運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1976-03-04 第77回国会 衆議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年三月四日(木曜日)    午前十時五十分開議  出席委員    委員長代理 理事 竹中 修一君    理事 阿部 喜元君 理事 木野 晴夫君    理事 藤尾 正行君 理事 上原 康助君    理事 大出  俊君 理事 中路 雅弘君       有田 喜一君    大石 千八君       大村 襄治君    片岡 清一君       瓦   力君   小宮山重四郎君       中馬 辰猪君    旗野 進一君       林  大幹君    三塚  博君       箕輪  登君    吉永 治市君       和田 貞夫君    木下 元二君       瀬長亀次郎君    鬼木 勝利君       鈴切 康雄君    受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      植木 光教君  出席政府委員         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         給与局長    茨木  廣君         総理府人事局長 秋富 公正君         総理府恩給局長 菅野 弘夫君         防衛施設庁施設         部長      銅崎 富司君         沖繩開発庁総務         局長      山田  滋君         沖繩開発庁振興         局長      井上 幸夫君         厚生省援護局長 山高 章夫君  委員外出席者         人事院事務総局         給与局次長   角野幸三郎君         総理府統計局調         査部長     永山 貞則君         厚生省援護局援         護課長     佐藤 良正君         内閣委員会調査         室長      長倉 司郎君     ————————————— 委員の異動 三月三日  辞任         補欠選任   林  大幹君     細田 吉藏君   受田 新吉君     安里積千代君 同日  辞任         補欠選任   細田 吉藏君     林  大幹君   安里積千代君     受田 新吉君 同月四日  辞任         補欠選任   赤城 宗徳君     大村 襄治君   有田 喜一君     片岡 清一君   大石 千八君     瓦   力君   和田 貞夫君     大柴 滋夫君 同日  辞任         補欠選任   大村 襄治君     赤城 宗徳君   片岡 清一君     有田 喜一君   瓦   力君     大石 千八君   大柴 滋夫君     和田 貞夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出第  二二号)      ————◇—————
  2. 竹中修一

    竹中委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長が所用のため出席できませんので、私が委員長の指名により委員長職務を行います。  恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。受田新吉君。
  3. 受田新吉

    受田委員 総務長官、あなたの御所管の事項の中に、公務員退職年金が総括的に含まれておるのか、あるいは部分的にしかないのか、お答え願います。
  4. 植木光教

    植木国務大臣 公務員退職金については総理府所管でございます。
  5. 受田新吉

    受田委員 公務員退職後の年金についてお答えを願っておるわけです。
  6. 植木光教

    植木国務大臣 共済年金についての御質問でございましたならば、それは大蔵省所管でございます。
  7. 受田新吉

    受田委員 公務員退職後の年金支給の中に大蔵省所管がある。それから総理府所管がある。そういうふうに分離されておる。そこで、人事院国家公務員法第百八条により退職後の公務員年金制度検討をした結果、勧告権が百八条にある。その百八条で勧告された扱い大蔵省総理府に分かれて扱わなければならないかどうかです。
  8. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 それは意見申し出内容いかんにもよることと思います。
  9. 受田新吉

    受田委員 国家公務員法第八節第百七条にある退職年金制度に対する第百八条による勧告、その勧告は、恩給法適用を受ける退職公務員と、各種共済組合法適用を受ける退職公務員とで違う、それを人事院は一括して担当しておると解釈してよろしいかどうか。
  10. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 百七条、百八条関係は、これは退職年金というものを対象にして規定をいたしております。したがって、この年金というのは御承知保険数理に基づく現行の大蔵省所管共済組合として運営されておりまする共済制度を指しておるものでございます。したがって、この百八条関係は現在の共済組合運営いたしておりまする退職年金というものになるわけで、その他いわゆる一般恩給受給者というものについては、この条文では含まれておらないというふうに思います。
  11. 受田新吉

    受田委員 そうしますと、恩給法適用を受ける退職公務員退職年金制度については勧告権がないということですか。
  12. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 厳格な意味で、いわゆる勧告権という中に入るかどうかということについては問題がございますが、われわれといたしましては、個々にはございませんでも、要するに一般的な人事行政改善ということの中には広義には含まれてまいるというふうに解釈をいたしておりますので、その観点に立って、これは先生が前から御指摘になっておりますようなこともございますので、われわれといたしましては恩給受給者等についても関心を持っておることは事実でございまして、そういう点からいろいろと調査対象にして考えておることは事実でございます。
  13. 受田新吉

    受田委員 健全な保険数理基礎にしてこの年金制度検討するということになるならば、共済制度の部面だけにしかその調査対象は当てはまらない。そうすると、恩給法適用を受ける退職公務員枠外であるが、全面的な人事行政上の、あるいは給与制度上の問題として見るときには恩給法適用を受けるものも含まれる、こういうことですね。
  14. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 一般的にはそういうふうに御理解いただいて結構だと思います。ただ恩給受給者につきましては、これは恩給局が主体となって実施並びにいろいろ改善措置について、毎年の予算時期等を通じて努力をしていただいておりますので、それを当方といたしましてさらに根本的な問題として取り上げてまいるということにつきましては、従来のところまだわれわれとしてそういう体制をとっておりません。しかし一般的には対象には入るということは申し上げておいてよいと思います。
  15. 受田新吉

    受田委員 国務大臣植木先生として非常に問題を抱えておられるわけなんです。つまり、私ここでいま指摘するのは退職手当の問題じゃないのです。それはいま全然枠外に置いて質問しておるわけですから御了解願いたいのですが、あなたの部署に秋富さんが局長をしておられる人事局長人事局長指揮監督する権限植木先生におありと思うのですが、どうですか。
  16. 植木光教

    植木国務大臣 総務長官人事局長指揮監督をいたしております。
  17. 受田新吉

    受田委員 そうしますと、秋富さんはかつて人事課長をしておられた。あなたの総理府人事課長がおられるが、これはあなたが指揮監督できるかどうかです。
  18. 植木光教

    植木国務大臣 人事課長は、御承知のように、内閣官房人事関係とともに、総理府内での人事課長としての身分を持っているのでございます。したがいまして、総理府総務長官人事課長指揮監督をいたしております。
  19. 受田新吉

    受田委員 人事課長総理府総務長官単独指揮監督権に服するのかどうかです。
  20. 植木光教

    植木国務大臣 人事担当参事官という身分人事課長としての身分とを持っているわけでございまして、人事課長としての身分上の職務範囲につきましては、総務長官指揮監督をいたしております。
  21. 受田新吉

    受田委員 そうすると、人事課長は二様の人格を持っている。一方は総務長官指揮監督を受ける人事課長である、一方では人事参事官として官房長官指揮監督を受ける、こういう二人の国務大臣によって指揮監督を受ける身分にある、こう了解してよろしゅうございますか。
  22. 植木光教

    植木国務大臣 内閣参事官としての人事担当官でありますとともに、総理府人事課長でございまして、具体的に申しますならば、ただいま総理府総務長官指揮をいたしております人事課長が、内閣参事官兼務をいたしておる、こういうことでございます。
  23. 受田新吉

    受田委員 そうすると、人事課長本職であって、参事官兼職である、こういうことですか。併任ですか、どっちですか。
  24. 植木光教

    植木国務大臣 そのとおりと理解をいたします。
  25. 受田新吉

    受田委員 どっちかを聞いたのです。
  26. 植木光教

    植木国務大臣 人事課長であり、内閣参事官兼務をしておる、こういうことでございます。
  27. 受田新吉

    受田委員 いや、兼務ですか、併任ですかと言うのです。本職人事課長で、人事参事官兼職か、どっちですか。併任かということです。
  28. 秋富公正

    秋富政府委員 人事課長が本務でございまして、内閣参事官併任でございます。
  29. 受田新吉

    受田委員 兼職併任かです。
  30. 秋富公正

    秋富政府委員 兼職でございます。
  31. 受田新吉

    受田委員 わかりました。  そこで、人事課長総理府総務長官監督を受ける、そして同時に人事局長指揮監督を受ける。それで人事局人事課とが、指揮監督をそれぞれのマスターが受けるわけですが、にもかかわらずその人事課長人事局長指揮監督を受ける配下にないのでございますか。
  32. 秋富公正

    秋富政府委員 総理府人事課長、正式に申しますと内閣総理大臣官房人事課長官房でございまして、私の方の人事局長原局でございまして、人事局人事課長指揮監督する立場にはございません。
  33. 受田新吉

    受田委員 制度的に一つ問題があると思うのです。総理府総務長官指揮監督を受ける人事局長人事課長が、同時に人事局長人事課長を何ら指揮監督する地位にないというのは、他の役所と大変相違するわけです。普通、局長のもとに課長があるわけです。同じ人事を担当しながら、局長課長を何ら束縛をできない。どの面かにおいては、指揮はできなくとも監督することはできるのじゃないですか。
  34. 秋富公正

    秋富政府委員 私の方の人事局は、政府全体の人事の管理につきましてこれを総合調整する立場にございます。したがいまして、総理府人事課長につきましても、各省庁の人事課長あるいは秘書課長と同じように、そういう意味におきましては、政府全体の人事行政につきまして人事局といたしましてはこれを総合するという立場にはございます。
  35. 受田新吉

    受田委員 機構として非常に変なんです。長官はそう思いませんか。
  36. 植木光教

    植木国務大臣 人事局が担当いたしております職務人事課が担当いたしております職務とは別個のものでございますので、したがって、人事課長人事局長指揮監督下にありませんでも職務は遂行できるわけでございますので、その点の、その職務の分担が違うという点に着目をしていただきたいと存じます。
  37. 受田新吉

    受田委員 これは非常に変な制度総理府職種にある。少なくとも、私たちは多年総理府人事予算を握って仕事をしてくれるのが一番いいと思っておるのです。実は予算局とか人事局とかというのが並立して総理府にあれば、行政組織上非常に運営妙味を得るという考えを持っておるわけですけれども、その人事局が一応できた。ところがその人事局というのは、総務長官指揮下にある人事課長職務権限については一切干渉できないというような哀れな——表れと言っちゃ失礼ですけれども、特殊の任務があるので、同じ総理府役所が、人事課長というポストについては、同じ棟の中にある人事局長がそれぞれ独立の権限を持って干渉できない。かっこうの上ではちょっとおかしいと思うのです。これは秋富さん両方経験されているので、それで差し支えないと思っておられても、外形的には問題がある。  そこで、それはそれとして、ひとつ長官、いま人事院国家公務員法の第百七条——以前、保険数理に基づく共済制度ができるまでは、もう恩給一本で来た時代は、勧告が全部総理府の方で処理されることになっておったわけです。ところが昭和三十四年に全面改定があって、こういう制度が生まれて、そして総務長官所管の中から、保険数理基礎とする共済制度大蔵省へ逃げた。逃げたけれども人事院は依然としてこの共済制度対象になる退職公務員に対する退職年金については勧告権を持っておるという意味で、こうした退職年金に関する行政処理上の問題としては、ここで非常に運営に困る問題が私は起こると思うのです。人事院退職者退職年金勧告をする。それは給与に対する勧告は一切総理府が受けてやり得るのだから、また退職年金についても総理府人事院勧告を受けて一括してやれるようなかっこうに、実際に行政運営上はそうなっていくのが、行政能率を上げるのには非常にいいと、こういう考え方を総務長官お持ちじゃありませんか。これはこの前、私ちょっと一部触れたわけですが、きょうは本質論に触れてひとつお尋ねしたいのです。
  38. 植木光教

    植木国務大臣 ただいま御指摘のように、恩給受給者についての恩給支給額につきましては、総理府恩給局中心といたしましてその改善方を図っているわけでございまして、その改善をいたしておりますのは、長い間の沿革に基づくものでございまして、恩給そのもの改善については、ただいまの制度において特別の支障を来しているとは考えていないのでございます。したがいまして、私どもとしては、恩給につきましては恩給局中心となりまして公務員についての年金制度である恩給制度の充実を図っていくということでしかるべきであるというふうに考えております。
  39. 受田新吉

    受田委員 昭和三十年代の前半に相次いで国家公務員各種共済制度が生まれた。そして共済年金というものがそれぞれその法の基礎に基づいて生まれてきた。それは保険数理基礎にするものであるという意味で、大蔵省へ皆所管が移ってきた。しかし同じ公務員で、事実前半恩給法適用を受け、後半は共済組合法適用を受けるという、同一の人物が二つ制度適用を受けておるわけです。そういうときに行政運営をするのに、とにかく国家公務員退職年金はある役所で一本でまとめてやる方が運営上妙味があるとお考えではないか。だから、大蔵省主計局であったか、共済課があり給与課がある、その共済年金の分だけは総理府へいただくというかっこうの方が、一貫して国家公務員退職年金処理をするのに便宜であると、こうお考えではないかとお尋ねするわけです。
  40. 植木光教

    植木国務大臣 この点につきましては、従来から受田先生から御指摘がございますし、また参議院におきましても同様の御意見がございます。恩給制度共済制度とは沿革や性格も異なりますために、これを一本化するということは大変困難な事業でございますけれども退職公務員に対する処遇をつかさどる組織一元化ということにつきましては傾聴に値する御見解でございますので、私といたしましては昨年来政府部内におきまして検討をすべきであるということをお答えを申し上げました。そして恩給局のみならず、総理府部内におきましてもこの検討を命じたのでございまして、いろいろむずかしい点があるのは御承知のとおりでございますが、私どもとしましては部内の検討を進めますとともに、すでに関係方面、具体的に申し上げますと、大蔵省との間で協議を始めているという段階でございまして、まだ結論は出ておりませんけれども、この組織一元化ということにつきましてはいま申し上げましたような取り組みをしているところでございます。
  41. 受田新吉

    受田委員 総務長官昭和三十三、四年ごろ、この退職年金扱い共済制度として大蔵省へ持っていくか、あるいは引き続き総理府が握るかというので非常な論議を交換された時代があったわけです。当時、総務長官の今松治郎さんという愛媛県選出の代議士が総理府へ置きたいと熱烈なる意思表示を述べ続けてきたわけです。そしてついに刀折れ矢尽きて共済制度をあっちへ持っていかれた。しかし人事院としては公務員退職年金については一貫した勧告をするわけになるのですから、大蔵省勧告対象が移っておるということについては、総理府人事院の密接な関係があるだけに実際は奇異な感じを持たざるを得ないわけです。それで主計局の中から共済課仕事総理府へそれだけを抜き出すことが可能かどうか。  つまり共済課というのは共済制度の問題を扱う、その退職年金の分だけは独立した役所であると私は思うのです。だから退職年金部分だけをこっちへ持ってくるというのは機構上そうむずかしいものではない、国家行政組織法改定をやるのにはごく簡単にいく、こう私は思うのです。そこに政治的な判断が、同じ公務員で、前半恩給法適用を受けた人が、後半共済組合法適用を受けることになったという非常に奇異な、調整措置はそれぞれとってあっても、困っておる。たとえば傷痍軍人が増加恩給を受けたのが、後に国家公務員共済制度の方の職員になって、その増加恩給を受けた部分が新しい制度の上では非常に冷遇されることになるというので、その救済措置を扱ってそれを救済することができた。事実それは非常に厄介だった。私はその論議を担当した議員として、何と厄介なことか、こう感じたわけです。これは一貫して恩給法適用を受けるものにしておけば、退職共済制度国家公務員になった人が、恩給法の継続でやるならば非常に簡単なことになるのが非常に厄介になるということになるわけです。  それからもう一つ。この際、長官が指示され、閣議で発言され、それで大蔵省折衝をされておるということから、私非常に前進しておると思うのですが、これは政府管掌組合管掌かというような問題として向こうからもぎ取るのには大変な抵抗があると思いますが、もう一つ公務員年金としては一貫した行政処置をする上においてはまだ恩給局も三十年や四十年仕事があるのです、終戦当時二十であった人がいま五十、もう八十まで生きるとすればある。あるが、そう遠くない機会に、それから余り長くはもてぬ、対象になるものがなくなる。そうすれば、共済制度をこっちへ持ってきておけば、総理府のもとに、せめて公務員現役の場合には人事院総理府が組んで給与改定をする、退職後もまた総理府がその年金を扱っていくというふうにすれば、一貫して公務員処遇が、現役から退職——私企業等にも関与できないで非常に清潔な生活をしながら公務に従事した人が、退職後も総理府のめんどう見によってその保障ができる、こういうことになるならば、退職年金行政上に大変一貫した系統的なお仕事ができる。そうすれば恩給法適用を受ける人、大蔵省主計局共済課が担当している組合管掌退職年金を受ける人、それが公務員年金局という役所によって、もう理路整然、首尾一貫した行政措置によってとうとい生涯を終わることができるということになるのです。そうすれば、恩給局はやがで三十年、五十年後に廃止するということでなくして、仮称公務員年金局として将来現役給与総理府がやり、退職後の給与総理府がやるということで、行政組織として非常に調子がいいわけです。この問題をまた、大蔵省主計局長を呼んでからここで論議しなければいかぬと、複雑多岐なものになるのです。大蔵省をここへ呼んでいくと大蔵省はまた抵抗すると思うから、私はきょうここへ呼んでないのですが、それは、あなたが国務大臣だから大平君を説得して、これをこちらへ取り戻すいい時期だ、あなたのような幅の広い、信頼の厚い総務長官のときに。大平君は私と一緒ワンワン会の会員であるし、私からも言いますがね。この際適当に、ひとつ仮称公務員年金局として一貫して、現役人事局退職後の公務員年金局、これが名コンビ総理大臣直轄機関としての総務長官指揮のもとで処理ができる、こうなったら非常に——いまのところ、恩給法改正をやる、今度あちらへ行って各種共済組合法改正大蔵委員会でやる、複雑多岐ですよ。これは生い立ちのときが非常に不幸な生い立ちになっておったと思うのです。いま静かに顧みて、こうした基本的な大問題をすでにもう一年前から取り組まれておる。私、これは当委員会でもう三十四年、三年のあの審査のときから一貫して言うておるわけだが、最近特にこれ、また盛り返したわけなんです。盛り返す理由があるのです。扱ってみて、やはり公務員年金局としてこちらでやった方がいいのですよ。だから共済課の方がいかにじたばたしたって、その陣容においても人事院を動かす力もないし、そして他の職種との関係などから見ても、大蔵省、非常に不便な、しかし総理府へ持ってくれば現役退職者も、特別職から一般職、全部ひっくるめてやりよるのですから、非常に便利がいい。勧告があっても一緒処理できる。  人事院総裁、あなたは去年の委員会で、退職年金勧告についても大蔵省共済課と十分検討したいと御就任直後にお答えになりましたが、その後この共済制度組合管掌方式による年金について、いま私が指摘した点について、大蔵省のだれかを呼び出されてでも検討をする準備をされたか、まだ放任していらっしゃるか。いま総務長官大蔵省との折衝を開始したとおっしゃるのですが、勧告対象二つの省にまたがっているという不便のためにまだ手をつけておられないかもしれませんが、いかがでございましょうか。
  42. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 御承知のように三十四年の改正前におきましては、新しい退職年金制度というものは国家公務員法上すでに姿をあらわしておりますが、これはやはり形としては保険数理に基づくものというふうに規定をされておりまして、しかも当時は、これは恩給制度としてやっていこうということになっておったのであります。それがいろいろな事情もございまして現在の共済組合制度ということになったわけでありますが、これはすでに当時の、三十四年の改正前の国家公務員法規定に基づいて、人事院といたしましても種々検討を加えてきたところでありまして、成案を得て、実は案はすでに持っておったということは恐らく御承知だろうと思います。しかしこれが実行に移されないままにいろいろな事情のために共済組合制度ということになりまして、その結果、所管大蔵総理府ということに分かれたということに相なったのでございます。  そこで私といたしましても、どういう考えだとおっしゃれば、これはやはり一本化していくということが一つの見識だと思います。方法として大変傾聴に値する議論であろうというふうに私自身も考えております。ただ、これはいろいろないきさつがございまして二つに分かれております。そういうことで総理府の方では一元化等の問題について大蔵ともお話し合いを始めておられるということは漏れ承っておりますけれども、この段階において、われわれ人事院といたしまして機構の問題についてとやかく言うのはまだその時期ではないし、またたてまえ上、これは組織機構の問題になると御承知行管でございますので、われわれといたしましてそこまでとやかく言う準備もございませんし、そこまではいかがかと思って、まだそこのところまでは踏み切っておりません。現在のところはまだそこまではいっておりません。
  43. 受田新吉

    受田委員 わかりました。人事院総裁としては、勧告をしたりするのに二つに分かれておるのは便利が悪いという気持ちがある。機構については干渉する権限はないわけであるが、便利が悪い。  それならば植木先生、やっぱりこの問題は踏み切って、新しい体制に乗り出していい時期が来ておると思うのです。そして恩給局が、恩給というとかく古い時代のものを残しておるような印象を与えておる、けれども常に新鮮な社会保障制度等も採用して退職者処遇考えておるこの役所を、ずっと永遠に続けられるような体制に切りかえていかせる、そして現役公務員扱いをする人事局退職後の公務員扱いをする仮称公務員年金局、こういうものが名コンビで、現職から、退職してこの世を去っていくまで一貫して人事院お世話になり、また総理府お世話になるという体制——大蔵省の一課の端の方へちょこっととまっておるというのは寄せ木細工で、これはちょっとおかしいですよ。いま深い反省が来ておると思うのです。国家行政組織というものは、実際に幾たびかの試練を経てやっぱりここがいいんだということになれば、その判定は時の政府がする。そして当委員会の議員さんたちもみんなそれについては大体一貫した意見を持っておられると私は予測するのですが、この際一本にして新しい体制に入るという、それを提唱するお役目は植木先生にある。しかもあなたは「花は一音なけれどもよく客をとどめる」、すばらしい花、美しい花は黙っておるが、しかし多くの人が寄ってきて離れようとしない、魅力ある国務大臣として存在しておるわけですから、他の閣僚諸君が三木総理に具申して、この際この問題をやろう、やろうじゃないかということになれば、あなたの長官時代基礎ができると思うのです。十数年の試練を経ました。試練の答えはこれだ、それが政治家なんです。人事院もいま素直に、機構については干渉権はないがやはり一本の方がいいんだ、もともと恩給法という線で考えてきた、こうおっしゃったでしょう。長官の決意を御表明願いたいです。
  44. 植木光教

    植木国務大臣 受田先生から昨年御発言がございました後に、参議院におきましてもこれが論議せられたということは先ほど申し上げましたが、その際大蔵大臣も同席をしておりました。大蔵大臣から沿革についての説明をせられるとともに、「大蔵省仕事総理府恩給局の方に移すことも一案ではないかという御提案でございました。御提案の趣旨は理解できないわけではございません。国家の行政組織全体の中で、最も効率的な運営をやってまいらなきゃならぬわけでございますので、検討に値することと思いますけれども、ただいまのところ、政府はまだそういう方向に踏み切ったわけではございませんが、御指摘の点もございますので今後検討さしていただきたいと思います。」こういう答弁を大蔵大臣もしておられるわけでございます。したがいまして私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、総理府部内におきましてこれの検討を指示をいたしまして、そして大蔵省との協議に入っているという状況でございます。いろいろ困難な問題はございますけれども、私どもといたしましては御指摘の点につきましてさらに努力をいたしてまいりたいと存じております。
  45. 受田新吉

    受田委員 大平大蔵大臣とこの問題について、私話したことがあるのです。ちょうど昭和二十九年に私が衆議院の最後の人事委員長時代に、大平君は理事をやってくれたのです。それから内閣委員会一緒に行ってこの問題をお話ししたことがあります。そういうことで事情はよくわかっている。したがってこのお二人の国務大臣によってこの問題の処理をするのにチャンス到来——いいです、私、大平大蔵大臣にもよく、いま御本人予算問題で非常に御苦労をしている時期と思いますが、お話をしますから、ひとつお二人で話をされて、そして他の閣僚、それからこの関係共済組合対象になる人々の問題もあるが、それは大蔵省から総理府へ来たらおれたちは反対だというような公務員というのはそうよけいおらぬと思うのです、これは。所管が違ったって別に身分をどうするのではなくして、むしろ恩給局一般社会保障よりも優先した仕事をやっておるわけです。公的年金のバランスをとろうという社会保障制度審議会などの答申も出ているが、他の公的年金と比べて、在職中一切の私企業等にも関与できない、また自動車事故をやってもすぐ首になる、はかの会社などでは自動車事故をやってもなかなか首にならぬ、そういうようなことを考えると、非常に厳しい公務に従っておる公務員に、一貫した、現役退職を通じた処遇を図っていくという役所総理府としてやる。また総理府公務員退職手当のことも扱っておるのです。退職手当の方はこっちが扱って退職年金は向こうが扱うというのもこれはおかしい話です。これは一つでやればいいのです。そういう意味から、人事局長所管国家公務員退職手当に関する問題はある。ところが退職年金に関する方はないのですよ。これは非常に片手落ちなんで、そうした問題をこの際根本的にひとつ検討されたい。そう大きな壁はない。十数年の歴史は、ここに公務員年金局の設置ということで共済課をこっちへ持ってくる、つまり退職年金に関する課をこっちへ持ってくる、こういうことで事はおしまい。人事院総裁も複雑な二本のまたを渡り歩く立場でなくなるということで、めでたしめでたしで答えが出るということで御提案をしておきますから、きょうこの機会に勇気を持ってこの問題を考える。そして恩給局の将来、というのは別に郷愁を感ずるという意味じゃないのですよ、これに魅力を感ずるんじゃなくして、新しい時代の展開に即応する機構として、仮称公務員年金局として再発足をするようにできるだけ速やかな御処置を願いたい。少し基本問題に時間がかかり過ぎまして、私十二時ということで二十分初めがおくれたようですから、二十分おくれますから、ひとつこれから中身に入っていきます。  恩給法改正案を拝見をいたしました。また新しい予算措置も承知しております。そこで、この恩給法改正を見ても非常に前進している、去年論議されたようなのが早速取り上げられている。たとえば長官に去年私が、公務員の奥様が亡くなった場合に、御主人が公務員でない場合は、長く公務員の妻の協力者として、その公務員全体の奉仕に協力した御主人は何にも処遇を受けない。男女同権の世の中だから、御主人の方にもこの遺族年金が出るように、扶助料が出るようにすべきだと提案したのを早速一例これを取り上げてもらっております。それから傷病年金受給者一款症の該当者が、増加恩給七項症の受給者との間の実支給額のバランスの問題だというので減額措置されたものを、一〇%の減額まで落としているというようなこと、そういう点総理府としては非常に努力をされておる跡が歴然としております。この点この改正案を拝見して非常な御苦労をしておられる、世論にこたえておられる、国会の意思を尊重しておられるということに敬意を表します。  と同時に、ここで、恩給審議会等で出された問題の処理が大体できたということが言えるのでございますが、大事な問題が残っている。それは附帯決議の扱い方でございます。私これは非常に基本的な問題であるから、当局としてもこたえるのがむずかしかったことをよく知っておりますし、また法律の上に制度化をうたうと後から厄介になるというお気持ちがあることはよくわかるのです。私がいま何をお尋ねしようとしているかはもう見当がつかれたと思うのですが、附帯決議の真っ初めに、従来数年にわたって恩給法の二条の二項にある規定をひとつ制度的に——こういう時世ですから実際問題としてはもうスライド的にやっておるのです。最近は現職の公務員給与に事実上スライドするような体制にできた。そうすると、制度としてこれをもうつくっていい時期が来ているんじゃないか。制度とすると、後から非常に厳しくあり過ぎるということですが、ときにまた実際のスライド的な措置をやめようというような内閣ができたときに、制度化しておかぬと後が困るわけです。やはり制度化しておけばよいという意味で、この公務員給与中心にしたスライド制というものを制度化するという基本問題、この基本問題が非常に大事なことであるが、政府としては非常に骨が折れることであるから今日まで残しておると思うのですが、事実問題としてやってきている以上は、このあたりで制度化へ踏み切ってもいいのではないか。  それはある程度の年次計画でやってもいいと思うのです。たとえば国家公務員給与を基準とするというかっこうに切りかえる、そして物価の状況、国民生活の実態等をサブタイトルで書き上げるとかいう段階を踏んでもいいが、とにかく公務員給与基礎にしたスライドの制度化というものは、もう本格的に取っ組んでいい時期が来ておる、こう思うのです。  この問題は昭和四十三年ごろから始まっておるんだ。ひとつ長官、長期にわたって当委員会が党派を超えて、公務員立場を守ろうとして提案しているこれと取っ組む姿勢をお示し願いたい。
  46. 植木光教

    植木国務大臣 昨年の五月七日の当委員会における御決議の中にも「恩給法第二条ノ二については国家公務員給与にスライドするようその制度化を図り」云々というふうに明記してございます。私どもといたしましては御決議の趣旨はできる限り反映をする、また御意見委員会で出されました場合、最大限尊重して努力をするということで今回の改正案も得たのでございますが、この法制化の問題につきましては、まだお説のとおり踏み切るに至らなかったということは事実でございます。この点につきましては恩給局長から説明させますので、お許しいただきたいと思います。
  47. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 いま先生指摘のように、制度化の問題はもう長い間附帯決議にもございます。最初のいろいろ沿革が私はあると思います。  最初、制度化というお話が出ましたときには、恐らく例の恩給審議会方式というものがございまして、物価を中心としたような改定が続けられておりましたので、それを物価中心ではなくて、公務員給与を主としてその基準にすべきであるという御意見あたりから出てきたのではないかというふうに拝察をいたしております。そういうことになりますと、昭和四十八年以来恩給審議会方式を改めまして、公務員給与そのものをもってするということに相なっておりますし、特に今回の恩給法改正におきましては、公務員給与の平均率ではなくて、四十八年以来とりました公務員給与によったけれども、平均的な改善率をとっているという、一律アップではなくて改善傾向をも考慮したものにしているわけでございます。  そういうことで、事実上もう公務員給与一つの重大な基準にするということになったわけでございます。しかもそれをここ三年、四年というふうに続けてまいりましたので、その方向は固まっているのではないかという感じを私自身は持つわけでございます。そういうふうに申しますと、逆にそれではもうそれこそ制度化をするチャンスではないかというお話があると思いますけれども、もう一つは、制度化というものの中身が私はいろいろ問題があると思います。いま申しましたように、公務員給与をやるといっても、その公務員給与のいままでのやり方のように一律なのか、あるいは今度のように上薄下厚なのか、そういうものをどういうものにとっていくのかという問題等もございます。  それからもう一つは、実施時期の問題もございまして、スライドというのは、もう何もしないでもそのまま変わるようなものをスライドと申すのだと思います。現に外国の公務員制度の中には、恩給的なものはいじらないで、公務員給与が変われば即なるというのもございまして、そういう理想的な形をスライドというふうに申しておりますとすると、そういうものにはまだいろいろ周辺に問題があって踏み切れないというのが現状でございます。
  48. 受田新吉

    受田委員 恩給審議会の答申に基づいた原案は、昭和四十一年の改正恩給法第二条に二が入ったわけです。それは「年金タル恩給ノ額ニ付テハ国民ノ生活水準」これが一番上、「国家公務員給与」がその次、「物価其ノ他ノ諸事情」が三番目、それに「著シキ変動ガ生ジタル場合」、この順序で、そういうときは「変動後ノ諸事情ヲ総合勘案シ速ニ改定ノ措置ヲ講ズルモノトス」、こうなっておりますね。それに対して昭和四十四年に当委員会の附帯決議として、「国家公務員給与」をおしまいの方につけてはいかぬ。したがって、恩給法の二ノ二は、その制度の趣旨にかんがみて国家公務員の待遇をよくする、それで退職者処遇するということだから、「国家公務員給与、国民の生活の水準を基準として、消費者物価その他を考慮の上、制度化を図ること。」と変わったわけだ。つまり、「国家公務員」を一番上へ置いた。それから今度はだんだんと変わってきまして、昭和四十六年になりまして、今度は「国家公務員給与を基準として、国民の生活水準、消費者物価その他」ということに前進した。「基準」になった。それから今度昭和四十七年になるともうはっきりと、「国家公務員給与にスライドするようその制度化を図ること。」と割り切ったんです。だから三段階で前進してきたわけです。割り切った。割り切って、自来これが続いておるわけで、割り切った時点で政府は事実問題として現職の公務員給与にスライドするような措置をとって、物価とか国民生活の水準というのは著しく後退させました。最後はいまは現役給与にスライドするというような実質上の運営をしておられる。そこまで踏み切ってきたわけだ。非常に段階を踏んで前進したんです。前進をしてきて今日を迎えているのでございまするから、いま局長さんが御不満が一つある、上厚下薄の線を是正するようにするというようなものをどうするかという問題がある。現役給与をそのまま諸外国の例のようにすかっと割り切るという理想的な型もある。それから、お互い国家公務員である国会議員は政務次官の給与にスライドするような法律ができておる。政務次官の給与が上がれば国会議員の給与はそのまま政務次官の額と同じものが上がるというもうりっぱなスライド制が国家公務員たるお互い国会議員にはできた。できているということになれば、殷鑑遠からず、もうお互いの国会の議員にもそれができておるということであるならば、本当はいま理想型へ一遍に行く方がいいと思うのですが、その前段階としてひとつ、過程が幾つもあるわけですが、スライド制としては政府としては一歩前進したという法案改正に取り組まれてもいいと私は思うのです。そういうことを恩給法で二ノ二を改正するのですから、そうむずかしい問題ではない。つまりこれを第一段階として、国家公務員給与を基準にして、こういうかっこう改正してもいいわけです。その他の諸事情を勘案してというのをつけ加えておけば、いま局長が御心配されるところはなくなってくると思いますから、この附帯決議の趣旨を尊重する制度化へ、ひとつもう時期としてはチャンス到来です。総務長官局長とよく御相談されて、こうして三段階にわたって進歩した附帯決議の趣旨とひとつ本格的に取り組んでいただく時期はもう来ておると思うのです。長官として御答弁をいただきたい。
  49. 植木光教

    植木国務大臣 ただいま恩給局長が御説明申し上げましたような問題点がございます。私どもといたしましてはこの法制化の問題については全然検討をしていないというわけではございませんで、真剣に取り組んでおるのでございます。今後ともひとつ真摯な態度でこの問題に対処してまいりたいと存じますので、本日のところは御了承をいただきたいと思います。
  50. 受田新吉

    受田委員 真摯な態度で取り組むということでございますから、附帯決議の精神を尊重してやるという御意思のようでございます。要望を強くしておきます。  その次、具体的な掘り下げた問題に入りますが、今度の改正の中で、去年私が御質問申し上げた、御主人に対する、配偶者に対する扶助料の支給の改定案を出しておるわけだ。この法案の改正案を見まして、従来は妻とあったのが配偶者と変わっておるわけですね。この上下の比較一覧表、配偶者としてこれは夫は妻に妻は夫にという夫婦相和したりっぱな答えが出た。これは非常にいいことだ。男女同権新憲法下で、いいことです。かつて古今和歌集、醍醐天皇のときの勅選第一代の和歌集の中の賀の歌のところに「一つもて君を祝わん  二つもて親を祝わん 二本ある松」つまりお正月の門松は二本ある、それは、一つの松は夫が妻に、妻が夫に、あなたはあなたはと祝う門松ですよ、もう一つは、今日までお父さん、お母さん育てていただいてありがとうという、親に対する感謝の松ですよ、という歌が賀の歌にあります。一本は、あなたはあなたはと夫婦が互いにこれからを誓う。一本はお父さん、お母さんありがとうという松。ちょうどこれができるのです。つまり、長い間公務員の奥様に尽した、妻に先立たれた御主人に、老後に対する扶助料が出る、いいことですよ。これは善政です。男であるから扶助料がもらえなかったというのが間違っておったのです。非常に善政でありますので、これは大いに祝福すべきことです。従来は不具廃疾であった夫に対してしがなかった。ところが、ここに成年の子供というのがあるのです。成年の子供であって不具廃疾、この不具廃疾という基準はどこに置いておられるのですか。
  51. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 これは恩給法のいわゆる増加恩給に相当するようなそういう疾病を持っておられる方を不具廃疾というふうにとらえております。
  52. 受田新吉

    受田委員 そうしますと、今度は御主人が扶助料をもらう。その御主人が亡くなったときにその子供が不具廃疾であったならば、その扶助料が子供にも来るわけですか。
  53. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 御主人が扶助料をもらっておって、その方が亡くなった場合の成年の子の問題だと思いますけれども、当然にその成年の子がいま言いました条件、不具廃疾の程度になっていて生活資料を得る道がないというときには参るわけでございます。
  54. 受田新吉

    受田委員 だから、いままでは妻が恩給をもらっておった。それが亡くなった。今度は御主人がなくて不具廃疾の子供があれば子供に行ったわけですね。今度は順序として夫が先順位になるということですか。
  55. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 法律の本文においてはそういうことでございます。ただ、現在の経過規定といたしましては、現在もらっている不具廃疾の成年の子がおられます場合にはその方、現在もらっておる方がおるという場合にはその方に参りまして、その次に新しい法律の改正による夫の方に参るということに、これは経過規定でございますが、つくっております。
  56. 受田新吉

    受田委員 恩給をもらった奥さんがまだ生きておる。その奥さんが死ねば不具廃疾の子へ行くわけですね。ところが御主人を先へやるわけでしょう、順序としては。二人おるときは不具廃疾の子供の先へ行くわけじゃないですか。夫も生きておる、それから不具廃疾の子供もおるというときは、夫の方へ先に行くんじゃないですか。
  57. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 先生の例のように、現在奥様が生きておられて普通恩給なら普通恩給というものをもらっておられる場合でございますと、その後に奥様が亡くなられた場合には、今後何年か先に亡くなられたような場合には、順序として今度の法律改正によって夫の方に参るわけでございます。
  58. 受田新吉

    受田委員 そこで、妻が生きている間は子供が不具廃疾でなかった。しかし、それから何年かして不具廃疾になったという場合にはどうなるわけですか。つまり不具廃疾が発生した時点で恩給受給権が発生するという、それから後に不具廃疾になった場合は、間隔があればだめなのかどうかですね。
  59. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 現在不具廃疾のお子さんがおられて御主人がもらわれ、そしてまた御主人が亡くなられてその不具廃疾の子供さんの順番になったときに、不具廃疾であれば、生活資料を得る道、というものは当然ありますけれども、そういう条件を満たせば参るわけでございます。
  60. 受田新吉

    受田委員 つまり、恩給受給者が亡くなる時点で不具廃疾でなければならない。亡くなって何日か後に、その親のショックで精神が異常になって廃人になったという場合はどうなるんでしょうか。
  61. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 現在ではございませんでも、順番が回ってまいりましたときに不具廃疾であれば、他の条件も満たせば参るということでございます。
  62. 受田新吉

    受田委員 この不具廃疾というのは、恩給受給者が死んだ時点で不具廃疾でなければいけないのか、恩給を請求する時点でその親のショックで精神が狂って廃人になったという場合、長く頼りにしておった父が亡くなったのでその子供がショックで廃人になるということはありますよ。これは親子関係などにはよくあるのです。親子が一緒に暮らしておって、そして子供が親の死によって廃人になってきたという時点は、その死んだ時点では廃人になっていないでもそれから急に孤独の成人の子が廃人になって、それから生活の資料を得る道のない子供というのは、恩給法ではどう救おうとしているのか。
  63. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 それは従来からの解釈でそういう者も救っております。
  64. 受田新吉

    受田委員 そういう者も救っておる、それなら今度は夫が中へ入る、非常に善政です。  次、私、傷病者の旧軍人の扱いの中で、去年提案した例の減額措置を一〇%ほどまだ残しておられるのですが、二五%から一五%を差し引いて一〇%残っておる、これはいずれはなくする方向へ前進をしようとしておられるのか、どうかです。
  65. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 総理府といたしましては、全廃をするという方向でたびたび予算折衝をいたしているわけでございますが、そういう意味では総理府の方向が出ているわけでございますが、問題点といたしましては、これに伴いまして間差是正がございますものですから、そういう問題にも響きますので、今回のところは一五%を一〇%、そして七項症の間差を一%上げるということにいたしたわけでございます。
  66. 受田新吉

    受田委員 この間差是正は毎年私が指摘していることでございますが、本格的な間差是正というもの、つまり一五%を減額したときに増加恩給の七項症を一%上げる、間差是正を上げる、ちょうどあそこがデリケートな関係になってくる。今度一〇%をなくしようとすれば、どれだけ間差是正すればいいですか。
  67. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 今度の改正で間差是正を二二から二三にしたわけでございますけれども、一〇%いたしますと二七になると思います。
  68. 受田新吉

    受田委員 当然間差是正を含め、またこれに関連する間差是正という問題も当然含まれてくるわけで、間差是正方式は昭和八年ともう一つ十三年でしたかね、それを勘案しながらいい条件の方で間差是正を図るという基本問題ももう一つあると思うのです。こういう問題もあわせて御検討いただきたい、よろしゅうございますか。
  69. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 十三年とそれから八年は、先生十分御存じのように体系が違いますので、いきなりいい方でというふうにはまいらないのでございますけれども、間差の問題自体は非常に重要な問題でございますので、あらゆる角度から検討いたしたいと思います。
  70. 受田新吉

    受田委員 私、もう一つ傷痍軍人の立場で特別に摘記しなければならない問題は、増加非公死の遺族の処遇です。これは現役時代に軍人として勤務する間に傷病になった、それからその後はもう軍人ではない退職者である。が、その奥さんがその御主人の死後、一般の戦死者の遺族であれば公務扶助料がいただけるのだが、増加非公死として七・五割しかもらってないという問題がある。これはひとつ問題があるのですが、これは例を引いていただきたいのですが、特項症及び一項症で家族はない、奥さんだけという場合の諸手当の増加恩給その他を含めた——まあ普通恩給の方はいろいろ差があるのですが、最下位の普通恩給をもらう人、それから増加恩給とを加えて、特項症の最低の支給はいま幾らになりますか。ちょっと私、数字をいま合わしておりませんので、特項症と一項症でひとつ例示していただきます。
  71. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 ちょっと手元にすぐその数字がございませんけれども、一項症でございますと現行で大体二百二十万ぐらい、改善案で二百四十五万ぐらいになります。特項症はまたその上にいろいろ幅がございますし、ちょっといま手元に計算ございません。
  72. 受田新吉

    受田委員 済みません、もう一遍ちょっと……。
  73. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 特項症の場合でも、先生御存じのように七割までの率がございまして、いろいろケースがございますので、いま詳細なデータはないんですけれども、特項症で三割増しの場合の額が手元の資料にございますけれども、傷病恩給の基本額におきまして現行額が二百八十五万、改善額で約三百二十万ということでございます。
  74. 受田新吉

    受田委員 その改善額で三百二十万もらわれる特項症の三割増の扱いをされる場合ですね、その方が亡くなられたときに、奥さんに対する増加非公死の扶助料年金額は幾らになるかです。
  75. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 いまの方でございますと、今度の改善で約四十六万ぐらいになると思います。
  76. 受田新吉

    受田委員 三百二十万からダウンして四十六万、それは月額にすると四万足らず。重い、肢体が動けないような最悪の状態の、行動の自由が束縛されたような重症の傷痍軍人、長い間青春を犠牲にして看病した、そして疲れ果てた。普通の奥さんであるならば一緒に御主人と旅行もできるのだが、それも耐え抜いてだんなを守り続けた奥ざん。三百二十万から一挙に四十六万にダウンして、月四万足らずの恩給扶助料をもらうことになったというのは、それは悲惨と私は思うのです。青春を犠牲にした傷痍軍人の奥さんに、せめて公務扶助料の額ぐらいのお手当を上げてその老後を守ってあげる。それは私、現役の軍人として戦死した以上の——現役の軍人として戦死した方は、もうその時点から大変お気の毒であるが英霊の妻となって、亡くなられた奥さんの方は、その重い御主人の肢体、四肢がないような重い御主人を看護するほどの苦労が事実問題としてはないのです、実際の現実では。その重い御主人を何十年も守り続けて御主人が亡くなられた。そしてその後へ残った奥さんはもう頭にしらがが生えて、余生、前途が悲観されるような立場に立たされておるその奥さんに、たった四十六万、これは私はお気の毒と思うのです。傷痍軍人の妻よ、これからがんばってくださいという意味では、増加非公死の妻に対してせめて公務扶助料の額、それにいかなくても、せめていま七割五分を八割、あるいは九割と前進させる配慮があってしかるべきではないか。  東京都における一人暮らしの生活保護法の適用を受ける人の生活保護費は幾らでありますか。ちょっと比較してみたいと思いますので……。
  77. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 これは先生御存じのように、生活保護の家族の実態等によりましていろいろ違いますけれども、いまのに比較する例といたしましては、たとえば老人の一人世帯という場合には、東京都の場合には約三十万ぐらいでございます。
  78. 受田新吉

    受田委員 老人の一人世帯で三十万、それは仕事をしないでじっと座っておるような立場で、動けば食費がただになるとかいうような立場になっておりませんか。
  79. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 最後の動けばというところがちょっとはっきり聞き取れなかったのですが……。
  80. 受田新吉

    受田委員 もう一つ、生活保護の三十万の人は、これは老人に対する例の福祉年金が入らないで三十万だけですか。
  81. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 これは厚生省の話でございますが、もちろん入らないわけでございます。
  82. 受田新吉

    受田委員 つまり一人暮らしのお年寄りで、じっとしておって、かつかつ生きる程度の生活保護費が三十万、それから子供を抱えておった場合はどうなるか、それはちょっとその方を抜きにしましょう。三十万、それからこの方は四十六万、十六万ほど多いじゃないかというお説かどうかです。
  83. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 その方が多いということは、事実上多いわけでございますけれども、増加非公死のお話は、先生がいま言われましたとおり、確かに非常に重症な方の奥様等については金額的に十分であるというふうに思っておりませんけれども、しかしながら、やはり傷病年金というものと、それから扶助料というものの性格という基本的な問題があると思います。やはり傷病恩給というものは、その傷病そのものに着目せざるを得ない年金でございますし、扶助料というのは残った御家族に対する扶助の年金でございますので、そういう差がございます。しかしながら、われわれとしても、特に重い傷病恩給をもらった方、増加恩給をもらった方の残された方々に対するのは一般のものではいけないということで、特別に割り増しをした増加非公死扶助料というのがあるわけでございますし、いまその額がまだ不十分ではないかと言われる点については、私たちもこれから十分勉強しなければいけませんが、たとえば今回の、先生御存じのように、扶助料を寡婦加算等の制度をつくりまして、五割に寡婦加算の金額を、たとえば二万四千円あるいは三万六千円、六万円という額を積みましたけれども、そういうふうに、一般の普通扶助料でございますと、六十歳以上の寡婦であるとかあるいは有子の寡婦であるとか、そういう制限をとっているわけでございますが、この増加非公死はもちろん公務扶助料ではないのですけれども、そういう点も十分考えました上で、いま言いました六十歳にならない方にも二万四千円を加える等の措置をいたしておりますし、それから今度の二万四千円等を加える額はもちろん七割五分というようなそういう減額をした額ではございませんで、まるまる加えております。そういういろいろな配慮をいたしまして、できるだけ増加非公死の扶助料というものについても検討していきたいというふうに思っているわけでございます。
  84. 受田新吉

    受田委員 加算を含めたいまの公務扶助料の額を最低六十万まで上げられておる、それは一つ前進です。ところが、非公死の皆さんの場合に——私、もう時間が参りかけておるからあえて重ねませんが、この七割五分というものを八割とか八割五分とかいう一歩前進の措置をとってしかるべきではないか。そのことによって、長期にわたる傷痍軍人の妻として苦労された皆さんに報いる道である。それは国民がこれに納得します。予算的においてもそう大きな額にならぬと私は思うのでございますが、増加非公死の受給額を公務扶助料並みに一歩前進するという措置を当面とってしかるべきでないかと思うのです。お答えを願いたい。
  85. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 非常に技術的なことでございますので、先ほどの答弁が十分でなかったかもしれませんけれども、今度の寡婦加算という制度一般にできましたけれども、これは一般の公務扶助料ではなくて、一般の死亡された方でございますけれども、そういうふうな扱いをしないで公務扶助料と同じ扱いをして、増加非公死の方々には公務扶助料並みに扱ったという加算の制度を開きましたのは、先生の御指摘になる趣旨等を十分踏まえてやった措置でございます。  なお、七割五分をさらに八割なり九割に引き上げるべきではないかということにつきましては、これも恩給内部のいろいろなバランスがございますけれども、いろいろな角度から慎重に検討してまいりたい、十分検討してまいりたいというふうに思っております。
  86. 受田新吉

    受田委員 長官、十分検討したいというお話ですから、ひとつこれは期待しておきます。  もう一つ退職年次による恩給受給者の格差を是正する問題を毎年申し上げた。古い退職者は現在の退職者と比較して、退職当時が古い公務員制度で、たとえば小学校の先生、巡査、こういう方々は判任官のビリの方に置かれておったようなことでございまするから、昔の官吏制度の親任官、勅任官、奏任官、判任官という制度の犠牲者みたいなものだったと思うのです。ところが、いまは小学校の先生も、公務員である警察官も、その給与法というものは教育職、公安職で、その上下の差が非常に圧縮されてきておるわけです。したがって、非常に低い地位に置かれた当時の年金額を累次の恩給不均衡是正をやったけれども、四号俸とか五号俸とかの是正を何回か繰り返したけれども、なおいま古い時代の、昭和二十年前後の退職者などを見ると、いま同じ学校長としてもまだ四割引き、三割引きぐらいしかもらっておらぬような年金額が事実支給されておるわけです。これはどうして是正したらいいか、格差是正の非常に大事な問題があると思うのですが、やめた当時の地位が非常に低かったんだ。その後何回か恩給不均衡是正しても、なお現在やめる人には——同じ校長としていまごろやめれば、少なくとも、最低でも校長でやめた人が百工、三十万はあるのにもかかわらず、昔校長でやめた者がまだ七、八十万から九十万程度である。六割程度しかもらっておらぬという実情です。これは事実、現実にそうなっておる。これをどう是正したらいいか。格差是正の方法は——もう格差是正は済んだんたとおっしゃっている。八割七分へ一割三分を上積みして直ったんだというお説をとっておられるわけでございますが、この問題は根本的な退職当時の地位の低さに伴う恩給金額の昇格ということが原因しておるのをどう直したらいいか。格差是正に恩給局では何か調査会みたいなものを設けて検討しておられるようでございますが、この古い退職者の格差を是正する名案がございませんか。
  87. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 私たちも退職年次別の格差の問題は重要な問題として関心を持っております。ただ、現在単純によく言われますのは、現在の方々、最近おやめになる方々と昔の方々を比べる弊がございますけれども、これは現在の方々はいずれも共済組合退職年金でやめられる方々でございますので、そういう制度の内容が違っております。それから、もちろん掛金も違っておるわけでございまして、そういうこと。あるいは年限等におきましても、昔の官吏制度のもとにおける方々よりは在職年も延びておりますので、そういうことで、そういう結果非常に差が出るということが多いわけでございますが、そういうことを全部捨象しても過去の方の方が低いではないかという御議論もあると思います。しかし、その場合に、過去の給与が正当に評価されましたものを現在どういうふうに評価をするかというのはなかなかむずかしい問題でございまして、まあしかし恩給局としましても、先生十分御存じのように何回かの切りかえのほか、たとえば老齢者優遇の趣旨を含めまして四号アップの問題であるとか、七十歳以上あるいは八十歳以上の方について特別な老齢加算であるとか、そういうものを積み重ねてやっておりますので、現在ではその差というものは非常に少なくなっておると思います。  個々の方につきましてはいろいろな問題があろうと思いますので、そういう方々についてどういう問題であるか、実は昨年も、まあ調査会というほど大きな問題ではありませんが、恩給局内部でも実態調査をやりまして、そういう実態調査の数字がまだ十分固まっておりませんけれども、分析を始めようとしておるところでございます。
  88. 受田新吉

    受田委員 それを前進することを要望いたします。  時間が迫ったですから、ちょっと厚生省にお尋ねしたいのですが、戦傷病者の妻に対する特別の給付金に対する改善措置、ここで戦傷病者戦没者遺族等援護法の改正に関してやっておられるわけです。これはずっと支給対象になる時期をさかのぼるという措置をされてきておるわけですが、これの改善趣旨をちょっと御説明願いたい。
  89. 佐藤良正

    ○佐藤説明員 戦傷病者の妻に対する特別給付につきましては、法律が四十一年に施行されたわけでございますが、第一回に支給された方々が二回目の給付年を迎えるということで、今回二点ほど改正をいたしております。その第一点は、最初に受けられた方々に対して二回目の給付金を差し上げるということで、金額を十万円から三十万円ということでございます。それから、第二点といたしまして、これらの、いま申し上げた方々は日華事変まででございますが、特に満州事変までにさかのぼりまして、昭和六年に、満州事変開始以降日華事変以前に傷痍軍人となられる方の奥さんに対しましても改めて妻の特別給付金を差し上げる、こういうようなことが改正の要点でございます。
  90. 受田新吉

    受田委員 満州事変までさかのぼってきた、昭和六年までさかのぼってきた、しかしその前に幾つかの事変があり、それからシベリア出兵がある、こういうような方々の妻はもうよわいが七十、八十になっておられる、そういう方々に対してはどうですか。
  91. 佐藤良正

    ○佐藤説明員 妻の特給を差し上げる方々の対象といたしまして、現在援護法で扱っておる対象といたしますと、一応日華事変以降が対象になっておるということでございますので、原則といたしまして第一回以降日華事変を対象として扱っておるというような状況でございます。今回、いわば大東亜戦と申しますか、第二次大戦に直接関係のある満州事変まで特に拡大をしたということでございますので、その点についてはいまのところ十分検討しなければいかぬ問題である、かように思っております。
  92. 受田新吉

    受田委員 その問題も一緒検討してもらうべきです。もう少数です。それ以前の戦傷病者の奥さん、これは戦死者、戦没者の方も共通するわけですがね、そういう方々に対する少数の老齢者という問題が一部残されてきたわけです。満州事変以前ということになるとごく少数になってきておるのです。それを対象として、もう生命のともしびが余り長くはともっていないという方々まで拡大するという問題は予算的には大したことがないと私は思います。どうでしょう。
  93. 佐藤良正

    ○佐藤説明員 ただいまの点につきましては、実態等も十分把握しておりませんし、またいまの援護法のたてまえから申しますと、そこまで拡大できるのかどうか、ちょっと問題点が十分ございますので、いま検討はいたしたいと思いますが、問題はあると思います。
  94. 受田新吉

    受田委員 私は、恩給法と戦傷病者の援護法と兄弟みたいなものですから、従来ここで一緒に審査する時間をとらしていただいたのですが、最後に長官恩給法適用を受ける御遺族と戦傷、戦没者の遺族、援護法の適用による遺族が——なお南方その他の諸地域で未帰還の遺骨として残っておる。これに対して全面的に去年から取り組んでこられたわけです。この点は国務大臣としての見解を、あなた自身で総理府でその問題も扱う機関が一つあったですね、遺骨収集。収集は厚生省の援護局の調査課だけでなくして、総理府がそうした問題に取り組んでいる機関があるのではないのですか。これについて援護課長さん、これは調査課長対象になってくるかもしれませんが、局長がおられないので、お答えを願うとしてはちょっとむずかしい問題が——いま局長帰られたが、国務大臣として植木先生、これは遺骨収集、それから諸地域に対する墓参、中共その他におけるまだ未解決の地域等に対しての未帰還者の帰還促進、それから戦没者のたくさん出たところへは慰霊塔、こういうようなものを含む仕事は厚生省だけの問題でなくして、やはり総理大臣の直轄官庁として植木先生国務大臣として何か厚生大臣と相談してもっと積極的に取り組むべき問題だと思うのですが、大臣、このことの相談を厚生大臣としたことはないですか。
  95. 植木光教

    植木国務大臣 昨年も私御答弁申し上げましたけれども、私は議員になります前から、ただいまお話がございましたような遺骨収集、慰霊あるいは慰霊塔の建設等にも当たってまいりました。議員になりましてからも引き続きその努力をいたしておるわけでございまして、この所管は申すまでもなく厚生省でございますが、常に大きな関心を持ちながら、その推進のために厚生省に、大臣を初め多くの方々に私からもお願いをしているところでございまして、したがいまして遺骨収集あるいは慰霊につきましての措置は、従来に比べまして近年非常に充実したものになってまいっておりますことを大変うれしく存じているところでございます。
  96. 受田新吉

    受田委員 これで最後の質問にします。  最後に、ちょっと先ほど質問をしようと思って残しておった問題があるのです。恩給支給時期の問題。実際は公務員給与よりも一年と四ヵ月もおくれておる。せめてこれが一年おくれの四月に支給という線へ前進させていくべきである。それを四月に実施してもなお一年おくれておるのですね。その点もう繰り返し毎年申し上げていることですが、長官のこれに対する配慮を御答弁願って、ちょうどジャスト、約束の時間です。
  97. 植木光教

    植木国務大臣 支給時期につきましては御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましては、四月実施を目途にして努力をいたしているのでございます。五十一年度、財政はきわめて苦しい状況でございましたけれども、他の公的年金等は御承知のとおりの状況でございますけれども恩給につきましては、最後の大臣折衝におきまして、七月一日という、一ヵ月繰り上げということになったわけでございます。決して私どもとしては満足はいたしておりません。できるだけ四月になりますように努力を続けていかなければならないと存じております。
  98. 受田新吉

    受田委員 では質問を終わります。
  99. 竹中修一

    竹中委員長代理 本会議散会後委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十二分休憩      ————◇—————     午後二時二分開議
  100. 竹中修一

    竹中委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  恩給法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。瀬長亀次郎君。
  101. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最初に、恩給法の一部を改正する法律案について若干の質問と要望をしておきます。  今回の恩給費の引き上げは、昨年の附帯決議を盛り込んだ、いわゆる上薄下厚の内容を持つものであり、一定の評価ができると思います。それで、扶助料について若干質問したいと思いますが、最低保障適用になる長期在職者及び実在九年未満の者の遺族である妻の場合、その扶助料は幾らになるか、簡単に数字だけ挙げてもういたいと思います。
  102. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 今度の御提案申し上げております恩給法改正におきまして、現在最低保障制度が普通扶助料についてもございまして、それは十万五千円ということに相なっておりますけれども、その額を一般的には十三万七千五百円というふうにいたしますが、新しく、たとえば一定の条件を持ちました寡婦でございますとか、有子の寡婦でございますとか、そういう方については、さらにその上に年額二万四千円あるいは三万六千円あるいは六万円という加給をいたすのを最低保障といたしております。
  103. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 長期在職者で最低保障適用になる妻の場合でも、いま試算しますと二十九万九千円にしかならない。短期在職者、実在九年未満に至っては十六万千五百円になりますが、総理府の資料で計算してみますと、兵、軍曹、曹長を含めて、いわゆる扶助料の受給者は約十五万三千人、普通恩給受給者が約九十四万人でありまして、これらの人は今後扶助料対象者の中心になっていくと思うわけですが、今回の改正案でも、遺族が十六万千五百円では低過ぎると私は思います。子供に頼るか、特別な収人がない限り生活保護に頼るしかない。生活保護費をもらったとしても、国が八〇%、地方が二〇%見ることになっていますし、結局国の財政負担になるわけであります。生活保護を受けて本人に不自由な思いをさせるよりも、恩給をもっと引き上げて、生活保護に頼る人を少くする努力をこの際すべきではないか。総理府は概算要求では六割給付を要求したと聞きますが、五割給付を六割給付にすると財源は幾ら要るのか、数字だけを挙げてもらいたいと思います。
  104. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 六割要求もいろいろ検討いたしたわけでございますけれども、これは平年度と、それから私たちが今回要求いたしました七月実施と、額は半分になるわけでございますけれども、大体三百億ぐらい必要であるというふうに考えて要求をいたしました。
  105. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 八割給付にすると幾らぐらいですか。
  106. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 これはちょっと、八割というのはすぐに、単純に六割、七割、八割というふうに数字で出ませんのは、たとえば最低保障制度というのがございますので簡単には出ないのですけれども、八割ということになりますともう非常に大きな額になると思います。
  107. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私が試算しましたら、大体九百億円ぐらいかかるのではないか。これは他の年金でも七割から八割は欲しいと要求しているのが現状であるわけですが、厚生年金法では七割にしようとしたが、まあ大蔵省が、恩給にはね返って財源不足になるという理由で拒否されたと聞いております。受給者にとって今回の恩給の処置ではまだ不満な点があると私は見ております。そこで、現在ロッキード問題が世論をさらっておる現実から見て、P3Cオライオン、これ十機の値段をここに回せば、まずこれは十分財源は確保できるのじゃないかという意味での要望を私、最後にしたいのですが、八割給付すべきだということを主張したいのですが、この点についてぜひ努力をしてほしいと要望して、この件について質問を終わりたいと思うのです。大臣いかがですか、要望しておきます。
  108. 植木光教

    植木国務大臣 率による引き上げと額による引き上げは、それぞれ一長一短ございます。今回の額による引き上げによりましても、実は七割を超えるという人も受給者の中に出てくるという状況でございます。したがいまして、私どもといたしましては率による引き上げがよいという考え方をとってまいりましたけれども、今回の予算の最終的な編成に当たりましては額をとるということになったわけでございます。  なお、さらに七割、八割というふうに率を上げろという御要請でございますが、財政状況との関係も十分考えながら、扶助料の増額につきましては率によるか額によるか、それぞれ先ほど申し上げましたように一長一短がございますので、いずれにいたしましても、努力は続けてまいる所存でございますが、ただいま直ちに、いつどうするということを申し上げることはできないことを御理解いただきたいと存じます。
  109. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次に小学校敷地の開放問題について、最初に施設庁にお伺いしたいと思いますが、那覇空軍・海軍補助施設、これが嘉手納へ移転することになって四十九年度から予算が組まれて、たしか五十一年度までに合計百八十七億五千六百万円になると思うのですが、五十二年度予算にどのくらい計上されるつもりか伺いたい。
  110. 銅崎富司

    銅崎政府委員 資料を探しますので、ちょっとお待ちください。——ちょっと手元に資料を持っておりませんので、後ほどお答えいたします。
  111. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私、この前現地へ行きまして調査したのですが、現在の那覇空軍・海軍補助施設は三百六十二万三千平方メートルになっていて、そのうち一部を自衛隊、運輸省が共同使用をしております。現在その施設内に那覇市小禄の第一国民学校の敷地、さらに第二国民学校の敷地があって、この敷地だけでも早く開放してもらえぬかというのが那覇市民の要求になっております。と申し上げますのは、特に米軍基地に大半を取られた那覇市、さらに戦後人口急増に伴いまして現在の在籍生徒数が二千人を前後しているいわゆる超過密小学校が六校、さらに中学校で三校もあって、他府県の類似二十市平均の在籍生徒数にするためには、小学校で二十校、中学校で八校、新しくつくらなければならぬというような状況になっております。したがいまして、このような状況というのは、これは全国にないわけなんです。もちろん自衛隊員の子弟もそこに入って学校教育を受けておるわけなんですが、いずれにいたしましても那覇市及び教育委員会がこの前、那覇防衛施設局長の奈良さんにも会ってこれを要求しておると思います。そういった意味で、これは完全に嘉手納基地に移るまで待つということになると、いまのような状況ではひょっとしたら四、五年かかるかもしれぬ。だが四、五年後ではいまの要求にこたえることができないので、施設庁としてこの要求にこたえるように努力をしてもらうという方向で何らかの打開策を講ずることはできないかどうか、この点お聞きしたいと思います。
  112. 銅崎富司

    銅崎政府委員 最初に、先ほどお尋ねの予算の問題でございますが、昭和五十一年度予算として現在御審議いただいています額は、歳出予算で約百九億二千万円、国庫債務負担行為で約六十六億六千五百万円となっております。  それから、お尋ねの学校用地の返還の件でございますが、先生述べられましたように、たてまえといたしましては、この那覇空軍・海軍補助施設全体の移設が終わりました後に返されるということになっておるわけでございます。そうしますと、これからなお相当の年数を要して移設が完了するということになりますので、私どもも、地元の市町村それから沖繩県の教育振興会等からこの地区の返還ということを要望されておるわけですが、そういう要望を踏まえまして、それから逐次返還の計画、移設の計画を立てながら工事を進めていくわけですが、その移設計画との関連も考慮しながら十分検討してまいりたい、そうして地元の御要望に沿うように努力してまいりたいと考えております。ただ全体の跡地利用という問題で、土地の所有者の方あるいは那覇市の方にも、調整といいますか御協議をする必要があるかと思います。そういういろんな問題を含めまして、今後努力してまいりたいと考えております。
  113. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この問題は跡地利用との関係もありますが、学校用地は全部が那覇市の市有地なんです。したがいまして、私この前行ったのですが、ここはほとんど、いますぐでも開放していいんじゃないかといったような場所なんですね。ですからこれを最優先して開放してもらうように、この点については沖繩担当大臣である植木長官にもそういった方向で努力をしてほしいと思いますが、いかがでしょうか。
  114. 植木光教

    植木国務大臣 ただいまの御指摘になっております補助施設の返還につきましては、防衛施設庁から答弁がありましたように、すでに日米間で合意がなされておりまして、返還実現のための作業が進められているわけでございます。小禄第一、第二旧国民学校の跡地につきましては、お説のとおり市の所有地でございますから、したがって過密校解消のために市が学校新設用地にするということでありますならば、私どもといたしましては十分な協力をしなければならないと考えているところでございます。  さらに、いまお話しございました早期返還という点につきましては、私どもといたしましても熱望をしているところでございまして、防衛施設庁を初めとする関係省庁の今後の御努力を期待し、また私どももそのための力添えをやっていかなければならないと存じております。
  115. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次に、沖繩の伝統芸能上演のための劇場建設について、特に植木長官にお伺いしたいのですが、この件につきましては、昨年のたしか五月二十二日の沖特委であったと思いますが、沖繩の伝統芸能上演のための国費による専門の劇場建設について質問いたしましたときに、長官は、沖繩県には伝統的工芸品とともに、すぐれた伝統芸能があり、それを鑑賞して深い感銘を受けた、これはただ単に沖繩県の宝であるばかりではなく、日本全体の宝であるというふうに私は認識している、国費による劇場建設については担当省と協議いたしまして検討を進めたいと思います、というふうに答弁されたので、今度の予算が組まれる前に、実は文化庁長官にお会いしたのです。当然のことながら担当省庁というと文化庁ですから。ところが、長官は全然知らないんですね。文化庁長官にお会いしたのは昨年の十月三十一日です。御存じないので、まさか植木長官がいいかげんな答弁はされなかったと思うんだ、これはどうなっているのかなと思っているわけなんですが、この点について実はお約束をぜひ守ってほしいと思うのですが、いかがですか。
  116. 植木光教

    植木国務大臣 昨年御質問がございまして、私がただいまお読み上げになりましたような御答弁をいたしましたことをはっきりと記憶をいたしております。のみならず、私は、この問題につきまして文化庁との間にいろいろ建設の可能性について打診をいたしましたり、あるいは協議等もしてまいったのでございまして、長官自身のお耳に入っていなかったということは、十月現在あるいは事実であったかもしれませんけれども、しかし開発庁といたしまして努力をしてきたということははっきりと申し上げることができます。  ただ文化庁といたしましては、本土の中におきまして、あの質問の際に先生も御指摘になっておりましたけれども、たとえば文楽でありますとかあるいは能楽でありますとかいうような劇場を建てるという懸案の問題もありまして、沖繩の芸能のための国費による劇場の建設というところまではなかなか手が回らないというような事情がございまして、五十一年度はこれを見送らざるを得ないということになったわけでございます。  なお私自身、沖繩県の伝統芸能あるいは文化についての専門家の方々とその後もお話し合いをいたし、御意見を伺っております。また屋良知事ともこの問題について御相談をしたこともございます。  ただ問題は、たとえば組踊りにいたしましてもいろいろな流派がありまして、この伝統芸能上演の劇場をつくりますのにも、いろいろな舞台その他の様式をどういうふうにするかというような技術的、専門的な点について、もっと詰めていかなければならないというような専門的な御意見がございました。また一部に県立の考え方もありますし、また観光開発公社でもこれをつくってはどうであろうかというような、つくりたいというような御意見もある状況でございまして、したがって、県と私との話し合いの中でも具体的に問題は出ているわけでございますけれども、まだ県からこういう規模のものをこういうふうにつくりたいというようなまとまった御意見というものが出されてこないというような状況なのでございます。それは先ほど申し上げましたような芸能上演上の技術的ないろいろなものもあるということでございます。  私どもといたしましては、国立のものを建てていくのか、あるいは県がお建てになるものに対して高率の補助をしていくのか、その辺のところもまだ十分に結論を出すに至っていない状況でございますが、その前に、まだいま申し上げたような問題があるという点をひとつ御理解をいただきたいのでございます。
  117. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 長官がおっしゃったように、いま各派の流派もあります。ところが、去年十一月四日に実は各派の流派に集まってもらって、約十三人くらい集まりましたが、その中には、たとえば組踊り技能保持者の島袋光裕さんとか宮城能造さんとか金武良章さん、あるいは三味線その他ほとんど各流派の代表が十三人集まりまして、いろいろ意見を聞いたわけです。そうしましたら、流派あっても一致しているところは、早目に計画は県も何か立てるのだが、計画はもういいから、たとえば百億で大きいのをつくるとかいうのじゃなしに、十億でもいい、極端な話が余り大きい劇場をつくると、ああいった組踊りなんというのは、そんなによくはないらしいんですよ。そこで、かっきり県と国が方針が決まれば、案は持っている、現実のところこんなことを言っていましたね。いま文楽と比べて、組踊りに対する後継者養成の費用は御承知のように非常に少ないですね。私、文楽も調べてきたのですが、たとえば向こうの意見では、大道具、小道具、これを入れる場所すらない、けいこ場が十坪あれば大きいところだといった状況、その中で一万五千人の芸能人がいま沖繩にいる。これもほかの県にはない現象なんですね。したがいまして、このためにもけいこ場がないという実情、これをなくするためにも後継者養成の費用を増額してもらう。ことしの予算は去年の踏襲なんですね。文化庁のものは増額されていないのですね。これを増額してもらうと同時に、あのときは、もう古老は七十何歳になるとか、私たち十三名が生きておる間に一日も早く劇場はつくりたいものだということを言っておりましたが、したがいまして、いま長官もおっしゃるようにことしは無理と思うのですが、ぜひ五十二年度の予算には、いまの後継者養成の費用の増額と、さらに劇場建設のための具体的な調査費その他を含めて一歩でも二歩でも前進するように、さらにいまの伝統芸能、これを保存するだけではなくて、現在の生活実態に即し、守り、これを発展させるというような方向で行くというのが国の文化政策ではないかと思いますので、重ねてその点を要望したいと思いますが、ぜひ今度五十二年度の予算にはそういう方向で協力してほしい、努力してほしいと思いますが、長官、いかがでしょうか。
  118. 植木光教

    植木国務大臣 沖繩の伝統芸能は、本土にはございません本当にすばらしい魅了させられるものがあるものでございまして、その保存、さらに多くの人々がこれを鑑賞せられるための努力を政府はしなければならないということについては同感でございます。後継者の養成もその意味において大変大事なことであると思うのでございます。五十二年度予算編成に当たりまして、県とも十分連絡をとり、文化庁とも十分に協議をいたしまして、いろいろな問題はございますが、御要望に沿うように努力をしてまいりたいと存じます。
  119. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次に、失業と雇用の問題についてお聞きしたいと思いますが、その前に、この前総理府で発表された全国の完全失業者の問題もありましたが、最初に完全失業者の実態ですね、さらに実態を把握すれば、なぜこのような失業者が生まれるのか、原因がわかればそれを取り除けば失業と雇用の問題は、簡単ではないにしても解決の糸口がつかめるのではないか。その意味で、これは担当のどなたかから説明してもらえればいいと思いますが、いま全国的に十五歳以上の労働力人口ですか、これと非労働力人口、これが幾らになっており、労働力人口の中の就業者と完全失業者、これがどのようになっているか、数字だけでよろしゅうございますから、挙げてください。
  120. 山田滋

    ○山田政府委員 御指摘のように、沖繩における完全失業者の数字が全国の約三倍ということを言われております。つまり失業率でございますが、これは昭和五十年のトータルで申し上げますと、完全失業者は平均いたしまして二万一千人、完全失業率が五・三というのが沖繩における実態でございますが、全国では完全失業率は一・九%、こういう数字を示しております。
  121. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 全国の労働力人口は幾らですか。
  122. 永山貞則

    ○永山説明員 お答えします。  全国の昭和五十年の労働力人口は五千二百七十七万、完全失業者九十九万、したがって、完全失業率は一・九%でございます。
  123. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この完全失業者というのはどのようなのが完全失業者というふうになっていますか。
  124. 永山貞則

    ○永山説明員 労働力調査では、毎月月末一週間の就業状態を調査しておりまして、その一週間の間に仕事をしなくて、そしてかつ仕事を探している者、これを完全失業者と呼んでおります。
  125. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 毎月のいわゆる終の一週間を押さえて、一時間収入の入る者、これは就業者と言っているか。
  126. 永山貞則

    ○永山説明員 一時間以上働けば就業者でございますが、ただ一時間、二時間というのは実際にはほとんど出てまいりません。
  127. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま私がそれを申し上げますのは、収入の入る人で一時間以上働くと、事実完全失業の中に入らぬわけなんですよ。もう一つありますね。今度は家族労働の場合、収入が入らないでもこれが家族の手伝いをやっている人は完全失業者に入らぬわけでしょう。
  128. 永山貞則

    ○永山説明員 家族従業者の場合には、収入がなくても就業者としてとらえております。
  129. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 もう一つありますね。たとえば、きょう会社から解雇になる。この人が家庭に帰っていわゆる家族労働する場合に、Aという人が首切られたとすれば、これは労働力人口ではなくて非労働力人口になるんですね。
  130. 永山貞則

    ○永山説明員 その人が仕事を探していれば失業者でございますし、探していなければ非労働力人口でございます。
  131. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いまの総理府の統計にあらわれた完全失業者のからくりというもの、これがわかりますと——去年の十二月現在でアメリカの失業率は大体七%を超しております。日本の場合には約五千万を労働力人口としてその約二%の百万人。ところが調査の方法は、いまおっしゃった、一週間に一時間収入の入る仕事をやっていればもう失業者ではないという問題、さらに家族の中に入って家族労働となると、これまた収入が入らぬでも一時間以上働いておれば完全失業者にならない。今度は解雇される、解雇された人が家庭に帰っていった場合たちまち非労働力人口の中に含まれてくる。ここに問題があります。そういったからくり、仕掛けの中で完全失業者百万というふうなことは何を意味しているか。たとえば、一ヵ月に五日か三日くらいしか働く口はないという人も加えると、日本では五百万に達するのじゃないか。五百万といいますと約一〇%に当たる。むしろアメリカ以上である。こういったようなからくりの中で、特別に沖繩は全国に比べてもその三倍近い。数にして二万一千人以上ということになっておる。するとなれば、これは全国的にもそうですが、いわゆる完全失業者、これは沖繩の場合二万二千とか一千とかいう数ではなくて、五万から六万に達するだろうということはもう推定できる。特に海洋博後失業者がどんどんふえて、私も五、六人会いまして、その悲痛な叫びを実際聞いております。こういった人々が完全失業者の数字の中に入ってないということが言えるのですね。首切られて、うちに帰って家庭で仕事を探そう。探そうとしたって仕事がないのだからうちに帰る。これは失業者の中に入らぬわけです。  私がなぜその点を聞いたかといいますと、これから問題ですが、沖繩の倒産の場合でも日本全国と比べてもはるかに率も金額も多いことになっている。これは一月七件の倒産があって二億四千万円の負債額、二月五日現在ですでに五件の倒産があって、倒産企業は小規模ではありますが、昨年と違って土木建設業に限らない。倒産業種はあらゆる分野にわたっているということですね。これと、失業者の問題がいま申し上げましたように二万どころか三万、四万以上になるということになりますと、この家族を合わせると、仮に三万人と見ても四人家族として十二万人の人々が路頭に迷うかあるいは迷いつつあるか、やがて迷うような状態に置かれる。復帰したら他府県並みによくなるだろうと思っていたが、むしろ占領時代と同じような形で他府県の三倍も失業者が出る。一体これは何だろう、その原因はどこら辺にあるとお考えになるか。これ大臣でなくてもいいですが、どういう原因でとりわけ他府県と比べて三倍も失業率があるのかという点を分析されておるのであれば説明してほしいのです。
  132. 山田滋

    ○山田政府委員 大変むずかしいといいますか重要な問題でございまして、私どもも現在、県の振興開発計画の一番の眼目にしてこの問題の解決に当たらなければならないということで努力をいたしておりますが、先生も十分御承知のように沖繩の経済基盤というのが大変弱いと申しますか狭隘と申しますか、底が浅いわけでございまして、したがって失業の原因として簡単に申し上げれば、やはり地場産業というのが非常に脆弱でございますし、雇用力が元来乏しい、まして長期にわたります不景気の影響を受けまして非常な生産規模の縮小なり企業倒産ということが余儀なくされておることがございます。そういうところから、当然失業者がいま出ておるということは申すまでもございませんが、同時にまた、在沖の米軍基地からの離職というものも、これはたびたび御指摘をいただいておりますように、相当他の地域では見られない特色があるわけでございます。さらにまた、最近の本土における不況の状況から、本土から沖繩にUターンをしてまいっておるというふうな数も相当あるようでございまして、これらあわせまして非常に他の地域とは違った沖繩独特の失業の発生原因があるんではないか、簡単に申し上げればそのように考えております。
  133. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 他府県と比べてあのような悲劇的な形で数字にあらわれている原因の一つは、他府県にない本当に巨大な米軍基地、これを持っていることなんですね。ベトナム後整理縮小とかという名前で、基地は余り縮小されないが、軍関係の労働者いわゆる基地労働者は実に一万人あるいは一万人余り首切られておる、これが一つの大きい原因なんですね。もう一つは、復帰後怒濤のように押しかけてきた本土の大企業なんです。これが従来あったアメリカの独占資本、大企業と結びついて沖繩経済の根幹を握りつつあり、中小零細企業、地場産業も含めて、こういったのを圧迫した中から倒産する。実にほかの県からいってびっくりするような失業率というのがあらわれている基本的原因はそこにあります。これはほかの県にないのです。だからそれを取り除く努力をしないと、いかに美辞麗句を並べて沖繩振興開発はこうこうこういうふうにすると言ってみたところで、毎年それは言われます、口ではこういう政策でもってやるのだと言われるが、毎年毎年悪化する一方であって、失業者が減るという現象が沖繩にない。こういった問題について、きょう植木長官は沖特委で所信表明もなされましたが、基本的な方向として、いま失業と雇用の問題を根本的に解決する道は一体どこにあるとお考えであるか、簡潔にでもいいから御説明をお願いしたいと思うのですが。
  134. 植木光教

    植木国務大臣 沖繩の失業問題につきましてはたびたび申し上げておりますように、私はやはり沖繩経済の力を強くして雇用力を高めるということが一番大事であろうと思うのでございます。ただ、先ほど総務局長が申し上げましたように、きわめて弱い産業基盤のところへもってまいりまして長期的な不景気がある、したがって本土から沖繩県にUターンでお帰りになる人々がある、これを吸収するだけの力がない、あるいはまた軍の雇用者が解雇せられるというようないろいろなものが重なり合いましていまのような状況になっているわけでございまして、私どもは大変これに心を痛めているわけでございます。労働省もいろいろ広域職業紹介の推進をやっているわけでありますが、本土を含めまして国全体がきわめて困難な経済状況でございますから、景気そのものの浮揚を図っていくということがまず大事であろうと思います。  それから、沖繩につきましては公共事業への失業者の吸収というものがまずとりあえずの可能な道ではないかというふうに考えるのでございまして、ただいま御審議いただいております五十一年度の沖繩振興開発事業費及び開発金融公庫の予算案に係ります公共事業関係費は、事業費ベースにおきまして二百二十億円の増でございます。そこで、この二百二十億円の増分の公共事業関係費によりまして一体どれだけ雇用の吸収効果があるかということを私は事務局に命じまして算定をさせたのでございますが、これはいろいろ推計の方法はありましょうが、直接の雇用効果だけ見ましても、建設関係の労務者を三千人から四千人程度吸収できるというふうに考えているのでございます。もちろんこのほかに公共投資の波及効果がございますから、間接的な雇用増も相当数見込まれる、こういうふうに思うのでございます。私どもが沖繩県の予算を含めました五十一年度予算案を早期に成立させていただきたいということをお願いをいたしておりますのも、その一つの効果をねらっているものであるというふうに御理解をいただきたいと存じます。また、企業倒産を防止いたしまして新しい失業者を出さないために、開発金融公庫に指示をいたしまして貸付金の償還期限の延長を行うとともに、一昨日でございましたか、この委員会で上原議員にお答えをいたしましたように、総合事務局が中心となりまして、各金融機関に県と一体となっていろいろな措置をとらせるように努力をしているというのが現在の状況でございます。
  135. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 先日、施設庁の予算の説明をしてもらったときに出たのですが、五十一年度でまたまた基地労働者が五千人、これはもちろん全国でですが、五千人の解雇が予想されて、その方向で予算が組まれている、しかしその大半は沖繩である、そうなりますと、これは事実行われるとすれば、労務提供はもちろん日本政府でありますが、この労働問題に対して根本的な対策を講ずるのでなければ、焼け石に水みたいなかっこうにならぬとも限らない。事実もう政府はこのぐらいは首を切られるだろうと予想しているわけだ、ちゃんと予算を組んでいるわけだから。しかも五千人に達する。その大半は沖繩だ。  そこで、時間がありませんので、私は全国的にこの方向が正しいんじゃないかと思いますので、失業の問題、さらに中小零細企業の問題について一応提案したいと思うのです。  一つは失業者の生活保障、さらに雇用不安の解消の問題で、第一に失業者の生活保障の問題については、失業給付金の引き上げの問題、これがあると思います。第二番目に失対事業の拡充、これはいま長官がおっしゃった公共事業の問題などとも関連すると思います。  次に、雇用不安をどうしても解消しなければならぬ問題があると思います。そのためには、不当な解雇の制限、これは断固として政府の力で制限すべきだ。次に、雇用保険法による雇用調整給付金の大企業による乱用を規制する、そして中小企業への優先支給、これをはっきりさせるということ。  さらに、中高年齢者、そして障害者の雇用率の引き上げの問題。  次に、不安定雇用労働者の権利を守る問題。  次に、雇用調整委員会の設置。これは、中央地方を含めて労、使、公益代表を加えての雇用調整委員会をつくって、具体的にどうするんだといった点を煮詰める問題があります。  次に、中小零細企業の経営を守る問題であります。  一つは、中小零細企業の仕事と市場の確保であります。これについてはいわゆる購買力の問題についてなど長官もおっしゃいましたが、これはぜひ実現しなければいかぬ問題だと思います。そのためには、中小企業向け官公需比率の大幅引き上げ、これが問題になると思います。  さらに、大企業の進出の規制。むちゃくちゃに進出を許すようなことをやらぬように規制していく問題。  さらに、中小向け金融の改善強化。これは長官が金融問題に触れられておりましたが、徹底的にこの問題を方針として確立していかなければならぬと思います。  次に、下請中小企業の保護の問題。  次に、地場産業、伝統産業の振興の問題。  次に、中小小売商店、サービス業の営業を守る問題があります。特に沖繩における中小零細の商売人が非常に多いということは、長官はおわかりだと思います。  次に、中小建設業者の経営の安定を図る問題。  次に、中小零細企業への公害防止対策費の援助の問題。  こういった点を具体的に政策にあらわされていかれるならば、いまよりも一歩も二歩も前進していくんではないかと考えますが、この点についての長官の御意見を承りたいと思います。
  136. 植木光教

    植木国務大臣 ただいま御指摘になりました約二十項目近くの問題点、それぞれ私どもも大変重要な課題であるということで取り組んでいるところでございます。いろいろ関係省庁とも協議連絡を密にいたしまして、きめ細かい総合対策をとっていかなければならないものばかりでございます。一つ一つについて、時間の関係上、私から御答弁は申し上げませんが、いま御指摘になりましたような点のほとんどの部分につきましては、いままさに取り組みつつある問題でございますので、層一層関係者を督励いたしまして県民の期待にこたえてまいりたいと存じます。
  137. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 あと二件だけ長官の御意見を承りたいと思います。  これは二月二十八日の沖繩県議会で全会一致で決議されておるアメリカのガソリンパイプ、油送管の撤去の問題、もう一つは、伊江島における射爆場の撤去、これはあくまで移転ではありません、はっきり申し上げますが。この点につきましては後で申し上げますが、全会一致であります。いわゆる自民党所属議員も含めて全会一致でいまの油送パイプの撤去の問題と伊江島射爆場の撤去の問題は決議されております。  最初に、これは防衛庁の方がいいですか、沖繩の米軍のいわゆるパイプラインは距離として何キロぐらいあるのですか。
  138. 銅崎富司

    銅崎政府委員 測定の仕方によっていろいろな数字がございますが、支線等を入れないで幹線だけで申し上げますと五十七・六キロでございます。
  139. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この中で国道あるいは県道部分に相当する、いわゆる道路法、これで解決するというより、この適用を受けなくちゃいかぬキロ数はわかりますか。
  140. 銅崎富司

    銅崎政府委員 いわゆる国道、県道、公道部分の延長が約十・二キロございますが、そのうち国道部分が八・一キロ、県道部分が二・一キロ。それから市町村道につきましては数ヵ所で横断をしておるということでございます。
  141. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次に確かめたいのがあるのですが、このパイプラインは、よくはわかりませんが、大体国内法では道路法の問題ですね。それから石油パイプライン事業法ですか、それと消防法、こういった国内法の規定を守らなければならない状況になっていると思います。そこで、そういったような関連国内法の適用を受けているのか受けていないのか。これは理由は別としまして、どなたでもいいですから報告してください。
  142. 銅崎富司

    銅崎政府委員 先生承知のように、米軍の施設の中にありますいろいろなパイプラインあるいは通信ケーブルその他の施設内にあるものにつきましては、米側は一応日本の国内法を遵守するというたてまえになっておるわけであります。このパイプラインに限って言いますと、国道、公道部分に埋設されておりますパイプラインにつきましては使用許可をとるわけでございまして、私どももその手続をやっておりまして、国道部分につきましては許可になったものもございます。ただ、県道部分につきましては、実は米軍から私どもに渡されました図面で占用協議の手続をしたわけでございますけれども、図面が不備だということで再度米側にもう少し詳細な図面をということを申し入れておるわけでございますが、詳細な図面がどうしても出してもらえませんので、私どもでこの公道部分における状況を調査しようということで、実は予算をつけまして現在三月末をめどに調査を進めておるところでございます。それで、この調査が終わりましたらその詳細な、どれくらいの深さに入り、どういう状況で入っているかという図面をつけまして、占用協議の手続を終わりたいというふうに考えております。  それから消防法その他につきましては、ちょっと別のところからお願いしたいと思います。
  143. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 国道部分も県道部分も法の適用を受けておりません。これは植木長官のところの沖繩総合事務局長から那覇防衛施設局長あてに文書がもうあるのです。協議事項になっておりますがね、あれは。協議されてないのですよ。条件がそろわないと。それで県知事は県道部分ははっきり拒否しています。  そこで問題になるのは、施政権返還後、復帰後三年になる。いわゆる安保条約、地位協定でも、アメリカ軍は日本の国内法を守らぬといかぬということになっているので、これはもう常識ですね。  それでお伺いしたいのは、いわゆる油送管、こういったものは日本の国内法にひっかかるのではないかといったような点などをアメリカは知っているのか知っていないのか。だれか、外務省でもいいのですが……。
  144. 銅崎富司

    銅崎政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、私ども占用協議をする場合にどうしても詳細な図面が要るわけでございますので、そういうことで必要なのでぜひ日本側が要望する内容が盛られた図面が欲しいということで現地の米軍にも言っておりますし、在日米軍にも申しておるわけでございますから、アメリカ側も承知いたしております。
  145. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 ますます不可解になるのですね。アメリカはこういった日本の国内法があることを知っている。知っているが、これを守るための努力をしておらないということが明らかになっているのですね。というのは、施設局で調査もできないような状況になっている。いわゆるアメリカを信頼していいのかどうか、これは別にしましょう。この問題は委員会を別にして、防衛庁、施設庁のときに深く入りたいと思いますが、三ヵ年間にわたってアメリカは日本の国内法を知っているという一つの前提、にもかかわらず国内法を遵守すべきであるという姿勢になっていないという問題、さらに国内法が適用されていない。これはいまの説明でもこの資料でもはっきりしております。総合事務局長が出した公文書でもはっきりしておる。現在まで守るべき国内法がほとんどアメリカの油送管には適用されておらぬ。この現実について、沖繩百万県民の安全、福祉のために奮闘されている植木長官としてどう考えられるのか、これが一つです。三ヵ年間にわたって日本の国内法を無視、じゅうりんさしてそのまま放置するということ、これはアメリカが出さぬから悪いとかいいとかという問題ではない。結果においてもうそうなっている事実なんです。これが一つ。  もう一つは、この中でもし危険が起こった場合にはだれが補償するのか問題です。アメリカが補償するのか日本政府が補償するのか、これについて長官の御意見を承りたいと思います。
  146. 植木光教

    植木国務大臣 沖繩におけるパイプラインの問題は住民の安全にかかわる重大な問題でございます。一月に事故が起こりました際に、私は、直ちに防衛庁長官を初め関係の閣僚に対しまして、この問題を早期に解決するように努力をしなければならないということを話し合いをいたしまして、ただいま総理府の審議室がいろいろ調整の役割りを果たしつつ、施設庁あるいは外務省の担当者の方々とともにこの問題の解決のために努力をしているところでございます。  いま国内法の問題がございましたが、私はこの問題に取り組むに当たりまして、パイプライン事業法及び消防法の違反の疑いが十分であるという見地から、一部撤去を含めまして強力にこの問題に取り組むようにという協議をし、また指示もしたわけでございます。現在、パイプラインの一部撤去を含めまして抜本的対策の樹立につきまして対米折衝が行われつつあるところでございます。先ほどお話しございましたようにパイプラインの距離も非常に長いわけでございますので、直ちにというわけにはなかなかまいらないかと存じますけれども、しかしながら、少なくともこのパイプラインの問題がどのように解決せられて沖繩県民の方々の不安を除去していけるかということについては早期のめどをつけなければならないということで、これは早期に解決へのめどがつきますようにただいま督励をしているところでございますし、また関係省庁努力をしているところでございます。  なお補償責任についてでございますが、この点につきましては防衛施設庁から答弁をしていただきます。
  147. 銅崎富司

    銅崎政府委員 原則的に申し上げますと、事故が発生いたしまして被害が出ました場合、その事故の原因が公務上のものか公務外のものかによって分かれますが、公務上でありますれば、日本政府が立てかえて支払いをいたしまして、後で七五%の償還を受ける。それから公務外の場合は、米側が原則として支払います。それで、私どもは、その支払いの事務につきまして、被害者と米側の間に立ちまして交渉はする、しかし、支払いの方は米側がやるということに公務外の場合はなっております。
  148. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 長官、いまの御答弁の中に、疑いがあるということでございますが、疑いじゃなしに、あれは国内法に違反しているのですよ。もう疑いは消えている。あなたの部下が出しているのです。これを出せ、そうせぬと協議できませんよと。協議をやっていないのですよ。もうすでに一ヵ年になる。さらに、施設庁も知っているように県知事から拒否されている。これは疑いじゃないのです。事実、国内法が無視、じゅうりんされているのです。  それで、その場合でも、あれは施設局のある人から放言が出まして、沖繩でえらい問題になっているのですよ。そういった被害が起こらぬようにこの施設内に入らなければいいじゃないか、こういった暴言を吐いた人がいるんだな。施設内といっても、御承知のようにあれはフェンスがあるんじゃないんですよ。そういうふうなことが、たまたまこの国内法が無視されているという現実の中から出てくる。  だから、法を守らせていないような日本政府、また守ろうともしない日本政府が、いざ危険があった場合にだれが補償するかという問題だが、私は仮定を言ったのです、もし危険があったらどうするかと。ところが起こっておる。那覇市の壼川のごときは、それに対してだれも補償しない。公務の場合、公務外の場合、いろいろ言っておりましたね。国内法を守っておりさえすれば、この国内法に基づいて条件がありますから、こういった条件のもとで許可するあるいは協議するというのが、これは守られていないから、危険が発生した場合どうするか。  現実に起こっているのです。これを私は強力に指摘して、この問題については——パイプラインの問題は、危険だからこそパイプライン事業法の問題とか消防法とかあるいは道路法といったような関連国内法がある。こういったような基準すら調査できないような状態に日本政府は置かれている現実なんです。この現実を深く心にとめてもらって、これは命、財産に関係する問題ですから、長官、ひとつもっと奮闘してください。どうですか。
  149. 植木光教

    植木国務大臣 事故が起こりましてから直ちに私は奮闘を開始をし、現在も奮闘をいたしているのでございまして、一月二十九日の日米合同委員会においては、日本政府側から遺憾の意を表明しますとともに、すべての点検を含めてパイプラインの再点検を実施し、安全確保のための万全の措置をとるようにという申し入れがとりあえずなされました。そしてその後は、先ほど申し上げましたように、一部撤去を含めましてこの抜本的対策の樹立についての努力をしているわけでございます。私は明確に奮闘をしているということを申し上げられます。ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  150. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この問題は、なぜアメリカが国内法を無視するに至ったかという問題、安保条約、地位協定との問題もあります。この点は別の委員会で深めて——これは県民は移設を要求しているのではありません。全面撤去を要求しております。これは県議会はそうなんです。だからその問題を頭に入れてもらって、撤去を強く要求して、私は次に移ります。  さっき申し上げましたように、これも県議会で決議された伊江島の射爆場の移転じゃなしに撤去ですよ。どこか出砂島あたりに移設するとかこんな問題じゃない。とにかく日本国内からこんな恐ろしい射爆場をなくしてほしいというのが県民の要求なんですね。  そこで要望する前に、最近、二月でもいいのです、伊江島でいわゆる空対地の爆撃演習、射撃演習、これがどのような状態でなされたか、施設庁、御存じですか。
  151. 銅崎富司

    銅崎政府委員 詳細は承知いたしておりません。
  152. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私の方で説明すると、こうなんです。なぜ沖繩県議会が全会一致でこれを決議するに至ったか。伊江島の射爆場、いわゆる爆弾投下の中止と射爆場の即時撤去。これは現地の新聞です。「伊江島 昼夜の別なく、米軍の爆撃訓練 空も割れんばかり 民家の近くを低空飛行 脅かされる生活 村民の抗議に横暴な態度」。アメリカの態度なんだな。「激しい爆弾投下 伊江射爆場 県議会調査団もびっくり」これは見出しだけを読みましたが、こちらの専門家が行っての調査の結果、こうなっております。これは二月十一日、建国祭ですか、その休みのときに、向こうは休むどころか、一番激しいことをやっている。これはちょうど時間は同日午前七時から晩の十時まで十二時間ぶっ通しやっております。F4ファントム、これが爆撃三百十七回、射撃七十六回、旋回六十回。それから不明機、多分F4だろうと言うのだが、これが爆撃十五回、旋回八回。それからC130が旋回十回。それから兵員二回三人、吹き流し三回。CH53、これが二回。これで爆撃が全機数で三百三十二回、射撃が七十六回、もちろん全部空対地です。それから旋回七十八回、爆弾投下五回、その他二、合計四百九十三回。いわゆる爆撃、射撃、旋回、投下、その他。これは一体どうなるか。十五時間で四百九十三回。一時間に三十三回。実に一分五十秒で一回ずつ爆撃しておる。これが日本の国土の中で行われておる。この爆撃がどんなに——「空も割れんばかり」と書いてあるのはその実態。だから一分五十秒に一回爆撃をしているというこの姿なんですね。だから沖繩県民は、こういったような危険な射爆場を一日も置くわけにいかぬ、国外撤去を要求するというこの県民感情を県議会はやはりリアルに取り上げて、それこそ全会一致、自民党のある議員は、これは安保おかしいぞということまでも言って、新聞の記者席というところにちゃんと書かれているという状態なんですね。  そこで、時間もございませんので長官にお伺いしたいのですが、この前私が原爆投下訓練、いわゆる模擬爆弾の投下訓練のときに、演習中止、これを要求すべきだ、即時中止、撤去。そのときに長官は、非常に正しい、前向きな答弁をされて努力されたことは、私記憶に新しくあります。現時点でこの射爆場をどこに移転するかという問題はもう吹っ飛ばされています。とにかく撤去しろ、演習をやめろ、これなんです。それはそうでしょう。一分五十秒に一回の爆撃、しかも、これはただ一日の統計をとっただけで、二月に実に何回かにわたってこういった激しい訓練が行われている。引き続き夜間もやられておる。この前まで海洋博がありましたね。あのときは、飛行場との関係もあって土曜、日曜はやらぬとか言っており、さらに中路議員が調査に行ったときに、司令官が日曜日にやらぬといったようなことまで言った。ところが、土曜日、日曜日どころか、もう昼も夜もこういった演習をするに至っては、植木さん、アメリカを信頼されているかどうか別として、沖繩県民の安全、生命、財産、福祉、これを守り、増進させるためには、もう一日も早く伊江島射爆場を撤去して演習を中止させてやるように努力されるということは、沖繩の担当大臣としての大きい務めではないか。もちろん、外務省あるいは防衛庁、施設庁長官にはこれは機会を改めてやりますが、この際、最後にそういったような問題についての県民の声を本当に聞き入れて、その要求を実現していくための努力の方向、これを具体的に示してもらいたいと思います。
  153. 植木光教

    植木国務大臣 先ほど瀬長議員がお読み上げになりました新聞は、二月十三日付のものであると存じます。私は体調を乱しまして十四日から入院をしていたのでございますけれども、この新聞が届きまして、直ちにこのような事実が伊江島で起こっているのかどうかということを、開発庁から現地に対しましても、また関係省庁につきましても連絡をとり、事実問題の把握をするようにいたしました。ここに書かれておりますようなことが現実に伊江島で起こっているという報告を受けまして、直ちに外務省及び防衛庁に対して事務次官を通じて、この爆撃演習というものが沖繩県民の生活圧迫の重大な事実となっているということともに、この演習を自制させるように努力をしてほしいという連絡をしたのでございます。引き続いて二十四日の閣議前には、外務大臣と防衛庁長官に対しまして対米折衝を強力にせられたいということを強く、直接要請をいたしました。その結果、二月二十六日に日米合同委員会の席上におきまして、伊江島における米軍の射爆撃訓練に伴う騒音問題を含め、同施設をめぐる諸問題について対策を検討するために、合同委員会のチャンネルを通じて協議するようになったということでございます。  しかしながら、依然としてその後も、現地から私の方も情報をとっておりますが、演習が続けられておるのでございます。したがいまして、一昨二日にまた改めて外務大臣と防衛庁長官に対しまして、再度この演習問題について対米折衝を強くしていただきたいという要請をしたところでございます。本土におきます航空機の騒音問題というものが非常に大きな社会問題になっておりますときに、沖繩県民が朝七時から午後十一時までの長時間にわたってこういうきわめて常識外の騒音の被害を受けているということは、私としてもきわめて憂慮しているところなのでございます。防衛庁及び外務省でもいま努力をしていただいているところでございます。私はさらに沖繩県民の生活を守りますために努力を続けてまいりたいと存じます。
  154. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 午前中沖特委が開かれて、宮澤外務大臣及び植木長官の所信表明がありましたが、私は、北方問題についての姿勢と沖繩の米軍基地に対する政府の姿勢、非常に違っていると思うのですよ。というのは、両大臣の所信表明の中に、北方のあの四島の返還については引き続き努力するが、国民世論を喚起しなくちゃならないということを特に入れてありますね。別に私その問題を抜きなさいと言っておるのじゃないんですよ。あの北方領土の問題については国民世論、これを喚起して、世論をバックにして強力な外交折衝をやるという姿勢が出されました。ところで、逆に、いま伊江島射爆場やパイプラインの問題も含めて、基地からやってくる被害、これは本当に悲劇的な方向へどんどん肉迫しつつある。だからこそ世論は盛り上がって、こういうようにしろと、この世論の盛り上がりは実に強烈だと思うのですよ。ですから、北方領土に限らず、むしろ、北方領土の問題の世論喚起を訴えられておるその気持をもって、いま盛り上がっている世論をバックにして強力な対米折衝——もちろん直接の担当大臣じゃないことは私知っております。だが沖繩の担当大臣であるだけに、これは閣議でもさらに強調されて、一日も早く爆弾投下訓練、射撃の中止が行われ、あの射爆場が撤去されるように奮闘してもらいたいことを最後に要望して質問を終わりたいと思いますが、大臣、閣議の問題はいかがですか、ぜひ出してやってほしいと思うのです。
  155. 植木光教

    植木国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、関係大臣はもう明確でございます。したがいまして、外務大臣と防衛庁長官に対しまして再度にわたりこれを要請いたしますとともに、また私自身も事務当局もそれぞれの省庁の事務担当者に対しまして強い要請をしているわけでございます。したがいまして、閣議で発言をいたしておりますと同様の効果の上がる要請をしているところでございますので、いましばらく私どもの努力を見守っていただきたいと存じます。
  156. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 終わります。
  157. 竹中修一

    竹中委員長代理 鬼木勝利君。
  158. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 恩給問題について私少々お尋ねしたいと思うのですが、恩給の問題につきましては当委員会の前委員長の藤尾先生の非常な御高配によりまして小委員会までつくっていただいて検討をいたしてきたわけで、大変私どもありがたく思っておりますが、恩給局長も一生懸命これと取り組んでいただいておることにつきましてはまず敬意を表します。非常に多といたしておりますが、総務長官もお見えになっておりますので、まず最初に私お尋ねしたいのです。  これは前委員長時代にも私は申し上げたのですが、附帯決議という問題について植木長官も私が申し上げたことは御記憶のはずと思いますが、近ごろ何でも知りません、存じません、記憶がないということがはやっておるようですけれども、そういうことはないと思いますが、毎回附帯決議をつけましてもなかなかそれが実行されない。そこで、附帯決議をつける場合には事務当局の方で全然御存じのないことを私どもが突きつけるわけではございませんので、よく御検討もいただいて、大体われわれの要求は何とかできる、可能性があるということでお話し合いはできておると思うのですよね。全然見たこともない、聞いたこともない、さわったこともない、よくそういう言葉を近ごろ聞きますが、附帯決議というものは私はそういうものじゃないと思うのですよ。もう一度長官にもその点をよく承りたいのでございますが、附帯決議というものは単なる一法案を通すためにアクセサリーでつけておるというものじゃないと思うのです。これが一番大事な問題だと思う。恐らく今度の恩給法案につきましても、われわれは附帯決議をつけていただきたいということをきょう午前中も理事会においてお話し合いをいたしております。ところが、それはいつも同じことを繰り返しておる。その点は長官もここへお見えですから、私は何も無理なことを申し上げているのではない。皆さん方の方でこれは受けとめられないということであったら、もっと私らと話し合いをしていただきたいと思う。当面の責任者であると言うとまたこれは言い過ぎかもしれませんけれども委員長とよくお話し合いをしていただいて、理事委員はこういう要求をしておる、諸君らの方ではできぬのか、ではもう一度われわれは話し合いをしなければならぬ、こういうふうな話し合いを委員長としていただくと思うのですよね。ところが、附帯決議をお受けになって、これは植木長官のみに私は申し上げているのじゃありませんけれども、最高責任者である大臣は、皆様方の御意思は十分尊重いたします、大いに努力いたします、大変きれいごとをおっしゃるのですよね。ではこれでオーケーだ、では本日採決だ、こう持っていくのですね。そういうことを何回繰り返しても私は同じだと思う。その点についてもう少し、いやしくも委員会で附帯決議をつけるのですから軽視してもらっては困る。その点について、まず長官並びに局長人事院総裁も見えておるから、はっきりひとつ御高見を承りたい。
  159. 植木光教

    植木国務大臣 附帯決議は国権の最高機関であります国会の意思でございまして、法改正の際の指針となるべきものでございますから、政府といたしましてはこれを尊重し、その実現には最大の努力を払うべきものであると心得ております。したがいまして、五十一年度の恩給法改正に当たりましては、予算折衝におきましてこの附帯決議の御趣旨を十分に体しまして原案の作成を行い、財政当局と強い折衝をいたしてまいったのでございまして、当委員会の中に小委員会をお設けくださいましたというような事実もあり、私どもがこの御支援を背景といたしまして努力をいたしました結果、完全に満足いただけないかもしれませんけれども、御決議の大部分につきましては実現を見るに至ったのでございまして、その点十分御意思を尊重し努力をしてまいっておりますし、今後ともその姿勢であるということをはっきりと申し上げておきたいと存じます。
  160. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 国会の附帯決議につきましてでございますが、ただいま大臣が申されましたとおりでございまして、私としましてもそういう精神で努力をいたしているつもりでございます。
  161. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 附帯決議は、総務長官も申されましたように、国権の最高機関である国会の意思であるというふうに承知をいたしております。これを行政機関といたしましてあらゆる行動において尊重しなければならないことは申すまでもございません。私、人事院といたしましてもこの趣旨に沿って従来もできる限りの努力はしてきたつもりでございますし、今後もこの線に沿って大いに努力をしてまいるつもりでございます。
  162. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いま長官並びにお二人の責任者がお話しになりました。皆さん方の努力なさったことに対しては、私は冒頭に敬意を表する——おまえたちはつまらぬなんてそういうことは言っていませんよ。長官、その点は私の真意をくみ取ってもらわぬと困る。それはわざわざ小委員会まで藤尾前委員長時代につくっていただいて、菅野局長もこれに涙ぐましいように努力をしていただいた、その点は私どもは大いに敬意を表しておるのです。だけれども、けさほどからの理事会におきましても、論議の焦点になったのは附帯決議なんです。ですから、今回も恐らく附帯決議が出ることになっておると思いますけれども、それをまた見過ごされたのじゃ、いま長官のおっしゃったように最高機関で決定したことだとおっしゃるとおりだと思う。だから私は申し上げている。附帯決議を出すことが決定しているということはちょっといま言うわけにもいかぬと思いますので——恐らく出るだろうと思う、実はもういただいておりますけれども、そこでこれは参議院の方においてもけさほど私いただいております。一々申し上げないでもおわかりだろうと思いますが、われわれの方におきましても前回附帯決議をつけましたのは、大部分はできておるとおっしゃる。それは見ようによっては大部分できておると思いますけれども改定の実施時期なんというようなのは、これは努力をなさっておると言いますけれども、これは後で申しますけれども、これが私は一番不可解なんですよね。これはできていない。それから恩給受給者等に対する老齢福祉年金の支給制限を撤廃すること、これもできていません。それから最低保障額の大幅な引き上げ、それから扶助料の給付水準の大幅な改善、これはけさほどの私ども理事会では全員異口同音に小幅な引き上げだと私ども話し合った。前委員長もここにいらっしゃる。われわれもけさ理事会においてはそういうことになった。小幅でもあなた方が御努力なさったことに対しては私は敬意を表します。しかし、附帯決議は長官がおっしゃるように最高機関で決定したのだ、それだけのお考えがあるならば——現に理事は全部、恐らく委員の方も全部そうだと思うが、非常にこれは不満です。  ことに私が最も不可解に思うのは、恩給局長、いいですね、決してあなたを私は責めるわけじゃないですけれども、どうにも了解に苦しむ。小委員会においての申し入れをしましたですね。ようございますか。お持ちですね。「恩給年額の増額については、従来の一律アップ方式を改め、公務員給与改善の上薄下厚の傾向を反映させる」こと、これはそのとおりしていただきました。ところが、その次の「恩給改定の実施時期については、年度当初からの実施を目途とし、」これはわれわれの念願ですね。ところがその次が問題ですよね。「五十一年度においては少なくともさらに一ヵ月の繰り上げを図る」こと、こういうことの決議をいたしました。先ほど来私、申し入れと言いましたが、決議です。小委員会において決議をいたしました。その趣旨説明を小委員長がなさったのですが、非常にあなた方は真摯というかまじめというか、頭の下がるほどまじめであると私は解釈する。仮にこの小委員長の趣旨説明が「五十一年度においては少なくともさらに三ヵ月の繰り上げを図ること」とこうやっておったら、三ヵ月上げておられますか。趣旨説明に一ヵ月と書いてあるから一ヵ月。最高機関だから、しかも決議されたのだからもうこのとおり。だから正直というかまじめというかいまだその言葉を知らず。そうじゃないですか。まさにこれは趣旨説明をされたのですからね。だから私は、これは惜しむらくは、少なくとも三ヵ月としておったらああこれは三ヵ月になったのだな、まことにこれは遺憾千万だ、残念なことをしたと思う。その辺のところが、これは裏を返せば、そんないいかげんなものかと私は言いたい。だから、その辺のところの操作を、納得のいくように私お話を承りたい。これ何としても私は納得がいかない。趣旨説明がしてあるから年度初めを目途とするが、どんなことがあっても少なくとも一ヵ月は上げてくれ、ああそうですか、それじゃ一ヵ月上げましょう、これは私はいいのですよ。これはどうしても解釈に苦しむ。長官からお答えいただければなおありがたいが、菅野恩給局長からでもよろしいが、私が納得するようにおっしゃってくださいよ。
  163. 植木光教

    植木国務大臣 恩給年額の実施時期の繰り上げにつきましては、本委員会におきましても強い御要求でございますし、また受給者にとりましても非常に切なる要望でございます。したがいまして、過去二十年来十月でありましたものを、昭和四十九年から一ヵ月ずつ繰り上げてきたわけでございます。今回の五十一年度予算の編成に当たりまして、私どもといたしましては、結果的に一ヵ月繰り上げの七月実施ということになったのでございますが、決してこれで満足しているわけではございません。できる限り、財政事情がいろいろございますけれども、四月実施まで持っていくべきであるという基本的な考え方を持っているのでございます。しかしながら、御承知のとおり財政状況がきわめて困難な五十一年度でございまして、他の公的年金制度につきましては、御承知のように実施時期の繰り上げということは実現をしなかったわけでございますけれども、当委員会の強い御要請であり、私ども自身が、ただいま申し上げましたように何とかしなければならない問題であるということで大臣折衝の最後の段階まで粘り抜きまして、一ヵ月の繰り上げということになったの  でございまして、いま鬼木委員がおっしゃいますように、きわめて不満足であるとおっしゃるそのお気持ちは十分わかります。また、一ヵ月を少なくとも繰り上げろと言ったから、おまえたちは一ヵ月だけで、もうこれでよいのだろうと思っているんだろうというような御指摘でございましたが、決してそうではありませんで、何とかしてもっと繰り上げをしたいというのが私どもの切なる要望でございましたが、最終的に一ヵ月繰り上げ、七月実施になったのでございまして、どうかその間の御決議の趣旨に沿った私どもの努力をひとつ御理解をいただきたいということをお願い申し上げますとともに、今後とも受給者の立場に立って、できる限り実施時期が早期になりますように御支援をお願いをいたしたいと存ずるものでございます。
  164. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 局長にもひとつお願いします。
  165. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 いま大臣からるる申し上げましたが、そういう経過でございまして、実は今年の予算全体のことを一言で申しますと、先生御存じのように大変窮屈な情勢で、全部の平均でまいりますと、対前年度の増が一四%何がしということでございますが、恩給に関しましては、おかげさまで三〇%を超えるような増額ができたわけでございます。そういう中で実施時期の問題一つとりましても大変むずかしい問題がございまして、一番最後まで残った問題でございましたが、先ほどの少なくともというところに私たちの頭があるわけではもちろんありませんが、最善の努力をして今回は一ヵ月前進ができたということでございます。ただ、附帯決議にも明らかに書いてございますように、年度当初を目途とするという国会の御意思は十分われわれは理解をしておりますし、私たちはこれからも全力を尽くして年度当初を目途とするその目的達成に努力を重ねたいと思っております。
  166. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いや、いまの長官の御説明、これは基本的な御説明であって、基本の問題については無論長官もそういうお考えをいただいておると思う。恩給局長もそうだと思う。私らの考えと全く相一致いたしておりますが、この小委員長の趣旨説明によってこういうことをされた。だから私がお聞きしたいことは、われわれのこれは悲願なんですから、これはもうぜひ四月の当初にさかのぼってやってもらいたい。少なくともと、これは単なる説明であって、われわれの目的は四月当初なんですからね。ですから、いま長官の御説明ありましたが、じゃ、来年度はこれでいいが、再来年度は少なくとも三ヵ月とここへ私どもが表現したならば、そうやっていただくか、あるいは次の年度はどうしていただくか。いまも長官がおっしゃるように、われわれと基本的に考え方は一緒なんですから、四月の当初を目的としておることはそのとおりだといま長官もおっしゃった。じゃ一体いつ——次の年度はもう一ヵ月繰り上げ、その次の一年はもう一ヵ月繰り上げというのでやっていくのか。私どもが少なくとも三ヵ月ということをここに表現したならば、やっていただくのか。これは、おれはどこどこに行く、必ず行く、ほぼいつごろ行くとか、飛行機で行くなら何時間かかるとか、新幹線で行くなら何時間かかるとか、それがわからぬじゃ、行くところは決まっておるけれども、いつごろ行くのやら、どうして行くのやら、発表のしようもないじゃないですか。そういう点は、これは基本精神は長官のおっしゃること、よくわかります。わかりますけれども、これは子供に説明するのだってそういうことはちょっと私は納得いかないのです。というのは、これはもうこの受給者が全国にというとおかしいですが、全受給者のこれは叫びです。たくさん私のところに陳情も来ております。これは全部そうです。四月にさかのぼってやってもらいたい。赤丸つけておるだけみんなそうです。たくさんありますけれども、二、三部私は引き抜いて持ってきたのですがね。だから、いまにやるいまにやると待っておる者はどうしますか。来るということはわかっているけれども、いつ来るのやら、出迎えようとしたって、飛行場で来るのやら、新幹線で来るのやら、羽田に迎えに行っていいのか、東京駅に迎えに行っていいのか、上野駅に迎えに行っていいのか、私はそういうことはないと思いますね。それを受給者は全部聞きたがっているのですよ。ただ基本精神だけで、ごもっともだ、そうやりたい、ああもうそのとおりでございます、それではこれはちょっと話のしようがないじゃないですか。そういう点において、私は長官も御了解いただいておったと思いますけれども、なぜ先の目当てもつかぬようなものを、附帯決議を喜んで皆さん方は諾々としてこれをお引き受けになって、確かに承知しました、大いに尊重いたします——では一体いつごろになるんだ、これは当然のことじゃないでしょうか、長官、私のお聞きするのは。これは私個人の問題じゃございませんから、二百万以上の恩給受給者の声ですから、それを私は代弁しておるのです。私一人の問題だったら、それはまああなた方がおっしゃるのなら、日ごろ特にお世話になっておる恩給局長のおっしゃることだから、もう結構でございます、死んだ後でもようございますよ、お待ちしておりますでいいけれども、これはそうはいかぬですよ。あなた方でもそうでしょう。田舎からお父様でもお母様でもあるいは親戚、身寄りの方でも、東京に来るからよろしく頼む。いつ来るのやら時間もわからぬ、何で来るのかもわからぬようなことで、あなた方は御承知ができるわけはないでしょう。四月を目途とするんだから、その点をもう少し、そういう漠としたことでなくて、何とかここで、どうですか。ひとつここで何とかおっしゃってくださいよ、私ばかり言っていてもしょうがない。
  167. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 先生のおっしゃることも重々よくわかります。私たち先ほど来お答え申し上げておりますように、一刻も早くその目的地に到達したいわけでございますので、できるだけ早い機会に——この場で来年はどうの再来年はどうのというのは、予算全体の問題もございますし、また恩給改善の全体の問題がございますので、とても申すことができませんけれども、いまいろいろなたとえで申されましたことを使わしていただければ、一番速い乗り物でそこに到達したいというふうに思っております。
  168. 植木光教

    植木国務大臣 鬼木委員がおっしゃっておられますことは、私どもと同じ考え方の基本に基づきまして御鞭撻を受けながら今日に至っているのでございます。何とかして早期に年度当初に繰り上げをいたしたいという熱願を持ってこの問題に取り組んでいるのでございますが、何しろ相手のある予算編成作業というものの中では、まあ一ヵ月来年度繰り上げますためにも非常な努力が必要であり、またいろいろ皆様方から御支援をいただいてこういう状況になったのでございまして、今後とも層一層努力をしてまいります。鬼木委員の老練な政治家でいらっしゃいます御見識で、今回この一ヵ月繰り上げがこういう財政状況の中でできましたことについては、評価とまでは申し上げませんけれども、ひとつ御理解をくださいまして、恩給受給者に対しましても、今後も努力をさせるように政府を鞭撻をしていくからということで、皆様方の理解が得られるように御協力を賜りたいということをお願いを申し上げたいのでございます。
  169. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 私が申し上げることもあるいは無理かもしれませんが、少なくとも、来年度一年ということでございますけれども、次年度はこれは私は相当考えていただかなければならぬと思うのです、これじゃ黙っちゃおれませんから。そうしないと今度は本当に私、冗談じゃありませんよ、本当にこの小委員会の決議をまた私はつくりますからね。それで決議の趣旨説明を小委員長にさせます。そして今度は、ここは少なくとも三ヵ月とか四ヵ月ということをやりますからね。そうすると、必ずそれはやってもらわなければならぬということに——これは本当によく尊重していただいたということに私は善意に解釈しますから。ようございますか。局長、ようございますか。覚悟はよいか。
  170. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 一生懸命やります。
  171. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 まことに御無礼なことを申し上げまして恐縮でございます。  それから、毎たびこの附帯決議に出ておりますね。恩給法の二条ノ二については、国家公務員給与にスライドするよう制度化を図ってもらいたい、これは毎回出ておることでございますが、あなた方の方で御説明なさると、その趣旨に沿った改善をずっといままでいつもやっておる、こういうふうに御説明いただく。そのように実際やってきておるならば、制度化をするということは私は何もむずかしいことはないと思う。全然やっておらないということなら、これはまたなおさら問題だ。ところが、私ども制度化せよという趣旨に沿って、公務員給与の水準と合うようにいつも是正してやっている、ずっと御趣旨のとおり実際はやっておりますというような説明がいつもあっておる。であるならば、なぜそれを制度化しないか、こういうふうに私は言いたいのですよ。その点は恩給局長、制度化するということはどういうわけであなた方こだわってなさらないのですか。制度化し、きちっと法文化する、そうすると受給者全部安心しますよ。それを制度化されないから、皆さん非常に危惧の念を抱いておられる、不安の念を抱いておられる。ところが、何回言っても同じことですけれども、あなた方の御答弁によると、それに沿ってそのようにいつもこうして是正していっておりますと、こう言う。実質そうやっておられるとするならば、なぜそれじゃ制度化されないか、制度化をしてはぐあいの悪い何かそこに理由でもあるのか、そこに私は疑問を持つのです。何回もこれは附帯決議を出しておる。私はここへ立って何回も申し上げておる。その辺のところを、秘中の秘かもしれぬけれども局長の御説明を願いたいのだが、どういうわけで制度化されないのか。
  172. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 その制度化の意味がだんだんに変わっているような感じもいたしますが、昔々は、何と申しますか、恩給審議会答申ということで、物価を中心にした上げ方をしてきた。それに対して、そういうことは好ましくなくて、公務員給与そのものでおやりなさいという意味の附帯決議がずっと続きまして、今度は物価を中心にした考え方ではなくして公務員給与そのものになったのは先生御存じのとおり四十八年でございます。四十八年以降は公務員給与中心にいたしまして、それを基準にして上げてまいったわけでございますので、そういう意味においては、物価じゃなくて公務員給与を頭に置くんだよということにおいては実際に行われているわけでございます。  ところが、その公務員給与というのもいろいろ考え方がございまして、昨年までやっておりましたような一律アップの方式、それから本年御提案申し上げております公務員給与改善傾向もこれを考慮をするというやり方等々がございまして、公務員給与にスライドをするというのはそういう平均的なお話だけで済むものなのか、さらに細かいものなのか。もうスライドという意味を厳密にいきますと、公務員給与が変わったとたんに恩給の方は何も手をつけなくても上がるという制度化であるのか、そこいら辺は幅広いいろいろな意味があるわけでございます。それからもう一つは、先生先ほど申されました実施時期の問題も制度化というのにどういうふうに絡んでくるのかというところも問題があろうかと思います。  私たちは制度化すること自体——制度化という意味もいろいろございますけれども公務員給与が基準なんだということについて、後ろに引くというつもりはちっともないわけでございまして、昨年のように三〇%に及ぶような大幅なときもやりましたし、それから本年のように全般の予算が非常に少ないときにもやったわけでございまして、いまさら悪いやり方に、悪いと言っては誤解がございますが、前のようなやり方に戻るというつもりはないわけでございますが、先ほど申しましたように、その制度化をめぐる周辺の問題等がもう少しはっきりいたしませんと、どういう意味制度化をやったらいいのかというのもこれからの検討材料ではないかというふうに思っておるわけでございます。
  173. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それはあなたのおっしゃること、ごもっともですけれども、四十八年度から公務員給与にならってこれをスライドした。なるほど四十九年度も、五十年度から、つまり八月から上げられた。それはわれわれは昨年審議しました。二九・三%でしたか。それから一月から六・八%、これはもう私らもよく存じております、ここで審議しましたから。そのように上げていただいておる。だから、四月からということも絡んでくると、公務員給与の問題と当然絡んでくるはずなんです。公務員給与は四月からベースアップになっているんですから。スライド制というものは、当然公務員給与と同じようにこれをずっとスライドしていくのがわれわれが言っておるスライド制なんです。ですから、広範囲にわたっていろいろな問題もあるかもしれませんけれども、これから検討する問題だなんて、附帯決議は尊重します尊重しますと言っておきながら、もう四年も五年も前から私どもはスライド制をやれやれ、制度化しろというのに、これから検討時期でございますというのは、ちょっと言葉じりをとるのじゃないけれども局長のお言葉としては解せませんね。どういう意味でそういうことをおっしゃるのか。もういままで十分検討検討を加えてまいりまして、やがて結論が出ますので、その場合はよろしく御審議をお願いしたい、それなら理屈はわかるけれども、いま突如としてスライド制が出てきたんじゃない。もうこれは何回となくここ数年来出ているでしょう。それをいまこの時点で、これから検討いたしたいと思いますというのは、それはちと聞こえません、局長さん。
  174. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 検討と申しましたのが言葉が足りなかったかもしれませんけれども、いま申し上げましたようないろいろな問題がございますので、それらをどういうふうに考えていくのかという基本ができませんと、きょうも先ほど受田先生から御質問がございまして、その二条ノ二の書き方を、たとえば「国民ノ生活水準」とか「物価」とかいう言葉がございますが、そこを抜くだけでもどうだというお話がございました。具体的にそういういろいろな問題になりますと、私たちもそういうことならば余り影響がないのかなという感じもするわけでございますが、その場合に、たとえば、その他の事情というのはそのままにしておくのかどうか、あるいは先ほどのような御質問では、その他の事情というのはそのままにしておくというのも一つ考え方じゃないかというお示しがあったわけでございます。そこで、私たちとしましては、いま申しましたように、具体的に制度化をするやり方としてどういうふうなものが国会の御意思を体してのものであるかということについては、重々いろいろな角度から考え尽くしていかなければいかぬというふうに思います。  それから、先ほど申しましたように、その実施時期とかなんとかいうことが一〇〇%結びつかなければいかぬということになりますと、先ほど来お話がございますように、ちょっといますぐここでそれまで一〇〇%たとえば来年から合わせるというふうにはとても言うだけの自信が私にもないわけでございますので、そういう問題等を十分勉強させていただきたいという意味でございまして、何回もついております制度化というものを改めて一から検討するというつもりではございません。
  175. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それは、あなたのおっしゃっておるのは財源の問題なんかも考えていらっしゃると思いますけれども、あなた方が財源のことまで御心配していただかなくても、あなた方は恩給行政に対して当然こうあるべきだと、こう検討さるべきであって、これじゃ金が足らぬじゃろうからこうしておかなければいくまいとか、そんなことをお考えになる必要は私はいささかもないと思う。これは、人事院総裁もお見えになっておるが、私はいつも言っておるのです。ベースアップの勧告をするにしても、これは向こうには銭がなかろうからこれくらいにしておけなんて、とんでもない。私はいつも言っておるのです。あろうがなかろうが、当然やるべきものはやるというのがあたりまえであって、恩給局長も、大蔵省に金があろうがなかろうが、大蔵省の財源まであなた調べて、何もそんなことはお考えになる必要はない。四月実施にえらいこだわっておられるようですけれども、これは当然スライドして——公務員給与にスライドせよと言うんだから、四月当初にさかのぼるということは当然これは入ってくる。これは局長だけに私はやかましく言うわけにはいかぬけれども、そういういろいろな点が、諸般の事情があるからいまここでにわかに言うことはできぬから検討しているとおっしゃるけれども、乗り気になっていよいよ立つ気になるという——余りに腰が重過ぎるんじゃないか。四年も五年も六年も前からわれわれはスライド制のことを言っているのだから、いまそういう事情がわかったんじゃないですよ。だから理屈詰めをするんじゃないけれども、それは局長はもう少し私は——それも局長は、五年も六年も七年も前からあなたがなさっておるというんじゃないから、そういう事情を言うならば数限りないですよ。しかし、当面の恩給局長としては、そういうことは当然私はお考えあってしかるべきだと思うのです。いまこの時点になって、いろいろな問題があって、こうだああだ、こうだこうだと、そういうことは全部計算済みですよ。それはあなたはベテランで、恩給行政の第一人者である局長だもの、トップだもの。頂点です。その局長がそんなことをおっしゃったんじゃ、これはますます話はこじれていきますよ、そんなことをおっしゃっているのなら。だから、もしそういういろんな問題があって何だったら、私らはあなた方を責めるばかりが能じゃないのだから、こういう点、こういう点、こういう点で御趣旨に沿いたいと思いますが、困っております、知恵をかしてください——そのために小委員会までつくっているじゃないですか。われわれは責めるばかりが能じゃないのだから。ことに冒頭に申しましたような、あなたのようなまじめな一生懸命やっていただいている方に対して、われわれは大いに敬意を表しているのだから、あなたのお仕事のしいいようにわれわれはやりますから、それをもう少し考えていただかなければならぬと思うのですが、どうですか長官、横でお聞きになっておって、私は決して無理なことを申し上げているのじゃない。
  176. 植木光教

    植木国務大臣 何回も御決議がございました問題でございますし、私もこの法改正というものを真剣に検討すべきであるということを局長にも申し、また恩給局内部におきましても、この点につきましては、幹部が集まりまして非常な研究をしているところなんでございます。いま局長が申しましたように、まだいろいろ問題点がございますために、ただいま現在法改正案を提出するということに至っていないというような状況でございますが、いま御指摘がありましたように、この際、そういう方向に向かって努力をすべきであるということは国会の御意思であり、また私どももそうする方が受給者としても安心せられるだろうというようなことを大局的には認識をいたしているのでございます。問題点等につきまして、いまもせっかく御指摘くださいましたように、小委員会におきまして恩給局の方から細部にわたって御説明申し上げ、御指導などいただきまして、作業が円滑に進んでまいりますように努力をいたしますので、どうかきょうのところはまだ改正案を出すに至っていません状況でありますことを御了承賜り、今後の課題として御協力をいただきたいと存ずるのであります。
  177. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 長官の御答弁で私大いに満足します、了承します。  これは、私は先ほどから申し上げるように、何も恩給局長を責めようとか、締め上げようという意味じゃありません。そのために小委員会までありますから。大いに私は協力いたしますので、いま長官のおっしゃるように、ひとつわれわれでよく協議し合ったらどうかと思うのです。そういう点を私はここで提案をしたいと思うのです。そしてやはり最上のものをつくらなければ、附帯決議で、ただ努力した努力したで、これだけ進んだというようなことでは、けさほどやりましたようにわれわれは非常に不満です。その点を局長もひとつ御了承願いたいと思います。ようございますね。
  178. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 一層お教えをいただきたいと思います。
  179. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それでは次に進みたいと思いますが、最低恩給が今度五十五万円になった、それから老齢福祉年金の支給制限額が二十四万円が二十八万円になった、こういうことでございますが、これは厚生省関係だとおっしゃればそれで終わりですが、その問題と——これは厚生省の方にもたださなければならぬですけれども、きょうは厚生省はもう私よろしい、時間もないからまたゆっくり後にお話しするということに申し上げておりますが、これでは恩給受給者のほとんどが老齢福祉年金はもらえない。これは最低限度額が五十五万円となっておりますけれども、最低が二十七万五千円ということは、結局老齢福祉年金は五千円しかもらえない。ここの表を見ますと、二十万六千三百円という方もいらっしゃるのですよ。二十七万五千円、それから二十万六千三百円、それから十三万七千五百円、二十万六千三百円。六十五歳以上の者に給する普通恩給の最低限度額が五十五万。この点は、やはり私は老齢福祉年金の支給制限額が二十八万になったということですが、そうすれば、もう低い恩給受給者はほとんど老齢福祉年金はもらえない、こういうことになるわけなんです。この点は、いわゆる恩給関係には関係ない、全部これは厚生省の問題だ、さよう簡単に片づけられる問題じゃないと私は思う。そこのところの御見解は、これは小委員会でも問題になりましたが、どうですか、恩給局長。
  180. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 老齢福祉年金のいまの併給制限の問題でございますが、これは当方の恩給額を差し引いたりなんかしているわけではございませんので、お言葉ではございますけれども、もっぱら福祉年金というものの性格なりそのものからくる厚生省の国民年金法の考え方といいますか運用といいますか、そういうものから来るものでございますので、総理府としてそれをとやかく言うような立場にございませんので、非常にお答えがしにくいわけでございますけれども、そういう関係になっております。
  181. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 これは私は厚生省の方と十分詰めてみたいと思っておりますが、二十四万が二十八万になった。それに従って、やはり恩給もこういう特別な最低の恩給受給者に対しては何とかして拾い上げてもらいたい、こういう考えを持っておるのですが、六十五歳以上の方は最低五十五万、これは当然さように上げていただいて私はしかるべきだと思いますが、こういうこぼれておる人は私は非常に気の毒だと思うのですが、それは、いままで最低の四十二万のが五十五万になったんだから、こちらの方では十分手を入れておるんだとおっしゃると思いますけれども、そういう線以下の、本当に零細な恩給受給者の気の毒な方々に何らかの方法はないものかということですね。これは人数も私は非常に多いと思いますけれども、こういう方々こそ気の毒じゃないかと思うのですが、これは何らかの方法はないものでしょうか。
  182. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 先ほどのお答えを繰り返すだけでございますが、実は昔々の恩給受給者というのはかなり優雅な生活の代名詞であった時代もなきにしもあらずでございますけれども、現在の恩給受給者はいろいろな意味で非常に低額の受給者がたくさんございますので、そういう方々の救済と申しますか、低額恩給の是正というのには最も力を入れているところの一つでございますので、そういう方々のお立場考えますと、福祉年金との併給制限が別の観点からではありますがなされていることに対しましては、大変残念に思うわけでございまして、私たちもどういう方法があるのか、これは主として老齢年金なり国民年金法の考え方そのものにかかわりますので横からとやかく申すわけにはまいりませんけれども、私たちとしても十分当方の立場も訴え、あるいはできる面がどういうふうにあるのか、検討を加えてみたいというふうに思います。
  183. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それは、私先ほど申しましたように厚生省の方の主たる問題ですから、おたくの方では少々無理だと思いますけれども、何らかのそういう零細受給者の方々の救済方法はないものかということを一応御相談したわけです。  それではその次に、これは小委員会でも相当問題になったのですが、当たりましたところが、もう前回からずっとここで御質問があったらしいので、繰り返して申し上げるのははなはだ恐縮ですけれども、私のところにも切々たる陳情書、要請書が来ておるわけなんです。救護看護婦の問題ですね。これはもうここで何回も私の前に出ておるそうです。これも小委員会では、恩給局長の御答弁では、いろいろな問題が絡んでおるので簡単にここで御即答はできません、検討いたしたいと思いますというようなお話であったと記憶しておりますが、どのように検討していらっしゃるのか、どういう目安がついておるのか、ついていないのか。少なくとも、この本委員会でも——委員会でも問題になったことに対してどのように取り組んでいらっしゃるのか。前の方々がやられておると思いますので、同じことばかり言わせるなとおっしゃるかもしれぬけれども、私も責任上、こういう陳情している方々がまた聞きに来るというようなことも連絡を受けておりますので、非常に勝手ですけれども……。  「第一線で働いた救護看護婦を軍人恩給法適用対象としてください。戦争中救護看護婦として赤十字精神のもとに召集を受け、日本陸海軍病院に配属され、戦争の犠牲者となりました。五十歳を迎えた今日、老後の不安がひしひしと迫っております。救護看護婦のみ恩給対象外となっているのはなぜでしょうか。」こういう切々たる、涙なくしては聞けないような陳情が参っておるのですよ。これは本当に救ってやる、かわいそうだ、気の毒だという精神のもとに、ただ、はなはだ御無礼なことを申し上げるけれども恩給局長はお人となり、御人格からそういう方じゃないと私は信じておるけれどもこれは法的にどうだ、制度上どうだ、だからだめだというような、そういう冷たいことでなくして、何とかしてこれを救ってあげなければかわいそうだという精神のもとに、どのようにそういう精神を前提として御検討になっておるのか、その点をひとつ。
  184. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 お答えを申し上げます。  日赤救護員の問題は非常にむずかしい問題でございます。私たち特に恩給の面から見ますと、大変むずかしいわけでございまして、これは制度がどうのあれがどうのというふうに申し上げるわけではございませんけれども、要するに恩給制度そのものが公務員年金制度である、それも官吏の身分を持った者の年金制度であるというところに成り立って今日に及んでいるからでございます。  しかしながら、先生も御指摘のように、その実態をつかまえますと、やはり戦地あるいは事変地におきまして、兵隊さんと同じようにあるいは弾の下をくぐりなどして御苦労を重ねた方々でございますので、その処遇を何とか見られないものだろうかということを考える点においては人後に落ちるものではございません。それで大変むずかしい、特に恩給制度の面から見るとむずかしいのですけれども、これを恩給制度なりあるいは恩給制度の周辺なり、あるいは何らかの前進策がないだろうかということで、実は検討いたしているわけでございます。  恩給だけで見ますと、従来からも、その後に恩給法上の公務員になられた方々についてはその期間を通算をするような措置をとっておりますし、あるいは共済制度においても資格期間として通算をするような制度をとっているわけでございます。  ただ、いま問題になっておりますのは、もっと広い問題だと存じております。その後に公務員にならない方であっても、この日赤救護員としての期間だけでどういう前進解決があるのかということではないのかと思っております。そういう面で見ますと、先ほど申しましたように、恩給の面から見ますと大変むずかしいのでございますけれども、この間からいろいろ日赤の方とも連絡をとりまして、たとえば帰還がおくれて長く抑留された方々がどのくらいおるか、あるいは帰ってこられて公務員になられたような方がどのくらいおるかというようなことをいろいろ調査をいたしております。またお聞きしますと、日赤の方でもさらに近々そういう方々の名簿の作製なり、あるいは生活の実態調査なり、そういうものもなさるように聞いておりますので、十分そういう面を勉強さしていただきまして、いま申しました制度のむずかしい面もどういうところにほどき出す手がかりがあるかということをこれからも研究をさしていただきたいというふうに思っております。
  185. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 経緯についてはよくわかりました。しかし温情ある局長のことですから、私は大いに期待しておりますので、本当に気の毒な方を救っていただくという線に立ってこれが調査を速やかに結論を出していただいて、いずれまた委員会におきまして御相談申し上げると思いますから、その点はよろしくお願いをしておきます。  それから、私一時間半ということになっておりますのでもう時間がありませんから、もう少しお聞きしたいのですが、人事院の方の方にもちょっとお尋ねしたい点がありますので、最後にこれは私が参考にしたいと思ってお尋ねするのです。  恩給予算が例年増加する、昔のように恩給亡国だなんという言葉は聞きませんけれども非常に恩給が多くなっていく、国の予算は大変なことだ、一兆円を超すのだというようないろいろなことを言っておられますが、これははなはだ言いにくいことですけれども恩給受給者の方は将来はだんだん亡くなっていかれるから、いつの時代かは私はこれはもうほとんどなくなるようになると思うのです、あとは全部共済年金の方に切りかえられておるから。そこで、五十年度が六千八百億ですか、それから五十一年度が八千九百何ぼかですね。そうでしょう。そうしますと、五十二年度は概算で大体どのくらいになるのか、恩給予算が今後いわゆるピークに達するときは何年ごろか、またそのときの予算は一体どのくらいになるのかというようなことを一これは私ども田舎に帰ったりなんかするとよく聞かれるのですよ。恩給はどんどんふえるばかりだが、一体どのくらいになるのかというようなことを聞かれますので、参考までにちょっとお尋ねしたいのですが、これはどういうふうになっておりますか。
  186. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 五十年、それから五十一年度の現在御審議を賜っております予算案の数字は、先生が申されたような数字でございまして、今年度は約八千九百八十二億が恩給費でございます。それが来年はどうなるのか、再来年はどうなるのかと申しますと、これは要素が幾つかございまして、その中の一番大きな要素は、たとえばどういう改善をするかというのが一つでございます。それからもう一つ、人員の方はどういうふうに推移をしていぐのかということが二つ目の大きな要素でございます、そのほかにもいろいろあるかもしれませんけれども。  そこで、先の先までは全くわかりませんけれども、その人員の方だけ申しますと、やはりこれは新しい恩給受給者という発生がまずございませんので、したがって人数分だけ少しずつ減っていくわけでございます。最近の傾向を見ますと、やはり数万ずつぐらい減っておりまして、現在は二百六十八万が大体の数字でございますので、数万ずつ減っていく。その減り方があるときには——あるときにはといいますか、ある一定の時期になりますと高年齢の方がずっと多くなりますので、大きな減り方になっていくのではないかと思います。全く推算の域を出ませんけれども、やはり二十年ぐらいたちますと約半分ぐらいの百四十万ぐらいになるのじゃないかという感じがいたします。  そこで、もう一つ改善の方でございますけれども、これはどうも予測をすることができないわけでございまして、先ほど来お話しのいろいろな改善の要素もなお残っておりますので、また公務員給与改善等がありますればこちらの方の改善もいたさなければならないわけでございますので、その要素はなかなかつかみにくうございます。たとえば今年は八千九百億と申しましたけれども、来年に関しましては、もう一つの要素として本年七月からの改善をお願いをいたしておりますので、その七月からの六ヵ月分の予算を組んでおりますが、来年度と申しますか五十二年度の予算におきましてはこれが平年度化されまして、今年度の改善額の倍かかるわけでございますので、来年五十二年度が五十一年度よりもさらにふえるということは絶対確実でございます。ほかの改善を加えませんで、それから人員の要素を若干加味をいたしまして計算をいたしますと九千六百億ぐらいになるのではないかという感じがいたします。しかし、これは先ほどお断り申し上げましたように、改善の面を加えておりませんので、改善の面をある程度常識的に予想すれば一兆円を超えるだろうというふうに思っております。  五十三年以降につきましては、そういうことでさらに未知数でございますが、たとえば五十三年度でありますと、人員だけのことを考えればさらにそれから百億ないし百数十億は減るのではないかというふうな感じがいたします。したがって、どこがピークかというのは、いま言いました両方の面からの絡み合いでございますのでわかりませんけれども、人員は確実に数万ずつ減っていきますので、恩給予算はいつの日か次第に漸減をするという見通しでございます。
  187. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 はい、わかりました。全くごもっともですね。大体平均毎年数万ずつ亡くなられるということの概算でなければわからぬと思います、それはもうおっしゃるとおり。しかも給与改善恩給改善がどのようになっていくのか、そういう点も見越さなければならぬのでなかなか簡単には数は出ないと思いますけれども、大体二十年ぐらいたてば半数ぐらいになるというようなことがあらましでもわかりますれば大体私も参考になりますので……。そのお答えは私はそれで結構でございます。ありがとうございました。  それでは、恩給関係は実はまだお聞きしたいのですがその程度でとどめておきまして、今度は人事院の方にちょっとお尋ねしたいのですが、人事院総裁もお見えになっておりますから、ごく簡単なことですからちょっとおつき合い願いたいのです。  文部省の方で主任制度というのを発足させる、恐らく四月あたりからももうあちらこちらで実施をするというようなことになっておるということでございますが、根本的に主任制度という制度化に対しては私は反対です。私も過去三十年教職にありまして、旧制の中等学校、いまの高等学校、  これに三十年おったんですが、私は校長を十年しておりまして、主任はこれは現在もありますが、もう私らの時代からあるのです。各専門部門で、たとえば数学科では、五、六名おればそれの主任がおります。国漢科では、やはり五、六人おればそれに主任がおります。これは皆主任制度をつくっておりましたけれども——制度はないけれども、やはり学校内において先輩が主任になって、これは自然的に、いまもどこの学校でもあると思います。それに対して手当をつけるということに対しては、私どもは反対なんですがね。なぜかならば、いままで各学校で主任がおっても、何も支障なくスムーズにいったんですよ。私も相当長い間国漢の主任をしておりました。国漢担当の教員が五、六人くらいおります。それから教務主任も、校長になる前に三、四年しました。何も一円も手当をもらっておりません。それでも非常にスムーズにやっておりまして、きょうは国漢部の合同会議をしようじゃないか、自主的にみんな集まっていろいろなことを研究して——ところが手当について、いわゆる人材確保法、略して人確法ですか、第三次給与改善勧告として人事院の方から特殊勤務手当ということで、これは御決定になっておるのかどうか知りませんけれども、そういううわさをちらちら聞いたんです。それで、新聞にも主任手当は現行法で特殊勤務を拡大すると人事院総裁が表明、こういうことが載っておりますので、それでちょっとお聞きしたいのですが、特殊勤務手当という性質は、これはよく御承知と思いますけれども給与法に載っておりますから私が読み上げるまでもないが、これは本当に特殊な勤務ですね。これでは、私はちょっと無理があるのじゃないか、これではとても学校の先生たちが承知するわけはないぞと思うのですが、その点について総裁のお考えがどういうふうなお考えをお持ちであるのか。もう申し上げるまでもないけれども、  「著しく危険、不快、不健康又は困難な勤務その他の著しく特殊な勤務で、給与上特別の考慮を必要とし」これは本当の特殊勤務で、これは本俸の俸給には入れられないと解釈するものに限ってこれをやるんだ。ところが主任制度というものは、著しく危険でもなければ不快でもないんですよね。何も災害の問題もないんですよね。「不健康又は困難な勤務その他の著しく特殊な勤務で、」こう書いてあるんですね。どのような御見解をお持ちであるのか、その点を総裁にちょっとお尋ねをしたいと思って、実はお忙しいところをすみませんでしたけれども……。  御承知のとおり、これは学校の方では教育指導職、指導をするんだというのであって、何も危険性があるわけでも何でもないのでして、著しく困難な事務でもないんですね。だから、特殊勤務ということにはいささかも核当しない。これは全然別の問題なんですね。これは人事院規則でおやりになると思いますけれども、法令化しなくても。これは非常に微妙な問題で、これを法令化しょうとして国会に出せば、これは猛然と反対されるから、それだからこれは人事院規則でさらさらっとやってしまおうという、何でもいいから特殊勤務手当というようなことにすれば文句がないじゃないかというようなお考えでおやりになっておるということになると、これは大変な収拾できないようなことになるのじゃないかと、ひそかに私はそういう点を憂えておるのです。これはもうこんなことをなさるということになると、先生方は猛然と反対します。何が特殊勤務手当だ、学校の主任制度をつくって、主任がいつ危険なことがあるんだ、その教科の指導をするんですからね。だから、指導職ということは、これはもう何も事新しいことじゃなくして、教育の指導職。そうすると、いままでありますところの主任もこれは指導職です。私らも主任として、国漢の教員を皆集めて——私と同じ大学を出た者もおりました。後輩もおるし、いま出てきたばかりの若手もおりますし、中堅クラスもおりますし、それを皆集まれ、そうして指導したものですよ。これは主任だから当然です、指導するのは。だから、指導職が特殊勤務手当をもらうというのは、これは全然性質が違うんですね。はなはだ失礼なことを申し上げますけれども、私は長年、実際自分で当たってきたのですからね。その事情をお話し申し上げて人事院総裁の御見解を——しかし、これはもう御決定なさって、このようにして勧告するとなさっておるかどうか、それは私はまだわかりませんが、新聞に載っておることから考えますと、人事院総裁が表明、こう言っておりますので、その点のところを、卓越せる高邁なるお考えを持っていらっしゃる総裁の御高見を承りたい、こういうわけです。
  188. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 鬼木委員は長年教職の実際の御経験を積んでおられまして、その貴重な御体験からのお話がございまして、私も大変肝に命じて承った次第でございます。  実は、その前提として申し上げますと、この間、この内閣委員会で主任に関する問題の論議がございました。その際に、いまの問題も提起されました際に、私からも言及をいたしたことは事実でございます。ただ、これにつきましてはただいま私たちの方で勧告の最後の詰めをやっております。もう時期が参っておりまして、昨年は御承知のように三月十七日ということで、これはいろいろな事情がございましたが、大変おくれましたために当委員会にも大変御無理を申し上げたようなこともございまして恐縮をいたしたのでございますが、今度はできるだけ馬力をかけて、去年のようなことにならないようにということで現在最後の詰めを急いでおりますが、実はまだ最後的な決定に至っておりません。その点を前提としてひとつお含み置きを願っておきたいと存じます。  いませっかくお話がございましたので、先生の御意見は御意見として頭に入れながら一応お答えを申し上げておきたいと存じますが、この主任の問題をどういうふうに位置づけるかということについては、これの主管、責任官庁でありまする文部省において従来もいろいろ考えてきたようでございます。  そういうこともございまして、昨年の三月七日に、人確法に基づく第二次、第三次の勧告に当たってこういう点をひとつ配慮してくれという申し入れが私に対して文部大臣からございました。その中の一つの項目といたしまして、教務主任等の主任については、まだ規定は去年の段階ですからできていませんでしたので、その規定の整備を待ってひとつ所要の処遇措置、給与処遇措置を講じてもらいたいという申し入れが実は参っておるのであります。  私たち、申し入れがあったからといって、それをそのまま受け取るとかなんとかということは別問題といたしまして、御承知のように、従来から一般の夏の勧告の際にもそれぞれの所管の各省からは、いろいろ自分に関係のある公務員の待遇改善あるいは処遇のあり方、給与体系等についてのいろいろな注文が参ります。それはそれとしてわれわれは虚心に承りまして参考にいたしておるのであります。そういう意味から申しますと、文部省が申し入れてまいりましたことも、それなりに文部行政の責任者が言ってくることでございますので、われわれとしてはそれなりに受け取らざるを得ないということでございました。  ところが、これはもう先生専門ですから御承知のように、いわゆる主任と言われておるものでもたくさんございまして、それこそもう種類を数え挙げれば五十も六十もあるというようなことでございます。そういうものをのべつに、主任だからといって何かの給与的な措置を講じてくれと言っても、これは人事院立場としてとうていそういうことはできないというようないろいろなやりとりもございました。  そのうちに、文部省としては規定の整備をちゃんとやる、そして主任の中でもはっきり位置づけのできる、責任のあるものについてひとつ措置を講ずることにしてもらいたいということに相なりまして、いろいろないきさつがございましたが、去年の暮れに学校教育法の管理規則というものが改正になりまして、ここに主任の基本規定ができました。  その後、これに基づきまして国立学校、これは付属でございますが、国立学校の管理規則というものがことしになって二月十日に出されたわけでございます。  そこで、要するに、特に重要と認める主任というものをその全体の中から選びまして別表に取り出してきたということで、その中で文部省が考えておりますものについて何らかの処遇措置を講じてもらいたい、これはやはり位置づけといたしましては、連絡、調整、指導、助言ということをやっていくことで、要するに校務の分掌であり、教育業務の分担で、これは確かにほかの先生とは違ってそれだけ付加業務と申しますか、御苦労であることは事実であるからして、それなりの評価はしてもらいたいという事柄でございます。そこで、われわれといたしましても、目下それについていろいろ検討はいたしております。  ところが、一般には、いろいろこの問題をめぐりまして各府県では相当の混乱が起きておるというようなことは新聞紙上その他で、また文部省からの連絡でもって承知をいたしておりまして、それなりに重要問題であるというふうにわれわれも認識をいたしております。ただ、制度化というものが行われましたし、それを踏まえてやはり何らかの措置を講ぜざるを得ないのではないかという気持ちになっておりますことは、これは事実でございます。その場合に、何らかの措置を給与上講ずるといたしました場合に、方法としては一つだけではございません。考えられます道はほかにもございます。たとえば、これは例の教職調整額でなくていわゆる調整額でございますね、調整額でもってやっていくという考え方が一つございます。これはその職務自体に特殊性があるからして本俸はいじれないけれども、やはり本俸と同様並みの措置でもってやっていくということで調整額という措置がございます。もう一つは、これも御承知の特別調整額、いわゆる管理職手当という制度がございます。これは、現在、校長と教頭に出されておる問題でございます。しかし、これは文部省が出しました主任の性格から申しましても、また従来から文部大臣以下が言っておりますように、主任というものは管理職じゃないのだということ、事実上それを表現いたしまして、連絡、調整、指導、助言ということになっておるわけであります。そういうことになりますと、また従来からのいきさつから申して、管理職手当をこれに支給するということは人事院としてもできがたいということになってまいるわけでございます。  そういたしますと、無論これは本俸でやるべき筋合いのものではございませんですし、それから去年いろいろ御論議をいただきました教職員の特別手当というものがございますけれども、この特別手当というものもやはり教員一般に支給することで、その特殊の者を対象にする筋合いのものではございません。そういうことから考えますと、やはり特殊勤務手当ということがなじむのではないだろうかという考え方になるわけでございます。  他面、いまお話しになりましたように、全然別個の制度として法律の中に何か柱を立ててそういう主任手当的なものを書くという方法も、これはないことではございません。しかし、これは私、率直に申しまして、やはり給与制度というものはいまいろいろな積み重ねでだんだん複雑になってきております。きておりますけれども、やはり本来はできるだけ単純、簡素、明快なものであってしかるべきである、それがまず一つの理想形態ではないかという考え方で、余り複雑なことでない方がいいということは常々考えております。  そういうような面から申しましても、また主任というものの性格から申しましても、これに対して何らかの処遇を講ずるということを考えまする場合に、別の柱を立てて法律でもって特別にやっていくということは、これはいかにもなじまないんではないかというようなことの大体の現在の論議に相なっておるわけでございまして、しからば特殊勤務手当にどうしてもなじまないかということに相なりますと、これは鬼木先生からはいろいろ御異議もあるかと思いますけれども、われわれといたしましては、たとえばいまお挙げになりました中で、困難な業務——ほかの先生とは違ってやはり大変御苦労なことであることは事実でございます。それと、いまの特殊勤務手当の内容を見ますと、そのほかにも多学年の担任手当、その他教育の特殊業務手当というようなものも、やはり特殊勤務手当の中に織り込んでおるというようなこともございますので、全然これになじまないものでもないではないだろうかいうようなことが論議としてあることは事実でございます。しかし、いまのところまだ最終的な決定ではございません。いまの鬼木先生の御心配の点その他は十分腹に入れながら最終的な結論に持っていきたいと思っております。
  189. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いまるるお話を承りましたが、御苦労なさっておることは私よくわかります。しかし、あくまで主任制は管理職でないということははっきりしております。これは文部大臣もはっきりこの点は声明しております。管理職でないということになれば、いまおっしゃるようにいろいろな方法もおありかもしれませんけれども、特別調整額なんというのは、これはもう明らかに教頭、校長の問題ですから、これはなお大混乱を来す。それから特殊勤務手当といいますのも、その中に指導の点の云々というようなことを、それは表現はどうでもいいですが、法改正でもしてそれにお入れになればまた話は別だと思いますけれども、ただこの特殊勤務手当をそのままこれに適用するということは非常な無理があると思うのですね。困難という点も入っていますけれども特殊勤務手当の困難という意味が違うのですよね。指導することが困難なんということを言えば、一般先生たちが指導するのはなお困難です。それは悪いことをするのやら、言うことを聞かぬのやら、できぬ子供なんかを、それはもう大変なことですよ。ことに私の経験しておりましたのは全部旧制の中等学校でしたが、もう全部こっちよりも体格もいい、柔道は三段も二段もなんというのがおりますし、とてもじゃないけれども上から先生と言って見おろすようなのばかりで、それはもう非常な困難ですよ。だったら、先生方に全部困難ということで特殊勤務手当をつけなければならぬということになる。ですから、指導ということはこれは指導性ですから、まあ決定はしていないとおっしゃっているから、何も私どうこう申し上げるのじゃないけれども、これはよほど再思三考していただかぬと猛然と先生方の反対に遭うことは、これは火を見るより明らかです、特殊勤務手当なんということになると。ということを私杞憂して、老練な人事院人事行政に対するオーソリティーに私がそういうことを申し上げるのはなんだけれども、老婆心ながら、きょうはお尋ねかたがた私の愚見を申し述べた。どうぞ御了承願いたいと思う。  それでは時間がちょっと超過しましたけれども、これで私の質問を終わります。長官局長、皆さん大変ありがとうございました。お世話になりました。
  190. 竹中修一

  191. 和田貞夫

    和田(貞)委員 恩給の件ですが、人事院総裁何か予定がおありだそうでございますので、人事院総裁の方に先に質問申したいと思います。  いま鬼木委員の方から御質問がございました主任手当の問題ですが、いまもお聞きいたしておりますと、一つの方法としては管理職だというように文部省が踏み切るのであれば俸給の特別調整額、さもなければ俸給の調整額ないしは特殊勤務手当というようなことでこの処理をしてはどうかということで御議論がある、こういう点をお聞きしたわけでございます。私もいまの議論をお聞きいたしておりまして、まずこの間の、おとといですが、大出議員の質問に対しまして、特殊勤務手当によってこの処理をするということにウエートをかけた考え方が述べられたわけですが、特殊勤務手当というのはやはり手当の性格からいいまして、管理職手当じゃどうもぐあいが悪いから特殊勤務手当というような、そういう議論をなされること自体、私は人事院の存在価値として非常に残念に思うわけなんですが、何でも構わぬ、とにかくどこかに突っ込んだらいいんだというような気持ちで特殊勤務手当というようなことをまともに考えておられるのかどうか、改めてお聞きしたいと思います。
  192. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 いま御指摘になりましたようなことではございません。われわれといたしましては、どこでもいいからひとつ突っ込んだらいいじゃないかというような安易な考え方でこの問題には対処しておりませんし、また対処するつもりは毫もございません。  事柄は大分前にさかのぼっておりまして、先刻も去年のことは申し上げましたが、実はこれは和田さんも専門ですから恐らく御承知だと思いますけれども、教員の超過勤務手当の問題が論議をせられました際に、いろいろ紆余曲折があって教職調整額ということで、これは超過勤務手当というものは適用除外ということになったわけですが、その際に、超過勤務手当を適用除外にする結果、教職調整額を出したから何でもかんでも先生に過酷な業務を命ずるというようなことになっては困るではないかというような議論もございまして、そこで特に超過勤務的なそういう超過業務をやるような場合を実は限定をいたしたというようなこともございます。そういうようなときにそれと並行をいたしまして、主任についても、やはりなかなか御苦労さんな仕事だからして、それについては何らかの給与措置をひとつ講じてもらったらというようなことが、当時からやはりいろいろ公的にあるいは非公式的に論議されておったようなこともあるようであります。  それはそれといたしまして、今度の場合規定が整備をせられまして、それについて国立学校の管理規則というものも改められたという現実の姿がございます。それと、従来経緯といたしましてこれを管理職とするかどうかというようなことはいろいろ論議をされた形跡がございますけれども、結論的には現在の文部省の態度というものは主任は管理職でないんだということを断定をいたしまして、これは要するに連絡、調整と指導、助言の職なんだ、そして、適任者があればできるだけ回り持ち、という言葉は悪いですが、適任者はひとつ固定しないでなってもらうというような運用もやっていったらいいじゃないかというようなことになってまいりました。それは文部行政の問題でございます。そうなればわれわれはそれに対してどういう評価をするのか。やはりそれは管理職じゃないか、そういう言い方はこれはできかねます。文部行政の主管官庁が責任を持って申すことでございますので、それをやはり前提にして事柄を考えていかざるを得ぬということでございます。  しかし、一面大変これをめぐって問題が起きておることがございますので、いまわれわれといたしましては、われわれなりに大変苦慮をいたしております。苦慮をしながら、いろいろ諸般の情勢をにらみ合わせながら適切な結論を出したいということでございます。  その場合に、いまお話を申し上げて繰り返すことは差し控えますが、やはり特殊勤務手当の制度というものがいまの主任手当的なものになじまないものでもない、それは十分現在の体系にも入っていける筋合いのものではないかということをこの間の席上でも申し上げたということが実情でございます。しかし、これは最終的にどうしていくかということは、もうしばらく時間がかかりまして、今日現在のところではいまだ未決定でございます。
  193. 和田貞夫

    和田(貞)委員 総裁、いま苦慮しておるんだということを言われましたが、私に言わせるならば、人事院がはなはだ迷惑をこうむっておる、こういうように私は受け取るわけです。むしろそういうように御答弁いただく方が私は正確じゃないかと思う。あなたの方から、学校管理上、人事管理上主任制度というものが中間管理職として必要である、だからそのような制度を置きなさい、かくかくしかじかで手当をこういうように管理職手当として差し上げるようにしよう、こういう勧告をして文部省がそうやったんじゃないわけです。文部省の方から、人材確保法によるところの教員の給与の引き上げ、その原資の中で、ことさらその主任制度というものをつくるために何とかひとつ勧告をあわせてしてくれぬかというように、向こうの方からのあなたの方に対するところの強い要請というか要望というか、それに基づいてあなたの方がいま非常に迷惑がかかっておるんだという立場におありと私は思うのです。  したがって、やはりこの問題は、処理の仕方いかんによりましては、これは公務員給与制度全般にかかわる問題であります。給与体系の根幹にかかわる問題です。過って倉卒の間にかりそめにも特殊勤務手当で済まそうかとか、あるいは俸給調整額で何とかしてしまうかとか、そういうような安易な形で、法律案を出すことになっては非常に国会ではもめるだろうから、人事院規則で何とか処理しようというような考え方でこの問題について処理されるというようなことになりましたら、公務員全体から人事院は非常に疑惑の目で見られることになりますので、人事院自体の存在価値が疑われることになりますし、公務員全体の給与体系というものがこれはもう全く混乱してしまうという結果になろうと思いますので、いかに文部省の方から要請があろうとも、この結論をそう簡単に安易に考えるべきじゃない。むしろ、文部省の方が管理職でないということを言い切っておるわけですから、管理職でないような指導職というものはあるかい、もう一度顔を洗って出直してこい、こういうような態度で人事院がこの際臨まれるということが、人事院の毅然たる態度として評価される、私はそういうふうに思うわけなんですが、その点どうですか。
  194. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 人事院のあり方に対して大変御心配の御発言をいただきまして、その点では感謝を申し上げております。  ただ、各省との関係でございますので、局長段階あるいは課長段階その他ということでやりとりはいろいろございます。それのやりとりをここでいろいろ申し上げる必要もございませんし、またそういう筋合いのものでもないというふうに考えておりますが、去年の三月から今日まで、そういう意味ではいろいろな連絡なり協議というものが真剣に繰り返されてまいったことは事実でございます。そういうような面を踏まえまして、私は私なりに全体をにらみ合わせながらいろいろな点をとつおいつ思案をいたしておるということでございますけれども、しかし、制度の根幹を曲げるというようなことは、それは毛頭考えておりません。特殊勤務手当というものは、やはり考えてみて、主任の現在の性格からいってなじまないことではないということから、そういうことを端的にいま申し上げておる次第でございまして、それがなじまないものを無理やりに、ほかに持っていきようがないからそこへ突っ込むのだというようなことになりますればそれは大変なことでございますけれども、私はさようなようには考えておらないということをはっきり申し上げておきたいと思います。
  195. 和田貞夫

    和田(貞)委員 特殊勤務手当が主任手当としてなじまないということになれば、これは大きな問題になってくるんじゃないですか。これは指導職だということ、どこが考えたかわからぬけれども。言うならば、行政職の中でも管理職になっておらない係長、主査あるいは主管、あるいはところによりましたならば主任という制度もありますよ。同じようなことが言えるんじゃないですか。そこまで波及していく、こういうおそれがありますよ。しかも特殊勤務手当というのは、これは法文で明らかになっておるように、そういう主任手当とかというような問題がなじむとかなじまないとかという問題ではなくて、明確に文章化されておるじゃないですか。それは余りにもこじつけじゃないですか。ましてあなたは大先輩であって、もともと国家公務員法に基づくところの地方公務員法をつくられた方であって、そのときから給与法というのができて、これに基づくところの給与条例というのはその地方でかくかくしかじかと言って指導なさってきた方ですよ。しかも人事院の事務総長として長年御苦労になって、先ほど言われたように、この人事行政について、給与問題について、あなたの域を出るような詳しい方がない、こういうように私たちは思っているわけです。これは誤りますと、だからあなたのこの間の本会議におけるところの人事官の同意を求める件についてももっと慎重に考えなければいかぬじゃないかというような議論までも出てこないとも限らぬわけです。私たちにとりましてははなはだ迷惑なんです。あなたを信用しておるから本会議におきましても同意をしたわけです。せっかくあなたが人事院総裁になりまして、ここで事を誤りますと、先ほども申し上げましたように、公務員全体の給与制度の根幹にかかわる問題だ。まして特殊勤務手当というものはなじむとかなじまないとかいうような問題じゃないと思う。あなたはひとつ慎重に考えていただきたい。
  196. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 私の立場のことをいろいろ御心配くださいましての御発言はありがたく肝に銘じて承っておきたいと存じます。  私の特殊勤務手当になじむなじまぬということの表現があるいは不適切なのかもしれませんが、私の申すのは、特殊勤務手当の範疇に持っていくことは、やろうと思えば可能であるという意味でなじむということを申し上げておるわけでございます。いろいろなやり方はある、やり方はあるが、しかし特殊勤務手当でやれないかというと、そうじゃない、特殊勤務手当でもできます、という意味でなじむという表現を使ったのでございます。  それから、いま和田さんがお話しになりました他への波及の問題でございますが、これらもわれわれ慎重に考えております。考えておりますが、この点、和田さんは専門家でよく御承知のように、たとえば主任なり係長というのは一般行政職の関係では、それ自体の職務の評価でございます。それ自体の本来の職務評価で格づけをしておる、等級格づけをやっておるという問題でございます。ところがこの主任の問題というのは、これは先生というものは、一般的に教壇でもって生徒児童を訓育をしていくということがその本来的な任務として全部にあるわけです。全部にありますが、それに並行して、要するに言葉としては熟しておらないかもしれませんが、付加的な業務といたしまして、いろんなその他の校務分掌がございます。校務分掌というのは一種の付加的な業務であって、それになる人はやはり御苦労さんであるというようなことが校内でも一つの決まった世論みたいになっております。そういう定めになっておることもこれは事実でございまして、それは一般の行政職の主任その他とは違うというふうにわれわれは理解をいたしておりまして、それらの付加的業務について何らかの給与措置を講ずるとすれば、いろいろな手段はあるけれども、しかし特殊勤務手当としてやろうとすればやれないことはない、そういう意味で申し上げた次第でございます。     〔竹中委員長代理退席、木野委員長代理着席〕 しかし私といたしましては、基本的な態度といたしまして、人事行政のあり方その他の根幹に触れてこれを何か便宜的に揺るがせるような、そういうようなことは一切いたしません。そういうことは厳に慎んでまいりたいという基本的な態度は変えるつもりはございません。
  197. 和田貞夫

    和田(貞)委員 この議論、また改めてやりたいと思いますが、念のためにお尋ねしておきますが、勧告の時期、まあきのうも言うておられたが、まだ明確でない。しかし、勧告がされるまでに人事院規則があなたの方で独自に改正されるということはないですね。
  198. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 ございません。
  199. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それでは勧告後ですね。
  200. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 どういう勧告あるいは主任関係の位置づけになるかは存じませんが、要するに、これらは法律が施行された段階において、これを施行していくという過程において同時に並行して行われるという筋合いのものだと思います。
  201. 和田貞夫

    和田(貞)委員 まあそういうことでございましたら、この点につきましては次の勧告の場で改めてひとつ議論させていただきたいと思いますので、次に進みたいと思いますが、長い間公務員給与体系が進んでいく中で、かつての地域給が情勢の変化によって暫定手当にかえられて、一部が本給に繰り入れられた。いま調整手当という、在来の地域給と性格を同じくするものが加味されて、基準内賃金として支給されておる。これは基準内賃金というように見ていいですね。
  202. 角野幸三郎

    ○角野説明員 国家公務員給与法の中に基準内賃金という——確定した用語ではございません。しかし、その給与上の位置づけといたしましては、基本給といいますか本俸、それから本俸の調整額、それから調整手当——地域給でございます。それから扶養手当、このいずれもが一応一番基本になっておりまして、他のたとえば公社、現業のような場合でも、そちらの方では基準内賃金という呼び名を用いている場合がございます。     〔木野委員長代理退席、竹中委員長代理着席〕
  203. 和田貞夫

    和田(貞)委員 したがって、たとえば時間外勤務手当であるとかあるいは特殊勤務手当であるとか、それに類するようなものじゃなくて、基本給であるということですね。
  204. 角野幸三郎

    ○角野説明員 さようでございます。
  205. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それでは、同じこの基本給の中に加味されておる俸給調整額というのは、これは人事院規則でかくかくしかじかという職種あるいは勤務場所が、支給部分が明記されて運用されておるわけですが、俸給調整額というのは何を目的にして出されておりますか。
  206. 角野幸三郎

    ○角野説明員 俸給の調整額は、先生御存じのように、実力において俸給と同じ関係にございます。それで、給与法の十条にございますが、職務の複雑、困難もしくは責任の度、勤労の強度、環境その他でございますが、それが一般の俸給表そのものを受けております一般職員に比べまして特殊な官職に対して、いわばそれを継ぎ足すという関係規定されてございます。
  207. 和田貞夫

    和田(貞)委員 初任給調整手当、現業関係では俸給調整額加算額という呼称をして本給に加味してあるというところもあります。これは何を目的にされておりますか。
  208. 角野幸三郎

    ○角野説明員 初任給調整手当は、これは初任給といたしまして、新しく職員を外から採用いたしますときに、俸給表の中でもちろん初任給の位置づけは決まっておりますが、それを、やはり初任給の場合には需給的なバランスというのがございますものですから、民間の賃金の初任給の部分の変動にできれば弾力的に対応させるために、俸給表に継ぎ足して高さを出すということで始まった経緯を持っておりまして、目的もそういうことでございます。
  209. 和田貞夫

    和田(貞)委員 職種によってはなかなか雇用できない、応募してこない、そこで、その職種がどうしても必要である、その職種の雇用率を高めるための手段として、初任給調整手当あるいは俸給調整額加算額という、こういう形になっておるのじゃないですか。
  210. 角野幸三郎

    ○角野説明員 大体そのとおりでございます。初任給の場合には、給与のほかの部分と違いまして非常に、相場といいますか値が、調査いたしますとわりと安定的に出てまいりますので、特に採用いたします入り口のところは金額では負けられない、こういう関係で、そういう需給関係の調整ということでございます。
  211. 和田貞夫

    和田(貞)委員 したがって、初任給調整手当あるいは俸給調整額、これらにつきましては、地域に関係なく、その対象官署あるいはその対象官署に勤務する職種、それが対象になって支給されていく、こういうことですね。
  212. 角野幸三郎

    ○角野説明員 そういうことでございます。
  213. 和田貞夫

    和田(貞)委員 そうすると、この調整手当というのは、現在の人事院規則かできてから——いまのその調整手当は四十六年ですね。もうすでに数年経過しておるわけです。この調整手当というのは、先ほども御確認いただけたように、その地域の民間の賃金が非常に高いところ、あるいは物価が非常に高いところ、生活が著しく困難なところ、そういうところないしはこれに準ずる地域に所在する官公署を指定して調整手当を支給する、こういうことになっておりますね。四年間にそういう条件というのがかなり変動しておると思うわけなんですが、いまだに毎年の人事院勧告を見てみましてもその点が触れられておりませんし、人事院規則が改正されようというような動きがない、こういうように把握しておるわけなんですが、総理府人事局として、いま給与が支給されておる中で、調整手当というのがこのままで、もう数年前につくられた人事院規則で給与を支給していって公正な給与が支給されておる、こういうようにお考えですか、どうですか。
  214. 角野幸三郎

    ○角野説明員 調整手当は、いま先生おっしゃいましたように昭和四十二年でございますが、昭和四十二年に現在の調整手当ということで従来の暫定手当から形を変えまして以後、地域についてはそのまま大きな変動なく続いて、規則で、いわば昭和四十二年以降、その後で二度ばかり部分的な修正はございますが、大筋ではほとんどそのままの状態でいままで来ておるということは事実でございます。  ただその間に、この人事院規則の規定の仕方が行政区画を用いております関係上、その後市町村合併でありますとか行政区画の変更に伴いますその時点の行政区画に移しかえたことがございますので、それにつれて地域は自動的に変動したということが二度ばかりございます。  それで、この問題につきましては、昨年、一昨年でございますが二年ばかり続きまして、人事院は毎年夏に勧告をいたしておりますときに、引き続いて検討するということを申していままで来てございます。ところがここ数年は、御案内のように非常に民間における賃金——賃金だけではございません、物価、生計費が大変変動を続けておりまして、したがいまして、調整手当の中の地図といいますか、地域の要因として非常に不安定な状態が続いてございます。毎年、夏になりますと問題を提起いたしまして、部内で大いに検討しておるわけでございますけれども、こういう不安定な状態でとても地域区分の安定的な確定はできないということで、宿題のままずっと来ておるというのが現状でございます。
  215. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それ以外に、地域の都市化が進んでいく、開発が進んでいく。山の中に数万の団地ができて、一挙に山が急変して市街地になったというようなところもここ数年の間にあるんじゃないですか。
  216. 角野幸三郎

    ○角野説明員 いま申し上げましたように、四十二年以来ほとんどそのままの状態になっておりますが、この十年近い間の変動は相当ございます。
  217. 和田貞夫

    和田(貞)委員 あわせて、国鉄、電電公社あるいは専売公社、こういう公社の場合は、それぞれ賃金体系というのは異にするところがあろうと思いますが、しかし、国家公務員の中で現業部門、たとえば郵政の方々あるいは林野の方々、これはあくまでも国家公務員であって、たまさか労働慣行としては公労法が適用されている。そして団体交渉の中で、最終的には仲裁裁定で賃金が確定される、こういうシステムをとっておりますが、あくまでもやはり国家公務員国家公務員。その同じ国家公務員が、同一地域の中でそれぞれの官署の出先がありますが、先ほど申し上げましたところの一つの基本給になっておるこの調整手当が、支給率が異なるということは好ましいと思いますか、好ましくないと思いますか。
  218. 角野幸三郎

    ○角野説明員 現業関係でございますが、国家公務員ではございますが給与特例法の適用職員でありますので、給与決定方式が一般職のわれわれと別の形になってございます。ただ、基本的には私ども一般職給与に準じて決定するということが給与特例法に定められてございますので、全体的には私どもの調整手当に準じた形で運用するという筋になっておると思います。  ただ、国の機関と、それからたとえばいまお話しの郵政と、官署のある場所が異なる場合がございまして、国の官署がその地域に全然ないというようなところは、いわば地域といいますよりも、そのままになってございます。それからまた、先ほど申しましたように、たとえば行政区画を用いておりますことから来る経過的な修正、その辺の歴史が異なっておりますということから来る結果的な差というのはあり得ると思います。  一概にどちらがどうとも言えませんが、大局的には同じで、部分的には、個別にはそういう事情の違いから来る相違があり得る、そういうふうに考えております。
  219. 和田貞夫

    和田(貞)委員 調整手当のことでありますから、準じなければならないということ、これは他の諸手当とかあるいは基本給についてはいざ知らず、俸給があり、それから家族給があり、地域給に相当する調整手当があり、これは同じような率でないとおかしいでしょう。それの方が好ましいでしょう。
  220. 角野幸三郎

    ○角野説明員 基本給の俸給調整額、それから調整手当、こういうふうに基本的なものがございますが、同じく国家公務員でございまして、給特法では一般職給与に準ずるとございますので、それは全体的な考え方としては均衡がとれておるということが望ましいのではないかと思います。
  221. 和田貞夫

    和田(貞)委員 一つの例をとってみますと、私の選挙区に堺市というところがあります。あなたの方では堺市全域が地域指定をされて、八%の調整手当、こういうことになっておりますね。
  222. 角野幸三郎

    ○角野説明員 そのとおりでございます。
  223. 和田貞夫

    和田(貞)委員 ところが堺市の中で、たとえば郵政の場合には、先ほど御指摘いたしました俸給調整額あるいは俸給調整額加算額支給対象地域並びに官署、こういう別表をつくっているわけです。したがって、その中で堺市の例をとってみますと、昭和何年何月まで堺市であったところ、そして昭和何年何月まで旧南河内郡登美丘町であったところについては八%の調整手当、それ以外のところは六%、こういうことになっているわけです。そこで、同じ郵便局のものが、いま申し上げましたようなところには合わせて五カ所、その中に一カ所あるわけです。その一カ所がいま現存しておりますが、実は二カ所あった。二カ所あったが、その一カ所はいま御指摘いたしましたような地域に移転のために移った。だから八%になっている。残っているところは依然として六%、こういうことがあるわけです。あなたの方では全域が八%というふうに指定されている。けれども郵政はこういうような決め方をしている。私はこれを非常に問題にしたいのは、そういうようにわざわざ指定しておるということは、物価が高いとか安いとか、あるいは生計費が高くつくとか安くつくとか、民間の賃金が高いとか安いとかということじゃないのです。たまさか六%に残されているところは全逓という労働組合の組織がある官署なんです。そして先ほど申し上げましたように、もともと同じ地域にあった一つの官署が、たまさか移転してそこへ移ったために早速八%支給している。こじつけた調整手当の支給の仕方をやっている。これは好ましいと思いますか、好ましくないと思いますか。
  224. 角野幸三郎

    ○角野説明員 現地といいますかその地域の事情、それからその周辺の関係、どういうお考えで郵政の方でそういうことになっているかよくわかりませんが、恐らく調整手当の問題につきましては、昭和四十二年に暫定手当から調整手当にかわりましたときに、この地域についてはこのままの状態でおくという考え方がその時点においては非常にはっきり出てございまして、それでそれから後、特別の変動でない限りはできるだけそのままずっと持ってきているという根本的な考え方が残っておると思いますので、経過的に見ますと、その辺の官署のあり方とか職員の異動とか、それから都会地の変動とか、そういうことによる修正というような個別具体的な問題で、私どもと郵政との間に差ができておるのではないだろうか、そういうふうに考えております。
  225. 和田貞夫

    和田(貞)委員 そうじゃないのです。二つの郵便局の例をとって見ますと、一つは泉北という郵便局がある。その管内には三万四千百七十一世帯、人口にいたしまして十万八千五百三十人おる。片や福田局、この管内の世帯数は一万五千三百五世帯、人口が五万九百九十三人。泉北郵便局は、堺市内にできました泉北ニュータウンというすでに人口が十万の都市化した部分の中にある。片やそれの半分の管轄区域しかない。むしろそこよりもなお田舎じみたところが八%なんです。逆なんです。そういう調整手当という基本給にかかわるような手当の支給について、労働組合の系列の中で片方は全逓という労働組合の組織がある官署、片方は全郵政という組織がある官署、そういう官署の相違によって調整手当に六%と八%というような差をつけるということはどうですか。
  226. 角野幸三郎

    ○角野説明員 どういう理由であるか私どもの方からお答え申し上げる立場にございませんが、全体の、大阪の都市周辺の地域問題ということで、私どもとそれから私どもに準じておやりになる方々との関係の問題として、よく聞いて勉強してみたい、そういうふうに思います。
  227. 和田貞夫

    和田(貞)委員 これは公務員の基本給に関係する問題ですから、同じ郵政省の出店の官署の中でそういうようなことがあるので、私はいままで言おうと思っていたわけですが、ひとつあなたの方から話し合いをしてもらいたいと思います。  それ以外にこういう例があります。泉佐野市と.いうところがあります。泉佐野市というところに大蔵省の出先の泉佐野税務署というのがあります。法務省の出先の大阪法務局佐野出張所というのがあります。同じく法務省の出先の佐野簡易裁判所という出先があります。運輸省の管轄でありますが、国鉄の阪和線に東佐野駅、日根野駅、長滝駅という駅があります。これは公社のことでございますから、調整手当にかわる都市手当というものが支給されている。これらの地域は、いまながめましたらやはり全部あなたの方の地域指定の中で八%の調整手当です。ところが同じ公社の中でも、たとえば電電公社の場合は八%の都市手当が支給されておる、準じておられる。泉佐野の郵便局というのがありますが、郵便局は八%の調整手当が支給されておらない。  先ほどは郵政の出店の中での意識した調整手当の差別、今度は他官庁と比べて郵政の出先が非常に冷遇された調整手当、こういう例を私は挙げたわけなんですが、まことにこの郵政局が、しかも、先ほど申し上げましたように全逓という組織がある官署であるがためにこういう差別扱いをやっておる。しかもこれは基本給に相当するものです。まことにけしからぬ話であります。あなたの方から郵政省の方に厳重に、ただ意見を聞くということでなくて、何らかの意見をひとつ言い聞かせてもらいたい、こういうふうに思うのですが、どうですか。
  228. 角野幸三郎

    ○角野説明員 泉佐野でございますが、いま資料をちょっと見ておりましたら、古い昭和二十九年か三十年時点の行政区画による泉佐野市というところが八%になっておりまして、それでそれ以外のところは、私ども合併市町村の進行途上で四十二年とか五年にやっておりましたが、それが抜けておるという関係なのかと思いますが、またよく……(和田(貞)委員「そうじゃないのです」と呼ぶ)あ、そうですか。先ほどの問題も含めまして何かの機会に勉強してみたい、こういうふうに考えております。
  229. 和田貞夫

    和田(貞)委員 続いて今度は、地方公務員がありますね。これは国家公務員に準じてやっているわけですが、この地方公務員の場合は人事交流がありますね。学校職員についても人事交流があるし、警察職員についても人事交流がある。それがために、同じ行政区域内の出先が人事交流をスムーズにするために、たとえば大阪府という自治体の場合はもう全域八%、あなたの方の無指定地域であっても八%にしないと人事異動ができないのです。だから人事異動がスムーズにできるために八%にしている。それから、それに伴って役場あるいは市役所あるいは警察の出先、そういうところも同じような措置をされておるわけです。またそういうような措置をしなければ、人事院規則によるところのあなたの方の指定というのは非常に古臭いわけです。もうかなり年月がたっておるわけですから、そういう現状であるということを踏んまえていただいて、これは一年たてばかなり都市周辺というのは加速度に都市化していくわけですから、ことしの人事院勧告もひとつ前にしておることでもありますし、人事院規則をこの機会に是正するというような考え方を持ってもらいたい、こういうように思うわけなんですが、人事院の方どうですか。この点につきましてひとつ是正しよう——これは私はたまたま大阪の一部の例だけを並べたわけでありますが、かなり年月がたっておるわけですから、調整手当の支給対象地域あるいは支給対象官署をもう一度この機会に洗い直してみる、こういうお考えに立ってもらいたいと思いますが、どうですか。
  230. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 いまの問題はいろいろ御指摘になりましたような点を含んでおることは事実でございます。人事院といたしましても、従来この制度が改められましてから、四十五年あるいは四十八年、支給割合の問題であるとかさらには地域の問題等についてあとう限りの是正措置は講じてまいったつもりでございます。しかし、時々刻々に変わってきております。ただ、その前の支給割合の点につきましては、先刻次長からも申し上げておりましたように、大変最近のばらつきがひどいというような点がございます。特にオイルショック以後の点は、地域についてこちらの調査でも非常なばらつきがございまして、所によっては大して差がないというようなところも出ておるようなところもございます。したがいまして、それらはもう少し落ちつきを見なければならぬと思いますが、他面地域の問題等についてはこれは各県からもかなり実は要望が出てきております。これは事柄が非常に複雑な問題を含んでおりますので、そう毎年軽々にやってまいりますと大変なことでございますので、その点慎重に事を処してまいらなければならぬと思いますが、しかし、ひどいところ、明白に改正を要するような点が出てまいることも事実でございます。そういうような点は資料もいろいろ集めたりいたしていま検討中でございますが、時期をいまはっきりここで申し上げることはできませんですが、そういう是正措置、現実に合うような措置をするための改正措置についてはできる限りの努力をひとつしたいと思います。
  231. 和田貞夫

    和田(貞)委員 基本給にかかわる問題でありますので、ひとつできるだけ早い時期に検討を終えていただいて、適当な時期に是正していただくと  いうことにしてもらいたいということをつけ加えさせていただいて、人事院の方は終わらしていただきます。  そこで、恩給の問題に入るわけですが、これは総務長官恩給というのは日本の公的年金の中で非常に古い歴史を持っておるわけでありまして、いい意味にも言われるし、悪い意味にも言われがちであります。この恩給という言葉自身が問題でありますし、それにつけ加えての扶助料、いまどき扶助料とは何じゃという言い分も出てくるわけでございますが、大正十二年という古臭い言葉がいまだにまだ続けられておるわけです。おとといのことでございましたか、北海道の道庁のロビーの爆破事件があった。よくよく突き詰めてみたら旧土人保護法というようなこういう法律もいまだにあるということで、初めてそういう法律があったということを知ったというような、こういうことで驚いておられる国民も非常に多いわけですが、あわせて、この恩給という言葉、扶助料という言葉が使われておるが、日本の公的年金で非常に古い歴史でありますが、この恩給あるいは扶助料という言葉が一日も早くなくなって公的年金一元化ということに志向していかなくてはならないのですが、この公的年金一元化への志向の中で、歴史の古いこの恩給制度というのは非常にじゃまになっておるという面もあるわけです。先ほども同僚の鬼木さんの方からお尋ねになっておられましたが、恩給法適用者が大体現在二百六十八万人、あと二十年たてば大体百四十万ぐらいになるだろう、こういうように言われておりましたが、恩給ないし扶助料の適用者がなくなっていくというそういう時期は大体いつごろになるかというような試算をされておられますか。
  232. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 これはもう正確にはとても推測できないので、非常にラフなあれでございますけれども恩給の受給者で現在若い方はやはり五十前後でございます。その方々がこれからの寿命を全うしていかれるわけでございますけれども、特に普通恩給の方が亡くなった場合には、さらに若いたとえば奥様等がおられればそちらの方に転給されるわけでございますので、そういうふうに一番若い奥様、妻のことを考えますと、非常に大ざっぱな推測をすれば、あと四十年ぐらいはあるのではないかという感じを持っております。
  233. 和田貞夫

    和田(貞)委員 三十年ぐらいになったら大体なくなりますか。
  234. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 これは本当にラフな推算でやっておりますけれども、現在の二百七十万ぐらいの方々が三十年ぐらいになると六十万前後になるのではないか、これは本当に自信のない数字なのでございますけれども、そのように考えております。
  235. 和田貞夫

    和田(貞)委員 三十年先になったら大体六十万ぐらいになるだろう、こういうことですが、一人もなくなるという時期であれば三十五年先か四十年先か、これもいま聞いたところでわからぬと思いますが、大体三十年後になれば六十万人ぐらいになるだろう。二十年先には大体百四十万ぐらいになるだろう。それで、せっかく昭和三十二年ですか国家公務員共済年金制度ができ、昭和三十七年に地方職員の年金制度ができ、いまや公務員年金制度共済年金制度とこういうようになってきているわけですが、これを統一できるような時期というのはいつごろか。いつまでも全然なくならないで総理府恩給局というのは存在して、一人でもあれば五十年でも百年でもいくということじゃないわけでしょう。これはやっぱり統一していかなければいかぬわけですよ。一遍一元化していかなければいかぬわけですよ。そういうような準備を含めて、いつごろを目標にされようとしておりますか。
  236. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 いま、ただ対象者の現行制度のもとにおきます推移の粗っぽい推算を申し上げたわけでございますが、これを制度としてどういうふうに考えていくのか等々の非常に基本的な問題につきましては、現在まだ恩給受給者が二百数十万を数えているような状態でございまして、ここ当分はまだ相当の数の者がおりますので、そういう先のことまでは、まだむずかしい問題として残っていることは承知しておりますけれども、現在のところ特に考えてはおりません。
  237. 和田貞夫

    和田(貞)委員 しかし、三十年ものんべんだらりとその目標を定めないでいくというようなことじゃなくて、いつかの時期にやはり一元化の方向へ志向していかなければいかぬでしょう。これはまだ時期早いんだといえばそれまでですが、やはり年金というのはできるだけ一元化していく。せめて、まず公務員年金一元化していくということは早い時期の方がいいと私は思いますが、そういうような点についてお伺いしたいと思います。
  238. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 共済制度恩給制度の統合の問題かと思いましたが、組織のことでございますれば、組織の問題は先ほども受田先生からいろいろ御高見があったわけでございますが、これは退職公務員に対する年金という面で非常な共通性を持っているわけでございまして、それをどういうふうに進めていくかというのは、これはまた組織の面から見た非常に大きな問題でございますので、現在私の立場でどうこう申し上げることはできませんけれども、これは先生指摘のとおりに、また先ほど来御議論がございますとおりに、大変重要な問題であるというふうに考えております。
  239. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それは議論しても尽きないと思いますが、いつかの時期にやはり考えていかなければいかぬと思いますので、ひとつ御検討を願いたいと思うのです。一元化していく面においても、旧来からの恩給制度のあり方と新しい共済年金のあり方というのは、物の考え方を全然異にしておりますから、やはり共済年金を土台に置いた年金制度一元化を図っていってもらわなければいかぬと私は思うのです。  そこで、給付面についてでありますが、ことしの改正案で上位のランクの方は大体七%程度、下位の方は一一・五%というようなことで上薄下厚という積み重ねをしたということでありますが、私に言わすならば、いまの共済年金のことを考えましたら、恩給のその程度の上薄下厚のやり方というのはまだまだ事足らぬと私は思うのです。もっと下位の方を上積みをしていく、上位の方をもう少ししんぼうしてもらうというような積み重ね方が至当じゃないかと思うのですが、どうですか。
  240. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 本年の上薄下厚の傾向は当委員会においてもしばしば御議論を賜りましたところでございまして、公務員給与の平均率ではなくて、その改善の傾向、特に最近ずっと続いております上薄下厚の傾向を考慮すべきではないかということでございまして、それに基づきまして昨年度の公務員給与改善傾向というものを分析をいたしました結果、今日御提案申し上げておりますような上薄下厚の率になっているわけでございます。さらにこの上薄下厚の率を深めていくのかどうかという問題は、今後の公務員給与の傾向にもよりますし、一概には申せませんけれども、ただ、恩給問題の重要問題の一つとしては、やはり低額恩給の是正であるというふうに思いますので、たとえばその他の面、低位号俸の切り上げあるいは最低保障の大幅引き上げという面においても、そういう面を補っていかなければならないというふうに思っております。
  241. 和田貞夫

    和田(貞)委員 もともと恩給制度ができたのはもちろん公務員だけでありますが、しかも公務員の中でも、文官については判任官以上というようなことで、雇傭人、嘱託と言われる身分公務員適用除外であったわけです。それで、恩給制度のときは現在のように退職金というのはなかった。満たない者は一時恩給あるいは一時退隠料、年金の受給資格ができた者は、その年金として恩給、退隠料ということであったわけですね。ところが、いまは民間におきましてもあるいは公務員におきましても、いわゆる退職の際の一時金それから年金、アンバランスがありますが、一応官民相そろって一時金と年金制度というものができているわけです。そこで、この算定の方式ですが、民間の厚生年金と、恩給ないしは共済年金とは違います。片方は平均の報酬主義をとっておりますし、片方は退職時の最終の報酬主義をとっておりますから。公務員の場合には、特に恩給基礎になってやられてきておりますが、退職のときにはもちろん最高の額である。もうすでに一時金というのが支払われるときには、それぞれの勤務の中で賃金の高い者と低い者とができてきて、高い者は必ずしも功績があったというようには思いませんけれども制度の中で高い者と低い者とができてきた。これも一つの功績として、これを基礎にして退職金が支払われるということ、これは一つの理屈がつくと思うわけです。けれども年金ということになりますと、これは老後の生活保障ですから、最終の報酬額が高い者はいつまでも年金をたくさんもらう、最終報酬額が低い者はいつまでたっても低い年金額しかもらえぬ。こういうことでは、社会保障あるいは老後の生活保障ということを考えたときに、私は相矛盾すると思うわけです。いま申し上げましたように、官民一体となって一時金と年金制度というものが、しかも並行して進んでくるようになった、こういう場合には、その賃金格差がいつまでも年金の中に——得する者は得する、損する者は損する、こういう算定の方式をいつまでも続けるということは私はよくないというように思うのですが、その点はどういうようにお考えですか。
  242. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 これは先生の御意見を貴重な御意見として承っておりますが、恩給の場合には、確かに最終俸給月額というのが基礎になりまして、それに在職年ということに相なるわけでございますけれども、現在の共済制度は、やはり同じように、最終俸給月額ではございませんけれども退職前の一年間の平均をとっているわけで、相似たかっこうになっております。そこで、そういう制度自体の是否善悪ということになりますと、これは基本的にいろいろな議論があるところだと思いますが、恩給沿革等を考えますと、そうたやすくこれを動かすわけにもいかないだろうという感じがいたしております。  ただ、しかしながら、先生の御趣旨がいろいろございましたように、退職後の給与でございますので、先ほど私がちょっと触れましたけれども、特に低額恩給の是正というのが、私たちがいま抱えておる大きな問題の一つでございまして、それともう一つ、扶助料の問題も同じような趣旨でございますけれども、その両方ともやはり低いものは高くしていかなければいかぬと思います。で、基本的にはそれをどういう方法でやるかということにつきましてはいろいろあり得ますけれども、低位号俸の切り上げであるとか、それから最低保障制度の創設、並びに最近のように最低保障制度を大幅に上げまして、そういうものの中で上下格差も詰めていくというのも一つの方法であろうというふうに存じております。
  243. 和田貞夫

    和田(貞)委員 勤続期間も、これは算定方式の中にやはり多く含まれている部分なんですね。二十年勤続の者、三十年勤続の者、四十年勤続の者、これはあながち、永年勤続をした者が得をする、二十年の方が損をして、四十年の方が得をする、これも算定方式の中でやはり改善していくべきところじゃないかと私は思う。これは長いこと勤めればそれだけ功績があったんだと言えばそれまでですけれども、しかし職務関係で、あるいは職種関係で、そう長く続けられない職種職務もあるわけですよ。だから永年勤続の者ほど得をするんだというようなことは、これもまた老後の生活保障、社会保障というこの観点に立つならば、算定方式をこの面についても是正していくべきではないか、こういうように思うのですが、どうですか。
  244. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 在職年のことにつきましてもいろいろ議論があるところでございますけれども恩給につきましても、したがいまして在職年の打ち切りと申しますか切り捨てと申しますか。そういう制度も昔からあるわけでございまして、やはりそういうところにいろいろな工夫を積んでいるんだと思います。これからの問題としても、先生いま御指摘の点については、そのほかの点について十分勉強してまいりたいというふうに存じております。
  245. 和田貞夫

    和田(貞)委員 したがって、いま申し上げましたような二つの問題点の中で、ことしはたまさか下位の方は一一・五%、上位の方は七%という上薄下厚の積み重ねという方式をとってもらいましたけれども、先ほども申し上げましたように、その上薄下厚の積み重ねというのはもっとやはり下位の方を上積みをしてほしいと思いますし、あわせて、いまの二つの要素を取り入れるならば、これらの積み上げ方式の中に一律ということもひとつ加味する、上薄下厚の積み上げ方式とあわせて一律方式をその中に加味していくというようなことも一つ考えられないですか。
  246. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 今度行いました上薄下厚の方式というのが、大体先生がいま言われましたような一律を加味した考え方になっております。そして、それから将来の問題につきましては、やはり公務員給与の動き方等も十分見なければいけませんが、そういう点も踏まえながら、いろいろの角度から検討してまいりたいと思います。
  247. 和田貞夫

    和田(貞)委員 最低保障額ですが、これも先ほど同僚議員が言っておられましたけれども、五十五万というように宣伝文句を言われますけれども、とにかく六十五歳以上というように制限があるわけですね。必ず全部が恩給額の最低五十五万が保障されておるんだということではないわけでありますので、やはりこの最低保障ということを考えるときには、この恩給額、年金額というよりも遺族年金、扶助料、これの最低の額というものを引き上げていくということでなければならぬと思うのです。恩給額や年金額を引き上げていくのではなくて、遺族年金額、扶助料額、これを引き上げていくということでなければいかぬわけです。それが去年の国会では、通常国会におきましても去年の暮れの臨時国会におきましても、この公的年金の柱になる厚生年金、これにつきましても、遺族年金は厚生大臣自身が大みえを切って七〇%にする、七〇%に引き上げるということを何回も繰り返して言っておるわけです。また、わが委員会におきましても、たしか総務長官がそれを受け取って、恩給につきましても七〇%に率のアップをしていくということを言われたと思うのです。が、今度の場合はとにかく加算制度というようなものが導入されておるわけでありますが、それとても、七〇%に引き上げた原資と、今度の二万四千円、三万六千円、六万円の加算制度という原資と比べたら四分の一にも満たないわけです。原資から見てみても四分の一弱の改善措置しかできておらない、こういうことですが、七〇%というように昨年大みえを切られた厚生大臣の所信、あるいは総理府総務長官の当委員会においてそれに似通った言明、これは来年度はどうなさいますか。
  248. 植木光教

    植木国務大臣 最低保障額につきましては、ただいまお話がございましたように、六十五歳以上の者に対しまして五十五万円、その未満の者につきましては四十一万二千五百円とそれぞれ引き上げるというようなことになったわけでございますが、先ほど来恩給局長との御質疑を拝聴いたしておりまして、最低保障額を引き上げる等の措置をさらに拡充することによって、受給者が長年にわたって公務に従事をした功績に報いなければならないと考えております。  さらにまた扶助料の問題についてお話がございました。私もこの扶助料を増額するということについて努力する旨の発言をいたしたことは事実でございます。先ほど来申し上げておるところでございますけれども、本年は五十一年度予算編成に当たりまして加算制度をとることになったわけでございますが、率の積み上げがよろしいか、額によるものがいいかということはいろいろ議論の分かれるところでございますが、いずれにいたしても、遺族に対する処遇が決して十分であるとは考えていないのでございまして、長年にわたって五〇%でありましたものを、さらに加算によりまして積み上げるという一つの画期的な予算案を組んだわけでございますので、これを機会により一層遺族に対する扶助料の増額について努力をいたしてまいりたいと存じております。
  249. 和田貞夫

    和田(貞)委員 率でアップするかあるいは加算制度で積み足していくかということは、これはいま長官も言われたことでありますし、私もこの積み重ねというのは私は一面やはり意味のあることだと思います。ただ、七〇%を率で上げるか加算制度にするかということは別として、七〇%を相当額にしようと思いましたら、この七月実施で約八百億円の原資が必要である。ところが、二万四千円、三万六千円、六万円という加算額でありましたら、原資にいたしましたら百七十六億です。四分の一弱なんです。努力をされたとは言うものの、厚生大臣がみえを切られた、総務長官がここで、あなた、ひとつおれに任しておけというぐらいの勢い込んだ発言をされた、その結果、四分の一程度の原資しか取れなかったということは非常に情けないですな。そこを私は聞きたいわけなんですが、率にするか、加算額を上回っていくかということは別として、来年度はひとつ七〇%の原資を確保するように努力していくかということです。
  250. 植木光教

    植木国務大臣 率になりますか額になりますかは議論が分かれるところであり、それはただいま先生も御了承いただいたところでございます。私どもといたしましては、一生懸命になって五十二年度の予算編成に臨んでまいります。支給率を七〇%といたしました場合、ほかのものの改善措置というものにもいろいろ原資がとられるわけでございますので、財政当局とのいろいろな折衝にまたなければなるまいと思いますけれども、懸命になって努力をしていくということで御理解をいただきたいと思います。
  251. 和田貞夫

    和田(貞)委員 懸命になって努力してもらわなければいかぬわけですが、去年の答弁よりも後退だったらだめですね。去年は厚生大臣も本会議でも明確に言うておるのです。公的年金の一番中核を担う厚生年金を担当する厚生大臣が、七〇%ということを数字まで出して努力するという、任せておけという発言があった。あなたの方も、当委員会でそういう非常に明るい見通しで非常に努力されるだろうというように期待をしておったわけなんですが、努力されるということは努力をしてもらわなくちゃなりませんが、ことしはできなかったけれども、来年はひとつ七〇%相当額を扶助料として確保するように努力するというように言われるのですか、どうですか。
  252. 植木光教

    植木国務大臣 私の記憶では、私自身は七〇%ということは申し上げはしなかったと思います。(和田(貞)委員「何ぼや」と呼ぶ)御要請にこたえ、私自身もこの扶助料の改善が必要であるという認識を持っておりましたので、努力をするということは申し上げたわけでございます。その気持ちにおいては変わりがございません。熱意を持って、いま御指摘のような原資が獲得できますように努力をさしていただきたいと存じます。
  253. 和田貞夫

    和田(貞)委員 これは繰り返しますけれども、あなたも並んでおられて、厚生大臣が言ったのですよ。そのことは、あなたが言わなくても、厚生大臣が言われたということは御存じですね。ここの内閣委員会におきましても、恩給委員会でいろいろと議論をやりまして、そして昨年の臨時国会におきましては、七〇%という、率を上げる数字を出しまして、決議をしたことでありますから、その点はやはり十分銘記してもらって、努力していただくということにしてもらいたいと思います。
  254. 植木光教

    植木国務大臣 私は、言った言わないというようなことではなしに、努力をするということは申し上げたわけでございます。まあ努力もいたしたわけでございますが、満足していただけない数字になってしまいましたが、いずれにしましても、五十一年度で、二分の一というものの長い歴史を打ち破るという画期的な一つ改正ということになったわけでございます。これを踏み台といたしまして、懸命に努力をしてまいります。
  255. 和田貞夫

    和田(貞)委員 その際に、先ほども申し上げましたように、あくまでも扶助料の最低保障額を引き上げるということにしてもらわないと、軍人恩給の兵の方が最低が十三万五千円、最高の加算額を加えても二十万円足らずです。文官につきましても、二十何万というようなことで……。  そうすると、ことし引き上げをいたします生活扶助額と比較いたしましても、どっちも扶助料という言葉はまだ残っておるわけですから、どっちの扶助の方がウエートが高いのかわかりませんけれども、このままでは、恩給制度によるところの扶助料よりも、生活保護基準の引き上げによって生活扶助額の方が上向きになるのじゃないですか、ことしの改正案でも。よしや加算額を加味したところで、生活扶助額の方が高くなるのじゃないですか。
  256. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 生活保護との比較は、考え方においてもなかなかむずかしい問題がございますが、額だけをとりましても、生活保護の場合には世帯員の人数でございますとか、あるいは居住者の住んでおりますところでございますとか、そういう差がございますので一概には申せませんけれども、長期に勤めた方の場合を比較いたしますと、たとえば六十五歳の女の方で生活保護上の級地が四級地であるというような方については、扶助料の方がどんな低い場合でも上回っている。長期の方についてはそういう感じを持っております。ただ、先ほど申しましたように、いろいろなケースによりまして生活保護の方が高い場合も確かにございますので、先生指摘のように、私も低額恩給の是正、それから特に扶助料の最低保障の引き上げが今後の重要な課題であるというふうに思っております。
  257. 和田貞夫

    和田(貞)委員 ひとつ、扶助料を基礎に置いて最低保障額を引き上げていく、くどいようでありますが、その点はぜひともやってもらわなければいかぬ。事恩給制度については、あなたが一番偉いのですよ。総務長官が裁定するのじゃない、総理府恩給局長が裁定するということになっておるのですから、恩給では日本じゅうで一番偉い人はあなたですよ。その一番偉いあなたが——これは言うていけませんが、あなた自身もうすでに年金の受給資格がおありのことだと思いますけれども、いまから果たして何年生きていくか。よしや、あなたがいまから三十年、四十年生きていって、そうしてあなたが亡くなられて、奥さんになり遺族の方が扶助料をもらえるということであれば、これはいざ知らずでしょう。生身の体ですからね。在勤中にあなたがぽこっとゆかれて、自分はいま一体どれだけの年金額をもらえるかということを考えてみなさいよ。その半額でしょう。最高でも六万円加算金がもらえるようなあなたの家族構成かどうかわからぬけれども、六万円の加算額をつけてもらっても、果たして自分の家族が食っていけるだろうかどうかということを、もっと真剣になって心配してもらわなければいかぬ。自分の身に振りかかったという気持ちになってもらって、扶助料の最低保障額に目をつけて抜本的な恩給改善についてひとつ努力をしていただきたい。こういうことを最後に申し上げまして、質問を終わります。
  258. 植木光教

    植木国務大臣 御指摘の点、私は受給者の立場に立って努力をいたしてまいります。
  259. 竹中修一

    竹中委員長代理 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  260. 竹中修一

    竹中委員長代理 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  恩給法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  261. 竹中修一

    竹中委員長代理 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  262. 竹中修一

    竹中委員長代理 ただいま可決いたしました本案に対し、木野晴夫君外四名より、自民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の各派共同をもって、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。木野晴夫君。
  263. 木野晴夫

    ○木野委員 ただいま議題となりました自民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の各派共同提案に係る恩給法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    恩給法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項についてすみやかに善処するよう要望する。  一 恩給法第二条ノ二については、国家公務員給与にスライドするようその制度化を図ること。  一 恩給改定時期については、年度当初からの実施を目途とすること。  一 恩給の最低保障額については、引き続きその引上げを図ること。  一 扶助料の給付水準については、さらにその改善を行うこと。  一 恩給受給者に対する老齢福祉年金の支給制限を撤廃すること。   右決議する。  本案の趣旨につきましては、先般来の当委員会における質疑を通じてすでに明らかになっておることと存じます。  よろしく御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  264. 竹中修一

    竹中委員長代理 本動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  265. 竹中修一

    竹中委員長代理 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、植木総理府総務長官から発言を求められておりますので、これを許します。植木総理府総務長官
  266. 植木光教

    植木国務大臣 ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、御趣旨を体して善処してまいりたいと存じます。     —————————————
  267. 竹中修一

    竹中委員長代理 なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異常なし」と呼ぶ者あり〕
  268. 竹中修一

    竹中委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  269. 竹中修一

    竹中委員長代理 次回は来たる九日火曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十三分散会