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1976-05-10 第77回国会 衆議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年五月十日(月曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 渡辺 栄一君    理事 内海 英男君 理事 梶山 静六君    理事 國場 幸昌君 理事 服部 安司君    理事 井上 普方君 理事 福岡 義登君    理事 浦井  洋君       塩谷 一夫君    田中  覚君       渡海元三郎君    中村 弘海君       松野 幸秦君    佐野 憲治君       清水 徳松君    中村  茂君       渡辺 惣蔵君    柴田 睦夫君       瀬崎 博義君    新井 彬之君       北側 義一君    渡辺 武三君  出席国務大臣         建 設 大 臣 竹下  登君  出席政府委員         国土庁水資源局         長       宮崎  明君         国土庁大都市圏         整備局長    小幡 琢也君         建設政務次官  村田敬次郎君         建設大臣官房長 高橋 弘篤君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省都市局参         事官      森田 松仁君         建設省住宅局長 山岡 一男君  委員外出席者         環境庁水質保全         局水質管理課長 林   亨君         環境庁水質保全         局水質規制課長 島田 隆志君         文部省初等中等         教育局職業教育         課長      齊藤 尚夫君         厚生省環境衛生         局水道環境部環         境整備課長   山村 勝美君         建設省都市局下         水道部長    井前 勝人君         住宅金融公庫総         裁       淺村  廉君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 四月二十七日  住宅金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第五一号) 同日  公団住宅家賃政策等に関する請願(北側義一  君紹介)(第三九四五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  住宅金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第五一号)  下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部を改  正する法律案内閣提出第五二号)      ————◇—————
  2. 渡辺栄一

    渡辺委員長 これより会議を開きます。  去る四月二十七日本委員会に付託されました内閣提出住宅金融公庫法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、提案理由説明を聴取いたします。竹下建設大臣。     —————————————  住宅金融公庫法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 竹下登

    竹下国務大臣 ただいま議題となりました住宅金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  住宅金融公庫は、昭和二十五年設立以来国民大衆住宅建設に必要な資金、良好な宅地造成に必要な資金等を融通することにより、国民住生活の安定と社会福祉の増進に寄与してまいったところでありますが、さらに国民大衆持ち家取得促進と良好な居住環境の確保を図るため、その業務の拡充を図ってまいることがきわめて必要と考えられます。  この法律案は、以上のような観点から、今国会に提出された昭和五十一年度予算に盛り込まれている新たな貸付制度の創設、貸付条件改善等に関して住宅金融公庫法所要改正を行おうとするものであります。  次にその要旨を申し上げます。  まず第一に、適正な住みかえを促進住宅有効利用を図るため、みずから居住するため住宅を必要とする者に対し、新たに既存住宅購入に必要な資金を融通する業務を行うことといたしております。  また、個人住宅建設資金のうち既存住宅購入を目的とする貸付金、所得が比較的多い者に対する貸付金規模が比較的大きい住宅に係る貸付金等につきましては、適切な運用を図るため、これらの貸付金限度、利率及び償還期間政令で定めることといたしております。  第二に、良好な住宅市街地計画的な開発を推進するため、宅地造成資金貸付対象者として、大都市地域における住宅地等供給促進に関する特別措置法による特定土地区画整理事業または住宅街整備事業施行者を新たに加えることといたしております。  第三に、宅地防災工事資金貸付対象者として、著しく保安上危険または衛生上有害な建築物の敷地の所有者等建築基準法第十条第一項の規定に基づき必要な措置をとることを特定行政庁から命ぜられているものを新たに加えることといたしております。  第四に、中高層耐火建築物等購入資金につきましては、その建設資金について公庫貸し付けを受けている場合に限り貸し付けることを原則としておりますが、中高層耐火建築物等のうち購入資金を貸し付けることができるものは政令で定めることとし、貸付対象を拡大することにより、市街地合理的高度利用の推進を図ることといたしております。  第五に、住宅及び宅地の円滑な供給を図るため、関連利便施設及び関連公共施設に係る公庫貸付金について、償還期間を最長二十五年間まで延長する等、住宅建設事業及び宅地造成事業規模地域及び施設の種類に応じて償還期間及び据え置き期間の延長を行うことといたしております。  第六に、住宅街整備事業により建設された施設住宅施行地区内の土地所有者等購入する場合におきましては、住宅街整備事業促進を図る観点から、土地所有者等がみずから建設する場合に受けられる融資と同様の貸付限度額その他の貸付条件とする特例措置を講ずることといたしております。  第七に、これらの改正に伴い、所要規定整備を行うとともに、産業労働者住宅資金融通法北海道防寒住宅建設等促進法等について所要改正を行うことといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。(拍手)
  4. 渡辺栄一

    渡辺委員長 以上で提案理由説明聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。      ————◇—————
  5. 渡辺栄一

    渡辺委員長 次に、内閣提出下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
  6. 井上普方

    井上(普)委員 実は、住宅金融公庫法にいたしましても審議の時間が非常に制限せられておるようでございます。特にまた下水道整備法につきましてもかなり政令部分に任されておる部分が多くて、それが重要な意味を持つのではなかろうかと思いますので、いま政府の考えられております政令の要綱あるいは案につきましてひとつ早急に委員会提出していただきたい、このことをお取り計らい願いたいと思います。
  7. 渡辺栄一

    渡辺委員長 ただいまの井上議員の御発言につきましては、委員長におきまして十分配慮するようにいたします。  中村茂君。
  8. 中村茂

    中村(茂)委員 それではまず最初に、今回の法改正で作成される昭和五十一年度を初年度とする第四次下水道整備五カ年計画案について、その概要をひとつ御説明願いたいというふうに思います。
  9. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 第四次の下水道整備五カ年計画案は、予備費四千億円を含めまして、総投資規模七兆五千億とすることにいたしております。  この中で重点的に取り上げますものは、公害防止計画あるいは水質環境基準達成のために必要な下水道事業促進。それから浸水の防除その他都市環境整備向上のための既成市街地下水道整備並びに新市街地における先行的下水道整備。さらに水質環境基準達成維持し、あるいは湖沼内湾等閉鎖性水域富栄養化防止のためにも下水の三次処理施設が必要となってまいりますので、これにも一部本格的に取りかかる。あるいは都市計画区域外農山漁村湖沼周辺等におきましても環境対策上下水道が必要となってまいりましたので、特定環境保全公共下水道と称しましてこれらにもかかっていく。さらに、下水処理とか汚泥の処分等新しい技術開発実用化というようなことを重点といたすつもりであります。  この計画案によりますと、現在総人口普及率は推定で二二・八%でございますが、これを総人口普及率四〇%まで引き上げようということにいたしております。
  10. 中村茂

    中村(茂)委員 いま説明になりました第四次計画、この計画昭和四十八年に都市計画中央審議会から答申になった「下水道整備の今後のあり方についての答申」に伴って出したものであるかどうか、この関連について明らかにしていただきたいというふうに思います。     〔委員長退席梶山委員長代理着席
  11. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 おっしゃるとおり、四十八年の都市計画中央審議会答申を受けまして今回御提案いたしたわけでございますが、実は予算要求としては四十九年度、さらに五十年度と、二年度にわたり要求し、いずれも時期尚早ということで見送られ、今回初めて第四次が認められたということでございます。したがいまして、その間多少の期間のずれもありますので、数字等は現時点ではじき直したということになります。
  12. 中村茂

    中村(茂)委員 この答申によりますと、細かい内容は別として、長期目標昭和六十年ごろに置いて、この六十年に下水処理人口普及率市街地人口に対して一〇〇%、総人口に対して約九〇%に引き上げる。いまお話ありましたようにその計画は四十九年から、こういうふうになっておりますから、五十一年ということになると二年おくれるわけであります。その点は別にしても、この長期目標に対してどういうふうに考えているか、今回の四次計画ではこの長期目標に対してどういう形になってきているのか、その点をひとつ明らかにしていただきたい。
  13. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 答申にあります長期目標、すなわち市街地人口に対して一〇〇%、日本の総人口に対して九〇%と申しますのは、欧米等下水道整備の非常に進んだ国における、その中でも最も進んだような数字でありまして、私どもは、これをいわば下水道整備の一応の最終目標というふうに考えております。  ところで、四十八年の都市計画審議会審議の際には、経済成長率と合わせて公共投資成長率もかなり高いものが見込まれるであろうと考えたものですから、その最終ともいうべき目標を六十年ごろにおよそ達成したいということで考えておりました。  その後事態が変わり、非常に物価も工事費も高騰し、かつ、経済成長率も静かな安定した成長ということに向かわざるを得ないということになりますと、容易にその長期目標短期間の間に達成することは事実上できない次第となっております。  今回の五カ年計画は五十五年までの数字にすぎませんので、残る五年間あるいはそれに続く五カ年間にどの程度に伸ばせるかは将来の問題でありますが、私どもとしては、少なくとも現行計画二兆六千億円の二・八倍以上の規模を今回実現したわけでございますので、続く五カ年、さらにそれに続く五カ年というものも相当伸びを期待できるのではないか、また努力しなければならないのではないかと、こう考えますから、六十年の達成ということはこの数字をもってしては不可能となりましたが、できるだけおくれ方の少ないように努力したいと思います。
  14. 中村茂

    中村(茂)委員 そうすると、この答申についてはどのように評価しているんですか。これは答申として無視しているわけですか。この答申に沿ってあらゆる計画を立て実現に努力しようと、こういうふうに考えているんですか。そして、いまの五カ年計画では確かに五十五年度までですから、大体この程度伸びでいくと、答申の六十年度ごろという目標達成は何年ごろになるんですか。
  15. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 答申にはこの総枠のほかに、都市計画区域外にもやらなければいけないとか、三次処理実用化に踏み切らなければならないとか、技術開発もやらなければいかぬとか、いろいろな項目があります。そういった項目は今回の五カ年計画でも忠実にこれを反映することに努めました。ただ、遺憾ながら枠自体は、日本経済全体の進みぐあい及び単位当たり投資必要額、いわゆる単価というものが格段に引き上げられたために、どうしても六十年の目標答申どおり実現することがまずできそうもない数字になっております。もちろん前回の五カ年から今回の五カ年には二・八倍以上にふえておりますから、次の五カ年にまたこのようにふえるということを仮定すればかなり短期間達成できるわけですけれども、絶対額が非常にふえてきたことから見ますと、さらに二・何倍というような拡大改定は実際上困難であろう、こういうこともあわせ考えますと、やはり六十年達成目標というものは、私どもはできれば六十五年ぐらいと思いたいのですけれども、正直なところは七十年ぐらいになるかもしれません。
  16. 中村茂

    中村(茂)委員 この答申が四十八年に出て、四十九年から、第三次の途中でありますけれども五カ年計画を立てなさいと、五十三年にいずれにしても五〇%という目標を置いている。そういう計画を立てろ、こういうかっこうになっているわけですね。それで、今度二年おくれて第四次の五カ年計画を立てた。六十年度というこの答申目標に対して、この四次計画伸びでいけば、まあ十年おくれて七十年ごろになるだろう。いまの時点から考えると、ちょうど十年おくれるわけですよね。確かにこの経済成長が一番の山のときに——四十八年ですから——出て、そのときの経済目標経済社会基本計画もその年に出て、それでいくと下水道は五十二年の目標四二%、そういうものに伴ってこの計画が出てきて、この計画では五十三年五〇%ですから、確かにこの答申はその経済事情を反映していると思うのです。しかし、高度成長から一応現在の事情に移って将来のことを考えてみた場合に、十年はおくれないでしょう。そうなってくると、特にこれからの経済についてはこういう下水道というような面についての投資の幅をふやしていかなければいけないと私は思う。ところがいまのお話では、十年もおくれてしまう、こう言う。  なお、私が遺憾に思っておりますのは概算要求であります。確かに概算要求では十一兆円要求しておりますから、決定しました七兆五千億円と比較してみますと約三分の一少なくなっている。ですから、この答申概算要求決定、この三者をそれぞれ比較してこれからの下水道整備の方向というものを考えてみた場合に、それでも、まあ概算要求が認められてこの程度整備が進むとすれば、答申に合った、しかも経済の全体的な事情に合った、少しおくれる程度目標達成できる、こういうふうに思うのです。ですから、概算要求をせっかく出したにもかかわらず三分の一も削られて、十一兆が七兆五千億になってしまった、これは非常に残念であります。  そこで、この概算要求が削られて、実際の決定額になって整備がある程度おくれてくるのではないかという点が二、三点考えられますので、その点について内容を二、三お聞きしたいというふうに思うのです。  特に四次の計画の中で重点施策にしております公害防止計画水質環境基準達成、これを目標にして下水道事業促進していく。「とくに」この目標達成するために「流域下水道事業を強力に推進する。」概算要求には「とくに」ということで、この項目があるわけでありますけれども決定された方の実際にこれから実施する四次計画の中には、概算要求にあった「とくに、流域下水道事業を強力に推進する。」というところが消えてしまって、ない。そうなってくると、この公害防止とか水質環境基準というものが実際にどうなっていくかという不安が出てくるわけですけれども、実際に決まった内容でこの辺がどういうふうになっているのか、ひとつ明らかにしておいていただきたい。
  17. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 実は流域下水道につきましては、今後下水道整備していく上で、大都市地域ならば単独の公共下水道相当期待できるわけですけれども地方都市にいけばいくほど根幹施設等処理場流域下水道として整備し、市町村はこれに流入する関連公共下水道として整備していくことが必要な個所が非常に多いと思います。そういう意味で、私ども流域下水道事業を大いに重点中の重点として明言もし、要求もしてきたわけでございまして、結果として、下水道事業費全体の第三次五カ年計画に対する倍率が二・八八倍でありますが、流域下水道は三・四七倍、約三・五倍ということでありまして、明らかに流域下水道に傾斜をかけたつもりであります。要求のときには流域下水道を非常に強調する文章も明示しましたが、実現した後の表現としては、公共下水道も非常に重要なわけでございますから、数字としては流域下水道が非常に伸びておることでもありますし、あえて流域下水道だけを公共下水道以上に特記するということはしなかったということであります。結果としては要求どおり流域下水道にウエートをかけることができたと思います。  そのようなことで、公害防止計画とか水質環境基準達成についても、要求数字から見ればかなり下がってはおりますけれども、現在の五カ年計画予備費を入れて二兆六千億ということとの倍率の問題もあり、国の経済計画全体のバランスの問題もあり、あるいは事実上の執行能力の問題もあり、そういうことで当面の五カ年計画としては七兆五千億程度にとどまったことはやむを得ないのではないかと私ども考えます。  ただ、このために公害防止計画水質環境基準が当初予定した期限内に完全達成ということはおくれますけれども、今後の努力によりそのおくれ方をできるだけ縮めていくということにいたしたいと思います。
  18. 中村茂

    中村(茂)委員 概算要求の中で相当力点を置いております公共下水道の三次処理施設について、国庫補助率を四分の三にして強力に進めていきたい、こういうふうになったわけですけれども、その点についても削られてしまった。特に第三次処理施設については、これからの水全体の再利用の問題、それから公害防止等の問題を含め考えてみた場合に、相当投資をして、全体的に研究を進めていかなければならない課題だと思うのです。これは建設省ばかりではありません。国全体として水の問題、それから環境保全の問題を考えてみた場合に、非常に重要な課題である。だからこそ、その中における公共下水の三次処理施設国庫補助をもって進めていこう、こういう考え方だと思うのです。ところが、そういう重要な点が削られてしまう、こういうことでは、これからの問題を考えてみた場合に、私は非常に遺憾なことだと思うのです。  それからなお、流域別下水道整備総合計画、特にこの中における二つ以上の都道府県にかかる水域水質保全上重要なものについて直轄調査を行っていく、これも削られてしまっておる。特に二つ以上の都道府県相当広範囲にわたる流域別下水道整備総合計画調査、一番おくれているのでこれを徹底的にやりなさいというのは、先ほど申し上げました答申の中にも大きく取り上げて出ている問題であります。この直轄ということで、やはりこういう面については国がある程度出資をしてやっていかないと、地方自治体だけに任していたのでは、相当な金がかかることでありますし、特に二つ以上の都道府県にまたがっている、こういうふうになっていくと、ばらばらな調査というふうにもなってくる要素があるわけであります。四次計画ばかりではなしに、五十一年度の予算の中においても一億二千万円を計上したにもかかわらず、その直轄については削られてしまっている。  それから、補助対象範囲について、わずかでありますけれども概算要求と実際の決定というのはある程度減らされてきている。その点は答弁していただく必要はありませんが、その中で、いままで七大都市というものについてと一般都市で分けていたわけでありますが、それが七大都市というのが指定都市になった。そうすると、いま指定都市十でありますから、三つの都市について対象範囲が狭い方へ寄せられた、こういうことになると思う。  ですから、決まっていない概算要求を余り言うようで申しわけないですけれども、それだけ整備がおくれるわけでありますから、心配になりますので、この三次処理の問題と、整備総合計画の国の直轄の問題と、七大都市指定都市に変わったという面について、それだけ低くなったものをこれからどういうふうにしていこうとしているのか、ひとつ簡潔に御説明願いたいと思います。
  19. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 三次処理につきましては、五十年度予算で初めて流域下水道についてのみ認められたのでございますが、今後の必要な地域を考えますと、公共下水道についても三次処理の必要がそろそろ出てくる。まだこの五カ年では二次処理を大いに拡大して、普及率そのものをふやすことが何といっても最大の命題でございますけれども、そうかといって、三次処理にはまだ全然かからないというわけにもいくまいということで、若干三次処理の実用的な個所建設にかかっていこうということで要求いたしまして、そのこと自体予算で実現したのでございますが、仰せのとおり、補助率は二次処理と同様三分の二のままとされております。これは、三次処理が二次処理以上に建設費もかかるし、維持管理費もかかるということから、できればこの建設費だけでも特別の高率補助をして、地元負担を軽減するということが望ましいと思って要求いたしましたが、二次処理といい三次処理といい、公共下水道処理施設であることには変わりはないわけで、流域下水道の方が、三次処理、二次処理ともに四分の三ということになっている反面、公共下水道処理場というものは三分の二ということでもやむを得ないのではないかということで、このような予算を組みました。  三分の二の補助率では全く公共下水道の三次処理の要望が出てこないということであれば、これはからの要求になってしまいますけれども、各地方公共団体に打診いたしましたところ、二次処理施設がある程度進んでいるような地域におきましては、三分の二でもやらしてもらいたいというところもありますものですから、当分はこの補助率でいかざるを得ないし、またそれでこの五カ年計画で考えている程度の三次処理は進められるものと考えます。     〔梶山委員長代理退席國場委員長代理着席〕  次に、流域別下水道整備総合計画直轄調査でございますが、これも二以上の都府県にまたがる水域におきましては、国が直轄調査をし、かつその調査結果に基づいて流域別下水道整備総合計画を国みずからが策定するということが妥当ではないかということから、こういう要求をいたしました。しかし、予算折衝の過程におきまして、まず国が計画を策定するということは、まだそういう時期ではないのじゃないか、二以上の府県の調整権建設大臣にありますし、知事が立てる計画承認権もありますから、そういったことによって事実上調整は可能であろう。いままでもそうしてきたのだから、この際、国が計画を直接策定するというまでの必要はないのではないか。計画を国がつくるというのでなければ、その前提になる調査も必ずしも国がやらぬでもいいだろう、こういうことになりまして、この要求も認められなかったわけでありますが、しかし、別途全額国費による下水道事業調査費などの項目もありますし、こういったもので、問題の個所について国の直轄調査費を活用するというような方途も講ずることができると思っておりますので、これも残念ではありますが、是が非でも実現しなければならないというものでもないのではないかと考えております。  さらに、七大都市補助対象割合が低くなっておりますが、それを今回十大都市に広げましたのは、実は三都市指定都市に格上げになりましたのが第三次五カ年計画の中途でありました。五カ年計画の中途で補助対象割合を低めるということもいかがかと思い、われをれも力説して、五カ年計画の切れ目のところで政令指定都市並みに扱うということにいたしたわけでありまして、前回北九州市が六大都市から追加されましたときも、同様の経緯で五カ年計画改定時に政令指定都市並みにしたということから見ましても、今回の五カ年計画改定で政令都市に含めることはやむを得なかったのではないかと思います。  ただ、その三大市が補助対象率が下がったために、行きます国の補助金そのものも減るというようなことのないように、対象率は減りましても補助金は減らさないように、むしろ伸ばすように配分する、それに単独事業を追加すれば、その三大都市の総事業費は従来よりも格段にふえるということを期待しておるわけでございます。
  20. 中村茂

    中村(茂)委員 三次処理についても、二つ都道府県にまたがるところについても、まだその必要がないというような御答弁でありますけれども、これは先ほど申し上げました答申の中で、四十九年から五十三年までの第四次計画をつくりなさい。その中で特に大きく指摘しているのは、五十三年に目標普及率を五〇%にしろということと、それから二番目には、水質環境の基準達成のため必要な地域において三次処理を実施しなさい、それから四番目に、二つ以上の都道府県の大規模流域下水道整備のあり方について調査し検討していきなさい、どれもみんな答申の中では大きく取り上げている問題なんですよ。それをまだその時期ではないということでは、私納得できない。そして確かに七大都市から指定都市で、補助率補助対象がずっと少なくなるわけですけれども、その分、国のやる全体的な枠は少なくしない、だから量としてはふえる、確かにそうであります。しかし持ち出しは地方自治体が非常に多くなるわけです。こういう大都市だから、財政的に一般都市よりも豊かだから自由にふやして、それで地方のある程度耐えられるところについては対象率を下げた、こういうことだと思うのです。しかし、下水道事業というのは一般都市指定都市にかかわらずこれは膨大な金がかかりますから、やはり国の投資というものも相当考えていかなければならないというふうに思うのです。  そこで大臣にお聞きしたいのですけれども、いま答申、それから概算要求決定された第四次計画、こういうものについて、ずっとお聞きしてきたわけでありますけれども、どうしても概算要求が認められないで第四次計画というものが七兆五千億にとどまった。確かにこれも相当伸びであります。しかし、下水道整備の要請はもっともっと強いわけであります。答申もそのことを要求しているわけであります。ところがこういうことでおさまったというのは、国の経済計画公共投資の配分計画というものが一番問題になってくるのではないか、こういうふうに私は思うのです。  政府計画しております五十一年から五十二年度にかけての経済計画公共投資部門でいきますと、確かに下水道については七・一、これは七兆一千億だというふうに思う。道路については十九・五、鉄道については八・〇、電気通信については七・三。この傾向をいままでたどってまいりました経済社会基本計画とか新経済社会開発計画とか、こういうものと相照らしてみれば、大体ずっと同じ伸びできていて、確かに下水道については上がってきています。高度成長時代から減速経済というか、ある程度経済伸びが下がってきた中における公共投資等のあり方、これはやはり福祉行政等とあわせて、道路部門とか鉄道部門それから電気通信、こういうものも大切でありますけれども公共投資部分をもっともっと下水道等に枠を広げていく性格をこれからの経済や環境整備という中で持っているのじゃないか。道路等については相当整備されてきています。だから、下水道という面についてもっともっと投資額をふやしていくような経済計画を立てていくべきではないか、こういうふうに私は思うのです。  よく、道路や橋をかければ目に見えるから選挙になるけれども下水道は地下の中にもぐってしまうからどうも選挙にならないというようなことを言われた時代があるそうですけれども、そういう時代はもう過ぎたと思うのですね。この公共投資計画というものが七・一、七兆一千億、ここのところがどうしてもネックになって、せっかく建設省答申に基づいてある程度思い切った概算要求をした、ところが三分の一も削られた、ここに問題があると私は思うのです。  まあ四次五カ年計画は一応そういうことでやむを得ないと思いますけれども、今年度の予算を見、来年度のものを見ても三五%伸ばしていかなければならないわけですから、この四次も相当大変なことだと思うのです。しかし下水道整備の重要性を考えてみた場合には、投資の基本的なものをもっとふやしていく必要があると思う。ですから、四次はこういう計画にしても、少なくともこの伸びでいけば六十年度の目標が十年おくれて七十年になる、こういうことではなしに、少なくとも五十六、七年ぐらいには達成できるような将来のこういう投資計画について大臣の御努力を願っておきたい、こういうふうに思うのですがいかがですか。
  21. 竹下登

    竹下国務大臣 中村委員にお答えをいたします。  中村委員の御質問は、まさに私どもに対する御鞭撻の意味であります。大変ありがとうございます。  私事にわたって失礼でありますが、昭和四十九年の十一月に私が内閣官房長官をいたしておりまして、そのときに、結論は総辞職をいたしましたが、仮にもし田中内閣で施政方針演説をやるとしたらということで、ここにおります梶山委員ともどもに考えました骨子の中に、いわゆるニクソンの新経済政策あるいは石油ショック、そして高度経済成長などというのはもう過去の夢であり、新しい減速経済のもとにこれからの各種長期計画というものを立てるに当たって、すべての見直し作業を昭和五十年いっぱいに終了しようじゃないか、そして五十一年度を初年度として各種公共事業等の長期計画を立てて国会で御審議をいただき、国民の皆さん方に五十一年度を初年度とし昭和六十年度をめどとした一つの暮らしの青写真というものを御審判を仰ぐ、こういうことでもって施政方針演説をやるという前提のもとに検討をいたしたことがあります。  そこで経済官庁等のいろいろな議論を聞きますと、それはそうおっしゃっても実際問題五十年いっぱいで長期見通しを立てるだけの経済の見直しはできませんよ、そういう意見に結論は押し切られたと申しますかわれわれも同意をいたしまして、それがゆえに今度御審議をいただいております下水道都市公園等々は一応は五十一年度を初年度とする五カ年計画というものを立てるに至りましたものの、道路でありますとか川でありますとかそういう大物と申しますか、それはやはり三全総の結果を待たなければそういうことを国民の皆さん方に示すわけにはいかぬということで、私どももそのときそういう施政方針演説案を断念をしたことがあるのであります。  そういう中にも、少なくともいまおっしゃいましたいわゆる福祉社会の実現というものを前提とした各種公共事業については、未熟ながらでも新五カ年計画というものを立てて御審議をいただかなければならぬではないかということで立てたのが、まさにこの第四次下水道整備五カ年計画なんかはその一つであると思うのであります。したがいましてその中身に至りますと、まさに中村さん御指摘の答申についてのいろいろ具体化に努力はしたものの、全体的な中で生煮えのままと申しますか、計画決定はなされたものの中身が非常に未熟なままで残らざるを得なかったというのは、やはり経済見通し全体に対する確たる政府の自信というものが五十年度いっぱいに立てることができなかったことから生じたことである、残念でございますが、御指摘のとおりに私もうなずかざるを得ないのでございます。  したがいまして、十一兆円という概算要求をして七兆五千億になったということ、これに対するいろいろな問題につきましては、やはり伸び率でもって評価していただくほかにないじゃないか。その伸び率についてもいま先生御指摘のとおりでありますが、私が素朴に最初考えましたことは、実は下水道というのは昭和四十六年度を初年度とする計画を立てますときに、まだ普及率の全くないのが私の島根県と、私の前官房長官でありました保利さんの佐賀県と、その前々官房長官でありました橋本登美三郎さんの茨城県と、低開発地帯、低開発地帯といいますか、下水道普及率ゼロ地帯で、たまたま問題を勉強させられたことがあります。したがいまして、それなりの知識は非常に乏しいわけでございますけれども、この問題は、これは私が参画した予算編成ではございません。これは仮谷前大臣の時代になされたものでありますけれども、もちろん政府一体の責任におきまして、これを決定いたしましたについて、私が後から見てまあまあという感じがいたしましたのは、従来からいわば内務省というものの感覚から来る道路でございますとか、あるいは鉄道省、国有鉄道という文字から来る印象を受ける鉄道でありますとか、あるいはいまで言えば電電公社等から受ける電気通信の課題でありますとかそういう大物の中で、どうやら俗に言う一般的な大物に近づきつつあるということ、これはまさに百兆円というものの中で、これはまだ概案でございますけれども、その割り振りがそのままシェアにもなるわけでございますから、私もまあ伸び率の中で評価いただけるとしたらいただけるものではなかろうかというふうに思うわけであります。  したがって、三全総というものが決まりましても、この概案に大きな狂いがあるとは、私も残念ながら思いません。しかし、いまの御趣旨を体していくならば、そういう警鐘を乱打し続けていただいて、われわれもそれに呼応して進めていくならば、私は政治の大きな流れの中にある環境整備、なかんずく下水道整備というものについて、私はまさに他の先進国に比べれば最もおくれたそれでございますものの、期待できるし、また期待に沿うべき努力をしなければならぬということをつくづくと感じておるわけであります。  したがいまして、今後この問題につきましても一層の御鞭撻を私の方からもむしろお願いをいたしまして、建設省全体としてもまたそういう御鞭撻の方向に努力をしなければならぬという決意を表明いたしまして、お答えにかえさせていただきます。
  22. 中村茂

    中村(茂)委員 項目ごとに細部についてお聞きしたいというふうに思うのですが、水質環境基準達成目標を何年度に置いているか、それから公害防止計画が定められている地域、これが達成される計画はどういうふうになっているか、その点をひとつ明らかにしていただきたいというふうに思うのです。
  23. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 公害防止計画とか水質環境基準達成するのに下水道整備が非常に大きなウエートを占めていることは事実でございますが、日本全体の汚濁負荷量を見てみますと、工場排水から出る汚濁物質というものが非常に大きなウエートを占めております。その一部は下水道にも受け入れますが、臨海部等の大規模な工場群では、工場自体で単独処理あるいは共同処理して海へ流すというようなことでありまして、下水道を経由しないわけであります。したがって、こういった公害防止計画地域その他の水質環境基準達成するためには、下水道ばかりではなくて、工場排水の規制なども含めまして全体として総合的に行わなければなりません。あるいは河川の未利用水の増強とか河川の底のヘドロをさらうとかいろいろなことが必要なわけであります。そういうことですから、一概に下水道の五カ年計画だけを見ていつまでに達成できるかということを予測することははなはだ困難なわけでありますが、枠が七兆五千億円、内四千億円予備費というところを見ますと、この五カ年計画終了後の昭和五十五年には五カ年計画完全達成いたしましたとしても、なお相当地域水質環境基準に達しない地域が残るということは否めないと思います。水質環境基準が決められている地域の中でも、特に公害防止計画地域は総合的な公害防止を図ろうという区域でありまして、法律に基づき特別に指定された地域でもありますから、よりウエートを高めて今後投資をいたしていきたいわけでございますが、この五カ年間では相当程度達成のところが残る。次の五カ年計画は私も大いにまたがんばりまして大きな枠をとるとともに、工場排水の規制法なども適確に強化していただくということを考えますけれども、恐らく次の五カ年計画を終えた六十年においてもなおかつまだ達成できない個所も若干残るのではないか、こういうふうに考えます。  極力速やかに達成できるということを努力するわけですが、もちろん完全達成にならなくても、年間で平水位、たとえば六カ月間は基準以内になるとか七カ月間は基準以内になるとかいうような形で進んでいくのではないか。環境基準の達成というのは低水位における数字でありますから、年間およそ九カ月間はその基準以下になるというものでございまして、その九カ月間完全に基準以下ということはいま申したとおりでありますが、現在、年間二カ月か三カ月程度のものが四カ月、五カ月というふうに達成できている期間が長くなるという形では目に見えてくると思います。
  24. 中村茂

    中村(茂)委員 概算要求のとき等を持ち出して申しわけないのですけれども、皆さんのところで発行した建設月報の七五年十月号で第四次下水道整備計画案というのを出して、概算要求のときの資料にしているわけですよね。これで行くときわめて明確なんです、中身は。  「整備目標 昭和六十年度末までには、水質環境基準達成するものとし、昭和五十五年度末までには、公害防止計画が定められている地域、主要な水域」中間略しますけれども、「平水量時において水質環境基準達成を図ることとする。」まあ明確なんです。額が下がったわけだからこれはおくれていると思うのです。  そこで明確にしておきたいと思いますのは、公害防止計画の対象地域の第五次計画承認になっている地域を考えてみた場合に、第四次の決定された計画ではどういうふうになるのですか。
  25. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 公害防止計画がすでに決まっている地域のうちいわゆる第二次、第三次区域というのが東京都を含んだ大都市地域、一番汚濁負荷量が大きくて下水道整備にも金のかかる地域でありますが、これの公害防止計画における達成期限は、昭和五十六年ということになっております。したがいまして、この五カ年では五十五年ですから、なお一年、次の五カ年の初年度分が余裕があるわけでございます。しかし五十五年から五十六年にそうむちゃに飛躍もできないということを現実的に考えますと、この五十六年の達成ということはまず困難である、しかしながら私どもは、六十年には達成するようなことが努力次第では可能ではないかと考えております。
  26. 中村茂

    中村(茂)委員 今度の改正の十二条関係について少しお聞きしておきたいと思うのです。  特定施設から政令で除かれるその政令の中身は、先ほど政令案の概要をもらったのですけれども、まだ見ておりませんが、どんなものを考えているのですか。
  27. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 この特定施設は水質汚濁防止法の特定施設を引っ張っているわけでありまして、水質汚濁防止法は、下水道に流さないで直接公共用水域に流しますので、BODとか浮遊物質、こういったものも規制の対象にしておるわけであります。一方下水処理場では、有害物質、重金属等は処理できないわけでございますけれども、BODとか浮遊物質はまさに処理する対象物でありますので、水質汚濁防止法の特定施設のうちでBODとか浮遊物質こういった項目のみを多量に含んでいるような施設は、あえて下水道法上は事前届け出の対象にする必要はないのではないか、こう考えました。したがいまして、まだしさいには検討が終わっておりませんけれども、たとえて申せば、旅館の厨房施設、場合によっては洗たく施設、こういったものは大体BOD、浮遊物質だけのようでありますので、こういったものを政令で除外するということになります。
  28. 中村茂

    中村(茂)委員 排水量はどういうふうになるのですか。
  29. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 排水量の少ないものもいまの政令では除かないのですけれども、同じ条文の中に「政令で定める場合を除き、」一定基準以上の排水を流してはならないということになっておりまして、その「政令で定める場合」という中に、日量五十トン未満のものは政令で外そうと思います。もちろん健康項目にかかわるような有害物質を含む排水は、どのように少ない排水量であっても流入禁止の対象にするわけでございます。
  30. 中村茂

    中村(茂)委員 五十トン以下のものについてはまたお聞きしますが、量はどんなに多くてもいいのですか。
  31. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 公共下水道は、せっかく整備して処理区域に含めた以上は、原則としてこれを全部受け入れて効率的に処理場処理して公共用水域に流すという性格でございます。したがいまして、下水道法にも明文をもって、処理場の中に取り込まれた場合には、特別に許可を受けない限り下水道に入れなさいということにしているわけでございます。そういう性格から見まして、量が大きいからといって下水道への受け入れを断る筋合いのものではないのではないか。ただ、先ほど申し上げましたように、直罰の対象になるようなものにつきましては、健康項目を含むものを除き一般の排水は五十トン日量というところで区切りをつける考えであります。
  32. 中村茂

    中村(茂)委員 有機汚濁物質の総量規制はどういうふうに考えていますか。先ほど申し上げたのは、もう何でも出てくるものの総量規制ができるかということを聞いたのですけれども、いまお聞きするのは、有機汚濁物質についての総量規制、これをどういうように考えるか。
  33. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 水質環境基準達成するために、たとえば水質汚濁防止法などでも、ppmという汚濁水量に対する汚濁物質の量の割合、こういう割合じゃなくて絶対量で規制すべきである、総量規制を行うべきであるという声は最近大分強まっておりまして、環境庁等でもいろいろ検討を続けているわけでありますが、現在のところはまだそういう総量規制になっておりませんので、下水道法体系におきましても、水質汚濁防止法と同様に、まだ総量規制という具体性ではなくて、全体の量に対する汚濁物質の割合、ppmというものを中心に規制をしたり監督をしたりしております。  それにしましても、全体の汚水の量が多くなれば同じ割合でも総量はふえてくるわけですから、大量に排出するものに今回の改正で直罰規定を働かせるようにした、こういうことであります。
  34. 中村茂

    中村(茂)委員 環境庁来ていると思うのですけれども、いまの点について総量規制はどういうふうに考えているか。
  35. 島田隆志

    ○島田説明員 ただいま建設省の方からお話ございましたとおりでございますが、先生御案内のように、現在の水質汚濁防止法では濃度規制方式を採用しているわけでございます。ただし最近の水質の現状から見ますと、特に閉鎖性の水域等におきましては、やはりその水域で許される限度の汚濁物質の排出量を規制する必要があるのではないかと、いわゆる総量規制の導入が要請されておるわけでございますが、しかしこれの実施に当たりましては、その水域環境保全上許される環境の汚濁の負荷量というものがどの程度なのか、その把握、あるいはその負荷量をどう工場や事業場に割り当てるか、あるいは汚濁物質の排出量の測定方法の技術の問題等々解決すべき問題がいろいろあるわけでございますが、そのためこれまでもいろいろな水質の汚濁の調査ですとか、あるいは工場負荷量の原単位の調査あるいは測定方法の技術開発あるいはそういう基礎調査を進めております。さらに総量規制をでは具体的にどういう方向で進めるかということにつきまして、学識経験者から成ります一つの委員会を持ちましていろいろな検討を行ってきているところでございます。本年度、五十一年度の予算案でも、東京湾、伊勢湾あるいは瀬戸内海、そういう閉鎖性の地域で具体的にどのような総量規制を具体化させていくかという必要な諸調査を進めることにしておりますので、その結果を待って早急に環境庁としての成案を得たいということでございます。
  36. 中村茂

    中村(茂)委員 総量規制の問題にしても、それから五十トン以下の問題にしても、排水する特定施設から見れば一つ一つであります。しかしそれが幾つか集まってくるわけですから、そこで特に有機汚濁物質の特定施設の規制とか、または、先ほど申し上げました排水量の全体的な規制の問題とか、それから五十トン以下の問題とか、これは個々ではなしに、その全体のところにどういうふうに集まってくるかということでも考えていかないと、五十トン以下だからといってみんな入れていってもこれは全体とすれば大変なことになるのではないか、こういうふうに思うのです。汚濁の濃度が強くなってくる。そこで五十トン以下のものについて、特に五十トン以下の有機物質、有害物質はどういうふうに考えているか。
  37. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 カドミウムとかシアンのように人の健康にかかわる被害を生ずるおそれがある物質を含む排水は、五十トンという制限なしに、いかに少量であろうとも、全部事前届け出をさせたり、あるいは流入禁止規定、罰則というものがすべて働くようにいたしております。
  38. 中村茂

    中村(茂)委員 そうするともう一度お聞きしますが、分けて、有機物質については規制はないが、有害物質については規制する、こういうことですか。
  39. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 BOD、浮遊物質等の、本来下水道処理場処理能力もあり、それを使命としている、そういう物質につきましては、たとえば日量五十トン未満の事業場については流入禁止規定並びにそれの違反の場合の直罰規定は適用しないということになっております。もちろん現行法にも条例で除害施設の設置を義務づけることができる規定がございますが、その対象にはなり得るわけでございます。
  40. 中村茂

    中村(茂)委員 いま言われたのは、有害物質を含めてですか。私は、有機物質と有害物質を分けて言っているわけですけれども、有機物質はいま言われた点でわかるのですけれども、有害物質についてはどういうふうに……。
  41. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 BODとか浮遊物質というものがいわゆる有機物質だと考えますので、先ほどお答え申したとおり、そういうものだけしか含まない汚水につきましては五十トンのすそ切りの規定改正案にある。ただし、それも現行法にある条例で必要とあらば除害施設の設置を義務づけられるというその規定は依然として適用になります、こういうことです。
  42. 中村茂

    中村(茂)委員 そうすると条例の関係ですけれども政令で定める基準に従って条例を設置する、こういうことですけれども、その政令はどういうふうになるのですか。それとその政令に従うわけですが、その政令よりも厳しい条例をつくることができるのかどうか。
  43. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 条例の基準になる政令の排水基準は、カドミウム、シアン、有機燐、鉛、六価クロム、砒素、水銀、PCB、銅、亜鉛、鉄、マンガン、クロム、こういったものは終末処理場処理することができない物質でありますから、これは水質汚濁防止法の排水基準と全く同様にいたします。  次に、BOD、SS、浮遊物質、こういったものにつきましては、それは下水処理場処理するべきものでございますから、水質汚濁防止法で定める基準よりは緩めた基準にいたしたいと思います。ただし、条例で上乗せ排出基準を定める場合には上乗せたものによる、こういうことにいたします。
  44. 中村茂

    中村(茂)委員 水質汚濁防止法があって、その中から政令ができて、その政令に従って条例をつくる。ですから、もう少しはっきりさせていただきたいというふうに思うのですけれども、その条例というのは、政令の中身よりも上乗せして厳しいものをどんどん地方自治体でつくることができるかできないか、その範囲はどういうふうに考えているか、こういうことです。
  45. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 上乗せを条例ですることはできます。ただ、たとえばBODなどは下水処理場処理するべきものでございますから、何のために処理場処理するのかわからないといったような余りにも厳しい上乗せということはすべきでないと考えます。
  46. 中村茂

    中村(茂)委員 環境庁も来ていますから、その上乗せの問題についてちょっと環境庁の意見を聞きたいと思います。
  47. 島田隆志

    ○島田説明員 水質汚濁防止法によりますと、排水基準をまず総理府令で定めることになっております。総理府令に定める基準は、先生の話にありましたように、有害物質、人の健康に害を及ぼす物質と、いわゆる生活環境に影響を及ぼす俗に生活項目と言っておりますが、その二つについて総理府令で定めることになっております。ただし、これは全国一律の基準になるわけでございますが、この国が定めます一律基準ではその自然的な条件あるいは社会的な条件からして、人の健康を保護あるいは生活環境を保全するという面が不十分な場合、都道府県は条例で一律基準よりも厳しい許容限度、排水基準を決めることができることになっております。これが上乗せ排水基準でございますが、その場合、まずその区域を、範囲を明らかにして、当該区域に環境基準がある場合はその達成維持に十分な程度のレベルであるということになっております。  上乗せの内容としましては、許容限度を厳しくするということと、もう一つは先生からお話がございました有害物質、生活環境項目につきましては一日の平均排水量が五十トン未満のものについては一律基準では規制になってないわけでございますが、上乗せ排水基準では五十トン未満につきましても上乗せをすることができるということになっております。当然これは条例で定めることになっておりますが、その場合都道府県にあります水質審議会だとか、そういうものの意見を聞くことになっておりますし、あらかじめ定める場合は環境庁長官に通知する、あるいは非常に流域がまたがるような場合ですと、関係都道府県知事へも通知するというようなシステムをとっております。
  48. 中村茂

    中村(茂)委員 今度の改正の十二条の十の条例は、いま環境庁で話したことを含めてなお直罰規定が適用されない工場、そこの必要な施設と必要な措置を条例で定めることができる、こういうことですが、それの関係と、先ほどいろいろ出てまいりました排水量の規制とかまたは有機物質の総量規制とか、またディスポーザー、割って下水へ流し込む、そういうものの使用制限とか、そういうものも、先ほど環境庁から話にあったものを総合して条例で上乗せして決めていくことができるか。
  49. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 第十二条の十というのは条文としては新しいわけですが、実は現行法の十二条の一部を分割してここへ持ってきて、残りの分は改正案の十二条の二以下に強い規定として書き直した、こういう性質のものでございまして、実体において新しい規定ではございません。その場合に、たとえばBODで言えば上乗せは可能でございますが、下水道処理場はBODを処理するためのものでありますから、原則として六〇〇ppmより厳しい上乗せはすべきでない。ただ、工場排水等が全体の流入量の四分の一以上もあるような場合には例外として三〇〇ppmまで規制することができる、こういう限界はあります。
  50. 中村茂

    中村(茂)委員 次に移ります。  第六十四回国会の下水道法改正のときの附帯決議の中に、幾つか附帯決議があるわけですが、その二として「届出制を許可制に改める検討をすすめるとともに、当面、届出制に対しても厳しい事前調査、改善命令等」、こういうふうになっているわけですけれども、今回の改正案も届け出制、こういうふうになっているわけです。附帯決議で許可制に改めるよう検討を進める、こういうふうにあるわけでありますが、どうしてその許可制に今回の改正案ですることができなかったのか。  それからやはりこの附帯決議の三番目には、特に公害行政の中で国が一元的な機関のもとで強力な監視指導体制を確立せよ、こういうふうになっているわけですけれども、この二つについて考え方をひとつ明らかにしていただきたいというふうに思います。
  51. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 今回御提案いたしました届け出制は、単に実態を把握するというような従来からある届け出制ではありませんで、特定施設の構造とか除害施設内容、機能とかそういったものをあらかじめ届け出させまして、それをチェックして、確かに悪質排水が流れ込まないようになっているということであれば、そのまま特定施設の設置を認めますが、このままでは支障があると思えば計画変更命令が出せるということになっておりまして、この審査期間中は特定施設の設置はできないというふうになっているわけでございます。そういう意味では実質上許可制と変わらない効果がありまして、ただ許可という強い言葉を使っていないにとどまるものと私どもは考えております。  ちなみに水質汚濁防止法も今回の下水道法案の改正案と全く同じシステムをとっておりまして、事前届け出、審査期間中の特定施設設置禁止並びに計画変更命令という三本立ての立て方でやっているわけであります。もちろん許可制ということも検討いたしましたが、一つには水質汚濁防止法と別の書き方にすることの理由がなかなか見つからないということもありましたし、また実態において許可制と変わらない実質を持ち得るわけですから、その前例に従うことが妥当ではないかと考えたわけでありまして、強いて許可制ということになりますと、特定施設の設置についての許可制ということは下水道管理者としてはむずかしくなりますから、特定施設の設置は自由にさせておいてそれが下水道に流入させるときに、下水道につなぐときに許可制というようなことになるかと思います。これはまたこれで、せっかく下水道整備したらすべて下水道を使いなさいという、いわば下水道利用義務を一般的に課していることとの絡みでそれと矛盾することにもなりますから、法律技術的にもなかなか問題が多いということをいろいろ考えまして、要は現行法が、違反をして、それをつかまえてそして初めて改善命令を出す、それを出したにもかかわらず守らない、そこで初めて罰則が働くという抜け道がありましたものを、事前に届け出て計画変更命令を出せる、違反があれば直接罰則だということにすれば許可制と変わらぬではないかということで、届け出制という法律技術上も容易であり、かつ水質汚濁防止法とも完全に並ぶ仕組みを考えたわけでございます。  また、国の一元的監視指導体制ということは非常に必要でございまして、下水道に流入するところから下水道処理して公共水域に流すところまで、これは下水道という一つの公共物でありますために、その公物管理者である下水道管理者が掌握し、監督権を持つことが一番実際的でもあるし、効果的でもあろうということになっておりますが、下水道処理場から公共水域に流しましたそこから先はこれまた環境庁の水質基準行政にまたがる。水質基準の監督行政に服するわけでございまして、環境庁という役所がそのためにできておりますから、私どもは環境庁がこの水質の監視、指導について一元的な責任を持っている、ただ下水道という特殊の公共物の管轄範囲内だけは下水道管理者が把握していくことがより適確だという意味で、それにかぶさって監督を行っているという関係になっていると思います。
  52. 中村茂

    中村(茂)委員 最後に、国土庁見えていると思いますが、先ほども申し上げたわけでありますが、下水道整備の今後のあり方の目標を約六十年ごろというふうにしている。これはただ単に六十年というふうに言っているのではなしに、環境の保全、特に水問題についての汚濁等の問題を考えてみた場合に、六十年ということを一つの目標にして設定しているというふうに思うのです。  それから、そういうものに関連して水問題というものを考えてみた場合に、水は無限ではない、水は有限だ。したがって三次処理等を含めて水の再利用という問題、それと環境保全等の六十年という問題こういうものが相絡まって水問題というものが非常に重要な問題になってきているというふうに思うのです。私は、土地問題というものが非常に問題になっていますけれども、土地問題の次は水問題だ、こういうふうに思うのです。  水資源基本問題研究会でことしの二月に水資源基本問題研究会中間報告というのを出しております。この中でも、特に水の、下水処理水の再利用という問題を取り上げて、近い将来、特に大都会においては再利用の問題を真剣に考えていかなければ水不足等とあわせ大変なことになっていくぞ、こういう警告をしていると同時に、再利用問題については積極的に取り組みなさい、こういう中間報告が出ております。したがって、再利用を中心とする水の総合政策について国土庁からお聞きして、私の質問を終わりにいたしたいというふうに思います。
  53. 宮崎明

    ○宮崎(明)政府委員 おっしゃるとおり、首都圏初め大都市圏では非常に水需給が逼迫しております。またそういうところは下水の排水量も非常に多いわけでございまして、下水処理水の再利用ということを積極的に進めていく必要がありますし、私どもそういう面で水の有効利用のための協議会等も設置したり、いろいろ研究調査も進めておるわけでございます。  現在、十年ほど前から東京都を初めその他の都市下水処理水の工業用水への利用ということも実施されております。何せ水質上の不安定要素もございますが、その後どんどん技術的な改良も加えられて、わりあいに安定した技術になってきておると思います。今後はやはりそういう処理技術の問題、それからコストの壁があるわけでございます。コストの問題、それから水質上の問題に合わせた衛生上の問題もございますので、その辺の諸問題につきまして関係省庁ともども十分協議して推進してまいりたいと思っております。  特に首都圏におきましては、先日利根川、荒川の水資源開発基本計画を閣議決定したわけですが、六十年までの目標の中で下水処理水の再利用ということを具体化するということで、そういう内容も抽象的ではございますけれども、含めております。これも研究が進み次第、具体的なプロジェクトとしていずれ取り上げていきたい、こういうふうに考えております。
  54. 中村茂

    中村(茂)委員 終わります。
  55. 國場幸昌

    國場委員長代理 福岡義登君。
  56. 福岡義登

    ○福岡委員 ただいま同僚議員の中村君の方からいろいろ御質疑をしたわけでありますが、若干それに関連させながら質問をさせていただきたいと思います。  まず総論的に言いまして、建設省下水道事業に対する姿勢が非常に弱いということを遺憾に思うわけであります。さっき竹下建設大臣は、いろいろ努力をした、結果的に二・八八倍になった、その伸び率で評価してくれぬかというお話であります。近く三全総が策定をされるわけでありますが、三全総が策定されましても恐らく七兆五千億円の規模は変わらぬのじゃないか、こういうお話なんであります。確かに二・八八倍という伸び率は低い伸び率だとは私ども思いませんが、しかし十一兆要求されました立場なりあるいは答申が出ておる六十年目標という観点から考えると、非常にさびしい気がいたします。しかも現下の環境問題を考えますと、特に河川なり湖沼なり内海などを考えてみますと、非常に汚染が進みまして、これは大変なことになっておる。海洋法会議の問題を見ましても、経済水域なりあるいは領海水域なりいろいろやっておられますが、漁業の関係を見ますと内海漁業を再開発していかなければならぬというような国際環境の問題もあります。  そういうようなことを考えてみると、どうしても、端的に申し上げますならば、あらゆるものに優先して下水道整備は図られなければならぬ課題である、こう思うのですが、どうも建設省の姿勢が弱い。非常に残念に思うのですが、再度建設大臣から、この問題に対処する方針というものを明らかにしていただきたいと思います。
  57. 竹下登

    竹下国務大臣 福岡委員の御質問も、まさに建設省として下水道行政に当たるその政治姿勢をもっと強烈にやれという御鞭達であり、激励であります。  先ほど中村委員にも申し上げましたが、私は、実際問題この総枠の問題が一つと、いま一つは中身の問題につきまして、もっと答申なり本日御指摘を受けましたようなきめ細かい内容に対する配慮というものについて、幾らか全体のわが国の将来にわたる経済社会計画というものが立ち得ない段階であったので、結果としてやむを得なかったのではないかというふうに思うわけであります。ただ、ちなみに非常に常識的に言えば、道路、鉄道、電気通信に仲間入りをしたんだ。四公共投資、四強とでも申しましょうか、そういう点について、私なりに、建設省の諸君が今日まで努力して皆様方の御支援に対応したことが数字となりあるいは伸び率としての数字となってあらわれておるのではないか、こういう認識は一応いたしたわけであります。  ちなみに五十年代の前期経済計画工業投資部門別の配分を見ますと、要求額、いわゆる経済社会基本計画から今度は企画庁の第一次内示案、それに対してわが方の要求額そして最終決定額、こういうものを見てみますと、実にわが方全体といたしまして、道路が二十四兆のものが十九兆五千になり、そして住宅の八兆一千四百億が六兆五千億となり、下水道の十一兆が七兆五千億となり、そして公園の三兆が一兆六千五百億となり、治水の八兆五千二百億が五兆五千億になっております。所管事業合計が、海岸を除きますと五十四兆六千六百億というものが四十兆六千五百億、こういうことに落ちついたわけであります。この要求額に対する最終決定額というものは、省全体で見ますならば、五十四兆が四十兆と大体、この下水もこれの要求額と決定額はおおむね平均である。平均でありながらも、全体の伸び率の中では福岡委員が御指摘のとおり、まあ私なりに、建設省の諸君が今日まで積み上げてくれた努力というものが数値の上にあらわれてきておるのではないか。従来の公共事業、道路、鉄道、電気通信、あるいは治山治水、農業基盤整備、そういういわば大物というものの中に、まあ四強の中へ入り込んだということは、私は従来の建設省の諸君の努力の集積であり、また委員各位の御鞭撻のたまものであると、このように評価をいたしております。     〔國場委員長代理退席、委員長着席〕
  58. 福岡義登

    ○福岡委員 大臣の御説明の中身を全面的に否定するというわけじゃないのですが、一般の事業と比べましてこれは特殊性があると言っても過言ではないと思うのであります。下水道整備は確かいままで非常におくれておった。努力をされてこの水準まで引き上げられたということについてはわれわれも認めますし、それはその意味では敬意を表しておるわけですが、しかし、これでいいとは決して思われない。特に先ほども申し上げますように、環境問題を考えますならば、大変な事態に直面しようとしておるのだ、だからこの際思い切って、下水道整備というものは一応七兆五千億円ということに第四次はなっておるのでありますが、さらにこれを拡大されるように努力をしてもらわなければならないというように思うわけであります。  心配しますのは、五十年度の事業実績を見ましても、確かに投資額から言いますと一〇四%ですかになっているわけで、ところが事業量で見ますと五〇%ぐらいしかない。これは用地が上がったとか資材が上がったとか人件費が上がったとかいうことになると思うのですが、今度、いままでの五十年度と同じような経済事情が続くとは思いませんし、続かしてはならぬとは思いますが、しかし、そういう心配がないわけじゃないわけであります。そうすると、十一兆という要求が七兆五千億になり、金額では何%ということになるでしょうが、事業量からいくとさらにダウンしてくる心配がある。そうすると、さっき中村君が指摘しましたように、六十年目標達成というものは都市局長の説明によると七十年ぐらいになるのじゃないか、こうおっしゃるのですが、さらにそれがおくれることになるのじゃないかという気がします。その辺の事情を考えてみますと、このままでわれわれはひとつがんばってくださいと言うわけにはいかない。もう少し対策を立てかえる必要があるのではないか、こう思うのです。その辺、どうでございましょうか。
  59. 竹下登

    竹下国務大臣 御指摘の趣旨は私も十分理解できるところであります。したがって私なりに、この長期計画の中でこれが伸ばし得る短期的、客観的背景とでも申しましょうか、理由というものを見つけ出す必要もあるのではないか。その短期的に見つけ出す理由といたしましては、やはり景気浮揚ということになった場合に、御承知のとおり公共事業というものの仕組みが用地費、労務費、資材費ということになったといたしますならば、けさほども実は部内で協議してみましたが、下水道の場合恐らく用地費率というものは一〇%以下ではないだろうか。そうすると、用地費の持つところの景気刺激の即効性というものが一番少ないわけでございますから、この事業そのものを推進することはいわゆる景気浮揚への引き金としての公共事業執行にも役立ち得るというところに、短期的時点においてこれを推進していく客観点背景というものが整い得るのではないか、こういうことが一つ考えられることであります。  それからいま一つ、なるほどその前の期の五カ年計画というのは、金目は別といたしましてこの事業量では御指摘のとおりであります。まことに見ますと惨たんたるものという感じがするわけであります。減速経済下において、今後物価上昇のことをある程度勘案いたしましても、私はいわゆる事業量そのもので目的達成を図らなければならない。が、これは私は建設省の各種五カ年計画をながめました場合に、まさに事業量そのものがそのまま社会環境の整備とかいわゆる福祉政策につながっていくというものでありますだけに、この事業量というものには絶えず関心を払っていなければならぬ。ほかのことに触れて失礼でありますが、たとえば住宅を考えますと、なるほど過去の五カ年計画の中で、今度これは戸数で見ますといわば完全に供給されておるかということになりますと、まだ七万数千戸も工事中であったりあいておるものがあるというような目の粗い実績というものが出るようなことがあっては、これは各種長期計画の中でも慎まなければならないことでありますが、なかんずくこの下水という問題についての事業量がそのまま暮らしにつながっていくということを念頭に置いて、これが実現に鋭意努力をしてみたい、このように考えております。
  60. 福岡義登

    ○福岡委員 第四次計画がこの法案が通れば閣議決定される。大体七兆五千億円ということになるのですが、申し上げましたような趣旨でこれはもう再検討を、適当なできるだけ早い時期に検討していただくように要望しておきたいと思います。  そこで今度、十二時半までやれということですから十二時半までやって、五十一年度予算について聞くのでありますが、都市局長、さっきこれも中村君が言っておりましたが、七兆五千億円、実際には予備費が四千億ありますから七兆一千億ですが、五十一年度は事業費七千九十四億円ですね。七兆一千億円を達成するためには年率三五%の伸びでなければならぬ、こうなるわけですがね。そうでしょう。ところがその三五%の伸びが果たして約束されるのかどうかという心配もあるのですが、それはさておくといたしまして、今年度公共事業等予備費一千五百億円が計上されておるわけであります。これは財政法上いろいろ議論がなされたところでありますが、問題は、この五十一年度事業費の七千九十四億円に一千五百億の予備費は幾らかこっちへ回るような考えでおられるのかどうか。私どもの意見は回すべきである、とても年率三五%の伸びでずっと行くことは、大蔵省当局などの姿勢から考えてみますと無理な点があるようにも思いますから、できるだけ五十一年度でたくさんやっておいた方がいいように思うが、その辺は都市局長どう考えていますか。
  61. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 おっしゃるとおり新しい五カ年計画が先回の二・八八倍、そのうちでも補助対象事業費は三倍を若干超えるという大きな伸びでありますので、初年度の五十一年度予算を考えますと、残る四年間で三十数%の平均伸びを確保しなければならない、非常に大変なことだと思います。過去においては下水道の絶対額も小さかったし、公共事業全体の伸び率も高かったものですから、三十数%の伸びというのもあながち困難と言い切れない数字だと思っておりますが、しかし今後は絶対額も非常に大きくなったし、伸び全体が鈍化するということを見ますと、よほどの努力を要すると思います。そういう意味で初年度の当初予算の額はかなり伸びたとは言え、五カ年計画の改定を支える初年度としてはなお不満足なも一のが私どもあります。幸いにして、本年度は公共事業に主として使うべき予備費は枠もございますので、これが実際に使われるかどうかはいまの段階で私どもも予測できませんけれども、使える段階になれば、もとより下水道等には相当強力な追加が期待されてしかるべきだ、私どもも努力したいと思います。
  62. 福岡義登

    ○福岡委員 ぜひそういう方向で努力をしていただきたいと思います。  そこで、下水道事業の執行体制について、これは大臣の考えを聞きたいのですが、現在都市局に下水道部がある。これが事業の推進に直接当たっておるわけですが、かねてからこの下水道部を下水道局に昇格させたらどうかという意見がこの委員会でも議論になったことがあるわけで、さっき言いましたように、四強の中に下水道が入ったとおっしゃるならば、当然その体制の方も、機構の方もそうあるべきだと思うのですが、どういうお考えなのか、その点ひとつお伺いしたい。
  63. 竹下登

    竹下国務大臣 お答えいたします。  四強という言葉を使いまして、そのまま確かに四強と言えば、そういう名称の局があって、いわゆる建設行政の福祉への転換の大きな姿勢を示すことに相なる、そういう趣旨は私も十分理解できるところであります。  ただ私は、行政機構の問題については、やはり政府全体の姿勢とか、たとえばこれは大きな問題になりますが、行政組織法そのものに手をつけるとかいうふうなことでないと、現実問題としてなかなかできないのではなかろうか。したがいまして、従来ともいろんな議論が行われておりますが、私は従来の私があずかってきた仕事の体験からして、どうもそういう政治姿勢が出るのは、ただ建設省だけでこれを打開していくということでなしに、全体の、たとえば定員問題で総定員法がございますごとく、行政組織法というものの中でそういう強烈な姿勢が打ち出されるような流れをつくっていかなければならぬではないだろうかということをかねてから考えておるわけであります。それぞれの役所のセクショナリズムもさることながら、国民のニーズに対応していくための内閣全体あるいは政府全体の姿勢の中にそうしたものが打ち出されていかなければならない、このように思っております。ただ、たびたびの御激励のことにつきましては、私も十分理解できることであります。
  64. 福岡義登

    ○福岡委員 わかったようなわからないような答弁であれですが、官房長官をやられたせいもあって、全体を考えられる立場が強いようにいまの説明の中には出ておりまして、どうも下水道事業を推進するという立場が少し弱いように思いますので、今後ひとつそういう方向で特段の努力をしていただきたいと思います。  それから、下水道事業団が御承知のように発足をしまして一年近くなると思うのですが、当時公団構想もちらほらしておった。事業団が発足をしてから今日までいろいろ仕事をしてきておるわけでありますが、その実績の上に立ちまして何らかの御所見があろうと思うし、将来のことなどについてもお考えがあるのじゃないかと思うのですが、都市局長どうですか。
  65. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 昨年の国会で、おかげさまで下水道事業センターを日本下水道事業団と名称も改め、機構も拡充し、かつ権限もふやしまして、特に地方都市技術者が不足しているために、必要だけれども設計もできない、事業実施もできないというようなところからの要請に基づいて、受託事業を行うことにかなりウエートを置き、そのための受託事業費も大幅に伸ばしてまいりました。と申しましても、従来からやっております技術開発、なかんずく技術者の養成、これにもさらに力を入れまして、年間の養成人員もたとえば千二百人というふうにふやしてまいりました。研修所も宿泊所ともども設置したわけでございます。  こういうことで、地方公共団体下水道技術者の不足あるいは設計能力の不足ということに対処する非常に大きな役割りを持って新発足しております下水道事業団は、いまのところ地方公共団体に対する国の補助金及びその補助裏をもって地方公共団体から委託を受ける形でしか事業が執行できませんので、その点が財投等を原資として自前の財源を持ち実施していくいわゆる公団と違っておりまして、歯がゆいところもありますけれども、いまの段階では、このせっかくの拡充された事業団を一層名実ともに充実して、この五カ年計画の重要な役割りを果たしていきたい、またいけるものと考えております。
  66. 福岡義登

    ○福岡委員 内容を充実してと言われるのですが、事業団のままでは財投資金が使えない。  ところで、ちょっと話が横に入りますが、特別地方債の関係ですね。第四次計画の関係では、これはもちろん大蔵省との話はつけてあると思うのですが、そうですか。
  67. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 特別地方債の五カ年の総枠というものはいまここで決めなければならないものでもありませんので、決めておりませんが、およその考え方としては、公共下水道処理場の必要額の大部分というものをめどに今後とも特別地方債をつけていくということが妥当ではないか、こう考えております。
  68. 福岡義登

    ○福岡委員 この事業団の関係の話なんですが、財投資金を直接使えないので歯がゆいところがある、当面は事業団を整備、強化していきたいというような話なんですが、もうちょっとわかりやすく聞きたいのは、事業団でおっしゃるような歯がゆい点があるとすれば、将来公団にして財投資金を直接使うようにしたいという気持ちがあるのか、あるいは事業団構想そのままで内容整備していこうとしておられるのか、その辺ちょっとわかりやすくに。
  69. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 現在の七兆五千億円の計画をもってする当面の五カ年につきましては、先生おっしゃったように補助対象事業費については年率三五%程度伸びを確保しなければなりませんので、国費の毎年度の伸ばし方としても相当思い切って傾斜配分してもらわないと実現しないということではありますけれども、さりとて不可能な数字とも思いません。したがいまして、今後努力していまの体制、特別地方債を含めた国費の配分の体制でいけるものであれば、歯がゆいといいましても実行可能なわけでありますから、いまのところは下水道事業団のあの体制でやるべく最善の努力をしたい、こう考えております。
  70. 福岡義登

    ○福岡委員 そこのところですよね。第四次五カ年計画は事業団でやっていきたい、公団構想は持っていない、こういうことなのか。情勢いかんによってはそれも考えなければならぬということなのか。わかっていないならわかっていないで仕方がないのですが、もう一遍その辺のところを。
  71. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 五カ年計画は五年分をまとめて今回決めていただくわけでございますが、それをどう財源措置していくかということは毎年度の予算の話になります。したがいまして、その初年度である五十一年度は事業団と特別地方債、それに国費を加えた枠で進めることになっておりますが、五十二年度以降どうするか。いまの体制でやっていけるものならあえてそういう新機軸を求める理由もなくなりますので、それが実現できるかどうか、これを今後毎年度その都度検討せざるを得ないと考えます。
  72. 福岡義登

    ○福岡委員 終わります。
  73. 渡辺栄一

    渡辺委員長 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ————◇—————     午後一時三十七分開議
  74. 渡辺栄一

    渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。柴田睦夫君。
  75. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 第四次下水道整備五カ年計画、この策定に当たりまして、市町村、都道府県からの要望を集められているわけですが、全国の合計の要望額は幾らであったか、まずお伺いします。
  76. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 各公共団体の要望は、生のままとった数字を合わせますと、約十五兆くらいになっております。
  77. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 地方公共団体の要望額、いま十五兆円くらいというお答えですが、十八兆円ともあるいは十六兆円ともいろいろ聞いているわけですけれども、結局建設省が第四次の計画として概算要求したのは十一兆円であるわけで、最後に落ちついたところは七兆五千億円だ。十一兆円から七兆五千億円ということについては午前中幾らかお話かありましたが、特にこの自治体の要望額の十五兆円から十一兆円の要求に変わった経過についてお伺いします。
  78. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 十一兆円の要求額は、ほぼそのぐらいあれば、水質環境基準の期限内達成がおおむねできるのではないかというような、その五カ年分という意味もあり、また少なくとも建設省全体として今後の五カ年間の公共投資量を、余り架空に近いような無理な数字も省として出せないものですから、そういったものの配分計画も省内で調整いたしました結果、十一兆ということに要求額をおさめたものでございます。
  79. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 昨年の十二月ですけれども環境庁が、「水域類型の指定のなされた水域の環境基準の達成状況について」という報告書を出しております。それによりますと、閣議決定された環境基準を達成できなかった水域昭和四十九年度で四〇%ある、このうち達成期限とされている五十年の八月までに達成が困難な水域がかなりある、そしてそのようになった主な理由下水道整備が立ちおくれていることである、こういう指摘がされております。     〔委員長退席國場委員長代理着席〕 第四次の五カ年計画の七兆五千億円、こういう金額では、みずから政府が決めた水質保全の対策を実現するものにならないのではないか、こういう疑問を持つわけですけれども、この点についての大臣の見解をお伺いします。
  80. 竹下登

    竹下国務大臣 柴田委員にお答えをいたします。  私も、率直に言って委員と同じ心配を持っておる一人であります。水質環境基準は、御承知のようにこれを達成するためにはもとより下水道整備だけではなくして、工場排水の規制あるいは浄化用水の導入等、他の水質保全のための施策を総合的に講ずる必要があることは申すまでもないことでありますので、下水道整備計画だけを見て水質環境基準達成可能かどうかを判断すること自体が私はまず困難なことであると思うのであります。しかしながら、今後工場排水の規制の強化等、関連施策をあわせてこの五カ年計画によって下水道整備を進めてみましても、先ほど御指摘のとおり第四次五カ年計画期間内に環境基準を完全に達成することがむずかしい水域が出てくるということは、およそ予測されると思うわけであります。  今回の五カ年計画は、前回の五カ年計画に比べて投資規模で二・八八倍、これをもって現在の普及人口二千五百五十四万人を一・八五倍の四千七百二十二万人にする大幅な拡大を図っておるところでありますが、全国的に年間の相当期間水質環境基準値以内となるなど、水質の状況は著しく改善されるとは基本的には思うのでありますが、さらに公害防止計画地域水質保全上重要な地域重点的に下水道整備を進めることによりまして、他の申しました諸施策と総合して環境基準の達成を図るように努力をいたしたい、このように考えております。
  81. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 自治体が要望した金額、これは極論すれば架空だというようなことに局長の答弁から見るとうかがわれるのですけれども水質保全の自治体の要求というのは、やはり水質保全の立場から要求していると思うのです。  たとえば千葉県の第四次五カ年計画公共下水道事業の要望を見てみましても、水質環境基準公害防止計画などの地域の増加によって下水道事業短期間内に整備しなければならないために、五カ年間に二千百二十九億円の投資が必要である、こう千葉県の場合しております。これをやっても千葉県の目標の三分の一であって、総人口普及率、これも全国で目指しております四〇%に比べるとはるかに及ばない二六%にすぎないわけです。この計画に対して建設省が示した金額は、五分の一の五百三十億円ということになっております。  都道府県や市町村の要望が水質保全の立場から見て必要不可欠のものであって、こういう計画が実現できるように大幅な国庫補助や必要財源の確保を考えなければならないと思うのです。また、千葉県や埼玉県のような首都圏でも、これは下水道普及率はきわめて低いという現状にあります。これらは人口の急増県であって、こういうところでは大規模な団地を次々に受け入れてきております。こうした団地などでは当然に下水道整備しなければならないわけです。投資規模が抑えられますと、旧来の地域下水道整備、ここにはなかなか回ってこない。しかも、たとえば千葉県では建設省が予測する人口昭和五十五年で四百四十万人とされておりますけれども、当の千葉県が総合五カ年計画で推定している人口は四百九十四万人で、実に五十万人以上の差があるわけです。そういう面では、実際の人口下水道が行き渡るように下水道財源の手当て、配分ということを考えなければならないと思うのですけれども、こうした問題についての御見解を伺います。
  82. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 個々の地方公共団体側から要望として出された額が架空と申し上げたわけではないのですけれども、それを全部単純に合計すると省全体の公共投資額としては実現不可能な数字と思われる、こういう意味でございます。訂正さしていただきます。  千葉県の例を挙げて御質問がございましたが、確かに千葉県は全国平均よりも下回っております。一方、人口は非常に伸びようとしているところでございますから、人口予測なども見方によって多少の開きが出るわけでございますが、いずれにいたしましても、明らかに人口もふえ、かつ、たとえば東京湾といった閉鎖性水域の汚濁防止に非常に重要な地域でありますので、私どもも与えられた枠の中では極力ウエートを置いて今後は対処せざるを得ない、こういうふうに考えております。  首都圏全体では、東京都の区部の普及率が高いために全国平均よりは高くなっておりますが、いま申したような千葉県など低い地方もございまして、現在低いところを一挙に人並みまで上げるということは、予算額のみならず、執行体制等からも困難な面があるかと思いますけれども、それにしても他の都府県以上の努力をお互いにして、せめて平均並みに、さらには平均以上に追いかけていくという必要があると考えております。
  83. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 次に、下水道法改正関連する部分ですが、今回の改正案は結局工場などから排出される悪質下水に対する規制と監督を強化する、こういう目的を持った改正案であるわけですけれども建設省は今回の改正によってどのような効果を期待できると考えておられるのか、お伺いいたします。
  84. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 今回の改正を簡単に申しますと、悪質下水の排出源である特定施設の設置等の段階で、その計画を事前に届け出させること、それからその後一定の期間を置きまして、その間に十分に除害できるか審査する、審査の終わるまでは特定施設設置そのものを禁止しておく、そして審査の結果不十分であるということになれば計画変更命令を出せる、違反は直罰がかかる、こういうことであります。なお、完成後の維持管理状態が悪いような場合には随時改善命令も出せる、こういうことになっておりまして、現行法でも条例で除害施設を設置すべきことを定めることができることになっておりますし、その基準そのものも水質汚濁防止法と合わせているわけですから、さほど違いはないように見えますが、いま言ったような事前届け出、改善命令、その間の特定施設の設置の禁止、直罰と、こういうものが複合されて完全に水質汚濁防止法並みの規定になりますから、従来のような、違反を見つけてから改善命令を出し、それを聞かないときに罰則が初めて働く、強制捜査権も働くというような事態から比べれば、格段に規制は厳格になる。その意味で、工場側も十分励行せざるを得ない事態になるであろう、こういうことでございます。
  85. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 実際的な効果を期待し、またこれを強調されるわけですけれども、これは東京都で聞いた話ですけれども昭和五十一年三月末現在の処理区域の中で、対象特定施設が二千七百八十九ある。この二千七百八十九のうちに、先ほど話が出ました除害施設もなければ、またそれをつける計画も立てられない事業所が六百九あるということでありまして、その理由は、結局資金の問題と土地がないという問題であるわけです。東京都のようなところでも除害施設助成案がいま壁にぶつかっているとも言えると思いますけれども、本当に除害施設を完全につけられるような助成対策、その他新しい対策を何か考えておられるかどうかお伺いします。
  86. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 私どもが全国について調べましたところ、特定事業場のうち、健康項目に係る事業場と生活環境項目に係る事業場のうち日量五十トン以上のものの数が全国で約八千ありますが、そのうち除害施設を設置する必要のある数が約四千八百でありまして、そのうち設置済みの数が約三千五百ということでありまして、七三%程度がすでに設置済みだということになっております。  東京都の例は私どもちょっと調べておりませんが、先生のおっしゃるとおりかと思いますけれども、工場単位に汚水の濃厚な間に処理するわけですから、下水道処理場のような大げさなものでなくて済むわけでございます。さらに、工程を分けて、悪質排水の出る工程について除害施設を設置するような措置を講ずれば、さらに除害施設の設置費並びに必要用地面積も減るわけでございます。  そういったことを今後大いに奨励し、期待するとともに、従来から国の各種金融機関におきましても、あるいは地方公共団体におきましても、長期低利の融資なり利子補給なりの措置が行われておりますので、この枠を使って短期間の間に未設置のものは仕上げてもらいたい。おそらく現在の各種金融機関の枠で足りないとは思いませんが、もし足りないということであれば、われわれもその所管の省庁に対し十分な枠の確保をこの下水道法改正を機会に強力に訴え、実行してもらいたいと思っております。
  87. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 改正案では、基準以上の工場排水を出させない、こういうことにするわけですけれども、東京都の場合を見てみますと、水質規制の担当者は本局と事務所と合わせて七十五名であって、いままでの定期検査は年に二回という話でした。特定施設の水質測定の義務、報告の徴収、立入調査、こうした規定下水道法にあるわけですけれども、実効が上がるような規制措置を講じるまでにはそういうことから考えるとこれでは十分ではないと考えられるわけです。いままでの状況から見てみまして、改正法案の規制措置が果たしてできるのかどうか、疑問も感じるわけですけれども、この点についての見解をお伺いします。
  88. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 法律に基づく権限が大幅に増加いたしますので、従来以上に各公共団体における執行体制並びに専門職員の確保ということが急務になっております。おっしゃるとおりでございますが、一方では法律の中に、各特定施設の事業者自体が汚濁項目の種類ごとに、たとえば一週間に一回以上とか二週間に一回以上とかあるいは毎日とか、下水道に流入させる個所での水質を測定しまして記録しておく、これを五年間保存しておかなければならぬというふうな規定がございます。そういうものに対しましては下水道管理者は随時報告徴収権を持っておりますから、それを見て実態は相当の頻度で把握できるし、これの違反は、罰則もありますけれども、なおかつ怪しいというならば随時立入調権査もある、こういうことになっておりますから、人員の増強はもとより必要でありますが、現在の機構をもってしても、当面改正法の執行に支障はないのではないかと考えます。
  89. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 工場などから継続的に下水を排除して公共下水道を使用する者が特定施設を設置するときは、届け出をさせて、設置以前の六十日間に限って施設の構造や汚水処理方法などを事前審査するということになっておりますけれども、厳しく考えてみますと、たとえば六十日以内に審査ができないという場合もあるかと思いますし、あるいは、書面審査であるわけですから、審査を誤った場合ということも考えられますし、あるいは届け出た計画と実際の工事が違ったという場合なども考えられるわけです。こういう場合には水質基準を守らせるために改善命令という規定があるわけですけれども、現実の問題を見てみますと、監視体制が十分ではないと思われますし、それから違反の事実を発見すること自体も、下水管に放出されるものであるということから考えて相当むずかしいことであろうと思うわけです。ですから、違反状態が起きてもこれが一定期間継続すると思われるわけです。悪質下水に対する規制と監督の強化ということからしますと、特定施設を設置しようとする場合において公共下水道管理者の許可を受けるというようにして、さらに許可によってつくられた施設についてその完成検査をやる、合格したものについて特定施設を使用することができるようにする、こういう許可の制度、そうしたものを取り入れた方が実際上効果的であると考えるわけですけれども建設省の考えをお伺いします。
  90. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 審査期間は六十日といいますか、事前に届け出をして実際に特定施設建設にかかるまでに六十日間の禁止期間を置いているというようなことでありますが、これは六十日程度で審査できるような大まかな内容のものを出させ審査するということでありまして、六十日ではとうてい審査できないようなものを六十日以内に審査することは事実できませんから、水質汚濁防止法でも同様のやり方をとっているわけであります。それで、さらに精密な設計あるいは実地に提出したものと違う工事をやるというようなことがあれば、排水を始めた後に必ず悪質水が検出されるわけでありまして、そうなれば今回の改正法によって、事実検出された場合はもちろんのこと、検出されるおそれがある場合にも改善命令が何どきでも出せるということになっております。そういうことですから、事前の審査期間が短いあるいは書類審査が主になるだろうというだけのことでは実効が上がらないということにはならないと思います。  おっしゃるように許可制にすればさらに徹底するということも考えられますが、もともと水質汚濁防止法自体が許可制を採用していないわけですし、いわんや下水道法から見て下水道管理者として何を許可制にするのか。下水道管理者がもし許可制をとるとすれば、それは特定施設の設置を許可制にするということはちょっと考えられませんから、特定施設は自由につくらせておいて、それを下水道につなぐときに、連結するときに許可制にするということにせざるを得ないと思います。ところが下水道法は、一方ではせっかく下水道処理場をつくり、配管の網をめぐらせた処理区域の中では原則としてすべて下水道を使いなさい、こういうふうに下水道の使用を義務づけているわけでありまして、一方では義務づけておきながら、一方では許可制にするということもなかなか救いにくい点があります。それよりも事前に届け出と改善命令、この複合した措置によって水質汚濁防止法と少なくとも同等の効果を発揮できると考えますので、私どもも許可制については一通りは検討いたしましたが、やはり届け出制と計画変更命令、改善命令でいこう、そしてその届け出たるや、下水道につなぐことの届け出ではなくて特定施設の設置の一番初めの段階から押さえていこう、こういうことにしたわけでございます。
  91. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 その点について言いますと、水質汚濁防止法、この法律自体も悪質水によって水質が汚染されるという問題について、もちろん効果は上げていますけれども、やはり十分でないということが指摘されていると思うのです。  それから立法論ということになれば、いま全部下水に流させることと許可制との矛盾ということを言われますけれども、これは日量五十トン以上というような基準がありますから、それ以下のものを流させるというような立法問題で解決できる問題だと思うのです。  それはそれとして、もう一つ下水道に対する監視の問題です。下水道法が一定の監視の規定を置いているわけですけれども下水道の場合は、常に特定の事業場から公共下水道に排除される下水の量と水質を監視しておかなければならないと思うのです。このことをいまの法律の中に明文をもって書き込む、公共下水道管理者にこの監視を義務づけることが必要だと思うのですけれども建設省の考えをお伺いします。
  92. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 下水道に流入する汚水、これは特定施設等の設置者でありますが、その汚水をつくり出した者が第一義的に下水道に入れる前の段階で水質を測定して記録しておくということが最も実用的でもあるし効果的でもあろう。その記録されたものは相当期間保存しなければならないということにして、過去にさかのぼっていつでもそれを調べられる、下水道管理者に特定施設設置者に対する報告徴収権を与えておく。さらに疑わしい——罰則がありますからやたら間違った記録をするとは思いませんけれども、それにしても怪しいという場合には随時立入検査ができるという規定、この三つの規定は現在の法律にすでにあるわけでありまして、この三本立てのたてまえでやるならば下水道管理者が常時監視していると同じことが十分担保できるのではないか。重ねて下水道管理者自身に特定施設からの流入汚水の水質測定の義務づけをするということは、重複するばかりでなくてそのようなことに労力と経費が非常にかかるということにもなりますから、やはり排出者である特定事業者がみずから責任を持って正しい測定をし、記録をしておくということの方がむしろ効果が上がるのではないかと考えます。
  93. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 持ち時間が来ましたので終わります。
  94. 國場幸昌

    國場委員長代理 新井彬之君。
  95. 新井彬之

    ○新井委員 私は、下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部を改正する法律案について質問をいたしたいと思います。  初めに、先ほどからもう何回も出たわけでございますが、第三次の下水道整備五カ年計画は一〇〇%の予算は使用したわけでございますが、実際問題として事業量は四四%程度に終わっているというようなことがあります。  それから今回の第四次の下水道五カ年計画は十一兆円の予算要求をしたけれども、現実は七兆五千億、そのうち四千億は予備費です。  それで先ほども話がありましたが、四十八年の答申に基づきましてやってまいったわけでございますが、非常に下水道については整備がおくれるということで、これは直接水質環境基準達成との大きなかかわりになると思うわけでざざいます。  そこで、初めに環境庁にお伺いしておきたいと思うのでございますが、下水道整備だけが水質環境基準の一〇〇%ではない、これはよくわかりますが、実際問題として、水質汚濁防止法によって工場からの排水、そういうようなものが規制をされるわけです。あとは一般の家庭排水とか、いろいろの理由はあろうと思いますが、現在の水質汚濁防止法あるいはまた下水道法等によって、これが完備したときには、水質の環境基準というものが、当然一〇〇%達成されなければならない、こういうぐあいに考えるわけでございます。環境庁としては、現在非常に達成がおくれておる地域が、どういう理由でおくれていると考えているか、その件についてまず初めにお伺いしたいと思います。
  96. 林亨

    ○林説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御質問にございましたように、下水道整備というものが完成いたしましたらば、確かにかなりな水域におきまして環境基準の達成が見込まれるわけでございますが、水域の態様によりまして、あるいは水域にかかわります地域の汚濁源の態様によりまして、先生御指摘のとおりに、大きな柱は排水の規制とそれから下水道整備という二つでございますが、あとその他畜舎等の排水でございますとか、あるいは下水道が将来において完備するまでの屎尿浄化槽というのですか、そういったものの整備進展の度合いと、それからそのほかに河川等におきまして川の底にたまりますいろいろな沈でん物等の処理、あるいはその河川等の流況によりまして、場合によっては浄化用水の投入とか、いろいろ総合的な施策を講じまして、それぞれの水域の環境基準の達成を進めていかなければならないというふうに考えております。
  97. 新井彬之

    ○新井委員 環境庁は水質の環境基準というのを決めているわけでございますが、実際問題、今回の下水道整備五カ年計画ではそれが大幅におくれると見ているわけですね。ところが、四十五年のあの公害国会のときには、やはり水質環境基準というものがすぐに達成する地域あるいはまた五年以内、十年以内ということで、明確に一覧表になっているわけです。したがいまして、現時点において一体それがどういうことで、これからの達成は一体どのようになるのか、現実にはできていないわけでありますから、改めてその基準を明確に示していただきたいと思いますが、いかがですか。
  98. 林亨

    ○林説明員 御質問の水域の環境基準の達成状況、達成しておるところはよろしゅうございますが、おくれているところの理由につきましては、いろいろ水域の態様によりまして違いがありますが、先ほどもございましたように、下水道整備が残念ながらおくれているということが、地域によりましてかなり大きな理由になっております。  今後、環境基準を達成するためには、限られた予算の中ではございますけれども、私ども建設省等関係省庁と緊密な連絡をとりまして、特に汚濁の著しい水域にかかわります下水道整備あるいは水質改善の速急に望まれます水域につきまして、重点的に整備を進めてもらうように努力いたしますとともに、排水規制の上乗せ規定というのがございますが、その上乗せをより厳しく排水規制をしていくだけの余力がまだあるかどうか等を十分検討いたしまして、できるだけ短期間に環境基準の達成に近づけたいというふうに考えております。
  99. 新井彬之

    ○新井委員 私の申し上げておるのは、環境庁とすればそういう基準は一つつくるわけですね。しかしながら、実際問題それをやるのは、下水道であれば建設省である。その建設省下水道が非常におくれてきたということについては、環境庁としては下水道予算をもっとつけなければいけないということを強烈に言わなければいけませんね。だけれども、それがつかないわけでございますから、これは比例して当然環境基準の達成というのがおくれるわけですね。だから、そのおくれるいまの現状でいけば、このくらいはこのときには達成ができますというものを改めて資料として出していただきたい、こういうぐあいにひとつお願いしたいと思います。  それからもう一つは、水質汚濁防止法第八条または第十三条に、都道府県知事の特定施設の構造等に対する計画変更命令及び改善命令の規定があるわけです。これが今回下水道法にも取り入れられるわけですが、そういう命令を行った件数とか、あるいはまた違反をしておるとか、簡単で結構ですから、そういうような実態についてはどのようになっておりますか。
  100. 林亨

    ○林説明員 お答え申し上げます。  ただいま御質問の水質汚濁防止法第八条の計画変更命令、それから第十三条の改善命令でございますけれども、四十九年度について申しますと、計画変更命令の数は三件でございます。それから同じく第十三条の改善命令の件数でございますが、九百六十二件でございます。  ちなみに、計画変更命令は、第五条の特定施設の設置の届け出に対しますものはゼロでございまして、第七条の構造変更に対しますものとして約七千件くらいございますが、それに対して三件あったわけでございます。  なお、違反についてでございますけれども昭和四十九年度に同じ例をとってみますと、先ほどの計画変更命令に対しましては、命ぜられた者はいずれも命ぜられた計画変更を行っております。それから改善命令九百六十二件と申しましたが、これに対して違反をいたしました者の数は五件でございます。このうち四件が罰金刑が決まっておりまして、一件は書類送検で審理中でございます。  以上でございます。
  101. 新井彬之

    ○新井委員 いま内容のお話があったわけでございますが、たくさんの工場の中で実際水質汚濁防止法の適用を受けていないところもたくさんあると思いますけれども、そういうことを今後やっていく場合において、当然それに対する助成措置というものが必要になってくると思います。施設によってはお金のかかるようなところがたくさんあるわけでございまして、除害施設に対する助成措置というのは、公害防止事業団とかそれから日本開発銀行、中小企業金融公庫国民金融公庫、中小企業振興事業団、いろいろやっておるわけでございますが、環境庁から見て、もっとここにも本来ならばやってほしいというところがたくさんあると思うわけですね。そういうわけで、実際問題そういう相談の窓口として、公害防止事業団が中心になって、責任を持ってたくさん予算をとって相談に乗ってあげるというような方向でやっていただきたいと思うわけですが、五十一年度予算は千二百七十億出ておりますね。この程度予算で実際問題足りるのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  102. 林亨

    ○林説明員 お答え申し上げます。  ただいまの、公害防止事業団の五十一年度の事業費につきまして千二百七十億で足りるのかという御質問に対してでございますが、限られた予算要求いたしましてこの間お認めいただいたわけでございますが、当面五十一年度の予算千二百七十億、これは前年度に比べまして約三百億程度ふえておりますので、決して十分とは思いませんけれども、今後ますます必要な公害防止事業に対します助成を強化してまいりたいと思っております。  なお、公害防止事業団の行います公害防止事業は、先生よく御存じのとおりに、人口の集中している地域あるいは工場の集中している地域公害防止対策事業を主として対象といたしておりますので、全国公共用水域の助成をいたしますときに、なおその辺もあわせて今後の検討課題として考えてまいりたいと思います。
  103. 新井彬之

    ○新井委員 大臣にお伺いしたいと思うのですが、下水道整備というのは日本では非常におくれているわけです。明治四十一年に中島工学博士という方がいろいろ東京都で基本設計等やられまして、一日一人当たり百六十七リットル、これだけの水を使うのだということで基本計画を立てて、そしてずっときたのですが、昭和二十五年には一日一人三百リットル、こういうことで見直しをされてきているわけです。大正末期には水の使用量が一日一人百七十リットル、これがふえてきておりまして現在では八百リットルぐらい使うということになっていますね。いままで下水道整備することにおきましては、やはりどうしてもその地域にどれだけの人口が住めるのか。これは決して定住だけではなくて、東京都の中心部のように昼間人口が非常にふえる、そういう場合に、大きなたくさんのビルを建てれば、いままでつくってあった下水管をもっと大きくしなければいけない。しかし実際問題、道路の中には電話とかあるいはまた水道、ガス管、いろいろ埋設してあるわけでございますから、埋めかえるということについてはなかなか多額な予算と危険を伴う、こういうことで、下水道についてはまさに国家百年の大計を考える人はいなかったのだ。その都度手直しをされて、そして徐々にではあるけれどもそういうぐあいに大きくしてきた。  そこでどうしても三全総で、一体この地域人口が何名住めてどういうことになるのか、あるいはそこにビルがどの程度建てられるのか。都市計画とか人口とか、あらゆるものが想定された上においてそういうものをつくっていかないと、処理場についてもどんどん拡張するということはなかなか不可能だと思います。したがって、いままでその都度の担当者がその都度その都度のときの状態だけを考えてきたわけでございますが、そういう点については今後考えを新たにしなければならないかと思うわけでございます。そういう点について大臣は、いままでの下水道計画と今後の見通し等についてどのようにお考えになっておるか、お伺いしたいと思います。
  104. 竹下登

    竹下国務大臣 新井委員にお答えをいたします。  新井委員の、今日までのこの委員会に所属なさっておって、いわゆる生活環境の問題からする公害立法等にお立ち会いになり、そしてまた近時とみにそのニーズがふえてまいりましたなかんづく下水道問題等に対する御見識については、私も十分教えていただいたような気がいたしております。  そもそもこの日本の国というのが四面海に囲まれておるということと適量な雨量があるということから、歴史的な過程においてとらえても、いわゆる汚物というものはすべて四面囲まれた海の中に吸収されてしまうのだという歴史的な客観性というものが、今日あらゆる角度から見ても社会資本の充実の中で最もおくれをもたらしておる大きなゆえんであるというように私も思っておるわけであります。  したがいまして三全総に対しまして、いま都市人口が総体規模でどれぐらいあるべきか、そうすればおのずからにしてそこにはビルがどれぐらい建っていくか、それの昼間人口といわゆる職住近接等の問題における大都市周辺地域の問題、そういうことがやはり総合的に青写真として描かれた中に下水道政策というものが上に乗っけられるというのが、私も理想だと思うのであります。したがって、この三全総というものをいま鋭意努力をいたして作成の過程でございますので、私の直接の所管ではございませんが、そうしたかかれた絵柄に基づいて私どもの方としては実施官庁としてその方向の推進に当たってまいりたい、このように考えております。
  105. 新井彬之

    ○新井委員 下水道五カ年計画の執行体制についてでございますが、技術者が非常に足らないということになっております。下水道技術者は、市町村では四十六年に八千三百三十だったものが四十九年に一万三千、都道府県では四十七年に五百弱だったものが五十年には千名、こういうぐあいにふえておりますが、実際はこの技術者というのが道路とか河川とかあるいはまた上水道からの配置転換であって、本当の技術というものをまだ身につけていないというような弱点があるようでございます。この下水道については、終末処理場であるとかという非常に専門的な生物化学とか機械、電気などあらゆる技術者の方々が必要であるということを言われておりますが、それを今回の五カ年計画でやるについても、そういう技術者がある程度確保されているところについては予算を余分につけようというようなことも言われておるようでございますけれども、この技術者が、いま下水道事業団等でも一生懸命やっておりますが、今後これをやるについてはまだまだ足らないと思われるわけです。国の直轄事業でもございませんし、大体市町村とか都道府県に任せてあったわけでございますし、急速にこの予算がついてまいったわけでございますので、そういう面についてはどのようにするのかお伺いしたいと思います。
  106. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 先ほどお話にありましたように、各地方公共団体、市町村なり都道府県技術者の数は、近年はかなり目に見えてふえてきております。もっとも、これから新しく事業をしなければならない市町村も非常に多いわけですからまだまだふやさなければなりませんし、今回のような下水道法改正が成り立ちますと、特定施設への監視、審査といった業務も加わるわけでございまして、いよいよもって技術者が必要だということになります。基本的には、大学等における下水道の専門の学科、あるいは下水道の学科にウエートを置いた学部の増強ということが一つには必要でありますが、これも逐次整備されてはいるもののそう急激に収容人員をふやすわけにもなかなかいかないということで、結局はいよいよどうにもならない地域については下水道事業団が事業を受託する、あるいはせめて設計を行ってあげるということでございます。まずまずの技術者を持っておられる公共団体に対しましては、下水道事業団等による研修、これをできるだけたくさん受けていただいて持って帰って、さらに公共団体内部の他の技術者に伝えていくというようなことがぜひ必要ではないかと思います。下水道事業団の研修も研修本館の設立ができましたので、今年度あたりから本格的に千名以上の研修を実現できることになります。非常に特殊な技術ではありますけれども、河川、上水道等、あるいは場合によっては道路の技術者等基礎素養のある方であれば比較的簡単にある程度技術水準には達するわけでありまして、そういうことで充足していくことを今後とも努力したいと思います。
  107. 新井彬之

    ○新井委員 そこで、民間の業界に非常に頼っておるようでございますが、現在の下水道関係のコンサルタントの会社の現状については、建設省の登録は約百四十社、それから下水道事業団の指名業者が約十社、こういうぐあいになっておるわけですが、     〔國場委員長代理退席、委員長着席〕 普通の建設業界のようにABCというようなランクも何もありませんし、市町村でも選定をどのようにしたらよいかということで非常に迷っておるような問題であるとか、あるいはまた下水道の総事業費のうちの約一〇%が処理機械等の装置であることになっておりますが、その装置はいろいろなメーカーがつくって、方式もそれぞれ異なっておるわけでございますので、そういう評価についてまだそういうような基準も何もわからないというようなことで戸惑っておるわけでございますが、そういうこともひっくるめて市町村がやりやすいような形でやっていただきたい、こういうぐあいに思うわけです。これは時間がありませんから、要望だけしておきます。  それから文部省、せっかく来ていただいておりますのでお伺いしておきたいわけでございますが、いまも局長の方からお話がありましたが、工業高校とかあるいはまた大学でそういう学科とか専門的な学部がまだ余りないように思うわけでございますが、これから下水道というものは非常に大事な一つの役割りになります。その中で、水を分析してその中へ入っておる有害物質を取り除くなんということについては、これは非常に経験とか基礎的学力がないとやはりなかなかできかねると思うわけでございますが、文部省としてはそういう時代の要請にこたえて、今後そういうような学部とか学科をふやすとかそういうようなことについてどのようにお考えになっておるか、お伺いしたいと思います。
  108. 齊藤尚夫

    ○齊藤説明員 高等学校関係につきましてお答えを申し上げたいと思います。  高等学校におきましては、下水道技術者の養成に関しましては特に関連の深い学科といたしまして土木科と環境工学科があるわけでございます。環境工学科は、このようないまお話のございましたような趣旨に沿いまして、上下水道あるいは環境保全事業、その分野の授業が今後拡充されるということを考えまして、昭和四十五年の高等学校の学習指導要領の改定の際に新たに設けた学科でございます。その学科の教育内容といたしまして水道I、IIという科目も用意をいたしました。その水道IIに属する部分下水道に関するものでございますが、そのような形で用意をいたしておるわけでございますが、現実問題といたしまして、現在この学科がつくられておりますのは全国でたった一校でございます。子供のいろいろな条件から考えまして、やはり高等学校段階といたしましては、土木に関します基礎的な知識、技術というものを修得させることに専念をしていくことが一般的には一番大事なことなのではないかという観点で、今後の学科構成なり教育内容なりについて検討していきたいというふうに考えております。
  109. 新井彬之

    ○新井委員 それでは最後に、浄化槽の問題について少しだけお伺いしておきたいと思います。  まず局長に先にお伺いしますが、最終目標下水道処理を総人口の九〇%まで持っていく、こういうぐあいに言われましたが、これはあくまでも下水管を通した、それで終末処理場をつくった、その処理人口のことを言われているわけですか。
  110. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 そうでございます。
  111. 新井彬之

    ○新井委員 非常に結構なことだと思いますが、アメリカの現在七一%処理をしているという内容を見ますと、二次処理まで行っている公共下水道人口はおよそ三八%、それから沈でん放流のみの公共下水道がおよそ二三%、コミュニティープラントまたは浄化槽人口がおよそ四〇%。アメリカも非常に広大な国でございますから家も離れ離れにありますから、当然浄化槽というものが非常に発達をして、それが水質の環境基準の達成に大きな力を得ていると思いますが、この浄化槽については、現在非常にたくさんの浄化槽が日本全国であるわけです。したがいまして、さっきも話がありましたが、それも逐次下水道ができれば当然なくなっていくと思いますが、どう考えても九〇%までなくなるような現状と言えば、ほとんど日本全国に下水管が埋まってくるのではないか。当然そういう段階までに、新たないい浄化槽ができて、これは家庭排水も関係するわけでございますが、家庭排水と屎尿の合同の処理のできるようなものが設けられて、そうして河川に放流される、こういうようなことも技術の進歩として当然考えられてくることだと思います。  そこで、浄化槽の問題についてはいろいろございますが、一つは無届け浄化槽という問題があるわけです。これは届け出をしなければならないわけですが、そういう問題がある。それから管理が困難な浄化槽の問題、それから施工上の問題それから管理技術者の技術の貧困の問題あるいは管理技術者の数の不足の問題、構造基準並びに管理基準の問題、こういうことがいろいろ指摘をされているわけでございますが、これについては、建設省としてどのような対処をしていこうと思っておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  112. 山岡一男

    ○山岡政府委員 生活系の排水につきまして公共下水道による汚水処理が原則であるということでございますが、いま先生もおっしゃいましたように、なお相当の年月も要しそうだということでございまして、その補完的役割りを果たすものとしまして屎尿浄化槽も非常に多く見られます。  さらに、その中で各種の規定がございまして、特に屎尿浄化槽の中でも建築設備につきましては、これは、屎尿浄化槽は建築設備でございますので、建築基準法の中で構造基準を決めております。いま先生のお話の中に構造基準のお話もございましたけれども昭和五十年四月にも一部の改正をいたしまして、新しい二〇ppmの屎尿浄化槽をつくる場合の基準等を定めております。しかしながら、いま先生がおっしゃいましたように、設置場所が不適当だというために管理が容易に行えないというものがあるいは指摘を受けております。したがいまして、そういうような場合に、設置方法を良好なところに設置するというふうなことにつきまして、関係業界に対する指導を強化してまいりたいと考えております。  それから、屎尿浄化槽の設計施工につきまして専門的な知識と技術が必要だということでございましたけれども、おっしゃるとおりでございまして、特にその施工につきましては、個々の建築物の敷地条件等を的確に判断することが要求されます。したがいまして、建設省におきましては、建設業法に基づきまして管工事施工管理技師の検定試験を実施しております。次第にその数もふえておりますけれども、なお、その他関係省庁とも協力いたしまして、関係団体、これは日本建築センター、日本環境整備教育センターの両団体によります浄化槽施工士の教育も推進をしておるところでございます。しかしながら屎尿浄化槽の運用につきましては、所管が各省にまたがるという点もございますので、三省庁で連絡会議を設けております。その範囲内におきまして、今後も屎尿浄化槽の健全な発達等につきましては十分努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
  113. 新井彬之

    ○新井委員 いまもお話が出ましたが、厚生省、建設省、環境庁、この三省庁が協議してやらなければならないようになっているわけですが、実際問題、構造と施工と管理は表裏一体の関係であるし、これは明確にどこかが担当して責任の所在も明らかにしなければいけない、こういうことも言われているわけです。時間がありませんから内容的には申し上げませんが、厚生省としていまのこの浄化槽がうまくいっているのかどうか、そして問題点かあるとすればどういうところが問題点で、どのように解決をしていったらいいのか、お聞かせ願いたいと思います。
  114. 山村勝美

    ○山村説明員 お答えいたします。  先ほど先生の御指摘にございました無届け浄化槽が多いとか管理が困難な場所に設置されておるとか、あるいは設計、施工上に必ずしも適正でないものがあるとか、あるいはそれを維持管理していくための管理技術者の数及び質において問題があるのではないか、あるいは構造基準あるいは管理基準にも問題があるのではないかということは、すべてわれわれ問題意識として持っております。  まず、さっき先生御指摘のとおり、構造、施工、管理というものを一体的にやっていかなければいかぬということでございまして、先ほど建設省の方から答弁ございましたように、水質規制の立場から環境庁、構造基準の立場から建設省、それを維持管理していく立場の厚生省、三者が連絡会を持ちながら、緊密な連絡のもとに適正に運用していくということがぜひ必要と認識いたしておりまして、よく相談をしながら一つ一つ問題を片づけていきたいというふうに考えております。
  115. 新井彬之

    ○新井委員 最後にお願いだけ申し上げておきますが、この下水道第四次計画においては建設省は前の大臣を初めとして各局長さんが一生懸命がんばってこの七兆五千億の予算を獲得されたと思います。それを削ったのは大蔵省がけしからぬのであって、建設省とすれば全力を挙げてやられたと思いますが、これから三全総も出てまいりますし、先ほども大臣答弁になっておりましたように、百兆円の経済計画最終的に決まったものではないということでございますので、この下水道は環境基準を達成するための大事な基本になることであるということを私たちも思っておりますし、今後できる限り早急にまたこの第四次計画を見直して、新たな計画ができるように最大の努力をしていただきたいと思います。われわれも、その件については全力を挙げて協力してまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  以上です。
  116. 渡辺栄一

    渡辺委員長 井上普方君。
  117. 井上普方

    井上(普)委員 大臣、この下水道というのは、下水道法を見ましてもまた第四次下水道整備計画の目的を見ましても、公害防止あるいは水質を保全するというのが先に出てきまして、その次に生活環境の改善というのが第三番目に出てくるところに日本下水道政策の行政の貧弱さがあると私は思うのであります。  見てみますと、まだ二千二百万人の人たちしか対象人口になっていない。諸外国と比べまして非常におくれておることは御承知のとおりであります。これも日本の行政自体国民生活というものに重きを置かなかったところに私は原因があるのであろうと思います。したがって普及率が諸外国と比べて低いし、またその歴史におきましても非常に新しいということが言えるのであります。  現在の建設行政といたしましては、極力下水道整備ということに力を及ぼさなければならないと思いますが、しかし四十五年に下水道法改正に当たりまして私どもが附帯決議をつけました。その附帯決議が十分に実行されておらないということにつきましては、現政府の怠慢を責めざるを得ないのでありますが、これに対して建設大臣は、どのようなお考えで取り組むつもりでありますか、お伺いしたいのです。
  118. 竹下登

    竹下国務大臣 附帯決議が、しかも全会一致の形で付されておるということは、これは当時の客観性の中においてもきわめて正当な主張であったということを認めざるを得ないわけであります。しかしながら今日まで、午前中の御指摘にもございましたが、その附帯決議のことごとくが実行されておるかどうかということは、お説のとおり私もそのとおりでありますと言わざるを得ないわけであります。が、その精神にのっとってそれぞれ改革していくという構えは、私は過去の経過の中にも見られるのではなかろうかという感じがいたしておりまして、まことに素人っぽいお答えになりますが、素直な私の認識を述べさせていただいたわけであります。
  119. 井上普方

    井上(普)委員 下水道附帯決議の実現にある程度努力せられた跡は私も認めます。しかしながら、これが出されなければならないし、今回におきましても四十五年の附帯決議がそのままともかく通用するというところに、現在の建設省並びに国の下水道に対する取り組み方が足らないのではなかろうかと感じられるのであります。  そこで、余談になりますけれども、こういうことを大臣——私は御承知のように衛生学というのを勉強した者であります。ところがこの衛生学の卒業試験に、私は当時県会議員をやっておりましたので、井上、おまえ徳島市長になったら何をやるかという質問を実は受けたのです。そのときに一番にやらなければならないのは下水道を完備することだと、当時二十五年でございましたけれども、申しましたところが、実は百点満点をくれた。ただそれだけで百点満点をくれた。しかしその後私の生活実態、近親者の様子を見てみましても、下水道の完備しておるところとそうでないところの子供の病気発生率を私なりに注意深くそれから見ておるのでございますが、そこに非常に差があるのです。こういうようなことから考えますと、どういたしましても近代国家として近代社会を建設する上におきましては、下水道を完備しなければならぬということは、私は必然の話であったろうと思います。しかしながらこれが戦後なおざりにされてきた。ただこのごろになりますと、高度成長政策の結果あらゆるところで水質が汚濁される、あるいはまたいわゆる公害が発生する。したがってこれをとりあえず緊急避難的に直そうという発想が下水道の事業の中にあるのじゃなかろうか、こう思うのです。それがともかく緊急の要件ではありますけれども、先ほども申しました高度成長政策の後始末の一つとして考えられておるところに下水道の事業のゆがみが生じておるのではなかろうか、私はこう思いますが、大臣の率直なる御意見を承りたいと思います。
  120. 竹下登

    竹下国務大臣 高度経済成長政策が戦後の荒廃した社会の中でそれなりの必然性が私も全くなかったとは思いません。しかしながら結果として、いわゆる生活環境の悪化、公害にさいなまれる国民、そういうことの結果を招来いたしまして、下水道そのものを考えましても、まず下水道というものが完備したところにおのずから人口が集まり、そしてその上に住宅が建ちという形ではなしに、建った後始末の中にそういうことが後追いをしておるということは、私も素直に肯定しなければならないと思っておるわけであります。先ほども申しましたが、歴史的に見れば、四面海に囲まれて農本主義をとったわが国として、これだけの知能指数の高い民族にしてはこれだけよくネグっておったものだなという反省が私にもあります。ただ、衛生学の見地から徳島市長になったら下水道をやりますと言ったら百点をもらったとおっしゃいましたが、これはやはり先見性があったということでありまして、私も当時井上さんと同じに県会議員をしておりまして、私事にわたって失礼でありますが、日本では自分が一番若い県会議員かと思っておりましたら、もう一人井上普方という人、がいらっしゃるということに気がつきまして、その後、いまにしてこうして与野党の立場を越えて議論をいたしておりましても、やはり私は結果として長らく県政にあり、また国政にありながら、自分の選挙区すらいまだ下水道普及率が全国最低のゼロ%——ゼロより下はございませんので、ゼロ%であるということになれば、やはり先見性がみずから不足しておったという、政治家としての反省に立つと同時に、遅知恵ということもありますので、そういう先見性に引っ張られて、私なりにりっぱな建設行政を進めていくべく努力をしたい。大筋として高度経済成長の後追い的政策であると言われても、それは私は甘んじて受けなければならない批判である、このように思います。
  121. 井上普方

    井上(普)委員 これは決して先見性とか、そういうような問題ではないと私は思うのです。これは大臣、西ヨーロッパ諸国を見てごらんなさい。この前も言ったことがあるのですが、ジャン・バルジャン当時にパリにおきましてはもうすでに下水道がかなりできておって、あの下水溝の中をジャン・バルジャンは走り回ったことをわれわれは小説で読まされておるところなんです。その当時日本は一体どうだったのか。やはり富国強兵という考え方が中心になっておったがために国民生活というものをおろそかにしておったのではなかろうか。もちろん下水道完備をやった動機としましては、御承知のように西欧におけるペストの流行というような動機はございました。しかしながらあくまでも考え方の基本になるものは、やはり個人の生活環境をよくするのだというところに発想が西欧諸国はあったのじゃなかろうか。日本におきましては、何と言われても高度成長政策の後追い行政として見られておるところに、私は現在の日本下水道事業の貧弱さがあると思うのです。これは決して先見性とかいうものじゃない。あくまでも個人の生活環境をいかによりよくするかということが中心になって物事を考える発想がなかったことが、いままでの日本下水道事業がおくれておる理由だろうと思うのです。したがいましてそういうような観点からするならば、ただいまおっしゃられましたように、第三次総合開発計画がどうとかこうとかいうことではなくて、いかに生活環境をよりよくするかということが中心になって計画というものが推し進められなければならぬと私は思うのであります。  そこで竹下さんと私との考え方の相違がはっきりいたしたのでございますけれども、いずれにいたしましても、現下の緊急の課題といたしましては、やはり下水道事業というものを強力にやらなければならぬと存ずるのであります。  そこで問題点を一、二申し上げてみたいと思うのです。  先ほど福岡議員が指摘いたしましたが、事業団と公団との相違、ここのところをひとつお伺いしたいのであります。すなわち公団というものは、財投の金をストレートに使うことができるから公団がいいのだと片方はおっしゃるし、また事業団の方は、公団というのでございますと、下水道事業がかなり発達しておる大都市でございますと、やはり中央の干渉を受けやすい、したがって事業団の方がいいという考え方も出発してくると思うのであります。ここらあたりについて将来二本立てでいけないものか。事業を推進するには画期的な事業をやる。事業量を多くするというには一体どういう体制が最も望ましいと思われるか。この点ひとつ大臣のお考え方を承りたいと思うのであります。
  122. 竹下登

    竹下国務大臣 お答えいたします。  私の考え方に不足しております場合、事務当局に補足さすことをお許しいただきたいと思います。  私はいわゆる公社、公団というものは、法律に基づく特殊法人であるものと、俗にいう認可法人であるものとの相違ではないかと思っております。そこで、建設省といたしましても当時特殊法人としての事業団というものを考えておったというふうに私は理解しております。ただ、客観情勢が、これもいわゆる政府全体の政治姿勢と言われてみればそれまででございますが、公社、公団というものを極力押えていこう、あるいはスクラップ・アンド・ビルドの形でないとこれをつくってはいかぬというような方針を政府全体として決めまして、その中で御理解を得て発足をいたしました、たしか地域整備事業団とタイミングがほぼ合うと思うのでありますが、これは通産省とかいろいろなところのスクラップを合わせましてこれをつくったわけでありますが、そういうかげんからどうしても特殊法人をもう一つつくるという客観的な情勢になかったわけであります。したがってセンターとして発足をいたしまして、そうして予算そのもので勝負をすることが可能であるという意味で、それを御協力いただいて、新たに事業団として改組した。だから私は、この辺が私の判然たる答弁をする能力にいささか欠けるかと思うのでありますが、予算書の付記の中へ、予算総則の中へ書き込むことができるとした場合は、いわゆる特殊法人でなくても財政上の措置は可能ではあろうと思っておりますが、いま一度その点の詳しいことは事務当局に補足をした答弁をさせたいと思っております。
  123. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 債券発行権限が規定されていないと財投の直接投入ができない、しかして、下水道事業を行う組織に対しましては住宅公団とか道路公団のように独自の償還財源がないから財投で立てかえておいても後年度返すには結局国費が要る、そういう意味で債券発行権限が書きづらい、こういうのが政府部内の考え方でありまして、当時私どもも大幅に事業を伸ばすための財源対策の一つとしても、また強力な機構としても、下水道公団を要求いたしましたが、実現しなかった最大の理由はそこにあります。同時に、狭義の特殊法人をできるだけふやさない、ふやす場合にも何か一つつぶして、というようなことも大きな理由になったと記憶しております。
  124. 井上普方

    井上(普)委員 とかく役人というのは素人にわからぬようにわからぬように言う弊がございます。いまの御答弁もそのでんだろうと思うのです。しかしながら、事業を推進しなければならないという点に立ちますならば、特殊法人を少なくするとかあるいは整理しなければならぬという時代の要請はありましたにしましても、客観的な情勢よりもむしろ下水道整備が重大であるという考え方に立っておりましたならば、最善の道が開けたのではなかろうかと思います。  私は、特にこの際公団あるいは特殊法人をつくることによって事業が進捗するという考え方は実はとらないのであります。それよりも、むしろ地方財政を豊かにする、地方の起債を、これを大量に与えるということによって事業が進捗するのではなかろうか、このように考えるのであります。しかし御存じのとおり、いまの情勢からいきますならば、五年前の地方財政計画よりもはるかに地方の財政は悪くなっております。この中において第四次の計画をやろうとするのでありますから、地方自治体の財政とにらみ合わせてやらなければならない。ここに、第四次の計画は不十分な計画であります。私から言いますならば、その速度はまことに遅々としておるとしか思えませんが、その第四次の計画すらも地方財政との関係において果たしてできるのかどうか、この点どういうようにお考えになっていますか。
  125. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに、御指摘のとおり地方財政の実態は前期五カ年計画の時代よりも悪くなっておると言わざるを得ないと思うのであります。これが総合的に立ち直りますことは、いわゆる減速経済が定着する時期が五十二年とかあるいは五十三年とか全治何カ年とか言っておるのでありますが、総括的に言えばそういう総合性の中で判断をしなければならないことと思うのでありますけれども、ことし自体を見ましても、かなり予算編成以前に起債措置等によりまして大蔵、自治両省の話し合いがついて、したがって、昨年はわずか十七都道府県しか肉づけ予算をしていただけなかったのでありますが、ことしはすでに裏負担等も含めまして一〇〇%消化するという方向でやっていただいておる県が四十三たしかございます。それはそういう起債の裏づけの自信というものが首長さんの方なりまた地方議会の方なりでもついた一つの証拠になりはしないかとも思うのであります。  ただおっしゃいますことの中で、ことしはそれでかっこうがついたかもしらぬということが私も言えると思うのであります。しかし、来年以後地方債を、なかんずく縁故債をどんどん認めさせて、それでもってすべての財源の基礎にしろという考え方がどう通用していくであろうかということになりますと、これは私一人でお答えする課題ではございませんけれども政府全体としてやはり確たる地方財政計画の問題についての意思統一を行って、継続的に安心してこの事業の消化をしていただけるような財政的基礎というものをつくり上げなければならぬ。これが、ことしの措置そのものよりも、むしろことしの行政の中で来年以後の財政措置について十分な検討を加え、そして御安心いただけるような環境をつくるというのが私どもに与えられたより重要な使命ではなかろうか、このように考えております。
  126. 井上普方

    井上(普)委員 地方財政との関係でどうなんだということを実は私どもは大いに心配するものであります。したがいまして、特に起債につきましては枠を広げるとともに、償還年限の延長ということは、特にこういうような長期的なものです、しかも耐用年数が長いはずです、これなんかはひとつ考えていいんではなかろうかと私は思います。政府の中におきましては、これはいままでの最大の償還期限になっており、三十年になっておるようでありますが、下水道施設につきましては耐用年数がセメントの事業と同じように四十年にしておるはずです。あるいは実態はもっと長いのですから、ここらあたりを御努力されるお気持ちはあるのかないのか、お伺いいたしたいと思うのです。  それと先ほど付言いたしたのでございますが、今後一体どうやって事業を伸ばすのか。事業団かあるいは公団でやるつもりがあるのか、地方自治体を主体にしたやり方をやろうとするのか、ここらあたりの見通しをひとつお伺いしたいと思います。私はあくまでも地方自治体を主にした事業遂行でなければならない、こう思うのでございますが、何か技術屋さんが少ないとかなんとか余りわけのわからぬことを申されまして、事業団もつくりあるいは公団もつくろうとするお考のようですが、ここらあたりどうなんですか。
  127. 竹下登

    竹下国務大臣 まずこの下水道事業債の融資条件でございますが、これは五十一年度も引き続き現行どおり、こういうことになっております。しかし、いまの御意見を体しましてこれは検討させていただきたいと思うわけであります。  そのいわゆる事業主体をどうするかという考えにつきまして、これは私は素人でございますので私なりに考えておりますのは、実は建設行政を行っておりますと、たとえば道路とか治水とかいう問題にいわゆる直轄と補助事業とがある。そうすると、この日本の長い歴史的慣行とでもいいますか、陳情は直轄場所を延長してくれとかふやしてくれとか、ところが直轄区間をふやすというのはそれだけ主幹道路とかあるいは交通網の多いところをふやすのでありますから、今度逆に補助であった方が負担金を出すよりもいわば少なくて済む、こういうような矛盾を私は最近感じております。  そこでその下水道事業というものに対して、いわゆる直轄工事的なものを公社公団のたぐいをつくってやるべきかということになりますと、今日の時点においては私は賛成をしかねておるのであります。端的に言えば、やはり自治体のニーズの中でおのずから企画されつくられていくべきものである。  ただ現在の果たしております下水道事業団の役割りということになりますと、またお恥ずかしい話をするようですが、私の県などは全部委託しないと本当に技術者が一人もいない。しかしながら私は、およそ私なりに素人で考えまして、土管を埋め込むんだから、これは私でもできるとは思いませんが、土木技術者の再教育をやれば、シールド工法とかあるいはごく高度な技術を要するものはあっても、一般的には大部分が配管をするわけであるから、これは技術者の再教育をすればできるんじゃないかということも思いながら、いろいろ聞いてみますと、技術者のいわゆる研修を事業団で積極的にやってやる。確かになるほどなと思いますのは、今日どちらかと言えば天下り人事反対と申しますか、そういう傾向の中で、各県から建設省へ人をもらいたいというお話がありますと、必ずといっていいほど下水道技術者をくれぬか、こういう話があるのであります。だから、そういう意味において、事業団の果たす、委託して工事自体を行う役割りと、いま一つは技術者の研修という役割りというものはやはり地方自治のニーズの中でこれに対応していく現在の機構としては必要な機構ではないか。ただ、道路公団とか住宅公団とか、いろいろ公社、公団のたぐいはございます。先ほど私ちょっと予算総則ということを申しましたが、あれは債務保証ができるという総則で、これは載っておるようでございますが、いわゆる債券発行権限がないということが法律があるとないとの違いでございますので、私は必ずしも新公団をつくってこれをやっていくという考えよりも、むしろ地方へ財源を与え、そして地方の技術者の養成に対して御協力を申し上げて、それを進めていくというのが理想ではなかろうかというふうに、私なりの素人考えでございますが、私も近時認識しておるところであります。
  128. 井上普方

    井上(普)委員 事業団と公団につきましての大臣の認識と私の認識と大体一致したようでございますので、その点、地方自治体を中心にして物事を考えていただきたいということを強くお願いいたしておく次第でございます。  それから、これは技術屋さんに聞くのですが、三次処理は一体どの程度までできるのか、そして三次処理によって燐とかあるいはまた窒素ですか、ここらあたりはどの程度にまで少なくなるのか、この点をお伺いしたいのです。  といいますのは、長野県のあれは諏訪湖ですか、あるいはまた瀬戸内海に行きましてもやはり燐とかあるいはSSなんかが非常に多量に出ておるが、第三次処理してもこれは少なくならないんじゃないか。むしろそれよりも完璧に近い下水道網を完備する方が先決じゃないかという意見もございます。ここら私はわかりません。本当にわからない。で、一体ここらあたりの考え方をどういうように考えておるのか、ここのところをひとつ的確にお答え願いたいと思います。わからなければわからないでいいですよ。特に私は言っておくが、技術屋さんというのは素人については折々もっともらしいことを言って、常識からはずれたことを答弁しがちなものですが、その点ひとつ御注意までに申し上げておくのです。
  129. 井前勝人

    ○井前説明員 お答えいたします。  三次処理と一口に申しますけれども、いろいろ目的によって種類が違うわけでございます。  まず一つは、現在水質環境基準が決まっておりますが、その決まっております項目、BOD、SSが決まっておりますが、これをいまの二次処理だけでは達成できないという場合に、それに合うようにもう少し高度に程度を上げるものが一つございます。これは、たとえて申しますと、川の自流が非常に少なくて、ほとんど大部分下水処理水しか流れてこないような河川の場合に当てはまるわけでございまして、環境基準では最低がBODで申しますと一〇に決まっております。下水道で二次処理いたしますと、二〇までが一応限界といわれておりますので、それを一〇に合うようにするには、BODであればさらにもう一回処理して一〇以下にするようにする、これが一つでございます。  それからもう一つは、いま御指摘のように、湖あるいは瀬戸内海のように非常に水の流れの悪い、閉鎖水域とわれわれ言っております。けれども、こういうところでは、下水の二次処理水をそこへ入れますと、いまの生物で行います二次処理方法ではやはり下水処理水の中に窒素、燐等が若干残っておるわけであります。むしろ大部分残っておる。これがそういう閉鎖水域に入りますと、いわゆる栄養過多になりましてモが発生するということになりますので、モの発生はまたいわゆる水質公害になるわけでございますので、このために、そういう水域については、二次処理では取れない下水処理水の中の窒素、燐をさらに取ろうというのが二つ目でございます。  もう一つは、水資源として考えた場合に、使用目的に合うように、もう少し程度を上げてしようというのが三つ目でございます。  しかし、私どもの当面の考え方としましては、第一番の、現在すでに環境基準が決まっておりますBOD、SSを達成するためには、いまの二次処理をもう少し程度を上げなくちゃいかぬ水域に限定いたしまして、そういうところはまず当面の問題として三次処理をしていこうと思っておりますが、この第一番目のテーマに対しましては、比較的技術的にもBODとかSSを落とす程度の三次処理技術でございますので、建設省では四十六年ごろから技術開発をしておりまして、これにつきましてはほぼ実用化のめどがついておるわけでございます。現に多摩川の流域下水道で大型実験で施設ができておるわけでございますが、これはほぼ実用化のめどがついております。  それから第二番目の湖沼等の富栄養化を防止するために、二次処理水の中の残っておる窒素、燐をもう少し取るという問題は、御指摘のようにまだ技術的に開発すべき問題がございます。これにつきましては並行して実験プラント等を使いまして、まだ実験を続行中でございます。  そういうことでございますので、理論的には、三次処理いたしますと窒素や燐も相当除去できるわけでございますが、たとえば一つの例でございますが、二次処理水だけですと、その水の中にまだ窒素化合物ですと、たとえば三〇ppmくらいまで残っておる。燐などは四ppmぐらいまだ残っておるわけでございます。このままですと、やはりそういう湖沼等に入れますと富栄養化の原因になりますので、三次処理をいたしますれば、窒素化合物で三〇のものは大体三ppmぐらいまでは除去することができるわけでございます。それから燐につきましては二次処理水に残っております四ppmのものは一あるいはそれ以下ぐらいには除去が可能だというふうになっております。これは理論的な数値でございますので、実験を並行していきながら、技術開発をなお研究する必要があろうかと思っておるわけでございます。
  130. 井上普方

    井上(普)委員 しかし三次処理をやる。まあ実験的にこれはできておるとおっしゃいますから、ひとついまのお話をそのまま素直に私は受けとめておきたいと思います。ただ、ともかく早く技術開発をやってほしい。  大臣、私のところでこういう事例があるのですな。これは農林大臣に言った方がいいかもしれませんが、畜産を盛んにしなければならぬ、日本の食糧自給のためには畜産をうんとやらなければならぬというのは、これはもうだれが見てもわかるところなんです。ところが畜産する場所がない。したがって山の中へつくった。ところが、山の中へつくったところが谷川を伝って地下水に入ってきて、そしてそこから大体、そうですなあ、十キロから十四、五キロ離れたところの町営の飲料水の取水口ですな、上水道の取水口に実は窒素物がともかく混入し始めておる、一体どうしたらいいのだろうかということをつくづく聞かされたのであります。狭い国土でございますので、これは解決するにはやはり汚水の処理技術といいますか、この開発がなければ私は解決できないのだろうと思います。その点私どもも町村の当局者に悩みを聞かされまして、やはりもう少し国が研究開発をやる必要があるなということを痛感したのでありますが、恐らく日本におきましても、これは単にいまの下水処理の問題も、やがて畜産の出す排せつ物に対する処理それ自体までも考えなければいかぬ事態が来るのじゃなかろうか、このように思います。そうしますと大量なものになります。これの技術開発を、やはり先ほども申しましたように、公害の後追いという考え方じゃなくて、むしろやはり生活環境をよくするという観点からこれの技術開発をやる必要があるのじゃなかろうか、このように思います。したがいまして、どうかこの下水処理という点につきましては、やはり日本技術というのは歴史が浅うございますから、格段の努力を払っていただいて研究開発に大いに力を入れていただきたいということを最後に付言いたしまして、時間が来たようでございますので、この程度にいたしたいと思います。
  131. 渡辺栄一

    渡辺委員長 瀬崎博義君。
  132. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 今回の下水道法及び緊急措置法の改正が水質汚濁の防止を目的にして提案されたものであるということを前提にして質問をいたします。  閉鎖水域の代表格である琵琶湖については、私もいつも強調しているのでありますが、近畿一千三百万住民の水がめであるという特殊性を持っておるわけです。そういうふうな立場からするならば、現状維持の水質保全ではなしに積極的に水質を回復する対策が必要なんだ、こういうふうに考えるわけなんですけれども、この基本的な観点についてまず建設大臣の考えをお聞きしておきたいと思います。
  133. 竹下登

    竹下国務大臣 琵琶湖を水がめとする一千三百万人の国民のいわゆる環境確保のための水質保全という問題についての瀬崎さんと私の基本的な認識は、相対峙してはいないというふうに私も考えます。ただ、これが今後の研究開発の問題でありますとか、あるいは具体的な問題につきましては、余りにも知識が私にいま乏しい現在でございますので、事務当局からお答えすることをお許しいただきたいと思います。
  134. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私はそういう事細かなことをお聞きしたのではなくて、とにかく一般的に言われる閉鎖水域に加えて、琵琶湖は近畿全住民と言ってもよいほどの人々がここに命を託しているのだ、こういう認識があるのかどうかということと、それがあるならば、現状の水質を保全するだけでは足りない、この水質の回復をこそ急務とするのだ、こういう考え方に大臣が立ってくれているのかどうか、これをお聞きしたわけなんですね。そういう点は基本的に一致するだろうということなんですから、そういうことで話は進めます。  ところが、その琵琶湖を持つ滋賀県の下水道普及率は、先ほどから強調されている大臣の出身県と負けず劣らず低いわけですね。五十年末で三・四%です。ですからこれまた全国最低ランクなんです。これが確かに大臣の出身県ならその影響するところはその県内にとどまるけれども、さっき言いましたように、琵琶湖はそれで済まないという特殊性を持っているわけですね。そういう状況のために、現在工場排水等について見ますと、水質汚濁防止法に基づいて特定施設を設置しているのは全事業所七千八百二十のうち二千百六カ所なんですが、このうち下水道に排出しているのはゼロであります。すべてが直接公共水域に流されている状態なのであります。こういうふうな状況のもとで、今回のこの下水道法改正がさてどういう期待をわれわれに持たしてくれるのか、この点を聞きたいと思うのですね。
  135. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 琵琶湖地方の下水道整備がおくれておりますために、現在、個々に処理して直接公共用水域に流している工場ばかりだということであります。しかし琵琶湖総合開発との絡み、またそれを離れましても、下水道の急速な普及が必要な地域でありますから、今後の投資努力によって、流城下水道並びに公共下水道が進んでいくにつれて、その処理区域の中の工場排水は下水道を経由して入ることになる、その場合に今回の改正が効果を発揮する、こういうことになると思います。
  136. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 さて、そういう効果を発揮するためには二つの関門があると思うのですよ。さっき言いましたこの二千百六カ所の特定施設のうちで、県条例に基づいて調査対象になっているのは一日三十トン以上の排水を行う事業所なんです。これが四百九十八カ所あります。その中でいわゆる規制対象事業所となっているのは三百三十二であります。これに対して滋賀県がようやく年一回立入検査を行って、その結果違反件数が六十八件あった、こう報告されております。立入検査した分に対してのみの比率で二〇%の違反率。そして皆さんもよく御存じのように、二、三年前には全国を騒がした草津の日本コンデンサーのPCBのたれ流し問題がありました。これはそのたんぼの復元問題でことしになお尾を引いているわけです。ごく最近では同じく草津市の高砂製作所が多分原因だと言われているのですが、井戸水のクロム汚染問題が起こっているわけですね。先ほどのような琵琶湖の立地条件を考慮するとき、私たちは本来このようなことが琵琶湖周辺で起こってはならないことだと思うのですが、この点については環境庁が来ていると思うのですね。今回は水質汚濁防止法の関係しかありませんから、環境庁の見解を聞いておきたいと思うのです。
  137. 島田隆志

    ○島田説明員 琵琶湖の水質の現状につきましては、先生の御指摘のとおり生活環境項目で一番代表的なCODで見てみましても一〇〇%を達成できていないというような、残念ながら非常に悪い状況でございます。今後滋賀県につきましては、先ほど先生の御指摘にございましたように、非常に厳しい上乗せ規制等も実施しておりますし、排水工場あるいは事業所の排水規制の適確な実施というものがまず大事だと思いますが、やはり琵琶湖に流入します汚濁物質を見てみましても、生活系排水が約半分ぐらいありますので、われわれも下水道整備というものが十分重点的に実施されるよう関係機関に協力をお願いしていきたいと思います。  また違反状況でございますが、先生御指摘のとおり、特定事業所の中で検査しました。検査するところは特に悪いところが重点的になろうかと思いますが、その中で六十八工場が違反していたというのは事実でございます。こういうところを、今後滋賀県を通じまして、監視の強化あるいはそういうものの指導監督強化を十分図ってまいりたいと思っております。
  138. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いま私が二〇%の違反率を指摘したのは、辛うじて年一回きわめて限られた対象範囲を検査しての話なんです。だから、これに漏れているのは相当あると思われるし、あるからこそいま言われたように琵琶湖は汚れていくわけなんですね。本当に琵琶湖の水質の汚濁を防止し、その回復を図ろうとするときに、先ほど言いました一つの関門ですね。ただ単に、量的に下水道建設したから解決するという問題じゃないと思う。現在でも、下水道建設がおくれてもできる措置はある。つまり水質汚濁防止法において特定施設については許可制にする、あるいは常時監視体制を公共機関に義務づける、それの予算の裏づけを国がしてやる、こういうこととか、まずこれにならって、下水道法改正に当たっても、当然琵琶湖周辺のような閉鎖水域は特定施設の設置は許可制にする、また下水道管理者の常時監視の体制を義務づける、こういうことがあって初めて下水道建設も私は生きてくると思うのですね。こういうことをそれぞれ環境庁及び建設省において早急にやる意思があるのかどうか、これをまず環境庁からお尋ねしたいと思います。
  139. 島田隆志

    ○島田説明員 許可制の件につきましては、一つは先ほども午前中にも質問があったと思いますが、特に琵琶湖につきましては、現在、県の条例によりまして総量規制的な先生の御指摘の許可制、そういうものをやっておりませんが、ほかの県以上に総量規制的な(瀬崎委員「本当の総量規制じゃない」と呼ぶ)罰則等を伴ったものではございませんが、総量規制を実施しております。(瀬崎委員「的なですね」と呼ぶ)その許可制につきましては総量規制全体の問題としていま勉強しておりますので、閉鎖性水域、瀬戸内海、伊勢湾とかそういうところを中心にして勉強しておりますので、その一環として勉強してまいりたいと思っております。
  140. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 下水道法の今回の改正案で、従来の水質汚濁防止法と一致していなかった、いわば弱かった点がすべて水質汚濁防止法並みになるわけでございます。私ども、この事前届け出制度と計画変更命令制度、さらにその後の随時発動できる改善命令の制度並びに直罰制度、これが整いますれば事実上許可制と違わない効果が期待できると思います。また常時監視にいたしましても、これは現行下水道法にもすでにありますように、まず企業側にかなり頻度の高い水質測定義務を課し、記録して保存する義務を課し、必要とあらば立入調査権を下水道管理者に与え、監督規定整備していくというところから、その企業側の水質測定につきましては、もちろん罰則もあるわけですし、疑わしければ随時立入検査等による調査あるいは報告を徴することもできるわけでございまして、先生のおっしゃるような意味の常時監視にほぼ匹敵する体制があるのではないか。問題は、担当の部局における専門家の数とか組織の体制あるいは監視技術の問題があるかと思いますけれども、これは、いろいろ技術開発の面は予算を増強し、調査を進め、また人の面ではそういった専門家を類似部門から転用するなりあるいは大学の課程を強化するなりして増強していくということで、逐次本格的な体制に持っていくということだと思います。
  141. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 許可制と同じような効果を持っていると言うのだけれども、現状すでに滋賀県の場合は、さっき言いましたように、二千百カ所の事業所が全部公共水域に直接流しているわけですね。われわれは何でもかんでも工場排水を家庭排水と一緒にして処理せよと言っているのじゃないけれども、当面分離処理が困難な場合、公共下水道に入れさせて厳しく規制していこうと思っても、企業側の任意届け出ではそうなり得る可能性あるいは保証はないわけですね。そういうことを許可の条件とするような規制がやはり必要だろうと思う。  一方、一般公共水域に排出している方の工場排水については、閉鎖水域について許可制も含めて総合的に検討する必要があるといま環境庁は言っているけれども、といっていまの話から、必要性はあってもどうもすぐにやろうという気構えではなさそうですね。だから私は繰り返し言っているように、閉鎖水域一般あるいは全国一般で考えるのではなしに、あえて滋賀県は少々厳しい規制を受けよう、こういっているのだから、それができるように、琵琶湖をめぐる閉鎖水域についての特殊性に応じた処置を、環境庁それから建設省両方でとるべきではないか、こういうふうに言っているわけなんです。いわゆる一般閉鎖水域と分離して琵琶湖の特殊性をさらに考えるのか考えないのか、結論はここに来ると思うのです。この点はどうですか。改めて両方から答弁を求めます。
  142. 島田隆志

    ○島田説明員 先ほども答弁いたしましたように、現行法体系でできることは十分やっていきたいと思いますが、いますぐに琵琶湖で許可制にするかどうかについてはいまお答えできる段階でございませんが、全般的な閉鎖性水域の一環として取り上げてまいりたいと思っております。
  143. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 届け出制でありましても罰則は働くわけですし、許可制にしても事実上手が回らないということになれば同じことでありまして、要はその実行体制の問題ではないか、こう思います。それと琵琶湖に特殊性があるという場合の、その特殊性の反映の仕方は、許可性にするというようなことではなくて、むしろ基準そのものを上乗せしていくとか、そういった問題ではなかろうか、こう考えます。
  144. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 基準そのものの上乗せを現にしておっても、現在の制度ではやはり手が回りかねて違反も出てくるわけですね。だから、後追いにならないように特定施設をつくられる時点でのチェックを厳しくする以外には、現在のような状況のもとでとてもじゃないが地方自治体で規制し切れるものではないという事実を認識してほしいわけです。  時間の関係もありますので、もう一つの関門の方ですね。それじゃ下水道建設が間に合うのかどうかという、こっちの問題です。新しくつくられようとしております第四次の下水道五カ年計画七兆五千億円に対応する琵琶湖関連下水道整備の事業費は一体幾らになっているのですか。
  145. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 従来の総事業費が二兆六千億円であったものが、今回予備費を入れて七兆五千億円、除いても七兆一千億円と約三倍にふえますので、当然琵琶湖関係の下水道事業費もかなり大幅にふやす必要があるし、またその余地があると思います。しかし、現在のところまだ琵琶湖に対する五カ年計画の割り振りを五カ年分について決めたわけではありませんので、ここでは数字としては申し上げられませんが、相当大幅に伸ばす必要があると考えております。
  146. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ことしの一月に一応建設省と県当局が一定の理解を深めながら第四次五カ年計画に対応する数字としてはじき出しているのは、千四百八十一億円ではないのですか。
  147. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 この数字は、新らしい五カ年計画の大体の趨勢を見あるいは補助対象割合等を決めていくためにおよそのめどとして、琵琶湖に限らず全国的に仮に設定した数字でありまして、これをもって決めるという性質のものではないわけでございます。
  148. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それじゃ、これで実施して滋賀県の普及率は一体幾らになりますか、五十五年で。
  149. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 千四百八十一億円で試算いたしますと二一・五%になるという計算です。
  150. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 結局あれでしょう、全国平均で昭和五十五年には四〇%に持っていこうというときに、滋賀県の場合はまだその半分でしょう、この琵琶湖という非常に大事な湖を持っているところで。ここに私、問題があると思うのですね。これは大臣もよく聞いてほしいのですよ。  そもそも琵琶湖総合開発特別措置法が制定されるときに、当時の西村建設大臣は、この最大の目玉は下水道なんだ、特に前半五カ年で大半をやってしまうんだということを繰り返し繰り返し力説されているのです。これは議事録にもちゃんと載っておりますね。ではそのときの事業予算は十カ年で何ぼであったかといえば、五百九十億円なんですよ。この五百九十億円で湖北、湖の北の方を除く琵琶湖を取り囲むほぼ全域の下水道ができると当時説明しているわけなんですが、では現実に実際湖北を除く滋賀県の全地域下水道を網羅しようと思ったら幾らかかるのか。これも県の試算でありますが、まず第一に、管渠が、琵琶湖総合開発計画を決めたときには百十八キロメートルしか見込んでおらなかった。実際にはプラス九十六キロメートルいくので全長二百十四キロメートルになるので、ここで約九百七十三億円ほどふえてくる。それから第二に、三次処理は当初計算に入っていないので、これを加えると八百五十億円ふくれ上がってくる。第三に、流域下水道に流す公共下水道は当初七市十五町しか予定していなかったが、一応流域下水道の通過するところを全部含めなければならないので、ここでプラス百六十億ほどでてくる。第四に、四十六年当時の単価と今日の単価の上がりがありますね、一・八倍ないし二倍。これらを総合すれば二千六百五十四億円かかるというわけだ。いまから四年前にこの琵琶湖全体に下水道を網羅するといってはじき出した数字五百九十億円とこの二千六百億円と、余りにもかけ離れているでしょう。こうなってきますと、結局政府が大宣伝した下水道事業なるものは、本当の琵琶湖総合開発計画の目玉、ねらい、つまり下流大企業に水を送る利水事業、これをカムフラージュするための幻の大目玉がこの下水道事業であったんではないか、こういうふうにわれわれは今日言わざるを得なくなってくるわけなんですよ。  そこでこれは、国土庁来ていますね。国土庁に聞いておきたいんですが、なぜこの同じ下水道事業建設予算であるにかかわらず五百九十億と二千六百億との差が出てきたのか、この点をはっきりさしてほしいんです。
  151. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 琵琶湖総合開発計画に基づきます事業の最緊要な事業といたしまして現在下水道事業を遂行しているわけでございますが、琵琶湖総合開発計画で当初五百九十億円という一応の金額を出しておりますのは、これは先生御指摘のように四十六年価格でございまして、事業の実施過程におきましていろいろこういった価格、金額の面につきましては変動があるわけでございまして、琵琶湖総合開発計画内閣総理大臣が決定いたしました計画そのものといたしましては、その金額によって影響されるわけではなしに、最初に基本計画でこの滋賀県の琵琶湖周辺につきましてどういった対象区域、どういった整備水準まで上げる、こういうことを基本的に想定してやっているわけでございますが、そのときはたしかいまの整備率を三四%として考えているわけでございます。その三四%にいたしますにつきましても、かなりこの五百九十億円という金額、さらには三次処理というものが加わりますので、相当金額がふくれるということは私ども十分承知しておりまして、その辺、新しい下水道五カ年計画の中でどう考えるか、現在全体の中で関係者との間でいろいろと協議している次第でございます。
  152. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 時間が来ているそうなんで、端的に答えてほしいんですが、じゃ国土庁は本当にこの琵琶湖の水質回復を図っていくために必要な下水道事業は五百九十億と考えているのか、それともごく最近に県がはじいた二千六百億必要だと考えているのか、どっちなんですか。
  153. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 五百九十億円はこれは四十六年価格でございますから、これでできるとは考えておりません。当然これは相当な額になると思いますので、その辺につきましては今後建設省その他と協議して決めたいと考えております。
  154. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 とにかく琵琶湖総合開発自体について、五百九十億で出発して現在は二千六百億必要ではないかという。これは物価上昇だけでは説明し切れない。予算規模に差が出ているんですね。  もう一つ。いまの第四次下水道五カ年計画で現在仮にはじいている数字が先ほど言われました一千四百億円でしょう。ところが本当に下水道をやろうと思ったら二千六百億要るというのです。ここにもまた大きな開きがある。琵琶湖総合開発計画は十カ年の時限立法だから五十六年で終わるはずなんです。五十五年度で一千四百億円では、あと一年で千二百億使わなかったら琵琶湖周辺の下水道ができない。ここにまた大きな矛盾があるわけです。つまり新五カ年計画とそれから本当に必要とする琵琶湖周辺の下水道計画とにも説明のし切れない矛盾が私はあると思うのです。こういう点について本当に下水道を推進しようというなら、もう少し計画に整合性を持たせる必要があるのではないかと思うのですね。琵琶湖総合開発計画の方から来るもの、それから五カ年計画の方から来るもの、そして本当にどれだけの下水道を琵琶湖でつくらなければならないのか、こういうような点をもう少し国土庁、建設省、さらには環境庁、関係省庁、真剣に考えてもらいたいと思うのです。どれが一体本当にやろうとする目標なのか、あいまいの限りだ、こういうふうに言いたいと思います。  そこで結論になるわけなんですが、この滋賀県における下水道建設というのは、単に滋賀県民や県内各地方自治体に属する住民の生活環境対策というふうな狭いものではない。その比重から言うならば、むしろ近畿全体のために、近畿全住民の生命を守るために行われる下水道事業なんだ、こういうふうな性格も私は強いと思うのです。だから、事業の主体は自治体であっても、もっとやはり国が国家的事業として責任を自覚してもらわないといけないし、そういう点から自治体のやりやすいようないろいろな施策というものを国の責任において考うべきではないかと思うのです。この点、建設大臣どうですか、そういう自覚を持っていただいておりますか。
  155. 竹下登

    竹下国務大臣 近畿千三百万の水がめであるという認識の上に立って、私もこの総合開発の事業実施主体としての責めを果たしていきたい、このように思います。
  156. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 われわれは建設省がちょいちょい心配されている向き、つまり下水道建設が即環境を破壊するなどというような非科学的な見地には全く立っておりません。これは必要だと思っているのです。しかし、現に滋賀県で急速に拡大しようと思った流域下水道建設が暗礁に乗り上げていることも、これまた事実なのです。これはわれわれが主観的にどうしようと思っても動かし得ない客観的事実として存在します。その点では今日までの教訓はくんでおいてほしいと思うのです。  暗礁に乗り上げた原因としては、やはり第一に、終末処理場の用地の選定に問題があった。これはただ単に自然条件で誤っておったというだけではなくして、社会的条件において、過去琵琶湖周辺には埋め立て地がたくさんあるのですよ。二百万平方メートルもあるわけです。こういうものが政府に申請した埋め立て目的に反して、ゴルフ場になったり未利用地になったりしている。しかもそれにかんでいるのが、残念ながら自由民主党の河本嘉久蔵参議院議員などであって、われわれがこれを国会で指摘しているのに何ら政府が解決のために手を打とうとしない、こういうことに対する不信がある。  第二点は、処理場規模にも問題がある。琵琶湖に適する規模を検討する必要があるのではないかと思う。  第三点は、この計画が事前に十分住民との間で相談されていない。こういうところが、今日ただ単に金をつけたら解決するということではない事態を生み出しているわけですね。われわれはこういう点は特に政府のこれからの施策に反映させてほしいのです。  そこで最後に、われわれの要望を伝え政府の見解を求めたいのですが、すでに金丸国土庁長官は、琵琶湖総合開発特別措置法並びに関連法案を含めて計画の見直しをここで言明されております。私は少なくともその見直しに当たって三つの大きな柱があるのだということを申し上げました。これはやはりそれの裏づけにもなると思うのです。下水道について言うならば、まず一つは、先ほど言いましたように、琵琶湖の保全に必要な下水道事業内容と事業規模を検討し直すこと。予算額で見ても幾つもの規模が琵琶湖について出されております。二つ目には、それを現実可能とするための財政的な措置。これは補助率アップとか補助対象範囲の拡大とかいろいろなものを含みますね。それから技術者の養成等の体制の整備、これを検討すること。三つ目には、事前のアセスメントや住民との合意を得ながら事業の推進を現実可能とする期間は一体どれぐらいかかるのか。これもここではっきり検討し直しておくことが必要だと思います。四つ目は、先ほどから言っております許可制の問題とか常時監視の問題等、特別な規制手段をこの琵琶湖関連に導入することの検討。こういうことが、先ほど言いましたように、下水道法改正や水質汚濁防止法の改正でなかなか急にはいかないというのなら、琵琶湖総合開発特別措置法改正か何か特殊立法ででも私はやらなければならないと思うのです。これはすでに国土庁長官の言明していることでもあるし、当然やる気があるならやれると思うのです。大臣の見解を求めて私の質問を終わりたいと思います。
  157. 竹下登

    竹下国務大臣 当然、国土庁の方でこの計画の見直しが行われました場合には、実施官庁としての私どももその線に沿って五ケ年計画の中でどうこれを組み入れていくかという基本的な見直しをしなければならないと思っております。なお、その他の御要望の事項というものはその時点においてのみならず、私は御意見として絶えず参考にしながら進めていく貴重な御提言であった、このように思います。
  158. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 国土庁の方は、いま私が四点、下水道問題について再検討課題を挙げました、こういうことは十分考慮しますね。
  159. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 国土庁といたしましては、現在琵琶湖総合開発計画の見直しをやっておりますが、御指摘のような四点につきましてはいずれも検討の対象として考えているわけでございます。
  160. 渡辺栄一

    渡辺委員長 渡辺武三君。
  161. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 すでに各委員からあらゆる角度からの質問が出ておりますので、私はなるべく重複しないように二、三の点について御質問をしたいと思います。  まず第一に、この下水道整備というものが緊急に必要だ、そして整備促進をしなければならぬという立場に立っていろいろ計画がされておるわけでございますけれども、第三次の整備計画、五カ年計画の実際の計画とその達成を見てまいりますと大変に達成率が低いようでございますが、その主たる原因をひとつお聞かせを願いたい。
  162. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 過去五カ年の間に著しい物価の上昇がありました。この単価アップの要因が一番大きなものであります。そのほか、たとえば管渠の工事におきまして、いろいろ騒音対策その他から路面を掘り返して埋める比較的安価な工法を採用できないで、シールド工法等によらざるを得なかったような場所も多く出てまいりました。また、処理場処理水の水質につきましても、法律に基づく一律基準を予定しておりましたところが、各公共団体において続々上乗せの排水基準が定められ、それに適合するために処理能力を大幅に拡大しなければならない。これは処理場建設単価アップにつながるわけであります。その他、処理場の環境対策として市街地以外につくられるものについても、悪臭を防ぐためにふたをしなければならぬとか、その他大気汚染防止、植樹等の費用をどうしても投入しなければならなくなった。こういった要因が重なりまして、事業費では一〇〇%ですが事業量では五〇%未満というような結果となったわけでございます。
  163. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 原因は大体わかりましたけれども、それではその事業量の不足分を補うための手段としてどういうことをおやりになったですか。
  164. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 これは実勢単価を補助対象にしてあります関係で、単価が上がりました以上事業量は減らざるを得ません。そういうことで第三次五カ年計画は終わりましたが、第四次の計画としては昭和五十年度の実績単価を拾いましてその額ではじいておりますので、今後新しく予期せざるシールド工法が必要となるとか、新しい排水基準が上乗せされて、そのために一人当たりの処理場建設費が著しく変わるとか、そういった要因は今後はほとんど生じないものと思われます。物価は若干は上がるかもしれませんが、これにつきましては極力経費の効率的使用、最悪の場合には予備費等の準備も考えまして、何とか今度の五カ年計画につきましては金額と実質量の乖離が大きくならないように努めたいと思っております。
  165. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 私が聞きましたのは、第三次五カ年計画が事業量において達成率五〇%という状態のまま推移をしてきたわけですから、その間に少しでもより多くの目標達成するためにどのような努力をなさったか、実はこういうふうにお聞きをしたわけですよ。御答弁は、主たる原因が物価が高くなり、あるいは工法等のコストのアップ等々だという、まあ原因はわかった。原因はわかったけれども、それらを克服するためにではどのような努力をなさってきたのだろうか、こういうことをお聞きしているわけです。
  166. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 事業の実施の面で節約できる要素があれば、そういったものは極力活用してもらったわけでございますが、物価の上昇等の要因から比べれば微々たるものでありますために、単価アップはほとんどそのまま事業量のダウンにつながってしまいまして、これを第三次の五カ年計画で取り戻すことはできなかった次第であります。
  167. 竹下登

    竹下国務大臣 これは私からも反省を加えて渡辺委員にお答えをいたしておきます。  私も素人ながら、建設省へ参りましていろいろな勉強をしておりますと、従来いわゆる実施官庁的な性格が余りにも強かったために、言ってみれば、途中で急激な変化が起きた場合、基礎的な問題として実勢単価でもって行うということになっておりますだけに、道路でも金目では十分消化しておるけれども、実質は百メートルのものが八十メートルになりますとか、そういうような計画の推移がどの長期計画を見てもあるのであります。それがいわゆる金目ではなくして、この事業量、たとえば住宅建設になりますれば何百万戸と、こう決まるわけであります。私も、そういうものはそれなりの決め方だなと思ってそれを見てみますと、今度は予算が不足しておるとかそういうことではなしに、むしろ他の外圧とでも申しましょうか、あるいは総合的な判断が足りなかったと言えばそれまででありますが、関連公共施設整備等に対する地方自治体の財源問題とか、そういうことで必ずしも完成されていない。そういうことを総合的に見ますと、たとえば達成率とかいうようなものは、いわゆる事業ベースというものと予算ベースというものとの二本立てで見ると同時に、これが途中で、たとえば実勢単価の場合スライド条項等によりまして是正されることがあるような措置というものも、今後減速経済になるという前提のもとに、将来を展望しての大きな施策として私は政策官庁としてもう一遍考えてみなければいかぬ、ちょうどその時期に来ているのではないか、こういう感じがいたしましたので、私は振り返ってみて、中途で五カ年計画の中は節約等をしながら工夫してやってみたものの、それが大きな効果につながっていないと残念ながら素直に認めなければならない、こういうふうに感じたことを申し添えさせていただいておきます。
  168. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 私があえて指摘をいたしましたのは、たとえば道路の五カ年計画がございますね。これは、大体、いままで五カ年計画でありながら三年間ぐらいでほとんど会計がされているのですよ。しかも、実際にはその年次に計画されたことは三年間ぐらいで遂行しながら、五カ年計画と称した計画が立てられて、実態は三年間で終わってしまっておる。そういうことが同じ建設省の中でありながら、下水道だけは、非常に緊急に必要だと言われながらも、五カ年計画が五〇%ぐらいしか達成できていないというのに、五カ年いっぱいいっぱいをやってしまった後で、いや物価が上がりましたから、非常に工法の単価がアップしましたからということだけでは、本当に緊急的に必要かどうかという認識を持っておられるのかどうかということすら疑われるというふうに感じますので、あえて実は御質問申し上げたわけでございます。  五カ年計画だから五カ年間やってしまわなければということではないはずですね。これは道路計画を一つ例にとってみても、私はそういう状態になっていると思います。そういう意味で、基本的にいま国民の生活を守るために大変必要欠くべからざるものになっている下水道というものに取り組む姿勢というものが、その辺に私はやはりあらわれてきていなければいけないのではないだろうか、こう考えるわけでございます。  そこで、先ほど原因としていろいろな、主として物価上昇を挙げておられましたが、私は、特にその中でも、一つあえて言われなかったいわば下水道工事に対する反対運動、特に終末処理場についての反対運動が相当熾烈に行われている地区がございます。特に私の関係をしておる境川流域下水道の事業も、大変この住民反対運動が強いわけでございますけれども、この辺はどのように把握をしておられるのか、あるいはどのように対処をしていこうとされておるのか、お聞かせを願いたい。
  169. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 下水道処理場につきましては、おっしゃるとおり地元の反対運動が強い場所がありまして、用地の取得に時間がかかり、あるいは用地取得後も実際の工事にかかるまでにたび重なる折衝を経なければ着工できないというような個所がかなりあることは事実であります。まあ、昔と違いまして、最近の処理場は悪臭を発生しないようにふたをかぶせるとか緑化するとかあるいは公園化するとか、いろいろなことを複合してやりますものですから、そういった処理場を見学していただくとか、いろいろな措置をまぜまして、御理解をいただくということを努力しているわけでございます。  なお、境川の流域下水道は非常に急がれている場所でありまして、県でもぜひやりたいという覚悟でやっておられますが、これも優良農地がつぶれるとか、工場排水のウエートが高いために二次公害のおそれがあるのではないかというようなことから、一部地元の住民の方に反対がありまして、用地買収もまだ半分程度しか進んでいないという状況であります。県でもぜひともやらなければならない事業であるという認識のもとに、知事の私的諮問機関として専門家あるいは一般の学識者、こういった者を加えまして、下水道整備のあり方という中で境川問題もとらえているようでありますので、その結論に従って県としての判断が近くなされるものと思います。私どもはこの下水道がぜひ必要であるし、手続も必要なものを終えてきているわけでありますから、何とか御理解いただいて、一日も早く処理場の着工ができるように努力いたしたいと思います。
  170. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 やはり国として、たとえば建設省としてそのような反対運動に対する住民の方々に説得といいますか、納得をしていただく努力、これが大変不足をしておるのではないだろうか。  たとえば終末処理場処理技術、これが先ほども問題になっておったようでございますが、現状は一体どうなっておるのか、この辺に大変疑問を持った、いわば他市町村の公害をなぜわが村で受けなければならぬのか、こういう素朴な住民の疑問が出てきておるわけですね。したがって、それらに対応して一体どうなるかということが、実はいろいろな学者の意見等も発表されたりなどして住民の判断を非常に迷わせてしまうといいますか、複雑にしてしまう、こういうことが間々あるわけでございますけれども、それらに対応して建設省としては一体どういうふうにしておられるのか、この辺、推移を見ておりますと非常に疑問なのですね。  そこで、実際の終末処理場を設置する市町村長、この方々も当然選挙によって選出をされる方々ですから、えてしてその工事をおくらかすという形で実は延引をしてしまう、さらには工場排水は全部排除してしまうという形での妥協といいますか、こういうことが往々にして行われていくわけでございますね。そこで、工場排水にいたしましても、特定施設その他厳格に施設できるような資力を持った大企業あるいは中企業くらいまではいいと思いますけれども、本当に困ってくるのは小企業であり、零細企業というものが、これは大変な、一つの零細企業ではなかなか設置できない設備、これを強制されてくるわけでございますから、本来的には地方公共団体が、たとえば工場団地をつくり、そしてその団地の中の排水というものあるいは処理施設というものを公共的な立場で用意をして、そして工業団地として提供する、こういう形ならばいいわけでございますけれども、一零細企業のみでそれを解決しようとするとなかなか大変な問題になってくるかと思います。そこで、そういうことが実は地方自治団体のベースで個々に話し合いがされているわけですから、その辺を一体建設省としてはどのように把握をして、どのようにこれから対処をしていこうとなさっておられるのか、この辺もう少し詳しくお聞かせ願えませんか。
  171. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 住民の反対運動に対しましては、処理場そのものを美化していく、公園化していくということで、そういった予算も今回から新たに補助対象に入れるようなことをいたしましたし、必要な場所は二次処理以上の高度処理をしていくとか、あるいは放流する場所につきましても、当初から十分厳密に検討して、いたずらな不満を残さないように配慮するというようなことが必要だと思います。  工場排水につきましても、今回の下水道法改正ができますと、水質汚濁防止法並みに強化されるわけでありまして、従来以上に強い規制が働きますから、工場排水の受け入れ分量が多いからという理由で、そのためにその処理場あるいはその処理場の放流水が非常に汚れるであろう、有害物質が流れるであろうということはなくなるはずのものでございますが、これも法律だけではなくて、実行上特に零細中小企業等が除害施設をみずから設置しなければこの法律に対応できないわけでありまして、この除害施設の設置に対する助成措置は、国でも各種の公庫、事業団等にその枠がありますほか、地方公共団体も特に大都市などはことごとく各種の融資制度、融資あっせん制度あるいは利子補給制度をとっております。小さな工場の有害物質の出る工程の分だけの汚水でございますと、これは分量も小さいわけでありまして、薄めてしまうまでの間にそれを集めて処理するということは、比較的経費も安くできるわけですし、処理場そのものもそう驚くほど多額にかかるわけではありませんので、いままでありましたようなこういった融資措置等をフルに活用できればこの法改正による対策は十分講ぜられるのではないか、もちろん個別にはいろいろな問題があるかもしれませんが、そういったものは、この法律が施行されるまでの猶予期間もございますので、十分に話し合って、必要な枠を確保していくということに努めたいと思います。
  172. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 局長、言葉の上だけのPRではだめなんですよ。それは納得をなかなかしにくい。たとえば終末処理場がつくられても、いまの技術では有害物質は十分に除去できないのだ、特に第三次処理はまだ技術が十分に完成をしていないのだ、あるいはまた汚泥ケーキの焼却から出る公害等々、いろいろな疑問点を実際は投げかけておるわけですね。だから、それらに対して一体どうするか。終末処理場は非常に美化ということを重点に置いておりまして、悪臭もなかなか出ないようにいたしましてと、こういうことだけでは、これは実際だめなんですよ。もう少し実際に起こっておる問題の現実というものを十分に把握をされて、本当に真剣になって取り組まないと、これは非常に大きな問題になってくるのではないか。だから、私が先ほど言いましたように、地方自治団体のレベルでそれらがいまいろいろ対応されておる。結局、市長なり村長なりはできないから、だから文句のあるやつは全部排除してしまえ、こういう形でのいわば妥協がされてきつつある、こういうふうに私は見るわけですね。したがって、それでは一体どうなんだろうか。いわば工場排水の公共下水道への受け入れに対する基本的な考え方というものを建設省は一体どう考えておられるのかということすら疑問になってまいるわけでございます。この辺はどうなんでしょうか。
  173. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 工場排水といえどもBOD等を含んでいるわけですし、工場排水の中に特有の有害物質があるものがある。これを下水道に流入させたのでは大変でありますので、それのシャットアウトができれば、工場排水といえども家庭排水と同じく処理区域内では下水道に受け入れて処理して流すということが一番いいわけであります。  問題は、その有害物質の規制が弱いために、間々監視の目をかすめて下水道に流してしまう。下水処理場には有害物質を処理する機能は全くないわけでありますから、それは処理場に沈でんするか放流水となって公共水域に流れてしまう。そこの危険を全くなくそうとすれば工場排水を一切入れなければ安心だということになりますけれども、これはまた下水処理の使命から見て適当ではないし、要はそこの有害物質を決して入れさせないようにするというところにあるわけだろうと思います。
  174. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 どうもすっきりしないわけですけれども、悪いものを入れさせなければいいのだということになってしまったのでは、これはまた大変なことなんで、いわば仕事をするために必要悪として出てくるその汚水、それをやはりその場で処理をさせなければならぬ。そのためにはいまのような、たとえば、あるいは通産省の方の関係も出てくるかもわかりませんけれども、工場配置でいいのかどうかという問題ももちろんあるでございましょう、あるいは職種別にそういう問題の汚水を排出するような業種これを特定地域に集合させる、その特定地域にはいわば公共的な汚水処理施設がつくられるとか、いろいろな方法が私はあると思うのです。だから、そういう考え方はないのかという実は質問の趣旨なんです。いま散在をしておる問題の出てきておる現象について、まあしようがない、しようがないということだけで済んでおったのではいけないのではないか。もっと前向きな、たとえば現在の技術水準がそれらを満足しないということであるならば、もっと違った角度からそれらをやる方法があるのではないだろうか。そういうことについては、いかがですか。
  175. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 まことにおっしゃるとおりでございまして、個々の工場がばらばらとある限り、なかなかうまく完全に処理しにくいわけでありますので、できるだけ集団的に、特におっしゃるような同じような汚染物質が出るような工場をまとめる、工場団地とでも申しますか、そういう配置が今後は都市計画的にも望ましいと思います。  現に、日本の工場の汚濁負荷量の大部分を占める臨海工業地帯などは、海に面してもおりますし、巨大な企業が集まっているわけでありまして、これは単独処理あるいは共同の処理場を持って、下水道の厄介にならずに完全に処理して流しているわけでありますので、内陸部の工場につきましてもそういった集団化ということが最も望ましい。われわれも今後、できた町の処理ということだけではなくて、町づくりの面から最初から考えていかなければならぬ問題だと思っております。
  176. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 第四次のこの緊急整備計画を立案される段階でそのような配慮をなされたかどうか、最後にお伺いをしておきたいと思う。
  177. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 この下水道計画は、現に張りついております工場その他一般家庭、これが五カ年間にどの程度市街化し、人口もふえるかということを想定しておって、そういう意味で、広い一般論として想定はしておりますが、個々の工場がばらばらに立地するのではなくて、ある程度業種ごとにまとまっていくような、そういう想定は必ずしも入れておりません。
  178. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 終わりますけれども、いま起こっておる問題点の把握が私は十分ではないと思うのです。それらの問題点の把握を十分にすれば、もっと早くからそういう問題点の集約ができてくるのではないか。つまり、処理技術が現行水準では不可能としておる問題を別の角度で解決するためにはどうすべきかという問題が当然なくてはならないわけですね。もう従来からそういう問題は各所に起こっておるはずでございますから、当然やはりこの第四次五カ年計画の立案の過程においてそういうことが考慮をされてしかるべきではなかったか、こう考えるわけでございますが、残念ながら考慮をされていないようでございますので、早急にそれらの点についても考慮をされるように強く要請をいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  179. 渡辺栄一

    渡辺委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  次回は、来る十二日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十三分散会      ————◇—————