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1976-06-10 第77回国会 衆議院 内閣委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年六月十日(木曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長代理 理事 木野 晴夫君    理事 阿部 喜元君 理事 藤尾 正行君    理事 松本 十郎君 理事 大出  俊君    理事 中路 雅弘君       有田 喜一君    大石 千八君       大村 襄治君    中村 弘海君       古屋  亨君    三塚  博君       箕輪  登君    山本 政弘君       鬼木 勝利君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 坂田 道太君  委員外出席者         総理府恩給局長 菅野 弘夫君         防衛政務次官  加藤 陽三君         防衛庁参事官  伊藤 圭一君         防衛庁参事官  平井 啓一君         防衛庁長官官房         長       玉木 清司君         防衛庁防衛局長 丸山  昂君         防衛庁人事教育         局長      竹岡 勝美君         防衛庁経理局長 亘理  彰君         防衛庁装備局長 江口 裕通君         防衛施設庁施設         部長      銅崎 富司君         科学技術庁原子         力局技術振興課         長       松井  隆君         放射線医学総合         研究所障害臨床         研究部長    熊取 敏之君         外務省欧亜局長 橘  正忠君         大蔵省理財局次         長       吉岡 孝行君         大蔵省理財局特         別財産課長   松岡  宏君         厚生省医務局国         立病院課長   山本 宜正君         厚生省援護局長 山高 章夫君         内閣委員会調査         室長      長倉 司郎君     ————————————— 委員の異動 六月十日  辞任         補欠選任  小宮山重四郎君     大村 襄治君   中馬 辰猪君     中村 弘海君   吉永 治市君     古屋  亨君 同日  辞任         補欠選任   大村 襄治君   小宮山重四郎君   中村 弘海君    中馬 辰猪君   古屋  亨君    吉永 治市君     ————————————— 五月二十四日  一、内閣法等の一部を改正する法律案内閣提   出、第七十一回国会閣法第二七号)  二、内閣法の一部を改正する法律案内閣提出、   第七十二回国会閣法第六号)  三、国家公務員法及び地方公務員法の一部を改   正する法律案内閣提出、第七十五回国会閣   法第六七号)  四、職員団体等に対する法人格の付与に関する   法律案内閣提出、第七十五回国会閣法第六   八号)  五、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正す   る法律案内閣提出第三号)  六、一般職職員給与に関する法律等の一部   を改正する法律案内閣提出第四八号)  七、国の行政機関の休日に関する法律案大出   俊君外六名提出、第七十二回国会衆法第二〇   号)  八、一般職職員給与に関する法律の一部を   改正する法律案大出俊君外六名提出、第七   十二回国会衆法第二一号)  九、休日の範囲の改定等のための民事訴訟法等   の一部を改正する法律案大出俊君外六名提   出、第七十二回国会衆法第二二号)  一〇、行政機構並びにその運営に関する件  一一、恩給及び法制一般に関する件  一二、国の防衛に関する件  一三、公務員の制度及び給与に関する件  一四、栄典に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国の防衛に関する件      ————◇—————
  2. 木野晴夫

    木野委員長代理 これより会議を開きます。  国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 かつて増田さんが防衛庁長官の時代に、白書を出したらどうかという質問を私は、佐藤総理の時期ですが、本会議でいたしまして、何とか出したいという実は答弁がございました。その後、防衛庁内部のいろんな事情がございましてまとまりませんで、中曾根さんが防衛庁長官のときにょうやく第一回の白書がまとまったわけであります。今回が久しぶりで、また二回目の白書坂田さんのお手元で大変御苦労されておまとめのようであります。いずれにせよ、できる限り今日的防衛庁の考え方なり——これだけでわかるものじゃありませんけれども、装備の現状なり周辺の状況なりを国民に知らせるという意味で価値あるものだという気が私はするのであります、立場は違いますけれども。  そこで、中身議論をしたいのでありますけれども、国民のコンセンサスを求めるというのが一つのねらいであることは、前書きの長官の御発想にも書いてあります、「考える会」そのものなどにもお触れになりまして。私は、そういうことになると、この白書を取り上げる前に、幾つかこれはお互い考えねばならぬ問題があるという気がするわけであります。そういう意味で、少し前もって聞かしていただきたいことがございます。  これは幾つも承りたいのでありますけれども、外務省方々がまだお入りになってない方もおられるようでありますから、順序を少し変えさしていただきまして、防衛庁にかかわります、私の見る目からいたしますと明らかな多額な取り込み詐欺、明確な詐欺事件だと実は私は思っておるわけでありますが、しかもこれは防衛庁施設舞台にしているという、とんでもない事件だと私は思っているわけであります。それが一つ、二つのところであれば、それなりのことを、これは委員会の席でなどというのじゃなしに、長い間私も内閣委員をやっておりますから、直接担当の方々にお話をし、御注意も申し上げて、被害者救済等を早急に図っていただこうと思ったのでありますけれども……。  さて、録音テープがここにあるのでありますが、三巻、合計六時間ございますけれども、この中身を聞いてみますと、実は一件や二件や三件や四件じゃないのでありまして、大変多岐にわたっている。しかも金額も大変大きいのでありまして、しかも町の金融業者方々を一々市谷補給統制処に連れていきまして、しかも二階の、私あそこに何遍か行ったことがありまして知っておりますけれども、便所のこっちの方に資料室というのがございます。ここを入った右のところに中村栄作さんという方がおいでになります。この方の周辺に人がおいでになる、正規に勤務されておる方々が。そこで通常話している声でやりとりをして、金融業者方々が来て、しかも処内の複写機を使ってコピーをとって——コピーをとるについても皆さんの方はずっと並んでおられるそうですよ。いろいろな部門から上がってきたものをとりに行く。そうすると、複写をするのにたくさんおいでになるものですから、順番待って複写を次々にして、持ってお帰りになる。そこへずっと並んで順番待って複写したものをこっちに持って、これだと言って渡すから、これは信用しない方がおかしいんだ。もう全くそれは中身架空でございますけれども、完全な信用させる方法を講じて、そして支払いは何月何日ですよ、当方自衛隊だから一切間違いございませんよと言って渡す。そうすると、その間のつなぎ資金が欲しい人が金融業者に頼みに行っているわけですから、間違いなく支払ってくれると言うんだから、それならば貸します、町の金融業者方々は利息をもうけるわけですから。簡単にひっかかってしまう。そういう形なんでありますが、余りと言えばどうもふざけたことであります。  私は、かつて山口空将補がお亡くなりになったときに、増田防衛庁長官委員会質問を長時間にわたっていたしまして、大きな騒ぎになったことがございました。実は、このときなんかも同じようなことなんですが、そういう点では大変に厳重なシステムでおやりになっているはずなんですけれども、極秘のバッジなりFXに関する書類を昼の休みに持ってお出になる、ナンバーの振ってあるものを。麻布の防衛庁の門のところを出て左側ですけれども、小っちゃな家を借りてあって、ある商社——ある商社にしておきますか、そこへ行くとリコピーの機械が全部そろっていて、ばたばたとリコピーをして、ナンバーの打ったものをまたここに入れて、食事をしに行った帰りというかっこうで庁内に帰って、もとのところへ置いておく。これはこんりんざいわからぬですよ。商社に筒抜け。結果的に川崎空佐事件などまでああやって起こることになったわけであります。つまり、いまの防衛庁のこのシステムの中で、まずもってこういう形にしておいたのではとんでもないことだ、こういうふうに実は私は思うわけであります。  そこで、具体的に中身に入らしていただきたいんですが、まず承りたいのは、この中村栄作さんと申しますが、至急という文書がここにございます。補給統制処事務官中村栄作中村という判がございまして、五十一年三月二十二日の、補給統制処という決裁丸判が押してあるわけであります。こういう文書であります。この中村栄作さんという方が補給統制処おいでになる。補給統制処というのは、組織的に見ると、防衛庁のどういう系統のどういうところに位置する組織であって、どういう権限を持っている組織なのか。調達実施本部が本庁にはございますけれども、その系統であるには違いないのでありますが、補給処があり、補給統制処があるわけでありますが、どういう権限をお持ちの、どういう組織なのか。これにはおのおの一部、二部、三部というのがあり、一課、二課、三課というのがあるわけでありますが、これは一体どういうものかというのをまず御説明いただきたい。場所市谷です。
  4. 竹岡勝美

    竹岡説明員 御質問事件のありました航空自衛隊補給統制処場所市谷にございますが、これは航空自衛隊の第一、第二、第三の補給処の行います需品、火薬、弾薬、車両、航空機、化学機材施設器材通信器材、及び衛生器材調達、保管、補給及び整備事務計画的に指導、管理する機関でございます。
  5. 大出俊

    大出委員 この中の組織機構でありますが、もうちょっとお答えいただきたいのであります。どういう部があって、どういう課があって、どういう仕組みになっておりますか。——時間かもったいないですから、後でお答えください。  ここに「補給統制」と書いてありますが、この統制というのは権限としてどういうものをお持ちでございましょうか。
  6. 江口裕通

    江口説明員 ただいま人教局長がお答えいたしましたように、補給統制処俗称補統と申しておりますが、補統はその隷下にございます各補給処の扱います商品あるいは物品あるいはその他航空自衛隊が扱います物品についての統制業務を行うものでございますが、ここで言う統制業務とはおおむね次のように考えております。  まず整備計画、それから計画のうちには調達計画というのがございますが計画、それから改造及び修理関係に関する全体の総合調整、それから資料の作成、それから標準化業務あるいはその他分析業務、大体こんなような種類のこと、いわゆる統制業務というものを扱うということでございます。
  7. 大出俊

    大出委員 つまり、末端の各隊の調達をする各種物資を、指揮権はないわけでありますけれども統制をする権限を持っているという、簡単に言えばそういうことのようであります。  そこで、実はきょうは警察庁方々おいでをいただくようにしておったのでありますけれども、たまたまけさの新聞で御存じのように、私も知っておりますが、エリートの方がお亡くなりになりまして、あれをめぐりましていろいろ内部事情がございます。事情を承りまして私の方で御遠慮申し上げたわけでありますが、そこで実はまだこれ、正式に告発手続をとっておりません。したがいまして、近く告発手続を恐らく被害者はとるであろうと私は推測をいたしております。そのときには恐らくこの三巻のテープ提出をすることになるだろうと思うわけであります。  私はゆうべ二時間半ぐらいこれを聞いたのであります。ゆうべこれを預かったものですから、警務隊が取り調べた対象になった方に取り調べの事情を延々と聞いて、それもテープに全部入っております。杉一曹という方が調べておりますが、これには私は大変疑問がございまして、これだけでも実は重大な責任防衛庁側にあるという気がするのでありますが、そこらの問題だとか、それから前二回同じ事件が起こっているわけであります。この同じ事件が発覚をいたしましたときの統制処長さん、次長さん、さらに管理部長さん、こういうふうな方々総務課長豊田さんという方がおいでになりますが、これは豊田一佐に関するテープであります。これは豊田一佐と外何名の方、いろいろな方がおいでになりますが、五月二十八日午後から始まりまして、二十八、二十八、二十九、二十九、六月一日、四日、四日、八日というぐあいに、電話で延々とやりとりをしておりますのが全部実はテープに入っております。だから、いいかげんなことをおっしゃられても、電話やりとり一つ残らず全部テープにきちっと入っておりますから、明確に豊田さんのお答えも聞こえるわけでありまして、こんなにたくさんありますが、これは全部テープに入っております。それから竹内さんという方が中村君ともう一人の主役でありますが、この方のテープも、これば約二時間ばかりございます。つまり、警務隊にいろいろ聞かれた、おどかされたりなんかしておりますけれども、その間の事情というのも、なぜ警務隊にこういう言い方をしたかということまで釈明を含めて全部ここに入っております。したがって、そういうことで告発が起こる時点で改めて実はいずれかの機会に警察庁方々にお出かけをいただいて、その席上でひとつ細部にわたっての質問をしたい、こういうふうに思っております。  そこで、事件の概要を申し上げますと、被害総額がございますからちょっと申し上げておきます。  十二月の二十日という日に起こりました事件でまず五百万円、これは五十年十二月二十日です。被害額最初に申し上げますが、詐欺行為であります。一月の十九日、これは本年であります。これが八百三十万円。続いて一月末日に八百万円。それから二月の二十日に千二百四十万円。それから二月の二十五日に千九百万円。これはちょっと日付が薄くなっておりますが、三月の二十三日七百万円。同じく三月の二十三日千七百五十万円。三月の末日五千八百万円。四月の一日三千四百八十万円。これは四月の中旬で日付がございませんが、返済期日は六月二十日になっておりますが、二千六百五十万円。同じく四月二十日に五千万円。五月の十日に六千万円。それでこの同じ五月十日にもう一件ございまして、一億一千百万円の金を借りた形になっておるのでありますけれども、現金は五千万円であります。  こういった実は金額でございまして、このうち金を差し繰って返しているものがございます。次々にこの補給統制処舞台にいたしまして、そこに金融業者を連れてきまして中村君と会わせまして、そこでコピーだ何だとったりいたしまして、中村君自身も間違いなく支払いの金が出るからつなぎに貸してやってくれなんということを言って、この竹内なんという人や山村という人を使って金がその人たちの手に入るようにしていたわけであります。  そこで、もうちょっと詳しく申し上げておきたいと思いますが、穴埋めいたしましたのが一番最初に申し上げました五十年十二月二十日、新潟のスーパーが相手であります。古川と申します。物件砂糖であります。自衛隊に納入する砂糖、これが安く出るからというので、形は横流すわけでありますけれども、これは五百万円金を送らしたわけでありまして、なかなか砂糖が出ない、こういうかっこうになって五百万が穴になったやつをほかから借りてきて五百万を埋めた、これは埋まっております。これは五十年十二月の二十日。  一月の十九日、物件サケ十トンでありますが、川崎の原田という人が相手であります。御商売の屋号等もございますけれども、申し上げないことにいたします。サケ十トン八百三十万円、キロ当たり八百三十円、こういう単価でありますが、これは例の市谷補給処のあの門をトラックサケを入れて一遍中に入れている。それから築地に持っていきまして通称バッタ屋という、そういうのを買い取るのがございまして、それが安売りの、方々皆さんがよく買いに行かれる場所に安く売られるように出たりするのでありますけれども、そこに八百三十万のものを五百三十万くらいのことで、大変損をしておりますけれども、もともとこれは取り込み詐欺をやるつもりなんですから損得は問題でないのでありまして、横流している。これも御丁寧なんですね、市谷の中に一遍入れているのですよ、トラックに十トン積んだやつを。それから回れ右をして出てきた。こんなばかなことか、これは三島事件のときに——あそこ私よく皆さんとの関係幹部学校に講師を依頼されてお伺いしたりしたことがありますけれども、三島さんのときも何であんな物を持って入れたのだという議論が議会でございましたが、何ともどうも解せないわけであります。そこで、これもいろいろな経過がございましたが、ほかから金を借りてきて八百三十万埋めてあります。  それから五十一年一月末の件、渋谷寺村さんという方、実はこの寺村さんのところで二回目にばれた。これが第一回の三月十七日、後から承りますが、皆さん最初に処分をしたことになっておる日付でありますが、これが八百万円であります。寺村さんのときの物件は、タラコだとかその他の食料品物件の中心であります。この八百万も埋まっているわけであります。  それから二月二十日に昭和信用というのがございまして、これは横浜でございます。これもこの社員である岩崎という人を第三整備課まで連れていきまして、つまり中村さんのいるところに連れていって、その部屋に入れて、資料室で人がいるところでやりとりをして信用をさして千二百四十万円を払わさしている。  それから二月の二十五日、丸幸と申します一これはこの当時中村君あるいは竹内君という二人、もう一人山村君というのがおりますが、この三人共謀でございますが、この三者の間で、中村さんから言い出したことでありますが、国際食品だとかIMCという会社などに対する取り込みがやってありまして、穴があいている、それを埋めないと事件になるというので、丸幸という会社をだましまして、千九百万円入手したわけであります。これも後から騒ぎになりまして、埋めて先に延ばしております。  それから、さっきちょっと日がわからぬと申しましたが、三月二十三日ごろでございますが、渋谷寺村さん、二回目であります。このときにイカとお茶とかん詰めタラコと、御念が入っているのですが、こういうものを主要品目にいたしまして、七百万金を出さしたわけであります。ところが、この七百万金を出さしたときに、これも寺村さん、二回目でございまして、どうも様子がおかしかったと竹内君はこのテープの中で言っております。このテープの中でこの間の事情を詳しく説明しておりますが、ここのところ後で皆さんに一遍聞いてから私の方から申し上げたい。警務隊皆さんの調べた中身と食い違いがございますから、一遍皆さん調査中身を承ってから申し上げたいのであります。豊田一佐との電話やりとりの中で豊田さんが答えておりますけれども、そこらの問題もございますから、後ほどこれは承りたい。  いま申し上げました七百万円の寺村さんのところまで金は埋まっているのであります。だけれども、自衛隊に納入する——これはここで解説か一つ必要なのでありますが、それから質問に移りますが、やり方は二種類ございます。一つは、自衛隊補給統制処物品食料品を必要とする、買いたい、こういうことなんだ。ただし、コードナンバー等があるから竹内商店を通さぬと入れてくれない。したがって、竹内商店を通して自衛隊に入れるということで物資調達をするという仕組みであります。つまり肉、サケかん詰め冷凍イカというのがたくさんあるのであります。方々冷凍イカが出てまいりますが、こういうものを扱って動かしておる業者に引き合いをかけまして品物を引くわけであります。引いて、竹内商店を通してつまり自衛隊補給統制処に入っていく、こういう形をとって、だからサケなんかの場合には、中にトラックで持ち込んでいる。現物を引いたわけであります。そういうかっこうにして回れ右で出ていって、バッタ屋に売っちゃう。ぽんと金にしちゃう。そうして品物が入りましたよというのを実はつくるわけです。これは防衛庁の中で、目の前でコピーとっているのですから信用しますよ。  しかも、この書類形式を調べてみましたら、皆さん書類形式と同じ。それは多少の違いがあるようでありますが、確かに多少の違いがないと困るのでしょう。全くそのままじゃ皆さん責任になってしまいますから。これが公文書であるかないかという点はいま専門家に私は相談をしております。五十一年三月二十二日、てっぺん決裁という判、こっちに至急と入っておりまして、補給統制処事務官中村栄作中村の判が押してある。こういうかっこうで、この中身冷凍イカでございます。そして支払い金額があり、契約金額が千何百万かになるのでありますが、振込先太陽神戸銀行だ。これは千七百五十二万円ですか、これだけのものを、これは冷凍イカでありますが、つまり冷凍イカ自衛隊に納入をしたのだ。したがって、自衛隊は千七百五十二万円を払ってくれる。支払い月日がここに書いてありますが、五十一年五月二十日である。五月二十日に支払ってくれるというのをもうすでに決裁が終わって正式な文書にしております。これが会計に回って五月二十日に金が落ちる。これが決裁されているのですから、品物が入ったですね、明確に、これを見ると。入ったから決裁されておる。金を払うように会計に回っておる、こうなっておりますね。そして、ここにも内訳その他が詳しく検査済みになっておりまして、冷凍イカはこうこうこういうことだということで、これも中村事務官書類でございまして、これが竹内商店コードでございます。これを通じて入ってくるかっこうであります。これも決裁判こがぴしっと押されているわけであります。補給統制処てっぺん決裁、五十一年三月二十二日というようなぐあいで丸判がぴしっと打ってある。こういうわけであります。そして御丁寧なことに、送金依頼書がここにございまして、この送金依頼書は、御庁、つまり防衛庁なんでございましょう。昭和五十一年五月二十日支払い日のこちらの決裁書類——これは大臣聞いておいていただきたいのですが、決裁書類でこれは架空なんですよ。冷凍イカが納入された、だから金が出てくる、決裁に回っている。これが正規な書類とほぼ違わないのですから、しろうとにわかるはずはない。間違いなく出てくる。そこで、五十一年五月二十日支払い日の金千七百五十二万円なりについては左記口座に振り込み送金されたく依頼いたします。ここで落ちたらこっちに送金をしてくださいよ。なぜならば、つなぎに、金がないから、この日に防衛庁決裁をすでに済ましているのだから、会計から金が出てくるのだから、その分の千七百五十二万円分を貸してくれと言って町の金融機関に持ちかけるわけですね、この文書を持っていって。すでに決裁になって品物が入っています、相手自衛隊さんだから、軍隊なんだから間違いないです。それはないでしょうな、自衛隊だから右向けと言えば右向くのだから、気をつけと言えば気をつけなんだからというわけだ。そこへ行って、手を挙げて敬礼と言って、これは逆に失敬してきたというわけだ。これは妙な話であります。だから送金依頼書というのを、私のところは千七百五十二万円、ここに補給統制処補給分任物品管理官一等空佐星秀男、事務中村栄作——この中村栄作か黒幕だ。二人かここに判こを押しまして、右承諾す。つまりここで納入されて、支払う金は竹内商店に支払うのではない。  これは一例を挙げるわけでありますが、横浜市西区南軽井沢十番地、昭和信用株式会社代表取締役松堂朝永、この人に送ってくれ、こういう送金依頼書を金を貸している竹内商店コードナンバーを持っているのでそこを通さなければ自衛隊は買ってくれないというのだから、その権限を持っているということになっている竹内商店にこの書類を見せられて千七百五十二万円の金を貸した金融機関責任者名で、支払った金は私の方が金を貸しているのだから私の方に送ってくださいという、そのことを自衛隊補給統制処補給分任物品管理官の一等空佐星秀男という人と事務官の中村栄作さんという人が承諾が済んでいるということで、これまた決裁の判が押されている書類をつくっている。だから、この日に出てくる金は、おたくにいま金を借りたのだから金はおたくの銀行に入るのだからといって、金を借りるときに金利は天引きで取られているわけでありますから、そういうかっこうで金は持ってきているわけであります。  そして、御丁寧にもう一通ある。債権譲渡契約書というのがございます。つまり、竹内商店物品を納入した、冷凍イカを納入した、これは千七百五十二万円になる。それだけの債権を竹内商店防衛庁に対して持っている。それはそうでしょう、物品を入れてまだ金をもらっていないのだから。その債権を金を借りた金融機関であるいま申し上げました昭和信用株式会社というところに譲渡をする。竹内商店店主、竹内春男という人でありますが、東京都渋谷区恵比寿三の四十三の五、この人が防衛庁に対する債権を譲渡する。だれに譲渡したかと言えば、金を借りている昭和信用株式会社の取締役松堂朝永さんに債権を譲渡した。そして第三債務者の表示ということで、東京都新宿区市谷本村町一番地、航空自衛隊補給統制処補給分任物品管理官一等空佐星秀男という方が表示をいたしまして、判こをついている。そして承諾書というのがここについておりまして、これまた星秀男、中村栄作になっていて、ここに補給統制処決裁判こが押してある。それは中にいる人間ですから、決裁判こを持ってきて押せばいいのだから、どうということはない、やることは簡単なんだが、第三者がながめてこれを信用しないというのはおかしな話だ。普通で言えば信用せざるを得ない。そういうかっこう仕組みで町の金融業者から金を借りる。物品は納入されている、金はいつ支払いになることになって決裁がおりているということで、つなぎに金を借りてくる。金利をもらうわけですから、業者の方もそんなにかたいところで間違いないのだから、自衛隊さんなんだからというので金を貸す。だから、海千山千と言っていいようなその道の熟達した業者方々が何人も何人も実はさっき例を挙げましたように金を貸している、こういう結果がある。  二つございまして、一つは全くの取り込みでございますが、コード番号を持っている竹内商店を通じなければ自衛隊物品が納入できないということで、物を抱えている大きな商店、卸問屋さん等に引き合いを出す。冷凍イカがどれだけ要る。とにかく冷凍イカ二万ケースなんというのですからね。そうでしょう。相手自衛隊なんだと思うから、向こうは信用するわけですよ、大きいのだから、それが百ケースなんといった日には、そんなもの危いということになるけれども、二万ケースなんと言われれば、天下の自衛隊さんなんだから、それはそうだろうというわけだ。そういうかっこうなんですね。それで引いたら市谷トラックに積んで十トンのサケなんぞぽんと入れて、回れ右前へ出ていってしまう。出ていって、築地のそばのバッタ屋に行っちゃって、キロ当たり八百三十円のやつをほんと、じゃ五百五十円なんというようなことだから、右から左に現金になってしまう。そうすると、バッタ屋でばかばか売って、それを皆さんちょいちょい朝上野の駅前だ、やれどこだというところへ行って、何でこんなに安く売れるのだろうなんといって買ってくるという世の中でしょう。十トンも持っているのだから。実はそういういきさつです。ところが、これは結果的にいま申し上げたように、直接物を持ってきて、自衛隊に入れないで横流しをする、そして金にするという仕掛けが一つ。それにも信用される自衛隊決裁の判のある明確な書類が使われている。どこから見たって、私が見たって疑いもない、この限りは。すべて整っているのですから。  ところで、もう一つは、納入をしてしまっているんだ、支払いはいつなんだ、間違いないんだということで、実は金融業者からつなぎに金を借りてきている。そして、いま私が説明した仕組みで債権護渡の書類もつくって、直接借りた先に金が入るような仕掛けにする。入れば問題ないんだが、入ってない。自衛隊から出さないんだから、架空なんだから。  実はそういう二つの方法をとりまして、いま私が挙げましたように次々に金を借りていって、それはバッタ屋に売るのですから、その間大きな金額の差があるのですから、それだけ穴になっているわけです。次から次へと金融機関を巻き込んでいって、金を借りてきては前のところを埋めて、事件の発覚を防ぎながら進めていくわけですから、だんだん大きくなって、しまいには一億一千百万円も借りるなんという騒ぎになってしまう。そのたびに自衛隊から出てくる書類はでっかいことになる。大変たくさんの量を自衛隊が買うようになってくる。ずっと続いてきている。こういうことがこの事件中身であります。  そこで、責任の問題と絡みますから、これから質問に入りたいわけでありますが、まず三月の初めごろにこの事件が発覚いたしまして、警務隊調査をされる。懲戒委員会というのをおつくりになるのだろうと思いますが、後からこれまた承りますが、そこで処分ということになったのだろうと思うのであります。どういう事件が発覚をしたのか、そしてそれをどこで調べて、どういう方々が集まって処分云々というようなことをお決めになったのか。専決権を持っておるところで処分をされたのでしょうけれども、そこのところをひとつ承りたい。
  8. 竹岡勝美

    竹岡説明員 この補給統制処中村事務官事件で、先生御指摘のとおりに、新潟の古川あるいは原田商店、寺村あるいは昭和信用株式会社、おっしゃったとおりの事件でございます。  最初に、三月の上旬に寺村さんが竹内に、中村のつくりました書面を信用して金を貸した。ところが、どうも書面の書式がおかしいというので、自分の知り合いの人がたまたま自衛隊に出入りしておる人であったものですから、それに問い合わせましたところが、どうもこの書式がおかしいということで、寺村さんの知人を通じて補給統制処がこの事実を知ったようでございます。  一方、サケ十トンをやはり売りました原田さんが、金の支払いがどうも遅いというようなことで、原田さん自身から陸上自衛隊警務隊の方に問い合わせがあったということで、陸上警務隊の方から航空警務隊の方に一応話しまして、航空警務隊の方で内々調べたという事情でございます。  当時、寺村さんの方からの連絡でこの事実を知りました補給統制処では、すぐにこの中村事務官を調べたわけでございますけれども、調べましたところ、当時は原田さんの事実だけを言いまして、この原田さんの金は期日までにすぐに返済したようでございます。実質上被害がなかったというようなことと、当時つくりました書類の改ざんは、後で先生御指摘の昭和信用に出しました書類の改ざんほどの悪質なものではなかったようでございます。そういうこともありまして、本人が非常に今後注意したいということを言っておりましたので、とりあえず当時は副処長の名前で中村事務官に注意処分をいたしました。  一方、航空警務隊の方では、これはまださらに被害が広がるものがあるんじゃなかろうかということで、内々調査を進めておったということでございます。さらに、五月に入りましてから、昭和信用の方からの連絡がありまして、警務隊の方で本格的に調べて事件がわかったという実情でございます。
  9. 大出俊

    大出委員 そこで承りたいのですが、副処長さんは何とおっしゃいますか。
  10. 竹岡勝美

    竹岡説明員 先ほど答弁漏れして申しわけございませんでしたけれども、補給統制処は、処長は空将小川英人、副処長は空将補中矢将史、以下六百九十三名の職員でやっております。
  11. 大出俊

    大出委員 ここに監理課長さんと言ったらいいのですか、監理部長さんというのですか、という方がおいでになりますね。この方は何とおっしゃいますか。
  12. 竹岡勝美

    竹岡説明員 あるいは先生御指摘のは総務課長じゃないかと思いますが、総務課長には豊田一佐というのがおりますが、よろしゅうございますか。
  13. 大出俊

    大出委員 総務課長豊田さんでなくて、この中村という人を世話をしたといいますか、つまり中村さんがこの補給統制処に入るについて、中村を入れてやってくれといってあっせんをした方、このときは処長に頼んだのですね。で、処長は副処長と相談をし、じゃ採ろうというので中村さんを採ったといういきさつがあるんですね。
  14. 竹岡勝美

    竹岡説明員 この中村事務官は本籍が石川県の金沢市でございます。四十年一月に航空自衛隊事務官として採用されたのですが、このときに郷里の先輩でございまして、当時幹部候補生学校長をやっておりました空将補の北川政男氏の世話で選考採用で入ったのでございます。
  15. 大出俊

    大出委員 この北川さんは監理部長か何かやっておられたですね。この中村栄作さんという方は明大出身でございまして、お話のように石川県の金沢の出でございます。この方を北川さんという方が小川さん、中矢さんたちにあっせんをして頼んだんですね。それでお入れになったわけであります。  そこで、豊田一佐の話は、たくさんございますから後から申し上げるのでありますが、最初の処分、これはいつごろでございましたか。
  16. 竹岡勝美

    竹岡説明員 先ほど申し上げましたとおり、三月十九日付補給統制処の副処長から厳重な注意処分をしております。
  17. 大出俊

    大出委員 厳重注意ですか。
  18. 竹岡勝美

    竹岡説明員 そうです。口頭注意です。
  19. 大出俊

    大出委員 実はこのときにも問題がございまして、この録音に細かく入っておりますが、中村さんはうそぶいているわけですね。この竹内君という人に、おまえとにかく早く金を見つけて埋めろ。これは警務隊調査と全然反対なんですよ、断っておきますが。警務隊に聞かれたことも、しゃべったことも全部このテープに入っています、杉一曹が言ったことも聞いたことも。しかも二日目なんというのは十時に行って一時半まで寝かされておったのです。ゆうべ一時までかかった調書を全部変えたのですから。もっと竹内君、君が中村君をおどしたり強制したりなんというようなことをやったというふうに書いてくるといって、ちょうど二時間半くらい君寝ててくれといって、前の晩一時までかかったのですから。全部供述の中身を直した。持ってきた。そこで、はっきりこのテープの中で言っておりますが、前の晩に署名して書いたというのですね。それはあたりまえでしょう、供述したのだから。署名がないというんですよ。竹内春男という署名がない。普通ならば前の晩の供述書と翌日の供述書をつなぐわけですよ。そうでしょう、そうでなければ結局意味がないわけですから。ところが、中身のいろいろな表現も変えてあって、つまり、中村竹内にやらされたんだ。竹内君はそのときに、ああこれは全部変えたなと。杉一曹もそう言っている。杉一曹自身が、おれは中村の盟友だと言っているわけですね。全部ここに載っていますけれどもね。それで全部中身を変えて、中村さんがやらされたように言えという、全部ここにありますよ。これは警察に告発のとき出しますけれども。  そこで、本人の竹内というのはどう考えたかというと、ここで事件にされたんでは——しかも警務隊の方大分激しいことを言っているんですよ。本当にそういうふうにしてくれなければ手錠をかけて帰さないと言う、克明にしゃべっていますがね、竹内君は。今度ここで事件にされては困る、だから事件にしないでほしい、全部しゃべるからと言ってしゃべっているのです。大変中身は細かいです。二時間もしゃべっているのですから、一々説明しているのです。だから、それはそれで後からまた克明に申し上げます。  そこで、その最初事件のときに、いまの厳重注意——厳重注意などという性格のものでないはずなんですね、事件中身がおわかりならば。なぜ一体厳重注意などといういいかげんなことをなさったか、私には全くわからない。いま質問をしてお答えいただきましたように、空将という地位においでになる小川英人さんは処長です。補給統制という業務ですからね。各般の補給業務を統制する権限を持っているのですから、だから空将の方が統制処長をおやりになっている、地位としては高いですから。空将補の方が副処長ですね。そして同じ空将補で北川さんという方が監理部長か課長か、後から出てきますけれどもやっておられて、この方が中村君を世話したわけですから、そこで小川処長と中矢副処長と北川、あっせんした人と、ここにもう一人多田一佐という方がおいでになりますね。多田一佐という方は何をおやりになっているのですか。
  20. 竹岡勝美

    竹岡説明員 これは中村事務官補給統制処の第三部第三整備課に勤務しておるわけでございますが、その第三部長に多田一佐というのがおります。  それからちょっと一言つけ加えておきますが、先ほど北川政男氏に紹介されて入りましたのは四十年一月のことでございます。北川政男氏は当時四十年一月、幹部候補生学校長の前に監理部長をしておりました。現在の補給統制処の処長、空将小川英人あるいは空将補に中矢氏がおるようです。当時の関連とはちょっと時期的に外れております。
  21. 大出俊

    大出委員 しかし、この空将補の北川さんが、お世話をされたということをお認めですから、それでいいんでありますが、だからお世話をいただいた人には相談するのはあたりまえでしょう。  そこで、副処長から厳重注意という口頭で注意した。中身はそんな簡単なものじゃないですよ。さっき私は、書式その他は全部同じ書式でやっておりますから申し上げましたがね。  そこでこのときは、もうちょっと前につけ加えなければならぬことがございますが、山村という人物がいるのです。竹内という人を非常に悪者に仕立てようとしているわけですがね、確かに悪いことは間違いなく悪いんだから。中村という人は、竹内という人物におどかされたりそそのかざれたり強制されたりしてやらされたと、こうなっていますがね、そうじゃないのですね。中村氏の方がはるかに人物的に上なんです、竹内君よりも。常に中村が指導している。竹内、おまえこうしろ、おまえこうしろ、銀座のクラブなんかに呼びつけられているのですから。そのときはやはりおたくの組織内の方がそのクラブへ来て一杯飲んでいる、中村と。そこへ竹内の方が呼ばれているんですから、そして七万円金を払わされているのですから。これもおたくに関連する方ですよ。そのクラブへ行ってお飲みになった方は。いまこれはどこからも出ておりません。それは後でいいです。いずれ申し上げます。  そこでまず、その山村という人物と中村という人物のつながりは私はまだよくわからない。なぜならば、これは六時間分あるテープを二時間半しか聞いていないからわからない。しかし、説明は聞いておりますがね。実は山村君という人と中村さんという人がまずつながりがあって、そこでこれまた物件サケなんですけれども、サケを引いて竹内商店にその引いたやつを安く売った。竹内は買ったのです、一番最初竹内商店が。このときは竹内商店は大変にもうけている。それはそうでしょう。自衛隊に入れるというキロ当たり八百三十円もするサケを五百幾らで売ってくれたわけだから、これは竹内商店竹内さんという人は大変にもうけた。これが最初です。  ちょっとそこを整理して聞いていてください。ポイントですから、いいですか。私は、防衛白書に入ろうと思って勉強してみたわけなんだけれども、途端にこういうことが出てきたんでは、これはコンセンサスを求めるもヘチマもないんで、これではコンセンサスの求めようがない。だからこの点は明確にしていただきたいと思って取り上げているわけです。しかもこれが一件や二件なら私は物を言わない。そうじゃなくて、これだけたくさんあると、何億ということになると捨てておけない。さっき申し上げたが、もう少し後で詳しく申し上げます。  そこで、まず竹内さんのところへ、最初中村山村の共謀で、さっき私が申し上げたような引き合いをかけるときの書類をつくって、つまり防衛庁補給統制のここが欲しいということで、そしてサケを引いてきたやつを竹内のところに持っていった。竹内は、第一回目のこれは大変もうけさせてもらった、ここから始まる。二回目は砂糖なんですよ。サケで大分もうかったじゃないか、ここで竹内君が自分で述べていますがね。そして二回目が砂糖で、砂糖を安く出すから取らぬかという話で、それが新潟のスーパーの古川という人、ここに竹内商店は口をきいて、ここから五百万を送らした、これが暮れなんですね。昨年の十二月二十六日であります。すぐ出るからと言うから、金を二十六日に送ってきたやつを中村に上げたんです。山村中村両君立ち合いのもとに上げた。ところが二十七日になっても出てこない、二十八日になっても出てこない。これは暮れの商売だから早く送りたいんだけれどもと言って連日催促をしたら、いや、実ば自衛隊が二十八日で御用納めになっちゃったから年内出ないと言ってきた。一月の七日過ぎに来てくれと言う。それで竹内君は、仕方がないから新潟のスーパー古川君に平謝りに謝って、五百万の金を取っちゃってやっちゃったんだから、謝って春まで待ってもらった。七日が過ぎて一月半ば過ぎてもなお出ないということになった。それでよくよくこの山村中村両君を責めたら、実はこの両方から、別々の場所なんですけれども、先に山村がしゃべったわけです。実はこういうからくりなんだ。後から中村君が、竹内、おまえは山村に聞いているだろう、実はこうこういう中身なんだ、品物架空なんだ、バッタ屋に売っているやつを自衛隊に入れると言って引いてきて実は流しているんだ、しかしおれに任しておけ、心配するな。  これがさつきの処分にかかわるんですけれども、実は二回目にこの穴埋めをしようと思って寺村さんというところから金を借りた。寺村さんは、第二回目に金を借りに来られたとき、これは寺村さんにさっきの八百万は返しているんだから、それがあなたが言っている金を返した、被害がないからとこう言う。そうじゃない、金は返してもらったか、非常な疑問を持った寺村さんか——なぜ疑問を持ったかというと、ここが寺村さんの知り合いとあなた方は言うんだが、豊田一佐がここで答えています。一生懸命逃げておられるけれども、実は私は調べた。調べたら、おたくに出入りしている印刷業者が、寺村さんのところにも出入りしている同じ業者なんです。補給処に年じゅう出入りして仕事もらっている業者がいまして、これが寺村さんのところにも年じゅう出入りしているというかっこうだった。寺村氏が、おまえ補給処年じゅうお得意だろう、実はこうこういうことなんだがと言ったら、これはおかしいじゃないかというわけで、年じゅう出入りしていたから何となくおかしい、おれは調べてみる、品物が入っているかどうかというのを調べると言って、調べたら入ってない。しかし、このときには七百万金は貸してやっているんですよ。そぶりがおかしかったと竹内はこの中で言っていますがね、貨してやっている。  ところが、ここで不思議なことに、このつまり金融業者を連れていって資料室の中で中村やりとりをする。そこに人が何人もいるんですよ、皆さんが、通常の机なんだから。それを大きな声で、おい、おまえ、それは入っているんだ、いつ出るんだか心配するなとこう言う、みんな聞いている。みんな聞いているから、竹内君がここで言っているのはぐるだと言う。みんな知っているんです。中で平気でしゃべっている。おい、コピーとってこいとこうだ。コピーとってきて目の前でこれを渡すという。架空コピーですよ。形式は全部整っているから、そこへコピーをとったってだれも怪しみはしないけれども、そんなことが普通の状態でできる話じゃないという。だから中村事件発覚とこうなったんだが、警務隊に調べられている、大丈夫かと言ったら、心配するなと言う。処長だってみんなわかっているんだ、おれを世話してくれたのは北川さんだというわけだ。副処長だってわかっているんだ、大した処分になりゃしない、心配するなとこう言う。だから、そんなことより竹内、早くほかから金を引っ張ってきて引き合いを持ってきて埋めろ、寺村のところを埋めろ、原田はサケで大騒ぎになって怒っているんだから、十トンのサケトラックに積んで自衛隊のあそこの中に一遍入れちゃって、回れ右して持っていっちゃって、中に入れないでバッタ屋に売っちゃったのだから早く埋めろ、それで昭和信用へ行って、今度は金を借りて埋めたわけですからね。そうでしょう。それがさつき私が見せた昭和信用書類。そして、厳重注意で終わった。ほら見ろ、言わないことじゃない。竹内最初はもうけさせてもらった。二回目に五百万ひっかかって砂糖で大変な苦労をした、そういう点で責めたら、先に山村事情を話した、次に中村さんが話した。しかし心配するな、おれに任せろと。金がほしいものだから、回収しなければならぬ五百万あるから、とりこになっちゃってとうとう仲間入りをしちゃった。抜けられなくなっちゃった。だから、主役はあくまでも中村君だ。これは権限を持っているのだから。そうでしょう、中にいるのだから。しかもそこに金融業者が会いに来るのだから、呼んで来るのだから、みんないるところでしゃべるのだから、信用しない方がおかしいのだ。ところが豊田一佐なんというのは、このテープを聞いていると、こういうインチキにひっかかった業者の諸君が悪いと言っているのだ。冗談言っちゃいけないですよ。何をもってあなた方は、自分の防衛庁補給統制処の正規のルートを、つまり二階の資料室を入った右のところ、中村君のいるところ、組織の人がいるところ、そこを舞台に平気でやりとりをして、大きな声でしゃべって、それでだまされる方がばかだと言われたんじゃ、国民は一体どうするのだということになるのですよ。  これは大臣のところへ局長を通じて上がっているはずですから、きのう私が監査課長さんか何かに聞いたら。大臣、この最初の処分のいきさつをお読みになって、どうお考えになりますか。
  22. 坂田道太

    坂田国務大臣 この事件の報告を受けたわけでございますが、いずれにいたしましても、まことに自衛隊の威信を失墜することになると思うわけでございまして、もう少しこの点、よく事件の真相を明らかにしなければいけないというふうに思っております。やはり、そういうようなことが二度と再び起こってはならないというふうに考えておるわけでございます。
  23. 大出俊

    大出委員 大臣、余りいい話じゃない。私も長いこと防衛庁皆さん相手やりとりをしてきているので、立場は明確に違いますけれども、正直に言うとこんなことは取り上げたくないですよ。だから何とか大臣のところまで上げてくれたのなら、こんなところでがたがたやらにゃならぬようなことにせぬようなことをあなた方お考えになれぬのかと言って、きのう私は国会の部屋で八時ぎりぎりの鐘が鳴るまであなた方の組織方々に話したのですよ。だけれども、大臣のところへ上げたけれどもどうにもならぬと言うのだ。それなら犠牲者をおっほっておくわけにはいかないじゃないかと言うと、万やむを得ぬというのです。それならば、二度とこんなことがあっては困るのだから、言うだけのことは言わざるを得ぬじゃないですか。言いたくないから、私はゆうべ八時ごろまでいまして、部屋を出たのが八時半ですよ、政府委員室の方々にみんないてもらって御相談いただいたのだ。  そこで大臣、もし必要ならば、これをテープに入れてやればすぐお聞きになれるのだから、二時間聞いていただいたっていいのですよ。ゆうべ私は、しょうがない、うちへ帰ってから一時半近くまで聞いた。それで、それを全部便せんに書いてみた。一時間半ばかり聞いたらこんな厚くなった。聞いて、要点全部書いた。ここにあります。実は六時間分全部書きたいわけですけれども、この中にはとんでもないことが出てくる。これはひどいものですよ。警務隊方々の調べる方法だって、ぼくは文句があるのですよ。幾ら隊内の方をかばいたいのはわかっても、杉一曹なんていう方は、私は中村の盟友だなんて言って、これじゃ私に言わせるとまるっきり警務隊信用ならぬですよ。二日目の朝十時に——前の晩一時過ぎて署名させて帰して、翌朝十時に行ったら、あの中身を読んだけれども、ゆうべの供述をもっと君が悪いふうに書けと言うのです。本人の竹内にすれば、そうすれば事件にしてくれないのだな。だから君が出て、昭和信用に君が金を返せばしない、そうでなければいまここでつかまえるぞというわけです。君が返せばこれは事件にならないと言う。  そういうことで、それを信用して物を考えるからさっきの、三月の十九日でございましたか、口頭で厳重注意、そういうばかげた話はない。サケ十トン、八百三十万も市谷の中に一遍入れて、それを持っていってバッタ屋に売っちゃったなんという事件。これは原田君の事件。これは本人が怒って言ったのです。そうでしょう。寺村君のやつは、金を八百万貸しちゃって、後になって疑心暗鬼を持ったのです。それで出入りの印刷屋に聞いた。調べてくれたら、入っていない。わかった。わかったが、後のことがあるものだから、寺村君も、ここで事件にしたのでは方々泣き寝入りばかりになっちゃうと思ってがまんしたのです。だから、何と三千万ばかり借りに行ったものを、金がないとかあるとか言って七百万の小切手を貸した。小切手を貸しておるのですよ。それで防衛庁に出てきて、印刷屋を使っていろいろやりとりをして——豊田一佐ですよ、相手は。いろいろ話をしたわけですよ。ここでわかった。だからこの全容をあなた方はわかったはずなんだが、何で一体口頭注意にしなければいかぬのですか。そして、中村君は竹内君や何かにおれの言ったとおりになったじゃないかと。だとすると、これは悪く見れば、処長から、副処長から、課長さんから——処分するのには懲戒の委員会をおつくりにならなければいかぬのでしょう。何人でやるのですか。
  24. 竹岡勝美

    竹岡説明員 この三月十九日付でやりましたのは正規の処分じゃございませんで、単なる口頭の注意処分で、先生御承知のとおり、この事件昭和信用の方からさらに発覚しまして、これは非常に悪質な偽造をやっておりますので、六月の五日付で航空幕僚長の懲戒免職処分にしたわけでございます。
  25. 大出俊

    大出委員 懲戒処分というのは、この委員会をおつくりになるのか三人なら——三人でしょう。そうすると、この委員会はだれとだれとだれでおやりになったのですか。
  26. 竹岡勝美

    竹岡説明員 先ほどの三月十九日付は口頭の副処長の処分ですから、何らそういう様式行為はとっておりません。(大出委員「今回は」と呼ぶ)今回は、任命権者である航空幕僚長が懲戒処分権者でございます。それで、航空幕僚監部の人事担当の部長等を入れましての懲戒処分審査委員会を開きまして、ここで本人の事情警務隊の調べ等を聞きまして、これは当然重大な規律違反になる、隊員たるにふさわしくない行為で信用を失墜したということで懲戒免職処分にしたわけでございます。
  27. 大出俊

    大出委員 この文書で承っておきたいのですが、これは第三者が見れば明らかに公文書です。これは過日、NTVですか、TBSですか……(竹岡説明員「NETです」と呼ぶ)NETが、一遍これは処分がわかって、いまの処分の前の日に、NET関係方々なんでしょう、私、そこまでわかりませんが、防衛庁内の様子をどこかでお知りになったのでしょう。なぜならば、先方にそのときに調査にも行っておられるようですから。そして皆さんの方が処分という踏み切り方をするというのならこの事件はニュースで流すべきだという判断でお流しになったはずなんです。ときに新聞は、一社が抜きますと小さくなりますからね、みんな小さくなったけれども、朝日新聞なんかは比較的中身が、まあ同系統だからかもしれませんけれども、少し、しかしあるのかないのかわからぬようなんですね。それは皆さんがあるのかないのかわからぬようにしてくれと言ったのかもしらぬと思っているのだけれども、これは国民の知る権利を抑えることになると私は思って、そうなると重大な問題だと思うのですね。どういうことか知らぬけれども、あの夕刊なるものの記事は全くないのかあるのかわからぬ。普通の人は気がつかない記事ですね。この文書がまず公文書なのかどうかということを私は調べてみたら、おたくの決裁にこんなものを便っているのです。豊田一佐の言うのは、あんなゴム判だから持っていって押すことは簡単だなんてこのテープによると言っているのだけれども、そんなもので決裁判こなんかを簡単にほかほか押せるようなシステムじゃこれまた困ると私は思うけれども、第三者には疑いのないところの文書です。それは、ベテランの金融機関職員がわからぬのだから。御念が入っているのだから。しかも舞台補給統制処の中なんだから。しかも、ほかの諸君もいるのだから。そういう文書を一体どうお考えですか。
  28. 竹岡勝美

    竹岡説明員 航空自衛隊警務隊の方でも、これは公文書偽造の疑いがあるということで事件を調べました。そして公文書偽造で立件しょうとしましたのですが、何分これは非常に悪質な迷惑をかけた事件でございますし、部外に及ぼす影響も多い。あるいは若干まだ余罪があるかもしれぬということで、検察庁、警視庁と相談いたしまして、警視庁の捜査二課の方にこの事件を引き継ぐということで、警視庁の捜査二課の方は公文書偽造で立てるかどうか若干まだ疑義があると言っておりますけれども、と同時にあわせて被害者の方から訴えがあるならば、あるいはこれは詐欺事件ということになるかもしらぬということで、警視庁の方にいま事件引き継ぎをしております。もちろん、あるいはもう先生御承知のとおり、私の方で懲戒免職処分しました以降、あのときにNETにのせてもらったのも、ほかにやはり被害者がおるかもしれぬ、そういうことで知らせる必要があるということで知らせたのですが、やはり四件ほど補給統制処の方で、実は自分もこういうのがあるがどうだということで来ておるようでございます。そういう捜査もまだやらなければいけませんので、航空自衛隊の方の警務隊も捜査二課と協力をして十分に調べてみたいと思います。  と同時に、私はあるいはそういうことはないと思いますけれども、幹部の方がやはりゴム印の保管とかあるいはこの書類について十分注意しなくては——それは部下を信用するのはあたりまえだと私も思います。私もそう思いますけれども、それについてこれだけの迷惑をかけたのですから、部内の方の監督責任等も当然考えなければいかぬのじゃないか。もう少し事件の全貌が明らかになってやるべきだ、こう思います。  いずれにしましても、これだけの迷惑をかけ、しかも私の方の職員、確かに中村が悪いのですけれども、これで一生破滅でございますけれども、こういうことをさせた監督責任につきましては、非常にわれわれも責任を感じておるわけでございます。御迷惑をかけたことをおわびしたいと思います。
  29. 大出俊

    大出委員 この事件は、ある警察署等の話を仄聞いたしますと、大変大きな山であると言うのですね。これは物の見方なんでしょう。簡単なことじゃないという見方なんですね。つまり、補給統制処内部——中村君は堂々と皆さんのいるところどこでも平気でこれについて物を言っているのですね。竹内、おまえ、金はどこはどうなったということを言うのですね。みんな聞いておられるのですよ。それで黙っておられるのですね。そういうのがテープに全部入っているのですよ。そうすると、この後ろをおとりになった方というのは、なかなか用意周到な方ですね。豊田一佐は、おたくといま明確に違うのですが、あくまでも公文書でないと言い張っているのですよ。そんなこと言ったって、報道機関は、小さい記事ではあっても釜書偽造と全部書いているではないか。電話やりとりで詰めているのです。これは全部テープに入っている。ところが、公文書偽造じゃないとしきりに言う。公文書偽造じゃ、ない、文書偽造としか言った覚えがない、こう言う。いま議事録に残っているからいいですけれどもね。公文書偽造ではない、文書偽造であると言い張る豊田一佐ですから、最初のときの相談にもあずかり、警務隊調査も見ておられる。人事権を持っているのですからね、総務課長というのは、豊田さんは。私は、その方がそういういいかげんなことを言われちゃ困るのです。これは豊田さんが判断する筋合いのものじゃないのだから。そうでしょう。それが断じて公文書偽造じゃない、文書偽造だ。しかも被害者である人間を、その被害者の企業はどういう企業であるかということは別問題だ、こういう問題については。被害者であることは間違いないのだから。そうでしょう。早い話が、それをあなた方みたいなベテランが、海千山千が、そういう口調ですよ。引っかかる方が悪いと言うのだから、豊田さんという人は。私はこのテープを聞いて憤慨した。引っかかる方が悪いと言ったって、警備は補給統制処の中でしょうが、職員でしょうが、世話してその人をそこへ入れた人だって偉い人でしょう。国民自衛隊なら、口が腐ったってそんなこと言えた義理じゃないのですよ。そうでしょう。まことにもってけしからぬと私は思っている、この豊田さんの言いっぷりというのは。  そうしたら、被害者の方は言っているのです。それじゃ私のところだけですか、何件あるのですかと聞いている。警務隊調査によると、これは昭和信用しかないと言う。だから杉一曹さんの方の調査は、昭和信用だけだ。いいですか。この原田、サケの件ですよ、サケ十トン。それから渋谷金融業者である寺村さん、この人しか警務隊は知らない。それで処分をしちゃった後から四、五件出てきていると言っている。そうでしょう。だから杉一曹の言い分によれば、竹内君、君ここでつかまらないで、ここで協力して中村君を助けておけ、おまえが中村君をそそのかしてやらしたのだということにしておけ、そして早く昭和信用に金を払え、払えばこれは事件にならないと、こう言っている。警務隊ですよ。そんなばかなことはないでしょう。そういう後の事件が起こって、最初の二件で口頭注意をした。いまお話があったように、このときにきちっとしておけばこんなにべらぼうな被害は出やしないのだ。こんなことは片づいている。ぼくがこんなことをしゃべらなくたって済むのだ。そうでしょう。そんなことをするから、最後は一億一千万も金を借りるようになっちゃう。だから、今回の件だって、警務隊のその姿勢というものは、私はいままで警務隊というのはそういうことばかり内部に何かあったときにやってきたのだろうという気がする。かばう気持ちはわかるよ。ぼくだってそんなことはわかりますよ。わかりますけれども、事の性格上明らかにすべきものはせなければならぬ重いうことになると思うのです。その上でかばうやり方は幾らでもあると思う。  そこで、あなた方の方は、その警務隊が調べて処分に持ち込む段階では、後ある件というのは知らないでおやりになっている。後から文句を言っているのだが、全部あなた方はまだ知ってはいない。そこで申し上げておきたいのだけれども、まず処理ができていないところから申し上げます。だから金が入ってない、穴になっている、そこから申し上げます。  三月の二十三日、昭和信用千七百五十二万円、返済期日は五月二十日付。二十日に返済となっています。それから三月末日に五代通商、この代表者は寺村さんです。このときにはこの寺村さんの店のビルの上の方で金融機関なんかやっているいろいろな人がありまして、中に入っている人は、栗原、金井、吉田、中村さん。これは中村という人は勤務時間中なんですよ。勤務時間中にこの渋谷寺村さんのところにも同道して行っているのです。同道して行って信用させて、そのときにコピーを持っていったのだ。コピーを持っていったら、この寺村さんが、コピーじゃだめだから、本証を持ってこいと言ったのだ。そうしたら、わざわざ中村さんは一遍補給処に引き返して本証を、つまり公文書偽造の本証だが、それを持っていって、それをまた見せて金を借りてきた。しかも金そのものも問題になっているのです。いろいろ問題があるのですよ。これは後から言います。  ここで、いま五代通商まで言いましたが、これは全くほかの諸君も共謀して五代通商の寺村さんをだましている。金井さん、吉田さん、栗原さんという方々はいずれも金を借りられていて、自分が被害者なんです。被害者が三人も集まって、中村さんと一緒に、四人ですよ。栗原、金井、吉田、中村、そして五代通商を、寺村さんとういう人をだまして五千八百万金を取ったのです。このときの物件冷凍イカ二万ケース。ところがこのときには、いいですか、この栗原、金井、吉田、こういう人はみんな債権があるのですから、この左千八百万、これは金利天引きされて金をもらったのだが、それがみんなの債権分を分配したものだから、金が中村竹内両君のところには二百万しか残らない。この二百万を百万ずつ分けた。中村さんが百万、竹内が百万、こうです。中村さんという人は、あなた方の調査では、こういう文書をつくってやった、つくらされた、手数料として三万円とかそんな金しか受け取ってないと言っているはずでしょう。全部これに載っていますよ。そうじゃないのですよ。この二百万の残金は中村さんと竹内と折半しているのです。ほかにも金の分け取りが幾つもありますよ。これが三月末の五千八百万の五代通商の件です。  その次に丸幸、これは千四百五十万、返済期日五月二十日です。それから四月一日、五代通商、いまの寺村さんです。ここでまた重ねて三千四百八十万円、これは関西です、五代通商というのは。大阪です。これも冷凍イカです。返済は六月二十日になっています。まだ期日が来ません。それから四月の中旬に丸幸からもう一件二千六百五十万円、これも返済が六月二十日です。まだ日にちが来ません。それから四月二十日奥村、これもいろいろありますが、言っていると時間がなくなりますから言いませんが、奥村さんから五千万円、これは返済期日は七月二十日です。まだ来ません。それから正井、ここから五月の十日に六千万円、これも返済は七月二十日だから、まだ問題になってない。それからもう一つその次に奥村、これが一億一千百万円、返済期日八月二十日。だがこれは現金は五千万円しかとりあえず受け取っていません。これだけあるのです。だから、これだけで三億七千万くらいです。これは全部未処理です。こういうふざけたことになっておって、この舞台になったところというのは、どういうことか知らぬけれども、勘ぐれば、相当なことにこの周辺環境が整備されていなければこんなことはできない、私はそういう感じがします。  そこで、念のために聞きますが、皆さんの方は中村さんに行った金というのをどういうふうにお考えなんですか。
  30. 竹岡勝美

    竹岡説明員 私の方で調べました、竹内並びに中村本人から調べた両方の供述では、竹内から、ことしの一月から三月、四月にかけて三回にわたって三万円ずつ謝礼したということを言っておる程度でございます。いまお話しになられました五代通商の件等はまだ十分つかんでおりません。
  31. 大出俊

    大出委員 あなた方ほとんど何もわかっていない。三月二十三日の渋谷寺村さんからのイカ、お茶、かん詰めタラコなどが物件になっている七百万円も、七百万円をどうしたかといったら、いきなり七百万もらってきて、中村さんが二百万、竹内が五百万即座に分けているのですよ。何が三万ずつ三回、冗談じゃないです。あなた方の調査能力なるものもずいぶん私はいいかげんなものだと思う。大臣、これはウサギの耳じゃありませんけれども、本筋の話を質問しているのじゃないからだけれども、この件ちょっとおかしくないですか。この辺で一遍大臣の御見解を聞きたい。どうお考えになりますか。そして、被害者の救済という問題をなぜもっと真剣にお考えいただけぬかというのが私は不可解なのですが、いかがでございますか。
  32. 坂田道太

    坂田国務大臣 事件の概要はわかりましたけれども、まだ詳細については承知をいたしておりません。  しかし、いままでのわれわれの調査しました結果からいたしましても、三月の段階でなぜ徹底的に調べなかったのかということです。それから、いま警務隊の調べ方、これは私は聞いておりませんが、しかしそれを前提とすれば、それはちょっとおかしいなというふうに思うのでございます。やはりこういう国民に御迷惑をかけるような、あるいはこれが偽造であっても、とにかくそれを信用させているわけですから、その辺のところはもう少しはっきりさせなければいけないと思います。  この際、二度と再びこういうことが起こらないように徹底的に私ども調べ上げたいというふうに思いますし、それから同時に、やはり悪いことをやった者は悪いのでありまして、そういう者がおることはいけません。でございますから、何を申しましても本当に事実の究明ということをしっかりやらないといけない、こういうことが出ました以上、徹底的に真相を明らかにいたしまして、黒白を明らかにいたしたいというふうに思っております。  また、わが自衛隊に対して、いろいろ物品納入代金の支払い等が行われておるわけでございますから、そのやり方等につきましても、こういうことが簡単にやられるということがないような方法はないものかということにつきましても、補給処全体につきましてひとつ考えさせていただきたいというふうに思っております。
  33. 大出俊

    大出委員 特に被害者——国か片方に舞台になっておったわけですね。あるいは絡んでいたりというようなことがよくあるのです。この間、私は勤労者福祉協会というものの詐欺事件質問をいたしました。このときにも、労働省所管でございまして、労働省が認可した法人でございますけれども、しきりにお逃げになるのです。理事長は東竜太郎さんでございました。警視庁さんは告発に行った人間を二回にわたって受けつけないで帰していた。私、調べてみて詐欺事件明白なんです。二回にわたってこの席でいろいろ申し上げました。御検討いただきました。結果的に警視庁は詐欺として告発を受理して、そして専務理事以下を逮捕なさいました。そこで被害者、ここも三億くらいです。つまり、週休二日制になる。二日制が成功してもレジャー施設がない。労働省の認可団体としてレジャー施設をつくるというので、東竜太郎さん以下花村仁八郎さんだとか、あるいは最初は三菱の副社長の寺尾さんだとか、そうそうたるメンバーが皆人っておられた、こういう団体です。やはりこれは国がかかわり合いがあるのだから、したがって被害者救済を考えるべきである。いま労働省の方は、理事さんでやめたいと言って通告している人がありますけれども、当初からの理事さんなど全部集まっていただいて、どういうふうにしてこの三億近い金の救済をするかというので御検討いただいている。しゃくし定規に物を考えて、訴えられれば法廷維持のためにこういうふうに防げばいいという相談などを法務省とおやりになるだけでは、この種の問題は片づかぬと私は思うのです。信用にかかわりますからね。  だから、こういう被害というものを、皆さんの方に手落ちがあるんだから、最初に二件発覚したときにせめて場所でも変えておけばできないのだから、そうでしょう。そこにそのまま置いておく、口頭注意、それでおしまいにしてしまう。後で本人、中村君はうそぶいている、このテープによれば。そういうばかなことをした責任、これは明確にありますよ。だから、こういう被害者がたくさん後から出る。それを穴埋めしてないのが三億七千万にもなってしまう。そういう巨額な金、相手方々がどういう企業の関係の方であっても、ひとしく権利義務をお持ちになる国民なんだから、国民のための自衛隊ということになるわけだから、しかも補給調達だって全部国費で動いているんだから、ならばこれを一体どう救済するかということを真剣に考えてみる必要がある。実は私は何遍でも質問しようと思っている。だからさっきから申し上げているように、告発状を出したら、私は機会をとらえてもう一遍どこかの場面で実は質問したいのです。  そこで、警察は大変に精力的に内偵をしておられる、告発状は出てないが。竹内という人が行方不明、その関連も全部調べている、麻布から千葉県の成田というところまで。だからわかっているはずだ。したがいまして、警務隊の足らざるところ、まるっきり足りないんだけれども、やはり被害者救済という点を真剣にお考えいただきたいのと、単に訴えられたら法廷維持をする、そういう姿勢がぼくは間違いだと思うのです。だから、そこをどういうふうにお考えになるかということを大臣に次までの課題として、ぜひもう一遍お考えを聞いておきたい。  それからもう一つは、防衛白書質問をしようと思って実はいろいろ一生懸命読んでみたりもしたのですけれども、何か知らぬがこの話が後から出てまいりまして、白書に私自身が正面から取り組む気がしなくなった。何だばかばかしいという気になったりしましてね。だからそれはいけないですね。したがって、いまのような形になってしまっているということは、立場は違っても抜本的な自衛隊の存立の基本にかかわります。だから、そこのところをどうするかというお考えがなければならぬと私は思う。だからあえて取り上げたというわけです。  したがって、その二点をもう少し整理して御答弁をいただきたいわけであります。
  34. 坂田道太

    坂田国務大臣 この点は、まだいまここでどうということを明確に申し上げることを私は差し控えたいと存じます。しかしながら、先生の御指摘の点は十分ひとつ考慮に入れて考えていきたいというふうに思います。
  35. 大出俊

    大出委員 時間の関係もございますから、実はとにかく大変に長いテープでございますから聞き切っておりません。私が聞いた限りで、いま幾つも例に挙げたような中身でございます。  忘れましたが、ここにいま取り上げた、名前まで挙げた、返済期日まで挙げた件のほかに、三件ないし五件と申し上げていいと思うのでありますが、このテープの中で、中村さん自身、竹内を使わずに直接手がけている一件何千万という金額の案件の刑事事件がございます。これはまだ私が電車の中でレシーバーで聞きながら来た途中に出てきているので整理してありません。  したがいまして、いま取り上げたものだけではございません。だから、それだけの金がふところに入っていて繰り回しているのですけれども、その金は一体どうなったのかという問題も実はあるわけですよ。ですから、そこらが警察側が大山だと言う理由もあるのだろうという気が私はするのでありまして、念のためにつけ加えさしていただきます。そして、ぜひひとつ次の機会までに、対国民という視野で納得のいく形の長官の御検討、御配慮がいただきたいものだという点をつけ加えさしていただきまして、この件に関しましてはきょうのところはこれだけにさしていただきたい、こう思っているわけであります。  それから次に、ついでと言っちゃ大変恐縮なんですけれども、二回目の防衛白書が出まして、これを一体どういうふうに位置づけるかという議論が各方面で必要な時期なんでございますけれども、実はここで幾つか従前の問題に絡む問題がございますから、簡単に承ってまいりたいのであります。  そこで、キャンプ渕野辺というのがございまして、これが、さんざん私も内閣委員会で長年質問してまいりまして、やっと返還になった。たまたま、国有財産三分割案という考えが出てまいりまして、これが十七日に小委員会を開く、二十一日に委員会をやってというようなことになってきたようでありますが、前回この委員会で、ここで質問を続けてまいりまして、戦車闘争なる時期に、二階堂官房長官が当該相模原の河津市長さんに、戦車騒ぎのときでございましたからかもしれませんが、跡地は無償であなたの方の市にお貸しする、二階堂さんがそうおっしゃった時期がありました。非常に市長も歓迎して、キャンプ渕野辺の跡地を森の中のスポーツ公園であるとかそういう計画を御賛成いただいた時期がございました。  これは前回、私がここで質問いたしましたら、そういうことがあったことは承知している、ただ内部的にだからどうせいという連絡はもらっていなかったということでございました。それは皆さんの側のことだからいいのでありますけれども、地元としては、六十六万平メートルですから約二十万坪になりますか、これを皆さんの方は、だから三分割案、こう言うのでありますけれども、実は私は長年にわたって地域の皆さんが苦労して返還を求めて、市民運動まで起こしてやってきた、やっと住民あるいは労働組合、商工団体などという方々の努力の結果返還をされることになったら、三分の一は国が白紙でいただきますという形では、私はちょっとおさまりがつかぬと思う。  そこで、国会筋は河野参議院議長初めかかわりのある方々、超党派でどうしてもこれは地元に返してもらいたい、一貫してそういう方針で挙げて進んでいるわけでありますが、一体三分割案なるものはいつごろ、どういうふうに国有財産審議会等の中で決着がつくのか。さらに、これはどうしてもこの時期に決着をつけて結論を出さなければならぬのか。相模原問題等ございますから、もっと地元といろいろと相談をして、地元が納得するようなところに持ち込むという御努力がいただけないのかという問題等がございますから、現状をひとつ、どういうふうに進み、かつどうお考えかを承りたいのであります。大蔵省の方にひとつ。
  36. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 この委員会で昨年末でありましたか、大出先生の御質問に対してお答えしているわけでありますが、われわれ三分割方式と称されています方式をいろいろ提案しておりますのは、御承知のようにここ数年、関東周辺におきまして多くの大規模な基地が返還されてきております。それで、返還されて相当年月もたっているものもあります。これらに対しまして、何分首都圏における非常な貴重な土地でありますから、地元の地方団体はもとより、それから国、政府関係機関と、それから一方においていろいろ、これだけ貴重な最後の土地であるので、この際利用をし尽くさない、将来の利用のために残しておくべきだというようないろいろな意見があるわけであります。そういう意味で御承知のような三分割という方式を御審議願っておるわけです。  それで、現在のところの審議の経過といたしましては、当初二月六日に小委員会で、審議の便宜のために一応のわれわれのたたき台をお示ししていろいろ議論を進めてきているわけですが、一応の御了承を得、それから五月三十一日にさらに小委員会を開きまして、この際はいろいろ参考人等の意見も聞き、それを踏まえていろいろ御議論願ったわけですが、皆さん委員の先生方の御意見としましては、いま言いましたように多くの基地を処理していく方法として、現実的な方法としてはこういう方法しかないのじゃないかというような御理解をいただいているわけです。ですから、直接ただいまおっしゃいました渕野辺を目当てにして三分割ということを打ち出しているわけではございません。  そういうことでありまして、今後の予定としましては、いまおっしゃいましたように十七日に小委員会が開かれ、二十一日に審議会が開かれるという予定になっているわけであります。
  37. 大出俊

    大出委員 まあ、事務局はおたくでございましょうが、そのことが公式なものになって、こういう方向で行くんだということがはっきり表に出てくるというのはいまの想定でいくと何日ぐらいになるわけですか。
  38. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 ただいま申し上げましたように、小委員会としては大体この案につきまして御了承願いまして、さらに十七日に小委員会をやっていただくわけですが、その次に開かれます国有財産中央審議会の総会におきまして、われわれとしてはそこで答申を得たいと希望しておりますが、これは審議会のことでありますので……。
  39. 大出俊

    大出委員 まあ審議会のことには違いないのですけれども、私も長く内閣委員会におりますからいろいろな場面にぶつかるのでわからぬわけじゃないのですが、いずれにしても結論はお出しにならなければいかぬのかもしれませんけれども、地元神奈川というのは有名な基地県でございまして、全国の基地の相当部分が神奈川になおあるわけでございまして、先般この審議会に神奈川県知事の長洲何がしが御出席なさいましていろいろ地元の見解を述べる機会を与えていただいたりしたようであります。ここにそのとき述べた中身等持っております。しかし、これは何遍か私、この席で取り上げておる問題ですから、重複いたしますから重ねて申しませんが、焦点はいまのお話で、キャンプ渕野辺をということで三分割というのではない。国有財産の処理の基準をおつくりになるという意味でおやりになるということなんでしょうが、これだけ長い間かかっている問題でございますから、この答申というものは答申というものとして、将来それをどういうふうに扱うかという問題があるわけでありますが、それはそれとして、現実的に渕野辺の問題が接収解除の運動から始まっていまにつながっているわけですから、この現実をとらえていただいて——三分割云々というのがあるからというので、いままでの御答弁はすべて三分割ということでの答弁なんですけれども、そうではなしに、これ全体をどういうふうに処理するかという地元の要望は御存じのとおりでありますから、そういうことでこれはもっと詰めていく必要があるように私は思うのです。  そういう意味で、いまの答申をできる限り、私に言わせればあわてずに時間をかけていただけぬかという気がまずするのですけれども、三つ承りますが、皆さんの方としては答申は二十一日ぐらいでどうしても決着をつけなければならぬということなのかどうか、もう少し先に延ばしてなお話し合うという気持ちがあるのかないのか、これが一つ。それから、この土地についてずいぶんだくさんの御意見をお聞きになっておられるはずでありますけれども、現状、皆さんの方はこれをどうお考えになっておられるかという点。それから中身について、前に私は運輸省のトラックターミナルというような問題がありましたから、質問通告をいたしましたら、質問の前日におりるという話がございましたので、この席で答えていただいて運輸省はおりた。そうすると、中身はあと公団というような問題もございますけれども、政府側から見て何と何と何がこの跡地をめぐって提起されている問題なのか、三点目に、公団だけならだけでもいいわけでありますが、お教えをいただきたいのであります。
  40. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 最初の急いで原則を打ち立てる必要はないのじゃないかという御質問でございますが、先ほど言いましたようにここ数年多くの基地が返還されてきまして、未利用のままになっているわけでございます。われわれとしては各方面のいろいろ強い要望があるわけですから、一日も早くこの有効活用を図っていきたいということからこの考えを提案しておるわけであります。われわれとしては一日も早く原則を打ち立てて処理を進めていきたいという考えでございます。  それから、いろいろ反対意見があることは承知しておりますし、非常に強い反対の運動等も展開されておりますが、一方われわれとしましては、事務的には朝霞とか東京都下の東大和というところと、いろいろ地元の関係者と話し合いを進めております。その話し合いを進めている過程では、そうぎしぎししたものではなくて、非常に現実的な話し合い、どういうふうに活用していったらいいかということが進んでおるわけであります。近く相模原の方、渕野辺についてもそういういろいろ話を聞こうじゃないかということであります。われわれは、そういう事務的な話を詰めていく中で、相互に理解し合える案というものができてくるんじゃないか、こう考えております。そういう状況であります。  それから、渕野辺の実際の利用計画につきまして、トラックターミナルの点につきましては、ただいまおっしゃいましたように当初運輸省は希望しておったわけでございますが、いろいろな問題がありましてこれを取り下げるというようなことになっております。現在のところ住宅公団その他いろいろな国の研修施設とか政府関係機関の研究施設とかそういうもので相当な面積について渕野辺が利用できたら使いたいという希望が出ております。
  41. 大出俊

    大出委員 ちょっと念のために承りたいのですが、この国の研修機関あるいは研究機関としてここを利用したいというのは、具体的に言いますとどこの省のどういうところでございましょう。
  42. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 われわれの手元にはいろいろ来ておりますが、この渕野辺を使いたいという場合、全体として朝霞が使えなかったら渕野辺とかいろいろそういう競合しておりますので、またここで渕野辺について希望が出ておるのは特にどうだと言いますと、いろいろ誤解も生ずるといけませんので、具体的なあれは差し控えたいと思いますが、研修とか研究施設、そういうものが出ておるわけでございます。
  43. 大出俊

    大出委員 これは吉岡さん、口に出されてそこから先あなたは言わないというのは、私も質問者の立場で困るわけでございまして、それは口に出されたんならずばりこの相模原でなくていいんで、こんなふうな機関が研修施設をつくりたいということなんだということをやはり言っていただかぬと、あなた、途中まで言ってやめられたんじゃこっちが困るじゃないですか。それは言ってくださいよ。おかしいじゃないですか。
  44. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 研修施設につきましては、いろいろ郵政省の研修施設とかそういうものもあります。それから政府関係機関の中では、国民生活センターなどの研究施設とかそういうようなものがいろいろ希望として出ておるわけであります。それは必ずしも絶対渕野辺じゃなくちゃならぬということではなくて、全体、首都圏の中でいろいろこういうところを希望するという形で出ておるわけであります。
  45. 大出俊

    大出委員 郵政省の研修施設、それから国民生活センターといいますとこれは厚生省ですか、どこの所管になりますかね。
  46. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 これは所管は経済企画庁であります。
  47. 大出俊

    大出委員 そうすると、いま全体的にこの国有地を考えて、首都圏ということで関係各省庁から出ているのは、郵政の研修所あるいは国民生活センター、この二つぐらいですか。まだございますか。
  48. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 それはごく代表的なものでありまして、そのほか非常にたくさんの機関から希望が出ておるわけであります。
  49. 大出俊

    大出委員 非常にたくさんというと、これまた大変なことになるのですけれども、非常にたくさんといっても省の数は決まっているわけです。だからそんなにたくさんあるはずはないのです。私は、ここの内閣委員会というのは行政機構を専門にやってきたわけですから、その方ば頭に入っておるのですけれども、非常にたくさんといっても省の数は決まっているのですから、各省一つくらいずつあるのですか、いかがですか。
  50. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 いまの御質問ですと、首都圏における跡地についての希望とおっしゃいましたから、非常にたくさんのあれが出ておるということを申し上げたわけであります。
  51. 大出俊

    大出委員 それでは別にキャンプ渕野辺というわけじゃないですけれども、話がつけば渕野辺でもいい、そういう意味なんだと思うのです。朝霞でもいいし、あるいは東大和でもいいしということなんだと思うのですけれども、そういうひっかかりで出てきておるというのは、たとえばほかには何がございますか、たくさんの中で。
  52. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 たとえば近代美術館系統でそう  いったもののフィルムセンター的なものとか、そういうようなものも渕野辺なども適地であるということでいろいろ希望として出ております。
  53. 大出俊

    大出委員 そうすると、大きなところというのは大体この三つくらいになりますか。まだ大きいところはたくさんありますか。いかがでございますか。そう隠しなさんな、いいじゃないですか。
  54. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 私がいろいろ差し控えていますのは、これから要するに地元と、こういう国の方なり政府関係機関施設についてもどういう施設が地元としては受け入れられるのかということを詰めていくことになっておりますので、確定的にいかにもこれが渕野辺を希望しておる、そうしますと先ほどのトラックターミナルのように、かえって何かいろいろ問題を起こすということを心配しておるわけです。そういう希望者の方に御迷惑をかけてもあれでございますから、そういうことで余りはっきり申し上げられないと申しておるわけであります。
  55. 大出俊

    大出委員 そうおっしゃるけれども、結果的に地元の考えからすれば、何やつたって何か入れてくると言えば迷惑になるわけですよ。だから、一つじゃないのだから、いまお話は、郵政省の研修所と国民生活センターと近代美術館のフィルムセンター、こう三つ出てきたのですから、ついでにもう三つ、四つ言ってくれませんか。本当に気になってちょっと質問やめられなくなっちゃいますから、ついでに言ってくださいよ。
  56. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 先ほど申し上げましたように、いわゆる首都圏の適地としていろいろ土地を希望するということでありまして、だから渕野辺を希望するのはこうですということではありませんので、いま細目的に各省ともその辺のさらに詰めをやっている段階でありますので、いろいろ細かいその他の点までについては……。いま代表的なもので御容赦願いたいと思います。
  57. 大出俊

    大出委員 では、代表的なものを三つ取り上げたんだが、あと各省との詰めもやっておるので、たくさんある、こういう理解でいいですか。
  58. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 相当の希望が出ております。
  59. 大出俊

    大出委員 そうすると、キャンプ渕野辺についても相当な希望が出ておるのなら、この朝霞、東大和だけでは追っつかないわけですから、そうすると、皆さんの方はキャンプ渕野辺も含めて考えざるを得ないわけですね。そういうことになりますか、ちょっと答えてください。
  60. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 われわれの方としては、キャンプ渕野辺の跡地につきましてもそういう国なり政府関係機関の要望に即して利用していきたいという考えを持っております。
  61. 大出俊

    大出委員 さっき相模原についても具体的な詰め、話し合いをしたい、こういうお話なんですが、その具体的な相模原との話というのは具体的に言うとどういうことになりますか。
  62. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 これは近く始まるわけでありますが、地元としては、どういう施設、どういう規模、それから国の施設として地元として受け入れられるのはこういうことだ、それからたとえば中に道路の計画も当然必要になってきます。そういうものがどういう形になるか。ですから、われわれと地元相模原市だけではなくて、建設省なり国土庁も入れたところで話し合いを進める段取りになります。
  63. 大出俊

    大出委員 この中身に、やれ学校だとかなんとかという話もあったりしまして、そういうふうに言う方もおいでになる。その話し合いを、予定としてはあしたあたりから具体的に詰めるというのじゃないですか。きのうあなたのところへ地元の県会の諸君らがお伺いしていろいろ話をしたというようなことを私聞いております。後でこんなことだったということは連絡してきていましたけれども、その辺の日程はどうなっているのですか。
  64. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 キャンプ渕野辺の跡地の利用計画についての地元との具体的な話し合いは、近く始まる予定であるということであります。
  65. 大出俊

    大出委員 近くというのは、あしたあたりからぼつぼつ始めるということですか、事務レベルで。
  66. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 明日から始める予定になっているようであります。
  67. 大出俊

    大出委員 そうすると、明日から始めるについては、国の方としては地元に対して、国の施設でばかくかくしかじかなものを考えているんだが、どれが受け入れやすいかということを言わなければいかぬわけでしょう。いまあなた耳打ちしていましたが、そこのところはどうなっているのですか。あなた直接答えてもいいですよ。
  68. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 受け入れやすいかといいますか、国なり政府関係機関の方の要望としてはこういうものがありますということについて具体的にいろいろ、それから地元の方の要望はこうですというようなものを相互に詰めていくということになるわけでございます。
  69. 大出俊

    大出委員 それでは、あした事務レベルで、まず国の方からはこういうものをというふうに持ち出す、その中身は何ですか。
  70. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 ただ、国側のあれとして最終的にこうですというのはまだ決めておりません。
  71. 大出俊

    大出委員 そうすると、あしたは国側はこうだと言わないのですか。
  72. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 明日は、はっきりこれこれと具体的なことを確定的に言うまでの段階には至らぬと思います。
  73. 大出俊

    大出委員 確定的に言わぬにしても、何か持ち出さなければ、何も国はございません、後からいつの日か言いますなんというのでは詰めにならぬでしょう。そこでもう少し相談してください。
  74. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 明日から地元との詰めが始まるわけでありますが、明日の段階で必ずしもそういう具体的なところまでの話には入らぬと考えております。
  75. 大出俊

    大出委員 国の方が言おうと思って持っていて、地元の出方なんかながめて、きょうは言おうか言うまいかということで、ぐあいが悪いから言わないとかなんとかということですか。でなければ、具体的に話すと言って話にならぬじゃないですか。地元の話だけ聞くなら、いままでさんざん聞いているじゃないですか。それはおかしいよ、そんなことはもう少しはっきり言いなさいよ、ここは委員会なんだから。
  76. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 いま言いましたように、明日初めて話し合いが始まるわけでありますが、明日でなくて、その後だんだんとその過程において具体的な話に入っていくということでありまして、明日は今後の話し合いの進め方、そういうことが主体になって話し合われるのだろうと思います。
  77. 大出俊

    大出委員 参考人じゃだめだな、証人でなくちゃ。ではあしたは言わないのですな。私がここで聞いて、あなたが言わないと言って、あした言ったなんといったらこれは事件だから。
  78. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 明日、具体的なあれとしては当方として提案する段取りにはまだなっておりません。
  79. 大出俊

    大出委員 地元の皆さんがきのうお伺いしていろいろやったりしてきまして、きょうとにかくこれを取り上げてくれという地元の気持ちもありまして私は承っているのですが、あしたの話なのに、きょうここで言わないと言ったからしようがないから言わないということになるのかもしれないけれども、そう何も奥歯に物をはさまないで、ざっくばらんに言ってもらいたい。だって一人や二人で議論するのじゃないのだから。それは各党全部、ほとんどの党が、自民党の皆さんも一緒になって、河野謙三さんなんか先頭に立っちゃっているんですからね。(「あれは無所属だ」と呼ぶ者あり)ありがとうございました。今度はまた自民党公認で参議院地方区にお出になるのじゃないかと思ったのだけれども、無所属だそうでございます。  とにかく大変なことなんです。したがいまして、私はここではっきり申し上げておきたいのですが、焦って三分割案の結論を求める必要はない。それをやると一々それで今度はぶつかる。話がスムーズにいかない。返還の運動を一生懸命やってきたのは、何も皆さんがやったのじゃないので、地元がそういう雰囲気をつくっていったのですから、せっかく苦労してここまで来たのにという気持ちは市民層の中にみんなある。だから、それを踏んづけてしまうようなことを三分割などということですべきではない。これが一つです。  それから、国有地だからとはいうけれども、昔、農民の土地を、悪い言葉で言えば当時の軍閥ですか、当時の陸海軍が取り上げたわけです。だから、元に返せということになれば当然地元に返すのはあたりまえですね。歴史があるのですから。それをたまたま米軍が途中、占領時代以後接収しているからということで、返ってきたらこれ幸い国の施設をと言ったって、地元はこれは納得しない。根本的に考え方が違うわけであります。そういう意味で一遍、官房長官等が地元でお使いいただくようにしますというようなことをはっきり言った時期もあるのですから、ますますもって地元の感情はそうなんで、そういうのは大事にしてもらわなければ困るという気がする。国有地には違いない、国民の財産には違いないけれども、ちぎってこの土地を全国にばらまくわけにいかぬのだから、ある場所は決まっているんだから、そういう意味で地元の意見というものは尊重すべきであるという気がするわけでありまして、そういう前提で地元と話をしなければ話が進まないだろう、こう思うのです。最後にもう一遍だけ承っておきたいのであります。
  80. 吉岡孝行

    ○吉岡説明員 その処理の原則につきましては、先ほど申し上げましたように、多くの基地が返還されていくことになって、いろいろと各方面から早く利用したいという希望が非常に強いわけであります。そういう意味でわれわれとしても一日も早くこの有効活用を図ってまいりたいという見地から、そのためには多くの基地の利用計画を立てていくわけでありますが、ここに何らかの基準がないとうまく調整が進まないということで、そのための原則を早く打ち立ててまいりたい、こう考えているわけであります。それに即しまして、各基地や土地の現実的な実際の利用計画をつくる上においては、地元の公共団体、もちろん先ほど言いましたように建設省なり国土庁も一含めたところで関係者の間で十分話を詰めてやっていきたい、こう考えております。
  81. 大出俊

    大出委員 すれ違いますが、いま同僚の中路委員からもちょっと声がありましたように、地元は超党派的な立場で、さっき私が申し上げました原則で、農民の土地ではないか、だから接収解除になれば返すのはあたりまえじゃないか、しかも歴史的にこの基地のために住民は大変な被害をこうむってきているじゃないか、しかも時の政府の責任者が地元に返すという公の発言もした経過があるじゃないか、こういう基本線でございまして、それを外した話し合いというのは、これは進まない。したがって、三分割というのをあわてて決めるということには反対である、こういうことでございますから、私の方から言いっ放しまして、この件を終わらせていただきたい、こういうふうに思います。忙しいところどうも恐縮でした。  次に、これまた戦後処理なんでありますが、防衛白書云々の前に取り上げておく必要がある問題だと思います。実は、これは過日新聞にも出ましたが、戦争中にトロトラストというエックス線の造影剤を体内に注射をした。これは戦時中におおむね三万人に注射をしているであろうというのが、学会の森先生等を中心にしていろいろ調べた方々のデータなんですね。これは肝臓、脾臓等に蓄積をして、言語障害から始まって身体障害を除々に強めていく。死亡した人も相当いるはずであります。  これはドイツの薬品でございまして、ドイツのハイデン社という会社がつくった薬品なのでありますが、今日なお五千人ぐらい、この注射をされて——造影剤ですからエックス線で写してみれば弾がどこに入っているとかいうのがわかる。腕を切るべきものを切らぬで済むというようなことがあって、当時の軍が採用してやってきたのだと思います。ドイツからこの薬品が売り出されている量等から見まして、国際的には日本が一番多く使ってきたんだという指摘も実はございます。新聞にもございますけれども、現在なお直接的にそのために体が不自由で入院を繰り返している人もたくさんおる。ここにも写真も載っておりますし、物を言っている人もおいでになります。  そこで、実は私の近くにおいでになる方で三回戦傷を負った方がおいでになります。横浜市南区睦町一丁目六番十五号というところで有限会社仁科木工所というのをやっておられる、木工ひき物所というのですね、仁科又吉さんという方であります。この人が、第一回は左前膊、腕ですね、左前膊手りゅう弾破片創、左側胸部手りゅう弾破片創、これが第一回であります。  この人は、昭和十二年に北支派遣のため神戸港を出発、こういうことで、山東省太沽、ここに上陸をして、以来北支にずっとおいでになって、この間ずいぶんたくさんの戦闘に参加をされて、前後三回重傷を負って、除隊になりましてからさらに再度召集されて、二回目は立川の憲兵分隊等におったりした人であります。  たくさんの戦友もあるわけでありますが、第一回のとき入っておりました病院は、これはちゃんとした病院でありまして、済南の陸軍病院であります。ここに病床日誌というのがございまして、師団長が回ってくるとそこに負傷して入院している患者さんが前に病床日誌というのを置くわけであります。それを当時読んだ。そうしたら既往障害なし、微粒子があって、しかし本人は微粒子による苦痛を訴えていないというふうな書き方がしてあるということもございまして、私はこの人と長いつき合いですけれども、昔からですが、いまだに言語障害がありまして、気をつけながら口をきくという、だんだんこの言語障害がひどくなってきて、今日に至っているわけであります。  この最初の負傷のときに、当時の内地との連絡で、せがれが腕を負傷して腕がなくなったという話が親に伝わりまして、親が手紙を出した。それを受け取りまして、北支派遣軍の第一八四一部隊第三外科病棟ということで、左手なんですけれども、左手がなくなっていないという写真を、左手が見えるようにわざわざ撮って二親に送った。これは当時の写真で、二親は死んでおりますけれども、二親が持っていた古風な写真であります。裏に文章が書いてありまして、内地に桜が咲くころ前線へ参りますという、ここで、手がなくなったという心配をかけたけれども大丈夫だ、全快した、近き日に前線へ帰る、だから今回のような心配をしないでくれという書き方が裏にしてあるわけであります。ほろっとするところがあるわけでありますが、ここに帰ってきてからの写真がありますけれども、先ほどの手りゅう弾創、跡が引きつれて明確にこうございます。前陣をこう見ますと、ここにえぐられた跡がきちっと残っている人でありまして、それが第一回であります。二回目が右下腿軟部貫通というので、右の骨でないところを貫通銃創を受けているわけですけれども、三回目が左側胸部、それから右の足のひざ、さら、ここを負傷して三回目入院しているのでありますが、いずれも治って帰ってきて再召集を食っているわけであります。  この人が出てこられまして、この新聞を見て、自分は気がつかなかったというわけであります。しかし、この人も何遍も入院をしたりしておりますから、そのときにレントゲンを撮ってわからぬことはなかろうと思っていろいろ聞いてもみたのでありますが、その意識はなかったようであります。しかし、一遍これば調べてみなければならぬ対象になる人だというふうに思いますけれども、そうでなければ幸せでありますが、腕を切断するのを切断しないで済んだということでありますから、しかも場所は済南のりっぱな陸軍病院でありますから、このトロトラスト等はあったはずでありますから、そういう心配もいたします。  ただ、ここで私が取り上げたいのは、いままでなぜこれを明るみに出さずにひたすら押さえてきたのかということなんでありまして、いま防衛白書が再度提出をされているような時期なんですけれども、まさに戦前が終わっていないわけでありまして、今日も五千人ぐらいの対象者がいるはずだ、国が一億ばかりの金を出してこの委託調査、研究等をなさったようでありますが、二百何十人しか対象者が見つかっていない、こういうことであります。確かに傷痍軍人会等の精神的ショックを受けやせぬかという心配がわからぬわけではないけれども、しかし、そういうことを全く知らずに死んでいった方々があり、その遺族があるとすれば、これは恩給法あるいは遺族援護法、戦傷病者特別援護法等々の対象になることにはなっていますけれども、国の責任がどこかに消えてしまっている感じがするわけでありまして、この点を一体どう考えたらいいであろう。防衛白書云々という時期でありますから、つまり前の戦争の後遺症いまだにいえずという段階でございまして、こういうことを積極的に処理することが、実は私は国民的コンセンサスをとおっしゃる、いい悪いは別として、方向に向けていくことにつながっていくというふうに思って、遺骨収集等にも、旧日本軍人で他国にまだ残っていて情報のある方々等についてもやかましく、実は私もその一人ですから、戦友をたくさん亡くしておりますので、いままで言ってきたわけでありますが、たまたま外地に行かずに予備士官学校の教官を終戦までやっていたような私どもにすると、よけい痛切に感ずるわけであります。  ひとつこの件について、大臣、所管が違うのですけれども、きょうは厚生省等の関係の方をお呼びいたしておりますけれども、こういう問題はそれなりの国の責任を明らかにして、五千人ぐらいという患者が推定されているのに二百二、三十人の人しか今日追跡調査ができていないという。これはやはり御発言をいただいて、もう少し積極的に、これだけ大きな新聞記事にもなったのですから、傷痍軍人会がどういう心配をなさったにしても、これだけ大きければほとんどの人が見ているわけですから、こんな大きいのですから、これは五十一年四月二十六日の毎日新聞でございますが、別な紙面に、具体的な、身体きかず奥さんがやっているお仕事の手伝いをしておる御主人などというのがたくさん載っているわけです。これはひとつその辺の、今日防衛を担当なさる大臣でございますから、一言感じをお答えおきをいただきたいのであります。
  82. 坂田道太

    坂田国務大臣 所管の問題は別といたしまして、私といたしましては、やはり戦争のときに亡くなられたり、あるいは戦傷を負われたり、そういうような方々が多数おられるわけでございまして、国といたしまして、それぞれの機関で措置はいたしておるといたしましても、そういうことをきちんとするということが、やはりこれから日本の防衛を考えていく上において非常に大切なことだということにつきましては、先生と私、全く同感でございます。  そういう意味合いにおきまして、私どももそういう戦争の後遺症がいろいろの面にあろうかと思います。それはやはりなくしていくという最大の努力を払うことが、新しい防衛政策としても大事なことだというふうに考えておる次第でございます。
  83. 大出俊

    大出委員 この恩給法にかかわる方々の中に一番多くあるのではないかと実は私は思っておる。そういう意味で表に出さず、つまり審査会——認定基準というのははっきりしませんけれども、審査委員などの方々の扱いとして、それが直接的にトロトラスト現象であると言うことができれば、明らかになれば、それは対象として考慮するということなんでありますけれども、しかし、いま恩給をもらっている方々、遺族援護法に基づく障害年金をもらっている方もいろいろあるわけでありますけれども、どのくらいこのトロトラストの障害が発見され、人員把握ができているのかということ、これがまずはっきりしない。恩給関係、遺族援護法関係、戦傷病者特別援護法関係、それぞれどうなっているのかをまず承りたい。
  84. 菅野弘夫

    ○菅野説明員 恩給関係についてお答えをいたしますが、この問題が起こりましたといいますか、話題となって出てまいりましたのは昭和三十年代の後半でございまして、その以後の件数でございますが、恩給局の場合には非常に膨大な件数がございまして、古いのは倉庫の方に入ってしまいますので正確な数はわかりませんけれども、大体私たちがつかんでおりますのは、傷病関係で十件内外、それから公務扶助料の関係で三十件内外というふうに思っております。
  85. 山高章夫

    ○山高説明員 戦傷病者戦没者遺族等援護法の関係でございますが、私どもの方は、実は疾病の態様によって把握しておりませんので、大変残念でございますけれども、数字についてはただいまつかんでおりません。
  86. 大出俊

    大出委員 わからないということですね。わからないのは、戦傷病者特別援護法にかかわる件数がわからない。それから遺族援護法にかかわる問題はどういうことになりますか。
  87. 山高章夫

    ○山高説明員 法律は一本でございまして、そのうち戦傷病者と遺族と二つに中が分かれております。いずれにつきましても、大変残念でございますが、ただいまのところは、先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。
  88. 大出俊

    大出委員 つまり、初めて委託研究費を組んで研究をするようになったようであります、これを見ますと。そこで大変苦労して追跡をされてきて、いま対象になっています方が二百幾らでございますか。これを見ますと、五十年度の厚生省が出した医療研究助成金は百万円なんですね。これでは、これはわかるはずがない。法律は一応整って見える。しかし、これはあくまで原因が立証された場合に限る。因果関係がはっきりしないで、泣き寝入りの患者が大変多いと書いてある。自覚症状があらわれ出してから患者と認定されるまでに早くても二年以上かかる。その間の本人、家族の肉体的、経済的苦しみは大変大きい。そこで、見かねて学界の有志が厚生省、恩給局、両方に対して認定持ち込みに非常に苦労をしておられる、こう書いてあるのですね。これではどうも、さっきここにおいでになる唯一の大臣でおられる坂田さんが言っておりましたが、やはり戦争の後遺症でございまして、私はこれでいいはずはないという気がする。  そこで、これを見ますと、全国の国立病院の倉庫から当時のカルテを探し出したというのですね。終戦から二十九年目、高橋副学長や神奈川県立衛生短大の森武三郎教授、それから医学放射線学会の有志、各大学、病院の協力を得て追跡調査を始めたというわけですね。そして全国の国立病院——これは旧陸海軍病院ですね。たとえば千葉の国立病院だって、国府台のやつは昔の軍の病院ですからね。そういうところで焼けないところなんでしょうね。これを探し出して一生懸命調べてみた。そうしたら五百二十五人のトロトラスト注入患者を発見した。そのうち三百四十人はすでに死んでいた、また行方不明になっている。したがって、百八十五人だけが残っている。これを長崎大学、国立久留米病院、愛知がんセンター、新潟大学、これで共同で検診と診療をやったというのですね。  死亡者が放射線を浴び続けた期間は平均二十九年間だというのですね。だから二十九年間体内に、肝臓、脾臓などに蓄積して、二十九年間放射線を浴び続けてきている。国立病院の全国の倉庫を調べてカルテを探して、大変な努力だったと思うのです、森武三郎教授等の御努力は。これまた国立病院関係が相当協力しておられるのだと思うのですね。五百二十五人のトロトラスト注入患者のカルテを発見した。しかし、三百四十人が死亡または行方不明、残り百八十五人しかない。長崎大、国立久留米病院、愛知がんセンター、新潟大学、ずいぶん苦労されて追跡してこられたようであります。  死因を調べて、解剖所見その他ここにありますけれども、死因は肝臓疾患が大半だというのですね。そのほかに内臓、血液の疾患による死亡もあった。同世代の一般人と比べ特に肝臓の中の血管内の皮腫、この発病が普通の人の五百倍。肝硬変も十四・四倍。明らかにトロトラストの悪影響が証明をされた。一般の人と比べて生存率が非常に低い。ここ二年間は、わずか二百人ばかり見つけたわけでありますが、気がつかなかった方がほとんどのようであります。何でこんなに体が悪いんだろう、老化が早いという。ところが、ここまで来て、終戦から二十九年という時点ですね、このデータは。ここの二年間は、年々五%近い割合でこの方々が死んでいっているのです。  これは私は、国の責任がきわめて大きいという気がするのです。この百八十何名の方を調べてみて、本人がトロトラストを打たれていることを知らない方が大半なんですね。これは大変なことだと私は実は思うのです。ここらのところを知らないで言語障害、口がきけない、手足が不自由である、だから年じゅう病院を出たり入ったりです。気分のいいときは、そういう人は必ず奥さんが何か働いておられるので、手伝いをするというようなことしかできない。何でこうなんだと言う。だから、原因がわかった方はまだ幸せなんですよ。それを、ショックが強くなるというふうなことでひた隠しに隠す、そういう国の姿勢というのは私は間違いだと思うのですけれども、いかがでございますか、関係省庁の方でお答えいただけませんか。
  89. 菅野弘夫

    ○菅野説明員 先生おっしゃるとおりだと思います。  恩給局としましては、出てきましたものを裁定をするという役所でございますので、おのずから限界があるわけでございますが、先ほどちょっと御説明いたしましたように、進達庁である厚生省、あるいは団体である傷痍軍人会その他、そういうところにはすでに十分お話をしてございまして、そういうところから上がってまいりますものについては、顧問医の判定を受け、それが明らかな者あるいはそういうことが十分推認される者につきましては、積極的に公務傷病あるいは公務扶助料という面で処置をしていくということでございまして、今後もそういうつもりでございます。
  90. 山本宜正

    山本説明員 先生のお話の中にございましたように、私ども本件に関しましての医療研究助成補助金といたしまして、四十九年及び五十年につきまして、高橋先生あるいは森先生に班長になっていただきまして、研究費を支出しております。五十一年につきましては、本年度これからこの補助金の支出につきまして部内検討をいたしたいと思います。先生の御指摘のように、私どもなるべくその研究の助成につきまして努力したいと思います。  また、私ども国立病院を所管しておりまして、先生御承知のように、医療法におきましては、カルテの保管は五年ということになっておりますが、一部の国立病院におきましては、大変古いカルテもかなりよく保存しているところがございまして、こういった先生方の研究に対しましては十分御協力してまいりたい、かように考えております。
  91. 大出俊

    大出委員 実は私の兄貴も千葉の国府台の国立病院の放射線の医長などしていた時代もありまして、弘前の国立病院の放射線の医長をやっていたこともございまして、これはみんな旧軍の病院でございます。ところが、おおむね普通のところにはないんですね。だから、カルテが残っていたところはきわめて希有なんですね。だから、放射線の学会等もありますから、私の兄もそういう立場ですけれども、それぞれの国立病院の方々に頼んでいろいろ調べてもらって、やっとこさっとこ出てきたのがこのトロトラストを注入したことがはっきりしているカルテですね。それが五百二十五人あったというのですね。つまりきわめて希有な、保管義務はないのだけれども、保管されていたカルテを克明に調べたわけですね。それで五百二十五人。そうするとなくなっちゃっているわけですから、確かに推定されるように、ドイツの会社が日本にトロトラストなる造影剤を売ったわけですから、その資料があるんですね、それによると、各国に売っているわけですけれども、日本が圧倒的に多いというわけですよ。三万人分に使われているはずだというわけですね。そこまではっきりしているのですね。三万人分使われていて、国立病院でいま出てきたのが五百二十五人。そのうちの三百四十人が死亡または行方不明ですね。それで百八十五人しか対象者としてきちっとわかっておる人はいない。そのうちのほとんどが知らないというわけですね。それはそうでしょう。  私も仁科さんというこの方に聞いてみた。二十年にもなるつき合いですが、大変な傷がありまして、ちょうどひじのところですからね。だから、腕がなくなっちゃったというので両親がかわいそうにということで手紙を出した。それがたまたま腕を切らずに済んだ。それが、先ほどちょっと出しましたが、この写真になっているのですね。ですから聞いてみると、それはそんなことわかるはずないじゃないの、大出さん、と言うわけですね。手りゅう弾で撃たれてけがして、胸なんか破片食っていて担架で運ばれて、後送されて病院に入って手当てを受けるわけだから、意識があったりなかったりという状態なんだから、造影剤を注射されたのやらされてないのやら患者にはわかるはずがないというわけですね。だから、この人もそのつもりで調べたわけじゃないですからまだわかりませんけれども、しかし本人は、この新聞を見ると、余りにもよく自分の症状に似ているというわけですね。確かに私もこの人の言語障害をよく知っているわけですけれども、だからそれが原因だったとすれば、これは放任できない。それで御本人は、昔の戦友に手紙を出しているわけですよ、同じ病院にいたのが何人もいるわけだから。その手紙がここにございますけれども、一生懸命調べている。当時の軍隊手帳なんかまでいろいろ取り寄せるなどして手紙のやりとりをしている。それで本人が電話してみたというわけですね。そうしたら、金が欲しいのはあなたですかと言わぬばかりの応対が返ってきて、まことにいやな気分だったというわけですね。実は御本人は、私がここで申すのは恐縮ですけれども、別に生活に困る人じゃなくて、りっぱな工場をやっておられるわけだし、子供さんも成人されておられて隠居してもいい人なんです。だからもう自分は別に困っているわけじゃないんだが、死んだ人の遺族もいるだろうというわけです。国の責任も明らかにならぬで死んでしまった人の気持ちもあるというのです。だから、どうしても一遍取り上げてくれというのが御本人の御希望だったわけですよ。それで、それ以上方々電話をかける気がしないというわけなんですね。  だから私は、ひた隠しに隠すんじゃなくて、やはりこれは国が国立病院なり各都道府県なり自治体なりにきちっとして、この種の異状があったりして聞いてきたという場合には、本人たちは悪いわけじゃないのですから、私も一銭五厘で召集を食った出征兵士だけれども、これはやむを得ざる事情なんですから、やはりそれなりのことを国が見てあげるというようなシステムが欲しいのですね。  それで、いまのその百万円という委託補助金というのは、どうもちょっと私はここまで来るといかがなものかという気がするわけでございまして、これは大きな戦後処理でもあり後遺症でもございましょうから、そこらのところをもう少し前に進める方法はないのか。ひた隠しにせぬでも世の中に知らしていいのでないか。たまたまわかったらここへ入れる、法的にはこうなっているとおっしゃるけれども、まあ確かに法律は戦傷病者特別援護法という一本でしょう。ここに遺族援護がございます。これは念のために承ったら、恩給局長さんがここでおっしゃっているのは、十件だって言うんでしょう。公務扶助料で三十件だって言うんでしょう。それであとはおわかりにならぬというわけでしょう。そうすると、制度としてはあっても何もやっていないということになるのですよ、三万人も対象者があるんですから。そうでしょう。五千人ぐらい生きているはずだという学者の推定があるのですから、ほとんど何もやってあげていないということになる。これは私はどう考えても、お気の毒だったで済む筋合いのものでないという気がする。そこらは一体もうちょっと前向きに御答弁をいただけませんでしょうかね。  それで、科学技術庁の方にも承っておきたいのですが、千葉の総合病院ですかね、あすこに行きますと、相当詳細にわかる仕掛けになっているようでありますが、科学技術庁の方、そこらのところは一体どういうふうに運営されておるのか。かつまた、国際的に、日本でもう少し追跡してくれいというのですね。これはいろいろなことを調べてみたりこれを読んでみても、各国はみんな取り上げて国がやっているわけですよ。ところが、ドイツから出ていった薬の量からいくと、日本に圧倒的に多い、ほかは少ない。その圧倒的に多く使用されている日本が追跡調査をしてくれていないというのはどういうわけなんだと国際的に言われているわけなんですね。ここらを含めてどうでしょうかね、もう少し御答弁いただけませんでしょうかね。
  92. 松井隆

    ○松井説明員 私どもの方で千葉に放射線医学総合研究所というのを持っております。これは国立研究所でございまして、そこは三十二年に設立されています。そこで、そこの仕事は幾つもあるわけでございますけれども、その一つに放射線による障害、それの治療あるいは診断、それが重要な業務になっております。  それで、放射線医学総合研究所におきましては、一つはトロトラストに関しまして、大きく見て四つの仕事をやっております。  そのまず一つが、これは放射線障害一般ということでございますけれども、一つは、基礎的な、ネズミとかあるいはウサギ等を用いまして放射線の障害がどういうふうに起きるのか、また量と障害との関係等々の研究をやっております。それからさらにもう一つは、臨床的な研究と申しますか、そういうものをやってございます。これは具体的には放射線による人の障害の治療あるいは診断治療の指標をつくろうというねらいでございます。具体的には一つの例を申しますと、昭和二十九年にありましたビキニ環礁でのマグロのあの被曝がございました。その方々の定期的な診断というのを毎年やっております。それが一つ一般的な障害の研究でございます。  あとの三つは、具体的にトロトラストの問題でございますけれども、一つは、トロトラストにつきまして、まずこれは放射線が入っておりますから、どういう部位にどのくらいの線量を浴びておるかということを精密に知る必要がある。そういうものについては研究を続けておりまして、したがって、それについてはほぼ開発したというふうに言えると思います。そういう意味ではすべてそういう患者が来た場合にはそこをはかればわかるというふうにはなっております。それからもう一つは、これは外部の、先ほど先生の御指摘のありました森武三郎先生とも協力いたしましてトロトラストの患者の追跡調査ということをやっております。それからもう一件は、症例はまだ十八症例でございますけれども、トロトラスト患者の具体的な臨床、そういうことをやっております。  その四つが大体主に放医研でやっておることでございまして、放医研といたしましては毎週月曜日の午前中を相談日に指定しておりまして、そういう患者がいらっしゃいました場合、あるいはその患者の主治医からの御相談があった場合、相談に応じて必要な検査あるいはその処置ができるような方法を考える。以上のことをやっております。
  93. 熊取敏之

    ○熊取説明員 大出先生のお話の中に、ただいま松井課長からの説明で大体私どもの研究所でやっておることは尽きておると思うのですが、確かに薬の輸入量というようなものから推定いたしますと、トロトラストを注入された患者、しかも戦傷者に診断のために使われた例がかなりあるという推定はつくのです。  国際的に会議が三回いままでに持たれまして、来年また四回目が持たれることになっておるのでありますが、国際的にわれわれの方に要望されておりますことは、このトロトラスト患者の臓器、主に肝臓とか脾臓とか骨髄でありますが、そこの線量の推定、どのくらいの線量を受けておるかという推定。それから臨床所見とかあるいは病理所見、それの評価と解釈をするための基準をつくること。それからあとは追跡調査をやるということです。それからまた国際協力をやる。この四つのことがわれわれに求められておることであります。  私は臨床的な立場から申しまして、現在、私自身第五福竜丸の患者を二十年もずっとフォローアップしておりまして、その経験から見ましても、現在入っておりますトロトラスト顆粒を追い出すというようなことはできないことと思いますが、この経過を観察していって、そうしてその健康状態をチェックして、それに対して適当な助言を与え、生活指導をするというようなことが一番大事なことではないかと思います。確かに私どもの方には優秀な機械もございますが、ただ、これも人数に限りがございますので、そこいらのところを今後いろんな関係方面と協力してやっていきたい、そういうふうに考えております。
  94. 大出俊

    大出委員 大臣、これは所管が違うのに大変恐縮なんですけれども、私はこれをいろいろ読んでみて、こういうのをいまの程度のことにしておくというのはいささか国の責任を負わな過ぎることになりはせぬかという気がしましてね。ですから、ぜひひとつ厚生大臣の方にでも、補助金の配分もございましょうが、もう少しこれを表に出して、対象者、たくさんあるはずなんですから、五千名というふうに森さんの方で言っておられますから、五千名のうち百八十何人しかわかってないというのじゃ、非常にこれまたさびし過ぎますし、お気の毒な方々、救済し損ないますし、それからこの二年ばかり五%ぐらいずつ死んでいくというようなことですし、年齢がたっていますから蓄積をしてきているわけですから、当面の人道上の問題でもございますし、そういう意味でぜひひとつ、これは都道府県その他を通じましてももう少し親切に、聞いてきた、どうも木で鼻をくくったような話でなくてめんどう見られるようなことにすべきではないかというふうに思いますから、これはお願いをしておきたいのですが、いかがでございましょうか。
  95. 坂田道太

    坂田国務大臣 この点はもう大出先生おっしゃるとおりに私も考えておりますので、早速厚生大臣にもお話を申し上げたいと思います。私自身も厚生大臣をいたしたことがございますので、よくお話はわかります。
  96. 山高章夫

    ○山高説明員 私ども援護局は、恩給の経由官庁と先ほど先生のお話の援護法と、両方やっておりますので、この十七日に全国課長会議をいたしますので、その際十分その旨をあれして、都道府県にお願いするようにいたしたいと思います。
  97. 大出俊

    大出委員 大変どうも恐縮でございました。大変時間がかかって申しわけないのですが、もう一、二件簡単に承っておきたいわけなんです。  その一点は、この間のこの委員会で私が生存者の、つまり旧日本軍で生きている方の情報というのはどの程度あるんだと言って質問したことがあります。ついこの間であります。ところが外務省方々、外務大臣もおいでになった席で、これまたもう少し力を入れるべきではないかということを言ったら、いろいろ情報があるけれども、みんな確度が薄いのだというわけですね。ほとんど生存者の情報というのはないという。情報を持ってきては幾らかもらおうなんというのもいるので当てにならぬということだったのです。その舌の根も乾かぬうちに新聞に、当時三万くらいラバウルにおったわけでありますが、パプア・ニューギニア、正確にはニューブリテンでございましょうが、ニューギニアのニューブリテン、ここに旧日本兵二人の生存がほぼ確実であるという情報が入っているわけですね。これは慰霊碑か何かっくるといって現地に行ってた課長さん、これはおかしな話なんだが、慰霊碑どころの騒ぎじゃない。生きている人がまだいるというのに、そこへ持ってきて慰霊碑という話はないだろうと私は思うのですがね。これは舌の根も乾かぬうちになんですね。連休明けの六日目に私はこれを取り上げて、少し時間をかけさしていただいたんだけれども、外務大臣、もう少しあなたの方で情報を集めて草の根分けても生存者を捜すくらいの気になぜならぬ、小野田君の件だって政府関係者が見つけたのじゃないので一青年の努力じゃないかということを言ったのですがね。政府がそんなことをしているから、そのときまで生きていた人がついその直前に死んじゃったなんということになっているじゃないか。この件だって一つ間違えばどうなるかわからぬ。ぼくらが当時教わったような日本軍の教育を受けていた限りは出てこられぬです。その方々は年とともにこり固まってしまうでしょうからね。そうするとよほどの努力をしなければ救出できないでしょう。こういうばかげたことになぜなるのか。心配になって、私はかつて遺骨収集の問題も国会で発議して、少し議員も含めて行かないかということを言ったことがあるのですがね。どうも納得いかない。これを一体どういうふうにお考えか、かつまた実情はどうなのであって、今後どういうふうにおやりになるかという点を、まずラバウル関係では聞かしていただきたい。  もう一件、この間私が質問をいたしましたベララベラ島、調べてみて、ここには大変な残存日本兵を置いてきたわけですね。救出の船が行って、北部にということだものだから、みんなジャングルを越えて行った、乗り切れない、手を合わせて乗せてくれというのを置いてきたという。この方々が、ソロモン会の方々が三十三年ぶりに全部私費で行くというわけですね。国は一銭も一かけらも金を出さない。二千万ぐらいかかる。資金カンパなどをやって、とりあえずそれが三〇%ぐらい集まったというので、だからとりあえず五人先に先発をさせる。これなんかも、人情風俗が違うのですから、農園へ入ってどうのこうのというようなことはその国の国民はやらないという。これまたどうも納得いかない。防衛白書どころの騒ぎじゃない。前の戦争の後処理が何にもできてない。  新聞記事に、ラバウルの日本兵残存で生存二人確実だとか、三十三年ぶりで資金難に耐えぜひ発見と言って、思いが残ると言って年寄りがみんな出かけていこうという世の中に、国が横を向いて腕を組んでいる。片っ方では防衛白書国民のコンセンサスを、冗談言っちゃいけねえという気が私はするんです。間違っちゃ困りますよということなんですね。こんなつまらないものを論議したってくその役にも立つか。そんなことより、よほど救出に全精力を費やして、草の根分けても二人生存者を救出する。ベララベラ島の方も、本当にしかとこれはそうではないならないというところまでなぜ調べぬかという気がするのです。天皇陛下のせがれさんが二人でどこかぐるぐる回って歩くだけに幾ら金を使うか私は知らぬけれども、国民のコンセンサスを求めるなら、そんなばかげた金を使うならよほどこっちへ使った方がいいと私は思っている。極端なことを言えばそういうことになりますよ。そこらのところは一体どうお考えなのか、あわせて聞いておきたい。
  98. 山高章夫

    ○山高説明員 ラバウルの方の状況について申し上げますと、先ほど先生のお話がございましたように、七日付のロイター電だと思いますが、ラバウルの近くのココポというところのごうの近くの川のところへ水をくみに来た正体不明の人を学校の生徒が見つけたという話で、どうも日本兵らしいということでございます。この話を聞きまして、パプア・ニューギニアの地方大臣が確認なさったわけでありますが、もちろんその日本兵らしき人の姿は見えません。ごうの中に若干生活用品があったようでございます。そんな状況でございまして、それ以上特段の資料がございません。また、きょう外務省お見えになっておりませんが、現地の在外公館駐在の大使がこの地方大臣に会われて、その話を承っております。  それで、何はともあれ私どもとしてはラバウルの実態をつかまなければいかぬということでございまして、これも御指摘ありましたけれども、パプア・ニューギニアにたまたま出張中の私どもの庶務課長に訓令いたしまして、ラバウルに直行させたわけでございます。きょうちょうどいまごろラバウルの現地に行っているころだと存じます。ラバウルの方は政府間の話になったわけでございます。  それからベララベラの方でございますが、ベララベラの方はたまたま遺骨収集の事前調査に参りました方がそういう情報を現地で、いずれも伝聞情報でございますが、聞いてまいりまして、それをこちらで発表されたということで、私どもちょうど連休の前でございますが、連休明け早速外務省を通じまして、ソロモンはイギリスの属領でございますので、イギリス政府に在外公館を通じて事実について照会中でございます。  なお、本年度遺骨収集はソロモン群島を予定しておりますので、実はこれは外交上からいきますと若干常識的じゃないというお話もあるかと思いますけれども、現にそういった向こうの政府に情報をお願いしておりながら、あわせて遺骨収集に行った際に、もし向こうの許可を得られれば一個班でも現地に出して情報の確認に努めるようにしたいということでございます。
  99. 大出俊

    大出委員 外務省お見えになっておるので、追加して委員部に外務省の方からも意見を承りたいと申し上げておいたのですけれども、この間も言ったのですけれども、ソビエトの例なんかも挙げましたが、戦没者の遺骨を埋葬してある個所は、私どもが聞いている限りでは二十カ所を超えるというのに、八カ所とか九カ所しかない。そこには外交問題にしたくない、政治問題にしたくない、いろいろな事情があるということなんですけれども、三十年もたつわけですから、もう少しその気でお調べいただいてもおかしくないんじゃないかという気がするのですが、いかがなものですか。これをちょっとあわせてお答えいただきたいのです。
  100. 橘正忠

    ○橘説明員 ソ連につきましては、戦後早くの時期から相当の未確認の方々がおられるので、ソ連側とたびたび折衝してまいりまして、結局向こう側は、御存じのとおり埋没されている墓地への墓参は認める。ただ、そこの墓地に実際に埋葬されておられる方々を確認するということについては、自分たちとしても非常にむずかしくてできないところがある。ついては、結局そういうことから、毎年なるべくわが方の希望に沿った墓地への墓参を認めるように考慮をしようという立場を先方がとっておりまして、時によって、墓参の認められます墓地につきましては異なる地点あるいは異なるときというような条件がつくことはございますが、なるべくわが方の希望するところへやってくれということを折衝しております。ことしも一〇〇%わが方の希望は満たしてくれませんでしたが、相当の数の墓地への墓参は認めておるという実情でございます。ただ、仰せのとおり、墓地への墓参のみならず、重ねてさらにもう一歩突っ込んだ確認をという希望はわが方にはあるわけでございますが、現状においてはソ連の態度はそういう状況になっております。
  101. 大出俊

    大出委員 これは何遍聞いても同じ答えが返ってくるわけですからやめますけれども、生存者というのは、当時の世代に生きてきた人間が逆の立場で考えればわかることで、ほっぽっておく筋合いではないですね。したがいまして、情報がどうのこうのということよりも、やはり情報を求めてとにかく分析をして、本当にここまで調べたんだがというところまで行かないと、なかなか納得できる筋合いのものではないので、これは何遍も言っているんですけれども、ぜひその辺は力を入れてやっていただきたいと思うわけであります。  最後に、一言だけ長官に承りたいのです。防衛白書について申し上げておる時間がなくなりましたから、次の機会にさせていただきますが、一点だけP3Cについて、短時間で終わります。  私は実はアメリカに行ってコーチャン氏にも会って、いろいろ話もしてきました。これはいまに始まったことではありませんけれども、機会を見てまた改めて具体的なデータを使って質問いたしますが、P3Cオライオンはアメリカ側が売りたいということなのか、日本側が買いたいということなのか、その因果関係はどうなっているのでしょうか。
  102. 丸山昂

    ○丸山説明員 私からお答え申し上げたいと思います。  いままでの経緯につきましては先生十分御存じのとおりでございまして、私どもの方といたしましては、ともかくP3Cを購入するかどうかという問題は、御案内のようにポスト四次防のPXLをどういう形で整備をしていくか、それについては国内開発とP3Cという問題とそれからそれの中間案というようなことをいま技術的に詰めておるわけでございまして、その結果、場合によってはP3Cの導入というようなこともあり得るかもしれませんけれども、いまのところははっきりした結論が出ておらないというのが実情でございます。  それから一方、アメリカ側がそのP3Cを日本で買ってくれという積極的なアプローチは、私どもの知っている限りにおいてはいままではないようでございます。このP3Cについて、かねてANEW計画中身をリリースしてほしいということは何回か言っておりましたが、それはノーという回答がずっと続いてまいりまして、四十七年の中ごろから八月であったと思いますが、リリースということが非公式には伝わってまいりまして、四十八年の七月以降、リリースの意向があるということははっきりわれわれとしては確認ができたわけでございますけれども、すでにその時点におきましてはもう国産でいくというわが方の基本方針が決まっておりましたために、十月九日の了解事項というところまでは少なくとも当方は国産ということでずっと進んでまいったというような事情でございまして、いま先生の御質問のように、アメリカが売りたがっておるのか、日本が買いたがっておるのかという御質問ということになりますと、いまの段階ではいま申し上げたようなこと以上に申し上げられないのではないかというふうに思います。
  103. 大出俊

    大出委員 具体的に言いますが、先月の二十七日、ロッキードのP3C対潜哨戒機の売却を民間ベースから政府ベースの契約に切りかえて、二国間のベースで話い合う、つまりこうなると仲介になりますか、東京の米大使館の中にあるMDAO——MDAOというのは正式に言えば米軍事援助顧問団日本支部の後身ですね。簡単に言えばいま皆さんの兵器装備の買い入れ等に関する窓口ですね。MDAOに連絡が入っているわけですね。そして、政府間ベースでP3Cの売買を成立させたらどうかという。時間がありませんから簡単に申し上げているのですけれども、これは一体真相はどうなっているのですか。
  104. 江口裕通

    江口説明員 これは五月の二十七日でございましたか、いま御指摘の日でございますか、ニューヨーク・タイムズに御承知のようにリークをされたわけでございます。その後私どもの方といたしましては、在外公館経由あるいは日本MDAO等にも実情を聴取をいたしております。その結果、私どもが現在存じておりますことは、これは米国の国防省がございますが、そこの安全保障援助庁の長官の言葉によりますと、本件は援助庁の担当官と申しますか、それが在日のMDAO、そこにロッキード問題との関連からFMSまたは政府間取り決めのもとでP3Cの販売を行うことの可否について意見を求めたということでございまして、まあ言うなれば先方の言葉によりますと部内限りの措置であるということで、具体的にはさらにラムズフェルド長官の名前で一応ケーブルは打たれておりますけれども、これはあとの記者会見からもはっきりしておりますが、ラムズフェルド長官も知らない、要するにあくまで内部一つのディスカッションで行われておる、こういうふうに私どもの方では聞いております。それから日本政府に対しても、直に先方からそういうアプローチは一切ございません。それがいままでありました実情でございます。
  105. 大出俊

    大出委員 この辺でもうやめますけれども、フィッシュという中将がおりますね。あるいはその下のアドミラル・ファンクスですね。このいずれかの方々皆さんが、この間アメリカに久保次官以下おいでになったりいろいろしましたですね、会っておられるでしょう。何と言っているのですかね、向こうは。会っておられるでしょう。そこから答えてください。
  106. 丸山昂

    ○丸山説明員 ことしの一月の末に久保次官がワシントンを訪れました際に、いまおっしゃいましたゼネラル・フィッシュに会いまして、久保次官から、これは正式の申し出ではございません、非公式打診でございますが、PXL開発に関連して、機体とそれから搭載電子機器を分離してリリースするということが可能であるかどうかという打診をゼネラル・フィッシュにしておりますが、それに対してゼネラル・フィッシュは、一応リリースを、米軍としては技術的な観点その他からこれをセパレートするということは非常に困難である、原則的には機体と一緒にリリースということがたてまえであるけれども、日本の事情もわからぬことはないのでよく検討してみる、こういう回答でございました。その際、久保次官はP3Cだけでなくて、S3Aの搭載電子機器についても検討してみてくれ、こういうことを言っております。そういう事情であります。
  107. 大出俊

    大出委員 これはメモを入れてきたのはフィッシュ局長、ゼネラル・フィッシュなんですね。ニューヨーク・タイムズがいろいろ書きましたが、実情を私もほぼ聞いてみたのです。フィッシュさんが局長をやっているところ、DSAというのですか、ディフェンス・セキュリティ・エージェンシーというのですか、ここに日本流に訳したのを見ますと、国防安全保障援助局、こういうのですね。この局長であるゼネラル・フィッシュ、その次はアドミラル・ファンクスですね。このフェッシュさんが東京の大使館の中にある相互防衛援助事務局、MDAOあてに秘密メモを送ってきたというわけですね。その中身というのは、P3Cの対日売却を当初の計画どおり成立させるために、ロッキードが日本の商社を通じて日本政府に売り込もうという方法をとらずに、国防総省が仲介して政府間契約にすることを提案したいということを検討、打診してくれということなんですね。  これは、私は先に言っちゃっていいか悪いかわからぬけれども、時間がないから言ってしまいますが、私がロッキードのコーチャン前社長に、カリフォルニアのロサンゼルスのロッキード本社の社長室で会ったときに、大変積極的にP2VやP2Jの模型を持ってきて、私の前にでんと置くんですよ。一人で行ったんじゃない、うちの国際局長川崎もおるのに。そして長口一席なんですよ。やめないんです。あなたはバイスチェアマンだというわけです。社会党の防衛、外交の専門家で副委員長じゃないかというわけです。あなたがうんと言ってくれれば議会で決めてもらって買ってもらえるのじゃないか。そして、P2V7から始まってP2Jの話からみんなあなたが知っているというわけだ。そして今度はP3Cの模型を自分で持ってきた。コーチャンというのは大きいですからね。こんな大きいのを持ってきてでんと置いて、これはカリフォルニアの製品だ、最初からそうだと言う。真ん中はライセンスだ。これを買ってくれればまず六万のロッキードの労働組合が大変に喜ぶ。雇用問題が解決する。当社も国から金を六百億ばかり借りた、これを返せるというわけです。だからこれはぜひうんと言ってくれというわけです。それでやりとりをしたら、アドミラル・ファンクス氏の話が出た。そうしたら彼は、アドミラル・ファシクスというのは私の大変な親友だと言う。そんなことを言ったって、頭にゼネラル・フィッシュがいるじゃないか。それは知っているけれども、フィッシュは空軍で片方のファンクスさんは海軍だと言う。だからファンクスが一番よくわかっているんだというわけです。  そういうやりとりからしますと、DSAというのは大変にP3Cの売り込みに積極的だ。私はその後ある人を介して、ということにきょうはしておきます。事と次第によっては明らかにしますがね。フィッシュさん並びにファンクスさんの意向を聞いてもらった。これは皆さんの方の出先もおいでになるから折衝もなさっていた。そのこともあわせて聞きました。それによると、いまの分離方式も皆さんがそう言ったのでしょう、きっと。それはニムロッドだとかアトランチックとかありますけれども、まだできてない機種だからというので、P3Cについてあなた方は分離方式というのを折衝さしているわけだ。私が聞いたときは三回目なんだ。そうすると、目の前に安い買い物があるじゃないか、防衛というのは日本だけでやっているんじゃないじゃないか、とファンクス提督は言う。冗談じゃない、なぜP3Cを買わないか、話にも何もならぬと言う。そういうことですから、久保次官が行って物をおっしゃれば、向こうさんはこの種のことを言ってくるのはあたりまえですよ、当然ですよ。不思議なことじゃない。だから、どっちが買いたいのか、売りたいのかという話を私はなぜしたかというと、つまり、この間別な委員会で私は物を言いましたが、玉川さんから入ってきている書簡も当時あったわけでしょう。あの時点から後、岩国へ持っていって皆さんを呼んだときからあの後すぐMDAOから話があって、皆さんが聞きに行ったときから一貫して向こうは売り込もうというわけですね。だから、ロッキード問題があったから政府間ベースでいいじゃないか、こう言う。そうでしょう。だから、そこのところをはっきりしていただきたいんですよ。皆さんの方だって、いままでぐっとP3Cに傾斜してきてしまっているわけだから、できれば政府間ベースで買いたいという気がおありになるんじゃないかと私は思う。大臣、いかがでございますか。あって不思議はないですよ。いかがです、大臣。大臣は週刊誌の中で、広報宣伝費を幾ら使ったか知りませんが、週刊新潮か何か忘れてしまったけれども、半分のところに写真入りであなたは答えているんですよ、何で商社を使わなければいけないかという質問にお答えします、と言って。西ドイツは二百四十三人もアメリカに専門家を置いていますが、わが防衛庁はそういうのがない、置けない、だからにわかにそうはまいらぬ、残念ながらそうはいかないというのと、商社との長いつき合い、慣行もあって、とあなたは答えているでしょう。そうでしょう。それはいけませんよ、ここまで来ると。だから、やはり政府間ベースなら政府間ベースで——だってどうせ買うときには国家間協定を結ぶんでしょう、いままでだって。ここはいかがでございますか。
  108. 坂田道太

    坂田国務大臣 まだその点は考えていないのです。考えていないのですけれども、オプションとしてはいろいろの場合を検討はいたしております。
  109. 大出俊

    大出委員 もう一点聞いておきますが、昔、直接買った経験だってなくはない。あるでしょう。いかがですか。
  110. 江口裕通

    江口説明員 先生の御指摘のはイタリアのスタッキー二社の問題であろうと思っております。
  111. 大出俊

    大出委員 というわけですから、坂田さん、国会の議事録を見ますと、どうも商社抜きでということについて、それらしい発言のように見える答弁があったり、何かふらふら、はっきりしないんですね。そこのところを一体いまどういうふうにお考えかを、大筋でいいのですけれどもね、だから水を向けたのだけれども、そこらのところをあなたの腹の中というのはどうなんですか、大臣自身の。
  112. 坂田道太

    坂田国務大臣 腹の中も実は白紙でございます。
  113. 大出俊

    大出委員 きょうは防衛白書の方の白紙の方を実は議論しようと思ったのですけれども、妙なことができ上がりましたから時間がなくなりました。中路さん、お待たせして申しわけないですが、以上で終わります。
  114. 木野晴夫

    木野委員長代理 午後二時十分より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時三十四分休憩      ————◇—————     午後二時十四分開議
  115. 木野晴夫

    木野委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中路雅弘君。
  116. 中路雅弘

    ○中路委員 六年ぶりで二度目の防衛白書「日本の防衛」を出されたわけですから、私も数日前にこれをいただいたので詳細には検討しませんが、せっかくの委員会ですので、きょうはこの白書そのものを中心にしていろいろ御質問をしたいと思います。  その前に、これは白書と関連が非常にありますので聞いておきたいのですが、いわゆる日米の軍事協議機構の問題です。この白書の中でも三十九ページに「新協議機関は、安全保障協議委員会の下部機構として設置することを予定している。」というように書かれてあります。したがって、日米安保協議委員会を開いてここで決めなくてはならないということですが、報道によりますと、事務レベルの合意では、六月、今月の二十八日に第十六回の安保協議委員会、これも二年五カ月ぶりですか、開かれることになりますが、この日米防衛協力の委員会の設置を決める安保協議委員会の日取り、これは正式には決まったわけですか。
  117. 坂田道太

    坂田国務大臣 実は六月の末ごろにはやりたいということで先方と打ち合わせをしておりましたところ、御承知のように総理がプエルトリコに行かれるということになりましたので、若干ずれるとは思いますけれども、早い機会にやりたいと思っております。そう遠くない時期を考えております。
  118. 中路雅弘

    ○中路委員 そう遠くないというお話ですが、予定は大体いつごろになるのですか。
  119. 坂田道太

    坂田国務大臣 大体七月中にはできると思っております。
  120. 中路雅弘

    ○中路委員 この日米の防衛協力、これは設置される正式の名称はどういう名称になるのですか。
  121. 丸山昂

    ○丸山説明員 これも最終的にはいまの日米安保協議委員会で決められますので、いまのところは案の段階でございますけれども、日本サイドで考えておりますのは、日米安保協議委員会の下部機構であるという性格を明確に出すということで「日米防衛協力小委員会」、仮称でございますがそういう名前を考えております。
  122. 中路雅弘

    ○中路委員 まだこちら側の案ですが、この日米防衛協力小委員会ですね、これは下部機構として設けるというお話なんですが、日米安保協議委員会は、安保条約の第六条に基づいて設けられるわけですね。この下部機構である日米防衛協力小委員会は、結局安保の五条に基づいた日米の協力、共同作戦ということを主要なテーマにするわけですね。またいままでの私たちの質問でも、ここで取り上げられるテーマは、五条だけじゃなくて、アメリカの基地の使用の問題では六条も包括されるというお話になっているわけですが、日米安保条約とこの防衛協力小委員会との条約上の関係、この点はどういうことになりますか。
  123. 丸山昂

    ○丸山説明員 おっしゃいますように、主要なテーマは五条に基づきます共通の脅威に共同して対処する、こういうことで、そのために必要な調整ということが主になりますけれども、もともと日米安保条約の円滑化を図り、抑止力としての機能を高めるということが本来の目的でございますので、基地の使用の問題等もこの対象に含めて考える、こういうことでございます。したがいまして、いまおっしゃいましたように、六条関係の問題も含むというふうに考えてよろしいかと思います。
  124. 中路雅弘

    ○中路委員 私がもう一つ質問しているのは、安保協議委員会は六条に基づいて設けられているわけですね。その下部機構の防衛協力の小委員会ですね。これは五条も六条も対象にした委員会です。だから安保条約の条約上どういう関係になるのか。六条に基づいて設けられた協議委員会の下部機関として設けられる小委員会が、六条も包括しますけれども、五条を対象にした問題を取り上げる、これは安保条約との関係でどういう位置づけになっているのかということです。
  125. 丸山昂

    ○丸山説明員 御案内のように、安保協議委員会は安保条約の第四条の随時協議の一つの形態という考え方でございます。したがいまして、いま申し上げておりますこれからできる下部機構についても、やはりその四条の随時協議の一形態であるというふうに私どもは理解いたしております。
  126. 中路雅弘

    ○中路委員 いずれにしましても、安保条約の中身は五条、六条を含めて対象にされるわけですから、日米防衛協力小委員会の設置について協議委員会で決まる場合、取り決めというか合意事項、協定、そういうものは当然結ばれるわけですね。何か会議で設置を決めましたという話だけでは済まないでしょう。その設置について合意が協定なり何かできちっとやられるわけですね。
  127. 丸山昂

    ○丸山説明員 これは外務省の方からお答えいただいた方が適当かと思いますが、私ども理解しておりますのは、特にここで協定ということではなくて、安保協議委員会が終了いたしました時点において日米の共同新聞発表を行いますが、その際にこの小委員会の設置を公表することによって発足をする、こういうふうに私どもは理解をいたしております。
  128. 中路雅弘

    ○中路委員 内容からいいますと、これは非常に重要な委員会なわけですね。そして日米安保条約の条文にも関連する問題を直接取り上げていくわけです。それの設置ですから、この問題はシュレジンジャー長官坂田長官の合意で決められたにしても、この安保協議委員会そのものは外務大臣も入りますし、単に防衛当局の間だけの問題じゃなくて、この小委員会の設置は文字どおり政府の間の取り決めのような形になるわけです。だから共同新聞記者発表というだけじゃなくて、協定と言わなくとも何らかの合意文書、取り決めがなければ、私はこの問題はけじめがつかないと思うのです。その点は、長官どうですか。
  129. 丸山昂

    ○丸山説明員 従前から、ただいまございます幕僚研究会同にいたしましても運用協議会にいたしましても、これはいずれもいま申し上げましたような形式によって発足をいたしております。それから今度できます防衛協力小委員会にいたしましても、その任務は研究協議でございまして、したがって、ここで何らかの決定をいたすというものではございません。いずれにいたしましても、ここの小委員会で研究協議されましたことは、親機関である安保協議委員会に報告をされるということになっておりますので、新たな権利義務関係が日米間に生じるという問題ではございません。したがって、協定の必要はないものではないかというふうに私どもは考えております。
  130. 中路雅弘

    ○中路委員 作戦調整までここでやられるわけですから、その点では設置についてきちっとした合意、取り決めが必要だというのが私の見解です。これは平行線になりますから、私たちの見解を述べておきます。  もう一つ長官にお聞きしておきたいのですが、設置して、ここでどういう内容をやっていくかというテーマですね。そういった小委員会の問題について、いつかの私の質問でもお答えがあったのですが、できるだけ中身は公表したいというお話でした。どういう問題を扱っていくのかということを含めて、この設置が決まった時点では、さっき共同新聞発表というお話がありましたけれども、それは公表されるわけですね。
  131. 坂田道太

    坂田国務大臣 御指摘の点につきましては、その大要につきましては公にいたしたいと思っております。
  132. 中路雅弘

    ○中路委員 これもおさらいになりますが、いよいよ七月中には設置を決めるというお話ですから、もう一度お聞きしておきます。  この防衛協力小委員会の構成メンバー、取り上げる主要なテーマ、それから、その中にたとえば専門分野の委員会なり小委員会なりが設けられるとすればどういう機構になっていくのか、ひとつ整理をしてお答え願いたいと思います。
  133. 丸山昂

    ○丸山説明員 構成メンバーは事務レベルで考えておりまして、日本サイ下としましては外務省のアメリカ局長防衛庁防衛局長と統合幕僚会議事務局長でございます。それからアメリカサイドは在日米大使館の公使と在日米軍の参謀長。これが通常のメンバーということになると思います。アメリカの方の希望がございまして、常時ではございませんが、必要に応じて在日米軍の上級機関である太平洋軍司令部から参加を認めてくれという話がございますが、この点については日本サイドとしては異議がない旨申し入れてございます。  それからここで研究協議される対象でございますが、これは基本的には、先ほど申し上げましたように、安保五条の、日本に対する武力攻撃があった場合において、自衛隊と米軍が整合のとれた作戦行動を実施するために必要な措置に関することが検討の中心となるというふうに考えられるわけでございます。  それから部会でございますが、協議機関において部会の設置が必要と認める場合には、部会を設置いたしまして、細かい専門的な問題についての研究協議をここでやるということになるかと思います。
  134. 中路雅弘

    ○中路委員 この前、この委員会で私がお聞きしたときに、もう少し具体的にお話をされているわけですね。たとえば分科会というか専門委員会の問題について、私の質問に対して、この機関のもとに治安、輸送、気象、科学技術などの専門分野の小委員会を設置する方向で検討しているという答弁をされたこともありますが、あれ以来日にちもたっておりますし、もうこの設置が目前に迫っておるわけですから、この設置する方向で検討しているというのも、私はもっと煮詰まった形で具体案ができているのではないかと思うのですが、この点もう少し詳しく説明していただきたい。
  135. 丸山昂

    ○丸山説明員 いま最初に挙げられました治安の問題については、外務委員会において総理からも明確に御答弁がありましたように、日本の治安自体は日本固有の問題でございまして、何も日米で研究協議をする対象の問題ではございませんので、ここの対象にはなりません。  それからいまお挙げになっておられますことは、われわれの腹案としてはいろいろ考えておりますけれども、これもこの小委員会が設置されまして、そこにおいてどういう問題について検討協議をするかということの詰めを行いますので、具体的にこの研究協議の対象としてどういう項目が上がってくるかということは、いまのところはっきり申し上げられる段階ではございません。
  136. 中路雅弘

    ○中路委員 いやこの前、具体的に輸送だとか科学技術だとかいろいろ挙げて、そういう専門分野の小委員会を設置する方向で検討しているというお話ですから、もちろんアメリカとの協議で決まるわけですけれども、こちら側としてこういうことを検討しているというお話ですから、検討されている日本側のいま詰まったお考え、ここまで来ているわけですから、もう設置の直前まで、それをもう少しお話を願いたい。
  137. 丸山昂

    ○丸山説明員 当方の考え方もこれまた相手方次第でございますので、いろいろ事前の詰めをやっておりますけれども、率直に申し上げまして、いまはっきりまだ申し上げられる段階ではございませんが、強いてどういうことを当方で考えているかということを申し上げますと、それはただいま列挙されましたような補給の問題あるいは物資調達、輸送、それから救難、通信それから基地の提供、こういったような問題がなるかと思います。  それから、もちろんその一番主要になりますのは、作戦運用の問題でございまして、この場合には指揮調整の問題、それから通信の調整の問題といったような問題が大きなあれになると思います。いわゆるコマンド・アンド・コントロールをどうするかという問題が大きな問題になるかと思います。それから従前から申しておりますように、作戦時における機能分担をどうするかという問題がもちろんございます。そういうことであると思います。
  138. 中路雅弘

    ○中路委員 いまの問題は後の白書と関連してもう一度いろいろお尋ねしたいと思いますが、もう一つ、いままでの先ほどもちょっと出ました制服の幹部の間での幕僚研究会同ですね。これはこの協議小委員会の中で、協議機関の中ではどういう扱いになってきますか。
  139. 丸山昂

    ○丸山説明員 幕僚研究会同は、従前から申し上げておりますように、在日米軍基地の軍事的な機能の側面について検討するという任務を在来帯びてきておりましたわけで、当然今度できます小委員会の任務の中に吸収されるというふうに私ども考えておりますので、これはこの小委員会が設置されるときに廃止をするという考えでおるわけでございます。
  140. 中路雅弘

    ○中路委員 新しい協議機関の中に吸収される。そうしますと、先ほども出ましたけれども、新しい機関の中に、作戦調整の機構ということもお話しになっていますが、この作戦調整の機構といままでの幕僚の研究会同、これとの関連はどういうふうになりますか。
  141. 丸山昂

    ○丸山説明員 在来の幕僚研究会同の任務が在日米軍基地の軍事的機能の側面についてということになっておりますので、いまお挙げになりました作戦調整という問題とはちょっと性格の違う問題だと思います。
  142. 中路雅弘

    ○中路委員 じゃあもう一度、作戦調整の機構、これはもう少し具体的にどういうものが、どういう形のものが出てきますか。
  143. 丸山昂

    ○丸山説明員 この問題は、恐らくこの小委員会の基礎的な問題をずっと積み上げて最後の方に至る問題だと思っておりますので、私どもはまだ具体的にどういう機構で行くかという案は詰めていまのところは持っておりません。
  144. 中路雅弘

    ○中路委員 もう一点、この新しい協議機関の問題でお尋ねしたいのですが、これは設置されますと、有事の際というお話になっているのですが、いずれにしても研究ですから、有事になったときに設置されたんでは話になりませんね。だから、いまおっしゃった作戦調整の機構だとかその他のいろいろ専門の分野の小委員会、こういったのはこれからすぐ発足するわけですね。設置をされれば平時においてもそれからずっと発足するわけですね。
  145. 丸山昂

    ○丸山説明員 有事のときの機構については、具体的にたとえば作戦調整のための機構をどういう形にするかという今度の小委員会で研究協議の一つの対象になって、ある合意に達するといたしまして、これはそういうものをいつの時点でどういう手続によって設けるかというようなことも当然研究協議の対象になるわけでございますから、平時からそういうものが常置されているということば、ちょっと私どもいまの時点においては考えておりませんで、有時のとき、要するに情勢の変化に応じて、いっどういう時点にどういう手続によって設けるかということをやはり研究協議の対象にすべきではないかと思っておるわけでございます。
  146. 中路雅弘

    ○中路委員 協議機関の問題は白書と関連してもう一度またお尋ねしたいのですが、ちょっと離れますけれども、ついでに、いつも安保協議委員会が開かれるときは、基地の返還問題その他が議題になりますね。もうしばらくずっと開いていないわけですから、七月中にも開かれるとすれば、たとえばこの委員会でも私たちも取り上げてきましたけれども、沖繩の伊江島の射爆場の撤去の問題とかいろいろ取り上げてきた問題がありますが、この基地の再編成、縮小整理といいますか、返還問題、こういった問題は今度開かれる協議委員会で議題になるか、なるとすればどういうところが協議の対象になるかということをあわせてお聞きしておきたいと思います。
  147. 銅崎富司

    銅崎説明員 安保協議委員会が開かれるとしますと、基地の整理問題も取り上げられると考えまして、現在検討いたしておりますが、いまここで具体的にお話しする資料を、まだそこまで検討が終わっておりませんので申し上げられませんけれども、伊江島射爆場の移転の問題も検討の対象として現在考えております。
  148. 中路雅弘

    ○中路委員 それでは余りこれは時間をとってもあれですから、白書の問題で幾つか論議をしたいのですが、全体を読ましていただいて、最初ちょっと感想的なことから述べますけれども、国民的な合意ということを長官は非常に強調されておるわけです。その一つの具体策として位置づけてこれを出されたわけですけれども、いままでの白書あるいは防衛についての考え方を述べられてきたのですね。これと比べて非常に新しく強調されているといいますか、そういった点で私は感じますのは、一つは日米安保条約のもとにおける日米の軍事的な協力の緊密化、この問題が一つの基調になっていると思うのですね。三十八ページに日米安保条約についての位置づけですが、「アジアにおける国際政治の基本的な枠組みの重要な柱を」形づくっているというふうに述べておられますが、この位置づけで日米安保条約を有効に機能させるということですね。そういう自衛隊、軍事力の整備といいますか、この体制にすき間のない形で自衛隊が、新しい防衛力の構想についてもそれが中心に置かれているというのがこの白書の貫いている点だと私は思うのです。従来、日米安保条約というのは自衛隊が国を守る、それを安保条約が補完する、そういう関係で説明された場合が多かったわけですが、それで外部の侵略から守る、対処するということですね。今度の場合は日米安保条約を柱に置いて、この体制の中の間隙をすき間のないように埋めていくんだ、そういうように有効に機能させるんだという構想へ非常にエスカレートされている点が特徴のように見受けられるわけです。そういう点では、率直に言いますと、自衛隊がいままで以上にアメリカのアジア戦略といいますかそういう中へ組み込まれていく、アメリカの軍事力のすき間を埋める形で軍事力を強化するという方向ですね。もっと言えば、自衛隊が文字どおり補完部隊といいますか、アメリカの戦略の一つの枠の中で役割りを果たす。新しいポスト四次防、あるいはその理論的な基礎になっています、長官の言われた基盤的防衛力の整備、その考え方は、この白書を貫いている私が言いましたこれに裏づけられている。いわばそれをもとにして、新しい装いで軍事力の強化の問題を持ち出して、それで国民の合意を得るとかいろいろ展開されているのが特徴じゃないかと私は思うわけです。  情勢分析の中で、たとえば核戦略体制と通常戦力の重視の問題も言っておられますけれども、これもアメリカのラムズフェルド新国防長官の国防報告を見ますと、全く引き写しといいますか、情勢のところはそのままの考えですね。それをもとにしていまのようなことがこの中で貫かれているのじゃないか。そして、最小限のあれだ、GNPの一%ということもこの中で言われていますけれども、しかし実際にことしの一月の初めですか、三幕から出されているポスト四次防の要請なんかを見ましても、とうていこの白書で言われているようなものでおさまるようなものじゃないですね。内局に出されていて、新聞でも報道されておりますが、五十二年から五十六年度の五カ年の中で、人員、編成、装備の所要経費という試算がされておりますけれども、十二兆六千億というのが出ておりますね。ここ数年ずっと〇・八%台ということで来ていますから、それだけで一応経費を試算してみると、八兆幾らですね。一%としても十兆ですから、この基盤防衛整備という構想をやっていけばとうていおさまらないのははっきりしているわけですし、しかもこの中で国民の世論調査がいろいろ出ていますね。いまのままでいいとかあるいはもっと減らしてくれとか、もう少し増強した方がいいとか、これを見ると、圧倒的に現状あるいはそれ以下に減らしてくれという方が多いですね。この中に出ているのもそうですよ。(坂田国務大臣「両方あるのですよ」と呼ぶ)グラフで出ているじゃないですか。両方じゃないですよ。そういう点で国民的合意といっても、皆さんが出している資料からいっても、この白書に基づいた増強というのは国民の世論に挑戦するようなことだと思うのですね。実際には白書でいわれている以上、それを上回ることになるのが現実じゃないかと私は思うのです。  この問題、中身で後で論議しますけれども、一通り読ませていただいた感想で言えばそういう感想を持つのですが、一言でいいですけれども、長官、御意見があったら言ってください。
  149. 坂田道太

    坂田国務大臣 読んでいただいて非常にありがたいと思うのですが、もうちょっと素直に読んでいただきたいというのが私の率直な気持ちでございます。  一口に申しまして、今度の防衛力保持の意義というものは、平和維持のための機能としてとらえておる、これが非常に特徴のあるところだという御理解ならば非常に結構だと私は思っておるのでございます。  それから、日米安保条約にお触れになりましたが、日米安保条約は日本の独立と安全にとって不可欠なものであるということば申すまでもないことでありますが、わが国の防衛ということについては、一貫して私が申し上げておるように、国を守る国民の気概と申しますか国民の意思、そしてそれを裏づける能力としての必要最小限度の防衛力、そして日米安保条約、その三つが一つも欠くことのできないものであるという認識、これが特徴というふうに私たちは考えておるわけで、日米安保条約だけで、そしてわが自衛隊はその補完なんだ、そういう認識では書いてないつもりでございます。そういうふうにわれわれは認識をしておるわけでございます。  それからもう一つ、あるいは詳細には政府委員からお答えを申し上げますが、確かに、もう少し空をとかあるいは海をとか、ある部分についてばかなり増強すべしという議論があるかと思います。しかし、お金の面から言うならば大体この程度でいいのじゃないか、こういう議論にはなっておると思います。でございますから、同じような国民の意識につきましてもその辺が出ておるということは、率直に私たちは把握をしなくてはいけないと思っておるわけでございます。
  150. 中路雅弘

    ○中路委員 一言もう少し補足しますと、この白書の五十七ベージに図表で「防衛予算の増減」というのがありますね。「今の程度でよい」というのが四八%、「今より少なくてよい」というのが一五%、「増額した方がよい」というのが一三%、「わからない」というのが二四%ですから、いまよりも増額した方がよいというのが一三%、一割ちょっとですよ。あとはいまより少なくとかいまの程度でいいとかいうのが皆さんの出したこの資料でも出ておるわけでしょう。そして、五二ページを見ますと、「GNP一%以内で今後の情勢に適応させていくことが大切である。」なんて言っていますけれども、とうていそんなものでおさまらない状況だと思うのですよ。きょうほかの問題をやりたいのでこのことについて論議するつもりはないのですけれども、四次防に比べれば金額にすれば倍以上、それを上回ることになるでしょう、たとえば五次防ということになれば五年間。そういう点で、この白書国民的な合意と言われるならば、国民の世論なり考えがどこにあるかというのがこの白書自身の表を見ても一つ出てきているじゃないか。そうだとすれば、いまのポスト四次防で考えられている計画そのものについても、根本的な検討がなければ合意ということはとうてい言えないのじゃないかという気がするのですよ。お金の問題とかポスト四次防そのものの問題についてきょう論議するつもりはないのですが、白書を読ませていただいて、ここに展開されていること自身だって来年度の計画ですぐ破綻してしまうではないかという気がするのです。
  151. 坂田道太

    坂田国務大臣 私たちが分析をいたしまして国民の皆様方に発表いたしましたこの動向というものを頭に置きながら、施策を進めていかなければならぬと思っております。
  152. 中路雅弘

    ○中路委員 中身で少し御質問していきたいのですが、私たちの方も、まだ私自身も数日前もらったのですから詳細にいろいろ検討していない。白書そのものについてできるだけ勉強もさせていただいて、これから関係のところへ質疑をしていきたいという考えですから、きょうはそういう意味で、これから少しこの白書について突っ込んで勉強する上で具体的にもう少しお聞きしておきたい。  ここに書かれていることについて、そういう角度で二、三お尋ねしたいのですが、一つは核の問題です。これは三十九ページですが、三十九ページの上から二行目に「日本政府は、非核三原則の方針を堅持している。」これはそのとおりですね。時の政府の政策というだけじゃなくて、国是だということも言っておられるわけですから。その後、文章がすぐもうトーンダウンしてしまうのですね。「核兵器を日本に持ち込まずとも、世界全般に展開している米国の核戦力の存在によって、必要な核抑止機能を維持しえているものとみることができよう。」ということがありますが、ここのところに関連してお聞きしておきたいのですが、ここに「核兵器を日本に持ち込まずとも、」という文章がありますね。この「持ち込まずとも、」というのは、いわゆる核艦船の一時寄港だとか、あるいは通過の問題だとかを含めて、領海、領空には一切持ち込まないということですね。そのことを含めて、ここで「核兵器を日本に持ち込まずとも、」持ち込まないということを、そういう意味なんだということで明言できますか。領空、領海を含めて、一時通過も一時寄港も含めて、持ち込まないということは、そういうことを言っているんだということをはっきりさしてください。
  153. 坂田道太

    坂田国務大臣 そこの前にも申しておりますように、われわれ政府といたしましては非核三原則をとっておるわけでございます。だから、そういうふうにお考えいただいて結構だと思います。しかし一方、日米安保条約というものがあって、そして核の脅威というものについては、それで抑止効果を持っておるからこそすき間のない日本の独立と安全というものが得られる、こういう意味でございます。非核三原則をとっておる、そうすると自主防衛、そうすると核の攻撃に対してはどうなんだ。日米安保条約も何にもない、そうしたならばそこはすき間があるわけですね、自主防衛の場合は。だから、そこがやはり安保条約がなければ成り立たない。独立と安全というものは成り立たない。こういうわけで、どうしても安保条約というものは日本の独立と安全に必要だ。しかし、安保条約を持つことそれ自身と、非核三原則と矛盾じゃないかというふうにも言われるわけですけれども、しかし、これは好むと好まざるとにかかわらず、われわれが非核政策をとっておるにもかかわらず、世界の現状は、世界の軍事情勢というものは核均衡といいますか、そういうものを無視しては成り立っておらない。これはやはり冷厳な眼で見る必要がある。それでなければ日本の独立と安全というものは期しがたいというのが私たちの考え方でございます。
  154. 中路雅弘

    ○中路委員 いまのところで、「非核三原則の方針を堅持」ということを言われているわけですが、その後ですぐ、アメリカの核戦力の存在が「核抑止機能を維持しえているものとみることができよう。」という言葉になっていますね。有事には、持ち込むということもある場合には考えているんじゃないかというような、「できよう。」というここの表現は、もうどんな場合でも持ち込ませないんだ、それは国是なんだということから見れば、少しあいまいな表現に変わっていますし、たとえば三十六ページの上から三段目、「わが国が防御用にのみ用いる核装備整備することが可能であるとしても、」ということからずっと述べて、「諸外国特にアジアの近隣諸国に大きな疑念と不安を生じさせる、」。だから、そういう判断に立つ限り、核装備する必要性はないのだという表現にここはなっている。これを見ますと、防御用の小型核兵器は持てる、可能である。しかし、アジアの近隣諸国が不安を感じるのでその必要はないのだという表現になっていますね。私は、こういうことじゃなくて、防御用であっても、攻撃用であっても、非核三原則を堅持する限り核は持たないのだ。アジアの諸国が不安に思っているからいま持たないのだ、有事の際には持ち込むことを考えてもいいのじゃないか、そういうことじゃなくて、明確にこういう核に関する表現のところは明言される必要がある。この表現を見ても、防御用ならば持ってもいいというようにとれるような表現になっていますね。ここのところをはっきりさせておいてほしい。
  155. 坂田道太

    坂田国務大臣 その点は、実際防御用のこういうものは持てるということは事実でございましょう。だから事実を事実として述べたまでで、しかしそれをあえてわれわれは非核三原則という政策をとっておって持たないのだ、こういうことですから、たとえば例の核拡散防止条約の場合におきましても諸外国に対して非常に説得力があるのじゃないでしょうか。
  156. 中路雅弘

    ○中路委員 ちょっと、私の言っているのは、この文章のところですね、「防御用にのみ用いる核装備整備することが可能であるとしても、」というその後は「それを実際に保有しようとすれば、諸外国特にアジアの近隣諸国にわが国に対する大きな疑念と不安を生じさせるであろう。このような判断に立つ限り、政治的」あるいは「軍事的観点からも、わが国が核装備する必要性はない。」この文章で見れば、結局アジア近隣諸国に非常な疑念と不安を生じさせるから、こういう判断に立つ限り、政治的、軍事的にも持つ必要はないのだと言っているんです。そうじゃなくて、核を持たないのだということは、非核三原則を国是として堅持する当然のことなんですね。アジアの諸国民に不安を与えるからというだけじゃなくて、日本の政府がかわろうと、国是としてこれは決めてある問題ですね。そういう立場で明言をやはりすべきじゃないかということを私は言っているわけです。
  157. 坂田道太

    坂田国務大臣 それは中路さんのお考えなんで、われわれといたしましてはあくまでも非核政策をとっている。しかるに一方においては、核を持つということが第三の国々に対してやはり心配、憂慮あるいは脅威をもたらすおそれなしとしない。そういう意味から言っても、われわれの非核政策というものは非常に正しい、こういうことを申しておるわけであります。
  158. 中路雅弘

    ○中路委員 全体を通して、私は核の問題の扱いのところは、非核三原則を堅持するというこの基調をやはり明確にする立場ではっきりさすべきだと思います。
  159. 丸山昂

    ○丸山説明員 ちょっと私の方から補足させていただきたいと思います。  まず最初の、三十九ページに「核兵器を日本に持ち込まずとも、世界全般に展開している米国の核戦力の存在によって、必要な核抑止機能を維持しえているものとみることができよう。」このくだりでございますが、御案内のように、日本の現在の防衛政策というのは、核抑止力については日米安保条約によってアメリカの核抑止力に依存するという政策をとっておるわけでございます。そこで、日本政府は非核三原則の方針を堅持しておるわけでございますから、ここで通常呈せられる疑問は、いわゆる核の持ち込みをやらずともアメリカの核抑止力というものは完全に維持されるのかどうか、こういう疑問が出てくるわけでございまして、それについてはかねてからシュレジンジャーその他が言っておりますように、日本に核を配備しなくても、あるいは持ち込まなくても、アメリカが全世界的に展開をしておる核の配置によって十分その抑止の機能を果たせるのだということを言っておるわけでございます。  それから前の部分でございますが、これは憲法上はわが国が防御用の核を持つことを禁じているものではないというふうに判断をされるわけでございます。この点でいまと同じ疑問が呈せられるわけでございますが、三十五ページのそのくだりの前からお読みいただくとおわかりいただくように、非核三原則を堅持しており、そして核の脅威に対しては一体どうするんだ、核の脅威に対してはアメリカの核抑止力に依存をするのである、それで十分なのである、仮にわが国が独自に防御用の核を、憲法上違反にならないからといってそれを持ったところで、それば後に書いてあるように近隣諸国に対する疑念と不安を生ずる結果になるであろうし、要するに政治的にも軍事的にもわが国が独自の核装備をするという必要がないんだということを訴えかけておるわけでございます。
  160. 中路雅弘

    ○中路委員 この点では私は繰り返しませんけれども、この全体、核についての扱いの文章を見ますと、情勢が何か変われば、有事の際にはまた持ち込むことを考えているのじゃないかととられるような表現というのもあるわけですね。だからその点は明確に、やはり非核三原則を堅持するという政府の方針、国の方針ということをもっと明確にさしておく必要があると思います。  それから三十七ページですが、これも論議する際のためにお尋ねしておきたいのです。一番上ですが、「わが国に対する本格的な大規模の武力侵略は行われ難いと思われるが、限定的な小規模の武力侵略は、可能性として考えられる。」と書いてありますが、これはどんなものが考えられているのですか、態様としてはどういうものが考えられているのですか、もう少し具体的に。
  161. 丸山昂

    ○丸山説明員 その前にずっと述べておりますのは、要するに現在の特に米ソの関係が、いわゆるデタント、これはデタントという言葉を使うのが適当であるかどうかについてはいろいろ問題がございますけれども、米ソ間に、この核均衡ということを前提といたしまして、全面的な核戦争、そしてまたその全面核戦争に拡大するおそれのある通常戦争、こういったものは極力回避しようという動きがあるわけでございます。したがいまして、わが国の場合、アメリカとの間に安保条約を締結し、そしてアメリカの核抑止力に依存するという防衛政策をとっておる以上、仮にソ連が日本に対して攻撃をするというようなことがある場合には、アメリカとの全面対決を覚悟しなければできない。それは最初に申し上げましたように、米ソの間に全面戦争、全面的対決を避けるという、この基本姿勢がある以上、したがって日本に対する本格的な攻撃というものは回避されるのではないか。それは、日米安保体制というものがあること、それからその前提に、米ソのいま申し上げましたような基本的な関係があることを前提にして考えた場合にはそういうことになるのではないか。  そこで、あとはそれではわが国に対する武力侵略の態様というものは一体どのようなものが考えられるのかということになってくるわけでございまして、これは結局、たとえば安保体制がいまのようなことで抑止力としての機能を十分果たすわけでございますが、これは一つは条約上のコミットメント、そういうものでございまして、現実にたとえば第七艦隊がインド洋に出撃をしておって日本が留守になるとか、この条約それ自体はすき間がなくできておりますけれども、現実の問題として発生することが全く皆無であるというわけにはいかないではないか、非常に奇襲的な形で行われるものはあり得るのではないか。奇襲的なものというわけでございますから、最近の偵察衛星その他情報が発達しておる時代におきましては、長期の計画された本格的な戦争準備というものは、必ず事前準備に相当の期間を要し、また物資あるいは兵力の移動、こういうものがあるわけでございまして、これは当然察知されるわけでございますから奇襲ということにはなり得ない。ということになりますと、急遽動かし得る兵力をしか動かせないということになってくると、おのずから動かす兵力というのはごく限定されたものになってくるであろう、こういうことで言っておるわけでございます。
  162. 中路雅弘

    ○中路委員 もう一言ちょっと聞いておきますが、奇襲的なもの、ここで言っている「限定的な小規模の武力侵略は、可能性として」、たとえば北海道か何かにゲリラか何か一部入るとか、そんな想定ですか、この態様、この可能性というのは。たとえば自衛隊の陸上部隊が考えている態様の小規模な侵略の可能性、これはどういうことなんですか。また海上の自衛隊が対応する、そういう可能性というのは、どういう態様を考えられていますか。
  163. 丸山昂

    ○丸山説明員 具体的なただいまの御質問のような予測につきましては、現在私どもポスト四次防、それからその基本になります基盤的防衛力の勢力を算定する基礎としていろいろ検討しておる段階でございます。
  164. 中路雅弘

    ○中路委員 やはりここに白書で可能性があるとこれだけ述べられているのですから、相当具体的な態様を考えられて述べられているわけだと思うのです。そういう点では私たちももう少し白書を論議しなければいけませんからね。その場合ここで述べられていることはどういうことが考えられているのかということをよくお聞きしておかないと、ここで論議することもできませんから、そういう意味で聞いているので、できるだけ具体的にお答え願いたいと思うのです。  それと関連して、四十四ページですが、四十四ページに「基盤的防衛力は、能力的には次のような態勢をとり得るものでなければならない。」とありますね。それで五つ挙げられていますね。第一は情報活動やふだんの警戒監視ですから有事の問題ではありませんけれども、二番、三番とあります。いま私が言いました小規模な武力侵略というのは三番目に挙げられていますね。それより前に、第二番目に挙げられているのが間接侵略ということです。それでわざわざこの間接侵略に終わりに注がついています。注を見ますと、「一又は二以上の外国の教唆又は干渉によって引き起こされた大規模な内乱又は騒擾。」というふうに注釈がついていますが、可能性のある小規模な武力侵略より前に、さらに起こり得る形態として予想されておる間接侵略というのが出ていますね。これはどういう具体的なことを想定されているのですか。どのような外国が、ここで言うように国内のどういう勢力をおだててどういう騒擾を起こすと予想されているのですか。
  165. 丸山昂

    ○丸山説明員 この問題も、先ほどお答えいたしましたように、具体的には今後対応策を考える上において検討してまいらなければならないというふうに考えておるわけでございまして、ここでは一つの可能性としての問題の提起をしておるわけでございます。
  166. 中路雅弘

    ○中路委員 いや、ここで今度のポスト四次防、基盤的防衛力の整備ですね、これは能力的には次のようなこれに対応するものとして考えられるんだということで挙げていますね。それで、最初の一が海峡や対空の警戒監視、情報活動、これは平時からやっていることですね。だから実際に治安出動や防衛出動とかで問題になってくるのは二、三ですね。その最初に間接侵略というのが挙げられているから、一番起こり得る可能性として挙げられておるものだと私は思うわけです、小規模侵略とともに。ここで挙げられている以上、やはり何らかの事態を想定して、可能性を想定して、これに対応してやっていかなければいけないということで挙げられているわけだから、私はここはどういうことの対応を想定されているのかということを具体的にお聞きしているわけです。
  167. 丸山昂

    ○丸山説明員 それですから、いま申し上げますように、私ども現在、ポスト四次防の作業をやるについて、具体的にこういう問題についてのその事態の様相というものを詰めながら、対処のための何といいますか、防衛力の整備ということについての目安を求める作業を検討しておるわけでございます。もちろん、ここでいま問題を提起しておりますのは、こういう可能性の問題、これを全く払拭するわけにはいかぬと思います。こういう問題が起きても、十分それに対処し得るだけの能力を基盤的防衛力としては持っておかなければならないということをここで述べておるわけでございます。
  168. 中路雅弘

    ○中路委員 長官にお聞きしたいのですが、この白書の中には、国際情勢、アジア情勢というのが第一章にあって、詳しく述べていますね。この白書には、国内情勢というのは一つもないのですね。今度の白書には全然そういうことが述べられているところはないのです。しかし、対応する問題の第一番に間接侵略というのが挙げられている。だから、私これを読んだときに、それを取り巻く国内情勢の説明があって、間接侵略のこういう可能性もある、だからその対応としてこういう処置もとるというならつながってきますね。しかし、情勢の中で、国際情勢はあるけれども、アジア情勢、国際情勢の中にも間接侵略と関連したところはどこにもないですね。それでここに対応する自衛隊の第一番に間接侵略が挙げられている。冒頭に出ている。これはどういうことなんですか。
  169. 坂田道太

    坂田国務大臣 今度の防衛白書は、とにかく六年ぶりでございまして、何もかにもに答えられるというようなものをつくるということも一つの方法だと思うのですが、私どもはそういうふうにはとらなかったわけです。国際情勢の分析にいたしましても、この十年ばかりデタントというものが、国際政治上もあるいは軍事上も大きいファクターになっておりますから、しかもまた、デタントという言葉についてもいろいろの解釈の仕方がある。こういうことについて、一体デタントというものは何なんだ、そういう観点から国際情勢を見てみた。  それから日本の安全にまつわる世界情勢あるいはアジアの情勢、むしろそちらに重点が置かれておるわけでございます。  しかし、いま御指摘のその間接侵略というものは、およそどこの国でも、安全ということを考えた場合には、外部からの侵略事態あるいは内部崩壊、いろいろな事態があるわけでございまして、やはりすき間のない安全保障体制というものをとらなければならない、そのオプションとして当然私は考えるべきものであるというふうに思っておるわけであります。
  170. 中路雅弘

    ○中路委員 時間が大分たってきてあれですが、大事なところですからもう一点お聞きしたいと思いますが、私が言いましたように、国際情勢はそれなりに皆さんの分析で相当詳しく述べられている。しかし、間接侵略が出てくるこの関係では、情勢のところでは何の説明もないですね。そして起こり得る可能性の小規模侵略よりももっと前の二番目に間接侵略というのが出ているということで、私はもう少し説明をいただかないと、何の対応としてこういうことが考えられているのか。率直に言いますと、まさかこの間接侵略の対象は共産党だと思っているんじゃないでしょうね、本当のところをちょっと聞いておきたいのですが、どうですか。
  171. 坂田道太

    坂田国務大臣 これはわれわれの方は共産党などと考えておりませんけれども、ただし、共産党が暴力行為に出るあるいは騒乱状況を引き起こすというような事態がもしあるとすれば、それはやはり問題になると思いますよ。だけれども、いまの共産党はそんなことを考えておられないと私たちは思っておるわけでございます。——いや、共産党なんていうことを言われたからあえて私は答弁をせざるを得ないわけです。
  172. 中路雅弘

    ○中路委員 私は、何も説明がないから挙げたのですが、この間接侵略が起こり得る可能性ということをこれだけ白書の中に出される以上、やはりどのような外国の勢力がどういう勢力を教唆して——これは大規模な内乱、騒擾でしょう、そういう可能性があるのかどうか、一定の説明がなければ、今度の防衛整備のその能力をつける第一番に間接侵略を対象に挙げられるというのは、これを読んでも何の説明もつかないわけです。その点で、ここで間接侵略が出されている以上、何らかの想定、対応があるはずだから、私たちもこの白書を検討する上で、皆さんの説明をよく聞いておかないといけないということで、あえてお聞きしているわけです。だから、出される以上、検討された問題があるとすれば率直に話してほしいと思うのです。
  173. 丸山昂

    ○丸山説明員 先ほども申し上げましたように、要するにわが国に対する侵略の形態、これは何もわが国ばかりでなくてどこの国においても同じ問題でございますが、外国がある国に侵略する場合の侵略のパターンの一つとして、間接侵略というのが当然考え得ることであるわけでございまして、われわれとしては、本格的な武力侵略の前に間接侵略という形での侵略が行われる、それに対する対応能力というものは、常備防衛力は持っておかなければならないということを申し上げてあるわけでございます。では具体的に間接侵略というものをどういうふうに考えて、それに対してどのように対処することを考えておるのかという問題になるわけでございますが、これはただいま私どもの作業いたしております常備防衛力、基盤的防衛力の作業の中で詰めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  174. 中路雅弘

    ○中路委員 この問題に関連してはもう少し後でもう一度取り上げたいと思うのですが、もう一点、この白書で、四十ページですが、これは先ほどの新協議機関の専門の委員会とも関連じてくると思うのですが、こういうところがあります。「国民防衛意識の高揚を図るほか、基地対策、防衛産業の育成、必要物資の備蓄及び民間救護組織の検討を行うとともに、建設、運輸、通信、科学技術、教育等について関係諸法令を整備し、これらの行政に国防上の配慮を加えること。」というところがありますが、相当大変なことをここでおっしゃっておるわけですね。私は少し具体的にお聞きしたいのですが、ここで挙げられている関係諸法令を整備して、これらの行政に国防上の配慮を加えるということで具体的に、必要物資の備蓄や民間救護組織、それから建設、運輸、通信、科学技術、教育の関係諸法令の整備を挙げられていますから、どういうことを考えられているのかもう少しお聞きしたいと思うのですが、簡潔に一つずつちょっとお答え願いたいのです。  「必要物資の備蓄」、これはたとえばどういうことですか。非常用物資の徴用だとかあるいは国民生活の一定の統制だとか、そういうことにもなってくるのですか。
  175. 玉木清司

    ○玉木説明員 ここで挙げておりますのは、前後関係をお読みいただきますとおわかりいただけると思いますが、この章でとっております防衛関連諸施策ということで、単に防衛力の整備をするだけではなくて、幅広く国の安全保障対策を考えなければならないという角度でこの論述をしておるわけでございます。その最後のところで国防の基本方針の第二項に「国家の安全を保障するに必要な基盤を確立する。」と、こういう条項がございますが、ここの国防基本方針の中に言うところのものは、現在防衛庁で考えますところではそこに掲げました四行くらいのことを意味するのではなかろうかと、こういう論述になっておるわけでございます。その証左のために掲げました論述でございますので、一つ一つについて現段階におきまして具体的にああする、こうするという煮詰めができておるわけではございません。
  176. 中路雅弘

    ○中路委員 それは、ここまで具体的に書かれて、いまそこを考えてない——だって関係諸法令を整備して行政に国防上の配慮を加えるということまで述べて一つ一つ具体的に挙げられているから私はお聞きしている。考えられていなかったらこんなことを書く必要ないのでしょう。たとえば民間救護組織ということになれば、日赤を初めとした民間の医療機関をどうするかというようなことが当然考えられるでしょう。そうしなければ民間救護組織を検討するということもできないでしょう。建設の諸法令をどうするかということになれば、あるいは戦車の移動だとか部隊の移動ということで道路の規制ということも出てくるでしょう。こういうことが頭にあって、ここに挙げられているのではないですか。だから私は一つずつ、主としてどういうことを考えられているのかと、かつての三矢作戦計画の中で百以上の法令の改正も出ているでしょう。ここに出ているのはそれと同じような発想でしょう。あれだけ具体的に三矢計画の中に出ているわけですから、ここでもこれだけ具体的に名前が挙がっているとすれば、運輸の場合にはどうするのだと、船舶や車両の調達をどうするのだとか、そういう問題も当然考えられてここに述べられているのでしょう。そうじゃないのですか。
  177. 玉木清司

    ○玉木説明員 ここで考えております。関係法令を整備し、かつこれらの各般の行政に国防上の配慮を加えると申しますのは、三矢作戦の問題で、あの際に問題になりましたような具体的な有事立法の問題を念頭に置いたわけではございませんで、「建設、運輸、通信、科学技術、教育等」と申しますように、国の行政の各分野にわたりまして、法令でございますから法律というわけではございませんが、いろいろな秩序を整備して国防上の配慮を加えていかなければなるまいと、こういう考え方を概念的に申し述べたにとどまっております。
  178. 中路雅弘

    ○中路委員 だから、その考えられていることをもう少し具体的に、私たちが、素人が考えてもいろいろこういうことじゃないかということは考えられるでしょう。それを法令の改正、整備ですね、行政上に国防のこれを反映させるということまで言っておられるのだから、どういうことをここでは考えられて述べられているのかということをもう少し具体的に。先ほど言ったように私たちはこの白書についてもっと検討する必要があるのだから、そのためにいろいろ皆さんの考えられていることをお聞きしておかないと、これから論議をするわけにいきませんからお聞きしておるのです。科学技術の諸法令を整備するということになれば、当然科学技術が軍事技術に転用できるようなことを考えなければ意味をなさないでしょう、皆さんの目的の。どういうことを考えられているのか。通信ということになれば電波の規制や電話の回線をどうするかということまでしなければだめでしょう。そうじゃないですか。
  179. 坂田道太

    坂田国務大臣 いま官房長から申し上げましたとおりで、まだそこの中身まで実は詰めているわけではございません。むしろ各省庁にお願いしまして、この防衛白書がこういうふうにして出たと、しかし、一国の安全保障というものは単に防衛庁のみが考えて全うできるものじゃない、やはり外交、経済、民生安定、すべての省庁にわたるじゃないか、そういう安全保障の立場から、ひとついままでの行政というものを考えていただきたい。その際いろいろ諸法律を改正すべき点があれば改正することも一つの案でしょうし、それはまあどうせその後の問題として協議をいたしまして決めるということになりましょうけれども、まずもってこういう防衛白書が出た、しかも防衛白書それ自身の基本の考え方というのは、いままでは単に軍事力のみによって防衛問題を考えようとした、それはおかしい、むしろ外交、経済、民生の中において防衛問題を考えるという考えに徹しなければいけないんじゃないか。たとえば資源問題もございましょうし、あるいは食糧問題もありましょうし、農林省においてはそういうような観点からひとつお考えになってみたらいかがでございましょうかというような気持ちを込めて書いておるわけで、この段階ではただ檄をしたにとどまっておるわけです。しかし、将来においてはそういうものをもいろいろ各省庁でお考えいただき、防衛の問題としてそういうものが出てくれば、やはり国防会議等に諮り議論をして、そして整備すべきものは整備していくという段取りになろうかと思うのです。しかし、いま防衛白書が言っておりますことは、いま官房長が申し上げましただけの話でございます。
  180. 中路雅弘

    ○中路委員 列記したにとどまって将来においてと、そうじゃないんですね。たとえば一例で私お話ししましよう。ここに「教育」というのがありますね。ことしの初めから、春ですね、防衛庁の方で小中学校、高校の社会科の教科書の調査をやられておる。社会科教科書の防衛問題に関する記述ぶりの調査結果についてというのをまとめられておるわけですが、これは提出していただけますか、後でいいですけれども。
  181. 伊藤圭一

    ○伊藤説明員 ただいま防衛庁で研究しておるとおっしゃいましたけれども、これは実は研修所の担当者、所員が前にも、四十年ごろにも一度やったことがございますが、最近の市販されております教科書を読んでみて調査をしたというだけのものでございます。したがって、防衛庁としてやっておるということではございません。
  182. 中路雅弘

    ○中路委員 前回、四十何年ですか、四十八年ごろですか調査をされて、それに基づいて文部省に申し入れをやっておるでしょう、前回。そうじゃないですか。
  183. 伊藤圭一

    ○伊藤説明員 文部省に申し入れたということでなくて、政務次官会議のときに、こういう状況でございますということを一応当時の政務次官から発言したことがあるようです。
  184. 中路雅弘

    ○中路委員 今度の調査はその調査結果に基づいてまた物を言われるわけでしょう。いずれにしても、ただ調査したというだけじゃないでしょう。それについて防衛庁の考えを何らかの形で文部省に言われるわけでしょう。
  185. 伊藤圭一

    ○伊藤説明員 先ほど申し上げましたように、これは研修所の担当官が勉強したものでございまして、これに基づいて申し入れるとか、そういう考えは持っておりません。
  186. 中路雅弘

    ○中路委員 申し入れるつもりはないというお話ですが、政務次官会議という形、場所にしても、前回は同じような調査をされて、それに基づいて、もっと教科書の中に自衛隊の問題、この防衛の問題を教育の中に入れろということを、この前発言されておるわけです。そういうことになれば、政府機関が学校教育の内容に干渉するということになると私は思うんですね。ここで言っている、まさに「行政に国防上の配慮を加える」という、いま、ただ列記しただけではなくて現実にそういう方向で始められているということを示唆するような問題でもあると私は思いますし、大体こういう調査をやられる時期がその時期と合うんですね。今度の場合も、ことしの秋に学習指導要領や教科書検定の際のいろいろ選定が行われる時期ですね。前回もその時期です。その前に調査をして、この教科書の選定について影響を与えるということになりますね、そういうことになれば。私はきょうこの点について詳しい論議をしませんけれども、その調査報告、まとめられた結果、これは提出していただけますか。
  187. 伊藤圭一

    ○伊藤説明員 前に予算委員会のところだったと思いますが提出したことはございますので、その資料提出させていただきます。ただ、いま先生おっしゃいましたように、その改定の時期をねらってやったということは、これは全くございませんで、私どもも実はその担当者がそういう勉強をしておるということは余り知らなかったわけでございます。それで、私どもの方としましては、当然そういったものは、どういう教育を受けて自衛隊に入ってくるかというようなことを知る上では、そういうそれぞれの部署で勉強しているというのが実例でございます。
  188. 中路雅弘

    ○中路委員 いま勉強しているというお話だったのですが、長官、前回は政務次官会議という形にしても、一応防衛庁から文部省に物を言っていられるわけですね。いま、今度はやらない、そういうことはしないのだというお話ですけれども、そういうことになれば防衛庁が教科書の中身を、全部記述を検討して、それについて文部省に意見を言う。ということになれば、いま言いましたように学校教育の内容にまで防衛庁が干渉するということになりますね。長官も文部大臣やっておられたから教育の中立性、そういった問題についてはやってこられた方ですから、この問題について、この調査結果についてはきちっとした報告が欲しいと私は思いますし、予算委員会に出されたのは私知っています。しかし、それは非常に不十分なものなんです、提出中身は。後でお話ししますけれども、調査結果については調査報告書そのものをひとつ提出してほしいということと、それから長官について、ただ勉強だとおっしゃいましたけれども、調査に基づいて前回のように文部省に物を言うとか、そういうことはしないというお話ですけれども、この点はっきりさせてください。
  189. 坂田道太

    坂田国務大臣 私どもの方でああせいこうせいなんということは言いません。ただしかし、これを出すことによって向こう側でどういうふうにおとりになるか、あるいは検討してその政府の考え方と違ったような記述があればそれをお直しになるというのは当然のことじゃないかというふうに思います。記述が間違っておればですよ。あの教科書でいろいろ誤ったことを書いてある場合、あれは訂正しますからね。私が言ったように、誤った記述があった場合には教科書は訂正しますね、各省庁の記述について。たとえば、環境行政の問題が前はあんなにまで公害の問題はございませんでしたね。ところが、この公害というものの恐ろしさというものは水俣病から変わってきました。そこで、環境行政の立場からああいう記述はおかしいじゃないかということを言われたわけですね。それに対しまして、やはりそれを改めるべきものは正確を期すということが、これは教科書としては当然なことなんで、そういうことは改めていきたいということはあり得ると思います。
  190. 中路雅弘

    ○中路委員 記述が間違っているという意味で、誤っているから直すという意味じゃなくて、防衛庁としての考え方、たとえば自衛隊の内容をもっと記述しろとか、さっきはそういうことについては物を言わないというお話ですから、長官からもはっきりとそういう意味での干渉、いわゆる学校教育の内容にわたる、それは当然のことですけれども、今度のこの調査結果に基づいてやるという——前回ありましたから、政務次官会議場所を通して。それはそういう資料としてとったのではない、やらないのだということをはっきりさせてほしい。
  191. 坂田道太

    坂田国務大臣 私としては、これでどうだこうだということを言うつもりはございません。しかし、向こうでお読みになって記述に間違いがある、こういうふうにした方がベターであるというふうにおとりいただければ、それはそれなりに意義があると思っております。
  192. 中路雅弘

    ○中路委員 調査報告、これは提出していただけますか。
  193. 坂田道太

    坂田国務大臣 防衛研修所でまとめましたものは、お求めでございますならば差し上げていささかも差し支えないと思っております。
  194. 中路雅弘

    ○中路委員 大分時間がたちましたので、もう少し先に進めたいのですが、これはこの前参議院の予算委員会で、白書とも関連ありますが、私どもの上田参議院議員が取り上げた問題と関連した情報部隊の問題でもう少しお聞きをしておきたいと思います。  陸幕二部のいわゆる情報一班に関連した問題で上田参議院議員が質問したのですが、昨年の七五年五月二十日付で当時私のところに陸幕二部のいろいろ定員その他について資料をいただきました。その際には情報一班幹部六名という報告なんですね。それが今度の参議院予算委員会の質疑でも明らかになりましたけれども、現在員は幹部が二十六名だ、そうして私服のグループ、いわゆる外勤グループ、俗称二部別班と言われているのがあるということもお認めになったわけですが、資料として出されたものが定員が六名である、そうして実際は委員会の論議で明らかになったのは二十六名だ。たとえば定員が何名で一名か二名欠員があるとかあるいは若干多いとかいうのでなくて、定員の四倍も実際はいるんだ、そうしてここは定員何名なんだという資料を私たちの方に出されると、自衛隊組織はどういうふうになっておるのだというふうに私は思わざるを得ないわけですね。この点で、これと関連してすでにお答えいただいていますけれども、こういう陸幕二部情報一班の外勤グループ、私服グループがやっているような外回りのいわゆる情報収集をやっているのは情報一班だけじゃなくて、中央資料隊、調査隊、五つの方面総監部の二部、それから海、空も同種の機関があって外回りをやっておる、情報工作をやっているということはお話しになっていますから、この際、中央資料隊、調査隊、それから方面総監部二部、こういう情報収集をやっておる関係の定員と現在員、それからその中での外回りと言われている情報工作をやっておる人数、これの正確な資料をひとつ出していただきたいと思うのですが、いかがですか。
  195. 丸山昂

    ○丸山説明員 この陸の定員と申しますのは、陸の定員十八万をそれぞれ割り振っておるわけでございまして、これは一朝有事の際に、十八万をフル編成をしてやります場合にどういう割り振りをするかということで決めておるわけでございまして、現実には先生もう十分御案内のように、充足率ということで、陸の場合には八六%程度に落とされておるわけでございます。有事のときのそれぞれの機能と別に、平時の必要性、たとえば平時必要でございます地連であるとか業務隊であるとかいうものは戦時においては必要のないものでございます。有事の際には必要のないものでございますが、平時にはこれが必要であるということでそういうところに配置をしておるわけでございまして、これがいわば平時における定員と申せばそういうものであると思います。これが予算の裏づけがあるものということでございます。  そういうことで、さきに提出をいたしました定員というのが一般的には錯誤を起こしやすい数でございますので、当方のあれにも誤りがあったというふうに感じます。したがいまして、現在情報第一班は二十六名というふうに御了解いただければよろしいのではないかというふうに思います。  それから地方の方でございますが、これはもう御案内のように数がほとんどございませんので、いまおっしゃっておるような外回りというような者はございません。皆必要があればデスクにおる者が出ていって仕事をするということでございまして、外回りが何人、内回りが何人というふうなことは実体的にもございません。また現実に私どもそれを分けて計算をするということはむずかしいと思います。  いま御質問がございました点について申し上げますと、陸の場合には方面総監部の第二部というのがございます。これは五十六名でございます。それから海幕の場合には海幕は調査部というのがございますが、これが約四十五名でございまして、この地方総監部に防衛部というのがございます。この地方総監部の防衛部が全部集めまして二十四名。それから空幕の防衛部が約四十名おりますが、この先は御案内のように航空総隊一つでございますが、航空総隊の司令部は二十四名というところでございます。それがいま先生のおっしゃった数でございます。
  196. 中路雅弘

    ○中路委員 資料隊、調査隊、五つの方面総監部、こういう二部、それから海と空にも、いわゆるこういう陸幕二部、内島一佐等がやっていた、こういう外回りという情報収集をやっているんだということははっきりおっしゃっているわけですから、それはいまの場合必要によって分けているわけじゃないんだ、情報収集で出かけるんだ、やっていることは認められているんですが、それは判然と区別できないんだというお話ですけれども、いままとめて言われたんですが、五つの方面総監部で、いまここで時間をとりますから結構ですから、いま私がお話ししましたこれを、定員それから現在員、それから外回りが専従でやっているのがあればその人員、それは資料として後で出していただけますか。一つ一つまた御質問していると時間をちょっととりますので。  ただ、この際お聞きしておきたいのですが、方面総監部の二部というのはやはりこっちの陸幕中央のように幾つかの班に分かれているんですか。その班の中でそういう情報担当というのがやはり決められている、班になっているんですか。機構はどうなっているんですか。その点だけちょっとお聞きしておきたい。あとはいま言った点を整理をして資料で出していただきたいと思うのです。
  197. 丸山昂

    ○丸山説明員 方面総監部の二部はいま申し上げましたように全部で五十六名でございますから、これを分けてしまいますとほとんど大した数になりませんので、恐らく班というものには現実には分かれてないんだろうと思います。  それで、いまおっしゃったような資料でございますが、私がいまお答え申し上げましたようなところがせいぜいのところでございますが、いま先生のおっしゃったような御趣旨に沿って資料ができますかどうか、検討させていただきたいと思います。  それから繰り返して申し上げますように、これはいま外回りとおっしゃっておりますが、ほとんど第一線では、特にかねがね申しておりますようにこれは全部国外情報でございまして、ほとんど地方で独自にとるということはなかなかむずかしい情報でございます。いろいろその地方の特色を生かしたことはあると思いますけれども、そういうことで、したがってこの外回りで独自に情報収集するという、そういう手段によって収集するという分野は、きわめて構成比としては低いというふうに御了解をいただきたいと思います。
  198. 中路雅弘

    ○中路委員 それでは後で資料を出していただくことにして、その際、いまちょっとおわかりでなかった方面の二部が班になっているのかどうか、その点はひとつ後で明確にしていただきたい。どういう機構になっているか。  それからもう一点、これと関連して陸幕二部の情報一班、内島一佐を中心にして座間基地にしばしば出入り——私たちは週のうち五日は定期で通っていったわけですから常駐していたと思いますが、この場合、陸軍の五〇〇MI軍事情報部隊、これといろいろ一緒にやってきたことは事実なんですが、海、空もそれぞれアメリカの情報機関とカウンターパートがあるんだということはお話しされているわけですが、海、空の場合、こちらはどの部隊でアメリカの方はどの部隊なのか、それをお答え願いたい。
  199. 丸山昂

    ○丸山説明員 いまの先生の御指摘でございますと、内島一佐のいわゆる情報一班がもっぱらその五〇〇部隊と連絡の任に当たっているように御指摘でございますが、そうではございませんで、これは二部と中央資料隊、これはその組織として当然やっておるわけでございます。カウンターパートでございますが、陸の場合には在日米軍司令部のG2でございます。これは座間にございます。これがむしろカウンターパートとしての連絡の主なものでございます。それからいまの陸軍の第五〇〇MIグループというものでございます。それからときたまでございますが、大使館つきの陸軍武官、これは当然連絡の対象になります。  それから海幕でございますが、海幕は在日米海軍司令部のN2でございます。これは横須賀の海軍司令部の中にありますが、情報を担当しておるものでございます。海としてはこれがほとんどでございまして、そのほかは在日大使館つきの海軍武官でございます。  それから空幕は第五空軍の情報部、これは横田にございます。それからこれも海と同じでございまして、あとは在日米大使館つきの空軍の武官がカウンターパートというふうに申し上げてよろしいかと思います。
  200. 中路雅弘

    ○中路委員 先日問題になりました岩国、横須賀等での、横須賀の海軍情報部、NIS、これとは関係は持っていないのですか。
  201. 丸山昂

    ○丸山説明員 これとは関係ございません。これは組織防衛のためにむしろ国内の情報をとっておる機関のようでございまして、私どもとはその意味では全く関係はございません。
  202. 中路雅弘

    ○中路委員 あと二、三、できるだけはしょってお聞きしていきます。  これはちょっと別な問題ですが、前に調べておいていただくようにお願いをしておいたのですが、いま防衛大学の講師をしています戸田耕司という方ですが、去年アメリカから帰ってこられたわけです。この戸田耕司講師はアメリカへ留学されているわけですが、この経歴、特に留学の費用、旅費、これはどこから出ているのか、その点等に関してちょっとお話し願いたいと思います。
  203. 伊藤圭一

    ○伊藤説明員 防衛大学の講師、現在は助教授をやっております戸田耕司という助教授がおりますが、これは四十八年九月十五日から四十九年の九月十四日まで、アメリカのスタンフォード大学に留学いたしております。スタンフォード大学のハンセン物理学研究所というところの客員の研究員として行っております。  この費用でありますが、往復の旅費、これは国が出しております。それから向こうにおきます滞在費は電子通信学会から出ております。電子通信学会から派遣されていって、客員研究員として勉強して帰ってきております。経歴でございますが、防衛大学校を三十九年に卒業いたしまして、京都大学の大学院修士課程を終えまして、四十四年から防衛庁の教官として防衛大学校の講師、それから現在助教授ということでございます。
  204. 中路雅弘

    ○中路委員 ここに資料があるのですが、見ていただきたいのです。この戸田耕司さんのアメリカの留学旅費ですね。これはアジア財団の資料ですが、その中で、アジア財団から戸田耕司氏に出しているのですね。これは出ていませんか。
  205. 伊藤圭一

    ○伊藤説明員 私どもの調べた範囲では、アジア財団ではなくて電子通信学会から出ていることになっております。その当時の文書を見ましても、防大から外国出張させてもらいたいという依頼書が出ておりますが、その中にも日当及び宿泊料については電子通信学会が負担するというふうになっております。
  206. 中路雅弘

    ○中路委員 これは明確にこちらに資料があるわけですから、後でもう一度調査をしていただきたいのですが、私たちの資料調査によりましても、費用の一部がアジア財団から出されているということははっきりしているわけです。  この問題は、簡潔にお話ししておきますと、五月十一日の参議院の法務委員会で問題になりまして、このアジア財団はCIAから資金を受けているということがアメリカでも明らかになっている財団です。アメリカの対外文化交流団体として東京にも支部があるわけですが、参議院の法務委員会で問題になりましたのは、四十一年から五十年までの間でこのアジア財団から一人大体五百ドルから七百ドル、視察旅費という名目でもらって、十四名の裁判官が行っている。それから検察官が四十一年から現在まで四人がアメリカ留学の旅費も出ているということが問題になりまして、稻葉法務大臣がこういうように答弁しています。わが国はCIAの活動を認めていない。財団がCIAと関係があるとかつて国会で問題になり、法務省としては同財団から資金援助を受けないよう処置してきたつもりだ。ところが、今回調べてみたら若干の職員が援助を受けていたことがわかった。今後一切させない。寺田最高裁事務総長も、今後一切援助を受けないように対処するということを参議院法務委員会で答弁をされているわけです。同じ関係資料ですが、その中に防衛大学の現助教授、行かれたときは講師だったですが、名簿がアジア財団からはっきり出ているわけですね。これはもう一度調べていただいて明確にさせていただきたいということと、やはり同じような形で、戸田さん以外にもアジア財団から旅費その他でCIAの資金を受け取って、留学ということがあれば明確にさせていただきたいというふうに私は思うのです。長官、この問題調べていただくとともに、もしアジア財団から出ているということならば、やはり法務大臣も答弁していますから、明確にしていただきたい。
  207. 坂田道太

    坂田国務大臣 その点は調査をいたしたいと思います。  それから、法務大臣もそういうふうにお答えでございますならば、やはりそういうことば厳重に今後慎まなければならない課題であると思います。
  208. 中路雅弘

    ○中路委員 時間が超えているので鬼木先生に悪いのですが、もう一、二点御質問して、少しはしょりましたけれども終わりたいと思うのです。  松岡さんおいでになっておるので、先ほど午前中大出議員もお尋ねした問題なんですが、いわゆる基地の返還跡地の国有財産の処分の問題ですね。先ほどのお話ですと、二十一日に国有財産の審議会を開いて答申をまとめていただく予定だというお話ですが、ここで諮られる問題ですね。二十一日は私はぜひ延期をしていただきたいと思っておりますけれども、予定されているこの国有財産審議会で基地の跡地の新しい国有財産の処理の問題について諮られるわけですが、どういう問題が論議になるのか、最初にお尋ねしたいと思います。
  209. 松岡宏

    ○松岡説明員 御指摘のように、今月二十一日に国有財産中央審議会の開催が予定されておりまして、そこでいわゆる三分割方式と称しておりますが、大口返還財産につきましての統一的な処理基準、これを御審議いただき、できれば答申をいただきたい、こういうふうに大蔵事務当局では期待しているものでございます。これはこの中央審議会の下部機構でございます返還財産処理小委員会におきまして、ことしの二月六日、五月三十一日と二度にわたりまして御審議をいただいてまいりました。さらに最終的な小委員会の審議が今月の十七日に予定されております。  内容的には、米軍基地跡地につきまして、十万平米以上の大口のものについてはこれをおおむね三等分いたしまして、三分の一は地元地方団体に活用していただき、三分の一は国、政府関係機関等で利用する、そして残りの三分の一を留保地ということにいたしまして、当面五年から十年くらいの間は凍結いたしまして、将来ある時点において関係者全員が相談し合って、これをその時点で最も有効に活用する、こういう取り扱いの考え方でございます。  あわせまして、およそ、米軍基地跡地につきまして処分をする場合の値段でございますが、これは関係各地元地方団体に公平でなければいけない、こういう観点から、値段は統一的な取り扱いにすべきであろう、こんな考え方もあわせてうたわれることになろうかと考えております。
  210. 中路雅弘

    ○中路委員 そうしますと、予定されている中央審議会では、一つは、十万平米以上の基地の跡地の処理については三分割の方式でやりたいということ、それから貸し付けあるいは譲渡の値段については統一すべきだという答申を決めるということなんですね。そうしますと、いままで人口急増地域の小中学校、公園については無償貸し付けということがやられてきたところが多いわけですし、そういうことができるということも明確になっているわけですけれども、それについて最近大蔵省で、その場合も時価の二分の一、高校の場合は四分の三という基準を考え出されていますが、この問題は別の形でこの審議会と関連して何か出されるわけですか。
  211. 松岡宏

    ○松岡説明員 ただいま御指摘の公園あるいは児童生徒急増地域の小中学校を取り扱う場合の基準といたしまして、二分の一の面積は時価で売却し、残りの二分の一の面積は無償貸し付けする、こういう統一的な基準、あるいは高等学校、病院、公民館等の公共施設は四分の三の値段で買い取っていただく、こういう統一基準でございますが、これは最近大蔵省として打ち出した方針でございます。  これと先ほど申し上げました予定される答申との関係でございますけれども、国有財産審議会で検討をいただき出てまいります答申は、およそ基地の跡地は統一的に基準を決めるべきものであって、それが各地元へ公平ということで必要であるという抽象的な考え方ができるわけでありまして、統一されるべき基準の中身が二分の一である、あるいは四分の三であるという数字の面につきましては、これは審議会の問題というよりは大蔵省のいわば固有の行政事務である、特に御審議の対象とする問題ではない、こんなふうな考え方でおります。しかしながら、この値段の基準の中身につきまして大蔵省としてはそういう方向で統一をとって関係地方団体にすでに公表している問題でございます。方針としてはほぼ決まっている、こういうことでございます。
  212. 中路雅弘

    ○中路委員 渕野辺を初めとした関係の地方公共団体、地方自治体はいままでの全面的な跡地を地元の学校や公園、こういう公共施設に譲渡してほしい、貸し付けしてほしい、この要望は強く出ていますし、午前中もお話しのように、神奈川県で言いますとこれは与野党を問わず、またさきには無所属の河野参議院議長も含めて先頭に立って要求していることですから、要求はよくおわかりになっていますからこの論議をするつもりはなくて、お答えをちょっとお聞きしておきたいのです。  そうしますと、先ほども渕野辺の話がありましたように三分割というお考えで、三分の一は地元、三分の一は保留する、三分の一は国の関係ということで、先ほどのお話ですと、一応渕野辺でも移りたいというところで名前が挙がっていましたのが、郵政省関係の研修機関それから近代美術館のフィルムセンターですか、それから経済企画庁の国民生活センター、こういう名前が挙がっていましたけれども、この点どういうところがいま考えられておるのかということをもう一度お答え願いたいのと、保留する三分の一というのは皆さんのお考えですと今後どういうふうな扱いにしていくつもりなのか、その点もお聞きしておきたいと思います。
  213. 松岡宏

    ○松岡説明員 渕野辺の跡地につきましては地元相模原市あるいは神奈川県の担当者の方と明日から実務者レベルでの具体的な検討に入る、こういうことになっております。当然ある段階で大蔵省の側からいわばたたき台という形で国のシェアである三分の一にはどういう機関を埋めたいかということを地元側にもお話しするということになろうかと思いますけれども、そのたたき台をお示しする前に、地元側のいろいろな御要望を十分承って、その上でそれを参酌して大蔵省のたたき台もつくり上げたいということでおりますので、明日から始まる最初の会合においてはむしろ地元側のいろいろな御要望を具体的に承るということで考えております。したがいまして、そういういわば相手方と大蔵省とのいろいろな意思の疎通、フィードバックの過程を通じて大蔵省の案もでき上がっていく、こういうことでございますから、先ほど具体的に二、三申し上げたものが国の関係機関の要望として大蔵省に出されているということは事実でございますが、今後地元のお考えも聞きながら具体的な機関の名称はある段階でまとめて発表したい、こういうつもりでおります。現在のところはそういう意味ではまだ流動的な段階である、こういうことでございます。  それからお尋ねの第二点、留保地についてはどういう考えでいるかということでございますが、三分の一の面積は留保地といたしまして五年ないし十年後に関係者全員が改めて相談してその身の振り方を決める、こういうことでございますが、六十六万平米ございます跡地のどの部分をそれでは留保地とするのかというところから始まりまして、いろいろな相談をやはり地元の皆さん方とした上で決めてまいりたい。あそこには太い樹木が成長しておりまして、これは緑を保存する意味で地元としても大事にしたい、こういう御意向がありますので、樹木を保存するような形で樹木の多い場所を留保地にするということも一つの考え方であろうかと思いますが、そういったようなところをよく御相談して具体的に決めてまいりたいと思います。  なお留保地につきましては、当面は未利用のまま大蔵省が関与していくわけでありますが、必要に応じて地元に管理委託を行って、一時暫定的に地元市民に活用していただくというようなこともあり得るわけでありますし、また何らかの緊急な場面におきましては、これがそのまま避難所として活用されるというようなことも当然考えられるわけでございます。
  214. 中路雅弘

    ○中路委員 これで終わりますが、もう一つ久木のこともあるので一、二点お聞きしておきたいのです。  渕野辺の場合、いまお話しのように、あすから事務レベルですが具体的な相談にやっと入るわけですね。いまの話ですと、地元の要望もあすからよく聞いて一緒に検討するという段階ですから、先ほども大出議員からもありましたけれども、この時点で、いよいよあしたからどうするかという相談にやっと地元、布、県を含めて入る段階で、二十一日に審議会を開いて強く地元が反対している三分割について事実上答申を決めてしまうということは、かえってこの問題の利用計画を早く立てなければいけないという皆さんの考えからも反する、なお問題をこじらしてしまうという結果になるのじゃないか。その点では、せっかく十一日から始まるその直後に今度は方針を決めてしまうということになれば、地元と話し合う、要望を聞いて検討していくということは意味をなさないわけですね。特に渕野辺についてはいままでの戦車闘争以来の経過もあるわけですし、その点は私はこの席でも、この二十一日の審議会の答申ということは、せっかく話が始まる段階ですから若干延ばしても関係者の合意が十分得られるような話が必要ではないかということを強く感ずるわけです。  それからもう一つは、これは私この委員会でも二度ばかり取り上げてきたのですが、やっと返還になった逗子の池子弾薬庫に隣接した久木の問題ですが、これも返ってきて、春からは運動場が小中学校やっと広がるというところへ、いままでの無償貸し付けが二分の一という話が出てきたわけです。小さい全く三万余りの町で多額の金額ということになれば大変なことですから、これも御存じのように与野党問わず全市会議員が大蔵省までこの前も出てきて皆さんに訴えておる。しかも貸し付けすることが無償でできるということは法令ではっきりしているわけですから、その点は十分やはり——小学校に運動場もないわけですからね、千名以上の中学校、小学校の中でクラブ活動もできないという状態の中でやっとその部分だけ返還をした、しかしそれが大蔵省の新しいそういう基準でなかなか使用ができない、こういうことは私は、十分公共のためにそして地元の意見も聞いてという方針からいっても、もう一度検討をしていただきたい、十分協議をしていただきたいと思うわけです。  ただ、これと関連して、久木の問題では二棟の建物の移設のことが一つ条件になっておりましたので、施設庁にこのことだけお聞きしておきたいのですが、移設はいつごろ完了するのかということです。この問題をちょっとお聞きしておきたいのです。
  215. 銅崎富司

    銅崎説明員 五十一年度予算で倉庫二棟の移設に要する経費として約一億三千四百万円計上されて予算措置ができましたので、現在移設の具体的な計画を米側と調整いたしております。米側との調整でございますので、いまその調整がいつ終わるということは申し上げられませんが、これをできるだけ早くやりまして直ちに着工いたしたいというふうに考えております。
  216. 中路雅弘

    ○中路委員 大蔵省には私の意見ということでお聞きしておいていただいてひとつ十分御検討を、まだ二十一日まで日にちがありますし、その前に十七日に小委員会もあることですから、その点は午前中の大出議員も含めてこれはもう文字どおり全与野党を含めて一致した要望でもありますから、十分検討をしていただきたいということを最後に述べて、大分時間が超過しておりますので、私は終わりの情報の部隊の問題でもう少し具体的に詰めてお聞きしたいと思うことがたくさんあったのですが、鬼木先生を大変お待たせしておりますので改めてまた別の機会にやるということにしますが、悪いんですけれどももう一点だけ、これだけはきょう聞いておきたいのです。もとに戻して悪いんですけれども、飛ばしたものですから、ちょっと一点だけ聞いて終わりたいと思います。  情報収集の関係で、この前のお話では民間協力者があるというお話ですね。その際に、私たちは地方に事務所があるんじゃないかということをお聞きしましたら、出先の事務所はない、活動の拠点を持っておるというお話があった。活動の拠点というのはどういう意味なのかということが一点です。もうまとめて二つだけ聞きますが、それが一つ。  もう一つは、外国情報を主としてとっているという。その場合に、商社員だとか旅行者ですね、これに報償費を払ってとっているというお話ですが、この報酬を払って旅行者あるいは商社員から情報をとる場合に、商社員の場合にその企業を通じて、会社責任者なんかの了解を得てとっておられるのか、会社の機構とは別に全く個々の商社員の個人の知り得る情報、あるいはそれに依頼して情報をとるという方法でとっておられるのかということ。これが一つと、この情報の問題ではもう一点、外国の旅行者に情報を報償費を払ってとった場合に、その旅行者がたとえば国外でその情報をとる場合に、法に触れて処罰を受けるということになれば、こちらは自衛隊機関、情報員から報酬を払ってやったわけですね。これはもしそういうことになれば国家間の問題、国際問題になりますね。こういった問題について、こういう情報の収集ということは防衛庁のいろいろな法令や自衛隊法のどこにあるのかという問題です。簡潔にその点だけお聞きしておきたい。
  217. 丸山昂

    ○丸山説明員 まず、活動の拠点という言葉は私は使った覚えがないのでありますが、要するに協力者の方とこちらの自衛隊施設の中でお会いすることが適当でないという場合に、どちらか民間の協力される方の事務所とかお宅を貸していただくというような趣旨で申し上げたのじゃないかと思います。  それから二番目の、商社とか、あるいはそのほかいろいろございますが、こういうのはもちろん個人を主体にしておるわけでございまして、会社組織を通じてその個人の方の御協力を願うというような場合もあるかと思います。これは千差万別でございますが、あくまでもやはり個人の方を主体にして考えておる。  それからもう一つ、最後の分でございますが、これは、向こうで法令に違反してつかまって牢屋に入れられるというようなそんな無理なことを私どもはお願いしておるわけではございません。主として結果的にどこどこを通られたときに目撃されたものを後でお聞きをするというようなことであって、立入禁止の中にわざわざ入っていってこういうものをとってきてくださいというような、まあおたくの方でよく好んで使われるスパイ活動というようなものを私どもは強要しておるわけではございません。
  218. 中路雅弘

    ○中路委員 これで終わりますが、この情報の問題は白書には何にも書いてないですね、情報活動を第一番に挙げながら。知らしたくないことを白書の中では非常にふたされております。この問題は、改めてまた私はいろいろ御質問をしたいと思っているのですが、終わりに、皆さんの方のお話がいつも私たちに隠されているということで、最後に一言だけ言っておきたいのです。  先日私が調査一課長に、たとえば二部の分室、資料室、こういうものはあるのかとお聞きしたら、ないという答弁。だから、ないと言われるから私の方できょうお話ししておきますが、陸幕の四号館の地下一階、部屋番号〇〇九番、これは二部分室といって看板がかかっていますよ。鎌田三佐がその部屋の責任者です。鎌田三佐、杉浦一曹というのが勤務しています。それから、資料室というのは二部分室の奥の部屋なんですね。突き当たりが資料室でちゃんとあるのです。だから、実際に部屋番号まで掲げて、そこに勤務をする人もあるのを、私たちが分室があるのだろうと聞いたら、ないと言う。いつもそういう回答で返ってくる。これでは防衛を所管する委員会で、皆さんがこういう理由で答えられないんだと言われれば、私たちはそれを無理にお聞きしょうとしてないのです。しかし、うそを言ったりするということは私たちは許せないというふうに考えるので、この点はひとつ今後私たちも、立場は違いますけれども、防衛の問題について、白書についても出た途端に私も読ましていただきましたが、真剣に取り組むつもりです。しかし、出される資料だとかお答えに、そういうごまかしやうそがあるということは許せない。その点だけ私は強く指摘して終わりたいと思います。
  219. 木野晴夫

    木野委員長代理 鬼木勝利君。
  220. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 時間が余りありませんので、きょうは私は、大体においてお聞きしておくということにしておきまして、後日また御返答によっていろいろ分析してお尋ねをしたいと思います。一応基本方針をお伝えいたしておきます。きょうはもう私が最後でございますから、長官もお疲れでしょうが、しばらくひとつごしんぼうを願いたい。  この防衛白書、私、詳細にこれを拝見したということは申し上げられない、ざっと拝見したのでございますが、長官の方ではおれの方はもう十分こうしてやったとおっしゃるかもしれませんけれども、非常に具体性に欠けておるというふうに私は思うのであります。それは逐次お尋ねすることといたしまして、まず、防衛白書が六年ぶりに今度出されたのでございますが、防衛白書というものの性格は一体どういうものであるか。これはちょっと言葉が悪いかもしれませんけれども、自分の都合のいいときにだけ出すんだ、あとは出さぬでもいいじゃないかと、結果的に見た場合にそういうことになるのじゃないか。無論これは義務づけしてあるものではないということはわれわれも承知いたしております。他の白書がいろいろありますが、そういう義務づけされておるものではない。しかし、防衛白書というものが、今回六年ぶりに出されたというのはどういうお考えのもとに、いままで出していらっしゃらないのにお出しになったのか。防衛白書が日本の、わが国におけるところの軍事力と今後の軍備のあり方というようなことを明らかにするために出されたのであるか、どういう意図のもとに今度出されたのか。これは、言葉が悪いかもしれませんけれども、突如として六年ぶりに出された。その点についてちょっと長官
  221. 坂田道太

    坂田国務大臣 私、就任いたしまして、ほかの省庁におきましては大抵その省の白書が出ております。そして、こういう行政をやっているんだということを国民に明らかにしておるわけでございます。そういうことが必要だと思っております。したがいまして、ここへ参りまして、四十五年に中曾根長官のときに出たきりで、自来、出ておらないことに先生と同じように不審に思ったわけでございます。むしろ防衛を考えろあるいは安全保障を国民皆さん方一人一人考えてくださいと言うからには、考える材料、資料というものを提供しなければならない、提供する義務がある、責任がある、こういうふうに私は思いました。したがいまして、どうしても防衛白書をつくり上げなければならないと思ったわけであります。  私は、でき得べくんば毎年これは出すべきものだというふうに思っております。なぜならば、日本の安全保障ということを考える場合に、やはり年々国際情勢は変化いたします。日本を取り巻くところの軍事情勢も変化をいたします。そのことについて、防衛庁はどう考えているんだということを国民の前に明らかにしなければ日本の安全はどうだということは言えないんじゃないか。また同時に、自衛隊はどれくらいの軍事力を持っておるんだというようなことについても常に明らかにしておく必要があるんじゃないか。それでなければ国民の理解と支持と協力というものは求められない、こう私は考えたわけでありまして、また、国民の理解を求めないで自衛隊だけがどんなに優秀な装備を持ってあるいは精強でございましても、それは力にはなり得ないんじゃないか、こういうふうに私は考えましたので、一年かかりました。実は、十二月ぐらいまでには何とかこれを出したいと思ってやりましたが、やはり六年ぶりでございまして、いろいろああも言いたい、こうもしたいということもございますし、あるいはなかなか調整がむずかしいようなところもございます。  こういうようなわけで、われわれとしましては、いまの段階では最善を尽くしたいと考えてはおりますけれども、先生も御指摘のように、以上のようなことを主たるねらいとしましてまとめ上げたつもりでございますが、まだまだ不十分なところも不備なところもありましょう。しかし、それは今後の改善に待ち、年月をかけて白書がより権威あるものとして国民にも諸外国の人々にも信頼して読まれるようになることを期待いたしたいというふうにも、私その刊行に寄せて書いておるわけでございまして、これが完璧なものだというふうには思っておりません。しかし、最善を尽くしたというふうには御理解を賜りたいというふうに思います。
  222. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 まことに私も同感でございまして、まさに長官のおっしゃるとおりで、今日、自衛隊の存在ということに対し七国民の理解、合意を得る、国民の協力なくしては自衛隊の存立はない、まことに同感でございまして、そのためには自衛隊の内容、組織、機構すべてを国民によく理解を得る、そして協力を得る。いまお話しのように、できれば私は毎年でも出したい。私はそうあるべきだと思う。ところが、今回突如としてこうして出された、坂田長官のお考えのもとにこう出された。大いにその点は私は敬意を表します。そういたしますと、いままで自衛隊に対して国民の合意を得るんだ、愛せられる自衛隊にするんだ、ただ口でそういうことを唱えて、歴代の長官はわが国の防衛ということに対して非常に不熱心であったと私はここで決めつけたいと思う。わかってくれわかってくれと言いながら何ら資料を出さない、検討すべきところの材料を与えない、最も不都合だと思う。その点において四十五年の中曾根長官時代に出された。そして今回また飯田長官がお出しになった。その点は私は大いに適意を表します。私も全くそのとおりだと思う。なおそれより以上のことをどうこう申し上げることはないのでありますが、いま長官の非常に御熱心な、非常な御卓見に対しては敬意を表します。  そこで、この防衛白書が国防会議にかけられなかった。この点について私はどうも理解に苦しむ。国の安全という大事な重要なこの防衛白書が国防会議にかけられなかった。では、こういう大事な国の防衛に関するところの防衛白書というようなものは国防会議にはかけないでいい性格のものであるか。一体、国防会議というようなものは、大事な国の防衛に関して関知しなくていいのか。無論これは閣議にはおかけになったということは聞いておりますが、防衛庁設置法の六十二条にはっきり載っておると私は解釈する。「国防に関する重要事項を審議する機関として、内閣に、国防会議を置く。」「一 国防の基本方針」「二 防衛計画の大綱」「三 前号の計画に関連する産業等の調整計画の大綱」、私は防衛白書はこの三項目に集約されると思いますが、こういう大事なことが国防会議にかけられないというのは一体どういうわけか。国防会議の性格は一体何をやるんだ、こういうように私は考えるのですが、その点長官の御見解を。
  223. 坂田道太

    坂田国務大臣 この防衛白書につきましても、五月二十八日に国防会議に実は審議をおかけをし、報告をいたしておるわけでございます。そして六月四日に閣議において決定を見たということでございます。  それからもう一つは、防衛白書の一番の基本になります基盤的防衛力につきましては、昨年の十一月十三日におきまして国防会議議員懇談会にかけておるわけでございますけれども、もう少し時間をかけて審議したらどうかという、あるいは真っ正面からかけて、まず国防会議が中心になって考えるべき課題じゃないかという御意見だろうと私は思いますけれども、それも私は一つの有力なお考えだと思いますが、今回の場合はそういうような手続をいたしたわけでございます。  それからまた、先般、ずっと前の委員会におきまして御同様の質問がございました際にも、今度の場合は報告はいたしますということは申しておったわけでございます。
  224. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いや、五月二十八日に正式に国防会議としておやりになりましたですか。いま長官は、これにかけた、あるいは報告したとおっしゃっておるが、いやしくも国防白書なるものを、四十五年につくられて六年間もかかってようやく出たというものを、五月二十八日にかけたと仰せになっている、報告したと仰せになっているが、私は国防会議で十分練って相当——これは六年間もできなかったんでしょう。それを五月二十八日一日かけたとおっしゃるが、そういう有名無実な国防会議ならば、私は国防会議は無に等しいと思う。長官を私は責めるわけじゃないけれども、それは少し私は話がおかしいと思う。一週間や十日や三日で、作文書くのか何かのようにしてできるのだったら報告した、かけたでいいけれども、いやしくも国の防衛に関することで六年間もできなかった。先ほど私は非常に不熱心だということを申し上げましたが、それは不熱心であったかないか、あるいは非常に熱心であったかもしれないが、六年間もできなかった。それを坂田防衛庁長官が非常な御熱心の余りこれをおつくりになった。そして二十八日にちょろっと国防会議にかけた、報告した、それは少し——きょうはお聞きするだけということを言っておきましたけれども、ちょっと脱線して済みませんが、これはまた私はゆっくり御相談したいと思いますが、ちょっと長官の御答弁は余りどうかと思うのですがね。私それじゃ納得かいきません。いやしくも国防会議というのは総理大臣を頂点としてあるんですから、防衛庁だけでつくったものを二十八日にちょろっとかけて報告した、それはいかがでございますかね、長官。それは余り聞こえません。
  225. 坂田道太

    坂田国務大臣 国防会議の真の意味におけるあるべき姿としては、確かに先生おっしゃいますような形で運用されるべきだと思います。しかし、実際私、これまでの国防会議のスタッフ、陣容等から考えまして、なかなか現実的にむずかしい状況もあったかと思うんです。それも一つございまして、なかなかまとまりにくかったんじゃないかとも思うのでございますが、私はだからといって唐突にあれに出したかというとそうじゃないので、少なくとも各省庁に、国際情勢等のわが防衛庁の記述については事前に十分御検討を煩わしておるわけでございまして、各省庁の調整は十分いたしております。また、国防会議議員懇談会等におきましても、かけました際にも幾つかの御質問、御質疑等もございました。しかし、もう少しそれが実質的に討議をされるべきだ、その上でまとめるべきだという御意見は、今後の問題として十分私は傾聴すべきものであるというふうに考えております。  しかし、今回の場合はそういうわけで、この中身になります基盤的防衛力の問題については昨年の十一月、すでに国際情勢から、あるいは軍事情勢から、そしてまた基盤的防衛力について、かなりの時間をとりましてこちらからも御説明を申し上げますし、それから各国防会議のメンバーの方々からも御意見を承っておるわけでございまして、それを踏まえましてやはりこの防衛白書も検討をいたしておるという経緯が実質的にあることは、ひとつ留意しておいていただきたいというふうに思います。
  226. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いま長官の御説明は、さもあらんと思いますね。それはむろん各省庁とも御連絡をおとりになって——六年間もかかっておるんですからね、その間にはおやりになったと思いますが、しかし、少なくとも国防会議が一回で、しかも二十八日にちょろっとかけて、ちょっと報告して能事終われりということでは私は承知できない。きょうも時間があれば私は総理に来てもらいたかった。そして国防会議の内容を逐一私は総理にお尋ねしたいと思っておった。ですから、これは国防会議の最高責任者は総理ですから、長官じゃないから、その点はひとつ長官は御安心なさって、私は総理に対して、また例の話のように知らぬ、存ぜぬじゃぐあいが悪い。知りません、存じませんでは許されない。ですからこれは私は、二十八日の国防会議でどのように検討されたか、その内容も知りたいと思っています。ですからこれは後日に譲って、今度総理に私はお尋ねしたいと思う。当内閣委員会にひとつ防衛問題の質疑として、これは後でまた委員長に私は要請したいと思っております。そんな軽々たるものではないと思うんです、国防会議というものは。その点を私の愚見を申し述べておきます。お約束どおり先へ進みます。  次に、この防衛白書を拝見しまして、三十七ページであったと思いますが、わが国の防衛力の存在はアジアにおける国際関係の安定的均衡に寄与している、自衛隊の存在が国際関係の安定的均衡に寄与している、これは具体的に言えば一体どういうことであるか、こういう判断を持たれたその根拠を私は具体的にひとつ御答弁願いたいと思うのです。
  227. 丸山昂

    ○丸山説明員 私からお答え申し上げます。  まず、日米安全保障体制、安保体制というものが、極東ひいては東アジアの安定のための必要不可欠な要素であるということは、これはもう先生御案内のとおり昨年のフォード・三木会談のときの共同新聞発表の中にも明記されておるわけでございまして、日本の立場におきましても、これがただ単に日本それから極東ということにとどまらず、アジア全体の一つの支えになっておるという認識を持っておるわけでございますが、同時に、この日米安全保障体制というのはどういうことかと申しますと、わが国がわが国を守るための固有の防衛力、自衛力というものを持っておる。この自衛力はもちろん専守防衛をたてまえにしておりますので、他の国に対して脅威を与えるものであってはならない、そういう性格のものであるわけでございますが、このわが国が持っております自衛力と、それからいわゆる日米安全保障体制ということによって、アメリカの核抑止力を初めといたします抑止力にわが国としては安全保障を依存しておる、こういう体制をとっておるわけでございまして、そこで、わが国の持っております自衛力は、その自衛力の存在することによって日米安保体制というものを確実ならしめるということになり、それがひいては極東、アジアにおきます国際的な安定均衡と申しますか、平和の維持、これに寄与をしておるんだ、こういう意味合いのことをここで申し述べておるわけでございます。
  228. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 どうも私はこれは無理にこじつけたこととしか思われませんが、日米安全保障というものは、これはいまお説のとおりあくまでわが国の専守防衛ということが主体であって、他の国に脅威を与えない、これは後にも書いてありますが、これはもちろんそういうことだと思うのですね。だから、こういうことをおっしゃるならば、これを裏を返して言うならば、わが国の自衛隊の存在がなければアジアの均衡はとれないんだ、わが国の自衛隊の存在というのはアジアの均衡のためにあるんだ、裏を返せばこう解釈できる。私は、それは主体のものでなくして、日本はあくまで守るという専守防衛ということが、ひいては日米安保体制ということになるんだと思うのです。だから、このアジアにおける国際関係の安定的均衡を保つんだ、何かアジアに対して恩着せがましいような、わが国自衛隊があるからおまえたちは安定しているんだ、私は、こういう表現はいささか行き過ぎではないかと思うのですよ。わが国の自衛隊の存在は、それだけの強力な軍事力を持っているんだ、安心せい、こういうふうに長官考えられるか。
  229. 坂田道太

    坂田国務大臣 これは前のページを読んでいただきたいと思うのです。三十五ページの「防衛力の基本的意義」というところです。(鬼木委員「読んでおります」と呼ぶ)つまり、読んでいらっしゃればおわかりのとおりに、まず自分の国は自分の国民の手によって守るというのが、これは基本でございますね。そうでしょう。そうすると、自分の国は自分の国民の手によって守るという意思がある。しかし、意思だけあっても能力がなければだめでございますね。したがいまして、憲法の制約があるけれども、必要最小限度の防衛力はこれを持つ。そうすると、その必要最小限度の防衛力というものの規模、内容はどうなのか。それはかっての軍国主義時代のように膨大なものであって、そうして他国に脅威を与えたりあるいは侵略をしたりするようなものであってはならない。これは日本の安全のために——同時に著しく民生を圧迫するようなものであってもならない。過大でもなく過小でもない、これもちゃんと実はここに書いてあります。そういう防衛力が必要なんだ。しかし、大規模の攻撃あるいは核の脅威ということになると、わが国は平和外交で、そして非核三原則をとっている。核の脅威に対して一体どうするかという国民の声に対しては、やはり日米安保条約というものが必要になってくる。つまり、国を守る意思、それから防衛力、そして安保条約、この三つが一つになって間隙のない安全体制がとれるんだということで、日本が平和であるということ、平和維持が可能である。もしここに余りにも過小なる防衛力を持っておった場合、空白を生じた場合、おちょっかいをかけないとも限らない。そういうことはやらせない。やはり一定の防衛力がある。しかも、それが安保条約と重なっておれば、あるいは国を守る意思があれば、大国といえども日本を侵略するということはなかなか容易にはできない。あるいは日本とアメリカと防衛条約を結んでおるから、アメリカと一戦を交えることを覚悟しなければ、大国といえども侵略はできない。そうすると、防衛力そのものからいうならば、過大でもない、過小でもない、ほどよい防衛力であるけれども、しかし安保条約を結び、かつ、基本的に日本の国は日本人の手によって守るんだという強い意思があれば、その小さい防衛力であっても大きい役割りを果たすんじゃないか。そうすることによって、日本が安全であるということがアジアの安定に非常に寄与しておる、こういう組み立て方に実はなっておるわけでございまして、これは先生も御理解賜れるのじゃないかというふうに考えます。
  230. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 なかなかこれは積み木細工みたようで、これは簡単には——いまあなたの御説明を聞いておると、私はまだ大いに異論がある。きょうはお聞きしておくという程度だったけれども、どうもはなはだ相済まぬが、いまの御説明では、なるほどそういうお考えでここに表現されたとは思いますけれども、非常に疑問が残る。これもまた後日もう少し詰めてお話し申し上げたいと思うのですがね。  私、最初に申し上げたように、どうも今度の防衛白書は非常に理論的でありて、具体的にはっきりしたあれがない。非常にうまいことは書いてあるけれども、ということを申し上げましたが、たとえばわが国の防衛力は周辺の諸国に不信の念を与えない、また内政を圧迫しない程度の規模でよい、こうおっしゃっておる。ところが、これでも周辺の諸国に不信の念を与えない、それじゃその与えないところの根拠、準備は、これだから与えないという具体性がない。それから内政を圧迫しない程度というのもじゃどこまでで、周辺の諸国に不信の念を与えないという防衛力というのはここまでだという具体性がない。ではそのようにおっしゃるならば、現在の自衛隊周辺の諸国に対して不信を与えていない、この程度の防衛力でこれだけだから与えていない、内政を圧迫していない、これだけだからここまでなら与えていないというその具体性がない。一体どの程度になったならば周辺諸国に脅威を与えないのか、不信の念を与えないのか。じゃ一体これはだれがそういう基準を判断するのか。周辺諸国に、平易な言葉で御無礼かもしれませんけれども、あなたのところはどうだ、安心か、大丈夫かと尋ねて回るわけにもいかぬでしょうが、あるいはまた尋ねられるかもしれぬが、どうして決めるんだ。それは丸山局長のような非常な知恵者がいらっしゃるから、そういう点のはっきりした具体的な——これは何も国防白書に載っていない。理論的には一応わかります。そういう点は、国民にわかってくれ、わからせたいと言ってもわかりようがないでしょう。どうでしょうか、長官
  231. 坂田道太

    坂田国務大臣 今度の白書をずっと通読していただけば若干そういうことがおわかりいただける……。(鬼木委員「いや、若干じゃいかぬのや」と呼ぶ)それは実は疑問が残るのがまた当然なんです。といいますのは、基盤的防衛力の内容というのはいま詰めておるわけです。昨年、長官指示を出しまして、陸海空に命じましていま作業をいたしております。そして八月の末に概算要求をする、あるいは最終的には十二月の予算編成時期までには大体ポスト四次防の内容あるいは基盤的防衛力の第一年度をどうするか、あるいは長期計画をどうするのか、そうしますともうちょっとはおわかりいただけるのではないか。しかしながら、この中にもどこかに書いてあると思いますけれども、憲法の問題、専守防衛というのはどういう意味かということについても書いております。それから非核三原則をとるということも明確に書いてあります。ところが周囲の諸国から考えますと、一体日本は核は本当に持たないだろうか、持つのじゃないだろうかという不安があったわけです。しかし、今度核防条約にも参加をいたしました。それから今回この防衛白書にもそういう点が明確に書いてございます。したがいまして、ああ核は持たないのだなということは不安を与えないことにつながっているというふうに思います。  それからもう一つは、大体規模はどうなんだ。規模の問題は、明らかにGNPの一%のことはここには書いておりませんけれども、しかし、たびたびこれは国会で申し上げておりますように、著しく民生を圧迫しないという意味では、二%とか三%とかいうようなことになれば、これはやはり民生を多少圧迫するんじゃないだろうかというような意味合いにおいて御理解を賜りたいというふうに思うわけでございます。その規模等につきましても、十二月の予算編成ではポスト四次防の第一年度目の具体的な装備、編成等が明らかにされるわけでございますから、この防衛白書とその構想とが相まちまするならば、国民の側からいえば、なるほど過大でもなく過小でもないというのはほぼこういうものかなということは御理解賜れるんじゃないかというふうに思うわけでございます。
  232. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いまあなたのおっしゃったことは、むろんこの白書にも書いてあるようです。あるようでございますが、周辺諸国に対して不信の念を与えない、そういう点について私は今度の御説明は非常に具体性が欠けているんじゃないかと思うのです。たとえば、わが国において常備すべき防衛力、共存と抗争の併存という国際的基調といいますか、その上に立った基盤的防衛力の構想を私ば今回発表されたと思うのです。ところが従来、周辺諸国の軍事力に応じた防衛力を持っておったということが、この防衛白書によると今度は変わった。なかなか防衛庁はむずかしい言葉を使われるが、対処防衛力構想であったのを今度転換された。つまり発想の転換、それはわかるのですよ、防衛白書を私はちらと読んだので。わかりますが、どのように転換したのか、その構想が数量も規模もここの白書には明示してない。ようございますか。私は理論的だ、具体性がないということをいまちょっと申し上げておる。いや、それはあるとおっしゃるかもしれない。そのあるとおっしゃることは、四十八年の二月に国会へ提出された「平和時の防衛力」、陸上は十八万ですか、海上が約二十五万トンから二十八万トン、航空機が約八百機。それは従来のであって、今度転換されるところの規模、数量がこれに似通った、これを参考にすると防衛白書には書いてある。理論は先にいっているけれども、それに対する具体のあれはまだ何にも用意していない。それを長官はいま煮詰めて考えておるとおっしゃった。ただ考えだけであって、具体性がない。そういう点がどうも私は理解に苦しむ。白書は大変よくできておる。さすがに知恵者の丸山局長あたりが、これは防衛庁が勝手につくっておると私は思うのです。さきの国防会議なんかちょっと報告しただけだから、これは防衛庁が一人よがりで、なるほど知恵袋の局長のなんだろうと思う。坂田長官も、おまえがやったのならよかよかと、こうやったのじゃなかろうかと思う。しかし、それでは国民は納得できない。そういう点において私が危惧しておるのは、ただ言葉だけで、周辺には脅威を与えない、不信を与えない、ここでとめて、これだけだからいいでしょうというあれはない。どうもいままでのような共存と抗争の併存式なら別だけれども、これを転換されたのだから、じゃ、このように変わってこうしたぞというそれをひとつ見せてもらいたかったのです。これも長官局長の御答弁なら大変うまいことをおっしゃると思うけれども、きょうは聞きおく程度だから、ちょっと聞かせてください。
  233. 坂田道太

    坂田国務大臣 先ほどもお答えしましたように、確かにこれは非常に理念的なものでございまして、それに伴うところの具体性に欠けておるとおっしゃればそのとおりだと思います。そして、その具体性というものはどの段階で出てくるかというと、先ほどお答えいたしておりますように、いま作業しておりまする次の四次防、ポスト四次防の整備計画に具体性が出てくる。あるいは基盤的防衛力の中身をいま作業いたしておりますから、それがいずれ固まって、そしてそれを皆さん方にまた提示するわけでございます。  で、防衛白書では、むしろ第一章、第二章におきまして、そもそも日本の防衛をするという意義というものをどう考えたらいいかということについてはっきりした認識を持ちたい。まず理念ありき。そしていろいろ、飛行機がこれだけある、あるいは船がこれだけある、あるいは部隊がこれだけある、これはこういう意味を持っておるのだという意味づけをやるために今度の防衛白書が書かれておる。そこにむしろ重点が置かれておる。そしていままでの考え方は、所要防衛力ということで、先生御指摘のとおりに、周辺の軍事力、これはある程度把握ができます。それに対しましてどれだけのものを持つなら防衛力が出るというのも、これはコンピューターにかければある程度出るわけでございますけれども、そうではなくて、むしろ脅威というものを分析いたしまして、意図と軍事力と二つに分けまして、なかなかその意図というものは捕捉しがたいものでございます。あるいは変わるものでございます。しかし、その変わるもの、捕捉しがたいものに対しまして、一体どれだけわれわれがアプローチできるだろうか、解明ができるだろうかということに踏み込んだという意味合いにおいては、かなり私は斬新的な考え方が導入されておるというふうに思います。  と申しますのは、国際情勢にしましても、一応デタントーデタントという言葉は内容はいろいろこれは言われておりますけれども、しかしわれわれの見るところ、やはりそれは抗争と共存という、共存と抗争とこの間を一張一弛する。緊張する場合もあればあるいはそれが緩む場合もある。そういうようなとらえ方をしております。しかし、その内容は何かと言うなら、それは米ソ間におけるところの核戦争はとにかく避けたいという基本的な考え方、内容は変わっておらない。その変わっておらないということがいわば共存と抗争の内容である。こういう米ソ間の核を避けたいという考え方はどういうことになってくるかというと、結局通常兵力ということが問題になってくる。しかし、その通常兵力の全面的なぶつかり合いということはまた核戦争を誘発しかねないという意味において、通常兵力のぶつかり合いといえども核出現以後のこの三十年の実態から考えると、戦争は非常に限定的にならざるを得ない、そういう傾向にある。日本の周辺を考えれば、もちろん米ソのこの緊張緩和の考え方の基調は変わっておらない。しかもまた、中ソとの間には対立がある。確かに朝鮮半島には南と北とに軍事的対峙が行われておる。小規模のいさかいはある。トンネルも掘られておる。しかし、アメリカが韓国に駐留する限り、いまここで大きな紛争があるとは思えない。こういうことから考えると、生起すべき侵略事態というものは小規模以下の限定的なものは可能であろう。しかも、それがやはり日米安保条約というものが結ばっている以上は、それも日米安保条約が現実の有効性という意味において、たとえばNATO諸国に第七艦隊が移動をするというような間隙に乗じて第三国が事実上の奇襲作戦をやるという可能性は残されておる。それまでも否定し去るわけにはいかない。しかし、そういう事態に対しては何もアメリカに頼らないで自衛隊のみにおいて対処できるところの小さいながら反撃力のある防衛力を持つべきである、それが基盤的防衛力の内容である。  こういう考え方でございますから、一応私たちの申し上げております過大でもなく過小でもない、他国に脅威を与えない、著しく民生を圧迫しないような防衛力というものが今日の日本の状況においては基盤的防衛力として考えてしかるべきではないだろうか、こういうたてまえになっておるわけでございます。
  234. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それでもうちょっとお尋ねするのですが、私はいま長官の御説明を聞くまでもなく、この防衛白書はこれは理論的にはよくできております。その点においては私よくできておると思いますが、どうも具体性に欠けておるということをいま申し上げておるのでありまして、それはまたいま煮詰めておるからと、検討中だからということですが、それでは、他日、続防衛白書というか、名前はどうでもいいのですが、これを一つの概論とわれわれは考えまして、具体性を持った、普通だったら総論から各論ということになるのでしょうが、各論というわけじゃないでしょうが、何か具体性を持った続防衛白書というようなものをお出しになるお考えはございますか。
  235. 坂田道太

    坂田国務大臣 これは、先ほど申し上げましたように毎年出したいと思っておるわけです。でございますから、十二月に来年度の、ポスト四次防の第一年度の予算編成が行われますとその概要がもうちょっと明らかになるわけでございます。それは来年度の防衛白書の中にあらわれてくるということでございます。
  236. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 その点は了承しました。  私も、これを簡単に——簡単にというと申しわけないですが、ゆっくり拝見するいとまがなくして一見程度でございますが、新聞なんかの記事をいろいろ見たのですが、常備力の問題にしましても、以上のことを「参考にするといっているが、具体的な数字がないと説得力が弱くなる。」こういうふうに新聞の社説では出ております。それからまたこういうことも載っております。「現在、ロッキード事件で脚光を浴びている次期対潜しょう戒機(PXL)の選定問題についても、なぜ必要か」ということが足らない。ただ「「潜水艦の能力が飛躍的に向上しているから——」というだけでは理解に苦しむのである。」国民がみんな考えていることをはっきり言っていると私は思うのですね。なお、先ほど私が申しましたように、「白書がわが国の安全と繁栄の確保のために総合的防衛戦略の必要を口にしながら、結局は狭い“防衛庁”的視野から脱却していない」、「防衛問題を「防衛庁」まかせにせず、国民のものとする論議の高まりを期待する。」こういうふうに新聞の社説に載っております。  ですから、私が申し上げましたところは、ただ単に防衛白書にけちをつけるために申し上げておるのではない、世論もこういうふうな考えを持っておるということを、知恵袋の丸山局長も最高責任者である長官もお含みおきを願いたい、かように存じます。  それから、きょうは長官が御用があるそうですから、なるべく超スピードで、御迷惑にならぬ度でやめますが、これは防衛白書の中の四十ページに載っております。その中に「建設、運輸、通信、科学技術、教育等について関係諸法令を整備し、これらの行政に国防上の配慮を加えること。」このように載っております。これは私は非常に重要な点だと思いますが、これはどういうことを意図していらっしゃるのか、具体的に御説明を願いたいと思います。
  237. 玉木清司

    ○玉木説明員 いま先生御指摘のところは、三十九ページの「防衛関連諸施策」という表題でくくられました最後の一つの論述として出ておるわけでございます。ここで御判読いただけますように、日本の防衛政策の基本といたしまして、「国防の基本方針」あるいは「防衛力の基本的意義」それから「安全保障体制」というものを論述してまいりまして、最後に日本の防衛の基本として、これ以外に、防衛以外の関連の諸施策がなければ本当の安全保障体制というものはできないのではなかろうかというところに論が及んでいるわけでございます。  四十ページの「ウ」のところをごらんいただけましたら御理解いただけると思いますけれども、ここで言っておりますのは、「国防の基本方針」の第二項に「国家の安全を保障するに必要な基盤を確立する」ということが書かれておるけれども、この部分がわが国では大分おくれておるのではないかという問題の提起をしておる部分でございます。そういう性格の論述の中でございますので、いま先生御指摘の「建設、運輸、通信、科学技術、教育等について関係諸法令を整備し、これらの行政に国防上の配慮を加えること。」こういう記述は、「国家の安全を保障するに必要な基盤を確立する」と基本方針に書いた意味はこういうことではなかろうかという内容をわれわれの方で解釈して記述した部分でございます。  したがいまして、ここの段階でそういう記述をいたしましても、関係諸法令を整備しろという意思表示をしておるとか、あるいは関係諸法令の中でどういうものが具体的に問題であるという指摘をしておるとかという意味ではございませんので、一般的な問題の提起を行いまして、読者の問題意識に訴えたい、こういう意味の記述でございます。
  238. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 私どもは、あなた方のお考えになっておることが大体わかりますけれども、「国防の基本方針」によって国家の安全を保障する基盤を確立する、そのためにこういうことの関連法令の整備をすると言っているが、どのように法令の整備をするのか。これは単なる文字の羅列であって、有事の際のことであろうと思いますが、防衛庁だけでこんなことを考えて、じゃ、これは各省庁ともうすでに具体性を持ったことの話し合いができておるのかどうか。話し合いができておるなら、なぜそれをあらわさないのか。抽象的に、ただこういう関連諸法令の整備をするといってもどのように整備するのか、これは何も具体性がない。これで国民がわかると思いますか、一般国民が。かつて中曾根長官が、この内閣委員会において防衛問題で私らが論議しましたときに、国民から愛せられる自衛隊、それには夕涼みをしているミーちゃんハーちゃん、夕涼みで将棋を打っているような人たちでも皆わかるように、巷間のどなたにでもわかるように、この防衛の内容、組織、機構すべてを理解せしめたい、こういうことを言っておったじゃないですか。これでは、われわれも大体想像はできます。これは有事の際にどうするんだというようなこと。しかし、こういうことでは何にもわからないんだ。だから、どういうふうに法令の整備をするのですか。これは各省庁ともはっきり了解がついてできておるのですか。
  239. 玉木清司

    ○玉木説明員 繰り返しになりますが、これを各省庁もお読みいただきまして、それぞれの所管におきましてお考えをいただきたい、こういう問題提起にとどめた記述でございます。したがいまして、具体的に各省庁とどの法令をどういじるとかいうような検討をお願いしたり、あるいは内々進めておるというような性質の問題ではございません。
  240. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それじゃ防衛庁が勝手にやったということですね。各省庁はまだ了解していないということですね。じゃ了解せよと、あなた方が今度は押さえつけるわけですね。そういうことですか。合議はしていないのですか。
  241. 玉木清司

    ○玉木説明員 法令の具体的な内容につきまして何か準備をするとか相談をしておるというものではございませんで、広く安全保障の問題を考えたときに、こういう関連の諸施策の部分がわが国の場合には外国に比べまして大変おくれておるように思われるからそういう問題の提起をして、各省庁はそれをごらんいただいて、それぞれのお立場で今後の課題としていただこう、こういう趣旨でございます。
  242. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 あなた方、外国の例とおっしゃるが、外国の例と日本とを比較して日本はおくれている、どういう点がおくれているのか。じゃ外国の例はどういうことであるかということをなぜ明示しませんか。空から空にわかれと言って、わかるわけないでしょう。他省庁と話し合いをする性質のものではない、これはそういうものですか。じゃ防衛庁が勝手に、外国はこれで、日本はおくれているんだ、だからこうすべきだ、こうしてひとり決めすべきものですか。有事の際なんかに防衛庁が勝手にこれを決めてやっていいのですか、やるのですか。
  243. 坂田道太

    坂田国務大臣 こういうことです。いままで、ともいたしますると、防衛庁で考えておるのは、防衛庁だけで軍事力の話だけをしている。しかし考えてみれば、第二次大戦後、特に軍事力のみによって解決できない。むしろ外交努力あるいは経済活動あるいは民生安定あるいは文化一般、そういう中において防衛力というものが考えられなければ、一国の安全保障というものは立ち行かない。たとえば資源の問題を考えましても、石油の問題あるいは食糧の問題、そういうものをそれぞれの立場において安全保障の観点からながめる必要があるんじゃないか。しかし、それはいままでどうだったかというと、十分じゃないと私は思っております。やはり防衛の問題は各省庁がそれぞれの省庁においてどう考えていったらいいかというのが今後の大きな安全保障上の課題であると思います。その点はまだ十分じゃないと私は思っております。したがいまして、そういう問題提起をした、一つの例示にしかすぎないわけです。  しかし、いままで一体防衛理念はどうなんだ、日本の国を守る守り方というのはどういうものなんだ、他国に脅威を与えないというのはどの程度だ、あるいは民生を圧迫しないというのはどの程度だ、また一面においては、それくらいの防衛力で一体こういうような軍事力が高まってきているのにわれわれの安全が果たして保障ができるのですか、こういう幾つかの国民の問いに対して、われわれはこれに答える責任があるわけです。単に口で答えるばかりじゃない、実質に安全を守る責任がわれわれに課されておるわけであります。しかし、残念ながらそういう大きい意味における安全保障の立場から物事をいままで余り考えてきたのではないのじゃないか、それは一国の独立国としてふさわしくないわけである。やがてはそういうものを整備していかなければならない問題である。われわれはそういう問題があるということを知っております。しかし、これは私たちが各省庁にこうせい、ああせいという問題じゃなくて、各省庁がみずからお考えいただくことであるし、そして将来、国防会議を中心としてこういう問題を含めた安全保障という問題の提起があって論議をされ、そしてその際われわれはわれわれの意見を言い、各省庁との意見をまとめた上でまた次の段階でそういう整備が行われていくということでもって、初めて日本の安全保障というものが本当にすき間のない防衛体制ができていくのじゃないだろうかということでございます。  したがいまして、今度のものですべて尽くしておるというふうには私たちはちっとも考えておりません。やはりまだまだ不十分な点もあると思いますけれども、 何せ、やはり六年間も出さなかったわけでございます。六年ぶりに出たわけでございます。こういう形で提起を申し上げましたけれども、冒頭に申し上げますように、なおなお不十分な点もある。しかし、それはこれから毎年防衛白書を出すことによってそういう問題も解明をしていきたい、また国民の合意を得たい、また御意見も賜りたい、こういうような考え方で今度の防衛白書は書かれておるわけでございます。
  244. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 大体私のお尋ねせんとするところはそういう点ですが、いまおっしゃるように、こういう問題を提起されて各省庁といわゆる合議されて、そして国防会議でこれを十分論議して決定する、そういうことならば私はわかるのですけれどもね。これは諮るべき性質のものじゃないとか、防衛庁で勝手にやると言われたのじゃ私は承知できない、こういうことを言っているわけです。それなら大体わかります。  それから、長官が六時までとおっしゃるものだから、お尋ねしたいことがたくさんありますが、六時までに終わるようにひとつ……。  これは、坂田長官が参議院の予算委員会で日米防衛協力のための新協議機関をつくる、つまり日米防衛協力小委員会ですか、これをつくる、六月には発足させる。丸山局長もおっしゃっておったようです。ここに議事録も持ってきておりますけれども、急ぎますのでね、それはもうおわかりと思うか…。それでは六月に——しかし、きょうはもう十日ですからね、六月といったらいつおやりになるのか。また、協議をなさる内容は決定しておるのかどうか、具体的にどういうことが協議の対象になっておるのか。また、新機関の名称が日米防衛協力小委員会という名前にもう決定されたのか、それが第二点です。  それから第三点は、この日米防衛協力小委員会で互いに協議されたものは、それがすでにもう最終的なものであるのか、それとも、決定権はまだ何か他にあるのか、その締めくくりですね。むろんこれは有事の際の防衛協力だと思いますが、それについて個条的にぼんぼんとお答えいただければ時間の経済ですから。
  245. 坂田道太

    坂田国務大臣 それではまず最初に期日の問題でございますが、最初六月二十八日ごろを予定をいたしておりました。しかるところ、首脳会議がこの二十七、八というふうにプエルトリコで行われるということで、三木総理及び外務大臣が御出席になりますので、二十八日はできなくなりまして、先方の都合等も考えますと、七月中にはどうしてもやりたいというふうに考えまして、向こうと折衝いたしておるということでございます。  内容及び性格等につきましては、丸山局長から御答弁を申し上げます。
  246. 丸山昂

    ○丸山説明員 協議機関の名称と中身でございますが、まず名称から申し上げますが、名称は、日米防衛協力小委員会という仮称でございます。最終的には、ただいま大臣がおっしゃいました日米安保協議委員会、これは防衛庁長官、外務大臣、それから先方はアメリカ大使、太平洋軍司令官、この間で協議が行われるということになっておりますので、この日米安保協議委員会の下部機構という意味で、小委員会という名前になっております。それで、わが方の案として仮称として考えておりますので、この日米安保協議委員会が開かれました際、日米間で正式に合意に至るということになりますので、最終的にどういう名称になるかについては現在不確定であると申し上げてよろしいかと思います。  その次に協議の対象でございますが、これはまず一つは、かねがね申し上げておりますように、安保第五条のわが国に対する武力攻撃がありました場合に、自衛隊と米軍が整合のとれた作戦行動を実施するために必要な措置に関することが検討の対象となる。そのほかに、米軍の基地使用その他の問題も含んでおります。いずれにいたしましても、日米安保条約の円滑な実施を目的とするということがねらいでございますので、いま申し上げましたようなものが協議の対象事項になるというふうに考えております。  それから、ここが最終的な決定を行う機関であるかどうかということでございますが、この小委員会は研究協議をする場でございまして、ここで研究協議をいたしました結果は、上部機関でございます日米安保協議委員会に報告をされ、そして日米安保協議委員会においてどのように措置するかを御決定をいただく、こういうことになっておるわけでございまして、ここで最終的な決定を行う機関ではない。これは性格ははっきりそのように決めたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、それぞれ専門的に検討をしなければならない課題が出てまいりますので、そのために、この新協議機関でございます日米防衛協力小委員会の下に臨時に部会をそれぞれ設けるということを考えておるわけでございます。
  247. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いまのことは大体それでわかりました。  そこで、これは何か定期的に開くものですか、それとも、随時問題があって開かれるのか、その点をもう一点。
  248. 丸山昂

    ○丸山説明員 この点についても、第一回の日米防衛協力小委員会を開きました際に、この辺を日米間で煮詰めたいと思っておりますが、日本サイドで考えておりますのは、随時協議をするということで考えておるわけでございます。
  249. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それで、もう一点ちょっとその点でお尋ねしたいが、いま問題になっておりますP3Cの導入などについてもお話し合いをされる予定があるのか。私どもが考えますと、米側がP3Cの導入を求めてくるんじゃないかという懸念があるのですが、こういうことは論議の対象にはならぬのですか。
  250. 丸山昂

    ○丸山説明員 この協議機関は、先ほどから申し上げておりますように、有事の際における共同作戦、共同行動、これについての調整を協議の主題としておるわけでございまして、ただいま先生御指摘のP3Cをどうするかという問題は、わが国の防衛整備の問題でございまして、アメリカにとやかく口を差しはさませる問題ではございません。わが国がみずから決定すべき問題でございます。これについて仮にP3Cを導入するというわが方の結論が出れば、これはアメリカに支援をしてもらわなければならない問題でございまして、全く次元の違う問題であるというふうに考えておるわけでございます。したがって、この協議機関でこのようなことが議題になるということは考えておらないわけでございます。
  251. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 わかりました。  あと二十分あるようですから——長官、六時までいいのですね。
  252. 坂田道太

    坂田国務大臣 はい、そうです。
  253. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それではちょっと急いでやりましょう。  第四次防計画は、これはもう申すまでもなく五十一年度で終了するわけでありますが、ポスト四次防計画について、いろいろ防衛庁当局におかれてはその計画策定を進めておると先ほどから折に触れお話を承りましたが、今度のポスト四次防はやはり五カ年計画でおやりになりますのか、名称がはっきり第五次防となるのか、その辺のところはいかがでございますか、お尋ねできますか。
  254. 坂田道太

    坂田国務大臣 長期計画は考えたいと思いますけれども、まだ五次防とかなんとかいうふうには考えておりません。
  255. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それでは、いつごろ防衛庁案が決まって、そして国防会議にかけられて正式に御決定なさるお見込みですか。目安ですね、大体いつごろになる御予定でございますか。
  256. 坂田道太

    坂田国務大臣 第一番目の目標は八月の概算要求決定の時期かと思いますけれども、それまではちょっとむずかしいんじゃないかというふうに思っております。最終的には、十二月の予算編成時期までには国防会議に諮って決めなければならないというふうに思っております。
  257. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 わかりました。  そうすると、必要経費はおよそどの程度になる御予定でございますか。
  258. 丸山昂

    ○丸山説明員 各幕僚監部で作成をいたしました第一次の案を総合計いたしましたものは、五カ年の計画で約十二兆六千万というのが出てまいりました。これは正確に申しますと、陸海空の三幕の合計だけでございませんで、基地対策費というものが相当多く含まれておりますので、三幕だけで考えますと大体十兆をやや上回る程度というふうに考えております。  もちろん、これは第一次の案でございますので、この案を土台にいたしまして防衛庁内部で現在いろいろ議論をしながら案を作成中でございます。でき上がりの額がどのぐらいになるかについては、現在作業中でございますので、いまの段階ではっきりしたことは申し上げられないと思いますが、先ほどもちょっと話が出ておりましたようにGNPの一%ということをめどにいたしますと、大体約十兆というところが一つの目安になるかと思います。現実にはどのぐらいの額になるかという点については、いまのところはっきりした見通しがございません。
  259. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 先ほども申しましたように、防衛白書にも経費の点について明示されておりませんが、いまの局長の御説明のように、防衛関係費は国民総生産、いわゆるGNPの大体一%以内、こういうことになっておるようです。いまの御説明によると、基地対策費は別として三幕で十兆強だ、おおよそ一%以内になるかもしれぬ。あるいは、それは総生産ですからはっきりわかりませんが、白書には書いてないけれども、通常言われておるようにGNPの一%を超えるようなことはない、このように理解してようございますか。
  260. 丸山昂

    ○丸山説明員 いまのところ、その点ははっきり申し上げられる段階にございませんのであれでございますが、一応一%程度を目標として作業をいたしておるということは申し上げられると思います。
  261. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それはむろん将来のことで、ポスト四次防のことだからおわかりにはならぬかと思うけれども、少なくともGNPの一%以内で抑えるように努力をするというようなことは御発言できませんか。おわかりにならぬことはおわかりにならぬと思うけれどもね。
  262. 坂田道太

    坂田国務大臣 ここのところはなかなかデリケートなところでございまして、防衛白書でも明らかになっておりますような一つのわが国の防衛理念があって、それに具体的な数量等をあわせ見るわけであります。これがやはり日本の防衛上間隙のない防衛体制であるということがあって、その基盤的防衛力の具体的な中身ができて、それを何カ年でやるかということでございまして、これをどういうふうに何年度でやるかという問題も出てくるだろうと思います。固定的な五年の計画にするのか、あるいはいままでの考え方を若干修正いたしまして、三年ごとのローリング方式を導入するとか、一年ごとのローリング方式にするとか、またいろいろの整備のやり方の選択もあるわけでございます。しかしながら、一応われわれのめどはやはりGNPの一%程度ということでございまして、そこはただはっきりと申し上げる段階ではないと思います。
  263. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 わかりました。  いま防衛関係の予算のことを私お尋ねしたのですが、過去の推移を見てみますと人件費が相当高い率を占めておる。これは年々当然増加するものだと思われますが、長官がかねがねおっしゃっておるように、いや、おればそんなことを言った覚えはないとおっしゃるかもしらぬが、私はおっしゃったと思っている。量から質へということをおっしゃったように私は記憶しておりますが、そういう量から質へ、つまり防衛力の転換だ、精鋭力でいくというお考えがちょっと狂ってくるのじゃないか、私はそう思うのです。  そこで、この際思い切って自衛官の定数を再検討される、そして欠員不補充ということをお考えになる御用意はないか。少数精鋭主義、量より質へとおっしゃったと私は記憶しております。いや、おれはそんなことを言ったことはないとおっしゃれば、これはまた別ですが、その点いかがですか。
  264. 坂田道太

    坂田国務大臣 確かに言っておるわけでございまして、量から質へという考え方を基本的に持っておるわけでございます。それは、基盤的防衛力にいたしましても、陸上については上限十八万、それ以上は無理だろうという考えであります。しかし、海上については若干上回る可能性がある。しかし、兵器はどんどん進歩いたしますから、それに応じましてやはり老朽化したものは近代化してまいらなければなりませんし、やはり小さいながらも反撃力のある近代化された軍事力を持ちたいというのが私の考え方でございます。  またもう一点は、確かに現在の予算でいま人件費が五六%程度となっておりまして、かなり物件費が圧迫されておる。物件費が圧迫されておるということは、装備に使う予算がなかなか得られないということでございます。そういうことも考えまして、これ以上人件費がかさんでまいりますと、近代化にいたしましても、量より質と申しましても、限られた財政からそれをつくり上げるということは非常に困難でございます。したがいまして、現在の編成自体につきまして何とか工夫はないものかということで、いま作業を進めておるということだけ申し上げておきたいと思います。それがどうなるのかということについては、まだいま作業をしておる。しかし、そういうことを頭の中に考えておるということは御了解賜りたいと思います。
  265. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 わかりました。  私は根性の悪いことを言うのじゃないですけれども、最初、お聞きする程度だと言っておきました。この御答弁によってまた後日お尋ねします、きょうは時間がないものですから。だからきょうは、いまの長官の将来は工夫研究するというお言葉をいただいておきまして、また後で、どんなに工夫研究したかということをお尋ねします。決して根性の悪いことを言うのじゃないけれども——大体私はそんな人間が悪い男じゃないですから。これはもう自分が言うんだから本当です。  その次に、ポスト四次防の計画でPXLは何機ほど、どの程度装備したいとお考えになっておるのか、また最終的にどの程度装備したいというお考えがあるのか、それをまたちょっと、これもお尋ねするだけでいいです。
  266. 丸山昂

    ○丸山説明員 これもまさに、ポスト四次防の作業を現在やっております中で非常に重要な項目の一つでございます。したがいまして、現在の段階では、大変残念でございますが何機ということをいま申し上げられるところまで至っておりません。  大体、現在私ども、P2JというのとP2Vというのを持っておりますが、これが約百機でございます。このほかにS2Fという、中型と申しますか、固定翼対潜機を持っておるわけでございますが、大体P2Jは耐用年数と年間の飛行時間、こういうものを考えてまいりますと五十六年までがピークでございまして、五十七年から逐次数機ずつ落ちてまいります。で、最終的には昭和六十六年ぐらいまでまいるわけでございますが、この固定翼対潜機の減退に対応いたしましてPXLを現在のところは五十七年から、その落ち込むのに対比してそれを逐次補う形で徐々に入れていく、こういう考え方であるわけでございまして、その結果、最終的に何機を整備するかということは、先ほどから申し上げております基盤的防衛力というものを頭に置きまして、そして対潜、つまり潜水艦に対応する対策として水上艦艇、それから固定翼対潜機、それから回転翼の対潜機、こういつたものを総合的に考えて数量を決めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  267. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いま一つ、そのP2JとP2Vはどうなっていますか。
  268. 丸山昂

    ○丸山説明員 早口で申しましたのであれでございますが、P2Jと申しますのは現在われわれが保有しております固定翼の対潜機の主力でございます。それからP2V7というのがございます。これはいまのP2Jという固定翼対潜機のもとの形、母形でございます。それを改造、改良いたしまして現在のP2Jというのができておるわけでございます。そのP2Jの古い型の対潜機というふうに御了承いただければよろしいと思います。
  269. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それでは先ほどお尋ねして、これもまだ、五十七年度から落ち込んでいく、それに対して徐々に補充していく、だから最終的にはわからない。ところが、防衛庁は当初PXLについては国産化を強く主張しておられましたが、現在もそのようにお考えになっておるか、それともP3Cを輸入したい、このようにお考えになっておるのか、その点をちょっとお尋ねしたいと思います。
  270. 丸山昂

    ○丸山説明員 最近よく申し上げておりますように、昭和四十五年当時から国内開発に着手したいということで予算も要求をいたしまして、当初研究開発費という形で出てまいったわけでございますが、現在も依然として国産でいくという考え方は基本的にはあるわけでございます。ただし、研究開発には通常七年、これが量産化されて第一線配備ということを考えますと九年のリードタイムが必要でございます。そういう点を勘案いたしますと、先ほど申し上げました五十七年からの第一線配備ということになりますと、この国産の期間というものを思い切り短縮をしていく努力をいたしませんと間に合わないということでございまして、そのためにどのような方法が考えられるかという点を現在技術的に詰めておるということでございます。
  271. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 最後に、このP3Cはどのように考えておられるかと申しましたが、これはロッキードの問題で賄賂商法ということが明らかになっておりますので、これは当然見合わせられるべきものだと私は思っておりますが、そういう点もいままだお考え中ですか。これは将来のためですからね。それを一言ひとつ。
  272. 坂田道太

    坂田国務大臣 ロッキード問題は、これだけ国民の疑惑に包まれておるわけでございますから、やはり国民の納得のいく形でなければ次期対潜哨戒機を決めるわけにはいかないというふうに思っておるわけでございます。そのことだけを申し上げておきたいと思います。
  273. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 長官は六時にお差し支えがあるそうですから、ちょうどいま六時でございますから、まだお尋ねしたいことがたくさん残っておりますけれども、終わります。きょうははなはだどうもとぎれとぎれの御質問を申し上げてお聞き苦しかったろうかと思いますけれども、あしからず。また機会がありましたら、たっぷりひとつお尋ねしたいと思いますので、きょうはこれで終わります。どうもありがとうございました。
  274. 木野晴夫

    木野委員長代理 本日は、これにて散会いたします。     午後六時一分散会