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1976-05-07 第77回国会 衆議院 大蔵委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年五月七日(金曜日)     午後七時五分開議  出席委員    委員長 田中 六助君    理事 塩川正十郎君 理事 村岡 兼造君    理事 森  美秀君 理事 山下 元利君    理事 山本 幸雄君 理事 佐藤 観樹君    理事 山田 耻目君 理事 増本 一彦君       大石 千八君    金子 一平君       瓦   力君    木野 晴夫君       小泉純一郎君    齋藤 邦吉君       原田  憲君    坊  秀男君       保岡 興治君    山中 貞則君       武藤 山治君    村山 喜一君       山中 吾郎君    横山 利秋君       荒木  宏君    広沢 直樹君       竹本 孫一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 大平 正芳君  出席政府委員         経済企画庁総合         計画局長    宮崎  勇君         大蔵政務次官  唐沢俊二郎君         大蔵省主計局次         長       高橋  元君         大蔵省主税局長 大倉 眞隆君         大蔵省理財局長 松川 道哉君         大蔵省銀行局長 田辺 博通君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 妹尾 弘人君  委員外出席者         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 五月七日  昭和五十一年分の所得税臨時特例に関する法  律案武藤山治君外四名提出衆法第九号)  所得税法の一部を改正する法律案武藤山治君  外四名提出衆法第一〇号)  有価証券取引税法の一部を改正する法律案(武  藤山治君外四名提出衆法第一一号)  法人税法の一部を改正する法律案武藤山治君  外四名提出衆法第一二号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案武藤  山治君外四名提出衆法第一三号)  土地増価税法案武藤山治君外三名提出衆法  第一四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十一年度公債発行特例に関する法  律案内閣提出第一号)      ————◇—————
  2. 田中六助

    田中委員長 これより会議を開きます。  昭和五十一年度公債発行特例に関する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。荒木宏君。
  3. 荒木宏

    荒木委員 大変な赤字公債発行で、この財政硬直化財政危機を打開するには並み並みならぬ決意が要ると思うのですが、これには手順としても、事が終わって、いろいろなことが固まってしまってその上でというのはなかなかメスを入れにくい、やはり事の始めから、しかも全面的に、この硬直化打開危機を解決していく方向で事に当たるということが必要ではないかと思うのですね。  それで、初めにまず大臣お尋ねしたいのですが、そういう意味から、この五十一年度予算編成されます事の始めは、昨年度の初めに各省から概算要求が出され、政府の方でも、一応概算要求作成についての目安というのを、七月段階で閣議で了解を得て指示をされる、その後概算要求を出されて、その査定という内部作業が進むわけですけれども、その当初から、赤字公債を出さない決意、つまり赤字公債を出さずに済むやり方。これはまた同時に、来年度予算について言いますと、やがてそういう時期が来るわけですが、公債をできるだけ減らしていくというこの努力にもつながると思うのです。  そこで、そういった予算編成作成手順と絡めて赤字公債を出さない努力、また公債を減らしていく努力ということを昨年度の当初、つまり五十一年度予算編成当初に当たってどういうふうに取り組まれたか、またそのことについて今後この編成作業についてどういうふうな方針で臨まれるおつもりかということを初めにひとつお尋ねをしたいと思います。
  4. 大平正芳

    大平国務大臣 たびたび申し上げておりますように、財政政策本位に考えますならば、歳入が不況のために激減いたしたわけでございますから、仰せのように歳出を圧縮いたしまして、赤字公債を出さないように切り盛りをしてまいることが本来の行き方であるべきでございますけれども一つには、今日の不況が異例な状況でございますので、まずこの異常な状態を正常に直すために、行財政水準をある水準以上に維持していくことが経済を維持していく上において大事だということ、二つには、経済自体が衰滅するというようなことがあっては、財政はそこから養分をとって将来再建を図っていかなければならぬのでございまするから、経済あっての財政でございまするから、まず経済の体を強めていくという必要を感じたわけでございます。したがって、財政本位考え方ではなくて、いわば経済を立て直すということに力点を置いた考え方をまずとったわけでございます。しかしながら仰せのように、将来禍根を残すようなことがないように、硬直化の根をさらに繁殖させるとかいうことがないようにしなければならぬわけでございますので、そういう配慮財政当局としていろいろきめ細かく配慮いたしたつもりでございます。しかしながら、力点経済の回復という点に力点を置きましたので、ことしの財政は残念ながら赤字相当額において続くという状態をやむなく続けるということになったわけでございます。  しかし、第二の御質問の将来どうするのかということでございますけれども、申すまでもなくことしをピークといたしまして、五十二年度以降特例公債発行額を漸次逓減していかなければならないと考えておりまして、たびたび申し上げておるように、五十年代の前半には特例公債から完全に脱却を図ることにいたしたいということでありまして、そういう道行きの概略を示すスケルトンといたしまして本院に中期の財政収支の試算というようなものも御提示申し上げて御審議をいただいておるわけでございます。
  5. 荒木宏

    荒木委員 誤解のないように申し上げておきますが、財政至上主義経済実態がそのために力を失う、これは当を得た措置考え方ではないということはもとより前提にしておるわけでございます。また、財政だけでなくて経済全体として見ていくべしということももとより当然のことでありまして、私が聞きましたのは、にもかかわらずむしろそうした経済実態、いま大臣が言われた言葉をかりますとその実態、われわれの立場から言いますと大企業主導型の経済実態というものに勢い流されて、そしてむしろ禍根を絶つべく出発をしなければならないはずのものが予算編成作業手続の中でもけじめがなかなかつけにくいのではなかろうか、それはいままでの硬直化を来した財政経過が明らかに示しているし、また過年度における編成作業手続実態もまたそのことを裏づけておるのではなかろうか、こういう点から言っておるわけであります。  そこで、多少実例を挙げて、いま大臣が言われることが果たして財政立て直しという面も含めて経済再建ということにつながるのかどうか、この辺のところお尋ねしたい。  いま一番新しい報告されております決算は四十九年度決算でございます。四十九年度決算の中で会計検査院指摘をされました違法事項あるいは不当事項、多々ありますけれども歴年指摘をされ続けております防衛庁予算を例にとってお尋ねをしたいと思います。  昭和四十九年度防衛庁予算に関する会計検査院不当事項指摘に、物品修理に当たって新品購入を考慮しなかったために大変不経済になった、つまり修理費を古い物品の高い価格もとに何%とはじいている。ところ技術革新の結果、値段がだんだん下がってきている。だとすれば、当然概算要求段階でも査定段階でも下がってきているわけですから、同じ比率修理を要するとすれば、修理費は下落するはずだ。ところがそのことを予算編成作業中に的確に認定し得なかったがために不当な支出があって国家財政上大変不経済になった、こういう指摘があります。  そこでお尋ねをしたいのですが、今後のこと、あるいは一般的なことはおいおいお尋ねするとして、いま私が指摘をいたしましたこの年度のこの件について、予算編成作業の中でなぜこのことがわからなかったのか、これをひとつ主計局から伺いたいと思うのです。
  6. 高橋元

    高橋(元)政府委員 四十九年度防衛費査定の具体的な内容を私は詳細知悉しておりませんので、ごく一般的なことになるかと思いますが、いま御指摘修理費というものは一応その一定購入費ないし取得に対する枠という形で、それもできるだけ金額必要最小限度に抑えるように査定をしてきております。具体的な修理費執行というものは防衛庁において技術的な知識その他を駆使して極力効率的にやっていただいておることになっております。
  7. 荒木宏

    荒木委員 この検査院指摘はこういうふうになっているのです。これは指摘事例で見ますと、オシロスコープ製造ということになっておりまして、オシロスコープというのは通信電子機器の観測に使われる計測器なんですけれども、これは市販をされていて、製造実情を見ると、近年電子工業技術の進歩に伴って新型のものが開発され、旧型は逐次取りやめられている。価格も逐年廉価なものになってきている。したがってその要修理比率が同じ程度だとすれば、新品購入価格が旧価格よりも相当部分低落する。逆に言えば、いままでのやり方で計算をした防衛庁やり方では実際に必要な修理費を上回ることが容易に判明したはずである。つまり特に大変な調査をし知恵を働かし、事態を洞察しなくても、ちょっと考えればすぐわかったはずである、こういっているわけですよ。すぐわかったはずのことがどうして防衛庁から——そういうことで予算を請求する方もする方だが、これがイエスかノーかというのをうのみにする方もする方じゃないか。いま指摘しております部分の金額はまず第一の例として申し上げているのですけれども、絶対額はまたあれですよ、しかしいま最初大臣答弁をされた、その経済実態あるいは総合的判断、この中身についての意見の違いは別としまして、そのことを前提にしても、本当にやろうとすれば、会計検査院が言っているように、すぐわかるじゃないかということをうのみにしておいて、これから六月、七月、八月こんな作業をやられたのでは、赤字公債の解消だなんだといったって、そういうことでできるでしょうか。すぐにわかったはずだと言っていることについて、一体どう考えていらっしゃるのか、それを主計局から聞きたい、こういうわけです。
  8. 高橋元

    高橋(元)政府委員 防衛庁におきましても、先ほど申し上げましたように、予算執行につきましては、技術的な知識それから商品学的な知識そのものを十分駆使してやっておるんだと思います。御指摘の件は、四十九年度検査院検査の際に、そういう不十分な点がありまして、それにつきましては防衛庁も十分注意していくということで、五十一年度予算以降そういった——いま御審議をお願いしております五十一年度予算では、そういう点は改められておるわけでございます。個々の官署にわたって細かい修理費執行があるわけでございますから、中には技術的な知識が十分でないということがあるかと思いますが、要求に係るそういった修理費査定につきましては、私どもとしては十二分のデータを使ってやっておるつもりでございます。なるべく執行面においても指摘のような不十分なことのないように、実施官庁ともよく相談をしていきたいというふうに考えております。
  9. 荒木宏

    荒木委員 誤解のないように言っておきますけれども防衛庁には防衛庁でまた別途お尋ねをする機会があります。私がいま聞いておりますのは、財政当局として、防衛庁は言われてその後直しております。私どもは一生懸命やっておるのですということで済むのだろうか。昨年の四月に財政危機宣言をされておるのでしょう。その危機状態はまだ続く、とこうおっしゃっているのでしょう。いわば、財政的に非常時と言われる事態で、だれが見たってすぐわかるはずだと言っているのに、何らの反省大蔵省にはないのだろうか。言うてきた先は、これから気をつけるでしょう、私らは一生懸命やりました、その一かけらの反省もなくして財政危機に臨む当局の態度として、国民が納得するだろうか。私がいま言っておりますことの一つは、それなんです。もう一度当局から答弁をいただきたいと思うのです。ほかに方法はないのだろうか。この調子でいけば、皆さんがこれから一生懸命やります。やりますと幾ら言葉を千言万言重ねられたって、何かはかから検査が入って、それがわかるまではわかりっこないと思う。しかも、いま次長は、専門的なことも含めてと、こうおっしゃったけれども検査院指摘じゃ、これは専門的じゃないと言うのですよ。容易に判明し得たはずである。つまり素人でもわかるんじゃありませんかというような趣旨指摘にもなっておるわけでして、皆さんの方でやり方を変える余地がないかどうか、そのことをお尋ねしたいと思うのです。
  10. 高橋元

    高橋(元)政府委員 御指摘のように、五十一年度予算編成に当たりましては、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、当面する財政構造改善のために、各般の経費を極力切り詰めていくという方針で臨んだわけでございます。  そこで、お話あります防衛関係費でございますが、これにつきましては、全体として予算伸びを下回る一三・九という金額に抑えたわけでございますが、その一三・九%の伸びの中でも、人件費改善、ベースアップの平年度化、その他が大体九割を占めておりまして、物件費系統では五・六%という、きわめて切り詰めた伸びになっております。四十九年度決算で御指摘のありましたようなそういった不用意な予算執行というものを根絶していくように、私どもとしても査定に当たって十分配意しなければならぬことは御指摘のとおりであるというふうに思っておりますけれども予算の実際に盛りつけられます金額を極力圧縮していくことによりまして、防衛庁執行官庁においてもその執行に当たって十分効率に配意してもらうということで臨みたい、今後ともそういう方向で勉強してまいりたいと思います。
  11. 荒木宏

    荒木委員 ちょっと実情を伺っておきますが、大蔵省の中では防衛庁予算を見る人は何人ぐらいおるのですか。
  12. 高橋元

    高橋(元)政府委員 主計官以下十三名でございます。
  13. 荒木宏

    荒木委員 そうすると、一兆数千億円のその金を動かすのに、まあそれはそれから上の何もいろいろありましょう、省議の決定だとか政治折衝復活折衝と言われるものもありましょうけれども、一兆数千億円の金をどうするかというのを十三人の人でやっておるわけですか。全部含めて十三人ですね。
  14. 高橋元

    高橋(元)政府委員 さようでございます。二十四兆二千九百億の予算全体を主計局は三百人の人数でやっておりますので、それは編成執行両方を通じてでございます。
  15. 荒木宏

    荒木委員 いや、二十四兆何がしが三百人の皆さん頭脳で賄えるかどうか、それをいま言っておるのじゃないです。例を出しておるのは防衛予算なんです。十三人で見ておられる。それがどういうふうなことになるか。このいまのお尋ねした件についての答弁は、私はそれだけで結構ですとは申し上げかねるのですが、続いてこういうのがありますね。  護衛艦、軍艦が泊まっておった、泊まっていても、これは艦内で停泊中に人も乗っておりますから、電気も要るでしょう。ところが、フルに稼働しておるときの電気使い方と、それから泊まっていて乗員も上陸している、言えば留守番だけがおるときの電気使い方も違いますね。常識的に言ったって、家でもそうですよ、普通の家庭でも。ところが泊まっておるときに、主発電機のタービンを回転さしてどんどん使っている、これはいかがなものであろうか、こういうのがあるのですけれども、こういうのも何というんでしょうか、これは維持費というんですかね、あるいは運航費というんですか、あるいは訓練費というんでしょうか、もう少し細かに見て、要らぬものは削るということが、十三人の人の作業でできないんですか、十三人おられて。その点どうでしょうかね。こういうことが見過ごされて、それがまた——私は一、二の例を言っておるんですよ。ちりも積もればと言いますが、こういうのがどうしても必要な赤字でござる、これは国債で、借金でお願いしなければならぬのですとこう言われても、こういうのが出てきて、そうですがとはなかなか言えばしない。これ、主計局の方どうです。船は三百六十五日朝から晩まで走り回っておるんじゃないですね。やはり人間と同じように、動くときもあれば休むときもある。だとしたら、休むときには費用はもっと減らすことができるのかという話が、十三人おられてどうしてできなかったのでしょうかね。それをちょっと伺いたい。
  16. 高橋元

    高橋(元)政府委員 いま御指摘の件は海上自衛隊の燃料の節減のお話であろうと思います。確かにお話のありますように、検査院から是正改善措置要求されておるわけで、その点につきましては技術改善面運用面、いろいろむずかしい問題がございました。さらに調査研究を重ねて、極力検査院の御指摘趣旨に従って改善策を講じていきたいと思っておりますけれども、とりあえず五十一年度は、陸上給電可能性も考慮して、給電設備拡充整備というものを予算に盛りまして、そのほか、港湾の状況調査するための調査工事も予定する。そういうふうに逐次、一般の節約で対処できない、また節約をかけたのでは網から漏れてしまうような細かいものにつきましても、仰せのように改善を図るように検討を進めておるわけでございます。
  17. 荒木宏

    荒木委員 どうもいまのお話でありますと、後から見てよそから指摘をされた、指摘をされたところだけは——だけはと言うとちょっと言い過ぎかもしれませんね、指摘をされたところは、これは直さなければ話が通らぬから直す。つまりそういう個別の是正とともに、この当該年度だけでなくて、報告書をずっと歴年追って見てみますと、毎年、毎年、あちこちの——同じ防衛庁ですよ。同じようなことが繰り返し出てくる。それを皆さんの方はその都度、かまから水がぷっと漏れるとその手当てだけをしておられるというのでは、これは大臣初めに言われた、財政危機状態の中で決意を新たにと言われるようなそういう方針執行体制であるとは必ずしも言えないのじゃないか。つまりやり方そのもの体制そのものは直接は当該官庁に対する指摘でしょう。しかし、同時に財政当局に対する相当深刻な反省指摘でもあると私は思うのですよ。  もう一つ続けて例を指摘しておきますと、F86F航空機用部品、これはどっさり部品を買い込んで、そのうちに機種が変わったから部品が要らぬようになってしまった、倉庫の中でそのうちにさびついて捨ててしまわなければならぬようになる、こんなことではいかぬから何とかこれを使えぬか、こういう話になっておるわけです。そうすると、最初のときにちょっと気をつけていれば、そんなに後で倉庫部品がどっさり余ってさびがくるくらいにまでため込まなければならぬという事態は起こらないのじゃないでしょうか。金があり余っとるなら別ですよ。国民に大変な犠牲を強いようかというときに、しかも財政当局責任者国会危機宣言までされるようなときに倉庫の中でさびがくるような部品が山と積んである、一体その十三人の人は何をしておられたのか。十三人だけじゃないでしょう、その上にまだ責任者がおられるのでしょう、まだもう一つ上にもおられるでしょう。これは節穴であったのかということになるのではないでしょうか、極論をすれば。  ですから、私は、いまの一番前座として伺っておりますくだりの趣旨は、そういった言葉だけでこれからやりますと、これではいまの時期に通らぬでしょう。言われたことだけは手当てをしました、これも部分的過ぎやしませんか。いまこの事態に、全体として財政硬直化の問題を将来に禍根を残さないために打開していこう、こういうふうに皆さん自身も言っておられるときなんで、大臣も来るべき年度の何からはと、こう言っておられるのだから、だとしたら当局としてそれにふさわしいやり方というものをひとつ知恵を出してごらんになったらどうでしょう。五年、十年、二十年と千編一律のごとく同じようなやり方をしてきて、それでいまの時代のそういう編成作業としていいものであろうか、これは事務当局の御意見をちょっと伺っておきたいのです。体制としてどうか。政治的な問題は別にまた責任者にお伺いしますが、事務当局としてどうですか。全体のそういう体制についての反省はありませんか。
  18. 高橋元

    高橋(元)政府委員 私ども予算査定をしていきます際に、そのときそのときの最新の知識というものを取り入れてできるだけ効率的に切り詰めた予算をつくらなければならぬ、それは先生のおっしゃるとおりであると思います。私どもの勉強の足りないところというのもあると思います。そこは、非常に抽象的な言い方で恐縮でございますが、十分の戒心を払って予算編成過程についても合理化をしょっちゅう進めておるわけでございます。ひとつまた執行官庁の問題だというふうにお取りになられても困るわけでございますが、私ども一定庁費なりおっしゃるような維持費というものにつきましては通常の経費のようにやはり全体としての枠での節約というものをやってもらうことにしておりまして、節約された枠の中でできるだけ各省庁で知恵をしぼって効率的な金の使い方をしてもらいたい。あわせて部内の監査体制につきましても、私ども監査の充実をしてもらうように所要の配慮をしておるわけでございます。主計局は一三人もおって何をしておるのだというおしかりはごもっともな面もあるわけでございますが、私どもといたしましては防衛庁とお互いに連絡をし合いながら、足らざるところを補い合いながら予算編成執行を通じて効率的な財政というものを目指していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  19. 荒木宏

    荒木委員 大臣にお尋ぬをいたしますが、いろいろ全体の枠を締めたりあるいは執行官庁に対する内部監査あり方ですか、そういうことにも配慮されるといういまのお話あるのですけれども、十三人の人がどんなにすぐれた頭脳の持ち主でありましょうとも、私はやはり十三人は十三人だと思うのですよ。予算はおいおい内部でいろいろ作成をされて国会に出されてくる、ここで論議があるわけですけれども、しかし実際大臣国会に長らく議員として在籍をされまして予算審議のいままでのあり方というのはよく御承知のとおりでございますが、私もここしばらく予算委員会審議にも関与しまして、いまのあり方で十分本当にこういった、いま指摘しておりますようなことの改善も含めて、予算というものにそこまで国民の目がすっと行っているだろうかという感じを非常に強くするのですね。  もちろんこれはずっと長年の間続けられてきたことでありますからそれなりの歴史もありますし、いろいろな従来の経過もありましょうけれども、しかしたとえばいまここに幾つか指摘しましたことは、機械類がずっと新しく変わってきておって、そして同じ修理比率からすれば修理費はもっと安くなるはずだ、これは十三人の人なら見過ごすかもしれぬ、しかし一億の国民が見ればこれはすぐにわかると思うのですよ。あるいは動いているときに、それはなるほどいろんな電気が要る、しかしとまっているときは少ない、これは十三人の皆さんではあるいは見抜けないかもしれぬけれども、一億の国民がそのことを知ればこれはすぐに常識的にわかることではないか。あるいは当初に部品を買いますと、これは防衛論議じゃありませんからそのことの是非はおきますけれども、しかし年間の計画からしておしまいごろには倉庫に山と積まれてさびが出るほどといったような事態は、当初の計画だとか稼働だということがもしみんなにわかっておれば、そのことも指摘が容易にされるのではないか。したがって、そういう意味から編成のそういう段階でそれぞれ所管省としてこれだけは要るのでありますと概算で出すのですから、その部分は国会の方へも提出をし、それでみんなにもよくわかるようにし、そして限られた予算審議の日数における審議がより充実をし、より国民の意思がそこに盛り込まれ、そして、このような検査院指摘される不当事項がより少なくなるような制度的保障というものを考えてもしかるべきではないか。もちろん閣議で決定されるまでは予算編成権は内閣にあるわけですから、そのことをいま体制としてどうこう言っているわけではないのですが、より広い意味でのチェックという意味から、こういう概算が出ております。これの根拠はこういうことでありますというのをもっと知らせるような努力、方法というものは検討されてしかるべきではないかというふうに考えておるのですが、これは財政当局責任者として、それでまた政治家として、大臣の御答弁を伺いたいと思います。
  20. 大平正芳

    大平国務大臣 荒木さんには釈迦に説法だと思いますが、大体財政というのは公金を扱うわけでございまして、人間というのは弱点がございまして、自分の金は大事にするけれども公金というのは大事にしないものなのです。自分のうちの庭の木は大事にするけれども、公園の樹木というのは案外粗末にするというのが人間の弱点なのでございます。さればこそ財政には会計検査院という制度を設けてその後をフォローアップいたしましていわゆる監査を徹底いたしておるわけでございますが、私経済にはそんな監査制度なんかなくても非常に節約してやるわけなのでございます。でございますから、こういう公経済におきましてはいつまでたってもそういういろんな意味の構造的な弱点というのは私は絶えないのじゃないかと思います。社会主義経済なんというのはもっとひどいと思います。非能率で構造的な弱点を、われわれの混合経済というか資本主義経済なんかよりずっと持っておると思いますけれども、それはともかくといたしまして、そこでまずそういう場合に一番大事なことは、われわれ査定する当局、いわばいまの場合は大蔵省でございますが、大蔵省がよその省より節約することだと思うのです。よその省に率先してつましくすることでございます。したがって、いま大蔵省は一文の報償費も持っておりません。現実に交際費その他非常に不自由をいたしておりますけれども大蔵省はそういう御要求をいたしておりません。そして、みんながまずともかく度を過ごさないようにしないと、大蔵省が羽目を外すともう日本政府全体が緩んでくるわけでございますから、そういう点が第一だと考えております。  それから、お尋ねの点のお答えに入りますが、予算が成立しまして、これからの主計局概算要求を受けるまでの間、明年度予算編成を控えて御指摘のようないろいろな勉強をしなければならぬわけでございますし、概算要求を受けて綿密なヒヤリングをやらなければいかぬわけでございますが、そして査定案をつくって閣議の決定を仰ぐことになるわけでございますが、十三名が防衛庁一兆五千億の予算について非常に周到にむだのないように査定をせいと言っても私は大変無理だと思うのです。防衛庁には二十六万六千人自衛官がおるわけでございます。そのほかに一般の職員もおるわけでございますが、先ほど次長も申し上げましたように、防衛庁皆さんの協力をまず全幅に得なければならぬと思うのでございまして、あなたは全国民がまず見ておったらむだがすぐわかるじゃないかと言われるが、全国民が見る前に二十六万人がまずむだのないようにお願いしなければならぬわけでございまして、十三名でひとつむだのないように査定せよと言ったって、これはもうとても末端に至るまで酷を強いることになりはしないかと私は思うのでございます。  そこで、査定について次長も申し上げましたように、われわれとしてはいろいろな工夫をこらしまして全力を挙げますけれども、いろいろな落ち度が毎年検査院指摘されておりますことを非常に残念に思いますが、それをできるだけ少なくするように努力をいたしますが、同時にそのことは、防衛庁も一緒になって真剣になっていただくようにひとつ御協力をいただかなければいかぬわけでございまして、そういうようにしながら一緒に財政危機の打開にひとつ協力して進んでいただくというようにしむけなければならぬと思うのでございます。私はそれはできない相談ではないと思うのでございまして、そういう方向でできるだけ努力をして御期待に沿わなければならぬと考えております。
  21. 荒木宏

    荒木委員 あるいは誤解があるといけませんので、ちょっと補足しておきたいのですが、二十六万の人たちがそういうむだをなくすという方向でまず努力する、それから十三人がやる、そんなのは全然やめてしまって、別の一億にしたらどうかということを私は言っているわけじゃないのですよ。もちろん事の順序はありましょう。また自衛隊の存在についての憲法論議だとか、また社会的にいろいろな意見があることは御承知のとおりですし、わが党の主張も先刻御案内のとおりですけれどもね。しかしそれはそれとしても、いま大臣もいみじくも言われたように、公経済は粗末にするという風習がある。これは大臣もお認めになっている。そうすると二十六万人の人たちがといっても、これは二十六万人が全部防衛庁予算を実際に討議するわけじゃないですね。これもやはり何人かの人ですよ。それはそれでいいとしませんか。それから十三人の人がやられる、これもいいとしませんか。しかし年々こういうことが続く。それもよほど勉強しなきゃならぬことならともかくとして、ちょっと気をつければわかることがあるじゃないかと、まあ検査院指摘している。しかも、いま大臣おっしゃったように一般的な社会における風習としてそういうことがあり、またそれを裏づけるように今度のロッキード疑獄でまさにピーナツを食ったという事実が明らかになってきておるわけですから、だとすればそのことだけではなくて、その上に国会、一億国民に過程からして知らせる。論議論議でまた別に国会論議はありますよね。しかし、少なくとも過程を知らせるという方向一つ加えて、こういうことをなくしていこうじゃないか、財政危機を打開していこうじゃないかということを検討されるのが筋ではないでしょうか、私はこう言っているんですよ。  ですから、大臣いまおっしゃったのを私は前提にしておるわけでして、その上に、いや、これはもう内部だけで秘密でやらなきゃならぬのです。たとえ漏れがあろうと、たとえ落ちこぼれがあってむだがあろうと外へは出せぬものでありますということだとしたら、これは論議になりましょう。しかしいま御答弁で伺った限りでは、前提はその限りでは私が言っておりますことと同じなわけです。ですから、なおそういう点をしていくために大ぜいの人の目に触れるということがそういうことをなくしていく一つの保証ではないでしょうか。やり方はいろいろあると思うのですよ。いま私が言ったのは一つの例ですけれども一つの方法なんですけれども、もっと多面的な方法も含めてそういったことを検討される御用意をお持ち願えぬか、こういうことを伺っておるわけです。
  22. 大平正芳

    大平国務大臣 後段の方のお答えがおくれまして恐縮でございますが、その点は仰せのとおりでございまして、政府部内の少数の者で、あるいは政府部内だけでいろいろな工夫をするというようなことでは限界があるので、広く国民の批判を仰ぐ、検討をいただく、あるいは国民的な監視のもとにさらす必要がいろいろな形であるじゃないかということ、仰せのとおりだと思うのでございます。また、そういう必要を感じないかという点、私もそういう必要を感じます。現に国会におきましては、いろいろな角度から各委員会で相当厳しい御審議をいただくわけでございますし、相当出しにくいと思われるような材料も出さされるわけでございますが、これは政府にとってはつらいなあと思いましても、やはりそういう意味では国会論議を通じて前進するわけでございますので、その点は確かにあなたがおっしゃるように、国会論議の建設的な役割りは予算の公正な、清潔な執行の上に、また効率的な執行の上に非常に役立っておると思いますし、またそれを国会でもっと組織的に御審議をいただく、あるいはいろいろな審議会等で御審議をいただく、あるいはマスコミを通じて国民的な論議の対象にするというようなことは政府として十分工夫してかからなきゃならぬ。財政危機突破というような場合におきまして、一般の国民のそういう意味のいわば参加を言わず語らず求めてまいる、御協力を得ていくということにつきましては、われわれとしても工夫していかなければならぬことは御指摘のとおりだと思います。
  23. 荒木宏

    荒木委員 それでは、これは事例を指摘しまして、お考えを伺ったわけですから、従来からあります国会審議での資料要求、これはもういままでも行われてきておるわけですが、しかしそれさえいま大臣答弁の中で言われたように、出さされておるというふうにいみじくも言われたんですけれども、事ほどさようにやはり従来からもいろいろ問題があるところでして、いま答弁の中で言われた、国民にそれから新聞報道関係含めて制度的にしかも事前に概算段階も含めて、これをひとつ閣議でも財政当局として検討されてそして前向きな方向で実施をしていく、そして国会にもそのあり方をまた御報告も願って、それについてまた意見交換もし、十分なものにしていく、こういう点について重ねての質問になるかもしれませんが、お約束をひとついただきたいと思う。
  24. 大平正芳

    大平国務大臣 いろいろ工夫をしてみたいと思います。
  25. 荒木宏

    荒木委員 いまは検査院指摘しておることについて伺ったのですが、私、もう少し広く国民常識的に考えてこれはどうかという点をひとつお尋ねをしてみたいと思うのですがね。  防衛庁予算の中に訓練費あるいは機材の使用費あるいは油代とか相当な金額のものが計上されています。そこで私伺いたいのですが、たとえばいま問題になっております対潜哨戒機、海上自衛隊のP2J、今度はPXLとこういうふうになろうと言われておるのですけれども、このP2Jがどの範囲のところをどのくらいの回数、何を目的に通っておるという、それが回数にしてみれば、たとえていえば一日に一回もありましょうし、十回もありましょう、いろいろありますね。この財政危機と言われて大変な借金をお願いしようというときに、防衛庁の方の見解は別途聞いておるのですよ。財政当局として五十一年度、新年度もうすでにこれでよろしい、こう言っておられるわけだ。これは一体どこが基準になっておるのか。いま聞いた範囲の金を出すについてどのくらいのこと、これはどうしても作業の中に要るんだというようななにはあろうと思うのですよ。その辺のところをまず聞かしていただきたいと思います。
  26. 高橋元

    高橋(元)政府委員 ごく一般的なことでお答えを申し上げることになると思いますが、訓練でございますからこれだけの事柄は必ずたたき込んで覚えてもらわなくちゃならないと、そういうポイントがございます。それと、それを達成するのに必要な訓練効率というものがございます。これまたその仕事ごとにかなり異なっておりますので、ごく一般的な言い方になってしまうわけでございますが、そういうものを毎年毎年、前年度または前々年度の実績も考えながら極力両方かみ合わせて訓練の実を上げるようにしていきたい、そういうことで予算査定を進めておるわけでございますが、いま御指摘のP2Jについてどうやっておるか、ただいま取り調べてまた後ほどお答えをさせていただきます。
  27. 荒木宏

    荒木委員 ちょっといまの答弁の一番最後、語尾がはっきりしなかったのですが、訓練というふうに、いわゆる防衛庁側が従来から大きな項目で包括的に言っていることを私指摘したのですが、もうちょっと、でははっきり伺いましょう。  このP2Jは潜水艦を探すというんで飛んでおるんでしょう、次長。皆さんの方では、なるほどそれはそれだけの回数、油代要るだろうというので査定なるものをしておられると思うのだけれども、どの程度のところ財政当局で目安にしておられるのか。もし日に十回飛ばなければいかぬと言うてきて、十回も要らぬじゃないか、五回で間に合うじゃないかと言うたらこれは削りますね。普通そういうことはやられている。皆さんの方でいまこれはどうしても必要だ、こうおっしゃっているとしたら、一体どこが物差しになっておるのか、これをひとつ伺いたいと言うのです。
  28. 高橋元

    高橋(元)政府委員 ちょっと具体的なその回数その他いま手元にございませんのでお答えできないわけでございますが、訓練、哨戒それぞれにつきまして一定の基準というものを出しております。その基準は部隊によっても違ってくると思いますし、それから段階によっても違ってまいるわけで一概に申せませんけれども、極力、毎年毎年、前年度以前の実績等を考えまして切り詰めた形でやっておるというふうにただいま承知しております。
  29. 荒木宏

    荒木委員 いま御承知の国会でいろいろ論議がありまして、衆議院の内閣委員会でもありましたし、予算委員会でもありましたし、大体何ぼですか、千八百海里ですか、その範囲内のものを見ている、防衛庁の方ではこう言っていますね。南西海域千八百海里。で、いま財政当局の方で認めておる範囲は、このP2Jについて聞きましょう、皆さんの方ではどこをどのぐらい探すといいますか、哨戒するということで見ておられるのですか。
  30. 高橋元

    高橋(元)政府委員 どうも正確にお答えできないかもしれませんが、太平洋海面では四百海里というふうに考えておるようでございます。日本海につきましては、海域によってまた距離が違ってまいるというふうに承知しております。
  31. 荒木宏

    荒木委員 それじゃ、その前提の何海里というのは違いますけれども、それはそのこと自体が論議の主目的じゃありませんから、違いは違いでおきましょう。しかし、いま答弁されたその四百海里の中、これはいまの半分にしたら何でいかぬのですか、仮にですよ。仮に飛ぶ回数を半分にしたらどうしていかぬかということをひとつ説明していただきたい。
  32. 高橋元

    高橋(元)政府委員 そこは先ほども申し上げておりました予算執行の問題でございます。私どもとしては、各年度予算状況に応じましてできるだけ効率的に訓練もやってもらいたい。同じ回数でなくて少ない回数で同じ学習効果を達成してもらいたいということで予算査定をしておりますので、それに合わせまして各官署において訓練をやっておるわけで、全体の枠として訓練費予算というものを私どもは把握していく、それはできるだけ削っていく、その範囲で各自衛隊、航空自衛隊においてそれぞれの訓練の実を上げていく、こういうことでございます。
  33. 荒木宏

    荒木委員 それじゃ半分にしようと思ったらできるじゃないですか。半分にするとどうしても所期の目的が達成できないという理由は何かと、こう伺っておるのです。次長、それはないのでしょう。できるだけやるにこしたことはない、そういうお答えのようですが、じゃあ半分にしたらどうにもいかぬというなら、ないとしたら半分にできるじゃないですか。これは仮に言っているのですよ、仮に二分の一と。
  34. 高橋元

    高橋(元)政府委員 防衛構想というものが閣議決定によって決まっておりまして、それに基づいて四百海里の対潜哨戒機の活動というものが定められておるわけでございます。その範囲で、限られた経費でできるだけ効率を上げるようにやっていくというふうに承知をしておりますので、仰せのように自由自在にこれが査定できるという形のものではございません。
  35. 荒木宏

    荒木委員 それは防衛構想ありましょうが、いまここでは防衛構想自体をお尋ねしているのじゃないのです。その中で限られた費用と、こうおっしゃったでしょう。その限られた費用として、皆さん編成作業の中でこのくらいということをおっしゃっているわけです。それを半分に限ることがなぜできぬのか、こう聞いているのですよ。それがどうしてできないか。つまり、常識的に考えても、潜水艦というのはずるずる動いていますね。アメリカの潜水艦もあれば、ソビエトの潜水艦もある。あるいは中国の潜水艦もある。いろいろ潜水艦が泳いでいるでしょう。一ところにじっとしているのじゃない。しかもそれは空から見るのだから、いろいろソナーだとか——波といいますか人間の指紋みたいなものですね。そういうものでキャッチしなければ仕方ないでしょう。いろいろなキャッチの仕方がありますわね。しかし、四百海里の上に常時——二十四時間ですよ。常時滞空して、そしてそのソナーの届く範囲、四百海里とあなたおっしゃったから、四百海里全部カバーできている、こうしなければならぬという防衛構想なら、それのよしあしは別として、そろばんをはじけば大体何ぼ要ると出てきますわね。しかし、御承知のように、ミッドウェー海戦のときに旧日本海軍が負けたと言われる一つの理由は、こっちがいつそこで見張りしているかということを向こうにつかまれちゃって、そしてその合間を縫ってざっと入ってきたから負けちゃったというのですからね。いまそれを全部カバーしているというのじゃないでしょう。太平洋上二十四時間P2Jがいつも滞空していて、四百海里すみからすみまでずっと見ているというのじゃないとしたら、穴があるわけでしょう。だとしたら、その穴が小穴であるか大穴であるか、おのずから線引きがありましょう。だから、その限られた枠の範囲内でできるだけ努力してもらっておるんだと皆さんおっしゃるけれども、その限られた枠自体を査定段階で半分に減らすぞと言えば、その枠の中でまず努力するということになるじゃないですか。財政当局としてそれがなぜできないか。さっきの財政危機打開、そしてそれに対する対処の方針、一連のこととして聞いているのですけれども、それがどうしてできないのです。それじゃいま現に一〇〇%カバーしていますか。そうじゃないでしょう。だから、その実態と、それに対する財政当局の評価、これはいかがでしょうかと聞いているのです。十三人の人がどういうふうに見ておられるか。
  36. 高橋元

    高橋(元)政府委員 防衛構想に従って四百海里の範囲で哨戒をいたしますにつきましては、それは船もございますし、それから音波探知器等もあるわけでございまして、全部が飛行機で常時把握されているわけではないわけでありますけれども、しかしながら、基本となります防衛庁の装備ないし活動水準というものを閣議で決められております基本構想に従って維持をしていく、その範囲でできるだけ効率的な予算査定をいたすということが予算編成でございます。内閣全体を通ずる方針として決まっております防衛構想に従って訓練なり活動なりというものをできるだけ効率的にやってもらう、それが予算査定の最も苦心をしでおる点でございます。
  37. 荒木宏

    荒木委員 そうすると、事務当局お尋ねしても無理ということになりますね、最初から枠をはめられている、こういうことなんだから。  大臣に伺いますが、防衛構想ということになると、大臣もお入りになっていると思うのですね、政府が決めるということになると。そうすると、いま私が伺っておりますことについて、これは防衛構想自体を論議するわけじゃないから、その中からお尋ねしておる部分を抽出して質問にということはちょっと技術的にもあれなんですけれども財政危機を解決するための経費節減として、いまの、たとえば運航費を二分の一に落としてしまった、このことは政治的にできないことなんでしょうか。
  38. 大平正芳

    大平国務大臣 政治はもとよりでございますが、行政もやはり根底に相手に対する信頼と尊敬といいますか、私ども、各省庁に対して予算査定もいたしますけれども、しかし、各省庁はまた財政当局の期待にこたえてその予算執行に当たって気をつけていただく。相互の信頼がなければこれは執行上遺憾なことが多いわけでございますので、根底におきまして私は長官以下防衛庁を信頼し、防衛庁の方々を尊敬いたしておるわけでございます。したがって、防衛庁から出してこられました計画というものは、できることであれば可能な限り充足して差し上げるというのが私の立場でございます。  ただ、荒木さんも御指摘のようにいま財政は大変な状況でございますので、また、国民の世論から独立したものでもございませんので、ことしの防衛費はどういうものであるべきかという大局的な判断は総理大臣なり私なりがしなければならぬわけでございまして、ことしは防衛庁といたしましてもいろいろな計画がおありで、長期計画をいろいろお持ちでございますけれども、そして、人件費が非常に増高してまいりまして、装備の充実につきましては非常な不自由があるけれども、全体の予算の増加率よりは若干低目のところでごしんぼういただいてしかるべきじゃないかというように坂田長官にお願いをしたわけでございますが、坂田さんにおかれてもこちらの立場を快く御理解をいただいて、二人の間には何ら曇りなき相互信頼が確立されたわけでございます。したがって、そういうことでございますから、どういうことで訓練をやってまいるかというようなことは原則として防衛庁にお任せしてしかるべきじゃないかと私は考えております。
  39. 荒木宏

    荒木委員 大臣防衛庁の方が出してくれば、うのみにとは言いませんけれども、できるだけそれを充足させてやりたいというふうなことでありますと、これから先の論議は防衛構想の是非ということになろうかと思うのですよ。私は、できるだけ財政面という点からお尋ねをしたいと思っておるのです。そのためにいろいろなケースを挙げてチェックが必要ではないか、こう言ったのですけれども、それ以上は立ち入って言わない、できるだけ出してきたものをなにしようということになれば、これはそのもとの防衛構想それ自体を論議ということに相なっていきますから、この点については大いに意見もありますし、後の政治的な論議の中へ譲りたいと思います。ただ、それにもかかわらず、常識的に考えて、幾ら大蔵大臣防衛庁長官が言ってきたことを信頼を持ってなごやかに充足をさせたい、こう言われても納得できない事例が幾つかある。しかも、それが財政的に大きな圧迫要因になっており、財政硬直化の原因の一つだということになればやはりその点で指摘をしなければならぬと思うのです。  それは、この機材、航空機、艦船、その他の製造単価の問題であります。これは、仮にいまF4Eの例をとりますけれども、F4Eはもちろんアメリカの方でも製造しているわけでして、同じ物を海の向こうでもつくっているし、こっちでもつくっている。もちろん、そこにはライセンスの問題がありますし、それから人件費が違いますから、コストが違うのは当然かと思うのですけれども、しかし、その人件費という点から言えば、日本の労働者の賃金は、何せ春闘の回答を見たってわかるように、とにかく抑え込み、抑え込みということできておるわけですから、たとえば、アメリカに比べて低賃金であることはもう世間の常識です。また向こうでいろいろやったのをこっちで技術その他をスライドしてもらうわけですから、その点でも経費その他の節減ということになるわけですけれどもところがこのF4Eファントムの場合に、納入単価を見てみますと、防衛庁の納入価格は約二十億円です。これは年度によって、それからそのときの契約によって大分違いますけれども、四十七年度の三菱重工の納入機数、それから防衛庁の支払い価格、これを見ると、大体一機当たりの納入価格は約二十億円、一般の新聞報道でも指摘されておるとおりです。ところがアメリカのDMS社の調査コードによれば、製造費が十一億七千万円、約倍近い価格になっている。ですから、こういう点からすれば、つまり倍くらいの値段で言うてきていても、できるだけその希望に沿ってなごやかに信頼をして、さあ出しましょう、こういうことになると、皆さんはいいかもしれませんよ。政府部内で信頼関係があってにこにこでいいかもしれないけれども、これは国民の税金で払うわけですから、しかも財政危機状態なんですから、常識的に考えてどうだろうと思うことがそのまままかり通っていいものだろうか。  ですから、幾つかのお尋ねをしたいのですけれども、まず第一に、この点でいま一つの機種を挙げて一例を指摘しましたけれども、こういった契約単価の問題について、財政当局は一体どう見ておられるのか、これを伺いたいと思います。
  40. 高橋元

    高橋(元)政府委員 お示しのF4EJの予算計上単価が米国のそれとかなり違っておる、こういうお話でございますが、これは両方の装備と申しますか規格と申しますか、そういうものの差もあることでございますから、直に比べることはむずかしいかと思います。  一般的に申しますと、生産台数が国産と海外購入では異なっておる。そこでやはりスケールメリットが働いて大量生産の方が安くなるという問題もございましょうし、国内生産の場合にはロイアルティーの支払いというものもあるわけでございまして、私どもは、単価の上昇を査定いたしていきます際には、人件費の上昇による加工費の増加、それから輸入部品、材料費の増加、こういったことに起因する物価上昇、そういうものを織り込みまして、できるだけ厳格に査定を進めておるというふうに申し上げられると思います。
  41. 荒木宏

    荒木委員 事務当局答弁ではいまのような答弁になろうかと思うのです。大臣お尋ねしますが、先ほど制度的に国民あるいは報道機関に明らかにしていくようなことを考えたい、こういうお話でしたが、いまさまざまな兵器購入に絡まる疑惑が特に国民の間に高まっておるのです。すでに御承知のように、予算委員会で証人喚問その他も行われましたけれども、この製造単価の問題について、国民の理解を得るということの一つとして、先ほど言われた制度的に理解を得る方法を考えたいと言われたわけですが、その中に、こういった単価の問題、これは金額的にも査定のいかんによって非常に大きな違いがあると思うのですけれども、これがたとえばよそに比べてなぜこんなに違うかということがわかる程度に国民の理解を得るような方法をあわせて考えられるべしと思うのですが、これは政策当局としての大臣の御意見をその点で伺いたいと思います。
  42. 大平正芳

    大平国務大臣 相互の尊敬、相互の信頼というのが非常に大事だということを私が申し上げたのは、何も厳しい査定、非常に厳しい議論がなくて、なあなあでやっていいという意味では決してないことは、重々荒木さんもおわかりいただいていると思うのでございまして、私どものスタッフは、査定に当たりましては真剣にベストを尽くしておることと私は確信します。私も若いときは査定官として自分で一生懸命やった若き日の思い出を持っておるわけでございますけれども、ただ私の立場で最終的に物をまとめる場合、やはり相互の信頼、尊敬ということが基調になければならぬのだということを申し上げたことは、誤解のないようにひとつお願いしたいと思います。  それから、いまの兵器の原価計算の問題でございます。これとても、専門家が双方におりますし、また納入者側にもおるわけでございまするし、世間にもいろいろ公認会計士その他専門の方々がおって、近代会計学の原理でいろいろ解明をされるわけでございまするから、そんなに勝手なことはできるはずのものではないと思うのであります。大ぜいの方の批判に耐えるだけのものでないと、政府で決めて国会で御審議をいただくというわけにいかぬだろうと思うわけでございます。  そういう場合に、あなたの御質問は、一つの制度の問題として国民の判断をインバイトするというか、何か判断を求めるというか、批判を求める機会を持ったらどうだというような御意見のようでございますが、それは一つ考え方だろうと思いますけれども国民は、兵器の原価計算なんかにどれだけの素養がある方がおられるのか、またそういうことにどれだけ没頭する余裕をお持ちの方がおられるのか、それはわかりませんから、そういうような点は、やはりいろいろな立場におるところのそれぞれの専門家を御信頼いただくことがいいのではないかと思うのでございます。国会なりあるいは会計検査院なりあるいは公認会計士なり、それから各会社についておるそういう会計士、そういったものがそれぞれの権限に従って正しく問題を処理していただければそれでよろしいのではないかと思うのでございまして、一般の国民に御論議をいただくような問題としてはちょっとなじまないんじゃないかというような感じが私いたします。テーマによりましてはもう少し国民に御批判をいただく機会を持った方がいいんじゃないかと思いますけれども、兵器の原価計算なんということになりますと、これはツーマッチ専門的過ぎるんじゃないかというような感じが私いたしますが、いかがでしょうか。
  43. 荒木宏

    荒木委員 大臣の方から逆に御質問でありますから、重ねて申し上げますけれども、私、先ほど言いましたが、納入側の軍需企業でいろいろ原価計算される、そのときに、もちろん内部監査もありましょうし、公認会計士、会計専門家のいわゆる外部監査もありましょう。それ自体が適正に行われることを決して排斥しておるわけでも何でもないのでありまして、それは現にいろいろな機会に行われてきておるわけです。また、大蔵省内部でも、防衛庁との折衝でもいろいろなことがあるということも十分承知しておるわけですが、しかし何といっても納入側の軍需企業の内部監査、これは内部のことでありますし、それからいわゆる外部監査にしても、公正な立場であることは求められてはおりますけれども、しかしやはりそこに監査契約というものが結ばれてやられるということになれば、それだけでもって足れりということはとうてい言えないだろう。また、先ほど来の言葉じりをとるという意味じゃありませんけれども、格段の信頼関係その他があって、できるだけ希望充足ということになれば、そこにもやはり他のチェック方法というものが望ましいわけで、さればこそ、大臣も先ほどの答弁では、制度的に検討もしてみようと、こうお答えになっているわけです。  私が特に申し上げたいのは、具体的にこの戦闘機の価格の問題について、公開の雑誌で、政府関係機関並びに民間企業に何ら関係のない専門学者が公然と、国民がだれでも目に触れる形で「軍需契約価格とインフレーション」という表題で、アメリカとの原価の約二倍近い開きというのをいろいろな資料を引用しながら指摘をしておるわけです。つまり、公然と国民にも訴え、それから軍需企業にも言い、政府にも問うておるわけですね、どうでしょうかと。単に思いつきじゃなくて、アメリカのDMS社の調査資料も使い、それから可能な限りでの原価計算の資料——ある部分は推計もあります。しかし、合理的にプロセスを経ておると見られる推計過程を経て、さあどうでしょうかと天下に問うておるわけですよ。しかも、時期あたかもこういった軍需機材に関する政府納入については、ロッキード疑獄のあの児玉譽士夫の例に見られる疑惑が天下に満ちておる。私は大臣が言われたそれを否定しているんじゃないのです。それはそれでありましょう。また、もっと適正におやりいただきたい。しかし、いまの国内のこの問題についての関心と、それから民間の専門学者があえてそのことを指摘して問うておるというこの事実。それからまた、国民は、何でしたかね、ツーマッチ専門的過ぎることにはなじまぬとかいうようなお話がありましたけれども、まあどういうことなのか。企業関係、政府関係以外にも会計の専門家、原価計算の分析をなし得る人は、民間にもたくさんおりますよ。大臣、余りそういうことをおっしゃいますと、これはその方々に対するまことに御無礼な御指摘になりはせぬかと私は危惧するのですけれども、そういう意味合いで私が言っておりますのは、一億の国民一人一人という意味じゃないのです。そういった民間の人たちの中にある専門家、また日本学術会議の中には会計専門家の堂々と一家言を構えていらっしゃる方々もたくさんおられるのですから、そうした人たちに、いま具体的に指摘されておるこの種問題を解明できる程度の処置というものは、政府として政治的に社会的に考えられるべきことではないでしょうかと、こういうふうに言っておるわけでありまして、重ねて答弁をお願いしたいと思うのです。
  44. 大平正芳

    大平国務大臣 問題を二つに分けて御判断いただきたいと思います。  一つは、この問題の航空機なら航空機の実績単価がどうであるかの論評でございますならば、それを解明していろいろな批判をいただくということは、もう実績が出ておるわけでございますから、御批判にこたえて政府側においてもそういう立場で問題にすることは、私はできると思いますが、予算単価の場合は、いまから納入を求めなければならぬ側にあらかじめこちらの手のうちがわかるわけでございますから、そういうものをあらかじめ表に出して論議をするということは慎まなければいかぬのじゃないかという感じがします。  実績単価についてのいろいろな論評をいただくことによって、われわれが単価査定についていろいろな知識の蓄積を積んでまいりますことは、今後の予算単価の査定にいろいろ裨益するところがあるのではないかという感じが私はいたします。
  45. 荒木宏

    荒木委員 まあ大体のお考えの方向は伺いましたので、予算単価の問題についての論議は、時間の関係もありますので、私はまた別の機会に譲りたいと思うのですが、いま大臣が、実績単価は開示をしていろいろな批判も吸い上げていくといいますか、資料にしていきたいというふうな趣旨のことをおっしゃったのですが、そうだとしますと、今回の財政危機、巨額の財政赤字と直接の関係はどのように指摘できるか、いろいろな意見があり得ると思いますけれども、しかし、従来、軍事費の支出がややもすれば放漫になりやすい。もちろん、GNP対比の国際比率その他のことをいま言っているのじゃありませんけれども、そうしたことから見ても、またいま質問しました契機になっておる社会的ないまの関心の度合いですね、こういう点から言いましても、かつてロッキードかグラマンかと言われたF104、あるいはその後購入をされました、たとえば先ほど指摘をしましたP2J、あるいはいま私が取り上げましたF4E、こういったものについての実績単価について、いま幾つかのものを特定したわけですけれども、こうした国民的立場から具体的に疑義が指摘されておることについて、しかるべき開示をするためのお約束をいただきたいと思うのです。
  46. 高橋元

    高橋(元)政府委員 防衛庁とよく相談をいたしまして、できるものは御要求のようなことにしたいと思いますが、ただ、実際上機種が多くにわたることでございますので、仰せのように全部ができるということはお約束できかねると思います。
  47. 荒木宏

    荒木委員 技術的な問題もありましょうからこれはまた、いまの大臣答弁を伺って、具体的な段階政府の方に申し入れをしたいと思います。  もう一つ防衛庁の関係であわせて、質問の前座の一つとして防衛庁を取り上げたわけですけれども、それの一つとして伺っておきたいのですが、四月の二十八日でありましたか、参議院の予算委員会総括質問でわが党の上田議員が質問をいたしまして、防衛庁の定員の問題についてお尋ねをしました。大臣も同席しておられましたから、質疑はお聞き取りになったと思うのですが、陸幕二部の一班というところがある。これはわが党の上田議員の指摘によれば、情報収集、いわばスパイ活動をやっている、こういうことで質疑が進められたわけですけれども、そのときに、防衛庁の陸幕二部の一班の作業に従事している者は何名か。これは人件費、ひいては防衛庁予算歳出総額というふうな点から見ますと、答弁は六名ということであったようであります。     〔委員長退席、森(美)委員長代理着席〕 ところが、実際に調査したところによれば、これがもっと多数おるということで、わが党の中路議員がその後、防衛庁の石崎防衛局調査第一課長にただしましたところが、書面で回答がありまして、これが何と二十六名です。  そこで私伺いたいのですが、大蔵省の方で人件費をなにされますわね。定員はもちろん、定員法のなにがありますから、その点はひとつおくとして、また、実際に定員が決まっておっても、たまたま病気だとかあるいはやめたとか実働実員がそこで足らないということはあり得ると思うのですが、定員六名と言っておるこの情報活動をやっておる陸幕二部一班なるものの現在員が二十六名という、つまり二十六名分の給料が払われておる、これは私は、金繰りの上から言って、財政的に見て、財政当局は一体どのような扱いをされておるのか、この辺についてひとつ伺いたいと思います。
  48. 高橋元

    高橋(元)政府委員 御指摘の件は、なお調査をしてみたいと思います。いま手元に資料を持ち合わせておりませんので、正確なお答えができません。
  49. 荒木宏

    荒木委員 調査をして御報告をいただきいと思いますが、ただ、これは私、仮定のことで言っておるのじゃなくて、書面で返事が来ておるのです。質疑は参議院の予算委員会総括でやられたわけですね。だとしたら、一体これはどういうことなんでしょうか。仮にこれが事実としたら、財政当局はこれをどういうふうにごらんになっておるのか、それを伺いたい。
  50. 高橋元

    高橋(元)政府委員 防衛庁に事情を聞きまして、よく調査の上お答えをしたいと思います。
  51. 荒木宏

    荒木委員 いろいろ事情は聞いていただいたらいいと思うのですが、人件費としては六名分しかないんでしょう、どうですか、その点は。
  52. 高橋元

    高橋(元)政府委員 お示しの点は、ちょっといま手元に資料を持っておりませんので、繰り返しでございますが、よく調査をした上でお答えをしたいと思います。
  53. 荒木宏

    荒木委員 六名しか定員がなくて人件費が出てなくて、あと二十人抱えていることになると、これは結局、ほかの方からその金をやりくりしているということになるのでしょうかね。まあ実態調査をしてください。しかし、国会指摘があって正式の回答が書面で来ておって、数はもうはっきりしておるわけですよ。だとしたら、その二十名の金の出どころというのは、考えられることとしてはどういうことになるのでしょうか。
  54. 高橋元

    高橋(元)政府委員 よく調査をしたいと思います。それで、もちろん防衛庁の定員の中でやっておることでございますから、それは兼務という形をとっておるという場合もあり得るかと思いますが、憶測にわたるお答えは避けたいと思います。
  55. 荒木宏

    荒木委員 それでは、この点の質疑は、いまの調査結果の回答を得てその上で続けたいと思いますので、この部分の質疑は留保をいたします。委員長の方でこの点をお含みいただきたいと思います。よろしゅうございますか。
  56. 森美秀

    ○森(美)委員長代理 ただいまの資疑は留保とします。
  57. 荒木宏

    荒木委員 御了解いただいたようですから、その点留保して、次の質問に移りたいと思います。  財政危機打開という問題で、赤字公債を出さない努力公債を減らしていく努力、そのための予算編成あり方、こういったことで防衛庁予算というのを一つの例にしていろいろお尋ねしてきたのでありますけれども、一応質問の前座の入り口の部分はこの程度にいたしまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。  いろいろな財政支出の中で、その他事項というのがあります。これもいわゆるその他ですから、その他、その他でずいぶんいろいろ項目があるわけですけれども、ここのところで、出るを制するという意味で歳出抑制といいますか、この点で、従来の措置がよろしかったか、また今後改善する点はないかということでありますが、一例として私は、政府の広報活動費というのをちょっとお尋ねしてみたいと思うのです。  総理府にいろいろな広報関係のその費用計上というのがありますけれども、いまお尋ねしたいのは、公共料金の値上げなどについて政府の方でいろいろPR、宣伝、広報活動というのがあり、週刊誌、新聞その他にいろいろ掲載をされております。その中で私は、こういうのが本当にいまの財政危機と言われる中で必要な費用であろうか。これは金額的に見ると、総体として見ればそう大きな額ではありません。しかし、その他事項を逐次見ていって削減をする。そこで、この全体の金額その他のことは後へおくとしまして、こういう中で私鉄の運賃値上げというのを広報で取り上げておられるのがあります。  これは、具体的なこういう記事だというのは、時間の関係もありますから省略いたしますけれども、要するにコストが上がった、それでいろいろな比較からしてもう上げなければならぬと、こういうのでありますが、本当にそれが適正ななにであろうかどうかということなんですが、ついては私は、こういうことなんです。値上げを国民に承知をしてくれ。私鉄の場合なんかは政府が認可しておるわけですね。だから誠心誠意やって、それでなおかつ国民によく理解を求めるようにというのなら、これは場合によっては必要な費用だというふうに言えるかもしれない。しかし、その認可のやり方がそうは言えない場合に、予算をつけてそのための費用を認めて、そういった宣伝をするというのはいかがなものであろうか、こういうことをひとつ前置きで申し上げたいと思います。  その前置きの上で、運輸省見えていますね。伺いたいんですが、五十年の四月十三日付「運賃改訂の問題点について」、こういう運輸省の部内資料があります。こういう表題の、その日付の部内資料があるかどうかという点をまず最初にちょっと伺っておきたいと思います。
  58. 妹尾弘人

    ○妹尾政府委員 御指摘の資料は、五十年の八月十三日だと思いますが、赤旗紙上に載っておりまして、私ども調査いたしたのでございますが、運輸省の中で書かれたものであろうという推測を持っております。
  59. 荒木宏

    荒木委員 運輸省の中で書かれたものだというお話なんですが、ここに「低い申請は危険である。」——「申請増収率について指導を行うか。」という項目の中に、申請をしても認可の時期がずっとずれ込むことが考えられる。現に前回はそうであった。だから「低い申請は危険である。」こういうことを言っているんですね。その認可の時期というのは、それはいろいろそのときそのときありましょう。認可はもっと検討しなければならぬということでかかる場合は当然あるわけです。にもかかわらず、あらかじめそれを見越して、低い申請は危険です。裏を返せば、高く申請をしなさい。つまり、運輸省の内部でこういった意見を記載した文書があるということ、この文書の存在自体はいま答弁いただいたのですけれども、内容がそうなっているかどうかという点、ひとつもう一度確認をさしていただきたいと思います。
  60. 妹尾弘人

    ○妹尾政府委員 この文書につきましては、実は部内の担当者レベルで書いて、多分課長あたりに説明した説明資料ではなかろうかと思っているわけでございます。その文書の現物はすでにもう運輸省の中にございませんで、実はここに私その写しを持っておりますが、この写しは赤旗の記者の方からいただいたものでございます。  それから、どういう意図で書かれたかというようなことにつきましては、非常に推測的になりますので、その点御勘弁願いたいのでございますが、当時、昨年の五月ごろ以来、民鉄各社の運賃値上げの希望というのは非常に強くて、その値上げ幅につきましては五〇%前後のものを要求していたわけでございます。その当時、私どもあるいは経済企画庁等におきましては、物価抑制の見地からできるなら値上げを認めたくない。値上げをする場合においてもできるだけ幅を抑制したい、そういう点において行政指導をしていたわけでございます。ではどういう行政指導をするかというようなことを部内で検討している段階において、この文書がその担当者において書かれたのではなかろうか、このように推測しているわけでございます。  その真意といたしますところは、結局において、結果を申し上げますと、この文書が八月十三日でございまして、その申請が出ましたのは八月二十九日という時点でございまして、この時点で、十四社の平均でございますが二九%の申請がなされた。それに対して、結局十二月の時点で二四%前後の認可がなされたというのが実態でございます。  それで、五〇%前後の申請希望というものに対してどのような指導をするかというのがこの文書の書かれた経緯ではなかろうかと思うのでございますが、そこで「低い申請は危険である。」という表現自体、これが公にいたされますとかなり誤解を招くというような点があることは、私どももいま見ましてそういう点について重々反省いたすわけでございます。担当者がそれを書きました真意と言いますものは、かつて申請希望というものを低く抑えた場合において結局新たな申請が引き続き出てくるというようなことが重ねられた。そういう意味において余りその際申請段階において抑えることは好ましくないというような意見もとに書かれたんではなかろうか、これはあくまでも推測でございますが、そのように考えております。
  61. 荒木宏

    荒木委員 運輸委員会じゃありませんので、これ自体をいま特にしているわけじゃないのです。財政的な点と絡めて伺っているのですけれども答弁者もそのつもりで答弁していただいたらいいのですが、漏れたら問題だというのは、これはどういうことですか。
  62. 妹尾弘人

    ○妹尾政府委員 この点につきましては、私どもも漏れたら問題だというのはどういうつもりで書いたのかということを筆跡その他から見まして担当者と思われる人に問い詰めてみたわけではございません。問い詰めてみたわけではございませんけれども、やはり一つの法律上の形式論理的な物の言い方をいたしますと、申請以前の段階においては役所というものは何も意見を述べるべきではない。そして申請があった以後において役所独自の判断で法律的に一刀両断に査定をして認可をするのである。形式論理的にはそういうものであるという考え方一つあると思うのです。  それから、行政指導というものがあるんだから、申請以前においても妥当なところ——妥当なところと申しますか、この情勢下において政府として認め得る限界というものはこんなものであろうということをある程度行政指導すべきである。民間業者の申請のままに任せておいて、後は政府が一刀両断だということ自体はむしろおかしいんじゃないか。政府というものは常日ごろ行政指導を行うべきなんだという考え方、二通りの考え方があると思います。  この考え方につきましては、私どもとしてどちらがどうだということは必ずしも——その人その人のあれがあると思うのでございますが、私どもとしては、ある程度の行政指導というものは当然行われるべきじゃないかというふうに考えておりますが、そういう申請段階以前における行政指導というものは、場合によっては問題にされることがあるんじゃないかという危惧を書いたのではないか、これもあくまでも推測でございますが、書いた人の意思を推測いたしますと、そういうことじゃなかろうか、そういうふうに考えております。
  63. 荒木宏

    荒木委員 どうも推測が重なる答弁で、私は結局、結果としてこの値上げはやむを得ないのだと、そういうことで、政府自身が金を使ってPRしている、そういう財政支出を認めているわけですね。ここにある文書自体から見ますと、高い目に言いなさいと、しかもばらばらじゃ困るからみんな足並みそろえて高い目にやりなさいと、このことが国民に漏れるとこれは問題があると、こういう趣旨なんですね。担当者がそういうふうなことを言っておる。片や国民に向かっては政府は、この値上げはもう当然なんですよということになれば、これは支出の上からいま一例を言っているのですけれども、そういう点からずっと各項目検討の余地があるということで質疑を続けたいと思っておるのですが、いまの答弁が、まだ直接聞いてもおられないようですし、推測ということですから、この点はきちっとこの文書の経過、それから性格、そして内容を担当者に会って、ここに報告をしていただきたい。いま手始めにこれを言ったわけですけれども、ほかに大蔵省、それから環境庁、運輸省はもとよりですけれども、ずいぶんたくさん広報があります。私は広報一般を指定しておるのではなくて、そういった意味合いから要注意広報と言いますか、これは今後の予算編成上も大いに検討の必要がある、手だて上も、個別的にもですが、そういう意味から一つ、いま例を出したわけです。きちっとした事実が前提にならないと論議が進められないという点もあります。ひとつ運輸省の方で調査をして、ここへ報告をしていただく、それをもとにその点のいま申し上げた審議を能率的に行うということで、ひとつ答弁もいたいだて、委員長にもその点の御了解をいただきたいと思います。
  64. 妹尾弘人

    ○妹尾政府委員 一つ申し上げておきたいのは、昭和五十年の十二月に行われた運賃値上げの認可につきましては、内閣における広報活動費というものは使用いたしていないということでございます。  それからもう一つ、いままで私が推測という言葉がかなり多かったのでございますけれども、私どもこれ以上調査をいたしましても、いま先ほど申し上げました事実以上のものが出てくるということはちょっとないのではないかというふうに考えているのでございまして、その文書そのものも役所にございませんし、非常に下級のレベルで書かれたものでございますので、その真意がいかなる真意でそういうものを書いたかということをさらに追及するということはいかがなものかというふうに考えております。  ただ、私どももちろん管理者といたしまして責任を持って申し上げますことは、先生の御指摘になったような、民間の各私鉄において申請をしようとしているものよりもさらに高い申請をしたらどうかというような行政指導を行うというようなことは全くあり得ないことでございまして、そういう事実は全くないのでございまして、どの程度までその申請を抑えるかという努力の過程において書かれた文書であると、これは必ずしも推測というよりも、いままでの経過というものを振り返ってみて間違いのないことであると、そのように考えております。
  65. 荒木宏

    荒木委員 直接あなたはこれ書いたんじゃないでしょう。書いたという人が内部におるんだから、聞きもしないで、それで推測だけで物を言われたんじゃ、これは後の論議にも何にもなりはしません。直接の人に確かめて、それはどうだ、経過はこうですと言うならなんだけれども、そうじゃなくて、あり得ない、あり得ないと言ったって、現に文書はあるでしょう。現にあなたは漏れたら困ると言っているじゃないですか、書いているじゃないですか。だから、それを調査をして、その上で必要な審議をする、これは私は当然だと思うのですけれども委員長の方から重ねて、その点は担当者に聞くなりなんなり調査をして報告するということを、ひとつ見えておる方に言っていただきたいと思うのです。
  66. 妹尾弘人

    ○妹尾政府委員 先ほども申し上げましたように、現に文書はございません。文書はないので、私がいまここに持ってきております文書は赤旗の記者の方が持ってこられたコピー、それを持っているわけでございます。それしか役所にはその文書はないわけです。それで、その文書は筆跡その他から考えまして、私どもとしてはだれが書いたかということは、それはわかりますので、それは役所の中で書かれたものであるということはそうであろうと思っておりますが、……(「推測にわたるような答弁するのじゃないよ」と呼び、その他発言する者あり)そういうことでございますので、私どもとしましては、この問題を、さらにその書いた人本人という者を問い詰めるというようなことはいかがかと思っておるわけでございます。ただ、この点につきまして、それじゃ、こういう文書が運輸省の中にあったということについて私どもとして責任をとらないかとおっしゃれば、私どもはいつでも、それは下級の者がつくったのだから知らないとは申し上げません。申し上げませんけれども、じゃだれが書いたので、それでそれはどういうつもりで書いたのかということを調査、御報告申し上げるというのはいかがかと、そのように考えております。
  67. 荒木宏

    荒木委員 それじゃ論議は進みやしません。その責任をとれとかなんとか、私そんなことを聞いていないのですよ。運輸省の内部に文書があったと、こう言うのでしょう。筆跡から見ても書いた者は大体わかると、こう言うのですよ。しかもその内容からすると問題があるということは、いまの答弁でも認めておるのです。だとしたら、その人に聞いて、これは一体どういうことだ、事実を明らかにして報告するというのは私は当然だと思うのですよ。その人が亡くなっちゃったとか、外国に行ってすぐには聞けないというなら別ですけれども、それをそれ以上聞けない、聞けないと言うのは、何かかばい立てしていると言うと語弊がありますけれども、質疑が進まないから委員長の方から、その点はちゃんと聞いて報告せいと、こうおっしゃてください。あの答弁を繰り返されたって、時間ばかり要って進みやしません。——委員長その点は言ってくださいよ、当然じゃないですか。
  68. 妹尾弘人

    ○妹尾政府委員 繰り返し同じことを言われても仕方がないとおっしゃいますけれども、私どもといたしましては、個人的にだれがどういう意図で書いたかということをこれ以上追及することは不可能であると思っております。ただ私としてはその役所として——推測と申し上げましたけれども、運輸省といたしましては、これが、こういう状況において、こういう意図のもとで書かれたものであるということは、そのとおりであるというふうに解していただいて結構でございます。私どもとしては、これはこういう状況もとにおいて、こういう意図のもとにおいて書かれたということは責任を持って申し上げたい、このように思っております。
  69. 森美秀

    ○森(美)委員長代理 この件については……
  70. 荒木宏

    荒木委員 いま御意見出ているのは、調査をして、調査結果を理事会に報告をしてもらうという御意見が出ているわけですよ。私は、委員会に報告してもらうのは当然だと思いますけれども理事さんの方からそういう御意見が出ているから、それは扱いを理事会で協議していただくんじゃなくて、報告はしていただかないと、調べればわかることをそのままにするというのは、入口でつかえてしまって質疑にも何にもなりゃしません。
  71. 森美秀

    ○森(美)委員長代理 理事会で報告してもらいます。
  72. 荒木宏

    荒木委員 その旨の答弁を求めてください。これ以上報告しないと言っているのですから。
  73. 妹尾弘人

    ○妹尾政府委員 私どもといたしましては、調べられるだけのことは調べまして理事会に御報告をいたしたい、このように思っております。
  74. 荒木宏

    荒木委員 大分前座で時間がかかりましたが、まだ歳出の方で少しお尋ねしたい点があります。  私、この点をお尋ねしたいと思うのです。今度の大変な赤字国債が出るという時点に、昨年の十二月予算編成方針というのが決められました。その時期の前後にいろんな報道がありました。歳出面について言いますと、たとえば冗費はできるだけ切り詰めるとか、あるいは現在ずいぶん多くある事業団、特殊法人その他の整理だとかそういうことで鋭意歳出を削減をして赤字公債を出さないようにということがいろんな報道機関から報道されたわけでありますけれども、その結果、ここに若干の資料を記載した報道がありますけれども、これは事務当局の方にお尋ねしたいのですけれども、公社、公団、事業団それから公庫、金庫、特殊銀行、営団、特殊会社その他、この中で今度財政支出の冗費削減という点から廃止もしくは経費の面で縮減をされた、こういった事業体が幾つあるか、その点をまず伺いたいと思います。
  75. 高橋元

    高橋(元)政府委員 これは行政管理庁の所掌でございますが、財政当局としてお答えを申し上げさしていただきますと、特殊法人、それぞれの目的と機能を持っておりますし、営んでおりますし、必要性を持っておるものでございますが、行政機構全体を簡素合理化していくということの一環として整理合理化を絶えず進めてきております。  そこで、昨年の十二月三十一日に「特殊法人の整理合理化について」という閣議了解がなされました。その中で、特殊法人については従来行政の簡素合理化の見地からスクラップ・アンド・ビルドの原則によって増加数を厳に抑制してきたところでありますが、先ほど来お話も出ており、お答えを申し上げておりますような現在の厳しい財政事情でございますので、行財政合理化を一層強力に推進するために五十一年度は一切新設はしない。それから既存の特殊法人についても十八の法人の整理合理化を図るということを決めたわけでございます。その閣議了解になりました整理合理化の対象としては、廃止または廃止の検討ということの対象になっておりますのが三つ、それから民間法人への改組または民間法人への改組の検討を行うこととしておりますのが六つ、縮小をすることにしておりますのが一つ、それからそのあり方について検討することとしておるものが八つ、合計十八と相なっております。
  76. 荒木宏

    荒木委員 そのうちの原子力船事業団というのはどういう扱いになっておりますか。
  77. 高橋元

    高橋(元)政府委員 ただいま私が申し上げました十八の特殊法人の中には原子力船事業団は入っておりません。原子力船事業団は別途法律を出しまして、なお正確でないかもしれませんが、数年間延長をお願いをしておるわけでございます。
  78. 荒木宏

    荒木委員 いまの十八というのはもうすでに公表されておるのですか。
  79. 高橋元

    高橋(元)政府委員 閣議了解でございますから、内容につきましては公表されております。
  80. 荒木宏

    荒木委員 それではこれは質疑の前提としてですけれども、いま言われた十八の種類分けと、それから各事業体の名称と、それから検討内容ですね、できるだけ詳細に記載をした資料をひとつ私の方に提出をしていただきたいと思います。
  81. 高橋元

    高橋(元)政府委員 御答弁申し上げております十二月三十一日の閣議了解に基づきます法人名、それからその法人につきまして整理合理化方針として定められました内容、それにつきましては行政管理庁から先生の方に御提出をいたします。
  82. 荒木宏

    荒木委員 内容はこれを得てまた質疑を続けたいと思いますが、たとえば日本輸出入銀行、これは職員数が四百四十二名であります。ところが役員数が十名で、約四十人に一人の割りで役員がおるのですね。大体一般的に世間の常識から言って、民間の企業なども含めて、企業体によってまちまちでありましょうけれども、役員比率というのがずいぶん高いのではありませんか。     〔森(美)委員長代理退席、委員長着席〕 この点、職員数、それからその果たしておる役割り、機能、そういう点から見て、役員比率をもっと下げていく、こういうふうな検討はやられたのか。もしやられたとすれば具体的にそれの実施をされたところはどこか、また輸銀の四十人に一人が役員というようなのは、これはたとえて言ったわけですが、高過ぎるのではないか。この点でひとつ答弁をお願いしたいと思います。
  83. 高橋元

    高橋(元)政府委員 特殊法人の役員のそれぞれの職務、それからその特殊法人の機構、それに応じまして法人の役員の数というのは決まっていくわけでございますが、それにつきまして再検討をするようにいま内部で勉強を進めておるところでございます。
  84. 荒木宏

    荒木委員 歳出面の一つとして公共事業等予備費というのが含まれておりますが、これは予算委員会でも質疑になりまして、予見ができないというのはどういうことかということで論議が重ねられたわけですけれども、歳出面では予備費というのは性質的には支出が一番後回しになるわけですね。実際の支出の時期がどうであるか、これは別ですけれどもところが歳入の面では、これも性質上赤字公債というのはどうしても足らない部分の補いということですから、これも一番最後になる。そうすると、言ってみればそういう点で比べて見ると、元手のかかる歳入、利子を払わなければいかぬわけですから。それでもって予備費を計上している、こういうふうな見合いということも言えようかと思うのですが、そういう点から公共事業等予備費というのが従来は憲法上、財政法上その適格性が論議されたわけですけれども、私はそういうふうな点から言いましても、実際に財政的にこういう時期にこういうものを組んで赤字公債を出してまでこれを計上するということはいかがなものであろうか。もちろん、大臣の一番当初の御答弁では、この実態を興していくということですから、興していくためにいざというときの公共事業に充てるための予備費、しかもそれは予備費全体の中のみずから公共事業等と支出を特定した部分ということで従来説明を受けているのですが、やはり先ほど言いましたような財政的な点からの疑問というのはどうしても残るのじゃないか。したがって、この場合に予見ができないと言っておられる要素、中身、どういう要件、それをひとつここで明らかにしていただきたいと思います。
  85. 高橋元

    高橋(元)政府委員 公共事業等予備費につきましては、すでにしばしば政府側からも御答弁を申し上げておりますのですが、その内容は予見しがたい予算の不足が生じた場合に使う、本年度はわが国経済にとって経済の調整過程の仕上げの年でもあります。これから長期安定成長路線に乗せていくために重要なキックポイントであると考えております。  そこで、五十一年度経済運営に当たって景気の回復と雇用の安定を図ることはもとよりでございますけれども、予見しがたい経済情勢などが生じた場合に機動的に対応すべき要請が格段に強い、ことしの予算は総合予算主義ということで組んだわけでございますが、そういった事柄も勘案いたしまして予備費を増額することにして、その一部を公共事業等に使途を限定したわけでございます。
  86. 荒木宏

    荒木委員 伺っているのはそういうことではなくて、たとえば災害だと、これは自然現象という点もあるからかなり技術的に予見の進んできている面もありますけれども、しかし、わからないのも少なくない、この場合災害復旧という意味じゃないでしょう、公共事業等予備費ということであれば。それだけじゃないでしょう。だとすると、一体どういう要素、どういう要件が予見しがたいものとして考えられておる部分なのか、これを聞いておるわけです。
  87. 高橋元

    高橋(元)政府委員 公共事業等予備費はその使途が予算総則で公共事業費に充てるというふうになっておりますので、たとえば災害復旧ということは予見しがたい経済情勢の推移の中に含めて申し上げられると思います。しかし、災害以外に具体的にどういう場合が予見しがたい公共事業費の不足になるかということにつきましては、そもそも全体を予見しがたいわけでございますから、具体的にどういう場合を指すかあらかじめ申し上げることは非常にむずかしいと思います。そのとき必要の生じた段階で判断をしてまいるべき問題だというふうに心得ております。
  88. 荒木宏

    荒木委員 予見しがたいことだから予見しがたい、こう言われるとそれまでなんですけれども、景気の行方だとか、それから物価の動向とか、そういうこともこの場合には入れて考えておるんじゃないでしょうか。そうだとしたら、公共事業については年次計画も組んでおるわけだし、それから法律自体である程度計画、立案を義務づけておるという面もあるわけですから、災害とかそういう面は別として、いまのようなそれ以外の場合というのは、予見ができないというよりも、予見することをむしろ法律的に行政当局に義務づけておるという点から財政当局のいわば合財袋というか、そういうふうな感じになるのじゃないか。憲法上の財政民主主義との関係その他は従来から指摘されておるとおりですけれども。だとすれば、経済見通しだとか物価その他についての見通しを発表しながら、別途こうしたものを組むというのは、一種の安全弁という意味もあるのでしょうけれども、同時に、それは政策破綻につながる点も指摘できるのじゃないか、こういうふうなことで、ここのところはもう少し論議を重ねたいとは思っておったのですが、時間の方の点の指摘もありますので、一応歳出に関する質疑というのはここで終わって、今度は入るをはかるという歳入の面についてお尋ねをしたいと思うのです。  まず、歳入面の一つは、七兆数千億という単年度だけで大変な借金をするわけです。問題は、これを将来どういう租税体系で返していくか、こういう点からも問題になろうかと思うのです。赤字補てんのための財源確保ということももちろんですが、これだけの借金をだれの負担で返していくか、そういう意味から企業課税のあり方、これはこれとして今度当局でも論議をされ、税調の方にも提起をされるというふうに聞いておりますけれども、私は、企業課税について、たしか前の委員会でありましたか前の前の委員会でしたか、減価償却の問題を取り上げて局長にも大臣にもお尋ねをいたしました。  一例として挙げたのは、航空機の耐用年数でしたが、質疑に入る前にちょっと確かめておきたいのですけれども、局長はあのとき航空機の耐用年数は大体諸外国と変わらぬじゃないか、こういうお話でした。私は、運輸省にも実態をひとつ聞いてみたらどうですか、それから実際の民間の航空企業にもその点確かめたらどうですか、こう言ったのですけれども調査をされたところはどうでしたか、これをまずお尋ねをしておきたいと思うのです。
  89. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 運輸省なり民間企業なりについては、申しわけございませんが、まだ御返事できるほどの調査が終わっておりません。法令上の規定につきましては、前回申し上げたところが一番新しい状況であるということは間違いないようでございます。
  90. 荒木宏

    荒木委員 たとえばボーイング747を例にとりますと、西ドイツのルフトハンザでは十年、それからスカンジナビアでは十二年、アメリカのデルタ、これが十年、それからイースタン・エア・ライン、これは国内で十二年、日本航空では法定耐用年数こうだと、こう言っておりますが、局長言われたのは一体どういう資料ですか。
  91. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 これらはいずれも法律で規定されているわけではないと思いますので、マニュアルとか解説書、そういうものをデータにしておると思いますけれども、なお正確に調べまして、御返事申し上げます。
  92. 荒木宏

    荒木委員 いや局長、この前私お尋ねして、その点はあなたがそのときにどうもこれだと思うけれどもと言われた年数と、私がいろいろな解説書なり聞き合わしたところと倍ぐらい違っておったのです。それで、それじゃ調べてください、運輸省にも聞いたらどうです。日航も全日空もあるし聞いたらどうですかと言うておいて、私はその後また改めて聞いたわけです。実際の耐用年数、それから税制上とっておる法定耐用年数を。そうすると、十年以下のところなんかありはしません。あなたは、前におっしゃったのは、そうするとどういう論拠に基づいて言われたのか知りませんが、運輸省にも聞いてないし、航空企業にも聞いてない、何の資料で言われたのですか。耐用年数が倍から違ったら、償却費はうんと違ってくるでしょう。
  93. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 先ほど申し上げましたように、個別の企業についての調査は、申しわけございませんがまだ済んでおりませんので、もう少し時間をいただきたいのでございますが、一つだけ申し上げられますのは、ドイツと日本は企業会計上の償却と税法上の償却をきわめて厳密に一致させるシステムをとっております。そのほかの国は、大体は企業会計上の償却と税法上の償却はばらばらになってもよろしいということにしておりますから、会社が幾らで償却しておるかということと、それを申告所得として計算するときに法定の償却限度額が幾らであるかということは、一致しないことの方が多いわけでございます。  私が先回以来お答えしております耐用年数といいますものは、税法上認められるという意味での耐用年数を私ども調査で各国の法令の方から引っ張ってきて調べておるわけでございます。したがって、実際に十年で償却しているというのは企業会計上しているのではないかと私は思いますが、その点についてはもう少し調べさせてみていただきたい。法定の耐用年数という意味では、私どもの申し上げていることは正確であるという報告を受けておりますので、しかしこれも御指摘ございましたから、なお重ねて調査はいたしてみます。
  94. 荒木宏

    荒木委員 企業会計原則上の耐用年数は、普通、法定耐用年数とは言いませんね、あれは別に法律的な効果を持ったものではないので。ですから前回、前々回ともに私、法定耐用年数ということを指摘しておって、それを前提にしていろいろ調査をしておるわけです。ですから、会計原則上どういう処理をするか、これは株主対策の面もありますし配当政策の面もありますからいろいろですけれども、その同じ前提でこんなに違っておって、それで指摘をしてもなかなか調査がされずにこの論議がそれ以上なかなか進まぬという点がありますので、これはもう早急に調査をして御報告をいただきたいと思います。御報告いただいた上で、この点の質疑を進めたいと思います。  きょうは、それはそれとしてその部分は留保しておいて、それ以外に質疑のできるところを続けたいと思うのですが、全体の減価償却率ですね。予算委員会に出されました資料によっても、日本の場合は全製造業でアメリカの約五割増し、イギリスの二倍、こういうことになっておりますが、もちろん減価償却、耐用年数なり償却率をどういうふうにするかということは、これは設備投資の面だとかあるいは経済の成長率の面だとかいろいろな点が絡んできますから、財政サイドで一概に言えない面があるかもしれません。しかし同時に、こんなに大量の赤字国債を出そうという羽目に相なって、今度はそれをだれの負担で返していくか。これは従来からいろいろ論議されておるところですけれども、一方、企業課税の面から言って、よその倍近くも償却費を見ている、そういうことでそのままでいいのかどうか。  前に大臣お尋ねしたときには、その結果から見るのではなくて償却には個々の特別措置なり何なりの目的があって、それは一般的には常々見直しをしておる、こういう突っ込みの答弁しかなかったわけですけれども、こういう年間に七兆円を超えるような借金をしなければならぬ、財政危機宣言もなされる、このときに、五年後には五十兆円にも及ぶような累積国債残高が出ようかという、さあそれをだれの負担で返すかというときに、いまのような償却率のままでいいかどうか、そういう点からひとつ大臣に伺いたいと思うのです。前回までの御答弁は私もよく承知をしておりますし、そういう意味合いから、いまの個別に指摘をしました耐用年数の相違ということも踏まえて、そしてまた全体の償却率が諸外国に比べて余りにも高いじゃないかということとも相まって、これについての財政面からのお考えをひとつ伺いたいと思うのです。
  95. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 前回、当委員会で御質問がございまして、数字をお挙げになって各国の償却率の比較を引用なさいました。それは出どころは三菱総合研究所でございまして、企業の財務諸表の側から出てきているわけだと思います。この場合は先ほど申し上げましたように、企業会計上の償却計算から来ております。五十年の三月に、これは大蔵委員会にお出ししております資料がもう一つございますが、これもお手元にあると思いますけれども、これがいわゆる法定の耐用年数の方の比較でございます。法定の耐用年数の比較では現実の企業会計上の償却費率と異なりまして、たとえば紡績業では日本が十年、アメリカが十一年、ドイツが十一年から十三年、あるいは工作機械製造業では日本が十年、アメリカが九・五年、ドイツは五年から十年というふうに、法定耐用年数というところではおっしゃるような違いは余りないというのが私どものいまの事実認識なんでございますが、しかし御指摘がございましたから、耐用年数というものが物理的、経済的な耐用年数に即して合理的でない面があるとすれば、それは御指摘もいただきながら直していきたいと思いますということを申し上げたわけでございます。ですから、企業会計上の処理と税務上の処理が一致しなくてはならない国とそうでない国とがあるということだけは、やはりちょっと申し上げておきたいと思います。法定耐用年数というのは必ずしも企業会計上に正確にそのまま出てくるものではないという点があるわけでございます。
  96. 大平正芳

    大平国務大臣 考え方は、償却は経済的なものと物理的なものとがあると思いますが、経済的なものにつきましては技術革新が非常に進んでおるときには短かくなければなりませんし、停滞いたしておるときは長くて差し支えないように思います。ただ荒木さんの問題提起は、このように財政危機のときだから償却年度の法定についてもひとつ工夫を加えて、もっと長くするというようなことを工夫する気持ちはないかということでございますが、私はできるだけそういう権道は避けたいと思います。やはり税源は大事な税源でございますから、ことしとか来年とかはあるいはそれでいいかもしれませんけれども、そういう無理はいつまでもきくものではございませんので、私としてはできるだけそういう無理は避けたい。財政危機の克服はやっぱり王道を歩んでいかなければならぬのではないかということで、せっかく私の考えはどうだというお尋ねでございますから、考え方はそうだと申し上げたいと思います。  ただ問題は、それでは現在のわが国のとっておる償却率というようなものが妥当かどうかという判断は、これは毎年毎年精細に見直して妥当なところに決める工夫をしてまいることは当然だと思います。
  97. 荒木宏

    荒木委員 大分時間の方、いろいろお話がありますので、精力的に、なるべく要領よくまとめて、その点は協力したいと思いますので、もうしばらく続けたいと思います。  いま償却のそれはそれで王道という話がありました。しかし、予算委員会の総括質問でわが党の不破議員も指摘をしましたが、大蔵省の資料によっても、大企業の実際の租税負担率が、資本金百億円以上と資本金一億円以下と比べて、大きい方が低いという結果が昭和四十六年、七年、八年とずっと続いてきました。そうするといまこんなに多額の借金をして、それを返すというときに、大企業の方の返し分が率としては少なくて、中小企業の方が負担率としてはよけい返す、荷物を背負わなければならぬということになるんじゃないでしょうか。ですから中身としてはいろいろ償却だとかあるいは個々の措置についての従来の沿革はありましょう。しかし全体としてみて、そうしたこれからだれがそういったものを返していくかという総体を考えるときに、こういう姿というものはやはり検討の対象にしなければいけないんじゃないでしょうか。単に償却がどう、特別措置の王道がどうといったことで、道行きだけで済むことじゃなくて、やはり結果の姿としてだれが大きい負担をするべきことなのかという点を考えないと、こんなに多額の借金をしようかというときに、これは国民は納得ができないということになるんじゃないでしょうか。その点についての大臣の簡潔な答弁をお願いしたいと思います。
  98. 大平正芳

    大平国務大臣 特別措置は、もう申すまでもなくそれぞれの制度がそれぞれの目的を持って、大、中、零細、それは規模の大小にかかわらずできておりますことは、たびたび申し上げておるとおりでございます。それがたまたま百億円以上の法人につきまして、あなたがいま挙げておる年度において若干負担が軽くなっておる、それを集大成したところが、そういう計算に確かになっておる年度がありましたことは事実のようでございます。しかし現在私は必ずしもそうなっていないと思うのでございますけれども、私はそういう意味で特別措置も年々歳々見直していっていますし、それもときどき規模別にもう一度別な角度から、あなたが問題意識を持っておられますように、規模の大小によって一遍締めくくってみて、負担の厚薄という点とその推移という点も見直してみろという考え方については私も賛成です。だからそれはわれわれも怠っていけないことだと考えます。
  99. 荒木宏

    荒木委員 あと二、三のお尋ねをして、時間もあれですから終わりたいと思います。  今度は歳入をふやすという点での歳入の納付金の問題でありますが、私は一例として日本銀行の納付金の問題をお尋ねしたいと思うのです。これは税金を払い、内部留保を計上して、あと納付、一口で言えばこういうふうな扱いになっているという説明を聞きましたが、内部留保の場合に日本銀行で貸倒引当金というのを積んでいますね。これは一般の企業の場合に比べて、中小企業は二割増しという扱いのようなんですけれども、日本銀行の扱いの方はその点はどうなっておりますか。
  100. 田辺博通

    ○田辺政府委員 現在の税法規の規定に従いまして、資本金が小さいものですから、おっしゃるとおり二割増しの引当金率になっております。
  101. 荒木宏

    荒木委員 税法の規定はおっしゃるとおりかもしれませんが、常識的に考えて、日本銀行が中小企業だ、私ちょっと国民の常識からしてそぐわぬものがあると思うのですよ。たとえば貸倒引当金について言いますと、日本銀行が貸し倒れ損を出したことはあるのでしょうか。為替差損は別ですよ。取引の相手はもちろん限定していますね、だれかれなしに取引はしない。貸し倒れ損を出したことがあるか。それから、もしあるとすれば、いまの積んでおる引当金の実績比率はどうか。そして将来日本銀行が貸し出しにまずい点があって損失を発生するというおそれがあるのかどうか、その点を伺いたいと思います。
  102. 田辺博通

    ○田辺政府委員 私の知ります範囲では、日銀が貸し倒れ損失、つまり償却をしたという例はないと思います。将来のことはちょっと何とも申し上げかねますけれども、まあ余り考えられないかもしれません。ただ貸倒引当金という区分けもございますし、そのほか日銀法の規定によりまして法定積立金等の規定があるわけでございますが、私どもは、日本銀行の内部留保額、つまり日銀券の信用の基礎となる日銀の自己資本というものについては、世界各国の例に徴しましても、一国の中央銀行というものの内部留保は万全の態勢でなくてはならない、およそのめどがあるんだ、そういうことで内部留保を積んできているわけであります。その中の一環にいろいろな積立金、諸引当金がある、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  103. 荒木宏

    荒木委員 中央銀行の信用を維持しなければならないとか、そのためにいろいろな制度があるとか、そのこと自体を特に言っているわけではありませんで、しかし仮に実際にそうだとしても、それはそれなりに納得する筋道というものがありましょう、それで申し上げているわけです。  大臣に伺いたいのですけれども、法制上ともあれ、いまのような実態のときに、信用確保という点は、これはいろいろなやり方もありましょうし、従来もやられてきたわけですけれども、中小企業とみなして、そうして実際にそういうことが発生しない、将来ともに考えられないという、そういうやり方でするのがいいかどうか。この点は、一般的に信用をどうするかとか内部留保をどうするかという問題じゃなくて、こういうやり方でやっているということが国民に対して説明ができ、納得できるかどうか、これはひとつ検討していただくべきことじゃないか。もちろん日銀法全体のいろいろな金融制度調査会での論議はあります。それは長期全体にわたってですけれども、こんな、世間に向けて日銀は中小企業ですよと、ちょっとまともにいって通らないようなことについては、やはり早急に別途検討されてしかるべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
  104. 大平正芳

    大平国務大臣 日本銀行は中小企業ではございませんで、日本銀行は中央銀行でございますので、中央銀行にふさわしいやり方をやらしたいと思います。
  105. 荒木宏

    荒木委員 関連して輸開銀の同じような問題についてもあるのですけれども、時間の点があれですから、同じ性質のことなんで、これは省略をいたします。  あと二点ほどですけれども、質問をまとめて言います。  一つは土地税制の問題について、御承知のように財界にずいぶんいろいろな動きがあり、買い上げの要請その他が出ておるわけであります。また租税の体系の上からも、土地の重課税の問題あるいは特別保有税の問題の見直しという要望がある方面から出ておることも御承知のとおりだと思います。もちろん、万々いろいろな手順を経て検討されることだと思うのですが、何分にも世間の一部でこういう声が出ておる。そうしてまた現に自民党の皆さんの中で、一部の方々でこの問題についての法案もできたというような報道もされておるような事態でありますので、そうした点も踏まえてひとつ大蔵大臣のこの点のお考えを伺いたい、これが一つであります。  それからもう一つは、財政赤字公債を含めて大変にふくらんでくるわけでありけれども、そういうときに、金融としてどういうふうな方針をとっておられるのか。御承知のように昨年来大口融資の規制については、新聞報道で次官の意向ということでこれは緩和するということが報ぜられました。それからまた窓口規制の問題についても、これは金融は中立だというふうな趣旨の報道などもあったわけでありますけれども、しかし日銀の貸し出しの推移は、御案内のとおり昨年の第四・四半期には率としてはずっとふくらんだ率を示したわけであります。そういう点から、これは財政当局大蔵省の考えとして、われわれの考えを言っているというのではなくて、どういう財政と金融の兼ね合いを進めていかれるのか、そういう点をひとつ伺っておきたいと思います。これはもう純粋な方針お尋ねする質問であります。  それから三つ目に、最後に経済企画庁の方からお見えいただいて、ずいぶん長らくお待ちいただいて大変恐縮なんですが、概案の方では消費者物価上昇率六%、これをやろう、こう言っておるわけですが、その中には付加価値税は含んでいない、こういう答弁がありました。これはわが党の増本理事予算委員会でこの点を質疑をいたしました。そして、この消費者物価、概案で前期六%ということをやろうということになれば、その中には付加価値税は入っていないんだから、もしそれを導入するとすれば六%の維持はむずかしくなる。もちろんほかの要件がいろいろありますから、それだけ取り出してどうこう言うことはまた別の意見がありましょうけれども、だから少なくとも企画庁として六%という以上は、つまりこれは単年度だけではなくて五年間付加価値税ということはあの全体の計画の外に置かなければおよそできない相談ではなかろうかというふうに思いますので、企画庁としてのその点の意見を伺いたいと思います。従来本会議答弁その他でも、付加価値税はいま考えていないとか、コンセンサスを得てからとか、検討中だとか、いろいろな話がありました。ありましたが、企画庁の方としてこれを、私どもは六%をいいと言っているわけじゃありません、しかし少なくとも出されたそいつをやろうとしたら、付加価値税を検討しようだとかやろうだとか、ちょっとした動きでもあればそいつはつぶしていかなければやれないのじゃないかという趣旨から、前に増本議員が伺ったのにつけ加えてひとつお考えを伺っておきたい。  以上の三点の答弁を求めて、こちらの理事さんからずいぶん時間の点のお話がありますので、最大限の協力をしてこの辺のところで終わらせていただきたいと思います。
  106. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 第一点につきましてできるだけ簡単にお答えいたしたいと思いますが、御指摘のとおり土地税制は非常な経緯を経て現状に至ってきておりますけれども、現在言われておりますのは宅地の供給のためにいまの土地税制が阻害要因になっているからやめてほしいという要望があることは事実でございます。おっしゃいました参議院の自由民主党の有志の方々の御提案の中には税制問題は入っていないようでございます。したがって、それと別のところで要望があるということは私よく承知いたします。  私どもの基本的な考え方としましては、もしいまの土地税制が優良な宅地の供給を阻害している面があるとすれば、それはひとつ十分探し、拾い出して、直すべきものを直さなくてはならないだろう、もっぱらその観点から土地税制というものをもう一遍吟味するということはいたしてみたいというふうに考えておるわけでございます。
  107. 田辺博通

    ○田辺政府委員 金融の問題でございますが、大口融資を緩和したとおっしゃいましたけれども、これは一口に緩和と申すわけにもいかないんで、従来から弾力的にケース・バイ・ケースにやっていくという方針でありましたものを特に明らかにしたわけでございまして、それがやや緩和ぎみと受け取られてもやむを得ないかと思いますけれども、そういうぐあいに御理解を願いたいと思います。  それから窓口規制は、中立的だけれども、日銀貸し出しが去年の第三・四半期、年末にかけてふえているではないか。これは季節的な要因が主でございまして、御案内のように年末にかけまして現金需要、日銀券が相当大量に増発されるのは、これは季節性でございますが、その日銀券の需要と財政収支との差額を埋めるという意味での、民間資金需給のその差額を埋めるために日銀貸し出しがふえているのは事実でございますが、どんどんそれによって将来も日銀貸し出しをふくらましていこうという趣旨ではございません。現在のように季節性がありまして日銀券がそう伸びない、それから財政の支払いが比較的進むというような時期にはむしろ回収はされているわけでございます。  ただ一般的に財政政策と金融政策はどういう兼ね合いで持っていくのか、こういうお話ですけれども、現在の経済政策の基本というのは景気の回復を着実に軌道に乗せていく、そして雇用の安定を図る、これがやはり一番基本であろうと思います。もちろん物価に慎重な注意を払わなければなりませんが。そういう意味合いから五十一年度予算案も策定され、そして昨年の初め以来の金融の緩和の歩調をとってまいったわけでございますが、やはり同様に金融はやや緩和ぎみ、特に引き締めるということは必要ない、そういう態度で進んでいくべきだろうと思っております。
  108. 宮崎勇

    ○宮崎(勇)政府委員 第三の新しい経済計画における物価目標についてお答えいたします。  新しい経済計画の最終答申はまだ経済審議会から出ておりません。近々提出される予定になっておりますが、この一月の中間答申によりますと、先生御指摘のように消費者物価についてはこの計画期間中六%台に維持し、最終年次であります昭和五十五年度には六%以下にしたい、こういう目標を掲げております。この目標の達成のためには、一番基本的な政策としましては適正な需要管理政策をとるということでございますが、あわせて構造政策、低生産性部門の生産性の向上を中心にする構造政策、それから競争政策、独禁法の適切な展開等による競争政策、それに個別の流通対策あるいは生鮮食料品対策を総合的に取り上げてこの物価目標を実現したいというふうに考えております。  お尋ねの付加価値税のことでございますが、この計画の原案では、税並びに税外負担の国民所得に対する割合を四十八年−五十年度の平均に対しまして約三%程度高めるということを前提にいたしておりますが、その三%の増加分をどのような自然増収で賄うのかあるいは増税で新たに賄うのか、また増税による場合にはどのような財源によるのかというようなことについては今後の検討ということで、概案の段階では出ておりません。したがいまして、計算上六%以下にするという目標の達成の場合にはそういう一般付加価値税の導入ということを前提にしているわけではございません。ただし、一般論といたしまして付加価値税を導入するということが物価に非常に影響を与えるということは十分考えられるわけであります。ただ、それは、これも一般的な問題でありますけれども、導入の時期、方法その他によりまして一概に物価を大きく刺激するというようなことではありません。ただ、諸外国の例によりましても、そういう可能性は十分にあるわけでありますけれども、この計画ではそういう問題を取り扱っていないわけであります。いずれにいたしましても総合的な物価対策によって物価目標を達成したい、こういうふうに考えております。
  109. 田中六助

    田中委員長 荒木宏君の留保の質問について、高橋主計局次長の答弁を求めます。
  110. 高橋元

    高橋(元)政府委員 先ほどお尋ねのございました陸幕第二部第一班の定員でございますが、防衛庁について調査いたしましたところ、陸幕第二部第一班の定員は陸上幕僚長が事務の繁閑を考慮して決めております。それで、現在幹部自衛官が二十六名配備されておる、これは先ほど御指摘のとおりでございます。防衛庁は近く定員の改定を行うことを検討中というふうに申しておりますが、現在の六人を超える二十人の人間につきましては、陸上自衛隊の定員の枠の中でやりくりで措置をしておるということでございます。
  111. 荒木宏

    荒木委員 これで終わりますが、答弁を後で報告をいただくという部分が幾つかありました。その部分の質疑は留保さしていただいておりますので、御了解いただきたいと思います。  大変遅くなりましたが、関係の皆さんには御協力いただきましたので、これで終わらしていただきます。
  112. 田中六助

    田中委員長 次回は、来る十日月曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後九時五十二分散会