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1976-03-29 第77回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年三月二十九日(月曜日)     午後一時四十一分開議  出席委員    委員長 吉田 法晴君    理事 染谷  誠君 理事 田中  覚君    理事 羽生田 進君 理事 葉梨 信行君    理事 深谷 隆司君 理事 島本 虎三君    理事 土井たか子君 理事 木下 元二君       坂本三十次君    住  栄作君       戸井田三郎君    中山 正暉君       萩原 幸雄君    橋本龍太郎君       八田 貞義君    藤本 孝雄君       渡部 恒三君    阿部未喜男君       田口 一男君    米原  昶君       岡本 富夫君    坂口  力君       折小野良一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 小沢 辰男君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       金子 太郎君         環境庁企画調整         局長      柳瀬 孝吉君         環境庁企画調整         局環境保健部長 野津  聖君         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君  委員外出席者         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 三月二十三日  自然環境保全等のため長野県木島平国有林のぶ  な林保護に関する陳情書  (第一四二号)  雷鳥及びかもしかの保護強化に関する陳情書  (第一四三号)  自動車公害対策強化推進に関する陳情書  (第一四四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公害健康被害補償法の一部を改正する法律案(  内閣提出第九号)      ――――◇―――――
  2. 吉田法晴

    吉田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出公害健康被害補償法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島本虎三君。
  3. 島本虎三

    島本委員 公害健康被害補償法の一部改正法案、それを、いよいよ年度内に成立させなければ重大なことになるということで、いま審議の対象になっているわけであります。もちろん、この法律案そのもの内容等を見ましても、私どもとしては、まだまだ、これを練らなければならない、こう思われる点がたくさんあります。  ことに公害健康被害補償給付金給付に要する費用のうち自動車負担分、いわゆる移動発生源による分、これは八十七億九千万円でしょう。これは自動車重量税の一部から交付する措置を四十九年、五十年、二年間はとる、それまでの間に完全な法律をつくる、こういうようなことになっていたのを、できないから、もう二年延長してくれ、こういうような法律になって出てきたわけであります。これで国民の健康並びに国民の生活に及ぼす影響等を考える場合には、これはやはり黙っておかれません。しかし、この中で五十一年度のいわば汚染負荷量賦課金固定発生源の分、これは三百二十八億くらいでしょうか、これあたりがあるわけでありますが、移動発生源が決まらないと固定発生源の分も決められないのだ、こういうような法体系あり方。また移動発生源、それも重量税という不確定な、これまた十分、検討を要する、こういうような分に主眼点を置いて、いままで考えてきているというような、このやり方。どうも、この点等については私どもとしては十分、考えなければならない問題もあるのじゃないか。  ことに法律上、四月一日から申告期が開始する五十一年度賦課金、こういうようなものに対しても重大な影響がくる。もし、これが出ない場合には、本当に全部の八割を負担するところの固定発生源の方も取れないのだ、こういうようなことになると、どうも、これはおかしいような気がしてならないのですが、法体系からいたしまして、こういうようなことにせざるを得ないというような法体系なのかどうか、これは変えられないのかどうか。同時に、別案ができるはずなのを、できないで、ぎりぎりで、いままで持ってきたということ、これは行政責任は重大じゃないか、怠慢ではないか。こうさえ思うのでありますが、これはいかがなものでありますか。
  4. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 自動車関係負担部分が決まらないと、固定発生源の方も負荷量賦課金が決まらないということが不合理じゃないかというお話でございますが、制度的に自動車負担部分が、法律の附則の十九条の二で「自動車に係る分として当該年度において必要であると見込まれる金額相当する当該年度自動車重量税収入見込額の一部に相当する金額を交付する。」こういうことで、これが「別に法律で決めるところにより徴収される金員」というのを政府交付金とするということになっておりますので、この自動車交付金が決まりませんと、全体の金額割合自動車の分が二割ということで確定されないと、固定発生源分も、その徴収する総額が決まりませんので、法律の体系上、非常にそういう支障を生ずる、こういうことになっておるわけでございます。
  5. 島本虎三

    島本委員 そうなっているわけですが、こういうようなやり方制度上、無理なんじゃないかということなんです。それはそれで無理なことはわかっていますから、こういうのはおかしいのでありまして、もっとも、これがもし決まらなくても固定発生源の分だけ、きちっとしておく、こういうような改正の方が望ましい。したがって、この制度の運用に著しい支障を招来するということで、今回これを、いま日切れ法案として、われわれとしては考慮をし、ここに、はっきりした態度を決定しなければならない状態です。しかし、もっともっと、この内容は切り詰めないとだめなんです。検討しないとだめなんです。このままで、すぐ通すのは、通さないと不利益の方がよけいだからであります。それを考えると、政府のいままでのやり方の怠慢ということは、はっきり私としては指摘しておかなければならないと思います。  それで二年間の延長ですが、二年間の延長のうちで大臣、今度だけは、きちっと附帯決議のとおりに、四十九年制定当時の附帯決議に、きちっと、これをしておきましたが、それを十分、参酌して、またまた延長ということがないように十分、配慮しなければならないと思いますが、もう一回、延長するつもりですか。
  6. 小沢辰男

    小沢国務大臣 公害健康被害補償の必要な負担、これは当然、原因者負担として考えていかなければならないわけでございます。その原因者の中に移動発生源、ことに自動車というものがあるのは間違いがないわけでございます。その比率がどの程度であるべきかということでございますが、地域指定をやっておりまして、しかも患者分布状況等も見ますと、やはり現実には東京大阪周辺が多いわけでございますが、それだけの車に負担をさすというわけには、車は、これは移動発生源でございますから、北海道の車も新潟の車も、あるいは兵庫の車も大阪へ出入りしますし東京にも出入りする、こういうことでございます。そういうようなことから、いろいろ考えまして、当初から負担割合としては全国的に見て大体、二割見当が妥当であろうということで、それじゃ、その自動車のどこにかけるかということを、いろいろ検討した結果、やはり重量税から出していただくのが最もいいだろう、こういうことで成ったわけでございます。  二年間そういうことをやりました上で、さらに移動発生源はまだ、そのほかにもございますし、いろいろ検討しようということであったわけでございますが、何分、先生方、御承知のように制度発足は四十九年、まだ、そう長い経験を経た制度でもありませんので、大体あと二年の間に地域指定も、ほぼ完了をいたしますし、そういたしますと大体もう、すべての見当はついてまいりますから、あと二年間で、それらの問題をひとつ十分、検討させていただきたい。もちろん、二年後に、また同じようなことを出してはいかぬぞと言われる御趣旨はわかるのですが、いま、まだ相当検討を加えても、なかなか名案がないわけでございまして、しかしながら、すそ切りの問題やら、いろいろなことを考えてみましたり、また、どこで一体、取るのが最もいいかということも、これから先生方の御意見も聞きまして、十分、私ども検討をしてまいりますので、そういう意味で、とりあえず二年間ということをお願いをいたしたわけでございます。
  7. 島本虎三

    島本委員 前の四十九年、五十年、この両年度で出したときには、この二年間の間にきちっと恒久的な方法は考えます。こういうようなことであったのです。今度できないから、また二年。また二年延長しても同じことだというようにとれるような答弁もうかがわれるのですが、それだったら、なぜ四年にして出さぬのですか。なぜ五年として出さぬのですか。これは二年として出した以上は、二年間できちっとやりますよという政府姿勢を示しているんでしょう。それに対しても大臣として、まだ、あいまいな態度で終始するというのは、これはちょっと、おかしいじゃありませんか。もう二年延長してくれと言ったら、二年の間に対処します。はっきりそう言わないといけませんよ。大臣、これはちょっと、いまのそのあいまいな態度は、それは許せぬですぞ。
  8. 小沢辰男

    小沢国務大臣 二年の間に当然、検討しなければいけないわけでございますが、まだ結論が出ているわけでございませんので、慎重にお答え申し上げているわけでございまして、その辺のところは御理解をいただきたいと思います。
  9. 島本虎三

    島本委員 それなら、やはり大臣として決意しないとだめです。やると思えばできますよ、二年だもの。それを進める姿勢に何か、ちょっと欠ける点があったり、あちらこちらの不規則発言にばかり耳を傾けるようなことであっては、これは環境行政はできない。  こういうような問題については、ただ、いろいろなことを言いますけれども、本会議でも三木総理大臣も、あなたも委員会で、環境影響事前評価法、こういうようなものに対しては今国会に出しますと何回、断言しましたか。やはり、めどははっきりしているのですが、それでも、これは重要ですから聞いておきますが、これは今国会に出しますね。     〔発言する者あり〕
  10. 吉田法晴

    吉田委員長 お静かに願います。
  11. 小沢辰男

    小沢国務大臣 実は私ども、今国会に出すつもりで鋭意いま各省と折衝を始めておるわけでございまして、まだ正式に環境庁案が固まりませんが、固まる前に、やはり、それぞれ関係方面とよく連絡をとらなければいかぬものですから、これはもう、ぜひ今国会に出したいということで検討をいたしておるわけでございます。ただ、少し延びておりますのは、いろいろな、こちらの方にも、まだ検討不十分な点の事情もございますが、私どもとして出す以上、できるだけ内容を、ひとつ政府全体として十分、御理解を得たものにしたいということで努力をいたしております。今国会に何とか、ひとつ出したいという意欲は十分、持っております。
  12. 島本虎三

    島本委員 出したいという意欲になってしまった。「出します」から「意欲」にまで変更、退歩した。これはどうも私どもの方としては解せない。今度のこの法律も、この場合、二年間の時限立法なんだから、その間に、きちっと対策と対案をもって臨まなければ、行政の怠慢だということになるでしょう。そこですよ。これは、やはり出しますと言ったのも、その構えであるというように、あいまいになる。今度の二年間の時限立法にしても、これは二年たったら、まだ、できませんから、また延ばしてください、こういう態度ではだめだ。きちっとしなさいということですよ。これはしないといけませんよ。  これと同時に今度、固定発生源の問題も、いま触れましたが、この固定発生源から排出するNOxの問題なんかについても総量規制を早急に実施するという、踏み切らなければならないという、この立場から考えても、まだまだ、これに対する準備がおくれているように思うんです。また鉄鋼の焼結炉、こういうようなものに対して現在のNOx排出基準、これはどうなっているのか、はっきり適用されているのかどうか。脱硝技術開発、ある程度いったと言いますけれども、さっぱり進んでいないとも言われる。一体これはどうなんですか。やはりそうでないと規制対象外になって総量規制もできない。この被害者補償法をやっても、ただ企業から金を取って補償だけしている。こういうようなことになったならば、いわゆる公害に対する免罪符的なものになるから、だから、そうしちゃいけない。片や、固定発生源から排出するNOxについても早急に、これは脱硝技術開発や現在の排出基準、こういうようなものに対しても厳しく指導し規制すべきじゃないかと思うのです。そうでなければ、これはできませんもの。これに対して大臣の確固たる信念と決意を承ります。
  13. 小沢辰男

    小沢国務大臣 NOx排出基準につきましては、それぞれ必要な基準を設けておるわけでございますが、いま先生、言われたNOx総量規制というのは、これはなかなか容易でないのであります。御承知のとおり、まだ脱硝技術がそこまでいっておりません。小さいものは脱硫、脱硝両方兼ねたような装置もできておりますけれども、いま例示としてお挙げになりました焼結炉等については、遺憾ながら、そういう技術開発は世界的にも全然見込みがございません。そういたしますと、やはり私どもは現在の技術をもってして、どうしても解決できないものを、ただ法律行政だけで、これを規制をしていくというわけにはいかないわけでございます。それはもう、いかなる自民党内閣であろうと、もし島本先生がそういう衝に当たりましょうとも、これは御自分も、どうしてもできない。技術的に世界的にできないものを、いま、やれと言う方が無理なわけでありまして、しかし、できるように、できるだけ技術開発に、われわれがてこ入れをして、そして、そこの方に技術開発を促進するということは、もう先般来、当委員会において議論がありましたように、通産省も補助金を設けたり、いろんなことで応援をして、その技術開発の促進に努めているわけでございます。だから技術ができないといって、それじゃ環境基準なり、あるいは、あれをおろしてしまうか、そうはいかないのであります。やはり理想を掲げながら、そこへ追い込むような姿勢環境行政としては大事なものですから、そういう点ひとつ御理解をいただいて、われわれも、せっかく努力いたしますが、このNOxの問題につきましては、まだまだ、これからの問題がたくさんあるということを御理解をいただきたいわけでございます。
  14. 島本虎三

    島本委員 この公害健康被害補償法の一部を改正する、これも二年間の時限立法、これ二回目、そして総量規制の問題、NOxの問題、現在の中できちっとしなければならないのは環境庁姿勢でなければならないのに、どうも振り回され右顧左べんしているようである。この法律案をいま通さなければならない段階になって、なおかつ、これの裏づけ実施主体である環境庁姿勢が、まだまだ、これは十分じゃない。この点、本当に私、遺憾に思うということを、はっきり表明して、私の質問を終わります。
  15. 吉田法晴

    吉田委員長 島本虎三君の質問は終わりました。  次は、米原昶君。
  16. 米原昶

    米原委員 公害健康被害補償法も施行後、一年半を経過しましたが、まだ幾つか問題が残されております。不十分な被害補償の問題それから、いまお話があった窒素酸化物の扱いの問題、指定地域が不当に狭められている問題、対象疾病が四疾病に限られている問題その他、多くの問題が残されており、早急に改善していく必要があると思います。ところが昨年の後半ごろから文芸春秋のいわゆる「魔女狩り」などを中心に、公害対策を後戻りさせようとする逆流現象が起き始め、この公害健康被害補償制度に対しても企業側が不当な攻撃を始めております。具体的には昨年の暮れ、日本鉄鋼連盟日本鉱業協会が相次いで、この制度の見直しの要望書環境庁に提出したと聞いておりますが、このほかにも同趣旨申し入れが他の業界からあったかどうか、まず、伺いたいと思います。
  17. 小沢辰男

    小沢国務大臣 企業側から、いろいろな御意見が出ておることは事実でございます。連盟なり鉱業協会なりだけでは、もちろん、ございません。出ておるかどうかという御質問については、そういうことでお答えをいたします。
  18. 米原昶

    米原委員 こうした要望申し入れば、伺ってみますと、この制度の改善などというものではなくて、まさに逆流現象であって、公害対策を後戻りさせて、この制度の本来の趣旨を失わせようとするものだと思いますが、環境庁見解を伺いたいと思います。
  19. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私はそうは思いません。企業側の私どもに対する要望というものは、金を出したくないから何とか減らすようにという要望ではありません。金は出してもよろしゅうございますが、合理的なものにしてほしいということであります。合理的なものにしなければいけないという御見解の中に、たとえば地域指定をやりまして、その地域指定患者発生認定状況等を見ると、ある地区においては非常に合理的に行われていながら、ある地区においては、それが合理的に行われていないというような、企業側から見れば、そういう意見もありまして、それらについての合理的な認定というものについて十分、環境庁努力をすべきだということと、それから負担あり方につきまして、一体、現在のままの方がより合理的なのか、もっと別のやり方があるんではないかという、いろいろな見解表明でございまして、負担をしないという見解表明は一遍もございません。  したがいまして私どもは、制度発足以来二年半でございますが、やはり制度というものを維持し、これを発展していくためには、常に、あらゆる批判あるいは御要望を承りながら、最も合理的な方法に向かって検討を進めていくのが、これは当然なことでございますので、一概に要望なり、あるいは批判なりをする側をいかぬときめつけるような姿勢は、むしろ私はどうかと思っておるわけでございます。ただ、言われたからといって、それに私どもがそのまま従うというわけではありませんので、十分よく、あらゆる面から技術的にも経済的にも、あるいは法律的にも検討を加え、また患者実情等考慮に入れながら、合理的なものに一歩でも前進をしていきたい、こういう態度でございます。
  20. 米原昶

    米原委員 それでは、ひとつ余り横道にはそれたくないのですが、簡単に、いまおっしゃった中で具体的に、ちょっと聞きましょう、こうした企業側の言い分について。  たとえば鉄連の出しておる要望書を見ますと「汚染負荷量賦課金額は、現下の未曽有不況下では、負担能力を超える状態にまで達しております。」こういうことを言っております。それから日本鉱業協会は「深刻な不況のさ中で、業界と致しましては、この賦課金負担に非常に困惑しております。」こう言っておるわけです。この点について聞きたい。いずれも現在の不況に悪乗りしておるのじゃないかということです。このような不況などというのは、決して、これを値切る口実にしてはならないということです。例の水俣病のチッソが、開銀の融資というような問題その他の重大な問題もありますけれども経営が苦しいからといって、政府補償金を値切ってよいとは言っておらない。そうした点からしても、不況理由補償金を軽減してくれなどと言うのは、もってのほかで、公害責任を負うべき企業姿勢としては言語道断だと思いますが、この点について環境庁見解を聞きたい。
  21. 小沢辰男

    小沢国務大臣 各企業が、この二年間、非常に不況に低迷している事実は、先生もお認めになるだろうと思うのです。一方、その企業側労働組合の中にも、一時帰休なり、あるいはまた希望退職なりという、いわば雇用問題、深刻なる問題を抱えていることも事実でございます。そういたしますと、やはり企業の労使の中から、この健康被害補償法負担について、もりと合理的であるべきだという意見が出てくることも、これはまた相手側立場に立ってみれば、もっともなことじゃないかと思うのでございます。そういう現在、置かれた企業の雇用や経済の状況からする意見として、そういうものが出てきているわけでございまして、しかし現実に私どもが、その要望書に従って企業側の代表とお話をしてみますと、負担負担として払うことについて、これはどなたも、もう法律なんか通らぬ方がいい、私どもは払いませんなんと言う人は一人もおりません。やはり負担すべきものは負担をいたします。しかし、そこに書いてありますように、不況であることは現実の問題でございますから、そういう意味で、ぜひ制度全体を、ひとつ合理的なものにするように努力してほしいと言われることも、これは、もっともだと思うのでございまして、そういう意味において、これらの要望なり陳情なりは、これは当然、もし聞くべき点があれば聞いていかなければならない。  しかし、そういう抽象的なことだけでは困るので、やはり具体的に、どこがどういうふうに悪いのか、不合理なのか、こういうことを申してくれと私は言っております。それらで、もし本当に正しい意見があれば聞いていかなければいかぬと思いますけれども、いまのところは、私どもが取り上げて真剣に検討しなければいかぬような具体的な、どうも余り提案がありませんので、現在のところは、いわば実質上ネグっている形になっておるわけでございます。
  22. 米原昶

    米原委員 それでは抽象的、一般的に、ただ不況あるいは経営状態が悪いということだけを理由にして引くということは、これはとってはならない。ただ、この中で、こういう要求の根拠として、たとえば、こういうことを言っていますね。この制度は、自然有病患者相当数、救済しているのだから、その分は公費負担せよという主張が入っております。この点について見解を聞きたいのです。
  23. 小沢辰男

    小沢国務大臣 あくまでも健康被害補償法精神原因者負担でございますから、原因者負担の原則というものは、これは外してはいかぬわけでございます。その原因というものをいろいろ突き詰めてまいりました場合に、あるいは一つの説をなす者として、そういう行政責任を果たす意味で、国または地方公共団体が一般の住民にかわって負担をすべきである。それは税金から出しても、それぞれ原因者が出したことになるんじゃないかという議論があることは事実でございますけれども、私どもは、あくまでも原因者負担精神というものは、これはやはり貫いていかないと、公害健康被害補償法精神に立脚できないことになりますので、この点は私どもの考えは、はっきりいたしておるわけでございます。
  24. 米原昶

    米原委員 長官がそうおっしゃったので、その点、了解いたしました。中公審でも、との点の議論があったことは確かですが、そうした主張は正しくないと思うのです。それは、まず今日のような膨大な公害病患者発生させた責任一体だれにあるかということです。企業が、きちんとした公害対策を行っておれば、今日のような事態が起こり得なかったし、このような、ある意味では不幸な制度も必要とはならなかったはずであります。したがって、この制度については、企業にすべての責任があるということは明白であり、自然有症率部分を取り出して、その分は公費負担せよなどというのは全く不当であります。現行の制度でも保健福祉事業などで一部、公費負担が取り入れられているなど、不徹底な点を残しているわけでありますが、これ以上、公費負担を取り入れるなどということは絶対に行うべきではないと思いますが、見解を問います。
  25. 小沢辰男

    小沢国務大臣 私、先ほどお答えしましたように、いわゆる原因者負担考え方の中に、公費負担をしてもいい理屈が出てくれば別ですけれども、ただ単に企業が困っているから、その一部を公費負担をするという考え方には立たない。これだけは、はっきりしているわけです。  それから、自然有症率の問題は当然、一つ議論だと思います。これは昭和三十五年以前でも国民の中に、いわゆるぜんそくがなかったかというと、あるわけでございまして、企業なり、あるいは自動車なりの排煙には直接、結びつかないような、いわゆるぜんそくというものは当然あるわけでございますから、原因者負担精神を徹底すれば、その分を原因者でない自分たちが負担するのはおかしいじゃないかという議論は、私は決して、これはむちゃだと言うわけにはいかないと思うのですね。原因者負担精神をあくまでも貫け、こういう御主張をなさる米原委員も、当然この自然発生の、原因企業公害でないぜんそくについてまで、原因者負担精神を貫けと言う側が、これを負担しろと言う、その理屈も無理なんです。ただ、それは指定された地域内において、なかなか区別ができるものでありませんので、現実的には、それらが入っているかもしれませんけれども、その辺のところは制度全体のあり方として十分、頭に置いてつくり上げておるものですから、現在の制度は、その問題について、われわれが不合理を犯しているとは考えていない、こういうことでございます。
  26. 米原昶

    米原委員 それでは、もう一点だけ、ちょっと聞いておきます。賦課金徴収に当たっての、いわゆるすそ切り部分の問題です。  つまり賦課金の徴収が、一定量以上のSOxを排出する工場から徴収しているために、それ以下の小規模工場が排出する分に相当する部分公費負担とせよ、こういう主張ですが、この主張について見解を伺っておきたいと思います。
  27. 小沢辰男

    小沢国務大臣 それだけでは公費負担の理屈には、なかなか、ならぬと私は思うのです。徴収の費用なり徴収事務なり、そういうものが徹底すれば、これは保険的な制度でございますから、これはやはり一つ原因をつくっている者から全部、取るのが妥当ではないかと思います。  ただ、御承知のように一方、財産被害につきましては、先生方の中には議論として、不特定多数で、なかなか捕捉できないもの等については、いわゆる原因者のないものと一緒に、これは何らかの意味公費負担をすべきでないかという議論をおっしゃる立論もございます。そういうものの中で、これらを考慮しろという議論が、やはり同じように出ているということも事実でございます。これらを含めて、先ほど島本委員がおっしゃったように、二年間のうちに十分、検討していかなければいかぬと思います。
  28. 米原昶

    米原委員 時間がありませんから、これでやめますが、原因者負担の原則はもちろん原則ですから、根本的には、これをあくまで貫くという方針で今後もやっていただきたい。
  29. 吉田法晴

    吉田委員長 次は、岡本富夫君に願います。
  30. 岡本富夫

    ○岡本委員 非常に時間が短いですから、簡潔、率直にお答えを願いたいと思います。  第一点は、この健康被害補償法は、裁判をやると非常に長くかかって被害者が救済できないというようなところから、つくったわけです。したがいまして、被害者の方を早く救済するのに一番いいのは、この前、私、昨年の十二月十二日にお話ししました転地療養なんです。この転地療養について、環境庁の方から各地方自治体に、移送についての支給対象といいますか、こういう通達が出ておる。事務次官通達と一緒に出ておるわけですが、各地方自治体では、やはり、これに基づいて行われますので、非常に移送費といいますか転地療養の交通費がかかる。この方は大体、健康保険とか、そういうものの厚生省のもとの通達を、そのまま引用しておるようでありますから、これでは非常に不十分だということで長官お話しいたしましたが、長官はそのとき、この移送については旅費規定が別にあるのではないけれども、やはり医者の認定が基礎になる。また保健部長も、主治医の判断によるのだ、こういうようなお答えをいただいて、あと検討するということになっておりますけれども、この検討はどういうようになさいましたか、また今後どういうようになさるのか、これをひとつ事務当局からでも結構ですから。
  31. 野津聖

    ○野津政府委員 先生の御指摘ございましたように、この転地療養あるいは、すでに、その指定を受けております地域の中での医療という場合には、非常に環境もよくないというところで治療を受けるということが、果たして効果があるかどうかというのは非常に大きな問題だろうと私ども受けとめております。  ただ、これらの患者さんが、より空気のきれいな医療機関で治療を受けるというふうな場合に考えられますことといたしましては、先生の御指摘ございましたような、いわゆる転地療養という考え方でございますけれども一つは、ただいま御指摘がございましたような医療機関から医療機関に移る、いわゆる移送というふうな一つの医療給付の中での考え方一つあるわけでございます。それからもう一つ先生、御存じのとおりの公害保健福祉事業の中にやはり転地療養事業というのがございまして、現在のところでは、いわゆる集団で六泊七日というような短い期間でございますけれども転地療養するということが、公害保健福祉事業の中でも、あるわけでございます。ただ、御指摘がございましたような、いわゆる患者さんで、ある医療機関から次の医療機関に移られるという考え方がいいのか、あるいはまた自宅から医療機関に移るという考え方がいいのかというふうな問題もございますし、また一つには、これをいわゆる医療給付として取り上げるのか、あるいは公害保健福祉事業として取り上げるのかというふうな問題が残っているわけでございます。  ただ私ども、実際にその汚染地域の中の医療機関で治療を受けるよりも、環境のきれいな医療機関で治療を受ける方がより効果的であろうということにつきましては十分、認識をしているところでございます。実際に、そのような事例を取り扱ったことのありますところのデータなども、いま収集させていただきまして、この取り扱いをどうするかというふうなことにつきましては、この医療が十分、受けられ、また健康を回復するということを前提とした形で、この制度に取り組んでいきたいというふうに考えておりまして、いま、いろいろな問題点の詰めを行っているところでございます。
  32. 岡本富夫

    ○岡本委員 大体いつごろまでに、その詰めの作業を終わるか。これは詰めをずっとやられて、いつまでもいつまでも解決しないと困りますので、大体のめどを。と申しますのは、尼崎あるいは西淀川の患者の皆さんは、この間、申しましたように霧島あたりに行けば非常に早く治って効果があるということですから、できるだけ早く、その詰めを行っていただきたい、こう思うのですが、めどをつけてください。
  33. 野津聖

    ○野津政府委員 ただいま申し上げましたような若干の問題点が残っているわけでございまして、この辺、きちんとした一つ制度として発足するわけでございますので、きちんとした物差しを詰めておきたいというふうに考えておりまして、できるだけ早くということを私どもは考えておるわけでございます。ただ、めどと言われますと、非常に日限切るのはむずかしい点もあるわけでございますが、まあ、できるだけ早く、あるいは日限を切りますならば、ここ一、二カ月の間に完全にこの制度が定着化できるような形を持ちたいということで考えております。
  34. 岡本富夫

    ○岡本委員 ここ一、二カ月の間に検討にめどをつけるということですから、患者の皆さんは待っておりますから、ひとつ、ぜひきちんとやってもらいたい。これを要望しておきます。  次に、指定疾病につきまして、実は昭和四十四年に私、当委員会で、尼崎の小学校の学童の鼻炎の調査をされたデータでもって、対象外地域より大体、五倍も鼻炎があるということで、この鼻炎を指定疾病の中に入れてもらいたいということを、そのとき要望いたしまして、検討するということであったのですが、その後どうなっているか。もう六年ぐらいになっておる。これじゃ非常に遅いわけですが、この点についての状況を、ひとつ聞かせていただきたい。
  35. 野津聖

    ○野津政府委員 いま御指摘ございましたことにつきまして、そのような面を踏まえて、中公審におきますこの制度発足のときの御議論の中にも、やはり鼻炎あるいは目、耳、咽頭炎等の障害というふうなものも議論されたわけでございますけれども、それが確実に現在の段階で大気汚染との関連というものが詰められてないというふうな段階でございまして、私ども現在、御審議をいただこうとしております五十一年度の予算の中におきまして、目、鼻、咽頭等の障害と大気汚染の関連というふうな、健康被害等の問題を調査するという形で、現在スケジュールを立てているところでございます。
  36. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうすると五十一年度に、この鼻炎を入れるか入れないかということを調査検討する、こういうことですね、もう一遍。
  37. 野津聖

    ○野津政府委員 五十一年度から調査を始めまして、その結果を見ていきたい。ただ問題点としましては、いま御指摘ございましたように、前々から大気汚染との関連があるのではないかというふうに言われている点があるわけでございまして、したがいまして、五十一年度において調査費を計上するという方法をとったわけでございまして、五十一年度から始めることによりまして、さらに一歩近づいた調査研究の結果が出てくるものというふうに考えております。
  38. 岡本富夫

    ○岡本委員 時間がありませんから、次に環境庁長官に。  この議事録は、昭和四十八年の二月七日の予算委員会の議事録でありますけれども、このときは三木現総理が環境庁長官でございました。このときに、この議事録にはっきり出ておるわけですけれども、これは私たちも、この現在の補償法を審議するときに相当、要求したわけでありますが、それは健康被害だけでなくして生業被害、この補償、これを当時の三木さんはどう言っているかと申しますと、「ことに生業補償の問題については、これはやはり附帯決議にもありますが、実際いろいろな農漁民の人の、気の毒な実例をたくさんに知っておるわけです。だから、まずこの大気汚染、水質汚濁の損害保障制度を四十八年度に軌道に乗せて、四十九年度は生業に対する補償制度を実施したいという方向で取り組んでみたいと思っておるのです。」こういうようにお答えがあるわけです。したがいまして、この生業補償、財産被害補償ですね、これについてはどういうように取り組んでおるのか、また大体いつごろ、どうするのかということを、ひとつお答えをいただきたい。
  39. 柳瀬孝吉

    柳瀬政府委員 生業補償といいますか、公害に関する物的な被害の補償の問題につきましては、私どもも、いろいろと検討を続けてきておるわけでございますが、公害の物的被害の補償についての専門委員会なんかを設けまして、昨年の暮れに一応その基本的な考え方を、その委員会でおまとめをいただいたわけでございますが、実は、物的被害はいろいろな態様がございまして、カドミウムの被害による米の問題とか、あるいは油濁による漁業被害の問題とか赤潮の問題とか、いろいろございますので、その被害の態様に応じまして、この基本的な考え方を踏まえて、それぞれの制度ごとに、いろいろと御検討をしていただこうということで、関係の各省とも連絡をとって、いろいろな実態の調査等もいたしまして、その制度をどういうふうに進めていくかということを現在、検討中でございます。
  40. 岡本富夫

    ○岡本委員 長官、これは当時、新聞にも相当大きく報道されまして、生業被害補償ですか、この制度をちゃんと取り入れてやる、こういう検討をすると言って、報道されたこともあるのです。したがって、これも検討するだけで、そのままずっと、ほうっておかれると困るわけですよ。少なくとも、いまの総理がこういう答えをしているわけですからね。これも大体めどはどのくらいになるのか。いつまでも検討ばかりじゃ困る。このめどをひとつお聞かせ願いたい。
  41. 小沢辰男

    小沢国務大臣 物的といいますか、財産被害についての補償の問題については、原因者が特定している場合は、これは問題ないわけでございます。三木さんのおっしゃったのも、不特定の場合あるいは原因が不明な場合、たとえば赤潮問題を考えてみますと、これは赤潮の原因解明が明確に行われてない現状においては、だれが原因者だということが、びしっとつかまえられないわけでございます。あるいは、ずっと前に休廃止した鉱山が、いま、ありまして、それからカドミの汚染があって、米が一ppm以上は買い上げの対象にならぬ、それをどうするのだというような問題、あるいは油濁というものによって漁業の被害が起こるというような問題、これは確かに航行している船からなんだろうけれども一体いっ、どの船が流したかということはつかまえられない、こういうことについて、生業補償について何らか検討して四十九年からとおっしゃったのでないかと思うのですが、ちょうど私が着任したときには、その予算は何もなかったのであります。  そこで五十年の予算編成のときに、大蔵省側と農林省側が、ことに農林省は水産関係の問題で話があって、大蔵省の責任者を私の部屋に呼んで、私のところへ若干の、三人ばかりの人手と、それから予算をつけなさい、ひとつ環境庁中公審を中心にして、それについての基本的な方針をきちんと一年以内につける、それを各省に渡すから、それによって各省が、それぞれ具体策をとりなさいということにいたしまして、それで予算を計上して、それを一年かかってやりまして、いま局長が答弁しましたような報告書を中公審からもらいまして、それをいま各省に渡して、各省がそれぞれ、いまの物的損害についての方針を具体的に決めるように検討をし、今度、作業に入る、こういうことになるわけでございますので、まだ各省それぞれで恐らく現在いろいろな角度から、その中公審の答申をもとにして検討を加えておる、こういう段階だろうと思います。したがって、農林省の系統で私が農林大臣にいつか確かめたところでは大体、五十二年度の予算から、どういうふうにすべきかを自分たちでひとつ、はっきりしていきたいと言っておりましたが、まあ今年いっぱいの作業の進行状況によるのではないか、かように考えます。
  42. 岡本富夫

    ○岡本委員 どうも、この点もひとつ早急にまとめて、やはりこうした答弁があるわけですから、しかもまた、その答弁によって非常に国民の皆さんは期待しておるわけですから、余り長くならないようにやっていただきたい。  最後に、先ほど、だれかもおっしゃっておりましたように、不況だから、この公害対策費をまけてくれとか、こういうような運動あるいはまた、そういうことに惑わされてはならない。同時に、この財源につきまして、もっと恒久的な抜本的な財源を検討する、こういうことにしませんと、本当に健康被害あるいはまた財産被害、こういった被害を受けた方々に対する補償もはっきりできないと思うのですね。ですから、この財源の問題、恒久的な抜本的な財源の問題をさらに検討する、このお約束をひとついただいて、きょうは、これで終わります。
  43. 小沢辰男

    小沢国務大臣 二年以内に検討を、もちろん私としては真剣にいたしたいと思っておるわけでございまして、ただ、いまここで、その方向をまだ申し上げる段階ではないので、その点は御了承いただきたい。検討はいたします。
  44. 岡本富夫

    ○岡本委員 時間ですから終わります。
  45. 吉田法晴

    吉田委員長 岡本君の質問は終わりました。  次は、折小野良一君。
  46. 折小野良一

    ○折小野委員 このたびの公害健康被害補償法の一部を改正する法律案の成立に伴いまして、環境庁といたしましては政令を改正をいたしまして、関係の諸給付の改定を検討しておられるというふうにお聞きするわけでございますが、その概要と、そしてその理由ですね、これをお伺いをいたしたいと思います。
  47. 野津聖

    ○野津政府委員 補償給付につきましては、もう御案内のとおり、基本的には民事責任を踏まえた本制度の性格とか、あるいは公害の被害の特性というものを十分、配慮した形で、四十九年の八月に中央公害対策審議会から意見をいただきまして、これに基づきまして五十一年度におきます給付水準についての検討を重ねてきたわけでございます。  五十一年度におきます補償給付の改善の内容につきまして概略、申し上げますと、障害補償費及び遺族補償費の標準給付基礎月額につきましては、これは昭和四十九年の賃金構造基本統計調査報告によります賃金の実績、これに昭和五十年の春闘によります賃金引き上げ状況調査報告などによりまして賃金の動向を織り込んだもの等を基礎としておりまして、現在の標準給付基礎月額よりも平均いたしまして約一一・二%アップすることに考えておる次第でございます。また、児童に係ります児童補償手当につきましては、これらの病気、疾病にかかりました児童の生活上あるいは精神的な苦痛に対処するということでございまして、究極的には、この疾病にかかりました児童の保護を図るということを目的としておるものでございますが、この性格を踏まえまして現在、特級、一級につきましては二万円となっておるわけでございますが、今回、その後におきます社会保障関係制度の児童に係ります手当の改善状況を参酌いたしまして、現在、二万円でございますのを二万六千円に引き上げることといたしております。また、介護加算額それから療養手当につきましては、ほかの制度におきます。これとほぼ同様の給付があるわけでございますが、この均衡を考慮いたしまして、介護加算額につきましては、現在、二万三千円でございますのを二万六千円に、また療養手当につきましては、一万四千円でございますのを一万五千五百円に引き上げることといたしておりまして、これにつきましては五十一年の十月から改正する予定でございます。また、葬祭料でございますが、通常、葬祭に要する費用といたしまして、他制度の例を参考といたしまして、現在、二十万円でございますのを二十八万五千円に引き上げる予定にいたしておるわけでございます。
  48. 折小野良一

    ○折小野委員 各項目にわたりまして、いろいろと改定を予定されておるようでございますが、今回、新たに、いままであったのと違った補償給付、そういうものを検討しておいでになりますか、お伺いします。
  49. 野津聖

    ○野津政府委員 現在の段階では、従来からございました補償給付、これは先ほど申し上げましたように中央公害対策審議会におきまして御意見をいただいたものをベースとして考えているところでございまして、五十一年度から新たな給付ということは考えておりません。
  50. 折小野良一

    ○折小野委員 今回それぞれ、いろいろな資料をもとにいたしまして、それらとの均衡もとって改定をするということでございまして、それは大変、結構なことだと思いますが、現在、予定されております。その改定額、これで適当な給付水準であるのか、あるいは公害の健康被害補償として適当な、あるいは十分な水準であるのか、どういうふうにお考えになっておりますか、お伺いします。
  51. 野津聖

    ○野津政府委員 先ほど来、申し上げておりますように昭和四十八年の中公審におきまして御議論いただきました結果に基づいたものでございますので、現在の段階におきましては適正な給付ではないかと考えております。
  52. 折小野良一

    ○折小野委員 次に、これまで、この法律に基づきますいろいろな給付の事業が行われてまいったわけでございますが、その間の推移、こういうものがいろいろとわかってこようと思っております。次々に地域指定されますと、数はふえてくるわけなんでございますが、それは一応、除外をいたしまして、認定患者状況その他から見まして、果たして公害が、その対策が進みまして、だんだん、よくなってきつつあるのかどうか、あるいはまた、その情勢から見まして今後、必要とするような対策が新たに要求されるのかどうか、こういう面の環境庁としてのお考え、ございましたら、ひとつお知らせをいただきたいと思います。
  53. 野津聖

    ○野津政府委員 御指摘ございましたように、大気の汚染の状況は、特に硫黄酸化物につきましては改善されている実態があるわけでございます。ただ現在、過去におきまして健康の被害を受けられたという方々がおられます地域におきましての指定を行っているわけでございますし、また従来、潜在化しておられた患者さん方が顕在化してくるというふうな実態があるわけでございまして、一応、私どもの考えとしましては、昨年の十二月に行いました地域指定、それから今年度、五地区につきましての地域の調査を実施しているわけでございますが、ほぼ大きな地域につきましての指定は、これをもって終わるのではないかというふうな予測を持っておるわけでございます。  ただ、ただいま申し上げましたように潜在化しておられる患者さんの顕在化というふうな問題がございますので、これも将来の問題といたしまして、どの程度まで進捗していくかということにつきましては十分、見当をつけなければいけないと考えておるところでございますけれども、先ほど来の質疑にもございましたように、まだ発足しまして一年半という時期でございまして、現在の段階で、不確定要素が多いものでございますので、将来の予測というのは非常にむずかしい段階にはございますけれども、やはり、この制度の円滑な運営ということを考えれば、できるだけ早い機会に将来予測というものを立てていくということ、さらには、現在の健康被害を受けておられる方々が回復していくということ、あるいは、さらには健康被害を受けられないような形まで、いわゆる公害に関します保健福祉事業と申しますか、そのような形でのものを、さらに積極的に進めていかなければならないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  54. 折小野良一

    ○折小野委員 現実公害患者がいるわけですから、これに対しまして、いろいろと補償給付を行っていくということは、これはもう当然なことだと思います。しかしながら、こういうような制度の本来の目的は、やはり、そういうような公害患者が一人でも二人でも、だんだん少なくなっていく、これが本当の目的でなければならないわけでございます。そういう点からいたしますと、このような制度の運用を通じまして、それを資料にいたしまして今後、公害対策をますます進めていく、あるいは、その効果的な運営を今後、一層努力をしていく、こういうところに本当の目的がなければならないんじゃなかろうかというふうに考えます。そういう面から、今後の、この制度の運用を通じましても、公害そのものを少なくするような対策の強化、こういう面に特に役立てていただくように、お願いをいたしておきます。  ところで、この制度の運用につきまして、特に今日、問題になっておりますのは、その財源負担あり方ということでございます。移動発生源に対します自動車重量税の一部を、その財源にするということにつきましても、いろいろと不合理もあり疑問もある。また、固定発生源に対する賦課金にいたしましても、いろいろと、これまた問題がございまして、その地域指定された、あるいは、されなかったというようなことによりまして、不公平感あるいは矛盾と思えるようなものが、いろいろあるわけでございます。こういうものを今後できるだけ早く解決をしていただかなければならないわけでございますし、その方向につきましても、これまでにも、いろいろと検討をされておるところでございます。  こういうような疑問点や不合理や、あるいは矛盾がある、その理由一つといたしまして、これは必ずしも、この制度だけの問題じゃないと思うのですが、いわゆる地域指定制度、一定の地域指定して、こういうような対策を講ずる、こういう制度一つの大きな理由があるんじゃなかろうか、こういうふうに考えます。したがいまして、いろいろな面の御検討を願わなければなりませんが、この地域指定制度そのものについても、さらにひとつ十分、御検討をいただく必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  55. 野津聖

    ○野津政府委員 御指摘ございますように、現在この認定患者というものにつきましては、地域指定といいまして地域指定いたしましたことと、その中の暴露要件それから、その疾病であるということが三つの原則になっているわけでございます。  ただ、地域指定と申しますのは、どこかで線引きをしなければならないという一つの割り切りが行われているわけでございまして、その線の内側と外側では全くゼロと一〇〇というふうな形になっている制度になっているわけでございます。この制度は、このような地域指定という形でまいりますと、まさに、どこかで線を引かなければいけないというふうな問題があるわけでございまして、私ども一つの割り切りから出発はいたしておりますけれども、御指摘がございましたような、いろいろな問題点を内蔵していることを十分、認識いたしておりますし、この辺につきましても、どうすれば一番、妥当な線引きができるか、あるいは、この線引きそのものによって起こってまいります問題をどう解決すべきかというふうなことにつきましても十分、検討してまいりたいと考えております。
  56. 折小野良一

    ○折小野委員 確かに地域指定の線引きに、いろいろ問題があるということは、いま御答弁のとおりなんです。しかし、こういうような制度は必ずしも公害に関する制度だけじゃありません。多くの行政の中で、こういうような制度がとられておるのですが、しかし、この制度をとることによりまして、地域の中の関係者と外の関係者との間のいろいろな問題、特に、この問題に関連いたしましては、負担の財源であります自動車重量税からの財源と固定発生源賦課金との関連、こういうものが、やはり地域指定の関連でいろいろ出てくるわけです。  ですから、地域指定そのものが、できるだけ、そういう不合理をなくするように制度化する、これも、もちろん大切なことなんでございますが、その、もう一つ前の段階で、地域指定をとるべきか、とるべきでないか、こういう点まで、やはり、さかのぼって検討をしていただくということが非常に大切なことじゃなかろうかというふうに考えるのですが、今後の、このような行政あり方についての基本的な考え方を、ちょっとお示しをいただきたいと思います。
  57. 小沢辰男

    小沢国務大臣 先生おっしゃるように、この公害健康被害補償法補償というのは、一定の公害発生というものに特殊に結びついている要件と、それからくる疾病ということになるわけでございまして、そこで、その地域指定をするということになりますと、地域の中で、先ほど来、議論がありました自然有症率と、公害による、その後の発生というものと区別がなかなかつきませんし、それから地域を線引きいたしますと、すぐ隣、道路を隔てて別の地域の者と、救済の仕方が、どうも片方は一〇〇で片方はゼロと不合理じゃないか、だから、これをなくして、むしろ患者そのものを医学的に診断をしていって、そして認定患者として個々にとらえていくという方がより合理的でないかと思う。ただ、ところが、その場合に医学的に疾病であるということの判定はできても、果たして、その患者発生原因公害と結びつくのかどうかという検討になりますと、地域指定という概念をそこに入れてきて、一定の暴露要件というものを、そこで客観的に認定をしていきませんと、なかなか医学だけで公害と特殊な結びつきがあるという判定ができてこないわけでございますので、実は非常にめんどうな問題なんでございます。  それで私、お尋ねのような、そういうものを含めて根本的に検討するかどうかと言われますと、したいとは思いましても、また現実にしたこともございます。私自身が非常な疑問に思いまして、また矛盾が出てまいりますものですから。ところが、そこの特殊な公害との結びつきを判定するに足るだけの解明が、この地域指定という要件を取り除いた場合に、なかなかできないという非常に重大な欠陥が出てまいりますので、どうやって技術的にこれを解明していったらいいのか、この問題をもし、はっきり解明できれば、より合理的な制度になるのじゃないかと思っておりますが、いまのところは、まだそこまで至っておりません。
  58. 折小野良一

    ○折小野委員 いずれにいたしましても、十分な今後の御検討をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  59. 吉田法晴

    吉田委員長 以上をもちまして、公害健康被害補償法の一部を改正する法律案の質疑は終了いたしました。  この際、暫時休憩いたします。     午後二時五十分休憩      ————◇—————     午後五時二十一分開議
  60. 吉田法晴

    吉田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出公害健康被害補償法の一部を改正する法律案の審査を続行いたします。  本案に対し、木下元二君から修正案が提出されております。  まず、修正案について提出者から趣旨の説明を求めます。木下元二君。     —————————————  公害健康被害補償法の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  61. 木下元二

    ○木下委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、公害健康被害補償法の一部を改正する法律案に対する私たちの修正案の提案理由と、その説明を行います。  原案は、補償費等の一部に充てるため、自動車重量税の収入見込み額の一部に相当する金額を交付するという四十九、五十年度の臨時措置を五十二年度まで延長するというものであります。  私たちは、この臨時措置を定める第七十二国会での改正案について、自動車重量税は、自動車所有者に賦課する大衆課税であり、それ自体にも反対する。しかも、それを公害補償費に充てるという考えは、自動車メーカーの責任を免罪するものである。また、自動車重量税の収入見込み額の一部に相当する金額を交付するということは、とりもなおさず一般会計から支出される国費による補償費の負担であり、私たちは、たとえ二年間の臨時措置ではあっても、これを認めるわけにはいかないと、その問題点を指摘して、私たちの修正案を提出しました。  当時の三木環境庁長官も、今後、二カ年の間に十分、検討すると言明されましたが、今回、提出された改正案は、二年前、提案した臨時措置を何ら改めることなく二カ年延長するというものであり、私たちは、前回同様、これを認めるわけにはまいりません。  そこで、日本共産党・革新共同は、ここに自動車メーカーの責任を明確にした修正案を再度、提出する次第であります。  次に、修正案の概要を御説明いたします。  第一は、補償費等の一部に充てるため、五十一、五十二年度の臨時措置として、輸入業者を含む自動車メーカーから賦課金を徴収するという点であります。  第二に、賦課金額は自動車の種別、総排気量、汚染物質の排出量等を勘案して政令で定める金額に出荷台数を乗じて算定するという点であります。  以上、慎重に御審議の上、速やかに可決されるようお願いいたします。
  62. 吉田法晴

    吉田委員長 これにて本修正案の趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  63. 吉田法晴

    吉田委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに公害健康被害補償法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、本案に対する木下元二君提出に係る修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  64. 吉田法晴

    吉田委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、本案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  65. 吉田法晴

    吉田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決定をいたしました。     —————————————
  66. 吉田法晴

    吉田委員長 次に、本案に対し、田中覚君、島本虎三君、木下元二君、岡本富夫君、折小野良一君より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者から趣旨の説明を求めます。田中覚君。
  67. 田中覚

    ○田中(覚)委員 私は、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党を代表いたしまして、内閣提出公害健康被害補償法の一部を改正する法律案に対し附帯決議を付すべしとの動議について御説明いたします。  まず、案文を朗読いたします。    公害健康被害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は本法の施行にあたって、次の諸点につき適切な措置を講ずべきである。  一、昭和五十三年度以降における費用徴収方法については、汚染の原因者負担の原則にのっとるとともに、発生源の公害防除の努力が十分反映されることを重点においた恒久的方策の確立に努めること。  二、幹線道路周辺における大気汚染状況を改善するため自動車排出ガスについて、いわゆる昭和五十三年度規制の実施及びバス・トラックの排出ガス規制の強化に努めるとともに、自動車交通に関する総合的な対策の推進をはかること。    なお、昭和五十三年度排出ガスの規制基準値の設定については、例外措置を講じないこと。  三、工場等固定発生源から排出される窒素酸化物規制については、排出基準を一層強化するとともに、脱硝技術開発の促進等により、総量規制方式の早期確立をはかること。  四、最近における都市型複合汚染に対処するため、窒素酸化物等の影響についても、汚染状況の総合的調査を行うとともに、その調査結果に基づいて地域指定を行い、速かな救済をはかること。  五、著しい大気汚染の影響による疾病については、現に指定されたもののほか、目、鼻、咽喉等の被害についても調査を実施し、症状によっては指定疾病に加えること。  六、補償給付の改善を行うとともに、転地療養事業等の公害保健福祉事業の充実、強化をはかること。  七、本制度対象となっていない騒音、振動等による健康被害及び財産被害についても、その実態の把握に努め、補償制度を早急に確立するよう検討すること。 以上でありますが、この動議の趣旨につきましては、案文中に尽くされておりますので、省略させていただきます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  68. 吉田法晴

    吉田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  69. 吉田法晴

    吉田委員長 起立総員。よって、さように決定をいたしました。  この際、小沢環境庁長官より発言を求められておりますので、これを許します。小沢環境庁長官
  70. 小沢辰男

    小沢国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を体しまして努力いたします。     —————————————
  71. 吉田法晴

    吉田委員長 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 吉田法晴

    吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  73. 吉田法晴

    吉田委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十分散会      ————◇—————