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1976-05-12 第77回国会 衆議院 商工委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年五月十二日(水曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 稻村左近四郎君    理事 橋口  隆君 理事 武藤 嘉文君    理事 安田 貴六君 理事 渡部 恒三君    理事 上坂  昇君 理事 佐野  進君       天野 公義君    内田 常雄君       浦野 幸男君    小川 平二君       粕谷  茂君    木部 佳昭君       栗原 祐幸君    島村 一郎君       羽田野忠文君    八田 貞義君       深谷 隆司君    山崎  拓君       板川 正吾君    岡田 哲児君       加藤 清政君    加藤 清二君       勝澤 芳雄君    竹村 幸雄君       中村 重光君    渡辺 三郎君       野間 友一君    近江巳記夫君       松尾 信人君    玉置 一徳君       宮田 早苗君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君  出席政府委員         通商産業政務次         官       綿貫 民輔君         通商産業大臣官         房審議官    藤原 一郎君         資源エネルギー         庁長官     増田  実君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       井上  力君         資源エネルギー         庁公益事業部長 大永 勇作君  委員外出席者         議     員 板川 正吾君         参  考  人         (日本エネルギ         ー経済研究所理         事長)     向坂 正男君         参  考  人         (電気事業連合         会会長)    加藤乙三郎君         参  考  人         (日本瓦斯協会         会長)     安西  浩君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  小規模企業共済法の一部を改正する法律案(板  川正吾君外九名提出衆法第八号)  一般電気事業会社及び一般ガス事業会社社債  発行限度に関する特例法案内閣提出第四二  号)      ————◇—————
  2. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 これより会議を開きます。  板川正吾君外九名提出小規模企業共済法の一部を改正する法律案議題といたします。  提出者より提案理由説明を聴取いたします。提出者板川正吾君。     —————————————  小規模企業共済法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 板川正吾

    板川議員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました小規模企業共済法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  この法律は、小規模企業者相互扶助の精神に基づき、小規模企業者事業廃止等につき、その拠出による共済制度を確立し、もって小規模企業者の福祉の増進と小規模企業の振興に寄与することを目的として、昭和四十年に制定されたものであります。対象は、常時使用する従業員が商業、サービス業では五人以下、その他は二十人以下の個人事業主及び会社企業組合協業組合の役員となっております。また、一人であるいは家族だけで事業を営んでいる、いわゆる一人親方及び自由業者対象となっています。労働者には、退職時に退職手当が支給されるのに対して、これら対象者事業をやめるときや退職するときには、十分な給付がなされない実情にかんがみて、この共済制度が創設された経過があります。この制度は、昭和五十年十二月現在で四十五万人余の加入を見ておりますが、加入割合全国小規模企業者の一割にすぎません。しかし、わが国経済安定成長へと移行する中で、小規模企業を取り巻く経済環境は一段と厳しさを増してきており、経営生活の不安に悩まされがちな小規模企業者にとって本制度の果たす役割り重要性は今後ますます高まってくると考えられます。  ところで、法制定後十年を経て、この企業共済は幾つかの点で実情に合わなくなってきております。  一つには、共済契約掛金月額現行一口五百円を二十口までですが、これではいざというときの生活保障にはほど遠いものになっています。  二つには、企業共済積立金運用の問題であります。現行掛金納付済み額の九割を限度として貸し付けが受けられることになっていますが、事業団資金加入者のためにさらに活用するため、融資業務拡充し、事業転換資金貸し付け住宅建設資金貸し付けを追加し、貸付額も増加する必要に迫られています。  三つには、右に述べた事業団融資業務拡充のために、政府資金の導入が求められています。  わが党は、以上の諸点につき本法を早急に改正し、小規模企業者生活保障を図ることが必要であると考える次第であります。  これが本法律案提出する理由であります。  次に、その内容概要を御説明いたします。  まず第一は、掛金月額口数最高限度の引き上げであります。すなわち、法第四条を改正して、小規模企業共済契約掛金月額口数限度現行の二十口から六十口に引き上げることとしております。これに伴い、掛金最高月額現行の一万円から三万円となり、また、共済金最高額現行の三倍に引き上げられることとなります。  なお、第一種共済契約については、税法上全額所得控除が認められていますので、本改正により年額三十六万円まで控除されることとなります。  第二は、小規模企業共済事業に要する費用の補助の規定の新設であります。すなわち、法第五十八条の二を新設して、政府は、小規模企業共済事業団に対し、政令で定めるところにより、小規模企業共済事業に要する費用の一部を補助することができるものとしております。  第三は、小規模企業共済事業団の行う融資業務拡充であります。すなわち、法第四十二条を改正し、事業団は、共済契約者に対して、一つには、事業転換に必要な資金貸し付けを行うことができるものとしており、二つには、みずから居住するための住宅建設、改良または購入に必要な資金貸し付けを行うことができるものとしております。  なお、右のうち、事業転換資金融資条件は、事業団業務方法書により、  (イ) 融資対象掛金納付月数が百二十カ月以上のものまたはその会社。  (ロ) 融資限度は三千万円。  (ハ) 償還期間は、据え置き期間三年以内を含めて、十二年以内で、特別の事情がある場合は、償還期間及び据え置き期間を、それぞれ二年以内延長できるものとする。  (ニ) 利率は年八%以内で、特別の事情がある場合は、年三%まで軽減できるものとすること。 以上のように定めるべきものと考えております。  また、住宅建設資金融資条件は、事業団業務方法書により、  (イ) 融資対象掛金月額が八十四月以上のもの。  (ロ) 融資限度納付に係る掛金合計額の二倍に相当する額で、一千万円を限度とする。  (ハ) 償還期間は七年以内。  (ニ) 利率は年八%以内。 以上のように定めるべきものと考えております。  以上が、本法律案提案理由並びにその内容概要であります。  何とぞ、御審議の上、御賛成あらんことをお願い申し上げて、提案理由説明を終わります。(拍手)
  4. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 以上で提案理由説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  5. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 次に、内閣提出一般電気事業会社及び一般ガス事業会社社債発行限度に関する特例法案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。板川正吾君。
  6. 板川正吾

    板川委員 電気ガス事業社債枠特例法案について質疑をいたしたいと思います。  まず、今回電気ガス事業社債発行限度特例法を必要とした理由と背景について、要約して御説明願いたいと思います。これはエネルギー庁長官で結構です。
  7. 増田実

    増田政府委員 お答え申し上げます。  今回、社債枠発行限度増枠の御審議をお願いしておりますが、その理由について申し上げますと、これは電気及びガス事業両方につきましてでございますが、今後のこれらのエネルギー需要というものが相当高まってくるわけでございますが、供給確保いたしますための設備資金調達につきまして、現在の社債発行限度枠のままでございますと不足が生じてくるということでございます。  これをさらに敷衍して申し上げますと、電気事業資金需要につきましては、昭和五十一年度から六十年度の十年間につきましては四十七兆六千億、また、ガス事業につきましては約四兆六千億の資金需要があるわけでございますが、他方社債につきましては限度枠がございます。この限度枠につきましては、電気につきましても、ガスにつきましても、一部の会社は今後数カ月以内に限度枠に達するということでございます。そういうことから、ただいま申し上げましたように、電力及びガス供給確保を図りますために社債限度枠の拡大をぜひともお願いいたしたい、こういう趣旨でございます。
  8. 板川正吾

    板川委員 いまの趣旨は、こういうように理解してよろしいでしょうか。電力の場合に限定して議論してみたいと思いますが、十年後の電力長期需要を見通すと、昭和六十年に八千百五十四億キロワットアワーである。これを達成するためには、年率五・六%で設備を拡大していかなければならない。その電力需要を充足させるためには、発電設備昭和六十年一兆九千百二十万キロワット必要である。一兆九千百二十万キロワットの発電設備を設けるために、工事資金がほぼ四十八兆必要である。現在のままでいけば十六兆八千億資金不足となる。現に四国電力では七月に、八月には東京電力、中部電力、九州電力社債発行の限界が来る。特に最近は不況のため証券市場増資力不足をして、電力のような大型増資の消化が非常に困難となってきておる。また、増資分配当には、配当一〇%としますと、それのさらに八%公租公課がかかる。社債は、利子が八・八八%を含めて九・六三%の費用で済む。だから、資金コストが安い。したがって、増資よりも社債でやった方が電力会社経営の安定を図ることになるのだ、こういうふうに理解してよろしいですか。
  9. 増田実

    増田政府委員 そのとおりでございます。
  10. 板川正吾

    板川委員 次に、ガスの場合についてとりあえず聞いておきますが、ガスの場合に、この社債枠を従来は一般企業と同じだったのを今度二倍にするということになったのは、その必要性はどうなんですか。また、ガスの場合は九電力と違いまして、全国に二百五十社の大手を含めて中小が大部分、この社債枠の二倍になるということは、中小ガスの場合にはどういうことになりますか。     〔委員長退席渡部(恒)委員長代理着席
  11. 増田実

    増田政府委員 ガスにつきましては、ただいま先生の御指摘のように、ガス会社約二百五十社ございます。この中に公営のものもございますが、公営を除きますいわゆる私企業経営いたしますものが約百八十でございます。これらの私企業でありますガス会社につきましては、それぞれ社債発行ができるわけでございます。ただ、現実に現在公募債を出しておりますのは四社でございます。それ以外に、いわゆる縁故債の形で出しておりますのが数社ございますので、先ほど申し上げましたように、私企業でやっておりますガス会社百八十社いずれも社債が出し得る、こういうことでございます。
  12. 板川正吾

    板川委員 次に、これは以下電力についてしぼって聞きます。ガス念頭から離して結構ですが、本法が仮に成立をしたとして——まあ、しない公算の方が大じゃないかと思いますが、仮に成立をしたとしまして、社債枠現行の二倍とすれば、この五十一年−六十年の十年間で十六兆八千億の資金が解決できる、こういう理屈になるわけですね。その数字的な根拠を示してもらいたいと思います。なぜ社債枠現行の二倍から四倍にすれば十六兆八千億円という資金調達が可能となるのか、この積算基礎といいますか、数字を挙げて説明願いたい。
  13. 大永勇作

    ○大永政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、社債の枠だけで資金調達の問題全部が解決するわけではございません。十六兆八千億のうちで約十兆円はこの社債の枠を倍にすることによってカバーできますが、あとの六兆円につきましては、経営努力によります内部資金確保、それから増資につきましても当面は年一割程度増資しかできませんが、やはり自己資本の充実の努力はすべきでありまして、後半につきましては一割二分程度増資努力をいたしております。  それから借入金につきましては、現在大口規制等が行われておりますが、そういったものの緩和によります努力、それから財政資金につきましても、公害対策枠等につきましての開銀融資等確保による増額、こういったあらゆる努力をいたしまして、ようやく十六兆八千億の不足確保できる、こういうことでございます。
  14. 板川正吾

    板川委員 その点は後でゆっくり伺います。  次に伺いますが、増資による内部資金を使うとしたならば、先ほど私も言いましたように配当しなければなりません。配当しなければ増資なんてできるはずがないのですから。いま一二%と言ったけれども、仮に一〇%とした場合でも、それに所要税金が八%かかります。ですから、増資による内部資金を使うとするならば、資金コストは少なくとも一八%ぐらいかかる。社債ならば、社債発行費を含めて九・六三%でよろしい。資金コストは非常に安い。社債枠を二倍から四倍にしてコストの安い資金を使った場合に、増資の回数が減るでしょう、増資の方が資金コストが高いですから。電力会社が全体として社債発行枠を四倍にしたことによって、十年間どのくらい増資をせずに済む、どのくらいメリットがあるとお考えですか。この計算をしてみたことがありますか。
  15. 大永勇作

    ○大永政府委員 現行のまま二倍の枠にいたしますと、社債発行額は十年間に約四兆二千億と見込んでおります。それを四倍にすることによりまして十四兆円の社債発行が可能になる。したがいまして、大体四倍にすることによりまして十兆円程度資金ショートのカバーができるということでございます。
  16. 板川正吾

    板川委員 これは四倍にしたらということですが、では、四倍にしないで現行のままでいった場合と比較したら、どの程度資金コストメリットがありますかということを私は聞きたい。計算していなければ、後で計算して出してもよろしい。
  17. 大永勇作

    ○大永政府委員 後ほど計算してお出しいたしたいと存じます。
  18. 板川正吾

    板川委員 次に伺いますが、この特例法は、現在電気料金値上げ申請しておりますのは四社ですが、いずれあと五社もしかるべき時期に出すだろうと思いますが、この電気料金値上げ関係があると思っておりますか、それともないと思っておりますか。
  19. 増田実

    増田政府委員 今回四月に四社の電力料金申請がございますが、これとただいま御審議をお願いいたしております社債特例法とは関係はございません。
  20. 板川正吾

    板川委員 こういうことになりますか。この特例法がたとえば仮に成立をする。社債発行の枠が二倍から四倍になる。安い資金コストが利用できる。その安い資金コストが利用できるメリット料金関係がないのですか。
  21. 大永勇作

    ○大永政府委員 現在四社の料金申請におきましては、おおむね五十二年度の後半ぐらいに二割五分程度増資を予定しております。しかしながら、もし本法案が成立いたしませんと、御高承のように早いところはことしの七月から社債発行ができなくなるところが出るわけでございます。したがいまして、今般もし不成立に陥りました場合の当面の影響としては、その資金調達ができないということになるわけですが、どうしても社債発行しようとすれば、五十二年後半に予定しております増資を繰り上げて行うとか、あるいはそれをさらにふやすとかいうことが必要になるわけでございますが、それは実際の増資市場におきましても困難でございますし、もしこれを強行すれば、その分だけ資金コストがまた高くなる、こういうような関係はあるわけでございます。
  22. 板川正吾

    板川委員 長官関係ないと言うけれども、私は思想的には関係なくちゃおかしいと思うのですね。特例法でこういう恩恵を受けて安い資金コストの金が使えるようになったら、それはやはり料金算定に思想的に関連を持たなければおかしい。いまのこの値上げがどれだけ響くかは別として、考え方として私はそうあるべきだと思いますよ。この点、どう思いますか。
  23. 増田実

    増田政府委員 先ほど私が料金と今度の社債について関係がないと申し上げましたのは、御指摘のとおり若干不正確でございまして、社債発行限度枠が今回の法律によって認められるようになりますと、安い資金確保できる。これによりまして、やはり料金につきましてはマイナス効果というものが当然出てくるわけでございますので、先ほどの答弁につきまして若干不正確でありました点を訂正いたします。
  24. 板川正吾

    板川委員 これは大臣に伺いたいのですが、この特例法は結果的には電力会社配当による税金を免除することになるのじゃないか、こういう説があるのです。これは私の説ですが、たとえば社債枠を四倍にしなければ、電力会社所要設備資金確保するために増資をしなければならない。増資をして社債枠をふやすほかはない。それは政府資金財政資金をやるとかということは別の問題として、そうするほかはない。増資するには配当をしなければできない。配当するためには、たとえば一〇%の場合には八%の公租公課を納めなければならない。特例法社債枠が二倍に拡大することによって、ある意味では増資をおくらせることになります。増資をおくらせることになれば、税金をその分納めないで済むということになる。だから、この特例法は結果的には租税特別措置法のいわば変形じゃないか、勘ぐった説としてそういう論理も成り立つと思うのですが、この点は、企業経営名人である通産大臣、どうお考えになりますか。
  25. 河本敏夫

    河本国務大臣 よく整理して御答弁をしたいと思います。とっさのことでございますので、正確な返事はちょっと考えてから返事をさせていただきます。
  26. 板川正吾

    板川委員 大臣増資やそういうことについては名人だから、とっさでも名答弁ができるはずだと思ったのですが、それは残念ですね。説があるのですよ。結局社債枠を拡大することによって増資がおくれるし、増資をしなくても済むし、そうすれば配当の枠も小さいし、配当の枠が小さければ税金が少なくて済むという論理も成り立つ、こういう批判もあるということだけはひとつ念頭に置いていただきたいと思います。  次に、またこれも大臣に簡単な質問ですが、従来政府は、日本企業自己資本率が非常に低い、外部資本に余りにも頼り過ぎておる、戦前と違っておる、これは企業経営のあり方として不安定を意味するのだ、なるべく自己資本率を高めるように指導する、こういう方針で来たと思うのです。しかし、この特例法はその方針に逆行する結果をもたらすだろうと思います。九電力は現在でも自己資本は四十九年現在で二九%、外部資本が七一%で、いままで低いのです。これを四倍にすることによってさらに自己資本率が低くなる。こういうことは、従来の政府の言ってきた方針とこの特例法との間に矛盾をお感じになりませんかどうか、伺いたい。
  27. 河本敏夫

    河本国務大臣 いまのお話にございましたように、日本産業におきまして一番大きな問題は自己資本比率が低いということでございまして、このために将来高めていかなければならぬという議論があるわけでございます。ただしかし、電力の場合は非常に膨大な資金を必要といたしますので、いろいろな資金調達方法考えていかなければならぬわけであります。そういう意味考えました場合に、社債はもちろん外部負債には違いありません、借入金の一部だと広い意味には言えると思いますが、しかし、一番安定した外部負債だと思うのですね。そういう意味自己資本に準ずるものである、こういう説すらあるくらいでございますので、そういう意味におきまして安定した資金調達ができる、こういうことになろうかと思います。
  28. 板川正吾

    板川委員 いずれにしましても、政府の従来主張してきた方針とは逆行することだけは事実です。この点はひとつよくお考え願いたいと思います。  昭和六十年までに四十八兆の電源工事資金調達するという計画であります。この昭和六十年までの十年間、新規増設資金として、資料によると、四十八兆のうち非電源費用が三十兆になっていますね。四十八兆のうち三十兆は非電源費用である。これは全体の六〇%を占めておるわけですが、この非電源費用、六〇%に当たるものの積算基礎というものを明らかにしてもらいたいと思います。いかがですか。
  29. 大永勇作

    ○大永政府委員 大体非電源先生指摘のように六〇%程度でございますが、この積算に当たりましては、特に五十五年度までの分につきましては、個々にその設備所要量を出しまして、それから積み上げではじいているものでございます。  なお、現状におきましても、五十年度、五十一年度設備資金所要額の中に占めます非電源部門はやはり約六〇%ということでございますので、この比率はおおむね現状と同程度でございます。
  30. 板川正吾

    板川委員 電力料金を決める原則は総括原価方式というものをとられている。「供給規程料金算定要領」、こういうものがエネルギー庁の中にあるわけですが、電力料金というのはこういう考え方の上に立って決めるのだと言っているわけですね。それにはこう書いてあるのですよ。「総括原価算定に当たっては、実績及び合理的な将来の予想に基づく適正な業務計画需給計画工事計画資金計画等前提として算定するものとする。」こういう規定がある。それで、結論として「決定された料金をもって計算した料金収入額は、総括原価と一致するものでなければならない。」と料金決定の項目の中でうたっているのですね。ですから、電力料金の場合には将来にわたって需給計画工事計画資金計画前提として決めるということになっている。だから、これは電気料金は普通三年間を前提とするという場合もありますが、しかし、その考え方は十年後の資金計画にも当てはまらなくちゃならないと思うのですよ。  ただ、「電気事業便覧」で見ますと、従来の非電源比率は六五%です。昭和四十年からずっと四十九年まで十年間は、四十四年が三七%、四十五年が三八%、四十六年は四五%でありますが、それ以外は大体三五%前後ですね、総費用の中における電源費用は。これも大体三五%程度なんですね。いままでは設備が小さくて燃料費が高いという火力中心であった。今度は原子力中心にやろうというのでしょう。原子力中心でやって、それには設備費が膨大にかかる、資本費がかかる、しかし燃料費が安い、こういうことで、原子力発電に重点を置いていこうというのでしょう。ところが、この資金調達計画を見ると、比率は従来の原子力がない時代と変わらないのですよ。どうもこの資金調達計算の仕方はまことにずさんであって、いま言った総括原価方式の延長、この思想を適用するなら、この内容をもっと精細に積算した資料を出してもらわなければ困ると思いますが、いかがですか。
  31. 大永勇作

    ○大永政府委員 数字的に申し上げますと、非電源部門比率につきましては、五十一年から五十五年は六九%でございますが、五十六年から六十年にかけましては五九%ということで、若干低下することを見込んでおるわけでございます。  ただ、先生指摘電源部門につきましては、原子力のみならず、LNG火力あるいは一般水力等々の脱石油ということで、今後そういう方面に力点を置いていきますとコストが上がるわけでありますが、他方、送変電部門につきましても、電源立地遠隔化ということがございます。だんだん電源立地が遠くになってきて、送電の距離が長くなるという問題がございます。それから、都市におきましてはケーブルをいつまでも空中にはわせるわけにはまいりませんで、地中化を図っていくというふうな問題がございます。それから、送変電施設の設置に伴いますいわゆる線下補償といいますか、土地の買収あるいは補償等の額も年々増大するというふうな問題もございますので、この送変電部門につきましても、電源部門と劣らずやはりコストは今後上昇する傾向にあるということでございますので、いま申しましたような理由からいたしまして、比率はそれほど変わらないということでございます。
  32. 板川正吾

    板川委員 いずれにしても、この資金計画、この資料によると四十七兆六千億かかる。非電源が二十九兆七千六百億、電源の計が十七兆八千四百億円。原子力は九兆九千九百億円、火力が三兆八千二百億円、水力が四兆三百億円、こういうふうに十年間の資金計画は出ておりますが、こういう比率から割り出したようなものでなくて、私は、これを出した積算基礎をひとつ資料として出していただきたい、こう思います。委員長に要請しておきます。
  33. 渡部恒三

    渡部(恒)委員長代理 わかりました。
  34. 板川正吾

    板川委員 この十年間の電源の増設を種別に見ますと、増加する施設が一億キロワットですね。それで、その一億のほぼ半分近くを、脱石油というので原子力で賄う。LNGが約二〇%、水力が二〇%、残りが石油その他地熱等である。原子力に今後発電の重点を置くということになります。現在は十二基ですが、一体昭和六十年には何基になるという構想でありますか。
  35. 増田実

    増田政府委員 一応の計画でございますから、各原子力の一基の発電力というものにつきまして今後情勢に応じまして変更もありますが、私どもの方で昭和六十年度に原子力発電所の出力四千九百万キロワットというものを計画いたしておりますが、先生のお尋ねの基数は、大体五十七基から六十基、こういうことでございます。
  36. 板川正吾

    板川委員 六十年に五十七基ないし六十基ですから、大体年間五基ぐらいずつ増設をしていくという計算になります。それはそれとしておいて、電力業界が原子力発電に今後重点を置く、これは脱石油とか理由はあるでしょうが、一体そのメリットはどういうところにあるのですか。
  37. 増田実

    増田政府委員 今後の電力の発電構成と申しますか、これに原子力というものを相当大きなウエートを持たせている、これがどういうメリットがあるかというお尋ねでございますが、一つには、石油に非常に大幅依存している現在の電源構成を改めませんと、先般のような石油の供給削減その他によりまして電気の安定供給ができないということで、原子力、あるいはLNG、それからまた水力の増大、その他各種のエネルギー源の多用化というものを図っていかなければならぬ、そういうメリット一つあるわけでございます。  それからもう一つは、これもそれに近い理由でございますが、原子力発電所は、御存じのように一回燃料を挿入いたしますと二年は動いておるということで、これは石油の方ですと、石油がとまると直ちに発電所が動かなくなりますが、原子力発電所というのは、燃料をかえるのも二年あるいは三年目に燃料棒を交互にかえていくわけでございます。そういう意味から言いますと、その原料が備蓄されていると同じような効果が発揮されるというようなことでございます。  それからまた、この原子力発電所の発電単価というものは、これは発電所につきましては、先生御高承のとおり建設費が非常にかかるわけでございますが、資本費が高くても燃料費が安いということで、石油火力発電所とはまさに逆のような形になっております。そういう意味で、現在のところ、今後想定されるコスト計算によれば、原子力発電所の方が若干割安であるということでございます。ただ、この割安である算定基礎の中には、これは十分な安全対策、環境保全対策をやるということを前提にいたしまして、それでも若干割安になるであろう、こういうことでございます。
  38. 板川正吾

    板川委員 原子力発電は、キロワットアワー当たりの単価が非常に安くなるという説があります。現在モデルプラントで、石油の場合に発電単価というのはどのくらいか、LNGの場合、石炭の場合、原子力の場合、これを伺いたいと思います。
  39. 増田実

    増田政府委員 この発電単価につきましては、いろいろの計算がございます。その相互の比較は非常に困難でございますが、一応昭和五十年度に出ました施設計画から逆算いたしまして発電原価をはじいたものをまず申し上げたいと思います。ただ、これは完成時期その他にずれがありますから、必ずしも正確な比較ということにはならないかと思いますが、この五十年度に出ました施設計画の中のものを単価計算いたしましたものについて申し上げますと、まず原子力は八円二十四銭、水力が十二円二十銭、石炭が九円八十銭、LNGが十円二十銭、石油が九円五十銭ということで、これらを比較いたしますと、これは地点がたまたま非常にかかる地点ということもあるかと思いますが、水力が最も割高になっておりますし、原子力が一番安いという形になっております。  ただいまの計算につきまして、先ほどのようないろいろの前提条件を申し上げたわけでございますが、これ以外に、昭和五十七年度に完成いたしますもの、将来のもので計算いたしたものもございますが、余り細かくなりますので、ただいま申し上げましたものが大体大勢を示しておるということでございます。
  40. 板川正吾

    板川委員 前回の料金値上げのときに、私は中曽根通産大臣と議論したのですが、そのときには、発電単価は火力が六円から七円、水力は過去が二円から三円だが、新規は六円から九円だ、原子力は四円ぐらい、石炭は五円ぐらい、こういうような話で、大変発電単価は安いし、安全だし、心配ないとたんかを切られた覚えがあるのです、速記録を調べてみてわかったのですが。いま長官資料を伺うと、原子力一般の火力との差はそれほどない。しかし、私はこの原子力の中には核燃料サイクルの費用というものが入ってないと思うのですよ。実は入ってないのです。核燃料サイクルの諸費用というものを入れれば、石油より原子力の方が高くなる可能性があるのではないですか、この点はどうお考えですか。     〔渡部(恒)委員長代理退席、委員長着席〕
  41. 増田実

    増田政府委員 ただいま私が申し上げました数字は、核燃料サイクルの各費用を原料費の中に込めて計算いたしたものでございますので、核燃料サイクルを前提といたしました比較でございます。そのために、従来言われておりますほど原子力は安くはなってないということも、その結果出てきておるわけでございます。
  42. 板川正吾

    板川委員 わかりました。  次に伺いますが、原子力発電の安全性というのは、まだ国民の合意を得ていない、コンセンサスを得ていない、こう私は思います。安全性の指標として一番理解しやすいのは、稼働率であろうと思います。電力業界は、あれは事故でなくて故障だ、故障なのを事故だ事故だと騒ぐのは余り過敏過ぎるという意味のことをよく宣伝されますが、事故というのは大体故障から起こってくるものですね。だから、故障でも事故でも同じ系列線上にあるわけでありまして、この稼働率というのがいわば事故率の割合を示していると思います。わが国のすでにある十二基の原発の稼働率というのは一体どのくらいでありますか。  時間が迫ってまいりましたから、私の方で申し上げますが、昭和四十九年の当時ありました何基かの原子力発電の稼働率は四八%である、昭和五十年は三二%である、こういう実績が出ております。  原子力の発電単価を計算する場合に、いまの八円二十四銭というのは、一体実際に動いた稼働率で計算されておるのか、原子力がこうあってほしいという稼働率七〇%で計算してあるのか、その点を伺います。
  43. 増田実

    増田政府委員 原子力発電所の稼働率の問題でございますが、私どもが正常運転あるいはいろいろな計算をいたしますときには、一応設備利用率七〇%というものを平均稼働というふうに考えております。
  44. 板川正吾

    板川委員 ですから、いまの原子力の発電コストが八円二十四銭という計算は、七〇%でしてあるのでしょうかどうか、この点を伺いたい。
  45. 増田実

    増田政府委員 七〇%で計算しております。ただ、先ほど先生がいろいろ数字をお挙げになりました。確かに昭和五十年度におきます四月から十二月の稼働率は約三二%、そのとおりの実績でございますが、これはわが国の原子力発電の歴史の中で最も停止の多かったときでございまして、四月はこれが六二%に回復しておりますし、今後また上がるわけでございます。
  46. 板川正吾

    板川委員 ですから、原子力発電の発電単価が八円二十四銭で一番安いというのは、七〇%で計算してあるのであって、それが五〇%に稼働率が落ち、三〇%に落ちれば、はるかに高いという計算になるだろう、こういうことを私は指摘しておきたいのであります。  アメリカでは現在五十八基、四千万キロワットの原発が動いておるそうでありますが、アメリカの原発の稼働率というのはおわかりでしょうか、大体日本の一〇%増しだろうと見ているのですが。
  47. 増田実

    増田政府委員 手元の資料でお答え申し上げたいと思います。これは各軽水炉の運転開始以降の平均操業率が出ておりますが、加圧水型軽水炉は六一・二%、それから沸騰水型軽水炉は五五・九%になっております。
  48. 板川正吾

    板川委員 アメリカでも平均すると六〇%にならない稼働率でありますね。日本が四十九年が四八%ですから、それから一〇%足す程度であります。  ところで、最近西ドイツの原子力発電の優秀性というのが伝えられておりますが、文献によりますと、西独ビブリス発電所の原発A号機は加圧水式で百二十万キロワットだが、年間の稼働率が九〇%を超えている。さらにB号機百三十万キロワットを改良して、規格を統一して標準原発の第一号とした、こういうドイツに行ってこられた専門家の報告がございますが、このドイツのビブリス原発が少なくとも年間九〇%を超えている稼働率というのは、これは日本考えなくちゃならないのじゃないでしょうか。  日本の原発は、御承知のように、東海一号機を除けば全部アメリカ製で、ゼネラル・エレクトリックかウエスチングハウスかであります。本家のアメリカでも稼働率がよくはない。まして分家の日本の稼働率はさらに悪い。六十年の段階で五十七基あるいは六十基というような原子力発電所をつくろうという計画があるのに、その大部分がアメリカのゼネラル・エレクトリックか、ウエスチングハウスか、どっちかだろうと思うのですね。ほかのイギリスとかドイツというものを入れる予想はないのじゃないでしょうか。私はここに問題があると思うのです。この点はどうお考えですか。
  49. 増田実

    増田政府委員 ただいま板川先生からお話がございましたように、ドイツはアメリカの軽水炉を改良いたしまして、独自の技術をつけ加えまして、これによって非常に成績を上げておるというのは、私どもも聞いております。わが国におきましても、アメリカから軽水炉、これは先ほど先生からおっしゃられましたように、沸騰水型はGE、加圧水型はウエスチングハウスの技術を入れまして、そして原子力発電というものを行っておるわけでございますが、しかし、この十年余の経験というものを積み重ねまして、やはりドイツと同じように日本独自の技術を加えまして日本の改良型をつくるべきじゃないかということで、現在私どもの方で、関係の学者及びこの業界の技術者の方々を加えまして、標準型の、日本に最も適当な原子力発電の型式を決めようということで現在作業中でございまして、一応四月に中間報告をすでに行っておりますが、これによりまして、まさに先生からおっしゃられましたようなドイツ方式で、アメリカから輸入しました技術というものにこの国独自の技術を加えて改良していきたい、こういうふうに考えております。
  50. 板川正吾

    板川委員 ドイツでは、その前の原子力発電は八二%の稼働率だったのですね。アメリカをしのいでおるし、日本から言えば段違いに稼働率がいい。そういうことは故障も事故もそれだけないということを意味する。だから、国民が原子力発電に対する安全性というものに信頼を持つようになる。日本は稼働率が三二%だというような状態をそのままにしておいて、そしてあれは故障であって事故じゃないのだ、こういうようなことを言っているようだから、私は国民の合意を得られないのだろうと思うのですね。  日本原子力行政というのは、この際一時建設を中断をして、まずいまできておるものを試験炉なり実証炉というように位置づけをして、もっと安全性を確かめ、あるいは西ドイツの技術などを導入して、事故のないよう、故障のないようにして、それから再出発した方が原子力行政としていいのじゃないかと私は思いますね。  よく言うのですが、昔、木炭車があったときに、幾ら先発していっても途中でえんごしている木炭車じゃ意味がないのであって、後から出発しても性能がりっぱで間違いなく走れば、その方が終着点には早く着くのですね。日本原子力発電行政というのはいわばまず木炭車みたいなもので、途中でえんこばかりしている。これじゃ時間ばかり食ってしようがない。それならこの辺で全部装備を改装して新しい技術を入れて、そうして故障の起こらないように安全性を確認した上で出発した方が、私は将来の原子力行政、発電行政のためにも妥当だろうと思うのですが、大臣、どうお考えですか。
  51. 河本敏夫

    河本国務大臣 原子力発電関係いたしましては、確かにいま御指摘の点が最大の課題でございますが。しかし、過去の稼働率を見ましても、悪いときは確かに三割強の稼働率でございましたが、いいときには七割弱というところまでいっておりまして、平均をいたしますとさほど悪くはないのじゃないかと私は思います。     〔委員長退席、安田委員長代理着席〕 ただしかし、御指摘の点は非常に重大な問題でございまして、安全性とそれから環境問題ということは原子力発電を進める二大前提条件でございますので、そういう問題と十分真剣に取り組みながら、これは余りおくれても困りますので、やはり計画どおり進めながら、おっしゃったような点を十分配慮しながらやっていきたい、こう思います。
  52. 板川正吾

    板川委員 私は、それは不可能だと思うものだから、ここで一時停車をして全部点検をして、国民の合意を得た上で出発することの方がいいのだ、こういう主張をしているわけでありますが、時間がございませんから、先へ進みます。  最近、核燃料サイクル論がにぎやかになっておりますね。そのために専門家の懇談会もできたようであります。日本原子力行政は、いわばトイレのないマンションと言われてきたのであります。まあ共同便所を使っておったのでありますが、最近ようやく、それでは不便だ、うちでもトイレをつくろうじゃないかというふうに気がついたのだろうと思います。原子力発電の使用済み燃料には、新しくつくられたプルトニウムや燃え残りのウランなど有用なものがあって、それを科学的に処理して危険な死の灰を除き、ウランやプルトニウムを回収して、再び核燃料として使えるようにするのが再処理工場であります。したがって、再処理は核燃料を循環して使用するという核燃料サイクルのかなめでもあると思います。  日本には東海村に年間二百十トン、試験用としてのプラントがつくられておりますが、これも予定より二年間もおくれてもまだ稼働しない、トイレが完成しないわけであります。そのうちにどんどんどんどん原子力発電はふえてくる。六基が八基、十二基になり、やがて二十基になるということになります。当面でも年間千五百トン規模の再処理工場が必要だと言っているのに、まだできていない。イギリスのウィンズケールやフランスに依存しようと、共同便所を使おうということなんでありましょう。これからつくろうとしましても、千トン級の再処理工場をつくるためには、少なくとも十年なり十二、三年かかると言われておるのであります。この再処理工場の建設計画、一体これは現在のところどういうふうに具体的になっておるのか、これを伺っておきたい。
  53. 井上力

    ○井上(力)政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、再処理問題は核燃料サイクル上非常に重要な問題でございまして、現在第一再処理工場を動力炉・核燃料開発事業団が東海村において試運転中でございます。この再処理工場は来年におきまして稼働が予定されておるわけでございまして、現在まだ処理はしておらないことは御指摘のとおりでございます。そのほか、海外に委託契約をすでにしておるものがございまして、これはイギリス及びフランスでございますが、そこにおきまして委託をするということで、動燃事業団の再処理工場が予定どおり運開をし、この委託をもって再処理を行えば、大体現在の原子力発電計画昭和五十八年ごろまでは間に合うだろうというふうに考えられております。  その後、第二再処理工場をどうやってつくっていくかという問題があるわけでございますが、これの建設につきましては、第一再処理工場の建設経騒を生かし、十分な準備、調査をやりましてつくるということで、御指摘のように相当長い期間かかると思います。したがいまして、この間におきましてさらに海外に委託するというような交渉が電気事業者におきまして海外と進められようとしておるというのが現状でございます。
  54. 板川正吾

    板川委員 イギリスなりフランスなりのいわば共同便所をお借りしよう、こういうことなんでしょう。しかし、この再処理というのは、使用済み燃料を輸送するための取り扱いの危険性というものなどあって、これはトイレのないマンションじゃなくて、トイレをやはり自分のうちにつくるべきなんですね。ところが、まだ十数年間も第二再処理工場の建設について具体的な計画はない、十数年もかかるのに、現在のところない、こういう状態で原子力発電を六十基も六十年までにつくる、これは私は、国の計画としてもこういうことをこのまま放置することは全くどうかと思いますよ。だから、われわれは何としても原子力発電の増強に反対せざるを得ないという理由があるわけであります。  時間がありませんから締めに入りますが、もう二問にいたします。  最近アメリカで原子力発電の反対運動が非常に熾烈になっております。ことしの六月八日に、カリフォルニア州では原発賛成か反対かの住民投票が行われる、こういう手続がとられておると伝えられております。その他アメリカの二十四州で、カリフォルニアも含めるかもしれませんが、七六年十一月二日の大統領選挙の日に同様の原発賛成、反対の住民投票が行われるであろう、こういう報道がされておるわけであります。その住民投票の議論の内容は、原子力事故の完全な賠償制ができているかどうか、第二は、安全性が確認され、住民の合意を受けているかどうか、第三は、放射性廃棄物の安全貯蔵が実用化されておるか、この三点が住民投票の柱になっておると伝えられております。  現在のところ、ハリス世論調査では原発に賛成者が六三%、反対者が一九%、中立が一八%ということでありますから、住民投票が成立をする可能性は少ないようであります。しかし、もしある時期、原子力発電の大事故でも起これば、そういう住民の投票の結果が成立をする可能性もあるわけであります。成立をするということになれば、現在アメリカで五十八基、四千万キロワットの原子力発電が稼働しておりますが、建設中のものが六十九基、計画中のものが百一基、停止をされる可能性もある、こういうことを伝えられておるのですね。こういうアメリカの原子力反対運動は、いずれ日本でも早晩原発禁止法の制定という運動が起こってくる可能性がある。そういうことを考えますと、安全性に対する国民の合意というのが必要である。めったやたらに、安全性も確認しないのに六十年に六十基もつくり上げていくことは、私は将来危険性を持つ、こう考えますが、いかがですかというのが一つ。  それから、時間ですから結論を申し上げます。  したがって、社債枠を二倍にふやして資金コストを低下させるという本法趣旨には、資金コストが安くなることについて私どもは反対するものじゃない。しかし、この莫大な設備資金原子力発電を中心に使われるということにわれわれは賛成しがたい、こういう考え方でありますが、結論は結論として、この前の一点について、大臣の見解を伺っておきたいと思います。
  55. 河本敏夫

    河本国務大臣 今回の法律を御承認いただくということになりますと、電力会社のむずかしい資金調達が可能になるだけではなくして、コストの安い資金企業全体として調達できる、こういうことにもなりまして、日本エネルギー政策上非常に大きな効果がある、こういう考え方のもとにお願いしておるわけでございます。  なお、原子力の問題につきまして安全性についてるる御指摘がございましたが、これはもうキーポイントでございますので、その点は十分配慮をいたします。
  56. 板川正吾

    板川委員 終わります。
  57. 安田貴六

    ○安田委員長代理 松尾信人君。
  58. 松尾信人

    ○松尾委員 一般電気事業会社及び一般ガス事業会社社債発行限度に関する特例法案につきまして質疑をいたしたいと思います。  現在、電力会社ガス会社は、それぞれの法律によってそれなりの規制と監督を受けながらも、比較的優遇されておる。そして、今回のこの特例法もその優遇策の上乗せであると思うのであります。  それで、まず最初に、商法二百九十七条に定められました一般会社社債発行限度額は、いかなる理由、いかなる経済的な根拠に基づいて定められたものであるか、長官にお尋ねいたします。
  59. 増田実

    増田政府委員 商法の問題でございますので、私がこれの解釈、法の趣旨を御説明するのが適当かどうか問題があるかと思いますが、私が解している限りでは、社債権者の保護を行わなければならないということから限度枠を設けておるということでございます。
  60. 松尾信人

    ○松尾委員 そのような投資家を守っていこう、債権の保全を図ろうという基本的な趣旨であります。この商法の規定というものは、社債発行いたしまして借金をする、また資本及び準備金を超えて、または貸借対照表による純資産額を超えて借金をする、こういうことは、借金はしますけれども結局は担保能力がなくなる、返済に支障を来すということになるからでありましょう。投資家保護の立場、またそういう観点でございますけれども、この商法二百九十七条の限度を超えて発行することは、結局資本の比率を低下させていく、またある点におきましては企業経営を危うくするというような面が心配されるわけでございます。  それで伺うわけでありますけれども、この商法二百九十七条の適用除外のものは現在どういうものがあるか、これをお尋ねいたします。
  61. 増田実

    増田政府委員 お答え申し上げます。  商法の限度額の特例を定めておりますものにつきましては、電源開発株式会社あるいは日本航空株式会社のような特殊法人、また民間では興銀、長期信用銀行等の銀行、あるいはただいま増枠をお願いしております電力会社が特例になっておるということでございます。詳細それぞれございますが、大別して申し上げると、大体以上のような内容になっております。
  62. 松尾信人

    ○松尾委員 特殊法人にはあるけれども、株式会社ではこの電力会社のみである、こういうことなんですか。
  63. 増田実

    増田政府委員 そういうことでございまして、特殊会社以外で、普通の私企業電力会社は一応電気事業法に基づく公益事業になっておりますが、そういう意味では電力が特殊会社あるいは特殊機関でないということが言えるかと思います。
  64. 松尾信人

    ○松尾委員 そういう意味においても現在優遇されておるわけでありますが、証券会社の中に起債会というのがございますね。これは公社債市場の自主的調整機関として存在しておるわけでありますけれども、この起債会での発行基準というものはおわかりですか。
  65. 大永勇作

    ○大永政府委員 電力債につきましては現在AA格ということで一番優遇されておるわけでございますが、AA適格の社債発行条件としましては、一般会社につきましては純資産千億以上とか、あるいは八分以上の配当を過去二回連続しておるとか、いろいろございますが、電力債につきましては、現在のところ最初からAA適格ということで、これらの条件を直接適用することなく、AA債ということになっております。
  66. 松尾信人

    ○松尾委員 では、念のため、先ほどお答えも若干ございましたけれども、この電力会社のみが商法二百九十七条の適用を除外された理由をもう一回はっきり伺っておきます。
  67. 増田実

    増田政府委員 電力会社一般商法原則と違う限度枠というものを認められましたのは、すでに昭和二年に行われています。その後いろいろ変遷がございますが、その理由につきましては、やはり電力というものが基礎エネルギーである、その供給の安定確保を行わなければならない、ところが、電力につきましては相当な設備費を要します、これの資金確保するということから、特に電力会社については特別な枠が相当以前から認められておった、こういうことでございます。  それからまた、電力会社に対して若干特別扱いになっておるということと、先ほど冒頭に先生から御質問のありました限度趣旨というものとの関係で申し上げますと、限度を設けておりますのは、先ほど申し上げましたように、債権者の保護ということから出ておるわけでございますが、電力につきましては公益事業といたしまして各種の規制が加わっておるわけでございます。設備投資をする場合にも全部事前に政府の許可が要りますし、また、その販売いたしております電気料金につきましては全部認可事項になっており、経営につきましては全部政府がこれを指導監督しておるので、その面から債権の保護は全うされるということで特例になっておるわけでございます。
  68. 松尾信人

    ○松尾委員 今回、この法案によりまして、社債発行というものが一般企業の四倍、非常に大幅に緩和と申しますか、広げられていくわけでありますが、これはどうも一つは、電力会社というのは政府が非常に監督もするけれども、絶対につぶさない、電力会社はつぶれる心配がないのだ、そのような安心感と申しますか、結局政府が監督しながらの厚い保護、そのような上にこのような安心感という甘えがあると思うのです。  あくまでもこれは株式会社であり私企業であるわけでありますから、他面、独占を許された公益事業でもありますけれども、政府が厳しく監督するのだ。余り電力会社に対して特例というものを認め過ぎていくことは、基本的には好ましくないと思うのです。あくまでもこの所要資金というものは、企業努力によって企業家自体が行うべきものである。政府はあくまでも補完的な立場でなくちゃならない。私は基本的にそのような立場でなくちゃならないと思うのです。安易な社債の大量発行というものは、先ほども若干お答えがあったようでありますけれども、結局料金の値上がりにつながっていくものでございます。したがいまして、仮に設備投資が必要であるといたしましても、この社債発行というものは極力抑えていく、このような方針でなくちゃならないと思うのです。  基本的な考え方はそうであろうと思うのですが、今回四倍に引き上げていって、その社債限度の中で設備投資等をやっていこう、こういうことは、もう四倍の限度をほとんど十年間に使ってしまおう、そのような計画だと思うのですけれども、極力抑制していかなければならないという基本姿勢と、今回のこの設備投資のあなたたちの考え方、これはどうなっていますか。
  69. 増田実

    増田政府委員 今回、電力につきまして商法の原則の四倍の社債限度枠というものの御審議をお願いしておるわけでございますが、これにつきましては、これは電力会社に対して非常な優遇策、あるいは電力会社の甘えた経営に対する一つの施策ではないかという御質問が焦点になっておるかと思いますが、私どもは決してそういうふうに考えておりません。電力につきましては、ここで先生からもお話がございましたように、地域的には独占企業でございます。消費者がその会社が気に入らなくて、これをほかから買うわけにいきません。そういう意味一つの地域的な独占企業体でございますから、これに対して厳重な政府の規制を加えるということは当然の施策だ、こういうふうに思っております。  そういう意味で、電力会社に対しまして甘い経営を許すということではなくて、今回も電力料金申請が出ておりますが、私が当委員会でしばしば繰り返し申し上げておりますように、厳正な態度でこれに対する査定をも行っておる次第でございます。  ただし、電力につきましては、もう一方の観点から見ますと、電力の安定供給というものは確保しなければならない。ですから、先ほど先生からもお話がありましたように、電力会社というものの会社という立場でなくて、電力という基礎エネルギー供給という立場から言いますと、これがとまってしまうということは国民生活あるいは産業全般にとって非常に大きな影響を与えるわけでございます。そういう意味で、電力の安定供給というものを確保しなければならないという立場にあるわけでございます。  そこで、今後の電力需要について申し上げますと、今後十年間は日本経済は従来のような高度成長というものは望むべくして望み得ないと思います。約半分ぐらいに落ちていくというふうに思いますが、それにいたしましてもやはりGNPが年率で六%ぐらい伸びるということでございますと、やはりそれに見合う電力というものを供給しなければならない。これを供給するための設備として相当膨大な資金が要る。この資金調達につきまして、いまお願いいたしているような社債発行限度というものを拡大するということによりましてこの設備投資を確保し、これによって需要に合った供給の責任を果たさせる、こういうことでございます。  また、社債発行することによりまして料金に対する影響といたしましては、これは先ほど板川先生からの御質問のときにもお答え申し上げましたとおり、増資でこれを賄うということは非常に増資コストがかかりますので、社債というものでむしろ低コストで必要資金確保するということによりまして、安定した、できるだけ安い電力電気供給というものを確保する、これが今回の社債法拡大をお願いいたしておる趣旨でございます。
  70. 松尾信人

    ○松尾委員 五十一年度だけでも九電力設備投資計画は二兆一千億を超えるわけであります。前年度の実績推定の四五%増し、そういうことでございまして、結果的には社債借入金がふえて自己資本比率が低下する。現在、自己資本比率は約一八%、これが昭和六十年度になりますと一〇%に落ちるわけですね。こういうことは、他面、安定供給の面、いろいろお話がいま出ましたけれども、単に電気事業の健全なる発達という点からながめますと、結局自己資本比率の大幅な低下というようなことは好ましくない、このように思うのですけれども、一言で言って、これはどうなんですか。
  71. 増田実

    増田政府委員 ただいまおっしゃられましたように、自己資本比率というものが低下の傾向にございまして、現在、先生がお挙げになりましたように、一九ないし一八%になっております。昭和四十五年度では二七%ですから、非常に低くなっておる。それから、今後非常に大きな設備投資をやりますと、借入金あるいは社債というものがふえてきますので、昭和六十年度におきましては一〇・五%ぐらいまで落ちてしまうということでございます。これは本来から言えば、自己資本比率というものを一〇%以下に下げるということは望ましくないと思っております。そういうことで一〇%以下に低下しない方策を講じていきたいと思っておりますが、今後十年間設備投資の資金需要が非常に急激に膨大いたしますために、これは一〇%まではやむを得ないもの、こういうふうに考えております。
  72. 松尾信人

    ○松尾委員 五十一年度の設備投資でございますけれども、これはどうも景気浮揚という観点から推進されておる。前年度比四五%もふえてくるという大きな伸びでございますが、今回のあなたたちのこの計画、特に五十一年度の設備投資の計画によりまして景気浮揚という面についてどのように寄与をしていくのか、大臣、いかがですか。
  73. 増田実

    増田政府委員 五十一年度の電力設備投資計画が、前年度に比べて約四五%の伸びになっております。そういう意味で、結果的には私は景気浮揚に大いに役立つと思っておりますが、ただ、この五十一年度の設備投資は、今後の電力の安定供給確保のためにどうしても必要な投資でございます。ことに四十九、五十両年度におきまして、電力企業設備投資が非常に低くなっております。その二年間は電力需要もむしろ横ばいということで、不況を反映いたしまして需要がふえておらなかったわけですが、今後の景気回復が望まれているときに、やはりそれに合った設備を、しかも早目につくりませんと、電気の安定供給はできないということでございます。  それで、先生のお尋ねの景気との関係で申し上げますと、ほかの産業界がなかなか設備投資に入っていかないという中で、電力がわりあいに早く設備投資を手がけていくということによりまして、景気浮揚に役立つ一端になるものと思いますが、しかし、景気浮揚のために設備投資をするわけではございません。先ほど申し上げましたように、電力の安定供給というものを確保するための設備投資、絶対に必要な額、こういうふうに考えております。
  74. 松尾信人

    ○松尾委員 いま長官のお答えのとおりでやってまいりませんと、他の要素が加わりまして、思わないところで設備投資がふえてくるということは好ましいことではありません。  ところで、五十五年度末に、電力供給見通しによりますと一億三千六百六十万キロワット、六十年度末で一億九千百二十万キロワット、このような計画でございますが、これは何を基準にこのような伸び率をとられたのですか。GNP六%見当だというような伸び率を基準にしたのか、よくわかりません。また、別の表によりますと、五十五年度に一億一千百六十六万キロワット、これは供給予備率九・二%になっておりますけれども、これが現在通産省に届け出されておる。こういうところからながめてみますと、六十年度末でこのような一億九千百二十万キロワットの設備投資というものを行わないでもいいのじゃないか、二つの表からながめてこのように感ずるわけでありますけれども、その点はいかがでしょう。
  75. 増田実

    増田政府委員 今後の十カ年計画、これは五十五年度と六十年度の数字をこの中に入れてございまして、ただいま先生からお話のございましたとおりの数字でございますが、この基礎となっておりますのは、昭和四十九年度から六十年度までのGNP実質伸び率を六・一%と計算いたしております。これにつきましては、通産省の産業構造審議会の長期ビジョンというものをつくりましたときの基礎数字でございます。関係省庁とも相談をしましてつくった数字でございますが、これに対しまして電力需要見通しは、四十九年度から六十年度、六・三%と見ております。ですから、弾性値は大体一・〇三ということで、ほぼGNPと同じような伸び率を示すという計算になっております。  ちなみに申し上げますと、過去十年間、あるいは石油ショック以前の電力需要の伸びは、年率にいたしまして一〇%を超えておったわけでございますが、今後の十年間は低成長、安定成長ということになるし、また、相当なエネルギーに対する節約が加わるということでこの数字が算出されておるわけでございます。ただ、それにいたしましても電力需要につきましては、昭和四十九年度に比較いたしまして六十年度は、先ほど先生からお話がございましたように約倍になるわけでございます。これは予備率を一〇%入れまして、また必要な電力量というものを計算いたしまして、一億九千万キロワットという設備が必要であるという計算になっております。  ただ、私がここで申し上げたいのは、この設備投資計画は決して過大ではないと思っております。むしろ、従来の伸び率に比べましては非常に低くなっておる、ところが、一方、それに要します資金というものがいろいろの面で非常に大きくなっておる、ここに社債限度額の改定をお願いしている次第でございます。
  76. 松尾信人

    ○松尾委員 五十五年または六十年、このように発電のエネルギー源を多様化をする、そのような目標値が示されておるわけでありますけれども、それによりますと、LNGと原子力発電の比重が大幅に増加してきておる。これはエネルギーソースが多様化するという結構なことでありますけれども、この想定の目標値というものは実現の可能性があるのかどうか。特にLNGの手当てはいかなる状況のもとにいまあるのか、それはどのようにして輸送されておるのか、そういう点も含めて要領よく簡単に答えてください。
  77. 増田実

    増田政府委員 現在の日本エネルギー構造は非常に石油依存型ということで、これは他のどの先進国と比べましても日本のように石油に大幅に依存している国はないわけでございまして、ただいま先生から御指摘がありましたように、この石油の大幅な依存構造を、できるだけエネルギーの分散化を図るということを行いませんと、今後の経済の安定成長にいろいろ問題点があるわけでございます。そういう意味で、今後のエネルギーの多様化というものを担うものといたしまして、ただいま挙げられましたLNGと、それから原子力というものに非常に大きく期待しておるわけでございます。ただ、これ以外にも、国産であります、たとえば電力につきましては水力とか、それから地熱とか、いろんなものを重ねて、それの総合としてエネルギーの分散化を図るわけでございます。  ただいまお話のありました原子力につきましては、昭和六十年度におきましては発電能力四千九百万キロワット、またLNGにつきましては、昭和六十年度におきます輸入数量四千二百万トンというものを想定いたしておるわけでございますが、この両方につきまして、これの達成がどうかというお尋ねでございますが、達成するにつきましては官民挙げてのいろいろな努力が必要だと思います。そのままではなかなか達成は困難な点がございます。ことに原子力につきましては、この安全の確保、環境の保全というものを十分に踏まえまして、また、発電所を建設される地域の方々の協力と理解を得て、そして四千九百万キロワットを達成して、日本エネルギー構造の改善に役立たせたいと思っております。  また、LNGにつきましては、これを入れるに当たりましては、積み出しにおきましても、また日本において受け入れするに当たりましても相当な設備投資が要るわけでございます。そういうことで、四千二百万トンの達成につきましても種々な問題点が残っておりますが、これにつきましても、先ほど申し上げましたようなエネルギーの構成を改善し、日本経済の安定化を図るためにぜひとも実現いたしたい、こういうふうに考えております。
  78. 松尾信人

    ○松尾委員 LNGの中で、運搬船はどうなっておるかということです。タンカーは世界一というようなかっこうでありますけれども、この運搬船は外国から全部用船しておるのだと私は聞いております。大きく四千二百万トンとか言っておりますけれども、これは日本にほとんどないから、外国から持ってこなければいけない。そういうものを外国から用船しまして、造船日本がそういう船を持たないということはおかしいのじゃないか。計画があればあるほど、そういうところに力を入れていこうと思えば思うほど、これは造船もいま不況の真っ最中でありますから、こういうものを思い切って国が助成措置を構じながら専用船をつくって、そして少しでも海運界、造船界をりっぱにしていきたい、そういう考えはありませんか。大臣、いかがですか、これは。
  79. 河本敏夫

    河本国務大臣 いまお話がございましたように、LNGの問題につきましては輸送という問題が最大の課題になります。ところが、これは四つ五つの。プロジェクトがございますが、全部外国船によって運ぶということになっておりますが、その間の経緯につきましては長官から答弁させます。
  80. 増田実

    増田政府委員 LNGは現在輸入しておる数量がまだ五百万トン前後ということでございまして、契約に当たりましては日本の引き取りで契約いたしております。そういう意味で、船の確保、運航その他につきまして、いわゆる船積み者側、輸出者側が配船をする、こういう形になっております。  ただ、この問題につきましては、今後の問題といたしましてはFOBで買い取って日本が船を配船する、また、その船の建設につきましては日本の造船所でつくるという形にいくべきであるという先生の御趣旨については、私どもはそのとおりだと思っております。また、現在日本の造船所も、このLNG船の建造につきましては着手しているところもございます。ですから、技術的には非常にいろいろな問題がございますし、また、非常に高い船でございますが、日本の造船技術というもので今後これを建設して、そして日本が配船して引き取るという方向に持っていくべきだということについて、私どももその方向で努力いたしたいと考えております。
  81. 松尾信人

    ○松尾委員 いま長官からお答えがありましたけれども、このLNGの専用船の国内建造の問題、これは現在の造船不況を踏まえて、ひとつ通産省としましても大きくそのようなところに力を注いで、運輸省と相提携してしっかりがんばってもらいたい。これは大臣の決意も承っておきたいのでありますが、いかがですか。
  82. 河本敏夫

    河本国務大臣 これまでのプロジェクトにつきましては大体輸送方法が決まっておりますので、その点、大変私も残念であったと思います。しかし、今後の分につきましては、やはり国内産業の振興という意味から、どうしてもいまおっしゃったような日本船による輸送ということが必要だと思います。
  83. 松尾信人

    ○松尾委員 私は、この原子力発電のいろいろの政府計画というものについては、どうもうまくいかないのじゃないかという心配を非常に持っております。疑念があります。それから技術の未熟さ、また現在原子力というものがウランが効率的に使われていない、利用の確立というものが十分に発揮されていない、安全性についてもまだまだ非常に不十分である、こういうものが原子力発電の前に横たわっているいろいろの問題でありましょう。でありますから、そういう基本的な問題、特に核燃料サイクルの確立の問題、これは十年かかると言われますけれども、そういう問題を一つ一つまず政府がきちっと姿勢を正して、そして電力会社に指示を与えていく。  いまは、そんなことをやらないでおって、年率六%以上の伸びだとかなんとかで、ただ需要がこうだからというのでそれに対する供給を進めていくというようなことで、電力会社は余り自信もないのに政府の指示に従って開発開発と言うて進む、政府は進めと言う、電力会社はやむを得ずそこに前進する、このようなかっこうだから、電源開発の各地でいろいろトラブルを起こしてきておりまするし、それがまた開発が円滑に進まない大きな理由になっておるわけでありましょう。アメリカでも、安全性の問題等を中心に住民投票までやろうというような動きでございます。  まず安全性の問題、それから核燃料のサイクルの問題、それからいろいろな廃棄物をどのようにするかという基本的な問題を片づけるのが先であって、そういう問題を片づけないで、これだけ電力が要るからつくっていこう、おまえたちしっかりがんばれというようないまの行き方では、トラブルがふえこそすれ、本当の解決にならぬのじゃないか、私はこのような感を強く持ちます。でありますから、以上申し上げましたような諸点と政府はがっちり取り組みまして、そうして国民に安心を与える。要するに、国民的なコンセンサスが得られまするとこれはスムーズにすべての問題が片づいていくと私は思うのでありますが、現在の原子力発電のあり方というものは本末が転倒しておるのじゃないかという感じを強く持つものでございます。  そういう点において、政府の姿勢というものを私は正してもらいたい。正すべきである。そして、その上に立った原子力発電設備投資とかそういうものをやっていくというふうにしていきませんと、先に進んだわ、どうもついてこない人がたくさんおる。問題はそこにある、こう思うのですけれども、これはまず長官からいろいろな面でお答えを願って、そうして最終的には大臣にお答え願いたい。  そしてもう一つは、あわせて申しておきますけれども、いまそれぞれ電力各社が原子力発電をやっておりますけれども、これは非常にロスが多いのじゃないか。広域開発、広域運営を目指す、特にこの原子力発電においてはそのことが必要であろう、こう思います。そうしますと、ここに原子力発電を専門的にやる一つの発電会社というものに専担させて、そして各社の技術も集め、各社の資本も集め、広域的に開発する、他方政府は国民の安心するような各種の施策を講じていくというふうにやっていきませんと、ばらばらであり、そして不安があり、国民の納得が得られないままにこれが推移していくのは、逆に電力の安定供給というものを妨げておるのじゃないか、こう思うのですけれども、この点をあわせてまず長官から、それから大臣から結論を承って、私は本日の質問を終わりたいと思うのです。
  84. 増田実

    増田政府委員 原子力発電を今後進めていくために核燃料サイクルを確立することが必要である、先生のおっしゃられるとおりでございます。核燃料サイクルの内容といたしましては、まずウランの資源を確保すること、ウランの濃縮というものの確保、また使用済み核燃料の再処理、放射性廃棄物の処理、処分というもの、こういった一貫した核燃料サイクルの確立が必要なわけでございます。現在、核燃料サイクルができてないといろいろ言われておりますが、少なくとも今後十年間につきましては核燃料サイクルというものについては確保される。そこのところはどうも私ども説明不足で、核燃料サイクルが確立されてないから原子力発電は早過ぎると常に言われておるわけでございますが、たとえばウラン原料につきましては今後十年間の分につきましては全部確保しておりまして、さらに数万トンの余剰がまだ約定済みで残っております。  また、ウラン濃縮につきましては、四千九百万キロワット以上の濃縮契約がアメリカ及びフランスとの間でできておるわけでございます。  また、使用済み燃料の再処理につきましては、第一工場というものがこれから動くわけでございますが、これではもちろん能力が不足でございます。それの不足分につきましては海外に委託する。それから、将来は第二工場建設。この第二工場の建設計画はまだ具体化してない。これはわれわれの進めなければならない一つの問題だと思っております。     〔安田委員長代理退席、委員長着席〕 また、それ以外の放射性廃棄物の処理、処分の問題につきましても種々検討を行っておりまして、これにつきましては、少なくとも今後十年間は発電所に支障がないように対策を立てておるわけでございます。  こういう核燃料サイクルの計画につきましては、これはやはり政府が相当はっきりした方針を決め、そしてそれを公表するということでないと、先生が先ほどおっしゃられましたように、原子力に対する不安、また原子力行政に対する信頼性というものが得られないというふうに思っております。私どももできるだけ早く核燃料サイクルに対する基本方針というものを発表いたしたいということで、現在原子力委員会あるいは科学技術庁と相談しておりまして、作業は相当進んでおるところでございまして、近くこれを公表いたしたいというふうに考えております。そういうことで、原子力につきましては、いま御指摘の核燃料サイクルというものの体制を確立するということに邁進していきたいと思っております。  それから、今後の発電所の投資、ことに原子力発電所につきまして広域開発というものが必要だという先生の御主張に対しまして、私どももそのとおりだと考えております。現在、九電力電源開発株式会社の十電力体制ということになっておりますが、これは昨年のたしか六月と思いますが、九電力電源開発株式会社で今後広域運用あるいは広域開発というものをやっていくという基本方針を打ち出しております。そういう意味で、効率的な設備投資というものを行い、また電力の安定供給確保するためには、今後広域運用、広域開発というものが必要であると私どもも思っております。これを進めていく方針でございます。
  85. 河本敏夫

    河本国務大臣 原子力発電はこれからのエネルギー政策にとりまして最大課題の一つでございます。その進め方につきましては、先ほど長官が詳細申し述べたとおりでございます。その方針に従って進めていくつもりでございます。
  86. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 玉置一徳君。
  87. 玉置一徳

    ○玉置委員 社債特例法案につきまして若干の質問を行いたいと思います。  そこで、エネルギー庁長官にお伺いしますが、昭和六十年度までのエネルギー需要の伸び、そのうち電力需要の伸びをどのようにお考えになっておるか。
  88. 増田実

    増田政府委員 昨年の八月に総合エネルギー調査会で中間報告が出ておりまして、これが、六十年度におけるエネルギー及び電力の今後の需要見通しを発表いたしたのでございます。これは総合エネルギー調査会という通産大臣の諮問機関の報告の内容でございますが、これにつきましては関係各省の協力を得てつくった数字でございますし、また、これは昨年の十二月のエネルギー対策閣僚会議でも採択されておるということでございます。  この数字で申し上げますと、昭和六十年度における一次エネルギーの総量というものが、四十八年から六十年度までの年率伸び率で申し上げますと五・三%でございます。その中で発電電力量は五・八%、また電力需要量というものが五・六%でございます。大体総エネルギーの年率伸び率に比べまして電力の方が若干高目になっておる、こういうことでございます。
  89. 玉置一徳

    ○玉置委員 そのうち、所要工事資金量をどのようにお考えになっておるか。しかもそのうち、在来の実績からすれば、開銀資金、いわゆる政府資金というようなものと社債等の割合はどのようになっておるか。
  90. 増田実

    増田政府委員 先ほど申し上げました電力需要量に合いますための設備投資の総額が四十七兆六千億という一応の算定になっております。四十七兆六千億につきましては非常に巨額でございまして、これを現状のままで調達する、たとえば現在御審議願っております社債の特例もなしということで現状のままにいたしますと、三十兆五千億しか調達できない。そうなりますと約十七兆の不足が出てくるわけでございますが、その中で、先ほど先生からお尋ねのありました社債金額、つまり現状のままでありますときの社債金額は四兆二千億というものを考えております。これは、現在のように電力については二倍の特例法でそのままという考えでございます。それから借入金は十兆円、それから財政資金は二兆一千億というものを想定いたしまして、その合計が先ほど言いました三十兆五千億、不足が約十七兆、こういう計算になっております。
  91. 玉置一徳

    ○玉置委員 通例、どの会社も同じでありますが、資本金の伸びというものはどうしても現在の物価の上がりについていけない。したがって、社債その他借入金等で賄っていくわけでありますが、どの程度の資本金の増並びに社債の増というようなものが工事を確保していくために一番割合としていいかというような御検討をなさったことがあるかどうか。
  92. 増田実

    増田政府委員 お答え申し上げます。  必要資金調達のための方法といたしまして、増資で賄う、この増資がどれくらい可能かということにつきまして、ほかの産業増資伸び率は過去の平均では大体六・九とか七%でございますが、電力事業につきましては、今後も大体年一割の増資が可能ではないかということで考えております。それで、過去の数値その他から見ましても、年一割、それから無理をすれば一割二分ぐらいの増資ができる。しかし、それ以上の増資を行うことにつきましては、増資引き受けの問題、それから先ほどから問題に出ておりますように、非常にコストが高くかかりますので、これが料金にもはね返るという点で、一割ないし一割二分が望ましいのではないかというふうに考えております。  それから、もう一つお尋ねの社債の問題でございますが、これにつきましては、事業債の年間の伸び率が大体二〇%前後でございますので、電力事業につきましても今後二〇%前後の毎年毎年の伸び率で社債の増発をいたしたい、こういうふうに考えておりますし、またそれが可能だと考えております。ただ、繰り返しになって恐縮ですが、現在のような社債発行限度がありますと、ことしじゅうに社債発行ができないような状況になるわけでございます。
  93. 玉置一徳

    ○玉置委員 社債の特例という形のものを審議する上でもう一つ必要なのは、社債のその限度ぐらいの発行では何ら返還その他経営に支障がないということは保証できますか。
  94. 増田実

    増田政府委員 社債につきましては、商法の一般原則で資本金と準備金を限度として発行するということになっております。この商法の原則は、やはり社債権者の保護という立場に立って限度額を設けておるわけでございます。それに対しまして、今般電気事業につきまして四倍の社債発行限度をお願いいたしておるわけでございますが、これが債券所有者保護について問題がないかどうかということにつきましては、この電力事業につきましては、電気事業法によりまして各種の経理、それから新しい設備投資、また設備の処分その他、全部これは政府の許可、認可事項にかかっておるわけでございます。  そういう意味で、電力会社社債の償還につきまして問題のあるようなことは私どもはないように運営させる所存でございますし、また、電力というものの重要性から言いましても、電力供給がとまるような経営というものはさせてはならないというふうに思っております。そういう意味社債権者の保護というものは行われるということで、今回、例外的に十年間を限って四倍の社債枠発行限度の拡大をお願いしている次第でございます。
  95. 玉置一徳

    ○玉置委員 電力需要の伸び、したがって、これに対する工事量、電力をあらかじめ確保しなければならない先行投資に必要な資金、それが資本の伸びに比べてどうしても需要が多くなりますから、当然この程度社債限度の引き上げが必要ということは常識的によくわかるわけでありますが、一番心配なのは、この計画を推進していく上で、違った観点から、立地条件等々の問題でスムーズにこのことがいけるかどうかということに問題点がかかってくるのじゃないか、こう思います。  そこで、お伺いしたいのは、火力発電についての立地条件の今後のスムーズな伸長というものはどのようにして確保しようとお思いになっておるか。
  96. 大永勇作

    ○大永政府委員 お答え申し上げます。  火力発電につきましては、今後やはり石油火力のウエートはだんだん減ってまいりまして、LNG等、あるいは一般石炭というものがふえてくると思うわけでございますが、一番問題になりますのは公害問題でございます。これにつきましては、LNGについて余り脱硫の問題はございませんが、石油につきましてはございますので、いわゆるサルファ分の低下を図りまして、地元との了解をうまくとるようにいたす、公害対策というのが第一番の問題であろうかと思います。  それからもう一つは、いわゆる電源三法の活用によりまして、火力発電所の設置によりまして地元の公共施設が少しでも向上するように配慮していく、そういうふうなことをやりまして推進を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  97. 玉置一徳

    ○玉置委員 電気需要量、あるいは投資の方でも同じでありますが、これを確保するための所要資金としては、電源開発がどのくらいを占めておりますか。
  98. 増田実

    増田政府委員 先ほどお答えいたしました中に、五十一年から六十年度の工事資金といたしまして四十七兆六千億が必要であるということを申し上げましたが、この中で、いまお尋ねの電源開発関係は十七兆九千億、構成比といたしましては三八%ということでございます。残りの分が非電源、いわゆる配電、送電関係費用でございます。
  99. 玉置一徳

    ○玉置委員 原子力発電所要のものは、そのうち何割ほど占めておりますか。
  100. 増田実

    増田政府委員 十兆円でございまして、構成比二一%、約五分の一でございます。
  101. 玉置一徳

    ○玉置委員 そこで、原子力発電の立地の確保はいままで困難でありました。将来ともそれを確保するために、原子力発電についての問題点は何と何であるか。
  102. 増田実

    増田政府委員 原子力発電所の建設を進めて、日本におきますエネルギー構成の改善を進めるということのために一番問題になりますのは、やはり安全性の確保、それから環境の保全という問題でございます。また、その安全性の確保につきましては、実態的に確保するのみならず、国民一般に安全性についての信頼を得るということが必要でございます。こういうことで、私どもも、原子力発電所の建設につきましてはいまのような点についてあらゆる努力を重ねて、国民一般の信頼と協力がなければ原子力発電所の建設は非常にむずかしいと思っております。
  103. 玉置一徳

    ○玉置委員 その安全性の確保と国民一般の御理解をいただくために、どのようなことをやらなければならないとお思いになりますか。
  104. 増田実

    増田政府委員 お答えいたします。  この原子力発電につきましては、設置から運転その他につきまして各種の審査、検査というものが政府で行われておりますが、これを厳正に行うことによりまして、原子力行政あるいは原子力の安全確保につきましてのチェックというものが十分に行われているということでなければならないと思います。そのために現在の原子力委員会のあり方の問題その他も言われておりますが、この審査、検査体制というものを確立するということが一つでございます。  それからまた、原子力発電所につきましての安全性というものを実証試験で証明することが必要であるということだと思っております。そういう意味で、たとえば原子力発電炉というものが地震に遭ったときどういう影響を受けるかということを、ただ計算だけでなくて、実際に振動盤をつくりまして、そして大型のものをこれに載せまして、どれくらいの影響を受けるかということを実証的に証明する。このために、つい三月に原子力工学試験センターというものを発足させまして、ことしは四十数億でいまの振動台の建設にかかるわけですが、これは総額で二百億ぐらいの非常な費用がかかります。しかし、いずれにいたしましても、実証的に安全性を証明するということが信頼を得るための必要条件だというふうに考えております。そういうことで各種の実証試験、いま例で申し上げましたのは地震によって原子力発電機がどういう影響を受けるかということを申し上げたわけでございますが、それ以外に、各種のパイプのひび割れその他が起こったときにどういうことになるかということを実証試験で示すというふうなことを行うということでございます。  それからまた、原子力発電に伴います温排水の問題がございます。温排水がどういう影響を及ぼすかということにつきまして、これは温度が上がるわけでございますから、それの影響、また被害があるならその被害の補償をどうするかということの対策を立てなければならないと考えております。  それからまた、先ほども御答弁で申し上げましたが、日本に向いたと申しますか、日本の自主的技術というものを入れました発電炉を建設するということが必要だと思います。このために原子炉の標準化を行うということで、日本的な改良を行う。ドイツがいろいろの改良を行っておりますが、日本日本の技術で行うということが必要だと思っております。  それ以外にも、原子力発電を推進するためにはいわゆる核燃料サイクルの確立が必要だと思いますし、また原子力の広報の推進、それから電源立地が行われます周辺地域の福祉の向上を図るということで、これも電源三法によります交付金の交付によりまして、電源立地が行われます付近の方々の福祉向上に努める。各種の政策を総合的に強力に進めることによって原子力発電の推進ができるもの、こういうふうに考えております。
  105. 玉置一徳

    ○玉置委員 必要な手順と時期を考えながら着実に物をやっていくということが必要だと思うのですけれども、日本人はどうしても、一つはドイツ式な論理構成の風習があります。したがって、再処理並びに廃棄物の処理はどうするのだ、これも考えておらぬじゃないかというような論理が出てみたりするものであります。そういうような意味では、再処理と、それからただいまおっしゃいました日本式な工夫をこらした方法も必要でありましょうけれども、廃棄物の処理についても、大体いつまでに、どうしたやり方で、どのように片をつけるつもりでありますという処方せんは、日本人には必要じゃないだろうか、こう思うのですが、御説明をいただきたいと思います。
  106. 増田実

    増田政府委員 先生御高承のように、原子力発電に伴いまして、一つは使用済み燃料棒をどういうように再処理するかという問題、またそれ以外のいろいろな廃棄物が出るわけでございますが、その廃棄物をどういうように処分するかという二つの問題が出てくるわけでございます。  それで、前者につきましては、これは動燃事業団に第一工場が、これは実験工場のような小型のものでございますが、一応近く正式に操業を開始することになっております。これの成功に引き続きまして第二工場というものを、本格的な工場を今後建設いたしたいと考えておりますが、ただ、核燃料の再処理を行うために、その中間期間は外国に委託するということでつないで、この再処理については万全を期するというふうに考えております。  また、廃棄物につきましては、廃棄物には各種の廃棄物がございまして、一番量がかさみますのは、中で作業をしておられる方々の服とか手袋とかくつというものは外に出せませんから、これをドラムかんに詰めて構内に置いてあるわけですが、これをどういうふうにして処理するか、これは簡単に燃すわけにいきません。そういう意味で、現在はこの処理について、地中に埋めるとかいろいろな方法を確立しなければならないわけでございますが、これにつきましても、廃棄物処理センターというものが近く発足いたしまして、現在のいろいろな方法、つまり地中に埋めるとか海中に投棄するとかいう方法について具体的に進めていくということをやっていくわけでございます。
  107. 玉置一徳

    ○玉置委員 順序は経なければいかぬのでしょうけれども、せっかちな解明ということもむずかしいと思いますが、大体どのぐらいのめどでそれは進んでいくものと思いますか。
  108. 増田実

    増田政府委員 先ほど御説明いたしました第二処理工場につきましては、これは計画いたしまして、建設して正式に操業を行うまでには少なくとも十年かかると思っております。そういう意味で、その間のつなぎといたしましては、現在交渉もいたしておりますが、英、仏におきます再処理工場にこれを処理させるということになるかと思います。ただ、これにつきましても、すでに昭和五十八年度までの分については全部契約済みでございますので、五十九年度以降の分につきまして、現在その交渉を行っているところでございます。  それからもう一つの、先ほど申し上げましたいろんな衣服とか、その他そこで使ったタオルとかいうものをドラムかんに詰めておりますのを、現在は発電所の敷地内に厳重保管をしておるわけでございますが、この数量がふえますとどこかへ処理しなければならないということで、先ほど申し上げました廃棄物処理センターというものがここ数ヵ月の間に発足いたしますので、これらの処理の方針をできるだけ早く決めて、そしてこういう処理方針が確立したということで、核燃料サイクルにつきましていままでのいろいろな御心配を解消していきたい、こういうふうに考えております。
  109. 玉置一徳

    ○玉置委員 話を変えまして、ガスの方は立地の問題が同じようにむずかしいと思いますけれども、電力ほどでもないのじゃないだろうか。これから資金需要の一番必要なのはガスについてはどれなのか、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  110. 増田実

    増田政府委員 ガスにつきましては、これは電力よりもむしろ都市ガス需要は年率がふえていくと思います。私どもの方の想定では、今後の十年間、大体一〇%前後の伸び率になると考えております。  そうなりますと、これに対する供給確保するために各種の設備の増設が要るわけでございますし、また、今後の大都市における供給のためには輸入LNGでガス供給することになるわけでございますが、そのためにLNGを受け入れます基地の建設、また気化設備建設が要るわけでございます。これが発電所の建設と同じように、いろいろその地域の方々との間の問題が起こっておりまして、このLNG基地の建設につきまして、その安全性の確保、また環境の保全につきまして十分な対策をして、そして地域住民の方々の理解を得て建設しなければならないという問題がございます。  それからまた、ガス供給を拡大いたしますために導管を建設しなければならないわけでございますが、ガス管の建設につきましてもいろいろな反対も起こっております。ことに人口密集地域におきまして、新しく導管をかえる、能力をふやすということにつきましてもいろいろ問題が起こっておるわけでございますが、ガスは非常に生活に便利な、しかもカロリーの高い原料でございますので、これにつきましてはやはり消費者の方々、その地域の方々の理解を得て建設を進めたい、こういうふうに考えております。
  111. 玉置一徳

    ○玉置委員 高圧ガスに切りかえるときの安全性について特に注意をお願いしたいわけですが、どのような計画をお持ちになっていますか。
  112. 大永勇作

    ○大永政府委員 現在、東京とか大阪におきましては、いままでの五千カロリーのガスから一万カロリーのいわゆる天然ガスへの切りかえ作業をやっておりますが、先生御承知のように、天然ガス自身は一酸化炭素も含まれておりませんし、比較的安全なガスであると思いますが、ガス器具の調整をうまくやりませんと非常に問題が起こるということで、ガス器具の調整につきまして、通産省といたしましては、その安全化のための基準をつくるとともに、特に点検については、再三にわたる点検をやることによりまして万全を期す指導を行っているところでございます。
  113. 玉置一徳

    ○玉置委員 そこで、大臣にお伺いしたいと思います。  電力並びにガス、こういうものは電気事業法及びガス事業法で国がその料金並びに経営その他について全般の監督をしておるのは、その公共性の高いゆえんだと思うわけであります。これにつきまして、電気にしろガスにしろ、ふえていく需要をかなりの先行投資をしながら確保していくということが非常に大切な問題で、一たんその確保が危ぶまれるような場合には、ごうごうたる非難が出るものであります。  つきましては、今度の社債その他の問題につきまして、これは設備投資の資本金等の伸びぐあいの違うものを埋めるわけでありますからよくわかりますけれども、特に原子力発電を含みまして、立地条件の問題につきましては最大の努力を払わなければいかぬし、打つ手を打っていかなければいかぬ、こういう問題がございます。こういう問題について、大臣は、今後このエネルギー資源の確保と円滑な供給をなすためにどのような御決意でおいでになるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  114. 河本敏夫

    河本国務大臣 電気ガス等のエネルギー問題を処理いたしますときに、やはり必要とする量を十分確保するということが第一だと思います。それから、できるだけ安くこれを供給するということが第二だと思います。しかも安全に供給するということが第三だと思います。非常に建設に時間もかかりますので、いまお示しのような先行投資が必要であります。そして、今回お願いをいたしております法律案をお認めいただければ、コストも安くなると思いますし、莫大な資金調達、いま大変困難でございますが、それも可能になる、したがって先行投資ができる、こういうことになろうかと思います。いまいろいろ御意見がございましたが、御意見の点を十分心にとめまして進めていきたいと思います。
  115. 玉置一徳

    ○玉置委員 最後に、エネルギー庁長官にお伺いしておきましょう。  社債発行限度の特例をいま提案されておりますが、その緊急性と申しますか、どの程度に緊迫した状態であるかどうかを御説明いただきたい、こう思います。
  116. 増田実

    増田政府委員 お答え申し上げます。  現在、発行限度にほぼ各社近づいておりまして、このまま推移いたしますと、四国電力は七月に、また東京電力、中部電力及び九州電力は八月に限度に来てしまう。これは限度に来た場合、増資してまたその限度額をふやすこともできるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、増資もそう簡単にできない、またコストもかかるということから言いますと、いまの四社は七、八月に限度が参りますし、また、ほかの各社につきましても大体今年いっぱい、遅くとも来年の初めには限度に来るということで、これによりまして設備資金調達にいろいろ問題が生じてくるということで、非常に急を要するような状況になっておるわけでございます。
  117. 玉置一徳

    ○玉置委員 最後に一点、長官にもう一つお伺いしたいのは、ちょうど赤字国債の発行建設国債の発行等々、市中消化に困っておるような状況が見受けられます。電力並びにガス社債発行限度を高めることによりましてこういった消化はどのような状況になるか、困難ではないか、ひとつあなたの見通しをお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  118. 増田実

    増田政府委員 五十一年度、本年度におきましては、国債の増発、地方債の増発その他がございます。そういうことで、いまお尋ねのように、電力債の発行についてこれが十分消化できるかどうか、ほかとの競合があるのではないかということでございますが、本年度電力会社が一応予定をいたしております電力債の発行額、これは償還を加えた数字でございますし、また今回の法律がお認め願えませんとこれはできないわけでございますが、それを前提にいたしまして、約一兆円の電力債の発行計画いたしておるわけでございます。ただ、これにつきまして、先ほど申しましたように国債、地方債との競合がございますが、実際には電力債の引き受けは七〇%は個人でございます。国債は大部分金融機関引き受けでございますが、私も関係のところその他といろいろお話し合いいたしましたが、この電力債の発行につきましては、現在の金融情勢がこのまま続く、あるいはこれよりそう変化がないということを前提にすれば、この発行については問題がない、むしろ引き受け能力がある、こういうことでございます。
  119. 玉置一徳

    ○玉置委員 終わります。     —————————————
  120. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 これより参考人からの意見の聴取及び参考人に対する質疑を行います。  本日は、参考人として、日本エネルギー経済研究所理事長向坂正男君、電気事業連合会会長加藤乙三郎君、日本瓦斯協会会長安西浩君、以上三名の方々の御出席を願っております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  参考人各位には、御多用中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。  本委員会におきましては、目下、一般電気事業会社及び一般ガス事業会社社債発行限度に関する特例法案について審査を行っておりますが、参考人各位におかれましては、本法案についてそれぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の審査の参考にいたしたいと存じます。  なお、議事の順序でございますが、最初に御意見をそれぞれ十分以内に取りまとめてお述べいただき、次に委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。  まず、向坂参考人にお願いをいたします。
  121. 向坂正男

    ○向坂参考人 それでは、御意見を申し上げます。  石油危機以降、特に先進工業諸国では各国とも、インフレを抑制するためにエネルギー価格など公共料金を抑制するというようなことがございまして、これに対してエネルギー開発のための投資コストは、石油危機以降二倍、三倍に増加しております。たとえば油田の開発のコストにしましても、大体二倍以上に増加しているようでございます。原子力その他についてもほぼ同様なことが言われるわけでございます。したがって、エネルギー産業料金、価格が抑制されるために収益状況が悪くなり、そのことによって資金調達が思うようにいかないというような状況になってまいりました。  先般、私は、今世紀中の世界のエネルギー供給をいかにして確保するかというような国際会議に出てまいりました。アメリカ、ヨーロッパ、日本の専門家がそれぞれ集まりまして、今後十年、二十年、三十年にわたってどのようにして国際的なエネルギー確保したらいいかというような検討をいたしましたが、石油がやがて増産の限界に達するので、原子力その他代替エネルギーの開発を進めなければならない、また、OPEC地域以外の石油開発を大いに進めなければならない、そのための必要な資金が現在のような情勢では果たして十分調達し得るかどうかというようなこと、したがって、長期的なエネルギー供給確保するために、エネルギー価格政策というものを政府は再検討する必要があるのではないかというような意見がその会議でも出てまいりました。  長期的なエネルギーの安定供給のためには、エネルギー価格政策及び資金調達をいかにして可能にするか、制度的な問題を含めましてそういうことを検討する必要があるということが、この国際会議一つの重要な結論でございました。わが国でも、石油危機以降の価格抑制と、不況で石油の価格が悪いために、そういったエネルギー産業の収益悪化、したがって資金調達力の将来について不安が生じているというような状況は、御承知のとおりでございます。  私は、エネルギー調査会及び電気事業審議会で資金問題懇談会の一人のメンバーとして参加いたしまして座長を務めたわけですが、その審議内容を踏まえまして、資金問題、きょうの議題である社債発行限度の拡大についての私の考え方を申し上げたいと思います。  まず第一は、エネルギー産業、特にここで問題になる電力や都市ガスの将来の資金調達額がなぜ巨大なものになったかという理由が第一の問題であろうと思います。  これは先ほど申し上げたように、たとえば電力にいたしましても、新規の発電力一単位を開発するための投資額が二倍ないし三倍に増大するという物価の影響があること、これは非常に重要な事実でございますが、そのほかに、発電設備においても、原子力あるいはLNG火力というふうに、発電力一単位当たりの投資額が非常に大きい、いわゆる資本係数の非常に大きなものの能力増強をしていかなければならないという事実。それからまた、発電所がだんだん遠隔地になりますから、そのために送電幹線を新しくつくったり、あるいは東と西の周波数の転換設備をつくるというような必要も出てまいりますし、もちろんそのほかに公害防除とか原子力の安全対策などのための投資額もふえていっているわけでございます。そういった意味で、今後の増加する発電力一単位当たりの投資額というものが非常に大きくなっているということでございます。したがって、今後とも電力需要は相当に伸びますし、それ以上に発電設備をふやさなければならない状況でございますから、将来の電力業が調達すべき資金量は巨大なものになるということでございます。  この点は都市ガスについてもほぼ同様な事情であって、社債発行限度枠の拡大の対象になる四社については特にそうですか、燃料のLNG化を進めるために、その関連投資、受け入れ基地なり、製造設備なり、あるいは大きな幹線輸送パイプをつくっていくというような意味で、非常に所要量が大きくなるわけでございます。  そういった意味で、資金問題懇談会で試算したときには、電力が今後十年にわたっておよそ四十七兆円以上の資金を必要とするし、都市ガスについても、四社だけとりましても三兆六千億円余を必要とするという計算が出てまいっているわけでございます。  このような資金をどういうふうにやって調達したらいいのかという点で、懇談会ではいろいろな試算をやってみました。その結果、たとえば増資についても、今後の増資市場を見込んで年一割程度増資、つまり二年に二割増資とか三年に三割増資とかというようなテンポでやっていくのが限度であろうし、それから内部留保は、過去に比べて全体の資金調達に占める償却積立金その他の内部留保額の占めるウエートはこのままの制度では恐らく下がりますが、ある程度償却や積立金などの増強によって、内部留保を少なくとも全体の所要資金の三分の一以上は確保していかないと、全体の資金調達がむずかしくなる、資本構成の悪化がもたらされるというようなことが結論でございます。  そのほか、長期信用銀行など長期性の融資をする金融機関からの借入金をするとか、あるいは開銀からの政策融資もございましょうし、そういったことをいろいろ勘案いたしましても、どうしても社債発行に依存する度合いをかなり大きくせざるを得ない。現在の社債発行枠電力で言いますと二倍、正味資産といいますか、そういうものの二倍ですけれども、その枠内では、ほかのいろいろな資金調達源議案を勘定いたしますと、とても全体の所要資金が賄い切れないのではないか。電力の場合には特に非常に大きな不足資金が出てしまう。都市ガスにおいても、特にこれから五、六年の間、相当に大きな資金不足が生ずる。もちろん五十年代の後半においてもある程度資金不足は生ぜざるを得ない、そういった様子がわかりましたので、資金問題懇談会としては、社債発行限度を拡大する必要があるという答申を出したわけでございます。  そこで、さて、社債の枠をそんなに拡大しても、果たして社債市場で消化できるのかどうかという問題になります。この点についても、懇談会では金融市場あるいは証券市場社債市場などいろいろなそういった専門家で研究をしていただきまして、今後個人の金融資産がふえてまいりますし、特にこれからの成長率が下がりますし、安定した利息が得られる確定利付債券のような社債を選ぶ、投資をそういうところに個人や機関投資家が向けるという可能性が大きい。したがって、社債市場全体としても相当に拡大いたしますし、電力ガスが相当な程度社債発行をいたしましても、それの消化は十分可能であろうということでございます。  それから、もう一つの点は社債権者の保護の問題でございますが、社債発行枠を拡大したときに、債権担保に不足するのかどうかということも検討してもらいましたけれども、やはり専門家の意見ではその点も不足をしないだろうということでございまして、しかし、いずれにしましても、資金調達のためにはこういった金融機関や電力会社そのものが社債の販売についての努力を従来以上にする必要があると同時に、いろいろな金融機関や証券会社電力ガスなど国民の必要とするエネルギー確保するための所要資金調達することに協力してほしい、協力しなければ十分な調達が可能でないかもしれないというようなことがあったわけでございます。  そういったことで、どうしても将来の資金需要考えると、電力業や都市ガス業においては社債発行限度を拡大しないと必要な工事資金が賄えないのではないかということが結論でございました。  ただ、そういったことを進めていくためには、特に電力会社はそうですけれども、いずれの産業においても、巨大な投資を行うだけに、その投資効率をできるだけ高めるという努力をする必要があるのではないか。懇談会の答申においても、電力業について新しい広域運営、広域運営の強化ということをする必要があるのではないか、それは従来のような電力融通だけではなくて、発電所の共同開発とか、輪番投資とか、あるいはそれ以外にいろいろ、たとえば軽水炉などを改良し、標準化するという努力も必要でありましょうし、安全研究を進めるということもありましょうし、いろいろな意味電力業界の協力する体制というものを強めていく必要があるのではないか、それによって投資効率を少しでも高めることによって、料金を長期的にできるだけ安定するという上に貢献することにもなるということで、その前提のもとに社債発行枠の拡大をすべきであろうというのが結論でございました。  ちょっと時間を超過いたしましたけれども、私の御意見を申し上げた次第でございます。
  122. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 次に、加藤参考人にお願いいたします。
  123. 加藤乙三郎

    加藤参考人 ただいま御紹介いただきました電気事業連合会の加藤でございます。  電気事業の運営につきましては、本委員会の諸先生方には日ごろから大変格別な御指導を賜っておりますことを、一同にかわりまして深く厚くお礼を申し上げたいと存じます。  本日は、九電力会社にかわりまして、業界のただいま当面いたしております資金問題の状況と、これに対する対策としてただいま御審議いただいております特例法案につきまして、手前どもの考を述べさせていただきたいと存じます。  初めに、電気事業資金問題の状況でございますが、ただいま向坂参考人からもお話がございましたように、今後の十年間に設備資金としまして四十七兆五千億ないし四十八兆円という大変巨額の設備資金を必要とするものと考えておるのでございます。御案内のように、電力需要も過去の年平均増加率一二%というような高い水準の伸びは考えておりません。約半分の六%前後ではないかと存ずるのでございます。しかし、この六%の伸びを前提といたしましても、五十年度末で発電供給設備は約九千九百六十万キロワットに相なっておるのでございますが、これが昭和六十年度末までに、この十年間におきましては現有設備に匹敵する約九千百六十万キロワットの発電設備を開発しなければ供給に支障を来す、かように存ずるのでございます。  しかも、電気事業設備投資は、電源部門にありましては、まず石油への依存を少しでも脱却いたしまして、エネルギー源の多様化を図るということが国の基本政策にこたえる道ではないかと存じまして、水力開発の見直しをさらに検討し、あるいは石炭、LNG火力等への依存度を高める、あるいは原子力発電を開発するとか等々いたしますと、従来に比較しまして相当の建設費増加を必要といたすのでございます。また、社会情勢にこたえまして、排煙脱硫装置を初めといたします公害防止投資、あるいはまた原子力の安全対策への投資等々相重なりまして、ますます設備投資の増高を来すことに相なるのでございます。  それに加えまして、発電所をつくりましてお客様に届けますまでのいわゆる送変電設備につきましても、電源立地遠隔化するに伴いまして設備距離の増加、規模の巨大化を来しますし、さらに近年民生用の需用、たとえばルームクーラー等々ございまして、配電設備の強化、安全化が要求されまして、これまた設備投資の増高に拍車をかけておるというような状況でございます。  これらの設備投資を賄う資金は、本来その多くを内部資金に依存すべきでありますが、遺憾ながら石油危機を契機といたしまする物価上昇の影響から、資産の簿価と時価の乖離によりまする償却不足等、内部留保が少なくなりまして、結果としまして外部資金にその多くを依存せざるを得ないのがただいまの状況でございます。  なお、自己資金としての増資による資金確保につきましては、資本構成の改善、企業体質の強化という観点から好ましいものの、これまた株式市場の状況、収益性の低下傾向の現状から、資金コストとしても高くなりまして、これは一面、電気料金への影響ということをあわせ考えますると、これもまた限度があると申し上げざるを得ません。  また、外部資金のうち借入金は、所要資金がこれまた巨額であることから、資金市場の制約、金融の繁閑によります安定性の問題がございまして、急激な拡大は困難でございます。したがいまして、長期資金調達の柱といたしましては、大量かつ安定的な資金源といたしまして、個人消化を中心としました社債に依存することが当面最も妥当な方策と考えておるような次第でございます。  しかしながら、この社債につきましては、現在法定発行限度枠による制約がありますために、その量的拡大が阻まれておりまして、冒頭申し上げました四十七兆五千億ないし四十八兆円という必要資金のうち、従来どおりの社債発行限度枠でまいりますとどうしても約十七兆円の不足が生ずる、このように考えておるのでございます。したがいまして、この不足額を社債で充当するといたしますると、どうしても法定限度枠はこれを見直していただきまして、最低現行二倍を四倍にしていただきたいというのが私どもの悲願でございます。  次に、電力債の消化状況について申し上げますと、その消化の基盤は個人を中心に順調な広がりを見せておりまして、近年におきましてはおおむね六五%を個人消化の比率が占めておるのでございます。これはもとより個人資産の蓄積が拡充、増大したという日本経済の客観的情勢に基づくものであり、さらに証券業者によりますいわゆる証券民主化の促進といった要因を加味されておるのでございますが、また一面……
  124. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 加藤参考人に申し上げます。  時間の関係上、簡潔に取りまとめていただきたいと思います。
  125. 加藤乙三郎

    加藤参考人 これには手前ども全職員、いま大体十二、三名おりますが、われわれが出先の店へ参りましてこの話をいたしますと、相当の者が、自分らは発電所をつくり電気を売るために電力会社へ入ったのだ、しかし、このごろではなかなか発電所もできない、また売るのは社債であると言うほど、実は全員徹低しまして発電所をつくることと資金をつくることにかかっておるのでございます。この点も何がしか御理解いただければ幸いと存ずるのでございます。私どもはさように努力はいたしておりますが、なお一層、個人消化に、証券会社あるいは金融機関の力をいただきまして、この上とも努力する所存でございます。  なお、緊急の問題といいますか、当面のきょう、あすの問題でございますが、実は五十一年度末の社債発行残高は三兆二十五億円に達するのでございまして、これは、社債発行限度が三兆三千五十二億円でございますので、もう余力は三千二十七億円しかございません。一方、本年度大体七千億円の社債発行をしなければ資金調達不足をするという状況でございます。この点につきましても、私は、ただいまこのような社債発行設備投資をすれば、インフレあるいは物価高というような点を心配していただく向きもあるやに聞くのでございますが、現在われわれが相手とします会社あるいは建設業者におきましても、われわれの発注を一日も早くというような、干天に慈雨を求めるというぐらいに実は期待をいたされておるのでございます。どうかこの辺の事情をこの上とも御認識いただきまして、これが法案の一日も早い成立を心からお願いをいたしまして、私の陳述といたします。  このような時間をいただきましたことにつきまして、改めて厚くお礼を申し上げます。以上でございます。
  126. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 次に、安西参考人にお願いいたします。
  127. 安西浩

    ○安西参考人 私は、日本瓦斯協会会長をいたしております安西浩でございます。  本日は、本委員会における電力ガス社債特例法の御審議に当たり、参考人としてお招きいただき、都市ガス事業に関する意見を述べる機会を与えてくださいましたことに対しまして、心から感謝申し上げる次第でございます。  また、委員の諸先生方におかれましては、平素から都市ガス事業の運営につきまして格別の御配慮を賜っておりますが、この席をおかりいたしまして厚く御礼申し上げる次第でございます。  さて、御案内のように、政府におかれましては、今回、一般ガス事業における社債発行の法定限度枠の拡大を国会に御提案いただいております。  一般ガス事業の当面する資金問題につきましては、去る昭和五十年十二月、総合エネルギー調査会都市熱エネルギー部会におきまして、一般ガス事業資金問題に関する中間報告として取りまとめられまして、通産大臣への報告が提出されましたが、ここに改めて、一般ガス事業における資金問題について、当業界の置かれております厳しい現況を御説明申し上げまして、格段の御配慮を賜りたいと存じます。  まず、都市ガス需要動向について申し上げますならば、昭和五十年度は、わが国の戦後最大と言われる不況と需要家の消費節約思想の浸透によりまして、都市ガス販売量の伸びはかつてない低調を余儀なくされましたが、基調といたしましては、民生用を中心として需要は着実に増加しております。  これに加えまして、当業界が他に先駆けまして硫黄分を全く含まないクリーンエネルギーであるところのリクイファイド・ナチュラル・ガス、つまりLNG、液化天然ガスでありますが、これはメタンを主成分としておりますからCH4で、サルファは全然ないのでございまして、こういう液化天然ガスの導入を進めてまいりました結果、大都市周辺におきます大気汚染問題の解決に大きく寄与することができまして、いまや大都市圏の地方自治体におきましても、積極的に家庭外の工業用の燃料を都市ガス転換するよう指導が行われておる状況でございます。したがいまして、今後都市ガス需要は、民生用にとどまらず、工業用の分野におきましても大きく増加していくものと考えられるのでございます。  ちなみに、昭和五十年八月十五日に通産大臣に対して報告が行われました総合エネルギー調査会の中間答申におきましても、「都市ガスは熱効率が極めて高いこと、無公害のクリーン・エネルギーであること、都市の防災の観点から安全性の高いエネルギーであること、また、原料が多様性、代替性に富むことから供給の安定性が高いこと等」を高く評価していただいたのでございまして、今後は「単に民生用分野における需要の拡大のみならず、産業用熱エネルギーの分野においても」供給の増大を図ることが望ましいとされておるのでございます。  現在、東京瓦斯、大阪瓦斯、東邦瓦斯及び西部瓦斯は、それぞれの地域の都市ガス事業の核となりまして、他の都市ガス事業者から要望がありますれば、適正な範囲でみずからの都市ガスを卸し供給しまして、お役に立ってまいりたいと考えておる次第でございます。  この都市ガスの主原料となりますLNGについて申し上げますならば、同中間報告の長期エネルギー需給計画におきましては、今後石油に対する依存度の引き下げに対応いたしまして、原子力とともにLNGの大幅な増加が見込まれておりますが、LNGの供給量につきましては、昭和四十八一年度の実績二百三十七万トン、一次エネルギーに占める比率は〇・八%でございますが、これを昭和六十年度には四千二百万トン、七・九%にいたしまして、飛躍的に高めるという計画が打ち出されておるのでございます。  このような将来の需要の伸びに対応し、かつ、国のエネルギー政策にも御協力を申し上げるためには、各都市ガス事業者とも今後さらに設備投資の努力を積み重ねることが必要でございます。  都市ガス事業者は、現在全国で二百五十五事業者を数えておりますが、昭和五十年度における設備投資総額は年間約二千億円でございまして、この金額は、通産省所管業種では上位十指に入っております。しかしながら、今後の需要の増加に対応いたしまして円滑に都市ガス供給義務を果たしてまいりますためには、製造工場の増設はもとより、新たなガス導管の敷設、より大口径、高圧な導管の入れかえ等の設備投資を推し進めてまいらなければなりません。  また、東京、大阪、名古屋の三大都市圏におきましては、従来の都市ガスにかえまして、LNGを主原料とする高いカロリーの都市ガスに切りかえつつございます。これは、今日の大都市の道路、交通等の事情によりまして、従来の供給方式をもってしてはほとんど物理的に不可能な都市ガスの長期にわたる供給の安定を達成する画期的な方策でございますが、短期的にはLNGの受け入れ基地の建設や大口径、高圧の輸送幹線の敷設等が必要なことから、先行的かつ大規模な投資が集中いたします。  これらを含めまして、当業界の今後の設備投資額を試算いたしますと、十年間で約四兆円以上となりまして、電力業界と比べると十分の一以下でございますが、昭和五十年度の売上高の五カ年分に相当する資金が必要でございます。これら巨額の設備資金を賄いますために、各都市ガス事業者とも、当面外部資金への依存度を急速に高めざるを得ないのが実情でございます。  都市ガス事業は、昭和五十年度末の全事業者の固定資産が約八千億円を上回る典型的な設備産業であり、設備資金につきましては、従来からその半ばを減価償却費を中心とする内部資金によって賄ってまいりましたが、昭和四十八年秋の石油クライシス以降の諸物価高騰によりまして、資産の帳簿価格と時価との間に乖離が生じ、ために既存資産の減価償却費は相対的に低下するとともに、所要資金に対する内部資金の割合もまた低下いたしております。この影響は、都市ガス事業者にとりましては他業界以上に深刻なものでございまして、資金調達を外部に依存せざるを得なくなっております。  次に、資金調達方法について申し上げます。  資金調達方法としては、外部資金による場合は、社債借入金財政資金等が挙げられますが、現状においてはいずれも制約と限度があります。一方、自己資金としての増資による方法につきましては、原材料費を初めとする諸経費の恒常的な上昇によって、現状、各都市ガス事業者の収益は軒並み低下しております。また、増資資金コストが高いこともあわせて考えますならば、おのずからこれにも制約があると申さなければなりません。特に資金コストにつきましては、社債等の資金コストが年率約一〇%の支払い金利のみであるのに対し、増資の場合、配当一〇%といたしますと、それに見合う法人税まで含めると約一八%にもなることから考えますと、ガス料金への影響も無視できないところでございます。  ここで、当業界が置かれております実情をさらに御理解賜りますために、数字をもって御説明申し上げたいと存じます。  いま仮に、公募債発行しております東京瓦斯、大阪瓦斯、東邦瓦斯及び西部瓦斯の各都市ガス事業者において、今後十年間にわたって資本金を毎年一割増資し、これに応じて社債限度額まで発行するとともに、銀行からの借入額を前半の五年間は一八%、後半の五年間は一五%ずつ増加させたと想定いたします。さらに、財政資金も毎年設備資金の八%を借り入れさせていただくというかなり無理のある資金調達考えました場合、これをもってしても四社合計で十年間の資金調達不足額は約三千億円に達する状態でございます。  このような状況から、今後急速に増大する設備資金調達するための最も有効、確実な方法としまして、現行商法の規定による社債発行限度枠を拡大していただきますようお願い申し上げる次第であります。  先ほど申し上げました公募債発行の四社は、さきに申し上げました資金需要実情から、現状のまま推移いたしますならば、西部瓦斯は本年九月に、また、他の三社も昭和五十二年度当初から、いずれも社債発行が不可能となります。そして、この四社は、都市ガス販売量において全国の約八〇%のシェアを有しており、資金調達が困難になれば、都市ガスの安定供給に多大の不安をもたらすものと考えざるを得ないのでございます。  以上、るる御説明申し上げたとおり、当業界といたしましては、今後一層の経営努力を行い、都市ガスの安定供給に努めることはもとよりでございますが、需要家に対しては責任ある対話を実行し、また、ガス機器、ガス導管等の保安に万全を期することによって、公益事業としての責務を全うしてまいりたいと考えております。また、四社におきましては、その経営力、購買力、技術力等をもって、基盤の弱い地方中小都市ガス事業者に協力し、率先して当事業の発展に寄与してまいりますので、何とぞ、本法案の御審議につきましては格別の御高配を賜りますようお願い申し上げます。  時間を少し超過したことをおわびいたします。ありがとうございました。
  128. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。     —————————————
  129. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。質疑の際は、まず参考人の氏名をお示し願います。佐野進君。
  130. 佐野進

    ○佐野(進)委員 参考人には御苦労さまです。  御承知のとおり、いま一般電気事業会社及び一般ガス事業会社社債発行限度に関する特例法案審議をいたしております。私どもすでにこの二日間にわたりまして審議を続けておるわけでありまするが、この審議を続ける中において、この法案の持つ内容について私どもは幾つかの疑点が実はあるわけであります。この疑点を究明いたしてまいりますると、結果的にこの法案はない方がいいのじゃないか、いわゆる通さない方がいいのではないかというような気持ちに実はなりつつあるわけです。しかし、いま参考人の御意見等をお伺いしておりますると、それぞれの立場に立っての審議の経過等々もございまして、一応その趣旨については理解することもできるわけでありまするが、以下、私の疑問点等を中心にいたしまして、時間がきわめて短いわけでございますが、各参考人に質問をしてみたいと思うのであります。  最初に、向坂参考人にお尋ねしてみたいと思うのでありますが、参考人は電気事業審議会の資金問題懇談会の座長をおやりになっておりまして、また、たびたび当委員会に諸種のエネルギー問題等について参考人としておいでいただいておるわけでございますから、私どもはよく知っておるわけでございますが、そういう立場に立ちましていまのお話をお聞きいたしますると、何か電力会社の立場にのみ立ち、消費者ないし安全性を願う国民の立場というものに対する配慮が少し不足しておるのではないか。  もちろん資金問題懇談会の座長でございますから、資金をどう集めるかということでございます。しかし、学者としての先生という立場に参考人はお立ちになっておられるわけでございますが、この特例法案によって私ども一番心配しておるのは、原発に対する資金需要が一番多いわけでございますので、こういう歯どめもなく、ただ原発をつくればいいと言われても、それはつくられる付近住民がかえって怨嗟の声を上げるのじゃないか、そういうような配慮もなく、ただ資金を集めてつくればいいのだと言うことは、資金問題懇談会の座長をしておられるにいたしましても、何かちょっと私ども矛盾を感じますので、この点の御見解をまずお伺いをいたしておきたいと思います。
  131. 向坂正男

    ○向坂参考人 きょうは資金問題についての意見を申し述べよということなので、その点に限って申し上げたわけでございますが、私の考えといたしましては、日本は長期的には原子力発電の開発を着実に進めていくということは必要であろうと思いますし、それができるように資金面においても用意していく必要があろうかと思います。したがって、資金さえあれば幾らでも原発をどんどんつくればいいということではなくて、そのための前提としましては、何よりもやはり操業の安定、あるいは安全性に対する配慮、そういうことを十分やるべきだと思いますし、したがって、現在の軽水炉についてもその技術を改良し、あるいは標準化を進めて、安全審査その他も容易にし、そういったいろいろな総合的な原子力開発のための体制を整備していくという必要がある、それを前提にして資金問題も考えたつもりでございます。
  132. 佐野進

    ○佐野(進)委員 もう一度向坂参考人にお尋ねいたしたいと思うのでありまするが、そういう安全性についてもそれぞれがお考えの上で資金問題を考えておるということでございまするが、それでは、資金問題懇談会といたしまして発行限度額を特例法としたという、いわゆる十年の特例にするということの持つ意味がちょっと不明瞭ではないか、こう思うわけですね。なぜならば、その十年でこれが終わるわけでないと思うのですね。いまのお話の経過からするならば、少なくとも電力の場合は十年で終わるということでない。それを十年にしたのは、やはり外部的な圧力、銀行であるとか、あるいはその他一般企業であるとか、そういう関係から、電力あるいはガスだけを特別に社債発行限度額を公益事業だという形の中でやることが不都合だ、そういう反対的な見解を資金問題懇談会等も考慮したのじゃないか、いわゆる政治的な考慮の中でこの特例法にしたのではないかという気がするわけですが、懇談会としてはそういうことではなくて、これは政府の方で法律として提案する際、そういうふうに特例法にしたのかどうか、この点をひとつ審議する必要上もございますので、お聞きをいたしておきたいと思います。     〔委員長退席、橋口委員長代理着席
  133. 向坂正男

    ○向坂参考人 懇談会におきましては、発行限度額を何倍にしたらいいか、あるいはその限度額拡大のために、商法の改正にするのか、特例法にするのか、そういった点については討議いたしておりませんということをまず申し上げたいと思います。  ただ、この中におきまして検討いたしましたことは、社債市場がそれだけ伸びて、電力債が相当巨額に発行されても、他の産業社債発行を圧迫し困難にするという事態があるかないかという点については検討いたしまして、これは金融、証券などの専門家のグループにおいていろいろな資料をつくりながら、その点を検討したわけでございます。その結果は、先ほどもちょっと触れましたけれども、電力債を相当程度、まあ三倍とか四倍とかそういう限度額を拡大して発行したとしても、社債市場で他の産業資金調達を阻害するというようなことはないであろうということが結論でございました。
  134. 佐野進

    ○佐野(進)委員 次に、加藤参考人にお尋ねいたしたいと思うのでありますが、いま私が向坂参考人にお尋ねをいたしておる経過をお聞きであると思うのでありまするが、この資金需要が非常に大きい、さらに増資ではなかなか賄い切れない、一般借入金という形の中においてもそれぞれ問題がある、したがって社債限度額を広げることによって資金需要に応じたい、こういうような見解をるる御説明があったわけでありまするが、問題になるのは、その言われるお気持ちについては私ども理解しないわけではございません。いわゆる企業経営者としての立場に立って将来の需要を見通しての一つの対策でありますから、それは当然だと思うのでありますが、この方法として、いわゆる三十九条の改正と商法二百九十七条の改正という二つの問題が出てくるわけですね。  私ども仄聞するところによりますと、二百九十七条では一般商法の改正でありまするからきわめて時間がかかる。それに比べれば電気事業法の改正は、通産省の方から提案され、商工委員会に提案されて、これを改正すればきわめて簡単だ、しかも、きわめて簡単だという形の中で安易な道をとるということだけでなく、当面する資金問題については、この方法によれば一番安全で確実だけれども、ほかの方面の反対があるので十年の時限立法やむを得ないという形の中でこれを認めたのだというようなうわさ等も私どもは聞くわけであります。全く将来の恒久的な見通しの上に立っているという形の中で物をお話しになっておられながら、現実の問題としては、当面の緊急事態を乗り切るために、その資金需要に応ずるためにこの特例法という法律を強引に推進したのだというようなうわさも聞いておるのでありまするが、その点は商法二百九十七条でなく、特例法による三十九条の実質上の改正に至った経過、私は、ちょっとほかの方から入っている情報が入り過ぎているのかどうかを含めて、ひとつ御見解を明らかにしていただきたいと思います。
  135. 加藤乙三郎

    加藤参考人 お答え申し上げます。  手前どもは、何しろ、先ほど申しましたように、きょう、あすの資金調達が困ります。われわれ公益事業といえども、私どもはそれに甘える、特別な措置をつくっていただくということよりも、まず努力をいたしまして、そして足らない分を特例法でお願いするという考えを終始持っておるものでございます。したがいまして、このたびの社債枠の拡大も、要は、一般商法ということももちろん考えたわけでございまするが、一般商法の改正は相当時間がかかるやにお聞きいたしております。  私どもは、どのような方法にしろ、社債枠を拡大していただいて資金調達をしたい。これも先ほど申しましたように、社内留保、いわゆる自己資金を拡大するのが企業としては一番健全な方法と思いますが、先ほども安西参考人からお話がございましたように、増資コスト社債による資金コストは、約倍にも相なるかと存ずるのでございます。手前どもの経費は、大きいのはただいま大体燃料費でございますが、その次に、事業の性格からまいりまして、設備資金、その方の資本費が非常に多いのでございます。したがってこれから事業を運営するに当たりまして最も留意しなければならないのはもちろん企業努力でございますが、その企業努力でございますが、その企業努力は、資本費をどんなに安くするかということにかかっておるかと存ずるのでございます。したがって、この資本費を安くするにはただいまのところ社債にこしたものはない、こういうことで社債の枠の拡大をお願いをいたしたわけでございまして、それが時限立法になるとかいうことは、手前どもは一切承知しないことでございまして、早く社債枠の拡大をお願いしたい、この一存でございます。     〔橋口委員長代理退席、委員長着席〕
  136. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私ども、この法案を冒頭申し上げましたとおり審議する経過の中で、あるいは提案された経過の中で、好ましくない法案じゃないかという気持ちで審議をしているわけです。反対の立場に立たざるを得ない、いまでもその気持ちであるわけでありますが、その中で、資金が必要だから社債限度額を四倍にしろ、あるいはまた二倍一にしろ、こういうような形の中でただ安易に枠を広げるということでなくて、もしそれをやるならば、電力事業とは一体どうあるべきなのか、九分割されている電力事業、あるいは電源開発会社を含めたその体制として将来どうあるべきものかという、そういう根本的な議論の中から、それでは資金需要に対してどう対応するのか、これからの電力需要に対してどう対応するのかという、それぞれ原則的なものから掘り下げてそこに到達しなければならぬじゃないか、そういうような気がしているわけであります。  したがいまして、そういうような気がしているという形の中では、その審議を深めなければならない。そうすると長時間にわたる。長時間にわたるという形の中においてわれわれも慎重に審議したいとは思っておるわけでありまするけれども、その一環として、いま参考人の御意見として加藤参考人から御意見を聞いておるわけですが、こういうような基本的な問題でございますので、先ほどお話をお聞きしておりますると、九電力会社料金値上げをしなければやっていけない、設備投資をするにはともかく資金枠を拡大してもらわなければどうにもならぬ、あれも困る、これも困るという形の中において、もう電力事業というものはこの際根本的にそのあり方に対して検討を加えるべきじゃないかという気がするのでございますが、経営の責任者として、電気事業連合会の会長としての加藤参考人はこの問題についていかがお考えになるか、いま一点お伺いをしておきたいと思うわけであります。
  137. 加藤乙三郎

    加藤参考人 お答え申します。  実は現行経営形態は昭和二十六年にできまして、ちょうど二十五年に相なるのでございます。いまの体制ができますときに、相当これは朝野挙げて大きな問題になったことは御案内のとおりかと思います。私もその中の一人としまして、いろいろの意見も聞き、意見も申し上げた記憶がございます。いろいろの末、いまの体制ができたようなわけでございます。その間、当時を顧みますと、発電設備で約八百八十万キロ、九百万キロ足らずであったと思います。それも、当時水力が七割五分、そして火力が二割五分ないし二割であったかと思います。その火力も全く石炭火力でございましたから、昭和二十六年のときは電力エネルギーは完全に国産エネルギーであったかと私は思うのでございます。  その後、御案内のとおりの高度成長によりまして、先ほど申しましたように、約九千万円、一億に近いような設備をしたわけでございます。それも、実は水火の比率が逆転いたしまして、ただいまは八割が火力でございます。その火力も、われわれは相当国内炭というものを考えてみましたものの、北海道と九州の一部を除きまして、ついに石油火力に相なったわけでございます。したがって、輸入エネルギーに相なったかと思います。  そこで、あの石油危機のときに、これだけ輸入に頼っておっては大変だというので、政府の施策にも応じまして、原子力なり、これも先ほど申しましたとおり水力なり、LNGなりを見直そう、こういうことでありまして、このような大きな需要に応ぜられましたのは、九社がそれぞれ競い合いまして、地元のお客様即それは株主である、お客様であり株主であるという考えのもとに資本の調達をし、地元の御理解を得て発電設備をやってきたということが、幾分なりとも電力エネルギーを通じまして今日の状況に相なったかと存じまして、その点、いろいろ批判もありますが、もう一度これを好意的に見直してはどうだろうというので、一昨年も原点に立ち返りまして公益運営のあり方も考え直しまして、現体制が、いろいろあるけれども、いま考えられるうちではいいのではないかというふうに考えまして、この上ともあらゆる方面の御意見を聞きながらこの体制を続けていくのが大変結構ではないかと私は考えるものでございます。
  138. 佐野進

    ○佐野(進)委員 最後に、安西参考人にお尋ねをいたしたいと思います。  私どもは、この法案が国会に付託されまして以来、この法案審議する事前の調査を十分いたしておりました。この調査をいたします経過の中で、ガス会社関係法律は必要ないのじゃないか。必要ないというのは私どもの考え方だけでなくして、瓦斯協会の方もきわめて冷淡な動きをしておられる。何かあれは電力社債限度額の拡大であって、おれの方には大して関係ないんだよ、こんなような動きが随所にあるような気がいたしました。あると言うと差し支えがございますから。  そこで、いろいろ本を読んだりなんかいたしますと、こういうようなことも書いてあるのにぶつかったわけです。電力会社の方では、抵抗をなるべく少なくするため同じ公益事業であるガス業界も引きずり込んだ、云々、こういうことを言っておるのですね。この本を読みながら瓦斯協会の動きを見ますと、ああなるほどそうなのか、電力さんのお供をしてついていけば損はないだろう、こういうようなことでやってきたから、結局われわれに対する接触も、御意見を聞こうとしてもなかなか出てこない、こんなような気がいたしましたら、ここのところ数日間、大変御熱心なような動きもありますので、こちらも大変戸惑っておるわけであります。そのことは、いまの御説明意味からすると、どうも若干私の認識不足であったような気もいたします。  それはそれといたしまして、実際上必要があるという先ほどの公述があるにもかかわらず、必要がないのじゃないかと言うことはどうかと思うわけでございますが、今日の状況下において、安西参考人といたしましては、二百五十数社あるその中で、実際上これを適用して事業の拡大を図るという会社の数はきわめて少ないのじゃないか、こういう気がいたしますので、その必要性について、時間がなくなりましたから簡単で結構でございますから、見解をお示しいただきたいと思います。
  139. 安西浩

    ○安西参考人 佐野先生の御質問にお答えいたします。  連絡が非常に悪くて、熱意がなかったのじゃないかという点につきましては、実は私、三月の下旬に、ソビエトとアメリカと、私どもでやっておりますシベリアの天然ガスの探鉱プロジェクトの最終的な調印のために、四月上旬まで海外におりました関係から、私自身諸先生方に御説明を申し上げる機会をなくしたことは、陳謝いたします。ただしかし、私にかわりまして専務理事の柴崎君がいろいろお訪ねして御説明をしたやに私は聞いておりまして、そのとおりしたはずでございまして、決して熱意がなかったわけではございません。  先生も御承知のように、都市ガスの原料は、明治、大正、昭和の戦争が終わるまでは石炭でございました。そして、その後石炭の経済性がなくなりまして、これは石油にかえるべきだということは、私がこれを提唱いたしまして、エネルギー革命という言葉は私が初めて言い出した言葉でございますが、そして都市ガス業界は原油の分解をしてオイルガスというものをつくりまして、非常に経済性が高まりました。  しかし、御承知のように石油の中にはサルファが非常に多うございまして、亜硫酸ガスが発生するので、大都市の大気汚染に非常に影響するという観点から、私が十数年研究いたしました結果、昭和四十四年から天然ガス転換を始めた次第でございます。東京瓦斯を一例にとりますと、すでに百六十万件の転換が完了いたしております。これによりまして、大気汚染は都市ガスに関する限りは壊滅できるものだと考えております。大阪瓦斯も東邦瓦斯も私の考えに共鳴されまして、現実にこれを進めておる次第でございます。福岡の西部瓦斯につきましても将来計画を持っておるのでございます。  なぜ四社だけでやるかというお尋ねもございましたが、この四社で実は八〇%近いシェアを持っておるのでございます。二百五十五社ございますが、あとは非常に小さい会社でございます。しかし、大きな東京、大阪等の近所にある都市ガスに対しては、将来エネルギー原料も分けようということも考えておる次第でございます。  なお、社債関係が非常に窮屈になっておるということは冒頭に陳述いたしましたが、ことしの九月で西部瓦斯がすっかりお手上げ、東京、大阪、名古屋も本年いっぱいでお手上げという状況でございますことを申し上げておく次第でございます。
  140. 佐野進

    ○佐野(進)委員 質問を終わります。どうも御苦労さんでした。
  141. 稻村佐近四郎

  142. 板川正吾

    板川委員 参考人に伺います。私の持ち時間は五分間ですから、各参考人に一問ずつ質問をいたします。御答弁を願いたいと思います。  まず、向坂さんにお伺いいたしますが、十年間で四十八兆も設備資金電力の場合に必要としている、そして一億キロワットの設備を十年間で拡大する。その中で原子力が半分近くを持つわけであります。先ほど向坂参考人が、投資効率を高める必要がある、こういうことを強調されたことは私も同感でありますが、そこで、いま佐野委員からも加藤参考人に伺った件ですが、加藤参考人から答弁するのはなかなかむずかしい課題だろうと思うのですけれども、五十年六月に九電力の社長と電発総裁の間で、広域運営を拡大していこう、こういう決定をしておるわけであります。しかし、現実に広域運営の拡大というだけでは新しい事態に対処することは不十分じゃないだろうか、だから、どうしてもこれは体制を集約化する必要があるのじゃないだろうか、そして、せめて発送電だけでも集約していかなければ、投資効率を高めるということには限界がある、こういう感じが私はいたします。この点について御所見を承りたいと思います。  それから第二は、加藤参考人に伺います。  四十八兆の設備投資をする、その半分近くがいま申し上げましたように原発によるわけであります。現状のままでこの原発を進めていけば、結果的に料金値上げする方向になるのじゃないかという不安を持つわけです。それはなぜかと言うと、原子力発電コスト計算上は安いと言われる。先ほどエネルギー庁長官は、原子力発電は一キロワットアワー当たり八円二十四銭だ、石炭が九円八十銭であり、石油が九円五十銭である、これは一番安い、こう言うのですね。しかし、これは七〇%の稼働率を前提にした計算なんです。机上の計算なんです。実際は五十年で平均三二%の稼働率だ。その平均稼働率で割れば、原価計算してみれば実質的にもっと原発のコストは高くなっている。だから、いまの稼働率をその程度で置いて、三〇%か、四〇%か、五〇%程度に置くならば、結局そういう計算上の数字でなくて、逆に実質的には値上げを促進する可能性があるのだ。だから、原子力発電の稼働率を高めるということについて一体どういう見通しなり御見解があるのか伺いたい。  第三は、安西参考人に伺います。  LNGが非常にクリーンなエネルギーである、将来大いに期待される、こう言われておりますが、二点伺います。  一つは、LNG発電も非常に今後期待されるのでありますが、コストが高いと言われるのですね。一キロワットアワー当たり、石油九円五十銭、LNGは十円二十銭、石炭九円八十銭、原子力八円二十四銭というエネルギー庁からの話があったわけですが、このLNG発電が高い理由はどこにあるのでしょうかというのが一つと、もう一つは、電力供給源を拡大していくについて、LNGという新しいエネルギーの安定供給というのは心配することはないだろうか、この二点について伺いたいと思います。
  143. 向坂正男

    ○向坂参考人 先ほど申し上げたように、資金効率を高めるために、従来の電力融通だけではなくて、共同立地、輪番開発というような点、あるいは原子炉の改良、標準化など、電力会社間の協力を一層強めるということの必要性は私も大いに強調したいところでございますし、また、資金問題懇談会でも委員の中で強い意見であったということを申し上げたいと思います。  ただ、原子力開発が今後の電源開発の中心になりますけれども、電源の開発を進めていく上に、資金効率を高めるという観点からは、そういった共同立地、広域的な開発をもっと進めて、九電力の間で協力してやっていけば、その点では有効な方向が出るのではないか。ただ、それでは限界があるかもしれませんけれども、それでは果たして日本全国を一社にして開発することが、地元への十分な了解といいますか、合意の上で進めるという上に有効であるかどうかという点については、私は疑問を持つ次第でございます。
  144. 加藤乙三郎

    加藤参考人 お答え申します。  原子力の原価の点でございますが、その前に、総体の四十七兆五千億ないし四十八兆円の中の電源部門としましては大体四二%でございまして、その四二%の大体半分が原子力、したがいまして、五八%はいわゆる送変配、いわゆる輸送設備に私ども考えておるのでございます。  それから、五十年度は、原子力発電所におきまして現実に故障を起こしたもの、あるいはまた同じようなタイプの設計のもとにつくられた発電所におきまして故障が起きた、同じものも起きやしないかというので、故障の前に実は停止いたしましてそれを点検をしたというようなものもございまして、たまたま年間の原子力の稼働率が下がったということでございまして、これは特異な現象としてお考えいただいて結構かと存じます。すでに西ドイツあたりで、相当な稼働率を上げている国も現実にございます。将来、わが国におきましても、わが国の技術を信頼していただきまして、諸外国に負けないだけの稼働率を上げるというつもりで努めてまいりますことを御理解いただきたい、かように存じます。
  145. 安西浩

    ○安西参考人 板川先生にお答えいたします。  先ほどの御質問は、電力に使われる発電コストで御比較になったようでございます。電力に使うLNGと都市ガスに使うLNGは違うのでございまして、これは先生も御承知と思いますが、都市ガスにおきましてはLNGをそのまま供給するわけでございます。電力につきましてはこれは発電用に使う、その効率が違うわけでございます。それで、たとえば原油と比較しますと、原油は先生も御承知のように、四十八年十月の価格と比較しますとすでに五・一七倍ぐらい上がっております。しかし、現在でもなお、比べますとLNGより原油の方が少し安いのであります。安いけれども、これは御承知のように大気汚染をする原料でございます。しかも、御承知のように原油の値段はOPECという連中が毎年これを上げます。しかしLNGに関しましては、相手が決まっておりましてほかへ売れないような形になって二十年、十五年と契約をしておりますので、長期安定の面から見ますと原油よりもいい。しかも無公害である。それから、原油のバイプロダクトでございますナフサ、これは都市ガスで非常にたくさん使っておりますが、これも最近原油が上がりました関係で価格も非常に上がっておりまして、ナフサと比較するとLNGが安い、こういうことでございます。  次に、先生の御質問は供給の安定はどうかということでございますが、石油は御承知のように今後三十四年分ぐらいと言われております。しかし、天然ガスにつきましては、探鉱技術が毎年発達いたしまして、数年前には五十三兆立方メートルと言われておりましたのが、今日では六十三兆立方メートルになっているのでございます。一カ年の消費一兆何がしかでこれを割ってみましても、五十年近いものがすでにあるのでございます。しかも、私どもといたしましては、かつてアラスカ、ブルネイ、今日サラワク、またソビエトの天然ガス、これは相当ございますが、これらについても話を進めておるのでございまして、供給の安定面については御心配はないと思っておる次第でございます。  以上、お答えいたします。
  146. 板川正吾

    板川委員 時間が来ました。終わります。
  147. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 加藤清二君。
  148. 加藤清二

    加藤(清二)委員 お許しを得まして、二、三質問したいと存じます。ところが、質問はたくさんございますけれども、与えられた時間がきわめて少のうございます。したがいまして、まことに恐れ入りますが、参考人のお方は簡潔に、要点だけ御答弁願えれば結構でございます。  最初に、電力ガスの両会長にお答え願いたい。  資金がたくさん要る、よくわかりました。ところが、春闘をしますと、これが値上げの原因になる、インフレの原因になるというばかの一つ覚えみたいな声が、財界の中には流行語のようにあることを知っております。そこで、お尋ねいたします。一体経費のうちに占める労務費、労賃、これは何%ぐらいでございましょうか。
  149. 加藤乙三郎

    加藤参考人 私の記憶に間違いなければ、大体現在一二%かと存ずるのでございます。これは、総経費に占める率は年々下がってまいります。もちろん一人当たりの労務費は上がりますが、その他のいわゆる燃料費であるとか、あるいは先ほど申しました資本費が上がります関係上、その単価は上がるにいたしましても、総経費に占める率は少しずつ下がっていくというのが従来の傾向でございます。
  150. 安西浩

    ○安西参考人 いま的確な資料を持ち合わせませんで申しわけありませんが、大体二〇%ぐらいと思っております。
  151. 加藤清二

    加藤(清二)委員 この問題は、いまお答えにならなくても結構です。後からでよろしいですから、瓦斯協会の方、正確なところを知らしていただきたいと思います。つまり、労務費がある程度上昇しても、それが直ちに販売される電力とかガス料金にイコールで及ぶなどとは考えておりません。その証拠の資料をいただければ結構でございます。  次に、これは前からの約束でございますから、お尋ねいたします。それは、木川田さんやらあるいは芦原さんと約束しました。これは当委員会ではなくて、公害委員会でございます。公害基本法並びに関係法を立案、これを審議して通す場合に、ガス電気だけは、ガス事業法、電気事業法によって始末をするから除外をしてくれという強い要請がございました。ついにその希望が達せられて、ガス電気は除外になりました。ところが、時の新聞記者は何と評したかといったら、公害の大どろぼうを逃がして、こそどろだけをつかまえる法律をつくったんだというので、時の立法府のわれわれは大変面目を失墜いたしました。そこで、しからば、電気事業法、ガス事業法において公害法に規制されているものを満たすことができるか、ある程度の修正が行われました。  しかし、お尋ねいたします。それでは、いま本当に国民大衆の中から、電気ガスも公害はないのだ、心配ないのだということになれば、立地をなさる場合に地元の反対はないはずでございます。資金がどれだけたくさんできましても、地元の合意なしに設備をつくることはできぬと思います。自民党の所属の県知事さんでもなおその記事だけはごめんだと言うて、静岡県も千葉県もお断わりになった事実もございます。  そこで、お尋ねします。あれ以来、電気ガスは、公害除去、公害追放についてどのような御努力をなさったか。これは本日ここで述べていただくと、それだけで時間が来てしまいますから、後で資料として御提出を願えれば結構でございます。  次に、お尋ねします。いま四電力料金値上げ申請しており、三九%、まるでショッキングだと福田副総理も言いました。労働者の賃金は一けた以内に抑えなければならない、しかしそういうことを考えた経団連あるいは同友会、あるいはいま向坂さんの座長をして見える資金問題懇談会、ここらあたりで、電力料金はそういうやさきに三九%とくる。  そこで、お尋ねしたい。あとの五電力はどうなりますか。
  152. 加藤乙三郎

    加藤参考人 お答え申します。  ただいまお話し申されるように、詳細は書類で出さしていただくことにいたしまして、私の記憶いたしておりますところによりますと、公害対策費は大体二割ないし……(加藤清二委員「電力料金のことだけ答えてください」と呼ぶ)  四電力料金の問題でございますが、私の記憶では三九%というのは多分北海道電力でございまして、九州電力さんは三一%台かと承知しております。北海道電力さんの値上げ幅の大きいものは、やはり燃料費であるかと存ずるのでございます。  労務費は、先ほど申しましたようでございまするが、これは直接の労務費でございます。人員からまいりますと、設立当時とただいまは、電力会社は大体十三万人かと思います。これは設立当時と、一人もふえておりません。ところが、販売電力量は十一、二倍に相なっております。したがって、人件費の割合は相対的に下がったのでございまして、今度の値上がりの中には、大きなのは燃料費資本費であることを御理解いただきたいと存じます。  次に、いまだ申請いたしておりません五社でございますが、それぞれ経営に難渋をいたしておることは事実でございます。ただ、五社とも、時局をこの上とも考えまして、一日でも先に、値上げ幅の一厘でも低くなるように、いませっかく努力をいたしておるという状況でございまして、すでにもう首筋まで、鼻のところまで来ている会社もございます。したがって、これがいつまで申請せずにもつかということは、はなはだ私も言いかねまして、ただ苦しいということを申し上げ、申請その他につきましては、いま慎重にそれぞれの電力会社考えている、かように存ずるのでございます。
  153. 加藤清二

    加藤(清二)委員 実は、委員長、ここを見てください。社会党は一人もいなくなったでしょう。それは、この法案に対する態度がまだ決まっていないのです。賛成するか反対するか、いま決めている最中なのです。社会党の商工部会とちょうど合致してしまったので、やむなく部会長の私が質問台に立っているわけなんです。  そこで、この答弁いかんによって、社会党がこの法案に賛成するか反対するかが決まるわけでございますので、済みませんけれども、要点を聞きますから、要点にお答え願いたい。  もう一度お尋ねします。五電力料金値上げは、ことしじゅうにあるかないか。
  154. 加藤乙三郎

    加藤参考人 お答えいたします。  それぞれの会社でそれぞれの台所も違っておりまして、いまここであるなしということは、私、申し上げかねることを御理解いただきます。
  155. 加藤清二

    加藤(清二)委員 それはいつごろまでにわかりますか。
  156. 加藤乙三郎

    加藤参考人 お答えいたします。  いまのところ、一日でも先ということのみに努めておりまして、いつごろかということをちょっと申し上げかねるのでございます。
  157. 加藤清二

    加藤(清二)委員 では、ことしはないと思うてよろしいか。それともことしうちにあるでしょうか。
  158. 加藤乙三郎

    加藤参考人 状況は非常に苦しいのでございまして、そういうふうにおとりいただくのはこれまたどうかと思います。
  159. 加藤清二

    加藤(清二)委員 委員長にお願いいたします。  資金問題懇談会、概略だけはここにいただいております。しかし、この資金の問題のうちのいわゆる自己資金、株の増資の問題、それから融資の問題、社債の問題、加えて料金値上げの問題、これの審議の模様が詳細にわかる懇談会の資料を、至急御提出願いたい。これは私のところだけでなくして、社会党の商工部会のメンバーに全部渡るように資料を御提出願いたい。  そうこうしておりますと、もう私の与えられた時間はなくなってしまいました。あとほんのわずかでございます。そこで、大急ぎでお尋ねします。  資料によりますと、資金コストは、社債が安くて株の方は高い、こういうことでございます。そこで私は、不思議に思いましたので、株の関係の利回りを調べてみましたら、その利回りは社債よりも下回っております。  もう一つ問題は、電力の場合は五百円株が大体七百円で、これを入手するときにもさほど高いとは言えません。にもかかわりませず、社債の方が資金コストが安いというわけは一体どこにあるだろうか。自分が創作してはいけませんから、この電気事業連合会の方から出ている便覧で調べてみました。そうしますと、四十四年から四十九年に至る間に、株の発行額と手取り額との間に大変大きな相違があるということがわかりました。四十四年が八十八億、四十五年が百四十九億、四十六年が二百七億、越えて四十八年が二百三億、四十九年が二百四十二億、これだけ発行額面よりは手取りの方が少なくなっているのでございます。  なぜ私がこういうことを尋ねなければならぬかと申しますと、日本の経済がリセッションのたびに、余りにも振り子が大き過ぎるためにそのダメージが大きい。だから、通産省の指導方針も、なるべく自己資金を大きくするようにという指導が行われてきた。にもかかわらず、今度のこのアイデアはそれとは逆行することであります。ますます資本と借入金との相違が大きくなります。  なぜ資本を大きくすることがむずかしいのだろうか。今度はおたくの方の資料をもう一つ調べてみました。そうしますと、十年前の株主の数と今日の数を比較した場合に、これは大体一・五倍程度になっております。しかし、資本は、ある会社は二倍、ある会社は三倍の余になっております。したがって、どういうことが言えるか。一人当たりの持ち株数は非常にふえている、こういうことでございます。なぜそうなるだろうか。これは重要な基本に関する問題でございますが、本日その時間がありません。そこで、その原因等々、資料なり結論なりを後で御提出願いたいと存じます。  最後に、安西さんにお尋ねします。  LNGに切りかえられるということは、公害除去の立場から言っても大変重要なことであると同時に、その設置場所が電気と違って人口密集地帯にどうしても集約されてくる。だから、電気以上にその設置現場における公害発生には御留意願わなければならぬ。しかるがゆえに、コストの高いLNGに切りかえた。それは結構なことだと思います。これから切りかえることによって発生してくる消費者のメリット、デメリットを簡単に御解説願いたい。  加藤さんは、資料が出るか出ぬかという答えだけでいいです。
  160. 加藤乙三郎

    加藤参考人 お出しいたします。
  161. 安西浩

    ○安西参考人 加藤先生はすでに御承知のことと存じますが、LNGは公害を伴わないエネルギーでございます。いま世界各国を大観いたしますと、アメリカにおきましては六千億の天然ガスが生産されて消費されております。また、ソビエトにおきましてもすべて天然ガスでございます。ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、それぞれソビエトから輸入しております。英国におきましては北海から導入しております。LNGと申しますのは、日本列島には天然ガスがございませんから、天然ガスのままで導入することが困難でございますので、これを液化いたしまして液化天然ガスにしておりまして、これは天然ガスでございます。無公害でございます。  このメリット、デメリットについて御質問がございましたが、先ほども冒頭で申し上げましたように、従来の都市ガスの中にはCO、一酸化炭素が含まれております。これが生のままでガスが発生いたしますと、一酸化炭素中毒が従来起こったのでございますが、そういう問題が完全に除去されるのでございます。また、われわれの側から見ますと、今日物理的に都市の道路を掘削して管の入れかえというようなことはできません。現在、東京瓦斯を例にとりますと五千カロリーのガス供給しておりますが、これを天然ガス、一万一千カロリーにかえますとホルダーを二倍半使える、供給管も二倍半使えるというメリットもございます。簡単でございますが、お答えいたします。
  162. 加藤清二

    加藤(清二)委員 与えられた時間が参りましたので残余の質問は政府側にいたします。  これで終わります。ありがとうございました。
  163. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 野間友一君。
  164. 野間友一

    ○野間委員 加藤参考人に最初にお伺いしたいと思います。  先ほども質問がありましたけれども、いま電力四社が大幅な値上げ申請をされておりますが、五十年度の下期のこの四社の決算書類は通産省にすでに渡っておるのかどうか、電事連の会長さんとして、加藤参考人にまずお伺いしたいと思います。
  165. 加藤乙三郎

    加藤参考人 お答え申します。  五十年度下期につきましては、私の聞き及んでおるところによりますと、今月末に大抵決算役員会をそれぞれ開かれるようでございます。その決算役員会で役員の承認を得ましたものは、一般に公告し、お役所にもお知らせする、こういうように聞いております。
  166. 野間友一

    ○野間委員 いま通産省で認可をめぐっての査定が始まっておるわけですけれども、そうしますと、通産省にもまだ五十年度下期の決算書類は出ていないというふうに理解していいわけですね。
  167. 加藤乙三郎

    加藤参考人 それぞれ一応の予想は四社はあるいは出しておられ、それを御参考にもされているかとも存じますが、これは私の推理でございます。
  168. 野間友一

    ○野間委員 今月末に大体各社そろうと思いますが、それがそろった場合に、すぐに当商工委員会にお出しいただきたい。これは電事連の会長さんにお願いしたいわけです。
  169. 加藤乙三郎

    加藤参考人 承知いたしました。
  170. 野間友一

    ○野間委員 そこで、一点として、私たちも不況下の電力料金値上げについて、当委員会でも、あるいは物価特別委員会の中でもいま審議を進めておるのですけれども、何しろ五十年度下期の経理状況等について私たちはわからないものですから、少なくともそれを出していただいて、これを私たちが審議した上で初めて値上げの当否について検討したいと思いますので、それまであなたの方では値上げについての通産省に対する要請はやはり差し控えていただきたいというふうに思いますが、その点についての御意見を承りたい。  それから、時間の関係で続いて申し上げますけれども、資金調達の問題で、自己資金調達、特に内部留保が非常に減ってきた。確かに四社の値上げ申請の中身を見ましても、収支が極度に悪化したということが出ております。これは、申し上げたように、五十年度の下期についてはまだ私たち承知しませんが、その以前のものを見てみますと、四十九年の値上げから内部留保はずっとふえているわけです。伸び率を言いましても、四十九年の三月期に比べて五十年九月末の決算は、北海道は一〇・〇七、東北が一四・六九、北陸のごときは二一・九〇、九州は四・五七で、九州を除いていずれも二けた台、特に北陸は二一%内部留保を伸ばしておる。九社を平均いたしましても八・三九%、内部留保がずっと伸びているわけです。これは収支がだんだん悪化したという評価とは全然実態が違うと思うのですけれども、こういう実態についてどういうふうにお考えになるのか、加藤参考人にお伺いいたします。
  171. 加藤乙三郎

    加藤参考人 お答え申します。  四社とも、施行期日を先月の十五日にはお願いしたいというようなことで申請をされたように承知いたしております。したがいまして、四社とも一日も早い御認可を渇望していると思います。  それから、社内留保の点でございますが、これも私の承知している限りでは、それがふえましたのは法で定められている退職給与引当金でございます。  それからもう一つ、償却の点でございますが、オイルショック前は大体定率に近い償却ができました。ところが、その後は全部がようやく定額の償却しかできておりません。これは表面に出ない社内留保の減少だ、かように存じます。
  172. 野間友一

    ○野間委員 退職給与引当金、これは法的に許される限度額まで目いっぱい積んでおられると思うのです。つまり、いま直ちに電力会社従業員の半数がやめても、それの払いに充当できるものを積み立てておるというふうに私たちは考えるわけです。ですから、収支が悪化したと言われながら、目いっぱい積み立てるだけでなくて、先ほど申し上げたように、かなり内部留保はふえて積み増しされておる。このことが申請の中身と違うのではないかというふうにお伺いしておるわけです。  ついでに、次の問題についてお聞きするわけですが、販売電力の伸びについて、先ほど加藤参考人は、五十年代は六%前後の伸びだというふうに判断をしておるのだというお話でございましたけれども、私たちが若干承知した数字で、たとえば四十九年の三月末に対して五十年三月の伸びが平均して一一・一%、こういうふうに聞いておりますけれども、この数字はどうなのかということ、それから、十年間で一億キロワットに伸ばしていく、こうおっしゃいますが、この内訳は、産業用と民生用と分けますとどういうようなことになるのか、これを教えていただきたいと思います。
  173. 加藤乙三郎

    加藤参考人 お答え申します。  私どもは、退職給与引当金は従業員からの債務と心得まして、これは何が何でも積み立てるように心がけてまいりたい、かように存じます。  それから、このごろでの需要の伸びでございますが、五十年度を通じまして、私は大体四%台かと存ずるのでございます。最近二カ月、三カ月は大体八%、九%、あるいは一〇%伸びた会社もございますが、ただ、これをもって直ちにこれからの伸びを大きくとるということは、あるいは先ほどから御指摘がありました余剰設備になりはしないかと心配をいたす次第でございます。大体あらゆる面からそれぞれの機関で御検討いただいた数字の六%台というのが、一応ただいま考えられる最大公約数の数字ではないか、かように考えます。
  174. 野間友一

    ○野間委員 ちょっと一問抜けていますが、十年間の一億キロワットの産業用と民生用の割合はどのくらいになるのか。
  175. 加藤乙三郎

    加藤参考人 お答えします。  大体いまのアワーの比率からまいりますと、二割二、三分が電灯、家庭用でございます。それに業務用を入れますと、三割前後になると思います。しかし、いわゆる負荷からまいりますと、これから先だんだん負荷率が下がってまいります。と申しますのは、大口産業も労務管理の面からだんだん夜間の操業率が下がり、それから民生用、家庭用電灯につきましては、夏場ルームクーラーの普及が相当伸びております。したがいまして、設備に対する負荷率は、アワーの伸び以上に設備を拡大しておかなければ供給に差し支えがございます。  もう一つは、このごろ、スモッグ警報が出ますと火力の二割ないし三割を落とさなければならない、それぞれの地域の協定がございます。したがって、これを考えます場合には、いまの環境が続くとすれば、まださらに発電設備をふやしておかなければ供給に支障を来すのではないかと、私はかえって心配するものでございます。
  176. 野間友一

    ○野間委員 大体わかりましたけれども、要するに、一億キロワット伸ばされるうちの約七千万キロが産業用だということ。それから、いま負荷率の問題がございました。これも調べてみますと、西欧諸国に比較しまして、日本の場合には負荷率が年々若干低下しておるわけですね。これは設備投資の過剰ということではなかろうか。  これは同じ先進資本主義国の中でも日本の場合には低下しておる。私たちの計算によりますと、五十年の上期には平均して四九・二%、これは水力が四八・九、火力が四八・九、同じです。原子力が五八・四。これはいま申し上げた数字を見てみますと、六六%台からずっと落ち込んで、一九七三年には五九・九、これはそちらの方で出しておられる資料の中にありますけれども、この負荷率の急速な低下、これが、産業を中心とするこれからの設備をずっとやられるわけですけれども、この中でさらに低下して、要するにこれが国民が電力を利用する場合のコスト高につながってくるのではないか。  そういう意味では、昭和四十年代の高度経済成長、これは比較的安定しておりましたけれども、これに比べますと四十年代の後半、つまり終盤から非常に不安定な状態が続いておる。こういうことを考えますと、おっしゃるような設備投資をどんどんやっていく中で、これが負荷率の低下を招いて、それがコスト高になるというふうに私は思えるわけですけれども、その点についていかがでしょう。
  177. 加藤乙三郎

    加藤参考人 お答えする前に、訂正のおわびを申し上げます。  先ほど、四社から出しました料金改定実施期日を先月と申しましたが、今月の十五日を希望いたしておるのでございまして、この点、おわびを申し上げます。  それから、負荷率の点でございますが、これはもう先進国になるに従いまして私は負荷率が下がってくると思います。負荷率が下がることは、逆に言うと民生度、生活の向上にも私はつながっておるのではないかと思うのでございます。
  178. 野間友一

    ○野間委員 時間がありませんので、ガス関係についても少しお伺いしたいと思いますけれども、先ほどもお話を聞きましたわけですが、五十年代に設備資金がかなり要る。いわゆる天然ガスへの転換、これがやはり大きな原因であるということです。これも同じように無公害とかいろいろな事情がありまして、産業用の需要がこれから大幅に伸びるというふうに思うわけです。これらの点については間違いがないかどうか、まず確認したいと思います。
  179. 安西浩

    ○安西参考人 お答えいたします。  先生のおっしゃるとおりでございます。
  180. 野間友一

    ○野間委員 読売新聞の五月十一日付にもかなり大きな広告を載せられております。これは東京瓦斯ですね。天然ガスの時代が来たというのが出ておりますけれども、産業用のニーズにこたえて天然ガスにずっと転換される、ここに設備投資をどんどんつぎ込まなければならぬ。ところが、一方、家庭用のガスについては、カロリーがアップされますから使用量は半分で済むというような広告も出ておりますけれども、私が懸念するのは、天然ガス転換される際、しかも産業用のニーズということで膨大な設備投資をされる、それがひいては消費者のガス料金にはね返ってくるのではなかろうか、こういう懸念があるわけですね。この点についていかがです。
  181. 安西浩

    ○安西参考人 お答えいたします。  工業用がふえると先生のおっしゃるとおりと申しましたが、現実には家庭用が六五%でございまして、業務用が二五%、工業用は一〇%でございます。したがいまして、産業用がふえるというのは、従来ほとんど産業用に使われなかったものが、一〇%ぐらいそちらがふえるということでございます。
  182. 野間友一

    ○野間委員 時間がありませんので、最後に、これは電事連と両方にお伺いしたいと思いますけれども、要するに本法案が、一般会社電気の場合には四倍になるわけですね。ガスの場合二倍、こうなりますと、従来からの、料金制度は認可制度をとっておりますけれども、さらに私は公共性の度合いが強くなってくると思うのです。それとの関係で、料金の問題もさることながら、政治資金について、電事連あるいは瓦斯協会はこれらについては今後どういうようにされるのか、どういう方針を持っておられるのか、この点についてお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  183. 加藤乙三郎

    加藤参考人 政治資金問題につきましては、連合会では打ち合わせをしたことは一度もございません。したがって、今後どうするかというのは、各会社の自主的判断に待つものかと存じます。
  184. 安西浩

    ○安西参考人 お答えいたします。  ガス事業界におきましては、昭和四十九年までは政治資金を出しておりましたが、昭和四十九年の九月から一切出しておりません。今後も出さないつもりでおります。
  185. 野間友一

    ○野間委員 終わります。
  186. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 宮田早苗君。
  187. 宮田早苗

    ○宮田委員 私どもは、将来の電力需給を予測して、現実面で発電所等の立地状況を見ましたとき、設備投資の必要性を痛感しておりますので、それを前提にして、まず向坂先生にお聞きをいたしますことは、電気事業審議会での審議の経過の説明があったわけでございますが、その中で増資についてはどのようなお話し合いがされたか、ございましたら御説明願います。
  188. 向坂正男

    ○向坂参考人 増資がどの程度できるかということは、二つの面から検討いたしました。  一つは、資本市場の今後の成長、その中で電力増資がどれだけできるかという面の検討でございます。これは大体年一割程度あるいは一割二分ぐらいに将来なるかもしれないけれども、その程度増資は資本市場の今後の成長から言って可能ではないかというのが一つのあれでございます。  それからもう一つの点は、資本構成、資本の健全性の意味から言って増資をある程度確保したい、それで一〇%で十分であるかどうかは別ですけれども、一〇%あるいはそれを若干上回る程度増資をしていくということが望ましいというのが懇談会での結論でございます。
  189. 宮田早苗

    ○宮田委員 お話を伺っておりますと、必要性はよくわかりますが、特に電力ガス会社資金調達につきまして社債に依存し過ぎるじゃないか、こういう気がするわけでございます。  そこで、加藤、安西参考人にお問いいたしますが、会社といたしましては自己資本の充実が必要と思われるわけですが、社債発行限度の拡大はこれに逆行をするものではないか、こう考えるわけです。そこで、自己資本充実のための増資がよいと私は思っておるわけですが、その見通しがございましたらひとつお答え願いたいと思います。
  190. 加藤乙三郎

    加藤参考人 実は電気事業は、過去この二十五年を振り返ってみますと、他の産業に比較しますと格段に多いのではないかと思います。大体二十五年前の三百倍近くなっているのじゃないかと思います。したがって、私どもは、企業である以上自己資本の充実が大変結構であると思います。しかし、先ほど来申し上げておりますように、余りに設備資金が多いということにおきまして、戦前大体四割六割の割合にもなったことがございます。しかし、その後企業経営の悪化に伴いまして、自己資本の率が少なく相なったのでございます。  私どもは、これからも大体二割ないし三割を二年ないし二年半ぐらいの間隔を置いて増資をいたしたい。できるだけ自己資本の充実には努めます。しかし、一方において設備資金の拡大はしなければならない。先ほども何だか、設備投資をして、いわゆる供給設備の能力をつくって販売に回しはしないかのようなお話もよそでは聞きましたが、電気事業は終始供給に追われてまいっておるのでございまして、ただの一度も供給設備の過剰と言われたことはございません。先ほども申し上げておるとおり、われわれは供給力の不足を来しはしないかということを日夜憂慮いたしておるものでございます。したがって、供給確保のための設備資金は何が何でも確保しなければならない、その確保をするために最大限の自己資本の充実を図り、その不足分を社債ないし長期借入金あるいは財政資金に仰ぎたい、こういう念願でございます。
  191. 安西浩

    ○安西参考人 お答えいたします。  自己資金でやれということはまことにごもっともでございます。ただいまガス事業におきましては一年置きに三割ぐらいの増資をいたしておりますが、これは少しやり過ぎではないか、三年に一回ぐらいが適当ではないかと思っております。そういう状況でございます。もちろん自己資金というものに重点を置くという先生のお考えには全く同感でございます。
  192. 宮田早苗

    ○宮田委員 やはり企業維持の立場からその点の努力をしていただかなければなりませんが、自己資本比率の低下の限度はどの程度をお考えになっておるかということが一つと、もう一つは、いま審議をしておりますこの法案は、十年間の時限立法となっておりますが、十年後には電気事業及びガス事業は健全な経営になるという具体的な見通しがあってそれを考えておいでになるかどうか、この二つを両参考人にお聞きいたします。
  193. 加藤乙三郎

    加藤参考人 お答えを申します。  私は、その間には事情の変化も相当あると思います。商法の改正問題もあるいは出ているかと思いますが、それはそれといたしまして、手前どもは、ただいまの自己資本と社外資本との比率を悪くしないように心がけたい、それから法律の十年の間には何とか目鼻のつくようにいたしたい、かように存じます。
  194. 安西浩

    ○安西参考人 時間の関係がございますので、東京瓦斯を例にとって申しますが、自己資金比率は現在二五%でございます。かつては四〇%あったわけでございます。  なお、十年たったら安定するかというお尋ねでございますが、ガス事業におきましては今後五カ年間がピークでございまして、たとえば東京瓦斯を一例にとりますと、五十一年度九百八十五億円、五十二年度千百七十七億円、五十三年度千二百八十二億円、五十四年度千三百七十九億円、五十五年度が千四百五十四億円で、六千二百七十七億円の設備投資をする予定でございますが、これだけやりますと安定するつもりでございます。
  195. 宮田早苗

    ○宮田委員 次にお尋ねしますのは、社債権者の保護は、現行発行限度の二倍にすることによって、担保等の面で支障がないかどうか、この点をお聞きいたします。
  196. 加藤乙三郎

    加藤参考人 お答え申します。  電気事業法におきましては一般担保法がございまして、それによって保護せられ、それから、社債によりまして調達いたしましたのは、全部設備資金に回す所存でございます。したがって、その点の心配は相かけないように努力いたすつもりでございます。
  197. 安西浩

    ○安西参考人 お答えいたします。  いま不安はないかというお尋ねでございますが、この社債発行するのは東京、大阪、名古屋、西部でございまして、担保力十分でございまして、不安はございません。
  198. 宮田早苗

    ○宮田委員 現在の社債の引き取りは個人が六五%とおっしゃっておりましたが、今後もその程度考えてよろしいですか。
  199. 加藤乙三郎

    加藤参考人 お答え申します。  いまより以上に個人消化に相努めるつもりでございます。
  200. 宮田早苗

    ○宮田委員 時間もございません。最後にお聞きいたしますのは、向坂先生にお伺いをいたします。  わが国の経済成長と電力供給力の問題でございますが、電力の労働組合等の予測をするところでは、現在のような電源開発のスピードでは、五−七%の安定経済成長を電力供給面から支えられるのはせいぜい五十五年ごろまでと見ておるわけでございますが、先生はどのような予測をお持ちか、また、壁にぶつかっている原子力発電所の建設促進等で、政府に対する提言をひとつお伺いを申し上げたいということであります。
  201. 向坂正男

    ○向坂参考人 こういう経済の変動が大きい時期でございますし、エネルギー価格が年々上がるような状況ですから、将来のエネルギー需要を予測するのは大変むずかしい仕事でございます。しかし、経済成長率が五−七%程度であれば、経済成長率とエネルギー需要全体あるいは電力は、大体成長率に対して同じような比率で伸びる可能性が大きいと思います。電力が先ほど来のお話のように、今後十年間、平均六%程度需要増加があるといたしますと、負荷率が落ちますから、電力設備はそれ以上に増強しなければなりません。しかし、もし現在のように原子力、火力などがなかなか住民の合意が進まないようであれば、電力の予備率がだんだん下がって、五十五年かどうかはわかりませんけれども、五十年代の後半には、再び四十八年度あるいはそれ以上の不足の状態が起こる可能性があるというふうに私は考えております。
  202. 宮田早苗

    ○宮田委員 終わります。
  203. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 松尾信人君。
  204. 松尾信人

    ○松尾委員 今後の十年間の電源開発計画等を承ったわけでありますけれども、これで四十七兆円だとか四十八兆円の資金が要る。それで、自己資金も一生懸命やるけれども、だんだん賄い切れない。社債借入金がふえていくわけでありますけれども、この十年間の計画を見ますと、自己資金比率というものが非常に低下しますね。そうすると、結局外部の借金がふえてくる。借金がふえるということは、経営というものが悪化するのじゃないか、このことを心配するわけでございます。  現在、社債発行していらっしゃいますけれども、この社債もやはり借りかえの分も相当ある。ということは、十分に償還していくだけの力がないということも言えるかもしれません。そうしますと、どうも資金繰りから見ると、外部の借金がふえてくる、これは利息をつけて払わないといけないですね。そして他方、大きな電源開発の要請があるというので、本当はあなたたちの方が板ばさみじゃないかという感じが私はするわけです。私は質問したのでありますけれども、政府が何でもかんでもやれやれ、こう言うので、しりをひっぱたかれて進んでいるというようなかっこうもありそうな気がしまして、老婆心かもしれませんけれども、私は心配しておるわけです。  現在、社債の借りかえもしていらっしゃる。これは四十七兆円も八兆円も出していくうちに、うんと外部の借金がたまって、そしていまやや国民が信頼しておるあなたたちの経営の状況が、思わないところから、一つの国策として、電源の安定供給のために一生懸命にやればやるほど悪化していくのじゃないかという感じがするのでありますけれども、いかがですか。
  205. 加藤乙三郎

    加藤参考人 お答え申します。  私どもの電気事業経営に当たります基本理念といたしましては、国民の公僕になれというつもりでやっておりまして、決して政府のお話だけで運営をいたす所存ではございません。もちろん政府の御協力、御指導はなければなりませんが、ただ政府のお話によってのみということではございません。  それから、資金の点でございますが、いずれにいたしましても、先生御案内のとおり、外部資金に頼ろうが内部資金に頼ろうが、内部資金なればそれは配当として株主さんに還元し、外部資金なれば債権者に対して利息として払うわけでございまして、会社経営する上につきましては、企業の健全性からいけば相当のいわゆる自己資金経営するのが結構でございます。しかし、先ほど来申し上げますとおり、電気事業というのは設備産業でございます。投資産業でございます。したがって、設備資金が膨大でございますから、これの調達をするための資本コストと見合いながら運営をいたしまして、株主さんの信頼、債権者の信頼、お客様の信頼を得たいというつもりで今後とも運営に当たりたいと思いますから、この上とも御指導をお願いいたします。
  206. 松尾信人

    ○松尾委員 決心はわかったわけでありますけれども、果たしていまのお答えのとおりに今後の会社の運営ができるのかということなんですね。国鉄の赤字もこれだけふえてまいりまして、いま国鉄ががたがたやっておりますのは、設備投資に膨大な金が要って、運賃収入では黒字でありながら、そういうものの償還だとか元利金の支払いだとか、それもできないで凍結してみたり、いろいろな問題で苦労しまして、がたがたやっておるのが現状ではありませんか。いま電力業界なんかはいいですけれども、そのような轍を踏まないように、余り資金が要るものだから、あなたたちが一生懸命になって内部、外部で自分で資金調達していこうとしておるから、無理がきてがたがくるようなかっこうになりはせぬかということを私は言っておるわけです。そういうことは絶対にないとあなたがおっしゃるなら私は非常に喜ぶわけでありますけれども、その覚悟のほどはいかがですか。
  207. 加藤乙三郎

    加藤参考人 私どもの決意を申し上げまして、いまも申し上げましたとおり、この上ともの御指導を得まして、電気事業としての使命の完遂に努力いたしたいと存じます。
  208. 松尾信人

    ○松尾委員 決意はよくわかったわけであります。ですから、その決意が決意どおりいくかいかぬかというのは、会社が内外ともに信頼を受けて、そしてりっぱな運営をしていく。電力料金もしばしば上げない。この前六十何%申請した、今回も三十何%申請しておられますが、国鉄運賃が今回また五十何%、来年また五十%上がるわけです。それと同じように、電力料金も次から次と上げていかなくてはいけないようになっていくのではなかろうか。そうすると、過度と言っていいかどうかわかりませんけれども、大きな資金需要がいまあるものだから、それを調達しようと思って御苦労なさっておる。また、その決意もわかりますけれども、それがそのまま実現したとすれば、別の角度から、経営上または消費者の電力料金の上から新たな問題が起こってくるのじゃないかということをお尋ねしておるわけなんです。決意はわかりましたけれども、そういう点についてはどうか、こういうことであります。
  209. 加藤乙三郎

    加藤参考人 お答え申します。  先ほど来申し上げますように、設備資金というものが膨大でございますから、これをいかにして少しでも安く価値あるものにいたすかという意味におきまして、われわれあらゆる創意工夫をこらしまして安く上げるように努力をし、その間、再々申し上げますように、あらゆる面から御指導をいただきまして万全を期したい、かように存じます。
  210. 松尾信人

    ○松尾委員 御指導という中が、非常に意味深長なるお話であります。  いまの問題はこれでとめまして、向坂参考人にお尋ねをいたします。  先ほど広域運営の問題が出ました。これは要するにコストの効率を高めるという問題ですね。それと同時に、原子力発電等につきましては九社がばらばらで開発していくのではなくて、九社が力を合わせて広域的にやる、資金も効率的に使う、人材も効率的に使っていくというような面において、現状では不満ではなかろうか。これは広域運営ということから、原子力発電の問題につきましては角度を変えて、それを専門にやっていくような何かのものがありまして、全部の力を総合結集して、資金もして、そして政府の方では安全性の問題、核燃料のサイクルの問題、そういう問題をしっかり解決して、まず国民のコンセンサスを得るような方向を確立しながら、電力業界としては原子力発電の方へ力を入れていく。その入れ方も、いまのような広域運営に必要な体制を整えることが必要ではなかろうか、こう思いますけれども、御意見はいかがですか。
  211. 向坂正男

    ○向坂参考人 現在の状況では、新しい広域運営に対する電力業界の取り組み方がまだ不足だと私も思います。その点は電力会社の中で、共同立地なりあるいは輪番に投資しながら、電力融通を広域的に進めていくという努力をもっとすべきであろうと思います。  ただ、それを一つ電力会社、開発会社に集中した方がいいかどうかということは、将来、あるいは遠い将来問題になるかもしれませんけれども、現在の段階では、なおそういった広域的な開発を電力業界の協力のもとに進めていく、それによってできるだけ資本効率を上げていくという努力が重要ではないかというように考える次第でございます。
  212. 松尾信人

    ○松尾委員 せっかく安西参考人がお見えになったのでありますけれども、特に私はきょう質問はいたしません。と申しますのは、電力業界の代表の方に御質問いたしました。それはあわせてガスの皆様に対する質問であります。広域の問題はいまのところそうはありませんけれども、そういうことを含めまして聞いたわけであります。特別にきょうは聞きませんけれども、これで私の質問を終わります。
  213. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。     —————————————
  214. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 引き続き、政府に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐野進君。
  215. 佐野進

    ○佐野(進)委員 重要法案審議でありますので、委員長はもちろんだけれども、与党理事関係も、委員が集まるようにひとつ十分努力してもらいたいと思う。  そこで、私はいま参考人からいろいろ御意見を聞き、あるいはいままで審議が続けられる経過を踏まえながら、大臣並びに長官に質問をしてみたいと思うわけです。  大臣がこの特例法案を提案するに際して、あちらこちらでいろいろな見解を表明されておるようでありますが、一つには、景気浮揚対策との関連の中でこの法案を出された、こういうような見解を表明されておるようでございますけれども、この法案と景気浮揚との関連がどのような形の中で位置づけられておるのか、大臣の見解をまずお伺いしておきます。     〔委員長退席、武藤(嘉)委員長代理着席
  216. 河本敏夫

    河本国務大臣 この法律案の御審議をお願いいたします背景でございますが、昨年の春から年末まで約一カ年にわたりまして、政府の方では総合エネルギー対策閣僚会議というものをつくりまして、日本の将来にわたるエネルギー政策をずっと議論してまいりました。その結果、現在約九千万キロの発電能力を昭和五十五年までにおよそ四千五百万キロ増加する、同じく昭和五十六年から六十年までの間に五千五百万キロ増加いたしまして、合計約一億キロを増加する必要がある、そうしないことには六%台の経済成長というものは不可能である、こういう結論に達したわけでございます。  そこで、その基本方針を受けまして、電力関係をいろいろ作業をいたしましたところ、前半におよそ十六兆円、後半におよそ三十二兆円、こういう資金が必要だ、しかも昭和四十九年、五十年は不況の影響を受けまして電力設備投資がやや少なくなっておりましたので、昭和五十一年度は全体の計画を展望いたしまして、御案内のような設備投資計画を決めたわけでございます。したがいまして、昭和五十年度に比べますと、工事ベースで約五千億以上の増加にはなっておりますけれども、これは景気対策ということで決めたのじゃございませんで、昨年の一連の作業を受けましてことしの工事ベースというものを決めた、こういうことでございます。  なお、そのほかに繰り上げ投資とかあるいは仮発注というものが若干ございますけれども、これはほとんど資金を必要としない、こういうことで、もちろん景気には繰り上げ発注をするということだけでも気分的に明るい影響を与えますし、仮発注をするということだけでも工事をしなくても明るい気分を与えますので、そういう面では大いに効果はあると思いますけれども、いずれにいたしましても、景気浮揚ということのために計画を変更したとか、そういうことではございませんで、結果的にはあるいはそういう影響が出てきたかとも思いますが、昨年来の一連の作業の結果を受けまして現在の投資計画になっておる、こういうことでございます。
  217. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私は、景気対策が今日いろいろな紆余曲折を経ながら一応上昇の過程の中にある、こういうことについてはそれを認めるにやぶさかではないのでありますが、しかしその結果、輸出に対して輸入の問題、あるいは景気の上昇と物価の上昇との関連等々、幾つかの危険信号が出されておることも事実だと思うのであります。  したがって、そういう経過の中で、景気対策の一環としてこの電力設備投資を促進する。先ほど来参考人の見解では、需要に対応することのできる設備として発電設備をつくるのである、こういうような見解の表明でありましたが、それを特に時間的に急がせる、促進する、いわゆる景気浮揚対策の一環としてそれを取り上げるという形の中で、通産大臣みずからが電力業界の首脳と会談をして、その首脳と会談をする中でそれを慫慂し、その結果、それを電力業界が受けた形の中でこれに対応し、それが法案として出されてきている、こういう一連の動きがあるように聞いておるわけでありますけれども、そういたしますと、もしこのことが景気浮揚対策という形の中のみに位置づけられて、他に関連する幾多の欠陥を見過ごした形の中でこの法案成立し実施されるということになると、その結果として不測の損害を国民に与える、その条件を通産大臣がおつくりになった、こういう批判を受けざるを得ないという形にもなろうかと思うのであります。  批判的見解を持つ一部の人たちの見解と言えばそれだけでございますが、そういう意味において、この法案提出する真意について、いま一度景気対策という観点から、大臣が要請されたという点を含めて、大臣の基本的な考え方を明らかにしていただきたいと思うわけです。
  218. 河本敏夫

    河本国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたように、五十年代前半の電力計画というものは十六兆円でございますから、年間に直しますと平均三兆二千億、こういうことになります。しかも四十九年、五十年は非常に少なかった、しかも景気は急速に立ち直ろうとしておる、こういう状態でございますので、昭和四十八年までに起こりました電力不足、こういうことが起こりましてはこれは大ごとになりますので、そこで差し支えない限度においてできるだけ繰り上げてもらいたい、こういうことを依頼したわけであります。  その結果、先ほど申し上げましたように、五十二年度の分を一部繰り上げ発注するとか、あるいは仮発注するとか、そういう形で若干積極的にいま電力業界は取り組んでくれておるわけでありますが、しかし、そのことによって工事ベースが著しくふえるということではございませんで、工事ベースそのものは二兆三千億である、こういうことでございます。  ただ、繰り返して恐縮でありますが、そういう政府の姿勢によりまして産業界全体に明るい影響というものは私は出てきたと思います。結果的にはこれは景気浮揚にいい影響を与えておる、こう思います。
  219. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そこで、通産大臣は終始一貫、景気浮揚対策に対して積極的な姿勢を示してきている、沈滞した経済情勢に対して一定の明るさを増す役割りを果たしてきている、これは通産大臣就任以来一貫した方針でありますし、私どももその方針が総需要抑制策の中で不況に苦しむ日本経済に対して一定の役割りを果たしたことは認めるにやぶさかではないのであります。認めるにやぶさかではないのでありまするが、そのことに便乗した形の中で行き過ぎが起きているということになると、これはまた評価は全然逆になっていくと思うのです。  たとえばいまあなたが言われているように、一定の明るさをつくり出す役割りを、この設備投資意欲の状況の中で見出すことができたという、そういう条件があった反面、それに便乗し、現在の経営状況は苦しいからという判断、私はあえて便乗と言いたいと思うのですが、その判断の中で安易なる電力料金値上げに対する申請を行っている。もちろんどこの企業といえども、現在置かれている経済の状況の中であらゆる産業界に共通した落ち込みの状態であろうと思う。電力業界一つだけではないと思う。しかし、公益事業であるからと言い、申請し、認可を受ければその料金を決定することができるからと言い、苦しいという状況をそのままストレートに、認可権を持つ通産省の方に申請提出する、しかもそのことがこの特例法案を提案するという経過の中で示された大臣の姿勢にもし甘えがあってそのようなことをしたとするならば、大臣としての責任はきわめて重大であると私は思うわけであります。  いままだ出していない電力会社も、先ほどの参考人のお話をお聞きすれば、当然内容がきわめて苦しいわけでありますが、出してくる、そういうようなことを考えられ、国民の立場からするならば、この社債発行され、四倍になっても、一般にこれを消化してもらうということであるならば、直接被害はないようであるけれども、これに関連し、設備投資その他の間接的な費用を生み出す意味においても、料金値上げがそこに結びついて行われているのだと、そういうような印象を受けたとするならば、これはその責任はきわめて大きいと思うのです。私どももいまこの法案審議しながら、電力会社料金値上げ申請を続々と出しているということに対して戸惑いを感じる。むしろいら立ちというか、腹立たしいというか、そういうような感じを持ちながらこの法案審議をしておるわけであります。そういう意味におきまして、電力料金値上げの問題とこの法律案の関連、それに対処する通産大大臣の基本的な考え方をひとつこの際明らかにしておいていただきたいと思います。
  220. 河本敏夫

    河本国務大臣 やはり電力というものは産業にとって非常に大きな影響を及ぼしますので、この値上げにもちろん慎重でなければならぬと思います。同時に、国民生活にも大変な影響力を持っておりますので、そういう意味からもまた非常に慎重に取り扱わなければならぬと思います。でありますから、安易な値上げは絶対に認めるべきではない、当然のことだと思うのです。  そこで、いま四社から出ました料金申請につきましていろいろ査定をいたしておりますが、査定をいたします場合に、十九条にもいろいろ書いてありますけれども、まず私どもが第一に考えておりますことは、能率的な経営、これは一つの大きな条件になっておるわけですね。能率的な経営をしておるかどうかということを絶対の条件として一つ見ておるわけでございます。     〔武藤(嘉)委員長代理退席、安田委員長代理着席〕 その上に立って、適正なコスト、適正な利潤、こういうことを考えておる。そういう観点に立ちまして、いま事務当局におきまして非常に厳正な査定をいたしておるわけでございます。決して安易な気持ちでこの問題には取り組んでおらぬということを御理解をしていただきたいと思います。
  221. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私が申し上げておることは、決して安易に取り組んでいるということを申し上げておるのじゃなくて、安易な気持ちで申請を出してこられ、そうしてそれが当然受け入れられるであろう、そういう気持ちを、設備投資をしてくれという要請に基づいて特例法案提出され、審議してくれと言われるその裏づけとしてもし業界がお持ちになったとすると、大臣、きわめて大変なことじゃないですか、こういうことを申し上げたわけです。したがって、そういうことでないと言うならば、そういうようなことではなく、特例法料金値上げとは全く別の問題である。ところが、どうしてもそれが関連づけて考えられる。  いわゆるオイルショックがあった、油の値段が四倍になった、諸物価が高騰した、したがって物品購入費が高くなった、人件費が高くなった、したがって、その人件費が高くなったことで、設備をするために金がかかるのだ、それは同時に、経常的ないわゆる一般支出に対しても当てはまることです。一般的支出については料金値上げでこれに対応する、そして恒常的な支出、いわゆる設備投資に対しては、この特例法社債発行することによってそれを埋める、そういうことになると、別だと言いながら一体化している形の中に受けとめられる。そうすると、設備投資をしてくださいよ、こう言ったら、ああしましょう、だがしかし、料金値上げもしてくださいよ、ああそれはしましょう、こういうように受けとめられるのじゃないですか。したがって、もしそういうように受けとめられて今度のように出されたとするなら、この責任はきわめて大きのじゃないですか。  通産大臣としては、断じてそんなことはないのだ、これは切り離しているのだ、そういうことと形は全く違ったことの条件の中でこれをやっているのならやっているのだという、そういう答弁を私は聞きたい。厳重に監査しているとかどうとかいうことは、それは当然だと思うのです。それは法律のたてまえ上、何も来たから、はいそうですか、むしろ出しなさいよと言うことじゃなくて、いわゆる通産行政がもし公益事業に対する指導行政としてあるならば、要請をするという形の中で負の条件を負い込んでこられたことはないのか、そういうことをお聞きしておるわけです。この法律提出され、審議され、成立する経過の中において、将来ともそういうことについての懸念は全くないのかあるのか、そのことを明らかにしていただきたいと思います。
  222. 河本敏夫

    河本国務大臣 そういう懸念は絶対ございません。
  223. 佐野進

    ○佐野(進)委員 懸念がないと言うことを、違うでしょうと言ってみたってしようがないのですが、そういうことのないようにひとつ厳に対処していただきたいと思います。  そこで、私は、そういうような懸念がなく、十年先を見越し、あるいは十五年先を見越し、あるいは来年の状態を見越しながら、現在の設備投資をする上に社債枠の拡大が絶対必要である、こういうような見解に立たれてこの法律案を出されたと思うのでありますが、その際、この法律案を出す場合に電気事業審議会に諮問をされたと思うのでありますけれども、電気事業審議会に諮問をされる際、電気事業法三十九条の社債枠発行の方法と、商法二百九十七条に基づくところの資金確保と、その二つの条件が当然考えられるわけであります。その二つの条件をどのように判断せられ、あえて商法二百九十七条の適用をお考えにならず、電気事業法三十九条を適用しようとし、この法律を提案しようとされたか、その見解に至った経過と、そのために電気事業審議会に諮問をされたということについてのお考えの根本的な問題、これは政治的でいいですから、長官でなく、大臣に政治的な立場からその見解について明らかにしていただきたいと思います。
  224. 河本敏夫

    河本国務大臣 電気事業コストをできるだけ安くするということのためには、増資をしますと、やはり一割前後の配当はどうしてもしなければいかぬわけですね。そうすると、それに対していろいろな付帯の経費もかかりまして、一割の場合は約一割八分ぐらいなコストにつくようであります。一割二分ということになりますと、二割二、三分ということになりますので、大変なコストになります。そういうことで、やはり社債発行して資金調達するということが電気事業コストを下げる非常に大きな要素だと私は思うのです。中には借入金でやったらどうかというふうなことを言われる人もありますが、やはり安定した外部資金ということになりますと、社債の方がはるかに安定した資金でございまして、資本金に準ずるとさえ言われておるわけでございますから、安定した外部の資金調達する、しかもコストを安くしていく、こういう意味におきまして、今回四倍という枠に拡大をしていただくというお願いをしたわけでございます。
  225. 増田実

    増田政府委員 今回お願いしております社債限度枠の拡大でございますが、これは、従来から電気事業法に基づきまして商法の一般原則の特例を電力についてだけは認められておったわけでございます。ただ、最近の情勢に照らしますと、今後の十年間の電力の必要な設備建設いたします費用というものは相当膨大でございます。これに対しまして、資金調達の面で各種の調達の源泉、たとえば増資をやるとか、あるいは自己資金の充足をやる、あるいは借り入れをやる、債券を発行する、あるいは財政資金を受ける、各種の資金調達の源泉から判断いたしまして、やはりこの際、社債の枠を拡大することによりまして必要資金確保することが必要であるということで、今般社債枠の拡大の御審議をお願いしているわけでございます。  また、ガス事業につきましては、これは従来商法の一般原則であったわけでございますが、これにつきましても、電力と同じように、やはり設備の増強というものが必要になってきておりますために、今回特例として二倍に上げていただくということをお願いしている次第でございます。
  226. 佐野進

    ○佐野(進)委員 大臣、いま長官から答弁があって明らかになっておるわけですが、いわゆる商法の二百九十七条による社債発行限度ですね、これの一般的取り扱いに対する特例として、いままでは電気事業に対して存在したのを、今回ガス事業に拡大し、電気の場合は四倍にする。設備投資という形になってくると、公益性を持つ事業電気ガスだけでなくいろいろある。しかし、電気事業ガス事業というのは、通産大臣の所管の中においては最も大きな公共性を持つ事業であります。  しかし、電気事業ガス事業だけを公益性を持つ事業だからといってこういうような特別の優遇をするという形になってくるといたしますると、一般企業、商法二百九十七条によるところの企業との格差がますます広がる中において、経済界におけるところの一種のトラブルといいましょうか、そういうものが発生する懸念というものが当然予想されるわけでありますが、これらの点については、発生いたしてきましたか、あるいは発生する懸念というのは将来ともありませんか。この点は老婆心ながら聞くわけでありますけれども、大臣の見解をお聞きしておきます。
  227. 河本敏夫

    河本国務大臣 ことしの事業債の発行予定枠は、大体一兆九千億ぐらいになるというふうに承知しておりますが、その中で電力債が約一兆を占めるということになりますと、これは発行方法、発行時期等をよほどよく考えまして、他の事業債との間に摩擦を起こさないようにやはり配慮していく必要があろうかと思います。
  228. 佐野進

    ○佐野(進)委員 こういう基本的な問題を質問し続けていきますると、らちが明かないほど長くなるわけでありまするから、原則的な面での質問として一応終わりたいと思います。しかし、私がいま質問を続けてまいりましたその基本的な考え方については、御理解がいただけただろうと思うのです。  そこで、私は、そういう考え方に基づいて、この法案審議するその中で、幾つかの問題点があるわけです。それらについてはすでに明らかにされてまいりました点等もございますので、できる限り重複を避けて質問をしてみたいと思うわけでありまするが、われわれがこの法律審議しながら、果たして賛成すべきか反対すべきか、いや反対しなければならないのではないか、反対することの方がいいのではないかという考えにどうしても陥りやすい数点について、質問をしてみたいと思います。  第一点は、いままで質問してまいりました引き続きでありまするが、社債発行限度額を特例法として出した、こういう点が、先ほど質問申し上げました電力ガス以外の各産業界における抵抗、いま言いました一兆数千億円のいわゆる社債発行限度額の内部におけるところの取り合い等々の問題もございまするけれども、そういうような抵抗のために特例法としたのではないか。本来、特例法として存在する意味がないのではないか。  いわゆる電力事業ガス事業とも、公益事業として、国民生活の将来長期にわたるこのそれぞれの事業から受ける利益、供与されるものを受ける利益というものを考えていった場合、十年間にいまの倍の施設をつくらなければ国民需要に対応できないと言われておるわけです。そうすると、十年たってから、その後はもう対応しなくてもいいのだ、すべての設備は終わったよとは言えないと思うのであります。とするならば、時限的な法律にしたことは、本来この法律の体系としては不合理じゃないですか。  特にガス事業の場合には、先ほど質問する時間的余裕がありませんでしたから打ち切りましたけれども、二倍にすることすら本来積極的な意欲をお持ちになっていない。むしろエネルギー庁あるいは通産当局の方から、どうです、あなたも入りませんか、電力会社の方から、入ってくれませんかというような誘いに乗ってきたようなそぶりが、さっき安西さんの公述の中においてもうかがえるわけです。われわれの接触した感じの中でもうかがえるわけです。  そういたしますると、そういうようなことを前提にした場合、この特例法をつくったのは、十年という条件をつくるという形の中において、当面ここ一、二年ということでは法律の体をなさぬから、まあ五年にしようか、十年にしようか、しようがないから十年にしようという程度で、十年というのが決められたような感じがしてならぬわけでございます。そうじゃございませんか。十年というのは、一体どういう根拠に基づいてこれをお出しになったのか、その見解をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  229. 河本敏夫

    河本国務大臣 まず第一に、電力またはガスというふうな公共事業でございますが、これは非常に莫大な設備投資が要るわけでございます。先ほど申し上げましたように、六%台の経済成長に必要な電力をつくるだけで四十八兆円という、電力以外の産業ではとても考えられないような莫大な設備投資が要るということが一つ。  それからもう一つは、昨年一カ年間、政府の方もいろいろエネルギー問題について作業をいたしまして、昭和五十一年から六十年までのエネルギーに対する具体的な見通し、それから経済成長に対するおおよその見当はついたわけです。  ただしかし、十年の間には新しいエネルギーもどんどん開発されておりますし、十年先以上ということになりますと、具体的にいまここで作業して、いろいろな経済見通しを立てるということはむずかしい。であるから、とりあえず具体的な計画の立つ十年間だけはひとつこういうことでやってみよう、そして十年間これをやってみて、十年目が近づいた段階において、将来どうなるかということをもう一回エネルギー全体について作業してみよう、そういうことで十年の限時立法ということにしたわけでございます。
  230. 佐野進

    ○佐野(進)委員 エネルギー庁長官、いま大臣がそうお答えになりました。私は、当面一、二年の間における急場をしのごうとする意味においてつくったのじゃないかという、これはちょっとうがった見方になるわけですが、そういう質問をしているわけです。そうすると、さっき言ったとおり、五年でもいい、十年でもいいというような形、片やこういう法律を特別出すなんということになると、他の産業との格差がますますひどくなる、そういうところは抵抗がある。いろいろな形の中で、いま大臣が政治的な発言をされたように、十年ぐらいがいいのだろうという一種の漠然たる見解のもとに十年とされた。  ガスの場合はわかるのですよ。積極的ではないけれども、十年たつと、これこれこういう事業計画で、こうなった場合、ガスが無原則に需要が広がるということはないわけです。一定の地域の中で広がっていけば、プロパンガスあり、代替エネルギー等もあるわけでございますから、それはないわけです。しかし、少なくとも電力の場合においてはそれがわからない。五年先、十年先、予測はできるけれども、その状況はわからない。それを十年という形にしたのは、十年たってもまだこの法律をさらに十年ぐらい、五年ぐらい延長するという可能性があってやったのかどうか。いろいろな想像が出てくるわけです。われわれはその点がちっともわからないのですよ。  だから、本当の業界の圧力なり大臣が要請したという形の、政治的な判断で、ただやみくもにこの際四倍にしておけばいいのだという形の中でやったのじゃないかなということで、そんないいかげんな法律なんか通さなくてもいいのじゃないかという見解につながるわけですね。この点をもう少し具体的に説明してください。
  231. 増田実

    増田政府委員 今後の十年間、電力及びガスがどれくらいの需要になるかということにつきまして、昨年の半ばまで各種の作業をいたしましたし、また、それを達成いたしますためにどれだけの資金を要するかということにつきまして、電気事業審議会の中に資金問題懇談会を置きまして、これもたしか十二回の会合を行ったように記憶しておりますが、あらゆる角度から必要資金というものを検討いたしたわけでございます。  その結果といたしまして、現状のままでありますと、電気につきましては四十七兆円の必要資金という計算になったわけですが、それに対しまして調達の面で相当な不足がくる。これは具体的に言いますと、昭和五十年から五十五年で約五兆円、それから五十六年から六十年で約十二兆円という数字が出たわけでございます。これに対する対策として、今回御審議を得ております社債の枠をどうしても拡大しなければならないという結論に達しまして、私どもの方でこういう提案をいたしたわけでございます。  それから、十年後どうなるかというただいまのお話でございますが、大体今後の十年間がいろいろ設備投資につきまして最も資金需要があるという計算でございます。そういうことで、この法律は限時法になっておりまして、ただし、十年経過いたしました後の経過期間を十年置いておるわけでございますが、その経過期間にありますように、十年の経過期間を終えましたときにはもとの原則に戻るということで、電気については二倍、ガスについては商法の原則に立ち戻るということで、これでやっていけるだろうということを考えておるわけでございます。  それで、この十年間に非常に設備資金が要って、じゃ、その後の十年はどうなるのだろうという問題がございますが、これにつきまして特に問題になりますのは、今度の四十七兆円の中にも約六割は送電、配電関係でございまして、これの整備を行わなければならないという問題が出ております。これの整備については、恐らく十年をもってピークが過ぎて後、送電、配電の関係設備投資というものは相当減るだろうと私は思っております。また、発電関係は約四割を占めておりますが、これにつきましても、石油依存というものが非常に大きくて、このためにエネルギー供給が非常に不安定になっておるという問題につきまして、このエネルギー構造を変える点が出ております。これにつきましても十年たてば大体完了するというものと考えております。また、設備投資の中には公害設備というものが相当含まれておりますが、これにつきまして十年間で一つの区切りがつけられる、後は正常ベースでふやせばよろしいということで、既存設備につきまして各種の設備をつけるものがここに集中するということでございます。  そういう意味で、十年間というものはただ一応のめどとして置いたわけでございませんので、十年間の需要計算し、十年間における設備資金というものがどれくらい要るか、そしてまた、それの調達がどういうようになるかということを計算いたしまして、十年目に、今度この法律が通りましたら電力につきましては大体四倍の枠になるわけでございますが、大体三・七か八ぐらいのところで、これで今後はむしろその率が減る。また、ガスについては最終的には一・六か七、むしろ五十五年の方が少し高いわけでございますが、そういうことで、これも六十年を過ぎますと一応下がりぎみになる、こういうことで、決して恣意的に十年とか、あるいは特例法だということで十年にしておこうということではございません。
  232. 佐野進

    ○佐野(進)委員 大臣、そういたしましたら、いまの長官の御説明大臣説明等を聞きますと、これは最後の疑問ですが、なぜ本法の改正でこれを行わなかったかという気になるのです。本法の改正をして、十年たってそれが必要なら、十年というのはずいぶん長いですから、それを改正してもいいわけでしょう。これは、二年や三年なら一応特例としてやってもいいけれども、十年というのは相当期間が長いですね。そして、いま言われたように設備投資につながっていくということでありますから、そうしたら、十年たったというときに法律を変えるということは決して不自然ではないですね。ならば、なぜ本法としてそれを改正をしなかったか、特例法としたか、この点、ひとつ見解を明らかにしていただきたい。
  233. 河本敏夫

    河本国務大臣 これは長官から説明をさせます。
  234. 増田実

    増田政府委員 ガス電力につきまして、それぞれ社債の枠の拡大が今年度から必要であるということでございますが、これにつきまして、この枠の拡大の方法として、ただいま先生から御質問がありましたように、本法の改正、つまり商法の改正及び電気事業法の改正でこれを処理するという方法はあるかと思います。ただ、今回の法律改正につきましては、先ほど相当長く御答弁申し上げましたが、十年間でこれはめどがつくので、将来ずっとにわたって枠の拡大は必要がない。また、これは特例でございますので、先ほど先生から、ほかの業界との関係その他の御指摘がありました。ほかの業界から、電力ガスだけを非常に優遇してけしからぬという声は私どもは聞いておりません。しかし、いずれにいたしましても、電力ガスに対して特例をしくわけでございますので、これは必要な時期だけにむしろ限るべきであるということで、本法の改正でなくて、十年という期限を限って特例法で持っていく。  また、特例法について各種の立法例を調べますと、十年間の特例法というものが幾つもございますので、法制局とも相談いたしまして、今回の法律につきましては、ガス電気に限った特例法ということで十年の限時法を出す。しかも、その限時法でございますが、これは十年たちますと完全に効力を失うという規定もはっきり掲げております。普通のように、十年たってから見直し規定とか、あるいはそのときに廃止法律を出すということでなくて、十年にはっきり限った法律の形式を出しまして、特例法としてこの十年間の資金調達について措置をする、こういう趣旨になっております。
  235. 佐野進

    ○佐野(進)委員 これは私どもの見解となかなかかみ合わないわけでありまするけれども、そういうような考え方であるということで、一応答弁を聞いておきたいと思います。  そこで、大臣に質問したいのですが、いままでずっと議論してまいりました。結果的に三十九条の改正によってこの特例法をつくっていくのだ、こういうことで、商法二百九十七条の改正はこれを行わない、こういうことになった経過の中で、結果的に資金調達力の問題が、公益性を持つ電気事業としての形の中においていろいろ優遇措置が講ぜられている。その優遇措置を講ぜられるという形の中で、どうしても電力料金値上げ問題を初め、先ほど参考人にも聞いたのですが、昭和二十五年電力が九分割された以降の約二十数年後における今日の段階の状態として、この種の電力債枠の拡大等を含むいろいろな問題の中で、すでにこの体制そのものに対して検討を加えるべき時期に来ているのではないか。料金の問題、あるいは電源立地の問題、さらにはその他設備の問題等々、社会的な問題になりつつある多くの課題をかかえている現体制がそのまま好ましいのかどうかということについては、もはや再検討の時代に来ているのではないか、こういう意見も、また考え方も当然あるわけであります。  私は、そういう意味において、この特例法案というものが社債枠を四倍にする、特別の商法二百九十七条の一般法としての形の中でなく、特例法としての形の中における改正という処置の中でこれを見直す、そういう形の中で現体制をそのまま存続することがいいのかどうかということについては大いに疑問があると思うのでありますが、現在の電気事業、いわゆる電源開発を含めたそれらの問題について、通産当局としてはどのような見解をお持ちになるか、最初大臣からお聞きし、その次に長官から見解をお示しいただきたいと思います。
  236. 河本敏夫

    河本国務大臣 現在の電気事業経営しております企業体制、九電力電源開発、この十企業体の企業形態というものは、私は満足すべき姿で進んでおると思います。電気事業を進めていく上におきまして十分機能しておる、こういうふうに理解いたしておりますので、現在の体制については十分監督をしなければなりませんけれども、体制そのものを変えていく、こういう考え方はございません。
  237. 増田実

    増田政府委員 電力の体制の問題につきまして、ただいま大臣から御答弁申し上げましたとおり、私どもとしては九電力プラス電源開発株式会社の十電力体制というものが大きな効果を発揮している、こういうふうに思っております。ただ、これにつきまして昨年この十電力会社が発表いたしましたいわゆる広域運営あるいは広域建設、開発というものは、やはりこの十電力体制のもとに今後の新しい需要に適応して設備の増加を行いますときに、これを効率的にやるためには、従来のような九電力というものがそれぞれ自分だけでやるという形は、相当限界があると思います。そういう意味で、企業体制としては冒頭に申し上げましたように現行の体制というままで、しかしながらその運営においてはさらに広域運営というものを相当加味していく必要がある、こういうふうに思っております。
  238. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そこで、これからいわゆる社債枠を拡大し、先ほどお話しになりました四十八兆円から五十兆円近い設備投資を行うわけであります。そういたしますと、それだけの膨大な資金を投入して、それぞれの設備をつくっていくわけであります。結果的に、向坂参考人の方からも話がございましたけれども、いわゆる電源発行為としては原子力発電資金的に一番高いウエートを持ち、かつ、発電力においても高いウエートを持つ、そういうような形の中で、水力、火力等を相補強しながら供給を行う設備をつくり上げていく。  そうなりますと、どうしてもこれだけの膨大な五十兆円にも上る資金を投入して、これから十カ年間にそれぞれの設備をつくり、現有の施設の約倍の能力を発揮させる新施設をつくるということになりますと、もはや水力発電では、立地的にもあるいはその他の見地から言いましても、これはほとんど限界に来ている。火力においてもオイルショックその他において非常に大きな経費がかかるという形の中において、原子力に依存せざるを得ない面がある。しかし、この原子力といえども、ウラン鉱の入手難、あるいは価格の高騰等、新しい課題に直面しなければならない。こういうようないろいろな難問がこれから出てくるわけであります。そういたしますと、たとえば北陸電力、東北電力というような一つの地域性に基づくところの電力会社がそれぞれの立場においてそれぞれの条件に対応した設備を果たして設置し得るかどうか、設置し得たとしても、それが果たして思うように機能できるのかどうか、これはだれが考えても相当むずかしい。  いま長官から公益性という名のもとに御説明がありましたけれども、この膨大なる設備、十年の時限立法とは言いながら、これらのお金を使ってそれをされるということになりますれば、これから大臣に対する質問でありまするが、いままでは効果を上げたのは当然、私ども効果を上げていないとは言っておらないのであります。しかし、これからの電力行政のあり方、電力会社のあり方等々については、もう少し根本的な立場に立った、いわゆる既存の権益を侵すとか侵さないとかということではなくて、国民の立場に立って電力行政ないし電力会社の運営等について一定のお考えを示す時期に来ているのではないですか、また、そういう検討をなさるべきときが必然的に来るのではないでしょうか。それに対して通産当局が一定のプランをお持ちになることは、その責任として当然あるべきものではないか、こう考えるわけです。この点、大臣の見解をお聞きしておきます。
  239. 河本敏夫

    河本国務大臣 現在の体制は二十数年の上に積み重ねられまして、ようやく完全に軌道に乗ってきた、こういうことだと思うのです。この機構をいろいろ頭の中で考えまして、これを変えていきますと、やはり軌道に乗るまで相当時間がかかりますし、混乱が起こりますし、現在で何か不都合でもあれば話は別でありますけれども、大体うまくいっておる、こういうことでございますから、現在の体制は変えませんが、たとえばことしから始めようといたしております九州の松島火力電力でございますが、これなどは複数の電力会社がいろいろ協力いたしまして参加するわけでございます。事業主体は電源開発でございますけれども、関係するところは複数の企業が参加をいたしまして、そして広域的にこれを建設、運営していこう、こういう考え方でございます。こういうふうな考え方が各地にこれから出てくると思います。  でありますから、そういうふうな運営の面を工夫しながら、また、通産省といたしましては監督の面を強化しながら、その面を通じていろいろ創意工夫を加えていく、そういう形で最も能率的な運営をしていきたい、こう思っております。
  240. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私どもがいろいろな新しい見解を出しますと、大臣は、現行の運用でまあまあやっているのだから、これを整えずして手をつけることはないじゃないですか、行政指導をやれば、あるいはもう少し指導を強化すれば云々というような形でとかく時をお過ごしになるわけです。しかし、われわれの見解がやがて現実の問題として、当然その問題の爼上に取り上げられなければならなくなる時期が来ることもまた間違いない、いままでの経験から言っても間違いないことも多いと思うのであります。  そこで、いまの問題、ここで体制も変えなさいなんということを質問をし続けてもどうにもならぬわけでございますけれども、ただ、先ほど来参考人の御意見をお伺いし、われわれが検討し、審議の経過を通じて、すでにいまの電力会社の体制の中で運営をすることについて、あるいはこれから新しい設備投資をすることに対して、相当体制上の無理があるということだけは、これはだれしも否定することのでき得ない状況であろうと思うのでございます。  したがって、その体制上の無理を、料金値上げであるとかあるいは社債枠の拡大であるとか、あるいは人事の刷新であるとか、あるいはその他いろいろな措置の中で乗り切られようとするのでありますから、それはそれとして、私もその努力を何もそれがいけないのと申し上げる必要はないと思うのです。ただ、電力が国民生活の上に絶対欠くことのでき得ない重要な事業であるとするならば、それに対して直接指導監督をする立場にある通産当局として、単に電力会社の意見に振り回されるのではなくして、電力行政全体の立場から、体制の問題いかにあるべきかということについて少しく検討をなさるべき時期に来ているのではないかという意見だけを申し上げておきたいと思います。  そこで、そういたしますると、結果的にいま大臣の御答弁で明らかにされておることは、現行体制の中で五十兆円に近い設備投資をこれから十年間に行っていく、そういうことになるわけでありまするが、その設備投資を行っていく際、最も問題になるのは、先ほどたびたび私も申し上げておりまするが、その設備を行う立地の問題、土地の問題ですね、それからその設備を行う対象、いわゆる原子力でいくのか、あるいはまた水力でいくのか、あるいはまた火力でいくのか、こういう問題になってくるわけです。この五十兆円の中においては、先ほど参考人から見解をお聞きいたしましたけれども、政府として、通産当局として、この新しい九千百六十万キロワットの出力を出す設備の具体的なその主体は、どこにどれだけのパーセントをお考えになっておられるのか、この点、ひとつお示しをいただきたいと思います。
  241. 増田実

    増田政府委員 昭和六十年度におきます電源構成というものについて簡単に御説明申し上げたいと思いますが、現在、昭和四十九年の九千二百五十万キロワットを一億九千百二十万キロワットにふやすわけでございますが、この一億九千百二十万キロワットの構成について従来との差を申し上げたいと思います。  水力につきましては大体横ばいということで、水力は四十九年におきまして二四・三%でございますが、これを二一・六%ということで、電源構成としては若干の低下でございます。ただ、実数におきましては二千二百五十万キロワットから四千百三十万キロワットにふやす。これは絶対量が倍になりますので、そういう数字でございます。こういうことで、水力についても相当重点的に設備投資を行います。特に揚水発電につきましては千二百万キロワットの建設を今後十年間に行おうという計画になっております。  次に、火力について申し上げますと、火力の中で現在その大宗を占めております石油でございますが、四十九年度が六一・二%に対しまして、これを六十年度におきましては三二・六%、約三分の一に減らすということでございます。  それから、石炭は、現在の五百十万キロ、五・五%でありますのを、九百六十万キロ、五%。これは実際にこの十年間で新設いたします石炭火力は約六百万キロワットでございます。従来の古い設備を入れかえるというのがございまして、この差は四百五十万ですが、実際には六百万キロワットを建設するということでございます。  そして、特に新しいものとして今後考えておりますのがLNGと原子力になるわけですが、LNGについて申し上げますと、現在は二・八%を一四・一%に持っていくということで、二千六百九十万キロワットというものに持っていく。  それから、火力の中にもう一つ残っております地熱発電がありますが、これは環境の保全その他いろいろな問題がありますが、二百十万キロワット、一・一%の構成にするということでございます。  そして、原子力でございますが、これは四十九年実績が三百九十万、四・二%ですが、これは今日現在はもう六百六十万キロワットになっておりますから、比率といたしましても七、八%になっておりますが、これを昭和六十年度におきまして四千九百万キロワット、二五・六%の比率に持っていくということでございます。  これが二五・六%は非常に多いような数字でございますし、また四千九百万キロワットの達成に  ついても今後なさなければならない点がいろいろあるわけでございますが、ただ、御参考に申し上げますと、たとえば欧州、フランスとか、ドイツとか、あるいはその他の国々におきましても、総  エネルギーの中の原子力というものを大体一四ないし一五%に持っていく計画になっております。アメリカもいわゆる自立計画では一三%以上というものに持っていきますが、この四千九百万キロワットの計画日本の総エネルギーの中の九・六%でございます。そういう意味で、最も石油依存が大きく、他のエネルギー転換が必要である日本におきましての伸び率がむしろ他の諸外国に比して若干低いということも、諸外国から言われているような実情でございます。  それから最後に、今後の必要の資金四十七兆六千億の中でこの原子力に振り向ける分は約十兆円でございまして、四十七兆円の中の二一%という構成でございます。そういうことで、今後の設備資金がすべて原子力に行くとか、原子力発電の推進ということではございませんので、原子力もその一翼を担う、こういうことでございます。
  242. 佐野進

    ○佐野(進)委員 時間がなくなりつつありますので、締めくくりの質問をいたしたいと思います。  いままで、私は、この法律案内容で疑問とする点について教点質問を続けてまいりました。結果的に、最終的に、いま長官説明されておるように、原子力の発電力の強化ということが、資金的には少なくとも、供給面においてはこの法律案内容として相当高いウエートを占めておるということが明らかになったと思うのであります。したがって、この原子力発電所の建設ということは多くの問題点をはらんでおるわけでありまするし、すでにその問題点が明らかにされながら、反対運動等も惹起し、そういう面に対する緩衝的な措置として、電源三法の立法等も行われておるわけでありますけれども、いまなおこれらの問題については多くの不安を抱く人たちのあることは事実であります。  したがって、私は原子力発電がその一定の役割りを果たしておるという基本的な問題まで否定するわけではございませんが、この大衆的な不安というものを除去する努力なくして、資金面の強化、あるいは設備投資、あるいは景気浮揚という名のもとにこれらの事業を遂行するということは、きわめて困難な前途を予測せざるを得ない、そういうような気がするわけであります。  そこで、時間も来ましたので、大臣長官に締めくくりの質問をしてみたいと思うのでありますが、先ほど来申し上げておるとおり、いまここで重複する時間の余裕はございませんが、要するに、体制的な変革を含む新しい時代に対するエネルギー供給方式として、原子力発電建設を含むこの事業の執行に当たっては——本法律案成立した結果としてそれを執行するに当たっては、いままで起きつつあるもろもろの問題に対して積極的に対応することはもちろん、将来発生するであろうと予測される諸問題については、体制、景気その他先ほど来申し上げました多くの問題について万全の措置を講ぜられることが絶対必要不可欠なものではないか、こういうぐあいに考えますので、その基本的な考え方について大臣長官の見解をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  243. 河本敏夫

    河本国務大臣 これからは原子力発電一つの大きな課題になるわけでございますが、これを推進するにつきましては、安全の問題と環境保全の問題、この二点を特に重視をして、これに努力を集中してまいりたいと考えております。
  244. 増田実

    増田政府委員 大臣と同じでございますが、原子力発電につきましては、現在あります問題の解決、また今後起こります問題の解決につきまして、安全の確保、環境の保全その他あらゆる問題の解決に万全を期しつつ努力をいたしたいと思います。
  245. 安田貴六

    ○安田委員長代理 野間友一君。
  246. 野間友一

    ○野間委員 去年の十月一日付の電気事業審議会の「電気事業資金問題に関する意見」というのがありますが、この中での電力需要の長期見通しによりますと、先ほども話がありましたが、五十一年度から六十年度の電力需要の年平均の増加率が六%程度ということになっております。これは四十年代の一二%の約半分になるわけですけれども、四十年代の十年間と五十年代の十年間、この総電力需要の増加量はどうなるのか、率ではなくて、実数でひとつお示しを願いたいと思います。
  247. 増田実

    増田政府委員 電力需要は、これは年々非常に上がってきておりますが、ただいま御質問のございました四十一年度から五十年度、それから五十一年度から今後計画いたしております六十年度の数字について申し上げます。  まず、四十一年度から五十年度の総需要の伸びでございますが、四十一年度におきます総需要は千九百億キロワットアワーでございます。五十年度におきます総需要は約四千二百二十億キロワットアワーでございます。そうなりますと、四十一年から五十年の増分というのは、その差し引きの二千三百二十億キロワットアワーということになります。これはもう一つは最大電力あるいは年度末設備の問題でございますので、設備だけを申し上げますと、四十一年の実績は三千九百七十万キロワット、五十年は九千九百八十万キロワット、これは五十年度末の設備でございます。その差を申し上げますと、四十一年度から五十年度までの増加は六千十万キロワットということになります。  引き続きまして、五十一年から六十年というものの伸びを申し上げます。これは先ほど五十年の数字を申し上げましたので、一応六十年の数字というのを申し上げますが、六十年の総需要が八千百五十億キロワットアワーでございまして、五十年が先ほど四千二百二十と申し上げましたが、初年度の五十一年が大体四千五百という推定でございますので、その差額、つまり五十一年度から六十年度の十年間の増加、差額は三千六百五十億キロワットアワー、また年度末設備で申し上げますと、六十年度の年度末設備が一億九千百二十万キロワットでございます。五十一年度から六十年度への差額は八千七百三十万キロワット、こういうことになります。
  248. 野間友一

    ○野間委員 この実数で見てみますと、パーセントでは約半分、こういうふうになりますけれども、実数に置きかえて見てみますと、その総電力需要が、いまのお話にもありましたが、五十年代では三千六百五十億キロワットアワーと、もう物すごい速度で伸びることになると思うのですね。これは五十年代は四十年代の約一・七倍の需要の伸びというような想定でされておると思うのですけれども、この需要の想定ですね、これは具体的にはどういう理由あるいは根拠でこういうようになるのか、これをひとつお示しいただきたいと思います。
  249. 増田実

    増田政府委員 今後の十年間の需要の伸びにつきましては、基礎といたしましては、今後の実質成長率がどれくらいになるかというものを基礎として計算いたしたわけでございますが、四十九年度から六十年度の実質成長率大体六・三%、これは四十八年を基準にとりますともっと下がりまして五・六になるわけですが、四十九年が若干引っ込んでおりまして、そこで六・三%になっております。それに対しまして電力需要というものが大体同じ、しかしながら、それに対しましての設備や予備率その他を勘案いたしまして、年率約七〇%の伸びということで見ておるわけでございます。  ちなみに、過去の数字を申し上げますと、四十一年度から五十年度、先ほど私が申し上げました数字で伸び率をはじきますと、設備の伸び率は一〇・八%ですが、この中には四十九年、五十年の落ち込みがございますので、四十一年度から四十八年度のいわゆる八年間高度成長で、あと石油危機が来たまでの伸び率を申し上げますと、一一・四%ということでございます。そういう意味から言いまして、今後絶対数では非常にふえておる、先生指摘のとおりでございますが、率では相当の落ち込みになる、こういうことになります。
  250. 野間友一

    ○野間委員 参考人にも若干聞いたわけですが、電灯と産業電力の今後の需要の年平均の伸び率を見てみますと、電灯が七・六%、産業用の電力が六・五%ということになっております。これは通産省からもらった資料電気事業審議会の中間報告です。用途別のものがありますが、そうなっております。これについても率でなくて実数で見てみますと、四十九年の実績を基準といたしますと、電灯の需要増加は六十年までで八百九十四億キロワットアワー、一方産業用の電力は二千六百七十二億キロワットアワー。産業電力が電灯の約三倍になっておりますけれども、これは考えてみますと、五十年代の電力設備増強計画も、四十年代に引き続いて産業電力の大幅な需要増加を見込んだ計画ではないかというふうに思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  251. 増田実

    増田政府委員 今後の電力需要につきましては、先ほど申し上げましたように、四十八年を基準にいたしまして、六十年度までは大体GNP成長率と同じように五・六%を見込んでおりますが、その中で産業用の電力の伸びは五・一%、それから家庭用電力の伸びは六・九%ということで、若干家庭用電力の伸び率が高いわけでございます。ただ、これにつきましては、家庭用電力需要量の伸び以外に、いわゆるピーク時におきます負荷率の問題もございまして、それにつきましてはそれだけ設備投資の方には大きくかかってくるというものが出てくるわけでございます。
  252. 野間友一

    ○野間委員 総じて先ほどからお聞きしておるのは、率で言いますといかにも四十年代に比べて低下をしておるようだし、あるいは家庭用と産業用を率で比較するとなんですけれども、実数で見てみますと、実際は産業用の電力が非常に大きな伸びを示すということが明らかになっておると思うのですね。需要想定に基づいて設備計画が作成されるわけですけれども、先ほども若干長官が触れましたが、最大需要電力供給能力との差、つまり供給予備力を確保することが安定供給の義務を果たす上で非常に重要視されておるという点から、この供給予備率はここ数年間一体どうなっておるのか、その推移を説明願いたいと思います。
  253. 増田実

    増田政府委員 六十年度におきます予備率、先ほどから御説明申し上げました数字の基礎となっております予備率は九・八%でございます。五十年度がたしか一二、三%になっておりますが、これが九・八%ということで計算いたしております。
  254. 野間友一

    ○野間委員 過去のを見てみますと、これは間違いがあれば訂正していただきたいと思いますが、四十三年が七・四%、四十八年が三・六%、四十九年になりますと一七・二%というふうに、非常に予備率が多いわけですね。これは間違いありませんか。
  255. 増田実

    増田政府委員 先生のお挙げになりました数字のとおりでございます。
  256. 野間友一

    ○野間委員 この四十九年の予備率が非常に高い理由は一体何なのかということ、それから四十九年度は前年度に比べて最大需要電力の増加率は一体どうであるのかということ、それから供給能力は何%ふえたか、こういう点について少し数字をお願いしたいと思います。
  257. 増田実

    増田政府委員 四十八年度に非常に予備率が減ったわけでございますが、これは、四十八年度は石油危機の直前の非常に経済も好況時の分が相当多くこの間に入っております。もう一つは四十八年の夏が非常に暑かったのと、それから若干電源立地のおくれによりまして電力供給が間に合わなかったということで、予備率が三・六%と、四%以下になりまして、このために、このときにおきましては中部及び関西地区において大口電力使用者に対するピークカットの要請をいたしたわけでございます。ところが、四十九年度になりますとこれが一転いたしまして、供給予備率が一七%になったわけでございますが、これは、電力需要が従来毎年一〇%ぐらい上がっておりましたのが、前年度に比べましてむしろ二%の減少になったということで、ここに四十九年の産業活動の停滞というものがあらわれまして、供給予備率が非常に大きくなったということでございます。  ただ、今後の見方といたしましては、予備率は九%プラスアルファということが言われております。この長期計画につきましては、適正予備率を一応一〇%に立てるということで、長期計画における予備率の見込みは、五十五年におきましては一一%、六十年におきましては先ほど申し上げましたように九・八%で立てておるということでございます。  予備率については以上のとおりでございます。
  258. 大永勇作

    ○大永政府委員 四十八年度の設備能力が八千四百万キロワット、四十九年度が九千二百万キロワットでございまして、その間九・五%の設備能力の増大になっております。
  259. 野間友一

    ○野間委員 四十年代は高度経済成長ということで、そういう意味は比較的安定して経済成長も伸びてくるし、また、電力需要もそれなりに安定的に伸びてきたと思うのです。ところが、石油ショック等々のことでその後四十九年、五十年には激変したということで、予備率を見ますと非常に激変しているわけですね。     〔安田委員長代理退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕 ですから、四十年代を見ますとほぼ安定しておったのが、それが非常に激しい変動の中で狂ってきたということ、要するに不況の中で需要が減ったということが予備率を非常に高くした。この逆のことも、四十年代に比べて五十年代はそれぞれ不安定な時期の中で予備率が高くなったり、極端に低くなったり、いま平均して一〇%前後というお話がありましたが、そういう事態の変動の幅、波が四十年代に比べて非常に不安定な時期が予測されるのですけれども、そういう点についてはどういうようにお考えなのか。
  260. 増田実

    増田政府委員 ただいま御指摘のありましたように、電力需要の部面におきましても、また供給部面におきましても、非常に変動する要因がございます。  供給の部面で言いますと、現在、水力発電の占める率はそれほど大きくはございません。先ほど申し上げましたように大体二〇%前後でございますが、渇水が続きますとやはり供給力について相当の減少が生ずる。また、特に現在は最大電力というものが出ますのが八月でございまして、八月が非常に暑かったり、またその暑さが非常に長く続きますと、これによって電力需要が急速にはね上がるということでございます。そういう意味から言いまして、従来七%ぐらいの予備力というもので正常に供給ができておったわけでございますが、今後のことを考えますと、先ほど申し上げましたように長期計画としては一〇%前後の予備率を組むということでございます。  ただ、これによりましても、いま御指摘のありましたように非常にフラクチュエートする内容でございますので、その場合には需要家の協力を得ましてピークカットその他を行う、あるいは八月でございますので、休日の振りかえその他、大口の産業については協力をしてもらうということでそれの調整を行わざる得ないと考えております。
  261. 野間友一

    ○野間委員 経済成長が一〇%以上という率でかなり伸びておったころに比べて、今後の経済成長は五%ないしは六%というような予測がされておりますが、そうなりますと、それだけの違いがある場合を想定しますと、計画される場合の予測が狂えば、たとえ一%狂ってもかなり大きな狂いを生ずるのではなかろうかというふうに考えるわけです。  そこで、需要想定される場合に、そのような不安定な五十年代と申しますか、いろいろな波が出てくるというようなことを十分想定された上でやられたのかどうか、その点はどうなんでしょうか。
  262. 大永勇作

    ○大永政府委員 十年間の電力需要の想定に当たりましては、産業構造審議会で出しております「産業構造の長期ビジョン」というのがございますが、その中で、あらゆるファクターからいろいろな産業あるいは民生需要の伸びを想定しておるわけでございまして、これをベースにしてはじいたものでございます。
  263. 野間友一

    ○野間委員 次に伺いますが、現在の設備の利用率は調査されたのかどうか、されたとすればどういうようになっているのか、これは負荷率でも結構です。
  264. 大永勇作

    ○大永政府委員 専門的に申しますと、平均電力と最大電力との比率を負荷率というふうに言っておりますが、この負荷率につきましては、昭和四十年代を通じまして逐年若干ずつ低下する傾向にございます。四十九年度の実績では六一・八%でございますが、今後の推定としましては、五十五年度五八・七%、それから六十年度五八・一%というふうな推定をいたしております。これは、今後におきまして電灯需要及び業務用需要が伸びてまいりますが、その伸びてくるファクターとしまして冷房需要の増加が大きいわけでございまして、そういうことから、夏のピーク時に非常に急激に需要が増加するということからいたしまして、いまの負荷率が低下するという問題が生ずるわけでございます。
  265. 野間友一

    ○野間委員 五十年度の上期の有価証券報告書、これをもとに各社別の設備利用率というものを試算したわけですが、それによりますと、九社合計の設備の平均利用率が、全体で四九・二%、火力が四八・九、これは水力もそうです、原子力が五八・四というような数字が出てきたわけです。これをいままでの負荷率の推移を見てみますと、日本の場合には、先ほど参考人にも私、聞いたわけですが、年々低下をしておるというのが一つの特徴ではなかろうかと思うのです。これは、たとえばイギリスの場合には、六八年が五一・五、これが順次五一・九、五二、五三・七、五五・八というふうに推移しております。西ドイツもそうで、数字は「電気事業便覧」の中にありますが、日本の場合にはずっと負荷率が落ちておるわけですね。ヨーロッパと逆の傾向、現象を示しているということで、先ほど申し上げたように、私の試算によりましても四九・二、これは五十年度の上期の計算ですけれども、この現象というか、特徴は一体どういうことになるのか。先ほど参考人から、ルームクーラー云々というような家庭用の話がありましたけれども、そうであれば、ヨーロッパだってそう変わらないわけです。いかがでしょう。
  266. 大永勇作

    ○大永政府委員 外国におきましても気候風土等によりまして相当影響されまして、ドイツとかイギリスにつきましては、いわゆる冷房需要のウエートがそれほど大きくない。むしろ家庭におきましてもいわゆる調理用とか暖房用とかに使われるというふうな面からいたしまして、負荷率の低下が日本ほどじゃないということでございます。アメリカ等におきましては負荷率の低下傾向が見られる。日本の場合も、先ほど申し上げましたように冷房需要の普及によりまして、非常に残念でございますが、負荷率が若干ずつ低下してくる傾向にある、こういう事情であろうかと思います。
  267. 野間友一

    ○野間委員 アメリカは確かに減っていますけれども、しかし、減り方が日本と比べてかなり違うと思うのです。微減ですね。ところが、日本の場合はそうでなくて、急速に減っておる。この特徴はどこにあるのでしょうか。
  268. 大永勇作

    ○大永政府委員 現在、日本一般家庭におきますルームクーラーの普及率は、約三割程度であろうかと思うわけでございます。アメリカ等におきましては大体普及し尽しておるということでございますが、日本の場合には現在なお普及の途中ということで、そういう差が出てまいるのであろうというふうに考えております。     〔武藤(嘉)委員長代理退席、委員長着席〕
  269. 野間友一

    ○野間委員 あくまでルームクーラーで判断されるのはどうも解せないわけですけれども、カナダだってこれはほとんど変わりませんね。だから、日本だけがクーラーがもともとなくて、それが急速に伸びた、それが数値となってあらわれておるというように、すべてクーラーにおっかぶせるのはどうもおかしいと思うのですけれども、それは間違いない事実ですか、どうですか。
  270. 大永勇作

    ○大永政府委員 クーラーが主たる要因だと思いますが、そのほか産業面におきましても、昔と比べて負荷率のよろしい電解、電炉関係、アルミとか、ソーダとか、あるいはフェロアロイとか、いろいろございますが、そういった負荷率の高い産業のウエートと、比較的負荷率の低い機械産業その他のウエートの変化による影響も確かにあろうかと存じます。
  271. 野間友一

    ○野間委員 これは全体の一年間の負荷率ですからね。だから、私は、どうもこれは過剰設備ではなかろうかというふうに思えてしようがないわけです。標準と申しますか、モデレートなものは大体どのくらいのパーセントなんですか。
  272. 大永勇作

    ○大永政府委員 お答え申し上げます。  モデレートなと言いましても、いろいろ各国のそれぞれの事情によって違いますが、日本でもやはり負荷率の向上には極力努力をすべきである。特に産業面につきまして、夏休みにおきますところの休日の振りかえであるとか、あるいは昼間の電力を夜間に持っていく努力とか、そういう努力をいたしまして、極力負荷率の向上を図るべきであろうかと思います。現在想定をしております五八%というのは、そういう意味ではどうしてもやはりその程度に維持しなくてはいかぬというふうに考えております。
  273. 野間友一

    ○野間委員 負荷率が低いということは、それだけコストが高くなるということになってくると思うのですけれども、これはいいですね。
  274. 大永勇作

    ○大永政府委員 設備償却費その他の面で、先生指摘のような影響が出てまいります。
  275. 野間友一

    ○野間委員 これは避けられないわけでしょうか。これはしかし、くどいですけれども、ずっと日本だけが急速に低下しておるということがコスト高につながってくるという点からしますと、不可避的なものなのか、それともやはり、負荷率をもっと高めることは必要になってくると思うのですね。逆に言いますと、私はそうではなくて、いま申し上げたように、これはやはり設備が過剰じゃないかというふうに思うわけですよね。この点、どうなんでしょうか。
  276. 大永勇作

    ○大永政府委員 これは先ほど申し上げましたように、電灯とかあるいは業務用におきますビルとかデパート等におきます冷房需要の今後の動向、あるいは産業構造面におきまして、電力多消費型産業、いわゆる負荷形態のいいそういった産業のウエートが減るということからいたしますと、方向としてはやはり低下の方向にあるかと存じますが、しかし、先ほど申し上げましたように、休日の振りかえの問題とか、あるいは昼夜間の電力の振りかえの問題とか、そういういろいろな方法をとることによりまして、極力低下しないように努力すべきである、こういうふうに考えております。
  277. 野間友一

    ○野間委員 少し問題を変えて伺いたいと思いますが、審議会の意見書では、三十四ページにありますが、「電気事業者自らが経営の合理化、内部蓄積の充実に可能な限りの努力を傾注すべき」である、そういう記述がありますし、それから「需要家も負担し、協力を行うことが要請される。政府としても今後、電気事業内部資金の充実について十分な配慮を払うことが強く望まれる。」ということが明記されておりますが、これは具体的に何を指しているのか。
  278. 大永勇作

    ○大永政府委員 この内部資金比率につきましては、オイルショック以前の全体におきましては、設備資金調達に占めますウエートがおおむね半分を超えておったわけでございまして、四十二年ごろにおきましては七五%内部資金で充当しておったわけでございます。しかしながら、四十九年度におきましては約二五%ということで急速に落ちております。落ちました原因といたしましては、一つはオイルショックによりますところの設備資金が非常に大きくなりまして、いわゆる簿価と時価とが乖離をした、そのために、減価償却は簿価に基づいて行うものでございますから、減価償却額が減ったというふうな原因がございます。  それから、償却方法につきましても、オイルショック以前におきましては、電力会社はいわゆる定率償却を採用しておったわけでございますが、オイルショック以後におきましては経営困難からこれを定額償却に変更いたしております。そういったようなことから内部資金の充当率が低下したわけでございますが、今後はオイルショックの影響も次第に薄まりまして、新しい調達設備がふえますので、だんだん簿価と時価の乖離も詰まっていくということになろうかと思いますので、内部資金のウエートも次第に増加すると思いますが、やはり経営者といたしましても資金の節約に努めまして、極力内部資金拡充を図っていくということが必要ではないかというふうに考えております。
  279. 野間友一

    ○野間委員 それはよくわかるのですけれども、「電源開発等設備資金調達」というところの記述なんですがね。要するに、内部蓄積を充実させろ、需要家も負担し協力せい、政府も十分な配慮をせいということがこれに出ているわけですね。これを見ますと、要するに、料金値上げするのに需要家は協力しなければならぬ、政府も積極的に——積極的とは書いてないのですが、政府としても十分配慮せいということで、一つ需要家に対して値上げに協力せい、政府も同じような趣旨のことを配慮せいということ、それに関連して、この会社が要するに設備資金を、内部留保を蓄積するということですから、これは値上げによってということにつながってくると思うのですね。  ですから、この設備投資ですが、先ほどから申し上げておるように、かなりな産業用の電力需要の伸びの想定、これは率はともかくとして実数から見ますと、大幅に五十年代に伸びてくる。それに向けて設備投資をしなければならぬ。そうすると、その場合に金が要る。本法案もその一つだろうと思いますが、これによりますと、何かそのような産業用の電力需要の伸び、これに見合って設備投資をするのに料金値上げをしなければならぬというようなことがリンクされておるのじゃないか、この記述ではそう読めるわけですね。恐らく需要家も負担し協力せいということが、そうではないという答えは出てこないと思うのですけれども、いかがですか。
  280. 大永勇作

    ○大永政府委員 三五%という内部資金充当の目標を一応昭和五十五年ぐらいの目標として挙げておるわけでございますが、この内部資金といいますのは、外部資金と違いまして、一番調達面では安定した資金でございますから、企業としては望ましいわけでございます。先ほど申し上げましたように、簿価と時価との乖離が次第に埋まっていくということからいたしまして、次第に内部資金の充当率は上がってくると思いますが、われわれといたしましても現時点で直ちに三五%の内部資金充当率が確保されるとは思っておりませんし、いわんや、たとえば内部資金充当率拡大のために一つの手段としては資産の再評価というふうなこともあり得るわけでございますけれども、現下の情勢におきましてそれができるというふうには考えておりませんので、やはりあくまでも当面の問題ということではなくて、中長期的な努力目標であるということで御理解をいただきたい、こういうふうに思います。
  281. 野間友一

    ○野間委員 いや、直接の答弁になっておらぬわけですよ。「電気事業の収支の現状からみてその充実に多くを期待することではできず」、これはその内部資金の問題ですね。「所要内部資金確保については電気の安定供給確保に寄与するという見地からみても、需要家も負担し、協力を行うことが要請される。」政府も十分配慮せいということになっておるわけでしょう。だから、ずばり具体的に、その設備投資をする、金がかかる、それについては内部合理化等々で、いまの簿価との乖離、いろいろありましたけれども、そういう努力はもちろんするけれども、それでは現在の収支の現状から見たら多くが期待できない、したがって、需要家も負担し、協力せい、政府も配慮せよということですから、要するにこれは料金値上げということに結びついていくわけでしょう。これは否定できないでしょう。
  282. 大永勇作

    ○大永政府委員 これは電気事業審議資金問題懇談会の提言でございますから、われわれはそれを受け取りまして施策をやるわけでございますが、この提言の中には、確かに先生指摘のように、たとえば将来可能な時点においては一部の設備等につきまして定率償却に復帰するとか、そういったような希望が含まれているものとわれわれとしては了解しておりますが、先ほど申し上げましたように、現時点におきまして直ちにそういったことが可能な情勢であるというふうには考えていないということでございます。
  283. 野間友一

    ○野間委員 そう遠慮しなくても、ずばり書いてあることの趣旨を言ってもらったらいいので、「電力新報」の五月号でも九電の永倉社長が書いておりますが、これを見ますと、この中でも、料金値上げ理由一つに、電源開発などが比較的順調に進んでいる、これが要するに値上げ理由一つだという記載があるわけですね。これはごらんになったと思うのですね。つまり、設備の増強あるいは資本費の増大、これが料金値上げの要因になっておるということを九電の社長が認めておるわけでありますが、そうしますと、ここで私、本当に懸念するのは、五十年代になってどんどんどんどん設備増強が進んでいく、しかも設備需要の中心と申しますか、割合として産業が非常に多い。その設備をどんどんどんどんやるごとに、それが料金にはね返ってくる。五十年度はずいぶんこれから上がっていくのじゃないか。この九電の社長の話によりましても、ちゃんと値上げ理由の中に入れておるわけですね。この点がやはり勤労市民と申しますか、消費をする普通の家庭にとってみれば大問題だと思うのですね。これはいかがですか。
  284. 大永勇作

    ○大永政府委員 確かに資本費の増大する傾向がございます。これは一つには、オイルショックを契機にいたしまして、設備の工事単価が非常に上がっている。恐らくオイルショック前に比べまして、現在は七割程度工事単価が上がっておるというふうに思うわけでございますが、この工事単価の上がりました設備が今後ちょうど稼働時期に入ってまいりますと、いわゆる償却資金その他の関係で上がってくるという問題がございます。それから同時に、公害防止投資その他設備投資の内容もふくらんできておるというふうな点もございます。  そういうことからいたしまして、資本費の増大というのは確かに今後の非常に大きな問題である。ただ、これは過剰な設備をつくるということではございませんで、あくまでも電気の安定供給に必要限度設備をつくっていく。しかしながら、工事費の単価の上昇その他において資本費の上昇につながってくる、いわばやむを得ない面もあるのではないかというふうにわれわれとしては考えておるわけでございます。
  285. 野間友一

    ○野間委員 もとに戻りますが、それが、電灯の需要増加が六十年までの十年間に八百九十四億キロワットアワー、産業用が二千六百七十二億、産業用が電灯の約三倍になっておるわけでしょう。こういうことから、要するに設備投資がこれを理由にしてどんどんどんどんやられる、それが全部はね返ってくるのがたまらぬ。特に家庭用の、電灯の料金にはね返ってくる、これは避けられないと思うのですね。これは国民感情として、こういうようなことでわれわれに全部はね返ったらたまらぬというのが率直な感情なんで、そういう点から質問申し上げているわけですけれども、特に総括原価を電圧別あるいは需要種別に配分する仕組みでは、電灯への負担が一番重くのしかかってくるという仕組みは、これは否めないと思うのですよ。  これは九州電力の場合、少し検討したわけですが、総括原価の四四%が固定費ということになっております。その金額は四千三百三十六億円、そのうち電灯需要への負担配分が何と千四百九十八億円ということになるわけですね。ところが、特別高圧電力の場合にはこの負担配分が九百六十六億円、高圧電力で千二百九十二億円というふうに、計算しますとそうなるわけですけれども、そうなりますと、消費電力量が家庭用電灯の二倍になっておる大口電力は、一方の固定費の負担は半分近くで済む、これは不公平ではなかろうか、こうなったら、原価主義による料金制度そのものも、これはやはり大問題だというふうに言わざるを得ないと思うわけですね。  しかも、これが今後十年間の相次ぐ料金値上げ、しかもこれが民生用の電灯とかあるいは家庭用の値上がりということで連結してはね返ってくる、そういう事実についてどう考えられるのかと  いうことと、同時に、設備資金調達を検討される場合に、この料金制度についてもあわせて検討しなければ、こういうような不公平は国民感情からしたらどうにもならない気持ちになってくると思うのですね。こういう点についてはどういうふうにお考えでしょう。
  286. 大永勇作

    ○大永政府委員 固定費の各需要種別への配分に  つきましては、発電部門の固定費、それから送電部門、変電につきましても一次、二次、三次というふうに、それぞれの部門での固定費をそれぞれの需要種別に配分する、こういう形になっておるわけでございます。  ただ、家庭用の固定費の負担が特別高圧に比べまして大きいのじゃないかという御指摘でございますが、これは特別高圧の場合には発電部門から  一番短い経路で需要者のところまで電気がいく、それから家庭用につきましては、送電、さらに変電も一次、二次、三次変電を経ましていくわけでございますので、どうしても固定費の中で電灯にいく分がその分だけは多くなるという事情があることは、ひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。  ただ、具体的な九州電力のいま申された数字が、もし今度の料金認可申請の数字にかかわるものであるといたしますならば、これは今後われわれといたしましても厳重に審査の上で結論を出すべき問題でございますので、その点もあわせて御了承いただきたいと思う次第でございます。
  287. 野間友一

    ○野間委員 繰り返しはいたしませんけれども、とにかく何をやっても庶民にツケが回ってくるということは、実際私たちは耐えられないわけです。  要するに、四十年代に比べて五十年代の需要測定の伸び、これはパーセントにすればなるほど産業用がそんなにばかでかいということではないと思いますけれども、実数からすればそうではなくて、膨大なそういう実数になるわけですね。しかもそれに対して、そういうものを賄うために設備投資をされる、設備投資をするのに金がかかる、どこから調達するかということで、この意見書によりましても、これはやはり需要家の協力を求めなければならぬということになるわけですね。そうして、その原価主義からずっと計算していきますと、結局そのツケは、全体の割合が少ないにもかかわらず、やはり国民に回ってくる。ですから、四十年代の高度成長経済の時期での安定期に比べて、もっともっと厳密に需要などを想定されて、その中で特に、諸外国の例もありますけれども、日本が特別この負荷率が低いというようなことも踏まえて、やはりもっと硬直でなくて弾力的に考える、しかも、設備投資を考える場合には、やはり料金制度というものも絡めてやらなければ、これはどうにもならないというふうに思うわけです。  今度のこの法案についても、私たちはそういう点からやはりもっと再検討する必要があるのと違うのかという意見をきょうは申し上げて、あとまた次回に申し上げたいと思います。  終わります。
  288. 稻村佐近四郎

    稻村委員長 次回は、来る十四日金曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十分散会      ————◇—————