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1976-05-12 第77回国会 衆議院 建設委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年五月十二日(水曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 渡辺 栄一君    理事 天野 光晴君 理事 内海 英男君    理事 梶山 静六君 理事 國場 幸昌君    理事 服部 安司君 理事 井上 普方君    理事 福岡 義登君 理事 浦井  洋君       大村 襄治君    斉藤滋与史君       三枝 三郎君    塩谷 一夫君       田中  覚君    谷川 和穗君       渡海元三郎君    中尾  宏君       中村 弘海君    松野 幸泰君       佐野 憲治君    清水 徳松君       中村  茂君    渡辺 惣蔵君       柴田 睦夫君    瀬崎 博義君       新井 彬之君    北側 義一君       渡辺 武三君  出席国務大臣         建 設 大 臣 竹下  登君  出席政府委員         大蔵政務次官  唐沢俊二郎君         建設政務次官  村田敬次郎君         建設大臣官房長 高橋 弘篤君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省住宅局長 山岡 一男君         建設省住宅局参         事官      救仁郷 斉君  委員外出席者         沖繩開発庁総務         局調査金融課長 武末 祐吉君         大蔵省主計局主         計官      西垣  昭君         大蔵省主税局税         制第一課長   大竹 宏繁君         大蔵省理財局資         金第二課長   行天 豊雄君         大蔵省銀行局特         別金融課長   岡崎  洋君         厚生省年金局資         金課長     渡辺  修君         住宅金融公庫総         裁       淺村  廉君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     南部 哲也君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     上野 誠朗君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     川口 京村君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部を改  正する法律案内閣提出第五二号)  住宅金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第五一号)      ————◇—————
  2. 渡辺栄一

    渡辺委員長 これより会議を開きます。  内閣提出下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案に対する質疑は、去る十日終了しております。  この際、下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部を改正する法律案に対し、内海英男君、井上普方君、北側義一君及び渡辺武三提出にかかる修正案及び浦井洋提出にかかる修正案がそれぞれ提出されております。  提出者から順次趣旨説明を求めます。内海英男君。     —————————————  下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾掲載〕     —————————————
  3. 内海英男

    内海委員 ただいま議題となりました下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党日本社会党公明党及び民社党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文は、お手元に配付してあります。  御承知のとおり政府原案では、下水道整備緊急措置法の一部を改正する規定は、昭和五十一年四月一日から施行することとしておりますが、御説明申し上げるまでもなく、現在すでにその期日を経過しておりますので、これを公布の日から施行することに改めようとするものであります。  以上で修正案趣旨説明を終わります。  委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  4. 渡辺栄一

  5. 浦井洋

    浦井委員 私は、日本共産党革新共同を代表して、ただいま議題となっております下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部を改正する法律案に対する修正案についての提案理由及び要旨を御説明いたします。  案文はお手元に配付してあります。  今回の改正案は、第四次下水道整備五カ年計画を定めるとともに、工場等からの悪質下水に対する規制及び監督を強化する内容を持っていますが、第四次五カ年計画を見ると、下水道整備が諸外国からも大きく立ちおくれ、生活環境整備公共用水域水質保全を図る上で、大幅な公共投資が必要とされている中では、不十分なものと言わざるを得ないものであります。  また、下水道法改正では、工場などから基準以上の悪質下水下水道に排出してはならないとし、違反者に直罰を課すとともに、下水道管理者が、特定施設に対し、計画変更命令改善命令を出せるなどの一定の改善が見られますが、これらの規制を真に効果のあるものにする上での不十分さも残しています。  わが党はこれらの規制を真に実効あるものにするために、次の二点について修正案提出するものであります。  第一には、特定施設設置について、届け出制を改め、許可制にすることであります。  わが党は、すでに、公害関係諸法抜本改正案の一環として、特定施設設置許可制を含む水質汚濁防止法改正案提出しており、これは現在も審議中のものであります。現行水質汚濁防止法排水規制がきわめて不十分なもとで、排水施設である特定施設設置許可制の導入はきわめて差し迫った課題となっています。  また、これらの許可制は、工場排水下水道に排出させる上でも当然適用されるべきものであり、これこそが、下水道管理者の権限を一層強化し悪質下水下水道に排出させないようにする保障となるものです。  修正案の第二は、公共下水道管理者に、工場排水水質、量、汚濁状況監視することを義務づけることです。  現行法では、特定施設設置者水質測定の義務づけをしていますが、これらを実施している都市は、四十九年度で全国の三〇%しかありません。また、公共下水道管理者報告の徴収や立入検査ができるようにはなっていますが、これらもきわめて不十分にしか実施されておりません。  これらの現行法で定められた監視体制実効あるものにするために、工場等水質測定の義務を厳格に実施させ、公共下水道管理者の側からの監視も強化し、両面からの監視を図ることが必要です。  以上が修正案提案理由及び要旨であります。  委員各位の御賛同をお願いして、趣旨説明を終わります。
  6. 渡辺栄一

    渡辺委員長 以上で両修正案趣旨説明は終わりました。     —————————————
  7. 渡辺栄一

    渡辺委員長 両修正案について、別に発言申し出もありません。  これより本案及びこれに対する両修正案を一括して討論に付するのでありますが、討論申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  まず、浦井洋提出修正案について採決いたします。  本修正案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  8. 渡辺栄一

    渡辺委員長 起立少数。よって、浦井洋提出修正案は否決されました。  次に、内海英男君外三名提出修正案について採決いたします。  本修正案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  9. 渡辺栄一

    渡辺委員長 起立総員。よって、内海英男君外三名提出修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  10. 渡辺栄一

    渡辺委員長 起立総員。よって、下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部を改正する法律案は、内海英男君外三名提出修正案のごとく、修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  11. 渡辺栄一

    渡辺委員長 ただいま修正議決いたしました本案に対し、梶山静六君、井上普方君、浦井洋君、北側義一君及び渡辺武三君から附帯決議を付すべしとの動議提出されております。  まず、提出者梶山静六君から趣旨説明を求めます。梶山静六君。
  12. 梶山静六

    梶山委員 ただいま議題となりました下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党日本社会党日本共産党革新共同公明党及び民社党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文は、お手元に配付してあります。  御承知のとおり、当委員会は、昭和四十五年の第六十四回国会、いわゆる公害国会において、下水道法の一部を改正する法律案に対し、国の財源措置の大幅な改善等下水道緊急整備を図るための基本となる諸問題について附帯決議を付し、政府特段考慮を強く要望してきたところであります。しかしながら、政府の相当な努力にもかかわらず、いまだ同附帯決議が十分には実行されていないことにかんがみ、この際政府に対し、改めて、同附帯決議趣旨を重視し、さらに実効が上がるよう適切な措置を講じ、本法運用に遺憾なきを期するよう強く要望する必要があると思うのであります。  以上で趣旨説明を終わります。  委員各位の御賛同をお願いいたします。     —————————————    下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  本法の施行にあたつては、第六十四回国会において附せられた下水道法の一部を改正する法律案に対する附帯決議が十分には実行されていないことにかんがみ、政府は、同附帯決議趣旨を重視し、更に実効のあがるよう適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  右決議する。     —————————————
  13. 渡辺栄一

    渡辺委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  本動議に対し、別に発言申し出もありませんので、これより採決いたします。  本動議賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  14. 渡辺栄一

    渡辺委員長 起立総員。よって、梶山静六君外四名提出のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。竹下建設大臣
  15. 竹下登

    竹下国務大臣 本法案の御審議をお願いして以来、本委員会におかれては熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めるとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に尊重し、今後の運用に万全を期して努力する所存でございます。  ここに、本法案審議を終わるに際し、委員長を初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。ありがとうございました。     —————————————
  16. 渡辺栄一

    渡辺委員長 なお、お諮りいたします。  ただいま修正議決いたしました本案に対する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 渡辺栄一

    渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  18. 渡辺栄一

    渡辺委員長 次に、内閣提出住宅金融公庫法の一部を改正する法律案議題とし、審議に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。國場幸昌
  19. 國場幸昌

    國場委員 ただいま議題となりました住宅金融公庫法の一部を改正する法律案のうち、新たに資金運用部資金利率貸し付けを行おうとしている新設個人住宅資金貸し付けに関して、二、三の質問をいたしたいと思います。  住宅金融公庫は、昭和二十六年以来、個人貸し付けを中心的な業務として実施してまいりました。国民大衆持ち家取得に果たしてきた役割りはきわめて大きいと思います。昨年の個人住宅貸し付け募集に至っては、借入希望者が殺到いたしまして、締め切り予定日より以前に打ち切られたのも御承知のとおりであります。このことは公庫に対する国民の期待と役割りがいかに大きいかを示すものでありまして、このように、公庫個人住宅資金貸し付け公庫業務の中でも基本的な性格を持つものでありますが、今回の改正において、従来個人貸し付けがすべて法律限度を決めた五分五厘の利率貸し付けが行われているにもかかわらず、新たに資金運用部資金貸付金利と連動した、当面七分五厘の利率による個人貸し付けを設けることとしておりますが、このことは公庫個人貸し付け金利を漸進的に引き上げていくのではないかという、国民の間にはそういう危惧の念を抱かしめることだと思うのであります。このような新たな貸付制度を設けようとしているのはどういう目的があってのことか、明確なる御説明をお願いいたしたいと思います。
  20. 竹下登

    竹下国務大臣 國場委員お答えをいたします。  近年、住宅事情戸数の面ではようやくかなり水準に達しましたが、質の向上住宅政策上大きな課題となっておることは御意見のとおりであります。このためには、今後においてはある程度規模の大きな住宅に対しても、新たに政策的な金融の道を開くことが必要であると考えるわけであります。  この場合、規模の大きい住宅を求める国民は、従来のいわゆる五分五厘という利子補給を伴う政策金利融資対象者に比べてみますと、経済的には比較的余裕のある階層であると考えられますので、今後資金運用部資金金利により、利子補給を行わない低利資金融資を行うこととして、個人に対する住宅資金貸し付けを拡大することといたしたものであります。  個人住宅貸し付け基本であります五分五厘、これは長い歴史によって定着したわけでありますが、この五分五厘口につきましては、今後ともその利率を堅持いたしますとともに、需要に対応して必要な戸数の増加を図ることといたしまして、あわせて資金運用部資金金利による新規貸し付けにつきましても、国民要望に即して逐次拡充してまいりたいと考えておるわけであります。  したがって、今回の措置は、あくまでも新規需要に対して利子補給の不要な低金利の新しい種類の融資を設けようとするものでありまして、今後漸進的に金利の引き上げを図るなどという意図は全く持っておりません。
  21. 國場幸昌

    國場委員 ただいまの大臣説明によって理解したわけでございますが、次に、関連いたしまして、政令をどう決めようとするものであるか、お尋ねいたします。  新たに設ける貸付金については、政令の定め方に対し、改正案による第二十一条第二項ではしっかりした枠がはめられておるわけでございますが、当面昭和五十一年度においてはどんな内容政令を定めるつもりでありますか、今後はどのように持っていこうとなさるお考えがありますか、御説明をお願いいたします。  それから住宅規模については、百二十平方メートルから百五十平方メートルのものを新設の場合七分五厘の金利とすることとなっておるようでありますが、現在でも、特に家族の多いような六名以上あるいは五名以上に対しましては、老人と同居しておる世帯等と相まって、貸し付けに対しまして五分五厘という特別なる配慮をされておりますが、その点に対しましてはいかようなお考えをお持ちであるか。いまでも百二十平方メートル−百五十平方メートルに至っては五分五厘という金利の定めによっておりますが、ことさらに七分五厘というのはどういうようなことに適用されるものであるか、それについてお尋ねいたします。
  22. 山岡一男

    山岡政府委員 新築住宅に対します。分五厘口の貸付金といたしましては、全体の予算戸数との関連から、本年度におきましては、規模が比較的大きい住宅にかかわる貸付金のみを政令で定めたいと考えております。  具体的には、現在公庫融資対象としております住宅規模は、原則として床面積が百二十平方メートルまでということにいたしております。新築住宅規模が最近では持ち家の平均で百平方メートル強に達しております。今後住宅宅地審議会答申等趣旨にも沿いまして居住水準向上を図るためには、新築住宅はできるだけ規模の大きいものとすることが望ましいという観点から、従来対象としておりませんでした百二十平方メートル以上の住宅貸し付け対象とすることを考えておるわけでございます。この場合、先ほど先生がおっしゃいましたように、現在でも百二十平方メートル以上の住宅につきまして貸し付けを行っております大家族世帯向け住宅、それから老人同居世帯向け住宅等々につきましては、従来どおり五分五厘の貸し付けを行うように政令において措置する考えでございます。  将来は、所得が比較的多い者に対する貸付金についても、貸し付けを受ける者の所得をもって基準考えたいと思っておりますけれども、この場合におきましては、貸し付けを受ける者の償還金に係る負担等を十分考慮しまして、広く国民の納得を得られるような比較的高い額のところで政令を定めたい、当面、本年は予算戸数等も少のうございますのでそこまでは決めないことにいたしたいと考えておりますけれども、将来はそのようにいたしたいと考えておるわけでございます。
  23. 國場幸昌

    國場委員 次に、本改正における目玉商品とも言うべき個人住宅貸し付けに関する一つの柱である既存住宅購入資金に対しましてお尋ねをいたしたいと思います。  戦後の住宅が大量の不足状態から今日に至るまで、国民の営々たる努力の成果として、最近ようやく住宅の数が世帯数を上回るに至り、質はともかくといたしましても、戸数の面では一応の水準に到達したようでございます。こうした時期に既存住宅ストックの有効な活用を図る本制度を設けることは、きわめて時宜にかなったものだと思うのであります。今後の需要の見込みとも関連して、今後公庫業務の中で既存住宅購入資金融資をどう位置づけ、どのように考えておられますか。また、昭和五十一年度貸付予定予算案では二千戸となっておりますが、数字としてはいささか少ないではないか、こういうようなことも考えるわけでございますが、将来とも引き続きその面に対しまして力を入れていかれるおつもりでございますか。その目標や、あるいは今後における計画等がありましたらお答えをお願いいたします。
  24. 山岡一男

    山岡政府委員 先生のお話のとおり、住宅戸数世帯数を上回り、住宅量的充足は一応確保されたという現状におきまして、国民の皆さんは居住水準を高めるということについての要望を熾烈に持っておられます。しかし、そういうふうな居住水準向上させるためには、従来のストックを大いに有効に活用いたしまして、住みかえによりましてその居住水準向上を図るということも今後きわめて重要であろうかと思っております。このために住宅金融公庫におきまして、昭和五十一年度から新たに既存住宅購入する場合についても貸し付けの道を開きたいと考えた次第でございます。この既存住宅貸付制度につきましては、従来の新築住宅貸付制度、これは公庫の基幹となるものでございまして、今後も基本となるべきものでございます。それの補完的な立場として新種の道を開きたいと考えておるのが現在でございます。今後も需要の動向、それから民間住宅ローン民間でも既存住宅購入資金融資を始めております。それらの実施状況等考慮しながら逐次充実を図ってまいりたい。しかし、立場といたしましては、あくまで個人住宅対策の補完的なものとして当面位置づけてまいりたいと考えております。  五十一年度につきましては二千戸でございまして、確かに新規予算とは申しながら大変少のうございます。しかしながら本年度は、新しく道を開くというものでございますので、既存住宅貸し付けに伴う問題点の解明、制度確立等を図る意味からも、試みのために道を開いたというようなことで一応二千戸の貸し付けにいたしたのでございます。しかしながら、今後、先ほど申し上げましたように住みかえによる居住水準向上が重要な施策となることは明らかでございます。したがいまして、中古住宅の市場におきます実態を勘案しながら、必要な範囲において融資枠の拡充を図ってまいりたいと考えております。
  25. 國場幸昌

    國場委員 中古住宅と申しましても多種多様な規模構造質等の点でかなり相違があることだと考えられますが、貸し付けに当たってその基準等はどうなっておりますか。たとえば貸付限度額年利率据え置き期間償還期間貸し付けを受ける者の所得基準一般住宅貸し付けとの相違点等についてひとつお知らせをお願いしたいと思います。
  26. 山岡一男

    山岡政府委員 昭和五十一年度既存住宅貸し付けにつきましては、価格の評価の便宜等考えまして、戸数も少のうございますので、当面マンション購入から実施をしたいと考えております。このために、貸付対象となります住宅規模構造質等につきましては、おおむね現行新築マンション購入融資の条件を頭に置きながら基準を検討してまいりたいと考えております。ただ、貸付金額につきましては既存マンション購入の八割以内ぐらいをめどに考えていきたいと考えております。
  27. 國場幸昌

    國場委員 これは所得制限がございませんか。
  28. 山岡一男

    山岡政府委員 既存住宅につきましては所得制限は設けておりません。
  29. 國場幸昌

    國場委員 木造住宅既設住宅中古住宅ですね、その方に対しましてもそれは適用されるわけでございますか。
  30. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほど来御説明申し上げましたように、当面既存住宅貸し付けにつきましては住宅事情が逼迫している三大都市圏マンションを中心に始めたい、試みの道を開きたいと考えておるわけでございますが、先ほどからも御説明しておりますように、今後も住みかえの促進ということは非常に大事になってまいります。その際当然木造住宅についても対象にすべきだと考えております。管理状態耐用年限等を十分考慮いたしまして、貸し付け対象とすることについて今後検討してまいりたいと考えております。
  31. 國場幸昌

    國場委員 本改正で住みかえの需要を図るためには、住宅売買の際の税制上の優遇考えられるのでありますが、現在新築住宅に対しては固定資産税不動産取得税等についての優遇措置が講ぜられておりますが、中古住宅にもこういうような考慮がなされるものであるかどうか。私が考えますには、かようなるものも一応同じように考慮をしていただきたい、こういうことを考えるわけでございますが、大蔵省とこの法案を提案する前に何か調整でもなされましたか、その点に対しては……。
  32. 山岡一男

    山岡政府委員 先生のおっしゃいましたように、現在住宅につきましては、住宅一般につきましては新築住宅に対する固定資産税不動産取得税の軽減を行っております。それから、特に持ち家対策貸し家対策等につきまして、その目的に応じた減税を図っております。現在のところ既存住宅購入に対しては特段税制上の措置は講ぜられておりません。しかしながら、一般住宅売買に対します減税ということでございますので、なかなか立論の仕方がむずかしくていままで実現してないのが実情でございます。大蔵省とも、事前の相談は今回はいたしておりませんけれども、毎年度そういうふうな税制の検討の際にはわれわれ課題に供しております。今後とも既存住宅の流通の促進のために必要な税制上の優遇措置については十分協議をしてまいりたいと考えております。
  33. 國場幸昌

    國場委員 公庫貸し付けに係る関連公共利便施設についてその償還期間及び据え置き期間が延長されたことは、地方公共団体負担を軽減する意味においてまことに当を得た適切なる措置だと考えるわけでございます。住宅公団の立てかえ制度と比較しました場合、償還期間が五カ年短いものになっておりますが、住宅公団の制度に歩調を合わせることができなかったその理由は何でありますか、その点に対してお尋ねいたします。
  34. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 お答えいたします。  住宅公団との間に関連公共公益施設の助成の度合いが違いがございますのは御指摘のとおりでございますが、これは主として事業主体である住宅公団とそれから公庫貸し付けます対象であります地方公共団体あるいは住宅公社あるいは民間等、こういった事業主体の性格の差によるものであります。     〔委員長退席、内海(英)委員長代理着席〕 言いかえれば、住宅公団は、その設立の目的あるいは事業の性格からいたしまして、県境を越えるような広域の圏域の住宅難解消を目的とする事業である。したがって地元の人ももちろん入りますけれども、その周辺の人が入ってくる、こういう性格の事業をやるという性格を持っておるわけでございます。それらの人たちのために、地元の公共団体だけに関連公共公益施設を全部負担させるというのはいかにも気の毒で、助成の度合いも強くなければいけないというふうに感じられるのに対しまして、公庫融資対象となっております地元地方公共団体、すなわち県とか市町村とかあるいはそれらの設立した公社というのは、いわばその地域の住民のための住宅難解消のためにやるものであるという性格を持っており、また民間事業は一つの企業体としてやるものである。これらに対して確かに財政上その地元は負担しなければならないという苦しさはございますけれども、やはり事業の性格からして差を設けるべきであるということで若干の差はついたのでございますが、しかし、従来に比べれば非常に大幅に公団の助成策の方に近づけておるという意味で、持にその据え置き期間中三分五厘にする等の措置につきましては非常に大幅な思い切った措置をとったというふうに考えております。これによって、公庫貸し付け対象である事業が地元の負担を大きく軽減することによって、計画的な開発がそれらの事業主体によって伸びるであろうということを期待するものでございます。
  35. 國場幸昌

    國場委員 民間金融機関が行っております住宅ローンに対する資金の流動性を図るため、住宅抵当証書制度を拡大するとともに、公庫が抵当証書の売買を行えるようにする等の措置を検討しておると聞いておりますが、その結果についてどうなっておりますか、お尋ねいたします。
  36. 山岡一男

    山岡政府委員 五十一年度予算におきまして、住宅金融公庫住宅抵当証書等を売買することによりまして民間住宅金融のある程度のオペレーションをやる制度というものを要求いたしました。しかしながら、金融引き締め政策の転換によりまして金融が緩和いたしまして、現に全国銀行それから相互銀行による住宅融資は五十年四月以降非常にふえております。最近の金融情勢などを総合的に勘案いたしまして、五十一年度には創設を見送るということにいたしたわけでございます。  ただこの制度につきましては、民間自力による住宅建設に占める住宅金融の重要性を考慮しまして、現在行っております抵当証書の流動についての中身の促進というのみではなくて、本年度要求しましたような趣旨につきまして、今後の金融情勢等の推移を見ながらその実現に努力をしてまいりたいと考えております。
  37. 國場幸昌

    國場委員 手前県の問題でまことに恐縮なんですが、ちょっとお尋ねしたいことがございますのでよろしくお願いします。  沖繩復帰に伴いまして、沖繩における住宅金融公庫の貸付業務は沖繩振興開発金融公庫が行っておるのでありますが、今回の住宅金融公庫法改正による業務の拡充に対応して、沖繩振興開発金融公庫の貸付業務も当然拡大されなければいけないものだと思うわけでございますが、この点に対しましてはどうなっておりますか。  また、沖繩においても既存住宅購入資金貸し付け等について多くの希望者かおりますが、その点に対しましてもこのたびの改正に対して準用するというようなことになっておるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  38. 武末祐吉

    ○武末説明員 沖繩について御質問でございますので、御説明申し上げます。  今回の法律改正による住宅金融公庫業務の拡大に対応いたしまして、沖繩振興開発金融公庫住宅資金貸し付けについても所要の政令改正を行い、これに対応する業務拡大を行う予定になっております。したがいまして、御質問の既存住宅購入資金貸し付け制度も、沖繩振興開発金融公庫について同様に新設する予定でございます。
  39. 國場幸昌

    國場委員 関連しまして、沖繩には御承知のとおり本土にもないような特殊の既存住宅が約四、五千戸と言われる数がございます。その特殊な住宅というのは、米国の軍人、軍属に対する貸し住宅として建設された家屋でありまして、基地の整理縮小と相まって次から次と空き家になっておるような今日の状況に対しまして、これを改造して民間払い下げにし、民間が利用していくというようなことでなければ、せっかくの投資がむだになるわけでございますので、その点に対してどのような考え方をお持ちでありますか。  また、そのほかに米軍が直接建設したところの住宅がございます。これは基地縮小と同時に施設庁に引き継がれるわけでございますが、これは国家財産になるわけでございますので、施設庁といたしましてもこれを生かして使うというのが国家的にも国益として目的を達成するわけでございますが、その点に対しての貸付ローンというのがこのたびの改正の中にもし入っておらないとした場合に、今後それに対しての貸し付け計画されておるのであるかどうか。これは余りにも数が多うございますので、それを生かして使うというのは申すまでもなく国益に通ずるということでございますが、その点いかがでございますか。
  40. 武末祐吉

    ○武末説明員 第一の米軍向けの貸し住宅でございますが、これは先生お話しのとおりこれまで非常にたくさんつくられましたが、米軍基地が漸次縮小されるというようなことに伴いましてだんだん余ってきておるという現状がございます。この点については、これを日本人向けに県民の方が買い取って使っていくという場合に公庫融資をつけたらどうだというお話は、沖繩県の方からも御要望が出ておるところでございます。     〔内海(英)委員長代理退席、委員長着席〕 今回既存住宅購入資金貸し付けという制度新設されることになりました場合には、その具体的な貸付対象につきまして、できるだけ沖繩のそういった実情も考慮しながら、県民の居住水準向上に資するというこの制度の本来の趣旨に合うように運営してまいりたいというふうに考えておりまして、御指摘の点は現在検討中でございます。  それから第二点の、米軍が基地の中につくった住宅が、今後基地が返還されて国の方へ戻ってくるのではないかという点でございますが、この点につきましては現在のところまだその実態を十分把握しておりませんので、実情をよく調査いたしました上で、必要があれば、またそれが望ましいということであれば、さらに具体的な方策を検討してまいりたい、さように考えておる次第でございます。
  41. 國場幸昌

    國場委員 いまの米軍が直接施設を持つ住宅問題でありますが、整理縮小によっての日米協定の条件としまして、いまたとえば那覇に一番近い天久森というところがございますが、そこは約百二十万坪と言われておりますので、そこにある住宅が今度嘉手納航空隊の区域内に移転するべく、十億余りの費用をかけて敷地ならしをしております。それは返還協定によって第一次撤収するというようなことで、縮小の中の計画に入っておるわけです。代替地問題とかいろいろもめまして今日まで至っておりますが、いよいよこれが決着がつきまして、近く嘉手納航空隊の軍用地内に接収されることになると、これは既存住宅はそのまま残りまして、この代替はわが国の政府予算をもって全額負担ということになっております。そうしますと、そこにある何千棟という米人住宅が全部空き家になってくるわけです。その方もありますので、その点は那覇に近く、ずいぶん高度にこれは利用することができるという条件を持っておりますので、その点も御配慮をしていただきたいということをお願いしておきます。  それから大臣に最後にちょっとお尋ねいたします。  私が質問せんとするのはまことに飛躍するような話ではございますが、先般ヨーロッパをずっと回りました。フランスのパリの街といいますと、御案内のとおり世界でもその美観を誇り、古くナポレオン時代の都市計画によってあの街はできておるということでありますので約百七十年余になるわけでございます。その家が、その住宅がいまだに住宅ローンを保障されるというようなかっこうで、これが今日まであの美観を装って健在である。こういうようなことから考えますと、わが国においては、生まれてきたら一生でせめてマイホームだということで、土曜、日曜もせっせと働いて、それがコンクリートなら六十年、木造なら三十年というような償却年限で、貸し付けが最高に三十年とか、こういうようなことでは、ぶち壊してはまたつくり、つくりという不経済な、国家的な損失はまことに大なるものがある。住宅政策としまして、わが国は木材の林産資源ももうすでに尽きまして、六五の輸入に対して三五というようにアンバランスで、住宅資材に困窮を来している今日、私はもっと貸付ローンというのを政府の方では——百七十年の家が住宅ローンがきくということでございますし、またフランスのような国民生活の制度からしまして、十カ年以上一つの家に住まない、大体一つの家に住むのが平均して十カ年だ、こういうことを言われております。そういうふうにすることは、どんな大きい家でも祖先から伝わって引き継いだ家だからということではなくして、もっと現実的な実用化に対して、国民に対して住宅政策というのを指導する必要があるのじゃないか、こういうことを考えるわけでございます。  ヨーロッパのことをもっとつけ加えますと、向こうでは自分の世帯に対して、もちろんわが国でもそうでございますが、所得に応じて家に対して投資しまして、それで子供が育って巣立って、嫁とり、むことりでみんな分家してきまして夫婦二人になりますと、それに相応する家にまた買いかえていく。この間において、投資したものを今度買いかえによって得たところの差益をもって後半生を楽しんで暮らしていく、こういうふうな方法で、家に対しては、自分の所得とか自分の家族構成そのものに対しての家を求めるということは一つの投資である、こういうような物の考え方を持って、その売買をするのは二百年たっても三百年たってでも同じ価値をもって保障してやるというようなことになるものですから、経済的にも、つくっては壊しつくっては壊しというようなことがなくて、とても合理的であるというようなことが言われておりますが、これはやはり生活、制度というものはその民族性、気候、風土にもいろいろ問題があるのであります。しかしそういうことになれるように、資材の少ないようなわが国においては、住宅政策も徐々にそういう方向づけをして、国民に対しての習慣づけ、あるいは指導性を持って策定していく必要があるのじゃないか、こういうようなことを考えるわけでございますが、大臣、その点に対して最後の質問としてお答えをお願いいたします。
  42. 竹下登

    竹下国務大臣 國場委員の最後の御質問でございますが、ああいう大戦争がありまして、そして住むに家なくという状態の中で、衣、食、住という順番で量的な問題が高度経済成長の中に確保され、そうして国民のニーズの変化というものも、当然のこととしていわゆる福祉国家の青写真というものを描く時代に完全になったではないか。そこに出てくるのがライフサイクルということになろうかと思うのであります。そのライフサイクルの中における住宅政策というものについて、恒久的な日本らしい住宅政策をライフサイクルの中で位置づけを考えて、これを国民の皆様方に提言し、あるいは指導していく必要がありはしないかということについては、私も御意見に対して心から感動をするものであります。  今日までのわが国の住宅そのものを考えてみますと、量の充実ということを急いだ余り、そしてまた古い伝統的土壌というものから、またこれは夏の高温多湿な気候というものから、勢い耐火建築というような形でなしに、木材による建築、木造住宅というものが日本の住宅の主たる役割りを果たしてきた。そういう歴史的経過の中にありますものの、住宅建築の技術も進んでまいっておりますし、国民の要請というものが多様化すると同時に、定着したライフサイクルの中に住宅政策を位置づけて、これこそいわゆる夢と希望のある生涯設計というものに対するニーズが非常に高まってきておる。そういう考え方で今後とも施策を進めていかなければならぬ、私は全く同感というところであります。  ちなみに私も住宅政策というものの推移を、御審議いただいております公庫改正だけの経緯で調べてみましても、これが昭和二十五年、二十六年、二十七年、二十八年、二十九年、三十年、三十一年、三十二年、三十三年、三十四年、一年飛んで三十六年、三十七年、三十八年、三十九年、四十年、四十一年、それから四十二年と四十三年が飛びまして、四十四年、四十五年、四十六年、四十七年、四十八年、それから四十九年が飛んで、そして五十年と、そういうふうに業務内容を拡大していくためにこれほど改正改正を続けてきた法律はないと思うのであります。それは国民の意思を代表した国会における質問というものから、現実面として、この公庫法がこういうふうな回数に至るほどの、二十五年以来十九回もの改正でありますから、そういうことで少しでも量から質へという方向で国民の意思にこたえてきた一つの証左になりはしないかと思うのであります。したがって、これは具体的な住宅政策の中の公庫政策一つを考えても、これだけのたび重なる改正によって少しでも意図するところへ近づけておる。そうすれば、こうなれば、基本的にやはりこの生涯設計の中での国民のニーズにこたえる住宅政策の展望とか青写真とかいうものがまさに必要になってきた時代である。そういう方向で今後政策立案に取りかかりたい。まことに同感であります。
  43. 國場幸昌

    國場委員 終わります。
  44. 渡辺栄一

    渡辺委員長 清水徳松君。
  45. 清水徳松

    ○清水委員 最初に局長にちょっとお伺いしたいのですが、四月の二十八日に締め切られましたことしの新規といいますか、第一次の住宅申し込みですね。その数はどれぐらいになっておるのか、またその扱いに対する基本方針、つまり今後の貸し出し等についての方針等ありましたら、ひとつできるだけ詳しく最初に御説明をお願いをいたしたいと思います。
  46. 山岡一男

    山岡政府委員 本年度公庫個人住宅貸し付けにつきましては、総枠は二十一万四千戸でございます。特別貸し付け分等を除きました十八万三千戸を一般分として予定したわけでございます。  申し込み受け付けは春秋の二回に分けて行いたいということで、申込者が予定戸数を超えた場合には抽せんにより選定いたしますということで本年度の募集をやっております。  第一回の申し込み受け付けは、一般個人住宅分は九万三千戸それからマンション購入分は七千戸、計十万戸ということで、四月十六日から四月二十八日までの募集を行いました。その結果、一般個人住宅につきましては約十七万七千、若干の端数がございます。それからマンション購入が約九千六百の合計十八万六千戸という応募がございました。予定戸数を上回りましたので、来る五月十九日に抽せんにより融資対象者を決定するという予定にいたしておるわけでございます。
  47. 清水徳松

    ○清水委員 九万三千に対して十七万七千戸、約倍近い申し込みがあったわけですが、これはもちろん抽せんによって決定するのでしょうけれども、これによって大体ことしのすでに予定されておる貸出予定戸数でもって十分国民要望が賄い得るものであるのかどうか、その辺のところの見通しですね、それからまた今後の対策を、このままにして放置してよいかどうか、その辺のところも若干、お考えがあるのじゃないかと思いますのでお伺いをいたしたいと思います。
  48. 山岡一男

    山岡政府委員 当面、相当戸数をオーバーいたしましたので抽せんでやることは御承知のとおりであります。  ただ、年間分を通じましてちょうど先ほど申し上げました十八万戸ぐらいという分が、一遍に申し込みがあったという結果になっております。これにつきましては、やはり秋にもう一回やりますので、そのときの実施状況等も勘案いたしまして、例年のように弾力条項というのも予算上についております。天下の大勢を考えながら、弾力的に対応してまいりたいと考える次第でございます。
  49. 清水徳松

    ○清水委員 いま局長が弾力条項といったような御答弁も含めまして、この申込数に対応した扱いを今後考えておられるようでございますが、昨年も七万戸の枠の拡大を建設大臣以下の御努力によって達成されたわけであります。秋にまた申し込みを受けるわけでありますが、そのときでこの春の申し込みからはみ出た方々とその秋の申し込みとプラスして、ことしは十九万四千戸ですね、十九万四千戸からこれは当然オーバーするであろうということは考えられるわけであります。それに対してひとつ弾力条項というものをフルに活用して、十分対応策を講じていただきたいということを、まず最初に御要望申し上げておきたいと思います。ひとつ念のためもう一度お答えを願いたいと思います。
  50. 山岡一男

    山岡政府委員 公庫予算は、先生御案内のとおり、政府関係機関予算ということで国会提出をして審議をいただいております。したがいまして、その予算の枠内でまず最善を尽くすというのがわれわれの任務だと考えております。ただ、同様に先ほど申し上げましたように、弾力条項というのも総則に入っておるということでございますので、弾力条項の総則の欄を見ますと、大蔵大臣は必要に応じて発動できると実は書いております。したがいまして、建設省だけで決められるものではございませんけれども、やはり先ほど申し上げましたように諸般の情勢に対応しながら強く対応してまいりたいというのがわれわれの立場でございます。
  51. 清水徳松

    ○清水委員 きょうは大蔵省の方からもおいで願っていると思いますが、この点についてもしお答え願えるならばひとつお答え願いたいと思います。——大蔵省まだおいでになっておらないようでありますから、それは後にしたいと思います。  条文に入る前に、政府住宅対策全般についてちょっとお伺いをいたしたいと思います。  本年の三月の末で終了しました第二期のあの住宅五カ年計画ですね、この達成率は公営住宅については七七%、公庫住宅が一二一%、それから民間の方が八九・五%、こういうような数字が出ておりまして、特に公的資金による住宅の中で飛び抜けてこの住宅金融公庫の達成率がよいわけであります。これは四十八年度を除く各年度にわたって、景気対策等もありまして、公庫に対する大幅な財投が追加されまして、公庫個人住宅融資が大幅に増加をした。その結果、第二期の計画中の公的資金住宅における公庫住宅の比重が大幅に増加をしたということになるわけであります。公庫住宅が公的資金住宅の中で占める割合は、五十年度では六〇%程度になっているようにここでは考えられるわけでありますが、このように公庫住宅が公的資金住宅の大半を占めるということは、公的資金住宅における持ち家の割合が著しく増加をしたということにもなるわけでございまして、したがって、反面から見ますと、公的賃貸住宅の比率が低下したということにもなるわけでございます。政府住宅対策を金持ち階級に偏ったものにするという批判も実はあるわけでございます。  特に公庫住宅の場合は、公的資金によるといっても、これは事象全体を考えた場合は、恐らくは上物だけでも四六%ぐらいの数字が出ておるはずですが、土地も含めての住宅の全体の資金から計算した場合は、本当に一、二割になってしまうのではないかというような状態でありまして、そういうことを考えると、実際は公庫住宅の比重が、ウエートが非常に公的資金住宅の中で上がってきたということは、金持ち中心の持ち家政策に住宅対策というものがずっと傾斜してきてしまっておるということになるのではないかということを考えまして、一面喜びながら、一面非常にわれわれとしては本来の私たちの持っておる住宅対策の基本的な方針、公団公営中心主義というのは、これは多少のイデオロギーも入っておりますが、われわれの原則的な考え方でございます。それからすると、どうもおもしろくない方向にだんだん住宅対策というものは偏りつつあるということを考えるときに、非常に心配されるわけです。つまり働く貧しい者といいますか、勤労階級にとりましては、どうも家というものははなはだ取得しにくくなっておるという状態があらわれているのではないかということが心配されてなりません。その点について、ひとつ大臣の率直なる御所見などをお伺いいたしたいと思います。
  52. 竹下登

    竹下国務大臣 清水委員にお答えをいたします。  清水委員の御指摘は、私は傾向としてそういう傾向にいっておるということは否定するものではありません。まさにそういう傾向にいっておるな、と思います。これは日本人の持つことわざの一つを考えますと、狭いながらも楽しいわが家とか、あるいは木の香りとか、そういうものがわれわれの体内にしみ込んでおって、それが長い伝統のうちに、自己の生涯設計の中で暮らしそのものに幸福感とかあるいは悦楽とかいうものを感ずるのは持ち家を持ったときだ、日本人の体質の中にそういうものがあることはまさに事実であります。それが御賛同いただいて二十回目の改正になりますこの公庫法等が、それだけのニーズにこたえて改正されながら進んできたというのは、そういう日本人の体質とこの制度とが非常にかみ合っておったからそういうことになったのではないか。  しかしながら、仮に東京都区部の地価等から考えてみましたならば、確かに上物はさることながら、宅地取得のために要する膨大なる経費ということになれば、昭和三十年代に就職なすったような方は、ある意味においてある種の財産形成、ある種の投機として百坪なら百坪土地をお買いになっておって、いま三十九歳とか四十歳になって、その半分を売ってそして公庫融資を加えて持ち家を持つというようなことは、そのときの人には私はあったと思うのであります。が、高値安定したら、なかなかそういう意味において、たとえば東京都区部そのものを考えたときに、高ねの花といいますか、そういう印象が率直に言って、ないとは私も思わないわけであります。  そこで公営住宅の問題を考えてみますと、私なりに、建設大臣に就任いたしましてまだ百日ぐらいなものでありますが、住宅政策についていろいろな勉強をしてみますと、たとえば今年度予算に不用額が生じた。不用額というのは、せっかくこの予算民主主義の中で議決いただいた予算を使わないことなんでございますから、そのまま国庫へ返上することでありますから、まことにこれは残念なことであります。それも、実態の中でいろいろな建物とかいろいろな工事等を行いまして、予定価格よりも千円あるいは一万円安く落札したために不用額として返ってくる。これらはまた国費の節減という意味においても幾らか申し開きも立つ問題である。ところが、その大部分が公営住宅の返上とかあるいは未消化によって不用額としてこれを立てたわけであります。それを見ましても、やはりこの問題は必要性というものがありながらも、現実これを消化するにはたくさんの隘路があるということを実態として私も感じました。  これは一番大きな問題は、地方公共団体住宅関連の公共施設——先生もすでに百も御承知のように保育所でありますとか、学校でありますとか、下水でありますとか、そういうものに余りにも地方団体としての投資が大き過ぎるがために、人口は御免です、あるいは住宅は御免です、地方自治体そのものにはそういう考え方があります。したがって、そこへきちんとしたメスを入れなければ、私はなかんずく三大都市圏における公営住宅金融公庫を除く公的資金による住宅というものは容易なことではないなという感じがつくづくといたしているわけであります。  したがって、いま土地政策全体を所管する国土庁、わが方の計画局、住宅局等でそういう隘路についての一つのたたき台でもいいから、つくって、それを各界の、もとより国会等の御批判をいただいて、そこに隘路打開の方途を模索し、発見したらどうだ、こういう考え方でいま検討というよりも勉強会を精力的にやってもらっておるところであります。  そういう隘路が打開できないと、家が建つということは結構でございます。が、それをバランスで見た場合に、いかにも住宅政策の方向そのものがすべて持ち家の方へおんぶして、公的賃貸住宅等の方をネグレクトして進んでおるのではないか。結果としてそういうグラフが出てくるわけでありますから、私はそういうところの別の意味における客観的隘路というものについて本気な取り組み方をしなければならぬ。  これはたとえば先ほどの質問にもございましたが、公的関連施設に対する融資制度というようなものも逐次拡充されておるものの、どうしてもこれだけではやれない状態になっておるのではないか。清水委員の選挙区等を私なりに念頭に入れてみても、本当に東京へお通いになる人がたくさんお住みになっておって、県知事さんはだれですかと言ったら、畑和さんという者よりも美濃部さんと言った者が多かったとか、そういったふうな方々の人口増に対して大きな拒否反応がある。その拒否反応を取り除くためには、関連公共施設というものに対する、どうしてもこれは一歩踏み出して言うならば、新しい財源というものも考えていかなければならぬではなかろうか。そういうことを模索し、苦悩し、研究を重ねておる現在であるということを、素直にこの心境を申し上げまして、お答えになったかならぬかわかりませんが、お答えといたします。
  53. 清水徳松

    ○清水委員 いま大臣から公営、公団等の住宅建設について非常な隘路があるということの御説明があったし、さらにまたその解決のためにいま鋭意知恵をしぼりつつあるのだというようなお答えでありましたが、ぜひひとつこの住宅金融公庫法案審議に当たっても、これが最善の策ではない、いわゆる次善の策であるということを十分頭に置いて審議をしていただきたいし、われわれも本来ならば、この住宅金融公庫というものに余りにも国の住宅対策がウエートが置かれるようでは、非常にやはり今後問題が出てくるのじゃないかというように考えておるものですから、あえていまのような御質問を実は申し上げた次第でございます。住宅金融公庫の今日まで果たしてきた役割り、また今後も果たすであろう役割りについては十分評価をしての質問でございますので、ひとつ御了解をお願いをいたしたいと思います。  さて、本年度から発足する第三期住宅建設五カ年計画でございますが、ますます公庫住宅に重点を置かれるようになってしまう。いま大臣は、どうしても、努力をしても数字上はそうなってしまうのだ、こういうように言われました。この「国の経済計画による公共投資の部門別配分」これを見ましても、公共の賃貸住宅のシェアが、四十五年から五十年の間では七・一%、それから四十八年から五十二年度までが六・八%、五十一年度から五十五年度までが六・五%、だんだん低下してきておるということであります。これでは、本来の働く者、いわゆる勤労者に対する住宅対策の方向としては正しい方向ではないということを重ねて強調をいたしたいと思います。  このような方向ですから、経済の動向いかんにもよりますが、第二期計画中と同じように、第三期の計画においても公庫住宅戸数が大幅に増加される可能性が強い。これは先ほど申し上げましたように、次善の策としてはわれわれもやむを得ない、こういうふうには思っております。しかし、このような公庫住宅の偏重は、低所得者の階層向けの公的な賃貸住宅の建設に重点を置かれなければならない、そういうことの任務を決して薄めてはならない、忘れてはならない、このように思います。政府住宅対策は、現在は特に公営住宅、公団住宅については、先ほど大臣がおっしゃったように大変な行き詰まりを来しておるわけでございます。しかしながら、われわれ勤労者にとっては住宅というものは非常に重大な問題であるだけに、第三期の住宅計画においても相変わらず賃貸住宅ですか、公団、公営住宅というものがだんだんウエートが低下しつつあるということについて、いまからではどうにもならぬとおっしゃるかもしらぬけれども、ひとつ再検討をしていく余地がないか。どんな苦労があるかもしらぬけれども、それを打ち破っていくという一つの気概を示していただきたいものだ、このように思います。大臣にかわりまして、局長、ひとつ御答弁をお願いをいたしたいと思います。
  54. 山岡一男

    山岡政府委員 先生おっしゃいますとおり、公庫融資と申しますよりは、持ち家か借家かという点につきましては住宅政策上の非常に大きな問題でございます。われわれの立場といたしましては、社会的流動層、低所得者層、それから母子家庭、老人家庭等の皆さん方に対しましては、必要にして十分な量の賃貸住宅を準備する。それから、それ以外の中堅以上のところで持ち家の希望の多い方には持ち家を準備する。いずれにしても、国民の皆さんが選択によってそういうものが得られるようになるというのが一番の理想の姿だというふうに実は考えております。  先生おっしゃいますとおり、最近に至りまして公的資金による住宅の中で確かに持ち家のウエートがふえてまいっております。実は第三期におきましてもそういうふうな傾向で五カ年計画をつくっております。第三期におきまして五カ年計画の中で若干持ち家の方にウエートをかけたという原因といたしましては、この第三期の計画中には、従来から持ち家を求められるような年齢層といいますか、そういう階層の方々の世帯がふえるという見通しがあること、それから、基礎となりました住宅事情実態調査の際に、各世帯のうちの四三%の方が、当面、ここ五、六年の間に何かしら住宅について改善を持ちたいという計画がございますけれども、その内訳の約八割は持ち家を希望なさっているというような点も着目したこともひとつ御報告したいと思います。  それからさらに、確かに国の経済計画の中でも六・五%という賃貸住宅のシェアになっております。しかし、これは先ほども申し上げましたけれども、たとえば公営住宅で申し上げますと、第二期では全体で七八%しか達成できなかったというふうなこともございますけれども、現在といたしまして、前期の経済計画の中では六・八%ではございましたけれども、実績は五%強に終わっております。それらも勘案いたしまして、第三期には必要にして十分な計画といたしまして六兆五千億円、約六・五%を組んだというふうに考えております。  ただ、この五カ年計画の答申をいただきます際にも、われわれの住宅宅地審議会におきましても、五カ年計画の中に十七万五千戸の調整戸数というのがございます。十七万五千戸の調整戸数の配分、活用に当たっては、賃貸住宅に最大のウエートを置くべきだという御提言をいただいております。われわれも事業の進捗状況の実態等を勘案いたしまして、そういうふうな方向で考えてまいりたいと考えておる次第でございます。
  55. 清水徳松

    ○清水委員 非常に細かい質問になるわけですが、公庫住宅関係の融資は非常に複雑になってきていますよ。今度もまた改正によって一種類複雑なものがふえるわけですけれども、貸付制度別にそれぞれその貸付条件が異なってきておるわけです。利用者は簡単にちょっとわからぬ。私も公庫住宅を借りた経験がありますが、衆議院の調査室の方からもらった資料でも、七枚にもわたるようないろいろな形の融資の形があるわけでありまして、これらの住宅関係融資について、利用者が一見してわかるような、言うなれば整理統合と言っていいのじゃないでしょうか、再検討をして、もう少しわかりやすいような貸し出しの種類あるいは方式にしていくというようなことをぼつぼつ考え始めたらいいのじゃないかと思うのですが、その点お伺いをいたしたいと思うのです。  とにかく実務に当たる者は、いやおうなしにそれは覚えるでしょう、それは専門にならなければいかぬですけれども。われわれでも、よほどよく何回も読み直さないと実はわかりません。ですから、国民の皆さんもわからぬと思います。ですから、本当に国民の皆さんに利用してもらいたい住宅金融公庫であるならば、何とかもう少しく簡単に、わかりやすいような方式なり、あるいはまたそういう仕組みをひとつ考えていただきたいものだと思います。どうでしょうか。
  56. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほど大臣も申し上げましたけれども、数十回にわたりまして改正を行いまして、そのたびに、毎年のニーズにこたえて新銘柄等をつくってまいっております。確かに大変複雑多岐になっておりまして、はっきり申し上げまして、私にいまここで全部言えとおっしゃいましても全部は言えません。確かにそういう点がございますので、われわれとしては長時間をかけまして、やはり先生おっしゃいますように、わかりやすい方向に整理統合をすべきではないかと内心は考えております。ただ、当面のニーズにこたえて生じたものでございますので、中身の検討等についても少し時間をかけてやる必要があると思います。当面は、先生おっしゃいましたように、わかりにくいものを少しでもわかりやすいようによくPRに努めまして、御理解いただくような方面で努力をいたしたい、長期的には、先生おっしゃるような方向で十分検討してまいりたいと考えておる次第でございます。
  57. 清水徳松

    ○清水委員 責任者である局長を中心にして、ぜひひとつ今後そのように努力をしていただきたいということをこの際御要望をしておきたいと思います。  個人住宅建設資金の貸付限度額は、物価の上昇に従って年々引き上げられております。五・五%という非常に安い金利、これが住宅金融公庫の一つの魅力であって、やはりこれに飛びついてくるわけなのです。これが、年々また貸出額を多くし、また限度額も上げざるを得ないというような方向に押し出してきている原因であろうと思いますが、五十年度の貸出者を対象にした調査でも、総建築費における公庫の貸出金ですか、その占める割合といいますか、借りた方は借入金ですか、これが四六・六%という数字が出ておるわけです。これは上物だけの問題です。四六・六%にすぎない。しかもこれは少し甘く見ているのではないかというふうに思います。まだまだ公庫の貸付限度が低いということがはっきりあらわれておるわけでございます。  なぜかというと、結局は、実際の建築費に比較して、本来ならば八割なり八割五分貸し出しをしてなければならないものが、こういったような数字が出ておるということは、やはりそれだけ標準価格なるものが実勢と合わないものがあるのじゃないかということであります。それが原因だろうと思います。ですから、われわれとしては、標準価格というものを実勢価格に合わしてもらいたいというのが率直なる願いであろうと思います。  本年度、標準建築費の改定を見送った理由というものは何であろうか。特に大蔵省との間の折衝の過程で、内示の文書を見させてもらったわけでありますが、建設省は貸付限度額を引き上げてもらいたいということを要望したようでありますが、それに対して大蔵省の方では認めない、こういう大蔵省の内示が出ておるわけであります。これは最終的にもとうとう認められず、四百五十万ということになっておるようでありますが、これは一体どういう理由であろうか。もし大蔵省来ておるならばどうしても答弁をしていただかなければならぬし、もしいなかったら住宅局長、どういうことを言われてその折衝が成功しなかったかということをひとつ説明をしていただきたいと思います。
  58. 山岡一男

    山岡政府委員 住宅金融公庫の貸付額につきましては、昭和四十六年度は九十万円でございました。それを四十七年百五十万円、四十八年二百五十万円、四十九年三百五十万円、五十年四百五十万円、実は四十六年以前はずっと一度も引き上げがなかったようでございますけれども、最近に至りまして、格段の引き上げを行ってまいったというのが実情でございます。  実際のところを申し上げますと、標準価格掛ける何十%というふうな計算もいたしますけれども、実勢単価にたとえいたしたといたしましても、その何割というのを掛けますと、最終的には幾ら貸すかということが問題だとわれわれは思っております。ちょうど昭和四十九年、五十年ころの公庫融資割合を見ますと、大体一件当たりに対しまして三八%くらいの融資にとどまっております。ところが、五十年度の最終分の実績等を見ますと、先生おっしゃいますように、方々の実勢単価も余り上がらなかった。それからそういうような需要層がたくさんお金を借りられるところの方にだんだん集中してきたということも相まちまして、四六・六%というふうに、五十年の当初に比べますと四割六分まで上がってまいっておるというようなことに着目いたしまして、むしろできるだけ戸数をふやして均てんを図る方が現在の施策としてよろしいのじゃないかというふうに考えて、四百五十万でとどめたということでございます。
  59. 清水徳松

    ○清水委員 住宅金融公庫法では八割ないし八割五分、それぞれ貸出率というものを決めておるわけでしょう。それからして実際は三八%だとかあるいはことしは四六・六%、そういったような数字が出てくるということは、それ自体何か金融公庫法違反のような感じを受けるのですが、その辺のところはどうでしょう。これは金融公庫の方、それからまた住宅局長にひとつお伺いをいたしたいと思います。
  60. 山岡一男

    山岡政府委員 その点につきましては大変申しわけないことだと思っております。ただ、標準価格に対して掛ける率といたしましてそのような数字は使っておりますけれども、結果としての融資額につきまして、実勢単価から見れば四六%というのが実態だという点を先生御指摘になっておるのだと思います。ただ、その点につきましては、法律上は八割以内とか八割五分以内、三百代言のようでございますが、以内と書いてございますので、毎年度予算の編成の際に協議をして決めておるというのが実情でございまして、われわれとしてもこれで満足しておるわけではございませんので、今後十分の努力をしたいと考えておる次第でございます。
  61. 清水徳松

    ○清水委員 時間が余りありませんから読み上げることはしませんが、金融公庫法の第一条からすると、以内であろうと何であろうと、とにかく健康にして文化的な生活ができる家が建てられるような融資をする、こういうふうな目的になっているはずでございます。それからすると、八割以内だとか八割五分以内というような解釈にはならないような条文になっていると私は思うのですけれども、あれはやはり以内ということですか、結局はそれ以下でもいいということですか。どうもそのようにぼくは解釈できなかったのですよ。
  62. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほど三百代言のようなと申し上げましたけれども、確かに牽強付会の説かと思っております。ただ出るところへ出て話をいたしますと、以内と書いてあるのだからいいではないかということは一応は言えます。しかしそれでいいかと言いますと、われわれはそれではいけないと思っております。したがいまして、先ほど申し上げましたように、今後そういう趣旨に沿うように予算の要求なり努力なりを十分していきたいと考えておる次第でございます。
  63. 清水徳松

    ○清水委員 いま実際の建築費はどの程度で、標準建築費は大体どの程度に決められているか。この際、わかっているようなことですが、ひとつお答えを願いたいと思います。
  64. 山岡一男

    山岡政府委員 最近の実勢を申し上げますと、住宅金融公庫融資を受けてお建てになっている家というのは、総額で平均七百八十八万円ぐらいということでございます。ただこれは全国的ばらつきがございまして、東京では九百八十万円ぐらい、大阪は九百五十万円ぐらい、青森は六百五十万円ぐらいと格差はございます。したがいまして、そういうものをおしなべて平均いたしますと大体七百八十八万円というのが公庫で五十年度にお借りになった方の速報による統計でございます。それに対しまして予算上の単価といたしましては、中層の平米当たりといたしまして七万一千九百円、小型にいたしますと六百十万円というのを現在工事単価ということで積算の基礎に使っておる次第でございます。
  65. 清水徳松

    ○清水委員 七万一千九百円というのは一平米ですね。
  66. 山岡一男

    山岡政府委員 はい、一平米でございます。
  67. 清水徳松

    ○清水委員 そうすると、さっきの数字は何十坪の家ですか。
  68. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほど七百八十八万円と申しましたのは、百平米でございます。
  69. 清水徳松

    ○清水委員 百平米で七百八十何万円ですか。百平米というと大体三十坪ですね。三十坪で七百万円、現在坪二十万円で家が実際建っておるという認識をされたわけですか。三十坪の家が、どこか知らないけれども七百八十万円で建つというふうに御認識されておるわけですか。
  70. 山岡一男

    山岡政府委員 公庫融資の中にはいろいろな対象の物件がございます。それらのものをおしなべまして大体その辺の単価でよかろうという判断をして予算を組んだわけでございます。
  71. 清水徳松

    ○清水委員 けさのテレビにもありましたが、新しい建築様式によって非常に単価の安い家をこれから研究しようなどという報道もありました。しかし現在は、大体一般の木造建築で二十五万円を下るものはちょっとないのじゃないか、恐らく公庫の審査にも合格しないのじゃないかというふうに思います。ですから、大体百平米で七百幾らといったような計算をするあたり少しく考えに誤りがあるのじゃないかという感じがいたしますので、私はもう少し標準価格というものを科学的に実際と照らし合わせて全く納得のできるようなものに改定をしていく、これは年々違っていくとすれば、この点は年々変えていかなければいかぬのじゃないかと思います。標準価格を抜本的に改正をするというか、見直すという考えはないかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
  72. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほどから平均の話で申し上げましたけれども、住宅の建築費は、先生おっしゃいますとおりその構造規模、建築費、質の程度等によりまして相当変わってまいります。現在、そういうことでございますので一概には言えませんけれども、大都市地域では大体一平方メートル当たりは九万二千円程度、それから小都市程度は七万七千円、その他地域は七万円ということかと思います。それらのものを平均的に考えて申し上げますと、先ほどのような単価で一応はいいのじゃないかと考えておるという次第でございます。
  73. 清水徳松

    ○清水委員 同じことを質問してもあれですけれども、ぜひ標準価格というものについては科学的にひとつ決定をしていただきたい。このように要望しておきたいと思います。  さて、個人住宅の資金の貸し付けに新たに政令で定める貸し付け新設した。まずその住宅対策上の位置づけですね、それを明確にする必要があると思います。七・五%の新しい貸し出しの対象ですね。住宅金融公庫法は第一条に公庫目的を「銀行その他一般金融機関が融通することを困難とするものを融通すること」と明記してあるわけです。一方新たに創設される政令で定める貸し付け公庫法第二十一条第三項にありますが、これを所得が比較的多い者に対する貸付金規模が比較的大きい住宅に係る貸付金、そういうふうに考えられているとすれば、政令で定める貸し付け対象になる住宅貸し付け一般金融機関の融資対象ともなり得るもののような気がいたしまして、必ずしも金融公庫から借りる必要はないような気がします。本来民間金融機関の取り扱うべきものではないか、そういう感じをわれわれは持つわけであります。この点について公庫法の第一条の目的との関連が非常に問題になると思いますが、これは局長からひとつお答えを願いたいと思います。
  74. 山岡一男

    山岡政府委員 先生おっしゃいますとおり、金融公庫法では一般金融機関が融資しないものに融資をしようという趣旨が書いてございます。その点、現在の一般金融機関の金利でございますけれども、コマーシャルベースでやっておるという点もございまして、住宅ローンについては相当低利になるようにお願いもし、現に努力をしてもらっておるわけでございますけれども、いま優良な貸し付けでも大体八分七厘というのが十五年物以上の普通の金利でございます。その他では九分一厘とか、特に住宅専門金融会社等ではその他の費用も入りまして一割を超す融資利率になっております。それらから見まして、やはり資金運用部資金金利に連動いたしまして、それに対して利子補給をしないという点はございますけれども、民間金利に比べれば相当低利でございまして、第一条の目的にそうそう違反はないとわれわれは考えておる次第でございます。
  75. 清水徳松

    ○清水委員 ぼくらが非常に問題にしなければならないのは、金融公庫といえども財政が非常に逼迫の折、低所得層に対する融資でもう満杯である、手いっぱいである、その状況下において、所得が比較的多い者になぜ公庫の金を貸してやらなければならないのか、その点についてひとつお伺いをいたしたいと思います。     〔「大蔵省はどうしたんだ」と呼ぶ者あり〕
  76. 渡辺栄一

    渡辺委員長 速記をちょっと待ってください。     〔速記中止〕
  77. 渡辺栄一

    渡辺委員長 速記を始めて。
  78. 清水徳松

    ○清水委員 実際、住宅金融公庫法というのは、建設省の考え方というものとわれわれの考え方というものは十分また了解し合える点があるのですよ、本当の話。だけれども、実際、金融公庫の枠の拡大等においてもずいぶん建設省の方から大蔵省へ働きかけまして、枠の増大等もやったという経過もございまして、大体十分われわれとしても了解が成り立っているわけなんです。ところが、いま肝心なところへ差しかかったところでありますが、今度新しく設定されました七・五%のこの貸し付けですね、これについては非常に根の深いものがあるような気がするわけです。そこで、やはり大蔵省で十分ひとつ回答してもらわなければならぬ点であろうかと思いましたが、いまそれは保留をいたしまして、局長の方で答弁できることじゃないかと思うことだけをちょっと御質問申し上げたいと思います。  本来ならば、局長、これは下水道のときに多少私は質問すべきだったと思いますが、いま金融公庫によって、住宅急増地帯においてもどんどん家が建っておるわけです。もちろん建築基準法に基づいて建っておるわけでありますから、道路もあります。で、また建蔽率もちゃんと適合するものもあるわけです。水道も入っております。ところが、事下水になりますと全然これは野放しというような状況でございます。下水といったって雑排水ですね。ですから、そういったようなものに対しては、別に建築基準法上どうという取り決めはないわけであります。したがって、さしあたり吸い込み等でもって当座をしのぐというような状況になっておることは、知る人ぞ知るというところでございます。  ところが、その吸い込み方式程度で公庫関係で融資をしてもらって建てている家が非常に多くなっているわけですよ。そうした場合、下水が、きのう都市局長の話によりましてもなかなか思いどおりにはいかない。もう十年、二十年かかる。今度の計画でも、昭和七十年ぐらいにやっとできるんじゃないかという下水道計画です。ですから、もうわれわれの生きている時代には下水がつかぬじゃないかというところもあるわけです。そういうところに家を建てている方々がどういうことになっているかというと、穴を二つも三つも掘ってしまってもう掘る場所がない。したがって、今度は地方自治体の方からバキュームカーを呼んで、それで吸い上げて捨てる、そういう方式をとっておるわけです。それももう限界があります。非常に多くなっておりますので、たれ流しみたいなかっこうで非常に不衛生、こういうような状況が出てきております。  私はこれは都市局の問題じゃないかと思います。こういうところも全部市街化区域に建っている家です。本来ならば、市街化区域の中では都市施設というものは十年をめどに整備をするといったようなことで市街化区域が決められておるわけでありますが、そういう中で起こっておるこのような状況に対しては一体どういうような処置をするものであろうか、バキュームカーしかないだろうと私は思います。それに対して、今後建築基準法で建てさせないような方向で決めるのか、あるいはまたこれが数多くなったらまた新たなる対策を講ずるのか、またバキュームカーをどんどんふやして吸い込みをしていくのか、その経費に対して幾らか国の方から助成金を出すのか、そういったような今後のことをいろいろ考えていかなければならぬと思います。これはちょっと住宅金融公庫法からは少しそれた問題ではありますが、局長としていい知恵をひとつこの際かしていただきたい、そのように思います。どうでしょうか。
  79. 山岡一男

    山岡政府委員 生活系の排水につきまして、やはり公共下水道によってやるのが本筋だと実は考えております。基準法上はやはり便所を設けなければならぬという規定がありまして、そして下水道施行区域では必ず下水道につながなければならぬというのはございますけれども、先生おっしゃいますように、地域によりましては下水道もございませんし、バキュームに頼らざるを得ないというところもございます。さりとて、そういうところにつきまして全部建築を禁止する、もしくは規制をしていく、認めないということは実情に沿わないと思っております。現在、建築基準法上は屎尿浄化槽というものを告示で基準等も決めておりまして、現在屎尿浄化槽に頼っておるものが大体千二百万人おるとわれわれ聞いております。そういうふうな屎尿浄化槽等の活用、普及を今後は大いに図っていきたい。下水道はもちろん大いにやっていただくわけでございますが、その間を埋めるものとしてはやはり屎尿浄化槽等の普及、PR等に努めてまいりたいと考えておるのが現状でございます。ただ、どうしてもそういうことを理由に規制をするということではございません。  それから、特に公庫融資関連をいたしましても同じような問題がございます。実は公庫融資について、宅地の融資が少ないんじゃないかという御意見が相当ございます。ちょうど昭和四十二年ごろであったと思いますけれども、その当時そういうふうなたんぼの中で土地を買いまして、そこへどんどん家をつくっていくというようなことが非常に進行いたしました。そういうところに何でもかんでも宅地融資を貸すということは、むしろ実情に沿わないのではないか。したがいまして、現在公庫融資で宅地融資対象にしておりますのは、計画的な宅造地に限るということにいたしておるわけでございます。計画的宅造地でございますと、下水道の普及もしくは屎尿浄化槽の処理等につきましても、やはり便宜が図られることが多いところでございまして、そういう方面でもそういう点を考えておる次第でございます。
  80. 清水徳松

    ○清水委員 本当に担当外のところで質疑応答をしているようで大変恐縮なんですが、浄化槽をつけて雑排水の——コの字といいますか、あれは正式の下水道になるかどうかわかりませんが、そっちに流すところはまだいい方だろうと思います。純粋にもう自家用の下水はもうそこで吸い込みです。吸い込みをさしておるというところが非常にふえているわけですよ。そしてもう吸い込みの限界が来ておるというところがあって、ぼくらが回りましても、もう不衛生きわまりない。天気のよいときでも、この五日間ばかり天気続きましたですよ、そのときでも道路いっぱいにあふれておるといったようなところがあるのです、人口急増地帯には。こういうようなところに対して一体どのような経過措置をとりながら今後二十年も三十年も待たすのか。そういうところにどうして家を建たすのか。われわれは、そこへ建てさせないということになるとまたいろいろ問題も出てくるであろうけれども、それとは別個の問題として、一たん建ってしまって、しかもこのような状態でどうにもならないところに対してはもうバキュームカーしかないんですよ。吸い取ってくれるほかないのです。それに対して地方自治体は多大の経費をかけておる。これに対して多少助成をするとかいろいろそういう方向のことを考えるよりほかないじゃないかという御提案を含めての質問をしておるわけでございます。大変場違いのところでこのようなことを申し上げて恐縮ですが、やはりこれも、後で審議されるであろう建築基準法の場合、あるいはまたやはりこの住宅の施設の重要な問題でございますので、金融公庫法の改正案のときにも質問してもまんざら場違いの質問でもあるまいというようなことであえて御質問を申し上げておるところでございます。どうでしょうか。  これは確かに浄化槽を持って浄化槽へ流すのです。流すところがそういう下水ではなくて、吸い込みのところへ流しているところもあるのですよ。それがあふれているのですよ。そういう場合はどうしようもないですよ。しかもそれが当分、十年や二十年で下水はつきませんというところなんですよ。どうしようもないです、これは。だからそれに対しては地方公共団体は大変なやはり悩みです。金をかけております。ですから、それに対してそのまま放置してよいものであろうかどうかです。建築基準法上も問題がないものであろうかどうか、その辺のところをひとつ局長のお知恵を拝借したいと言っているわけです。
  81. 山岡一男

    山岡政府委員 大変むずかしい御質問でございまして、私即断でお答えできないような問題だと思いますけれども、おっしゃいますとおり、そういうふうな事態はあると思います。実を申しますと私のところも、東京都の世田谷区三軒茶屋に住んでおりますけれども、ごく最近までは吸い込みでございました。バキューム方式でございました。おととしでしたか、一生懸命で屎尿浄化槽をやっと設置をいたしました。ことしから下水道ができまして、やっと水洗になったというような状況でございます。したがいまして、東京都内でもそういうような状況でございますので、先生おっしゃいますような状況は随所にあろうかと思います。  その点につきまして、建設省では、屎尿浄化槽等につきましては建築基準法で取り扱っておりますが、維持管理等につきましては、清掃法の範囲で厚生省が取り扱っております。現在厚生省、建設省、それから水質基準を決めます環境庁の間で三省庁の連絡会議を開いております。いまの先生の御提案のございましたいろんな地方公共団体に対します援助の問題等につきましては、私のところで直ちにここで即断いたすわけにまいりませんが、そういうようなところにも議題として出しまして、三省庁の間でも十分協議してまいりたい、コメントをしてまいりたいと思います。
  82. 清水徳松

    ○清水委員 まだ大蔵省関係おいでにならぬようですから、一応これで七・五%の件については後に回しますが、局長、これは実は私的なことを申し上げて申しわけないが、私のところも吸い込みなんですよ。もう二つ目掘っちゃって、漏れて出てくるわけだ。三つ目掘らなければならない。それが周りが全部そういうところなんですよ。人口急造地帯で、本当に恥ずかしいけれどもそういう状態なんですよ。経過措置としてこれは何とかしなければならぬ問題でございますので、ひとつ局長にその辺のことを十分配慮していただく、今後の対策を考慮していただく、ということを申し上げまして、一応私の質問はこれで中止をいたしたいと思います。
  83. 渡辺栄一

    渡辺委員長 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。     午後零時二十八分休憩      ————◇—————     午後一時四十三分開議
  84. 渡辺栄一

    渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  住宅金融公庫法の一部を改正する法律案審査のため、本日、日本住宅公団総裁南部哲也君、理事上野誠朗君及び理事川口京村君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 渡辺栄一

    渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの御意見は質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。      ————◇—————
  86. 渡辺栄一

    渡辺委員長 質疑を続行いたします。清水徳松君。
  87. 清水徳松

    ○清水委員 大蔵省が、政務次官出席されたようでありますから、お伺いしたいと思います。  大蔵省は日本の予算編成の大元締めで、日本の住宅に対するいろいろな予算についても建設関係の担当省の十分な意見を聞いて御判断をされたと思います。そこで、建設大臣とそれからまた大蔵政務次官に決意のほどをお伺いしたいわけでございますが、住宅宅地審議会は、第三期住宅建設の五カ年計画についての答申の中で、今後の計画実施するに当たっての八項目の留意事項を決定をいたしております。その一つに「住宅金融公庫個人住宅融資については、今後とも法定金利(五・五%以内)による個人融資の拡大を図り、その申込みをできるだけ消化するよう努めること。」こういう項目を挙げておられるわけであります。今回の法改正は、政令で定める金利による個人住宅融資制度を新しく設けるわけでございます。つまり七・五%。この制度住宅宅地審議会の留意事項の精神に反する結果を招くのではないか、政府は今後とも住宅宅地審議会のこの留意事項を十分に尊重して、五・五%の金利による個人住宅融資の拡大に努めるべきではないかとわれわれとしては考えるわけでございますが、今後の方針について、建設大臣、また大蔵政務次官の決意のほどをお伺いをいたしたいと思います。
  88. 竹下登

    竹下国務大臣 端的にお答えをすれば、清水委員の御決意と私の決意が一緒である、こういうことであります。私もこの制度につきまして、予算編成当時はこの責になかったものでございますものの、当然のこととして、政府一体の責任の中で、決まったものについて経過的にもまた理論的にもこれを私が追認をいたしたわけであります。その制度そのものは、市中金融、市中住宅ローン等に比べればなお金利の低い七・五%というものが制度の中で仕組みとしてできたということは、それなりに評価をいただいて、なお、いまお話のありました住宅宅地審議会の留意事項の五・五%の特利による融資枠をさらに広げていくということは、予算の単年度主義とは言いながら、私どもの継続的に努力しなければならないところである、このように考えております。
  89. 唐沢俊二郎

    ○唐沢政府委員 ただいま建設大臣が答弁されたこととほとんど同じでございまして、われわれも国民生活、国民経済安定のために鋭意予算を編成いたしたわけでございます。しかし、何分先生方御承知のように、財政に対する期待が非常に大きい反面、自然増収も大きくは期待はできない、さらに一般的増税も考えられない、大幅な歳出の削減もできないというような財政状態でございます。  いま申されました住宅金融公庫個人住宅貸し付けでございますけれども、現在のところ、非常に公庫に対するお申し出が多くて、補給金支出が増大をいたしておりまして、今後このままで参りますと、財政に非常に過度の負担がかかって、融資枠の拡大も困難になってくるような状態も予測されないとは申せないわけでございます。したがいまして、お話のようにもちろん五・五%を基本といたすものでございますけれども、需要の中にはいろいろございまして、所得が高く負担能力のある者や、現行融資対象住宅規模以上の家を建築しようとする者もあるわけでございますので、こういう者を対象といたしまして、補給金の増加要因とならない資金運用貸付金利並みの七・五%口を新設しようということを考えた次第でございまして、あくまでも基本は五・五%口である。それを補充するものでございますので、七・五%口は今後これを急にふやすというようなことはもちろん考えておらないわけでございます。
  90. 清水徳松

    ○清水委員 時間が参りましたのでこの質問を最後にしたいと思いますが、いまの政務次官の御答弁によりまして、今後とも五・五%の法定金利戸数については答申案の線を遵守していくというお答えと受けとめまして、今後とも大蔵省としても努力をしていただきたいというように思います。  ただ、われわれとして気になるのは、今度の予算を決定する段階での内示案です。内示案で、法定金利のもの、五・五%のものを九万五千五百戸その他のもの、いわゆる政令によるものでございますが、七・五%九万五千五百戸半々に内示してきておる。この辺のところに、大蔵省のわが国の住宅対策に対する認識の不足があるのじゃないかというように考えられてならないわけです。この点については、大蔵省の発想に対して建設省の方で努力をいたしまして、最後に残ったのが一万戸の七・五%じゃなかろうか、われわれはそのように推測をしておるところでございます。  すでに、百二十平米以上のものについては、お年寄りがおられるとか、あるいは六人以上の家族といったような場合は貸し出しができるというような制度にもなっておりますから、その点については、相当広い坪数を要求する家庭に対しても、法定の五・五%で、十分いまの法律の範囲内において賄い得る、そのように考えておるところでございます。そういうようなことでございますので、今後大蔵省としては、簡単に五・五%を七・五%に上げる、政令で上げていく、こういったようなことはお考えにならないように。特に一%上げても重大です。公定歩合を上げるにしても、〇・五%、これは大騒ぎです。銀行利子なんというものは、一厘違っても大分違うのが実態でございまして、五・五%が七・五%になりますと、返済金が一挙に七千円から八千円上がるわけです。このようなことを考えるときに、このような安易な——法内金利による一般住宅に対する貸し付けの枠というものを狭めないように、今後とも、大蔵省として十分なる御協力をぜひとも賜わりたい、このことを要望をしておきたいと思います。  あとのことについては同僚の議員の質問にゆだねたいと思いますので、その点ひとつ、心構えと申しましょうか考え方をお伺いして、最後の質問にしたいと思います。よろしくお願いします。どうですか。
  91. 唐沢俊二郎

    ○唐沢政府委員 五十一年度の当初内示のお話があったようでございますが、そのとき私はおりませんで、後で聞きましたところ、これは建設省からの要求に基づいて適切に内示をいたしたものでございまして、先ほども申し上げましたように、あくまでも、原則と申しますか基本は、法定金利の五・五%口でございまして、七・五%口はこれを補完するものと考えております。このような財政状態ではございますが、今後ともできるだけ先生のお話の趣旨に沿うよう努力するつもりでございます。
  92. 清水徳松

    ○清水委員 終わります。
  93. 渡辺栄一

    渡辺委員長 中村茂君。
  94. 中村茂

    中村(茂)委員 まず最初に、大臣にお聞きしたいわけですが、住宅基本法について、実はいきさつというか前段があるわけですが、四十九年に中間報告が出た際に、その中間報告の中に住宅基本法を制定しろということがございました。それを受けまして、本委員会において質問したわけでありますが、第三期住宅五カ年計画が五十一年度から発足するので、一つの区切りになるから、住宅基本法をその答申を受けて制定したい、こういう当時の大臣の御答弁がございました。それが、昨年でありますけれども、総理がかわりまして、三木総理の施政演説の中に、住宅基本法を制定しない、こういう発言がございまして、これはおかしいではないかということで、本委員会で確かめたところ、大臣は、それは間違いだろう、住宅基本法は第三期の五カ年計画が発足する時点の国会で制定したい、こういう御答弁がございました。その後この国会に提案されるというふうにずっと聞いてきたわけでありますけれども、一月ほど前にそれが取りやめになった、こういうお話を聞いたわけであります。したがって、その経過と、今後この制定について政府はどのように考えているのか、明らかにしていただきたいというふうに思います。
  95. 竹下登

    竹下国務大臣 中村委員にお答えをいたします。  住宅基本法につきましては、昨年八月、住宅宅地審議会からいただきました今後の住宅政策基本的体系についての答申の中でも、検討すべき旨の提言がございます。これは御承知のとおりであります。したがって、いま経過的なことをも踏まえた御質問でありましたが、どういう扱いになっておるかと言えば、これは提出予定法案の中へまだ今日入っておることは事実であります。したがって私自身も、本当はこの扱いというものをいつまでにどうしたらいいだろうかということについて幾らか考えてみたわけであります。平たく答弁すれば、したがいまして現在鋭意検討中であります。こういうことになるわけでありますが、それはまことに誠意のない答弁であると思いますので、素直な心境を申し述べてみたいと思うわけであります。  確かに、野党の方からも住宅基本法の御提案がなされておる。それを読んでみますと、法制技術的にも、内容的にも大体考えられ得ることを盛られておって、評価すべき法体系、法律そのものであると思うわけであります。さて、これを今度は行政府の責任で提案するということになりますと、法案に盛り込むべき事項が非常に広範にわたるわけであります。それから、言ってみれば訓示規定みたいなものになっても実りが少ないということで、これは国会あるいは言論界、そういう広い意味での国民的合意を得ながらこれができ上がっていくというのがやはり理想的ではないか、こういうことを考えておりましたさなか、住宅宅地審議会において、こちらからお話したのではなくして、自主的に、主として家賃のあり方について十分検討する必要があるのでということで、小委員会でもって——特に家賃という問題になりますと、電気料金に電気料金学があるごとく、家賃学という一つの大学の講座があってもいいくらいむずかしいものだということを私は最近しみじみと感じておりますが、そういう専門の先生方が、とにかく家賃のあり方について基本的に提言をした責任において、われわれの方で小委員会審議してやろう、こういうお申し出を受けたわけであります。それに乗ったという表現は適切でないかもしれませんが、そういう意見がありますので、私どもとしては、ありがたくその審議会での御検討をお願いしようということになって、いま審議会で家賃について深く掘り下げた議論をいただいておるということでございます。  したがいまして、目下のところ、最終的な案を決定するには日時をまだ要するだろうというふうにも見込まれますので、今国会法案提出するということは事実上困難となってきております。したがって私は、閣議にかかる提出法案の調整について、従来内閣に長らくおりました関係上、先生お答えをしたら、これは活字にすればまさに「政府 住宅基本法今国会提案断念」こういう活字になると思いますので、そうなると提出予定法案の中から次回に回したいという意味で取り下げなければならぬかな、こういうことをけさ考えながら、そういう経過も含めて答弁を申し上げた方が適切であるというふうに思ったわけでございます。したがって、住宅基本法を提出し、審議を経ていわば住宅憲法をつくりたいという意思は継続し、現実時間的に今国会に間に合わないので事実上提出困難となる、したがってその意思の継続というものを示すためには最終日まで提出予定法案としておくことがまた適切かなというふうにも思ったりして、私自身お話しますと、現業官庁と何か閣議にかかる調整機能とこんがらかってよく判断しがちでございますので、どういうふうにして意思を残し、そして現実として今国会提出は困難である、そういう意思表示をどういう形ですべきかということに悩んでおるような状態であります。先生にこうしてお話をすれば、恐らく活字にした場合は、夕刊はもう二時で締め切りでございますから、あしたの朝刊には、扱いの大小は別にいたしまして、字にすれば「政府 住宅基本法今国会提案断念」こういうふうに出るのではないかなということを意識しながらお答えをいたした次第であります。
  96. 中村茂

    中村(茂)委員 私も、何も早くやるばかりが能ではない、こういうふうに思っているのです。特に答申の中にも、国民のコンセンサスを十分得て制定しなさい、こういう一項目があることも私承知しておるわけであります。したがってもう十分そういう手続を踏んでりっぱなものを、しかも大臣がお話しになりましたように、教科書的なものではなくて相当きめの細かい将来の住宅政策というものを示していただきたい。時間がかかってもりっぱなものを制定したいという意思が確認できれば私は結構だ、こういうふうに思っているわけであります。したがってその希望等についても、時間がありましたら後ほどまた申し上げたいというふうにも思います。     〔委員長退席、内海(英)委員長代理着席〕  次に、いま提案されております住宅金融公庫法の一部改正の問題について少しお伺いしたいと思います。  これにつきましても、昨年の十二月十七日の本委員会でありますけれども、私が取り上げまして、多分住宅局長だったと思いますけれども御答弁をいただいているわけであります。そのときには局長は新銘柄という言葉を使いましたが、私もこの制度に新銘柄を取り入れることには反対だ、こういう立場でお伺いしたところ、予算要求は五・五のものについては十二万七千、その当時は七・五ではなしに七%という数字だったのですけれども、十万九千、合計して二十三万六千戸要求している、そのほかにマンションを二万三千六百戸要求して、全部で合計二十五万九千六百戸要求している、こういうお話がありました。ですから、結果的には私ども反対の意思表示をしておいたわけです。その七%または七・五%という新銘柄について、数が少なくなったことについては建設省当局の努力を認めるわけでありますけれども、結果的にはこの制度が法改正ということで今度提案になった、こういうわけであります。したがってこのときに、五・五は法律で決まっているのだから今度新しいものについても法律利率をきちっと掲げるのでしょうね、こういうふうに質問したら、五・五は挙がっているのだからそうなるでしょう、こういう御答弁であったわけでありますが、今度政令で出ております。したがって経過とあわせて、局長の言い方からすれば、どうしても新銘柄をつくらなければならなかった、またはつくりたい、その理由についてひとつ簡潔に明らかにしていただきたいと思います。
  97. 山岡一男

    山岡政府委員 先生御案内のとおり、公庫に対します国民の皆さんの要望は非常に旺盛でございます。最近の申し込み状況を見ますと、貸し付けを受けていらっしゃる方々全体の中で、所得の比較的高い方と申しますか、一千万以上というような方々のパーセンテージが数%入っております。反面六百万以下ぐらいのところは九七、八%を占めているというようなかっこうが過去二、三回の申し込みの実情でございます。実際問題といたしまして、金融公庫融資につきましては、財政投融資資金運用部資金のほかに一般会計の予算が要るわけでございます。一般会計の予算といたしましては、現在の四百五十万円で十八年間というものを七分五厘をもし五分五厘にまけるにいたしましても、一人当たり九十五、六万円の利子補給金が要るわけでございます。大いに利子補給金を出していただいて五分五厘をふやすというのがわれわれの願いでございますが、それと同時に金融公庫におきましては、従来は余りぜいたくなものは困るという考え方もございまして、百二十平米以下ということで原則貸し付けを行ってきております。ところが最近の情勢といたしましては、質に対する要望が非常に強くなっております。われわれも第三期五カ年を完遂するためには、質のよい住宅がたくさんできる、大きい家ができるということが希望でございまして、そういうことから申しますと、従来の百二十平米以下で切っておいたところに、国民大衆の皆さんの所得も相当向上してまいりましたので、そういうものにつきまして新銘柄として、利子補給金はないけれども、一般民間金利よりは相当安い資金運用部資金金利による貸し付けを新しくつくったら、全体として国民の皆さんの御要望にこたえる道であろうと考えたのが新銘柄の創設でございます。  それと同時に、今後において新しく必要と思われます中古融資中古住宅の流通についても一部道を開きたいと考えたのが要求の趣旨でございます。  中身といたしましては、われわれはぜひともそういうものは必要であろうと考えまして、建設省の予算要求におきまして、先ほど先生おっしゃいましたとおり、全体では約二十六万戸、そのうち約十万戸を七分ということで要求したわけでございます。当時七分として要求いたしましたのも、大体昔は資金運用部資金も六分五厘−六分二厘という時代もございました。恐らく最近の金利から見てその辺のところへ落ちつくのではないかということも含めての要求であったわけでございます。結果といたしまして、先生もおっしゃいましたようにこの委員会でも強い御意見をいただきまして、その他からもいろいろな御意見をいただきましたので、最終的には大蔵省に対しまして改要求をいたしたわけでございます。改要求をした結果といたしまして、最終の予算のように予算を決めていただいたということでございまして、経過はそのような経過でございます。  なお、法定の上限をつくるつくらないというお話があったわけでございますが、金融公庫法で現在法定の上限を設けておりますものは、いずれも利子補給を行っておる政策金利ということになっております。大体六分五厘以下がいまのところ上限を決めておる金利でございます。それ以外は政令ということにいたしておりますが、今回の場合は利子補給金を伴わない資金運用部資金による金利でお貸しをしたいということでございますので、一応他のものの例にならいまして政令で指定をするというふうにしたわけでございます。
  98. 中村茂

    中村(茂)委員 いま御答弁がありましたように、財政事情から新しい銘柄をつくったり住宅政策考えていく、これは基本的に私は間違いだと思うのです。そういうことでこの公庫法をそのたびそのたびに改正していくから、大臣から清水委員のときに御答弁がありましたように、十九回も改正した。それはその事情に合わせて改正してきたからという前向きの話でそういうものを出されたわけでありますけれども、私は、住宅政策について政府がいままで基本的な方針を持っていなかったから、そのときそのとき限りの法改正を行ってやってきた、しかも財政事情によって住宅政策がゆがめられる、この行き方についてはひとつ考えていただきたいと思うのです。住宅政策というものがきちっとあって、それに充当させる、補完する、こういうことで財政というものが取っついてくる、こういうことならいいんですけれども、まさに今度の七・五%の導入というものは、財政事情に基づいた要請にこたえるという形で導入してきた、こういう本末転倒の導入じゃないかというふうに思うわけです。ですから、こういう事情の中では、私は五・五%のいままでのものをもっと充実さしていく、こういうところに力点を置いていただきたいというふうに思うのです。財政事情からということになれば、利子補給がないから七・五、こういうふうに行ってしまうわけなんです。五・五のものについてもまだまだ充実されておりません。したがって、そういう方向で対処していただきたい、こういうふうに思います。  そこで、先ほど答弁をずっと聞いていたわけでありますが、ことしの第一次分について十七万七千の希望があった。そうしますと九万三千に対して八万四千実際には余るわけですね。そこでお聞きしたいわけでありますが、昨年から余って、該当しなくて残されてきた人、抽せん漏れになってきた人が今度またどのぐらい希望として出てきているのか、それをどういうようにこの中で消化しようとしているのか、それが一点。そして今度、余った人を今後どういうふうに考えていこうとしているのか。そこで申し上げておきたいわけですけれども、ちょうど一年分食ってしまっておるわけですよ、十七万七千というのは。そうすると、この人をどういうふうにしていくかという問題が当然起きてくる。枠が足らないという問題が起きてくる。そういうものをあわせてお聞かせ願いたいというふうに思います。
  99. 竹下登

    竹下国務大臣 参議院本会議がございまして中座をいたしますので、詳しくは局長から答弁をさすことにいたします。  実は、ことし募集するに当たりまして、詳しく数字は後ほど申し上げますが、去年いわゆる落選した人あるいは補欠でありながら届かなかった方、その方たちがどれくらい応募してこられるかということにも私なりに非常に関心を持っておりました。人によって主観は異なりますものの、私は思ったよりそれが少なかったと思います。それはこれからの調査にゆだねなければならないところでございますが、この人たちは当選率もいいし、結果としてはそほ方々は全員当選されることになるわけでありますが、一体その申し込みをなさらなかった方はどういう措置をなすったんだろう。少なくとも持ち家を持ちたいという意思はあったわけでありますから。結局これらが数字的にどうなっておるかまでつかめておりませんけれども、予測するところ、他のローンとかいうところにやはり模索して、そういうところへ行ってお建てになっておるという方もかなり多いんじゃないか、こういうことが発見されようとしておるわけであります。いま結果的に見ますと、お待ちになっておった方がよりよかったなと思います。しかし待たないでも、意欲を持っておられたから、そういう方々は別の住宅ローン等でお建てになったということにいたしますと、結果はより広い国民持ち家政策の需要に対して応じたことになるから、結果としてはいろいろ評価のあるところでございます。したがって今度応募された方々は、昨年いわゆる抽せん方式をやりまして、昨年は途中で締め切ったり、住宅金融公庫がいままでいろいろなことをやってきた中で、そのつどいろいろな都合が苦情となり申し込みとなって出てくるわけです。ことしもいろいろなことが苦情として出たりするんじゃないかと思って、私もずいぶん細心の注意を払っておりました。その苦情は比較的少なかったわけでございますけれども、一応いまのところ考えておるのは、そういういわゆる補欠とか落選とかいう人に対する当選率を倍にするという優遇措置は、これが普及をしていなかった去年残られた方であったから今回限りにする、方針としてはいまはそういう方針であるわけであります。仮に、そうした場合、引き続きやりますと言った場合、他の住宅ローンとかそういうものに対して努力をする意欲がまた少なくなってくる危険性もなしとはしないというところで、なかなか問題だなということをつくづく感じました。  またこれを別のところで、沖繩で見ますと、沖繩は、私もこの間行ってまいりまして驚いたのは、全国で十万戸ですと、人口がちょうど百万でございますから千戸ということになるわけです。ところが沖繩では二千五百戸枠を出しておるわけですね、沖繩公庫からでございますけれども。そうしたら五千七百幾ら申し入れがあるというのです。本土よりも高いわけなんです。季節的に、地方別に見ますと、申し込みが北海道などが高いというのは、下期では工事ができないからということで、これはわかります。沖繩などは一年じゅう工事ができるのにもかかわらずこれだけ多い。そうすると、やはり結局四分の一世紀の間異民族の支配下にあって、言ってみれば日本の住宅政策というものが届かなかった、それが二十五年おくれて届いておるからやはりそういう需要が大きいかな、これにはやはり対応していかなければならぬ政策課題だ、こういうことを感じたわけであります。そうしますと、この沖繩に限ってみますと、これでいきますと、今度申し込みした人が後期みな入れまして優遇措置をとりますと、新規はすべて窓を閉ざす結果になりはしないか。そういうようないろいろなことがありますので、私はいまのところ今回限りの措置としたいというふうに思いながら、みずからいろいろな事情を聞いてみると、一体どう模索した方がいいかということに対して幾らか私自身自信のない心境にもなっておるという状態が素直な私のいまの心境でありまして、数字とか抽せんの方法とかは具体的に局長からお答えいたしますので、とりあえず私からいまの素直な感想を述べておいて、参議院の本会議に行って公園法を上げてもらってまたこっちへ帰ってまいりますので、中座することを御容赦いただきたいと思います。
  100. 山岡一男

    山岡政府委員 数字的な点においての御説明をさせていただきます。  前年度落選者の方もしくは補欠の中で繰り上げにならなかった方の中で、申し込みをされた方が十七万六千七百戸のうちで一万五千四百五十戸ございました。それで、これは募集の当初から、昨年度の残分につきましては当選率を二倍に上げるということで、ことし今回限り優遇措置を講じますというようなことで募集をいたしております。全体といたしまして十万に対して十七万六千ということで二倍以下の倍率でございましたので、この方々は全部当選されるということに相なっております。残りの方々につきましては、五月十九日に抽せんをさしていただいて当選を決めるということにいたしております。
  101. 中村茂

    中村(茂)委員 もう一度確認しますが、二倍ということでいくと、この前漏れた人は今度全部入る。そうすると、いずれにしても十七万七千来ているわけですからまた抽せんの結果相当余りますが、先ほども大臣が言われておりましたが、思ったより抽せん漏れで今度また改めて申し込んだ人が少なかったというのですが、その比率はどんなふうになっているわけですか。
  102. 山岡一男

    山岡政府委員 ただいま、思ったよりも少なかったと大臣が申し上げましたのは、前回の残り分が三万数千戸あったわけでございます。そのうち一万五千四百五十戸が今回優遇分として申し込みがあったということを申したんだと思います。今回はその方々が、先ほど申し上げましたように当選率を二倍ということにいたしますと、全体が一・七六倍でございますので、当然全員当選なさるということになるわけでございます。そうしますと、残りの方では、新規分につきましては百人中五十四人が当選というふうな率になります。それからマンションの方は、これは当選率は百人中七十七人というぐらいの当選率になろうかと思います。
  103. 中村茂

    中村(茂)委員 今度抽せん漏れになった者が、前回と今回、まあ二分の一程度だった。そうすると、そういうふうに見ても、また次にこの二分の一ぐらい来るということになると、そのままいけば、先ほど申し上げましたように、ほとんど今年度の分を食うだけの数字が第一次で上がってきているわけでありますから、またその半分近く上がってくる、それ以上上がってくるとしても、これからはもう二回ずつ出していかなければ現実には当選できない。じゃ次の場合に、今回二回目出した人はほとんど一〇〇%できるということですけれども、そういうふうに二回目にまた出てきた人については全部入れるような方向でやっていくのか、そこら辺の今後の方針、どういう取り扱い方をしていくのかということについて明らかにしていただきたい。
  104. 山岡一男

    山岡政府委員 原則的には公庫予算政府関係機関予算ということで国会の御承認をいただくものでございます。したがいまして、その予算の範囲内で業務を執行するというのがたてまえでございますので、今回落選の方々につきましては特別の優遇を講じないで、もう一度抽せんを受けていただくというスタイルで今後はまいたりたいということで、募集の際からそういうふうに発表して募集いたしております。  前年度分につきまして、それではなぜそういう措置を講じたのかということでございますけれども、これにつきましては、昨年は特殊な事情がございまして、先生御存じのとおり、四月二十九日に募集いたしまして満杯になりました。その結果秋の分を繰り上げ、さらに年末に弾力条項を発動していただいて何とか片をつけた。しかも第二回分につきましては抽せんということを入れたわけでございます。その際に、春秋ということで募集したわけでございますけれども、秋になって抽せんになるんなら春のときに申し込むべきだったというふうなことが非常に多かったわけでございます。それを受けまして国会におきまして、せめてことしの分についてはそういうふうな配慮が必要ではないかというのがございまして、大蔵大臣建設大臣ともども検討しょうという答弁をされております。その結果を受けまして今回特別の措置を講じたということでございまして、今後につきましては、やはり予算の範囲内執行ということが眼目でもございますので、募集の際から、落選の方については特別の措置は今後はございませんと言って募集をしておる次第でございます。
  105. 中村茂

    中村(茂)委員 まあどういう取り扱いにするか、そういうことを前もってやるにしても、出してくれば、当選するまで二回でも三回でも出してくる。いずれにしても、これは需要が非常に多いということですよね。ですから私は、新銘柄の方へ手を出すということではなしに、五・五のものについて中身をもっと充実してもらいたいということ、そこのところを言っているわけなんです。確かに利子補給の面は出ないにしても、それだけの枠の金が財投として住宅建設に回ることには間違いないわけでありますから。そういう事情の中で新しいものをつくっていくというそういう方向が一部改正で出ているから、やはりそういうことよりも、このいままでの五・五のものについてなお伸ばしていく、充実さしていく、そういうことで御努力をお願いいたしたいというふうに思うわけです。  総体的なもののほかに、先ほどもちょっと論議されておりました限度額の問題であります。この限度額についていろんな角度から検討してみても、公庫融資による住宅建設についてそれぞれ建設する層がずっと変わってきているわけですよ。一番先には、相当所得分類で低い人、一から二について四十六年、四十七年、四十八年までは一番数が多かった。四十九年になると四分類の人のところが一番多くなってきているということは、なかなか住宅建設に金がかかるようになってきた。だからつくりたいという希望はあるけれども、なかなか所得の低い人は住宅に手が出ない。その傾向がやはり四十九年ころからあらわれてきている。こういうふうに見なければいけないと思うのです。こういうふうに層が上がってきたから利率の高いものをつくってあげましょう、こういうことじゃ本末転倒だと私は思うのです。やはり住宅に非常に金がかかるようになってきたから、もうこういう所得分類の低い人はつくれない、したがって申し込みの層が少し上がってきた。そう考えてみると、やはり五分五厘の限度額というものもまたふやしてやって、そういう低い所得の層についても住宅に取り組める、こういうような環境をつくってやらなければいけないのではないか、こういうふうに思うわけであります。今回は別に限度額を上げるというふうになっていませんけれども、将来の展望としてこの点をどういうふうに考えているのか、明らかにしていただきたい。
  106. 山岡一男

    山岡政府委員 四百五十万円の融資で、全国平均いたしまして、先ほど申し上げましたように、五十年度の平均ではちょうど四六・六%というのが公庫融資の中の対象住宅公庫融資額でございます。四十九年と比べまして、四十九年は全体の約三八%でございましたが、それが大体そういうふうなところにとどまるということでことしは見送ったわけでございます。しかしながら、先ほど来たびたびお話に出ておりますように、やはり所得の伸び等に応じまして住宅の値段もだんだん上がってまいっております。規模の増も図らなければなりません。そういう意味から言いますと、今後におきましても貸付額の増大等につきましては、われわれといたしましては十分考慮いたしまして、財政当局にもお願いするようにしたいと考えておる次第でございます。
  107. 中村茂

    中村(茂)委員 その次に、ちょっとくどいようでありますけれども、私は今回の七分五厘というものについて一般住宅の中へ取り入れたという法的な根拠についてもちょっと腑に落ちないというか、法の悪用というか、そういう面があるんじゃないかという気がしてならないわけなんです。そこで明らかにしていただきたいというふうに思うわけですが、この法律の一条には、別に、全部は繰り返しませんけれども、「銀行その他一般金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。」これはやはり低い所得の層、こういう一般国民住宅建設の一助にしていこう、そういう目的があると思うのですね。その五分五厘のものがまだ充実されない、希望者がいっぱいある、そこのところへ今度は全然利子補給をしなくもいい七・五を財政的な面から取り入れてくる。これは確かに市中銀行やローンより安いことは安いのです。しかし財投の面から見れば、利子補給しなくてもいい最高のものなんです。それを取り入れてくるということは、どうもこの目的からいくとちょっとはみ出している考え方じゃないか。解釈づけは幾らでもできます。できるけれども、この法ができて、いかに低利な金融をして国民住宅建設に寄与していくかという立場から見ると、どうも少し法を出ているような気がする。  確かにその後の法の改正いろいろで、あと二項以上については、防災の面について支出していこうとか、または地方自治体の関連施設にやっていこうとか、それはそれなりの公益的な意味があると思う。  しかし、個人住宅というものについて限定して考えてみれば、やはり低利のものを拡大していくということで、この法の趣旨からしても、七分五厘という、利子補給を全然しなくもいいもの、こういうものを設置し、拡大していくという方向、これはこの法の面からいってもなじまない、こういうふうに思うのですけれども、その点はどうなんですか。
  108. 山岡一男

    山岡政府委員 公庫法の第一条には先生のただいまおっしゃられたとおり書いてございます。銀行その他一般金融機関が融通することが困難だという意味につきまして、われわれは貸付利率が低いとか償還期間が長いとかいうこと等だと考えております。今回新設しようとする貸し付けにつきましても、先生のお話にもございましたけれども、一般金融機関ではもっと高利でなければコマーシャルベースでは貸せないというようなもの等につきまして公庫がその道を開くということでございまして、現行の一番有利な銀行貸し付け住宅ローンにおきましても八分七厘というような現状から見ますと、第一条の目的に決して背くものではないと考えている次第でございます。  それからさらに「国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る」という点につきましても、たびたび申し上げておりますように、だんだん量から質の時代に入ってきたということでございまして、国民大衆の皆さんの生活水準が法制定当時よりは相当高くなってまいっておるということから見ましても、公庫法の目的から見まして、新しい銘柄をつくることについては違反はないとわれわれは考えた次第でございます。
  109. 中村茂

    中村(茂)委員 違反とは私は言っていないのですけれども、法の趣旨からいけば余りふやさぬようにしてもらいたい、こういうことです。  そこで次に進みたいと思いますが、住宅金融公庫の種類、それから金融利率の種類、これは膨大なものであります。そこで資料要求をひとつしておきたいと思うのですが、いま金融公庫が抱えている種類というか区分、それからそれに伴うところの利率、それから償還、それと今年度ここのところに何戸ずつ割り当たっているのか、その明細な資料をひとつ要求しておきたいと思うのですが、いかがですか。
  110. 山岡一男

    山岡政府委員 後刻提出いたします。
  111. 中村茂

    中村(茂)委員 そこで、資料をもらってみなければまだしさいにわからないわけでありますけれども、聞くところによると四十一種類ぐらいになっている、こういうお話であります。それが全部利率が違い、償還期限が違い、戸数をそこに割り当てていく。これは財政事情から出てきている面もあるでしょうし、必要度に応じてつくってきた面もあると思うのです。しかしこういうものは、仕事の面から見ても、それから一般国民の目から見ても、もっとわかりやすいものにしていかなければいけないと思うのです。一般住宅の申し込み等についてももっと簡潔にできないものか、こういう意見が相当強くあります。もっと簡潔にしてもらいたい、手続を簡便にしてもらいたい、こういう意見が相当強いわけです。全体的にそういう仕組みになっておりますから、したがって、こういう面についてはもっとわかりやすいものにしていく、こういう努力をひとつしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  112. 山岡一男

    山岡政府委員 公庫の貸付銘柄が非常に複雑多岐であることはわれわれも承知いたしております。ただ、いままで毎年のいろいろなものの日進月歩に従いまして、ニーズに応じてまとめてまいったという点もございます。それから、これを一たん整理しようと思いますと、他の金融機関は大部分がそれらのものにつきまして業務方法書とかその他のものによっておるわけでございますが、公庫政策金利であるということでいろいろな面が法律で制定されております。したがいまして、法律の大改正を要するわけでございまして、なかなか短時日にはできない。そこでわれわれといたしましても、お説はまことにごもっともだと思っておりますので、時間をかけさせていただいてそういう検討を今後も進めていきたいと思っておる次第でございます。
  113. 中村茂

    中村(茂)委員 その面について、公庫の総裁が来ていると思いますので、総裁からひとつお願いしたいと思います。  それにあわせて、昨年の融資の際に、金融機関でありますけれども、不当な申し込みをしたということで一時停止処分をしたり警告をした。そして、あれは多分九月から始まって三月三十一日で切れたはずであります。ですから、今回の申し込みには多分その停止の期限が切れて新しく臨んだと思うのですけれども、その後そういう警告をした金融機関等についての経過、またはどういう形になってきているか、それもあわせて御説明願いたいと思うのです。
  114. 淺村廉

    ○淺村説明員 まず最初の問題でございますが、私どもの融資の種目が非常に多くて皆様に大変御迷惑をかけております。局長からもお話がございましたように、長い年月の間にいろいろな国民住宅需要要望に沿いまして積み上げた制度でございますので、簡単にこれを整理統合というわけにもまいりませんけれども、私自身もこれは相当に複雑である、したがって皆様にもずいぶんおわかりにくいという点があるのではないかということを気にいたしております。もちろん金融公庫でも、住宅相談所を全国に置きましてできるだけわかりやすく御説明をさせておりますけれども、やはり先生おっしゃいますように、むしろだんだんそういう簡単な方向に持っていく検討も慎重に関係官庁と御相談いたしまして続けてまいりたいと考えておるわけでございます。  それから次の点でございますが、昨年四月の二十八日に申し込みを受け付けましたら一日で枠をはるかに突破したために、あわてて締め切ったというまことに残念な事態がございまして、それに伴いまして、後から調べますと受け付けに遺憾な事例があったのが出てまいりまして、先生がいま御指摘がございましたように、二つの金融機関に対しまして半年間公庫業務を扱うことをやめさせたわけでございます。これは相当厳しい処分でございましたが、その後その金融機関も大変にその点は恐縮をいたしまして、昨年の暮れの受け付けはもちろん受け付けさせませんでしたが、今回の四月の分は、半年たちましたので受け付けを扱わせたわけでございます。受け付けを始める前に二つの金融機関から責任者が私のところに参りまして、今後十分注意をするということを繰り返し申しております。金融機関も大変不名誉でございましたが、金融公庫といたしましても大変面目のないことでございましたので、これから先はそういうことが起こらないようにやってまいりたい。幸いその後、まあ余り偉そうなことは申し上げられませんけれども、順調に整然と受け付けが進められており、処理が進んでおると私は理解いたしておりますので、今後とも努力をいたしたいと考えております。
  115. 中村茂

    中村(茂)委員 次に大臣に質問したいと思ったわけですけれども、大臣は見えませんが、仕事に大変御熱心な次官がおられますので結構です。  実は先ほど大臣住宅基本法のことについて申し上げたわけですが、十分意見を取り入れたりしてやっていくということです。そこで三点ほど今後の課題として申し上げておきたいわけですけれども、一つは政府の公的資金による住宅、これは相当広範囲にわたっていると思うのです。金融公庫もあれば、省だけでいっても厚生省の関係もある、それから各省庁の住宅もある、こういうことで、ひとつ住宅を建てたい、しかし金融の問題について何とかしたいということで、これは建設省ではなくて厚生省へ行っていろいろやらなければならぬ、また大蔵省へ行かなければならぬ、そして金融公庫、こういうものがあるということで、この面は確かに労働者の厚生施設という面から発展してきていますから、そういう意味から言えば所管は厚生省だろう。しかも金の融資は厚生省で抱えている中から行っている。こういう行政上の問題はあると思いますけれども、建設行政から見ると、やはりこれはある程度一本化していかないといけないと思うのです。これは基本法等をつくっていく際に、やはりそういう面についてもメスを入れて一本化するような方向で研究し御努力願いたい。これが一つであります。  それから二つ目には、今度の第三期五カ年計画を見ても明らかでありますけれども、どうも持ち家住宅に傾斜してきている。それから中身は、いままでの第二期五カ年計画計画は立ててみたけれども、特に公営住宅等については実績が相当下がってきている。だから、必ず実施できる計画だということで計画上は前の計画よりも数字は低い、しかし必ずその計画はやります、ですから二期の計画よりも実績としてはとんとんか少し上がるでしょう、こういう第三期の計画になっている。そういうことを考えてみますと、やはり賃貸住宅というものを今後どういうふうに位置づけていくかということが、住宅行政として非常に大きい問題になってくるのじゃないか。  なお、そこのところで大変隘路として研究し課題としていかなければならぬのは、賃貸住宅の家賃の問題であります。特に住宅公団の最近の状況を見ますと、ここに最近のものの一覧表があるわけですけれども、時間がございませんから簡単に申し上げますと、原価だけでも四万八千四百円、五万三百円、五万七千五百円、六万九千二百円、こういうふうに、どこの場所かということも全部書いてあるわけですけれども、相当上がってきている。答申によりますと、住宅というものの中で家賃は一五%、それから持ち家金利返済は二五%、こういう一応の標準が出ているわけであります。こういう面から見ていくと、一五%の家賃が適当だという標準が出ている中で六万九千二百円というような数字のものが出てくるということになると、この家賃というものをどういうふうに考えていくか。やはりそういう標準以上になった家賃については、相当思い切った国の財政支出というものによって賃貸住宅を大量に建てていく、こういうことを明確にしていかなければ賃貸住宅の建設もなかなか困難になってくる、こういう事情もあると思うのです。したがって、今後の研究課題と注文、また住宅基本法を制定していく際の方向づけ、こういう問題で相当隘路になる問題でありますけれども、賃貸住宅の大量建設という面について相当な力を入れていただきたいと思うのです。     〔内海(英)委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、これは私の考え方ですけれども、地方都市等はまあいいのです。大都市住宅問題を考えてみた場合に、やはり政府が相当財政的に支出した賃貸住宅を大量に建てる、そして住宅問題を解決していく、こういう手だてをしないと大都会の住宅問題というものはなかなか解決できないのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。いろいろ幅広い注文でありますけれども、今後の研究課題として提起いたしますので、何分御研究いただきたいというふうに思いますし、また基本法をつくっていく際には私どもの意見も十分取り入れていくように御努力願いたい、こういうふうに思うわけであります。
  116. 村田敬次郎

    ○村田政府委員 中村委員から大変いい御質問をいただきました。質問は三点にわたっておりますので、簡単にお答え申し上げたいと思います。  第一点は、公的住宅等を建てる際に厚生省、建設省その他窓口がたくさんあって国民が非常に混乱をするもとではないか、住宅基本法をつくる際には窓口の一本化ということを考えたらどうかという御提案でございます。まことにごもっともでございまして、率直に申し上げまして私どももそう思います。ただ、住宅政策はいわば建設省一省の問題でなく、政府全体の問題であり国民全般の問題でございますので、関係をする各省はどうしても非常に多くなってまいりますし、たとえば財産形成政策等については労働省等も参画をしており、厚生省等はもちろんでございます。そういうふうにいろいろ関係省は多くなる。したがって基本法の制定の際には、国民の便利の上から見て窓口をできるだけ一本化し、そして政策としては政府全体の政策が太く貫かれるように考慮をしてまいりたいと思っております。  それから第二点は、第三期住宅建設五カ年計画についての賃貸住宅持ち家政策の差の問題でございます。これは、言うなれば住宅政策についての一番基本的な問題だと私は認識をしております。たとえば、外国の例を一つだけ申し上げさせていただきたいと存じますが、イギリスにおきましては総選挙の際に労働党と保守党との非常に大きな論争点の一つが、持ち家政策でいくかあるいは賃貸住宅政策でいくかということでございます。これは中村委員よく御承知のとおりでございますが、ただその全体としての動向を考えますと、持ち家、貸し家という住宅の所有関係につきましては、基本的には国民需要動向に即して施策の方向を定めるべきものだと考えております。また、公的援助による住宅の供給に当たりましては、中村委員も御指摘になりましたように、大都市地域を重点として低所得者層あるいは社会的な流動層などに対しまして十分な量の公的賃貸住宅を供給いたしまして、持ち家志向の強い階層に対しては長期低利の融資を行う、あるいは公的分譲住宅を供給するといったような、地域の特性及び国民住宅需要の動向に即しましてバランスのとれた住宅供給を図る必要があると考えております。その点で、第三期住宅建設五カ年計画におきましては、計画中の持ち家建設は第二期住宅建設五カ年計画に比べまして総建設戸数に対する割合は若干高まっております。これはライフサイクル計画等によっても出ておりますが、計画期間中に持ち家希望の強い中高年齢層が増加をする、それから所得向上等に伴いまして持ち家取得能力が高まること、また最近特に国民持ち家希望が強いことなどを考慮したものでございます。また、公的住宅持ち家比率が高まっておりますのは、こうした国民の強い要望にこたえて住宅金融公庫個人住宅融資等の戸数が増大したことによるものでございます。  なお、公的事業主体が直接建設をし、供給をする住宅につきましては、公営住宅、それから改良住宅、公団賃貸住宅等の公的賃貸住宅の建設に重点を置いてその供給を促進することとしております。したがいまして、中村委員御指摘になりましたような賃貸住宅政策も十分にとりながら、地域の特性に応じて持ち家政策、それから賃貸住宅政策というものを、ひとつ事情に即した政策をとっていきたいという考え方でございます。御了承いただきたいと存じます。  それから、家賃の問題についての御指摘がございました。家賃につきましては、最近新規に募集をされております公団賃貸住宅につきましては、昭和四十八年から四十九年にかけまして工事費が異常に値上がりをいたしました。そういった時期に発注をされたものでございまして、この工事費の高騰と希望増を中心とする質の改善等によりまして家賃がかなり大幅に上昇していることは御指摘のとおりでございます。それで、こうした家賃の高額化に対処をいたしますために、五十一年度におきましては、従来から採用しておりました傾斜家賃制度をさらに部分的に拡充いたしまして、最も家賃が高額となる面開発市街地住宅について、資金回収コストを現行の五%から四・五%に引き下げることによって家賃の低減化に努めることとしております。  建設省では最近の家賃の動向、物価の動向等の情勢を踏まえまして、住宅宅地審議会の中に専門的な小委員会を設けまして公的住宅を中心とする家賃のあり方について集中的に審議をお願いすることとしております。その成果を参考にして今後の家賃問題に対処してまいりたいと思っておりますし、全般といたしまして、住宅基本法の制定の際には、中村委員が御指摘になりました点、賃貸住宅それからまた持ち家住宅の問題、家賃政策の問題、大都市及び地方都市における住宅のあり方の問題等を十分広範な国民的な視野でとらえまして研究をし、対処していきたい、このような考え方を持っております。
  117. 中村茂

    中村(茂)委員 終わります。
  118. 渡辺栄一

  119. 浦井洋

    浦井委員 大臣がまだ帰って来ておられないのであれなんですが、金融公庫法の一部改正について聞きたいと思うのです。  個人貸し付けに関する今度の新しい制度、確かに中古既存住宅に対する貸し付け新設するというような点では私も認めるものであります。ところが先ほどから問題になっておりますように、法定の五・五以下というのが部分的にしろ政令に回されて、そして七・五になる、当面七・五を予定されておる、こういうことでありました。だから数日来論議をされておりますように、この新しい制度による大規模あるいは所得の高い人たちに対する七・五の分が五・五の分野に食い込んでくるのではないかというような心配があるわけであります。  そこで、政務次官を差しおいて悪いのですが、住宅局長にお尋ねをしたいのですが、今度認められたその中古並びに政令に基づく新制度現行制度の関係ですね。今後現行制度の五・五のところにずっと食い込んでいくというような杞憂があるのかないのか、その点についてひとつ住宅局長にまず総論的にお伺いしておきたい。
  120. 山岡一男

    山岡政府委員 本日の当初に、大臣からもそういうことは毛頭考えていないという答弁を申し上げましたけれども、今回新銘柄を設けましたのは、あくまで新しい需要にこたえまして、利子補給を要しない新規の枠をつくり、全体として総枠をふやしたいというのがわれわれの願いでございまして、いやしくもその辺が五・五のところに食い込むということは一切ないというつもりで今後運営してまいりたいと思っております。
  121. 浦井洋

    浦井委員 そうすると、建設省としてはいままでの五・五の分はふやすことはあっても減らすことはない、こういうふうに理解してよろしいですね。
  122. 山岡一男

    山岡政府委員 予算は毎年度決まるものでございますので、天地神明にかけてというわけではありませんけれども、そういうことは絶対しないような覚悟で臨みたいと思っております。
  123. 浦井洋

    浦井委員 抜け穴がやはりあるわけで、誓わないということでありますから。  大蔵省は来ておられますね。大蔵省の側から見て、いまある住宅金融公庫貸し付けの方法についていろいろ問題があると見ておられると私は思うわけなんですけれども、どういうふうに見ておられるか。特にいま金利を五・五以下というふうに法定化しておるというような点を中心にして、大蔵省考え方を聞かしていただきたい。
  124. 岡崎洋

    ○岡崎説明員 先生から御指摘のございました住宅金融公庫業務の中の運営といたしまして、金利の五・五%のものに加えまして新しく七・五%のものを考えておることについてどうかということでございますけれども、これは御承知のとおり、国民の各種各層の住宅に対する需要というのは非常に大きなものがございまして、これに対して政府としてどういう形でそれぞれ対処していくのかということは非常に大きな問題でございます。土地の問題もございましょうし、あるいは都市計画の問題もございましょう。その中で金融の問題というのが大きな側面を占めておるということでございまして、それの公的な側面を担うものとして住宅金融公庫が中核的な役割りを果たしておるということでございます。  そこで、国民の各位各層の期待にこたえまして、住宅公庫金融といたしましてできるだけその期待にこたえていくということが必要だと思っておりますけれども、その場合、住宅公庫は御存じのとおり、やはりこれはただの金を無尽蔵に製造してやり得る話でもございませんものですから、資金運用部から現在では七・五%の金利で借りて、それを長期の貸し付けに回しておるということでございまして、年々補給金でそれをカバーしていかないと業務の拡大が図れないという状態になっております。  一方、国民の皆様の期待は非常に大きゅうございますから、毎年それを拡大していくわけでございますけれども、財政として国のお金を効率的に国民の皆様に使っていただくためには、負担能力がやや高い方あるいはやや規模の大きなものをお求めになる方等につきましては、いままでよりも若干負担を高くしても資金をお回しするという方が国民の各種各層の方の御期待にもこたえ得るというふうに考えておりまして、新しく七・五%のものもひとつやらしていただきたいということでお願いしておるわけでございます。  以上が金利につきましての考え方でございます。
  125. 浦井洋

    浦井委員 そうすると、大蔵省にお尋ねをしたいのですけれども、こういうものがあるのです。ファイナンス。これは大蔵省の広報誌ですか、この去年の七月号に大蔵省の理財局資金第二課長という方がこういうことを書いておられる。論文のテーマは「住宅金融公庫融資問題点を探る」。いろいろ書いておられるのですが、典型的なところを読み上げてみますと、公庫融資が「「国民一般に対する融資でありながら、その貸付金利は年五・五%という特利に据え置かれているという矛盾」がその最も大きな問題点の一つであった。公庫法の規定により、個人住宅融資貸付金利は五・五%の範囲内で政令で定める率とされているのであるが、このような異常事態が発生する前から、財政硬直化の典型的なケースとして、年五・五%頭打ちという法律規定を撤廃し、金融情勢に応じ、弾力的に政令で定めることに改める必要があることが指摘されていた。五十年度予算編成過程においても大きな問題として議論が重ねられていた。また、四十九年十月、長期金利が一斉に改定されたので、住宅公庫個人住宅融資貸付金利についても同様の引上げを行うよう提案されたが、調整できないまま、予算の最終段階を迎える」云々、まあそのほかいろいろたくさん書いてあるのですけれども、やはりこれは、もちろんその冒頭に「すべて私見である」というふうに断ってありますけれども、大蔵省基本的な考え方であるというふうに理解をしてよろしいですか。
  126. 岡崎洋

    ○岡崎説明員 ただいまのファイナンスは、御指摘のとおり大蔵省の広報誌でございます。それにつきましての論文の中で、ただいま先生が御指摘のような考え方が述べられておるわけでございますけれども、それは財政当局の角度から見た場合には、確かに事実としてそういう問題点があるということは言えるところでございまして、それだけに私どもとしても真剣にこの問題を種々検討してきておるわけでございます。  それは先ほどもちょっと触れましたけれども、資金運用部から七・五%という金利で借りまして、それを五・五%という形で貸し出しますれば、住宅公庫といたしますれば赤字がふえるわけでございますので、それは結局財政、一般会計からの補給金で賄わなければいけない。一般会計からの補給金というのは、結局は国民の皆様から納めていただいた税金でカバーするということでございますから、だれがその負担を負うべきかという論があるわけでございます。それにつきましては、住宅政策あるいは住宅政策の政策としてのプライオリティーと財政としての資金の配分の問題とあるいは金融面から金利としてどれだけカバーできるかというような問題を、彼此勘案いたしまして結論を出さなければいけない話でございまして、その結論が今回お願いしている形でございます。したがいまして、議論あるいは一つの考え方、一つのスタンドポイントに立った考え方としてはそういうこともあるということは御理解をいただきたいと思います。
  127. 浦井洋

    浦井委員 そうすると、私が読みました論文、この部分と先ほどおたくが答弁されたのとちょっとニュアンスが違うんですね。端的に言いますならば七・五、財投金利に相当するものを新設するけれども、それは大規模なものあるいは所得の高い者に当てたい。やや限定的なお話があったのですが、そういうのが大蔵当局としての考え方であるというふうに確認していいですか。
  128. 岡崎洋

    ○岡崎説明員 ただいま住宅公庫法を建設省からお願い申し上げまして御検討いただいているわけでございますけれども、これは政府といたしまして、先ほど政務次官からも御答弁いたしましたように、七分五厘と五分五厘口の基本的な考え方というのは、政府として、片や補完、片や骨子になるものであるということで現時点では理解し合ってお願いしていることでございまして、その点につきましては御理解のとおりというふうに申し上げます。
  129. 浦井洋

    浦井委員 私の理解のとおり。——それならひとつ建設大臣に、いま来られてあれですか、この点について、それ以上五・五の分についてはふやすことはあっても減らさない、七・五については所得あるいは規模というような点を勘案して高いあるいは広いものに限定するんだという点で、ひとつ大臣の決意的な御意見をお伺いしたいと思います。
  130. 竹下登

    竹下国務大臣 参議院本会議で中座いたしておりまして失礼いたしました。  いま大蔵当局からも答弁がありましたように、新しい七・五%の金利によるものは現在の市中金利からするとまだ低いわけでありますので、それが所得水準の比較的高い人あるいはより規模の大きいもの、そういうことに一つの仕組みとして適用されるということは、私はこの政策立案に当たっての当時の閣僚ではありませんでしたけれども、追認する立場において私自身も追認し、これを評価しておるところであります。しかし、基本的に浦井委員の御発言のごとく、今日まで歴史的な過程をずっと積み重ねて法定金利によるところの五・五%による住宅金融公庫の貸出業務が行われておる。これがやはり骨子であって、あくまでもこの線の拡大については国民需要に従ってこれに応じていくだけの強い決意で当たらなければならない。七・五%の新規なものはそれを補完する立場にあるという認識を私自身も持って、これから浦井さんの御決意と同じような決意で行政の衝にあって努力をしてまいりたい、このように思っております。
  131. 浦井洋

    浦井委員 総論はそれぐらいにして、今度は既存住宅の分に質問を移したいんですけれども、まあ確かに既存住宅、中古に対する融資は、むしろもっと早くやらなければならなかった制度であって、遅過ぎるぐらいであるというふうに私は思うわけでありますが、建設省当局として住宅難解消の上で今回の——今回というよりも、そもそも中古住宅問題についてどういうふうな考え方、位置づけをしておられるのか、ちょっと聞いてみたいと思う。
  132. 山岡一男

    山岡政府委員 第三期住宅建設五カ年計画におきまして、すでに量的には一応充足しておるという住宅の現状を考えまして、居住水準向上を図るためには、新しい住宅の供給もさることながら、低質な住宅を建てかえるとか増築をするとかとあわせまして、既存住宅の住みかえによります活用も大いに図るべきであるというふうに考えております。  ただ、第三期五カ年計画の総建設戸数八百六十万戸という中には、当然のことながら中古住宅戸数そのものは入っておりません。先ほど申し上げましたように、積算の過程におきまして、水準以下世帯が住みかえによりまして最低水準を確保できるものにつきましては除外をしながら八百六十万戸の供給を考えておるというのが現状でございます。住みかえの促進によりまして居住水準向上を図るためには、住宅金融公庫の今回お願いしております既存住宅融資制度の拡充とか、民間住宅金融機関につきましても同様の貸し付け促進していただくようにお願いするとか等によりましてこの施策を促進してまいりたいと考えておる次第でございます。
  133. 浦井洋

    浦井委員 そうすると、相当ここに期待をかけておられるような答えであるわけなんですけれども、新五カ年計画では公庫住宅百九十万戸、こういうふうになっておるわけなんですが、いまの答えからも想像されるように、新制度の中古既存というのはその百九十万戸の中には含めない、こういうことですか。
  134. 山岡一男

    山岡政府委員 単なる流通という部面におきましては数えないのが至当かと思っております。現在おります居住水準向上するために住みかえるのがどれだけおるだろうということを前提として、初めから戸数の中に八百六十万戸積算の過程においてネグっておるというような態度でございます。
  135. 浦井洋

    浦井委員 そうすると、この新制度既存住宅に対する融資は、大体融資対象をどれくらい見込んでおられるわけですか、新五カ年計画の中では。
  136. 山岡一男

    山岡政府委員 実は本年度初めて制度を発足させるということでございまして、試みに二千戸で始めるわけでございますが、年間で今後どれくらいになるかということについて、ただいま全体の戸数についての確かな数字は持っておりません。  ただ、具体的な戸数につきましては、最近におきます推計によりますと、年間で約十万戸ぐらいの中古住宅の流通が行われておる。しかも、これはいままでの傾向から見ますとだんだんふえつつあるということでございます。したがいまして、今後この情勢を見まして、もちろん公的な融資のほかに民間のローンもあるわけでございますが、それらを含めまして、どのような割合でもしくはどのような戸数でこういうようなものに対処していくべきか、十分今後も検討してまいりたいと考えております。
  137. 浦井洋

    浦井委員 中古の既存住宅に対する融資新設する、そして住宅建設計画においても相当期待をかけておられるという意見であるのに、市場の流通量が年間推計で十万戸ぐらいであり、今後ふえていくだろう、そいつを見て決めたいというようなことでは、やはり少し具体策に欠けておるというか、おくれをとっておるというふうに私は言わざるを得なせわけであります。  五十一年度マンションだけで二千戸というのは、いまの既存住宅あるいは中古住宅に対する需要に比べると非常に少ないわけですし、この際やはり木造にも対象を広げるべきであるというふうに私思うわけです。確かに評価であるとか査定であるとか、非常にむずかしい点はあるだろうと思うのですけれども、むずかしさという点ではマンションも木造も別に変わらぬわけであるわけですから、これは早く査定方法なりあるいは評価方法なりというものを確立して、相当な量を対象にするという努力をもっとすべきではないかというふうに私は思わざるを得ないわけですが、この点についてはどうですか。
  138. 山岡一男

    山岡政府委員 数的な検討の面におきましては、たとえば水準向上という点につきまして、狭小過密等住宅、いまの第三期五カ年計画で提案されております最低居住水準以下の住宅、いま九百十万戸と見込んでおりますけれども、そのうちの持ち家が二百八十万戸、借家が六百三十万戸でございます。そういうものにつきまして、住みかえによる——これはもちろん借家から借家への住みかえも込めております。それらのものを込めまして改善されるものが相当数ありまして、最終的に、水準以下居住で住みかえもしくは増築等によらないで、やはり今後何かの手を打っていかなければならないものを五百五十万戸と推定をいたしまして、そういうものを漸減させることで計画を立てております。その過程の中で、住みかえ等についても入っておりまして、戸数の積算につきましてここに余り細かい資料を持ってきておりませんが、十分検討したつもりでおります。  なお、いまの木造の融資につきましては、おっしゃるとおりだと思いまして、今後なるべく早い機会にそういうものについても手を伸ばしたいと考えておる次第でございます。
  139. 浦井洋

    浦井委員 そこで、計画について十分検討したつもりだというのは、これは私は解せぬわけですけれども、根本的にはやはり七・五である、財投金利に見合うものであるというところが問題だと思うわけです。中古をあがないたいという人の所得が、私も具体的な数字は持っておりませんが、やはり一般の新聞であるとかあるいは常識的に考えて、新築を建設あるいは求める人より所得がむしろ低いと考えるのが当然でありますから、これは少なくとも木造新築の五・五、この金利として新制度を発足させるべきではないかと私は思うわけです。だから、いま七・五というふうになっているわけなんですが、将来もこれは七・五にそのまま、あるいは財投金利に連動させるのか、それとも将来はできるだけ国民要望に沿っていまの法定金利五・五以下に抑える、そういうつもりがあるのかないのか、一遍聞いておきたいと思うのです。
  140. 山岡一男

    山岡政府委員 住宅政策既存住宅貸付制度は、先ほど申し上げておりますとおり、当面はやはり五分五厘が主でございまして、補完的な施策であると考えております。公庫貸し付けにつきましても、既存住宅貸し付けは実績を積み重ねながら制度のあり方を考えていくということが適切だろうと考えまして、今回は貸付金利資金運用部資金金利によることとしたものでございます。資金運用部資金も過去におきまして六分二厘という時代がございました。最近の低金利の時代から見ますと、われわれもだんだんそういうことにすり寄っていくのではないかと期待しておりますけれども、なおこの実行上の状況を見まして、必要があればそういうことについても大いに検討していかなければならぬと思います。  それからなお、既存住宅につきましては、たとえば立地と規模が同じ条件であるということだとしますと、やはり新築の住宅に比べれば一般的には購入価格が低いということが言えると思います。その点も考慮いたしまして、当面は資金運用部資金で始めてもいいのではないかと考えたのが実情でございます。
  141. 浦井洋

    浦井委員 所得が低いのが問題であって、既存住宅は安いからというのは余り私は問題にならぬと思うわけなんです。  そこで、既存住宅に対するもう一つの問題は税制の問題だと思う。去年の八月の住宅宅地審議会の答申の中でもそういうことが書かれているわけでしょう。「既存住宅ストックの有効」の中で「各世帯の人員構成、ライフサイクル、通勤状況等に対応した適切な住替えが促進されることが望ましく、このため、既存住宅の流動化のための売買、貸借等に関する流通市場の整備税制改善」というふうに書いてある。これについて、新築の場合にはすでに実施をされておるわけなんですが、既存住宅中古住宅購入の場合にはどうするのか。建設省としては検討しておるのかどうか、一遍聞いておきたい。
  142. 山岡一男

    山岡政府委員 先生おっしゃいますように、答申の中でも検討したらどうかという御提案をいただいております。したがいまして、建設省といたしましてはいろいろな方法につきまして十分検討はいたしております。ただいままでのところ、住宅税制一般減税ということでございまして、なかなか壁も厚いようでございます。十分検討いたしまして、今後その実現方に努力したいというふうに考えております。
  143. 浦井洋

    浦井委員 自治省は呼んでおらないわけなんですが、大蔵省、この点に関連してどうですか。大蔵省も関係があるわけですから。
  144. 大竹宏繁

    ○大竹説明員 御承知のように住宅取得控除につきましては、四十七年度税制改正で設けられた制度でございます。この制度対象になりますのは新規に取得をした住宅新築住宅となっておるわけでございます。その趣旨といたしますところは、やはり税制優遇すべき対象新規住宅供給の促進に役立つものという見地から、これを特に租税特別措置として取り上げたわけでございます。ただいまいわゆる中古住宅につきましてもこの制度を認めてはどうかという御趣旨だったと思いますが、この点につきましては税制でどこまでやれるのか、これは特別措置でございますから、税の公平という見地からまず税制としての判断がなければならないかと思いますが、そういう見地からそういう対象を広げる場合の問題点、それから果たして政策効果がどういうものがあるかということを税制として説明ができるかどうかといったような、いろいろな問題につきまして勉強はしてみたいと思っております。
  145. 浦井洋

    浦井委員 大蔵省の方は勉強してみたいと言っておりますが、やはり住宅政策としては、非常に既存住宅のウエートが高くなってきておるし、くるべきだというふうに思うわけですから、新築には優遇措置があって既存にはないのだというのはこれは少し片手落ちではないか。これは建設省もがんばらなければいけないし、大蔵省もその点はよく考えてやっていただきたいと思うのです。せっかく座っておられるわけですから、政務次官にひとつ。
  146. 唐沢俊二郎

    ○唐沢政府委員 ただいま浦井先生から、中古住宅に対しても公庫貸し付けの道が開かれたので、税制の場合も、たとえは取得控除等の適用を認めるべきではないかというような御質問があったわけでございまして、ただいま税制課長から御答弁申し上げましたようなわけで、四十七年の趣旨は、取得者本人の負担軽減ということもさることながら、新規住宅の供給を促進するというところにあったわけでございます。大体租税特別措置といいますのは、個々の政策目的と公平の原則というもののバランスの上に立って、やはりそのときの経済的、社会的な推移を見守りながら検討すべき問題でございまして、やはり財政当局としても今後ともよく勉強してまいりたい。同じようになるかもしれませんが、かように考えております。
  147. 浦井洋

    浦井委員 全く異口同音のお答えであります。だめです。  そこで建設大臣にひとつお尋ねをしたいのですけれども、建設大臣は今度閣議決定をされた第三期住宅建設五カ年計画、これの目玉というのは一体何だというふうに自認をしておられるか。
  148. 竹下登

    竹下国務大臣 一口に言えば量より質への転換、質の向上、こういうことであると思います。
  149. 浦井洋

    浦井委員 大体間違っておられないようであります。  そこでお尋ねしたいのですけれども、今度住宅金融公庫法の一部改正で、政令委任で百二十から百五十平米、こういうことになるわけなんですが、住宅建設新五カ年計画で最低居住水準を決められて、それを六十年度を目途にして全部達成する、五十五年度は二分の一を達成する、こういうことになっているわけですね。今度の住宅金融公庫法改正政令事項で百二十から百五十を設けられたわけですが、果たしてこれで最低居住水準の引き上げにどれだけ資するものか、どれだけよい影響があるものか、大臣どう考えておられますか。
  150. 山岡一男

    山岡政府委員 少し数字的なことでございますので、私でお願いしたいと思います。  この第三期五カ年計画が発足いたします前の、現在の住宅ストックの平均面積は七十、二平方メートルでございます。それをこの計画期間中に、六十年までには大体八十・二平方メートルまで引き上げますと申し上げておりますような最低居住水準をなくし、半分が平均居住水準になるということが確保できるだろうという推定をいたしております。その場合には、五十一年から六十年までの期間に八十数平米もしくはもっと大きい住宅、平均で八十数平米でございますから、百二十も百五十も百六十もあると思いますが、そういうものの平均で八十四平米くらいの住宅を千七百五十万戸くらいはつくらなければならないという計画になっております。  その場合に、確かに余り援助しなくても徐々にはそういうものはふえてまいります。しかしなお一層そういうものを速やかに達成するために、この新しい銘柄をつくって助成しようということでございまして、この分が効果を発揮いたしますと、相当大きな貢献をするだろうとわれわれ考えておるわけでございます。
  151. 浦井洋

    浦井委員 私は余り貢献せぬだろうと思うのです。役人さんは数字を上手に使われますけれども、それは住みかえもあるでしょう。しかし、あなた方がつくられた最低居住水準でいきましても、七人世帯で五DKで住居専用面積七十六平米、総面積八十七平米、平均居住水準でやはり同じ七人家族、五LDK、住居専用面積百十六、総面積でやっと百三十二で、ここで百二十以上が数字の上でやっと出てくるくらいで、百二十から百五十を新銘柄として設けられた。しかし数字から言っても、これは余り効果がないだろうと私は思う。むしろやはり百二十平米以下の住宅を建設する、こういう人たちに重点を置いた融資が必要ではないか。こういう点でも私はそう思わざるを得ないのですが、大臣どうですか。
  152. 竹下登

    竹下国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、だからこそ五・五%の今日までの長い歴史的過程の中で定着した公庫融資というものを主眼として、これを継続していきたいというふうに思うわけであります。しかし百二十平米から百五十平米というものを考えますと、これらに対する国民のニーズとでも申しましょうか、これはやはり年々強くなっていく傾向にあるのじゃないか。私なりに、大体現在の客観的指導標に基づく狭小住宅と申しますか、三人以下で九畳とか、平均世帯で十二畳以下というようなもの自体をとらまえてみましても、この経済社会の発展の中で年々大体一%程度は自然的にそういうものが少なくなっておるというようなことを考えてみれは、今度の五カ年計画の中で、さらに適切な政策とそして啓蒙あるいは社会経済全体の客観性の中に進めていけば十分可能性のあるものであり、やはり人間はしょせん限りなき欲求の追求の動物であり、政治また無限の理想への挑戦であるという形においては、より高い制度というものがあり得るというふうに私は考えております。
  153. 浦井洋

    浦井委員 まあ大臣の精神訓話はそれぐらいで結構だと思うのですけれども、やはり百二十から百五十を設けるという必要は余りないように私は思うわけです。  そこで、厚生省来ておりますか。厚生省にお尋ねをしたいのですが、住宅金融公庫の親戚みたいなところに年金福祉事業団、これの三号業務に被保険者住宅資金貸付業務というのがある。これをいろいろ話を聞いてみますと、一つは転貸資金、もう一つは住宅資金というふうに分かれておって、転貸資金の方はまあ言うたら事業主を経由して、事業主がある程度利子補給みたいなことをやって、そして従業員に貸し付ける。これは比較的順調といいますか、スムーズといいますか、申し込み件数あるいは貸付件数もほぼ満杯ということだそうです。ところが、もう一方の住宅資金の方は、これは中小企業であるとか零細企業あるいは国民年金というようなところで被保険者が直接融資を受ける、こういう制度になっておるわけですね。それがどうもこちらの住宅資金の方は五倍も六倍も競争率が高くてなかなか当たらない。しかし、聞いてみますと、転貸資金の方にはすでに五十年度ですか、五百二十億円以上の金が出ておる。ところが、住宅資金の方にはわずか五十億ぐらいしか出ておらないというようなことで、同じように厚生年金に入り、国民年金に加入しておるにもかかわらず非常に不公平ではないかという声が非常に強いわけです。この不公平というものはやはり当然何らかの方法で是正すべきではないかと私は思うわけなんですが、厚生省の方でその点について何か考えておられることありますか。
  154. 渡辺修

    渡辺説明員 まあ先生おっしゃいました年金福祉事業団が三号業務として行っております業務は、一つは事業主あるいは事業主なり被保険者の団体を通じての転貸というもの、それから同じ三号業務の中でどうしてもそういった転貸が受けられない人たちのために住宅金融公庫から直接お貸しいただくという形で年金福祉事業団から委託しているというのがありまして、実態は先生おっしゃるようなことも事実でございます。しかし、この厚生年金等の被保険者の住宅資金貸し付けというものを年金福祉事業団が始めましたのは、年金積立金の還元融資事業の一環として四十八年度から始めたものでございまして、年金積立金の還元融資はもちろん申すまでもございませんけれども、年金制度の円滑な運営に資する保険料を拠出した人たちへの福祉還元をするという趣旨でやっておりますので、この還元融資趣旨に沿った貸し付けの方法をとることが必要だという考え方から、事業主あるいは事業主なり被保険者が組織します団体を通じて転貸貸し付けをする、これを大きな原則にしているところでございます。  そこで私どもとしましては、この転貸をしておりません事業主は必ずしも中小企業とは限っておりません。いろいろな事情があるようでございまして、まだ転貸を行っていない事業主にはできるだけこの制度趣旨をPRいたしまして、なるべく転貸をその従業員のためにするようにという指導をし、また一方では、いま申しましたように事業主だけではございませんで、その事業主なり被保険者が組織する団体を通じての転貸という道も開いておりますので、こういった団体の育成というものを図ることによりまして、本来の原則である転貸の道を太くするという形、方向で、なるべく借りたい方々の需要にまんべんなく応ずるようにしていきたい。もちろん一方において資金量全体の枠の拡大を図るというのは当然でございますけれども、そういう形で必要とする方々に行き渡るように取り計らっていきたいと考えております。
  155. 浦井洋

    浦井委員 三点ほど厚生省にお聞きしたいのですけれども、一つは、先ほど言われた被保険者が自主的に組織する団体の育成、住宅資金なんかそういうことですね。それを具体的にどうされるかということです。  それからあと二つは数字なんですけれども、被保険者住宅資金貸し付けについての五十一年度計画はどうなっておるのか。それからもう一つは、新五カ年計画と対応させて、その中での厚年住宅計画はどうなっておるのか。その三点についてちょっとお知らせ願いたい。
  156. 渡辺修

    渡辺説明員 まず第一点の被保険者で組織する団体あるいはその被保険者のための団体、いろいろな形態があるのでございますけれども、現実にこの転貸で実績を上げておりますものとしましては、信用生活協同組合のような形が一つございます。それから事業主さん方が集まりまして社団法人をつくりまして、それでそこが転貸事業をやるというようなスタイルもございます。現実にあります団体では、民法の三十四条の社団法人なり財団法人といった民法法人が多いかと思いますけれども、またその後各地でいま申し上げたような種類の団体をつくろうという動きがあると承知しております。  それから第二点は、そういう新しく団体をつくりたいという動きがありましたときには、すでに実績を上げております団体でどのような方法をとってやっているか、そのときの問題点はどうだというような、実績といいますか経験を私どもとしても徴しまして、そちらの方にその経験をお伝えするといったような形を考えておるわけでございます。  それから五十一年度計画額でございますが、資金計画額としましては、五十一年度は、この先生がおっしゃいました三号住宅関係の総額が八百十九億でございます。それから貸付決定ベースで申します事業計画額では、五十一年度はちょうど一千億ということになっております。  それから第三期の住宅建設五カ年計画における計画数でございますけれども、大体戸数はそう大きな変動はないということで、算定上は実は、この被保険者個人住宅資金貸し付けを受けます方々の大体七割前後、四分の三くらいは住宅金融公庫の資金とあわせて利用をしているという実態にかんがみまして、先生手元計画の中ではその他住宅の中に入っているわけですけれども、その四分の三程度、住宅金融公庫をあわせて利用している方々は、上の方の住宅金融公庫の関係に数字を計上しまして、残る四分の一程度の数字について計上しているということでございます。ですから、年金福祉事業団の融資だけで受けているという数はわりあい少なくなっているわけでございます。
  157. 浦井洋

    浦井委員 どのくらいですか。
  158. 渡辺修

    渡辺説明員 ちょっといま数字を確かめますから。——その重複を除きました数字は、その他の区分の中で十三万二千戸ほどでございます。
  159. 浦井洋

    浦井委員 はい、結構です。  それで最後に、これは住宅にも関係がある問題で都市局長にお聞きをしたいのですが、この間、都市局長もよく御承知の宇都宮都市計画事業西茂呂土地区画整理事業の権利者、地権者並びに借地権者の方で組織をされた反対期成同盟の方が来られたわけなんですが、都市局長もよく御承知のように、その権利者の中の九五%が、計画決定してから数年間もたつのに依然として反対。で、反対者がますますふえておるというような現状で、これは県知事の認可であるそうでありますが、これではとうてい事業ができないと思うわけなんですが、都市局長の御所見をひとつ承りたいと思います。
  160. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 土地区画整理事業は、法律に明記されておりますように、たとえ公共団体が施行主体となって行う場合でありましても、土地所有者等の権利者を中心に土地区画整理審議会を置いて、仮換地の指定とか換地計画の決定、こういった基本的な事項についてはすべて審議会に諮りつつ進めていかなければならないという事業でございます。したがいまして、法律の条文からいいましても、おっしゃるような圧倒的な多数の方の反対があれば、実際に事業ができることは期待できないわけであります。ただ、事業にかかり、計画を決定してから相当年数がたっているとはいうものの、市当局と権利者との間に、たとえば一番問題になっている減歩の問題、減歩率の問題など、どこまで詰められているか、私どもの見るところではまだまだ詰められていない問題が相当あるようでございまして、そういうものの推移というものはやはり見ていきたいと思います。
  161. 浦井洋

    浦井委員 最後にその問題について大臣の御意見をついでに聞いておきたいのですが、後で細かい事情は都市局長にでも聞いていただいたらよくわかると思うのですが、現地の権利者の方々は、これはもうやみくもに反対と言われているわけではない。強いて道路を通したいならば、用地買収方式でやってもらって結構だというところまでよく集団的に論議をされて、しかも、市なり県なりのやり方はけしからぬということで九五%の権利者の方が反対されておる、こういう性質のものなんです。こういう点で行政指導みたいなことがやれれば私は一番よいと思うのですけれども、やはりその地域地域の町づくりという点ではそこに住んでおられる方あるいは権利者の意向を無視してはやれないわけですから、この点について大臣の御決意といいますか、御感想なりを最後に賜って私の質問を終わりたいと思います。
  162. 竹下登

    竹下国務大臣 事の具体性については、浦井委員からも御指摘がございましたごとく私はさだかでありません。ただ、私自身が絶えず感じておりますことは、まあ悪い意味における住民エゴイズムというのは私は日本にはないと思うのであります。政治というものは、住民エゴイズムなどという失礼なものではなく、個人または集団の自己主張と、社会公共性の中へそれがどう調和を保つか、その上に立ってどう決断するかというのがまた政治であると思います。したがいまして、間接民主主義というものがこれだけ熟してきた日本の国でございますので、私はそうした問題に対しては、今日まで、また私が就任しましてからも、建設省に係るそうした問題は、必ず関係の議員さん、関係の国会議員の方等の力をかりてこれを解決の方向へ持っていくというのを私なりの考え方の基本に置いておるわけであります。  ただ、いまの問題は市、県の問題でございますので、当然のこととして、選ばれた市会議員さんや県会議員さんもおられることでありましょうし、そうした方々が間接民主主義の中で直接民主主義の行動をコントロールしながら物の解決に当たっていかれることが好ましいと思うのでありますが、事の事案によって、わが方として行政指導する余地のある問題でありましたならば、私はそれまた間接民主主義の中で受けとめてこれを行政指導の方向で指導してまいりたい、このように思っております。
  163. 浦井洋

    浦井委員 終わります。
  164. 渡辺栄一

  165. 北側義一

    北側委員 先ほど来各委員がいろいろな問題で質問なさっておられますので重複する点が出てくるかもわかりませんが、答弁はそれはそれでお答えいただきたい、このことをまずお願いしておきたいと思います。  今回のこの住宅金融公庫法の一部改正においていろいろ改正点はあるわけでありますが、その中で非常に関心を持ちますのは、個人住宅貸し付けの面で大規模住宅の新築また建設購入資金既存住宅購入資金、これがいわゆる新設されたということです。この法律案の二十一条の中でも「所得が比較的多い者」また「規模が比較的大きい住宅」このようにそれが表明されておるわけです。また建設大臣の先般の提案理由説明の中におきましても同じような意味のことをおっしゃっておられるわけでありますが、まず、この二点のいわゆるねらいはどこにあったのかということを建設大臣からお伺いしたいと思います。
  166. 竹下登

    竹下国務大臣 このお答えに入ります前に、大体似たような要件が幾らかありますので、この機会をかりて答弁の訂正をひとつさしていただきたいと思います。これは何かと申しますと、いろいろずっと過去において今日まで事業範囲の拡大等によって法律改正がなされてきた。そのまた今度は拡大の点についての御質問でございますので、それを十九回でありますとかあるいは二十回目でございますとか、こういう数字を私は申し上げました。あれから調べてみましたら、確かに年度によるとまさに十九年度あって、今年度で二十年度目なんです。ところがその中で、同じ年度の中で数回改正になっていることがありましたので、改正の数としては二十数回、こういうふうにこの機会に訂正させていただきたいと思うわけであります。  さて、業務範囲の拡大につきましての今度の二つの柱についての北側委員からの御質問でありますが、五分五厘口のほかに七分五厘を設けて、より所得の高いあるいはより広い規模の大きい住宅需要にこたえよう、こういうことでありますが、今日金利体系を見てみますと、市中金融において行われます住宅ローンというものはどうしても八・何%とか、高いわけであります。この金利というものはさらに経済環境の推移によりまして多少の上げ下げがあるということは、これは当然のことでありますが、今日この時点において少なくとも高いとなれば、少しでもそれよりも低いものがより所得水準の高い人に対してでも利用されていくということは、それなりに住宅というものを獲得していくために役立つ制度であるという意味で、財政投融資資金の金利に連動した七・五%口というものをつくった、こういうことでございます。  いま一つは、これはかねてから北側委員等の御発言の中にあります中古住宅の買いかえの問題であります。この中古住宅の買いかえというものにつきましては、間接的には私は住宅新五カ年計画の中の数というものにも影響を与えることはもちろんでありますが、それそのものは新築でございませんので五カ年計画の数には当たらないものの、やはりそれぞれの需要に応じてそうした新しい仕組みができるということによってより豊かな環境の住生活ができるということで、新しい一つの柱として取り上げさせていただいた、このように理解をいただきたいのであります。
  167. 北側義一

    北側委員 そこで、いまの大臣の答弁に対して私の考えは別にあるのですが、まずその前に、所得の比較的多い者、こういう規定がされておるわけですが、果たして所得の比較的多い者というのはどの程度の所得を指しておるのか、これはどうでしょうか。
  168. 山岡一男

    山岡政府委員 本年度新設分は八千戸でございます。したがいまして、実際法律上予定をいたしておりますのは規模の大きいものというものを対象にしたい。将来所得について検討いたします際は、その需要動向等も見きわめまして、国民の皆さんの納得のいけるような比較的高いところで決めたいというふうに考えておるわけでございます。  ただ、実情を申し上げてみますと、現在過去数年の間九八%ないし九七%の比率で公庫融資を活用していらっしゃる皆さんの所得階層は六百万円以下ということでございます。おおむねそのあたりが、現在もし所得についての比較的高いという基準を申してみよとおっしゃられればその辺じゃあるまいかというふうにわれわれ考えております。
  169. 北側義一

    北側委員 そこで問題が出てくるわけです。大臣、これはよく聞いてください。昨年の秋の住宅金融公庫の一戸建ての資金の個人貸し付けですね、この落選者が約三万一千八百人、申し込み全体から見ますと二二%が落選しておるわけです。さらに、本年度の第一回申し込みでも、この一戸建ての個人住宅貸し付けは現在で申し込み数が十七万六千七百。これを、予算の関係上もありますので辞退者分も含めて合格予定数を幾らぐらい見ておるかといいますと、十万二千五百人、こうなっておるのですよ。そうしますと落選者は、引きますと約七万四千二百、落選者四二%、こういう数字が出てくるわけです。こういう数字が出ますことを考えると、私はこの住宅金融公庫法目的というものは、大臣何遍も読まれて御存じのとおり、その最後の方には「銀行その他一般金融機関が融通することを困難とするものを融通する」こうなっているのですね。そこらがこの法の目的と七分五厘の比較的高い所得の人に貸すという面と全然合わないのです。現在の五分五厘でいわゆる高額所得者の貸し出しの所得制限がないので入ってくるから、これについてはこうするのだというならば、まだこれは話はわかるのですよ。そうじゃないのですね。私は今回の法律案はそこら非常に矛盾があると思うのですよ。だから、結局ある面から言えば、七分五厘、五分五厘の大蔵省のいわゆる腹の中というのは、恐らくこの利子補給分が年々大きくなっていくので、これはたまらぬからひとつ七分五厘の制度を新しく設けようじゃないか、こういう考え方によってできた案だと思うのですね。しかし、一貫した住宅政策、現状で家を新築するにはどれくらいかかるか、後から論議しますが、そういう点を考えると、こういうやり方はいわゆる法の目的からいっても間違いである、私はそう判断しているわけです。それについてどうでしょうか。これは建設大臣がいいですよ。
  170. 竹下登

    竹下国務大臣 北側委員御指摘でありますが、あくまでも五分五厘口というものが本筋であって、それを補完するものとして七分五厘口というものができたという意味において、私は法の目的と相反する制度であるというふうには理解をいたしておりません。  ただ、私なりにいまの御意見を聞きながら考えましたことは、この法律自体ができた時代と現在とのいわゆる経済、社会の環境に非常な変化が来ておるというふうに、私もお話を承りながら感じたわけであります。当時、昭和二十年代の金融状態というものは、とても住宅ローンというようなものに回るような客観的事情になかったと私は思うのであります。いまはこれはそれなりに回っておって、なお、北側委員のお考えで見れば、宅地も含めればあるいは二十何%程度のものかもしれない、総合性の中においてはそういう補完的役割りになってきておるということを考えますと、いわゆる法制定当時からすれば社会環境が違っておる。ほのかに理事会等でお話を聞いておりましても、そういう意味において、しかも何回も何回も一部改正が行われながら今日にたどりついた公庫法であるので、この際ひとつ根本的に検討のし直しをしてもいいのじゃないかというような御議論が与野党の間にあると承って、私自身も、そういう背景の中でいまのお話を聞きながら、社会環境の違いの中、そして非常に複雑な仕組み、そのつどつどいわゆる対象を拡大していって今日までにたどりついたというようなことを考えますと、委員は委員として、私どもの方でもやはりこの法体系そのものに手をつけなければならない時期に到達したではないかということを、これは私のいまの印象で、省議をやって決めたというわけではございませんけれども、感じたということを素直な感想として申させていただきます。
  171. 北側義一

    北側委員 いま建設大臣の言われたことは、私はそのとおりだと思うのですね。やはり法体系的にこの住宅金融公庫法というものを洗い直さなければいかぬ時期が私は来ているのではないかと思うのです。     〔委員長退席、内海(英)委員長代理着席〕 後でまたずっと論議をやって、そのことを浮かび上がらせたいと思うのですが、この七分五厘の問題も、いわゆる五分五厘の補完的な立場で七分五厘をつくったということですが、五分五厘が全部落選者が出ない——たとえばことしの第一回の申し込みの場合ですと、すでに四二%も落選するというのがもう確実にわかっておるのです。そうするとこれは補完的立場とは言えないわけですよ、そういうことから見ますと。補完的ということは、あくまでも五・五が満杯でもうぎりぎりいっぱい大体いけるのだとなったような場合に七・五を補完的、こういう考え方ならばうなづけるわけです。そうじゃないのですね。四二%の落選者は現時点で間違いなく出るのです。そうしますと、補完的立場という言葉は誤りだと私は思うのですよ。七・五というのはやはり五・五の落選者に回すべきである、それも五分五厘で、こういう考え方です。その方を国民は期待し、またその方が住宅がうんと建つのじゃないか、こう私は考えるわけです。この法の目的も、先ほど言いましたとおり「銀行その他一般金融機関が融通することを困難とするもの」こう書いておるのですから。高額所得者は銀行が融資するのですよ。困難じゃないのです、銀行は融資するわけですから。そこらから見ても、この法の目的からしてすでにおかしいじゃないかという論議が成り立つのじゃないかと私は思うのです。  次に進みましょう。この改正案の中で、既存住宅購入について新しく資金を貸し出す制度ができたわけです。これは私非常にすばらしい制度だと思うのです。これからの住宅事情考えてみた場合に、いまの住宅事情というのは御存じのとおり、たとえばマンション等でも都会へ行きますと二DKのマンションが非常に多いのです。それでたとえば子供さんができて中学校へ行き、高校へ行くようになりますと、必然的にかわらなければならないわけです。その場合の既存住宅融資というものは、そういう人たちにとっては非常に有益な制度になるのじゃないか、こういう考え方を私は持っておるわけです。だからこれは大賛成です。  ただ、この問題について政令で見ますと、年利率がやはり七・五になっておるのですね。それと償還期限、貸付条件、こういうものをずっと政令等で見ますと、たとえばマンションですと十年住んだ場合には三十五年マイナス十年、二十五年の償還期限というような貸付条件になっておるらしいのですね。それはそれでいいとしても、結局、だれだって中古住宅より新しい住宅を望むのじゃないかと思うのです。自分から好んで古い住宅に入ろうという人はないと思うのです、金があったら。金があったらだれだって自分の思うとおり設計して、自分が思うとおりの場所を選んで、そして新築したい。これは人間である以上皆そういう希望を持っておると思うのです。私らから見るならば、比較的所得が多くて新築する人と、既存住宅でたとえば中古住宅を探して入居する人とどっちが強いか、こう見た場合に、中古住宅を望む人がやはり立場としては弱いと思うのです。であるならば、そういう弱い立場の人に手厚くやっていくというのが政治の姿勢じゃないかと思うのですよ。ところが七・五なんですね。だからこの既存住宅の分は、少なくとも現在の五分五厘にすべきであるというのが私の考え方なんです。五分五厘で借りて家を建てる人、この人はまだ力のある人です、土地も処理できる人ですから。既存住宅を買う人は力のない人なんです。当然五分五厘でやる、これは政治としての姿勢じゃないかと私は思うのです。まだ高額の所得者というのは少々利子取ったって金持っているからいいだろうという考えもありますが、少なくとも既存の分は五分五厘でやるのが政治の姿勢であろうという考え方を私は持っておるわけです。これについてはいかがでしょうか。
  172. 山岡一男

    山岡政府委員 先生のお話は、私まことによく理解できる気がいたします。しかしながら、目下のところ公庫住宅において重点を置かなければならないと思っておりますのは、やはり新築住宅促進ということでございます。したがいまして住宅政策上も、当面は民間住宅ローン等にも期待をしながら公庫がその先導的役割りを一部果たすという意味で、あくまで補完的に中古融資を始めたいというのが現在の立場でございます。既存住宅につきまして、土地もしくは立地、規模等が類似をしたものでございますと、やはり新築住宅よりはどうしても陳腐化といいますか年月を経ておりますので、単価が安いということが一般的に考えられるわけでございます。その辺等も考慮いたしまして、現在は新規試みでございますので、資金運用部資金連動ということで試みに始めたわけでございますけれども、先生のお話の点につきましても、本来は今度の公庫法の考え方で申しますと、所得によっても差をつけるということでございますので、同じ中古住宅を買うにしても大きいものを買う者、小さいものを買う者、所得の高い人、低い人というような点を考慮して、将来やはり金利考えるべきであろうというのが本筋だと思います。ただ、その点につきましては、本年は二千戸で始めるわけでございますので、その実施状況をよく検討勘案いたしまして、必要があれば今後について十分検討してまいりたいと考える次第でございます。
  173. 北側義一

    北側委員 いま局長が答弁なされたように、私はやはりこれは考えなければいけない問題だと思います。  あわせて、たとえば中古住宅を買うと、それは家が建たないじゃないかという考え方、これは間違いだと思うのですよ。中古住宅を買うというのは、その前におった人が家を空けてどこかに行くのですから。そうでしょう。だから、中古既存住宅を幾らやったって家は建たないなんて、その考え方は私はインチキだと思うのです。出た人は、少なくともどこか新しいところに行くのですよ。それは中には金に困って売る人もあるでしょう。しかし大部分の人は、家族がふえたとか地理的条件が勤務上非常にまずくなったとか、いろんな条件でどこかに行くのですよ。どこかに行けば、その人はどこかで必ず建てるのじゃないかと思うのですよ。  大蔵省来ておられますね。大蔵省の先ほどの答弁を聞いておりますと、浦井委員が質問しておりましたが、新築の場合はうんと減税があるのですね。たとえば固定資産税不動産取得税所得税、保存登記、抵当権設定、これは全部何らかの免除なりいろいろやられているわけです。先ほどの答弁を聞いておりますと、中古住宅にはこれはないのでしょう。どうなんですか。
  174. 大竹宏繁

    ○大竹説明員 現在、税制におきまして個人持ち家取得に関する課税の特例というものは、ただいま御指摘のようにいろいろな制度が設けられております。その中で住宅取得控除は、確かに新築というものに対象をしぼっておるわけでございます。これはやはり住宅政策の根幹が新しい住宅の供給という面にあるというところから、税制でもそれに対応して特別措置を設けたということでございます。
  175. 北側義一

    北側委員 政務次官、あなたも前に建設委員をやっておられたのでよく御存じだと思うのですよ。これは先ほどから何遍も言いますように、既存住宅を買う人というのはやはり弱い人なんですよ。新築する人は強い人なんです。強い人に味方して弱い人に味方しないというのはおかしいと思うのです。やはり弱い人を守っていくのが政治だと思うのですよ。その点どうですか、もう一遍はっきり答えてくださいよ。あなたはいろんな住宅事情を御存じなんだから、あなたにはもっと詳しくいろんな質問しますから。
  176. 唐沢俊二郎

    ○唐沢政府委員 中古住宅取得に際しても新築と同様の税制上の優遇措置を講ずるべきではないかという御質問だと思います。先ほども申し上げましたけれども、私どもやはり住宅政策の重要性は持ち家、賃貸とも重々承知しているわけでございます。そして、その住宅政策を重視しておればこそ今度の租税特別措置法、百九十六項目ございまして、たしか十一が廃止で五十八縮減をしておりますが、その際も、この住宅関係につきましては依然として特別措置を継続しておるということで、われわれがやはり住宅政策にどれほどウエートを置いておるかということは御存じだと思います。ただ、やはり住宅取得者の負担軽減ということも確かに一面ございますが、一面にはやはり新規住宅の供給というようなことに着目してそのような措置がとられたわけでございまして、先ほどから伺っておりますと、諸先生方からも強い御要望なり御意見もあるようでございますので、今後ともよく勉強してまいりたい、かように考えております。
  177. 北側義一

    北側委員 だから先ほどぼくが言いましたとおり、新規住宅をうんと建てなければならぬ、そのとおりですよ。しかしその人だけよくて、中古の場合は固定資産税も不動産も所得も何もやらないというのはちょっと矛盾していないですか。だれが聞いたって矛盾していると思うのですよ。あなたの言うことに一理あるのもわかりますよ。わかりますが、少なくともやはりこれだけの五項目から成るそういう措置があるのだったら、中古にもせめてこれとこれは当てはめなければいけないという考え方を持って当然だと私は思うのです。検討します、勉強しますだけでは、恐らくこれはそのままでしょう。あなたもやはり出てきているのだからはっきり腹を言いなさいよ。そうなってくると、大蔵大臣にやっぱり来てもらわぬといけなかったかなということになるのですよ。
  178. 大竹宏繁

    ○大竹説明員 住宅取得控除その他いろいろ特別措置があるわけでございますけれども、特別措置を税の上で設けるということにつきましては、基本的には税負担の公平に反するわけでございます。したがいまして、その措置がたとえば住宅政策という面から見てどういう政策効果を持っているかということ、そこのところを十分に吟味いたしませんと、なかなか新しい特別措置を設けるということにつきましては問題があるわけでございます。特に最近国会の御議論でも、税の面に関しましては特別措置の整理ということで非常にいろいろの機会に御意見が強いわけでございます。私どももその辺、税制上の配慮から十分納得のいくような説明ができない限り、新しい措置を設けるということについては非常に慎重にならざるを得ないということは御理解いただきたいと思います。
  179. 北側義一

    北側委員 もうくどくど言いませんが、しかし政策効果がないとは言えないですよ。何遍も言うとおり、中古住宅に入っておる人が出ていくから中古既存住宅がある。出ていく人が家を新築しなければ絶対ないんですから。
  180. 大竹宏繁

    ○大竹説明員 ちょっと説明が不足で申しわけございませんが、実は新築住宅だけしか特別措置というものがないということではございません。現在持ち家取得のための税制特別措置といたしまして設けられておるものの中に、たとえば住宅貯蓄控除であるとかあるいは給与所得者が住宅取得資金の貸し付けを受ける場合の経済的な利益であるとか、あるいはサラリーマンが非常に安く雇用主から住宅の譲渡を受けた場合の経済的な利益についての課税の特例であるとか、そういったものにつきましては中古住宅ももちろん対象にはいたしております。
  181. 北側義一

    北側委員 そんなことを言っているのではないのですよ、ぼくがさっきから聞いているのは。そのことはこっちでは一応わかっておるのです。ぼくは新築と比較してのことを話しておるのです。とにかくそういうことですから、一応この問題については、政務次官もお見えになっておることですから大蔵大臣によく話しておいてくださいよ、そういう意見が建設委員会で非常に強かったと。お願いします。  次に、住宅金融公庫が先般、昭和五十年度の第一回一般個人住宅建設資金利用者調査というものを行いました。その資料によりますと、こうなっております。総建築工事費、これは土地代を除いてあります。一戸当たりの平均が七百八十八万円、これは上物だけですね。延べ面積が約百平米、これは東京、大阪に来ますと非常に高くなっております。一戸当たり平均、東京では九百八十七万円、大阪府では九百七十九万円、そうなっております。その資金内容は、手持ち資金が二百九万円、公庫借入金が三百六十七万円、公庫以外からの借入金が二百十二万円、こうなっておるわけです。そうしてさらに、世帯月収は税込みで二十二万八千円、こういう報告がされております。一カ月の借入金の返済額は四万五千円。このような状況から判断しますと、現在の公庫融資によって住宅を建設しておる人々というのは、平均月収から見ても返済金が限度一ぱいであろうと私は見ておるわけです。この試算には先ほど言いましたとおりあくまでも土地代は含まれておらないわけでありますので、もしこれが借地なり土地を購入するというようなことになりますと、これはいまの公庫融資でも全然使えぬわけです。  そこで先ほど建設大臣もおっしゃっておられましたが、今回の一部改正、こういう問題ではなくて、抜本的に法の目的に合ったような考え方、一般の勤労者が公庫資金を使用してマイホームが持てるような制度公庫法というものを改正しなければならぬのではないかという考え方を私は持っておるわけです。たとえば土地購入資金をいわゆる低利長期のものにするとか、また現在四百五十万円では実際上他の資金、これを利用しなければ建たないわけですから、たとえば償還期限を十八年から二十五年にするとか、こういう方向でなければ実際持ち家を推進できないんじゃないか、こういう考えを持っておるわけです。そういう点先ほど大臣が答弁なされましたので、この問題をしっかりとひとつ考えていただきたいわけです。  と申しますのは、たとえばこれはこうなっております。貯蓄動向調査より推計された年収百五十万未満の人は一三%、百五十万から二百万が一八%、二百万から二百五十万が一七%、二百五十万から三百万が一五%、三百万から三百五十万までの収入の人が一一%、大体こうなっております。百五十万から三百万までの所得階層、これを見ますと、大体全体の六二%になるわけです。もちろんこの六三%の中には家を持たないでもいい独身者等も含まれておるわけでありますが、少なくともこの六三%の大部分は、もう住宅金融公庫の金を借りても住宅は建設できないという状況なんですね。だから、少なくとも相当の年収がなければ住宅金融公庫の金は使えないということになるのです。その調査はここだけじゃないのです。ほかでも調査をやっておるのです。この問題は、後でまたもう一遍話をしますが、大体そういう状況になっておるわけですね。そこらを考えて、建設大臣どういうお考えをお持ちか、それをお伺いしたいと思います。
  182. 山岡一男

    山岡政府委員 数字の点がございますので、先にお答えしたいと思いますが、確かに公庫の最近の貸し付けの実勢を分析いたしますと、先生のおっしゃいますとおりで、平均七百八十八万ぐらいの家を建てております。ただ、そのときの平均月収が二十二万八千円ということでございますが、これを年収に直しますと、二百七十三万円ぐらいになるわけでございます。それから、月額の返済金の四万五千円の中には土地費等に対するもの、それから他からの借入金の返済分も含めて平均を出したものが四万五千円でございます。第三期五カ年計画では、持ち家を持つ場合には償還額を世帯の収入の二五%以下に抑えたいということでございまして、この比率が一九・七%ということでございまして、まあまあのところだろうと思っております。  それから、いまの貯蓄動向調査によります年収分布は全く先生のおっしゃるとおりでございますが、公庫の実際の申込者の分布を見てみますと、百五十万から二百万までの方が一二・二%、それから二百万から二百五十万までが二二・六%、二百五十万から三百万までが同じく二二・六%、三百万から三百五十万までが一五・一%、それから三百五十万から四百万までが一〇%というようなぐあいになっております。確かに年収別分布から言いますと、少し中央の方に出たかっこうになっておりますが、やはり二百七、八十万を中心に、前後相当の方がお借りになっているという実態だと思います。
  183. 北側義一

    北側委員 結局そういうことで、たとえばきょうの新聞に出ておりましたが、これは五十年代の住宅供給に対するビジョンについて、通産省の委託を受けて財団法人機械振興協会経済研究所と住宅産業情報サービス、この二機関の調査結果、これが報道されておるわけです。土地つきの持ち家を望む年収三百万の平均サラリーマンの借金能力は、百五十平米の土地を買うと、住宅建設費はわずか四百七十万円しか残らない。これは土地が非常に安いところなんです。だから、土地つき住宅は年収三百万クラスではできない、こう報告されておるのですよ。これはきょうの新聞に出ておるわけです。こういう事情から見ても、いま私が数字を読みました、約六三%の三百万未満、こういう人たちはマイホームの夢は非常に無理だ、こうなってくるわけです。  そうなりますと、勢いそういう人たちはどこへ住宅を求めるかといいますと、今度は公営住宅、公団住宅になってぐるわけです。ところがこの第三期住宅五カ年計画を見ますと、先ほど建設大臣がおっしゃっておられたとおり、質の向上、最低居住水準を五十五年までにいわゆる二分の一確保する、こうなっておるわけです。まことに結構なことだと思うのです。ところがこの内容を見ますと、公庫住宅が非常に数がふえております。ところが公営と公団が第二期に比べまして非常に減っておる。そうしますと、私考えますのに、三百万未満の人は一体どこへ住宅を求めたらいいのかという問題が出てくるわけです。私自身も都会に住んでおります関係で、住宅問題は非常に——大体私の家に相談に来られる八割までは住宅問題なんです。最近は私、市会議員をやめてずいぶんになりますので余り来ませんが、市会議員当時は大体八〇%までは住宅問題でした。こういう困窮者を一体どうして救うのかという問題が出てくるわけです。  たとえば質の向上にいたしましても、公営住宅、公団住宅の賃貸を三DK、三LDKにやる以外に質の向上は望めないのじゃないかという考えが私にはあるのです。それが数が大幅に減っておる。そうして持ち家が推進されておる。その持ち家がすでに三百万未満では不可能になってきておる。これは政府機関が依頼した調査機関がそう言っているのですから間違いないです。そこに非常に大きな矛盾があるのではないかと考えておるのですが、この点どうですか。
  184. 山岡一男

    山岡政府委員 けさの新聞の詳細は承知しておりませんが、先生おっしゃいますとおり、土地費を含めますと住宅は非常に高うなっております。五カ年計画の最終年度と思っております昭和五十五年度の価格で、住宅価格と取得可能年収をわれわれの積算でやってみますと、たとえば南関東では年収六百六十三万円以上でないと家が持てない。大都市地域では五百八十五万円以上、その他地域でも四百十六万円以上でないと家が持てないというふうな推算になっております。全国平均で申しますと、所得の内訳で言いますと、六六%の方が大体住宅取得能力はないということになります。したがいまして、そういう方々に対しまして公的資金による援助を少しでも深めまして、持ち家を持つとか、そういうための能力を付加したいということでいろいろな施策を講じてまいるわけでございます。そこで公庫融資公庫マンション等を加味いたしまして、たとえば南関東で申しますと八二%以上の方が不可能なところを五七%まで引き下げるというような積算をいたしまして、現在五カ年計画の積算を実はいたしております。  それから先生おっしゃいますように、今後の質の向上は、民間もさることながら、公団、公営等の規模を大きくしていかなければならないということはそのとおりでございます。そういたしまして、その中で家族数に応じて住みかえをしていただいて、そういう中で居住水準の確保をしていただくということは今後の方向かと思います。いままでは住みかえていただくにも住みかえていただくような三DK、三LDKの数が非常に少のうございます。やっと質の時代に入りましたので、そういうものに力を入れてつくります。どんどん住みかえ等を促進して居住水準改善を図ってまいりたいと思っている次第でございます。
  185. 北側義一

    北側委員 第二期の達成率は民間自力が大体五百十三万六千戸、八九・五%ですね。これは比較的当時は家を建てやすい時代だったと私思うのです。所得がばんと上がりましたのでね。これからなかなか大変ですよ。今期の五百十万戸というのは大変だと思うのです。  それはそうと、第二期の民間自力建設にアパートなんか入っておったのですか。たとえば六畳と三畳とか、そういうアパートは民間自力建設の戸数の中に入っておったのか、入っておらなかったのか、どっちですか。
  186. 山岡一男

    山岡政府委員 第二期の基準では、三人で九畳未満は家でないというようなことを言っておりました。そういうような小さいものは外しておりますが、それ以外のものは全部一応カウントしてございます。
  187. 北側義一

    北側委員 いま以外のを含めて、達成率が全部でこうなっておるわけですね。そうしますと、これから質の向上ということになりますと、今度は民間のそういう住宅をどう規制するのかという問題が出てくるのですよ。そうしないと事実上は質は向上できないのです。六十年までに全部最低居住水準を確保する、これは言葉の上だけになってしまうのです。それはどうお考えですか。
  188. 山岡一男

    山岡政府委員 一応五カ年計画はマクロの計画でございます。その中でまず民間の自力で望ましい居住水準を確保できる方というものをオミットいたしまして、公的の応援が要るものが三百五十万戸というふうに、後で公的資金の必要額を決めておるということでございます。そういう意味で八百六十万戸中の四一%の三百五十万戸が公的資金による住宅ということになっておるわけでございますが、さりとて民間自力の中でも、これにつきましては、金融税制、技術上の援助等を行うことは当然でございます。それ以外になお、従来黙っておりますと雨後のタケノコのごとく出ておりました狭小の過密住宅というようなものにつきましては、昨年あたりから税制の応援をやめるというようなことで消極的な抑制策を講じておるというのが実情でございます。
  189. 北側義一

    北側委員 これは私何遍も言うようですが、民間自力五百十万戸、これは大変です。たとえば公庫融資の場合なんか、これは融資を借りてやれば公的に入るのですからね。民間自力というのは相当大変な仕事なのです。これはやはり土地問題から手をつけていかなければできないと思いますよ。たとえば現在の住宅金融制度、これは非常に日本はおくれておるわけです。まだいろいろな細かい問題はあるのですが、時間の都合で全部飛ばします。  四十八年の末に金融制度調査会が民間住宅金融を充実するように大蔵大臣に答申しておるのです。また四十九年十一月には住宅宅地審議会が中間報告として、民間住宅金融の拡大等を建設大臣に申し入れが行われておるわけです。その後の様子を見ておりますと、余り変わった、ぱっとしたあれは何もないのですな、申し入れまたそういう答申を受けても。これをがっちりやらなければ、とてもじゃないが民間自力五百十万戸なんて、これは私から言うならば不可能です。その点で大蔵省どうですか、これについて何か対策、手を打ちましたか。
  190. 唐沢俊二郎

    ○唐沢政府委員 民間住宅金融の拡大の重要性とその対策でございますか、御質問があったわけでございますが、大蔵省としては、わが国の住宅事情等から見まして、住宅ローンの量的確保も非常に重要であると考えまして、従来から民間金融機関に対しまして、住宅ローンの拡充に努めるよう指導してまいったわけでございます。いまのところこのような指導の効果がありまして、民間金融機関の住宅ローンは順調に増加をいたしておりまして、一年間の全国銀行の住宅ローン増加額約一兆五千億円、年間増加率で申しますと三四%でございまして、総貸し出しの増加率の一一・六%を大幅に上回っておる、約三倍であるというようなことでございます。今後とも住宅に対する国民需要が非常に強いという点に配慮いたしますとともに、景気対策の意味も含めまして、住宅ローンについては一層配慮するつもりでございます。今後の住宅ローンに対する需要等、それをどうやって賄うかというような試算も一応あるわけでございますが、詳細は事務当局から御報告いたさせます。
  191. 北側義一

    北側委員 事務当局いいよ、どうせよく似た答えしか返ってこないのだから。  私が言うのは、いまは五百十万戸に対して話しておるのですよ。いいですか。ローンの枠がふえたのは知っております。大蔵省が指導しておるのは知っております。五百十万戸の民間自力建設を達成すると、これは政府で決めたのですから、それに対する金融機関は、また大蔵大臣に対して申し入れが行われた。それに対してどういう手を打ったか。それだけだったら何にもならないと思うのですよ。
  192. 唐沢俊二郎

    ○唐沢政府委員 いまのところ、五カ年間で民間住宅金融の必要量は約二十八兆円と見られております。ところで、現在の民間住宅ローン新規貸出額は、全国銀行初めすべてでございますが、現在のところで約四兆円でございまして、五十一年度は大体五兆円の予定でございます。いまの予定から申しますと来年六兆、さらに七兆、八兆、九兆、合計いたしますと三十五兆円に達するということでございまして、現在のところ、いままでの指導で十分の成果を上げており、将来について懸念はないわけでございますが、一層今後ともよく指導してまいるつもりであります。
  193. 北側義一

    北側委員 民間住宅金融というのは、これは発展を妨げる原因がいろいろあると思うのですね。その制度をやはりきちんとせぬといけないのじゃないかと思うのです。たとえば、一つには、現在既存融資機関というのはどうしたってこれは産業を中心に運営されておるのですよ。その証拠に、非常に金融が緩和したときは住宅ローンに貸し出すのです。金融が引き締まったら真っ先に締められるのは住宅ローンなんです。これはあなたも御存じのとおりですよ。こういう実態ですよ。それとあわせて、住宅金融の原資となる長期の安定した資金というものがいま確保されておらないのです。諸外国、西ドイツにしたって、大体、見てみますと、やはり制度が全然違いますね。  それが一点と、仮にそういうローンの貸し出しがあっても、高い金利ではやはりこれは使えないのですよ。たとえば、いま住宅金融の専門会社がありますが、金利は非常に高いです。たとえば、こうなっておりますよ。貸付期間の一年から十年までは一一・〇四%、十一年から二十五年までは一一・四%、こうなっておるわけですよ。非常に高いわけです。たとえば、いただいたこの資料から見ますと、こうなっておりますね。元本四百五十万円、これを貸出期間十八年としますと、金利が五・五といたしますと、月々の返済額は三万二千八百六十四円、十八年間返済合計額は七百十万円になっておるのです。ところがこれが、金利が一一・四%になりますと月々の返済は四万九千百二十二円、十八年返済の合計額は一千六十万円、こうなるのですよ。非常に利率が高いわけです。だから、四百五十万円借りて、結局十八年後には一千六十万円返済しなければならない。もうこれは二倍以上です。こういう金利体系また住宅金融関係をこのまま置いておいて五百十万戸なんというのは、私はこれは絶対不可能だと見ておるのです。そこらの処置を誤ると、これはちょっと五百十万戸なんてとても達成できないです。  住宅問題というのは、非常に人心を荒廃させたりいろんな問題が起こってくるわけです。やはり生活の基礎ですから。だから、私らに言わすならば、たとえばことしの一般会計でも、建設省関係のいわゆる道路整備費なんというのは三四%近く一般会計からつぎ込まれております。住宅関係は微々たるものです。もちろん財投の金が入っておると言ったらそれまでのことです。財投というのは金利がつくのですから、そういう面から考えるなら、やはり日本の将来のためにも住宅問題というのは真剣に取り組んで、そういう制度をもっと拡大し、また、住宅問題、住宅難が解消されるような方向へ持っていかなければならないというのが私の考え方なんです。  まだいっぱい質問したいことがあるのですが、もうやめてくれやめてくれと言うてきているからやめますが、建設大臣、最後に、私いままでずっといろいろお話し申し上げたとおりですので、お考えを、決意をお聞きしたいと思います。
  194. 竹下登

    竹下国務大臣 特に人口密集地帯の御出身でありますだけに、私も御意見をずっと拝聴させていただきまして、私自身の認識の足らざるところがあったということも反省をしております。それであってはいけないと、私自身は日本一の過疎地帯でございますので、本当に、私も地方議会におりましたが、思い出してみますと、住宅の話を聞いたことはほとんどなくて、何か道路やみぞ掃除の話ばかり聞いておったような気がします。建設行政の責任者となった今日、少なくとも北側委員がお述べになったような意見をどこでもとうとうと吐けるだけの実力を、私自身も備えなければならぬというふうに反省をいたしました。  しかし、現実問題として、暮らしの基盤が住宅であるという基本的なとらまえ方は、私も同意見であります。それがためには、いろいろな隘路はございます。午前中に関連公共施設の問題にも触れましたが、私は、要はいま御指摘の住宅対策問題これが大きな課題であると思うのであります。これについては、現在国土庁の土地局とわが方の計画局、住宅局で、少なくとも先生方に一つずつ批判していただけるだけの、粗っぽくてもいいからたたき台を出せというので、一生懸命いま勉強——勉強よりももう少し先なら、検討とでも申しましょうか、やらしていただいております。これが、私が就任いたしまして金丸国土庁長官にお願いした最初のお願いでございましたので、そのたたき台に基づいて宅地対策に全知全能をしぼると同時に、いまの住宅ローンのあり方等につきましても、私は十分検討していきたい。  そして、私なりに昨今心配しておりますのは、いま大蔵政務次官からお話がございましたごとく確かに比重は上がってきております。これは大蔵省の行政指導というものに対して、私も閣議の席上で感謝したこともあります。ただ言ってみれば、いわゆる産業の設備投資が少ないので、そうした一つの惰性の中にふえていったということになって、ある程度の景気回復基調が見えた今日、設備投資等への融資のシェアがふえていった場合に、せっかくの上昇カーブがあるいは停滞するとか、もとよりダウンしてはならないことでありますが、そういうことには絶えず注意を私どもは払っていかなければならない。そういう傾向が出れば、直ちにまた大蔵当局と協議をしてそういう傾向の是正の行政指導もしてもらわなければならぬ、こういうふうに考えます。  それと、先ほど来申しましたように、社会経済環境が変化した今日でございますので、私の認識も、いつかも申しましたように、昭和四十年代の初期までに土地を得た者はその上に持ち家が建てられる、しかしいま、統計上も資料上も高値安定した今日、おっしゃっておりましたように、いまから就職していく者にとって持ち家というものが高ねの花になってはならぬ、だから宅地対策についての基本的な考え方も、全知全能をしぼって御批判を受けるに足るたたき台をつくって御審議を賜りたい、こういうふうに考えております。
  195. 内海英男

    内海(英)委員長代理 渡辺武三君。
  196. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 私は、住宅金融公庫そのものを監督する義務を有しておられます大臣に、まずお伺いをしたいわけでございます。  住宅金融公庫法に定められた目的がございますけれども、その目的を十分満足するような運営を、現在住宅金融公庫がしておるのかどうか、この辺についてまずお伺いをしたいと思います。
  197. 竹下登

    竹下国務大臣 まず第一条の目的でありますが、「住宅金融公庫は、国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る住宅の建設に必要な資金で、銀行その他一般金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。」昭和二十五年五月六日、法律百五十六号、こういうことになっておるわけであります。その目的に対しまして、社会情勢の変化の中でもそれに沿った運営自体は今日なし得ておる、私はこういうふうに理解をいたしております。ただ、現実問題として見た場合に、他の金融機関等からも借りましたり、一部を住宅金融公庫融資に仰いでおるという場合、いわば困難なものに対して融通するという法律が、社会環境の変化の中において多少違ってきておりますものの、そういう筋においてはその目的に沿った運営をしておる、私はこういうふうに理解をいたしております。
  198. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 いま大臣はあえて括弧の中を省略してお読みになりましたけれども、括弧の中は、住宅の建設というものは「住宅の用に供する土地の取得及び造成を含む。」ということになっておるわけでございます。そういう意味からいってすべて目的にかなっておるかどうか、こういうことでございますので、もう一回答弁を願いたい。
  199. 竹下登

    竹下国務大臣 いま承ってみますと、その一部は目的に供しておるということでありますが、全体的には——意図的に私は括弧の中を読まなかったわけではございませんけれども、地価対策というものが不十分であったがために、いろいろな客観情勢はございますけれども、急騰していく地価に対して融資制度そのものを適用していくだけの勇気が持てなかったというのが過去の実情ではなかろうか、私はこういうふうに考えております。
  200. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 実はこういう質問をするのは初めてではないわけでございまして、過去の質問時の答弁としては、土地というものも融資対象にするということは法の目的そのものからいって必要なんだけれども、しかし、土地を無制限融資対象にしていくと、せっかく計画的に都市化を推進しようとしているそのものが、個人の取得のほしいままにしておけばむしろスプロール化していくおそれもある、こういう答弁が以前にはあったわけでございます。しかし、実際には都市計画法もございますし、市街化を形成しなければならない地域は市街化区域というふうに定められておるわけでございますから、市街化調整区域に個人が無制限に家を建てることは許されておりません。むしろ市街化を促進すべき地域にのみ住宅の建設が許されるわけでございますから、そういう意味からいけば、別にスプロール化を恐れる必要もないし、むしろ法律に書かれておるように当然土地の取得も含めて融資対象にすべきではないか、こう考えるわけですが、いかがでございますか。
  201. 山岡一男

    山岡政府委員 法律目的に書いてあることはそのとおりでございます。昔のことを思い出してまことに恐縮でございますけれども、実は昭和四十二年のころだと思います。ちょうど私がまだ公庫を担当しておりまして、住宅計画課長をしておる時代でございました。それまでは公庫はすべて抽せんということで経過をしてまいりました。ところが、ようやく皆さんの需要にこたえて融資もだんだんふえてきたという時代になりましたので、この機会にぜひとも受付順にお貸しする制度に切りかえたいということを提案したわけでございます。その際に、やはり同じく当時軌を一にしまして国会でいろいろな議論が行われまして、農家の軒先とかたんぼの中をどんどん買っていくような公庫融資は困る、良好なものにすべきじゃないかというふうな御意見が非常に出たわけでございます。両々相まちまして、私どもではまず住宅の宅地の融資を今後も行う。行うけれども、そういう場合には土地区画整理だとか、その他の公的機関が二月建ての宅地として造成をした宅地を買われる場合に造成費等に融資を行っていこうじゃないかという点。それから、相当に予算需要がマッチをしたと申しましたけれども、要望がやはりまだ相当ございました。そういう時代には、すでに土地を準備しておっていますぐにでも建てられる方が先じゃないかという、若干の優先のことも考えたことがございました。両々相まちまして、土地の融資につきましては良好な土地に限る、そのかわり上物については優先といいますか、申し込みされた方には全部貸すというようなことを当面やっていこうじゃないかといって始めたのがこの制度の現在までの状況でございます。最近に至りましても、土地を持って準備して上物を要望される方が非常に多うございます。この事情を十分分析もしながら、将来におきましてなるべく近い機会に、土地融資についても必要なものについては、拡大その他については法の目的に沿うように十分検討してまいりたいと思う次第でございます。
  202. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 その貸付限度額を見ていきましても、その表の中にも「住宅の建設費及び土地又は借地権の価額の八割に相当する金額」を限度額とすると実はわざわざ書いてあるわけです。ところが、答弁がありましたように、実際には貸してくれないのです。貸さないにもかかわらず、実際は法律は貸すようになっている。なぜ貸さないのかと聞くと、いろいろな理屈を並べられるということでございます。したがって冒頭に私は、監督の任務を持つ大臣に、この法律が適当に運用されておるのかどうかをお聞きしたわけでございます。適当に運用されておるというお話でございますけれども、私は実際に不適当な運営がなされておるのではないか、こう言わざるを得ないわけでございます。  本来的にこの公庫法が成立し、住宅金融公庫が設けられたときに、わざわざ「住宅の建設」とはということで括弧の中で注釈を加えられ、表にも土地の取得あるいは権利の取得ということまでも加えられておるにかかわらず、実際はそれが行われていない。さらにその価額の八割という金額そのものも、実際は標準建設費なるものが設定をされてしまって、実勢価格とはおよそかけ離れたものになっておる。数字の上で建設費の八割を貸すということになっておるのだけれども、実際にはそうではない。標準的な建設費とは一体何ぞやということなんですが、地域差があっていろいろあるから、大体この程度ならば標準的に、平均的に建つ建設費ではなかろうかと常識的には国民はそう考えるでありましょうけれども、あにはからんやそうではない。架空な標準建設費が定められてしまう。したがって実勢と比較すれば家屋の建築費の半分にも満たないものになっておる。それが実情なんですね。それで果たしていいだろうか。こういう問題が根本的にあるわけでございます。  そこで、今回の法律改正内容を見ていきますと、いろいろな制度改正によって、従来認められなかった百二十平米から百五十平米の家屋を建てる方々にも新たに融資の道を開こうとか、あるいは中高層住宅購入する方々にもそれを適用していこうとか、見れば大変前進的なようにうかがえる内容を持っております。ところが、実際に法自身の運用内容を見ていきますと、多くの方々が心配をしておられるように、もしそれを許した場合に、五・五%という本来の融資の額が圧縮されてしまって利子補給を必要としない七・五%の貸付金の枠がどんどんとふえていってしまうのではないか、こういうふうに恐れられておる。これは運用自身から見ていけば当然なことではないだろうか。本来資金運用部資金が利用される、その総枠がふやされていくというならばいいわけでございますけれども、総枠はそのままにしてその中の配分について問題になっていきますと、私は当然そういうことが起こってまいると思うし、そうだとすれば法自身が定めておることがまだ完全に行われていないのにどんどんどんどんと拡大をしていくということが果たして適当だろうか、こういう疑問が実は生じてまいるわけでございますが、その辺はいかがでございましょうか。     〔内海(英)委員長代理退席、委員長着席〕
  203. 山岡一男

    山岡政府委員 現在財投資金の管理は大蔵大臣がなさっております。しかし資金運用部資金は、聞くところによりますと毎年二四、五%の割合でふえてまいっております。したがいまして、利子補給金を伴わない百二十平米から百五十平米までのものに対します今後の融資枠の増加については、われわれとしましては他人のふところを探るようでございますけれども、従来の五分五厘口よりも枠をふやしますにもきわめてふやしやすいのではないかというようなことを考えております。今後、総枠につきましては予算のたびに決めるわけでございますが、五分五厘口は絶対にへこまないように十分努力してまいりたいと思っております。
  204. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 大蔵省の見解をあわせて聞いておきたいと思います。
  205. 岡崎洋

    ○岡崎説明員 五分五厘口と七分五厘口の趣旨につきましては、先ほど来たびたび政務次官等からのお話もありましたとおりでございます。それを毎年の予算のときにどう処理していくかというのは、その趣旨を踏まえまして全体のその年に使い得る財政資金をどういうふうに配分するかという予算の編成技術の話になりまして、そのときどきにその住宅事情あるいはほかの政策要請等を踏まえましていろいろ配分をしていくわけでございますので、いまの時点で具体的にどうこうというお話をお約束できるような性格ではないと思いますけれども、先ほど来申し上げております趣旨並びに建設省の方からも繰り返し御答弁いただいております趣旨は当然のこととして踏まえて、物事を判断していくということでございます。
  206. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 四月十三日の読売新聞だったと思いますけれども、住宅金融の見直しという記事が出ておりました。それはどういうことかと言いますと、金融公庫貸し付けております住宅金融制度そのものは非常に複雑になっておって四十一種類ぐらいある。したがってそれらを統廃合して二年がかりで技術的に見直すために建設省にプロジェクトチームをつくるというように報道をされておるわけでございます。この報道が事実かどうかもあわせまして、もしこの報道が事実だといたしますならば、今回提案をされておりますこと自身と、建設省内にプロジェクトチームが設置されて、利率限度額などを単純にするためにこの四十一種類に及ぶ金融制度を統廃合しようとする方向とは逆行するのではないかというふうに思われますが、この辺の真偽のほどを含めて、将来はどう考えておられるのか、お聞かせを願いたいと思います。
  207. 竹下登

    竹下国務大臣 お答えいたします。  今回の法改正によりまして若干貸付種別がふえるということは事実でございますが、新しい行政目的に応じて公庫業務を拡大していくということは必要であります。四月十三日付の読売新聞の記事は、公庫の貸付種別の整理を行うためプロジェクトチームをつくって検討しようということでありますが、現在特にそうした措置をとっておるわけではございません。  ただ、確かに公庫の貸付業務は種類が多く複雑多岐にわたっております。私も説明を聞いてわからなかったのであります。それで、国民に多岐多様にわたるものを何か一冊の安い本でもつくって売ったら、恐らく毎年コンスタントに十万部ずつぐらい売れてベストセラーにでもなるのではないかというようなことまで、実は総裁もお見えになっておりますが、お話をしたりしました。それときょういろいろお話しましたとおり、私が確かに改正の回数が多いはずだということでけさ調べたので、二十年度あって、中には一年に三回ぐらい改正したことまであるのでありまして、そういう新しい貸付種別がふえましたり、そういうニーズに対応して一生懸命で積み上げてきて今日に至ったのが公庫法である、こう思いますときに、この新たな問題とは別個に、全体をわかりやすく整理するということは望ましいことでございますので、これは時間をかけて検討をしていきたい、私自身が素直にそういう感じになりましたので、政府部内においても時間をかけてこれを検討をしてみたいというふうに考えておることは事実でございます。
  208. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 最後に、私確認をしておきたいと思うわけでありますが、今回提案をされております新たな制度そのものは、従来から続けられておりますいわば本当に住宅に困っておる、あるいは銀行にも融資が受けられないというような方々に融資をしてまいりました五分五厘の融資額、こういうものを基本的にこれからも拡大を続ける、これがまず第一。したがって、新たに設けられようといたしております。五%の利率、これは中古住宅、さらには百二十から百五十平米に達する家屋の新築、この枠が総枠の中で今後重点がこちらに移っていくということは決してない、こういうことを確認をいたしまして質問を終わりたいと思いますが、この確認いかんによっては、私自身この法律の賛否にも影響することでございますので、明快にお答えを願いたいと思います。
  209. 竹下登

    竹下国務大臣 法案の賛否にも影響するという重大発言でございますので、私も誠心誠意確認の発言をさせていただきます。  今回新たに設けることとしております資金運用部資金金利による貸付金は、改正法第二十一条第三項の規定により、所得が比較的多い者に対する貸付金規模が比較的大きい住宅にかかる貸付金等とされており、従来の法定金利による貸付金対象としなかったものを新設する趣旨であります。したがって、今後も個人住宅貸し付け基本である五・五%口については利率を堅持するとともに、需要に対応して必要な戸数の増加を図ることとし、あわせて資金運用部資金金利による新規貸し付けについても国民要望に即して逐次拡充してまいりたいと考えております。五・五%口貸し付けを圧縮して財投金利による貸し付けをなしくずし的に拡大するような考えは全く持っておりません。したがいまして、確認と申しますか歯どめと申しますか、私の発言がある種の一つの歯どめであるというふうに御確認をいただきたいと思います。
  210. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 終わります。
  211. 渡辺栄一

    渡辺委員長 福岡義登君。
  212. 福岡義登

    ○福岡委員 先ほど来、財投金利に連動する七・五%の新しい制度新設されることにつきましていろいろ議論されたところでありますが、建設行政のベテランである唐沢さんが政務次官になって大蔵省に行かれて、よもやこんなものが出てくるとは思いませんでしたが、非常に残念な気持ちがいたします。なぜわれわれが七・五%財投金利に連動する新しい貸付制度に反対するかというのは、また後日討論の中でその見解を明らかにしたいと思うのですが、ここでは若干の質問だけしておきたいと思います。  二十一万四千戸のうち一万戸——その内訳が八千戸と二千戸に分かれておるわけでありますが、一万戸とされました根拠が何かあるのかどうか、大蔵省の方でちょっと説明していただきたいと思います。
  213. 行天豊雄

    行天説明員 お答えいたします。  先ほどからお話出ておりますように、この七分五厘口の戸数を幾らにしたらいいかということにつきましては、建設省の方からの御要求を私どもいろいろと御相談いたしました結果、最終的に二十一万四千戸のうちの一万戸ということに決まったわけでございますが、特にこういう正確な数式があるからその計算の結果として一万戸という数字が出たというふうに私どもは感じておりません。むしろ建設省の方の御要求を御相談している間に、本年度におきますこういう制度新設するという状況とか、全体の戸数とのバランスの問題とかあるいは先ほどからお話ございますように、五・五%という基本金利に対する補完的役割りとしての七・五%口というようないろいろな事情を考えまして、第一年目ということもありますので、一万戸ということで両者の間に合意ができた、こういうふうに御了解いただきたいと思っております。
  214. 福岡義登

    ○福岡委員 大蔵省には別の見解があったようにわれわれは承知しておるのですが、いまの説明ではちょっと違うようですけれども、重ねて大蔵省の見解を明らかにしていただきたい。
  215. 行天豊雄

    行天説明員 ほかに何か別の考えがあったのじゃないかという御質問でございますけれども、繰り返し申しますが、特にこういうやり方を計算をして一万戸を出すのだというようなことは、私どもとしては本年度につきましては考えておらなかったというのが実情でございます。
  216. 福岡義登

    ○福岡委員 先ほどどなたか質問しておったと思うのですが、結果的に一万戸にはなったけれども、予算編成の過程で大蔵省は、五分五厘の戸数を相当削って七分五厘の新しいやつを相当ふやせという意見を出されたようにわれわれは承知しておるが、その点はどうか。
  217. 山岡一男

    山岡政府委員 これは私の方から申し上げるのが適当だと思って手を挙げたわけでございますが、実は予算要求段階におきまして、われわれどうしてもそういう七分五厘はあった方がいいという見地に立ちまして、建設省から総体で二十六万戸そのうち十万戸くらいが七分という要求を最初いたしました。その要求段階に従いまして大蔵の方からも一応そういう査定が出たわけでございますけれども、国会筋の強いお話もございますし、いろいろなことをよく検討いたしまして、要求をし直したわけでございます。要求し直しの際に私どもの方で、新しく道を開くということでございますので、当面八千戸と二千一尺足して丸く一万戸ということでお願いしたいという要求を持ち込んだというのが真相でございます。
  218. 福岡義登

    ○福岡委員 それはそうかもしれませんし、その問題はそうなんですが、もしそうだとすれば、五十年度で五分五厘が二十五万九千戸、最終的に追加もありまして、あったわけですね。建設省が要求されたというのは五分五厘が十六万戸で、七分五厘が十万戸で、合計で二十六万戸ですからね。戸数としては大体見合うことで了解できますが、要求自体の中で五分五厘は相当落として要求しておるではないですか。二十五万九千戸が十六万戸になっているわけです。補完的なと言われるけれども、それはどこでどうなったかわからぬが、その経過なり動機をわれわれが考えてみれば、どうも理解できない面がある。どういうことで五分五厘を十六万に落として七分五厘を十万戸要求されたのですか。
  219. 山岡一男

    山岡政府委員 前年度年度末で約二十六万戸と申しますのは、いわゆる弾力条項等を発動した後の数字でございます。そのほかに団貸しと申しますか、団体貸し付け等の中からできるだけ五分五厘の方へ集中的に回した結果の数字でございます。年度当初の要求でございますので、前年度の当初予算は十七万戸であったと思います。それらを勘案いたしまして、そのような要求をしたものでございます。
  220. 福岡義登

    ○福岡委員 それはもうこの程度にしますが、問題は今後のことであります。二十一万四千戸が弾力条項その他によりまして今年度も相当ふえるであろう、また追加されなければならぬものだ。われわれは景気対策——住宅政策だけからではなくて、景気対策その他から考えてみましても、個人向け住宅が二十一万四千戸で終わるとは思いませんし、終わらせてはならぬと思う。何戸になるかわかりませんが、相当程度の追加をしてもらわなければならない、少なくとも去年よりも戸数が少ないということであってはならぬ、こう思いますが、その辺についてどういうようにお考えになっておるか。建設省は要求する方である、大蔵省は全体的なバランスを見ながらそれに応じる方であるということでございますが、両者からひとつ御見解を聞かせていただきたい。
  221. 山岡一男

    山岡政府委員 本年度予算の最終の大臣折衝におきまして、当時はお亡くなりになりました仮谷大臣でございますけれども、前年度に比べて年度当初の戸数は減っておる、したがいまして、年度内の経済情勢の変化によっては弾力条項の発動等についても適宜善処してもらいたいという旨は強く言っておいたというふうにわれわれ聞いております。ただ、弾力条項の発動につきましては、予算総則に明示いたしますとおり、大蔵大臣が定めるということになっております。われわれは、諸般の情勢を着実に把握をしながら弾力的に処してまいりたいと思っておるわけでございます。
  222. 西垣昭

    ○西垣説明員 これからの経済情勢につきましては、いまのところまだはっきりいたしておりません。今後の経済情勢がどう推移していきますか、その辺もゆっくり見ました上で、さらに景気を刺激しなくてはならないのかあるいはそろそろ抑制しなくてはならないのか、その辺の見当もつきませんので、その辺の情勢をにらみながらわれわれとしては検討していきたいと思っております。
  223. 福岡義登

    ○福岡委員 景気対策の面からはそういうことだと思うのですね。しかし、住宅政策の面からいきますと、さっきもお話がどなたかの委員からありましたように、抽せん漏れが相当ある、最低四二%は落選なんだ、こう言っておるわけです。だから、住宅政策のサイドから考えてみましても、五十年度実績を下回るようなことがあってはならぬとわれわれは思いますし、できればさらに五十年度よりは上回るようなことを考えていただきたい、こう思うわけであります。ですから、その辺をひとつ考えての御見解を聞きたい、こう言うのであります。前段は景気対策の面で一応了解できますが、ぜひそういう住宅対策の面からの考え方を示していただきたいと思います。
  224. 西垣昭

    ○西垣説明員 われわれといたしましては、住宅対策につきまして従来も一生懸命やってきたつもりでおります。五十一年度予算におきましても、公共事業全体の伸びよりも大きな資源配分をやっておりますし、財投資金の配分におきましても、財投全体の伸びよりもはるかに大きなものをやっておるわけです。われわれの使える資源も有限でございますので、その辺もよくにらみながらわれわれとしては今後対処せざるを得ない、そういうふうに考えております。できるだけやってきたというところはひとつ御了解いただきたいと思います。
  225. 福岡義登

    ○福岡委員 やってきたというのは過去のことで、やるというのは今後のことで、ひとつ特段努力を今後していただきたいということにしておきたいと思うのです。  問題は、ふやしてもらえる、追加があるという前提で、これは要望になると思うのですが、やり方によっては財投金利に連動する七・五%のものを仮に五万戸追加するとすれば、いまは年度当初で七分五厘は一万戸となっておるけれども、五万戸七分五厘のものを追加するということであっては、どうもわれわれの立場としては了解しがたい。五万戸になるか六万戸になるかわかりませんが、追加部分は五分五厘のものを考えてもらいたい。確かに利子補給しなければなりませんから、これは予算上は相当問題があるかもしれませんが、そういう点についてどうですか。建設省の考えをまず聞かしていただきたい。
  226. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほど申し上げましたとおりでございまして、今後のいろいろな情勢に弾力的に対処してまいりたいというのが現在でございます。
  227. 福岡義登

    ○福岡委員 建設省がそういう考えならば、まあ大蔵省は聞かぬでも大体わかりますがね。どうもニュアンスから伺うところによると、七分五厘のものを追加する場合は考えたい、こういうように聞こえてなりませんが、われわれは五分五厘の方をふやしてもらいたいということで、情勢に応じて弾力的に対応するという、ふやすのは全体的な景気も見なければなりませんでしょうし、さっきからお話のあったことで、ある面はわかるが、ふやす場合に、ふやすという前提で私は聞いておるのであって、それが三万になるのか五万になるのか七万になるのか、その戸数はそのときにならぬとわからぬでしょうが、ふやす場合には五分五厘の方をふやしてもらいたい、こういうことを言っておるのであります。
  228. 山岡一男

    山岡政府委員 言葉が足りませんでした。もし仮にそういう事態が生じた場合には、五分五厘をたくさんふやしてもらうように努力したいと思います。
  229. 福岡義登

    ○福岡委員 たくさんじゃなくて、もう追加分は全部五分五厘だ、こういう要望をしておきたいと思う。  それから最後に、もうこれで終わりますが、先ほど来いろいろ質問されましたように、現在の金融公庫貸し付けがある程度の機能をしておるということは認めますが、その立法の精神を満たしておるかというと、必ずしもすべて満たしていない。非常に弱い。特に問題は、必要資金の四〇%程度しか融資されてないということを考えます。それは建設費全体が上がっておるわけですから、相当の資金が、まあ一千万なら一千万必要になっておるわけですから、その意味ではわかるのですが、この貸付限度額を引き上げれば償還金額がふえてくるわけですね。先ほど来どなたか数字を言っておりましたが、月に六万も七万も返していくということになりますと、普通のサラリーマンではこれは支払い能力がないわけであります。ですから、限度額を引き上げてもらいたいという要求がわれわれにはある、しかしそれだけでは償還問題が発生しますから、償還期限を伸ばしてもらわなければならぬ。いまは木造の場合は十八年ということになっておるわけで、それをせめて二十五年ぐらいにできないものかということはしばしばこの委員会でも議論になっておるわけであります。金利も五分五厘を引き下げてもらいたいという気持ちがわれわれはしますけれども、法律的にはこれは五分五厘を限度にということを書いてあるわけですから可能なんですね。そこで、今後の金融公庫融資体制の強化という面からいきますと、限度額を引き上げてもらうということと、せめて建設費の七割や八割は——法律にも八割ということは書いてあるわけですからね。そこへ近づけていただくためには、やはり償還期限というものを延長してもらう以外にないのじゃないかという気がします。これは、今回の法改正には間に合わぬにいたしましても、将来の住宅金融公庫融資制度改善の柱になっていくべき問題ではないか。これは要望でございますが、一応見解だけは聞かしていただきたい。
  230. 山岡一男

    山岡政府委員 現在、住宅金融公庫貸付対象は百二十平方メートル以下と言っておりますけれども、四十平方メートルから百二十平方メートルまでということにしておりまして、いろいろとバラエティーがございます。基準となっている予算が、平米当たり単価に八十平方メートルを現在掛けております。それの八〇%で四百五十万という積算をしているのが実情でございます。ところが、先ほど先生方からもお話ございましたように、大都市における単価が高い、それから実際にでき上っているものは百平方メートル以上のものができておる。そこで、全体としては四割六分六厘になってしまっているのが実情でございます。したがって、昭和四十六年以来格段に引き上げてまいっておりますけれども、今後につきまして、本年は一年休みましたけれども、われわれとしては予算上の必要分をはじきまして、財政当局と相談をしてまいりたいと思います。その際にも、従来の償還期限の延長等についても要求してまいっておりますけれども、やはりいままで壁が厚くて成功いたしておりません。ただ、われわれも方々を説得するに足るいろいろな資料等もそろえまして、今後十分な努力をしてみたいと思っております。
  231. 福岡義登

    ○福岡委員 終わります。
  232. 渡辺栄一

    渡辺委員長 柴田睦夫君。
  233. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 住宅金融公庫法改正案審議の機会に、住宅に関する福祉対策について質問いたします。  最初に大臣に伺いたいのですが、昨年の八月に発表されました住宅宅地審議会の答申では、公的住宅の拡充改善で「老人世帯、母子世帯、身障者世帯等に対し、十分な量の良質低廉な公的賃貸住宅を供給する。」こういうことを言っておるのですけれども、建設省はこの答申を実現するためにどういう考えを持っているのか、基本的な見解をお伺いします。
  234. 竹下登

    竹下国務大臣 柴田委員にお答えをいたします。  御指摘の答申にもありますとおり、老人、母子、身障者世帯等のために十分な量の良質低廉な住宅を確保いたしますことは、これらいわゆる社会的弱者の生活の安定と福祉向上を図る上からもきわめて重要な意義を有するものと考えております。政府におきましては、従来より公的住宅を中心としてこれら社会的弱者に対する適切な住宅供給に努めてきたところでありますが、必ずしも十分であったとは考えておりません。しかしながら、今後第三期住宅建設五カ年計画実施に当たりましては、住宅宅地審議会の答申の御趣旨に沿って、特段の配慮をもって当たる所存であります。  具体的には、老人、母子、身障者世帯向け特定目的公営住宅の拡充を図ること。そして公営住宅等について、老人、母子、身障者を含む世帯に対し、適切な規模構造を有する住宅の供給を図ること。さらに、老人、身障者同居世帯に対する公庫個人住宅融資の割り増し貸し付け等の拡充を図ること。さらに、公的住宅の入居管理に当たりましては、老人、母子、身障者世帯等に対する優先入居、家賃減額措置等について十分配慮すること。およそこの四点についての施策の拡充に努めてまいりたい所存であります。
  235. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 そこで順次伺いますけれども、まず、公営住宅における福祉対策としては、いまの特定目的公営住宅制度があるわけですが、これらのうちで老人世帯、母子世帯、それから身障世帯の戸数のシェアが四十六年度、四十七年度は最高で、その後建設戸数が減っているわけです。これらの理由をお伺いします。
  236. 山岡一男

    山岡政府委員 第二期の住宅建設五カ年計画が目標どおり達成できず、八六・三%の達成率に終わるということの一番主要な原因は、大都市地域を中心とします公営住宅、公団住宅が建たなかったという点でございます。全体が下がっておるという点もございますし、さらに、計画年度の後半で起きました地方財政事情の悪化、それから関連公共公益施設に対します地元市町村との調整の難航等が相重なりまして、やはり全体のシェアとしても落ちてしまったというふうにわれわれは考えております。しかし一番の問題は、さらに老人、母子、身障者世帯等に対します実態の把握等においても欠ける点があったのではないかと反省をしております。そういう点も今後十分詰めまして、担当部局との間の緊密な連絡をとりながら拡充を図ってまいりたいと思っておる次第でございます。
  237. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 需要がないというわけではないわけで、この特定目的住宅制度が公営住宅建設の枠内で実施されるということになっているために、公営住宅の建設が行き詰まって、結局こうした福祉対策もできなくなるということになっていると思うのです。建設省が定めております老人向きや身障者向きの住宅実施要領の建設基準では、老人や身障者の生活に適するような立地条件を考慮して建設するということになっているわけですけれども、現実にはこれを実行することができない。そこで第三期の計画においては、これらの福祉対策の特定目的住宅の枠を確実に確保するために、これらの基準に従ってこれが現実化できるように改善を図るべき問題があると思うのですけれども、その点どのように考えておられるか、重ねてお伺いします。
  238. 山岡一男

    山岡政府委員 積算の細目を持ってまいっておりませんが、たとえば老人世帯でございますと、これは老人同居世帯と老人世帯はわれわれ分けて考えております。老人世帯でございまして、老夫妻二人とか老人と子供というような世帯がございますが、大体百四十万世帯くらいはあろうかと思います。そのうちの七十万世帯くらいが普通世帯で、七十万世帯は個人の世帯というふうにちょっと覚えておりますが、そういうようなものにつきまして、十分に全体として対策が講ぜられるように全体計画を組んだつもりでおります。  それから、実際の実施面等におきましては、先ほどから大臣も申されましたように、特定目的公営住宅、それから公営住宅等の募集の際の便宜を図ること、それから割り増し貸し付け、割り増し融資、それから家賃等につきましての減額等々きめ細かい対策を講じてまいりたいと考えておる次第でございます。
  239. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 身障者向きの住宅では、現在特例加算ということで、身障者の人が生活しやすいように特別設計した分を地方自治体に補助しているわけですが、これについてもいろいろ問題があるようです。千葉県の担当者に聞いてみますと、手続の時期が決まっているということから、申請をし損なったとか、あるいは申請時期がおくれたために補助対象額が非常に少なかったとか、また東京都で聞いた話では、公営住宅は概算補助になっておるので、特に変動の激しい特別設計分にひずみが出てくるというようなことを聞いております。建設省の実施要領でも、生活しやすいようにということを定めているわけですから、身障者の人にとってはこの特別設計がどうしても必要なものであるわけで、これらの特別設計分については全額国が財源の手当てをなすべきではなかろうかというふうに考えます。また、福祉対策としての特定目的住宅では、一般の公営住宅の概算補助をやっているわけですけれども、そうではなくて精算補助で実態に見合ったものにすべきであると私は考えるわけですけれども、どのようなお考えでしょうか。
  240. 山岡一男

    山岡政府委員 心身障害者世帯向け住宅につきましては、おっしゃいますとおり、特別の設計によりまして必要となります住宅規模の増加分、それから特別設備の設置に伴う工事費の増加分を通常の工事費に加えて補助対象といたしております。その額は、昭和五十年では規模増につきまして戸当たり百三十万円、特別設備につきまして戸当たり百三十万円、両方合わせる場合には二百六十万円ということになっております。さらに五十一年度におきましてはその限度額をそれぞれ十万円ずつ引き上げまして、規模増についても戸当たり百四十万円、特別設備につきましても百四十万円ということで補助対象にしたいというふうに考えております。  ただ、いまのお話にございました精算補助か概算補助かという問題でございますが、実態を実は余りよく把握しておりませんが、特別設計につきましては現在個別に審査の上で補助いたしております。現実の問題といたしましては、実施工事費を補助対象額として考えておりますので、実際上精算補助になるものと考えております。ただ年度の途中におきまして申請がございまして、実際にはもっとかかったけれども、予算を繰り越してしまったというふうなものがございます。そういう場合にまた改めて追加の補助ということはできないという事態はあるようでございます。事実上年度内の要求でございますと、年度内精算をすれば精算補助で実額に合った補助をしておるというふうに考えておる次第でございます。
  241. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 次に、今度は公団住宅の弱者対策ですが、公団では老人家族向けの住宅を供給しているわけですけれども、五十年度の実態、特に募集戸数と入居状況をまずお伺いいたします。
  242. 川口京村

    ○川口参考人 五十年度については老人家族向け住宅は七団地、八十戸募集しております。それで、五十一年三月末現在で三十一戸が入居済みでございます。四十九戸があいております。
  243. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 そうすると五十年度実態では未入居の戸数が募集戸数の中でも半分以上、六〇%になる。すると、公団の管理部から資料をいただいたのですけれども、笹川団地や金田一丁目では入居者がゼロになっているわけです。このゼロになっている原因それから未入居の団地についてどういう対策を考えているのか、お伺いします。
  244. 川口京村

    ○川口参考人 その原因を考えますと、老人向け住宅は家賃がほかの住宅と比べて広いために割高になっております。それが一つ。それから団地の中には立地条件が悪いために通勤等の問題があろうと思います。そういうことであいておるというふうにわれわれ判断しているわけです。これについては、その趣旨を生かすために常時受け付けなり、さらに皆さんに知っていただく努力を重ねてなるべく早い時期に埋めたい、そういうふうに考えております。
  245. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 いま言われましたように非常に家賃が高い。しかし、老人世帯向けの住宅の募集に対しては応募というのは非常に多いわけです。結局はこういう建物も原価主義であるために非常に高くなる。多摩ニュータウンでは傾斜家賃をやっても六万七千八百円という家賃があって、結局これが入居できない一番の原因になっていると思うのです。そうなりますと、結局弱者対策ということにはなり得ない。そして一方その戸数全体から見ても供給戸数もそんなに大きなものではないわけですから、弱者対策ということをやるならば、この点については金利を下げて家賃を抑制すべきであるという考えが出てくると思いますけれども、建設省のお考えを伺います。
  246. 山岡一男

    山岡政府委員 公団が主として講じております老人向け対策といたしましては、公団の老人世帯向け住宅ということでございまして、老人を含む世帯ということでございます。対象といたしております所得階層は、やはり第三分位あたりを対象にしておるというのが実情でございます。私が先ほど申し上げました、老人が世帯主であるという、本当に所得が少ないような老人の方々のみで構成される世帯というものにつきましては、やはり主眼といたしましては特定目的の公営住宅等を拡充していくのが本筋であろうと考えております。しかしながら、御指摘のとおりに、公団の老人を含む家族住宅につきましても、立地の関係それから住宅規模等が大きいために家賃を比較的高額化せざるを得ないような状況になりまして、入居が必ずしも完全ではございません。そういう点につきましては、今後とも立地の改善を加えるとともに、従来の場所を固定化した方式から、さらに今後は公団も三DK以上しかつくらないというくらいな気持ちで大型住宅の建設を図ってまいりますので、そういうものの中で老人家族世帯に対しまして一定の優遇枠を決めて募集するというようなことにつきまして、検討を重ねてまいりたいというふうに考えております。
  247. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 そこで、住宅金融公庫の弱者対策でありますけれども、老人の同居、それから身障者同居の割り増し融資があるわけですけれども、この割り増し融資の実情はどうなっているか、まずお伺いします。
  248. 淺村廉

    ○淺村説明員 お答え申し上げます。  住宅金融公庫では数年前から老人同居世帯あるいは身体障害者同居世帯に対しての個人住宅貸付資金の割り増し制度実施いたしております。先生御案内のとおり、三大都市圏の特に限られた地域におきましては五十万円、その他は四十万円というものを一般の貸付額に上乗せをして融資をいたしております。  その数字を申し上げますと、四十八年度老人同居の戸数が二万三千五百七十一戸、身障者はございませんでした。その年の住宅融資、建設融資戸数の全体が十七万九千三百三十でございましたので、老人同居の戸数が一三%になったわけでございます。四十九年度老人同居が三万二千五百七十七戸、この年は身障者が出てまいりまして、これが八百五十六戸、さらに老人と身障者と両方抱えたのが四百三十五戸とございまして、合計いたしますと三万三千八百六十八戸でございました。個人住宅の建設戸数の全体が二十三万二千九百六十八戸でありましたので、パーセンテージは一四・五%ということになったわけでございます。さらに五十年度老人同居が四万三千九百十三戸、身障者が一千二百五十一戸、それから老人と身障者で両方あわせて抱えておるのが五百五十六戸、全部合わせますと四万五千七百二十戸でございまして、個人住宅の建設戸数の全体が二十五万八百五戸でございましたので、パーセンテージはこの年は一八・二%に上がってまいりました。実績、以上のとおりでございます。
  249. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 結局それらは新築する場合の融資の問題であって、増改築の融資についてこうした弱者対策の優遇措置がとられていないと思うのですけれども、その理由はどこにあるのですか。
  250. 山岡一男

    山岡政府委員 ただいま総裁から御報告申し上げましたとおり、公庫におきましても、やはり老人の同居する世帯に対しまして、先ほどもおっしゃいましたような施策を講じてまいっております。  そのほかに、公庫には住宅改良資金というのがございます。住宅の増改築につきまして融資する制度でございますが、必要な資金を低利で融資してまいっております。そういう場合、老人、身障者同居世帯等が、たとえば寝たきりの専用室等をおつくりになるという場合の融資につきましても、住宅改良資金の対象になるわけでございます。  なお、こういう点につきまして現在特別枠を設けたりいたしておりませんけれども、今後増枠等も図りながら、そういう点についての配慮をしてまいりたいと思っております。
  251. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 身障者がいる家庭が家を新築するというのはこれは大変なことであろうと思うのです。現実に老人や身障者の方が寝たきり専用室として増改築をする場合に低金利貸し付けをする事業を、これは都道府県が県単事業としてやっているというのがあるわけですけれども、住宅金融公庫でも、こうした寝たきり専用室の増改築に貸し付けをする制度をつくって、これを全国的に枠を広げていくということが必要であると思うのですけれども、その見通しはいかがですか。
  252. 山岡一男

    山岡政府委員 先生のお話のとおり、現在十数県市におきましてそういうふうな施策を講じております。内容を調べてみますと、貸付限度額を大体八十万から五十万、金利は大体三分のところもございますし七分五厘のところもございます。期間はおおむね十年程度ということでございます。こういうふうな制度が現に発足しております。われわれも非常にいいことだと思いますが、先ほど申しましたように住宅金融公庫住宅改良貸し付けがございます。これはやはりもっと金額も多うございますし、金利は六分でございますけれども、大体大いに活用していただいたらいいのじゃあるまいか。さらにそれをおっしゃるように優先的にしたらどうかという点につきましては、先ほど申し上げましたように今後の検討課題にさせていただきたいと思っております。
  253. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 全体的に見てみますと、住宅における弱者対策というのはまだきわめて貧弱であろうというように考えます。第三期計画では家賃や立地条件あるいは財政措置、それからいま言われましたいろいろな問題について弱者対策にふさわしいことを実施すべきであると思いますが、そしてまた、それが住宅宅地審議会の答申を生かしていくということであると思うのですけれども、最後に大臣の決意をお伺いしておきます。
  254. 竹下登

    竹下国務大臣 先日のことでありましたが、厚生大臣と私との対談がありまして、現実この住宅問題、住宅対策の中で弱者対策という問題について議論をいたしました。本来ならばこの弱者そのものがなくなっていくということが最も好ましいことであって、またたとえばお年寄りがただ一人住んでいらっしゃる、こういう住宅は好ましい存在ではない、だからこれらはもっと別の老人ホームとかそういう施策の中でこれらの対応策をとるべきだとか、いろいろな議論をいたしました。  私が勉強させていただいたところによりますと、大ざっぱな仕分けをいたしますと、老人そのものが世帯主であって所得水準の低いお方、それから世帯主はせがれさんであれどなたであれ含む老人あるいは身障者等々のところ、こう大別ができると思うのであります。したがいまして、この第三期住宅建設五カ年計画実施にあたりましては、そういう低所得者層、老人、母子、身障者世帯などの社会的弱者に対しましては、公的援助が適確になされなければならない。その一つは、これは必要な建設戸数の確保に特段の配慮を払うこと。二つには、その公的住宅の入居管理に当たっては、それらの方々を優先して入居させるよう入居管理制度改善を図ること。三番目には、家賃についても必要な減額措置等について十分な配慮をすること。具体的にはそういうことにつきまして、弱者対策について格段の配慮を払いたい、このように考えております。
  255. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 終わります。
  256. 渡辺栄一

    渡辺委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  次回は、来る十四日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十六分散会