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1976-07-16 第77回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年七月十六日(金曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 吉田 法晴君    理事 田中  覚君 理事 葉梨 信行君    理事 深谷 隆司君 理事 島本 虎三君    理事 土井たか子君 理事 木下 元二君       塩谷 一夫君    八田 貞義君       渡部 恒三君    岩垂寿喜男君       田口 一男君    米原  昶君       岡本 富夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 小沢 辰男君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部保安課長  柳館  栄君         北海道開発庁総         務監理官    黒田  晃君         環境庁長官官房         長       金子 太郎君         環境庁長官官房         審議官    伊勢谷三樹郎君         環境庁企画調整         局長      柳瀬 孝吉君         環境庁企画調整         局環境保健部長 野津  聖君         環境庁自然保護         局長      信澤  清君         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君         環境庁水質保全         局長      堀川 春彦君         大蔵省主計局主         計官      西垣  昭君         通商産業省立地         公害局長    宮本 四郎君         運輸省港湾局長 大久保喜市君         運輸省港湾局参         事官      石月 昭二君         運輸省港湾局技         術参事官    鮫島 泰佑君         運輸省航空局長 高橋 寿夫君         運輸省航空局飛         行場部長    梶原  清君         建設省計画局総         括計画官    望月 薫雄君         建設省計画局計         画調整官    並木 昭夫君         建設省都市局長 中村  清君         建設省都市局都         市高速道路公団         監理官     和田  勉君         建設省道路局長 井上  孝君         自治省行政局公         務員第二課長  町田 千秋君         参  考  人         (首都高速道路         公団理事)   三宅 正夫君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 七月十六日  辞任         補欠選任   住  栄作君     塩谷 一夫君 同日  辞任         補欠選任   塩谷 一夫君     住  栄作君     ————————————— 五月二十四日  一、公害対策基本法案中島武敏君外一名提出、   第七十一回国会衆法第一八号)  二、大気汚染防止法の一部を改正する法律案(   中島武敏君外一名提出、第七十一回国会衆法   第一九号)  三、水質汚濁防止法の一部を改正する法律案(   中島武敏君外一名提出、第七十一回国会衆法   第二〇号)  四、騒音規制法の一部を改正する法律案中島   武敏君外一名提出、第七十一回国会衆法第二   一号)  五、公害委員会法案中島武敏君外一名提出、   第七十一回国会衆法第二二号)  六、環境保全基本法案島本虎三君外四名提出、   第七十一回国会衆法第四三号)  七、公害に係る事業者の無過失損害賠償責任等   に関する法律案島本虎三君外四名提出、第   七十一回国会衆法第四四号)  八、環境保全基本法案岡本富夫君外一名提出、   第七十一回国会衆法第四五号)  九、環境影響審査に基づく開発行為規制に関   する法律案島本虎三君外四名提出衆法第   一六号)  一〇、公害対策並びに環境保全に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  公害対策並びに環境保全に関する件(公害対策  並びに環境保全の諸施策)      ————◇—————
  2. 吉田法晴

    吉田委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田口一男君。
  3. 田口一男

    田口委員 きょうは、公害健康被害補償法の運用をめぐりまして、相当、県なり市町村で努力をされておるということはわかるんですが、やはり問題が問題だけでありますので、いろんな意思疎通を欠いたり、それから、ちょっとした行き違いが、いわゆる公害認定患者に対して大変な苦痛を与えておる、こういう状態があるわけでございます。実は先般も、たしか六月の七日、八日だったと思うのですが、東京の久保講堂で、全国の公害患者、それに関係する方々が集まってパネルディスカッションなどをやり、環境庁からも出られたと思うのですが、そういったことと関連をして、私は、たまたま三重県四日市公害認定患者方々座談会懇談会を開く機会を実は六月に持ちました。その際に、この公害認定患者の会として、それぞれの認定患者方々に、問題を投げかけずに、何でも注文があったら書いてくれという式でのアンケートを行ったそうでありますが、そのアンケートの集約が、たまたま六月一日ごろにはまとまっておりまして、それを注釈をつけずに私はもらってきたのですが、相当、膨大な種類に及んでおります。きょうは時間の関係もありますから、それをすべて、ここで環境庁のお考えをただすということは無理だと思いますので、私は三つほどにしぼりまして、ひとつ、そういった具体的な取り扱い、さらに考え方、そういったものを、ここで明確にお答えをいただきたいと思います。  まず第一は、医療関係なんでありますけれども医療関係で数多くの注文が出ておりますが、私が当日、聞いた中で最も身につまされたといいますか、患者の方の切実な意見として、夜間、休日における、まあ俗に言う救急医療、これは、いま厚生省の方でも救急医療対策として一般論的に検討を加えられておるようでありますけれども、そういう厚生省所管救急医療対策というんではなくて、きょう、ここで私が申し上げたいのは、そういう公害認定患者の方が望んでおる休日、夜間救急対策、こういったものについて環境庁として、どういう対策をとってこられておるのか。また、その問題点をつかまれて今後どのように対処をされようとしておるのか。まず、その辺のところからお伺いをしたいと思います。
  4. 野津聖

    野津説明員 現在、公害患者として認定を受けておられる患者さん、特に呼吸器疾患でございまして、中には、ぜんそくの方のように時を構わず発作を起こす、非常に重篤な状態になるという方々も含まれているわけでございまして、いつも昼の間に発作が起こるというだけでございませんで、特にぜんそくの場合は夜間、就寝されてから肺に対するうっ血によりまして発作が起こるというふうな場合が非常に多いわけでございまして、これは患者さんのための、いわゆる救急医療体制というのは非常に大事なことであるということは、御指摘をいただきましたように私どもも認織いたしているところではございます。  ただ、医療機関というものを考えてみました場合に、必ずしも、この公害によります認定患者さんだけのための救急医療体制ということは非常にむずかしい実態があるのではないかと思います。したがいまして現在、ただいま御指摘もございましたように厚生省におきましては救急医療懇談会という、厚生大臣私的諮問機関だそうでございますけれども沖中東大名誉教授が座長となりまして、いろいろと御検討いただいているわけでございますが、その中で処理すべきではないかと私ども考えておるわけでございます。特に医療機関の整備というふうな問題は、厚生省が一元的にやるべき問題ではないか。救急医療と申しますのは、必ずしも公害認定された患者さんだけではなくて、ほかにもあるわけでございまして、その中で対処すべきではないかというふうに考えておるわけでございます。  ただ厚生省の、この救急医療懇談会等におきまして、私どもお世話をいたしております公害認定患者さん方に対します認識というふうなものが十分でない場合には、えてして見逃される可能性もあるかもしれないというふうな点を、私どもは逆に危惧をいたしておるところでございまして、この公害認定患者さん、特に、ぜんそく等発作をお持ちの患者さんに対します救急医療の問題というものにつきましては、厚生省にも十分、申し入れをいたしまして、十分な認識のもとに救急医療体制厚生省として組んでいただくような形をとっていただくように強く申し入れをいたしたいと考えておるわけでございます。
  5. 田口一男

    田口委員 いま、おっしゃって見えるように、救急という言葉を使った場合に、たとえば、いまの救急医療厚生省なんかで考えておるのは、従来からある交通事故であるとか火災によって負傷をするとか、こういう救急の問題と、それから休日、夜間子供が、それこそ急に発熱をしたり痛みを訴えたりすることで救急車が出動する、こういう場合にも、いま問題のあることは私も承知をいたしております。そういう救急ではなくて、この公害認定患者方々救急医療というものに対する注文中身は、専門的に言えば、夜間発作を起こすかもわからない、休日なんかに発作を起すかもわからないから、事前に本人それぞれ周到な準備をしておけば、公害認定患者の場合には前もって予測をされていることですから、救急車なんか呼ぶ必要もないということになる範疇に入ると思うのですね。しかし、といって夜中にせき込む、そこで急に医者に行く場合には、やはり一一九番に電話をしなければならぬ。そうなった場合には一般的な救急患者に入ってしまうわけですから、その辺のところを区別をした、前もって公害認定患者として、そういう発作もわかっておる、起これば、そういうことになるだろう、だから近くに、ぜんそくならぜんそくの専門医というふうなものを国公立で置いておくとか、それから、たまたま、こういう意見もあったのですが、一つ参考として、お聞きをいただきたいのは、さっきも申し上げたように私は、この座談会をやった会場が最近りっぱに建った公民館であったのですけれども、この公民館なんかに、その設備なり、そういう部屋を設けてもらったらなという要望もあったわけですが、そういう、きめの細い方法が、これは環境庁自身でやるというよりも、御指導によって県なり市が、そういう方法、方策がとれないものか、こう考えるのですが、いかがなものでしょう。
  6. 野津聖

    野津説明員 救急医療の問題につきましては、私ども実は直接の所管でございませんので、ただいま御指摘ございましたような御意見があることも私個人といたしまして十分、認識は持っておるところでございます。いわゆる救急医療につきまして、交通災害とかいうふうな、いわゆる外科系救急医療という問題と、そのほか脳卒中あるいは心臓発作あるいは、ぜんそく発作等を含めた内科系救急医療二つに大きく分けられると思っております。その中で現在、問題になっておりますのは、いわゆる救急告示病院等が主として外科系患者さんを対象とした形での告示になっており、また、なおかつ外科系医師等が、その準備をして待っているというふうな実態の中に、最近、増加してきております。ただいま御指摘もございましたように子供さんとか、あるいは急に心臓発作を起こされたとかいうふうな方々が、その外科系である救急医療指定告示病院に来られるということも一つの大きな問題であったと思います。特に休日、夜間というふうな問題を含めまして内科系対策をどうするかということが、今後の非常に大きな問題ではないかというふうに、個人的に考えているところでもございます。  したがいまして、いわゆる内科系というものの中に、どうしても私どものように実際の公害認定患者さんのお世話をしているという立場におきまして、呼吸器系のいろいろな問題というものを強く認識している立場と、それから小児科あるいは内科というふうな形で、脳卒中あるいは心臓発作あるいは子供の場合の発熱というようなものを前提としております場合と、多少、認識の度合いが違ってきているのではないかと私も感じているわけでございまして、その辺につきまして、やはり、いわゆる内科系の中でも特に、こういうふうな呼吸器系持病と申しますか、持っておられる患者さんに対する体制も、一つ救急医療体制、特に休日、夜間救急医療体制というものの中で十分考慮し、組み込んでもらうような、いわゆる一つ医療制度としての考え方は必要ではないかというように思っておるわけでございます。  ただいま事例として御指摘ございましたように、公民館等施設設備準備してはという御意見もいただいたわけでございますけれども、この辺やはり一つ医療機関というふうな形で考えました場合には、その辺を十分詰めておきませんと、必ずしも妥当な施設でないというふうなこともあり得るのではないかというふうに考えておりますか、いずれにいたしましても御指摘いただきましたように、公害によって認定を受けられておる患者さんは持病として病気を持っている。しかし、その中で、いつ発作が起こるかわからない。そうした場合に、どこかに登録しておかれるとか、あるいは、こういうことが起これば、すぐ、どこの病院に連れていかれるとかいうふうな形での一つの、あらかじめのネットワークというふうなものは考えておく必要もあるのではないか。特に、いま御指摘いただきましたように常々きょう発作が起こるかもしれないというふうなことも、患者さんのお話をお伺いしますと、わりあいに御自分で気がつかれるというふうなこともあるようでございます。したがいまして、その場合にはどうするかとか、あるいは急に起こったときに、とんでもない医療機関救急車で連れていかれたのでは患者さんとしては十分でないというようなこともございましょう。また、それだけの設備が整っているところに行く必要もあるだろうと思っております。したがいまして、救急医療というものの中での一つネットワークとして、特殊な疾病をお持ちの方に対する措置ということも当然、考える必要があるだろうと思っております。私ども立場での、この認定患者さんの認識というものにつきまして十分、厚生省の方にも認識を深めてもらいまして、それを、どういう形でネットワークとして組んでいけるかということにつきましても意見を十分、述べていくような機会厚生省申し入れていきたいというふうに考えております。
  7. 田口一男

    田口委員 救急関係は、いまここで、こういう決め手があるということは大変むずかしいと思うのですけれども、ただ従来からの四日市地域について言うならば、夜中に、また休日に、そういった状況になれば遠慮なく受け付けをしてもらえる、診てもらえる、こういう約束には、実は皆さん方の御努力によって、なってはおるのですね。しかし日を経るに従って、そういう約束がだんだん守られなくなる、これは最近の一般的な救急医療ということとも大変、絡み合っておるとは思うのですが。ですから、たとえば、これは救急の範囲に入るかどうかは別として、子供認定患者ですね。それがお医者さんに行くと午後三時以降は全く診てもらえない、こういう状態に実はあるわけです。病気は時間によって起こる、子供は三時までに病気が起こる、大人は三時以降に病気が起こるなんということは、これは全くナンセンスな話ですから、三時以降の子供の、そういう状態は全く受け付けないということ自体、これは社会問題だと思うのですが、事ほどさように、この救急体制について公害認定患者の方が切実に要望しておる、そういうことでありますので、ひとつ、いま厚生省ともどもという話もありましたけれども、やはり公害認定患者の現実から環境庁、それを早く処置がとれるような体制をとってもらいたい。これが要望になりますが救急対策についての一つであります。  それから第二番目の問題は、転地療養といいますか、保養所といいますか、こういう問題について強い要望がございます。私も、それで言い分を聞くだけというのではなくて、ある程度、議論をしたのですが、一つの話として聞いてほしいのですけれども、たとえば公害発生源企業健康保険組合が、それぞれ風光明媚な地に保養所を建てています。これは普通から見れば全然、公害とは関係ないわけですね、健康保険の、それぞれの掛金によって保養所を建てるわけですから。しかし、公害認定患者から見れば、そういう中身のことはわからぬわけですから、何か、りっぱな保養所が建っておるではないか。そういったところを、おれたちにも自由に利用させてくれたっていいではないかという気持ちは、これは無理からぬと思うのですね、そのたてまえとしては全然、別個でありますけれども。そういう意味合いからしますと、従来から当委員会福祉事業の一環としての保養所建設について、他の委員方々から御意見もありましたけれども、この保養所というものについて福祉事業として建てていく、建てる。しかし、いまのところ建っていないわけですね。県、市の自発的な問題に任せられておるようでありますが、保養所というものについてのあり方、公害健康被害補償法での保養所、これを一体どういうふうにお考えですか。
  8. 野津聖

    野津説明員 もう御案内のとおり現在、保健福祉事業という形で転地療養事業ということを実施しているわけでございます。その場合にグループになりまして、医師看護婦等が一緒に参りまして、一週間程度の転地療養ということを実施している制度でございまして、この場合に、いまの保健福祉事業というものをながめてみますと、やはり従来の、この法律の中で定められております各種の給付ということを行うことよりも、より積極的に健康を回復していくというふうな面が、非常に、この保健福祉事業の中に強いわけでございます。  当然、医療を受けて、医療を受けることによって健康を回復してくる、これが本筋でございます。しかし、健康の回復に役立つ空気清浄な地におきましての生活とか、あるいは訓練というふうなことも非常に大事なことであるわけでございまして、少し積極的な面として、これを取り上げていく必要があるだろう、こういうふうに考えておるわけでございまして、ただ、その場合に現在の保健福祉事業の中で実施いたしております転地療養事業というのがございますが、これは一つ施設というものを前提といたしまして、そこに行きまして、ある一定の期間、生活をともにし、あるいは、いろいろと健康に関する知識を得あるいは訓練を受けるというふうな制度として成り立っているわけでございます。ただ、その場合に一体その保養所的な、あるいは現在やっております保健福祉事業の中での転地療養事業というものが、より医療機関に近いものであるのか、あるいは、もう少し、いわゆる精神的な安定というふうな形でいくのか、あるいは、もう少し積極的な面があるのかという面、非常にむずかしい問題が含まれていると私ども思っているわけでございます。したがって、これをよく整理していかなければいけないというふうに考えているわけでございまして、現在は一つ制度としまして、転地療養に行きます際に保健福祉事業として、これに補助金を出しているという形をとっているわけでございます。  ただいま御指摘ございましたように、健康保険組合等が各地に保養所を持っておることもあるわけでございますけれども、これは、むしろ先ほど申し上げましたように医療機関に一番遠い部分におきます一つ保養所ではないかというふうに考えておるわけでございます。したがって、では、その転地療養をします保養施設あるいは療養施設というふうなものは、いかなるものであるべきかということは非常にむずかしい面があるのではないかと思っております。したがいまして、この点を十分整理をしまして、これが、いわゆる施設を建てるために国としまして補助金を出していくのがいいのか、あるいは既存の施設を十分利用できるような形で持っていくのがいいのか。たとえば、いまお話がございましたように各企業の持っております健康保険組合保養所あたりが、もし精神的な面での強調部分であれば、それが活用できるのかどうか。あるいは医療機関でも短期の入院みたいな形で処理ができるのか。この大きな幅の中で、どういう形で療養施設というものを考えるべきかということが必要ではないかというふうに思っておるわけです。  患者さんの御意向も、この前も、お伺いをしておるわけでございますが、私どもも、その後、県、市の実際に事業を実施しました立場あるいは事業を実施する立場方々にお集まりをいただきまして、寄り寄り、その辺の意向を聞いているところでございまして、一番いい転地療養事業というものは、いろいろな幅があるかと思いますけれども、その中で、その地域の実情に合った形での転地療養事業というものを考えるべきであろうし、その中で一体、施設を建てるのがいいのか、建てるならば、どういう施設を建てるのか、より医療機関に近いものを建てていくのか、あるいは、そうでないものにするのかというふうな、いろいろな面があると思いまして現在、各県、市の意向などを聞きながら、施設の問題をどうするかということにつきまして検討しているところでございます。
  9. 田口一男

    田口委員 こういう考えはどうですか。いまの保養所転地療養所ですね、私は健康保険組合の寮という、そういった話もあったということを申し上げたのですが、この認定患者方々の、いろいろの意見を聞くと、まあ子供なんかの、かつてあったような林間学校とか海の家とか山の家といった、そういうようなものではなしに、まあ二つに一応、整理をしていくと、われわれの頭の中で考えておる、年に一回か二回、温泉場に一泊か二泊、家族連れで行くと、時には、その保養所なり何なりで安く上げて一杯飲む、それで疲れをとって、また帰る、こういう意味保養所を建ててほしいという意向もあることは事実ですね。しかしそれは、いわゆる、この公害健康福祉事業という精神から言ったら、まあ、いかがなものかということがあるだろうと思うのですね。  しかし、もう一方は、その患者方々の言うには、保養所に着いた、着いた日すぐに医師なり看護婦から簡単な検査をしてもらう。肺活量がどうであったぞ、何々がどうであったぞ。それが到着した日は、その検査の指数が五であったけれども、二日なり三日なり、その保養所におって、いざ自宅に帰ろうという、その帰るときに、もう一遍、簡単な検査をやれば、着いた日の五の機能のものが七であった、八であった、そういう記録を本人に残して、それで何カ月かたって、また、その保養所に行ってみる、こういう意味保養所ということも私はあると思うのですね。  しかし一方、初めに申し上げた、われわれが考えておるような年に一回か二回、行って、たまには一杯飲むという保養所的な要素、それから後で申し上げたような簡単な検査をして、その後の体力が本当に転地療養によって回復をしておるのだということを証明するようなデータも、そこでつかむ、こういうものができないものかどうか。第一の方これは、ごっちゃまぜにしますと、むずかしいと思うのですけれどもね、これは、むげに、だめだということは言えぬと思うのです。そういうものはどうでしょう。
  10. 野津聖

    野津説明員 ただいま、お話ございましたのは、まさに患者さん方が考えておられます現在の転地療養事業の両方の幅だろうと私は思っているわけでございます。したがいまして、こっちの幅と、こっちの幅の間で、では施設をつくるということについての考え方が、国から助成をしてでも施設をつくるといった場合に、どちらかと言えば、どちらかの性格を持たざるを得ないだろうというふうな感じがするわけでございます。したがいまして患者さんの、こういうニードに対しては、いまある既存の施設を使って実施いたしましょう。たとえば医療機関、非常に空気のきれいなところで医療を受けたいという形でのお気持ちがおありになるのならば、そういう医療機関とのネットワーク考えて、その医療機関にスムーズに入院できるような体制をとる、これが一番、大事な医療の面だろうと私は思うのであります。  それから、いま、お話ございましたように一つ保養所といいながら、なおかつ医学的な管理を受けながら、あるいは知識を吸収し、今後の日常生活に、どう生かしていくかということも、そこで得られる、しかも、その間の効果も、入所したときの健康の状況と帰りますときには非常によくなってきた、ちょっと私は極端には出てこないと思うのでございますけれども、そういうふうな形での健康管理を受けること。それから常に常に空気の悪いところで毎日の生活をしておられて、しかも、どうしても生活上の面から、ここで生活しなければいかぬ。しかし年に一遍くらいは、ひとつ空気のきれいなところで生活すれば、ずいぶんと精神的な安静も安定も得られるのじゃないかというふうな考え方と、非常に大きな幅があるわけでございまして、そうすれば、そのそれぞれの中で、いまある、いろいろな施設を、そういう制度に乗せ込んでいくときに、では、いまある施設を利用するのがいいのか、この部分は非常に欠けているから、この施設については、ひとつ助成という形で考えていくべきじゃないか、この部分については、もう少し施設のサイドに、てこ入れをすれば、このまま利用できるのではないかというふうな、いろいろな幅があると思っております。その幅の中で、どのように患者さん方のニードに対処していくべきかということを少し整理をしまして、私ども詰めていきたいというふうに考えているところでございます。
  11. 田口一男

    田口委員 転地療養保養所の問題は、いずれ、もう一度、私の考えを申し上げて、これは別に認定患者方々は欲を言っておるのじゃなくて、何とか一人前になりたい、もとの体に戻りたいという気持ちから、そういう要求があるのですから、いま、おっしゃったような詰めというものを早くやっていただきたいと思います。  時間がありませんから、今後は、ちょっと第三の、三つ四つ項目的に申し上げますけれども、これは、もう前々から言われておることですから、あえて注釈をつける必要はないと思うのですが、補償費の水準の問題ですね。それについて一つは、この八〇%を一〇〇%にせよということは前々から言われております。さらに男女の格差の問題について、とりわけ女性が世帯主の場合には、この格差というものは大変、不都合なのじゃないか、こういった問題。  さらに、これは環境庁自身では具体的な個々の問題について、つかんでいるかどうかは知りませんが、最近、公害認定患者認定する際に審査が厳しいということを、よく言われるのですね。たとえば、こういう話が出たわけです。公害認定患者になるためには六カ月以上継続して通院、入院加療がないと認定の資格がないということから、三カ月通院して一カ月休む、そして、また三カ月通院をする、こういう場合には、もう、だめだと言われたんですね。それから子供が診てもらう場合には、小児ぜんそくだから、これはだめだ。こういう点で最近の認定されたものの傾向を見ますと、いわゆる年齢的には青年層それから老人、こういったものが率が多い。具体的な数字は省きますけれども、そういう状況が注文として出されておるわけであります。さらにまた、続発症の問題につきましても、診る医院によっては金を取られたり取られなかったり、こういう点は本委員会でも本法制定の際にも相当、詳しい論議があったはずでありますが、やなはり時間を経過すると薄れてしまうのか、こういう感じがするのですが、そういう事実をつかんで見えますか。
  12. 野津聖

    野津説明員 数点にわたっての御質問があったわけでございます。  まず、初めの御質問でございますが、給付レベルの問題、特に男女格差を含めましての御質問であったというふうに思うわけでございますが、もう御案内のとおり、この給付レベルを決めました段階におきまして、いわゆる公害裁判におきます判決に見られます水準と、また社会保険の諸制度の水準というものを踏まえまして、公害の被害の特質というものを総合的に勘案いたしまして八〇%ということになったわけでございまして、特に中央公害対策審議会の御答申も得てから決めたところでございます。できるだけ私ども実態ということを前提としながら考えているわけでございますけれども、現在の段階では一応この線で進んでまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  また、特に男女格差の問題でございますけれども、私が申し上げるまでもなく、本制度が健康被害に係る損害というものをてん補するための補償を、一つの定型化して出てきたわけでございまして、特に被害者の迅速、円滑な保護ということを前提とした制度であるわけで、一つの定型化をしなければいけないという前提があったわけでございます。特に、いま御指摘ございましたように同じ御婦人といいましても、世帯主である御婦人の場合もあれば、家庭の一般的な主婦である御婦人もありますし、また扶養を受けておられる御婦人もあるかと思いますけれども、そういうような形もございまして、これらの方々の実収入というものを個々に算定するというのは非常にむずかしい面がございます。したがいまして、むしろ定型化した形で年齢階層別に全労働者の平均賃金というものを基礎としたわけでございまして、結果的に全労働者の平均賃金というのが男女の格差があるというふうな結果が出ているわけでございまして、その中での処理ということになってまいって出てきているわけでございますが、ことしの給付におきましては、結果的ではございますけれども、男女の格差というものは縮まってきているというふうな実態になってきているところでございます。  また、特に認定が厳しいというお話でございますけれども、たとえば六カ月以上通院してなければいけないとか、あるいは三カ月で切れたらいけないというふうなことにつきまして、私ども実は関知してないところでございます。むしろ気管支ぜんそく、あるいは慢性気管支炎というふうなものにつきましては、これはわりあい、どこにでもある疾病であることは、もう御承知のとおりでございまして、これにつきましては、診断につきましては大方の医師におきましては十分な診断ができるというふうな考え方を持っておりまして、主治医の診断また医学的な検査の成績あるいは自覚症状というふうなものを中心としながら認定審査を行っているところでございます。ただ、ただいまお話ございましたような、厳しいのではないかというふうなお話がございますけれども、私どもも、ことしは二回、実施したわけでございますけれども認定審査会の委員の先生方にお集まりいただきまして、一回はブロックでございまして、ほぼ全員の認定審査会の先生方にお集まりいただきまして、一回は東京で実施しまして代表の方にお集まりいただいたわけでございますか、その中で十分いわゆる医学的な御議論も実施していただきまして、適正な認定が行われるということを前提といたしているわけでございます。ただいま御指摘でございましたように、小児ぜんそくではだめだというふうなことにつきまして、私ちょっと、その中身につきましては聞いていないところでございますが、いずれにしましても、きちんとした認定が行われる、適正な認定が行われるということが非常に大事なことではないかというふうに思っておりまして、各認定審査会の先生方にも、その辺の趣旨につきましては十分徹底をしているというふうに考えておるところでございます。
  13. 田口一男

    田口委員 時間がもう来ましたから、これで終わりますが、ちょうど大臣お見えですから、これだけはひとつ十分、心していただきたいのですが、先ほどから私、この公害認定患者の会がまとめた、いろいろなアンケートを、いま、その中から特徴的な問題を抜き出して考え方を求めておるのですが、まだ、ほかにも、たくさんあるわけですね。いずれ整理をして、要望といいますか、要請といいますか、また強く要求という言葉で出てくるかもしれませんけれども、いずれ環境庁の方に、大臣の方に、こういったものがいくだろうと思うのです。それをごらんになった際に、この間、六月に話し合った結果、最後に、こういうことか締めくくりに出たのですけれども、われわれか、ということは、その患者方々が、いろいろな要求あれもこれもというふうに、ないものねだりをするように聞こえるかもしれないけれども、結局は、われわれの要求は、これを全部、満たしてくれというところにあるのじゃない。そういう患者の出ないようにしてくれということが一番の要求なんだから、壊れたものはもとに戻らない、したがって、いろいろなアンケートの結果、出される要求については、ひとつ誠意を持って、ちゃちといいますか、りっぱなものでなくてもいいから、ひとつ、それにこたえるようにしてもらいたいと最後に患者の代表から言われたのですが、それは全く、もっともだと思うのですね。それを受けて、ひとつ、そういった要望、要求が出た場合には、それこそ前向きの姿勢で取り組んで、できるものから手をつけていただきたい、このことを最後に要望いたしまして、ちょうど時間が来ましたから終わります。
  14. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 私は先生のおっしゃるとおりだと思うのでございまして、まず今後、出さないように、患者さんが増加しないように、あらゆる大気の保全についての懸命な努力を続けていかなければいけない。同時に、一たん罹患された方々については、できるだけ回復をするように、あるいはまた病状が進行しないように努力をすることは、政府として当然だと思います。そのために御要望がいろいろあると思いますが、これは誠意を持って検討するということは当然のことだと考えております。
  15. 田口一男

    田口委員 終わります。
  16. 吉田法晴

    吉田委員長 次は、島本虎三君。
  17. 島本虎三

    島本委員 私の場合は、特に最近の環境庁の姿勢も含めて、環境影響事前審査この必要性と、現在の北海道苫小牧の東部大規模工業開発、これについて、その問題点を若干お伺いしたい、こう思っております。  それは六月の十六日ですが、十二省庁連絡会議がありまして、苫東の環境事前評価の合意が成立した。これを受けて十八日の閣議の前に開かれた三省庁責任者会議、福田開発庁長官、木村運輸大臣それに小沢環境庁長官、この三閣僚会議で苫東の着工を正式に決定した。これによって苫小牧東部開発は、その一歩を踏み出すことになった。こういうふうに報ぜられておるわけであります。  この決定の仕方にも、まず十分納得するものではございませんけれども、国内のどのコンビナートよりも世界的な規模にわたる、この大規模工業開発であるから、公害対策に不備があれば予想できない事故につながるおそれが十分考えられるのです。既設のコンビナートの過去の事故、慄然とするものさえあるのであります。したがって開発に当たっては慎重過ぎるほど配慮があっても、決して、これは多いものではない。港湾計画の承認や漁業補償の解決、こういうようなことだけで既成事実の上に立って、なし崩しに着工に踏み切ったのではないか、こういうような印象が強いのでありますが、これはどうですか、長官。
  18. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬説明員 苫東の開発計画につきまして十二省庁会議でも、いろいろと検討がなされまして、環境庁といたしましては苫東の計画規模によりまする環境影響につきましては、汚染の負荷量から見まして環境保全目標を達成し得る範囲にあるという判断をしたわけでございますが、さらに今後これには、いろいろな留意事項といいますか、条件といいますか、そういうものがついておりまして、現苫の削減対策の具体的な実施の問題とか、あるいは立地計画の具体化する場合に際しての、さらに詳細なアセスメントの実施を必要とするということとか、あるいは土地利用計画の検討を行うというようなことを前提といたしまして、さしあたり昭和五十一年度、計画されておりまする港湾の船だまり工事とか、あるいは一部の土地造成等につきましては、その実施によりまする環境影響は非常に軽微であるというふうに判断いたしまして、今後の計画の進展によっても苫小牧地区の環境保全に十分、検討考慮する体制、手段を用意していただくという前提に立ちまして、これを環境庁としても同意したわけでございます。
  19. 島本虎三

    島本委員 この苫小牧東部の開発の最大の前提条件は環境をいかに保全するか、これであります。これからの地域開発というものは環境保全を最優先さして、環境保全と両立し得ないときは開発を中止し、それ以上、進むべきじゃない、これが原則であります。苫東開発ゴーサインを出した。今後の工業開発のモデルケースにするのであれば、この原則をあくまで貫かなければならないはずであります。もし貫いているとするならば、北海道の示した環境保全対策は十分であると、こういうふうに認定したのですか。
  20. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬説明員 先ほど、お答え申し上げましたように現在、同意をいたしておりますのは、五十一年度で実施の予定されている事業については環境保全上問題がないという考え方で同意をしたわけでございまして、今後の具体的な企業立地のレイアウト等につきましては、具体化の段階で、さらに詳細なアセスメントをしていただかなければ、現段階では、まだ、その同意をしているというわけではないわけでございます。
  21. 島本虎三

    島本委員 私は、これは環境庁としては聞きすてにならない言葉です。不分明のままに、もうゴーサインを出してしまった。そして次から次へと、できた、その事態で環境影響評価をしていく。そしていま、さらなんです。何にもないところを、総量規制するにしても何でも、汚すだけ汚すことになるじゃありませんか、違いますか。いま何にもないのですよ。もうゴーサイン出してしまうと下物ができる。下物ができたら上物はどうなんだ、わからない。わからないままに世界一の規模の船だまりもつくっていく。一たん出発してしまったら、もとに戻らぬのですよ。戻ると考えますか。だからこそ慎重な環境影響評価をすべきなんです。しないままに五十一年度まで、いいというと、じゃ防波堤は十メーターでとどめるのですか。船だまりは二十メーターくらいの範囲にしておくのですか。そうじゃないでしょう。百メーターも二百メーターも沖合いの方で世界一の規模でやるでしょう。そうしたならば不十分なままに、これも出発する、こういうようなことになるじゃありませんか。いま私が聞いたのは、北海道から示された環境保全対策が十分であるかどうか。また、それをどういうふうに審査したのか。その結果、環境保全対策は万全かと聞いているんです。
  22. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬説明員 北海道から提出されております苫東の計画というものがあるわけでございまして、この苫東の計画規模によります環境影響につきましては、汚染負荷量から見まして環境保全目標を達成し得る範囲にあるという判断はしておるわけでございます。これは、いろいろと環境目標がございまして、大気質なり、あるいは水質、生活環境項目等につきまして、いろいろな環境目標がございまして、その保全目標は達し得る範囲にあるという判断をいたしたわけでございますが、しかし、今後の立地の具体化等につきましては、まだ十分、具体化の段階にございませんので、その段階に至りましたら さらに詳細なアセスメントを行わせてチェックをしていく、そういうことになるわけでございます。
  23. 島本虎三

    島本委員 それならば、この点について、ひとつお聞かせ願いたい。  運輸省では五月二十七日に三省庁会議で三点の見解を出して港湾着工、時期尚早と、こういうふうなことを発表したようです。その理由は、環境庁の見解は環境影響事前評価が万全と理解することにはならないと言っているからだ。それから、三木総理が昨年十二月二十七日に参議院の本会議で、今後アセスメント、環境影響評価を本格的に行って着工すると、これも明言しているからなんだ。したがって、いまのような程度の内容では港湾着工はできない。そして環境庁においても、この評価を責任を持って指導してお墨つきを出してもらわないと困る、こういうふうに言ったように思うのであります。運輸省、そうですが。
  24. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 お答えいたします。  五月二十七日及び六月十六日に関係省庁会議が開かれておりますけれども、そのときの状況につきまして運輸省としましてのお話を申し上げたいと思います。  要点だけ申し上げますと、五月二十七日に開催されました関係省庁会議で、北海道庁が行いました環境影響評価に対して環境庁の見解が述べられたわけでございますけれども、その中で、昭和五十三年を目標とした公害防止計画に関し、現苫の個別の主要発生源の削減計画を明確にしておく必要があるというようなことであったわけでございます。そこで運輸省といたしましては、この環境影響評価に対します環境庁の見解が、港湾基地の建設の着工を決定する際の重要な判断要件になるというふうに思っておりますところから、この環境庁の御見解が、港湾着工の判断に重大な関係がないとは即断ができなかったというのが、その五月二十七日の状況でございます。したがいまして、この時点では結論を出すのは適切でないというふうに考えた次第でございます。しかし、その後、運輸省といたしまして北海道開発庁を通じ環境庁の御意向も確認をしてまいったわけでございますけれども、先ほどのお話にもございましたけれども、東部基地の目標負荷量につきましては、地区全体の負荷量から判断して環境保全目標を達成し得る範囲内にあるというふうに現時点で判断できると考えられました。また、現苫地区の既存発生源の改善計画につきましては、北海道が今後とも一層、努力をしていくというようなことも明確になりました。そういうような点から着工に支障なしと六月の時点で判断したというのが経緯でございます。
  25. 島本虎三

    島本委員 この二十日間の間に、そういうようなことか、きちっとなされた。そして五月二十七日には、これは時期尚早であり、環境庁が環境影響評価が万全と理解することにはならないから、できない。それから三木総理の参議院での発言もあるから、これは本格着工はできない。ところが途端に、二十日間経たら同じ状態で——お墨つきが出たのか出ないのかわかりません。五十年十二月二十七日、参議院本会議での三木発言がどういうふうに変わったのかわかりません。時期尚早と言ったのが間違いだったのかどうかわかりませんが、同じ状態で全然、発言なしに認められた。おかしいじゃありませんか。保安林の指定解除、これもやっていないということで工業用地の一部が、都市計画の市街化区域に設定されていない部分があるし、手続も行われていないので、これはだめだ。農林省では、そういうふうにして、はっきり発言しているし、旧開拓当時の保安林があるけれども所定の都市計画の市街化手続がとられておらない、踏まれておらない。こういうふうなことで、農林省、林野庁では反対なさったのですが、そうすると農林省は保安林の指定解除それから、これらの手続を二十日間で全部完了したのですか、農林省、林野庁。
  26. 吉田法晴

    吉田委員長 農林省、林野庁は出席要請されましたか。
  27. 島本虎三

    島本委員 呼んでおいたのですが来てない。だめですな、これは。じゃ環境庁、これはどうなんです。いま言ったものは。
  28. 黒田晃

    ○黒田説明員 十二省庁会議の中で農林省から、そういうお話があったのは事実でございます。それで私どもといたしましては、いわゆる保安林の解除ということの必要性というのは、中の土地の造成に関係してくるわけでございまして、その保安林の解除の手続を現在、道の方に申請をしておる段階でございまして、そういう、いわゆる法的な手続が済んだ後で該当の仕事にかかっていくという段取りで現在、進められておるわけでございます。
  29. 島本虎三

    島本委員 では五月二十七日の段階の三点の見解というものは、ただ単に将来の努力目標として、それを信用してゴーサインを出した、こういうようなことに相なろうかと思います。  それならば環境庁伺いますが、五月二十七日と六月十六日、この間においては環境庁から「苫小牧東部大規模工業基地建設について このことについて、昭和五十一年五月二十六日付北開企第四十五号をもって照会があったが、基地建設をすすめるについては、今後下記事項に十分配慮しつつ環境保全に万全を期せられたい。」こういうようなことで、やった。それが同じ状態で一言一句も修正されないままで二十日後に、これが認められた。これはどういうことでしょうか。何の話し合いもなしに、ただ認められてしまった。ただ努力目標として、そういうようなことをやりますということで認めてしまった。行政上、手続の欠落はないのですか、開発庁。
  30. 黒田晃

    ○黒田説明員 十二省庁会議におきまして運輸省から御意見が出されておるわけでございますが、私どもは、こういうように理解をしておるわけでございます。環境庁の方から、いわゆる現苫の公防計画に伴います実施状況、これは、いろいろ将来の問題まで含まれた計画でございますけれども、その実施状況について、いろいろ問題があるのじゃないかという意見が出されたわけでございます。片一方、苫小牧の道がつくりましたアセスメントは、現苫を含めまして一括して総括したアセスメントになっておるわけでございまして、いわゆる公防計画を十分に達成するための手段といいますか、どういうように行われておるかということが、私どもも十分その場で説明できなかったわけでございます。したがいまして、そういうような中で環境アセスメントそのものが、現苫の公防計画に関連して若干、問題がある。したがって、その場で運輸省として港湾に着手すること自身について即断をしかねるというように理解をしたわけでございます。  したがいまして、その後、私ども環境庁の御意見、また道の環境アセスメントの現苫に対する現在の実施状況、そういうようなものを運輸省に御説明に上がりまして、いろいろ意見を重ねた上で、現在のアセスメントでもって環境容量の中に入るという見通しを得た。したがって運輸省といたしましては着工に踏み切ったというように理解をしておるわけでございます。
  31. 島本虎三

    島本委員 六月十八日に運輸省と北海道開発庁と環境庁と三大臣が協議して、小沢大臣は、五十一年度実施予定の苫小牧東部の港湾工事については環境保全上、問題が生じるとは考えられないが、その他の開発事業の実施に対し慎重に措置されるよう要望したい、こういうように発言されておるわけでありますが、そのとおりですか。
  32. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 そのとおりでございます。
  33. 島本虎三

    島本委員 そうしたならば当然、下物だけで、それに乗せる上物は全然、考えられておらないとすると、東部の開発は、いま船だまりだけはよろしいが、背後地その他についてはオーケーは出していないのだというように理解されますが、そのとおりですか。
  34. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 目下のところは、そのとおりでございます。
  35. 島本虎三

    島本委員 そうすると一切、環境影響評価をやらないで、汚れているのは現苫、きれいなのは新苫、新苫に対して許可を与えて、五十一年度までは汚れていないから上物の方はやらないが下物の防波堤だけは認める。そのほかの方は慎重に措置するようにという要請だ。こういうように承ります。そうすると世界一のでかい防波堤ができて港湾ができ上がる。そこに来る企業が決まらないのに、もうすでに、それをやったとすると、ちょっと経費のむだ遣いだ。公共事業に対して上に、どれほどの産業や企業が来るのかわからないし、いま低成長、減速経済の時代に入って見直しを要求されているのに、高度経済成長のころの計画を一部ちょっと手直しをしたままで認めて、これは公害がないから環境破壊につながらないということで認めたとすると、それを基礎にして大企業というものが、そこへ誘致されるという前提条件を認めたことになるわけでありますが、その点はどうでしょう。
  36. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬説明員 港湾の規模の問題等あるかとは思いますけれども、いわゆる港湾の船だまり工事自体を行うことにつきましては環境保全上、問題がないという判断をしたわけでございまして、今後の推移によりまして、その港湾の規模が変更されるものかどうなのか、それは問題が残っておると思いますけれども、それが今後どういう程度の、どういうことにされていくのかは、具体的な計画の実施の段階で、さらにアセスメントが行われる必要があると考えておるわけでございます。
  37. 島本虎三

    島本委員 徐々に、この点は解明していかないとだめだと思うのですが、いわゆる船だまり工事だけオーケー、それ以外の事業着手は同意してない、それは、よくわかりました。  では開発庁、この北海道開発計画の最終年次はいつと押さえているのですか。
  38. 黒田晃

    ○黒田説明員 現在の計画は、いわゆる苫小牧市が作成いたしましたものに基づきまして十二省庁で合意をされておるわけでございますが、その当時の目標といたしましては五十三年度を目標とした計画でスタートをしておるわけでございます。しかし先生、御存じのように現状をごらんいただきますと、五十三年度を一応の目標と考えたわけでございますけれども、現段階において五十三年度に、それが果たして当初の計画どおり、できるかどうかということになりますと、計画当初から、すでに二年余のずれがあるわけでございます。したがいまして五十三年度以降に延びるだろうと考えられるわけでございます。
  39. 島本虎三

    島本委員 国の方では六十年代を最終年次に想定しているでしょう。市や北海道は五十三年までを了解しているのでしょう。最終年次は一番最後の年次ですから国は六十年と立てたでしょう。いま了解しているのは五十三年まで、五十三年次まで了解している。そして船だまりのことは、それを見通してのオーケーだ。それには、もう環境破壊もない、公害もないと認めるからだ。環境庁の態度は、これでは、ちょっと引き金を引くのに手をかしたことになりますから私は了解はできませんが、結局、五十三年までやって六十年代の構想でやったら、六十年代までオーケーしたことにつながることになりませんか。五十三年度までだったら、その中途か三分の二か五分の四で、やめておく、そういうようなことなのですか。結局は六十年代まで、これを許可してやるというようなことにつながる。その後で減速経済、低成長のもとでは当然、来る企業も来ない。現在そのとおりですが、そういうふうになった場合の責任は、これは環境庁ですか、運輸省ですか、開発庁ですか。
  40. 黒田晃

    ○黒田説明員 六十年の計画ということを前提として、いろいろな基盤整備あるいは企業の問題を現在、考えていないわけでございまして、いわゆる五十三年時点の目標値を対象にして、基盤整備あるいは企業誘致というようなものを考えておるのが現状でございます。  それで、それでは先生、御存じのように一万ヘクタールからの用地があるから、どうするのだということになってまいるだろうと思うわけでございますけれども、残りの問題につきましては、現在の北海道開発計画の、いわゆる第三期の計画の見直しということで、新しい北海道総合開発計画を立てるということで、現在いろいろ作業をしておるわけでございます。この中で五十三年以降をどういうようにして考えていくかというようなことは、その当時の経済情勢、今後の経済情勢あるいは環境問題あるいは地域住民の方々の意思、そういうようなものを勘案しながら検討をしておる途中でございまして、五十三年以降どうするのだということは開発計画の中で形が出てまいるのじゃないかというように考えております。  したがいまして、いま、いろいろ港湾の仕事をやって、むだなことになるのじゃないかというお話でございますけれども、港湾の方におきましても全体の計画は、ああいう形になっておりますけれども、五十三年目標に対応して現在、進めておるわけでございます。
  41. 島本虎三

    島本委員 そこなんですよ。五十三年次目標にして、やっている。一万二千ヘクタール、世界一の大規模工業開発地帯になるわけですが、そのうち、もし第三期北海道開発計画を変更すると、いままであった分の変更であって、余った分を、それにつけ加える、これじゃ変更じゃなくて補完、追加じゃないですか。補完し追加することになるじゃありませんか。変更するというのは、来るべき企業が来ない、その場所について、どうするかこうするかを決めること、変えること、これが変更でしょう。それより、もっと余った土地について、これはまた別の企業をどう決めるのだ。土地はすでに多大の金品を払って買収してありますから、後にも触れますけれども当然、遊ばせることはできない、こういう見地なんでしょう。したがって何か持ってこなければならぬ。それでは結局、六十年の目途で進むということの裏づけじゃありませんか、違うのですか。
  42. 黒田晃

    ○黒田説明員 六十年を目標、あるいは現在の三期計画の変更の中で何年を目標にするかということは、同時に検討しておるわけでございますけれども、現在の三期計画の中にございます苫東というようなものを、先ほど申しましたように、日本の経済あるいは地域住民あるいは環境問題、そういうようなものを勘案しながら、どういうようにして現状に沿った、またマッチしたプロジェクトにしていくかということを、新しい三期の計画の中で考えてまいるわけでございまして、先生のおっしゃいますように、当初かかれておる絵そのものを、そのまま、やっていこうという考え方は現在のところ、ないわけでありまして、三期計画の中で、そういう点について今後どう取り扱うかということは十分検討してまいりたい、そういうように考えておるわけです。
  43. 島本虎三

    島本委員 もう、すでにゴーサインは出されておるわけです。北海道も独自の方法を編み出したとして努力していられるような様子はわかるのであります。しかし、万全という保証はないはずです。仮に万全というならば、苫小牧工業地帯で公害がないという見本を現苫の中で示すべきです。現苫は汚れ切っておるでしょう。硫酸のまじった雨さえ降っておるでしょう。河川周辺のヘドロに水銀が発見されたと言っておるでしょう。それはそのままにしておいて、新苫の方だけは、きちっとやります。きれいにやります。おかしいじゃありませんか。空に境界がありますか、海に境界がありますか。苫小牧東部と、いわゆる現在の苫小牧臨海工業地帯、現苫と隣合わせて、両地区の公害物質が複合し相乗作用を起こすのです。そして環境を悪化させる、こういうようなことが当然、懸念されるわけです。したがって、北海道のアセスメントに、相乗作用を起こし複合汚染を起こすおそれがあるかないか、両方を一緒に検討して出したとおっしゃいましたから、これを伺いますが、そうすると、両地区の公害物質が複合し相乗作用を起こして、環境を悪化させる心配があると思いますけれども、北海道のアセスメントに、これがきちっとされてありますかどうか、ひとつ。開発の前に、あらゆることを評価することがアセスメントであるはずだと思いますが、にもかかわらず肝心の点を今後に持ち越したということは、私としてはそのわけを聞きたいのであります。出発だけさせ、あと肝心の点についてはアセスメントは、その後に持ち越すのだ、これはどうも理解できないのであります。この点は果たして、これで自信があるのかどうか、環境庁と開発庁に聞きたい。  それと、開発の段階ごとにチェックすればいい、確かにそういう考えもあります。既成のコンビナートの場合は、それをやらないといけない。それは現在あるものを総量規制によってなくするための努力をする場合は、これが必要。しかし、いまの方式で、ただゴーサインを出してしまうのは、安易に開発を先行させる結果になりませんか。開発が進んで環境が破壊されたために工場が言うことを聞かない。同時に協定があるからといって、幾ら操業停止をしても、健康も自然も戻ってこないでしょう。ゴーサインを出してしまって、今後にアセスメントを持ち越したということ、これは環境庁意見を聞きたい。  それと、両方とも、りっぱに北海道の環境影響評価はやっておるというけれども、両地区の公害物質が複合し、相乗作用を起こす、そして環境を悪化させる懸念がありますが、この点はっきりしておりますかどうか、開発庁、環境庁、双方から聞きます。
  44. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬説明員 苫東の開発計画の環境影響評価につきましては、その評価といたしましては船だまり工事等だけについて環境影響評価を行ったわけではないわけでございまして、計画全体について評価を行ったわけでございますが、その中で、そういう現苫との問題、これは当然あるわけでございまして、したがいまして、先ほど先生が読み上げられました文章の「記」の方にもございますように、やはり既存の現苫地区における環境条件とか、あるいは既存の諸活動によります環境影響とか、あるいは今後の活動規模の拡大というようなものを配慮した上で「環境保全対策を明確にしたのち、東部基地開発にともなう環境影響と両地区の複合による環境影響を予測、評価する必要がある。」という点を特に指摘をしておきまして、現苫につきましては確かにおっしゃいますような問題がございまして、そこで苫小牧の公害防止計画におきましても最新、最善の公害防除施設の設置の義務づけとか、あるいは排出規制の強化等を挙げておりまして、具体的には主要企業との間に公害防止協定等を締結いたしまして、これによって現苫のいわゆる削減計画というものを担保していこうということでございますし、また現苫と新しい東苫小牧等の複合汚染問題があるわけでございますから、それらを全体として評価いたしまして、事前に公害防止に係る資料とか計画を、新しい工場立地につきましては提出をさせまして、これを道あるいは苫小牧市に厳しくチェックをしてもらいまして、この地域環境保全が図られる範囲内において企業の立地を認める。東苫小牧におきましても、そういう考え方におきまして環境庁としても、さらに、その徹底を図るように考えておるわけでございまして、この点についても十分、北海道庁等を指導していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  45. 島本虎三

    島本委員 開発庁ありませんか。なければいいですよ。
  46. 吉田法晴

    吉田委員長 黒田総務監理官いかがですか。
  47. 黒田晃

    ○黒田説明員 いま環境庁の方から御答弁になったわけでございますけれども、そのとおりでございます。  ただ私どもが、いわゆる、そういう重要な問題を後にして先取りして先に開発を進めるのではないかという御意見のようでございますけれども、私どもといたしましては、先ほど環境庁からもお話がありましたように、個々の具体的な問題といたしまして、それを細部でもって十分なアセスメントを行い、そうして、いわゆる環境基準の中に十分、適合できるかどうかというようなことをチェックをしながら進めてまいるということでございまして、あとは先取りという意味に、それがなるかどうかわかりませんけれども、十分いままでの経緯を考えまして、現在の苫小牧あるいは勇払のあの原野に新しい公害をもたらすというようなことがないよう十分な注意をしながら進めていくつもりでございます。
  48. 島本虎三

    島本委員 それならば、昭和五十年十一月に北海道から出した、この分厚い環境影響評価書があります。これは「苫小牧東部大規模工業基地に係る環境保全について 昭和五十年十一月 北海道」もう一つは「苫小牧東部大規模工業基地に係る環境保全について(資料編)」この分厚いやつを二つ出している。これは以前に出したのは、まことに欠落の多い環境影響評価だった。それを今度は、このようにして、きちっとしました、こういうことであります。これを指すのではないかと思うのですが、これはお認めになったのですか。環境庁、開発庁両方、今度は開発庁から先に。
  49. 黒田晃

    ○黒田説明員 道が昨年、出しました、その環境の報告書につきましては、私どもも十分、存知しておるわけでございますか、それが認めるとか、そういうことになりますと、開発庁としての問題よりも環境庁の問題になるわけでございます。しかし、そういうものを出されたという前提の中で十二省庁会議が開かれ、また三省庁の大臣でもって港湾に着工することが決まったというように考えております。
  50. 島本虎三

    島本委員 では、こういうようなものを出され、これによって環境が保全されるということで十二省庁会議で、これをゴーサインを出した。それならばどうですか、五十一年までの間これを環境庁は認めたのですか。これでいいのですか。
  51. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬説明員 苫東計画として、そういう内容の環境影響評価として北海道庁が評価書を提出してきたわけでございますが、その苫東計画の規模によります汚染物質の排出量というものは、いろいろな環境保全目標があるわけでございます。その目標は達成し得る範囲であるという判断をしておるわけでございますが、しかし具体的な立地の問題になりますと、まだ不確定要件が多いわけでございますので、それはさらに、その不確定要件を確定する段階で十分なる検討が必要であるという判断をしているわけでございます。
  52. 島本虎三

    島本委員 これだけ分厚いものを出して、この中には不確定要件がある。なぜ、こういうようなものを、きちっと直さしてからゴーサインを出さないのですか。不確定要素があるのに何のためにゴーサインを出すのですか。この世界一の大規模工業開発をやるのに、慎重過ぎるほど慎重にやっても遅過ぎるということはないのです。まして、いまの低成長、減速経済の時代ではありませんか。なぜ急いで、こんな不完全な資料によってゴーサインを出したのですか。これは重大なミスじゃありませんか。これは不完全な資料ですか、それとも完全な資料ですか。そして、なぜ、これによってゴーサインを出さなければならなかったのですか。省庁会議の長は小沢長官ではありませんか。
  53. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬説明員 省庁会議のまとめ役は北海道開発庁でございますが、その計画は、いろいろ規模なんかも電力は三十五万キロワットとか、あるいは石油精製が三十万パーデーとか石油化学四十万トン、その他いろいろな計画が定められておりますが、その観点に立って環境保全目標と照らして判断する場合には一応、達成し得る範囲内にある。しかし具体的に、そのとおりにいくのかどうか、どういう企業が、どういう規模で入ってくるのか、まだ、はっきりしておらない段階でございますから、それがはっきりする段階においては、そこの点で再度十分なるチェックが必要であるというふうに考えておるわけでございます。
  54. 島本虎三

    島本委員 環境影響事前評価というのは、ゴーサインを出す、認可を出す前に十分なる手続をしておくことなんです。ゴーサインを出してしまってから後から順次それをやっていく、いつの間にか環境庁はそれだけ後退したのですか。こんなことがないようにと、いままで環境影響事前評価法まで出すと張り切っていたのに、ついに出さなかった。これは重大なる後退ではありませんか。まして、この環境影響評価を出したけれども、これはまだまだ、まだまだ欠落しているでしょう。苫小牧地区の環境の現況に対しての認識も甘いでしょう。  植生、これに対して、あれほど、きちっと言ってあったにもかかわらず、今度、出てきたものに関しては植物種の確認が行われていない。ましてシダ植物の科の分析、分け方に分類学的に見て明らかに異なる点を採用している。また、本土に分布が確認されていない植物が記載されている。植生の現況把握、これがなされておらない。     〔委員長退席、田中(覚)委員長代理着席〕  まして今度、鳥類に至っては調査地点の北海道大学の演習林では一度も調査が行われていた形跡がない。専門家によらない調査だと思われる記述が方々にある。鳥類に至っては、このとおりであります。  魚類に至っても同じようなこと、確認されたと思われないような淡水魚が湿原魚類として掲示されている。異質の調査結果をたぐり寄せて非科学的な取り扱いをしているのではないかと思われる節が諸所にある。調査を委嘱された専門家が全く関与することなしに、これが作成されている。ましてミツバヤツメなどというのはない。  底棲生物については調査期間も短く、全部拾い集めることができるのかどうか、これはもう、まことに疑わしい。  プランクトンに至っては十分、現況把握をしていない。  埋蔵文化財については、三年でやるところを二年でやめてしまっている。  環境の現況、これについては苫東地区は汚染が進んでいないという判断であるが、もうすでに、この辺も汚染が進んでいる。それに対しても的確な情勢がつかまれておらない。  まして大気汚染防止計画のうちの公害未然防止計画になると現在の、この計算の仕方、シミュレーションのやり方では、まことにずさんであって、正確を期し得ない。そして、バックグラウンドを四十八年も五十三年も同じにしている。人口がふえるのかふえないのか。自動車数が当然ふえるのに、それなどが記載されておらない。  そしてまた、アセスメントの記録の資料の範囲の上でも、指摘したような点をいろいろ考慮した上で許容総排出量を最も厳しく評価すれば六百五十四ノルマル立米パーアワーになる。それを七百と置いてある。条件が不確定であるから厳しく考えなければならないはずなのに甘く考えている。そして現苫に、いわゆる総量規制を適用して実施可能な大気汚染削減計画を作成し、これを実施しなければならない、またそうさせなければならないのに、現苫の方を、そのままにしてある。あとは努力目標だけを評価している。  水質の汚濁の対策においても、またアセスメントとして不十分である。掘り込みの水路はC類型であるが、これはAまたはBにすべきではないか。  そして廃棄物の処理計画でも、埋め立てを五十二年まで大丈夫としているようであるけれども、これはもう短期的に見ておる。長期的な視野の上に立たなければ、これはだめなものではないか、ことに産業廃棄物の処理だけは。  これはほんの一部分で、その他いろいろあります。その他まだまだあるということについて、日本科学者会議から具体的に指摘をされている。欠落していると指摘をされている、それをもとにしてゴーサインを出した。これは重大なミスじゃありませんか。いま、ほんの半分程度より指摘しておりません。まだ、これに十分載っているのであります。しかし、いま言っただけでも大変なミスです。このミスの上に立った環境保全についての資料に基づいてゴーサインを出した。これはどういうことですか。全部、坊主になっても、これは罪の償いをすることはできない。私は、これはまことに遺憾に思います。科学者会議からの指摘、これについて環境庁では、どう受け取ったのですか。
  55. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬説明員 確かに先生の御指摘のように、現苫地域について、まだ、いろいろとやらなければならぬことはあるわけでございまして、まあ苫小牧地域公害防止計画は五十三年度が終期になっておりまして、それまでにやらなければならぬような問題が、いろいろありますし、また、その地域内の環境保全対策を進めるためには、バックグラウンド調査とか、あるいは地上気象、立体気象の調査などのほかに、いろいろな植物への影響調査等も継続実施する必要もあるわけでございますし、総量規制推進の一環といたしましてシミュレーションモデルあるいは排出源単位の設定などに必要な調査も実施する必要があるわけでございます。それから、さらに現苫小牧地域のいろいろな、たとえば苫小牧川の汚染の問題とか、これをどう処理していくかというような問題も、いろいろと個々にはあるわけでございまして、これはこれで、やはり公害防止計画に従いまして、私ども今後、強力に道庁等を指導してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  56. 島本虎三

    島本委員 公害防止協定、これがあれば大丈夫ですか。
  57. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬説明員 公害防止協定は企業との間の協定でございますが、その対企業関係の問題でない問題も、いろいろあるわけでございまして、先ほど申し上げましたようなバックグラウンド調査で、たとえば河川の自然汚染の問題というようなものも、やはり調査をしなければならぬという問題があるわけでございます。でありますが主要な問題は、やはり企業との問題が多いと思いますので、公害防止協定はやはり、きちんと結んで、それを履行させていくようにやっていくのが重要な問題だと考えております。
  58. 島本虎三

    島本委員 では、現苫の汚れ切った環境について、現在、現存する企業との間に、どういうようにして、これを解消させる計画がありますか。開発庁の方では、これをどういうふうにして見ていますか。現苫です。
  59. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬説明員 現苫のいわゆる環境改善問題につきましては、いまの公害防止協定問題等も含めまして、先般も北海道庁を呼びまして十分に、その留意事項について指示をしておるわけでございまして、今後も、その強化を図っていきたいというふうに考えております。
  60. 島本虎三

    島本委員 では北海道では、現苫の方をそのままにして新苫の方だけの環境影響評価をやったのですか。両方あわせてやったと開発庁はおっしゃいましたが、これはうそですか。
  61. 黒田晃

    ○黒田説明員 現苫とあわせて行っておるわけでございます。その現苫の基準といたしましては、いわゆる公害防止計画に基づく数字をもとにして、やっておるわけでございますが、それでは公害防止計画がどういうようにして行われておるかという御質問だろうと思います。これは主要なもめは大体、五十三年までに所要の中に入れるということで行っておるわけでございまして、一例を申し上げますと現苫におきます。いわゆる発生源の問題でございます。これにつきましては現苫におきます主要工場ごとに煙源を設定してシミュレーションを行って、現苫地域の総排出量を設定しておるわけでございまして、この総排出量を担保する措置として、公防計画に基づいて公害防止協定を締結して工場別に削減目標を定めておるわけでございます。この工場別の削減目標の設定に当たっては煙源等の発生源別に検討しておりますけれども、工場別削減目標に係る具体的な措置は工場の責任において行う。いわゆる煙突一本ずつじゃなしに、現苫の中におきましては現在においては工場別に規制をして公害防止協定を結んでおる。これは一例でございますけれども、そのほか先生が御指摘になった点につきましても、道の指導のもとに着々と実効を挙げているというように考えております。
  62. 島本虎三

    島本委員 これは計画がきちっと実施されているということを点検していますか。
  63. 黒田晃

    ○黒田説明員 現在、苫小牧市及びその周辺で、たくさんの測定基地を設けまして、実際に、どうなっておるかということを測定しておることは先生、御案内のとおりでございます。しかしながら、これは先ほど申しましたように、特に窒素酸化物……
  64. 島本虎三

    島本委員 そうじゃなくて削減計画を、いま実施している。そうならば削減している、そういうようなことに対するチェック、点検をきちっと、やっているかというのです。
  65. 黒田晃

    ○黒田説明員 道の指導のもとに行われておると考えております。
  66. 島本虎三

    島本委員 道の方では公害に対して企業との間に防止協定がある。それを運輸省も環境庁も知っていない。防止協定があるからいいんだ、こういうような考えのようです。しかし、防止協定があるといっても、これは公法的な効果はないでしょう。これは私法上の契約の一種でしょう。違反した場合でも罰則に抵触しないでしょう。その協定違反に対して、その協定の中に罰則を入れてあるのですか。そして操業停止や設備撤去、こういうようなものを入れているのですか。民法上の典型契約にならないから、これは無名契約だ、こういうような位置づけをされているわけであります。したがいまして、これは、いま言ったようなことを強力にやらせると言うけれども、守らなくても何ら企業の方には痛くもかゆくもないのです。公害防止協定があるからいいんだ、こういうような考えの上に立っている。余りにも甘過ぎるじゃありませんか。  大気保全局長いますか、この協定等の関係で、はっきりした見解を示してもらいたい。
  67. 橋本道夫

    ○橋本説明員 公害防止協定におきましては、大気保全関係におきましては各工場別に、どういう方式で、どれだけカットをするかという条件が全部、設定されておりまして、全体といたしましては硫黄酸化物は三九%カット、窒素酸化物は四五%カットで、おのおの、いかなる措置を行うかということを明記してございます。  これは法的に拘束があるかということになりますと、確かに協定でございますから法的に拘束はございません。ですから一番望ましいのは、道が上乗せできるものについては条例化していくという方向で行くのが一番望ましいのだと思いますが、これは北海道庁自身が判断することでございまして、また企業自身は道からの圧力を非常に猛烈に受けておるということも、これまた事実でございます。道庁が立入検査等によって、これを確認するということでやっていけるというぐあいに考えます。法的に担保するということになれば条例または最後には法律ということになるものと思います。
  68. 島本虎三

    島本委員 したがって、これは防止協定があるからといって法的な効果はないのですから、進んで中へ入っていって定期的に、そのとおり行われているかを点検しなければならない。立入検査しなければならない。それに対して任せっきりでいいんだというようなことで、この不完全な環境の資料によってゴーサインを出してしまった。完全にしてから、これは出さなければならないのです。いますぐ急ぐ問題じゃないのです。これは。一体、企業はいつころまでに全部そろうようになりますか、通産省。
  69. 宮本四郎

    ○宮本説明員 現在、苫小牧市の出しております計画によりますと、石油精製毎日二十万バーレル、石油化学が年間で四十万トン、自動車十八万台、こういうふうなのが出されておるわけでございます。私ども現在の情勢から判断いたしますと、なかなか容易ではないという感じが率直にするわけでございますが、全般的な考えからいたしますと、今後とも福祉、雇用、こういったものを考えますと年率六%程度の成長は実現しなければならぬ。そうなりますと、鉄鋼、石油精製、石油化学、こういった基礎物資の安定供給網確保が非常に大事になってまいります。これの具体的な数字は、なかなか、わからぬわけでございますが、一応、産業構造ビジョンということで通産省の内部で試算したデータで申し上げますと、六十年に鉄鋼が一億七、八千万トン、石油精製で三億八千ないし三億九千万キロリットル、石油化学におきまして七百八十万トン、こういうふうなデータが出ておりまして、五十年との対比で申し上げますと、鉄鋼が一・七倍、石油精製が一・七倍、石油化学が二・三倍、こういった程度にふやす必要がある。他方、御存じのように国内生産さらに工業立地、過密過疎の問題、産業人口の地方分散ということを考えますと、この問題につきまして長期的な観点から環境、地元の意向を尊重しながら進めてまいる必要がある。  なお、具体的に御指摘の点につきましては、私ども企業ごとの意向については存じておりません。ただ、かなり、そういうことにつきまして将来、立地の意向を持っておる企業もあるというふうに承っておる次第でございます。
  70. 島本虎三

    島本委員 こういうような疑問点があるのに、上物がそろっていないのに、準備ができたとして、これにゴーサインを出さした。そして、いまのような状態を予測だけして東部港の船だまり工事だけを七月の五日に施行命令を運輸省が出している。それも二十日間の中で原案は同じ、ただ、それを理解したというだけで、これを出した。しかし、その内容はなかなか理解するに困難だ。  それで、この計画は北海道三期計画この中に入るのか、それとも日本の計画なのか。この開発行為は道民のためなのか、日本のためのか。これはどっちに重点を置かれているのですか。
  71. 黒田晃

    ○黒田説明員 現在の第三期の北海道の総合開発計画の中で苫小牧東部ということがうたわれておるわけでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、その当時と経済情勢、社会情勢が変わってきておるわけでございますから、第三期を、もう一度、見直そうという段階になっておるわけでございます。したがいまして、簡単に申し上げますと両方にまたがっておるというような形が現在の実情だろうと思うわけでございます。  片一方、先ほど通産省からお話がありましたように、ある程度、日本が経済成長していかなきゃならないという前提に立つならば、いわゆる工業開発というものも今後、必要になってくるわけでございます。一方、北海道といたしましては先生、御存じのように工業生産というのが、過去の三期までの計画の中で産業構造を変えようということで、いろいろうたわれておるわけでございますけれども、なかなか計画目標を達成していくには至っていないわけでございます。したがいまして今後、北海道の産業構造あるいは経済性というようなことと、それから北海道に及ぼす影響、地元北海道に与えるメリットというようなものを両方、考えておるわけでございまして、北海道のため、ひいては日本のためということに相なるのじゃないかと思うわけでございます。
  72. 島本虎三

    島本委員 したがって、北海道の第三期開発計画を見直すと言って、まだ見直されていない段階での見切り発車は当然だということになるわけですね。北海道のためじゃない。それもあるけど日本のためだ。しかし、それにしてみても通産省自身の、この点の考え方はどうなんですか。石油危機をきっかけにして日本の経済は変貌しているでしょう、資源が安く入る時代ではありませんから。重化学工業中心から省資源、省エネルギー時代に産業構造が転換しなくてはならない、こういうような段階のときに、何か、いまの傾向に逆らうように重化学工業を中心としてのコンビナート、それも世界一のものをつくろうとする。いまの開発が、それにつながるのでありますけれども、いままでの開発計画が軒並みに見直されているのに、その中にあって新全総や北海道の三期開発計画、これも見直しの間にあっても、それを見直さないうちに敷かれたレールの上を突っ走る、こういうような状態であります。どうも、この点に対しては余りにも急ぎ過ぎるというか、環境庁がありながら環境のことを考えない、そして、いまの日本的な発想といいながらも、経済自身、企業自身の現在の日本的な行き方から脱落している重化学工業、こういうようなことで北海道を、また、やろうとしておる。一体これはどういうことなんですか。  国のためもある、道のためもある、こういうことなんですから、わかりますけれども雇用対策や北海道内の産業の振興、こういうようなものは当然、考えるべきです。コンビナートを立地するのは今度は装置産業であって、ずうたいはでかいけれども人は少ないという企業です。シーバースのタンカーからパイプで原油を運ぶ。化学工場の人影はほとんど見えないようになっている。同時に電力会社はコンピューターの装置で操作する。その利益は、ほとんど地元に環元しないで中央に吸い上げられるような状態だ。     〔田中(覚)委員長代理退席、委員長着席〕 資本のある本州の大メーカーが苫東に立地して、その製品は道外に移出したり、また輸出したりする。かせいだ金は東京にある本社の方へ全部、吸い取られる。北海道には波及的な効果はおろか植民地的な開発を押しつけることになるじゃありませんか。こういうような点で、いままでの例をもう一度考え直して反省しなければならないときにいまあると思うのです。  水島でも同じような例がありました。過去において、やはり開発のために一生懸命になって、やっていったのであります。しかしながら、それは企業そのものを利益し全部、中央の方へ吸い取られる、土地には公害だけが残された、こういうような実態であります。岡山の水島のコンビナートでも昭和二十八年に国が九十五億一六・七%、県が二百七十八億四八・九%、市が百九十四億三四・四%、命計五百六十七億投資した。しかしながら、それから得た利益は、国は二千四億八九・七%、県は九十六億四・四%、市は百三十四億五・九%、合計二千二百三十四億、こういうような状態で、企業誘致を一生懸命やっても結局は残されるのは公害だけなんです。環境破壊だけなんです。それをまた、こういうようにして不完全な資料の上に立って、これをやっていく。地方自治体は固定資産税の増収を見込んでも、公害対策や財政負担の支出が増大して、地方自治体自身どうにも動きがとれなくなる。北海道民は道民のための開発だと思っている。しかし、いま言ったように、これは道民に対しての開発じゃない。少し、あるけれども植民地的開発だ、そういうように受け取れるわけです。私はまことに遺憾であります。  大蔵省も来ておるようでありますが、上物の決まらないうちに世界的な大規模の港の下物の着工が許可になった。しかし低成長時代、企業進出の意欲はまことに薄いのであります。その際に、公共予算は潤沢ではないはずなんでありますけれども、既設の設備や若干の設備を足す程度で、五十五年から六十年程度までは現在の企業は賄える、こういうようなデータが出ておるし、苫東の進出はむずかしいのではないか、こう言われているのに、もうすでに、これをゴーサインで着手してしまう。予算は将来むだになっては、とんでもないことになるのであります。慎重に考えて大蔵省としても、この点に対しては万全の策を講じたのですか。所感を承ります。
  73. 西垣昭

    ○西垣説明員 将来むだになるような公共投資を行うというようなことがあってはよろしくないと思います。私どもといたしましては将来、手戻りが生じない範囲でということで従来、予算を計上してきておりますし執行もいたしておるつもりでございまして、今後とも慎重にやってまいりたいと考えております。
  74. 島本虎三

    島本委員 警察庁来ておりますね、苫小牧工業開発の地帯の中に約五億五千万円ほどかけて買収した土地があります。その土地の中には、いま問題になっている児玉譽士夫や小佐野賢治それらの会社あるいは個人が五回も土地を転がして、一坪八十円の土地を一万円で苫小牧市または開発公社に売りつけておる、こういうような事実があるように承っておりますが、その点、調査していますか。
  75. 柳館栄

    柳館説明員 値段等の詳細につきましては、はっきりいたしませんけれども、ただいま先生、御指摘のような売買が行われたということは承知いたしております。
  76. 島本虎三

    島本委員 まして原野一万六千二百四十平米、これを児玉譽士夫本人あるいはまた日本電建、これは小佐野賢治の経営しているところですが、五回もお互いの間に転がしている。そして苫小牧市の土地開発公社及び苫小牧市に売りつけておる。こういうようなものが開発と関係して存在しているわけです。これは一体どういうことなんですか。警察庁でも手を入れてみたと思いますが、開発上こういうようなことがあることに対しては、警察庁では別に何ら関与しないのですか。
  77. 柳館栄

    柳館説明員 ただいま申し上げました売買に関連いたしまして、現在までの段階では法令違反の事実は報告されておりません。北海道警から報告が参っておりません。
  78. 島本虎三

    島本委員 取水口の上水道用地、西タップ川の排水場、これをつくるので等価交換をした、こういうように私はちょっと聞いたのですが、その土地も土地転がし五回によって市が買い上げている。開発する場合には先行投資しても安く、または買われる人、農民、こういうような人には生活できるように、わりあいに、きちっとしたものを払えばいいのに、その中に、いま問題の人たちが五回も六回も入って土地を転がしたものを平気で買って開発の用に供しようとしている。私は、これは開発上、大きい問題だと思うのです。そんなものに対してゴーサインを的確に出している。問題だと思うのです。この点は警察庁でも十分調べてもらいたい。そして資料として、すぐ委員会に報告してもらいたい。この点を委員長に要請いたします。
  79. 吉田法晴

    吉田委員長 調査の上、委員会に報告できますか。
  80. 柳館栄

    柳館説明員 ただいま御指摘の点でございますけれども、私ども警察といたしましては、犯罪に関連ありやなしやということで調査をいたすわけでございまして、そういったものを調査した結果を公にいたすことは適当でないと思いますので、御勘弁をお願い申し上げたいと思います。
  81. 島本虎三

    島本委員 それでは開発庁の方へ、苫小牧市字錦岡三百四十七の二、清川千代馬という人が持っておった原野一万六千二百四十平米、それがどういうような経路で、幾らで、この苫小牧市土地開発公社または苫小牧市が買ったのか、これをずっと調査して資料として出してもらいたい。
  82. 黒田晃

    ○黒田説明員 いま先生の御指摘の土地でございますが、私、先ほどお伺いしておりますと、苫小牧の開発区域の中にあるような御発言と理解したわけでございますけれども、これは苫小牧の西の方、いわゆる登別寄りの方でございまして、私どもの方の苫小牧東部と全然、無関係地域でございます。したがいまして、私どもといたしましては、どういうような経緯になっておるかということも、つまびらかじゃないわけでございまして、その点ひとつ御理解いただきたいと思います。
  83. 島本虎三

    島本委員 それは別なところにありましても、等価交換をして、そして上水道の、そのもとにある土地を交換している。等価交換をしたところは、あくまでも、それらの開発地内に入る。したがって、それを調べてもらいたいというのですが、それはできるでしょう、できないのですか。
  84. 黒田晃

    ○黒田説明員 先生のおっしゃる、いわゆる開発地域の中ならば、私どもの方で、どういう経緯で、なったということはわかるわけでございますが、現在のところ、その等価交換をした、いわゆる市で行いました上水道用地というものが計画の中じゃないのじゃないかというように考えておるわけでございまして、その点、その等価交換をした地域が、どの区域にあるのか今後、調査いたしまして、そうして開発区域の中に入っておるということならば、私の方で調査が可能じゃないかと思います。
  85. 島本虎三

    島本委員 資料として出してもらいたい。それはいいですね。
  86. 黒田晃

    ○黒田説明員 苫東の開発区域の中ならば経緯はわかると思います。外の場合は私どもの方で、ちょっと調査する方法がないわけでございまして、その点、御了承いただきたいと思います。
  87. 島本虎三

    島本委員 それで、この苫東開発の工事入札について現在、事件が起きていますね。これは十四日に北海道開発局と全道労協並びに全胆振地区労センターそれから苫小牧地区労の代表が協議をしています。それによると、苫小牧開発は環境保全上多くの問題点がまだ残っているから、住民無視の中で進められては困る。したがって苫東の着工は認められない。混乱を防ぐために工事の入札を中止すべきだ。これに対して北海道開発局側は、道の開発局としては運輸大臣の施行命令に基づいて工事を施行する立場にあるから、予定どおり入札を行ない着行ずる、こう言明して、その混乱は必至だ。そして、このためには機動隊も動員するようなことになるかもしれない、そういうような事態も予想される。混乱は避けられない見通しが強くなってきた。こういうふうに十五日の新聞に出ているのであります。こうまでして不完全な環境影響評価によって、なぜ急がなければならないのですか。こういうような態度はとらすべきではないし、話し合いはさせるべきだ、こういうふうに思います。その日は入札の強行をしないでもらいたいという要請ですが、この点については開発庁、知っていますか。
  88. 黒田晃

    ○黒田説明員 十四日の日に開発局長に、全道労協あるいは地区労の方々が面会を求められまして、入札をやめるべきじゃないかという申し入れがあった。その理由といたしましては、一つにはアセスメントが不十分である、二つ目には地域住民の意見を聞いていないという二点を根拠にして、そういう申し入れがあり、実施機関でございます開発局としては、運輸大臣の施行命令が出た限りにおいては入札をやらざるを得ないという回答をしたということはよく知っておるわけでございます。
  89. 島本虎三

    島本委員 機動隊を動員してまでも運輸省は強行するつもりですか。
  90. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 運輸省が施行命令を出しました経緯につきましては、先ほど申し上げましたとおりでございます。施行命令を出しまして、その事業の実施をいたしますのは、あくまでも北海道開発局の責任において、やるわけでございまして、それに対しまして運輸省がどうこうという筋ではないというふうに理解しております。
  91. 島本虎三

    島本委員 それでは開発庁、血の雨を降らせても、これをやらせるのですか。
  92. 黒田晃

    ○黒田説明員 十四日の状況を聞きますと、そういうことで物別れになったわけでございますが、いま先生がおっしゃいますような、いわゆる機動隊というような話も出ていないようでございます。ただ新聞情報では、いろいろな入札できないような方法を講ずる、どういう方法か、まだ、わからないわけでございますが、そういう新聞報道がなされておるわけでございます。したがいまして、現在の時点で私どもといたしましては、どういうことになるか事態の推移を見るより、しょうがないのじゃないだろうか。その時点になって、どういうような状況になるか、それは、そのときでもって開発局が判断し、また私どもに相談があれば、私どもも一緒になって考えてまいりたいというように考えております。
  93. 島本虎三

    島本委員 これは、いつでも、こういうようなことがあるのです。伊達火力の際も同じようなことをやった。今度の場合は、あらかじめ予想されるのだ。したがって、入札の日を決めて、その日に強行しなければ、後で話し合いによって話はつくではありませんか。その話し合いに応じろと言うのです。そうでなければ強行するならば実力で阻止すると言うのです。そうなると開発の労働組合の方でも入札作業に対しては非協力の立場をとる。入札反対の行動を妨げるような作業もしない、これを新聞で談話として発表しています。労働組合も協力しないようなもので、いま急に実施しなくとも何ら天変地変もないのに、それを強行するのかどうか、どうなんですか。それでも、まだやるのですか。運輸省は開発庁任せだと言う。私はこんなので血の雨を降らせたくない。これは話し合いの態度を最後まで貫かないとだめです。強行するのですか、しないのですか、開発庁。
  94. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 ちょっと申し上げます。  私、先ほどの答弁の中で北海道開発局と申し上げたつもりでおりましたけれども、いま先生、庁とおっしゃっておりますので、あるいは私の発言に間違いがあったかもしれません。北海道開発局と申し上げたつもりでございます。
  95. 島本虎三

    島本委員 血の雨を降らせるようなことでも強行するのかしないのか。開発庁でも局でも、局は下でしょう。
  96. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 実施の責任を持っているのは局であるということを申し上げて、庁ではございません。
  97. 島本虎三

    島本委員 それは責任回避というものですね。庁ではなくても、庁も局も一体になっておるのです。実施の責任が局であるから開発庁は知らないのだ、こんなことでは通らないでしょう。そんなことを言ってもしょうがない。せっかく、この環境影響評価によってゴーサインが出て、そういうような事態になったのでありますから、環境庁長官も今度は、それをそのまま見ているわけにいかぬでしょう。血の雨を降らせるようなことを知っていながら黙っているのは余りにも能のないやり方です。事情を十分、聴取した上で、これに対して長官に善処を要望しますが、長官お考えありますか。
  98. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 実施の段階に至って私ども環境庁が関与するというようなことは、法制上も行政上のたてまえも全く関係がありませんので、実は私に何らお答えをする権限と責任がないわけでございますので御了承願います。
  99. 島本虎三

    島本委員 三木環境庁長官の場合はそう言わなかった。十分事情を聴取して、そういう事態を避けさせるように努めると言っている。あなたは、そんなのは関係ないからと言って逃げる。では、あなたは血の雨を降らせることを望むのですか。
  100. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 三木長官がそういうことを言われたかどうか私は存じ上げませんが、副総理としての立場で言われたのじゃないかと思う。私は副総理でも何でもございません。環境庁長官でございます。全く、それだけでございますので、ほかの権限なり、あるいは行政の責任の、それぞれの分担がございますから、私は環境関係についてのみ国会に責任を負っているわけでございます。
  101. 島本虎三

    島本委員 そんな詭弁を言わないでも、もう、わかり切っている。あなただって閣僚の一人でしょう、国務大臣でしょう。そういう事態が起こるのに、おれは環境庁の長官だから社会的環境の悪化は知らないのだ、こういうようなことで、のほほんと済ましておいていいのですか。あなたは、すぐやって、そんなことのないように十分話し合いをして、円満に着工できるような方法を講じたい、これくらい言えないのですか。言えなかったら大臣をやめたらどうですかね。あなたは、それくらいやっていいのです。環境庁長官は進んで、社会環境の悪化これは環境庁がやってもいい、その辺までやる、そのくらいの意気込みを示しなさいよ、自然環境だけ、やるのじゃなくて。これは望ましくないことです。しかし皆さんには、そういうような誠意がない。このことを私は遺憾に思います。  それと同時に、建設省に伺いますが、建設白書が出されまして、社会資本整備に重点を移して影響事前評価をすべきだ、こう提唱している。そのことを大きく取り上げているわけであります。今後は計画策定の段階から住民の声を積極的に取り入れ、環境影響評価を行い、そして事前に除去するための方策を講ずべきことを明らかにする、こういうような点が高く評価されているのでありますが、もし、こうだとすると私は、いままでと違った姿勢だと思って、これは評価したいと思うのであります。環境庁は環境影響評価を出そうとして出せなかった。建設省が進んで建設白書の中にそれを強く出した。これはなかなか意味が大きいと思うのであります。この点について環境庁はなぜ、これをやらなかったのか。建設白書の中で、それをはっきり強くうたった。このことで私は妙におもしろさを感ずるのでありますが、やる方がこれを感じ、責任を持って環境を守る方が出すべき法律を出せなかった。そして、社会的混乱があるのに国務大臣でありながら、あえて、それをやろうともしない。私はまことに、おかしさを感ずるのでありますが、建設白書として、この部分は、やはりそうですが。
  102. 望月薫雄

    ○望月説明員 御指摘のとおり、ことしの白書では、私ども環境の点を大分、重視したつもりでございます。御案内のとおり最近、公共事業の実施というならば、環境を含む地域社会との摩擦現象というものが結構、増加しているということで、公共事業の進め方について、いろいろと問題を抱えておるわけでございますが、ただ、その中でも建設省なりに、いままで努力してきているということを一点、申し上げたかったのが、その白書でございます。  具体的には、道路のオープンカットだとか沿道の緑化だとか、あるいは下水の覆蓋化だとか、いろいろなことをやってきているわけでございますが、そういったことの背景では私ども、かなりのアセスメントといいますか影響評価をやっておる。しかし、つぶさにこれを見ますと残念ながら、まだ過渡的な、あるいは試行的な段階を出ていないということも、これは否定すべくもない現実でございまして、むしろ、そういったことを踏まえた上で、これからは技術的な手法の解明というものを十分やっていくという大きな一つの課題意識を持ちながら、片方で地域の住民の方々との対話の問題だとか、あるいは公共団体との協調とかいうことを積み上げながら、そういった方向に、これからの建設事業を進めてまいりたいということを申しておるつもりでございます。
  103. 島本虎三

    島本委員 なぜ環境影響事前評価法、これを出すと言いなから、建設省がここまで進んだ意見を持っているのに、環境庁の責任者は出せなかったのですか。
  104. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 ことし国会に出せなかったのは、いろいろ各省との詰めが、まだ終わらなかったわけでございますから、出さなかったわけでありますが、われわれが環境影響評価についての手続法を国会に出したいという意欲を持って各省にやったから、建設省も実施官庁としてアセスメントを大いに重視しようということで白書でも取り上げるように、ようやくなった。これは私は非常な前進だと思っております。そういう意味で好ましい現象だと思っておりますが、しかし、一方において考えなければいかぬのは、実は実施官庁とアセスメント法案について、いろいろ話し合いをしている過程において、それぞれ実施官庁がやるべきじゃないか、そういう統一的なアセスメント法なり手続法は必要でないじゃないかという実は論拠、反論も出ているわけでございます。したがって、余り先生が、そういうことについて、これをほめたり、あるいは大変いい傾向だと言われますと、私どもが統一的なアセスメントの手続法をつくることについて若干、支障を来すおそれもありますから、この点は十分、御検討の上で、ひとつ、いろいろ御研究を願いたい、私は率直に、そういう感じを持ちます。
  105. 島本虎三

    島本委員 ロッキードの証人喚問みたいなことを言ってはだめですよ。こういうようなことを国会の中で論議すると、その問題については環境庁がやれなくなるということですか。逆に環境庁に対して、これを言うと建設省がやれるようになるということですか。どうも、おかしいじゃないですか。現に、あなたの方が出さなければならないのが環境影響評価法でしょう。現に出せない。弱過ぎますよ、あなた。とにかく、こういうのが出たのは事実ですから、この上に立って、ひとつ完全な影響評価法を出してください。出すと言っても、もう命数もないのですから無理でしょうけれども。それにしても最後に一つだけ聞かしてもらいたいのです。  私は国会議員として、公害環境特別委員会委員として、環境庁が積極的にやらなければならない根回しを建設白書において読むことができた。これも、いろいろな意味で私は高く評価する。それと同時に、環境庁と建設省に次のことを二つ聞いて、そして私は終わりにしたいのです。申しわけありません。  一つは、東京都内でも事前審査をやってくれ、こういうのはたくさん出ているのです。特に建設省の場合には何ですか、運輸省との間に二省間協定とかいうものがあって、この協定についても、いろいろと運輸省の中で質問したり、建設省にも質問したりしたのですけれども、地下にする場合——高架にする場合はいいというんです。地下にする場合には、これは適用は無理ではないんだけど適用できない。無理ではないんだけど適用されないということは、ちょっと、おかしいのですけれども、ことに、これは完全な影響評価をやって、周囲の住民が困るんであるから当然、公害から救ってやる、そのためには地下にするというならば、運輸省との二省間協定も一諸に生かしてやるべきじゃないか。そうすると住民も、さすが建設白書によって環境影響評価を提唱しただけあって、下へもぐって何ら地上には影響を与えなかった、こういうふうに評価するでしょう。  同時に、西武池袋線の立体化問題は、去年の七月十日に質問してありますけれども、高架の場合、沿線住民に及ぼす影響は、これは重大な問題であって事前に十分な検討、対策をとらなければならない、こういうような性質のものであります。したがって、環境庁としては環境予測調査を実施してから公害のない立体化を図るよう厳に関係官庁に申し入れてほしいし、質問したときには、そういうような点についても積極的にやりたい、こういうふうに言っていたように私は記憶しているんであります。この練馬には環七もあり、これ以上、公害は要らないというのが住民の声のようです。この際、最後でありますが、この二つだけは、なるべく住民の意に沿うて、建設省も環境影響事前評価を提唱したたてまえからしても、やはり、この趣旨に沿ってやった方がいいだろうと思うのです。環境庁は、いかに後ろ向きになっても、こういうようなものだけは後ろ向きになってほしくないのです。現実の問題でありますが、ひとつ、これに取っ組んでいってもらいたい、こういうふうに思うわけですが、これは事務段階の方から答弁を求めます。建設省と環境庁
  106. 並木昭夫

    ○並木説明員 ただいま先生からお話のございました点は鉄道高架事業に関することかと存じますが、私このことにつきましては責任のあるお答えをできる立場にございませんので、一般論といたしまして、事業の実施に当たりまして環境影響評価につきまして十分考えていくという方針でございますので、そういう一般の原則に即してやっていくということは言えようかと存じます。
  107. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬説明員 民営鉄道の敷設問題につきましても、環境影響評価を行うということは必要なことであるというふうに思うわけでございますが、環境影響評価を義務づけているのは若干の法律と、それから昭和四十七年の閣議了解で、公共事業については環境影響評価を影響の著しいものについておやりなさい、こういうことになっておりまして、その点、公共事業について国鉄等については、そういう面で拘束力がありますが、民営鉄道については残念ながら、そういう拘束はないわけでございます。しかし必要であるというふうには考えておりますので、制度化の段階では、そういうものはやはり、ぜひ取り入れていかなきゃならないんじゃないかというふうに考えております。
  108. 島本虎三

    島本委員 長い間、ありがとうございました。
  109. 吉田法晴

    吉田委員長 この際、午後一時三十分まで休憩をいたします。     午後零時五十八分休憩      ————◇—————     午後一時三十四分開議
  110. 吉田法晴

    吉田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  公害対策並びに環境保全に関する件について、本日、首都高速道路公団理事三宅正夫君及び本州四国連絡橋公団理事蓑輪健二郎君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 吉田法晴

    吉田委員長 御異議なしと認め、よって、さよう決しました。     —————————————
  112. 吉田法晴

    吉田委員長 質疑を続行いたします。岡本富夫君。(岡本委員「大蔵省来てないな」と呼ぶ)  ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  113. 吉田法晴

    吉田委員長 速記を起こして。
  114. 岡本富夫

    岡本委員 最初に一つ、先ほど、ちょっと、ぼくが聞き落としたのかもわかりませんが、島本委員の質問の中で環境アセスメントについて、長官の方から御答弁があったようなんですが、先国会に、この環境アセスメント法案、手法の法案を出すということであったのですが結局、流れた。次の国会には必ず環境庁として、この法案を出すのか出さないのか、出せる確信があるのかどうか。また次も流れたというのでは話にならないので、これだけ一つ先に念を押しておきたい。
  115. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 私は、もう絶対あきらめておりませんので、鋭意、各省との調整をいま、やっていただいて、特に連絡協議会を設けまして、その準備に連日、努力をいたしておるわけでございます。したがって、できるだけ早い機会に出したいという意思には毛頭、変わりはありません。
  116. 岡本富夫

    岡本委員 どうも出したい出したいというようなことでは、これは話にならないと思うのですよ。必ず次の国会には、この環境アセスメント法案を出すのだという、強いあなたの決意がなくては話にならないから、その点ひとつ、はっきりあなた、ここで答えておかないと、もしも今度あなたが環境庁長官をおやめになった場合、これは結局、環境庁として何の担保もないわけですよね。これじゃ話にならない。だから、その点をひとつ、きちっとお聞きしておきたい。
  117. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 おっしゃるような決意は実は持って準備を進めているわけでございます。ただ、私どもだけで法案をつくるわけにはいきませんので、やはり各省の調整が十分つきませんと、これは政府として決定を見るわけにいきませんものですから、私はさように申し上げておるわけですが、決意はあくまでもかたい、こういうことでございます。
  118. 岡本富夫

    岡本委員 どうも決意がかたいだけじゃ、これは話にならないのですがね。各省との調整といいましても、これは、ほかの省は、そう賛成するところはないんだ。そして、あなたの方は各地方自治体あるいは、いろんなところに対しては環境アセスメントをやりなさい、こう言うだけですよね。そして、どうすればいいんですかと言うと、それは適当、——適当と言ったらおかしいけれども、それぞれ皆、違うわけですね。それでは各地方自治体も困るわけですよ。同時に、また全然ないというんではないんです。わが党も、ちゃんと対案を出しておるわけですからね。社会党さんも出しておるけれども、そういう方向を示しておるわけですから、だから、あなたの方で、環境庁の方で、環境保全という立場から、高度成長政策の結果こういうことになった、今後、再び、こういうことを起こしてはならないという決意のもとにやるわけですから、そんな、いまの、ただ決意に変わりありませんでは、ぐあいが悪い。次の国会には必ず出します。ここまで、あなたは強い発言をしておくことが大事だと思うのですが、いかがですか。
  119. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 私は、できるだけ早い国会に提出をしたいという決意は変わりはないと申し上げておるわけでございまして、私の決意を実行に移すべく鋭意、努力をいたしておるわけでございます。これ以上、強い表現は私はどうも見つからないわけでございまして、先生は、出す、こう言えと言うんですけれども、当然出す、次の通常国会よりも、なるべく早い機会に出したいということで、その決意で、やっておるわけでございますから、当然、私は国会に出すつもりで鋭意、準備をいたしておるわけでございます。  ただ私が、これはいかに力んでみましても、各省庁が、それぞれ実施をするわけでございますから、各省庁の了解を十分取りつけて実効あらしめなければいかぬ、こう思うのでございまして、実効あらしめるためには、それだけの理解と協力を得なければならない。また恐らく私は、その理解と協力を得ることが十分できるだろうという確信のもとに、いま、いろいろと折衝をいたしておるわけでございます。
  120. 岡本富夫

    岡本委員 長官も、それから三木長官のときも、そうだったのですが、皆様方の大臣になったときの所信表明というのは必ず環境アセスメントが出ておるのですよね。そして結局やらない。これでは公約違反ということになるわけですね。ですから各省の協力、協力と言いますけれども、これをはっきり示すのは環境庁以外にないんです。だから次の通常国会、臨時国会とは言いませんよね。なるべく早い国会といっても、ずっと何遍もありますから、来年、再来年もあるわけですから、次の通常国会には必ず出すようにします。こう、はっきり、あなた言うておけばいいのですよ。そうしたら、みんな、これは長官がはっきり言ったから、やらなければいかぬということで事務当局も作業が始まる、こういうことですからね。あなたの最初の強い所信表明をもう一遍、明らかにしなければならぬ。これが大事だと思うのですよ。もう一遍、一言はっきり言っておいた方がいいですよ、これは。
  121. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 私が申し上げた所信には毛頭、変更はございません。決意も変わっておりません。したがって、できるだけ早くと申し上げたのは、目標は、もちろん来るべき通常国会でございます。
  122. 岡本富夫

    岡本委員 じゃ目標は次の通常国会ということで、必ず出すという約束と理解して、次へいきます。  そこで次は、私ども選挙区へ帰りますと、特に関西空港につきまして至るところで苦情がある。われわれ議員も政府も、住民側からすれば、毎日、被害を受けている側からすれば見境ないわけですね。あなた方そんなにして国会へ出ているんだけれども一向によくならないじゃないかと、毎日どこへ行っても責められる。ですから、その点について運輸省にひとつ、もう一遍、念を押しておかなければならぬと思うのです。  そこで、まずエアバス導入問題につきまして、この点についての運輸省の見解としては、航空局の見解としては、地元住民の了解なしでは導入しないんだというような、この前の答弁があったと思うのですが、この点については変わりはありませんか。
  123. 高橋寿夫

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  先生も、つとに御承知のようにエアバスの導入ということにつきまして、私ども、いわゆる空港周辺の騒音をなくなすための一番、基本的な政策、いわゆる発生源対策が一番、基本であるという考え方から、最近の航空旅客の増加、これに伴う騒音の増大ということを解決するには、エアバスを導入いたしまして大型化して便数を減らす。かつまたエアバスは、そのエンジン構造その他からいいまして、従来のジェット機よりも騒音が低くなっておりますので、これを早く導入するということが当面、一番適当な手段であるというふうに考えておりますけれども、このことにつきまして、私どもは地元いわゆる十一市協の方々と十分お話し合いを申し上げ、御理解を得て導入したい、こう考えております。
  124. 岡本富夫

    岡本委員 そこで御理解、御理解ということで、この前の先国会も、あったわけですが、十一市協の方も、いろいろと検討はしているようでありますけれども、排気ガス問題、こういうことについて、これは運輸省としては、どういう検討をしておるのか。住民の皆さんを説得できる資料があるのかどうか、こういうことはいかがでしょうか。
  125. 高橋寿夫

    ○高橋説明員 これにつきましても環境庁の方から幾つかの検討事項の指摘もございますので、私ども精力的に、これを詰めまして、目下、環境庁といろいろ御相談をしております。なるべく早く、この点についても地元にはっきりしたお答えができるようなふうにしたいと思っております。
  126. 岡本富夫

    岡本委員 前の環境庁の春日局長でしたか大気局長の答弁では、やはりエアバスの排気ガスというものは相当、多いんだというような答弁があったわけです。同時に、まだ、その点についても解明もはっきりしてない。それにエアバスを導入しようという航空局長、前の航空局の姿勢、あなたじゃなかったですけれども中村航空局長の時代からも、皆さんに了解できるような、そういう資料も完全なものをつくらずに、ぐんぐん押してくる。それはとりもなおさず、われわれの見解から見れば、ロッキード問題で今日明らかになったように、皆さん方の先輩である運輸事務次官をやっていたところの若狭さん、あるいはまた四十五年当時の沢局長、これは専務になっていますね、こういう人たちの、やはり強い圧力があったのではないか、また、その強い要請があったのではないか。それで今日ロッキード問題で、いま逮捕されておる、こういうことでありますが、皆、航空局の先輩ですね。これに対して局長はどういうように考えておるのか。また今後どういうような考えでいくのか、これをひとつ、お聞きしておきたい。
  127. 高橋寿夫

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  私どもの先輩が二人逮捕されましたことは、私たち後輩といたしましても非常にショックでございまして、心痛の極にあるわけでございますけれども、ただ、私どもの従来の行政のやり方につきまして、こういう人たちが航空会社の幹部にいるために、運輸省は航空政策を曲げたのではないかというふうなことにつきましては、私たちは、そういうことは、かつて、したことはなかったということを申し上げたいと思うわけでございます。航空企業は他の交通機関に比べますと非常に、いわゆる新規産業でございます。また伸びの著しい産業でございますので、シェアを少しでも大きくしようという各社間の競争は激烈なものがございまして、その間に立って、私どもが公正な判断を下していくということは第一の使命でございますので、従来とも、そうやってきたつもりでございます。  このエアバス問題につきましては私ども、たとえば全日空の圧力でエアバスをどんどん押しまくるという考え方を持ったことは毛頭ございません。先ほど申し上げましたように、やはり国民の間に飛行機旅行というものの需要がふえてくるということになりますと、私どもは、これに対して無制限に対応しようとすることまでは考えていませんけれども、やはり、ある程度の伸び率で航空旅客がふえる場合に、これに対応する必要があるわけでございますが、その場合に、昔ながらの空港の受け入れ施設ということでございますと、どうしても周辺に、いろいろな問題が起こってくるということでありますので、これを現代の航空交通とマッチしたようなことに整備をしていくということを、何年か前から努めているわけでございますけれども、そういった空港の施設の方の面の拡充とあわせて、やはり先ほどもお話し申し上げましたように飛行機それ自体、音の低い飛行機にする、そして大量に運べて、したがって便数が減らせるような飛行機にするということを基本に考えまして、やってきたわけでございます。  ただ、その場合でも、そういった理屈の上で言えば理想的な、当面、理想的な姿の飛行機なんだから何でも構わず押しまくる、これをどんどん入れていくということでは、やはりいけないわけでありまして、御指摘のようなNOxを中心とする排気ガスの問題等につきましても、私どもは十分、地元の方に理解していただけるに足る資料を備えて御説明をいたしまして、それで進めていきたい、こう考えておりますので、ただ何といいますか、輸送需要に対応するために手段を選ばずというふうなことをする気は毛頭ございません。
  128. 岡本富夫

    岡本委員 この問題については、そのとおり全日空の大きな圧力がありましたとは、これは言いにくいだろうと思いますけれども、四十七年以降ですかの全日空のシェアといいますか、権力というものは、日航と比べて非常に大きくなっておる。同時にまた、あなた御存じだと思いますけれども、昨年でしたか十二月には、もうエアバスを導入するのだというような非常に強い航空局の当時の談話もあったわけです。裁判の判決、高裁の判決なんかもありましたから若干おくれたようでありますけれども、先ほど申しましたように、この排気ガスによって鼻血を出したり、いろいろと、そういった問題が起こっておる。そういう事情も航空局は知りながら相当、強力にエアバス導入をもくろんだ。こういうことから見れば、私はやはり先輩である全日空の幹部の、かなり大きな要請あるいは強力な働きというものがあった、こういうように言わざるを得ないわけです。したがって、その先輩の人たちのいろんな——あなたも今度またどこに行かれるか知りませんけれども、これは話は余談になりますけれども、そういった、やはり航空会社の圧力といいますか、そういうものばかりで航空行政をやってもらったら困る。これを特に一つ申し上げておきたいわけです。  そこで私が四十八年の三月の一日、予算委員会におきまして当時の新谷運輸大臣に対して一種地域、二種地域、三種地域の、こういった被害の実情に即した指定地域を早急に十一市協と相談をして、実際的なコンターをつくってもらいたいということを要請した。そのときに新谷運輸大臣から、そのとおりいたします。運輸省の五十嵐コンターを変えますというようなお話があったのです。ところが、いまだに、その拡大修正がされてない。この点について、これはひとつ局長はわからぬかわかりませんから、飛行場部長から答弁してもらいたい。
  129. 梶原清

    ○梶原説明員 お答えをいたします。  現在、大阪国際空港周辺で地域指定をいたしておりますのは四十九年の三月指定したものでございますが、これは予測コンターに基づいて指定をいたしまして、その後、累次にわたる騒音調査の結果、若干の手直しをいたすべく現在、空港周辺の各市と協議中でございます。協議が調いますれば部分的な修正をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  130. 岡本富夫

    岡本委員 あなたの方、航空局は都道府県、大阪府あるいは兵庫県と話し合いしておるだけであって、実際の十一市協の伊丹、川西あるいは豊中、こういった市との話し合いは、まだ、できてないじゃないですか。しかも、すでに運輸省と各市とともに調査も終わっておるのじゃないんですか。そういうふうに、まだ話し合い中でございますというようなことでは、もう、いつまでたっても解決しないじゃないですか、これは。この点いかがですか。
  131. 梶原清

    ○梶原説明員 先生、御案内のとおり区域指定につきましては、航空機騒音防止法の六十五条に基づきまして、関係都道府県知事の意見を聞くという制度になっております。しかしながら関係都道府県におきましては、関係の市町村とよく相談、協議をされまして、いろいろ今後どのようにするのが適当であるかということになるわけでございまして、私の方も御指摘のとおり兵庫県と相談をいたしておるところでございます。極力早く区域指定のしかるべき是正ができますように努力をいたしたい、かように考えております。
  132. 岡本富夫

    岡本委員 大体いつごろをめどに区域指定の拡大を全部、終わるつもりにしておりますか、いかがですか。
  133. 梶原清

    ○梶原説明員 現在の時点において、いつということをはっきり申し上げるわけにはまいりませんけれども、できるだけ早く、極力早く是正をいたしたい、かように考えております。
  134. 岡本富夫

    岡本委員 毎日、飛行機の騒音で悩まされ、そして航空機騒音防止法の改定もあって、その法の適用を受ける。ところが、あなたの方が指定区域を指定しないから、その適用を受けられない、こういうふうなことで、非常に各地方自治体も困っておる。また住民からは毎日毎日、責められる、こういうような状態なんですよ。大体、航空局は加害者意識がないのじゃないかと私は思う。  そこで次に、民防あるいは移転補償、こういうものについて告示をいたしておりますね。この告示が最初は昭和四十三年の一月二十二日、次が四十五年の六月十日、この告示の法的根拠はどこにあるのか。そして四十九年の三月二十七日に、最後に、また告示をしておるわけですよね。そうしますと四十三年の一月二十二日に告示をして、四十五年の六月の十日に告示をして、最後に四十九年の三月二十七日に告示をしている。最終告示をやった場合、いままでの四十三年、四十五年の告示は、もう効力を失うのである、四十九年の三月二十七日の告示が、いま生きておるのか、この点について、ひとつ念を押しておきたい。
  135. 梶原清

    ○梶原説明員 区域指定につきましては先生、御指摘のとおり四十三年の一月、四十五年六月、指定区域の指定が行われておるわけでございますが、これは旧法に基づく指定でございます。御案内のとおり、四十九年三月に航空機騒音防止法の大幅な改正をしていただきまして、それ以後は、第一種区域、第二種区域、第三種区域という区域指定を行っておるわけでございまして、先ほども申しましたように、四十九年三月に指定をいたしておるわけでございます。  指定区域の指定の関係でございますが、これは二つに分けて御理解をいただきたいわけでございます。四十三年、四十五年につきましては移転補償につきましての指定区域あるいは除外区域の指定でございまして、四十九年三月の法律改正に基づきまして同月に指定をいたしましたのは、もちろん民家の移転補償も含まれておりますけれども、そのほかに民家の防音工事の規定も入ったわけでございます。移転補償につきましては、四十三年あるいは四十九年の区域指定以後に、それぞれの地域に入られた方々につきましては移転補償の適用はない。民家の防音工事につきましては、一番最終の四十九年三月の指定区域の指定以前に、その地域にお住まいになった方々につきましては民家の防音工事を実施をする、こういう関係になっておるわけでございますので、ひとつ御理解をちょうだいいたしたいと存じます。
  136. 岡本富夫

    岡本委員 四十三年一月の二十二日の告示は、それ以後に、たとえば四十四年、四十五年このころに、ここに移転した人、要するに入ってきた人、その人たちに対しては移転補償はないということですね。     〔委員長退席、田中(覚)委員長代理着席〕 ところが、そういう地域が四十三年一月二十二日の告示の中に入っているのだとか入っていないのだとか、そういうようなことは一般の方は全然わからないですよ、どのくらいの騒音で、どうなんだということは。ただ建て売り屋さんが建てた、それに対して昼、見て買って、入った後で、どんどん飛行機の音で大変だというようなことですから、少なくとも四十九年の三月二十七日の告示に移転補償も合わすべきである、私はこういうふうに考える。それでなければ、後で入ったのだから、いいじゃないかというような考え方は、もってのほかだと私は思うのです。翻って、その人たちの移転補償については、どういうようなことで担保をしていくのか、これをひとつ、お聞きしておきたい。
  137. 梶原清

    ○梶原説明員 現在の区域指定の規定の仕方が、先ほど申しましたようなことになっておりますので、たとえば、ある地域につきまして、その地域が四十五年六月に指定区域になっておりますれば、その後に入ってこられました方に移転補償をして差し上げるということは、法律上できないたてまえに相なっておるわけでございます。しかしながら先生、御指摘のような実態もあらわれてまいっております。たとえば川西市の摂代の部分などは、そうでございますが、そういう地域につきましては実情に沿うように、たとえば再開発事業対策をするとか、いろいろの実態に沿うような措置を検討、実施してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  138. 岡本富夫

    岡本委員 この四十三年一月二十二日あるいは四十五年の六月十日の告示に対して、移転補償あるいは民防、こういうものに対しては、高裁の判決では、やはり補償対象を認めた判決を下しているわけですね。いま、あなたが、そういうものに対しては今度は再開発、そういうことで何とか担保していこうということですから、これはひとつ了解をし、これも各地方自治体に、はっきりと知らせてやらなければならないと思うのですね。皆さん方、心の中で思っておって、実際その衝に当たっている各市役所の人たちが知らなければ済まないということです。  それから次に、こういう地域におる人たちは、いましばらくは、どうしても移転するしか手がないと思うのですよ。ですから、この移転補償をやはり促進するということが大事でありますから、それに対して、たとえば移転をして家を建てたというような場合に現在、三百万まで融資をし、そうして利子補給が三・六五%ですか、これも五年以内ということになっておりますね。これを少なくとも五百万ぐらいにする、非常に物価も上がっておるわけですよ。そうして五%ぐらい、しかも十年ぐらいの長期制度、長期の利子補給、こういうような拡大をしてあげないと、要するに飛行機の騒音さえなければ何も移転することも要らない。しかも、そこを補償してもらって外へ出ていくときには今度は非常に地価が高い。したがって仕方かないから、いなければならないというようなことで困っておるわけですが、この点、検討ができますか、ひとつお聞きしておきたい。
  139. 梶原清

    ○梶原説明員 移転補償の促進につきましては周辺整備機構の固有事業でございます代替地の造成とか、いろいろ手段を考えておるわけでございますが、特に、いま御指摘のような資金援助の問題が、よく地元から強く要請されるわけでございます。たとえば兵庫県におきましては昨年度まで利子補給等の措置を検討しておられたわけでございます。私ども、住宅金融公庫の特別貸付制度の適用とか、今後とも関係機関と十分協議をいたしまして、移転補償が促進できますように努力を重ねてまいりたい、かように考えます。
  140. 岡本富夫

    岡本委員 それは、きょう、ここで、こうしますと言うことはできないでしょうから、検討課題にしておきまして、ひとつ努力をしてもらいたいと思います。  次に借地、借家人に対するところの改善ですけれども、たとえば土地は他の地主であり、それから建物は自分のものだという場合、借地人それから地主、こういう者との話し合いがつけば、その移転の対象にして、それだけのめんどうを見ていく、それが一つ。それから借家人、家を借りて住んでいる人、こういう人に対しては現在、家賃を二年間ですか、補給をしているのか知りませんが、認めておる。しかし七年から十年くらいにしてほしいというような要請があるのですが、これに対しては、どういうように考えていらっしゃいますか。
  141. 梶原清

    ○梶原説明員 借地、借家人の方々の移転補償問題につきましては種々の複雑な問題があるわけでございます。借地人の方が移転をされます場合に、地主の方と協議が調わなければいけないわけでございますが、私どもとしましては、家をお持ちの方につきましては適正な価格での移転補償をして差し上げるだけでございますか、地主と借地人との民事上の問題があるわけでございます。これにつきましては当事者間で協議をしていただくしか仕方がないわけでございます。あの大阪周辺に、いわゆる文化住宅にお住まいの方がたくさんございますわけですが、この移転補償の促進方につきましては、私ども共同住宅建設促進事業というのをやっておりまして、まだ十分には成果が上がっておりませんが、そうした事業も今後、努力をしてまいりまして、借家人の方の移転補償が早急に進みますように努力をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  142. 岡本富夫

    岡本委員 土地を借りている人たちは、これは地主との話し合いがあると思いますけれども、こういった人たちに対する移転補償について、やはり代替地を見つけて、これは市でやるわけですけれども、それを整備機構に出して、そして、なるべく早くかわれるような安い土地と申しますか、あるいはまた借地を、地主が、いまのところを売って、ほかに求める、その場合は協力をして、そして、そこにまた移転をできるような方法を、ひとつ講じてもらいたい。  あなたが、いま借家人の共同住宅促進をという話があったけれども、これは調べてみるとほんのわずか、この間、少し県がやったものを整備機構が買ったというような調子だけで、本腰の入ってない借家人対策であるということを、現地を見まして、つくづく感じたわけです。しかも共同住宅は家賃が非常に高いわけです。初年度は三万八千円、十一年度目以降が五万七千二百円というような非常に高い家賃です。こういう面も、普通の住宅ではないわけですから、もう少し皆さんが入りやすい優遇措置があってしかるべきだと私は思うのです。これは飛行機の騒音がなくなったということになれば、また別ですけれども、ある間は加害者から、もっと、こういった面を考慮させるような方法が必要であろうと私は思うのです。これはもらってきたんですけれども、小中島団地にわずか五階建ての3DK七十戸、県がつくったもののうち四十戸、空港周辺整備機構が買っただけなんです。これが対策だ。もっと、きめの細かい配慮をした対策をやってもらいたいと思うのです。これは促進を……。  次に、移転した跡の用地を整備機構がいま持っているわけですが、この環境保全です。草がぼうぼうと生えて、カやハエがいっぱい出て、その付近におる人たちは非常に困るということなんですが、その管理状態はどうなっているのですか。これは前に運輸大臣が行ったときも、ずいぶん地元の苦情があったけれども、これに対しては、どういうふうに手を打っているのか、ひとつお聞きしておきたい。
  143. 梶原清

    ○梶原説明員 移転跡地の管理につきましては私ども跡地の整理、フェンスの造成、防犯灯の設置等、いま細かに考え努力をいたしておるわけでございますが、何せ騒音防止法に基づきます移転補償といいますのが任意買い取り制度になっておるために、御希望のあります方を逐次、移転をしてもらいますと点々と空き地が出てくる、こういう事態になっておるわけでございます。地元の方々お話によればゴーストタウン化していくということを言われておるわけでございますが、私どもとしましては移転跡地の適正な管理に努力しますとともに、できるだけ集約的に移転をしていただいて、その跡地を総合的に管理をしていくというような努力をすべきではないか。そのためには地方公共団体の御理解、御協力をいただいて飛行場に接近をした音の大きい地区から逐次、総合的、集約的に移転ができ、跡地の管理が、たとえば緩衝緑地等にできますように三種区域につきましては緩衝緑地の造成計画があるわけでございますが、そのようにしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  144. 岡本富夫

    岡本委員 できるだけ集団で立ち退いてもらいたいという話ですけれども、先ほど申しましたように、まだ、いろいろあるのですよ。移転することができない。たとえば土地を安くい笑うということで市が再開発事業ですか、やろうとする。それに対しては公園は建設省から三分の二の補助金がある。しかし道路に対しては何もない。市に予算がなければ、そういう再開発事業ができない。しかもまた、その代替地造成について、すでに川西あたりは三百区画も購入しているわけですね。ところが、この補助金が少ないために、やはり、どうしても移転をしたい人たちに高く売らなければ仕方がない。こういうようなことで移転をするについては非常に隘路があるわけですよ。そしてお金がある人は、うまく出られますけれども、お金のない人は出られないわけですよ。きょうは時間がないからあれですが、これを一つ一つ、あなたの方で検討して、そして、どうすれば土地を安く分けてあげて移転できるようにするか、こういう移転についての促進を、もっときめ細かく検討をしてもらいたいと私は思うのです。このほかにも、ずいぶん細かいことはあるんですけれども、これは後で、ひとつ申し上げますから、この点を全部、解明してもらいたいと思います。  次に航空機燃料譲与税、これは私が四十四年ごろからやかましく言って、やっと飛行機の航空燃料の税金を取れるようになったわけですが、それまでは非課税だった。そのうち十三分の二を周辺の市に出しているわけですけれども、各市はたとえば共同利用施設あるいは学校の防音校舎の維持管理、これが一校につき年間二百万から三百万かかるのですよ。こういうことを考えますと市としては相当、持ち出しになるわけですから、航空機の燃料の譲与税を各地方自治体に回せるように、もっとふやしてもらいたいと思うのですよ。せっかく、やかましく言って取ってもらったんだけれども各地方自治体に回ってこない。しかも県は、いろいろ補助するけれども、県には一銭もない。こういうようなことでは話にならぬのです。これは西垣さんが答弁してくれるそうですが、大蔵省どうですか。
  145. 西垣昭

    ○西垣説明員 航空機燃料税の税収の一部を空港関連市町村に譲与することにいたしましたのは先生、御指摘のように、これは市町村の航空機騒音対策等の財政支出を余儀なくされているといったような実情を考慮したためでございます。それで現在の譲与比率でございますが、これは地方道路譲与税の譲与率等を考慮したものでございまして、向こうも大体、十三分の二程度でございます。そういったこともございまして、いま直ちに、この税率を引き上げるということは考えておりません。ただ航空機騒音対策事業につきましては、関係市町村の負担がかなり重いということで、たとえば民家防音工事の国費の割合を実質的に上げていくというようなことをやりまして、いろいろと負担軽減を図るようなことはやってまいっております。  なお、では将来このままずっと、ほっておくのかということでございますが、将来、航空機燃料税を見直す必要が生じましたような場合に、この問題についても検討してまいりたいというふうに考えております。
  146. 岡本富夫

    岡本委員 そうしますと大蔵省、西垣さんは、もう、これで十分だと考えておるわけですか。前は航空機燃料は非課税だったのですよ。それで何とか空港周辺の整備をしなければならぬ、こういうこともあり、また各地方自治体も、それに相当、金がかかるということで、せっかく創設をしてもらったわけですが、みんな来るかと思ったら一部しか来ない。これでは話にならないのですよ。そういう見直しの必要なときが来ましたらとおっしゃるけれども、もう、いま必要なときが来ているのです。そんなのんきな話では困るんですがね。あなたの方が必要であるのでなくして各地方自治体、しかも県は一銭ももらわずに補助しているのですよ。加害者は航空機会社、そこから取ったものを渡さずに補助出せ、あるいは、あれやれ、これでは話にならぬと私は思うのですよ。もう、すでに来ているのですよ見直しの時期が。もう一度ひとつ十三分の五くらいにするかどうか。しかも現在は一キロリットルで一万三千円ですが、これをもっと引き上げると、もっと出てくるのです。
  147. 西垣昭

    ○西垣説明員 言葉が足りませんでしたが、いま直ちに引き上げるようなことは考えていないわけでございますが、国につきましても騒音対策については一般財源も相当額、投入いたしまして騒音対策を充実させております。それからさっき先生おっしゃいましたように府県の負担も相当に上っていると思います。市町村もございます。そういった実態等も十分、検討しながら、次のチャンスがありましたときに、よく検討してまいりたいと考えております。
  148. 岡本富夫

    岡本委員 どうも言葉じりをつかまえて悪いのですが、次のチャンスというのは、どういうチャンスですか。もう来年からやってもらわなければ話にならないというところまで来ているのです。各地方自治体は非常に財源に不足しております。そして一校につき二百万から三百万、また共同利用施設をつくるにつきましても、これからは県からは補助金は出ないというわけですよ。五十一年度からは廃止になる。その場合は全部、今度は国の方から出すのかどうか。後の維持管理が物すごくかかるのです。ですから見直すチャンスは、いまチャンスどころか、もう切実に必要なときが来ているのですよ。だから、ひとつ再検討をお願いしたいと思うのですが、チャンスがありましたらと言わぬで、チャンスを出してくださいよ。
  149. 西垣昭

    ○西垣説明員 責任を持って申し上げるわけにはまいりませんけれども、たとえば増税が可能だというようなときは一つのチャンスではないかというふうに考えられます。
  150. 岡本富夫

    岡本委員 増税が可能ということは航空機会社が利益が出たときでしょう。もう全日空なんか十何億出ている。いままでは航空機会社は優遇されていて非課税だったのですからね。ロッキードから圧力がかかったか知りませんけれども、飛行機を動かすのに、そんなに非課税までして、いままでは航空機をどんどん優先してきたのですからね。だから普通のガソリンと同じような課税をすれば、もっと取れるわけですから、その点は、ひとつ検討課題として来年は検討していただきたい。これをひとつ要請しておきます。いま、ここでは答弁ができないと思いますから。  それから次に、最近どこへ行きましても非常にやかましく言われるのは、テレビの受信料を、もう払わぬでもよろしいかというところが非常に多い。こんなことでは払えないというところが非常に多くなってきておる。したがって、いま、せっかくテレビ受信料の減免措置というのがあるわけですから、この区域の拡大を図ってもらいたいと思うのですが、すでに航空局の方でも石野さんなんかが向こうへ行きまして、地方自治体と相談をして相当、拡大をしなければならぬところができておるはずです。しかも航空路というものがありますけれども、三十五マイルか何かの非常に幅があるわけですね。そうしますと減免措置あるいはまた、こういった対象になるところの指定地域というものは、それだけ拡大していいのじゃないかということでありますが、いま航空局で検討しておるところの、たとえば西宮市はどこ、宝塚市はどこ、宝塚市は、あなたの方で一緒に調査したあれが出ていますからね。それから伊丹市はどこ、尼崎はどこ、こういうのが出ておりますか。これは飛行場部長から。
  151. 梶原清

    ○梶原説明員 空港周辺におきますテレビ受信障害対策につきましては従来から助成金に対する国の補助率の引き上げとか助成の範囲等につきまして拡充強化を図ってまいったわけでございます。特に助成の範囲でございますが、四十九年度まではWECPNL八十以上の地域につきまして放送受信料の二分の一助成だけでございましたが、昨年度からWECPNL七十五から八十の区域につきましても放送受信料の四分の一助成という制度を設けたわけでございます。この四分の一助成の区域につきましては関係各市とよく相談をいたしまして、その了解をいただいて区域設定をしたものでございます。  一部の地域につきまして、さらに拡張をしてもらいたいという要望を個々には受けておるわけでございますが、拡張につきましては大変、困難な事情にございます。しかし今後の検討課題といたしたい、こういうふうに思っております。
  152. 岡本富夫

    岡本委員 どういうわけでテレビ受信料の助成区域の拡大がむずかしいのか、私は非常に理解に苦しむ。たとえば西宮市一つをとってみましても町で分けてあるわけです。町というものは入り組んでおるのですよ。これを道路で切れば、まだ、よくわかるのですけれども、飛行機の航空路なんかを定めるのと比較しますと、非常に相矛盾する現在の助成区域になっておるわけです。何も、むずかしいことはないと私は思うのです。しかも、これはまた当委員会で私がたびたび質問をいたしましたときに、それについては相当、考慮するというような発言も、いままで、いただいておるわけですが、これは各市から、あなたの方に皆、要請が来ておるはずです。しかも航空局と一緒に調査もしているわけです。宝塚の方を見ましても。それで実際にデータが出ておるのに、これがむずかしいなんというのは、ちょっとおかしいと私は思うのです。なるべく金を出さずに、そして被害者は泣き寝入り、こういう姿勢を改めなければならないと私は思うのですよ。航空局長どうですか。あなた今度、局長になって、ぽけっと聞いておらぬで、ここは飛行場部長は非常に慎重に物を言うているのかもわかりませんが、実際の各市からの要望というのは、航空局と一緒に調査をした結果のこれが出ておるわけですよ、いかがですか。航空局長から、この点ひとつ、どうするか。
  153. 高橋寿夫

    ○高橋説明員 先ほど来、飛行場部長が述べておりますような、いろいろ、いきさつがあるわけでございますけれども、このことはテレビの受信障害の問題に限らず、飛行場周辺の騒音問題全般に通じての私の考え方は、運輸省としては飛行機を飛ばす方の立場だけに立って考えてはいけないのでありまして、飛ばす方の立場と、飛行機を飛ばされる方の立場、それを十分、調和のとれたやり方を考えていくということがなければいけないと思うのであります。特に航空機の利用が非常にウナギ登りにふえてまいるに従いまして、障害の防除対策が、つい追いつかないということがあって、そのギャップが結局、飛行場周辺の方々に迷惑をかけているということは事実でございますので、これを一日も早く改善するということにつきましては、私ども従来とも努力をしてまいりましたし、これからも、そういった観点に立って努力をしていきたいと思っております。受信障害の問題につきましても、いまのような考え方のもとで、御指摘のような運輸省と共同調査をしたことでもございますので、何とか努力をしていきたい、こう考えております。
  154. 岡本富夫

    岡本委員 それから神戸大学の教授がジェット騒音によるところの妊婦に対する影響、それから静岡大学の平沢さんという教授は、航空機騒音によるところの心身の正常な発育をむしばむ、要するに直立姿勢が、なかなか、とれないというような児童のデータも出しておりますが、こういう航空機騒音の人体影響、これについては環境庁ですか、これはどこがやっておるのですか。後、続けますか、どうですか。
  155. 野津聖

    野津説明員 空港周辺の健康影響調査ということにつきましては、いま、お話がございましたように聴力の問題あるいは母子保健あるいは学童の体格ということについての調査を行ってまいりまして、現在その調査の結果につきましての解析、集計を委員会にお願いいたしているところでございます。したがいまして、これの結果を踏まえまして今後いかにするかということを決めてまいりたいと考えております。
  156. 岡本富夫

    岡本委員 これは長官、何か、これで打ち切るような話もあるわけです。ですから今後も、こういった健康調査については、やはり続けていかなければならぬ、こういうふうに考えるわけですから、ひとつ十分その点、考慮してやってもらいたいと思うのです。  時間がありませんから、そこで国道四十三号線の問題を一言だけ聞いておきたいのですが、建設省道路局長さん来ておりますね。この間、環境庁の橋本大気保全局長も来まして、つぶさに見てもらったわけですけれども、結論としまして、相当いろいろ対策がありますけれども対策をやっても、なかなか、どうしようもない。金がかかるばっかりだ。したがって、その地域の本当にわずかな軒数ですが、事業をやっている事業所というものは関係ないと思うのですけれども、そこに住んでいる住まい、住居ですね。こういう人たちは、もう一日も早く逃れたいというわけですよ、四六時中ですからね。十何万台の車で、どうにもならない。したがって考え方といたしまして、この飛行機の空港周辺の整備する機構がありますね、こういうような考え方で、やはりその地域の人たちを移転補償してあげる、移転させてあげる、これが一番早いですよ。     〔田中(覚)委員長代理退席、島本委員長代理着席〕 そういうことを、ひとつ考えていってもらいたいと思うのですが、その点についてひとつお聞きしておきたい。  それから第二点は、それまでの間、早く、この四十三号線を一車線つぶして、もう芦屋までの間でも緑地帯にしてもらいたい。これは、もう早急にやってもらいたいと思うのですよ。それでなかったら、どうしようもない。まあ橋本局長によく聞いてください。こういうものに対して環境庁長官としては、局長がせっかく調査してきたんだから、こういうようにしなければならぬという勧告を建設省に、あなたも、ちょっとの間、建設大臣やったことありますが、するぐらいの強い姿勢でなければ解決しないですよ、これは。そうでないと、いままで、しんぼうしておったけれども、大変な騒ぎが起こると思うのです。この両方、二点聞いて終わりたいと思います。
  157. 井上孝

    ○井上説明員 先般、環境庁の橋本大気保全局長、現地を御視察になりまして、お帰りになりまして直接、私のところへおいでくださいました。ただいまの御指摘のような四十三号線周辺に対する対策を早急にやるようにという具体的なお申し入れを受けております。  それから、いま御指摘の空港周辺と似通ったような対策として、去る三月の、この委員会でも先生の御質問に申し上げましたように、今年度とりあえず有料の自動車専用道路の周辺につきまして、沿道住家の騒音防止設備に対する助成それから、もう立ち退きたいという方に対する移転補償あるいは跡地の買い取りというようなことが、五十一年度から有料の道路の関係で予算的に認められております。ただいま、その具体的な基準について、いろいろ協議中でございますが、大体、関係各省との調整が終わりまして、現在、細かい点について当該公団、三公団ございます。と詰めておる段階でございまして、私の見込みでは今月中には局長通達という形で基準を流しまして、具体的に、お困りの方へ防音工事とか、いま申しましたような施策が本当に講じられる、実際に講じられるように今月中に持っていきたいと思っております。  それから一車線削って植樹帯をつくるというのは、もう先生、御承知のように四十三号線の尼崎地内で昨年と、ことしにかけて一車線を減らしまして、幅五メートルの植樹帯を約八百メートル試験的につくっております。それが、やはり七月二十日ですから来週、完成をいたします。その結果を見まして、その効果等あるいは、その構造等を、もう少し改善したらどうだというようなこともあろうと思いますので、尼崎の結果を見て関係自治体の意見を聞きながら、芦屋、西宮の方へも逐次、延ばしていくことも考慮したいと思っております。
  158. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 国会で、いろいろと長い間、四十三号線問題、先生から御要望がございましたし御質問もございましたので、この前お約束しましたように、局長を三日間にわたって詳細に現地の実情調査にやったわけでございます。帰ってまいりまして、その報告では、建設関係の方は非常によくやっておる。ただ遺憾ながら、とにかく大変な交通量でございますので、これから、どうやったら一番、効果が上がるかという点につきまして、実は関係の省庁に集まっていただいて具体的な方策についての協議を環境庁が中心になってやる、こういうことで実は近く、いろいろ局長、各省それぞれ個別に折衝しまして、そして発足をしたい。それによって根本的に、どういう施策をとれば一番、効果が上がるかということを検討していくように進めていくつもりでございます。私も非常な関心を持っておりますので、できるだけ早い機会に、その協議会といいますか、実体的に各省全部、相談をするような場を発足させまして、一つ一つ対策の、できるものから手をつけていきたい、かように考えております。非常に道路関係の方は実際の現地の方でも熱心にやっておる。現在とり得る範囲内の最大のことをやっておるようでございます。交通規制その他についても、上の方と下の方、高速と一般の方と、どういうような割り振りを時間帯についてやったらいいか、議論もいろいろ部内でいたしましたが、われわれだけではいかぬので、これはやはり全部ひとつ警察庁まで来ていただいて協議をしたらどうだというので、局長のもとで、それが近く始まると思います。
  159. 岡本富夫

    岡本委員 終わります。
  160. 島本虎三

    島本委員長代理 米原和君。
  161. 米原昶

    ○米原委員 初めに、長野県美ケ原のビーナスラインの問題について聞きます。  この問題は、すでに各新聞紙が大きく報道しておりますし、詳細については、もう述べませんが、このビーナスラインは、四十六年に当時の大石環境庁長官が現地を視察して、扉峠から先については長野県に再検討を勧告して、その後、自然公園部会や公園小委員会で三年にわたって審議してきました。しかし、それだけ審議しても意見はまとまらず、この五月に公園小委員会は、いわゆる両論併記の報告をまとめ、それにもかかわらず環境庁が突如として両論の一方を採用して、このビーナスラインの建設の諮問に踏み切った理由は何であるか、率直に長官の見解を聞きたいんです。
  162. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 先生、この法律上のたてまえを御存じだと思うのですが、公園計画は環境庁が決めて審議会の意見を聞く、こういうことになっておるわけで、その公園計画というものは、かつて決まったわけでございます。例の大石さんが再検討を命じた真ん中の方のものが公園計画として決まっておったわけでございます。それを視察の結果、再検討して持ってこい、こういうことになって再検討した結果の代案が出てきたわけでございますが、私どもは公園計画を、こういうふうに変更したいという諮問案をつくるために、私は視察をしたり、また知事さんの意向を聞いたり、いろいろやったわけでございまして、その結果こういうふうに変更したいと思うが、どうだろうかという諮問を法律の手続に従ってやったわけでございます。ですから、これはまた当然やらなければいかぬことでございまして、私どもは、その審議会の御検討を煩わして、審議会の結論をいただいてから態度を決める、こういうことになるわけでございます。
  163. 米原昶

    ○米原委員 このビーナスラインの計画は確かに昭和三十九年に国が決定して、この決定はそのままで、道路は扉峠でストップしておる。しかし、この決定は、あの高度成長時代のもので、その後、大きく考え方は変わってきております。公害国会を経て、自然保護の面でも自然環境保全法の制定、自然公園法の一部改定、そして北海道大雪山縦貫道路や新潟県の妙高高原道路の建設中止と続いて、そして四十八年に林自然公園部会長が、国立公園等における道路建設のあり方について慎重に行うべきだとする談話を発表しております。このように、この計画が決定された昭和三十九年から世論も政府自身の方針も大きく考え方を変えております。したがって路線を一部、手直しして、この建設を強行するなどというのでなく、勇断をもって、この建設は中止すべき、まして和田峠でとどめておけばよかったが、扉峠まで認めてしまったので、その先も何らかの形で認めざるを得ないなどというのは、私はおかしいと思う。まさに毒を食らわばさらまでの論理であって論外の議論だ、こういうふうに思いますが、どうでしょう。
  164. 信澤清

    信澤説明員 ただいまの先生のお話、おっしゃる意味はよくわかります。しかし、先生も御承知のように自然公園の目的と申しますのは、保護を図ると同時に、それを適切に利用する、この二つの面があるわけでございます。さような意味で、いま大臣から御答弁申し上げ、先生もお話にございましたように公園計画の中で保護計画、利用計画というものを決めているわけでございまして、今回その利用計画について変更いたしたい、こういうことでございます。  特に国定公園の場合には、これも先生、御案内のように管理は都道府県知事がいたしております。それから公園の指定の場合あるいは公園計画の策定の場合にも、審議会の御意見はもちろんでございますが、都道府県の御意見を聞く。いわば双方の御意見が合致したところで決めていく、こういうたてまえのものでございますので、したがって今日の私ども考え方は、いま先生、御指摘のような問題はございます。ございますが、やはり公園の利用上あの道路を修正いたしまして、既存の国道なり林道なりを使う形で一つのルートとして完成させたい、こういう県の意見もございますから、そういう県の意見に基づいて、われわれなりの具体案を一応つくりまして、これについて審議会の御意見を聞いている、こういうことでございますので、そのように御了解いただきたいと思います。
  165. 米原昶

    ○米原委員 その点について長野県に、いろいろな意見があることは知っております。同時に長野県の内部でも、たとえば県の自然保護連盟の方たちは猛烈に、この点には反対しておられる。とにかく、いずれにしても自然環境の保全、環境規制の機能を十分に発揮しなければならないはずであります。環境庁が観光道路の建設を認めるということは実際上、環境行政の後退になる。この点で自然保護を望んでおられる方たちが非常に反対しておられるわけです。  最後に、もう一点、この点について聞いておきます。七月二日の自然公園部会では環境庁の期待に反して結論が出なかった。そして再び自然公園部会の答申が両論併記となる可能性があるようですが、もし、この両論併記となった場合でも建設を強行されるつもりか。それとも、もう一度、再検討する用意があるのかどうか。答申をもらった上でなどというのではなくて明確な答弁を長官が、この場合していただきたいのです。基本的な考え方です。
  166. 信澤清

    信澤説明員 大臣が御答弁申し上げる前に一百申し上げたいと思いますが、私ども先ほど申し上げたように御諮問をいたしておるわけでございますから、答申を急いでないと申せば、これはうそになると思います。しかし答申をいただくことを急ぐ余り御指摘のような事態になってもいいのだということは毛頭、考えておりません。したがって私、審議会の事務を扱わしていただいているわけでございますが、そういう立場から申しますれば、委員の先生方の十分なる御審議、御意見を出していただきまして、何とか審議会として、まとまった御意向をお示しいただきたい、こういうお願いをいたしているわけでございます。
  167. 米原昶

    ○米原委員 それでは次に、もう一つ、この自然環境保護の問題について。それはこの前の、この委員会で採択された請願に関連する問題です。鳥取県の美保湾の竹内地区の埋め立て中止の請願が出まして、この委員会にかけられまして、そしてこの請願が採択されたわけです。その採択の場合に委員長から発言がありまして、委員長報告にありますが「環境保全の重要性にかんがみ、」「その計画について十分検討を加える必要がある」請願の言葉には中止というふうになっておりましたが再検討という意味で、この請願が採択されているわけです。これが、いま内閣に送付されていると思います。ところか全く遺憾なことに、この請願に関連して先月の二十八日に鳥取県議会で社会党の議員の方が知事に質問されているわけです。これに対して鳥取県の平林知事が、この国会の議決を無視して全く検討を加える姿勢を見せてない。計画どおり実施するという答弁をしておる。これは、この計画は再検討するという請願が通って、その方針でやることになっているのに、そういうことを知事が言っているのです。これは国会の議決を全く無視することになる。もちろん、こういう問題は自治体が自発的にやるべき問題ですけれども、これは中止というのではなくて再検討ということを決めているわけですから、当然この点を考えて再検討するという態度の表明があって、しかるべきなんです。これは全く国会無視の態度でいるということですね。この点で環境庁としても環境保全立場から、こうした鳥取県知事に対して再検討するように指導すべきだ、私はこういうぐあいに考えるわけでありまして、この点について環境庁どうされるつもりか、お聞きしたいのです。
  168. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬説明員 美保湾の埋め立ての問題あるいは、その埋め立ての計画に対する反対の立場にあられる方々のいろいろな御意見等につきましては、環境庁としても、従来からも環境保全上、問題があるという埋め立て反対陳情も受けておりまして、おおよその内容については承知しておるわけでありますが、現在の段階では、県内で、その計画についての是非を問うているというような段階でございまして、これは相当、大規模な埋め立てのようにも伺っておりますので、そういうことになりますと、やはり手順としては運輸省の方に、この埋め立ての承認の申請が出されて、その段階で環境庁にも相談がかけられるということになってくるのではないかと思うのでございまして、そういう点で、まだ正式に私どもの方には具体的な計画については何も伺っておりませんので、今後さらに運輸省等からも具体的な内容を伺った上で、環境庁としても慎重に検討してまいりたい、そのように考えているわけでございます。
  169. 米原昶

    ○米原委員 おっしゃるとおりだとは思います。手続の筋として。  運輸省にも聞きますが、この竹内地区は港湾区域ですから、この許可申請は、いま、おっしゃったように当然、運輸省に来ます。妻、鳥取県知事も運輸省に認可申請し、認可がおり次第、計画を実施する、こういうことは言っている。この請願の議決の趣旨からして、この計画が、いまの調子で何の検討も加えられずに、そのまま運輸省に認可申請されるなら、このような申請は運輸省としては受け付けるべきものではない。当然、国会の決議に従って再検討するように差し戻すべきだと思いますが、運輸省の方、どうでしょう。
  170. 石月昭二

    石月説明員 お答え申し上げます。  請願書を私どもが内閣から送付を受けましたのが三日前でございまして、ただいま内容を検討しているところでございます。したがいまして、現段階におきまして内閣として、どういう措置をとるかということについては目下、検討中でございますけれども、事務当局といたしまして本件につきまして所見を述べさせていただきますと、現在の公有水面埋立法の規定上、先生おっしゃいますように、これは運輸省の方に上がってまいりまして、運輸大臣が許可するかしないかという判定を下す事案でございますが、いまの埋立法のたてまえ上、これをやめさせるとかいう形は、ちょっと、とれるような形になっておりません。したがいまして埋立法も実は先生、御承知と思いますが、四十九年三月に改正していただきまして、その際に、埋め立ての認可に当たりましては環境の保全それから災害の防止というようなことに十分、配慮するという項目が新たに追加になりまして、運輸省といたしましても事案につきましては、その点を厳重に審査しておる。なお、この程度の大きな埋め立てにつきましては環境庁の御意見も十分に伺うという形になっておりますので、事案が具体的に出てまいりました段階で、その請願の御趣旨もよく踏まえまして、十分に環境問題等も踏まえて検討させていただいて、その結論を出させていただきたいというぐあいに考えている次第でございます。
  171. 米原昶

    ○米原委員 それでは次に、東京湾の湾岸道路の開通に伴う公害環境問題について聞きます。  聞くところによりますと、来月、首都高速道路公団がつくっている大井埠頭の海底トンネルが完成し、湾岸道路の東京都江東区から大田区に通する部分が開通することになります。ところが江東区と大田区では、この開通によって区内の道路の一層の混雑で、さらに激しい公害が起こってくるのではないかと心配して、区議会を初めとして住民も非常に関心を持っております。  そこで聞きますが、いまの予定で、いつ開通する予定なのか、まず伺いたいと思います。
  172. 和田勉

    ○和田説明員 八月の十二日前後を予定しております。
  173. 米原昶

    ○米原委員 この湾岸道路そのものは埋立地を通りますから、そう大きい問題はないと思いますが、ここを通る車が埋立地から出て、どうなるかという点に、つまり問題があるわけであります。私も先日この海底トンネルを視察に参りまして、非常にりっぱなものができている。つくった当事者にしたら早く通したくてたまらないだろうと思った。それはよくわかる。しかし、問題は、それが埋立地から出てから大変な交通問題を起こしそうなので、そこで心配が起こっておるわけであります。  この点については、私は先国会の終わりに内閣に対して質問主意書を提出しました。内閣から答弁書をもらっておるわけですが、この答弁書を見まして非常に心配しているのです。私は、この答弁書は大田区の区長にも見せましたが、区長もびっくりしております。いままでの、いろいろ心配して当局とも話し合ってきて、そこで説明されていることすら、もう全然、後退して非常に抽象的で、ただ簡単に、交通量の変化は小さい、したがって環境の変化も小さい、こういうことを言い切っておりますが、果たして自信を持って、こう言い切れるのかどうか。この点、自信があるのかどうか、建設省に見解を伺いたいわけであります。
  174. 和田勉

    ○和田説明員 やはり環境の予測で道路関係につきましては、最も基本となるのは交通量の変化がどうなるかということが基本になると存じております。  湾岸線の一期、先ほど先生からおっしゃられました湾岸の沈埋トンネルでございますが、これの供用に伴いまして公団の方で調査しました一番の重点は、やはり環状七号だ、こういうふうに存じますけれども、環状七号線の最も交通量の多い、変化が多くなるところ、こういうところにつきまして調査をいたしました。場所は環状七号線の大森の東交差点でございますけれども、その交差点の東につきましては供用開始後に一日当たり約千台増加する、西の方につきましては一日当たり約九百台ということで推定されておりますので、環境の調査は、その交差点の東寄りの方で調査をいたしました。その結果、この地点では一酸化炭素、COにつきましては、ほとんど変化がない。ただ二酸化窒素につきましては〇・〇〇一ppm増加する。騒音につきましては道路端で約一ホン程度、増加するものと考えております。ただ、わが方の調査が一〇〇%確実だとは、予測でございますから、もしかして、これが千台増加という予測を上回って、仮に一日当たり三千台増加するにしても、一酸化炭素につきましては、ほとんど影響がない。ただ二酸化窒素につきましては〇・〇〇二ppm、また騒音につきましては約二ホン程度、増加すると公団の方の調査で予測しております。その結果、先生の質問主意書に対しまして、環境上の変化はそれほど大きくない、少ない、こういうふうに主意書には御答弁申し上げました。
  175. 米原昶

    ○米原委員 おっしゃるように調査されたのは大森南の一カ所だけでしょう。私が聞いているのでは、建設省から資料ももらいましたが、こういうふうに道路を完成させて大丈夫と、これだけで言い切れるか、非常に根拠は薄いのじゃないかと思わざるを得ないのです。いままで行われた環境調査は大田区側で一カ所、江東区側で一カ所、それだけですね。一体そういうことでアセスメントなどと言えるのか、また大丈夫と言えるのか。道路建設に伴うアセスメントのあり方として、どう考えるか、どう考えるべきかということに本当に疑問を抱かざるを得ないのです。こういうことで一体アセスメントと言えるかどうか、環境庁の見解を聞きたいと思います。
  176. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬説明員 現在の道路が海底の道路を出たところで、どういう状況に変化していくかということについては、私ども、その調査の仕方についても、まだ十分、検討は尽くしておらないわけでございますが、建設省におきましても一そういう問題について環境審査のセクションを持っておりまして専門の立場から、どういう調査をやれば、そういう交通量の予測ができるかということの御検討をしていただいているものと思っておりますので、建設省にお任せをしているという次第でございます。
  177. 米原昶

    ○米原委員 こんな調査では不十分なことは明白だと思うのです。首都高速公団が大田区に対して出した七項目の対策案を見ましても、環境事前調査について一応実施した、こう書いてあって、まさに言いわけ程度に一応やったというだけのものであります。公団自身が一応実施したなどというようなものを根拠に、私の質問主意書に対して内閣が、あのような回答を行うというのは全くおかしいと思うわけであります。さすがに一応の調査では気が引けるので、公団側も追加の調査を行っているようでありますが、それも、わずか一、二カ所にすぎない。こんなことではなく、もっと全面的な調査を実施し、問題があるなら十分な対策を立てた上で自動車を通すべきだ。もし、こんなずさんなことでいいというなら、建設省で盛んに宣伝している道路建設に伴うアセスメントを行うと言っているようですが、建設省の考えているアセスメントというのは、この程度のものなのか、あわせて伺いたいのであります。
  178. 和田勉

    ○和田説明員 建設省においてもアセスメントの方法については、いろいろ検討はしております。ただ、この湾岸線の一期につきましては、非常に特殊な場合でございまして、東京港の大井埠頭から十三号の埋立地まで、しかも、それは沈埋のトンネルでございます。一般の住宅なんかがあります、そういう場所からは全然、違いまして遠隔の地にあるので、通常のいわゆる環境問題というのは沈埋トンネルについては起こらない。ただ、これに接続いたします既存の道路網でございますか、こういう面につきましての変化によって、特定の道路に交通が集中するような事態が生ずれば、いろいろの対策を講じなくてはならない、このようには存じておりますけれども、公団が行いました交通量の推計によりましても、大田区側としますれば、国道の三百五十七号を走ってまいりまして、補助の二十八号あるいは補助の百四十五号から、環七でございますか、このような道路によって分散されることになっておりますので、現状で最も交通量の多い幹線道路である環七の先ほど申し上げました場所で、しかも場所は大井埠頭に一番近い、しかも湾岸一期の供用に関して影響が比較的大きいと思われる個所について予測調査を行いましたので、一応、予測調査といたしましては、その目的を達しておる、建設省としても、そのように考えております。
  179. 米原昶

    ○米原委員 どうも調査というのも全くいいかげんですね。  このアセスメントについて聞きますが、追加調査を今月、行うということも聞きました。開通は来月の中ごろでしょう。調査を行ってから十日程度で開通しようということです。ほんの十日ぐらいの間に調査の結果をまとめて、解析して、予測して、開通後の事態に備えるなどというのが一体、可能かどうか、環境庁としても、これは常識で、こんなことが考えられることかどうか伺いたいのです。余りにも、いいかげんな環境調査で驚いているのです。  これは前から大田区長も大変、心配していまして、大田区議会には、この問題だけのための特別調査委員会までつくって検討して、たくさんの大田区自身が調査をした結果をまとめて出しているような状態です。それが一応、調査したというぐらいのことで、その後は、いま、おっしゃいましたほとんどの車が、これは環七に出てくるわけですから、私自身もこの環状七号線の百メートルほど横に住んでいるので、事態は知っておるのですけれども、それに大変な影響が起こってくるのではないか。いまの状態だと、そういうふうになるのではないかと心配しているわけです。いま、やっておられることは、大田区などの申し入れに対して、やむなく言いわけのためにやっておられるとしか考えられません。こんなことでなく全面的な調査を行って、その結果を十分、検討した上で事を運んでいただきたい、こう思うわけですが、どうですか。
  180. 島本虎三

    島本委員長代理 どなたに質問します。米原さん、だれに答弁を求めますか。
  181. 米原昶

    ○米原委員 道路公団の方に聞きます。
  182. 和田勉

    ○和田説明員 先ほど申し上げましたように交通量の変化、増加と申しますか、これが一番、多いところで環境調査をいたしました。だから私どもとすれば、ほかのところは、それより変化、増加の量が小さい。だから現段階の予測調査といたしましては、公団がやっております既存の調査で、おおむね目的は達しておる、このように考えております。しかし、やはり供用開始前、それから供用開始いたしました後、これの環境の変化の実測でございますか、これは今後とも、これ以上に正確に把握するために、現在その補足調査の前段階を行っているような状況でございまして、いま、やっております調査自身、先ほど申し上げましたように前と後の調査でございまして、私ども建設省とすれば予測調査はこれで、まずまず目的を達しておる。しかし、やはり、もう少し正確に、できたらどうなるか。できたらどうなるかというのは、できてみなければ正確にはわかりませんので、それをやるがための調査を、いま行っておるような段階でございます。だから、この調査をもって供用開始の時期とか、そういうことに結びつけて取り上げていただくのは非常につらい立場でございまして、調査そのものは供用開始の前でも後でも、公団の方も一生懸命になってやろうと考えておりますので、それをもって御了解をお願いしたいと思います。
  183. 米原昶

    ○米原委員 さらに聞きますが、昨年十二月に大田区で一カ所だけ簡単な調査をしておりますが、この調査でもNO2は環境基準の三倍もの数値が出ております。こういう現状のもとで何の具体的な対策も立てないうちに、この道路が開通するということは、どうしても問題が残るのではないか。大田区側で特に環境悪化が心配されるのは、いま言われた環状七号線ですが、現状では騒音も振動も排ガスも、すべて基準を大幅に上回る状況です。一部では車線を削って緑化するなどの対策も行われております。そうした対策と全く逆行するようなことになるわけです。公団の推定では、わずかで済むということらしいのでありますが、それでも、この環七の交通量がふえるようなことをすれば、住民側が心配するのも当然であります。公団の調査を見ますと、開通時の環七の交通量の増加は千台程度ということらしいのでありますが、その後については、質問主意書に対する回答では、大きな変化はない、こういう一言であります。住民側からすれば、車が一台でもふえれば反対するという気持ちになるのは当然であります。交通量についても、さらに慎重に検討すべきであります。昭和四十七年三月に建設省や首都高速公団の人々も入って東京都港湾局の調査で「東京港臨海部における交通流システム調査報告書」を出して、昭和六十年までの予測をしておりますが、これでは昭和六十年の環七の交通量は七万七千台で、いまの倍以上になることになっております。     〔島本委員長代理退席、葉梨委員長代理着席〕 こういう調査もあるのでありますから、この交通量の問題についても、もっと詳しい予測を立てて対策を立てるべきだ、こう考えているわけですが、この点どうでしょう。
  184. 和田勉

    ○和田説明員 供用開始後の交通量の推定でございますけれども、一年間を経過した時点におきます湾岸一期の交通量につきましては、現在のところ東京港周辺に非常に大規模な施設の新規立地が見込まれていない。あるいは供用開始時における交通量に比べて約千台程度増加いたしまして、三万四千のところが三万五千台程度だ。また湾岸の二期でございますが、二期のうち、夢ノ島から浦安でございますか、これが供用開始される昭和五十三年度には約三万八千台程度、このように公団としては予測しております。  先ほど先生がおっしゃられましたのは東京都の港湾局の資料だと存じますけれども、大森の交差点につきましては、その以東の交通量が、五十年には湾岸供用が開始されますと、現在の実測が約二万八千数百、六十年、これはえらい先のことでございますけれども三万一千、このような推定でございますけれども、これにつきましては、どのような根拠で、どういうふうなことをしたのか、ちょっと時間が足りませんでしたので、港湾局の方の根拠についてのあれが、はっきりしておりませんが、これを推定したのは四十七年でございます。言うなれば非常な高度成長期でございますか、恐らく、あの時点についてカーブを描いたであろうと思われまして、先生の方にも資料を御提出いたしましたけれども、建設省の方といたしましては、現在のところ、それほどの交通量の増加は見込めないだろうというふうに考えております。
  185. 米原昶

    ○米原委員 確かに、この四十七年の調査報告書で予想したとおりになるとは、われわれも思っていません。必ずしも、そうではないでしょう、それは変化がありますから。しかし、いま、おっしゃったように、この道路が開通して環七の交通量が千台ふえる程度だというのは、ちょっとおかしい。いま何ですか今度、一日あそこを通るのが三万四千台ですか、というふうに報告されていますが、そうだとすると千台程度というのは、ちょっと余りにも楽観的な見方のように思いますよ。これは大田区の住民が身をもって感じている点なんです。そういう点で余りにも、この事前調査というのがいいかげんじゃないか。もっと慎重に、この交通量の問題についても対策考えていただきたいのです。  この海底トンネルの工事は、もうほとんどでき上がっておりますし、あと開通までは、建設大臣の完成検査が行われて、公団が合格したことを道路管理者である東京都知事に通知して、都知事が供用開始の手続をとるということになっております。都知事も都議会で、開通時まで事実上のアセスメントを行いたい、こう言っております。ところが、道路整備特別措置法十六条によると、都知事は完成検査合格の通知を受けたら遅滞なく供用を開始しなければならない、こういうことになっておりますから、いつまでも供用の開始のストップはできない、こういうことになっておると思うのです。これではアセスメントをやろうとしても、やることは実際上はできません。  そこで建設省に聞きますが、この「遅滞なく」ということで無理やり開通させるのではなくて、ある程度の幅を認めるべきだ、こう思いますが、どうでしょうか。この件では建設省、公団側に、ずさんなアセスメントしか行ってこなかったという重大な責任が私はあると思うのです。弾力的な取り扱いをすべきだ。少なくとも、これは都議会でも大問題になると思いますが、十分納得いけるだけの措置をとってもらいたい、こう思うわけでありますが、どうでしょうか。
  186. 和田勉

    ○和田説明員 先生の申されました、その道路管理者は都のでございますから東京都の知事でございます。道路の管理者は、その道路整備特別措置法によりまして、竣工検査が終わって、それが合格したという通知を受けた場合には、みだりに供用の開始を遅延させることはできない。先ほど言いました措置法の十六条の二項でございますか「遅滞なく」ということは道路管理者が供用開始をいたします公示とか、その他の手続、それに通常要する日程だ、このように法律上は解釈すべきものだと考えております。  先生が先ほど非常にずさんであると言われたことにつきましては、先ほどから申し上げましたとおり一番変化のきつい、大きいところにつきまして環境調査をいたした。であれば、ほかのところは少なくても、それよりも下回っておるはずだということで、確かに地点につきましては少ないかもしれません。しかし、一番大きいところ、一番に問題になっているところ、大森の東交差点でございますか、その東側につきまして調査をいたしましたので、公団といたしましても建設省といたしましても、これで環境調査につきましては一応の目的は達しておる。であれば、沈埋トンネルが技術的にりっぱに供用ができるというふうな時点に立ち至りましたら、建設省は竣工検査をいたしまして公団に通告をして、公団の方から知事の方にあれをしますれば遅滞なく、遅滞なくとは先ほど言ったとおり手続的な必要だというふうに考えております。
  187. 米原昶

    ○米原委員 これで十分にアセスメントをやったとは、どうしても言えないと思うのですがね。それならば、道路は通して交通規制もやるんだということも言われておりますが、警視庁が、この問題について答弁しているのを見ましても、今後の交通実態を見てから、実態に即した交通対策を検討していきたい、このくらいなことを言っているだけなんですよ。まことに抽象的で結局、通すだけは通すんだ、通してから後は何とかするからというような答弁なので、住民はこれじゃ全く納得しないのですよ。  いずれにしましても、ここが開通しますと一日に実に三万四千台、交通量がふえることは公団の方でも認めておられるわけです。そうしますと環七以上のものですから、この車が大田区や江東区内の道路に出入りするわけですから重大な問題になるのは当然なんです。しかも実を言いますと、この海底トンネルに続く、いわゆる百メートル道路、これは江東区の方ですが、まだ完成していない。これも間もなく完成するでしょうが、これが完成すれば、さらに交通量はふえると見なければならない。したがって、この開通には相当、慎重な措置をとられる必要がある、こう思うわけです。そうなってからというのじゃなくて、相当ふえるということを予想されるわけですから。その手がほとんど打たれていないで開通してから何とかするんだじゃ、事前調査というようなことは実際上ほとんど行われていない、こう見ざるを得ないのです。事後に予想される事態に対応する対策を十分検討して区当局や住民の納得を得るということを、どうしても第一に考えていただきたいのです。いままでのは、ほとんど納得を得ていないで、とにかく通すからというのです。  道路をつくられた人たちの御苦労を察しますし、私も行ってみまして、世界でエルベ川の河底に続いて、これは二番目だそうですけれども、非常に設備もりっぱなものです。道路をつくられた人たちの、もう早く通したいという気持ちはよくわかる。しかし通った後、非常な被害が起こったというので問題になったのじゃ困るんですよ。だから、その場合に、こういう措置をとるというようなことを、もっとはっきり当然、科学的に予測して立ててもらいたい。この点について最後に建設省の見解をもう一度、伺って一応の質問を終わります。
  188. 和田勉

    ○和田説明員 沈埋でなくして、さらに湾岸につきましては供用になりますけれども、そうすれば当然、三万四千がもっとふえると思います。その場合に江東、大田と、確かに内陸部分につきましては通るのが減って、これが江東の方におりて、そこから沈埋を通りまして大田区の方に行く。反対路線も同じことだと思いますけれども、大田区側を一例にとりますれば、沈埋だけでなくして、この沈埋を横浜の方に参っております高速の一号線になるべく早く取りつけたい。これは都市計画決定はできております。いま大井埠頭まで江東の方から参っておりますけれども、それが大井埠頭から昭和島でございますか、一号線に取りつくまで都市計画決定もできておりますから、ことしの予算要求においても、取りつくまでの事業を着工いたしたい。そうすれば大田区の方に対しても江東の方から出ました車が、江東の内部に主要路線三つ四つございますけれども、それの方でなくして一号線の方に取りついて横浜の方に参る。だから、それについての大井埠頭から昭和島までの高速道路の予算化、着工、これについて何とかして、なるべく早く実現させたい、そのように考えております。
  189. 米原昶

    ○米原委員 おっしゃるように一号線がもっと早く完成して、そっちに大多数の自動車が行くとなれば、この大変な大田区で心配している問題も事態はずいぶん違うと思うのです。ところが、それができてない。あそこは非常に複雑になっていますからね。むしろ、そのできない間の被害というものが大変なものだということで、ことに心配しているのです。もちろん環七、いままででも問題になったところで、騒音だといいましても振動だといいましても、この前の振動規制法の場合でも環七の住民が参考人で呼ばれたりするほど問題の多いところですから、そこに千台ぐらいだと言われますけれども、少しでもふえるだけで、いままででも深刻なところが、もっとひどくなるのです。そういう点じや、もちろん一号線の方を早くやることを、われわれも望んでおるし大田区の方でも言っているのですが、しかし、それが簡単じゃないものですから、その間の措置としても、やはり、やられませんと、ちょうど道路が中途半端なところで開通しちゃいますから、そこの混乱が大変なことになる、こういうことだと考えているので、十分その点の措置をとっていただきたい。
  190. 和田勉

    ○和田説明員 先ほど私、今年度に大井埠頭から昭和島まで着工と申し上げたとは思わなかったのですが、どうも、そのように申し上げたようでございますから、来年度の予算要求で、それを実現いたしまして来年度から着工したい、このようなことでございますので、訂正させていただきたいと思います。まことにもって申しわけございません。
  191. 米原昶

    ○米原委員 終わります。
  192. 葉梨信行

    ○葉梨委員長代理 首都高速道路公団三宅参考人、何か御発言ございませんか。
  193. 三宅正夫

    ○三宅参考人 別にございません。
  194. 葉梨信行

    ○葉梨委員長代理 次に、木下元二君。
  195. 木下元二

    ○木下委員 私は、まず水俣病問題について質問いたします。水俣病問題については重要な問題が幾つもあるわけでありますが、時間の関係で当面する若干の問題を質問したいと思います。  この水俣病の認定業務でありますが、依然として停滞をしている状態であります。五十一年四月三十日現在で未処理件数が三千二百二十一件に及んでおります。認定業務の実態は昭和四十九年七、八月の集中検診以来、一年八カ月中断をいたしまして、昭和五十一年四月から一般検診が再開をされております。そして五十一年五月から耳鼻科専門医師一名が常駐の検診医として配属をされました。この検診体制のもとでは一カ月にせいぜい五十人が限度だと言われております。これでは現在の停滞状態は一向に解決をいたしません。昭和五十年十月に熊本県が認定検診再開計画案というものを発表いたしましたが、これによりますと毎月検診数は八十人、毎月審査数は八十件、処分率は五〇%ということで、新規申請者三十人と仮定いたしますと、全部終了いたしますのは昭和七十五年の十月ということでございます。これから二十五年後ということであります。一体こんなことでよいのでしょうか。
  196. 野津聖

    野津説明員 熊本におきます水俣病関係認定業務につきましては、ただいま御指摘ございましたように、ある期間におきまして認定審査会が機能を発揮していなかったという時期もございましたために、いま御指摘ございましたような数字で認定申請者が待っておられるというふうな実態があるわけでございます。ただ、認定の申請をされまして認定の形までいく、認定審査会にかけるまでに必要な、いわゆる検査というのが必要でございますけれども、これが、ただいま御指摘ございましたように四十八年に行いましたいわゆる一斉検診というものに対しましての患者さん方の、あるいは申請者方の不信感というものがございまして、これの再開が非常におくれてきたわけでございますけれども、その間、熊本県も非常に努力されまして、ことしの四月から、いわゆる検診という形が熊本大学を中心としまして実施されるようになってきたところでございます。  それからまた、この検診体制の整備といたしまして従来から県の検診センターというものが水俣市内に設置されてきていたわけでございますけれども、ただいまのような、いわゆる医師に対します いろいろな問題点がございまして、検診センターの機能も十分、発揮されないというふうな実態で流れてきていたわけでございますけれども、たまたま、ことし常勤のセンターの所長という医師が確保されまして、また検診センターそのものの組織を県の公害部に属させることによりまして、より円滑な検診が行われるというふうなことに、だんだん向いてきている状況でございます。  ただ、御指摘ございましたように現在、認定審査会で審査をします件数が約八十件でございます。それからまた、その結果によりましては、いわゆる保留の率というのが非常に高くなってきている実態にあるわけでございます。これは、いわゆる水俣病という実体から見まして、従来まで、どうしても典型的な水俣病というものを前提とした形での、いろいろな考え方があったわけでございますけれども、いわゆる軽症と申しますか、非常に判断が困難なような事例というものが出てきたために、保留の率が高くなっているというような現実でございます。  ただ、ただいま御指摘ございましたような七十五年というお話でございますけれども、これは、いろいろな計算方法があるかと思います。私どもは、できるだけ早く、これが解決できるようにということで、熊本県とも、いろいろ相談しながら県としましても努力を重ねて、いまのような体制まで持ってこれたということにつきましては、私は非常に大きな努力があったと思いますし、環境庁としましても、熊本県の努力というものに対しましての大きな支援をしてまいりたいと思います。また財政的な問題につきましても、できるだけ協力してまいりたいという形で、円滑な認定制度というものが進んでいくことを大きく期待しているところでございます。
  197. 木下元二

    ○木下委員 現在の停滞状態については、いま言われましたような、いろいろな経過もあると思うのです。事情もあると思うのです。しかし、そういうことをいま聞いているわけではございません。この悲惨な水俣病に対する救済措置が、だらだらと延ばされて二十数年先になる、一体こういうことでいいのかどうか。これは私は、ほっておけないと思うのです。なぜ、こういうふうなおくれが生まれたのか。これは、いろいろ理由もございましょうけれども、その理由を探索してみたところで解決にならないわけです。いま、これを一体どうするのか、なぜ、この認定業務促進の抜本策を考えようとしないのか、こういうことを言っておるわけであります。それとも、もうお先真っ暗で手の打ちようがない、全く解決策がない、こういう考えでしょうか。いま熊本県の計画案を申しましたけれども、こういうやり方でやっておったのでは、これはいつまでたっても解決しませんね。延びるばかりなんですよ。これに対して、どういう手を打つのか、こういう問題を聞いているわけなんですが、いかがでしょうか。
  198. 野津聖

    野津説明員 認定を促進するという形の流れの中に、二つの大きな問題があると私ども考えているわけでございます。一つは、認定を受けられるために必要な検診がスムーズに受けられるというふうなことが第一の問題だろうと思います。認定審査会にかけますための各種の要件というものが、検診をスムーズに受けられるということによりまして各種の検診データが出てくるということが第一の問題であろうと思います。それから第二番目の問題といたしましては、認定審査会におきます認定件数あるいは審査件数の増加ということが第二番目の問題であろうかと思います。  まず第一番目の問題の対策としましては、ただいま御指摘もございましたけれども、検診センターの機能が十分、発揮できるような状態一つ。また逆に、申請しておられる患者さん方が安心して検診を受けていただくという体制をつくることが第一番目の問題だろうと思っております。したがいまして、県の努力によりまして検診センターの組織の問題あるいは従来まで常勤の医師がおりませんでしたのに、一人だけでも常勤できるような状態になってきた。しかも熊本大学におきましても、これの検診につきましては、ひとつ全面的に協力していただくというふうな形になってまいっておりまして、これは逐次、進んでまいると思っております。  それから第二番目の問題としましては、現在の認定審査会におきます審査中身の問題になってぐるかと思います。先ほど申し上げましたように現在、約八十件が認定審査会にかかっているわけでございます。そのうち約六割につきます患者さん方が、いわゆる保留という形になってきております。保留となりますのは、先ほど申し上げましたように、一つの流れといたしまして、典型的な水俣病というものから出発いたしまして、現在は、いわゆる軽症の方々あるいは、ほかに合併症を持っておられる方々というふうに、非常に認定が困難な患者さん方がいま申請をしておられるという実態がございます。したがいまして、保留という件数かふえてきておるわけでございます。  この保留の件数の問題につきましてのことでございますけれども、昨年来、認定検討会という会議を持ちまして、熊本、新潟それから鹿児島の三地域におきます認定審査会の先生方にお集まりをいただきまして、認定基準と申しますと若干、語弊がございますけれども、それにつきましての、いろいろな学問的な、それぞれの専門的な立場での御意見をいただいておるところでございまして、なかなか、むずかしい面があるわけでございますが、これにつきまして、いろいろ御議論いただきながら水俣病の現状というふうなものにつきましての病像等につきまして明らかにしていただくような形で、いま御議論いただいております。したがいまして、この御議論の一応の半ばの段階でもよろしゅうございますから、そういうふうな御議論というものを踏まえた形で認定が促進されてくるのではないか。したがいまして、その問題は、いわゆる審査会におきまして保留という形をとっておる段階におきます一つ対策であろうかと思っております。  いずれにしましても、実際には認定審査会あるいは認定業務というのが県、市の業務という形になっておるわけでございまして、環境庁としましても県、市の努力というものに対しまして、いろいろな面で協力し、応援をしてまいりたい。そういうことによって認定が促進されていくというふうに私ども考えておるわけでございます。
  199. 木下元二

    ○木下委員 どうも、おっしゃることが抽象的でありまして、具体的な促進のための解決案をお示しになっていないと思うのです。  私は、その促進のための抜本策というのはあると思うのです。たとえば国立治療研究センターにおいて検診から認定後の治療までの一貫体制をとるということ、これが一番であります。それまでの暫定措置といたしまして、水俣の検診センター、ここに常駐の検診員を置くということであります。四人の内科医が毎日、診察できるといたしますと、一日に一人の医師が五人診たといたしまして、四人の医師で二十人、一カ月二十日間診療いたしますと月に四百人の検診が可能であります。これでいくと、三千人の申請者を消化するのに一年かからない計算になるわけであります。こういうふうな、もっと具体的な抜本策を本腰を入れて真剣に取り組んでお考えになる、これが私は、どうしても、いま差し迫って必要ではないかと思うのです。現在の状態のままなら、これはもう救済すべき多くの患者を見殺しにする結果になるわけであります。認定業務促進の抜本策について、ひとつ早急に、真剣に検討を進めていただきたいと要請をいたします。長官いかがですか。
  200. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 それはもう、あなたより私の方が、ずっと心配している問題でありまして、いま挙げられた具体策についても、もうすでに私どもとしては検討済みでございます。お医者さんが、なかなか来てくださらないわけです。何も金を私どもは惜しんでいるわけじゃありません。したがって、要は検診能力をいかに増加するか。それから先ほど部長が言いましたように、さらに認定審査会のときに保留が少なくなるような方途を、いかに医学、技術的に確立するか。それだけなんですね。したがって、すべてがお医者さんの御協力いかんにかかっておるわけなんですが、御承知のような経過等を見ますと、お医者さんが専属に、先生がおっしゃったように四人常駐して勤務員になって、そして申請患者だけ一年も二年も見るというような御協力をしていただく方が、なかなか見つからぬというのが現状なんです。当然、努力しなければいけませんので、その線で、いま、いろいろと努力をいたしておる。なるべく早く実現をしていきたい、かように考えておるわけでございます。
  201. 木下元二

    ○木下委員 どうも医者が見つからないというお話でありますが、これは確かに困難な問題があることは私も承知をいたしておりますが、やはり私は、これは国の力の入れようにあると思うのです。医師の問題にしましても、国が国として最善、最大の努力を、これに払うということでやれば、私は、そんな壁が分厚くて不可能な問題ではないというふうに考えます。ひとつ努力をするということでありますので、最善を尽くしていただきたい、このことを要請いたします。  もう一つの保留の問題であります。ことに最近の傾向としまして、審査をされても認定もされず棄却もされない、いわゆる保留か圧倒的に増加をいたしておるわけであります。ここに数字があるわけでありますが、たとえば、ことしに、なった分だけを見ましても、五十一年二月九日に決定になった分を見ますと、認定が十二人、棄却が六人、保留が五十二人、計七十人であります。五十一年三月八日決定の分を見ますと、総計八十人のうち認定は六人、棄却は七人、保留は六十七人であります。五十一年四月八日の分を見ますと、総計五十三人のうち認定が八人、棄却が九人、保留が三十六人という数字が出ております。どうも申請をしまして、やっと審査になっても保留、そして、その保留のままの状態が何年も続くということでは、これはもう、まさに生殺しであります。私は、この促進を図る体制を抜本的に講じるという問題とともに、認定基準の問題、これについても改善を図るべきだと思うのです。  第一に、認定審査内容の問題点でありますが、ハンター・ラッセル症候群に固執をして水俣病の多様性に目をつぶる傾向かあるわけであります。これを改めることが必要です。あるいは個人の疫学的事項を無視をする傾向、これも改めることが必要であります。それから、水俣病の病状を認めながら、変形性脊椎症であるとか糖尿病であるとか、あるいは脳血管障害などの病名をつけて、これで説明がつくとして棄却をする事例がふえておるわけであります。こういう問題を私は思い切って改めることが必要だと思います。  それから第二に、昭和四十六年の環境庁事務次官通知で示されました審査基準が守られていない。これを守ることが必要であります。  第三に、一定の疫学条件に合致をし、何らかの神経症状を有する者は審査会で、どしどし認定をしていく、これが必要です。こういうふうにして思い切って改善策を講じるべきだと思います。これをやらないと現状のような、こういう保留というような生殺し扱いの問題が一向に解決をしないわけであります。この点はひとつ思い切って前向きで改善策を講じてもらいたいと思うのです。いかがですか。
  202. 野津聖

    野津説明員 認定基準の問題につきましては、先ほど私も申し上げましたように、いわゆる典型的な水俣病というものから出発してまいっているというふうな一つの問題がございまして、これらの認定基準ということが、きちんとした物差しになるか、ならないか、まだ非常に大きな学問的な論争のある部分もございます。しかし、私どもも先ほど申し上げましたように、三地域におきます認定審査会の委員にお集まりいただきまして、その間におきまして、いろいろと御議論をいただきながら、少なくとも現在の学問的なコンセンサスが得られた段階におきます一つの水俣病というものの病像というものを明らかにできればということで、いろいろと御議論をいただいているところでございまして、そのような点につきましても逐次、明らかにしていきながら認定を促進していく。     〔葉梨委員長代理退席、土井委員長代理着席〕 先ほど申し上げましたように、いわゆる現在の水俣病の病像というものの中に合併症とか、あるいは、いま御指摘ございましたような、いろいろな典型的なものから出発するというふうな問題もあるわけでございまして、これをどういうふうに整理していくかということを中心としながら御議論もいただいているところでございまして、認定促進の一つ方法として保留者を少なくしていくことは御指摘のとおりでございまして、私どもも、そう思いながら現在いろいろ作業を進めているところでございます。
  203. 木下元二

    ○木下委員 いまの水俣病の病像の問題について立ち入って、きょうは私は聞かないことにいたします。が、いまも言われましたように、この問題、この認定の促進ということについて最大の努力を払うということを、ひとつ長官お約束いただいて前向きで進めていただきたい。よろしゅうございますか。
  204. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 先ほども言いましたように、実は責任者として、もう、あなたよりも私の方が、ずっと、その問題に頭を悩ましているわけですから、何とかして、この業務が進展するように、あらゆる方途を研究をしなければならないと思っております。ただ基本的に、先生も私も医者じゃないので、こんなことを私が申し上げて、どうかと思いますけれども医者の診察、診断というのは全く、いろいろな医学の学問がありましても、それを具体的な患者に適用するに当たっての判断は、まさに医者個人なんです。したがって、一つの物差しをつくって、これで全部お医者さんがやりなさいなんというようなことには なかなかいかぬものなんです。医学というものは。  それと、もう一つはお医者さん。私も着任してから、この問題ずっと心配しておりまして、素人考えですが、各国立病院なり大学から応援を得て、そして現地に一カ月ぐらい、あるいは交代でもいいから何十人と、あれして、それで、ずっと検診を進めたいというようなことも提案してみたんです。ところが、それは、そうはいかないんですね。患者さんとの人間的な信頼関係というものがなければ、これはもう人数だけふやしたって、だめなんです。そういう点も、よく理解を願わなければいかぬ。  したがって、なかなか苦労なんです。いろいろな苦労がありますけれども、しかし、十年も十五年も放置するということはできない。何とかして、ひとつ現地の患者さんとの人間の信頼関係も十分、理解を得ながら、しかも、お医者さんの御協力を得て進めてまいらなければいかぬ。非常に困難な問題ですが、もう本当に真剣にやらなければならない問題だし、また、そういうつもりでおるわけでございます。
  205. 木下元二

    ○木下委員 ぜひ、やっていただきたいと思います。  そこで当面の問題でありますが、認定業務遅延に対処する現実の問題といたしまして、治療費等の問題があるわけであります。すでに汚染指定地域に五年以上居住をし申請後一年経過の申請者に対しましては研究治療費が支給をされております。五十年四月からです。しかし、この申請後一年経過という支給要件は必ずしも当を得たものではないと私は思うのです。申請をして、その採否の処分を行うのに最小限度必要と思われる期間を経過しても、なお処分がされない、そのような場合に行政の側としては少なくとも治療費は見ていこうという趣旨であろうと思うのですね。その趣旨に立つならば、申請手続しまして処分まで、どのくらいの期間が社会通念的に必要なものかという観点から、これを見ることが必要だと思います。そうすると、どうも、この一年というのは長いと思うのです。長過ぎます。この点いかがでしょうか。
  206. 野津聖

    野津説明員 御指摘ございましたように現在、公害医療研究費補助金という形で、申請されました方の居住要件と、それから申請されてからの期間というものを勘案いたしまして、医療費の自己負担分につきましての助成を、県と国とで半分ずつ実施しているわけでございまして、これにつきましては先般来、御指摘ございましたように未処分者の増大と、これに対応する行政庁の処分能力というふうなものから見て、なかなか未処分者の滞留が解消されないだろうという形で設置された一つの予算的な制度であるわけでございまして、この際、一応、申請後一年という考え方につきましては、先ほど申し上げたような申請者の負担軽減を、できるだけ、して差し上げたいという観点から、いろいろな事情を勘案したものでございます。したがいまして、この一年が長いものであるのか、あるいは短いものであるのかということは非常にむずかしい議論ではないかというふうにも考えておるわけでございまして、諸般の事情から一年という一つの区切りをつけたというのが現実でございます。
  207. 木下元二

    ○木下委員 そこで私は聞いているんですがね。こういう救済制度がつくられて、そして、その被害を受けた患者が、その制度を使いたいということで申請をする。その場合、大体、一年も、あるいは一年以上も、ほうりっ放しておくということ自体が非常におかしいことであって、しかし現状はやむを得ない。そこで、その治療費については何とかということでありますが、それを、いま私がいろいろ言いましたけれども、趣旨からいいましても一年経過というふうなことでは長過ぎはしないか。ことに、たとえば大気の場合を見ますと大体、申請をしまして二カ月ないし四カ月であります。そして四カ月ぐらいを経過して、この認定あるいは処分があるということでありまして、当然この大気の場合と均衡的に扱うという点からいいましても、私は、もっと縮めることが必要だと思うのです。いかがですか、この点は。
  208. 野津聖

    野津説明員 大気の場合の疾病であるかどうかということを認定する問題と水俣病の場合に、これが有機水銀による影響であるかどうかというふうな問題の判断には非常な差があると私は思っておりますので、必ずしも大気の事例を、そのまま使うことが適当であるかどうかにつきましては、直接それとの関連ということには考えられないと思っております。
  209. 木下元二

    ○木下委員 何も、そのまま使えとは言ってないんです。参考にしてはどうか、均衡という点から考えるべきではないかと言っているんですよ。これは、いま病状が複雑であって大気の場合と違うかのように言われますが、それはやっぱり、あなた方の行政の側から見ておるんですね。患者の側から見ていないんですよ。行政の側から、処理をする、そういう立場から見ておる。私は、そうではなくて、もっと逆の立場で言うならば、では大気の場合は早くても水俣の場合は長くかかってよいという、そういう理屈が一体、患者立場から見て、あるいは国民の側から見て、どうして出てくるのかということになってくると思うのですね。患者の側に立つならば、むしろ水俣病のような深刻な場合こそ、できる限り早く救済されるべきだ、こういうことも言えるわけなんですね。この問題は実は私は、そんなむずかしい問題ではないと思うのです。予算上からいいましても、さほど多額を要しないわけであります。ざっと計算してみますと現状では大体、年間四千万円もあれば十分、足りるのです。県、国それぞれが二千万ずつで済むわけであります。だから私は、この問題についても患者立場を、できるだけ、くみ取って前向きで検討していただきたいと思います。いかがですか。
  210. 野津聖

    野津説明員 私、大気の患者さんと水俣病の患者さんとは差があっていいという意味で申し上げたんじゃございませんで、勢い、その認定に係ります期間につきましては、そのまま適用できるものではないというふうに申し上げたつもりでございまして、私ども決して長くかかっていいという考え方ではなくて、認定に当たりましては、できるだけ短い期間に認定されるということが必要であろうという前提で申し上げているわけでございますので、御了解をいただきたいと思います。(木下委員「検討してください」と呼ぶ)ですから期間につきましても十分、検討さしていただきたいと思っております。
  211. 木下元二

    ○木下委員 交通費の問題でありますが、現状では保留になったら、そのときから一人一回の治療に三百円を支給されております。これは県、国、同じように二分の一ずつの負担であります。しかし第一に私は、この三百円というのは、いまの物価状況から見まして余りにも少な過ぎると思うのです。周辺の近いところでもタクシーを利用いたしますと千円ぐらいかかります。健康状態の思わしくない患者のことでありまして、タクシーの利用はやむを得ない場合が多いと思うのですね。これは少なくとも実費支給とすべきではないかと思います。  第二点として、交通費の問題でありますから、保留になった場合だけでなく、申請者一般についても支給されるべきではないかと思うのです。  第三点としまして、県外の患者が検診に来る場合、一泊二泊かかるのが通常であります。宿泊費交通費も実費支給すべきだ、こう思うわけでありますが、いかがでしょう。
  212. 野津聖

    野津説明員 現在、通院の場合、定額補助という形で三百円を支給しているわけでございますが、これにつきまして関係県が実施主体になっているわけでございまして、予算の範囲内におきましての補助という形になっているわけでございます。  県の意向といたしましては、最寄りの医療機関に通います際の通院に要する平均的な費用という形で三百円ということでございますが、実態というものが、どのように変わってきているかという問題もあるかと思いますが、現在のところ県の意見等も聞きまして考えていきたいと思っております。  それから認定申請に係りましての県外居住者、遠距離におられます方でございますけれども、やはり現在の流れといたしましては、認定から申請に至るまでの、いま御指摘ございましたような各種の費用というものにつきましては、やはり自己負担というものが原則ではないかというふうに考えているわけでございまして、ただいま御指摘あったわけでございますけれども、現状では、そんな大きな支障というものは生じていないのではないかというふうに考えてもおるわけでございます。御指摘ございましたような事情につきましては、十分、事情を聴取しながら、いく必要があるかと思っておりますけれども、原則論としましては、申請から認定までの費用というのは、やはり自己負担が原則ではないかというふうに考えております。
  213. 木下元二

    ○木下委員 申請者の県外患者というのは人数は、どのくらい、いるでしょうか。たとえば大阪には、どのくらい、いるでしょうか。
  214. 野津聖

    野津説明員 現在、約三百名ではないかというふうに言われておりますが、具体的な数値につきましては把握しておりません。(木下委員「大阪は」と呼ぶ)それも、各地域につきましてはわかりません。
  215. 木下元二

    ○木下委員 いま、わからないという意味だと思いますが、大阪は九十五名おりますね。いかがです、わかりませんか。
  216. 野津聖

    野津説明員 ただいま申し上げましたように数字としては把握いたしておりません。
  217. 木下元二

    ○木下委員 私の手元の資料では、そういうふうに出ております。これに間違いないと思いますが、こういうふうな県外の患者、特に遠方の患者が申請をし検診を受けたいという場合に、一体これは、どういうことになるのでしょうか。     〔土井委員長代理退席、島本委員長代理着席〕 熊本までやってくるのは大変なことであります。その出費に対する補償措置を講じないでは、現実に検診に来られないわけでしょう。申請自体も、これではもう申請したって、とても、あんなところまで行けないということになって、やめておこうということにならざるを得ない、こういうことが多いと思うのです。私は、この水俣病の問題というのは非常に深刻な問題であり、この救済ということが深刻に求められておるわけでありますから、やはり患者が本当に申請ができ、救済ができるように、国として措置を講じてやるのは当然のことではないかと思う。それを申請があっても認定までは、そういうものは見るべきものではないというようなことで一切、知らぬというのは私は非常に問題があると思いますが、どうですか。
  218. 野津聖

    野津説明員 先ほど来申し上げておりますように、この制度におきましては申請から認定までの、いろいろな費用につきましては自己負担を原則としているというふうな考え方でございます。
  219. 木下元二

    ○木下委員 しかし、いまの交通費の問題については、それでは、もう患者救済の上で支障を来すということで、その枠が破られておるわけですね。そして、その三百円という問題についても、これは金額が非常に少ないということで、いまの物価状況からいって、この点については、さらに検討もする、こういうふうに言われておるわけでしょう。だから何も申請から認定までは一切、患者負担ということが貫かれておるわけではないし、また、そういうふうなことを貫くべき問題ではないと思うのですよ。患者の置かれた状況を行政の側が、よく、くみ取って、きめ細かい思いやりのある施策を講じていくというのか、それとも、ただもう決められた一応のことだけを事務的に処理をするという官僚的態度を貫くのか、一体どちらをとるのか。私は、これが試されておる問題だと思います。何よりも私は患者救済の立場に立って温かい思いやりのある施策を講じてもらいたい。そして、それをやるのが国に課せられた責務だと思うのです。ひとつ、この私が指摘をしました問題点をよく再考をされたいと思うわけであります。長官いかがですか。
  220. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 先生おっしゃるように、私ども患者本位に物を考えるということは当然のことで、患者本位に物を考えてないような私どもの実情ではございません。  ただ国には、いろいろな制度がございまして、その制度をつくる場合には、やはり、どこかで個人の責任と公の責任と線を引いていかなければいかぬのは、やむを得ないので、そういう意味で引かれた線でございます。しかし、そうはいっても国の努力にもかかわらず、実態的に検診が数として進まない、あるいは認定の業務が進んでまいらないという実情を踏まえまして、それまでの患者さんについては、一定の条件を設けて医療救済を、研究費の名目ではありますが図ろう、こういうので、実は私、参りまして踏み切ったわけでございます。  そういたしますと、なるほど一つの議論としては、いろいろなことを、もっと患者本位にやるべきじゃないかという議論もありますけれども、やはり国の制度である以上は、国民の税金を使っていくわけですから、いろいろな制度との兼ね合いで、どこかで線を引っ張っていかなければいかぬことは、これは先生も御理解願わなければいかぬ。したがって、そういう意味で実は、これも異例中の異例で医療費の負担を国でやっておるわけでございます。それが、一年じゃ長いじゃないかという議論もありますし、あるいは交通費その他いろいろ認定に至るまでの費用についても、患者さんのためを考えて、もっともっと国が負担すべきじゃないかという御議論は、御議論として、もちろん、あろうかとは思いますが、やはり、いろいろな制度との兼ね合いにおける個人の責任負担と公の負担の限界というものを、どこかで考えていただくという考え方も、これは是認していただかなければいかぬわけでございます。しかし、基本的に私ども患者さんの立場に立たないというような気持ちは毛頭ございません。制度の中にあっても何とか理屈をつけながら、患者さんのためになるような施策は、できるだけ前進していきたい、かような気持ちで今後とも運営をしてまいりたい、また努力もしていきたいと考えます。
  221. 木下元二

    ○木下委員 言われることもわかります。国の制度であるから一定の線を引くということは当然であります。しかし、その引かれた線の結果、ある層の患者にとっては非常に酷な結果をもたらす、そういうものについては、やはり、さらに救済を図るような措置が必要ではないか、こういうことで言っているわけなんですね。特に、いま言いましたように県外にいる患者、これは交通費を使い宿泊費を使い、そして、わざわざ熊本県にやってこなければ検診が受けられないということでは困ります。それができる患者もおります。経済的にできない患者がおるわけであります。だから、そういう者については結局、救済の道を閉じてしまうことになるじゃないか。だから、そういう者については何らかの措置を講じることを、ひとつ考えるべきではないかということを言っておるわけでありまして、私の言っていることは決して無理ではないと思っているわけであります。しかし、長官も最後に言われましたように、そういう酷な場合については患者立場に国は立つのだからということも言われましたので、私は国としても、これは検討してもらえるものと思うのであります。よろしゅうございますか。
  222. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 遠隔地の水俣病のおそれのある患者さんの取り扱いの進め方については、私きょう初めて、いろいろ御提案をいただきましたので、これはひとつ結論は私いま、どうこうということは申し上げられませんが、検討はしてみたいと思います。
  223. 木下元二

    ○木下委員 続いて、国道四十三号線、阪神高速の道路対策について伺います。  先般、大気保全局長は現地調査を行いました。現地の沿線の状況をつぶさに見てこられて、あるいはまた住民の被害の実情に接して一体、何を感じ取り、何をしなければならないと考えられたか、忌憚のない感想なり意見伺いたいと思うわけであります。
  224. 橋本道夫

    ○橋本説明員 どういうことを感じたかということでございますが、道路公害の問題は、非常に限定的な場所であれば、きわめて、はなはだしいという問題を非常に厳しく感じたわけであります。  それから現在の実情として私、非常に感じましたのは、国道事務所や建設省当局としては非常な努力をしておる、私が期待していたよりも大きな努力をしておられるということは事実でございました。  阪神高速がここに入ってくるということの問題についての環境影響評価という点においては、料金所の近辺においては、かなり、やられておるが、その他の点においては、まだ非常にいまだしの感があるという感じをいたしました。  それから、それに対する対応として、交通規制のあり方については、大阪府警と兵庫県警との間には若干の相違があるということでございまして、それに、やはり財政措置の上での、その強さの相違が、かなり響いておるのではないか、こういうぐあいなことを感じたわけであります。  今後の対策としまして、現在やっておることは当然に、どんどん進めるということでございますが、それだけで片づく問題では、なかなか、ないのではないか。将来、本格的に解決していくには、どういうぐあいにするのか、そういう問題を考えるにしましても、いまのままの状態では、それを検討するだけでも、かなりの年月を要するというような感触を得たわけでございまして、大型トラックの夜間規制という問題につきまして、それでは、とめたらどうなるかという議論をしてみると、やはり要請している自治体にも非常に戸惑いがあるということが実態でございました。
  225. 木下元二

    ○木下委員 いま言われたうちで、新聞報道もあるわけですが「大阪府警の交通対策予算が昨年までは二十七億円、今年度は財政難で減ったもののそれでも十四億円なのに、兵庫県警の予算はわずか一億円にしかすぎない、ということを現地視察のとききいた。二つの隣接する府県の間で交通対策費が余りにも違いすぎるのに驚いたが、丘庫県下の沿道自治体は、これについてどう考えているのだろうか」というふうに出ておるのでありますが、いま、あなたか言われたのと若干そのニュアンスが違うようにも思ったので指摘したのですけれども、結局、兵庫県側の交通対策というのは大阪に比べて、ずっと、おくれておるということを感じられたわけですね。
  226. 橋本道夫

    ○橋本説明員 ずっと、おくれておるという言い方は適切ではないかもしれませんが、大阪府警本部長に会いまして、四十三号線のお話をいたしまして、兵庫県警の交通規制課長さんが予算の問題ばかりについて、ほとんど集中して、いろいろ問題提起をしておられるという印象を述べましたところ、大阪府警本部長さんは、それは当然であろう、大阪府警の交通規制の金と兵庫県警の金では、このくらいの相違があるのだということを御指摘になるのを伺って、これはなるほどということを感じたわけであります。兵庫県警も、かなりのことをおやりになっておられます。やっておられますが、大阪府警の場合とは、やはり兵庫県下全体の状況の相違等もあって、精粗の差がある、そういう感じであります。
  227. 木下元二

    ○木下委員 防音壁であるとか植樹林あるいは交通制限など、一定のものはとられておるのでありますが、これは私は非常に不十分だと思うのです。実は尼崎市長、西宮市長、芦屋市長連名で国の方に対しましても要望が出ておるわけでありますが、これを見ましても、大型車の通行規制、特に夜間については通行禁止を含め緊急な措置を講じられたい。速度制限の取り締まりの強化を実施されたい。緩衝緑地帯の整備、これもさらに西宮、芦屋まで延長するとともに、夜間車線制限区間の延長を図られたいとか、いろいろあるわけですね。こういう要望が市長連名で出ておるというところから見ましても、この四十三号線対策というものが非常におくれておるということを私は示しておると思うのです。  問題は、今後の対策として一体どういうことを考えておるのかということであります。特に現地を見られて、何をしなければならないのかということについて伺いたいと思うのです。
  228. 橋本道夫

    ○橋本説明員 現地を見まして非常に感じましたことは、まず非常に短い期間に当面やってしまうということにつきましては、当然のことながら、防音壁とか、あるいは現在やっている交通規制を、さらに徹底していくという問題あるいは植樹帯及び尼崎でテスト的にやっておられるグリーンベルトというものが非常にいいものならば、これをどんどん広げる。これは比較的、短期間にやろうと思えば、金さえあれば、できるということだろうと思います。しかし、そういうことをやっても、あれだけの道路公害の改善というのは非常にわずかなものじゃないかという感じがいたします。特に阪神高速が全部開通した場合に果たして、いま三市のところの現在の状態が、よくなるか、悪くなるか、同じであるかという問題は、どなたも余りお触れになりませんが、実は非常に問題ではないか。  そういうところから考えますと、先ほどのときにもございましたが、やはり沿道に向かって住居を構えておられる方、これは軒数にすると案外、少ないというのにも驚いたのですが、立ち退くというと、また大変なことになるのでしょうが、防音工事とか立ち退きたい方も非常にたくさんおられる。幸い建設省が、そういう事業をお始めになって、ことしからスタートするわけですけれども、あの問題を、どれぐらい徹底して四十三号線が全線開通するまでに投入できるかというところ非常に大きい問題ではないか。  また、私の直接の所管の問題としては、五十三年規制というのは何とでもして達成しなければならない。と同時に大型車の規制というものも、長期目標を設定することは当然ですが、やれることは、とにかく、やらなければならないということ。それから騒音の発生源の自動車騒音規制につきまして、この間、審議会から答申がございましたものを計画的に徹底して実行していくということが、私の直接の責任としては一番大きなことではないか、そういうぐあいに感じました。
  229. 木下元二

    ○木下委員 防音工事計画があるようですが、その内容はどういうことになっておりますか。これは建設省でも結構です。
  230. 中村清

    ○中村説明員 直接のお答えには、あるいは、ならないかもしれませんが、いま環境庁の方からも御説明がございましたように四十三号の周辺は騒音が非常に激しゅうございます。そこで四十三号も多分そういう対象になるとは思いますけれども、本年度から有料の自動車道路の周辺で騒音がひどいという地域において、住居の所有者が、非常にやかましいから、ここでは住めないということで、よそに行きたいというふうな場合には、通常の防音工事の助成プラスその移転の費用も助成をする。さらに移転をされた後、空き地が当然できるわけですが、そういう空き地につきましても買い取りをしてほしいという申し出がございますれば買い取りをするということを、道路公団、首都高速道路公団あるいは阪神道路公団で考えております。もちろん、その前提といたしましては、いまお話がございましたように防音工事の助成について費用の助成を申し上げるということであります。
  231. 木下元二

    ○木下委員 有料自動車専用道について防音工事をやるということで五十一年度より予算化されておる、そのうち六億円は阪神高速に向けられるというふうに聞いておりますが、そのうち四十三号線の大阪 西宮線関係、ここには一体、幾ら来るのですか。
  232. 中村清

    ○中村説明員 具体的な数字は、いまお話がございましたように六億円ということでございますが、そのうち、お話がございました第二阪神の沿線に、どの程度いくか、これは実態も少し調べなければいけませんし、先ほど申し上げましたように住居の所有者からお話があるということが、まず制度前提になっておりますので、その辺の状況を見きわめまして重点的、計画的に実施をしてまいりたいと考えております。
  233. 木下元二

    ○木下委員 その防音工事の内容ですが、それは基準というものがあるわけですか。大ざっぱで結構ですから。
  234. 中村清

    ○中村説明員 これは、いま基準をつくりまして制度をスタートさせようとしておるわけですが、実は予算制度の問題もあるものですから、関係の省庁とも御相談をいたしまして大体、相談が調いましたので、いま公団と具体的な中身について検討しておりまして、近々、通達を発する予定でございます。
  235. 木下元二

    ○木下委員 家族数一人について一室、限度額は木造百二十万、鉄筋六十万、二人については二室、木造で百七十万、鉄筋で九十万、三人の場合は三室、木造で二百五十万、鉄筋で百三十万、四人以上の場合は四室、木造で三百万、鉄筋で百五十万というふうに私は聞いておりますが、この数字には間違いありませんか。
  236. 中村清

    ○中村説明員 ちょっと具体的な数字は、いま持ち合わせておりませんが、全体の予算がともかく六億ということで、申し出があった段階で、どういうふうに対処するかということになりますが、予算上の制約もあるものですから、おのずから何もかも必要な費用は全部、見るというところまでは、なかなか、いかないのじゃないか。そこで、いま、お話がございましたように室数あるいは家族数に応じた制約は、ある程度、設けざるを得ないのじゃないかというふうに考えております。
  237. 木下元二

    ○木下委員 いまの内容は、おおよそ間違いないですか。
  238. 中村清

    ○中村説明員 ちょっと具体的な数字は持ち合わせておりませんので、申しわけございません。
  239. 木下元二

    ○木下委員 では、その防音工事助成の対象は、どういうふうに考えておるのですか。
  240. 中村清

    ○中村説明員 対象は、一般的に言いますと、まず二つ方法規制されるわけですが、一つは、一定の騒音値を設けまして、そこで計算値が一定の水準に達するという地域であり、しかも実際に測定した数値も、そういう数値になっておるというところにつきまして、住居の所有者から申し出があった場合に、まず防音工事の助成をするという仕掛けになっております。
  241. 木下元二

    ○木下委員 その数値は何ホン以上ということになると思うのですが。
  242. 中村清

    ○中村説明員 いまのところ一応、夜間で中央値で六十五ホンということになっております。
  243. 木下元二

    ○木下委員 昼間は。
  244. 中村清

    ○中村説明員 いまのところは夜間の数値だけを基準にしております。
  245. 木下元二

    ○木下委員 いま六十五ホンと言われましたが、これは四十三号線と阪神高速とくっついているわけで、当然、住民の側からすれば、いわば複合騒音と申しますか、一緒に重なって聞こえてくるわけです。そういう六十五ホン以上というのは、阪神高速の騒音だけを計算するのではなくて、四十三号線の方からの騒音も複合したものとして、その数値を計算しておるわけですね。
  246. 中村清

    ○中村説明員 複合した数値として考えております。
  247. 木下元二

    ○木下委員 それは当然のことだと思いますが、結構です。  それで、もう一つ問題を聞きたいと思うのですが、これは城内小学校の集約料金所の問題であります。前にも聞きましたが、これは現地調査もされまして検討されたと思いますが、この問題はいかがでしょうか。
  248. 橋本道夫

    ○橋本説明員 いまの御指摘の城内小学校のところへ行きまして、また、その周辺を大分よく見てまいりましたが、この計画は大体、四十五年から四十六年ごろまでに、つくられ決定されてきて、もうすでに実体的に相当な工事が行われてしまつておるという状態でございました。環境問題でアセスメントの出てきましたのが四十七年以降ということでございますが、やはり、あの場所で、あの事業をやるときには、これは相当な対策を打っていかなければならないのじゃないか。現地の場所といいますのは一方に工場があり、そこに道路が、この四十三号線と阪神高速とが並立して入ってくるという場所で、サイディングとしては、いろいろな御議論も確かにおありになると思いますが、なるほど選ばれるにしては、どうも大阪と神戸の間では、ああいうところに来ざるを得なかったのではないかなという感じはいたします。これは私は非常によい場所であると申しておるわけではございません。町自身が、もともと公害の最もひどいところであったということは事実でございますが、現在の測定値を見てみますと、ばいじん、SO2、NO2はわりに改善されてはきておる、そういうところでございます。そういう点で現在、市及び市議会当局、学校が公団と、いろいろ話をしておられて、そして条件設定の最後のところにおられるというぐあいに私は理解しておりますが、あそこの場所における対策というのは、できるだけ最大限のことをしなければ、ああいう場所では、やはり非常にまずいのではないかという印象を受けて帰ってまいりました。
  249. 木下元二

    ○木下委員 これは私、この前に質問しましたので詳しいことは、もう繰り返しませんけれども、城内小学校の被害の状態というのは五十年七月十五日で患者数が百七十八人、全体の一二・七%なんです。そして、どんどんふえておるのです。環境基準はオーバーいたしております。しかも、これは文教地区であって児童館とか幼稚園など、たくさんあるわけですね。この上、料金所をつくられると、さらに環境悪化がひどくなることは明らかなところなんです。これは市の行った調査結果でも出ておるのでありまして、この前、私が質問いたしましても、これは否定できなかったところです。したがって、ここに料金所がつくられますと、さらに被害が増加することは明白なんですね。しかも、ここに絶対につくらんならぬというものではないのですね。ほかに代替地もある。いま橋本局長は、現地に行かれて、ここが適当ではというようなことを言われましたけれども、一体その周辺一帯を見られたのかどうか。私は、その点については前回のときも指摘をしましたので、よく検討していただきたいと思うのです。何も、ここに料金所をつくる必要はないと私は思うのです。公害患者がどんどんふえてくる。ことに子供患者がふえることが、もう火を見るよりも明らかな、そういう料金所をつくるということは、私は、これは社会的にも重大な犯罪行為だと思うのですね。そのことは前にも指摘をしました。この点につきましては長官は、建設省から、いろいろ資料を取ってアセスメント等の内容を検討して結論を出したいと前に答弁をされたのであります。いつ結論をお出しになるのか。これは工事が進行もすることでありますから、できるだけ早く、この結論を出していただきたい、私はこう思うわけであります。いかがですか。
  250. 橋本道夫

    ○橋本説明員 いま私の申し上げましたのは、別に適当と申し上げたわけではなしに、大阪と兵庫の境目で場所を選ぶと、やはり、ああいうところになってしまったのだなというような意味でございます。ただ、すでに実体が相当なものがあるということも事実でございますし、通すことについての非常な反対がございましたが、市長さんと市議会の方と学校の方とが非常な交渉を公団とやっておられて、そして、その条件をどういうぐあいに設定をするかというところまでの話に至っておるということを伺いまして、なかなか、むずかしい議論ではございましょうが、私はやはり、そういう道以外には、なかなか、ないのではないかと感じたということを申し上げたまででございます。  それから、いつまでに評価をするかということでございますが、計算されたものは一応、見ておりますが、もう一つ、この阪神高速道路が、いろいろ高速道路の研究をしておるようなものがございまして、その資料につきましても、いま私どもの局の中の専門の者に、いろいろ検討してもらっております。それを全部あわせて見て最後的に私たちの判断をしてみたいと思いますが、やはり、あと一カ月か二カ月ぐらいの期間は、よく中でも検討してみたい、こういうように思っております。
  251. 木下元二

    ○木下委員 市当局は、どういう態度をとっておるか知りませんが、これは住民は反対しておりますよ。私は、この料金所問題の解決ができなくて、四十三号線、阪神高速の公害問題の解決ができるはずはないと思うのです。橋本局長は、この四十三号線問題の解決なくして日本の道路問題の解決はできないということも言われておるようでありますが、この問題について言うならば、私がいま言いますように、この問題の解決なくして四十三号線、阪神高速の解決はない。まさに、これは重大な試金石であるというふうに思いますので、この点ひとつ十分に検討をいただきたいと思います。  もう時間が来たわけでありますが、最後に一点だけ、違う問題でありますが聞いておきたいと思います。といいますのは西宮市甲子園浜の問題でありますが、これは、さきの通常国会で甲子園浜の埋め立てを考える会の住民の方々から出されました甲子園浜一帯を鳥獣保護区として指定されたいという請願は、全会一致のもとに採択をされたわけであります。いろいろ聞きたいことがあるわけでありますが時間の関係で省略をいたしまして、これは甲子園浜一帯を指定されたいという採択でありますので、一帯というのは、まさしく一帯であって一部ではないのであります。この干がたのみならず、その西側の砂浜の部分を含めて甲子園浜一帯でありまして、それに対して、この指定がされるように特に指導をしていただきたい、このことを要請したいわけであります。これは請願の趣旨にも合致をするわけでありますし、また実際にも、この西側の砂浜にも鳥類が来て、えさを取っておるわけであります。休息にも来ておるわけであります。もし埋め立てられてしまって干がただけ残るということになると、これまでのように多数の鳥類が飛来をしてこなくなりはしないか、そういう懸念が多分にあります。相当な悪影響をもたらす、心配というものが強いわけであります。そういう点から申しまして、私は、この点については請願の趣旨に沿って甲子園浜一帯についての指定をいただきたい、こういうふうに特に要請をいたしておきます。よろしいですか。
  252. 信澤清

    信澤説明員 たびたびお話が出ておりますように、あの地点一帯を鳥獣保護区にしたいという考え方で私どもも地元と話をしております。ただし、これは私どもだけで決められることではございません。地元の御意向、それからまた私どもなりに関係学者の御意見も聞きたいというふうに思っておりますので、そういう御意見の上に立って、できるだけ御趣旨の方向で検討させていただく、こういうことで御了承いただきたいと思います。
  253. 木下元二

    ○木下委員 以上で終わります。
  254. 島本虎三

  255. 土井たか子

    ○土井委員 現に川や海が汚されている、大気が汚染されている。その中で公害患者がふえていくという地域は典型的な地域でありますが、開発計画が進むというふうな地域においては、そういう前例を見ながら大変そこにお住まいの住民の方々が不安を持たれるというのは至極、私はこれは当然なことだろうと思うのです。  そこで起こってくるのは、いわゆる住民運動だということになるわけでありますが、最近、一般的に公害地帯というふうに呼んでいい臨海工業地帯なんかについて大変、見受けられる特徴が一つあるのです。それは何かというと、工場が密集している、そういう臨海工業地帯あたりでは、その地域の住民の方々に対して企業側が積極的にサービスをする。たとえば公民館を寄付するようなことをやったり、ただいまは夏祭りシーズンでありますが、盆踊りを積極的に開催をして、そこに住民の方々を招待するということをやってみたり、新聞発行から料理教室に至るまで、いろいろなサービスを住民の方々に対してやるということが、このごろ目立ってきている現象として、よく指摘をされるわけであります。こういう問題に対して住民の方々の受けとめ方は、いろいろ、あろうかと思いますけれども、集会や祭りなどに対して自治会組織を通じて参加を余儀なくされる。そうして、そういう反面、これは岡山あたりの例を見てまいりますと、相次ぐコンビナート事故の中で毎晩、懐中電灯をまくら元に置いて寝なければならない。心身ともに遺書を受けていくばかりか、巨大企業の下請企業に勤めていることであるから、公害闘争ということに対しても積極的に住民の声というものをそこに打ち出すことが、だんだん、できなくなるという意見もあるわけであります。町内会などを対象にしながら、いろいろな働きかけを、こういう企業側からされるというふうな現象が、だんだん、これは強くなっていっているように私は見受けているわけですが、こういう財界の姿勢が問題になっているときに、住民運動に対して環境庁長官とされては基本的姿勢は、どうあるべきだというふうにお考えになっていらっしゃいますか。まず、そのあたりからお伺いいたしたいと思います。
  256. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 大変めんどうなお尋ねなんで、きょう実は答弁に困っているわけでありますが、住民の行政に対するいろいろな要望意見、批判等については率直に私どもは耳を傾けるべきだと思いますし、また環境問題については特に、その地域関係の深い住民の方々意見というものは十分これは尊重していかなければならない。それと、いま御例示の、いろいろな企業側のサービスとは一応、私は関係がない。  したがって、そういうような企業は、その地に立地をいたしまして、いろいろと住民との協力関係を打ち立てていこうという意味において、そういう催し物や、あるいは寄付行為をするということは理解できますけれども、それと、その地域における住民の環境の保全の仕事、それに対する地域住民の方々の、いろいろな要望なり意見なりというものを、何といいますか、そういうようなサービスで片をつけてしまうというような考え方とは、私は全く別に考えていかなければならない、かように考えておりまして、私どもはアセスメント法を考えておりますのも、ただ公共事業をやりますときにアセスメントをやりなさいというだけでなくて、関係地域における住民の意思をいかに反映するか、これが中心的な課題で実は検討しておるわけでございますので、私どもの気持ちは最も進んだ近代的な考え方で終始をしていきたい、かように考えております。
  257. 土井たか子

    ○土井委員 実は私、こういうことをお尋ねするのには、それなりの理由がございます。一つは、ことしの環境週間の前に発表された例の環境白書なんですが、あの環境白書は「試練と選択の環境行政」と、低成長経済のもとでの環境行政のむずかしさが、その中では、るる訴えられているわけであります。低成長下の環境行政ということに対して、むずかしさを国民の理解を求めながら訴えていくということが、これからの環境行政のあり方としては、あの公害白書を見る限りは、やはり主題になっていくのですね。  時あたかも低成長であればあるほど経団連や日本商工会議所あたりは、この点に対して公害対策環境保全という問題に対して経費をたくさん、かける、これに負担をたくさん、つぎ込むというふうなことに対して、やはり手控えるということは、これは常識からいっても当然でありますが、それについての一連の、これは資料らしきものがございます。  たとえば六月の二十二日に経済団体連合会いわゆる経団連の総合対策委員会が「企業・経済団体の広報活動のあり方」というのを発表いたしております。その中身は、やはり、いかに住民の中に溶け込むかということばかりが、るる書いてあるわけでありまして、広報活動をいかにうまく、やっていくかということに、ずいぶん意を用いておられるかという苦心のさまが、ずいぶん読み取れるわけなんですね。また日本商工会議所の方も、ただいま私は、ここにも文書を持ってまいっておりますけれども、やはり、この点に大変、気を使っていらっしゃるわけで、六月二十二日付で「企業地域住民・消費者等との望ましい関係の樹立に関する提言」というのがあります。  ところで、この中を見てまいりますと、両者ともに触れている点で、こういう点があるのです。いま申し上げた日本商工会議所の文書の中に5という項目を見ますと「政府・地方自治体は、企業活動に対する国民の要請及びこれに対する企業の対応を的確に把握しつつ、企業地域住民・消費者等との望ましい関係の樹立について、経済、社会の変化に即応した適切な施策の推進に努めることが必要である。」と書いてある。  昭和四十五年に公害対策基本法が改正をされた、あのときの趣旨というのは長官も御存じのとおりでありまして、経済の発展との調和を保ちつつ公害対策ということを講じていくということが、いかに公害対策の実を持たないかということの猛反省で、あの公害対策基本法の一部改正ということは具体化したわけなんですね。  いま日本商工会議所の文書からすると「企業活動に対する国民の要請及びこれに対する企業の対応を的確に把握しつつ、」「望ましい関係の樹立について、経済、社会の変化に即応した適切な施策の推進」に努力願いたいという趣旨が書いてあるのです。片や、先ほど申し上げました、この経団連の方の文書の中にも、住民に対して、これは呼びかけている部分でありますが「住民運動の中には利己的な動機・要求のものが見受けられる。これに対する方策として、地域住民を対象とした各種の教育の場を設けることが必要であろう。しかしテーマによっては企業が前面に出るのは必ずしも好ましいことではない。したがって、地域の行政当局や経済団体、婦人団体が主催し、企業はそれを支援する形が望ましい。」と書いてあるのです。こういう文書が経団連なり日本商工会議所から、どんどん出回っているわけですね。そうして先ほどの商工会議所では「公平な第三者として、その指導・調整機能を十分に」政府や地方自治体は発揮してもらいたいということが書いてあるのです。第三者として、その指導や調整機能を十分に発揮してもらいたいと書いてあるのです。このことを、ひとつ確認をさせていただいて、そして、いまから申し上げることが一つあるのです。  いま自治省、御出席でいらっしゃいますね。自治省の公務員第二課の町田課長にお尋ねしますが、町田課長は雑誌に「地方自治職員研修」というのが出ていることを御存じでいらっしゃいますか。
  258. 町田千秋

    ○町田説明員 存じております。
  259. 土井たか子

    ○土井委員 その雑誌は毎月発行されておりますか、どうですか。
  260. 町田千秋

    ○町田説明員 毎月発行されているように存じております。
  261. 土井たか子

    ○土井委員 これは三万部ぐらい発行されているようでありますが、各自治体に、この雑誌は販売されているというふうに考えて、よろしゅうございますね。
  262. 町田千秋

    ○町田説明員 この雑誌につきましては、株式会社であります公務職員研修協会の発行に係るわけでございまして、その頒布先につきましては私ども十分、存じておりません。
  263. 土井たか子

    ○土井委員 ただ、この雑誌の名前を見ると「地方自治職員研修」という雑誌なんです。常識的に考えて地方自治体に販売されると考えて間違いはなかろうと思いますが、課長さん、いかがでございますか。
  264. 町田千秋

    ○町田説明員 雑誌の題名から考えますと、地方自治団体を対象にした雑誌であろうということは推測ができますが、ただいま申し上げましたように具体的に、どこに、どれだけ販売されているかについては定かに把握しておりません。
  265. 土井たか子

    ○土井委員 具体的に、どこの市が何部、どこの町が何部というところまで把握なさるということは、これはむずかしかろうと思います。ただ恐らくは、これは地方自治体に販売をされているということは間違いなかろう。私も確かめてみました。それは間違いない事実だと考えてよかろうと思いますが、そのことしの三月号の「職員研修」の中身をごらんになったかどうか、いかがでございますか。
  266. 町田千秋

    ○町田説明員 三月号、見ております。
  267. 土井たか子

    ○土井委員 課長さんにも確認をしていただいていると思いますが、その雑誌の三月号の中には住民運動への特集が盛り込まれておりまして、「住民運動への対応ハンドブック」というのが、その中に掲載されているわけです。これは、るる細かいことは私は一切申し上げませんけれども、この中で一つ問題になるところを私は簡単に取り上げてみたいのです。  いろいろあるのですが「リーダーを育てる方法」というのがあるのです。それから「不当なリーダーをつぶす方法」というのが書いてあるのです。「事前の根回し」というのが書いてあるのです。そういうものの中で少し問題になるような個所を私は読ませていただきますが「リーダーを育てる方法」そのうちで「組織作り伝授作戦」というのがあるのです。   折衝の初期の段階または中期で紛糾しはじめた段階で、これはという人に的をしぼる。その人に、「団体の名称」「構成員の確認」「その団体の目的などの簡単な綱領」「記名投票・無記名投票その他の代表者の選び方」「連絡網」「運営方法」等の組織作りに必要な知識・ノーハウを所長が個人的にメモしたりして伝えておく。住民の会合のときに、この知識・ノーハウをもとに、自然にリーダーとして育っていくことになるだろう。 まずこう書いてあるのです。   説明会などの集会で、自治体側の説明や住民側の発言があったときに、「この点についてAさんはどのようにお考えでしょうか」と、名指しで発言を求めていく。議題・問題点が変わるごとに、Aさんの発言がない場合にはこれを続ける。もちろんBさんもCさんにも発言を求めるわけであるが、意識的にAさんの発言回数を多くするようにしていく。「Aさんのお言葉はもっともだと思います。」と、Aさんを立てる返答をする。 それから「相談持ちかけ作戦」、「リーダーを育てる方法」の、その三の中に書いてあるのですが、ことあるごとに所長(責任者)がAさんのと ころに相談にいく。ことがないときにもことを 作って相談にいく。電話でもよい。これを続け ていくと、グループ構成員の間の話しのときに、 「昨日所長がこんなことを言ってきた」という Aさんの発言が折りにふれて出るようになって くる。グループ構成員の間で、「Aさんは良く 知っている」「Aさんは良く情報をつかんでい る」という雰囲気ができてくる。 こうなんです。  さて「不当なリーダーをつぶす方法」というのが実は問題だと私は思うのです。これの中にもいろいろあるわけでありますけれども、特に、   説明会等で使う資料はもちろん、その他できるだけたくさんの資料を作る。必要あろうがなかろうが、とにかく数多く作っていく。この資料を小出しにしながらリーダー宅に毎日のように届け、目を通してもらい、必要と判断したものはグループ員宅に回覧・配布してもらう。1〜2日おきにリーダー宅に資料をとどけるようにすれば、リーダーの暇な時間がなくなり、一ケ月もすれば精神的にまいりてしまう。 こう書いてあるのです。それから、   ささいなことでも何でも、リーダーの自宅に昼間電話する。1日2〜3回。ときどきは自宅訪問をして相談をもちかけたりもする。昼間なので、リーダーか不在で奥さんが応待することが多くなる。グループ員への連絡その他もたのんで、奥さんを非常に忙しい状態にもちこんでしまう。奥さんがご主人に、リーダーをやめてくれ、といいだすのにそれほどの時間はかからないだろう。 こういうことがるる書いてあるわけです。  「事前の根回し」というのも、それぞれ書いてあるわけですが、この記載を先ほど私はお読みになりましたねと申し上げましたから、課長も確認をなすっていると思います。自治省の方は、まさか公務員に対して、住民運動の対応の仕方を、こういうふうには指導はなすっていらっしゃらないであろうと私は思いますが、自治省の公務員に対しての住民運動への対応の仕方を自治省としては、どういうふうにお考えになっていらっしゃるかということが一つ。  それとともに、いま私がその一部分を読みましたこの雑誌に書いております。こういう記載の部分に対しての御感想をひとつ承りたいと思います。いかがですか。
  268. 町田千秋

    ○町田説明員 自治行政でございますので、住民の意向を十分にくみ上げて、これを具体的な施策に反映していくということにつきましては、各地方自治体とも広報活動等を通じまして日ごろ努力しているところでございます。したがいまして、いまお話がございました記事につきまして私も読んでおりますが、これは、そういう趣旨からいうと全く逆の方向だというふうに考えます。まことに適切を欠く記述ではないかというふうに考えております。
  269. 土井たか子

    ○土井委員 後の方の御感想については、いかがですか。
  270. 町田千秋

    ○町田説明員 地方自治体におきましては、それぞれ職員研修を実施しておりますが、各自治体とも先ほど私が御答弁申し上げましたような趣旨につきましては十分、承知しておることと思いますので、たとえ、この雑誌の題名が「職員研修」であっても、まさか、このようなものを教材に取り上げたりして職員を研修するようなことはなかろうという感想を持ちます。
  271. 土井たか子

    ○土井委員 ただしかし、この「職員研修」について、この雑誌の編集代表というのを見ますと大体、行政法あるいは行政学について日本でも有数の学者ですよ。自治体のいろいろな研修の場所では講師として、それぞれ名前が通っている学者です。こういう人たちが少なくとも編集代表に名を連ねていらっしゃる雑誌であるわけです。しかも自治体に、これが販売をされている。自治体の職員が、いろいろ、いるところの部屋に、この雑誌か現に置かれているわけです。その表題は「地方自治職員研修」と銘打ってあるのです。住民運動と対応するというのは、これは理屈では言うことはやさしいですけれども実際問題が、なかなか忍耐力を必要としますし、具体的な事情に対して、きめ細かに説明をするということは、これは被害を受ける側に立って初めて、そういう気持ちというものがわかるわけでありますけれども、一公務員、一職員の立場で被害者の方々と思いを同じくしてやるということは、なかなか、これまた大変なことだというのは私はよくわかっているわけです。そういうときに間々すると、この「地方自治職員研修」の先ほど申し上げたような何とか作戦、何とか作戦というので、ああ、これはなるほど、やっていくのに一つのめどが立つというように思われないとは限らない。自治省としては、それは町中の出版社が出している本にしかすぎないから関係ございませんと言い切れるかどうかというところは、私は少し問題かあろうかと思います。いかがなさいますか。
  272. 町田千秋

    ○町田説明員 先ほどから御指摘の点につきましては、まことに適切を欠く表現だと思います。そういうことはないとは思いますけれども、これが万一、非常に困った場合に利用されるということを御心配のようでございますけれども、先ほど先生がお読みになりましたときに、それを聞いている人は、みんな奇異に思ったような、われわれから見ると、まことに常識を外れたような記述でございます。その辺は私どもといたしましては地方団体を信頼いたしておりますけれども、まことに適切でない表現である、このような記事を雑誌に載せて多数販売するということに対しましては、私どもの方といたしましても、まことに遺憾に存ずるわけでございます。会社が販売しておるとはいいながら、これに対して何らかの処置を講ずる必要があると思いますが、このような記事が地方団体の行政の中で採用されないことを信じておりますけれども、この記事が出てしまったという事実は事実でございますので、これは雑誌社の方にも確認をいたしまして、どういういきさつで、こういうものが載せられたのかということについては確認をいたした上で、また善処をいたしたいと考えております。
  273. 土井たか子

    ○土井委員 それはひとつ、そのように確認をしていただきたいと思います。そして、しかるべき措置を講じていただきたいと思います。  さて、いま私がいろいろと読んだときに失笑を買うような中身ではありますけれども、具体的に、いま開発計画を持っている自治体が事に臨むに当たって、果たして、いま自治省がおっしゃったとおり、真剣に誠実に住民の方々意見や要求や、その立場というものを理解しながら、やっていらっしゃるかどうかということは、私、後でまた申し上げますが、実は多くの問題があるのです。したがいまして、いま私は、この雑誌を読んでいて、笑って済ますわけにはいかない気持ちなんです。したがって、その点はひとつ確認をして、しかるべき措置というのは必ず、はっきりさせていただきたいと思うのです。  さて、先ほど申し上げた環境白書を環境庁としては環境週間の前に公表されたわけですが、いざ環境週間になりましてから環境庁が、ことしも一連の行事をされたし、行動をおとりになりました。その中で私は二、三、気にかかることがありますので、環境庁長官にお尋ねをしてみたいと思うのです。実は、これは環境庁の姿勢そのものにかかわる問題ではないかと思うので、お尋ねをいたします。  その一つは、各分野の科学者が一堂に集まって学問的に環境問題を論議しようというので、日本学術会議の呼びかけで生まれました集会があるわけです。環境科学総合研究会の第二回研究発表会ですね。昨年の場合は、この研究発表会に対して長官から非常に激励をされたいきさつがございますが、ことしはこれに対しては後援を拒否されたといういきさつがあるのですが、これには一体どういうふうな理由があったのか。また、ことしは拒否されたということには、どういう経過があったのか、ひとつ、その点お聞かせいただきたいと思うのです。
  274. 金子太郎

    ○金子説明員 後援名義の問題かと思いますが昨年、第一回の研究会がありましたときは、研究会の行われます相当前に、後援名義の申請がございましたが、その計画されていた内容と実際の研究会の実績との間に非常に大きな違いがございまして、また、その研究会に参加した人の中で、非常に大きく違っていたことについて私どもの方に若干の問い合わせなどがあったということもございまして、そういういきさつから今回は後援名義は出さない、こういうことにした次第でございます。
  275. 土井たか子

    ○土井委員 そういう取捨選択ということは環境庁の方が、中の人たちが、いろいろ物をおっしゃってくるということによって、なさるわけですか。
  276. 金子太郎

    ○金子説明員 私のところでケース・バイ・ケースで判断をいたしております。
  277. 土井たか子

    ○土井委員 ほかの問題と違って、これは純学術的な立場で問題にされている研究発表でしょう。したがって、今回の環境白書を見ましても国民の理解を求めるということのむずかしさを訴えてはいらしゃいますけれども、国民の理解を求めるという点からしては、この学術研究、学術的な立場に立って環境保全公害対策というものについて発表していくという問題というのは非常に重要だと私は思うのですが、具体的には、どのように食い違っていたのですか。
  278. 金子太郎

    ○金子説明員 具体的な食い違いの内容については、ただいま手元に持っておりませんので、別途、資料をもって御説明申し上げたいと思いますが、かなり大幅に食い違っていたように記憶いたしております。
  279. 土井たか子

    ○土井委員 それは基本的な問題ですか、技術的な問題ですか。あるいはメンバー上の問題ですか。
  280. 金子太郎

    ○金子説明員 研究会をなさる場合に当初、出されている内容と実際に行われたものとが大幅に違うということであれば、やはり再検討を要するものであるというふうに考えた次第でございます。
  281. 土井たか子

    ○土井委員 その大幅に違うとおっしゃるのは、環境問題に対しての科学的な研究ではないという認識が出るような違いなんですか。
  282. 金子太郎

    ○金子説明員 私ども、そういうふうに考えたわけではございません。
  283. 土井たか子

    ○土井委員 どうも、その点は釈然としませんね。これは幾ら言っても資料をお手持ちでもないし、具体的に御説明を要求しましても、ここで資料かないのでというので具体的にされないということでありますから、追ってまた、これは問題にしたいと思います。  さらに、長官にお尋ねしたいのですが、環境週間の中で今度は、かなり広報活動に力をお入れになったようですね。先ほど申し上げた、あの日経連や日本商工会議所あたりの基本的姿勢はPR作戦ということが非常に中心課題になっているのですが、広報活動に非常に力をお入れになった結果、あの環境週間の中で実現したのが政府広報の新聞広告やテレビスポットだったと思うのですが、長官じきじきのお呼びかけで、どれくらいの広報予算というのを政府として、あの間、計上されていたか、いかがでございますか。
  284. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 私は金額はよくわかりませんが、総理府の方にお願いしまして、全国、主要な地方紙も含めて広告を出したりいたしまして、たしか私の対談を上の方に載せまして、下に環境週間の広告の記事だったと思います。それとラジオ、テレビスポットですね。あるいは十一時からの政府が買い切っておりますNETの番組でございますか、それと、私どもの予算でやりました、やはり対談といいますか、民主運動の方々も若干含めたドキュメンタリー形式の五十分ぐらいの番組を一本。こういうことでございまして、環境庁の予算としては四千万見当だったと思いますが、総理府の方にお願いをしてやっていただきましたのは、どのくらい費用がかかったのか、それは私はわかりません。  それから、ちょっと立ったついでに申し上げますが、後援名義について新聞で、環境庁の姿勢を疑うような記事が出たことについて、私も、はなはだ遺憾に思ったのです。むしろ後援名義は、やたらにすべきじゃないという考えなんです。外国のシャイという人を呼んだり、いろいろして外国の学者を中心にした計画をおやりになった団体もございますが、これも初めは後援を約束しておったようですが、お断りいたしました。したがって、科学者の集まりのものも、お断りをいたしました。一つやりますと、御存じのように、たとえば、あすこの団体、あすこの学術講演に後援名義をくれて、おれの方にくれないとは何だ、こういうことになりますから、行政庁としては、そういうことも気をつけなければいけない問題なんです。したがって、昨年は私は激励の文書を出したといいますが、私は着任して間もなくだったのです。これも後援名義はやるべきじゃない、なるべく行政官庁は。しかも民主主義の世の中においては、官庁に頼るという国民の姿勢がおかしいので、自主的に研究もやり、発表もやり、運動もやるというのが本当の意味での住民運動であり、国民の民主的な活動だと思うのですよ。何か権威をつけるために役所の後援名義をどんどん、とろうとする姿勢そのものが、かえって非民主的だと思っている一人でございます。その立場から、やめたらどうだと言ったのですが、もう約束済みである、こういうことだったものですから、やむを得なく許したわけでございます。去年は許したが、ことしは許さなかったという新聞記事については、私は、はなはだ当を得ない記事だと思っております。
  285. 土井たか子

    ○土井委員 後援というのは、できる限りしない方が好ましい、私もそのとおりだと思うのですが、ただ、役所に頼り切るというのは好ましくないとおっしゃるのだけれども、役所は、それぞれ行政担当者としての職務があるし、職務を通じての責任というのもあるわけでありまして、それを着実に誠実に果たしていらっしゃるかどうかという意味において、国民は物を申すということになると私は思うのです。それが役所に頼りかかるとか当てにするとかいうふうな意味で、もし、そういうことをお考えになっていらっしゃるのなら、私は違うだろうと思います。  それならば私は申し上げたい。環境週間に、わざわざPRなさる必要がどこにあるか。環境週間にはPRをする必要が、さらさら、ないのじゃないか。ふだんの環境庁の姿勢そのものがPRですよ。ふだん環境庁が何をやっていらっしゃるか、そのこと自身が私はPRだと思うのです。環境週間に、わざわざ企業とともに、これは企業が協賛をしているわけでありますけれどもPRをする。テレビスポット、新聞等々における広告なんというのは、これは国民の理解を求めるというふうな点からすると、理解を求めんがために長官としては、お考えになったのかもしれないけれども、今回の場合は、むしろ逆効果の点も出ている。  たとえば「NO2の環境基準を例にとりますと、この基準はしばしば指摘されるように世界に例をみない、米国の数倍も厳しい基準となっています」こう書いてあります。例の排ガス規制の問題について、心ある国民は、あのてんまつを、いやほど知らされて覚えていますよ。いま、こういうPRを聞かされるということは白々しいです。そうして、排ガス規制に対して十分に取り組んでいただくというのは、あたりまえの話でありまして、アメリカと日本とは事情が違いますよ。住宅事情も違う。第一、環境が違いますからね。そういう点から考えていくと、こういうPRが何のために必要だということも出てくるわけです。  ところが次に言うのは、これは少し問題がありはしませんか。「日本だけが膨大な対策投資を行えば製品コストは上昇し、輸出力は減退し、ひいては国民の豊かな生活の実現に支障をきたすことも避けられないでしょう」というようなPRがあるわけです。これはまさに、あの四十五年の公害対策基本法改正以前の亡霊が、またぞろ足を生やして歩いているようなさまでありまして、こういうPRをするのは、長官は恐らくは理解を求めるという、あの公害白書の趣旨どおりにお考えいただいていた広告かもしらぬけれども、そういうふうに国民大衆は読まない。こういうことに対して、どうお考えでいらっしゃいますか。
  286. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 私は、かつて進駐軍から特に選ばれて広報係長をやったこともあります。要するに広報という問題は、あらゆる方面の、あらゆる意見が出て、そして環境週間という、この一週間に国民の中に環境週間だ環境週間だということが盛り上がっていただかぬと、ただ何かノーカーデーを一日やったとかでは足りない。テレビを見る人は、ごくわずかでありますし、新聞を見る人も、わずかでありましょうけれども、そういう各界の人が、自分の言いたいことを何でも言って結構だ。そして、みんなが先生、御指摘のように、何だ、こんなことはというような批判がどんどん起こってきてもいいし、また、なるほど、そうか、それは問題なのか、そういうことで大いに議論してもいい。ただ問題は、極端に言えば、われわれの姿勢だけは、きちっとしていればいいと思うのですよ。だから、そういうもので全国で、いろいろな議論が起こってくるということの方が環境問題の国民の協力を得る一番のあれじゃないかと考えましたので、おやりになりたいなら、どんどん、やってくださいということで、向こうは環境週間の協力の広告なんですけれども、何も私の方がコメントを出して、これを後援しているわけでもありませんし、その言うていることをアプループしたようなあれでもないのです。いろいろな御批判はあろうと思いますけれども一つは、この週間の行事の中に全国に、もう、とにかく環境週間だということを、そして、みんなが環境問題を考える、そういう機運だけはつくりたいというような気持ちだったことだけを、ひとつ御理解いただきたいと思うのでございます。
  287. 土井たか子

    ○土井委員 ただ、いろいろな意見が出ていいとおっしゃいますが、たとえば、その中に窒素酸化物の環境基準緩和を、むしろ求めるような鉄鋼連盟の初の公式見解ともおぼしき発言が、環境庁がお呼びかけになった環境週間協賛のタイトルのもとで行われるというかっこうについては、どうお考えになりますか。
  288. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 一日平均〇・〇二のNOxの環境基準についての議論は、もう、しょっちゅう、あるわけでございます。私は、これについては科学的な論争以外は受けつけない。われわれが企業の投資がふえるとか、いろいろなことで困るからというような批判なり、あるいは要望なりについては一切受け付けない。科学的にどうこうという議論をするなら、それは科学的な知見をもとにした、われわれの、この環境基準なんだから、そういう論争であれば、いつでも受けて立つという構えで、いままで対処してきております。環境週間協賛ということで一日平均〇・〇二の批判が載っているということをおっしゃることは、一般の素人が見れば何か環境庁も、そういうことについて疑念を持っているのかなというふうに誤解をされやすいじゃないかという御指摘じゃないかと思いますが、鉄鋼連盟等が〇・〇二に、いろいろ、こだわって議論をすることの方が、私は鉄鋼連盟そのものではありませんから、要らぬおせっかいをするわけではありませんが、かえって不利じゃないかなと思うのですよ。それを何か、この前から〇・〇二がひどいのだ、同じ人間であってアメリカでは、そうでないのに日本で、どうだというようなことでやっておられることの方があれだと思うのです。しかし、これは批判も賛成も反対も皆、自由な世の中ですから、言論の自由が日本ほど徹底したところはないのですから、鉄鋼連盟が何を言おうと、それは御自由だと思うのです。また、もっと厳しい意見を出される方も御自由だと思います。したがって、そういうものについて私どもは、けしからぬとも言えないし、私どもは私どもで全く冷静に、科学的に判断をしていく以外にはない、かように考えておるわけであります。
  289. 土井たか子

    ○土井委員 冷静に、科学的に批判をなさる、まことに、それは結構なんですが、これについて気にかかるのは、やっぱり環境庁としては多額の広報予算のもとでの広報活動をなさる一環として、先ほど申し上げた企業、産業界の協賛広告があるわけです。そうすると客観的に見た場合に、その企業、産業界が広告をしていることを、国民に対して理解を求めるがごとき意味を持たせた広報活動だというふうに読まれはせぬか、協賛ですから。いま緊縮財政でしょう。不況時代で税収が減っていて、地方自治体の財政悪化がだんだん進んでいる、そのやさきですよ。住民の方々は、国の一般会計予算の規模よりも一番気になるのは、やはり自分の足元の自治体で何が、どれだけ削られていくかということが一番気になっている。そういうことに一番、先行きの不安を持ったり、それから、いろいろな要求が高まっているときに、広報費というのは、ばかにならない額ですよ。これを環境週間として環境庁がおやりになる。しかも、先ほど申し上げたとおり、その企業や産業界の協賛広告に対して、国民にどうぞと言って理解を求めるような広報活動に環境庁としては、なっているのじゃないか。これはやっぱり少しお考えになった方がいいと私は思うのですよ。こんな多額な広報予算を組んでおやりになるということになってくると、一層このことに対しては批判が現時点では、あろうと私は思います。来年度も、こういうことで臨むのが好ましいとお思いなのですか、いかがですか。
  290. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 私どもの費用で、そういう記事を出したわけではない。それぞれ勝手に、環境週間だから大いに環境週間のPRの一翼を担おうということで、お出しになったわけでありまして、私もよく見ていないのですが、費用は向こうが恐らく出したのだろう。私の方の予算とは関係ないのです。しかし、先生がいま御指摘のように、あるいは、そういう考えの方が相当出てきて、環境週間協賛だから、環境庁も〇・〇二を検討しているのかなと思ったり、いろいろ誤解を与えるというおそれがあるようだったら、来年は、やめなければならぬ。もちろん協賛したいというのを断るのもあれですから、その記事によっては協賛をやめてもらうということは慎重にひとつ、やらなければいかぬというふうに思います。したがって来年は、こちらが予算がどれぐらいふえるかわかりませんけれども、あるだけの予算で、できるだけ政府のPR行事を大いに考究して進めてまいりたい、かように考えます。
  291. 土井たか子

    ○土井委員 政府だけの広報も結構ですが、いま、これだけ多額の広報予算をとっているときじゃなかろうと私は思うのです。環境庁が頼んでやったことでなくて勝手に、こういう予算があるから、そういうことになったのだというふうな御趣旨の先ほどの御答弁だったわけですが、これだけ広報費にお金があるのだったら、もっと公害対策に予算をよこせとおっしゃいよ。環境保全にもっと予算をおつけなさい、こういう広報費なんて要らないよ、こうおっしゃっていただくのが環境週間だと私は思うのです。だから、そういう点で、やはり日ごろの環境行政の姿勢そのものがPRだということを、環境週間の一連の動きを見ていて私は考えますね。  それと同時に、公害白書の中で、国民の理解を求めるということをおっしゃっている。その理解は賞罰主義では理解を求められないだろうと私は思うのですよ。報賞したり処罰したりする賞罰主義ですね。今回も環境保全功労者というのに表彰があったようでありますが、これは表彰されるということの基準は、どの辺に置かれているのかということで、かなり不審の念を持たれる向きもあります。住民運動の中には、本来これは表彰されるべき人でない人が今回、表彰されているのではないかというふうな批判の声も出てくるような表彰のあり方であったということは、私、一々、例を申し上げませんけれども、あったようであります。だから賞罰主義で理解を求めるというのは、本来、理解の求め方としては私は間違っていると思うのですね。だから、そういう点からしましても環境保全功労者の表彰というのは、私は不必要じゃないかと思います。どうでしょう。
  292. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 この点は私ちょっと見解を異にいたします。ことしは、特に私の考え方で各局長と相談をして、各局で、それぞれ表彰に値するというものを、いろいろ検討されて選んで、全体で審査をして決めたわけでありますが、先生おっしゃるように、表彰することによって何か環境問題をPRしょうかというようなことよりも、それによって、その分野の問題を大いに推進をしていこうという意欲を、他にも好影響を与えるだろうということから、やったわけでございますし、これは、いろいろ御批判もありましょうけれども、直ちに、なるほど、もっともでございますとは私は言い切れない。私は、いろいろまた、お伺いして、あれしますが、新しい試みとしては、これはよかったのじゃないかなと、いまでも思っております。ただ、もう少し地方庁にも呼びかけて、できるだけ、それにふさわしい選考をやるということは、期間がなかったものですから、ことしは、あれでしたが、十分ひとつ期間をかけて、なるほどなという選考をいたすべきことじゃないかなと思っております。
  293. 土井たか子

    ○土井委員 今回の特定の被表彰者に私はけちをつけることは差し控えたいと思うのですが、ただしかし、いろいろと選別をなさるのについては、それなりに事情調査をなすったり、聴取をなすったりすることがあって、しかる後に表彰の基準というものは出てくるだろうと私は思うのですね。  そこで、私いろいろ言いたいのだけれども、時間のかげんがありますから、このことについて一つ、はっきり確かめておきたいのは、どうも今回の被表彰者というのを見ていると、本来、自分たちの住居の周辺の環境を守るという住民運動、それから現に、もう起こってしまっている公害に対して対策をしていく住民運動、それから、もう被害が出てしまっている人たちを救援していく住民運動、いろいろな住民運動のあり方がありますね。こういう住民運動を敵視なすっていらっしゃらないでしょうねということの確認と、それから、この住民運動の中に入って、いろいろなことを調査をなさるなんということをなすっているかどうか。もし、なすっているとするなら、これは大変なことだと思うのです。そういうことをなすってないでしょうねということと、それから、いろいろな住民運動について選別をなすっていらっしゃらないでしょうねということを確認しておきたいのです。これ、いかがですか。
  294. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 私、おっしゃる意味がよくわからぬのですが、住民運動に色めがねをもって差別をしたり、そういう対応の仕方はしてないと思うのですが、たとえば私のところへ、いろいろな方面からおいでになる。お会いできる時間があれば、もう全く、そういう基準なしに会っておりますし、あるいは住民運動の中に人を派遣して、そこで、いろいろ調査をやるということを環境庁からやったようなことは、私、在職中に、ないように思いますが、まあ具体的に何かあれば、私が知らぬこともあると思いますから、お尋ねがあれば担当者も来ておりますから。
  295. 土井たか子

    ○土井委員 これはどうでしょう。政府の中で、そういう住民運動に対して調査をしているという事実があるのかないのかということだけ、お伺いして次にいきます。いかがです。
  296. 金子太郎

    ○金子説明員 私ども環境庁といたしましては、そういうものがあるというような話は一切、聞いておりません。
  297. 土井たか子

    ○土井委員 それで次の問題少しお尋ねしたいことがありますが、戦後の経済復興開発計画以来、地域開発の意義というものが非常に強調される中で、環境などが全く顧みられないまま開発がずんずん、ずんずん進んでいった。そうして、その中で公害が発生をして、国際的にも日本は公害先進国という、これは恥ずかしい、いばれない名称も片や言われるような向きが出てきたわけですが、一連の動きを見ますと、公害反対というのでも、経済成長第一主義反対という、あの一連の昭和四十五年の公害国会があったあたりの動きから、この節は開発第一主義反対という方向に、だんだん事が移っていっていると思うのです。その間、あの例の経済成長第一主義反対の時期に公害対策基本法の改正や環境庁の設置ということで、実は環境行政が新たに始まるというかっこうになったわけですが、いま私がこれからお尋ねしたいのは、ここに運輸省の港湾局長お見えでいらっしゃいますか。兵庫県の尼崎・西宮・芦屋港の港湾計画というのが順次、年を追って計画が決定をされ、そしてまた、その一部が変更され、そしてまた関係自治体の方から工事中止についての申し入れがあり、また再度その計画の練り直しがあるというふうな経過があると思いますが、ひとつ年を追って、そのことのずっと経過を簡単に、ひとつ言ってくださいませんか。
  298. 大久保喜市

    ○大久保説明員 お答えいたします。  尼崎・西宮・芦屋港の港湾計画につきましては、四十二年の八月に港湾審議会の第二十八回計画部会におきまして阪神都市圏の流通拠点とすることが決められまして、その計画での目標年次は五十年を目標としたものでございますが、この時点は先生、御指摘のように、いわゆる高度経済成長時代のものと見ることができると思います。その後、昭和四十六年十二月に一部変更されまして内貿埠頭を中心に整備が進められてまいったわけでございますが、昭和四十八年に西宮市から西宮市地先における港湾建設については、西宮市の案を作成しまして、土地利用計画について県、市の調整がつくまで昭和四十八年度工事を着工しないようにという申し入れがございまして、その後、港湾管理者と西宮市との間で港湾計画の変更につきまして調整中というふうに承知しております。
  299. 土井たか子

    ○土井委員 その港湾計画の調整中以前の案による内貿の貨物取り扱い総量は幾らであって、そして、いま港湾計画変更による内貿の取り扱い総量の予定量というのは一体どれくらいに考えられているか、その辺をちょっと、お答えをいただけませんか。
  300. 大久保喜市

    ○大久保説明員 お答えいたします。  現在、決まっている方の計画でございますが、それは外国貿易港湾の取り扱い貨物量といたしましては千百万トンでございます。それから内貿貨物につきましては一億一千六百万トン、合計一億二千七百万トンということを考えておりました。それで現在、調整中の計画につきましては、まだ正確なところは把握しておりません。
  301. 土井たか子

    ○土井委員 もうすでに兵庫県の方が、港湾計画変更策定の中で昭和五十六年取り扱い貨物量というのを計算して出しておられるようであります。いまだに、わかりませんとおっしゃるのは、兵庫県と何らの連絡もないままに、この港湾計画を変更させていく計画というものを運輸省としては考えていらっしゃるわけですか。
  302. 大久保喜市

    ○大久保説明員 お答え申し上げます。  ちょっと先生のおっしゃられた趣旨が理解しかねる部分がございましたか、御承知のように港湾行政は、地方が主体になりました港湾管理者が中心の行政でございまして、現在、私どもが承知しておりますのは、港湾管理者が港湾計画の素案を、西宮市との間で事務的に、いろいろ折衝を重ねておりまして、港湾法の定めるところによりまして、近く地方港湾審議会に港湾管理者の事務局の原案をかけたいということで作業を進めておるというふうに承知しております。それで、その事務当局の案というのは事務的には話を聞いておりますが、これは、どこまでも港湾法上は地方港湾審議会の議を経て港湾管理者の計画ということになるものでございますので、その意味で、正確には承知しておらないというふうに申し上げた次第でございます。
  303. 土井たか子

    ○土井委員 事務的な手続をどのように踏まれて、現段階は、どういうことになっておるかということとは、これは関係がおありになるであろうとは思いますが、国の方は、やはり国全体の全国的規模で、この問題を取り扱っていらっしゃると思うのです。国全体の規模から考えると、内貿の必要性というのは以前に比べて決して少ないものじゃないと私は思うのですよ。そうなりますと、この港湾計画の変更に伴って、これからの内貿の貨物取り扱い数量というのは一体どういうぐあいになるのか。そのことによって、陸上の荷揚げした後の、いろいろな交通網というものを一体どう考えていったらいいのか。これは運輸省としては、やはり大きな問題じゃないですか。そういうことに、いま関係自治体が相互間に市と県とで連絡をとりながらやっていて、地方港湾審議会が、もうすぐ、これを審議の対象にするということも、それはいろいろな取り扱いの技術的な面からいうと、おっしゃるとおりでありますけれども、国の方としては、それに対して、やはり国全体の規模でお考えになっている重要港湾の部分があるわけですから、だから港湾計画ということからすると、やはり、いま私が申し上げた点についても、数値をちゃんと押さえて、むしろ国の方は、こうなんだということを関係自治体におっしゃっているはずだと思うのです。ひとつ明確にお願いしますよ。
  304. 大久保喜市

    ○大久保説明員 お答え申し上げます。  御承知のように、経済成長の見通しが非常に鈍化しておるという背景がございまして、いわゆる全国の港湾取り扱い貨物量の見通しを、かつての見通しから相当低めております。それで実は、この尼崎・西宮・芦屋港の場合につきましては、御承知のように港湾というのは、船の貨物と、それから、それが陸で陸上交通に乗ります貨物、このつなぎの場というのが港湾でございますので、先生、御指摘のように道路の事情等もいろいろございます。そういうような、もろもろの制約の中で実は大阪湾の場合には、この港と神戸港と大阪港と、相連檐する港がございますので、そういうような大阪湾全体で、どういうように考えるか、機能分担するかというようなことが、御指摘のように、われわれとしては考えなければならない点でございます。  それで、しかし、そうは申しましても、港湾法で決まっておりますのは、港湾管理者が、その地域方々の総意を尊重いたしまして、その地域社会に最もふさわしいような形で空間利用計画が立てられるということを原則にしておりますので、国といたしましては、いわゆる港湾の計画を立てるについて配慮しなければならない事項を基本方針ということで示している状況でございます。それで、いま申しましたような地域につきましては、相関連する港湾管理者が、できるならば港湾管理者協議会をつくって、その地域内の機能分担を図ることを実は要請しているわけでございますが、そういう意味合いにおきまして、現在のところ尼崎・西宮・芦屋港で、どれだけの貨物を扱うべきだということを国の方から指示するというようなことは行っておらない次第でございます。
  305. 土井たか子

    ○土井委員 るる細かい説明は結構です。  それで端的に言うと、一万トン級の埠頭というのは今度、施設計画の変更に伴いまして削るというようなかっこうになるのでしょう。それからすると当面、年次目標というのは、ちゃんとあるはずです。そんな長い長い話じゃないのです。向こう十年間、二十年間の問題じゃないですね。当面の年次目標というのは、ちゃんとあるはずです。目標年次ということを考えて、それまでの計算というのは国の方でも、ちゃんとできているはずです。それはここで私かこれ以上問うたら、また、いろいろときめ細かい御説明を賜るので、時間の方が少しかかりますので、委員長、その資料を要求します。その資料を提出してください。
  306. 大久保喜市

    ○大久保説明員 お答え申し上げます。  その資料につきましては、個々の港に幾らという形の資料ではございませんが、一応、想定した資料はございますので、委員会からの御要請ということであれば、正式の手続を経て提出いたしたいと思います。
  307. 島本虎三

    島本委員長代理 委員会から要請いたしますから、出してください。
  308. 土井たか子

    ○土井委員 さて、こういう施設計画の変更については県の方も、港湾審議会にかける以前に環境アセスメントというのをかっちりするということが当面、大事な問題であることは言うまでもありません。このことについては、環境庁長官は御承知のとおり昭和四十七年六月に、公共事業についての環境アセスメントを実施するということが閣議で確認されているわけですね。したがって、こういうことについても具体的にちゃんと環境アセスメントが整っていなければならないはずです。  県の方は、いままでに、このことに対してのアセスメントをやったということで、こういう資料を出しておられるようでありますが、たとえば水質に対しての港湾周辺の海域の測定というのは大体、調査は一年を通じて少なくとも春、夏、秋、冬の計四回はやらぬといかぬと思うのです。常識的に考えまして春、夏、秋、冬というのは気候が違うし、海流であるとか水の温度であるとか、海の状況からいたしまして、やはり変化いたしますから、こういうことについては四回以上が好ましいのでしょうけれども、少なくとも最低春、夏、秋、冬というのが必要だと思うのですね。このことを、まずひとつ確認したいと思います。いかがですか。
  309. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬説明員 水質の問題にしても、あるいは鳥の生息状況とか、いろいろなそういう問題につきましても、やはり年中の四季の変化によって、いろいろ要件が変わる問題もありますので、そういう変わるようなものにつきましては、やはり通年して適当な機会調査をするということの必要があるものと考えております。
  310. 土井たか子

    ○土井委員 さて、この資料に基づいて私、申し上げます。  これは尼崎・西宮・芦屋港港湾管理者、兵庫県の方から、環境保全について、いろいろ調査をした測定結果が出ているわけなんですが、これを見ますと「港湾周辺海域の水質測定結果」というところです。「調査年月」というのは、五十年の五月、八月、十二月、五十一年二月の計四回と、まず調査年月のところは書いてあるんですね。ところが「調査結果」のところを見ますと「当調査海域の水質は季節的に大きく変化し、」云々で、ずっと始まっておりますにもかかわらず、出してあるデータは五十年の八月二十九日の分と五十一年二月九日の分、この二回に限っているんですわ。したがいまして四回やっている、あとの五月の分と十二月の分の資料は、どこをどう探しても出てこないんです。そうしてしかも、これに対しては「健康有害物質の項目については、当海域では基準値以下であり、問題はなかった。」と書いてあるんですが、この健康有害物質の項目についての基準値以下であるかどうであるかを物語る資料を見ましても、その調査をした年月というのが、ちゃんとここに書いてあるわけでありますが、八月の分と二月の分としかないわけであります。これはページからいきますと二十二ページ以下のところになっているんですが、ひとつ長官、確認を願います。こういう資料なんですよ。  これはひとつ確認を願いましたが、西宮市の方が計画変更に対して県の方に、まず持っていった。県の方が、その計画変更に従って調査をやっている。そして西宮市に対して、調査をした結果、問題がないということの裏づけ資料として、これを持ってきて、ただの一遍、わずかの時間、これの資料を配って市の関係議員に対しての説明をやったにすぎないんです。二度と説明はいたしませんというのが県の態度なんですよ、そのとき、はっきり言って。さらに、これに対しての質問をやろうとする機会を設けようとしたところが、もう二度と説明はいたしません、これをごらんくださいと言って配付して終わりなんです。これで果たして公共事業についての環境アセスメントを実施したと言えるかどうか。ひとつ長官お答え願いたいと思います。
  311. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬説明員 いまの、その地域の港湾計画につきましては、まだ運輸省にも恐らく出てきていない段階だと思うのでございますが、港湾審議会に実際に審査があって、かかる場合には、運輸省にそういう計画が提出されて、そういう段階で当然、環境影響評価書も提出され、それが環境庁に協議をされて、環境庁においても慎重に検討した上で運輸省に、その意見を述べて処理をしていただくということになるわけなんでございますが、その際に不備な点があれば、環境庁としては不備な資料なり、それの追加の提出を求めることは、しばしばあることでございまして、そういう点で、その段階で、もし私どもが評価をして必要な資料が抜けておれば、それを調査をしてもらうとか、新たな資料の追加の要求をするということがあるわけでございますが、まだ、その段階に至っておりませんので、私どもも、そこまで検討する段階にありませんので、そういう熟度に達しましたら十分、慎重に対処したいと考えております。
  312. 島本虎三

    島本委員長代理 結論を急いでくださいませんか。
  313. 土井たか子

    ○土井委員 国の立場で、それに対して港湾審議会で物を申そうということは、これはよくわかりますが、現に、これは地方の港湾審議会にかける以前に自治体では公害関係環境保全という関係からアセスメントをするというのが義務づけられているわけでしょう。その義務づけられている環境アセスメントが完了した。そうして問題はないということで地方港湾審議会にかけられるわけですね。そういう立場で、いま県の方が、これはおやりになったに違いないと思うのですよ。だから、そういう点からしますと、これは環境保全と称する表題のついているこの環境アセスメントの資料というもの、これは十分なものとお考えになるかどうかということは、これは、いまお聞きしても意味があるのじゃないか。それは国の方に、このまま出てきたときにはチェックを、その場所で具体的になさるというかっこうにはなるかもしれませんけれども、現段階でも、これは地方港湾審議会の方に、もうすぐ、かけられるのですよ、それは運輸省の方がよく御存じだと思いますが。したがって、こういうふうな環境アセスメントというものを自治体がやっていることに対して、環境庁としては何ら関係ない。自治体が勝手にやっていることだ。環境アセスメントというものだって環境庁が知ったことじゃないというふうに果たして言えるかどうかというのは、私は問題が大きいと思いますよ。こういう自治体の環境アセスメントに対するやり方ということに対して、やはり物を申すということが環境行政として必要じゃないですか、いかがです。
  314. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬説明員 地方審議会にかける段階で環境庁が、それの内容にタッチをするということは非常にむずかしい問題じゃないかと思いますが、ただアセスメントの問題につきましては、私ども制度化を図って、技術的手法についても、いろいろと統一を図っていこうとか、いま、まちまちにやっておりますから、そういう標準的なやり方について十分これを研究して、そういうものについての手法とか、やり方についての指導のできるようなところへ持っていきたいということでございますが、残念ながら、そういう点がまだ熟していないという点があると思うのでございまして、そういう点は関係各省庁とも現在も連絡協議会を最近つくりまして、いろいろと、そういう手法についての検討を進めている段階であるわけでございます。
  315. 土井たか子

    ○土井委員 答えになっていないですよ。手法に対する研究を私はお伺いしておるわけじゃないですよ。これはあくまで環境アセスメントの名においてなさっている中身ですからね。したがって環境庁としては、これを称して環境アセスメントをパスした、大丈夫だと言って出される資料としては不適格だと私は思って、いま、ここにお尋ねしているわけですよ。だから、こういうものを環境アセスメントの名においてパスさせていくという行政のあり方には、国全体の環境行政をつかさどる環境庁とされては一言あってしかるべきじゃないかと思うのです。特にアセスメント手法というものを全国で統一化させていくという課題を持っていらっしゃるわけでしょう。アセスメント法案というものが、もうすでに、できていてあたりまえなのに、これはできていないことに主なる原因がありますよ。その辺、問題ですよ。いいかげんにしてほしいと私は実は思うのです。こういうことに対しても見て見ぬふりというのは、これはやはり環境庁というのは環境行政というのは、いずれの立場に立ってやっていらっしゃるかというのが、すけすけだということになりますよ。しっかりしてもらいたいと思います。いかがです。
  316. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 地方の港湾計画を地方庁に目を光らしておいて、そういうアセスメントが不十分だということを見つけ次第いろいろ注意するところまでいけばいいのでしょうけれども、まだ環境庁設置以来四年で、そこまでの能力がついておりません。実際に港湾審議会に出てきたときに初めて私どもが、その内容を全部審査をするという形になっておりますから、したがって、先ほど局長が答弁にならぬとおっしゃいますけれども、答弁になっておるわけで、そういうことではいかぬから、一つのアセスメントの、こういう対象について、こういう手法で、こういう項目についてやりなさいというガイドラインを、しっかりつくって、それを地方に流し、それで統一をして、粗漏のないような完全なアセスメントをやらせるような仕組みに持っていきたいと、いま努力をしているのだ、こう答えておったわけでございます。ですから、おっしゃるように、そういう欠陥もありますので、これからわれわれとしては、そういう弊が起こらないような努力を、ひとつ中央で、きちっとやっていかなければならない、こう思っておるわけでございまして、いまのところは実は兵庫のそういうものまで目が届かぬでおるわけでございます。(土井委員「これは重要港湾が入っているんですよ。国の直轄事業が一部あるんですよ。」と呼ぶ)ですから、中央の港湾審議会に出てきて初めて、その幹事になっておる環境庁が審議会で意見を述べる際に必要な意味でアセスメントを全部やる、こういう形になっておるわけです。  ですから一つには、やはりアセスメント法案をはっきりすることと、それから、それに基づいて、その地方全体の、いまのこういうような例も全部、中央の考え方が統一的に実行されるような仕組みをつくり上げたい、こういうことで、いま鋭意、努力をしているわけでございますから、いままでのところは確かに、そういう欠陥がある、御指摘のような欠陥になっておるわけです。恐らく局長、全然、初めてだろうと思うのです。私もそういうのは初めてなわけでございます。中央の港湾審議会に出て、いよいよ、それの申請が出てくる、その際に、われわれのところへ連絡が運輸省からあり、それでアセスメントをやって、それを見て不備なところを直していく、補足させる、いまは、こういうことになっておるものですから、御指摘のように、それを言われましても、いま、どうも私の方が初めて、それを御提示をされるというような現状である。それは確かにゾルレンとしてはいかぬので、われわれはひとつ今度、制度を何とか早くつくり上げたい、こういうことで、いま努力していると申し上げているわけでございます。
  317. 土井たか子

    ○土井委員 これは、さらに私、申し上げたいわけですが、もう時間の方が、とっくに過ぎてしまっておりますので、この辺で、おきます。  ただ、あと一問、航空局長がせっかく御出席なので私、聞きたいことが五問ほどあったんですが、これは時間がとてもだめですから、一問だけ簡単にひとつ聞かせていただきましょう。  エアバス乗り入れに対して、大阪国際空港の周辺の方々が、いままで、どういうふうに、これに対応なさってきたかということは局長はよく御承知のとおりですが、先般、木村運輸大臣が現地に行かれた際、出された、いろいろな要望の中に、地元の了解がない間は絶対、乗り入れを認めないことというのが従前どおりに出ております。地元とは、どういうふうに認識なすっていますか。
  318. 高橋寿夫

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  私ども、いままで地元と申します場合には、大阪国際空港の場合には、いわゆる十一市協のことを認識しているわけでございます。
  319. 土井たか子

    ○土井委員 これはそうすると訴訟を起こされている方また調停申請をなさっている方、こういう方々に対しては、どういう認識を持って、いままで、いらっしゃいましたか。
  320. 高橋寿夫

    ○高橋説明員 私どもは、そういった方々を全部含めまして、そういった方々の御意見というものが十一関係市の御意見として出てくるもの、こういうふうに考えているわけでございます。
  321. 土井たか子

    ○土井委員 自治体を地元というふうにお考えになるということは時代おくれも、はなはだしいと思うのですよ。きょう私は住民運動ということで先ほど来、質問を展開してまいりました。この大阪空港の問題というのは、やはり空港公害ということで、われわれは問題にしているわけでしょう。空港公害ということを取り扱う際に、やはり対策としては音源対策であり、発生源対策であるということは、どこまでも大事であると同時に、対策を講ずる対象というのは、あくまで被害を受けている住民そのものだということを念頭から忘れていただいたら困ると思うのですよ。自治体じゃないんです。そこに住んでいらっしゃる住民、その方々ですよ。それを称して地元と言うんじゃないでしょうか。十一市協というのはあくまで自治体組織です。いかがですか。
  322. 高橋寿夫

    ○高橋説明員 私どもも、この問題につきまして地元のすべての方々、個人も含めて各種住民団体も含めまして、すべての方々に、私どもの置かれている立場、やろうとしていることの必要性、それに関する諸問題、これをよく御説明いたしまして十分、御理解を得て事を進めたいというふうに考えているわけでございますので、そういった努力をすることにつきましては、別に十一市協だけを相手にするということではございません。御理解を得て進めたいと思っているわけでございます。
  323. 土井たか子

    ○土井委員 時間がもうありませんから、この質問は、ひとつ次回に続行するということで、局長の方も、いま、おっしゃったことから次の私の、この問題に関する質問は始まるという心づもりで、ひとつお願いします。  以上、終わります。ありがとうございました。
  324. 島本虎三

    島本委員長代理 本日は、これにて散会いたします。     午後六時十七分散会