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大平国務大臣 去年の十一月、
ランブイエの
首脳会議がございまして、このときは
世界経済が深刻な
不況からまだ
脱却を見ていないというときでございまして、いち早くこの
不況からいかにして
脱却をするか、そのために
国際協力をどう進めていくかというようなことが主たる議題であったかと思うのであります。幸いにいたしまして、その後
世界経済は急速な
回復を見せまして、どうやら
不況からの
脱出は確実なものになってきたようでございます。
今度の
サンフアン首脳会議は、これを踏まえた上で
経済の
回復を、いま
佐藤さんがおっしゃったように持続的なものにしたい、さらにこの
経済の
回復を
インフレのない
回復にしたいものであるということをねらいといたしまして、
国際協力がどのように工夫されねばならぬかというようなことが主題であったと思うのであります。
第一に、そういうことを達するために、御
指摘にもありましたとおり、そのことは
コミュニケにも明らかになっておりますけれども、節度のある
財政政策、
金融政策というものを各
先進諸国は堅持してまいらなければならないということでございます。
第二は、
各国の
国際収支は
長期にわたりまして
黒字を大幅に記録することも決してほめたことでないわけでございますけれども、
赤字を長きにわたって記録することもよくないことでございますので、そういうことのないようにやってまいらなければならない、そういうことのないように多角的な
手段でもって
国際収支のバランスを維持していくように
お互いに
協力しなければならぬということでございます。
第三は、
佐藤さんの御
指摘のとおり、
貿易につきまして、ややともすれば
保護主義に傾斜しがちな
世界でございますけれども、できるだけ無差別、自由な
貿易の
拡大を図ってまいらなければなりませんし、停とんしがちでございまするジュネーブにおける
関税貿易交渉というものも、一九七七年に完成することを目途といたしまして鋭意進めようではないかというようなことが誓われたわけでございます。
さらに、
東西関係におきましては、今日デタントが維持されておるわけでございますけれども、それと並行いたしまして、
東西の
貿易関係、
経済関係が年とともに
拡大を見ておることは歓迎すべきことである、これを健全な姿で維持してまいることが
世界の健全な
経済の
拡大に役立つことであるということが共通の認識として固まったということでございます。
最後に南北問題でございます。先般の第四次の
UNCTADの会合が終わったばかりでございますが、これを受けまして、
開発途上国の
経済をどのように維持してまいりますか、とりわけ第一次産品の価格をどのように維持して
輸出所得をどのように保障していくか、そういうことのために、
UNCTADの
会議で約束された
交渉というものをできるだけ早く始めることによって、そういった問題についての
先進国としての
貢献をしなければならないというような点が主たる問題として取り上げられたわけでございます。
世界の
経済は総じて大変流動的なむずかしい局面にございますけれども、
ランブイエにおいて示され、
サンフアンにおいてさらに確認されましたような
国際協調がどうやら維持されておりますがゆえに、
リラや
ポンドの通貨の問題もその危機が
拡大することなく局部的な
状態でこの
春収拾がついてきましたことは御
案内のとおりでございまして、今後も
インフレなき
経済の
拡大を図ってまいるということで、
世界の
経済が破綻を示すことなく順調な
発展を遂げていくためには、
世界経済の中で最も力のある、
責任のある
先進国、
サンフアンに
集まりました
諸国の
協力というものは、一番大事なこれを維持する要件であると思うわけでございまして、そういうことが今度の
サンファン会議におきましてかたく固められたということは、
世界経済にとりまして非常に幸せなことであったと思いまするし、これを踏まえた上で、
インフレなき
経済の
拡大というものがもくろみどおり順調に展開してまいりますことを、
わが国といたしましても期待をいたしております。また、それに応分の
貢献を
わが国もいたさなければならないものと
考えております。