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増田政府委員 今後の
電源構成といたしまして、その一翼に
原子力発電というものが相当大きな役割りを果たしていかなければならないということでございまして、この
原子力発電所の
建設につきましては、いま
先生からおっしゃられましたように、これに対する
安全性の確保及び環境の保全対策というものが前提でございまして、これを第一の前提といたしましてその上で
原子力発電所を
建設する、こういう方針で今後この
建設を進めていきたいと考えています。
このために、具体的にどういうことをするのか、また、従来の方策に対してどういうふうな新しい政策をつけ加えていくのかということについて簡単に申し上げたいと思いますが、
一つには、
原子力安全対策の強化というために、従来からやっております
電気事業法に基づきます審査及び検査というものがございます。これらにつきまして人員の
整備を行いますとともに、これらの審査、検査というものを強化するという方向に持っていきたい。
また、現在内閣に
原子力行政懇談会が開かれておりまして、その中間報告も出ておりますが、
原子力委員会のあり方、ことに安全規制のあり方というものにつきまして中間報告が出ております。それによりますと、ただいま私が申し上げました
通産省で行います
各種の審査、検査につきまして、新しく安全規制
委員会を設けて、あるいは現在の
原子力委員会がそれまではやるということになりますが、将来は安全規制
委員会を設けましてダブルチェックを行う、こういうことになっておるわけでございます。
また、この
原子力発電所の
安全性につきましては、この
安全性に関します信頼というものがなければ、
国民の協力を得ましてこれが進むということは不可能でございますので、この前も本
委員会で詳細答弁申し上げたところでございますが、実証試験というものを行うということで現在考えておりますのは、発電所の地震による
影響、つまり
原子力発電施設の耐震信頼性実証試験というものを、相当な金額、現在考えておりますのは百億以上の、二百億近いものをかけまして、いわゆる振動台の上に実物大の原子炉を置いてこの実験をし、そしてそのデータを全部公表いたしまして
国民の実証的な信頼を得るということを行いたいということで、これは
原子力工学試験センターというものがすでに発足しておりまして、今年度は予算でも二十五億の国家予算がこれに投入され、この実証試験を行う
計画になっております。
それから、それ以外に
原子力発電所の
設備でございますが、これにつきましてはいわゆる標準化、改良化を行うということで、これも時間の
関係で詳しくは申し上げませんが、
日本に合った、つまり
原子力発電炉は現在軽水炉でアメリカから導入いたしたものでございますが、これにつきましても過去十年間の経験によりまして
日本的にこれを適用させる、そして
日本型の原子炉をつくるということで、この改良、標準化の作業をいたしております。これにつきましても先般中間報告を発表いたしたわけでございます。
それ以外に、温排水対策とか、あるいは一番問題となっておりますいわゆる核
燃料サイクルの確立ということで、ウランの取得、それの濃縮、また
原子力発電所から出ます使用済み
燃料棒の再生処理あるいは
廃棄物の処理というものにつきまして一貫した政策を立てるということで、これにつきましても五月の初めに私
どもの方で専門の学者の方々と討議いたしました
内容の中間報告を一応取りまとめておりますが、これにつきましてもこれから
原子力委員会あるいは科学技術庁と十分相談をいたしまして、核
燃料サイクルの確立に努めるということでございます。
以上、若干落としたものもあると思いますが、
原子力行政につきましては、これは
先生からもおっしゃられましたように、
安全性の確保とそれから環境の保全というものを第一義にしてこれを進めていくというのが私
どもの方の基本方針でございます。