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1976-05-07 第77回国会 衆議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年五月七日(金曜日)    午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 小山 省二君    理事 左藤  恵君 理事 中村 弘海君    理事 山崎  拓君 理事 渡辺 紘三君    理事 山本弥之助君 理事 三谷 秀治君       伊能繁次郎君    大西 正男君       片岡 清一君    木村武千代君       渡海元三郎君    古屋  亨君       井岡 大治君    小川 省吾君       細谷 治嘉君    山田 芳治君       多田 光雄君    林  百郎君       小川新一郎君    小濱 新次君       折小野良一君  出席政府委員         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 妹尾 弘人君         自治政務次官  奥田 敬和君         自治大臣官房審         議官      石見 隆三君         自治大臣官房審         議官      横手  正君         自治省財政局長 首藤  堯君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      藤井 裕久君         文部省管理局振         興課長     高石 邦男君         文部省管理局教         育施設部助成課         長       西崎 清久君         厚生省医務局指         導助成課長   岸本 正裕君         運輸省自動車局         業務部長    真島  健君         自治省財政局財         政課長     石原 信雄君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第二八号)  地方財政法等の一部を改正する法律案内閣提  出第五八号)      ————◇—————
  2. 小山省二

    小山委員長 これより会議を開きます。  地方交付税法等の一部を改正する法律案及び地方財政法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。細谷治嘉君。
  3. 細谷治嘉

    細谷委員 すでに委員の皆さんから、いろいろな角度から質問がありましたので、できるだけ重複を避けまして質問したいと思います。  最初に、地方交付税法第六条の三について少し内容をただしておきたいと思います。  第六条の三の二項に、「普通交付税総額が引き続き第十条第二項本文の規定によって各地方団体について算定した額の合算額と著しく異なる」と、この「著しく」というのはどういうふうに理解しておるのですか。
  4. 首藤堯

    首藤政府委員 これは従前からいろいろ御論議のあったところでございますが、いままでの考え方としては、大体一割程度以上異なるというような場合は「著しく」であろう、こういう定説に相なっております。
  5. 細谷治嘉

    細谷委員 五十一年度地方交付税総額は、五兆一千八百億、そういたしますと、一割というのは五千百八十億円ということになるわけです。五千百八十億円、まあ当時一割程度というのは、国会の議事録を見ますと、そういうふうに大臣が答えておるわけです。これは昭和二十八年ごろの話なんです。それで交付税規模も大体五千億円前後のときでありました。今日これだけ大きくなってまいりますと、五千百八十億円というような狂いが起こったとき、それが「著しく」と理解するんだという考え方は改めなければならない時期に来ているのではないか、こう思います。どうですか。
  6. 首藤堯

    首藤政府委員 これは比率の問題でございますから、全般の額に対してどの程度違ってくれば「著しく」と観念をするのかという考え方だと思いますので、交付税の根っこが大きくなればその差額もそれと比例をして大きくなっていくということは、まあそのようなことではなかろうかと思っております。したがいまして、私どもは、従来からございましたように、一割程度以上違ってくれば「著しく」である、こういう観念に立っておるところでございます。
  7. 細谷治嘉

    細谷委員 ことしは、五十一年度は一割以上違っておりますね。これはどういうことですか。五十年度も大変な落ち込み、一兆一千五億円へっこんだ。けれども、これは国税の減収に伴って借入金で賄った。五十一年度年度当初で明らかで、明らかに一兆二千五百億円程度需要額に織り込まなければならぬということでありますから、一割は上回っておりますね。これに対してどう対応したのですか。六条の三の二項にひっかかりませんか。
  8. 首藤堯

    首藤政府委員 金額的に著しく異なることとなっておることは御指摘のとおり、そのとおり著しく異なっております。ただ、ごらんをいただきますように、六条の三の二項は「引き続き」ということがございまして、この「引き続き」につきましても議論がたくさんありましたのは先生百も御承知のとおりでございます。この「引き続き」というのは、二年間続いてそのような状況が起こり、その来る次の年もまた起こるであろう、いわば三年でございますが、そういった事態が続けば、この二項の条項が発動してまいりまして、制度改正もしくは税率変更、こういったことを考えなければならぬ、こう読むべきであろうと思っております。したがいまして、五十年、五十一年が額において著しく異なった事態である、それはもう御指摘のとおりでございます。
  9. 細谷治嘉

    細谷委員 大蔵省主計官、いま自治省財政局長が答えたような、六条の三の第二項についての大蔵省有権解釈もそのとおりですか。
  10. 藤井裕久

    藤井説明員 これは、自治省ともよく御相談いたしまして、ただいまの財政局長の御答弁が政府解釈だというふうに理解しております。
  11. 細谷治嘉

    細谷委員 政務次官先ほど議論したように、一割というのは五十一年度は五千百八十億円です。この交付税総額もおかしいのですよ。交付税法趣旨からいきますとおかしい形で出てきた五兆一千八百億でありますが、その一割に相当というと五千百八十億円、この一割というのは比率の問題だあるいは規模全体の問題だということは私も理解いたしますけれども、二十八年来の一割というのを、そのまま一割でございますという有権解釈を続けることが国と地方との財政関係から妥当であるかどうか。この際一割というのはやはり二%とか三%とか、こういうふうに考えていく。せんだって参考人としておいでになった立教大学名誉教授藤田教授もそうおっしゃっておったわけです。やはりシャウプ勧告にあった平衡交付金的な性格を織り込まなければ対応できない、こういう藤田教授の批判もあったわけであります。政務次官、どうお考えですか。先日来大変前向きの、地方財政に真摯に取り組んでおる政務次官の姿勢を私聞きまして敬意を表しておるのですから、この際ひとつ政務次官のお考えをお聞きしたい。
  12. 奥田敬和

    奥田政府委員 もう地方行政のすべてを知り尽くされている細谷先生からの御質問でございますので、本当に真剣にお答えしなければならぬわけでございます。ただ、いまも承っておりますと、確かに今年度税収不足というのは、交付税法の六条の三の二項に照らし合わせてみても、著しくという概念をはるかに上回るほどの落ち込みであるということも認めざるを得ません。しかも「引き続き」という連動している項につきましても、昨年・本年さらに来年も含めて厳しい情勢見通しもあるということは論を待たない客観事実であると思います。  したがって、いまの先生の一〇%という形が、著しいという概念に当たるのかどうかということに関しましては、ここでそれが正しいとも間違っているともちょっと理解しかねるわけでございますけれども、いずれにしても先生の御指摘のように、二、三%ぐらいといった形の数字の方が妥当な線であろうということは理解できます。ただし、何と言ってもまだ経済が決して安定している情勢ではございませんし、余り景気変動地方税収入が振り回されて、毎年毎年上下の非常に激しいことは決して好ましいことじゃありませんし、このこと自体が地方自治体の財政自主性というものを損なっておる一つの大変な要件でございますので、先生の御趣旨は十分理解できます。また、そういった形で交付税改正機運にある、その一つの枠としては先生の言われる著しくという概念は御指摘の方向で私たちも考えなければいかぬじゃないかというぐあいにただいま拝見しておりますし、そう考えております。
  13. 細谷治嘉

    細谷委員 財政局長、私はなぜ蒸し返してこういう問題を聞くかというと、この二項の後段の方に「著しく異なることとなった場合においては、地方財政若しくは地方行政に係る制度改正」または交付税率変更ということになっておるわけです。そうしますと、いまの自治省大蔵省解釈で、それ以下の場合は、地方財政制度なり地方行政制度、こういうものを改正しても、知らぬ顔の半兵衛を決め込んでもいいのか、これをお聞きしたいのですよ。どうなんですか。
  14. 首藤堯

    首藤政府委員 この条文は、先生案内のとおりに、平衡交付金から交付税制度が切りかわりまして、交付税総額国税三税の一定のパーセンテージ、このようにいわばあてがいぶちと申しますか、比率で決めるようにした。そのことが交付税総額を決定をいたしますので、別に計算をいたします昔の平衡交付金的な意味での基準財政需要額収入額差額、つまり交付基準額合計額と合わなくなることがあり得るわけでございます。  そこで、そのような事態が長く大きく続くということではまずいので、交付税法的な仕組みによる総額確保をいたしますやり方を、率を変更するとかいうことも一つでございますし、もう一つ負担区分そのほかの財政制度行政制度事務配分、こういったものを改正をして、両方をほぼイコールに合わせて運営をしていくべきである、こういう考え方でスタートをしておりますのは先生案内のとおりであります。  したがいまして、ただいまの時点が著しく異なっておる時点であることは、御指摘のとおり私もそのとおりだと思っておりますが、引き続きこのような事態が長く続くならば、この法律考えておりますことに基づいて、事務配分ないしは負担区分、こういったような行財政制度改正することによってその所要額イコールに近くするか、あるいは率を変更するか、あるいはその両者をあわせ用いるか、こういうことを検討すべき事態に立ち至っておることは先生指摘のとおりであります。  したがいまして、ことしの時点といたしましては、先ほど政務次官が御答弁申し上げましたように、非常に流動的な経済情勢であり、かつまた国、地方を通じての財政状況も、ただいまそのような抜本的改正を行う事態にはなかなか無理がある、こういうことでいろいろ検討の末、ともかく総額確保するという臨時応急措置をもって切り抜けたのでありますが、五十二年度以降は、この六条の三の精神に基づいて根本的検討を行うべき事態に差しかかっておる、このような考え方で私どもいるわけでございます。
  15. 細谷治嘉

    細谷委員 私の質問に的確に答えていないわけですけれども、少し角度を変えて質問したいと思います。  この法律に書いてあります「地方財政若しくは地方行政に係る制度改正」これはどういうことですか、具体的に御説明いただきたい。
  16. 首藤堯

    首藤政府委員 具体的にはいろいろあろうかと思いますが、書いてございますことは「地方財政若しくは地方行政に係る制度」でございますから、国と地方との事務配分の問題もあろうかと思います。負担区分の問題もあろうかと思います。そういったようなものを含めて行政及び財政に係る制度改正、つまり地方行政需要額をどう持っていくのか、こういうことを含めた問題であろうと考えております。
  17. 細谷治嘉

    細谷委員 地方財政法二十一条、二十二条等に係る、新たに地方負担が加わったということは、地方行政制度なり地方財政制度改正ということになりますか、なりませんか。
  18. 首藤堯

    首藤政府委員 新たな地方事務が付与される、負担が生ずる、こういうことはもちろん地方行財政にわたる制度改正であろうと思います。
  19. 細谷治嘉

    細谷委員 地方財政法二十一条の規定によって新たに地方負担が伴うというのは地方財政制度改正だ、——あるいは改悪かもしれませんよ、そういう事態が、財政局長として、四十一年に交付税率三二%が決まった後今日まで十一年ばかりの間にあったかなかったか、どういう認識ですか。
  20. 首藤堯

    首藤政府委員 もちろんいろいろそういう事態があったと思います。
  21. 細谷治嘉

    細谷委員 あったということは認めた。あったけれども、一〇%以下だったから知らぬ半兵衛であった、こういうことですか。
  22. 首藤堯

    首藤政府委員 負担が新たに生じました場合において、それが財政法に言います負担区分規定、こういうものに基づきまして、国も負担をすべきものがあるというような事態の場合には、もちろん国の適正な負担を求めるということを、法律改正の場合に私どもは個々の法案について意見を主張し、かつそのようにしてもらっております。それから、そういうことが生じたことに伴う地方負担増加、これはもちろんあるわけでございますが、これの全般財源措置は、いままでは先生案内のように、三二%という率で設定をされておりました交付税総額が、国民経済かなり伸び国税三税のかなり伸び、これによりまして増収を来しておりましたので、その範囲内で賄える、こういう観点で三二%という率が変更されてこなかったわけであります。このことは、地方財政計画を通じまして所要地方負担額、これを計算いたしまして収支のつじつまを合わせておりますのは、先生案内のとおりでございますが、具体的には、その財政計画策定を通じて財源不足額があるのかないのか、こういう判断を行ってきたところであります。
  23. 細谷治嘉

    細谷委員 財政局長、あなたは事あるごとに、地方団体高度成長に甘えてはならぬぞということで厳しく批判しているでしょう。いままでそういう新しい制度を導入しながら、高度成長下地方税収がわりあいに伸びた、そういうことで、法律精神というものを忘れて、あなたが高度経済成長に甘えておったんじゃないですか。自治省も甘えておったんじゃないですか、大蔵省も甘えておったんじゃないですか。どうですか。
  24. 首藤堯

    首藤政府委員 御質問趣旨をあるいは的確に把握していないかもしれませんが、この地方財政法上に言います、地方公共団体負担を伴う法令、こういう事務ができましたときには、その負担地方財政法にいう負担区分に適合するものであるならば、それに対する国の負担、こういうものを的確に求めて財政制度を確立をしていく、こういうことであるわけでございます。それに伴いまして地方負担がもちろん生じてくるわけでございますが、それは先ほども申し上げましたように、財政計画等策定を通じまして全般的に地方財源措置としてこの負担を賄うに足りるということであるならば、交付税率改正を改たな事務が起きたから即行うということでなくてやっていくということは、また当然のことではなかろうかと考えておるのでございます。
  25. 細谷治嘉

    細谷委員 私が申し上げたいことは、人には、高度経済成長に甘えてはならぬと指導しながら、四十九年の石油ショックを契機にいたしまして、高度成長から安定成長へ転換していくのだ、その安定成長に転換していく過程において、五十年度、五十一年度というこういう事態が生じたわけでありますから、これは対応していくべきじゃなかったか。人に言うならば、みずからもやはり甘えておったんではないかという反省が必要ではないか、こう私は思うのですよ。どうですか、財政局長、反省する必要はないのですか。
  26. 首藤堯

    首藤政府委員 いま御指摘のように、石油ショックに端を発しました経済の転換、つまり従前のような高度成長が見込まれなくなったことに伴います税収の激減、財政の困窮、こういうものに対して的確な措置をとっていくべきであったということは、御指摘のとおりだと思います。ただ、先生も御案内のように、この激変期は、いままでに比べて余りにも大きな激変であり、かつ流動的な事態でありますので、抜本的な制度改正そのものをもって対応するという事態にはなかなか話がつかない困難な面があったわけであります。したがいまして、このような激変期を前提にいたしまして、所要財源を何としてでも確保する、こういう措置をとることによって、五十年、五十一年、まあ応急措置とおっしゃると思いますが、まさしくそうかもしれませんが、ともかく財源確保するという措置に出ておるわけでございます。この点は御了解をいただきたいと思うのであります。
  27. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの言葉には重要な内容が含まれておりますから、後ほどこの問題は改めて御質問したいと思います。  そこで、最近、私学助成人材確保法案私学助成昭和四十五年からでありますけれども、最近特に私学助成の強化ということが叫ばれております。人材確保法案は四十八年からでありまして、児童手当は四十六年から、老人医療費は四十七年から、こういう制度が新しく設けられました。この新しい制度に基づいていま私が申し上げました四つについて、どのくらいの需要額交付税上見込まれておるのか、数字をお示しいただきたい。
  28. 首藤堯

    首藤政府委員 仮に昭和五十年の数字で申し上げますと、私学助成で七百八十九億、児童手当で三百九十五億、老人医療関係で五百七十九億、教員の待遇改善費で八百九十四億、合計二千六百億余り、こういった数字に相なります。
  29. 細谷治嘉

    細谷委員 この新しく設けられた四つ制度だけで、交付税需要額として二千六百六十億余りといいますか、正確に言いますと二千六百五十七億でありますが、これは国税三税の何%ぐらいに当たりますか。
  30. 首藤堯

    首藤政府委員 この数字を、五十年度でございますから五十年度国税三税十兆三千億余りで割り返しますと、二・六%ぐらいに当たります。
  31. 細谷治嘉

    細谷委員 五十年度の修正いたしました交付税にいたしますと二・六%、当初計画で一・九三%、こういう数字になっているのですね。国税三税の二・六%にも相当する額、あるいは年度当初で二%にも相当する額——四十九年度は二千三百八億円でありますから二・一八%です。国税三税の二%以上に当たる額が新しく交付税に導入されて、制度が変わったわけですよ。この六条の三の二項で交付税率変更するということが必要じゃないんですか、どうですか。
  32. 首藤堯

    首藤政府委員 このような制度改正地方財源不足を来すということでございますと、通常の事態においてはもちろん、交付税あり方等検討すべき要因一つになるということは、御指摘のとおりでございます。ただ、六条の三をいまお引きでございますが、六条の三は、先ほどから申し上げておりますように、引き続き著しく異なる、つまり引き続きその結果財源がひどく少なくなる、こういう事態でございますから、こういった各種の要素がもちろん含まれてまして、それを総合いたしまして、地方財源措置として、大変少ないこういう事態を想定をしておるものと思うわけであります。  なお、先ほども申し上げましたように、四十九年度、五十年度においては、交付税額はこのようなものを含めまして著しく不足をいたしたのでありますが、これが六条の三を適用して抜本的制度改正をやるという事態には、事態が非常に困難なときでございましたので、いかにしても総額確保するという措置をとってこれをしのいだということは先ほど申し上げたとおりでございます。
  33. 細谷治嘉

    細谷委員 財政局長、この六条の三を逆さまに読んで、こういうときには制度改正交付税率変更か。新たな財政負担を伴う制度が加わった場合にはこの六条の三は適用されますか。
  34. 首藤堯

    首藤政府委員 六条の三で申しておりますことは、交付税総額が引き続き算定した額と著しく異なる、こういう結果を言っておるわけであります。だから要因はいろいろあろうかと思います。先ほど指摘のように、新たな負担を伴う制度が起こったとか、あるいは景気変動によって税収激変をしたとかいろいろな要素があろうかと思いますが、結果的に見て、著しく異なる事態が引き続き続く、こういう事態になれば負担区分を変えるとか税制を変えるとか交付税率を変えるとか、こういうことをしろということを言っておるのでありまして、端的に何かの財政制度改正があったから、すぐここに連動いたしまして税率を変えろという規定であるとは考えておりません。
  35. 細谷治嘉

    細谷委員 私も若干の制度の改変で連動的にどうのこうのということを言っておるわけじゃないんですよ。現実に現行交付税率が決まってから今日まで、四つの新しい制度だけでも国税三税の二・六%に相当するような交付税需要額の増が起こっておる。こういう場合には第二項の規定は適用されるんですねということをお聞きしているわけです。そうですね。新しい制度が、いわゆる地方負担が伴う場合、負担増加する場合、負担が減る場合、このいずれの場合にも地方制度の、あるいは財政制度変更ということになるんでしょう。そうでしょう。たとえば交付税が六条の三の二項でどうしても足らなくなった、さっき言った一〇%程度で足らなくなったといった場合に、地方負担が起こらないように制度を変えてしまう、財政制度を変えていく。あるいは行政事務の再配分地方機関委任事務を国の方でやるようになった、地方負担が伴わない、だから、その分だけ財政が減るから交付税率引き上げはやらぬでもいい、あるいは両方の原資でいく、こういうこともあるわけでしょう。そういうことでしょう。
  36. 首藤堯

    首藤政府委員 後段の方でおっしゃいましたことそのとおりでございまして、六条の三は素直に読みますと、制度変更やいろいろな原因があろうと思いますが、その結果として著しく異なる事態、つまり財源不足が主なケースでありますが、財源不足がその結果起こった、それを治癒する方法として財政制度改正とか率の引き上げとかを行えということであります。したがいまして、先ほど指摘がございましたように、老人医療人材確保そのほかによって地方財政の歳出の増加負担増加がまさしく起こっております。しかし別にそういった時代におきましても、自動車取得税でありますとかあるいは事業所税でありますとか、こういう税制改正も別途行っております。その結果ひっくるめまして著しく足りない事態が長く続く、こういうことであれば、その治癒方法として制度改正税率を直せ、こういう規定でございまして、この点は先生、百も御案内のとおりかと存じております。
  37. 細谷治嘉

    細谷委員 あなた、話をそらしてはいかぬですよ。地方税の充実もいたしました、事業所税も設けましたと簡単に言いますけれども、二千六百五十七億円なんということは埋めておりませんよ。この辺で議論したってしようがないが、話を一般論抽象論でごまかしては困るのです。それだけいま注意しておきます。  この機会にちょっと文部省にお尋ねするわけですけれども、私どもが各省に行って、一体地方負担が起こる場合にその地方財政措置はどうするのですかと聞きますと、自治省に頼んで交付税に入れてもらうのです、見てもらうのです、こういう言葉が必ずと言っていいほどはね返ってきます。その最たる省が文部省とかあるいは厚生省とか建設省ですよ。地方負担を多く伴うところだと私は思うのです。間違っておったらなんですけれども、私はそう思っております。  そこで人材確保法案なり私学助成、私はかつて私学助成について、大学については莫大な国庫補助があるわけですが、どうして私学地方高等学校にやらないのかと言ったら、それは大学は国の関係でありますけれども私学高等学校なりその他は地方の問題であります、だから私どもの知ったことじゃありません、こういう形で来ました。ところが五十一年度には私学助成、百八十億つきましたね。高等学校の新増設に八十億つきましたね。考えが変わったのですか。
  38. 高石邦男

    高石説明員 四十五年から私立大学等に対して国が直接補助金を出したわけでございます。それと並行いたしまして、高等学校以下については地方交付税による財源措置で手当てをしていただいたわけでございます。たてまえから言いますと、大学等についての所轄庁は文部大臣、それから高等学校以下の所轄庁につきましては都道府県知事というのが私立学校法で定めてある制度でございます。したがいまして、その事務分担から言いますと、それに対する必要な財源措置をするたてまえは、所轄庁である都道府県知事が行う行政事務に対する財源措置でございますから、たてまえとしては交付税制度によって行われるのが原則であろうと思います。  しかしながら、一方私立学校全体の経営状況財政状況を見てみますときに、国としてもそれに対する何らかの積極的な援助が必要であるということが叫ばれまして、五十年度、八十億初めて国庫補助という制度を創設したわけでございます。五十一年度は百八十億という国の補助金をお願いしているわけでございます。そういうことでございますので、原則の制度上のたてまえは、交付税による財源措置というたてまえでいくのが今後も必要でございましょうけれども、しかしもっと私学に対する助成を拡大していきたいというような必要性から、国がその一部を補助するという制度に踏み切ったわけでございます。
  39. 細谷治嘉

    細谷委員 先ほど私は高等学校の新増設について八十億という数字を申し上げましたが、間違っておりましたから、四十億に訂正いたします。  交付税地方負担をやった、私はそれなりに理解いたします。財政局長、こういう新しい需要額に計入すべき事態が起こった場合には、正確な手続がとられておりますか。地方財政法二十一条のような、そういう正確な手続がとられておりますかどうか、お尋ねいたします。
  40. 首藤堯

    首藤政府委員 このような新たな負担を伴いますような制度が行われますときには、もちろん私どもとしては各省から協議を受けております。そして、その結果決まりました数字は、財政計画に的確に需要として算入をする。そしてそれに対する財源措置検討する、こういう行き方をとっております。
  41. 細谷治嘉

    細谷委員 文部省にお尋ねします。  たとえば私学助成、五十一年度は千九十一億円。先ほど聞き落としましたけれども、私が言っている四つ数字、五十一年度需要額というのは恐らく三千億円くらいになっておるんではないか、こう思います。どうですか、いかがなっているのですか、五十一年度
  42. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいまのところ五十年度の額、先ほど指摘をいただきました二千六百五十七億円、これが判明をいたしておりますが、五十一年度はまだ算定前でございますので、交付税上の額としては的確な数字を持ち合わしておりません。
  43. 細谷治嘉

    細谷委員 私学助成千九十一億円というのが私は自治省からお聞きしたのですが、ほぼ間違いない数字ですね。
  44. 首藤堯

    首藤政府委員 そのとおりでございまして、私学助成分千何がしでございましたか、それを財政計画上積算の基礎に入れております。
  45. 細谷治嘉

    細谷委員 去年よりも三百億円くらいふえているわけだね。  文部省御存じと思いますけれども地方に行きますと、むろん私学協会の人たちは勉強しておるんでしょう、あるいは文部省の方から聞いて五十一年度は千九十一億円ですよと、A県は大体交付税需要額に幾ら見込まれておりますよ、こういうことはわかっております。わかっておりますと、それにプラスしてもいいですよ、マイナスでもいいですよ、これは交付税ですから、自主財源です。ところがこの県知事に会って、あなたの県には幾ら需要額交付税が来ているじゃないか、それを全部吐き出せと、事実上政治的にひもがついておりますよ。御存じですか。御存じであるかどうかまず聞いて、そういうことがあるとすればこれは交付税法上問題があると思いますが、財政局長どうですか、両方お答えいただきたい。
  46. 高石邦男

    高石説明員 私学関係者は、非常に私学の経営状況が苦しいので、できるだけ助成をお願いしたいということから、そういう形の陳情をすることもあろうかと思います。
  47. 細谷治嘉

    細谷委員 陳情をすることはあっても、東京都は交付税は行っていませんからゼロです。財源不足団体はみんな行っているわけです。たとえば神奈川県には幾ら来た、ちゃんとわかっているんですよ。それはもう吐き出さなければならぬですよ。実質的なひもつきです。むろん東京都などは交付税もらっておりませんから出しておりますよ、みんな自主財源交付税というのはそういうものですよ。私は、私学の今日の経営状態から言って、出してやること、プラスしてやること、これは結構でありますけれども、事実上はひもつきになっているわけです。最低限交付税需要額に織り込んだ額だけは出さなければならぬようになっているわけです。法律上はなっていませんよ、現実はそうなっている。これは認識しているかどうかということを聞いているのです。
  48. 高石邦男

    高石説明員 五十年度の各都道府県の高等学校以下の補助金の金額を見ますと、相当ばらつきがございます。一人当たり四万円前後から七万円ぐらいに至るまでのばらつきがあるわけでございます。したがいましてそのばらつきは、各都道府県の当該区域内にある私立学校の現状、それとそれに対する政策判断として具体的な補助金が出されている、こういうふうに理解しているわけでございます。
  49. 首藤堯

    首藤政府委員 御指摘のような意味で交付税にこれだけ計上されているはずだから、それだけ補助金を出してほしいといったような話がある向きもありますことは、私も承知をいたしております。もちろん交付税でございますから、これはひもつき財源ではございません。その意味で、交付税に計上された額が完全にひもつきの額として使用をされるということは、交付税制度の予想しておるところではないわけでございます。
  50. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、私学助成は積極的に取り組まなければなりませんけれども、ある意味では交付税の性格がそのために変わってきておる。これはやはり地方財源が枯渇している、こういうことにも関連すると思いますので、ひとつ文部省も、いやもう五兆一千八百億の中に何でもかんでも突っ込んでもらえ、去年は七百八十九億だけれども三百億円ふえて千九十一億円突っ込んでもらった、万事文部省としては責任が立ったんだ。こういうことではなくて、私学助成に前向きにやるんならば、やはり交付税お任せという態度はやめていただかなければならぬじゃないか、こう思います。  これに関連して、文部省にお忙しい中をおいでいただいておるのですが、お尋ねしたいと思うのです。  昨年、高等学校の補助八十億円、ことしは百八十億円ですけれども、この補助についてあなたの方ではいろんな条件をつけましたね、物差しが。今度の高等学校の新設の補助については、進学率がどうのこうのとか、あるいは授業料を三千二百円以上にしなければだめだとか、いろんな条件がつけられるようでありますけれども、本当ですか。
  51. 西崎清久

    ○西崎説明員 ただいま先生からお話ございました高校新設補助の件でございますが、この高等学校新増設にかかわる財源措置としまして、従来は御承知のとおり交付税と起債で賄われてきたという経緯があるわけでございます。五十一年度の予算計上に当たりましては、高校新増設についての財源措置は従来からの交付税、起債措置を原則とするという立場は変えないで、しかし高等学校新増設は非常に今後も増大するという見地から、さしあたり五カ年間の緊急措置として補助金を計上するというふうな考え方で四十二億円を計上した、こういう経緯がございます。  そこで、補助金といたしましては、交付税措置あるいは起債措置に対してあるいは補完的なというふうな政策にもなります、緊急対策でございますので。その補助金の執行に当たっては、やはり新増設そのままをストレートにというわけにもまいりませんので、進学率の問題あるいは既定員の活用の問題、財政運営の自助努力と申しますか、先生おっしゃった授業料の問題、そういうふうな問題を勘案しつつ執行をしていく必要があろうというふうな考え方を持っております。  基本的にはそういう考え方を持っておりますが、しからば具体的にそれではどういう条件を設定するかということは、五月一日の指定統計が私どもの手元には事実上八月ごろに集まるわけでございます。八月に各都道府県の生徒数とか進学率がはっきりしてまいりますので、そういうふうなものを勘案しつつ先ほど申し上げましたあき定員とか授業料その他も勘案しつつ条件を具体的にセットしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  52. 細谷治嘉

    細谷委員 新聞等によりますと、たとえばある府県がこういう形で私学に補助をしておった。その条件では私学助成金を渡さぬぞというような記事を私は昨年拝見いたしました。例は東京都だ。まあ最後にはもらったようですけれども。この私学助成問題について問題は父兄負担の軽減、それから私学内容の充実、こういうことにあるとするならば、いまの高等学校の補助についてもあるいはこの私学助成の問題についても、授業料を三千二百円まで上げなければ補助金をやらぬとか補助金を減らすとか、本来奨励的な補助金、いまのお言葉で奨励的なものであるにかかわらず、そういう権力的なやり方あるいは中央集権的なやり方というのはいかがかと私は思うのです。この点どうか。  もう一つは、せっかく八十億から倍以上の百八十億以上になったわけでありますから、今後は私学のそういう糸口ができたわけでありますから、交付税を大黒柱としないで国の方の責任でそういう助成をしていくという方針がとられないのかどうか、この二点をお尋ねいたします。
  53. 高石邦男

    高石説明員 高等学校以下の助成を効率的にやるためには、都道府県単位で相当事情が違います。したがいまして、都道府県がそれぞれの私学の実態を十分に見てどのような助成をしていくかということが、最も効率的なたてまえであろうと思います。しかも法律制度上は私立学校法で所轄庁が都道府県知事とされておりますので、その原則に立ちながらも一方において国は国庫補助金を拡大していくという対応の仕方をしたいと思います。したがいまして、たてまえといたしましては現行制度地方交付税による財源措置という原則を踏まえつつ国の補助金を大幅に拡大していくという努力をする必要があろうと思っております。
  54. 細谷治嘉

    細谷委員 まあひとつ文部省にお願いしたい。かなりの大きな額が地方交付税を通じて基準財政需要額に算入されて地方に配られておるわけでありますけれども、親方日の丸的な事態が起こらないように、私学の問題は文部省が主管省でありますから、そういう基本的態度でひとつ努力していただきたいと思います。  大蔵省どう思いますか。
  55. 藤井裕久

    藤井説明員 ただいまの問題につきましては、今年度こういう制度ができたわけでございますから、当面こういう制度で行きたいというふうにわれわれは考えておりますが、五十二年度以降の問題につきましては文部省と十分協議をいたしてまいりたいと思っております。
  56. 細谷治嘉

    細谷委員 財政局長にお尋ねします。  地方交付税法第十条第二項ただし書きで、各地方団体について算定した財源不足額の合計額普通交付税総額を超える場合においては調整率が設けられる。この「総額をこえる場合」というのはどういう解釈をとっているのですか。たとえば総額を物すごく超えた。この十条の規定はどういうことなんですか。限界があるでしょう、これは。たとえば計算して各団体ごとに積算してみたら一千億円の食い違いが起こった、五百億円の食い違いが起こった。従来調整率を掛けられたのは多くても百億前後でありますからいいものの、これが非常に大きくなった場合にどうするのですか。
  57. 首藤堯

    首藤政府委員 御指摘の調整率の問題でございますが、これは法制的には、その差額の大小ということは法律そのものでは触れていないのでございまして、総額がそれほど違ってくれば、期間的な問題もございますが、先ほどから御指摘の六条の三の問題で総額を直していくということになるのだろうと思います。ここで予想をしておりますのはいわば微調整の場合を予想いたしておるわけでございまして、先生案内のように、違いました分はそれだけ調整率を掛けて割り落としをする、こういう措置をとっておるところであります。
  58. 細谷治嘉

    細谷委員 財源不足額というものが普通交付税の額を超えた場合は第六条の規定に連動する、こういうことですね。
  59. 首藤堯

    首藤政府委員 総額が非常に大きく長期的に狂うということであれば六条の三に連動いたします。
  60. 細谷治嘉

    細谷委員 総額が大きくならないように十条の規定需要額を算定する、あるいは基準財政収入額をやや多目に見る、こういう操作はやっておりませんか、やっておりますか。大変失礼な質問でありますけれども
  61. 首藤堯

    首藤政府委員 先生案内のように、全体の所要額がどのくらい要るかということは地方財政計画を通じてほぼ算定をいたしますので、そう物すごく極端な差が出てくるということは、地方財政計画がまとまる以上、事態としては現実にはあり得ません。したがいまして、私ども意図的に調整率をどうこうするというために収入を云々したり需要を無理やりに抑え込んだり、このようなことはいたしておりません。
  62. 細谷治嘉

    細谷委員 そこに平衡交付金制度と現在の地方交付税制度の問題が出てくるわけです。やろうとすればできるわけです。そうでしょう。総額は決まっているわけですから。逆算していけばいいわけです。逆算してちょうど調整額は百億ぐらい削りたいというときには基準財政需要額を少な目に押さえて基準財政収入額を多目に押さえれば、ちょうどその間にはまっていくわけです。そうでしょう。可能性はあるわけです。そういうことをやっていませんか。
  63. 首藤堯

    首藤政府委員 先生は大変地方財政にお詳しゅうございますので、そういった裏道もあるだろうというところを御指摘だと思うわけでございます。私どもはそのゆえにこそ地方財政計画を通じまして所要財源額というものを算定をし、この地方財政計画策定をめぐって大蔵省等とも十分折衝をして所要財源確保をする。こういう基本的態度をとっておりますがゆえに、そのような無理をしなければおさまらぬような大きな差額ということを想定しないでただいま進んでおるわけでございます。
  64. 細谷治嘉

    細谷委員 大変失礼な、あなたの方のあれを疑うような質問ですけれども、しかし疑わざるを得ないような数字的な根拠もなきにしもあらずである。後ほど時間がありましたらこの辺にひとつ触れてみたいと思います。  それから、今度政府から出されております地方交付税法等の一部を改正する法律案について少しお尋ねしたいと思うのです。  今度の法案の第二条、これは地方財政法の一部改正の部分でございますけれども地方財政法三十三条の二、これは現存しておりませんけれども、この中に入れていくわけであります。  今回の法律案にはこう書かれてあります。「(昭和五十一年度における地方債の特例)」ということで、「昭和五十一年度に限り、地方公共団体は、第五条第一項ただし書の規定により起こす地方債のほか、適正な財政運営を行うにつき必要とされる財源に充てるため、地方交付税法第十一条に定める方法に準ずるものとして自治省令で定める方法により算定した額の範囲内で、地方債を起こすことができる。」、地方交付税法十一条ということになりますと、「(基準財政需要額の算定方法)」という規定であります。「基準財政需要額は、測定単位の数値を第十三条の規定により補正し、これを当該測定単位ごとの単位費用に乗じて得た額を当該地方団体について合算した額とする。」、私はこの条文を読んで、わかったようなわからないような点があるわけであります。  お尋ねいたしますが、「第十一条に定める方法に準ずる」ということになりますと、地方債の配り方について、新しく単位費用ができるわけでしょう。それから補正の仕方もできるわけでしょう。そして、十一条に基づいて交付税とそっくり同じプロセスでこの特例債の金額が団体ごとに決まるわけでしょう。それは自治省令で決める、こういうことなんでありますけれども、そのとおりですか。
  65. 首藤堯

    首藤政府委員 そのとおりでございます。ただ、単位費用ではございませんで、配分の際に用いる単価ということに相なろうと思います。
  66. 細谷治嘉

    細谷委員 単位費用じゃなくて単価、どこが違うのですか。地方交付税法十一条の方法に準ずると書いてあるのですから、単位費用でしょう。単価ですか。単価も単位費用も、準ずるのなら単位費用とおっしゃった方がいいんじゃないですか。単位費用というのは法定されてありますから単位費用という言葉を使いたくないだけの話で、事実上単位費用でしょう。それなら第十一条の規定に準ずるなんということを書かぬがいい。どういうことですか。
  67. 首藤堯

    首藤政府委員 単位当たりの費用という意味では、まさしく性格的には同じものでございます。このやり方は、先生案内のように、従前「その他の土木費」、「その他の諸費」、この中に包括算入をされておりました基準財政需要額の一部、これを地方債に振りかえる。具体的には、先生案内のように、四千五百億でありますが、これの振りかえでございますから、従前のそういった経費、「その他の土木費」や「その他の諸費」に算入をされておりました基準財政需要額の算定の方法と全く同じ方法で配る、こういう意味の規定でございます。
  68. 細谷治嘉

    細谷委員 単価という名で、事実上は十一条のような単位費用ということになります。  われわれは一生懸命法律で単位費用を議論しているわけです。ところが、本来包括算入分四千五百億というのは交付税で配られるはずであります。その単位費用は全部——全部と言わぬけれども、大部分をけ飛ばして、そして特例債、地方債で振りかえるわけですから、それを十一条に準ずるものとして自治省令で定める。何のことはない、単位費用なんというのは審議する必要はないじゃないですか。本来、四千五百億というのは単位費用で基準財政需要額に算入されておったものを、今度は自治省令で決めちゃうというのですから、そうして本来ありました法定の単位費用は削っちゃっておるのですから。大幅に削っておりますよ。私は見てみますと、あなたの方の資料でも単位費用はものすごく削ってある、一々数字は申し上げませんけれども。こういう四千五百億というのを団体ごとに配るのに、十一条に準ずる形で自治省令でやっていいのですか。法律など要らぬじゃないですか。五兆一千八百億のうちの普通交付税九四%分はびしゃっと単位費用。しかし、投資的な部分というのは全部削られておるのですよ。後でこれは議論しますけれども。それを単位費用じゃない、単価。事実は単位費用だ。そういうものに十三条の規定による補正をやって、そうして特例債を配ってやる。本来は交付税でもらうべきものだ。これは法律よりも省令の方が先行するじゃないですか。私は、これは予算委員会で取り上げた。こんなばかげたことはない。これはしり抜けもいいところですよ。単位費用は法定で決めました。ところが単位費用は三分の二くらいは落とされておる。あなた方から出た標準団体の必要経費総額を見ても、莫大な投資的な部分が落とされておる。それが全部自治省令という省令によって、そうして十一条に準ずる形で十三条の補正をやって、そうして配ってやるのだ。こんなばかげた——これは省令でいいのだということでありますけれども、国会としては理解できない。法律よりも省令が優先するなんというしり抜けの法律は許されない。どう思いますか。
  69. 首藤堯

    首藤政府委員 この規定の分でございますが、先生案内のように、四千五百億は、従前、「その他の土木費」、「その他の諸費」、これに算入をされておりました基準財政需要額の一部を振りかえる、これは先生御承知のとおりであります。したがいまして、この配分のやり方は、この地方債の配分普通交付税において包括算入をされておりました投資的経費四千五百億分、これと同様のやり方をもって配られる、そのことが一番公平を確保する道でございます。したがいまして、総額の四千五百億というものも決まっておりますし、その配り方の内容そのものも従前法律ないしはことしの法律、これでやり方が決まっておるわけでございますから、それを公平に配分するための一つ要素と申しますか手段と申しますか、目的、総額、それから配分のあり方ももう決まっておるわけでございます。それに公平に配るための技術的な基準を省令で決める、こういうことにいたしたものでございまして、決して法律そのものの根っこを省令で抜いてしまったというようには私ども考えておりません。
  70. 細谷治嘉

    細谷委員 大蔵省にお尋ねいたしますが、従来包括算入でずっと交付税需要額に計入してまいりました四千五百億、総額ではどうも五千五百億か六千億くらいになるらしいけれども、ほんの場所だけは、項目だけは残して、そうして大部分というのは地方債に振りかえたわけですね。その四千五百億を交付税式に配るわけだけれども、これは交付税じゃありませんぞ、地方債であります、借金であります、こういうやり方、しかもそれは交付税そっくりに計算するのだけれども、単位費用じゃありません、単価でございます。別に単位費用というのは残った一千五百億かそこらの部分についての単位費用だけ決めております。こんなことが許されますか。これは常識で考えられないですよ、おかしいですよ。それは財政事情が悪かったからそうせざるを得なかった、こういうことにお言葉が返ってくると思いますけれども、そんなばかげたことはないでしょう。いかがですか。
  71. 藤井裕久

    藤井説明員 先生の方から先に御返事があったので恐縮でございますが、やはり五十一年度、国、地方を通じましての異常な状態で、その中でどうやって地方財政の適正な運営を確保するかという、まあ非常に苦労したところでございまして、自治省大蔵省と十分協議をいたしました結果が今回の措置でございます。したがいまして、四千五百億が地方債としてあるのがノーマルな姿であるということは私たちも考えておりません。おりませんが、まあそういうような異常な事態から、本年度の特例措置としてひとつ御了承をいただきたいと思うわけでございます。これも十分御承知のように、四千五百億円につきましては、元本、利子いろいろな形で補給などをいたしまして、地方団体に御迷惑にならぬようにということでいろいろな配慮をいたしている点もあわせ御理解をいただきたいということでございます。
  72. 細谷治嘉

    細谷委員 大変結構な話ですけれども、元本、利子四千五百億円、二千億円は元本、二千五百億は利子だ。利子ですよ。これは少なくとも二千五百億円、元本はどうなるか後でまた質問しますけれども、問題があるのだ。交付税で配っちゃう。まあこれは問題をちょっと外へ置いておいて、財政局長、五十一年度の補正のやり方は大体五十年度と同じですか、どこか変わりますか、十三条の補正の仕方。それは事業費補正は落としてしまうでしょう。
  73. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま御指摘のように、事業費補正は起債に振りかわりますので落とします。そのほかでは、主たる改正は態容補正の問題でございますが、御案内のようにこの階段式になっております甲、乙、丙の種地区分、これを若干なだらかにするという改正をいま考慮いたしております。
  74. 細谷治嘉

    細谷委員 大体同じ補正だということは確認できました。  少し細部に立ち至って申し上げますけれども、私は五十年度の今度落とされて地方債に振りかえておる包括算入分の都道府県、市町村の測定単位ごとの補正前、補正後、こういうものを調べてみました。ちょっと内容を申し上げますと、その他の行政費の人口を測定単位とする投資的経費は、大都市では補正前に対して補正後は〇・五二ですよ。半分に落ちている。都市では一・七倍です。町村の場合は二・一倍です。はなはだしい例を申し上げますと、その他の行政費の中の面積分については、大都市は十七・二三ですよ。都市は一・〇六です。町村は〇・〇八ですよ。  こういうふうに補正前と補正後、十三条の補正のふるいをかけますと、大都市と都市と町村の間では雲泥の差が出てくるわけです。雲泥の差が出てくるわけでありますからこれは十一条に準ぜざるを得ないことは私も理解いたします。それでないとアンバランス、激変が起こっちゃうわけですから。しかし、こんなに補正前と補正後、十三条のふるいにかけると大都市と都市と町村の間に、この測定単位ごとの数値がものすごいバリエーションがあるわけだ。こんな方式で四千五百億を配ったら、後はどうなりますか。後はどうなるかということになると、やがてこれは返さなければいかぬですよ、二千五百億の元金は。お答えいただきたい。
  75. 首藤堯

    首藤政府委員 この四千五百億は、従前交付税措置をされておりましたものを、やむを得ずそっくりそのまま地方債に振りかえます。したがいまして、従前交付税計算でされておりましたのと全く同じ手法で配る、それが各団体に一番変動がない、影響のない方法だと心得えております。全く、従前であったら交付税で配られただろうという方法で配るという考え方でございます。  なお、この償還分につきましては、先生も御案内のようにこの償還費そのものを今後基準財政需要額に新たな需要として立てる、こういうことにいたしますので、当該団体はいわば交付税を年賦払いでもらったとでも申しますか、一遍にもらって、その償還費について後々交付税で年賦で償還をしてもらう、こういうかっこうに相なりますので、交付税と全く同じ配り方で配っておれば一番公平ではないか、このように考えております。
  76. 細谷治嘉

    細谷委員 そうしますと、四千五百億を十一条に基づいて交付税方式で全く配っていった、こうなった場合に、団体は幾ら配られたということはわかりますね。自治省令でやった。元を返すまではずっとその団体についていっているわけですよ。その原資はどこから持ってくるわけですか。私の質問の意味がわからぬですか。そうでしょう、元は返さなければいかぬわけですから。全部が全部もらい切りじゃないわけですから。返すわけですよ。たとえば東京都は幾ら、まあ東京都は交付団体じゃありませんけれども、神奈川県は幾ら、横浜市は幾ら、今度交付団体になるであろう愛知県は幾ら、こうしてやるのですよ。そのうちの元は返さなければいかぬ。その原資はどうするのですか。これもまた交付税の中へ押し込むのですか。これは交付税総額にかかわってくるわけですよ。お答えいただきたい。
  77. 首藤堯

    首藤政府委員 この四千五百億円分につきましては、先ほども御指摘がありましたように、二千億については、これはいわゆる臨特で将来もらえることになりますから、元はあるわけでございます。それから残りの二千五百億円分につきましても、これは八千億の分も同様でございますが、その償還費分を地方財政計画の歳出に計上することによって所要の総体の財源地方団体に迷惑をかけないように確保する、こういう措置をとることは先生案内のとおりであります。そうやっておいて、地方財政計画を通じてその全体の額を確保した上で、個別の団体にはこの償還費を基準財政需要額に算入をしていくという方法をとりますので、全般的に元本が確保されておれば、個別の地方団体はその確保された元本に基づいて具体的にも基準財政需要額に算入をされるという措置を通じて財源措置がなされる、こういう仕組みに考えておるのであります。
  78. 細谷治嘉

    細谷委員 私の質問に的確に答えていただきたいのですよ。二千五百億というのは、元は返さなければいかぬわけですね。各団体ごとで金額が決まっているわけです。その原資は地方財政計画全体の中でやると言うのだけれども交付税総額は変わらなければコップの中のあらしでしょう。二千億円というのは交付税総額につけ加えるのですか。需要額の中に入れていく、これは全体の地方財政計画の中において交付税総額というのは決めていくわけだけれども、それで一切合財やってしまう。また少し高度成長税収でも伸びたら、基準財政収入額伸びているから、総額はとにかく三税で出たままでいい、こういうものじゃないと思うのですよ。大蔵省、どうなんですか。二千五百億は、元金は返してもらうこと、二千億については、利子と元金は見てやるぞと、こんな区別する筋のものじゃないでしょう、四千五百億というのは。包括算入で同じものですよ。何を区別したのですか。
  79. 藤井裕久

    藤井説明員 ただいま財政局長からお答えがありましたように、この四千五百億は地方財政計画で見まして基準財政需要に算入の上、交付税措置するわけでございますから、私はそういう意味で地方負担にはならないものと考えております。また、四千五百億を二千億と二千五百億に分けましたのは、おおむね半分程度というような感じで御理解をいただきたいと思います。
  80. 細谷治嘉

    細谷委員 おおむね半分程度と理解しろと言ったって理解できないでしょう。四千五百億のおおむね半分というのは二千二百五十億ですよ。しかし、同じ性質のものを、片や利子だけだ、片や元本を見させるのだ。区別する内容じゃないでしょう、本来、交付税で配っておったものですから。財政が苦しくて万歳したんで、おおむね半分とかなんとかじゃなくてもうそうせざるを得なかったということ、この一言に尽きるだろうと思うのですけれども、いまのあれではちょっと小学校の生徒だって納得しませんよ。どうして区別したのですか。おおむね半分を区別した。区別しようのないものを区別したわけですから、おかしいじゃないですか。財政局長、なぜ区別しようのないものをおおむね半分で区別されて、それでのんだのですか。これもわからぬ。大蔵省考えも全く地方財政は大盛り、どんぶり勘定、こんな形で五十一年度地方財政対策はされたのですか。
  81. 首藤堯

    首藤政府委員 前々から申し上げておりますように、五十一年度は大変な財政危機に遭遇をいたしたのでありまして、便宜的な措置ではございましたが、ことしの措置は、何としても交付税総額確保したい、所要財源確保したいという意図に出たわけでありまして、交付税特別会計においても先生案内のように一兆三千億余りの借り入れをいたしました。この借り入れは先生のいまの御主張からいたしますと全部元利償還つきのものでびしゃっと措置をすべきではないかということに相なろうかと思いますが、ともかくさしあたり借り入れをすることによって所要額確保した、そのかわりこの借入額の償還については将来の財政計画策定を通じて国、地方財政状況を見ながら地方にひどい重圧にならないようにその償還の場合の軽減等について所要の配慮を行うといったように、大蔵大臣、自治大臣の間で覚書を取り交わして将来のことにも備えた、こういう事態であったわけであります。その千三百億余りの借り入れによります交付税会計の補てん、これを行いましてもなおかつまだ財源不足がございます。そこでやむを得なず四千五百億は交付税と全く同じ効用を持ち得るような形での地方債振りかえということで措置をした、こういう段階をとったのは先生案内のとおりであります。  そのようなことで総額確保したのでありますが、なおこの四千五百億については、単純な交付税会計の借り入れにかわる措置だけでなしに、もう少し濃密な手当てができないのか、借り入れにかわる措置でございますと四千五百億そのものを全部利子だけを見るというかっこうに相なろうかと思いますが、それに対して、なおもう一歩踏み込んで見てほしい、こういうことから、四千五百億のうち二千億は元利償還つき、こういうかっこうに持ち込んだ、これが実態でございます。
  82. 細谷治嘉

    細谷委員 まだ納得できません。二千億と二千五百億を区別すべきでないものを区別した事情は、金がないからだ、こういうことに尽きるわけですけれども、それでは納得できません。同じ質のものを、おまえはあっちだ、おまえはこっちだというのでは、そんな筋の通らないつかみではどうにもなりません。しかし、時間が来ましたから一応ここで打ち切って、午後さらにこの問題について詳しく大蔵省自治省の見解を詰めてみたいと思います。  単位費用にあらざる単価という資料を出してください。四千五百億を配るわけですから、全然それを出さないなんということになっては審議できませんから、出していただきたい。
  83. 小山省二

    小山委員長 財政局長、どうなの、その資料は出せるの。
  84. 首藤堯

    首藤政府委員 簡単ですからお出しします。
  85. 小山省二

    小山委員長 資料を出すそうでございますから。  この際、暫時休憩をいたします。     午前十一時五十五分休憩      ————◇—————     午後一時三十二分開議
  86. 小山省二

    小山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方交付税法等の一部を改正する法律案及び地方財政法等の一部を改正する法律案の両案を議題とし、質疑を続行いたします。細谷治嘉君。
  87. 細谷治嘉

    細谷委員 大蔵の主計官がまだ来ておりませんので、順序を変えまして、午前中に引き続きまして若干質問したいと思うのです。  私も自治省からいただいた資料について若干の数字的な分析をいたしました。それをちょっと申し上げますから、おおむねそのとおりかどうかお答えいただきたいと思います。今度の包括算入分を地方債で振りかえることによりまして、たとえば河川費の投資経費、これは前年に比べまして標準団体の経費総額は五二・九%落ちております。一方、単位費用は四五・四%の落ち込みであります。途中を省略いたしまして、その他の行政経費を見ますと、この経費総額は四八%の落ち込み、単位費用も四八%の落ち込み、これは人口分。面積分も経費総額が六六・六%の落ち込み、単位費用も同じように六六・六%の落ち込みになっております。  この振りかえた分を見ますと、こういうことが言えると思うのです。海岸保全とか農業とか林業行政費の落ち込み、減額が著しく大きい。今日の農業の問題なり林業の問題、あるいは海岸保全という国土保全の立場からいきまして、これは許されないのではないかということが一点であります。それから、第二点は、社会福祉費は経常分、投資分ともかなり軽視されておるということを数字が証明しておるのです。自治省みずからがいわゆる社会福祉見直し論を推進しておる、こういうふうに言ってよろしいかと思います。その他の行政経費というのは、言ってみますと、地方団体にとっては非常に重要な部分でありますけれども、人口分とか面積分等も非常に落ち込みが大きい。しかも、この単位費用算出に当たりまして特定財源は全部振り落としておりますから、単位費用の落ち込みをやや抑えておりますけれども、経費総額落ち込みには及ばない、こういうことが数字上証明されると思うのであります。  私の分析、見方が正しいかどうか、お答えいただきます。
  88. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま分析をいただきました数字は、筋としては正しいと思います。  ただ、一点だけ申し上げさせていただきますと、社会福祉費がひどく伸びが落ち込んでおるという御指摘でございましたが、経常経費分では、府県分の例をとって申し上げますと、伸び率は二二・八、それから投資的経費では一七・四、こういうことになっておりますので、全般的な状況からごらんをいただければ、これを極端に落としたという御批判は当たるまいかと私は思います。
  89. 細谷治嘉

    細谷委員 そう言われるとまた物を申さなければいかぬ。  昭和五十年度の経費総額を見ますと、社会福祉費というのは前年比三五%伸びておるわけですよ。投資的経費は四二・七%伸びているわけです。そういう点からいって、本年度はその伸びに及んでないわけです。でありますから、社会福祉が昨年よりも軽視されておる、こういうふうに申さなければなりません、財源配分上。
  90. 首藤堯

    首藤政府委員 昨年度は特に増加をいたしましたのは御指摘のとおりでございまして、伸び率として昨年度より落ちておるのは、それは御指摘のとおりでございます。ただ、財政計画全般伸びをお考えをいただきますと、財政計画伸びそのものは、先生案内のように一七%程度でございますから、その中で重点を置いてどう伸ばしたかというのをごらんいただければ、一七%の伸びの中で二二%の伸び確保しておれば、決して軽視をいたしたということにはなるまいかと思います。
  91. 細谷治嘉

    細谷委員 まあ、こんな数字上の争いをやっておっても……。  これはおおむね、交付税配分にあらわれた標準団体の総経費あるいは単位費用の決定経過、その内容を見ますと、私が指摘したとおりになっている。これは全般的な国の政策、それを受けての地方政策に関係する問題でありますから、ここでは指摘するにとどめておきたいと思います。  そこで、次にお尋ねしたい点は、四千五百億円という包括算入分と公共事業の裏負担関係する八千億という地方債の振りかえは、府県と市町村はどういう状態になる見込みなのか、お答えいただきたい。
  92. 首藤堯

    首藤政府委員 まず四千五百億分でございますが、これは従前の包括算入の投資的経費の振りかえということになりますので、道府県が二千七百億見当、市町村が千八百億見当、こういうことで合わせて四千五百億になると思います。それから八千億でございますが、これも土木費関係や産業経済関係等で道府県分の振りかえが多うございますので、道府県が四千七百二十億見当、それから市町村が三千二百七十億見当、こういったことで八千億程度の振りかえになろうかと思います。
  93. 細谷治嘉

    細谷委員 そういたしますと、大ざっぱに申し上げまして、四千五百億の包括算入の振りかえ分、八千億の振りかえ分というのは、府県に六割、市町村に四割、こういうふうに考えてよろしいですか。
  94. 首藤堯

    首藤政府委員 おおむねそのとおりでございます。
  95. 細谷治嘉

    細谷委員 五十年度は振りかえ部分について府県と市町村の割合はどうなっておりますか。  それからもう一つは、今度の交付税の全体計画で、府県と市町村の配分はどういう割合になる見込みか。二点伺っておきたい。
  96. 首藤堯

    首藤政府委員 毎度申し上げておりますように、従前交付税で見ておったものの振りかえでございますから、五十年度比率的にはほぼ同じ、こういうように考えております。  それから、交付税計画配分につきましては、ただいまの見込みでございますが、県分が、普通交付税のベースで申し上げますと約二兆七千億見当、それから市町村が二兆一千五百億ぐらいの見当になろうかと思います。
  97. 細谷治嘉

    細谷委員 金額でなくて、割合はどうなっているかということです。——時間がなんですから、局長、あなたの方から聞いたところによりますと、都道府県分が、五十年度は五五%、それが五五・七%になる、市町村が四五%が四四・三%になる。府県のウエートがややふえて市町村が減る、こう伺っておるのですが、そのとおりですか。
  98. 首藤堯

    首藤政府委員 御指摘のとおりでございます。その理由は、基準収入におきまして法人関係の税の伸びが乏しゅうございますので府県の収入の伸び率が低い、その結果そのようになろう、こう考えております。
  99. 細谷治嘉

    細谷委員 昨年、人口による過密補正というのがかなり重点的に行われたために、交付税配分が非常に大きく狂ってまいったわけです。たとえば四十九年度普通交付税が、都道府県が五三%、それが五十年度は五五%と二%違っております。四十八年度は五一%、二%ずつ府県のシェアが上っていっている。逆に市町村が二%程度ずつ落ちていっております。このためにどういう事態が起こったかというと、市町村等の普通交付税の算定額が、財政課長内簡にのっとり、また地方課長と打ち合わせて、この程度普通交付税を予算に計上していいだろうというのがみんな狂っちゃった、そうして府県では、ところによっては前年の二倍以上の交付税をもらっておる、こういう事態がございました。これは配分について、言ってみますと総額は変わらぬのに、精緻巧緻を競って手先の器用さばかりを発揮しているからこういうことになっておるのじゃないか、交付税配分自体に根本的な問題がいまや生まれておる、こういうふうに申し上げなければならぬと思うのですが、いかがですか。
  100. 首藤堯

    首藤政府委員 昨年の交付税が結果として府県に寄ったというのは御指摘のとおりでございます。ただいまの先生の御指摘でございますが、交付税というものを交付税の額だけで考える風習というのは、私どもも市町村に対してそれは慎むようにということをもう何回も申し上げております。御承知のように基準財政需要額マイナス基準財政収入額交付税でございます。したがいまして、基準財政需要額の算定をごらんいただきますと、四十九年度は府県分が五三・二、それが五十年度は五三・一、市町村は四六・八が四六・九、このようにほとんど変動せずになだらかに推移いたしておるわけでございます。残念ながら、基準収入額経済激変によりましてひどく変動した、府県分の収入が落ちたために交付税の額としてそのようなかっこうになっておる、こういうことでございまして、私ども指摘のような心配がございますので、市町村には常日ごろ需要の伸び、この率をいつも示しまして、需要と収入の算定を的確にするように、こういうことを指導いたしておる次第でございます。
  101. 細谷治嘉

    細谷委員 私が予想した答弁しか返ってこない。きわめて抽象的な答弁で、あえて首藤財政局長でなくとも、だれでも答えられる逃げの答弁です。まことに遺憾ですが、もう余り時間がありませんから、遺憾の意だけを表明して次に進みます。  そこで、午前中の質問に戻るわけですけれども、包括算入分の四千五百億、それから公共事業の負担分八千億——八千億というのは、四十一年には特別事業債という方式があった。これは全部地方債に振りかえて、その地方負担分の九五%を見ると言ったものですから、これは大変なあめですね。先ほど申し上げたように九五%地方債を裏づけしてくれるわけですから、地方はみんな公共事業、公共事業と予算を組み出した。現に五十一年度の都道府県の予算を集計したのを見ますと、公共事業をものすごく伸ばしているのですよ。九五%地方債を見てくれるわけです。そして社会福祉は切っていっている。これが各都道府県の五十一年度の予算の状況でございます。でありますから、交付税で配るべきものを配らないで、そして九五%地方債に振りかえてあげます、こういう地方債を道具に使った公共事業推進のあめの政策は、私は著しく問題があるし、地方自治を損なうものではないかという気がいたします。これについてどうお考えですか。
  102. 首藤堯

    首藤政府委員 公共事業の裏負担に対して、八千億の振りかえによりまして九五%の充当率にいたしたのは御指摘のとおりでございまして、それによりまして地方公共団体が公共事業の実施について財源措置にそれほど困っていないという状況になったということも、それは御指摘のとおりだろうと思います。ただ、公共事業の実施に関する御批判でございますが、それぞれの都道府県等の様子を聞いてみましても、地方公共団体が受けます公共事業、これはやはり当該地域の発展のためにも役に立ちますし、それから当該地域の景気浮揚のためにも役に立つわけでありまして、多くの公共事業が地元産業等に引き受けられて実施をされておるわけであります。事業の内容もまた大小を問わず住民の福祉に密接に関係がある、こういうことは事実であろうと思うわけであります。わりに実施について国の負担金もあり、かつまた財源措置もある公共事業、このことを実施をするということが必ずしも御批判のようなことになるかどうか、この点についてはいろいろ御議論のあるところかと考えておる次第であります。
  103. 細谷治嘉

    細谷委員 大いに議論がある。まあしかし、そこだけでとめておく。後でちょっとまたこの問題を持ち出しますけれども。  そこで、大蔵省にお尋ねしたいのです。  包括算入分四千五百億、同じものなのに資金が二種類というのはどうも理解できない。さっき与党のある委員が、いや全く同じものをやるのに四千五百億を二種類に分けた、私もどうもわからぬと言いました。私と全く同意見なんです。しかも今度は、交付税方式によって特例債を発行するわけですね。今度元利償還が起こってきた場合に、利はありませんけれども、元を返さなければいかぬときに、これは交付税措置するわけですけれども、これはまた大変な手間であります。そこでまた交付税のいわゆる精緻巧緻論が起こるわけです。精緻巧緻と言いますけれども、ずばり言うと木の幹がなくなっちゃう、幹は腐っちゃって、上の方の葉っぱだけが精緻巧緻で茂っているというようなのがいまの交付税制度であります。こういうのは精緻巧緻と言えないでしょう。そこで、やはり筋を通すことは重要だと思うのですが、二種類に分けるということは何らの合理性もないし筋もなくて、ただ適当に半分分けした、与党の議員もそうおっしゃっているわけですから、どうですか大蔵省
  104. 藤井裕久

    藤井説明員 午前中財政局長からもそれに触れたお話がございましたので、まあざっくばらんに申し上げますが、今回の四千五百億を交付税でするか地方債に振りかえるかという場合、もし交付税措置するといたしましても、何がしかの借金を交付税特別会計がしてきて、そして交付するわけですから、これを振りかえた場合も一応その利子の方は、もし交付税特別会計が借金した場合は一般会計が負担するということにしてありますから、利子の分はともかくとして、元本はこれは全部補給する対象ではないのではないかというふうに私どもはずっと考えておりました。終始そういうふうに考えておったわけでございますが、先ほど財政局長からもお話がありましたように、地方団体に対して特別な配慮が要るのじゃないかというようなお話がございまして、大臣折衝の段階におきまして、この二千億については特に元本も含めて補給をするということが決まったのが実情でございます。これはざっくばらんな実情を申し上げてひとつ御理解を賜りたいと思います。
  105. 細谷治嘉

    細谷委員 ざっくばらんな——まだ隠していることがあるでしょう。一兆三千百四十一億円の政府資金を特別会計に借り入れておりますよ。一兆三千百四十一億円にどうして四千五百億円加えなかったのですか。その方が筋が通るでしょう。そうでしょう。三税にプラス特例交付金六百三十六億か、それに一兆三千百四十一億円借りたんでしょう。それに四千五百億円加えておけばあとは公共事業分だけですよ。四十一年のやり方とほぼ近い形になるわけですよ。どうして包括算入外して、そして単位費用でない単価で自治省令で交付税を二重に計算してやらなければならぬのですか。四千五百億円を交付税特別会計に借り入れたらば、一本で計算してやれたじゃないですか。それができなかった理由は何ですか。
  106. 藤井裕久

    藤井説明員 これも先ほど私申し上げましたように、ことしの国の非常な窮迫した財政事情の中で何とかして地方財政が適切に運営されるようにといろいろ工夫をした結果でございます。その場合に、一般会計、資金運用部の資金を通じました財政事情、いろいろございまして、御指摘のような、一部は起債に振りかえるというような措置をとらざるを得なかった点を御理解いただきたいと思います。
  107. 細谷治嘉

    細谷委員 資金運用部の資金が五十年の後半以来急に枯渇したことは認めます。認めるけれども、四千五百億円の資金運用部の資金をひねり出せないということはないですよ。断固ありません。それで、それを包括算入を外しちゃって借り入れればいいでしょう、こういう過渡的な状態ですから。一兆三千百四十一億円プラス四千五百億円やれば、八千億円だけは枠に出して、あとは借り入れや特別会計で交付税を一本で、あの単位費用で、私がさっき言ったような法律よりも省令が優先しているなんという批判を仰がないで、すきっといったわけですよ。四千五百億円の政府資金がなかったとは言えませんよ。枯渇していることは認めます。ですから私は、分けていけないようなものを分けてしまって子供に与えるように、菓子は一つしかないのに二つに分けて、同じものを分けるなら別として、これは分けられませんよ。しかも四千五百億円というのは交付税特別会計に借り入れればいいです。それをやらないのはこれはまさしくおかしいわけですから、与党の委員の皆さんもそうおっしゃっているわけですから、どうですか、何らかの、後で手間がかからないように、ちょうど特別会計で処理したようなかっこうに四千五百億を対応して処理していく、そういうことはできませんか。
  108. 藤井裕久

    藤井説明員 ただいまの御質問でございますけれども、資金運用部の借り入れによって措置をいたしました分は、御承知のとおり将来の交付税の一部からこれを返済するわけでございますから、むしろ四千五百億円につきましても返済をしていただくというのがバランスがとれているのではないかと考えております。
  109. 細谷治嘉

    細谷委員 そんなことを言うんなら、二千億円は元利は国が持つわけですから、二千億円の方は特例交付金にしたらいいですよ。ことしいかぬならば、一遍に二千億円出せないというんならば、元利を払わなければいかぬその年度ごとに特例交付金を加える、こういうことになさった方がいいでしょう。それもやってないでしょう。何から何までがたがたですよ、これは。二千億円元利持つのでしょう。五十一年度の予算でそれが全体としてできにくいというのならば、特例債をよけい出さなければいかぬというのならば、そうしたらその二千億円の方はその年ごとに臨時地方特例交付金で持ってあげます、とこっちへやっておけば筋が通るでしょう。
  110. 藤井裕久

    藤井説明員 二千億につきましては、御指摘のようなことになるように考えております。
  111. 細谷治嘉

    細谷委員 わかりました。二千億円については今後償還が来るごとに臨時特例交付金、これは元利持つというんだから。私は喜ぶ必要はないのですよ、あたりまえです。ただきちんと整理したにすぎないんであって、そうするとあとの二千五百億円切り離すのはまたおかしいわけですから、これはどうしますか。
  112. 藤井裕久

    藤井説明員 もう一度繰り返しますが、二千億円につきましては、いわば先生がおっしゃったとおり臨時特例交付金の延べ払いだというふうにお考えいただいて結構だと思います。それから二千五百億円につきましては、先ほど来申し上げますように、本来これは元本はその自己の負担で返していただくのが筋だというふうにわれわれは考えたわけでございますが、二千億の将来にわたっての特例交付金ということを措置することによって、まあ特別に地方財政に配慮をしたというのが実情でございます。
  113. 細谷治嘉

    細谷委員 全く大蔵省の頭のいい日本のエリートの答弁じゃないですよ。筋が通っていないですよ。何か知らぬが、もう政治をやる世の中、もうどうもいかぬで、寄せて二で割る方式。寄せて二で割ってないで、二千億と二千五百億円に分けて折半してないで、そして二千億円は今後臨時特例交付金とその年度ごとに元利分を見ていきます。交付税会計の方へそれを配っていく。二千五百億円だって大したことないでしょう、毎年返していくわけですから。どうしてやれないんですか。やれるはずですよ。分けることのできないものを無理して分けておいて、しかも自治省大蔵省が妥協していた、筋の通らない寄せて二で割る方式のことでやっているところに問題があるわけですから、政務次官、もう時間がないからばからしくなった。同じ種類のものを無理やり二つに分けた妥協の産物でしょう。そうして本来交付税で配ってあるのを借りられないというから、原資がないというわけで交付税で配るんで、地方債に振りかえていった。そうしてその二千億円というのは今後交付税の中で、交付税の方に一般会計から入れていきます。こう言うんですからね。おかしいでしょう。おかしいですよ。これはもう私も頭が悪いせいかますます混乱してくる。大蔵省自治省の、かつての内務官僚、大蔵官僚というエリートの官僚がそのくらいのことがわからぬでどうするんですか。与党の議員もそう言っていますよ。政務次官、ピシャッとしたお答えをいただきたい。同じものは同じで処理すると。
  114. 奥田敬和

    奥田政府委員 細谷先生の御意見は本当に傾聴に値しますけれども、今回の措置は、ともかくこういった困窮の情勢所要財源を絶対確保しなければいかぬという自治省の立場は当然御理解いただけると思います。私もこの四千五百億の配分の二千億が元利、あるいは二千五百億が利子という形の包括算入分として措置されたにもかかわらず色分けが二つになるという形については大変むずかしい問題だと、先生の御意見を聞いておっても思います。しかし自治省サイドとしてともかく所要財源を何としても確保しなければいかぬ。しかも国の財政需要が、経済伸びあるいはそういったいろいろな客観情勢税収落ち込み、国の財政事情も勘案した上でやむを得ずとった措置であるというぐあいに考えております。
  115. 細谷治嘉

    細谷委員 政務次官、やむを得ずことしはこうとったけれども、二千億円は片づいたから、分けちゃいかぬ二千五百億円については元金を負担するわけだ。それもその元金を返す時期になって二千億と同じような処置をします、そういうことを前向きで考えますと大蔵省が言いさえすれば、私は先へ進めるわけです。その辺は主計官、あなたがここで約束はできないでしょうけれども、よくわかりましたと言っていただけばそれでいいわけだ。
  116. 藤井裕久

    藤井説明員 四千五百億円の将来の償還につきましては、二千億につきましてはいま御議論のあったとおりでございます。なお二千億を含めて、財政局長からもたびたび御答弁ございますように、これは地方財政計画の上に計上いたしまして、毎年毎年それを含めて地方財政が適切に運営されるような措置をとるということは、当然のことでございますので、そういうことで御理解をいただきたいと思います。
  117. 細谷治嘉

    細谷委員 主計官よくわかりましたか。もう一遍、よくわかりましたか。イエスかノーだけでいいです。
  118. 藤井裕久

    藤井説明員 二千五百億円分の元本を個別に取り出してどうにかせいという御指摘だと思いますが、それにつきましては、まことに遺憾ではございますが、よくわかりましたとはちょっとお答えいたしかねる状況でございます。
  119. 細谷治嘉

    細谷委員 わからないとは言わぬと。どうですか。
  120. 藤井裕久

    藤井説明員 ただいまの御指摘趣旨はよくわかっております。
  121. 細谷治嘉

    細谷委員 この程度で次に進みます。  今回、五十年度財政収拾をやる意味において、私の承知している範囲では、減収補てん債というのは一兆六百三十二億円が見込まれておったわけでありますけれども、全体として八千五百十一億円であります。一兆六百三十二億円と八千五百十一億円というのはかなり大きな差がありますけれども、これはどうしたのですか。
  122. 首藤堯

    首藤政府委員 先生案内のように、去年の九月の時点になりましょうか、法人関係税を中心に減収見込みを立てましたところ、一兆六百三十二億円という見込みが立ちましたので、この分を減収補てん債ということで要求をいたしましてそのような額を設定いたしたのでございます。その後、個々の団体ごとに十二月末の調定実績から決算見込みを立てさせまして、これはもう各団体の申請どおり正直にそのままの額を積み上げてみたのでございますが、この額が先ほど指摘のような八千五百億余り、こういうことになったのでございます。したがいまして二千億の差が生じたのでございますけれども、これは各団体ごとに年間の収入見込みが確実になった時点において従前見込まれておった額との差額、これを各団体そっくりそのまま持ってきておりますので、それだけの額に実績上減少した、当時の一兆六百億の見積もりが少し大き過ぎた、こういうことであろうと思います。
  123. 細谷治嘉

    細谷委員 私はこの法案の審議の際に前の財政局長に、なぜ五条適格債から埋めていってどうしても埋まらない場合に特例債にするのだ、これは実態からいって逆さまじゃないかということを申し上げました。それではこの八千五百十一億円というのは、一体特例債がどのくらいの割合で、五条適格債がどのくらいになっているのか、おわかりになりますか。
  124. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいまの八千五百億余りを枠配分をいたしまして、許可予定額を知らしたわけでございますが、この充当結果を四月末までに報告するように各団体に求めております。ところが、実際問題としては五月末の出納整理期、このくらいまで待ちませんと、各団体ごとにどれだけいわゆる五条債に割りつけ、どれだけ割りつけられないものができて特例債になる、こういう振り分けができないものと見えまして、まだ提出が終わっておりません。したがいまして、二条債と五条債に幾らずつになっておるか現時点では判然といたしておりません。
  125. 細谷治嘉

    細谷委員 退職手当債は都道府県百三十二億円、町村分百五十五億円、合計三百三十八億円、この数字でよろしいのですか。
  126. 首藤堯

    首藤政府委員 そのとおりでございます。
  127. 細谷治嘉

    細谷委員 その次に、財政健全化債、都道府県分千二百六十億、大都市、市町村合わせて全体として千三百三十五億円でありますが、このうち退職期日の繰り上げに基づく健全化債は幾らですか。
  128. 首藤堯

    首藤政府委員 七百二十一億円でございます。
  129. 細谷治嘉

    細谷委員 この財政健全化債というのは、許可する場合にどういう条件が必要ですか。
  130. 首藤堯

    首藤政府委員 ちょっと御質問趣旨がよくわかりかねますが、一般公共事業とか一般単独事業とか、そういう五条ただし書きの規定によりまして地方債を発行し得るものの財源に充てる、こういうように考えておりますが……。
  131. 細谷治嘉

    細谷委員 財政健全化計画というのが前提になっているわけでしょう。そうでしょう。
  132. 首藤堯

    首藤政府委員 その額を設定しました場合の問題でございますれば、御指摘のとおり健全化計画を前提にいたしております。
  133. 細谷治嘉

    細谷委員 健全化計画というのはどういうプロセスでつくられてきたのですか。
  134. 首藤堯

    首藤政府委員 当該団体におきまして、財政の健全性を確保する措置として、多くの場合二年度くらいの年度にわたる考え方、こういうことになっておりますが、当該団体の長が考えたもの、それを議会筋におきまして一応の、大方の了解を得ると申しますか、そういう措置をとりまして、当該団体が自主的に決めたものでございます。
  135. 細谷治嘉

    細谷委員 議会筋の大方の了解というのは具体的にはどういうことですか。
  136. 首藤堯

    首藤政府委員 たとえば議長さんの了承を得るとか、あるいはこれにかわる措置とか、そういったようなことを措置をした、こういう意味でございます。
  137. 細谷治嘉

    細谷委員 議長さんの了解を得るということはどういうことをやるのですか。議長は議会に対して責任を持つわけですね。議長というのは、個人じゃないのですから、知事と違うのですよ。団体の代表ですよ。個人の議長のあれだけでよろしいのですか。私の承知している範囲では、この健全化債というのは、その内容は、県会議員なら県会議員、都道府県会の議員、市町村の議員に資料は配られておりませんよ。そんなことでいいのですか、健全化債というのは。
  138. 首藤堯

    首藤政府委員 この健全化計画は、いわゆる財政再建法によります財政再建計画のようなフィックスしたものでございませんので、一応当該団体の長が計画を立てまして、それを議決機関であります議会の大方の了解と申しますか、それを得るという程度のところまでを考えておるわけでありまして、それが議会の議決という正式のものであればそれはなおさら確定をいたしまして結構でございますが、そこまでの段階にいかなくとも、一応こういう考え方をとっておるという点について大方の御理解があればその程度で足りる。したがって、今後その内容の実施に当たっては、具体的な内容は議会に提案をされ、予算そのほかのかっこうで議決をされ、確定をしていくもの、このように考えておるわけであります。
  139. 細谷治嘉

    細谷委員 大方の了解というのは非常にいい言葉ですけれども、ごまかしですよ。大方の了解というその大方の了解というのは、自治省の指導はどういう内容ですか。議長だけに相談をすればいいのですか、あるいは常任委員長等に相談をするということですか、あるいは議員全員について、こういう健全化計画を出しますと……大方というのがちょっとわかりません。どっちなんですか。どういうふうに指導したのですか。それぞれ団体はばらばらですか。
  140. 首藤堯

    首藤政府委員 それぞればらばらでございます。当該団体が、長が考えております事柄が、今後実施をしていくのについてそのようなことも絶対実施不可能だ、こういうことであっては立ち行かないわけでございますから、そういった点を考慮して当該団体の形、いろいろな形があると思いますが、大方議会筋の御理解なり御了解なりが得られそうだ、こういう見込みがあればそれで足りる、こういう指導をいたしたわけでございます。
  141. 細谷治嘉

    細谷委員 議会制民主主義というものを大方、たとえば大方ということは具体的には議長を通じて財政担当の主管委員会である総務委員会等に相談もする、議決じゃありませんけれども、相談もするとか、こういう手続は必要だろうと思うので、ばらばら、そのばらばらの健全化計画で千三百三十五億円という莫大な地方債を許可するということには問題がないでしょうか。あるのじゃないですか。いかに自治省が許可権を持っておっても、あるいはこれは県が大部分でありますからこれは自治大臣の許可権ですね、市町村は知事が権限を持ちますけれども。問題がある、そう思いませんか。
  142. 首藤堯

    首藤政府委員 昭和五十年度は非常に財政困窮の苦しい年でございまして、これはもう先生案内のとおりでございます。一応年度末に減収補てん債等の措置もとったのでありますが、従前のように財政計画を超える自然増収というものはすっかりなくなってしまいましたし、地方団体としては財政の健全性を確保していくということを考えながらも、なおかつ年度末の決算状況において大変苦しい事態に追い込まれる、こういう事態であったわけでございます。そこで地方団体は、将来のことも考えながら財政の健全性を確保するためにいろいろな措置をとるべく検討を進められたのでありますが、これも先生御承知のように、事柄を考えますのに、何も一挙に一発に解決をしてその効果がすぐ出てしまうというものではございませんものですから、計画の実施過程に伴って、できるだけ行政の質を落とさないでそのような計画を進めていくためには、やはり何らかの財源措置、弾力的な財源措置が必要だ、こういうことを望む声が非常に強かったわけでございます。そのような事態を前提にしてお考えをいただきますと、このような健全化計画を立てる当該年度に出る効果は少しでございましても、翌年度以降に及ぼす効果というものも非常に多いわけであります。そういう意味では、地方債の償還財源というものについても、その償還財源の見通しがあるといって差し支えなかろう、こう思うわけでございまして、地方団体の自主的なそのような健全化計画に即して、私ども地方債ではございますが、国の方として応分の援助をする、と言うと語弊がございますが、そのような措置をとるのが正しいかろうと、こう考えたわけでございます。
  143. 細谷治嘉

    細谷委員 措置をとったことについて、対応してやったということですから、私は否定はいたしません。けれども地方団体の自主的なあれとして自治省が対応したのだということについては結構でありますけれども、いまお聞きした手続というのは、大方の了解、その大方はばらばらである、こういうことについてはまことに遺憾です。  そこで、この健全化計画内容等について私はよく承知しておりませんけれども、恐らく使用料、手数料等の大幅な引き上げ、いわゆる住民負担に転嫁、それから二番目は、いわゆる歳出の節減、たとえば職員定数の管理給与水準の適正化あるいは諸手当の節減、こういうものが柱になっておると思うのでありますけれども、いかがですか。
  144. 首藤堯

    首藤政府委員 財政の健全性を確保するための措置ということであれば、歳入歳出の両面にわたるわけでございますので、そういった点を考え合わせますと、ただいま御指摘になりましたような事柄、これが主な事項に——もちろんそのほかにもございましょうが、事項になることはそのとおりでございます。
  145. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、国と地方とのあり方、こういうことから見て、ばらばらではあるけれども、大方の了解を得て健全化計画策定されたということでありますから、地方行政をやってきた一人として、この健全化計画をこの委員会に提出できないものでしょうか。大方の了解を得たものですから、国会にも秘密だ、そして地方議会において、大方であるけれども、大部分の議員は御存じでない、こういうことでは、これはやはりガラス張りの国と地方との関係でもありませんし、地方財政の姿ではないと思うのです。いかがですか。
  146. 首藤堯

    首藤政府委員 この計画は、先生案内のように、財政再建計画というようなかっこうで正式に議決を経てすべてが固まったというものでは必ずしもございませんで、おおむねこういった方向をとっていくということについて長が自主的に作成をし、議会筋の大方の御理解を得て出されておる、こういうたぐいのものでございます。したがいまして、その個別の内容を発表することにつきましては、当該団体の方から、それは公表は勘弁してくれ、こういう話が参っておりますので、お許しをいただきたいと思います。
  147. 細谷治嘉

    細谷委員 大方の了解を見たものを当該団体から勘弁してくれというのはおかしいじゃないですか。極秘のうちにやられたということで、正当な手続がとられておらぬということでしょう。正当な手続がとられておれば、委員の皆さん、資料やりますけれども、いろいろその資料については注意をして取り扱いを願います、こういうことならいいわけですけれども、重要な地方交付税等の審議をしているこの国会の委員会にもそれを出せないということでは、何が大方の了解ですか。極秘にしてくれと言う地方団体もおかしいじゃないですか。政務次官、こういうことでは、これはオープンでは審議できません。財政健全化計画を出してもらいたいというのが私なんです。健全化計画はあるのですよ。その健全化計画は、大方の了解を得て自治省に届けられたものです。結果はわかっているわけです。総額千三百三十五億円、退職手当三百三十八億円、これだけが地方財政法五条の適格債として許可されておるわけですよ。その審議の資料も出せないというのは私は解せません。政務次官、お答えいただきたい。
  148. 首藤堯

    首藤政府委員 先ほどから申し上げておりますように、この計画は、再建計画のように正式に議決を経て固まったというようなものではないわけでありまして、今後もちろん、ことし許可をいたしました千三百三十五億のこの起債のそれぞれの起債議決につきましては、ことし当該団体で議決があるわけでありますから、それが何の事業にどう当たったか、これは報告さえ来れば発表することはもちろんかまわないわけでございますが、健全化計画そのものは、この枠を設定する前の当該団体の今後行うべき努力、こういう感じで持ち出されたものでありまして、当該団体も今後、その実施に当たります段階で、これを正式に議会に提出をし、予算等も経て議決をしていただく、こういう性格のものでありますので、ただいまの段階で公表していただくことは御勘弁いただきたい、このように申しておるわけであります。したがいまして、私どももは地方団体の意を体して、これを公表するということは慎ませていただきたいと思っております。
  149. 細谷治嘉

    細谷委員 この健全化計画とか退職手当債というのは——退職手当は事実出ているわけですね。千三百三十五億円のうちで九百億円ぐらい出ているわけです。四月一日を三月三十一日にする、そして大部分出ているわけです。金額は七百二十一億、千三百三十五億のうちの半分以上の七百二十一億というのは、四月一日の退職を三月三十一日にする。その根拠は、昨年の五月の十六日に出されました自治省事務次官通達でしょう、そうでしょう。
  150. 首藤堯

    首藤政府委員 そのとおりでございます。いわゆる法的な根拠という意味ではございませんが、取り扱いの考え方の根っこはそのとおりでございます。
  151. 細谷治嘉

    細谷委員 五月十六日の事務次官通達というのは明らかになっているのですよ。それに基づいて出された健全化計画、その健全化計画にのっとって許可した地方債、五条適格債、こういう資料を国会に出せないというのは、これはもうどうしても解せない。困ることならば、団体の符号だけでもいいですわ。どこそこの県だとかどこそこの市なんて書かぬで、アルファベットで結構です。その健全化計画内容、どこそこの県とかそんなことは要りませんよ、ABCでいいです。それは出せませんか。
  152. 首藤堯

    首藤政府委員 この計画には、確定をしていない将来の計画が含まれておるわけでございまして、その意味で当該団体がこれを公表してくれるなと言っております。したがいまして、私どもはそういった地方団体の真意を尊重する上からも、公表することは勘弁していただきたいと思います。
  153. 細谷治嘉

    細谷委員 使用料、手数料等の値上げ、これは住民の福祉に密接な関係があるわけです。高等学校の授業料も密接な関係があるわけです。こういうものが含まれておるでしょう。定数の管理、給与水準、諸手当の節減、これは労働条件に関係する問題であります。将来これは条例等で出てくるというならば、当然、住民に対しても理解をいただく、職員団体とも話し合いをする。それをひた隠しに隠す、これはおかしいですよ。最近、私はあるところで聞きましたら、一切合財住民とも接触しない、職員団体とも接触しないで、一方的に長が議案を出して議会で議決してしまう。その間住民とも職員団体とも何らの関係がなしに行われておるという例を幾つか私は見聞してきました。だから私は明らかにしてほしいと言うのですが、それをあなたの方が、大方の了解を得て自治省に上がってきたものを出せないということになりますと、やみ討ちするんですか。やみ討ちじゃないですか、どうなんですか。
  154. 首藤堯

    首藤政府委員 健全化計画に盛り込まれておりますうちで、当該年度に実施をされました分につきましては、御案内のように予算、条例そのほかの分で確定をしておりますから、これはわかっておるわけであります。翌年度分にわたる等の問題につきましては、これから議案として提案をされ議論をしていただく、こういう手続を経て当該団体で確定をしていくわけでございます。この案は、そういった確定手続がとられております前のものでございますから、当該団体が出してほしくない、こう言っておりますので、私どもはその意を体してあげたい、こう考えております。
  155. 細谷治嘉

    細谷委員 政務次官、こういう姿勢で行政がうまくいくんでしょうか。話し合いもやらぬ、一切ノーコメント、そしてもうすべて値上げもそれから労働条件の切り下げというのも全部極秘のうちにぽんと議会に提案してしまう、そしてまかり間違うと地方自治法百条の調査特別委員会をつくってやる、こういうやり方が地方自治の姿でしょうか。お答えいただきます。
  156. 奥田敬和

    奥田政府委員 細谷先生の御指摘でございますけれども、これは極秘な形でやっておると御指摘でございますけれども、この財政健全化計画、次年度にわたる分については、それぞれ手数料アップにしろ、いま言われた定数のそういった節減等々の問題にしろ、当然正式な議決が必要となってくる問題でございますし、いまの段階で地方自治体のそういった自主性というものをむしろ尊重する立場から、そういった個別資料については遠慮させていただきたい、こういった形が財政局長の答弁ではなかったかと聞いております。私は決してこれは極秘でうやむやにやみ討ちするといったものではなくて、これらが具体化されていく過程においては当然正式な改正なり決議が必要なものばかりだと思いますので、そういったふうに了解いたしております。
  157. 細谷治嘉

    細谷委員 私も五月十六日の通達が根源になっている、この通達の全部を否定するつもりはありません。しかし五月十六日の事務次官通達というのは、毎年出されておる地方財政の運用とは全く様相の違った具体的な内容、いま言ってみますと、千三百三十五億円、七百二十一億円の地方債も許可できるような、そういう前提が含まれておるわけです。その内容については一切合財発表しない、結果を見ろ、こういうことではいけないと私は思う。でありますから、秘密という名において悪乗りが起こっておるんですよ。高度成長から安定成長にいく、甘えておった点もあるでしょう。政府自体も甘えておったんですから、地方団体も甘えておった点はあるでしょう。そういうものは直さなければいけませんけれども、大変な悪乗りがやはり随所に起こっております。こういう悪乗りはやめていただかなければなりませんし、今後こういう秘密裏で事を運ぶような、そういう通達内容、しかも金の伴うものはやめていただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  158. 奥田敬和

    奥田政府委員 結論から言うと、昨年の次官通達内容をまたそのままやっていくのかという御趣旨の御質問であったかと思いますけれども、しかし先生指摘のように地方財政をめぐる客観情勢というのは決して甘くないというより、むしろ明年度も厳しい情勢が予測されるというまず一つの事実、そして国の責任において措置すべきいろいろな問題点もございますし、また、いま先生もはっきり御指摘なさいましたように、地方自治体の責任において、やはりこういった情勢に合わして、そういった経費あるいは中に人件費等々の財政硬直化要因を少しでも自主的、自助的に取り除く努力もしていただかなければならぬということは御指摘のとおり、だと思います。  ただ先生の御意見の中に、こういった措置を講ずるに当たって、むしろ現実には秘密裏で、しかも悪乗りされておる、そういった形はとても許されないというような御趣旨であるように思います。私もこういった何もかも秘密ということではなくて、やはり自治体のそういったこれからの案件事項、自治体の運営に、むしろ先に明らかにする形でかえって自主性を損なう立場じゃないかということもひとつ考えなければいかぬと同時に、悪乗りすると言われるような具体的な事実に当たっては個々にやはり検討して、御趣旨に沿うような方向の中で次官通達内容を今後どういう方向に持っていくかということも当然考えなければいかぬと思いますけれども、こういった地方、国ともの情勢を踏まえての健全化の基本路線方向というものは私は間違っていない、かように思っております。
  159. 細谷治嘉

    細谷委員 一遍出した通達は引っ込められぬと同じように、自治省の基本姿勢というのは変えられない、それは私はわかります。わかりますけれども、しかし、いまいろいろお尋ねいたしますと、健全化計画を出した、そして労働条件は切り下げる、使用料、手数料は二倍も三倍も上げていく、高校の授業料は千二百円から一気に三千二百円にする、こういう住民負担が極度に伴っていくような問題も、極秘極秘でございます。しかも悪乗りは勝手次第、こういうことでは、自治省のせっかくの通達の基本精神、安定下において切りかえていけよという基本精神も実現期待できないのじゃないか、こう思うので、私は、その辺は近くまた通達が出されることになりましょうけれども、そういう悪乗りとかあるいは秘密裏に事を選ぶなんということが起こらないように、ガラス張りの地方自治が推進できるようにやっていただきたい、こう思います。どうですか。
  160. 奥田敬和

    奥田政府委員 先生の御趣旨を踏まえて弾力的に運用していくように、そういった形の方向で検討するということでお答えさせていただきます。
  161. 細谷治嘉

    細谷委員 財政局長こだわっていますが、これからのものがあるからいかぬというのだけれども、すでに五十一年度の予算編成の議会が済んで、値上げとかいろいろなものが出てきましたね。健全化計画の中に、過去に済んだもの、そういうものは資料としてこの委員会に出せますか。済んだものはいいでしょう。
  162. 首藤堯

    首藤政府委員 済みましたものについて五十年度の額が幾らになっておるか確定をしたものにつきましては、出し方のかっこうもあろうかと思いますが、検討させていただきます。
  163. 細谷治嘉

    細谷委員 検討しますということだけでは困りますので、済んだことについては出しますということをはっきりひとつ委員長に責任持っていただきたいと思います。
  164. 首藤堯

    首藤政府委員 何県何県という明確なかっこうでなしに、A、B、Cとかいうようなことであれば、済んだ分については出すように検討いたします。
  165. 細谷治嘉

    細谷委員 最後に。いろいろとやってまいったわけでありますけれども、いろいろと地方財政の今後の問題等議論されておりますけれども、私は最後に自治、大蔵両省にお聞きしたいのですけれども、五十年の十二月二十四日に大蔵大臣、自治大臣の覚書がございます。その第一項に、「両大臣は、毎年度の国・地方おのおのの財政状況を勘案しつつ、交付税特別会計の借入金の返還について、協議の上必要があると認めるときは、その負担の緩和につき配慮を行う。」先ほど主計官に聞きましたのは交付税の特別会計の外のやつですから、これはさっきのかなり前向きの誠意ある答弁と受け取りましたが、交付税特別会計の借入金、五十年度は一兆一千五億円、五十一年度は一兆三千百四十一億円、これは利子は負担しますけれども元金は返さなきゃいけない。五十三年から五十四年にかけて、八年間で返さなければなりません。法律に出ております。「協議の上必要があると認めるときは」とは具体的にどういう内容でございましょうか。いま言えないということでしょう。地方団体に迷惑のかからないように、そういう前提で、必要があると認めたときはその負担の緩和について、返すのを先に延ばすとかあるいは一部を特例交付金で見てやるとか、そういうことなんでしょうか、どうでしょうか、お尋ねいたします。
  166. 首藤堯

    首藤政府委員 大要趣旨、そのようなことでございます。具体的にはその事態にならないと的確なことは申し上げかねますが、やり方としては、財政計画策定等を通じ、この償還期はみんな計画上に影響を及ぼしますから、その結果の財源措置地方財政の運営を阻害するようなことにならないよう措置をするということでありまして、その措置の具体的な方法は、時によりましょうが、いま御指摘のように返還を延ばすとかあるいは臨特をもらうとかいろいろなやり方があろうかと思います。
  167. 藤井裕久

    藤井説明員 財政局長のお話と大体同じだと思いますが、ただちょっと大蔵省といたしまして敷衍さしていただきたいのですが、あの覚書には国、地方おのおのの財政状況を勘案することになっておりまして、国の財政状況も勘案することをつけ加えさしていただきたいと存じます。
  168. 細谷治嘉

    細谷委員 また最後にあなた、変なことを言うけれども、時間が来ましたから後の問題にして、私の質問を終わります。
  169. 小山省二

    小山委員長 井岡大治君。
  170. 井岡大治

    ○井岡委員 地方自治法の第二条の二項から三項についてお尋ねいたしたいと思います。  二項の、「その区域内におけるその他の行政事務で国の事務に属しないものを処理する。」こう書いてありますが、これはどういう事務なんですか。     〔委員長退席、左藤委員長代理着席〕
  171. 横手正

    ○横手政府委員 この点につきましては、文字どおり、条文にあるとおりに考えております。
  172. 井岡大治

    ○井岡委員 文字どおり考えているということはどういう事務なんですか。
  173. 横手正

    ○横手政府委員 第二項にありますように「国の事務に属しないもの」、これが処理されることになりますが、これを概括的に例示されておりますのが第三項でございまして、第三項の各号にわたりましてそうした事務が例示されておるところであります。
  174. 井岡大治

    ○井岡委員 三項に例示をした事務、そこで「但し、法律又はこれに基く政令に特別の定があるときは、この限りでない。」これはどういうことですか。どういうように理解したらよろしいですか。
  175. 横手正

    ○横手政府委員 一般的に言いまして、第三項の各号にありますような事務が普通地方公共団体事務になるわけでございますが、法律ないし政令で特別にこれらの事務につきまして国の権限等決められました場合には、これらの特別法の規定が先行する、こういうふうに解しております。
  176. 井岡大治

    ○井岡委員 そうするとこういうように理解していいですか。ここの例示してある事務、この事務はいわゆる地方公共団体の固有の事務、こういうように理解していいですか。
  177. 横手正

    ○横手政府委員 第三項各号の事務は本来地方公共団体が処理する事務ではございますが、特別の法律等で機関委任事務、こうしたものにわたるものもあるわけでございます。
  178. 井岡大治

    ○井岡委員 私の尋ねているのは、第二項でこれは全く文字どおり解釈してもらいたい、こういうお話でした。そして「政令に特別の定があるときは、この限りでない。」したがって、ここに例示をしてあるのが事務だ、こういうようにお答えになったから、例示してある以上は、じゃあ固有の事務と理解していいか、こう言って聞いているのです。
  179. 横手正

    ○横手政府委員 先ほども御答弁いたしましたように、本来の固有事務とそれから法律等の定めによりまして国からの機関委任事務にわたるもの、こうしたものを合わせてここには概括的に例示されてある、このように理解しております。
  180. 井岡大治

    ○井岡委員 そうすると、三の「上水道その他の給水事業、下水道事業、電気事業、ガス事業、軌道事業、自動車運送事業」、これは固有の事業というように理解していいですか。
  181. 横手正

    ○横手政府委員 地方団体が行います地方公営企業、これにつきましては地方団体事務、かように考えております。
  182. 井岡大治

    ○井岡委員 地方公共団体事務、こういうように考える。したがって、地方公共団体事務としてこれを規定しますと、それに対して国は何らかの法律的な保護を加えなければいけない、こういうように理解していいですね。
  183. 横手正

    ○横手政府委員 恐らく先生の御趣旨とするところは、地方公営企業等につきましてもその経費につきましてしかるべき財源措置を講ずる必要があるのではないか、こういう御趣旨かと存じますが、地方公営企業は御承知のとおり独立採算制のたてまえをとっておるところでございますし、私ども将来ともそのたてまえは一応維持すべきではないかというふうに考えております。
  184. 井岡大治

    ○井岡委員 私の尋ねることを先にお答えいただいたから感謝します。  しかし私はそれで理解のできないところがある。公営企業法の第三条に「地方公営企業は、常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならない。」「経済性を発揮する」ということはすべて独立採算、こういうように理解していいのですか。
  185. 横手正

    ○横手政府委員 ここにあります企業の経済性でございますが、これは企業一般に通じます経営原則としましての合理性と能率性を指すわけでございまして、たてまえとしては先ほど申し上げました独立採算にもつながる次第でございます。
  186. 井岡大治

    ○井岡委員 合理性と能率性を指すものであって、ひいては独立採算に通ずる。ところが合理的、能率的であっても独立採算に見合わない、こういうものがある。たとえば水道の場合。一定の供給がある。しかしそれは住民の負担というものが非常に高くなる。そこで抑える。そうするとその余分の分が出ますね。たとえばトン当たり二百円だ。しかしこれでは余り住民の負担というのが多過ぎる。そこでこれを百三十円にする、百五十円にする。これだけ足らなくなるわけですね。どうします。
  187. 横手正

    ○横手政府委員 地方公営企業は、地方公共団体によって経営されております以上、本来の目的であります公共の福祉を増進すべきことは当然でございまして、これは第三条にも「公共の福祉を増進するように運営されなければならない。」こういうふうに規定してある次第でございます。恐らく御趣旨は、こうした公共性と前段の経済性、これがいわば対立した感じがあるんではないか、したがって公共性の観点からしまして、特にただいま御指摘のような事例の場合に公共負担を充ててしかるべきではないか、こういうお考えだろう、かように思います。ただ、その点につきましては、公共的な見地から一般会計で負担すべきものにつきましては、はっきりと法律にも規定を設けまして一般会計からの必要な経費についての繰り入れの義務まで設けておるわけでございまして、そこらあたりで公共性と経済性の調和が図られておる次第でございます。
  188. 井岡大治

    ○井岡委員 繰り入れの義務を一般会計に負わしてある、したがってそれは十分やっていけるんだ、こういう御趣旨ですね。わかりました。ただし、いま地方公共団体は、これは財政局長おいでのようですけれども、軒並みに赤字を出している。結局は一般会計が負担ができない、こういう場合が多いわけですね。そこで私はやはり特別に物を考える必要があるんじゃないかと思う。ということは、交通の場合を取り上げて申し上げますと、大体採算のとれる路線それから採算のとれない路線、ずっとこう、私この間青森に行ってきましたけれども、青森の調査をしてみますと、百何ぼの系統があるわけです。その系統のうちで市町村合併によって合併をした条件でやっているところ、ところが住民税、市民税を取っているわけですね。だから当然延ばしてもらいたいということで延ばしておる、そこは採算がとれないわけです。それがいわゆる企業会計に大きな重圧になっている。だからこれらについて行政路線というものを明確にしてやる、こういう考え方が生まれてくるのは当然だと思うのですが、この点についてどういうようにお考えか。いまもうできていますか、できてないか、依然として区分を検討中か、こういうように言っておいでになる。この点どうです。——わからなければ、もう一遍聞きます。行政路線の策定ができているか、こういうことです。
  189. 横手正

    ○横手政府委員 御質問の点につきましては運輸省の方で検討しておられるということだと存じます。現在までのところ、御承知のように各都道府県で不採算地区の路線といいますか、行政路線についての対応の仕方についていろいろ検討をさせておる、こういう状況にあろうかと思います。
  190. 井岡大治

    ○井岡委員 真島さんおいでになっているから。真島さん、これは運輸省の所管に属する。私は、これはやっぱり自治省の方で勝手に決めろというようには言いませんけれども、運輸省と十分協議をしてやるべきものだ、こう思うのです。ということは、例をとって申し上げたように市町村合併をやった、合併の条件になった、そしてその条件を満たすためにバスを通した、電車を通した、こういう場合ですよ。これは行政それ自体は自治省が握っている。運行それ自体については運輸省がなにしている。だからその路線を行政路線と認定するかしないかは、これは私は主導権は自治省が持つべきだと思うのです。その採算をどういうようにカバーをするかということは運送事業としての運輸省が考えるべきだ、こういうように思うのです。この点、真島さんの御意見をお聞きしたいと思います。
  191. 真島健

    ○真島説明員 ただいまの先生の、市町村合併その他によってたとえばあるバスの路線が延びて過疎に入っている、そのためにそこの公営等のバスの採算が非常に悪くなった。これは、私ども実は行政路線という言葉は非常になじんでおりませんで、そういう過疎地域における住民の足の確保という意味からのバスに対する補助制度、これが四十七年以来だんだん拡充をいたしてまいりまして、現在原則として五人以上十五人未満、こういうような過疎路線、これに対しては補助を県と一緒になってしていこう、こういう制度をとっておるわけでございまして、御指摘のような場合にも、その路線が現在の補助制度に当てはまりますれば当然補助の対象にもなるかと思います。いずれにいたしましても、私どもの方は路線別に、非常に過疎で、これはたとえば私企業等に無理にやらせても社会的負担の重圧で維持ができないんじゃないか、そういうものについては県と一緒になって何とか維持をしたい、こういう制度をつくっておるところでございます。
  192. 井岡大治

    ○井岡委員 それは過疎対策としておやりになっている。だから、私の言うている行政におんぶをして、おんぶというか、行政のために運行せざるを得ない、これはやはり行政として責任を持つべきだと思います。過疎というものについての対策としてはいわゆる五人から十五人ってこれまたけちなことを考えたと思っているのですけれども、五人、十人というような、これはどこのバスだって五人か十人です、昼間走ったら。だからここの点については私は特別な措置を講じてやる必要があるのではないか。それが大きく圧迫をしている。もちろんそれについて私は努力をしなければいかぬ。これは実は運輸省の方にお尋ねをしたいのですけれども、そういうところに私はバス路線の再編成ということを考えていかなければいかぬ、こう思うのです。五人か十人しか乗らないのに大きなバスを走らして、そうして能率を上げない、こういうことよりは、やはりどう申しますか、小型のバスを走らしてそしてやっていく、こういうように指導されなければいかぬ。ところが、その小型について、大型については車両援助を出しておるわけですけれども、小型には出しておらないと思うのですが、真島部長いかがですか。
  193. 真島健

    ○真島説明員 現在の制度では車両購入費補助をやっておりまして、限度額は決めてございますけれども、それが大型であるか小型であるかについての区別は車両購入費補助についてはいたしておりません。
  194. 井岡大治

    ○井岡委員 してないでしょう。私はここにもやはり大きなロスがあると思うのです。  実は、これは秋田の例をとって申しますと、部長、秋田のなにに行ってこの間調べてきました。そうすると、いま言ったようにゾーンバスをやっているわけですね。小型のバス、末端の方に行くと小さいのから大きいのに乗り継いでやっている、この乗車効率が一三〇から一三五という非常に大きないい成績を上げているわけです。そういうものについて大きな方は補助はあるけれども小さい方は補助がない、こう言う、車両購入費に対して。だからこれらについても運輸省としては考えてもらいたい。同時に、そういう行政パスについては行政の路線というものはやはり自治省としては考えてやるべきだ、こういうように思うのです。この点、両方からお答えをいただきたい。
  195. 真島健

    ○真島説明員 先ほどの私の答弁がまずかったのかもしれませんが、小型バスに対しても車両購入費補助はやっておるわけでございます。それから、行政路線的なもの、これは私ども過疎路線という意味での制度を現在やっておるわけでございます。都市内においても同じようなものがもしあるといたしますれば、これはこれでまた検討の対象にしなければならぬ。わずかでございますけれども足なし団地というようなこともございまして、新設団地等にバス路線が引かれるときの補助というものはやっておりますが、なおその他さらに研究いたしまして検討いたしたいと思います。
  196. 横手正

    ○横手政府委員 地域住民の足をどのようにして確保するかということに尽きる問題と存じます。その意味で私どもも運輸省と十分連絡協議をとりながら、現在とられております地方バス路線対策といいますか、過疎地域の不採算地区の路線対策あるいはバス路線の再編成等に絡みまして、いわゆる行政路線的な形になって運用されておるようなものにつきまして運輸省からそれぞれ補助の道も開かれておりますが、そうした面につきましての拡充強化、こうした面につきまして相互に協議しながら努力してまいりたい、かように考えます。
  197. 井岡大治

    ○井岡委員 次に、鉄監おいでになりますね。鉄監の地下鉄の問題で、大規模な改良工事、こういうものに対する何らかの措置を講ずる必要があると思うのですが、この点はいかがですか。
  198. 妹尾弘人

    ○妹尾政府委員 地下鉄の補助制度につきましてはここ数年来その改善に努めてまいりまして、現在御承知のように建設につきましては六六%の補助ということをやっておるわけでございます。これは現在地下鉄の建設が非常にピークになっておりまして、それで年々補助金が非常にふえてまいりまして、現在本年三月におきまして三百八十億ほど。地下鉄の工事につきましては、ことしやった工事を来年について補助するというような形でございますので、来年はさらに百億くらいの足し増しをしなければならない、このように考えております。先生指摘の大規模な改良工事を含めましてさらにその制度の改善ということを図りたいわけでございますが、何分にも財源的にこの三百八十億くらいの予算にさらに百億を加えるということは非常にそれ自体でも困難でございますので、したがって大規模な改良工事の、性格にもよりますけれども地方公共団体において特に緊急性のあるようなものというようなものについて補助が欲しいというような話でございますと、全体の枠が限られておりますので、その分だけまた建設費にしわ寄せが行くというようなこともございますので、その辺、その枠の問題等々関連させまして検討を重ねていきたい、特にさしあたって大規模な改良工事という希望があるやに聞いておりますのは大阪ではなかろうかと思いますけれども、大阪市において一体どういった工事を優先的にやっていくのかというようなことをよく調査しまして、検討を重ねていきたい、そのように考えております。
  199. 井岡大治

    ○井岡委員 改良工事の規模、そういうものを相談に行けば十分に乗ってやる、こういうように理解していいですか。
  200. 妹尾弘人

    ○妹尾政府委員 もちろん、それは改良工事につきましても建設とあわせて結局金のもとは同じでございますので、市としても何を優先的にやるのか、限られた財源の中で何をやるのかということをよくお伺いしたい、このように考えております。
  201. 井岡大治

    ○井岡委員 ですから、改良工事をやるということについて相談に来たら乗ってやる、しかしそれはあなた方の対象以外のものをやってくれ、改良工事だと称して持ってきても、これはやれないのがあたりまえの話で、増設というのと改良工事、増設も改良工事の中に入るでしょう、同時に、どう申しますか複々線をやるという場合があるわけですね。これは明らかに改良工事なんです。ということは、トンネルをもう一つこっちにふやすだけですから、みんなやるわけではないですからね。そういう場合も認めるのかどうか。しかも認めるのは地下鉄の建設補助と同様に取り扱うのかどうかということが問題になっているわけなんです。やかましく言われているわけです。ですからそれを聞いているわけなんです。ところがそれをあなた方の方は、前年度の工事に対して補助をするのだから、やってないのにするとかしないということは言えない、こういうのがあなた方のこれまでの一貫した態度なんです。そうでなく、やりたいのだけれども、やれば莫大な金がかかる。だからやれないのだ。だから、そういうものについて認めてやりたいということになれば相談を持ってくるわけです。だから、その点についてどうするのですか、こう聞いている。
  202. 妹尾弘人

    ○妹尾政府委員 改良工事につきましては、確かに先生のおっしゃるとおりにいろいろな段階があると思います。いわゆるサービス向上のような、駅舎の改善とかそういったようなもの、これにつきましては当然補助金の補助をするというようなことには今後ともなり得ないものでございます。当然事業として運賃収入で賄っていくべきものであって、いわゆる輸送量増強に結びつくような性格のものにつきましては新たな新線建設と性格が同じようなものもあるのではないかということは確かにそのとおりであると思います。そういったものを補助の対象とするかどうかということにつきましては、私どもとしましては将来においてはそういうものも補助の対象にしたいということは考えておりますけれども、現時点におきましては、先ほども御説明いたしましたように新線建設という圧迫が非常に強くございまして、大阪でもたとえば一号線の改良工事というようなもののほかに四号線とか五号線とかいろいろな新線建設をまずやりたいという希望が強いわけでございます。私どもの獲得してきました予算の中では、そういった新線建設を大阪市に割り当てることで精いっぱいであるということが現状であるわけでございます。そういった観点からお話を伺っても、直ちに来年の補助ということにならないということは何度も申し上げているわけでございまして、まず工事をやってから持ってきなさい、そういうことは全然申し上げているわけではないのでして、いやそういった新線よりもまずこれをやりたいのだというお話でもございますれば、それはもちろん検討に値するだろう、そのように考えております。
  203. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 関連。どうもお話を伺っていると、大蔵省と運輸省との補助の協定の内容は建設補助ではないの、改良でもいいのですか。
  204. 妹尾弘人

    ○妹尾政府委員 先ほどから申し上げておりますのは、現在の制度では建設補助しかできないわけでございます。
  205. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 それを明確に言わないから、井岡議員はいろいろと質問をしている。どうもあなたの答弁はその点不明確だ。
  206. 妹尾弘人

    ○妹尾政府委員 建設補助しかないわけでございます。それで先生前からおっしゃっているのは、さらにその制度を見直して、改良工事につきましても補助対象にすべきであるという御要望が昨年以来この委員会においてもあるわけでございまして、その際私ども引き続き申しておりますのは、その新しい制度というものについては検討はいたします、検討はいたしますけれども、現在の段階におきましては新線建設ということで手いっぱいであるのでなかなかそうはいきません、ただその新線建設というものを、結局量をとるか質をとるかという問題になってきます。それで新線建設を抑制してでもというお話でもあれば、それは検討に値しますということを申し上げたわけであります。
  207. 井岡大治

    ○井岡委員 私は輸送力増強というのは新線だけが輸送力増強というように理解していないのです。現在行き詰まってしまっているものは当然増設をしなければいかぬ、改良しなければいかぬ、こういうふうに理解しているのです。したがって、せっかく補助制度を設けたのであるから、これを拡大すべきだと考えるわけです。ですから、この点は十分検討してください。
  208. 妹尾弘人

    ○妹尾政府委員 その制度検討は、繰り返し申し上げますようにいたしておりますけれども先ほどから申しましたような現在の状況でございますので、早急には困難である、このように考えております。
  209. 井岡大治

    ○井岡委員 時間がありませんから、この論議を続けておってもいきませんので……。  そこで、自治省に、企業債が非常に少ないために所定の工事ができない、こういうことで実は各都市とも困っていると思うのです。ことしはかなり大幅にふやしてもらったようですけれども、この点についてふやす意思があるのかどうか。
  210. 横手正

    ○横手政府委員 五十一年度の地下鉄関係の起債につきましては、昨年末来運輸省の方で、各地下鉄を経営しております地方団体と十分協議をされまして、おおむね五十一年度の事業量が決まりました段階でそれに必要な起債枠を確保した次第でございます。これからも事業の量に見合った地方債の確保に努力してまいりたいと思っております。
  211. 井岡大治

    ○井岡委員 本年は公庫債を六〇%まで伸ばしてもらったわけですけれども、去年の実績を見ますと、政府債が二九・六%それから民間債が七〇・四%、こういうことですね。政府債の利子は七・五%で、償還は三十年、ところが民間の場合は八・五%で十年。地下鉄というのは各国の歴史をずっと調べてみますと、大体十五年から先でないと一応の採算はとれないと言われておるわけです。また実績も出てきておる。十年で償還しろということは、非常に経営を圧迫すると思う。したがって政府債をさらに拡大することの方がより健全な経営を営ますことになるのではないか、こういうように考えるのですが、来年はそういうふうにやりますか。
  212. 横手正

    ○横手政府委員 ただいま民間資金については償還期限が十年ということでございますが、借りかえをやっておりますので、償還期限の面につきましては各地方団体余り問題は生じてないかと思います。しかしいずれにしましても、資金構成の面におきまして政府資金なりあるいはこれに近い公庫資金なりの拡充、充実は必要であろうか、かように思いますが、今後ともできるだけ努力をしてまいりたいと思います。
  213. 井岡大治

    ○井岡委員 実際はその借りかえをやって、金繰りはやっているんですよ。しかし安定して計画的に物を運ぶということはなかなかむずかしいと思う。だから、やはりこれは政府債を大幅にふやして計画性が持てるような方法にしてやることの方がより親切だと思います。だから、金繰りの問題でなくて、計画性をどう持たすかということの方がより大切だと思うのですが、いかがですか。
  214. 横手正

    ○横手政府委員 おっしゃられます御趣旨はよくわかります。したがいまして、先ほども申し上げましたように政府資金なり公庫資金、こうした面の充実には今後とも努力いたしてまいりたい、かように存じます。
  215. 井岡大治

    ○井岡委員 そこで、鉄監にもう一つだけお尋ねをしたいのですけれども、路面電車で再建団体にならずに努力したところは、いわゆる閑散路線と言うのですか、そういうものに対しては補助があるわけですね。一例を挙げると、これは鹿児島の場合です。ところが、札幌は再建団体になったために同じような閑散路線でありながら補助がない。その理由は、再建団体で国が利子補給なりあるいはたな上げなりをしておるからこれはお金を渡す必要はない、こういう理由のようですけれども、私はそうでなくて、経済性ということであるならば当然再建団体も同様な措置を講じてやる、そしていま問題になっておる電車、こういうものはああいう小さい都市は地下鉄を掘るわけにいかない、そういうように考えるのですが、この点いかがですか。
  216. 妹尾弘人

    ○妹尾政府委員 再建団体になっている市の路面電車、それから再建団体になっていない市の路面電車ということで、具体的に申し上げますと御承知のように再建団体になっていないのはことしの予算で補助をつける、それから再建団体になっている市、函館と熊本、これにつきましては補助ができなかった、こういうことでございます。  それで、再建団体につきまして、それにかぶせて地方鉄道軌道整備法による補助ができるかどうかという問題につきましては、ここ両三年、運輸省、自治省大蔵省の間でいろいろ検討いたしまして、ことしの予算におきまして、先ほど申し上げましたように、再建団体にならなかった鹿児島市につきましては、実は再建団体にならなかったという意味がございます。昭和四十七年の年度末に不良債務を持っていた先ほど挙げました二市が再建団体に指定されました。それで、鹿児島市は昭和四十七年度末においてはたまたま不良債務を持っていなかったためにそのときは再建団体にならなかった。ところが、四十八年度以降において不良債務が生じて、しかもその法律に乗れなかったというようなことがありましたので、これについては再建団体になった並みの補助をしようということで、地方鉄道軌道整備法のひさしを借りたというようなかっこうで、全面的な適用というふうには私どもちょっと考えていないわけでございます。したがいまして、二法をかぶせて適用する一というふうにはいまのところ踏み切れないというのが現状でございます。
  217. 井岡大治

    ○井岡委員 もう時間がありませんからまとめて聞きます。業務部長、岩手県の三社の合同をどのようなかっこうでおろしたか、これをお聞かせいただきたい。
  218. 真島健

    ○真島説明員 岩手県には御承知のとおりバス会社が四社ございまして、県北を除きました県南、中央、花巻、この三社がそれぞれ非常に経営難に陥りまして、会社更生法の問題その他が出てまいりましたが、三社が話し合いまして、本年の二月十日に三社の合併契約が締結をされまして、さらに合併をするということで道路運送法に基づく認可申請、これが三月末に出てまいりました。一方、合併でございますので独禁法関係の届け出が必要なわけでございますが、これも四月二十四日に公取において受理をされたようでございまして、今後さらに手続を進めていただきまして、出発体制が具体的に整いましたならば、私どももこういう形で三社が一致協力して健全な経営をやっていくという意味では非常に結構な方向だと思いますので、形が整い次第何とかこれを認可をする方向で進めたい、このように思います。
  219. 井岡大治

    ○井岡委員 横手さん、これについて一部沿線の市町村が協力する、こういうように向こうの新聞に載っておりました。御存じですか。
  220. 横手正

    ○横手政府委員 新聞情報によりますとそういうような声もあるやには聞いておりますが、今回の統合、これは一応三社が合併してとりあえず私的一元化と申しますか、そうした形で進められるというふうに聞いております。
  221. 井岡大治

    ○井岡委員 私は恐らくそれはそのままではいかないと思うのです。これは高知県バスと同様の結果をもたらすだろうと思うのです。したがって、沿線の市町村が何らかの応分の補助をしなければいかぬ、こういうように考えます。その場合、自治省はどういうような御措置をとられますか。
  222. 横手正

    ○横手政府委員 過疎バスと申しますか、行政路線と申しますか、そうした色彩の濃いものを民間の民営事業として行っておりました場合に、岩手県の事例のような場合に、恐らくそうした公的資金を導入すればという意向も強くなってくるのではないかというふうには思いますが、こうした民有を含めましたバス事業につきまして、事業全体の経営問題なりあるいは財政援助の問題につきましては当面運輸省の方でいろいろお考えいただく筋ではあろうと思いますが、まず全国的な方策を確立いたしまして、国の財政援助を明確にした上でそれに対応して、必要があれば各地方公共団体負担助成を行うというようなルールの確立が必要ではなかろうか、かように考えております。
  223. 井岡大治

    ○井岡委員 いまの考え方をさらに進めていただきたいと思うのです。それは各地の民営バスというのはほとんど用をなさなくなってきているところがたくさんあるわけなんです。そのために住民の足というものが奪われていっている、こういうのが各所に出ております。それだけにやはり国として、地方自治体が何らかの援助をしないと子供を学校にやるにしてもあるいは仕事に行くにしてもできないということで苦しい財政の中から援助をしている、こういう実態がございますので、ぜひひとつ進めてもらいたい、このことを申し上げておきます。  最後に、もう時間がありませんから、三十分ということでちょうど三十分になりましたからこれで終わりますけれども業務部長、高速道路の割引制度というものをもう少し大幅に引き上げるように建設省に話しする意思はありませんか。
  224. 真島健

    ○真島説明員 高速道路の料金につきまして、路線バス関係のあれかと思いますけれども、今後さらに優遇をしていく方向を打ち出せないかという御質問だと思います。  ちょっと長くなりますが、現在の状況を簡単に御説明いたしますと、たとえば首都高速、阪神高速道路を通っております路線バスにつきましては、回数券割引という形で大体四割程度の割引がなされております。それから、そうでないほかの高速自動車国道を利用する路線バスにつきましては、一応三割の割引が施行されております。ただ、この三割と四割の差につきましては、細かくなりますけれども、首都高速、阪神高速におきましては、料金制度といたしまして、一般の車を一といたしますと路線バスは二、大型で多少損傷するというような意味もありましょうか、二の割合で料金が決められております。その料金に対して四割引かれるわけでございますが、一般の高速道路につきましては、普通の乗用車一に対しまして、路線バスは一・五、つまり首都高速よりもここで優遇をされておるわけでございます。したがいまして、四割と三割の差がございますけれども、現在のところそれほど隔たった差はないということでございます。しかし、私どもも、地域住民の足の確保という意味での路線バスの今後の料金体系につきまして、料金改定などの機会を通じましていろいろと考えていきたいと思っております。
  225. 井岡大治

    ○井岡委員 次官に最後にお尋ねしておきますが、公営企業というのは——もう一つだけあるのです。忘れておりました。厚生省来ていますね。——いわゆる夜間診療、休日診療というものの状況はどうなっていますか。夜間診療あるいは休日診療に対して、厚生省はどういう指導をしていますか。
  226. 岸本正裕

    ○岸本説明員 休日、夜間の急病患者に対します診療体制につきましては、地域医療の一環といたしまして、それぞれの地域の実情に応じて各地方公共団体において整備を図るべきものであるというふうに考えております。近年特に、従来の交通外傷患者に加えまして、内科系とか小児科系の急病患者が増加をしてきておりまして、そういう意味で早急に休日、夜間の診療体制の整備を促進する必要が出てきております。厚生省といたしましては、昭和四十九年度から、人口十万以上の市を対象にいたしまして、地方公共団体立またはその地方公共団体の委託を受けて設置、運営する休日夜間急患センターに対します整備費及び運営費の助成を行ってきております。昭和五十年度末に百四十三ヵ所の整備を終えたところでございます。五十一年度におきましても助成内容の充実を図っていきたいと考えておりますので、今後とも休日夜間急患センターの設置を推進いたしますとともに、地域の当番医制等の普及を図るというようなことで地域の特性に応じた体制整備を進めてまいりたいと考えております。
  227. 井岡大治

    ○井岡委員 横手さん、大都市における夜間診療、休日診療というのは全く無医村と変わらないのです。厚生省うまいことを言っていますけれども、全国で百四十三というのは何ぼになるのですか。そんなもの何もないと同じですよ。だからそれらに対して、施設、こういうものに対しての補助を出してやるようにしないといけない。私はこの間話し合って、三カ月か四カ月かかりましたけれども、ようやく、お医者さんにみんな集まってもらって、休日に交代で出ていただく、看護婦さんも出ていただく、こういうことで話をしました。同時に、市役所の方に行って、その施設だけはつくってやってくれ、こういうことで話をしたわけですけれども、いまの地方団体というのはかなり財政が苦しいですから——医療施設というものは莫大な金がかかるわけです。ですから、ぜひこういうものについて考えていただきたいと思いますし、財政局長もこれには特別の措置を講じてもらいたいと思うのですが、この点、両方にお伺いしたいと思うのです。
  228. 横手正

    ○横手政府委員 休日、夜間診療体制の整備の点でございますが、お話しのように、診療所自体としては厚生省の方で整備計画を立てまして逐次整備を行ってきておりますが、これとて十分なことにはなるまいかと思います。また、これを補うものとしまして地区の当番医の制度、こうしたものがすでに全国で五百数十カ所設けられておるように聞いております。こうしたものをあわせ今後整備を続けていく必要があると思います。ただ、休日、夜間の診療所の施設の整備につきましては、国からも三分の一の補助、残りは市町村負担、こういうことになりますが、また、この診療所の運営費も三分の一の国庫補助があり、残りの三分の二が市町村の負担、こういうことになっておりまして、この裏負担分につきましては地方財政計画上も織り込まれておりますし、普通交付税の診療所関係の経費の中でかなり財源措置が講じられております。ただ、数が少ないという面につきましては非常に問題があろうかと思いますが、今後とも厚生省と連絡しながら、こうした面の充実にも意を払ってまいりたい、かように思っております。
  229. 首藤堯

    首藤政府委員 御説のように休日、夜間診療の充実を期すべきだと思うわけでございますが、ただいま審議官から申し上げましたように、国の補助が出ましたものについてその裏負担地方団体が持つということについては、計画にも算入をいたしますし、適切な財源措置を続けていきたいと思っております。したがいまして、国、地方お互いに協力をしてこの数をふやしていく、こういうことでぜひやってほしいと思っております。
  230. 井岡大治

    ○井岡委員 この点は、三分の一というよりは——医療施設というのは非常に金がかかるのですよ。どんななにが来るか。私、一番被害をこうむっているのです。私の近所はお医者さんたくさんあるのです。日曜日、夜になったら必ずみんな休んでしまいますから、先生、頼んでください、こういうことで起こされるわけなんですが、こういう点はもっと、三分の一というよりは半分くらいは出してやろうというようにすべきではないか、こういうように思うのです。ぜひ努力をしていただきたい、こう思うのです。  そこで、最後に次官にお願いをしておきますが、公営企業というのは、水道にいたしましても交通にいたしましてもあるいは病院にしても——病院は準公営企業ということになっておりますけれども、とても独立採算などではやっていけないのです。そうだからといって、私は受益者負担というものを全面的に否定しようとは思いません。思いませんけれども行政としてめんどうを見てやらなければいけない、こういうふうに考えるのです。それだけに何らかの積極的な措置を講ずるということをお考えをいただいて、本年度はもう済んでおりますから、来年度にはぜひ考えていただきたい。このことを要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  231. 奥田敬和

    奥田政府委員 先生のおっしゃるとおり公営企業は営利を目的とする、そういった立場ではございませんから、いろいろ収入のみをもって、いま御指摘になったような、なかなか維持困難な事業が各種あるということもわかります。しかし、私は、余り公営企業が最初から補助補助という形でやっていく形には賛成しかねるわけなんです。と申しますのは、私は、公共性というものとそういった経済性というものはそう対立した概念でとらえることもまた間違いじゃないかと思っております。と申しますのは、やはり最小の費用で最大の効果を上げていくということは、これは民間企業に限らず住民の福祉向上を確保する上においてもとても大切なことだと思います。  ただ、先生の御指摘になったように、いま水道あるいは病院、特に夜間診療とかあるいは閑散地診療とか、いろいろな意味で自治体の負担も入れなければいかぬ問題もございますし、その軽減の措置については国の財政投入も必要だということも十分理解して前向きに対処したいと思いますけれども、ともかく、その独立採算制というものを余り考えぬで公共性の方を先に重視しろという形ではなくて、これは二つの車として連関したものであろうという形で今後とも考えていきたいと思っております。
  232. 井岡大治

    ○井岡委員 そんなことを言うと私は言いたくなるのですよ。たとえば地下鉄とかバス、あなた、御存じですか。これは何も好んでやっているのじゃないのですよ。国の産業のためにやっているのですよ。ところが昼間を見てみなさい。乗っているか。朝と晩のラッシュのために車両は確保しなければいかぬ、人間は確保しなければいかぬのですよ。それを独立採算だけでやれなどということはとうてい不可能なことなんです。そんなことを言っておったら言いたくなりますよ。何ぼでも私やりますよ。  だから、やはり公共性というものの中でどれだけ補助を、いわゆる援助をしてやるか、こういうことの、どれだけが適切であるかどうかということの認定だけであって、それを公共性と独立採算というものが両輪だなどと言っておったら大きな間違いですよ。答えてください。
  233. 奥田敬和

    奥田政府委員 しかし、先生との御意見の相違は確かにあるんじゃなかろうかと思いますけれども、私とて公共性を否定して言ったわけではございません。ただ、公共性を強く主張される立場に立つと、ともすればそういった独立採算という方向づけがだんだんと失われていくという形も、これは公営企業自体にとっては大変な問題点じゃなかろうか。そう言えば、結局独立採算やめてしまえというような御意見にも発達してくるわけでございますし、そういった意味で、私は決して先生の言われる公共性というものを尊重しながら、営利を目的とするものではないという、そういった立場の公営企業の立場も踏まえながらお答したつもりでございます。
  234. 井岡大治

    ○井岡委員 交通の問題を取り上げて、じゃ、これはいわゆる国民の足として考えているのですか、どうなんですか。ここの点、先に聞きたいです。しかも、これは日本の産業にかかわる問題なんですよ。私は決して独立採算を消してしまえなんて一言も言っていないですよ。先ほども、受益者負担という原則は、これはやはり認めていかなければいかぬでしょう、しかしそれだけではいけないんですよ、こう言っているのですよ。いつそんなことを言ったのですか。     〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕
  235. 奥田敬和

    奥田政府委員 いまここで先生とそういった意味で論争する意思は毛頭ございません。ただ、適正な区分負担においてやるべきだということは当然考えます。前向きに処理したいと思います。負担区分についてはそういった方向で努力いたしたいと思います。
  236. 井岡大治

    ○井岡委員 私もあなたと論議しようと思わぬから言わないけれども、時間が三時半と、こういうことですから言わないですけれども、もう少しやはり全体を見て物を言わなければいかぬと思うのです。それが政治家なんですよ。理論どおりだけの話をするなら、何もここで論議する必要ないのですよ。これだけ忠告しておきます。  終わります。
  237. 小山省二

    小山委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。(拍手)  次回は、来る十一日火曜日午前九時五十分から理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十六分散会