句は言えない。そういうやり方を人事院がお考えになるなら人事院存在価値が疑わしくなる。あなた方に正当な答弁がないじゃないですか。何を言っているのかさっぱりわからない。みんな、だろうとかそんなことになっていたん、だろうと思う、旧来そういうことで決めたんだろうと思うとかなんとか……。  そこで、この民間公務員特別給の中身の違い、公務員の、つまり期末手当なり勤勉手当の中身というのは、さっきから話が出てる三者がベースだと言われるように、基本賃金、基本給、俸給月額であるとか調整手当であるとか扶養手当であるとか、それを、人は一生に大体子供が二人ぐらい自然にできるなんてなことをあなたは言っているけれども、これは答弁にならぬ。  そうすると、四十六年、四十七年、四十八年、四十九年、五十年という数字があるけれども、いまの民間特別給比較ベース、この中には通勤手当も住居手当も寒冷地手当もみんな入っている。これが公務員には入っていないのだから、そういう面で比較をすると、つまり民間は所定内給与で計算をされているが公務員は基本給で計算をされているから、所定内給与に占める基本給の割合を出すと、つまり通勤手当や寒冷地手当や住居手当のはね返りは入っていないのだから、そうすると、所定内給与で基本給を割ると、四十六年で九五・七七%、つまり所定内給与を一〇〇とすると基本給はその九五・七七。四十七年は九五・八四、四十八年は九五・七〇、四十九年は九五・八八、五十年は九五・四九になる。これは人事院が規定をしている民間調査比較ベース人事院資料を出しているんだから、それが所定内給与だから、三者ベースと言われる基本給を割ってみるといまの数字になる。つまり一〇〇にならない。あたりまえだ。通勤手当なんかはね返っていないのだから。  ということになると、月数の方も、四十六年が四・八カ月、四十七年が四・八カ月、四十八年が四・八カ月、四十九年が五・二カ月、五十年が五・二カ月と公務員の期末勤勉手当が決まっているけれども、所定内給与民調比較ベース、中身が違うのだから、これを一〇〇として計算をしてさっき申し上げた比較になる、それだけ低いんだから。これを、さっき申し上げた比率を月数に掛けると、四十六年、四・八七カ月ということに民間がなっているからというので公務員も四・八カ月にしたのだが、実際には四・六カ月分しかもらっていないことになる。通勤手当、住居手当、寒冷地手当その他の手当が入っていないから。四十七年には四・八のはずのものがこれまた四・六。四十八年には四・八カ月と表街道で言うけれども、実際には四・五九カ月分しかもらっていない。四十九年には五・二カ月になったけれども民間に比べれば四・九九カ月分しかもらっていない。五十年に同じ五・二カ月分というけれども、実際には皆さん民調比較ベースからいけば四・九七カ月分しかもらっていないことになる。つまり、四十六年は〇・二七カ月分民間より少ないことになる。四十七年は〇・二二カ月分民間より少ないことになる。四十八年は〇・二一、四十九年も〇・二一、五十年で〇・三一カ月分民間より少なく公務員特別給をもらっていることになる。  にもかかわらず、今回、人事院調査結論も出ていないというのに、労働省の毎勤から、あるいは労働省特別調査である資本金二十億、千人以上、労働組合のあるもの二百七十一社の調査に基づいて、落ちているからだからゼロから〇・六まで期末手当が切れますよというようなことを口走るとは一体何事だということになる。いかがですか、ここのところ。
  30. 茨木廣

    茨木説明員 いま言ったような計算に基づきますと、大出先生がおっしゃったような数字になると思いますが、しかし公務員の場合の期末勤勉手当の考え方がやはり相当相違がございまして、民間のいろいろ季節変動等のありますものをこちらに持ってくるということで、従来ともそういうようなおおらかな持っていき方をしておったわけでございます。いま言ったようなものを逆算して考えていきますと、そういうような損をしておったではないかという見方も、ぎりぎりの見方としては出てくるわけでございますが、その辺になりますと、どうも一つは、公務員の場合には、先ほども申し上げましたように、配分のところでやはりやや一律的な配分をしておるという問題点もございまして、その辺も含めておおらかにこの期末勤勉手当というものは持ってきて運用しているというふうにお考えおきいただかないといかぬではないか。その辺が、もしそこまでぎりぎり持ってくるということになりますと、やはり大変いろいろな問題が絡んでまいるのじゃなかろうかという気がいたします。  一つの見解としては、いまの大出さんのような見方もあるとは思いますけれども、そういうことで従来も折に触れて論議をされましたけれども、そこまで民間とぎりぎりに合わせていかなければいかぬかというような問題が配分との関係でも出てまいるので、そういう現在のような三者ベースに掛けていく、大体一律的に、等級にかかわらず全部について似たようなものを出していく、こういうような感じに大体持ってきておったというのが経緯でございます。
  31. 大出俊

    大出委員 いまの答弁の中に、給与の実情が違うというようなことを前提にして、確かに数字を挙げて言えば私が言ったようなことになるけれども給与の形が違う、したがって従来おおらかな出し方になっている——おおらかじゃ困るのですよ。おおらかに比較されちゃたまったものではない、事生活にかかわる給与なんだから。官民比較と言う限りは、正しく比較してくれなければ困りますよ。一律配分的な性格がと言うけれども民間だってその性格は一貫して今日まで流れてきている、団体交渉で決めるのだから。  それじゃ承りたいのだが、おおらかな出し方というのは、何がおおらかなんですか。具体的にひとつ資料を出してください。こういうわけでおおらかだったのだと、ちゃんと出してください。民間性格が違うと言うなら、どういうわけでどこが性格の違いなのか、出してください。それから、民間と違って公務員は一律配分的なと言うのだが、中位数をとっつかまえて突き合わしてあなた方調べてきているのだから、どこがどの程度どう違うのですか。配分の仕方が違うのだったらそれも資料を出してください。いろいろな問題が絡むと言うのだけれども、どんな問題が具体的に絡むのか。いろいろとおっしゃっているのだから、いろいろの中身を出してください。そうしなければわからぬじゃないですか。委員長、言ってくださいよ。
  32. 茨木廣

    茨木説明員 これはことしの調査ではやっておりませんけれども、過去にやったこともございますが、民間の出し方は、一応勤続年数でございますか、そういうようなものが相当組み合わさった出方をしているのではないかという気がいたします。ですから、入社いたしましてから年数が余りだってない方は、いまのような公務員の平均月数も出てないという問題がございますし、逆に相当、二、三十年になった方になりますと、六、七カ月も出ているというような調査も過去にございました。そういう意味で、こちらの方は若干差がございますけれども、やや均一的に出しておるというのが実態でございます。一番大きな違いはその点だろうと思います。その点が一つ。  それからもう一つは、その際にもいろいろ議論がございまして、向こうはそれぞれの営業成績がやはり反映してきて、その年その年の変動が非常に激しいわけですけれども、こちらは一年おくれでつかまえてまいりますから、年間平均で一年おくれで持ってくるという点がございます。そこは前期が悪くても後期がよかったり、反対の場合もあります。そんなところで、年によっては半期ごとに大変そういう意味の変動があり得るわけでございます。その辺は一年で持ってきていますから、即応しまして急速に変形をするということはこちらの方はいかないというようなこともございます。  そういう意味で、やはり民間に比べますと、前期後期にしましても、これはならされておりますし、それから年三回に分けてこちらの方は支給されておるというような点もございますし、そういうような点がいろいろ違いがあるんだろうと思います。
  33. 大出俊

    大出委員 そんな抽象的な話じゃわからぬですから、次の委員会をさっきの理事会で今月の末にというふうに決めましたから、それまでに私がいま指摘しました問題を具体的に資料として出してください。要求をいたします。  それからいまの点、民間の場合には営業成績が反映をする、こういう言い方。そんなことはいまさら始まったことじゃない。民間は景気がよければいっぱい出すわけだから、公務員幾ら景気がよくたって黙って指をくわえて見ている。そこで、佐藤総裁に私はいままでこの点は何遍も質問をしてきている。私の議事録だけ集めてみたら、これだけある。これは全部違う国会だよ。こんなにある。赤線が引っ張ってあるところはみんなこの質問、やりとり。こんなにたくさんある。一貫して人事院が言っていることは、ばかの一つ覚えで、同じことしか言わない。何を言っているのかと言えば、公務員は法定主義だ、法律で決めると言う。法律で決めてあるものを、決めちゃって減らすというわけにいかないと言うのです。この資料の後ろにも私の議事録の抜粋が載っているけれども、これは四十八年八月二十八日、七十一国会の私の質問に対する佐藤達夫前総裁答弁公務員というのは法定主義で、法律で決めることになっている。法律で決めることになっているから、一遍法律で決めて〇・一なら〇・一上げたものを、景気が悪いからといってすぐ引きおろすというわけにいかないと言う。だから官民比較の面で民間が高く出ても切り拾てている。この点はそういうことで法定主義で、法律で一遍決めたらマイナスといって落すわけにいかない。だから、ちょっと民間が高いからといったってその分上乗せしないで来ているんだ。そのかわり、悪いときには簡単に下げることはできない、法律なんだから。だから御了解くださいという、一貫してその答弁だ。いま何ですか一体。きれいごとを何年となく答えてきて——この質問が七国会もある。一貫して答えてきて、さっきの話のように、労働省の毎勤がおこっている、こう言う。それから特別調査幾らかおこった。おこったら途端に、まだ人事院調査結果も出てないというのに、給与局次長自治省の招集した人事委員会の集まりにのこのこ出かけていって、やれ零コンマおっこちるとかなんとか……。法律で決めたものは景気の変動があったからといって落とせないんだ。だから民間が多くて、官民比較民間が上になっても認めない、これは御了解いただけると思う、悪いときに減らすんじゃないんだからと言う。そうさんざっぱら答えておいて、今回初めて——歴史的にないんだ、これは一遍も。初めて労働省の二つの調査で落ちたのをながめてみて、人事院結論も出てないというのに、先走って口をきいて、すでにもう落とすことを決めたかのごとき口っぷりで物を言っているのは一体どういうわけでしょう。営業成績が反映する、景気がよければいっぱい出すわけですよ。そのときに公務員はほんとふえるんじゃないんだ。そこのところは一体どう考えているのですか。
  34. 藤井貞夫

    藤井説明員 先刻来いろいろ承っておるわけでございますが、この特別給の取り扱いの問題というのはいろいろむずかしい点もございます。ただ、大出委員も御指摘になりましたように、従来は一貫して若干ずつでも上がってまいりました。下げるということをいたしておりません。そういうことから、いま給与局長が申しましたが、言葉は適当かどうか知りませんが、いわば若干ほかの給与制度と違っておおらかなと申しますか、そういう要素はあったかと思います。  それと、いま大出先生の御発言で、われわれの方の誤解を与えた点については遺憾に思っておりますけれども、その前提でどうも人事院が減らしにかかっている、そういまの段階で思われますと、これははなはだ遺憾千万であると思います。あくまでわれわれは民調の結果というものの出ぐあいによって判断をするということでございますので、その点はひとつはっきりとここで申し上げておきたいと存じます。  その場合に、たとえばいまお話しになりました民間特別給の基礎になっておるものとこちらとの相違の問題、これの比較、技術的には大変むずかしい問題がございます。局長からも申し上げましたように、三者ベースというのはそれ相当の理由がございましていままでも来ておるんだと思います。しかし、これが仮に何らかの変更、しかも公務員に不利な変更を来すということになりますれば、そういう点がやはり問題として上ってくるだろう。また、過去においてまあまあ民間特別給というのは好不況ということに影響されることでもあるけれども、しかし公務員の場合は、若干減ったらそれに応じてすぐにその分だけ減らすという趣旨のものでもあるまいというようなこともございましたので、そういうことでやってきて大して問題はなかったと思うのですけれども、しかし、仮に非常にむずかしい事態が出てくるということになりますれば、いまの三者ベースの問題であるとか、あるいは過去における切り捨ての問題であるとか、そういう点も私たちとしても完全に無視して、それはそれだ、従来ベースだということでそのままに素通りするというわけにはまいらないと私は思います。したがって、それらの点は、御発言のございましたことを腹に入れますし、われわれ自身も問題意識としては持っております。あくまで給与の実態調査の結果待ちということで、その結果に応じて適正な判断を下したい、こういうふうに思っておりますので、ひとつ御了解を賜りたいと思います。
  35. 大出俊

    大出委員 総裁が過去の経緯をお踏まえになっての前向きの御答弁をされましたので、私は、いまこの時点でこの問題を深く議論することには、きょう理事会でも私ちょっと触れましたけれども、いささか早いのではないかという気が実はしたのですけれども、たまたま冒頭に申し上げたように、角野さんも私も個人的には仲よくしていますから、私も余りぎゃあぎゃあ言いたくないけれども、与える影響もこれあり、黙っておるわけにまいらぬという気がして、実は休会中の委員会をお開きをいただきたいという申し入れも私がいたしましたし、先ほど取り上げて物を申し上げたというわけなんですよ。  そこで私は、非常に旧来からあるときには佐藤総裁をつかまえて訴えるぞとまで言ったことがあるのですが、ここにあるこの資料というのは昭和二十七年からなんですね。人事院は二十三年にできましたがね。六千三百七十円ベースだとかいろいろありまして、当時私は官公労事務局長ですから、このときからのおつき合いなんだけれども、この期末手当、臨時手当、年末手当というふうなもの、これを勤勉手当創設という形で形を変えたのが昭和二十七年なんですよ。したがって、この勤勉手当の新設という形で形を変えたここから実は皆さんがおやりになってきた官民比較をとってみた。だから三十七年で十年、四十七年で二十年、二十四年間実はここにある。この中で、一遍だけ官民比較公務員がプラスになったことがあります。これは昭和三十一年です。このときはここに書いてありますが、民間は二・二九月分であった。公務員が二・二五月分であったのですね。二・二九と二・二五。ところが、このときに三公社五現との関係で、三公社五現から三月に特別手当を〇・一五カ月分出す。つまりこれは年度末手当ですね。これが出てきまして、このときに人事院が三月の期末手当〇・一五の勧告をしたのですよ。したがってこのときだけ逆になった。後は一貫して公務員の方が民間よりも低い。御参考までに申し上げておきますが、二十八年に〇・〇四民間が高いという数字が出てこれを切り捨てた。三十年は〇・〇一民間が高い。三十二年が〇・〇二民間が高い。三十三年が〇・〇七、三十四年が〇・〇一、三十五年のごときは民間が 〇・一九高いという数字が出ているのですね。それでもこれに手をつけなかった。切り捨てた。三十六年が〇・〇八、三十七年が〇・〇二、三十八年が〇・〇四、三十九年が〇・〇六、四十年が〇・〇三、四十一年がゼロでした。ちょうどこのときは、民間が四・三カ月分で公務員と一致したという実は人事院調査結果なんです。四十二年が〇・〇一、四十三年が〇・〇四、四十四年が〇・〇八、このときなんかずいぶん議論をしたのですが、何で〇・〇八になっているのに切るんだと言って。いままで損をしているのだから、ここで切り上げて〇・一にしろと言って大分私がやったことがある。四十五年が〇・〇九、四十六年が〇・〇七、四十七年が〇・〇二、四十八年が〇・〇六、四十九年が〇・〇八、五十年が〇・〇八、これを集計しますと、合計一・一カ月分になるんですよ。つまり一・一カ月分切り捨ててきてしまっているわけですね、今日まで。法定主義だから法律上上げてしまえば、不況だからと言ってにわかに下げるわけにまいらない。つまり、不況になったときに切り下げないという保証なんですよね、歴代の総裁答弁というのは。だから、本来なら一・一カ月分今日の期末手当はふえていなければならぬ。五・二カ月分は六・三カ月分ぐらいになっていなければいかぬ。それを全部切り捨てて今日に至っているわけですから。そのつどの答弁が、さっき私が七国会ばかりの私の質問の議事録を集めてみたのですが、延々とそのつど私ども聞いているわけですね、公務員皆さんに気の毒ではないかということで。ですから、いま総裁がお答えになりましたが、こういう過去の経緯があることを確かに十二分に踏まえなければ、この時代に官庁にお勤めの人は、まだ勤めている人は山ほどいるのですから。戦後二つの時期に集中的に官庁に入った時期がある。大きな山がありますが、みんな長い年月損をしてきているわけですから、だからそこのところは十分にこれは歴史を踏まえていただかぬと困る、こう思いますので、これは給与局長に承っておきたいのですが、つまりこういう長い歴史があったことを、総裁のさっきの答弁ございましたが、給与局長の側も実際にこの民調結論に基づくいろいろな作業をなさいますので、これはどういうふうに踏まえるべきかということを一言聞いておきたいのです。いかがです。
  36. 茨木廣

    茨木説明員 いままでの経緯国会経緯等についても、私どもといたしましては、いまそれぞれ吟味の資料として検討をいたしております。過去の全部切り捨てたものを累計いたしますとこうなりますのは、私どももこういう計算はしてみてます。みてますけれども、それをすぐ取り上げることがどうかということも大変これはむずかしい問題でございますので、せっかくいろいろ吟味しておる最中ということで御勘弁いただきたいと思います。
  37. 大出俊

    大出委員 さっき給与局長がいろいろ挙げた理由というのは、これは大変抽象的なんですが、挙げっ放しでこのままになってしまいますと、またどうも後でろくでもないことを茨木さん、あなた言い出されるから、念のために具体的に出していただいて、必要なら私の方もしかるべき給与の専門家等集めまして、これは時間をかけてじっくりひとつ、人事院調査諸表まで出さざるを得ぬぐらいのことを言わなければならぬところまで調べたいので、抽象的に言われたって検討しようがないのだから、ぜひこれは具体的に出していただきたい。
  38. 茨木廣

    茨木説明員 よほど前の資料でございますので、探しまして、それでは大出先生のところに説明に伺います。
  39. 大出俊

    大出委員 それから期末手当は、総裁の先ほどの答弁で、いままで落とすということがなかった。したがって、この問題についていろいろな議論が行われずに来ている。だけれども、さて民調の結果としてその問題がまないたに上るようになれば、過去の民調の中で、民間より公務員が低くて切ってきておるという歴史もあるし、あるいは三者ベースと言われるものと人事院比較ベースとしてとっておられるものとの中身の相違という問題も出てくるし、そこらのところをどうするかということを当然爼上に上せなければならないことになる、こういう趣旨なんで、したがって、いまの時期に減らしにかかっていると思われることは遺憾千万である、あくまで民調比較結果を見て、さっき申されたようなことで考えていきたい、こういうことですから、そういうふうに受けとめまして、いまの期末手当問題については、以上の点だけにしたいと思うのであります。  次に、時間もございませんから、能率的に何点か承っていきたいのでありますけれども、本格賃金そのものについての集計その他が終わるのは大体いつごろであり、そうして勧告をなさる時期はいつごろなのか。臨時国会の想定日程等もございまして、そういう意味では間に合うか間に合わぬかという問題も考えなければなりません。いまのところロッキード問題もございますので、八月末なんてことを言われておりますけれども、いずれにしても勧告が出ましてから、これは総務長官との絡みが出てまいりますが、法案を作成して国会にお出しになる時間というタイムラグもございましょう。そういう意味を含めて、いままで、先般私が承ったときには、八月の中旬という総裁答弁でしたが、その後の推移を見ておりますと、八月の七日ごろあるいは八月の上旬というような話もちらほら耳にするわけでありまして、それは恐らく臨時国会その他の動きというものも横目でにらんでの御発言ではないかという気もするわけでありますが、そこらのところどうなのか、その二点ひとつ承りたいです。
  40. 藤井貞夫

    藤井説明員 資料につきましては目下鋭意集計中でございまして、そのうちぼつぼつ結果が出てまいる段階に参っております。私たちは例年どおりそれとの見合いのもとにいろいろ問題点を論議をして、結果が出てきたらそれを具体的に取り組んで形を整えるというふうなことで、目下作業を連日やっておる次第でございます。  ところで、この作業の進みぐあいでございますけれども、大体われわれといたしましては例年のペースということでございます。御承知のようにおととしはああいう情勢でございましたけれども、去年は大体もとに戻って、たしか十三日ということであったと思いますが、そこらの点を頭に入れつつ、なるべくはそれよりも早目にということで作業は進めさせておるのでございます。したがいまして、いまお話がございましたが、まだいまのところ無論何日というようなことは申し上げる段階じゃございません。ございませんが、去年より遅くならないようにということを目途に作業を進めておるということでございます。
  41. 大出俊

    大出委員 そうしますと、人事院のいつも勧告なさる曜日といいますか、これはいろいろ手都合が、閣議等の関係もあってお考えになるわけですから、十三日を早めるといういまお話なんで、そうなるとこれは前の週ということになる。つまり八月の上旬ということになるのですが、そのぐらいの見当だというふうに私どもの方は考えてよろしゅうございますか。
  42. 藤井貞夫

    藤井説明員 いまのところは、勧告自体は御承知のように国会並びに内閣に対していたすものでございますので、そちらの方の受け取る側の御都合もございます。したがって、現在のところこれを具体的に申し上げる段階にはまだ至っておりません。作業がまだ最終の詰めに入る段階にもございませんので、まだそこまで行っておりません。しかし大ざっぱなところを言って、十三日よりも少し早目にということになればどうかというと、そういう想像と申しますか大体の見当というところは御了解がいただけるのではないかということでございます。それに大きなずれはないのではないかという感じがいたしておりますが、まだ今日の段階ではいつということはひとつ差し控えさせていただきます。
  43. 大出俊

    大出委員 八月の十三日というのを、とにかく臨時国会その他のこともある、いろいろなことをお考えでしょうけれども、少し早める、こういう方針でいまのところは進めておる、こういうわけですね。  そこで、賃金そのもの勧告のベースになりましょうけれども、中身ですが、これはさっきは茨木さん毎勤を例におとりになったわけでありますが、本格賃金の方も毎勤をおとりになりますか。これはあなた特別金だけ毎勤をおとりになって勝手に物を言っておいて、今度は本格賃金の方は毎勤をとらぬというならこれは異議がありますよ。いかがでございますか。毎勤をおとりになりますか、ここにありますけれども
  44. 茨木廣

    茨木説明員 十分おわかりになってお聞きになっていらっしゃると思いますが、もちろん本体の方は、特別金もそうでございますが、民調によってやるわけでございます。ただ先ほどの期末手当の引き下げの問題は突然どうこうというわけにいかぬ大変な重要な問題でございますのでと申し上げたわけでございまして、大変異例なことでございます。
  45. 大出俊

    大出委員 そういうのはあなた、御都合主義と言うのだ。毎勤を見てごらんなさいよ。どういうぐあいか知りませんけれども、どうもこれは公労協、公労委とフィットするんじゃないですか。春季賃上げ状況の推移というのがございますね。これは労働省に承りたいのですが、さっきの期末も含めて、労働省調査の結果、ことしの春闘ベースその他を含めてどんなふうなことになっているのですか、労働省皆さんの計算は。ちょっと聞かせていただきたいのですが。
  46. 元井久夫

    ○元井説明員 先ほどちょっと出ました東証それから大証上場の二十億、一千名従業員組合調査でございますけれども、これによりますと、ことしの春闘の結果は八・八%だと思います。金額では一万一千五百九十六円。
  47. 大出俊

    大出委員 八・八ですね。これは単純平均ですか。
  48. 元井久夫

    ○元井説明員 単純平均でございます。
  49. 大出俊

    大出委員 期末手当の方はさっき局長が答えたようなことですか。
  50. 元井久夫

    ○元井説明員 期末手当対象は一緒でございまして、昨年五十年の調査でございますと三十三万四千六百九十八円、これが前年と比較しますとマイナス五%ということになっております。
  51. 大出俊

    大出委員 六じゃないじゃないですか。五じゃないですか。給与局長一つサバ読んだ。五だという。五%なら〇・五でしょう。茨木さん〇・六だなんて言って、給与局長がそこら間違えては困るじゃないですか。少し皮肉を言っておかなくちゃ……。意図的だ。労働省が五%だというのをわざわざ六%だ。実際悪いですな、あなた。衛生上よくないですよ、そういうのは。  いまのお話で八・八だという。どうですか。毎勤で計算して定昇引き上げ率は幾らですか。茨木さんに承りたいのですが、公務員の方の定期昇給というのは比率にして幾らになりますか。
  52. 茨木廣

    茨木説明員 これは昨年も議論がございましたけれども、俸給表上でございますと三%ちょっと切れるぐらいだろうと思います。三者ベースに直しますと、去年答弁いたしましたように二・四六ぐらいの数字になるわけでございます。
  53. 大出俊

    大出委員 そこでもう一つ大きな問題がありますのは、この追跡調査ですな。これがどうも後追いだということであなた方はいつも逃げるんだけれども地方人事委員会の方というのはいつも人事院集計の後ずっと集計して、去年なんかは金融関係なんというのは悪くない。本年の場合なんかでも一〇%弱の数字が出ている。本年の場合でもだから公労協の時点よりもいいですね。ところがこういうものを追わないのですね。ちょっと触れておきますと、去年は本較差十三万九千九百四十円というのを一つの基礎にしまして一〇・八五の勧告をしたわけですね。このときの本較差部分というのは、大体事業所数等からいきまして、七千事業所のうちの四〇%ぐらいですね。それで追加較差、つまり本較差が去年は八・〇九%です。追加較差が二・七六%と、こうなっているのですね。本較差が四〇%ぐらい、追加較差がつまり積み残し事業所ということになりますね。これが四〇%程度。そこで、追加較差に入らなかった分、地方人事委員会のものなんかずっと集計していきますと、ここに数字がありますけれども、つまり八百事業所くらい追跡し得るものを追跡していないことになる。つまり、この四〇%の積み残し事業所のうちで、皆さんが追跡調査をやったのは二七・五%しかない。したがって、八百事業所くらい残っている。そうすると、どうも皆さんのをもう一遍整理をして言い直しますと、本較差八〇九%というものを算出した基礎は、事業所七千のうちの約四〇%、追加較差二・七六%をお出しになったのが七千の二七・五%、そうすると、追加較差に入らなかった分というのが相当な比率で残っている、二十何%か残っている、こういう結果になるのですね。だからこれを追加調査をすれば、一%くらい高い勧告が出ていいわけであります。この相関関係はあなた方どう見ているのか、念のために承っておきたいわけであります。
  54. 茨木廣

    茨木説明員 私どもの積み残しの調査は、調査に参りました時点で額は決まっておるけれども配分が決まらない等のことでまだ支払いが終わっていない、これが全部そのグループで、いまのおっしゃられました二七・五という去年数字に出してありますものでございます。そこで、あと残りました部分はどういうものかということになりますと、調査の締め切り日以後の六月十六日以降に金額が決まり、そして配分等が決まっているものもございましょうし、それから会社によりましては、春闘時期でなくてそれ以後の時期に決まるものもございます。全体の約二割ぐらいはそういうものだと私どもは見ております。秋とか、要するに違っている時期に改定していくというものがございますわけです。それらは翌年のところの調査に全部入ってまいるわけでございますが、そういうものが約二割。六月の調査締め切り日以後櫛比してあるいはお決まりになるもので、春の時期とみなしてもよさそうなものがその中間のものとして若干のものが出てくる。恐らく地方団体の方でそれを加えて数字を発表していらっしゃるものがあるやに聞いていますけれども、それはそういうものだろうと思います。で、こちらの国会が大体決まるころを見てから、向こう人事委員会勧告なりなんなりを出してまいるようで、大変おくれて出すものですから、それまでの間そういうことをやっていらっしゃるのではないかと思います。その場合には、理論的にいけば、地方団体の方はそこまで使ったものをつかまえて勧告をやっているとすれば、今度翌年にそれは本較差のところが少なく出るというふうに影響が及ぶはずだ、及ばなければまたおかしな話だというふうに私どもは見ております。
  55. 大出俊

    大出委員 これはいままで議論してきましたから余り私は深追いする気はないのですけれども、ここも去年のことは来年のことで考えれば、追跡調査を思い切って万全にやる。春闘の妥結状況は、終わりの方はことし案外早いですからね。そうすれば、これは民調でいくのですから、民間比較ですから、その意味では当然高くなってしかるべきものという気が私はするのです。しかし去年との関係でなんというようなことをいつも言うから、そういう余地があるということだけ指摘しておきたいわけであります。  そこで、労働省に承りたいのですけれども、公労協の裁定に基づく五十年度の内訳がここにございます。各三公五現の中身がございますが、定期昇給というのはどのくらいに見ておられますかね。
  56. 元井久夫

    ○元井説明員 ことしの仲裁裁定でございますと、これは公労委で推計しましたものでございますが、単純平均で二千八百二十九円。
  57. 大出俊

    大出委員 比率では。
  58. 元井久夫

    ○元井説明員 比率は出してありませんのでございます。
  59. 大出俊

    大出委員 出すとどうなりますか。
  60. 元井久夫

    ○元井説明員 出ておりませんので、数字を持っておりません。
  61. 大出俊

    大出委員 平均が出ておれば出るでしょう。そうでしょう。
  62. 元井久夫

    ○元井説明員 はい。
  63. 大出俊

    大出委員 私どもは大体二・三%くらいに見ているんですよ。私も公労協出身の一人ですけれども、全逓でございます。ことしは、いみじくも仲裁の八・八、毎勤の労働省調査の八・八、数字が一致しているわけですね。それできわめて単純に物を言いますけれども、定期昇給を差し引きますと、最低限度六・五%の数字が出なければおかしい、これは前回私は人事院総裁に申しました。だから聞きたいのですけれども、ここにあるのはいままでの仲裁裁定と人事院勧告民間のベースアップの三つの対比です。労働省数字も入っております。たまたま先ほど期末手当について給与局長労働省調査を盾におとりになった。無縁ではない。表街道でしきりに民調民調と言うけれども、かといって公労協を無視はできない、仲裁を無視できない。なぜならば、身分法上公務員であるという五現業の方々もいるわけだから。その姿がここに出てきているわけですね。この比較をしてみるとわかります。したがって、ことしあなた方は期末手当の落ちることばかり言っています。さっきも総裁の御答弁で、私はそれで当面前向きにお進みいただきたいということで了解することにいたしますけれども、やはり本格賃金の方だって触れなければ困る。一体どういう趨勢、どういう傾向に動いているというふうに現在の時点でお考えなんですか。妙なところで言わないで、担当の委員会なんですから、大体あなたは先ほどおおらかにと言ったんだから、おおらかでいいから、おおらかなところどのくらいになりますか。
  64. 茨木廣

    茨木説明員 おおらかにということでございますが、私らは全く民調の結果を持っておりません。だからそういう意味のおおらかな基本姿勢ということでございますれば、これは春闘の結果等が皆反映するわけでございますから、いまおっしゃったような数字の前後ということになるわけだろうと思います。
  65. 大出俊

    大出委員 ここに一つの新聞記事がございます。まあ新聞記者の方々皆さんがおおらかに言っているわけでしょうが、この記事からいきますと、民調をずっとおやりになってきたというわけですね。それで「先週までにその調査票をすべて回収した。」こう調べてきた。「この結果をもとに、人事院は今週から準備作業にはいるが、三公社五現業や民間の春闘動向から、ベースアップ分は六%台、それも六・五%より若干高めの線に落ち着きそうだ、との見方が強い。」こうなっている。となると七%見当ということになるわけですがね。いかがでございますか。あなた期末の方だけ言わないで、ちゃんと本格の方もおおらかに言わないといけないですよ。
  66. 茨木廣

    茨木説明員 これは記者クラブがございますから、それぞれどこにどう行って、どういうお話をお聞きになってお書きになったか、この前のような意味の公式会見の後の問題ではございませんのでわかりませんけれども、私どもとしましては、幾らくらいの数字というそういう確としたものはまだ全く持ってないというのが本当でございます。これはどなたからの感触をもとにしてお書きになったかわかりませんけれども、そういうような経緯でございまして、まだ相当の幅を持ったことしかとても言えない段階でございます。
  67. 大出俊

    大出委員 まあ民間、公労協というものとそう変わらぬということをあなたいまおっしゃっていましたから、六・五%前後と言うんですけれどもね。それで民間、公労協、これは念のために申し上げますと、四十年から五十一年まであるわけですけれども、四十年、民間が一〇・六%なんですね。公労協が六・二五なんですね。これは定昇を引いております。それで人事院が、公労協の六・二五に対して定昇を差し引きまして七・二なんです。公労協より高い。四十一年が民間が一〇・六、公労協が六・五、人事院が六・九。ここでも高い。四十二年が民間が一二・五、公労協が七・二七、これに対して人事院は七・九と出ているのですね。四十三年は民間が一三・六、これに対して公労協が七・九三、人事院が八・〇、ここでも高い。四十四年は民間が一五・八、公労協が一〇・一、人事院が一〇・二、ここでも高い。四十五年は民間が一八・五、これに対して公労協が一二・五一、人事院が一二・六七、これも高い。四十六年は民間が一六・九、公労協が一一・六八、人事院は一一・七四とここでも高い。四十七年は民間が一五・三、公労協が一〇・六、これに対して人事院は一〇・六八、ここでも高い。四十八年は民間が二〇・一、公労協が一四・七四、人事院勧告が一五・三九とここでも高い。四十九年は民間が三二・九、公労協が二六・七一、これに対して人事院が一九・六四という数字、これは史上最高の勧告であります。五十年はさっきお話がありましたが、民間が一三・一、これに対して公労協が一一・七八、これに対して人事院が一〇・八五と、ここで前年度の関連で、公労協各単産が仲裁委員会にねじ込んだりなんかしまして、このときに総合較差云々と言っていたものを行一、行二ベースに引き直した、逆較差がどうのこうのと言った時期です。ここに実は問題があるのです。当時私は議論しました。だから本来ならこの五十年だけなんですよ、公労協が一一・七八に対して人事院が一〇・八五という数字になったのは。初めて公労委が人事院を上回った。ならば五十一年度は当然、詳細に調べてみまして、大体五十一年の公労協というのは、労働省の元井さんがおいでになるからここのところはあれでしょうけれども、整数を当たってみると六・四九ぐらいになると私は思うのです。そうすると、去年のこともこれあり、ことしの人事院勧告は七%ぐらいのものにならなければつじつまが合わない。中身を詳しく申し上げることは差し控えますけれども。時間がありませんから細かく中身の数字は申しませんが、私は全部の傾向をいままで申し上げた。全部人事院は基礎は民調なんですよ。だが中身を見てみれば、いま例を挙げたとおりはっきりしている。だから元井さんに承っておきたいのですが、定昇引きで言えばことしの公労協というのは六・四九ぐらいになるだろうと私は思う。念のために元井さん、ちょっと答えてくれませんか。
  68. 元井久夫

    ○元井説明員 いまちょっと教字を持っておりませんので申しわけありませんけれども……。
  69. 大出俊

    大出委員 それじゃひとつ人事院の方で、こういう趨勢になるということをいま例に挙げたわけですから、これはもうお出しになってきた現実なんだから、七%ぐらいにならなければおかしいという気持を私は持っていますが、念のために今日までの公労協と仲裁委員会人事院勧告との関係というものを、先ほどの総裁の御答弁じゃありませんけれども、あれは期末手当の方の御答弁ですが、そういう歴史的事実を踏まえて結論が出されるべきものである、こう私は思うのですが、いかがでございますか。
  70. 茨木廣

    茨木説明員 いままでの過去の数字関係はいまおっしゃられたとおりでございますが、先ほども指摘されましたように四十九年のとき比較方式を変えておりますので、四十九年、五十年というようなものは相互の間で動かしておりますから大変変動がございました。恐らく五十一年あたりに正常な関係が出てくるのかなとは思いますけれども。そういうことで比較方式が相当変わっておりますので、四十一年から四十八年までの関係というようなものがそのまま反映するとは私は考えておりません。これが一点。  それからもう一つ。ことしの五十一年の問題といたしましては、公労協さんがお決めになるときには私鉄等大手筋の動向を踏まえてやっていらっしゃるわけでございます。ことしもその辺の相場が金額で出ましたような感じでほかの企業にずっと影響を及ぼしていたのだろうという気はいたしておりますが、それらの結果が今度どう出てきますかということになりますと、大手筋のとおりには、どうも必ずしも出るかどうかというのはこれは全く保証がないわけでございまして、その辺にやはり従来の傾向と違ったものが、あるいはというような意味の撹乱要因がないかどうかということについては、ここでどうもまだ自信を持ってお答えできませんような次第でございます。その辺の幅をやはり持たざるを得ないというのが現段階でございます。
  71. 大出俊

    大出委員 そうすると、それが一つの幅としてあなた方の頭にあるから、さっきあなたが六・五%前後という言い方をされましたが、おおらかに言ってくれと言ったらあなたはそう言ったんだけれども、そういうことになるという理由ですか。
  72. 茨木廣

    茨木説明員 その点が一点と、それから十分御案内のように、出し方そのものがもう基本的に違っておるわけでございます。その四月の時点の高さで。向こうの高さとの比較でございますから、先ほど問題になりましたような昨年の六月以降の民間のアップがあればそれがプラス要素に出てくるでしょうし、こちらの方の級別定数とかその他の問題が非常に多く出ておればマイナス要素に出てきましょうし、その辺の全部差し引きでございますものですから、その点の二点がやはり問題としてございますことを御承知いただきたいと思います。
  73. 大出俊

    大出委員 きょうのところは不明要素もございます。私の方はさっき申し上げた歴年の人事院勧告、公労委仲裁裁定の比較を申し上げまして七%台ぐらいにならなければおかしいということを指摘だけしておきたいと思います。  次に、人事院の側にまず承りたいのです。時間がありませんので簡単明快な御回答をいただきたいのですけれども、週休二日制の試行という問題ですね。この時点まで来て総裁は一体どう考えておられるか、この点をずばりひとつお答えいただきたいと思います。
  74. 藤井貞夫

    藤井説明員 過去の経緯は詳しく御承知でございますからここで省略をいたしますが、われわれの方といたしましては試行基準をお示しをいたして、それからかなりの日時がたっておるわけであります。それで政府側とも緊密な連絡はいたしております。人事局を中心として大変御努力をいただいておるということも重々承知をいたしております。また、世間一般の情勢というようなものについての配慮もあることも知っておりますが、われわれといたしましては、それらをさらに踏まえた上での措置をお願い申し上げておりますので、できるだけ速やかにひとつテストが行われるということを期待いたしておるということでございます。
  75. 大出俊

    大出委員 そこで総務長官に承りたいのです。  前回のときに大分時間をかけて私は植木さんに承ったのですけれども、閣僚懇というものもあって、そのときに、どうもそんなことをすると日本がつぶれるなんというばかなことを言った閣僚がおったというのですけれども、私は困った人がいたものだという気がするのです。また人づての話で、閣僚懇の座長は井出官房長官だ、おれは座長ではない——それは植木さんそうでしょう、取りまとめの責任者は官房長官だ。ところが、どうも私ばかり責められて貧乏くじ引いたようなことになるという気持ち、これは総務長官わかるのですよ。そういうことをおっしゃらず、それはちょっと困るわけでありまして、総理府総務長官でございますから。したがって、これはいつまでもほうっておくわけにまいらぬ性格のものだと私は思っているのですよ。景気動向がというお話ですが、各期ごとの企業収支その他を最近私必要があって調べておりますけれども、悪くない、非常によくなってきている。もちろんそれには公務員賃金を一生懸命ガイドゾーンなりガイドラインで抑えようとなさる一般的な傾向、また労働組合が非力にして抑えられたという印象、これは一つ大きく企業実績には影響がございます。あわせて、この新価格体系と言われた時代以来、大変な製品価格の引き上げをやってきている、これが消費者物価にどう響くかということはここで議論する時間はありませんが、これもまた製品価格を上げておるわけですから、企業収益には大きくプラス要因として働く。つまり、賃金を低く抑えたというプラス要因と新価格体系以降の製品価格の引き上げに基づく大きなプラス要因、そこにアメリカの景気回復その他も伴いまして、これは大幅所得税減税等が中心でございましたが、輸出が意外に伸びているという現実などからいきまして悪くない。そうすると、かつて引き延ばしたときの理由が景気動向ということが加味されている。だが、ことしの秋には本格的な景気回復の方向に向かうであろうという推定は日経連といえどもしているわけでありますから、それならもうのこのこ——のこのこという言いぐさはありませんが、一月あたりに物を言っているものを、いままでほっておくという手はなかろうという気が私はするわけでありまして、これは総務長官、一体どういうふうに決着をおつけになるおつもりなのか。秋富さんもきょうはお見えでございますけれども、ずばりこれはまたお答えいただきたいと思うのであります。
  76. 植木光教

    ○植木国務大臣 週休二日制の試行の問題につきましては、前国会、五月六日であったと存じますけれども大出委員との御論議の中で私も、早期に閣僚懇談会が開催されるよう最大限の努力をするということを申し上げました。私はその際にも申し上げましたように、閣僚懇談会の座長でもございます官房長官とその後数次にわたりまして協議をいたしております。そして早期に閣僚懇談会を開催できるように、各省庁間の意思の統一が必要でございますので、官房長官も努力をしておりますが、私も同時に鋭意努力を重ねているところでございます。ただ、今日現在まだ意見の一致を見ることができませんで、閣僚懇談会開催に至らない状況でございますのを私といたしましては大変遺憾に存じております。しかし、事務的な調整とあわせ、人事院の申し出を尊重するという意向で関係閣僚間の合意が得られますように、ただいま引き続き努力をいたしているところでございます。何とか早期に閣僚懇談会が開催せられますようにこぎつけたいという考え方で臨んでおります。ただいま申し上げましたように人事院の申し出の尊重という姿勢にはいささかも変わりはございませんで、意思の統一を図っているその言わば最終的な段階にこぎつけるべく努力をしているという点で御理解をいただきたいと思います。
  77. 大出俊

    大出委員 時期判断を聞きたいのですが、これは閣僚懇、今月中というわけにはまいりませんか。来月というおつもりですか。どっちです。
  78. 植木光教

    ○植木国務大臣 私といたしましてはできるだけ早くということで、今月中ということをいま限定的に申し述べるのは差し控えさしていただきたいのでございますが、意のあるところをおくみ取りいただきたいと存じます。
  79. 大出俊

    大出委員 今月中という目途で極力努力するという御答弁はいただけませんか。
  80. 植木光教

    ○植木国務大臣 今月中に閣僚懇談会を開きたいというのをめどに私はただいま官房長官とともに努力をしているという状況でございます。
  81. 大出俊

    大出委員 というのは、人事院勧告が八月の上旬になりますと、実施されていなければ、総裁藤井さんお見えになっているけれども、避けて通れぬはずだと私は思っているんですよ。そこの関係もありますから、やはりそれは今月中に何としても開いてこうだということにしないと、来月になったらまた勧告ですからね。私は、そういうぶざまなことにすべきではないというふうに思うので申し上げているわけですが、もう一言ひとつ今月中ということで最大の御努力をいただけませんですか。
  82. 植木光教

    ○植木国務大臣 ただいま申し上げましたように、今月中に懇談会を開きたいという目途でただいま官房長官とともに努力をしているというところでございます。
  83. 大出俊

    大出委員 労働省に承りたいのですが、完全週休二日制一六%が二〇に伸びたりした経緯がございますけれども、全体的な傾向として、週休二日制問題というのは隔週だとか完全だとかいろいろございますけれども、その後労働省どういうふうに把握をなさっておいでになりますか。
  84. 仙田明雄

    ○仙田説明員 労働省では毎年労働時間制度について調査をしておりますが、昨年の九月末現在で調査をいたしましたのが一番新しい数字でございます。これによりますと、従業員数の規模で三十人以上でございますが、何らかの形の週休二日制を採用しているのが四四・五%ということになっております。それからその企業に働いている労働者の数は七〇・九%ということでまあ七割台という状況でございますが、ただ昨年の調査の結果について見ますと、従来は非常に急テンポに伸びてきたのが、昨年の調査の結果ではやはりテンポが鈍ったというようなことが特徴として言えるかと思います。ただ、週休二日制の内容につきましては、ただいま先生の御指摘がありましたように、隔週週休二日制というようなものから月三日あるいは完全週休二日制へというようなことで、内容の濃いといいますか、そういう方向にだんだん変わってきたということでございます。
  85. 大出俊

    大出委員 外国の例を見ても、そういう傾向が週休二日制移行の過程であったようであります。  大蔵省にも承っておきたいのですが、これは欧州各国における銀行の週休二日制、全国銀行協会がおつくりになった資料です。読ましていただきましたが、非常によく金融機関の傾向がわかる。  そこで、銀行法十八条関係等の問題もございまして、外国の例からいきますと、銀行が比較的早い時期に踏み切って、郵便局がまだやっておったりする場合でも、週休二日制に踏み切っているところもありますし、信用組合だの金庫だのいろんな形態のものもございますけれども、そういうものを残しながらやってきておるところもありますしいたしますので、必ずしも銀行が先にやっても悪いわけではないが、日本の場合には十八条というものがある。こことの関連がございます。ただイギリスなんかの例からいたしますと、それなりの法律をつくっているんですね。法律をつくりまして、銀行が休めるようにしている。これはイギリスですけれども、銀行休日法という法律ですね、バンク・ホリデーズ・アクト、これは一八七一年ですね。これは後から直しまして、銀行休日法を廃止をして銀行金融取引法というのをつくっているわけですね。そういう経過もありますから、やろうとすればできなくはない。そこらは一体どういうふうにお考えでございますか。
  86. 宮本保孝

    ○宮本説明員 銀行の週休二日制につきましても、私どもといたしましては基本的には前向きに考えていいのではないかと思っておりますけれども、金融機関の二日制につきましては影響を及ぼすところ大変大きいものでございますから、去年の春に大蔵大臣から閣僚懇談会の方に審議をお願い申し上げておりまして、何か第五部会でいま検討中でございます。その結果を待ちまして対処していきたい、こう思っております。
  87. 大出俊

    大出委員 これは植木さんに、御存じだと思いますけれども申し上げておきたいのですが、いまイギリスの例を挙げましたから、時間がありませんからそれだけに限定いたしますが、英国の官公庁の週休二日制移行というのは一九五六年なんですね。政府機関は全国一斉に週休二日制に入ったというのですね。それでも全国的に出先機関を持つようなところで、いろいろ問題があったんですね。あったんだが、しかしたとえば失業保険給付をどうするかとか、旅券の発行をどうするかとか、一斉にという名前のもとに最初に最小限度の人員を残して、失業保険給付だとか旅券の発行だとかいうところを残した。ところが、結果的にそのことがかえってまずいということになって、組合などからも反対意見が出る、そしてそれも週休二日で割り切っていくべきだということになったんですね。     〔木野委員長代理退席、竹中委員長代理着席〕 一九五六年ですから二十年も前の話。ところが日本の場合は、人事院藤井さんの方から一月に出して試行だと言っているのに、試行の名に値しない試行だと言ったら人事院皆さんの御努力の結果だから悪いけれども、そう思わざるを得ぬものがいまだにああだこうだという話になっている。情けない話だと私は思っているわけです。  銀行にはいろいろ問題があるとは言いながらも、実は英国の場合に、一九六九年七月から銀行も一斉週休二日に入っておるんですね。七〇年代じゃないですよ、英国の銀行は。だから英国の場合に官庁は一九五六年、おくれた銀行も六九年、こういうことなんですね。これは欧州各国、アメリカもございますけれども、一つだけ例を挙げたわけですが、そういう趨勢なんですから、これはどうしても名に値しないと言わざるを得ない試行なんですから、それがどうもいつになってもできないというばかなことを——総務長官、これは貧乏くじ云々じゃなしに、これはひとつ振り返ってお考えをいただいて、どうしてもやる、どうしても試行に踏み切らせるという御決意のほどをいただきたいのですが、総務長官いかがでございますか。
  88. 植木光教

    ○植木国務大臣 貧乏くじを引いたということは私は申し上げたことはございませんで、各省庁の意見をまとめますのに大変苦労をしているということを申し上げたのでございます。  先ほど申し上げましたように、人事院の申し出を尊重するということで、鋭意事務的のみならず政治的と申しますか、閣僚間での意見の統一のための努力をし、懇談会を早期に開きたいということでがんばっております。御了承願いたいと思います。
  89. 大出俊

    大出委員 以上で終わります。
  90. 竹中修一

    ○竹中委員長代理 午後一時十分より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ————◇—————     午後一時十二分開議
  91. 木野晴夫

    木野委員長代理 休憩前に引に続き会議を開きます。  公務員給与に関する件及び国の防衛に関する件について調査を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中路雅弘君。
  92. 中路雅弘

    ○中路委員 先ほどの理事会で今月末にもう一度委員会をやることになっておりますし、まだ結果が出ていないので余り詰めた論議はやりにくいわけですが、基本的な問題だけ幾つか最初にお聞きしていきたいと思うのです。  今度の勧告で、いろいろな報道ですと、すでに大蔵あたりから財特が通らないと公務員給与改定の実施時期をずらすという声も出ているような話も聞いているわけですが、人事院がこういう声に惑わされないで毅然とした態度で勧告については当たるという決意、財政状態なんかを横目で見ながら勧告をやるということはない、やはり人事院代償機関としての役割りをきちっと果たしていただくという点で、作業がまだ最終にはまとまってないわけですが、ことしの勧告に臨んでおられる態度といいますか考え、こういったものを一言総裁に最初にお聞きしておきたいと思います。
  93. 藤井貞夫

    藤井説明員 人事院勧告の時期になりますと、いろいろな方面からいろいろな意見あるいは思惑というものが出てまいりまして、それがいろいろな形で報道されるというような形になっておることは毎年のことでございます。本年におきましても、いろいろなところから予想とかあるいは問題点とかいうことで指摘をされたものがいろいろな形で報道されておるわけでございますけれども、しかし、これもまた毎年どおり、人事院といたしましては代償機関としての本質、これは毫もむろん変わっておりません。従来どおりのペースでもって作業を進めておりますし、また従来どおりの基本的な立場に立って、毅然とした態度で業務の遂行に当たる決意には毫も変わりはございません。
  94. 中路雅弘

    ○中路委員 午前中労働省からも御答弁がありましたが、物価高とか生計費の本年四月の対前年同月の伸びあるいは民間における賃上げ率、こういったのをどの程度と見ておられるのか、人事院の方でいまつかまれている中でおよそどのくらいのパーセントとつかんでおられますか。
  95. 茨木廣

    茨木説明員 労働省の方から出ておる資料で見ておるものでございますけれども、まず物価の点から申し上げますと、消費者物価総合のところで見ますと、対前年同月比で三月が八・八、四月が九・三、五月が八・八というような指数になると考えております。それから給与関係でございますが、これは毎勤の全産業で決まって支給する給与のところで、やはり対前年同月比で申しますと、三月で一四・五、四月で一四・一五月で一四・一というような伸びになっておるようでございます。大体そんなような見方をいたしております。
  96. 中路雅弘

    ○中路委員 先ほど民間の大手の方の賃上げの率等も報告がありましたが、いまお話しの最近の物価の上昇、消費者物価の上昇なんかも見まして、実質賃金が確保されているとお考えですか。民間のいまの状態ですね。いまつかまれておる状態と物価の上昇なんかを見て、この程度で生活費あるいは実質賃金というのはどうなっているかという非常に大まかなところですが、どのように見ておられますか。
  97. 茨木廣

    茨木説明員 ただいま申し上げました指数の伸び方を比較いたしてみれば毎月勤労統計の方が伸びが多いわけでございますが、これには一番大きなものとして時間外勤務の時間数の伸びが一つ入っております。それから、もちろん昨年とことしの間にベースアップの問題もございますし、もう一つ雇用人員の問題も、雇用数がやはりふえてきておるというような点が総合されてその伸びとなってきているのだろうと考えております。しかし、そうは言いましても、各個人に向けた場合ということになりますと、いま言ったように時間外勤務の時間数が伸びておりますし、手取りでは物価との関係でまあまあというところに行っておるのじゃなかろうか。というのは、いま数字は持っておりませんが、ほかのものでいろいろ調べてみますと、デパートの売り上げの伸びだとかいろいろなところに、全般的には去年とは違った上向きの景気動向が出ておることは間違いないことでございまして、そんなところからそういう動向にあるのだろうという感じを私どもとしては持っております。
  98. 中路雅弘

    ○中路委員 この問題できょうさらに論議を続けるつもりはないのですが、やはり実感としては、実際の生活——いまの数字の中にはいろいろな要因があります、時間外の手当だとか、かせがなければならないという問題もありますし、実際の生活の点で見ますと、いままだ苦しい状態がそれほど改善されたという状態よりも、実質賃金で見ますとむしろ十分確保されているという状態では私はないだろうと思うのです。  こういう点を踏まえてひとつ御質問したいのですが、先ほどもお話しのように、従来の民間や三公社五現業と公務員給与との相関関係から、新聞報道等でも言われていますが、六・五%前後とかあるいは七%までぐらい程度という見通しも出ているわけです。民調結果がまだ出ないとわからないという点もありますが、見通しという点で大体どのぐらいのところをめどに考えられているわけですか、今度の勧告のめどですね。
  99. 茨木廣

    茨木説明員 先ほども答弁申し上げましたように、はっきりしたことはいまのところまだ数字を持っていないわけでございまして、わかりませんと申し上げるのが正しゅうござきます。結局台風情報と同じことだろうと思いますが、ある程度の幅を持ちながら私どもとしては漸次接近をしつつ準備をして、そして数字が出たときにその数字に基づいて俸給表等を固めていく、こういうことでございますから、先ほども相当の幅を持ってのということで御答弁を申し上げた次第でございまして、現在はそんなような段階だろうと思います。
  100. 中路雅弘

    ○中路委員 その幅でいいますと、お考えになっておるのはどのくらいの程度ですか。
  101. 茨木廣

    茨木説明員 数字的に申し上げることはどうも御勘弁をいただきたいと思います。
  102. 中路雅弘

    ○中路委員 職員団体の皆さんには、従来も官房長官もあるいは植木総務長官も三公社五現業並みの賃上げ、これについては理解できるという態度も表明してこられたわけですが、八・八%というのが先ほど公労協の場合にお話しになっています。これで定昇二・三%ぐらいですか、二・五%ぐらい引きますと、六・五%前後というのが出てくるわけです。国公関係組合皆さんが、御存じのようにこの春闘がほぼ確定した時点で七%、約一万一千円ぐらいになりますか、というのをぎりぎりの要求にして提出されているわけですが、私はこれが確保されたとしても、いまの物価や生計費の上昇等によって実質賃金を十分回復することはなかなかむずかしいだろうと思うのです。民調結果が出ていない段階でパーセントまで言うことは答弁しにくいというお話がいまありましたが、先ほども論議になったように、私は官民比較の点でも十分公正な比較の方法、またいままでの指摘されている点なんかの改善もあれば十分この七%を確保することは可能じゃないかと考えるわけです。また同時に、後でお尋ねしますが、配分等に着目すれば、組合員層、いわゆる管理職員等を除いた職員層に平均七%の改善を確保することも不可能でないわけですし、この点では人事院が現在よりも幾らかでもその点で、従来指摘された点の比較についても、勧告作業においていろいろとより努力されればそういう点の確保が可能じゃないか。労働基本権の代償機関としての責務を果たす意思と決意を十分持って、この問題について私は十分詰めた検討を勧告までやっていただきたいと思うのです。委員会に出てから委員会でいろいろ論議の中で修正をしなければならないという事態にならないようにひとつお願いしたいわけです。  その点でまず最初に、今度の勧告についてすでに公労協等の一応の目安も出ているわけですけれども、従来の大臣等の答弁の上に立っても、春闘の解決の後、職員団体の皆さんがぎりぎりの一つの線として春闘相場を見て出された、少なくともこの七%という問題は、私は検討しても十分確保できるんじゃないかと思います。そういう点での努力、改善、検討を最初にお願いしたいと思うのです。そういう点で代償機関としての責務を果たす上での勧告作業で十分努力していただきたい。従来、いろいろな点で勧告作業についての細かい指摘や改善等についても要請があるわけですが、そういう点は十分踏まえて作業に当たっていただきたいと考えるのですが、いかがですか。
  103. 茨木廣

    茨木説明員 私どもとしまして、常々私どもの責務を果たすように最善の努力を傾けるつもりでやっていることは変わりございません。ただ非常に内容的な配分のことにまでわたっての御意見がございましての御質問でございますので、その辺については私どもとしても常々多少検討はいたしておりますが、やはりことしの民間の配分状況等も一つは見てみませんと、労働ベースのところに全部重点的に原資を持ってくるというふうに簡単にここでお約束するわけにもまいらぬ。  と申しますのは、一般に言われておりますことしのあれは、やや上下同率的な配分傾向にあることはどうも事実のような感じがいたしております。具体的に数字がどう出てきますか見ながら最終決定をしていく、そういう状況も一つございます。  それからもう一つ、公務員世界は必ずしもここからここまでが労働者層で、ここからここまでが管理者で全然別の間というふうに俄然としているわけではございません。漸次栄進されて、追ってそこの層にお入りになるということでございまして、ですから、そこの原資を下の方に持ってくることが必ずしもいいわけではないので、全部それが退職手当、年金の基礎にはね返ってくるということもございますので、その辺も組合の方にもよくお話をして——最近の要望は、ことしあたり大変変わってまいりましたが、おもしろい言葉でございますが、前だれとか前だるみ、中だるみ是正と、二つセットにしたような、やや同率的な意見を出してきております。そういうふうに組合の方の意識も多少変わってまいりまして、そういう中高年層の分布というようなことも頭に置いていらっしゃるようでございまして、そういうようなこともいろいろあわせ考えて検討してまいらなければいかぬ問題だというふうに思っております。
  104. 中路雅弘

    ○中路委員 配分の問題についてはもう少し御意見をお聞きしたいのですが、いま私が述べました点で先ほど大出議員からもいろいろな角度から御質問がありましたけれども、全体のことしの春闘相場やあるいは従来の勧告作業でのいろいろの問題の改善等を考えた場合に、七%の確保というのは私は当然のぎりぎりのラインではないかと考えているわけです。いま幅について、パーセントについて具体的にまだ調査結果も出ていませんから出しにくいというお話ですけれども、そういう点で勧告作業の中でいろいろ検討もしていただきたいという要望としてお話をしておきたいと思うのです。総裁に、ひとつ代償機関としての役割りを十分果たすような勧告を出していただきたいということを特にお願いしたいわけですが、配分の論議に入る前に総裁からも一言お聞きしておきます。
  105. 藤井貞夫

    藤井説明員 人事院の機能というものははっきりと決まっておりまして、その機能を果たすために、従前から皆様方の御協力も得てできる限りの努力はしてまいってきておるつもりでございます。したがいまして、その職務の執行に当たっては、厳正公正ということを旨といたしております。  また給与の問題につきましては、従来から官民比較ということを基本といたしまして結論を出すということをやって今日まで来っておる次第でございます。したがって、この結果を待って、結果に従って措置をするということが基本でございます。現在集計中でございますので、その結果がどうかというようなことはいま申し上げる段階ではございません。  ただ、経済その他の民間情勢、あるいは公務員組合関係の皆様方の御要望、その他各方面の御意見というようなものはいろいろ出てきておりますけれども、そういうものは一々われわれも詳細に承りまして、検討の資料にいたしておりますことは申すまでもございません。
  106. 中路雅弘

    ○中路委員 職員団体から出ている要望、そういう点についても十分な検討をして勧告の中に生かしていきたいというお話ですので、それ以上きょうはまだ述べませんが、配分についてもう二、三お聞きしておきたいのです。  民間における配分の傾向を見ますと、やはり昨年とよく似ていると思うのですが、生活給を重視してできるだけ実質賃金を確保していこうというところにやはりことしも重点が置かれておると私は考えるわけですが、この点はどのようにお考えですか。
  107. 茨木廣

    茨木説明員 ことしの物価の動向それから春闘の状況等から見ますと、そういうような考え方が一般的であろうと思います。組合の方も、一般の俸給表を中心に扶養手当等ということで、余り横に広げたような要望はことしはございません。大体そういう意味では意識が統一されてきておるのではなかろうかというように考えております。
  108. 中路雅弘

    ○中路委員 いまお話しのように、給与の構成面から見ても、本俸を大体重点にして、手当においても生活給的なものを重視をした、そういう実質賃金の確保を図るという考えというのが出ているわけですが、俸給表の上下関係から見た配分として、同率的な配分というものを基本にしながら、先ほどちょっとお話しのように実質賃金の確保という観点から、これは職員団体からも出ているのですが、一つは三十歳前後の層のたるみといいますか是正、それから、従来から中だるみと言われている四十歳から四十五歳前後の中だるみの是正という点をやはり重視するということは、私ば改善の上では非常に大事だと思います。さらに、いわゆる全体の生活給重視という観点からは、率の上からもできるだけ可能な限り指定職や上位等級については、上薄下厚ということも考え、当たるべきではないかというふうに思うのですが、生活給を重視していくと、春闘全体が一けた台のこういう状況の中ですから、ことさら要望が強いかと思いますけれども、中だるみの問題を含めて、こういった点にひとつ重点を置いて、改善について検討していくというお考えについてはいかがですか。
  109. 茨木廣

    茨木説明員 そういう世帯形成層から四十代程度のところの辺の問題も一つの問題点であるということで、十分吟味してまいりたいというふうに考えております。ただ、御表明にございましたような意味の、上と下との関係というものを余り強く意識していただきますと、俸給表の構造とか公務員世界の中の問題もやはりいろいろございまして、もういまや上を抑えられますと、いまの御指摘なされました四十代あたりのところが三、四、五にみんなおるわけでございますが、この人々の待遇改善がもうできかねるという状況にも、構造上来ておるということも御理解いただかないといかぬし、それから、ちょっと触れられました指定職の問題についても、昨年例の特別調整額、管理職手当カットの場合に、指定職は俸給表織り込みでカットした経緯がございます。その辺のこともまたよく考えていかなければならぬ今度の問題点の一つでございますので、その辺もお含みおきいただきたいと思うのでございます。
  110. 中路雅弘

    ○中路委員 いまの点は、私が述べました中で特に中だるみとあわして、ことしは特にいろいろ職員団体では使っていますね、前だるみというんですか、三十歳あたりの。こういうところを重点に、一つ基本にして、あわせて、やはりこれまで国会のこの委員会の中でもいろいろ討議もされ質疑もされて、皆さん答弁の中でもいろいろ配慮をするという答弁をされている問題が幾つかありますね。挙げてみますと、たとえば、標準職務表の改善の問題やあるいはいま言いました中だるみの是正のための対策、それから行(二)の職員全体の昇格運用の改善、これは具体的にまだ進められておられないのか、具体的にいま考えておられればこの点もお考えをお話し願いたいのです。あるいは男女差別の解消、いままでも改善についていろいろ論議をされてきまして、それぞれ十分検討するあるいは配慮していくという御答弁も出ているわけですけれども、今度の人勧の中でもこういった点についてはやはり十分な処置、改善を織り込むべきであると私は考えるわけですが、基本点だけでも——いま挙げましたこれまで論議されてきた幾つかの問題、こういう点について具体的な改善のお考え、あればそれもお聞かせ願いたいと思うのです。
  111. 茨木廣

    茨木説明員 いま御指摘なさいました問題点は、夏の勧告時期というよりも、まあ予算時期を踏まえての取り扱いの問題が多いわけでございます。昨年も当委員会でも御意見ございましたので、それらの問題については、要するに今年の級別定数を決めます際にもいろいろとそういうことも念頭に置きまして作業をさせておりますし、それから行(二)の問題につきましては、ごく最近まで約半年にわたりまして次長にもっぱら担当してもらいまして、組合の方と折衝をいたしまして、行(二)のところについて若干の前進をして、ことしは一応これで落ちつけ、また来年は来年の問題というところでお別れした経緯がございます。そういうようなところで、これは各省にまたがる問題でございまして、なかなか画一的にはこの級別定数の問題はいきませんので、その辺のそれぞれの省庁の事情にもやはりよりますし、大変細かい吟味とその折衝になりますものですから、そういうような経過を経ましてずっとお話し合いをやって、ある結論にこの間到達したところでございます。今後の問題はまた今後の問題としてよく検討してまいりたい。  それから、御指摘の男女差別の問題でございますが、まあこれは具体の問題でございまして、各省庁の人事のやりとりがどうかということになるわけでございます。私どもの方では別にそれについてどうこうという方針では一切ございません。まあよく言われますそういう職場についての、要するに女子職員がほとんど大部分である職場についての級別定数というような問題につきましては、よく主任制度をかみ合わせましたりして、その級別定数の均衡をとって対処していくように注意をさせておるところでございます。  そういうような事情でございます。
  112. 中路雅弘

    ○中路委員 従来も、いま挙げた問題等はいろいろ委員会でも論議になっておる問題でありますし、勧告の中でできる改善処置はできる限りとっていただきたい。配慮をいろいろしていきたいという御答弁も出ているわけですから、その点を特に要望しておきたいと思うわけです。  次に、これは先ほど相当細かく論議をされていました問題で、いわゆる積み残しの問題ですね、追加較差の問題について幾つかお尋ねしたいのです。  ことしは六月十六日を締め切り日にしているわけですが、十七日以降に四月に遡及して給与改定をすることを決めた事業所が算定の基礎には入らないわけですし、また、十六日までの間に給与改定が行われても五月分以降から改定されるものも算定の基礎から除外されている、翌年の本較差で初めて取り込まれるという仕組みになっていますが、全体として、やはり結果として追加較差が低く出る仕組みになっているのではないか。この点について今度の勧告の中で改善の余地はないのかどうか、また検討をされているのかどうかということをまずお尋ねしたいのです。  私は労働省の賃上げの実態調査報告書で見てみますと、これは五十年ですが、ちょっとパーセントを出してみますと、賃上げが四月に決まった中で五月以降実施というのが一五・三%ありますね。それから、五月に賃上げが決まって五月以降に実施というのがその中で二三・二%、六月に決まって五月以降実施というのが、六月決定の中でのパーセントで見ますと四六・九%あるわけですね。これで見ましても、やはりかなりの積み残しがあるというふうに思うわけですが、この点で五月分以降から改定されるのは算定の基礎から除外されるというと、やはり相当の積み残しがあるわけなんで、翌年の本較差の中で初めて取り込まれるという仕組みを改善していく何らかの方法はないのか、これは検討されているのかという点で、私は数字で挙げてみてもこれは相当の積み残しが出てくるのじゃないかという感じも受けますので、最初にお尋ねしておきたいと思います。
  113. 茨木廣

    茨木説明員 ただいまのは昨年の民間の動向のようでございますが、去年からことしにかけて、民間の方では賃金か雇用かという問題が大変やかましくあって、それで政府の方でも調整資金のようなものを出しながらなるべく首を切らずにということでやっていった経緯もございます。そういう経緯で、恐らくいまのお話のようでございますと、何か五月からというのも、会社数相当あるという御指摘でございますが、仮にあるとすれば、そういうところから去年は大変多かったのかもしれません。  ただ基本的に、いま言ったようなものを取り込むということになりますと、今度は給与改定の実施時期の問題にこれはすぐ影響してまいります。調査時期をずらして五月からということになれば五月実施ということになって、いまようやく四月実施に漸次上げてまいって——いま、会社数で八割くらいが要するに春の時期に給与改定を行うというのが実情だと思っていますが、そのうちでも大体春闘を中心にした四月から五月にかけて決まって四月から支払われるというのが大部分でございますので、やはりそれを逃さない方がベターであるということで四月実施、四月時点給与状況調査する、こういうたてまえで来ているものですから、いまの御意見ではございますが、そこを逃さないようにということになりますと、あるいは調査時期をうんとずらして四月時点のものを調査するということになりますと、今度は勧告時期がおのずから秋にならざるを得ないというようなことにもなりまして、大変影響するところが大きいものでございますから、なかなかいまのそれを全部取り込むようにということには、ちょっとまいらぬじゃないかと思います。
  114. 中路雅弘

    ○中路委員 いまのお話の点はわからないことはないのですが、しかし、これはかなりの積み残しになるのではないか、何らかの形で、こういうものについて除外しない、それは四月実施がおくれるということじゃなくて、そういう中にこういう改善していくような余地がないのか、そういった点の検討が今後さらに必要じゃないかと私は思うのですね。今度の作業の中では、いまの場合、これは入らないという御答弁なんですが、今後こういう点をどのようにすれば改善できるかというようなことはやはりひとつ十分検討の課題にはしてみる必要があるのではないかと考えるのですが、いかがですか。
  115. 茨木廣

    茨木説明員 いまの作業も六月の十六日で締め切ってきましたものを六月いっぱいで整理して、それから総理府の方の統計局にお送りいたしましてということで大変時間いっぱいの作業になっておりまして、六月十六日以降にずらして、それ以後のものをつかまえてくるということはなかなかやはりむずかしい問題でございます。もちろん六月十六日までの間にまだ支払っていないけれども決まっておる、あるいは配分の済んでいないもの、これは先ほどからあれがありましたように、それは全部つかんできて、それが先ほども二七%ぐらいの会社数があるというような、去年の報告を引き出したお話があったわけでございますが、そこまでが精いっぱいでございまして、その行ったときに、まだ全く萠芽も生まれていないというものについて、幾らでございますと言うのは、結局その日にち以降になるわけでございます。ですから、これはやはり日にちをずらさぬ限りはできないということだろうと思います。  ただ、先ほど触れましたように、地方団体は例年こんなことはなかったのですけれども、例の国家公務員よりも上回っているという問題が出まして、それから今度は調査勧告方法に議論が移ったものだから、そこで、そういうようなことで幸いにして地方団体、勧告時期がずっと後なものだから、そういうことでいろいろ数字をお合わせになったのではなかろうかという感じがいたします。  でございますから、私どもいまの時期にやはり勧告を申し上げてということになりますと、やはりいまの六月中旬というものをさらにずらしてくるということはとても困難なことではないかというように考えております。
  116. 中路雅弘

    ○中路委員 さらにこの問題は私たちの方も検討をしてみて、いろいろ論議をしてみたいと思うのです。  平均追加較差の較差率を算出する方法なんですが、四月の遡及の改定事業所における平均引き上げ率から公務員の平均定昇率三%を差し引いて調整したのにこの改定事業所率を掛けるという方法をとっておられるわけですね。この点で幾つかお尋ねしたいのですけれども、四月の遡及改定事業所における平均賃上げ率は事業所ごとの単純平均でやられていると思うのですが、正確にする意味で、やはり人員ウエートによる加重平均を用うるべきだと私は思うのです。この算出方法について、これは乗ずる場合もそうなんですが、実態を正確にとらえるために、単純平均ではなくてやはり加重平均とすべきではないかと考えるのですが、この点は皆さんの方のお考え、御意見はいかがですか。
  117. 茨木廣

    茨木説明員 ただいまの御議論は前からしばしば繰り返されている議論でございます。もともと本較差の方の出し方が平均で比較するのではなくて、その会社の各台帳から個人別に調査してまいりましたもので、同一、要するに対応の比較できる職種で比較できる資格にある方で、かつ学歴が同じで年齢も同じ、それから勤務地の地域区分も同じ、こういう人を抜き出してきて、それの平均をずっと求めるわけでございます。ですから、一つの会社じゃなくて全会社の、本較差に入るものは全部についての平均を出してきて、その単価を、公務員の同じ学歴、同じ地域、同じ年齢、同じ資格の、たとえば三十八歳なら三十八歳のところの単価に入れて、その公務員の人数をぶっかけてそして数字を得る、それの今度は全体の平均をずっと出してくるわけでございます。そういう作業でございますから、いまの配分が決まってないものをそのまま人数ウエートに直してというわけになかなかいかぬものでございますから、そういうとにかく配分を終わってないものをつかまえてきての話でございますから、企業数でもって比率を出して、それを全企業数に薄めていくということで、もう一回本較差の上にそれを積む、こういうような粗いやり方になっているわけでございます。これは前から、なかなかそれがいかぬというふうに言われますと調査時期をずっとずらすしかございませんということを前の総裁も時に触れて答弁申し上げておったと思いますが、そういう経緯がございますから、そういう意味の御議論があるということは承知いたしておりますし、絶えず私どもも検討はしてみてますけれども、そういうような配分が決まってないものを持ってくる場合には本較差の出し方と同じような出し方はやはりできかねるという問題があるわけでございます。
  118. 中路雅弘

    ○中路委員 公務員の平均定昇分を差し引くということですね、これはどういうことなのか。四月の時点における官民給与比較という人事院比較の原則からすれば、それ以後の定昇分を比較の基礎に入れるのはおかしいわけですし、また公務員の平均定昇分を三%とする根拠、こういうものを含めてこの定昇分を差し引くというのはどういうことなんですか。
  119. 茨木廣

    茨木説明員 大変細かい議論に入ったわけでごがいますが、この点も今度も過去の経緯を全部調べまして吟味をいたしておりますが、公務員の定昇率を引いておるということではなく、最近は民間の定昇率を引いておるという説明になっておるかと思います。これも四十年ごろからいろいろ経緯がございまして、最近はそういう説明に四十七、八年ごろになっておるわけでございます。昨年も私は、そういうことでやや定数的なものを引いておるんだというような見方もございますがというふうに御答弁した経緯がございますが、これは、そういった非常にまだ配分が終わってないものを持ってきます関係上、全部それが四月の時点に定昇が行われておればそれでよいわけでございますが、それがいつの時期に定昇を行うかということはまた会社によっていろいろでございますので、本較差のようにすでに四月分として支払われているというものでございますればこれはもう議論の余地がないわけでございますが、なおそういう議論の余地を残しております関係上、従来そういうものを引いてみて、そして翌年の公務員実態調査の姿を見ながら、そういう方式でやったことが大変食い違いを生じておるかということも吟味してみまして、大体これでよかったんだなということでずっとそういう数字で扱ってきておるわけでございます。
  120. 中路雅弘

    ○中路委員 四月時点における官民の給与比較という、こういう原則からすれば、四月時点における本較差に春闘の積み残し分、つまり四月遡及の改定分を加えたものとの差額とすべきであって、公務員の平均定昇率であれ民間の定昇率であれ、いずれにしても定昇率を差し引いて調整するというやり方はどうも私は筋が通らないのじゃないかというふうに思うのですが、いまのお話説明を聞いても、この三%の根拠というのもはっきりしないわけなので、今度の勧告でこの点について検討してみる、改善を考えてみるというお考えはありませんか。
  121. 茨木廣

    茨木説明員 昨年からその辺をめぐる問題が大変ぎしぎししてまいりまして、それで公務員の定昇率というものも一体どう考えるべきか、民間の定昇率もどう考えるべきか、特にここずうっと上薄下厚的な改定率で民間も行われてきたものですから、ややそういうものも幅が小さくなっているのではないかというような問題もございまして、ことしも調査はしてみているのですが、どの程度民間の定昇率的なものが出てまいりますか、その場でどの程度の正確度のものをつかまえてきているか、これはもう少したってみないとわかりませんものですから、そういうことで一応吟味はしておる。  それからもう一つ、四月時期といいましても、公務員の方もその後七月、十月、一月というふうに分かれまして、約四分の三くらいのものは定昇がその時期に行われるというようなこともありまして、全部が四月時点で解決できるという問題でもございませんものもございまして、民間の方も一部保留、本較差の方は支払われているから全部入れました。しかし、積み残しておる分の影響の加味の場合にはそこは引いたというふうなことで大体見合っているなという感じでいままで持ってきたように見ております。その辺が変更すべき時期に来ているかどうかというようなことも、ことし、今度の問題点の一つとしてよく吟味をしておるということであります。どういうふうになりますか、ちょっといまのところまだここで申し上げる段階に至っておりません。
  122. 中路雅弘

    ○中路委員 いまお話しのように、この問題についてはいま吟味をされておる、検討されておるということなんですね。そうですね。私はいま言ったように、この定昇分を差し引くということについては、あるいはその根拠についてもどうも筋が通らないと思うのですが、いま検討されておるということなんで、十分この面での検討と改善をひとつ今度の勧告の中ではぜひお願いしたいということも要望として述べておきたいと思います。  次へ進みますが、これは午前中相当長い時間で論議になった問題ですから、二、三要点にしぼりますけれども、例のいわゆる一時金の支給の問題ですが、この問題で私もきょう少しこの点は時間をかけて御質問したいと思ったのですが、先ほどいろいろ論議になりましたので、しかし大事な問題ですから、もう一度確認しておきたいのです。  皆さんの方で発言された問題が新聞でも報道されていまして、これは大問題になっているわけですね。月数で、労働省調査で大体大手で、先ほど午前中のお話ですと〇・五カ月ですか、毎勤統計で〇・三カ月落ち込んでおる、だからことしは切り下げもやむを得ないというような意味のことをすでにおっしゃっているということで報道されて大きい問題になっているのですが、まだいま調査が終わっていない段階ですね。そしてこれから勧告の作業に入る段階なわけですし、先ほども世論の操作をしているんじゃないかという指摘もあったのですが、私も、この点は、人事院としてもこういう時期にこのような発言ということは非常に問題があるというように思うのです。繰り返しになりますが、大事な問題なんで、いまの時点で、総裁からこの問題について一言最初に御発言願いたいと思うのです。
  123. 藤井貞夫

    藤井説明員 毎々申し上げておりますように、私たちといたしましてはいろいろな周辺の情勢というものは検討の対象にしております。細かい分析もやって、いろいろ見通しも立てておるという作業もやっておりますけれども、その中心はあくまで官民給与の較差の比較ということでございます。この点は特別給についても同様のことでございまして、ただ特別給の場合は、技術的調査上の問題から前年における特別給民間の支給状況というものを調査対象にして調べておるわけであります。これは目下集計中でございますから、その結論についてどう出るかということについては深甚の関心を持って注視をしておるという段階でございます。ただ、いまもお話があり、午前中も御指摘がありましたように、問題点として民間の傾向というようなものを見るとこういうふうになっておるという資料が出ておること、これは事実でございます。したがって、そういうものが人事院対象となる調査においてどのような影響をしてくるのか、そういう点は一つの心配の種として持っておるんだ、注視すべき一つの要因として持っておるんだということを踏まえてのやりとりであったように思うのであります。しかし、私たちは、あらかじめごうごうというような思惑を持って事に当たろうとは思っておりませんし、従来もそういうことをやったことはございません。今度の場合も、厳密に官民較差を比較いたしておりますので、それの結果の出ぐあいというものを見つつ最終的な判断を下したいということでございます。
  124. 中路雅弘

    ○中路委員 だから、皆さんの方でこれから最終的な作業に入るところで特別給、一時金の切り下げは避けがたいというような、事実上そういうニュアンスの発言をされて、関係職員団体でも大きな問題になっているのですが、この点は総裁として、いままだ作業中に人事院がそういう考えなんだ、切り下げは避けがたいんだという考えじゃないということは明確にしておいていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  125. 茨木廣

    茨木説明員 その点はこの春のいま動きつつある民間の主体の賃金の問題と違いまして、これは民間の方としては昨年の五月以降ことしの四月まででございますからすでに決まったものでございますから、私どもがどう言おうと、誘導してそれを低めるなんということができる数字じゃございませんので、そういうことでここは御理解いただきたいと思います。ただ、仮にいまいろいろ先行指標的なものから見ますとそういうもののおそれがあるものでございますから、絶えず組合とも会っておる間柄でございまして、突然勧告の日にこうなりましたということをぶつけるというわけにもまいらぬわけでございますし、そんなことからいろいろ話題には出ておるわけでございます。あるいは先ほどのようなことで、県の人事委員会とは共同作業の間柄でございますので、そういう会議で出ておるわけでございます。そういうことでございまして、その点はよく御理解をいただきたいと思います。  それからもう一つ、先ほどの件で積み残しの出し方の問題について検討いたしておりますと言っても、その中心は民間の定昇率がどうかということを中心にいま調べておるわけでございますので、その点もお含みおきいただきたいと思います。
  126. 中路雅弘

    ○中路委員 これも先ほど出ましたけれども人事院がいままでの特別給、一時金の改善勧告においては、一九六六年を除いて、私もずっと統計を見てみますと、十六年間小数点第二位以下は全部切り捨ててきたわけですね。先ほど大出議員が一・一カ月ですか、そういう数字も出しておられましたが、累計しますと約一カ月に達するわけですから、民間が落ち込んだということで直ちに公務員も切り下げるというならば、この十六年間に切り捨ててきた一時金の累計はどうするのかということの論議も当然出てくるわけですし、この際聞いておきたいのですが、先ほども出ましたように一カ月に達するこの累計、これについてはどうするのか、どういうお考えですか、これは。
  127. 茨木廣

    茨木説明員 別にそれを積み立ててきたわけでもございませんで、その年その年、それは切り捨てということで決着をして月数勧告申し上げてきたわけでございます。したがって、いままで積み立ててありますものをどうしますかというような意味ではちょっとお答えしかねる問題でございます。ただ、そういう事情が過去にあったということは背景事情としてわからぬことではございませんので、私どもとしましてもそういう過去の経緯なり、それから過去の国会経緯等は全部院議でも御披露申し上げまして御検討いただいておる最中でございます。
  128. 中路雅弘

    ○中路委員 民間が〇・三なりあるいは〇・五落ち込んだからすぐ切り下げるという話にもしなれば、それはいままで、積み立てじゃないけれども、累計すれば一カ月になるじゃないか、これはどうするのだという論議が当然出てくるわけですね。こういうことも十分検討した上で判断をしなけれ、はいけないのではないかというふうに思いますし、何よりも人事院が手当の新設や改善ということにはいままで非常に慎重な態度をとり続けてきておられるわけですね。各省庁の人事担当の課長会議やあるいは関係職員団体が共通して要求した事項でも解決が先へ延ばされている例もたくさんあります。たとえば長官が開発庁の長官も兼ねておられるわけですね。開発庁の次官自身が要望を出しておる沖繩の亜熱帯手当の問題なんか、これは人事院がなければ労使の間で団体交渉をやればとっくに解決しているのじゃないですか。逆に人事院があるために解決が延ばされている、この問題では手かせ足かせになっていると言わざるを得ないぐらいに慎重にされているわけです。ところが、切り下げるということについては思い切って、そういう傾向が出たら切り下げられるだろうというような発言もすぐ出てくる。公務員の制度的な安定性という面でも、民間で少し落ち込みがあったからそれは切り捨てという話がすぐ出てくるところにも問題がありますし、その点でこういう問題については慎重に当たらなければいけないのじゃないか。その点で、ことし民間ではそういうことが出ていることは事実ですけれども、こういう制度的な問題ではいままでもそういう態度をとってこられているわけですから、落ち込んだときだけすぐという意味では話が通らないわけなんで、少なくともことし一年はこういう問題についてはよく様子を見る、検討していくという考えが一番妥当じゃないか、そう思うのですが、いかがですか、総裁
  129. 藤井貞夫

    藤井説明員 いまお話がございましたが、給与、これは俸給を中心といたしますもの、その他、手当、特別給等につきましては、民間との対比において較差があればその較差を埋めていくということを基本にいたしております。そのために毎年の非常に煩瑣な、めんどうな調査もあえてやっておるわけでございます。したがって、給与につきましてもそういうことで民間との較差があればそれを是正するということで今日まで毎年勧告をやってきておるということでございます。したがいまして、給与と並んで非常に重要なウエートを持っております特別給につきましても、これは官民給与の較差というものについてのやり方を無視するというわけにはまいりません。  ただ問題は、われわれいまのところ、あらかじめこれをことしは切るんだとかなんとかというようなことをそういうことの前提で事柄を申し上げておるわけではないのであって、その点はあくまでも調査結果というものが出た時点において判断をしていこうということでございます。出ればそれに右へならえするのは当然でございますけれども、その出方いかんという問題のときに、これは午前中も申し上げましたけれども、過去におけるそういう二けた以下のものの切り捨てとかいうことが行われておった事実はございます。これはいま局長も申し上げましたように、それはその都度法律でお願いを申し上げまして決着のついておることと言えばそれまででございますけれども、しかし、何かそういう減額措置を仮に講ぜざるを得ないというような数字が出てまいった場合に、それを文字どおりにやるのかどうやるのかというような場合に、いまのような過去の経緯というものをやはり全然無視して、それはそれであたりまえなんだというような態度をとることはいたしません、十分そういう点も考慮に入れつつひとつ最終的な決断は下したい、そういうことを申し上げておるわけであります。
  130. 中路雅弘

    ○中路委員 いま総裁お話しのように、累計という意味、その都度解決すればそうですけれども、しかし累計してみれば一カ月にもなるという過去の経過ももちろんあるわけですから、当然いまお話しのように、こういう問題もやはり背景として検討の中の素材には入れてみなければいけない。また、こういう制度の問題、あるいは手当の問題ということについては、やはり安定性という意味で慎重にいままでやってこられたわけですから、少し落ち込んだからすぐ切り下げるというやり方も問題があるだろうと私は言っているわけなんですね。それから、たとえば民間の落ち込んだ分をそっくりそのまま切るということについても、私は単純な比較で問題があると思いますし、これも先ほど出ていましたように、人事院民間の一時金の調査は、職種や年齢、勤続などをいわば度外視して、職務対応の比較もやっていませんし、いわゆるまだ粗っぽい調査と計算になっているんじゃないかという気もするわけですよ。月数を計算するに際して、民間では特別給の支給額を毎月決まって、この表で民間のを見ますと、支給する給与から時間外手当と役付手当を差し引いたものを月額の基礎にしていますし、公務員について見ますと、期末手当については俸給月額、扶養手当の月額、調整手当、あるいは筑波研究学園都市移転手当及び人事院規則で定める加算額の合計額を算定基礎の給与月額にしていますし、勤勉手当の場合は期末手当の算定の基礎月額から扶養手当の月額を除いた額を算定の基礎給与月額としていますから、いわば計算の基礎が同一でないという問題点もあるわけですね。また人事院調査民間一時金には、最近は現物が結構ありますね。不況の中で現物で支給されたものが入っていないという問題点もあるわけですし、分割されたもの、あるいは現物支給されたもの、いろいろ問題点も私はあると思うのです。また不況下の中ではそういう傾向も多いわけですから、いろいろ正確に傾向をつかむという点では難点もまだいろいろあると思うのですね。だから、給与でやっているような意味での調査から見れば、非常に大ざっぱな、特別給ではまだ大まかな調査でもありますから、民間が落ち込んだといって、その分だけ切り下げるという点でも問題がありますし、あるいは総裁もいまお話しになったいままでの累計という問題もまたありますね。こういういろいろの事情が背景にあるわけですから、民間が落ち込んでいるというのは統計で出ているわけですけれども、それを検討される上で、やはり十分慎重にこの問題は、民間幾ら落ち込んだから、すぐそれをストレートに切り下げたということでの反映じゃなくて、いままでの過去の経緯等も十分勘案して、この問題には慎重な検討が必要だということを、この問題、先ほども論議になりましたからここで詳しい論議をしませんし、時間も限りがありますので、強い要望として述べておきたいと思うのですけれども、もう一度この扱いについて慎重にやっていただきたいという点で総裁からも御意見を聞いておきたいと思うのです。
  131. 藤井貞夫

    藤井説明員 これは先刻申し上げましたように、結果がどう出ますか、それを注視しつつ慎重に取り扱ってまいる所存であります。
  132. 中路雅弘

    ○中路委員 あと一、二点だけ人事院の方はお聞きしたいのですが、先ほども出てましたが、勧告の時期ですが、先ほどたしか八月、昨年は八月十三日ですか、それまでには何とかという意味お話もあったわけですが、閣議の開催される日の日程等もあると思うのですが、もう一度お尋ねしておきたいのです。ほぼどのぐらいの時期に勧告がなるのか。昨年と同様だと八月十三日ということになりますし、それ以前になると、先ほど大出議員も言っていますが、上旬の十日とかいろいろ出てくると思うのですが、大体どのあたりをめどにいま作業をやっておられるのですか。
  133. 藤井貞夫

    藤井説明員 まだ具体的には決めておりません。決めておりませんですが、目途といたしましては、大体昨年の期日よりはおくれないように、できれば若干でも早めるようなことで作業を督励をいたしておる次第でございます。
  134. 中路雅弘

    ○中路委員 勧告後の日程として法案提出までの日程があるわけですが、臨時国会の問題は、いまのロッキードの問題の解明も絡まっていますし、昨日だったですか、野党の四党がこの問題の解明ということをあいまいにしたままの臨時国会の召集というのは応ぜられないという申し入れをしていることですね。時期の設定というのはむずかしいのですが、いずれにしても臨時国会が開かれればそこに法案を提出して早期支給を実現するということはぜひ図らなければいけない。そのためにやはりタイミングということをよく運ばなければならないわけですが、年末までまた持ち越されるということになると大変なわけです。  その点で私は総裁に一言お聞きしておきたいのですが、たとえば八月の十三日前に勧告めどをつけていま作業をやっておられるわけですが、もしその時点までに臨時国会の召集ということが確定しているということならば、少なくとも私は、人事院総裁の談話等の中で、この臨時国会でひとつ人事院勧告に基づいた給与改定をやっていただくということの趣旨のこともやはり含めていただいて、年末までこれが持ち越すということがないように人事院の意見としてもはっきり出していただくという方がより明確に問題がはっきりするのじゃないかというふうにも思うのですが、日程がまだはっきり確定しない時期での質問ですが、お考えをひとつお聞きしておきたい。
  135. 藤井貞夫

    藤井説明員 毎々人事院勧告を出します際には、その内容の速やかなる実現をお願いするということで国会並びに内閣に対してお願い申し上げておるのであります。またこのために、政府でもあるいは国会等でもいろいろ御心配をいただきまして、給与勧告の内容の早期実現ということについてはいろいろな角度から検討もし、また御努力も賜っておることは感謝をいたしておるのであります。したがいまして、今回の場合におきましても、臨時国会がどうなるかということは、われわれがとやかく言うべき筋合いのことではございません。しかし、勧告の出る限りは、これの早期実施ということはわれわれの本来の念願でございますので、当然その場合においては、政府におきましてもあるいは国会におきましても所要の措置を講じていただけるものと確信をいたしております。
  136. 中路雅弘

    ○中路委員 私がちょっと一点終わりに提案しておりますのは、もしこの勧告か出される時期に臨時国会の召集という問題の時期が明確になっているとすれば、その際はこの臨時国会で確定すべきだという趣旨のことは、ひとつ人事院の方からもきちっと物を言っていただくということについて、人事院総裁の談話等に盛り込んでいただくということは検討をしていただけないかという趣旨なんですが、いかがですか。
  137. 藤井貞夫

    藤井説明員 早期実施ということはわれわれの本来の念願でございますので、そのように事を運ぶことは大変望ましいことに考えております。ただ、勧告の時期の問題もあり、また勧告をいたす時期におきまして臨時国会の日程がどうなっているかというようなことは、これは仮定の問題でございます。したがって、いまここでとやかくこのことを申し上げることはいかがかと思います。しかし、どういうふうになっているかというその時点においていろいろな情勢を判断して、何らかの措置が必要であればそういう措置は講ずることもやぶさかではございませんですが、早期実施をお願いしているということは、これは従来のたてまえでございますので、そこから当然に結論が出るというふうに私は期待をいたしますので、あらかじめここで、臨時国会が開かれておればその臨時国会にぜひ出してくれということを言うということを申し上げる段階でもございませんし、いまそこまで私は考えておりません。
  138. 中路雅弘

    ○中路委員 終わりに、いまの問題と関連して、結局勧告が八月の十三日、できるだけ前には出したいというお話ですから、それから後になりますと、結局閣議で決定して、臨時国会が開かれればそこで確定をして早期に支給を実現するという問題ですから、このことについては人事担当の大臣である総務長官の決意に非常にかかってきているというふうに私は考えるのですが、この質問の終わりに長官からこの点についてのひとつ抱負、決意なりをお伺いしておきたいと思います。
  139. 植木光教

    ○植木国務大臣 人事院勧告を尊重するといいますことは、政府の基本的なたてまえでございます。したがいまして、勧告が出されましたならば、誠意をもってこれに対処してまいりたいと存じます。  なお、国会の提出時期でございますけれども、次期国会の召集時期や会期にも関係することでございますので、いま直ちにお答えをいたしますことは困難でございますけれども給与の早期支給を図るということは常々私どもの姿勢でございますので、できるだけ速やかに勧告の政府取り扱い方針を決定をいたしまして、法案を作成し、国会の御審議を仰ぎたい、このように考えております。
  140. 中路雅弘

    ○中路委員 一応人事院への給与に関する質問はとりあえずこれで終わって、あと残されたわずかの時間ですけれども、施設庁、お見えになっているので、きょう防衛の問題もあわせて審議をやるということになっておりましたので、一、二点だけちょっとお伺いしたいと思います。  一つは横田基地の周囲道路の問題なんですが、先日、私現地を見てまいりまして、それからまた数日後、立川市の市役所での記者会見で、私が現地でいろいろ現場を見た問題、それから皆さんからお話を聞いた問題についてお話をしまして、翌日一般新聞でもいろいろ報道されておりますので御存じだと思います。この委員会でも私この問題を以前に、平井施設部長さんのときにお尋ねして御答弁をいただいている問題もあるのですが、二、三もう少しきちっとさせておきたい問題がありますので、お尋ねしたいのです。  皆さん御存じのように、この周囲道路の問題は、前の立川の阿部市長のときに市民の方から周囲道路の要望があったわけです。皆さんの方で、これは特特会計の関東計画の中の交付金でやろう、しかしその際には、いまの市道、幾つかの市道を廃道ということを条件に出されていました。また議会の方では、この道路については八百七十一号までの道路として要望が、四十八年九月にも市議会の請願も八百七十一号までの請願として採択をされていたわけですが、それで廃道ということが条件になっていまして、この道路の問題は、一時話はそのままストップされていたわけですね。先日見てまいりましたら、それから皆さんから聞きましたら、五十一年度で完成するということで四億一千百万のいわゆる特特会計のあれで、立川市が事業主体になって、五日市街道までこの周囲道路をつくるということですでに決められているというお話を聞きました。だから、事業主体である立川市と施設庁の間でいつこの合意がなされたのか、その中身は、立川市と施設庁の間でどういう中身の話がまとまって、それでこの五十一年末までに五日市街道までの周囲道路をつくるということに決まったのか、そこのところをひとつ最初にお聞きしたいと思うのです。
  141. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 いまお尋ねの横田飛行場の周辺のいわゆる周辺道路でございますが、この建設につ察ては、お尋ねがございましたように、かねがねそういう要望がございまして、わが方でもいろいろ検討してまいったのでございますが、昭和五十一年の三月に立川市長からこの整備工事の交付申請が行われてまいりまして、三月十二日に交付決定通知を行ったという経緯になっております。  その整備工事の内容は、いまお話に出ましたように、工事費が約四億一千百万でございまして、幅八メーターないし十メーターの道路を、延長約二千四百メーター道路建設をするという内容のものでございます。  市とはそういう整備工事の実行についてお話をしたというだけでございます。
  142. 中路雅弘

    ○中路委員 そうしますと、いままでこの周辺道路の問題では、市の道路の一部の廃道ということが条件だ、つけかえだからということをずっと四十七年、八年とおっしゃっていたわけですね。私も一度一緒に市の代表と施設庁でお話ししたことがあります。そのときにもこの廃道ということが条件だということで一時だめになったわけですけれども、今度の取り決めの中で、廃道という問題が条件にされていたことはどうなったのか。それから、いままで立川市は八百七十一号までを要請していたわけですが、今度は五日市街道まで抜けてこの周囲道路の建設が取り決められたようにいま御報告になっていますが、この二つの点は、いつどこで変わったのか、その点は明確にしていただきたい。
  143. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 いまお話しの点について、まず廃道の間道でございますが、これは、私どもとしては廃道を条件とするということにはいたしておりません。ただ、ただいま申し上げた道路が完成しまして、そして八百十八号線、いまの外周のすぐそばの道路でございますが、これが事実上通行が少なくなってくる。そして、実際上ほとんど廃道の条件が整うというようなことになった場合に廃道されることを期待はしておりますが、話し合いの条件にはなっておりません。  それから、どこまでかというのは、先ほど申し上げたように、二千四百メーターの内容を決定した三月の時点で、新しい五日市街道までの道路工事ということをお話ししたその時点お話がついたということでございます。
  144. 中路雅弘

    ○中路委員 ここに私は航空地図で、大きいので、これは、先日東京施設局へ行きまして、奈良局長次長、事業部長ですか、施設部長皆さんに出ていただいて、五日市街道までどこを通る道路なのか詳しくこの上で書いてみてくれということで、東京施設局が赤線を引いて書いてくれたのです。もう一つは、これは立川市にその後で行きまして、じゃ、立川市が施設局にどういう、どこまでの道路を要求したのか、要請したのかということを地図でくれといって、これは立川市の土木課長が私のところに持ってきた。それを見ますと、これは八百七十一号までなんです。これは立川市の土木課が私に持ってきた地図です。五日市街道まで抜けていないのです。立川市はここまでの、八百七十一号までつくってくれということで要請したのです。それで皆さんの方は五日市街道までの建設だということで奈良局長はこの地図の上にかいたのですね。立川市はいままで、請願でもそうですか、八百七十一号までの請願を採決しているわけですね。阿部市長の時代もそこまで、しかも廃道も条件にしないでということで要請していたようですが、廃道が条件だということがネックになっているということでいかなかった。岸中市長になってからいまお話ししたような取り決めを、合意をしたというわけですけれども、市の土木課ではこの地図で皆さんにこれをつくってくれということで出したのです。市長と施設庁の間で何か別の取り決めでもあったのですか、どういうことですか。五日市街道までつくるということは、市の担当者と、皆さんと市長と取り決めたということと違うわけですが、どこでどうなっているのですか。
  145. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 いま先生は食い違いを御指摘でございますが、私どもの理解では、先ほど御説明したように市の要請を受けて、三月における交付申請を受けて、十二日に現五日市街道までということで決定通知を出しておる次第でございまして、その食い違いについては、御指摘ですが、私どもの理解と違うように思っております。
  146. 中路雅弘

    ○中路委員 そうすると、市と施設庁の間で合意したのは五日市街道までの道路だということですね。私がこの問題を指摘した後、立川市で各新聞記者が市長のところへ行きまして、その市長が語ったのが新聞にも出ていますけれども、市長は——地元の住民が皆五日市街道まで来るのは反対していますから、中里部落はいまはもう三百世帯ですね、地元が反対ならば道路は八百七十一号までにする、五日市街道まであと五百メートルぐらいありますか、この点については、そのお金も返上してもいいということを市長は記者に語っているのですね。だから、地元が反対ならば市長はその部分は道路をやらない、そしてお金もその分は返すということを言っているわけですが、そういうことで、たとえばこの周囲道路が八百七十一号までの道路としてつくるということでもいいわけですか。この周囲道路は、五日市街道まで抜けなければ施設庁は困るのだということなんですか。その点はどうしますか。
  147. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 先ほどお答えしたとおり、私どものいままでの承知しておるいきさつでは、現在の五日市街道まで抜けるということで交付決定をしたのでございまして、いまお話しのような事実関係がどの程度市の意向であるか存じませんが、交付決定の内容と違いますので、私どもとしては当方の意向どおりでなければぐあいが悪いということでございます。
  148. 中路雅弘

    ○中路委員 施設庁としては五日市街道まで抜けなければ困るということですね、この周囲道路の計画については。八百七十一号の線のところで周囲道路が終って、市長も言うように、じゃそのあとの部分は返上してお金も返す、そういう計画では困るんだ、五日市街道まで抜けなければこの周囲道路はつくってあげないのだ、そういうことですか。
  149. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 いままでのいきさつが市の意向、要望に基づいて、そうして先ほど申し上げたような正規決定をしたので、お話のとおり、ただいま決定しておる状況でないと困るというふうに考えております。
  150. 中路雅弘

    ○中路委員 この問題を取り上げた委員会でも私お話をしたのですが、現地を見て一層私もそのとおりじゃないかと思ったのですが、横田基地の滑走路の南側、あれは滑走路の使用としては非常に障害があるわけですね。滑走路の南端を車が横切っているわけですからね。だから航空機が離発着のときには車を全部とめるわけですね。ずっとつながってとまっているわけです。あるいは北側へ回さなければいけない。だから緊急離発着のときになれば、あの滑走路はその点も非常な障害がある。だからしろうとが見ても、軍事的に考えればあの滑走路をもっと有効に、効率的に使いたいということは当然なことなわけですね。そのためには南端を、基地をそういうふうに使用したい、拡張したいというのは、あの基地を使用する側から見れば当然ではないかということですね。周囲道路の話が地元から出たときに、いまのフェンスのわきにある市の道路を廃道にしてくれれば周囲道路をつくりましょう、皆さんお話で。これで阿部市長と意見が合わなかった。阿部市長は、廃道にすれば必ずそれは拡張につながるだろう——皆さんは拡張しないと言っているけれども、廃道にしてしまえば全部国有地になるわけですから、当然アメリカの方からも要請も出てくるだろうし、基地の拡張につながるようなことには応じられない、だから廃道はできないということで阿部市長が突っ張ったために、この周囲道路の話がさたやみになっていた。それが現在新しい市長になって、今度は廃道を条件にしないで周囲道路をつくるということになった。しかし、お話のように、廃道されることを期待しているのだ、道路を先につくっておいて、つくったのだから、これはかえだから廃道にしてくれということを言えばこれは話がつくということで、恐らく私は市長との間で合意があるんじゃないかと思いますけれども、あるのですか。これはうなずいておられるから確かめますが……。
  151. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 うなずきましたのは、先生の御質問を理解したという意味でございまして、これからお答えするのが私のお答えでございます。  それは、先ほども答弁申し上げたとおり、いわゆる周辺道路を整備することによって、周辺の八百十八号線の通行が少なくなるであろう、事実上廃道してもいいようになるだろうということを期待しておりますが、あくまで廃道を条件にはいたしておりません。それが事実でございます。  それから基地の拡張についても、廃道をして後邪魔がなくなったから拡張していくのではないかという考えがあるやに聞いておりますが、私ども、拡張するという考えは持っておりません。     〔木野委員長代理退席、竹中委員長代理着席〕
  152. 中路雅弘

    ○中路委員 それではもう一点お尋ねしますが、そうだとすれば、八百七十一号まで周囲道路、これは地元の要望なんですね。住民の皆さんの要望でもあるし、いままでそういう請願で市も採択をしていた。そこまで道路を二千四百メートルですか、それをあと五百メートルぐらいです、私見たら五日市街道に抜けるまで。それを八百七十一号まで周囲道路をつくって、七十一号につなげて、フェンスの側の道路をずっとつなげるわけですね。という道路じゃ困るということは、どうして困るのですか。五日市街道まで抜けなければ困るのだと施設庁の言う中に、意図がなければ困るという理由がわからないですね。地元の要望でもあるわけです、八百七十一号まででこういう周囲道路をつくってくれ。それがどうしても五日市街道まで抜けなければこの道路はつくってあげないのだということは、どういう意図ですか。
  153. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 それは先ほども申し上げたように、かねがね過去においていろいろいきさつがございましたが、この五十一年三月に地元からそういう要望がございましたので、それに基づいて交付決定をしてすでに行政措置として確定してやっておるから、いままた話がもとへ戻ってというのは困るのだということを申し上げているわけです。
  154. 中路雅弘

    ○中路委員 事業主体は立川市ですからね、その事業主体の立川市から一部変更という意見が出た場合に、その話は一いまの場合は合意になったというからあれですけれども、しかし、その事業主体である立川市がこういうふうに一部変更したいという場合には、それが話として正式に来た場合、施設庁としてその話はできるわけですか。
  155. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 先ほど来重ねて申し上げるように、市側の要望をもとにして現在の話になっておりますので、そういう要望が出るとは考えられませんが、もし市の真意あるいは市の意向というものが十分私どもに伝わってきて、そしてもう一度話をしてみるということは考えますが、現時点において、先ほど来重ねて申し上げておる状況でございます。
  156. 中路雅弘

    ○中路委員 結局、向こうでいま十八ゲートの開門ということが大きい問題になっていますし、それから、ちょうど周囲道路と並行して米軍の排水の工事をやっていますね。それから周囲道路の建設というのは、私が現地を見ても、これは決してばらばらなことじゃない。一つのこととして計画がやられている。それが全体として横田基地の南端の部分の障害を取り除いて、もっと効率的に滑走路を使用していくという布石としてやられているとしか見られないわけですね。だからこの問題は、私現地を見て、いろいろ廃道のことがえらく条件になってこの問題が長くあれしたり、あるいは五日市街道まででなければ困るという話に施設庁が固執されるとかいう問題じゃないかと思います。平井部長が拡張しないんだということをこの前この委員会でも答弁されていますけれども、横田基地の南端のいまの問題ですね。これは絶対に基地の拡張はしないんだ——米軍の方の要請があれば協議せざるを得ないのですけれども、その点についてはもう一度この場で明確にさしておいていただきたいのと、もう終わりですからまとめて言いますが、立川市から、いまそうでないですけれども、一部の変更について話が出た場合、市長はそうならば金も返しますと記者会見で言っているんですから、私が話した後。そういう話が来た場合には、それは施設庁として、話として一応協議をするという態度でやるのか。そういう話が来たら、もうこの道路は全部だめなんだということなのか。  それからもう一つ最後に、十八ゲートの開門ですね。十八ゲートを開くということで、これは地元を挙げて反対ですね。これは立川市も反対です。もちろん関係の住民も全部反対です。しかし、もうフェンスを取り除けば開門できるところになって、何とかアメリカの方に、右側だけ車を流せば——話さえつけば開きたいと言っているんです。公道ですから、軍用車だけじゃなくて、規則でここはアメリカの家族の車は通るなということはできないわけですね。そういう意味で、大変な交通事故も何遍も起きているということから、十六ゲートも一遍閉めてあるわけです。閉門になっているでしょう。それで、新しく十八ゲートを新設して門を開く。これに対しては市も関係住民も反対しているんですね。反対がある限り、あれは開かないということは約束できますか。その三点。
  157. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 いまのいわゆる周辺道路、それからゲートの問題、滑走路の南端であるということを総合的にお考えになって、基地拡張の布石であるという御意見でございますが、私どもの理解は、十八号ゲートの開設は、御承知のように関東区施設を全部横田に、立川飛行場その他等入れて五つ集約したわけでございまして、その結果、あの辺における交通事情というのは大変変わってきた、狭いところに集約的に寄せてしまいましたから。そういうこととの関連において、あの部分の周辺整備を行いたいというのが私どもの考えでございまして、したがって、いまお尋ねの周辺道路の交付決定についても、その一環としてすでに市と相談して決定したのでございますから、私どもとしてはこれを変えるということを考えておりませんが、市の御志向がどういうものかということを伺って検討するということは、これを拒否するものではございません。私どもの考えとしては、これは変えたくないということでございます。  それから第二点の——その前に拡張がございましたが、これは拡張するという考えは持っておりません。申し上げたように、あの辺の交通事情が変わってきたことによる整備をしたいということを考えております。したがって、基地の内外の交通事情の変化に対応する対策として、ゲートを開くこともやりたいというふうに考えております。
  158. 中路雅弘

    ○中路委員 もう一点、ゲートを、いま地元の自治体も三百世帯の中里部落の住民の人たちも挙げて反対しているわけですね。だから、その反対があってもゲートはいま開くということなんですか。その点については一層よく話をしている、地元で自治体も住民も反対のある限り開門を強行するということはしないということなのか。それとも反対があっても、これはもう開くということですか。
  159. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 どんなに地元の反対があっても強行するという考えならば、もうすでに、長い間のことですから過去において幾らでもやれたのですが、私どもとしては、地元との今後の長い関係を考えましたならば、なるたけ地元の御了解、御理解を得た上で物をやるということが望ましいというふうには思っておりますが、どの程度段階でどういう判断をするかということは残っておりますけれども、なるたけ慎重に対処したいというふうに思っております。
  160. 中路雅弘

    ○中路委員 私は終わりに重ねて聞きますが、この十八ゲートの開門は地元側も挙げて反対しているわけですし、立川市も、行きましたら、公式には反対だということを言っているわけですから、やはり関係の自治体や住民が反対のまま、事生命に関する問題ですから、何人も交通事故で子供さんも死んでいる問題ですから、これを強行するということは絶対にやらないということを強くこの席でも要請をしておきたいと思うのです。  時間が予定の時間になりましたので、あと一問だけ、済みません別のことなんですが、これは来週の月曜日にも、いま外務省を通して要請していますので間もなく返事が来ると思うのですが、横須賀の基地に私直接調査に行きますので、それと関連したことで一問だけまとめてお聞きします。  別の機会にこの基地の公害問題については時間をとって私お尋ねをしたいと思いますので、月曜日に行きます予定の調査と関連して一問だけ聞いておきたいのですが、御存じのように、去年の十二月二十四日に環境庁が発表しました米軍基地の施設区域の環境調査結果というのが出ていますね。水質と大気汚染という非常に限られた公害の調査ですが、四十八年、九年からやってきた。この中で全国の十九の米軍施設について結果が発表になっていますが、私が十九日に予定しています横須賀だけ取り上げてみましても、この環境庁の調査結果を見ますと、大気汚染で見ますと、ボイラーの硫黄酸化物の排出基準が大体数倍から十数倍という大変なオーバーをしている。二十五基のうち十九基のボイラーが国内の排出基準を大変オーバーしておる。それから屎尿処理、排水についても、米軍の居住地区の五カ所のうち二カ所から大腸菌その他が出ていますし、水質汚濁防止法の基準値をはるかに上回っている。しかも、ここの浄化槽は旧日本軍の古い浄化槽そのままを使っているということを横須賀市も確認しているわけです。  もう一点は、三点あるのですが、廃棄物の護岸ですね。ヘリポート付近の海に出ているところの護岸が整備されていないので、廃棄物が全部海に流出している。この防止のための護岸工事が必要だというような、大きく言ってこういう点が指摘をされているわけです。その後、関係の横須賀市あるいは神奈川県も含めて、たびたびこの結果についての改善の要望を出しているんですが、音さたがない。皆さんの方で環境庁、外務省、施設庁、米軍と会談はやっておられるそうですか、米軍の方から具体的にこれを改善するとか、一、二カ月前私が聞いたときまでは、そういう点についての具体的な返事がまだ来ていないというお話を聞いているんです。この結果が出たのは去年の暮れですから、この結論だけでいいんですが、いまどういう段階になっているのか、米軍との話がどこまで行っているのか、この点だけきょうお聞かせ願いたいのです。
  161. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 いま御指摘のような事実がございまして、私も環境庁の資料を手にして承知しております。  そこで、先ほどもお話がございましたように、この点については、環境庁から米軍に改善措置をとるようにということを申し入れしておりますが、目下米軍で検討中であって、まだそれに対してどうするという具体的な回答を得ておりません。同じことについて、神奈川県の知事から文書でやはり米側にお話しになっている。それに対して一月十六日ですか、米軍の方から、日本国の法令を尊重して、誠意をもってこれを何とか処理したいという旨の文書が来ておるということを聞いております。したがって、米軍ではいま検討中でありますが、私どもとしても、本来の米軍の業務からこういうことになっていくことのないように、私ども立場で物が進むようにやっていきたいと思っております。
  162. 中路雅弘

    ○中路委員 もうこれで終わりますが、いずれ改めて米軍基地の公害問題は何かの機会に取り上げたいと思うのですが、全国的にあるのですね。いまのは公害に関しての問題だけですが、石油タンクの腐朽なんというのは大変危険なのが多いわけですね。この点で、去年の十二月に出てから半年以上たって、いまなお何の具体的な改善の処置についての回答も得ていない。私環境庁関係に聞きましたら、米軍の関係者は法律も知らないというのです。今度日本の法律の環境基準について一遍レクチュアしてくれという話がある。そんな調子でいままで放置されていたのかと私も驚いたのですが、これは不当なんですけれども、安保条約は、これは義務はないのですが、国内法は尊重するということが明記されているわけですね。しかも、事公害に関する問題ですから当然遵守しなければならないという問題について、米軍はその基準も知らない。いかに防災対策をやっても流れ込む東京湾は同じなんですから、汚水だって。この点についても外務省、施設庁関係者が非常に具体的にこれだけ指摘されながら、米軍との具体的なやはり改善についての話も十分やられていない。環境庁のお話を聞きましたら、予算が伴うので、ターナーという大佐が出てきて、改善は検討しているけれども、なかなかむずかしい、法律違反はよくわかっているのだけれどもなかなか改善に着手しにくいという意味のこともしゃべっているのですね。これではいつまでたっても改善されない。私も現地へ直接行って米軍からの説明も聞きたいと思っていますけれども、この席でも関係の省庁とも具体的に相談されて、改めて米軍にこの問題では強く具体的な改善処置を要求していただきたいということを最後に要望しまして、一言長官からお話を聞いて終わりたいと思うのです。
  163. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 お話のように、この環境基準の問題あるいはまたそのほかの消防の問題とかそういう環境問題、私ども関係しておるので大いに関心を持っておりますが、なかなか中身はむずかしゅうございまして、したがって、またいま御指摘のように、米軍側にもなかなか法規的な面で徹底していない面があるようでございますので、そういうことの徹底、それからそれに伴う具体的な処置の取り方というものについては、私どももなお十分に努力して、物が具体化するように今後努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  164. 中路雅弘

    ○中路委員 じゃ終わります。
  165. 竹中修一

    ○竹中委員長代理 鬼木勝利君。
  166. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 与えられた時間が非常に少ないので、簡単に人事院の方にお尋ねをしたいと思います。  これはもう毎年のことですから申し上げることもないが、やがて公務員給与勧告もあると思います。聞くところによりますと、八月の上旬に勧告が出るとかいうような話をちらちら聞いておりますが、民間企業との関係もむろんあると思いますが、どの程度まで調査が進んでおりますか。実はけさも理事会でいつ次期は委員会をやるかというような話し合いもしたのでございますが、勧告の出る時期の大体のお見込みがどの程度であるのか、私どもも心構えもありますし、まずその点をちょっとお尋ねをしたい。
  167. 藤井貞夫

    藤井説明員 本年の給与勧告の作業につきましては、去る六月十六日まで調査をいたしまして、その後結果を検討し、これを集計をする作業に入っておりまして、目下鋭意集計作業中でございます。もうしばらくいたしますと、その結果が徐々に出てまいるのではないかという段階に来ておるわけでございます。  そこで、これらの作業の推移等ともにらみ合わせをいたしますと、大体事務的な技術的な限界というものもございますので、結果的には大体例年ぐらいのペースということになろうかと思います。さらに若干具体的に申せば、昨年は八月の十三日でございました。そこで私たちといたしましては、少なくとも十三日におくれないように、でき得ればそれより少し早めるということを目途にいたしまして現在作業を鋭意進めておるという段階でございます。
  168. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 ただいま総裁のおっしゃったとおり、昨年はたしか八月十三日だったと私も記憶しておる。ところがけさほども大出議員からいろいろお尋ねがあっておったようですが、全部推定、憶測でしょうが、いろいろな話が飛んでおる。本年は御承知のとおり民間企業もはなはだよろしくない、非常に不況であるというようなことで、本年の勧告は非常にダウンするのじゃないか、いわばそういう点を非常に心配をしておるようでございますが、これは御承知のとおり民間企業との較差が五%以上の場合、そういうような場合には勧告するんだ、こういうことが公務員法の二十八条ですかに載っておるようでございますね。ところがいま総裁お話で、民間企業その他との関係もあっていま煮詰めておるというお話でございますが、仮に民間企業との較差が五%あろうがなかろうが、五%以下であろうが、そういうことは言われぬとおっしゃるかもしれぬけれども勧告は絶対されるのですか。民間企業との較差によって五%以上なければあるいはやらない、あるいは昨年よりもことしはずっとダウンするんだというようなところを、ちらっとでいいですが、何かお話しできますか。
  169. 藤井貞夫

    藤井説明員 これは鬼木先生も専門家で重々御承知でございますように、人事院勧告作業民間給与の実態を精細に調査をいたしまして、それとの対比において官民較差があればその差を埋めるために勧告をするというたてまえになっておることは御承知のとおりでございます。その場合に、いま御指摘になりましたように、五%以上とそうでない場合と法律上も勧告の仕方について差異を設けておるということは事実でございます。五%以上のときにはやらなければならぬということで人事院に義務を課しておるということでございます。そのことが、裏面解釈を申すまでもなく五%未満であればあるいはやらなくてもいいという法律上の一応のたてまえとしては理解ができるのであります。ただこの点は、結果が出てみませんといまのところではどうこう申し上げる段階ではございませんが、ただたてまえ論として、仮に五%未満であるというような場合におきましても、これは五%未満だからもう問題にならぬのだというふうに素通りができる問題ではないと私思います。これは御承知のようにそもそも基本給というものがかなり上がってきております。といたしますと、仮に五%といたしましても、これはかなりの額でございます。今日のような物価上昇というものがある程度足踏み状態というか正常化してきておるというものの、やはり上がってきておることは事実でございますし、そういう点でやはり実質賃金の確保ということが、ことしの場合も特に民間の春闘の過程においてそういうことがやかましく言われておることもうなずける点もあるわけであります。  そういう点もございますし、それからもう一つの問題といたしましては、仮に五%未満だからということでそのままほおかぶりということをいたしますと、これは来年の較差が大変なことになります。そういう点で、これはわれわれの方で特に財政的な配慮をとやかく言う必要はないという立場には立っておりますけれども、しかし諸般の情勢を考えなければならぬということになりますと、そういう財政問題というものもこれは頭の中に強く置いておかなければならぬ問題でございます。何よりもいまの基本給が上がってきておりますから、五%未満といってもこれはいまの時代では無視することができないような状況であろう、そういうことがございますので、仮にそういうことが出ました場合にも、これは仮定の問題ですけれども、単に五%以上にならないから簡単に無視して通るというわけにはまいらない問題ではないかというふうに私は考えております。  ただ見通しといたしまして、いま結果がどう出ますか、民間状況から見ましてそう突拍子もないことが出るわけでもございません、やはり従来の経験から申しましてもまずまず大体予想されておるような一つの相場と申しますか、そういうものを上下するようなかっこうで出てくるものと思いますけれども、そういうものが出た段階において、諸般の事情を慎重に考慮して最後的な決定をいたしたい、こういう立場でございます。
  170. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 大体いまの御答弁で私も同感でございますが、なぜこういうことを私がお尋ねするかと申しますと、これは総裁ももう御承知と思いますけれども、過去におきまして三十二年と三十三年、三十四年でしたか、この三カ年は民間企業との比較によって較差が五%に達してなかった。だけれども、これは勧告が行われてそして公務員のベースは上がった、そういう例がある。勧告が出されなかったのがたしか昭和二十九年だった。二十九年は勧告がたった一回だけあっておりません。三十二年、三年、四年は、これは五%以下であったけれども勧告をしておる。そしてベースアップができておる。ですから、そういう前提の上に立って、いま総裁が御答弁なさったように、仮に万一そういう場合でもこれは私は勧告をしてもらわないと困る。そうしないと過去にこういうことがあるのですからこれは黙っちゃおれぬ、こういう観点でいまちょっとお尋ねしたのです。  また、これは勧告が出てからの場合ですからどうということはなんだと思いますが、長官はどういうふうにお考えになりますか。
  171. 植木光教

    ○植木国務大臣 私は常に申し上げておりますとおり、人事院勧告を政府が尊重をいたしますことは、基本的なあるべきたてまえでございまして、誠意をもってこれに当たらなければならないと存じております。本年は厳しい財政情勢のもとでございますけれども勧告が出ましたならばその取り扱いについての方針を速やかに決定をし、国会において御審議を賜りたいと存じております。
  172. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そこで、この問題は私はかねて主張しておるのですが、民間企業との較差、民間企業対象として御調査なさって、その結果いかんによってどうだ。これは例年いままでやってきたことで、ことに二十八条にも載っておりますので、それに沿っておやりになっておることは私は結構だと思うのですが、私が主張しておりますのは、ただそれにのみよるのではなくして、公務員給与という一つの体系を自主的に、独自的にお考えになってはどうだ。そうしないと、こういう杞憂といいますか、心配しなくてもいいようなことを心配しなければならぬ。ただ、民間一辺倒で、民間がこうだからこうだというようなことでなくして、もう少し独自的にお考えにならなければならぬ。といいますのは、較差が五%ということに基本を置いていらっしゃる。五%という算定基準というか根拠は一体どういうところから出ておるのですか。いま総裁がおっしゃいましたように、仮に五%以下であっても、簡単に五%以下だからもうやめたと無視するわけにはいかない。まことに私もそうだと思うのです。そこの無視するわけにいかないというところには、私は何かあるんだと思う。つまり、五%ということを基本にした、その五%で能事足れり、全部それによって結論を出すんだ——では仮に今度でも万一五%以下であった場合でも私はなぜ勧告をしてくれと言うかというと、単にそういう物質的な五%というようなことのみでなくして、物心ともに私は考えなければならぬと思います。人間生活というものは、われわれの生活というものはただ物質のみではないんだ、そこに非常に大きな精神的なプラスアルファがあるはずだと私は思うのです。ですから、本年度たとえ五%以下あるいは三%、二%であっても当然私は勧告すべきだと思う。だからそういう点を考えまするというと、五%という根拠は一体どこから出たんだ、そこに私は一つの大きな疑問がある。総裁どういうふうにお考えになりますか。時代によってわれわれの生活というものは変わってくる。物価も時代によって変わってくる。それを較差を五%ということをいつまでもいつまでも、二十年も三十年も四十年も較差五%だ。こういうところは総裁お考えになった方がいいんじゃないですかね。私はそういうことを勧告してもらいたいと思う。五%の基準というのはおかしい。そこのところどうですか。一%であろうが二%であろうが、較差があれば直ちに勧告しろというようなことにやってもらいたいと思う。
  173. 藤井貞夫

    藤井説明員 これは釈迦に説法であるわけでありますが、第一点お話しのございました公務員給与のあり方、その基準をどこに置いていくかということについてはいろいろ議論がございます。世界各国でも大変苦労をしておるところでございます。その場合に独自で決定したらいいじゃないかというようなことも一つの考え方でございましょう。しかし、その独自決定ということに踏み切りました場合には、当然そこに公務員側といたしましても一種の団体交渉というような問題が一つ出てまいりましょうし、またその基準をどこに置くかということについて、公務員の特殊性を主張していわゆる民間のベースから上の方に決めるということになりますれば、納税者の納得を得ることがなかなかむずかしい問題が出てまいります。またその理由づけもむずかしいことになってまいりましょう。またいわゆる民間のベースよりも低いということに決めるということになりますれば、とうてい公務員の納得を得られませんし、また使用者としての立場の政府といたしましても、公務に優秀な人材を確保していかなければならぬという面から言ってこれは適当でないというようないろいろなむずかしい議論がそこに派生してまいりまして、そういうことから経験原則的にもやはり民間の対比というものが一番合理性があるのではないかということで、この法律のたてまえができているように承知をいたしておるのであります。これで今日まで大体大筋のところは適当に処理をされてまいっておると思いまするし、毎年の勧告をめぐってはいろいろな論議はございますけれども、全体としては妥当な線に落ちついて今日まで運営されてきておるのではないかというふうに確信をいたしておるのでございます。  もう一つ、第二の点といたしまして、いわゆる五%の点でございますが、これは私、立法当時原案作成の過程において直接に参画をいたしたわけでございませんので、そのところの理由はいまのところ確信を持って申し上げる段階ではございません。ただ二十分の一ということでございますから、情勢の適用でもって勤務条件等はやはり変えていかなければならぬという場合に、上限、下限というものをある程度めどを置いてやっていく。その場合に五%あたりがまずは妥当なところではないかということで決められたのではないかというふうに推察をいたしております。私は地方公務員法の立案に参画をさせていただいたわけでございますけれども、その場合に、むろんまだ司令部もございましたし、また当然公務員ということでございますので、国家公務員法の規定内容というものも十分検討し、参考にさせていただきました。ただ地方の場合におきましては、当時におきましてはまだ合併前で、一万に上る地方団体があったということもございますし、また地方にはそれぞれ議会もあって、その自律性を尊重していかなければならぬということもございまするので、余りぎしぎしとしたことは適当でないということもございまして、この五%ということは書いておりません。これはやはりもう少し弾力性のあることでいいのではないかというふうに私自身当時判断をいたした、それを国会でも御承認をいただいたということだったと思います。したがいまして、この問題については一つのめどということでありまして、これが大変合理性を持った数字であるとは私も思っておりません。  ただその後の情勢の推移を見ますと、五%というものはございましたけれども、やはり毎年の経済社会の状況というものは、そういうものよりもさらに上回ったことでやってまいりましたし、そういう現実を踏まえて勧告も行ってまいりましたので、そういう問題に現実にぶつかって、いろいろ思案投げ首をやる必要もそうなかったということもあろうかと思います。ただ、将来経済が非常に落ちついてまいりました場合において、民間においても経済の変動が全然ないというような場合には、これは参考にせざるを得ないでありましょうし、それからまた非常に小幅になってくるというような安定した状況が出てまいりました場合に、果たして五%がいいのかというような問題が起きる可能性も将来絶無とは言えますまいと思います。そのときはそのときの情勢で、国会における論議その他各般の意見も尊重いたしまして、そこに書いてあります規定の改正、問題点の点検というような時代があるいはあるかもしれません。ただ、いまのところそういう一つのめどとして設定されて、従来大して問題なく運営されておりますし、今日の場合におきましても民間のなにが非常に低いというふうに言われておりますけれども、結果的にどうなりますか、いまのところわかりません。しかし仮に五%未満という場合におきましても、私自身の問題意識としては、先生もおっしゃったように、五%未満だからほっておいていいという筋合いのものではなかろうという問題意識を持ってこれに対処していきたいということを申し上げておるわけでございます。
  174. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 さすがに人事行政のオーソリティーであなたの御答弁まことに明快である。私も非常に満足に思いますが、五%というのはこれは一つのめどであって弾力性があるものだと自分は解釈しておる、このような広義な解釈をしていただいてわれわれも大いに満足ですが、私はなぜそういうことを先ほどから申し上げるかというと、これは裏を返せば、もしこの五%というものが絶対的なものであるということになれば、四%とか三%の較差の場合はがまんしろということになるわけですね。それじゃわれわれは絶対承知できない。一%であろうが、〇・一%であろうが、民間よりも低いということになればこれは当然勧告すべきだ、こういう考えをわれわれは持っておるわけです。過去においても三十二年、三十三年、三十四年あたりはそういうことをやっているのだから、そのところの意味で私いまお尋ねしたので、そういう総裁のお考えでやっていただくということになれば大いに私らも安心する。  というのは、今回の勧告は来月の中旬に出るといういまのお話、十三日よりも早くやりたいというお話ですが、巷間においては非常に皆さん心配しているんですよ。先ほど長官がおっしゃったように本年は非常に厳しい、民間企業も非常に不況であるから、もうこういうことを心配しているのです、たとえばボーナスなんか民間企業はあるいは出ないところがあったりダウンしたりあるいは分割払いというような。ですから、今回の勧告においても期末手当とかあるいは勤勉手当というようなものをカットされるのじゃないか、こういうことをすでに心配しているのです。だからそういうようなことをちらちらと人事院のだれか言われたのか言われないのか。けさほども大出委員お話ししておられたが、まさか軽々にそういうことはおっしゃらないと思いますが、そういうようなお考えでもあるのですか。あればこれは大変なことになるのです。まあいま結論に至っていない、煮詰めているとおっしゃっているからまだ答弁はできぬとおっしゃるかもしれぬが、そこをどうですか総裁皆さんが安心されるようにひとつ言ってもらいたい、そういう点いかがですか。
  175. 茨木廣

    茨木説明員 ただいまの点については午前中もいろいろ御意見なりおしかりがあったわけでございますが、私どもとしてまた人事院会議としてどうこう決定しておるわけではございません。これは全然まだ未定のことでございます。  それから、関係者との間ではある日突然異常な事態が起こったということではこれまたおかしな話でございますので、各方面の意見をいろいろお聞きしながら、そういうことは大事なことでございますので、吟味を慎重に重ねていかなければいかぬ、そういうたてまえがございますので、そういう意味組合との会見の際にも話題にのせております。  それから、先ほど午前中問題が出ましたような人事委員会の事務局長会議であったと思いますが、そういうような私どもと一緒に共同調査をやりながらやっておるいわば同僚の間の問題としまして、そういう問題点がいろいろなことからございますよということはやはり話し合いとして出てまいった、そういう経緯でございます。そうしながら県側の意見も聞いておかなければいかぬし、組合側の意見もお聞きしなければいかぬし、各方面の意見を聞きながら内部でもいろいろ検討をしていただく、こういう過程をいまたどっておるわけでございます。
  176. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 じゃ本年は、あるいは期末手当とかあるいは勤勉手当というようなことに対しては多少のがまんをしてもらわなければならないかもしれないというような、当たらずといえども遠からずという、そういう発言を、勧告が出てもいない先にそんなことをだれかおっしゃったのですか、人事院
  177. 茨木廣

    茨木説明員 結論的なことを言うはずはございません。それはやはり数字を見て、それから院議で御方針をお決めいただいて勧告の形で初めて出るわけでございまして、ことしはこういうふうにいたしますよというようなことはとてもそれは言えるはずのものでもございません。ただ、これは普通の給与本体の方の問題と違いまして、期末勤勉の方は、御案内のように前年の五月から本年の四月までの民間の出ました額で月数というものが出てまいりますから、もうおのずから私ども数字をかちっとしたものでつかみ得ないだけでございまして、実態はもう出ておるわけでございます。そういうものでございますので、それらを推察させ得る他のいろいろ統計等から見ますとそういうものが出てくるおそれが十分ある情勢下にあるということで、そういうものをどう考えるか、あるいは出ました場合にどうするかというようなことをいろいろ広い角度から吟味をし煮詰めてまいらなければいなぬ、こういうような段階でいまやっておるわけでございます。
  178. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 これは出ない先に私どもがやいやい言ったってどうかと思いますから、どうせ勧告が出ますれば直ちに上京して皆さんとまた話し合いをいたしますから、その場合にまた私ども大いに愚見を申し述べたいと思いますから、前もってどうだこうだと言っても何だけれども、巷間でいろいろわれわるが耳にしたことをあなた方にちょっとお尋ねしておこうと……。  いずれにしましても、私が申し上げたのは、民間企業との較差ということをいろいろなデータをとって数理的にこうなったからというその一本でやられたのでは実際の話が困るのですよ。これは民間が悪くてこっちがいい場合、あるいは民間が非常によくてこっちが悪い場合ということが過去ずっとあったわけですから、そのとおりにやられたら困るわけですよ。これはもう民間がよくて、とにかく民間でなければならぬぞと言ってこちらから民間に逃げていったような人が、それはあったかどうか知らぬけれども民間民間へといったような時代もあったのだから、そういう悪い場合にはこちらもがまんしたのですからね。ですから私が先ほど言ったようにただそういうこと一辺倒でなくして、自主性をそこに加味してもらわなければ困る。いやしくも国家公務員としての権威を保って国民のために奉仕しなければならぬ。衣食足りて礼節を知る。衣食が足りてこそ初めて礼節が生まれるのですから、だからそういう物心ともにこれを考えてもらわなければ困る。それを考えてもらわぬと必ずしも善政が行われない、そういう点を私は主張しておるわけなんですよ。民間がボーナスをやらないからこっちもやるな、そういう一方的な考え方をやられたのでは困るのです。だから、それは藤井総裁も非常にお人となりがりっぱな方だから同ういう冷たいことはなさらないと思うけれども勧告が出ないことには——長官も勧告が出れば大いに尊重します、こう言っておられるのですから、何も人事院の方は御遠慮は要りませんから、思う存分ひとつ公務員のために精いっぱい勧告をしていただきたい。勧告が出れば尊重すると長官はいまおっしゃっておるのだから、そういうふうにひとつお願いします。  それから、次にちょっとお尋ねしたいのは、特に中高年齢層の方に対して何か優遇策を講ずるような勧告の用意があるかどうか。具体的にどういうふうにお考えになっておるのか。いや、それもまだ決定していないから具体的には困るとおっしゃれば抽象的でもいいが、本年はこういうふうなことを考えておりますということがありましたら、総裁でも局長でも構わぬ。お考えになっていなければこれから考えてもらわなければ、まだ来月の十三日までには大分時間があるから、ようございますか。だから何といったってあなたたちが逃げようといったって逃がさぬから、いいですね。その点をひとつ……。
  179. 茨木廣

    茨木説明員 大変ありがたい御激励をいただきまして、私どもとしましても、ここ十年ばかりの民間給与情勢から見ますと大変初任給の方に重点が置かれて、獲得難であったからでございましょうか、そのあおりを受けまして上の方から原資が下の方に持っていかれて、おっしゃられるところが大変お気の毒な感じをしているのではないかということをかねがね懸念をして本委員会でも申し上げたことがございますけれども、そういう点からいきまして、やはり機会を見て漸次そういう点をなだらかになるように改正をしていかなければいかぬだろうという気持ちを持っておるわけでございます。  去年あたりから、初任給に重点を置くという姿勢がだんだん民間の方でも修正されまして、世帯構成から中年あるいは三十五歳前後のそういうポイント要求的に組合もなり、そういう点が直ってきつつあるようでございます。ですから、恐らくことしの配分状況数字が出てまいりますと、そういうようなものもあらわれてくるのじゃなかろうかと思います。そういう点を十分注視をいたしまして、そういう状況が出ますれば、俸給表の改善ででき得る限りそれを反映をさしてまいりたいというように考えております。これが、勧告時期に考え得る一つのポイントだろうと私は思います。  それからもう一つは、扶養手当等についてどういう民間の変化が見られますか、これも大変期待して注視をしておるのですが、これも出てまいりましたならば吟味をいたしまして、そういうものについても改善すべき数字がやはり出てまいりますればこれも反映させまして、そこの点について改善を加えていくことがまた即中年対策になるというように考えております。  あとは、この勧告時期ではございませんで、秋の予算時期までの間に、例年級別定数等の吟味もやっておりますが、そういう中でも理由のあるものにつきましてはやはりそういう点の配慮も加えてきておるわけでございますが、そういう点もやはり配慮してまいらなければいかぬだろうというように考えております。
  180. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 この点は十分考えていただかなければならぬと私は思うのですが、上厚下落、これを盛んにいままで間違いだ、上薄下厚でいかなければいけない——それは私、それでいいと思う。それは私らが申し上げていることと意味が違うんだ。中高年齢層と上薄下厚とは意味が違う。それは、高級官僚でたくさん俸給を取っておるのにまたどんどん加えていくというようなことはいけない、そういう上厚下薄はよくない。これは私は、当然皆さんも御承認いただいておると思う。ところが、長年勤めておりながら非常に不遇な人がたくさんいらっしゃるのだから、そういう中高年齢者に対してはどういう優遇策を考えておるか、こういうことを申し上げたわけなんですね。そこのところはひとつ誤解のないように、上厚で下薄にしろという意味を申し上げたのじゃないのです。それはおわかりでしょうね。局長、どうですか。そこのところをはっきりしてくださいよ。
  181. 茨木廣

    茨木説明員 別に下薄にしろというふうなことをおっしゃられたとは私は思っておりません。中高年のところもよく見ろ、ということでおっしゃったものだと思います。  ただ、またお言葉をお返しするようでございますけれども、上の方の方も大変社会的評価と申しますか、なんかは非常に権力を持っておるし、何もという感じで見られがちでございますけれども、経済的には戦前の官吏と違っていまして、大変落とされた姿になっておることは事実でございまして、その点はまた御理解をいただいておかなければいかぬだろうと思います。
  182. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 次にお尋ねしたいのは海外子女教育の問題ですが、これも先般私は相当時間をとってお尋ねをしたのですが、今度文部大臣からこういう申し入れがあっておるんですね。人事院総裁に対して永井文部大臣から「文部省では、海外子女教育の充実を図るため、公立学校教員等を国立学校教員に任用のうえ、現行の派遣法を活用し、派遣職員として海外の日本人学校等に派遣する制度を確立したいと考えていますので、国立学校教員に任用した場合の処遇等を含め、貴院におかれましても御検討くださるようお願いします。」この点についてどのように総裁はこれを受けて検討していただいておるか、その点をひとつお尋ねしたいと思います。
  183. 藤井貞夫

    藤井説明員 いまお話しのございました件につきましては、御指摘のように去る七月六日に、文部大臣から教員等の給与改善について一般的な要望が毎年ございますが、その要望がございました中の一項目といたしまして、いまお話しになりましたような点が出てまいっております。  この点につきましては、方針自体は文部省の方針でございまして、今後恐らく日本人学校等の実態を踏まえてどういうふうにしていくのがよいだろうかということを具体的に検討をなさることに相なるだろうと思っております。現在私も大体承知をいたしておりますが、詳しくその実態はこれから調べていかなければならぬと思っております。  現在は地方団体の方から先生を派遣をしておるということで運営をしておるようでございますけれども、それがいろんな状況からやはり余り合理的に運営ができないような面が出てきつつある。加えて最近の地方財政問題その他からいたしまして、地方側からも、やはりこの際事柄の重要性にかんがみてひとつ統一的な処理を図るためにも、制度の安定を図るためにも、これを国の制度としてひとつ考えるようなことをやってもらいたいというような要望も恐らく出てきておるのではないかというふうな感じがいたしております。  そこで、これを受けて文部省からの私たちの方に対する要望ということに相なったのであろうかと思いますが、私の方もこれは全く無関心であるわけではむろんございません。事柄の重要性というものは十分認識をいたしておるつもりでございますけれども、事柄は、これは文部省自体が外務省あるいはその他の諸官庁と十分な連絡をとって制度としてひとつ確立をしていただくことが先決であろうかと思っております。これを受けましてわれわれの方も十分内容の検討をいたして、どういうふうに持っていくかというような点についても文部省を中心として御相談を申し上げて適当な解決を図ってまいる、その方向でひとつ努力をいたしたい。現在の制度のあり方が問題があるということについては私もさように考えておるのでございます。
  184. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そこで、この「現行の派遣法を活用し、」と文部省から申し入れがあった。そうしますと、御承知と思いますけれども、都道府県の公立学校職員は、国立学校の教職員と俸給を比較した場合に非常に低いんですね。これを国立学校職員に引き直しますと、俸給が三号俸も四号俸も低いわけなんです。これは、三号俸までは許容事項としてそれはそのままさっと上げられるでしょうが、三号俸ぐらい上げてもまだ低い。それは人事院の方で給与関係だからおできになると思いますが、都道府県の公立学校の職員を国立学校の職員に引き直す。そうしますと、非常に号俸を上げなければならない。現行の派遣法でおやりになるということになればこれは相当の改正を、手直しをやはりそこにしなければならぬ。だから、現行の派遣法でできるのかあるいはその派遣法を改正されるのか、その点について一つ大きな問題があるわけなんですよね。だからこれはいまおっしゃるように、文部省の関係でございますからとおっしゃっておるように、人事院の方ではあるいは失礼だけれどもよく御存じないかとも思いますが、そういう内容をよくおきわめになって、このお申し入れをお受けになるならば、その点を考えていただかないと……。ですからこういう「処遇等」と書いてある。「国立学校教員に任用した場合の処遇等を含め、」と、その点をよくお考え願いたいと、こう私は思うのです。  なお、これは海外派遣の場合は、都道府県の先生を希望によって募集しまして、そして外務省から派遣していく。そうなりますと三カ年ですからね。三カ年で帰ってきますよね。そうすると今度一体身分がどうなるか。今度は身分は都道府県の教育職員に移っていくわけですね。その場合に自分の希望どおりに帰れるか帰れないか、自分のもとの職場にそのまま帰れるか、あるいは不本意で自分の意に満たないところへやられるというようなことも考えられる。そうすると、せっかく国際親善のため、また在外子女教育のために非常な意欲を持って、希望を持って行かれた方が帰ってこられて非常に不遇になる、そういうことがあるわけなんですね。だから「処遇等」とこう載っていると思うんですよ、文部大臣永井さんが出しておられるのが。処遇は三号俸以上の問題、三号俸まではたしか許容事項としてできると思うんです。ですから「処遇等」、「等」というのは身分を言うと思うんだが、そういう点、文部大臣の申し入れに対してどういうふうに人事院でお考えになっておるのか。国際機関等に派遣される一般職の国家公務員の処遇等に関する法律第二条に載っております。「任命権者は、前項の規定により職員を派遣する場合には、当該職員の同意を得なければならない。」行く場合には当該職員の同意を得なければならぬ。帰ってきた場合には同意を得ぬでも一方的にやるということは、これはできないわけなんですよ。ですから今度帰ってきた場合も「派遣職員が職務に復帰した場合における任用、給与等に関する処遇については、部内職員との均衡を失することのないよう適切な配慮が加えられなければならない。」だから行くときと帰ってくるときのあれがきちっとやはり法的に載っているわけなんです。そういうことをお考えになって、海外に行かれる方が十分満足をされて、帰ってこられても非常に喜んでまた復帰できるように、物心ともにはっきりした法令が示してあるわけなんですね。そういう点をお考えになって、この文部大臣の申し入れに対してどのようにお考えになっておるのか。これもまた先ほど言ったように、まだいま具体的に考えていないとおっしゃるかもしれぬけれども、これはもうはっきりしていますからね。具体的にはっきりしてもらわぬと困る。文部省から見えていますか。——文部省にも後からお尋ねしたいんだが、人事院はどうですか。
  185. 今村久明

    ○今村説明員 お答えいたします。  ただいま先生の方からいろいろと御事情の御説明がございましたが、実は私どもこのお話につきまして伺いましたのが、文部省の方から総裁の方に要望が出ましたのは七月六日でございます。実は、まだ私のところで十分検討する段階に至っておりません。ただ、担当者の方には関係者の方が参りましていろいろと説明しておるという段階でございますが、いずれ私も十分その話を伺いたいというふうに思っております。  いずれにいたしましても、これはもう先生御承知のとおりで、私が申し上げるのは釈迦に説法でございますけれども、この派遣法と申しますのは比較的最近できた法律でございまして、実は昭和四十六年にできたわけでございますが、国際機関等へ、国連等へ国家公務員で出ている方が非常に多い。出ている方で、退職で行かれたりあるいは休職で行かれたりしておりまして、退職で行かれた方などは、たしか向こうで亡くなられた方がいまして、公務員災害補償の適用がないというふうな問題がございまして、非常に処遇に不十分なところがあるのじゃないかというふうなことが契機になりましてそういう処遇を改善する、あるいはいろいろな出方をしておったものでございますから、それを統一するということでできた法律でございまして、比較的最近の法律でございます。したがいまして、この法律の趣旨とするところが国連等の国際機関あるいは外国の政府あるいは外国の大学、病院、研究所といったようなところへ国家公務員が出ました場合に、その処遇に遺憾なきを期するという趣旨でございますので、その点はただいまの日本人学校の問題に関連して申し上げますと、どうもその実態は地方公務員から、公立学校の先生が日本人学校等へお出になっているという実態があるようでございまして、実は国家公務員で日本人学校へ派遣職員として出ているという方は私聞いておりません。  ですから、いずれにいたしましても、ちょっと私どもがいままで扱ってまいりました問題とは次元が違うような感じがいたすわけでございますけれども、ただ、この問題が当面いろいろな問題があるということは十分わかりますので、私どもとしましては、まず何よりも日本人学校の実態というものがどういうようなものであるかというようなことで、その態様等を十分お伺いしませんと、この派遣法というのは、派遣先の機関というものをその派遣法の対象にするわけでございますけれども、その日本人学校というものも実はたくさんあるようでございまして、さらに文部省の方ではいろいろな補習学校等も考えておるようでございますので、そうなりますと、ますますその態様が広うございます。したがいまして、その実態というものをつかみませんと、一体その派遣法の対象になる機関になるのかどうかというところがまず出発点でございますから、まずそこからお伺いしなければいかぬだろうというふうに思っておるわけでございます。実は、まだその具体的な詳細な話を私聞いておりませんので、いまここでそれをどう扱うか、派遣法が適用できるかどうか、あるいは適用できないとすればほかにどういう方法があるかというような問題について、いままだちょっとお答えできる段階ではございませんけれども、私どもとしましては、十分文部省の方からのお話を伺いまして、それで適切な措置をとってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  186. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 今村任用局長、初めてでしたな。前の局長さんには非常にいつも連絡が多かったけれども、またこれから多くなりますから、よろしく。  いまあなたのおっしゃるとおり、海外派遣法なんというのは、これは最近できたものです。私承知しております。これはやかましく言ってようやくできたんですよ。大体、文部省の方から教員を派遣して外務省から派遣ということになっているんですよね。そんなばかなことはないじゃないか、事教育に関しては文部省がやるべきだということも私ら盛んに言ったわけでそれで海外子女教育の白書といったようなものができておりますから——大体文部省も気がきかぬのだよな。こういうのを申し入れするならば、こういう白書ができております。海外子女教育はこういう状態でございますから、あなたのおっしゃるとおり、こういうことをひとつ御参考の上しかるべく、こう文部省が持ってくるべきなんだよ。永井なんて文部大臣も、非常にえらそうなことを言うけれども、案外つまらないんだ。よく言っときなさい。その子女教育の白書が昭和五十一年の四月十五日にできておる。だから、これをごらんいただけば大体わかります。  そこで、文部省の方からもお見えいただいておるので申し上げたいと思いますが、この派遣職員が非常に不遇に置かれておるということは、これはもう毎度私はこの内閣委員会で、文部大臣、外務大臣を呼んで話しているのですよ。その身分が非常に不安定なのですね。休職になっておるかと思うとそうでない。無給の人もあれば、七割の俸給を支給しておる人もある。文部省から見えておるが、いま全国で無給のところが大分と大阪ですか、三県あったと思うが、ちょっとあなた……。
  187. 川村恒明

    ○川村説明員 ただいま海外に派遣しております中で、公立学校の教員を無給で派遣しておりますのは東京都、京都府、大分県の三つでございます。
  188. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 東京と京都と大分これは無給だ。そんなばかな話があるわけがないじゃないですかね。そういうことをやって、文部省はもう全然関係ない。身分が非常に不安定なんだ。それで、向こうへ行って帰ってきても、必ずしも復帰はそのとおりできないのです、またもとのポストには。だから、こういうふうなはっきりした「処遇等」ということを文部省が人事院に申し入れておる。「等」というのは、処遇と身分、こういうふうに私は解釈しておるのです。それは私の方が主張し続けてきたことがいまようやく人事院にそういう訴えになっておるわけなんだ。そうして、これははっきりひとつ文部省の派遣ということにして、国立学校教員として派遣する。だから、希望者を募っても充足ができない。昭和五十年度は希望者が八名足らない、募集したのに対して。予算は三百六十人分とっておったけれども、十一人削られておる。     〔竹中委員長代理退席、木野委員長代理着席〕 そこで実際は三百五十二人しか派遣していません。それで八人不足しておる。それは五十年度だ。これが不足するということがそもそもおかしいんですよ。もっと希望者が多くなければならぬはずだ。処遇がよければ多く行くはずなんです。身分がはっきりしておれば多く行くはずなんです。ところが身分もはっきりしない、処遇も悪いということになるから、希望者を募ってもそれだけ来ない。文部省それは間違いないですか。
  189. 川村恒明

    ○川村説明員 ただいま御指摘のとおりに、現在では派遣される先生方のほとんどは公立学校の先生方にお願いをしておる、かつ、その県の方でそれぞれの身分の取り扱いが違いますためにいろいろなトラブルが起こっておるということは御説のとおりでございます。それで、先ほどちょっと私やや強く申し上げて失礼をいたしましたが、先ほど申し上げました三県は休職扱いでございまして、その休職の中で県によっては最高七割、最悪の場合無給という扱いになっておる。一方にはそういう先生方もあり、一方においては県が非常に理解があるために全額一〇〇%給与を支給されている方もあり、こういう学校の現状にいろいろ問題もあるということがございます。そういうこともございますけれども、やはり全般に派遣中の待遇が不安定だということがいい先生を確保する大きなネックになっておることは御指摘のとおりでございまして、私どもは何とかすぐれた先生を安定的に派遣するようにしたいということで今回人事院の方にお願いしておるということでございます。
  190. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いや、それはあなたが悪いことはない。私も日ごろからよくあなたの人となりを存じておる。まことにりっぱな、温厚篤実な方でね。だからここで申し上げることは個人攻撃を私はやっているんじゃない。決してそういうことじゃない。だからいまおっしゃるとおり、りっぱな方を派遣したい、そして安定した教育の推進を図るように安定した身分を考えておる、こうあなたのおっしゃるとおり。だから今回人事院にこういうことを申し入れたんだ。そこ意味をひとつ人事院の方はお考えいただいて、局長さんも十分ひとつ、はなはだ失礼なことを申し上げるけれども、よく実態を把握していただいて、勉強していただいて、そして結論を出していただきたい。この行方に対してはまた私ども十分関心を持っておりますので、お調べいただいて結構です。  過去私はこの海外の子女教育についてはほとんど毎たびのように論議しておるわけなんです。これはいろいろ申し上げることもないと思うけれども向こうへ行かれて非常に御不自由なさっておる、また海外の子女教育に携わった人がこちらへ帰られて非常にお困りになっておる、その実態を私らは見るに忍びないのですね。海外視察へ行きました場合も私は一番に日本人学校を調査して回った。そういうことでございますので、この点はひとつ十分御考慮いただきたい。文部省の方からわざわざおいでいただいて、人事院の方に申し入れしていただいたのですから、その点は非常にありがたいと思っておる。この件はそういうことで、いま局長さんにもよくお話を申し上げておいたので、私の持ち時間がほとんどもう来ましたので、その程度にしておいて、文部省の課長さんはお忙しければいいですよ。大変御苦労様でございました。  次にお尋ねしたいのは、行管の管理局は見えておりますね。総定員法の問題で、これは四十四年から始まって一次、二次、三次、そういう御計画のようでございますが、四十三年からスタートして四十四年度から三カ年の間の第一次削減計画と、今度四十七年から第二次でおのおの五%ずつ、現在は五十年度から始まって三%、こういうことになっておると思いますが、いよいよ最後の五十二年度で残りの〇・六%を消化するというような予定である、このように聞いておりますが、それは間違いないですか。
  191. 辻敬一

    ○辻説明員 ただいま御指摘のように四十三年度以来第一次の定員削減、続きまして第二次の定員削減をやってまいりまして、第三次の定員削減計画は四十九年度末定員の三%を五十年度以降三年間に計画的に削減するということでやってまいっているわけでございます。当初は五十年度に削減目標数の四割、五十一年度、五十二年度に各三割という予定であったわけでございますが、昨年度この実施割合を変えまして五十一年度は四割、五十二年度は二割ということに変更いたしたわけでございます。したがって、五十年度、五十一年度の二年間の実施目標は全体計画の八割でございますから、実績はそれをやや下回っておりまして、非現業につきましては七五・四%ということに相なっておるわけでございます。
  192. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そうしますと、第三次の削減計画が五十年、五十一年、五十二年ということで三%、そしてその内訳が五十年が一・二%、五十一年が一・二%、五十二年度が〇・六%、こういうふうに割り振りしてあるのですが、それはそのとおりですか。
  193. 辻敬一

    ○辻説明員 ただいまの現行の計画では御指摘のとおりでございます。
  194. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そうしますと、五十一年度、現在の総定員が五十万四千五百三人、総定員数まで五十万六千五百七十一人から現在の五十万四千五百三人を差し引くと二千六十八人ということになるのですか。私の計算間違いないかな。
  195. 辻敬一

    ○辻説明員 定員で第一条の定員、いわゆる非現業の職員につきましては、ただいまの数字のとおりでございます。
  196. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そうしますと、来年度五十二年度の削減率でいけば、私の計算では三千九人の削減になる、こういうふうになりますが、あなたの計算そうなりますか。
  197. 辻敬一

    ○辻説明員 先ほどお答え申し上げましたように三年間で三%、それで五十年度、五十一年度に各四割、五十二年度が残り二割ということでございますが、省庁によりまして若干特例を認めているのがございます。したがいまして、残りはただいまお示しの数字よりもやや大きくなろうかと思います。
  198. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そうすると、ここのあなた方の方の資料をいただいておるのを拝見しますと、各省庁の毎年の増員要求が四十七年が七千六百九十七名、四十八年が八千六十一名、四十九年が七千八百二十四名、五十年が五千六百十八名、それから五十一年が五千六百七十一名、こういう各省庁の増員計画が出ておる。それに対して六千七百八十八名、七千四百四十三名とずっと出ておる。そうしますと私の計算によるというと——これは五十二年度においては、毎年毎年いま私が読み上げたように六千名から七千名以上の増員を認めておる。そうすると、総定員法の五十万六千五百七十一名をずっとオーバーする、パンクすると私は思う。私の計算ではそうなる。どうですか。これは総定員法というものをもう一度考え直すか、あるいは枠を広げるようにするか、何らかの方法をとらなければならない。五十二年度の定員は、八月三十一日まででまだ概算要求が出ていないからどうなるかわからぬと御答弁になるかもわからぬけれども、しかしいずれにしても例によってここ五、六年の間に六千名から七千名の増員を認めていらっしゃる。どうしてもこれはだれが考えたって、子供が計算したって計算が合わない。パンクする。これは一体どうされるのですか。どのようにお考えになっているのですか、管理局長
  199. 辻敬一

    ○辻説明員 総定員法との関係におきまして、現在の定員管理が厳しいと申しますかむずかしいと申しますか、そういう状況でございますことは、これは御指摘のとおりでございます。私どもの基本的な考え方といたしましては、現在の社会経済情勢などにかんがみまして五十二年度におきましても行政コストの節減を図るという見地から、引き続き行政の簡素合理化を推進してまいりまして厳正な定員管理を行うべきものというふうに考えているわけでございます。  ただいま五十二年度の定員管理のあり方につきましても、このような考え方のもとにいろいろと検討を行っている最中でございまして、現在具体的な方針につきまして申し上げる段階でございませんことを御了承賜りたいと思います。
  200. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それは私は先ほど言ったようにまだ概算要求が出ていない。あなたそう答弁されるだろうと私が言ったでしょう。概算要求が出ていないからそれはまだ何とも言えない。どのくらいの増員の見込みが出てくるかわからない。だから私が言っておる。あなたの方からいただいた資料によれば、ここ五、六年の間毎年毎年六千名、七千名の増員を認めておるじゃないですか。本年度、五十二年度だけはそういうことはできないというわけにはいかぬでしょう。五年も六年もずっと増員を認めてきておって、今度はぴたっと認めない。——ですから私が言いますのは、だれが考えたって、子供が計算したって、あなたの方からいただいておるこの資料で計算すればそういう計算しか出てこないもの。一体どうするのか。だから私がお聞きするのは、来年度は総定員法の枠をはみ出すようになるから行管庁としてはこの処置を一体どうするのか。ようございますか。だから私が考えるのは、総定員法の上から、今度八月三十一日までに出る増員の要求は査定で落としてしまうのか、総定員法に合わせるために査定でぐっと落とすのか。あるいは、五十年、五十一年、五十二年の最後の年の〇・六%をもっと引き上げるのか、それが第二。それと第三点は総定員法を改正するのか。それよりか手はないじゃないですか。だれが考えたってそれよりほかに手がない。そうでしょう。だれが考えたってそのほかにいい名案はないのに、どのようにお考えですか。
  201. 辻敬一

    ○辻説明員 総定員法の趣旨あるいは考え方につきましては、改めて申し上げることになるわけでございますけれども、行政需要の消長に応じまして定員の合理的な再配置を行って行政の効率化に資するということであるわけでございます。このような考え方につきましては私ども引き続き維持をしてまいりたいと考えているところでございます。ただ、ただいまいろいろと御指摘があったわけでございますが、増員の需要につきましては、なかなか現在の段階では的確な見通しが困難でございます。もちろん増員要求が出てまいりました場合に、私どもはできるだけ厳正厳格な査定をいたしたいと考えておりますし、あるいは計画的削減数が減りますと、その中で各省の中で振りかえを行う余地がふえるというような問題もございます。そういう問題もございますが、現在のところではなかなか見通しがむずかしい段階でございます。また定員管理計画につきましても、現行のままでよいかどうか、これもまた現在検討いたしているところでございます。  そのような増員需要の見通しなり定員管理計画の見通しなり、そういうものを含めまして総定員法の具体的な取り扱いをどうするかを検討するわけでございますので、ただいまの段階では、どのように取り扱うかということにつきまして具体的にお答え申しかねるわけでございます。その点につきましては御了承をいただきたい、かように考えるわけでございます。
  202. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 これはなかなかむずかしい問題で、本当にあなた方もお困りだろうと思うのです、実際の話が。なかなか二二が四ではいかぬと思いますが、これはいずれ概算要求でも出てはっきりすれば、私はまた研究の資料が十分出ると思いますから、その場合にまたいろいろ御相談したいと思います。  それではこれに関連してちょっとお尋ねしますが、非常勤職員ですか、通称定員外職員と言っておりますが、この実態は行管庁よく把握していらっしゃいますか。
  203. 辻敬一

    ○辻説明員 これは総理府の人事局の資料でございまして、人事局長も御出席でございますが、五十年七月一日現在におきまして非現業職員として約二十一万人の定員外、いわゆる非常勤職員が在職しておるのでございますが、そのほとんどは統計調査職員等のいわばパートタイマーの職員でございます。日々雇用職員でございまして、常勤職員に準じた勤務形態で勤務をいたしておる職員につきましては、一万四千人程度というふうに承知をいたしております。
  204. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そこで私が考えますのに、国家公務員は概略五十一万四千何ぼでしょう。ところが定員外が二十一万。毎年これはふえておるのですね。そして二十一万一千十八名。しかもその内容は、あなたいまおっしゃったようにパートタイマーが多い、大部分だ、こういうことをおっしゃっておりますが、なるほどおたくの資料をいただいて見ますというと、二十一万のうち十八万がパートタイマー。それから日々雇用職員、これは賃金制度となっております。これが二万九千、約三万。こういうことにおたくの資料ではなっておる。私どもが実態を調査してみましたところが、非常勤職員という、つまり定員外の職員というのが例年ふえておる。これは閣議決定によってそういう非常勤職員を定員に繰り入れないようにという申し合わせもあったようです。だけれども、これは考えようによっては、総定員法によって枠がしほられておるから、だから定員外でどんどんやればいいじゃないか。——だから、定員外の職員なんというものは各省において予算をとっておる。ちょっとこれはおかしな話。だったら公務員総定員法なんというものをつくらないでいい。それで一方では抑えておる。ところが一方では各省庁で予算を別にとって定員外をどんどんふやしていく。これでは何をやっておるのか。その点において、いまおっしゃるように、それはパートタイマーが多いとおっしゃるけれども、なるほどパートタイマーは私は実態をよく知っております。病院あたりでも、非常に熟練した看護婦さんを家庭も持っているから臨時にパートタイマーで雇うとか、あるいは法務省あたりでも、地方の登記所あたりではパートタイマーで雇っておる。あるいは農林省だったら、営林署あたりは、これは時期的なものでやっている。それはわかっていますよ。例を挙げればまだたくさんあります。ところが今度は、非常勤じゃなくして、朝から晩まで正常に勤めておる、しかも同じ仕事をやっておる。そして賃金制度。一日休んだら一日カットされる。二日休んだら二日カットされる。つまりこれは賃金制度というのですかね。そしておたくの方では日々雇用職員とこうおっしゃっておる。ところが、そういう人たちを通称臨職とこう言っておる。臨時職員。そして臨職と言っておって、ほかの職員と同じ仕事をしている。時間も勤務状態も全部同一であります。であるにもかかわらず賞与もない。まああるところもあるでしょう。賞与もない。勤勉手当もない。しかも月給じゃない、賃金。休めばカットされる。そして一月して更新、また一月したら更新、あるいは三カ月で更新。そして臨職といって三年も四年も続いておる。そういう実態を管理局の方では把握していらっしゃるかどうか。いかがですか。
  205. 辻敬一

    ○辻説明員 多少御説明申し上げたいと思いますが、ただいま定員法で規制をいたしておりますのは、各省庁の所掌事務を遂行するために恒常的に置く必要がある職に充てるべき常勤の職員でございます。このほかに、各省が仕事をいたします場合に随時必要の生じてきます季節的あるいは臨時的な業務があるわけでございまして、こういうような事務を処理するために定員外で非常勤職員を雇用すること、これは差し支えのないことであるわけでございます。したがいまして、定員外の職員が存在いたしますことと定員が不足するかどうかということとは私どもは次元の違う問題ではなかろうか、かように考えておるわけでございます。  それから現在の計画削減措置でございますが、これは定員の削減だけを一方的にやるものではございません。事務の簡素化、合理化を図りながら、増員の必要な部分につきましては配置転換あるいは新規の増員措置を講じておるわけでございまして、総合的な定員管理の一環として実施をいたしておるわけでございます。したがいまして、先ほど御指摘をいただきましたように、計画的な削減を行っているということと定員外職員が存在していることということは直ちに結びついてくるものではない、かように考えているわけでございます。  それから、お話のございました実態の問題でございますけれども、御承知のように三十六年に定員外職員の常勤化の防止ということを閣議で決定をいたしまして実施をしているわけでございます。その後昭和四十四年にその実施状況調査いたしたわけでございますが、調査の結果によりますと、この閣議決定は各省庁において遵守をされておりまして、定員外職員の従事している業務で定員上の増員措置を必要とするものはないというふうに私どもは判定をいたしたわけでございます。
  206. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 時間がないから詳しいことは私は言わなかったけれども、先ほど私は閣議決定をやっていると言ったでしょう。三十六年にやっているのですよ。詳しいことを言えとおっしゃれば、知っているから何ぼでも言うけれども、先ほど言ったでしょう。だけれども、三十六年にやって、もうすでに十年になんなんとしているのですよ。三十六年にそういう措置をやったから、調査したところが定員に繰り込むものはなかったから、それで終わったんだと。——冗談じゃありませんよ。三十六年に一遍やったら、それから後はほったらかしている。しかも定員法の関係であって、定員外の問題は筋違いだというような考えは間違いだ。人事管理ということに対しては、定員外であろうが非常勤であろうが、人事を管理するというのは当然なんです。何が筋違いだ。あなた方関係がないと言う。何が関係がない。関係がないなら、三十六年の閣議決定で、なぜあなたたちは監察したのだ。一日であろうが二日であろうが、国が雇っておる以上、人事管理は何があなたたちは関係がないと言うのだ。臨職なんかの問題についてはこれは三万人からおる、パートタイマーは十八万と、それは一歩譲って、あなた方のおっしゃっておるそれでいいと思う。その点について管理局長もう一遍。
  207. 辻敬一

    ○辻説明員 定員法上の定員と非常勤職員との関係につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、なお、その実態につきましては、総理府人事局の方で毎年非常勤職員の在職状況についての統計報告をまとめておるところでございまして、私どもといたしましても、この報告に接しておりますほか、毎年度の定員審査に関連をいたしまして、必要に応じて各省庁から説明を聴取いたしておりますので、非常勤職員の実態につきましては十分把握していると考えておるわけでございますが、なお、ただいま御指摘もございましたので、非常勤職員の実態につきましては今後も十分注意を払ってまいりたい、かように考えております。
  208. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 定員外のいわゆる非常勤職員に対しては、その実態調査については今後十分考えてやります——それなら理屈はわかる。関係がないようなことをあなたが言うからね。たとえ一時間であろうが二時間であろうが半年であろうが一カ月であろうが、国の経費によって、予算によって、国民の税金によって仕事をしておる人の人事管理をおろそかにするなんというのはとんでもない。  これまた筋違いかもしれぬけれども、案外筋も違わぬかもしれない、長官はどのようにお考えですか。
  209. 植木光教

    ○植木国務大臣 先ほど行政管理局の方から管理をいたしておりませんと申し上げたのは、恐らく各省庁で必要に応じて予算上措置されておりますものの範囲内で臨時の職員を雇用している、したがって、それぞれの人事管理については雇い上げている各省庁において管理をしております。こういう意味で言ったのではないかと存じます。やはり、雇用をしております以上は、各省庁の人事担当責任者が人事管理をすべきでございまして、その点につきましては数字の掌握のみならず、私どもといたしましても、各省庁の人事担当者に対しまして、その人事管理に遺漏のないようにいたしてまいりたいと存じます。
  210. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 大臣のおっしゃるとおり、そのとおりでございます。いずれにしましても総定員法の関係はむろんのこと、いわゆる非常勤職員、定員外に対しても行管の方では十分実態調査をしてもらいたい。これを最後に私希望しておきます。管理局長いいかな。
  211. 辻敬一

    ○辻説明員 今後とも常勤化防止の閣議決定を遵守するように一層努めますとともに、先ほどお答え申し上げましたように、非常勤職員の実態につきましても十分注意を払ってまいりたいと考えております。
  212. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それで私も満足じゃ。大変大きい声を挙げて済まなかったけれども、ひとつよろしくお願いしておきます。  それでは、時間が参りましたので私これで終わります。大変失礼いたしました。
  213. 木野晴夫

    木野委員長代理 受田新吉君。
  214. 受田新吉

    ○受田委員 総務長官、せっかく御苦労いただいている機会に、総務長官の御所管である皇室の行事についてちょっとだけお尋ねしておきたいと思うのであります。  天皇陛下御在位五十年という年をことし迎えておるわけです。満五十年、これは半世紀にわたる画期的な事柄でございまして、憲法一条を尊奉ずる立場にある日本国民としては、統合の象徴である天皇の五十年の御在位ということについては、心からおめでとうございますという祝福の意を表していくのが使命であると思うのであります。これは別に政治的意図というような意味に解することでなくして、素直な気持ちで陛下御在位五十年おめでとうございます。ますます御健康でいらっしゃいますようにという願いを込めること、敬愛の情をささげることは、日本国統合の象徴である天皇に対する国民の一つの責任でもあると思うのであります。  これについて昨年春の国会で私からお尋ねをした時点で、総務長官は何らかのそうした祝意を表する方法を検討しておるというお答えでございましたが、事すでに、満五十年と計算しましても十二月二十五日、しかし歳末押し迫った段階で、寒い時期でそういう行事をすること自身に問題がある。かつて大正天皇時代は、天皇の御誕生が八月三十一日であった、しかしそれは非常に暑いというので十月三十一日に天長節の祝日を指定したこともあるわけでございます。そういう意味で、秋の涼しい時点でということに常識でなるのではないかと前から私自身としても考えておったのですが、とにかくそうした素直な意味の国民的な行事をやる御意思が引き続きおありなのか、あるとするならば非常に時期が迫っておるが、具体的な案が立てられておるのか、お伺いしたいと思うのであります。
  215. 植木光教

    ○植木国務大臣 ただいまお話しございましたように、天皇陛下は本年の十二月二十五日をもって在位五十年を迎えられるのでございます。天皇が即位されまして五十年になられますことはわが国の歴史に例のないことでございまして、また外国の場合などでもきわめて例の少ないものでございます。この長期間の御在位をお祝いいたしますのは国民の自然の気持ちではないかと考えております。したがいまして、天皇御在位五十年の記念式典を政府が実施することをただいま検討中でございまして、近く成案を得る予定でございます。これと並行いたしまして、民間におきましても各種の祝賀行事を行っていただきたいというふうに私どもは期待をいたしております。  なお、この式典でございますが、ただいま申し上げましたように成案を得べく検討中でございますが、その時期でございますけれども、本年の秋ごろの適切な日を選びまして実施いたしたいと考えております。
  216. 受田新吉

    ○受田委員 こうした問題はきわめて率直な気持ちで受けとめていくべきことでありまするし、陛下の生涯の中には大変御苦労された、また国民としても悲しい時期があった。これは私たちがみんな認めていることです。しかしそうしたものを乗り越えて国民も立ち上がってきたわけでございまするし、陛下もその御苦労を乗り越えてこうして御健在でお尽くしをいただいておるということであるならば、過去における悲しい出来事などというものは、それはお互いもうそっとして、陛下御健康でねという素直な気持ちを表象してよい。これは憲法第一条を尊奉する国民としての一つの使命でもあると思います。  そこで、諸外国の例もあるということでございますが、長官、最近諸外国を歩かれまして、こうした皇室に関する諸外国の王室の出来事なども見ておられると思うのでございますが、諸外国はこうした場合にいかなる催しをして祝福しておるか。まあいろいろ、さまざまであろうと思いますが、参考になる問題があったら率直に教えてもらいたい。
  217. 植木光教

    ○植木国務大臣 過去の例でございますけれども、非常に古いものといたしましては、ドイツにおきましてウィルヘルム一世の二十五年記念祝賀式典がございます。これは明治十九年のことでございます。イギリスのビクトリア女王が五十年式典を明治二十年、また六十年を明治三十年に祝っておられます。エチオピアにおきましては、昭和三十年に二十五年祝賀の式典がございました。タイにおきましては、四十六年に二十五年式典が挙げられております。オランダのユリアナ女王につきましては、四十八年に二十五年の式典を挙げておられるのでございます。なお、ノルウェーにおきまして五十年式典が昭和三十年に行われる予定でありましたところ、これは行われないうちに御死去になったというような不幸な例がございます。  最近私が諸外国を回ってまいりました視察の結果によりますと、ベルギーにつきましてはボードウィン国王の即位二十五周年が本年の七月十六日に当たっております。このため、国民的な行事が三月から七月にわたって行われておったところでございます。三月三十一日にはブラッセルにおいていろいろ祝賀式が行われております。記念硬貨の発売などもございました。また四月から六月にかけましては、ベルギーの九つの州を国王夫妻が巡幸されたとのことでございます。六月二十三日には、国王即位の年に誕生しました若者約五百名を招いてレセプションを行われたというようなことも、視察の結果伺ってまいりました。また六月の二十六日及び二十七日には、ブラッセル市郊外の元万国博会場におきましてスポーツ、音楽、舞踊、演劇等の祝賀国民祭が、これは国民の手で行われておりました。イギリスにおきましては、エリザベス女王の即位二十五周年は来年の二月六日に当たっているのでございますけれども、この時期は冬の寒い時期に当たりますので、五月から七月にかけて女王が各地を巡幸されるほか、六月の六日と七日を祝日といたしまして、セントポールの大寺院において感謝祭、ギルドホールにおいて午さん会、英連邦諸国への女王のお言葉の放送等が計画されているということを調査してまいりました。なお、各地において園遊会、観閲式、パレードなどが行われる計画となっております。  いずれにいたしましても、政府と国民が挙げてお祝いをした、そしてこれからの計画もそうなっているというのが私のただいままでの調査の結果でございます。
  218. 受田新吉

    ○受田委員 政府と国民で快く祝福し合っておるという各国の実情を報告してくださったわけですが、かつて皇太子の御成婚のときにその日を休みにした事例がある。これは政府、御存じですか。
  219. 植木光教

    ○植木国務大臣 祝休日としたというふうに記憶いたしております。
  220. 受田新吉

    ○受田委員 それは法律をもってやったということですか。
  221. 島村史郎

    ○島村説明員 そのように伺っております。
  222. 受田新吉

    ○受田委員 法律をもって休日にするという大変な措置がとられたわけです。そういう事例が一つあるのです。このたびはそうした形のものでなくてもっとおおらかな気持ちで、かた苦しい意味でなくしてこの日を祝福するという方針でございますか。あるいは皇太子の御成婚のときのような休日にする法律を特につくるようにするかどうかという問題を踏まえた答えが私は要ると思うのでございますが、大臣、こういうことをお尋ねするのは無理なら無理と言ってください。また、検討なら検討にしておいてください。
  223. 植木光教

    ○植木国務大臣 先ほど申し上げましたように、祝賀の式典、行事等につきまして成案を得べく検討中でございまして、その成案も急ぎ策定をいたしたいとしている最中でございますので、いまのところただいまの具体的な問題につきましては差し控えさせていただきたいと存じます。
  224. 受田新吉

    ○受田委員 現時点における政治日程は非常に微妙になっておるわけです。十一月三日、文化の日という祝日もある。それを同時に陛下の五十年をお祝いする日にする方法も一つある。昭和三年十一月十日の御大典を祝福した日をもって、十一月十日にその催しをするという行き方も実はあろうと思います。そういうように、十一月にすれば三日と十日というのがある。十四日は大嘗祭のあった日でありますから、その日を考えてもよい。大体十一月の上旬のいずれかという方向に答えを持っていかれるのじゃないかと思うのですが、国民の常識から見ても、いまの時点になってくるとそういう方向にしほられてくる。ちょうどそのころに解散、総選挙という事態になって、新しい闘いの最中に国家的行事、国民的行事をやるということになると、お互い大変あわただしいことになるわけでございまするが、そういうものには関係なしに十一月の適当な時期という大まかな方針でございますか、あるいは政治日程によってはそれが十一月よりもずれることもあるということになりますか、大体大臣としては、見通しを担当大臣としてお持ちだと思います。
  225. 植木光教

    ○植木国務大臣 先ほど申し上げましたように、この時期でございますけれども、本年の秋ごろ適切な日ということを申し上げました。現在ではそのお答えで御了承いただきたいと存じます。
  226. 受田新吉

    ○受田委員 この問題は、政府の都合でどうというようなことでなくて、ある程度の目標は一つ持っておらないと、政治日程で適当に動いていくというようなことになるわけです。それは政治日程はどうであろうと一応目標は目標で、政治日程とは外していくという考えであるのか、政治日程が絡んでくるのか。  私、九月十五日の敬老の日、これはお年寄りが長寿をなさったことを祝福してあげる日です。陛下も長生きをしていただいていることに対して五十年在位という問題とあわせて御長寿をことほいであげるという、つまり憲法第一条の規定の統合の象徴である天皇の御長寿を祝ってあげる、これは一家の、お父さんおめでとうというような軽い気持ちの祝福ということでやれば、敬老の日にあわせてやってもいい問題だと思うのです。そうすると、全国のお年寄りがみずからの長寿をことほいでくれると同時に、陛下の長寿も祝ってあげられるなという二重の喜びを交歓できるわけでございます。  そういう意味で言えば、秋まで待たぬでも敬老の日に一緒に祝福してあげる、そういうことが窮屈でなくて民間行事の中へ溶け込ますのは非常に都合がいいということでありますが、いずれにしましても、いまの時点でその日取りさえも決まらぬというようなことは、これは余りにも不用意な感じがするのです、いまの時点で。もうすでに七月の中旬でございますので、その時点でいまの目標の日取りがどうなるかがわからないというようなことについてはちょっと怠慢であるという感じ。お答えを願います。
  227. 植木光教

    ○植木国務大臣 ただいまいろいろな日を挙げて御意見を承ったわけでございますが、私といたしましても、いろいろな日をもちろん考えておるわけでございますけれども、一存で決まるわけではもちろんございませんし、関係各方面と相談も詰めていかなければならないわけなんでございます。したがいまして本日、何月何日ということを申し上げる段階になっておりませんので、あしからず御了承いただきたいと思います。
  228. 受田新吉

    ○受田委員 本論に入ります。しかし、この本論に入ったとしましても、現時点でまだ人事院が煮詰めた答えが出ていないわけでございまするし、改めて月末にもっと深まった時点質疑応答が繰り返されるというわけでございますから、きょうはこの質疑応答のポイントを公務員の現在の待遇が社会的公正という形で任用されているかどうかという基本的な問題にしぼってお尋ねをしたいと思うのです。  サラリー、給与というものの性格は一体、これは人事院で御答弁願いたいのですが、職務を遂行したことに対する責任、そういうものも含めた反対給付というもの、経済的あるいは国民的ないろいろな観点からする性格、また一般の雇用条件の一致ということを含む関係等、いろいろサラリーの、給与の決定の条件があると思うのですが、国家公務員法に規定してある規定から見て、給与性格はどういうものであるか、ちょっと基本問題に触れてお答えを願いたいのです。
  229. 茨木廣

    茨木説明員 国家公務員法の六十二条の一項に給与の根本基準という条文がございますが「職員給与は、その官職の職務と責任に応じてこれをなす。」こう決めてございますから、職務と責任に応じてその人の勤務に対する対価としてやはり支払われておるもの、こういうように考えます。
  230. 受田新吉

    ○受田委員 納税者である国民の側から見た給与というのはどういう性格のものであるかということですよ。
  231. 茨木廣

    茨木説明員 その辺になりますと、法的というよりもなんでございますが、結局納税者の側から見ますれば、国民全般についていろいろな仕事がございます。それを個人でやるというわけにいかないものについて、やはり国家機構というようなものがあり、あるいは公共団体の機構があって、それぞれの職員が配置されておりますということだろうと思います。結局、国民がその最終的な意味の雇用者と申しますか、そういう立場にあるのだ、そういう意味で、その勤務に対してやはり報酬を支払うというような関係で納税者が一定の税金を納めて、それでもってそういうものをいろいろ支払っていくという関係じゃなかろうかというふうに考えられます。
  232. 受田新吉

    ○受田委員 納税者の立場が一つある、それから雇用した関係の政府の立場がある、そしてまた、お互いが国会で法律をつくる立法者としての立場がある。それに加えるのに民間給与との関係がある。いろいろな関係が込み合って給与というものは決定されるわけでございますね。そこで、そういうものを総合的に判断したときに、この給与というものは非常に崇高な答えになってくるわけです。その給与によってその人の生活が保障され、そしてその給与によって職に対する意欲をわかすことができる。給与が適正でなかったら意欲はわかない。同じような立場で動いてきている者が、ある一部はとんとん拍子で別に苦労もなく、たとえばある試験採用だけでその将来が決まっていくというようであるならば、試験に合格しなかった人はいかに努力してもその道が得られないとなるならば、その職務にある人はそうした不公正な立場に終始不愉快を感じながらやっていく、こういうことになってくる。そういう意味で、サラリーというものは、給与というものは、あらゆる点で国民も納得し、政府と何とかうなずき、国会も立法者としていろいろの党の立場などが吸収され、民間との比較もでき、そして国家財政の見地からも答えが出るというようにしむけていかなければならぬですね。そういう意味から、その中で非常に大事な要素は、基本的人権としての、健康で文化的なという憲法の角度から見た給与ということが必要だと思うのです。  そういう意味では、健康な心、ある程度満足するという、公務員にその受くる給与によってありがたいという感じを持たせるためには、いま政府自身及び人事院勧告でやってきておる、あるいは規則でやってきておる行き方の中に非常に問題がある。それは上薄下厚という思想を取り入れろよというお互い国会の議論、それも含めていく考え方から私指摘したいのですが、公務員に一緒にスタートする、それが試験採用でスタートされてきた結果、上級、中級、初級と試験採用でスタートしてきた関係上、その試験の結果でその後の勤務のいかんにかかわらず給与が決まっていくというこの現象です。それを政府ができるだけ公正に、人権を尊重する立場からいくならば、その試験一本で物事を見ようとした、給与を見ようとしてきた過去の行き方から欠陥が生じている現象を忘れてはならない。  あえてここで指摘さしてもらいますが、昭和三十二年に現行俸給表という制度が生まれてきた。このときに抜本的な改正ができた。そのとき私がこの委員会でしばしば指摘しているように、八等級から一等級までの八段階に分かれておったわけでございます。その八段階の中で指定職というのは当時なかった。それを、昭和三十八年にこの委員会でもしばしば論議した問題ですが、東大と京大の総長だけを認証官にするというようなところからあらわれてきた文部省関係の側から来る動きなどに影響を受けて、人事院がずいぶん抵抗したが、最後にはついに押し込められて、東大と京大の総長を行政職の俸給表の枠外で特俸をつくったわけです。それがその後、三十九年から今度は指定職制度となって誕生したわけだ。指定職制度として誕生してから後にその指定職なるものにいろいろなものが追加されてきたわけです。初めのころは事務次官と外局の長と重要局長という時期があった。それへもって、今度は事務次官、外局の長だけではなくして局長は全部それへ入れる、今度は局の次長が入る、最後にはその他の者まで入ってくるというような、人事院としては指定職のあり方に昭和三十九年以来、非常に勝手な枠外措置を、つまり行政職の八等級のこの制度の外に、指定職というものを規則で複雑多岐に拡大強化したわけです。その結果、八等級から指定職の、今度は甲と乙とを一緒にして指定職一本にしておりまするが、その中に上下の格差が非常に広がってきた結果が生まれておる。これは給与に対して感謝し、そして処遇の責任を果たしていく公務員から見ると、一部の人にだけそうしたものを人事院がどんどん広げていっているということに対しては非常な社会的不公正といいますか、同じ人間として仕事をしてくる人に、そうした少数の人だけに特典を与えることに対する問題が発生してきておる。このことに対して、人事院としては、過去十二年間にこれほど大きな枠外である指定職が拡大強化されるという例をなぜやってこられたのか、お答えを願いたい。
  233. 藤井貞夫

    藤井説明員 給与をめぐる問題につきまして、最初に、大変格調の高い御議論を拝聴をいたしまして、大変参考にいたさしていただきました。そこで、私からもその点について若干のことを申し上げておきたいと思います。  御指摘にもございましたように、給与というのは、これはきわめて厳粛な問題であり、またこれをめぐる問題点というものは大変多岐にわたっておるのであります。納税者の立場公務員としての誇りの問題、公務に優秀な人材を確保しなければならぬという要請、あるいは民間の対応の問題、国会の論議の問題、そういう点を総合的に盛り込んだ調和のあるものでなければならないということは、これは御議論のとおりであります。そういう目的を達するためにどういう給与決定方式を考えるべきかということは、これはきわめて重大な意味のある問題であろうかと思っております。特にそれが、いま御指摘にもなりましたように、基本的には人間の基本的人権といいますか、そういうことにもつながってまいるという問題でありますからには、当然のことであろうかと思われます。そういう意味で、毎年国会でもいろいろ御議論をいただいておりますし、法律の精神というものもそういうところに目をつけて制定をされておりまして、その線に沿って人事院といたしましても、政府に御協力をいただきまして毎年できる限りの努力はいままで払ってきておるつもりでございます。しかし、年々、経済社会状況に対応いたしまして、ほとんどずっと引き続いて給与勧告というものが行われてきております。それから、制度というものはそう毎年毎年根本的なたてまえを変えていくということができない、またそうすることが適当でもない面がございますので、それらの点についていろいろ問題が派生してまいりますると、言葉は悪いようでございますけれども、場当たり的に、いわゆる糊塗的に処置をしてまいらなければならぬというふうな、結果的には批判を受けるような措置もあわせ行わなければならぬという事態があることも事実でございます。しかしながら、給与というものが持っておりまする意味から申しまして、それの決定の問題、それから、決まりました場合のこれの運営の問題、これは人事管理の中の一番基本的な問題であることは御指摘のとおりだと思います。そういう認識をもちましてわれわれも今後ともひとつ努力をしてまいりたいと思っております。  しかるに、この問題につきましては、給与の角度からだけ申しましてもいろいろな根本的な検討を要する状況が出てまいっております。現在の俸給制度に移行いたしましてからかなり長期に相なりまして、いろいろな、そこに昇格の問題、格づけの問題、いま具体的に御指摘になりましたような問題等もこれはどんどん出てまいりまして、それを放置するわけにはまいりませんので、毎年対応策を講じてまいらなければならないという状況がございます。  指定職の問題については、これは後ほど給与局長から詳しく申し上げますが、これもそれなりの意味がございます。また、そういうことをやってまいりませんと、それ以下の処遇について、序列がございますので、対応することに非常に適切を欠くというような面もございましてやっておるわけでございます。しかし基本的には、いま申されました点については私も全く同感でございまして、今後問題意誕をそういう点にしほりましてさらに格段の努力を傾注をしてまいりたい、こういう覚悟でおりますので、御了承を賜りたいと思います。  具体的ないまの指定職の問題は給与局長から……。
  234. 茨木廣

    茨木説明員 三十二年に新俸給表ができましてから、いま御指摘のように、三十九年から四十年にかけて新しい指定職俸給表ということに相なったわけでございますが、その間の事情といたしましては、一つはやはり、当時大抵勤続年数二十一年ぐらいで終戦直後あたりからは事務次官になっていたものが、大体三十五年ころからだんだんひどくおくれてきたようでございます。そういうことで、現在に至っては約十年間ぐらいバックしまして、三十一年ぐらいたたないと次官のところに上がってこないというふうに、ずっとずれてまいっております。これは次官のみならず、以下全部下の方がそういう傾向になってきておるわけでございます。  そういうことがございまして、当時新三等級を入れたりいろいろ——三十二年当時、つくられたそのころは俸給表の耐用年数は大体十年間ぐらいだろう、前に十五級のやつをつくってから三十二年までの間そのぐらいでしたから、すでにそういう声があったわけです。それが現在までの間約倍の期間使っているわけでございますが、それは、そういうふうないろいろなことを対応させながら使っておったという経緯が一つございます。そういうことで、いま言ったようなところまで使ってきた、こういう経緯だろうと思います。  現に、三十二年当時は七、八等級のところに一番こぶがありましたのが、もう七年ぐらいで大体七から上に上がり、さらにもう五年ぐらい過ぎますと六に上がり、いまや五に一番こぶが来ておるというふうに、下の方もずっと上がってきておるわけでございます。以下ずっとこのせり上げが来ておりまして、そういうものもいろいろかみ合って現在の等級別定数の運用ができておるというようなかっこうになっております。  それで、しかし、その上下倍率から見ました場合に、それじゃ上の方が大変上がっているかということになりますと、そうではなくて、逆にやはりそれでも上下倍率は三分の一ぐらい縮小されております。ちょうどいま御指摘の三十九年のところで見ますと、できたときでございますが、上下倍率と申しますのは、高校卒初級の採用者の月給は当時で八の二でございまして、これと、当時指定職俸給表は甲、乙ございましたから、その甲の五号という事務次官のところで見ますと、十四・九倍の倍率があったわけでございます。それが大体四十七年ごろからもう十一・五ぐらいに落ちてまいりますが、五十年には十・〇というふうに落ちてまいりまして、約三分の一そこが縮小されてきた、こういう経緯になっております。  同様の傾向はやはり行(一)俸給表自体にもあり、一番上といまの八等級との間でも、当時八・四倍ぐらいのものが五・一倍ということでやはりこれも三分の一強落ちてきているというふうに、全体がそういうふうにバランスをとりなから落ちてきておりますし、人事院といたしましても、当時俸給表ができましたときに、一遍に指定職に出すことにせずに順次出していくということで、いまの全体の俸給表を長もちさせるという意図を持ちながら管理してきたような次第でございます。
  235. 受田新吉

    ○受田委員 いまの局長の御答弁、上下の格差といいますか、それがだんだん圧縮されてきた、こういうお話でございます。それから、いまの俸給表の等級別人員分布の変遷においてだんだんと上位の方へ重点が移ってきた、こういうことであります。かつては二十一年で次官になったのがいまは三十年かかるからというお話も出ました。これは上と下との比率問題というよりは、いつまでたっても——ここで変遷の分布図を拝見しまして、いまお説のように、行政職が五等級に一番の人員が配置されるようになったという。五等級でとまっておる人が多いのでそうなるので、五等級でとまって上っ面昇級しない限りは枠外昇給で、そのサラリーが二年に一遍しか上がってこぬというような犠牲を受ける人がたむろしておるわけです。この救済というものをやらないで、上っ面の方を、指定職をどんどん枠外で広げていくという問題が別にいまここで出ておるわけです。  終戦直後、臨時人事委員会、それが人事委員会になって、自来その当時に採用された大量の人々はずっとその量的な進み方が、ふくらみがだんだんといまちょうど五等級、四等級あたりにかかってきておるわけです。つまり非常な人員がかたまって採用された時点の移動が、いま定年をそう遠くない時期に迎えておる人々の方に降りかかっておる。その降りかかったときに、一方では指定職はどんどん枠外的に広げられていく。局長、局次長、今度は部長までもそれへ乗っかっていくようになるというようなときに、一方は五等級でとまって、枠外昇給でテンポの遅い道を選んでおる。これは同じ人間として余りにも大きな開きになってくるという問題がある。つまり人間がその辺かたまっておるから上に行くポストが十分でない、級別定数が制限を受けておるという悲劇がある。そういうものの救済について、指定職の上っ面の方にいたずらに人間を持っていくよりも、上をむしろ一応抑えて、そうしていまのふくらみの諸君、中だるみの諸君に、公務員の人生を終わろうという時点で、いつまでも五等級あたりで苦労する諸君に、多少公務員のプライドを与えてあげるような必要はないのか、私はそれをちょっと指摘したいと思うのです。
  236. 茨木廣

    茨木説明員 いまの公務員の終戦直後に採用されました方々が大変な人数がおる、それが三十年たちました現在で相当のこぶになっておる、それが各省庁を通じましての人事管理の一番大きな問題点であるということは御指摘のとおりでございまして、その点は私どももそういう意識を持ってそれに対処をしてきておる。その結果が、いま申し上げましたように、たとえば三等級あたりでも、四十年当時四千四百人程度の人数であったものがいまや一万二千八百人の人数が三等級に上がっております。四等級も一万九千程度の人数がいま約三万六千というのが五十一年度の等級別定数でございます。それから五等級も当時の倍近くの人数にふくれてきておる。そういう管理の仕方をしながらこれにずっと対処をしてきておるわけでございます。同じ人が五等級にずっとおるというわけでばなくて、順次だんだん上がってきてそこにずっと来た、こういう経緯でございます。  いまの三等級、四等級の人数にしましても、これが正常分布になりましてこのこぶが通過しました後では、これだけの人数をここに置く必要は本当はないだろう、それはやはり暫定定数等の形で出しながら、いま言ったようなお気持ちと私どももやはり同じような考え方で対処をしつつある、こういうようなことでございます。     〔木野委員長代理退席、竹中委員長代理着席〕 各省庁側の要望もそういう意味で、級別の格上げと申しますか、これについて大変御熱心でございまして、この結果がずっとそれぞれの等級ごとに指定職俸給表までいろいろな形であらわれておる、こういうことでございます。  原資の点からいきますと、やはり多人数ありますところの五等級、四等級、この辺のところが大問題でございまして、指定職俸給表と行(一)以下とはまた全然別の観点で原資の官民比較が行われておりますからそれは別でございますけれども、そういうようなこともいろいろ考えながら、できるだけそこに希望を失わせないようにということで配慮してまいっておるつもりでございます。やはり、最近のこういう等級の裏にあります考え方といたしましては、管区あるいは府県段階にあります各機関、こういうものの対本省との間のポストの評価というものも相対的に近づけてまいるというような気持ちで私どもとしては対処しておるわけでございます。ただ、現場に行きますと役人気質といたしましてはそれをなかなか御納得いただけないような感じが若干あるようでございますけれども、そういうような方法も併用しなければ、とてもこの処遇は困難であろうということでいろいろ考えておるわけでございます。
  237. 受田新吉

    ○受田委員 局長さん、だんだんと年の進行とともに退職時点が延びてきて、次官や局長が相当の年齢になってやめるようになってきたので、その上っ面の方を下がせり上げるから上積みしなければいかぬようになるのだというような御説明だと思うのです。  ところが、これはいま例の等級別標準職務表という人事院が天下に宣言しておられるこの変遷を見ましても、どうもちょっと納得できないことがある。私はちょいちょい指摘してきておるのですが、指定職をなぜこれだけ大がかりに広げていかなければならないことになったのですか。これは、下はある程度積み上げてきても上は抑えてくるという方式が一つとれたと思うのです。指定職の方へ持っていかぬでも一等級でできるだけ食いとめていって、その枠外の制度を採用していくというような手も打てたはずです。それをことさらにごく少数の者に、指定職のような非常な優遇措置をするものに力点を置いたような措置が繰り返されておる。どうでしょう。課長というのは従来、この現行俸給表制定当時は三等級でありましたね。その課長は、指定職制度がだんだんと進化するに従って二等級になった。いま引き続き課長は中心はどっちへ置いてあるわけでございますか。
  238. 茨木廣

    茨木説明員 職務標準資格表と申しますか、それでは課長はやはり二等級が基準で、重要な課長が一等級、こういうことになっております。現在の実態は大体半々ぐらいのところに相なっております。
  239. 受田新吉

    ○受田委員 課長の主体は二等級であって、重要な課長が一等級。これは私がここで報告するよりも、資料はおたくの方で——大体半々とおっしゃったが、それでは総理府で課長と重要課長数字がどうなっているのか、総理府だけでもちょっと答弁してください。総理府は総理府が知っておられるわけでしょう。人事局長でいいです。総理府の重要課長課長の数はどうなっておるか、現実は。いま半々とおっしゃったがね。なければこっちが読んであげてもいいのです。
  240. 秋富公正

    秋富説明員 私、かつては人事課長をいたしておりましたが、いまは人事局長で、所管いたしておりませんので正確に存じませんが、調べまして御報告申し上げます。
  241. 受田新吉

    ○受田委員 昭和五十一年度の総理府所管の予算定員及び俸給額表、この間まで国会で審議したその表をわれわれはここで指摘するわけですが、総理府の行政職俸給表の課長は、一等級が十六人で、二等級が八人です。これはほかの省を一々挙げるまでもなく半分なんです。違いますかね。
  242. 茨木廣

    茨木説明員 各省庁によっていろいろ人員構成の特殊性がございますから、各省庁を通じますと、先ほど半々と申し上げましたが、一等級が八百四十九、二等級が八百四十六というのが五十一年度現在の姿でございます。
  243. 受田新吉

    ○受田委員 課長というポストにおるのは八百数十人の中でどういう割合になっておるか、課長だけを抜き出して。
  244. 茨木廣

    茨木説明員 課長及び相当職として課長相当の参事官等がございますが、それを含めたものがただいま申し上げました数字でございます。
  245. 受田新吉

    ○受田委員 いまのような参事官とか審議官とかいうのは現に課長をしておるわけじゃないわけです。そういう人々をいま一緒にしてちょうど半々だということですけれども、通産省にしてももう一等級課長の方が五割も多くなっておる。総理府にしても一等級課長はちょうど倍である。あとの審議官その他を入れてちょうど半々ということですが、これはどうですか。審議官などを含めたものとしてもよろしい。一等級の課長と二等級の課長、それから、いまの課長相当ということでございますが、二等級に残っている者の中で課長と銘打った者が調べてあるはずです。相当を除いて課長という職種にある者、紛らわしい職種でなくして課長だけを拾った数字をもう一度示してもらいたい。
  246. 茨木廣

    茨木説明員 先ほどの相当職を含むという数字は、一等級が八百四十九、二等級が八百四十六でございます。相当職を除いた純粋の課長と銘打った者だけの数はいま手元にございません。
  247. 受田新吉

    ○受田委員 いまあなたが指摘されただけでも三名ほど一等級は多いようになっておるのです。重要課長の方が数がふえておるのです。普通の課長の方が数が減っているのです。重要課長というのは数が少ないはずじゃないですか。課長のうちで重要な課長という場合は、普通の課長が多くて重要の方が少ないのが本質ではないですか。ごく一部の重要な者を重要課長と称するのであって、大半は課長である。ごく一部の重要な者、それを重要課長と言うのじゃないでしょうか。言葉のごまかしをせぬようにしてもらいたい。人事院が人をごまかさぬように。
  248. 茨木廣

    茨木説明員 通常の意味の使い方はそのとおりでございます。ただ、先ほど触れませんでしたけれども、二等級自体に課長補佐クラスがずっとせり上がってきておる、そういう実態も踏まえて運用上現在の姿が、一等級と二等級と課長相当職を含めたところで言いますと半々ぐらいになってきておる、こういうことになっておるわけでございます。課長補佐のところも、重要な職責を持つ総括的な方で課長に準ずるという見方もできないことはないということで、そこに評価がえが行われて二等級にせり上がってきておるわけでございますけれども、そういうことで順次、四は三ということでだんだん上がってきて、ここへ五から上がってきた、こういうことでございまして、その辺が、いや課長はそれだから二等級に大半を置いてごく一部だけを一等級にということになりますと、俸給表の構造を変えでいかないことには、やはり俸給表のカーブから考えていかないことにはなかなか、年齢が伸びてきた者に対応する処遇ということになりますとそこに無理が生じてまいりまして、どうしてもそれはぎくしゃくしてくる、こういう問題になろうかと思います。
  249. 受田新吉

    ○受田委員 もうこれで終わります、大臣が来られたから。  これは局長さん、人事院はこの指定職制度を創設して以来、もう指定職へどんどん追い上げていって、行政職の枠外であったかつての特号俸が、いまや行政職俸給表の上に指定職俸給表としてでっかい居直りをしたかっこうになってきたんです。そして、外局の長の次に「その他の」というものが頭を出すほどになってきて——「その他」というのは、ちょっと聞きますがどういうものを入れるわけですか。
  250. 茨木廣

    茨木説明員 行政系統で申し上げますと、つくった当時から、大抵四十五年ころから余り範囲は拡大していませんが、部長それから先ほど出ました部長相当の審議官等ですね、これがやはり予算査定等の段階を経てポストがふえてきておりますが、そういうものが準ずるものというところでつかまえられてきております。  それから、最近非常に多いのが教育職系統でございますね。ここでやはり相当の人数がふえております。昨年、この五十一年度の姿で一番多くふえたのが教育職のところでございます。これはやはり人材確保等に刺激されまして、大学関係の処遇について大変熾烈な要望が文部省からございますし、そういうことも反映してやはり教育職系統がふえております。  それから研究職。これはもう少し前の時代に相当ふえておりますので、だんだん一段落しつつあるところでございます。  それから医療機関の病院長等、ここがやはりふえてきております。  大体そういうようなものが全部ずっとくつわを並べて出てきておる。研究所あたりは最近は、副所長等を指定職にという熾烈な要望が出てきておる、こういうような状況でございます。
  251. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、指定職の「その他」の分は今後ますますふえてくる、だから指定職の枠は今後ますます強化されて、行政職俸給表の(一)の上に大変強大な地歩が今後固められる方向に行くと理解してよろしゅうございますか。
  252. 茨木廣

    茨木説明員 各省の人事課長会議等にも、毎年、国会で私どもはこういう大変おしかりを受けておるんだという内容も御披露して、大変自重を促しながら、御理解を得ながらやっておりますけれども、今後全くいまの姿から拡大しないということは私はやはり無理だというふうに考えております。しかし、おっしゃられましたように膨大な層がそこにでき上るんだというようなことも私どもは考えておりません。やはりそこには指定職とそうでない者の一線がおのずから自然にあるものというふうに考えて、たとえば各省の官房課長等について指定職という要望がございますけれども、これは無理であろうということで、ここ二年ばかり前から私どもとしては拒否をしたわけですが、そういうようなところにおのずからやはり線があるのではないかというふうな考え方をしております。それが維持できないということになれば俸給表の改造をやるしかもう方法はないだろうというところに到達するのではないかというように考えております。
  253. 受田新吉

    ○受田委員 時間がなくなりました。これは次の機会に本質的に触れていきたいと思いますが、俸給表の根本的な改定をやらなくてはならぬような、ちょうど現行俸給表をつくってきた三十二年当時のような状態に、いま非常に急迫した状況になっているのです。これは、たとえば係長が困難な係長として二階級上がるようになったというような問題もさることながら、しかし、それは困難な係長に行く、二階級上がったというのは、これはごく少数の人に恩典があるというにすぎないわけでございますが、大体これほど広がってくれば、もう行政職の形態は崩れてしまっている。もう一遍根こそぎやりかえて、上と下とを調整して、そして上下の格差を圧縮した新しい俸給表をつくる時期が来ている。もう官房の課長までやろうかという要請が出たとなれば、これは行政職(一)の中堅であった課長が指定職に行くような時代が来たのなら、給与というのはもう根こそぎやりかえなければいかぬ時期になってきたわけですよ。この点、人事院としてはそうした各省の要求を退けながら、上下の格差をできるだけ広げないように圧縮して、人間を大事にして、職員が希望を持って職務に精励できるような雰囲気をつくってやる環境整理が必要であるという問題を私、特に提起しておきたいと思います。  外務大臣が非常に時間の制約を受けている方だということで、私、これで、あとは質問を延ばします。質問終わり。御苦労さん。
  254. 竹中修一

    ○竹中委員長代理 上原康助君。
  255. 上原康助

    上原委員 外務大臣のお時間が半時間程度しかないということですので、質問の流れとして少しやりづらい点もあるのですが、最初に外務大臣にお尋ねをさしていただきたいと思います。  せんだっての沖特の委員会にも大臣の御都合でおいでいただけませんでしたので、主に沖繩の最近の基地問題とのかかわりでお尋ねしたいと思うのですが、その前に簡単に一点だけお聞きしておきたいことは、去る八日の日米安保協議委員会で、前から議論になってまいりました日米防衛協力小委員会が設置をされたということが報道されております。  そこで、この了解事項といいますか、これを見ますと、この第三項の中段から後段にかけて「緊急時における自衛隊と米軍との間の整合のとれた共同対処行動を確保するために取るべき措置に関する指針を含め、日米間の協力のあり方に関する研究・協議を行い、その結論を本委員会報告する。」となっております。したがって、この設置された防衛協力小委員会でいろいろ共同対処行動事項というものが協議されると思うのですが、その結果は、結論については日米安保協議委員会報告されることになるということだと思うのですね。そこで、きょう時間がありませんので、どういう事項をここに報告されないと協力小委員会の機能なりが発揮できないということなのか、あるいは報告された時点では何か日米間で取り決めをしなければいけない事項等もあって、こういう了解になったのか、そこいらのいきさつについて、これからの議論もありますので、いま少し明らかにしていただきたいと思うのです。
  256. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 このたびこの小委員会をつくりますにつきまして、申し上げるまでもないことですけれども、協議委員会では両国ともいわゆるシビリアンコントロールということを非常に大事に考えなければならないということをお互いに強調いたしたようなことでございまして、そういうこともございまして、この小委員会は研究協議を行いますけれども、それ自体でものを決定する力があるわけではありませんで、その研究協議の結果は安保協議委員会報告をするという仕組みをとっておるわけでございます。そこでその報告を受けまして、今度は親の方の安保協議委員会として、物によりましては実施に移すという問題が出てこようかと思います。これは、日米おのおのの政府において事の軽重によりまして、わが国の場合でございますが、閣議決定であるとかあるいは国防会議の議を経るものもあろうかと思われます。軽重によりましては総理大臣あるいは閣議の責任において実施をする、アメリカ側はアメリカ側の責任において実施をする、そういうことも出てこようかと思います。いずれにしてもこの防衛委員会が物事を最終的に決定をし、あるいは実施をするといったような性格のものではないというものとしてつくったわけでございます。
  257. 上原康助

    上原委員 私は、できればきょうはこの問題などを中心にいろいろ質疑を進めていきたかったのですが、ほかにもいろいろお尋ねしなければいけない問題を抱えておりますのでやむを得ないのですが、いまある程度この性格といいますかがわかったのですが、そうしますと、日米安保協議委員会というのは、これまでの慣例からしまして大体年に一回ないしは一年半、もしくは今回の場合は二年近く持たれていない。安保協議委員会防衛協力小委員会で協議をしたことはすべて報告した後でないとこの小委員会独自で権限の行使といいますかをやることはできないということはいま明確になったわけであります。  もう一つは、これも五十年十二月でしたか、私本委員会でもかなり議論いたしましたが、ここでもう一つ確認といいますか、明らかにしていただきたいことは、本来有事の際の防衛協力だという主張と、安保条約全般にわたっての包括的な防衛協力だという御意見があって、必ずしも政府の見解は統一されていなかったわけです。またこの安保協が済んだ後の日米のそれぞれのスポークスマンの発表にも若干ニュアンスの違いがあるという報道がなされております。この性格としては包括的な防衛協力の面なのか、第五条に限定とは言えないかもしれませんが、いろいろ関連しますので、第五条を中心としたものなのか、ここいらも明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  258. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これは従来からの経緯等にもかんがみまして考えますと、この小委員会の仕事の主たる部分は第五条に関することになろうと存じます。しかし同時に第六条というものもございますので、これは施設区域等々の問題でございますけれども、それもこの小委員会の研究協議の対象にならないわけではない、なり得ることであると存じますが、主たる部分は第五条との関連であろうと思っております。
  259. 上原康助

    上原委員 きょうは残念ながらこの程度にしかこの点でお尋ねできませんが、私たちはかねてからこの種の日米協力の防衛委員会の設置については非常に疑問を持ってまいりましたので、きょう明らかになったことを含めて、これからの機会に議論を進めてまいりたいと思います。  そこで、この防衛協力小委員会の設置とも無関係ではないと私はいろいろとらえるわけですが、今度の第十六回安保協の取り決めといいますか了解事項を見てみますと、一つは防衛協力小委員会の設置ということが大きな柱で、いま一つは沖繩の基地の整理縮小ということが挙げられております。もちろん労務問題などについても若干触れているようですが、これまでもしばしば外務大臣の御見解もお尋ねをしてまいりましたし、また政府の方針等についてもわからぬわけではございませんが、どうも第十四回日米安保協、あるいは第十五回、今回の第十六回というこの流れを一応見てみますと、沖繩の基地の整理縮小問題については、私の受けとめ方としては、十四、十五、十六の間の第十六回の安保協でほぼ取り決められたことで一定の枠がはめられたのじゃないのか。もちろんその具体的な作業というのはこれから議論をいたしますが、そういう考えでおられるのか、そこいらをまず基本的に、沖繩の基地問題に対して政府はどうこれからも推進していこうとしておられるのか、もう大体十四、十五、十六の安保協で取り決められたある事柄を実行に移して完璧なものにしていくということが最大限の基地の整理縮小と見ているのか、そこいらについていろいろ話し合いもあったと思いますので、この機会にいま少し明確にしておいていただきたいと思うのです。
  260. 山崎敏夫

    ○山崎説明員 沖繩におきます基地は本土に比較いたしまして非常に密度が高いということで、それに伴いましていろいろと沖繩の方々にも御迷惑をおかけしておるということはわれわれも十分存じておるわけでございます。したがいまして、この基地の整理統合につきましては、政府としては最も重点を置いていままでもやってまいりまして、したがいまして、十四回でも十五回でも、安保協議委員会で取り上げた次第でございます。この計画の実施はまだ十分達成するに至っておりませんけれども、他方におきまして沖繩県民の方からの御要望の非常に強い部分についてアメリカ側と交渉を重ねまして、今回取りまとめましたものが第十六回安保協議委員会において一応合意を見た返還計画でございます。われわれはこれは県民の御要望にできるだけ沿うように努力したつもりでございますけれども、もちろん十分でない点はございます。したがいまして、われわれといたしましては、今後とも安保条約の目的達成に支障のない限り、さらに整理統合は進めてまいりたいというふうに考えております。
  261. 上原康助

    上原委員 そういう考え方であるという漠然としたことは一応うかがえるわけですが、またそう言わざるを得ないと思うのですが、そこで時間の都合もありますから端的にお尋ねするのですが、要するに沖繩国会なり沖繩返還時点から言われてきたように、基地の整理縮小、皆さんの方でおっしゃる整理統合計画というものが、私たちだけでなくして、県民大衆が求めておった方向に行っていないというのは私否定できないと思うのです。そういう状況下で、昨日またB52戦略爆撃機が飛来をしたということです。七月一日に県道一〇四号線をはさんでのいわゆる実弾射撃演習があったということ、このことについてはせんだって沖特でも防衛庁長官なりアメリカ局長の御見解も賜ったのですが、私は安保条約あるいは地位協定があるからというだけで今日の事態というものを容認するわけにはいかないと思うのですね。よしんばそういう取り決めがあったとしても、政府の外交姿勢のいかんによっては、もう少し県民の基地によっての不安なりあるいは犠牲というものに対してこたえていくという姿勢がなければいかないのではないかと思うのです。その点、ここで改めて私は外務大臣の本当に真剣な御答弁を求めておきたいと思うのですね。安保条約の枠内でも、なぜ沖繩だけにB52が来なければいかないのか、なぜ県民生活と密接なかかわりがある県道封鎖をして百五ミリ、百五十五ミリの曲射砲を撃ち込まなければならないのか。これはどう考えても私たち理解ができない。沖繩県民は貧しきを憂えているのではないのです、等しからずを憂えているのですよ。このことについて、ぜひひとつ日米間の交渉というものあるいは協議というものを持っていただいて、この不安の解消をやっていただかないと、私は基地問題は解決しないと思うのですね。ここで改めてこの二点に対して大臣の確たる御所見を賜っておきたいと思うのです。
  262. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 県道封鎖の演習の問題、あるいは先般の安保協議委員会における基地縮小についての協議の問題あるいはB52の飛来の問題等、最近そのようなことが三つ確かにございました。で、上原委員のお立場から言えば、まことに県民のいろいろな心情を一番よく御存じのお立場でございますから、政府のやっていることがはなはだその意にそぐわないと仰せられることは私はよく理解のできるところだと思います。また、しかし同時に、私どもとしても与えられたこういう条件のもとで私どもなりの最善は尽くしつつあるということも、これは御了解をいただけないかもしれないけれども、私どもとしては申し上げたいところでございます。その貧しきを憂えないで等しからざるを憂えるのだと言われることもよくわかることでございます。ことに沖繩の場合には、あれだけ沖繩県の大きな部分が基地になっておって、わが国の基地の非常に大きな部分を沖繩県民だけにしょってもらっておるという事実がございますから、そこから等しからずという感じを県民が持たれることは、これも理解のできるところである。でありますから、私どもはできるだけ、全国民の負担において沖繩県民の負担を少しでも何かの形で軽減をしていきたいと考えておるわけでございますが、と申して、基地の大きな部分が沖繩県にあるという現実そのものを簡単に変えるわけにはいかないという実情がございますから、そこで等しからざるを憂うるというお話があるのは、これは私どもとしても、事実がそうでありますからそうでないと申し上げるわけにばまいらないという現実であろうと思います。私どもとしては、しかし、ともかく全力を尽くしてまいったつもりで、県道の問題についても迂回路をつくるまでの間演習を中止をしてもらう、あるいはまたこの基地の整理につきましても伊江島でありますとか、いわゆるパイプラインでありますとか、すぐのことではありませんけれども、今回これを一定の時間のうちに処理するという長年の懸案をともかく決定に持っていったということはこれは事実でございますし、またB52の飛来についても、台風等々のごくやむを得ない場合に限ってほしいということはその後誠実にそのように守られておるというふうに考えておるわけです。でありますから、政府のやっていることははなはだ些少であって、問題の基本的な解決あるいは県民の要望から言えば問題にならぬと言われれば、あえてそれに反論をすることはむずかしいことであるかもしれない。しかし、私どもとしては最善を尽くしているし、なるべく県民の負担を少しでも軽くしなければならないということを念願しつつやっておりますことは、これは当事者としてはぜひ申し上げておきたいところでございます。
  263. 上原康助

    上原委員 どうも私のお尋ねに対しての確たるお答えにはなっていないわけですが、私も政府のその立場を全然わからぬわけではないわけです。しかし、そういうことだけで済ませられる問題じゃなくなっていると思うのですね、大臣。そこが一番ポイントじゃないでしょうか。この昨日のB52の飛来に対して早速平良知事が在沖ノールズ米総領事に抗議したら、B52に危険はない、飛来については日本政府の合意を得ているということを明言しているわけですよね。もう一つ大事なことは、オーエンス海兵隊司令官も、せんだっての実弾射撃演習中止の申し入れについては日本政府の同意を得ているので、抗議をするとかあるいは中止をしなさいということは日本政府と話し合うのが筋だという趣旨の言い方を県知事や現地の記者団に談話を発表している。こうなりますと、あれだけ県民が挙げてB52の飛来に対しては復帰前から猛烈に反対をしてきている。現在私の住んでいる嘉手納町にしても、いわば保守の町長さんです。挙げて反対をしておられるわけですね。何も社会党だけが反対しているわけでもないし、一部の団体じゃないわけです。ベトナム戦争以来のそれなりの歴史があり根拠があるわけです。そしてお隣の朝鮮半島の情勢というものをにらんだ場合に。そうであるならば、大臣がいまおっしゃったように台風避難だけがもし事実であるとするならば、グアム島に台風避難にも耐え得るような設備をやってもらったらどうですかということは、外交上言ったって失礼になることじゃないんじゃないでしょうか。私はそう思うのですね。あるいは実弾射撃訓練にしたって、迂回道路は確かにできたけれども、これは当初から問題があった。ここまでいろいろトラブル、摩擦というものが起きているから、もうこの使用のあり方については日米間でよく協議をし合って、県民の要求にも沿うように、理解と協力も得られるように日米間で考えてみようじゃないかと言うことは、決して失礼にもならないし、できない相談でもないというのが、私のかねてからの主張なんですよ。なぜあえてそれまでもやってやろうという姿勢をお持ちにならないのかということに対して、私はより不満なんですよ。せんだって大臣はお見えになりませんでしたが、局長と施設庁長官も、キャンプ・ハンセンの演習場等の問題について内々協議をしてみたいという御発言もありました。このB52の飛来に対しても、二つ一緒にするのは性格上どうかとも思いますが、少なくとも県民が挙げて反対をしていることに対しては日米間でよく話し合ってみて、なおかつこういう方途があるんじゃないかという提案なり何かが政府からあれば、またそのときは話は別なんですね。そこぐらいはこの際やっていただかないといかないと思うのですが、ぜひこれは私の強い要望として受けとめていただいて、両問題に対して政府部内でよく協議をして、しかるべき段階でアメリカ側とも御相談をしてみるということはやっていただける問題だと思うのですが、これに対して大臣の決意のほどをお聞かせいただいて、時間の都合もありますからお答えください。
  264. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私どもは、日米安保条約というものが現在わが国の国益にとって必要である、そのために施設区域というものを提供することが最小限度必要であるということはやはり肯定的に考えておるわけでございますが、その結果として、沖繩県民にまさに他の県民と格段の違いのあるほどの負担をかけておるということは、まことにお気の毒なことだと思っております。ですから先ほど申し上げましたように、できるだけその御負担は軽減するように、全国民の共通の負担において解決をしていきたいということを念願しておりますことは先ほど申し上げたとおりであります。  そういう意味で、できる相談というものはこれは無論遠慮することはありませんので、米側といままでもやってまいりましたし、今後もやっていきたいと考えておりますが、なかなかそのできる相談とできない相談とのけじめというものが、確かに県民から言えばもっともっとできるはずであるとお思いになるでありましょう、それはそれで一概に否定をいたすものではございませんが、私どもとしてはこの辺までが極限であろうというふうなその極限まではやってまいってきておるつもりでありますが、必ずしもその結果が御満足がいかない。これは基本的にそういうむずかしい負担を県民がしょっておられますから、それを基本的に他の県民と同じにするということは、事の性質上非常にむずかしい。そこから先ほどのような等しからざるを憂うるんだというお話が出てくるんだと思う。それは私どもも決して否定はしないし、よくわかっておるつもりでございます。いままでやってまいったことは私どもとしては最善を尽くしているつもりですけれども、必ずしもそれがそのまま受け入れられないということも無理からぬことだというふうに一面では実は思っております。最善を今後とも尽くしてまいりたいというふうに考えております。
  265. 上原康助

    上原委員 どうもこうなると、私も約束ですから時間が気になるのですが、それじゃ納得できませんよ。B52の問題にしても、グアム島に台風に耐えられるような施設をつくればいいんじゃないですか。つくらないから裏めかしいことがあると私たち言っているわけです。そういうことと、県道をはさんでの実弾射撃演習については再検討してみるということは、政府部内で事務段階で協議をさしてみて、日米交渉にのせてみたらどうですか。伊江島の射爆演習場の返還問題も当初はできないというふうに突っぱねておられたが、やはり県民世論なりいろんな議論をする中から、いつの時点になるかはわかりませんが、ようやくそういう段階まではこぎつけている。だから私は不可能なことじゃないと言うんですね。その点、御相談していただけますね。
  266. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 どれだけができる範囲かということにつきまして、グアム島ではせんだってのあのような台風、これは永久構築物があれまでになったのでありますから、あるいはできるはずだ、はずであるかもしれません。米軍としても何もその都度避難をしてくるということは決して便利なことではないと思います。そのあたりもどこまでができる範囲か。あるいはキャンプ・ハンセンの問題についてもそうであろうと思います。われわれとしては、とにかくできるだけのことはしてもらうように日米間で相談を続けてまいりたいと思います。
  267. 上原康助

    上原委員 もう約束のお時間ですから、次に私がお尋ねする場合はもっとやる意思をお持ちになってからひとつ委員会に臨んでいただきたいと思います。
  268. 竹中修一

    ○竹中委員長代理 外務大臣はよろしゅうございますか。
  269. 上原康助

    上原委員 はい、しようがないです。  そこで、きょうは聞きたいことがたくさんありますので、ちょっと質問が飛び飛びになるかと思うのですが、人事院の御日程もあるようですから、先に……。  どうも基地の問題からすぐこの話に返るのもいささか気がひけるのですが、きょうせっかく公務員賃金問題が論議されておりますので、前々から私がお尋ねをしてまいりました沖繩県内で働いている国家公務員関係者の強い御要望の、各機関なり団体から出ている亜熱帯手当の問題について、鋭意努力をする——私の要望としてはできるだけ今年の人事院勧告がなされる段階までには一応のめどをつけていただきたいということも含めてお願いをしてあったのですが、その後いろいろ関係者の御意見など、あるいは各関係省庁に折衝した過程では、非常にむずかしいんじゃなかろうかというような見方もされているという情報もあります。  そこで、これも突っ込んだ議論ができないのが残念ですが、現段階でどのくらい調査をなさって、どういうふうにこの問題に対処していかれようとしておられるのか、改めてお聞かせをいただきたいと思います。
  270. 藤井貞夫

    藤井説明員 沖繩地区の酷暑手当と申しますか、亜熱帯手当と申しますか、この件につきましては、先般来から現地の当局者あるいは組合方々、また国会においても上原先生以下からいろいろ御議論いただいておることは御指摘のとおりでございます。  私たちといたしましても、先般のたしか五月十一日でございましたか、このときにも内閣委員会で具体的に先生から御指摘がございました。これに対しまして私が御答弁を申し上げました。そのときにも申し上げましたように、後ほど、どういう調査をし、どういう問題点があるかということは給与局長からもう少し具体的に申し上げますが、誠意をもって調査検討は続けております。続けておりますが、この間も申し上げましたように、今度の夏の勧告の機会にこれを取り込むような具体策が得られるかと申しますと、これは現在のところでははなはだむずかしいことで、結論をそれまでに出すということはなかなか困難ではないかというのが現在の状況でございます。しかしなおこの問題については誠意をもって調査検討を続けていきたいと思いますし、今度の勧告の中に入りませんでも、できるだけ早い機会に何らかの形で具体的に結論を出していく。しかもこの点は、るる申し上げておりますように、やはり全般の給与制度との、体系の組み入れ方の問題ということもございます。また現地の方々のお考えでは、これは単にこちらから向こうに参る者に対する措置ということだけでなくて、やはり全般を対象としてというような強い御意見もございます。そういうふうになってまいりますと、沖繩全島についてそういう措置を講ずるということになれば、給与制度自体として、たとえば北海道の寒冷地についての寒冷地の増高費というようなものに見合うような何らかの問題、結論が出てまいる、資料が出てまいるというようなこともぜひとも必要であろうかというような点もございまして、あれこれいろいろ当局者の御意見も承りながら検討を続けております。この間も申し上げたことで、それ以上前進したことでお答えできないことははなはだ遺憾でございますけれども、これはわれわれが怠慢でもってこの問題を放置しているわけではございません。組合その他現地の方からもその後新しい資料等も具して協力をしていただいております。今後この問題については、この間も申し上げましたように、誠意をもって取り組んでまいりたい、かようでございますので、御了承を賜りたいと思います。  具体的には、問題点等について給与局長から答弁をさせていただきます。
  271. 茨木廣

    茨木説明員 この前御答弁申し上げました以後も、引き続き人事院の出先の事務所を使いまして、沖繩におきますところの民間会社の、いま問題になっておりますようなことについての特別の措置がどの程度あるかということの調査を続けてまいっております。それで、前回と合わせますというと百事業所、ちょうどこの民調対象の基準に該当いたします沖繩の全事業所、手当を全部調査した、こういうような感じになります。沖繩に本店のある事業所が八十九、本土に本店のある事業所が十一ということに内訳はなりますが、そういうことで百事業所を全部当たってございます。そういたしました結果で見ますというと、何らかのそういう措置がありますものというのが六事業所と申し上げた方がいいと思います、六事業所でございまして、そのうちで、これは特殊な事業所だと思いますけれども、いわゆる酷暑手当的な意味の夏季の酷暑とか冷房に伴う費用という意味で沖繩特別手当を出しておりますのは一社だけでございます。それ以外のものは、五社でございますが、これはこちらから行きました者についてのみということで、十七人とか二人とか十人とか三人とかという限定されました人々について若干のものを出しておるというのが四社でございまして、あとのもう一社は五十二年三月をもって廃止予定ということで、これは復帰前からの沖繩物価手当というような意味で出しておったようでございますが、そういうのが一社ございます。というような程度でございまして、あとその他のものについては、そういうものが全くないというのが出てきております。これがその後進んでおる調査の一つでございます。  それから、全国的に実施いたしております特地官署の調査、これはいま集めましたものを吟味中でございまして、まだ結論は出ておりません。これは全国を対象にしまして、現在の山間地なり島なりあるいは外洋上の島なりの取り扱い方が適切であるかどうかということで、現時点の観点でもう一度よく見てみようということでやっておるわけでございますが、これはそういう状況中間段階でございます。  そういうようなものが、この前御答弁申し上げました以後加わったものでございます。  あとは前に述べましたような意味民間給与調査関係でのものがこの方、いまやっております民間調査の結果等分析してみまして、沖繩地区におきます官民の較差がどういうふうに出るかということば、これは吟味してみたいと思っております。  あとは、寒暑問題に伴います暑さというようなものについての気象条件なりそういうものはほとんど前に調査が終わっておりまして、ほとんど変わっておりません。それから、それに伴います増高費の関係等についても、寒冷問題と酷暑問題と両方含めましてほとんど変わっていないというのが現状でございます。  それから、物価等の問題についても、家計調査等にあらわれましたもの等もいろいろ吟味いたしておりますが、これも海洋博等の前後を通じまして若干高くなった傾向は見られますが、その推移が若干落ちついてきたかなというような程度のものは私どもも吟味いたしております。  大体そんなところで、各方面を一応吟味いたしまして、先ほど総裁からお答えがございましたような段階のところでございます。
  272. 上原康助

    上原委員 私も前から申し上げておりますように、この種の手当といいますか、あるいは制度化するのかどうかわかりませんが、そう簡単にといいますか、相当それなりのファクター、根拠がなければいかないというようなことは理解をしているつもりです。ただ一部に言われておりますように、物取り主義的に関係者はこの問題を言っているわけじゃないのですよ。十分私も琉球大学の資料なりあるいは公務員関係協議団体が集めた資料なりもちょっとはしょってみたのですが、それなりの根拠はあるわけです。気象状況にしましても物価問題にしましても食物の保存度の問題等にしましてもですね。したがって、いま総裁の方から、鋭意引き続き誠意をもって検討していかれるということですので、できるだけ早急にということもございましたので、決して関係者は物取り主義的に言っているわけじゃないし、本土から行っておられる職員皆さんあるいは現地で働いている方々も非常な関心と強い根拠を持ってこれに当たっているということを御理解の上で、早急に結論を出すようにひとつお願いをしておきたいと思います。いいですよ、人事院。  話が先ほどから申し上げましたように飛び飛びになるのですが、次に、第十六回の安保協で、先ほど少し触れましたように沖繩の基地の整理縮小、返還問題が取り上げられているわけですが、ここで時間の都合もあって細かい議論ができないのが残念なんですが、先ほども言いましたように十四、十五、今回と、沖繩の基地の整理縮小ということがかなり取り上げられてきたわけです。しかし指摘するまでもなく、第十四回の安保協で合意をした点あるいは特に第十五回で合意をした事柄などについて、ほとんど履行されていない。もちろんその方向に進んでいることはわかりますが、ペンディングにされていると言っても過言でないものがたくさんあるわけですね。そこで私は、先ほど申し上げたように、一体基本姿勢として基地の返還というものがもう上限に来ているのじゃないかということを指摘したのですが、何が一体ネックになって、日米間で取り決められているにもかかわらず、たとえば那覇空軍・海軍補助施設、よく指摘されました上野山のハウジングの移転問題等々がほとんど進んでいないわけですね。何が一体一番ネックになっているのか、そこいらについてまず明らかにしていただきたいと思うのです。
  273. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 ただいまお話しのように、過去において十四回、十五回に相当な施設を縮小する計画がございますが、この中にはいろいろその態様がございまして、無条件で返せるものあるいは移設を伴って返せるものということで、先生御承知のように無条件で返せるものはある程度返していただいておりますし、移設を伴うものも中には条件を変えて返してもらっておりますが、その移設を伴うものについてはなかなか移設ということが、一言で申しますればネックになっておる。  これは十四回、十五回、たくさんございますが、そこでまず第十四回の分については、私ども事柄の順序から言っても重点的にやってまいりまして、本土においても関東空軍施設の集約的移設をやってまいりまして、これもおくれておりますが、来年度中にはやりたい。それから沖繩においても、那覇空港の完全返還を十四回の部分についてはやりましたし、牧港の住宅地区の移設も近く終わりたいと思っておるわけであります。さらにまたいわゆる那覇空軍・海軍補助施設、これについても移設工事を促進してまいりたい。そういうことでございますので、十五回の分については大変おくれているわけでございますが、現在、嘉手納弾薬庫地区あるいは普天間飛行場施設の移設工事を進める。本年度においてもさらにキャンプ瑞慶覧、久場崎学校地区の移設工事に着手したいと思っております。  それで、おくれる理由を端的に申しますと、さっき申し述べたように移設が条件になっておって、これがなかなか思いどおりに進まない。なぜそれが思いどおりに進まないかと申しますと、移設の規模なりあるいは移設の態様なりについては、方針がそれぞれ十四回、十五回で出ておりますが、現実の問題になりますと日米間の調整がなかなかつかないという、十分御案内のことでしょうが、そういう問題もございますし、さらに一方において予算事情が当時、十四回ころとはまた大分変わってきておりますので、そういった面における問題があったりして、十四回の中でもまだ終わっておらないというのは当初の計画からいいますとまことに不十分な事態でございますが、そういった状況で鋭意努力しておるわけでございます。
  274. 上原康助

    上原委員 ですから、結果的には日米間の合意というものが履行されていないということになっているわけですね。たとえば第十四回、四十八年ですよ、那覇空軍・海軍補助施設というのはもう満三カ年を経過している。第十五回の安保協では、いま長官が答弁なさった、簡単に言うと条件のつかない返還、条件づき返還、そういうものについて「双方は、合同委員会における必要な作業を含め、この整理・統合計画の迅速なる実施を図るとの意向を表明した。」迅速なるということをわざわざここで合意しているのですよ。一体迅速とは何ですか。三年も四年ももたもたするのが迅速じゃないでしょう。そうなりますと、これは事務段階ではもうどうにもならないということですよ。  そこで防衛庁長官おいでいただきましたので、要するにいままでの基地の整理統合計画のあり方だけでは作業が進まないということなのですよ。そうなるとこれは政治の話になるのです。余りにも条件づきというものが多過ぎる。アメリカの需要を満たすためにはいろいろ金がかかる。一方の無条件で返されるものは跡地利用ができない、そういう返還のあり方そのものに私はこの際メスを入れるべきだと思うのです。  そういう面で、いままでのようなあり方ではいかぬのじゃないのか。これは外務大臣もいらっしゃれば一番よかったのですが、もう少し政府部内でこのような返還のあり方に対して、先ほど言ったような基地の運用の問題等含めて新たな角度から検討すべき段階だと思うのです。それはまさしく政治の話じゃないでしょうか。そういう方向でもう一度、この基地返還というものを改めて見なければいけないと思うのですが、これに対する開発庁長官と防衛庁長官の御所見を賜っておきたいと思うのです。
  275. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 大臣からお答えいただくと思いますが、私ども立場で一言先生に申し上げたいのは、安保協議委員会のこの話し合いというのは、私ども行政を担当している者から申し述べますとやはり高度の一つの方向でございまして、今後どうすべきかという基本的な方向づけの話し合いではないか。したがって先ほど申し上げたように、移設が終わればやるんだ、早くやれということでございますが、そういった意味で具体的な実現を私どもがそれぞれその方向に向かってやっていくのですが、その中で予定がおくれておりますので、まことに遅いとおしかりを受けますけれども、事柄の性質上、ここで決まったからばたばたすべてが相談なしに決まるというような性格になっておりませんので、その後事務的に日米間の折衝をするという、そういう手順を含んだ性格のものでございますので、その辺がまことに私どもとしては手際よく運んでおらぬ点は申しわけないのですが、日米安保協議委員会で決まったから、実行するものがすべて合意されたというふうにはなっておらない点を御了解いただきたいと思います。
  276. 上原康助

    上原委員 しかしそうは言っても、日米安保協で取り決められていますか、合意を見たことに対してしかマスコミは報道してないわけですよ。十四回、十五回、今回の十六回と、あたかも沖繩の基地が大々的に縮小されたかのような印象を一般国民にも与えている。実際はそうではないのです。今回の返還を入れても依然として全体の一一%以上は基地なんですよ。沖繩本島だけにすると、まず二〇%に余るでしょう。こういう状態というものが安保協で決められて、しかも四十八年の一月に決められたことさえも現段階においても全く見通しも立たない。昨年の十五回のものもそうです。だから私がいつもお尋ねするように、じゃ十四回、十五回、今回と、一定の方針、方向づけをした、これが完全に整理計画がなされるまではどのくらいかかるのですか。そういう計画のやり方では事務段階で進めにくいというのは明白じゃありませんか。ですからそのことについては、ひとつお二人の長官の方から見解を述べておいていただきたいと思うのです。
  277. 植木光教

    ○植木国務大臣 日米安全保条約がございますので、その条約の遵守ということについての配慮はしていかなければならないということは、これはお立場相違があるとは存じますけれども、政府としてはやはりそういう配慮は持っていかなければならないと存じます。  しかしながら一方、私、沖繩開発庁を所管をいたしておりまして、沖繩県民の感情を十分に認識をし、また県民の生活の向上あるいは民生の安定という見地からいたしますならば、基地が整理縮小せられなければ沖繩振興開発というものが完全に行い得ないということはもう私は十分自覚し、その立場に立ちまして外務省及び防衛庁に対しまして県民の立場をそのままお伝えをし、協力を仰いでいるというところでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、ただいまのお説のように、やはり第一番目にはこの基地の整理縮小が速やかに行われること、確かにいろいろ問題はございます。そしてまたその問題の中で、最近ここ一両年、いろいろ事務的な段階において努力を外務省も防衛庁も払ってきていただいているということは知っておりますけれども、しかしやはりもっと適切に迅速にこの整理縮小を図ってもらうように一層御努力をいただきたいということを切望するものでございまして、この点については今後も関係省庁に対して協力方を要請をしてまいりたいと存じます。  そしてまた、返還をされました土地につきましてはもちろんのこと、今後返還が予定せられます土地につきましても有効利用を図っていかなければいけないのでございまして、そのためには地籍の明確化ということが何よりも重要なことでございます。この点についても関係省庁の協力を得なければならない。私の、沖繩県民の心情を十分に理解をし、また私自身信念として持っております点をこの機会に申し述べまして、さらに一層努力をいたしてまいることをお約束する次第でございます。
  278. 上原康助

    上原委員 そういうことだけでは——私が指摘しておきたいことは、要するに問題は条件づき返還ということが余りに多過ぎるわけですよね。これば基地の返還でもない、縮小でもない、集中合理化ですよ。そこだけに余り金をかけ過ぎる。したがって、四十八年段階で合意したものも遅々として進まない。一方、無条件で返される方の地籍の確認とか跡利用という問題はこれまた金がかかるから、そのことはより取り残されているというのが現状なんですね。こういうあり方ではいけない、そこをもっと改めなさいということを主張しているわけですよ。そういう姿勢がない限りこの土地問題は解決しませんよ。  時間がありませんのでやむを得ないのですが、そこで、十六回で取り決められて、いろいろ条件づきだったのが無条件で返されたことを歓迎するなんという、当然のことながら、あたかもアメリカが恩を着せたようなことが書いてあるのですが、一つだけ伺っておきたいのですが、キャンプ・ヘーグはたしか十五回では条件づき返還ですよね。これはまだ条件づき返還なのかどうかということ。それともう一つは、無条件返還と言いながら、北部演習場については条件がついているんじゃないのか、これもぜひ明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  279. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 キャンプ・ヘーグについては条件がついております。  それから北部訓練場については移設を要するものがございませんが、北部訓練場の一部土地を返還いたしますことによって、後、手当てと申しますか、進入路、そういったもの、従来から使用されている道路を進入路として使用できるようにというような問題がございまして、それを条件と言えば条件ということになりましょうが、一部返還することに伴ってどうしても必要な手当ての問題でございますので、例の別表の中で一、II、と分けた中では、移設を条件としておるという範疇には入れてございません。
  280. 上原康助

    上原委員 このキャップ・ヘーグなんというのも、現在はどうなっているのですか。
  281. 銅崎富司

    銅崎説明員 現在一部が使われております。それで、移設の条件としては、現在あります施設を全部ということではありませんので、その辺どの程度規模にするかということで日米間の調整が行われておる。日本側としては極力小規模の移設で済ませたいという交渉をいたしております。
  282. 上原康助

    上原委員 現在これは閉鎖されている部隊なんですよね。一九五二、三年ごろつくった、いわゆるトタンぶきの兵舎しかない。もちろん一部はコンクリート建てもある。そういうおんぼろのやつについてもみんなリロケーションでやられるものだから、なかなか進まない。それは、ここで議論する人は現場の事情はわかりませんからね。実際、久場崎の中学校にしましても、いま言うキャンプ・ヘ−グにしましても、あるいは嘉手納ハウジングにしましても、全くのおんほろの宿舎ですよ。それをなぜわが方があれだけの金を、国民の税金を使って、しかも集中化してモダンな兵舎をつくってあげなければいかぬのかということを県民は知っているわけなんだ。年がら年じゅうそれを見せつけられているわけですよ。だから、そういう返還のあり方では遅々として進まないし、一方の返される方は、県民の生活とか開発と関係あるものは取り残されていきますよ。それを解決せない限りこの土地の問題は解決しませんよということを私は言っているのですよ。  それともう一つは、例の公用地等暫定措置法の件についても聞いておきたいのです。  新しい土地確保法案を先国会にも提案するという動きもあったのですが、時間の都合などもあってとうとうできなかったのですが、これは次の臨時国会に提出をするのかどうか。これも大きな問題になりますので、現段階における施設庁の態度を明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  283. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 沖繩の公用地暫定使用法によって使っておる土地の使用期限が、御指摘のように、やがて来年五月十四日までで切れるわけでございますが、われわれの立場から申しますと、まだその後も使用する必要があるということでございます。  そこで、今後の使用をめぐって、政府としてはこれを合憲に、また法律に基づいて使えるようにという措置をすべきであるということでいろいろ検討しておりますが、その一つとして立法措置がどうかということを検討してみておるわけでございますが、立法措置によって適切な対策がとれるということであれば、またそういう手続をやってまいりたいというふうに思っております。
  284. 上原康助

    上原委員 立法措置をするということで、いま準備を進めているわけですか。
  285. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 立法措置を含めて検討をしております。
  286. 上原康助

    上原委員 その姿勢だけ伺っておきましょう。  それと、どうも飛び飛びになって申しわけないのですが、さっき外務大臣にはちょっと聞いておったのですが、せっかく防衛局長防衛庁長官いらっしゃいますから、防衛庁の見解も聞いておきたいのですが、例の日米防衛協力小委員会というもの、これは防衛庁としては、その性格なりあるいは今後の運用というものはどのように日米間で、安保協で合意されたと見ておられるのですか。
  287. 丸山昂

    ○丸山説明員 安保協におきまして、先般防衛協力小委員会の設置につきまして、三木・フォード会談それから昨年の坂田・シュレジンジャー会談の経緯にかんがみて、日米安保条約及びその関連取り決めの目的を効果的に達成するため、軍事面を含めて日米間の協力のあり方について研究協議することが必要であるということで、ここで正式に設置が認められたというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  288. 上原康助

    上原委員 そのことがこれにちゃんと書いてあるのだから、それを聞いているのじゃないのですよ。  この小委員会だけで、いろいろ日米のいわゆる共同対処事項について決める権限があるのですか。
  289. 丸山昂

    ○丸山説明員 ちょっと御質問をよく受け取っておりませんでしたが、失礼いたしました。  この委員会では、かねてから申し上げてございますように、緊急時における自衛隊と米軍との間の整合のとれた共同対処行動を確保するためにとるべき措置に関する指針を含めて日米間の協力のあり方に関する研究協議を行うということでございまして、その研究協議を行いました結果は、本委員会である日米安保協に報告をするということでございまして、ここで何らかの決定を行うということは考えておらないわけでございます。
  290. 上原康助

    上原委員 それと、ここで日米間の協力のあり方に関する研究協議をやるわけですね。そうして安保協に報告をする。報告をした段階あるいはその研究協議をする範囲というものについては日米間の取り決めが必要と思っておられるのか。そういう面はどうなのか。  それと、これも先ほども聞いたのですが、要するに第五条に限定したことではなくして、安保条約六条を含める包括的なことを話し合う機関になるのじゃなかろうかということをいろいろ議論してきたわけですが、どうもそういう方向に向っているわけですね。それは包括的な運用機関になるのか、その点も防衛庁の立場防衛庁の考えとして明らかにしておいていただきたいと思います。
  291. 丸山昂

    ○丸山説明員 まず一つは、ここで本委員会報告をいたしましたことが、また日米間で新たな取り決めの必要性が出てくるかどうかという問題でございますが、いまのところここで本委員会報告されましたことは、両国政府の判断によりまして、実際の行政面、こういったところにはね返るという形になってまいりますので、特に特別の取り決めを必要とするというようなことは、いまの段階では考えておらないわけでございます。  それから、この委員会が研究協議をいたします対象でございますが、かねてから申し上げておりますように、安保第五条の日米の間の整合のとれた共同対処行動、これを確保するために、この機関においてその具体的な措置の指針というべきものを研究協議をするということでございまして、同時に、安保条約そのものの抑止効果を高めるために円滑な運用を図るということが本来の目的であるわけでございまして、そういった意味におきまして、第六条の日本の安全及び極東の平和と安全に寄与するために、在日米軍が日本の施設区域を使用するという問題に関しましても、いわゆる基地の安定的使用という問題についても、当然ここで研究協議の対象になってくるというふうに考えておるわけでございます。
  292. 上原康助

    上原委員 防衛庁長官に……。この委員会の設置によっていろいろ四次防との関係もあるでしょうし、あるいはよく長官が言ってこられた基地の安定的使用の問題、基盤防衛力整備の問題等、もちろん四次防ですが、いろいろあると思うのですが、わが国の防衛問題とこの小委員会の設置ということとの関連において、今後どのように安保条約の運用なり防衛というものに政府の立場で反映していこうと思うのか、効用というのがあるとお考えになってこれを設置したのか、その基本的なお考えだけきょうの段階においては聞いておきたいと思うのです。
  293. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 そもそもこれを考えましたのは、安保条約がある、しかも五条におきましては、有事の際における対処行動について述べられておるわけでございますが、それにつきまして一部のユニホーム間におきましては研究がなされておるということ、しかし、こういう大事な問題については、シビリアンコントロールの上から言っても、シビリアンあるいは政治家の間においてオーソライズされた中においてやるべきではないかというふうに私は考えたわけでございます。また、日米安保条約というものが、わが国の安全と独立にとって非常に大事であるというふうに考えました場合に、安保条約の抑止効果というものを高める上からもそういうことはちゃんとしておかなければいけない。それからいま一つは、最高責任者同士が年一回会うというようなことも必要である。こういうふうに考えまして、昨年八月二十九日にシュレジンジャーと会談をいたしまして、その二点について合意を得たわけでございますが、それがやっとこの八日におきまして新しい話し合う場、つまり研究協議の場が設けられた、こういうことでございまして、これによりまして一層日米安保条約というものの抑止効果というものば高まるものだというふうに思いますし、一面において日米間におけるクレジビリティーを高めることにもなるのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。     〔竹中委員長代理退席、木野委員長代理着席〕 基盤的防衛力とかあるいはポスト四次防というふうに直接はかかわってまいりませんけれども、そういういきさつでこの小委員会というものが発足を見たというふうに御理解を賜りたいと思います。
  294. 上原康助

    上原委員 この点はこれからいろいろ防衛問題で相当ホットな議論が展開されていくと思うのですが、きょうの段階はこの程度にとめておきたいと思うのです。しかし、いまおっしゃったようなことの裏には、ますます基地の存在によって犠牲を強いられる、あるいはいろいろの問題が惹起をするということもあわせて考えないといけない点だということも指摘をしておきたいと思うのです。まさかB52が来ることも基地の安定的使用と関係があるのじゃないでしょうね。それはどうなんですか。
  295. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 B52の問題は、何か私先ほどここへ来ましたときにお尋ねのようでございましたけれども、これは台風を避けるために来たということでございます。そういうふうに承知をいたしております。
  296. 上原康助

    上原委員 台風以外は絶対に来させませんか。
  297. 山崎敏夫

    ○山崎説明員 この点につきましては、前々から、平常の事態におきましては、台風避難等緊急やむを得ないときのほかはB52は日本に来ないというふうにアメリカ側はわが方に申しております。
  298. 上原康助

    上原委員 私は、台風でも認めるべきじゃないという主張なんです。この議論はいずれやります。そういうことでは片づかない。  警察庁の方来ていらっしゃいますか。——この間の百四号線の件で、少しばかり関連しますので、後のこともありますから一点だけ確かめておきたいのですが、すでに御承知のように、七月十二日に容疑者の、演習場に潜入したのじゃないかという容疑かあるいはそのほかのことか知りませんが、ある人々が家宅捜索あるいは捜査を受けているということを聞かされております。そこで、九日の沖特の議論では、演習場内、着弾地付近に潜入者が絶対いないという前提で砲弾演習を開始させたということを繰り返し施設庁も警察庁も答弁しておったわけですね。そうしますと、明らかに家宅捜索をしたということは被疑者としてやっていると思うのです。だとすると、一体、いないという前提で砲弾演習をさせたという警察なり施設庁の責任というものはどうなるのか、その関係はどのように皆さんは考えているのか、現段階で言える点をひとつ明らかにしておいていただきたいということ。  時間がありませんから、もう一つ。民主団体なりあるいは私たちが、潜入者がいるから十分調査をした上で射撃訓練はさせるべきだという主張をやったにもかかわらず、それを受けなかった。今後もそういう態度を警察はとるのか。この二点についてもう一度、この時点で警察の御見解というものを明らかにできる範囲でやっておいていただきたいと思います。
  299. 若田末人

    ○若田説明員 第一点の捜索の点でございますが、お尋ねのとおりに、七月十二日に一応捜索をいたしております。この件は、七月一日の演習日当日に大城重吉君が演習場内でけがをしたというような情報がございましたので、演習場内に入ることは刑特法違反になりますので、その容疑で一応令状をとりまして捜索をいたしまして、そして警察は演習が行われたときには大城君が入っておるということは確認をいたしておりません。そういうことで、演習が行われておる状況でございましたので——ただ、そういう中にありましても、後ほど大城君が演習場内でけがをしたというような情報がございましたので、これになりますと刑特法違反になりますので、その疑いで一応那覇地裁の令状発付を得まして十二日に実施をいたしたわけであります。いまのところこの大城君が実際に演習場内に入りましてけがをしたものであるかどうかということがまだ確認をされておりません。したがいまして、そういう事実を今後鋭意捜査をいたしまして確認をいたす所存でございまして、そのお尋ねの別の責任等につきましては、果たして大城君が演習場内でけがをしたものであるかどうかということが一応判明した段階でまた論議されるべきものだというふうに考えております。  それから、第二点の現地の方々から、入っておる、確認をしてから演習をやるようにということでございますが、これは当日も警察側は最善の努力をいたしまして確認をしたわけでございますが、米軍ももちろんそうでございますけれども、またいろいろ申し入れがあった都度米軍にも伝達をいたしまして、そして当日の十一時二十分から四十分にかけましては警察の申し入れもありまして、米軍も演習を一時中止をしてヘリコプターで現地を十分監視の上行ったわけでございまして、今後とも私どもは、申し入れがあるないにかかわらず演習場内の危険の有無を十分調査いたした上で演習がなされるように米軍ともよく協力してまいりたいと思っております。
  300. 上原康助

    上原委員 きょうの時点ではその程度にこの問題もとめておきたいと思います。  最後に、基地労働問題について、給与関係しますのでお尋ねさしていただきたいのですが、もし防衛庁長官、御日程があるようでしたらいいですよ、施設庁長官がお答えになれるのでしたら、開発庁長官もいいです。  第十六回安保協でも基地労働問題について協議がされたということが明らかにされているわけですが、どういう内容のお話し合いをいたかということを、まず、どういう内容の話をしたのかから明らかにしてください。
  301. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 その内容でございますが、これは御承知のように、駐留軍従業員給与改定は、国家公務員のベース改定に準じて、いわゆる同時同率でやるというのが過去における長い間の慣行でやってまいったのでございますが、この両三年特に、まあ過去においてもいろいろ問題があったようでございますが、この両三年特にわが国における賃金の上昇が急カーブで非常にひどいのと、同時に米側の予算のいろんな制約がだんだん大きくなってきたということから、日米間の給与改定に伴う折衝が非常に難渋しております。従前は、従業員の法律上の雇用の主たる施設庁と、経済的負担をする米軍とが、給与改定ということをめぐって連中の言うネゴシエーションをやったわけでございますが、それがぎくしゃくしてくるということでございまして、何とかこれを根本的にもう少しうまくいくようにしたいというのが私どもの念願でございますし、過去における国家公務員と同時同率というやり方を、これを基本的な方針として実施するということをあくまで維持していきたいということから、日米間で過去において話し合ってまいりました。特にこの四月に、昨年度の給与改定が難渋した後、日米間でいろいろ話した結果、この従業員給与あるいはそれに関連するいろんな雇用条件、そういった諸問題の解決のためにはネゴシエーションじゃなくて日米両当局の間で相互理解の精神に基づいてよく話し合って、そして問題の解決をやっていこうではないかというように話し合いができてまいったわけでございます。そこでこのことについて、去る七月八日の日米安保協議会においてもその問題に触れまして、基地従業員給与改定の問題が非常に重要な問題である、あるいは従業員の雇用条件等の問題が非常に重要であるということを日米双方が理解をいたしまして、確認をして、いま申し上げたような、日本現地において従前日米間で話し合ってきた線をひとつ確認して今後努力していこうじゃないかということが安保協議会における話し合いの内容でございました。
  302. 上原康助

    上原委員 主に給与改定問題と関連させていま御答弁あったんですが、もう一つ大事なことは、使用者である米側の一存によってといいますか、恣意によってどんどん解雇をされて大量解雇が続いているという現実ですね。これを抜きにしては給与改定問題も議論できないと私は思うんですね。これはアメリカ局長もぜひお聞きになっていただきたいんですがね。要するに先ほどの基地問題との関連でも、復帰後返還された基地は今度のものを入れてもせいぜい六%ないし六・四、五%ぐらいでしょう、返還される部分というのは。しかし解雇されたこの基地労働者というものは何と五五%ぐらいに、半数以上に達しているわけですね。後の受けざらもない。この状態では私はいけないと思うのですよ。だから、使うのも自由、切るのも自由、後の処理は全部県あるいは国でやる、犠牲はその該当者に強いるということじゃ追随外交と言わざるを得ないし、アメリカとの関係においての問題があるわけですね。この解雇問題については皆さんは全然議論なさらなかったのですか、この安保協では。
  303. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 この解雇問題は、御指摘のように、給与問題といろんな意味において密接不可分でございまして、まず私どもの想像ですが、給与がもっと低ければこれほど解雇が伴ったかどうかわからないという気もいたしますし……(上原委員「重大発言だよ、そんなこと言ったら」と呼ぶ)それからそういう大量解雇が出ることの見通しについても私どももよくわかりませんし、その辺のところ、私どもとしては大変な関心を持っております。  そこで、今回の日米安保協議会においてもこの長期の見通しをぜひ知りたいということを、これは従前機会あるごとに私は米側の責任者に申しておりますが、今回の安保協議会もそういう意味では適当な場所であると思いまして、米軍に働く人たちの今後の雇用について、長期の計画をぜひわれわれに知らせてもらうようにということを私どもの意見として申し述べてございます。
  304. 上原康助

    上原委員 そういう消極的な、もちろんそれも行政上、労務管理上必要かと思うのですが、そういう消極的な態度じゃいかぬと思うのですね。たとえば沖繩の場合、六月の三十日に四百八十七人が実際に解雇されて、同日、また九百八十五人の解雇発表を九月三十日でやるということをどんどん押しつけてきているわけでしょう。一体この不況、沖繩の場合ですと現在失業率は七%近く達している。三万人。いまでさえも飽和状態になっている状況に、さらに千人近い解雇者というものが出るわけですね。大企業の倒産ですよ、いわば。ここまで来ている労働問題ということについては、これも基地問題と同じなのですが、どうなるのでしょうか。やはりアメリカ側にも都合があるかもしらぬけれども、厳密に地位協定などを適用してみたって、わが国の経済状況というものを著しく混乱せしめるようなことはできないのです。これも根本的にこの解雇のやり方とか雇用計画というもの、後のことも考えた上でのやり方というものをもう一度考えていただかないといかないと思うのですね。こういう面も、どの程度できるかは別としてもひとつ検討してみますか。
  305. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 先ほども申し上げたように、まあ米側の需要の減少といったような問題もございますが、給与問題あるいは労働条件、雇用条件というものとやはり不可分な面もあろうかと思いますので、先ほど申し述べたように単なるネゴシエーション——給与改定を今度どうするかということではなくて、基本的な問題をひとつ掘り下げて検討しようという気持ちでおります。おっしゃるように、なかなか米側もいろいろ事情があるので、私どもよほどかたい決意でもってそういう問題に取り組んでまいりたいという気持ちでおります。
  306. 上原康助

    上原委員 こういうことは、雇用問題については施設庁の管轄なので施設庁任せかもしれませんが、やはりアメリカとの関係においてはもう少し政治的な問題もあるわけですよ、大使館関係あるいは国務省あたりとの。そういう面では、雇用問題については何らかの歯どめを日米間でもう少し考えるということば外務省もやっていただかなければいかぬと私は思うのですね。どうですか、アメリカ局長
  307. 山崎敏夫

    ○山崎説明員 この労務問題に関しましては、先ほどから施設庁長官も答弁しておられますように、この一年交渉が非常に難航しておる。これにはいろいろ双方の事情があると思いますが、確かに単に技術的な交渉によって解決できない時点に達しておるというふうにわれわれ認識しております。したがいまして、昨年からことしにかけましての交渉に関しましては、外務省としても非常に関心を持ちまして、施設庁の方に御協力申し上げておるわけでございます。しかしながら、そういう賃金交渉だけにとどまっていては雇用の安定は得られないという認識をわれわれもいたしまして、今回相当長期的な見通しに立ってこの労務問題に取り組みたいというふうに考えておりまして、われわれとしては一緒にやってまいりたいと思います。また、米軍の方でもその点について理解を示しまして、ひとつこの労務問題は長期的に解決を図るような方向で話し合っていきたいという姿勢を示しております。そして、今回の安保協議委員会でも特にこの労務問題については時間を割いて討議していただいたわけでございます。その内容につきましては、ただいま施設庁長官からの御説明があったような次第でございまして、決してこれは一政府機関だけに任せておくという問題ではなくて、政府全体の問題としてわれわれとしては取り組んでまいるつもりでございます。
  308. 上原康助

    上原委員 中期的な雇用計画なり、今後どの程度解雇者がふえていくのか。私もこの問題とはかなり深い関係を持ってきておりますので、ある程度小康状態に達する時点はどの付近かという個人的な推測はするわけですが、今後もどんどん解雇者がふえていくのか。あるいは沖繩の場合をいま例にとっているのですが、本土は一応小康状態に最近達していると私は見ているわけですね。九月三十日に約千名近い解雇者で大体当分といいますか、後一、二年はないと見ておられるのか、あるいは継続的に年度が変わるごとに今後も続くと見ているのか、そこいらの見通しはどうなんですか。
  309. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 その辺の見通しについて実は先ほど来お答えしておるように、先方のはっきりした考え方を聞きたいと思っておるのでございますが、先方のはっきりした明確な考え方をまだ聞くに至っておらないので、これから申し上げることは私のいまの時点におけるわが役所といいますか、私どもの見通しにすぎないのでございますが、大体最近の数を見ますと、昭和五十年度に二千二百人、それから五十一年度は六月末で先ほど来御指摘のあった数を入れまして約千七百人の要求数がございます。一方において、沖繩の基地の態様というものは先ほど来お話があったように急激に減少しておるわけでもない。米軍の活動状況その他から見まして、そうこれ以上、この数字でもってずんずん進んでいくものかどうかということについては、私はある程度底をつく事態が来るのではないかというふうに思っておりますが、最後にお話があったように、先方の会計年度の都合などがあって、やはりまだ幾らか保留しておるというようなことがなきにしもあらずという感じがしておりますので、単に数の上から底をついておるのではないかなという推定では甘いかしらという感じで、ぜひ先方と話を詰めてみたいというふうに思っております。
  310. 上原康助

    上原委員 この問題も離職者対策あるいは雇用問題を含めて議論しなければいかない点ですから、この程度にとめます。  そこで、給与改定に対する基本姿勢といいますか、先ほど公務員賃金改定の場合の同時同率の原則云々ということもあったのですが、ここで改めて基地労働者の給与改定を今後もやっていくに当たっての政府の基本姿勢というものを伺っておきたいと思うのです。同時に、きょうの本委員会での議論でもほぼ明らかになったのですが、大体人事院の五十一年度給与勧告も八月、来月の上旬ごろは出るのではなかろうかという人事院総裁ほか関係者の御答弁なんですね。そうしますと、駐留軍労務者についても当然それを想定をして給与問題に直ちに取り組まねばいかないことだと思うのです。このことに対して、施設庁としてはどのような考えで今後対処していかれようとするのか、もう一度というか、改めて基本的な立場というものを明確にしておいていただきたいと思います。
  311. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 先ほども少し触れたのでございますが、米軍基地に働く従業員給与制度は、過去十数年の間慣行としてほぼ確立したような状況で、国家公務員のベース改定があればこれに準じてやってまいったわけでございまして、この点については、私は、いまのようなやり方になった場合に、先生よく御承知でしょうが、二、三年、長い年数をかけて検討したといういきさつがございますので、人事院勧告というものが非常に一般の給与ベースを考慮した権威あるものである、したがってこれが国家公務員に適用されると同時に、米軍の従業員にも同じく準じて扱われるようにという基本は崩すつもりはないという考えでおります。同時に、米軍はこれに対して労働条件と関連していろいろな給与条件の切り下げを強く要望しておりますが、私の従前とっておりました態度は、仕事の内容が、職務内容が変わらないのに給与が変わるということはおかしいのだ、働く者の側からすれば、同じ仕事をしておって、いままでもらっておったものが急に悪くなるということはあり得ないのだというたてまえで、制度としてではなくて、働く人たちの立場から物を考えてみてくれということを強く米側に要望しておりまして、今回、今度人事院勧告がございました場合も、従前の扱いと同様、できるだけ速やかな機会に、やはり国家公務員に準じて給与改定が行われるように行いたい、このベース改定の話は、基本的な給与や労働条件の話し合いをするということは別個に扱っていくようにしたいというのが私どもの考え方でございます。
  312. 上原康助

    上原委員 いまのその方針といいますか考え方というのは、MLCはもちろんのこと、IHA、諸機関労務者含めてそういうお立場ですね。
  313. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 私どもは、従前やってきたことでございますから、含めてそういうやり方で臨みたいと思っております。
  314. 上原康助

    上原委員 そこで、給与改定の基本原則といいますか基本的な姿勢としては、一つには現在の給与及び労働条件の保障、確保するということ、いま一点は、先ほど来長官がお述べになっておりますように、国家公務員と同時同率の賃上げの実施ということ、これが一つの基本方針、原則になろうかと思うのですね。そしてまた、これは長年働いている駐留軍労働者にとっては、絶対に切り下げなりあるいは譲歩できない基本的な問題だと思うのですね。  そこで、この五十一年度の賃金改定はもちろんのこと、今後もいま私が申し上げた点、また先ほど来長官がお述べになったその基本原則というものは踏まえて、これまでのいろいろなペンディングの事項もあるかと思うのですが、この原則だけは絶対に譲らないということで、給与改定問題については対米折衝といいますか、ネゴシエーションという言葉は何か避けたいということですが、やはりそれはネゴシエーションですよ。それはやりますね。
  315. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 いまお尋ねの点については、先ほど来お答えしておるような考え方で米側と話をしたい。ネゴシエーションという言葉を避けるつもりはございませんので、要するに経済的負担をするアメリカ側と雇用主たる責任においてわれわれとが対立して値切り合うというようなやり方、これは物を解決するやり方ではない、いつまでやってもなかなかむずかしくなる一方なので、やはりそういう問題を基本的な面にまで掘り下げて、そして日米間の理解のもとに話し合って、毎年毎年ぎくしゃくすることのないようにしたいという意味のことを実は申し上げたわけですが、そういう意味の解決方法をすると同時に、やはり五十一年度の給与改定というのは差し迫ってまいりますから、これは従前どおり米側に対して確たる態度で臨みたいというのが私どもの考え方であります。
  316. 上原康助

    上原委員 そこで、そういう方向で改定をしていくには、これまでいろいろ予算の関係なり問題があったわけですね。したがって、現行制度あるいは現行の規則、規定、法律範囲といいますか、その範囲でできるのかという問題が当然出てくるわけですね。たとえば特別調達資金をもっと増額をして運用規則の緩和を図るとか、そういうものはある面では現行制度の問題の範疇に入るかもしれません、あるいは入らないかもしれない。いずれにしても、従来のようにアメリカ側が条件をつけたり、同時同率という原則は踏まえても、それを実行していく、執行していくだけの裏づけがないと、問題は片づかないというのがここ二、三年の一番ネックになってきたことでしょう。これを解決をしていく方向の検討というものもあわせてやるのか。これはもちろん日本政府という立場でやらなければいかない問題があるわけですね。その場合にはネゴシエーションでないが、同時に、使用者は米軍ですから、米側の理解と協力を得なければ解決できない仕組みにいまなっているわけです。このあたりはどうなっているのか、明らかにできる範囲でお答えいただきたいと思うのです。
  317. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 先ほど来申し述べてきたところはまさにいまお尋ねのところだと思うのですが、従来、アメリカ局長からもお答えがあったように、施設庁の立場で、施設庁が雇用主である、アメリカ側が使用主であるという立場で、両者が一生懸命やりとりをしておったわけですが、それだけでは片づかない、いろいろな意味を含めて、問題の解決方策をもっと広い立場からアプローチをして、問題の解決策を見出すことが必要であろうかというのがいまの時点における私どもの考え方で、それについては施設庁だけではなくて、外務省もあるいはその他の関係省庁も御協力いただくという雰囲気になっておろうかと私は思っております。
  318. 上原康助

    上原委員 そこいらのことについては、外務省あるいは場合によっては財政当局にも意見を求めねばいかないことになるかと思うのですが、もう時間も大体約束のところに来ますので、要するに、先ほど申し上げましたように、国家公務員と同時同率の原則、それから現行給与及び労働条件の維持ということは譲れない、政府としてもその姿勢は堅持をする、譲れない条件だ、原則だと言うわけですね。もちろん、労働者の方もそれ以上により強い姿勢を持っているわけですから、しかし相手のあることで、場合によってはそれが入れられない場合もあるわけですね。これまではそうだった。入れられないからもたもたもたもたやった。だが法律上の雇用主はあなたなのだ。あなたは本当は偉いのですよ、何万という人を雇っているわけですから。その立場に立つと、万やむを得ない場合には、アメリカ側の了解が得られなくても、法律上の雇用主である防衛施設庁長官という立場で、よしおれはこう決める、実行するということはできるわけですね、場合によっては。そこまでも考えて、この給与改定の問題は政府は対処していくという立場でいまいろいろ検討しているというふうに理解していいのか、どうもそこまではいかぬ、やはりアメリカの了解が得られなければにっちもさっちもいかぬということなのか、お答えいただきたいと思うのです。
  319. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 ただいまの、現在までといいますか、過去今日までの状況では、遺憾ながら、雇用主であるのにもかかわらず、経済的には米側がこれを負担をしておるために、米側の了解なしには進まないというのが現実でございます。  そこで、そのことに対して、そういう問題が今日の給与改定の円滑な実施を妨げておるとするならば、もう少し基本にさかのぼって検討する必要がある、雇用主であるという立場をもう少し雇用主らしい立場になれるように、関係省庁の御協力もいただいて、私としては単なる法律上の責任を負わされておるだけではなくて、もっと実質的に物事がうまくいくように努力をしたいという覚悟でおります。
  320. 上原康助

    上原委員 まあ、それは主体性の問題ですよ。政府全体でもそういう方向に持っていかねばいかない問題だと思いますし、要するに雇用主である日本政府の権限といいますか、雇用主としての責務が給与改定についても十分対応し得るというか、あるいは果たし得る方向での問題解決というものを図らないと、先ほど来議論をしました同時同率の原則、現状の給与、労働条件の確保ということは不可能なんですね。したがって、政府部内でもそういう話し合いを進めて、今度は公務員賃金勧告された段階でおくれをとらないで駐留軍の労務者の賃金給与改定についてもやっていくという姿勢である、またそのことについては米側もかなり理解を示しつつあると見ているのか、この点改めて念を押しておきたいと思うのです。  それといま一つは、これは後ほどでいいわけですが、私は原則を崩しなさいとは言いません、いまの駐留軍労務者に対してのいろいろな財政問題で。ただいろいろな情勢の変化等もありますので、労務に関する間接経費の負担というものがどの程度になっておるのか、これは後日資料として提出をしていただきたい。検討をしてみなければいかない事項もあるかもしれません。  そういう意味で、今回の賃金改定に当たっては、現行の枠内でどういうことができるのか、あるいはどうしても法律改正をせねばいかないのか、わが方が政府部内で検討していくべき事項はどういうものなのか。しかし、その基本はあくまでも先ほど来言うその原則だけは守った上でやらねばいかないということ、ここだけはしかと確認をしておきたいと思います。  それと、言われてきた七項目の改悪問題なども次回の給与改定からもう絡ませない。これはもう何回も念を押してきたことなんですが、これもそういう姿勢であるということを含めて、まとめてお答えをいただきたいと思います。
  321. 齋藤一郎

    ○齋藤説明員 私どもの、要するに日本の施設庁側の考え方、態度というものは先ほど来申し述べたところであり、またいま御確認があったのですが、主体的な考え方だとおっしゃいますが、私どもはその考えは変えないで臨みたい。ただ、全体的な問題とした場合に、先ほど来お話があったように、相手のあることでもありますし、それから相手方のいろいろな制度の問題もございますし、同時に日本の制度の問題もありますし、これをどの程度実現可能なものと見てやっていけるか、これから日米当局が話し合って掘り下げていっての問題だと思っております。それから、その際に関連した労務管理の費用だとか、そういう問題も十分考慮に入れたいと思って私どもも考えておるのでございます。  お話のございました資料も差し上げたいと思っております。  七項目は、アメリカ側は大変こだわっておるように私は理解しておりますが、これは先ほど来申し述べてきたように、今日までのあり方においてのアメリカ側の一つの要望であろうかと思いますので、問題をもっと大局的に話し合うことによって、この問題については、私はアメリカの要望をそのまま受け入れるということはやるつもりはございません。それから今度の給与改定にもこれは絡ましてくると思いますが、絡ませないようにしたいという覚悟でおります。
  322. 上原康助

    上原委員 もう時間ですから、たくさんほかにもお聞きしたい点はあるのですが、最後に、十六回安保協で決められた伊江島の射爆場の問題と、優先順位があるかどうかわかりませんが、特にパイプラインの移設の問題、私はそういう形での解決というのは基本的には反対なんです。しかし、取り決めたことが県民生活とどう密接にかかわり合っているかという優先順位は考えてやっていただかなければいけない点もあると思います。そこはきょうメモはしてあったのですが、議論する時間がありませんでしたので、そういうこともあるということを一つ指摘しておきますので、そこいらを十分御考慮の上で、防衛庁も外務省もこの取り決めが不履行にならないようにやっていただきたいということを念を押して、私の質問を終えたいと思います。
  323. 木野晴夫

    木野委員長代理 本日は、これにて散会いたします。     午後七時二十五分散会