○齋藤(太)
政府委員 最近の
中小企業の景気動向でございますけれ
ども、やはり一般的な景気動向と同様に、ことしに入りましてから
中小企業関係の各種の
経済指標はそれぞれ上向きに転じてまいっております。
〔
委員長退席、橋口
委員長代理着席〕
たとえば生産も、この二月は一月に比べまして二・三%のアップでございまして、前年の二月に比べますと、一一%増といった上昇を見せております。その結果、出荷もふえまして、在庫は減少を見せつつある、こういう
状況でございます。
ただ、こういうふうにやや上向きになってまいりましたけれ
ども、その生産活動の水準自体はまだ非常に低い水準にございまして、二月が、速報でございますが、生産指数が一〇二・六でございます。昨年の一番底でございました二月が九二でございましたので、約一〇ポイントほど上がってはおりますけれ
ども、一番ピークでございました
昭和四十八年の十一月の一二四に比べますと、まだまだ低いレベルにあります。一〇二と申しますと、
昭和四十五年を一〇〇とした指数でございますので、四十五年をやや上向いた程度の水準でございます。しかしながら、傾向としては上昇に向かいつつあるということが言えるかと存じます。
ただ、業種別に見ますと非常に業種別に格差がある点が特徴でございまして、自動車部品、あるいはカラーテレビの関係、あるいは音響機器でございますとか、精密機械とか、繊維の縫製加工部門とかいった、主として消費財に関連した分野がわりに早くよくなりつつございますけれ
ども、資本財、投資財といったような鉄鋼、工作機械、そういった分野は依然としてまだ不況に沈潜しておる、こういう
状況かと存じます。
それから、倒産の
状況でございますが、これは昨年の秋以来、依然として高水準にございます。昨年の八月まで大体九百件台で推移をしてまいりましたが、九月から千件台になりまして、十二月に約千五百件という戦後最高の倒産件数になりましたが、ことしに入りましても、一月が千七十五件、二月が千八十九件、三月は期末という点もございまして千二百二十五件というように、依然として高水準にございます。これは、
中小企業の中にも業種別にもいろいろ格差が出ておると申し上げましたが、
中小企業の企業自体の中に格差が出てまいりまして、同じ業種でありましても、その中に好調の企業と非常に苦しい企業とある。特に借入金が多かった、あるいは過去にいろいろ事業を急激に拡大した、こういった企業につきまして、長い不況の間に息切れを生じてまいりまして、特に昨年の秋から倒産がふえてまいっておるわけでございます。
金融面で見ますと、一般的には金融の
資金需要はやや鎮静化をいたしておりまして、
政府系三機関に対する
資金の申し込みは、このところ、前年同期に比べて一−三月で大体一〇%増ぐらいの
資金需要でございます。御
承知のように、
資金の手当ての方は、たとえばこの四月以後も大体前年に比べまして二割増の
資金枠を用意いたしておりますので、三機関の融資面での
資金の手当てとしては不足するということはないかと存じますが、ただ、企業自体の体質が企業によりましていろいろ違っておりますし、民間の金融機関等の選別も
強化されておると申しますか、そういう
事情がございますので、倒産自体は高水準になっておるという
状況でございます。
これは一面、
中小企業の経理
状況が必ずしもまだ好転していないということのあらわれでもあろうかと存じます。日銀の
調査によりますと、ことしの二月の
中小企業の経常利益は、過去の不況時でございました
昭和四十六年の下期の経常利益に比べましても六十数%にすぎないといわれておりまして、生産、出荷は上向きましたけれ
ども、収益
状況という点ではまだまだいまだしの感がございます。これは、一つには原料
価格が上がってまいりまして製品
価格がそれほどに上がっていないという、原料高製品安といった面の反映でもございまして、そういう面で経理面がまだそう上向きの
状況になっておらないという面も反映いたしまして、倒産は高水準にございます。今後もこういった千件台の水準がいましばらく続くのではないかというように見ておる次第でございます。
私
どもの対策といたしましては、何と申しましても金融面で必要な
資金を用意するということが第一だと考えまして、
政府系の三機関は、今年度、御
承知のように去年に比べまして二〇%増の三兆五百億の融資枠で出発をいたしております。
それから、信用保険の面でも、御
承知のように不況業種指定制度というのがございます。三月末で一応切れました業種ほとんど全部につきまして、さらに六月まで指定の延長をいたしました。
それから、民間金融機関にお願いをいたしまして
中小企業救済特別融資制度というのを実施いたしておりますが、特に四−六月につきまして信用保険の不況業種として指定されておる業種を対象といたしまして、四百五十億円の救済融資を現在実行中でございます。
なお、
政府系三機関につきましての返済猶予の弾力化でございますとか、担保等の取り扱いの弾力化につきましても従来から指導をいたしておるところでございますが、さらに
中小企業の困っておられる
事情を十分配慮するように指導してまいりたいと考えております。