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1976-06-10 第77回国会 衆議院 決算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年六月十日(木曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 村山 達雄君    理事 中尾  宏君 理事 萩原 幸雄君    理事 森下 元晴君 理事 久保田鶴松君    理事 原   茂君 理事 庄司 幸助君       宇都宮徳馬君    宇野 宗佑君       大村 襄治君    中村 弘海君      橋本登美三郎君    藤田 高敏君       坂井 弘一君    塚本 三郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局経済部長 吉野 秀雄君         科学審議官   半澤 治雄君         環境庁水質保全         局長      堀川 春彦君         厚生省薬務局企         画課長     新谷 鐵郎君         農林大臣官房審         議官      森 宏太郎君         通商産業省貿易         局長      岸田 文武君         通商産業省立地         公害局長    宮本 四郎君         通商産業省機械         情報産業局長  熊谷 善二君         通商産業省生活         産業局長    野口 一郎君         資源エネルギー         庁次長     森山 信吾君         資源エネルギー         庁公益事業部長 大永 勇作君         中小企業庁長官 齋藤 太一君         会計検査院事務         総局第四局長  東島 駿治君         中小企業金融公         庫総裁     渡辺 佳英君         中小企業信用保         険公庫総裁   近藤 止文君         決算委員会調査         室長      東   哲君     ————————————— 委員の異動 六月十日  辞任         補欠選任   赤澤 正道君     宇野 宗佑君   菅野和太郎君     大村 襄治君   木村 武雄君     中村 弘海君 同日  辞任         補欠選任   宇野 宗佑君     赤澤 正道君   大村 襄治君     菅野和太郎君   中村 弘海君     木村 武雄君     ————————————— 五月二十四日   一、昭和四十八年度一般会計歳入歳出決算     昭和四十八年度特別会計歳入歳出決算     昭和四十八年度国税収納金整理資金受払     計算書     昭和四十八年度政府関係機関決算書   二、昭和四十八年度国有財産増減及び現在額     総計算書   三、昭和四十八年度国有財産無償貸付状況総     計算書   四、昭和四十九年度一般会計歳入歳出決算     昭和四十九年度特別会計歳入歳出決算     昭和四十九年度国税収納金整理資金受払     計算書     昭和四十九年度政府関係機関決算書   五、昭和四十九年度国有財産増減及び現在額     総計算書   六、昭和四十九年度国有財産無償貸付状況総     計算書   七、歳入歳出の実況に関する件   八、国有財産増減及び現況に関する件   九、政府関係機関経理に関する件  一〇、国が資本金を出資している法人の会計に     関する件  一一、国または公社が直接または間接に補助金、     奨励金助成金等を交付しまたは貸付金、     損失補償等財政援助を与えているもの     の会計に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十八年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十八年度政府関係機関決算書  昭和四十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十八年度国有財産無償貸付状況総計算書  (通商産業省所管中小企業金融公庫中小企  業信用保険公庫)      ————◇—————
  2. 村山達雄

    村山委員長 これより会議を開きます。  昭和四十八年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、通商産業省所管中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫について審査を行います。  まず、通商産業大臣から概要説明を求めます。河本通商産業大臣
  3. 河本敏夫

    河本国務大臣 昭和四十八年度通商産業省所管歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計歳入歳出決算につきまして御説明いたします。  昭和四十八年度通商産業省主管歳入予算額は三十九億七千九百二万円余でありますが、収納済歳入額は三十四億三千八百九十四万円余でありまして、歳入予算額と比較いたしますと、五億四千八万円余の減少となっております。  これは、アルコール専売事業特別会計に係る四十八年度納付予定金の一部を翌年度以降において納付することとなったこと等によるものでございます。  次に、歳出につきましては、当初予算額は二千百二億一千二百十二万円余でありますが、予算補正追加額九十五億四千七百五十三万円、予算補正修正減少額二十三億五千八百八十三万円余、総理府等省庁所管から移しかえを受けた額七十八億六千三十二万円余、前年度からの繰越額百六十三億一千三百三十九万円余、予備費使用額六億一千七百二十七万円余の増減がございましたので、歳出予算現額は二千四百二十一億九千百八十一万円余となっております。  これに対しまして、支出済歳出額は二千六十二億六千百十七万円余でありまして、その主なものといたしまして、中小企業対策費六百十九億五千百九十六万円余、科学技術振興費四百四十五億五千百六十万円余、経済協力費四十八億三千七百四十九万円余、公共事業費百九十七億六千九百七十三万円余等となっております。  この支出済歳出額歳出予算現額と比較いたしますと、三百五十九億三千六十四万円余の差額となっておりまして、その差額のうち、翌年度へ繰り越しました額は二百八十三億四千二百四十五万円余でありまして、不用となりました額は七十五億八千八百十八万円余となっております。  次に、当省所管の各特別会計決算につきまして御説明をいたします。  第一に、石炭及び石油対策特別会計でございます。  まず、石炭勘定でございます。四十八年度収納済歳入額は一千三百十五億四千八百六十万円余、支出済歳出額は一千九十億四千八百三十四万円余であります。収納済歳入額支出済歳出額との差額は二百二十五億二十六万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は三十一億九千四百十六万円余、剰余金は百九十三億六百九万円余となっております。  次に、石油勘定でございます。四十八年度収納済歳入額は二百九十五億三千六百四十一万円余、支出済歳出額は二百五十一億二千二百十三万円余であります。収納済歳入額支出済歳出額との差額は四十四億一千四百二十八万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は六億三千八十七万円余、剰余金は三十七億八千三百四十万円余となっております。  第二に、アルコール専売事業特別会計でございます。  四十八年度収納済歳入額は百三十億二千三百三万円余であります。支出済歳出額は百十一億四千六百四十三万円余であります。  この会計損益計算上の利益は二十億三千三百五十七万円余となっておりますが、期末資産増加相当額三億二万円余を控除した残額十七億三千三百五十四万円余は、一般会計に納付することとなりますが、このうち、十二億三千三百五十四万円余を当会計運転資金増加に充て、翌年度以降において納付することといたしましたので、本年度においては五億円を一般会計に納付いたしました。  第三に、輸出保険特別会計でございます。  四十八年度収納済歳入額は四百六十九億三千百六十七万円余、支出済歳出額は七十七億五千百二十二万円余であります。  第四に、機械類信用保険特別会計でございます。  四十八年度収納済歳入額は二十億七百五十七万円余、支出済歳出額は二億四百十八万円余であります。  なお、一般会計及び特別会計事業の詳細につきましては、お手元にお配りいたしております「通商産業省所管昭和四十八年度歳入歳出決算概要説明書」に記述してございますので、ごらんをいただきたいと存じます。  最後に、四十八年度通商産業省所管決算につきまして、会計検査院より不当事項として指摘を受け、あるいは意見を表示され、または処置を要求された事項がありますことは、まことに遺憾に存じております。  今回、不当事項として指摘を受けましたものは、重要技術研究開発補助事業実施及び経理が当を得ないもの二件並びに中小企業設備近代化補助金財源とする道県貸付金運営が当を得ないとするもの八件でございます。  この指摘事項につきましては、直ちに返還を命じまして、国または道県収納済みであります。  また、意見を表示され、または処理を要求された事項は、輸出保険特別会計保険料計算事務の遅滞のため、同特別会計財務諸表等が、計数の一部に推計額を含んだまま作成されることとなりましたことで、まことに遺憾に存じております。  これらにつきましては、すでに保険料計算事務処理を促進いたしまして、所要の手続を経て訂正をお願いしたところであります。  今後は、この種の事態発生を未然に防止するため、より一層の指導監督研修等を徹底し、かかる事態の絶滅に努力いたす所存でございます。  以上をもちまして、通商産業省所管一般会計及び研別会計決算に関する御説明を終わります。  何とぞ、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  4. 村山達雄

  5. 東島駿治

    東島会計検査院説明員 昭和四十八年度通商産業省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十件、是正改善処置を要求したものが一件でございます。  まず、不当事項について御説明いたします。  検査報告番号八八号と八九号の二件は、鉱工業に関する技術研究工業化試験等を行う者に交付される補助金に関するもので、いずれも実際の事業費より多額な事業費を要したこととして精算していたというものでございます。  九〇号から九七号までの八件は、中小企業者設備近代化に資するため、無利子で融資する貸付金財源として国が都道府県に交付した中小企業設備近代化補助金に関するものでございまして、その貸付けの適否等について調査いたしましたところ、別途に調達した長期資金によって、すでに貸付対象設備設置または購入している者に貸し付けていたり、当該年度設置または購入した設備貸付対象とすることになっているのに、既僅年度分対象として貸し付けていたりしておりまして、いずれも貸し付け補助の目的に添わない結果になっていると認められるものでございます。  次に、是正改善処置を要求したものについて御説明いたします。  これは輸出保険特別会計保険料徴収等に関するものでございまして、輸出保険のうち、輸出代金保険及び普通輸出保険設備等包括保険保険料につきましては、保険契約時にその全部または一部を徴収することになっておりますのに、四十八年度中に引き受けましたもののうち、一部について徴収決定処理をしただけでございまして、大部分は、保険料額を算出するなど保険引き受けの際に行うべき経理もしないままになっておりました。また、このために輸出保険特別会計の四十八年度財務諸表に計上する保険料の額は推定によって計算されておりまして、この影響を受けるその他の科目も、この推計額計算要素となっている状況でございました。  このような事態になりましたのは、保険料徴収等に関する事務が著しく遅延していること、また、事務担当者経理事務に対する認識が十分でなかったことなどによるものと認められましたので、推計額で計上しているものにつきまして、それぞれその内容を把握し、徴収決定を速やかに行うなど経理処理を促進するとともに関係職員に対する指導監督等を徹底し、会計経理の適正を期する要があると認められたものでございます。  以上、簡単でございますが、御説明を終わります。
  6. 村山達雄

  7. 渡辺佳英

    渡辺説明員 昭和四十八年度におきまする中小企業金融公庫業務について御説明申し上げます。  当公庫は、昭和四十八年度の当初、貸付金を六千三百六十六億円と定められましたが、その後、第二次ドル・ショック対策、下期中小企業金融対策、水銀またはPCB汚染関連中小企業対策及び年度中小企業対策として一千八百七十億円の貸付金追加が認められましたので、これにより前年度実績に比較して三四・七%増に相当する八千百八十五億九千三百四万円を中小企業者に対して貸し付けたほか、設備貸与機関に対して五十六億四十四万円余、中小企業投資育成株式会社に対して八億円の貸し付けを行い、総額八千二百四十九億九千三百四十八万円余の貸し付けを実行いたしました。  中小企業者に対する貸し付け八千百八十五億九千三百四万円のうち、設備資金はその六二・一%に相当する五千八十五億八千四百八十二万円余、運転資金は同じく三七・九%に相当する三千百億八百二十一万円余となっており、また直接貸付は、八千百八十五億九千三百四万円余の四七・六%に相当する三千八百九十二億九千四百九十万円一万三千百五十二件、代理貸付は同じく五二・四%に相当する四千二百九十二億九千八百十四万円五万二千六百六十七件となっております。  年度末総貸付残高は一兆六千八百四十三億八千六百十九万円余で、前年度末に比べ三千五百六十八億八千百七十七万円余二六・九%の増加となっております。  昭和四十八年度融資に当たりましては、再度の国際通貨調整措置実施公害環境問題の深刻化など厳しい内外経済環境のもとに置かれている中小企業振興及び経営の安定化のための融資に配意することとし、国際通貨調整措置等によって深刻な影響を受けた輸出関連中小企業者に対しては、緊急融資をもって対処してまいりました。  また、下期においては、金融引き締めの浸透、石油危機等発生とその後の景況の低迷に伴う、中小企業者資金繰り難を緩和するための資金にも特に配意してまいりました。  このほか、前年度に引き続き、中小企業構造高度化を一層促進するため中小企業近代化促進法指定業種に属する中小企業者構造改善事業等に必要な資金流通機構近代化合理化産業公害防止及び事業転換を円滑に促進するために必要な資金について配意し、また国産新技術企業化及び産業安全衛生施設の整備についても配慮してまいりました。  なお、昭和四十八年度におきましては、中小企業者の一層の便益に資するため、浦和支店を開設するとともに、鳥取出張所及び徳島出張所支店に昇格させました。  次に、日本開発銀行から当公庫が承継いたしました復金承継債権等につきましては、回収促進努力いたしました結果、二百八十八万円余の回収を行い、昭和四十八年度残高は、八百五十九万円余となり、当初承継しました百十九億八千八十三万円余の九九・九%を整理いたしたことになります。  最後に、当公庫損益計算について申し上げますと、昭和四十八年度におきましては、二十一億六千二百七十八万円余の償却利益を上げましたが、固定資産減価償却引当金繰入額一億五千九百二十七万円余を差し引きました残額二十億三百五十一万円余は、大蔵大臣の定める滞貸償却引当金の繰り入れに係る限度額以内でありましたので、その全額を滞貸償却引当金に繰り入れました結果、利益金はなく、国庫納付はいたしませんでした。  以上、中小企業金融公庫昭和四十八年度業務概況の御説明を終わります。
  8. 村山達雄

  9. 近藤止文

    近藤説明員 中小企業信用保険公庫の、昭和四十八年度業務概況につきまして、御説明申し上げます。  御承知のとおり、昭和四十八年度わが国経済は、四十七年後半以降の景気上昇に伴う需給の逼迫に、石油供給の削減、石油価格大幅値上げなどの要因が加わって物価高騰をもたしたので、これに対する措置として、財政面金融面における一連の総需要抑制策がとられました。このため中小企業景況は、年度後半に至り、景気後退による需要減少原材料価格高騰などにより下降局面に入り、中小企業を取り巻く環境にはきわめて厳しいものがありました。こうした情勢から、中小企業金融の一層の円滑化を図るため、信用補完制度におきましても、その充実強化が図られた次第でございます。  すなわち、中小企業信用保険法及び同法施行令改正により、中小企業者の範囲の拡大、付保限度額の引き上げ及び保険料率の引き下げが行われるとともに、円の再度にわたる変動相場制への移行に対しては、国際経済上の調整措置実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律の改正により、輸出関連中小企業者に対する信用保険特例措置実施されました。  そのほか、国の一般会計から保険事業の円滑な運営を図るための原資として、保険準備基金五十億円及び信用保証協会保証活動円滑化を図るための原資として融資基金百億円、合計百五十億円の出資が行われるなど、本制度の一層の強化推進が図られた次第でございます。  まず、保険事業についてみますと、公庫が全国五十二の信用保証協会との間に締結いたしました保険契約に基づく保険引き受けは、件数で七十七万四千件余、金額で一兆九千二十三億四千四百九十三万円余になっております。これを前年度に比較いたしますと、金額で四千五十億九千九百六十一万円余、比率にいたしますと、二七%の増加になっております。  この結果、昭和四十八年度末の保険引受残高は、件数で百十七万九千件余、金額で二兆九千九百十六億四千八百九十二万円余となっております。  なお、保険金の支払いは百七十八億五千四百十八万円余になりまして、これを前年度の百六十二億九千三十二万円余に比較いたしますと、金額で十五億六千三百八十六万円余、比率にいたしますと、九%の増加になっております。  一方、信用保証協会に対する融資事業におきましては、昭和四十八年度におきまして国の一般会計から新たに出資されました百億円及び既往の貸し付けにかかる回収金四百四十六億三千三百万円、合計五百四十六億三千三百万円をもちまして、長期貸付五百三十八億七千四百万円、短期貸付六億円、合計五百四十四億七千四百万円の貸し付けを行いました。  この結果、昭和四十八年度末における貸付残高は九百三億四千百万円になっております。  次に、収入支出及び損益概況について申し上げます。  まず、収入支出について申し上げますと、収入済額は二百六十四億四千百二十七万円余、支出済額は百九十一億二千五百七十六万円余でありまして、差し引き七十三億千五百五十一万円余の収入超過になっております。  損益計算につきましては、さらに支払備金等整理を行いました結果、総利益及び総損失は同額の四百三億九百四十万円余でありまして、損益を生じませんでした。  以上、簡単でございますが、昭和四十八年度業務概況につきまして、御説明申し上げた次第でございます。
  10. 村山達雄

    村山委員長 これにて説明の聴取は終わります。
  11. 村山達雄

    村山委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。森下元晴君。
  12. 森下元晴

    森下委員 昭和四十八年度は、オイルショックで経済的にも政治的にもパニックになった年でございます。すなわち、過熱景気が一挙に冷やされた年でございまして、波乱万丈の年であったと思います。  そこで、現在新聞等を読みますと、倒産件数がまだ増加の傾向にございますけれども、景気回復の問題と今後の経済見通しの問題につきまして、初めに通産大臣に、時間がございませんので簡明で結構でございますから、見通しについて、まずお尋ねしたいと思います。
  13. 河本敏夫

    河本国務大臣 景気は、昨年度政府の方でも第一次から第四次までの対策を立てましたけれども、はかばかしい回復はなかったわけでございます。しかし、年が変わりましてから、幸いに非常に順調に回復を始めまして、現在では産業全体の操業率は八〇%を若干超えておるのではないかと思います。昨年初めの一番悪いときには、六七、八%くらいの操業であったと思いますが、その当時から比べますと、大分改善はされたと思います。諸情勢がいい方向に向かっておりますので、このまま回復基調は進んでいきまして、そしてこの秋か年末には、ほぼ操業率は九〇%まで回復する、こういうふうに想定をしております。したがいまして、経済成長率五・六%という本年度初めの政府見通しは十分に達成される。私どもは目標以上の達成を期待をしておるわけでございます。  ただ、いま御指摘がございましたように、景気回復期に向かってはおりまするが、これまでも景気回復期には、いつも倒産件数が多かった実績等もございますので、やはり景気が完全に回復いたしまして産業が従前の体力を回復いたしますまでは、よほど細かい配慮が必要であろうと思います。なお、先月の倒産件数は千二百件を超えておりますが、こういう状態は一刻も早くもっと少なくなるように積極的な対策が必要かと思いますので、十分その動向に留意をいたしまして、必要な対策を続けていきたい、かように考えております。
  14. 森下元晴

    森下委員 オイルショック以来、足かけ三年になるわけでございますけれども、福田経済企画庁長官も大体三年で回復してみせる、そういうことで努力をされておりまして、御答弁ございましたように、かなり明るい見通しになっておるわけでございますけれども、倒産件数がふえるということは、やはり暗い一面でございまして、これを早く解消しなければいけないと思います。  それから、景気にこれからはずみをつけていくわけでございますけれども、百五十兆円にも及ぶこの膨大な国民総生産をさらに成長させていくためには、先ほど五・五%とお話しございましたけれども、母体が大きいわけですから、かなり加速をつけるためには、容易な努力ではだめである。ちょうど動力にもエネルギーが必要であるように、経済成長の原動力にもエネルギーが必要でございまして、エネルギー安全確保が大事である、このように思います。  四十八年当時を振り返ってみました場合に、その時点におきましては油の使用量が三億キロリットル、そのように記憶しております。その四十八年を終点にして過去十年間、油の使用状況が大体年々一二%ぐらいの割合で消費されております。ということは、五年で倍になるわけで、十年で四倍、ちょうど油の使用量が日本の経済成長率と大体正比例しておったわけでございます。そういうことで、今後五・五%の経済成長率を求めていくためには、やはりエネルギー問題が非常に重要な要素になってくると思います。  総合エネルギー調査会報告を見ましても、詳しいことが書いてございますけれども、そのためには、どういうようなエネルギー資源対策をお考えになっておるか。油は、四十八年当時から比べて四倍以上になっております。また、その他のエネルギー問題も、サンシャイン計画等を見ましても、当初の予想のようにはそう簡単にはいかない。非常に困難なエネルギー状況の今日でございますけれども、そのエネルギー資源対策について御答弁を願いたいと思います。
  15. 河本敏夫

    河本国務大臣 いまお話がございましたように、昭和四十八年度の油の消費量は約三億キロリットル前後であったと思います。その後、不景気のために若干減っておりましたが、ことしはほぼ四十八年の水準には回復すると想定をしております。ただ今後の見通しといたしましては、今後十年間ほぼ六%台の経済成長が続くという前提のもとに総合エネルギー調査会でいろいろ作業をいたしましたが、大体経済成長が六%という場合には、エネルギーもほぼ六%前後の需要の増大がある、こういうふうに言われておるわけでございまして、六%台の成長が十年間続きますと、エネルギー需要というものはざっと倍になるわけでございます。昭和四十八年までは一二、三%の高度成長でございましたが、これからは安定成長の時代に入るということで、景気回復いたしましても、これまでのような伸びはないと思います。  しかし、それにいたしましても、エネルギー需要が倍以上になるということは、これはもう大変なことでございまして、特に油の場合には全部外国から輸入をしておりますので、これらの対策が大変なことだと思います。そこで油に対する依存率というものをできるだけ減らすということ、これは非常に大きな課題になるわけであります。それから同時に、一ヵ所からまとめて輸入しておりますと、一朝事あるときには非常な影響を受けますので、できるだけ輸入先を分散をするということ、それから節約、備蓄、開発、そういうことをいろいろ対策を立てておりますけれども、しかし日本の場合は、なかなか油に対する依存率を急速に減すということは不可能でございまして、現在油に対する依存率が全エネルギーにおきまして約七八%を占めておりますが、十年後はあらゆる努力をいたしまして六三%程度まで減らせる、こういう見通しを立てておるわけでございます。  そのためには原子力発電であるとか、石炭の活用であるとか、あるいはLNG等の大幅な使用、地熱発電、こういう当面の対策のほか、代替エネルギーの開発、あるいはまた長期対策といたしましてはサンシャイン計画、こういうことを総合的に進めておるわけでございますが、今後の日本経済にとりましては、このエネルギー問題の適正な対策ということが非常に大きな課題である、こういうふうに理解をいたしております。
  16. 森下元晴

    森下委員 いつまでも石油エネルギーに頼れないという御答弁でございまして、私も同感でございます。だから、やはり原子力の平和利用、いわゆる軽水炉の発電を初めといたしまして、いわゆる核燃料によってエネルギー資源の確保をしなければいけない、こういう方向になると思いますけれども、この前途も決して明るくないように思います。当初は六千万キロワットぐらいの電力を確保しようというのが、だんだん計画どおりいかなくて、これは立地条件とかいろいろな悪条件が重なったわけでございますけれども、電源三法が通りまして、かなり明るい見通しになったものの、当初の計画から大幅に後退しなければいけない、そういうことと、経済成長率の問題、いわゆる景気対策の問題が非常に心配される要因をつくり出しておるように実は思うわけでございます。  この点は、そういう隘路をいかに解決していくかということにもよるわけでございますけれども、実はきょうの新聞を見ますと、アメリカのカリフォルニア州で原発の規制の州民投票が行われております。あっちこっちの州でもそういう動きがございますけれども、大統領の予備選挙とからみ合わせまして投票が行われた。その結果は三分の二が強い規制には反対である。三分の一が強い規制をやるべきである。大体私は将来のエネルギー問題を考えた良識的な結論が出たように実は思うわけなんです。この問題について、いろいろ各界では受けとめ方が多少違うようでございますけれども、この点、通産大臣並びに科学技術庁の方もおいでになっていると思いますけれども、どういうふうにこの原発規制の州民投票の結果を受けとめておるか、これを簡明に御発言願いたいと思います。
  17. 河本敏夫

    河本国務大臣 先ほど、石油にかわるべきエネルギーといたしまして、その一つに原子力を挙げて申し上げたわけでありますが、日本の今後十年間に原子力エネルギーに期待をいたしておりますシェアは大体全エネルギーの約一〇%でございます。ヨーロッパ、アメリカの主要な国が全エネルギーにおいて一四、五%までを十年後に原子力に期待しておることを考えますと、日本の目標というものはそう高くはない、こういうふうに私どもは考えておりますが、しかしこれを進めます上におきまして、やはり一番大きな課題は安全性の問題と環境対策、これが一番大事な課題であると思います。  そういうときに、カリフォルニアで州民投票がありまして、いまお話しのような結果が出たわけでありますが、これはやはり今後原子力発電、原子力エネルギーの平和利用を進めていく場合において環境問題や、それから安全問題には十分に気をつけるべきである、こういうことだと思います。三分の一がいまおっしゃったような相当厳重な規制をすべきである、こういうことであったようでありますが、いずれにいたしましても、安全性ということと、それから環境保全ということが最大の課題でございますので、今後は十分その点に配慮をいたしまして原子力発電政策というものを進めていきたい、かように考えております。
  18. 半澤治雄

    ○半澤説明員 お答えいたします。  八日に、カリフォルニア州で行われました投票結果は、御指摘のように、九九%の開票結果まで私ども入手いたしてございますけれども、規制強化に賛成が百九十二万票、反対三百九十八万票ということで、提案は否決されたというふうに承知いたしてございます。このような投票が提議されました背景といたしましては、原子力発電の発電そのものを否定するということではなくて、むしろ安全システムの早期の実施、あるいは実証、あるいは廃棄物処理処分対策の早期の確立を、州民が非常に望んでいるということを示すものと私どもは理解いたしてございます。  ただいま大臣から御答弁がございましたように、私どもといたしましても、現在進めておりますいろいろな原子力施設にかかわる安全研究の強化、あるいは安全性実証試験の拡充ということを一層進めますとともに、再処理あるいは放射性廃棄物処理処分に関する、いわゆるダウンストリームについての対策の早期確立に万全の努力を尽くす、それによって原子力発電の推進に支障なからしめたい、かように考えておるわけでございます。
  19. 森下元晴

    森下委員 次に、軽水炉の商業化の問題です。  日本と比較されるのは西ドイツでございまして、西ドイツは戦争に負けた後、非常に厳しい軍事的な制約を受けております。毒ガスを将来開発してはいけないとか、細菌兵器を持ってはいけないとか、原爆を持ってはいけない。日本は、その点はそういう制約はないようでございますけれども、いち早く非核三原則を打ち出して、核兵器は持たない、つくらない、持ち込ませない。それはいいわけでございますけれども、過去におきまして、造船とか、それから自動車産業、ラジオ、テレビ、オートバイ、そういうものが非常に外貨を獲得して、日本の経済の好況をもたらしたわけでございますけれども、その後の、たとえば航空機産業とか、それから原子力産業、この点においてはお先真っ暗だと私は思うわけです。  やはり通産省の仕事といたしましては、任務といたしましては、知識集約型の商業製品を出して、そして外貨を獲得する、それがこの教育制度の進んだ、しかも資源のない国の宿命である、また使命であると思うわけでございますけれども、残念ながら航空機産業はもう手おくれになってしまった。だから、やはり次のそういう知識集約型の外貨を獲得できる産業というものは、原子力を商業化していく、平和利用のための商業化、このように実は思うのですが、先ほど申しました西ドイツは、もうすでにドイツ型の軽水炉をブラジルまでアメリカと競争して輸出ができる、いわゆる週辺特許から工業特許、いろいろな特許を取って、そして完全に商業化して輸出をしておる。  この点、非常にうらやましいと思うのですが、わが国の場合は残念ながら、そこまでいっておらない。なるほどアメリカからの技術を入れまして、日本の製品で組み立てを九五%ぐらいまではできるようでございますけれども、残念ながらアメリカのGEとかウエスチングハウスとか、そういう会社の注文できつい制約がございます。そういう製品を外国には出してはいけない、商業製品として輸出してはいけない、そういうような何か制約、規制があるようでございます。私が望むのは、一日も早く西ドイツと同じように、日本型の軽水炉を開発して、いわゆる自主開発をして、それを世界じゅうで買ってもらう、これが将来の輸出を伸ばす一つの方向だと私は思うのです。  たまたま核拡散防止条約が国会でも批准されまして、一昨日アメリカに寄託されたようでございます。英国とかソ連、まあこの核拡散防止条約も、このNPTという条約は、私は非常に不平等条約であると思います。しかしながら、もうすでに批准も終わったことでございますし、またいろいろな核を持たない国に対する保護政策、いわゆる平和利用については、そういう核兵器を持っている国々のいろいろな保護政策もあるようでございますけれども、ともかく日本が将来軽水炉を商業化して出すためには、かなり努力をしなければいけないし、やはりユーラトム並みの査察といいましても、考え方によれば、日本に産業スパイを日本の金で入れるような結果になるような感じさえ私はするのです。  ユーラトムの方は、自分でそれだけの査察要員を持っておりますけれども、聞くところによりますと、日本の場合は、たった三人ぐらいの、この査察できる技術者しかおらない。過去において、この軽水炉関係の技術者の人材の養成が手おくれであった。そして、もうすでに批准は終わってしまった。手かせ足かせはされてしまった。いろいろこの核防条約加盟について政府が声明を出しておりまして、そういう面が支障がないようにしなければいけないということも書いてございます。  そういう点で、私は通産行政の中で、やはりこの軽水炉発電、これはアメリカの軽水炉じゃなしに日本的な、日本の技術は優秀でございますから、世界各国に出しても、安全性においても、効率の上からいっても、優秀な軽水炉が将来輸出製品として、商業製品として出せるようなところまで努力する必要もあるわけなんですが、その点、この核防条約の批准問題と、いわゆるこのデメリット、またメリットという点で御所見ございましたら、ひとつ大臣からお伺いしたいと思います。
  20. 河本敏夫

    河本国務大臣 将来の知識集約型産業の中核として通産省として考えております分野は、コンピューター、それから航空機産業、それから原子力の平和利用に関する分野、こういう分野について考えておりますが、現時点において原子力の平和利用に関する分野における技術的な問題点は何ぞやということにつきましては、政府委員の方から答弁をいたします。
  21. 半澤治雄

    ○半澤説明員 お答えいたします。  核防条約の批准に伴うわが国の自主技術開発に対するメリットないしデメリットは何かというお話がございましたが、御案内のように核拡散を防止するという見地から核防条約の加盟国と非加盟国に対しまして、加盟国優先という方向が非常に強く打ち出されておったわけでございます。そういう意味で長期安定的に原子力関係の資材、原料等の確保を図るという見地から、この核防条約非加盟の状況でおりますと、非常に不安定な状況になるというふうに私ども考えております。したがいまして、今回の批准に伴いまして、第四条に基づく長期安定的な確保の基盤ができたのではないかというふうに考えておるわけでございます。  これも御案内のように、わが国は資源に非常に乏しゅうございまして、ウランも例外ではございません。過去二十年来探査いたしましたけれども、ウラン精鉱で一万トンを切るというのが推定埋蔵量でございまして、これは、わが国の昭和六十年度に予想されます、ほぼ一年分にしかすぎないということがございます。したがいまして、今後長期的にわが国は原子力開発を進めますためには、核原料物質、核燃料物質を遺憾ながら海外に依存せざるを得ないという状況にございますから、そういう意味合いで批准に伴いまして、長期的かつ安定的な基盤が確立される、そういうメリットはあろうかと思うのでございます。  デメリットとして指摘されますのは、ただいま先生御指摘ございましたように、NPTに入ることによって国際原子力機関の査察下に置かれる。それも従来と異なりまして、国産を含めて査察下に置かれる。したがって、商業機密が漏れるというおそれがあるのではないか。ドイツのように、基本特許あるいは周辺特許を取った上で、それからそういう査察下に置かれるべきではないのかという意味でのデメリットを指摘される向きが多うございます。そういう懸念は確かにございまして、そういう意味で私どもはこの新しい査察体制下において、そういう懸念をなくすように努力するつもりでございますが、まず第一には、この核防条約下における査察というのは、現在日本はすでに二国間協定に基づく査察を受けておりますけれども、現在の査察の非合理的な面を大分改善いたしてございまして、機密の漏洩防止等に関しましても、査察のための協定の中に条項として織り込まれるといった改善がなされております。商業機密漏洩の懸念は、現在の日本が置かれております状態に比べますと、格段に改善されるというふうに考えておるわけであります。  ドイツの場合でございますが、ドイツはなるほど国際原子力機関の査察下には置かれておりませんでしたが、これも、御案内のように、一九五八年以来ユーラトムの査察下に継続して置かれております。ドイツとユーラトムの他の加盟国との間はライバル関係にあると私は思うのでございまして、決してなまやさしい査察ではないと思うのでございますが、そういう査察下におきましても、御指摘のように、自主技術の開発が行われているということがございますので、適正な査察制度のもとにおいても、自主技術の開発が大きく阻害される懸念はないという、むしろ証左ではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。  それから国内体制につきまして、査察ができる人間は三人程度しかおらぬではないかという御指摘がございました。現在科学技術庁内には八名の査察官を用意してございます。この査察官というのは、現在すでに査察が行われておるわけでございますので、国際原子力機関の行われる査察に絶えず同行し、その査察技術についての慣熟度を高めるための努力をいたしてございます。  査察技術というものは非常にむずかしいかと申しますと、これは具体的な事例でございますが、わが国の職員が国際原子力機関の査察要員として勤務しております。その査察要員として勤務しております人間の経験等に徴してみますと、ほぼ一ヵ月程度の研修で堂々と国際公務員として、国際原子力機関の査察員として各国の査察に行っております。  そういう意味で、私ども今後の査察体制としては、必要な人員の増強なり機器等の整備のための予算なりは当然に手当てする必要がございまして、そういう意味での手当てを行っておりますが、そういう面から国内査察体制に万全を期して、御懸念の、機密漏洩等の事態を引き起こさないように進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  22. 森下元晴

    森下委員 最後の質問でございますけれども、いま産業界を見渡しました場合に、非常に好況な産業は自動車とかカメラ、テレビ、ラジオ、これは非常にいいようでございます。一面不況産業を見ました場合に造船、海運、鉄鋼、木材、こういうものが列挙されまして、コントラストが非常にどぎつく出ておるようでございます。その中で木材の問題でございますけれども、先般も建設省の決算のときに建設大臣にも意見を申し上げたわけでございますけれども、ただいま通産省それから建設省で、国民にできるだけ安い住宅を提供したいというようなことでハウス55という、これは昭和電工とか日新製鋼とか、そいうい会社等で開発されようとしております。一般にも公募しておるようでございます。  その素材を見ますと、珪酸カルシウムとか、いわゆる木材質でないものが利用されようとしておる。ユニット式ですから、これは安いことには違いないと思うのです。木材関連産業が非常に不況下にございまして、特に通産省なんかの御指導もございまして、全国に約五十の木材団地、生産団地がございます。また、これからもつくられようとしております。商工中金等から多額の金を貸していただいたり、また高度化資金まで貸していただいて木材団地、木材関連の産業がてこ入れされておりますけれども、こういう木材質でない素材が大々的に使われるような情勢になりますと、木材業界に非常に不安な様相を醸し出してまいります。  特に木材業界だけじゃなしに、大工さんとか左官屋さんあたりにしても用事がなくなるわけなんです。だから林業から木材関連、それから木材の小売り、いわゆるすべての流通、大工、左官屋さんを通じて——大企業が全部ユニット式で短期間でできる。将来は、私は長期展望では、その方向もいいと思うのですが、住宅というものは、やはり一つの安らぎを与える場所でなくてはいけなう。そういうようなセメントとか、鉄とか、紙とか、また珪酸カルシウムのような素材で簡単に住宅をつくってしまって果たして安らぎのある生活ができるかどうか。日本は木材の国でございまして、社会的、政治的な影響を与える要素も非常に強うございます。やはり木材関連もそれに参加できて、十分太刀打ちできるような御指導もともにお願いしておきたいということを申し上げます。これは私の意見でございまして、御答弁は結構でございます。  ちょうど時間がいっぱいになりましたので、これで私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  23. 村山達雄

    村山委員長 原茂君。
  24. 原茂

    ○原(茂)委員 きょうは四点ぐらいについてお伺いしますが、最初河本大臣に御答弁願うように一点質問いたします。  第一は、多国籍企業の関連についてお伺いをいたしまして、次いで中小企業政策についてお伺いをし、次に武器輸出の問題に関連してお伺いした最後に、JIS、JAS、いわゆる商品に対する表示、マーク等の関係をお伺いして終わりたい、こう考えておりますが、一番最後にお伺いをする問題に関連しまして、ここにかん詰めと乾電池を持ってきましたが、大臣、これを見て、このかん詰めはいつごろつくったものか、わかるかどうか、先にひとつ見ておいてください。それから乾電池がありますが、これはいつごろまで有効なのかというのがわかるかどうか、ひとつごらんおきをいただきたい。わからなければ周りに聞いても結構ですから、わかるかどうか、それは一番最後に質問しますから、ごらんおきをいただきたい。  最初に、多国籍企業の関連でお伺いをいたします前に、現在の政局に関係いたしまして、特に政権を担当している自民党内において、三木総理の何か早期退陣を画策する、あるいはそれとの関連で臨時国会の開催を七月か八月か、この開催が早ければどう、遅ければどう、三木総理の手で解散をさせないという、うらはらの関係なども錯綜をいたしまして、国民の側から言いますと、いまこの困難な生活を乗り切る問題にほとんど関係のない、しかも次元の違う自民党内の、コップ内のあらしが現にずっと続いているという、この状況を見ておりまして、私も国民の一員として大変不信にたえない。  政局を担当する内閣が、みずから閣内における不統一を暴露しながら、しかも肝心な国民生活への配慮が、あちらでもこちらでもまだまだ不足であり、手が抜けているという状態の中で、一体こんなばかなことをやっていていいのだろうかというのが偽らざる国民の声だと思うのですが、国務大臣として河本さんは、現在の三木内閣を退陣せしめようというような自民党内のこの動きに対して、一体どのようにお考えになっておられるか、国民の立場で質問しますので、率直な御答弁をいただきたいと思います。
  25. 河本敏夫

    河本国務大臣 三木内閣ができましてから、ちょうど一年半になるわけでありますが、その出発に際しまして三木総理は幾つかの公約をしたと思いますが、これを集約いたしますと、大体二つに分かるれと思うのです。  一つは、当時の激しい金脈政治の批判を受けまして、政治に対する不信を解消したい。換言いたしますと、政治に対する信頼を取り戻す、そのために必要なことをやるということだと思います。  それから第二点は、当時は深刻な不景気、それから狂乱物価と言われておった物価高、それから非常に失業問題が深刻化しておりました。でありますから、この物価を鎮静させ、景気を早く回復いたしまして、失業問題を順次解消いたしまして、安定した社会生活が送れるような、国民不安をなくする、こういう一連の課題があったと思います。  過去一年半というものは、この二つの問題の解決のために、内閣を挙げて全力投球をしてきたわけでございますが、ことしになりましてから、ロッキード問題が起こりまして、国じゅうを挙げてこの問題に関心が集中される、こういうことになったことは御案内のとおりでございます。  そこで総理は、何とかこの問題の真相を早く究明をして、事件の真相はこういうことであった、しかし、今後はこういうことの絶対起こらぬような政治にしたい、そのためには、まず真相を明らかにしなければならぬということで、真相の究明のために取り組んでおられるわけでございまして、アメリカ側から四回にわたりまして資料も着いておりますので、私の仄聞するところによりますと、この真相究明も非常に進んでおる、こういうふうに聞いております。いよいよ核心に入るのも近い、こういうふうに聞いておるわけでございます。  そういうやさきに、いろいろな問題が起こってきたわけでありますが、それに対して総理は、とにかくこの真相を明らかにしないことには、次の政治日程は組めないのだ、とにかく全力を挙げて、この真相究明に取り組みたい、こういうことを繰り返し言ってこられたわけでございまして、いよいよその大詰めにきたと私は思います。われわれといたしましても、この真相が一刻も早く明らかになり、そして二度とこういうことの起こらないような政治の体質に日本の政治がなるということを強く期待をいたしておりますし、やはりそれが当面の最大の課題でなかろうかと思うわけでございます。  一方の国民生活に関する一連の対策というものは、国際情勢の好転等もございまして、比較的順調にいずれも解決の方向に進んでおる、こういうことが言えると思います。  以上が、現段階であろうと思います。
  26. 原茂

    ○原(茂)委員 もう一点だけ聞いておきますが、ロッキード問題の真相究明、これは非常に大事ですし、国際的な関連もありますから、徹底的な究明をしなければいけないことはよく理解できます。このロッキードの究明がない限り、たとえば財特法における、とにかく前国会における未成立が、いよいよ本当に国家的な立場で、大蔵省においてもどうしようもないというところへもうじき来そうな状況になっている。ロッキードの究明のない限りは、臨時国会などを開いて財特法あるいはその他の国民関連の問題を取り上げるということは、緊迫性はあっても、まずロッキードの究明という、しかも期日未定のこの問題がある程度解明されない限りは、やはりこれが先なので、次の政治日程というのは、臨時国会を開き、財特法をどうするというようなことはすべきではないというのが、河本通産大臣も国務大臣としてお考えになっているところでございますかどうか、その点もう一遍お伺いいたします。
  27. 河本敏夫

    河本国務大臣 そのことにつきまして、私から現時点におきまして意見を申し上げるのは差し控えたいと思いますが、しかし、いずれにいたしましても、この当面の最大の課題でありますロッキード問題の究明というものが、いよいよ核心に触れようとしておる、こういうやさきでございますから、私は、やはりこの問題の究明ということは非常に大きな当面の緊急課題であろう、こういうふうに考えております。  幸いにいたしまして、一方先ほども申し上げましたように、景気は順調に回復しておりますし、物価の安定もずっと続いております。失業者の数もだんだん減っておる、こういう状態でございますから、国民生活は総じて安定の方向へ向かっておる、こういうときでございますので、やはり当面の政治不信の解消のためのロッキード問題の真相究明ということが、私は日本にとりまして当面する最大の課題でなかろうか、こういうふうに考えておりますが、それ以上のことは、いま申し上げますと、いろいろ差しさわりもございますので、意見を申し述べるのは差し控えさせていただきたいと思います。
  28. 原茂

    ○原(茂)委員 いずれにしても、いま私が触れたように、政府にとっては財特というのは、とにかく命がけで成立せしめなければいけない課題になっているだろうと思う。これとの関連に関して、いまのように、それがあっても、なおかつ景気は上向きになってきたから、ロッキードの真相究明が何をおいてもまず先だというような御意見のようですから、そう拝聴いたしておきますが、いずれにしても自民党党員の一人として、この大事な政局を担当している内閣のしかも閣僚の一人として、大事な時期に、こういうばかげたコップの中のあらしのようなことを余り長く続けないようにする責任があるだろうと思いますから、私からも忠告しておきますので、早期にこういった問題の解決を図るように、やはり自民党員としても考えるべきではないか、こういうふうに考えております。  そこで多国籍企業の問題に入るわけですが、これはまだ日本でどういうものが多国籍企業であるという定義なり、まあ資本との関連なり、あるいは一カ所、二カ所、海外に出て何をやったからというようなことの関連などがあって、お聞きするところ、これがわが国の多国籍企業であるというリストを、ちょうだいできないようであります。どうもそういうことが決まっていないという。しかし現に多国籍企業というものは、国際的に非常な入り組んだ活動を開始して、わが国が、アメリカの巨大産業ほどにまでまだ大きくはなっていないまでも、国内においては巨大といわれる一部商社なりメーカーが、現に各国が行っていると同じ多国籍企業的な事業の発展的な、あるいは進出的な事業の経過をたどってきていることも事実であります。  したがって日本における多国籍企業、わが国の企業の中の多国籍企業とは一体どういうものであるか。どんなものだ、どこなんだというようなことがわからないで過ごして答弁をされていたのではいけないと思うんで、これから申し上げることは、それに関連いたしますが、やはりここで多国籍企業というものは一体日本におけるどことどこで、どういうものが多国籍企業と日本では定義するんだというようなものをおつくりになる必要があると思いますが、いかがですか。
  29. 河本敏夫

    河本国務大臣 最近多国籍企業の問題が世界を挙げて大問題になっておりまして、国連でも盛んにこれが議論されておりますし、それからOECDにおきましても、これは盛んに議論されておるわけでございます。しからば国連において討議されておる多国籍企業の定義は何ぞや、あるいはまたOECDにおいて議論されておる多国籍企業の定義は何ぞやということになりますと、いま御指摘がございましたように、まだ明確な定義がてきないまま議論をしておるというのが現状でございます。  世界的にもいろいろな議論がございまして、比較的広く行われております議論は、生産的な仕事を行っておる企業というものを中心にいたしまして多国籍企業ということを考えておるようでありますが、そういうことになりますと、商社活動をしておる企業などは多国籍企業でないということになるのですが、そうすると、これはやはりわれわれの常識にもどうも反する、こういうことになりまして、いま私どもが考えておりますいわゆる多国籍企業というのは、まだ最終の見解ではございませんければも、日本のみならず、広く海外に出て積極的な企業活動を行っておるというようなものを一応多国籍企業、こういうふうに理解をしておるわけでございます。  こういう理解は、国連またはOECDにおける作業が進むに従って当然変えなければならぬと思いますが、現時点では一応そういうふうに理解しております。そういう理解に立てば、日本の大商社等は当然それに入るのではないか、こういうふうに思います。
  30. 原茂

    ○原(茂)委員 たとえばロッキードなんかは、あれは多国籍企業でしょうか。
  31. 河本敏夫

    河本国務大臣 これも、正確な意味で定義をすることはむずかしいと思いますが、しかし私がさっき申し上げましたような意味から言えば多国籍企業、こういうふうに現段階では理解していいのではないか、こう思います。
  32. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣の考えている、大体多国籍企業という定義の大枠だけ何かわかるような気がいたします。大至急にやはり、国連やOECDの、たとえば多国籍企業の一番代表的なメジャーなんかがどういう規定の中に入るかというようなことも参考にすることは結構ですが、わが国もやはりもうここで、通産省として多国籍企業とはこうだ、わが国の大商社、大メーカーの中のこういうものは多国籍企業に入るぞといったようなものをお決めになる必要がどうしてもあると思うのです。  こういうことを申し上げるのは、ロッキードのやっている、とにかく恥も外聞もなく、売ればいいのだ、もうければいいのだということで、他国の内政にまで、とにかく黒い金をばんばんぶち込んで、そうして政治的な大きなスキャンダルとしての問題なんかを起こしたりしながら、なかおつどんどん海外への進出、あるいは商業活動をやっていこうというようなことを、日本の多国籍企業が海外に行って、また同じようなことをやってはいけないと思うし、国際的にも、その多国籍企業を持っている国々が、やはり国内における監視と、そういうメーカーあるいは企業そのものの自省を促すという大きな責任が私はあると思うし、その責務を強く世国各国が行使しない限り、どうもこのロッキード事件、また幾つでもこれから起きてくるのではないかという気がするわけです。  いまロッキードからぶち込まれた黒いピーナツで日本は大騒ぎしておりますが、これは日本の多国籍企業が、また同じようなことを現にやっていると言ってもいいほどの慣習が世界各国にある、韓国に行ったって。こんなもはのだれでも知っています。えらいことをやっています。これは日本も現にやりつつある、やがて韓国なりその他の国で大問題になってきたときに、ちょうどいまアメリカが世界のひんしゅくを買っているように、日本がやがてまた海外からひんしゅくを買うような問題が起きてくるわけであります。  そういうことを考えると、もうここまで日本のいわゆる商社なりメーカーの海外進出というものが非常に顕著になってきた以上は、ロッキードをいい前例にして、ここで国内的な規制、あるいは指導的な、いわゆる政府の責任ある立場というようなものが明確に出されていかないことには、やがて日本が、アメリカのロッキードとの関連における世界各国に、内政にまで非常に関与するような大きな迷惑をかける危険がすでに起きている、現にそういうことが大なり小なり行われているということを考えたら、大至急に私は政府として、この多国籍企業とはいう定義をある程度つける、それでこれの範疇に入る日本の企業はこれとこれだということを規定づける、そうしてそれに対しては、やはり相当な厳しい指導的な役割りを政府自身が果たしていくということを具体的に進展せしめる必要があるだろう。  単にロッキードで騒いで、ロッキード、ロッキード、特別委員会、こう言っていることも大事なんですが、それにも増して大事なことは、現に行われつつある、世界各国がお互いにやっているこの不当ないわゆる事業活動に関する自国内における監視体制と指導体制の強化という点を早期に、進んだ国であればあるほどやる必要があるし、それが国際的な義務だ、こういうふうに考えますが、早期に、いま私が申し上げたいわゆる多国籍企業に対する定義なり、あるいはその範疇に入る会社はここだということを指名するなりというようなことをして、十分な行政的な監督指導の役割りを果たすという、いろいろな面での措置を行う御意思があるかどうかをお伺いしたい。
  33. 河本敏夫

    河本国務大臣 多国籍企業問題につきまして、OECDと国連でいま討議がずっと続いておるということを申し上げましたが、特にOECDでの多国籍企業についての討論は相当進んでおりまして、その結論が出ますのも、そう遠くないという感じでございます。結論が出るときには、当然多国籍企業とは何ぞやという、そういう具体的な見解も明らかになると思いますので、そういう国際的な動きというものを十分見きわめました上で、日本としては最終の多国籍企業ということについての正確な定義というものを考えてみたい、こういうふうにいま考えておるところでございます。  それから、この多国籍企業についての取り締まり問題でありますが、御案内のように、昭和四十八年にこの企業活動についての非常に激しい批判が国の内外から起こりまして、それを機会に日本の経済五団体が相談をいたしまして、日本の企業の海外における活動の行動基準、こういうことをつくったわけでありますが、それをもとにいたしまして、商社等もそれぞれ各企業ごとに行動規範のようなものをつくっております。いわば、海外における経済活動の憲法というふうなものを企業ごとにつくっておるわけでございます。  したがいまして、現時点におきましては、政府の方は、海外で事業活動をしておりますそれぞれの企業が、その行動規範を守っていって、そうして行き過ぎた行動のないように活動することを期待しておるわけでございまして、一部から出ております。商社法をつくって商社活動を規制したり、あるいはまた、この多国籍企業を取り締まるための法律を直ちにつくる、こういう考えは現在のところございません。  ただ、最近アメリカの方から入っております情報では、アメリカでは、この多国籍企業についての取り締まりをどうするかということ等についても検討しておるようでございますので、そういうことも参考にいたしまして、そして日本としての最終のあり方を決めたい、世界全体に関係する問題でございますので、日本だけで先走りましても、ややもすると当を得ない結果になりますので、国際的な討議の結論の出るのもそう遠くない将来でございますので、もう少しそういう様子を見た上で日本としての最終の態度を決めたいというのが、いまの考え方でございます。
  34. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣、そのアメリカも近く何かやっていて出すらしい、国連でも何か出てくるだろう、アメリカがやっているのはいいのだけれども、日本がやると先走りだという、謙虚というのですか、コンプレックスというのか知りませんが、もうこれだけ多国籍企業というものが、現に国際的な罪悪をとにかく大胆に行っている、一国の政府では抑えることができないまでに巨大化して、非常な怪物のように動き始めている、手がつかない、現にいる怪物ですから、大至急に、これにはやはり日本には日本的な考えで、むしろアメリカなり国連が日本の多国籍企業に対する制肘なり指導なりという方針を参考にしたって差し支えないのです。それができてから初めてやりますなんて、いつも言っているのですが、どうもアメリカ従属、隷属という考え方が、ここにもあるような気がしてならない。  アメリカが近くできます。日本がやりますと先走りになります、そういう考えというものは、河本さんのような事業家経験者が私は大変おかしいと思うので、この点はいま議論しようとは思いませんが、改める必要があると思いますから、早急に御検討をいただきたいと思うのです。  ただ私は、多国籍企業というのが何でも悪いのだ、ロッキードを中心にして、あれも多国籍だなんて言っているものですから、国民的に言うと大変多国籍企業というものは悪いものというようなことになっていますが、しかし、最近、昨年の例なんか見ても、オーストラリアあるいはブラジルなどは資源民族化政策というものに徹底していまして、ある意味では教条主義だと思うほどやっていたのです。ところが、やはり自分の資源を売ってそれを開発資金に回していく、資金が足らない、もうしようがないというので、いわゆる外国資本、ある意味では多国籍企業の入国、進出を許すということに大転換しました。国連もあるグループが中心になって多国籍企業の検討をした結果、やはり開発途上国にある開発に関しては、多国籍企業というのは非常に有効に作用する面もあるという評価も、あらゆる面から出ているのですね。  ですから、私は多国籍企業イコール怪物であり、悪でありというような立場をとっておりませんし、日本の多国籍企業と言われるものが、いわゆる規定され、範疇が決まって、政府として指導しようというときにも、これを怪物だ、悪だと決めつけた立場での考え方は過ちだということもつけ加えて申し上げておきますので、多国籍企業に関してのいま私が要求といいますか意見を申し上げていることをひとつ大至急に大臣が——余りどこかを参考にして参考にしてというところに入っているうちに、日本の多国籍企業らしいものが大変諸外国からまた指弾、糾弾あるいはそれらの国々の内政上の問題等を引き起こしつつあるというようなことも考えた上で、あるかもしれないという前提で急いでやっていただくように、この点、私の希望としてまず申し上げておきたいと思う。  多国籍企業に関しては、それで一応終わらしていただきまして、次いで中小企業の問題に入りたいと思うのですが、この間ついに継続審議になりました事業転換法ですとか、あるいはわれわれが強く要求いたしております分野調整法、これは、通産省の従来の主張を聞いていますと、いわゆる中小企業を甘やかしてしまい、自立性を失い、今後経済社会の変化に即応できないような状態にしてしまうということも一部の理由として、この分野調整法に関してはどうも積極的ないわゆる賛成意見が少ない。しかし、御存じのように、五月二十四日の国会最終日に衆議院の商工委員会において、これが満場一致の決議として、早期にその実現を図るようにということが決議されて、大臣からも意思表示があったということになっているのですが、この両者の関係がある程度矛盾するという考え方を通産省はおとりになると思うのですが、それにしても商工委員会の五月二十四日の分野調整法を中心にした決議を受けて、次の国会には、これを出す義務をやはり政府として負っていると思いますが、お出しになりますかどうか、まず先に……。
  35. 河本敏夫

    河本国務大臣 先般の国会の最終日に、いまお話がございましたような分野調整について立法措置を講ずべしという決議が満場一致でされたわけでございます。政府の方では、それを受けまして、直ちにこの作業に入る準備をいたしております。ただしかし、次の臨時国会が余り早く開かれますと、これは時間的な余裕がございませんから、次の国会といいましても、その時期いかんによっては出せない場合があろうかと思いますが、できるだけ早くその結論を得たいということで、いま作業を開始したところでございます。
  36. 原茂

    ○原(茂)委員 もう一度お伺いしますが、私どもの予想では、早ければ七月に臨時国会、遅くも、やはり、われわれの任期が十二月の九日で来るわけですから、それにぴしっと合って空白ができないようにするためには、十月の十日までには解散という状況にしないと、どうも日程的に、十二月九日の任期いっぱいまでに空白なしで衆議院を構成することができないというようにも聞いていますから、遅くも九月には臨時国会は開かれる。しかも、これはある程度の論議を行い、審議を行った後、少なくとも一カ月後の十月の十日までには解散。で、遅くも九月には臨時国会がある、こう考えますが、その九月には間に合いますか。
  37. 河本敏夫

    河本国務大臣 この分野調整という法律は、つくるといたしますならば、これはもう大事業でございます。で、各方面の意見も十分聞いてみたいと思います。そういうことで、審議会等をつくりまして、そこで議論をしていただいて、それを受けて通産省が立法化の作業にかかる、こういうふうに想定をしておりますので、やはり数カ月間の期間がかかろうかと思います。だから、いまここで具体的な日時を申し上げるのは、まだ準備の段階でございますので、もう少しお待ちいただきたいと思います。
  38. 原茂

    ○原(茂)委員 私は、いつも言うのだけれども、少なくとも行政の首脳である大臣が、この種の大問題をやろうというときには、一応期限を切って、省内に対して、ここまでにやれというようなことをやらないと、だらだら、だらだら行ってしまって、やりたくない問題、法律であればなおさら、いい口実がつけられては延びていくだろうと思いますし、これは少なくとも三権分立の立場からいっても、国会が全会一致で委員会の決議があった以上は、政府としては、これを生まじめに受けるという、議会制民主主義の基本に関する問題だけはやる必要があると思いますが、先ほどの答弁では、臨時国会が早ければ間に合いません、というと、それじゃ臨時国会が遅ければ間に合うのだなという印象を受けた。今度は再答弁をされると、四、五ヵ月かかる、うっかりすると選挙が終わった後の通常国会でも、ことによると間に合わないかなという印象を受けるのですが、せめて通常国会には、十二月以降には間に合いますというくらいな方針、めどを、大臣としてお持ちになりますか。
  39. 河本敏夫

    河本国務大臣 大体いまお述べになりましたようなタイミングで考えております。
  40. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、この分野調整法あるいは事業転換法とか、こういうことを、いまこの減速経済下における中小企業に対して考えることは非常に大事だということは、そのとおりでございますが、いま下請と言われる中小零細企業が一番困まっている問題の一つに、高度経済成長下に、まあいいわいいわと言っては悪いのですが、ある意味では無方針に設備の拡大を行い、あるいはその他ブランチをたくさんつくるとか、いろいろなことをやって、高度経済成長下における中小零細下請企業として、ちょっといまになって考えてみると、少し幅を広げ過ぎた企業活動をやったおかげで、そのための借入金、そのための負債というもが、いますうっと残っていて、そこへ減速経済だというので、いま一生懸命に景気の上向きするのを待っていて、一生懸命仕事をしているのですが、かせいだものは、残念ながら高度経済成長下における少し拡大し過ぎた、あるいは先の見通しを誤った、だれもわからなかったこの減速経済に落ち込んだ、そのことによる、とにかく負債の返済なり利子払いなりというものをどうするかというので、非常に四苦八苦して、ようやくいまかせいでいても、その金はみんなさきの高成長時代における借入金なりなんなりの利息に、あるいは元金返済にというのが実態なんです。  大半の困っている中小企業というのは、よく分析すると、そういうところに問題の根があるわけです。下請代金の支払い遅延防止法というようなものがあって、これは確かにある程度有効に作用しています。しかし、あれだって現在完全に守られているかというと、単なる行政指導という立場でやっておいでになるために、罰則がありませんから、納入後六十日以内に支払いなさい、現金または手形で。手形の場合は振出日から九十日以内に支払い日をつくりなさい。それが守られている分野はどのくらいあるか、ほとんど守られていない。本当に、いまの中小企業、零細企業という大半の数の中の一体どの程度が、いま言った納入日から六十日以内、手形の場合には九十日以内というようなことが守られているかどうか。守られていないのが大半だということを実態としてはつかんでおいでになると思う。  その上に、いま言ったさきの借入金その他があるというような状況になると、何らかここで一工夫も二工夫もして、単に下請代金支払遅延等防止法というだけではなくて、もう一歩突っ込んで、彼らを実際に救済できる方法としては、せめて第一に申し上げました高度成長下における借財が非常にある、これに対するたな上げ措置なり、あるいは利子に関して特別の考慮をしてやるなりということを第一にここで考えてやると、非常に中小企業が現実的に助かる問題が一つある。  二つ目には、せめて支払遅延防止法で言っているだけでなくて、その中にもう一歩突っ込んで、その下請が工賃、使っている人間に対する支払う賃金に相当する部分だけは六十日以内ではない、当月現金払いをしろ。親会社といえども、自分のところで働いている職員に対しては、どんな無理をしても、これこそ現金で払っている。しかも、その親会社の工程の中に下請中小企業から入ってくるパーツなり、その他が全部組まれている。だから、納入するものを、受付係がいて、そしておる納入係が中小企業、零細下請の持ってきたものを受け付けて、それを工程の中に流すというようなことすら、いまやめて、大企業の工程の中に、ここへパーツが何月何日何時に入るのだというところへ、じかに持ち込ませるようなことまでやって、完全にその流れの中に中小企業や零細企業のパーツなり仕事というものは組み込まれている。にもかかわらず、その部分に対する賃金の支払いは六十日だ。手形でやった場合には九十日だ。しかも、それも守られていない。完全に自分のところで人間を雇ってやっていれば、現金で全部毎月払わなければいけないものを、たまたま下請である中小企業が持ってきたのだというので、ここだけにその賃金に相当する部分まで手形で払う、こんなばかなことが許されているところに大変な、いま中小零細企業の困っている原因があるのです。  したがって、高度経済成長下における、あるいは親会社の指導にして過ちがあり、あるいは彼ら自身の見通しの過ちもあり、いきなり減速経済に落ち込んだという、まあまあ災難のような状況もある。しかし、なお厳として高度成長時代における借財というものがあって、その元金なり利子を払うことに非常な困難をしていることが中小企業を困らしている第一の原因である。  二つ目には、いま言った支払われる代金の中の賃金に相当する部分まで九十日の手形で来て、割引料を出して、そしてその中から賃金を払う。大企業は自分でちゃんとそれを織り込んでおきながら、大企業のその現場におる職員だけは現金で当月払いをする、下請のやつは払わないというようなことは、どう平たく考えても許してはいけない問題だと思う。これは下請代金支払遅延防止法などというよりは、もっと現在の緊急の課題として、この二つの、特に二つ目の、賃金に相当する部分は、下請に対して当月現金払いにするという強力な指導と、ある意味の規制を行う必要があると思いますが、いかがですかというのを、これは大臣から、大臣も事業家でよくおわかりなんですから、ひとつ率直な見解を、いま、そうできないのだけれども、そのことは正しいとか、そうしなければいけないのであるということをお伺いしたいと思います。  それから、ついでにお伺いしたいのですが、分野調整法に関して経団連等の専門委員会でいろいろ検討した結果、どうもこれは独禁法に違反する、独禁法の精神に違反するような危険があるということが正式に活字となって出ているのですが、きょう公取からおいでいただいておりますが、公取委員長とも打ち合わせた上で、お答えをいただきたいとお願いをしておきましたが、一体分野調整法というようなものが成立すること、その精神はいわゆる独禁法に違反する、独禁法の精神に違反するのだというふうにお考えかどうかを、大臣の後、御答弁をいただきたい。
  41. 河本敏夫

    河本国務大臣 第一の問題は、高度成長から安定成長に入ったわけでございますが、そういたしますと、日本の産業政策全体が方向転換をしなければなりませんので、したがいまして中小企業等におきましても、当然一部の事業は業種の転換ということが行われると思います。したがいまして前国会におきましても、事業転換をする場合に対して政府が積極的にこれを支援をしていくということについての法律を出しまして、御審議をお願いしたわけでございますが、これはいま継続審議になっております。私どもといたしましては、この法律をできるだけ早く通していただきたいということを強く期待しておるわけでございます。  それから第二点は、高度成長から安定成長へ入ってくるにつきまして、中小企業は相当幅広い打撃を受けておる、これに対する対策でありますが、金融面からも当然考えていかなければなりません。しかし、一律に債務のたな上げとか利子の免除とか、こういうことはできませんので、そこで企業ごとに、返済期日が来ても、仕事がなかったために返すことができない、こういう企業があれば、金融機関に対しまして、その返済について十分相談の上猶予してやれ、こういうふうな行政指導をしております。それからまた、新規に借り入れする場合あるいは借り増しをする場合に、担保についても見直しをして、過小に担保を評価しないように、こういう行政指導もいたしております。でありますから、一律にはたな上げ、免除等はいたしませんけれども、個々の企業に対しては十分配慮をするように行政指導いたしまして、現に行政指導をいたしました企業も非常に数多くございます。  それから第三点は、下請に対する支払いの遅延防止という問題でありますが、これにつきましては、常時中小企業庁の方におきまして実情を絶え間なく調査をいたしております。しかし、何と申しましても深刻な不景気が続いておりますので、法律がありましても、なかなかそのとおりに行われないということ等がありますので、その点は十分監視をしておるわけでございますが、そこらあたりの調査、それから指導のやり方等につきましては、中小企業庁の長官から答弁をさせます。
  42. 齋藤太一

    ○齋藤説明員 下請代金支払遅延防止法によりまして親事業者の支払い状況等をしさいに調査をいたしておるわけでございますが、昭和四十九年度は約二万二千件の調査を行いましたが五十年度につきましては二万八千件の調査を行うということで実施をいたしております。その結果、第三・四半期までの二万三千件の調査結果では約三千ヵ所の違反容疑を発見をいたしまして、それぞれこの改善方を指導し、特に悪質のものは公正取引委員会に案件を送りまして公取から勧告をしていただく、こういうふうな措置をとっておるわけでございます。  それから、先生の御指摘のございました工賃等について当月かつ現金払いにするように指導すべきであるというお話でございますが、大体現在の下請に対します支払い方の商慣習といたしまして、当月納入分を月末に締め切りまして翌月に払う、こういうふうなのが通常の商慣習でございまして、そういたしますと、平均して大体四十五日目に支払いが行われております。これを当月に必ず払うようにというふうに改めるといたしますと、月の初めのものは三十日目になるわけでございますけれども、月末締め切りといたしますと、月の半ば以後に納入分も、月末で締め切ります関係で、短いものは十日ぐらいで支払いをしなければならない、こういうふうなものが出てくるような結果になるわけでございまして、現在の商慣習からいたしますと、その月納入分を月末に支払うようにという面は、なかなか困難なような状況がございます。やはり月末締め切りの翌月中の払いというのが現状では、まあ妥当な線ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。  それから、そのうちの工賃分については現金で払うようにという点でございますが、この点につきましては、下請振興法という法律に基づきます振興基準というのがございまして、その中に、先生の御指摘のように下請代金の中での工賃相当分は現金で払うようにということを定めておりまして、そういう方向で現実に指導をいたしておるわけでございます。  どれぐらいが工賃に当たるかと申しますと、材料を支給いたしまして加工させます場合には、大体加工賃の四割ぐらいが工賃に当たります。それから、材料を支給しないで総体として下請から物を入れるという場合には、統計的に見ますと大体一五、六%から二〇%弱が工賃というような結果になっております。  一方、現金払いの比率はどうかと申しますと、昨年の一番悪いころが四〇%前後まで落ちましたが、最近だんだん現金払いの比率が上がってまいりまして、この四月の下請統計では、下請代金のうち四四%が現金で払われております。これは平均でございますので、もちろんこれより悪いところもございます。そういう意味で、平均で見ますと、大体工賃相当分は現金で払われておるというように見ておりますが、もちろん中にはそれより悪いところといいところとあるわけでございまして、それより低いところにつきましては、少なくとも工賃分は現金で払うように、さらに指導を続けてまいりたい、かように考えております。
  43. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの統計というのは、どこの企業をピックアップして統計をとるのか知らないですが、でたらめですよ。そんなばかなことないですよ。私に後で参考までに、その四四%になったという、どこの企業をピックアップして調べたかを、ひとつリストを出していただきます。委員長、これお願いしておきます。こういうところで、そんなものをそのまま素通しにさせたら、大変なことになる。そんなうまいぐあいにいってない。それが一つ。  それからもう一つは、平均して四十五日で現金払い、あるいは支払いをしている、こう言っていますが、平均四十五日で支払いをされていると調べたりストを、ひとつちょうだいしたい。その中に手形が入っていないかどうか。全部現金なのか、平均四十五日というのは。現実とはおよそ合っていない、その数字は。私も方々ずいぶん中小企業と関係しているのですが、およそ現実離れのした数字の説明をいまお伺いしたので、一体平均四十五日で払っていますよというのは、いま現金というような印象を受けましたが、中に手形が入っているかどうかをひとつ調べてもらう。そのリストもちょうだいしたい。  それから、いまのお話の中で、当月賃金相当分を現金で払うというようなことは非常に困難だ、納めて五日、十日で払うというようなことがあり得ると……。そんなことはない。十五日までに納入したものは、月末にそのうちの工賃分を払いますといえば、十五日ある。十日までに納入したものは、月末必ず工賃分を現金で払うといえば、二十日間ある。そんなことはやろうと思えばできる、やる意思があれば。現にやっているところもある。そのことが現在は行われていない。  いま私が質問すると、いかにも工賃相当分を現金で支払うように、しかも、それが四十五日以内に支払われてでもいるような、さらっと聞いていると、そういう印象を与える。しかし、それが四十何%でございます。半分以下です、今後まだ行政指導をいたします、こう言っていますから、聞きようによっては、何か四四%はそうなっていて、あと残りの五六%がそうなっていないから、これに対して行政指導を行うということになるのですが、私は、自分の実際経験をしている中で、われわれが関係している中小企業、零細企業の実態というものは、およそ四四%が四十五日で支払いをされていて、しかも、それがほとんど現金でなどということにはなっていないので、ぜひいま私が要求した二つのリストは、いわゆる計算の基礎を出していただく。  そうじゃないと、あなた方がそういったものを、いかにもまことしやかに出したままで、中小企業、零細企業が、いまいかに困難をしていても、それを救おうという手当てを講ずることができなくなると思いますから、私も検討しますから、その試算をした基礎になるリストを全部お出しいただく。  それから、いまの下請支払遅延等防止法に関して二万何千調査をして、約三千件に対して進歩のある結果を得たというような説明がございました。実は、この下請とか中小零細企業というものは、そのことを公取なり、あるいはどこかに訴えたということがわかっただけでも親会社から冷たく扱われて、そんなうるさいところは、もうやめだ、幾らでも下請はあるんだから、ほかへ注文出す、こう言われるものですから、おっかなくて言えないのが大半なんです。その実態をあなた方が調べようとしても、実態がそのままあなた方の中に入っていかないのが現状なんです。そんなことを正直に言ったということがわかっただけでも、次の注文が来なくなるのが、いまの現状なんだ。私は、通産省の指導というのは、後でJISやJASの問題に触れるときも同じなんですが、いわゆるメーカーの側について、大企業の側について行政が行われているのが残念ながら、いま日本の自民党のやっておられる政治の実態だと思う。  で、JISなりJASを取り上げようというのも、いわゆる消費者を保護するという立場が政治の権力を握った人々の当然の義務だと私は思うのに、わずかなメーカーの側についてJISなりJASの運用が行われているところを指摘しようというので、これからその問題に入るわけですが、私は、その下請などという数の圧倒的に多い、底辺をなしている、しかもその上に大企業というもが、ごくわずかな数が事業活動を行っているという状態を見たときに、やはり消費者と同じような立場で、この多くの数を持った下請零細に対するいわゆる保護行政、こちらに力の入った行政というものに転換することが新しい日本の政治のあり方だと私は思う。そういう意味から言うと、いまのような通産省の行政指導あるいは説明のあったその内容等は、およそ実態をつかんでいない。  したがって、この点に関しては要求した資料をお出しいただくことと、もう一度、賃金に相当する部分は下請に対して当月払いということが、ちょうど親会社が賃金の締め切りを二十日で締め切って月末に、あるいは先月の三十日に締め切って二十日にと賃金支払いをしていると同じような形で、下請と言われるものたちの賃金相当部分の期間設定を同じように行ってやればできますから、そういう指導なりそれに対する規制なりをやっていただきたいと思いますが、この点に関してもう一度御答弁をいただく。それからその後、公取の見解をぜひちょうだいしたいと思います。
  44. 齋藤太一

    ○齋藤説明員 下請代金支払遅延等防止法によります取り締まりは、主として親事業者の方の調査をいたしまして、親事業者の帳簿等を点検をいたしまして、ちゃんと代金が払われているかどうか、こういう調査をしておるわけでございまして、先ほど申し上げました二万数千件は、一部中小企業も含んでおりますが、主として親事業者に関する調査でございます。  それから、四十五日と申し上げましたが、御承知のように下請代金支払遅延等防止法では、少なくとも六十日内に支払わなければならないとなっておりますので、前月分につきまして、翌月の末までに支払われた場合に違法状態でなくなるというふうなことでございますので、少なくとも前月分は、どんなにおくれても翌月の末までに払うようにという指導をいたしておるわけでございます。  そういたしますと、一番長い場合で六十日、平均いたしますと四十五日、こういうふうに申し上げたわけでございまして、私どもの指導として、法律の要求しておる六十日という指導をいたしますと、実際には四十五日ぐらいにいくのではないか、こういうことでやっておるわけでございますが、もちろんこれも早いほどいいわけでございますので、ただいま先生御指摘の、特に工賃に当たる分の早期支払いの問題につきましては、今後十分検討いたしてみたいと存じます。  それから、この支払いというのは六十日目までに現金でも手形でもいいことになっておりますので、法律上の規定は六十日目までに全部現金で払わなければならぬということではございません。したがいまして、私が申し上げました支払いというのは、手形による支払いも含んでおるわけでございます。
  45. 吉野秀雄

    ○吉野説明員 お答えいたします。  分野調整と独禁法との関係でございますが、公取といたしましては、大企業の正当な手段による進出を抑えますことは、これはとりもなおさず新規参入を阻止することでございまして、その結果、その業界の合理化なり、あるいは近代化がおくれることになり、また、そのために良質低廉な商品、サービスの供給ができなくなるということで、究極的には一般消費者の利益も損なわれるというふうな観点から競争政策上、必ずしも好ましくないというふうに考えております。  ただ、大企業の持っております力を利用いたしまして、いわゆる優越的な地位を乱用いたしまして、たとえばダンピングを行ったり、あるいは過大な景品づき販売を行ったり、あるいはまた取引先の企業に対して、不当な拘束条件をつけて取引をしたりという形で進出をするような場合は、これは独禁法上不公正な取引方法に該当いたしますから、当然関連規定に照らして厳重に取り締まってまいりたい、こう思っております。  経団連が、昨年の十一月十一日に「事業分野調整に関する見解」というものを取りまとめまして、その中に大企業が進出する場合には独禁法上適法な形で、フェアな形で進出しなければならないという、申し合わせと申しますか、ガイドラインをつくったようでございますが、これは、ただいま申し上げましたように、往々にしてダンピング等の不公正な取引方法を利用して進出するケースが多いという配慮から、そうした申し合わせをしたように聞いております。  いずれにいたしましても、この問題は中小企業政策上きわめて重要な問題でもございますので、一概に競争政策上だけから律し切れない面も多々あろうかと思われますので、具体的な問題につきましては慎重に対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
  46. 原茂

    ○原(茂)委員 公取の見解には、二、三ちょっと納得できない点がありますが、これはまた別の機会にこの問題をプロパーでやらしていただくようにします。ただ、私が疑義があったということだけは、委員長にお伝えおきをいただきたい。  それから、いまの長官の御説明の中でもう一点だけ。大企業というか親会社の調査を二万何千件やりました、こういうお話でした。そのやったときに、そこから下請というものが何十社、何百社と出てくるわけでしょう。出てきたら、そこに対して匿名の回答でいいから、こういう点はありませんかということを、ぴしっと調査を抽出でいいからやってみてもらう必要があると思いますね。そうすると、もっと実態が本当のものがつかめるだろうと思いますから、これをやっていただけますか。
  47. 齋藤太一

    ○齋藤説明員 照合の意味で、下請の方にも一部調査を実施いたしておりますが、さらにその辺念を入れまして、下請の方の調査の数等もふやしてまいりたいと考えます。
  48. 原茂

    ○原(茂)委員 中小企業問題はその程度で、また後に譲ります。  そこで武器の問題に関して、これは大臣に簡単にお伺いしておきたいのですが、禁輸三原則があり、しかも総理の統一見解というものが要求されて予算委員会に出されました。それも全部知っております。私はそのことを論じようと思うのではない。武器、兵器の生産技術、ソフトウエアですね、これを輸出することは一体どうなるのでしょうか、可能かどうか、禁輸三原則との関係はどうなるか、この点は、これから非常に問題になってくるだろうと思いますので、お伺いしたい。
  49. 岸田文武

    ○岸田説明員 武器の生産技術の輸出につきまして許可を要する場合には、その申請につきまして慎重に検討して、その可否を決するということにいたしております。考え方といたしましては、武器輸出三原則に準じた考え方で処理をすべきものではないかと思っておるところでございます。  なお、従来の実績といたしましては、武器の輸出について許可をいたした例はございません。
  50. 原茂

    ○原(茂)委員 一番最後に言った従来の経験から言って武器の輸出を許可した覚えはない……。
  51. 岸田文武

    ○岸田説明員 武器の技術に関する輸出許可というものを行った例はございません。
  52. 原茂

    ○原(茂)委員 審査した例があるのですか。
  53. 岸田文武

    ○岸田説明員 申請の例もないと聞いております。
  54. 原茂

    ○原(茂)委員 これは申請をすることに義務づけられていると、兵器を生産できる企業は思っているでしょうか。何の根拠、どういう法律的な根拠でそう思うのか。
  55. 岸田文武

    ○岸田説明員 一般的に技術の輸出につきましては、外国為替管理法第四十二条及び同条に基づく外国為替管理令十七条に基づきまして役務契約の許可を要するということになっておるわけでございます。それは技術の内容によりまして一部は通産省が、他の一部は大蔵省が許可をするというたてまえになっております。  念のために申し上げておきますが、標準決済方法の場合には、この許可を要しないというような形が法律的な規制の内容でございます。  一般的に、武器に関する技術を輸出するということにつきましては、関係の者も当然慎重でございますし、これらについては、やはり通産省に相談があるというようなケースが多いのではないかと思います。もし、そういうようなケースが具体的に起こった場合には、通産省に相談に来るというような形になる場合が多いのではないかと思っておるわけでございます。
  56. 原茂

    ○原(茂)委員 ちょっとそれは怪しげですが、まあ一応そう答弁しなければいけないから答弁を聞いておきますが、たとえば日本の国際的にもすぐれたエレクトロニクスの技術を中心にしたセンサーであるとかというようなものは、その技術を輸出するということになると、これは許可対象になりますか、なりませんか。レーダーとかセンサーとか探知機、こういったようなものは日常の生活に使われるものではない、完全な戦争の用具として使われるレーダーであり、センサーであるというようなときの、いわゆる生産技術が輸出されようとするときに、これは許可事項になりますか。
  57. 岸田文武

    ○岸田説明員 一般的に申しますと、レーダーは汎用的な目的を持っておりまして、従来から武器としては解釈をいたしておりません。ただし、その中で追尾用のレーダーという特殊のもので、射撃装置と連動し得るというような場合には、武器として扱うというような例がたしかにあったと思います。技術輸出につきまして、そういうものの許可申請が出てきた場合には、恐らく武器の場合と同様の考え方で処理をするということになろうかと思います。
  58. 原茂

    ○原(茂)委員 許可申請を出さなかったら、どうなります。
  59. 岸田文武

    ○岸田説明員 いま申し上げましたような特殊のレーダーの場合でございますれば、業界の実態も担当部局の方で大体掌握をいたしておりますので、恐らく御懸念のようなことは心配ないと思います。
  60. 原茂

    ○原(茂)委員 御懸念のようなことが心配あったらいけないから、そこのところをもうちょっときめ細かくやっておかないと、後できっと問題になりますよ。許可申請しないなんということは、御懸念ないだろうなんて言っているような状況ではないと私は思います。ここで何がどうだということを申し上げないという前提で御答弁いただくようにしていますから、そんなことは言わないのですが、そういうものではないと思うのです。では、それは後でよく検討しておいていただきましょう。  そのほかに、兵器の共同開発の問題が、これはやはり国際的に必要になってくるだろうという感じがするのです。フランスのようにどんどん兵器をつくって売り込んでいけば——私は、フランスなんという国は、いま死の商人に化したようなものだと思っているくらい、労働組合から何から、革新政党であっても兵器の輸出をどんどんやれと言っているような国になっているのですから、私は、どうも同じ革新の立場でも、フランスの現在の革新政党のあり方にも疑義がある、労働組合のあり方にも疑義がある。しかし、国策としてやらざるを得ない、兵器を一たんつくって、どんどん売り出している。その設備がある限り、どんどん売らなければいけないというので、私は、国としてはフランスが一番死の商人化しているというふうにすら思う。というようなことを考えたり、あるいは一国だけでやっていく技術のある程度の低迷もあるでしょうし、向上というものを考えたときに、やはり共同開発ということが国際的に一つのテーマになってくるだろうと思う。  そこで、今後兵器の技術の共同開発というようなものに関しては、申し込みがあったら許可を必要とするのですか。兵器の生産技術というものの共同開発を申し込まれたり、日本でもやりたいと考えて企業間でやったというようなときには許可が必要なのですか。それとも許可は要らないのでしょうか。どうですか。
  61. 熊谷善二

    ○熊谷説明員 お答えいたします。  武器の国際共同開発の問題につきましては、一義的には、防衛庁の方で、国際共同開発を日本の装備の国産化ということの関連で、どのように考えられるかという問題かと存じます。通産省としましては、具体的な問題として、いま国際共同開発問題につきまして十分検討いたしておりませんので、現段階におきまして正確なお答えはいたしかねますが、ただ、武器にかかわる問題につきましては、一般的には武器三原則等、非常に慎重な扱いをいたしておりまして、こういった政府の方針を参考といたしまして、本件についても慎重に対処してまいりたいというふうに考えております。
  62. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣お聞きのとおりなんですが、いまの私の二つの、武器の生産技術、ソフトウエアの輸出に関しては許可が必要だ、禁輸三原則に照らして厳重な審査をする、したがって許可が必要だ、第一点。それから第二点は、その武器の生産技術に対する共同開発に関しても、これもそれに準じた規制を行う、勝手にやらせないという御答弁があったわけですが、これは大臣も確認していただけますか。
  63. 河本敏夫

    河本国務大臣 第一の生産技術の輸出問題でありますが、これはいまお話しのように、武器の輸出三原則に照らして処理すべきものだと思います。  それから第二点につきましては、これまでそういうことがなかったものですから、検討しておりませんが、将来そういう事態がありとすれば、これは当然防衛庁の方でお考えになるべきことだと思いますが、許可という問題からいえば、当然三原則に照らして検討すべきものである、こう思います。
  64. 原茂

    ○原(茂)委員 これで、武器の問題は終わります。  そこで最後に、JIS、JASの問題に入りますが、冒頭にお見せしたかん詰め、乾電池、大臣こらんになりましたね。——大臣どうですか、そのかん詰めを見て、これはいつつくったものだか、おわかりになりましたか。それが一つ。それから、乾電池をごらんになって、乾電池というのは実際に有効期限があるのですが、いつまで使えるかおわかりになりますか。平たく私が感じたままを言いますと、全然わからないのですが、大臣あれを見てわかりましたか。
  65. 河本敏夫

    河本国務大臣 あれを見ただけではわかりません。ただ、専門家が後ろにおりまして若干の解説をしてくれましたので、そうかなというふうな感じはいたしましたが、私の知識では全然わかりません。
  66. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣も私も同じなんで、そういうものを買いにいったときにわからないのが現状なんです。専門家が説明してくれるとわかるのです。消費者は全然わからないということがわかりましたから、大臣十五分くらいで食事してきてください。  あとお伺いしますが、私、平たくお聞きするのですが、いろいろなむずかしい規格があったり、標準化あるいは工業技術院どうのこうのといろいろあるのです。いま大臣もわからないと言った。私もわからないと言ったのですが、物を買おうとする消費者の側からいって、かん詰めを見たときに大変むずかしい解説書でもって——この頭の1、頭のSはこういう解釈だ、一番最後にあるTというのは、こういうものなんだというものを幸いに農林省の関係ではいただいたりしました。それから通産省のマンガン乾電池などに関しても、こういうものがあるのだという規格をいっぱいもらいました。  しかし消費者は、わかりますかね。こんなものを各家庭全部持っていて、かん詰めの符号を一つ一つ調べて、中身はシロップだ、いや単なる水煮なんだとか、これは何年につくったものだとか——製造年月日は略号になっておる。うっかりすると、つくった会社に略号を言って問い合わせなければ、いつつくったかん詰めだかわからない。かん詰めなんか、古くなると中でもって何か変な作用を起こして、金属が溶解してなんという事件が起きたことも事実ある。こういうままでいっていいんでしょうか。  これは先に農林省の方からお聞きしましょうか。いまの食い物の方のかん詰めで、消費者保護の立場で、そういうものがわからないままでいいとお考えになるかどうか。多分それではいけないのだと言うに決まっておるのだろうと思うのですが、森さんですか来ておるなら、それを先にお答えをいただきます。
  67. 森宏太郎

    ○森説明員 お答え申し上げます。  かん詰めにつきましては、日本農林規格のものにつきまして、先生がいろいろ御指摘になられております製造年月日その他、たとえて申しますと品名あるいは内容総量、原材料名等の事項を日本農林規格上、表示事項として定めております。その中で一番問題になっております。いま御指摘の製造年月日の問題でございますけれども、これにつきましては、実は日本農林規格上略号で表示するということを、特に製造年月日につきまして認めておるところでございます。  これは先生御指摘のように、消費者にとってわかりにくいという御指摘は、確かにあるわけでございますけれども、一方、御承知のようにかん詰めはパックをいたしたものを最後に高熱で処理するという措置が行われるわけでございます。したがって個々のものにつきまして、さっきちょっと申しました品名あるいは原材料名、内容総量あるいは製造業者、販売業者のものにつきましては、これは不動文字であらかじめ印刷をしておくことができるわけでございますけれども、製造年月日につきましては、いま申しましたような技術的な面から申しまして、どうしても事後に、かん詰めのふたのところに具体的に何月何日ということを表示しなければならぬという、そういう特殊な技術的な必要がございます。それで表示の方法といたしまして、製造年月日については、かんのふたのところに略号で表示することができる、そういうふうな形で表示をしておるわけでございます。  これを全部不動文字でプリントによりまして表示するということは、ほかの品目、品名あるいは原材料名その他のものと違って一緒に処理することができない、そういう技術的な面から、いま申し上げたような処理になっておりまして、現在の製造技術なり、あるいはこれのコストの問題等もございまして、絶対的にできないということはなかろうかと思いますけれども、コストが非常に高くなることによりまして、かん詰めの価格にまたはね返るということによって、やはり消費者に対する価格の影響ということもございますので、日本農林規格では、いま申しましたように、製造年月日だけにつきましては、特にそういう特例的な扱いを認めておるところでございます。これにつきましては、すでに二十年以上長い期間そういう措置でやっておるところでございます。
  68. 原茂

    ○原(茂)委員 私が問題にしているのは、製造年月日と有効期限——有効期限ということはないが、いつまで置いておいていいのかなという心配ですよ。私のところは、ためしにやったわけじゃないけれども、ずいぶん古いのがあるのです。周りからさびてきまして、中が変わってしまっていますよ。何ならお見せしてもいいが、ずいぶん古いのが置き場所が悪かったから、周りからさびてきてしまったりして、中まて変質をしているのがあります。  いま技術上の問題だとおっしゃるのですが、何も一番上の数字の五は一九七五年の五でございますなんて言わなくたっていいじゃないですか。七五年の一月とか七五年の二月とか十二月とか、この五八一六と同じ数字でやれるじゃないですか。これ以上何か数字をふやせと言うのじゃないのですよ。だれが見ても、七五年の一月だとか七五年の八月だとか、わかるように改めさせたらどうでしょう。これなら消費者もわかります。これを見て、第一文字は西歴一九七五年の一番末尾の数字でございます。第二字は何月でございます。第三字は、第四字はと、こう書いてある。そんなこと言わないで、何日という日なんかいいですから、皆さんなりメーカーの方で必要があるなら何か特別に考えればいいので、日は要りませんよ。昭和四十年の五月とか、この四文字だけは現に技術的に押せるのだから、そうしたら昭和でやるなり西歴でやるなり、その年号だけを入れるというふうにしてくれれば、われわれにもすぐわかりますよ。そういうようにわかりやすいものに改めさせる方がいいのじゃないですか。そういうことが消費者の側に立った行政だと思うのです。  一番最初の字が西歴の末尾でございますなんというのが第一わからない。もっとわかりやすくしたらどうですか。こういうものは西歴であらわすのだよということを皆さんがPRし、常識的に消費者にもわかれば、七五年十一月は七五二でいいのですよ。七六年の〇一でいいのですよ。そういうようにできないのか。そうしたら一歩前進じゃないかと思う。御答弁をいただきたい。
  69. 森宏太郎

    ○森説明員 お答え申し上げます。  いま先生から一つの改善の御意見を承ったわけでございます。この点につきましては、実は先ほどお答えは申し上げませんでしたけれども、いま日本農林規格の品質表示改善の検討の小委員会を農林規格調査会というところの内部で持っておりまして、現在いろいろ検討中でございます。先生御指摘のように、四文字をふやさないで四文字の中におさめるということにいたす場合にも、現在は御承知のように十二月、十一月、十月という二けたになりますと四文字では入りませんが、先生のおっしゃる日にちを省略するという方法は、いま申しました小委員会の中でも現在検討いたしておるわけでございます。  外国なんかでは、かん詰めば非常に長期保存にたえるものでございますから、日にちまではやっていないところもございます。その点は、いま検討をいたしておるところでございますが、これは私ども農林省だけの問題ではございませんで、食品衛生法上も同じような略号によって製造年月日を決めておるわけでございますので、厚生省とも十分御連絡をいたしまして、その問題の検討を進めてまいりたい、かように考えております。
  70. 原茂

    ○原(茂)委員 検討を進めてまいりたいということですが、検討をして大至急に消費者が本当にわかるようなものに改めていただくようにして、次の機会に、いつごろそうなるかということをまたお伺いしますから、忘れずに大至急に検討しておいてくださいよ。それから、いまの問題で通産省の方と厚生省にもお伺いしたいのですが、新しい乾電池を見ると、ちゃんと七六年の四月でしょうな、〇四と製造月日が書いてあるのですね。ところがこれは、実際に生産して一年後に百時間の有効なものなんだ、こういうような規格があるのですね。それが素人にはわからないのです。これなんか、七六年四月というのを打ったら、それからハイフンをやって七七年の十一月まで有効だという数字が書いてあれば、有効期限は、そこなんだよというようなことができないのですか。それが通産省に対して。  それから厚生省に対して、薬に対してやはり有効期限というものをぴしっと書いておくものもある、ごくわずかのものは指定しているようですが、われわれ素人は、薬っていつまで持っていてもいいのかなという感じがあるので、特に売薬の場合なんかは有効期限というのをきちっと書くということにできないのですか。  もう一つは、薬に関しては容器には書かない。そして外側の入れ物の方に書くようになっている。これもいけないと思う。入れ物なんかとっておかない、邪魔になるから。中身を、びんを出しちゃうのだから、びんの方へ書きなさい、びんの方に有効期限を書くべきだ、薬は。そう思いますが、厚生省どうですか。それから、いま言った通産省の方でもそういった有効期限、いつまではいいんだよということを、ついでに書いてもらいたいということが一つです。  それから三者共通の問題で最後にもう一つ。  なぜ値段を書かないのです。近ごろ商品は全部値段を書くようになっている。こんなものどこへ行っても全然値段がわからない。これは最も消費者に対して不親切なんです。値段を入れるべきですよ。どうして値段を入れないのか。こういうものの値段をちゃんと入れたらいい。判で押してもいいし、何でもいいから値段は入れるべきだと思うが、いかがです。これ三省共通の問題としてお答えをいただきたい。
  71. 熊谷善二

    ○熊谷説明員 乾電池につきましてお答えいたします。  先生御指摘のとおり、製造年月日は表示がそのように年と月ということになっておりますが、ただ保存中に温度、湿度がそれぞれ保存場所によりまして違っておりまして、一律にこれが一年の保存にたえるかどうかという点を一義的に決めるのは、技術的になかなか困難でございます。御指摘の一年後の試験の結果、一定の要件を備えているものでなければならない、これはJISの規定でございますが、ただし、その場合に一定の温度、それから一定の湿度というものを前提といたしておるわけでございまして、たとえば湿度の場合には六五プラスマイナス二〇%の湿度、あるいは温度の場合には二十度プラスマイナス二度の前提を置きましての審査でございます。それぞれの小売等におきます保存の状況によりまして、かなり実態も違いますので、その期間のいわゆる保証というようなことにつきましては、技術的に現在困難でございます。  それから価格の点につきましては、メーカーの出し値で価格が決まるわけでございます。最終的には、やはり消費者のところで小売が決めるということでございまして、小売段階で価格が物によりまして若干違うということもあろうと思います。一義的に価格を表示するということは、そういった実態から考えまして、むずかしい点があろうかというふうに考えております。
  72. 原茂

    ○原(茂)委員 小売店や何かが保存の状況、その環境によっては保証する期間がまちまちだ、なおさら消費者に不親切じゃないですか。いまそんなものを一定の温度で、一定の湿度でどうのこうのって、小売店でもって保管していますか、こんなもの。そんなら全然保証できないものだ、乾電池というものは、そういうことになる、いまの答弁では。なお消費者に不親切じゃないですか、そんなこと言ったら。一定の、とにかく前提というものがあって、その中で一年とかなんとかという保証ができるだけだ、小売店によってまちまちだから、その期限を切ることは、むずかしいというのは少しおかしいじゃないですか。それから値段は、もしそうおっしゃって小売店がつけるべきだと言うなら、小売店て必ずつけろということにしたらいいでしょう。してもらいたい、ついてないですよ、これ。小売店で必ず値段をつけなさい、これもそうだ。行ったら、すぐわかるように値段をつけさせるべきだ、かん詰めも、これも薬も。そういうふうにしてもらわなければ困ると思います。あとお二人答弁するとき、そのことも参考にしながらひとつ。
  73. 新谷鐵郎

    ○新谷説明員 医薬品につきましては、先ほどお話ございましたように、現在比較的短期間に品質の変化する可能性のあるもの、たとえば抗生物質だとか、ワクチンだとか、ビタミンB1とか、ビタミンCを含んだ製剤、そういうものにつきましては有効期限を明示するということにいたしておるわけでございますが、御指摘のように、全医薬品につきまして、それを明らかにするというたてまうにはなっていないわけでございます。  これまでそういう状況にございますのは、やはり先ほどお話ございましたように、管理の仕方によりまして有効期限が違ってくるとしますと、その表示の仕方がむずかしいとか、あるいは率直に申しまして、流通段階でもし期限が表示されると、期限内のものでも新しければ新しいものほどいいというような議論が出て混乱するのではないかとか、そういう観点の心配から、そういう問題が議論されておったというふうに理解いたしておりますが、しかし、特に最近医薬品につきましては、いろいろ副作用被害の問題等で深刻な問題が出てきておりますので、厚生省といたしましては、この問題につきましては、最近特に業界とも話を進めまして積極的に検討いたしたい、そういうふうに考えておるわけでございます。  なお、販売価格の点につきましては、現在の薬事法の体系では、衛生法規でございますので、直接販売価格云々というたてまえを指導いたすことは困難かと思います。別の問題として検討すべき問題かと存じます。
  74. 森宏太郎

    ○森説明員 価格の問題につきましてお答え申し上げます。  農林物資全体、一般的に申しまして、第二次産業部門におきます工業製品と違いまして、原材料のコスト上のウエートが非常に高い品目でございますし、原材料は御承知のように、かん詰めの場合で申しますれば、農産物なりあるいは水産物、魚等でございまして、これの価格変動が非常に、常に起こっているようなものでございまして、主として生鮮食料品につきましては、卸売市場で価格が建っておるわけでございますけれども、そういうような特性から申しまして、その主原料の農産物あるいは水産物の価格構成が非常に変化しておるというようなこともございますので、いま御指摘のようなかん詰めの胴なり、ふたなりに価格を表示するということは、農水産物の加工品であります特性からいって無理かと思うわけでございます。  ただ、小売段階におきます価格表示、これは別の問題でございますけれども、これにつきましては、もし価格表示が行われてない、徹底されてないというようなことのケースがございますれば、それは適当でないわけでございますので、そういうことのないように小売段階について価格の表示、これは規格法上の表示ではございませんけれども、それらの指導をしてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  75. 熊谷善二

    ○熊谷説明員 先ほど答弁をいたしました点につきまして御指摘が再度こざいましたのですが、先生御承知のように、乾電池を製造いたしましたメーカーから小売店の方に参ります期間が、長くて一カ月以内に大体行っておる状況だと思っております。それから、小売店で在庫がどれくらいなされておるかという状況でございますが、通常〇・三ヵ月あるいは〇・四ヵ月、わりと短期間に回転をいたしておりますので、通常一年の範囲内におきまして、乾電池等不良によるクレームといったような問題は、消費者サイドから今日余り出てないのが実情でございます。  非常に乾電池の種類も多々ございますし、また非常に小さいものも中にはございまして、表示等もなかなかしにくいという問題も、技術的にはあるのでございますが、そういったいろんな問題がございますので、先ほど申しました保証期間の表記という問題につきまして現在なされてないのが実情でございます。もし今後そういった問題につきましてクレーム等が頻発するようでございますれば、その段階でよく対策を講ずる必要があろうかと考えております。
  76. 原茂

    ○原(茂)委員 これで終わりますが、大臣ちょうどいない留守に、いまのJIS、JASの問題をやったわけでございますが、いまのあらゆる製品に関して有効期限、あるいは製造年月、それからプライスをつけるということを、おのおの所管が違うという言いぐさがあるのですが、ぜひひとつ検討して、大臣のやれる範囲のものはやっていただくようにしないといけないと思いますから、後でお聞きになって、ひとつ十分に検討して、できるものからやっていただくようにお願いして、これで終わります。
  77. 村山達雄

    村山委員長 庄司幸助君。
  78. 庄司幸助

    ○庄司委員 三点ほど伺いますが、第一番目の問題は、水力発電所の用地取得に絡む問題です。  福島県の只見川沿いに金山町がございますが、そこに東北電力の沼沢沼揚水発電所があるのです。これができたのは大分前ですが、それにもう一本第二発電所をつくるという計画が進められているわけです。その場所について申し上げますと、沼沢沼というのは大分昔の火山の火口湖であるといわれております。したがって地質上の問題が相当あるわけです。  その点でまず、第二沼沢沼発電所、この発電所の建設が進められるに当たって、通産省として、指導官庁として、こういった地質構造上の問題点なんかも調査の上で許認可をやられているのかどうか。この点まず第一点、どなたでもいいですから、お伺いします。     〔委員長退席、森下委員長代理着席〕
  79. 河本敏夫

    河本国務大臣 政府委員から答弁させます。
  80. 大永勇作

    ○大永説明員 直接には、地質につきましては通産省としては調べておりませんで、会社の調べましたデータをチェックして判断するわけでございます。
  81. 庄司幸助

    ○庄司委員 そのデータをチェックしてどういう御判断になりましたか。
  82. 大永勇作

    ○大永説明員 まだいわゆる電源開発調整審議会にかかる前の段階でございまして、最終的な判断は行っておりません。
  83. 庄司幸助

    ○庄司委員 まだ行っていらっしゃらないという御返事です。  この発電所を建設するために、いろいろ地元との折衝も、とっくにやっていらっしゃるようですが、その間地元住民として非常に心配している問題があるのです。そのため国土問題研究会あるいは埼玉大学、こういうところに依頼して、この辺の地質の調査をやったわけです。その地質の調査書を、おたくの方としてごらんになったことはありますか。
  84. 大永勇作

    ○大永説明員 見ておりません。
  85. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうすると通産省としては、電調審でもいいのですが、こういうものを許可する場合、当然に住民の安全対策を考えなくてはならないだろうと思うのですが、これをごらんになった上で判断して、それから許可するということになりますか。
  86. 大永勇作

    ○大永説明員 そういう調査資料をお出しいただければ、十分それを含めて検討いたしまして判断いたしたいと存じます。
  87. 庄司幸助

    ○庄司委員 おたくの方の判断がまだできていない、その段階で用地買収工作がどんどん行われているという事態、これはどういうふうに考えられますか。
  88. 大永勇作

    ○大永説明員 やはり地質調査をいたしますためには、ボーリング等を行う必要があるわけでありまして、そのために必要な土地というものは、調査段階で手当てをせざるを得ないということでございます。
  89. 庄司幸助

    ○庄司委員 ボーリング調査の問題じゃないのです。用地買収の工作をやっているという問題なんです。用地買収工作がやられている。この点どうお考えになりますか。
  90. 大永勇作

    ○大永説明員 いろいろ用地買収の交渉を事前に開始するということはあろうかと思います。
  91. 庄司幸助

    ○庄司委員 だから私が言いたいのは、地域住民の安全を守るために、通産省もそこが安全な場所かどうか十分判断した上で建設の許可をやる、建設の許可があれば、もちろん用地買収の交渉に入るでしょうが、その辺の許可もないうち用地買収交渉をやっているのはおかしいじゃないですか。
  92. 大永勇作

    ○大永説明員 将来工事が行われることがあり得るわけでございますので、事前交渉をあらかじめやっておくことは、あってもおかしくないのではないかというふうに考えております。
  93. 庄司幸助

    ○庄司委員 事前交渉、いまそういう表現を使われましたが、安全か安全でないかわからないのに事前交渉をやらせるという話はないじゃないですか。
  94. 大永勇作

    ○大永説明員 調査井その他でボーリングをいたしまして、安全性について問題があるということでありますれば、それまでやっておりました事前交渉は白紙に返る、こういうことではないかと存じます。
  95. 庄司幸助

    ○庄司委員 その事前交渉で、いま地元で大騒ぎになっているわけです。これは通産省知っているかどうかわかりませんが、多分知っていて知らんぷりをしているかもしれません。大騒ぎになっています。それで地元の金山町あるいは地元住民が依頼して「沼沢湖周辺(三更部落付近)の地質構造および山腹崩落に関する地質調査報告」こういうものを埼玉大の小野寺先生が出されております。  この中に大変問題のある個所もあるわけです。「沼沢沼発電所水路トンネル掘削の時、第二号トンネルで遭遇した空洞である。」空洞というのは、火山性の土地ですから、当然その一帯に全部空洞があるのですね。「地山が大きく破壊している可能性をなしとしない。」こういうくだりもあります。「同様の空洞または大間隙が、沼沢火山の外輪山または内輪山の山体内に存在することが考えられる。」「以前に遠方からこの空洞内を流れていた水を供給していた浸透経路はそのまま残り、充填された部分では経路は変化するが、山体内の他の空洞や大間隙を通って流下する可能性は残る。」バランスが崩れる、こういう危険も予測しておられるわけです。「いずれにしても、水路トンネルからの漏水の問題は別にして、トンネルを含むある範囲で、地山内の地下水の流水の状況が、工事の前後で変化することだけは確かであるが’これを量的に把握する手段がない。」  これは三更の部落の住民の方々が長年生活していて、いわゆる第一発電所建設以来、いろいろな現象に常時気がついているわけです。新潟地震の際は大崩落があったり、その他トンネルの導水管からの漏水、これがやはり崩壊の原因になったとか、こういう点に気がついているわけです。だから心配しているわけですね。  それから国土問題研究会の調査によっても、その一帯が大変問題のある上井草層という層が大分ある。大体水路がこうありますが、その周辺ずっと上井草層がある、こういうことも指摘されているわけです。そういう点、地元住民が非常に心配して——もちろん賛成なさる方もあるだろうと思いますが、その点での電力との折衝があるわけです。  その点で、一点だけ通産省に伺っておきますが、私がいろいろ指摘した資料がありますから、これに基づいて過去の沼沢沼発電所ができたことによる影響、それからその地質の問題、今後第二発電所ができた場合の影響、こういうことを調査して、ひとつ私のところまで御報告願えますか。それから、住民にその点周知徹底していただけますか。
  96. 大永勇作

    ○大永説明員 現段階では、まだ会社がいろいろ調査をしている段階でございまして、会社の案自体が固まっていないというふうに思います。したがいまして、いまの段階でそれに対する評価をするということは困難なのではないかと思います。会社案がまだ電調審を通っておりませんが、電調審を通りました後、電気事業法の八条の許可、あるいは四十一条の工事施行の認可というふうなプロセスを経まして決まる問題でございますので、そういった許認可の段階におきまして、われわれとしては十分調査をいたしまして、安全性を確認した上で許認可を行うということは当然のことだと存じております。
  97. 庄司幸助

    ○庄司委員 そこで、許認可を行う前に通産省としても、ひとつ住民の意見を徴していただきたい、こう思いますが、その点どうですか。
  98. 大永勇作

    ○大永説明員 電源開発調整審議会の日程はまだ決まっておりませんが、今後電源開発調整審議会にかかります際には、地元の知事の同意をとることになっておりますし、恐らく知事としては地元住民の意向を十分くみ上げて、県としての方針をお決めになるというふうに理解しております。
  99. 庄司幸助

    ○庄司委員 時間がありませんから、その点はこの辺にしますけれども、ただ県が地元住民の意見を徴する場合、これはやはり一方的な事例が相当あるのです。だから、原発にしろ火発にしろ、あるいはこの水力発電所にしろ、トラブルが絶え間ないのです。これはもっと民主的にやってもらいたいのです。検討すれば、それで地元住民の意見を徴したという形式にしないで、もっと末端住民の声を聞いてやってもらいたいのです。大臣、その点どうですか。
  100. 河本敏夫

    河本国務大臣 一般的に申しまして、原子力発電であろうと一般の発電所であろうと、地元の協力がありもせんとできませんので、地元住民の意思を十分聞きますと同時に、地元とよく打ち合わせをいたしまして進めるのが当然であろうと思います。
  101. 庄司幸助

    ○庄司委員 それで、この問題の第二点に移りますが、こういう事前の折衝をやっている段階で、東北電力が地元住民のプライバシーにわたるような問題まで調査している。これが漏れているのですね。それから思想調査、こういうことまでやっておる証拠があるのです。  私は、お名前は出していいとおっしゃった方だけ出しますが、あといろいろ書いてあります。これは東北電力株式会社の用せんです。表題は「三更部落個人別調書」一人目に「氏名、星賢正、年齢五十二歳」それから「役職、金山町議会議長」それから「開発調査に対する態度、強硬に反対」その次のくだりに「縁籍関係その他」というのが調査項目にあるのですね。妻は、お名前は申し上げません。だれだれの子女で、また、妻と〇〇町議はいとこであるとか、この縁籍関係をずっと調べています。それから、その次に「性格は強くないので正面きって反対するような人でない」こういうことも書いてあります。  この辺はまだ一応いいとしても、その次の方、これはKさんとしておきましょう。この方の「縁籍関係その他」に——この方は条件つき賛成だそうです。「4、部落の頭首格であるが、腹をわるような友人はいない」6として、「話がわからなくなると、全くわからなくなり、部落から信頼されない」こういう人の人格の評価まで書いてあるのです。それからその次の方、これもやはりKさんです。これは「強硬に反対」と書いてあって、だれだれの「弟で無口である。酒ぐせがわるい。子息は共産党員である」こういうことを書いてあります。それからその次の方、これもKさんです。「賛成」こういう人には「温厚な人である」としてある。それから別な人、これもKさんですが、「賛成」この人については「正直で人がよく、当社に協力的である。部落の情報等を得易いが、反面、物事を腹にしまっておけない人であるので社内情報がつつぬけとなるおそれがある」  こういう人物の評価からプライバシーにわたる問題、「酒ぐせがわるい」とかそういうことまで丹念に調査して、これを青焼きにして配っているのです。その一部が私どもの手元に入ったわけです。経路は申しません。ただ地元の人の話だと、東北電力と密接な関係にある、ある政党の方がうっかりして漏らしてしまったというような、これはうわさとしておきましょう。これはただ単に社内にだけとどまったものじゃなくて、そうやってもう部落全部に広がるような内容です。これは明らかにプライバシーの侵害であるし、それから「子息は共産党員である」なんということまで調べ上げているわけです。まるで公安調査庁ですね。こんなことを電力会社が調査する権限はあるのですか、またこんなことをやらしておいていいんですか、それをひとつ伺います。
  102. 大永勇作

    ○大永説明員 用地交渉をするに当たりまして、交渉相手の趣味とか嗜好等につきまして調査することはあるかと存じますが、先生の御指摘になりましたようなプライバシーにわたる問題等につきまして調査をすることは、全く不適当であるというふうに考えます。
  103. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは、ひとつお調べになっていただきたいのです。  通産大臣、いま聞かれたと思います。これは私は一つの事例、たまたま見つかったのを申し上げているのです。もし全国至るところの電力が発電所建設に当たって、こういう態度をとっていらっしゃるとなると、電力会社というのはとんでもない会社だ、思想信条の自由は侵す、プライバシーの侵害はやる、それを外へ漏洩する、こんなことをやらしておいていいんですか、大臣、御答弁をお願いします。
  104. 河本敏夫

    河本国務大臣 発電所をつくる場合に土地の買収をしなければなりませんが、土地の買収をする場合に、やはり相手方の立場をある程度調べませんと、なかなか交渉がスムーズに進まないということによって、ある程度の調査は、それは私も必要だと思います。ただしかし、そういう調査が外部へ漏洩をして、そして迷惑をかける、そういうことがあれば、これはもう大変なことでございますから、そういう点は私は十分留意してやるべきである、こう思います。
  105. 庄司幸助

    ○庄司委員 大臣の御答弁だと、漏れさえしなければいいというような印象を受けるのですが、これは漏れても漏れなくても悪いことじゃないですか。他人のプライバシーまで何で調べるのです、土地を買うのに。酒癖が悪い、地元の信用がないとか、口が軽過ぎるとか。土地を買う場合は、あなたの土地が何反歩あって、何坪あって、大体この辺の地価は何ぼぐらいであるとか、そういうことを調べるのが当然じゃないですか。だから漏れようと漏れまいと、こういう調査はやらしてはならないというのが私の主張なんです。その点、大臣もう一遍御答弁お願いします。
  106. 河本敏夫

    河本国務大臣 土地の買収交渉を容易ならしめるために必要な相手の事情を調べるのは、私はいいと思います。ただしかし不必要な、それに必要のないことまで調べるというのは、これはもう行き過ぎである、こう思います。     〔森下委員長代理退席、委員長着席〕
  107. 庄司幸助

    ○庄司委員 行き過ぎをやった。それから憲法違反ですから、これは。思想調査までやっているのですから。これに対して大臣、東北電力に対してどういう御処置をとられます。この問題について、それから今後こういうことがあると困るわけですから、その辺ひとつ……。
  108. 河本敏夫

    河本国務大臣 いずれにいたしましても、その実情についてよく調べてみたいと思います。
  109. 庄司幸助

    ○庄司委員 実情をお調べにならなかったですか。まあ、きのうの夕方ですからね、無理もないと思いますが。ひとつこれは調べて、厳重に指導を強化してもらいたいと思うのです。その辺いいですか。
  110. 河本敏夫

    河本国務大臣 真相をよく調べてみたいと思います。
  111. 庄司幸助

    ○庄司委員 それでは、次に移ります。  私の地元に、宮城ですが、鶯沢町に三菱金属の細倉鉱山というのがあるのです。これは相当昔から鉛を取ったり亜鉛の製錬をやったりしていたわけですが、これが今度いわゆる第二会社をつくって、そこに移行するということになったわけです。この三菱金属が一〇〇%出資の子会社をつくって、それに移行させたという理由についてお調べになっているのだったら聞かしてもらいたいと思います。
  112. 河本敏夫

    河本国務大臣 説明員から答弁させます。
  113. 森山信吾

    ○森山説明員 ただいま先生御指摘のございました三菱金属株式会社の鉱山分離は、ただいま計画中でございまして、その理由といたしましては、御承知のとおり、最近非鉄金属価格の低迷が続いております。また製品在庫が増大してまいりまして、このままでまいりますと、三菱金属自身の閉山問題ということにも発展いたしかねませんので、これは国内資源の保護、維持という観点から、まことにゆゆしき事態に立ち至るということでございまして、現在三菱金属が持っております五つの鉱山を、それぞれ分離、独立させることによりまして鉱脈を少しでも延長するということと、それから従業員の雇用の安定、さらには地元地域社会とのつながりを維持していく、こういう観点から分離を計画しているというふうに私どもは了解いたしております。
  114. 庄司幸助

    ○庄司委員 五つとおっしゃいましたが、細倉以外あとの四つの名前と場所をひとつ……。
  115. 森山信吾

    ○森山説明員 現在三菱金属が持っております鉱山は、先ほど申し上げましたように五つございまして、下川、古遠部、松木、細倉、明延、この五鉱山でございます。
  116. 庄司幸助

    ○庄司委員 細倉の場合は細倉鉱山株式会社という名称だと聞いておりますが、その資本金、それから現在の従業員、これをお聞かせ願います。
  117. 森山信吾

    ○森山説明員 この新会社は、一応七月一日に発足するという予定でございまして、ただいまから申し上げます答弁は、予定ということでお聞き取りいただきたいと思いますが、細倉の場合、授権資本は五億円でございまして、当初は一億二千五百万の予定でございます。それから従業員は九百七十四名現在おられますが、大体九百六十名程度は新会社に移行される、こういうふうに承知いたしております。
  118. 庄司幸助

    ○庄司委員 その新会社に移行する理由、さっき次長さんからお話ありましたが、この山元で労働組合に対して三菱金属が説明した理由、これは次の四点のようですが、これからは中小鉱山に徹して探鉱補助金、各種援助が期待される、これが一つ目なんです。それから二番目は、これはちょっとわけのわからない文句なんですが、地域産業として地元との共存共栄の関係に立脚した協力関係を保持することにある。それから三番目が、山命の維持、延長を図ることにより、従業員の雇用安定に資する。それから四番目は、本社経費の削減である。退職引当金の軽減、これは本社ですが、により原価を大幅に圧縮して中小鉱山としての機動性を発揮する、こんなことを労働組合に説明したそうですか、大体いま局長さんおっしゃった理由、これに競合する部分もあると思うのです。  この理由について少しお伺いしたいのですが、この中小鉱山に徹して探鉱補助金、各種援助が期待されるということなんですが、資本金五億円の会社というと、これはいわゆる探鉱補助金対象になるのですか。
  119. 森山信吾

    ○森山説明員 新鉱床探査補助金補助対象企業といたしましては、二つの条件のいずれかを満たすということでございまして、一つは資本金による制約の場合と、一つは従業員数による制約の場合と二つございまして、具体的に申し上げますと、資本金一億円以下または従業員一千名以下、どちらかということでございますので、先ほどお答えいたしましたように、本件は九百六十名程度予定いたしておりますので、補助対象になり得るということでございます。
  120. 庄司幸助

    ○庄司委員 それではこの探鉱補助金ですが、現在の探鉱関係の融資補助金のあれですね、第一次探鉱、これは航空写真等何か電波観測ですか、これは国がおやりになっているようですが、第二次探鉱、ボーリングとか試錐ですね、それから第三次探鉱の坑道を掘って、こうやってみる、この第二次、第三次の方まで補助あるいは融資対象になるのですか。
  121. 森山信吾

    ○森山説明員 ただいま御指摘の探鉱に対する補助金、交付金等の取り扱いにつきましては、いわゆる三段階方式がございまして、いま先生御指摘の一段目、二段目、三段目でございますが、一段目、二段目につきましては、金属鉱業事業団が国として実施するということでございまして、第三段目の企業探鉱の段階におきまして補助金が出される、こういう形になっております。
  122. 庄司幸助

    ○庄司委員 すると、この細倉鉱山株式会社に対しては、第一次、第二次、これは当然国の方でおやりになるのだろうと思うのですが、これはやってもらえるのですか。
  123. 森山信吾

    ○森山説明員 先ほどお答えいたしました第一段階の広域調査につきましては、細倉地域を対象として金属鉱業事業団が実施するということでございます。
  124. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうすると、これはもう三菱金属という親元を離れて中小鉱山になるわけですが、この第二次あたりまでやはりやってあげなかったら、なかなか大変なんじゃないかと思うのです。これはぜひ、まだ予定だそうですから、来月からですから、もし発足したら、これは当然対象にしていただく必要があると私は思うのです。  それから第二番目で、会社側が労働組合にも提示した問題、それからあなたもさっき何かおっしゃいましたが、何か地域産業として、地元との共存共栄の関係に立脚した協力関係を保持するとかなんとかいうくだりですね。これは、ぼくらはちょっとうがち過ぎかもしれませんが、三菱とすれば、もはやいまの国際的な非鉄金属の価格の関係もある、海外市況との関係もある。だから、こういう国内産で手間ばかり食って、それで余り生産ベースに乗らない山は、もう第二会社にどんどん移していって、それで後はひとつ、そっちの会社でつぶれようと野たれ死にしようと勝手にやってくれと、足手まといを切っていくというふうにも考えられるわけなんです。  地域産業として地元との共存共栄云々ですね、これは一体どういうことなんだろうと、こう思うのです。この山というのは、大体もともとは二千人くらいおった山なんです。それがだんだん後退して、いま九百そこらになってきた。それから、それとあわせて、この所在地の鴬沢町ですね、この町は一時三万二千ぐらいの人口があったのです、山が盛んなころは。それが現在六千百名です。これが三菱金属から離れて子会社になってしまった。それから、いまの非鉄金属のいろいろ国際的な状況なんか見ますと、当然これはもうだんだん縮小する一方じゃないか。だから地元との共存共栄なんといううたい文句ですね、何が何やらさっぱりわからないのですけれども、この辺は一体おたくとしては、どういうふうに解釈なすっているのです。
  125. 森山信吾

    ○森山説明員 鉱山を開発する場合に集中管理方式でやる場合と、いまお話の出ておりますように、鉱山をそれぞれ分離独立いたしまして、いわゆる機動的な運営をする場合と二通りあろうかと思います。  従来、発生的には集中管理方式で日本としてはやってきたわけでございますけれども、ただいま先生御指摘のとおり、だんだん先細りという状況でございます。正直に言いまして。ただ、私どもの立場から見ましても、国内資源の維持、育成、これはやはりわれわれとしての最大の課題ではないかという気がいたしまして、いまの集中管理方式でいった場合に、先生御指摘のようなじり貧の状態に立ち至りまして、ひいては鉱山自身が閉鎖の憂き目に遭うということになりますと、ゆゆしき事態になるんではないか、こういう憂慮がございまして、しかもいわゆる国内資源対策のみならず、鉱山というものは、おおむね限られた地域に存在しておるわけでございますから、その地域社会、その鉱山が閉鎖されることが、地域社会がだんだん衰退するということにもつながりかねませんので、そういう点に着目いたしまして、私どもといたしましては、先ほど申し上げました第二の点、つまり分散によるメリット、こういうものを現実の姿として維持していきたい、そのために、国としてもあらゆる努力を払ってまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  126. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうしますと、いわゆる集中管理方式、三菱金属本社方式ですね、それはメリットがない、こうやって分散して子会社をどんどんつくっていく、その方がメリットがあると、こうおっしゃるからには、こういって子会社になった細倉鉱山ほか四社、これに対して国は、これがますます発展するような助成策をとられるのかどうかということですね。いろいろあるだろうと思うのです。探鉱の面もあれば、融資の面もあれば、あるいは亜鉛なら亜鉛のいわゆる市場価格の問題とか、競合しますから。その辺での価格問題での援助とか、そういうこともとっていかれるという決意ですか、それは。
  127. 森山信吾

    ○森山説明員 先ほどお答えいたしましたように、今度の三菱の計画のような場合、山の寿命をできるだけ長く延ばす、国内資源確保の観点から及び地域社会との関連から、そういう対策を講じておるわけでございまして、会社の計画等を見ましても、現在行われている生産量あるいは従業員等につきましては、ほぼ横ばいの姿でやっていきたい、こういうふうに考えておりますし、私どもそれを積極的にサポートしてまいりたい、こういう観点でございますから、先生御指摘のとおり、財政措置あるいは税制等の措置を十分に配慮してまいりたいと思っております。
  128. 庄司幸助

    ○庄司委員 山の寿命を延ばす問題、今度は三番目の問題になったわけですが、山命の維持、延長、この問題ですね。この細倉の場合、現在使っている坑区は三分の一ぐらいなんですね、いま掘っているのは。この細倉鉱山というのは、実は二町一村にまたがる坑区を持っているのです。この全坑区の三分の一がいま手がけている場所なんですね。あとの三分の二は未開発だ。そうすると、国内資源を維持するという観点からいっても、この未開発の三分の二、残った方、この辺がやはり探鉱なり、それから行く行くは採掘なり、これは当然念頭に置いておられるんだろうと思いますが、その辺、置いておられますか。
  129. 森山信吾

    ○森山説明員 先ほどお答えいたしましたとおり、まず第一段階としての広域調査を実施する計画でございますが、国といたしまして、その広域調査を実施いたしますと、その結果に基づきまして、さらに詳細に調査する、これもまた国、つまり金属鉱業事業団の手によって行われるわけでございまして、まず細倉鉱山に対しましては、国といたしまして広域調査をやる、その結果を踏まえて第二段階の調査に移るということでございまして、また企業探鉱につきましては、必要に応じて新鉱床探査補助金の助成を考えております。
  130. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは大臣にお伺いしたいのですが、私はきょう実は資源問題全般論をやろうと思ったのですけれども、時間がありませんので、後から出てくる故紙の再生問題が一つなんですが、この問題も実は資源問題の重要な一環なんですね。確かに海外助成の問題もあって、日本の非鉄金属の鉱山が非常に苦しい事情は私もよくわかるのです。わかるのだけれども、資源をただいたずらに外国にだけ求めて、田中前総理のように、資源外交などと言って方々歩き回るということだけが能じゃないだろうと思うのです。やはり国内にある資源、これをどうやって有効に活用するか、われわれは一たん緩急などということは申しませんけれども、そういうことはなからぬことを願って闘っておりますから。  ただ、こういった問題ですね、輸出の関係がぴたっととまったりすると、非常に大きなショックを国内経済にも起こすわけですね。その点で、やはり非鉄金属の鉱山ですね、確かにいまは足手まといになっている感じがあると思うのですが、しかしこれは長い将来考えた場合、非鉄鉱山対策というのは非常に重要な国家的な問題じゃないか、こう思うのです。  その点で、この三菱金属のいわゆる子会社方式というのは、私は相当の批判を持っていますが、しかし労働組合と会社側も大体合意に達して、こういう方向に進まれるというのですから、これはやはり援助していかなくちゃならない。その点で、いま具体的な御答弁もありましたが、大臣からもこの点についての保証ですね、ひとつ発言でやっていただきたいと思うのですが、それをひとつお願いします。
  131. 河本敏夫

    河本国務大臣 非鉄金属関係の鉱山は、日本では主として中小関係の鉱山が多いわけでありますが、何と申しましても、資源の確保という面におきましては、国内の資源を優先的に開発していくということが非常に大事でありますし、また国内の資源を大事にしていくということが当然大事なことでございます。そういう基本方針に沿いまして、いろいろな制度があって、必要な補助等も行っておるわけでございますが、その基本的な立場に立ちまして、今後とも国内の非鉄金属鉱山対策というものを進めていきたい、こう思います。
  132. 庄司幸助

    ○庄司委員 この山では、これまで長い間労働者が相当の犠牲をこうむりながら維持してきたという歴史があるのです。落盤による死傷者は相当ありましたし、それから山では、よろけと言っておりますけれども、けい肺患者も相当出ているのです。それから製錬部門では硫酸ミストが立ち込めて歯牙酸食、歯が平らに減ってしまう、こういう非常な逆境の中で労働者の諸君がこの山を支えてきたわけです。ですから、これが子会社になった、うば捨て山だ、いずれはどうせ滅びるだろうというようなことで、ただ閉山を待つということじゃなくて、積極的な国内資源の開発という観点で、ぜひこういう山に対する援助を強めていただきたい。  それから、いわゆる三菱のやったような方式、集中方式をやめて、分散のメリットとかなんとかと言っておりますけれども、この理屈は私にはわかりません。やはり三菱本社の自分の延命策、これが先にあるような気がするわけです。だから、これは今後ほかの鉱山にも影響があると思いますから、十分この点監視を強めていただきたい。  最後に、この問題でお伺いしたいのは、公害問題なのです。あそこは厚生省によっても、いわゆるカドミウム汚染の要観察地帯になっている山です。この間も相当濃度の売れない米が相当出た。野菜にもカドミが相当含まれているという事態もあったわけです。  この公害対策ですが、第二会社に移行する。そうすると、三菱金属の方はもう今度は関係ないわけですから、その点で地元は心配しているのです。たとえば土壌汚染防止法の適用になった場合、この分担、これは当然三菱金属が第一次的な責任を持ってやるべきだと私は思うのです。その辺の保障が、これは法的には確かに確立しているわけですが、三菱金属自体がその責任感を持っているのかいないのか確かめられたことがあるかどうか、その点。
  133. 宮本四郎

    ○宮本説明員 三菱金属の細倉鉱業所を分離いたしました後の公害対策がどのようになるかということでございますが、私ども通産省といたしましては、鉱山保安法の運用によりまして、公害のないように万全の策を講じてまいるということでございますが、法律のたてまえで鉱業権が存続する限り、鉱業権者に対しまして公害の防止義務が続いてまいるわけでございます。この場合は、したがいまして当然新会社にその義務が移転することになるわけでございますが、新会社に対して、私どもといたしまして鉱山保安法の厳正な運用を図ってまいる、こういうのが基本的な姿勢でございます。  なお先生御指摘の、三菱鉱業が新会社を分離するに当たって聞いたかという御指摘がございました。私どもは一番この点が気がかりだったものでございますから、私自身から責任者にこの点はどうかと聞きました。その点につきましては、十分心構えますということは言っております。したがいまして、今後の運用につきましては、法のたてまえももちろんでございますけれども、十分指導監督を厳に実施いたしまして、御指摘のような事態のないように心がけるつもりでございます。
  134. 庄司幸助

    ○庄司委員 環境庁来ていらっしゃると思いますが、この辺の土染法の指定、これはいつになりますか。
  135. 堀川春彦

    ○堀川説明員 この地域につきましては、ちょっと中身を御説明する前に大体の地形等を申し上げておいた方がいいかと思いますが、先生よく御存じだと思いますが、二迫川の流域で、いわば洪水防護のために有効に機能する堤防のない無堤地帯と言われている部分と、それからさらに支流に分かれまして、鉱山の方へ上がっていく鉛川の流域の部分と二つあるわけでございまして、この下流の方の堤防のない河川がはんらんいたしますと、その辺に水がつくという部分につきましては、ここに水稲作を安定的に続けるということには大変問題がある。かたがた米の生産調整との関係で、五十一年度からは水田総合利用対策ということに転換をいたしましたが、かなりの部分が芝草でございますとか、桑でありますとか、飼料作物、牧草、こういった部分に転作が進んでおる。すっかり定着をしておるかどうかということにつきましては、まだもう少し見きわめる必要がございますが、そういう事情があるというようなこと。  それから河川の改修計画を県当局も考えておるわけでございますが、何にいたしましても河川の改修ということになりますと、下流部の方からだんだんと考えを固めていかなければならぬ。目下下流の方の若柳町におきまして狭窄部がございまして、ここのところを何とかしませんと、上の方だけ直しても、水が流れてきて狭窄部ではんらんしてしまうという問題があって、この若柳町の狭窄部の改修に取りかかろうということで、現にもう家屋の移転等も始まっておるというようなことでございますが、上流部につきましては、まだ定かな河川改修計画が立っていない、かようなことでございますので、河川改修計画に直接かかわる部分は、もう少し河川改修計画をどうするかという問題との関係で詰めてまいる必要がある。もちろん、地元住民の方の意向も十分尊重しながら県はそこを詰めてまいりたい、こういう態度でございます。  ただし、その河川改修とは余り関係のない部分につきましては、ほっておけませんので、昨年の十二月に、県の公害対策審議会に県といたしましては土壌汚染の対策を立てるべく諮問をいたしまして、そうしてこの面積は、おおむね二十三ヘクタールというふうに聞いておるわけでございますが、その地域指定を目下専門委員会の段階で審議中でございます。近いうちに結論が出るのではないか。結論が出ましたら、指定をいたしまして事業の着手に入るようにしてまいりたいというふうに県は考えていると承知しております。  庄司委員 その近いうちがいつなのか、聞きたかったのです。あとのことは大体わかっておるのです。  それで先ほど言った河川改修の問題、これも問題があるのです。実はあの辺が早くこの土染法の指定になって、それで土壌改良をやって米をつくれるようにしてもらいたいというのが住民の意向だったのですが、これはもう県当局の怠慢もあっただろうと思うのです。結局はもう転作にさして会社側の負担が軽減していく、こういうじんぜん時を送るというような経過があったのです。だから、こういう問題はもっともっと早く手を打ってもらわなければ困る問題なんです。私も県会議員の時代、この問題を大分取り上げましたが、とにかく手を打つのが遅いのですね。そうやって転作ばかり奨励している。芝草だとか縦貫自動車道の植木であるとか、これは本来の農民の要求から言えば、やはり遠いものなんです。そういう点でひとつ対策を急いでいただきたいと思います。  それから最後に、時間もなくなりましたが、故紙の回収問題で伺いますが、大臣、この故紙問題はおたくの方でもいろいろ取り上げておやりになっているようですが、日本の資源問題と環境問題にからんだ問題なんだということですね。ということは、日本の山はもうあのとおり乱伐されてしまって災害は常時発生する。台風なんか来るとすぐ流れてしまうわけでしょう。さらにゴルフ場がどんどんできて、もう山はまる坊主にされる。そういう中でパルプ用材がどんどん切り出されていく。しかも日本国内だけでは足りなくて、外国の山も切っている。そういう中でアメリカとかカナダあたり環境問題で、日本のパルプのために、こちらの山がみんなだめになるというような異論も相当出ておるわけでしょう。その点でやはり故紙回収の問題というのは、確かに日本は四〇%くらいの回収率で世界的にも上位の方だ、こう言われていますけれども、しかしこの日本の特殊性から言えば、この問題というのは、アメリカやあるいはスウェーデンあたりとははるかに違った性格を持つと思うのです。だから、その点で四〇%で満足なさらないで、理論的には六〇%ぐらいまでは可能だと言われていますから、これを引き上げていく方策をとられる必要があると思うのです。  そこで私はひとつ、いわゆる資源回収業者の方々、普通の市民の言葉で言えば、くず屋さんだの何だの言われておりますけれども、しかし資源を回収して再生するという重要な機能を持っていると思うのです。その点で直納業者、いわゆるパルプ会社に対する直納業者の関係は若干改善されてきているようですが、立て場といいますか、あるいは寄せ場といいますか、こういう末端段階の直接家庭から回収してきて、それを買い上げる、それを直納業者の方に持っていくという方々、やはりこの辺に対する指導なり援助なり、これがまだ足りないのじゃないかと思うのです。紙は相当好況、不況に左右されて、故紙の方の値段も大分大幅に移動するわけです。キロ八円ぐらいの値段になる、こうなると、ごみ焼却場に持っていった方がかえって安上がりになるということですね。彼らのお話を聞くと、大体二十五円から三十円ないと採算に合わない、こういう話もしております。その辺の、好不況に関係してストックがたまってくる場合もあるのです。それから、いわゆるちり紙交換の業者も、故紙の売れ行きが悪くなる、値段が下がってくると、てきめんに来なくなるのですね。結局、これはもう地方自治体のごみ焼却場にいかざるを得ない状況なんです。  だから、この立て場の段階も、やはり備蓄ができるような援助、ですから備蓄に対する利子補給なり、あるいはそういったものを含めた助成策をとられる必要があるのじゃないかと思うのです。この辺どうなのか。  それから、二番目は再生紙の問題、これをだれが使うかという問題です。私は、おたくの方で援助してつくられた古紙再生促進センター、このパンフレットを見ました。これは裏の方に書いてあります。「この本の本文用紙は、古紙を利用した紙です。」これは相当使える紙ですね。カラー印刷はちょっと落ちるかもしれませんが、白黒だけだったら十分使える紙です。こういうものを国民に使え、使えと言うのはいいだろうと思うのですが、その前に、まず隗より始めよという言葉がありますね。政府機関がまず使ってもらいたいと思うのです。お話を伺うと、いやこれは少し割り高なんだ、大蔵省の方で予算をくれないという論議もあるやに聞いております。だから、民間に使え、使えではなくて、まず御自分方から使ったらどうだというのが私の意見なんです。そして国も使う、あるいは地方自治体も使う、そうすれば故紙の再利用が一つの分野でできるわけですね。これは新聞紙の問題ももちろんありますよ。だから、こういう方策をひとつまず国からやってもらいたい、その点どうなのか、御意見を伺いたいのです。  それから三番目には、今度の問題で私もいろいろ調べようとして、通産省の方々へ電話してみたら、くず鉄の問題は鉄鋼関係の課だ、それから空きびんの問題になると、これは何か日用品課であるとか、それから紙の方だと紙業課であるとか、それから政策的な問題になると立地公害局であるとか、何か窓口が非常に複雑で、私も探し当てるのに大分苦労したのです。ましてや、民間の業界や民間人の場合は、これは大変だろうと思うのです。  その点で、資源回収というのは非常に大事ですから、私はいま紙のことばかり言っていますが、くず鉄にしろ、非鉄金属にしろ、空きびんの問題にしろ大事ですから、この資源回収対策の行政、これはやはり一元化して、もっと日本の国内資源を有効に活用するという見地があっていいんじゃないかと思うのです。その辺の行政といいますか、窓口の一元化といいますか、これを強化していただきたい。同時に、資源回収に関する法制的な整備もやはりやる場合も出てくるだろうと思うのです。それから資源回収対策に対する予算の問題ですね。いま言ったように、何ぼついているのか私はわかりませんが、いまのような予算では、とてもじゃないが、資源の少ない日本で、これを十分利用していくということはできないだろうと思うのです。この予算の強化、この辺まあひとつ大事だと思うのですが、以上三点。  一つは、故紙の立て場に対する援助策ですね。二番目は、再生紙の利用をまず隗より始めよという問題、三番目は、行政の一元化、あるいは予算の強化、あるいは窓口の一本化、この問題について総合的にどういう対策をとられるのか、私は要望も入れながら意見を述べたわけですが、これに対するひとつ御答弁をお伺いしたいと思うのです。
  136. 河本敏夫

    河本国務大臣 故紙の回収または利用につきましての関連におきまして、資源を大切にする問題あるいは廃棄物全般の処理の問題、こういうことについての一連の御意見がございましたが、オイルショック以降この問題が非常に大きな課題になっておりまして、政府の方でも資源を大切にする運動を始めておりますし、それからクリーン・ジャパン・センターなども先般つくったわけでございます。そういうことで、廃棄物の回収、資源を大切にするための運動の強化対策につきましては、いろいろと配慮をいたし、また必要な予算等もつけておりますが、まだ十分とはまいりません。今後とも、この行政面での強化も必要でありましょうし、また予算面での増額等もまた必要だろうと思います、大切な課題である、こういう認識のもとに今後とも積極的に取り組んでまいりたいと思います。  故紙のいま具体的な御質問がございましたが、その点につきましては、政府委員から答弁をさせます。
  137. 野口一郎

    ○野口説明員 故紙の再生利用のためには、二つの面の対策が打たれることが必要だと思います。  一つは、申すまでもなく故紙の回収の仕組みとその機能が十分に働いて、使う方の側に安定して、その故紙が供給される、こういう体制を整えることが第一だと思います。  それからもう一つは、いわば需要面の方でございまして、先生の第二の問題に絡むわけでございますけれども、提供された故紙を原料にして使われた紙が十分いろいろな各面の製品となって利用される、このことだと思います。  第一の、故紙を安定的に集めていく、この仕組みなり機能の強化拡充、この問題に関連いたしまして、先生が言われました立て場なり直納業者の育成あるいは助成の問題があろうかと思うわけでございますが、ただ、故紙は産業から排出されるものもございますけれども、大体全体の七割ぐらいは家庭から出るわけでございます。で、何百、何千、何万とございます家庭から出るわけでございますので、何よりも排出する家庭の協力が必要であろう、こういうふうに考えます。  それから次に、先生の言われた買い出し人の段階がございます。それから立て場という業者が来て、それから直納が来て、直納からメーカーに納める、こういうふうになるわけで、そのもとは製紙業者につながっているわけでございますけれども、だんだん末端は、いわば末広がりに広がる毛細管の組織のようになるわけでございます。そのところに節々として、いま私が言ったような人たちがおるわけでございます。そこで、安定して故紙を回収するためには、その仕組み全体がうまくできて十分機能することが必要だと思っております。先ほど私が家庭が協力することを申し上げたのも、その一例でございますけれども、やはり実際これを集める買い出し人だとか立て場とか直納とか、そして製紙メーカー、これらが完全にうまく協力することが必要だと思っております。  ところが、従来からの経験から申しますと、この買い出し人なり立て場なり直納なりという仕組みが非常に弱いし、まだ零細な家内業者のようなものが携わっているというようなことがございまして、この面の体質の改善と申しますか、あるいは強化といいますか、これは非常に大事な点だと思っております。先生が、いまその方向として一つの点を示唆されたわけでございますけれども、何分この零細家内工業あるいは中小企業の集まりでございますので、これらの組織全体としてつかみまして、この体質改善のためにいろいろ打つべき手はたくさんあろうかと思っております。たとえば、特に直納の業者を対象にいたしまして、昨年の九月に、実は近代化促進法の指定をいたしたわけでございます。これも一つのわれわれの目指す方向として、今後ともに業界の体質改善に努力してまいりたいと思っております。  もう一つ、この面でいろいろ機能を果たしておりますのは、先生も触れられましたけれども、財団法人古紙再生センターでございまして、ここに国からも予算を出しまして、故紙回収の重要性のPRから始まりまして、故紙回収業者の近代化を促進するための債務保証とか、あるいは故紙の需給のストックパイルというような意味での備蓄機能とかを営ましているわけでございます。そういうようなことから、私ども、先生が御指摘になった点を含めまして、総合的に供給サイドにおける施策の充実を今後とも図ってまいりたいというふうに考えております。  それから第二の需要面でございますが、この点は、先生も言われましたように、いま日本は大体四〇%くらいは再生に使われておるという数字でございまして、厳格な比較はできないわけでございますが、私ども、欧米諸国よりもこの利用率は高いというふうに考えておるわけでございますが、先生が御指摘になりましたように、私どもはこの比率で決して満足しているわけではございません。これをさらに高めることが望ましいし、また高まるように行政的にも指導してまいりたいと思っておるわけでございますが、やはりこの故紙が再生されて製品のために使われるというためには、まだまだ打つ手はいろいろございます。  先生が、役所も率先して使ったらどうか、使うべきであるという御指摘もございました。そういう問題を含めまして、たとえば故紙からつくられた紙製品というものは、品質は悪い、値段も必ずしも安くないというようなことがありまして、消費者サイドで必ずしもすっと受け入れるような状況にないわけでございます。その辺の改善等もございます。それから、そういう品質の問題あるいは価格の問題を改善するには、何よりもメーカーにおける技術の開発あるいは設備の改善等も必要かと思います。  そういうような観点に立ちまして、この故紙の需要面の対策も総合的に強力に展開してまいりたいというふうに考えております。
  138. 庄司幸助

    ○庄司委員 一つだけ。  含めてとなってしまうと、私の具体的な質問に対する答えにならないのです。私は具体的に伺ったのは、やはり政府がまず率先して使う。これは大臣、そうでしょう、あなた方一生懸命こういうものを出させて、一生懸命故紙の援助をやっているわけですから、御自分はお使いにならない、人にだけ使えというのは、これは矛盾だと思うのです。政府の刊行物なんかはほとんど黒の印刷ですから、もう十分使えるのです。それから政府で使っているいろいろな用紙があるでしょう。国会ももちろんですが、そんなのは、こういう紙で楽に使えるはずだと私は思うのです。だから、これを使うだけの条件を整えて政府が率先して使っていく、これぐらい簡単だと思うのですが、その点、大臣、どうです、御決意を……。
  139. 河本敏夫

    河本国務大臣 政府が資源の再利用ということを積極的に宣伝をする以上は、これはもう当然政府から始めなければならぬと思いますので、どこで使えるかということについては十分研究をさせます。
  140. 庄司幸助

    ○庄司委員 終わります。
  141. 村山達雄

    村山委員長 次回は、明十一日金曜日午前十一時十分理事会、午前十一時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時十六分散会