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1976-07-16 第77回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年七月十六日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 兒玉 末男君    理事 今井  勇君 理事 金丸 徳重君    理事 柴田 睦夫君       塩川正十郎君    塩谷 一夫君       田中  覚君    葉梨 信行君       深谷 隆司君    藤井 勝志君       増岡 博之君   三ツ林弥太郎君       宮崎 茂一君    村岡 兼造君       金瀬 俊雄君    川崎 寛治君       斉藤 正男君    山本弥之助君       栗田  翠君    高橋  繁君       広沢 直樹君  委員外出席者         科学技術庁研究         調整局生活科学         技術課長    渡辺 重幸君         国土政務次官  野中 英二君         国土庁長官官房         審議官     紀埜 孝典君         国土庁長官官房         災害対策室長  山本 重三君         国土庁土地局土         地利用調整課長 佐竹 五六君         国土庁地方振興         局長      土屋 佳照君         国土庁地方振興         局山村豪雪地帯         振興課長    吉田 佐敏君         文部省管理局助         成課長     倉地 克次君         厚生省社会局庶         務課長     北村 和男君         農林大臣官房審         議官      杉山 克己君         農林省農蚕園芸         局総務課農産企         画室長     松山 光治君         林野庁指導部長 藍原 義邦君         建設省計画局長 大富  宏君         建設省計画局宅         地開発課長   梶原  拓君         建設省河川局水         政課長     吉沢 奎介君         建設省河川局治         水課長     本間 俊朗君         建設省河川局防         災課長     井沢 健二君         建設省河川局砂         防部長     松林 正義君         建設省河川局砂         防部傾斜地保全         課長      大工原 潮君         建設省道路局有         料道路課長   宮崎 昭二君         建設省住宅局参         事官      救仁郷 斉君         建設省住宅局建         築指導課長   大田 敏彦君         国土地理院地殻         調査部長    原田 健久君         自治省財政局交         付税課長    今井  実君         消防庁防災課長 永井 浤輔君     ————————————— 委員の異動 七月十六日  辞任         補欠選任   阿部 喜元君     葉梨 信行君   天野 光晴君     塩川正十郎君   羽田野忠文君     田中  覚君   旗野 進一君     藤井 勝志君   渡辺 紘三君     深谷 隆司君   阪上安太郎君     斉藤 正男君   古川 喜一君     川崎 寛治君   三浦  久君     栗田  翠君 同日  辞任         補欠選任   塩川正十郎君     天野 光晴君   田中  覚君     羽田野忠文君   葉梨 信行君     阿部 喜元君   深谷 隆司君     渡辺 紘三君   藤井 勝志君     旗野 進一君   川崎 寛治君     古川 喜一君   斉藤 正男君     阪上安太郎君   栗田  翠君     三浦  久君     ————————————— 五月二十四日  一、災害対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十一年六月二十二日から二十六日まで並  びに七月十日から十二日までの梅雨前線豪雨に  よる災害対策  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 兒玉末男

    兒玉委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  去る二日の理事会において、六月二十二日から二十六日までの梅雨前線豪雨による被害状況について国土庁当局から説明を聴取した後、直ちに鹿児島県下に委員派遣を行うことに決定いたしました。  派遣期日は、七日から八日の二日間でございまして、この両日被災現地実情をつぶさに調査してまいりましたので、派遣委員を代表いたしまして、私からその概要を御報告申し上げます。  派遣委員は、柴田睦夫理事高橋繁委員宮田早苗委員、それに委員長の私、兒玉末男と、ほかに宮崎委員宇田議員中馬議員橋口議員及び川崎議員地元鹿児島県から参加されました。  なお派遣委員に対し、県を初め、鹿児島市、垂水市、鹿屋市、桜島町等から要望書が提出されておりますので、これを本日の委員会議録参照として掲載されるようお願いいたしたいと存じます。  まず最初に、六月二十二日から二十六日までの鹿児島地方気象状況について御説明いたしますと、太平洋高気圧と北からの高気圧の勢力が均衡したため、梅雨前線九州南部に停滞し、この前線上を一日置きに低気圧が数個通過し、南から暖かい湿った空気が流れ込んだため、二十二日から強い雨が断続的に降り続き、特に二十四日から二十五日にかけまして記録的な集中豪雨となり、各所に被害を与えたのであります。  県の説明によれば、今回の集中豪雨による被害は、死者三十二名、重傷者十二名、軽傷者二十八名の人的被害と、全半壊合わせて三百五十棟、その他床上床下浸水を含めれば、二千六百余棟の住宅被害をこうむったとのことであります。被害住家のみならず、公共建物文教施設、その他公共土木、耕地、農作物、山林等々、被害総額は実に二百四十億円にも達しているとのことであります。  なお、鹿児島当局概況説明のあと、同様に梅雨前線豪雨により災害をこうむりました宮崎県からも総額百六十五億円に達する被害実情要望等がございましたので、この際申し添えておきます。  以下、視察の日程に従いまして、被害状況等につきまして御報告いたします。  福山町磯脇川周辺の六月二十四日から二十五日の日雨量は三百四十七ミリを記録し、小河川にもかかわらず、土砂堆積土量八千立方メートル、流失土一万二千立方メートル、流域面積本川三・八平方キロメートル、支川一・〇平方キロメートルとなり、このため家屋流失浸水等被害国鉄大隅線に多大な被害を与えたのであります。同線はいまだ不通でありまして、復旧工事が急がれるところであります。  また、今後の防災措置といたしまして、ダムの造成治山砂防工事等について速やかに検討を進めるべきであります。  牛根港から桜島港に通ずる国道沿い山腹土砂崩れは六十ヵ所に及んでいるところであり、また、周辺山岳地帯における一千ミリに達する豪雨は、八十歳の古老をもってしても初めての経験であったとのことであります。  この地域被災者は現在市営住宅に入居しておりますが、災害対策の一環として、今後は公営住宅の増設と、住居移転につきましても、借り入れ方式が、住民返済能力がないことから、補助金かさ上げ等個人負担の軽減について強い要望がありました。  牛根境を流れる境川は、三方山に囲まれて、その中の一つの沢から流れる小河川でありますが、集中豪雨による増水は、三万立方メートルの土砂を伴う濁流となって家屋や田畑を境港まで押し流したのであります。  危険地帯に位置する深港部落ではございますが、がけ崩れ等により犠牲者が四十名にも達する人的被害発生した状態にあったにもかかわらず、避難命令の徹底等敏速な処置によって一人の死者もなかったとのことであります。牛根麓の山崩れ現場は、昨年六月二十二日、二家族七人が生き埋めとなり死亡した場所から約百メートル市街地寄りの地点で、幅二十メートルにわたって高さ約百メートルから国道二百二十号線の道路下約八メートルの国鉄バス休憩所を埋めたものであり、折から休憩中の職員四人が山崩れの直撃を受け、重軽傷を負ったとのことであります。  昨年の崩壊個所は、緊急治山事業復旧治山事業による防壁杭効果を得て崩壊を免れたのでありますが、横側から流失しました土石は最も軟弱な地帯山崩れ発生させたのであります。  桜島内の野尻川は土石流失によって河川形態を失っておりました。また、第二野尻橋橋げた約十メートルが上流からの巨石土砂によって完全に埋まっておりまして、今後の降雨を考えるとき、復旧工事促進を願いたいところであります。  鹿児島市内鴨池唐湊現場は、鹿児島大学農学部唐湊果樹園に面した丘陵地帯でありまして、がけの上部や中腹に農家や住宅が点在しており、今日までこれといった災害はなかったのでありますが、四日間にわたる豪雨原因し、たっぷり水を含んだシラス土壌は信じられないスピードで傾斜を滑り落ちたものでありまして、このがけ崩れにより、鹿大生を含む四名がとうとい命を失ったのであります。  周辺農道が随所に走っているため、豪雨の際はこれが川となって水かさを増し、さらに被害を大きくしたものであります。場所的に機械の搬入が難航しているとのことでありますが、二次災害が心配される現状において、復旧は緊急を要するものがあります。  宇宿町は市街地の外れであり、シラス土壌の山を削って造成した紫原団地の行き場のない雨水が、南側の高さ百メートルの切り立つような雑木林のすそ野の一角を崩壊させて、下部に建つ民家五棟を直撃したもので、今次豪雨災害による犠牲者の最も多い九名を数えた場所であります。被災現場はいまだに布団や本が片づけられずに残っており、当時の悲惨さを目の当たりに見る思いがしたのであります。  なお、地域住民代表から、被災地に対する同情はありがたいが、もっと具体的に財政的援助等救済措置を講じてほしい旨の強い要望がありました。  桜島深谷川中流の農業用施設についてでありますが、異常な豪雨増水を呼び、上流からは三十トンにも及ぶ巨石が流出し、降雨状態によっては今後も憂慮されるとのことであります。  また、上流地域砂防施設につきましても、押し出された土石流によって、営林署が民有林直轄治山事業として着工した一千二百立方メ−トルの水量を保有する堰堤が決壊し、さらに堰堤直下道路が破壊されるとともに下流に多量土砂流失させたのであります。説明によれば、今回の異常な降雨はもとよりでありますが、たび重なる地震によって地盤が弱まっていたこと、山腹の樹木が噴火による降灰によって枯れ、これが原因して水量が増加し、四十八年まで使用していた登山道路が水路と化して深谷川に流れ込んだため、一層被害を大きくしたものと推察されるのであります。  町当局によれば、町内河川二十七ヵ所中、危険河川八ヵ所、そのうち今次災害による被害は七ヵ所に上るとのことであります。  西道川は四十九年度建設に係る農道の橋梁が押し流された土石によって破壊され、その上、橋げた周辺は直径十メートルに及ぶ巨石が散在し、これがため橋の形態を失って、見るも無残な状態でありました。  垂水市小浜川流域は、上流の裏山が崩壊し、住家、非住家が全壊並びに半壊したものであります。この地も他の地域と同様に農道は甚大な被害をこうむったのであります。  鹿屋市天神町荒平は、国道二百六十九号線から山手に入った場所で、約二十戸が密集しており、切り立ったがけ下住宅一棟が約五十立方メートルの土砂によって押しつぶされたものであります。このため幼児一名が死亡し、一名が重傷を負ったのでありますが、原因についても戦時中発掘した防空壕ではないかとの説もあり、対策もあわせて究明を急いでほしいものであります。  この地区は一キロメートルにわたって急傾斜地が存在し、そのうち二百二十メートルについてがけ下危険区域として指定されたのでありますが、危険地域移転についても、市内所得水準の五五%の低さであり、経済的に苦しい状態であって、行政指導を行うにしてもむずかしいものがあるとのことであります。  野里地区農地災害は八十二ヘクタールに被害をこうむったのでありますが、幸いにして河川の護岸が終了した後であったため、砂のみの流入で終わったのであります。これはシラス対策事業が実効を上げ得たものとして、今後も同対策事業を推し進めることが必要であります。  市街地を流れる肝付川の支流鹿屋川が大幅に増水し、朝日町内平和橋朝日橋中間付近左岸堤防が長さ八十メートル、奥行き二十メートルにも及んで決壊したのでありますが、緊急復旧工事が順調に進み、鋼矢板を差し込み、どろを注入するなどして、応急対策は終わっておりました。今後は本復旧に全力を挙げ、増水が予想される台風シーズンまでには完成するよう工事促進を願いたいところであります。  大崎町曲の崩土も激甚をきわめておりましたが、国道に面した山地崩壊と路肩の崩壊は、二百六十九号線のこの地域だけで百六十七ヵ所にも上るとのことであります。  大隅町持留の国道二百六十九号線沿い山地が崩れ、土砂道路のすぐ下の民家を直撃し、人的、物的に被害を与えたのでありますが、すでに後片づけも終わり、住宅の痕跡を全く失っておりました。  松山町河床は高さ三十メートル、幅五十メートルにわたってがけ崩れ発生し、一万二千立方メートルの土砂がけ下の二棟とさらに道路下の一棟の民家を一挙に押しつぶしたもので、ここでは五名の人命が失われております。視察当日も宇宿町の現場と同様に、ビニールによって覆ってはおりましたが、ブルドーザー等復旧に精力的に取り組む姿が見られました。  なお、町当局説明によれば、当町の財政規模は年度九億円に対し、今次災害による被害総額は五億円に達しているとのことであります。  所見といたしまして、まず河川関係につきましては、原形復旧に拘束されることなく、現地からの要望が多かった改良復旧に着手するよう検討すべきであり、また山地崩壊についても、この地の特殊性から予算措置を講ずるとともに、緊急治山事業等について適切な措置を講ずべきであります。  また、農地農業用施設林道等につきましても、緊急査定を実施し、がけ地災害発生の多発に伴い、関係各省が連絡を密にして万全を期さなければなりません。  鹿児島における災害は、家屋被害などが少ないわりに多くの死者を出した豪雨禍であります。原因の大半は、この地域特有シラス地帯という最も軟弱な土壌によるがけ崩れであり、改めてほぼ五〇%をシラス層に覆われた県内の特殊土壌地帯であるという特殊性を考慮する必要があるのであります。  今次災害を契機として災害因果関係を究明し、再度災害発生防止、とりわけ人的被害発生防止に最善を尽くし、地域住民が安心して生活できるよう、宅地造成等を含め抜本的な災害対策を講ずるとともに、必要な施策を強力に推進すべきであります。  以上、若干の所見を交えながら被害実情について御報告いたしました。  終わりに、今回の派遣に際しまして御協力をいただきました鹿児島当局並びに関係市町村当局に対しまして厚くお礼を申し述べ、派遣団報告     —————————————  終わりに、今回の派遣に際しまして御協力をいただきました鹿児島当局並びに関係市町村当局に対しまして厚くお礼を申し述べ、派遣団報告
  3. 兒玉末男

    兒玉委員長 この際、お諮りいたします。  鹿児島県及び被害市町からの詳細な要望事項等につきましては、これを本日の会議録末尾参照として掲載いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 兒玉末男

    兒玉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————     〔要望書本号末尾に掲載〕      ————◇—————
  5. 兒玉末男

    兒玉委員長 次に、六月二十二日から二十六日並びに七月十日から十二日までの梅雨前線豪雨による災害対策について、政府より説明を聴取いたします。野中国土政務次官
  6. 野中英二

    野中説明員 六月二十二日から二十六日まで及び七月十日から十二日までの梅雨前線豪雨による災害について御報告いたします。  六月二十二日から九州中心として西日本地方に断続的な大雨があり、鹿児島県、宮崎県を初めとする各県に、がけ崩れ河川はんらん等による被害が生じました。  これらの災害による被害状況は、現在までに判明したところによりますと、一般被害といたしましては、死者三十六人、建物の全半壊流失百七十五棟、床上浸水三百七十二棟であり、施設関係等被害額といたしましては、公共土木施設関係約四百四十二億円、農林水産業関係約二百八十二億円、その他の被害を含めますと、総額で約七百四十四億円に上っております。  この災害に対してとった措置といたしましては、災害発生と同時に一県五十二市町村災害対策本部を設置し、消防、警察、自衛隊等により被害拡大防止並びに被災者救出に努めるとともに、被害の特に大きい鹿児島垂水市には災害救出法を適用し、応急救助救護活動を行いました。  一方、政府といたしましては、私、国土政務次官を団長とする調査団を六月二十九日及び三十日に鹿児島県へ派遣し、被災地実情調査に当たるとともに、関係省庁においては、災害発生後直ちに関係係官現地派遣し、被害調査及び応急措置指導に当たりました。  また、七月十日から関東南部東海地方豪雨があり、静岡南伊豆中心に、河川はんらんがけ崩れ等による被害が生じました。  これらの災害による被害状況は、現在までに判明したところによりますと、一般被害といたしましては、死者、行方不明十五人、建物の全半壊流失七十一棟、床上浸水二千四百四棟であり、施設関係等被害額といたしましては、公共土木施設関係約七十四億円、農林水産業関係約三十八億円、その他の被害を含めますと、総額で約百五十億円に上っております。  この災害に対してとった措置といたしましては、災害発生と同時に一県十一市町災害対策本部を設置し、被害拡大防止並びに被災者救出に努めるとともに、被害の特に大きい静岡県下田市、南伊豆町、河津町及び松崎町の一市三町には直ちに災害救助法を適用し、応急救助救護活動を行いました。  また、政府におきましては、七月十二日から十四日にかけ関係省庁係官静岡南伊豆地方派遣し、被害調査及び応急措置指導に当たりました。  なお、今後とも被害調査に基づいて、被災者及び被災地方公共団体災害復興に必要な万全の措置を講じてまいる所存であります。
  7. 兒玉末男

    兒玉委員長 これにて政府説明は終了いたしました。     —————————————
  8. 兒玉末男

    兒玉委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮崎茂一君。
  9. 宮崎茂一

    宮崎委員 私はこの前、当院の南九州災害視察団の一員といたしまして現地視察いたしました。それに基づきまして若干政府質疑をいたしたいと思います。  御承知のように、六月の二十二日から二十六日にかけましての豪雨でございますが、鹿児島におきましては五百ミリ前後の豪雨になったわけでございまして、それによりまして鹿児島下死者三十二名、重軽傷三十二名でございますか、被害総額二百四十億円というふうな災害発生をいたしたわけでございます。この災害につきまして、目下まだ被害額査定が終わらないとは思いますけれども、私どもが見たところでは町村の財政収入に対しまして非常に被害の方が大きい、そういったことから局地激甚災害指定になるんではないか、またそうしていただかないとなかなか鹿児島県貧乏でございますので、災害復旧もできないんではないか、かように思っている次第でございますが、その激甚災害指定の問題につきまして政府のお考え方、予想でも結構でございますが、お聞かせ願いたいと思います。
  10. 紀埜孝典

    紀埜説明員 お答え申し上げます。  報告額は先ほどのとおりお聞きいたしておるわけでございますが、ただいま現在関係省庁調査中でございますので、正確な数字がわかり次第、基準に照らして手続を進めたいと思っております。大体本激それから局地激甚の両方の指定の仕方があるわけでございますが、数市町村については局激には該当するという市町村も出ておるようでございます。
  11. 宮崎茂一

    宮崎委員 いまここで何町、何町と御答弁できるわけでもございませんが、その激甚指定の方はまた今後とも慎重にひとつ考慮していただきたいと思います。  次に、同じく財政問題につきまして——自治省見えておりますか。災害を受けました市町村災害復旧事業に対しましては国庫補助金、これも激甚指定によって違うわけでございますが、国庫補助金等によりましていろいろ配慮されておりますが、現実の問題といたしまして、災害発生いたしますと被災団体は非常に財政負担が多くなるわけでございまして、そのための財源確保が大きな問題になるわけでございます。  そこで、自治省にお聞きしたいのですが、特別交付金を出すとかあるいはまたいままでの交付金の繰り上げをするとか、そういったことによって財政運営支障を来さないように私は希望したいと思いますが、この点はどうなっておりますか。
  12. 今井実

    今井説明員 ただいま先生のおっしゃったとおりでございまして、自治省といたしましても、今回の災害のために被害を受けました団体が、今後そのために財政運営支障を来すことはないようにということで、特別交付税あるいは起債措置につきまして十分配慮をしていくつもりでございます。  なお、この機会に申し上げておきたいと思いますが、普通交付税は本来ですと九月に交付すべきものを、今回、昨日でございますが、十五日付で繰り上げ交付をいたしました。該当団体鹿児島県、宮崎県、大分県、熊本県、四県にわたりますが、百二十六の市町村に対しまして総額七十九億円余りの交付税を繰り上げ交付をいたしております。そのうち鹿児島県分が約五十一億円弱でございます。  以上でございます。
  13. 宮崎茂一

    宮崎委員 それでは次に、今回災害をこうむりましたのは、多量の雨とそれから鹿児島特有シラス地帯ということでございまして、特殊土壌に関する法律と無関係ではないと思うわけでございます。この法律はほうっておきますと来年の三月末に失効になるわけでございます。まだ時間も長いわけでございますけれども、私どもはまだまだこの法律施行期限と申しますか、これは今回の災害にかんがみましてもさらに延長をする必要がある、そうしていただかなければ、いろいろな面で鹿児島みたいな貧乏なところは非常に困るのじゃないか、こういうふうに思っておりますが、これに対しましては、まだ先のことでございますけれども政府の方としてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  14. 土屋佳照

    土屋説明員 ただいまお話しのように、特土法は来年の三月末で効力を失うということになっておるわけでございますが、この法律昭和二十七年にできまして以来第五次の計画に至るまでいろいろな面で非常に効果を上げてきたと私どもは考えているわけでございます。かたがたいまのお話のようにシラス地帯にはなお問題も残っております。そういったことから関係各県からもいろいろと延長について要望等も出ておりますので、私どもとしては関係方面と相談しながら前向きにこの延長問題については検討いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  15. 宮崎茂一

    宮崎委員 今回の鹿児島市内宅地災害、いわゆるシラス台地災害について考えてみますと、いま研究されていると思うのでございますが、私は、これは自分個人として考えておるのでございますが、シラス台地の上の方と下の方で非常に人家に被害が起きたということでございますので、そういったところは危険地帯指定するなりあるいはまた公共的な場に使うなり、そういったようなことを考えて、将来の鹿児島の都市計画といった面とも考えあわせてやらなければならぬのじゃないか。鹿児島市は人口が年間一万から一万五千ずつふえておりますので、土地がございませんから山を切ってそこに宅地をつくる、こういうことになるものですから、その点につきましては、まだ時間もございますし、これからいろいろと御研究になることでもございましょうから、きょうは私の私見といたしまして、そういう点につきましてもひとつ御考慮願いたいということで、御要望にとどめておきます。  あと時間もございませんので、具体的な話に次々と参りたいと思います。まず、桜島の問題を主として取り上げ、そして後でまた鹿児島の宅地の問題、大体二つの大きな問題にしぼって御質問をしたいと思います。  御承知のように、桜島は活動火山の法律によりましていろんな整備をいたしておるわけでございますが、今回の災害は、私ども現地で見ましたところは、まず噴火による火山灰が出る。そして、桜島の頂上あたりは、これはもう緑は何もございません。火山灰のために草木、緑がだんだんと少なくなってくる。おまけに火山地帯である。シラスの地帯である。それから豪雨、こういうふうに条件が非常に悪いと申しますか、火山活動による地震とシラス、それからまた火山灰の化学的な作用、こういったことで桜島のてっぺんから山地崩壊、これは自然現象で防ぎようはないとは思うのですが、山腹崩壊をしておるという問題でございまして、それが桜島周辺になりますと、周辺に大きな道路がございますけれども、その周辺、つまり鹿児島湾に注ぐ川というのが川ではなくて、普通は水がなく、非常に狭い、そして上の方はどんどん土砂崩れしてくるということでございまして、これはよほど特殊な考え方でやらないと、普通の河川事業ではないんじゃないか。山腹事業ということで、県の方でも実は手をやいておりまして、たまたまきょう直轄の治山工事の起工式が現地であるのでございます。農林省の直轄の治山事業をやろうということです。非常に小さい川でございますけれども、それほど技術的に問題がある。  ですから、その点についてこれからお尋ねを申し上げたいのでございますが、桜島に、これは桜島町でございますが西桜島と言っておったところ、視察の二日目に見たところでございますが、長谷川とか深谷川というちょっとした川が八本ございます。そして、私ども現地視察をして見ましたときに、西道川というのは川幅がちょっと広くなっていて、現地の人の話によると、川の改修をするときにこんなに広く要るのかというふうに思っておったけれども、今度の災害を見て、八本の中でそこだけはうまく何もなかった、こういう話があるわけなんです。広い川だと思っておったが、いまとなってみれば、私どもが行って見ましてもそんなに広くございません。幅が四、五メートルくらいのものでしょうか、私もはかってみなかったからわかりませんが、そういうようなことがございます。それから、山腹の方へ行ってみますと、もう沢か畑かよくわからないようなことでございますが、こういった砂防事業に対して、ことしはこれから直轄でやろうということです。林野庁としてどういうふうな施工法でおやりになるのか。特に御留意願いたいのは、山腹の方は住家も何もないわけですが、心配をしておるのは、二十トン、三十トンの大きな石が中腹にひっかかっておるわけですね。下の方の人家の人々が非常に心配しておる。この次大雨が降ったときにはあれがどんどん崩れてくるのではないか、そうして家を失うのではないか、一瞬にして命をなくすのではないか、そういう心配でございますが、そういう点について、本当に小さい川ですけれども、これをどういうふうに復旧をして、そういう住民の不安を取り除こうという対策があるのかどうか、これば所管は林野庁でございますか、お聞かせ願いたい。
  16. 藍原義邦

    ○藍原説明員 桜島につきましては、先生御指摘のとおり従来からもいろいろ災害がございましたので、過去においても補助治山において治山を実行いたしておりました。しかしながら、最近の地震その他等によりまして、今後の問題もございますので、五十一年度から直轄治山といたしまして国直轄で治山事業をいたすことにいたしております。  その計画といたしましては、五十一年から十年間の計画で直轄治山を行おうということで、治山事業でやります地域といたしましては西桜島地区でございまして、主として桜島町、一部鹿児島市が入りますけれども、主として桜島町を対象にした西桜島地区で直轄治山を行おうということを考えております。  経費は、現在の計画ではおおよそ三十五億というふうに計画いたしておりますけれども、今回の災害あるいは今後のいろいろな状況を見まして、その時点、時点で検討してまいるという考え方に立っております。  それから、工事の方法でございますけれども、いま先生御指摘されましたように、下流、中流あるいは上流さらには山腹と、いろいろ問題がございます。したがいまして、上流部におきます山腹崩壊、これは主として渓間の侵食ということで起こっておりますので、復旧の工法といたしましては、治山の堰堤あるいは護岸工等をつくりまして、山脚が洗われることのないように山脚の固定をいたしまして、その後山腹につきましては土どめ工あるいは必要な山腹工を施行して山腹崩壊を防ぐという施工を行おうというふうに考えておりまして、できるだけ早く緑化ができるような方途を考えております。さらに、中流部その他につきましては、床固め工あるいは水路工を設けまして、河川の固定を図ろうという考え方でございますし、さらには渓間の侵食を防ごうというふうに考えております。  また、先ほど御指摘ございました河川の問題でございますけれども、あそこの今回の直轄治山の流域には八本の河川がございまして、そのうちの一本につきましてはいままでの補助治山におきましてすでに実行いたしまして、先生御指摘のとおり河川も広くいたしておりますが、今後直轄で復旧工事をやります場合には、他の渓流につきましても関係省庁と十分連絡をとりながら、調整のとれた計画計画的に実行してまいろうという考え方に立っております。
  17. 宮崎茂一

    宮崎委員 林野庁で上から下までを一緒にやられるわけですか。それとも中流や下流は建設省ですか。その点はいかがですか。
  18. 藍原義邦

    ○藍原説明員 過去においてやりました西道川につきましては、林野庁で全部いたしました。しかしながら、今後残っております渓流につきましては、農地もございますし、また建設省の関係もございます。したがいまして、そういう関係方面と十分連絡をとりながら、上の方から順々に対応してまいろうというふうに考えております。
  19. 宮崎茂一

    宮崎委員 そういたしますと、林野庁と農林省の農地局ですか構造改善局ですか、それと建設省、三者になるわけですね。  そこで、これはひとつ政務次官にお答え願いましょうか。いま申し上げましたように、桜島の山のてっぺんから、下の方はすぐ海になってしまうわけですね、そこまで林野庁で、一つの省で一貫して砂防対策をやった西道川というのは、今回非常に安全だったわけですね。今後の七河川については三つの省のセクションが地区を分けて、山腹と中流と下流の方ですか、下流と言っても本当にもう雨が降らないと何にも水のないところですね。ですから、これを各省のなわ張りでやっていいのかどうか、一ヵ所で思想を同じにして設計もし計画をして施行しなければうまくいかぬのじゃないかと思いますが、その点は、とにかく地元としては一貫した計画のもとに同じようにやっていただかなければならぬわけですね。ちぐはぐじゃ困るわけで、ただ下流の方は水を流しさえすればいいんだ、中流の方は畑地のかんがいをやればいいんだ、上の方は土砂崩れせぬようにすればいいんだということでは本当に困るわけで、実際は桜島のてっぺんはどんどん崩れていくんです。ほうっておいても自然に崩壊してしまう。ですから、土砂が崩れてくるんですから、土砂をなるべく早く海に流して、畑地にも流れないし、人家にも被害のないように、そういう思想で一貫してやらないとうまくいかぬのじゃないかと思いますが、各省関係いまの三セクションに分かれてこれからやろうという話のようでございますけれども、それに対して次官、一本にされるか、またうまくやれるのか、その点お答え願いたいと思います。
  20. 野中英二

    野中説明員 宮崎先生の御質問にお答え申し上げます。  私も野尻川初め桜島河川の実態を見てまいったわけでございます。あるいはまた昨年の徳島の災害を見てまいりまして、大変先生の御心配のようなことを私みずからも体験をしてまいったわけであります。しかしながら、私どもといたしましては、各省庁と連絡をとりまして、一省が工事施行をしたと同様な成果の上がるように思想を統一いたしまして、その一つの基盤の上に立って工事を施行してまいりたいというふうに考えております。
  21. 宮崎茂一

    宮崎委員 いまの次官のお話のように、これは普通の大河川で言えば、利根川あたりで言いますと、私はもううんと上の方だと砂防工事そのものだと思っているのです、本当に水がないのですから。普通は流れていないのです。その点については私は何もここで一本化しろと言うわけじゃないのですけれども、仕事がうまく同じような考え方のもとに、同じ設計でいけばいいんですから、これはひとつきょうおいでになっている各省の方々十分現地でも打ち合わせをしていただきたいと要望しておきます。  それから、野尻川の問題、これは建設省でございますか、私どもが行ったときに非常に大量の土砂が堆積しておりまして、海の方に埋め立てておりましたけれども、一体あれは何年くらいかかるのか。ほとんど川いっぱい埋まってしまって道路の上まで来ているというような状態でございますが、また次々に災害が来るんじゃないかと思うわけです。  それと、ついでにお尋ねしますが、国庫補助率がどのくらいなのか。三分の二というふうに承っておりますが、火山の噴火による、そしてまた山の崩壊によるものですから、補助率についてもっとかさ上げはできないのかどうか、その二点を、これは建設省の方ですか、お伺いいたします。
  22. 松林正義

    ○松林説明員 お答えいたします。  野尻川に今回の災害等で非常に土砂が堆積いたしまして、先生方ごらんのとおりでございます。この堆積しました土砂は次の洪水時に非常な悪い条件となりますので、直ちにこれの掘削を現在実施しておるところでございます。総力を挙げてと申しますか、直轄で実施しておりますので、これはできるだけ早く全部取ってしまう、恐らくこの次の出水までには大体の流路を確保できるという段階までやる予定でございます。  それからその次に、補助率のかさ上げの問題でございますけれども、砂防法によりますと、直轄事業も補助事業も国の補助率は三分の二ということでございまして、もしこれをかさ上げということになりますと、特別立法なり何なりということになりまして、現在のところ桜島のような問題につきましては、事業を集中いたしまして地元に御迷惑のかからないようにということを考えておりまして、そのために現在は補助率のかさ上げということは考えていないわけでございます。
  23. 宮崎茂一

    宮崎委員 それから、非常に細かい話でございますけれども、湯之持木港という港があるわけです。きょうは運輸省は呼ばなかったのですが、国土庁の方かち。  湯之持木港という港に避難場所、避難の広場が近く接近して二ヵ所ございます。その二ヵ所の避難場所を結ぶ道路がないわけです。ですから、これも非常に困ると思いますが、これは港湾局は来ていなかったですね。それでは、国土庁の方から連絡をしていただいて、私の方にその道路計画があるかどうか、非常に短い間です、同じ港の中に両方あるわけです。それをつなぐ道路があった方が非常に便利じゃないかと思いますから、これは国土庁の方から後で連絡していただきます。国土庁よろしゅうございますね。
  24. 山本重三

    山本説明員 ただいまの点、よく実情調査いたしまして、御要望の点につきまして十分検討いたしたいと思います。
  25. 宮崎茂一

    宮崎委員 それから次に、避難壕の問題でございますが、避難港や避難壕つまり避難舎と申しますか、大分鉄筋コンクリートのりっぱなものを活動火山の法律によりまして整備をしていただいておる。しかし、今度の災害で話を聞きますと、いまの役場ですか、あれは非常に古いものですから、あそこでいろんな指揮をとる、そういたしますと、雨が漏ってどうにもしようがない。ほかにそういったような避難施設と申しますか、いろいろ指令をする場所というのですか、対策要員が待機するとか、そういった宿泊施設とかあるいはまた通信施設とか、そういった機能を備えた避難の中枢的な施設と申しますか、そういったものが必要だということをあそこの町長さんが言っておりましたが、このことについては中央の方はいかがですか、まだお聞きになってないですか。
  26. 紀埜孝典

    紀埜説明員 お答え申し上げます。  こちらの方でも、現地に行かれたときに役場の庁舎をどうするとかいうお話などもいろいろ承っておるようでございますので、十分地元の御意向をお聞きして善処してまいりたい、かように考えております。
  27. 宮崎茂一

    宮崎委員 これは個人的な考えでございますけれども、活動火山の法律の第四条の第四項に「学校、公民館等の不燃堅牢化に関する事項」、第五項に「その他政令で定める事項」とございますので、あるいは行政当局の御判断なりそういったもので法律的にはできるんじゃなかろうかというふうに思っておりますから、これはひとつ御検討していただいて、よく県と御連絡をしていただきたい、こういうように思います。これは要望でございます。  次に、どうも時間も余りございませんので、鹿児島の市内のいわゆるシラス地帯、今回非常に死者がよけい出ましたが、このシラス地帯対策と申しますか、それについてお伺いをいたしたいと思います。  御承知のように鹿児島市は、先ほど申し上げましたが、人口が年間一万ないし一万五千ずつふえる、そしてまた今後もふえるんじゃないかと思うわけでございます。鹿児島県全体はそんなにふえません、横ばいですが、鹿児島市だけがふえる、ほかが過疎になる、こういうことでございます。したがいまして、鹿児島市は周辺がほとんど山でございまして、城山を切ったりあるいはまた周辺の山を切って宅地を造成している。それが全部シラス台地でございますから、シラス台地の真ん中ですといいのですが、いわゆるがけのすぐ近くのところからあるいはがけの下、これは非常に危険なんで、今回の死者が出たのもそういうがけに近いところでございます。したがいまして、こういったのは私有地だと思いますけれども、やはりああいうがけ崩れがいたしますと排土作業もしなければならぬ、あるいはのり面を、これはシラスなんですが、これを従来より安定な形に何とかしなければならない。後の復旧をどうするか、こういうような問題があるわけですが、これにつきましては所管がどこなのか、建設省の傾斜地ですか、担当官の方でどういう復旧工事をおやりになって、そして国庫補助がそれにあるかどうか、また復旧工事費に大体どのくらいかかるのか、そして時間がどのくらいかかるのか、もし調査が済んでおりましたら、ひとつ御報告願いたいと思います。
  28. 大工原潮

    大工原説明員 お答えいたします。  鹿児島地方中心といたしました梅雨前線豪雨によりまして、鹿児島県全体といたしまして約百四十二ヵ所の災害を見たわけでございます。現在、先生御承知のように急傾斜法律に基づきまして、そういったおそれのあるところは積極的に指定地にするというふうなことで、行為を規制する、避難体制をつくる、あるいは防災工事をやるというふうなことで防災対策を進めてきたところでございますが、今回の災害のところにつきましては、一応採択基準に合う範囲のものにつきまして早急に緊急急傾斜崩壊対策事業として採択してまいる予定でございます。県からの報告によりますと、県下全体で約十ヵ所ということで現在協議を進めているところでございます。
  29. 宮崎茂一

    宮崎委員 一番死者の出ました鹿児島市内については二、三ヵ所ですか、十ヵ所の中でどのくらいですか、わかりませんか。
  30. 大工原潮

    大工原説明員 市内はいまのところ五ヵ所を予定いたしております。
  31. 宮崎茂一

    宮崎委員 先ほど申し上げましたことに答弁が漏れてやしないですか。傾斜地ののり面保護と申しますか、そういったような国庫補助はあるわけですか、どのくらい出ますか。
  32. 大工原潮

    大工原説明員 工法等につきましては現在協議中でございまして、金額的にはまだ明確にお答えできる段階ではございません。ただ、斜面の再度災害を防止する、あるいは今回の崩壊の範囲につきまして堅急急傾斜対策事業として施行する予定にいたしております。
  33. 宮崎茂一

    宮崎委員 この急傾斜地の上と下の宅地は、ほうっておきますと、一般の市民は知りませんから、どんどんまた家をつくるんじゃないかと思うのですね。そこで、やはり宅地造成をある程度指導というのですか、規制をしなければいかぬのじゃないか。そういうようなことをひとつ、これは建設省の住宅局ですか、県と協議してこれからどういう方法で規制をする必要があるのか、規制をおやりになるのかどうか、このことについてお話を伺いたいと思います。
  34. 藍原義邦

    ○梶原説明員 宅地造成等規制法を所管しておる立場からお答えいたします。  鹿児島市につきましては、現在六千百八十二ヘクタールの宅地造成工事規制区域の指定をいたしております。その区域内で宅地造成工事指導監督をいたしておるわけでございますが、この区域内での事故の状況でございますが、一昨日、鹿児島当局から中間的な報告を受けたところでございます。約十九件、区域内でがけ崩れあるいは土砂流出がございまして、中身を点検いたしますと、いずれも違法な、許可を受けない工事に起因する事故でございまして、適法な行為によります工事関係ではほとんど人家に影響がないという状況でございます。したがいまして、やはり違法な行為、工事をどんどんパトロールいたしまして点検し、指導監督するということがこれからの規制行政の本筋じゃなかろうかというふうに思っております。  ただし、今回の被災個所につきましては、鹿児島当局におきまして宅地造成審議会をかねてから設置いたしておりますので、その場で専門的な調査研究をなされるように聞いております。その成果を待ちまして、必要がございましたら指導の技術的基準の検討等を進めていきたいというふうに思っております。
  35. 宮崎茂一

    宮崎委員 一般の人はなかなかわかりにくいわけでございますが、いままでシラス地帯は直角に、真っすぐ切って、そこの下に家を建てておるのですが、今回の災害にかんがみまして県あるいは市を通じてよく指導をされるように強く要望をいたします。  なお、がけ下の家がまだ相当ございますから、これはある程度危険であると考えられるわけです。鹿児島市内には相当ございます。がけ下の家というのは鹿児島市内の一割近くになるんじゃないか。これが全部危険だとは決して申せませんが、そういうようなことで、今後市の方でもがけ下あるいはそういった住宅を集団的に移転をする、そういうふうな集団移転を積極的に推進をすべきではないかというふうに私は考えておりますが、これは国土庁ですか、それに対してどういうお考えか。
  36. 土屋佳照

    土屋説明員 防災のための集団移転につきましては、従来から防災集団移転特別措置法に基づきましていろいろと全国的に実施をしてきておるわけでございます。特にこのシラス地帯は、集中豪雨等の原因によりまして災害発生するおそれも強いわけでございますので、災害危険区域内の住民市町村の相互協力によりまして、法に基づく集団移転事業が推進されます場合は、国土庁としても住民の意向等を十分尊重いたしまして、関係地方公共団体と緊密な連絡をとりながら事業を推進していきたいと思っておるわけでございます。  ただ、御承知のように、前々から住んでおる人の意向もございますので、危険だからというので前もって移転していただければいいわけでございますけれども、これを強制的に進めるということもなかなかできにくい。そういった点もございますが、こういったことが住民との間でよく緊密に連絡がとれて、事業がスムーズにいくようにしたいと思っております。  また、直接の所管ではございませんが、がけ地近接危険住宅移転事業費補助金の制度も別途建設省あたりあるわけでございます。いろいろな制度を活用しながら、おっしゃったような危険ができるだけ前もって予防できるように努力いたしたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、つい最近でございますが、いまのような趣旨を私どもの方から地方団体にもまた注意を喚起する意味で通知をいたした次第でございます。
  37. 宮崎茂一

    宮崎委員 もう時間が来たようでございますが、最後に、このシラス地帯の今回の地すべりの原因ですが、いろいろ言われております。まず、シラスというのが水に非常に溶けやすいんだという説がございます。しかしまた、水をはね返すんだ。今回の地すべりは表土の方がまず滑っちゃった。というのは、シラスが水をはね返すと申しますか、水を余り寄せつけない。だから、表土とシラスの間に水がたまっちゃうんだ。それで、表土が崩れてしまうんだ。それで、後から少しそれに伴ってシラスが崩れたんだ、こういうような説もございます。それも私どもも思うのですが、やはりシラスは大体真っすぐ、直角に切った方がいいという議論があるのです。というのは、雨に当たる面積が少ないわけです。極端に言うと、真っすぐ雨が降るということはほとんどない。斜めに切りますというと雨に浸食される面が非常に多いわけですから、これはかえって危険だと言われておるわけです。田上というところに新しくつくった広い道路は、何段もこういうかっこうに段をつけて、高さ五、六十メートルぐらい切って排水をよくしてあります。ところが、そのシラスが、場所によって鹿児島市内でもいろいろ違うわけです。灰の細かいものと、それから軽石の入ったものといろいろ違うのです。ですから、いま言いました田土地区の方は全然壊れていないのです、相当に高いがけですが、新しく切ったところですけれども。  ですから、このことにつきましてはいますぐ御答弁はできないかもしれませんけれども、学者の間でもこういういろいろ説があるようでございますから、これは国土庁でしょうか、それとも建設省でしょうか、現地の方と基本的な技術的な面も研究願って、そしてここにはこういうふうなやり方がいいとある程度御指導をしていただきたい。そうでないと、真っすぐ切った方がいいかどうか非常に問題があります。ですから、この点につきましてはうんと技術的な問題を検討して、研究所にもやらせて、そしてまた現地にも連絡してやるとか、何かひとつ国土政務次官から結論的にお言葉をいただきたい、こういうふうに考えます。
  38. 野中英二

    野中説明員 お答え申し上げます。  大変貴重な御意見を賜りまして、ありがたく思っておる次第でございます。過日参りましたときに金丸知事さんの方からも、抜本的にまた学術的に理論的に解明をいたしたいということで、ぜひ国土庁もこれに御協力を願いたいというお話がございまして、私たちもいま学者の選考等を重ねておるところでございますが、このシラス地帯特殊土壌地帯の防災上からの抜本的な解明をいたしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  39. 宮崎茂一

    宮崎委員 それでは終わります。
  40. 兒玉末男

  41. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 七月十一日の伊豆半島を中心とした静岡地方の災害につきまして、関係当局にお願いとお尋ねをいたしたいと思います。なお、私が通告していた以外に、せっかく御出席でございますので、通告以外の質問も出るかと思いますけれども、答えられる範囲でお答えをいただければ大変ありがたいと存じております。  伊豆の地は、天下の景勝地とも言われ、また楽園などとも言われ、天然自然の恩恵に大変恵まれて、海の幸、山の幸の多いところであります。しかし、天は二物を与えずと申しましょうか、まれに見る災害地域でもございまして、御承知のように、一昨年は大地震に見舞われました。昨年もかなりの水害にやられました。そして、今回の大水害でございます。その都度、政府関係当局においてはいろいろな配慮をいただいてまいりましたけれども、今度の災害が五百ミリを超す天城山系への降水量といったようなことから、人災ではなくてまさに天災だという声もあります。しかし、たび重なる災害に地元住民としては全く不安な気持ちであるし、生活の基盤が根底から崩れるというようなことから、大変憂慮をしている点も多々あるわけでございます。  私は、まず最初に政務次官に伺いたいと思うのでありますけれども、大河川につきましては不十分だとは言えかなりの改修が進んで、今日大河川での直接の水害といったようなものは減っていると思うのであります。しかし、中小河川の改修は容易に進まない。今日の降雨の実態等から見ますと、川というよりもみぞあるいは堀あるいは山間のくぼ地といったようなところが豪雨によっていわゆる鉄砲水を生み、大災害原因になっているというようなことが一つはあると思うのであります。これらの中小河川の改修につきましてはそれぞれ努力はしているとは言いますけれども、何せ数が多いのでございますから、みぞとか堀とか谷合いというようなものまで含めていきますと、際限ないという言い方もありますけれども、大河川に比べて中小河川が改修がおくれていることは事実だと思うのであります。  もう一つは、乱開発とは言いませんけれども、かなり極限に近い傾斜地、あるいは先ほど九州災害でお話がありましたけれども、土質、地質等の配慮を抜きにした無謀とも言える開発といったようなものも進んでいるし、特に伊豆災害につきましては、規定をされている二十ヘクタール以上の大規模開発が、あるいは宅造あるいは娯楽施設あるいはゴルフ場といったようなものを含めまして十七ヵ所もあったわけでございます。もちろん規制がございまして、厳しくチェックをされているはずでありますけれども、規制どおりにやったにしてもその後の運営管理、手入れ等々の不十分さから、果たすべき排水あるいは土砂の滞留といったようなものの管理が不十分なために、規定上設置をした施設が機能していないというようなことから災害原因になっているというようなことも言われているわけであります。  で、国土庁としては総合防災体制をあらゆる角度から検討をされていることも承知をいたしておりますけれども、一たん許可をされた大規模開発等について、開発途上においてあるいはその後の管理運営について手抜かりがなかったかどうか、私は疑問に思わざるを得ないわけでございます。そうした面から中小河川の抜本的な改修の見直し、あるいは大規模開発の規制と同時に施工途上あるいは完成後の管理運営等に対する指導が今後の課題であろうというように思うわけでございますけれども、最初に所見を承りたい。
  42. 野中英二

    野中説明員 斉藤先生の御質問に答える前に、静岡南伊豆地方被災者の皆さん方に謹んでお見舞いを申し上げまして、御答弁をいたしたいと思います。  先生のおっしゃられるとおり、中小河川の進捗率というものが、大河川に比較いたしますと、率直に申し上げまして遅延をいたしておるという実態は私も認識いたしておるところでございます。しかし、毎年これが改修のための努力をしているということも同時に認めなければならない点であろうと思うわけであります。  今次の災害等を振り返ってみますと、被害面積というものに比べて被害額並びに被害の密度というものが非常に濃くなってきておるというのが近年における被害の内容でございます。したがいまして、これを含めてわれわれといたしましては防災体制の万全を期するために再検討をしてまいりたいというふうに考えておりますし、特に今度は御存じのとおり日曜日にも遭遇いたしたものでございますから観光客等が非常に多かった、これの避難体制をどうすべきであったろうかということを含めてもう一度防災体制の検討をしたいということで、各省庁と連絡をとって御期待に沿うようにしたいというふうに思います。
  43. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 ああいう観光地で陸路がすべて遮断をされ、しかもお話がありましたように日曜日であったというようなことから、いまだ経験したことのない混乱が現地にはありました。現地の皆さん方にはそれほどでないにしても、旅行中の皆さんにしてみれば、これは留守宅の心配等々は別といたしましても、とにかく通信が途絶をしているわけでございますから、その安否の連絡等を含めて罹災地から脱出をするというようなことまで関係業者あるいは関係自治体が配慮しなければならぬ、まさに宿命的な、観光地の典型的な日曜災害というようなものを今度経験したわけでございまして、総合防災体制については抜かりはないと思いますけれども、ぜひお話しのような配慮を特段とお願いをいたしたい。特に強烈な台風九号がまた虎視たんたんとして本土をねらっているというようなことになりますればなおさらのことでございますので、お願いをいたしたいと思うわけであります。  宮崎委員の質問にも関連して冒頭激甚地指定についてでございますけれども、あえてこれからの災害を望むわけでも何でもありませんが、局地激甚にいたしましてもあるいは一般激甚にいたしましても厄介な枠がございまして、何も被害が大きいことを望むわけでも何でもありませんし、災害のないことを望むわけでありますけれども、最近かなり弾力的な運用をいただいて、御高配をいただいていることば承知をいたしております。したがいまして、雨季でも上がらなければ災害の見通しなんというようなものも立たないし、また災害の見通しが立つということもおかしいのでありますけれども、これから本格的な災害のシーズンと言えばまたそうも言えると思うわけでありますが、伊豆地方の激甚指定についても九州と一連のものと考えていただいて、同様な御配慮がいただけるものかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  44. 紀埜孝典

    紀埜説明員 お答え申し上げます。  もちろん梅雨前線関係災害というところで十分気象庁などともよく相談いたしてまいりたい、かように考えております。
  45. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 ぜひそのようにしていただきたいと思うのでありますが、災害復旧は最近は大分いろいろな総合的見地から復旧をいただいておりますけれども、原則として原形復旧、もとの形に戻す、配慮をしていただいて災害関連事業に適用をいただく、そして改良復旧をする、さらに特別な起債をそれに与えて上積みした改良もいただけるというようなことで、順次災害復旧が、原形復旧の原則から同じ場所で同じ程度の水なり風なり地震なりの場合はもう大丈夫ですという形の復旧がなされていることば私も承知をいたしております。現地が一番要望することは、やはりもとどおりに直したのだからいいじゃないかということではだめなんで、改良復旧、関連工事を含めてやはり大丈夫だというような形のものにしてほしいというのが偽らざる要望でございます。また、それが国土建設なり保持なりあるいは民生安定の上から言っても当然だというように思うわけでございまして、少なくも同じ個所が数年の間にダブル災害を受けるというようなことは、災害原因によっても違うかと思いますけれども、これは長い目で見て国づくりではないというように思います。原則的に災害復旧のあり方についてどのようにお考えになっているのか、これまた関係者から答弁をいただきたい。
  46. 井沢健二

    ○井沢説明員 私の方で担当しておりますのは公共施設の災害復旧でございますが、いま先生のお話のとおりでございまして、災害復旧としましては原則的に原形復旧ということになっております。しかしながら、原形復旧と申しましても完全にもとどおりに直すというふうなことばかりではなしに、そのものの機能をもとに戻すといういわゆるみなし復旧と申しますか、そういうふうな面も非常にあるわけでございます。たとえば、道路の場合にのりが非常にきつくて崩れたというふうな場合には、それをもとどおりに直すのではなくて、通常改良工事等で、確かにここのところはこういうのりの勾配にすべきであるというふうな、そういうものに直してございます。そういうふうにいたしますので、そういう場合には、たとえば用地買収費等もかかるわけでございますので、そういう用地買収費用も見まして、また同じようなことにならないように考えております。  また、川につきましては、非常に大きな被害を受けたような場合には、一定災と申しまして、二割程度くらいの未被災、要するに壊れてない個所がありましても、全部災害復旧費で直すというふうなことをやっております。それから、仮に言うと、半分くらい壊れたというふうな場合には、関連事業であるとかあるいは助成事業といったふうなことで、未被災地区にはそういう改良費用を足す、あるいはもとの災害を受けたところにつきましても、やはりそれよりもっといいものにするための改良費用を足すというふうなことで改良復旧をいたしております。  そんなふうなことで、大体申し上げますと、全体の災害費の大体三割程度がそういう改良復旧に関連するような災害費でございます。
  47. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 なおその基本的な考え方を拡大して、改良復旧の施行について特段の要請をいたしておきたいと思います。  先ほどもちょっと触れましたけれども、陸路が全部遮断をされました。今日なおほとんどが不通でございます。県も地元も鋭意、漁業補償等は後回しにしても、とにかく線路なり道路なりに落ちた土石の排除にいま全力を挙げているわけでございますが、主要道路の開通の見込み等について、建設省関係の方いらっしゃいましょうか、おったらお答えください。  なお、いま一番困っているのが道路と、もう一つは電話でございます。これは私、電電公社を呼んでおりませんので無理かと思いますけれども、観光地でございますから、下田を中心とした観光宿泊施設等も、予約の申し込みもできなければ問い合わせもできない。特に南伊豆町は日本最大の民宿の地であります。民宿の施設は全く無傷であります。しかし、申し込もうにも申し込みのしようがない。電話が不通だというようなことで、これまたシーズンを目前にして全くめどが立たないということで大変でございます。幸いにして海上自衛隊並びに海上保安庁から船舶を提供していただきまして、かん詰めにされていた観光客等は救出をいただいたわけでございますけれども、ただ一本の大量輸送機関である伊豆急がこれまた大被害を受けているというようなこと等もございまして、道路復旧、そしてまた電話の復旧等々が下田を中心とした罹災地の観光業者にとりましては緊急事であります。大変な動員をして復旧作業に全力を挙げていただいていることはわかりますけれども、これらの点についておわかりになっている方がありましたら、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  48. 井沢健二

    ○井沢説明員 伊豆の災害につきましては、あの東側を走っておりますのが百三十五号線の国道でございますが、これにつきましては有料道路でございまして、道路公団が維持管理をいたしておりますので、復旧につきましては道路公団がやることになると思います。これを所管しておりますのが道路局の有料道路課の方でございますので、本日参っておりませんので、後ほど先生の方へ御報告に差し向けたいと思います。  それから、そのほかの国道の補助事業であるとか、あるいは市町村道それから県道等の災害復旧につきましては私の方で所管いたしておりますので、その他のところについてお話しいたしたいと思っております。  西側の方を走っております百三十六号というのがございます。これにつきましては、下田に近い方につきましては、例のマーガレットラインという有料道路がございまして、その道路を使いまして現在開通をいたしております。したがいまして、下田に行きますには、その西側の百三十六号並びにマーガレットラインを通じまして現在開通できる状態になっております。  この百三十六号のところで一番被害が大きいところが松崎町の岩科地区というところでございますが、これは河川沿いにあります道路でございまして、現在非常に水当たりがひどいというふうなことで、その道路が約百メートル以上にわたりまして全部流されてしまったというような状態でございます。したがいまして、そこに盛り土をいたしまして、じゃかご等で押さえようというふうなことで現在工事にかかっておりますので、今月中ぐらいにはあの百三十六号線は開通いたすのではないかと思っております。  それから、その他につきましても、主要地方道といたしまして下田から松崎に行く線であるとか、あるいは下田から修善寺へ行く線であるとか、そういうようなところがございますが、大きなところで約四ヵ所ほどございます。これにつきましても、半分ぐらいは河川沿い道路でございまして、やはりそれがみんなふっ飛んでしまっているというふうなのが現状でございまして、現在すでにそういうところについては工事にかかっております。  それから、修善寺に行く道路につきましては、これは山の中の道路でございまして、谷間のところにすぽっと飛んでしまったというふうな状態でございますので、現在、ベーリー橋と申しまして組み立て用の橋梁を私どもの方の地方建設局で持っておりますが、そういうものを持ち込みまして、それでやりますと大体四十メートルぐらいのスパンまでかけられますので、いま現在そういうものの準備を進めておりますので、できるだけ早くそういうものも、あらゆる手段を使いまして開通を早めたいというふうに思っております。
  49. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 伊豆の農業の特徴は、御承知のようにワサビあるいは花類あるいはビニール栽培という形のきわめて集約的な農業であります。昨年の水害等でかなりの被害を受けた上にダブルパンチを受けました。問題は、災害資金を借りて復旧をしたその施設がまたやられたというようなことで、この借りた金について返してしまわないうちにまた借りなければならないというような事態もあるわけであります。これは観光業者の借金についても同様でございますけれども、これらの金融措置につきましては、ぜひとも返済期間の延長なり、あるいは再々借り入れの便宜なりを図っていただかなければならぬというように考えておるわけでございますが、罹災をした商工業者の借金返済等も含めてお答えをいただければありがたいと思います。
  50. 杉山克己

    ○杉山説明員 被災農家にはいろいろな形で制度資金等がいままですでに貸し出しが行われております。それらのものにつきましては、たとえば農林漁業金融公庫資金でありますと業務方法書によって、災害等の場合にはその償還期限を延長することができるというようなことが規定されております。私ども災害が起こります都度、そういう規定を活用して災害農家の実態に応じて償還期限の延長等必要な措置をとるよう指導してまいっております。今回の災害についても同様に指導してまいりたいと存じます。
  51. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 踏んだりけったりという言葉がありますけれども、まさにそういう形でダブルパンチを受けておるわけでございまして、しかもきわめて密度の濃い集約農業でございますから、それぞれの関係機関から特段の要請があるかと思いますけれども、特段の御配慮をお願いいたしたいというように思うわけであります。     〔委員長退席、金丸(徳)委員長代理着席〕  文教施設被害についてお願いをいたしたいのですが、立地条件が悪いのだ、あんなところに学校があること自体がおかしいというような言い方もありますけれども、開校してから長年無事息災で来たものが、今度裏山の大崩壊によって校舎、校庭等が激甚な被害を受けたというような形にあるわけでありますけれども、義務制の施設について文部省は災害復旧に対しどういう助成措置を考えられておるのか、承りたい。
  52. 倉地克次

    ○倉地説明員 私どもの所管しておりますのに公立学校施設災害復旧国庫負担法という法律がございまして、この法律によりまして、原形復旧が原則でございますが、改良復旧ども含めまして復旧費の三分の二を国庫負担することによりまして災害復旧に努めているところでございます。
  53. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 災害救助法が発動された市町村が、伊豆の場合は四つでございます。前々から私ども災害救助法指定の内容について、まことに時宜に適しない、それぞれの積算単価が安いというようなことで文句を言い続けてまいりました。その後改善をされたというように聞いておりますけれども災害救助法を適用する期間あるいは個所等々によっても違うと思うのでありますけれども、この災害救助法の内容について最近どうなっているのか、現地ではやはり、十分なものもあるけれどもこういう点において不十分だというようなことも出ております。災害時だ、文句を言うなというような言い方もありますけれども、一応現状について厚生省からお話を承りたい。
  54. 北村和男

    ○北村説明員 災害救助法に基づきます救助は、災害の混乱時におきます応急措置として行われているものでございまして、その内容につきましても逐年実情に合わせて改善を図っておるところでございます。つい先般も昭和五十一年度の基準を改定いたしましたが、その主なものを二、三申し上げますと、応急仮設住宅の設置につきましては一戸当たり六十二万八千円まで改善をいたしました。それから、災害時におきます炊き出しその他の食品の給与でございますが、これも一日一人当たり四百円までということで改善を図ったわけでございます。  今後ともこのような内容につきましては、いろいろな関係方面の御意見も承りながら逐次改善をはかってまいるよう努力してまいる所存でございます。
  55. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 最後に、先ほど交付税特別交付税交付等について九州災害については配慮をいただいたということを承りました。お答えは要りません、伊豆地区につきましても特段の配慮をいただけますようにお願い申し上げて、お尋ねを終わります。  ありがとうございました。
  56. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員長代理 次に、兒玉末男君。
  57. 兒玉末男

    兒玉委員 同僚議員に引き続きまして、今回の六月二十二日から二十六日までの南九州における集中豪雨に関連して関係の省に御質問いたします。  最初に、これは国土庁が所管かと存じますが、今年七十七国会に出されました防災関係の白書の三十ページの中で、特に第二節の「風水害対策」で「シラス地帯集中豪雨災害防止に関する総合研究」という項目が出されておりまして、すでに四十九年度を最終年度としていろいろな立場からの検討がなされているわけでございますが、この検討の内容としてはシラス災害発生要因、侵食、崩壊の機構、さらに防災対策の基礎であるがけ崩れの危険度判定手法の開発というものが国費において約三千二百万かけて行われたことが載っていますが、この研究の結果というものはどういうふうになっているのか。今回の南九州における宿命的な災害の主たる要因が特殊土壌であるシラス地帯にあることはもう先刻御承知のことでありますが、これについての担当者の御見解を承りたいと思います。
  58. 渡辺重幸

    渡辺説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘がありましたとおり、昭和四十七年から昭和四十九年にかけまして科学技術庁の特別研究促進調整費をもちまして関係各省と共同研究を実施したところでございます。この研究は、通産省、建設省、農林省、林野庁、それから宮崎県、鹿児島県、あと科学技術庁、これだけの各専門の研究員を動員して実施したわけでございます。予算的には四十九年度に終了いたしましたが、シラス自体非常に複雑な要素を持っておりますし、また崩壊に至ります原因も非常に多岐多様でございます。それでその後補足的な検討が重ねられておりまして、現在研究委員会、これには宮崎大とか鹿児島大の先生も御参加いただいているわけですが、研究委員会において取りまとめ中でございまして、なるべく早く公表に持ってまいりたい、このように考えております。
  59. 兒玉末男

    兒玉委員 これは要望でございますけれども、いままでの災害のいろいろな形態というのがあるわけでございますが、特に今回のように広範囲あるいは災害個所が多いというのは、近来ない状況だと思っています。そういう点から、せっかく国が総合的なこのシラス地帯の研究をした以上は、今後の防災対策について、この研究成果を踏まえて、どういうような構想のもとに対応しようとするのか、そのプログラムなりあるいは構想がもしまとまっておれは資料としていただきたい。なければ、今後の対応策はどういうように考えておるのか。各省にまたがっている関係でなかなかその対応策が進まない、そのうちにまた災害発生する、こういうことが十分懸念されるわけですが、この辺の見解はいかがでございますか。
  60. 渡辺重幸

    渡辺説明員 今度の研究の成果、これをなるべく早く、来月中にでもできればまとめていただくようにお願いしているところでございますが、その研究成果を関係各省に広く検討をお願いいたしまして、それをおのおのの行政に反映していただくようにこちらからもお願いしたい、このように考えております。
  61. 兒玉末男

    兒玉委員 できるだけ結論を急ぐように要望申し上げます。  次に、すでに宮崎議員からも御指摘があったわけですが、いま自治体が非常に望んでいることは、各市町村が激甚災害指定についてとにかく急いだ決定をお願いしたい、こういうことでございますが、当然これはそれぞれの公共土木なりあるいは農林関係なり災害査定ということが必要かと存じますが、それぞれ関係部門の大体の査定が完了するのはいつごろが目標になっているのか、それをそれぞれ各省ひとつお示しを願いたいと思います。
  62. 井沢健二

    ○井沢説明員 建設省の災害査定について申し上げます。  建設省の場合の災害査定につきましては、現在、県におきまして災害査定設計書の準備を進めておりますが、それが整い次第かかりたいというふうに考えております。  現在までに決定しておりますのは、次のとおりでございます。  鹿児島県につきましては、七月二十五日から約十日ほど緊急査定を実施することにいたしております。件数につきましては一千五百件でございまして、大体いままでの分の三分の一ぐらいでございます。それから、宮崎県につきましては、八月八日からやはり十日ほどやりたい、これにつきましては千三百件ほどということで、これにつきましても大体三割から四割程度ぐらいの件数でございます。それから、大分県につきましては、七月二十五日から三十一日まで約一週間、三百件でございます。これにつきましては、全体が、年の初めからでございますが、四十億ほどありますので、そのうち六億ぐらいですから一部でございます。佐賀県につきましては、七月十九日から一週間ほど、これは七百件ほどやりたいということで、十七億のうち十億ということでございますから大体半分ぐらいでございます。以上を進めたいというふうなことに現在なっております。  今回査定いたしますのは、緊急にどうしても早くやりたいというふうな点でございまして、全体が終わりますのは、今後の設計書のできぐあい等を勘案いたしまして進めてまいるわけでございますが、全国が決まりますのはやはり例年どおり、恐らく十二月の半ば過ぎごろになろうかと思います。
  63. 杉山克己

    ○杉山説明員 災害復旧のことでありますから一刻も早くという考え方のもとに、緊急査定等を実施しております。  農地農業用施設関係につきましては、この七月十二日から七月十七日にかけて、宮崎県それから鹿児島県について緊急査定を実施いたしております。すでに件数にして三百件ほど査定をいたしております。それ以外の地域につきましても、現地の準備完了を待って早急に査定を実施するということにいたしております。  それから、林野関係でございますが、治山施設災害については七月十九日から、それから林道施設災害については七月二十一日からそれぞれ査定に入る、そして八月上旬には完了させるということにしておりまして、完了次第、逐次工事を進めてまいりたいというふうに思っております。  なお、査定を待って着工したのでは現地の灌漑用水の確保、通行の確保、これらに支障を来す場合、あるいは被災施設等の被害が拡大するおそれがあるというようなものにつきましては、これは査定を待たずに応急工事または査定前着工ということで、積極的に工事を進めるということにいたしております。
  64. 兒玉末男

    兒玉委員 ただいまの両者の説明から、少なくとも八月の中旬ごろまでには査定が終わる。そうしますと、当然激甚災害指定についても、それを前後して一応の指定決定が行われると思うのですが、その目標について国土庁はどういうふうな見解をお持ちか、お伺いしたいと思います。
  65. 紀埜孝典

    紀埜説明員 お答え申し上げます。  先生御存じいただいておりますとおり、激甚災害指定には全国的な激甚、本激と申しておりますが、それと局地激甚、先ほど御指摘のとおりですが、全国激甚の指定の仕方につきましては、事業費の査定見込み額を使うということに相なっております。それから、局地激甚の方の関係につきましては、査定事業費の額をもとにして考えていく、こういうふうな形に相なっておりまして、査定見込み額につきましては各省と詰めるなるべく早い期間に見込み額をつかまえまして激甚指定の手続を進めてまいりたい、かように考えております。
  66. 兒玉末男

    兒玉委員 同じく国土庁関係でございますが、今回の鹿児島県の現地調査の中で、特に宮崎鹿児島県が主として長年恩恵を受けておる特殊土じょう地帯災害防除及び振興臨時措置法の期限が、先ほども御質問がありましたが、来年三月で切れるわけであります。それで、関係の町村並びに県からこれを再度五年間延長してほしいという強い要望が出ております。しかも、今回、大隅半島における笠野原台地のこの特土法適用によるいわゆる圃場整備がなされまして、その結果全く被害を受けてない。こういう点からも、この特土法の恩恵というものの与える影響がいかに大きいかということが証明されているわけです。でありますので、来年三月以降の延長についてどういうふうな見解をお持ちなのか、ぜひ五ヵ年再度延長について格段の御配慮と御協力をお願い申し上げるわけでございますが、政府側の御見解を承りたいと存じます。
  67. 土屋佳照

    土屋説明員 いわゆる特土法昭和二十七年以来、先ほどもお答えいたしましたが、五次にわたっていろいろと対策を立てまして、事業計画を立てて仕事を進めてまいったわけでございまして、それなりに私どもとしては成果を上げてきたものだと考えておるわけでございますが、来年の三月いっぱいで効力がなくなるということでございます。そういったことから、関係の各県におきましてもぜひこれを延長してもらいたいというような御意見を出されておるわけでございまして、私どももなおシラス地帯中心にいろいろ問題が残っておるように考えますので、議員立法という過去の経緯はございますけれども関係方面と十分連絡をいたしまして、この延長については前向きに検討をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  68. 兒玉末男

    兒玉委員 いろいろ細かい問題もございますが、特にこの点は南九州のいわゆる特殊事情ということを十分御配慮いただきますことを御要望申し上げる次第であります。  次に、農林省関係でございますけれども、今度の災害によりまして相当地域の農耕地が被害をこうむっているわけでございます。それで、先般の米価要求大会の全国集会に上がってまいりました農民代表から、現在稲作でやってきておるけれども、今度の災害のように非常に甚大な被害をこうむり、しかも今後同じ水稲をやるにしてもなかなかこれは問題がある、こういうことで、この際転作の措置をとりたいという要望が出ております。これに対して、もちろん耕地の災害復旧との関連もあるわけでございますが、今後の転作措置について、農林省としてはそのような要望に対してはどういうふうな措置をお考えなのか。もちろんこれはそれぞれ県、市町村の段階でも具体的な生産農民の要望に応じてその方途はいろいろあるわけでございますが、これに対する見解をひとつ承りたいと思います。
  69. 松山光治

    松山説明員 お答え申し上げます。  御案内のように、私ども転作の推進ということで、水田総合利用対策というふうに呼んでおりますが、本年度から三ヵ年の計画でいま実施中でございます。その場合の転作奨励措置、特に転作奨励金の支払いの問題というふうに考えますけれども、これにつきましては、農業者が計画的に稲の作付を行わないで一定の要件を満たす転作を行っていただいたときに奨励金を交付する、実はこういうたてまえをとっております。  お尋ねの件につきましては、現地の作付形態等を具体的に見た上で具体的に判断する必要があろうかと思いますけれども、一般的には、ことしの問題として考えますと、すでに稲の作付が行われておりますので、転作奨励金の対象にはしがたいというふうに考えます。  ただ、今後の問題といたしまして、お尋ねのように災害復旧をいたしまして、明年度以降転作に切りかえていくというような場合につきましては、それが水田として復旧されなくて、畑なりあるいは樹園地として復旧されます場合でありましても奨励金の対象にするという考え方でございます。ただ、奨励措置の対象になります対象作物が若干県によって違っておるという事情もございますので、あらかじめ関係の方々におかれましては市町村なり県なりと十分御相談いただきたいと思いますし、私どもといたしましても必要に応じまして適切な指導に努めてまいりたい、このように考えております。
  70. 兒玉末男

    兒玉委員 ただいまの件につきましては、今後さらに関係農民、団体と十分連携をとりながら要求すべき点は御要望したいと存じますので、よろしくお願いいたします。  さらに、農林省関係についてでございますが、今回の豪雨災害とは直接関係ございませんけれども、いま桜島地区においていろいろ要望がありましたが、この桜島の噴火によりまして宮崎県南部、都城、北諸県それから日南、串間、南那珂一帯に降灰による被害発生しております。これは桜島の噴火による降灰によりまして、たとえば桑、たばこ、茶など特に農作物に対する被害がきわめて大きいわけでございまして、これは関係市町村、県からも農林省に対しましていわゆる防災営農の対策事業としてこれの指定なり適用方についての強い要望が出されているわけでございますが、これに対する農林省としての対応策はどういうふうにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  71. 杉山克己

    ○杉山説明員 防災営農対策事業、これは活動火山周辺地域における避難施設等の整備等に関する法律に基づきまして、火山の爆発によって生ずる農作物の被害、その被害が農業経営に著しい支障を及ぼすおそれがあると認められる地域、そういう地域につきまして実施されるものでございます。この防災営農対策事業は、同法の八条に基づきまして県知事が防災営農施設整備計画を作成してこれを農林省に提出する、農林大臣がその承認を行うということを経て実施されるものでございます。今日まで鹿児島県それから熊本県の一部について防災営農施設整備計画が提出されておりますが、宮崎県ではいままで出されておらなかったわけでございます。ただいま先生のお話にありましたように、最近宮崎県の南部、一部の地域桜島の灰が降って、鹿児島県下同様に被害を受けているということから、その施設整備事業を行いたいという要望が出ていることは承知いたしております。そこで、私ども九州の出先であります九州農政局が現在宮崎県等関係方面の意見を聞いて調整中でございます。いずれ近く農林本省にも上がってくるものと思われます。私どもといたしましては、被害の実体がある以上、できるだけ対象地域として取り込むという考え方のもとに対処してまいりたいと思います。
  72. 兒玉末男

    兒玉委員 時間の関係もありますが、次に建設省関係についてお伺いします。  後で政務次官の見解も承りますが、先ほどもありましたように、特に災害復旧について一応原形復旧が原則である。しかしながら、具体的に申し上げますならば、私の方の都城市の中心にある丸谷川あるいは郡部にある炭床川また県南の恵良川、こういうような河川等におきましても、過去における災害復旧なりあるいは関連事業として改修の済んでいる区域は、全くこのような記録的な集中豪雨でも被害をこうむっておりません。こういう点から考えましても、やはり現在関連として工事中のたとえば田中川なりあるいは申し上げました丸谷川なり、こういうような地域における改修というものは、関係地区住民要望に十分こたえられるような措置をとってしかるべきじゃないのか。同時にまた長年浸水で被害をこうむっておる直轄河川でございますが、鹿児島県の鹿屋市の中心を流れる肝付川についても、強い要望によって過去三年間バイパスについての検討が終わっている、こういうことでございますが、これらについての見通し、さらにまた、これは鹿児島関係でございますけれども国道二百二十号線で鹿屋から福山、垂水、この地域において、せっかく道路も整備されたばかりでございますが、四十七年でございますか、この災害のときに、ぜひひとつ河川の流れを変えてもらう、それから橋げたを高くしてもらう、こういうような要望があったけれども、それが原形復旧という形で全然そのままで改善がなされないために、今回の集中豪雨でも甚大な被害をこうむっているわけであります。これは明らかに国費のむだな使用ではないか。こういう点からも、申し上げたような河川の改修なり道路復旧等については、長年その地に住んでいる住民なり自治体の経験というものから推しても、この際思い切った改善措置がとられてしかるべきではなかろうかと存じますが、こういうような点について、政務次官並びに関係担当者のひとつ前向きの御見解をいただきたいと思います。
  73. 野中英二

    野中説明員 委員長には、災害につきまして大変御理解と前向きの姿勢を示されておりますことにつきまして、厚く敬意を表する次第であります。  御存じのとおり、災害復旧を速やかにやる、これは第一義的な問題でございますけれども原形復旧にとどまらないで、やはり住民の意向をくんで改良をいたし、第二次、第三次災害の起きないような努力をしていく必要があろうと思うわけであります。経済的な効用というものもございますけれども、それを越えて、住民の生命、財産、国土の保全に全力を挙げてまいりたいというふうに考えております。
  74. 兒玉末男

    兒玉委員 それで、二、三具体的な点を指摘したわけですが、これについてもし御回答ができるならば、ひとつよろしくお願いします。
  75. 井沢健二

    ○井沢説明員 災害を受けた場合でございますが、たとえば改良工事等をちゃんとやってある川につきましては、先生の御指摘のとおり、確かに災害を受けないとか、あるいは受けたとしても非常に軽いというふうな状況がございますが、私どもの方では、災害復旧といたしまして一定の基準をつくってございます。これは全体の区間の八割程度が被災をいたしたような場合には、一定災というふうなことで、災害復旧費で全部やってしまうというふうなことを考えておりますし、それから半分ぐらい壊れたというふうな場合には、被災していない個所につきましても、改良費を入れまして、関連事業等で一緒に改良復旧をしてしまうというふうなことを実は考えております。  先生御指摘の高岡町の田中川でございますが、これにつきましては、かつて四十九年の災害関連事業で工事をしたところでございますが、その上流区間につきましてやはり今回被災いたしておりまして、この区間につきましては、現在県の方で災害関連事業として採択できないだろうかというふうな検討をいたしておりますので、県の方の結論を待ちまして、私どもに上がってまいりますれば、これは考えてまいりたいというふうに思っております。  それから、もう一つございますが、丸谷川の方でございますが、これにつきましては、過去におきまして、一番下流の高崎川の合流点の近所につきましては、四十七年の一定災でやっております。それから、その上流につきましては、やはり四十九年の関連事業でこれも工事を完了いたしておりますが、先生御指摘の場所は、それのさらに上流地帯ではなかろうかというふうに思っております。  この関連事業の上流には、約一キロ半ほどの狭窄部があるようでございます。その上の区間でございますが、これは約二十キロぐらいがあるわけでございますが、現在まで、四十七年災害から四十九年災害のときを考えてみましても、この二十キロ区間におきましては、大体二十ヵ所程度の災害しかない、延長につきましては、総計いたしましても六百メートルぐらいしかないというふうなことで、長い区間を考えますと、災害がばらばらあったというふうな状態にあったわけでございまして、このような改良復旧工事が適用できないというふうな状態になっております。今回の災害につきましても、いまのところ報告を受けておりますのは、約七ヵ所の二百メートル程度しか災害がないのだというふうなことでございますので、この辺は約五十センチぐらい全面的にオーバーしておりますけれども、やはり災害関連事業としては採択できないというのが現状でございます。
  76. 本間俊朗

    ○本間説明員 お答え申し上げます。  肝付川の鹿屋地区の問題でございますが、先生がおっしゃられましたように、昭和四十六年から建設省直轄管理区間に編入されました。編入されると同時に、鹿屋地区におきましての河川の断面が少ないということになりまして、バイパスが必要であろうということで調査に着手いたしました。それで、大体現在概要がまとまっておるわけでございます。  バイパスといたしましては、延長千八百八十メートルになるであろう、うちトンネル部分が千三十五メートル、開水路部分が八百四十五メートルということでございます。流量的に申し上げますと、現河道の方には二百五十立米毎秒、分水路の方には百五十立米毎秒、合計四百立米毎秒ということでございまして、昭和五十年度より用地買収を行っておりまして、昭和五十二年度から工事に着工できますようただいま検討中でございます。
  77. 兒玉末男

    兒玉委員 終わります。
  78. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員長代理 次に、柴田睦夫君。
  79. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 兒玉委員長を初め、この激甚災の指定に関連する問題、また特土法延長の問題、さらに改良復旧の問題などについて出されておりますけれども、これは私もやはり同じ考えを持ち、ぜひ実現の方向で努力していただきたいと思います。     〔金丸(徳)委員長代理退席、委員長着席〕  今回、鹿児島県の被災地をずっと見て回りまして特に強く感じましたのは、雨が多くて、そしてさらにシラスという特殊な土壌地帯である。すなわち、そういう意味では最も防災事業を本格的にやらなければならない地帯であるわけですけれども、そこでしょっちゅう災害が繰り返され、しかも大規模な災害であるということがあるわけです。そういう中で、どうかすると異常な豪雨あるいは特殊なもろい土質だというようなことから、だから災害もやむを得ないというような考え方が生じたら、これは大変なことであると思うわけです。雨の多い特殊な土壌地帯だからこそ、総合的なさらに進んだ特別の防災対策が必要であり、それはもちろん金のかかることでありますけれども、それを当然やらなければならないと考えているわけですけれども、大臣にかわってまず政務次官のその点の見解を伺っておきたいと思います。
  80. 野中英二

    野中説明員 先生御存じのとおり、特出法がつくられましたその精神というものをわれわれは十分理解しなければなりませんし、その特上法の第一条に、災害の防除ということを明確にうたっておるわけでございます。この議員立法の精神を体しまして、われわれも防災に全力を傾倒してまいりたいというふうに考えております。
  81. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 政務次官から力強い言葉があったわけですけれども、現実を見てみますと、やはりなかなか進んでいないというのが実態であろうと思うわけです。  国土庁が所管しておりますこの特上法、これは昭和二十七年に立法されてからすでに二十四年を経過しておりますけれども、まだまだこの災害はなくならないというのが現状であるわけです。この法律は、言われましたように、災害防除ということが大きな目的になるわけですけれども、この法律の実態そのものはいわば地域振興法のようになっておりまして、事実上補助率の若干のかさ上げという特典が中心になっております。その中で、今回特に感じるのですけれども、一番問題になります急傾斜地の保全事業、これがこの対象外になっているようです。この対象事業として、今回の経験から見ても急傾斜地の保全事業というものを入れなければならない、これは審議会で決めることですけれども、そういう発案をする考えがあるかどうか、お伺いします。
  82. 吉田佐敏

    ○吉田説明員 ただいまお話のございました急傾斜地保全事業につきましては、確かに現在の第五次の全体事業計画の中には入っておりません。それで、いま先生おっしゃいましたように、地元の方からも強い要望があるというふうに聞いておりますので、法律の改正、特土法の期限延長問題の一環といたしまして、関係省とも協議しながら研究してまいりたいというふうに考えております。
  83. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 これは鹿児島県庁の職員の方が書かれた大分前の論文を読んだのですけれども、要は、公共事業はいろいろ列挙されているけれども、その採択基準が全国一律で、シラス地帯特有のきめの細かな対策ということになると、結局県単やあるいは市町村の単独事業となってしまって、財政の限界によって防災対策が進捗しなくなる、こういう趣旨の論文を見たことがあります。この論文が書かれたころから相当な期間がたっているわけですけれども、シラス独自の採択基準になっているのは農林省の土地改良、これぐらいしかないというふうに見ておりますが、このシラス独自の採択基準の特例、これを認めるようにしたらどうかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  84. 吉田佐敏

    ○吉田説明員 いわゆる特土法に基づきます公共事業につきましては、特殊土壌地帯におきます災害防除、それから農地改良に関する事業でございまして、特土法が制定されました昭和二十七年から二十数年間にわたりまして事業を推進してきておるわけでございます。それで、私どもといたしましては、この事業の推進によりまして、特殊土壌地帯におきまして一応の成果を上げてきておるものというふうに考えております。ただ、これらの事業の中で、先ほどおっしゃいましたように、農林省で実施しております県営並びに団体営のシラス対策事業、それから特殊土壌地帯農地保全事業、こういった事業につきましては、特殊土壌地帯に対しましては採択基準の緩和という措置があるわけでございますが、いまお話のございましたように、その他の事業についても採択基準を緩和するかどうかという点につきましては、今後特土法延長のあり方の一環といたしまして、関係の各省庁とも御相談しながら研究を続けてまいりたいというふうに考えております。
  85. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 その特土法についてもう一つですけれども、これは山村振興課というのが所管しているわけですけれども、ここの公共事業は実際は各省各局がばらばらにやって、予算も縦割りでつけられることになっておるわけです。治山、治水事業について、土地利用を含めた総合的な対策を行おうとしたら、そういう意味では水系を一体としてとらえた総合的な計画に基づいて事業を執行して、一元化された整合性を持って行われるべきである。これはもうさきに言いました鹿児島の職員の論文にも書いてあるわけですけれども、そういうことで、そういう意味では国土庁の調整権をこの面で大いに発揮してやっていただきたい、こう思うのですが、この点についての見解を伺います。
  86. 吉田佐敏

    ○吉田説明員 特殊土壌地帯対策につきましては、いわゆる特土法によりまして五ヵ年ごとに特殊土壌地帯対策事業計画というものを策定いたしまして、これは国土庁が窓口になりまして、建設省、農林省、こういった関係の省といろいろ御相談いたしまして計画を樹立いたしまして、それに基づいて関係各省で予算をとって各種の事業を推進してきたわけでございます。それぞれの事業につきましては、先ほど申し上げましたように、建設省、農林省の所管ではございますけれども計画を立てる段階におきまして、国土庁におきまして十分この特土法の目的に沿ってその調整が行われるように配慮いたしております。また、努力もいたしております。そこで、今後とも関係省庁とも密接な、緊密な連絡を持ちまして、この特土法の目的が達成されますように、この事業が円滑に総合的に推進されますように努力をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  87. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 次に、急傾斜地の問題ですが、災害対策委員になりまして全国いろんな災害地を私見て回っておりますし、また私の住んでおります千葉県においてもいろいろ見て回っているわけです。そういう中から考えてみた場合に、今度大隅町の持留というところで、ここでは三人の方が亡くなったがけ崩れ、あれを見たときはちょっとびっくりいたしました。というのは、ああいうところでがけ崩れが起こるということは、われわれ関東地方に住んでいる人間から見ると何かちょっと想像しにくいのですけれども傾斜はそれほど大きくないし、また傾斜の下には二十五メートルという道路があるし、その道路を乗り越えて土砂が押してきて死亡という大変な事故になるということになっているわけです。ということは、このシラスというのは、たとえ普通に見て安全だと見えていても油断ができないということを今度私も考えたわけなんですけれども、この急傾斜地の指定要件、これが全国一律になっていて、三十度、それから五メーターとか、その下の家屋が五戸とかいう一律の基準であって、雨量や地質という要件が含まれていないわけです。先ほどの特殊土壌法に急傾斜地事業を含めることとあわせて、地質や雨量を勘案した特殊土壌地帯に急傾斜地問題についても特例の指定基準が必要ではないかということを考えたのですけれども、いかがですか。
  88. 大工原潮

    大工原説明員 急傾斜地のいわゆる区域指定の基準でございますが、まず私どもでとらえておりますのは、先生いまお話がございましたように、がけの高さあるいはがけの角度あるいは人家戸数等を一つの基準といたしておるわけでございます。  今回の災害の実態からいきますと、現在決めております三十度というのは一応法律事項でございまして、鹿児島のシラスにおきましては、災害のあった個所はほぼ現在の調査基準といいますか、その中に入っているのが実態でございます。ただ、いま御指摘がございましたように、たとえば被害の範囲がどこまで及ぶかというふうな問題、あるいは行為を規制する範囲がどこまでであるべきかというふうな指定の範囲の決定要件といたしましては、いま御指摘のような土壌の特性等を勘案いたしまして指定をしていかなければならないというふうに考えております。それからさらに、工事の実施につきましては、鹿児島県におきましては鹿児島県シラス対策研究会というふうなものが県において組織されておりまして、そのほか各建築学会あるいは土質工学会等におきましてもおのおのシラスにつきましての研究会が持たれております。特に鹿児島県のシラス対策研究会におきましては、「シラス地帯における土工、設計、施工指針と運用」というふうなことで、現在ほぼ取りまとめができておりまして、さらに現在まで実施してまいりました急傾斜のシラス地域におきます防災対策のその後の情勢その他の実態等を踏まえまして、今後の対策には十分反映さしていきたいというふうに考えております。
  89. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 もう一つ急傾斜地の問題ですけれども、ことしの二月に行政管理庁から勧告が出ておりまして、要するに崩壊危険区域の指定促進することということがあるわけですけれども、危険区域に指定されますと私権が制限される、地価が下がるということで土地の持ち主が喜ばない、賛成しないというようなことが促進を阻んでいる、そういうように聞いております。それも事実だ、そういう面もあると思いますが、そういう困難を乗り切っていって、確かに危険だと思われるところはちゃんと指定するということもこの災害の実態を見ると非常に必要だと思うのですけれども、そういう隘路を打開する面でどういう是正措置、むずかしいことかもしれませんけれども、お答え願いたいと思います。
  90. 大工原潮

    大工原説明員 指定に当たりましては、先生御指摘のように、いろいろと阻害要件がございます。特に私権の制限というふうな意味ではお話しのとおりでございますが、特にがけのいわゆる加害者的土地の所有者と、それから被害者的土地の所有者がほとんどの個所において違うというのがもう一つ大きな理由でございます。しかしながら、今回の災害等、災害発生いたしました地域におきましては、過去の事例からいきますと指定が非常に促進されておるというふうな実態もございますので、やはりその地域住民各位が十分危険度あるいは恐ろしさというふうなものの自覚が必要ではないかというふうに考えております。毎年梅雨どきを控えまして、私どもではがけ崩れ防災週間ということで、六月一日からの一週間をその週間の運動といたしまして、各県におきまして「恐ろしいがけ崩れ」というふうな映画等を持って巡回いたしまして、あるいは機会をとらえまして各地域にパンフレットを配るとかというふうなことで、十分周知徹底を図るように現在努力をしているところでございまして、災害の実態を踏まえましてさらに努力をしてまいりたいと思っております。
  91. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 この問題は、この急傾斜地法だけでは困難な問題があろうと思っております。鹿児島市の例を見てみましても、海岸の埋立地は工業用地になって、平地は商業地域になっていて、住居専用の地域はすべてシラスの台地、その傾斜面が指定されているという実態であるわけです。鹿児島は、先ほども出ておりましたように、市としては人口急増地でありますから、この斜面を開発したらこれは危険だということがわかっている土地であってもこの需要が出てくる。需要があるから、斜面の地主はこれを無理して開発して、それを売るというようなことがあるわけで、こういうのがやはりあそこを見ると災害原因に大分なっている、こういうように思うわけです。住居用地の適正な確保ができていないところへ持ってきて、臨海工業が盛んになって人口がふえるわけですからこういう結果を招く、こう見られるわけですけれども、このシラス台地のようなところでの国土利用のあり方を災害防止という点からちょっと根本的に見直す必要があるのではないか、このように思ったのですけれども、ここは政務次官の方にお伺いしたいと思います。
  92. 野中英二

    野中説明員 大変むずかしい問題でございますけれども、国土の適正利用に関する行政を総合的に推し進めていこうという国土庁といたしましては、国土の均衡ある発展と豊かな住みよい地域の社会形成ということを目的としておるわけであります。  そこで、いま御指摘を賜りましたシラス台地の問題でございますけれども、このことにつきましては十二分に注意をしながら配慮をしつつ、地域の均衡ある発展を願っておったわけであります。たまたま今度の災害に遭いましてもう一度この点を振り返って、いままで過ちがありとせばそれを是正してまいらなければならぬ、かように考えておるわけであります。したがいまして、各省庁と連絡をいたしましてもう一度検討し直してみたい、かように考えております。
  93. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 宅地造成の規制法の問題もいろいろあるかと思うのですけれども、これはなお私自身ももう少し勉強したいと思っております。  最後に、建設省の建築指導課長がお見えになっておりますから、これは鹿児島県を初めいろいろ要望が出ているわけですけれどもがけ地近接危険住宅移転事業の促進の問題で、鹿児島県の要望書によりますと、この補助対象額及び国庫補助率の引き上げと、公共団体等の行う移転先の造成資金融資制度の創設並びに公庫資金貸付条件の緩和を図ってもらいたいというのがありますし、また垂水市の方では、現実的に住宅移転者が続出するわけですけれども、この事業の助成費について、金融機関から借り入れる場合に利子相当額の費用が交付される現行制度では、返済能力のない者は危険なところにいながらも移転できないのが実情である、これを是正してもらいたいというような要望が出ているわけです。たとえば飛行場周辺の騒音下にあるところが移転する場合の補助の方法に比べてみますと、がけ下移転という面については非常に差があると思うのです。災害をしょっちゅう経験しながら、何とかしなければならない、しかし実際そこに住んでいる人は金の面で大変だという実態があるわけですけれども、こういう面についての改善の検討をする意思があるかどうか、お伺いしたいと思います。
  94. 大田敏彦

    ○大田説明員 お答えいたします。  今回の災害につきまして鹿児島県から御要望がございました点でございますけれども、まず補助率のかさ上げという点がございます。これにつきましては、昭和四十八年に、以前の三分の一補助から二分の一補助に引き上げを行いまして、この事業と大体類似しております住宅移転制度と比較して、特に低いとは考えておりません。したがって、一般的な補助率を引き上げることにつきましては、いまのところは考えてはおりません。ただ、事業主体の財政負担が特に過大となるような場合には、その軽減が図られますよう関係省庁と協議して調整に努めてまいりたい、こういうふうに思うわけでございます。  それから、単価とか枠の拡大の問題でございますけれども、単価も年々実情に合うよう改善してまいっております。今後ともその改善方についての努力はいたしてまいりたいとは思っております。  それから、本年度予算におきまして、除却、建物助成とも千六百戸予算化しておりまして、年度当初そのうち一千戸を配分しておりますが、今回の災害によりまして追加要望が相当数見込まれます。当面、鹿児島県から要望が除却百十戸、建物助成九十五戸と出ておりますので、早速配分の手続を進めてまいりたい、このように思うわけでございます。  こういったがけ地近接事業で建物融資を受けられる能力のある方はそれでやっていただく、そのほか借金の返済が不可能であるとかいうことにつきましては、災害向きの公営住宅の建設とかいろいろほかに手法がございますので、総合的にそういった対策をとりましてこの問題の解決に当たってまいりたい、このように考えます。
  95. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いろいろな問題を申し上げましたけれども、ともかく現実的に災害から守れるように、それぞれの分野でさらに一歩突き進んだ研究を進めて万全を期していただきたいということを要望して、終わります。
  96. 兒玉末男

    兒玉委員長 この際、午後二時まで休憩いたします。     午後一時四分休憩      ————◇—————     午後二時二分開議
  97. 兒玉末男

    兒玉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。川崎寛治君。
  98. 川崎寛治

    川崎委員 六月二十二日からの梅雨前線による被害で、鹿児島県は大変大きな災害を受けたわけであります。そこで、参議院でも特別委員会をいたしておりますし、また午前中からもあったわけでありますから、なるべく重複を避ける意味において、具体的にまず都市地域におけるがけ崩れの問題を御質問したいと思います。  鹿児島市の宇宿町、鴨池、実方という特に三地区で大きな被害があったわけです。そして、宇宿、鴨池では多数の人が亡くなりました。これは静岡県におけるがけ崩れも火山地であり、同じ土地の性格であろう、こう思います。  そこでまず第一に、集中豪雨によってがけが崩れた、土砂崩壊をした、そして擁壁がそれにさらに輪をかけた、この擁壁が災害を大きくしておるといいますのは宇宿も鴨池も実方も全部同じだと思うのです。そこで流れた土砂、それから擁壁などの構造物、それが途中にとまっておるわけですから、これを直ちに除去しなければ二次災害のおそれがある。その二次災害のおそれがありますから、除去してくれというのが周辺関係住民の要求であるわけです。ところが、この問題につきましては、私有地である、私有地であるからこれはなかなか強制力のある除去はできない。そこで、がけの上の方の宅造業者、建築業者、そういう者、あるいは家の所有主、そういう者と話し合う以外にない、話し合ってくれと、こういう行政指導が県や市でなされておるわけであります。そういたしますと、この問題はそういう話し合いをしておる間に二次災害の、つまり台風時期を迎えておりますから二次災害の心配があるわけです。この問題は私有権というものと公共の福祉という、大変ぶつかる問題だと思うのです。ぶつかる問題でありますが、人命の尊重あるいは安全の確保、そういう立場からいたしますと直ちに除去できるということが必要ではないだろうか。特に日本の宅地のないこういう状況の中で、鹿児島市のようなシラス地帯においては、台地へ台地へと上がってしまっておりますから、ここ数年の間にそうした台地を造成して宅地をつくっておるという例が大変多いわけであります。台風を前にいたしまして大変危険な状況もあります。いま直ちにいまの制度でできるかどうか、あるいは今後の問題としてここで抜本的に考え直さなければならないというか、制度を検討しなければならないのではないか、こういう問題に迫られておる、こう思います。この点について、これは建設省の関係だと思いますので、そういう点の方法というものについて御回答願いたいと思うのです。
  99. 大富宏

    ○大富説明員 御指摘のように、宅地造成に起因するもろもろの災害の危険防止等につきましては、宅地造成等規制法に基づきまして処置ができることになっているわけです。したがいまして、宅造を原因とする問題につきましては十三条の監督処分なりあるいは十六条の改善命令、こういうことで不測の災害が起きないような処置がとれる仕組みにはなっております。ただ、問題は、現に鹿児島等で起きましたけれども、宅造部分については、確かに宅造に基づく擁壁等につきましては措置ができますけれども、それから下の自然がけについては宅造規制法が及ばないという問題になるわけです。そこになりますと、現在の制度では急傾斜崩壊防止法に基づいて処置せざるを得ない。ただいま先生の御指摘のように、宅造規制法と急傾斜崩壊防止法との接点のところ、これをほやほやしておったのでは、第二次災害が起きるという問題も多分に懸念されるところでございます。この辺も各行政機関が、ことにこれは建設省の中の問題もございますし、密接な協調をやり、適切な指導をやれば問題ないかと思いますけれども、こういう鹿児島及び今度は静岡の伊豆にも大災害が出てまいりまして、先般建設大臣の指示に基づきまして、建設省の防災会議の下でそういった各局の関連するところを組織する五十一年度の梅雨前線災害に対する対策会議ができました。緊急にそういうような恒久措置も含めまして検討することになっております。御指摘のように、各法律の接点のところに今後行政運用の適正を期する点で非常にむずかしい問題があろうと思いますので、勉強していきたいと思っております。
  100. 川崎寛治

    川崎委員 現行制度で強制的に除去させることができるのですか。
  101. 大富宏

    ○大富説明員 実方、宇宿、その他宅造に関連して、宅造だけが原因ということはまだ明確になっておりませんけれども、宅造を一つの原因とするいろいろな問題が起きてございますが、これにつきましては、宅造規制法に基づきまして改善命令その他の措置ができるわけでございます。ただ、宅造規制法に基づきましてつくりました擁壁そのものは宅造規制法にいうところの技術基準に合致してできてはおっても、その擁壁が乗っておるところの自然がけの地耐力というものが集中豪雨等によっていろいろの問題が起きておるというところについては、先生御指摘のように、宅造規制法に基づいて改善措置をさせるのが酷なところがございます。ですから、そこの部分につきましては、ただいま申し上げました急傾斜崩壊防止法に基づいて措置せざるを得ないわけでございますが、急傾斜崩壊防止法の適用は、まずそういった急傾斜崩壊危険区域の指定をやってそれから発動されるという問題がございますので、いま御指摘のように、非常に危険で二次災害がすぐ起きるという問題がある。これに対する対処の措置というのが、現行法の制度ですべて万全の措置が黙っておっても動くという仕組みになるのにはちょっと問題があろうかと思います。  しかし、いま申しました宅造規制法なり急傾斜崩壊防止法なり、それぞれの所管局がございますから、お互いに行政上密接な連絡さえすれば、制度の穴埋めのところはうまくいく、そういう道も残されていると思いますし、私ども、その制度の穴のところにつきましては大いに努力して遺憾のないような措置をとらなければならないと思っております。
  102. 川崎寛治

    川崎委員 だから、二次災害が起きそうだ、それを直ちに除去させるということが現行制度ではできるのですか、いまはできないのですか。
  103. 松林正義

    ○松林説明員 ただいまの御質問の、がけの下の方あるいは擁壁の基礎といいますか、そういう問題でございます。いま御答弁もございましたけれども、急傾斜崩壊防止法というのがございますが、これはこの指定をしなければまず法の網はかぶらないということです。指定をしますのは知事がやることになっております。指定をいたしますと、過去につくったものにつきましても改善命令というものを出すことができるようになっております。したがいまして、まず急傾斜地の区域に入れるということが先決でございます。今回被害を受けました個所はすべてこの区域には入っておりません。そこで、早急にこれを区域に入れまして改善命令を出すなり、あるいはそれが適当でない、あるいは不可能であるというふうな場合には、国の補助によりまして対策事業を県において行うことができるようになっております。  ただし、これがその上に原因があって、それでこわれたというふうなことが明らかなものにつきましては、公共事業で採択するということが適当であるかどうかという問題が残りますけれども、しかしながら下に危険な人家があることがはっきりしておりますので、これに対してはそういう問題は別にいたしまして、下のがけももちろん原因があるわけでございますから、そのがけ原因につきましては急傾斜対策事業というもので措置いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  104. 川崎寛治

    川崎委員 どうも議論がずれているのですよ。わかっていながら避けておるのだ。要するに、指定はされておりません、宅造規制法から外れた自然がけです、しかもそれが崩れました、そしてそれに擁壁が一つ加わっております。これを直ちに除去しなければ二次災害が起きる可能性があります——起きますと断定するとまた問題だから、起きる可能性があります。だから、そうすると、現行制度ではそれを直ちに除去するということは、指定区域でない、自然がけであるという場合にはできないのではないかと思うのです、現状では。だから、指定をしたらという、それはもう先の問題なんですから、そうではなくて現実に指定区域でない、そして崩れたという状況なんです。だから、それを除去する制度がいまはありませんというふうに確認してよろしいですか。
  105. 松林正義

    ○松林説明員 いま擁壁がもうすでに落ちておりまして、そしてこれがさらに二次災害原因になるということが明らかでございます。そこで、これは何らかの処置をいたさなければなりません。緊急急傾斜地事業というものがございまして、これはもちろん急傾斜地の網をかぶせなければなりませんので、これを大至急やりまして、そしてその除去をする工事を県においてやろうというふうに考えておるわけでございます。これは今回崩壊いたしました個所につきましてはすでに調査をいたしまして、現在設計段階に入っております。ただ、急傾斜地法の指定の網も同時にかぶせなければなりません。それを合わせて作業を進めておる段階でございます。
  106. 川崎寛治

    川崎委員 そこはわかるのですよ。そこのところは理解できるのだけれども、つまり指定をする、網をかける、それから査定をする、設計をする、こうなるわけでしょう。それは改良復旧とか原形復旧とかいうことなんでしょうが、さしあたってすぐ取り除いてほしい、雨がずっと降って、すぐ次に台風がやってくるというふうな場合には、取り除くということが急がれるわけですね。じゃ、急傾斜地の指定というのは間髪を入れずにやれるのですか、あるいは政令事項になるのですか、どういうことになるのですか、これは。だから、まだもとの宅造地にきちんとするという前の段階ですよ。まず危険を除去する、二次災害の危険性を除去するということの即効性について、現行制度では行政指導で業者に話をしてやっていく以外にないという状態の中で、大変困難じゃないか。だから、新しい制度として、とりあえず崩壊している土砂あるいは崩壊している構造物、流れてきておる構造物、そういうものを取り除くということについて一つの制度というか措置というか、そういうものは考えられぬだろうか。伊豆にしましても鹿児島にいたしましても、従来の宅地造成法なり急傾斜地云々なりというものの、先ほど計画局長も御答弁になられたように、接点の問題ですね。だから、法の間に外れておる問題ですから、そこのところを直ちに除去ができるような対策というか措置ができる、そして損害賠償だとかなんとかいろいろな問題については後ほど処理していく、そして原形復旧なり改良復旧なりという問題はそれ以後の問題として処置をしてもらう。とりあえず取り除く方法はないか。それはもう宇宿の場合も鴨池の場合も実方の場合も同じ状況にあるわけです。全部それは擁壁が原因だということを言っておりますとまたちょっと別の議論が出ますから、それは申し上げませんけれども、さしあたりいま起きているそういう現象の中でそれを取り除くということについて、相当強権性といいますか、即効性を持った措置、これは宅造がどんどん進んでそういう自然をいじった状態の中で災害がこれから起きますと、しょっちゅう出てくる問題だと思うのです。だから、その点は現行制度でできないならば、先ほど計画局長は総合的に検討したいと、こう言われたんだけれども、そういう方向で直ちに除去できる問題として御検討願えるかどうか。急傾斜地に指定をし、復旧工事をしてもらうという問題は、その後に続く問題だと思うのです。
  107. 松林正義

    ○松林説明員 先生の御質問の御趣旨よく理解しているつもりでございますが、いままでのところはやはり法の網をかぶせた上でやるということがたてまえでございますし、先般、行政管理庁の方からこの急傾斜崩壊対策事業についての勧告もございまして、それにつきましてもやはりまず法の網をかぶせる、指定をする、指定が前提であるということを言われておるわけなんでございます。  しかし、先生のおっしゃいましたように、緊急に何とかしなければならぬということがございます。しかも、現在のところ私たち考えておりますのは、緊急急傾斜対策事業ということでこれは取り上げようというふうに決めておるわけでございます。ただ、その手続が若干ありますので、その間に時間の差が出てくるわけでございます。できるだけこの時間差を少なくしまして、応急対策といったようなもので有害な土砂の排除をする、あるいは応急的な仮工事のようなものを設けるということをこの緊急急傾斜対策事業の中で実施してまいりたいというふうに思っております。そういうことが早急にできるような検討をあわせて進めてまいりたいというふうに考えております。
  108. 川崎寛治

    川崎委員 どうもやっぱり合わぬのだな。これをやっていたらもう終わってしまうのですが、とにかく法の指定をやっている間に二次災害か起きるんですよ、法の指定地域になる前に。だから、その前にとりあえず除去するということについてはぜひ検討してほしい。最初の計画局長の答弁は、ぼくはその方だと思ったんだけれども、だんだんまた遠くなっちゃったんで、計画局長どうなんですか、そういう制度は検討願えるんですか。
  109. 大富宏

    ○大富説明員 宅造規制法に基づく改善命令につきましても、いざという場合は代執行ができるようになっております。それから、急傾斜地につきましても、いま砂防部長の方から答弁いたしましたように、緊急の措置ができる。しかし、いずれにいたしましても、急傾斜地の場合については危険区域を指定することが先だ。先生の言われますように、そういう制度があることはよくわかるけれども、そんなことをやっていたんでは間に合わないんだ、こういう場合の一種緊急避難的な措置というのを、災害対策基本法に基づいて市町村長は応急措置としてやるしかないと思っております。
  110. 川崎寛治

    川崎委員 ところが、市町村長は行政指導だ、行政指導だと言って、がけの上の方の宅造業者に除きなさい、除きなさい、こういう話し合いしかやってないですよ。緊急避難に市町村がなってないのですよ。市町村は緊急避難をやるために、じゃ具体的にどうすればいいのですか。
  111. 山本重三

    山本説明員 災害対策基本法に基づきまして、実際に災害発生し、または発生するおそれがある、そういった場合に、その災害を未然に防止するために、あるいは災害の拡大を防止するために、市町村長は災対法の規定に基づいて、その責任において応急措置をとらなければならないとなっておりますので、その点につきましては消防庁が所管しておりますので、消防庁ともよく連絡をしまして、その問題について今後検討したいと思います。
  112. 川崎寛治

    川崎委員 建設省の中にできた対策室並びにいまの国土庁からの答弁、それらから間髪を入れずに二次災害防止のため、災害対策基本法でできるのだ、法のたてまえでできるのだ、こういう御趣旨のようですけれども、実際にはなかなかそのように機能していないというのが現実だと思います。だから、それが現実に機能できるように御検討願いたい、そして直ちに緊急避難といいますか、原因を除去できる、それをお願いいたしたい、こういうふうに思います。  それから、宅地造成と関連をしまして、実方の場合、宅造許可がなかった。宅造の許可がなかったところに建築確認がおりた、そして、それが崩れたという場合ですね。これはやはり県が宅造の許可権限、それから市が建築確認、やはり行政の接点の問題だろう、こう思います。今後これをそういうことが起こらないようにするためにはどのように、これは指導の問題なのか、制度の問題なのか、そこの改善についてお答え願いたいと思います。
  113. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 今回の鹿児島市を含めますいろいろながけによる災害におきまして、先生御指摘のように、宅地造成等規制法によります許可と建築確認の間でそごがあったというようなことは、現在ある程度報告を受けております。これは宅地造成等規制法ができましたのが昭和三十七年でございましたが、当時、局長の通達で、宅地造成等規制法の施行部局とそれから建築確認の担当部局との間で密接な連絡をとるように、特に建築確認が出てまいりました場合には宅地造成等規制法による許可を受けておるかどうかということを確認する、と同時に、宅地造成等規制法の許可権者の方では、そういった許可をいたしました場合には建築確認の当局の方へ通知をするようにというような通達を出しております。  今回の鹿児島市の場合には、これはちょっと言いわけがましくなりますが、たまたま、昭和四十三年に実方の場合には宅地造成の許可をいたしているようでございますが、その周辺でふくらました形で無許可で宅造が行われていた。それが昭和五十年になりまして建築確認が出てまいりましたが、その間、建築確認の担当が鹿児島県から鹿児島市に移っていった。そういう経過がございまして、先生御指摘のように、その間の連絡が非常に不十分であったということはおわびしなければならないのじゃないかというように考えております。そういった事態を踏まえまして、三十七年のそういう通達の趣旨を再度改めて関係当局の方へ通達を流してまいりたいというように考えております。
  114. 川崎寛治

    川崎委員 次に移りますが、シラスのがけの上とがけ下、そういう危険地域にある住宅ですね、たとえば宇宿の場合ですと、あの上に、崩れた後、もう家の土台が見えるほどの状況で残っているわけですね。そうしますと、これはいずれにしても移転をさせなければ大変危険だと思いますね。そうしますと、そういう壊れていないが大変危険な地域にあるという住宅移転の問題については、現行制度でまいりますと十分な融資が願えないのじゃないかと思うのですよ。だから、それが速やかに移転できるような融資の問題、その場合、そういう無理なところに造成をし、家をつくっておるという人ですから、ある面におきますと、なかなか個人としては簡単に移転できぬ。しかし、それを置いておくとまた、さっきのあれじゃないけれども、次の災害を起こす原因になりかねないというふうな場合に、これは強制的に移転をしてもらうのか、そこら、どういうふうに考えられますか。だから、移転をしやすいようにするということが一つと、大変緊急に移転させなければいかぬという場合との対策です。
  115. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 先生御指摘のように、がけの下あるいはがけの上に、そういった危険住宅が日本全国にまだ相当数ございます。そういったものの危険を除去いたしますためには、急傾斜崩壊対策事業等によります公共的な手当てのほかに、そういった危険な住宅移転さした方が現実的にもいい、あるいはそこにお住みの方も希望しておられるという場合には、むしろそういったものを促進いたしますために、昭和四十七年度からがけ地近接危険住宅移転事業、これは予算補助でございますが、実施しております。毎年大体千戸以上の住宅移転いたしております。  この制度は、もちろん住宅金融公庫、あるいは農村でございますと農協等の系統から移転の融資をいたしまして、それに対しまして移転のための、もとの住宅を取り壊したりあるいは動産を移転したりするために、市町村が一戸当たり四十五万五千円の補助金を出します。  それと同時に、もう一つ、さらに新しい住宅をつくりますために金融機関から金を借りたものの利子補給相当額といたしまして、宅地の取得を伴います場合には最高一戸当たり二百万円までの利子補給相当額の補助金を出していく、そういうような制度を行っております。そういったことによりまして、できるだけそういった危険住宅を速やかになくしていきたいというように考えております。  それから、そういった危険な住宅に対して何か移転するように強制的な命令が出せるのかということでございますが、これは建築基準法の十条によりまして、そういった危険な住宅に対して除却あるいは移転の命令が出せることになっております。と申しましても、実際にはそういう命令を出しっ放しでは困りますので、こういった裏の方で助成的な方法も考えながら運用しているというのが実情でございます。
  116. 川崎寛治

    川崎委員 ところで、移転先の問題になるわけですが、公共団体移転先の造成をやりますについて、公共団体のその移転先の造成地のための融資制度、これはいまあるのですか。ないとしたら、今後どういうふうに検討されるかですね。
  117. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 現在、住宅金融公庫で地方公共団体等が行います宅地造成につきまして融資する制度がございます。ただ、先生御指摘のように、災害の関連で、恐らく小規模な宅造になろうかと思いますが、そういったことが制度上はできるわけでございますが、現在までは実際の御希望もなかったというようなことで、実際にはやっておりませんでした。そういったことで、私どもといたしましては、災害対策でもございますし、もし現実に本当にそういう必要があるからたとえば五戸分でも十戸分でも貸してほしいというようなことがございましたら、これは制度だけの問題、法律を伴わない問題でございますので、前向きに検討させていただきたいというように考えております。
  118. 川崎寛治

    川崎委員 では、次の問題に移りたいと思いますが、桜島のあれは林野庁並びに建設省で直轄工事にしていただきました。この点、大変県としては感謝をするわけでありますが、今度の災害で相当被害が出ておりますから、五十一年度の事業というものは新たにやり直さなければいかぬ、つまり相当事業費を増額してもらわなければ当初の計画というものの達成はできないと思うのです。  そこで、これは林野庁にいたしましても建設省にいたしましても、五十一年度の補正を考えてもらわざるを得ないのじゃないか、こう思うのですが、この点、林野庁並びに建設省は桜島地区の直轄事業について御検討いただけるのかどうか、お願いしたいと思います。
  119. 藍原義邦

    ○藍原説明員 お答えいたします。  桜島の直轄につきましては、本年度から着工するということで一応予定いたしておりまして、本年度の経費といたしましては、事業費で約三千万計画いたしておりました。しかしながら、今回の災害がございましたので、この点を勘案いたしまして、今後本年度に行います事業については再検討する必要があろうかというふうに考えておりますが、事業の早期着工につきましては、方法論としてはたとえば事業費の振りかえだとか、あるいは場合によりますと緊急治山とかいろいろ対応がございますので、どういう対応ができるか、できるだけ早い方法がとれるような対応の仕方で早期に実行ができるように考えていきたいというように考えております。
  120. 川崎寛治

    川崎委員 この間兒玉委員長に御苦労願い、各委員の皆さんも御苦労いただいて、鹿児島現地視察していただいたわけですね。そのときに、牛根地区垂水地区で、これは林野庁、建設省の人とも現地でいろいろ議論をしたわけですが、これは垂水地区とは違うわけですが、桜島地区の場合には堰堤の問題ですね、どうも素人議論だといってあそこの現場では笑われもしましたが、私は、桜島の場合には、非常に急ですし、そしてまた山腹が火山活動によってしょっちゅう崩壊をしているというふうな状況ですから、なるべく早く海に流し込むということがどうしても必要じゃないか。だから、むしろ堰堤をつくったためにその堰堤にたまって、その堰堤災害を大きくするという危険性があるのじゃないかという感じがしてしょうがないのですよ。だから、その点は工法の再検討という必要があるのじゃないかと思うのだが、どうですか。
  121. 松林正義

    ○松林説明員 先ほどの御質問の中で、桜島に対する建設省の事業につきましても、今回の災害によって今後変更するかどうかということについて、まずお答えしたいと思います。  建設省の方の関係といたしましては、今回桜島の北側の四河川を直轄でやることにいたしておるわけでございますが、これは当初の計画が二億八千二百万ということで計画いたしておったわけでございますが、今回の災害によりまして約一億ほど直轄災害復旧で増額いたしまして、これに対処することにいたしております。  それから、上流でためる方がいいか、これは下流の流路工の区間でたまっておる、それをできるだけ早く海へ流した方がいい、こういういまの御説でございますけれども上流につきましては、やはり山地で出るときには大きなものもございます。また細かいものもございます。細かいものはどうしても先に出てまいりますので、せめて大きなものは上流でとめなければなりません。それから、下流に出てきたものがそのまま河床に堆積いたしますので、これは現在は掘削をしておるわけでございますが、おっしゃるようにできるだけ早く海へ流した方がよいわけでございます。そこで、この直轄砂防事業を実施する前に、専門の学者の方々を含めました対策委員会というものをつくりまして、種々検討してまいったわけでございます。その結果によりまして、今後野尻川につきましては模型実験をやりまして、できるだけ海へ早く流すためにはどういう工法をとればいいか、水深をできるだけ大きくとれば掃流力がつくわけでございますけれども、そうしますと今度はまた別の被害が出てくるというふうなことがございまして、いろいろ検討をするために種々の要素を与えた模型実験によりましてこれを解明したい、その上で早急に完全な対策を実施いたしたいというふうに現在進めておるわけでございます。
  122. 藍原義邦

    ○藍原説明員 先ほどお答えいたしました中で、本年度の予算三千万と申し上げましたが、三億の間違いでございますので、訂正させていただきます。  それから、治山事業につきましても、先生御指摘の工法につきましては、ただいま砂防部長から御説明ございましたように、十分洪水量が早く海に流れるようなことを考えながら施行してまいりたいというふうに考えております。
  123. 川崎寛治

    川崎委員 時間が来て大変恐縮ですが、もう一問で終わりたいと思います。  牛根地区の相当急な傾斜のところに、松林を切りまして植林しているわけですね。野中次官もごらんになったのだと思うのだが、その植林をした二、三年目のやつが今度もうみんな崩れているのですよ。だから、ああいうところは、それは昔から牛根杉とかなんとかいろいろ言われて、名産とか、あるいは所有主は経済性を求めることはあり得ると思うのですが、ただしかし今度のあれを見ますと、要するに火口壁に道路をやり、人家があり、その上のがけですから、相当風化もしておる。そして、桜島の火山活動もいま活発化しておる。そういう中で、植林という問題は、今度のあれを見ますと、非常に危険ではないかという感じがいたします。だから、指定をし、保安林にすべきではないか。これは私有権の問題とのぶつかり合いがあると思いますけれども、しかし安全対策とかあるいは人命尊重という立場からしますと、これは相当考えざるを得ないのじゃないか。そこで、国土庁なりあるいはこれは林野庁ですか、時間がありませんからこれは続けてお尋ねしますが、そうすべきではないかと思いますので、その点をどういうふうに林野庁でお考えになるかということが一つ。  それからもう一つは、野中次官にお尋ねしたいと思いますのは、桜島の火山は、あの法律をつくりましたときは、爆発をする、それのための避難舎をつくろう、避難施設をつくろうということで、あの法律は議員立法でやったわけですね。私も参加したわけです。しかし、いま気象庁も言っておりますように、これは相当期間活動するという状況にあります。そうしますと、このことから来るあの辺の山腹崩壊なりという問題が出てくる。だから、風化をしておるということ、それからそういう火山活動による山腹崩壊というのが頻発するのではないか、山腹崩壊原因をつくりつつあるのではないかということになりますと、この火山立法の法律自体の性格、これはきょうはもう時間がありませんから改めてやりますが、私はちょっと法律自体を考え直さなければいけないのじゃないかという考えを持っておるのが一つと、それからこの火山活動についての総合調査を県はやりたい、こう言っておりますから、国としては総合調整費を、これは各省庁にまたがりますので、ひとつぜひ国の資金を充当してほしい、こういう二点です。
  124. 藍原義邦

    ○藍原説明員 垂水市の牛根地区につきます造林地の災害につきましては、先生御指摘のように、確かに造林地についても災害がございましたし、またあの付近におきましては造林地ばかりでなくて天然林についても災害が出ております。したがいまして、今後この辺の森林のあり方、仕立て方についてどういう方向でやったらいいのか、その辺につきましても今後県の方とタイアップいたしまして検討してまいりたいというふうに考えておりますが、必要な個所につきましては保安林等に指定するということの検討を含めまして、治山事業等で対応してまいりたいというふうに考えております。
  125. 野中英二

    野中説明員 川崎先生の御質問にお答え申し上げます。一点、二点とございますが、まとめてお答え申し上げたいと思います。  私も地元へ参りまして金丸知事の方から陳情を受けました一点が、これを学問的にさらに理論的に解明をいたしたいということで、先生御指摘のようなことを承ってきたわけでございます。これにつきましては、御存じのとおり桜島の噴火等による微弱地震の永続的なもの、あるいはまた特殊土壌の問題等がございまして、この震動による安山岩とシラス地帯の分離あるいはまた水によるショルツ理論というようなものを踏まえまして、これから基本的にこれを調査する必要があるであろうということについては、先生御指摘の点につきまして全く共鳴の至りであります。  そこで、国土庁といたしましては、この調査費につきまして一体科学技術庁の方の調査費がなじむのであろうか、それとも私の方の調査調整費がなじむのであろうか、これをいま検討いたしまして早急にこれに対応いたしてまいりたい、かように考えております。
  126. 川崎寛治

    川崎委員 それでは終わります。
  127. 兒玉末男

    兒玉委員長 栗田翠君。
  128. 栗田翠

    栗田委員 私は、七月十日から十二日にかけて起きました集中豪雨での静岡県の被害をめぐって質問いたします。  伺いたいことはたくさんありますので、私もなるべくまとめて伺いますが、お答えはぜひ簡潔にお願いいたします。  まず最初に伺いますが、被害の復興ということで、何といっても予算問題があります。補助金の見通しなど、やはり地元から強い要望がありますが、全国激甚災の適用の見通しはいかがでしょうか。
  129. 紀埜孝典

    紀埜説明員 お答え申し上げます。  梅雨前線の関連一連のものといたしまして、気象庁その他関係省庁とよく相談いたしまして、被害額の確定次第激甚の手続を進めたいと思います。先ほどからも申しておるわけでございますが、本激、局激両方の取り扱いがありますので、十分善処してまいりたい、かように思っております。
  130. 栗田翠

    栗田委員 局激のことをいまおっしゃいましたが、伊豆などの、特に河津、下田、松崎それから南伊豆町、ここで局地激甚災適用の見通しはどんなふうになっておりますか。
  131. 山本重三

    山本説明員 局地激甚指定をします場合には、まず起きました被害につきまして査定事業費が確定いたしませんと私ども判断できません。したがいまして、査定が終わりますのは大体年末ごろになると思いますので、その額が確定しなければ私ども断定できません。また一方、市町村の標準税収入が確定いたしませんとこれもできません。これについては、まだ現在自治省の方で作業中でございますが、いまの段階で昨年の標税なり、私どもが受けております被害報告額から見まして、かなりその市町村の標準税収入を超える被害額があるところについては、恐らく局地激甚指定ができるのではないかという予想はできますが、最終的な結論はこれらの手続が終わってから私ども判断いたしたいと思っております。
  132. 栗田翠

    栗田委員 私も大体の見通しを伺っているのですが、ほとんど確実だというところはやはり年末まで待つのではなく、なるべく早く見通しを確定していただくことがやはり市や町にとっても非常に励ましになるのではないかと思います。  私が調査しましたところでは、まず南伊豆町は軒下までつかった家が五百二十戸もありまして、その他全壊、半壊、土木の被害、それから民宿などの被害、農業被害も非常に多くて、昨年の被害と比べてみてもこれは局地激甚災はほぼ確実ではないだろうかと思います。それから、河津町の場合は、昨年度の標準税収入を見ますと二億七千五百万円、特にことしの税収が多くなるという見通しもありませんから、大体この辺を基準に考えてみましても、公共土木被害が町の見込みで四億四千六百万円、これをはるかに上回っておりますから、公共土木はできるだろう。農業収入十一億に対して被害が三億二千万、これもやはり一〇%以上になっております。中小企業収入三十五億に対して被害五億、これも一〇%を上回っております。だから、河津でもできるのではないだろうか、こう思うわけです。それから、下田の場合も標準税収入八億七千五百万円、公共土木被害十二億、農業被害五億、中小企業被害が七億三千万、去年の被害から比べても大体これも入るのではないだろうか、こう思われる中身なんですね。それから、松崎などの場合も公共土木被害七千二十一万、農業が一億四千三百七十四万、ここらは入るんじゃないだろうか。公共土木被害はすれすれだと思いますが、ここら辺は適用されるのではないだろうかと思うのです。  それで、なかなかいまからできますとおっしゃるのもむずかしいお立場はわかりますけれども、もうかなり確実だと思うものについての見通しを伺いたいと思うわけですが、いかがでしょうか。
  133. 山本重三

    山本説明員 現在、関係省庁でそれぞれの被害額について調査をしているところだと思いますが、いまのところ私どももまだ正式に、先生いま御指摘になられましたような被害額についての報告を受けておりません。したがいまして、私どもとしてはいまの時点で何ともお答えしかねますが、今後関係各機関からの報告を受けまして、かなり見込みがはっきりいたしたものにつきましてはできるだけ事前に関係市町村に通知をいたしまして、適切な措置をとるように努力してまいりたいと思います。
  134. 栗田翠

    栗田委員 特に伊豆の災害は三年続きでございます。去年、局地激甚災が適用されているところもありまして、そういうところについてはやはりすれすれのものについてはかなり配慮する必要があるのではないだろうかと思います。昨年の復興がまだできないうちにことしの二次災害、三次災害を受けております。そういう点についての配慮は当然必要だと思いますが、お考えいかがでしょうか、政務次官に伺います。
  135. 野中英二

    野中説明員 大変先生御勉強のところでございまして、まことに数字を聞いておりますと局地激甚が適用になるような数字でございますが、私どもといたしましては、やはり慎重に現地からの報告を待ちまして、地方公共団体報告を待ちましてこれに対して対応していかなければならないというふうに考えております。したがいまして、こうなるんじゃないかという想像は、まことに残念でございますが申しかねる次第でございます。
  136. 栗田翠

    栗田委員 私いま伺ったのは、連続の被害の場合ですね、すれすれの場合の適用に配慮が必要だと思うがどうかということを伺ったわけです。  それからもう一つは、私がいま申し上げたこの被害額もどこから入手したわけではない、地方公共団体から、全部市長、町長から聞いてまいりました。ですから、これはこれからふえることはあっても減ることはない。査定というのは大変厳しいですからずいぶん切り捨てられるという例もあるようですけれども、これはまだ集まった被害全部でないのですね。それでこれだけの額が出ているということで、やはりこれから逐次入手してなんておっしゃるのはずいぶんのんびりしていらっしゃると私は思うんですね。中間報告は当然お受けになるべきだと思いますが、その辺をどう努力していらっしゃるかも——それじゃ重ねて伺いますが、特に連続被害の場合の配慮ですね、そこのところを伺ったわけでございます。いかがですか。
  137. 野中英二

    野中説明員 御存じのとおり局地激甚になるかあるいはまた本激になるか、これは梅雨前線が上がってみないと結論が出ないわけでございます。なおまた、重々酌量する必要があるんじゃないか、連続災害によるものであるからという発言でございますが、このことにつきましては、私どももまことに恐縮でありますけれども、法の定むるところによって、基準に基づいて厳格にやらなければならぬというふうに考えております。
  138. 栗田翠

    栗田委員 それでは私これから伺いますが、ずいぶん昨年のものがちゃんとなってないために起こっている被害がありまして、法の定むるところとおっしゃるけれども、すれすれのものですね。大変低いというのはこれはしようがないですよ。しかし、去年局地激甚災が適用されていて改修工事ができてないところがまた壊れたという場合には、その自治体にとっては、いってみれば一年たっていないのですから、二重、三重の被害支出ということにもなってくるわけですね。それをただ法の定むるところとおっしゃるのは、これは大変事務的な御発言で、本当に災害を受けた人たちの立場に立っての御発言じゃないと私は思うんです。  時間がありませんから、続けてあとの問題も関連しながら質問してまいりますけれども、今度の災害は開発との関係が非常に深い、これが言われております。私も実際に伊豆の南部の方を全部歩いてみまして、全くそうだというふうに思うわけです。たとえば下田ですが、これは蓮台寺川がはんらんして温泉旅館が水浸しになっております。大沢川の上流、蓮台寺のまた上の方ですが、そこで開発がやられているわけなんですね、観光開発をやられています。それから、田畑が埋められております。樹木の伐採がやられて鉄砲水が出ています。これは静岡新聞七月十五日号などでも、これが人災であるということを言っているわけなんですね。それから、上大沢オレンジタウンというのが開発されておりまして、これは新興開発地。それから、加藤組の採石場というのができて、ここから水がどっと流れてきたし土砂も流れてきたという、これは住民の証言です。それから、稲生沢川の上流、横川というのもありますが、ここは分譲地が開発されておりまして、それからゴルフ場が三十五町歩もできております。このゴルフ場は、雨が降るとずいぶん水を流すということで以前から問題になっております。それから、稲梓川の上流ですね。ここでは工事の途中で、その工事を中止したところの小開発地帯が一ぱいあるのですね。これが問題になっております。それから、大賀茂川、ここは別荘分譲が二ヵ所あるというのが大きな問題になっています。こういうわけで、稲生沢川や蓮台寺川の、これは下田ですけれども、その上流は全部開発されていて、下流は大変な被害をここ二、三年続けて受けておりますし、それから松崎町、これは池代川の上流が森林が伐採されてゴルフ場が予定されておりまして、途中まで開発されています。これは住民が、こういうことが起こるのではないかということでゴルフ場をつくることに反対をして、いま一時中断の形になっていた。その下流が決壊したわけですが、県道が百十一メートルも欠損しているわけですね。そういうわけで、これは私どもがただそう見ているだけでなくて、いってみれば市長だとか県の関係者までが開発による被害であるということを言っておりまして、下田市長は直接私たちにも、これは開発による被害だ、開発をとめなければどうしようもないということを言明しております。それから、倒産した開発会社、七、八社あるんだけれども、その現状すら市長もつかめないという嘆きを聞かされました。それからまた、専門家も言っておりますが、たとえば静大の理学部の土隆一教授、はっきり言っておられるのですね。こういう地層でこういうふうな開発をした場合には絶対に災害が起こることは確かであるといったことをこの教授は言っておられます。それから、県の関係者で、県の土地対策課の森賢正課長補佐、それは、東伊豆地方のレジャー施設のうち大半は現在の厳しい規制基準に合わないのではないか、伊豆のような立地条件の悪いところでは、防災面から開発を禁止してもよいぐらいだ、こういうふうに言っておりまして、学者、市長、世論、マスコミ関係、それから県関係、異口同音に開発による人災であるということを言っております。この辺については政府としてはどうお考えになっていらっしゃいますか。
  139. 佐竹五六

    ○佐竹説明員 お答えいたします。  先ほど来御指摘のありました被災地は、地質的に申しますと凝灰岩質の地質でございまして、このような地質のところは降雨等により地すべり、山崩れを大変起こしやすい地帯だというふうに言われております。したがいまして、そのような地域における開発というのは、十分注意を払って進めていかなければならないことは先生御指摘のとおりでございます。  今回の災害につきまして、具体的にどの開発行為との結びつきがあるかどうかにつきましては、現在私どもつまびらかにはしておりませんけれども、一般的に言って、その種の大規模な別荘地造成あるいはゴルフ場造成が、土と水のバランスを壊して非常に災害を招きやすいことは先生御指摘のとおりでございます。私ども国土庁といたしましては、現在各種開発規制法規の基本になる土地利用基本計画の見直し作業を進めておるわけでございます。したがいまして、今後それぞれの土地条件に合ったふさわしい利用の仕方、また土地条件に反するような開発は極力規制するような、そういう方針を基本計画の中に織り込むべく都道府県を指導してまいりたいというふうに考えております。
  140. 栗田翠

    栗田委員 静岡県が調査したところでも、県下の大規模開発のうち百四十四件を対象にしたらば、百十七が要改善であったという大変な状態です。いま国土庁のお答えですと、具体的に総合的にはまだつまびらかにしていないというふうにおっしゃっていますけれども、つまびらかになっておりませんと、これはいま具体的に適切な手とおっしゃってもなかなかできないんですね。  もう少し具体的にお話をいただきたいのですけれども、それでは、国としていままでにどういう手を打っているかということ、それからもう一つは、全体の開発の状況をどこがつかんでいらっしゃるのでしょうか、そこらを伺いたいと思います。
  141. 佐竹五六

    ○佐竹説明員 御指摘いただきました地域、主として森林地域になるわけでございます。森林地域につきましては、先般法律改正を行いまして、一定規模以上の開発については開発行為の規制がかけられることになったわけでございます。また、一部につきましては都市計画区域に属しておりまして、この都市計画区域につきましても、御案内のように、先般法律改正によって開発行為に対して規制が加えられるようになったわけでございます。御指摘の開発された個所につきましては、国の対策が講ぜられる以前のものも多いかと思いますが、今後はその種の事態を避けるべく、私どもは各種規制法規を通じて、厳正適確に運用してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  142. 栗田翠

    栗田委員 たとえば林野の関係ですと農林省、それから宅地開発だと建設省、その中の何課、何課とまた課が分かれているわけです。けれども、実際に雨が降った場合には、そのお役所の課の分担ごとに雨が降るわけではなくて、全体の開発に関係して土砂崩れとか洪水になるわけでして、そうしますと、その部分部分で規制するのでなくて、全体を見てやはり危険であるかないかという規制というのが必要になってくるわけです。それから、過去に開発されたとしても、そこもつかんでおかなければならないはずでして、いままでのものは規制できないにせよ、それは今後の規制に大きくかかってくるわけですね。それは一体どこがつかんでいらっしゃいますか。
  143. 佐竹五六

    ○佐竹説明員 国土庁が発足して二年になりますが、国土庁の土地局に国土利用計画法を所管いたします部局が、都道府県に土地対策課、先生も先ほどお話がございましたが、できております。ただいま都道府県では、この土地対策課を中心にいたしまして関係部局集まって、開発についてはすべてあらゆる立場から、一般に調整会議というふうに言われておりますけれども、チェックするような体制が整っております。静岡県もそのような仕組みになっております。第一次的に各種開発について直接的な規制は、多くの権限が都道府県知事におりておりますので、第一次的には都道府県段階で、いま申し上げましたように関係部局集まって統一的な方針で運用がされるような体制が整っております。  国におきましても、国土庁を中心にいたしまして、必要に応じて関係部局集まって都道府県に対する指導に遺憾のないようにしてまいりたいというふうに考えております。
  144. 栗田翠

    栗田委員 整っているというお話ですが、それでは伊豆の南端部の総面積に対しましてゴルフ場、それから林野などを伐採したいろいろな開発、それから新たにされている宅地造成、これは合計して何平米ぐらいになっているでしょうか。
  145. 佐竹五六

    ○佐竹説明員 現在のところ数字は承知しておりません。
  146. 栗田翠

    栗田委員 つまり私が申し上げているのはそういうことなんですね。結局、担当がどこである、どこであるということで数字が出てないのです。実は私もきのうそれを伺いましたら、わからないんですね。それで、国有林の開発は国がチェックしますが、民有林は県だし、それから都市開発指定区域は、宅地造成はチェックしていますけれども、あとはわからない、こうなっておりまして、総合的に見られないわけです。だから、整っているとおっしゃるけれども、実際には整ってないし、実際にこういう災害が起きていても、それがどういうふうに関係があるかということが全体で見通せる状態になってないんですね。これは早急にもっともっとその体制を強化して、国土庁の中で、全部のお役所が担当していらっしゃるもの、県が担当しているもの、これを一つに集めて、やはり全体が見られるような状態、民間も国有もですね、そういう体制をつくる必要がどうしてもあると思いますが、この点いかがでございましょうか、政務次官に伺います。
  147. 野中英二

    野中説明員 まことに御指摘のとおりでございまして、国土庁として今後前向きでこれを検討してまいりたいと思います。
  148. 栗田翠

    栗田委員 五十一年度梅雨前線豪雨対策会議というのが今度できたそうですけれども、これについて伺いますが、これは何をいつまでに決めるような対策会議でしょうか。
  149. 井沢健二

    ○井沢説明員 建設省では、今回の梅雨前線豪雨というものが昨年の、たとえば静岡でありますと、昨年のところと同じ場所発生した、しかも昨年よりも大きな雨が降ったということ、それから鹿児島のようなシラスの地域にそういう問題があった、それから災害の状況を見ますと、たとえば伊豆半島におきましては、観光地帯であるということで非常に大ぜいの観光客が行っておるというふうなことで、これらの地方の自然的な社会的な特性であるとか、あるいは再度災害発生しましたので、こういうものをいろいろ勘案いたしまして、私どもの各局が全部集まりまして、こういう問題についてひとついろいろ討議をしようというふうなことでございまして、具体的な問題はこれからいろいろ議論するわけでございます。
  150. 栗田翠

    栗田委員 これから議論をなさるそうですので、これは本当に遅いと思いますが、その議論の参考になる内容も提供するという意味も含めて、私の意見を申し上げさせていただきます。  今度の災害で、河川災害はほとんどが二次災害でした。特に伊豆ですね。また、静岡県の掛川市の逆川の災害も二次災害です。そういう形で、これは非常に川の問題というのが大きな問題になってきておりますし、二次災害であるということで国や県などの責任というのが大変重いと思います。  一つの例を挙げますと、蓮台寺川というさっきから出ている川がありますが、これは昨年の十月八日の復旧がほとんどされていない中でまた水浸しになりました。ここでの強い要望は、また県知事などの要望は、三年計画で三、五、二の割合で普通災害復旧はやられますけれども、三年たつまでにこう幾度も雨が降るんでは、この割合でやっていたんではとてもたまらないわけですね。そのために、一時復旧したところまで壊れて住民被害を受けるし、それから復旧工事もむだになるという状態がいま出ております。この三、五、二の割合ですけれども、もっと急ぐところは弾力的に一年以内とか、なるべく短期間で完成させていった方が国としても経済的であるし、住民の安全を守るという立場からいっても重要だと思うのですが、こういう処置についてどうでございましょうか。もっと早く一年以内なんかでやっていただくことですね。
  151. 井沢健二

    ○井沢説明員 災害復旧事業につきましては、国道等につきましては一年、その年に終えております。それから、直轄河川では二年で終えております。補助河川それから補助道路、そういう一般的な補助の災害でございますが、その場合にはいま先生のおっしゃいました三年ということになっております。これは最初の年が三割、翌年が五割、そういうふうなことでやっておりますが、これは全体で三年で終わるということでありまして、一つ一つを考えてみますと、これにつきましては大事なところから先に着工するというふうなのがたてまえでございます。  でございますから、大事なところを先に進めておるわけでございまして、全体の三割ぐらいの程度のことば、あるいは初年度にやれる。そのほかに約八%程度の債務負担も使っておるというふうなことで、約四割ぐらいの復旧を昨年度終えておる状態でございます。
  152. 栗田翠

    栗田委員 稲生沢川なんか四割改修されていましたが、二次災害が起こっています。これでも間に合わないということになりますし、蓮台寺川はこれは大事でなかったのかどうかわかりませんが、ほとんどされていないのです。ところが、大変な二次災害です。ですから、大事なところという見方も予算との関係でいろいろ出てくるわけで、最終的には予算をたくさんつけて、早くやらなければならぬところを早くしなければならない、こういうことになってくると思いますね。特にいまから申し上げるところはみんな大変な二次災害ですから、ぜひとも大事なところというのに当てはめていただきたい、こう思います。  それで、この蓮台寺川はせきの問題もありまして、下流の立野の地域にせきがあります。これはいままでこの川が農業用水として使われていたときに、水を引くためにこういうものがありましたけれども、そのために上流の水位が雨が降るたびに上がって大きなはんらんを起こしておりまして、上流からはこのせきをとってほしいという声があるのですが、とりますとまた下流がはんらんを起こすわけですね。こうなりますと、こういう川などの改修の抜本的な対策というのを相当専門家が入って調べない限りはなかなかできないし、部分的な改修をやっても、あっちこっちに違った形でひずみになって被害が出てくると私は思うんです。この抜本改修の対策が必要ですが、その辺はどうお考えになっていらっしゃいますか。
  153. 本間俊朗

    ○本間説明員 お答え申し上げます。  蓮台寺川につきましては、今度の災害にかんがみまして、河川管理者であります静岡県知事がただいま河積の拡大、先ほど先生が言われました農業用水ぜきの改築等を含む抜本的な改修計画をただいま立案中であると聞いております。建設省はこれを指導いたしまして、改修の早期実現に努めたいと考えております。
  154. 栗田翠

    栗田委員 蓮台寺川だけでなくて青野川とか逆川——青野川というのは南伊豆ですか、逆川は掛川、それから南伊豆妻良にあります殿田川、こんなところも小さな川ですが大変な被害を起こしていますから、川という川どれもこれも見てまいりますと、それぞれ川筋の特徴をとらえた抜本対策が必要だと思います。県だけに任せていたのでは、とてもこれはと私は思うんですね。国土庁も委員会をおつくりになっていらっしゃるわけですが、これからなさるということなんですけれども、かなり多数の専門家、科学者なども入れまして、そういう川ごとの抜本対策を早急にやっていただいて、しかも県への応援の派遣という形で協力をしてやりませんと間に合わないと私は思います。こういう科学者を派遣していく体制、委員会の中に入れて十分それを検討していく体制、これが必要だと思いますが、政務次官いかがでございますか。
  155. 野中英二

    野中説明員 大変むずかしい御質問でございまして、これは建設省所管でございまして、私どもがやるべきものであるかどうか検討いたしたいと思います。
  156. 栗田翠

    栗田委員 建設省の所管でもあるけれども災害対策全体としては国土庁としても十分お考えになっていただく問題だと思います。  それじゃ、建設省から伺いますが、いかがですか。
  157. 本間俊朗

    ○本間説明員 河川の改修計画をつくるに当たりまして、各種の分野の専門家を糾合してつくるということを考えたらどうかという御指摘かと思いますが、河川改修そのものにつきましては、河川局を中心に十分に専門的知識を有しております。しかし、農業用の取水ぜきの取り扱いその他ございますので、そういった点で各種の専門家の御意見を徴しながら適正な計画をつくるように努力いたします。
  158. 栗田翠

    栗田委員 いま努力するとおっしゃってくださいましたが、これは形式的なお答えでなくて実際にやっていただかなければならないし、さっき国土庁に伺いましたのは総合的にやらないとだめだということですね。せき一つでも農林省との関係もあったりいろいろなことになってまいりまして、またお役所の関係でいろいろ担当が違ってくるわけですから、これは総合的に抜本対策を立てるようなもの、これが必要だし、いまの数ではとても足りないということです。  続けて私、南伊豆町の青野川について伺いますが、調べたところでは四十四年に二級に格上げされて、当時三十一億ぐらいの予算がついたそうですけれども、いま総需要抑制ということで予算がなかなか十分につかずに、後の改修がはかどっていないということです。私が見たら、上流をショートカットしているわけですね、下流はそのまま。そして、今度は南伊豆町の庁舎なども、軒につかるほどの一メートル六十から七十ぐらいの床上浸水で大変な状態なんですけれども、庁舎とか市街地のある一番の繁華街に水が出ております。ところが、それはなぜかと言いますと、その市街地のちょうど上流まで川幅が広くなっていて、市街地のあるところから狭くなっているんですね。これでははんらんするのがあたりまえなんです。聞きますと、途中でなかなか工事が進まなくなったんだ、こういうことでして、これは何といっても国の責任重大と私は思います。  この点で、やはり予算を惜しんで住民被害を与えてはならない、こう思いますけれども、青野川のこの問題、時間がないから私一々伺うのはよしますが、何しろ市街地全部が地面からいうと二メートルぐらい水になっちゃったわけですね。そうすると、いまの川では、多少の改修をしてもなかなか水を受け切れないというふうにも思うんですね。遊水地をつくるとか、上流にダムをつくるとか、川口をよほど広くするとか、そのためにはやはり土地買収の問題から何からずいぶん出てまいりまして、これも抜本対策が必要です。川筋ごとの抜本対策がどうしても必要だと思います。ぜひそれについての強力な御検討をいただきたいということです。  もう一つは、ここは軒下浸水までで五百二十戸です。そうしますと、三戸について一戸の全壊に計算されますから、当然激特が適用されるのではないかと私は思いますが、その点いかがでしょうか。ぜひとも激特を適用して何とか早期に改修をしなければならないと思いますが、お答えください。
  159. 本間俊朗

    ○本間説明員 青野川の改修につきまして激特事業を適用せよという御指摘でございます。その件につきましては、静岡県からその要望があるやに聞いております。近々資料が提出されてまいりますので、十分検討いたしまして対処したいと考えます。
  160. 栗田翠

    栗田委員 重ねて伺いますが、いま言いました資料を私は町からもらっていますが、いま言った中身であるとすれば、軒下までが五百二十戸以上、これだったら、この基準でしたら当然適用できますね。
  161. 本間俊朗

    ○本間説明員 先生の言われるとおりであるとすれば、適用になります。
  162. 栗田翠

    栗田委員 次に、河津町の普通河川の問題を伺いますが、田尻川、谷津川、この普通河川がやはり去年の十月に続く二次災害を受けております。また、さっき申し上げた南伊豆町妻良の殿田川もそうであります。これは二次災害ではありませんが、普通河川が大はんらんしております。それで、この普通河川を持っている小さな町、村もあると思いますが、町ですね、財政規模が大変小さいですね。たとえば河津で申しますと、これは町予算十二億、そのうち自主財源が六億だそうでして、残り六億を借入金などで賄っております。ところが、町税収入全部を入れますと三億七千万、標準税収入がさっき申し上げた二億数千万ですね。それで、支出が町の職員の給与三億、学校で二億ですか、去年、災害で二億も出たというこの状態ではとても町の単独で自己負担ができないというのですね。これは激特が適用されても、抜本改修などをやっていく場合の普通河川の改修の自己負担ができないという実に切実な声を聞きました。  一つは、何としても関連事業を大幅に広げて、原形復旧一に対して関連一でなく、関連を四とか五とかもっと広げて何とかそこをやっていただきたいということ、やるべきではないだろうかということ。もう一つは、もし二級に格上げなどをする場合に、ぜひとも国としても県に対するそういう立場からの御指導をお願いしたいということ。それから三つ目は、二級に格上げされても方々が二級になりますと、また県の財政負担は大変なことにもなってまいりますが、そういう意味でも河川改修予算は大幅につけて、災害を幾度も起こすよりは予算をつけることで早く直さなければならないんじゃないかと思いますが、この点、この三つをあわせて伺いますが、いかがでございましょうか。
  163. 井沢健二

    ○井沢説明員 お答えいたします。  谷津川、田尻川、これは町村河川でございまして、昨年も大きな被害を受けております。谷津川及び田尻川につきましては、これは両方とも町村の災害対策関連事業として採択いたしております。このうち谷津川につきましては、非常に大きなものでございますから、私の方で二級河川にして県がやるように指導をいたしまして、これは現在県が施行いたしております。それから、田尻川でございますが、これは小さな川でございますので、県としては将来とも二級河川にする意思はないということでございましたが、これにつきましても町には施行能力がないということで、県が受託をして施行いたしております。そういう状況でございます。  次に、治水課長に移ります。
  164. 本間俊朗

    ○本間説明員 河川の予算を大幅にふやすべきではないかという御指摘でございますが、そのとおりであると思います。
  165. 栗田翠

    栗田委員 次に、掛川市の逆川の問題で伺いますが、去年私は十月八日の災害のときに太田川水系について質問をいたしました。この逆川も太田川水系でございまして、前からずいぶん大きな問題があります。今度の災害ではやはり二次災害で、しかもこの逆川の場合には曽我の八幡というところが改修工事を、ちょうど堤防の改修を去年の被害の後やっていまして、そこがまた改修途中で切れたわけなんですね。こういう状態でございます。  そこで、二点伺いますけれども、一つは、これは個人災害、個人被害が出ているのですけれども、国や県の改修が梅雨期までに間に合わないために決壊したということや、それから改修の途中で堤防が以前より低くされていたという問題などがあって、この辺ちょっと詳しく調べる必要があるのですけれども、こういうはっきりとした人災、しかも工事のおくれのために起きてきたものについての個人災害の救済の方法ですね、これを何とか国の責任として配慮すべきではないかと思いますが、こういうことはどうかということを伺います。  それからもう一つは、この掛川の場合には市が小河川の改修計画をいま続々と進めております。たとえば公共下水道などでは葛川下水路、宮脇西下水路、富部下水路、下俣下水路、置田下水路などが続々と改修されておりますし、駅南区画整理事業などで排水計画を二倍にするということで進んでおります。その他いろいろと土地改良事業などでも排水路を改修していく計画ができているのですが、これをやってまいりますと、いままで以上に水はけがよくなって、逆川に水がたくさん流れ込んでくるわけですね。ところが、いまの状態のままでも逆川は温水をして、ちょっとの雨でも——ちょっとと言っても二百五十ミリくらいの雨で市内各所が水浸しになっているわけでして、これはどうしても太田川水系全体をもっと徹底的に改修しなければだめだし、逆川の抜本改修計画を立てなければならないと思いますが、この点、最初のはっきりした工事施行途上であるための災害の個人災害救済の方法、それからもう一つ、いまの点ですね、この点をお答えいただきたいと思います。
  166. 吉沢奎介

    ○吉沢説明員 お答えします。  最初の御質問でございますけれども工事実施期間中にまた切れたということで、一般の被害を受けた方の救済というお話でございますけれども河川管理者の方の管理責任ということについてのお話も含めてと思いますので、その点お答え申し上げますけれども工事の実施時期とか実施態様などによりまして責任の範囲というようなものも多少変わってくるのじゃないかと思いますが、一般的には工事実施期間中に行う安全対策工事期間中といえども安全対策を考えながら工事を実施しているわけでございまして、それが少なくとも在来の治水機能を維持できる形で行われておれば、管理に瑕疵がなかったというふうに言えるのじゃないだろうかと思います。
  167. 栗田翠

    栗田委員 逆川改修の問題はいかがですか。太田川水系の改修の問題です。
  168. 本間俊朗

    ○本間説明員 二級河川の太田川改修事業につきましては、昭和二十七年度から中小河川改修事業といたしまして工事を続行中でございます。逆川につきましてもその一環といたしまして鋭意進めておるわけでございまして、東山沢川の合流点下流につきましては堤防は概成しておりまして、掘削が若干残っておるという状況でございます。
  169. 栗田翠

    栗田委員 それでは、まだ伺いたいことはたくさんありましたが、時間になりましたので終わりますが、私、いまのお答え、ずいぶん不満なんです。いままでやったことを伺っているのではなくて、こういう新しい事態が出ているから抜本対策が必要で、それをどうしていくかと伺ったら、いままでのことをおっしゃった。いままでのままだったら、いままでのようにまた水害になるのですね。こんなことでは困るわけです。それを伺ったのでして、これもまた総合的に抜本的な対策を立てていただきませんと、ますます年々被害がひどくなる実態である、こういうことを申し上げたのですよ。残念です。  時間がありませんので、それでは終わらせていただきます。
  170. 兒玉末男

    兒玉委員長 高橋繁君。
  171. 高橋繁

    高橋(繁)委員 私は、過日鹿児島視察いたしまして、その直後にまた伊豆半島の集中豪雨による災害がありましたので、あわせて質問いたしたいと思いますが、伊豆半島につきましては、まだ被害結果、あるいは額にいたしましてもあるいは被害調査にいたしましても最終的な結論が出ておりませんので、出た上で具体的にはまた質問いたしたいと思います。きょうは、ごく応急的な問題につきまして質問いたしたいと思います。  何といっても伊豆半島は、百三十五号線、百三十六号線によってつながれておって、それが唯一の主幹道路であります。しかしながら、百三十六号線の方は幸いにして比較的少ない被害でありましたので、翌日緊急車両だけは開通をいたしましたが、東海岸の百三十五号線につきましては莫大な被害をこうむっております。これが応急的にでも措置をされて通れるようにならないと、伊豆の南部一市五町は大変な不便を感ずるし、生活にも影響を来すと思いますので、とりあえず片瀬、白田の百三十五号線の復旧状況は、一体いつ片側通行でも通れるのか、あるいはそれもできないのか、どういう程度の応急復旧をし、いつごろ開通の見通しをいま立てられているのか、その辺についてお答えを願いたい。
  172. 宮崎昭二

    宮崎説明員 お答えいたします。  百三十五号線は伊豆にとりましては大変大事な道路でございまして、御指摘のように、民生安定のためもございますし、また伊豆半島というのが大変観光地でございまして、夏の交通が一年の生活を保障するというようなこともございまして、いまが一番大事なときでございますので、われわれとしても一刻も早く交通に開放をいたしたいというふうに思っております。  いまのところ一般交通に供用できますのは八月上旬ではないかと思っておりますが、これはわれわれの努力目標でございまして、崩壊を起こしました斜面のところでございますけれども崩壊いたしましたところは岩盤が出ておりますが、その上の方にまだ不安定な土砂がかなり残っている状態でございまして、何分にも危険なところでございますので昼夜兼行というわけにもまいりませんし、また天候によりましてもいろいろと作業日程が変わってくるものでございますから、われわれとしては八月上旬に一般交通への供用を開始したいということを努力目標といたしまして、いまブルドーザーを十台投入するとか、われわれとしての最大の努力をしてやっておる次第でございます。
  173. 高橋繁

    高橋(繁)委員 いまお答えのあったように、伊豆半島の南端は一年のうち七、八月で一年間の半分の観光客、あるいは売り上げといいますか、そういうものがあるので、七、八月が最大のかせぎどきと言っていいですか、そういうときでもありますし、一日も早く開通することを地域住民要望しておる。八月上旬ということになりますと、十日も上旬でありますし、これはどうかひとつ最大の力をしぼって一日も早く通すようにがんばってほしいと思います。  そのついでに、やや少し離れた片瀬、湯ノ沢、坂という部落がございますが、これは国道の下にある約八十世帯が、国道に亀裂があるので大変危険だということで、いま避難をいたしております。時たま家へ帰ったら整理しては、雨が降れば避難をする。こういう危険の除去については道路公団が調査をしているようでありますが、これも早く、どの程度危険なのか、あるいは心配ないのかという調査を要求されておりますが、この辺の調査の進みぐあいについてはどうなんですか。
  174. 宮崎昭二

    宮崎説明員 お答えいたします。  百三十五号線の静岡県の片瀬、湯ノ沢、坂地区等、土砂崩落の危険性の話でございますけれども、このたびの災害を受けまして、七月十一日の四時ごろに路面が約十センチばかり盛り上がってまいりました。それから、山側ののり面に、これはコンクリートの吹きつけがしてあるところに、下の方は石積みがしてあるわけでございますが、この吹きつけと石積みとにクラックが発生いたしまして、これはかなり大きな崩落がある前兆ではないかということで、慎重を期しまして、直ちにわれわれとしては地山の調査あるいは路面がどういうふうに動いているかという調査を始めたわけでございまして、それと一緒に町の方にも通告いたしまして、こういう非常に危険な状態になったので住民に対する連絡をお願いしたわけでございます。その結果、私どもの調べでは住民が八十人ばかりと聞いておりますが、一時避難をしておりました。その後観測を続けておりますが、路面の盛り上がりあるいは斜面の状態に大きな変化がございませんものですから、昨日七月十五日の六時に、一応、当面のところ大規模な変化はないのではないかということを東伊豆の町の方へ連絡いたしました。ただ、われわれとしては、いつ何どき大きな災害が起こるかわかりませんので、今後とも観測を継続していきたいと思っております。現在のところは目視によりましてクラックが発生するかどうか、あるいは道路面が上がってくるかどうかという調査をしておりますが、今後はやはり動態の観測、ひずみ計あるいは地すべり計といったようなものの設置、それから水が大変な問題でございますので、地下水の状態を調べますボーリングなど行いたいというふうに思っております。
  175. 高橋繁

    高橋(繁)委員 大体その調査の結果が出るのはいつごろになりますか。
  176. 宮崎昭二

    宮崎説明員 いまの場所が火山性の堆積物でございまして、御承知のように、伊豆半島の地質というのは大変悪いところでございますので、かなり長期な観測を続けませんとならないのじゃないかというふうに思っております。したがいまして、現在住んでいる人たちが帰って生活ができるかどうかという状態につきましてはなるべく早く結論を出したいと思っておりますが、観測自体はかなり長期に続けたいというふうに思っております。  なお、いま一車線は通しております。
  177. 高橋繁

    高橋(繁)委員 こうした幹線道路国道しかない、こういう道路がやられますと全く孤立化する。したがって、私はこの前にも申し上げたと思いますが、こういう特に伊豆半島、下田市のように年間一千万の人が乗りおりするというようなところについては、国道に沿った生活道路ともいうべきか、バイパスともいうべきか、そういう道路を——もちろん農道、林道のようなものはありますが、これは本当に狭い道路で、手探りで行かなければ行かれないような道路でありますが、並行してそういう一朝有事の際の救急作業であるとか、あるいは観光客を運ぶとかいうような道路をつくるべきである、このように提案もしたことがございますが、そういうことについて将来検討をしていただきたいし、またそういうことも考慮してほしいということ、また国土庁でも特に伊豆半島については考えてほしいと思うが、政務次官どうですか。
  178. 野中英二

    野中説明員 お答え申し上げます。  まことに抑せのとおりでございまして、主幹道路というものが災害に遭って交通どめになってしまう、その場合の民生安定というようなことを考えた場合に、先生のおっしゃられるアイデアというものはまことに傾聴に値するものでありまして、今後さらに一層検討を進めてまいりたいと思います。
  179. 高橋繁

    高橋(繁)委員 百三十五号線については、何回も繰り返すようでありますが、どうかひとつ、八月上旬なんという声を聞きますと大変地元住民は怒るんじゃないかと思いますので、その辺考慮してお願いしたいと思います。  午前中からも質問がありましたが、桜島の各河川、これは普通はもうほとんど水は流れてない、雨が十ミリあるいは十五ミリ降ると流れてくるということで、野尻川については警報装置がつけてあるようでありますが、私はそのほかの河川についても警報装置をつける、大変な土砂が流れてくる川でありますので、そういうことを桜島については考えているのか、あるいはそういう装置をして未然に被害を少なくするということにした方がいいと思うが、その点どうですか。
  180. 松林正義

    ○松林説明員 ただいま御質問の警報機の設置の件でございます。ことしから桜島のうちの重要な四河川中、野尻川、持木川等が入ったわけでございますが、この建設省直轄の河川につきましては現在野尻川、春松川、持木川、これらの上流には警報機を設置してございます。したがって、これらにつきましては一応警報が出るということになっておるわけでございますけれども、その他の河川につきましても現在設置を検討中でございます。ただ、警報機といいますのが、もともとは本来の警報機のために開発したものではございません。土石流というものがまだ十分解明されておりませんので、この土石流の実態を解明するということで、土石流を解明するためにはまずその土石流が発生したということを知らなければなりません。それによって下流でVTRだとかいろいろな観測計器が作動を始めるということのためにこれは開発したものでございます。そこで、こういう計器といいますのは余り過信をされますと、かえって、機械物でございますのでもし何らかの故障があったときには非常に大きな災害をもたらすといったようなこともございますので、そういう不安がまだ残っておるのが現状でございます。そこで、なお検討の必要が十分あるわけでございますけれども、先生お話しのとおり、住民の方たちにもこれを極力利用することによって早期に避難態勢その他の動作が起こせるということにしたいと思っておりまして、それら両面から現在検討中でございます。
  181. 高橋繁

    高橋(繁)委員 次に、伊豆半島にしても鹿児島にしてもかなり特殊な気象状況、あるいは土質というものから見ますと、特に伊豆半島は年間二千八百ミリから三千二百ミリの多量の雨量地域である、それから土質も岩盤に乗った表層土は水を含み、粘り気が乏しい、こういう土質、鹿児島にしても雨量は二千ミリから二千五百ミリ、火山の未熟土である。こういう気象状況と雨量の状況から見て、この両方とも同じようなことが、相共通する点があると思うのですが、こういうところに別荘やあるいは宅地が造成をされておるということになると、特に今回伊豆半島で見ると、河津町なんかほとんど別荘のあったところからがけ崩れがあるということになると、この県では全国森林計画というものに基づいて地域森林計画が樹立をされて、そこで別荘等が許可をされておる。私はこういう雨量、気象状況あるいは土質から見て、伊豆半島はそういう山のてっぺんに、人が住めるようでないようなところへ別荘がどんどん建築されておるということを考えると、全国森林計画というものを見直す必要があるのではないか。ここにきちっとあれば、地域の森林計画も全国の森林計画に基づいていろいろな計画がなされる、したがって全国の森林計画の見直し、そうすれば特にこういう災害地におけるところについては、植林にしても、そういう別荘あるいはゴルフ場にしても検討されると思いますので、全国森林計画についての見直しなりそういうことに対するお考えはどうですか。
  182. 藍原義邦

    ○藍原説明員 先生ただいま全国森林計画の話をなされましたけれども、森林法に基づきます全国森林計画は、全国約二千五百万ヘクタール森林がございますが、それの仕立て方と申しますか、資源のあり方あるいは国土保全の問題、さらには水資源の問題、また環境保全の問題、こういうものを含めまして森林の機能別のあり方、そしてそれの仕立て方というのを決めております。しかしながら、森林の中には非常に重要なものもございますので、御存じのとおり重要なものについては保安林制度というものを決めまして、保安林については厳しい開発規制をやっております。さらにまた、一般の保安林以外の森林につきましては、昭和四十九年十一月から、森林法の改正をしていただきまして、開発規制という形で一ヘクタール以上の開発をする場合にはすべて都道府県知事の許可制という形で森林法の改正をいたしております。したがいまして、こういう開発につきましては、その法の精神をくみまして許可制度に基づいた適確な開発が行えるような方途を現在実施中でございます。
  183. 高橋繁

    高橋(繁)委員 たとえば別荘の建築にしても保安林あるいは風致地区、国立公園第一種特別地域という以外ならば、防災と水源確保、環境悪化に触れない限り別荘建設を許可するということになっておりますね。ですから、普通林であれば一ヘクタールを超える形質変更については森林法の許可が要るとなっておりますけれども、やはり都道府県については林野庁のそういう通達なり何かないとなかなかそこまでいかない。伊豆半島がどんどん売られて、そういう別荘が建てられておるということになるので、こういうような気象条件あるいは土質を持っておる鹿児島県にしても伊豆半島にしても、そういうたてまえから林野庁がそういう姿勢で通達なり何かを出すべきじゃないか、あるいは全国森林計画なりそうした計画の中にもっとそういう規制も設けるべきじゃないか、どうなんですか。
  184. 藍原義邦

    ○藍原説明員 ただいまも全国森林計画につきましては、水資源上大事なところあるいは国土保全上大事なところ、環境保全上大事なところ、木材資源育成上大事なところ、そういう機能別の調査も全部いたしておりますが、先生のおっしゃいました開発に関連する問題につきましては、一ヘクタール以上のものについては許可制をとっておりますし、これは単に別荘地をつくるからよろしい、あるいはゴルフ場をつくるからよろしいということではございませんで、その開発を許可するに当たりましては一定の基準をつくっておりまして、国土保全上たとえばどういう堰堤をつくりなさい、どういうため池をつくりなさい、あるいは水路をこうしなさい、そういう条件を全部厳しく全国的に通達で示しております。その基準に照らして一定の基準に合うものについて許可をするという考え方に立ちまして、積極的に国土保全上災害のないような対応をしておる状況でございます。
  185. 高橋繁

    高橋(繁)委員 それを許可をして、現在そのことが原因になって災害が起きた、また今後起こり得るというものについては、事前に許可したけれどもそれは中止するというようなことはできますか。
  186. 藍原義邦

    ○藍原説明員 今回の伊豆地方の災害につきまして、まだ的確な資料でございませんので、あるいは少々数字が違うかもしれませんが、昭和四十九年の十月三十一日に法が発動になりましてから今日まで四件の申請が出ておりまして、四件を許可いたしております。しかしながら、この四件についてはいまだ着工いたしておりません。したがいまして、今回万一こういうゴルフ場あるいは別荘等によりまして災害が出たとすれば、これはそれ以前に着工しておって、それ以前の着工個所から起きたものではないかというふうに考えておりまして、今後私どもとしては、こういう許可制度によって起こるものについては、災害が起きないような対応は十分してまいりたやと考えております。
  187. 高橋繁

    高橋(繁)委員 まだ被害原因が確実に調査をされておらないようでありますから、調査した上でそうしたものが原因だとなればこの際中止をするし、あるいは今後もっと規制をすべきではないか、私はこう思います。  そこで、そういう山崩れがけ崩れがあったわけでありますが、これもまだ調査中じゃないかと思いますけれども、河津町の筏場あるいは南伊豆の妻良、この二つについては大変な土砂崩れでありますが、果たして林野庁なのか建設省なのかということが協議をされていると思うのですが、いま協議がされている最中ですか、あるいはもう決まったのですか。
  188. 藍原義邦

    ○藍原説明員 ただいま林野庁と建設省と協議中でございます。
  189. 高橋繁

    高橋(繁)委員 協議をされて、私の見たところでは林野庁になる公算が大変大きいようでありますが、緊急な個所でありますので、査定をするまでには、従来の災害から見てどれくらいの期間を要しますか、大体常識的で結構です。
  190. 藍原義邦

    ○藍原説明員 もし林野庁で実行するということになりますと、これは緊急治山事業で対応いたしますので、施設災と違いますので、対応の仕方を早く、今月中には対応できるのじゃないかというふうに考えております。
  191. 高橋繁

    高橋(繁)委員 あそこは三年連続の災害の個所であります。農林省そのほか関係の方がおりましたらお答え願いたいのですが、自作農維持資金であるとか住宅資金あるいは中小企業の復旧資金、再建資金、いろいろな資金を借りて現在までこぎつけてきたわけでありますが、こう災害に遭いますと、その貸付金の償還期間の延長並びに据え置き期間の再度の延長というようなことを地元住民は大変心配しておりますが、去年、一昨年のものについても償還期間の延長をこの際考慮してくれるものかどうか、この辺についてお答え願いたい。
  192. 杉山克己

    ○杉山説明員 災害でもって被害を受けた農林漁業者が、すでに借り入れている金につきまして償還が困難となった場合は、たとえば農林漁業金融公庫資金につきましては、被害者の実情被害の程度に応じて貸し付け条件の変更ができることとなっております。これは業務方法書で定められております。それからまた、農業近代化資金につきましても、法令の範囲内で償還期限、据え置き期間の延長ができることになっております。したがいまして、農林省としては、従来からこの種の災害が起こりました都度関係金融機関に対し、適切なそういう条件変更の措置をとるよう指導してまいっております。今回の災害についても同様指導してまいりたいと思っております。  なお、自作農維持資金の限度額、前に借りているものについての話等も含めまして限度額なりあるいは条件についてどうかというお尋ねがございましたが、自作農維持資金につきましては、現在限度額百万円ということで、四十九年にそれまで五十万円だったものを引き上げて百万円まで貸せるということにいたしておるわけでございます。ただ、連年災等でもってさらに資金需要が大きいというような場合は、その資金需要の実態に応じまして、災害の場合にはほかに農業近代化資金なりあるいは一番大きな制度資金として農林漁業金融公庫資金の貸し付けの道もございます。そういう被害農家の資金需要の実情をよく調査いたしまして、融資の面で遺憾なきよう努めてまいりたいと考えております。
  193. 高橋繁

    高橋(繁)委員 これは何回も質問がありましたが、河川の構造の改善といいますか、鹿児島にしても伊豆半島にしても全国至るところについてそういうことは言えると思いますが、金もかかりますので容易な仕事じゃないと思いますが、これが原因で明らかに災害が起きているという河川については、地元の市町村、県にどうすべきかということを速やかに結論を出すように政府指導すべきであると思うのです。国が幾らこうやっておっても地元の意見を聞かなければ何にもならないので、地元の市町村がそういう体制を早くつくるべく指導をし、それに基づいて、たとえば先ほどから話があった蓮台寺川などについては特段の指導をよろしくお願いいたしたいと思います。  それから、特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法についても質問がありましたが、この法律に基づいて鹿児島県のああした特殊土壌地帯について審議会からどういう意見が出され、どのような手を打たれておりますか、簡単で結構ですからお答えを願いたいと思います。
  194. 土屋佳照

    土屋説明員 特殊土壌関係の審議会につきましては、従来から開かれておるわけでございます。今回の災害後開かれたわけでもございませんが、従来からこの審議会におきましては、特殊土壌地帯のいろいろな実情にかんがみて、いろいろな制度については、その事業の取り扱いについても十分所期の目的が達せられるように拡充をしていくような意見が多かったというように聞いております。
  195. 高橋繁

    高橋(繁)委員 具体的にああいうシラス、ぼらの地帯について、たとえば一つか二つで結構ですから、ございましたら……。
  196. 土屋佳照

    土屋説明員 ちょっと時期がはっきりしないわけでございますが、御承知のような対策事業計画の中にいろいろな効果のあるものを入れろというようなことでございまして、たとえば災害防除に絡んで特殊農地保全整備事業なんといったようなものは、審議会の意見等もございまして対策事業に入れたということでございまして、いつ入れたのか、ちょっと時期がはっきりいたしませんが、そういうことは具体的にあるわけでございます。
  197. 高橋繁

    高橋(繁)委員 そういう抽象的なことじゃなくて、ああいうシラス、ぼらの地帯については、審議会として、宅地造成上こういう規制をしたとか、あるいは工作ですね、たとえば道路一本つくるにしても、ああいうところへつくると大変な災害を起こす。あるいは先ほどからも出ておりました植林の問題、これも植林をした結果がほとんどがけ崩れをしておるというような——われわれの目で見た感じですよ。そういうことになりますと、植林の計画なり、あるいはそういうシラス地帯における建築の問題なり宅地の造成なり道路なりいろいろな工作をする上についても、特殊土壌地帯における建設とかそういうものについても、私はやはり総合的な特別の考え方というものを持たないとならないのじゃないかと思う。  たとえば、崩壊危険区域の指定個所というのを建設省でやっておりますが、ちょっとほかの問題を聞きますが、鹿児島県では、そういう災害危険区域に関する条例というものは特別に制定されておりますか。
  198. 大田敏彦

    ○大田説明員 お答えします。  建築基準法の四十条に、一般的な法律の規制のほかに、地方の気候、風土の特殊性に応じて条例で強化する根拠がございまして、それに基づきまして鹿児島県でも、がけ地の建築の規制あるいは災害危険区域の建築禁止等について条例を制定しております。
  199. 高橋繁

    高橋(繁)委員 県条例を制定しておりますね。これは行政管理庁の勧告ですが、「崩壊危険区域指定箇所における建築制限を実施するには、崩壊による危険の著しい区域を災害危険区域に指定することが必要とされているにもかかわらず、地方公共団体に対する建設省の指導が十分徹底していないこともあって、全国で災害危険区域に関する条例を制定していないものは十一都道府県ある」と。ですから、そういう条例が鹿児島県では制定されておりましたかと聞いている。
  200. 大田敏彦

    ○大田説明員 鹿児島県では、条例の制定はしてございます。
  201. 高橋繁

    高橋(繁)委員 そのように、こういう特殊土壌地帯については、せっかくそういう振興臨時措置法というのが議員立法でできておりますし、審議会等でも、こういう土壌地帯における建設になりあるいは植林なり、総合的な規制と申しますか、計画といいますか、そういうものを樹立すべきであると私は思うのです。  それと同時に、あそこの垂水地区の去年起きた個所がまたことし起きておる。あそこについては、桜島の溶岩が流れてきて、海がありますね。これは私の個人的な考えですが、あれを多少埋めて、あそこに部落をつくり、道路をもう少し前に出すとかというようなこと、これは鹿児島県の問題になると思いますが、そういうところまで、特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法でありますから、振興する上からも考えるべきであろうと思うのですが、政務次官どうですか。
  202. 野中英二

    野中説明員 お答え申し上げます。  牛根地区造成をやって、そこまで特殊土壌地帯については考えろということでございますが、先生も御承知のとおり、あの地区にはハマチを養殖いたしておりまして、漁業権等の問題がございますので、その件につきましては、地元鹿児島県と連絡協議をいたして検討をしていきたいというふうに考えております。  さらに、土じよう法の問題について、審議会のことで土屋局長の方に質問がございましたけれども、御存じのとおり、第一条が、災害防除ということと二番目は農地改良というようなことで、その辺を含んで建設省、農林省が予算面において十分考慮して今日までやってきたと思っておるわけであります。しかしながら、この特殊土じよう法の改正というよりも延長を含めまして審議会を開き、御意見を聞いてまいりたい、そして御期待に沿うような線を出していきたいというふうに考えております。
  203. 高橋繁

    高橋(繁)委員 最後に一つ。  最近、中伊豆地方における異常隆起ということで地震の起こることがいろいろ騒がれておりますが、国土地理院から、その状況、結果なりを、中間報告でも結構ですから、わかりましたらお答え願いたい。
  204. 原田健久

    ○原田説明員 地盤が隆起していることが観測されましてから、科学技術庁の特別研究促進調整費がいただけるようになりまして、各機関、国土地理院、防災科学技術センター、気象庁地震課、地質調査所、水路部及び大学の地球物理学教室等がこの付近の集中的な観測をただいま実施しつつあります。
  205. 高橋繁

    高橋(繁)委員 以上で終わりますが、伊豆地方の災害につきましては、被害総額あるいは原因が究明でき次第、三年連続の災害でありますので、国土庁でも格段の努力をしてもらうということと、いまの特殊土壌地帯における——ハマチを飼っておるとか何かおっしゃいましたが、そんなところまで埋めろということを私は言っているのじゃないのです。だから、こういうシラスの地帯が毎年毎年落ちるということは、そこに工事を施してやるのがいいのか、多少海の方へ出してやるのがいいのかということを検討してほしいと言っているのだ。一つの意見ですからね。ですから、そういう点を考慮して今後考えていただきたいということを申し上げて、終わります。
  206. 兒玉末男

    兒玉委員長 広沢直樹君。
  207. 広沢直樹

    ○広沢委員 本日は冒頭に委員長から、今次の梅雨前線豪雨による被害状況報告されたわけでございます。その報告にもありましたように、今回の豪雨によりましてもやはり死者鹿児島県、岐阜県、さらには静岡県で痛ましい犠牲を出したわけでございます。  最初に、行政当局を代表してということになりますが、野中政務次官がいらっしゃいますので、政務次官に一応お伺いしておきたいと思うのです。  災害対策、いわゆる防災の第一義は人身事故をいかにして防ぐかというところに力点が置かれなければならない、申すまでもないことであります。ところが、毎年毎年雨が降るたびに、どこかでこういう事故が起きている。一年間集計しますと、大体百人以上の方々が痛ましい犠牲に遭っているわけですね。したがって、これはどこに原因があるのか、またこれはいたし方がない状況に置かれてこういうふうになったものなのか、事故が起きるたびにわれわれも災害対策の一員として非常に反省させられるわけなんです。もう少し具体的な手を打っておったならば事故が防げたのではなかろうか、何でも後から反省がなされるわけですが、毎年こういうことが続いているわけですね。一年でもいいですからとにかくゼロである、幾ら豪雨があろうと台風があろうと人身事故はゼロになった、そういう万全な対策をまずしいていくことを考えなければならない、こういうように思うのですが、その点、今回もこういう三十六名あるいは静岡においては十五名の死者ないし行方不明を出しているという事故が起こっているわけであります。その点についてどういうふうに当局としてお考えになっているのか、まず政務次官にお考えを伺っておきたいと思います。
  208. 野中英二

    野中説明員 広沢先生の御質問にお答え申し上げます。  まことに私たちといたしましても、痛ましい人身事故が出ますことにつきましてはいたく責任を感じておる次第でございます。見方によりますと天災であり、あるいはまた人災であるかもしれません。しかし、われわれは率直に一歩下がってこれを人災であるという観点に立って謙虚に受けとめてまいらなければならないというふうに考えておる次第でございます。したがいまして、各省庁と連絡をとりまして、緊密なる防災体制をしいてまいろうと考えておるわけであります。  私見になって恐縮でございますけれども、いろいろ技術的にもあるいはまた体制的にも強化はしてまいったものの、一番の欠点は何だろうといいますと、私は社会教育じゃないだろうか、こういう気がしてならないわけでございます。鹿児島市内においてとうとい人命を失いましたのも、実は二月ほど前に奄美大島から移住をしてきた、したがってつき合いがなかった、十メートル先においては隣の人が作業をやっていた、けれども起こそうとしない。こういうところに、何と申しますか社会教育、連帯感というものを、社会的連帯感というものを強めていく必要があるのではないだろうか、この辺が防災体制の中から抜けていたのではないだろうか、私はこういうことを反省をいたしておるわけでありますが、なおまた先生から貴重な御意見を賜って修正をしてまいりたいと思うわけでございます。
  209. 広沢直樹

    ○広沢委員 いわゆる梅雨の時期というのは毎年あるわけでございますが、水による災害というものは非常にこういう事故を起こしております。したがって、私も、私の県は徳島県でありますが、山間の、こういう雨が多い関係災害を受ける危険個所が非常に多いわけでございますので、前回の台風並びに梅雨前線によって傷んだ個所並びにその状況はどうであるかということで、県下を回ってみました。ここに行管庁が急傾斜地の安全対策に関する行政監察結果を出しているわけで、建設省、国土庁並びに自治省に対して勧告をいたしております。私が回ってみましても多分にこういう面があるわけであります。もっと詳細にやっていきますと、まだまだ取り上げなければならない面はたくさんあるのじゃないか。この調査個所も限定された個所でやっておりますから、全般的に見るとたくさんあると思うのですよ。  そこで、いまの人身事故の問題については、いろいろ本人の責任に帰すべきこともあるかもしれないけれども、やはりいままで数々述べられてきた具体的な対策が、総合的にその時点で効果を発揮していないというような面が相当あるのではないか。避難体制の問題にしてもそうですし、あるいは防災工事の面についてもそうでありますし、いま次官から御指摘のありました社会連帯の問題についてもそうでありましょう。いろいろな問題が複合していると思うわけであります。しかしながら、どの面を考えていきましても、やはり資金的、財政的な問題と、さらには工事をするにしても時間的な問題等がございますから、連帯と避難体制というのですか、そういうものをまず最初に考えていかなければ、人身事故を絶滅するということは現時点ではむずかしいのではないかというふうに、これは各方面で取り上げられている。私もそう思うわけですね。  そこで、これから具体的にお伺いしてまいろうと思うわけでございますが、まず建設省の傾斜地保全課長さんにお伺いするのですが、急傾斜地の危険個所というのは何カ所あるのか。これは急傾斜地だけではなくて、土石流あるいは地すべりもあわせておわかりであれば、お答えいただきたい。
  210. 大工原潮

    大工原説明員 お答え申し上げます。  急傾斜地の問題につきましては、いま先生御指摘のように、行管庁等から監察を受けていろいろ指摘を受けているところでございます。  いま御指摘になりました個所の問題でございますが、四十七年に大災害がございまして、それを契機にいたしまして全国的な総点検を実施したわけでございます。その時点では、急傾斜地のみならず、いまお話しございました土石発生危険渓流あるいは地すべり発生危険個所ということでとらえたわけでございます。その時点以後におきまして、さらに急傾斜等につきましては災害の様相等を踏まえて、一部の県においては見直し等を実施して補正を加えておるところでございますが、現在、四十七年の数字で申し上げますと、急傾斜の危険個所は約六万ヵ所でございます。それから、土石発生危険渓流につきましては約三万五千渓流、それから地すべり発生危険個所につきましては、これは三省庁の共管になっておりまして、建設省、林野庁それから構造改善局でございます。数からいきますと、建設省が一番多うございまして五千二百二ヵ所でございまして、その他の省庁を合わせますと約一万二百ヵ所だったと記憶いたしておりますが、そういった数字の状況でございます。
  211. 広沢直樹

    ○広沢委員 そこで、前回も私は当該委員会でこの危険個所の数を聞いたのです。いま四十七年の調査の結果についての数字的なお答えなんですが、四十七年からというとかれこれもう四年経過しているわけですから、この行管庁の指摘にもございますとおり、また私の所属している県でもございましたけれども、危険個所の指定をされていないところが相当崩れている。こういうことも人身事故その他のいろいろな問題に結びついているわけですね。でありますから、毎年毎年雨が降り、あるいは地形、環境状況というものは変わりつつあるわけでありますから、やはりそれは的確に掌握をして、この指摘にもありますように、具体的に危険でなくなった場所はもうそれをのけ、新たに危険個所として加えられるものはづけて、現在大体危険個所はこれくらいあるのだということは毎年毎年的確に掌握すべきじゃないかと私は思うのです。仮に掌握したとしても、急に予算がつけられるわけじゃなし、一遍に直せるわけじゃないという考えで——そんな考えはないと思いますが、考えであるならば、これは大変なことであります。したがって、こういうような個所については的確に掌握すべきじゃないか。そうしなければ具体的な対策を立てていく上においても問題が出てまいりますし、一部見直している県があるとおっしゃいましたけれども、これは徹底的に指導をして、毎年毎年的確に危険個所を掌握しておく。これは変化していってしかるべき問題でありますから、変化しなかったら大変だ、そういうことですよ。そういうことで、仮に危険個所を的確に掌握してあれば、さあといったときの避難体制だって何だってすぐ手が打てるというものです。ですから、そういう災害対策に関しては、地元の市町村住民からそれを監督、指示している省庁に至るまで、一貫して実態を掌握しているということは大事なことだと私は思うのです。その点はどういうふうに今後お考えになるか、ひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  212. 大工原潮

    大工原説明員 いまとらえております危険個所につきましてはお話のとおりでございますが、われわれといたしましても、災害の実態に対応いたしまして、常に見直しということは各都道府県に対して指導しておるところでございます。  ただ、私どもの方で当初とらえました急傾斜調査の実態でございますが、関係地元市町村が一番実態を知っておるというふうなことで、調査の段階において市町村等も参加いたしておりまして、一定の物理的条件としてのがけの角度、それから人家の所在の範囲、それからがけの高さというふうなものをもとにして調査した結果でございます。したがって、いま申し上げた一部の見直しといいますのは、その後の情勢変化というよりも、むしろ落ちのあった個所の拾い方というふうな形の調査になろうかと思います。  それで、やはりがけの角度という問題はそう急激に変わるわけでもございませんので、われわれとしては、調査の対象の範囲というふうなものは変えて調査するのじゃなくて、従来の調査のままでも、一部に落ちがあった個所を災害の時点でもう一遍振り返りまして調査をし、さらにこれらの調査でリストアップさせた個所につきましては、急傾斜地の法律に基づきまして指定促進を図りまして実施しておるのですが、ただ指定に対しまして、一般の居住者のいろいろと反対意見がございまして、現在のところ、約六万と申し上げました危険個所のうち、約五千個所程度しか指定が進んでいないわけでございます。  現在、各都道府県に指定促進ということで計画を持った指定をさせるべく鋭意指導しているところでございますが、今回の災害のような危険の認識が出るような災害がございますと、非常に地域的には促進するわけでございますが、災害の実態がない個所におきます地元住民の認識の度合いというのが、一般的にわれわれが危険だと判断いたしましても、祖先伝来居住しておる個所で昔から崩れたことがないというふうな判断で、なかなかコンセンサスが得られないというふうな面もございますが、やはりいろいろな機会をつかまえまして危険の認識をさせ、指定を進めていきたい。  それからさらに、指定がされてない個所、工事もされてない個所も含めてでございますが、十分警戒避難体制につながるように、都道府県の地域防災計画の中には、指定個所あるいは指定個所でない場所も含めまして、そういった地方防災計画の中に十分織り込むように各都道府県を指導しておるところでございます。
  213. 広沢直樹

    ○広沢委員 そういう考えはあるようではございますが、ですからやはり省庁においても、四十七年だけを基準にしてものを考えているのではなくて、実態というものを吸い上げて掌握しておくということを考えていかなければならないと御指摘申し上げたわけです。  そこでもう一つ、これは林野庁関係になると思いますが、具体的な例を挙げて聞いてまいらなければ抽象的な話ばかりになってしまいますので申し上げるのですが、徳島県の美馬郡の半田町日谷尾地区というのがあるのです。これは大変な地すべり地帯で、治山関係になりますが、四十五年から幸いにしてここは工事に取りかかっていただいておるわけでございます。工事総額事業費としては一億四千万の事業費をもって四十五年からかかっているわけでありますが、ざっと申し上げてみますと、四十五年からかかって、単年度で大体七百万あるいは四十七年あたりはちょっと多くて二千万、こういうことで五十一年まででやっと半分ぐらいしか工事が進んでおりません。この間現地を見たときには、せっかくこれだけの莫大な経費を入れて工事はしてくださっているわけですが、いまだに地すべりがとまらない。四十七年、四十八年は相当くい打ちをして工事を行ってくださったことになっておりますけれども、しかしながら今日においてもそういう状況が続いて大変不安がっているという状況であります。ちなみにそこは戸数にして二十五戸ある、ここがもしも地すべりを起こしますと、その下には部落が三十三戸ある、全部で五十八戸という家が被害を受けるわけでございます。こういう具体的な計画を実施しながらも、現実においては不安が取り除かれないということでありますし、したがってまだ半分ぐらいしか進んでおりませんが、この計画はどういうふうになっているかということを聞いた上で問題点を二、三指摘申し上げてみたいと思うわけですが、担当の方からひとつこの状況について簡単に御説明ください。     〔委員長退席、金丸(徳)委員長代理着席〕
  214. 藍原義邦

    ○藍原説明員 先生御指摘のとおり徳島県の半田町日谷尾地区におきます地すべりにつきましては、昭和三十八年に法律に基づきまして地すべり地域指定いたしまして、その面積が大体百四十三ヘクタールございます。昭和四十年度から事業に着工いたしまして、先ほど先生からお話のございましたように、いままで約八千万円の防止工事を実施いたしております。  今後の計画といたしましては、現在までそのうちの大半のものについては一応工事を完了いたしておりますが、まだ約二ヘクタールくらいが移動をしておるという状況であります。御存じのとおり地すべりの工法と申しますのはなかなか金もかかり、時間もかかる問題でありますけれども、五十二年度以降には約一億円の工費をもちまして、できるだけ早く完了するように対応してまいりたいというふうに考えております。
  215. 広沢直樹

    ○広沢委員 できるだけ早くというわけですが、予算の総額はわかってもいつこれが完全なものになるかということで住民が不安であるということ、現実はいまお話があったように、地すべりがまだ続いているということ、そういうことでございますから、この点はひとつはっきりしていただきたいと思うのです。  ところが、私その現地に参って、そこで、行管庁の指摘ではございませんが、いろいろ聞いて、問題点が出てきたわけであります。いま地すべりが続いているから、いざといったときにはどういう避難体制が行われているのかと聞きましたが、どこが安全な地帯だと言われても、住民の人たちははっきり答えられない。いま自分のところは大変だけれども、多分向こうの山は大丈夫でしょうというお答えしかない。それから、避難場所はないということなんですね。そういうような状況でありますから、いざ何か起こったときの連絡はどうするのかというと、電話一本しかない。一々電話をかけているのでは、これはなかなか時間がかかって、緊急の対策にはどうにもならない。そこにやはり警報機をつけるなり、あるいはよく町村にあります、マイクでしゃべったら全部落に聞こえるという、そういう体制でもつくれば、まだこれは少しは周知徹底できるのかもしれません。しかし、それもない、こういう状況。これは一つの例を挙げているわけで、何もここだけの問題ではない。これは全国的な問題だと思うのです。そういう個所はいろいろあると思うのです。  ですから、先ほど冒頭に申し上げました、人命をまず守るということからやっていくならば、避難体制を考えなければならない。避難体制を考える以上は、避難する場所をはっきりと設置しなければならぬ。そして、いっときも早くこの状況というものは刻々住民に知らされて、対応しなければならない。そうしてまた、先ほども保全課長さんからお話がありましたように、ここの危険個所ば、今日これだけ科学が発達した時代であるわけですから、十二分に科学的な調査をして、そしてその地域住民が納得して、ここはこういう危険があるから——何じ町村の中でも場所によっていろいろ違うわけですから、その地域地域における教育といいますか、そういうものを十分に徹底しておかなければならぬ。人間だれしも安全だろうという安心感はあると思うのです。そして、何回も避難をしても、事故がなければ幸いなことですけれども、事故がないと、ついついそれは大丈夫だろうと思いがちになる。それが、ある日突然にこういう問題が起こってくる。これも物理的に考えたら、ある日突然にではなくて、そういう状況が醸成されてきておるということははっきりしておるわけでございますけれども住民にとっては、ある日突然にということになってしまう。ですから、よほどその防災体制の中での行政当局指導あるいは連絡、いま申し上げたいろんな問題が通常徹底されていなければならぬということに相なろうかと思うわけなんです。  ここで現実に彼らが不安がっているというのは、じゃその危険なときをどう処置すればいいかということは住民にもわからない。ただ、実際に地すべりをしているから、去年とことしでは一尺も、これだけも地が下がったのですよ、現場を見てくださいという調子で見ているから、ここが危険だということはわかるけれども、どの程度でどうだということはわからないという状況にあります。  ですから、これはいま林野関係の問題で指摘したのですけれども、やはり急傾斜地の問題も、いま申し上げたように、同じ状況にあるかと思います。したがって、工事をしている個所においてもそうでありますから、してない個所はなおさらたくさんあるわけですね。したがって、そのしてない個所に対しては、もう避難体制しかいまの対策は立てようがない、この人身事故を回避しようと思えば、その点に相当な重点が払われなければならないけれども、この指摘にもありますように、現地に行ってみると、まだまだ甘い面があろうかと思います。その点についての所管庁の指導を徹底していかなければならないし、さらに避難場所の問題です。  時間がありませんから続けて申し上げますが、避難場所の問題についても、こういう危険地帯というのは、さて避難場所をどこに設定しようか、今度はその場所がない。それこそふもとまで出ていくんだったら、それは過疎に拍車をかけて、その村から、町から出ていかなければならぬという問題がある。したがって、いま学校だとかああいうある程度の施設、そこを対象にしたとしても、それは全町村の中でたくさんあるわけじゃありませんから、応急の処置としては間に合いません。こういう問題がある。  そこで、これは国土庁か消防庁になるのかどうか知りませんが、新聞に出ておりますが、防災構想、拠点構想というんですか、こういうことが出ておりました。これは内容を読んでみますと、首都圏においての災害、火災だとかいろいろな災害を防止するために、連絡だとかそういういろいろな処置を講じようという構想を、国土庁では五十一年からマスタープランをつくり、五十二年にモデル拠点を建設して、五十三年から一斉に着手したいという、これは新聞の報道でありますが、出ておりました。  それは過密地域においては、一つの防災の考え方として、過密地域における防災拠点構想というものは考えていくべきでありましょうが、過疎地域においても、こういうたくさんの危険個所というものが指摘されながら、避難場所すら現実に満足にないという状況にある。市町村あるいは県における財政的な問題もあって、そういうものをつくりたくてもつくれない、こういうことになれば、少なくとも危険個所の中でも最大、すぐ手を打たなければならないという場所は、もうこれは調査の上わかっているはずでありますから、その地域においても総合的なマスタープランをつくって、避難場所を財政的にもどうしようもないところは、国の財政等も考えて避難場所を設置する、あるいはそういう避難体制の連絡網の不備なところは、ある程度財政的な援助を与えてそういうものを直ちに設置する、こういうことを直ちにやっていただかなかったならば、来年も同じ梅雨期になってまた人身事故がどうだ、同じことをまたしゃべらなければいかぬようになる。その繰り返しは何十年繰り返していったって、これは仕方がないじゃないか。  政務次官は冒頭に、人災として受けとめられるというお考えがありました。私も、今日の科学的社会におきましては、それはもういまの避難体制さえ完備していけばそれこそ防げる問題だと思いますから、人災としてそれを取り上げて、何らかの処置を講じようという行政当局の姿勢は納得はいたします。しかし、納得はするけれども、具体的にやってくれなければ現実に何にもならないわけです。ただ、防災工事をいまやろうということについては、財政的な問題と日時的な問題がありますから、一遍にはできません。したがって、六万七百五十六ヵ所、四十七年に調べたけれども、いま毎年毎年やっているのは七百か八百の地区をやっているだけでありますから、この段取りでこの六万個所を直そう、さらにはふえていく場所を直していこうとしたならば、これは大変な日限、それこそ百年河清を待つということになりましょう。したがって、少なくともその人身事故をなくそうとするならば、具体的にそういう手を打たなければならぬ。手を打っているところでも、いま私が林野庁関係の地すべり対策で申し上げたとおり、たくさんなお金を入れてやりながらいまだに住民の不安は現実的な解消がなされていないという状況でありますから、その点、人身事故をゼロにするという考え方に立っていくなら、もう少し積極的にそういう面に予算の配分、さらにそういう面に対する適確な行政指導というものをなさなきやならぬと思いますが、所管庁においてその点に対する御答弁をいただきたいと思うわけであります。  時間がないので一遍に申し上げましたから、それぞれの所管庁でお答えください。
  216. 永井浤輔

    ○永井説明員 お答え申し上げます。  確かに私どもも人身事故が毎年繰り返されるということにつきましては非常に残念に思っている次第でございますが、やはり基本的には、そういった危険な場所から移転していただくとか、あるいは危険な場所を安全にするということが根本的だと思いますが、おっしゃるとおり、時間的あるいは財政的な問題がございますので、私ども消防庁のサイドといたしましては、避難場所を確保して避難体制を十分にやってもらう、いざというときにはとりあえず人命損傷だけは避けていただきたい、こういう趣旨で、毎年六月初旬には防災計画の見直しという点で各都道府県知事に通達を出しております。それで、各都道府県知事の方から各市町村長に指導していただきたい。本年もそういった趣旨におきまして危険個所を徹底的に把握していただきたい。さらに、関係部局と連絡を密にいたしまして、いわゆる危険区域と指定されていない場所でも完全に把握していただきたい。それから、防災計画の中にそういった点を考慮しながら避難場所とか避難経路、あるいは一つの避難場所でなくて数ヵ所の避難場所等も選定しておいていただきたい。それから、避難する場合の伝達の責任者等を定めておいていただきたい。そして、できるだけ早期に避難を行うように日ごろから訓練をしておいていただきたい。こういった点等を重点に市町村地域防災計画の見直しをするように通達をいたしたところでございまして、こういうことが十分徹底されるように私ども望んでいるような次第でございます。  以上でございます。
  217. 藍原義邦

    ○藍原説明員 先生御指摘の徳島の地すべりにつきましては、私どもできるだけ早期に完了するように、地元の御協力をいただきながら努力してまいりたいと思いますし、安全等の問題につきましても、関係方面と連絡をとりながら粗漏のないように対応してまいりたいと考えております。
  218. 松林正義

    ○松林説明員 建設省といたしましては、先ほど保全課長が申し上げましたような急傾斜地、それから地すべり地、土石流の発生危険区域というのがございます。急傾斜地につきましては、毎年補正をいたしております。それから、地すべりあるいは土石流についても、そういうことで毎年各府県から改めて見直しするということをやっております。  そして、これに対します避難体制でございますけれども、私たちの方といたしましては、この避難をするための情報をまず提供するというところにあろうかと思います。どれくらいの雨が降ればこの地域は危険なのであるかといったようなことがございます。そして、土石流が仮に発生いたしますとどの範囲までが危ないのだといったようなことがございます。こういう面につきまして建設省としましては、特に土石流の関係につきましては最近、この土砂害による被害の中でも非常に大きな人的災害をこうむっておりますので、土石流につきましては、土石流危険区域の設定といったようなことを実施しようということで予算要求もいたしまして、現在鋭意調査を進めておるところでございます。近いうちにこれが指定といったようなこと、区域の設定といったようなことが実現するようにいたすことができると思います。地すべり、急傾斜につきましては、法律によってそういうものを指定することになっておりまして、標識を立てるといったようなことがございます。  いずれにいたしましても、そういう危険度の判定、そしてそれを住民に知らせるという情報の提供といったことを私たちの方ではやろうというふうに考えております。
  219. 山本重三

    山本説明員 最近の土砂災害に対する人身事故の問題につきましても、私ども大変憂慮しておりますし、先ほど先生御指摘がありましたように、行政管理庁の方からの勧告もございます。そういうことで、私ども昨年の四国を中心としました土砂災害、これに対応して、これに対するやはり従来の対策の見直しなり抜本的な対策を講ずるべく関係各省とも連絡会議を開きまして、今後一層、特に人身事故を避けるための避難体制の整備については十分地方公共団体指導して徹底してまいりたいということで、いま善処しておる最中でございます。  なお、先ほど先生から御指摘ありました私どもの大都市圏整備局で考えております防災拠点基地構想と申しますのは、特に大都市地域で大地震が発生した場合に、二次災害として火災等の被害が相当出てくると思います。そういった場合に、現在一応震災に対する避難体制として避難路の指定あるいは避難広場の確保、避難地区の確保という形で避難計画を立てておりますが、避難地域まで達成するには必ずしも十分な体制ではない。そういう意味で、少なくとも住区単位ぐらいに、とりあえず一時避難場所として住民が避難し、あるいは逆にその地域に対する防災活動をするための拠点として何らかの防災体制なり防災施設を整備する、そういう基地を設けたいという構想で、大都市圏整備局では現在調査を進めておるところでございます。  こういった構想を特に土砂災害の多い山村地域等において適用できるかどうか、非常に地区的な性格が違いますのでむずかしいかとは思いますが、今後こういった山村地域での避難場所の確保の問題あるいは避難体制の問題、これらにつきましては先ほど消防庁の防災課長からも答弁がございましたが、今後十分地方公共団体とも連絡して、そういった避難体制が十分とれるような体制で十分検討を進めていきたいと思います。  なお、今回の災害鹿児島地区に私ども政府調査団の一員として参りましたが、昨年被害を受けました牛根地区では、昨年災害があったということで避難が非常に徹底しておりました。また、聞くところによりますと、宮崎県では避難を強行した、その結果人身事故が非常に少なくて済んだ。結局避難命令を出しても、実際に住民がなかなかそれに対して応じないというような問題もございますし、また、せっかく避難していながら、自分の家庭が心配で、一時様子を見に行って被災されたという方もございます。  いろいろ具体的なケースは種々雑多でございますが、こういった面で私どもとしては人身災害をできるだけなくすという意味で、今後とも避難体制のあり方を前向きで関係省庁とも協力して検討をしてまいりたいと思います。
  220. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十八分散会