○大出
委員 国家公務員災害補償法案がしばらくぶりで出ているわけでありますが、きょうは、実はそれに絡みまして、本来これは労災見合でございますから、労働省の方々にお見えをいただいたわけでありまして、どうも週休二日制などをめぐりましても閣僚懇の中で労働省が反対だということを実は耳にするわけでありまして、不可解な気が
いたします。これらの問題を堀り下げたいと思っているのでありますけれども、この後、この
委員会は法務省にかかわる法案の審議もしなければならぬ
委員会でございまして、そのときにいきなり問題提起をするのもどうも唐突でございますから、労働省の皆さんに、警察庁の方の時間の関係もございまして、ちょっとわずかな時間でございますけれども、整理の意味で最初に問題提起をし、あわせて一言、二言承っておきたいことがございます。
それは、労働省所管でございまして認可をいたしました法人がございます。この法人をめぐる詐欺事件、私は明確な詐欺であろうという気がするのでありますけれども、詐欺容疑濃厚である、こう言った方が言い方としてはいいと思いますけれども、簡単に申し上げますので、警察庁の平井捜
査第二課長さん、お見えになっておりますから承りまして、それから労働省の責任という問題について、次の質問の機会までに御検討いただき、誠意ある態度をひとつ明らかにしていただきたいのであります。
と申しますのは、登記謄本によりますと勤労者福祉協会、こういう名称の財団法人がございます。この財団法人、
理事長さんは、さきの都知事でございました東竜太郎さんであります。それから、まあそうそうたるメンバーが
理事その他に就任をされておられまして、念のためにちょっと挙げておきたいのでありますが、
理事の方々は、日刊工業新聞社の責任者である白井十四雄さん、専務さんは新原安郎さんとおっしゃる方でありますが、専務
理事であります。同じく
理事に、いま時の人の一人でございます。全日空の社長さんをやっておりました大庭哲夫さん。それから順天堂大学の東俊郎さん。野津診療所、有名な方でありますが、野津謙さん。これは悪意で申し上げるのじゃないので、ひとつ誤解いただきたくないのでありますが、私どもの同僚である
大野明さん。それから経団連の、この方も有名な方でございまして、与党の皆さんへの国民協会のパイプ等でずいぶん活躍なさっている方でありますが、花村仁八郎さん。東京商工会議所の影山衛司さん、それから共積信用金庫の森岡謹
一郎さん、黒川建設設計事務所の伊藤貞逸さん、それから
法律家でございます。これは満園勝美さん、それから全国勤労青少年会館の、さきの労働次官でございますが、中西実さん。まだ何人かおいでになりますが、横浜市会の副議長の私のところの大島君なども入っております。こういう方々がずらっと
理事に並んでおられる法人であります。
それでこの法人は、登記面によりますと、勤労者共同の使用に供するため、体育施設を主とし、その他娯楽、文化機関を含む付帯施設を有する総合グラウンドの建設及び運営管理というふうなことが仕事でありまして、各職域における勤労者の体力テストの実施、労働者はいろいろな問題を抱えておりますので、たとえば労働者の心身修養のための研究施設であるとか講習会施設であるとか、あるいは勤労者及びその家族のための各種親睦会であるとか運動会の開催などまで入っておるのでありますが、そういうたくさんの目的を持つ法人でありまして、資本金はきわめて少ないのでありますが五百万円、こういうわけであります。それで、この法人は労働省の認可団体、したがって、監督官庁は労働省でございます。四十六か七か労働省の認可したこの種の団体がございますが、その一つであります。
それで、この団体がいろいろな計画を、時間がありませんから申し上げませんが、各所に持っている。その中の一つに、長野県の下伊那郡平谷村というところで勤労者のための安いゴルフ場をつくるということで金を集めている。ところがこれは昨年の五月初めに労働省がこの専務
理事を呼びまして、資金もないのにそういうことをやるのはよろしくないということでやめろという勧告をしたわけですね。だから、労働省はだめだと言って五月にすでに勧告をしてやめさせるということであった。そして新原専務
理事の名前で、六月十一日には長野県下伊那郡平谷村の村長である熊谷靖郎さんあてに、労働省からやめろということで勧告を受けたというような事情もあって、せっかくお進めをいただいたができないということで取りやめるという公文書を実は出しているのであります。昭和五十年六月十一日労福告五〇第一〇一号、こうなっているわけてあります。ところかこの後で、つまり労働省に五月の初旬に勧告されているのに不思議なことか行われているのてすね。民間建設工事請負契約という契約書がここにございます。つまり、下伊那郡平谷村のゴルフ場用地をまだ買っているわけでも何でもないわけでございますけれども、村長その他に話して、政治的な話が進んでここへつくろうということだったわけでありますが、だめだというので労働省が勧告をした。もうそうなってはっきりしているのに、民間建設工事請負契約書というのがここに正式なものがありますが、これは財団法人勤労者福祉協会と横浜にございます総合芝生株式会社という会社との間で調印されている正式の契約書でございます。何をやらせるかというと、下伊那郡の国民ゴルフ場の芝生造成、この工事一式の請負をさせるという発注であります。
それで、この契約は三億五千万円の契約でございます。この三億五千万の契約をいたしまして、したがって、入会金その他の金を出してくれということで、片や手形を切っているわけでありますが、つまりこの総合芝生株式会社に三億五千万円の仕事をしてもらう着手金というような意味で、東竜太郎さんの名前で契約が成立したということで、五十年九月三十日支払いの千二百五十万円の手形を八千代信用金庫渋谷支店から振り出した、こういうわけであります。これを九月に振り出しておいて、入会金その他でいま金を払ってくれといって、逆にこの総合芝生から合計千二百万円の金を四回に分けて、労福協入会金一口分十万が最初でございまして、それから六百万円、二百四十万円、三百六十万円というぐあいに受け取っている。その受け取りを労福協が切っておりますが、これは全部ここにございます。つまり、総合芝生が払うこの千二百万は全部労福協に受け入れられております。だから勤労者福祉協会、東竜太郎さんのところは業者から千二百万円、金は受け取った。ところが逆に、着手金ということで切った千二百五十万円の手形の方はみごとに不渡りである。明らかにゴルフ場はもうできないことになって、労働省はつくらせないということで、平谷村の村長さんあてに東竜太郎さん
理事長なるところの勤労者福祉協会から取りやめの文書が行っている。わかっている。にもかかわらず民間建設工事請負契約書に正式に調印をして、東竜太郎さんの名前で千二百五十万の着手金を手形を切って業者に渡した。逆に千二百万、金を取った。そちらは現金で入っていて、手形は不渡りである。このやり方はどこから考えても詐欺容疑濃厚としか言いようがない。
私はこの件について——これは一業者ではございません。埼玉県にも同じような被害を受けている業者がもう一つございます。そこで、この業者が警視庁あてに告発書を持って二回にわたって行かれたがなかなかお取り上げにならぬということで私、実は質問する気になって物を申し上げましたが、その後警察の側は告発を受ける、したがって捜査をするという御連絡はいただいておりますけれども、ここで承りたいのは、この団体にはこの種の負債が三億ぐらいある。これはだれが考えてもこれだけそうそうたるメンバーが並んでおれば、資本金は五百万円であったって、一番最初の
理事さんの中には三菱の副社長の寺尾さんも入っているわけですね。これは抹消登記をしておりますけれども、寺尾
一郎さんも入っている。こうなると、これは信用しない方がおかしい。この信用のもとにこういうことをやった。しかも、元労働省の次官まで
理事に名を連ねておられる。労働省が監督官庁であり、認可した財団法人である。それで、警察の方に私はお願いをしたいのは、これはやはり刑事事件として正規な捜査を進めるべきである、社会的に責任の所在を明らかにすべきである。
もう一つは、まさにペテンでありますけれども、具体的に契約が成立して喜んで金を出した、手形はもらったが不渡りになった、こういうようなところに対する救済というのは、これは一体どこが責任を負うのか。労働者の味方であるべき労働省 まあ、週休二日制に反対たからというので因縁をつける気はないのですけれども、それがこういうかっこうにしておくということを放任はできない。一体この被害者の救済措置はどうあるべきなのか。私は事を起こすだけをねらっているんじゃない。そうそうたるメンバーなんですから、たとえば千二百万の被害に遭った人に千二百万全額補償ができなくたって、それなりの救済措置はやはり講ずべきである。
労働省にも承っておきたいのでありますが、なぜこういうことになったかということと、労働省の責任上、この財団法人が目的とするところ、企画がいまでも正しいとお考えになっているんなら、かつての
理事さんあるいはいまの
理事さん等を全部集めて救済措置について考えるなり、さきの次官も入っているわけでありますから、労働省主導型で何らかの形でこの計画を進めようということになるなら改めてそういう方向をとって、その中で、工事の発注なら発注ということの中でこの被害者の救済を、別に利益にならぬでもいいのでありますから、考えてあげるとか、これはそうであれば国の責任ですから、私はそこまでの処理は当然行うべきだというふうに考えているわけでありますが、どうも労働省を含めてみんな逃げてしまう。
私は、それでは事は済まぬと思いますから、いま申し上げた趣旨で警察庁からひとつお答えをいただきますのと、労働省からお答えをいただきますのをお願いして、次の法務省の法案をめぐります問題の中でもう一遍取り上げさしていただきたいと思っております。それまでにしかとひとつその方途を明らかにしていただきたい、こう思いまして、質問に入ります前にひとつ警察庁、労働省からお答えをいただきたいと思います。