運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1976-05-06 第77回国会 衆議院 地方行政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年五月六日(木曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 小山 省二君    理事 左藤  恵君 理事 中村 弘海君    理事 山崎  拓君 理事 渡辺 紘三君    理事 山本弥之助君 理事 三谷 秀治君       伊能繁次郎君    大西 正男君       片岡 清一君    渡海元三郎君       古屋  亨君    井岡 大治君       岩垂寿喜男君    小川 省吾君       柴田 健治君    細谷 治嘉君       山田 芳治君    多田 光雄君       林  百郎君    小川新一郎君       小濱 新次君    折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 福田  一君  出席政府委員         警察庁長官官房         会計課長    金沢 昭雄君         自治省行政局長 林  忠雄君         自治省行政局公         務員部長    植弘 親民君         自治省財政局長 首藤  堯君         自治省税務局長 森岡  敞君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局管理官  門田 英郎君         大蔵省主計局主         計官      藤井 裕久君         大蔵省主税局税         制第三課長   水野  勝君         大蔵省理財局特         別財産課長   松岡  宏君         文部省管理局教         育施設部助成課         長       西崎 清久君         厚生省環境衛生         局水道環境部環         境整備課長   山村 勝美君         厚生省医務局指         導助成課長   岸本 正裕君         厚生省児童家庭         局企画課長   加藤 陸美君         農林大臣官房審         議官      小笠原正男君         農林大臣官房審         議官      関根 秋男君         水産庁漁港部防         災海岸課長   根本 清英君         建設省住宅局住         宅建設課長   国吉  忠君         自治省財政局財         政課長     石原 信雄君         自治省財政局地         方債課長    花岡 圭三君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 五月六日  辞任         補欠選任   井岡 大治君     柴田 健治君 同日  辞任         補欠選任   柴田 健治君     井岡 大治君     ————————————— 四月三十日  地方財政危機打開に関する請願河上民雄君  紹介)(第三九七一号)  都行政確立に関する請願青柳盛雄紹介)  (第四〇四九号)  同(三谷秀治紹介)(第四〇五〇号)  同(加藤清政紹介)(第四一一二号)  地方財政危機突破に関する請願瀬野栄次郎君  紹介)(第四一一〇号)  地方財政危機突破に関する請願加藤清政君  紹介)(第四一一一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第二八号)  地方財政法等の一部を改正する法律案内閣提  出第五八号)      ————◇—————
  2. 小山省二

    小山委員長 これより会議を開きます。  地方交付税法等の一部を改正する法律案及び地方財政法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本弥之助君。
  3. 山本弥之助

    山本(弥)委員 四月二十八日の地方制度調査会におきまして、第十回研究会の案でございますか、「住民自治意識向上に資するための方策に関する答申(案)」というものの検討がなされたというふうに聞いておりますが、これはまだ検討中であって、結論が出ておるのかどうか、お聞きしたいと思うのです。
  4. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 現在地方制度調査会検討中でございます。学識経験者による起草委員会の案というのがこの前の研究会に出されまして、今後これを土台にしてなお検討を続けるという日程になっております。
  5. 山本弥之助

    山本(弥)委員 私もこの案なるものをいただきまして見させていただいたのでありますが、この中で、第一の「住民自治意識向上必要性」というところで、私もこの自治意識向上ということにつきましては同感であります。その中で、従来いろいろ問題になっておりましたし、地方制度調査会におきましても毎回の調査会のときに問題にされ、強く要望してまいっております「行政事務配分及びこれに伴う財源配分については極めて不徹底である。また、超過負担の解消、国の補助金交付に伴う過度の関与の是正等早急に改善を図るべき事項も多い。」ということが出ておりますし、それから最後に近い七ページだったと思いますが、私ども多年主張しておりましたし、また今後の地方自治体安定成長の中で福祉重点を置いて推進をするというたてまえからいいまして、地方自治行財政基盤の強化ということが必要であることは当然でありますが、その中で思い切って、「行政中央集権化傾向がみられ、ともすれば、地方公共団体行財政基盤への配慮に欠けることがあることは遺憾である。国も地方公共団体もともに国家の統治機構の一環をなすものであり、国は中央政府として、地方公共団体地方政府として、ともに国民福祉の増進という共通の目的に向かって」云々とあります。これは初めて地方政府という言葉が出てまいりましたことは、今後の地方自治あり方につきまして、英断的であると同時に、この草案起草の際に自治省がどの程度関与されたかはともかくといたしまして、今後の地方自治あり方として非常になじみのない言葉でありますが、私どもも数年前からいろいろな機会にこういった考え方に立っての自治運営が好ましいということでやっておりますが、わが党関係者の中にも、地方政府という考え方になじまない方もあるわけであります。それにいたしましても非常に私ども力強く感じたわけでありますが、この二点につきまして、自治大臣にいずれ詳しくお聞きいたしますが、重ねて地方行政の中で改めて財源配分について強調し、それから今後のあり方について中央集権化傾向から地方自治確立といいますか、地方政府的考え方に立っての点を強調していく、これは起草委員会起草でありますけれども、基本的な問題で、私はこの問題にしぼってきょうはお聞きしようと思っておりますので、大臣の確約を得られればもう余り質問をしなくてもいいことになるわけですが、いかがでしょう、御答弁願いたい。
  6. 福田一

    福田(一)国務大臣 私はまだ草案も報告も受けておりませんけれども、日本の国の政治というものをやる場合において、中央政府と、いままでは自治体と言っておるわけでありますが、地方自治体とが相互に分担をして、そして国民の生活の安定を図り、あるいは福祉向上を図っていく、こういうことが私は政治目的でなければならない、これが相関関係を持っておるということは、これはもう当然のことでございまして、何でも中央がやればいいということでもなければ、何でも地方がやれるというものでもない。そこで、どういうふうに政治の内容について、どういう仕事中央がやり、どういう仕事地方がやるかということを決めていくということが大事であり、それに応じて今度は財源配分をこれまた税によって徴収するというのが一つの基礎でございますから、その税の配分をどういうふうにして分けるのが合理的であるか、この両面からこの問題を考えていくというのが本来の筋であると思うのであります。私はまだいま案のあれを見てはおりませんけれども、恐らくはそういうことを踏まえて、いま御質問がございましたけれども山本さんのように地方自治体仕事もやっておいでになり、さらにまた、中央においていろいろと国の関係仕事もやっておいでになられるようなお方がやはりよくその間を御存じでございますから、ひとつそういう意味で合理的に問題の解決を図っていくように御協力を願えれば幸いである、私はこのように考えております。
  7. 山本弥之助

    山本(弥)委員 重ねてお聞きいたしますが、そういたしますと、今回指摘いたしました地方制度調査会、これは案ですけれども、その前段申し上げました行政事務の再配分財源の再配分、これは当然書くべきことを書かれたものだと思います。ことに大臣も、去年もそうでありましたが、ことしも特に去年よりは——同じようなことを書いておりましたが、去年は三木総理が初めて総理になられた施政演説で、地方自治体を重視するということを受けまして、大臣所信表明がこの委員会でなされたわけであります。それよりことしは少し強く、どうしても行政事務の再配分と、それから財源の再配分をやらなければならぬということを強く主張せられて、そして本年度はとにかく応急的な措置をやったんだ、こういう所信表明になっておるわけであります。行政事務の再配分財源配分は早急お取りかかりになりますね。それと、今後の基本的な考え方としては、地方政府というようなことはともかくといたしまして、中央集権的な考え方、これは憲法で初めて地方自治が充実されて以来、中央集権的な傾向というものは依然として牢固として残されてきたわけでありますが、今後の地方自治あり方からいくと、こういったできるだけ地方分権といいますか、地方自治体を尊重しながら、大枠があることは事実ですが、そのことは当然なことでありますが、中央から地方へいわば重点を、内政根幹として、これは大臣のお言葉ですが、内政根幹として地方に自主的な責任がある運営をするという意味分権ということについては十分努力をしていく、そして地方自治を育成するということをはっきりお約束できますね、この二点は。
  8. 福田一

    福田(一)国務大臣 先ほども申し上げましたが、政治根幹をなすものは、中央でやることと地方でやることとをどういうふうに配分していくかということであり、それと同時に、配分が決まっても財政がこれに伴わなければこれは実現できませんから、それが問題なんですが、そこで、これを実際問題に当てはめてみた場合に、いま山本さんもおっしゃいましたけれども、できるだけということをおっしゃいました。それはやはりいままでの、従来の一つの仕組みがございますから、それをだんだんに変えていく、そういう目的のために変えていくということについて私は決して異存はございません。異存はございませんが、じゃあ抜本的に急に変えられるかということになりますと、なかなかこれはむずかしい問題がいろいろ出てくるだろうと思います。しかし、むずかしい問題が出てくるからといって変えるつもりはないというのでは、これは全然また問題にならないのでありますから、そこでこれは現実の問題として、そうして一つ一つの項目、事実を取り上げて、そしてどう処理していくかということによってやっていくのが民主主義政治の姿ではないかと私は思っているのです。革命をやるのならば別であります、これは全部御破算にしてやり直すのですから。しかし民主主義政治というもので言えば、やはりある程度そういう点も踏まえて住民の方からも希望が出るであろうし、また、それに対して、住民に対してこういうようにやるのが一番いいことであるという言い方を中央がする場合もあるだろうと思うのです。これは政治をやっている以上は当然なことなんですね。  そこで、それをどういうふうにうまく処理をしていくかということが、これが政治の要諦であり、しかもその場合においていまおっしゃったように、今後やはりできるだけ自治といいますか、そういうような地方住民要望もかなえるような工夫をする。理論的にはこの仕事だけはこっちにやったらいいじゃないかということがあっても、それをする場合に、今度は財政的にそれを裏づけができるかどうかという問題があったり、住民がどれだけ何を望まれても、これを裏づけするにはやはり平たい言葉で言えば高福祉、高負担というような問題があったり、これはまあ一つの例でありますけれども、そういうこともありますから、現実を踏まえて処理をしていくというところに問題点があるのではないかと私は考えておるわけであります。
  9. 山本弥之助

    山本(弥)委員 また後でお聞きいたしたいと思いますが、この答申草案の中に、地方自治の高揚を図るということについては、それはもう私ども意見はないのでありますけれども自治を強調するために記念日を設ける、自治の日というふうなものを設けるということも、設けたから自治が高揚されるかどうか。憲法記念日というものの実態を見ましても、重要な憲法記念日ですら、どうもまあやればいいんだというふうなことでおやりになっているし、一方じゃ自民党の本部では反対で気勢を上げる、有力な過去の元総理が集会を開いて憲法改正ののろしを上げるというような、ちょっと私ども憲法記念日が真に生かされているかどうか問題があるような状態でありますが、単にこういう記念日によりまして自治が高揚されれば何をか言わんやでありまして、そう重視すべき問題であるかどうか問題がありますし、また、首長議員統一選挙記念日にやる、そうすると、それから選挙について二年交代でやる、参議員地方区みたいに、二年交代でやるというような問題についてはなお検討を要する問題であり、統一選挙をやることによって自治意識を高揚するということ自体にも問題があるように思います。しかも選挙区の問題がこれに伴ってくるでしょうし、あるいはいままで過去においてちょっと問題にしたと思いますけれども、現在の県会議員選挙が市郡単位になっておりますので、従来からだんだん一人区になりつつあるということで、私ども、これは市郡単位を離れて選挙区を考え、複数の選挙区を改めて、市郡にこだわらずに選挙区を決めるべきではないかというような議論をしたこともあったと思うのであります。まあこういつたふうに二年交代でやることによって優秀な議員が得られるような意味のことも書いてありましたが、そういうこともどうもこじつけの議論のように思いますが、その辺のことにつきましてはここでいま深く議論をする意思はございません。  ただ、末尾にありました地方分権的な自治によりまして今後の自治の進展を図るという意味において、住民意向を尊重するという意味でいろいろいままでの制度請求権制度あるいは首長議員議会との間の問題が起こった場合の同様の問題、あるいは重大な問題につきましては、予算の問題、案件の問題によりまして住民投票にまつというふうなことは、私は非常な前進である、こう思います。     〔委員長退席中村(弘)委員長代理着席〕  ただ、住民投票のところで、いままで気勢が上がらなかったということの事例に、地方公務員あり方について組合首長との間で話をすれば足りる、それに対して議会側あるいは住民側が無関心であるというような例を引いておるところに、何かこう自治省の意図するところ、もう二、三年前から意図しておられる、組合というものを弱体化し、いわゆる人件費の問題が地方財政のがんであるという前提に立っての締めつけ、まあこれらのことを多少意図しているようにとれる文章がありまして、こちらがそういうふうにとるのかもわかりませんけれども、何か自治省本当の意図を起草委員が多少暗示を受けたような印象を受けるところがきわめて残念でありますが、しかし、いずれにいたしましても、いずれ論議をする機会はあろうかと思います。そういう意味におきまして賛成する点、今後の地方分権意味において住民意思を尊重する、あるいは請求権なり住民投票というものを活用するんだということが必要であることは、私、当然だと思います。いろいろな意味において今後財政に制約を受ける、そうなりますと、やはり選択という問題になろうかと思います。多様な要望を選択するというときに住民意向を尊重するということは、これはもう今後の自治あり方の、遅いぐらいだというふうな感じがいたします。  しかし、それにしても肝心の、多年問題になってまいりました行政事務の再配分だとかあるいは地方事務官の問題、これもうやむやになっておりますが、これは一体どうされるのですか。財源配分前提として行政事務をおやりになるのか、行政事務はほどほどにしておいて、とりあえず財源配分ということを五十二年度予算編成までに必ず解決をつけるということなのか、その辺を行政局長にちょっと地方事務官経緯、それから行政事務配分については今後どういうふうにおやりになるのかということをお聞かせ願い、大臣地方事務官に対する、いままで耳にたこができるほどお聞きになっていると思いますが、私は本当の強い決意をお聞きすればいいと思いますので、今国会でどうのこうのというような責め方はいたしませんので、決意だけお聞かせ願いたいと思います。
  10. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 まず前段の今回の、現在答申案でございます。この中に盛り込まれた事項については、確かに先生のおっしゃるようにいろいろな問題点があると存じますが、現在まだ地方制度調査会審議中でございまして、これが答申案としてまとまるまでにもいろいろな、つけ加えられたり削られたりという経緯があると思います。いずれにせよ、全体を貫く、住民意識を高めるというか、自分の自治体行政関心を持ってもらうという方向は私はぜひ必要だという気はしておりますので、この答申をいただきましたら、それから後、この法的な問題点その他も十分検討いたしまして法案化して国会に御審議をお願いするという取り運びになろうかと存じますけれども、現在はまだ確定しておらないところでございますので、個々の問題については議論を先に譲らせていただきたいと思います。  それからなお、行政事務配分につきましては、この答申原案にも、先生が先ほどちょっと御指摘いただきましたように触れておりますが、実は地方制度調査会は過去に行政事務配分について三度、四度と触れておりまして、実際に具体的な事務まで挙げて答申をいただいたこともございます。しかし、これも政府部内のいろいろな意見その他がありまして、なおその答申が十分に実施されているとは言いがたい。     〔中村(弘)委員長代理退席渡辺(紘)委員長代理着席〕 一部は実施されておりますけれども、先ほど例に挙げられました地方事務官のように、答申で再三再四指摘されておっても、いまだに解決がつかない問題もありますが、この問題についてはなおずっと引き続き努力をしてまいりたいと存じております。  最後地方事務官問題につきましては、答申にも何度も御指摘いただきましたし、この委員会附帯決議もいただきましたし、それらに即しまして、私たちとしては、実は全力を挙げてこの解決に努めてまいったつもりでございます。従来の事務的折衝ではなかなか一致点が見られないということで、今回はまあ事務政治の接点と申しますか、関係各省政務次官にもお集まりいただいてこの問題について議論していただいたのでございますけれども、なお結論に至らなかった。これはわれわれのある意味では努力不足と存じます。大変申しわけないと存じておりますけれども、引き続いて私たちの方は、行政事務配分にしろ、特にこの地方事務官問題にしろ、必ず近い将来において解決したいということで従来以上の努力を続けてまいりたい、こういうふうに考えております。
  11. 福田一

    福田(一)国務大臣 地方事務官問題は、ただいま行政局長からもお答えをいたしたわけでありますが、私も非常に、実は事務だけでやっていても、——何とか解決がしたいと思いまして、約半年、昨年の十月ごろから関係各省政務次官それから官房長官というもので調整をするようにということで、その調整のために会合も恐らく十回以上開かれておると思うのであります。そうして、労働組合関係の方の御意見もいろいろ承りました。それからまた各省意見もいろいろ聞いてみたわけでありますが、各省の間とも話がなかなか煮詰まるようになりません。三木総理も非常に心配をいたしまして、何とかしてくれということを私にも言っておったのでありまして、私もその努力をいたしましたが、組合の方の話を聞いておっても、それぞれまた御意見の違った面もあるようでございます。そういうことで、一本化した意見というものをどうしてもまとめることができなかったということが実相でございまして、しかし、附帯決議でこの委員会においてもそういうお話もあるのでありますから、今後もひとつその努力を続けてまいりたい、かように考えておる段階でございます。
  12. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そうしますと、政務次官会議いきさつ等御破算になったものと私どもは了解しておりますので詳しく申し上げませんが、大臣としては、長年定着してきた——これは事務の再配分でも何でもないわけですね。すでに円滑に事務が進行してまいりまして、人事権の問題だけが解決すればすべてが解決するという問題でありますので、私どもが過去において、二年前に附帯決議をつけました趣旨によって、できるだけその線に沿う努力をするということははっきり大臣、おっしゃっていただけますね。
  13. 福田一

    福田(一)国務大臣 私は、それは努力をするということについてはあれでありますが、しかし、やはりこういうことをやるには、関係しておる人たちの、特にまた組合関係などの意見も十分聞いて、これが一致することが非常に大事ではないかと考えておるわけなんです。だから、組合関係で話が一致するということであれば、問題が非常に早く前進したかと思っておるのでありますが、これがなかなか一致をしなかったということも山本さんがよく御存じだと思います。その方が一致をするということになれば、役所の方もわりあいに話が進みよかったと思うのでありますけれども、そこいらになかなかむずかしい面があったということも御理解を願っておきたいと思うのでありますが、これは相協力して、そしてこれが一致するような方向に持っていくということが必要なんであって、何でも上の方から、これはこういうふうにするんだということで決めてしまって、組合あたりでいろいろな意見が出たりすることは私は決して望ましい政治の姿ではない、こう思っておるわけなんです。ここいらもひとつ十分、もうおわかりを願っておることではございますが、御理解をしていただきたい。現実にいまそういうふうにやられておるんだから、身分さえ変えればいいんじゃないか、こう言っても、身分を変えられる人の立場というものもございますから、その中に意見が合わないということがあったり、片一方にはまた別のあれがあったりいたしまして、実はなかなかむずかしいことがあるということであります。その点お互いに理解し合って、与野党一緒になってそういう問題の解決努力をするということが一番いい姿ではないかと私は思っておるわけであります。
  14. 山本弥之助

    山本(弥)委員 くどいようですけれども大臣組合の問題にすりかえないでいただきたいと思うのです。いまの政府は、組合に対するのは非常に高姿勢ですね。そういうときに、問題の所在を組合に切りかえてもらうのは私ども遺憾だと思うのですけれども、いずれにしても、この問題はすでに各方面で意見一致した問題ではなかろうか、かように私ども考えておるのです。すでにもう数年前に解決をつけなければならぬ問題である、かように考えております。  たとえば、本日、行政管理庁に来ていただいておるのですが、行政管理庁は過去において地方制度調査会と同じように、特別の委員会を設けてこの問題、いわゆる行政改革という問題に関連いたしまして膨大な費用と日時をかけまして答申したのが、いまだにこの行政改革の問題としての解決の前進を余り見ていないわけなんですね。まあ最近の、これは五十年の四月の委員交代のときの答申だと思いますが、行政監理委員会から、やはり事務の再配分の問題と地方事務官の問題に触れられておるわけなんです。そして強くこの点を要望しておるわけです。国と地方との行政事務の再配分、機関委任事務の整理ということにつきましては、詳しく申し上げませんが、従来の主張がいまだに解決がつかないということについて強調をせられ、今後やるべきだということを主張し、地方事務官の問題にも特に触れておるわけなんですね。私は、いままでの経緯を見ますと、自治大臣が御努力を願うにしてもなかなかいろいろな摩擦があるということもよく知っておるわけなんですが、かつて福田総理行政官理庁長官をしたときに、私も予算委員会でしたか、質問をし、その後福田長官も非常な理解を示されて、いろいろ細かい点につきましても、特にこの地方事務官の問題で陳情というか要求に参りましたときも、詳しくいろいろ今後進めるべき手だて、労働省、厚生省その他に対する考え方につきましても承ったわけなんですが、その後の長官はほとんどこの問題に理解を示していないという事態でありますが、最初から言い出した行政管理庁としては、自治省ばかりに、——政務次官会議行政管理庁政務次官がどこまで主張されたか私聞いておりませんが、どうも熱意がないような感じがするのでありますが、私はむしろ自治省に十分協力するのは、こういった行政改革を担当されました行政管理庁努力が非常に必要じゃないか。   〔渡辺(紘)委員長代理退席委員長着席〕 みずから買って出てもこの問題の解決に乗り出すべきではないか、かように考えるわけですが、今後行政事務の国と地方との再配分の問題、ことに地方事務官の問題についてどういう姿勢でいかれるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  15. 門田英郎

    ○門田説明員 ただいま山本先生から御指摘がありました点ですが、御説明申し上げます。  先生御指摘のとおり、昭和四十八年でございましたか、福田行政管理庁長官でありました当時に、いろいろと関係大臣にお集まり願いまして、今後この地方事務官問題、これの解決についていろいろと大臣間のお話し合いがございまして、鋭意迅速にこの問題の解決処理に向って進んでいこうではないかというふうなお話し合いがあったわけでございます。その後私どもの方としましては、関係官房会議などの場を催しまして、鋭意その問題の解決に努めてまいったつもりでございますが、ただいま自治大臣あるいは行政局長の方から経緯について御説明ございましたそのとおりでございまして、まことに申しわけございません。私どもの方としましては、今後とも内閣官房あるいは自治省、こちらの方とよく御相談申し上げ、関係三省庁とも御相談申し上げ、この問題の調整ということに努力してまいりたい、かように考えております。  また、御質問の後段でございますが、国と地方とを通ずる事務配分、さらには機関委任事務の整理、確かに御指摘のとおり、昨年四月二日でございますが、第三期監理委員会先生方の御提言ということで私どもの方にいただいたわけでございます。早速政府部内といたしましては、先生御案内の行政改革本部、これは私どもあるいは自治省、大蔵省というふうな行政改革関係する省庁の集まりでございますが、この行政改革本部においていろいろと検討いたしまして、昨年の五月の末でございましたか、この提言の取り扱いについてという本部決定を行なっております。その中で、この機関委任事務の整理あるいは行政事務配分、これにつきましては、御提言の方でも、今後引き続いて検討すべき課題だということで御指摘になっていらっしゃる問題でございまして、この問題につきましては、自治省、大蔵省、それから私ども、この三省庁が中心になって今後検討を進めていこうということを決定いたしました。  実は私どもの方といたしましては、この二月の十八日でございますが、私どもの方の付属機関として行政監理委員会という委員会がございまして、こちらの方に、行政事務の整理合理化に関する方策いかんという諮問をいたしまして、今後この問題についての御審議をいただこう、こういうふうに考えているわけでございます。すでに諮問はいたしまして、この問題についていろいろと検討を進めています。ただ、この行政事務配分の問題につきましては、先生御案内のように、地方制度調査会、そちらの方の御意見をすでに何度もいただいております。また今回、第十六次でございますか、調査会の方でいろいろと御検討になっておられます。そちらの方との有機的な関係、これを保っていかなければいけない、こういうふうに考えている次第でございます。以上でございます。
  16. 山本弥之助

    山本(弥)委員 その諮問に対する答申というのは、いつごろまでというふうに日時を限っておられるわけですか、どうでしょうか。
  17. 門田英郎

    ○門田説明員 御説明申し上げます。  日時は特に限ってございません。限ってございませんが、行政事務の整理、合理化は非常に範囲が広うございます。非常に範囲が広うございますし、また先ほど申し上げましたように、先生御指摘の問題につきましては地方制度調査会との連携が必要でございます。したがいまして、この時間がどのくらい必要であるか、このあたりについてはまだめどは立てておりません。
  18. 山本弥之助

    山本(弥)委員 今日の、国の財政もそうでありますが、地方財政というのは非常に危機に当面しているということはおわかりだと思いますので、論議論議で、答申したけれども、それが実行に移されないという態勢はもう私は許されないんじゃないか。過去の資料が幾らでもあると思いますので、早急に論議を詰めまして、内閣の実行に移すべきではないかというふうに私ども感じておりますので、よく地方制度調査会と緊密な連絡をとるにいたしましても、この問題につきましては積極的に行政管理庁も一役を買うという態勢で早急に作業を進めていただきたい、かように感じております。  それから、この機会に、地方制度調査会に対しましては、間もなくいまの行政に関する問題の答申の論議が進められると思いますけれども大臣所信表明にも、またたびたびいままでの各委員会予算委員会を初めとしての答弁でも、早急に取り組むということについての所信が言われておりますし、先般所信表明をされました本委員会のあれにも、地方制度調査会答申の趣旨を踏まえてというような文句になっているのでちょっとあいまいなのですが、その答申は、七月の主として財政硬直化に関連する一般的な問題についての答申がなされたと思うのですが、それを意味しておるのか、さらに地方制度調査会財源配分まで諮問されて審議を促進されるのかどうか、その点ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  19. 福田一

    福田(一)国務大臣 御質問の御趣旨は、行政制度を改めると同時に、財政問題も含めて私が具体的にやるのか、あるいはまた制度調査会に諮問をするのかというように承ったわけでありますが、私としては常時、地方中央を通ずる行政事務配分ということは、自治省としては、たとえ調査会に諮問しようとしまいと本来の任務であると思っております。その本来の任務を行うについて制度調査会の方にも意見を求めておるというのが本来の姿であって、そうでなければ自治省の存在理由はないわけです。私はいつでもそれは考えていなければならない、かように思っておるわけであります。したがいまして、今後もそういう意味合いにおいて、自治省としては常にこの問題と取り組んでいかなければならない。ただ、しかし、一挙にそういう問題が解決できるかというとなかなかいろいろの障害もあり、またいろいろ財政問題もございますから、それとの関連をにらみ合わせながら、常に前進を続けていくというのがこれからの姿でなければならないと思っておるわけであります。そういう意味合いにおいて私としてはこれからも努力をいたしたい、かように考えておるわけであります。
  20. 山本弥之助

    山本(弥)委員 私は過般の十六次地方制度調査会において云々と述べられて、「考え方の基本をお示しいただいているところであり、これを尊重しつつ事務配分及び財源配分について一層の改善に取り組んでまいる所存であります。」これは大臣決意は、去年の所信表明より強いですね。だから地方制度調査会に諮問しなくてももう十分わかっておるので、直ちに財源配分その他について自治省努力をされるという意味なのか、また諮問をして、答申を待って検討をされるのか、どうなのかということをお聞きしているわけです。
  21. 福田一

    福田(一)国務大臣 その問題につきましては、私は本来の姿としては、自治省はいつでもやらなければならぬことだと思っておりますけれども、しかし制度調査会というものがある以上は、これもまた尊重をすべきものである。したがって、六月にはもう一度この問題について諮問をいたしまして御審議を願うということは、御案内のように、いま財政的に非常に苦しい状態にございますからして、どうしてもことしの十月以降にはこの問題と積極的に取り組まなければならない姿にあるということは、一応われわれとしては想定をいたしております。したがって、その場合においても地方制度調査会に一応諮問をいたして、そういう面についてもお考えを承っておきたい、こういう考え方でおるわけでございます。
  22. 山本弥之助

    山本(弥)委員 いつまでも逃げられそうな感じがしますけれども、この機会にお聞きしたいと思いますのは、地方制度調査会ばかりじゃありませんが、税制調査会というのがありますね。この税制調査会は、今回の通常国会が終わると同時に税制改正について直ちに作業に入る。そしてその作業に入るについては、大蔵省としてはどういうものを諮問するかということが新聞に報道されておるのですが、それによりますと、土地課税の緩和あるいは租税特別措置の整理、所得税減税を三つの柱として、新しい財源検討あるいは法人税の基本的仕組みや利子配当課税の見直しということについて検討をしてもらいたいという大蔵省の意向だ。しかし税制改正の大きなことは行われないで、ある程度まで、わずかな微調整の税制改正になるのではないか、こういうふうなことが新聞に出ておりますが、大蔵省お見えでございますか。これは本当でございますか。
  23. 水野勝

    ○水野説明員 例年でございますと、税制調査会は、国会が終わりますと国会の御議論をいろいろまとめて御報告したりというような機会がございまして、審議があるのが例でございますけれども、来年の税制改正となりますと、来年の問題につきましては来年の経済情勢なり財政事情なり、そういった点がまだ五十一年度自体が発足したばかりでございますので、五十二年度そういう経済状態、財政状態がどうなるかということはまだかなり、かなりと申しますか全く不確定でございますので、基本的にどういう方向で来年の税制改正が行われるかということは、現在の段階で税制調査会に御議論いただきましてもなかなかむずかしい段階ではないかと思うわけでございます。  先生のいま御指摘になりました問題、これは従来から言われておりましたそれぞれ大きな問題でございまして、当然税制調査会が再開されましたら議題にはなるかと思いますけれども、それが来年度におきましてどういう方向になるかということは、私どももまだ大変自信のない段階でございます。税制調査会で御議論いただきましても、すぐ報告が出てくるという問題ではないのではないかというふうに考えております。
  24. 山本弥之助

    山本(弥)委員 大蔵大臣がお見えにならなければなかなかお答えしにくい問題だと思うのでありますが、先ほどからの議論をお聞き願っていると思うのでありますが、私どもは、もう事務配分もともかくもこれに関連いたしましての国、地方との税源の配分が必要だということを強く感じておるわけですが、これは私どもの感じだけではないのですね。地方制度調査会におきましてもあるいは行政管理庁におきましても知事会におきましても、各方面からそのことを強く要望しておるわけです。そういたしますと、国と地方との税源の配分というようなことは、現在の自治省の税務局には頭の端っこにもないわけでしょうか、どうでしょうか。
  25. 森岡敞

    ○森岡政府委員 税制調査会の今後の日程につきましてはなお不確定でございますが、先ほど大蔵省の方からお話のあったようなことだと私も考えております。  それで、御指摘の地方の自主財源の充実の問題でございますが、一面におきまして地方自治体が責任を持ってその行政を執行して住民の負託にこたえる、こういうことを実らせますためには、やはり御指摘のように自主的に運用できる財源をふやすということが基本的に大事であろうと思います。また第二に、先ほどからの御質疑に出ておりますように今後の経済の状況を考えました場合に、現行税制についてかなり基本的な見直しを行うという必要が出てまいるということも一つの大きな問題であると思います。  その場合に、国と地方との間で税源の再配分について検討をするということは当然必要になってまいると思います。ただ問題は、一つには先ほど来またお話の出ております事務の執行の形というものをそのままにしておきまして税源を振りかえると申しましても、これは国も地方も、先ほど大臣からも申し上げておりますように、協力をして、要するに住民福祉向上を図るわけでございますから、片手落ちになっては仕事ができないということに相なります。ですから国庫補助金の問題でございますとか、あるいは機関委任事務その他の事務配分の問題でありますとか、全くうらはらに関連する問題でありますので、やはり税制調査会でいろいろ御議論いただきます場合にも、それらの問題を切り離してはこれは御議論をしていただくわけにはまいらない。したがいまして、地方制度調査会におきましても税制調査会におきましても、同様の趣旨で両面から問題を詰めて御議論をいただくということではなかろうかというように思っております。
  26. 山本弥之助

    山本(弥)委員 私はいまここで個々の税制の改正要点につきましては申し上げるには時間がないと思いますが、従来の懸案としては住民税の減税という問題もありますけれども、大きくは所得税との配分問題、あるいは法人課税は地方税としてもう少し市町村を重点に置いた関係を考えなければいかぬのじゃないか。それは従来各委員が主張しておりました事業税の外形課税の問題あるいは租税特別措置の問題、非課税の問題あるいは東京都なんかも熱心にやってもっともだと思われる、たとえば地方税としては利子配当というものは税収にならないので、総合課税によってこの問題ば捕捉できないか、いろいろ問題はたくさんあるわけですが、少なくとも来年度の地方財政を考えるとなれば、先ほど地方制度調査会答申も必要ですが、地方制度調査会答申ももうある程度まで自治省ではわかっておるはずです。一方税制調査会が始まるということになれば、当然自治省としては、財源配分の問題で税制改正をどうするか、私どもは五十二年度から解決願いたいと思っておりますけれども、そう簡単にいく問題ではないにしても、中期財政計画におきましても将来国は国民所得に対して従来の課税のパーセントを二%上げる、地方は一%、従来のパターンでしょうけれども、これもお聞きしたいと思っていますが、そういうことがすでに予算委員会に提示になっているわけなんですね。その場合に二対一がいいのかどうかという問題もありましょうし、早晩この中期展望というのは政策的に検討されるべき問題だと私は思うのですが、そうすると、最も早く始まる税制調査会地方制度調査会と並行いたしまして、自治省の主張すべきことはこの際主張しておいていただかないと、大臣所信表明とか、いろいろやりますやりますということは時期的に全く空文になるという感じがするのです。その点、時間の関係で具体的に申し上げませんが、すでに税務局長のところではおわかりだし、大臣理解をしておられると思いますので、そういった時期を失しないように……。微調整ということになれば来年は大きな税制改正がない、ということは国と地方との問題もこれは再来年度以降に回されるということなわけでありまして、いま地方自治体が計画的にやるということは来年どうなるのか。去年、ことしがまことにお粗末な応急対策であることは、これは大臣よく御承知だと思うのです。それをどう軌道に乗せて地方自治体が今後の計画的あるいは自主的運営をするということについて、本当地方自治体の側に立っての自治大臣であるならば、遅きに失しないように手を打つことをお考えにならなければいかぬ。当面の税制調査会もそうだと思いますので、これは税務局長がんばっていただくと同時に、大臣もその点のことを強く主張願いたい、こう考えておりますが、いかがでございましょう。
  27. 福田一

    福田(一)国務大臣 私はいま山本さんのおっしゃったような気持ちでおるわけでありまして、そういうようないろいろな個々の問題についても自治省もいろいろ考えておる、いままでにも考えておりますし、いままでもいろいろやっておると思う。大蔵省の方でもまたそういう意味においていろいろ研究をいたしておると思います。要はどこで決断をするか、どう処理するかというこれは政治の問題でありまして、むしろもはや事務の問題をある意味では、場合によっては離れている問題もあるかと思うのであります。私は、これは政治の問題として十分考えなければならない、こういう決意を持っておるのでありまして、いままでもしばしばそういうことは申し上げておるつもりでございますから、その点はひとつ御安心を願いたいと思います。
  28. 山本弥之助

    山本(弥)委員 税制調査会地方制度調査会、そのほかに自治省としては、ほかの方の何か諮問機関みたいなものに諮問されるのでしょうか。
  29. 首藤堯

    ○首藤政府委員 主たるものは、いま御指摘をいただきました地方制度調査会、税制調査会、こういった機関でございます。なお、内部的には財政審議会という組織も私どもの方にございますので、そこの意見等も十分承りたい、こう考えております。
  30. 山本弥之助

    山本(弥)委員 地方財政審議会というのもありますね。これらも、失礼な言い分をお許し願えれば、自治省の意を受けて十二月に答申を出すという程度じゃなくて、今後、この問題は真剣でありますので、知事会にいたしましても市長会あるいは町村会におきましても、どう来年から対処するかということについてはみずからも検討し、努力もし、一つの案を強く政府に要求する態度をとるのではないか、またとらなければならないと私どもは思っておりますが、その場合に地方財政審議会のごときも、やはり地方団体の実態把握と同時に、むしろそういうものの窓口になって自治省をバックアップするという審議会にすべきではないか、かように考えますので、その辺を十分検討願いたいと思っております。しかし、余りいろいろな審議会に諮問をして答申を得たというだけでは困ると思うのですね。すでに去年、自治省自治協会ですか、学者に諮問されて、私ども十分検討はしておりませんが、これもすでに答申が出ているわけですね。それのわかりますことは、既存の制度を尊重しながら財源が足らぬということで、いい答申を出しておられるような感じがいたします。前書きを見ましても、今後の安定成長福祉重点地方自治体あり方、それでもなお金が足りぬので、ある程度まで負担を上げなければいかぬ、こういったこともすでに答申になっておりますので、資料はたくさんおありになっているのではないかというふうに感じます。  もう一つ中期展望ですね。あれを大蔵省が出されたと同じように、自治省の方も地方財政についてお出しになっているようです。これはどういう評価をされておられるのですか。財政局長から御答弁をいただきたい。
  31. 首藤堯

    ○首藤政府委員 この前ごらんをいただきました中期見通しでございますが、これは全く一つ前提、つまり大蔵省が中期展望をつくられましたような現状における前提というものをそのまま踏襲をした場合の仮の姿と申しますか、その場合にこうなるということを積算をしてお目にかけたわけでございます。したがいまして、先ほどから御指摘があってございますように、たとえば税制だけをとりましても三%の負担増を一応国二、地方一と現行制度のバランスのままで上げてございますが、これがいいのかどうか、この事態に伴ってどう財源増強をしていくべきか、こういうものは、これをたたき台にして議論がその後に出てくる、こういう問題でございまして、あくまで現状におけるままの事態を前提に置けばこのようになるだろう、このようにお読み取りをいただきたいと思っております。
  32. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そうしますと、聞くまでもないことだと思いますが、現行の税制をたてまえにして国二、地方一の増収を見込んでおるということは一応の見通しであって、その政策的な内容、あるいは交付税にしても三二%の率の変更ということを考えないで見ておる。それから、いろいろ貸し借りというか、五十年、五十一年と、交付税だけでも二兆四千億ですか、というような金を借りておるのですが、それを将来どうするかということも——この計画だとうまくいくようになっていますね。それらも検討して、政策的に早急に来年度以降、税制の国と地方との配分の問題あるいは交付税のあり方その他について政策的に裏づけをするということを早急におやりになるわけですね。
  33. 首藤堯

    ○首藤政府委員 中期展望はあくまで現状のままを前提にしたものでございますから、こういう現状を意識しながら、先ほど御指摘をいただきました根本的な解決策にこれから取り組んでいこう、こういうことでございます。
  34. 山本弥之助

    山本(弥)委員 早急にその点が来年度予算に反映するように間に合うわけでしょうか。
  35. 首藤堯

    ○首藤政府委員 これから御議論をいろいろいただくわけでございまして、各種の方法論が出てこようと思います。そういった点につきまして、それが、何と申しますか、一挙に解決がつくかどうか、こういった点については今後の事態の推移等もあろうかと思いますが、私どもとしてはできるだけ抜本的な改革を進めていく、こういう態度で臨みたい、このように考えております。
  36. 山本弥之助

    山本(弥)委員 これは聞くだけ。もうすっかり崩れておりますので、こういうせんさくをしてもどうかと思いますが、地方交付税の税率の変更、これは六条ですか、「引き続き第十条第二項本文の規定によって各地方団体について算定した額の合算額と著しく異なることとなった場合においては、」とありますね。この「引き続き」というのは、臨時国会で松浦さん答弁なすって、あるいは予算委員会でも答弁しておりますが、著しいというのは、二年そういう状態が続いたらと、もっとも四三%に近い交付税の率になるほどの交付税額を確保なすったのだから問題にならないことになっていると思うのですが、「著しく」というのは一体どういうことなんでしょうか。まさに該当しておる——該当しておるところの騒ぎじゃない。大きな政策的な問題でこの条文が全く死文になっておるという感じがするのでありますが、もし財政局長の御見解があればお聞かせ願いたい。
  37. 首藤堯

    ○首藤政府委員 ただいま御指摘がありました去年の委員会等でも前財政局長がお答えをいたしておりますように、長期というのは大体二年程度引き続きそういった食い違いができておる、つまり赤字がある事態であり、さらに三年目もまたそのような見通しであろう、こういうような事態を指す、こう言っております。それから著しく違うということは、大体一割程度以上違う、こういう事態であろうと答弁をいたしておりますが、過去のいきさつからあれいたしましても、そのとおり考えるべきものと思っております。したがいまして、ただいま御指摘をいただきましたように五十、五十一年と大きな財源不足に見舞われておりますし、五十二年度もまたそのような大きな財源不足に見舞われるという見通しがはっきりしてまいりますならば、まさしく六条の二に言う事態に事態としては該当しておるということ、したがって制度改正なり交付税率の見直しなりそういったものについて早急に検討すべき事態であろう、このように認識をいたしております。
  38. 山本弥之助

    山本(弥)委員 大臣交付税率の引き上げについては大蔵省と折衝を早急に始めていくべきであり、ぜひとも法の趣旨に沿うような体制に持っていくということに当然御努力願えるわけですね。
  39. 福田一

    福田(一)国務大臣 財政局長からお答えをいたしたとおりでございますが、制度の改正という問題かあるいは交付税率の変更という問題か、両面から考えてみなければならない問題でありますが、しかしこの種の問題はもう大体だれもが認識をしておるのでありまして、その時期になってどう決めるかということは、私やはり政治の問題になってくると思うのであります。もうこれはある意味では事務だけでは何としても解決をしない、そういうときに当たっては、政治としてわれわれは十分にその点を認識しながら、法の精神を生かす立場で処理をいたすことが、これは法治国のわれわれ政治家としては当然なことである、こう私は考えております。
  40. 山本弥之助

    山本(弥)委員 どうぞ御努力を願いたいと思います。  次に超過負担の問題ですが、これも何回も質問をして尽きていると思いますけれども、六団体がせっかく労作をつくって、六千三百六十億の四十九年度の超過負担がある。これに対しまして、国の事業費ベースでも八百八十七億しか是正をしていない。しかもこれは過去の問題も加えておるので、実際はこれ以下になるというふうな指摘をして、そして、国と地方との間に話し合いをつけ結論を見出してほしいという強い要望を六団体から出されておるわけでありますが、いままでみたいに自然増収のふえるときなら消化もできただろうし、あるいは地方側も保育所をできるだけ早くつくりたいということで、補助金が少なくてもつくったということがあったでしょうけれども、いまの苦しい中でではそういった余裕もないわけでありますので、国も姿勢を正さなければならぬ、こう思うのであります。それで、ことしも自治省、大蔵省が入って関係各省で実態調査をなさるのかどうか。それから事態調査でやる場合に、もう少し詰めて、本当に六千三百六十億の中にもいろいろ大きな意見の食い違いといった問題もあるのではないかと思うのですが、もっと強力な委員会にするのか、あるいは町村大臣のときに約束をされて発足をいたしました六団体の協議会自治省だけが出て話をするというのではなくて、関係各省からその協議会なり委員会に出て、十分ひざを突き合わせて話し合いをする中からこの問題の解決を図るという積極的な態勢をおとりになるのか、私はもっと根本的に解決をつける方法に向かわなければいかぬのじゃないか、かように考えますが、この点についての御意見をお聞きしたいと思います。
  41. 首藤堯

    ○首藤政府委員 超過負担は解消すべきものであるということは全く御指摘のとおりでございまして、私どももこの解消には全力を尽くしたいと考えておるわけでございます。  ただいま御指摘をいただきましたように、知事会の方で一応超過負担の調査をなさったものがございます。この内容につきましては、単価差の問題、対象差の問題、数量差の問題等それぞれの方面からいろいろ御議論があろうかと思いますが、いずれにいたしましてもこのような調査、御主張もあるわけでございますので、私どももこの調査を決してないがしろにすることなく、こういった調査の内容そのものについても論議を詰めていきたい、このように考えております。そのためには、先ほど御指摘のように、私ども自治省自身としては当然六団体のこのような組織の中にも参加をいたしまして究明をいたしますが、必要があれば、この場合、厚生省なり文部省なり、そういった各省の御意見もまた私ども仲介的な意味も含めまして伺いながら、その論議をできるだけ詰めて、実態に合ったように超過負担の解消を図っていくということについては万全の努力を尽くしたいと思っております。
  42. 山本弥之助

    山本(弥)委員 きょういろいろ細かいことを詰める考えもありませんので、特に超過負担で六団体の指摘をいたしました横綱格の厚生省と文部省においでを願っているのですが、この二つで六千三百六十億の大部分、というのは五割以上、六、七割を占めているというのが知事会の報告なんです。知事会の要望はともかくとして、余りにもどうも無関心なような感じが私はするのです。いろいろ御努力を願って本年度も、単価差ばかりではなくて、対象差の拡大等も保育所等についてはされたということも、予算で見ておるわけであります。自治省からの御見解は承ったのですが、実際問題は自治省ではなくて厚生省であり、文部省であるわけです。どうされますか。端的に私はお聞きしたいと思うのです。解決するなら、どういう方法でどういうふうに解決するのかを、厚生省と文部省からお聞きしたいと思います。
  43. 西崎清久

    ○西崎説明員 ただいま学校施設の問題で先生から御指摘がございましたが、まず学校施設につきまして一番大きうございましたのが単価差の問題でございます。これは二つの問題があったと思うわけでございます。かつての狂乱物価時代以来、学校施設の資材価格と学務費の問題が予算単価と著しくかけ離れてきておるという点があったわけでございます。これにつきまして補正予算その他を相当組みまして、当初予算もかなり計上いたしました。たとえば四十九年度の六万一千七百円を、補正予算を二百八十数億組みましてこれを七万五千円に、四十九年度途中で超過負担調査を全部計上したわけでございます。それから五十年度はさらに八万一千四百円にいたしまして、五十一年度は八万七千四百円にしたいという経緯がございます。その後幸い資材価格が大分落ちついてまいりまして、本年度の見通しとしては実態に即応できるのじゃないかというふうな考えを持っております。  それからもう一つの数量差の問題でございますが、これは私どもとしまして超過負担とは必ずしも思ってないわけでございます。と申しますのは、基準面積というのがあるわけでございますけれども、この基準面積で必要最低限の学校施設は運営できるという考え方を持っておるわけでございますが、その学校施設の基準以上に市町村がおつくりになるという場合、これは私どもとめておるわけじゃございません。補助のたてまえといたしましては、やはり学校施設の基準までの範囲という考え方をとっておるわけでございます。しかし、私どもとしても施設基準の向上ということは心がけておるわけでございます。四十八年には調査基準を二割上げましたし、それから四十九年と五十年二年かかって屋内体育館を約二〇%上げたわけでございます。そういう意味で毎年努力してきておるわけでございますので、今後もこの問題につきましては鋭意検討いたしまして、そういう事態が起こらないように努力したしたいと思います。
  44. 加藤陸美

    加藤説明員 ただいま文部省の方がらお答えがなされましたのと趣旨は同様でございまして、先生の方からもお話がございましたように、特に保育所を例示していただいたわけでございますが、保育所の問題を特に取り上げて申しますと、一つは基準面積の問題、一つは単価の問題、これはいずれも実態に即するように改善いたしてまいったわけでございますが、今後も動向をよく見ながら実態に即するように改善してまいりたいと思っております。  六団体の調査結果による御意見もいただいております。その内容につきましてはまだしさいな御説明をいただける段階まで至っておりませんけれども、もちろんこれは、私ども厚生行政の実施に当たっていただいておりますのは地方公共団体でございますので、その実施に当たっておられる団体の皆様方の御意見を十分くみ取りながら実施に当たってまいりたいと思いますし、人件費、物件費ないしはいま御指摘のございました施設整備費、なかんずく施設整備費につきましては適正な補助が行われますように努力してまいりたいと思います。したがいまして、その内容につきましても、自治省を初め関係省の御協力も得まして、内容をしさいに詰めて対処してまいりたいと思っておるわけであります。
  45. 山本弥之助

    山本(弥)委員 私がこの点を強調いたしますのは、今後財政を締めていかなければならぬという事態においても、学校教育施設は何としても建てなければならない。いま問題になっております下水道あるいはごみ処理、屎尿処理、そういった生活関連施設、社会福祉施設というものが住民の選択によって重点を置かれる地方行政の中心になるのではないか。一方、財源は締めなければいかぬというときですから、少なくとも超過負担というものは、国の政治も、恐らく景気が回復すればその方向に向かうのではないかと思われるので、そういった新しい、生活優先の国の政治に切りかえていくというときに、その重要な柱は地方自治体が担うわけですから、超過負担の問題がいつまでも、従来の成長経済のときの道路や河川や港湾の補助金より少ないという問題にも不安がありますけれども、さらにそういった超過負担地方の要求に対して、とにかく補助金を出せばいいのだということでお茶を濁すという事態ではない。人件費が悪いの、福祉が悪いのというふうな宣伝の時代ではない。やはり本当にそういうことで住民要望あるいはニードにこたえるためには人が大事であり、人件費というものが重要な役割りを持ってくるし、そういう施設をやらざるを得ない。しかも、選択して住民要望をかなえられないという時代にこれから入るのではないかと思います。これは思い切って解消をするように、理屈はこうだということではなくて、地方自治体側が納得のいく姿勢をいろいろな方法で、強力な委員会をおつくりになるとかあるいはそういった自発的な団体があるならそれに積極的に説明に行かれるとか、いままでのように補助金をやかましく言われるから出すんだということでなしに、少なくとも年内に問題の解決をつけるという姿でやっていただきたいと思います。自治省も御苦労ですが、大臣、その点十分御配慮願って、地方自治体のために各省がそういう体制をとり得るように御努力を願いたい、かように考えております。  時間がありませんので質問したいことができないのでありますが、五十一年度は、地方自治体としては借金でお茶を濁すという体制にあるわけであります。しかも質も大分落ちているようであります。あるいは国債だとか、景気が回復いたしますと、民間の資金需要との摩擦も出てくるのではないかと思うのであります。少なくとも、いろいろ複雑な資金の配分になっておるわけであります。  私は、もう一点だけお聞きしたいと思うのでありますが、資金の確保は大丈夫かということ、それからもう一つ、いわば貧弱団体には政府資金あるいは利子を補給する資金というように、余り苦労をしないような体制がとれるかどうかという点、それからもう一つ、公営企業金融公庫は、いろいろ難色が大蔵省にあったようでありますが、来年度あたりから自治省が主張されておった地方公庫的な改組が可能な話し合いが進んでおるのかどうか、その点だけお聞かせ願いたいと思います。
  46. 首藤堯

    ○首藤政府委員 本年度は、御指摘のように非常に多額の地方債を発行せざるを得ない事態に相なっておりまして、この中にはかなり多額の民間資金の活用が予定されております。したがいまして、その消化につきましては、全力を挙げまして完全消化に努めるつもりでございますし、先生も御案内のように、この点大蔵省とも覚書を取り交わしております。マクロでは全般的に大丈夫だと思いますが、ミクロの点でも、問題が起こりました場合にはそれぞれに適当な措置をとって完全消化をするようにいたしたいと思います。それから、この資金配分でございますが、御指摘のように民間資金の利用が非常に困難な弱小企業団体にはできる限り政府資金を回す、こういう調整は当然のこととしてやっていきたいと考えております。  それから、第二点の公害企業金融公庫の改組問題でございますが、ことしは御指摘のように一応業務が行われたのでありますが、解決を見なかったのでありまして、私どもといたしましては、今後なお引き続きこの問題は推進をしてまいりたいと思いますし、いずれにいたしましても、民間資金を多額に活用いたします場合の消化を円滑にする。そういう方向から、適格担保の問題だとか公営企業金融公庫改組の問題だとか、こういう問題はなお今後とも詰めて検討してまいりたいと考えております。
  47. 山本弥之助

    山本(弥)委員 最後に、冒頭申し上げましたように、今後中央集権的な傾向をやめて、分権的ないわば自主的責任のある体制をつくることが重要であると思うのであります。この点は自治大臣も異議はないと私は思っておるのですが、五十年度の決算は、日経新聞の報ずるところでは都道府県では三十九団体、それから千九百億というような赤字になりそうだ。それから市長会の詳しい報告書をいただいたのですが、これも八割以上が今年度赤字という情勢にある。これは当然そういう結果になりそうだと思うのでありますが、それにかえるものとして、私どもの方の山田委員質問したときに、枠外債として、その中には健全化債あるいは退職債等も含めて千七百億でしょうか、そのぐらいを配分した。この配分によって五十年度の赤字は大体解消されるということでしょうかどうかをお聞きしたいのでありますが、さらに、解消されるということであれば、府県にいたしましても市町村にいたしましても、人件費の圧縮ということについての二、三年前の自治省のねらいはすでに相当達成されたのではないか。もうこれ以上こういう中央集権的な要素を加味するようなやり方で地方自治体を指導なさることはないのではないか。むしろ五十一年度は起債のあっせんその他で全力を尽くしておやりにならなければならぬ、赤字を出しそうになればむしろ公共事業を削って運営するというような——景気も大分よくなりつつあるような感じがいたしますので、そういうふうな方向に向かわれると思うのでありますが、その辺のいきさつをお聞かせ願い、今後の地方自治体運営はやはり職員組合理解のもとに、協力を得ながら地方自治運営を図る、さらには住民参加の制度によりまして地方自治住民のものにしていく。財政が悪くなりますと、もう住民だとか職員とかということを考えずに、自治省に頭を下げれば何とかやってくれるんだという考え方を、今後の自治運営につきましては一掃をしなければならぬ、そういう感じがするのですが、その点につきまして財政局長の御見解と大臣の御見解をお聞かせ願って、どうも意を尽くしませんでしたが、質問を終わらせていただきます。
  48. 首藤堯

    ○首藤政府委員 ただいま御指摘をいただきましたように、五十年度には税収が減少をいたしましたものに対する減収補てん債の発行を認めましたし、それから健全化債及び退職債といったことで枠外債の発行も認めたわけでございます。しかし、この結果で赤字が消えてしまうという事態ではございません。五十年度の見込みがどのくらいの赤字団体になるか的確な最終集計はまだ出ておりませんが、かなりの団体が赤字になるだろうという想定はいたしておりまして、これは健全化債及び退職債等の発行をいたしました後なお赤字団体が生ずるだろう、こういうことでございます。ただ、都道府県の中では、財政再建団体になるほどの大きな赤字を生ずる団体は出ないのではないか、こう考えております。  そのような事態でございますので、国におきましても適正な財源の確保ということになお努力をしてまいる必要がございますが、地方団体自身といたしましても、財政の健全化につきましては努力を継続しなければならぬという事態であるのは当然でございまして、できるだけ経常経費等の合理化を図りながら将来の財政健全性の確保に向かって努力をすべき事態であろう、このように考えておるのでございます。
  49. 福田一

    福田(一)国務大臣 ただいまは地方自治の問題でいろいろの重要な問題点を指摘されたわけでございますが、御案内のように国におきましても、今年度の予算は三兆何千億円の赤字特例債を出さなければならないという段階になっておる。私は、なぜそういうことが起きておるかということをみんなで考えてみなければならない事態であると思うのであります。それは要するに、高度成長ができない、低成長しかできなくなった世界的な動きというものを国民、また政治家全部が認識をするということが一番大事な問題であると私は思っております。  こう考えてみますと、もちろん自治は大事でございますけれども、しかし、やはり高度成長時代のような甘い物の考え方でやっていくわけにはいかないわけでありまして、その点考えてみれば、ただいま人件費の問題もお取り上げになりましたけれども、こういうことについてもやはり合理性というものを失ってはいけない。すなわち、歳出の面においても合理性を十分に認識をするということが必要である。同時に、また歳入の面においても合理性を追求していくことが必要である。この両面から考えて、国の行政地方自治行政も考えていく、こういうことでございまして、私は、そういう意味においてはいま福祉の要請が非常にあるということもよくわかっております。したがって、そういう面は十分考えなければならないが、国全体としてわれわれが世界並みの仕事、世間並みのことを考えるという非常に常識的な物の考えでありますけれども、そこをひとつ十分お互いに認識しながら問題の処理に当たっていきたい、かように考えておるわけでありまして、ただいま先生が御発言になりました内容については深く胸にとめて処理をいたしてまいりたいと思います。
  50. 小山省二

    小山委員長 柴田健治君の関連質問があります。柴田健治君。
  51. 柴田健治

    柴田(健)委員 時間がございませんから簡単に申し上げますが、地方財政法の十条規定の中で、耕土培養と家畜保健衛生所、そしてまた繭検定所、三つを除外をするというふうに今度は改正をされるわけですが、この三点について自治省はどういう認識の上に立ってこれを除外されるのか、この点を簡潔に御説明を願いたい。現行のこの法律の中に耕土培養法だとか蚕糸業法だとか、また家畜保健衛生所法、三つの法律があるわけですが、それらをどう理解をして、要するにこれを十条規定から外すということは、義務的補助をなくす、十六条の奨励補助だけ残していく。なぜ義務的補助をなくして奨励補助だけにしぼってしまうのか、その点自治省の見解をまず聞きたい。
  52. 首藤堯

    ○首藤政府委員 先生御案内のように、今回地方財政法の改正は、負担区分規定がかなり乱れておるものがございますものですから、それの規定を整備をするという趣旨から改正をいたしたのでございますが、そのうち、逆に落としますものとして、ただいま御指摘のように、地方財政法十条から耕土培養、家畜保健衛生、繭検定、この三つが出てまいったわけでございます。  その理由でございますが、耕土培養につきましては、現行の耕土培養法に基づきます耕土培養単独の手法によります土壌改良が現在実施をされておりませんで、今後新たな調査に基づいてどういうやり方をするのか、農林省として検討し、将来決定をしていきたい、このようなことでございまして、現在国庫支出金も支出をされていない実情でございましたので、一応これを外したのでございます。  それから家畜保健衛生所につきましては、家畜保健衛生所の再編整備が行われた結果、この家畜保健衛生所の創設費、初年度調弁費、これにつきまして国が負担をするという必要性がほぼなくなった、こういう現状に合わしたものでございます。  それから繭検定所ににつきましては、建物、工作物について一応整備が終わっておりますので、同様な事態であるということで外したわけでございます。  なお、こういった問題は、今後とも必要に応じて農林省におかれても新たな手法でのやり方等が検討されることになろうかと思いますが、そのような事態になりました場合には、例の地方財政法十条の精神にのっとった負担区分に該当するものが出てくれば、その事態でまた十条に入れこんで整備をする、こういうやり方をとるのが妥当であろうかと考えて処置をいたしたのでございます。
  53. 柴田健治

    柴田(健)委員 いま御答弁を聞くと、また新たな考え方が出てくると、そのときにまた考え方を変えてこの適用をしてもいいという、非常に何というか、一応いまの整理をさせるという形で除外をした、要するにこれは自治省の発想でこの除外を決めたわけですね。自治省の発想ですな。
  54. 首藤堯

    ○首藤政府委員 ただいま御指摘をいただきましたように、現行の制度として、たとえば耕土培養を例にとりますと、現行法で十条に規定しておりますような手法が現在なくなっておりますので、外す、こういうことでございまして、新たにこういったものが起こってきて、十条の精神に該当する制度のものがまた出てくれば、その事態で考えるということは当然だろうと思います。  それからどっちが発想したかという、自治省の発想かという御指摘でございますが、もちろんこれは両省相談をいたしまして決めたことでございます。
  55. 柴田健治

    柴田(健)委員 現行の耕土培養法には、第二条にちゃんと明記しているのですが、土壌改良、いま地力が低下をして、そして土壌汚染という問題が社会問題、政治問題になっていることは御承知のとおりです。この土壌汚染、特にカドミウム汚染というか、これらを改良しないと大変なことになる、こうわれわれは心配をしておる、そのさなかに、国の義務的な面が排除されてしまうということは、正直に言ってどうしても納得できない。富山県の方には、土壌汚染、カドミウム汚染で、できた米を全部農林省は買う。買うて倉庫へ積み込んでしまっておる。そしてけさのニュースでもお聞きのとおりに、二百億からの金がもう損失だ。そういうときに土壌を改良して、本当にそうした汚染された土壌を早く解消しないと、国はますます損をしていくんじゃないか。そういう現実があるにもかかわらず、国の義務的補助制度をなくしてしまうというのは、これは何としても理解できない。いま全国で不良農地、また汚染されておる農地、そういうものがないのか。そういう点の数字の確認、実態の確認というものはどうされておるのか。全然そういうものがないということで、もう将来やらなくてもいいのだという、そういう考え方に立っているのか、全部優良農地であり、土壌も汚染されていないし、りっぱな農地だという確認をされているのか、その点の見解をひとつ聞いておきたい。     〔委員長退席左藤委員長代理着席
  56. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 耕土培養法におきます土壌の改良といいますのは、その法律にございますように、「土じようの化学的性質が不良な農地」、これを終戦直後に調べたわけでありますが、こういう農地を改良いたしますために石灰、鉄、こういうものを投入して当時の情勢に合った地力の培養をやっていこうという法律であったわけであります。それが、その後二十年間こういう仕事を続けてまいりまして、おおむね効果を発揮してまいりまして、そこで言いますところのいわゆる耕土培養という手法による不良農地の改良ということは今日もはや大きな意義を持ってこなくなったわけでございます。しかしながら、先生御指摘のとおり、わが国の農用地にはまだまだいろいろな面で改良していかなければならない農地がたくさんございます。そこで農林省といたしましては、従来の耕土培養という手法だけではなく、各種の施策を組み合わせた、もっと思い切った土壌改良を進めていかなければいけないということで奨励補助を講じているわけでありますが、おもな内容を申し上げますと、堆厩肥を生産し、これを施用していく、あるいは稲わら、麦稈等を土壌に還元していくというようなことで粗大有機物をもっと増投してもらうための対策が第一点であります。それから二番目に、今日の時点に合いました土壌改良資材をもっと投入していく。それから三番目には心上破砕なり深耕なり、あるいは客土なり、そういった土壌改良対策、これも進めていかなければならない。それから四番目には、これらの対策を実際に実施をしてまいります集団的な組織の育成、こういつたようなものを総合的に進めていくということで、ここ数年来耕土培養法に基づく手法にかえて奨励補助を大いに推進をしているところであります。  それからもう一つは、実はこれも先生いま御指摘がありましたが、農林省といたしましては昭和三十四年以来わが国の農用地の大部分につきまして地力保全基本調査というものを実施をいたしまして、その土地ごとに一体いかなる原因によってどのような土壌になっておるかということを詳細に調査をしております。まだこの結果は出ておりません。昭和五十一年度、今年で終わる予定でありますが、これの中間の結果を見ますと、いま申し上げましたような有機物の増投なり深耕なり客土なり排水改良なり、あるいは土壌の化学的性質だけではなくて物理的性質も改良していかなければならない、こういう農地がまだまだ全国的に広範に分布をしております。こういつたような総合的な土壌培養対策、地力保全対策というものを今後進めていくということは大いに必要になってきておるわけでありまして、耕土培養法に言われますところの手法のものは今日では通用いたしませんが、これらの地力保全基本調査の結果を総合的に取りまとめの上で検討いたしまして、私どもとしては現在講じております奨励補助をさらに強化拡充をしていく。その際、耕土培養法にかわる法制度が必要になるかどうかということもこれらの調査の結果を踏まえてあわせて検討して、早急に拡充強化をしてまいりたいというふうに考えておる次第であります。
  57. 柴田健治

    柴田(健)委員 いまの説明を聞くと、これからは全部奨励制度一本でいくというのですね。それなら国は土壌改良に関しては責任を持たないんだ、地方公共団体がやるのなら受益者負担の原則で受益者がやりなさい、ただそれに対して奨励だけをやりましょう、こういうことに方向転換するわけですな。耕土培養法というのはなくするわけですな。
  58. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 今後すべて奨励的な補助で総合的な土壌改良、土地改良を進めていくということを方針として持っているわけではございません。三十四年から五十一年度まで全国のほとんどの農地について調査をしております地力保全基本調査の結果を検討いたしまして、その際、耕土培養法にかわる新しい法制度を創設していくということについても検討をいたしまして、いまあります耕土培養法以上の総合的な土壌改良制度確立していきたいというふうに考えているわけであります。
  59. 柴田健治

    柴田(健)委員 国の産業政策によって日本の農地がだんだん汚染されていく、これはもう国の責任でやるべきだ、私はこういう気がするのに、国の責任は不明確にして地方公共団体に全部やらせる、それも奨励一本でやるというのは理解できない。耕土培養法という法律がある、それにいままで何にもしてない、四十七年ごろから何にもしてない、もう要らないんだ、こういうことは農林省の余りにも無責任な態度だと私は思う。     〔左藤委員長代理退席委員長着席〕 四十七年ごろからやってないのならその時点で直ちに法の改正をする、制度改正をやるべきだ。この時点になって地方財政法から、義務的経費という義務補助については除外してしまうというのは余りにも無責任だと思う。こんなやり方について私たちは納得できない。農林省はもう少し、現行の耕土培養法がいかぬのなら新たな法律をつくるとか、そういうものを早急にやるべきじゃないか。この耕土培養法でも当然やってなければならないのをやってないじゃないですか。その点は、時間がないから、いずれこの次の機会でやるといたしまして、次に繭検定所の問題なんです。  これは繭検定所を義務補助を外して奨励一本にするということは、検定所を将来民間委託にしてしまうのか、たとえば蚕糸事業団のようなところへ委託してしまうのか、そういう構想があるのかどうか。
  60. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 繭検定所につきましてはおおむねその建物、工作物等について配備が完了したということで地方財政法の方から削除していただくということになるわけでありますが、繭検定所を将来廃止をしたり民間に委託をするという考え方は毛頭ございません。私どもは今後の時代の要請に即しまして、たとえば、五十一年度予算でも計上しておりますが、繭の主産地の繭検定所に対して新型の自動繰糸機を導入することについて補助をいたすことにいたしておりますが、このような機械の更新、改良等についての弾力的な助成ば今後とも続けてまいりたいというふうに考えております。
  61. 柴田健治

    柴田(健)委員 蚕糸業法の一条には都道府県の負担が明確になっておりますね。そうすると、地方財政の中で都道府県が負担をするという法律があるのに国の方は今度奨励だけにして義務的はもう負担をしない、こういうことになるわけですが、この点について、いまの地方公共団体財政の実態、財源の実態その他を考えて、なるべく金を使わないように、節約をする、そういう方向で、いま現在の地方財政の中で直ちに地方財源が緩やかになってゆとりが出てくるという見通しはないとわれわれは思っている。だんだん厳しくなっていくだろう、こう思うのです。その中で都道府県の負担だけは位置づけをしておいて、国は一切、それは奨励だけで義務的に負担はしないのだ、こういうことになった場合に、地方本当に本気でやるだろうか、地方団体が本気で財政投資をしていろいろ設備改善なりその他の必要な経費を増額していくだろうか、こういう気がするのですが、その点農林省はどういう認識をしておられるのか、まず聞いておきたい。
  62. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 建物、機械等の配備がおおむね完了しておりますので、その面で特に新しい機械を入れるというような必要がない限り、別段経費が従来よりもよけい繭検定に関してかかるということはないというように考えております。ただ時代の要請に従いまして、たとえば繰糸検定をやるための従来からあります繰糸機ではどうも検定の能率が上がらないというような事態になってまいりますれば、私どもで年次計画を立てましてそういうものの更新あるいは改良のための助成を今後とも大いに弾力的にやってまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  63. 柴田健治

    柴田(健)委員 ことし岡山県でも問題が起きて大騒動を起こしたのですが、繭検定所を都道府県が一県では維持できないから、もうどこかに委託する、合併する、こういう問題が起きた。なぜそういう問題が起きたかというと、農林省はもうめんどうを見てくれないのだ、国の方はもうめんどうを見てくれないんだから、地方だけの負担でこういう機関を置くということは財政的に困難だ、こういうことで、よその方の県と一緒に合併してしまうのだ、こういうことで養蚕農家大騒ぎをして、農業団体も騒いだわけですが、まあ現状維持ということで据え置きになった。いずれまたこういうことが起きてくる。地方ではそういう混乱を現在起こしつつある。その時点でこういう地方財政法の中の義務的補助、そういう制度をなくしてしまうということは、みずから農林省は先ほど民間委託にもしない、そういうことは一切考えておりませんと言うけれども、都道府県だけの任務になってくると、都道府県はどんな構想を練るやらわからない。そういうことが起きた時期に農林省はそれをとめる権限がありますか。財政法の中から外してしまったら、あなたがいま説明をされるけれども、都道府県の自主的な判断でどんなことでもし出したら、今度農林省はとめる権限があるのかどうか、まずそれを聞いておきたい。
  64. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 現行蚕糸業法の体系上、繭検定所を設置することは都道府県の義務になっておりまして、これを都道府県だけの一存で他県と合併をするあるいは廃止をするということは不可能であります。したがって、私どもはそういう問題が出てまいりますれば、これをとめる権限が農林省としてあるというふうに考えております。ただ、繭の生産量が非常に少ない県につきましては、繭検定所は設置しておりますが、大変機械施設を投下して検定をやらなければいけない部分は、その部分だけ他県に委託をして検定をやるという道が開かれております。実は岡山県の場合も、自県でそういう繰糸機を設置して検定すべきかあるいは他県にそういう繰糸検定の部分だけを委託するか、いろいろ地元でもございましたようでありますが、今年度予算におきまして岡山県につきましても新しい自動繰糸機の助成をする方針を農林省は固めておりまして、したがって、他県への委託をしない県の方になるというふうに私どもは考えております。大体繭の生産量で年間百トン前後未満の県、これは自動繰糸機を設置をいたしましても過大設備投資になりますので、他の県にその部分だけを委託をしておりますが、それ以上の県はおおむね自県で新しい機械を入れて検定を今後とも続けていっていただく、こういうふうにしてまいるつもりであります。
  65. 柴田健治

    柴田(健)委員 私たちは、地方財政法の方から義務的なやつを除外してしまったら、農林省がどんなに法的に言われても今度は数量で——そうすると蚕糸振興、養蚕の振興について正直に言って本気にならない、もう日本の養蚕をつぶしてしまう、そういう方向へ行ってしまうという可能性がある。その点をわれわれは心配するがゆえに、この適用除外というのはやめてもらいたい。やめる場合にはもっと関係機関と十分相談をして、別の農林省の関係の法律を改正して、そして財政法から除外するなら除外するということをはっきりしてもらいたい。関係機関に一つも相談をしないで、耕土培養にしてもそうです、繭検定所にしてもそうでしょう、地方財政法の中から先に除外してしまう、後から直します、そんなことが通るはずがない。われわれはこういうやり方については非常に不満であります。  次に、時間がございませんから家畜保健衛生所について申し上げますが、いま家畜保健衛生所でも、当初の考え方からいうと非常に大きく時代の流れが変わるからある程度の理解はできますけれども、家畜保健衛生所の設置に伴って、ただ設置が完了した、建物が済んだ、調度品も調った、あとは知らない、そういう姿勢、考え方というのはおかしい。いま家畜振興、畜産振興の中でえさの問題に関連するいろいろな病害虫対策、たとえばまた家畜から発生するいろいろな伝染病の関係、その他家畜保健衛生所が果たしておる任務、そういうものをもっと理解をして、国の義務的補助から外してしまう、ただ一片の奨励だけになってしまう、これもまた私は、いままで家畜保健衛生所を各都道府県なり農民が信頼もしつくってきた、そういう立場から申し上げると余りにも独断専行過ぎる。私はその点についてもう少し、農林省がどうあろうとも自治省はそういう実態を理解してもらわなければ困ると思うのですよ。自治大臣、先ほど申し上げたように、いろいろ耕土培養なり家畜保健衛生所なりまた繭検定所について、実態をあなたは知らずに法の改正をうのみにして提案されたのか、まず自治大臣にその点をお聞きして、そして最後に農林省にお聞かせ願いたいと思う。
  66. 首藤堯

    ○首藤政府委員 先ほど申し上げましたように、地方財政法の負担区分の規定は、本来ならば府県や市町村がやります経費は府県や市町村が自弁をするというのが原則であるのは先程御案内のとおりでございまして、それに対する例外規定として十条、十条の二、十条の三等の国の義務負担を規定をいたしているわけでございます。この十条の規定は、先生も御案内のように地方団体が法令に基づいて実施をしなければならぬ義務的な経費で、国と地方との両方に非常に利害関係があって、なお国が進んで経費を負担すべきもの、こういうかっこうで、制限列挙のかっこうで経費が決めてあるわけでございます。したがいまして、そのような制度に該当いたしますものでございますれば十条に挙げてまいりますのはもう当然のことでございまして、私どもそのようなものが新たに生じてくれば十条にまた入れるということについてやぶさかではございません。しかし、先ほど申し上げましたように、この三つの項目についてはいままでの経過で実態的にそのような国庫負担の実態が現在はなくなっておる、こういう状況から、ちょうど今回地方財政法全部の負担区分の整理をする必要が生じまして地方財政法の改正を提案をいたしたものでございますので、この機会にそのようなものの整理統合をするというやり方をとった次第でございます。この事務内容そのものにつきましては私ども専門ではございませんので、一々すべてを存じておるというわけではございませんが、現在の実態として一応整備が終わるないしは事業の手法が終わる、こういう状況で国の負担金の支出が実態上なくなっておるという実態はよく存じておるのでございます。
  67. 関根秋男

    ○関根説明員 家畜衛生ということが畜産の振興にとって非常に重要であるという先生の御指摘につきましては全く私どもそのように考えておるわけでございます。この法律の改正によりまして政府はこれから家畜保健について助成をしなくなるのではないか、こういう御指摘がございましたけれども、なるほど家畜保健衛生所についての再編整備は一応終わったわけでございますけれども、従来から創設費初度調弁費のほかにも、私ども家畜保健衛生所の機械施設等につきましては助成を行ってきておるところでございまして、これからも畜産農家の要請に応じて必要な機械設備等につきましては予算的な措置を講じて助成をしていくというような考え方でおるわけでございます。
  68. 柴田健治

    柴田(健)委員 われわれ、戦後家畜保健所の設置について、農民が自分らのことのようにして、いろいろ土地も提供し、建物も建てて寄付採納をしてきた。それを農林省は、そういう住民の血の出るようないろいろな協力をしたやつを無視して統廃合した。それで町の真ん中につくっちゃった。大体都市の美観論からそういう鉄筋の建物をつくって、家畜保健衛生の振興なり家畜伝染病の予防対策なり畜産振興に役に立つという考え方自体が、農林省ぼけておると私は思う。大体地下たびをはいても作業衣を着ても、家畜保健衛生所に農民が自転車でも歩いてでもすぐ行けれるような場所に設置すべきが本当なんだ。それを町の真ん中へ家畜保健衛生所を皆統合して、背広に着かえなければ保健衛生所に行けないようなことをしてしまった。それで建物がりっぱにできたから、研究資材ができたから、もう国の方の任務は終わりました。義務的なやつはもう終わりました。あとはそのときそのとき、その都度申請があれば補助を何ほか出しましょう、それは奨励補助だ、こういう考え方で、一方では畜産振興だと言いながら、やっていることは本当にもう逆な方向だ。要するに基本的な日本の農政の位置づけが明確になっていないからこういうことになると思うのですけれども、余りにも一農林省の方が儀式的で公式論的で実態に合っていない、正直言うて。そういう実態を十分認識して、将来どうあるべきかというあるべき姿を描いて、そして家畜保健衛生所の任務と使命というものを十分理解したならば、いまこの財政法から外すなんていうことはできないはずだと私は思う。なぜ外すのか。合理化しなさい、整理しなさい、整備しなさいとやかましく言われると、いままで怠けていた点をごまかすために、それなら一時逃避行をやろうということで、避けて通る、逃げて通る、そういう考え方に立っておるなら少し安易な考えじゃないか、こう思うのですよ。あなたのような考え方で畜産農民が納得や理解をしてくれると思ったら、それは大きな誤りを犯すのじゃないか。もう少し家畜保健衛生所の価値観というもの、そしてどういう任務と使命を与えていくかということを国が考えたらどうか。いま避けて通るべきではないのじゃないか、逃げる必要ないじゃないか、なぜ国が逃げなきゃならぬのか、ただの奨励制度にしてしまうという、私はここが問題だと思う。もっと責任を国が持たなきゃならぬと思う。国が責任を持たなきゃならぬのに、奨励制度に切りかえてしまうというのはおかしいと私は思う。また、自治省自治省だと思うのですね。それをただうのみにして、法の改正をしてそっと出してしまう。もっと詰めてみる必要があるんじゃないか、もっと論議すべきじゃないか、ただ、現在行われていない、もう済んだんです、——自治省の方の意見を聞くと、もう済んだ、任務が終わったんだ、こう言う。任務が終わってないじゃないか。これからやらなきやならない仕事がたくさんあるのに、任務が終わったと言う考え方自体がおかしい。その点、認識の問題だと思うのです。そういうことを農林省が自治省へどういう報告をしたのか知らないけれども自治省も、農林省から報告があったんだから外せという軽い気持ちで外したのじゃないだろうか、こういう気がする。正直なところを言うてもらいたい。自治省はそういうことを十分理解をして外したのか、農林省から報告があったからそれを信用して外したのか、ひとつ財政局長、もう一遍その点を答弁願いたい。
  69. 首藤堯

    ○首藤政府委員 この点につきましては、ちょうど財政法を改正する他の要件等もございましたので、他の費目等につきましても農林省といろいろ打ち合わせをしたのでございますが、農林省からもこのような事態であるというお話がございましたので、それをそのとおり了解をいたしまして外したわけでございます。
  70. 柴田健治

    柴田(健)委員 まことに自治省は正直に簡単に説明されたのですが、それでは農林省の報告、手続、意見というものが誤っておるということになるのですね。農林省の方はそれぞれの関係機関とどういう協議をしてこの取り扱いをせられたのか、まずその関係機関との話し合い、その点を明確にひとつ御答弁願っておきたいと思う。
  71. 関根秋男

    ○関根説明員 前にもお答えいたしましたように、家畜保健衛生所法の関連で国が助成をしておりますものが、初度調弁費創設費、それに人件費、こういうことでございまして、それにつきまして、人件費につきましてはすでに昭和二十七年以来地方交付税法で見られておる、それから創設費及び初度調弁費につきましては、先ほどお話し申し上げましたとおり、保健衛生所の再編整備も終わっておりまして、そういう点からの必要性はもはやなくなっておる、こういう判断のもとに考えておったわけでございますので、特に関係団体と協議をした、こういうことはございません。
  72. 柴田健治

    柴田(健)委員 時間がないから、いずれ別の機会にやらしていただきたいと思うのですが、何としても私たちはこの三点除外というのは理解できません。そしてまた、たとえばこの問題では財政法の中から外すけれども交付税の方でこの三点については、地方公共団体の産業経済の中でこの家畜保健衛生所の運営についてなり、また繭検定所の運営についてなり、また耕土培養なりそういう土壌改良についての単位費用を大幅に上げました、交付税の基準財政需要額の中で単位費用を大幅に上げました、こういうものが明らかにならない限り、われわれはこの問題については納得できないということを付言いたしまして、終わります。
  73. 小山省二

    小山委員長 本会議終了後再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十六分休憩      ————◇—————     午後三時三十四分開議
  74. 小山省二

    小山委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  両案について質疑を続行いたします。岩垂寿喜男君。
  75. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私は、去る四月の二十二日に本会議で、地方財政制度の抜本的改正に対する政府の見解をただしました。その際、交付税率の引き上げについて、自治大臣は前向きの御答弁をなさったように私も受け取っているわけですが、残念ながら大蔵大臣はこれをさえぎるような答弁をしているわけであります。率直なところ、五十年度は減収補てん債、五十一年度は臨時地方特別交付金や借り入れあるいは地方債で対策を講じてきたわけですけれども、来年も赤字になることがもうはっきりしているわけなんで、そういう立場から考えてみると、地方交付税法の六条をいま——いまでもなく、地方の実態というのはかなり深刻なんです。だから六条の規定というのは、何も国の財政事情というものに従属をしていくという位置づけで決められたんじゃなくて、地方自治の本旨と言われるところからこの制度が生まれているんだと私の思うので、この際いろいろくだくだ言いませんけれども大臣大臣の立場で、つまり自治省の立場では五十二年度から税率の引き上げを行う、こういう方針で大蔵省と談判をするという歯切れのいい答弁をこの際期待をしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  76. 福田一

    福田(一)国務大臣 午前中の山本さんの御質問にも同じような御質問がございましたが、私はいまの段階においてはやはり交付税率の引き上げということを要請せざるを得ないと考えておるわけであります。
  77. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 その次に、超過負担の解消についても先ほど山本先生からも御質問がありましたし、私の本会議質問でも、単価差だけではなくて、対象差や数量差を含めて積極的にその解消のために努力をされるという御答弁をいただきました。私はそのときに、福田さんはいつになく、いや、失礼しました、いつものとおり明快な言葉だと感心したわけでありますが、それは言葉だけじゃなくて、やはり実行するためにどんな御努力をなさるのかということが、どうも担保が不十分なような感じがしてならないのであります。さっきも厚生省や文部省のお話を聞いていますと、超過負担がないとは言いませんけれども、大したことないみたいな認識でどうもやりとりをしておるように思われてならない。だから中央地方で、六団体との関係を含めて、ある、ない、そういう何かかけ離れた議論じゃなくて、もう一遍自治省地方六団体と各省を交えた超過負担解消のための研究会でも懇談会でも結構ですが、そういうものを開いて、そして来年度の予算編成前に合同で研究をし懇談をするというようなことを改めて私は提案をしたいと思うのです。これはどうも、ある、ないという問題はもうそれほどではないにしても、食い違っていることは事実なんです。だから、当該六団体にも積極的にやはり話をし、六団体の気持をよく受けとめていく、やはりそういう共同の作業、プロセスがどうしても私は必要な気がするので、懇談会でも研究会でも結構ですが、そういうものをぜひひとつ設置をしてほしい、こんなふうに思いますが、いかがお考えでございましょう。
  78. 福田一

    福田(一)国務大臣 超過負担の問題については、御案内のように自治省としては努力いたしておるつもりでありますが、まだ足りない。しかし御案内のように、四十九年度の分については数字が出ていますが、五十年度の分についてはまだ数字が出ていない。五十年度はどれくらいあるかということをやはり六団体と十分詰めてみなければいけない。その場合に、詰め方の問題で別に何か委員会みたいなものをつくった方がいいじゃないかという御趣旨なんですが、われわれの方は、その六団体の中へ入って、そして相談してみる、こういうことでありまして、その相談の上でまた各省とよく打ち合わせをする。場合によっては、そのときは各省の担当官に来てもらってもいいと思っているんですよ。そういうことにしてよくその話を詰めるということについては、私はもう何ら異議がないわけであります。超過負担の解消ということは、およそやはり国は負担をすると言ったものは負担をすべきなんです。そういう負担をすると言いながら実質的な負担が行われておらないということが政治不信に連なる。私はそういうことはいけないと思っておるのですから、筋を通してきちんと決めていくように努力をするということについてはお約束をいつもいたしておりますし、いまもその気持は変わりません。
  79. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いつもいたしていればこんなことを言わなくてもいいのですけれども、なかなかそうもいかないところに問題があるようであります。  まあそれはそれとして、いまどこの地方団体でもやや中期的な見通しに立つ行財政運営というものが必要になっていることは、もう申すまでもないと思うのです。しかし、現実には国の方針が単年度単年度、そう言っちゃなんだけれども、その日暮らしだと言うとおしかりを受けるかもしらぬが、そういう対策になっていることは、私はどうも地方団体のそういう長期的な、あるいはやや中期的な行財政運営について大きな支障をもたらしている、これは事実だと思うのです。  自治省は中期地方財政展望をこの間発表されたわけですけれども、これを拝見しても、これはいわば病状の診断でございまして、処方せんでは決してないと思うのです。これはさっき御答弁のあったとおりであります。いま必要なのは、これは神奈川の長洲知事も言っておられましたけれども、国と自治体あるいは住民あるいは企業、そういうものを通じての役割りや分担というものを見直していく、そして行財政全体の、システム転換という言葉を長洲さんは言っていますけれども、私もそういうことに手をつけるべき時期ではないだろうか、こんなふうに思います。その意味でも自治大臣に、どうか自治分権の理念に立って、国と地方を通ずる行財政制度の抜本的な改革をなさるお気持はないのか、そして、それに着手するためにどんなプログラムを御用意いただけるのかという点について、これは率直なところ、地方財政中興の祖になり得るかなれないかという重要なポイントでありますので、福田自治大臣がそういう気持をどのように持っていらっしゃるか、私はそれを聞いて政治力のバロメーターにしたいと思いますので、ぜひ御答弁を煩わしたいと思うのです。
  80. 福田一

    福田(一)国務大臣 大変御激励をいただいてありがたい次第でございますが、御案内のように、いまは高度成長から低成長へ入るという一つの経済の転換期にあって、確たる見通しが経済についてもついておらない。言うならば、病人ならば病気が何だということについてのはっきりしたあれがまだない、したがって投薬の方法も非常にむずかしいというのがいまの段階ではなかろうかと思っています。それだからといってほうっておいていいというわけにはいきませんから、これからずっと来年度の予算編成までの間には、先ほどもお話がありましたけれども地方財源の充実とかあるいは交付税率の問題とかいろいろなことを順次詰めて、そうしてその最後に、こういう変化の時代ですからまだそれでもはっきりしないかもしれませんが、できるだけそれに対応するような努力をしなければならない、かように私は考えておるわけでございます。
  81. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これは交付税と直接関係がないので恐縮なんですけれども、新聞を拝見すると、自治省は例の地方制度調査会に、毎年十月五日を国民の祝日、地方自治の日として、地方議会を半数改選制にして、二年ごとにこの日に統一地方選を実施するということを諮問なさっていらっしゃるようですが、こういうことをおやりになるおつもりですか。
  82. 首藤堯

    ○首藤政府委員 行政局長からお答えすべきが筋かと思いますが、参っておりませんので、私から申し上げます。  ただいま御指摘をいただきましたものは、地方制度調査会の中の起草委員会でございましたか、そこの議案でございまして、それを制度調査会のたたき台としてお出しになっていただいて、制度調査会全般の総会でこれを御検討いただいて、答申になるかどうか、こういう段階のように承っております。要は、地方自治意識を涵養し振興する、そのために自治の日等を設ける、選挙制度等も考え直す、こういった主題になったたたき台の案ができておる段階、このように承っております。
  83. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 自治の日まではともかくとしても、二年ごとに統一地方選挙をやるというふうなことは、地方議会の問題について言えば重大な問題なんですね。しかもこれは、一名区というのは五百十八ありますよね、それから三名区が百五十五で五人区が三十四だそうですか、一名区について言いますと事実上地方議会の小選挙区制になっちゃうのです、つまり一人しかだめだという。それに対して、複数の選挙区をつくるのだ、全部偶数にするのだというようなお考えもあるようですけれども、こういうやり方は民主主議を定着させることにはならぬだろう、ねらいとは全く逆の方向地方議会選挙が導かれていくおそれがある、私はこんなふうに思いますので、これはぜひ各党のコンセンサスを非常に重要なものとして、それを得なければ実際はやれないわけです、またやるべきでないと私は思うのです。そういう点はぜひそのように、各党のコンセンサスを得るように御努力を願う、そのことをぜひこの際御答弁を煩わしておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  84. 首藤堯

    ○首藤政府委員 ただいま申し上げましたような自治意識の涵養等の趣旨に出ます方策の一つとして検討されておる案のように承っておりますので、当然地方制度調査会の総会等におきましても十分の議論がなされ、制度調査会答申としてまとまった形で決定をしてくるものであろう、このように考えております。
  85. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 くどくて大変恐縮なんですけれども地方制度調査会には各党代表も入っていますけれども、やはり選挙とか地方議会の構成に直接的にかかわる問題ですから、各政党間のコンセンサスを最大限得るために努力をするということだけは前提として、ぜひ御答弁を煩わせたいと思うのです。これは大臣、いかがでしょうか。これは常識だろうと思いますが。
  86. 福田一

    福田(一)国務大臣 地方制度調査会としては、いま御提案のような問題を真剣に検討すべきものであると考えております。
  87. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 真剣なんですけれども、各党のコンセンサスを得るために最大限の努力をするということは、あたりまえのことですけれども、よろしゅうございますね。
  88. 福田一

    福田(一)国務大臣 各党のコンセンサスを得るために最善の努力をするということは当然だと思います。
  89. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ちょっとわき道にそれて恐縮でした。私は、その次に春闘の結果と税収との関係について伺ってみたいと思うのです。  五十一年度予算の税収見積もりは、租税収入、印紙収入合わせて十五兆五千百九十億円でありますが、そのうち源泉所得税が五兆二千四百四十億円であります。この源泉所得税の見積もりは、言うまでもありませんけれども、五十一年度は雇用者所得は対前年度比一二・八%伸びて九十兆六千七百億円になるという政府の経済見通しを前提としたものであることは御理解のとおりであります。しかし、七六春闘、ことしの春闘の結果は鉄鋼が八・五%、三公社五現業が加重平均で八・八%という仲裁裁定にとどまったわけですが、中小企業は当然それよりも下回るということを考慮すると、春闘全体の相場が、中間的なまとめによっても加重平均で九%までいかないだろう、あるいはその前後でとどまってしまうだろう、こういうことはもう結論が出つつあるわけであります。それに対して、政府の経済見通し、さっき申し上げたとおり一二・八%というのとの乖離は四ないし五%落ち込むということに実はなってしまうわけであります。これは大蔵省の非公式な試算でありますけれども、雇用所得が一%見積もりより低いと約六百億円源泉所得税が減収になる計算をしています。したがって、春闘相場がもし八・五%だということになると、源泉所得税は二千五百八十億円実は減収になるわけです。これは国税のべースでありますけれども。  自治省は、ことし、いわゆる一けた春闘の結果が地方税にどの程度悪影響を与えるか、あるいはそれが地方財政圧迫の新しい要因とはならないかということについて試算をなさったことがあるかどうか、あるとすればどんな見通しを持っていらっしゃるか、その点について、この際承っておきたいと思います。
  90. 森岡敞

    ○森岡政府委員 若干数字の問題でございますので申し上げたいと思いますが、地方税の中でいわゆる個人の所得に対します所得割、これは御承知のように前年度の所得を課税標準にいたしておりますので、ことしの春闘の見込みがどうなるかということに直接影響してまいりません。それから、もう一方、法人の所得に対する課税につきましては、これは今後の景気の動向に左右されるわけでございますが、景気も足踏み状態から脱して回復の傾向を強めておりますから、まあ見込んでおります地方財政計画の法人関係の税収の見込み額はほぼ期待できるということでございますので、全体として見ますならば、地方税収入につきましては、春闘が五十一年度の地方財政収入に大きな影響を及ぼすというふうには私どもは見ていないわけでございます。
  91. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 どっちにしても来年は、所得税の部分で言えば相当落ち込みが懸念されますね。これはどういう計算をなさったか。そういう計算をしたことはないですか。
  92. 森岡敞

    ○森岡政府委員 五十二年度の地方税収入見込み額を立てます場合には、今回の春闘の結果も含めまして、そのほかボーナスでありますとかあるいは超過勤務の手当でありますとか、そういうものがどうなってまいりますか、それらを総合的に結果をまとめました上で立てますので、的確な税収見込みを五十二年度では、その上に立って出し得るものと、かように考えております。
  93. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それはあれしますが、次に、私は基地交付金について少し立ち入って質問をいたしたいと思います。  税務局長は、三月二日の本委員会において、これはわが党の山田委員に対する答弁でありますが、基地交付金の性格というのは、「いわゆる基地交付金は、米軍に提供しております国有財産あるいは自衛隊が使用しております一定の基地施設につきまして、そのものから固定資産税収入を得られない、半面また、そういう施設が所在することによりまして財政需要が大変かさむという両面を勘案いたしまして、いわば固定資産税がわりということで財源を付与するというたてまえで創設したと私ども考えております。そういう趣旨から、御指摘のように、固定資産税が入ります場合と同様な金額をできるだけ確保してまいりたい」と実は述べておられますが、基地交付金に対する政府の見解というのはこのとおりと理解してよろしゅうございますか。
  94. 森岡敞

    ○森岡政府委員 基本的には、自治省といたしましてはそのように考えておりますが、ただ若干補足して申し上げますと、米軍に提供しております施設と自衛隊が使用しております施設との間には、考え方に若干相違を設けておるわけでございます。  と申しますのは、米軍に提供いたしておりますのは、いわば第三者が使用しておる資産でございます。それに対しまして、自衛隊が使用しております資産は、国自身が公用に供しておる資産でございますので、その資産の使用の態様なり性格というものにやや差があるという考え方をとっております。したがってまた、対象になります資産につきまして、米軍の施設については使用させております全資産を対象にしておりますが、自衛隊の公用資産につきましては、特に広大な面積を市町村の中で占めておりますために、市町村としては地域的な発展とかそういう点で大変問題があるとか、非常に危険な弾薬庫のような施設などを抽出いたしまして対象にしておる、こういう違いがあるものと私どもは考えております。
  95. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ことし百五億円でございますね。これは、いうところの固定資産税収入と見合ったもの——いま税務局長がお答えになったことを前提にしてで結構ですが、見合ったものというふうに自治省もお考えになっていらっしゃるかどうか、その点お尋ねいたします。
  96. 森岡敞

    ○森岡政府委員 基地交付金につきましては、毎年自治省といたしまして努力をしてまいりまして、近年特に大幅な増額が続いております。予算額の対象資産の価格に対する割合を見てみますると、昭和四十九年度は一・四三九%、五十年度は一・七三〇%というふうに、いわゆる固定資産税の一・四%という標準税率をかなり上回った率にまでいっております。五十一年度は、国有財産台帳価格の五年ごとの改定が行われる時期でございます。毎回、この改定の行われます時期には、台帳価格がどうなるかという見通しを予算要求の段階で十分確認することは、これはタイムラグがございますのでむずかしゅうございます。しかし、一応の予想をもとに予算要求いたしました。結果的にこの百五億円というのは、まだ評価改定が全部完了しておりませんので確認はできませんけれども、やはり私ども現段階の見込みでは一・四%には達しないというふうに見ております。したがいまして、明年度以降固定資産税相当額の一・四%に速やかに達し得るような努力を続けてまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  97. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いま御指摘になりましたように、国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律並びに同法律施行令によると、安保条約のもの、地位協定によって提供してアメリカ軍が使用している土地というのは、建造物、工作物、全部含まれています。ところが、自衛隊の場合というのはそうではないわけですね。細かく言いますと、飛行場について言えば、自衛隊の場合は航空機の離着陸、整備、格納に直接必要な施設だけが対象になっていまして、付帯施設でたとえば司令部とか隊舎、食堂、事務所、倉庫などは入っていませんね。それから演習場について言うと、これも複雑なんですけれども、自衛隊の場合は廠舎施設等はこれは入っていないわけです。あるいは弾薬庫は、これは両方とも全部入っていますけれども、その他のところがかなり大きいのですね。アメリカ軍の場合は全部入るのですけれども、自衛隊の場合は、駐とん地、港湾施設、学校、補給処、病院、地方連絡部、通信施設などは入っていないわけです。  実は、こういうことというのは、固定資産税見合いだという前提から言えば、さっき税務局長おっしゃったように、第三者とそれから国が、つまり日本がというふうに違いがあったとしても、固定資産税見合いという考え方、つまり、そのことがもたらす地方財政に対する影響という観点からすれば、私は、アメリカ軍の基地と自衛隊の基地というものを差別することは、どう考えたって不自然じゃないか、こんなふうに思うのですが、その点はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  98. 森岡敞

    ○森岡政府委員 国有提供施設等所在市町村助成交付金、いわゆる基地交付金の創設の当初から、いま御指摘の問題は非常にむずかしい問題として私ども検討し、大蔵省ともいろいろ相談をしてまいった事柄でございますが、いまお話しのように、基地施設という面から見ますと、米軍提供施設もそれから自衛隊の使用しております施設もこれは同じでございますが、しかし今度は、国が公用に使っておる財産という観点から見ますと、これは自衛隊が使用しておりますいわゆる基地施設とその他の公用施設というものとの間でやはり同じような性格があるではないか、こういう問題が出てまいるわけでございます。いま御指摘の、たとえば隊舎とか廠舎というものを考えてみますと、たとえば国有資産所在市町村交付金というのがございます。これはいわゆる公務員宿舎は対象にしておりますけれども、いわゆる義務宿舎というものは対象にしてないわけでございます。隊舎とか廠舎というのはどちらかと言うとむしろそういう義務宿舎に該当するようなものではないかという考え方もかなり強いわけでございまして、通常公務員が住宅がわりに使うものなら、これは固定資産税がわりの負担を求め、国がそれを地方に支払っていくということは筋が通るけれども、義務宿舎的なものについてまではやはりなかなか問題があるではないかということで、いわゆる交納付金自身が外しております。そういうふうなバランスの問題もございまして、この辺のところは政府部内でいろいろ議論をいままでもやってまいりましたが、なかなか尽きません。今後なお検討はいたしたいと思いますけれども、そういう両面がございますので御了解願いたい、かように思います。
  99. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 少しそれを具体的にお話ししてみますと、まあ御存じだと思うのですけれども、横須賀のケースで言いますと、たとえば防衛大学校があります。あれは対象資産じゃないのですよね。そういうものをずっと並べてみますと大変な数に上るのです。たとえば技術研究本部第五研究所あるいは宿舎施設、これはいわば防衛庁の付属機関ですけれども、それからもっと細かくずっと並べてみますと、もうびっくりするほど多いのです。たとえば横須賀総監部の横須賀防備隊、水雷調整所、船越庁舎、長浦庁舎、第二術科学校、補給倉庫、マイクロ施設、逸見庁舎、旧三笠艦保存所、田戸台の分庁舎それから観音崎警備所、鳥ケ崎送信所、千代ケ崎送信所それから横須賀地区病院、教育隊、通信施設、宿舎施設、以上申し上げたのは海上自衛隊です。それから陸上自衛隊も武山の駐とん地、久里浜の駐とん地、航空自衛隊について言えば宿舎の施設三カ所、これは大変な面積ですよ。たとえば防衛大学校を先ほど申し上げましたけれども、六十三万六千四百八十四平米、久里浜の駐とん地は三十五万九千八百九十七平米、武山の駐とん地は五十一万九千六十九平米、横須賀の教育隊というのは二十八万四千六十三平米、これだけの広い面積の施設が、アメリカ軍が使用しているときには対象になって、アメリカ軍から返って自衛隊に来たら対象からすっぽり外される。これはどう見ても不自然だろうと私は思うのです。この点は不自然だというふうに恐らくお考えになっていらっしゃると思うので、今後改善をするために御努力をなさるという御答弁をいただくわけにはまいりませんか。
  100. 森岡敞

    ○森岡政府委員 自衛隊が使用いたしております施設の中で、いわゆるいま御指摘の庁舎、特に管理的な部門の用途に供します庁舎でありますとか、あるいは学校でありますとか病院でありますとかということになりますと、これは国立の大学とか病院とかあるいはその他の管理施設等とのバランスというものがどうしても出てまいるという意味合いで、私はこれはなかなかむずかしいという感じがするわけでございます。やはり基地施設としてのきわめて特殊性を持ったものとなりますと、現在対象にしております飛行場とか演習場とかあるいは弾薬庫とか燃料庫とか、そういう種類の用途に供されるものがまさしく基地施設として他の公用財産とは別個に取り扱っていってしかるべきものということで、いまそれを対象にしておるというふうに私は考えておるわけでございまして、おのずから自衛隊の使用施設を対象に取り入れますには限界というものがある。他の公用財産、国有財産全般とのバランスというものがあろうかという気持ちを持つわけでございます。しかし、対象施設全般についてできるだけ見直しを行い、その拡大についての努力は続けてまいりたい、かように思います。
  101. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 なぜ横須賀のことを言いますかというと、横須賀がやはり自衛隊の中枢機能を持っているものですから、数が多いだけでなしに面積もものすごく広いのです。  私は、実は四十九年度の基地交付金に占める米軍基地と自衛隊の基地との比率というのを自分で細かく計算してみたのです。細かい数字ですから言いませんけれども、実際の面積というのは、米軍の基地は五カ所で三百五十万二千五百十八平米、自衛隊の基地は六十五カ所で二百九十二万八千三百九十七平米で、まあ面積の比率で言いますと五分五分なんですよ。ところが、いまの基地交付金の対象面積になると自衛隊の方がぐっと減りまして、七対三になるのです。今度は対象資産で見ますと、九対一に減らされているのです。片方は九で片方は一になってしまっているのです。固定資産税の見込み額でいきますと、この数字は必ずしも細かく正確ではないのですが、八・六対一・四ぐらいになってしまっているのですね。これはどう見ても私は格差がひど過ぎると思うのです、歴史的な経過から考えてみても。その意味ではこういう不合理をどこかで是正しておかないと——私は、自衛隊というのは憲法違反の存在だということを確信していますけれども、しかしここはそのことを論ずる場所ではございません。百歩譲ってそのことは別にしても、自衛隊の施設所在の全国各地、なかんずくそういうふうに集中している自治体政府の方針によって実際は犠牲を受けている、こういう感じがするわけです。そういう意味では、これらの市民に対して政府は誠意を示すべきではないか。これは政令事項なんですから、政令改正で間に合うわけですので、速やかにそういうアンバランスをもう一遍基本的に見直していく、そういうことをこの際政府にぜひ求めたいと私は思うのです。これは最初に税務局長で結構ですが、こういうアンバランスをそのままにしておいていいかどうかという判断は政治的な判断にかかわる問題だろうと思いますので、ぜひ大臣にも御答弁を煩わしたいと思います。
  102. 森岡敞

    ○森岡政府委員 まず事務的に申し上げたいと思いますが、地元の市町村といたしましていま御指摘のような事実にあることは私どもも承知いたしておりますし、固定資産税収入がそれから入らないということについての不満なり、あるいは問題意識は非常に強いということもかねがね承っておるところでございます。そういう事情を踏まえまして、先ほど来るる申し上げてまいりましたような議論をいままで尽くしてまいったわけでございますけれども、率直に申しまして、他の資産とのバランス論からなかなか困難な状況にあるわけでございます。  ただ、自衛隊、米軍の両方を通じまして、この基地交付金だけではございませんで、防衛施設周辺地域の整備法、そういうふうな法律に基づきます地域の振興あるいは開発あるいはレベルアップのためのいろいろな施設あるいは資金の供給も行っておるわけでございますから、政府といたしましてはそれらを総合的に活用いたしまして、米軍、自衛隊を問わず、基地施設のある市町村の財政行政全般に資するような努力は十分尽くしてまいりたい、かように思うわけでございます。
  103. 福田一

    福田(一)国務大臣 ただいま税務局長からお答えをいたしましたが、私といたしましても、その対象とか総額という面において今後努力をいたしたいと思っております。
  104. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 蛇足になると思いますけれども、昭和四十五年ごろからの対象資産に対する固定資産税予定収入額と基地交付金の開きを見ますと、四十五年で言えば九千八百万円程度のマイナス、四十六年は二億四千百四十万円余りのマイナス、四十七年は二億二百六十二万円ぐらいのマイナス、四十八年は一億二千八百九十二万円程度のマイナス、四十九年は、これは不思議なことに三千二百十五万円ということでプラスになっているんです。五十年も六千五十七万円ほどプラスになっているんですね。大体基地交付金というのはつかみ金じゃないかというふうな感じは持っていたのですが、どうもこの辺のところがずっとマイナスになっていて、それでそういうふうに考えてみるとプラスになっているところがあるんですね。どう見たって不合理だと思うのです。(発言する者あり)いや、ところが五十一年がまた減っているんですよ、そんなこと言ったって。それは調子に乗っちゃいけないのです。  だから、その意味努力は認めます。認めますが、その努力は、片一方で固定資産税見合いという筋道がこの制度の柱であるとすれば、やはりそういうところにも思いをいたして、そして現実に米軍基地がある、そしてそれが自衛隊の基地になっていく。その自衛隊の基地も含めて市民に対して一定の迷惑をかけているわけですから、そこへ集中しているわけですから、そういう配慮だけは、もう一遍見直していただくような御努力をこの機会にぜひともお願いをしておきたい、このことを重ねて申し上げておきたいと思うのです。  それから、大臣が時間を短くしてくれと言われたから短くしますので、簡単に、しかも要領よく答弁をいただきたいと思うのですが、交付税の種地の決定の問題をちょっと申し上げておきたいと思うのです。  国勢調査後の動態要素を考慮することについて要望を述べながら御答弁を煩わしたいと思うのですが、神奈川県の戦後における人口動態を振り返ってみますと、人口が二百万から三百万になるのには十七年かかっていますが、三百万から四百万になるには七年かかりました。そして四百万から五百万になるのは四年九カ月になって、最近では、五百万から六百万になるのは四年八カ月に短縮されているのです。まあ人口のことだけ言ってもなんですけれども。  それに関連して、昭和四十五年の国勢調査時の世帯数というのは百五十三万四千六百二十七戸、人口は五百四十七万二千二百四十七人でありますが、五十年、昨年ですが、世帯数は百九十万七千百六十四戸です。つまり、この間に世帯数で言えば約四十万戸、人口は六百三十九万七千五百七十九人でありますから、九十万程度のプラスになっていくわけです、五年間で。このように、神奈川県は、特に県庁所在地の横浜を中心とする人口集中の割合、これは最近大阪を追い越すんじゃないだろうかと言われているのですけれども、あるいは経済構造などというものを見ると、種地は当然甲八の都市形態を持っていると私は思うのです。それは見方はいろいろあると思います?そこでその種地決定には動態要素を加味するというそのことを前提にするとすれば、長い間甲七に据え置かれているという状態は合理的ではないと私は思うのです。この点をどのようにお考えか。それで、種地というものをどういう形で、国勢調査の結果に基づいてどんなプログラムで、変更というふうに言っていいかどうかわかりませんけれども、改定をなさるおつもりか、その見通しをぜひお伺いをしておきたいと思います。
  105. 首藤堯

    ○首藤政府委員 種地につきまして、ただいま御指摘のように人口集中地区人口とか経済構造つまり第二次、第三次の産業就業者の比率であるとか、こういうようなものを用いておりますのは御指摘のとおりでございまして、このそれぞれの数値は国勢調査のものによっておるわけでございます。そこで、種地を見ます場合に、現実に最も近い時点に適用すべきものであることはもう御指摘のとおりでございますので、私どもはこの結果が出次第、直ちにでもこの態容の基礎係数を変えていきたいと思っております。ところが、残念ながら、このような細かい結果は、いま承っておりますところでは五十二年の夏ごろ、八月ごろの発表ではなかろうか、こう承っておるわけでございます。そうでありますならば、五十三年度からしか、間に合わないわけでございますが、ぜひ、ともかく出次第、最も近い機会に直すということをお約束申し上げたいと思います。  それから、一般的な人口等につきましては、総人口等は直ちに出てまいりますので、これは五十一年度からでもこれを適用するというようなことにはいたしたいと考えておる次第でございます。
  106. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ぜひそういうことで、かなり金額の上でも開きが出てまいりますものですから、県はもちろんでありますけれども、当該横浜市などもそのことを非常に強く求めておりますので、ぜひ御配慮を願いたい、このことをお願いをしておきたいと思います。  それから、これは交付税との関連を含めて申し上げますと、鎌倉なんですけれども、これは御存じのとおりに、古都保存法の京都、奈良とともに日本の三大古都として指定都市になっております。この古都保存法の第一条にありますのは、「わが国固有の文化的資産として国民がひとしくその恵沢を享受し、後代の国民に継承されるべき古都における歴史的風土を保存する」というふうに実はなっているわけであります。鎌倉の史跡や文化財を再発見して保護するということは、日本の歴史をつづっていく上で非常に重要な位置を占めていることは言うまでもありませんし、民族の遺産を正しく後世に伝えていくというのは私どもの責任だと思います。残念ながらこの古都保存法というのは財政的な措置が非常に不十分でありまして、たとえば鎌倉で言えば、その不十分さを補っていくために、たとえば古都保存法に基づく保存地域の土地所有者の負担を軽減するために六条地域の土地の固定資産税やあるいは都市計画税などを全額免除しております。四条地域について、山林原野の固定資産税、都市計画税の全額を免除をしているわけであります。この免除額というのは、五十年度で六条地区で約三百六十万、四条地区で百九十万、合計で約五百五十万円程度なんですけれども、金額的には大したことはないのですけれども、こういう措置は、私行っていろいろ聞いてみるとまことにやむを得ない措置、そうでもしないと、なかなか古都が守れないという条件なんであります。それに対して、国は遺憾ながら特別交付税を含めて一切の助成をしておらぬ、こういう実態があるわけでありますが、これらについて今後自治省というか、政府としてどんなお考えで臨んでいかれるのか、これはいろいろな手だてが必要だと思うのですけれども、たとえば租税特別措置というような形があるのかどうか、こんなことも含めて何かいい知恵があったらぜひこの際お教えを願いたい。
  107. 首藤堯

    ○首藤政府委員 御指摘のように古都、古文化保存等を中心にいたしましたいわゆる観光地と申しますか、こういったところに多額の財政需要が発生をしておる、これに対して適正な財源措置が必要であるという問題点は、私どももよく認識をいたしておるのでございますが、現在、制度的にこれをつかまえることができまして措置をいたしておりますものと、なかなか把握が事実上しにくくて苦慮をいたしておりますものと二つ実はあるわけでございます。  一般的には観光地として最もつかみやすいような、たとえば温泉地域等におきましては、交付税等におきましても入湯客数によりまして補正を行いまして必要な財政需要の増加等を見ておりますし、また、その他の観光地等におきましても、指標として取り上げられるようなものが見つかり次第、特別交付税で応分の措置をしているといったようなことで苦慮をしながら措置をいたしておるのでございます。  それから、ただいま御指摘がございました古都における歴史的風土の保存に関する特別法でございますが、これによる法的な減免につきましては、六条第一項の規定によった特別保存地区の区域内における家屋とか土地、これの減免につきましては交付税算定の際の基準財政収入額の算定の場合にその税金が取れなかったもの、こういう計算をいたしますので、実質上はその分だけ交付税が回る、こういう措置にも相なっております。  なお、それから各団体個々の御努力といたしましては、なかなかむずかしい点もたくさんございますが、所によりましては、観光税等の法定外普通税でございますが、これを新設をしていただいて特殊の財政需要に対応する、こういったようなこともありまして、そのような制度をそれぞれあわせ用いながら運用をいたしておるような状況でございます。  なお、鎌倉市の場合は不交付団体であったと思いますものですから、普通交付税の場合の実際上の恩典措置は実益としては出てきていない、こういう状況であろうかと思います。今後ともなお観光地における各種の事情についてはできるだけいろいろ研究をさせていただきたい、このように考えております。
  108. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いま首藤さんからお話がありましたけれども、鎌倉の四十八年度の観光課の調べなんですが、観光客は二千百五十二万九千九百五十七人、これはものすごい数です。それに対して市としては、五十年度ですけれども、文化財保護の経常費で千八百七十六万円、事業費で千二百七十八万円、史跡の買収費で千五百万円、人件費で千七百三十九万円、合わせて六千三百九十四万一千円という大変な支出なんですね。実はこれだけじゃないのです。観光客を受け入れるためには案内所やあるいは美化清掃の委託料やそれから史跡観光地の清掃費やあるいは公衆便所の清掃費などを含めてこれのトータルで二千五百四十六万五千円、こういう実はそれゆえに大変な財政支出を余儀なくされているわけであります。市民にしてみれば、これはもう道路がぴっちり詰まっちゃって前に進むことができませんし、排気ガスあるいは騒音、振動などはもちろんでありますけれども、観光客の道案内からごみ掃除から公害の持ち込みなどを含めて大変な事態になっているわけです。後ろに座っている林百郎先生も鎌倉の居住でありますので、自分で恐らく相当深刻に考えていると思うのですが、それはそういう財政的なものを全体的な立場で少しでもめんどうを見るというようなことは、これは何とかならぬものですかね。ぜひ知恵を出していただきたい。とにかく大事なところなんです。そして人が集まってくるのです。首都圏だけでなしに全国の人々がそこにやはり一つのレクリエーションの場だけでなしに、歴史的文化財ということで求めて集まってくるわけですから、何とか対策を講じてほしい、市に対する具体的な援助措置その他を考えていただきたい。このことをぜひお願いをしたいと思います。
  109. 首藤堯

    ○首藤政府委員 御指摘がございましたように多数の観光客が集まる、流入人口があるということで市の財政需要が大きくなるということは、もうまさしくそのとおりであろうと思います。先ほど申し上げましたように、いろんな措置を通じまして普通交付税上ないしは特別交付税上の措置をいたしておるところでございますが、本来から言えば、市に流れ込んでまいります観光客なり何なりに応分の負担を求めることができれば一番望ましいわけでございますけれども、このような具体的手段がなかなかむずかしいという、ごくむずかしい難点がございますものですから、私どももあれこれ検討いたしておるところでございますが、観光地における特にごみ処理とか屎尿処理とか、こういつたような問題にでも重点を置いて、そういったところの需要を的確に捕捉をする、こういつた手段がなおないものかどうか十分検討させていただきたいと考えております。
  110. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 大変恐縮ですが、大臣、古い日本が好きなんだから、やはり鎌倉を大事にしてもらうために、せひ一言声を発してください。
  111. 福田一

    福田(一)国務大臣 実は私も、四月の初めでしたか、ちょっと鎌倉へ行ってきたのです。あそこいらずっと歩きまして、これはなかなか大変だなあということをこの目でみてきたわけなんで、ただいまお話しの点はよくわかります。お話を聞いておって。特に財政局長が、屎尿とかあれとかの問題で、ごみやなんか大変だろうと思うのだ。また屎尿関係も結果的に起きますから、そういう点も十分考えたいということでありますからひとつ考えさせてみたいと思っております。
  112. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 もう最後になりますが、海岸の管理者といいますか、それは海岸法によると「当該海岸保全区域の存する地域を統括する都道府県知事が行うものとする。」と書いてありますね。ところが、海岸の清掃管理者というのは明確を欠いているわけです。  これは、きょう水産庁あるいはお越しかもしれませんけれども、海水浴場、たとえば鎌倉の例だけでなしに、まことに恥ずかしい、国際的に見てもこんなひどい汚れた海水浴場というのはないです。しかしそれを、たとえばごみだとか、要するにさっきの清掃の話に戻るわけですが、やらなければならない。銭はどこからも出ない。したがって市財政の持ち出しと、こうなるわけです。人が寄ってくれば銭が落ちるじゃないかというと、よく調べてみるとそんなに落ちてないのです。しかも、鎌倉の市民も一緒じゃないかと、こう言うのですが、市民の五%ぐらいしか実はそれは利用していないという状態があるわけです。出店業者というのも、市外の経営者が圧倒的に多い。こういう状態でございますので、一体海岸の管理というのはどうなっているのか、この辺について、水産庁おられましたらぜひ教えていただきたい。
  113. 根本清英

    ○根本説明員 海岸法に基づく事務が三省庁にまたがっておりますので、本年度の幹事省でございます水産庁からお答えいたしたいと思います。  海岸法は、国土の保全を主目的といたしております。それから海岸法に基づいて指定いたします。海岸保全区域も、その目的を達成するために必要な最小限度の区域を指定をしておるというようなことでございまして、必要最小限度の区域の中で海岸保全や国土保全をするという業務をやっておるために、一般的な海浜地のじんかい等の処理につきましては海岸法の趣旨からは外れますので、現在のところは地方公共団体が行うべき行為ではないかというふうに考えておるわけです。  海水浴場を利用するのは、私も利用するわけで、汚れておるのはまことに気分の悪いものではございますけれども、実際海岸法だけを担当しております私といたしましては、どうも海岸法の中では処理できないというお答えしかできませんので、まことに申しわけないですが、御了承願いたいと思います。
  114. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ことしは担当だというのは、毎年違うのですか。
  115. 根本清英

    ○根本説明員 海岸の行政事務を扱っておりますのが、港湾局と建設省と、それから農林省では水産庁と構造改善局と、四つあるわけです。それで、同じ事務を行いますために、予算要求その他につきましてはそれぞれ別個に行うわけですけれども、思想統一して行動しなければなりませんために、一応幹事省というものを設けまして、そこで場合によって統一的な行動をとるときには幹事省が担当するということにしておりまして、それは一年ごと回り持ちでやっておるわけでございます。
  116. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 毎年毎年、じゃかわるわけですね。ことしは農林省で来年は建設省で再来年は運輸省で、毎年かわるのですか。かなりこれはどうも複雑怪奇というよりも、かっこうがついておらぬという感じですな。それは、港がそれぞれ所管が分かれておるということは知っていますよ。だけれどもそういう形で、日本の自然、特に海岸というのはいま非常に重要な意味を持っている、それに対する行政的対応としてはちょっと変じゃないですかね。それはいいです。  それで、あなたのところは海岸法は関係ないからごみの処理のことは関係ないと言ってしまうことは簡単でしょうけれども現実に海岸を——それは全部とは言いませんよ。しかし人が集まる、あるいは重要なというところは必ずあるものですよ。そういうものを一体どういう形で保存をしていくか、あるいはどういう形で国土の保全という立場で対応していくかということを考えたら、そのことは私ども関係ございませんじゃ始末がつくことではないと私は思うのです。だから予算措置があなたのところでできないということになれば、予算措置をするための——現実に保全をしている自治体があるわけです。管理者がいるわけです。それは清掃は別ですよという形では区別がつかぬはずです。切り離しがたく結びついていると思うのですよ。それらの処理地方自治体で銭はめんどう見るべきでしょうと、こう言っただけではどうにもならぬわけです。ここで、その程度しか出てこないと思いますので、税務局長、これは税務じゃないのか。どこになるか。自治省の方に、財政局長に御答弁を煩わして、これは単に鎌倉だけ、わが選挙区のことだけじゃなくて、全国的な問題にも影響があると思いますので、ぜひしかるべく検討をいただいて——現実にそういう出費がある。単に出費だけでなしに、そういう措置が必要なんです。清掃という仕事が。そのことをやはり財政的にも、十分とは言えないまでも精いっぱい努力をして対応していくというお答えをいただきたいと思いますが、いかがでしよう。
  117. 首藤堯

    ○首藤政府委員 ただいま御指摘のように、海岸の保全と関連をいたします意味での海岸清掃、ごみの処理、こういった問題もあろうかと思いますので、そういった特殊の施設等につきます国庫補助等の問題が可能性があるのかどうか、こういったことも各省とも相談をいたしたいと思いますし、それからまた、そういったことで出ておりますので、地方団体の特殊の財政需要、これにつきましてはよく調査をしてみまして、先ほどの観光地におけるごみ処理の問題と同じような意味検討させていただきたいと考えております。
  118. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ありがとうございました。以上で終わります。
  119. 小山省二

    小山委員長 林百郎君。
  120. 林百郎

    ○林(百)委員 本年度の地方財政については重要な問題が山積していますが、大きくしぼれば、いままで同僚議員の間からも質疑が出ておりますが、一つ交付税の額が不足のために交付税会計が資金運用部資金からの借り入れをするという問題、これが去年、ことしとずっとつながっているということ。それから、本来交付税で見るべきものが起債に振りかえられているという問題、これは非常に大きな問題だと思うのですね。これが中期計画から見ても改善されるという指数が出てこないので、どうしても根本的に考えなければならないときが来ていると思うわけですね。交付税会計の借り入れの方を見ますと、五十年には一兆一千四億八千万円の当初見込みよりの落ち込みがあって、結局現実的には三兆三千八十一億六千万ということに三税の三二%の数字がなる。したがって、借り入れが一兆一千百九十九億八千万、これと臨特が二百二十億加わるわけですが、結局借り入れの一兆一千百九十九億を加えまして、そして本来の三税の三兆三千八十一億にこれを加えますと、本来の国税三税に対する約四三%相当になるわけですね。これはもう財政局長もおわかりだと思うわけですが、それではことしを見ますと、国税三税の三二%そのものは三兆八千九十七億、これに借り入れが一兆三千百四十一億と臨特が六百三十六億、若干これから差し引くものもありますけれども臨特六百三十六億、これで五兆一千八百七十四億、これは国税三税の四二から三%相当、これに振りかえ分の地方債の一兆二千五百億を加えると、これは五〇%を超えるということになりますね。そこで、これにさらに中期見通しを見ますと、中期見通しの要調整額が五十二年度に一兆九千二百億、五十三年度に一兆四百億か、これは異常で、二年とかなんとかでなくて、五十二年、五十三年にもそうなるわけなんですから、当然これは交付税率を上げるという条件があると思うのですけれども、この点、自治大臣はどうお考えなんですか。私が予算委員会の一般質問質問した場合には、考えますと、非常に渋かった大平大蔵大臣もこれは考えましょうという前向きの答弁をとってあるわけなんですが、この地方行政委員会でもう一度念のために——これか五十年、五十一年、五十二年、五十三年と続くわけですからね。こんなびほう、われわれから見ればびほう、自治大臣から言わせればびほうどころか非常な努力の成果でやっとこうなっているんだ、やっとというか、ここへこぎつけているんじゃないか。これは見方ですな。本来の制度があるのですからその制度でやはり満たしていくということを最大限度に考えて、あとはあなたの努力で借り入れしたり起債でやったり、起債の一部を元利償還したり、あるいはその金利を政府資金並みにしたり、それはあなたの努力と言えば努力かもしれないけれども、本来の制度的な三二%をそのままにして、そういうところへあなたが努力をしたと言っても、これはちょっと筋違いの努力のように思えまして、その点をどうお考えになっていますかね。
  121. 福田一

    福田(一)国務大臣 いま林さんが言われたように、五十二年、五十三年あるいは五十四年までも赤字が続くじゃないか、こういうお話なんですけれども、五十一年度予算をつくったときはまだその試算が出ているわけではございません。大蔵省の方が予算を出したときに衆議院の予算委員会の方から、大体計画もなしにこういう国家予算を出してくるのはおかしいじゃないか、何か試算を出したらどうかというので、それに基づいて試算が出て、またわれわれの方もそれに基づく試算試算ですからね、ございますから、それを出したわけなんです。そこで五十一年度の予算をつくったときにはまだ、必ず五十二、五十三年度が赤字になるかどうかということについて確たる見通しがなかったということでございまして、いまあなたのおっしゃるように、もうすでにそういうことがわかっていたならばここで交付税率の問題に手をつけるべきはずであったにかかわらずつけなかったのはどういうわけか、こういう御質問かと思うのでありますけれども、実はそういう事情もございまして、今年度五十一年度におきましては、ある意味地方自治体の必要とする額を起債あるいはその他の方法、借り入れ等の方法によって埋める、こういうことをしたわけであります。そこで五十二年度ということになった場合には、いまのような試算も出ておることでもあるし、それからまたいまの財政状態から見ますと、輸出が大分伸びてまいりましたから、消費の方が、いわゆる賃上げの方で余り思ったほどの高騰にならなくても、景気はある程度回復するのではないかという期待を私は持っているわけでありますが、しかし景気が回復いたしましても果たして来年度の赤字が解消するかどうかということはまだ見通しがついておりません。日本の経済というのは、何というか、非常に谷が深かったり山が高かったりするようなことをよく繰り返しておりますので、まだいまここで確たることは申し上げられませんけれども、いま仰せになったようなこと、また試算というものから考えてみますと、来年度の予算編成に当たりましては交付税率の問題に手をつけないわけにはいかないのじゃないかという考え方を持っておるということを予算委員会においても申し上げたわけでありますし、また私はただいまこれを繰り返して申し上げたいと思うのであります。
  122. 林百郎

    ○林(百)委員 確かに自治大臣のおっしゃるように景気が若干上向きになっていますし、法人税の税収も若干改善されているというのはおっしゃるとおりだと思います。しかし中期計画によってもそのことはもう組み込まれておりますので、たとえば国税税収が五十一年度には十六兆が五十二年度は二十兆になって四兆増になっているわけです。これは国の方の中期計画です。ですからあなたのおっしゃる要因はもう中期見通しに大体組み込まれているわけですよ。それが組み込まれていても、地方財政の方の中期見通しは、あなたの言うように、五十二年度、五十三年度、五十四年度約二百億ですけれども調整額があるわけですから、大臣も五十一年度の当初地方財政計画を立てるときには、こういう中期見通しというようなものもこれほどの数字的なものも出ておらなかったからとりあえずこういう措置をしたけれども、これが中期見通しもあり、まあそれは中期見通しですから、ことに自由主義経済ですからいろいろの弾力があるということはわれわれもわからないことはないから、そう計画経済みたいな見通しがつかないことはわかりますけれども、しかしそれにしても一応赤字国債を発行しないで済むような、そういう見通しとしては政府はこういう責任を持つのだということで国の財政収支試算がなされ、ケースIとケースIIで出され、それに基づいて地方財政収支試算がなされて、その中で五十二年、五十三年、五十四年が要調整額があるのですから、これはやはり真剣に、われわれも大蔵省に対していろいろと質問を詰めたりこの問題を詰めたりしますけれども、やはり自治大臣としては五十二年度の地方財政計画を組むに当たってはこの三二%問題ですね。地方交付税法の六条の三については、やはりこれは相当お考えになる必要があると思いますので、いま大体予算委員会での答弁と同じことをおっしゃっておられますから、自治大臣としてはその点について相当の積極的な熱意を持っている、こう理解してもいいかと思うのですが、念のために詰めをしておきたいと思います。
  123. 福田一

    福田(一)国務大臣 ただいま林さんは私の気持ちをよく理解しながら御説明をいただいておると思うのでありまして、私もいまあなたが仰せになったような気持でおるということを申し上げたいと思うわけであります。
  124. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。  そこで、この交付税会計の借入金の返還予定額が出ておるわけなんですけれども、これは私は調査室の資料を使わせていただきますが、多いときになって昭和六十年になりますと約四千百九十九億という大きな数字になるわけなんですけれども、これだけのものが当然交付される交付税から差し引かれるということも、これもまた一つの大きな要因になるわけですね。六十年というとこれから約八、九年先ですから、いろいろの要因がまた変更してくると思いますが、一応のこういう数字が出ておるわけなんです。これは交付税会計としては相当の重荷になると見ていいと思いますが、その点はどうでしょうか。五十八年が三千二百九十億、五十九年が三千七百二十億、六十年が四千百九十九億、これは五十年度借り入れと五十一年度借入金がダブってくるわけですが、これがもし五十二、五十三に同じことになると、これはまたこれだけで済まないことになるわけですね。相当大きな負担になると思います。その点は局長と大臣、これは言うまでもないことだと思いますが、局長どうですか。
  125. 首藤堯

    ○首藤政府委員 ただいま御指摘のとおり、両年度の借入金が昭和六十年には一番大きなピーク時を迎えて、四千百九十九億円の償還が必要ですし、なお今後も続くことがあればこれがもっとふえていくということは御指摘のとおりでございまして、これは地方財政そのものに対しては、やはり交付税という財源措置を通じます上において非常に大きなウェートを持つものだと、私どももそのように考えております。しかしこの金額につきましては、当然のことではございますが、これだけ減額になるということを地方財政計画上明確にいたしまして、当該年度の地方財政計画がそれでもってどうしても収支がつじつまが合わない、十分な地方の活動が保障できないというようなことでありますれば、また国の状況、地方の状況等も十分勘案して所要の措置を講ずるということを大蔵省との間にも両大臣約束をしてございますので、その事態事態に応じて、地方団体の実際の活動がひどい阻害を受けないように、当然相応の処置をしていくべきものであろう、このように考えているわけであります。
  126. 林百郎

    ○林(百)委員 大臣、大蔵大臣とどんな話ができているのですか。これがもしその年度の財政計画の運用に支障を来すような場合には適当な措置をするというのか、もう少し具体的に、どういう方法があるのか、そのとおりいくかいかないは別としても、どういう話が大蔵大臣としてあるのですか。
  127. 福田一

    福田(一)国務大臣 その場合には「大蔵、自治大臣は、毎年度の国・地方おのおのの財政状況を勘案しつつ、交付税特別会計の借入金の返還について、協議の上必要があると認めるときは、その負担の緩和につき配慮を行う。」こういうことになっております。
  128. 林百郎

    ○林(百)委員 臨特とかあるいはいろいろな方法もあると思いますが、緩和の方法についてということで、やや抽象的ですが、とにかくそういう、自治大臣としては大蔵大臣に対してだめ押しを一応したということをお聞きしておきたいと思います。  そこで、これは交付税特別会計の借入金を国税三税の本来の本年度収入額の三二%に加えた場合、本来の三税に対する四二、三%、四三%近くなるということだったのですが、しかしそのほかに一兆二千五百億の財政対策に対する起債、この性格が、私の考えではこれは本来交付税として見るべきものを起債に振りかえたんだ、これは政府の説明にもそんなような言葉があると思いますが、そのほかの調査室の資料なんかを見ましてもそんなようなことが書いてあります。ことにこの四千五百億、これは交付税の投資的経費の包括算入分を地方債に置きかえたものですから、本来なら交付税と見られるものではなかろうか、うち二千億円は元利償還をすっかり見る、二千五百億円は利子の全額を見るということになると、まずこの四千五百億は交付税的な性格を持っている。それから八千億については、投資的経費の起債への振りかえということに見ますと、これも本来なら交付税に余裕があるならば交付税として繰り込まれるべきものが、交付税が御承知のとおりこういう非常にプアーな状態ですから、一部は借り入れ、一部は起債というようにしたもの、そういう性格のものと見ていいのでしょうか。
  129. 首藤堯

    ○首藤政府委員 今回措置をいたしました一兆二千五百億についてのお尋ねでございますが、本来こういうことではなかろうかと理解をいたしております。ただいま御指摘をいただきました前段の四千五百億分、これは従前包括算入として経費の需要として交付税に算定されておったものでございますから、これはやはり本来ならば交付税そのもので措置をすべきものを、やむを得ず起債に振りかえた、そのかわり二千億については元利補給づきでございますし、残りの分については利子補給がつきますので、いわば臨特の年度払い、それからもう一つは特別会計における借入金の年度払いでございますか、こういう性格のものに仕立てかえたということであろうと思います。  それから残りの八千億でございますが、これは御指摘のように従前であれば事業費補正等の措置を通じまして交付税で措置をしておったものを地方債に振りかえたものでございます。その点においてはまさしく振りかえでございますが、この場合、八千億全部が本来交付税であるべきものであるかどうか、これにつきましてはいろいろな考え方、論議それから実際上の取り扱いの問題もあろうかと思います。と申しますことは、公共事業等の投資的経費の財源構成をどう持っていくのか、つまり当該年度における一般財源でほとんど実施をしていくのか、なるたけ一般財源で実施をした方がいいに決まっておりますけれども、こういう投資的経費でございますから、本来の性格として一応借金で賄って、その償還分を将来一般財源で賄っていくということであれば、それも一つ考え方かと思うわけでございます。したがいまして公共事業等の地方負担に対しては、どの程度起債を充当し、どの程度一般財源を充てていくか、このかみ合わせの問題であろうかと思います。そういう面から申し上げますと、本来交付税をもって措置すべきとまで言い切れるかどうか、その点はいろいろ御判断があろうかと思うわけでございます。ただ、いままでは交付税で措置をしておったものを振りかえたということは御指摘のとおりの事実でございます。
  130. 林百郎

    ○林(百)委員 これは調査室の皆さんには一変御迷惑かもしれません、これを引用させてもらいますが、調査室の資料の三十四ページを見ますと「地方財源不足を補てんするための地方債一兆二千五百億円のうち、八千億円については、従来地方交付税の基準財政需要額に算入されていた公共事業費等(道路関係を除く。)に係る投資的経費が地方債に振り替えられたものである。この地方債への振替措置に伴い、公共事業等に係る地方債については、適債事業の範囲を拡大するとともに、充当率を一般的に九五%に引き上げることとしている。八千億円の地方債計画の各項目への振替内訳は、1一般公共事業六千二百八十八億円、2義務教育施設整備事業四百九十一億円」と、3、4、5、6とずっとありますが、あなたのおっしゃるようなことでなく、大体八千億というのはもう一項目が決まって、従来はこういう基準財政需要額に算入される投資的経費をかえたものだとはっきり言って、調査室のあれですけれども、私はやはりこういうものと見ておいた方が手がたいのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。だから、こうなりますと、これは交付税の起債への振りかえという性格のものだというように言い切っていいのじゃないかと思いますがね。
  131. 首藤堯

    ○首藤政府委員 ただいまも申し上げましたように、いままでは御指摘のように事業費補正等を通じまして交付税で措置をしておりました分、これを地方債に振りかえたということは事実でございます。しかし本来交付税で措置すべきものを地方債に振りかえたと で言えるかどうかについては若干問題があると申し上げたのでございます。と申しますのは、従前でございますと御承知のように、投資的経費の地方負担地方債で二〇%ないし三〇%それから残りは交付税の当初補正というかっこうで措置をしてきておったのでございます。これも一方式でございますが、今後の措置として投資的経費のたとえば六割、七割を地方債でやって残りを交付税で補正しておいて、そのかわり六割、七割分に充てた地方債についてはその償還費を将来財政需要に立てていく、交付税で償還をしていく、こういう措置をとればそれもまたりっぱな財源措置でございます。その付近充当率をどの程度に持っていくか、これはいろいろ考え方があるのではなかろうか、こういう意味で申し上げたのでございます。
  132. 林百郎

    ○林(百)委員 なお念のために聞いておきますが、五条の例外債の赤字地方債ですか、これは四千五百億の中の幾らと見ているのですか、二千億と見ておるのですか。それともそれは弾力性をもって必ずしも四千五百億の中の幾らとは言わない、必要に応じて発行できるのですか。
  133. 首藤堯

    ○首藤政府委員 これは四千五百億全部でございます。と申しますのは、四千五百億につきましては先ほど申し上げましたように、包括算入というかっこうで交付税でいままで渡しておりましたので、これは本来交付税で措置をすべきものであった、またある、このように私ども思っておるわけでございます。したがいまして、この分は交付税にかわるものとして地方債を許可いたしますから、五条の受けざらがなくても発行し得る起債ということに格づけをいたしたいと思います。
  134. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると地方財政法の三十三条で投資的経費のほかに発行し得るいわゆる赤字地方債ですか、国債で言えば赤字国債になるわけですけれども、それはじゃどの部分に入るのですか。どこに備えて、その条文はことしは変えるのですか。
  135. 首藤堯

    ○首藤政府委員 本来の地方債は、先生御案内のように地方財政法五条の規定で、投資的経費の裏、その他貸付金そのほかもございますが、公営企業等もございますが、簡単に申しますと、国における建設国債と対応いたしましたような意味で、地方財政法においても建設事業の財源にする場合に許される、こういうかっこうに相なっておりますが、それの特例として交付税の包括算入投資的経費の振りかえでございますから、そのような裏負担、受けざらがなければ許可をしないというのでは動きませんので、財政法五条の特例の起債、こういうことに四千五百億全部は性格づけておるわけでございます。したがいまして、この四千五百億の配り方もいままで普通交付税の基準財政需要額で包括算入を算定いたしておりましたやり方と全く同じ方法で、つまり交付税を配りますのと全く同じ方法でこの四千五百億の配分をしたい、こう思っております。
  136. 林百郎

    ○林(百)委員 四千五百億を交付税の振りかえとして、計算の仕方のその計算に基づいてこの使途を決めるのだということはわかりますけれども、これが五条一項ただし書きの規定により起こす地方債のほか、十一条に定める方法に準ずるものとしてやるとあるのだから、これはもしあなたのおっしゃるように公共的な投資やいろいろに使うならば、ただし書きの規定により起こす地方債としてもそれでいいんじゃないでしょうかね。それをどうしてこれから外したものにしなければならなかったのか。
  137. 首藤堯

    ○首藤政府委員 先ほども申し上げましたように、これば交付税の包括算入投資的経費の振りかえでございますので、従前包括算入投資的経費は必ずしも明確な建設投資の裏負担、これのひもつきでなくても使用されておったわけでございます。それの全く同じ振りかえのもので許可をいたしますから、五条一項ただし書きの規定による起債だときめつけてしまいますと受けざらがないと発行できない、こういうことになってしまいますので、それでは地方団体がかわいそうでございますから、これは交付税と同じ配分の仕方をしますよ、こういう意味でその例外規定を設けたわけでございます。
  138. 林百郎

    ○林(百)委員 それではいま地方債の問題に入ったのですが、五十年度の地方債計画が当初二兆八千三百五十億でしたが、これが補正による追加、補てん債が一兆六百三十二億ですか、それから公共事業の裏負担二千六十六億を加えて四兆一千四十八億、こういう数字になったのですが、昭和五十一年度の地方債計画を見ますと、当初が四兆八千十億で、うち一兆二千五百億は財源不足対策債ということになっておるのですが、伸び率は五十年度の当初の地方債計画から見ると六九・三、補正後だと一四%になっているのですが、いろいろの問題があるのです。本年度の地方債のうち、原資が政府資金とそうでないものとの比率はどうなっていますか。
  139. 首藤堯

    ○首藤政府委員 本年度四兆八千十億のうち、政府資金が一兆四千二百億でございますから構成比は約三〇%、残りは公営公庫資金であるとか民間資金であるとか、こういうものに相なっております。
  140. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると普通なら政府資金で見ろというのが通常なんですけれども、原資が金利の安い政府資金で見られないという傾向は五十一年度は強まってきている、こう結論づけていいですか、三〇と七〇という比率になりますと。
  141. 首藤堯

    ○首藤政府委員 形式上は御指摘のとおりでございます。と申しますのはやはり交付税特別会計におきまして一兆三千億余りの政府資金による借り入れをやる、こういったこともございまして政府資金がひどく枯渇をいたしましたので、やむを得ずこういう措置をとりました。しかし実質的に政府資金以外の資金によったことによって利子負担等が非常にかさんで地方団体に迷惑になる、これはかなわないと思いましたので、いままでとほぼ同じ全資金率の六〇%程度に達しますまでは民間資金によりますものについても利子補給の方法をとる、こういうことで、実力政府資金と同じ条件まで緩和をすることができるような配慮は別にいたしたのでございます。
  142. 林百郎

    ○林(百)委員 そういう利子補給についてはいろいろの手が加えられていることはよくわかりますけれども、しかしこれが借金というか、起債で、本来なら交付税として地方自治体の単独事業なり自主的な用途に向けられるものが起債ということになりますと、いろいろの枠が決められてくるので、その点は原資の悪化と同時に、交付税の性格を持つべきものが起債に振りかえられたということによって、地方自治体財政的な自主性というものが起債の枠にはめられてしまうという、自主性についての制限ということにはこれはなりませんか。こういう起債起債で、本来交付税で見て、そして地方自治体の自主的な判断である程度弾力性を持って使えるものが、起債ということになると何ということで決まってきますね。ことに八千億などについても大体何が幾ら、何が幾らということが出てきているわけですから、そういう点については考えなくてもいいのですか。
  143. 首藤堯

    ○首藤政府委員 御指摘のようなことが全然ないとは言い切れないと思いますが、さしたる大きな実際上の問題として出てくることはほとんどないのではないかと実は思っております。と申しますのは、振りかえましたうち四千五百億につきましては全く交付税と同じような配り方をいたしますし、財政法五条にも縛られませんので従前と同じ使い方ができます。それから残りの八千億につきましては、これは公共事業の裏負担に対する充当率を高めるという措置をとっておりますので、公共事業を実施をしないでその部分をほかの事業に使うというケースにおいては御指摘のような事態が起こり得るかと思うわけでございますが、現在のような事態でございますとほとんどの団体が地元産業の振興とか地元景気の振興そのほかの理由のために、なるだけ公共事業は実施をするという実際上の方向にございますので、そうであればその財源を起債をもって充てるということになりましても実質上の支障はほとんどないのではないかと考えております。なお、この分につきましては前も申し上げましたように、将来この償還費を個別の団体の基準財政需要に算入してまいりますから、その償還費に事を欠くという事態はないわけでございますので、そのように考えておるわけでございます。
  144. 林百郎

    ○林(百)委員 この残高が非常に膨張していく起債について、国債の方では赤字国債の発行がインフレとつながる、要するに日銀の信用券の発行と相当密接な関係で結びついてくるので、インフレの大きな原因になるんじゃないか。そしてこれは雪だるま的に拡大しているんじゃないかということで非常に論議になるのですけれども地方債の増額については自治省の方も相当楽観的な見通しというか安易な考え方というのですか、地方債へどんどん振りかえていくわけなんですけれども、これは一体歯どめを考えなくてもいいのでしょうか。たとえば地方債残高、中期計画で見ますと五十五年度には二十兆円という地方債になるわけですね。それから公債比率を見ますと、これは毎年の伸び率が二三・七%、いろいろの指数の伸び率を見ましても公債費の伸び率が一番大きい比率を占めているわけですね。こういう状態で地方債へ振りかえ地方債へ振りかえ、交付税の不足分は地方債というような方法をとっていくことが歯どめが必要でないのか。こういう状態をどんどん続けていって、そして五十五年度には二十兆というような残高になる、これは中期見通しにありますね。こういうことまでいっても構わないのでしょうか。しかも公債比率は毎年伸び率が二三・七%だということですね。こういうやり方についてはやはりそろそろ考えるべきではなかろうかと思います。  後でこれの消化の問題についてもお聞きしますが、消化の問題がありますし、それから地方自治体からは適格債にしてもらいたいという要望もあります。適格債になるということになると、これはまたそれだけ信用券の発行になりますから、インフレの一つの要因としてこれは無視できないことにもなりますですね。われわれもむげに地方債の発行を厳しくしろとは言いませんけれども、しかしある程度の節度が必要ではなかろうか。足りない分は何でも起債でやっていけばいいということを続けていくという考え方がいいのかどうか。この点をちょっと局長と、これはちょっと重要なことですから大臣の御見解もお聞きしておきたいと思うのです。
  145. 首藤堯

    ○首藤政府委員 仰せのように地方債への振りかえ措置でどんどん地方債をふやしていくということをエンドレスにやっていいとは私ども決して考えておりません。ただいま御指摘がございましたように、消化の面からも、また将来の財政に及ぼします公債償還費の面からも一応の歯どめを考えるべきものであろうと思っております。  この歯どめをどの程度に置くかにつきましては、いろいろ問題があるところでございますが、ただいまのところ地方財政計画中に占めておりますいわゆる公債償還費の比率と申しますか、そういったものから考えましても、ことしまでとりましたような措置、これでもってそのいわば歯どめ的なところのものを非常にたやすく乗り越えてしまうほどの額になっておる、こういうようには考えていないのでございますが、こういった大幅な振りかえ措置を未来永劫と申しますか、ずっといつまでも続けていくということはやはり適当ではないので、その御指摘の両面から適正な歯どめを考えていくべきものであろう、それは私どももそう考えております。
  146. 福田一

    福田(一)国務大臣 ただいま財政局長の方からは、収入の面から見て一種の、起債を一つの収入と見た場合の考え方を述べたのです。私はやはり、国際経済との関係とかいろいろなことが出てくると思うのです。だから自由主義経済というものをとっておっても、やはり財政というものは歳入歳出というものが見合っていかなければならないものだと思うのです。そういうような非常に苦しい事態が来れば、歳出面においてもやはり考慮をせざるを得なくなる、これはやむを得ないことだと私は思っております。どこからも、天から金が降ってくるわけでもなければ地からわいてくるわけでもないのですから、そういう場合には歳出面というものをどう抑えていくか。歳出面のうちでいろいろありますね、歳出の内容。どういうものを抑えていくのがいいかという議論もそこに出てこざるを得ないだろうと私は思っております。しかし、いまのところでは要するに一応輸出がある程度伸びてきておりますから、消費がまだ思ったほど、賃上げが進まないので伸びないという面もあるかもしれませんけれども、まあ大体そうそう悪くはならないのじゃないか。したがって、大蔵省の試算においてもある程度、四、五年後には何とかなるという試算を出しておりますが、地方財政においても私はそういう意味で何とかなるのじゃないかと考えておる。また、余り支障のないように運営をしなければならないと思いますけれども、どうしてもできないということになれば、これは予算のことであるから歳入と歳出と両面からこの問題を見ていく必要が起きる、こういうふうに私は考えております。
  147. 林百郎

    ○林(百)委員 地方財政あり方、それから租税の民主化の方法については私と大臣とは根本的に違いますので、たとえば地方の法人住民税についてもやはり資本金に対する課税的な考え方を持ってこないと、所得に対する課税ということになると、いまの租税特別措置で相当の額が所得から社内保留引当金等に落とされていますから、全くもう資本金何億、何十億という会社が、資本蓄積しているにもかかわらず、その法人に対する地方負担が均等割の五千円とか四千円でとまっているというような問題もあるわけですね。やはりわれわれは、たとえばその地方に何十億という会社の相当本格的な工場がある場合には、その資本に課税をして、その配分をその工場の規模によって行うとか、あるいは社内保留されています、昭和五十年度の上半期だけで九電力会社の社内保留が約八千億近くある、それから一部上場会社の五十社で約八兆九千億近くもある、これがみんな社内保留にされちゃって課税の対象にならない。そうなりますと、担税能力のある法人に国税もかけるわけにはいかない。国税がかけるわけにはいかないから、地方税をかけるわけにいかない。そういうことで、課税の民主化について、これは私と大臣とはどうもこの点は一致する見通しはとうていないように思うわけなんですけれども、さりとて、このような地方債の増額、そして公債費の比率の増大というものをこのままでいい——大臣はそこをついて、自由主義経済だから景気の見通しが何とかなるんじゃないかとおっしゃっていますけれども、そういう要因はみんな国の方の中期計画に含まれて、だから国の赤字国債は発行しなくてもいいというもとで国の中期計画がつくられる。それに基づいて地方財政収支試算がなされているわけですが、それを見ましても地方債は多くなる一方、公債費は増額する一方ですから、これは大臣の言うようなこれからの経済の見通しについてのある程度の楽観的な要因を入れても、この趨勢というものは五十年、五十一年の実績から見ていくととまらないじゃないか、どこかで地方の行財政の根本的な考え直し、あるいは交付税率の引き上げ、あるいは三二%の対象になる国税に新たなものを考えるとか、抜本的な考え方を来年はやはり考える時期が来ているのじゃないかというようにどうしても考えられるわけなんです。  そこで、抽象論を重ねていても仕方ありませんから、ここで具体的な話を聞きたいのですが、公債比率が一〇%以上の自治体というのは幾つあるか、自治省、わかりますか。これは、決算は四十九年ですか、五十年はまだ無理ですね。四十九年でどのくらいになっておりますか。
  148. 首藤堯

    ○首藤政府委員 ただいま決算が出ておりますのは昭和四十九年度まででございますが、ただいま、一〇%以上の団体数というものを集計したものを持っておりません。
  149. 林百郎

    ○林(百)委員 しかし、中期見通しは公債比が出ておるわけなんですけれども、これは何を基礎にしてこういうものをつくったのですか。大体、地方債残高を基礎にしてつくられたんですか。何が基礎なんですか。
  150. 首藤堯

    ○首藤政府委員 それは現債額のトータルからはじき出したものでございまして、地方財政全般の現債額から公債費が幾らになってくるだろう、この額は的確に算定ができますものですから、それでもって計算をしてございます。その意味での五十一年度地方財政計画における公債費の歳出中に占めます比率、これは五・五%で押さえております。ただ御指摘のようにそれは各団体ごとにばらつきはございますが、一〇以上のものが何団体あって云々という資料は、いま持っておりません。
  151. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ、マクロで押さえたということですね、そうすると、各自治体での公債比率一〇%以上のものがどのくらい、あるいは二〇%以上のものがどのくらいという数字はわかりませんですね。それで、五十年度にはどのくらいという推定もここでは出ないですね。
  152. 花岡圭三

    ○花岡説明員 御指摘のような各団体ごとに何%を超えているかというふうな集計はとっておりませんけれども、現在のところ、二〇%を超えるようなものはございません。
  153. 林百郎

    ○林(百)委員 いや、私は二〇%を聞いているのじゃなくて、一〇%以上がどのくらいかと聞いているんですよ。二〇%以上になればあなた方の方で起債を抑えてきますし、あるいは再建団体にしてしまいますからね、多分、と思うんですよ。まあ、公債比率二〇%のをなお再建団体にしないでやっているところもあるかもしれません。そういうところを知りたいので私はお聞きしているので、だから、一〇%以上ということになると二〇%近くになりますからね、そこら辺のがどのくらいあるかということを参考に聞きたい。二〇%以上のがないというのなら、一〇%から二〇%の間もわからないのですか。
  154. 花岡圭三

    ○花岡説明員 団体ごとにかなり公債費の比率の高いところ、こういうところについてはいわゆる起債の制限の問題がございますので、私どもも注意をして見ております。したがいまして、二〇%に近いような団体、こういう団体はある程度調べておりますけれども、大体一〇%台がどのくらいかというふうなランク的な分け方はいたしておりません。
  155. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。それでは、もしわかりましたら、ひとつ資料にそれをいただきたいと思うのです。
  156. 花岡圭三

    ○花岡説明員 二〇%に近いところの団体については、資料ございます。
  157. 林百郎

    ○林(百)委員 何年度のがあるのですか。
  158. 花岡圭三

    ○花岡説明員 四十八年度でございます。
  159. 林百郎

    ○林(百)委員 じゃ委員長、それでも結構ですから、また資料としてお渡しいただきたいと思います。
  160. 小山省二

    小山委員長 はい。後ほど……。
  161. 林百郎

    ○林(百)委員 なお、四十九年度もわかりましたらいただきたいと思います。これは決算がもう済んでいるはずですからね。  それから、あと進めていきますが、地方財政計画の歳入に占める地方債の割合は、五十年度の五・九%から五十一年度にはどういうように変わっていますか、パーセントは。
  162. 首藤堯

    ○首藤政府委員 歳入構成比でございますが、五十年度が五・九%でございまして、約六%、それが五十一年度は一一・五%、このように非常にふえております。
  163. 林百郎

    ○林(百)委員 パーセントで約二倍になっているわけですね。  そこで、これは五日の日経ですけれども、こういう記事が出ているのですね。「地方自治体は空前の財政悪化に陥っているが、大蔵省は本年度予算地方交付税法特例法案の成立を待って、五月中旬にも三千二百億円の地方交付交付金の追加交付をする一方、自治省、金融界と地方債の円滑消化と流通促進の抜本策を協議する方針である。このなかで1地方債は秋以降に予想される国債の大量発行との競合を未然に防ぐためにも、金融市場の緩んでいる夏ごろまでにできるだけ発行、消化を進める2特に縁故債は五月中に五千億円以上の集中発行を行う——などの具体策が打ち出されるほか、長期的な観点からは金融界などの要望の強い縁故債の日銀適格担保扱いや地方債格付けによる流動化促進、さらには公営企業金融公庫の業務範囲の拡大なども検討されることになろう。」こうなっております。これは、いままで自治大臣と大蔵大臣地方債の消化については話し合いがあると言われておったわけですけれども一つは、莫大な国債の発行、建設国債と赤字国債を合わせますと約七兆円を超えるような国債の発行と、それに四兆円近い地方債の発行、この中で、原資が政府資金の比率が非常に低くなっているので、これはどうしても民間の金融機関にその消化を求める要因が多くなってくると思いますが、ここにある国債との競合を防止するために五月中に五千億以上の集中的な地方債の発行と銀行の引き受けを考えているということは、これはこういうことはあるのですか。
  164. 首藤堯

    ○首藤政府委員 その記事は私も拝見させていただきましたが、結論的にはそのようなことはございません。その中に、五月中に五千億云々、それから地方債の格づけ云々等の記事がございますが、そのようなことはございません。全般的に消化が非常に問題でございますので、五月早々にも大蔵、自治両方で金融懇談会みたいなものを開きまして、十分お互いに意思の疎通をして完全な円滑な消化を図っていこう、こういうことで会議を進める予定を持っておりますが、ただいま御指摘がございましたような数字及び事実はございません。
  165. 林百郎

    ○林(百)委員 大臣、これは予算委員会でも質問したので答弁は得ているのですが、現実にあのころは低成長、まあ皆さんのおっしゃるいわゆる安定成長ですか、ということで、設備投資も余り活発に行われないので、金融機関への預金が相当余裕がある、だから地方債の引き受けについては心配はないはずです、もし心配のときにはこれを消化するとの大蔵大臣自治大臣の話し合いがなされていると。  話し合いの内容はお聞きしますが、しかし、そういうあの予算委員会のころの自治大臣、大蔵大臣の答弁と若干情勢は変わってきているんじゃないか。あなたも言うように、景気が上向きになった、まあ上向きにもいろいろの上向きの仕方はあると思いますけれども、しかし、上向きになったということは、それだけ中小企業や大きな企業でも設備投資まで行くか、いずれにしても、資金が必要になってきているということが一つの要因ですね。  それから、国債、建設債と赤字国債がことしみたいに多額に発行されますと、これは地方銀行にまでやはり国債の割り当てが行くようになっていく、そこへいわゆる適格債でない地方債が相当、四兆近くも割り込んでいかなければならないということになりますと、これはやはり相当地方金融機関としては地方債の引き受けについて抵抗を感ずるんじゃないか。それを引き受ければ、金融機関の方、ことに地方金融機関の融資枠というのはある程度限界がありますから、今度は中小企業の方を締めていくということになるのですが、その辺のことについてはどうお考えになっているか。  それから、大蔵大臣とあなたとが話し合われたということを私は予算委員会でお聞きしていますが、どういう話し合いをなされたのか、ちょっとここで具体的なことをお聞きしたいと思います。
  166. 福田一

    福田(一)国務大臣 その前に、林さんが先ほど言われたことで一言だけ申し上げておきたいと思うのです。  日本経済の問題ですけれども、これは世界経済とのつながりが非常にあるということはもうあなたも御承知のとおりでありますが、特に日本経済のうちで弱いと思われている点は、借入金が多いということですね。法人、会社が非常な借入金を持っておるのですよ。それはフランスとか何かから比べてみると、自己資金が四〇%とか五、六〇%もあるのに、日本の場合一五%でしょう。だから、非常に基礎が弱いのですね。そういう基礎が弱いところへ、税率から言いますと世界最高の五一%、五二%という税率まで負担をしておるような税法にいまなっておることは、あなたも御承知のとおりだと思うのであります。  そういうことから考えてみますと——私は外形課税ということに何も反対しているわけじゃないのですよ。そういうこともまた、あんな大きな会社がちっとも金を負担しないで、地方税を一つもめんどうを見ないなんておかしいじゃないかという理屈は私はごもっともだと思うけれども、しかしまた一面において、そういうような日本の法人というか、日本の事業会社の脆弱性というものもこれは認識してみなければならない。だから、日本の国の全体の力というものに相応したような税制というものが必要になってくるんじゃないかということを実は私はいつも考えておりますので、ちょっとそういうお話が出ましたから、この機会に一言発言をさせていただいたわけであります。  ただいまの地方債の引き受けの問題につきまして、大蔵大臣とどういう話をしたかということになりますと、実を言えば、われわれから言えば、交付税会計へもっと金を繰り入れてもらう工夫をしてもらいたかった。これはずいぶんがんばりました。それから、もしそういうことがいけないのなら、公営企業金融公庫というのを地方金融公庫にして、そうして各自治体が出資をするようにして、みんなで、特に悪いところへこの金を回すようにしてもらいたいというような話も事務当局がずいぶんいたしましたり、いろいろ詰めに詰めていったのでありますけれども、国もこういうふうに非常に困っておるときだから、何とかひとつ地方債もこの程度は持ってもらいたいということでありましたから、それかといって、これだけ困っておるのだから、ただ単に地方債でもってこれを埋めるということではいけないから、あるものはもうほとんど交付税と同じような取り扱いをするとか、あるいはその返還等についても十分考えるとかというクレームをつけると同時に、一方においては起債を、地方債をやると言っても、地方銀行がすでに持っておる地方債が現にいま六兆円以上あるのですから、そこへもってきてまた大変な縁故債というものを持たされては、それはいかに地方銀行といえどもなかなかそう簡単には応じられない。特に大きい自治体、市などならいいですけれども、町村なんということになりますと、とてもそうは銀行の方も引き受けられませんよと言われたとき困ってしまいますから、そこで私たちは、そういうものについてはいわゆる国の資金、財政資金というようなものをわりあいに振り向けるようにして、そして大きいところは何とかひとつ縁故債で持ってもらおうじゃないかということにするようにしたわけですが、その縁故債が一体果たして引き受けてもらえるのかどうか。いまあなたがおっしゃったように、資金需要というものを考えてみますと、景気がよくなれば設備投資というものは当然に興ってくるわけであります。設備投資というものは、会社に金がないのですから、やはり銀行から金を借りなければいかぬわけなんです。金を借りれば、それだけ資金量というものは減るのですから、そこへまた縁故債を引き受けろと言えば、なかなかそう簡単にはいきませんよ、こういう問題が起きるということも予想しておったわけであります。ことしはそんなに、去年のようにだんだん落ち込むなんて思っておりませんから、少しはよくしておるつもりでおったのですから、そういうとき一体どうしてくれるのかという詰めをいたしました結果、もしそういうことがあった場合には、銀行局の方から十分いろいろ話をつけて、そして縁故債は十分に支払えるというように必ずするという、これも実は大蔵大臣との間で話し合いがついておるわけです。  そこで、われわれは今度のような地方財政計画というものについて一応承諾をした、こういうことがあるのでありますから、だからわれわれから見れば、もし、いま林さんが言われるように、そんなことができるというような段階になった場合には、これは何としても大蔵省に対して、その措置について考える。私はそうなった場合に、全然できないほど日本の銀行業界とかが力がないとは思いませんけれども、そういうことでおもしろいことは、この間、神戸の市債を募集するのに一億円の市債を募集しようと思ったら、民間の人がみんな、婦人団体が協力いたしまして、そして七億七千万円の市債を、これはある意味で言えば一種の縁故債ですね、その募集に応じてくれた。そこでこの間、神戸市の連中を呼びまして、自治大臣表彰というのをやったのですが、本人連中も大いに喜んでくれましたが、やはりそういたしませんと、——自治というものにみんながいまは本当関心を持っていないのですよ。いまはもう大体、市会議員を当選させれば、府会議員を当選させれば、県会議員を当選させれば、まあそこらで何とかやってくれるだろうというような感触が国民の間にまだ強いと思うのです。ないとは言いませんよ、そんな、おれは非常に研究をしておるというような者もたくさんいますけれども。だから、そういう意味から言っても、私はこういうことで、いよいよそういうような事態が来れば、まあそれぞれひとつ国民にもよく理解をしてもらうような工夫もしてみたい、まあこういうふうに考えておるわけでありますが、いまの段階においてあなたが御心配になるような縁故債さえ募集できないようなことは万々ない、私はそう考えておるわけでございます。
  167. 林百郎

    ○林(百)委員 日本の大企業の資本の構成について、あなたは脆弱だ、それから課税も非常に多いということですが、その点はわれわれと見解を異にします。われわれは莫大な社内留保をしている、その上なお、政府から至れり尽くせりのいろいろめ援助を受けている。その裏に献金があるとかなんとか言うと刺激になりますから、まあそこは含みのある言葉で言っておきますけれども。一方、国民福祉が、発達した資本主義国の中で最低だということも自治大臣、資本の構成の方ばっかり気を向けなくて——ばっかりとは私も言いませんが、一方国民福祉の点では、発達した資本主義のフランス、イタリー、イギリス、アメリカに比べても非常に低いということを同時に考えていただく必要がある。  それから、神戸でああいうことをなさって、あなたが表彰状を出したことを私も新聞で見ました。しかしそれは、一つは、地方債の引き受けにある程度抵抗が出てきたから、こうして地方債の消化を円滑にさせようという意図もあったんではないか、私はそういう見方をしている。まああなたと違うかどうか知らぬけれども、円滑にとっとことっとこいっているなら、神戸だけにそんなこと無理にしなくてもいいわけなんです。まあその点はいいでしょう。  ただ、あなたと大蔵大臣との間で、この消化について覚書があるとか話し合いをした、そういうものはないのですか。
  168. 福田一

    福田(一)国務大臣 あるのですよ。
  169. 林百郎

    ○林(百)委員 あったらここで発表してくれませんか。
  170. 福田一

    福田(一)国務大臣 十二月二十四日ですが、     覚 書   昭和五十一年度の地方財政対策を講ずるに当り、次のとおり申し合わせる。  一、両大臣は、毎年度の国・地方おのおのの財政状況を勘案しつつ、交付税特別会計の借入金の返還について、協議の上必要があると認めるときは、その負担の緩和につき配慮を行う。  二、昭和五十一年度の地方債計画に基づき発行される地方債のうち政府資金引受け以外のものについて、両大臣は、その完全な消化に努めるものとする。 そうして、大蔵大臣大平正芳、自治大臣福田一、こういうふうにちゃんと署名してあるのですが、これは何も大平、福田じゃないのです、大蔵大臣自治大臣がやったので、これはずっと続くかどうかわからぬのですから。それば責任は大蔵省、自治省というものが負っている、こういうことになるわけなんで、その点はこれだけ念を押してあるわけです。われわれも非常に心配しましたから、これだけ念を押しておいた、こういうことです。
  171. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。あるということを聞いていましたものですから具体的にお聞きしたわけです。  あと、時間がありませんし、他の省の方々が見えておりますので、ごくかいつまんで申し上げたいと思うのですが、実はこれは一月の二十二日に石原財政課長が内簡を出された。大分詳しい内簡が出ている。これは五十一年度の地方財政計画の説明ですね。内容がこうなっているというところはいいのですよ。しかし、少し行き過ぎの点があるのじゃないか。こうすべきである、ああすべきである、たとえば「地方財政の現状にかんがみ、国の予算においても公共料金等について受益者負担の原則に立脚して適正化を図ることとしていることも勘案し、使用料、手数料の全面的な適正化を図る」というようなことですね。歳出の問題については「給与関係経費については、次の事項に留意し、引き続き給与水準の適正化、職員数の縮減等によりその増加の抑制に特段の努力を傾注する必要がある。」「欠員不補充等により、極力増員を抑制し、必要最小限のものにとどめるべきである。」これは地方自治法の二百四十五条の助言と勧告ですね、勧告及び監査がありますけれども、これはあなたは十分御承知だと思うのですが、ちょっとこれから逸脱した、これは起債の発行、地方財政の困窮に乗じた自治省の介入のようにわれわれは感じ取れるのですけれどもね。人員をどうするか、それから給与をどうするか、あるいは受益者負担をどうするかということは、原則としては地方自治体議会理事者が決めることであるので、自治省としてはこう考えるというなら結構ですけれども、すべきであるとか、こうすべきであるというような表現のやり方になりますと、これはあなたの意図はどうだか知りませんけれども、やはり自治体に対する介入にならないのでしょうか。下の方では、これに従わなければ何らかの報復的な手段を受けるんじゃないかということで非常に戦々恐々としている自治体があるということも私はあなたに申し上げたいと思うのですが、どうお考えになりますか。これは課長と、それから大臣はもう十分御承知だと思いますが、ちょっと技術的な助言と勧告の範囲を越えた、こうすべきである、歳入についてはこうしろ、歳出についてはこうしろという言葉があるのですよね。これは時間がありませんから私は余り援用しませんけれども、少し行き過ぎのように思うのですが、どうですか。
  172. 首藤堯

    ○首藤政府委員 御指摘のように財政課長名で内簡を出しておるわけでございますが、御案内のように地方団体が予算編成をいたしますのに時期的な制約がございまして、なかなかすべての法律等の制定を待って御連絡をしたのでは遅い、こういう問題がございますので、予算編成の参考に供しますために、その年度の地方財政措置の内容とか財政運営についてこのようなかっこうに財政計画が組まれるから、このような留意すべき点がありますよ、こういった意味での情報提供でございます。そういう意味課長の内簡を出させていただいておるわけでありまして、これに従わなければどうであるとかこうであるとか、そのようなことは毛頭思っておりませんし、また、地方団体側の方も、毎回やっておりますので、そういった情報提供として受け取られて、なるたけ早く出してほしい、こういう御希望があるものでございます。
  173. 林百郎

    ○林(百)委員 これは非常に重要なことですから、大臣、中身はいいですから形式だけちょっと見ていただいて、いま局長が言ったような、これは助言と勧告と情報の提供だ、五十一年度の地方財政の、予算の編成についてはこういう点を注意されたいというものであって、これは自治体にこうしろ、ああしろ、それを聞かない場合は起債についてはこういう報復的な手段に出るとかどうとか、決してそういうものではないということをひとつ確認して、大臣の責任ある答弁を求めたいと思うのです。中身はここで読めと言ったって無理ですから、こういうものがあるということだけお知らせしておきますから。ちょっとこれを大臣に見せてあげて……。
  174. 福田一

    福田(一)国務大臣 私もこの内容全体を詳しく読んだわけではないのです書、一財政課長がこういうことについての一つの示唆を、こういうことをすればこういうことが起きますというような意味のことを言ったんで、こうしなさいという内簡、そういうものを出しておるとは聞いておりません。まだこれ全部読んでませんし……。
  175. 林百郎

    ○林(百)委員 そういう性格のものとしてお聞きしておきます。局長がさっき、情報を地方自治体にいろいろ提供する必要もあるから、情報提供という意味にでもとっておいてもらいたいと言われた。大臣もいいですね。
  176. 福田一

    福田(一)国務大臣 同じような意味です。
  177. 林百郎

    ○林(百)委員 それではお聞きしますが、実は健全化計画というのがあるのですが、これは再建団体に準ずる赤字団体に健全化計画を出させて、それからそれが出た場合には健全化債を認める。こういう方法はやっているのですか。やっているとすれば、やっている、それで健全化計画を出した団体は何団体あるのか、ちょっとお聞かせ願いたい。
  178. 首藤堯

    ○首藤政府委員 地方団体がことし五十年度の措置として、非常に苦しい財政状況にございますので、健全化計画というものを立てました場合には、それに対応した相応の健全化債というものの発行を許すという措置はとっております。これに応じました団体数は五十五団体でございまして、許可額は約千三百三十五億ということでございます。
  179. 林百郎

    ○林(百)委員 大きな都市でどんなところですか。都道府県と大きな都市だけちょっと言ってみてください。
  180. 首藤堯

    ○首藤政府委員 県が二十二団体でございます。それから市が、一番大きな市は指定市では北九州市がございますが、そのほか各県ございまして、総数で三十三市町村でございます。合わせまして五十五。
  181. 林百郎

    ○林(百)委員 そこで、私たちはそれもほとんど再建団体に準ずるような手続をさしているというように聞いているわけですね。計画を出させて計画を吟味して、それに対して再建債を認めるという問題が一つ。  それからこれを議会の議決にかえて議長の承認だけで足りるとしたのはどういうわけでしょうか。そういう重要な健全化計画を出す場合に、それはどうして議長の署名だけでいいのですか。
  182. 首藤堯

    ○首藤政府委員 この措置の内容は財政再建計画のように細かなものではございませんで、各項目ごとについて云々というものではございません。したがいまして、これは財政再建計画になりました場合には当然正式に議会の議決が要るわけでありますが、当該団体が財政の健全化を図ります際にこのような措置をとることが望ましいと考え、かつまた、それがある程度実施をされ得るであろう、そういう客観的態勢にあるだろうという意味での何らかの保証的なもの、こう考えたのでありまして、議会の議決をとる性格のものでもございませんし、また議長の承認そのものを絶対要件とするというものでもございませんが、地方団体の長だけが考えたことではなくて、ある程度そういった議決機関等における、まあ御審議まではまいりませんけれども、暗黙の了解と申しますか状況を知っておいていただく、こういう面での保証を示す、こういう考え方でございます。
  183. 林百郎

    ○林(百)委員 そういうのならどうして議会の議決をつけないのですか。その方がずっと民主的じゃありませんか。あなたの言うように、理事者の考えだけではまだ民主的な裏づけがないと考えたから議長にも了解を得ておいてもらった方がいいだろうと言うのなら、議会の議決をくっつけた方がいいじゃないですか。
  184. 首藤堯

    ○首藤政府委員 この措置は、具体的な内容そのものといたしましては、議会の議決は予算そのほかの議案をもって提出をされ御審議をされる、こういうことに相なろうと思いますし、また、事実、五十年度で措置をされましたものにつきましては、そのように議会の議決の終わっておる措置のものを、こんな措置をとりましたということで御報告をいただいておるわけであります。ただ、翌年度までの具体的な措置について、これは再建計画ではございませんので、議会の議決を正式に経ておるというまでの要件は考えなかったのでありますし、また、そのような意味で、翌年度において大方の了解が得られておると申しますか、方向づけについて考え方がわかっておる、こういう意味での措置がとられておれば十分である、このように考えたのであります。
  185. 林百郎

    ○林(百)委員 局長、健全化計画とそれから健全化債というのは地方自治体にとっては非常に重大な関心を持っていることなんですよ。局長はそういうように軽く答弁なさっていますが。これが出るか出ないか、そして健全化計画が自治省で認められるかどうかということは、当該自治体にとっては非常に重大な関心事ですよね。そういう場合に、やっぱり議会の了解もちゃんと得て民主的な手続を経て出させたっていいと思うのですよ。それを議長の承認をもって足りるとわざわざ自治省の方から指示する必要は私はないと思うのです。できるだけ民主的な手段を経るならば、そういう当該自治体が再建団体に準ずるような健全化計画を出すわけなんですから、その健全化計画の中には職員の合理化やあるいは賃金のストップやあるいは事業の繰り延べやいろいろあると思うのですよ。そういうのはできるだけ議会の了解を得ることが議会制民主主義を裏づけることになると思うのです。そういう点は、局長、今後の行政指導としては十分考慮してもらいたいと思うのです。答弁は要りません。一言言っておきます。いいですか。だれが考えたって、何も議長の承認だけでなくて、議長の承認なら、議決して議長が承認したらいいに決まっているわけです。  あと、各省の方々がお見えになってはなはだ御迷惑でございますが、超過負担の問題についてお聞きをしておきたいと思うのです。  これは六団体の調査ですから政府考え方とは金額において違いますが、まず施設で一番金額が大きいのは公立学校、文部省関係なんですね。これはどういうところからどういう問題が施設にあるのかということ、そしてこれをどう改善していくつもりであるのかということが一つ。それから措置費では保育所関係ですね。これが千三百八十七億と超過負担が出ておりますが、これは一体どういう問題なのか。若干ことし改善の方向が見えていますけれども、どういうところに問題があるのか。実情とそれから補助との間に乖離があるのではないか。それから公立学校については念のために言いますと超過負担が千二百五十七億ですね。全超過負担の中に占める比率が一九・八%。保育所の措置費が千三百八十七億で二一・八%。これは非常に多いのですね。それから公営住宅が金額では非常に多いので、二百六十六億五千六百万ですけれども、これはどういうところに問題があるのか。それから警察ですね。警察は施設で超過負担が約二百四十億。これは六団体の調査ですから。補助基本額が二百三十九億なのに超過負担が二百四十億というなら、ほとんどこれは一〇〇%以上も超過負担が出ているということになるのですが、一体警察はどういうところからこういう施設についての超過負担が出るのか。公立学校、保育所、公営住宅、それから警察、これでなぜこのように六団体から指示されるような莫大な超過負担が生ずるのか、それに対してどういう措置を考えているのか、それぞれ御説明願いたいと思います。
  186. 西崎清久

    ○西崎説明員 まず、文部省関係を御説明申し上げたいと思います。  御指摘のとおり、六団体調査で公立学校関係かなりの数字が出ておるわけでございますが、まず第一点の単価差の問題でございます。単価差につきましては、超過負担が過去の実情から非常に多いということで、年々予算単価の実情に沿うアップということをやってまいっております。  私ども、問題が二つあると思いまして、一つは、予算単価を建築資材価格や労務費の実情に沿って上げていくという作業がございます。これは毎年補正予算や本予算で上げてまいりまして、八万七千四百円、ことしの五十一年度の予算単価はこのような姿でセットいたしております。それから第二点は、契約単価を見ますと、地域で非常に違うわけでございます。大都市圏を抱える都道府県では建築単価が非常に高い、農村部その他では建築単価がかなり安いと、こういう実情がございます。そこで、私どもとしては、過去においては一律に補助単価を配分しておったのでございますけれども、四十九年度末、特に五十年度については、全国的に六段階ぐらいに単価を分けまして、大都市圏を抱える非常に高い都道府県については予算単価よりさらに五%とか上積みをいたしまして、それから、年度末に契約単価の結果を見まして、浄化槽など特別なものが入っておる場合には若干の上積みをするとか、そういうふうな調整をすることにいたしまして、予算単価を上げると同時に、執行の点においても配慮していくというようなことで、超過負担の問題が生じないように努力をしておるところでございます。五十一年度も、これから地域単価を決めてまいる予定でございますけれども先生の御趣旨のように、今後起きないようにできるだけ実情に沿う地域単価を決めてまいりたいというふうに思っております。  それから、第二点の対象差の問題でございますが、基準面積の問題があるわけでございます。これは私ども、現在の基準面積で最低必要限度の学校教育は賄えるという考え方でおるわけでありまして、特にこの点で直ちに超過負担というふうな考え方をとるわけではございませんが、基準面積自体も年々改善に努力するということは必要でございますので、午前中にも申し上げたわけでございますが、四十八年度には校舎の基準面積を二割アップいたしまして、四十九年度と五十年度と二年かけまして屋内体育館の基準改定をいたしております。そういう点で、三年かけて基準面積の改定をやってきておりますので、この点についてもある程度の市町村の評価を得ているところではないかというふうに思っておるわけでございます。今後努力いたしたいと思っております。
  187. 加藤陸美

    加藤説明員 ただいま学校関係につきまして文部省の方からお話がございましたのとほぼ同様な問題か、保育所の設備費については——施設整備費と申しておりますがございます。これにつきましては、やはり単価の問題、それから基準面積と申しますか、対象差と申しますか、の問題がございます。単価につきましては他の公立施設と同様に、年々必要な単価改定をしてまいっております。基準面積につきましては、約二割程度の基準面積のアップを図ってまいっております。(林(百)委員「それはいつからいつまで」と呼ぶ)これは五十年度、五十一年度でやっております。現在審議中の予算でございますけれども、そういう方向になっております。それから、保育所の運営費の面でございますが、先生御指摘のような調査結果が示されておりますけれども、これの内容につきましては、なおしさいに検討させていただきませんと非常にむずかしい問題があると思います。  超過負担という定義づけの問題でございますが、何が基準になるかということをよく詰め合わせませんと、一概にはいわゆる超過負担というふうに言い切れない部分もあるのではないかと存じます。と申しますのは、これは調査でございますので、調査の仕方、約束事にもよると存じますが、その辺のところをしさいに見せていただきまして、補助対象経費とそうでないものというような問題もございますし、それから職員の基準というような問題もございますし、それから給与べースの問題も結果的には、これは私どもまだよく詰め切っておりませんけれども、その辺のところも、実際に施設を運営していただいております地方公共団体の方々の現実意見でございますので、よく伺わせていただきたいと思っておりますが、それはそれといたしましても、今年度、五十年度からでございますが、いわゆる超過負担解消策を講ずべしということで、これは自治省、大蔵省の方とも共同いたしまして調査も実施いたしておりますし、それに基づきまして、二年計画ということで考えておったわけでございますが、主として五十年度で保育所につきましては相当改善いたしまして、一部五十一年度で対応しておるものでございます。  それから、いわゆる超過負担解消策という銘を打つべきかどうかは問題でございますけれども運営費の内容につきましては、職員数の増加であるとか給与の改善分であるとかいうような改善措置は講じてまいっておりまして、五十一年度予算案におきましてもそのような改善措置をできる限り加えるようにいたしております。なお今後とも努力は続けていきたいと思います。
  188. 国吉忠

    ○国吉説明員 公営住宅関係超過負担に関しましては、四十九年度に関係省と連絡をとりまして実態調査を行いまして、年度途中に一六・七%の値上げを行いました。さらに五十年度におきましては、その単価を八・九%上げたわけでございます。また五十一年度予算案におきましてはそれを七・三%上げるということで、最近の工事費の実態等を見ましても超過負担の単価的な問題は解消されているのじゃないか、そういうふうに考えております。また、規模的なものでいろいろ問題を言われますが、最近は規模増も行っておりまして、五十年度に二平米増、それから五十一年度には三平米増の規模増を行うことにしておりますので、ほぼそういった面でいろいろな対策をしたい、そういうふうに考えております。
  189. 金沢昭雄

    ○金沢政府委員 警察庁の関係について申し上げます。  やはり同じように単価の問題と面積の問題だと思います。単価の問題につきましては、去年関係省庁とあわせて実態調査を行いました。たとえて申しますと、警察署では三三%程度の超過負担があるという結果が出てまいりました。その点を踏まえて五十年度と五十一年度で解消を図っておるわけでございます。たとえて申しますと、五十一年度の予算案におきましては、警察署につきましては約二〇%の単価アップを現在お願いしておるわけでございます。そういったことで単価の問題については逐次解消していく。  それからもう一つは基準面積の問題であろうと思います。警察署につきましてもいままで補助の対象にならなかったような部分がございます。たとえば控え室の問題であるとか食堂の問題であるとか、そういった問題がございますので、そういった部分を新たに補助の対象に取り入れる。それからまた待機宿舎について申しますと、いままで三十九平米というのが一つの基準だったわけでございますが、それを十平米引き上げまして四十九平米にする、こういったことで面積基準の改定を逐次図っておるという状況でございます。
  190. 林百郎

    ○林(百)委員 大変各省の皆さんには御迷惑をかけて恐縮です。もう少しいろいろお聞きしたいのですが、時間がありませんので……。  この超過負担の問題は自治省だけでどうなるという問題ではございません。そういう意味各省の皆さんに来ていただいていろいろお聞きしたわけですが、最後大臣の所信として、地方自治体の大きな要求となっておりますし、また地方財政が詰まってくればくるほど超過負担というところに目が行くのは当然だと思いますが、一番そういう要求の集中点となっている自治大臣として、ひとつ超過負担の解消について、大蔵省並びに各省と単価差、対象差それから人員差ですか、そういうようなものの解消について最善の努力をされてしかるべきだと思いますが、大臣の所信をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。  それから委員長に、先ほどの資料、四十八年の公債費が二〇%近いもの、それからさっき自治大臣が私に見せてくれた覚書、あのリコピーで結構ですから、遠くで見せてもらったけれどもよくわかりませんから、あれをひとついただきたい。その二つ、資料として。
  191. 福田一

    福田(一)国務大臣 超過負担の問題については常々努力をいたしておるつもりでありますが、林委員が指摘されましたように、私のところが一応中心になって問題の解決に当たらなければならないのでありますから、今後も大蔵省を初め関係各省と十分連絡をとって解消の実現に努力をいたしたいと存じます。
  192. 林百郎

    ○林(百)委員 それではこれで終わりますが、大臣超過負担というと何か自治体がぜいたくをするとかオーバーなものをつくるとか、そういう先入観を持たぬで、やはり自治体自治体として、そういうものをつくるにはつくらなければならぬといういろいろ実情があると思いますから、実情と乖離しないような、そうかといって何をやってもいいということにもならぬと思いますけれども、実情と乖離しないような、実情に沿った基準と、それに対する補助を、法律で決められた補助を出すような方向でひとつ大臣努力していただきたい。これを最後に希望として申し上げて、私の質問を終わります。
  193. 小山省二

    小山委員長 林委員の資料要求は、いつ出ますか。
  194. 首藤堯

    ○首藤政府委員 覚書はすぐあしたでも出せますし、片一方の方は二、三日……。
  195. 小山省二

    小山委員長 それじゃこの審議中にひとつ出せるようにしてください。  次、小濱新次君。
  196. 小濱新次

    ○小濱委員 地方財政の基本問題について、まず自治大臣にお尋ねをしておきたいと思います。  質問に入るに当たって、同僚委員からるる質問がなされました、重複する面もあるかと思いますが、党の立場からお伺いをしていきたい、こう思います。  政府は今日の地方財政の危機を打開するため、臨時的措置として、五十年、五十一年の両年度にわたって、交付税会計の借り入れ、起債の大量増発という財政対策でもって急場をしのいでおるわけでございますが、これは自治体にとって後年度の地方財政圧迫となることは明らかであります。これをどうするのか。地方自治体財政運営に支障を来さないようにするためには、どのような方針で臨むのか。当然交付税率の大幅引き上げを実現しなければならないと考える。今日の地方財政というものをどう改革していくかということが最も重大な問題であると考えられますが、自治大臣として五十二年度地方財政の抜本的改革を断行する考えがあるかどうか、御所見を承っておきたい、こう思います。
  197. 福田一

    福田(一)国務大臣 御指摘のとおり、五十一年度予算におきましては相当額を起債に回したことは事実でございますが、いずれにいたしましても、五十二年度以降においてはなお相当額の赤字が続くものといまのところは一応予想されます。しかし、経済のことでございますから、どういう形になって出てくるか、まあ九月ないし十月になれば明らかになってくると思いますので、その場合にはひとつ交付税率の問題を大蔵省と折衝をする必要はあると存じております。
  198. 小濱新次

    ○小濱委員 当委員会としては、これからの見通しについて、やはりそれなりの計画を持たなければなりませんが、大臣としての今後の財政問題の対策についての御所見をただいま承ったわけでございます。非常にむずかしいときでありますが、自治大臣としては、予算委員会等の発言を伺いましても、まあぎりぎりのところまで発言をしているなという感じをわれわれも持たないわけではございませんが、より当委員会としては重大な立場にあります担当する自治大臣としての、対策への断行する考えというものは非常に大事な発言でございまするので、どうか、ただいま述べられました決意を大いにひとつ今後実現できるような、そういう決意を新たにして、今後御努力をお願いしておきたい、こういうふうに思います。  交付税の起債振りかえ措置について、これは財政局長からお答えいただきたいと思いますが、今回、財源不足対策債一兆二千五百億を交付税から起債に振りかえようとしているわけです。各団体とも行政需要を落として何とか危機を乗り越えようと努力しているわけでございます。その中でも、これまで税収が財源の主力であった自治体で、税の伸びが大幅に落ち込んでいるところでは、財政運営が非常に厳しく、行政水準を一挙に落とさざるを得ないところも少なくないわけでございます。こういう団体に対してはどのような配慮をしていかれようとしているのか、ひとつ御意見を聞かしていただきたい、こう思います。
  199. 首藤堯

    ○首藤政府委員 税収が激減をしますことによりまして、従前不交付団体でありましても、不交付団体であるがゆえにそれだけひどく税収激減の影響をこうむって財政運営に苦しむ、こういう状況があり得ることは御指摘のとおりでございます。そういった団体につきましては、従前のいわゆる基準財政需要額と収入額との差額、つまり収入額の超過額でございますが、これが非常に激減をしました場合には、やはりそれだけ財政が苦しくなっておるだろう、こういう想定で地方債の増発等をある程度認める、こういう措置をとりまして、たとえば神奈川県等該当いたすわけでございますが、措置をとってきたわけでございます。  今後の問題といたしましては、今回交付税から地方債に振りかえをすることにいたしました地方債はたとえば公共事業等につきましては九五%までの高率充当ということで、これは交付団体でありましても不交付団体でありましても財源措置をするということになりますので、そういう面から税収が非常に減少しておる団体についてもこのような振りかえはその意味での財源強化対策と、こういうことに役に立つのではなかろうか、このように考えております。
  200. 小濱新次

    ○小濱委員 同僚委員からるる質問がございまして御答弁があったことを踏まえまして、私大分質問を割愛いたしました。  そこで端的にまたお伺いしていきたいと思いますが、地方債について、五十一年度は政府資金の割合が激減しているため縁故債比率が二・五八倍にも激増しておりますが、縁故債の消化は可能なのかどうか、または五十年度の地方債の消化状況はどうなのか、不消化団体はないか、こういうことを承っておきたいと、こう思います。
  201. 首藤堯

    ○首藤政府委員 まず五十年度の縁故債の消化状況でございますが、ただいまのところ幸いに円滑な消化が行われておりまして、不消化見込みを出すという団体はまだ出ておりません。  それから五十一年度の縁故債でございますが、総額二兆三千億を超えるような金額になっておりますので、私どももこの消化には非常に心配をしておると申しますか、意を用いておるというところでございます。しかし、ただいまの状況では大蔵省等との相談におきましても大体円滑な消化ができるのではなかろうかと考えておりますし、また、もし地域地域でミクロの問題として消化ができないというような事態が起これば、自治省、大蔵省、相協力をして、この完全な消化をさせるという固い決意でおりますので、言葉をかえて申しますならば、何としても計画に計上いたしました縁故債は完全にこれを消化をする、そうでなければ地方財政が動かない、こういう固い決意を持って臨むつもりでおりますので、必ずや完全な消化が図られるものと、このように確信をいたしております。
  202. 小濱新次

    ○小濱委員 局長から固い御決意を述べていただきましたので、それ以上は申し上げませんが、一つ確認しておきたいことがございます。  さきの地方税法案で、宅地並み課税が審議されましたが、その際、自治省は各自治体の農業緑地制度に関しては、各自治体の農業奨励施策と受けとめていると、こう聞いているわけです。そこで伺いたいが、宅地並み課税の緑地保全制度あるいは条例などで減額措置を講じた場合、交付税の基準財政収入額から控除しているのか、それとも宅地並みの固定資産税を算入しているのか、これは確認の意味で御答弁を願いたいと思うのですが、どなたか。
  203. 首藤堯

    ○首藤政府委員 従前の措置は地方団体がそれぞれ任意でやっております措置でございますので、これは課税をしなかった場合にも基準収入から落とすという措置をとっておりません。ただ、ことしから、この前御議決をいただきました地方税法によりまして、一定のルールを設けまして、市街化区域内の農地に対して課税の減額をすることができる旨の規定が入ってくることになりましたので、五十一年度からは一定の基準算定にまりまして減額をされるであろう税収入を算定をいたしまして、これを基準財政収入額から控除をする、つまり減額をした分の相当額が交付税でもって交付をされるような措置をとる、このような措置を行うつもりでございます。
  204. 小濱新次

    ○小濱委員 確認のためにお伺いしました。非常に自治体ではこの問題についてはいろいろと操作をしながら苦心、苦労をしているという事例をわれわれは承知しておりますので、お伺いしたわけでございます。  超過負担について、従来から超過負担については多くの論議がなされて、その解消が国、地方行政責任の明確化という立場からも、完全解消ということは大きな課題になっております。超過負担に対して政府自治体側と意見が異なっており、これが相互間の不信を高める結果となっていると考えます。超過負担の実態調査についても政府だけで行うのではなくして、六団体と協議して、その実態を明らかにするという形をとるべきではないかと私どもは考えておりますが、これについてはいかがでしょうか。
  205. 首藤堯

    ○首藤政府委員 超過負担が現下の地方財政事情における一つの大変重要な問題であり、ぜひともこれを解消すべきであるという信念に私どもも立ちまして、いろいろ措置を行ってきたし、またこれからもとりたいと思っておるのでございます。御指摘のようにことし地方六団体が超過負担に対する調査をいたしまして、約六千三百億余りという調査報告もいただいておるのでありますが、この内容につきましては先生も御案内のように単価差の分、対象差の分、数量差の分、こういった面についてそれぞれいろいろな意見があろうかと思うのでありますが、地方団体もこのような調査をしておるという事実を私ども踏まえまして、このような調査そのものに対しましても私どもももちろん地方団体とひざを突き合わせて相談をいたしたいと思いますし、必要があれば関係各省の方々も出席をしていただきまして、その事態についてよく詰めを行い、両方とも納得ができると、こういう線でもって超過負担の解消を今後も引き続き行っていくように私どもとしても十分努力をいたしたい、このように考えておる次第でございます。
  206. 小濱新次

    ○小濱委員 地方団体とひざを交えて話し合いの場を持っていきたい、まあ御意見はわかるのですが、もう一歩進めていただくその方策として、私どもは六団体の代表と政府関係者とからなる地方超過負担調査会、こういう名前のものを設けて、そして積極的にこの問題解消のために進めるべきではないのか、私どもはこの問題について強くこういう主張をしてきているわけでございます。同じような内容かとは思いますけれども、やはりその威厳を持つというのか、その責任の所在を明らかにするというのか、自治体がただ話し合いというのじゃなくして、もっときちっとした組織体系の上に立って忌憚なく意見が交換できるような、そういう方途が必要ではないか、私どもはこういうふうに考えておるわけであります。まあ御意見はわかりましたので、どうかひとつ、より御努力をお願いをしていきたいと、こう思います。  これは文部省にお尋ねをしていきたいと思いますが、西崎助成課長さんですか、超過負担の実態について具体例をもって示したいと、こう思うわけですが、義務教育施設整備は人口急増市町村にとっては依然大きな負担となっていることは御承知のとおりであります。中でも用地取得は一番大きな問題となっているわけですが、今回、用地補助の交付率が六五%から七〇%に引き上げられようとしているわけでございますが、補助基準は公示価格であるため、実際の売買価格との間に大きな差が生じ、これがいわゆる足切りとなって、交付率とともに補助率は三分の一でも実質補助は二〇%以下になります。従来は用地より建設費の方が大きかったわけですが、現在は用地費二に対し建築費一という実態になっているようであります。補助に対する考え方を根本的に検討すべきときである、こういうふうにわれわれは考えておるわけですが、この点についての見解をお聞かせいただきたいと思います。
  207. 西崎清久

    ○西崎説明員 ただいま先生御指摘の、小中学校用地費の急増市町村に係る補助の問題でございますが、先生御案内のとおり、昭和四十六年から五十年度までの五カ年の補助制度として発足をいたしまして、五十一年度には切れるかどうかという問題があったわけでございます。かねて先生からもいろいろ御指摘があったわけでございますが、幸い五十一年度以降も五カ年間継続延長ということに相なりまして、五十一年度予算といたしましても総額で二百三十六億円の予算を計上いたしております。  いま御質問のございました単価の問題等でございますが、補助制度としましては、公示価格もしくは取得価格のいずれか低い方をもって補助単価とするというふうな制度にいたしておりまして、公示価格より著しく取得価格が高い場合には、確かに先生御指摘のように、公示価格をもって限度といたしておりますので、若干の差が出てまいろうかと思うわけでございますが、公示価格も年々それに見合わせて改定がされておるようでございますし、私どもといたしましては、公示価格、取得価格のいずれか低い方という形で運営をしてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、交付率が六五%でありましたのが七割になるわけでございますが、今後は事業量、予算その他の問題も含めまして、この用地費補助の拡充に努力をいたしまして、できるだけ市町村に補助が参るように努力をいたしたいというふうに思っております。
  208. 小濱新次

    ○小濱委員 そこで、これは自治省にお尋ねをしていきたいと思うのですが、地元の相模原市は人口急増の最も著しいところであるわけです。先日も市長が参考人として本委員会に出席をして意見を述べられておりましたが、小中学校建設に市財政の大半を食われて、起債が年々増加している。起債の八〇%は学校建設ということで、その利子も年々増大する一方であるそうであります。また、起債の償還に充てる公債費率も五十一年度には一一・一%と一〇%を超え、五十五年度には一八%にもなろうとしている。このような急増、しかも学校という国家的事業に財源を食われている自治体に対し、利子補給の制度が講じられないものかどうか。この利子補給という問題については、この間参考人河津市長もこのことを強く主張しておりました。ひとつ局長からこれはお答えいただきたいと思います。
  209. 首藤堯

    ○首藤政府委員 人口急増団体が学校の建設等を主体にいたします大変な財政需要に見舞われておるのは、御指摘のとおりでございます。  そこで、これに対します財政措置としては、先生も御案内のように、一つには国庫補助制度をもちまして、四十六年度以降、公立小中学校の用地取得費の国庫補助制度、それから校舎建築費や幼稚園の建築費、消防施設整備費こういうものの国庫負担率の引き上げ、こういつたような措置を各省にとってもらったり、あるいは予算措置を講じてもらったりして進めてまいったのでございますが、それとともに、ただいま御指摘をいただきました土地の取得等に要しました地方債の償還費、これをどうするかという問題が起こるわけでございます。この点につきましては、急増用の小中学校用地を買収いたしますことについては、地方債をことしは七百四十億円ほど準備をいたしておりまして、これをもって措置をいたしますが、この元利償還金を従前は大体三割程度交付税の配分の際に基準財政需要額に算入をいたしておったのでありますが、ことしはそれを四割程度に引き上げるといったような措置をとって、このような急増団体の財政需要に対応したい、このように考えておる次第であります。
  210. 小濱新次

    ○小濱委員 私どもは提唱しているわけですが、人口急増地域特別措置法案、これを制定する考えはないか、こういう主張を持っているわけでございますが、自治体の中でも、ただいま取り上げているこの地域でのいろいろな苦しみごと、考えていること、願っていること、こういうことがよく耳に伝わってくるわけでございまして、自治省の温かい配慮が特に望まれるわけでございまして、どうか今後厚い配慮を特に私どもは要請をしておきたい、こう思います。  そこで、厚生省にこれはお尋ねをしていきたいと思いますが、急増地域では生活関連の施設がおくれているが、学校と同様、ごみ、屎尿処理はどうしても欠かせられない。私の地元の大和市や相模原市では、ごみ処理施設を建設しなければならないが、補助基準は一トン当たり五十年度は六百二万四千円、百二十トンの施設をつくる場合、二十二億かかるわけです。しかし、実際には約三分の一の七億二千二百八十八万円しか補助の対象にならない。補助率が二分の一でも実際の補助は六分の一にすぎないわけでございまして、ごみ処理という都市生活に不可欠な事業に対し、補助基準を大幅に引き上げるべきであるとわれわれは考えておるわけですが、厚生省からお答えをいただきたい、こう思います。
  211. 山村勝美

    ○山村説明員 屎尿とかごみの処理施設の建設につきましては、御指摘のように、その建設に対して奨励的な観点から助成してまいったわけでございます。また、年々の国庫補助単価につきましても、人件費の高騰でありますとか物価の高騰、さらに公害規制の強化等に対応して、できるだけ実態に即したものとして措置してまいったところでございますが、たとえば昭和五十年度におきましては、ごみにつきましては前年度の二・一倍、あるいは屎尿につきましては一・五倍、さらに現在審議中の五十一年度の政府予算案におきましても、ごみにつきましては一・四倍、屎尿につきましては一・三倍というふうに、年々実情に沿うよう努力してまいったところでございますが、ただいま先生御指摘のとおり、実勢単価となお隔たりがあるのではないかという御指摘がございましたが、五十一年度に予定しております単価から見ますと、この単価で十分実施し得る部分も少なくないのでございますかい地域によりましては、公害規制が非常に厳しいが等の事情で、なお隔たりがあることは、事実、実態のようでございます。それにつきまして、先ほど申し上げましたように、年々補助単価の改定を行ってきたわけでございますが、補助の仕方として、五十年度までは一律的に、公害規制とか地域性を無視したといいますか、地域性に関係なく係律的な単価方式をとってまいったのでございまして、先生御指摘の大和市につきましても、その一律単価方式をとってきたことのために、特に高度な施設を予定しました大和市につきましては、そのギャップが大きくなったというふうにわれわれは理解しております。したがいまして、一律単価方式ではこのような地域的な差というものが是正できないというふうに感じておりまして、本年度、運用面におきましてもできるだけそういう実態に即したような補助ができるように研究してまいりたいというふうに考えております。
  212. 小濱新次

    ○小濱委員 山村環境整備課長さん、よく御存じだと思うのですがね。この首都圏の、東京圏のこの地域をよく御存じだと思うのですよ。そういう点で、この地域には少なくとも十分実施し得る、そういう内容のところはこれはないと思います。どんなところでも、もういまは坪十万、十五万、二十万、そういう地価のところが多いんですね。  そういう点から厚生省にお尋ねしておきたいんですが、ごみ処理施設は、用地は補助の対象になっていないわけでしょう。そういうわけで、急増地域の相模原なんというところでは建設費の補助は二分の一だけれども、用地も含めると補助率は一三%くらいになってしまうんです。この間、ここに市長が来たんです。建築費の補助を実際に合わせるとともに、用地額も補助対象にすべきではないのかというのが私どもの願いなんです。この点どうでしょうか。
  213. 山村勝美

    ○山村説明員 ごみ処理施設等の建設用地を補助対象にすべきではないかという御指摘でございますが、制度的には交付要綱で明定してございますが、補助の対象とすることができるというふうになっております。しかし、実態として必ずしもそのすべてに、用地費に対して補助金が出ていないというのが、先生の御指摘のような実態でございます。建設用地に対する補助でございますが、ごみ処理施設でありますとか屎尿処理施設、こういうものの設置に際しましては、周辺住民が必ずしも賛意を表さないというような実情がございまして、そのためにあらかじめ用地を取得して、それからいろいろな周辺住民との話し合いに入るというようなのが実態のようでございますが、その際に、一つは用地の取得と施設をつくる建設時点がずれる、二年も三年もたってからつくるというような、時点がずれるということが一つあろうかと思います。また、用地を取得した後において、周辺住民との話し合いの段階で反対されて設置できない、他に移転せざるを得ない、場所を変えざるを得ないというような事態が生ずる場合も少なくないわけでございます。したがいまして、事務的にも建設用地を補助対象としがたいような事情が認められるわけでございます。そういった事情を反映しまして、地方公共団体からの申請も、必ずしも一〇〇%は出てこないというのが実情でございます。しかし、先ほど申し上げましたように、交付要綱上は用地に対しても補助をすることができるということになっておりますので、その用地まで金が回らないという一つの問題がございます。先ほど御指摘のような、予算単価が低いということのために事実上用地まで金が回らないという実態もございますので、今後とも補助単価の改善について配慮しながら、用地についても補助金がつくように努力してまいりたいというふうに考えております。
  214. 小濱新次

    ○小濱委員 山村課長さんにこれ以上の御質問は無理かと思いますけれども、やはり自治体側の立場に立っていろいろと現地に即して私ども歩いて見ますと、やはりどうしても厚生省の用地費も補助対象にというふうに、私どもが直接この身に感ずるそういう感触から、向こうもそういう意見だし、現地に即して見ても、なるほどこうしてあげなければならないなという感じから私どもは申し上げているわけでして、どうかこういう方向で、いまのお答えのように一層の御努力をよろしくお願いを申し上げたいと思います。  大蔵省にお願いをしたいと思いますが、国有財産の跡地利用について自治体財政に大きな影響を与える、こういう立場からこの際質問をしておきたいと思うわけでございますが、国家財政の窮迫と国有地が残り少なくなったことを理由に、一、大規模基地跡地の三分割方式、二、すべての基地跡地に係る貸し付け及び譲渡条件の強化が主な柱のようでありますが、これに対して関係自治体は強く反発をしております。強行するおつもりなのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  215. 松岡宏

    ○松岡説明員 ただいま御指摘の大口の返還財産に関します三分割方式でございますけれども、これは最近米軍基地が漸次縮小整理をされる傾向の中で、首都圏近郊に大口の基地跡地が逐次返還になってまいりまして、その処理を急がなければならない立場にあるわけでございますが、関係方面の要望が殺到いたしましてなかなか調整がつかずに日時を空費しているわけでございましたので、ここで関係者がそれぞれ譲り合って円満に早期の解決を図る、こういう観点から、大口の返還財産の面積を三等分いたしまして、三分の一は地元で御利用願う、三分の一は国、政府関係機関で利用する、そして最後の三分の一は、これは当面留保地といたしまして、利用計画を決めずに保存し、将来、五年ないし十年後に関係者全員で再びその時点での有効な活用を相談して決める、こういう考え方を大蔵省として打ち出したわけでございます。  と同時に、返還財産につきましては、これが返還になる過程におきまして、米軍の基地がその他の主要な基地へ整理統合されるということで移転の経費を要しているわけでございます。移転の経費を要して、その結果、返還になりました跡地につきましては、その処分は原則として有償であるということが国有財産の審議会の答申といたしまして、昭和四十七年にすでに出ているわけでございまして、最近問題になっております幾つかの跡地につきましては、すべて移転経費を要しているということから、有償の処理にお願いしたい、こういうことでございまして、この有償の原則は、ごく最近の国家財政の窮迫ということから打ち出されたものではございませんで、すでに昭和四十七年から内部の通達においてルール化されてきたものでございます。大口のものにつきましては三分割、それから大口のもの、小口のものを含めまして、移転経費のかかったものが多い返還財産については原則として有償である、内容的には、対象面積の二分の一を時価で売却いたしまして、残りの二分の一について国有財産法上の優遇措置を適用する、こういうふうな扱いでお願いしようということになっているわけでございます。
  216. 小濱新次

    ○小濱委員 基本的な御意見をお伺いしたわけでございますが、昭和四十八年七月、国有財産法及び国有財産特別措置法、この一部改正の際に、衆議院大蔵委員会附帯決議では「米軍提供財産の返還後の処理については、国民福祉に役立つ公用・公共用に優先的にあてることを原則とし、できるだけ住民意思を反映させ地域の再開発、住民福祉向上等に資するよう配慮すること。」とあるわけであります。また、その際の提案理由の説明の中でも、「地元民の利便に供する姿勢が、民主政治の理にかなった措置である」「公共用に充てる場合においても、できる限り地域の再開発、住民福祉向上等に資するよう十分に配慮する」ことなどとあるわけでございます。この趣旨はあくまでも住民、地元民優先を決議したものであると思います。したがって、大蔵省の画一的な三分割方針はこの趣旨からも反している、こう思うわけでございまして、再検討すべきではないか、こういうふうにわれわれは考えを持っているわけですが、お答えをいただきたい、こう思います。
  217. 松岡宏

    ○松岡説明員 ただいま御指摘のいわゆる三分割でございますが、これは大口の返還財産について適用するということを考えておりまして、大口という場合の基準は十万平米程度以上のもの、こういう考え方でございます。したがいまして、十万平米未満のものであれば、これは三分割ということでなく、ケース・バイ・ケースで処理される、こういうことになります。大口のものにつきましては三等分いたしまして、その三分の一を地元にお使いいただくという場合でも、かなりの面積が地元の利用のために確保されるわけでございまして、地元からいろいろと御要望いただいております具体的なプロジェクトは、ほぼこの三分の一の面積の中で実現可能であるということが見てとれるわけでございます。ただいま御指摘になりました附帯決議におきましてもその他の場合におきましても、私ども常に基地の跡地の活用については地元の住民の御要望を十分尊重する、地元の住民福祉のためにこれを有効に活用するという立場は表明し続けてまいったわけでございまして、今回の三分割ということも、少なくとも三分の一は地元に御活用いただく。そしてその三分の一の面積の具体的な活用方法につきましても地元の御意見を十分尊重いたしまして、むしろ具体的には地元にその活用方法を御提案もただいて、それをそのまま実現したい、こういう気持ちで臨んでいるわけでございまして、大蔵省といたしましてはそういう方向で最優遇の活用を図ってまいりたいと考えております。
  218. 小濱新次

    ○小濱委員 十万平米の大口の場合は有償が原則である、そういう御説明は伺いました。私の申し上げているのも、大口の問題をいま取り上げているわけでございますが、この国有財産審議会の諮問事項はどのような趣旨なのか。ということは、各地方自治体から跡地利用に対する意見書が大蔵省にもう届いていると思います。それらのものはその諮問の中に入っているのかどうか。また先ほどの四十八年の法改正の趣旨から言えば、審議会で当然地元の声も一反映するような方法を講ずべきだ、こう思うわけでございますが、どのような措置をとっているのか。また、神奈川にあるキャンプ渕野辺は、四十七年十一月、当時の二階堂官房長官が市長に全面無償貸し付けを約束した、こうわれわれは伺っているわけでございますが、そのようになるのかどうか。以上の点についてお答えをいただきたい、こう思います。
  219. 松岡宏

    ○松岡説明員 国有財産の審議会への諮問という点でございますが、ただいま御説明いたしましたいわゆる三分割方式につきまして国有財産の中央審議会の中に設けられております返還財産処理委員会へ正式にお諮りいたしておりまして、去る二月六日にこの問題の御検討をいただきまして、委員各位、大筋としての御理解を得ております。今後さらにこの小委員会での審議を重ねまして、ある段階で中央審議会の答申という形でまとめていただく予定になっております。その過程におきまして、この問題に対する地元地方団体のいろいろな反響を十分委員各位に御説明いたしまして、反対論も出てきているようでございます。こういったものも審議会の委員各位によく御説明した上での慎重な検討をお願いする、こういうスケジュールになっているわけでございます。  キャンプ渕野辺につきましていま御質問ございましたのですが、昭和四十七年の十一月に、当時の二階堂官房長官が地元の相模原市長に対して、キャンプ渕野辺の転用計画につきいろいろと話をしたということを私どもも伝え聞いておりますが、大蔵省事務当局といたしまして正式には何らの連絡も受けておりません。相模原市長からいろいろ最近受けております陳情の中で、そういうことがあったんだということを相模原市長から私ども話は聞いたわけでございますが、当時、大蔵省事務当局といたしましては何らの正式な連絡も受けておりません。この点については、特に従来のいきさつがどうであるということを考えずに、現在の時点において、その他の基地跡地の処理とのバランス、公平も考えながら一番適切な処理を行いまして、このキャンプ渕野辺も最も有効な活用を図りたい、こういう考えでいる次第でございます。
  220. 小濱新次

    ○小濱委員 そうすると、有効な活用を図りたいという御意見でございましたが、それは先ほどお話がございましたような国有財産審議会、その下部組織として返還財産小委員会、こういうものがあるようにわれわれ承っておるわけですが、ここの諮問に対する答申がいつごろ出てくるのであろうかなという、これを察していま課長さんはお答えされたのか、個人の決意を述べられたのか、その辺のいきさつはいかがでございましょう。お答えいただきましょうか、いつごろ答申が出てくるのか。
  221. 松岡宏

    ○松岡説明員 返還財産処理委員会におきましては、この三分割方式の原則論につきましてなお審議を重ねてまいる必要がございます。その審議が一段落したところで国有財産中央審議会、いわば本会議でございますが、そちらの方へ小委員会から報告がなされまして、その結果を踏まえまして中央審議会が大蔵大臣答申を行う、こういう運びになるわけでございます。大蔵省といたしましては早い時期に答申を得たいという考えでいろいろと準備を進めているわけでございますが、具体的な日取りということになりますと、なお将来の問題になりますので、本日確たることは申し上げられない状態でございます。いずれにしても近い将来そういう運びになる、こういうスケジュールで進んでいる次第でございます。
  222. 小濱新次

    ○小濱委員 その時期については言えないということですが、いずれにしても近い将来。それが出てしまってからではもう手おくれなんですね。措置ができないわけです。私どもはその内容が、いま課長さんの決意を述べられたようないい意味での内容が答申として戻ってくるならば心配しないわけですが、先ほどの三分割案でほんと出てきてしまえばもう手おくれという形になりかねないわけですね。小委員会結論は即審議会の結論であるというふうにもわれわれはいろいろ伺っているわけですが、そういうことになればもう処置なしで、こういう形になろうかと、こう思い、私どもはその点を非常に懸念をしているわけでございますが、結構です。課長さんにはこの問題については余りこれ以上の御要望は無理かと思いますので申し上げませんが、先ほど御答弁の中で、大蔵事務当局は何ら連絡も受けていないという、こういうお話がございました。これは二階堂官房長官の話を切り出したときの御答弁でございますが、この件については四十七年十一月十八日、二階堂当時の官房長官と河津相模原市長との会談の際、市長からキャンプ渕野辺の跡地は地元に全面無償使用について申し入れし、そのとき官房長官はこの旨を約束し、その場で後藤田官房長官が直接電話で大蔵省にその旨を伝えていると、このようにわれわれは伺っているわけです。その場で副長官が大蔵省に電話を入れたことを確認をしているというのですが、いま課長さんのお答えですと、何ら連絡を受けていないということです。ちょっと食い違いがあるわけですが、この点についてば何か御記憶ございませんか。
  223. 松岡宏

    ○松岡説明員 御指摘の点は非常に重要なポイントでもございますので、私ども大蔵省事務当局といたしましては、当時のそういいました関係がどんなことであったか、当時の担当者にもいろいろと記憶を呼び覚ましてもらって実情の調査も行いましたのでございますが、当時の事務担当者あるいは大蔵事務当局といたしましてはそういった話は関知していなかった、こういうことでございます。
  224. 小濱新次

    ○小濱委員 ここに当時のその記者会見をやった各紙の新聞記事が皆まとめてございます。その当時の写真もここにとってございます。こういうことで私どもは、これだけのものがそろっていることについて相当の、地元としてはこれを信じ、この結果を待ちあぐんでいるという形から御質問しているわけでして、大分食い違いがあるように思えてならないわけですが、これ以上は無理かとも思いますけれども、この新聞報道を見ますと、相模原市の市民の憩いの場にしたいという要望を受けて、四十八年中に返還してもらうことを約束をしたのが官房長官であった。国に返還されることになるだろうが、市に無償貸し付けするという形になろう、さきの戦車搬出問題とは全く関係ない、こう述べているわけです。あの横浜からのベトナムの戦車搬出の折のいろいろな問題が発生した場合に、長官がこの現地の相模原の首長を呼んでこの話をしたときに、いまのこの無償貸し付けの問題が出て、そのときに官房長官はいま申し上げたようにこの問題とは全く関係がないという前提に立って話を述べられたことは記事にも明らかに載っているわけです。また、国会は解散になっても政府はやるべき仕事はちゃんとやっていると二階堂官房長官は大みえを切っているわけです。ちゃんと出ている。大みえを切っている。市も県もこの長官の発言は、現職の閣僚であり、当然全面無償貸し付けを受けられることができると信じたわけです。政府は県、市に約束したことを実行するよう私どもとしては再検討すべきではないか、こういうふうに考えているわけです。ちょうど副長官が来ておったからと思ったのですが、折を見てということで、またきょうは御用があるので退場されましたのでお聞きを願えなかったわけですけれども、これは課長さん非常に御無理な御質問かと思いますけれども、こういういきさつを踏まえてどうか真剣にもう一遍再検討という形をわれわれは強く要望したいと思うわけです。なお委員会が少し日程が緩やかになってきたときには、この問題についてまた超党派でいろいろと努力をしていきたいともわれわれは考えているわけですが、もう一度お答えをいただきたいと思います。いかがでしょうか。
  225. 松岡宏

    ○松岡説明員 大口返還財産につきましてのいわゆる三分割方式、こればたくさんございます基地の跡地につきましてそれぞれの間を公平を図り、バランスを考えて統一的に処理してまいりたい、こういう基準でございますので、これに対する例外ということは原則としてないという考えで御理解を求めているわけでございます。いま御指摘の相模原市につきましても大蔵省から直接相模原市あるいは神奈川県に対してこの三分割方式の趣旨を懇切に説明いたしまして御理解いただくように努めている段階でございまして、そういう方向で御理解を得てまいりたいというふうに考えております。     〔委員長退席左藤委員長代理着席
  226. 小濱新次

    ○小濱委員 課長さん、大規模基地を全部貸し付けした例として、ないのですか。
  227. 松岡宏

    ○松岡説明員 いわゆる三分割方式は最近打ち出された方式でございますから、これどおりの処理は従来なされておりませんけれども、しかしながら従来大口の返還財産についてすでに処理が終わってしまったもの、当然三分割という意識なしに処理が終わってしまったものを実績として回顧いたしましても、国が利用した部分と地元が利用した部分とそしてさらには未利用として残っている部分というふうなものもございまして、全面積を地元に無償で貸し付けてしまうということは、これが原則だということではございません。
  228. 小濱新次

    ○小濱委員 過去に北富士、御存じですか、あそこを全面的に閣議決定をして貸し付けていった例もあるわけです。これは御存じないわけがないわけですけれども、そういう過去の例からしてできない内容ではないということ、しかも、官房長官が副長官を交えて会談をし、記者会見をし、そして全面的にテレビだとか新聞で報道された、そういう確約の実現が例がないということにはならないわけですね、前例があるわけですから。したがって、私どもは北富士のように、この扱いに準ずるような措置ができないわけがないな、こう見ているわけです。特に閣僚が、国務大臣が約束をした、そういう内容になりますので、これは当然再検討の要があるという立場で私は質問をしているわけですから、ぜひひとつこのことを踏まえて御報告も願い、またこれが対策をやっていただきたい、こう考えているわけです。  きょうは本当大臣がだめならば政務次官にと言ったのです。課長さんにおいでを願って大変申しわけありませんが、これ以上の質問は無理かと思いますけれども、われわれもいろいろな調査研究をいたしまして質問しているわけですから、きょうはそれなりの受けとめ方をしていただいて御報告をお願いをしたい、こういうふうに思うわけですが、もう一度御答弁をいただきたいと思います。
  229. 松岡宏

    ○松岡説明員 たまたま北富士の国有地の問題を御指摘になりましたので一言申し上げておきますが、昭和四十八年に閣議了解がございまして、北富士の返還国有地約二百十ヘクタールを地元地方公共団体に林業整備事業のため払い下げを行う、こういう政府としての方針が確定しているわけでございます。したがいまして、その後にいま三分割という方針を打ち出しましたが、すでに政府の方針が閣議了解で確定してしまっているものについては、これはすでに決まった方針が優先する、こういう扱いになるわけでございますが、現在までのところはまだ払い下げは実現はいたしておりません。  ところで、この渕野辺について再度のお尋ねでございますが、具体的に地元から出てきております利用要望は、高校三校、それから小学校一校、中学校一校、これで面積がざっと十四万平米になりますが、あと残りは都市公園ということで跡地六十六万平米全体を使いたい、こういう御要望なんですが、六十六万平米の跡地の三分の一というと二十二万平米でございます。小学校、中学校一校ずつ、それに高校三校、都合五校を建設いたしましても十四万平米で、三分の一の二十二万平米には十分含まれる面積でございまして、地元の要望を学校について全部実現いたし、なおかつ公園部分が多少とも残るという面積が三分の一の二十二万平米でございますが、実態的に見ましてこれで地元の御要望に十分沿うことができるという考えでおりますし、さらに三分の一の留保地につきましても、これは将来五年ないし十年後の時点において再度関係者がよく相談をして最も有効な活用を図るわけでございまして、地元に留保地をまた御利用願う可能性も残されているわけでございます。この際はこういう線で、他の基地跡地との公平も図りながら実現してまいりたいという考えを持っているわけでございます。
  230. 小濱新次

    ○小濱委員 全然受けとめ方が違うのですね、課長さん。返還後もう何年たっているのですか。何年たっても道が開けないから、とりあえず、三万平米の公園化だとか、そのまま使えるように、それでこちらへも高校、小中学校も建てたい。二十二万平米の全面計画は大変な内容が示されているわけですよ。そういうわけで、いまの段階での要請が相模原のすべてではないわけです。県の方も当然その内容についてはよく含んでおりますから、とりあえず暫定的にそれだけやって、そしてこちらの審議会の答申もいい答申が出てくることを期待しながら、地元ではまた大変ですよ。地域ごとに住民集会を開いて、この間のメーデーのときもそうですけれども、あらゆる会合でこの問題が取り上げられ、そして国への要請を強く皆打ち出しているわけですから、いまの三分の一で十分要望が満たされるなんて発言したら大変なことになります。そうでないことを付言しておきたいと思います。  そこで、この貸し付け並びに譲渡条件について伺いたいのでありますが、四十八年の法改正の際、人口急増地域の義務教育施設に対しては五年間無償、公園用地についても、他に別途確保した公園緑地面積に相当する分については無償、それを超える分について二分の一は無償、二分の一は時価が原則であった。これは法の趣旨を生かしたものでありまして、わずか三年もたたない現在、審議会に諮問している貸し付け、譲渡条件は大幅に地方自治体に厳しい条件を強いるものであり、まことに納得しがたい、こういう状態になっているわけですね。  キャンプ渕野辺の場合は地元負担が、いろいろ計算しておりますが百六十三億、これがふえるために人口急増地域では負担しきれない、こういう実態からどうしてもこの跡地の無償貸し付けを強く要望しているわけです。そういうことですから、この貸し付け並びに譲渡条件についてはそういう地元の意思をよくそんたくしていただいて、それなりの配慮をわれわれは特に要望したい、こう思っているわけです。この点についていかがでございましょうか。
  231. 松岡宏

    ○松岡説明員 ただいま先生御指摘になりましたように、国有財産特別措置法の改正によりまして昭和四十八年に人口急増地域の小中学校の用地として貸し付ける場合は全面積を無償貸し付けすることができる、こういう条文が追加になったわけでございます。これに対する大蔵省の考え方でございますが、全面積を無償貸し付けすることができるということで優遇措置の最高限度がここで規定されたわけでありますが、すでにそれ以前に出ております大蔵省の内部通達の扱いによりまして、移転に経費を要したような跡地の場合には、原則として二分の一を時価で償却し、残りの二分の一の面積について法律上の優遇措置を適用する。こういうルールでずっと来ておりますので、この法律改正の結果ルールを適用いたしますと、相模原市につきましては二分の一の面積を時価で売却いたしまして、残りの二分の一の面積を無償貸し付けする、こういう扱いになるわけでございます。この手法は先ほどの三分割とは関係なしにすべての返還基地について、大も小もでございますが、こういうやり方で考えているわけでございまして、これまた他の跡地の取り扱いとのバランスから言いまして、相模原市の場合だけを特に優遇するということが許されないわけでございます。
  232. 小濱新次

    ○小濱委員 きょうは地元の大変大きな問題を取り上げて御質問いたしまして御答弁を求めたわけでございますが、課長さんとしては精いっぱいの御答弁であったと思いますので、よろしくまた御報告を願い、御検討を特に要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。  厚生省の方にお答えいただきたいと思いますが、厚生省の差別ベッドの規制についての通達によると、差額ベッドは廃止、縮小すべきであると言っているが、一方で厚生省の病院の収益及び費用構成によると、日赤病院が三・四%、済生会病院が三・四%、自治体病院が一・二%、船員保険病院が四・二%と収益の中に差額料金を収入として見込んでいるわけでございます。一方で廃止を言いながら、一方で収入の中に入っていることは矛盾しているのではないか。本来差別ベッドは廃止すべきであるから医療収益の中で差額室料を見込んだ積算は誤りだと考えているわけですが、この点はどうでしょうか。いずれにしても改善すべきではないのか、お答えいただきたいと思います。
  233. 岸本正裕

    ○岸本説明員 病院におきます特別室、いわゆる差額徴収をされている部屋でございますが、特別室は特別の設備を有します部屋を希望する患者がありまして、これらの要望にこたえるためにある程度の特別室の設置はやむを得ないものと考えております。しかしながら、このために必要な医療の機会が妨げられるようなことのないように配慮する必要がございまして、私どもでは特別室の割合を一定以下にさせるという方針のもとに指導をしてまいっているわけでございまして、今後ともこれらの指導を一層充実させていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  234. 小濱新次

    ○小濱委員 私もきょうは本会議質問させてもらったわけですが、この点の問題をわれわれは非常に重視しているわけでございます。  そこで、四十八年度末で自治体病院の累積赤字をたな上げしましたが、四十九年度は人件費及び物価が異常な高騰をした年でありまして、このため自治体病院でも四十九年には七百二十億繰り入れをいたしましたが、なお単年度赤字五百四十六億、累積では千四百三十二億、こういうふうになっております。この間、五十年一月から五十一年三月までは診療報酬の改定がなかった。このような状態で、五十年度末は恐らく二千億を超える累積赤字が出ることは必至である、このように言われております。最近の地方財政危機などの面からも自治体の病院会計への繰り入れば困難をきわめているわけでございますが、したがって五十年度末の赤字をたな上げするという考え方についてはどういうお考え方を持っておられましょうか。
  235. 首藤堯

    ○首藤政府委員 自治体病院の経営が非常に困難になっておりますのは御指摘のとおりでありまして、私どももこの対応策に苦慮しておるところでございます。しかし、考えてみますと、本来自治体病院の経営を抜本的に改善をする方策をとりますためには二つ方向を考えるべきだと思うのでありまして、一つは社会保険診療報酬の適正なあり方、これをどうするかということが一番主な問題でありまして、これに関連をして医療機関の適正配置の問題でありますとか、医師、看護婦の確保等この基本的な対策、これをどうしても確立をしていただかないと、どこまで行ってもさいの河原積み、こういう感じになるのではないかと思います。  それからもう一点は、やはりこの自治体病院の経営の使命から考えてみまして、いわゆる負担区分でございますが、一般会計でもって負担をすべきものをどう考えていくのか。いま御承知のように建設改良費とか、看護婦養成所の経費だとか、僻地医療だとか、救急医療だとか、こういうものは当然一般会計で負担をしていい、こういうことで負担区分を決めておりますが、これをいま申し上げました診療報酬のあり方等と関連をして、恐らく拡充をせなければいかぬと思いますが、どこまで広げていけるのか、こういう基本的対策がなければ、ただいま現在の赤字をたな上げをしてしまいましても、したというだけのことであって、いつまでたってもこれが続く、こういうことに相なろうかと思います。したがいまして、私どもはこういった基本的な対策を厚生省とも相談を十分詰めたいと思いますし、またいわゆる負担区分の問題については私どもも十分それに対応して勉強したい。こういう体制がある程度固まってから再び赤字のたな上げ、こういったような措置に踏み切るべきではなかろうか、こう思いまして、現在鋭意検討中でございます。     〔左藤委員長代理退席委員長着席〕
  236. 小濱新次

    ○小濱委員 赤字をたな上げする以前の問題ということで御意見が出たわけですが、ぜひひとつこれは一層の御努力をお願いしていきたいと思います。  最後に、厚生省と自治省に一点ずつお伺いをして終わりますが、厚生省の方にお答えいただきたいと思います。  自治体病院の経営の実態やその使命から見ても、病院経営の健全化は今後ますます重大な問題になるとわれわれ見ているわけであります。五十一年三月十七日の答申でも言っておりますが、看護婦、病院建設などは国でめんどうを見るべきだと答申しているようでありますが、われわれも当然そうすべきだと考えております。この点について厚生省からお答えいただきたいと思います。  同時に、これは自治省からお答えいただきたいのですが、地方公営企業法十七条の二の負担区分を実情に合うように再検討すべきではないのか、この点はどうか。この二点についてお答えをいただきたい、こう思います。
  237. 岸本正裕

    ○岸本説明員 国は従来からがんとか救急、小児医療、僻地医療、看護婦養成事業等に対しまして必要な建物とか、機械設備に要する費用につきまして助成を行っております。そのほか、がん、救急医療、僻地における不採算医療等のいわゆる高度特殊医療を行っている公的病院の運営費につきましても助成措置を講じてきておるわけでございますが、これらの施策につきましても今後引き続きまして一層の充実を図ってまいる所存でございます。
  238. 首藤堯

    ○首藤政府委員 ただいま御指摘のように、この負担区分は十分今後見直すべき余地のある問題だと考えております。現在は御承知のように建設改良費とか看護婦養成所費とか僻地医療、救急医療、こういったものについての負担区分を認めておりますが、これについてはなお検討する必要があると思います。ただ、それ以前の問題として、先ほども申し上げましたように、やはり基本的には社会保険診療報酬等のあり方がどうなるか、つまりそういった負担区分を拡充をしました結果、病院そのものがやはり健全に経営されるだけの診療報酬のあり方でなければならぬ、こう思うのでありまして、そういった点とあわせ前向きに検討を進めたい、このように考えております。
  239. 小濱新次

    ○小濱委員 十七条の二の経費負担の原則、こういう問題をぜひとも大きく取り上げていただいて、自治体病院、どこの病院でも市民からの苦情がないところはないくらいで、いろいろ悩み苦しんで経営しているのですよ。そして、その自治体病院の経理面、そういう一面が悪いということになると、病院長の責任になったりして、病院長が非常に悩み苦しんでいるという実態、あるいは上の方の階のベッドが全然備えられないで空き部屋になっておったり、そして、せんだっても消防白書が出ておりまして救急体制の一覧が出ておりましたように、その点での収容ができないという指摘も住民から受けたりして、大変な御苦労をなさっておられるわけでございまして、どうか厚生省、自治省もそうですけれども、より以上の御努力を当然してもらわなくてはなりませんが、再検討もしてもらわなければなりません。そういう点で自治体病院がもっと明るい見通しになるような機構、体制というものを一日も早く確立をしたい、こういう立場からいろいろと要請を申し上げておるわけでして、今後の一層の御努力をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  240. 小山省二

    小山委員長 次回は、明七日金曜日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時二十三分散会