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1976-08-06 第77回国会 衆議院 地方行政委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年八月六日(金曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 小山 省二君    理事 高鳥  修君 理事 中村 弘海君    理事 山崎  拓君 理事 佐藤 敬治君       伊能繁次郎君    片岡 清一君       渡海元三郎君    古屋  亨君       井岡 大治君    岩垂寿喜男君       小川 省吾君    細谷 治嘉君       山田 芳治君    林  百郎君       小川新一郎君    小濱 新次君       折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     福田  一君  委員外出席者         人事院事務総局         給与局次長   角野幸三郎君         総理府人事局長 秋富 公正君         警察庁長官官房         長       鈴木 貞敏君         警察庁刑事局長 土金 賢三君         警察庁刑事局保         安部長     吉田 六郎君         警察庁交通局長 勝田 俊男君         警察庁警備局長 三井  脩君         法務省刑事局刑         事課長     吉田 淳一君         大蔵省理財局特         別財産課長   松岡  宏君         厚生省医務局指         導助成課長   岸本 正裕君         資源エネルギー         庁石油部流通課         長       宇田川治宣君         資源エネルギー         庁公益事業部長 服部 典徳君         資源エネルギー         庁公益事業部ガ         ス事業課長   山崎  衛君         建設省道路局企         画課長     山根  孟君         自治省行政局長 山本  悟君         自治省行政局公         務員部長    植弘 親民君         自治省財政局長 首藤  堯君         消防庁次長   田中 和夫君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     吉田 喜市君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 五月二十四日  辞任         補欠選任   小川 省吾君     阿部 昭吾君   林  百郎君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   阿部 昭吾君     小川 省吾君   不破 哲三君     林  百郎君 六月十日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君    小宮山重四郎君   片岡 清一君     中馬 辰猪君 同日  辞任         補欠選任  小宮山重四郎君     愛野興一郎君   中馬 辰猪君     片岡 清一君 同月二十五日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     藤井 勝志君   片岡 清一君     倉成  正君  同日  辞任         補欠選任   倉成  正君     片岡 清一君   藤井 勝志君     愛野興一郎君 七月六日  辞任         補欠選任   林  百郎君     正森 成二君 同日  辞任         補欠選任   正森 成二君     林  百郎君 同月十三日  辞任         補欠選任   片岡 清一君     赤澤 正道君   木村武千代君     木村 武雄君   島田 安夫君     宇都宮徳馬君 同日  辞任         補欠選任   赤澤 正道君     片岡 清一君   宇都宮徳馬君     島田 安夫君   木村 武雄君     木村武千代君 同月十四日  辞任         補欠選任   片岡 清一君     赤澤 正道君   木村武千代君     木村 武雄君   島田 安夫君     水田三喜男君   渡海元三郎君     石田 博英君 同日  辞任         補欠選任   赤澤 正道君     片岡 清一君   石田 博英君     渡海元三郎君   木村 武雄君     木村武千代君   水田三喜男君     島田 安夫君 同月二十九日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     有田 喜一君   片岡 清一君     赤城 宗徳君   渡海元三郎君     箕輪  登君 同日  辞任         補欠選任   赤城 宗徳君     片岡 清一君   有田 喜一君     愛野興一郎君   箕輪  登君     渡海元三郎君     ————————————— 五月二十四日  一、地方自治に関する件  二、地方財政に関する件  三、警察に関する件  四、消防に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ————◇—————
  2. 小山省二

    小山委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  地方自治に関する件について、本日、参考人として日本道路公団理事吉田喜市君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小山省二

    小山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 小山省二

    小山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川省吾君。
  5. 小川省吾

    小川(省)委員 まず、人事院にお伺いをいたしたいと思うのであります。  人事院の方で何か公務員職員団体関係がお待ちかねのようでありますから、短時間で終わりたいと思っていますからお答えいただきたいと思います。  ちょうど勧告の直前の取りまとめのさなかだというふうに思っています。そういう点では微妙な表現は避けられないというふうに思っておりますが、以下お伺いいたしてまいりたいと思っております。  本年の春闘は、御承知のように平均で一万一千五百九十六円、賃上げ率八・八%で終了をいたしました。三公社現業仲裁裁定もこれと全く同率の八・八%で終了をいたしたわけであります。公務員関係職員団体でつくっている公務員共闘春闘も、三公社現業改定と大体同率だというような感触を得て終了をいたしたというふうに理解をいたしておるわけであります。例年人事院勧告は三公社現業の線と大体軌を一にした改定率で出てきているというのが従来の実績でございます。そういう意味でいま最終取りまとめのさなかだというふうに思っているわけでありますが、おおよそ率としては大体どの程度なものになって出てくるのか。私どもの聞いているところでは、大体六・五%から七%の間というふうに聞いておりますけれども、そういう理解でよろしいのかどうか。それからまた当然勧告の中で諸手当等の問題についていろいろされるわけでありますけれども、大体勧告概要についてはどんな線で取りまとめをされようとしているのか、まずお伺いをいたしたいと存じます。
  6. 角野幸三郎

    角野説明員 人事院からお答えさしていただきますが、現在本年の給与勧告作業の大詰めを迎えております。  ところで、先生お尋ねの第一点でございますが、公労委仲裁裁定数字との関係ということでございます。私ども勧告の基礎といたしておりますものは、もちろん本年の春闘の結果を含む民間給与の四月という断面水準比較をいたしまして、それでその民間水準に追いつかせるということでございます。したがいまして、四月に支払われました賃金総体比較ということで較差、こういう関係に相なってございます。  ところで、公労委仲裁裁定の方式は、どちらかといいますと、春闘もそうでございますが、民間の本年の妥結相場伸び率平均でございます。公労委も大体それを横にらみしながら民間準拠ということでお決めになっておるというのがここずっと例になってございます。したがいまして、調査の仕方、それから比べ方が違いますので、必ずしも両方が一致するということではないと思っております。と申しますのは、公務員の内部の新陳代謝でありますとか、一年間の成長、昇給、昇格、そのような要素が加わりますために、家庭の事情が入りますために、民間だけの伸び平均とは必ずしも一致しないということがございます。しかしながら、従来の結果を見ますと、まあそう大きな開きはなくてきておるというのも事実でございます。本年、そういうことで公労委仲裁裁定が大体八・八というような関係で出ておりまして、それから向こうの定昇を引きますと六・五ではないかというようなことをしきりに言われておりますが、私どもいま集計最終段階、もうあらまし集計は終わりかかっておりますが、まだ配分が全部終わっておりませんので、最後の締めというところには参っておりませんが、そういうことで数字のところはまだ決まっておらないというのが現在の段階でございます。  それから第二点でございますが、ことしの配分につきましてどのような重点があるかというお尋ねだと思いますが、ことしの傾向といいますか、昨年来でございますけれども、やはり民間景況を反映いたしまして、初任給といいますか新規採用若年層賃金が大分緩んでまいりました関係がありまして、どちらかといいますと、初任給はいわばお休みのような状態に昨年来相なっております。かたがた大分鎮静化いたしておりますが、物価という関係がございますので、どちらかといいますと、配分といたしましても、実質といいますか、世帯的なところに重点を置かざるを得ない。昨年もそうでございましたが、本年もそのように考えて目下そういう作業をしている最中でございます。  基本給については、そういうような入り口のところといいますよりも、どちらかといいますと真ん中、中堅あるいは在職者の中ごろ以上というような感じにどうしても世代的な関係配分せざるを得ないんじゃないかというような感じ作業をいたしておりますが、基本給以外の手当関係につきましても、現在、民間給与調査を大体締めくくっておりますところで、扶養手当通勤手当住居手当、こういうようなものは、調査いたしておりましていずれも生活給的な半面を持つ手当でございます。先ほど来申しておりますように、世帯的なそういう実質的な感覚で申し上げますと、やはりそういう方向も調査の結果を勘案いたしましてよく見ていきたいということで、いま配分検討している最中でございます。
  7. 小川省吾

    小川(省)委員 大体概要についてはわかりましたけれども、いわゆる基本給引き上げ率について私の申し上げたことを別に否定もいたさなかったわけでありますから、大体六・五ないし七だというようなことで一応の理解をいたしておきます。  いま配分基本方針についても伺いましたし、それから諸手当等についても伺ったわけでありますから、そうしますと、取りまとめ最終版だということでありますが、扶養手当であるとか通勤手当、特に国鉄、私鉄の運賃も値上がりをしているわけでありますから、あるいはまた固定資産税引き上げに伴って家賃等も上がっておるわけでありますから、そういう意味では住居手当等勧告の中で文言としてあらわれてくる。いわゆる勧告の中の内容として出てくる、こういう理解でよろしいわけですね。
  8. 角野幸三郎

    角野説明員 ただいま申し上げましたように、どちらかといいますと、そういう生活的な、家賃が上がりましたとか、運賃が上がりましたとか、交通費が上がりますとか、そういう関係手当について民間のデータの調査ができておりまして、そういうことを考えてやっておりますので、そういうことも含まれると思います。
  9. 小川省吾

    小川(省)委員 微妙な時期ですから、段階ですからいいでしょう。  そこで、実は期末勤勉手当引き下げ実施するというような話が流れてきておるわけであります。昔から、大体公務員給与というのは低いけれども恩給があるんだからというふうにかつては言われておりました。最近、公務員給与がある程度改善をされてから以降というのは、大体上がるのは民間よりも一年か二年おくれて上がるけれども、下がる場合にこれまた一、二年おくれるのが公務員給与のいいところだというふうに言われているようでありますから、私は期末勤勉手当減額をするなどということは、少なくともことしの段階では出てこないというふうに実は思っておったわけであります。例年一時金といいますか、特別給というものは、大体民間調査をして常に〇・一を下回る分、たしか昨年は〇・〇八ですか、〇・〇幾つというのは全部切り捨てをいたしてきているわけですね。こういうのを積算をすると、私は大体〇・二ぐらいになるのではないかというふうに思っているわけであります。その意味では期末勤勉手当引き下げなどということは本年の中では必要はない、こういうふうに実は思っているわけでありますが、その点についてはいかがですか。
  10. 角野幸三郎

    角野説明員 期末勤勉手当、いわば民間特別給調査の結果だけが現在まだ私ども作業で残っておりまして、これは大変大きな調査をやっております関係上、例年この結果が一番最後になるということで、まだ結果が出ておりません。したがいまして、これについては大変微妙な問題でございますので、ポツの幾らというような関係でございますので精細にはまだわかっておりませんが、いろいろ言われておりますことは、私ども調査は一年おくれにならざるを得ないという関係に従来ともなっております。それは、月給の場合でありますと四月という特定の月の断面ということで調査がしやすいわけでありますが、事ボーナスということになりますと、民間の会社によっていろいろな月に支給する場合がございますので、年間を面としてこれをとらえて、それで公務員のこちらの一年間と比べる、こういうことにいたしますとどうしても一年ずれにならざるを得ない関係にございます。  ところで、今回私ども調査いたしておりますものは、いわば昨年一年間の民間ボーナス総体という把握でございまして、一昨年、昨年、こういうふうに二年間比べてみますと、昨年の夏は、これも新聞に大変出ましたが、民間ボーナスは、額では横ばいあるいは少し伸びるか横ばいであるけれども月数では落ちておるというのが去年の夏の結果のようでございます。それから暮れの場合で申しますと、これは率、月数だけでなくて、支給額そのものも一年前の年末に比べて落ちておるという大変厳しい状態新聞などに大変出ております。それで私どもは、結局去年の夏と冬と両方とらえておととしと比べるというような関係に相なるものでございますので、大変心配していろいろ見ておる方もございますし、私ども、現にそういう民間趨勢は現在まだ結果が出ておりませんが、その中にあるいは反映されて出てくるのではないだろうかということで、大変心配して数字をいま待っておるというのが事実でございます。  ところで、従来細かいところは切り捨ててきましたということも事実でございまして、小数点二けた、これは民間ボーナスと違いまして国家公務員の場合には景況いかんによってそれほど変動がしない、やや民間とは性格を異にするということでありますとか、あるいは法律で定められておりますとかということでやや固定的な運用になっておりまして、そういうことでどちらかといいますと、下二けたというようなところは切り捨ててまいっております。それで、今回まだ結果がわかりませんが、これを検討いたすにつきましても、従来のそういう考え方基本というものはわきまえて、同じ態度で検討いたしたい。それはもう当然と思っております。  いずれにしましても、結果がどういうふうに出ますか、その程度の問題であると思っておりまして、そういうことで、大変まとまらない答弁で恐縮でございますが、今明日というような関係に相なっておりまして、せっかく検討いたしたいと思っております。
  11. 小川省吾

    小川(省)委員 そういたしますと、その際に従来小数点二けた、〇・〇幾つというのを切り捨ててきたのは事実でありますから、そういう過去における積算というものを検討した上で、減額するかどうかというのは考慮をするというふうに理解をするわけですが、それでよろしいのか。  それとあと一つは、期末勤勉手当というのは期末手当一本にしたらどうだというような主張を私どもしてきたわけでありますから、仮に減額をするという場合には、期末手当でなくて勤勉手当がその対象になる措置の手当なんだというふうに理解をいたしておりますが、そういう理解でよろしゅうございますか。
  12. 角野幸三郎

    角野説明員 第一点でございますけれども、私が先ほど申し上げましたことは、要するに毎年調査で出てきました数字民間特別給月数処理に際して、一けたまではそのとおりやりまして、二けた目は処理をして切り捨ててきた、そういう二けた目の処理についての考え方でございます。ことしはその数字のさまがどういうふうになって出てくるかにいまなっておるわけでございますが、そういう二けた目の処理について従来考えておりました考え方は依然として用いたい、そういうことを申し上げたわけでございます。  それから二番目の問題でございますが、これはいませっかく検討中の、まさに当面、昨夜もそういうことで議論をしておる最中の問題でございます。それで、御要望としては勤勉手当を切り捨てる、少なくするというようなことは承知いたしておりますが、現在検討中のところでございます。
  13. 小川省吾

    小川(省)委員 まあ、いいでしょう。微妙な段階だからいいでしょう。  最後に、これは勧告に基づく改定の問題とは直接に関係するわけではないのですけれども、いわば公務員給与全体について責任を持っている人事院でありますから一言だけ伺っておきたいと思うのですが、給料表運用実態について伺いたいと思うのであります。  公務員給与というのは職階制賃金であり、職務給の原則に基づく賃金であるということが一面言われておるわけであります。しかし私は決して職階職務給賃金ではないというふうに実は思っているわけであります。昭和二十五年に職階制に関する法律実施をされておりますけれども、今日まで一向にこれが実施をされていないということがまず一つ。  それから、本年二月に発刊をされた人事院監修の資料でありますが、日本人事行政研究所が発行をした「人事行政実務提要」などによっても、こんなふうな表現がされておるわけであります。「給与は、職員にとって歴史的に成立している一定の生活水準を支えるに足るものであることを要するから、理念としての職務給の貫徹の度合は、社会保障制度水準と深く関連している。その意味で今日の段階に於ては公務員生活実態を無視した性急な職務給制度は考えらるべきものではない」というふうに、実は人事院監修をしたこの書物には書かれているわけであります。  また、国家公務員等級別標準職務についてでありますけれども人事院規則九−八の別表、等級別標準職務表も、昭和三十二年制定以来歴史的な多くの変遷を経てきているわけでありますけれども実態係長以上の職務等級格づけも時代の変遷とともに変ってきているわけでありますが、施行当初に一等級であった局長部長指定職給料表に移行をしてしまった、あるいはまた、課長は現在一等級と二等級ですか、あるいは課長補佐は四等級、三等級、二等級、あるいは係長は六、五、四というふうな形で、ともに複数の等級に格づけをされているのが実態だというふうに実は思っております。私はそういうふうに理解をしておりますけれども給与の番人である人事院としては、そういう実態、いま私が述べたような実態であるというふうに認めておられますか。
  14. 角野幸三郎

    角野説明員 大変むずかしい問題でございますが、現在一般職給料表でやっておりますのは、職階制による給与そのものではございませんで職務等級制——職務給ではございますけれども職階制そのものではない関係にございます。やり方といたしましては、標準職務、いわばモデルを等級別につくりまして、大体その標準に準ずる幅の中で職務の評価をしておる、がっちりしたそういう職階ではないというような関係で、三十二年来等級制運用されて現在に及んでございます。それで、これは国家公務員給与がそうでありますということもございますが、それよりも以前に、どちらかといいますと、外国のそういう職務給職階制に比べますと、日本民間賃金自体も大変そういう幅を持った職務給という実態に現在ございます。どちらかといいますと、それが日本的であるということがよく言われますが、企業内で、しかも同じ職務でも年齢別学歴別等に幅のある職務給である、非常に幅のある等級制である、こういうことが民間実態にございまして、やはり公務員の場合にも民間のそういう給与配分の大体の趨勢と均衡をとらす配分をいたしております関係上、どうしても幅のある運用になっておるというのが実情でございます。  それで、いま歴史的にお話がございましたが、これはやはり行政需要といいますか、行政が非常に高度化いたしまして、本省、管区機関、それから府県単位機関、それぞれの出先が福祉行政を含む非常にむずかしい問題、非常に末端まで高度の行政が必要とされますことに対応いたしまして、公務員職務分化も非常に詳しくせざるを得ないということがございまして、当初の八等級制、それを指定職を入れ三等級を含みということで、ここ二十年近い間にそれぞれそういう職務分化に対応した等級制の変化ということをやっておるわけでございます。  かたがたもう一点ございますのは、もう先生十分おわかりのことでございますけれども職員構成の特殊な実態、ということは、やはり賃金がひとり歩きしませんで職員に対する給与でございますので、その点がございます。戦後採用されました、いわば私どもに近いような年齢層が大変な大きなかたまりになっていま通り過ぎかかっておりまして、そういう集団に対して官、職といいますかポストを与えながら、しかも給与上の処遇を考えながら運用しているというそれは現実の問題がございます。  両々相まってといいますと言い過ぎですが、結果的には先生おっしゃいましたような形で運用しておるというのが事実でございます。
  15. 小川省吾

    小川(省)委員 いま私が申し上げたような形でなっているということ、両々相まって、あるいはまた戦後採用職員構造分布実態、それらについてお話があったわけでありますから、私が理解しておることと人事院が見ておることが同じであるというふうな理解をいたしましたので、よろしゅうございます。人事院結構です。公務員職員団体関係がお待ちかねのようでありますし、さらにはまた、最終的な取りまとめでありますから、公務員公務能率がさらに増進をするような形での最終的ないい勧告を出すような取りまとめをぜひひとつお願いしたいということで、結構でございます。  次に、総理府人事局長さんにおいでをいただいておりますのでお伺いをしたいと思います。  いま御説明がありましたように、人事院は若干微妙な表現ではありますけれども、そんなような形で人事院勧告がまとまっていくようであります。例年勧告を受けた後の政府の決定がおくれてきておるのがここのところの数年の実態であります。あるいは年末等にずれ込む、こういうようなことがかなりあったわけであります。そういう意味地方公務員はさらにそれよりおくれるというような実態で、年を越して改定が行われるというような実態がございました。少なくとも今年はぜひそういうことがないようにしていただきたいというように思っております。決定はしておりませんが、下旬か来月の上旬にはいずれにしても臨時国会が開会をされることは間違いないわけでありますから、当然この開会をされる臨時国会の中で処置をする。臨時国会は終盤に行けば当然解散になるわけでありますから、当然この臨時国会の中で措置をして、例年のような勧告に基づく改定がおくれることのないように遅滞なく勧告を受けて、勧告に沿って改定処理をしていく、こういうふうに思っておりますけれどもよろしいですか。
  16. 秋富公正

    秋富説明員 法案の国会提出時期の問題でございますが、次期国会の召集時期あるいは会期ということが未定でございますし、また本年度は財政運営に予算と一体不可欠な特例公債法案の提出時期ということも未定でございまして、現段階におきまして的確な見通しということは立てられない事態にございます。が、給与の早期支給を図るということはかねがね総理府といたしましては努力してきた点でございまして、状況の許す限り早期に法案を国会に提出いたしたいと考えております。
  17. 小川省吾

    小川(省)委員 総理府は実は春以来ある程度公務員関係職員団体といろいろ接触をされて話し合いをしてきているわけでありますね。そういう意味で私は、公務員給与を扱う主管の総理府として、人事院勧告前にある程度の、公務員給与はかくあるべきだという申し入れをされるのかどうか、あるいは考え方人事院に対して、公務員給与を主管する省としてそういうあれをされるのかどうか、本年の勧告について、使用者である政府をある意味では代表する立場である総理府としてどういうふうに臨んできた点があるのか、その点について伺いたいと思うのであります。
  18. 秋富公正

    秋富説明員 総理府といたしましては、いわゆる使用者の立場ということはございますが、人事院と申します代償機関、しかも専門的な独立した第三者機関が鋭意民間調査その他すべての調査をされまして政府に勧告される、こういった現在の人事院制度のたてまえからいたしまして、事前に人事院に、右にしろ左にしろ、申し入れをするということは一切いたしておりません。
  19. 小川省吾

    小川(省)委員 第三者機関の独立性を尊重する意味でやっていない、それならそれでいいでしょう。しからば総理府段階で使用者である立場として、公務員給与は今年の段階でどうなのか、ことしの改定はどうあるべきなのかということが当然あろうと思いますが、その点はいかがですか。
  20. 秋富公正

    秋富説明員 使用者という立場の総理府といたしましては、当然人事院勧告というものにつきましては重大な関心を持っておりますが、先ほど申し上げましたように人事院に対しまして総理府といたしまして申し入れということはいたしておりません。
  21. 小川省吾

    小川(省)委員 考え方なしですか。いずれにしても勧告を受けて早急に改定できるようにやるということはわかりましたが、使用者である政府を代表する立場における総理府としては、公務員給与については人事院にお任せっ切りで、受ければそのとおり実施をすればいいんだということで、考えはなしですか。
  22. 秋富公正

    秋富説明員 その点につきましては、内閣の参事目でございます総理府の人事課長、これが各省庁の人事課長、秘書課長会議というものをいたしておりまして、毎月定例的に二回いたしておりますが、そこで各省の意向というものを取りまとめましたものは、内閣参事官でございます総理府の人事課長から各省の代表と一緒に人事院の方には申し入れいたしております。
  23. 小川省吾

    小川(省)委員 それはおたくの方の人事課長総理府の人間でしょうが。ですから、そういうふうにやっているならやっているように答えればいいんで、あなたがやらなかったからといったって総理府がやらないということにならない。私はそういう意味でやはりそういう機能が当然あるだろうと思ったからお伺いしただけなので、まあその点はいいでしょう。いずれにしても、勧告を受けて早急に実施をして、例年のようなおくれを来さないようにぜひやってほしい、こう思っています。  それからあと一点、答弁は不要でありますけれども秋富人事局長一つ宿題を与えておきたいと思うのであります。答弁は臨時国会の中であなたにおいでをいただいてお答えをいただきたいというふうに思うわけであります。  実はこれは国会の中における政府委員室に勤務をしておる各省庁から派遣をされている職員の問題であります。  私は当選以来本委員会で各省にわたる質問をさせていただきまして、各省派遣の政府委員室勤務の職員とはかなりの数接触をいたしてまいったわけであります。それで、現在おおよそ各省庁から派遣をされておる職員は百二十名程度おられるようであります。政府委員委員会の場に来て答弁をすればよろしいわけでありますが、政府委員室勤務の職員というのは、日常不断に各省と国会との間あるいは議員との間のパイプ、いわば省を代表する立場に立って実は多岐にわたる業務をやっておるわけであります。私を含めてそうなんでありますが、大体選挙の洗礼を受けて出てくる国会議員というのは選挙区を離れるとわがままであります。そういうわがままな議員に接触をする立場に立つわけでありますから大変であろうと思うのであります。ときには省を代表して文句を言われてみたりあるいはまた大臣や局長部長の代理として謝って回ることもあるだろうし、あるいはまた連絡やその他でコマネズミのように飛び回っているのが実態のようであります。特に参議院が多党化をした後は非常に職務か激増をいたしておるようであります。この人たちは入職直後の職員ではこれは勤まらぬわけでありますから、大体接触をしてみますと各省庁のいわば中堅職員であります。国会勤務が十分にその職責を果たしているということになりますと、もう一年いてくれというような形で実は勤務が長くなるわけであります。本省の同列の職員とのいわゆる役人としての何といいますか、一つの階段を上っていくコースの中で、長くなればなるほどギャップができるのではないかというふうに私は、私自身が公務員出身でありますからひそかに実は心配をいたしておるわけであります。各省ごとにいろいろな配慮はされているんだというふうに当初私は思っていたわけでありますが、公務員としてはまさに特殊な勤務場所に勤務をする職員と言えるだろうと思うのであります。しかし、この職員たちは非常に、政府委員室にあって何々局の局長なり部長なりと直接顔を合わせられる、向こうに覚えてもらえる、話しかけてもらえる、こういうようないわばささやかな気持ちの中で不愉快な繁忙な業務に耐えているというのが実態であろうというふうに私は思っております。  これらの職員も百二十人程度ですから人事院勧告になじむものではないというふうに思っていますから、そういう意味で私は各省庁が何らかのいわゆる財政的な、こういう特殊な勤務場所に勤務する職員についていわゆる不愉快繁忙手当のような形で一五%なり二〇%くらいの調整手当がつけられているのかと思ったところが、実はほとんど各省庁がやっていないのが実態のようであります。確かに各省庁の政府委員室勤務の職員取りまとめるところがないわけでありますから、そういう点では何としても総理府が率先をして、これらの職員について自分の省の政府委員室派遣勤務の職員についての処遇を確立をすれば各省庁がこれにならうというふうに私は思っているわけであります。次の臨時国会であなたの答弁を求めますから、ひとつ検討をしておいていただきたいと思いますが、いかがですか。
  24. 秋富公正

    秋富説明員 ただいま先生から大変温かいお言葉をいただきまして、私たちそのものに関係いたしております者といたしまして感謝申し上げます。私もかつて秘書官をいたしまして政府委員室の苦悩ということも十分承知いたしておりますし、また朝早くから夜遅くまでなるということで、しかも御指摘のようにベテランになりますとどうしても勤務期間が長くなる、六年、七年と長くなってくることも事実でございます。こういった点につきましては、その人々の処遇あるいは士気の高揚ということにつきましては十分われわれといたしましても配慮いたさなければならない点でございまして、御指摘のようにいかなる形でいくか、これは国会職員の方々との問題もちょっと違っておる、一般の公務員関係でございますので違っておる点もあるわけでございますが、できるだけいわゆる昇給、昇任の問題あるいは会期中の御苦労に報いるといった点につきましてなお私たちといたしましても努力いたしたいと考えております。
  25. 小川省吾

    小川(省)委員 いまみずからもそういう経歴があるそうでありますからあなたは配慮されていますけれども、実際には人事局長が恐らく処置をするあれではないだろうと思うのです。そういう意味でぜひひとつ総理府の中で検討をして総理府の派遣職員についてやってもらいたい。私はどこの代弁をしているわけでもありません、全体をながめてそう思っているわけでありますから、総理府がやれば他の省庁はならうわけでありますので、ぜひひとつそういうことで、具体的な答弁を臨時国会中にあなたにもう一回御足労いただきまずから、いま言われたような趣旨に沿ってあの繁忙な不愉快な業務をやっておられる方々に対する報われる道をつくるのはいまのあなたの答弁どおり当然必要なんですので、そう思っているのならやらなければいかぬわけですから、それを具体的にやってもらいたい、こう思っております。  そこで、自治省にお伺いをいたしたいと思うのであります。  人事院総理府の見解はいま私と同時に聞いたとおりでございます。最近自治省は地方の総務部長や人事委員会を集めたりいたしまして、自治体の人件費攻撃をずっとやってきたわけでありますが、私もその都度立つたびにこの委員会の中で自治省の非を主張してまいったわけであります。最近では何か熱心にいわゆる運用の問題である渡りの規制とか昇給期間の短縮だとか、そういう運用面での抑制を盛んにやっているわけであります。しかし、これは運用であります。人事院勧告が出て、そして国家公務員給与も、いま秋富局長が言われるように可及的速やかな段階で法案を整備をして提案をされて人事院勧告によってやられるというわけでありますから、当然自治体職員についても勧告に沿って国家公務員に準じて給与改定を遅滞なく実施をしていくというふうに私は理解をしていますが、そういう理解でよろしいですか。
  26. 植弘親民

    植弘説明員 国家公務員につきまして給与改定が行われます場合に、これに準じて地方公務員におきましても給与改定実施するということは基本的な考え方でございますが、その場合にも、いま先生御指摘のように一昨年来特に強調いたしております給与の適正化という問題をあわせて考慮していただくということの考え方は変わっておりません。
  27. 小川省吾

    小川(省)委員 自治省は、インフレと不況のダブルパンチにあえいでいる自治体、地方財政の危機、こういう地方財政が危機になってくればばかの一つ覚えみたいにすぐ人件費の攻撃をやっておるわけでありますが、これには私はかなり堪能してきておるわけであります。そういう意味で地方もかなりそういう線に沿いながらやってきていると思うのであります。給与費に問題があるように人件費攻撃をしてきたわけでありますが、しかし真の原因は何といってもインフレと不況にあって人件費にあるのではない、こういう点はもう明らかであります。自治省としても当然その点は御承知であろうと思っております。常に申し上げておりますように、角をためて地方自治そのものをつぶしては何にもならぬわけであります。真の原因であるインフレと不況というのを、地方自治体がどう解消すると言っても何ともならぬわけでありますが、そういう中で自治省は次官通達などでさらに公共料金を上げろなどということを言ってくるわけであります。地方自治体ではインフレと不況をどうしようなんということはできないわけでありますが、自治省は百も承知をしながらそういうことを指導しているわけであります。地方財政に対する抜本的な対策が何としても要請をされるゆえんでもあるわけであります。地方の職員は国と異なって、いわば人件費即事業費という職員がかなり多いのだということは常々主張をいたしたとおりであります。  ちなみに、東京都の四十九年度の決算を見てみますと、人件費の総額は歳出の三五・四%、六千百七十八億円、このうち四千九百六十九億円というのは教員やあるいは警察官やあるいは消防職員や清掃業務に従事をするいわば事業費職員、人件費即事業費というような職員か二八・五%を占めているわけであります。一般事務関係職員はわずかに六・九%なんですね。こういうように実は国と地方との職員の構造が違うのは自治省もとうに承知をしているわけであります。まさか自治省が、地方は教員は要らないのだ、警察官は要らないのだ、あるいはまた消防職員は要らないのだ、清掃職員は要らないのだというようなことを申し述べるはずはないというふうに思います。もっと自治省がそういう意味では地方の実態というものを把握をしてもらわなければ実は困ると思うのであります。等級表上の職員の分布の状態についても同様だと思っています。盛んに渡りなどを目くじらを立てて抑制をしているようでありますが、私は、地方攻撃をしたところでしようがない、そんなことをする必要はないと思っています。さっき人事院も答弁をしたように、国自体が、自治省自体が実際に係長にしても課長補佐にしても三つの等級ぐらいにわたって、あるいは理事官だとかいろいろな名前はついていますけれども、複数格づけで現実に分布をしてそういう実態になっているわけでありますから、地方だけに対して  地方は地方の実情、歴史的な経過と実情の中でそういう複数の格づけをやっているわけでありますから、何も自治省か目くじらを立てて地方だけを攻撃をする必要はないと思っています。まずみずからを省みて、歴史的な給与変遷と経過の実態というものを十分に承知をして、改めて再認識をしてほしいというふうに実は思っているわけであります。  人件費攻撃のキャンペーンとその強要は、一昨年から去年、この春まで実はやられたわけでありますから、本年は国家公務員勧告実施と同時に、早期にやって、自治体に起きている問題、いろいろな問題で、自治体の職員の士気を向上させ、公務能率が向上するように、少なくともそういうような勧告を受ければ国と同時ぐらいに改定実施をすることが必要だというふうに思っていますが、そういう私のいま申し述べたような方向でやっていただけますか。
  28. 植弘親民

    植弘説明員 当委員会でも一昨年以来大分先生からそういった御指摘もいただきましたが、先生よく御承知いただいておると思いますように、給与費問題といいましょうか、給与管理の問題、これは二つの側面があることは先生よく御承知と存じます。非常にこれが財政的におきまして人件費のウエートが大きい。しかも、財政が非常に窮迫してまいりますと、弾力性喪失ということが非常に顕著な人件費が大きく取り上げられることも事実でありますが、私どもは昨年も一昨年も先生方に御説明申し上げてまいりましたように、単に地方公務員給与を、財政的側面だけでなしにやはり給与水準はいかにあるべきかという原点から考えるべきであろうということを申し上げてまいりました。したがって、その意味ではいま先生御指摘の渡りとかいったような問題も、あるべき給与制度、そして、その運用はいかにあるべきかという観点から申し上げていることでございまして、渡りの問題も、何もことし初めて申し上げるわけではございませんで、一昨年以来給与費が非常に高くなっている、給与水準が非常に高くなっているという原因は何かというときに御説明したはずでございますが、一斉昇短だとか渡りとかいったような制度の運用上適当でない方法が行われることによって、地方公務員給与水準は非常に上がっているのだということを申し上げてきたつもりでございます。その点は先生よく御承知のとおりでございますので、あえてここで申し上げませんが、少なくともそういうふうに、現実の問題としては財政的な負担であると同時に、やはり住民の税金によって原資をいただいております公務員給与でございますから、その給与水準はどうあるべきかということは常々私どもとしては考えなければならない問題であると思っているわけであります。その点はよく御理解いただきたいと思います。  そこでことしの給与改定でございますが、先ほども申し上げましたように、国家公務員改定されました場合においては地方公務員においても適正な形でこれに準じて改定するということはそれは制度のたてまえでございまして、私どももそれをとやかく申すつもりはございませんが、その際にも、先ほども申し上げましたように、適正化の措置というものも当然あわせてお考え願いたいということは、また地方団体にお願いしているところでございます。  そこで、その時期の問題でありますけれども、やはりこれは先ほど総理府人事局長がお答えしてございましたが、国会に給与法がどのような形で出てまいりますか、そういったような形もございます。そして国家公務員について給与法が成立し、現実に支給されるという現実の動きを見ながら、地方公務員についても同じような形でやっていただかなければならない。国家公務員につきまして給与法も改正しないうちから条例を改正してといったようなことは私どもとしてはとるべき措置ではない、これは一昨年も昨年も同じようなお願いをしてまいりましたが、その点につきましてはできるだけ早い機会にという気持ちは変わりませんが、やはり国家公務員における改定状況を見ながら適時適切な連絡をとっていくという気持ちでございます。
  29. 小川省吾

    小川(省)委員 あなた、稻葉法務大臣じゃないけれども、一言よけいですよ。やはり運用というのは、これは改定とは違うのですから、常時の中でそれは運用についてなにしていくのはいいと思うのですが、あるべき給与として渡りが適当でないと言ったけれども、そうなれば自治省の中における係長は五、四、三だとか、あるいは課長補佐が四、三、二なんというのは、これも適当じゃないんですね。そうなれば、あなたの方でもそういうものについても是正をするのですか、しないのですか。
  30. 植弘親民

    植弘説明員 それは先ほど人事院の角野次長からも御説明がございましたが、渡りといいましても標準職務表によりまして適切な措置を講ずる限りではこれは適当なんでありまして、私どもがいま言っておりますのは、先生もよく御承知のように一般の職員課長までいけるといったような現実の実態をとらえて言っているわけでございまして、正直に言いますと、私ども関係職員団体の側からも、自治省がかつて渡りを認めたことがあるではないかという話がございます。これは積極的に認めたというより、むしろたとえば御承知のように十五階級の給料表から八等級制に変わるときには、現実にその切りかえがむずかしゅうございましたから、既得権の擁護といいましょうか、現実に職員に不利にならないようにということで、二つの等級にわたるようなことがあってもいいじゃないかといったようなことは確かに自治省として認めているところであります。しかしそういった経過的な職員の利益を守るということを拡大して、この前、ある市のように、全職員六〇%が課長級の給料をもらうといったようなことになっているからそれは困るのだ、こう申し上げているわけでございますから、その点御理解いただきたいと思います。
  31. 小川省吾

    小川(省)委員 植弘務員部長の趣旨はわかりました。いわゆる青天井の渡りは規制をするけれども、いわゆる国家公務員にあるような複数格づけについてはこれは黙認というか、そういうのは認めるのにやぶさかではない、そういうのが趣旨だということがよくわかりましたから、その辺もよく胸にとめておきましょう。ずっと長い間論戦をやっているわけですから、また論戦をしなければなりませんから、きょうの段階ではこれでとめておきます。  財政局長伺いたいわけでありますが、給与改定財源の問題であります。  まだ詳細に具体的な数字等については、もちろん勧告が出ていないわけですから明らかでないわけですが、今年度の地方財政計画の中で五%のいわば改定財源を組んでいるわけであります。しかし自治体の中では地方財政が苦しいのでこれを留保をしていない自治体もあるのではないかと実は私は心配をいたしておるわけであります。そういう意味では従来と同じような形で勧告が出た場合に、五%を上回る場合というのは既定経費の節減、こういうことでやっていかれるのかどうか、それをひとつ。その場合に、私は自治体財政が苦しいところやあるいは不交付団体等については何ともならぬ団体が生ずると思っていますが、給与改定が完全に実施をされるような財源的な措置をとっていただけるのかどうかという点について、計数は要りませんからお答えをいただきたいと思います。
  32. 首藤堯

    ○首藤説明員 今年度の地方財政に対する財源措置でございますが、当初御審議をいただきました際にも申し上げましたように、給与改定に対する措置といたしまして五%相当額を計画の中に組み込んで、交付税を通じてすでに配分もしてございます。さらにそのほかに予見しがたい財政需要に備えるという意味で、いわゆる予備費でございますが、これを地方財政計画上三千億円措置してございまして、交付税を通じて二千六百億措置をしてあるところでございます。この五%の措置が一般財源所要額としては三千百億余りになっております。そこで五%の措置それから五%をもし給与改定が上回りますならば、先ほど申し上げましたこの三千億という予備費の取り扱い、こういった措置の余裕がございますので、国家公務員において給与改定がなされ、ただいま新聞紙上等で伝えられております程度の、先ほど先生御指摘の六・五から七程度とかいったようなものであれば現在の財源措置で十分でございまして、追加財政措置をする必要はないと考えております。
  33. 小川省吾

    小川(省)委員 大臣に質問しようと思ったら大臣がちょうど外しちゃって、そうすると五%、それから予備費に計上した三千億と二千六百億、それがあるので、本年度の予定をされるような人事院勧告に伴うところの給与改定については財源的には全然心配ない、こういう理解ですね。で、不交付団体についてはどのようにやられていきますか。
  34. 首藤堯

    ○首藤説明員 不交付団体につきましても、交付税の算定の際に、先ほどから申し上げましたように五%の措置、すでに交付税の基準財政需要額の中に算入をいたしましたし、それから予備費の二千六百億も需要額の中に算入した結果として、交付、不交付、これが八月中に決まってまいるわけでございますから、財源全般のやりくりとしてはその措置をもって足りる、特別の措置は必要がない、このように考えております。
  35. 小川省吾

    小川(省)委員 大臣が来ないから財政局長にちょっと伺っておくのですが、最近自治省が大蔵に、交付税率の引き上げ、いわゆる来年度の地方財政対策について申し入れたところ、給与費を削減をしていけば地方財政は苦しくないはずだというふうに大蔵から答弁が返ってきたというふうな話が伝えられております。現段階で、大体八月段階ですから、来年の地方財政をめぐっての論議が大蔵との間に交わされる段階でありますけれども、財政局としては、大蔵との接触についてあるいは折衝について、五十二年度は少なくとも抜本的な改正をやっていくということを通常国会の段階でも決意をされたわけでありますから、どんなふうな形で今後大蔵との間に当たっていくのか伺っておきたいと思うのです。大臣がちょうど不在で戻っておりませんので、その点を伺いたいと思います。
  36. 首藤堯

    ○首藤説明員 五十年度、五十一年度と非常に地方財政が苦しい状態でございまして、五十二年度につきましては、ただいまの時点では、前に御審議をいただきました中期計画程度の見通し以後の見通しが立っておりませんですが、大変苦しい、むずかしい事態が続くのではなかろうかと予想いたしております。こういったことに対処いたしまして、抜本的な制度改正等を含みます地方財政対策ということを私どもとしてもぜひ実現をしてまいりたい、このようなつもりで大蔵省とも折衝してまいりたいと考えております。  それから、ただいま御指摘のございました、人件費を詰めさえすれば苦しくないのではないかという御指摘でございますが、これは私どもそのようなことを大蔵省から聞いたこともございません。  それから、財政計画上は、人件費は先生御案内のように、国家公務員並みの措置、こういうことを前提にいたして財政計画が組んでございます。その財政計画上、財源が不足するものであれば、何としてでもこれは補てんをしていく、このような立場でいきたい、こう考えております。
  37. 小川省吾

    小川(省)委員 大臣がお戻りになりましたから、大臣にお伺いをいたします。  まず最初に、国家公安委員長であり、自治大臣である福田さんに伺いたいと思うのでありますが、けさ福島の木村守江知事が逮捕されたようであります。私どもは、ずっと地方をながめてみまして、多選の保守系統の知事の中には、いわば地方におけるミニロッキード版のような形の問題がかなりあるのではないかというふうに実は思っているわけでありますが、特に福島の最近四選を果たしたばかりの、しかも全国知事会の会長である木村知事がこういう状態になってきた。こういう点を私は、自治大臣である福田さん、さらにまた国家公安委員長である福田さんが——地方自治体の、特にこれは上層部の幹部職員のいわば綱紀が非常に乱れているという証左であろうと思うのであります。この問題が起きると、すぐ盛んに綱紀粛正などということを言うけれども実態は、こういう幹部の職員が実は汚職等を発生しているので、一般の職員の問題ではないのです。こういう点について福田自治大臣、さらにまた国家公安委員長としての所見のほどをぜひ伺いたいと思います。
  38. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 最近、御指摘のように、地方自治体においてもまことに遺憾な事態が発生しておることは事実でございます。特に首長というような立場にある者においてそういうことがあるということは、われわれとしては残念でなりません。しかし国家公安委員長という立場から申しますと、それがたとえ上層部の人であろうとあるいはまた一般の方であろうと、とにかく不正は不正としてこれをただしていくという姿勢を貫いていくことが公平の原則にかなうものである、かように私としては考えておる次第でございます。
  39. 小川省吾

    小川(省)委員 大臣の考え方はわかりました。しかし私は、この福島の県政をめぐる問題についても、たまたま具体的にあるものが一角として出てきたということであって、多かれ少なかれこのような問題が地方の場においてもあるのではないかというふうに思っています。こういう点について自治大臣として、今後地方の首長を含めた、特に大幹部の指導についてどう思われているのか伺いたいと思います。
  40. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 福島県の問題としてあらわれたようなことがその他の保守系の首長にあるのではないかという御指摘でございますが、私としてはそのようなことがあるとは考えておりません。もちろんないとも申し上げる自信もないわけでありまして、いずれにしても、上にある首長の立場にあるような人にこういう事件が起きるということは、綱紀粛正という意味から言っても、一般の公務員の士気を引き締めていくという意味から言っても非常に遺憾なことでございますので、今後ともそういう面についてはあらゆる会合を通じてひとつ自粛を求め、またそのようなことがないように、自治省として警告をし、あるいはまた指導もいたしてまいりたい、かように考えておるわけであります。
  41. 小川省吾

    小川(省)委員 たまたま今度の事例は、全国知事会の会長ですから、自治省が地方の指導をされるのに、そういう意味では、不幸なことではあるけれども、私はかっこうなあれだと思うのです。しかし自治省がおしなべて綱紀粛正、粛正と言われますと、それがいわば首長や大幹部のところを素通りをして、一般職員のところにばかりやっていかれるので、私は問題があると思うのです。このことは一般職員の士気や能率を低下をさせることであれ、決して一般職員の行政能率の向上にはなっていかないわけです。というのは、上がそういうふうな状態だというのは、ある程度職員は知っているわけでありますから、そういう点を含めて、特に地方における、この事案にかんがみて、首長並びに地方の大幹部に対する指導はぜひひとつ、いま大臣の言われたような形で適切にやってほしいというふうに思っています。  次に、私は地方制度調査会の問題について、自治大臣のはっきりした答弁を伺いたいと思っております。  内閣の諮問機関として地方制度調査会があるわけでありますが、調査会が審議をして答申をされてくる問題があるわけですね。自治省はこの地方制度調査会の答申について、自治大臣といいますか、あるいは行政局長になるかわかりませんが、どう受けとめて対処されようとしているのか、一般論としてまずお答えをいただきたいと思うのであります。
  42. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 地方制度調査会において答申がありました場合には、この答申の趣旨をできるだけ尊重して、行政の面に反映をさしていくという姿で処置をしてまいりたい、かように考えております。
  43. 小川省吾

    小川(省)委員 私は実はその地方制度調査会の末席を汚している一員であります。そういう点で、できるだけ尊重をして行政の中に生かしていくという、いま自治大臣の御答弁でありますけれども、それならば、従来地方制度調査会が一つの事案を何回にもわたって実は答申をしてきたものがあるわけであります。いわば行政事務の再配分であるとか、あるいは財源の再配分の問題であるとか地方事務官の身分移管の問題等については、私は、それを慎重に検討をして十分に尊重をしたというふうにはどうも思えない答申の扱い方であったというふうに実は思っているわけであります。自治省に力がなくて他省庁を巻き込むことができなかったのか、あるいは大蔵に対してなかなかそうういことが通らなかったかどうかということもあるわけでありますが、答申が何回も同じものがやられたけれども生かされていないという事態があったわけであります。  実は、六月十六日地方制度調査会が答申を決定いたしました。自治意識の醸成だとか向上だとかということをうたっているわけでありますが、これは、自治の日を制定する、こういうことがありますが、いわゆる地方議員の半舷上陸というか、半数改選を実施していくというのがねらいである自治意識の向上などといううまい名前を使った実は答申なんでありますが、大臣はこれについて現在の段階でどんなふうに思っておられますか。
  44. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 御指摘のように自治意識の向上という趣旨を体して諸種の答申がなされておるわけでありますが、その中の一つに議員の半数改選制ということがございます。しかし、答申の中でもそれが地方公共団体における選挙制度に大きな変更をもたらすものであるからして、その具体化に当たっては広く関係者の意見を聞いて慎重な配慮をする必要がある旨が特に指摘してあることは御案内のとおりでございまして、私といたしましては、今後この点についての各方面の御意見を伺いながら慎重に対処してまいりたいと考えております。
  45. 小川省吾

    小川(省)委員 この答申は、私は、余りにも問題が多過ぎるというふうに実は思っているわけであります。調査会の中でいろいろ御意見も申し上げておりますから、いま多くを申し述べるつもりはありませんけれども、私は、これは言うなれば保守党の単独永久支配を地方の段階からねらいをつけてきたわなといいますか、そういう戦略の中にどうも自治省行政局がはまり込んでしまったのではないかというふうにすら実は思っているわけであります。いろいろ言っていますが、地方自治の日という祝日を一日ふやすということと引きかえに地方議員の半数改選をやろうというのが骨子だというふうに実は思っているわけであります。  問題点は、住民投票であるとかあるいは直接請求の数の問題だとかいろいろあるわけでありますが、三千三百の自治体はそれぞれ固有の歴史を特っているわけであります。きょうはたまたま広島原爆投下の日でありますから、広島やあるいは長崎等にしてみれば、原爆投下で破壊をされた都市が戦災復興をしていったという記念をすべき日もありましょう。あるいはまた、新市が町村合併等によって発足をしたというふうに、地方自治の日というのは、それぞれの自治体によって固有の記念をすべき日を持っているのが実態であろうというふうに思っています。これを、自治体独自でそういうような特にその自治体にとって自治を記念すべき日を制定するのではなくて、お仕着せ的に地方自治の日で取りくくっていこうというような行政局の発想自体に地方自治意識の醸成などということは考えられない。中央集権化をするか、いわゆる中央統制を期していくというような発想の芽がその中にあるというふうにすら実は思っているわけであります。私は、地方自治の日の制定にそういうような裏は見えたりというような感じが強くするわけであります。もっともらしく外国にも例があるなどということを言っておりますけれども、議員も首長も公選制というような国ではそんな例は実はないわけであります。四年制という任期はあるけれども、長が不信任案を受けて議会を解散するなどという地方議会もあるわけですから、半数改選などというのはとてもなじむしろものではないと思っております。  六月十六日の調査会の総会に私も出席をいたしました。出席人員はちょうど三十人であったわけであります。審議をしている中で、私どもを含めて九人の委員が反対あるいはまた消極的な反対、議員の半数改選の項を除いて賛成という意見があったわけであります。賛成などという意見は実は一つもなかったわけであります。地方議会を代表する全国議長会の都道府県市町村の議会の代表もそれぞれ反対の意見を申し述べているわけであります。学識経験者の中の中立の人たちは、この項を除いて出したらどうだというような意見があったわけであります。そういう状態で、反対九人賛成二十一というようなことを会長は言っているわけでありますが、これは三好会長が強引に採決に持ち込んだわけなのです。民主的な会議運営のルールを知らない古い方ですから、ある意味ではやむを得ない面もあろうかと思いますが、そういう方が地方制度調査会の会長になっていること自体も実は問題であります。こういうような中で自治体の民主化なんということは生まれてこないと私は思っています。いずれにしても本当の意味で採決をすれば反対者、そして起草委員である賛成者、そして保留というのが調査会の実態であったというふうに思っています。  これは何か前の行政局長が置きみやげで残してきた  従来行政局かかんでいる地方制度調査会の答申というのはなかなか具体化されない、これだけは自治省限りでできるのだという形で置きみやげをしたけれども、どうも少し先へ足を出し過ぎたものだというふうに思っているわけであります。  行政局長、現在、地方議会の反対の意見書はどのくらい出ていますか。お答えいただきたいのですが、私は、九月、十月の地方議会の定例議会を経れば、地方議会の可半数、いや恐らく圧倒的多数、ほとんど一〇〇%に近いほど反対意見書というのが自治省に上がってくることは明らかだと思うのであります。実は去年推した起草委員会が、最終的にはいま大臣が御答弁になったように、関係者の意見を十分に聞いて慎重な配慮の上で対処をするというように修正をして表現を直したわけなんですが、地方制度調査会の答申というのは、全会一致で上がってきたものも五年、六年、十年と実は法案化をされなかったという地方事務官の実例などもあるわけでありますから、林前局長が置きみやげにされたといっても、何もこれを尊重していくことはないわけであります。こういう反対の多い答申、内容的にもまさにずさんなもの、こういうものですから、地方議会のほとんど全部が反対というようなものについては、私は現在の段階で当然はっきりした対処を打ち出すべきであると思っております。こんなのはまさに非民主的な方に移行する最たるものでありますから、特に筋を通されて、そういう面で人一倍理非曲直を明らかにされる福田自治大臣ともあろうものがよもやこんな法案をつくろうというふうには思っておりませんけれども、この際、こういうようなものはかなり問題が多いのでたな上げをするとか、これを実施するつもりはないとか、ぜひひとつ大臣の見解を明らかにして、全国の地方議会のすべてが反対意見を持ってながめている当面の問題でありますから、大臣の見解を明らかにしていただきたいということを重ねてお願いをいたしたいと思います。
  46. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 審議会の答申について、検討もしないうちから、イエス、ノーというか、実現しますとかしませんとかということを明言するということは、審議会を設置した目的からいっても適当であるかどうか、私は疑っておるものでございます。いずれにいたしましても、十分に各方面の意見を聞いた上で対処してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  47. 小川省吾

    小川(省)委員 そうでしょう、私もそうだと思いますよ。だけれども、大臣として、少なくとも肯定的な立場に立っていない、むしろ消極的な、否定的な立場に立たざるを得ないんじゃないかなというような感触は持っておられると思うのであります。大臣と私の仲ですから、ひとつ忌憚のないところを一言聞かせてもらいたいと思うのです。
  48. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 小川さんは明敏なお方でございますから、私の心の内まで洞察したような御質問でございますけれども、私といたしましては、先ほど来申し上げましたとおり、各方面の意見を十分に承った上対処してまいりたいというふうに存ずる次第でございます。
  49. 小川省吾

    小川(省)委員 いつも歯切れのよい、筋を通すタカ派の福田さんの発言としては余り納得できませんが、国会答弁における慎重に考慮いたしますというのは、大体何もしないことだというふうに私どもは常識的に理解をしておりますから、そういう理解をいたします。  以上で終わります。
  50. 小山省二

    小山委員長 林百郎君。
  51. 林百郎

    ○林(百)委員 私は二つの問題について質問したいと思うのですが、一つは、警察行政がえりを正す時期が来ているのではないか、国民の信頼を得る民主的な警察行政を行うにしては、最近余りにいろいろひんしゅくを買うような事態が起きているので、この点について質問したいということと、もう一つは、高速自動車道路のために、その低周波の影響によって命を落とした人がありますので、それに対する改善の方法を、国と交通行政を預かる警察当局がどのように考えているか、この問題について質問したいと思うのです。  単純に最もわれわれが、これは警察として考えなければならないなと思うのは、前姫路署の署長の藤田忠夫が、尼崎署長の当時、山口組の元幹部の息子の結婚式に部下を連れて出席して、スピーチをし乾杯の音頭をとっておる、こういう黒い交際をしていた。このとき連れていった部下を新聞等で調べてみますと、田坂正夫副署長、横山菊夫刑事官、中田稔刑事一課長、竹村五郎刑事二課長、静川義孝保安課長石田文太郎交通課長、林馬喜之助警部、それから黒田達朗警ら課長。この林馬喜之助警部はいまある警察の本署の次長をやっておりますし、黒田達朗警ら課長は現在八鹿署の次長をやっていますが、こういう幹部を引き連れて、事もあろうに、地域の人たちからダニのごとくきらわれておる暴力団山口組の元幹部陳伝鋒の息子の結婚式に行って、しかもテーブルスピーチをやって乾杯の音頭までとる、これは一体どういうことなんでしょうか。  私がいま申したことで事実に相違する点があったら訂正して結構ですし、また事態は大体私の言ったとおりかどうか、ひとつ事態をまずはっきりさせたいと思います。
  52. 鈴木貞敏

    ○鈴木説明員 いま仰せの兵庫県のケースにつきましては、御承知のとおりいろいろ内容はございますが、林議員の言われたような部門も含んでおるわけでございます。  これにつきましては、何しろ兵庫県というところは山口組の本拠地でございますし、また十分御案内のように、暴力団に対しては警察としてこれを壊滅するということで、いま現実に第三次頂上作戦というふうなこともやっておるさなかでございまして、まことにわれわれ警察官としましては、まして兵庫県の職員としてはなおさら泣くに泣けないような心境であるわけでございます。まあこの点については、われわれとしても弁解の余地はないわけでございまして、今後暴力団の壊滅という面に向かってより一層の努力を続けて、ひとつ国民の信頼をつなぎとめていく、回復していくということに努力したい、こういう気持ちでございます。
  53. 林百郎

    ○林(百)委員 泣くに泣けないというのはどういう意味だかちょっとわからないのですけれども、そういう市民にきらわれる右翼、暴力団がはびこっていればいるほど、警察はやはり毅然とした態度でこれに臨んでにらみをきかすことの方が大事であって、それとなれ合って、こういう警察の幹部のほとんどが出席して、そうしてその息子の結婚式を祝うというようなことをやるのでは、これは市民の支持を警察が得ることは絶対できないと思うわけです。  そこで、さらに藤田忠夫は収賄事件もあったようですが、これは陳伝鋒あるいは陳伝鋒の兄の日本名益原八千夫から何をもらっているのですか。
  54. 鈴木貞敏

    ○鈴木説明員 藤田前姫路署長は、御承知のとおり六月二十八日に逮捕いたしまして、六月三十日に神戸地検に送致されておりまして、七月十九日に起訴されております。その起訴されておる分にもう収賄の分も入っておるわけでありまして、藤田前署長がトラの置物、それから台湾産のみがき石、こういったものをもらった、贈与を受けたということと、それからもう一つは陳伝鋒の実兄に関連いたしまして、絵画一点を受けた、この三つで、七月十九日、また絵画の点につきましては七月二十二日にそれぞれ起訴されておるという状況でございます。
  55. 林百郎

    ○林(百)委員 その収賄封印助を尼崎中央署の刑事二課長の竹村五郎警部か行った、運搬や収受の幇助をですね。そういう事実はあるのですか。
  56. 鈴木貞敏

    ○鈴木説明員 竹村はございます。したがって、これにつきましては、懲戒処分されております。
  57. 林百郎

    ○林(百)委員 その竹村が日本生命阪神支社の弱みを握っていることを利用して招待を受けて、二課員のほぼ全員、約二十名ぐらいが飲食や高価なみやげをもらった、こういうような事実は知っていますか。
  58. 鈴木貞敏

    ○鈴木説明員 いま仰せの竹村姫路署捜査二課長の件につきましては、私は承知いたしておりません。
  59. 林百郎

    ○林(百)委員 これは四十九年からでありますので、なお犯罪の成否にも関係することですから、その結果をどう処理するかは別として、もう新聞にも出ておるところですし、こういうことをそのままにしておくわけにはいきません。警察はある意味では人の弱味を握ることもあるでしょうし、また会社のいろいろの弱味を握ることもあるでしょうが、それは厳正に処理をすべきであって、その弱味を利用して課員全員が飲食や高価なみやげをもらうような方向に動くということになれば、警察の機能を全く失うことになると思いますので、この点は、きょうの私の質問を契機としてさらに調査を進められたいと思います。
  60. 土金賢三

    土金説明員 ただいまの御指摘の件でございますが、この事件をめぐりましていろいろの風評が立っておりまして、そういったものが報道されておるわけでございます。私どもといたしましても、そういった疑点をいささかも残すことはあってはならない、こういう立場から、そういう風評についても捜査をいたしたわけでございますが、ただいま御指摘の生命保険会社から接待を受けたというふうなうわさの点につきましては、藤田署長在任中の事件の検挙の慰労として、日本生命の阪神支社の招待によりまして会合、接待をうけた事実はあるようでございます。しかし、これについて捜査いたしましたところ、いずれも儀礼的なものであるというふうに認められまして、また藤田あるいは陳はこの会合と無関係であるということが判明いたしましたので、この点については措置をする段階には至りませんでした。
  61. 林百郎

    ○林(百)委員 私の方も、この課員二十名が日本生命阪神支店から供応を受けたことが陳との関係だとは言っておりませんが、竹村五郎警部が、陳との関係で収賄の幇助をしたということで処分まで受けている者が、さらにこういうこともしておるということが伝えられておりますので、普通の人でしたら、そういうことで飲食、高価なみやげをもらうということは、実質的に犯罪の内容の重い軽いはあったにしても、これは明らかに収賄の犯罪の成立する事態だと思いますので、その処分については、それぞれ行政処分あるいは刑事処分もあるでしょうけれども、やはり厳格に処置をしておかないと、市民の信頼をかち得ることはできないというように思うわけなんです。  どうも兵庫県の県警にこういうことが非常に多いのです。  四月二十四日に、これは知っておるでしょうか、葺合署の盗犯担当の刑事が電気器具を万引した。盗犯担当刑事が自分で万引していたのでは、これはどろぼうの取り締まりに石川五右衛門を置くようなものでどうにもしようがないわけです。しかも、その後同店の保安員を喫茶店に呼んで、どうもいろいろお世話になったと言って現金の入った封筒をポケットにねじ込んで口どめ料とした、この事実は聞いていますか。
  62. 鈴木貞敏

    ○鈴木説明員 手元に資料がございませんのではっきりお答えできないわけでございますが、その類のケースがもし事実とすれば、これは当然懲戒免なり何なりされていると思いますけれども、具体的な事実をいま資料としてつかんでおりませんので……。
  63. 土金賢三

    土金説明員 この事案につきましては、捜査当局といたしましては報告を受けておりまして、確かに出来心というふうなことだったようですけれども、思わず持ってきてしまったということです。しかしこれは窃盗でありますので、そういう事実が判明いたしましたので、私の承知しておるところでは、これにつきましては懲戒免になっているはずでございます。
  64. 林百郎

    ○林(百)委員 盗犯担当刑事が出事心とはいえ万引きしていたのでは、これはいかんともはや警察の権威を失墜することはなはだしいと思います。適切な行政処置をしたという答弁ですからそれは聞いておきますけれども、このようなことは再び起こらないように十分綱紀を粛正する必要があると思うのです。  それからさらに私の方で調べておりますのは、六楽内彰雄という兵庫県の長田署の刑事で、刑事一課の盗犯係ですが、巡査長という位がありますか。部長のことだと思いますが、巡査長と書いてあります。これも六月二十六日に懲戒免職にはなっておりますが、これは暴力団の松正会組員が胴元をやっている賭博に参加して略式の起訴を受けている、こう聞いているのですが、こういう事実はあったのでしょうか。
  65. 鈴木貞敏

    ○鈴木説明員 はい、そういうケースは記憶にございます。これは当然懲戒免というふうな措置がされていると思います。
  66. 林百郎

    ○林(百)委員 略式の起訴まで受けて、恐らく略式の判決があったと思いますから懲戒免職を受けるのは当然だと思います。  国家公安委員長どうですか。いま地方行政では福島県の知事の問題が起きたのですが、国家公安委員会警察職務の遂行について監察をする権限もあるわけですから、こういうことについてはやはり十分心すべきものだと思いますが、国家公安委員長どうですか。
  67. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 御指摘のようなことが発生をいたしましたことについてはまことに私たちも遺憾に存じておるのでございますが、ふだんから私たちとしては、警察官か持にその行動において注意をするようにということを公安委員会においても指示いたしておるような次第でございます。今後もそのようなことが根絶されるように、警察関係に十分注意をすることにいたしたいと思っております。
  68. 林百郎

    ○林(百)委員 さらに進めていきたいと思うのです。  いま御承知のとおりロッキード問題が国民の重大な憤激あるいは関心の的になっておるわけです。したがって警察当局、検察当局もこれに対しては峻厳な態度をとるべきですし、また国会としても、そういう政府高官の政治的、道義的責任はあくまで国会で明らかにし、その実体を天下に明確にして国民に知らせる責任がある。国際的な大疑獄事件の焦点とされているロッキード問題の中心人物の一人とされている小佐野賢治氏、ハワイにホテルを数軒持っているとか、外貨の獲得の仕方だとか、そういうことが非常に重大な問題になっておるのですが、これと警察との関係なんですが、元警視庁の二方面本部長の斎藤良司君が現在国際興業の総務部付の次長になっているということは御存じですか。
  69. 鈴木貞敏

    ○鈴木説明員 二方面本部長斎藤良司さんでございますが、私も名前は聞いたことがあるように記憶がございます。役付その他はつまびらかでございませんけれども、警視庁のOBで斎藤はいるかもしれません。役付その他ははっきり言明できません。
  70. 林百郎

    ○林(百)委員 二方面本部長というと、警察の中の序列からいうとどういう官名になるわけですか。
  71. 鈴木貞敏

    ○鈴木説明員 警視庁には八つの方面本部がございます。これはそれぞれ一つの区域を定めまして、方面本部というものでその管轄内の、多いところでは十数署の署を管轄するわけでございますけれども、その署の調整あるいは監察、そういったことをつかさどる機構として方面本部というのが八つございます。したがって、階級からいけば警視正クラスというのが方面本部長でございます。
  72. 林百郎

    ○林(百)委員 相当高い地位にあった者がこの小佐野賢治氏の主宰しておる国際興業の総務部付の次長になっているということは、やはりいまロッキード問題の疑惑の中心人物である者と警察との深いかかわり合いを疑わさせるわけであります。  さらに元赤羽署長の大内勉君、これが国際興業が経営している町田自動車教習所の所長であるということは御存じですか。
  73. 鈴木貞敏

    ○鈴木説明員 官房長としての私のあれでは、大内元赤羽署長、全然知りません。
  74. 林百郎

    ○林(百)委員 これは調べて後ほど私に報告してもらいたいと思います。私の方の調査ではこうなっております。  それから、これは前と言ってもいいのですが、玉川署の次長の泉申之君、これが国際興業の総務部付になった。これはロッキード事件で小佐野氏がクローズアップされている最中の三月二十五日に退職をし、正式な日付は四月二十四日のようですが、五月一日に国際興業に勤めている。こういう事実は御存じですか。
  75. 土金賢三

    土金説明員 お尋ねの件につきましては、玉川警察署の次長であった警察官が退職した後国際興業に入社したという話は聞いております。ただし、その事情につきまして調査いたしましたところ、彼は退職後たまたま同じ山梨県の出身であった関係で入社したというふうなことでありまして、これは警視庁があっせんしたものでも何でもない。退職後たまたまそういうふうに入ったんだ、こういうふうに聞いております。
  76. 林百郎

    ○林(百)委員 私は警視庁があっせんしてそこへ勤めさせたとまでは言いませんけれども、いまロッキード事件で、金の入りの方でまだ全く公表されておらない部分に御承知のとおり児玉、小佐野のルートがあるわけなんです。ことに小佐野氏は田中と財政的には最も密接な関係がある。いろいろ小佐野ファミリーあるいは田中ファミリーと言われておりますが、その有力な支柱になっている。こういうところの総務部に、警視庁の方面本部長だとかあるいは児玉の自宅を管轄区域に持っていた署の次長か入っているということになりますと、善意の国民から見れば、警察のOBでその身辺を固めている、だから警察あるいは検察庁が手を出しにくくなっているのではないかというような疑惑を持つのは当然であって、これは持ってはいけないと言うわけにはいかないと思うのです。  こういうことについて、国家公安委員長としては、将来の捜査の方針として、もちろんこういうものに何ら妨げられることなく厳正な捜査を行うのが当然だと思いますが、どうでしょうか。
  77. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 御指摘のような、警察官が何か犯罪の容疑のある会社その他に就職をしておるということがあったからといって捜査に手心が加えられるというようなことは絶対にないと私は確信しておりますし、もしそのようなことがあれば、これはその不正を正さなければならないと考えております。
  78. 林百郎

    ○林(百)委員 この際、私、警察の首脳部に助言をしたいのですが、警察内部のこういう腐敗に対して、一線で働いている警察官の意向が上の方へパイプで通じない。上司の見るに見かねるような行為があっても、部下の者が簡単に意見が言えない。そういうことは慎むべきだとか、こういう風評がありますから気をつけるようにとか、あるいは警察行政についてこうした方がいいとか、こういうことについて一線で本当に苦労している警察官の意向が上司に伝えられるというような民主的な職場の空気、こういうものがないところによどみが出てき、そして上司が警察行政を私し、部下の者がこの上司の行動に無条件で無批判的に盲従していくということがあるのではないかと思うのです。そういう点について将来真剣に検討し改善をすべきだと思いますが、この点については警察の首脳部ではどう考えているか、あるいは福田さんはどう考えているか。  やはり空気のよどみがある。たとえば署長が暴力団の息子の結婚式に行くのに、署長が行くなら私も行くというように部下が八人もぞろぞろついていく。こういうことは、もちろん上意が下達しなければならないこともあるけれども、同時に下の方の意見が上の方に通ずる、そういう民主的な空気が欠けているところから起きてくるのではないか。私の方の党の政策としては、もちろん組合をつくらせ交渉権も認めろ。これはフランスや外国で一部やっているわけですが、それはそれとしても、とりあえずの措置としては、そういう民主的な空気を職場の中へつくるということは大事じゃないでしょうか。何か特殊な職域になっていて、上意が下達するだけで、絶対下意が上達していかないというようにわれわれから見ると見えるわけです。そういう点は改善する必要があるのではないかと思いますが、どうですか。
  79. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私は、警察全体から考えてみて、いま御指摘のような、下意が上達しないなどというようなことはあり得ないと思っております。しかし、二十万人になんなんとする多数の警察官がおるわけでありまして、その中の一部に不正の行為があったということは、これは事実でございます。われわれとしては、今後そういうことがないように極力慎んでいかなければならないと思いますが、同時にまた、いま御指摘になった面で、警察官というものの職務という面から見て、組合をつくってはどうかというようなお考えもあるようでありますが、私はそのお考えには反対でございます。
  80. 林百郎

    ○林(百)委員 とりあえずこうしろと言っているだけで、わが方の考えはこうなんです。官房長、何かありますか、いいですか。——まあ福田国家公安委員長が、警察に組合をつくることに賛成だという答弁、私もとうてい期待するわけにはいきませんですが、仮にそこまですぐいかないにしても、一線で本当に苦労し、安い給与で苦労している諸君の意向がもう少し警察の上意に反映するような健全な、そういう民主的な職場が開かれることが必要ではないかというふうに私は思うわけなんです。まあ、本当に直接的に市民の生命、財産身体を守って苦労しているわけですから、しかもそういう面の警察官は、別に給与が恵まれているというわけではありませんから、そういう者の意見がやはり尊重される必要があるのではないかということを言っているわけなんで、組合をつくるように立法しろなんて、私はあなたにいまのところは言う気はございません。しかしわが党の政策としては、そういうことを考えているということなんです。  それからこの頂上的な問題として、実は元警察庁長官の後藤田正晴君の問題がございます。これも、どうも国民から大きな疑惑を持たれているわけなんですね。  御承知のとおり、昭和四十七年の十月九日の国防会議議員懇談会でPXLの国産化を白紙還元するという相談に、後藤田君それから田中、それから当時の大蔵省の相沢主計局長が密談をして、そして白紙還元をするというメモは後藤田君が書いた、こう伝えられておるわけなんですが、この事実は、相当高度な政治的な面も出てきますので、福田国家公安委員長どうですか、こういう事実は認められますか。
  81. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私は、御案内のように警察を一応監督する立場にありますが、捜査の内容については立ち入って聞いておることはございません。また、そのようなことがあるかどうかという捜査の内容について、たとえ知っておっても、これは申し上げるべき筋ではないと思っております。
  82. 林百郎

    ○林(百)委員 この程度のことは、昭和四十七年十月九日の国防会議議員懇談会にメモが出されて、PXLの国産化が白紙還元になったということはもう天下周知の事実じゃありませんか。そしてそのときにメモが出された。メモを書いたのは後藤田君であるかどうかということまでは、あなた、仮にここでは捜査の内容に立ち入るから言えないということはわかったにしても、そのとき後藤田君も入って相談があり、そしてその会議の前に白紙還元のメモが提出された、こういう事実はあなた、客観的な事実なんだから、そこまであなたがかばうということになると、これは臭いなと言わざるを得なくなるわけなんです。その事実は認められるのでしょう。
  83. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 臭いか臭くないかは御判断に任せるよりいたし方がございませんが、私としてはそういうことについてとやかく申し上げるべき筋合いではないと考えておるわけであります。
  84. 林百郎

    ○林(百)委員 コーチャン証言によりますと、そのときから、PXLの国産化の白紙還元から後にずっとその年の十二月までに約十億近くの金が児玉に渡っているわけなんですが、これはあなた、コーチャン証言で新聞にも出ていることですから、それは御承知ですか。要するにこれがPXLの国産化からロッキードのP3Cへの切りかえの大きな契機になった、このときの国防会議議員懇談会の白紙還元が。田中総理も外国の記者との懇談会の際に、白紙還元とはいうけれども輸入の方向へ重点を置いて考えるというようなことも言われているわけです。あなたも国家公安委員長ですから、ロッキード会社からいつごろどのくらいの金が児玉に来ているか、こういう客観的な事実、すでに新聞にも発表されているこういう事実は認められますか。約十億近くの金が来ているというのですね。
  85. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 ただいま御指摘の問題について新聞にそのような記事がありますことは私も承知をいたしておりますが、コーチャン証言の内容がまだ日本に正式には到達しておりませんし、また到達してもわれわれがその内容にまで立ち入るべきであるかどうかということは、国家公安委員長という立場から考えてみますと必ずしも適当であるかどうか、問題があると私は考えておるわけでございます。新聞ではそういうことは承知はいたしております。
  86. 林百郎

    ○林(百)委員 法務省ではこういう範囲の事実は認められますか。四十七年十月九日の国防会議議員懇談会で白紙還元の方針が決まった、メモが出されて、田中のそういう意思表明によって決まった、要するに国産化の方向が白紙還元になった。それから それと因果関係があるかどうかは別として、それ以後約十億近くの金がロッキードから、あるいは丸紅——丸紅も入れればもっと多くなるのですけれども、児玉の方だけでも約十億、さらにユニットという受取の金が丸紅にも当時の四十七年十一月ごろ来ておりますが、こういう相当多額の金がロッキードから児玉並びに丸紅に流れてきた、こういう客観的な事実は法務省では認められますか。
  87. 吉田淳一

    吉田(淳)説明員 検察庁は、児玉につきまして三月十三日、所得税法違反で公訴を提起しております。その公訴を提起した理由は、実際の昭和四十七年分の児玉の総所得が十一億八千五百二十二万余に上るのに、これを申告せずに相当額の所得税額を免れたという事実について公訴を提起しております。  これにつきましては、米国から提供されました公表の資料等、その他捜査の結果、関係者証拠によってその容疑十分ということで、そういう金が児玉に入ったということの認定をして公訴を提起しているわけでございます。  その他丸紅関係等につきましても、一定の金額、御指摘のような金額、これは正確に申しますと、いろいろ正確に申し上げなければなりませんのですが、金額のことにつきまして、外為法違反等によりまして逮捕、勾留し、あるいは公訴を提起しているのは御承知のとおりでございます。しかし御指摘の会談というのですか、ということがこのことに関係しているかどうかは私は承知しておりませんし、仮にそれが捜査の内容に関連することであれば、いま自治大臣から申し上げましたように、私どもとしてもお答えできません。
  88. 林百郎

    ○林(百)委員 捜査の段階にありますから、微妙な点だと思いますが、いま吉田さんの答弁の中で、十億近くの金が昭和四十七年に児玉に流れている、丸紅の方にもユニット名義で二つの受取が出ておりますが、これは大半が昭和四十七年の後半、ことに十月後に圧倒的な金額が流れてきているということは御承知ですか。
  89. 吉田淳一

    吉田説明員 手元にいま正確な資料がございませんので、大づかみで申し上げますが、そういう事実があると思います。
  90. 林百郎

    ○林(百)委員 そうしますと、十月九日のこの国防議員懇談会の白紙還元ということが大きくやはりPXLの問題についての方向転換であり、そしてそれと因果関係があるなしは今後の捜査をまつとしても、多額の金が流れてきている。その渦中に後藤田、相沢、田中、これが密議をし、そして田中がその懇談会で言明したそのメモは、後藤田が書いたものだ、これも言われております。ほとんど半ば認められている事実ですけれども。そうなってくれば、当然これは一つの捜査の対象になり得る。どうしても捜査はここへ手を及ぼさなければ、ことに田中の収賄、あるいは請託収賄であったかどうかということに関連してもこの辺のところはどうしても捜査の手を伸ばさなければならないと思うのですね。そういう点で、福田さんは国家公安委員長ですから、直接捜査の責任は検察庁が負っているわけですけれども、しかしあなたは三木内閣の閣僚の一人として、仮に元警察庁の長官がそういうことに関与しておろうといやしくも嫌疑が持たれている場合は、捜査は当然すべきだ。そうでなければ、田中は、元警察庁長官あるいは検事正上がり、場合によっては、小佐野のごときは検事総長上がりの人を周辺にガードとして固めているというようなことは、国民のもっぱらの風評になっておりますので、もし仮に嫌疑の対象になるとするならば、あるいはどうしてもそこを明らかにする必要がロッキード問題の真相を糾明するために必要だという場合には、それが元警察庁長官であろうと、当然そこへは捜査の手を伸ばさなければならない、こういうように思うわけですが、その点についてはどうお考えですか。閣僚としてお聞きします。あなたは国家公安委員長ですから。
  91. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私はいかなる職にあった者であろうとも、不正があれば捜査当局はその厳正な捜査をするということは当然なことである。これが法治国家の筋合いであると私は思っております。
  92. 林百郎

    ○林(百)委員 吉田事課長、あなたの立場でいろいろ責任ある答弁をなさることはやはり限界があると思いますけれども、しかしわれわれはいま警察行政の姿勢を正す、少なくとも国民に信頼される警察行政にしなければならない、地方行政委員会警察担当の委員会ですから、そういう立場から私も質問しているわけですけれども、そういう意味で仮に元警察庁長官であろうと、ロッキード問題の真相を糾明するために捜査の手をそこまで伸ばさなければならないというようなことがあるとすれば、当然これは捜査の域をそこまで進めるということは考えられるべきだと思いますが、ことにいま田中の収賄について、収賄は確定したけれども、これが単純収賄であるか、請託の収賄であるかというようなことも法理的にあるいは立証の問題として法務省としても、検察当局ですか、検討されている際ですから捜査の必要ありとすれば、仮にそれが元警察庁長官であろうと、当然そこへも捜査の手が伸びるべきである、伸ばさなければならない、こういうふうにわれわれは考えますが、あなたに法務省というか検察当局を代表しての意見と言えば荷が重いかもしれませんけれども、どういうようにお考えになります。
  93. 吉田淳一

    吉田(淳)説明員 まずただいま御指摘の具体的な事実の関係は一切離れさせていただきたいと思います。  基本的な姿勢といたしまして、ロッキード事件はもちろんでございますけれども、この事件につきましては不法行為があればそれについて厳正な捜査処理をするという基本的な姿勢で臨んでおるわけでございます。それはいかなる者であろうともそれが犯罪として違法である、それを捜査処理をする必要があるということである以上は厳正に処理をするという基本的な立場で検察庁は臨んでおるわけでございます。具体的な事実を仮定しておっしゃいますと、私どもとしてはそういうことを申し上げるべき立場では全くございません。そういう仮定の問題といたしましても私どもとしてはこういう御質問には非常に当惑するのでございますが、基本的な姿勢を申し述べさせていただくのにとどめさせていただきたいと思います。
  94. 林百郎

    ○林(百)委員 事態が進展するに従って検察庁の姿勢も問われるでしょうし、国民の世論も高まってくると思いますけれども、私は少なくとも後藤田君の出処進退については重大な疑惑を持たざるを得ない。この点を明らかにしなければ今後の警察行政の姿勢、国民の信頼というものに——仮に元という名前がつくにしても警察庁長官がそういう重要なロッキードのP3Cへの方向転換への重大なモメントに参加していた。この疑惑ははっきりさせなければ、私は警察全体の、国民の信頼にかかわる重大な問題だと思います。今後の推移を見守ってみたいと思います。  これと関連して、四十九年に参議院選挙があったと思いますが、この参議院選挙でかってない選挙違反を後藤田派が行っておるわけなんですが、この大体の全貌ですね、これは実質犯ですけれども、この検挙された者がどのくらいで、それで金額でどのくらいか、大きな推移でいいですけれども、これはさすがの三木氏も、三木派の候補も立っていたわけですけれども、あの後藤田君みたいなあのようなやり方ではとてもこれでは正常な選挙とは考えられないというほどの金が使われ、選挙違反が行われた。きのうの、うちの正森議員の質問では、彼のところへ一千万の政治献金が彼の後援団体にあったという質問も出ているわけですが、ロッキード問題のいま注目の一人としての後藤田君の、参議院選挙、これはたしか昭和四十九年だと思いますが、この選挙違反の全貌というものはどういうものでしょうか。大体警察庁でわかっているところを説明してください。
  95. 土金賢三

    土金説明員 お尋ねの参議院選挙における後藤田派の違反検挙状況でございますが、検挙件数が百五十九件、二百七十二名を検挙いたしておりまして、そのうち買収違反は百五十五件、二百六十八名となっております。  なお、買収などに使われた金額でございますが、買収事件として立件した事件の買収基本金額は約二百六十万円でございます。
  96. 林百郎

    ○林(百)委員 それは表へ出た部分だと思います。選挙違反としてはちょっと類例のない大きな選挙違反をやっているのですが、元警察庁長官が、本来選挙の取り締りをいままでしてきた人が、自分が今度は選挙に出る場合は、そういう悪質な実費しかも前例のないほどの大規模な違反を起こすということについては、これは一体警察庁としてはどうお考えなのですかね。それはやめた後のことだから、やめた後のことまでわれわれあれこれ言うわけにはいかないとは言いますけれども、しかし、本来は自分の出処進退を、警察の最高のOBとして、慎重に処置しなければならない立場にある者が、一たん選挙に出れば、莫大な金を使って選挙違反を起こしてやっている。しかもいま、まあ、これは因果関係があるかどうかは別として、ロッキード問題の中心の人物に見られている。そこは仮に一つ線を引くにしても、元警察庁長官が最大の選挙違反を犯している。しかも警察庁は選挙の取り締りをする最も直接的な立場にある。その最高の地位にあったOBがこういうことをやっているということについては、一体どうお考えなのでしょうか。もちろん、やめた後のことですから、林先生、やめた後のことまでどうも警察があれこれ言えないということもあるかもしれませんけれども、しかし、お互いに皆さん警察の最高の地位まで上った人たちが、やめた途端にこんなことをやり出したのでは、これはやはり警察そのものの信用にもかかわると思うのですよ。そうお考えにならないでしょうか。今後の皆さんの身の処し方についても私は参考にしてもらいたいと思うのですよね。もちろん皆さんの生活の道をわれわれ狭めるつもりはございませんけれども、しかし、こういう国民から指弾を受けるようなことをやるということは問題だと思いますが、どう思いますか。
  97. 土金賢三

    土金説明員 先ほど大臣からもお答えがありましたように、私ども捜査を実施する場合にはあくまでも厳正公平にやるというのが、これが一般論、原則でございまして、たとえそれが選挙違反の捜査であっても同じであります。また、その立候補者あるいは選挙運動違反の関係者がどなたであろうと、それは私どもとしては、一般論として申し上げますけれども、これはもうそういうことは関係ないことでございまして、あくまでも厳正公平に違反を捜査し処理するということでございます。それ以外のことにつきましては、いまここで私どもが御返事申し上げる筋ではございませんし、差し控えさせていただきたいと存じます。
  98. 林百郎

    ○林(百)委員 私の希望することは、警察の最高の地位にいた先輩が、警察庁長官をやめて選挙に出たら途端に物すごい買収をしているというようなことですね、これでは示しがつかないと思うのですよ、警察全体にね。だから、警察における地位が高くてやめた人であればあるほど、身の処し方については、やはり将来の警察行政に対して信用を失墜するような行為のないような慎重さをとるべきだ、こういうように私たち考えるわけですよ。だからといって皆さんのやめた後の生き方について私はあれこれ、もちろん就職の自由、職業選択の自由があるわけですから、言いませんけれども、しかしこれではやはり示しがつかないのではないかというように思うのですが、そういう反省は、警察首脳部としては、この問題について、なさらないわけですか。
  99. 土金賢三

    土金説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、そういう問題について私どもの意見なりそういったことを申し上げることは、差し控えさせていただきたいと存じます。
  100. 林百郎

    ○林(百)委員 国会でそういうことをはっきりして、そして国民の前にそれを明らかにした方が、私は警察行政に対する国民の信頼を高めるゆえんだと思って質問をしているわけなんですけれども、頑強にその辺を拒否しているようですから、これはまた機会を見てさらにお聞きすることにします。  もう一つの質問は、一方ではそういうことをしていながら、一方ではかつての戦前の特高警察と同じような、思想、信条の自由を抑圧したり、民主的ないろいろの組織に対して不当な干渉をしてくるという事例がありますので、この点を質問したいと思います。  私もあらかじめお知らせしておいたからおわかりだと思いますが、本年の五月、愛媛県の県警の公安課の松浦一久警部補が、松山市内のパチンコ屋で、新田高校教員組合書記長である柳瀬一秀教諭に対して、十五万円をポケットにねじ込んで、情に絡んだりいろいろして、教諭組織やそのほかのスパイを強要した、こういう事実があるわけなんです。私が強要したと言うのは、ここに松浦が書いた手紙がありますので、これは後でいずれ聞いていきますけれども、こういう事実を本庁ではお知りですか。
  101. 三井脩

    ○三井説明員 新田高校の教員に絡みまして、いま御質問のようなことがありましたが、ただこれは警察官として当然なすべき職務活動といいますか、そういうことでやったわけでありまして、強要をしたとかいうような事実は全くないというように考えております。
  102. 林百郎

    ○林(百)委員 とんでもない答弁だと思うのですよ。当然やることだとするならば、どうしてこんな手紙が入っているのですか。「助けて下さいませんか、是非力をかしてほしいんですが、」「とりあえず一年分のお礼を前金として同封しますから車検の費用にでも使って下さい。」それから、「御無理を言うつもりは毛頭ありませんので、この手紙を黙って奥さんを通じてでも私が訪問した折に」無理だというなら返してもらいたい。しかし、「組織の方とか家族の方には話さないようにして下さい」連絡は、「奥さんなどを通じて御連絡」ください。「一つ私を男にしていただけませんか、」これは一体どういうことなんですか。これは情に絡んで強要する以外の何物でもないじゃないですか。私も判例やいろいろ調べてちゃんと知っていますよ。判例の論争だとかあるいは共産党の路線の論争なら幾らでもやりますけれども、しかしそれは時間の関係もありますし、それはそれでまた別な機会にしても、こういう警察のやり方ってありますか。「助けて下さいませんか、是非力をかしてほしいんですが、」「とりあえず一年分のお礼を前金として」十五万円ポケットに押し込んでいく。「組織の方とか家族の方には話さないようにして下さい」これはどういうことなんですか。スパイをやれということ以外の何物でもないじゃないですか。「突然勝手なことを申しましてすみませんが一つ私を男にしていただけませんか、」これはどういうことなんですか。明らかに情に絡んで、しかも金まで出して、本人の意思をこれでもって左右しよう、無理に情に絡ませようとした以外の何物でもないじゃないですか。あなた、そんなことを平気で言えるのですか。これを好ましい事態だと思うのですか。
  103. 三井脩

    ○三井説明員 当該警察官は新田高校の先生と知り合いでありまして、平素いろいろ行き来をしておるようでありますが、そこで知り合いである先生について情報をいただきたいということを、ちょうどこの先生がパチンコ屋に行っておるときにそういう趣旨を書いた手紙とただいまお話しの現金を入れて本人に手渡したわけでありまして、本人のポケットにねじ込んだということではありません。  それからまた、ただいま読み上げられた手紙にも書いてありますように、これがいやだとその先生の方でお考えならこれについてはお断りいただいて結構ですという趣旨をもそこにはっきりと書いておる、こういうことでありまして、いわば情報収集につきまして任意の御協力をお願いをした、こういうことだと考えておるわけでございます。
  104. 林百郎

    ○林(百)委員 柳瀬先生と松浦一久がじっこんだなどというのは、それは事実と違いますよ。柳瀬先生のお父さん、家族の人が盆栽か何かに趣味を持っており、松浦君も盆栽や植木に趣味を持っておるということで、この関係はあったのですけれども、柳瀬教諭とは何の関係もないのですよ。あなた、事実を調べているのですか。あったとすればどういう関係があったのですか。
  105. 三井脩

    ○三井説明員 それは先生の方がどうも調査御不足のようでございまして、何回も会っておりますし、また柳瀬教諭のお父さんと柳瀬教諭自身も松浦警部補の自宅を訪問するというようなこともございます。したがいまして、相当深い関係といいますか、おつき合いをしておった、こういう間柄でございます。
  106. 林百郎

    ○林(百)委員 それはあなたの方がこじつけですよ。柳瀬教諭が松浦のところへ行ったのは、お父さんを自動車に乗せて連れていったのですよ。柳瀬教諭が松浦のところへ行ったのは一回ですよ。あなた、よく調べてください。私だって現地へ行って調べたのですから。  それで、そうだとすれば、親しい仲だとすれば、何で一体「突然勝手なことを申しましてすみませんが」なんということを言うのですか。「一つ私を男にして」ください、「助けてください」というのは何のことですか。何で柳瀬教諭が松浦を助けなければならないのですか。こういう手を警察は使うのですか。使うなら使うと言いなさいな。人の人情につけ込んで、こんな卑劣なやり方ってないですよ。「私を男にして」ください、「助けて下さいませんか、」「組織の方とか家族の方には話さない」でください、「とりあえず一年分のお礼を」と言って札を突っ込む、こういうことをやるのですか。やるならやるでいいですよ。そしてこれを返しに行ったって、あなたの方では受け取らなかったじゃないですか。事実ないないと言って、それでようやく最近認めてきている。そんなひきょうなやり方がありますか、警察として。何で親しい間でこんなことをやるのですか。これは親しくないのですよ。もっと事実を調べてください。  そこで、そういうことはあったにしても、私の方もこの事実を重大だと考えまして、六月の九日にわが党の青柳衆議院議員と立木参議院議員が本部長に会いたいということで、わざわざ愛媛まで二人で出かけていったのだけれども、どうして本部長は会わないのですか。そればかりじゃないですよ。もし本部長がどうしても会わないというなら、それはそれで不当なことは不当だけれども、それじゃ私が地方行政委員としてこの問題を委員会で取り上げる必要もあるから、本庁のいろいろの事情も聞こうといって私があなたの方に面会を申し込んだところが、だれも会わないじゃないですか。あなただって、会うとかなんとか言ったけれども会わない。それから警備課長も会わない。私は初め長官に会うと言ったら、長官は都合が悪い。それじゃ次長はどうだ。次長もだめだ。警備局長はどうだ。初めはいいようなことを言って、これもだめだ。じゃ課長でどうだ。これもいいようなことを言って、だめだ。何で会わないのですか。それが民主的であるべき警察の態度ですか。国会議員が当委員会で実情を正確に調べて質問しようとするときに、なぜ国会議員に——わざわざ飛行機で二人愛媛まで行っているのですよ。私もまた愛媛に行きましたよ。本部長が会わないと言うから、その星野県警本部長ですか、会わないと言うならやむを得ないということで、私は初めから本部長に会うつもりはなかった。しかし、その前に本庁の方の——本部長は本部長でいろいろの立場もあるかもしれないから、それなら私は本庁の人に会って本庁から調査の結果を聞こうとするときに、どうして会わないのですか。警察は自分の都合の悪いときには国会議員に会わないのですか。いつでもいいから、あなたの方の警察庁長官かあるいは次長か警備局長課長か、この四人のうちのだれか都合のいいときでいいから私に知らせてくれ、これは私の方も見逃すわけにいかない事態だからと言うのに、だれも会わないというのはどういうわけなんですか。たまたま官房長は当時入院していたからこれはやむを得ないにしても、官房長がいなければ国会議員に会う人が警察にだれもいないのですか。ぼくはやはり警察は国会に対して特権意識があると思うのです。予算のことを聞いたって、一番はっきりしないのは警察予算ですよ。あなた方は憲法を守る守ると口では言いながら、国権の最高機関である国会の、しかも当該委員会委員があなたの方に問題があるからぜひ会いたいと言ったときに、どうして会わないのですか。そんな態度をとりながら、警察がやるべきことをやったなんということを言ったって、とてもそんなことは通りませんよ。これはどういうわけだったのですか。
  107. 三井脩

    ○三井説明員 まず六月のことでございますけれども、両議員が現地へ参るということでありましたが、本件は五月の末に発生しておりまして、その当時新聞にもちょっと出ましたので、警察としてはその状態を正しく、間違いなく県民にも知らさなければいかぬ、こういう立場で、本部長が二回にわたりまして記者会見をして説明をいたしました。ところが、それに対して、共産党の愛媛県委員会の幹部が警察に対して、警察の活動はけしからぬ、こういうことで抗議を申し入れに見えるということで、副委員長以下九名見えたわけでありますが、その中でも、そういう状態でありますので、警察としてはすでに警察の態度、事実関係を明らかにいたしておりますので、これ以上この問題についてお会いして——調査に見える、いろいろ聞きたい、こういうようなことでありましたので、この問題についてこういう状況の中でお会いし説明することはかえって事態が混乱する、こういうふうに考えた次第でございます。
  108. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ本庁で私に会わないのはどういう理由ですか。
  109. 鈴木貞敏

    ○鈴木説明員 お答えします。  林議員の七月十日とかいうことでございますが、当日私も不在でございましたけれども、一般的に申しますれば、国会議員の方のいろいろの活動につきましては警察としても協力するという原則につきましては申すまでもなく、そういう線でやっておることでございます。この件につきましてはいろいろの経緯があったようでございますけれども、当日のいろいろの状況等から見ましてそれぞれ林議員の御要望にこたえられるようなかっこうではなかったかもしれませんけれども、一応責任者が林議員にはお会いになっている、こういうふうに私は聞いております。  いずれにしましても、当方としましてはそれぞれのケース、それぞれの内容あるいは態様に応じましてできるだけ御要望にこたえるというふうな態度でいっておることは御承知のとおりでございます。
  110. 林百郎

    ○林(百)委員 三井警備局長、本部長が記者会見したってそれは警察側の考えを述べたわけでしょう。それに対して星野本部長は県議会などで共産党にも関係があるような答弁もしておりますので、一体、共産党とどういうことなのかということをわれわれも確かめる必要がある。しかも、天下の公党である共産党、衆参両院でいまや五十九名の議員も持ち、憲法では文字どおり国会を国権の最高機関にするということがうたわれておる、そういうわが党に対して不当な言いがかりを星野本部長がした、これはわが党としても見過ごすわけにいかないということで、会いに行って真意をただし、両者の間で意見を闘わせる必要があったわけですよ。それを警察がもう記者発表したからあと共産党に対しては言いっ放しで、言われた方の共産党とは会う必要はない、そんな一方的な、これでは切り捨て御免じゃありませんか。しかも、私に対して、官房長は病気で入院されていたからやむを得ないとして、官房長はわれわれともよく会うのですけれども、官房長がいなければ国会議員が警察へ行って事情を聞きたくてもだれも会わないというそういう内規が警察にはあるのですか。一体言われた方のわれわれはどうなるのですか。おたくの方の御迷惑は知りません、警察警察の考えをもう述べてありますから御了承願います、そんな一方的な態度ってどこにありますか。だからいま言った柳瀬先生の一家とそれから松浦とのうちの関係についてもわが方はわが方の調査の結果もあり、警察警察の言い分もあるかもしれない。その辺もお互いに意見を闘わし事実を明確にする必要もある。そうでなければ、ここで初めて皆さんとこんな余分な、どっちが親しかったとか親しくなかったとか、何回行ったとか行かないとか、そんな初歩的なことをここであなた方と論議を交わさなければいけないことになるわけですよ。官房長はいいですから。三井警備局長、どうなんですか。官房長がいなければあなた方国会議員に会わないという内規があるのですか。
  111. 三井脩

    ○三井説明員 本件の場合にはただいま申しましたような若干のいきさつがございまして、警察としては警察官の行った行為は正しいものと考えている。その点を報道機関にも伝える。話をする。これに対しまして地元の共産党の方ではこれは不当なものであって抗議をする。こういうことでありまして、ただいま先生がおっしゃるような事実関係について話し合いをするというようなことではありませんでした。その事実関係についてはまた県会で大体二回にわたりまして本部長が詳細説明もいたしておる、こういうような状況の中でのことでございますので、本件についてはそういうことでございまして、いろいろ問題について国会議員の先生方に私たちが御説明を申し上げるということについて労をいとうものではございません。
  112. 林百郎

    ○林(百)委員 警察は当然のことだと言うし、共産党はこれはもう憲法に違反する重大な警察行政の違法な行使だということで意見を闘わすのは当然ですよ。それで場合によってはわれわれはわれわれの綱領もちゃんとあなた方に説明もしなければならないし、あなた方に正しい警察行政を行使させるにはわれわれはあなた方と話し合う必要があるわけですよ。そういう場合、警察は自分のやったことは間違いないからそれを間違いだと言う人に会いません、そんな役所どこにありますか。どこの役所だって、やったことが不審だ、これはわからない、この点は違法だと思うがどうか、あなたに会いたいと言えば会いますよ。しかも、こんなこと、警察としてはやるべきことをやったなんてとんでもない話ですよ。あなたの考え方は全く新しい憲法にも違反しているし、共産党の綱領、最近のいろいろの共産党の中央委員会決定等についてはあなたは全く無知です。しかし、ここでそれを繰り返していけば時間が限りがありますから、こういうところであなたとこういう形でやれば時間の制限やいろいろあるから、だから私は行って、右翼の取り締まり等には警察にちゃんと共産党が取り締まりを求める場合もあります。同時に、警察のやり方が納得できない、あるいは憲法に違反している、警察法に違反していると思う場合には、われわれの方があなたの方に行ってこれはどうだと言う場合があるわけでしょう。しかも天下の公党なんですから。そういうことをしなくて、警察は自分のやったことは絶対だ、だからそれに異議のある者には会わないなんという態度は全く非民主的な態度なんです。  しかもいま柳瀬先生はどういう立場に立っているか。これは教師という特別な聖職についている人に対して警察はこういうことをやったのですよ。だからこれは教育という神聖な場を非常に侵しているのです。だから柳瀬先生は生徒に何と言われていますか。先生はスパイじゃありませんか、こう言われた場合、柳瀬先生は生徒に何と言ったらいいのですか。そういう迷惑までかけているのですよ、あなた。神聖な教諭としての教育上の任務が非常に阻害され侵害されているのですよ。そういうことだってあなた方知らないでしょう。だからこそここでは民主団体が、共産党はもちろん社会党もあるいは地区評も教員組合もあるいは新田高校もみんな警察に抗議しているじゃありませんか。要するに警察のやり方が非民主的で新憲法の方針に違反しているということがあるからこういう民主的なすべての組織があなたの方に抗議しているじゃありませんか。それを会わないということはどういうことなんですか。  それでお聞きしますが、松浦一久というこの警部補はいまどこにいるのですか。どういう職務についているのですか。
  113. 三井脩

    ○三井説明員 県警察本部の公安課勤務でございます。
  114. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、あれは松山ですか、松山の県警本部にいるということですか。そういうことですね。  そこで、あなたが先ほど言いました県議会での質問に対する答弁ですが、これは自民党の議員が質問して答弁しているわけです。共産党の議員は人数の関係で質問できないのですよ。だから警察の当局者に会う必要があったのですよ。この金の点について「先ほど土居議員の御質問にお答えしましたとおり、国費で支弁しているものであります。国費をもって支出される経費は、警察庁において全国的な観点から当県の分を算出して配賦を受けております。」これは幾ら配賦しているのですか。ちゃんと県議会で言っていますよ。
  115. 三井脩

    ○三井説明員 全体として愛媛県がどれだけ配賦されておるか私たちは存じません。警備警察関係だけをやっておるわけではございませんので、全体がどうなっておりますか、ちょっと数字はわかりかねます。
  116. 林百郎

    ○林(百)委員 それではこの際、警備費も含めて本庁から各県へ出している予算関係をこの委員会へ提出してください。あなた方が予算関係を一番明確にしないのです。しかも、地方へ行ってみると警察関係の超過負担が自治体から訴えられるのですよ。それで国会で質問すれば、わかりません、わかりません。委員長、これは検討してくださいませんか。
  117. 小山省二

    小山委員長 ちょっと待ってください。それは資料として出せますか。
  118. 鈴木貞敏

    ○鈴木説明員 予算の方は官房で一括してやっておりますので私からお答えしますが、いま御質疑の警備費用といいましょうか、警備のあれを出せというような仰せでございましたが、先生御承知のとおり、予算の仕組みとしまして、活動経費、そういったものにつきましては、警備という枠でそれを一本に立てておりませんで、経費全体、いわゆる刑事警察、警備警察、保安警察といった警察の運営的な活動部門は一括して予算に計上し、それを流しておるわけでございまして、各府県はその県の実情に応じましてその費用を的確に使用しておる、こういう実情でございますので、何々部門の予算がこれだけですという資料は出しかねるということをお答えいたしておきたいと思います。
  119. 林百郎

    ○林(百)委員 それならば、警備費も含めて各県へ本庁から幾らずつの金が行っているか。これは、超過負担の問題がいろいろ出る場合にわれわれどうしても知っておかなければならないのです。それを資料として提出してください。委員長、それを諮ってください。
  120. 鈴木貞敏

    ○鈴木説明員 資料で提出するかどうかについてはあれでございますか、御承知のとおり、予算そのもの、国費につきましては、国会の審議を経まして成立し、そしてまた会計検査も十分に受けましてそれぞれ執行しておるわけでございまして、そういう意味でひとつ御信頼いただきたいと思います。
  121. 林百郎

    ○林(百)委員 御信頼してもらって内容は任してくれ、そんなことはないですよ。こんな形で人のふところへやたらに金を突っ込んでいる。これは恐らく受取なんかもらえるものじゃないでしょう。幾ら出ているかもわからないでしょう。だから警備に対する一般の防犯の方の警察官の批判が強いんですよ。勝手なことをやっている、警備を名にして飲んだり食べたり金を使ったり、場合によっては二十万もらったのを十五万にして五万削ってポケットへ入れているかもしれない、こういう声もあるわけなんですよ。いまや警備に対する予算の執行だって、会計検査院の検査だって特別な措置をしているわけでしょう。本部長が出したということであれば、受取は要らないことになっているわけでしょう。添付しなくてもいいことになっている。そうであればあるほど、国会としては各都道府県へ本庁から幾らずつの金が入っているか、警備だけがもしやりにくいというなら、共産党の林さんだから特に心配だというならいいですよ、各府県へ分けた金を出しなさい、出せないことはないでしょう。間違いないから信頼してくれなんて言って出さないところなんかどこもありませんよ。どうですか委員長、後で理事会で相談させてくれませんか。警察の予算関係が一番不明朗なんですよ。いつだってこの状態なんですよ。愛媛の県議会で「警察庁において全国的な観点から当県の分を算出して配賦を受けております。」と答弁しているのですから、当県の分というのは幾らなのか、こう聞きたい。警備の費用ばかりではなくて他の費用もあると言うなら、それも入れて、保安関係を含めて幾ら配賦しているか聞きたい。もし愛媛県だけが問題だと言うなら、全国にどういうふうに配賦しているか聞きたい。われわれが行政調査に行っても、警察関係の超過負担の問題がよく出るから、その資料にもしたいから、こう言っているのですよ。
  122. 鈴木貞敏

    ○鈴木説明員 先ほど、警備警察、警備活動に要する経費だけを取り上げてということは予算の性格上ないということをはっきり申し上げたわけでございますが、五十年度の警察庁予算、これは当初、御承知のとおり、総額で九百四億円ほどの規模であったわけでございます。そのうち警察活動に必要な経費というのが百億ぐらいでございます。その百億を全国に、それぞれの情勢に応じて配賦しておるというふうな全体的な構成でございます。  各県に対する配賦の基準というのは、それぞれ流動する情勢でございますので、県の事犯の概要、内容、人口あるいは犯罪の発生率、検挙率、面積の広狭、いろいろの面を勘案いたしまして、実勢に応じて配賦しておるというのが実情でございます。
  123. 林百郎

    ○林(百)委員 時間の関係もありますのであれですが、こういう形なんですよ。本庁から分配を受けております。しかしそれは公安関係のを一括して受けています、こういうふうに県議会で答弁しているのだからこれをはっきりさせろ、県議会で答弁していることまで国会でどうして明らかにできないのですか。本庁で各県別に分けておる警察活動費というのは幾らか、私はしょっちゅうこのことを言っているのだけれども、出さないのですよ。これは委員長、後で理事会でいずれまた相談させてくださいませんか。ここでやりとりしていても時間が……。
  124. 小山省二

    小山委員長 相談はしますが、だれも理事はいませんから、理事会の決定というわけにはいきません。
  125. 林百郎

    ○林(百)委員 適当な理事会で結構ですから。  それで、三井警備局長に聞いておきますが、柳瀬教諭はこの手紙の趣旨をきっぱり断っているのでしょう。金を返しに行ったのでしょう。そういうことを聞いていますか。
  126. 三井脩

    ○三井説明員 あの金は近く返してくることになっております。
  127. 林百郎

    ○林(百)委員 一度返しに行ったんだけれども、おたくの方で受け取らなかったのじゃないですか、そういう事実はないといって。それは確かめてください、そういう事実ですから。それが一つ。  それから、柳瀬先生が、新聞にいろいろ出たために、生徒からそういう侮辱的な言葉を受けている。そういうことに対する精神的な大きな迷惑、さらに警察のこういう乱暴なやり方によってもたらされた教育の場における混乱、こういうものについてはどう考えますか、どうしようと思っていますか。
  128. 三井脩

    ○三井説明員 文書の中にもございますように、御本人に御迷惑がかからないように手紙にして渡し、もしこれが迷惑がかかってお断りになるようでしたらかくかくの方法でお返しをいただきたい、こういうようなことで、十分配慮を払ったつもりでございます。いまお話しのような事実については私は存じませんけれども警察としては十分気を使って、迷惑がかからないように努めておるというつもりでございます。
  129. 林百郎

    ○林(百)委員 しかし「組織の方とか家族の方には話さないようにして下さい」こう言っておれば、これは明らかにスパイになるので、身の潔白を明らかにするためには、これを公にして、断固断りましたと言うよりほか、自分の身のあかしを立てる道ないじゃないですか、柳瀬先生としては。だからこれを発表したのでしょう。しかも、あなたのところに返しに行ったら、そういう事実はないからといって受け取ってないのですよ。だから、事実をよく調査して、場合によっては本部長と、それから松浦と柳瀬教諭と、あるいは必要な人を立ち会わせてこの問題について決着をつけるつもりはありますか。そうでなければ、柳瀬先生だって教育の場において立つ瀬がなくなりますよ。それ、ここではっきり答弁すればそれでいい。
  130. 三井脩

    ○三井説明員 警察の立場につきましては、現地県議会でも本部長がお答えしておるところでございます。ただいまお話しの問題につきましても、近く金の点についても向こうからお返しをいただく、こういう話し合いにもなっておりますし、警察としても十分迷惑かからないように配慮しておったつもりでございますけれども、今後ともそういうような点については迷惑のかからないようにいろいろとやってまいりたいというふうに考えます。
  131. 林百郎

    ○林(百)委員 時間がありませんので、そうすると近く返しにいく、こういう迷惑かけるようなやり方はやらない、迷惑かけないようなやり方でスパイをやっていいと私は決して認めませんけれども、いずれにしても柳瀬先生の立場があるので、あなた方の方も警察の首脳部と、柳瀬先生がこのことのためにいまどんな迷惑をこうむっているかということを十分聴取して、それで事能をここではっきりさせる、そして警察も柳瀬先生の置かれた立場をよく理解する、そういう機会を設ける意思はないのですか。県議会で質問したって、共産党や柳瀬さんの立場に立っての質問ないじゃないですか、自民党の土居議員か何かが質問しているだけで。しかも共産党を全くゆがめた形で質問しているだけですからね。あなた、そういうことをとりあえず現地に問い合わせてみる意思がありますか。現地の意向もあるでしょうけれども、ここでは林議員からこういう要望があった、近く関係者と警察の首脳部でよくこの問題について話をし、決着をつけろ、こういうことを愛媛県警の方へ指示する意向ありますか。
  132. 三井脩

    ○三井説明員 ただいま先生がおっしゃったような柳瀬教諭の立場、その他については愛媛県警によく聞いてみたいと思います。また、それに応じまして、迷惑をかけないというのが警察の本旨でございますので、それにふさわしい方法があればまた検討いたしたいと思います。
  133. 林百郎

    ○林(百)委員 私は、別にこういう方法でなくうまくやれなんということを言っているわけじゃありませんから、少なくとも民主的な組織あるいは共産党に対するこういうスパイをいろいろの形で、情に絡んでみたり、あるいは金に絡ましてみたり、あるいは女性に絡ましてみたりして警察がやる、こういう卑劣なやり方については絶対反対ですし、それから共産党はそのような対象になるべきものでないと考えておりますので、三井警備局長が迷惑のかからないようにやるということについてはわれわれ絶対承服できません。しかし、この問題をあなたと徹底的に論争するためには、共産党の路線の問題もありますし、あるいは党大会の決定なり綱領の問題、いろいろやらなければいけませんし、判例もお互いに論戦を交わさなければなりませんので、私はきょうはこの程度にとどめますが、絶対にあなたの言うことを承服するわけにはいきません。ただし柳瀬教諭に及ぼしておる迷惑をちゃんと警察処理するための措置を必ず講ずるように配慮をすべきである、こういうことだけあなたに言っておきます。現地とまた連絡してみてください。いいですね。その後の経過も一応私に報告してください。
  134. 三井脩

    ○三井説明員 柳瀬教諭がどういうような状態で迷惑の状態があるか、こういうような点につきましては現地に問い合わせをいたしまして、われわれとしてもそれに応じて措置をいたしたい、こういうことでございます。
  135. 林百郎

    ○林(百)委員 それから私にその結果を報告してくれるのですか、その模様を。
  136. 三井脩

    ○三井説明員 それはいたします。
  137. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ、これはこれで終わります。
  138. 小山省二

    小山委員長 ちょっと、吉田参考人を呼んでいるから、……。
  139. 林百郎

    ○林(百)委員 ええ、ですから、この問題はこれで終わります。警察関係、結構です。ああ、交通局長が見えておりますか。勝田さんだけ残って……。  公団の吉田さん、大変お待たせしました。どうも恐縮でございます。  実はこれは私の選挙区で起きている問題でございますので捨ておきがたいことでございますが、中央高速自動車道路の下伊那郡阿智というところでございます。ここで低周波の振動のために、余り強靱な精神力を持った人でもなかったでしょうけれども、その死んだ一つの原因は、やはりこの低周波からくる圧迫感があったということで、実は水上冬子という五十一歳の婦人ですけれども、六月二十五日に睡眠薬を飲んで手首を剪定ばさみで切って自殺を図ったわけです。これはいけないということで飯田の市立病院に入院させたところが、七月九日午前九時十五分に五階建ての病院の屋上から飛びおりて自殺したという事実があるわけです。それで、これはもちろん高速自動車道路の低周波だけが唯一の原因であったかどうかということには問題があると思いますけれども、少なくともこれが相当大きなファクターになって常に気にしていたということは間違いないと思うのです。それで公団の方も、この水上さんの家を買い取って低周波の研究の場所にする、他へ移転するように一定の補償もするというようなこともやっておるようですが、ここでまずどういう点が問題になると思いますか。ジョイントの問題がありますし、低周波の圧迫感もありますし、それから家の前に大きなピアが建っているというような問題がありますので、この点については公団としてはどういうように考えておりますか。
  140. 吉田喜市

    吉田参考人 ただいま先生からお話がありました中央高速道路の恵那トンネルから飯田の間でいまお話しの阿知川橋があるわけでございます。そこで約三百九十メートルの橋がかかっております。地表から大体三十メートルのところへ橋がかかっている。その中央部の北側にいまお話しの水上さんの家がある。それからその東寄りのところに大橋部落と申しますか、そこにやはり十七戸ばかりの家があるわけです。そこを大型のトラックが通りました際橋げたにある程度の振動を与える。これが空気振動になって下へ伝わりまして、家屋の戸障子、これをガタガタガタガタ鳴らす、こういうのが一つの問題であります。これはあくまで地盤振動じゃなくて、下へ伝わる空気振動の問題でございます。それからもう一つ先生がお話しになりましたジョイントの部分については若干の衝撃音が生じております。それで私たちは、橋から発生する発生源をまず直さなければならないということでジョイン卜部分の改良を行っておりますし、それからまた橋げたそのものにつきましても、あるいは端部を少し荷重を重くするとかなどでこれを改良をして、なるべく橋げたそのものの振動が生じないように防振的な方法を講じたい、かように考えております。  それからもう一つ問題は、橋そのものじゃなくてもう一つ下方の家の問題でございます。当然建物に対してもそれ相当の措置をとらなければならない、こういうふうに考えております。それでいまお話のありましたように、水上さんのお宅につきましては、このところを一つ公団で買収しまして、その家について、今後ともこういうふうな問題があちこちで起きるかもわかりませんので、ひとつ勉強いたしたい、かように考えております。  それから残ります大橋部落の十六戸につきましては、この月の初めからそのうちの十戸の家につきまして、特に激しいと申しましょうか、希望なさる十戸の家につきましては振動の防振工事を行っている。一応これは終わっております。その結果については、振動が一応おさまったと申しましょうか、その防振工事の結果についてはかなり好評だというふうな報告を私は受けております。こういうふうな姿でございまして、そういうことで現在対応いたしておるというのが現状でございます。
  141. 林百郎

    ○林(百)委員 措置というのは、窓枠のところへピンチブロックを張りつけたり、パテをつけたりしただけで、いかにも大げさなことをやったようですが、しかもそれは道路に面した方なんです。だから、それが後ろの方にまで振動してくるということがございますので、これは地図で見てもわかりますか——これをちょっと持っていってください。この十六戸についてはやはり移転させることを考えるというのでないと根本的な対策にならぬと思うのですがね。  それで、大体中央高速道路の評判は、公団というところは、つくるまではいろいろと親切にしてくれるけれども、つくってしまった後はもうてこでも動かないということがあるわけです。しかし、やはりこういう高度の技術を用いておる高速自動車道路ですから、アフターケアが非常に重要だと思うのですね。このアフターケアを、十分親切に相談に乗ってやりませんと、これからの高速自動車道路の開設についても大きな支障になると思います。そういう意味で、あと残った十六戸についても親切に相談に乗ってやる意思があるかどうか。また建設省としても、そういう公団に対する批判がありますので、つくるまではいろいろある程度要望を入れてくれるけれども、つくってしまえばもう後はがんとして強硬な態度をとっている、こういう風評もありますので、そこはひとつ適切な行政指導を建設省はぜひしてもらいたいと思いますが、両方から答弁をお聞きしておきたいと思います。
  142. 吉田喜市

    吉田参考人 先生のおっしゃいましたいまの十六戸の問題でございますが、そのうちの十戸につきましては、いま先生からお話がありましたように、この月の初めに一応防振工事をやった。残る方々についても私たちはやはり同様なことはこれから行っていきたいというふうに考えております。  それから基本的な問題につきましては、水上さんの移転先もようやく決まったようでございますから、水上さんの家で、一体どういうふうなメカニズムでこういうふうな空気振動が起きるのか、それが家にどういうふうに伝わっていくか、それに対してどういうふうな対策を講ずべきであるか、どうしたら効果が上がるかというふうなことを私たちは調査をし、勉強したいと思います。それに基づきまして、また十六戸の方々に対してお話をしたい、かように考えております。  それからもう一つ、建設では非常にあれだが管理になったらほうっておくじゃないかというが、決してそういうことは考えておりません。これは私たち、物をつくり、管理するというのは誠心誠意やっておりますから、決してそういうふうなことはない。もしそういうふうな印象を受けるとすれば、私たち、現地の各機関にそういうことのないように十分指導いたしたいと思います。
  143. 山根孟

    ○山根説明員 ただいま吉田参考人の方からお答えしたとおりでありますが、建設省といたしましても、各種の公共事業にかかわります環境保全対策についての閣議了解の趣旨にかんがみまして、今後とも環境保全につきましては日本道路公団の事業実施あるいは管理につきまして十分指導、監督をしてまいりたいと存じております。
  144. 林百郎

    ○林(百)委員 あと二問ほどで終わりたいと思います。大分時間がオーバーしてきまして恐縮でございます。  低周波公害というのは、これは大体定着してきたのですか、こういう公害があるということについては。そこは技術的にどうでしょう。
  145. 山根孟

    ○山根説明員 低周波騒音、まあ公害と申しますか、実は耳に聞こえない範囲の空気の振動でありまして、一秒間に三十サイクル以下というのが一応定説になっております。その中で、超低周波騒音と申しますか、それが問題になってきておるというところまでが突きとめられたわけでありまして、こういう現象が起こる可能性のあるのが、橋梁の中にある特殊なと申しますか、形式を持った橋梁であって、かつ地形的な要素が非常に大きなファクターとしてきいてくるというところまで調査で突きとめられておる、こういう段階でございます。医学的には、われわれ専門でありませんが、百デシベル以下での状態であればおおむね問題はないというように聞いております。
  146. 林百郎

    ○林(百)委員 吉田さん、水上さんの移転の土地が決まったと言いますが、実はその地主さんが、一定の距離を置いてくれなければ困るということで、五メートルか何か、そうすると、あそこは畑なんですね。畑からまた五メートルというと、ウナギの寝床みたいな土地になりまして、実は村も心配しているのですけれども、そこになかなか移転ができないような状態になっております。これは実情をお調べになって、それから自治体の財政は乏しいのでございますから、自治体の財政支出にならないようにアフターケアをぜひやってもらいたい、こういうように思うのですが。
  147. 吉田喜市

    吉田参考人 いま私、移転先が決まったと申し上げましたのは、いまおっしゃるように、将来の移転候補地は定まっておりますが、とりあえずの問題として、何か間借りをなさるといいましょうか、あの部落の中でお移りになるというお移り先が決まった、こういうふうに私は伺っております。そこでそういうふうに申し上げたわけでございまして、いま先生の御指摘の点は十分承知いたしております。
  148. 林百郎

    ○林(百)委員 ひとつ土地の点も、自治体が負相するとかということにならないような配慮をぜひしてもらいたいと思います。  最後に、勝田さんにもえらいお待たせしました。その村から、県の公安員長あてにこういう陳情が出ているわけです。その部分、ちょっとその写真を見ていただけばわかりますが、家のまん前に大きなピアがずっと建ちまして、その後ろに国道があって、高速自動車道路のピアと国道の間にはさまって十六軒ばかり家があるわけですね。そこのジョイントのつなぎ目にいきますと、どうもつなぎ目が、これが何かジョイントに入れてあるのですかね。これは家の方ですか。(吉田参考人「家の方です」と呼ぶ)そのジョイントに大型トラックが行くたびに大きな音がして困る、ここを、一定の区間だけを時速四十キロメートルに制限してもらえないか、こういう陳情がここに来ているわけなんですが、このことについては配慮願えるかどうか、ひとつ公団の吉田さんと、山根さんと、それから勝田さんにお聞きしたいと思うのです。これは村の陳情でございますので、ひとつ、吉田さんわかっているなら答弁してください。
  149. 吉田喜市

    吉田参考人 当該の個所は、現在は時速七十キロの制限速度の場所であろうかと思います。そこで、先ほど申しました家の防音工事と申しましょうか、家のそういうふうな工事をやりまして、それで、いま申しましたような簡単な工事のほかに、あるいはもう少し大がかりなものをやらなければならないかもわかりません。いずれもそういうことをやりまして、なおそれで現状がどうだろうかという判断をいたしたい。それでなお現状が悪ければ公安委員会関係の方々にひとつ、要請をするといいましょうか、御相談を申し上げたい、かように考えております。
  150. 勝田俊男

    ○勝田説明員 ただいまの陳情のことでございますが、われわれその報告を聞いておりませんが、村長さんが所長さんのところに、自殺があったときに、何とか規制してもらう方法がないだろうかというような話があったという報告は受けているわけでございます。  そこで、ここの速度規制は、いま公団の方からお話がございましたように、七十キロ規制でございますが、先ほど来お話しのありました低周波騒音と申しますか低周波振動、これにつきましては、どういう原因で、どうすればそれにどの程度の効果があるか、橋の構造の問題なりあるいは自動車の速度の問題との関連、こういった点が必ずしもはっきり解明されていない。現在公団の方でいろいろと御調査もいただいているようでございますし、それに対する改善策もお考えいただいているようでございます。そういった調査の結果を待ちまして、必要とあれば適当な規制措置も考えていきたいと思っております。
  151. 林百郎

    ○林(百)委員 これで終わります。  吉田さん、公団の方からこういう話があるのです。高速自動車道路をつくったのに、この部分は時速制限してくれ、この部分は時速制限してくれということになったら高速自動車道路の機能がなくなるじゃないか、そういう拡大した意見も出てきているわけですよ。私たちはそういうことを言っているわけではなくて、このごく限られた部分だけ何とかならぬかということなので、それが方々に広がるかどうかということは、私は全般的な知識はありませんけれども、しかし余り拡大した解釈をなさらなくて、とにかくそれが一つの原因で五階建ての病院から飛びおりて自殺したという婦人まで出ているという事態でございますし、それから村からもそういう陳情が出ておりますから、なるべく早く調査していただいて、適切な措置をとっていただきたい。  勝田さんも、実情を調べていただいて、そういう高速自動車道路全体の機能との関連において、もしできることなら公団と相談してそういう措置をしていただきたいというふうに思います。  吉田さんと勝田さん、どうぞ正式に答弁してくれませんか。
  152. 吉田喜市

    吉田参考人 先ほどから申し上げましたように、まずその橋梁そのものの改善と申しましょうか改良、それからその下にあります住宅地の防音工事、こういうことをまず行って、それでなおかつ目的が達せられないというふうな場合には、公安委員会関係の方々と御協議を申し上げたい、かように思っております。
  153. 勝田俊男

    ○勝田説明員 公団の方から御答弁になりましたように、いろいろと公団の方で改善対策を講じていただきますので、その推移を見まして、その結果生ずるところの公害の状況を見て、公団と協議しながら対処してまいりたいと思います。
  154. 林百郎

    ○林(百)委員 結構です。  終わりました。どうも委員長迷惑かけました。
  155. 小山省二

    小山委員長 午後二時から夫各員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時三十二分休憩      ————◇—————     午後二時一分開議
  156. 小山省二

    小山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について、質疑を続行いたします。小濱新次君。
  157. 小濱新次

    ○小濱委員 本日は、国民生活に不可欠な家庭用のエネルギーである都市ガスとLPガスに関する問題について一いろいろお尋ねをしていきたいと思います。  まず消防庁の田中次長からお答えをいただきたいわけですが、ガスによる火災件数の推移はどうなっているのか、お伺いをいたしたいと思います。
  158. 田中和夫

    ○田中説明員 都市ガスとプロパンガスを利用いたしましたガスの使用器具によります火災件数は、昭和四十五年度で六千六百十六件、四十六年度で七千百三十三件、四十七年度で七千五百十七件、四十八年度で八千四百六十件、四十九年度で七千四百三十九件というふうに、四十九年度が若干減っておりますけれども、大勢としては増加の傾向にございます。
  159. 小濱新次

    ○小濱委員 五カ年間はちょっと長いので、四十八年度と四十九年度における都市ガスとLPガスによる火災を使用器具ごとに分けると、どのような実態になりましょうか。
  160. 田中和夫

    ○田中説明員 都市ガスとLPガスの使用器具としてこんろ、ストーブ、ふろかまど、湯沸かし器、いろいろあるわけでございますが、たとえば、こんろについて見ますと、昭和四十八年度においてはプロパンガスによる事故が千八百八十九件、都市ガス千五百六十五件、四十九年度はプロパンガスが二千十三件、都市ガスが千三百四十九件というようなことで、プロパンガスによる事故の方がこんろについては多いわけでございます。  また、ふろかまどというようなものをとって見ますと、四十八年は同じ程度でございますが、四十九年度はプロパンガスが八百七十三件、都市ガスが千百五十一件と、むしろ都市ガスによるものの方が事故件数が多いというようなことで、先ほど申しましたいろいろな使用器具ごとに違っておりますが、また年度によっても若干の違いがありますが、総火災件数として比較いたしますと都市ガスとプロパンガス、大体同じぐらいという感じでございます。
  161. 小濱新次

    ○小濱委員 両方の実態をただいま挙げられたわけですが、大体件数においては大差はない、こういうことでした。火災発生件数については私どももよく承知をしているわけですが、今後消防庁といたしましてはガス事故に対してどのような対策を講じていこうとされるのか。四十八年で一一%ちょっとぐらい、それから四十九年度でやはり一〇%ちょっとぐらいの割合になっているようですが、一割のガス関係の火災に対しての今後の対策をお伺いをしたい、こう思います。
  162. 田中和夫

    ○田中説明員 いま先生からお話がございましたように、大体ガス事故というものが最近徐々にふえてきておりまして、全火災件数の約一割強ということで、今後においても若干ずつ増加をするのではないかということが憂慮されるわけでございます。しかもガスによって火災が発生いたしました場合には、瞬時の爆発と申しますか一時に多数の人命を失うというような危険性もあるわけでございまして、消防庁といたしましてはガスを使用いたします一般家庭に対し、このガスの危険性あるいはガスの取り扱い等に関する知識を普及しなければいかぬということで、テレビを通じあるいはまた現地の消防機関を通じ、あるいは防火週間というようなものを設けましていろいろ努力しておるわけでございます。一方、業者に対しましても、保安サービスの徹底あるいは安全性の確保ということのために十分な対策を立てて実施するように、現在現地の消防機関等を通じて指導いたしており、今後もその指導を強化してまいりたい、こう考えております。
  163. 小濱新次

    ○小濱委員 テレビ等を通して大変に努力をしておられる消防庁の業績はわれわれもよく知っておりますが、どうかとうとい人命、財産を守る非常に責任ある立場の消防庁でございますので、ひとつ一層対策の強化、努力を心から要請いたしまして、消防庁に対する質問はこれで終わります。  次に、通産省のエネルギー庁の代表の方々に、これから数点お尋ねをしていきたいと考えております。  まず、都市ガスとLPガスがわが国の国民生活に不可欠な重要な家庭用燃料であることは、これはもう申し上げるまでもないことであります。しかし都市近郊の宅地化が進む地域に都市ガスが引かれるにつれ、これらの地域でLPガス業者が営々として築いてきたその顧客を一挙に失い、十分な救済方法もされないまま営業、生活権が侵害されている、こういう事例があるわけでございます。こうしたことから、昨年の国会にLPガス業者の営業と生活権を守る請願が出されて採択され、政府の請願処理要綱が出されたわけでございますが、このような対策では不十分であり、LPガス業者と都市ガス会社との紛争というものはやはり今後とも絶えないのではないか、こういうように私どもには考えられるわけでございます。その内容につきましては通産省の方が詳しく掌握をなさっておられるかと思いますが、これは全国的な問題となっているわけであります。特に神奈川県においては、ガス事業法に反すると思われる行為が相次いで起こっております。この問題解決のためには法的手段をとらなければならないという事態にまで進んで告発事件が起こっている、このようにわれわれは承知をいたしておるわけでございます。このように事態はきわめて深刻化しており、同様な問題が全国各地に引き続き起こる可能性を秘めておるわけですから、これについて監督官庁である通産省の率直な御見解をひとつ承っておきたい、こういうふうに思います。
  164. 服部典徳

    ○服部説明員 ただいま先生から御指摘のございましたLPガス業者の営業と生活の安定のために必要な措置を講ずるよう請願がございまして、それを受けまして、ことしの五月十八日の閣議におきまして処理意見が決まったわけでございます。  先生御指摘のように、LPガスと都市ガス、いずれも国民生活に不可欠な重用な家庭用燃料であるという認識は私どもも持っておりまして、LPガス販売業とそれから都市ガス事業それぞれの特色を生かしつつ事業の健全な発達を図るという方針を堅持してまいりたい。ただ、LPガスを使うかあるいは都市ガスを使うか、いずれを使うかという問題につきましては、これは最終的には消費者の自由な選択にゆだねられるというものではないかというふうに考えるわけでございます。しかしながら、都市ガス事業者がすでにLPガス消費設備の普及しております地域に進出する場合にはトラブルが起こりがちでございますので、特に消費者の自由な選択を誤らせるような不当な宣伝とかあるいは勧誘行為とかいったようなものが行われることのないように、都市ガス事業者に対しては十分な指導を行ってまいりたい、かような方針で考えておるわけでございます。
  165. 小濱新次

    ○小濱委員 問題が起きないように御努力はなさっておられるとわれわれは信じておりますが、やはり現地の実態はそうでないことを私はこれから幾つかの例を挙げながらお話を申し上げたい、こう思うわけでございます。  藤沢市が施行いたしております西部開発、この地域において東京ガスが供給区域の変更の許可を受けないままガス導管を設置し、かつ、その地域にある市営住宅七十二戸に都市ガスを供給したということがございます。これはガス事業法第十六条二項の、供給区域外の地域にガスを供給してはならないとの条文に反する行為である、このようにわれわれは思うわけでございますが、この点はどうかという点と、また、この地域の、一つにはガス工作物設置の認可、二つには供給区域の変更の認可、三つには公聴会の開催、四つには供給規程の認可の月日などについてどうなっているのか、この点をあわせてお伺いをしたい、このように思います。
  166. 服部典徳

    ○服部説明員 まず藤沢市の遠藤地区につきましての供給区域変更許可申請でございますが、これは五十一年の一月二十三日に申請が出されておりまして、それから変更の許可、これが同年二月二十四日でございます。それから供給規程の変更認可申請でございますが、これは五十一年の三月四日、それから供給規程変更に伴う公聴会でございますが、これが五十一年四月二十日でございます。供給規程の変更の認可の日付は五十一年六月二日という日付になっております。  ただいま御指摘のございました供給規程の変更の認可を受けずに供給をしたのではないか、こういう御指摘でございますが、実は五十一年の三月二十七日から同遠藤地区の市営アパートにつきましてガスの供給を開始をしているという事実が、私ども五月七日になりまして判明いたしました。五月十日に立入検査を行いまして事実を確認いたしたわけでございます。  先ほど申しましたように、変更認可の前にそういう事実が判明いたしたものでございますので、同日文書で東京瓦斯株式会社に対しまして厳重な注意を行ったわけでございます。
  167. 小濱新次

    ○小濱委員 そうすると、ガス事業法の十七条ですな。ここで言う十六条二項ではどうも違反には連ならないようでありますが、十七条二項には、ガス事業法違反である、このように私どもは思うわけですね。  ただいまの部長の御答弁ですとエネルギー庁、ここの長官室に呼んで長官が文書で厳重に注意をした、こういう御答弁でございますが、文書で厳重に注意をしたということでこの事業法違反ということの扱いが適当であったかどうか。これが違法ということになればどう対処してきたのかということですが、それがいまの御答弁のようですと、ちょっと違反事項に対する扱いがまだ不適確であったようにも考えられるわけですが、この点のお答えはどうですか。
  168. 服部典徳

    ○服部説明員 ガス事業法違反の適用条文でございますが、私どもはガス事業法第二十条の規定の違反というふうに考えております。  それで文書で単に注意をするだけでは不十分ではないかという御指摘でございますが、現にガスの供給はすでに行われておりますし、そのガスによってすでに家庭生活も行われているわけでございます。私どもとしてはむしろこういう事態の再発を厳に防止することが必要だというふうに考えまして、厳重注意を与えます場合に三つの点を挙げてその具体的な対処方針、これを速やかに確立して報告をしろという指示をしたわけでございます。  その三つの点と申しますのは、第一は本件の不祥事件発生の原因の徹底的究明及び責任の明確化でございます。それから第二点はガス事業法に基づく許認可関係事務にかかわる社内の管理体制の総点検及びこれに基づく体制の改善、整備でございます。それから第三点は全役職員に対します綱紀粛正の徹底、この三点を文書でもって指示をしたわけでございます。先ほど申しましたように、私ども資源エネルギー庁としてはきわめて遺憾な事実であるというふうに考えまして、猛省を促す意味で厳重に注意を行ったわけでございます。
  169. 小濱新次

    ○小濱委員 少し戻ってしまいますが、先ほどの御答弁の中で、工作物設置の認可と、それから供給区域変更の許可、供給開始それから供給区域の変更に伴う一般ガス供給規程の変更を事案とする公聴会を開催する、供給規程を認可、これを年月別に部長は述べられました。これは区域内に供給したから違反ではないんですか。私の方は、この四月二十日公聴会ということになっているので、それ以後ならばいいんですけれども、その以前に供給を開始したということについてはどうも納得ができないわけですね。ここに行き過ぎがあるんじゃないかということですが、この点もう一遍、戻って済みませんが、ちょっと御答弁が私納得できなかったものですから、お答えいただきたい、こう思います。関係課長さんでも結構であります。
  170. 山崎衛

    山崎説明員 供給規程の変更の認可を経ずに供給したわけでございますので、私どもガス事業法第二十条違反というように考えております。
  171. 小濱新次

    ○小濱委員 それはガス事業法第二十条の違反として罰則の第五十七条三号が適用されるということでありますか、もう一度。
  172. 山崎衛

    山崎説明員 先ほど部長から説明いたしましたように、厳重注意を行いまして、それによりまして一罰百戒と申しますか、そういう行政目的は達し得たというふうに考えてその後の認可処分を行ったということでございます。
  173. 小濱新次

    ○小濱委員 犯罪防止に罰則がありますように、やり得になってはならないと思うのですね。そういう点、私は余り細かく、業界のことですから知りませんけれども、何か押しまくり、突き抜けてどんどん都市ガスが進出しているような感じ、そこにやり得というようなそういう感じを受けるような姿がありますので、その点での罰則の強化、今後こういう問題が起こらないための規定はどうなっているのかということを伺ったわけでございまして、その点は内容については一番お詳しい関係者の方々ですから、よくひとつ御理解あるこれからの取り扱い、御指導というものをやっていただきたい、このように思うわけでございます。  さらに少し専門的になりますが、四十七年十二月十三日、ガス工作物設置の許可をしておりますが、この申請の目的は、現に供給区域である藤沢から平塚を結ぶ連絡導管である、こう言われているわけでございますが、この点いかがでしょうか、御存じでしょうか、お答えいただきたいと思います。
  174. 山崎衛

    山崎説明員 四十七年十二月十四日の認可かと思いますが、これは藤沢から実は寒川町というところに中圧導管が引かれておりまして、その途中から藤沢市の大庭というところに、これは供給区域内でございますが、そこに中圧管を引くという一種の分岐線でございますが、分岐線についての工事契約の認可をしたということでございます。
  175. 小濱新次

    ○小濱委員 連絡導管についてお尋ねいたしましたが、次はガバナーという機器があるのですが、どういう役割りをしているのか。
  176. 山崎衛

    山崎説明員 ガバナーと申しますのは、ガスの場合には最初高圧で送り出しまして、それを中圧A、中圧B、それから低圧に落としまして、低圧の段階で家庭に供給するということでございます。ガバナーというのはその圧力を落とすと申しますか、整圧器というものでございます。
  177. 小濱新次

    ○小濱委員 ガバナーの役割りはわかりましたが、説明のようなものであれば、これを設置する目的はその地域の一般の需要者に対してガスを供給するためにあると考えられるわけですね。そうすると、先ほどの連絡導管の敷設は供給区域の需要家へ安定供給を行うというのが目的である、このように伺いましたが、四十七年十二月十三日ですか、認可した内容にガバナーの設置は含まれていたのかどうか、どうでしょう。
  178. 山崎衛

    山崎説明員 実はガバナーの設置の場合には、中圧のAと申しますと一平方センチメートル当たり三キログラム以上、中圧Bと申しますと一キロから三キロ未満ということでございますが、その中圧Aを中圧Bに落とすガバナーにつきましては、事前届け出ということになっております。  それから、御指摘のガバナーにつきましては、四十九年六月二十六日に届け出がなされております。
  179. 小濱新次

    ○小濱委員 私もいろいろと勉強させられましたけれども、先ほどの藤沢市遠藤千三百二十番に設置しているガバナー、これは連絡導管と称するものとどう関係するものなのか、その点どうでしょう、おわかりになりましょうか。
  180. 山崎衛

    山崎説明員 藤沢市から寒川町に向けての中庄導管というのは、中圧の中でも圧力の高い中圧Aの導管でございます。それを分岐いたしまして、その後藤沢市の供給区域内の大庭にガスを供給するということでございまして、大庭に供給する際にそれを中圧Bまで落とすというガバナーでございます。
  181. 小濱新次

    ○小濱委員 非常に細かい質問で、また、いろいろな変更があったようでありますから、逐一御報告を求めることはむずかしいかとは思いますが、神奈川県にはLPガス事業都市ガス事業調整協議会、こういうものができております。五十一年六月十日の会合で、エネルギー庁の役人さん、これは名前は申し上げませんが、ガバナーをつけて低圧で供給したこと、いわゆる区域外の需要に応じたことは法律に違反する、こうおっしゃっているわけですが、いまの答弁とはどう違うのかということですね。
  182. 山崎衛

    山崎説明員 私の申し上げておりますのは、中庄Aを中圧Bに落とすガバナーにつきましては事前届け出はございましたということであります。その後、これは届け出の対象にもなっておりませんけれども、中圧Bを低圧に落としまして低圧導管で市営のアパートに供給するというガバナーが別途あるわけでございます。そのガバナーにつきましては許認可の対象にもなっておりませんし、届け出の対象にもなっておりません。そういうものを東京瓦斯がいわば勝手につけましてガスを供給したということは明らかにガス事業法第二十条違反であるということでございます。
  183. 小濱新次

    ○小濱委員 では、連絡導管のみの許可に対してガバナーがあるのはこれは違法であるということですか。どうでしょうか。私の質問が間違っていれば修正します。
  184. 山崎衛

    山崎説明員 設備があること自体が違法ということは申せないと思います。御承知のとおり、ガスの場合には道路とか宅地造成に伴いましてどうしても先行的に設備投資をしないといけないという実態もございますので、それ自体が違法であるとは考えません。ただ、十七条の供給規程の変更認可を受けないで現実にガスを供給したわけでございますから、これは明らかにガス事業法第二十条に違反するということでございます。
  185. 小濱新次

    ○小濱委員 基本的な問題についてただしておきたいと思うのですが、平塚のLPガス業者から通産大臣に、東京瓦斯が供給区域外に導管を敷設したことについて苦情の申し出をした例がございますが、御存じでしょうか。そこで、この問題について通産省は、まれなケースである、こうおっしゃったそうであります。しかし隣接する藤沢市でもガス事業法違反が発見されているわけですね。これらの事実は決してまれなケースではない、氷山の一角だ、いろいろ告訴事件も起こっているわけですから、まれではない、こういういろんな説があるわけです。これは裁判の結果を待たなくちゃわかりませんけれども、本来、供給区域の拡大を図る場合には供給区域の変更の許可を受けるわけですね。そしてガス工作物設置の許可を得てから工事をすることになりますね。それから供給規程の変更の認可を受けてガスを供給する、これが正規の手順であるとわれわれは伺っておるわけですが、従来、供給区域への安定供給を図ることを理由にガス工作物を区域外に設置するのを許可することについて、平塚、藤沢の例もあることから、今後、この区域変更にどういう方針で臨まれでいくのか、承っておきたいと思います。
  186. 山崎衛

    山崎説明員 ガス事業の場合には、先ほど申しましたけれども、道路とか宅地造成に伴いまして、たとえば道路を舗装いたします前に導管を埋設するようにというような指示があったりするわけでございます。したがいまして、供給区域の拡張の許可を受けてから工事計画を行うというのがノーマルな形でございまして、例外的なケースとしてそういうものはどうしても出てこざるを得ないというように考えております。ただ、そういうまれなケースにつきましては、供給区域の拡張の許可は本省で行い、それから工事計画の認可は通産局で行うというような体制になっておりますので、今後は通産局との連絡体制を十分整備いたしまして一つずつチェックをしたいというように考えております。
  187. 小濱新次

    ○小濱委員 いろいろと問題が多いから大変であろうと思いますが、ぜひひとつこの問題の今後起こらないような一層の御努力をお願いをしておきたい、こう思います。  もう一つは簡易ガス事業がLPガス業者に許されているわけでございますね。都市ガス会社の供給区域内ではその許可を得るのが困難であるというのが実情のようであります。ガス事業法は都市ガス会社に地域の独占を許す法律である、こう言われているわけでございますが、零細なLPガス業者の権益を守る意味において簡易ガス事業も振興すべきである、このように私ども考えますが、これは私の方は田舎が多いものですから、どうしてもこういう問題があちこちに起こっているわけでして、この点の御見解を聞かしていただきたいと思います。
  188. 山崎衛

    山崎説明員 簡易ガス事業につきましてはガス事業法三十七条の四の規定に基づきまして許可を行っておるわけでございます。その際には、計画の確実性とかそういうものをチェックすることにしております。都市ガス業者の供給区域内における簡易ガス事業の開始でございますが、これは当該都市ガス事業者にその地域への供給計画がある場合でございますが、そういう場合に、その地域の消費者の利益を害しないかどうかという点をチェックする必要がございますので、ガス事業法に基づきまして地方調整協議会というものが設置されておりますが、そこに諮りまして、その点を審査して許可するということを行っております。なお五十年度におきましては供給区域内で十六地点、簡易ガス事業の許可を行っておりまして、許可をしなかったケースというのは一件もございません。
  189. 小濱新次

    ○小濱委員 その点よろしくお願いいたします。  次は、公聴会はガス供給規程の変更の認可についてであり、官報によれば供給区域の変更に伴う一般ガス供給規程の変更が事案になっております。これはガス事業法第十七条に規定するガス料金その他の供給条件について意見を徴する機会であると判断しておるわけですが、ところが供給区域変更の許可は、この公聴会の二カ月以前、二月二十四日におろされているわけですね。これが事実とすれば変えがたい既成の事実の上で公聴会が開かれたことになるわけでして、区域の変更に対する公聴会制度はあるのかないのか、ないとすれば公聴会制度を法文化すべきである、われわれはこのようにも考えておるわけですが、お考えをかしていただきたい、こう思います。
  190. 服部典徳

    ○服部説明員 ただいま御指摘がございましたように、ガス事業法第四十八条公聴会の規定におきましては、十七条の供給規程の変更認可の申請がなされた場合には公聴会を開催するというふうに規定されておりまして、第八条の供給区域変更許可につきましてはかような義務規定がないということで、従来は法律上のたてまえに従いまして開催をしていなかったわけでございます。しかしながら御指摘の点は十分理解できますので、今後の公聴会の制度の運用といたしましては、供給区域の変更に係る八条の許可と十七条の認可申請を同時に提出をさせまして、八条の許可前に公聴会を開催する、その意見を十分参酌した上で許認可処分を行うというような方向で前向きに検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  191. 小濱新次

    ○小濱委員 部長さんのいまのような御意見の内容でぜひひとつこういう問題の一日も早い解決をお願いしたい、こう思うわけですが、現在のガス事業法は都市ガスの供給区域に独占を許すものである、こう言われているわけですね、いろいろな説をわれわれは聞いておりますと。消費者も供給区域が確定すると同時に、その区域内では都市ガス購入先の選択権を失うことにもなるわけですね。そしてその地域の住民が長い間LPガス業者によって文化生活を享受してきたことを考えれば、国側も国民生活に不可欠な重要な家庭用燃料であると認めているわけですから、LPガスは地域住民に大きな貢献をしてきたことにもなりますので、LPガスの需要家が都市ガスに転換する際、何らの補償措置がとられていない現在、供給区域の変更は慎重に行わなければならない、このように私どもは考えているわけです。したがって、この関係者の意見をよく聞いて判断をすべきであるという考え方、業者もいろいろと、これはもうLPガス業者の意見もやはり聞き、同意を求めてやるべきだなという点もあるわけですが、もう地域はどんどんどんどん開発されてまいりますと、本当に押しまくられて、だんだんだんだんと場末の方に業者が涙をのんで地域を変更していくという例はたくさんあるわけです。これは神奈川県ばかりでなくて、東京でもそういう例たくさんありますよ、全国的な傾向ですから。ひとついまの問題につきましても部長さんから、基本的な問題ですから御見解を承っておきたい、こう思います。
  192. 服部典徳

    ○服部説明員 御指摘の点は十分踏まえまして今後の行政指導に当たっていきたいというふうに考えております。
  193. 小濱新次

    ○小濱委員 最後に、言うまでもございませんが、私はいたずらにこの都市ガスの普及に反対するものでは決してございません。しかし、幾つかの事例で明らかなように、まず導管を引いて既成の事実をつくり、供給区域の拡大を図るという、こういうやり方、また供給規程の認可も受けないままガスの供給を行ってきていることは好ましくないという、こういう問題、それからLP業者は都市ガスが引かれるまで一般住民に対し家庭燃料の供給という重要な役割りを果たしてきた中小零細な業者であるということ、この間にあってLP業者はボンベをかついて一軒ずつ開拓してきたわけですから、供給区域となり大手都市ガスの進出によって基盤を一挙に失うことになるわけですが、こういう現状ではこれらに対する救済方法というものは皆無に等しいわけですね。本当に多少あるらしいです。皆無に等しいという内容のようであります。この都市ガスとLPガスの話し合いの場を持つことすらむずかしいと言われているようですね。やはり業者間の問題ですから業者と業者ではうまくいかないのでしょうな。そういう点で通産省の努力が必要になってくるわけでございますが、これは全国的な問題でもございまするので、今後の施策についてどういう御構想をお持ちになっておられるのか、非常に大きな問題だとわれわれは見ておるわけですが、この点を最後部長からお答えをいただきたい、こう思います。
  194. 服部典徳

    ○服部説明員 LPガスと都市ガスの間でいろいろとトラブルが生ずるというのは非常に問題であるという認識を持っておりまして、従来から両当事者で十分話し合いをするようにということの指導をいたしてまいっておるわけでございます。御指摘のように、両当事者だけではなかなか円満に解決することができないというような事態におきましては、必要に応じましてわれわれの方も話し合いの場のあっせん等を行ってまいってきたわけでございます。今後とも具体的な案件に即しまして必要な指導を行っていきたい、かように考えておる次第でございます。
  195. 小濱新次

    ○小濱委員 通産省関係の質問これで終わります。  自治大臣がせっかく御出席でございますので、一点だけお尋ねをしておきたいと思いますが、午前中ちょうど中座しておりましたので、御質問があったかと思いますが、お答えをいただきたいと思います。  役人の子は握々をよく覚え、こういう江戸時代中期の川柳があるそうであります。これは川柳です。これは意味があるのですね。それはこのところ役人の汚職、とりわけ地方公務員の汚職が続発し、まさに花盛りの感があると、このように報道された面があるわけです。いろいろと内容もございますが、この内容については詳細には触れません。警察庁の調べによれば、ことし上半期に摘発のなかったのは、四十七都道府県のうち山形県、香川県、徳島県、沖繩県の四県だけだそうであります。これは大変な出来事である、こう考えておるわけでございますが、自治省は去る六月十日と、昨年の十一月十一日に続いて綱紀粛正を呼びかける次官通達を出しておるわけです。しかし、この一片の次官通達で汚職の絶滅ができるとは考えられません。汚職は国民を裏切る犯罪であり、最も憎むべき犯罪である。その犯罪が職務の公正を害し、行政に対する国民の不信を著しく招くことは改めて述べるまでもないことであります。こういうロッキード事件等も起こっておりまして、いろいろと頭の痛い国家公安表音貝長でございますが、自治大臣としても非常に何か同じような悩みを抱えておるのじゃなかろうか、こういうふうにわれわれも憂慮しておるわけでございます。公務員の自覚と綱紀粛正が強く望まれているわけですか、これに対する自治大臣の御所見を承っておきたい、こう思います。
  196. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 御指摘のとおり、最近特に公務員の汚職の問題が発生をいたしておるというか起きておるわけでございまして、自治省といたしましても非常にこの点を憂慮いたしまして、御指摘のとおり六月十日前後に次官通達を出してこれを戒めておるわけでございますが、私は、中央においてもいまロッキード問題というような大きな問題が出てきておる、したがって、これに対しては厳正公平な態度でその問題の処理に当たるというか、金の流れを全部解明するということに重点を置いて処理をいたしておると思うのでありますが、こういうことも踏まえまして、この機会にひとつ公務員の汚職というようなものはぜひ根絶をするような指導、この取り締まりを行うべきである、かように考えておる次第であります。しかし、こういうように中央にも大きな問題があり、地方にもいろいろ問題が起きておりますので、公務員の方たちも大いに自粛自戒をされておるとは思うのでありますけれども、今後ひとつさらに一層その面において、各都道府県はもとよりのこと市町村に至るまで、公務員の上から下まで綱紀の粛正を図り、厳正な行政を行うように努力をさしていただきたい、かように考えておる次第であります。
  197. 小濱新次

    ○小濱委員 自治大臣の御心境はわからぬではありません。また、私ども真剣に考えなければならない問題であることも痛感をいたしております。また、自治大臣の御答弁は決してありふれた御答弁だとわれわれは思っておりません。そう思っておりませんが、しかし、これだけの問題をどのようにして対処していったならばこの根絶ができるのか。厳正、公正な態度で臨みたいと、こう決意を披瀝されましたが、どうやってこの大きな、国民的な課題になっている黒い霧事件、これにまた地方自治体にどんどんどんどんと、後を絶たない事件が発生をしているということについての、やはり積極的な、いわゆる国民が安心できるような、そういう何らかの方向づけというものが大事なのではなかろうかなというふうにも考えておるわけでございまして、これはひとつぜひとも、御答弁はむずかしいかしれませんが、ぜひこの問題についてはより以上の真剣な御決意で一層の御努力をお願いをしたいというふうに考えておるわけでございまして、その点御答弁がございますればいま一度お答えをいただきたいと思います。
  198. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 具体的にどうするかという御指摘でありますが、私はまず自分がえりを正すということであると思うのであります。同時に、それによって自治本省の皆がえりを正してくる、また、それによって地方にその気持ちを徹底さしていく、まず言葉よりは行いということが私は非常に大事なことだと思うのでありまして、それには自分の姿勢をまず正すということが私にとって一番大きな義務である、かように考えております。そのようにしていく以外にここでたくさんの、百万以上の公務員の人たちの姿勢を全部洗い直すとかなんとか言っても、そういうことは言うべくしてなかなか行い得ないことである。要はやはり中央からしてえりを正しながら自分の姿勢を正して、そうして役所全体がそういう空気になり、またそれが地方に及んでいくように指導していく、こういう以外にはないのじゃないかと私は考えておるのでありまして、どうもあなたの御質問に余り十分に答えていない点があるかと思いますが、私としてはそのように存じておる次第でございます。
  199. 小濱新次

    ○小濱委員 もう十分御心中はわかるつもりでございますから、一層の御努力を心からお願いいたしまして私の質問を終わりたいと思います。
  200. 小山省二

  201. 小川新一郎

    小川(新)委員 いま小濱委員からお話がありましたように、自治体汚職の問題については、また私は違った角度からいろいろと思っておりますので、二、三お尋ねします。  まず第一に、福島県の木村前知事ですな、まあ知事をやめられたので前知事になりますが、前知事が収賄事件でいま調べられている。田中前首相は、これは外為法違反で身柄を拘束されている。外為法違反と収賄容疑では収賄容疑の方が、これはいろいろな面でもっと重いものだと思っておりますか、そういう容疑がはっきりしているのかいないのかは知りませんけれども木村前知事の調べ方は身柄を拘束して調べるのか、それとも逮捕状を用意した上で任意に調べているのか。私はちょっとこの点が不公平に思うのですけれども、この見通しにつきましてお尋ねをいたします。
  202. 土金賢三

    土金説明員 木村前知事の任意出頭をけさ午前七時に求めまして、現在福島県警で取り調べをいたしておりますが、その容疑は、昨年四月、東亜相互企業株式会社が福島県下において大規模開発を計画しておりますが、その許認可をめぐって五百万円の収賄をしたという容疑で取り調べておるわけでございますが、まだ取り調べ中でございまして、逮捕するかどうかということについて現在の段階で、いますぐここで断定的に申し上げるわけにはまいりませんが、よく私ども犯罪の捜査、取り調べをやる場合におきましては、逮捕状を用意して最初は任意出頭を求める、こういうやり方もございますし、また最初逮捕状なしに任意出頭を求めて、それから一日取り調べている間に逮捕の必要性を認めて令状を請求し、夕方逮捕する、こういう場合もありますし、別に犯罪の重さということで逮捕が決まるというわけではございませんで、これはやはりそのときの逮捕の必要性ということを取り調べの状況等によって判断して実施するという場合が往々にしてあるわけでございます。  今度の事件につきましては逮捕状を用意して取り調べておったわけでございまして、必要により逮捕することにいたしておりましたか、二時十五分に収賄容疑で逮捕状を執行したという連絡をただいま受けました。
  203. 小川新一郎

    小川(新)委員 新聞によりますと、まだほかにも、いまあなたが御説明になった会社以外にも金をもらったというようなことが報道されておりますけれども、そういうことは記者会見で出たのですか。
  204. 土金賢三

    土金説明員 東亜相互企業から収賄をしたという容疑者につきましては、このたび逮捕いたしました木村前知事のほかに、福島県の赤井元生活環境部長をその容疑ですでに逮捕いたして取り調べ中でございます。その他の点につきましては現在捜査中でございまして、現段階で申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。
  205. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは朝日新聞だと思いますが、ちょっと新聞名は私いま言いませんけれども新聞によると「調べによると、木村知事は、昨年四月上旬、同県」云々と書いて、このいまあなたが言った東亜相互企業の開発部長だった者から五百万円をもらった疑いが多いけれども、さらに別に五百万円を新たに収賄したという容疑があるということが新聞報道に大きく出ていますね。これに出ていますが、こういうことはどうやって記者が調べたか、ちょっと御説明ください。
  206. 土金賢三

    土金説明員 木村知事に対しましては、さきに地検において数百万円の収賄をしたという容疑ですでに任意取り調べをしておるわけでございます。今回その地検の任意取り調べで判明した数百万円の収賄のほかに、新たに東亜相互企業からの収賄の事実の容疑が出てきて、今回の警察による知事の取り調べになった、こういう意味だと存じます。
  207. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると任意で調べられたときにも出ておって、またきょう逮捕状を執行したという段階では、いまの東亜相互の五百万円というものが出たから逮捕に踏み切った、こういうふうに理解していいんですか。
  208. 土金賢三

    土金説明員 要するに木村知事に対する容疑は二つある。一つは地検の方が取り調べた民間業者からの収賄数百万円、それからもう一つはこの今回逮捕した東亜相互企業からの数百万円、この二つである、こういうことでございます。
  209. 小川新一郎

    小川(新)委員 よくわかりました。  そこで大臣、いま同僚、私の先輩である小濱さんからお話があったように、御決意なりいろいろな問題大臣、こういう地方自治体の汚職が、日本列島くまなくロッキードが覆ったために下からも上からも出てきてしまって、えりを正すといっても上の自民党最高指導者であった前総理が逮捕されたということで、これに右へならえして義理を果たしておるように思うのですけれども、至るところで知事がつかまったり副知事がつかまったり、またいろいろと横浜では日照権問題、いろいろ革新系の自治体の中からも出たということで私たちも遺憾に思いますが、こういった風潮というものが、退廃的な末期的な症状がいま現出されている。まして不景気になって企業が許認可事業とかそういった問題に圧力がかかってきてモラルの点が低下した。こういった問題が出てきて、ただ大臣の御決意、それは確かにいまお聞きしたとおりでございますが、それだけで果たしてよくなるかということは言い切れないんで、まず政府・自民党の今回のロッキード事件に関連した黒い霧または灰色高官というような問題の立場、そういった問題も明確にしながら、私はここで自治体の問題は余り自治省が介入するということも、これは自治体の地方自治権の本旨というものを損ねていく、また警察ファッショになってはならないという言葉もありますが、現行の自治体の会計監査制度を強化することはどう考えても必要である。またほかに何か特別に、具体的にこういった問題をやれば法にも触れず、しかもお互いの相互のこういった忌まわしい事件を防止するに役立つということを大臣としてはお考えになっていらっしゃるのかどうか。具体的にその問題をきょうはお聞きしたいと思うのです。決意はわかりましたから、決意は結構です。
  210. 植弘親民

    植弘説明員 いまの先生の御指摘の中に具体的の問題ということがございまして、十分的確なお答えになるかわかりませんが、実は先ほど小濱先生から御指摘ございましたように、昨年の十一月にも地方公務員の汚職問題が大分出ましたので、通達を出しましたときに、実は四十三年に国家公務員地方公務員を通じまして、ことしのように相当汚職問題が多発したときがございまして、そのときに総理府が中心になりまして、国家公務員地方公務員を通じて公務員の綱紀粛正についてはもっと適切な手段はないだろうかということで研究をいたしました。そして各省庁からどうしたらいいだろうかということで、本当に真剣に考えていろいろな案を持ち寄りました。それで私ども昨年十一月にはそのときの先例をも思い浮かべまして、ひとつこの際もう一遍出直すつもりで四十三年の当時に関係者が一緒になって検討した問題点、これらをもう一遍原点から洗い直してくれという通達を昨年の暮れに出したところでございますが、各地方団体におきましては、そういう意味ではその通達を中心にいろいろと検討をしていただいていることと思いますが、それが十分実を結ばないうちにこのようになっているということは非常に遺憾に思いますが、その際、どういうことかと申し上げますと、たとえば先ほども大臣からありがたいお言葉をいただきましたが、まず一つには、管理監督の地位にある者は率先して姿勢を正すといったようなこと、それから部下職員がどういうふうな実態にあるかということを常に的確に把握して、厳正な服務規律を守らせるということに個別的にも注意すべきである、何か自分さえよければいいというのではなしに、やはり管理監督にある者は、その掌握下にある職員一人一人がどういう状態にあるかということをよくつかむ必要がある。それからまた研修等によって職員の意識をしっかりさせることは当然でありますし、それからまた許認可だとか請負関係等の業務をやる者につきましては、これを余り長期にわたって同じ職につけるということのないように、そういったことが事前に防止されるように、こういったようないろいろ細かい点につきまして各省庁で検討し、各地方団体で検討していただくということも私どもやってきたわけであります。したがいまして、一般の職員につきましては今後ともこういうことで研修を通じてなり、それぞれの部署部署で仕事の仕方なりを再検討すべきであろうと思っております。しかし、それにいたしましても、先ほど大臣のお答えがございましたように、基本はやはりそれぞれの職員の自覚、また管理者等がえりを正すといったことが基本であると思っております。  十分ではございませんがその程度でお答えにさしていただきたいと思います。
  211. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、ちょっとお聞きしたいのですけれども、たとえば水道企業庁とか、こういった外郭の最高責任者が十年も十二年もいるということは非常に好ましいことなんですか。こういった問題はいろいろと問題が起きるのじゃないですか。
  212. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 概括的な御返事になるかと思いますが、十年も十二年も同じポストに、しかも権力のあるところに同じ人がおると、そういうような汚職の問題が起きる下地というようなものがあり得るわけですね。これは当然考えられるわけであります。したがって、公団その他におきましても総裁とか理事長とかなんとかいうような者は、まあ八年で交代するようにしなければいかぬというようなことも決めておるようなわけであります。しかし問題は、そういうような仕組みにしたからといって、四年の間ならでは悪いことをしないで済むか、そういうものじゃないのですね。やはりその本人が非常にこの職責を重んじ、また社会に奉仕するという官公吏の使命に徹しておるかどうかということが一番大きい問題だと私は思う。そういう人がおればまた下も締っていくわけですね。そういう意味で各地にこういうような問題が起きまして、これはわれわれの責任も大いにあることと自分でも自戒いたしておるようなわけでありますが、これを契機といたしまして特に権力を持ったところ——権力を持ったところに汚職というものが必ず発生する、権力のあるところが一番発生源になるわけですから、そういうところにある人には特に注意を周りからも、まだ上の方からも注意して見ていくということが必要ではないか、かように考えておるわけであります。
  213. 小川新一郎

    小川(新)委員 確かに全くそのとおりですね。これは人によって、長いから短いからじゃないけれども、いま御説明が事務当局からあったように、長いということがやはり一つの要素になるということをいまおっしゃったから私は聞いたわけですから、十年、十二年ということは妥当ではない。もっと人材を多く広いところから求めて、しかもそういった疑いを醸し出さないような条件下にすることこそがやはり大臣のお考えに合致するのじゃないかと思います。そういう点も踏まえて私はお尋ねしたわけでございます。時間がありませんから、きょうはその程度にしておきます。  第二点は、米軍基地の跡地利用についてでございます。  大蔵省にお尋ねしますが、米軍基地の跡地利用を三分割にするということでございますが、いまの地方財政の貧困なときに、私のおります埼玉県朝霞、所沢、また神奈川県、全国で九都道府県あるそうでございますが、この九都道府県で三分割方式によって地方公共団体が買い上げるとするならば、その金額は幾らになりますか。
  214. 松岡宏

    ○松岡説明員 端的に金額が幾らになるか、こういう御質問でございますが、現在大蔵省におきましては三分割方式の線に沿いまして、これから地元関係者あるいはそこへ立地を希望する国あるいは政府関係機関と具体的な協議に入る段階でございます。そういう意味では跡地の具体的な利用計画が決まりませんと、その処分の金額が端的に幾らになるか、こういうことははじけないわけでございます。
  215. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういう細かいことは私は言ってないのですよ。三分割で一つは国のものになる、もう一つは保留地になる、もう一つは地方公共団体の土地になる。たとえばキャンプ朝霞の土地を一つ例にとりましても朝霞市が三分の一をとるわけです。ただ、いままでのように無償貸し付けしてくれと言ってもこれはだめなんだ、おまえさんのところで買いなさい。公園、学校、またはそういった福祉施設、住宅、そういうものに買うにしても、用地費というものは時価について何割、どれくらいということは決まっているのですから積算が出ているはずですね。朝霞市だけでも九百三十億を超えると言われているのです。九百三十億円なんて一体朝霞市にあるのでしょうか。買えないですよ。そうなりますと借金をする、起債です。すると起債の利子は補給してくれるかどうか、こういった問題。全国の市長会や知事会で、買えないからこそ三分割方式というのは絵に書いたもちである、だから全国自治会でも反対している。自治大臣、こういった下の声を無視して国は三分割方式を押しつけるわけなのでしょうか。これは大臣にお尋ねします。
  216. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 基地の跡地をどう処理するかという点についてどのような方法がいいかということで、一つの案として三分割という基本考え方が出たということは一応うなずけると私は思っております。  しかしそれがうなずけたとしても、たとえばその地方公共団体がそれを買うだけの資力があるのかどうか、またその起債にたえ得るのかどうか、利子の負担にたえ得るかどうか、こういう問題があると思うのですね。そこでそういう面はひとつ十分研究しなければいけない。これは単に跡地の問題だけじゃなくて、いままで高度成長時代にずいぶん土地を買え買えと言って買わした面もありますね、思惑で買った自治体もありますけれども。いずれにしても、それが自治体の一つの非常に大きな負担になっていることは事実であります。こういう問題をどのようにして処理するか、そして自治体の負担を、過当なと私は言うくらいですが、行政のある意味での、ミスリードとは言いませんけれども、高度成長という時代においては早く土地を買っておかないとどんどん上がるというのでやむを得ず買っている、まあそれもいたし方ないというような姿勢であった国の立場から見て、そういう面も考慮しながら何か工夫がないかどうかということをいま考えておる最中です。したがって、この問題についても配慮をするというか、何かひとついい工夫がないか、研究をさしてみたいと思っております。
  217. 小川新一郎

    小川(新)委員 まことに自治体にとってはありがたい言葉をきょうはもらったわけですね。キャンプ朝霞などは市街地のど真ん中ですね。市街化調整区域だとか無指定地域に買った公共用地とは違うのです。朝霞市のど真ん中にキャンプ朝霞があって、それを迂回して都市計画道路都市街路が通じております。こういうところはもう公共用地として住宅にするなり公園にするなり何かの施設をつくるなり、もう見込みで、思惑で高度経済成長政策で買ったというような土地とは性格が全然違うのです。朝霞の真ん中を通れないために、キャンプ朝霞という治外法権の米軍の施設下にあるためにわざわざ道路を大きく迂回しなければならない。こういう不便なところに朝霞市の例を取り上げればある。それを三分割してくださると言ったっていま言ったように買えない。だから、きょうも国土庁が、新聞に出ておったことですが、企業が買った土地を自治体が公共用地で買い上げる場合には起債で買う。その起債の八分二厘の利子については国土庁がこれを援助してくれる。国が援助してくれるというようなことが報道されておる。であるならば、ポツダム宣言受諾以来のこういった日米安保条約とかいろいろな外交上のしわ寄せを一地方公共団体がしょっかぶって今日まで来たという、関東計画なりそういった事務レベル間の話し合いの中でも、確かに国は基地交付金などというものを下さってはおりますが、そういう問題で解決できる問題ではなかった。そういう問題の中で今回三分割方式が出たということは、これは十二分に国が援助していただかなければいまの財政ではとても買えない。これがまず一つですね。  次には保留地ですね、この保留地というのは国に所属するのか、地方自治体に所属するのか。これはまた問題になってきますね。しかも保留地というのはいつからどこで財政の手当てをするのか、こういう問題が出てきます。それも国が持ってくれるのか、地方自治体が持ってそれをどういうふうにするのか。  それからもう一つ、三点目は、現在もう朝霞市で小中学校用地を借り受けた土地がある、借りていたところ。これも買い上げの対象になるのかならないのか、この三つの点、一つずつお答えいただきたい。
  218. 松岡宏

    ○松岡説明員 まず保留地の点からお答えします。  御承知のように、三分割方式に基づきましておおむね三分の一の面積は保留地ということにいたしまして、当面、五年ないし十年は未利用のまま凍結する。これは現在予測できない将来の需要に備えるためのものでございますが、大蔵省がこの未利用地を管理はしてまいりますけれども、この保留地の将来のいわば身の振り方、どういうふうに利用するかという問題につきましては、将来五年ないし十年たった時点で関係者全員が相談して決める、こういうことにいたしたいと思うわけです。したがいまして、保留地になれば結局国が使うことになってしまうのだというふうな、一部に流されております憶測は正しい理解ではございません。  それからすでに、無償貸し付けされております小中学校用地についてでございますが、これは今回の三分割方式及びそれに伴う統一処分価格の方針が打ち出される前にすでに処理が済んだものでございます。したがいまして、すでに処理が済んだものにまでさかのぼって取り扱いを変更するということは一切ございません。済んだものは済んだもののやり方で、すなわちその当時の制度に従いまして五年間は無償貸し付けが続く、こういう扱いになるわけでございます。  それから最初に御意見をお述べになりました点でございますけれども、今回の統一処分価格は、御指摘のように二分の一の面積を時価処分いたしまして、残りの二分の一の面積につきまして法令上認められている優遇措置を適用する、こういうことでございます。これが三分割方式に伴いましてすべての返還財産を統一的にこういう処分方式で取り扱う、こういうことになったわけでございますけれども、従来からも、およそ米軍基地の跡地で、その跡地が発生するために移転経費を要した場合につきましてはこれと同じように二分の一は時価を原則とする、こういうたてまえで取り扱ってまいったわけでございますから、今回三分割方式に伴いまして処分方式が全国統一されたからといいまして、いわゆる負担が値上げになって増加した、別にこういう性質のものではございません。従来の取り扱いとこの点では同じだ、こういうことでございます。
  219. 小川新一郎

    小川(新)委員 第一点、第二点わかりましたが、いま最後にお述べになった点について大臣から、これから地方財政の起債の援助とかそういった面について研究し、前向きな援助の方向を打ち出すというようないま非常にありがたいお言葉をいただいたわけですけれども、大蔵省はそれに水を差すようなことはないんでしょうな。
  220. 松岡宏

    ○松岡説明員 公園あるいは小中学校、こういったものにつきましては現在の一般的制度におきまして用地の取得に補助がなされ、あるいは補助がなされなかった部分、いわゆる補助裏につきまして地方債の起債が認められる、こういう一般的制度がございます。こういった一般的制度を十全に御活用願って今回の問題にも関係者全員が対処していきたい、こういうつもりで大蔵省もいるわけでございます。
  221. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういう現行的なことはもう大臣よく御存じなんですよ。地方自治の名人が私が質問していることの意味がわからないわけないのですよ、大臣は。大臣は、地方自治体の財政がいまいかに苦しいかということで連日連夜もう頭を痛め、心を砕いて、われわれの言っていることもよく理解した上で、この起債を認めた。認めたというより、借金をするのですから利子も払わなければならない。そういった問題について何らかの配慮をする、また何らかの財政的援助をするというようなニュアンスの研究をさせるということをいまおっしゃったんだから、そのことについてあなた方は大蔵財政当局の立場から何やかんや言わないかということだけ聞いているのであって、いま出ていることがどうのこうのということは、大臣も私もよく知っていてやりとりをやっているのです。言わないのか言うのか、それだけ言えばいいです、時間がないから。
  222. 松岡宏

    ○松岡説明員 特に私の担当は国有財産行政でございますが、国有財産行政の立場からもこの問題についてできる限りの配慮をしたいと考えております。代金の延納というふうなことについても十分配慮してまいりたい、こういうつもりでおります。
  223. 小川新一郎

    小川(新)委員 その点以上に、当然研究なさりますから、また大臣の方からいろいろと注文が出ると思います。そのときに大蔵省がいろいろといやらしいことを言わないようにひとつ私はここで議事録にとどめておくわけですから、あなたの立場でそれ以上のことを私は求めたって、そんな無慈悲なことを聞いているわけではないのです。  次にはモデルガンにいきます。今度はピストルの方。ピストルの事故は、大臣、いま暴力団やいろいろな連中がモデルガンを使って殺人、殺傷、それから出入り、けんか、その他に使われていることは御存じのとおり。これは御存じのとおり、改造に悪用されているモデルガンに対する現行法規はないと思っております。だからこれはまずがっちりやるために、一つはもうモデルガンなんというものはつくらない方がいいんじゃないかと思います。でなければ、改造ができないというところまで徹底した規制を設けるかどうか。もしもそういった業者を救わなければならないというならば、絶対改造ができないような特殊なかたい鋼材を使って埋め合わして、しかもそれはどんな手段を尽くしても改造はできないというふうな規制をやらなければいかぬ。しかし、いまはそれが業界の自主規制というかっこうで任せられているのですけれども、こういう点はまずおかしいと思います。こういう細かいことはまず専門の方にお尋ねするとして、大臣、このモデルガンについての感想、そしてこういうものはやめた方がいいのか、どうするのか、おもちゃみたいなものなのか、趣味のものなのか、なければ国民生活に影響するのかどうか、こういう危険なものについての総体的な考え方で結構です。私がいま言ったようなもろもろの細かいことについては、専門の方にお答えいただきます。
  224. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 モデルガンがしばしば改造されて、実際の被害を及ぼしておることは事実でございますが、その種のものがないと遊べないわけでもない。また改造ができないような材質を使う工夫も一つかと思います。そういう点は今後やはり研究をすべきではないかと考えております。
  225. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、最後のところちょっと聞き落としたのですが、何ですか。
  226. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 モデルガンがいろいろの弊害を起こしておることもわかりますから、これが改造できないような材質のものを使うようにするか、あるいはそういう場合にいままでやっておった業者に対してとういうような——ただ行政指導なり何なりだけで仕事をやめにやならぬようなことになるとか、そういう問題もあります。これは通産関係ですが、しかしそういうことも含めて、やはりモデルガンの問題はここいらで一度治安当局といいますか、警察の立場からいっても考えてみていいのじないかと私は思っております。
  227. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、現在のままではまだだめだ、手ぬるい、だからもっと改造できない材質の研究をさせるとか、そういうものがあったら採用するとか、それから業者の自主規制だけではなくて何らかの法的な規制をその改造の中に入れるとか、こう理解していいですね。
  228. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 その具体的な内容でいまここで私が確言をすることはむずかしいと思いますので、そういう趣旨を体して研究をさせて、改善を図っていきたいというのが私の考えでございます。
  229. 小川新一郎

    小川(新)委員 あと御答弁ありますか、こちらの方で。
  230. 吉田六郎

    吉田(六)説明員 改造挙銃の八割以上が暴力団関係者によりまして改造されており、これが暴力団の対立抗争事件に使用されているという実態がございますので、そういう面で暴力団を重点に取り締まりを強化しておりますが、しかし容易に改造できるモデル挙銃が販売されているということに基本的な問題があることは御指摘のとおりでございます。そこで警察庁では日本モデルガン製造協同組合に対しまして、容易に改造できないモデル挙銃をつくって、そして販売するようにというようなことで指導してきております。その結果、昨年の十一月よりいわゆるSmマークというマークをつけた改造しがたいモデルガンが製造、販売されることになったわけでございますけれども、ただこの協同組合に加盟してない一匹オオカミ的な業者もございます。したがいまして、そういう点をにらみ合わせますと、こういう改造しがたい挙銃を総理府令とかそういうようなものではっきり縛ってしまうことが必要かというように考えておりますが、そういう面を含めまして、今後一層このモデルガンの規制につきましては慎重に検討してまいりたいと考えております。
  231. 小川新一郎

    小川(新)委員 非常に前向きな御答弁をいただきましたから、慎重に前向きに前進していただきたいと思います。  最後に、救急医療の問題についてお尋ねしますが、大体大臣、病気というのはいつどこでも、医者がいようといまいと、日曜であると土曜であると発生するわけです。二十六回もたらい回しして死んじゃった例とか、お医者さんが急用でいなかったとか、いろいろなことが起こっておりますが、人口十万以下の町では救急医療に対する助成がないんですね。しかもまた埼玉県のように、医師会立や人口十万未満の市や町では補助対象になっていないため、救急医療のお医者さんに対する手当とかベッドの確保とか、そういった問題について補助金がない、お金が出ない。そういうことも一つのなにになっておるということを聞いておりますので、埼玉県や神奈川県や千葉県のように、人口急増市町村の十万以下の市町村や医師会の建てたそういった病院に対しての援助、これはしなければならぬと思いますが、お考えはいかがでしょう。
  232. 岸本正裕

    ○岸本説明員 厚生省といたしましては、従来から社会需要の変化に即応するような形で救急医療対策の充実に努力をしてまいったわけでございますけれども、ただいま先生おっしゃいましたようなたらい回しというものがしばしば報道されるというようなことが起こっておりまして、大変遺憾であるというふうに考えておる次第でございます。  そこで、私どもといたしましても、厚生行政の当面の重要問題といたしまして、五十二年度におきましても特にこの予算化につきましては重点事項というふうに考えて、ただいまこの検討を重ねている最中でございます。  いま先生のおっしゃいましたように、私どもといたしましてはいろいろな対策を行っておりますが、人口十万以下のところにおきましても、たとえば公立病院でありますとか公的病院というものがございますれば、そこに対します救急の助成というものは一定の基準に従って行っているわけでございますけれども、恐らく先生のおっしゃいましたのは休日夜間診療所、休日夜間急患センターといいますか、こういうものについてであろうかというふうに考えるわけでございます。  確かに、先生の御指摘のとおり、初期診療を担当いたします休日夜間診療所は、当面私どもは人口十万以上の市を対象にして全国的な整備を進めているところでございます。しかし、私どもといたしましても、この初期診療というものはきわめて重要なものでございますから、また救急患者の大半はこの初期診療機関で治療を受ける、こういうようなことでもございますので、今後この人口十万以下の市につきましても整備を進めるかどうかにつきまして、目下前向きに検討しているところでございます。  ちなみに、私ども重要事項と考えて、厚生大臣が四月に専門家から成ります救急医療懇談会というものをつくりました。そこでいろいろと今後の救急医療対策というものを御審議、御検討願ったわけでございますけれども、その中で七月の半ばに当面とるべき対策というものの提言を受けております。  そういう中におきましても、休日夜間診療所といいますか、急患センターの設置をいまよりももっと拡大していくべきである、人口十万というような制約をもう少し緩和して拡大をすべきであるというようなこと、また医師会立の病院等におきまして初期医療並びに二次医療があわせて行われているというような、非常にユニークであり、また地域医療の確保にとっても有効な方策がとられておることも今後とも推奨していくべきである、こういうような趣旨の提言を受けているわけでございます。私どももそういうものを踏まえながら前向きに検討していきたい、こう思っております。
  233. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、なぜ私がこの問題聞きましたかと申しますと、全部救急車は消防がやっているのです。でありますから当該委員会の所管になっておりますので、この消防の方々は救急医療の車を非常に一生懸命やってくれているのですが、いま申し上げましたような実態の中でたらい回しをされて、消防の方々があたら助かる命をみすみす捨てていくのを見て耐えられない、こういう自治体の消防関係者の声を私は聞いて、現在こうして厚生省の方も来ていただいて、いま言った医師会立の施設については補助がない、また昼間、夜間の早期の診療に対しても、そういった十万末満については助成金がない。こんなことが人口急増市町村では——埼玉県の場合は人口八万、九万というところがもう一年、二年のうちにどんどん十万を超えるように急増しておりますから、そういうところは非常にお子さんが多い、お年寄りが多い、そういった事故の多いところでございますので、大臣、これ、いま厚生大臣もそういった前向きのお考えをしておりますので、大臣からもこういった救急医療に携わっている自治体消防の方々の立場を御理解いただいて、ひとつ閣僚会議とかそういった懇談会の席とか、または個々でも結構でございますから御連絡をいただきまして、自治大臣の御決意をここで披瀝していただきたい、こういうことで私の質問を終わりますから、よろしくお願いします。
  234. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 ごもっともな御質問でありまして、救急の患者を運ぶのは消防がやっておるわけでありますから、そういう立場から消防と病院との関係をどのように調整していくか、連絡をよくするかということについて、今後もひとつ大いに勉強をさしていただきたいと思います。(小川(新)委員「もうちょっと言ってください、勉強じゃなくて。」と呼ぶ)勉強というのは、強く努めるということであります。
  235. 小川新一郎

    小川(新)委員 なぜ私はこの問題を大臣、真剣になって言うかといいますと、人の生命を預かる問題ですから私はこんな笑い話で終わらせたくないし、お互いに笑いのうちに終わったということになると不見識でございますから、最後に厳しい声で厳しい顔で言いますけれども、これは本当に真剣になっていただかなければ困る問題、埼玉県のような県の問題ばかりでなくて、日本全国の問題としても私はこの問題を取り上げておるのですから、ひとつ厚生大臣との話の詰め、そういった問題に対して大臣の御決意をさらにお尋ねして終わりといたします。
  236. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 御趣旨を体して善処してまいりたいと思います。
  237. 小川新一郎

    小川(新)委員 終わります。
  238. 小山省二

    小山委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十八分散会