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1976-05-12 第77回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年五月十二日(水曜日)    午後一時十二分開議  出席委員    委員長 太田 一夫君    理事 粕谷  茂君 理事 瓦   力君    理事 三枝 三郎君 理事 羽田野忠文君    理事 林  大幹君 理事 野坂 浩賢君    理事 紺野与次郎君       片岡 清一君    左藤  恵君       斉藤滋与史君    久保 三郎君       沖本 泰幸君    小濱 新次君       渡辺 武三君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      植木 光教君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      室城 庸之君         警察庁交通局長 勝田 俊男君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 妹尾 弘人君         運輸省自動車局         整備部長    犬丸 令門君         運輸省航空局次         長       松本  操君         建設省道路局長 井上  孝君  委員外出席者         警察庁交通局参         事官      池田 速雄君         大蔵省銀行局保         険部長     山橋敬一郎君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       田中 哲男君         運輸省海運局定         期船課長    熊木 藤吉君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部土         木電気課長   横山 義一君         海上保安庁警備         救難監     船谷 近夫君         日本国有鉄道旅         客局営業課長  岩崎 雄一君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件  交通安全基本計画      ————◇—————
  2. 太田一夫

    太田委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  この際、植木総務長官より、交通安全基本計画について説明を聴取いたします。植木総務長官
  3. 植木光教

    植木国務大臣 ただいま議題となりました交通安全基本計画について御説明いたします。  この交通安全基本計画は、交通安全対策基本法第二十二条の規定に基づき、去る三月三十日、中央交通安全対策会議において決定したものであります。  まず第一に、交通安全基本計画の趣旨について御説明いたします。  この基本計画は、昭和五十一年度から昭和五十五年度までの五カ年間において、陸上海上及び航空交通の安全を確保するため、国及び地方公共団体が講ずべき交通の安全に関する施策の大綱を示したものであります。昭和四十六年度から昭和五十年度までの第一次の交通安全基本計画に基づき各般の交通安全対策が総合的に推進され、その結果、陸上交通事故は大幅に減少し、また、海上及び航空交通安全対策も著しい進展を見るという大きな成果を上げてきたところでありますが、人命尊重が何物にも優先するという認識のもとに、引き続き、第二次の基本計画を作成し、従来にも増して交通安全対策を総合的かつ強力に推進することとしたものであります。  なお、各都道府県においては、陸上交通の安全について、この基本計画に基づき、都道府県交通安全計画を作成することになっております。  第二に、交通安全基本計画目標について御説明します。  この基本計画においては、陸、海、空それぞれの交通事故の趨勢やその発生状況にかんがみ、次のように事故防止目標を定めております。  まず、道路交通事故については、第一次の交通安全基本計画が作成され実施に移された昭和四十六年以降、着実に減少を続け、その計画で掲げた昭和五十年の歩行者推計死者約八千人を半減するという抑止目標は達成されたといえますが、なお年間六十万人を超える死傷者を生じていること、死者のうち歩行者及び自転車利用者が占める割合が高いことは依然として大きな社会問題であることにかんがみ、第二次の基本計画においては、近年における交通事故減少傾向を定着させ、特に死亡事故防止に格段の意を注ぐものとし、過去の最高であった昭和四十五年の死者約一万六千八百人の半減を目指すことにしております。  また、鉄軌道交通運転事故踏切事故海難及び航空交通事故については、多数の人命を危うくする重大事故絶滅重点を置いて、交通安全対策を一層強力に推進することにしております。  次に、この交通安全基本計画が掲げている施策について御説明します。  この計画では、陸、海、空の各分野ごとに、交通機関運転、運航する人間及び交通環境の三つの要素について、相互の関連を考慮しながら、有効適切な方策を定め、これを強力かつ総合的に推進することにいたしておりますが、陸、海、空それぞれの分野重点施策は、おおむね次のとおりであります。  まず、陸の分野については、道路鉄軌道及び踏切道における交通安全対策を取り上げております。  道路交通安全対策については、まず、歩行者自転車利用者安全確保重点を置いて道路交通環境整備を図ることにしております。  すなわち、第一に、交通安全施設等整備については、昭和五十一年度を初年度とする交通安全施設等整備事業五カ年計画を作成して、信号機設置改良交通管制センター整備拡充を図るとともに、歩行者用道路を網的に確保するため、交通規制強化とあいまって歩道等重点的に整備し、また自転車通行の安全を確保するため、自転車道等整備するなど、必要な交通安全施設等整備を図ることにしております。なお、この場合、通学通園路の安全及び身体障害者通行の安全の確保について配慮するものとしております。  また、この五カ年計画による事業のほか、道路改築による歩道等整備推進し、さらに、一般道路の新設、改築に当たっても交通安全施設整備重点を置いて事業を行うとともに、ショッピング・モールの設置及び居住環境整備事業等推進を図ることにしております。  第二に、交通規制については、歩行者及び自転車利用者安全確保に最重点を置いた生活ゾーン対策としての交通規制徹底を図るとともに、都市の実情に応じて、交通流最適化道路利用合理的配分及び自動車交通量抑制を目指した都市総合交通規制推進することにしております。  また、異常気象等により交通が危険と認められる場合の交通規制等についても、迅速、適切に対処することにしております。  第三に、子供遊び場対策として、昭和五十一年度を初年度とする都市公園等整備五カ年計画に基づく児童公園、運動公園、緑道等整備を初め、児童遊園整備校庭等の開放及び遊戯道路設置を促進することにしております。  このほか、路上駐車適正化道路使用適正化等推進することにいたしております。  次に、民間交通安全活動推進等重点を置いて、交通の安全に関する教育広報充実を図ることにしております。  第一に、交通安全教育振興等については、幼児交通安全クラブ充実と幼稚園、保育所等における安全教育徹底を図るほか、学校、地域社会における交通安全の教育指導充実を図るものとしております。また、このため特に交通安全に関する民間団体の自主的な活動を促進するものといたしております。  第二に、広報活動充実については、歩行者及び自転車利用者事故、特に子供と老人の事故防止並びに座席ベルト着用徹底等重点を置いて交通安全運動国民運動として展開することにしております。さらに、交通安全における母親の役割り重要性にかんがみ、家庭向け広報重点を置いた広報活動充実を図ることにしております。  以上のほか、座席ベルト着用指導二輪車安全運転対策推進運転者労働条件適正化等を初めとする安全運転対策車両保安基準の改善、点検整備徹底等による車両安全性の向上、歩行者及び自転車利用者事故防止並びに幹線道路における重大事故等防止重点を置いた交通指導取り締まり徹底交通の安全に関する科学技術振興などの諸施策推進することにしております。  さらに、事後対策としての被害者救済対策については、まず救急業務実施体制及び救急医療体制を引き続き整備するとともに、二十四時間体制重症救急患者の総合的な救命医療を担当する救命救急センター整備を図り、また、自動車損害賠償保障制度については、物価、賃金、賠償水準等の動向に対応し、健全な保険収支確保しつつ保険金額及び支払い基準改定等を行うほか、本制度について、長期的視野に立った総合的な検討を行うことにしております。さらに、交通事故相談活動充実するとともに、交通遺児等に対しても、育成資金等の貸し付けの充実を図るほか学資負担の困難な者に対する援助措置を講ずることにしております。  以上が道路交通の安全に関する重点施策であります。  次に、鉄軌道交通安全対策としては、列車運転高速化高密度化に伴い、今後とも運転保安に関する施設整備更新等を積極的に行い、運転事故の一層の防止に努めることにしております。  次に、踏切道における交通安全対策としては、昭和五十一年度を初年度とする踏切事故防止総合対策を策定して、踏切道立体交差化構造改良及び踏切保安設備整備踏切道における交通規制強化並びに踏切道整理統合の促進を図ることにしております。  次に、海上交通安全対策について御説明いたします。  近年における海上交通の態様の複雑化に対処し、ふくそう海域におけるカーフェリーあるいは危険物積載船事故防止重点を置いて諸般施策推進し、海難を極力減少させるとともに、海難発生時の人命の救助に万全を期するものとしております。  最後に、航空交通安全対策について御説明いたします。  航空交通は今後とも増大し、多様化するものと予想され、また、航空事故は一たび発生すると瞬時にして多数の人命を危うくするものであることにかんがみ、このような事故絶滅を図るため、昭和五十一年度を初年度とする空港整備五カ年計画中心として、諸般安全対策を総合的かつ計画的に推進することにしております。  以上が交通安全基本計画の概要であります。  政府においては、地方公共団体とともに、この基本計画に定める諸施策を一層強力に推進し、交通事故防止に全力を傾ける決意でありますので、委員各位の一層の御支援、御鞭撻をお願いいたします。
  4. 太田一夫

    太田委員長 以上で説明は終わりました。     —————————————
  5. 太田一夫

    太田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野坂浩賢君。
  6. 野坂浩賢

    野坂委員 ただいま総務長官から交通安全基本計画についての説明をいただきました。私は、まず、陸上交通交通安全対策についてお尋ねをしたいと思うのでありますが、現在の車両数というのは大体何千万台ありますか。警察庁交通局長にお願いします。
  7. 勝田俊男

    勝田政府委員 二千八百万台でございます。
  8. 野坂浩賢

    野坂委員 そのうち白と青とを分けてどういうぐあいになりますか。——後で答えてもらいます、時間がありませんから。白は大体千六百万台ぐらいあるじゃないですか。見てください。  いま総務長官からお話がありました第二次の基本計画でありますが、従来にもまして交通安全対策を総合的かつ強力に推進する、だから四十五年のピーク時の半減にしてみせるということであります。私は五カ年間にはなるだろうと思いますが、絶対なる、でき得るという確信がありますか、総務長官
  9. 植木光教

    植木国務大臣 ただいま申し上げました交通安全基本計画が強力に推進をせられますならば、私どもとしてはこの目標を達成できると存じおりますし、またしなければならないという決意でございます。
  10. 野坂浩賢

    野坂委員 そういたしますと、五年後には半分にするという場合には、死者は一万六千八百人の半減になるわけです。これに伴ってその他の事故減少すると思うのでありますが、その際には、いまの二千八百万台という自動車は、大体どの程度になっておりますか。
  11. 勝田俊男

    勝田政府委員 一応三千七百万台ぐらいになるのではなかろうかという推定のもとに計画を立てております。
  12. 野坂浩賢

    野坂委員 そうしますと、まことに申しわけないのですが、運輸省関係を私は呼んだつもりだったのですけれども総務長官でも勝田さんでも結構ですから、五年後には三千七百万台になるとすると、自動車総量というものは、現在の道路計画とにらみ合わせて、どの程度が適当だとお考えでしょうか。
  13. 植木光教

    植木国務大臣 過去五年間も御承知のように車が増大してまいりまして、それに対処して五カ年計画を遂行してきたわけでございます。車の伸びといわば競争する形で交通安全対策をとってきたわけでございます。  これからの五年間は、ただいま御指摘のように、総量規制というものとあわせ、事業推進に努めてまいらなければならないと存じているのでございまして、ただいま総量規制部会がいろいろ検討をしているところでございますが、たとえば御承知のように、バスレーンをつくりましたり、あるいは駐車規制というものを強化いたしましたり、あるいはまた大量輸送機関であります電車等活用を図るというようないろいろなことを、関係省庁が現に実施いたしますとともに、これからも引き続いて衆知を集めまして、対策を確立しつつ努力をしていかなければならないと考えております。
  14. 野坂浩賢

    野坂委員 総務長官、私はわかったようでわからぬのですがね。簡単にお聞きしますけれども、大体いまの道路にいまの自動車でどの程度が限度か。三千七百万台なのか、一億台なのか、その辺はどうでしょう。わかりませんか。
  15. 井上孝

    井上(孝)政府委員 お答えになるかどうかわかりませんが、私ども道路整備に当たりましては、将来の自動車交通需要想定して実施いたしております。昭和六十年に三千九百万台という想定道路整備計画を立てております。御承知のように、ここ数年間、総需要抑制等でこの目標に対して計画どおり道路整備が進められてはおりません。したがいまして、現状自動車が非常に過大と申しますか、むしろ道路整備がおくれておるというふうに私ども考えておりまして、計画といたしましては、基本的には六十年三千九百万台を目標として整備を進めるという考えでやっております。
  16. 野坂浩賢

    野坂委員 いまは二千八百万台で、五十五年には三千七百万台で、六十年には、五年の伸びが二百万台しか伸びませんか、この調子なら。どうでしょう。これは五十一年から五年間では約九百万台伸びて、後の五年は二百万台ですか。大体そういうサイクルになってきますか。
  17. 井上孝

    井上(孝)政府委員 いまの道路整備の第七次の計画を立てましたのは、実は昭和四十八年で、ですから実際には四十七年の実績をもって立てておりますので、先ほど交通局長が申し上げました五十五年三千七百万台というのとは想定数字が合っておりません。私どもの、六十年三千九百万台のときには、中間年次昭和五十五年は三千二百万台程度というふうに考えておりまして、何といいますか、計画想定の時期のずれによりまして若干数字が変わっておりますが、これは調整する必要があると存じております。
  18. 野坂浩賢

    野坂委員 総理府交通安全対策室というのがあって総合交通体系検討されるわけですね。そうしますと、いまのは昭和四十七年で現状と合わないというお話があるわけです。交通局長お話だと三千七百万台になると推定されるというのは、いつごろの積算の根拠でこうなるわけですか。そうしないと、それぞればらばらで、道路行政昭和六十年は三千九百万台になると言われておるし、交通局の方は大体この伸びでいけば四千四百万台程度になるだろうということになれば、交通安全対策室というのはどういうことになるのですか。調整、そういうことをやっておるわけですか。
  19. 室城庸之

    室城政府委員 お答え申し上げます。  向こう五カ年間の交通安全基本計画を立てるにつきまして、当然その基本になります諸般の諸元を検討いたしております。私どもといたしましては、専門の先生方にいろいろ材料を提供いたしまして、五年先における交通事故状況というものを一応想定するわけでございます。その一つの要素として車の台数あるいはドライバーの数あるいは道路整備状況といったようなものを素材に入れていくわけでございますが、これにつきましてはいろいろ条件設定をいたして、こういう場合にこうというふうな作業をいたしておりまして、その中で、一応いろいろなアローアンスもある中で、こういうやり方をやっていけば少なくとも毎年五%というふうな方向で五年後に死者半減ということば達成可能であるという数値を得ておりますので、このような計画を立てたわけでございます。したがって、その条件設定仕方等によりまして、いろいろの数字が出てまいりますことは御承知いただけると思いますけれども、ただいまちょっと手元にその数字を実は持ってまいっておりません。後ほどまた提出いたしまして、御検討に供したいと思います。
  20. 井上孝

    井上(孝)政府委員 私、先ほど言葉が足りませんで申しわけありませんでした。私どもが立てております道路整備五カ年計画、それの根拠を申し上げまして、少し古い数字を申し上げたわけですが、今回の交通安全施設の五カ年計画、これはこれから策定するわけでございます。先ほど交通局長が答弁いたしましたとおり、五十五年三千七百万台というベースで今回の交通安全施設計画調整して策定をいたしております。
  21. 野坂浩賢

    野坂委員 いろいろお話は承ったわけですけれども連絡調整を十分にして、自動車の将来の展望なりあるいは安全対策についての数字的なものをぜひ示していただきたいと思います。  それでは、警察庁の方にお尋ねしますが、勝田さん、この間あなたのところは一割規制というものを出しましたね。現状でもやはり一割規制すべきだというわけですが、その根拠は何ですか。
  22. 勝田俊男

    勝田政府委員 昨年例の排気ガスの問題で、排気ガス規制が延びる、その分を自動車総量削減することによって環境基準の達成に協力すべきである、そういったことで、交通総量削減につきましては政府としてもいろんな機関委員会を設けて検討されているわけでございますが、警察として交通規制という見地から自動車の実際の走行台キロを減らすことが可能かどうかということを検討したわけでございます。そこで特に交通状況の過密である指定都市都市について何らかの形で交通規制強化していくならば、実際の走行台キロを減らすことが可能ではなかろうかということで、各府県を招集しまして各府県にそれぞれ計画を出させたわけでございます。  実は、実際に活動するために交通需要というものがあるわけでございますから、その交通需要を抑えるということになると社会活動なり日常生活に大変な影響が出る。そこでそうした交通需要を満たしながら、しかも実際に走る交通走行台キロを減らしていこう。だから人キロなりトンキロを減らさずに台キロを減らしていこうということでございます。  そういった面では、やはり大量輸送機関をできるだけ活用していただくようにいたしたい。マイカーからバスへの転換というようなことが中心になるわけでございますが、それ以外に自転車活用とかタクシーとか、それから一般の貨物でも空車走行が大変に多い。そういったものについてもう少し効率的な走行ができるようにできればいいんじゃないか。それを規制の面から担保していく、そういった意味で都心部における駐車規制強化をしていこう。バスについては、利用しやすいように専用レーン優先対策強化していきましょう。建設省とも協力いたしまして、自転車整備とか自転車通行できる道路、そういったものについても強化をしていこう。タクシー乗り場も、運輸省とも御連絡をとって整備をしていこう。一般の業界にも御協力を得て、配送の合理化考えていきましょう。そういった施策を講じていきますと、それがうまくいけば大体一割程度削減が可能じゃなかろうか。そのほかに排気ガス対策と言いますと、車の停滞が多いと排気ガスが多くなるわけであります。したがって、交通量をできるだけ適正化していこう。そういった面で交通管制センター機能というものについて、さらにその機能が十分発揮できるような方策考え交通量適正化によっても排気ガス量を減らしていこう。そういった施策を全部達しますと、一〇%ぐらいの削減が可能じゃなかろうか、そういったことで、いま努力をしているというような現状でございます。
  23. 野坂浩賢

    野坂委員 その一割は大体概数ですね。理論的な根拠があるわけじゃないようですね。それは総量の問題と関係がありますから、警察庁がいままで勉強してこられた経過を文書で出してください。委員長、お願いします。  それから、この間あなたのところは二千人交通警官増員されましたね、そうですね、今年度。
  24. 勝田俊男

    勝田政府委員 今回増員されました警察官全員として五十一年度二千人の増員ということを認められたわけでございまして、そのうち交通警察官増員は三百六十人でございます。
  25. 野坂浩賢

    野坂委員 それはどういうふうな配分ですか。
  26. 勝田俊男

    勝田政府委員 主として交通関係負担の非常に重いところ、それから新しい交通需要があったところ、特に高速道路が延長されてきて、そこに対しての高速道路管理体制強化していく必要があろう、そういった府県配分をいたしたわけでございます。
  27. 野坂浩賢

    野坂委員 総務長官は、全国的、全県下的に見て大体どういうところに事故発生をしておるというふうに承知をしでおられ、それを具体的に措置をされておるでしょうか、五カ年計画全般事故絶滅に向かって、どうでしょう。
  28. 植木光教

    植木国務大臣 たとえば東京都内というようなのは御承知のように減少を続けておりまして、むしろ大都市中小都市を結びます幹線道路、言いかえますならば都市周辺からずっと中小都市に向かって道路交通事故が起こっているという現象でございます。
  29. 野坂浩賢

    野坂委員 そのとおりでして、五十一年の三月にもらった官報の資料を読みますと、非常に事故がふえておりますのは青森と富山と岐阜と三重とわ県鳥取県と佐賀県、こういうところが事故数が多くなっておるわけなんです。やはりこういうところに予算をよけい配分してもらわぬと、いや人間がふえたところには警察官をやるとか大都市にやるということになると、事故のあるところと関係のないそういうところにばかり集中をしておるというきらいがあるわけですよ。交通を今度は速めるという方に力点が置かれるようなことで交通安全対策にならぬじゃないかとこの表を見ただけで直観的に思うわけですが、それらの点については十分留意して今後の対策の確立を総理府が全関係省庁に呼びかけて措置をしてもらえますでしょうか。
  30. 植木光教

    植木国務大臣 私は、いまここに出席をしておられます各関係省庁交通問題の責任局長に時折お集まりをいただいて、私自身がいろいろ情報の交換をいたしましたり施策の立案についての協議をしているということもございますが、また交通安全対策室ではその調整をしているのでございます。ただいま御指摘のように交通事故がむしろ大きな都市よりも、ずっと幹線道路が延びておりまして、また僻村等にも新しい道路整備される、こういうかっこうになってまいりまして、これらの地域においての自動車事故というものがふえている。もちろんその事故原因といたしましては、非常にスピードを出し過ぎますとか、あるいは酒飲み運転がありますとかいろいろな原因もあるわけでございますけれども、今後五年間の計画におきましては、いまの御指摘がありましたような点に力を置いて事業推進すべきであると考えております。
  31. 野坂浩賢

    野坂委員 事故はことしは去年よりも減りますか、あるいは交通違反というものは皆さんの指導により、警官増員もされるわけですから減ってくる、こういうふうに確信をしておりますが、そのように理解できますか。
  32. 勝田俊男

    勝田政府委員 現在までのことしに入りましてからの交通事故状況を申し上げますと、昨日現在で昨年に比べましてマイナス三百人でございます。マイナス八%をやや上回っている。これからの景気の動向とかそういったものがいろいろ交通事故には影響してまいると思いますが、昨年に比べてわれわれの目標としているものは何とか達成をしたいというふうに考えているわけでございます。  事故全般的に言いますと、重傷事故死亡事故を上回る程度減少をいたしております。ただ、件数それから負傷者は横ばいないしやや増加ということでございますので、必ずしも楽観できる情勢ではないと思います。しかし、今後ともに関係省庁とも力を合わせまして、事故減少、それから遠反もできるだけ、これは取り締まりもございますが、安全教育の面も大いにあると思います、そういった面にも力を入れていきたいと思います。
  33. 野坂浩賢

    野坂委員 違反件数はどうですか。
  34. 勝田俊男

    勝田政府委員 現実の取り締まり件数は昨年に比べて増加をいたしております。
  35. 野坂浩賢

    野坂委員 違反が多いということは、事故につながる可能性が強いということじゃないですか。そうすると、それぞれ諸施策がこれから進みますけれども、そういう違反も少なくなり事故も減る、こういうことがことし一年に達成できますか。
  36. 勝田俊男

    勝田政府委員 違反の関係は、取り締まり件数が増加したということは、やはり監視力、これが強化をされた、その結果として将来にわたって違反が少なくなるであろうということでございまして、取り締まり件数がそのまま違反の件数であるとは残念ながら言えない。それだけ取り締まり力が及んでいないという状況かと思いますが、体制強化されることによって監視力が強化され、違反も減少し、事故減少にもつながっていくのだろうというふうに考えます。
  37. 野坂浩賢

    野坂委員 そういう監督機能強化をされ、教育もしょっちゅう運転者等を集めてやられるわけですから、違反も少なくなる、違反が少なくなれば事故もなくなる、こういうことだということでありますが、交通安全対策特別交付金というのは、いわゆる違反の件数が上がって銭がよけい入る、違反件数が多いという予算が組んでありますね。あなたがいまおっしゃったこととちょっと変わった予算ですね。ことしの予算は四百九十八億三千七百万ですか、こういうことだと思うのです。去年よりも、四百九十五億九千五百万よりもふえた予算が書かれておるわけですね。この予算措置事故、違反はふえるということになるのじゃないですか。
  38. 勝田俊男

    勝田政府委員 反則金が特別交付金として配賦をされるということでございますが、その反則金の交付は、過去の取り締まり、過去の実績、それに基づいて配賦されるのでございまして、本年の件数の見通しということではないわけでございます。いずれにしましても、この反則金につきましては自治省の方で一応配分考えて、県なり市町村等の交通安全施設に使われるということでございます。
  39. 野坂浩賢

    野坂委員 小さなことですけれども、歳入欠陥になる可能性はあるということですか。
  40. 勝田俊男

    勝田政府委員 いわば過去の実績に基づいての数でございますので、そういうことにはなるまいというふうに考えております。
  41. 野坂浩賢

    野坂委員 でも、私たちが事故をやりますとすぐ切符を書いてもらって何月何日払え、こういうのが予算として組んであるわけでしょう。そしてそれを皆各府県に交付金としておろすわけでしょう、違反の分を。ことしの分でしょう、これ。ことし違反するであろうと思うものじゃないですか。予算としては去年の実績だけれども、ことしはこれが実績になる。だから、あなた方の努力によってこれは減りますから、歳入欠陥は必ず生じなければならぬじゃないですか、こう言っておるわけです。
  42. 勝田俊男

    勝田政府委員 ことし歳入欠陥になるかどうかということでございますが、監視力も強化をされておりますし、違反の実態が現在なかなかそう簡単には減らないという状況でございますので、過去の実績その他から見て自治省ともよく相談をして決めた額でございまして、歳入欠陥になるようなことはなかろうかと思います。
  43. 野坂浩賢

    野坂委員 こういう質問をいつまでしておったってしょうがないですけれども、本当は歳入欠陥になる方がいいのですよ。だから去年の実績ということを余り言わないで、やはりことしを展望して自信を持つからには、実行できる予算を組んでもらわなければならぬと思う。そうせぬと、たとえばいま自動車総量は、建設省は三千九百万台だと言うし、あなたの場合は四千四百万台だというようなかっこうになってくれば、もう調整つかぬですね。だから自信ある予算をつくってもらいたい。歳入欠陥が望ましい、そうなるであろうと期待をして、この質問は一応終わります。  次に、建設省にお伺いいたします。  今度の第二次基本計画でいろいろとやる。第七次の道路整備五カ年計画で進めていくのだが、交通安全施設に対して歩道その他は非常に努力をするということでしたけれども道路というのは大体百万キロありますね。歩道は何万キロあるわけですか。
  44. 井上孝

    井上(孝)政府委員 実延長で三万九千キロでございます。
  45. 野坂浩賢

    野坂委員 百万キロに対して四万キロですか。これはもう交通安全施設大盤石だ、こういうことにはならぬようじゃないですか。どうです。
  46. 井上孝

    井上(孝)政府委員 百万キロという道路の延長は、道路統計上の延長でございまして、道路法上市町村道に指定されたもの、都道府県道に指定されたものというような指定行為の結果の延長でございます。その中には車の通らないような道路もたくさんございますし、未開通の、車どころか人も通れないようなところも統計上入っております。したがって、私どもはこういった交通安全施設整備計画を立てます場合には百万キロを対象にしておるのではございませんで、むしろ将来にわたって一体日本には自動車が通れる道路が何キロぐらい必要なんだろうというような観点から言っておりまして、私どもが今回の五カ年計画を作成するに当たりまして、現在の道路の中で歩道が必要だと思われる道路の延長は九万七千キロというふうに踏んでおります。したがいまして、九万七千キロのうち先ほど申しました約四万キロが歩道ができて、あとは歩道が必要であるがまだつくってない、こういう数字でございます。
  47. 野坂浩賢

    野坂委員 自動車が通れるのは何キロぐらいが必要かということを検討されたそうですが、それは何キロ必要なんですか。
  48. 井上孝

    井上(孝)政府委員 これは第七次五カ年計画を策定したとき、数年前にいろいろと将来の交通需要から算定いたしまして、自動車の通る幹線道路として四十一万キロ整備する必要があるという考えに立っております。
  49. 野坂浩賢

    野坂委員 そうすると、自動車が通るのですから、四十一万キロに歩道を考えてやらなければだめじゃないですか。
  50. 井上孝

    井上(孝)政府委員 ただいまの四十一万キロの中には、いわゆる自動車専用道路がわずかでございますが入っておりますし、それから山脈を横断するような山道もございます。私、先ほど歩道が必要であると言いましたのは、人家が道路のわきにある、また、時たまきこりが通るというようなところは歩道は要らぬと思いますが、ある程度以上の歩行者考えられるというところを績み上げますと九万七千キロ、こういう数字でございます。
  51. 野坂浩賢

    野坂委員 大体九万キロ程度あれば自動車事故というのは大分減少するでしょうね。それで、その歩道が九万キロに達するのはいつになりますか。
  52. 井上孝

    井上(孝)政府委員 現在各地方から集めておりますが、今度の五カ年計画、補助事業で五千七百億、地方単独事業で四千三百億という計画が私ども想定どおりであるといたしますならば、この五カ年計画で九万七千キロのうち約七〇%に歩道が設置できる、こういう考えでございます。一〇〇%にはしたいのですけれども、ちょっと五カ年では無理かと思います。この次の五カ年ぐらいでは達成できるのじゃないかと思っております。
  53. 野坂浩賢

    野坂委員 建設省側はそう考えていらっしゃるけれども、警察なり総理府の方はそう考えていないかもしれません。質問時間がもうなくなりますから、それはもう一遍検討してほしいと思いますが、四十一万キロあれば自動車事故がないように走る。自動車が四千万台程度になる昭和六十年になると事故はだんだん少なくなって、事故率は、一万六千八百人が大体八千人程度に五年後にはなるし、十年すれば四千人になる。四十一万キロ自動車道路があれば大丈夫なものですか。四十一万キロの道路自動車が走るのですか。それは四千万台になり、一キロに一台ずつ走っておるという計算になります。しかも六十キロのスピードで走ると、いま総量規制の段階までまだいっておりませんが、受けざらしとしてはそう簡単に入ってこないという計算になりませんか。どうでしょう。
  54. 井上孝

    井上(孝)政府委員 私は先ほどから先生の御質問にお答えして、今度の五カ年計画の中で歩道の設置についてのみ数字を挙げてお答え申し上げましたが、これは歩道設置によりまして歩行者自転車をなるべく自動車から分離して事故を減らそうということでございますので、私が申し上げましたような歩道整備が完全に達成されましたならば、歩行者自転車事故自動車にやられるという事故目標を達成できると思いますが、その他のことはまた別の施策によるということだと思います。
  55. 野坂浩賢

    野坂委員 自動車の流れをよくしなければなりませんし、信号ばかりがいいわけじゃないですからね。急ぐんだったら歩いてくれということでは自動車の意味がないわけです。信号よりも歩道橋がいいとか、汽車の場合は跨線橋の方が非常にいいじゃないか、事故も少なくなるじゃないかということですが、井上局長、歩道橋の予算は、ことしは去年よりも少なくなっておりますね。歩道橋も歩道も全力を挙げてやって、交通安全の目標達成に死力を尽くしますということが建設大臣の所信表明に書いてありますが、裏づけはないじゃないですか。
  56. 井上孝

    井上(孝)政府委員 歩道橋の予算は前年より減りましたが、実は地下横断歩道の方はふえております。先生は御承知と思いますが、交通安全施設の緊急整備は三カ年計画をもって昭和四十一年から始まりました。一番初めに私どもが一番力を入れましたのが横断歩道橋でございまして、横断歩道橋は御承知のように全国相当行き渡りました。むしろ最近は歩道橋の要望が少なくなりまして、横断施設としては地下横断、地下の方が使いやすいということから地下の要望がふえてまいりました。予算上は歩道橋は減らして地下横断をふやす、こういう関係になっております。
  57. 野坂浩賢

    野坂委員 よくわかりました。  私は先ほど言いましたように、いま事故の多い県は、青森県や富山県や岐阜県や、わが鳥取県や佐賀県ですよ。非常に多いのです。だから、このところに目を向けてもらわなければ困るのですと言っておるわけですから、その辺の配意も、建設省としては、竹下さんは私の隣ですから、あそこも過疎県ですから、よく大臣と相談をして、今後善処してもらうようにお願いをしておきます。  それから、いまお話があったように、歩行者自転車の保護を図っていくというお話がございましたが、それらについては、自転車道というのはこの五年間に大体どの程度進みますか。
  58. 井上孝

    井上(孝)政府委員 今度の五カ年計画、これはまだ地方から積み上がっておりませんが、私どもの見込みでございますが、自転車道は六千二百キロつくろう、こういう考え方でございます。それから、今回の特定交通安全施設整備事業ではなくて、道路を新設、改築する際にも自転車道をつくってまいりますので、向こう五カ年間にそちらの方で九千キロ、この特定交通安全で既存の道路自転車道をつけますのが六千二百キロ、地方単独事業で三千二百キロ、合わせて一万八千四百キロばかりを計画としては想定いたしております。見込みでございます。
  59. 野坂浩賢

    野坂委員 よくわかりました。  それで、通称道路百万キロ、自動車の通れるのは四十一万キロ、歩道が必要なものは九万キロ、こういう御説明がございましたが、問題は、いまも総務長官お話しになったように、買い物に行く遊歩道でもつくろうかという時勢でございますから、最近子供たちが遊ぶところがなくて道路で遊んで、スケートみたいなもので踏むのを盛んに乗っておって危ないなというふうにさえ思うのですけれども、こういう生活道路的なものの整備を急ぐ必要があるではないか、そしてまた、道路で遊んでおる居住地区の密集地帯については公園等をもっと整備促進をする状況に今日あるではないか、こう思います。したがって、それの対策と今後の計画を伺いたいと思います。
  60. 井上孝

    井上(孝)政府委員 生活圏内の道路につきましては、先生のおっしゃるとおり、自動車を通すというよりも、むしろ安全な子供通行あるいは遊び場として利用されるということが非常に多うございます。総務長官の先ほどの基本計画にもございましたように、今後、警察関係、公安委員会等と道路管理者は十分相談をいたしまして、道路の使い方によっては、自動車は一方通行にする、あるいは車両乗り入れ禁止にして安全な生活道路確保するというような施策を、十分連絡をとりつつ推進をしていく方針でございます。  また、通学、通勤等で歩行者あるいは自転車の専用道路というものも、今度の五カ年計画では私ども考えております。従来も若干やっておりましたが、その採択基準を拡大いたしまして、たとえば小学校へ通学する道路は、親にとってみますれば、たとえ近道でも危険な道路を通るよりは、少し迂回しても歩行者自転車の専用道路みたいな安全な道路を通したいという御要望が非常に強うございます。そういった要望を受けまして、これからの五カ年、できるだけ通学、通園路を優先的にして、歩行者の専用道路をつくってまいりたいと考えております。
  61. 野坂浩賢

    野坂委員 ざっと終わりまして、次は、大蔵省保険部長にお尋ねします。  いま総務長官が、お話しいただきました「自動車損害賠償補償制度については、物価、賃金、賠償水準等の動向に対応し、健全な保険収支確保しつつ保険金額及び支払い基準改定等を行うほか、本制度について、長期的視野に立った総合的な検討を行う」、こういうことが書いてあります。保険をやる場合には、保険会社がとる保険料は、手数料は、たとえば契約手数料というのがありますね。代理店手数料というのがありますね。それから事故をやったときの査定費用というものがありますね。大体こういうものを三つにして、一件どの程度利益があるようになっておるわけですか。
  62. 山橋敬一郎

    ○山橋説明員 自賠責保険につきましては、先生御承知のとおり、純保険料、いわゆる危険保険料に属する部分と、それからいろいろな経費を賄う付加保険料の部分がございます。現在の保険料構成の中で、その危険負担に相当するいわゆる純保険料の部分は八五%でございます。そのほか、経費を賄うところの付加保険料部分は一五%でございます。なお、自賠責保険につきましては、ノーロス・ノープロフィットでございますので、利潤を見込んでおりません。そういう構成になっております。
  63. 野坂浩賢

    野坂委員 自賠責は利潤を見込んでいなくて、運用益で出てきたものは、赤字があればそれで埋めたり、黒字が出れば給付したり、こういうかっこうになっておりますね。  それで、任意保険というのは利潤を考えておりますか。
  64. 山橋敬一郎

    ○山橋説明員 任意保険につきましては、料率算定の段階におきまして、おおむね五%程度の利潤を見込んで計算がされておりますけれども、現在、経費の増高によりまして、必ずしも五%の利潤は確保できている状態ではないという状況でございます。
  65. 野坂浩賢

    野坂委員 何%確保していますか。
  66. 山橋敬一郎

    ○山橋説明員 いま手元に数字がちょっとございませんので、感触で申し上げて申しわけございませんが、契約ベースで考えますと、現在黒字は出ていないというふうな感触を実は私は持っております。
  67. 野坂浩賢

    野坂委員 その資料を、各社に当たって私に提出してください。  それから、前に責任準備金の明細表、運用益と赤字部分の内容を各社ごとに出すことを要求しておりますから、あわせてお願いしておきます。  それから、交通事故をやりますと、話し合い、示談成立がおくれますね、後遺症その他がございまして。総務長官おいでですが、総理府が出しております交通白書を読んでみますと、保険金というものは三百万、五百万、千万、千五百万、こういうふうになっていますね。四十八年の場合は一人当りの平均示談額というのは三百万円の六百五十三万円ですね。三百万ありますから、三百五十三万ですね、任意保険の方は。五百万になったときには平均示談額は八百三十九万、五百万引きますと三百三十九万で前よりも、三百万のときよりも任意保険の場合安くなっているわけです。今度一千万になったときには千四百七万で若干上回っております。これが大体任意保険に二千万とか三千万とか、パーセントは後からお尋ねをするとして、自賠責の上積みになりますから出し分は満額出さないわけですね。そういうことになりますね。  この傾向からすると、任意保険は全然もうかっていないということですけれども、全部二千万なら二千万払うものとして保険料計算をする。いままでの実績でありますから、あるいは保険料を下げておるかもしれませんが、そういうかっこうであると、側目で見て、外から見て非常に任意保険は満配をしていない。ただこれだけの示談成立であって、保険会社が出さないところを本人が負担しているところだってあるわけですから、これについての任意保険の利益はあるのじゃないかというふうに私は思うのですが、いまないとおっしゃいますが、白書の統計からいってこれらの関係はどういうことなのでしょう。
  68. 田中哲男

    ○田中説明員 ただいまの先生の御質問でございますけれども、任意保険の料率算定におきましては、御承知のように、どのくらいの事故頻度が起きるかということが一つと、事故が起きた場合にどのくらいの料率が支払われるかというようなことで計算されているわけでございます。したがいまして、例として挙げられました、たとえば千万の賠償責任保険の料率と二千万の料率とを比べますと、二千万の方が倍ではなくて、ずっと安くなっておるわけでございます。先生のおっしゃいましたように、上積みになるに従って払うものは少なくなる、それは御指摘のとおりでございまして、したがいまして、任意保険の料率につきましても自賠の限度額が上がるたびごとに改定をいたしまして、その下がる部分を下げるということをやっているわけでございます。  このやり方には二つございまして、前回までは下げのやり方でやったわけでございますが、今回は下げよりも担保範囲を広くした方が被害者、契約者の方の御便宜になるのではないかという考えがございまして、下げるだけではなしに、自損事故を入れるとか、あるいは家庭用自動車保険の場合には無保険車の場合に自分の保険からもらえるというふうな条項を入れるような形にいたしまして、料率の調整をしてきているわけでございます。
  69. 野坂浩賢

    野坂委員 一応わかりました。  自賠責保険について六割は運輸省の方に再保険するわけですね。あと四割をやっておりますね。この滞留資金の運用益について聞いてみたいと思うのです。  この運用益といいますのは、責任準備金を積んでおってぶつかったら、事故があったらそれを払う、それまで積んでおる。それの利息というものですか、利息は大体幾らで計算しておるのですか。
  70. 田中哲男

    ○田中説明員 利息の計算といたしましては、毎年保険会社の資産の運用の利回りを計算いたしまして、これは各社別に若干差がございまして、運用のうまいところは高く、運用のさほどうまくないところは低く出ておりますが、その平均をとっております。最近の例で申し上げますと、五十年度はまだ終わったばかりでございますので、計算されておりませんが、四十九年度の運用利回り八・三五%でございます。
  71. 野坂浩賢

    野坂委員 わかりました。そうすると、八・三五%に回していかないものはそれよりも損をするし、損保協会で集約して八・三五という平均値を出しておれば、運用のうまいところはもうかるし、下がったところはそれだけ損する。八・三五を基準にすれば、そういうことになりますか。
  72. 田中哲男

    ○田中説明員 おっしゃるとおりでございますが、運用としましては協会集約ではございませんで、各社個別に運用しているわけでございます。
  73. 野坂浩賢

    野坂委員 そうすると、各社は準備金の中に運用益というものは全部入っておるわけですね。
  74. 田中哲男

    ○田中説明員 生じます運用益は全部自賠責の準備金に積み立てるように指導いたしております。
  75. 野坂浩賢

    野坂委員 その運用益の実態というものはどこが完全に掌握しておるわけですか。損保協会とあなたの方で監督し、じっと見詰めておる、こういうふうに理解してよろしいわけですか。
  76. 田中哲男

    ○田中説明員 毎年の数字を見まして生じた運用益を準備金に積ませまして決算を見ておるわけでございます。
  77. 野坂浩賢

    野坂委員 そうすると、全体どの保険会社もあなたの方の手のうちに全部わかっておるという理解になりますね。そうですね。  そうすると、総務長官の話だと、保険収支確保しつつということになりますが、ことしはいわゆる運用益でもうかっていないと保険部長がいま答えられたのですが、それでばらして赤字を補てんするという考え方なんですか。
  78. 山橋敬一郎

    ○山橋説明員 お答えいたします。  運用益の使い方につきましては、先生すでに御承知のとおり、保険審議会におきまして保険収支の改善に充てるほか、交通対策あるいは交通事故の被害者の救済等に充てるというふうなことが審議会の答申において定められているわけでございます。  先ほどちょっと御説明申し上げましたように、自賠責の収入保険料につきましては、いわゆる危険負担の純保険料部分と、それから経費を賄うところの付加保険料部分があるわけでございまして、この付加保険料部分につきましては、先生御承知のとおり実は四十四年以来各社が相当の赤字を累積をしておるわけでございます。四十九年度分までに約百八十三億という実は赤字が累積をしてきているわけでございます。  こういうふうな状態でございますので、この際ノーロス・ノープロフィットの原則に従いまして、プロフィットも与えないかわりにロスも与えない、こういうふうな考え方から四十九年度分までの赤字につきましては、その額につきまして査定を行いまして、認容すべき分と認められる額につきましては運用益を取り崩しをいたしまして、その社費の赤字を埋めることを承認をいたしたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  79. 野坂浩賢

    野坂委員 時間がありませんので、またの機会に譲らなければならぬのですが、今度、いまは運用益が幾ら出て、今日の時点赤字は幾らで、そういう点ちょっときちんと教えてください。
  80. 山橋敬一郎

    ○山橋説明員 お答えいたします。  五十年度の数字はまだ実は決算が済んでおりませんので、わかりませんので、五十年の三月三十一日現在の運用益の残高でございますが、これは二百六十六億九千万でございます。五十年度中に発生するであろうと見込まれる運用益でございますが、これはまだ推計でございましてはっきりわかりませんが、百三十億ございます。ただ五十年度中に支出したものがございまして、この支出したもの並びに支出する見込みのものも合わせまして、あるいは発生額からその支出を引きまして、大体五十一年度の三月末の残高は約百九十三億になるであろう、こういうふうな推定を実は現在のところしております。
  81. 野坂浩賢

    野坂委員 赤字は……。
  82. 山橋敬一郎

    ○山橋説明員 先ほどの社費の赤字補てん見込み額は百六十五億、こういうふうに見ております。
  83. 野坂浩賢

    野坂委員 会社にそういうものを準備金で積み立てておくわけですが、剰余金も出てくるわけですね。剰余金ということはあり得るわけですね。そうすると損害保険料率算出団体に関する法律の十一条に、剰余金の払い戻しに制限してはならぬと書いてあって、払い戻ししてもよくなっておりますね。払い戻しをした経緯がありますか。——時間がありませんから、後でまた答えていただきます。  問題は、保険部長、こういうことを聞いておいてください、いままでのは前段ですから。いま総務長官警察庁交通局長井上道路局長から積み上げていきますと、自動車はどんどんふえます、前にも言われましたけれども事故はなくなります。そしてことしはそういうかっこうで社費の問題と運用益との問題で一遍整理をして、新しい段階で保険収支考えながら料率改定なり保険金額というものを考える、こういうお話ですから、それを受けてやってもらうと、方向としては事故は減るし自動車はふえる。任意保険も自賠責はふえる。だから、保険金額を上げるか保険料率を下げるか、こういうふうになります。どちらをおとりになるかということと、任意保険というものは会社ももうかっていないということになれば、このものを思い切って自賠責に積み上げて、一元化したらどうかということを提言をいたしますが、それについての御見解を承っておきたい。
  84. 山橋敬一郎

    ○山橋説明員 自賠責保険の限度額の問題につきましては、先生すでに御承知のとおり、昨年七月に死亡につきまして千五百万という回答を行ったところでございます。基本的には、先ほど来のお話のように、事故の動向あるいは賃金、物価の上昇ぐあいあるいは実際の裁判例、こういうものを考えながら今後検討を進めてまいりたいと思っておりますけれども、現時点におきましてどのような方向で改定するかというふうな問題につきましては、いま申し上げました基本的ないろいろなデータを検討いたしまして判断をすることになろうかと思います。運輸省を初めといたしまして関係各省庁とよく連絡をとりまして、被害者保護の一層の充実に務めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  85. 野坂浩賢

    野坂委員 私が言っておりますのは、総務長官関係省庁を代表して、保険問題に触れて、賃金、物価上昇、賠償の実態、そういうことと保険収支の実態等を踏まえてことしはやるんだ、こうお話しだったので、それならばそれに対応して大蔵省も十分検討し、ことしは改定があるだろう、この趣旨説明からしてこう判断しておるわけです。だから、おやりになるならその資料等はすでに収集の段階に入って、方向としては考えられるだろう、だから保険料率を下げる。普通ならば会社の運用益その他の剰余金が出た場合は、物を寄付するよりも保険料率を下げろというのがこの法律の趣旨です。しかし社会情勢の問題もございますし、また効果論等もありますから、われわれはそれについてはとやかく言うものではありませんが、とりあえず保険金額を本年度は上げたらどうか、簡単に言うとそういうことなんですが、ことしじゅうその方向で善処していただけますか。
  86. 山橋敬一郎

    ○山橋説明員 先ほど申し上げましたように、保険金額の引き上げにつきましては、賠償水準の動向とか種々の要素、従来の保険金額の引き上げの段階においても、そういうデータをもとにしていろいろと議論あるいは検討した上で実現を見ておるわけでございます。したがいまして、今後裁判例等の賠償水準の動向あるいは先ほどの総務長官からのお話等の趣旨も踏まえまして、そういうデータを十分検討した上で被害者保護が十分手厚くできるような方向で考えていきたい、こういうふうに思っております。
  87. 野坂浩賢

    野坂委員 時間が参りましたので、航空局の方においでをいただいておりますが、質問をしなくて大変御迷惑をかけたと思います。この次ゆっくりトライスターの問題について質疑をしたいと思っております。わずかやって予告編になってもだめでありますから、この次に委員長にお願いをしてやらせていただくということで、私の質問を終わります。
  88. 太田一夫

    太田委員長 次に、紺野与次郎君。
  89. 紺野与次郎

    ○紺野委員 最初に、植木総務長官にお聞きします。  第一次の交通安全基本計画昭和四十六年から五十年度までの五カ年間の計画、これに基づいて安全施策実施されてきましたが、その成果を全体的にどう評価して、その中でのまた弱点として出てきたものがどういうものであったのか、五年間の教訓としてそれが今度の第二次の交通安全基本計画にどういうふうに生かされてきているのかということについてお聞きしたいと思うのです。
  90. 植木光教

    植木国務大臣 御承知のように、交通事故死傷者は四十六年以降減少を続けまして、昭和五十年には四十五年に比べまして死者は約六千人、負傷者は約三十六万人それぞれ減少を見ることができたのでございます。特に歩行者死者数が約三千七百人に減少いたしまして、第一次の交通安全基本計画で掲げました昭和五十年の歩行者推計死者数八千人を半減いたしますというこの目標というものは達成されたと言えると存じます。  しかしながら、なお年間六十三万人もの死傷者を生じておりますこと、また死者のうち、歩行者及び自転車利用者が占める割合が高いということは、依然として大きな社会問題だと考えるのでございまして、第二次基本計画におきましては、ただいま申し上げました歩行者自転車の利用者が安心してできる交通環境及び交通安全対策整備充実していかなければならないという考え方でございます。
  91. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それで、今度の新しいこの計画によりますと、第一番にこういうことを言っているのですね。交通機関原因となる事故防止対策としては、不断の技術開発ということと、その構造、設備等の安全性を高めていくことが要請されるのはもちろんであるが、それとともに、各交通機関の社会的機能や特性に考慮を払いつつ社会的な要求に応じた安全水準を常に維持させるための措置を講じ、必要な検査を実施する体制強化するということを言っておるわけです。  つまり、構造的ないろいろの設備等々、車の問題についてもやはり不断に技術的開発をやって、それで構造や設備の安全性を高めていくということが非常に重要であるということを真っ先に言っているわけです。これはつまり、今度の新しい計画の中で、子供やその他の老人を含む歩行者たち、また、歩道が非常に少ないということや自転車の危険とか、こういうことが言われているわけですが、それとともに、それは非常に重要でありますが、同時に交通機関自体の不断の技術開発ということで、たとえば欠陥車とかこういったものをも安全対策のいろんな設備の改善とともにそういう面についての改善、安全性を高めるということもやはり努力をするのかどうかということについて、最初ちょっとお聞きしたいと思います。
  92. 室城庸之

    室城政府委員 基本計画の中にどういうふうに盛ってあるかということについて御説明を申し上げたいと思います。  この基本計画の中には「道路運送車両安全性確保」という項目を設けまして、その中に「自動車の検査及び整備充実」ということで、「自動車の検査体制充実」あるいは「型式指定制度等の充実強化」あるいは「自動車点検整備徹底等」というような問題を取り上げてございまして、いま先生御指摘の、欠陥車両というような問題につきましては、「型式指定制度等の充実強化」という表題のもとに、「車両の欠陥に起因する事故発生防止するため、新型式自動車安全性の審査については、総合的な安全性確保の観点から審査項目の充実及び審査体制強化を図る。また、自動車製造事業者における品質管理の徹底を図るため、指導監督を強化する。」というような表現でうたってございます。
  93. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それでは具体的にもうちょっと聞きますけれども、昨年の十二月十八日に交通安全特別委員会で欠陥車問題を私が質問したのです。そのときの自動車局の田付整備部長がいろいろ約束をしたわけですが、その後それについてどういうことをしたかというふうな点は何ら報告もないままに、田付さんはいまやめてしまって、そして軽自動車検査協会に行ったんですね。そういうことで、約束が、われわれ十分報告を聞くことができなかったわけですけれども、これについて、去年の十二月十八日の委員会でありますから、その議事録を見てもらえばわかりますが、特にこういう点について次の点について約束をしておられるので、きょうは時間その他もありますので、これらについてはぜひ自動車局の方から、文書でいいですから報告をしていただきたいと思うのです。  その点について、特に三菱自動車工業のT951系の問題なんです。「サービス通報」等々の問題について、メーカーからいろいろ事情を聴取することはやぶさかでないということを言っておりまして、特に8DC2それから6DC2、この自動車の問題についてもっとメーカーから事情を聞いて知らせてもらう。  それからもう一つは、やはり三菱の「サービス通報」というふうな資料について提出をさせて検討する、そしてその検討の結果、処置について慎重に扱うということを言っているわけです。そういうことで、いろいろ欠陥車等々についての「サービス通報」というものを提出させて検討した結果、どういうふうな処置をとるようにしたかという点について聞きたいわけです。  それから、トヨペットコロナのRT100系の欠陥問題で、前輪懸架機構のロアボールジョイントの脱落事故というのが多発しておったのですね、これは北海道の方ですけれども。そういう問題についての調査をしたいと思いますということを言っておりますので、その結果どうであったかということをお聞きしたい。  それから、サニーエクセレントPB110型ですね、これはフロントブレーキホースのひび割れ、損傷が非常にひどいということで、これについてはなお監視を続けていきたい、必要な調査を行いたいと言っているのです。  こういった欠陥車両と目されることについて、姿勢が非常に消極的であったわけですね。それで、これについてはなお調べて返事をする、調査をしたいと言っておりましたから、これをぜひ文書で自動車局の方で出していただきたいと思います。
  94. 犬丸令門

    ○犬丸政府委員 ただいま紺野先生から御指摘のございました昨年十二月の欠陥車問題に関する質問に関しまして、私どもその後御意見のとおり十分調査いたしました。御指摘の「サービス通報」等につきましても、該当する部分を取り寄せまして検討したところでございます。ただいまその結果を簡単に申し上げてよければ申し上げますし、また文書で提出しろということでございますれば文書で提出するようにいたしたいと考えております。
  95. 紺野与次郎

    ○紺野委員 時間がちょっと足りなくなるようですから、文書でひとつよろしくお願いします。  それで、ここでもう一遍植木長官にお聞きしたいのですけれども、この基本計画の中でもいろいろ言っており、また先ほど答弁がありました「道路運送車両安全性確保」というところで、やはり「型式指定制度等の充実強化」によって、メーカー側のいろいろの新車についてもこれから十分検討していくということの趣旨が書いてあるわけですが、私も十二月十八日の委員会において、道路運送車両法をもっとこの際抜本的に見直しをすべきじゃないか、いろいろな欠陥が出ているが、これについての欠陥車のリコール制度、こういうものを完備をするということによって安全性を高めていくというふうに改良をどうしてもすべきであるということを申し上げたわけですが、今度のこの方針に基づいて、道路運送の法律について、こういう抜本的な見直し等、この点での欠陥車のリコールということをぜひ法の中に取り入れるということをしてもらいたいと思いますが、そういうお考えはどうでしょうか。
  96. 犬丸令門

    ○犬丸政府委員 現在、わが国におきますところの自動車安全性確保対策といたしましては、いろいろの法規制があるわけでございまして、まず、安全基準でありますところの保安基準に基づきまして、新しい型式車がつくられました場合の型式指定制度実施しているわけでございます。この型式指定制度におきまして、まず自動車が製作される段階におきますところの安全性を確認をして、これを市場に送り出すということをいたしております。さらに使用過程に入った車につきまして、乗用車におきましては二年ごと、貨物自動車におきましては一年ごとの継続検査を各県等の陸運事務所で実施いたしております。さらに自動車使用者の安全確保義務を明確にいたしますために、自動車使用者に対しまして主要部品につきましての定期点検の実施を義務づけておる次第でございます。また、初めに申し上げました型式指定制度に関連をいたしまして、その十三条によりまして自動車等が製作上の欠陥に基づく事故もしくは保安基準に適合しなくなる危険がある場合には、その対策を立てて運輸大臣に届け出、かつその当該自動車の使用者に対してダイレクトメール等によってそれを通報し、極力早く、対策部品と取りかえる等によりましてそのリコール、交換をやる、これらの制度実施いたしておるわけでございます。  これらの制度全体といたしまして、安全確保もしくは公害防止の効果が上がるように制度全体を運用いたしておるわけでございます。安全対策推進のために、これら制度全体についての充実強化という点におきましては、今後とも一層努力を進めてまいるつもりでございます。
  97. 紺野与次郎

    ○紺野委員 なお長官の御意見を聞きたいのですけれども、その前に、いまのお話で、メーカーが、明らかに欠陥のある部品その他が見つかったという場合には、すぐ部品を交換するとか改めさせるというふうにするといまあなた言いました。それはただでやるのですか、有料でやるのですか。
  98. 犬丸令門

    ○犬丸政府委員 リコールの届け出をいたしましたものにつきましては無料でございます。
  99. 紺野与次郎

    ○紺野委員 では長官に。明らかにそういう場合があるわけですよ。リコールを行うことによって、その欠陥部品の無料による交換、そういうことをする制度をやはりはっきりと制度の上で打ち立てる。いまやると言っておりましたけれども、そういう点での法の強化をしてもらいたいということですが、どうですか。
  100. 植木光教

    植木国務大臣 今回の交通安全基本計画の中で、先ほど交通安全対策室長が申し上げましたように、「自動車の検査及び整備充実」という項目を設け、その中で初めてといいますか、第一次にはございませんでした車両の欠陥に起因する事故に対する方策について私どもといたしましては織り込んだのでございます。したがいまして、関係省庁と十分協議のもとにこの基本計画をつくったことでございますし、この趣旨を実現をいたしますために最大限の努力をいたしたいと存じます。その中で、ただいま御指摘がございましたような法律改正をしなければならないというような、どうしてもそうしなければならないというような状況がございましたならば、私どもとしては十分検討をさせていただきたいと考えます。
  101. 紺野与次郎

    ○紺野委員 では、具体的な問題をさらにお聞きしますが、これは特に視力、目の障害者の交通機関の利用の安全対策についてお聞きしたいと思うのです。  ずっと前の昭和四十九年二月二十日にやはり交通安全対策特別委員会で私が質問して、その中でかなり重要なことがいろいろ政府の答弁であったわけですが、特にその中で、身体障害者の鉄道輸送対策懇談会というものを四十八年の前の年に運輸省でつくった。運輸省身体障害者の代表、国鉄、私鉄代表を入れまして、専門家もいろいろ意見を聞くという形でそういう特別の対策懇談会をつくって、そうしていろいろ障害者のために交通機関が改善されるようにということを検討し始めているということを言われたわけですが、その後この懇談会は存在しているのですか、それとも何回くらい実際にそういうことを会議を開いてやっておられるのか、お聞きしたいと思います。
  102. 横山義一

    ○横山説明員 お答えいたします。  ただいま紺野先生の方から御指摘がございました身体障害者鉄道輸送対策懇談会でございますが、これは身体障害者の鉄道利用に関する問題点とかあるいはその改善策というものについて調査検討するということで、四十八年の十一月に鉄監局長の主催ということで設置されたものでございます。大体その構成は、身体障害者の代表の方が四人、それから学識経験者の方が二人、それから鉄道事業者、これは国鉄、私鉄でございますが四人、それから運輸省側から数名というような構成でできているわけでございます。四十八年の第一回の委員会を十一月にやりまして、そこでいろいろ身体障害者輸送の現状というようなものあるいはそれぞれの関係の皆様の意見交換ということをやりまして、それで第二回の委員会を次の年の十一月に実施したわけでございます。そこでは、前回の委員会の御疑問あるいは問題点というものを再検討するというようなことでいろいろやりまして、それで一応身体障害者団体の方々の御評価も得たというような段階でございます。ただいま先生の御質問でございますが、ただいま存在しているかどうかということにつきましては、ただいま存在しています。
  103. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、何回いままでやったことになりますか。
  104. 横山義一

    ○横山説明員 二回でございます。
  105. 紺野与次郎

    ○紺野委員 二回とはどうも後が続かないということで、もっとたくさんやっていたのかと思いましたが、やっておらない。やはりこれからもこれはぜひ継続してもらいたいということをまず申し上、げておきます。  このときかなりのことが言われているのですね。たとえばこういうことを言っています。盲人について点字ブロックを設置して補導するということをやっていくことについて、単に一、二のモデル駅をするというだけでは意味がないので、これを点をさらに線に広げ、面に広げるというふうに壮大な展望を答弁しておられるわけですね。ですから、点が線になり面に広がるように、そういうことが各駅において広がっておるのかどうかということですね。  それからもう一つは、国鉄と私鉄を通して対策を行う、国鉄だけじゃないということを言っているわけです。そういうことで、最初は重点的に高田馬場とかその他東京の主要駅においてやってまいりたいということを答弁されているわけですが、これは余りやられていないようにわれわれ思うのですが、どうですか。
  106. 横山義一

    ○横山説明員 私の方から点字ブロックの設置の駅数について民鉄関係を申し上げまして、後で、国鉄の方もおいででございますから、国鉄関係お話をしていただきたいと思います。  私鉄につきましては、四十九年二月でございますね、いま先生の御指摘がありました交特委員会が開かれました月でございますが、そのときに点字ブロックの設置してある駅が五カ所でございまして、それが五十一年の三月、二年たったわけでございますが、現在三十八駅ということでございます。
  107. 紺野与次郎

    ○紺野委員 では、その一回、二回目の議事録みたいなものは資料として見せてもらえるわけですね。それと今後続けてやってもらえるかということと、いま言いました三十八カ所の駅の点字ブロックがあるところについての資料をいただきたいと思いますが、どうです。
  108. 妹尾弘人

    ○妹尾政府委員 議事録は非常に簡単なメモでございますので、それでしたら提示できますけれども、そう詳しくだれがどう言ったというようなものではございません。  それから、いままでした施設の概要については後ほど御報告いたします。  それから、これからの問題でございますが、実を言いますと、二回やりまして、その後運輸省といたしましては、鉄道だけでなくほかの交通機関も含めまして、交通弱者に対する輸送の実態、どういうサービスをしていくかにつきまして官房の方で調査を始めたわけです。それでそれが四十九年以来四カ年計画ということで結論を出したいということで作業をしておりますので、その辺の成り行きを見ながら鉄道プロパーの問題についてはまた適宜開いていきたい、、このように考えております。官房の方でやっておりますのは四年間の継続事業ということでございまして、五十二年度に弱者対策基本計画をつくりたい、このようなスケジュールでやっておる、このように思っております。
  109. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、官房の方で今度は陸、海、空にわたって、言わばそういうことをやるということですか。
  110. 妹尾弘人

    ○妹尾政府委員 そういうことでございます。
  111. 紺野与次郎

    ○紺野委員 では、そういうことで資料類は出してもらえるということで、続けてもらいたいと思います。  それから最近、上野さんという方が高田馬場で転落して死んだということの事件から「上野裁判に勝利して国鉄利用者の生命と安全を守る会」というところで、実際に障害者たちから見た交通機関現状に対していろいろアンケートをとった。そこで回収率七〇%で四百四十八人が回答してきたのです。この四百四十八人のうち、ホームで事故に遭ったと答えている人が百十四人いるのですね。ちょうど四分の一がそういう事故に遭っております。そのうち八十一人がけがをしているのですね。またホームでの事故のうち七一%が転落事故なんです。そういうことで、二回から六回ぐらいもう事故を起こしているという人がおりまして、こういう人が六人ぐらいおります。この点については国鉄と私鉄と両方で、非常にこういう転落事故が起きているのですね。ですから、たまたま列車が入ってきて轢断してしまうというふうな上野さんのような人もその中から出たわけで、決して少なくない数で日常こういう事故が起きているということがこのアンケートの調査でわかったわけなんです。  特に一、二の例を見ますと、四十三歳の方ですけれども、この人は左の足の方に数カ所打撲傷を負って、すり傷だけであった、しかしこの人は転落したときにすぐ列車が来るのではないかというふうに思うと、がたがたふるえが来て動けなかった状態であるということを言っております。そういうふうなことが各私鉄について非常に多いのですね。それが広範に行われている。大宮駅で転落した人は、この人は電車が来る時間をちゃんと知っておったために危険は感じなかったということでありますけれども、最初の人は、いつ来るが、もう体がすくんでしまったということを言っているわけです。国電の荻窪でも事故があった。それから西武新宿線の高田馬場の駅でも起きております。それからもう一人の方は、東武東上線の池袋駅及び北池袋駅、それから小田急の新宿駅、三回、これは全盲の方で四十六歳、こういう方ですが、こういったことがかなり起きているということから見て、先ほどお聞きしました対策懇談会、こういうものが引き続き、気を緩めずに追跡して、施設を完備するような方向をぜひとってもらいたいと思います。  特に、その人たちから出ております具体的なことについて申し上げますが、まず第一番に、確かに盲人事故原因を見ると、二つの問題がある。一つは素因及び誘因。素因については、常に注意力を一〇〇%維持しようと努力しているが、なかなか連続して緊張するということが不可能なときにそういうことが起きるということを一つ言っております。いつも万全の緊張状態にいるということはむずかしいことだということですね。それから誘因といたしましては、特に盲人にとっての事故の起きる原因考えると、何らかの物理的情報の提供があれば非常にいいんだ。音が聞こえる、あるいは点字ブロックで足でさわっていける、こういうふうな物理的なもので、改札口だとか階段だとかホームとか、そういう要所要所にいろいろそういったサインが絶えず行われるようなことがあると、状況判断をして間違わない、間違いが少なくなるということを言っております。そういう点で、やはりなるほどそうだと思いますが、特にそういう意味で改善をしてもらいたい第一の点は、こうだそうです。ホームの安全の場合、点字ブロックというのが皆さん知っているとおりに張りつけてあります。あれがところによっては、大体ひどいところは二十センチ間隔あるいは十センチ以上の間隔、こうなっているというのですね。これは本人たちの話を聞きますと少し離れ過ぎているというのですね。できるだけこれを縮めて、せめてその半分の五センチに張りつけるようにしてもらうと非常にいいということが一点言われております。このことについて、ひとつぜひやってもらいたいと思うのです。  これとの関係でもう一つは、ホームの一番端っこのところに線ブロックというのがあるのです。これは滑りどめでもあると思いますけれども、これが四十センチの幅でありますけれども、それをその後にある白線のところまでやはり広げてもらう。白線は六十センチです。それから線ブロックは四十センチなんです。わずか二十センチですね。やはりそこまで、白線のブロックのところまで線ブロックがあると、つまりホームに転落するということが、恐らくいままでの事故の七〇%は転落をしないで済むようになるのではないかということを言っているのですね。つまり、わりに幅が狭いためにやはりそこをまたいでしまうというのかな、気がつかないでホームの外へ足を踏み出してしまうということで転落が起こっているんだというのですね。ですから、少なくとも白線のところまで六十センチの幅でこの線ブロックを広げてもらいたい、こういうことを言っているわけです。ですから、そういう点どういうふうにこれをしてもらえるかどうか、皆さん方の御意見を聞きたいと思うのです。
  112. 横山義一

    ○横山説明員 ただいま紺野先生の方からお話がございましたが、アンケート調査の結果二五%の方がホーム上でけがをされて、それでそのうちのさらに七〇%の方が転落事故であるというようなことでございまして、そういたしますと、五人か六人に一人は転落事故に遭っているということだと思いますけれども、鉄道の盲人対策にとりまして、やはり最も注意しなければならないのは、転落事故防止すべきことだと思います。したがいまして、この点につきましては早速実態調査をやりましてよく検討いたしたいと思います。  それから、ただいま盲人の方の御要望というようなことで、ホームの安全ブロックと申しますか、点字ブロックの間隔をもっと縮めてほしいとか、あるいは線ブロックをもっと広げまして白線まで延ばすというようなことにつきましてはいろいろ検討いたしたいと思いますが、ただ私どもこういう身障者対策を行っている上で常に痛感することでございますけれども、こういう点字ブロックをどういうふうに並べるとか、あるいは線ブロックをどういう程度に延ばせばいいかというような事柄につきましては、盲人の方々の御意見というものが、それぞれの団体ごとに必ずしも御意見が皆同じであるというふうには伺ってないわけでございます。たとえば一昨年でございますか、阪急の新梅田駅で大々的な盲人対策ということをやったのでございますけれども、そのときも阪急の関係者の話によりますと、その関係方面の団体の意見調整ということが大変であったというようなことでございます。したがいまして、私どもといたしましては、今後こういうような対策を講ずる上ではよく関係者の意見をお伺いしながらやっていきたいと考えておる次第でございます。
  113. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それで、あなた方の懇談会も中断しているような状況で、余り実情を知っておらないように私思うのですね。それで、いま私が申し上げたことについても、意見が違う者がいるだろう、だからちょっとそれは引き受けかねるということなのか、そういうことであるならば、もっとその実情についてそれば改善しなければならぬというふうに前向きに自分たちは考えているのかどうか、その態度がちっともわからないのですね、あなたの答弁を聞いていると。そこをちょっとはっきりしてください。
  114. 妹尾弘人

    ○妹尾政府委員 ただいま課長の方から申し上げましたのは、そういう意見が非常に多い、こういうものの企画についてはいろんな意見があるということを申し上げたのでございますけれども、こういった皆さんの意見をよく伺った上で、われわれとしては何が一番いいかという結論を早急に出して、できるだけ積極的に身体障害者対策というものを進めていきたい、かように考えております。
  115. 紺野与次郎

    ○紺野委員 もう一つ重ねて聞くけれども、じゃ前向きに対策を立てるということですね。それからもう少し関係者の意見も聞くということだと思いますが、いま私が言ったのは、間隔をもっと縮めるということ、これがやはり必要だ。これは金はそんなにかからないんですよ。これをひとつ考えなければいけないと思うのです。それから線ブロックについても、もちろんそのほかの意見も聞いてもいいけれども、やはり転落事故を起こしたいろいろのこのアンケートから見て、つまり、そこをまたいでしまって、あるものと思って向こうのあれにおっこってしまうというふうなことが非常に多い。だから、せっかくつけるのだったら、それをもうちょっと幅を広げて、本当に防止線になるように、そういうふうにしてもらいたいということなんですよ。その趣旨についてどうです。賛成ですか反対ですか。
  116. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 国鉄の場合をちょっと申し上げますが、いま先生おっしゃっております、まあ誘導ブロックと言っておるのですが、この間があいておるというのは水はけの関係で、張りつけ式になっておりますところはどうしても間隔を持たざるを得ない、こういうことから物理的になっているわけでございます。しかし、実際の仕様方からいって、もう少し間を詰めて、幾つか置きにすき間をあけるというような方法もあるかと思いますので、御趣旨を体して検討してみたいと思います。
  117. 紺野与次郎

    ○紺野委員 では、そういうことで、この点についてはひとつその検討をして、大体どれくらいに具体的な返事を聞けるか、それを国鉄の側と民鉄の方で、そういうことをどのぐらいあればいいか、一応関係者の意見を聞いて、もう少し縮めたらいいとか、あるいは線ブロックの方はもう少し広げた方がいいとか、私がいま申しました少なくとも白線の付近まで広げるように片方はするとか、そういう点についてのあなた方の検討の御返事をいただきたいと思うのですが、それはどうですか。
  118. 横山義一

    ○横山説明員 前回の御返事とあるいは繰り返しになるかもしれませんけれども、先生のただいまおっしゃったような方策というものを私ども十分に知っているわけでございます。ただ、やはりいま国鉄の方から申しましたけれども、それを長くするというような事柄についても、ある団体についてはその必要がないとか、それから線ブロックの面積を広げるということについても、かえってそれは困るというような意見がしばしば出てくるというような状況でございます。したがいまして、私どもとしましては、前向きに大いに検討するつもりでございますけれども、そういうような関係者の意見というものを十分徴しまして、皆さまの御納得のいくような線でやりたいというふうに考えているわけでございます。
  119. 紺野与次郎

    ○紺野委員 じゃ納得のいくような返事をしてもらいたい。大体二週間ぐらいでできますか。無期延期ですか。
  120. 横山義一

    ○横山説明員 この問題は、細かい施設の問題でございますけれども、やはり基本的な問題でございますので、できましたならば身障者鉄道輸送対策懇談会というものを招集いたしまして、その席上でやりたいと思うわけでございますけれども、その懇談会の開催方につきましては、やはり事務的な手続ということがございますので、いまここで何日というようなことを申し上げることは、ちょっと私限りではできないと思います。
  121. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それではそういうことで努力してください。よくするようにということが委員会の任務だから。  それからもう一つは、自動券売機の運賃表ですけれども、ダイモテープというものが張ってある。ところが、しばしばそれが引きはがされていることが多いというのですね。どういうわけではがすのかわからないけれどもと、そう言っている人があるのです。しかも、これは一々駅長と交渉しなければそれを張れないとか、盲人側が材料を出して、そしてやるという事態も起きているそうです。ですから、この改善を要求しているのはこういうことですね。それをつくるときに、メーカーにもう点字を入れてもらってつくってもらったらどうかということなんです。これはどうでしょうか、国鉄の方に伺いたい。
  122. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 製作の段階で最初から点字をつけてくれ、こういう御趣旨かと思います。いまおっしゃいましたように、現在はダイモテープで張りつけをしておるわけでございます。最初からつくるということにつきましては、御承知のように運賃変更が何年かに一度ございますので、この券売機の耐用年数等から考えまして、永久的なものを最初からつけておくというわけにはちょっとまいらないというふうに考えておるわけでございます。ただ、現在のものが若干はがれやすいということは事実でございますが、簡単にはがれないように、またけがをされないようにということも必要なようでございますので、そういう点を配慮して改善をしたいと思います。
  123. 紺野与次郎

    ○紺野委員 運賃改定の場合には、本当は券売機全体をかえてしまわなければいけないんじゃないですか。
  124. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 御承知のように、点字運賃表というのは、別に壁に張ってあるわけでございます。券売機の中にあります点字運賃というのは、ボタンを押します十円なら十円の上にぽちぽちがついておる、こういう構造になっております。これは変更を要する場合があるということで、最初から本体に刻印をしておくというわけにはまいらない、こういうことでございます
  125. 紺野与次郎

    ○紺野委員 一応改善はしてもらえますね。
  126. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 できるだけはがれないようにいたしたいと思います。
  127. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それからもう一つ、先ほど言いましたようにアナウンスですね。盲人にとってやはり音が大変大切なんですね。そういうことで、いまの点字ブロックとかいろいろの点についての改善のほかに、音が出てきてほしいということなんです。ですから、場内アナウンスで電車の種類とか時間を言うだけでなくて、こういう障害者たちに対してもときどきアナウンスをして、必要な方向とか場所とかいうふうなこともやってもらいたい。非常に良心的な改札口の駅員さんは、盲人が来るとはさみをばちばちと特に音を立てて、こちらですよということをサインするんだというのですね。そういうことを言われているのです。ところが、近代的なアナウンスはついぞ声をかけてくれないということで、ああいうものもこういうことについてもっとやってくれとか、そういうふうな点の改善ですね。たとえばシルバーシートも最近ふえてきましたね。そうすると、シルバーシートは何両と何両のところにありますとかなんとかいうふうなことも、ときどきはやはりやって注意を喚起するとか、もっとそういう乗客サービスのためにアナウンスの改善をしてくれということが強いのです。どうですか。
  128. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 そういう御趣旨を体しましてよく指導してまいりたいと思います。
  129. 紺野与次郎

    ○紺野委員 転落した人たちは、いま駅のホームにいる職員が少ないという点からして、ぜひそれをふやしてくれということを言っておるわけですが、落ちたことで二つの点が求められているのです。それは落ちた場合に、何かサインして電車や何かをとめる方法はないかということが一つ。もう一つは、落ちた人があのホームの下のへこみに身を寄せて無事であったということを言っている人もあるのです。しかし全部そういう構造になっているわけではない。そういうことで、混雑する危険な個所、ホーム等の構造として、後ろにへこませて、そこに人が待避するようにすることができるのかどうか。これは国鉄と私鉄についてお聞きしたいのですが、どうですか。
  130. 横山義一

    ○横山説明員 盲人に限らず一般の旅客でも、転落をいたしますとこれは重大でございます。それで、サインをどういう方法で出すかということでございますが、ある私鉄などでは、ピアノ線などをホームの側面にはわして張りまして、そのピアノ線が伸びることによってホーム上のベルを鳴らして駅員に知らしめるという方策をとっているところもございます。ただ、私どもといたしましては、やはりそういう特殊なところにつけるべきだと思いますし、これを各駅に全部つけるということは非常にむずかしいかと思いますので、現在実施している私鉄の例を参考にしていろいろ検討いたしたいと考えております。  それから床下に避難個所を設けるという点でございますけれども、ホームの構造がスラブ構造でできている場合には比較的容易でございます。ただ、土を盛ってホームをつくっているようなところではなかなか大工事になるということがあるわけでございます。いずれにいたしましてもこういう方策を大いに検討いたしたいと考えておるわけでございますけれども、やはり旅客に対して落ちないように教育することが一番重要じゃなかろうかと考えておるわけでございます。
  131. 紺野与次郎

    ○紺野委員 しかし、事故が非常に少ない、まれの事件じゃなくて、さっきのアンケートから見て、かなりあるように思うのです。そういう点で、非常に危険な、混雑する駅とかホームでは特別の対策を研究してもらいたいと思うのですが、どうですか。それはどこでもというわけじゃない。特に乗客が非常に混雑するところではそういった装置の研究ですね、どうすればいいか、そういうことは絶対不可能か可能かを検討してもらうということと、それから危険と思われるようなところでの避難構造を検討してもらえないかどうかということなんです。
  132. 横山義一

    ○横山説明員 検討いたしたいと思います。
  133. 紺野与次郎

    ○紺野委員 次に、過積みの問題、ダンプの安全対策の問題についてちょっとお聞きしたいと思います。特にダンプ規制法が制定された趣旨とその効果はどうであったか、これを最初にお聞きしたいと思いますが、どうですか。
  134. 植木光教

    植木国務大臣 ダンプカーの交通事故防止いたしますために土砂等を運搬する大型自動車による交通事故防止等に関する特別措置法が昭和四十二年に制定されたことは御承知のとおりでございますが、その後、ダンプカーに対する表示番号の指定及び表示、積載重量の自重計の取りつけ、悪質な法令違反者に対するダンプカー使用の制限及び禁止、ダンプカー事業者が交通安全事業を行うことを目的として組織するダンプカー協会の設立等につきまして、密接に関係各省と連絡をいたしまして推進をしているところでございます。このほか、指導、取り締まりの強化等各種の施策推進いたしました結果、ダンプカーによる事故率でございますが、四十三年当時と比べますと、五十年におきましては三分の一以下に減少いたしております。したがって、私どもとしては、なお今後努力することは当然でございますけれども、現在一応の成果を上げつつあるということは申せると存じます。
  135. 紺野与次郎

    ○紺野委員 長官がいま答弁されましたが、最近の状況として、一度規定されたはずの差し枠がまた伸び始めておって、過積みが大きな問題になってきておるというふうなことになっておりますが、これらの点についてはどうですか、長官は知っておられるのでしょうか。
  136. 植木光教

    植木国務大臣 ダンプカーの差し枠というのが過積載の原因となりますので、昭和四十八年に道路運送車両法の保安基準の改正により禁止したところでございます。しかし、いま御指摘がありましたように、最近一部の地域におきまして差し枠を使用しているダンプカーがございます。それで取り締まりを強化していただくように警察庁に対しても要請をしているところでございます。  このダンプカーの過積載を防止するためには、いろいろな指導が必要でございますが、運転者本人の安全意識の問題でありますとともに、御承知のとおり、荷主及び山元の事業者にも問題がございます。これらの業者は、特に経済的に弱い立場にあるものでございまして、そこからこういうような面もあるというふうに考えられます。私どもとしては、これに対してただいま対策強化しているところでございます。
  137. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それで、特にこの総理府の方での文章を見ますと、労働組合との交渉で述べられている言葉の中にこういうことがあるのです。ダンプは日本の下請制度の縮図であるということを言っているのですね。つまり、日本の建設業は特に重層下請というのか、幾重にも幾重にも重なっておりまして、そうして重層の下請関係からピンはねが結局行われまして、一番下のダンプで働いている人たちの運賃または賃金、そういうものが非常に小さくなってしまっている。そのために、一つは、下の方の下請業者やその他も過積みを要求するということや非常に長時間の労働、調べてみますと十時間から十六時間の労働をやっている。しかも過積みをやる。眠るのは四時間か五時間だというような状態で、全く無権利の状態になっておる。しかも、リース制度というものが導入されたためになおさら今度は、労働者である者がその影響のもとにまた労働が非常に加重されてしまうという状態になっているわけなんです。  そういう点で、このダンプの現状というものは制度的にも、やはり重層下請の日本建設業のあり方というところにも根源があると思うのですが、この点についてどう思われますか。
  138. 室城庸之

    室城政府委員 ダンプカーの問題につきましては、ただいま先生から御指摘のような、これを是正するとなりますと、大変いろいろな要素について検討し、これを一つの方向に持っていかなければならないというような点がありまして、ただ取り締まりの面を強化すればというだけにはいかない基本的な課題があろうと思います。したがって、私どもとしましては、ダンプカーが直接的に交通事故防止対策上非常に問題の車両である、また、その過積載という事態がさらにそれに上積みされて事故につながる危険性を持っておるというような点に着目いたしまして、従来、法律に定められた事項等について関係省庁が協力して対策を進めてまいったわけでございますけれども、なお、この交通安全対策という面からだけではタッチできないといいますか、もう一つ根深い、いま先生がおっしゃったような問題に対して何らかのアプローチをしていかないと、ただ上っ面をなでるだけで事故防止対策ができるのかという点について、実はいろいろ問題提起も受け、また、私どもも、結果としてこれが交通安全にはね返ってまいりますので、何とか安全対策の面からもそういった問題にいろいろ問題提起をして、是正の方向を考えてもらうような努力をしてまいりたいと  いうふうに考えておるわけでございます。
  139. 紺野与次郎

    ○紺野委員 じゃ、最後に。  これはこういう点なんですね。そういう重層的な下請制度で、下がつぶれかかっているわけでありますが、最近、いわゆる公共事業、これはもっと中小企業の方にどんどん出すということ、それからいわゆる官公需といわれるようなものを、大企業ではなくてもっと中小企業の方にストレートで仕事を回すということ、そういうふうなことによって、この非常に何段にも下請でもって条件が悪くなる、そこから多くのことがはみ出してきているわけでありますが、そういうことに対する一つの——これは全部じゃありませんけれども、中小企業に官公需を回すというふうなこと、そういうことは努力できませんか、ちょっと……。
  140. 室城庸之

    室城政府委員 ただいまおっしゃいましたような点は、実は私ども検討いたしておるわけでありますが、何分にもいまの経済流通機構その他いまの山元と砂利運搬の関係、そういったいろいろな結びつきを、どこの点をどういうふうにやっていくか、一カ所だけで取り上げても解決できないような問題がございますので、もう一つその根っこを掘り下げて基本的に検討し直さないと、いま先生のおっしゃるような問題への解決になかなか肉薄できないんじゃないかということで、実は通産省も関係いたしますし、建設省関係いたしますし、また一面では運輸省等も関係いたしますので、これらのところとただいまこのダンプカーの問題につきましていろいろ検討を進めておる段階でございます。
  141. 紺野与次郎

    ○紺野委員 あと長官にだけ、いまの点について。要するに、重層的な非常におかしな建設業の体質を改めるということに努力をしてもらいたい、この点についてどうか、たとえば官公需などについても、もっと中小企業に仕事をやるというふうなことはできないか、この二点についてお聞きしたい。
  142. 植木光教

    植木国務大臣 すでに予算委員会等におきましても、この官公需の中小企業に対する発注をふやすべきであるという御論議がございまして、それに対しまして、建設大臣あるいは通産大臣等も積極的にそのように取り組んでいくという答弁をしておられます。ただいまのこの問題もそれと関連するということは、私、十分認識をいたしておりますので、さらに関係閣僚に対しまして、中小企業に対する工事量の発注を増加すべきであるということを要請いたしたいと存じます。
  143. 紺野与次郎

    ○紺野委員 これで終わります。
  144. 太田一夫

    太田委員長 次に、渡辺武三君。
  145. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 交通安全につきましては、陸海、空と大変広い分野にわたっておることは申し上げるまでもございませんが、その中でもやはり一番問題である陸上交通、なかんずく道路交通重点にしてこの交通安全基本計画に対する関連的な質問を行いたいと思います。  道路交通を見てまいりましても、昭和四十六年以降五カ年間連続して死者減少し、その減少傾向は定着しつつあるということは、これは政府なり関係省庁なりあるいは関係業界なりまた国民の皆様方が一体となって交通安全に努力をしたたまものだ、こういうふうに理解をするわけでございますが、しかしながら、昨年におきましてもいまだにやはり一万人を超える事故死者というものが発生をいたしておるわけでございまして、このようにいまだに一万人というような人たちの尊い命を奪っておるということについては、これはどうしてもやはり緊急的あるいはかつ重大な問題として、対処していかなければならない、こう考えるわけでございます。  そこで、新しく立案をされておりますこの交通安全基本計画を見てまいりますと、実は昭和四十六年でしたか、前回の計画と対比をさせていただいたわけでございますけれども、ほとんど同じなんですね。若干変わっておりますのは、道路交通の面で見ていきましても、講じようとする施策の中で、通学、通勤、買い物等の日常生活に利用される自転車通行の安全を確保するという項がこの項では一カ所ふえておるだけで、他はほとんど同じ。その次の方へいきましても、大体それに似通った一、二項目の項目が追加をされただけで、前回の五カ年計画とほとんど大差はない、こういうふうに私は実は見受けたわけでございます。  そこで、それで果たしていいだろうかという疑問が実は生じてまいるわけでございまして、確かに高度成長に伴う輸送分野の拡大、人的交流の拡大等による交通量そのものの増加、それに追いつかない交通安全施設等の影響を受けて、非常に大きな事故件数の増加というものがある。それらが対策の進むにつれて減少傾向が定着をしてきたとは言いながら、従来の方針をそのまま踏襲をしておるだけで果たして減少計画が永続していくかどうか、この辺はやや疑問のあるところでございます。なかんずく経済が安定成長時代に突入をいたしまして、従来のような膨張をしていかないというようなことになりますと、何らかそこに新しい発想に基づく交通安全の面における対策施策というものが必要になってまいるのではないか。特に過去五年間成績がよかっただけに、この方針をそのまままた五年間延長していけば、過去得られた成績が得られるであろうというお気持ちはわかるわけですけれども、いわば背景となる情勢というものが相当変化を来してきておるので、果たしてそのような希望する減少が得られるかどうか、こういうふうに疑問に思うわけです。  そこで私自身は、その五年間にいろいろやってこられまして過去のデータ等の集積もできたと思いますから、それらの反省の上に立って、本来的にこれから取り組まなければならないいわば重点目標と申しますか、重点的にそして優先的に取り組まなければいかぬという問題がもう少し浮き彫りされてきてもいいのではないか、こう思うわけですが、冒頭申し上げましたように、拝見するところによると、過去五年間の計画とほとんど大差はないということでございますから、その辺に実は疑問が生じておるわけでございます。  そこで、いま申し上げましたように、この新計画の中で一体何を優先させ、何を重点的に推進しようとしておられるのか、この辺からまず明確にしていただきたいと思います。
  146. 植木光教

    植木国務大臣 第一次交通安全基本計画によりまして、御指摘のように死傷者減少を見たわけでございますけれども、依然として六十三万人を超える死傷者があるということは非常に大きな問題であると考えておりまして、私どもはただ単に今日までの減少傾向というものを喜んでいるというだけではございませんで、今後格段の努力が必要であるという決意を持っているのでございます。特に死亡事故防止につきましては、御承知のように昭和四十五年の死者半減を目指しております。そのためにはやはり歩行者自転車利用者が安心して通行できる交通環境の確立と民間交通安全活動推進重点を置く必要があると思うのでございます。施設整備と国民の安全意識の高揚というものを図りますことが、これから五年間の重点的な私ども施策でございます。     〔委員長退席、野坂委員長代理着席〕
  147. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 いまあらわれておる諸問題を解決するために、確かにそういうことも必要でしょうが、私はやはり基本的な問題を忘れてはいけない。つまり、安全自身は、環境だとか技術だとか協力だとかいうような、そういういろいろな施策が総合的かつ整合的に実施をされて初めて達成をされると、こう言われておるわけですね。計画自身は、いまも植木さんもいろいろおっしゃいましたが、あらわれてきておる現象についての対応策、こういうものが実は主体になっておるわけですね。そこで、たとえば道路交通にいたしましても、いろいろ歩道橋をつくるとかカーブを修正するとか見通しをよくするとか、こういういわば現況における道路の手直し、安全施設整備、これは重点にやらなければいかぬ、こうなるわけですけれども、確かにそれもそうでしょうが、やはり一番基本的な問題は、そういう安全施設そのものよりも、この安全施設ももちろん大きな効果を生むと私は思います。だからやらなければならない問題であるということには異論はございませんけれども基本的には一体何であろうか、こう見ていきますと、これはやはり道路構造というものが本当に真剣になって考えなければいけない問題ではないであろうか。  たとえば幹線と言われます国道一号線。一体この国道一号線の中で本当に歩道が完備されている延長キロは何キロあるであろうか。ほとんどは歩道はついておりません。形式的には塗料によるラインを引っ張ってここを歩道と言わしめているだけであって、何らそれは歩道といえるような道路ではないと私は思う。国道一号線にしてしかりなんですね。ましてや中小都市に行きますと、生活道路と言われるようなものはほとんどが歩道がない。側溝の上にふたをして、ブロックを並べて、むしろ交通妨害的なものを構築をして無理に歩道と称させておる。実際にはこういうことなんですよ。  そうなりますと、基本的に安全を達成をするために道路構造そのものがもう建設の段階から、いわば歩道、自転車道、車道という三つの道を持ったものが初めて道路だというぐらいに、道路の定義そのものを変えるぐらいの気持ちを持たないと、道路というものは家を除外をして通行できるものをつくればそれで道路だという——四・五メートル以上とかなんとかいう幅員はございますね。ところがそれには、歩道をつけなければいかぬ、自動車道を敷設しなければいかぬというようなものが何らないわけですから、現実にはそういうものがどんどんできている。それで交通安全対策と称してその欠陥を補完する意味でいろいろなものがやられておるというふうに理解をすべきではないか。  そこで、そういう従来の反省の上に立ちますと、もう一回原点に返ってみると、いまのような道路でいいんだろうか。やはり道路構造そのものを根本的に考え直していかなければいけないのではないか。そうすることによって本当の意味の交通安全に資することができる。特にデータなどを見ておりましても、交通事故死者の少ないのは東京都だと言われている。これは反面、データを見れば、東京都内における実際の道路はほとんど歩道が完備をしておる。歩車分離が行われておる。こういうことですね。中小都市に行きますと歩道なんというものはほとんど完備されていない。そういう都市が非常に交通事故死が多いということでございます。だから、そういう現象面から見まして、やはりそうでなくてはならぬ。  そこで、施策的にはいろいろ言われますけれども基本的な面が若干問題ではないだろうか、こう考えますので、ひとつ警察庁建設省と両方からお答えを願いたい。
  148. 井上孝

    井上(孝)政府委員 いま先生のおっしゃいましたこと、私ども全くそのとおりと思っております。また、現実の施策面におきましてもなるべくそういった考え方を取り入れてやっていこうという姿勢を持っておることも申し上げておきたいと思います。  道路交通安全につきましては、決して緊急措置法による特定交通安全施設整備というものだけでは交通の安全は図れないと思います。これは単に既存の道路に対して応急的に歩道をつけたり横断歩道橋をつけたりという施策事業だけでございまして、私は道路整備全体が挙げて交通安全のために役立つものでなければならないと思っております。御指摘の国道一号線のような幹線につきましては、現在の道路幅の中で歩道がつくれるところはほとんど全部つくりました。あとはつくれないところばかりでございます。先生のおっしゃるように白線でごまかしているというようなところも相当数ございます。  結局これの解決には、一方でバイパスをつくって通過交通自動車専用道路的な安全な道路に通して、現状の人家連権しておる道路から自動車を排除するという施策が一番根本的であり、一番効果があると思います。そういう施策を強力に進めておる次第でございます。また、これからつくる新しい道路につきましては、特殊な山の中とか、それから自動車専用道路というものは別にいたしまして、もうすべて歩道をつくらなければならないという施策をとっておりまして、実は数年前に、先生のおっしゃいますように四メートル五十あれば舗装ができるとか、そういうような構造令でございましたけれども、これを改定いたしまして、歩道を持ったものが初めて一般道路であるという考え方で構造令を改正をいたしております。  いずれにいたしましても、高速自動車国道から市町村道に至るまでいろいろな使い方の道路があるわけでございまして、これを機能別に、体系的に整備するということが交通事故を根本的に減らしていく施策だと思っております。十分その辺は心得てこれからの道路事業実施に当たってまいりたいと思います。
  149. 勝田俊男

    勝田政府委員 道路局長から答弁がありましたとおりだと思います。また、先生からお話がございましたように、基本的には歩車の分離混合交通をできるだけなくしていくような条件づくりができているということが一番大事だろうと思います。そういった面で、われわれ第一線におきましても、道路管理者との連係を密にしておりますが、いま申し上げましたような方針で道路管理者の方も整備をいたしていただいておりますので、逐次改善されつつあるというふうに考えております。
  150. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 道路というものは実は交通安全だけではないわけでありまして、そのほかに、われわれの生活環境を阻害する要因、特に最近問題になっております振動の問題あるいは騒音の問題、それらの問題をあわせて、いわば道路構造上考えられる点はないのかどうか。いままでの道路政策なんかを見ておりますと、道路ができる、一回ほじくり返してガス管を埋める、またほじくり返して電信線を埋める、そのうちに中央をほじくり返して共同溝をつくる、こういうふうに一つの道路ができましても二回、三回とほじくり返してはむだな投資が行われておるわけですね。したがって当然、今後想定をされてまいりますニューシティの建設等につきましては、共同溝などというものがいわば振動防止役割りを果たす道路構造は考えられないのかどうか。あるいは騒音による住環境への悪影響を道路構造上防止することはできないのかどうか。こういう面が多分に考えられてもいいんではないか。  現状あらわれておる問題点だけで矯正をしようといたしますと、実際は非常に多くの投資を行いましてもその効率が大変に悪いわけでございます。いまもおっしゃっておりますように、歩道をつくろうと思っても、もう歩道をつくる余地がない、無理につくろうと思えば立ち退きをしてもらって相当多額な補償を出さなければできない、こういうことになってしまうわけですから、そういう意味では私は、新しい道路ができるそのときに、そういう広範にわたる、われわれの人間の生活環境に悪影響を及ぼすもろもろなものに対する対応策というものもあわせて考えていかなければいけない時代に来ておると思う。そう考えるがゆえに、この五カ年計画に若干そういう面が抜けておるのではないかという気が実はしてくるわけでございますが、そういう面も当然お考えになっておるのでございましょうね。
  151. 井上孝

    井上(孝)政府委員 道路は従来、特に日本の道路整備がおくれておりました。戦後、ともかく自動車を通そう、自動車の通れる道路がほとんどないじゃないかということで、通そうということにいわば狂奔いたしまして、自動車重点整備を図ってきました。幹線道路重点を置いて、自動車重点道路整備を行ってきたということは全く否めないことだと思います。ただし、四十年後半ごろから、やはりこういった自動車交通道路構造のいろいろなマイナス点が出てまいりまして、いまおっしゃいましたように、騒音、振動等の公害を巻き起こしておるということはまことに遺憾でございますが、そのころから私どもも、道路整備自動車だけのためではなくて、やはり道路というのは国の環境づくりの基本になるもので、それが環境を乱すようでは逆効果であるということから、十分道路の沿道の環境、それから先生もおっしゃいましたように道路自動車とか歩行者交通だけではなくていろいろな供給施設が埋設されている、これもやはり道路の目的の一つだと思います。こういうものがたびたび掘り返されたり、通行者あるいは沿道に御迷惑をかけることのないようにしたいとして、非常に金はかかりますが共同溝の整備を最近非常に重点的にやっておりますが、なかなか金もかかりますので、まだ十分な効果を上げておりません。やはりこれは長い目で見ていただきまして整備を進めていくように考えていきたいと存じております。     〔野坂委員長代理退席、委員長着席〕  そういったことで、最近の道路整備交通のためというよりも、むしろ環境の改善ということに重点を置いて整備しております。まさに交通事故防止交通安全というものを道路環境の改善の一環としてとらえるべきということで整備を進めておるわけでございます。  実は、そういったことを交通安全を含めました道路整備五カ年計画の中で十分生かしてまいりたいと思っておりますことと、いろいろな事情で国の経済計画もいまいろいろと変更しておりますので、第七次道路整備五カ年計画は本年度改定をいたしませんですが、この次、来年あるいは再来年に改定の時期が参りましたならば、いま私が申し上げましたようなことと先生がおっしゃいましたようなことを十分盛り込んだ道路整備計画にいたしたい。この交通安全の五カ年計画は若干それを先取りしておる、交通安全の施設の緊急整備面だけを先取りしておるということを御了解いただきたいと思います。
  152. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 いまもお話に出ておりますように、これからの道路がそういう共同溝そのものによっていろいろな埋設物をそこに共同的に敷設をしていこう、こういう考え方は結構でございますけれども、どうせつくるならば、その共同溝自身がいわば振動防止的な方向、役割りを果たすことができないかどうかという研究ですね。最近、名古屋の都市を歩いておりますと、共同溝を道路の真ん中に掘っておりますね。どうせ掘るならば、いわば振動を住居に及ぼさない方向でそれらを利用することはできないのかどうか、こういう研究ですね、私はこれは当然やっていただきたいと思うのです。まず各個別々に掘ってあるのを統合する、この考え方はいいわけですが、どうせそれを統合して共同溝を掘るならば、それをさらにもう一つの役目を持った、振動を防止する役目を持たせられないかどうか、これもあわせてひとつ御研究を願いたいと思います。  次に、警察庁が特に行っております交通規制の問題について御質問をしたいと思います。  この計画の中には、いわば「合理的な交通規制推進」というものが書かれております。しかし、実際には交通規制というものはあくまでも当面の施策でありまして、根本的な解決策ではないというふうに私は考えておるわけでございますが、計画の中には自動車交通量抑制というものを目指した都市の総合交通推進ということが十ページか何かに載っておったと思いますけれども、その強化が実は打ち出されておるわけでございますが、政府としては一体その交通規制というものをどう位置づけておられるのか。私自身は、交通規制というものは、あくまでも根本的な施策というものを補完するものでしかないと理解をしておるものですけれども、当局の御見解を伺いたい。まずその見解を伺ってから、また後で質問をいたしましょう。
  153. 勝田俊男

    勝田政府委員 交通の問題につきましては、先生初めからお話しのように、基本的に都市構造の問題なり道路構造あるいは道路の配置、そういった問題と密接な関連があると思います。しかし、現実に置かれている都市構造なり道路状況というものを前提としてそのまま放置をしておく、自由な交通に任せるということになりますと大変交通上も危険な問題が出てくる、あるいは騒音振動公害といったような交通公害の問題も出てくる、また、本来交通として十分に機能を果たすべき自動車交通混雑によってその機能も十分に果たせないというような問題も出てくる。そこで、こういった状態を前提としながら、交通規制によりましてより安全な環境あるいはよりスムーズに運転できるような環境あるいはより交通公害から人間の生活を守るような環境づくりに資していきたいというような考え方でございます。
  154. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 当面あらわれている現象に対してそういうやむを得ない規制を加えていくということに私は反対をしているものではないわけです。しかし、それだけでは問題があるのじゃないでしょうか。たとえば本来的には、先ほども道路自動車保有台数の関係が問題になっておりましたけれども、私はもっとやはり源、視点を変えるべきではないかと思う。本当はわれわれ日本国民の生活水準を一体どう高めていくのか、われわれ国民の生活水準を高めていくためには経済規模を何ぼに定めなければならないか、その経済規模の大きさによって物流なり人的な移動というものが当然出てくる、それらの輸送量をそれぞれの輸送機関にどういうふうに割り当てていくのか、これは総合交通体系の問題にもかかわってまいりますけれども、そういう発想から出てきて、そして整備をされていかないといけないのではないだろうか。それらが途中で切断をされたまま、現状の中で交通規制によって総量規制をしてしまおうということだけでいきますと、いろいろな問題が出てくるのではなかろうかと私は思う。本来的な目的としては、やはり国民生活を高めるために、一体われわれの経済規模を最適な状態として何ぼにしていくか、しかもその経済の成長が国民の生活にいろいろな悪影響を及ぼさないような緩やかな成長だといたしましても、そこが基本になって、それに必要な物流、人的な移動、いろいろなものからそういう配慮がなされてきて、むしろそれを達成をするために交通規制が一環として行われる、その目的に向かって国民生活を高めるためによりスムーズな流れをつくるためには一体どうすべきか、こういう発想にあるべきだと私は考えておるわけですが、現状だけで視点を合わせて、あそこは大変おかしい、あそこをぐっと取り締ってやることによって車の流れを抑えてしまおう、これだけに発想を求めますと別の面で問題が出てくるのではないか、私はこう考えるわけですが、いかがでございましょうか。
  155. 勝田俊男

    勝田政府委員 交通社会活動なり経済活動なり市民生活に大変大きな役割りを果たしておるということもわれわれもよく承知をいたしているわけでございます。したがいまして、現実にある交通需要を、交通総量抑制ということによって需要そのものを抑えてしまうという気持ちはわれわれは持っていないわけでございます。できるだけ効率的な交通方法によって交通需要を満たしながら、実際に走る車の台数というものを少なくする方法はないものだろうか、その導入口として交通規制、たとえば駐車禁止をすることによって都心への一般の車の流入を抑制をしていく、そのかわりにバス等について優先対策を講ずることによってその面への転換をやっていく、多少の不便は出るかもしれませんが、そう大きな問題でもなく、需要は満たされるのじゃなかろうか、まあ一例でございますけれども基本的にはそういう考え方で処理をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  156. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 おやりになっておる状態を見ておりますと、いわば一割規制などというのがぽんと出てきまして、そこには経済の成長なり国民生活のレベルアップなりとどう関係があるものかというのがおよそどうも理解できない。むしろ交通事故というものを重視して、そのものだけを減らすために当面一割規制総量規制ということが打ち出されてきておるのではないかと思えるようですね。全体として、よりスムーズな、ひずみのない社会を発展させていくために必要な施策としてそれが取り上げられてきたのかどうかというふうに見ていきますと、必ずしもそうではなくて、交通事故死者が非常に多い、これを半減するということがまず決まりまして、そのためには、まず総量規制、一〇%ばっとカットしてやることによって、ある程度これが好影響を及ぼすのではないか、こういう発想ではないかと思うわけですよ。私は、そういう発想もときには必要だと思いますが、それだけで推移をしていきますと、ほかの問題でいろいろな問題が出てまいりますから、特にそういう原点をひとつ忘れないようにしていただきたい。あくまでも交通規制は全体の中の一段階である、これによって全体を動かすなんてことはおよそできないことでありますから、そういう理解を私はしていただきたい、こう思うわけでございます。  次に、安全教育の面に入りたいと思いますけれども、この基本計画の中には、前の計画にはございませんでした例のシートベルトの着用推進ということが織り込まれておりまして、その面では大変前進をしておりますし、意義深いというふうに考えるわけです。つまり、昨年の状態別死者数を見ていきますと、自動車乗用中の死者が四千十三名、歩行者死者が三千七百三十二名ということになっておりまして、いわば初めて自動車乗用中の死者歩行者死者を上回っておるわけでございます。こういうふうに死者の傾向に大きな転換があらわれたことから、いわば凶器型から棺おけ型への移行がなされて、そして車に乗っておる方の生命を保全するために、いろいろな問題が出てきておるわけでございますが、特に昨年度もシートベルトの普及のためにいろいろなPRを総理府自身がおやりになったことは十分私も知っております。しかし、現実にはシートベルトのいわば装置義務というものは課せられておりますけれども着用義務はいまだにまだ法制化をされておりません。特に高速道路だけは着用義務が課せられておりますけれども、ペナルティーは実は賦課されていないわけでございまして、その実際の使用普及率といいますか、着用率はまだまだ相当水準が低いというふうに見なければならないわけでございます。  そういう意味から、どうしてもある一つの物事を着実にやっていただこうとするためには、余り好ましい方向ではございませんけれども、やはりペナルティーを課さなければならぬという問題があるわけでございまして、諸外国の例を見てまいりましても、おいおいに着用を法制化、強制化しておる国が実はふえてまいってきております。わが国においても、高速道路だけは一応着用の義務づけがなされたわけでございますが、ぼつぼつ全般的に及ぼすような方向、それに至る段階として、もう少し前進をした方向が考えられなければならないのではなかろうか。いわば普及を促進するために、一挙に着用義務づけになりますと、自動車の構造で装置義務が課せられていない車まで走っているわけですから、いろいろな問題もあろうかと思いますが、特に事故発生時等における実際にベルトを着用しておった場合と着用していなかった場合の事故処理に当たっての勘案等もできるのではないだろうか、着用しておった人に対するいわばペナルティー——ほかのペナルティーになりますけれども、そういう場合の勘案がなされていくのではないだろうか、そういうことを通じて、いわば着用率を高めていくという努力が必要ではないか。最終的にはやはり法制化によって着用を義務づけるということが必要だと思いますけれども、その辺を一体今後どういうふうにしていかれるという御方針でしょうか、お聞かせを願いたいと思います。
  157. 勝田俊男

    勝田政府委員 先生御指摘のように、シートベルトの効果は大変大きいわけでございまして、昨年の事故を分析しますと、車の中の事故でシートベルトの効果が大きいと認められるようなものは六七・六%というような数でございます。  そこで、着用状況でございますが、法律上は、高速自動車国道と自動車専用道路につきましては、一応シートベルトを装着し、かつ当該自動車に乗車している他の者にも装着させるように努めなければならないという規定を設けているわけでございます。しかしながら、実際の着用状況は必ずしも高くはない。去年の夏にもかなりキャンペーンをいたしましたし、ことしの春の安全運動期間中にもかなりのキャンペーンをいたしております。この春の安全運動期間の際の状況を見ますと、高速道路で八・九%、一般道路で四・五%の着用率ということでございまして、これではまだまだ不十分であるというふうに考えるわけでございます。  現在、一応高速道路自動車専用道路については法制化しているわけでございますが、さらにこれを一般道路に広げていく問題、さらに、単に義務づけだけではなしに、罰則をつけるかどうかという問題といった問題があるわけでございまして、こういった点については最近の諸外国の例から見ましても、われわれ十分検討すべきものだろうと思っております。  諸外国の例を見ますと、ごく最近になって義務づけているところがかなり多く出てきているようでございまして、そういったデータにつきましても、われわれとしては現在検討を進めているところでございます。それぞれ適用範囲をどうするか、夜間だけにしている国もあるようでございますし、タクシー等については除いている、あるいは子供については除いている、それから前部座席だけを義務づけている国もございますし、短時間の使用については義務づけから解除している、そういうようないろいろなテクニックの問題もございます。そういったテクニックの問題についてもこれから十分に研究してみたいと思いますが、何と申しましても、現在のように着用率が少ないということは、非常に有用であるにもかかわらず、国民の中でこれの本当の有用性というものが十分理解されていないという面も多いのじゃないか、とにかくこれをもっと一般徹底することがまず第一に大事じゃなかろうかというふうに考えているわけでございます。  総理府の方におきましても、いろいろとその周知徹底について御努力をいただいているわけでございますが、警察といたしましても警察の関係で、交通の方法に関する教則にはもちろん書いておりますし、それから先般もシートベルトの効果について交通安全協会でビラをつくりまして、相当広範囲に、更新時の講習等の際にこれを配るというようなこともやっております。また、車を最初に運転するときにこれのくせをつけてもらうということが何としても大事だろうということで、指定自動車教習所の方には厳重に申しまして、初心者訓練の際にそれをつけるくせをつけてもらうということもやっているわけでございます。また、自動車を売る際にも、ただその自動車がいいということだけ宣伝するのじゃなしに、乗り方としてシートベルトのつけ方ぐらいまでを宣伝して売ってもらったらどうとかということを自工会の方にもお願いしているわけでございます。今後ともあらゆる機会をとらえまして、シートベルトの着用、その有用性というものが一般に理解され、着用率が上がっていくことを期待しながら、われわれとしては法制化の問題についても研究を進めてまいりたいということを考えております。
  158. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 最近、事故発生割合として、いわば国会議員が事故に遭う場合が非常に多いわけでございますが、私は、その国会議員が起こした事故、被害側に立ちましても、そういう例をいろいろ知らしめることが必要ではないだろうか。特に、前交通委員長であった下平先生も交通事故に遭われました。相手方はシートベルトをしておったそうでございますが、ほとんどけがはなかった。残念ながらこちら側がシートベルトをしておらなかったものですから、相当長期間入院というけがをなされてしまった。あれも恐らくシートベルトをしていらっしゃるならばもっと軽微な事故で済んだのではなかろうか。最近では自民党の木村武雄先生が相当大きなけがをなされたということでございますが、恐らくあの発生状況から見て、私はシートベルトはしていらっしゃらなかったのじゃないか、こう考えるわけですがね。もし、あれがシートベルトをされておるならば、あるいはもっと軽微なあれで当然済んだはずでございます。たまたま下平先生の交通事故については相手方がシートベルトをしておった。そのシートベルトをしておった相手方は同じ正面衝突でもほとんどけがをしなかったという好実例が出てしまっておるわけでございまして、そういう面から、もう少し国会議員そのものも理解度を深めるために何とか警察庁の方も配慮をされて、われわれの同僚議員がそういう目に遭っているわけですから、その場合にこういうことでございましたよという説得、それをやっていただいて、全体としてやはり関心を高めるような方向を考えていただきたい、特にお願いをしておきたいと思います。  それでは最後に、交通安全基本計画は、五十一年度から五十六年度までの、いわば五カ年の政策大綱でございますが、そして陸上交通では、その目標を過去の最高死者数であった一万六千八百人を半減をしよう、こういうことでございます。しかし、仮にこの目標が完全に達成できたといたしましても、八千人という死者数というものが依然として残るわけでございまして、全体として交通安全というものが達成をされるわけではないわけでございます。  そこで、私は一つ提案をしておきたいと思いますが、いわゆる長期的な安全計画を策定をしたらどうかということでございます。他の問題では長々期にわたるビジョンが打ち立てられて、そしてあるいは五カ年ごとの計画によって、その長々期のビジョンを達成するための計画が立案をされていくという例がほかの部面にはございます。そこで、交通安全にもそういうことを取り入れたらばどうであろうか。その長々期ビジョンを確立をすることによりまして、先ほど来問題にいたしております道路構造の問題だとか、安全施設はもとより、ひいては都市計画あるいは国土庁がいまいろいろ策定をいたしております土地の利用計画、こういうものにまでいわば政府が取り組むべき課題というものが非常に多く私は出てくるのではないか、こう思うがゆえに、その交通安全に対する長期的なビジョンを立てて、その基本に向かって五カ年計画を樹立をされていく、こういう方向の方が好ましいのではないか、こう思うわけでございますが、この点一体長官はどのようにお考えになっているのでございましょうか。  特に経済計画はそのような方向で進んでおると私は思います。昭和六十年度のビジョンというものがあって、それをベースにいろいろ施策考えられておる、こういうことでございますが、同様に、安全の面もそういう十年後の姿というもの、あるべき姿というものを描いてみて、そしてそれに向かって交通安全が計画的に推進をされていく。それは単なるこういう現象的な、いわば口悪く言えばこう薬ばり的な施策ではなくて、もっとビジョン的な基本的な問題がそこで考えられていかなければならぬではないであろうか、こう考えるわけですが、いかがでございましょうか。
  159. 植木光教

    植木国務大臣 ただいま御指摘の点はまことに貴重な御意見でございまして、先ほど来論議があります中でも出ておりましたが、やはり国全体としての経済社会の長期的な計画あるいはまた総合開発計画、そういうものとの関連の中で交通安全対策というものがとられていかなければならない。そういうものでなかったならば、ただ単に短期的な、ただ目前に起こります問題についての規制でありましたりあるいは施策であるというようなことでは、根本的な問題の解決にならないというふうに私も同感をした次第でございます。都市政策やあるいは交通政策の方向というものが、ただいまお話しのように都市計画あるいは国土利用計画等の中でどういう位置づけをされるかということが大変重要なことであると存じますので、いま御指摘いただきました点につきましては、関係省庁と協議をいたしまして、交通安全のための長期的なビジョンをつくり上げることに努力をいたしたいと存じます。
  160. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 終わります。
  161. 太田一夫

    太田委員長 次に、沖本泰幸君。
  162. 沖本泰幸

    ○沖本委員 私が総務長官にお伺いしようと思っていたことのトップをいま渡辺さんがお聞きになったわけですけれども、重ねてお伺いするようなことになりますけれども、先ほどから渡辺さんが一例として、道路を舗装した、ところがそれぞればらばらの行政のおかげで、舗装した道路を掘り返してほかのものを埋設するあるいは古いガス管の上に新しい完全な舗装を施したところが亀裂を生じて、いわゆるそのガス管が割れたり水道管が割れたりして道路が陥没するとか、共同溝をつくるとか、こういうばらばらなものが何とか一つにならないか。  言うてみますと、結局予算を執行するのがばらばらであったりというところからそういうものが起こってくる。ただ官庁だけでなくて民間との関連、いろんなことがそういうことになるわけで、これは端的に身近な問題を申し上げるわけですけれども、同時に、やはり青函トンネルの水の事故等がありましたけれども、相当以前から政府に向かって、いわゆる総合交通体系というもの、いわゆる海上交通が占めるシェア、陸上が持つもの、航空が持つものを完全に総合的に調整をしていくところにむだが省けていってちゃんとしたものが整っていく。ところがそういうものがばらばらであるために、いわゆる道路のふくそうが大きくなっていったり交通混雑が激しくなっていったり、あるいは国鉄の貨物が赤字になってみたりあるいは赤字線が多くなったりあるいは長距離トラックの比重が重くなっていったり、いろんなことが現在の社会の中で人間の生活を狭めていったり、環境を押しつぶしていったり、こういう形で出ているわけなんです。  すでに何代かの総理にこの問題は投げかけられていきながら、その都度、総合交通体系というものは当然つくらなければいけないのだ、そういうものに従って、それぞれの分野でそれぞれ分担するものをやっていかなければ十分なことはできないのだという答えが返ってきながら、やはりちゃんとしたものが政府の政策の上であらわれてこない。その政府の総合政策を受けて、各省がそれぞれのところで長期ビジョンに従ってそれぞれの役割りを果たしていく、こうでなければならないと思うのですけれども、それがいまだにばらばらで現在を迎えておる。やはりそこに税金のむだ遣い、予算のむだ遣い、あるいは効果の薄いものが行われたり、こういう結果を招いていくということは、現実に学者とか専門家が指摘するまでもない、われわれでもよくわかる問題であると考えられるわけですけれども、そういう点については、やはり各省間の調整を図っていき、また内閣に向かって根本的な問題を提起していかれる重要なポストにおられる総務長官が、これは重要な課題として取り上げていただいて、早い時期にこの問題に対する総合的なものの解決を図っていただくことでなければならない、こういうふうに考えるわけですけれども、その点についてひとつお伺いいたします。
  163. 植木光教

    植木国務大臣 ただいま御指摘になりましたことは、基本的な、きわめて重要な問題であると私も考えます。  まず、交通安全対策でございますが、これを総合的に推進するためには、中央交通安全対策会議というのが政府内に置かれておりまして、会長は内閣総理大臣でございまして、委員は関係機関の長で構成されているという姿でございます。また、総理府には交通対策本部が設置されておりまして、私がその本部長をいたしております。また、交通安全対策室を通じまして関係行政機関の事務の相互調整を図っているというのは御承知のとおりでございます。したがいまして、この関係省庁が集まりまして中央会議において交通安全の基本計画を策定をしたというのは、ただいま申し上げましたような機構、手順に従ったというような次第でございます。  それから第二番目に、総合交通体系というものについてのお話でございます。これは総合交通体系整備確立というものがきわめて重要であるという認識のもとに、現在まですでに、たとえば大都市交通はどうあるべきか、あるいは大都市と中都市とをつなぐ機関は何であるべきかというようなことで、陸、海、空につきましての基本的な考え方はいろいろ出されておるのでございますが、この総合交通体系の担当も三木内閣になりましてから総務長官が当たるということになりました。ただいま実務は経済企画庁で担当いたしておりまして、総合計画局が総合交通体系をつくりつつあるというのが現在の姿でございます。  先ほど申し上げましたように、都市内、それから都市都市を結ぶもの、あるいは地方と結ぶ機関、それはあるいは鉄軌道でありましたり、航空機でありましたり、あるいは道路、すなわちトラックであったり自動車であったりするわけでございますが、そういうような、一応の機関と申しますか、そういう体系の中で占める施設やあるいは機関というものについての考え方は出ておりますけれども、本格的な総合交通体系というものはまだでき上がっていないというのが実情でございます。経済企画庁内のこの作業がさらに進捗してまいりますように、私も努力をしてまいりたいと考えます。
  164. 沖本泰幸

    ○沖本委員 御意見はわかるのですが、いままでの経過を見てみますと、まあ専門家的に青写真はできるわけですけれども、それが各省がそれぞれ各省別のいろいろな事情があって、それで各省の計画はまたそれとは別に行われていくというような事柄から、計画と実態とは必ずしもそろわない、現在までずっとそういうことの繰り返しであるということが言えるわけでして、大きな船が動く場合には、やはりそれぞれの部署におる人たちがそれぞれの機能に応じて動いていくから大きいものが動いていくということになるわけですから、一つの基本計画ができていけば、その基本計画に従ったものに対して、各省が同じ方向でそれぞれの分野に従って作業を進めていかなければ目的は達成できない。それでなかった場合には結局計画倒れに終わってしまうということが言えるわけです。  まあ実施に当たっては必ずしも計画どおりに進むとは言えませんですけれども、やはり一つの基本的なものに従って長期計画を立てながら徐々にその方向に向かっていくところで、残されたものがどういうふうになっていき、おくれているものがどれであって、将来それを詰めていけばいわゆる体系的に何なりかんなりが整っていく、それで国土の環境の保全なり交通の安全なりあるいは輸送力の増強なり、そういうことがむだなく十分充足されていくという形の上にどうしても載せていただかなければ、結局迷惑するのは国民という形で残ってくることになりますから、これは長官の方で、もういま日本の国の中の最大の問題なんだというふうにお受け取りになっていらっしゃるとは思いますけれども、重ねてそういう点に重点を置いたものをやっていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  165. 植木光教

    植木国務大臣 私も全く同じ考え方でございます。沖本委員御承知のとおり、経済企画庁におきまして経済社会基本計画を策定中でございます。これは五十一年度から五十五年度までの分についての計画変更につきましていま作業を進めているわけでございますが、本日、審議会で経済社会基本計画の答申がある予定になっておりますので、それを受けまして計画が立てられると存じます。それから国土庁関係では、新全総が経済企画庁でつくりましたものとしてございましたけれども、五十一年度から六十年度にかけまして第三次全国総合開発計画というものの策定の作業を進めているわけでございます。これらただいま申し上げました二つのものが並行いたしまして、計画として将来のわが国の経済社会のあるべき姿というビジョンが描き出されてくるということになるわけでございます。したがいまして、これらの計画とあわせまして総合交通体系はいかにあるべきであるか、あるいはまた交通安全対策はどうあるべきであるか、こういうことが策定されなければならないと思うのでございまして、鋭意私も努力をしてまいります。
  166. 沖本泰幸

    ○沖本委員 この五カ年計画もそれにうまく乗っていくとかあるいは合った面が出てくるとか、いまの五カ年計画がそのままうまく乗っていっているということになればいいわけですけれども、やはり食い違いが起こってくるとこちらの方を訂正しなければならないという事態もありますから、その辺は十分考えていただかなければならないと思うのです。  さて、物事を進めていくのは予算関係になっていくわけですけれども、本年度の重点施策はどの点にあり、またいろいろな点から事故の形態を見ていきますと、交通事故では弱い人たちの事故率が外国に比べましても非常に高い。それから府県間の事故率の格差が非常に大きかったり、それがときによっては今度は逆転していったり、いろいろ流動的に事が動いておる。それらは真剣に対策を講じられた上から起こったのか、交通量の流れというものがいろいろ変化していきながらそういうことになっていっているのか、あるいは新しい道路網ができていったためにあるところにしわ寄せが起こってそういうふうにパニック的に事故が多くなって、いわゆる統計的に見ていくと食い違いが起こっておるとか、いろいろな点が出てくると思うのですけれども、そういう点についてもいろいろな角度から警察当局の方でも指摘をしておるわけですけれども、それについて予算の面ではどういうふうな形でそれに対処なさったのか、この五十一年度の予算ではどういう問題点が解決できるというようにつくられておるのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  167. 室城庸之

    室城政府委員 お答え申し上げます。  昭和五十一年度の交通安全対策関係予算につきましては、確かに仰せになりますようにいろいろな事項を盛り上げてございまして、総花的とおっしゃいますと、まさに項目だけ見ますとそのような感じがあろうと思います。  なお、従来の五カ年計画を進めてきて、その反省ということについて先ほど長官からもお答えになっておるわけでございますけれども、結果的に見ますと、死者が一万を超えるという非常に多い数であるのでこれを何とかしなければならない。さらに死者を減らす努力をすべきである。さらに、この死者の内容を見ましても、歩行者及び自転車利用者、こういった人たちの占める構成率といいますか、これが非常に高い。これは欧米等の諸外国に比べまして、まだ日本の場合高い部類に属しておる。したがって、これをもっと減らす方向で努力をすべきであるというのが一つあろうかと思います。  さらに、いま先生もちょっとお触れになりましたが、地域間の格差というものがかなりあるわけでございまして、仮に人口十万以上の都市というものをずっと並べて見ましても、非常に死亡率の低い都市もあれば、逆に非常に死亡率の高い都市もある。あるいは車一万台当たりというようなことで数字をとってみましても非常なアンバランスがあるということでございまして、必ずしも全国一律に同じような歩調で安全度は高まってきたというふうにはなっておらないというような反省が実はあるわけでございます。したがって、そういった個々具体的な地域ごとの特性というものを国の予算で全部裏づけていくということは非常にむずかしいわけでございますので、そういった点は必ずしも私どもが扱っております国の予算という中には性格的にはっきりしたものが出ておらないということが一つあろうと思います。  またもう一つは、やはり第一次五カ年計画というものを進めてまいりまして、これで一つの事業を終わってしまって、第二次五カ年計画というのは全く新しいものをやるのだというようなものではございませんで、内容的にはやはり第一次五カ年計画から通じてずっとやっておるというものもあるわけで、いま申し上げましたようなことでかなり総花的だと言われるような印象をお持ちいただくようなことになっておりますことについては、そういうことで御了承をいただきたい。  ただ、先ほど申し上げましたような死者を減らす、特に歩行者自転車利用者事故を減らす、また子供事故重点的に減らしていくというようなことを中心考えました結果が、さきの委員会のときに御説明申し上げましたような各省の五十一年度の予算というような形になっておりますので、金額が多いから非常な努力をしておるというわけのものでももちろんございませんで、交通安全活動等につきましては金額は少のうございますけれども、そういった地域の実情に即して有効適切な交通安全活動というものを展開していくというような内容がそれぞれ実施面においては出てくるような、そういう工夫をこらしておるつもりでございます。
  168. 沖本泰幸

    ○沖本委員 それではさらに、第一次交通安全基本計画実施状況はどういうふうになっているかという点と、それから第二次交通安全基本計画では政府の姿勢はうかがえるわけですけれども、これはお金の面が伴わないので絵にかいたもちに終わってしまうのじゃないかという心配があるわけですけれども、そうしないためには、この第二次交通安全基本計画はどういう形で進めていくかという点がいま一番大事な問題だと思われるわけですけれども、その点についてお伺いいたします。
  169. 室城庸之

    室城政府委員 私どもは非常に総括的にまとめておりますので、詳しい点については各省それぞれからまたお聞き取りをいただきたいと思いますが、特に交通安全計画を進めてまいります中で予算的にも中心になっておりましたのは交通安全施設等整備にかけた費用でございまして、これはいわゆる道路改良でありますとか、あるいは信号機交通安全施設整備、こういった特定交通安全施設整備事業五カ年計画というものが進められてまいりまして、これは過去五カ年実施いたしました進捗率というもので見てまいりますと、平均一〇三・二%ということになっておりまして、事業費は当初の計画を上回って実施されておるということでございます。  また、地方単独事業の進捗状況につきましても、これはまだ五十年分が完全にまとまっておりませんので四十九年までで申し上げますと、進捗率の平均が七六・八%ということになっておりまして、これに五十年度分が入ってまいりますと恐らく一〇〇%を同じように超えるのではないかというふうに考えております。  御承知のように、財政事情も非常に悪い時期でございましたけれども交通安全対策につきましては、国並びに地方公共団体それぞれ格段の努力をいたしまして、当初の計画を一〇〇%上回って実施をしたということが言えようかというふうに考えておるわけでございます。  そのほかの交通安全に関係いたしました各般の施策につきましては、そのような五カ年計画というものを組んでございませんので、それぞれの関係省庁が年度年度の予算の中で計画をし、これを実施していくというような形になっておりまして、五カ年を通じた数字は実は私どもの方も総合的にまとめたものをただいま持っておりません。もし必要がございましたならば、それぞれの担当の機関からお聞き取りいただくなり、私の方でいずれ取りまとめさせていただきたいというふうに考えております。
  170. 沖本泰幸

    ○沖本委員 御説明だけ聞いていると、一〇〇%いったのかな、いくのかなというふうになるのですが、具体的にわかりやすい面から説明していただくとすれば、どういう面を説明していただいたらいいのか。単に一つの省をとらえて、そこから御説明していただいてもいいわけですけれども、その点をお願いしたいと思うのです。
  171. 井上孝

    井上(孝)政府委員 四十六年から五十年までの第一次五カ年計画の実績を道路関係について申し上げます。  いま、室城室長からお話がございましたように、事業費の面では、道路関係は一〇三・八%、三・八%予定を上回っております。しかしながら、ちょうどこの期間中にオイルショックに伴う物価の値上がり等がございましたので、事業量ではいろいろな差がございますが、必ずしも一〇〇%完全に達成したとは申し上げかねる面がございます。  例を挙げますと、歩道の設置延長でございますが、一万二千キロ設置しようという計画でございましたが、実績は八千二百四十五キロでございまして、六八・四%。それから自転車道につきましては、当初千八百キロ、五カ年で設置する予定でございましたが、これは計画途中で要望が非常に強うございましたので、実績は二千三百六キロ、これは一二八・一%という達成率に事業量としてはなっておるわけでございます。まあいろいろございますが、例をとって申し上げます。道路の防護さくにつきましては、五百六十五キロ設置しようというのに対して五百二十八キロ、九三・五%。それからもう一つ例を挙げますが、道路照明、一万五千九百基ばかりの設置予定が一万二千二百でございまして七七%。こういった実績になっております。二、三例を挙げて申しますと、そういう状況でございます。
  172. 沖本泰幸

    ○沖本委員 ちょっと細かい面にわたるようなことになりますけれども、たとえて言いますと、高速道路ですが、それぞれ各道路公団なり何なりが受け持って新しくつくっていき、それぞれの管理を実施していっているわけですけれども、いわゆる過積みで路肩が、五年なら五年の耐用年数で計算したものが五年を待たずにたちまち傷んで、舗装しなければならないというような事態が各所に起こっておるように、私の見た面、聞いた面であるわけなんですが、それについては、いわゆる重量をオーバーした極端なものに対してはそれぞれの歯どめはしていっているようには伺っておるわけです。ひどいのになると、十トン積みのトラックが二十トン以上積んでおったり、それはブレーキをかけたりパンクしたときに非常な事態が起こるので、もう大変な危険をはらんでおるわけで、それはだんだんと高速道路上から追い出されるようないろいろな規制が行われていっているとは聞いておるわけですけれども、その車が今度はそういう規制にかからないように一般道路のところを夜走っているということで、そうなると、もうダイナマイトが道路の上を走っているのと同じような事態が起こっているということが社会の現実の問題なんですね。そういう面とこの五カ年計画とのからみというものが、ただ計画的にどんどん進んでいって、これだけ実施してこれだけでき上がったという数字の面はあらわれてくるけれども、その事後に起こってくる事態というものとこういうものとあわせて見ていただいた現実面はどういう状況ですか。
  173. 井上孝

    井上(孝)政府委員 先ほど渡辺先生の御質問にお答えいたしましたが、いま申し上げました第一次五カ年計画、これは交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法に基づくものでございまして、これは全く既存の道路に対して歩道をつけたり、横断歩道橋をつけたりという応急策だけを集めたものでございます。基本的な、高速道路をつくるとか、あるいはバイパスをつくるというような、いわゆる道路整備全体が交通安全に寄与するというものでなければならぬと思いますが、それはまたそれで、道路整備五カ年計画の方で策定しておるわけでございます。いま先生御指摘のような過積みの問題、これはこの緊急措置法に基づく五カ年計画の範疇外といたしまして、高速道路はそれぞれ公団においてその費用で、それから一般国道につきましては、直轄分については国の道路事業費の範囲内で、道路としては施設整備をいたしますので、重量計の設置について私どもの方で費用を出して整備を進めております。しかし、これを実際に運用いたしますのは警察当局、御指摘のように、高速道路で取り締まるとそれが一般道路へ回るという傾向がございますけれども、われわれとしては、高速道路一般道路も、ある程度まで取り締まりを強化いたしますとおいおい過積みでは結局損をするという事態になりますので、重量計の整備をさらにもう少し図りました取り締まりを強化すれば、過積みの問題はおのずから解決していくのではないか。当面はともかく重量計の設置の拡充、取り締まりの強化という方針を持っております。交通安全の緊急五カ年計画とは直接の関係はございませんが、ただし、先ほど来の交通安全基本計画の中ではもちろんこれは大きく取り上げております。道路整備全体として取り組んでまいりたいと考えております。
  174. 沖本泰幸

    ○沖本委員 それで、これは二月五日の読売の社説でも指摘しておるわけですけれども、先ほどの自転車道ですね、そういうものは歩道に関する問題として、渡辺さんも触れておられたわけですが、  最近の交通事故は、歩道のない幅員の狭い裏通りに大型車が侵入することによって発生しているケースが多い。本当はそうしたところに歩道が必要なはずなのだが、現在は道路幅員が五・五メートル以上とか、一日の車の交通量が一千台を超えなければならないといった歩道の設置基準があり、事故の実情と合わなくなっている。   現在の交通環境の中で事故防止するには、安全施設整備というハードの面だけではなく、裏通りから車を締め出すなど、交通規制道路管理面からのソフトな対策が並行して行われることが必要不可欠である。これはしばしば当委員会指摘されるところなんですけれども、歩道の設置基準があって、事故の実情と合わなくなっているという指摘がここにあるわけです。この点についてはいかがですか。何か御研究なさって方法を講じようとしていらっしゃるかどうか、その点はいかがですか。
  175. 井上孝

    井上(孝)政府委員 特定交通安全施設整備につきましては、御承知のように、交通事故率、交通量等によって道路を指定いたしまして、その指定した道路についてのみ補助事業実施するということでございまして、従来は確かにおっしゃるような裏通りでの事故の増大に対して必ずしも整備事業が十分こたえられなかったという点はございます。今回の第二次の五カ年計画におきましては、指定道路の指定基準を緩和いたしまして、それから自転車歩行者専用道路というものを整備する基準がございますが、それの採択基準も従来よりずっと緩和して、なるべく裏通りに対する手当てができるように配慮をしたいと思っております。  ただ、裏通りにつきましては、歩道の設置できるケースはむしろ少のうございまして、区画道路でございますから、むしろ交通規制等公安委員会と御相談をして、一方通行にして片側に歩道をとる、あるいは車両進入を全く禁止にして歩行専用道路にするというような措置をとるケースの方がケースとしては多いのではないかと思っております。いずれにしましても、御指摘のような施策ができますように基準その他を緩和したいというふうに考えております。
  176. 沖本泰幸

    ○沖本委員 それで、先ほどもおっしゃっておられた自転車道の問題ですけれども、今度の五カ年計画の中で、昭和五十五年には年間死者数八千人台、ピークの四十五年当時の半分をその努力目標にして、歩道、自転車道を倍増させるというふうな形でやっておられるわけですけれども歩行者自転車に乗った人の事故死に占める割合はほとんど毎年五割に近い数字数字上では出ておるわけです。百万キロを超える道路がある日本で、幅員別に見ると歩道が実に少ないわけで、自転車道は微々たるものであり、自動車が上下できる両側二車線を確保できる幅員五・五メートル以上の道路は一四%にすぎないという実情にあるわけです。三・五メートル未満の狭い道路が五四%を超える貧弱な状況で、こんな狭さから歩道が少なくなって自転車の専用部分がほとんどない。またそういうところであるから、歩行者がどこから飛び出してくるかわからない。こういう関係から歩道の設置あるいは交通安全施設整備促進が大きい都市では緊急の課題であるけれども、地方財政の事情の悪化で単独費による整備が困難、こういうことになってきて、歩道設置改築事業に相当するものであるけれども、補助率をアップしてもらいたい、こういうふうな要望がずいぶん出ているわけです。  こういうことですけれども大都市内の地価が驚異的であるわけですね、人家がたくさん込んでおるために。それで結局、事業を促進すると、一工区当たりで相当な金額が重なってくるということで、大阪の方へ行って問い合わせしてみたわけですけれども、大阪府の場合は、特定事業の拡大として歩道設置交通安全施設整備促進のためにはどうしても国庫補助を拡大してくれ、こういう要望なんですけれども、歩道をつくってこそ初めて本来の機能を発揮することができるわけですが、一工区一億二千万円の限度額の拡大が必要であるということで、こういう点からいくとどうしようもないというような事態が起こっておるということなんです。これに対してはどういうふうになさるお考えでしょうか。
  177. 井上孝

    井上(孝)政府委員 先生御指摘のように、歩行者自転車の利用者の事故率は、昭和四十六年のピーク時から事故そのものは減っております。死者そのものは減っておりますが、歩行者自転車の利用者の死者の比率というものは余り減っておりません。これはまことに遺憾なことでございます。原因はいろいろあろうと思いますが、その大きな一つとして、事故が裏通りに入っていったということが指摘されるのではないかと思います。したがいまして、今後五カ年計画におきましては、歩道、自転車道の整備に最重点を置いております。  先生御指摘の百万キロの道路とおっしゃいますが、百万キロというのは道路法上指定された道路の延長でございまして、これは山奥の人も歩けないような道路も実はございますし、私どもはいろんなことで沿道の状況等を勘案して、歩道を緊急に設置する必要があるという総延長を九万七千キロと押さえております。現状三万九千キロありますので、この五カ年計画で二万九千キロばかり設置をいたしまして、設置率ほぼ七〇%を目標にいたしております。一〇〇%にはなりませんが、相当量設置する方針でございます。  そこで、設置するに際しまして、先ほど御指摘のような指定の問題、採択基準の問題がございます。それは先ほど申しましたように、基準を緩和してなるべくとりやすくするということ、もう一つは、御指摘の一億二千万円という限度がございます。これはこれを広げてくれという御要望もございますけれども、実は私どもとしてはこの限度を設けましたのは、特定交通安全というのは緊急にやるものでありますので、大規模なものはなるべく本来の改築事業でやるべきだということで、緊急整備交通安全の方は二分の一の補助率、もっとも通学路については三分の二でございますが、本来の道路整備改築事業でやりますと、これは三分の二、国道は四分の三という高率の補助になります。むしろ逆に補助率の低いものを一定限度に抑えるという意味で、一億二千万になっております。一億二千万を超えるものはできるだけ改築事業で拾っていこうということでございまして、これは別途道路整備改築事業の方で採択をすることができます。もっとも非常に数が多うございますので、なかなか採択が右から左というわけにはまいりませんが、そういう意味で本来の改築事業の方、特定事業じゃない方で拾っていく道がございますので、市町村等の道路管理者とよく相談をいたしまして、そういった面になるべく採択の幅を広げてまいりたいと思っております。
  178. 沖本泰幸

    ○沖本委員 先ほどちょっとおっしゃっておられたのですが、一方交通なり何なりの規制を十分果たしていきたい、こういうお答えがあったのですが、前回の当委員会でもいわゆる標識の点で、これは理事会の雑談でお話が出ていたのですが、国道なら国道の上で、こっちは環七の方へ出る道なんだとか、こういうものがあると、不案内の人はあらかじめ気持ちの上でスピードの点なり何なりができる、こういうふうなあれがあったわけですけれども、それも当然のことですが、同時に最近一方交通規制大都市の中で頻繁にあるわけですね。そうすると、絶えず走っていて、自分のよく知っているところはわかるわけですけれども、いままでこっち向きの一方交通規制だったのが、行ってみたら逆になっている場合がいっぱいあって、首突っ込んでしまって動きもすごきもならなくなっていく、そういうものも、取り締まる方から見ればやはり違反になるわけで、その辺で私ら自身がやはり車に乗せてもらってみて、確かにここは出てくる方だったのに入ってくる方に変わっているわけなんですね。それで、よく尋ねて行ってみると、ずっと向こうの方から規制されたのが、いろいろ変わってこっちの方へ変わってきている、こういうのが最近頻繁なんですね。  そうすると、ドライバーにしてみれば、頭の中で、あすこはこう入れるからというつもりで行ってみると逆方向だったという現実面がしばしばあると思うのですが、そういう面はやはり何らかの方法で運転者によくわかるような方法なり何なりというものが明示されていくことの方が親切ではないかというふうに、そういうことのために交通違反に問われているという人もしばしば見受けるわけなんです。その辺、ひとつ何か考慮の道はないものかと思うのですが、その点、いかがでしょうか。
  179. 池田速雄

    ○池田説明員 ただいま御指摘ございましたように、都市の特に生活道路規制、全面的に歩行者道路等にできない場合には、やはり一方通行を相当活用しているわけでございまして、それなりの効果を上げているわけでございます。反面、いま御指摘のように、特にこういった規制をやりますときには地元の方々等とはよく御相談するわけでございますけれども、まだ一般の周知の仕方が足りないのじゃなかろうかという御指摘だと思いますが、私どもの方でも、特に都市部につきましては、交通規制図をつくりまして、できるだけ多くのドライバーの方に見ていただくようにしておりますつもりでございますけれども、なお一層そういう点に配意いたしまして、かえって混乱されるということのないように、そういう事前の施策、それから規制後も相当続けてまいりたいと思いますし、一方、標識等につきましてもなるべく見やすく、走っていてすぐわかるような、そういった標識の立て方等につきましてもさらに検討してまいりたいと思います。
  180. 沖本泰幸

    ○沖本委員 それでは、航空関係についてお伺いしたいと思いますけれども、これも航空問題だけで相当たっぷり時間をかけなければならない問題で、短い時間に質問して終われる問題ではないわけですけれども昭和五十一年度を初年度とする第三次空港整備五カ年計画が発足するということになっているわけですけれども安全対策上、航空保安施設航空管制施設、空港施設充実強化は第一番に考えなければならないし、この点はおいおいと充実はされていっておるわけですけれども、第三次計画重点項目は何に置いておられるのか、その点を御説明いただきたいと思います。
  181. 松本操

    ○松本(操)政府委員 お答えいたします。  第三次空港整備五カ年計画につきましては、現在まだ内容について鋭意研究をしておるという段階でございますので、先生の御質問に明快にお答えできるところまでまだ練り切っていないわけでございますが、実は幾つかの重点的な項目は置きたい、こう考えております。もちろん、安全の問題は非常に大きな問題として取り上げてまいらなければならないわけでございますが、おかげさまをもちまして、第二次の五カ年計画において七百億の計画でスタートいたしました保安関係施設整備というもの、諸般の事情があったにもかかわらず九三%の達成率、六百五十三億というところまでできました。  たとえば航空路監視レーダーでございますとか、あるいは空港レーダーでございますとか、完全に五十年度末までに仕上げるということは残念ながらできなかったわけでございますが、五十一年度末までには全部、たとえば八カ所の航空路監視レーダーは稼働可能になる、あるいは四カ所の新しい管制部もできる、こういうところまで参る予定でございます。したがいまして、引き続き航空路監視レーダーのごときものにつきましては、第三次五カ年計画の中の安全対策重点項目の一つとして当然取り上げてまいらねばならない、こういうふうに考えております。  もう一つ大きな問題として私ども考えておりますのは、第二次計画でどうやら全国のこういった保安体制というものを一つのシステムとしてとらえて動かすというその形だけは何とか整えることができましたが、まだまだ機器の中には旧式なものもまじっておりますし、全体を有機的に動かすという点について遺憾な点が残っておりますので、こういう点を第三次の第二の重点の中に取り上げていきたい、このように考えております。
  182. 沖本泰幸

    ○沖本委員 非常に航空機材というものが発展していっている過程の中にあるわけですから、スピードアップなり、あるいは離着陸についてもいろいろな技術上の面が問われるわけですね。それを十分安全に誘導し、あるいは安全離着陸できる、これはもう必須条件であるということであり、それから十分民間航空路を確保するということも一番重大な問題になっていくわけですから、また、この狭い日本の国内ですから、その間の十分空の誘導がそれぞれ行われていくという点にやはり力点を置いてもらわなければならないし、従来置いてこられたわけですけれども、そういう点がやはりこれからのより重点を置かなければならない問題だと私は考えるわけです。  と同時に、やはり空港問題に関しますと、空港周辺の住民の理解がより深められていくということが大切であるわけですし、航空運賃の値上げ申請等いろいろな条件もこれから加わってきて、運賃が上がるのか上がらないのかはまだわかりませんが、そういう問題と、陸上交通を使った方が安い、安全というような住民的な考え方あるいはそれに伴う新しい空港の設置なり整備なりについて住民理解というものが必須条件になってくるわけで、これはしばしばマスコミに取り上げられて問題化されていっているわけですけれども、住民運動というものをただその反対運動であるという形で取り上げないで、やはりその地域の人たちの生活の安全なり快適な生活ということから考えれば、これは非常に大ぜいの人を運んでいく、あるいはこれからの日本の交通の重要な部門の中に犠牲にされていくということであってはならない問題である、そのためにはやはりそういうものに携わる人たちの十分な配慮なり何なりが行われてしかるべきだということになるわけで、それがやはりしばしば問題になっていくということになりますから、その点十分考えていただきたいわけです。  同時に、科学技術庁から、航空技術審議会の建議として、大型のSTOLの開発導入というような点も示唆してきておりますけれども、今後空港整備計画を根本的に見直すという立場から、これは大臣に伺うことがしかるべきだというふうには思いますけれども、御専門の立場からその辺はいかがですか。
  183. 松本操

    ○松本(操)政府委員 幾つか重ねて御質問がございましたので、初めの方から幾つかかいつまんで御返事申し上げたいと思います。  まず最初、先生の質問の冒頭の方にもございました総合交通体系というそういうものの中に航空輸送というものも取り上げられていい、そういったような一人前の形になってきておる、こう私ども考えております。しかしながら、航空輸送というものをこれ以上一人前にしていきますためには、やはりどうしても空に浮いているものが地面におりてくる空港というものが本当に大地に根をはやしておりませんと、何にもならない。そのためにはまさに先生御指摘のとおり、空港周辺の住民の十分な理解と協力が得られ、そして空港と周辺地域とがともどもに発展するということでありませんと、そういうことは当然期待できないわけでございます。したがいまして、先ほどちょっと私御返事の中にも申し上げましたが、第三次の五カ年計画の中の一つの大きな重点といたしまして、空港と周辺地域社会との調和ということを安全と並んだ大きな柱の一つにしたいと、こういうふうに思っておるわけでございます。  御承知のように、四十八年に環境庁が航空機騒音障害に対する環境基準を出しました。その最初の五年次目標というのが五十三年の暦年の末にやってまいります。五十一年を初年度といたします五カ年計画というのは五十一年から五十五年になりますので、ちょうどその中にこの三年目が入ってくるということでございますので、それを踏まえた上で十分周辺政策を処置してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。したがいまして、これからの空港の整備に当たりましては、ただ単にそこが飛行機の側から見て便利だからというふうなことではございませんで、滑走路の向き一つ決めるにいたしましても騒音対策その他の公害を十分に配慮する、あるいは周辺対策をあらかじめ地方公共団体と十分協議をいたしまして、空港ができたらばその後どのように持っていけばいいかというふうな点にもあらかじめ配慮した上で全体の青図をかく、こういうふうなことを先生御指摘のとおり今後十分に心がけてまいりたい、このように思っております。  それから、最後に御提案のございました科学技術庁の方で勧告されて建議がございましたSTOL機の問題でございますが、確かに現在地方路線において重用されておりますYS11、これはそう遠くない時点で、もう製造も中止されておりますし、リタイアしていくのではないか、こういうふうに考えられます。一方、これにかわるべきプロペラ機というものもございませんので、これをジェット機に置きかえるといたしますと、少なくとも二千メートル級の滑走路が必要になってくる。ただ、地域におきましては、ただいま私、御答弁申し上げましたような主義主張で選んでまいりますと、なかなか滑走路を延ばすということが困難だ、こういう空港も出てまいります。そういうところに科学技術庁の方から提案のありましたような、この審議会から提案のありましたような百二十人から五十人乗り程度のSTOLというものができてくれば、これはまことに時宜にかなったものであろうかと思います。  しかし、私どもが勉強いたしました限りにおきましては、何せ非常に短い距離で機体を上げ下げしなければなりませんので、かなりの技術的な工夫をしなければならない。それが旅客機のことでございますので、まず絶対に安全確実に作動するというところまでとことん技術上の詰めをいたしませんと、実用上はちょっと問題があろうかと思いますので、昭和五十五、六年以降にならないと出てこないのではないだろうか、そういうふうな気がいたしますので、現時点では近い将来現用可能な航空機というものを念頭に置いて処置をしてまいりたいと思っておりますが、遠い将来を見た構想の一つとしましては、先生のおっしゃいましたこういったSTOL、大型STOL機というふうなものも十分に技術的な検討をしながら取り入れるようにしてまいりたい、このように思っております。
  184. 沖本泰幸

    ○沖本委員 大きい問題から見るときわめて小さい問題になるのですが、北海道で小さな民間の会社がいわゆる赤字になってきていて、全日空が合併するという話に変わってきたのですが、そこの方からやはりその航路を存続するということの方針で話が進められておる。しかしながら、経費の関係から乗務員を制限していくということから、スチュワーデスをおろすということが起こっておるということなんですけれども、いろいろ伺いますと、こういうローカルなところほどいわゆる病気だとかあるいは緊急な事故が起こった場合とかいうことでいろいろな救助活動もその中に含まれるということになってくるのが一つの問題であり、その場合にやはりスチュワーデスの働きというものも見捨てられない重要な問題であるということから、それから離着陸あるいはいろいろ機内の指示についても、副操縦士がそれをやらなければならない。だから、ベルトをおかけくださいとかベルトの安全とかいろいろな機内の乗客に対する安全の指示というものを機長と副操縦士との関係でやっていかなければならないということになってくると、操縦士は離着陸あるいはいろいろな瞬間的なことの動きが非常に重要な安全の視点になってくるわけですけれども、そのこと自体がやはり操縦士一人の責任にかかってくるということになると、安全性というものが疑われるという点を指摘してきておるわけですけれども、そういう点は、やはり既定方針どおりおやりになる考えなんですか。私は、経費の点なり、いわゆる民間企業ですから全然マイナスということは考えられないわけですけれども、経営的な黒字を得るために、利潤を得るために、乗客を犠牲にしてはならない、あるいは航空上の安全を犠牲にしてはならないという大原則があるわけですから、その視点に立ってお答えいただきたいと思うのです。
  185. 松本操

    ○松本(操)政府委員 先生おっしゃっておりますのは、近距離航空のことであると思いますが、近距離航空におきましては、御承知のとおり最初機体を補助してやるという形で、これによって何とかやっていけるのではないかということを期待したのでございますが、現実にはそう高い運賃を取るわけにもまいらない、シビルミニマム的な点もございますので、結果は二年半にしてまさに破産寸前の状態に実はなってしまったわけでございます。  そこで、ただいまのお話にもございましたように、全日空を筆頭株主といたしまして、これは買収したわけではございませんので、筆頭株主といたしまして、そこが経営上及び技術上、技術上の中には当然安全を含むわけでございますが、責任をもってこの運営に当たるという体制を敷き直した。それと同時に、本年度の予算の中におきまして、七千五百億円の安全運航のために余分にかかる経費を補助するということで大蔵と折衝をいたしました。そういうふうな従来いささか例がなかったと思いますけれども、そういうたぐいの補助金も国の方としてはめんどうを見るというところまで踏み切ったわけでございます。  しかし一方、路線の状況を見ますと、飛行機自身が十八人ないし十九人しか乗れないという小型の飛行機でございまして、外国にもこの種の航空企業は数あるわけでございますが、それらを私ども調べた限りにおきましては、まずそういったスチュワーデスのようなものは乗せていないというような実情でございます。それから就航しております路線が、これまた問題でございますが、大体三十分から四十五分程度というところがほとんどでございます。したがいまして、一つのフライトの途中でバンドを外すとかはめるとかいろいろそういったややこしいことはしないで済む状態でございます。それからまた長いところは一時間半程度のフライトではございますけれども、その場合におきましては付近に非常にたくさんの不時着場をあらかじめ選定してございますので、まずそういう点において異常があったときには、高度も低うございますので、どこにでもすぐおりられる。したがって、その客室乗務員をおろすのに当たりまして、それにかわるべき、まず機材の方の手入れとしては、たとえば飛行中にドアは絶対にあかないようにするとか、あるいはコックピットとの間の通話がインターホンでできるようにするとかというふうな施設的な面を整備いたしまして、それからさらに先生おっしゃるように、すべてのロードがコーパイにかかったのではこれは非常に問題でございますので、地上勤務員、つまり切符を売ってお客を乗せるまでの段階において必要な安全上の指示は、十分にそれらの職員を訓練をいたしましてそういった指示をさせる、コーパイは飛行機を出しますときに、バンドを締めているかどうかということを一応確認してそれから飛行機をスタートさせる、それからまた飛行機が離陸し着陸する場合は、現在でも、スチュワーデスが乗っておりましても、彼女たちがみずからバンドをかけて動けないわけでございますので、そういう場合においてはコーパイといえども何もそういう点については心配しなくていい、もっぱら飛行機を上げおろしすることに専念すればよろしいというふうな事細かな規定類をつくりまして、それをまた徹底をして訓練をさせまして、さらにまた、重ねて、昨日終わったばかりでございますので私報告を受けておりませんけれども、私どもの方で厳重に監査をいたしまして、それらの条件が十分に充足されているということでありますれば、そこで運航規程というものを認可をいたしまして、こういったような形での運航をさせるというふうなことを考えております。  しかし、決して安全を切り捨て、阻害しようというふうな考えは毛頭ございませんので、これにかわるべき手は大小を問わず十分に打ったというふうな考えで今後とも対処をしてまいりたい、このように思っております。
  186. 沖本泰幸

    ○沖本委員 もうすぐ終わりたいと思いますけれども、そういうことによって、いままでそこで勤務しておったいわゆる熟練熟達の人たちの配置転換ですね、そういうものが従来どおり十分行われるということも十分な配慮をしていただきたいということになるわけです。このごろば新しく雇い入れを制限したり、いろいろなことで経費の削減を図っておるわけですけれども、やはり一人前に仕上げるには相当な経費もかかるわけですから、そういう人たちがまたよその部門で自分の得た技術なり経験が十分生かされるという方向まで航空局の方で配慮をしていただきたいという点をつけ加えておきたいと思います。
  187. 松本操

    ○松本(操)政府委員 ただいま先生の御指示のありました点につきましては、出向社員が多かった点もございまして、それはそれぞれの親会社に帰りました。それからスチュワーデスの中には結婚してしまった者もおるようでございますが、中に一名、そのまま配置転換で現会社にとどまりまして、ただいま私が申し上げましたような細かなそういった安全対策、旅客サービスの元締めになって働いていただいているというふうな形もあるようでございます。  それから、先ほど私、あるいは七千五百億と言ったかもしれませんが、七千五百万でございますので訂正をさしていただきます。
  188. 沖本泰幸

    ○沖本委員 まだ海上問題を御質問したいのですが、所定の時間が来たようでございますし、海上汚染防止問題で、海上関係を運輸委員会の方でも相当おやりになったようでもございますので、きょうは省略さしていただきたいわけですけれども、とにかく各省にまたがるので相当膨大な内容のものですから、一時間くらいの御質問ですべてが自分の納得するところまで御質問できるということには至りませんので、今後もこの問題について十分質問の機会を与えていただくことをお願いして質問を終わりたいと思います。
  189. 太田一夫

    太田委員長 次回は明十三日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十四分散会