運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1976-07-26 第77回国会 衆議院 商工委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年七月二十六日(月曜日)     午後零時三十四分開議  出席委員    委員長 稻村左近四郎君    理事 橋口  隆君 理事 前田治一郎君    理事 武藤 嘉文君 理事 安田 貴六君    理事 上坂  昇君 理事 佐野  進君    理事 神崎 敏雄君       天野 公義君    浦野 幸男君       越智 通雄君    粕谷  茂君       島村 一郎君    八田 貞義君       深谷 隆司君    板川 正吾君       岡田 哲児君    加藤 清政君       加藤 清二君    勝澤 芳雄君       竹村 幸雄君    中村 重光君       渡辺 三郎君    野間 友一君       近江巳記夫君    松尾 信人君       玉置 一徳君    宮田 早苗君       小林 正巳君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      福田 赳夫君  委員外出席者         公正取引委員会         委員長     澤田  悌君         食糧庁業務部需         給課長     宮崎 武幸君         通商産業審議官 天谷 直弘君         通商産業大臣官         房長      濃野  滋君         通商産業省基礎         産業局長    矢野俊比古君         通商産業省生活         産業局長    野口 一郎君         資源エネルギー         庁長官     増田  実君         資源エネルギー         庁石炭部長   高木 俊介君         資源エネルギー         庁公益事業部長 大永 勇作君         中小企業庁長官 齋藤 太一君         労働省労働基準         局安全衛生部安         全課長     野原 石松君         労働省職業安定         局失業対策部企         画課長     守屋 孝一君         労働省職業訓練         局管理課長   中野 光秋君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 六月二十五日  辞任         補欠選任   島村 一郎君     河野 洋平君   米原  昶君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   不破 哲三君     米原  昶君 七月六日  辞任         補欠選任   米原  昶君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   不破 哲三君     米原  昶君 同月十二日  辞任         補欠選任   山崎  拓君     中村 寅太君   河野 洋平君     小林 正巳君 同月二十六日  辞任         補欠選任   萩原 幸雄君     島村 一郎君 同日  辞任         補欠選任   島村 一郎君     萩原 幸雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  中小企業に関する件  資源エネルギーに関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、中小企業に関する件、資源エネルギーに関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。粕谷茂君。
  3. 粕谷茂

    粕谷委員 通産省を中心にして、次の二点について御質問いたします。  米穀小売販売業者営業所増設、俗にこれはのれん分けと言っておりますが、この問題について御質問をいたしますと同時に、第二点は、葬祭業についてこのごろデパート進出をするという傾向にありますが、この点についてもひとつ御質問をいたしたいと思います。  第一番に、俗にのれん分けと言っておりまする営業所増設について御質問をさしていただきます。  一営業所米穀販売最低取り扱い数量はどういうふうになっているか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  4. 宮崎武幸

    宮崎説明員 米穀小売商登録の要件の中に、最低取り扱い数量というふうなものが決まっておるわけでございまして、これは食管法施行規則に基づきまして決められておるわけでございます。それによりますと、細かく分かれておるわけでございますが、東京等大都市におきましては年間三十七トン以下で都道府県知事の定める数量、その他の事業区域等におきましてはそれぞれ三十トン以下あるいは二十二トン以下というふうな細かい区分になっております。
  5. 粕谷茂

    粕谷委員 いま施行規則の中の二十二条の四のことについて御説明をいただいたのですが、そのうちの一の項に、私の方で読みますと、「最低取扱数量の二倍をこえることが確実であると見込まれること。」こうなっているのですが、あなたの御説明は、確かに区部では年間三十七トン、それからそれ以外の地域では三十トンと、東京都の場合はそうなっておるわけですね。しかし、現実に登録される営業所に、私、おたくからお米を買いたいですと言ってくださる消費者に、あなたは年間どのぐらいお食べになっていただけますかということを申し込みと同時に取りつけることは、とてもむずかしいわけです。そうすると、かつて行われていた五百人のお得意様ができたら一営業所というような前提に立っていま署名運動をやっているのじゃないですか。
  6. 宮崎武幸

    宮崎説明員 仰せのとおり、最初から何トン売れるかということは確定はいたしません。そこで、私どもとしましては、いわゆる同意書と申しますか、これだけ買いますという消費者側数量を積み上げてこさせまして、それに基づいて、これだけは売れるであろうという判断のもとに登録を行う、こういうふうに都道府県指導しております。
  7. 粕谷茂

    粕谷委員 そうなると、この「最低取扱数量の二倍をこえる」ということは、千人の同意書という意味にとっていいのですか。
  8. 宮崎武幸

    宮崎説明員 そのとおりでございます。
  9. 粕谷茂

    粕谷委員 だとすると、三十七トンということは何かあなたたちが見せかけに出した数字としか受け取れないのですが、そういう点はどうなんですか。
  10. 宮崎武幸

    宮崎説明員 国民の一人当たり食べます数量は少しずつは動きますが、一応、月一人七キロという計算をしまして、従来は五百人ということでございました。それの倍ということで一千人、こういう計算をしております。
  11. 粕谷茂

    粕谷委員 いまの七キロというのは、ちょっとおざなりの想定だと私たち思いますよ。いま都市部においては中年以降は五キロです、私たち調査したところによると。その辺の違いはどうであっても、なぜ私がこの辺の基本的な問題を執拗に言うかというと、いま東京都では生協、それからスーパー米穀販売についてのれん分け申請をしているのです。そこで、私どもはこれを問題にしているわけです。  なぜかというと、従来のお米屋さんというのは、食管制度のもとに営々と政府に協力をしながら商いをしてきているわけです。こういう人たちが食いっぱぐれになるような状況を放置しているということについて私たちは黙視できないので、そこであなたに一営業所当たり取り扱い数量ということを厳格にこの機会答弁をしてもらいたい、こういうことでお尋ねをしているのです。ですから、もう一度ひとつ御答弁を願いたいと思います。私は、一人七キロということはなかなか承服できない心境にありますけれども、もう一回お願いをいたします。
  12. 宮崎武幸

    宮崎説明員 御案内のように、一人当たりが食べます数量というのは、まだ都市部農村部では非常に大きな違いがございます。特に最近は、いわゆる微減と申しますか、若干減少の傾向もございます。先ほど七キロというふうな数字を申し上げましたが、これはたしか四十七年ごろの数字じゃないかと思います。そういうことで、少しずつ微減はしておると思いますが、その後私どもあちこちで調査をしておりますが、ただいま御質問がございましたように、新しくどのぐらいの数量をもって一人当たりあるいは年間販売量基準にするかということにつきましては、これは政令、省令の定めるところでございますので、今後とも検討さしていただきたい、こういうふうに考えます。
  13. 粕谷茂

    粕谷委員 そこで、再度締めくくりでお答えをいただきたいと思うのですが、現在も配給通帳というのが一つの根幹になっていることは間違いないのですね。しかし、今日、米の流通が非常に緩やかになっておりますから、どこへ行ったって買い求めることもできるし、売ることもできるという状況になっているわけです。だから、そういう中で、この三十七トンというような数字を出すよりは、過去の一営業所当たり五百人というような明確な数字を出すことの方が米穀販売業についての混乱を避けることができるのじゃないかと私ば思って、先ほどから執拗に質問をしているわけです。そういう御意思はありますか、ないですか。
  14. 宮崎武幸

    宮崎説明員 先ほども申し上げましたように、実際上は受配人口等も十分加味してやっておるつもりではございますが、その点については今後とも考えさせていただきたいと思います。
  15. 粕谷茂

    粕谷委員 そこで、中小企業庁にひとつお尋ねをしたいと思うのです。  消費生活協同組合というのは中小企業者であるのかどうか、それをひとつお尋ねしたいと思います。
  16. 齋藤太一

    齋藤説明員 中小企業者は、中小企業基本法の定義によりますと、会社または個人でございまして、事業活動を営む者及びそれが構成しておる組合等でございまして、いわゆる営利活動目的とする者が中小企業者でございますので、消費生協のように組合員のための活動を行っている者は中小企業者ではないというふうに考えております。
  17. 粕谷茂

    粕谷委員 そこで、中小企業庁にもう一度お尋ねをいたします。  生協が市場に進出をするときにはこういうことがうたわれておるわけでございますが、御記憶ありますか。「消費生活協同組合中小小売商との間に紛争が生じまたは生ずるおそれがある場合には、その紛争の解決または紛争の発生の防止のため相互に密接な連絡を保ちつつ適切な措置を講ずるものとする。」これは三十八年の二月二日、厚生省の社会局長中小企業庁長官との了解事項ということになっておりますが、そういうことを御記憶ありますか。
  18. 齋藤太一

    齋藤説明員 消費生協活動影響が不当に中小企業事業活動に及ばないようにそういった了解事項を設けたものでございまして、確かにそういう了解事項がございます。
  19. 粕谷茂

    粕谷委員 なお、これは蛇足ですけれども中小企業基本法に「国は、中小企業者以外の者の事業活動による中小企業者利益の不当な侵害を防止し」ということが十九条にうたわれているわけですけれども、こういったような背景を私は考えながら申し上げますが、今日まで生協あるいはそのほかの団体と中小企業方々との紛争などが生じたときに、どんな適切な措置を講じてきたか、具体例があったらお示しをいただきたい、こう思います。
  20. 齋藤太一

    齋藤説明員 消費生協は、組合員に直接奉仕することを目的として事業活動を行っているものでございます。それで、そういった組合の使命にかんがみまして税制上の恩典がございます。このように消費生協は有利な条件背景事業活動を営むものでございますので、それが一般中小小売商販売活動と競合する場合もあるわけでございまして、そういう意味合いにおきまして消費生協組合法におきまして員外利用を厳しく制限をいたしておりまして、小売商事業活動影響を及ぼし、利益を著しく害するおそれがない場合に限って員外利用を認める、こういうふうな措置法律上定めておるわけでございます。したがって、員外利用許可をするかどうかということにつきましては、十分、この許可官庁でございます府県指導いたしまして監督をいたしておる次第でございます。  ただいま先生の御質問のございました、最近、消費生協小売商とをめぐる紛争について主務省等調整をやった事実があるか、こういう御質問でございますが、私どもが報告を受けておりますところでは、昭和四十八年以後現在までの三年間に、府県が中に入りまして調整を行った例が八件ございます。  その調整の例といたしましては、消費生協員外利用許可を受けていないにかかわらず員外利用をさせておる、これは取り締まるべきではないか、こういう要望がございまして、消費生協側を呼びまして県がいろいろ話も聞きました結果、たとえば員外利用はこの生協ではできませんという掲示をさせるということで小売商側との間に話がついたとか、あるいは消費生協自体員外利用申請をいたしまして小売商側が反対をした、そういうことで許可をするかしないかということにつきまして紛争があったわけでございますが、こういう点も、知事が中に入りまして、反対する小売商側員外利用許可をもらいたい消費生協側との間に入りまして話し合いをした結果、場合によっては結局消費生協側が引いた場合もございますし、小売商側が、小売商と協調するということを条件として、員外利用許可した例もございます。  そういうふうに八件例がございますけれども、いずれもこれは法律発動ということでなしに、いわゆる行政指導と申しますか、そういった形で、法律をバックにしながら法律発動をしない形で紛争が片づいておるというのが実情でございます。
  21. 粕谷茂

    粕谷委員 答弁はひとつ簡単にしてくれませんか、私の持ち時間は二十分ということですから、もうあと五分ぐらいになってしまったのですが……。  そこで、私は中小企業庁に再度お尋ねしますけれども生協というものが進出するときの前提としては、その辺に一般小売商店街がないということも一つ条件になっていると私は思っているのです。私の記憶に間違いがない場合には、そういうことではないかと思う。それはいわゆる員外利用についてのことですけれども、そういう条件があると私は思っているのですよ。ところが、最近、こういうようなものが新聞折り込み一般不特定の消費者のところに回っているという事実を知っていますか、知っていませんか。
  22. 齋藤太一

    齋藤説明員 ただいま初めて拝見いたしました。
  23. 粕谷茂

    粕谷委員 そこで、中小企業庁に私は申し上げます。  中小企業庁はお飾りであるのじゃないと私は見ているのです。あなたたちは、組織があって声のでかい者に対しては緩やかな措置をとるようなふうに私たちから思われる節がないでもないと思うのです。そうして組織的に余りまとまってないようなところの業者に対しては大変厳しい取り締まりをやる、そういうような片手落ちは許されないと私は思っているのです。特にお米屋さんの場合は、食管制度のもとにおいて、制度の中で協力をしてきたのです。この人たちが立ち行かないようなことについて何ら国は保障してないのじゃないですか。そしてなおかつ今日もその人たちが立ち行かない状態にあるにもかかわらず、そのほかにまたこの生協などに米穀販売について員外利用をやらせるようなことが間々行われていることに  ついて何ら措置を講じてない、ただいま拝見した、そんなことはこの委員会では聞き取れないと私は思うのですが、もう一度、これからどういうことでこの問題に臨んでいくか、それを明らかにしてもらいたいと思います。
  24. 齋藤太一

    齋藤説明員 消費生協員外利用許可につきましては、その許可次第によりまして地元中小小売商に甚大な影響を与える場合がございますので、小売商に著しい影響のないように十分配慮しながら処置するように、許可を担当する府県指導してまいりたいと存じます。  それから、許可を受けていない消費生協員外利用を図りあるいはそれを促進するような宣伝等を行いますことは、消費生活協同組合法趣旨に照らしまして違法の行為でございますので、十分厳重な取り締まりをいたしたいと存じます。
  25. 粕谷茂

    粕谷委員 いまの答弁で、私どももその誠意と熱意のほどを期待をいたしております。  ただ、最後に要望いたしておきます。  生協は御承知のごとく五分の一までは許可を得れば員外利用をやれるわけですが、米穀については、東京都内では一応小笠原を除いては員外利用許可してないのです。だから、そういう点を十分趣旨が徹底するようにしていただきたい、こういうふうに思います。  引き続いて、食糧庁の方にひとつお尋ねをいたします。  いま現状で私どもが考えますと、中小企業庁考え方食糧庁考え方がどうも連係プレーができてないように思うのですが、食糧庁の方では新規参入なんというのを持ち出してきているのですね。これは平たく言いますと、店舗の数をふやすということです。ところが、中小企業庁の方はあらゆる中小企業に対して協業化とか近代化とかいうことを進めているわけですね。その辺が私どもは理解に苦しむのですが、東京に限ってのことだけ申し上げますが、いま新規参入の問題は東京都内では一応一年据え置きということになっているのです。それができないから、いわゆるのれん分けという制度を活用して、いま生協なりスーパー営業所増設をやりたい、こういうことなんですけれども食糧庁は、お米屋さんの数をふやさなければいま消費者に便利を与えることはできないのだ、不便をかけているのだ、こういうふうに考えているのでしょうか、どうでしょうか。
  26. 宮崎武幸

    宮崎説明員 私どもは、米穀販売につきましては、もとより販売業者経営等も考慮いたしますが、他面一般消費者の声もまた聞かざるを得ないわけでございます。したがいまして、現在は店をふやす場合にはいわゆる人口が急にふえたというふうな場合を限定いたしまして、都道府県知事がこの地区では店をふやす必要があるというふうに判断いたしましたときに新規登録の受け付けをする、こういう形に相なっております。  それから、既存の店が増設をいたします場合におきましても、これはやはり登録が必要でございますが、これにつきましても、登録申請が出ましたときには、行政指導といたしまして、東京都の例を申し上げますと、適正化協議会というのを設けさせておりますが、そこで既存業者とそれから新しく出たいという者との間で十分話し合いをさせまして、話し合いが成立したときにこれを認めるというのを原則にいたしておるようでございます。
  27. 粕谷茂

    粕谷委員 もう時間が来ておりますので、私、要望をいたしておきます。  私が認識するところでは、米穀小売販売業者営業所増設ということは、たとえばここに粕谷商店がある、そこで二千世帯ぐらいのお得意さんがおる、しかしかなり離れた場所に飛び石のような形で千世帯ぐらいがある、こういう場合には、営業者の方ももちろんですけれども、もっと大切なことは、消費者に不便を与えるだろうこういった場合に、粕谷商店のれん分けのような形で営業所増設することができる、こういうように私は認識しているのですよ。  しかし、生協の場合にはそういう形が生まれてこないと私は見ているのです。そうすると、自分たち営業権益を拡張するためにやられているような感じを受けるのですね。特に生協に限らず、スーパーのれん分け制度を活用して進出をするということは、周辺の既存業者に非常な圧迫を与えるのです。私はそういうことは必要としないのじゃないかと思う。  なおかつ申し上げますと、大体お米の場合は宅配の方がまだまだ多いのです。そういうことであれば、消費者が通りすがりに五キロ、十キロのお米を買っていくというよりかは、お持ちくださいねと言って注文をされる方が多いということを私たちは認識するわけです。そういうたてまえからいったら、そんなに新しく何ヵ所もつくっていく必要はないじゃないか。この辺のことをぜひひとつ、地方自治体の専門委員会というところがあるようですが、そこでいまこの問題は非常に甲論乙駁で、東京都などにおいても非常に困っているようですから、主務官庁として十分連絡をとって善処をしていただきたい、こういうふうに思います。  これで食糧庁に対する御質問は終わらせていただきます。  中小企業庁についてはもう一つ、時間がありませんから具体的にはまた次の機会質問させていただきますが、このごろ葬祭業分野デパート進出してきているのですね。これも先般、国会の会期末にこの委員会で、中小企業立場を擁護するというので、企業分野の確立という決議をしているわけです。商工委員長はその案文を通産大臣に示して、近く成案をもって臨みなさいということまでつけ加えて発言をしているのです。私、デパート零細企業中小企業のやるようなお葬式屋さんのことまでやらぬでもいいだろうと思うのですが、中小企業庁はそういうことについてどう考えているのでしょうか。  もっと私は具体的に言うと、これは一業一種ぐらいにしなければいけませんね。大企業だから手がすいているから、組織があるから、人材がいるからというので、何種類にも手を伸ばしてやっていくというところに、中小零細企業が非常に圧迫を受けているということになるのですね。もう時間がありませんからこのことについては後日私、質問させていただきますが、ひとつよく検討しておいていただきたい、こう思います。  これで質問を終わります。
  28. 稻村佐近四郎

  29. 上坂昇

    上坂委員 私は、第一番に常磐炭礦株式会社西部礦業所閉山に関する問題について質問を申し上げたいと思います。  御承知のように、常磐炭田昭和二十六年ごろには百二十五山程度の山がありました。年間四百二十万トン、全国出炭量の約一〇%を占めていたわけであります。その中で、特に常磐炭礦大手炭鉱として、年間三百万トン、全国生産量の六%を占める大炭鉱でございました。  昭和四十六年に、百九十二万トン程度出炭でありましたが、全面閉山をいたしまして、当時四千七百人の失業者を突如として出したわけであります。これは地域的に非常に大きな影響を与えました。しかし、常磐炭田を残すという立場に立ちまして、特に常磐共同火力発電所勿来発電所に対する石炭の供給という立場から、常磐炭礦西部礦業所として再出発をしたわけであります。現在約二十二万トンの年生産量を保っているわけでありますが、今回この九月末で全面閉山をして、七百十六名の従業員を全員解雇する、こういうことになりました。常磐炭礦については、前にスクラップ・アンド・ビルドで買い上げをした鉱区を払い戻しいたしまして、六斜坑として生産を続けてきたことは御承知のとおりであります。  そこで、この常磐炭礦が再三にわたっていわゆる事業所閉鎖という形が出てまいりました。そのことについて地元では非常に大きな不安を持つとともに、いまの二千万トン生産体制からいっても大きな問題になるのではないかというふうに考えるわけです。そういう意味で、今回の常磐炭礦西部礦業所閉山について通産省としてどういう見解を持っておられるか、まずこれをお聞きいたしたいと思います。
  30. 増田実

    増田説明員 常磐炭礦西部礦につきましては、先生御存じのように、坑内のいわゆる湧水量が非常に増大いたしております。そのために保安上のいろいろの問題が出てきますとともに、また自然条件につきましても、毎年出炭量が低下し、このために非常に採算が悪くなっておるということ、可採炭量が枯渇しているというような悪化の諸条件が出ておりまして、非常に残念でございますが、そのために閉山もやむを得ないというような事態になったわけでございます。  これにつきまして、私どもといたしましては、今後この炭鉱に働いておられた従業員方々の再就職につきましては会社が十分努力するように各種の指導をいたしておりますし、また地元市町村との関連につきましても、今回の閉山によりまして混乱の生じないように持っていくということでございます。  石炭全般につきましては、昨年の七月に石炭鉱業審議会で新しいエネルギー事情の見直しというものが行われまして、二千万トン維持の政策というのを立てておられます。その中で、今回の常磐炭礦西部礦閉山は非常に残念な事態でございますが、石炭の新しいエネルギー事情のもとにおける重要性というものを十分認識しながら今後の石炭政策を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  31. 上坂昇

    上坂委員 この前のいわゆる閉山については買い上げ措置というような措置がとられたと思いますが、今度の閉山に伴う措置としてはどういうものが考えられているのか、お答えをいただきたい。
  32. 高木俊介

    ○高木説明員 いままでの閉山につきましては、例の炭量あるいは坑道等の評価によります閉山交付金という制度がございまして、そういう政府から出します交付金によりまして後始末をやっていただいたというのが現在までのあれでございますけれども、一昨年より、閉山のために国から出します交付金関係につきましては、いわゆる労働債務あるいは一般債務、鉱害債務という三つに分けまして、労働債務につきましては、労働者の勤務年数その他に応じましての各人の退職金の計算をいたします。なお、一般債務につきましては、やめられる前のいわゆる中小業者あるいは火薬その他の売掛金に対します債務がございますので、その分をトン幾らということで決めて支出するようにいたしております。なお、鉱害問題につきましては、復旧費トン幾らということで、この労働債務、一般債務、鉱害債務という三つを交付金として山の方にお渡しするようになっております。  なお、そのほか、閉山しました後の跡地振興の問題につきましては、地域の市町村の方にいわゆる産炭地の臨時交付金という形で、これもトン百十五円でございますけれども、そういう財政の援助というような形で、産炭地を通じまして地域振興のために支出しているような次第でございます。
  33. 上坂昇

    上坂委員 この閉山によって、先ほど申し上げましたように、常磐共同火力勿来発電所に対する影響というものはどんなふうになっていくのか、お答えをいただきたい。
  34. 高木俊介

    ○高木説明員 共同火力につきましては、常磐炭礦を初めといたしまして、当地にございます。ほとんど露天掘りでございますけれども、中郷あるいは望海、新隅田川というような中小炭鉱の露天掘りの炭をもちまして供給していることと、もう一つは、東京電力を通じまして太平洋炭を約二十万トン年間納入しているのが実態でございます。  今後この西部礦閉山によります供給といたしましては、低品位炭が主体でございますけれども、国内の低品位炭をできるだけ活用していただくということで、実は太平洋炭礦の方と常磐共同火力の方で今後の引き取りについては話ができておるということを聞いておりますし、また私どもも、将来安定して石炭を供給する、あるいはその低品位炭を供給することが、残っております石炭山の生産にも影響することでございますので、そういうことの中に立ちまして、太平洋炭礦株式会社と常磐共同火力の間で今後の需給関係については問題のないように処置しているつもりでございます。
  35. 上坂昇

    上坂委員 いまお答えをいただいたように、この常磐炭礦閉山は非常に技術的にもやむを得ない状況の中で閉山をしなければならなかったということでありますが、四十六年の閉山当時は高成長時代だったわけです。したがって、地域に与えた影響も非常に大きかったのではありますけれども、就職といった面については比較的よい結果が出てきたというふうに思います。  しかし、今回は、いまのような低成長時代になりまして、特に失業者人たちは四十八歳以上という高年齢でありますから、就職が非常に困難であろうというふうに思います。就職が困難であるだけに、地域に対する社会的、経済的な影響というのは非常に大きくなると見なければなりません。そこで、どうしても働きたいけれどもいまの山の条件では働くことができない、労働組合としてもこれを認めざるを得ないというような状況になってしまったわけでありますが、離職者対策ということがやはり当面一番大きな問題になってくるというふうに考えております。  そこで、当面、すぐこれらの離職者を就職をさせるということも非常に困難であります。そこで、いま考えられることは、新しい職業分野に進むということが必要になってくるのではないかというふうに思います。  そういう点で、雇用促進事業団法によるところの援護業務に入りますいわゆる高等職業訓練の問題でありますが、いわき市の内郷に内郷総合高等職業訓練校があります。これを拡充をしていただかなければならないのではないか、こういうふうに考えておるわけでありますが、問題になりますのはこの入校の時期であります。九月いっぱいで失業する、直ちに入校というわけにはなかなかいきません。  もう一つは、この訓練校の各科目に対する定員の問題であります。現在炭鉱離職者以外の一般の中卒等が非常にこれに入ってきておりまして、もしここに常磐炭礦の離職者が新しく加わるとするならば、一般の入校希望者が非常に困る状態が出てまいります。そこで、この各科目別の定員の増員を図る、あるいは施設の増設を図るということがまず第一番に必要になってくるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。  それからもう一つは、そこまでいく間に対策をどうするかという問題が残るわけでありますが、このいわゆる定員をふやすということと、それから増設を図っていくということについて、これは一体可能であるかどうか、この点について、労働省からおいでになっておればお答えをいただきたい。
  36. 中野光秋

    ○中野説明員 ただいま内郷総訓の職種、定員をふやしてもらいたいというような御質問でございます。この常磐炭礦閉山に伴います離職者対策につきましては、私どもといたしましても十分措置をしてまいりたいというふうに考えているわけでございまして、現在地元におきまして離職予定者につきましてアンケート調査を実施しているようでございます。そのアンケート調査の結果を待ちまして、訓練校の定員の増をしなければならないかどうかということも検討をしてまいりたいというふうに考えております。どうしても入校希望者が多いという場合には、もちろんこの内郷訓練所の職種増設ということも考えていきたいというふうに考えております。
  37. 上坂昇

    上坂委員 いまのアンケートによるところの調査を待って対策を講じたいということでありますが、その場合、増設、増員を図るという場合に、これはいわゆる昼間の訓練の増設を図る用意がある、こういう意味かどうか、お答えをいただきます。
  38. 中野光秋

    ○中野説明員 夜間訓練と申しますのは技術的に非常にむずかしい問題がございます。この訓練生の管理の問題とか、その他いろいろむずかしい問題がございまして、なかなかむずかしいのじゃないかと思いますけれども、県立の訓練校も近くに二ヵ所ほどございますので、その県立の訓練校も動員をしながら、できるだけ昼間にこれらの人たちに訓練をやっていきたいというふうに考えております。
  39. 上坂昇

    上坂委員 いまの点については十分考慮をしていただくように要望いたしておきます。  次に、地元への就職の問題でありますが、いま地域振興整備公団によるところの産炭地部門として鹿島工業団地が造成をされております。しかし、やはり企業の誘致が非常におくれております。いまのような低成長期の時代に設備投資をするということは非常に困難でありますから、おくれるのは当然であろうと思いますが、非常におくれております。そこで、産炭地域の地区指定の存続ということを地元の市が非常に望んでおるわけでありまして、その意味で六条地域を再検討をしておるということを聞いておるわけでありますが、ぜひ六条地域の存続ということについて考慮をしていただきたい、これが希望であります。そのことについてそうしたことが可能であるかどうか、お答えをいただきたい。
  40. 増田実

    増田説明員 この産炭地域振興対策につきましては、これは過去十五年かやっておりまして、地域によりましてはかなりの効果が上がっている地域もございます。それから他方におきまして、依然として閉山が続きまして、その疲弊からの脱却ができない地域があるということで、この両方をいかに処理するかという問題が出ております。そういう意味で、先生からただいま御指摘になりましたすでに六条地域の指定をされております地域についても、これを先ほど言いましたような考え方から、一部には六条地域からはずすということを検討いたしております。  ただ、この検討につきましては、今後の産炭地域振興制度のあり方、今後の進め方につきましては、先般七月十六日に産炭地域振興審議会を開きまして、根本的な見直しをいたそう、こういうことになっております。そういうことで、この審議会におきます今後の議論を踏まえまして、今後の六条地域の指定につきまして検討していきたいと思います。  しかし、いずれにいたしましても、地域振興ということに支障がないように、これらの地域指定あるいは地域指定の廃止というものは慎重に行いたい、こういうふうに考えております。
  41. 上坂昇

    上坂委員 御承知のように、いわき地区におきましては、産炭地の工業団地造成と、それから工業再配地部門の好間中核団地というのがあります。それからもう一つ、地方都市整備部門としていわきニュータウンの建設が行われておるわけでありますが、実は工業再配置の部門につきましては、これはまだまだこれからの問題であります。したがって、やはり当面鹿島工業団地というものの造成を図っていくということが非常に大切な問題になってきます。そこで、これについてはこの六条地域としての存続をぜひ希望いたしたいというふうに思います。  それから、マル炭と開就事業についてでありますが、炭鉱離職者臨時措置法によるところのマル炭事業あるいは緊就事業、開就事業については、これはぜひ存続をしてもらいたいというふうに思うわけであります。五十二年の三月までにこれは見直すのか、あるいは期限切れにして廃止をするのか、そういう状態のところへ来ているのではないか、こういうふうに考えられております。したがって、地元では非常にこれに対する不安を持っておるわけであります。  この事業をぜひ継続をしてもらうことと、それからもう一点は、事業単価が非常に低いのですね。そのために地域のいわゆる超過負担、持ち出しが非常に多くなってきている。閉山に伴って、税金その他収入がやはり減ってまいります。そういうことを考えた場合に、事業費の増額ということがやはり地方自治体の財政確立のためにどうしても必要になってくる。この見直しの用意があるかどうか、この二点についてお伺いをしたい。
  42. 守屋孝一

    ○守屋説明員 まず第一点の緊就事業、また産炭開就事業につきましては、私どもも現在の就労者の方々の生活なり、また就労の実態というものを十分勘案いたしまして、今後当然、先生の御指摘のような継続という方向に向けて五十二年度も対処してまいりたいというように考えております。  また、両事業の事業費の単価問題でございますが、この点につきましても、この事業が円滑に制度目的を十分達成できるように、単価問題につきましてもより適正な単価になるように努力してまいりたい、かように考えております。
  43. 上坂昇

    上坂委員 それはぜひ、適正なという言葉が非常に問題になるので、適正でいつも超過負担をさせられているわけでありますから、本当に適正であるように考慮してもらわなければ困る。  そこで、今度は石炭の問題でありますが、全般的に先ほどちょっと長官からお答えをいただきました。貝島炭礦の閉山が決まったというふうに伝えられております。ここでもまた三、四十万トンの石炭が減る。そこへもってきて幌内鉱の問題がある、常磐礦の問題がある。こういう点で、二千万トン体制というのが非常に崩れてきている。政府の考え方によりますと、昨年並みの千八百六十万トンの実績しか保てないのじゃないか、こういうことを言われておるわけでありますが、しかしその後の、いま言った常磐とか貝島の炭鉱閉山によってこの見込みがもっと減ってくるのではないか、こういうように考えられる。そういう点について、いまどういうふうに石炭全体の政策として対策を立てられておるか、これが第一点。  それからもう一つは、先ほど茨城鉱区の露天掘りの問題がありましたが、常磐炭田で唯一の露天掘りの鉱区が茨城地区に残るわけであります。これをぜひ増産をさせるような体制をとっていただきたいというのが、長い間、百年以上にわたって常磐炭田に暮らしてきた地域住民の切なる願いであります。そういう点も考慮していただけるかどうか、この点についてお答えをいただきたい。
  44. 高木俊介

    ○高木説明員 初めの二千万トン体制の問題でございますけれども、昨年七月に答申で国内炭二千万トン以上ということでいただいたわけでございまして、これのもとになります資料でございますけれども、約一年にわたりまして各山をそれぞれ分析いたしております。当時、二千三十万トンございました当時の現有鉱としては、恐らく五十五年、六十年度には千八百万トン前後にドロップするというような計画を立て、なおそれを補うべく新鉱開発、あるいは事業団の所有しております消滅鉱区、保有鉱区についての再開発、そういうものを入れまして二千万トン以上の体制を確立するという思想に立ったわけでございます。  いま先生の御指摘になりました貝島炭礦あるいは常磐炭礦というのは、申しわけないのでございますけれども生産量としては当時から見ていなかった山でございまして、この数字を事前に、どの山がいつ閉山するというようなことを役所として公言しますことは、いろいろ労使間の問題、あるいは需要業界、あるいは火薬その他を売っておられる業界、あるいは金融という問題で問題がございますものですから、山別には御説明しておりませんけれども、そういうようなことで、いまのところ私どもとしましては二千万トンの体制に支障を来したということには考えておらないのでございます。  なお、先ほど申し上げました常盤地区の三炭鉱の露天掘りにつきましては、これは需要もあることでございますので、できるだけいま先生の御指摘のような増産の方向でいけたら、そういう方向で持っていきたいというふうに考えております。ただし、いずれにせよ不足するという考えでございますので、先ほども申し上げましたように、太平洋炭の一部を納入し、需給には問題がないように処置はしておるつもりでございます。
  45. 上坂昇

    上坂委員 次に、質問を変えます。  分野調整法案の問題と、それから先ほど粕谷委員から出た問題についても私からなお質問していきたいというふうに思います。  中小企業分野の、私たちは確保法と呼びますが、確保法ないし調整法について、中政審の分野調整委員会で法案作成についての作業が進められている、こういうふうに聞いているわけでありますが、この作業の進捗状態はどうなっているかについてお答えをいただきたいと思います。
  46. 齋藤太一

    齋藤説明員 先般、先国会のおしまいの日に、分野調整問題につきまして政府は法的措置の確立について可及的速やかに措置をとること、こういうふうな決議ををちょうだいいたしましたので、その決議の趣旨に沿いまして、先般来、中小企業政策審議会の中に分野調整委員会というものを設けまして審議をお願いいたしておるところでございます。  小委員会は、第一回を七月七日に開催いたしましたが、その後七月十六日に第二回を開催し、きょうだだいま第三回を開催いたしております。  第一回におきましては、総論的な検討並びに今後の進め方等の討議をいただきました。第二回には、主として中小企業の代表の方々に参考人として出席をお願いいたしまして、中小企業方々からの要望の陳述をいただいたわけでございます。きょうは、過去に進出をいたしまして紛争を起こしたことのある大企業の方の事業者の代表者を呼びまして、その辺の経緯等を参考人として述べていただくことにいたしております。また、きょうは消費者の代表の方、並びに中小機械メーカーの代表の方、こういった方々もお呼びをいたしております。
  47. 上坂昇

    上坂委員 いま作業状況を聞きましたが、臨時国会が多分あるだろうと思いますが、そこにかけられるところまで作業が進む、こういうふうに私たちは解釈をしたいのですが、いかがですか。
  48. 齋藤太一

    齋藤説明員 この問題は非常に関係する分野が広うございまして、各種の法律とも関係がございます。また競争政策その他の中小企業政策の基本とも関連する問題でございまして、この検討には慎重と申しますか、時間を要すると考えるわけでございます。  ただ、この国会の決議もございますように、可及的速やかにという御趣旨でございますので、幅広く検討はいたしますけれども、できるだけ急いで結論を得たい、かように考えておりまして、ただいま申し上げましたように、今月も三回すでに開いております。今後もなるべくこの小委員会の開催の間隔を短くいたしまして頻繁に開くということで急いでまいりたいと考えておりますが、臨時国会に提案の運びになりますかどうか、ただいまのところまだめどを得ておりません。
  49. 上坂昇

    上坂委員 過日、経済企画庁は、この立法措置による中小企業保護政策には基本的に反対の姿勢を打ち出しているようであります。これに対して通産省としてはどういうふうに見解を持っておられるか。新聞によりますと、こういうのが出ておりますね。「この法案には熱がはいらず、しぶしぶの検討を進めているのが実情で、」これは通産省のことですよ。「経済企画庁のこの法案に対する反対姿勢は通産省にとっても有難い援軍になりそうだ。」こう言っているのですね。こういうふうになると、これはなかなか実現がむずかしくなるわけであります。  そこへもってきて、今度は公取委員長が何か軽井沢で行われたトップマネジメント・セミナーの講演で、この分野法の問題は独禁法上からも法案制定は好ましくないというような発言をしておられるというふうに伝えられているのですよ。これは真相かどうかわかりません。そういうことになりますと、あちこちから援軍が出てくる。やらない方の援軍が出てきたのでは非常に困るのであって、私たち国会を無視されたことになります。  これは通産大臣にお聞きしたいのですが、いまのようなことに対して通産大臣としてはどういう見解を持っておられるか、お伺いをいたしたい。
  50. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 前国会の最終日に全会一致で分野調整についての決議がございましたので、その御決議の趣旨を受けまして、ただいま長官が申し述べましたような手順で現在作業を進めておるところでございます。お述べになりましたようないろいろな意見はあるいはあるかもわかりませんが、通産省といたしましては、決議の趣旨を受けまして一刻も早く法案の作成を完成したい、かように考えておる次第でございます。
  51. 上坂昇

    上坂委員 通産大臣からそういうお答えがあって私たちもいささか安堵——いささかなんて言っては失礼でありますから、非常に安堵するわけであります。ところが、援軍であるところの公取委員長の方で余り水を差すようなことをされたのでは困る。余りよけいなことをあちこちで講演されたのでは困るのであります。ただ、これは新聞報道でありますから、あなたがそういうことを言っているのだというふうにとっているのではありません。この真相は一体どうなのかということを、ひとつ公取委員長からお伺いをいたしたい。
  52. 澤田悌

    ○澤田説明員 お答えいたします。  過般、軽井沢のセミナーで私がこの問題についての所感を申し述べたのでありますが、いろいろな新聞が、同じことのどの辺に重点を置いたかというようなことで各新聞まちまちに報道されております。必ずしも私の真意が伝えられておりませんので、きょう率直に申し上げたいと思います。  独禁法のたてまえからのみ一般論として申し上げますと、大企業が正当な手段をもちまして各事業分野進出するというようなことをいたずらに抑えますと、企業新規参入を阻害することになりますし、業界の合理化あるいは刺激による技術の進歩等が妨げられて、ひいては消費者利益を害するようになるおそれがある。自由にして公正な競争を維持する独禁法のたてまえから申しますと、こういう方向は避ける方がむしろ妥当ではないか、一般論としてはこういうことになるわけであります。反面、大企業がその資本や規模の大きさ、強い地位を利用して、ダンピングでありますとか、過大な景品をつけるとか、いろいろな拘束的条件をつけたしぶりによって中小企業分野進出するというようなことがありますれば、これは不公正な取引、不当な取引でございますから、当然厳しく排除されるというのはもちろんでございます。  一般論としてはこの二点でございますけれども、ただいま通産大臣からお答えもございましたように、非常にむずかしいこの問題は、実はこういう一般論を越えた高度の政治問題と申しますか、立法政策の問題に相なっておるのでありまして、この委員会におかれましても一致した御決議があるのであります。私どもは目下中小企業分野調整問題についての小委員会の審議を見守っておる、こういう次第でございまして、立法相なりますようなときでも、消費者利益を害されないような方向で各企業消費者調整が図られますようにこいねがっておるような次第でございまして、これが本当の気持ちでございます。
  53. 上坂昇

    上坂委員 消費者利益を阻害しないということがたてまえであるということはよくわかります。ただ、私たちが問題にしているのは、大企業中小企業分野進出することによって、最初のうちは競争原理が働くという形になりますが、それがだんだん中小企業が減っていってしまいまして、いわゆる寡占化、独占化の方向に向かっていってしまうということになりますと、むしろそれは価格的には、独占価格とは言いませんけれども、いわゆる自由競争の原理が働かなくなってくる、ここに私たちは非常におそれを抱いているわけであります。それが最近、こうした低経済成長時代には特に激しくなってきておりまして、中小企業分野が非常に困っておる。そこで、これはいろいろな情勢を考えて、どうしてもこれ以上大資本あるいは大企業進出は許してはならない、こういう段階に来た、そうした認識の上に立って国会はこれを一致して決議した。ここのところを踏まえてひとつ対処をしていただきたいというふうに思うわけです。  そこで問題なのは、具体的な例を申し上げたいと思いますが、先ほど粕谷委員からも出ましたが、最近三越デパートの本社で葬祭の事業を取り扱うようになったのです。全国には葬祭店というのは大体四千五百の事業者がおります。三越の本社がやるということになりますと、とにかく年商四千億円を超す大企業であります。三越に聞くと、三越は決して大企業ではないというようなことを言っている。小売業だから大企業ではないのか、こういうばかな話をしたわけでありますが、そういうことを言っているのであります。これが全国の主要都市につくられているいわゆる支店網を通じ、あるいはグループで——いまは小売店がいろんなグループを結んでいることは御承知のとおりであります。これは三越グループであるとか、西友グループであるとか、松坂屋あるいは高島屋グループとか、たくさんあります。そういうところへ波及をしていくということになったらとんでもないことになってしまう、こういうふうに思うわけであります。  三越デパートの本店でやっているのは、祭壇に関係しては大体二八%の戻しを取っている、そう言われております。それから、印刷とかなんとかあります。これは会葬に対するお礼の印刷とか、それから花とかあります。そういうものについては一五%の戻しを取る、ここまでやられているわけであります。いまは一企業に対して契約を結んでこれをやらしておりますけれども、将来は恐らくこれは独自で経営をすることになるのではないか、こういうふうに私は思います。  そういう点で、最近中小企業分野に対する大企業進出というのは非常にえげつなくなってしまう、もう見境なく事業の種類を問わず行っているという状況のような気がするわけであります。こういう点をひとつ踏まえて、これについて何らかの通産省としての措置をとってもらいたい、こう思うわけでありますが、こうした問題を通産省としてつかんでいるかどうか、この点についてお伺いをするのと、もしつかんでいるとすればどういう対策を立てられるか、そして、こうした状況の中で分野法に対する新しい認識というものをやってもらわなければならない、この辺のところをひとつ御意見をいただきたいというふうに思います。
  54. 天谷直弘

    ○天谷説明員 三越の件につきましては、本年五月、三越が葬祭承り所という窓口を開設いたしまして、そこで申し込みを受け、これを葬祭業者に実務を委託するという形の仕事を始めたことを承知いたしております。  三越の方の言い分によりますと、消費者といいますか、亡くなった場合にその喪主の方は葬儀屋さんとはふだんつき合いがないものですから、その際に非常にあわててしまってどうしていいかよくわからない、そういう場合に三越等でそういうなれない仕事を取りまとめてもらって、信用の置ける葬祭業者に取り次いでもらえるというようなサービスをしてくれれば都合がいいというような顧客の声もあったので、そういう仕事を始めた。しかしながら、その問題がかなりいま広範な問題を引き起こすという点につきましては、必ずしも十分な注意がなかったようでございます。したがいまして、今後の方針でございますけれども、いま先生が御指摘になりましたような支店に仕事が広がっていくというようなことに関しましてはきわめて慎重に検討をするということを申しておりますし、われわれもその方向で指導をしたいと思っております。     〔委員長退席、前田(治)委員長代理着席〕  それからまた、三越が自分で実施業務までするという問題につきましては、これも三越はいまのところそういうことは考えていないようでございます。現在はこの実施をする業者葬祭業協同組合のメンバーでございますから、三越、それから協同組合、その業者、関係者の間で円満に話をして問題が起こらないという方向に指導をしていきたいと思っております。
  55. 上坂昇

    上坂委員 三越がいま、いろいろ葬儀店とつき合いがない需要者の声がなかなか反映できない、こういうことでやっているのだということでありますが、東京ですから、なかなか葬儀店を見つけるということも需要者の側から見れば困難であるかもしれません。  しかし、実際には、ここにありますが、「御紹介票」というのがありますね。「  様を御紹介いたします。御来店の節は格別の御便宜をお計りし、充分サービス・御相談に乗るようにお願い申し上げます」年月日を入れて、株式会社のいわゆる葬儀店の名前が入っているわけであります。そして「三越外商部御中」として、そういうところへ出しているわけですね。こういうふうに、葬儀店の方では三越のいろいろなお返し物であるとか印刷物であるとか、そういうものについて十分連絡をとって実際はやっておられる、お互いに協調しながらやろうという精神であろうというふうに思います。ところが、三越の方では、こういうふうな組合との間の取り決めといいますか、協定があるのに、みずからやり始めてしまったということについては、私は、いまの考え方はやはり非常に中小企業いじめになるのではないか、こういうふうに思います。  いまの葬祭事業では、農協が地域的にはやっておるのです。それから、いわゆる互助会ですね、冠婚葬祭の互助会というものが最近乗り出してやっておるわけでありますが、これらを含めても大体シェアは三〇%であります。七〇%は全くの零細企業がやっているわけです。しかもこの葬祭店などというのは、合理化あるいは共同化が非常にむずかしい、全く家族的にやっている零細企業であります。そういう意味近代化するということが非常に困難な条件にある、したがって、こういうところに対する進出というものについては、単に業者との話し合いという形じゃなくて、通産省がやはり間に入って、そしていろいろと指導をするということが望ましいというふうに思う。その点をぜひ進めていただきたいと思いますが、その点いかがですか。
  56. 天谷直弘

    ○天谷説明員 関係者の間で円満に話をつけ、中小企業分野を三越等が侵害するというようなことがないように指導をいたしたいと存じます。
  57. 上坂昇

    上坂委員 これは通産大臣も公取委員長も聞いていただきたいのですが、この前はヤクルトがクリーニング部門に進出をいたしました。そして、ヤクルトをとっているお客に対してはものすごい安い値段でクリーニングを受ける、こういう状態すらあるのであります。  それからもう一つは、私の方へ来ているのは警備会社でありますが、全国の規模を持っている警備会社が地域に進出をいたしまして、電信とか何かのいろいろな防犯の施設があります、そういうものについてはただにする、ということは無料たんですね、そういう見積書を出すわけであります。そうしますと、これはとても地域の警備会社が太刀打ちできるものじゃありません。そこで非常に困っておりまして、そしてその地域の警備会社がつぶれると、今度は恐らくもとの値段に変えてしまって、いわゆる防犯設備から何からすべてこれが見積もりに入る、こういう結果になってくることは目に見えているわけであります。こういうやり方が大企業のやり方で、これが全国的に波及したら大変なことになってしまうわけであります。  そうした意味で、この分野法というのは、なるほど業種指定というのは非常にむずかしいと思いますけれども、しかしできるだけそうした形のものができるようなところへ持っていくということが、日本の経済を支えている中小企業の対策としては非常に大切なことではないか、こういうふうに考えるわけであります。そういう点で、これはひとつ十分お考えになっていただいて、早急にこの事業分野法の制定について努力をしてくださることを心からお願いをいたしたいと思いますが、いまの私の意見に対して通産大臣はどう考えておるか、もう一度御意見をいただきたいと思います。
  58. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 中小企業分野調整というのは非常に大きな問題でございまして、通産省もこれまでは行政指導を中心にこれを行ってきたわけでございますが、いまいろいろの例を挙げてお話がございました。十分実情を掌握いたしまして、さらに行政指導を徹底いたしまして、トラブルがないように持っていきたいと考えております。
  59. 上坂昇

    上坂委員 質問を終わります。
  60. 前田治一郎

    ○前田(治)委員長代理 加藤清二君。
  61. 加藤清二

    加藤(清二)委員 お許しを得まして質問を続けたいと存じますが、経企庁長官福田副総理は、要求しておきましたが、まだ来られないのですか。
  62. 前田治一郎

    ○前田(治)委員長代理 副総理は間もなく見えるそうです。
  63. 加藤清二

    加藤(清二)委員 最初に福田副総理にお尋ねしたかったのでございますけれども、それじゃそれを後回しにいたします。  このごろ、休会なものですから、地元をそれとなく回って見るのですよ。新聞、雑誌はロッキードで、朝から晩までロッキード、ロッキードということになっていますが、農山漁村へ参りまして国民のじかの声に接してみますと、必ずしもそれが今日の国民の目標ではないようですね。第一番に出てくる問題は、物価値上げ反対です。第二番に出てくる問題は、仕事がないから何とか仕事をつくってもらいたい、つまり言えば景気を早く回復してもらいたい、一体、衆議院の先生たちは朝から晩まで全部ロッキード、ロッキードで飯が食えるかもしれませんけれども、われわれはロッキードじゃ飯は食えません、こういう素朴な声が返ってくるのですね。  そこで、お尋ねしたい問題は福田副総理ですけれども、いらっしゃらないからここを飛ばしまして、公取委員長お尋ねしたい。  高橋さんは、この委員会へ病気を押して何度も何度も見えました。国民の皆様から、高橋さんの活躍を期待し、あの人の言動に対して拍手が送られておりました。しかるところ、御病気のゆえをもっておかわりになりまして、今度あなたがおなりになった。エリート中のエリートですね、日銀出身ですから。国民の期待は大きいのですが、残念なことに、最初おっしゃる言葉がこの委員会とは少しズレがあるように思う。  失礼なことを申し上げますが、あなたは日銀にいらして経済のことはお詳しいでしょうし、金融のこともお詳しいでしょうが、中小零細企業が今日景気のどん底でどれほど呻吟苦労しているかということをひとつよく御認識の上、ゼミナーでも御発表を願いたい。——待ってました、福田さん、あなたがいらっしゃるのを待っていましたよ。けれども、いらっしゃらぬから、ちょっと順序を変えましたから。  そこで、公取の委員長お尋ねする。独禁法の改正は、本委員会で全党一致、総員起立で決めたことなんだ。そのことについてあなたはどう思っていらっしゃるのか、事務引き継ぎの場合にどう受け取られたのか、ここが聞きたい。  次に、そのことには触れずに、これまた本委員会で長年かかって努力に努力を重ねて積み上げてきた分野法の問題について、頭から水をぶっかけるような発言ばかりなさる。だから、さっき上坂君がああ言わざるを得ぬことになる。  それは大企業はあなたの行動に対して拍手喝采でしょう。しかし、あなたはいま日銀じゃありませんよ。あなたの立場は、日本の経済憲法の番人であり、一般日本国民経済を守る一番の司令官であるはずなんだ。その人が大企業が喜ぶようなことばかりおっしゃっている。月給は日銀から出ているのじゃありませんから。あなたの所見を承りたい。
  64. 澤田悌

    ○澤田説明員 厳しいおしかりでございますが、大分私の真意と違いますので、釈明かたがた私の考えを申し上げて御了解を願いたいと存じます。  高橋前委員長は、私、長年の知り合いでございまして、よく知った仲でございます。彼が病気を押して独禁法の運用、その改正に情熱を注いでおりましたことについては、私、非常に敬意を表しておったのであります。はからずも私はその後を引き継ぐことになりました。その後の私の姿勢については、毎々、前国会におきましても御質問お答えいたしておるのでありますが、独禁法は御承知のように経済運営の基本的ルールを定めてまいるものであります。長期的な視野に立って、一貫した方針のもとに運用さるべきことは申すまでもございません。委員長がかわったからと申しまして、運用の姿勢が変わることはございません。私、現在まで四ヵ月近く、引き続き厳正な方針をもって運用してまいったことを申し上げておきたいと存じます。  それから、独禁法改正の問題につきまして、これは非常に重要な問題でございます。高橋君からも引き継ぎを受けておりますが、公正取引委員会といたしましては一貫して、前々七十五国会におきまして衆議院が修正の上、全会一致で可決いたしました案を尊重し、その実現を現在も望んでおるのでございます。これははっきり申し上げて差し支えないと存じます。  その後参議院で廃案になりました結果、政府におきましてまた練り直して新しい法案を前国会に提出されたのでありますが、これについて申し上げますと少し誤解を受けるようでございまして、申さない方がいいのかもしれませんけれども、あえて申しますと、公正取引委員会は現実に法の運用をいたしておる行政機関でございます。その法の力を多少でも補える改正がこの際できることは望ましいのでありますから、あの新しい政府案といえども、課徴金というようなカルテルのやり得を是正する条項、あるいは企業の支配力を制限する持ち株の制限の条項、罰則の強化等が入っております。ぜひあの案でも通過していただきたいということを申し上げておるのでありますが、これを申し上げますと、おまえは高橋より後退したと、こういうことに相なりまして実は弱るのでありますけれども、その辺は御了察願えるかと存ずるのでございます。  それから、もう一つお尋ねの、先ほども前の先生お答えしたのでありますが、分野調整の問題でございます。これは先ほども申しましたのでありますが、独占禁止法の単純なる一般論から申しますと、あらゆる企業が公正、自由に競争をしながら経済行為を営んで消費者のために利益を図るという姿が望ましいのであります。しかし、大企業がみずからの資本や巨大な地位を利用して中小企業分野に不公正に、不当に進出するというようなことがございますれば、これは独禁法のたてまえに従いまして厳重に排除いたします、これが独禁法一般のたてまえでございますと、こう申しておるのでありますが、今度の問題をずっと経過を見ておりますと、大企業が仮に正しい行為によってでも、大きいものが小さいところに入っていくことについての制約が必要ではないかという問題になっておるように、そういう部面もあるように伺います。こうなりますと、もう私どもの独禁法の分野を越えた高度の政治問題、立法政策の問題に相なります。  この委員会におきまして御決議もございましたように、現在立法に取りかかっておるわけでありますから、小委員会の推移を見守りながら、できるだけ独禁法のたてまえが、消費者利益ということが損なわれないような立法ができますようにこいねがっておるというのが偽らざる心境でございまして、御了察願いたいと存じます。
  65. 加藤清二

    加藤(清二)委員 あなたの答弁を簡単に言うと、独禁法の改正については今後とも高橋さんの意思を継いで努力する、それから分野法については、別にこの国会における行動、通産省における事務的推進に頭から水をぶっかけるような意思はないと、こう受け取ってよろしゅうございますか。
  66. 澤田悌

    ○澤田説明員 よろしゅうございます。
  67. 加藤清二

    加藤(清二)委員 失礼なことを言いますよ。失礼なことを言いますが、あなたはいままでのおつき合いがとかく大企業が多かったのですよ。頭はよろしい。日本一のエリートである。過去は大変輝かしいコースを歩いてみえましたけれども、今度の公取委員長という役は、大企業だけを守っておれば、そこへだけ金を貸しておれば事が足りるという仕事ではないと思う。私は、かつての委員長横田さん以来、ずっと公取の委員長の御高説を拝聴し、勉強してまいりましたが、歴代の公取の委員長は、大小の別はありますけれどもりっぱに業績を残された方々だと思っておるのです。ひとつ、ぜひあなたもがんばっていただきたい。  と申しますのは、この独禁法の場合は、共産主義圏にはない、ソシアルパーティーの国にはない、これは自由主義圏にのみあることだ、だから自由主義経済の擁護の法律である、こういう三段跳びの論理を平気でしゃべる学者もいるわけなんです。とんでもない話なんです。自由は大切である。自由主義経済が今日日本に行われている。しかし、放任しておくと弱肉強食になる、適者生存になり過ぎるおそれがある。だから交通整理をし、ブレーキをかける役が必要である。下世話の、国民にわかりやすく言うとそういうことなんです。  交通整理が必要である。トラックと歩道とが一緒では困る。新幹線のレールと自転車道路が一緒では困る。何が困るか。弱い方がはね跳ばされる。だから、天下の道路は自由に歩いてもいいけれども、交通整理が必要になる。交通規則をつくることになる。つまり適者生存でなくして、弱者にも強者と同じく生きる権利を認めてやるというところにこの基本精神があるはずでございます。  独禁法の修正はする、この分野法は努力して促進するとあなたがおっしゃるならば何をか言わんやですけれども、財界の中には、ともするとそれを邪魔者扱いにしたり、気違い扱いにしたり、高橋さんのごときは病人扱いにされたのです。そういうことをあえて押し切っていかなければならぬあなたの前途は、非常に険しい道だと思う。しかし、あなたがもし一、お隣にいらっしゃる福田副総理、やがての総理でしょうけれども、隣の河本さん、同じように選挙をやる身です、選挙をやる身になってごらんなさいよ、私のいま申し上げることが身にしみてわかるはずですから。もう一度所見を承りたい。
  68. 澤田悌

    ○澤田説明員 御親切な御忠告でありがとうございますが、日銀におりましたので大企業寄りというふうに受けとられますことは、私、非常に残念なのでございます。私、公取委員長を拝命いたす前、六年間国民金融公庫におりまして、中小零細企業の金融問題に粉骨砕身いたしてきた身でございます。中小企業問題がいかに大事であるかということはもう骨身に徹して存じておるような次第でございまして、ただいまの御趣旨に対しまして御期待に沿いたい、かように考えておる次第でございます。
  69. 加藤清二

    加藤(清二)委員 ただいま電気料金値上げの申請が行われまして、通産省ではこれの調査が進められている最中でございます。もしこれが民間事業であったとするならば、私は独禁法違反の疑いが濃厚であると思います。もし民間事業でありとするならば、九電力の値上げのあのやり方は独禁法違反のおそれが十二分にありと思います。今回だけではありません。過去もそうです。西高東低型、東高西低型、これがほとんど一年以内に九電力ともに行われてしまいます。連合会は一体何をやるところか、談合をするところではないかと言われてもやむを得ない、そういう声が方々にある。  これが通産省という保護地帯と経企庁という御意見番とがあって、独禁法違反にはならないように援護射撃をするものですから独禁法違反にはならないでしょうが、もし九寡占事業が一年以内に全部同じような率で上げてしまったとするならば、これは一つずつ区切っても三十日以内ということになるはずなんです。だから、世間に声あって、九電力は独禁法違反を行っているではないか、学者までがそう言っておる。  この閉会中に各党が夏休みの研修会を行っている。その研修会へいろいろな経済学者が来てそれぞれの講義をしておられる。それを聞くともなく手にとってみますと、どうも電力会社の値上げは独禁法違反の疑いがあるにもかかわらず、公益事業、通産省と経企庁の援護のおかげでそれが逃れておる、官尊民卑である、こういう声まで出ておる。もって公取委員長お尋ねする。もしこれが民間であったらどうなるか。
  70. 澤田悌

    ○澤田説明員 普通の民間の企業、それが寡占状態であろうとそうでなかろうとでありますが、共同して料金をあるいは価格を引き上げるというようなことがありますれば、当然カルテル禁止の条項によって取り締まる、排除されるものと考えております。
  71. 加藤清二

    加藤(清二)委員 この問題は、いま公取委員長が重大な発言をしていただきました。後で通産大臣に詳細を承りたいと思いますが、副総理、お忙しいところをわざわざお出ましいただいて、そこに硬直させておいては申しわけありませんから、質問の方向をちょっと変えまして、物価値上げによる値上がりの指数をことしの本会議において五%とか五・五とか、ある人は六%とか言われましたですね。最終的に福田さんは五・五%とおっしゃられたと記憶しておりますが、これは私の記憶間違いでございますか。
  72. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 ことしの予算を編成する際の財政見通しは、卸売物価でたしか四・八であります。それから消費者物価につきましては八%程度、こう申し上げておるはずであります。
  73. 加藤清二

    加藤(清二)委員 本会議の席上で総理が、あるときに五%、あるときに五・五%とおっしゃったと記憶しておりますが、まあ、それはいずれでもいいです。あなたは、消費者物価は何とおっしゃいましたか、もう一度再確認。
  74. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 八%程度であります。
  75. 加藤清二

    加藤(清二)委員 卸売物価は四・八……。
  76. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 四・八%程度であります。
  77. 加藤清二

    加藤(清二)委員 それから消費者物価は八%程度……。
  78. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 さようでございます。
  79. 加藤清二

    加藤(清二)委員 そう再確認をいたします。  そこでお尋ねするのですが、冒頭にも申し上げましたが、休会をいいことに私は地元をずいぶん回ってみました。そうしますると、国民の声は、物価値上げ反対、仕事がないから早く仕事をくれ、この声が一番多いのです。もちろんロッキードは徹底追及してくれ。が、これはもう毎日のように新聞、雑誌、テレビで見ているから、三木さんのやり方に拍手を送っておられる人が多い。しかし、その陰で仕事がないから失業しておる。春闘相場は、大企業は八%前後どまりだったけれども、下請の中小は五%以下であり、もっと孫請、曾孫請の場合は、首切り、配転、賃上げなし、こういうところが多いのです。したがって、ここらは物価値上げが非常に痛いのです。  もしいま行われている電気料金、電報電話、汽車賃等々が上がったらどういうことになるか。朝起きて、電気をつけたら値が上がっておった。ガスをつけて御飯を炊こうとしたら、ガスもお米も値上がりした。出かけようとしたら、またガソリンが上がっていた。タクシー代も上がっていた。タクシーにはとても乗り切れぬからというので、電車で行った、汽車で行った、そうしたら汽車賃もまた値上がりしておった。どこを見ても値上がりばかり。せめてもの娯楽にとテレビをつけたら、これもまた電気料金が値上がりだった。最高に上がった労働者の賃金八%が仮にふところに入ったとしても、出ていく方が多い、これではやりきれぬ、何でそう国民に値上げのつけを回されなきやならないだろうか、何とか加藤さん説明してくれ、こう言うのです。こういう素朴な農民や国民にわかりやすくひとつ御説明を願いたい。
  80. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 物価につきましては、私は国民の意識は、とにかく上昇はしておるけれどもなだらかになってきたな、つまり安定基調という、そういうとらえ方をしておると思うのです。私どもといたしましても、再びインフレと言われるような物価騰貴を起こすようなことは絶対にいたしません。  ただ、そうは申しましても、数字に出てくるこの物価上昇率というのがわりあいに高く出るのです。五十年度で言いますと、消費者物価は年間上昇率が八・八%と出る、これは私どもは決して満足どころか、私は非常に不満と思っている数字なんです。しかし、これがやむを得ない事情があるという点もまた国民には理解してもらわなければなりませんのは、これは一つは海外の物価が上がるのです。わが国は主要の資源をほとんど海外に依存しておる、その資源の価格が上がる。それから人件費が上がるのです。これは、春闘はなだらかに済んだとはいうものの、とにかく八・八%上がっておる、中小のものになりますとなおそれよりも上がっておる、こういうような状態です。  そういう状態で、ある程度の物価上昇というものは避けられない情勢でありますが、そこへもう一つ問題がありますのは公共料金です。物価狂乱と言われたあのころ、これは本当のインフレである、どうしてもこのインフレの火の手を消さなければならぬ、そこで公共料金はこれを厳に抑制をするという考え方をとってきたのです。しかし、この抑制を抑制しっ放しでおくわけにはいかない。しかし、この抑制を一挙に解除するということになりますと、これがまた物価に影響してくる。  そこで、政府が直接関係しておる公共料金につきましては、大体三年ぐらいに分けまして、そしてその石油ショックヘの調整をしたい。つまり、原油の輸入価格が四倍ないし五倍に上がってしまった、それに伴う調整であります。これを三年間ぐらいにならしてやりたいというので、昨年は酒、たばこ、郵便料金、この三つを中心として調整をする、それから五十一年度におきましては国鉄、電信電話料金、この調整をいたしたい、こういうふうに考えておるわけであります。しかし、国鉄、電信電話料金といえども、これを一挙にやりますとこれまた衝撃的であるというので、ただいまのところではこれをまた二ヵ年に割ってやろう、こういう考え方をとっておるわけであります。  そこで、昨年五十年度では消費者物価が八・八%上がったのでありますが、その中で公共料金の占める割合はどうだというと二・七%。八・八%の中で二・七%は酒、たばこ、郵便料金その他の、まあ私鉄なんかは大きいですが、そういうものが二・七です。ことしはその公共料金、これは電力料金等を含めまして、その消費者物価への影響度をどのくらいにするか、まあ二%強にとどめたい。二%強というのは一体何だとこう言われますから、私は四捨五入すると二%になる程度にとどめたい、こういう考えなのですが、さて、そういう考え方を持っておったところ、もう五十一年度は始まった。その経過を見てみますと、電力料金なんかが私どもが当初想定したよりはやや高いところへ出てくるのです。  しかし、そうなりますと八%物価目標というのに支障がありますので、そこで米価です。米価を実は一五%ぐらいを当時踏んでおったのです。財政事情なんかを考慮いたしまして一五%上げということを考えておったのでありますが、これを一〇・二というところへ抑え込む、こういうふうにいたしまして、まあ彼此総合いたしましてこれを二%強、つまり二・四%程度のところには公共料金全体といたしましてこれを抑え込みたい、こういうふうに考えておるわけであります。  まあ、ただいま申し上げましたような特殊な事情がなければ、もちろん消費者物価というものは、今日この基調でありますればこれは定期預金金利の以下になるはずなんです。しかし、先ほど申し上げましたように海外の事情もある、それから公共料金の問題もある、そういうようなことで八%ということを目標とせざるを得ないのですが、これとて決して満足しているわけではありません。早く公共料金問題等も片づけまして、一、二年後ごろにおきましては、これは定期預金金利の水準までぜひ消費者物価の上昇水準というものを持っていきたい、こういうふうに考えております。
  81. 加藤清二

    加藤(清二)委員 ただいまの福田副総理の答弁について質問したいことがたくさんありますけれども、与えられた時間に制限がございますから、簡単に要点をかいつまんで質問します。  私の聞き間違いだったでしょうか。油の値上げの影響を一挙に電気、ガスに及ぼすと影響が大き過ぎるから、三年間かかって徐々にならしていく、こうおっしゃられたと思います。それが事実そうですかということ。  もう一つは、公共料金の値上げを、八%値上げ目標のうちの二%程度にとどめたい、こういう御希望、この意味はよくわかります。すなわち、供出米米価の値上げのときにもあなたが抑え込まれたこと、あるいはさきの四電力の三〇%以上の要求があったときに、それはいけない、三〇%以下に抑えろとおっしゃられた。この御努力、勇気については拍手を送るところなんですが、あと五電力ございますね。この値上げを何%程度に抑えたら、あなたのおっしゃる公共料金は二%どまりになりましょうか。
  82. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 まず第一に、三年間で主要公共料金を一巡させるというのは、主要公共料金のことなんです。電力だとかあるいはガスでありますとか、これは政府が直接やっている事業じゃないのです。国鉄、電電でありますとか、酒、たばこ、郵便とか、そういうものについての料金のことを言っておるわけです。民間がやっている企業につきましては、これは原価計算によりまして政府が認可しなければならぬたてまえにあるわけでありまして、その原価計算をどういうふうに厳格に査定するかどうかというその裁量、これはありますよ。ありまするけれども、これを認可しないわけにはいかないわけでありまするから、これは要請がありますれば、厳密にその原価を査定いたしまして認可をするという考え方をとっておるわけであります。  それから、八%の消費者物価目標の中で二%は公共料金だ、こういうふうに理解されたようでございますが、そうじゃないのです。二%強なんです。二%強というのは一体何だといいますと、二・四%以内、こういうことでありまして、その辺を目途として公共料金政策をやっていきたい、こういうふうに考えております。  二%強の公共料金全体の上昇ということを実現するために、電気料金は一体何%以内でなければならぬか、こういうお話でございますが、公共料金といいますと電気ばかりじゃないのです。民間で言えば、ガスもある、あるいはバスもある、あるいは私鉄あたりは出てこないと思いまするけれども、地方公共団体なんかでは、水道だとかなんとか、こまかいものがいろいろあるわけです。     〔前田(治)委員長代理退席、委員長着席〕 そういうようなもの全部をひっくるめての話でありまして、電気だけについて幾らでなければならぬということはないわけでありますが、見当として、二〇%を大幅に上回るというようなことになりますと、全体の二%強目標というものを実現することがむずかしくなるのじゃないか、そんな感じがいたしております。
  83. 加藤清二

    加藤(清二)委員 福田さん、目標は八%である、公共料金は大体二・四%程度に抑えたいとおっしゃるならば、あなたは大蔵大臣を何回も何回もおやりになった方です、積算があるはずなんですよ。ただやみくもにどんぶり勘定で二・四%なんと言うあほうはどこにもいないはずです。しからば電気料金はどの程度、汽車賃はどの程度、電報電話はどの程度という積算の基礎があるはずなんです。基礎なくしてやってみえるというならば、どんぶり勘定か、いいかげんな話で、それは山の奥へ行ってじいさん、ばあさんに話をするときはそれでいいでしょう。しかし、少なくとも商工委員会数字を扱うところですよ。電気料金の値上げは何%程度でなければ目標値の二・四%にとどめることはできないというぐらいの基礎計算はあってしかるべきだと思う。もう一度承る。
  84. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 それは腹づもりはちゃんと持っておるのですよ。しかし、電気料金は二〇・何%で、ガス料金は二〇・何%で、そんな細かいことを計算しておるわけじゃないのです。まあしかし、電気料金にいたしましても、これは二〇%を相当大幅に上回るというようなことであると八%目標に支障が出てくる、そういうふうに考えておるのです。その辺を考えまして、米につきましては一五%ぐらい上げようかというふうな考え方を予算編成当時は持っておったのです。しかし、どうも電気料金の方が二〇%ぐらいにはおさまりそうもないじゃないかというような感じもいたしますので、米の方でゆとりを持つということにし、これを一〇・二%というところへ決めた、こういうことなんでございます。
  85. 加藤清二

    加藤(清二)委員 それは福田さん、アローアンスのあることはわかっておるのですよ。どんぴしゃり物差しではかったとおりにいかないことは、これは生き物ですから、共産主義のように物差しを入れてしまって定規にはめ込んだものでさえも狂うのですから、いわんや自由主義経済だったら狂うのは、アローアンスがあるぐらいのことはわかっていますけれども、少なくとも消費者物価は八%である、その八%目標に占める公共料金は最高が二・四%であるとおっしゃるならば、その二・四%に含まれるであろうところの電気料金は何%ぐらい——なぜかならば、電気料金が上がるということは、そのものずばりだけではなくて、及ぼす影響が大きいのですよ。物価に及ぼす影響、家計に及ぼす影響、これは逃れっこなしですから。  高くなったら遠慮しておきますと言える相手ならばそれはいいでしょう、タクシー代が上がったから、もうタクシーをやめて電車に切りかえましょうということができるから。しかし、電気だけは、これは切りかえるわけにはいかないのです、どんぴしゃりですから。強制的ですから。及ぼす影響が非常に大きいのです。だから、当然のこと経企庁として何%ぐらいに抑えなければ目標の二・四%を超過するおそれがあるというぐらいのことはわかっておってしかるべきだ。いまいみじくもおっしゃられました、大体電気料金は旧年度の二〇%程度に抑えれば目標値の二・四%は達成できる、こういう計画でございますか。
  86. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 米の関係があるのですが、電気料金だけをとってみますと、これは二〇%程度でありますれば、米の方を一五%上げても二・四%目標は達成できるというふうに考えておるわけです。ところが、どうも電力の方は、通産省で非常に厳密に査定をしておりますが、二〇%程度ではちょっとおさまらぬような、あるいはちょこっと出るような傾向があるのです。そういうような場合があり得ることを考えまして、米の方で、これを一五%という当初の考え方を一〇・二%というところへ抑えまして、そして場合によってはあり得る電力料金の二〇%を多少上回るというような事態に備えたい、こういう考えでございます。
  87. 加藤清二

    加藤(清二)委員 通産大臣お尋ねしたい。  過去に四電力の値上げをすでに行われました。これはほとんどが三〇%近いものでございます。いま五電力がくつわを並べて申請をいたしております。内訳を見ますと、これもまた、ともに三〇%近い要求でございます。そこで承りたい。その三〇%近い要求のうちの内訳、一番値上げ要因になっているファクターは何でございますか。
  88. 増田実

    増田説明員 今回出ております後発五社の値上げ申請の率は、申請で二七・九一%、先生のおっしゃられましたように三〇に近いわけでございますが、この申請の値上げの理由といたしまして一番大きな理由は、燃料費の値上がり、それから資本費、いわゆる新しい設備投資に伴う各種の費用、これが一番大きな原因になっております。
  89. 加藤清二

    加藤(清二)委員 燃料費の値上げは何%ぐらいになっておりますか。平均で結構です。
  90. 増田実

    増田説明員 今度の申請の中で燃料費の寄与率が大体二六・二%、こういうことになっております。ですから、今後の値上げの中の原因の二六・二%、約四分の一は燃料費の値上がりということが申請内容になっております。
  91. 加藤清二

    加藤(清二)委員 エネルギー庁長官、あなたがエネルギー庁長官として答弁なさるのはきょうが最後だろうと思うのです。一生のうちで思い出になるような御答弁を願いたい。  しからば、東電の燃料費は何%に当たるか。
  92. 増田実

    増田説明員 東京電力につきましては、値上げの申請の中の三一・六%分が燃料費、こういうことになっております。
  93. 加藤清二

    加藤(清二)委員 三六%の内訳を聞きたい。それは重油ですか、重油ならAか、Bか、Cか、それとも原油か、ナフサか、あるいはLNGか。
  94. 大永勇作

    ○大永説明員 ただいま長官が申されました三一・六%というのは、値上げのファクターの中の寄与率でございます。先生のおっしゃいます具体的な重油、原油等の問題でございますが……
  95. 加藤清二

    加藤(清二)委員 東電はそれを何%に見積もっているか。
  96. 大永勇作

    ○大永説明員 東電の場合でございますと、大体ここに一つ一つ数字がございますが、たとえば重油につきましては、五十年度の実績は二万八千四百三十一円でございますが、それが五十一年度三万八百七十一円……
  97. 加藤清二

    加藤(清二)委員 それはAか、Bか、Cか。
  98. 大永勇作

    ○大永説明員 これはC重油でございます。大体ミナスの重油が中心でございます。  五十二年度には、FOB五%アップを含めまして三万三千三百三十二円に上がるということでございます。
  99. 加藤清二

    加藤(清二)委員 これもミナス重油……。
  100. 大永勇作

    ○大永説明員 それが大部分でございます。中国の重油はほとんどないと思います。
  101. 加藤清二

    加藤(清二)委員 そこでお尋ねする。ミナスからただいま重油が何ぼ入っておるか。
  102. 大永勇作

    ○大永説明員 重油につきましては、大部分が精製会社から精製したものを買っておりますので、電力会社直接には買っておりませんので、重油の数量はちょっとわかりませんが、生だき原油でございますと、大体……
  103. 加藤清二

    加藤(清二)委員 私の質問に答えてもらいたい。ミナス原油だったら、あなたたちの先輩のファーイーストの東君が一括やっているはずだ、岡田君が後で穴を一つあけたけれども通産省が一番よく知っておるはずだ。昔スチール、今オイル、それが通産省の天下り先なんだから。ファーイーストの東君のところは、全体の輸入量、仮に二億七千にしても三億にしてもだが、そのうちの一割以内ですぞ。  九電力が使う重油は、一体日本全国重油消費の何%になるか。——うそを言っちゃだめだよ。
  104. 大永勇作

    ○大永説明員 ただいま東電の数字がございましたが、東電で重油の消費量は、五十年度におきまして六百五十万キロリットルでございます。その大部分はミナスの原油からとれた重油であるというふうに思います。
  105. 加藤清二

    加藤(清二)委員 じゃ関電はどうなる。中電はどうなる。いいかげんなことを言っちゃだめだよ、あなた。
  106. 大永勇作

    ○大永説明員 中部電力でございますが、五十年度で重油の消費量が三百七十万キロリットルでございます。それから関西電力につきましては、重油の消費量は五十年度で二百五十万キロリットルでございます。したがいまして、この三社で大体一千万キロリットルになるかと思いますが、もちろん全部ミナスというわけではございません。
  107. 加藤清二

    加藤(清二)委員 三社だけで重油の使用量が一千万キロになるとおっしゃいましたね。そのとおりです。ところが、ミナスから入る原油が一体何ぼあるか、重油に歩どまるのは半分しかないのですよ。トータルをとってごらんなさい。だからどうなるか、芦原さんまでがうそを言わなければならぬことになる。そんな数字を黙って受け取るから言えないのだ。だからどういう結果になるか、公害地区の火力電気は何をたくと言ったら、A重油でござい、まさかのときにはミナス原油をたきますと、こう言う。そんな契約が守られるはずがないじゃないか。守られないということは通産省が一番よく知っておるはずなんだ。なぜか。輸入量が決まっておるじゃないか、通関実績がはっきりしているじゃないか。  お尋ねする。いま重油の国際プライスは何ぼだ。そんなことを知らずに査定できないじゃないか。
  108. 大永勇作

    ○大永説明員 国際プライスは存じませんが、東京電力の買っております〇・三の重油の値段は二万九千五百円であると思います。
  109. 加藤清二

    加藤(清二)委員 ナフサは……。
  110. 大永勇作

    ○大永説明員 ナフサにつきましては二万九千七百円程度だと思います。
  111. 加藤清二

    加藤(清二)委員 後で資料として提出していただきたい。  日本の民族系とメジャー系はそれぞれ系統があり、売り値もやや異なっている。そこの重油の大口売り渡し価格、これを私はとって持っておる。通産省がどれだけ認識しておるかを聞きたいから、これを資料として御提出願いたい。  なぜこんなことを言わなければならぬかというと、このごろ民間の公聴会が盛んに行われている。民間の公聴会で質問をすると、東電の場合を初めとして答弁ができない。石油の値について、その価格は何の価格だと尋ねると、公示価格だという答えが返ってくる。電力会社の重役が民間公聴会でそう答えておる。これでよろしいですか。
  112. 大永勇作

    ○大永説明員 原油とかあるいは重油、ナフサ等の価格につきましては、個別の取引の価格を公表することはいろいろ問題がございますが、それぞれの平均的な価格につきましては、従来から資料等でかなり詳細に公表をしているところでございます。
  113. 加藤清二

    加藤(清二)委員 公示価格で商売するのですか。
  114. 大永勇作

    ○大永説明員 公示価格で取引するわけではございません。具体的な取引の実態に応じまして、契約ベースで価格を設定いたしまして、これによりまして取引するわけでございます。
  115. 加藤清二

    加藤(清二)委員 公示価格が高いのか、あるいは実勢価格が高いのか、いずれですか。もちろんその中には、メジャーからの場合と、直接産油国からのDDオイルとかGGオイル、いろいろ種類がありまするけれども、電力会社は一体そのうちの何をとっておるのか。公示価格という以上は原地値段のはずだ。
  116. 増田実

    増田説明員 電力会社が購入いたしておりますたとえばC重油につきましては、従来は、昨年の十二月に発表いたしましたいわゆる標準価格、これは硫黄分によりまして差が出ておるわけでございますが、たとえば硫黄分〇・三につきましては二万九千七百円、これを一応のめどといたしまして石油会社との間の契約をいたしておりますが、昨年の十二月から、一応この標準価格で引き取る、こういう約束になっております。  ただ、この標準価格につきましても、先生御存じのように、ことしの五月に廃止いたしております。そういうことで、現在この価格につきましては、基準は一応廃止になっておる、こういう形になっておるわけでございます。
  117. 加藤清二

    加藤(清二)委員 それは、標準価格とは日本の政府でお決めになった値段だ。しかし、公聴会における質問に対する答弁が、公示価格で購入しておるという話なんです。公示価格で直接消費する電力会社が購入しておるという例が、世界広しといえどもありますか。しかも、公示価格よりは実際に取引している実勢価格の方が安いのです。  特に重油は、通産大臣、よく御存じでしょう、あなたのところがたくさん買ってみえるはずだから。これはつい三、四ヵ月前まではあり余って、売り競争で、日本の港に着いた外国船に投げ売りが行われておったのです。どうしてそれが、いま東電の書類に出てきておるように、三万八百七十一円とか、あるいはちょっと先になったら三万三千三百三十二円になったとか——これはナフサでもそんなに高くないですよ。ガスが専用にするナフサ、いわゆる高級な油だ。ガソリンの粗製品なんだ。これだってそんなに高くないのですよ。  どうしてこんなC重油を、それもA重油ならいざ知らず、あなたはC重油と言ったじゃないか。しかもそのC重油はどこのC重油かと言ったら、ミナスのC重油だと言う。ミナスにC重油がそんなにたくさん出ますか。東電と中電と関電が使う一千万キロ、そんなに出ますか。半分にも満ちませんわ。そういうむちゃくちゃな計算、うそのデータ、そういうことを積み重ねていくから、原子力も危険がいっぱいだし、あるいは火力電気の場合も、SO2が充満してお寺のおっさんがお経が読めなくなったり、ゴーンとつく鐘が青さびになって割れてしまったりということになる。呼吸器病が児童生徒の中にたくさん出てきたりする。いいかげんな材料をもとにして、それをうのみにするからそういうことになる。  通産省たるもの、どこの産出の油にSは何ぼ含有していて、それが何ほど輸入されて、それが内地においてどこで精製されて、どの精製会社が脱硫装置を持っていて、それから出てくるA、B、Cに分けた重油が何ぼあるかぐらいのことは当然数字を握ってかかるべきである。トータルをしてみたら、とても製造の追っつかぬような、輸入の追っつかぬような数字が出てきた場合に、なぜそれをうのみにして当委員会で発表しなければならぬのか。  恐れ入りますが、あしたエネルギーの小委員会が行われますから、きょうは突然でお気の毒をかけたかもしれませんが、これは前から聞くと言うておいた。ひとつせっかく腕を発揮なさったエネルギー庁長官の最後の答弁がもっときれいにいくように、あすの答弁をお待ちして、本日はこれ以上もう突っ込みません。  終わります。
  118. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 佐野進君。
  119. 佐野進

    ○佐野(進)委員 久しぶりの委員会でありますので、あれも聞きたい、これも聞きたいという質問事項がたくさんあるわけでございまするが、きょうは午後から開会されているという経過等もございますので、何点かにしぼりまして質問をしてみたいと思います。  最初に、福田副総理と河本通産大臣質問をいたします。  ここのところ政局は激動をしているというか、あるいはその逆にロッキード問題によって鎮静しているというか、どう言っていいか言いようのないほど混迷を深めているわけでありまするが、経済は生き物であり、その形の中において日一日と国民生活にかかわりを持ちながら動いていっているわけであります。私どもこの経済の動きの中で非常に心配しておりますことは、先ほど加藤委員の方から質問がございましたとおり、景気の回復がどうなるのか、さらにまたその回復の過程において中小企業関係は一般的にその影響をどのように受けているのか、さらにはまた物価がどうなっているのか等々、数多くの不安とその中における期待を持ちながら経済の運営に対応していると思うのであります。  そこで、福田副総理にまず第一にお伺いをいたしますが、今年度の予算編成方針として、大蔵当局は、すでに景気回復は軌道に乗っている、来年度は景気抑制型予算を編成することが望ましい、そういう姿勢の中で予算編成に対応するのだ、このように言明しているというようなことが報道されておるわけでありまするが、福田さんとしては、今日の情勢下において来年度予算編成に対応する基本的な考え方、ないし政府の姿勢そのものについてひとつお考えを示していただきたい。
  120. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 これからの経済は、再びインフレを起こさない、同時にまたあの深刻な不況も起こさない、景気もまた物価もという両面をねらって運営していかなければならぬ、こういうふうに考えております。  ただいまのところでは、景気の方は順調に回復しつつある、こういうふうに判断をいたしております。それから物価につきましても、安定の基調、これに変わるところはない。ただ、海外の動きが一体どうなるかというような問題もありますので、手放しの楽観は許さない。ただいま心配はしておりませんけれども、警戒しながらこの問題に取り組んでいかなければならぬだろう、こういうふうに考えております。その考え方は、来年度におきましてももう変わるところはあろうはずがないわけであります。  ただ、財政をそういう中で抑制型にするか、中立型にするのか、あるいは積極型にするのかということになりますると、民間の経済活動が一体どうなるか、あるいは輸出の状態、つまり世界経済の状態が一体どうなるか、そういうことを判断した上で決めなければならぬ問題でありまして、そういうことにつきましては、年末に迫った段階におきまして判断をするというほかはないのでありまして、ただいま財政を抑制型にするのか、あるいは積極型にするのか、そういうことにつきましては、まだそういう時期まで来ておらないのです。  ただ、申し上げられることは、節約型にしなければならぬ、これは言えると思うのです。つまり、もう財政はあれだけの赤字を出しておる、また世の中全般が変わってきておりまして、省資源、省エネルギー時代なんです。そういうようなことを踏まえますと、節約も当然のことでありますが、冗費を節し、少ない経費をもって最大の能率を上げる、そういう考え方は貫かなければなりませんけれども、景気に対して基本的に刺激型であるのか・あるいは抑制型であるのか、中立型であるのか、それは他の経済要素の動きをじっと見詰めまして、そして年末の時点において判断したい、さように考えております。
  121. 佐野進

    ○佐野(進)委員 福田さんの答弁ですから、そういう形の答弁をなさらなければならぬと思うのでありますけれども、ただ、世界景気の動向、その中でわが国経済のあり方、そしてその両方を判断する中で五十二年度の予算を編成していく、その編成する基本的な考え方というものはもうすでにある程度固まっていなければならないのじゃないか。たとえば八月から各省庁がそれぞれ予算編成段階に入るわけでありますが、経済の大もとを握っていると言われている福田副総理が、年末にならなければ判断がつきません、こういうような説明では、一体各省庁はどのような考え方で予算を編成していったらいいのか、予算要求をしていったらいいのかということについては大変悩むのではないかと思うわけであります。  そこで、私は幾つかの点を指摘してみたいと思うのでありますが、国際的な景気動向の面をとりますると、輸出が伸びるか伸びないかという一つの判断等もございますけれども、着実に欧米先進国と称される国々の景気回復が軌道に乗りつつあるということはお認めになられるのかどうか。この欧米先進国の景気と対応してわが国の景気動向を占うということが絶対必要な要件だろうと思うのでありまするが、そういう点について福田さんはどう判断されておるのか、相変わらず危惧の念を持って対応していく必要があるとお考えになるのか、あるいはそうではなく、当面ある一定の時期の間は、景気が回復の過程の中で欧米先進国の経済が進んでいく、こういうぐあいに判断されるかどうかということが一つの大きな要素だと思うのであります。  二つ目には、輸出が伸びるか伸びないかという問題は、同時にそれぞれの国の要求がわが国の製品に対してどの程度のものがあるかないかということによると思うのであります。たとえば不況だ不況だと言っている間においても自動車の輸出は非常に進んだ、あるいは家電の輸出も進んだ、こういうような形からするならば、各国におけるところの経済情勢に対応するそれぞれの国の国民的要求が、わが国の輸出に対してどういう影響を与えるのかということについての判断は恐らくつくと思うのであります。そういうようないろいろな要件を判断していくならば、少なくとも現段階において本年度末におけるところの日本の景気動向について、この商工委員会の席上で、福田さんがいまのように暮れにならなければわかりませんというような無責任な発言をされなくても、経企庁長官としての福田さんとしてこうあるであろうという予測は当然なさって答弁ができ得るのではないか、こう考えるわけでありまするが、その点どうですか。
  122. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 いま予算は概算を要求するという段階なんです。来年四月から始まる予算をいま頭に描く、そういう必要はない段階です。結局予算を編成する、編成した予算に狂いがくる、こういうことが間々ありますが、それはなぜかといいますと、やはり当該予算年度の背景についての見通しが狂ってくるからなんです。そういうことを考えますと、予算の編成というのはなるべく予算の実施時期に接着しておった方がいいのです。それまでの間というものは準備の期間なんです。  その準備の第一段階として、今月末各省は大蔵省に対して概算の要求をいたしますが、その間、大蔵省といいますか、政府全体といたしまして、来年の四月から始まるその年度の世界経済は一体どうなっていくのだろうか、それを受けて日本の経済はどういうふうに動いていくだろうか、それを判断するわけでありまして、いま来年四月に始まる年度のことをおよそ考えておくという段階までまだ来ておらないので、無責任だというお話でありますが、決して無責任だというふうには考えておりません。年末の時点までじっと世界経済は一体どうなるということを見詰めてまいりたい、さように考えております。
  123. 佐野進

    ○佐野(進)委員 いま私が質問をしておる趣旨は、福田さんが言われるように、あなたと私もたびたびこの委員会の席上で論議をしているわけですね。景気対策について、あるいは景気回復について、あるいはまた総需要抑制策について、その他一連の諸問題について討議をしているわけですね。その一つの流れというか、その一環の中で私は質問しているわけです。そういたしますると、この暮れを目指していま言った景気がどういうぐあいになっていくのか、それに対して政府はどう対応するのか、それに対して経済担当大臣と言われている福田さんはどう考えているのか、これは大変大切な一つの問題だろうと思うから質問しているわけです。     〔委員長退席、橋口委員長代理着席〕  ことしこの五十一年度予算を審議する委員会の席上におきましても、たびたび私は五十一年度の見通しについてあなたに質問しているわけです。操業度がどうなのか、あるいは景気回復過程におけるところの対策としてはどうなのかということを申し上げているわけです。それに対してあなたは、経済成長率がどの程度になるかということを含めて御答弁になっておられるわけです。その一環として、私はいま冒頭申し上げたとおり、国民は、いろいろな出来事があるけれども、これからの景気がどうなるのか、これからの物価はどうなるのか、これからの施策はどうやってくれるのか、そういうことを大変心配しながら見守り、その中でみずからの方向を決めようとしているわけです。  そういうような形の中で五十二年度の予算編成が行われようとする際、いわゆる緊縮型予算とまでは言わないけれども、抑制型予算を編成するのだよという方向が打ち出されているとすると、国民はそれに対応しながら、敏感に自分たちのそれぞれの立場に立った対応策を講じなければならないわけです。だから、きょう久しぶりに開かれたこの商工委員会の席上で、そういう基本的な、原則的な問題について、あなたが少なくともこの九月あるいは十二月の外国景気の動向について、国内景気の動向について、それに対して物価その他いろんな問題についてどう御判断になっておられるのかということを聞きたいというのが私の質問趣旨なんですよ。  大変長い時間を使ってしまって、私は大変残念ですけれども、いま一度ひとつ、ことしの暮れにならなければわかりませんなんということではなくて、少なくとも現段階におけるところの諸情勢について御判断がおありになれば示していただきたい。ないならば、ないで結構です、次に進みますから。
  124. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 来年の世界経済につきましては、大体私は、ことしの順調な回復過程を受けましてさらに安定基調を強めていくであろう、この時点ではそう考えているのです。  それまでの、来年の三月まで、つまり五十一年度の段階ではどうかといいますと、大体私どもが予算を編成いたしました際に申し上げました、大筋においてその線を走っておる。つまり、景気は順調に回復しつつあり、この流れはずっと続いていくであろう。したがって、いまお話しの企業操業度、これなんかも御説明した程度のことは実現できる。それにとどまらず、あるいは多少、ことしの成長率につきまして五%ないし六%——これは実質の話ですが、そういうふうに申し上げておりますが、あるいは六%に近い五%ないし六%、そういうふうな結果になるのじゃあるまいか。  他方、物価につきましては、これは消費者物価は大体八%程度ということを申し上げておりますが、これは大体実現できるであろう。それから国際収支、これにつきましては、見通しよりやや、あるいはいい方に落ちつくかもしれぬような感じがいたしますが、とにかく見通しより悪化するというふうな状態には考えておりません。  そういう状態を受けて、もし世界情勢が、いま考えられるように、ことしよりもさらに改善されるというようなことになりますれば、来年度のわが国の経済活動はさらに活発化し、まあことしは五ないし六%成長、こういうことを言っておりますが、いまこの時点で判断する限りにおきましては、六%成長、六%を超える成長というようなことが実現できるのじゃあるまいか、こういうふうに考えております。  しかし、予算予算と佐野さんはしつこく言われるものですから申し上げておるのですが、予算をどういうふうに決めるということは、わが国の経済の全体の動きに非常に大きな影響があります。したがって、なるべく予算の編成期、予算の実施時期に接着したぎりぎりのところで最後の煮詰めをいたしまして、そして五十二年度予算が実際とそうかけ離れるようなことのないように配慮するということは当然のことなので、いま、どういう性格の予算を編成するということにつきましては申し上げかねるということを申し上げているわけなんです。
  125. 佐野進

    ○佐野(進)委員 ちょっとまだかみ合わないのですが、これで時間を費やしてもしようがありませんから、もう一点の質問で終わりたいと思います。  こういうことはどうなんですか、いまのあなたの答弁から関連いたしまして。景気がよくなる。この政策を続ける。そうするとインフレになるのじゃないか。したがって、インフレになることをいま恐れる段階へ来ているのじゃないか。インフレになることを恐れるならば、若干抑制型の予算というか、抑制型の政策をとらざるを得ないのじゃないか。いや、しかし、この状態からして、インフレになるという可能性を持つよりも、むしろまだ景気浮揚に対して刺激というか、そういう対策が不十分だから、もう少しやはり各層各界のそれぞれの段階に至るまできめ細かな対策をとる必要があるのじゃないか、その政策を執行する上において若干インフレ的要因が発生するとしても、これはある程度やむを得ないじゃないか、こういうような判断があると思うのですね。したがって、そういう判断の中でそれぞれ国民は、特に産業界にある者としては、非常に慎重な配慮を払いながら対応していると思うのです。これはもう通産大臣でもあなたでも同じだと思うのですね。  私どもはまだ、景気の回復ということが下部のそれぞれの中小企業団体や国民全体の中にそういうような状態がいっているという状況とは受けとめ得られない。だがしかし、反面、公共料金を初めとする価格改定運動がこう進んでくると、インフレになる危険性があるのじゃないかという心配も出てくる。そういうような形の中で、二つの相反する力が働き合いながら経済がこう運営されていくとき、私は何も予算予算と言ってそのことに焦点を合わして、そこだけの問題で論じているわけじゃなくして、ただ長期的に見た場合、来年度の予算編成という形の中で進められる作業、その原則的な立場、これが政府の基本的な姿勢を示すものであると判断して対応していくということは当然のことだと思うのですね。皆心配なんだから、インフレになるのか、あるいはまだ不況が続いていくのかどうなのか。そういう場合において、新聞記事なり何なりで、大蔵省の態度がこうだとかあるいはどこがどうだとか、こうなってくれば、政府としてはそうなるのかどうなのか、また、われわれがそれに政策的に対応していく場合においても、そのことが非常に重要な意味を持つことになるわけですよ。  だから、きょう突然あなたにこういう質問をしたので、あなたの方も質問のそれぞれに対して対応する条件が不足しておったということも私は判断するわけですが、では、その最後の質問として的をしぼって申し上げてみたいのですが、インフレ要因は、いまの政策を続けていく限り発生するということはあり得ないと判断しますかどうですか。インフレ要因とはすなわち物価高を招くおそれはないと判断しますかどうですか。  それから、国民各階層の中で景気回復は浸透していると御判断なさいますか。中小企業その他一般的な情勢の中で、景気回復はいま浸透していると判断し、その判断に基づいて経済的政策を行われようとしているのかどうか、この二点にしぼってひとつ答弁してください。
  126. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 まず物価でありますが、インフレというお言葉でございますが、これは過度の物価上昇、そういう意味でインフレとおっしゃるのだろうと思いますが、そういうことはもう絶対にあり得ない。また、させません。  それから、景気が各界に浸透しておるかというお話ですが、これはたとえば国内でいろいろ財政政策をとる、あるいは輸出が伸びる、そういうようなことで景気が上昇していくわけなんでありますが、財政にいたしましても輸出にいたしましても、その直接の影響というのは局部的です。その局部的な影響というものがだんだん時間のたつに従いまして浸透していくわけでありまして、私は大局的に判断しますと、まあかなり浸透はしておるけれども、全部その浸透を了したという状態とはまだ見ておりませんです。しかし、そう時間のたたない間にかなりの浸透をいたすであろう、こういうふうに思います。  ただ、たとえば造船業界というような構造的な問題を抱えておる企業、そういうものにまで景気政策が浸透する、そういうようないわゆる企業間におけるばらつき問題というのはありますが、平均的な企業というものをとらえて見ると、ただいま申し上げたような段階ではあるまいか、そういうふうに考えております。
  127. 佐野進

    ○佐野(進)委員 では、福田さん、もう一つあなたに対する最後の質問をします。  その前に、通産大臣の河本さんに質問します。  通産大臣は、六月二十一日、最近の経済情勢から見て五十一年度の経済成長率は政府見通しの五・六%を大幅に上回ることは必至であるので、近く政府部内で調整し、上向きに修正したい、こういうぐあいに語ったと報ぜられておるわけでありまするが、そのとおりでございますか。
  128. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 六月の中旬であったと思いますが、政府見通しを上回るであろう、こういう話はいたしました。しかし、これを正式に改定する場合には政府部内のコンセンサスを必要とする、そういう趣旨のことも言ったわけであります。
  129. 佐野進

    ○佐野(進)委員 福田さん、いまの通産大臣言明に対して、福田さんとしてはどのようにお考えになりますか。
  130. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 五%ないし六%成長ということを政府といたしましては正式に表明をいたしておるわけでありますが、大体通産大臣のおっしゃるような状況じゃないかと思うのです。つまり、五ないし六%というと真ん中は五・五ですが、実際としては六に近い方の五%ないし六%になるのじゃないかというような感じがいましておるのです。
  131. 佐野進

    ○佐野(進)委員 福田さん、私がいま通産大臣質問したことをお聞きになっておられないと思うのです。いいですか、もう一回聞いてください。  五十一年度の経済成長率は政府見通しの五・六%を大幅に上回ることは必至であるので、近く政府部内で調整して上向きに修正したい。いわゆる経済成長率は非常に高くなる見通しである、したがって現在の見通しを修正したい。あなたの言う五・五%が六%程度になることは別に大した修正じゃございませんね。これは当然変化する予測範囲の中に入るわけです。通産大臣としては経済成長率が非常に大幅に上回るという形の中で政策を展開していきたい、こう判断されていることに対して、経済企画庁長官としての福田さんはいかがですかとお尋ねをしているわけです。
  132. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 通産大臣の言っておる気持ちはわかりますけれども、いま経済見通しを変更するというまでには考えておりません。
  133. 佐野進

    ○佐野(進)委員 これはもう後は水かけ論的な形になりまするからやめまするけれども、ただ、今日の景気動向は、たとえば円高の問題にあらわれているごとく、国際的に非常に大きく変化しつつあり、国内的にもこのような政情不安にもかかわらず、あなたの言われるように、ばらつきがあるにしても一定の景気回復過程にあることは事実であります。さらにその中に、それぞれ公共料金に類するものを初めとする価格改定の運動も進行しておるわけです。きわめてむずかしい状況に私はあろうと思うのです。経済のかじ取りである経済企画庁は、この段階の中で十分ひとつ、政局の中でいろいろお働きになることは結構でございまするけれども経済本来のそのものの持つ国民の要求に対してもっと積極的に対応されることを要望して、あなたに対する質問を終わりたいと思います。  次に、通産大臣質問をするわけでありまするが、冒頭申し上げましたとおり時間が余りございませんので、その点については要点だけにしぼって質問をしてみたいと思うわけであります。  第一に、あなたは、いまの経済見通しの問題ではございませんが、ここのところ大変積極的な行動をいろいろ展開されております。ブラジルへ行ってこられた、あるいはそれぞれの情勢に対して対応しておられる等々があるわけでありまするが、この当面する経済情勢に対して、特にブラジルへ行ってこられたという条件を踏まえながら、どのように判断され、対応されておるか。先ほどの福田さんに対する質問と対応しながら、ひとつ基本的なお考えをお示しいただきたい。
  134. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 私はブラジルに行きます前にアメリカを経由して行ったのですが、アメリカを経由して行きました理由は、アメリカの経済の回復の実情を調べたい、こういうことで二日間滞在をしたわけでありますが、私がアメリカで感じましたことを一口で言いますと、アメリカの経済は昨年の夏以来きわめて順調に回復しておるが、まだまだ本格的な回復はこれからであろう、こういうふうに感じたわけであります。  と申しますのは、現在アメリカ景気の一番大きな柱になっておりますのは国民の消費でありまして、設備投資などはまだ本格的に動いておりませんし、また住宅投資などもやや回復したとはいいながら、かつてのような盛況にはまだ達していない、そういうことを考えますと、今後引き続いてさらにアメリカの経済というものは回復を続けるであろう、こういう感じを持ったわけであります。  ヨーロッパの経済につきましても、一進一退はあるようでありますが、大勢としてはドイツを中心に順調に回復しておりますし、それから先般のサンファン会議の一番の課題も、昨年の南米の会議のときから比べると経済は順調に回復してきた、今後は回復しつつある経済をインフレなき繁栄の経済としていかに長もちさせるかということがこれからの大きな課題である、こういうことでありましたししますから、日本を取り巻く世界全体の経済環境というものは私は明るいと考えております。  それからまた、OECD全体の経済成長も先般拡大修正をされまして、ほとんど全部の国が拡大修正をしておりますが、昨年はマイナス約二%成長というのが平均であったと思いますが、ことしは拡大修正の結果五%を超えまして、一応プラス五・五%ぐらいの目標になっておると思います。それよりも相当高いところもありますし、相当低いところもありますが、平均いたしましていま大体その見当になっておると思います。昨年のマイナス二%から見ますと、プラス五・五%ということは非常に大きな成長であろうと私は思うわけであります。  そういう世界の動きを見ますと、日本の経済も世界全体の中で活動しておるわけでありますので、やり方さえ間違わなければ当然相当な回復が可能であろう、やり方を間違えればもちろんこれはだめでありますけれども、やり方さえ間違えなければ十分回復するであろう、私はこういうふうに強い期待を持っておるわけでありまして、これからの経済政策というものは非常に大事である。  日本の経済はよくなりかけたといいましても、ことしになってからでありますから、まだ数ヵ月しかたっておらぬわけであります。操業率もまだ八〇%をやや超えたところでありまして、そういう状態でありますから、いいところはいいのですけれども、悪い分野もまだ相当残っておりますし、特に中小企業などは過去二年半、三年近いものは非常に深刻な不景気が続きまして、蓄えというものはほとんどなくなっておりますから、なかなかまだ好況感は出てこない。やはりよくなったなという感じが出てくるのは、九〇%の操業率、その線を超えた回復のときに初めて例外を除いて大部分の企業がよくなったという感じを持つであろう、こういうふうに考えておりますので、これからがやはり一番大事なときであろうと考えておるわけであります。  先ほど副総理も、景気の回復と物価の安定が非常に大事である、この二つが政府の二大目標であると言われましたが、私も全く同感でございます。昨年の前半まではその二つの目標のうち物価に重点が置かれたと思いますが、昨年の後半以降は物価が安定をいたしましたので、景気の回復ということに重点が置かれていま政策が進んでおる、こういうふうに理解をいたしておるところでございます。
  135. 佐野進

    ○佐野(進)委員 もう少しこの問題についても質問してみたいと思うわけですが、時間が経過いたしておりますので省略をいたします。ただ、要望したいことは、あなたがいま言われているように、二つの問題を同時に手がける、しかし、それは客観的な情勢が有利に働きつつある、こういう形の中で、一年、二年前から比較するならば非常に対策を立てやすいときに来ている、こう思うわけであります。したがって、これからの政策立案ないし予算の編成、要求というようなことに対応する形の中で、通産当局としてひとつ積極的に対応していただきたい、こういうことを要望をしてみたいと思います。  そこで、中小企業庁長官がお見えになっておりますので、これら景気、経済問題を論じますと、通産行政といたしましてはどうしても中小企業対策がどうなっているのかという点について質問をしなければならないわけでありますが、当面する諸情勢について、先ほど来の質問の流れの中で、中小企業庁長官として、簡単に要点だけで結構ですから、どう把握し、どういう対応をされようとしておるか、その点ひとつ御見解を示していただきたい。
  136. 齋藤太一

    齋藤説明員 ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、ことしに入りましてから中小企業関係の経済指標も景気の回復の状況を示しておりまして、この五月の速報によりますと、生産指数が約一一〇、一〇九でございますけれども、そこまで上がってまいっております。  ただ、問題は、やはり業種別に非常にまだ格差がございまして、たとえば造船の下請関係でございますとか、あるいは一般機械工業といったような分野ではまだ好況が及んでいない。特に構造的な問題を抱えておる分野につきましてはむしろ今後に問題を残しておるわけでございます。  それから、もう一つの問題は、生産、出荷が漸次ふえてまいっておりますけれども、一方で諸原材料の値上がりがいろいろございまして、製品価格の値上がりのスピードよりも原材料の値上がりの方が早いというような状況がございまして、収益面の回復はいまだしという感じがございます。したがいまして、今後は生産、出荷の上昇とあわせまして、もちろんコストの引き下げに努力すると同時に、経理面の回復といったようなことが中小企業としても必要な問題かと思われるわけでございます。  と同時に、非常に長期にわたります不況の関係で非常に体力が弱っておる企業が多うございまして、過去の借入金の返済に難渋するとか、あるいは今後の借り入れにつきましてすでに担保等がなくなっておる、こういう企業も多うございますので、そういった面での困っておる企業に対する対策、たとえば政府系機関の融資の返済猶予の問題でございますとか、あるいは担保の扱いについて緩やかな措置をとるとか、こういうことが当面、今後回復期におきましてもなおしばらく必要ではないか、こういうふうに考えております。  いずれ今後漸次景気が回復に向かいまして、中小企業生産活動も次第に上向きになると思いますが、問題は、今後回復後にもとの高度成長に戻るわけではございませんので、安定成長経済に対処して、長期的な見通しのもとに中小企業はどうあるべきか、この問題に対する長期の施策と申しますか、長期見通しに基づいた施策が今後非常に大切ではないかと考えるわけでございます。それにつきましては、量より質と申しますか、質的な充実を図るという意味におきまして、より高度な製品、より高度な技術の習得というようなことが必要でございますし、場合によりましてはそういったより成長性の高い分野への転換という問題も必要になってまいるわけでございまして、そういった面の施策をこれから充実しなければならないのじゃないか、かように考えております。
  137. 佐野進

    ○佐野(進)委員 中小企業問題は、常に困難を伴いながら、即効的に解決できる条件がなかなかつかめず苦労をしておるわけであります。長官はこの仕事をよく理解して、積極的にあらゆる分野に対応してきたわけでございますけれども、私は、幾つかの点でその成果と、さらにまた要望等、そういうものを出し続けてきたわけであります。今日、中小企業の倒産数がなおそれほど多く減少していないという形の中で見られるように、景気回復しているといいながら、なかなか底辺にまでそれが及んでいないということは事実であろうと思うのであります。したがって、中小企業庁としては、来年度の政策を立案する際、それらの問題について積極的に対応するようひとつ処置をしてもらいたいと思うわけであります。  特に長官とこうやって質問をしながら私、感ずることは、この二年ばかりの間、あなたと激論と言ってもいいほどの議論を闘わしてきました。それは中小企業分野調整法に関する問題等でありましたけれども、いずれにせよ、中小企業対策というものが一つの大きな転換期に来ている。その転換期に来ている形の中で、議会人としての私、そしてまた中小企業庁長官としてのあなた、その目標とするところは一つであっても、その目標とするところに至る経過の中での見解の差はやはり相当大きかったと思うのであります。その中で、あなたは骨身を削るような苦労をされながら中小企業問題に取り組んでこられた。その姿に対しては、異なった立場におる私としても心から敬意を表しておるわけであります。  あしたのことをきょう言うこともおかしいわけでありますけれども、長い御苦労の末その地位をいま去ろうとしておられるとうわさされている人に対して、私は、その在任中におけるところの御苦労に対して中小企業方々も大いに感謝しておったであろうということと同時に、この分野法に対して、最後、その信念に基づくところの行動は行動としながら柔軟性を持って対応せられたその御苦労に対して、この際、心から敬意を表しておきたいと思うわけであります。  中小企業問題に対する来年度の方針について、もし何点かの考えが、一つでも結構ですから、あなたの基本的な考え方があるならばここでお示しをいただきたいと思います。
  138. 齋藤太一

    齋藤説明員 分野調整問題につきましては、私ども従来、行政指導で現実に対処してまいりたい、こういうことでずっと御答弁をしてまいったわけでございますが、非常にこの立法につきまして中小企業業界の要望も強うございますし、本院の当商工委員会で全会一致での御決議もいただきましたので、現在中小企業政策審議会に分野調整の小委員会を設けまして、政府といたしましてもその審議に取りかかったところでございまして、なるべく急いでその結論を出すようにいたしたいと、かように考えまして、いまその審議を急いでおるところでございます。  今後の中小企業行政につきましては、発展途上国の追い上げの問題その他大変むずかしい環境にございまして、今後とも中小企業の前途はなかなか多難であろうというふうに考えております。ただ、今後安定成長に向かいますとは申しますものの、その成長の内容を見ますと、むしろ私は中小企業の活躍の舞台というのはいろいろ広がる余地を持っておるというふうに見ております。と申しますのは、いわゆる国民の需要の多様化というような問題でございますとか、あるいは福祉国家の建設というような意味での、むしろ量産的な問題というよりも、いろいろ細々とした形でより高度な需要がふえる。それはまさに中小企業の活躍の分野であろうというふうに考えておるわけでございます。そういう意味では中小企業の将来は明るいと思いますが、ただ、このチャンスを中小企業がうまく生かしていくかどうかは、それぞれの企業の努力と政府の施策のよろしきを得るかどうかにかかっておるわけでございまして、そういう意味でますます中小企業に対する施策の充実が望まれるというふうに考えております。
  139. 佐野進

    ○佐野(進)委員 いずれにしても、分野調整の問題があなたの在任中における一つの大きな思い出になったであろうと思うのでありますけれども、私もその経過の中で大変失礼なことをたびたびあなたに対して表明したことがあることも、またこの席でいま質問しながら一つの大きな思い出になっているということを申し添えて、質問を終わります。  次に、エネルギー庁に質問をしてみたいと思います。  先ほど加藤先輩の方から大変詳しい内容の質問があったわけであります。私は、時間がございませんのでそう詳しく質問することもでき得ませんし、またそれほど勉強もしていませんので、二、三の点について質問をしてみたいと思います。  第一に、電気料金の値上げの問題であります。  すでに北海道、東北、北陸、九州の四電力料金は認可されております。この経過の中で幾つかの質問をしてみたい疑問点等がたくさんあるわけでありますけれども、これは今日いまの段階において時間がございませんので、省略せざるを得ないわけであります。新たに五電力会社申請をしておるわけでございますけれども、この五電力会社の認可に対するそれぞれの審査と、四電力会社の審査の内容について対照的に際立って差があるとするならば、どこにその差があるか、ひとつ説明をしていただきたいと思います。差がないならないで結構です。
  140. 増田実

    増田説明員 先発の四電力会社につきましては六月十五日付をもちまして認可いたしたわけでございます。その後、六月十八日に関西電力、それから六月の終わり、六月二十九日に中国電力、四国電力、七月二日に東京電力と中部電力の申請がありました。  この両方に何か際立った差があるかという御質問でございますが、今回の料金改定の理由、また料金改定をせざるを得なくなった各種の費用の増高という諸原因につきましては、各社につきましてそれぞれの事情はございますが、大差ございません。ただ、先に出ました各社が最も苦しいということで四月に出てきたわけでございますが、それだけに申請いたしました料金改定率が非常に高い。北海道電力の約三九%を最高にいたしまして、九州電力も三〇%以上ということで、それぞれ三〇%以上の申請が出てきたわけでございますが、その後に出てまいりました各社は、関西電力の二九%を最高にいたしまして、東京電力が二六%台ということで、いずれも三〇%を切っておるということでございます。  そこで、なぜこういうように差が出てきたかということにつきましてはいろいろの理由がございますが、一つには燃料構成が相当違うというところに大きな原因があったわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、後発の五社につきましても、その後の燃料費の値上がり、それから今後の二年間昭和五十一年度、五十二年度を料金算定期間にいたしておりまして、その間の燃料費の上昇というものを見込んでおるわけでございますが、ただ、先発につきましてはその見込み方が少ない。結果的にはそういうことで片方は全部三〇%以上の申請であったものが、今度の五社の申請は最高が二九%であった、この点がただいま先生お尋ねの両者の違いではないかと思います。
  141. 佐野進

    ○佐野(進)委員 電力料金、四社が終わったと思ったら五社が申請を出す。さらに東京瓦斯が値上げの申請を出す。一般庶民は、使わなければ生きていけない電気の料金あるいはガス料金の値上げ、こういうものの中で、それでなくとも収入は抑えられ支出はふえるという形の中で苦しんでおるわけでございますから、大変大きな不安を持っているわけであります。この問題について、私も明日のエネルギー小委員会でさらに詳しく質問をしてみたいと思いましたが、事情があって延期されたわけでございますから、きょうはこれをもっと質問してみたいと思ったわけでございますが、時間の関係で質問ができ得ないのは大変残念であります。次の機会に譲りたいと思うわけでございますけれども通産大臣にこの際ひとつ質問してみたいと思うわけであります。  先ほど申し上げましたとおり、国民は、景気はよくなってもらいたいけれども物価は上がっては困る、インフレになっては困る、こういうことで非常に心配をしておるわけであります。そういたしますと、その物価を上げないためには、一番重要なことは公共料金の値上げを抑えること、その次に、それと同じように公共料金に類するあらゆる価格をできる限り上、げないように抑制すること、それが政策の基本に据えられなければ、あなたが先ほど言われた説明にも合わないように感ずるわけでありますが、この種エネルギー庁に対する申請相次ぐ現状の中において、物価対策の面からもどのように対応されることが必要であるか、この際ひとつその見解をお示しいただきたいと思います。
  142. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 電力料金は産業、それから国民生活に非常に大きな影響がありますので、申請は出ておりますけれども、これを厳重に査定するようにという指示をいたしております。電気事業法では原価計算でこれを決めることになっておりますが、ただ原価計算だけではございませんで、能率的な経営をするという前提の上に立っての原価計算ということになっておりますから、その前提条件等も十分調査をしながら厳しい査定をするように、こういう指示をしておりますので、エネルギー庁におきましてもその趣旨を受けまして、申請は相当高い水準でございますけれども、結果は厳重な査定によりまして相当低く抑えたい、かように考えておる次第でございます。
  143. 佐野進

    ○佐野(進)委員 これについてはさらにその善処を要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。  割賦販売法の第二章の三「前払式特定取引」の問題につきましては、この法律が改正されて以来その運用を積極的に図ってこられたと思うのでありますけれども、その後の状況がどうなっておるか、簡略で結構ですから、概要だけ御説明をいただきたい。
  144. 天谷直弘

    ○天谷説明員 冠婚葬祭互助会に対します割賦販売法による許可は、現在二百四十二業者に対して行っております。このほか百七業者が、同法の附則第七条に基づくいわゆるみなし許可業者として営業を認められております。また、合計三百四十九ある互助会事業者のうちで、この許可制は法人化ということを前提としておるわけでございますが、まだ法人化が終わっていないものが二十三ございます。  以上のような状況でございます。
  145. 佐野進

    ○佐野(進)委員 二十三あるということでございますが、そうすると、許可業者許可基準に対する状況はどうか。それら二十三を除いてはすべて基準に合格しておると判断してよろしいかどうか。
  146. 天谷直弘

    ○天谷説明員 許可基準に関しましては、割賦販売法の十五条一項三号によりまして、純資産比率が九〇%に満たない法人は許可してはならないとされており、また同第四号におきまして、業務を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有しない法人も許可できないということになっており、これに基づきまして、運用通達におきまして純資産比率、繰り延べ費用比率、経常収支比率、流動比率という四つの基準を設けて許可事務を行っております。で、許可いたしました二百四十二の業者は、いずれもこれらの許可基準を満たすものでご、ざいます。
  147. 佐野進

    ○佐野(進)委員 話が専門的になって大変恐縮ですが、実はこれは流通小委員会質問しようと思って用意しておったのですが、流通小委員会が延期になりましたので、急にきょうすることになりましたから、結果的に突然のことで、あなたの方も答弁するのに大変困ると思うのでありますが、若干の時間質問を続けてみたいと思います。  許可互助会の許可した以後における財務状況の推移はどうなっているか。そして、それと関連いたしまして、この三年半に当局が前払い式特定取引業者の実態調査に関し立入調査をしたことがありますかどうか。あと二十何社ですかを残すのみとなっているという状況の中で、そのようなことが行われたかどうか、もし行われていたとすれば、その結果がどうなっておるのか、簡略で結構ですから答えてください。
  148. 天谷直弘

    ○天谷説明員 許可した互助会につきましては、毎四半期ごとに財産概要報告書を提出させてチェックをいたしており、問題がある場合には、通産局を通じて個別に指導を行っております。現在までのところ、特に重大な問題を生じたとか、したがって、法律に基づく改善命令を出したとかいうようなことは一件も生じておりません。  次に、立入検査でございますが、前払い式特定取引業者の健全な運営を図るため、毎年計画的に通産局職員に立入検査をさせております。報告徴収とあわせまして、実態の把握に努めている次第でございます。検査の結果問題があると思われる業者に対しましては、随時個別に指導を行って、その改善を行っておるところでございます。  なお、立入検査の件数でございますが、昭和五十年度は六十七件、それから五十一年度上期は、予定でございますが、六十五件の立入検査をすることになっております。
  149. 佐野進

    ○佐野(進)委員 聞くところによりますると、みなし許可業者については業務改善計画書を提出させるということでありますが、この中に、六つの財務比率基準のうち検討を必要としないものがあるのではないかと言われておるわけでございますが、その検討を求めない理由はどういうことか。  それから、この検討を求めてない二つの財務比率基準、これは負債倍率三十六倍、前受金倍率二十四倍を適用したならば、すべての業者に改善命令または募集禁止命令を出さなければならないということになるのではないかと思うのでありまするが、これについてどうなっておるか、その点をひとつお答えください。
  150. 天谷直弘

    ○天谷説明員 念のため申し上げますと、このみなし業者に対して業務改善計画書を出させ、それの中で六つの基準先生の御指摘になりました六つのうちの二つが、負債倍率三十六倍、前受金倍率二十四倍ということでございまするが、この後の二つは基準というものではございません。ただ参考としてそういう数字を報告させておるというだけのことでございます。したがいまして、われわれは、その数字がある基準を上回っておるとか下回っていたら許可しないとか、そういうことは考えておりませんので、ただ参考のために数字を求めているだけのことでございます。  みなし業者につきましては、業務改善計画書を出させまして、一日も早く許可できるような実態になるようにという趣旨指導をしている次第でございます。
  151. 佐野進

    ○佐野(進)委員 次に、国民に、業者に守らせることができない法律または規則について、当局はどのように考えておられるか。この二つの比率は通達によって定められているが、守らせることはできないものであるということがある程度常識化しておるように言われておる。そうすると、こういうものを残しておるのではなくして、改正または廃止をするという考えが必要ではないのかと考えるわけであります。  さらにまた、この改善計画書徴取の目的は、今後の法律運用の基礎的資料にするためとの由でありますが、三百六十あると言われておる業者のうち一部であるみなし業者からだけ徴取したのでは、基礎的資料として不十分であり、全部の業者から徴取をする必要があると思われるのでありますが、当局の考え方はどうか、この際聞いておきたいと思います。
  152. 天谷直弘

    ○天谷説明員 御指摘のように、国民に守らせることがどうしてもできないような法律や規則というものがもしありましたならば、それは悪しき法律ということになりまして、改正をしなければならないということかと存じます。  ただ、いま御指摘がありました二つの基準、これは守らせることが不可能ではないかという御指摘があったように思うのでございますが、これはわれわれの方でも基準としては考えておりませんわけで、それを基準ということでぜひとも押しつけようというようなことは考えていない次第でございます。先ほど申し上げましたように、参考資料としてちょっと数字を書いてもらうというだけに考えておるわけでございます。  次に、全業者からとらなければ基礎的資料としては不十分ではないかという御指摘でございますが、先ほど申し上げましたように、この改善計画書徴取の目的は基礎的資料ということではなくて、みなし許可業者の業務内容がなるべく早く改善されて、その結果として一日も早く正式の許可を受けることができるような指導のつもりでとっておるわけでございます。
  153. 佐野進

    ○佐野(進)委員 最後の質問をいたしますが、審議官、この法律が改正されたとき、衆議院における附帯決議で単独法をつくりなさいというようなことがつけられ、その後いろいろな要望が各所から出ておるように私も聞いておるわけです。したがって、そういうような問題についてどう対応せられようとしておるかということが結論的な質問になるわけでありますが、その前に、財務比率基準のほかに法人化の問題で未解決なものがあるということで、業界でその改善を求める声があるようですが、当局としてはこれらの問題をどう考えるか。それに関連して、先ほどの基本的な対応策についてどう対応されようとしているのか、この二点について質問をして、私の質問を終わりたいと思います。
  154. 天谷直弘

    ○天谷説明員 互助会の業態を消費者利益も勘案して適正に規制していくという目的のために割賦販売法が改正されたわけでございますが、われわれとしては、この割賦販売法改正以後まだ日も浅いわけでございますから、ともかく現行法律を実施していくということが先決であるというふうに考えておる次第でございます。  この法律によりますと、許可制をしくということは、その目的は業態の内容をしっかり把握し、法的な規制を加え、権利義務を明らかにすることによりまして、消費者が不測の損害をこうむることがないようにするということが趣旨ではないかと存じております。ところが、互助会事業者の一部の中では、互助会事業というのは営利事業ではない、営利事業ではないものに対して、これを株式会社化しろというのはおかしいではないかというような主張があるわけでございます。  この件に関しましては、われわれとしましては、法人化ということは消費者保護という見地から必要である。ただ、法人化の形態としては、株式会社法に限っておることはないわけでありまして、民法の公益法人化することも可能でありますし、厚生省所管の社会福祉法人化することも可能でありましょうし、あるいはまた生活協同組合ということで法人化することも可能であろうというふうに存じております。したがいまして、どうしても私は営利法人化するのはいやだ、営利事業としてやっておるのではないという信念を持っておられる方は、いま申し上げましたような別の法人化の道もあることでございますから、そういうことで法人化されてしかるべきではなかろうか。法律趣旨からしますと、消費者保護という見地から法人化という点は譲ることができない、こういうふうに考えております。  そういうことで、まだ現行法が十分に施行され、許可が全部終わるという事態にはなっておりませんわけですが、われわれとしましては、まずこの許可を全部した上で、なおかつ現行法に大きな問題があるのかどうか、あるとすればあるいは附帯決議に従いまして単独立法を考える必要が出てくるかとも存じますが、まずは現行法律を完全実施するという方向で努力をいたしたいと考えております。
  155. 佐野進

    ○佐野(進)委員 それでは、終わります。
  156. 橋口隆

    ○橋口委員長代理 神崎敏雄君。
  157. 神崎敏雄

    ○神崎委員 まず、私は中小企業分野法の問題について大臣に伺っておきたいと思うのでありますが、従前から問題になっておる豆腐、クリーニング、家具など、ほかにいろいろなものがありますが、先ほどからも問題になっている、新たに三越の葬祭事業に進出する問題が出ております。葬儀屋さんからも大企業進出をめぐって、これをとめてくれ、こういう強い要望も寄せられておりますけれども、御承知のようにさきの七十七国会で、委員会は政府に対して立法措置を求める決議を行いました。大臣はこの国会の意思をどう受けとめられておるのか、大臣は近く召集されるであろう臨時国会に政府案を提出するという立場を明確にして努力されておるのかどうか、この点をまず初めに伺っておきたいと思います。
  158. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 前国会の終わりに、全会一致で中小企業分野調整に関する立法措置の御決議がございましたので、それを受けまして通産省では着々準備を進めております。次の臨時国会にはあるいは間に合いかねるかと思いますが、できるだけ早く法律案を作成したい、こういう目標のもとに作業を進めておるところでございます。
  159. 神崎敏雄

    ○神崎委員 大臣、伝えられるところによりますと、政府案は十月をめどにまとめ、次期通常国会に提出する方針である、こういうふうに言われております。しかし、当委員会の決議の際、武藤委員は決議案提出の説明の中で、万一政府案の提出がおくれた場合は、議員立法によって次期国会においてでも巨的を達成する決意であると、われわれの強い意思を表明されました。  しかも、この国会の強い意思は、委員長が決議採決の際、その決議を採決した後で、次のように明確に大臣に伝えております。「念のため申し上げます。本決議案については、通商産業大臣は次期国会において必ず提案するよう努力することを申し添えます。」こう大臣に伝えておりますね。七十七国会の次は七十八国会であります。もし大臣が本当に国会決議を尊重すると言われるならば、当然来るべき臨時国会に提出する立場を明確にし、実際に国会決議を忠実に実行されることでなくてはならないと思うのであります。  五党一致の決議と当委員会委員長の要請を、もうすでに次の臨時国会ではむずかしい、こういうふうに踏みにじるような発言をいまされたのですが、それでは議会制民主主義のルールに反することだと言わざるを得ません。そこで、重ねて大臣に、この点についてはどうなんだろうかということをお伺いしたいと思うのです。
  160. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 次の臨時国会がいつ開かれるかによるわけでありますが、伝えられるように、あるいは来月の下旬とか、あるいは九月の初めとかいうことでありますと、これはもう余り日もありませんし、実は関係方面を督励いたしまして非常に急いでおるわけなんです。     〔橋口委員長代理退席、委員長着席〕  急いでおるのですけれども、何分にも中小企業に関する大法典でございますので、いろいろな準備も必要ですし、調査も必要でございます。でありますから、次の臨時国会が余り早いという場合にはあるいは間に合いかねる、こういう趣旨のことを申し上げたわけでございますが、五党一致の決議案でございますから、その決議を尊重いたしまして、できるだけ早く法案を作成したいというのが政府の真意でございます。
  161. 神崎敏雄

    ○神崎委員 きわめて具体的に中身を御答弁いただいたのですが、いま大臣のおっしゃるように、まあ臨時国会開会の日が基準になりますね。しかし、伝えられるところによれば来月の末ごろだ、こういうお話ですが、そうするといまから約一ヵ月あります。一ヵ月あれば、これは時間的にもずいぶん余裕のあることだと思うのです、特にいま急いでおられるのだから。  来月の末に臨時国会が開かれるというようなことが——まだいま未確定ですが、仮にそういうふうに言われているようなときに開くにしても、一ヵ月ある。もし月末に開かれるなら、当然間に合うと私は思うのです。それをもっと早く上旬とかいうなら時間的にも余裕がないと思うのですが、そういうことになれば議員立法ででも——五党一致しているのですし、委員長も特に発言をしているし、大臣もそのときにも確約をされているのですから、そういうことを含めて、私は、議会制民主主義を尊重する意味でも、少なくとも来月の月末が臨時国会のめどだというなら、それに必ず乗せるように強く要望しておきたい、このように思います。それでよろしゅうございますね。
  162. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 政府の方も、国会決議を受けまして極力急いでおるということは申し上げたとおりでございまして、しかし、何分にも大法典でございますので、来月の末ということになりますと余り時間がございませんで、あるいは間に合いかねるかと思います。できるだけ急ぐつもりでございます。
  163. 神崎敏雄

    ○神崎委員 ぜひそうしていただきたい。先ほども言い出しましたように、政府案が提出されなければ議員立法で成立を図るというのが五党共同の意思であるということです。  しかし、私ども共産党は、この分野法は大変重要な問題であると考えております。それだけに、とにかくどんな内容のものであれまず法律をつくることだというような、単純に早ければ早いほどよいという立場はとってはおりません。よいものを早くつくろう、こういう立場でございます。国会を構成する者の一人といたしまして、やはり国権の最高機関として国民の期待と信頼にこたえるにふさわしい法律をつくるために最大限の努力をしなければならない。法律をつくってみたがほとんど役に立たない、また立たなかった、一年も立たないうちにまた改正をするというようなことでは、やはりこれは好ましいことではないし、国民の目からいたしましても、いいかげんな法律をつくる、こう受け取られるようなことはやはり避けた方がよいと考えます。  本当に中小業者を初め、広く国民の支持と共感を得る、実際に大企業の横暴を実質的に規制することに役立つものを早くつくる、そのために真剣な努力をしなくてはなりません。  そこで、政府に対して要望しておきたいのは、まず第一に来るべき臨時国会に法案を提出すること、これはいま申したとおりであります。  第二は、政府案は分野調整法ではなく分野確保法として、その法案作成に当たっては広く国民の意見を聞き、かつ聞くだけではなく尊重すること、以上の二点でありますが、第一の問題については先ほどから御答弁がありましたので、第二の点について明確にひとつ御答弁願いたいと思います。
  164. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 先ほども申し上げましたように、大法典でございますので、広く権威者の意見も聞き、また現に仕事をしておる人たちの意見も聞かなければならぬわけでございまして、そういう手順を踏むのに若干の積み重ねが必要でございます。いま仰せになりましたように、つくりましても役に立たない法律ということでは困りますので、十分いまお述べになりました御趣旨を尊重いたしまして作成をするつもりでございます。
  165. 神崎敏雄

    ○神崎委員 では、分野法についてはそれで終わりまして、いまの大臣の御答弁、ぜひともその姿勢で必ず実現をしていただきたい、このことを強く要望しておきます。これはいま、もう全国中小企業者の注視の的であり、きわめて関心の高い、しかも期待が大きい問題である。この問題については、われわれ商工委員のメンバーの一人に対して、各業者あるいは業界、それらの代表者の方々の意見というものは、本当に爆発的な熱気を帯びた、きわめて鋭い、積極的な、最大限の言葉を並べても尽きないぐらいの大きな要望であり、決意を持っておりまして、これは死活の問題ですから、ひとつこの点もよく聞いておいていただきたいと思います。  次に、問題を変えて、電力料金の問題について伺います。  すでに北海道電力など四社の値上げは認可されたわけですが、その際、通産当局の査定に当たって値上げ幅が若干縮小されました。そこでお聞きしますが、申請に対して最も大幅に削減されたのはどんな費用でございましたか、これを伺いたいと思います。
  166. 増田実

    増田説明員 お答え申し上げます。  先般行いました先発四社の査定におきまして、査定の一番大きなものは何かというお尋ねでございますが、これにつきましては、絶対金額で最も大きなものを申し上げますと、修繕費の査定が三百九十八億円ということで、査定率といたしましても一六・三%、これが最も大きなものでございます。
  167. 神崎敏雄

    ○神崎委員 いま削減の一番大きなのは修繕費だ、こういうふうにおっしゃったのですが、しからば修繕費に対する査定についてお聞きしますが、何を基準に査定されたのですか。
  168. 増田実

    増田説明員 修繕費につきまして今回の基定をいたしましたのは、各社の修繕費につきまして、標準修繕費で計算いたしましたものと従来の実績というものを両方勘案いたしまして査定いたした次第でございます。具体的に言いますと、標準修繕費と実績と大体半分半分に見まして、それによって今後の五十一年度、五十二年度における修繕費の想定をいたしたわけでございます。これが査定の内容でございまして、この結果、先ほど言いました約一七%の査定をいたした、こういうことになっております。
  169. 神崎敏雄

    ○神崎委員 査定の結果出された修繕費についての考え方ですが、当然必要不可欠な金額として判定されたものだということです。そうですね。——うなずいておられるのでそうだと思いますが、これは多過ぎもせず、少な過ぎることもない、その修繕費としてこれだけは必要だ、こういう判断をされたものであると思うのですが、それでいいのですか。
  170. 増田実

    増田説明員 ただいま先生から御指摘がありましたように、修繕につきましては、電力の安定供給を確保するためにやはり必要欠くべからざる要素でございます。そのために、修繕費を大幅に切りますと安定供給についていろいろ支障が生ずる。と言いましても、また他方におきまして、修繕費は非常に大きな項目になっております。  そういうことで、今回の査定に当たりましては、相当厳しい方針、ことに電力料金が物価に及ぼす影響その他も十分勘案いたしたわけでございますので、ただいま先生がおっしゃられましたように切り過ぎというものを避けますし、また、それが修繕費を見過ぎるということによって高い料金になることを防ぐということを査定方針といたした次第でございます。
  171. 神崎敏雄

    ○神崎委員 揚げ足取りではございませんが、電力の修繕費が国家の安定に影響を与えるというのは具体的にどういうことですか。
  172. 増田実

    増田説明員 修繕費ということではございませんで、電力料金が大幅に上がりますと、これを使います国民一般方々、また各産業も電力というものをエネルギーとして使用しております。そういうことによりまして物価へのはね返りがある。ところが、他方、料金の改定の中には修繕費の増高というものが非常に大きな要素になっておるとやうことで、いま御質問にありました、つまり修繕費と物価の関係というのは、むしろ料金と物価との関係、こういうことで、ただ、料金の中には修繕費が非常に大きな項目になっておるというこで申し上げた次第でございます。
  173. 神崎敏雄

    ○神崎委員 物価の安定ですか、国家の安定じゃなかったのですか。いま国家の安定と言われたから聞いたのです。
  174. 増田実

    増田説明員 言葉がどうも不明確でおわびいたしますが、私が申し上げましたのは物価の問題でございます。
  175. 神崎敏雄

    ○神崎委員 そこで、続いて修繕費について伺うのですが、電力会社申請と当局の査定額と実績といまもおっしゃっていたのですが、これはどうなっているのですか。四十九年度の九社合計についてお答えを願いたい。
  176. 増田実

    増田説明員 電力料金の改定、前回と申しますか、四十九年度に行いましたものにつきまして、修繕費の関係でお答えいたします。これは九社同時にいたしましたので、各社別がございますが九社の合計で申し上げますと、昭和四十九年度の料金改定におきまして申請額が三千四十七億円、これが九社の修繕費でございますね。こういう申請が出てきたわけでございますが、これに対しまして、査定いたしましたのが二千七百五十六億円でございます。したがいまして、その差額二百九十二億円というものを減額査定いたしまして、その結果二千七百五十六億円になった、こういうことでございます。
  177. 神崎敏雄

    ○神崎委員 つまり修繕費の申請は大幅に削減される。ところが、実績はそれをさらに下回る。ですから、電力会社がこれだけ必要だとして申請したものと、実際に使われた修繕費との間の開きが余りにもあり過ぎるということです。  たとえば東北電力の場合は、申請は三百十二億円、それが政府の査定で二百六十八億円に削減された。実績は百九十五億円となっておるのです。九州電力の場合は、申請が二百九十六億円、実際の修繕費は百六十三億円です。関西電力の場合は、六百五十二億円必要だと申請したのです。当局の査定で五百八十三億円に削られました。ところが、実際に要したのは四百六十二億円だったのです。関西電力の場合、申請額と実績の差は百九十億円もある。当局の査定と比べても百二十一億円も少なくて済んでいるのです。なぜこうなんですか。これは納得のいく答弁をしていただかないと、消費者物価の安定にも影響があるとか、電力は国家的事業だとか、いろいろむずかしいことをおっしゃっているのですが、こういう事実をわれわれはどういうふうに理解したらいいのか、納得をさしてください。
  178. 増田実

    増田説明員 ただいま先生がお挙げになった数字は、そのとおりでございます。ただ、その中で、九州電力につきましては、申請の二百九十六億円に対しまして、いま査定がと私、聞き取ったのですが、百六十億と言われたのは、二百六十五億でございます。その点だけちょっと、あるいは聞き間違いかもしれませんが……。
  179. 神崎敏雄

    ○神崎委員 実際の修繕費は百六十三億。
  180. 増田実

    増田説明員 そのとおりでございます。  いま先生から挙げられました、つまり査定額に比較いたしまして実績が低いではないかということは、御指摘のとおりでございまして、四十九年度の査定に比較いたしまして実績が大体二二%落ちております。こういう修繕費を非常に支出を減らした、あるいは節約したということについては、これは私どもは非常に問題があると思っております。  この原因ということでございますが、これにつきましては、御存じのように四十八年に石油危機が起こりまして、四十九年度の電力消費は大口を初めといたしまして非常に低くなったわけでございます。そのために、電力料金の査定をいたしましたときの予想収入というのが、これは全国で申し上げますと三兆九千二百二十八億という査定になっておったわけでございますが、実際の収入はそれより四千百二十五億減りまして三兆五千百三億という収入になっております。  この収入減というものを修繕費のところで相当カバーしたということが実際の原因でございますが、先ほど申し上げましたように、修繕費につきましては、これは長期的に見まして電力の安定供給に対しまして修繕費を節約するということは非常に問題があるものというふうに私どもは思っております。
  181. 神崎敏雄

    ○神崎委員 私はいまの長官答弁はきわめて無責任だと思うのです。収入減を修繕費でカバーする、これは一体どういうことか。収入減があれば収入減と明らかに出せばいいのであって、修繕費で収入減をカバーするというのは、そもそもどういうふうな根拠に立脚してそういうことがなされるのか。  というのは、電力の修繕でしょう。修繕費で収入減がカバーされて、修繕費を削減するということになったら、危険でしょうがないのじゃないですか。たとえば何を修繕するためにこれだけの膨大な金額をあえて申請をしておるのか。電力会社というのは何を修繕するのですか。もし収入減をカバーするために修繕をサボタージュしたり、あるいはしなければならぬ修繕を放置したり、削減されたら、危なくて人間はその付近で存在できないのじゃないのですか。電気というようなものは、われわれ常識的にちょっとさわっただけで感電して死んでしまうようなもの、あるいはたくさんある火災の場合でも漏電が大きな原因であるということは、これは常識的でもあり実際的でもある。  少し仕入れるものを収入減のためにカバーして始末したとか、あるいは使っている伝票や鉛筆を収入減のためにことしは始末をいたしまして、そして収入減をカバーいたしますというなら、それは合理化的な形から一つのメリットもあると思います。しかし、電力の修繕費で収入減をカバーするというようなことになれば、これは一般の国民が聞いておったら大変なことになると思うのですが、なぜそういうふうな論法に発展するのか、ひとつ篤と私を納得させてください。
  182. 増田実

    増田説明員 収入が減った、それを全部修繕費の節約ということでこれをかぶせたというふうなことではございませんで、先ほど申し上げましたように、収入減は四十九年度におきましては四千百二十五億円でございまして、修繕費の査定に対しまして減った分は六百十五億ということで、収入減のうちの七分の一というものを修繕費の節約というもので見たということでございます。  ただ、いま御指摘がありましたように、修繕費というものは切る場合には最後に切るべきものでございまして、電気の需要者に対しまして当然の設備の保全あるいは各配電線の修繕というものを行うべきでございます。この四千百二十五億の収入減に対しまして各種の節約努力あるいは準備金の取り崩しその他を行いまして、その中に修繕費のカットも入っておるということでございます。ただ、私ども先生と同意見でございまして、修繕費というものはみだりに切るべきではない、これは電気の安定供給のために最も一必要な費用だ、こういうふうに思っております。
  183. 神崎敏雄

    ○神崎委員 修繕費を削減したと言うので、私の方でなぜそう査定と実績と申請額と違うのだと言えば、あなたが修繕費で収入減をカバーしたのですと言ったから、私がそれじゃ危険じゃないか、こう言ったのであって、だから揚げ足を取るのじゃないけれどもということの前提で物を言っておるのだが、そうすると、あなたは今度は、収入減を修繕費でカバーすることは間違いです、あなたの言うとおりだ、修繕費というものは最後に切るべきだ、こういうことになってくるので、修繕費というものが最後に切らなければならぬほどの性格を持つものであるならば、なぜ申請額と査定額と実績とこれほど大きな差額が出るのかというところに問題がある。  いま七分の一とおっしゃった。修繕費の中で一体何を修繕して、どういうものを七分の一も削減したのですか。おわかりでしたら教えていただきたいし、おわかりでなかったら、わからない、そういう細かいことは通産省としては関知しないのだ、こういう姿勢なら、それで結構です。
  184. 増田実

    増田説明員 修繕費の査定に対しましての実績の落ちは二二%でございます。それから、七分の一と申し上げましたのは、収入減の七分の一を査定より修繕費を落とした分に充てておる、こういうことでございます。  それから、先生から御質問のありましたどういうものを落としたのかということについて、ただいま手元に資料がございませんので、後ほどまたこれを調べましてお答えいたしたいと思います。
  185. 神崎敏雄

    ○神崎委員 後で野間委員から関連質問をいたしますので、後で調べてというのは、いついただけるのか、後でもそのことについて触れて答弁をしていただきたいのですが、長官、四十九年度だけではありません。ことしの値上げ申請に対しても、当局は一六・三%も削減しています。つまり、大幅削減を承知の上での水増し申請の疑いがきわめて濃厚である。しかも、その査定額よりも実績はまた低くなっておる。つまり、申請額も当局の査定額も算定はきわめてずさんである、このことが明白なんです。修繕費の経費全体に占める割合がますます高くなってきているだけに、一層問題だと私は思います。  うがった見方をすれば、電力会社の大幅値上げ申請に対して当局が一定幅の圧縮をして、いかにも世論の批判にこたえたかのような形をとる上で、修繕費がかっこうの項目になっておるという見方もできるわけであります。つまり、最も必要不可欠な経費よりもかなり大幅な水増し申請をしているので、電力会社にとっては削られてもさほど痛くない。政府当局も、削ることによって電力会社の言いなりにはならなかった、こういう形で当局は当局で顔を立てておる、こういうわけですね。  いずれにせよ、修繕費の算定についてもっと詳細な資料を国民の前に明らかにして、この疑惑を解明すべきであると思います。また、標準修繕費算定要綱の見直しを行うべきではないかと私は思います。  さらに、一部新聞報道では、関西電力の値上げ認可は七月三十日と言われています。数々の不明点を残したまま、当初の見通しよりも大幅に繰り上げて不当にも認可することに対して、私は改めて強く抗議するものです。  修繕費の問題と関西電力の認可について、先ほどからお聞きになっている河本大臣は、この関連についてはどういうふうにいま感じておられますか、大臣のお答えを求めたい。
  186. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 修繕費の査定の資料につきましては後刻提出をいたしますが、いずれにいたしましても、電力料金は産業全体、国民生活全体に非常に大きな影響がございますので、能率的な経営をしておるという前提の上に立って原価計算をしておるわけでございまして、あらゆる角度から厳正に査定をする、できるだけ低く抑えていく、こういう趣旨を徹底させておるわけでございます。
  187. 神崎敏雄

    ○神崎委員 これは少し違うのですね。たとえばこれだけの修繕費が要るのです、こういう形で申請というものは正確に政府当局に出すべきでしょう。それを、たとえば関西電力の場合は、申請額と実績の差が約百九十億もある、当局の査定と比べても実績は百二十一億も少なくなっておるのですね。こんなことになってきたら危険で、修繕できません、こんなものを削ってもらったら困りますと言うのじゃないですか。  たとえば、先ほどからも言うように、東北電力の場合、申請は三百十二億円、それが政府の査定で二百六十八億円に削られた。これだけでも、三百十二億を二百六十八億に削られたら、これは修繕も何もできませんと言って泣きついてこなければいかぬのに、その実績は百九十五億。では、百九十五億でいいものを、なぜ申請のときに三百十二億も申請するのだ。まさにこれに信憑性がないじゃないか。東北電力は、削られた上、実績はまだその下の百九十五億で済ませているのだ。百九十五億でいいものを、申請のときには三百十二億もして、赤字でございますとか収入が減っておりますとかいうことを天下に示す。そして、通産当局はその他のことはさわらないでここをさわる。  私がここの社長なら、こんなものをこれだけ削ってもらったら危険で仕方がないから、何とかほかの安全な物品で合理化してやっていきますから、修繕費だけは、これこれしかじかでこれだけのものが要りますから、何とか削らぬようにしてくださいと言うのが良心的な申請の出し方だと私は思う。このように大幅に削っておきながら、実績はまだ下回って百九十五億。そうしたら、初めから百九十五億、そう細かいことを言ったらいかぬというなら二百億でもいい。それを三百十二億も申請しておいて、これだけ削られてまだその下にいっておる。では、初めの三百十二億は架空の数字じゃないか。  九州電力の場合もそのとおり、関西電力もまた同じ。あなた方は、電力会社のバランスシートを見るときに、どういう姿勢で物を見ているのか。それを基準にして値上げ申請許可して、まだ具体的な資料も見ておりませんのでいまここで答弁できぬと言うておるのに、三十日には値上げが実施されると伝えられ、新聞報道されている。三十日というたら、もうあと何日ですか。  電力が国民生活にきわめて重要なものだということは、電力がなかったら何もかも動かないし、また電力が上がればもの皆上がる。電力に関係せぬものはここには何一つない。たとえば三〇%電力料金が上がれば、その波及効果というものは、全部が三〇%ではありません。便乗もあれば、波及していきます。また私鉄も上がります。国民生活のあらゆるものにきわめて大きな影響を及ぼすのですね。その基礎になる数字がこのような数字であって、そのようなものが根拠になって査定され、認可されるということについては、これは国民は納得できないし、私も納得できないです。削られたら、それこそもう座り込みでもして、社長以下、通産局へ抗議やら陳情やら請願やら、泣きついてくるべきであるのにかかわらず、泰然自若として削られたものを容認し、実際使ったものはさらにそれから百億近く下回っているということになれば、初めに申請した数字というものがいかに架空なものであり、水増しであり、こんなものは許されるべきものじゃないですよ。論理も通らないし、常識も通らない。  それを、一般電力は国家にとっても、国民生活にとっても、あらゆる産業にとってもきわめて重要な企業でございますし、消費者の皆さんについてもきわめて重要な関係にある、そんなことは言わなくたって私も知っております。しかし、こういうものが基礎になってどんどん判こが押されていって、そして国民生活がその中にさらされていく。不況、インフレ、公共料金の軒並み値上げ、そのまた一番根幹になる電力料金が、このよう丸形を基礎としてあなた方の机の上でどんどんと判こが押されていくということになれば、私は大変だと思う。  しかも、先ほどから何遍も言うように、什器だとか、あるいは社長さんの机をかえるのをことしは始末いたしましたとか、あるいは伝票を始末いたしましたとか、応接間の改装を始末いたしましたとかと言うなら、それはむしろそれでよかったと私は思いますよ。それでなおかつ赤字だとか収入減だからと言うて値上げを申請するなら、よくわかる。ところが、修繕費だ。しかも、その修繕費はこんなような形になっている。責任ある答弁をしてください。
  188. 増田実

    増田説明員 修繕費につきましては、これは四十九年度の操業というものを一応前提にいたしまして、そこで必要な修繕というものを全部割り出して申請が出てきたわけでございますが、ただ、先ほど申し上げましたように、四十九年度におきましては電力消費というものが予想に反しまして非常に減っておるわけでございます。そういう意味で、実質的に修繕費というもののカットが行い得るという部門も出たものと思います。ただ、先ほどから御説明いたしておりますように、四十九年度は約四千百二十億収入減がありまして、これをあらゆる経費節減というもので節約し、その中に、その一項目として六百十五億の修繕費のダウンが入っておる、こういうことでございます。  いま先生からおっしゃられましたように、修繕費というものは最後まで削るべきではないと私どもも思っておりますし、またほかの費用で節減できるものを必ず先にして、この収入の減をカバーすべきもの、こういうふうに考えております。ただ、やむを得ずしてこういう六百何億の修繕費の削減が出たというのが実態でございまして、これにつきましては、私どもも修繕費をできるだけ削るべきではないという姿勢で今後指導していきたい、こういうふうに思っております。
  189. 神崎敏雄

    ○神崎委員 あなた、誤解してはだめですよ。私は修繕費を削ったらいけないと言っているのじゃないのですよ。出している申請の額で削っちゃいけないものをあなたの方は削ったのだ。そうしたら、そんなものを削られたら大変ですと言うのがあたりまえなのに、削られたよりもさらに、一億や二億じゃなしに、百億台も下回った実績を出しているところに、あなた方は奇異を感じたり責任を感じたり、常識的に判断しても何とも思わないのか、しかも相手は電力ですよ、こう言うているのです。  それを、できるだけ削らぬ方がよろしいとあなたはおっしゃっておるのに、できるだけ削ったらいかぬものをあなたの方は削っているのだ。削られたら、精いっぱいそれでやっていくならまだいい。それよりも実績はうんと下回っているということは、申請のときにはきわめて水増しであり、架空であり、ある意味では通産省はばかにされているじゃないか、あるいはある意味ではなれ合っているじゃないか。  それであなたの方はあなたの方で、通産省許可権を大企業の言うままにやっておりません、削減するところは削減させました、こう言うて言い分を立てているところに問題がある。ここは言い分を立てて削る。削られたら、またそれを下回ってやっておる。削られたよりもまた下回っている分は、あなた方が言う収入減でさらに下回ったというなら危険千万である。収入減で困るのだったら株主配当を削るべきであって、一番危険なところでさらに実績を下回るのは問題だ。一言言えば、またすぐ原価主義でございましてと言うのだ。それでは原価は幾らかかっているのだと言ったら、原価は企業秘密で言えないと言うのだ。上がったか下がったか、一つも国民の前で企業秘密で言わないものが、常に原価が上がっておりますという形で値上げをされる。まさにこれは国民の目から見たら疑惑そのものですね。  だから、最前から言うように、一つも論理上も成り立たない。よくこんなことがまかり通っておるな。そして、上げられたら国民は黙って全部ついていかなければいかぬのですよ。いま関西電力は、家庭用は一キロワット十七円五十銭ぐらいです。これを五十円に上げられたって、食べるものや着るものを始末して電気を買わなければならぬのです。関西電力は高いからといって、ほかで売っておらぬ。それが独占企業の横暴と、われわれから見たら恐ろしさなんです。どこかほかで買うといったってないのです、独占企業だから。しかも独占価格で、ほかのものを始末してそれについていかなければならぬでしょう。そんな高くなるのだったらもうやめたといって、懐中電灯やろうそくではモーターも回らない、生活できないのです。そういうようなところにあぐらをかいて、そうしてこういう形のずさんな、あるいは意識的かもしれない、恣意的かもしれない、そういうような申請を出して、あなたの方は科学的な分析もしないで、ただここだけさわる、そして一応の筋だけ立てておく、こういうやり方は、私は認めるわけにいかない。  同時に、三十日に値上げをするということが現在一般に報道されているのですが、三十日に値上げを許可するのですか、それを最後に聞きたい。
  190. 増田実

    増田説明員 まず、関電につきましては、現在まだ認可の日にちは決定しておりません。  それから、ただいまのこの査定と実績の問題について一言だけお答え申し上げたいと思いますが、私どもが査定いたしましたときには、これだけの修繕費はどうしても要るということで査定いたしたわけでございます。ただ、これに対しまして実績が減っておるということは、実際の昭和四十九年におきます電力の需要が、査定いたしましたときに比較いたしまして約一割落ちておるわけでございます。そうなりますと、各種の修繕につきましては必要がなくなる部面もいろいろ出てくるわけでございまして、そういうことから、査定に比較いたしまして実際の修繕が減っておる、これは先ほども申し上げましたように、収入の方も約四千億減っておるということで、そのうちの七分の一が一応この修繕費のカットに向けられておるわけでございます。  しかしながら、では、査定が間違っておったかということにつきましては、私どもは、もしこの需要想定どおりの電力需要があり、それから収入も同じであれば、これはこの査定どおりの修繕を行うべきもの、こういうように考えております。
  191. 神崎敏雄

    ○神崎委員 もう一言。  先ほどから中身の答弁もなし、いまの話もあなたももう一遍検討せなければならぬようなところもあるということになれば、いま決まっておりませんというような答弁ではなしに、三十日には認可する時間的な幅はない、こういうように理解してよろしいですね。
  192. 増田実

    増田説明員 関電の査定につきましてはずっと作業いたしておりまして、現在もまだ各種の作業をいたしておりますが、これが三十日に認可できるかどうかにつきましては、現在のところまだ決定しておりません。
  193. 神崎敏雄

    ○神崎委員 だから、それより先になるのですねと言うているのです。そういうふうに理解してよろしいですねと言うているのです。
  194. 増田実

    増田説明員 三十日になるか、その先になるかは、まだ何ら決まっておりません。
  195. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 野間友一君。
  196. 野間友一

    ○野間委員 時間の関係もありますので端的にお聞きを申し上げるわけですが、私は、きょうここでお尋ねをしたいのは、巨大企業企業構造、特に下請系列、これの持ついろいろな問題点であります。  とりわけ鉄鋼業の場合には、このピラミッドの形が富士のすそ野のように、下に行くと非常に膨大なすそを持っておるという特徴であります。そして、そこではいろいろな問題が発生しております。これは単に下請代金支払遅延等防止法等々の法律で律することのできないような問題もあります。ところが、実際にそれでは政府はこのような実態を把握しておるかどうかということになりますと、これはそうではない、実態の明らかでない部分が非常に多いというのが一つの特徴であります。  私たちは、親と子と申しますか、子が親にもなりますが、二次、三次あるいは四次というような中でそれぞれの権利と義務の関係を明らかにしていくということが、下請業者利益を守る、さらにまたそこで働く労働者、従業員利益を守るということになると思うわけであります。ところが、同時に、ここで考えなければならぬのは、余り四角四面にぎすぎすやりますと、これに対応することのできないような業者が出てまいります。そして結局、結果的にはそれが下請やあるいはそこで働く従業員に不利益になるという事態も十分考えられるわけであります。  そういう点を踏まえながら、とりわけいま申し上げた鉄鋼業、このような鉄鋼業者は、会社従業員の数よりも下請の方が多いというような特徴です。そういうものについての実態を正確に把握する。そしてその中から、下請業者やあるいは労働者の利益を保護するというような観点からこの実態の把握がどの程度なされておるのか、あるいはなされるべき必要があるということについてどのような認識を持っておられるのか、まずこの点について通産大臣からお伺いしたいと思います。
  197. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 下請企業の実態の掌握につきましては、中小企業庁の方におきまして常時いろいろと努力を続けておりますから、その具体的な進め方につきまして長官から答弁をさせます。
  198. 齋藤太一

    齋藤説明員 親事業者と下請事業者の支払いの関係等につきましては、先生承知のように、下請代金支払遅延等防止法に基づきまして計画的に親事業者調査を行っておりまして、五十年度で二万八千件の調査を行っておるわけでございます。  それからもう一つ、この下請事業者の振興対策といたしましては、それぞれの業種につきましては個々の原局が担当いたしておるわけでございますが、同時にもう一つ、各府県に下請振興協会というものを設けておりまして、そこが各種の下請業者の苦情を受け付けまして、その内容に応じまして親事業者に話をつないで解決のあっせんの労をとる、それからもう一つは、仕事が減りました下請に新しい仕事のあっせんをする、こういうふうなことをやっておるわけでございます。  特に下請の振興関係につきましては、下請中小企業振興法という法律を設けまして、その振興基準というものをつくりまして、親事業者が遵守すべきモラルとでも申しますか、そういうものを掲げまして、その徹底方につきましては、講習会等を開きましたりしながら親事業者側にそれの理解を深めておる、こういう状況でございます。
  199. 野間友一

    ○野間委員 それは百も承知の上で聞いておるわけですが、理屈の上ではそういうことを言われても、実際にこの二次、三次あるいは四次というような巨大なピラミッドの実態をなかなか把握できないことは事実であろうと思うのです。いま長官もうなずきましたが、これは政府もあるいは県も、場合によればこの巨大企業の頂上にある会社自身も知らないということも多々あろうと思うのです。  時間がありませんので、具体的に少し聞いていきたいと思いますが、私がここで指摘したいのは、住金の和歌山製鉄所、これはこの前は埋め立ての問題について聞いたわけでありますが、当面抱えておる問題の二、三についてお尋ねをいたします。  その第一は何かといいますと、業者の車の構内への乗り入れ制限であります。実は去年の四月に、従来乗り入れておった車の約十分の二から十分の一に削減をいたしました。  その上で、ことしの五月に、さらに下請業者を法人化していくという方針、そうして車は登録制にするということ、さらにこの法人化された業者を指定するということの中で、これが実際にもう実施に移されておるわけです。そうなりますと、従来入れておった業者が二台とか一台に削減される、これは構内が膨大な敷地ですから、外から物を持って中に入ることは不可能なんで、非常に支障を生じておるということであります。しかもこの結果、その個人の業者が車の乗り入れがチェックされていくということ、淘汰されていくということ、さらに、これは法人の業者であっても、いま申し上げた十分の二からあるいは十分の一というふうに削減される中で、仕事が非常に大きな支障を生じておるということ。  それから三つ目は、この継続的に中に入っておる業者のほかに、特定の仕事で出入りする業者の場合には特に入門許可証が必要であります。しかもこれは月水金、週に三日が入門許可の受け付けということがなされておるようであります。ところが、申請をしても許可がおりるまでに一週間ぐらいかかる、急場の間に合わないわけです。  このようにして、実際われわれいままで考えることのできなかったような、下請の車の乗り入れという点からの非常に大きな支障を生じておるということであります。これらについての事情を御存じであるかどうか、もし知っておるとしたら、この理由は一体何であるのか、どのように聞いておるかということをまずお答え願いたいと思います。
  200. 矢野俊比古

    ○矢野説明員 先生から詳細な御指摘がございました。先生の指摘されるほど詳細に私ども実は把握しておりませんが、私ども調査した結果でございますと、確かに登録制度はとっておるわけでございますし、それから入構制限ということもしておりますが、いわゆる所内の交通安全管理という点から、余りにも車が自由に入るということは非常にやりにくい、したがって、いまの登録なりあるいは保安係のチェックなりという実行は進んでいるようでございます。  ただ、先生の御指摘でございますが、先ほどのように下請というものと親企業というのはいわば一体になって仕事を進めるという体制だと思いますし、そういう点では、資材の納入だとか役務サービスというような点に支障を与えるような形にそういうものがいき過ぎているというふうにはなかなかなり切れないのじゃないかと実は思うわけでございます。そういうようなところで、企業全体の生産体制の中に両方が相マッチするようなあり方というのが一番望ましい、こう思っているわけでございます。
  201. 野間友一

    ○野間委員 会社の方からそういうふうに聞かれたと思います。しかし、現実に私も業者に直接会って聞いたわけですね。しかもこれがなかなか不満が表にできない。しますと、これは一つの圧力と申しますか、不利益な処分を受ける可能性がある。恐らく会社はないと言うかもわかりません。しかし、そのように業者は思う、そういう条件にあるわけですね。  そこで、構内の交通安全、こういう点のいまの答弁がありましたが、私も実は昨年でしたか、構内の事故がありまして、入りまして、それから具体的な申し入れもしたわけですね。中には構内軌道がありまして、百二十ヵ所のクロスがあります。その中で開閉機のあるところが三ヵ所、警手を置いたところはありません。あるいは標識の問題から見通しの問題、夜間照明の問題、あるいは警報器の問題、いろんな形で、それでは果たして構内の安全上の体制が万全であるかどうか。その上でこのように下請の業者の車を制限せざるを得ないということであれば、私は一定の納得ができないこともない。しかし、私の調査した範囲においては、そのような整備ができておるとは私は思えないわけです。実際自分の目で見ております。  そういう点で、労働省に対して、その点の改善の余地があると私は思いますが、どうかということと、同時に、通産省も労働省と協議をして、そして適切なる現場に合った形の措置をとって、下請業者の仕事に支障のないようにぜひ強力な行政指導をしていただきたい、こう思いますが、いかがですか。
  202. 野原石松

    ○野原説明員 住友金属の和歌山製鉄所構内におきます交通事故の防止の問題につきましては、六月十一日の本委員においても御指摘をちょうだいいたしまして、私ども現地の局長を督励いたしまして、鋭意監督、指導に万全を期しておるところでございます。  実は昨年の八月に、この構内の交通災害の防止の問題につきまして、主として踏切施設の改善々中心として諸般の施策を指示いたしまして、一年がかりでこれを完了するということで現在に至っております。それ以来、交通災害、これは実は休業災害でございますが、発生を現段階まで見ておりません。  この対策を進めるに当たりましては、実は構内におりますトラック業者の所属の従業員方々の意見を十分に徴するなどいたしまして、その意見を踏まえて所要の監督、指導を行い、その結果に基づいて指示をしておりますので、特に先生の御指摘のように下請事業者に対策がしわ寄せされているということは私ども現在考えていないわけでありますが、しかし、もしそのような事実があるとすれば非常に遺憾でございますので、通産省とも連絡をとりながら今後さらに調査を進めまして、所要の改善について指示をするようにいたしたいと思います。
  203. 矢野俊比古

    ○矢野説明員 労働省のただいまの答弁がございましたから、私どもも労働省とよく相談いたしまして、御指摘の点がもしあれば十分注意を喚起したいと思っております。
  204. 野間友一

    ○野間委員 次に進めますが、下請業者が友和会というのをつくっております。これは何か法人化されておるように聞いておりますが、この友和会なるものが、構内での交通違反とかあるいは事故を惹起した場合には、従業員あるいはその業者に対する一定のペナルティー——これは罰金というふうに業者は呼んでおるようでありますが、罰金は取れるわけはないので、ペナルティーだろうと思います。そういうものがあるそうです。  そこで、端的にお聞きしますが、そういう業者団体の組織である友和会なるものが、労働者、従業員に対して、違反とか事故があった場合に、このようなペナルティーを課すことができるのかどうか、さらに通産省に対しては、業者に対してこういうものが可能かどうか、簡単にそれぞれお伺いしたいと思います。
  205. 野原石松

    ○野原説明員 御指摘の反則金制度は、確かに友和会が自主的に運営、実施しているものでございます。つまり、所属の労働者が交通ルールの違反をした場合に、友和会のメンバーである元請事業場が一定のペナルティーを協議会、友和会に納める、こういうものでございます。したがいまして、これはあくまでも友和会なるものが会員の申し合わせによって実施しているものでございますので、法的に特に問題になるということはないと思いますが、ただ、下請事業場の労働者が違反を犯した場合に、一体このペナルティーはどこが持つのかという問題がございます。それから、事業者が持つといっても、最終的には労働者にそれがおりていくのではないかというような懸念もありますので、私どもさらにこの詳細な調査をいたしまして、この制度が適正に運営されるように十分指導してまいりたいと思っております。
  206. 野間友一

    ○野間委員 それじゃ通産省はもう結構です、いまので出ていましたので。  そこで、労働者、従業員に対してはそれはできないということは当然だろうと思うのですね。ところが、業者に対しては、仮に親と子の関係で、これは請負契約上の違反とかいった場合に、契約違反によるいろんな措置ということであれば、私はわかるのです。ところが、業者団体の法人格と業者との関係にはそういう法律関係はない。これは私は、いま言われたようなことがこの場合に妥当するかどうかは非常に疑問に思うのです。  それはそれとして、時間がありませんので進めますけれども、もし万一そうであるとした場合でも、これは一定の基準を明示して、そして業者に不利益のないようにという形にしなければならぬのはあたりまえのことだと思うのですね。ところが実際には、住友という会社の保安がまさにいわば検察庁あるいは裁判所の役割りを果たして、それが一定の認定をした上でペナルティーがかけられているということが問題だろうと思うのです。  そこで、いま労働省も調査されると言いましたけれども、実際に実態がなかなか私たちもつかみにくいのですが、労働者あるいは業者それぞれに対してどういうように妥当しておるのか、問題点はあるのかないのか、この点少し詳細に調査してもらって、違法行為のないようにぜひひとつ行政指導をお願いしたいと思いますが、この点について簡単にお答え願います。
  207. 野原石松

    ○野原説明員 直ちに、先生御指摘の点を十分踏まえまして、住友の和歌山製鉄所のみならず、その元請事業者あるいは下請事業、さらにそれらに所属します労働者からも十分意見を聴取いたしまして、問題点を解明をいたし、しかるべき指示をいたしたい、このように考えております。
  208. 野間友一

    ○野間委員 基礎産業局長にお伺いしますが、これはあなたの所管になると思いますが、五月六日に構内の第五製管工場で爆発事故がありました。そこで労働者が五人ばかり傷害を負ったわけですね。この事故の原因ついてはいま調査中であるというふうに聞いておりますが、そうですか。
  209. 矢野俊比古

    ○矢野説明員 事故原因について現在調査中と聞いております。
  210. 野間友一

    ○野間委員 調査中であるのにもかかわらず——この元請は住栄工業というのです。さらに二次請が宮下鉄工、それから万年工業、広岡鉄工、これらがそれぞれ共同作業をしておったというときの事故のようであります。実際にはまだ事故原因が調査中であるにもかかわらず、この元請に対しては一ヵ月の仕事の発注停止と、それから下請、二次請に対しては一ヵ月ないしは三ヵ月の発注停止、こういう処分をされているようであります。     〔委員長退席、安田委員長代理着席〕  もともと過失責任の原則で、それぞれの企業に故意ないしは過失があればしかるべき適切な措置がとられるのはやむを得ないとしても、その事故の原因がまだ調査中である今日、このような措置をやられると、下請業者、二次も含めてですが、これはたまったものではないわけですね。私は住友のこういうやり方は妥当ではないというように思うのです。  そこで、調査中であるにもかかわらず、こういう処分をしたということに対して、通産省はどのように考えておるのか、私はやはりこれについては善処をするべきではなかろうかというように思いますが、いかがですか。
  211. 矢野俊比古

    ○矢野説明員 私は、安全問題というのは何にも増して非常に重要なことだと思いますので、下請の責任なのか、親なのか、あるいはまた孫請かというふうなことについて、一般論として申し上げれば、やはり安全を確保できる体質の企業でなければならないと考えるわけです。  ただ、現在の御質問の問題に対しましては、私どもが聞くところによりますと、下請企業の責めに基づいて事故が発生したときには、安全教育、安全管理指導というような面で、一定期間そういう発注停止といったような措置をとることがあるやに聞いておるわけですが、御指摘のような事故に対しましていまとっておる措置が一体妥当かどうかというふうなことに対しては、十分私ども調査をして注意も喚起したい、こういうように思っております。
  212. 野間友一

    ○野間委員 おっしゃるように、こういう形で原因がわからないままに仕事を切られるということになりますと、下請はたまったものではない。しかも、これは公になっておりますから、私は特定の企業の名前も挙げました。しかし、これにたぐいすると申しますか、下請の場合には、なかなかこれは表ざたにできない。そうした場合には、それなりの制裁を受ける、あるいは仕事の面で不利益をこうむるというのが実際多いわけですね。これば特に当委員会の中でも下請の持つ問題点についてはいろいろな角度から討議もしておるわけですが、そういう点でいま局長も、調査中であるにもかかわらずなぜこういう処分をしたのかについては調査すると言われましたが、やはり元請は下請をもっとかわいがって、そして不利益を与えないというふうにぜひひとついま言われた調査をお願いしたいと思います。  時間がありませんのでこれで終わりますが、このようにして、下請代金支払遅延等防止法は、中小企業庁長官も冒頭に申されましたが、新しいというか、このような形の企業構造の中では、新しい形、しかもいままでわれわれが想定できないようなところでさまざまな問題が生じております。しかも、特に和歌山で言いますと、下請あるいはそこで働く労働者のかなりの部分が住友に依拠して生活をしておるというのも事実なんですね。したがって、いまの幾つかについて調査を約束してもらいましたが、下請の業者やあるいはそこで働く労働者に不利益にならないように、そういう点を十分踏まえた上で、そうして下請やそこで働く労働者の権利や生活を守っていただきたい、そういう観点からぜひ調査していただきたい。  これは恐らくそういう観点から調査されると思いますので、最後にその点について通産大臣に、約束をした調査についてはそういう点から調査させるように指示をされたいということを要望して、答弁を求めて終わりたいと思います。
  213. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 調査をさせるようにいたします。
  214. 野間友一

    ○野間委員 労働省も、ひとつぜひもう一遍……。
  215. 野原石松

    ○野原説明員 先生の御指摘の趣旨を十分踏まえまして、今後現地の局長を督励いたしまして調査をいたしたいと思います。
  216. 野間友一

    ○野間委員 終わります。
  217. 安田貴六

    ○安田委員長代理 近江巳記夫君。
  218. 近江巳記夫

    ○近江委員 福田長官にお伺いしたいと思います。  景気はマクロ的には一応上向きに来ておるように思うわけでございます。しかし、最近の卸売物価等の状況を見ておりますと、消費者物価というものにつきましては非常に心配されるわけでございます。この点につきまして、最近の物価の状況について長官としてはどのように考えておられるか、景気との関連で所感をひとつお伺いしたいと思うのです。
  219. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 ことしの物価につきましては、八%程度の上昇はやむを得ない、こういうことをかねがね申し上げておるわけですが、やはり賃金が上がります、これは物価が上昇したその関係からやむを得ないことなんです。それがまた物価を押し上げるという要素になる。それから海外の商品市況が思ったより高く動いておる、こういうような関係がまた物価を押し上げる。それから公共料金ですね、これが非常に重荷になってくるわけであります。そこへさらに景気が回復する、それに伴いまして商品の価格つけかえが行われる、こういう場合、もろもろの要素がありますので、八%程度やむを得ないか、こういうふうに思っておりますが、国際要因が異常というような事態がないということでありますれば、大体目標である八%程度の上昇ということは実現できるし、またこれはぜひいたしたい、そういうふうに考えておるわけであります。  国内的には不安要因というものはございません。しかし、物価というものは景気回復過程では気をつけなければならぬことでありまするから、心配はいたしていないのですが、しかし警戒的な態度は堅持してまいりたい、こういうふうに考えております。
  220. 近江巳記夫

    ○近江委員 特に長官、最近のいわゆる卸売物価の上昇率の推移を見てまいりますと、六月も前月比で〇・五%の上昇を続けておるわけですね。昨年の七月以来、十二ヵ月上がり続けなんです。いろいろ理由はあろうかと思うわけですが、このままこの数字だけを見ておりますと、これは弱まるという傾向はないわけですね。さらにそういう勢いが強くなってきておる。こうなってきますと、七月におきましても恐らく前月比〇・八%程度の上昇になるのじゃないか、このように思うのですが、当然、卸売物価というものは五ヵ月、六ヵ月先には消費者物価にはね返ってくるわけだし、この卸売物価の今後の推移についてはどのようにお考えですか。
  221. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 ただいま御承知のように景気は回復過程にある、そういうことで、物価面から見ますとこれは強気というか、強含みの状態にならざるを得ない、そういう一般的基盤があるわけです。他方、賃金につきましては、思ったより、こころもち程度でございますけれども低目に決まったという、いい要素もあるわけでございます。特に最近の卸売物価をずっと見ておりますと、卸売物価の上がる要素の中で海外要因が二割ぐらいのウェートを占めるという状態でございますが、特にこの点が心配だなと言っておるような状態ではございません。全体といたしまして上昇の傾向が続いておるということはお説のとおりでありますが、今後経済全体のバランス、それから各物資の需給、価格の動向、そういうことに注意してまいりまして、大体目標の程度にはおさめていきたい、こういうふうに考えております。
  222. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま長官も指摘されておるわけですが、卸売物価のこうした続騰というものの原因としまして、一つ企業の減産体制、あるいは海外商品の高騰であるとか、あるいは公共料金の引き上げ、大きな原因というものはこのように挙げられておるわけです。この間通産省が発表しましたところによると、いわゆる卸売物価の上昇要因の八割近くは国内にあるというのですね。いままで通産省がやってきた減産指導というもの、あるいは公共料金の引き上げ、いろいろ国内要因はあろうかと思います。賃金の問題も長官はおっしゃっておったわけですが、われわれの感じとしては、春闘におきます八%の全国平均のベースアップは私は低過ぎると思っておるのです。これがどれだけ卸売物価にもはね返っておるかということは、われわれとしては非常に低く見ておるわけですけれども、国内のこうした要因が八割を占めておる。その中で何といいましても減産指導あるいは公共料金の引き上げということが一番大きな問題ではないか、私はこのように思うのです。  そこで、通産省としてはこの減産指導は確かにやめたわけです。しかし、今日まで十二ヵ月押し上げてきて、まだそういう勢いが続いておるわけでしょう。そういう減産指導にかわって、今度はまた需要予測を実施する。石油化学製品等についてはこういうことをやる。これは業界でやった場合は独禁法上問題がある。公取委員会としてはそういう見解をお持ちなんでしょう。しかし、こういう減産指導をやめましたと言っておって、これはまた各業界に波及してくるわけでしょう。実質の中身は同じような形でそういうことが行われていくのではないか。この点について通産大臣としてはどのようにお考えか、また公取委員長はどのようにお考えであるか、これをひとつお聞きしたいと思います。
  223. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 減産指導といま言われましたが、いわゆるガイドライン方式のことであったと思います。石油化学製品、段ボール原紙、それからアルミ地金、これに対してガイドラインをしばらく続けておりましたが、去る六月末でこれは廃止いたしました。このガイドライン方式によりまして、いわゆる減産指導によりまして、卸売物価は若干上がっておりますけれども、これはいまお述べになりましたようなそんな大きな金額ではないわけであります。今後は鉄鋼だけは基礎物資中の基礎物資でございますから、四半期ごとの需給の見通しは引き続いて発表するつもりでございます。これは十年近くもずっと続けてきた作業でございますので、引き続いて行うつもりでございます。今後は減産指導のようなことは一切やらない、こういう方針でおります。     〔安田委員長代理退席、委員長着席〕  いずれにいたしましても、先ほど国内の要因が約八割だということをお述べになりました、なるほど通産省もそういう趣旨のことを発表しておりますが、これは過去一年の統計をとったわけでございます。最近は、海外からのいろいろな原料の値上がり、これが一番大きな原因になっておるというふうに私どもは理解をいたしております。
  224. 澤田悌

    ○澤田説明員 いわゆる減産指導は、ただいまお話しのように全廃されました。大変結構だったと思いますが、とかくカルテル的な要素のもとになりがちでございますので、極力避けたいと思っておる次第でございます。ただ、物資所管官庁が独自の需要予測等をおつくりになりますことそのこと自体は、別に問題がないと思うのでありますが、それによって一律に生産指導が行われるというようなことは好ましくない、こういうふうに考えておる次第でございます。
  225. 近江巳記夫

    ○近江委員 制度上は、主務官庁がやることについては独禁法上は問題がない。業界がやる場合は問題があるのでしょう。実際上、そういう主務官庁がこういう需要予測というものを各業界へ出していきますと、実質的な減産指導になるわけですよ。その辺の歯どめは政府としてはどうするのですか。それについては公取委員会としてはどう考えておりますか。
  226. 澤田悌

    ○澤田説明員 その需要予測等に基づきまして具体的な減産指導が行われる、あるいは業界が共同して需要予測に沿ったような減産を実行するというようなことがいわゆるカルテルの誘発につながりますので、これは厳重に避けたい、かように考えるわけでございます。
  227. 近江巳記夫

    ○近江委員 これはそれにつながるおそれが十分あるわけなんですよ。ひとつ公取委員長としては十分監視をしていただきたいと思うのです。  先ほど通産大臣は、減産指導はそう大した影響はなかったとおっしゃっていますが、ここまで卸売物価が上がってきた。それだけの原因じゃないことははっきりしておりますけれども、しかし私たちの見る目では、減産指導というのは非常に卸売物価を上げてきた大きな要因であると見ておるのです。それと同じようなかっこうで需要予測を今後通産省は実施していく、これは同じ形でそれが行われる危険性が十分あるわけです。ですから、公取委員会としましては十分ひとつ監視をしていただきたいと思うのです。ひとつ公取委員長の決意をお聞きしたいと思います。
  228. 澤田悌

    ○澤田説明員 御趣旨によって十分監視をしてまいりたいと考えます。
  229. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、もう一つの大きな原因である公共料金の問題であります。これは長官も二・四の最大幅ぐらいにおさめたいとおっしゃっているわけですが、御承知のように連続で上がってきているわけですね。米もまた一〇・二%やる。そしてまた臨時国会では国鉄あるいは電信電話、さらには電気、ガス、メジロ押しなんですね。いわゆる公共料金の基本的な問題につきましてはいつも聞いておるわけでございますが、しかしいまこういうようにじりじり卸売物価が上がってくる、消費者物価もじりじり上がってくる、しかも今年の賃金のベースアップは低過ぎた、こういう中で私たちもいろいろな会合とかに出ますと、一番大きな問題はロッキードの問題と物価の問題、物価の問題の方がまだ大きいぐらいですが、とにかくどうなるのですかという非常に大きな不安を訴えるわけですね。  公共料金というのは、物価を押し上げておる、またその波及度から言いましても非常に大きな元凶であると私は思うのです。この点、そうしたメジロ押しになっておるわけですが、長官としては本当に、二・四の中に抑え込んで、しかも物価を八%、これは自信があるのですか、本当の気持ちをひとつ言うてくださいよ。これはどうするのですか。
  230. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 私は、物価は非常に鎮静の基調だ、こういうふうにとらえております。ただ、鎮静の基調だとはいうものの、数字にこれが出るときには高いものが出てくる。つまり、鎮静といえば何といっても定期預金の金利以下だ、こういうことですが、そういかないで、昨年度で言いますと、八・八%というようなものが出る。ことしはいま目標を八%にしておる、こういうことで、これは決して私は満足しておらぬのです。高過ぎる。しかし、高過ぎますが、これは高過ぎる要素はあるのです。それは海外の要因もありますけれども、特に公共料金。  公共料金につきましては、これは狂乱物価と言われるあのときに極力これを抑制した。この抑制をそのまま続けていったならば一体どうなるかといいますと、国鉄の今日のような現状、電信電話のようなことにもなってくる。それはひいては国家財政に響いてくる。国家財政はどうかというと、全く火の車というか、ひどい状態なんです。いま私は、経済の方もさることながら、財政の問題を非常に心配しているのです。これをこのまま放置するというようなことになると、財政インフレ、これはすぐには来ません、来ませんけれども、放置しておくと行く行くはそういう状態までになってくる、これを何とかしなければならぬ、こういう問題もありまして、公共料金問題はどうしても抑制方針を厳にとっていくということを許さない、こういう状態なんです。  しかし、公共料金を一挙に改定すると、これはまた物価に衝撃的な影響がある。そこで五十年、五十一年、五十二年、三年にならしましてなだらかに引き上げを実行してまいる、物価に与える影響もそう衝撃的でないような状態にしていこう、こういうことで、昨年は酒、たばこ、郵便料金をやった。ことしは電信電話料金と国鉄運賃を半分どおりいたしましょう、こういうことにいたしたわけであります。  公共料金問題、この重圧がなければ物価はかなり数字的にも落ちついてくるわけなんですが、これをよけて通るわけにはいかない。そこで、やむを得ずそういう数字に甘んじなければならない、こういうことになるわけですが、しかし、目標を設定した八%消費者物価上昇、これの実現につきましては、これは大体その線におさめたいし、またおさめなければならぬ、こういうふうに考えております。
  231. 近江巳記夫

    ○近江委員 副総理として、また経済閣僚の長として、長官が財政問題を心配されているのはよくわかるわけなんですが、経企庁長官としては国民の生活問題ということをさらにひとつ、それは考えていただいておるとは思いますが、うんとひとつウエートをかけてもらわなければ困ると思うのです。  財政のことを心配しているということになってきますと、心配するのは当然でしょうけれども、ウエートがかかり過ぎますと、たとえば大蔵省が税調に提案しているのですが、五年間所得減税せぬ、こうなっているのですね。  長官も御承知のように、今年度は所得減税ゼロですね。ところが、企業につきましてはあの臨時利得税構想も、あの制度も今年度は廃止していますね。で、なぜですかと聞いてみたら、必要なくなったと、こう言っているわけでしょう。そのように企業には非常に優遇して、そうして一般国民につきましてはこういう減税をしない。しかも、大蔵省は五年間所得減税せぬ、こういうことを提案しておるのですよ。長官、こういうことをどう思いますか。国民ということにもっとウエートをかけてくださいよ。
  232. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 私は、五年間所得減税はいたしませんという大蔵省の御意見というのはまだ聞いておりませんが、しかし、減税をすることがすなわち国民生活を守るということには直ちにつながっていかぬと思うのですよ。私が先ほど財政のことを申し上げた。これは国民生活を守る必要があるからこそ申し上げているのです。つまり、いま最大の問題は、とにかく公債が七兆円の発行額である、そのうち約半分は赤字公債である、その赤字公債もよほどの努力をいたしましてもまだ二、三年解消にはかかるのだろう、こういう状態ですね。  とにかく公債発行額が七兆円に上るというような、こういう状態を続けていったら、いずれは財政インフレですよ。これは公債インフレですよ。これは簡単なインフレじゃありません。恐るべきインフレという問題になる。これはもうインフレこそは本当に国民生活の敵なんです。そういう状態に陥れさせないというためには、やはり財政上非常に工夫もしなければならぬし、そういう状態にならぬように努力もしなければならぬ、こういう考え方につきましては、私は大蔵省当局と同じような考え方を持っておるわけであります。  ただ、これが一つ一つの減税政策にどういうふうに適用していくかということになりますと、いろいろ技術上の問題等もありましょうと思います。まだ具体的な考え方を大蔵省から承っておりませんが、そうそう減税減税と言えるような状態ではないということは、私もそのとおりに考えております。
  233. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは国民にとってはもう非常に大きな関心の的ですよ。ことしも減税してもらえなかった。皆、大変な不満を持っていますよ。五年間も今後減税をしない、こんな大事なことを副総理として、次にはもう総理になられる長官に、大蔵省が何の相談もなしにこういうことを、もちろんそれは決定じゃありませんよ、しかし、これを税調に対して提案しておるわけですよ。非常に私は無神経だと思うのです。  長官は非常に大蔵省の立場を理解するような答弁をなさったわけですが、確かにそういう財政の問題ということは非常に大切な問題でありますが、国民生活はいま非常に厳しい圧迫の状態であるわけです。ですから、少なくともこういう五年間所得減税をしない、これは大変な大きな問題であります。これはひとつ長官を中心にもう一度よく大蔵省に真意を確かめて、閣僚協等でまずこの提案すること自体の問題につきましてよく相談していただきたいと思うのです。もう一度御返事を聞かせてください。
  234. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 大蔵省が五年間所得税減税をしないという趣旨の提案をしたというふうに私は思いませんがね。何かそういうような検討が行われておりますのかどうか存じませんけれども、まだそういう税制調査会に対する諮問というか、政府案の提示があったというふうなことはちょっと考えられないことだ、こういうふうに思いますが、なおよくチェックしてみたい、かように存じます。
  235. 近江巳記夫

    ○近江委員 副総理も非常に驚かれておる。そういうことを大蔵省は平気でやっておるわけですよ。長官も非常に疑問に思われた。その疑問に思われた精神が大切なんです。ひとつこういうことのないように、これは重要な問題として十分よく討議していただきたいと思うのです。これは特に要望いたしておきます。  それから、最近通貨市場におきまして円高傾向が強まっておるわけでございますが、政府としては、景気の回復、また物価の安定、こういう国内均衡達成のためにこうした円高傾向というものは非常に重視されておると思うのですね。この活用という問題につきまして、これは物価対策にどのように直結をされていくわけですか、どのようにお考えですか。
  236. 福田赳夫

    ○福田(赳)国務大臣 円高になるということは、物価対策上はいいことなんです。また、企業によりましては、つまり原材料に非常に多く依存するという企業につきましては、これはまた企業経営上いい傾向を持つわけです。反面におきまして、輸出につきましてはその輸出力を阻害する要因になるわけで、利害得失があるわけでありますが、基本的には為替相場というものはその関係する国の国力の評価ということでありますので、まあ安いよりは高い方がいい。  しかし、これが乱高下するということが一番困るのです。思惑を呼ぶというようなことになり、経済秩序に混乱を生ずる、そういうようなことでありますので、知らぬうちに多少ずつ円価値が高くなるということは、これはすなわち日本経済の国際社会における地位がそれだけ改善されたということにつながっていきますので、これはいいことだというふうに思いますが、しかし、これが急に上がったり、また反動として急に下がったりという状態は、まことに好ましからざる状態である、こういうふうに考えます。
  237. 近江巳記夫

    ○近江委員 この円高に関係しまして、いま大手の電力会社五社のいわゆる査定に入っておられるわけですが、先発四社の場合はたしか三百五円でしたね。三百五円で、査定が三百円でしょう。今回出しておるのは三百一円ですね。実勢は二百九十円ちょっと、こうなってきますと、これは相当圧縮できるわけですよ。特に電力料金のいわゆる国民生活に与える影響、産業界に与える影響というのは重大なものでありまして、これはもう前国会におきましても、私たちとしましても厳しく注意してきたわけでありますが、この円高の問題につきましてどのくらい大幅に圧縮を考えていますか。
  238. 増田実

    増田説明員 電力料金の中に燃料費その他ございまして、これがいま先生から御指摘がありました為替相場との関連があるわけでございます。ただ、為替相場につきましては、今後二年間の予想というものは非常にむずかしいわけでございまして、現在の為替レートは二百九十四円前後ということになっておりますが、これが今後どういうようなレートになるかということは、実際に私は予測不可能ということであるかと思います。そういう意味で、この査定に当たりまして為替相場を幾らでやるかということにつきましては、まだ各種の案で検討いたしておる、こういう段階でございます。
  239. 近江巳記夫

    ○近江委員 確かにその具体的な数値をいまお出しになるということはできぬと思うのですが、しかし国民は非常に期待しているわけですよ。これで非常に大幅に圧縮の一つのてこができた、こういうことで見守っておりますし、ひとつ厳しい査定をしていただきたいと思うのです。  それで、後発五社の場合、いつごろ査定作業を終了するのですか。実施時期とか、予定はどういうように考えているのですか。
  240. 増田実

    増田説明員 後発五社につきましては、申請の時期がそれぞれ違います。一番最初に出ておりますのが関西電力でございまして、これにつきましては受け付けが六月十八日、それから公聴会を実施いたしましたのが七月十五日ということになっておりまして、いま最終の査定作業に入っております。そういう意味で、この査定作業が終わりましたら認可の運びになるということでございますが、これにつきましてはまだ関係当局と打ち合わせ中でございまして、日にち、それから査定幅ということは未定でございます。  それから残りの四社、具体的に言いますと、東京電力、中部電力、四国及び中国電力の四社でございますが、これは六月の終わりから七月の初めに受け付けておりまして、それぞれの公聴会につきましては、八月二日から四日の間にかけまして実施するということになっております。この公聴会が終わりまして、公聴会の意見その他も十分踏まえまして後、査定作業の最終に入るということでございますが、大体八月の終わりごろという予定で現在作業をいたしておる次第でございます。
  241. 近江巳記夫

    ○近江委員 公聴会公聴会というお話があるわけですが、この公聴会につきましては批判が非常に強いわけですね。一体どこまで本当にわれわれの声を反映してくれているのか。関電につきましても公聴会が終わっておるわけですが、また先発四社につきましても当然そういう手続を経て決定なさったわけですね。それを踏まえて、公聴会でのそういう意見の反映というのは具体的にどのようにやったのですか。これとこれと反映したと具体的に言ってください、抽象例でなくして。
  242. 大永勇作

    ○大永説明員 お答え申し上げます。  一番中心は、やはり最近の物価情勢あるいは国民生活の状況に照らして厳しく査定をすべきであるということでございまして、先発四社の場合、申請幅は平均で三四・三%程度でございましたが、これを二七%強に、約七%程度厳しく査定をしたという点が何と申しましても一番大きいわけでございます。  それから、燃料費につきましては、やはり先取りの値上げは認めるべきでないというふうな意見が強かったわけでございまして、OPECにつきまして五十二年四月から五%の値上げの申請になっておりましたが、これらにつきましても厳しく査定をいたしております。  それから、諸経費につきましても厳正な査定を行うべきであるということでございまして、交際費、寄付金等につきましては、税法限度額の二分の一以下ということで圧縮をいたしておる次第でございます。  それから、今回の先発四社の公聴会におきましては、設備投資関係につきましての意見が多数出たわけでございますが、この国会でも議論の出ましたいわゆる符号地点等につきましては、レートベースといいますか、査定の対象から落としますとともに、具体的な設備投資につきましても、ずれる見込みのものにつきましては、これを査定におきまして後にずらしまして金額を査定しておる。全般にわたりまして相当厳しく査定をしたつもりでございます。
  243. 近江巳記夫

    ○近江委員 いまお聞きしますと、確かに何点かのそうした御意見は入れておられるように私は思います。しかし、まだまだ公聴会に出て陳述なすった方々のお話を聞いていますと非常に不満があるわけですね。もっと形式自体も変えてもらいたいとか、私の意見を出したことがどのように反映できたか回答をもらいたいとか、いっぱいあるわけです。ですから、その辺はひとつ、今後どのように反映していき、また陳述なさった方々に対しては返事を出すとか、やはりよく工夫をしなければいけないですよ。断絶が一層強まっておるように思います。ですから、その点を特に申し上げておきたいと思うのです。今後さらにひとつ改良していただいて、声をよく反映していただきたい、これを強く要望いたしておきます。  それから、先発四社の新料金を見ますと、料金単価で、旧料金で最も安い北陸と最も高い九州の格差が二円七十二銭であったわけですが、新料金ではこの差がまた拡大いたしまして、三円二十九銭になっておりますね。こうした地域間の料金格差、これは長期的に見ましてどういうように展開していくのか、見通しについてお伺いしたいと思います。
  244. 増田実

    増田説明員 電力料金につきまして地域的な格差が出るということは、私は望ましくないことであると思っております。しかるに、現在の料金体系というものからどうしても差が出てくる。これに対して今後できるだけこの格差を縮める、この格差の広がるのを避けるということが必要だと思っております。そのために現在考えております方策は、電力会社の広域運営体制というものを確立するということでございまして、一つには、各電力会社の間の電力の融通制度を開く、また今後電力の需要が高まってまいります、これに対して必要な設備投資を共同投資という形で行う、これによりまして地域的な発電コストの有利、不利というものを消していくという形で、できるだけ電力料金の格差を縮めていきたいということでございます。これにつきましては、九電力会社も昨年私どもの方に、広域運営体制というものを今後やっていく、それで具体化については通産省と一緒に検討したいという申し入れもあります。そういう意味で、この広域運営体制というものによりましてできるだけこの格差というものを縮めていく方向に持っていきたいというふうに考えております。
  245. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうしますと、この広域体制というものはイコール将来九電力体制を一本化していく、こういう方向にまでこれはつながるわけですか。
  246. 増田実

    増田説明員 現在の九電力会社の体制が電力供給にとって最上の制度であるかどうか、これはいろいろ議論がございます。ただ、私どもは、いまの広域体制というものを行えば、現在の九電力体制というものが安定供給のためにやはり必要な体制であると、こういうふうに考えております。そういう意味で、いま先生から御指摘になりましたように、広域運営ということをやることによって九電力体制をたとえば一社にするとか、あるいはもっと数社に統合するということは、現在のところは考えておりません。
  247. 近江巳記夫

    ○近江委員 この公聴会でも非常に声が強かったと思う問題は、要するに経理公開をしてもらいたい。きょうも他の委員が、いわゆるC重油の価格について一つは問題を提起したわけですが、私たちもこれは質問をし、また他の委員の話も聞いておりまして、やはりすっきりせぬわけですよ。そういうベールに隠されて、それでしかもどうも苦しいとか、そうしてぼんほん大衆に転嫁をしてくる。これはやはり公益事業という立場におきまして、一面から言えばこんないい企業はないわけですよ。そうでしょう。できなくなれば、おんぶにだっこですよ。上げてくださいと、上げてもらえばいいのですよ。言うなら王国ですよ。これはそれだけ甘えておる企業でしょう。しかしまた、社会的に果たさなければならない重大な責任を持っております。その立場は私たちもよく認識をしておるわけですね。  したがって、国民にそれだけの負担をお願いするならば、経理公開をして、こうなっておりますという、これが一番国民の理解と協力を得やすいわけでしょう。なぜ経理公開をやらさないのですか。一般の民間企業と違いますよ、公益事業なんですから。その点について政府部内で討議していますか、いかがですか。
  248. 増田実

    増田説明員 電力事業は、これは公益企業でありますと同時に、性格的には地域独占ということでございますので、この料金の値上げというものが需要者にとっては避けられない受け身の形になるわけでございます。そういう意味で、料金の改定をいたします際には、なぜ必要であったか、またどういう査定が行われたかということにつきましては、やはり国民一般あるいは需要者一般の理解を得るべきものと私も考えております。そういう意味で、査定を行いましたときにはできるだけその内容を公開いたしまして、そうしてこれの説明をし、需要者側において納得できるような体制にいたしたいと、こういうふうに考えております。  ただ、電力事業につきまして全部のその内容を経理公開するということは、これはやはり電力事業が私企業体制でございますし、また経理公開にはいろいろ限度があると思いますので、先ほど申し上げましたような趣旨に沿って、できるだけ電力料金の改定がありましたときには需要者側の理解が得られるような説明をするという努力は十分行いたい。これは役所側も行いますし、また会社側にも行わせたいと、こういうふうに考えております。
  249. 近江巳記夫

    ○近江委員 こういう電力会社がいわゆる関連会社に投資しているというのは非常に多いわけです。たとえばホテルであるとか、何の関係があるかと思うようなところへ投資しておるわけですね。これはひとつ今後は通産省としては徹底して一遍洗ってもらいたい。料金の値上げをしておいて、そういうものに投資をして子会社をふやしていく、これはもう許せぬことです。だから、今度機会がありましたら、私は各電力会社のそういう関連会社を全部一遍調べ上げて、一回また公にしたいと思います。だから、これはひとつよく指導していただきたいということです。  さらに、こういう公益事業が政治献金したり、それが全部国民に転嫁されていく、そんなばかなことはないですよ。そういう姿勢につきましても、政府として厳しくこれは監督すべきです。きょうは細かいそこまでのデータを持っていませんから、時間の関係もありますからできませんけれども、そういう点、その運営につきましてひとつ厳しい監督をしていただかないと困る、これを申し上げておきます。  それから、この際、電気ガス税の撤廃ということにつきまして政府としてばどういうようにお考えになっておるか。もちろんこの電気ガス税という問題につきましては、これは地方税の関係もございますから、その減る分につきましては当然政府が地方自治体にカバーをしていく、そういう手当てをした上で廃止をする、この問題についてはいかがですか。
  250. 増田実

    増田説明員 電気ガス税につきましては、これは料金が上がればそれが同時に連動して上がるわけでございまして、その分だけ負担が増すわけでございますので、その分については少なくとも調整をすべきだということで、現在、自治省の方にいろいろ話し合いをしております。電気ガス税の制度全体につきまして私どもとしてもいろいろ意見はございますが、これは自治省あるいは対府県との問題がいろいろございますので、ただいまのところは、この料金改定に伴った分だけは少なくともこれを引き下げるべきだということで折衝中でございます。
  251. 近江巳記夫

    ○近江委員 東京瓦斯がまたガス料金を二六%引き上げる申請をしておるわけですね。西部瓦斯が認可されたわけですが、引き続きまして大阪瓦斯、東邦瓦斯がいずれ申請を出すであろうと、このように見られておるわけですが、なぜこうした申請を出すか。燃料費の高騰であるとか、あるいは設備の問題であるとか、あるいは資本費の増大であるとかいろいろなこと、それなりにそうした申請をしておるわけでありますが、先ほど申し上げましたように、為替レートの問題におきましてもこれは相当圧縮できるはずでございますし、この資本費の見積もり方、需要予測等につきましても、これはひとつ政府としてはうんと厳しくやるべきですよ。  大体いままでの政府のやり方というのは、業界に対しまして非常に甘いという感じがするわけです。これはもっと国民の立場に立って厳しくやりなさいよ。それからさらに、いまだにガスの問題については保安上問題がたくさんあるわけです。たとえば熱量変更のためにガス器具の調整等で事件を起こした会社もあるわけですが、こういうことももっと厳しくやりなさいよ。料金を上げてもらうときだけは通産省へ来るわけでしょう。こういうことは通産省は責任があるわけですから、もっと厳しくやりなさい。  それから、都市ガスの供給地域の膨張といいますか、LP業者との関連も非常にあるわけですが、こういうあたりを今後どうしていくかということですね。たとえばどんどん設備をしていく、それがいわゆる基本料金といいますか、従来もガスを受けておる人たちの料金に全部はね返っておる。そういうことがガス料金引き上げの非常に大きな原因にもなっているわけでしょう。将来非常にこれは大きな問題だと思うのですね。そういうことを含めまして、エネルギー庁としてはどういうようにこのガス料金の引き上げについてはお考えになっておるかということをお聞きしたいと思うのです。
  252. 増田実

    増田説明員 ガス事業も電力事業と同じように公益事業でありますし、また事業の形態としてはやはり地域独占の性格を持っておるわけでございます。そういう意味で、私どもは、燃料費その他の値上げのために申請が出ておりますが、これに対しては厳しい姿勢で査定をするということで、物価、国民生活、あるいは国民経済一般に対する影響その他を十分勘案いたしまして査定をしていきたい、こういうふうに考えております。  それから、いま先生からお尋ねのありました供給地域の拡張というものにつきましては、これは従来LP業者というものがガスの供給をしておる、そこに各種のトラブルが現在起こっておりますが、これにつきましてもできるだけ両業界の間で話し合いをする、また必要があれば通産省がその中に立って、そしてその円満な解決を図るということで努力をいたしておる次第でございます。
  253. 近江巳記夫

    ○近江委員 特にそういう都市ガスとLP業者との紛争が各地でどんどん起きますと、監督官庁である通産省は何をしておるのだということにもなるわけですよ。だから、そこでいわゆる協議会を設けるとか、やはり何らかのきちっとした解決のルールといいますか、そういうことをよく一遍煮詰められたらどうですか。ルールのない中で絶えず全国各地でそういう問題が起きておりますし、これはひとつよく考えてください。  それから、これは全く電力料金と関連する問題でございますから、特にあの社債のときも、本当は電力が出してきているわけでしょう、ガスも同じような条件だからということで。そういうように、料金の引き上げ問題につきましても、電力がやっているからほいまたガスもだというような空気がなきにしもあらずですよ。そういう点におきまして、経理の公開はいまの段階ではできないわけでしょう、国民にかわって厳しく査定できるのはあなた方じゃないですか。本当に一億一千万の国民にかわって厳しくやるという姿勢に立ってくださいよ。特にそれを要望しておきます。安易なそういう姿勢では国民は許しませんよ。それを申し上げておきます。  それから、公取委員長も非常に長いこと待ってもらっておるわけですから、公取委員長にお聞きしたいと思いますが、公取委員会としましては、事業者団体の活動につきまして実態調査を進めておられるということをちょっと聞いておるわけですが、事業者団体の場を通じて違法カルテルが形成された事例というものは非常に数多くあったように思うわけです。事業者団体の活動の適正化というのは独禁政策上の非常に重要なテーマの一つじゃないか、このように思うわけですが、公取委員会としましては実態調査の上、事業者団体の行動基準を作成する方針であるということもちょっと聞いておるわけですが、公取委員長としましては問題点をどのように認識されて、どのように対処なさろうと考えておられるわけですか、この点につきましてお聞きしたいと思います。
  254. 澤田悌

    ○澤田説明員 御指摘のように、事業者団体は数多くございます。それで、その事業者団体の活動自体が、いろいろ独禁法に定められております法の精神と合致する限界というのが非常にむずかしいわけでございます。それで、事業者団体の実態、あり方というものを把握することがまず第一歩ということで、いまお話しのように各種の事業者団体について実態調査を進めておる次第でございます。この実態を把握いたしまして、それぞれの事業の特徴に応じて、事業者団体の活動、それが独禁法の精神に違反しない団体行動の限界等につきまして、これから十分検討を加えまして方針を考えてまいりたい、まだこういう段階であるわけでございます。
  255. 近江巳記夫

    ○近江委員 事業者団体というものがいわゆる違法カルテルの温床になっているのじゃないか、そういう声も非常に強いわけですね。その点でいま調査なさっているということでございますから、そういう点は十分よく勘案される必要があるのじゃないか、このように思います。  それから、多国籍企業の独禁政策上の取り扱いにつきましては、ロッキード事件等もありまして非常に重要な政策課題になっておるのじゃないかと思うわけですが、伝えられるところでは、多国籍企業の行動規制に関する独禁法運用の日米相互協力協定の締結について米国から打診があって、公取委員会も乗り気であるということを聞いておるわけですが、この協定の内容、ねらい、わが国としてのメリットという点につきまして、また今後の進め方につきまして、簡潔にお伺いしたいと思います。
  256. 澤田悌

    ○澤田説明員 御承知のように、外国に本拠を置きまする多国籍企業につきまして、国内での活動があります場合に、その活動が実質的な競争の制限になるとか不公正な取引になるという場合には、独禁法の条項に照らしまして厳重に規制できるわけでございますが、一国の法制のみではなかなか有効な規制ができない場合も少なくない、これはただいま御指摘のとおりでございます。過般六月二十一日にOECDにおきまして多国籍企業の行動基準の公表がございました。こういう世界的な傾向といいますか、研究態度が盛り上がってきてございます。  それで、御承知のようにOECD理事会の勧告に基づく通報制度とか、調停委員会によります調停制度等がございまして、調停にかかったという例はまだ日本にございませんが、アメリカ、西独等との通報は実例が幾つもございます。そういった協力関係ができておるのでありますが、以前メメリカと西独の間に、二国間の通報とか、そういう内容を決めた取り決めができたのであります。  これと同じようなものをアメリカが日本と結びたいがどうかという、まだいま向こうの司法省からの簡単な打診の程度でございますが、そういうアプローチがございました。私どももそういうことができれば結構なことではないかということで、前向きで対処したいと存じておりますが、これは具体化しますと国内の各関係政府機関と密接な連絡のもとに進めないといけませんので、そういう心構えで対処したいと考えております。
  257. 近江巳記夫

    ○近江委員 公取委員長は、中小企業の事業分野に関する立法につきまして多少批判的であるというような見解を持っておられるのではないかということを伝え聞いておるわけですが、この真意につきまして簡単にひとつお伺いしたいと思います。
  258. 澤田悌

    ○澤田説明員 本日も当委員会で御質問がほかの先生からございましたので、率直に私の気持ちを申し上げたのでありますが、単純に一般論としての独禁法のたてまえを申しますと、大企業中小企業の間においても公正な競争が行われ、大企業も公正な姿勢で中小企業と競争するというのであれば、これを現在の独禁法のたてまえで単純に規制するということはいろいろ問題があるということでございます。したがいまして、大企業中小企業の調和を図りますために、その結果業界における競争が制限され、あるいは新規参入が阻止され、あるいは技術の革新等の刺激を失い、結局消費者に不利益をもたらすようになっては、独禁法の本来のたてまえからは問題があると、かように考えて、一般論としてはそのたてまえを申しておるわけでございます。  しかし、先ほどもちょっと申しましたように、大きいものと小さいものの競争自体が問題であるという意識が高まってきておるように私はあの問題を推察しておるのでありまして、問題がそういうことに相なりますと、競争の公正、不公正というような問題ではなくなってまいるわけでございます。これは、それを少し離れた立法政策と申しますか、政治問題と申しますか、そういう問題になってまいりますので、当委員会におかれましても御決議になりましたように、この問題を大いに突っ込んで真剣に考えて、最も弊害のない、望ましい立法をしようということでございますれば、これは公取委員会の問題を飛び越えるわけでございます。その場合でも、願わくは大企業中小企業の調和を図りつつ、しかも消費者利益を害さないようにお願いいたしたい、こういうのが率直な気持ちでございます。  以上でございます。
  259. 近江巳記夫

    ○近江委員 中小企業庁長官、どうも最後になって済みません。  最後にちょっとお伺いしたいと思いますが、官公需の契約の問題でございます。五十年度の契約目標が三二・九%であったわけですが、それに対しまして実績が三二・六%、やや下回ったわけです。そこそこ努力なさったように思うわけでございますが、しかし、この目標を達成し、上回ることはできなかったというその原因。  それから、政府はさらに二十日の閣僚会議におきまして、五十一年度の官公需に占める中小企業向け契約目標を、官公需総予算六兆八千六百八十二億円の三四%、二兆三千三百五十億円とすることに決めたわけですが、この目標を実現するために具体的にどういう方策をお考えになっておるか。  それから、三木総理は本会議等で中小企業向け契約目標を五〇%とするとしばしば答弁してきておられるわけですが、今回の決定は非常に差があるように思うわけです。まさか一挙に五〇%にいくということは非常にむずかしいかと思いますけれども、しかし、そうした五〇%という答弁からしますと、まだまだ努力が足らぬというように思うわけでございます。その点につきましてどのようにお考えになっておるかということをお伺いしたいと思います。
  260. 齋藤太一

    齋藤説明員 五十年度の実績が出てまいりましたが、御指摘のように、目標の三二・九%に対しまして三二・六%でございまして、ほんのわずか目標を下回っております。  目標を達成できなかった理由といたしましては、目標自体が最近にない非常に高い目標でございましたことと、一番内容的に大きな問題は、国鉄と電電が目標を達成できなかったために全体として目標を割り込んだ、こういう結果になっております。国鉄と電電が一番ウエートも高いわけでございますが、御承知のように非常に合理化が行われておりまして、そういたしますとどうしても細々した物品の調達等が先に見送られるといったような事情等もございまして、若干目標を下回った、こういう状況にございます。  今年度につきましては、国鉄、電電等につきましてもさらに努力を願いまして、去年の目標よりもさらに上回る目標を設定いたしておるところでございます。今年度は御承知のように三四%という比率を目標に掲げてございますが、ポイントとしては一ポイントの上昇でございますけれども、金額自体は一五・六%の伸び率になっておりまして、中小企業の仕事の確保という意味では非常に効果が高いものと考えております。  これを実現します手段といたしましては、ことしの七月二十日にその方策につきまして閣議決定をいたしまして、これから各省庁並びにその出先地方機関等にもその趣旨の徹底を図ってまいりたいと考えておりますが、やはり一番力を入れておりますのは、分割発注の促進、それから建設工事等につきましては、協同組合をつくっていただきまして、組合として受注をするということによりまして、それぞれでは力の弱い中小企業者が大きな工事の受注を図る、こういうことを進めてまいりたいというふうに考えております。  五〇%にはまだほど遠いのじゃないか、どうするつもりかという御質問でございますが、国につきましては三四%でございますけれども、自治体でございますとか、そういった府県あるいは市町村の発注の中小企業向けの分を合わせますと、現在でもほぼ五〇%に相なっております。これは特に地方の方は仕事が国の仕事に比べまして小さい関係もございまして、中小企業向けの比率が非常に高い結果が出ておりまして、それを含めますと五〇%に達しておりますが、なお国の発注につきましても三四%に甘んずることなく、さらに今後この引き上げに向かって努力をしてまいりたいと考えております。
  261. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間がありませんからこれで終わりますが、この官公需の問題につきまして、いま齋藤長官は、自治体合わして五〇になる——そういう自治体のことは言わなくていいのですよ。自治体は中小零細が多いわけでございまして、政府として、政府発注の分を一日も早く五〇%にしてやる、これは長官に就任されて非常に努力されておることはよく承知しておりますし、今後もさらにひとつ努力をしていただきたい、このように思うわけです。  最後に大臣から、中小企業に対する官公需の発注率を高めていく問題につきまして決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  262. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 私も二十日の閣議で、各省並びに各庁の担当大臣に対しまして、目標の三四%を達成するように強くお願いをいたしておきました。昨年の目標に比べますとことしは一%強の上に目標を設定しておりますが、なかなか一遍にふやすということもむずかしい点がございますが、しかし大事なことでございますので、できるだけ上げるようにあらゆる努力を積み重ねていきたいと思っております。
  263. 近江巳記夫

    ○近江委員 終わります。      ————◇—————
  264. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 この際、委員長から申し上げます。  明二十七日開会予定のエネルギー・鉱物資源問題小委員会及び流通問題小委員会は、両小委員長から、それぞれ都合により延期いたしたいとの申し出がありました。  先刻、理事間において協議いたしました結果、両小委員会は、いずれも来る八月十日火曜日に延期することとなりましたので、さよう御了承願います。  本日は、これにて散会いたします。     午後六時十一分散会