○石川(晃)
政府委員 お答えいたします。
この電離層観測
衛星の
開発につきましては
昭和四十二年から
郵政省の
電波研究所で着手したわけでございますが、
宇宙開発事業団が設立されましたときにこの
開発を同
事業団に移したわけでございます。その後同
事業団でこの
開発が順調に進んでまいりまして、昨年秋にこの
衛星ができ上がりました。この
衛星は重量は約百三十九キログラムでございますが、その中にあります装置は短波を発射して電離層による短波の反射状況というものを観測する装置あるいは雷などによる
電波雑音を観測する装置それからイオン密度を測定する装置、プラズマ量を測定する装置、このような種類の観測装置がこの
衛星に乗せられております。この電離層観測
衛星を三段式の、
わが国で
開発いたしましたNロケットで二月二十九日の十二時三十分に種子島の宇宙センターから打ち上げたわけでございますが、この
衛星は赤道との傾斜角が約七十度ということになっております。これはちょうど北極と南極のそばを通るという地球を縦に回る
衛星でございます。高度は約千キロメートルでございまして、ほとんど千キロに近い円軌道を描いております。
衛星は打ち上げました後約二時間で軌道に乗ったことが確認されました。
今後のスケジュールでございますが、
宇宙開発事業団がこれから約一カ月の間その
衛星のアンテナとかあるいは観測装置の性能、機能、こういうもののチェックをいたします。そうしてその
衛星が正常に機能しているということを確認いたしました後、
郵政省の
電波研究所でこの
衛星を使って各種の観測を行うという段取りになっております。
郵政省の
電波研究所におきましては、鹿島支所におきましてこの電離層観測
衛星から送られてまいります各種の観測データを受信いたしまして、これをコンピューターにかけまして処理いたします。そうして電離層で反射可能な短波周波数の世界分布あるいは短波を使用するときに考慮しておかなければならない雷などによる
電波雑音の世界分布、こういうものを定常的に測定することになるわけでございます。この電離層観測
衛星によりますと、従来海上ことに大洋の上ではこういうものが測定できなかったのが、この
衛星では測定できるようになりましたので、こういうものを使いまして今後船舶における短波
通信あるいは短波を使用する
国際通信、こういうものに大いに役立つというふうにわれわれ
期待しております。