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藤井(貞)
政府委員 鬼木
委員は長年教職の実際の御経験を積んでおられまして、その貴重な御体験からのお話がございまして、私も大変肝に命じて承った次第でございます。
実は、その前提として申し上げますと、この間、この
内閣委員会で主任に関する問題の
論議がございました。その際に、いまの問題も提起されました際に、私からも言及をいたしたことは事実でございます。ただ、これにつきましてはただいま私たちの方で
勧告の最後の詰めをやっております。もう時期が参っておりまして、昨年は御
承知のように三月十七日ということで、これはいろいろな
事情がございましたが、大変おくれましたために当
委員会にも大変御無理を申し上げたようなこともございまして恐縮をいたしたのでございますが、今度はできるだけ馬力をかけて、去年のようなことにならないようにということで現在最後の詰めを急いでおりますが、実はまだ最後的な決定に至っておりません。その点を前提としてひとつお含み置きを願っておきたいと存じます。
いませっかくお話がございましたので、
先生の御
意見は御
意見として頭に入れながら一応
お答えを申し上げておきたいと存じますが、この主任の問題をどういうふうに位置づけるかということについては、これの主管、責任官庁でありまする文部省において従来もいろいろ
考えてきたようでございます。
そういうこともございまして、昨年の三月七日に、人確法に基づく第二次、第三次の
勧告に当たってこういう点をひとつ配慮してくれという申し入れが私に対して文部大臣からございました。その中の
一つの項目といたしまして、教務主任等の主任については、まだ
規定は去年の
段階ですからできていませんでしたので、その
規定の整備を待ってひとつ所要の
処遇措置、
給与の
処遇措置を講じてもらいたいという申し入れが実は参っておるのであります。
私たち、申し入れがあったからといって、それをそのまま受け取るとかなんとかということは別問題といたしまして、御
承知のように、従来から
一般の夏の
勧告の際にもそれぞれの
所管の各省からは、いろいろ自分に
関係のある
公務員の待遇
改善あるいは
処遇のあり方、
給与体系等についてのいろいろな注文が参ります。それはそれとしてわれわれは虚心に承りまして参考にいたしておるのであります。そういう
意味から申しますと、文部省が申し入れてまいりましたことも、それなりに文部行政の責任者が言ってくることでございますので、われわれとしてはそれなりに受け取らざるを得ないということでございました。
ところが、これはもう
先生専門ですから御
承知のように、いわゆる主任と言われておるものでもたくさんございまして、それこそもう種類を数え挙げれば五十も六十もあるというようなことでございます。そういうものをのべつに、主任だからといって何かの
給与的な措置を講じてくれと言っても、これは
人事院の
立場としてとうていそういうことはできないというようないろいろなやりとりもございました。
そのうちに、文部省としては
規定の整備をちゃんとやる、そして主任の中でもはっきり位置づけのできる、責任のあるものについてひとつ措置を講ずることにしてもらいたいということに相なりまして、いろいろないきさつがございましたが、去年の暮れに学校教育法の管理規則というものが
改正になりまして、ここに主任の基本
規定ができました。
その後、これに基づきまして国立学校、これは付属でございますが、国立学校の管理規則というものがことしになって二月十日に出されたわけでございます。
そこで、要するに、特に重要と認める主任というものをその全体の中から選びまして別表に取り出してきたということで、その中で文部省が
考えておりますものについて何らかの
処遇措置を講じてもらいたい、これはやはり位置づけといたしましては、連絡、調整、指導、助言ということをやっていくことで、要するに校務の分掌であり、教育業務の分担で、これは確かにほかの
先生とは違ってそれだけ付加業務と申しますか、御苦労であることは事実であるからして、それなりの評価はしてもらいたいという事柄でございます。そこで、われわれといたしましても、目下それについていろいろ
検討はいたしております。
ところが、
一般には、いろいろこの問題をめぐりまして各府県では相当の混乱が起きておるというようなことは新聞紙上その他で、また文部省からの連絡でもって
承知をいたしておりまして、それなりに重要問題であるというふうにわれわれも認識をいたしております。ただ、
制度化というものが行われましたし、それを踏まえてやはり何らかの措置を講ぜざるを得ないのではないかという気持ちになっておりますことは、これは事実でございます。その場合に、何らかの措置を
給与上講ずるといたしました場合に、方法としては
一つだけではございません。
考えられます道はほかにもございます。たとえば、これは例の教職調整額でなくていわゆる調整額でございますね、調整額でもってやっていくという
考え方が
一つございます。これはその
職務自体に特殊性があるからして本俸はいじれないけれ
ども、やはり本俸と同様並みの措置でもってやっていくということで調整額という措置がございます。もう
一つは、これも御
承知の特別調整額、いわゆる管理職手当という
制度がございます。これは、現在、校長と教頭に出されておる問題でございます。しかし、これは文部省が出しました主任の性格から申しましても、また従来から文部大臣以下が言っておりますように、主任というものは管理職じゃないのだということ、事実上それを表現いたしまして、連絡、調整、指導、助言ということになっておるわけであります。そういうことになりますと、また従来からのいきさつから申して、管理職手当をこれに支給するということは
人事院としてもできがたいということになってまいるわけでございます。
そういたしますと、無論これは本俸でやるべき筋合いのものではございませんですし、それから去年いろいろ御
論議をいただきました教職員の特別手当というものがございますけれ
ども、この特別手当というものもやはり教員
一般に支給することで、その特殊の者を
対象にする筋合いのものではございません。そういうことから
考えますと、やはり特殊勤務手当ということがなじむのではないだろうかという
考え方になるわけでございます。
他面、いまお話しになりましたように、全然別個の
制度として法律の中に何か柱を立ててそういう主任手当的なものを書くという方法も、これはないことではございません。しかし、これは私、率直に申しまして、やはり
給与制度というものはいまいろいろな積み重ねでだんだん複雑になってきております。きておりますけれ
ども、やはり本来はできるだけ単純、簡素、明快なものであってしかるべきである、それがまず
一つの理想形態ではないかという
考え方で、余り複雑なことでない方がいいということは常々
考えております。
そういうような面から申しましても、また主任というものの性格から申しましても、これに対して何らかの
処遇を講ずるということを
考えまする場合に、別の柱を立てて法律でもって特別にやっていくということは、これはいかにもなじまないんではないかというようなことの大体の現在の
論議に相なっておるわけでございまして、しからば特殊勤務手当にどうしてもなじまないかということに相なりますと、これは鬼木
先生からはいろいろ御異議もあるかと思いますけれ
ども、われわれといたしましては、たとえばいまお挙げになりました中で、困難な業務
——ほかの
先生とは違ってやはり大変御苦労なことであることは事実でございます。それと、いまの特殊勤務手当の内容を見ますと、そのほかにも多学年の担任手当、その他教育の特殊業務手当というようなものも、やはり特殊勤務手当の中に織り込んでおるというようなこともございますので、全然これになじまないものでもないではないだろうかいうようなことが
論議としてあることは事実でございます。しかし、いまのところまだ最終的な決定ではございません。いまの鬼木
先生の御心配の点その他は十分腹に入れながら最終的な結論に持っていきたいと思っております。