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1976-04-28 第77回国会 衆議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年四月二十八日(水曜日)     午前十時二十三分開議  出席委員    委員長 村山 達雄君    理事 小林 正巳君 理事 森下 元晴君    理事 吉永 治市君 理事 久保田鶴松君    理事 原   茂君 理事 庄司 幸助君       石田 博英君    菅野和太郎君       水田三喜男君    高田 富之君       浅井 美幸君    坂井 弘一君  出席政府委員         総理府総務副長         官       森  喜朗君         日本学術会議事         務局長     吉岡 邦夫君         防衛庁装備局長 江口 裕通君         外務省国際連合         局長      大川 美雄君         自治省行政局選         挙部長     土屋 佳照君  委員外出席者         日本学術会議会         長       越智 勇一君         大蔵省主計局主         計官      佐藤徳太郎君         大蔵省主税局税         制第一課長   大竹 宏繁君         会計検査院長  佐藤 三郎君         会計検査院事務         総局次長    中村 祐三君         会計検査院事務         総局第一局長  田代 忠博君         会計検査院事務         総局第二局長  高橋 保司君         会計検査院事務         総局第五局長  柴崎 敏郎君         最高裁判所事務         総長      寺田 治郎君         最高裁判所事務         総局経理局長  草場 良八君         最高裁判所事務         総局行政局長  井口 牧郎君         日本輸出入銀行         理事      林  大造君         決算委員会調査         室長      東   哲君     ————————————— 委員の異動 三月四日  辞任         補欠選任   坂井 弘一君     正木 良明君 同日  辞任         補欠選任   正木 良明君     坂井 弘一君 同月二十九日  辞任         補欠選任   藤田 高敏君     多賀谷真稔君 同日  辞任         補欠選任   多賀谷真稔君     藤田 高敏君 四月七日  辞任         補欠選任   塚本 三郎君     小平  忠君 同日  辞任         補欠選任   小平  忠君     塚本 三郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十八年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十八年度政府関係機関決算書  昭和四十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十八年度国有財産無償貸付状況計算書  (裁判所所管会計検査院所管)      ————◇—————
  2. 村山達雄

    村山委員長 これより会議開きます。  昭和四十八年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、裁判所所管及び会計検査院所管について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  裁判所所管審査に関し、国会法第七十二条二項の規定による最高裁判所長官の指定する代理者から出席説明する旨の要求がありました場合は、これを承認することとし、その取り扱いは委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 村山達雄

    村山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  それでは、順次概要説明を求めます。  まず、裁判所所管について概要説明を求めます。寺田最高裁判所事務総長
  4. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 昭和四十八年度の裁判所決算概要について説明いたします。  昭和四十八年度裁判所所管歳出予算額は八百四十六億三千三百八十九万円余でありましたが、この予算決定後、さらに五十五億六千七百二十二万円余増加し、合計九百二億百十一万円余が昭和四十八年度歳出予算の現額であります。  右増加額は、予算補正追加額四十七億二百四十万円余、大蔵省所管から移しかえを受けた金額五億七千九百三十一万円余、昭和四十七年度から繰り越した金額四億千九百二十万円余の増加額と、予算補正修正減少額一億三千三百七十万円余であります。  昭和四十八年度裁判所所管支出済歳出額は、八百六十六億二千六百二十八万円余でありまして、これと歳出予算現額との差額は三十五億七千四百八十三万円余であります。  この差額のうち、翌年度に繰り越した金額は十六億三千七百八十四万円余でありまして、不用となった金額は十九億三千六百九十八万円余であります。  この不用額の内訳は、裁判所職員俸給手当等人件費十六億九百六十九万円余とその他の経費三億二千七百二十八万円余とであります。  昭和四十八年度裁判所主管歳入予算額は四億九千七百八十二万円余でありまして、昭和四十八年度の収納済歳入額は、六億六千二百六十七万円余であります。  この収納済歳入額は、右の歳入予算額に対し一億六千四百八十五万円余の増加となっております。  この増加額は、庁舎敷地等交換による交換差金収納があったこと、庁舎等敷地土地区画整理事業による換地清算金収納があったこと、庁舎改築に伴う旧建物の取り壊し発生材の売り払い代金等収納があったこと、保釈保証金の没取の増加民事訴訟費用弁償金等増加及び相続財産相続人不存在のため国庫帰属となった収入金等増加が主なものであります。  以上が昭和四十八年度裁判所決算概要であります。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  5. 村山達雄

  6. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 昭和四十八年度裁判所決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  7. 村山達雄

    村山委員長 次に、会計検査院所管について概要説明を求めます。佐藤会計検査院長
  8. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院長 昭和四十八年度会計検査院所管一般会計歳出決算の大要を説明申し上げます。  会計検査院所管歳出につきましては、当初予算額三十四億五千百三十六万余円に補正予算額二億一千百九十六万余円を加えた予算現額三十六億六千三百三十二万余円に対しまして、支出済歳出額は、三十六億五千三十二万余円でありますので、その差額一千二百九十九万余円を不用額といたしました。  支出済歳出額のうち主なものは、人件費三十二億一千十二万余円、検査旅費二億四千四百八十八万余円、施設整備費三千七百九十七万余円となっております。  以上、はなはだ簡単でございますが、会計検査院所管昭和四十八年度一般会計歳出決算について説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  9. 村山達雄

  10. 田代忠博

    田代会計検査院説明員 昭和四十八年度会計検査院決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  11. 村山達雄

    村山委員長 これにて説明の聴取を終わります。     —————————————
  12. 村山達雄

    村山委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。原茂君。
  13. 原茂

    ○原(茂)委員 時間がありませんから、簡潔にお伺いして、簡潔に御答弁をお願いしたいと思います。  最初最高裁関係で、さきに衆議院定数是正に関する違憲判決が出されました。これは、ある意味では戦後政治の大きな構造的な問題点に対して、思い切ってこうすべきであるという意思表示をしたという意味で、非常に評価すべきものであろうというふうに考えるわけです。ただ、やはりあの判決全文を見まして、いろいろと私ども立場からはどういうことを考えおいでになるのかを、もうちょっと突っ込んでお伺いしたいというようなものがあるのを二、三お伺いいたしますし、あわせて自治省選挙部長あるいは課長おいでいただいておりますので、一緒に御答弁をお願いしたいと思います。  最初にお伺いしたいのは、判決はここで読み上げませんが、「不平等を正当化すべき特段の理由が示されない限り、」という前提で違憲であるという大変思い切った判決が出たわけですが、ここで第一点お伺いしたいのは、昭和三十九年に二倍以下の開きを目的とした改正云々というのを引用して判決が出ているわけですから、ということになりますと、おおむねこの判決は、その開きは二倍以下と考えるべきだ、こういうふうに解釈していいように思うのですが、この点はいかがでございましょうか。
  14. 井口牧郎

    井口最高裁判所長官代理者 最初にお断りを申し上げたいことがございます。これは当然のことでございますが、私どもも先ごろ言い渡しのありました大法廷判決判決書きを読みまして得た知識以上のものは、何も持っておりませんことを御了承いただきたいと思います。  そういたしますと、原委員指摘の点でございますが、判決文にもあらわれておりますように、  一体議員一人当たりの選挙人の数の偏差が何倍程度になれば合憲であるかということは、私どもの見ました限り、この判決の中には具体的には示されておらない、かように考える以外にございません。  以上でございます。
  15. 原茂

    ○原(茂)委員 法の何で定めたか知りませんが、最高裁長官をわれわれが用があって呼ぶときには、きょうおいでになった寺田さんが事務総長として代理おいでになるということが決められている。少なくともこの種の重大な問題に関して質問を申し上げようというときに、その代理である事務総長が来ておられて、判決文そのまましか何も物が言えない、そういうことになりますか、そんなばかなことありますか。少なくとも長官代理でもってだれが出ますと、代理であるだれかが出てきたときには、やはりわれわれの疑義に対して意見の違うことはあってもしかるべきですが、判決文活字どおり、それをそのまま言う以外何も言えませんというような代理というのはあるのですかね。
  16. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 これは最高裁判所判決に限りませず、すべての裁判所裁判というものは、裁判書きそのものによって御理解いただく以外にはないわけでございまして、たとえば私が下級裁判所裁判官で裁判をいたしました場合でも、その裁判書きで御理解いただく以外にはなく、それ以外に私自身としてコメントすることもないわけでございます。したがいまして、私が長官代理として出てまいりましても、裁判につきましては裁判書きで御理解いただくほかはない、かように申し上げるほかはないわけでございます。
  17. 原茂

    ○原(茂)委員 時間がないから、そんなことで余り時間をつぶしたくないのですが、ずいぶんばかげたことだと思うのです。代理で出てきておいて、いかに裁判にかかわることだからといって、その判決のこういった解釈はどう解釈すべきですかという質問に対しても、おまえが勝手に判決文を編んで、どうにでも解釈をすべきである、一切コメントできないのだ、そんなことなら、きょう決算委員会で来てもらって最高裁判所に何かお伺いしようと言っても意味ない。そんなばかなことは私はないと思うので、これは後日、時間のあるときにもう一度お伺いします。  それからもう一つお伺いしたいのは、国勢調査は五年置きにやるのですが一五年置きごとには改正すべきだという示唆になりますかどうか、これはどうです。お答えになりますか。
  18. 井口牧郎

    井口最高裁判所長官代理者 この判決文にもあらわれておりますが、原委員指摘の五年ごと改正ということが別表の一部に記載されております。このことをも考慮して、本件では昭和三十九年以後、問題の昭和四十七年十二月の衆議院選挙に至るまで一度も改正されていないという形で、この点は十分しんしゃくされたもののように読み取れるわけでございます。
  19. 原茂

    ○原(茂)委員 なるほどそういうふうに読み取れるのですから、井口さんの判断がいまお答えの中に入ったわけですよ。読み取れると思うのでしょう。勝手におまえ解釈しろというさっきのような答弁じゃなくて、この問題に関しては、そう読み取れるという判断が、井口さんの判断が入っているのですが、そうなりますね。これには判断が入っているでしょう。
  20. 井口牧郎

    井口最高裁判所長官代理者 お言葉を返すようでございますが、特段私の判断ということではございませんで、この判決書きを通常の常識人が読めばそうなるであろう、最初にお断りいたしましたのも、さような意味でございますので、御了解いただきたいと思います。
  21. 原茂

    ○原(茂)委員 そこらのところ、少し突っ込んでいくと、私はちょっと疑義があるのですが、いまの後段の五年ごとという問題に関しては、そう読み取れますと言う。そうであるというのじゃない。私の質問はそういうことを示唆したのかと言ったら、そうじゃなくて、そう読み取れるという判断が入ってきている。それにしても、その点は私と大体意見が一致して、やはり別表にありますように、五年置きに改正すべきである、こういう強い示唆を与えられたもの、こういうふうに解釈できるわけですから、よろしいわけです。  後日、いま言ったような代理というもののあり方がどうであるのかということをもう少し突っ込んでまたお伺いしますから、きょうはこの程度にしておきます。  きょう土屋選挙部長おいでになっておりますので、ついでにお伺いしますが、この判決を見て、私が質問しているような一票の重さというものの判断は、三十九年の改正等も引用されているところから見ると、やはり二倍以下が妥当であるというふうに解釈すべきだと思うのですが、いかがでございますか。
  22. 土屋佳照

    土屋政府委員 判決の中では、当時二倍程度であったものが五倍ぐらいになっておるということにも言及されております。そういった意味では、二倍という数字はございますけれども、この判決そのものから、しからばどの程度超えれば違憲になるといったような明確なものが示されておるわけではございませんので、二倍というものが判断基準になっておるというふうに判断するわけにはまいらない。一つの例として挙げてございますから、挙げた意味というのは、それぞれ考えはあろうかと思いますけれども、それが直ちに基準であるというふうには受け取れないわけでございます。
  23. 原茂

    ○原(茂)委員 だから部長——いまの判決文解釈や何かを聞いているのではない。部長には、自治省行政官として二倍以下にしなければいけないというふうに判断をされているかどうかを聞きたい。  ついでに聞きますが、二つ目の五年ごと改正をするということは、今後やりますか。
  24. 土屋佳照

    土屋政府委員 今回の判決が、投票価値ということについて重要な示唆をしておるということについては、私ども今回の判決を読んで十分承知をいたしておるわけでございますが、しからばどの程度でなければならないかということについては、私どもとしても十分研究しなければならないと考えております。特に御承知のように、昨年五党一致で、この千葉県の選挙区を含んで十一選挙区について定数改善をしたという経緯もございまして、一体そこらの結果というものが、どういうふうに評価されるのかというようなことも含めて考えなければならないと思うわけでございますが、ただいま申し上げましたように、一応その定数是正というものはいたしておりますので、ということを踏まえて、なおこの判決の中身というものを真剣に検討してみなければならぬというふうに考えておりますが、しからば、二倍よりも超えておるから、今回改正してまだ適用されていない現行法というものが、今後の総選挙から適用さるべき法律というものが、直ちにこれではだめなんだというふうには考えていないわけでございます。  と同時に、別表に付記されております「五年ごとに、更正するのを例とする。」ということも、今回の判決から見ますと、憲法の要求する合理的な期間内に訂正しなかったところに問題があるということを、若干その点をも含んで考えておられるとは思うのでございますけれども、では、その五年たったときに、どういう状態であれば違憲であるのかないのかといったようなことは、やはりその実態において判断しなければならないので、条文付記どおりに「五年ごとに、更正するのを例とする。」ということでございますから、しなければならないというほどは強くないだろうというふうには考えております。しかしながら、いまの判決のように投票価値についての非常に示唆に富んだ判決でございますから、やはり今後の推移というものは十分気をつけて見守っていかなければならないというふうに考えております。
  25. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで最高裁ついでにお伺いしますが、いまどうしてもしなければならないとは解釈できない、こういう解釈をされているのですが、どう思いますか。
  26. 井口牧郎

    井口最高裁判所長官代理者 お答えいたします。  判決の表現の微妙な解釈の問題については、私ども事務当局としてお答えする筋合いではございませんが、先ほども申しましたように、五年ごと改正という点についても、この判決文は触れておりますので、そのことをも十分しんしゃくの上で当時の定数規定違憲であるというふうに判断したものと私どもは理解しておる。それ以上のことを申し上げることは、ちょっとできませんので、よろしく御了承いただきたいと思います。
  27. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで土屋さんにもう一度お伺いしますが、現在参議院地方区は、神奈川、鳥取の比でいくと、やはり五倍の開きがあるのです。こういう参議院に関しても、当然この判決から来る行政官庁としての考え方がなければいけないのですが、これはいかがですか。それが一つ。  もう一つは、現在、公選法の改正をやった後、衆議院定数が五百十一名になっているわけですね。これをいつやるかは別にして是正していくということになりますと、あるときには五百十一名以上にふえるかもしれませんね。ふえないようにするために減らす選挙区をつくるというので——五百十一名というのが会議場その他の関係でこれがもういっぱいだということになれば、当然逆算して、計算の中から減員する区というものがたくさん出てくるわけですが、そのどっちがいま自治省として考えている方向なのですか。二つ目のその問題もあわせて……。
  28. 土屋佳照

    土屋政府委員 参議院地方区についても、いろいろと過去裁判で争われてきておることは御承知のとおりでございまして、その点につきましては、昭和四十八年の東京高裁判決を経まして、四十九年に地方区については一応合憲の線が出ておるわけでございまして、私どもとしては、最高裁でそういう合憲判決が出ておることを一応頭に置きまして今回の判決を見てみました場合に、これが一体参議院地方区にどう影響を及ぼすのであろうかということも検討したわけでございます。  しかし直接的には参議院地方区について今回の判決が触れておるわけではございませんので、直ちにいまの参議院定数規定というものが違憲であると断ずることはできないと思うのでございます。ただ今回の判決で示しておりますように、投票価値の平等といったような見地からいろいろ検討しなければならぬ面があるだろうというふうに考えておりますし、現にいろいろ逆転現象等もある結果、参議院地方区については、各党間でもいろいろ検討がされておる段階でございます。そういう際には、今回の判決というものが、判決内容についていろいろと検討がされるだろうというふうに考えておるわけでございます。現行が直ちに違憲だと断じたものとは、私ども考えていないわけでございます。  それから、もう一点の衆議院定数についての考え方でございますが、これは議場の問題とかどうとかということではなくて、本質的に定数あり方というものは別途考慮さるべきものだと思っておりますけれども、今後また都市集中といったようなことが出てまいりました場合に、格差が開いた、そういう場合にどう是正するかというときに、減員がしにくいからといって直ちに増員のみによって解決をすることがいいのだろうかということについては、いろいろ批判があるだろうと考えております。  ただそれが、どれがいいかということは、立法府自体でいろいろお考えになることでございますから、事務的に私らが勝手なことを申し上げるわけにはまいらないと思いますけれども、ただ全体として選挙制度審議会あたりの過去の経緯を見ましても、人口が偏ったからといって、それのみで直ちにふやすということだけではなくて、全般的に区割りの仕方なり、もっと大きくなれば区制の問題にも触れる場合があるかもしれませんが、そういう全般的な立場検討する必要があろうというような意見もございますので、私どもとしても、事務的に各党国会方面の御意見を聞きながら検討します場合でも、安易にふやす方向だけで片づけるということではなしに、広い立場検討すべき問題ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  29. 原茂

    ○原(茂)委員 それはやはり国民の費用負担の問題もあるでしょうし、議会政治効率化といいますか、こういった問題などもあわせて考えるわけですから、これは議会そのもの意思というものは、これから審議して決まるわけですから、いまの御答弁よりしようがないかと思いますが、いずれにしても、この問題に関する自治省としての考え方判決が出た後の意思表示というものは、きわめて短い期間の間にきちっと整理をして出さるべきだろうと思うので、この点は大臣にもよく言って、ひとつ検討しておいていただきたい。  それから、その次にお伺いしたいのは、この定数是正を契機にして、たとえば比例代表制でございますとか、それから小選挙区制でございますとか、こういったものを同時に考えるべきだという意見も出ているし、そういった意見がまた省内にあることも聞いていますが、私はやはり現在の是正すべきであるという判決に関しては是正を大至急にやっていくべきであって、比例代表制とか小選挙区制というのをあわせてこの機会に考えるというようなことは断じてしてはいけない、こう思いますが、ずばりいかがでしょうか。
  30. 土屋佳照

    土屋政府委員 きわめて重要な問題でございますから、余り事務的な立場からお答えするのはどうかと思いますけれども、いままでの議論の経過から申し上げますと、地方区定数そのものも問題があることは事実でございまして、それをどうするかという議論がされておりますけれども、それについて是正をする場合には、やはり関連する。参議院でございますと地方区と全国区の問題とかいうようなことが議論されるわけでございます。そういった過程において、そこまで議論をするなら、もっと根本的な改善方式というものを考えるべきだ、そうすれば二院制のもとでは衆参のあり方は、それぞれどうあるべきかということを根本的に将来にわたって検討すべきではないか、そういう際に、いま申し上げましたように総定数もただ不均衡を是正するということで、むやみにふやすだけではなくて、全体的に考えるとすれば、あるいは区割りの仕方から変えなければならぬ、そうなれば、三人、五人という割り方もあるいは変えていかなければならぬということになれば、それはやはり選挙区制にも触れてくるのではないか。全体的なそういう中で検討しようという意味審議会あたりでも検討を続けてこられたわけでございます。そういった意味比例代表の問題とか小選挙区の問題というものも議論がされた。これは政党本位選挙に持っていこうといったような見地から議論されたわけでございます。  したがって、いま直ちにこの判決の結果、具体的にどうするかという議論の際に、それがどういうふうに結びついていくかということにつきましては、ちょっと私どもとしても、にわかにこういうことになるだろうということは申し上げにくいわけでございますけれども、いろいろな議論の過程でそういうものもあるだろう。しかし今回の場合どうするのだということは、これは各党間でも十分御議論をいただくべきことであろうというふうに考えるわけでございまして、事務的にずばりこうすべきであるということは、どうもちょっと私からは申し上げにくいわけでございます。
  31. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、この定数是正に関しては性格が違うので、比例代表制、まして小選挙区制などを絡めるべきではない、私は断固そう思っておりますから、そのことをあわせて申し上げます。  最後にもう一問お伺いしたいのは、この是正に関して、もちろん国会はこれに真剣な討議をするわけですが、別途に第三者機関をつくって、これに対する審議をさせるということも必要ではないか。その第三者機関の意見というものが国会に反映されるように、それをまた参考にして審議ができるようにという意味の第三者機関というものを急速につくって、そこでこの問題の審議をしていくようにすべきだと思うのですが、これはいかがですか。
  32. 土屋佳照

    土屋政府委員 選挙制度全般の問題、あるいは今回の判決に関連しております定数問題についてどういうふうに扱っていくか、そのあり方をどうすべきかということは非常に重要な問題でございますし、西ドイツあたりの法律その他を見ましても、それぞれ特色のある規定等もあるわけでございますけれども、今後わが国でどうするかという問題について、第三者機関を設けて検討したらどうかというような御示唆でございます。  ただ、この点につきましては、御承知のように、選挙制度の根本的な問題は選挙制度審議会設置法というのがございまして、選挙制度審議会というものが設けられ、ここで議論をされることになっておるわけでございます。そういった仕組みにもなっておるわけでございますから、直ちに——もちろんいま仰せになりました第三者機関の構成あるいは性格というものを十分詳しいことを承知して答えておるわけではございませんけれども、別に第三者機関を設けるということがどうであろうかということについては、ちょっと私もにわかにお答えしにくいわけでございます。審議会との関連等を含めて、いま仰せの点については、なおもっと詳しいことも伺いながら、慎重に検討をする必要があろうというふうに考えます。
  33. 原茂

    ○原(茂)委員 最高裁は終わりますから、選挙部長結構です。  それで会計検査院にお伺いしますが、最初に一点お伺いしておきたいのは、なぜ一体会計検査院だけは、いつも歳出説明して歳入に関する国会への提出がないのはどういうわけなんでしょうか。
  34. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院長 これは原委員の御指摘ももっともかと思いますが、恐らくいままで伝統的に歳入面というのは非常に少ないものですから、それで特に書き出してお話し申し上げるということはしなかったかと思います。しかし、これは御意見によって訂正してもいいことではないか、こう考えております。
  35. 原茂

    ○原(茂)委員 財政法の三十七条、三十八条からいっても、これは会計検査院がやはり模範を示さないと、歳入は金額が少ないのだからいいだろうなんということは、各省で許されるはずのものではないわけですから、会計検査院はやはり次回から改めて、歳入に関してもぴしっと出すということにすべきだと思うのですが、もう一遍答えてください。
  36. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院長 御説ごもっともでございますので、今後はその点を考慮させていただきます。
  37. 原茂

    ○原(茂)委員 それから、次にロッキードに関係する問題ですが、いまトライスターの購入に関して全日空等にいろいろ疑惑があるわけです。その疑惑が生じたということから、会計検査院はこれに対する調査を始めたわけですが、防衛庁に関して三十三年、三十四年、グラマン、ロッキードのあの激烈な戦いの前後からも防衛庁に関する調査もやっていかなければいけないと思うし、多分やっているのじゃないかと思いますが、同時に、いまの全日空のトライスターに関する調査もするということに多分していると思いますが、いかがですか。この二つはやっていますか。
  38. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院長 例のロッキード問題が起こりましてから、本院といたしましては早速どういうふうな——全日空、トライスターに関しましては輸銀融資、それから開銀の保証がございます。そういう関係会計検査院的に問題になるという点がございますので、早速こちらでできるだけの調査はいたしました。
  39. 原茂

    ○原(茂)委員 それで、具体的にいま後段に述べられました輸銀の融資の問題に関係して、あれは何という法律でしたか、対外経済関係調整のための租税特別措置法の一部改正というのですね、輸銀が航空機などの購入にも融資できる道を開くために、急遽参議院段階までわずか半月くらいの間に、あの法律が一遍にばっとでき上がったわけです。細かいことを申し上げる時間がありませんが、おわかりだと思いますが、そのことに関して結局会計検査院としても、アメリカが従来八〇%の融資をしていたのを、今度は輸銀、それから開銀の保証というので、やはりかつて前例のない八〇%というような特恵融資を行ったというようなことに関して調査をしたと思うのですが、いかがですか。調査はされましたか。
  40. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 いまお尋ねの件は、輸銀が全日空に対して融資を行ったことの根拠の当否の問題であろう、このように理解いたしますが、当然私どもといたしましても、まず融資の内容に当たる前に、その融資が根拠のあるものであるかどうか、輸銀の業務の範囲内のことであるかどうかというような観点から検討をいたしました。  これにつきましては、ただいま先生からお話がありましたとおり、輸銀法の改正がございまして、航空機の輸入につきましても輸出入銀行として融資ができるという、このような根拠が法律に明定され、また輸銀の業務方法書等もそれに伴って改正をいたしておる、このような事情がございます。ということにおきまして、一応輸銀が融資をしたということについては根拠があるものである、このように認めたわけでございます。
  41. 原茂

    ○原(茂)委員 まあ、それ以上会計検査院としては突っ込んで余り政治的な判断の介入はできないのでしょうが、これも他の未百会できっと論議があると思いますし、私もほかの機会にこの問題にもう一遍触れます。  それから、いろいろ調査をされた結果を幾つか用意してきたのですが、きょうはちょっと一々お伺いする時間がないようですから、二、三にしぼってお伺いします。  その一つは、会計検査院がこの問題に関して調査に乗り出す  従来もやってきた。で、いろいろ特別な調査班をつくって、ずっと防衛庁に関してもやってまいりましたし、それからトライスターに関しては今度また調査をやるというようなことになったのですが、この動機は何なんですかね。ただ会計検査院というのは一度やって、そのままでずっと終わっていればいいのですが、それをもう一度調査をすることにしたその動機は何なんですか。
  42. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 私どもは毎年検査の計画を立てまして、現在問題になっております輸銀の融資につきましても、輸出入銀行についても定期的に検査をいたしております。したがいまして、本件のトライスター導入についての融資、これについても既応年度の融資だということで、もちろん検査はすでに行っているものでございますが、たまたま世上を騒がすような、このような疑惑が新たに生じた、こういう際でもありますし、また私ども検査は必ずしも決算年度ということに限らず、既応年度のことでありましても、私ども検査が仮に至らない、あるいは至らないおそれがあるというような場合には、さかのぼって検査をするということも私ども検査の方法でございますので、まあこういった点で、特に疑惑が云々されておりますこの融資に関しましては、もう一回ぜひ洗い直す必要がある、このようなことから特別の検査ということで重ねて施行をし、なお現在検査を続行中、こういうことでございます。
  43. 原茂

    ○原(茂)委員 自発的におやりになったようですが、ロッキード事件に関連して、ことしの二月十八日、それから二十六日、輸銀の調査は十八日にやって、二十六日に輸銀と一緒に全日空に行っているのですね。これは何のために行ったのですか。全日空に対する調査をもう始めているのですか。
  44. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 御指摘のとおり、当初私どもは輸銀の融資、融資の当否という関係から、輸銀に参って輸銀からの事情聴取、書類に基づくところの確認といったようなことで検査を施行したわけでございますが、輸銀にはこの全日空のトライスター導入について、この融資に関係するすべての書類の原本があるあけではございませんし、また、たとえばその融資を受けた資金に基づく支払いの関係あるいは航空機の導入の関係、それらの事実の確認ということのためには、やはり全日空に赴きませんと徹底した確認ができない、このような事情でございますので、全日空に赴きまして、契約書とかあるいは資産台帳とかあるいは会計証票とか、そういうものに基づきまして、要するに融資を受けた資金に基づくところの航空機の導入、つまり貸し付け対象物件が、資金の貸し付けの目的のとおりに使われているかどうかということの確認を、全日空について現地に確認をする必要がある、このようなことで全日空に赴いたわけでございます。
  45. 原茂

    ○原(茂)委員 それで全日空は終わったんですか。
  46. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 ただいままでの検査の結果では、全日空に赴いて私どもが確認する目的の事項につきましては、一応の確認をいたしました。  なお、私どもとしてこの融資についての検査が全部終わったかどうかということでございますが、これについては最前も申し上げましたとおり、なお検討すべき点がございますので、これについては引き続き検討いたしておるわけでございます。
  47. 原茂

    ○原(茂)委員 これはああいう孫出資会社みたいな、日航が株主になって、しかも非常に少額の出資しかやってないわけでしょう。こういうところに対する検査というのは限定検査になるのですか。全面検査ができるのですか。それが一つ。  それから会計検査院が調査されたものは、われわれが必要とあるなら、これは何も刑事上の問題として伺うわけではないのですから、国会が聞くときには、その時点時点で調査の内容を全部公表できますか。すべきだと思うのですが、次回に必要があって要求したときに、会計検査院が全日空なら全日空、それから防衛庁に対しても三十三、三十四年以来の調査をやっているはずですから、こういうものに対しては公開を原則にしてやるべきだと思いますし、国会が要請したときには、その内容はつぶさにわれわれに提示をしてもらえる、こう思いますが、いかがですか。その二つ……。
  48. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 御質問の第一の、全日空に対する私ども検査が全面検査に及ぶかどうかということでございますが、先般行いました全日空に対する調査は、これは私ども実は調査と呼んでおりますが、要するに輸出入銀行の融資の当否、これを判断する手だてとして全日空の必要な書類、それにかかわる範囲内の書類等について、これを調査いたした、こういうことでございますので、全日空そのものの検査ということではございません。  その理由でございますが、日本航空は国の出資している法人でございますが、全日空は確かにその日本航空から、さらに出資を受けている会社でございます。その意味におきましては孫出資でありまして、私どもの院法の上でも、そういうものについて検査できるというようなことがございますが、これの院法の解釈、運用の問題といたしまして、全日空の場合、日航の持ち株比率が現在〇・二二%というようなきわめて小さなものになっております。したがいまして、これは言ってみれば日航の関連会社という立場よりは、むしろ日航が単なる投資をしている会社である、このように考えられます。こういうものにつきまして、つまり日航が全日空に対して支配権を持っているというような関係ではございませんので、したがいまして、日航の線を追って全日空についてまで私どもが全面検査の対象とすることはいかがであろうか、こういうことで従来から私どもはこのような持ち株比率も非常に小さい会社につきましては、検査の対象外ということで扱っております。そういうような事情がございますので、全日空についての全面検査というところまでは、私どもは及んでいないわけでございます。  第二点の、私ども検査をした結果についての資料の公開の問題でございますが、これはできる限り、そのような線でまいりたい、このように考えておりますが、たとえば商取引上の要するに秘密というような事項も中にはございます。こういったものについて直ちに無判断にこれを提出することが、公開することがどうであろうか。要するに商社なり、本件の場合で言えばロッキード社でございますが、それと全日空との間の商取引という関係もございますので、そういった点で、あるいは全面的にということは御要望に沿いかねる場合もあるかもしれませんけれども、差し支えのない限りのものについては、これを資料として公開をいたしたい、このように考えております。
  49. 原茂

    ○原(茂)委員 これで終わりますけれども、いま後段に答弁のありましたようなロッキード社と全日空との取引上の何か秘密がある場合、それに触れることは避けるようなこともあるという答弁がありました。そんなばかなことがあってはいけないと思う。ロッキード事件というのは、全日空、ロッキードの取引の中身がどうであったか、そのものが現在疑惑になっているわけですから、その中に疑惑があるわけですから、そんなときに会計検査院検査したものを国会が要求したときに、その一部であろうとも秘密を守るために云々などということを配慮するかもしれないと言われたことは、むだなことだと私は思いますし、そういうことは許さないというたてまえで国会は臨みたいと思いますが、この点を申し上げておいて、とにかく原則として公開するという答弁がありましたので、終わりたいと思います。
  50. 村山達雄

    村山委員長 高田富之君。
  51. 高田富之

    ○高田委員 私は、日本学術会議予算に関連いたしまして、二、三の質疑をいたしたいと思います。  本件につきましては、本院の他の委員会等でも、かつて問題になったこともございますので、問題点については、それぞれ関連官庁においては御検討を十分願っておることと思います。したがいまして、具体的な事例につきまして、そのものずばりでお伺いしていきたい、こう思います。  まず最初に、これは原則的なことでございますが、行政官庁が仕事をするのに、言うまでもないですけれども、寄付金に頼って仕事をするなどということは、原則的にかたく禁じられている。例外的に許される場合につきましても、いろいろその点については細かな監督規定等もあるわけでありまして、法律にもまた閣議決定等にも、それらの点は厳密に決められておる、かように考えております。この原則は今日においても、かたく守らなければならぬものであるという点は間違いないと思いますが、念のため、最初にこの点を確認しておきたいと思うのですが、大蔵省からひとつ御回答願いたいと思います。
  52. 大竹宏繁

    ○大竹説明員 お答え申し上げます。  実は私、税の担当でございまして、ただいま先生が御質問になられましたことに直接お答えする立場にないかと、あるいは適任ではないかと思うわけでございますけれども、大蔵省ということでございますので、寄付金の点について申し上げます。  法人税法あるいは所得税法において寄付金の規定がございます。たとえば法人税法におきましては、公益のために一定の要件があれば、企業はその寄付金を損金に算入できるという規定でございます。したがいまして、税法の立場からだけ申し上げますと、その寄付金の対象が、ある場合には国または地方公共団体に対する寄付金というものも含まれておるわけでございますので、直接のお答えにはあるいはなっておらないかもしれませんが、一応税法の規定だけ申し上げてお答えにしたいと思います。
  53. 高田富之

    ○高田委員 質問の趣旨をちょっと違えておるのですが、そういうことじゃなくて、具体的に申しますと、官公庁の寄付金の募集は原則的に禁止しておる昭和二十三年十月三十日の閣議の決定がございます。これは、いまでもこの規定どおりに当然やっておるものと思つておるのですが、これを念のため確認したいわけです。ですから、主計局の方がいいんじゃないですか。
  54. 佐藤徳太郎

    佐藤説明員 お答え申し上げます。  これは次官通達でございまして、私が御答弁するのが適当かどうかと思うのでございますが、先生お話しのような次官通達がございまして、われわれとしては、それがただいまも生きておる、かように考えております。
  55. 高田富之

    ○高田委員 現在も当然いまの御答弁のとおり生きておると思うのでありまして、いやしくも国の行政官庁が仕事をするのに、これは国家の予算に基づいてやるのですから、勝手気ままな民間団体みたいに、やたらに寄付金を集めてやるなどということは、原則的にこれはあり得べからざること、これはいまでも生きておると思うのです。そういう見地から、実は日本学術会議につきましていろいろ問題が投げかけられておるわけでございます。  まず第一点としては、昭和四十九年、一昨年が設立の二十五周年に当たるというので記念事業をなさる、これについては国家の予算もついておったわけですが、そのほかに千百万円ですか、寄付金を集めて事業をなすったという件については会計検査院から指摘があったということでございますが、どういう点を会計検査院指摘をし、どういう結末に現在なったか、これを会計検査院から御報告願いたいと思います。
  56. 田代忠博

    田代会計検査院説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のように、日本学術会議昭和四十八、四十九の両年度にわたりまして、創立二十五周年記念式典そのほか各種の記念事業を実施いたしております。そしてその経理の内容を見ますと、全体の事業に要した経費は、ただいま御指摘のように約千二百万円でございまして、そのうち日本学術会議二十五年史約六百部を発行するための経費約百八十六万円につきましては国費で支弁いたしておりますが、残額の約一千万円につきまして、四十九年五月に同会議の総会の申し合わせによって設置されました日本学術会議二十五年記念事業会という任意団体の徴収しました寄付金から記念式典及び講演会等に充当しておる状況でございます。  これにつきまして私ども検査いたしました結果、このように予算に計上されていない事業を寄付金等で賄うということは、予算の制を乱すばかりでなく、ただいま先生もおっしゃいました二十三年の閣議決定事項、この趣旨にも沿わないということで御注意を申し上げました。  以上でございます。
  57. 高田富之

    ○高田委員 そういう注意があったということでありますが、これにつては学術会議の方では今後どうするお考えでございますか。会長さん、ひとつ。
  58. 吉岡邦夫

    ○吉岡(邦)政府委員 お答えいたします。  二十五周年の記念事業につきまして会計検査院から御注意を受けたことは、ただいま会計検査院から御説明のあったとおりでございます。ただこのことにつきましては、国が二十五周年史の発行に要する経費百六十万円を予算計上いたしましたのでございますが、会員並びに前会員、元会員等の中から、学術会議ができてから二十五年たって発足当時の功労者の方々もどんどん亡くなっていかれる、また当時の米国関係のケリーというお方も老齢になられたということで、この際、現会員、前会員、関係学協会が集まって、ひとつ記念事業をやろうじゃないかという話が発端でございまして、国費としては記念史の発行しかございませんでしたけれども、そういうようなことで各会員、前会員がそれぞれ経費を持ち寄ってスタートしたものでございます。  それが記念事業会に発展いたしまして、その他寄付等もいただいてこの事業を行ったわけでございますが、会計検査院から指摘されましたところは、要するに学術会議本来の事業としてやるべきところを、その分については記念史の発行しかやっていない。その他については、そのような事情から事業をやったので、事業会の事業と、いわゆる学術会議本来の事業との間の区分がきわめて明確ではないという御注意をいただいたわけでございまして、学術会議といたしましては、今後二度とこういうようなことのないように十分注意してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  59. 高田富之

    ○高田委員 ただいまの事務局長さんのお話で、指摘された点については反省して、今後そういうようなことのないようにするということでございますから、一応そういうことで私も了承いたしますが、まあどういう理由があるにせよ、事情は当然いま御説明のようにあったのだろうと思います。けれども、いやしくも官庁が仕事をなさる上で予算外のことをただ気軽に寄付金でやって、しかもそれをどこへも報告もしていなければ、あらかじめ許可ももちろんとつてませんし、そういうことでは困るわけですから、これはやっぱり悪いことは悪いので、ぴしっと改めてもらうということでなくてはならぬし、会計検査院の方とされましても、口頭で注意したということでなしに、今後そういうことのないように、やはりぴしっとした監督をしてもらわなければ困るということを申し上げたいのです。  そこで実は去年の十一月に行われました国際環境保全科学会議、こういうものを去年やられておるわけですが、この会議では国家予算は三百五十万円ついておるのですね。ところが、寄付金はその十四倍、四千九百万円の寄付金を集めるということで事業をおやりになった。これはやってしまったわけですけれども、これに至っては実にはなはだしいわけで、ほとんど大部分寄付金に依存して、こういう事業をおやりになったわけでございます。  そこで、これは非常にいろいろな角度から大分問題が大きいわけですが、まず第一点としては、そういう事業が一体あらかじめ閣議の承認か何か得ておかないでやれるものだろうかという疑問をこれは当然持たざるを得ないのですね。  この法律自体を見ましても、この日本学術会議法の中にも、六条を見ますと「学術に関する国際団体に加入する場合において、政府があらたに義務を負担することとなるときは、あらかじめ内閣総理大臣の承認を経るものとする。」という規定もありますし、また会議御自身で出しておられます「日本学術会議主催による学術関係国際会議開催の手引」というものを見ましても、国際会議を主催するというようなことにつきましては、相当厳密な条件をお決めになっておって、そして必ず事前に予算を付して閣議の了承を得ない限り決定しないんだということまで非常に詳細にお決めになっておりますね。それほど厳密にやっておるわけです。  特にその中の条件としましては、そういう国際会議をやる場合は「当該国際学術団体からの協力および関係国内学協会の共催が得られること。」というのが条件になっておるのですね。だから他の団体があって、国内にも団体があって、そういう団体が共催してくれるということがあれば、事務的にもそういうところにもやってもらえるわけですし、また国際的にもそういう団体がある、この協力が得られるということで初めてやれるのだということにもなっておるわけでございます。そういう条件の上にちゃんと予算をつけて閣議の了承を得て、そこで初めてやるということが本決まりになる、こう決めてあるのですね。  ところが、今回のこの国際環境保全科学会議につきましては、そういう団体はないわけですね。国内にもないし、国際的にもない。ですから、共催してもらえる団体はないですから、自分みずからが事務的なことから何から一切合財全部やらなければならぬ。それも国際的にそれを組織して、国内では自分が全部やらなければならぬというような、かつ、恐らくこれをお決めになったとき、予想してないんだろうと思うのです。学術会議では、そういう種のものはやるということは予想だにもつかないことなんですね。学術会議でおやりになる国際会議というのは、おおむねいろいろな団体から要請があって、そうしてその要請された中からピックアップして、これをやってやろう、これはやってあげましょうというふうになる場合しか想定してないんだろうと思うのです、大体。みずからこれをやるというようなことはね。  そういうことであるにもかかわらず、そういうことをおやりになるのに、あらかじめ予算を付して閣議の承認を得た後にきちっとやるという手続を全然経てないのですね。こういう基準に基づかないでやる、これは例外だ、例外だから構わないんだ、例外だからどこにも承認を得なくたって構わないんだ、やっちゃっていいんだ、こういう調子でこれをおやりになっているのですよ。これは何としても、われわれは理解に苦しむのです。だから結果的にも、言いましたように、国家予算の十何倍も寄付金を集めておやりになるというようなことになっている。これは全く私、論外だと思うのですがね。大体こういうことに対して三百五十万円の予算をつけたということも私にはわからないのです、これは。  これはひとつ主計局にお伺いしたいのですが、どういう事情で三百五十万円の予算をおつけになったのですか。三百五十万円あればやれるというお考えで、検討の結果これを許可されたものかどうか。大体閣議の了承も何も得ずにやっているということは御承知であったろうと思うのです。そういう事情にあったにもかかわらず、どうしてそういう予算をおつけになったのですか。
  60. 佐藤徳太郎

    佐藤説明員 お答え申し上げます。  日本の学術会議は先生お話しのように民間団体、民間学術団体との共催をしながら、事務を分担しつつ国内で国際会議を開いておるということで従来からやっておりまして、われわれといたしましては、そういう共催会議につきましては、お互いに事務を共催してやるのであるから、経費もそれぞれ共同して分担するのがよろしいのじゃないだろうかという考え方で、学術会議もわれわれも従来から考えておったようなわけでございます。  御指摘の国際環境保全科学会議の件につきましては、先生御指摘のとおり、予算要求の段階におきましては、事前にそういう事業を行うという閣議決定がございませんでしたし、主催団体もその段階では明らかでなかったわけでございますが、これが学術会議側の御説明によりますと、非常に学際的な新しい会議でございまして、そのためにそういう特別な事情のある会議である。しかし、実行の場合までにはちゃんとした国内団体もつくって実行に移すというようなお話でございまして、国費負担分としての予算の要求がございましたので、われわれはそれを査定いたしまして、当初ベースで三百五十万円ということで予算計上いたしましたような次第でございます。
  61. 高田富之

    ○高田委員 それでは学術会議の方にお伺いしますが、要求されたとおり三百五十万円の予算がついた、こういうことでございますか。そうすると、その要求というのは、大部分寄付でやるのだからというので、お墨つきだけもらえばいいという形の申しわけ的な予算要求なのですか。どうも理解できないのですが……。
  62. 吉岡邦夫

    ○吉岡(邦)政府委員 実は、この国際環境保全科学会議が五十年度に開催されるにつきましては、学術会議側では各学会の要望によりまして、四十七年ごろから近いうちに国際的な科者による環境会議をやりたいという意向を持っておったわけでございます。ところが、御承知のように、学術会議では毎年国際学術団体の主催による国際会議を幾つか主催しておるわけでございまして、その予算的な余裕がないわけでございます。しかし、各学会とも現在の状態では、環境学会というものはないにしても、人文、社会、自然科学のそれぞれの学会が環境問題について強い関心を持ち、科学者としての研究を進めていきたい、こういう要望が非常に高まりまして、ぜひこれをやりたい、日本で開催するに当たっては、すべての学会の全体的な取りまとめである学術会議がその中心になって、ぜひやってほしいという要望がございまして、この計画をスタートさせたわけでございます。  しかし、先ほど申しましたように、五十年度の予算要求におきまして、すでに学術会議側といたしましては、四本の国際会議の主催を要求しておりまして、それ以上の要求はとてもできないということでございました。しかし全学会が、自分たちが共催してもこれをぜひ実施してほしい、しかし中心は学術会議になってもらいたい、こういうことで各学会全体が共催するという形でスタートさせましょう。しかし、国費としては非常に苦しい立場にあるので、予算としては普通の国際会議、今度の国際環境会議と同じ程度の国際会議に要する国庫分の負担をいたしましょうということで要求をいたしまして、三百五十万円が計上されたわけでございます。
  63. 高田富之

    ○高田委員 先ほどの主計局の方の御説明によりますと、まだはっきりはしてないが、対応する共催できるような団体もできるであろうというような期待を持ってという御説明があったですね。ところが、実際問題としては、そういうものがないのにやらざるを得なかったわけですから、要望はあったと思いますけれども、きちっとしたそれを共催できるような団体というのは実際問題としてはないわけですから、ないのにやるのですから非常に例外的、いまだかつてそういうことをやったことはないわけです。これが初めてです。ですから、分担するとか負担するとか言ってみたところで、これは初めからそういう共催団体があって云々という問題じゃないのです。どうしたって事務的なことから何から、一切学会がやらざるを得ないのです。足らないところは全部寄付金でもって賄わざるを得ないことは初めからはっきりしているのです。  ですから、こういうのは当然、これは正式にやるということを本決めに決めたのは四十九年の四月の総会あたりでしょう。その段階では予算をちゃんと組んで、そうして閣議の了承を得て初めてやる、こういうことですから、大変なことなんです。そうしてきちっと予算が五千万、六千万かかるならば、かかるということを明らかにした上で了解を得てやるべきなんです。それを、これは例外なんだから構わないやというような式でもってやって、国家予算の十数倍もの寄付金を集めておやりになる。  これは他の委員会でも実は問題になっておるのですが、そのときに、いや寄付を集めたのは学術振興会であって、われわれが集めたのじゃないというような答弁がありましたが、そんなことは全く詭弁でありまして、これはあなた方御自身が一番よく御存じなんで、組織委員会というものを部内にもおつくりになり、そうして募金委員会は、越智会長さんみずからが募金委員会の委員長をなさり、そうして、ただ募金団体としては学術振興会というものに委嘱をしたような形になっておるから、その方の口座へ金は振り込まれておりますけれども、会長さんが先頭に立って一生懸命お金を集められて、そうして足らないところを全部それで賄うということでやったのですから、学術会議自身がはっきりしているのです。また大蔵省に出した書類を見ましても、主催学術会議、後援というので、何か環境保全推進協議会というのが後援として出ていますけれども、要するに主催であって、あとは後援なんです。だから学術会議が募金から計画から事務処理から全部おやりになったものなんです。ですから、そういう言い逃れ的な御答弁が前にあったものですから、これはやはりいかぬ。これは明白にして、今後は、さっきの大原則のとおり、あらかじめおやりになる前には予算を付して、閣議の了承を得てやらなければならない。  また前の、どこかよその委員会の御答弁なんかによりますと、総理府の方でも、いや、これは一回限りの国際会議らしいので、別に閣議の了承がなくてもいいと思ったなんというような御答弁をされておるのですけれどもね。これは仮に一回限りであっても、初めてこんな大げさなことをおやりになるのに、了解を得ないこと自体が間違いですが、これは第一、一回限りじゃないのですよ、中身を調べて見てみますと。継続的にやりたいという趣旨でおやりになっている。そうでしょう。そうですね。そうでなければ、また寄付金の免税措置もしてもらえなかったわけなんです。この点間違いないですね。継続的におやりになりたいということですね、これはどうですか。学会の方の御答弁……。
  64. 吉岡邦夫

    ○吉岡(邦)政府委員 今度初めてこの国際環境科学会議を開催したわけでございますが、これを端緒といたしまして、この大会に集まった世界の科学者たちの申し合わせにより、これを継続してやるための委員会を設けるという議決がなされております。そのような形で進むものと考えます。  ただ、先ほどの閣議了解の問題でございますが、一言申し上げたいと思うのです。学術会議が主催いたしまする国際会議の閣議了解につきましては、これは御承知のように、すでに国際学術団体が存在しておりまして、そこが二年ないし三年ごとに各国持ち回りで国際会議を開催しておるわけでございます。その場合に、日本で開催するに当りまして、予算措置をもってはっきりするわけでございますけれども、それではすでにおそ過ぎまして、当年度の予算の概算要求前に日本側の態度を明確にする必要があるわけでございまして、それを明確にするために、閣議了解を得て、これで初めて日本で開催いたしますということを世界の学会に向って明言いたすわけでございます。  ただ、今度の環境会議の場合は、ことし予算が計上されなければ、あるいは来年に見送るというような可能性もございましたのであらかじめ世界の学界に、早目に閣議了解をいたして、これをやります、確実にする、それがもしも流れた場合に迷惑をかけないということではなかったわけでございまして、閣議了解につきましての学術会議の国内開催の基準というものと、ちょっと様子が違うのじゃないかという感じがいたします。ただ、先生の申されるとおり、これだけの大きな会議でございますので、閣議了解なり閣議報告というものをした方がはるかによかったということは、現在反省しております。
  65. 高田富之

    ○高田委員 これは、いろいろなことでつじつまを合わせたような御答弁をいただいたのでは、前進はないと私は思うのです。やはり率直に、予算の十何倍もかかるようなことを了解も得ずにどんどんやるということは、これは行政機関としてあるまじきことですよ。全然問題外です。ですからこれは、そういうような気分で運営されているということについては大改革してもらいたいと思いますよ。  会計検査院にもお尋ねします。  さっきの一千万円のことについては御忠告をなすったそうですか、本件をいまお聞きになって、現在この点についてはどの程度調査を進められておられますか。
  66. 田代忠博

    田代会計検査院説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の五十年分につきましては、いずれ私どもが今後検査いたすことになるわけでございますので、その際、先生のいまの御趣旨を体して、十分に慎重に検討してまいりたい、かように考えております。
  67. 高田富之

    ○高田委員 それで、結果的にはこの寄付金は予定どおり集まったのですか。いま現在、この学術会議についての決算はどうなっておりますか。
  68. 越智勇一

    ○越智説明員 お答えします。  初めの予定は五千万円ぐらいであったのですけれども、財界等の御寄付も大変むずかしいらしかったものですから、三千五百万円ぐらいの当初予算で、われわれの方の予算を切り詰めまして、それで三千五百万円ぐらい集めてやろうということで、現在やっておるわけでございますが、それで縮小した予算のとおりは大体入りましたけれども、現在募金そのものの活動は私がやっておりまするけれども、それは学術振興会の方に全部入って、学術振興会の方で終始いろいろな支出ということをやってもらっておるのですけれども、現在まだその決算はできておらないのですが、しかし大体は予定のとおりいっているというふうに聞いております。
  69. 高田富之

    ○高田委員 実は、ここにあなたの方で出された部内の資料のようなものがございますが、これはこの間、昭和五十一年二月二十八日付で「日本学術会議会員各位殿」というので、副会長の高橋さんと同じく副会長の伏見さん、お二人の名前で、「会員各位殿」というのでアピールを出しておるのですが、これを見ますと、国際会議の費用の大半を、越智会長さん御自身が募金委員長として精力的に活動されて、独力で集められたということを書いてございまして、さらに赤字が大分できたということで、赤字がこの報告を見ますと六百万余りの赤字である、赤字ができたからカンパをしてほしい、こういう訴えを出しておられますね。そして、赤字のうち二百九十万円は越智会長さんが御寄付をして埋めるというお申し出をなさっておるということなんです。これはどういうことでしょうか。いまのお話ですと、うまくいっているようなお話ですが、これはそういうふうに書いていないのです。六百万円ぐらい赤字ができて、カンパで埋めてくれ、会長さん御自身も二百九十万御寄付なさる、これは事実なんですか。どういうことなんです。
  70. 越智勇一

    ○越智説明員 御指摘のようなことは事実です。それで、当初予算を三千五百万円ぐらいでやりましたけれども、実際は六百万円ぐらい去年の末ごろでは足らなくなったものですから、そのうち二百九十万円は私が寄付をするということで、あと三百万円ぐらいというのをいまの両副会長が会員等に呼びかけて集めて、大体それが集まっておるというのが現状のようでございます。
  71. 高田富之

    ○高田委員 そのときのアピールについておる決算ですが、これをちょっとお伺いしたいのですが、ちょっとこれは読んでもよくわからない部分がございますのは、収入の部に国費が三百万円余りですね、それから学術振興会を通じて寄付で集めたもの、これが三千百七十一万円、それから参加した方々が負担した参加費が五百七十何万、こういうふうになっておるわけですね。それからUNEPですね、国連機関からも千三百五十四万入っておる。  これはひとつお伺いしておきますが、国連からこういうふうな金を受け入れるということは、国家機関である学術会議としては、これは当然外務省を通じてやるか、外務省にあらかじめ相談をかけられてやらないと、勝手に国家機関が向こうの国連とこういうようなものを受け渡しするというのは、これまた常識的に全く考えられないのですが、この点については外務省の国連局の方に御見解を承りたいのですが、こういうことについて事前に御相談がありましたか、事情をよく御承知でおやりになったものなのか、どうなんですか。
  72. 大川美雄

    ○大川政府委員 ただいま御指摘の国連環境計画からのこの会議に対する資金の支出の問題につきましては、私ども承知いたしておりました。事前に話を伺っておりました。
  73. 高田富之

    ○高田委員 そうすると、事前に相談をされまして、外務省が了承してやったんだとすれば、一たんそれは国庫に入って、国庫から支出されなければならないと思うのですが、これはどういう相談を受けて、どういうことにしたのですか。
  74. 大川美雄

    ○大川政府委員 ここに国連環境計画が設置されました際の国連総会の決議を持ってまいりましたが、それによりますと、その前文におきまして「環境分野における国際協力に対して関係国際科学諸団体が重要な貢献をなし得ることを認め」というような文句がございますし、それから本文、主文の方にも、環境理事会の機能を列挙した中に「環境関係の知識及び情報の取得、評価及び交換について関係国際科学諸団体が貢献することを促進する」というような項目がございます。  ほかにも、同じ決議の後のほうに、環境基金というものの設置についての規定がございますが、その基金が国際的な環境問題に関する研究調査並びに情報交換及び情報の普及についての資金を支出することを予想した書きっぷりになっておりますので、私ども外務省といたしましては、この昨年の国際環境保全科学会議に対する国連環境計画の資金の支出ということは、国連環境計画の設立当初の趣旨と申しますか、予想された活動分野から見まして、それに沿った支出であるというふうに考えておるわけでございます。
  75. 高田富之

    ○高田委員 それはそういう趣旨に沿っておるから出すのですから、それはいいのですが、そういう金をもらうのに、外務省を通してもらうべきなのじゃないですか。外務省は知らなかったのでしょう。後でわかったのでしょう。その点を言っているのですよ。外務省を通してやるのが当然じゃないですか。そういう取り決めをして調印をなすった。調印をなすったのは学術会議のどなたかがなすっているわけですから、外務省は知りはしない。後でわかったのでしょう。そういうことでいいかと外務省に聞いているのですよ。いかがですか。
  76. 大川美雄

    ○大川政府委員 私の御説明が若干不十分であったかもしれませんけれども、これは事前に私ども話は伺っておりました。ただ、プロジェクトの詳細につきましては、これは国連環境計画の事務局と、それからその事務局にプロジェクトを出しましたこちらの当事者との間の話し合いということで進んだものと了解しております。私どもはその細かい、実際のプロジェクトに関する細目についてはタッチはいたしておりません。
  77. 高田富之

    ○高田委員 しかしこれは、じゃ、どういうことで幾ら幾ら国連機関から支出してもらえるのだというようなことの相談をし、そういうことに調印をして約束をするというような仕事は外務省がやるのじゃないですか。どうなんですか、これは。
  78. 大川美雄

    ○大川政府委員 そういう場合は、プロジェクトを提出した当事者と、提出を受けた相手の国際機関との間の話し合いということになります。外務省はその間に介在はいたしておりません。
  79. 高田富之

    ○高田委員 それでは外務省は、現在幾らの金が来て、どう使われて、幾ら残っているか、それを御存じですか。
  80. 大川美雄

    ○大川政府委員 国連環境計画からこの会議に支出されました金額が四万五千ドルであったということは、事後にUNEP、国連環境計画から出されます書類でもって承知いたしました。
  81. 高田富之

    ○高田委員 それは現在どうなっているか、御存じないですね。
  82. 大川美雄

    ○大川政府委員 その詳細は私ども存じておりません。
  83. 高田富之

    ○高田委員 ですから、後でそういう書類で知ったとかいう程度なんですね。やはりこういう外国の、国連機関から金が入る場合なんかは、責任があるのは外務省なんですから、外務省はあらかじめどういう内容で幾らの金が来ることになったということを、その時点で知っておらなければならぬし、当然もらった金が残れば返さなければならぬでしょうが。そういうようなこともきちっと外務省が押さえて責任を持たなければならぬ。書類でそんなものが出ていたから幾らか来たのだろう、どうなっておるかわからぬわい、そういうのもこれまた無責任な話なんですが、全く不可解でしょうがないですね、これは。  時間がないので余りこだわっていられないが、いいですか、これは重大な問題なんですから、外務省としてももう少し、今後こういうことがあっては困るのですから、事前にぴしっと幾らの金が来るのだというようなことを知っていなければならないし、また当事者は外務省であるべきだと思うのですよ。代行させるにしても、当事者は外務省でなければならないと思うのです。  それから、いま申し上げたいのは収入ですね。収入が、いま言いましたように寄付金、参加費、国費、それからUNEPから来た金、それからその他というのがあるのですね。このその他というのが、わずかなんですが十七万八千円ばかりありまして、それでその他のところの支出が六百二十七万もあるのです。赤字が六百万、こうなっておるのですよ。いいですか、これがちょっと私にはわからない。その他の収入が十七万八千円しかなくて、その他の収入によって賄われた支出が六百二十何万あるから、その他収入欄の赤字が六百十万、こういうことになっております。その詳細の方も、こっちに出ておりますが、やはりそういうふうになっておりまして、実際に六百二十七万という金がかかってしまった、それでその部分については見合うべき収入が十七万幾らしかないわけですよ。だから、これはまるまる赤字になっておる。これは赤字の説明になっている。  そうすると、これは一たん支払われてしまったと思うのですが、つまり、人件費二百七十五万円、謝礼金の六十万円、委員等の旅費の二十一万円、それから借料損料というのが、未払いがまだ二百二十万ばかりありますが、二百七十何万円、これの合計が六百二十七万円、こうなっているわけです。未払いの二百二十二万円を引きましても、四百万円からこれはすでに払ってあるはずですね。これを見ますと、支出の方にちゃんと載っていますから。人件費や何かになっていますから。これは、払ってあるとすれば借金をしたものですか。収入にその他とあるのだから、わからないのですよ。国費と学術振興会関係の寄付とUNEPとその他、こうなっているのですね。その他収入とは何なんですか。それを御説明願いたい。借金ですか。
  84. 吉岡邦夫

    ○吉岡(邦)政府委員 募金につきましては、事務局としては一切関知しておりませんけれども、いろいろまた聞きするところもございますので、その他の収入というのは恐らく預金の利子じゃないかというような感じがするのでございますが……。
  85. 高田富之

    ○高田委員 十七万が。
  86. 吉岡邦夫

    ○吉岡(邦)政府委員 はい。
  87. 高田富之

    ○高田委員 利子ではない。利子は利子で、あります。利子は三万二千円。
  88. 吉岡邦夫

    ○吉岡(邦)政府委員 実はその文書は私ども一切見ていないので、いま初めてお伺いして……。
  89. 高田富之

    ○高田委員 これはさっき申し上げましたように、後でごらんになって結構ですが、高橋さんと伏見さん、両副会長が会員あてに出した決算の参考書類です。
  90. 吉岡邦夫

    ○吉岡(邦)政府委員 いま先生からお示しいただいて、初めて拝見したわけでございます。
  91. 高田富之

    ○高田委員 しかし、六百万の赤字ということは間違いないですね。いま会長さんが間違いないと言ったですね。
  92. 吉岡邦夫

    ○吉岡(邦)政府委員 会長の言っているとおりだと思います。
  93. 高田富之

    ○高田委員 そこで、要するに六百万足らなかった。さらに金を集めなければならぬ。会長さんも三百万近く寄付するのだ。国家機関が仕事をして、国家に必要な事業だということでやっておきながら、会長さんが自腹を切って穴埋めしなければならぬということは、これまた何ともわかりにくいですがね。  それからこの機会に、これに関連しましてちょっと私わからないのですが、会長さん御自身の預かり金というのがございますね。預かり金が一千万ぐらいあるんじゃないですか。この預かり金の中から、必要な準備段階における費用をいろいろ出しておりますね。その報告が、いつでしたか、ちゃんと行われておるのです。これは資料を私は持っておりませんけれども、報告が正式に部内で行われておりますね。外部には出ておるんだかどうだかわかりませんが。この預かり金一千万円というのは、どこから生じた預かり金なんですか。
  94. 越智勇一

    ○越智説明員 預かり金とおっしゃるのは、私自身もわからないのですが、このことじゃないかと思うのです。準備段階の時分に、免税措置を講ずる許可が大変おくれましたものですから、その前に必要な経費というような形で、免税措置じゃなしに寄付をいただいたのが二百八十万円あるわけです。それのことじゃないかと思うのですが、それ以外には一切ございません。
  95. 高田富之

    ○高田委員 いまお話が出たのですが、免税の許可を受ける前に寄付金をすでにお集めになっておったというお話がいまあるわけですが、これなどもしかし問題じゃなかろうかと思うのですよ。要するに、免税の寄付を集めるということについて、幾ら幾らの寄付が必要だということで大蔵省へ申請をして、許可を得て、そこで初めて募金委員会が活動を開始されまして、学術振興会を通じて金が入るようなことになってくるわけです。それ以前に、あなたがいまおっしゃったのですが、一年以上も前から寄付金を集めておられるのですね。この集める主体は一体どういう名前で集められて、だれの受け取りを出しておられるのですか。
  96. 越智勇一

    ○越智説明員 先ほど吉岡事務局長からお話がありましたとおり、この会議をやりたいというようなことは、実は三年ほど前に学術会議としては一応そういう意見だったわけですが、しかし、なかなか政府の、国庫の財政からの支出というものが、私どもずいぶんお願いはしましたけれども、できなかったものですから、それでずっと手前で活動して——そういう準備は進めておりましたけれども、お金については全く会員の人が皆手前弁当でやっておったのです。  それで、これはどうしてもやらなくちゃいかぬというふうになりましたのが約一年ほど前のことでしたが、その時分に、これをいよいよやろうというようなことになりましたものですから、それで組織委員会ができまして、組織委員会の中に募金委員会ができまして、その募金の活動については私が責任をもって集めたのですが、その金が二百八十万円集めたということで、その金はもちろん寄付の中へ入っておるわけです。現在では三千六百万円ぐらいになっている中にそれが入っているわけです。
  97. 高田富之

    ○高田委員 そうすると、事前に集められた金は後からちゃんと計画の中に入って、それは全部決算の中で明らかにするということですね。それはそれでいいですよ。いいですが、事前に集めるということになりますと、あなた個人の名前か学術会議としての寄付金か何かを取っているわけですね。まだ募金団体はないのですからね、そうでしょう。あなた御自身が集め、御自身の名前で受取を出したのですか。どういう資格で出したのですか。
  98. 越智勇一

    ○越智説明員 その二年ほど前に学術会議の中に準備委員会というものをこしらえまして、そこで会員等が集まって準備活動を盛んにやっておったわけです。学術会議といたしましては、それを準備委員会という名前にして、その準備委員会の委員長が私ということで、いまの二百八十万円の寄付を集めたのは準備委員会の委員長としての受取で、それが免税も正式に許可になりました時点で、去年の三月七日のことですが、その時点でそれを全部正規の学振の方に入れたわけです。
  99. 高田富之

    ○高田委員 ですから、いま私が申しましたように、正式に決まってないうちに準備委員会というような名前ですでに三百万円近い金を集めているということ自体も、民間団体なら問題ないですけれども、国家機関ですよ、正式にやることがまだ決まっちゃいませんからね、正式に決まったのはそれよりずっと後なんですから、そういう金をどんどん集めて歩いているということ、こういう点も、もう時間がないので一々答弁を求めるあれはないですが、会計検査院には厳密に調査してもらわなければならないと思うのです。まだ部内だって正式の総会で決定になってもいないときから準備委員会を発足させて、金集めがどんどん始まっているという問題ですね。  それから、いまその一千万円ばかりというのは全然覚えがないとあなたはおっしゃるのですが、これは組織委員会か何かでもって報告をされておるのですから。会長預かり金一千万円の中から七百万円ぐらい支出があって、三百万円ぐらい残っているという報告がなされたのですね。  そしてその七百万円というのは、どんなものが含まれておるかと言いますと、福島さんという重要な方がおります。福島要一さん、この方が環境問題科学委員会第七回会議ですか、モスクワで開かれたSCOPEに四十九年十一月に行ったときの七十二万円の旅費、それからその他同じく福島さんがUNEP理事会へ行ったときの六十六万円等々が入っておるし、伏見さんの国際科学基金への出張のときにも四十八万円出ておるし、そのほか会議が何回かあった、四十八年から四十九年にかけての会議などの費用。それから講師を呼んだ、環境庁の橋本局長さんほか講師の謝礼などにも五十何万円、その他、こういうふうに出ておりまして、そのほか、事務所を四谷へつくった、そして人も二人ばかり置いたというようなこと、こういうところからくるいろいろな費用ですね。  それで七百万円ぐらい使って三百万円ぐらい残っているという報告が部内になされているのですが、この資料をお調べになって提出してもらいたいのですが、事務局長さん、どうですか。
  100. 吉岡邦夫

    ○吉岡(邦)政府委員 お答えいたします。  先ほども申し上げましたように、いま先生がおっしゃられた数字並びに資料については、私は一度も見たことがございませんので、どういう形で提出していいかわかりませんが、後でいろいろとお伺いしたいと思います。
  101. 高田富之

    ○高田委員 これは五十年二月ごろの日付で書類ができているようですよ。私はそれを持ってはいませんけれども、調査してもらいたい。それで、それを御提出願いたいのです。  それから、これはあなたの方でお出しになっておる「国際会議開催の手引」ですが、この中に「寄付金に余剰金を生じた場合には、それは本会議内にある国際学術会議基金に入れることになっている。」という文句がございますが、現在国際学術会議基金は幾らあるのですか。
  102. 吉岡邦夫

    ○吉岡(邦)政府委員 国際学術会議基金、そういう名称になって預かってある金としては、約一千万円ぐらいじゃないかと思っています。
  103. 高田富之

    ○高田委員 一千万円ぐらい現に残っている。これは会長預かり金とは別ですね。
  104. 吉岡邦夫

    ○吉岡(邦)政府委員 会長預かり金とは関係ないと思います。
  105. 高田富之

    ○高田委員 現在一千万円ぐらい残っているというのは、何かのときに特別に残ったのですか、これはどういう——寄付金の残りでしょう。いつごろから積み立てておるのですか。
  106. 吉岡邦夫

    ○吉岡(邦)政府委員 お答えいたします。  いつごろから積み立てておる金か明白ではございませんけれども、学術会議が主催して学協会が共催いたしました国際会議、これは募金がございますが、その中で、かつて余剰金が出て、それをどうするかという問題があった。それは結局個々の寄付者に返せばいいのではなかろうかという話があったそうでございますけれども、どういうふうに個々の人に返すかという問題もあろうかと思いまして、これは後日その後の関連国際会議に役立てようということで、逐次積み立てて基金として計上してきておるというふうに聞いております。  ただ、ここ四、五年来そういうことはおかしいことであって、やはり共催する学術団体が赤字になっても責任を負うし、それから残った場合には、その開催した国際会議の議事録なり、あるいは関連する報告書等の作成費に充てるべきだということで、その後は積み立てておりません。
  107. 高田富之

    ○高田委員 ですから、会計検査院にお伺いしたいのですが、そういうふうな特別の基金というようなものが積み立てられておるということ、それからいまの会長預かり金については資料が出ないと私自身も持っておりませんので、それ以上のことは申し上げられないのですが、しかし会計検査院の方としては、厳重にそういうような点についてもお調べ願いたい。  それから、あなたの方の「国際会議開催の手引」を見ますと、この中に、どうしても国でもらうだけじゃ足らない場合が多い。だからこれは余りやっちゃいかぬことではあるが、必要最小限度の寄付はもらわざるを得ないというようなことが書いてあるわけです。しかし、それにしても寄付なんというものは、余りたくさん集められる性質のものじゃないので、国家予算程度、国がつけてくれた金程度のところが限度だというようなことまで説明が書いてあるわけですね。今度のは国がつけた金の十数倍、十四、五倍も集めておるわけです。  いずれにしましても、だんだん寄付を集めることが何でもないことのように、まるで民間団体と同じようなことになってしまうのですね。これでは国家機関としてのあり方から言っても全く問題外だと思うのです。特に学術会議関係の研究機関その他に対して、年間二百億ですか三百億ですか、莫大な補助金などを出すときの査定をする重要な発言権を持っておる団体です。学術会議が配分してやるのだと言っても言い過ぎでないくらいの、重要な権限をお持ちになっておる団体なんですよ。そういう団体が、仕事をするからといって安易に民間から寄付を集めるなんということは許すべからざることです。  いままでも、少しぐらいならよかろうというのでやってきたのが、だんだん高じてきたのだろうと思う、国家予算ぐらいの範囲なら構わないということで。こういうことは、初めに念を押しましたように、大原則に反するのですよ。国家行政機関が寄付金で仕事をするなんということは、あり得べからざることです。ですから、今度のようなことを閣議の了解も得ずにどんどんやってしまう、そういうふうなことについてはこれは厳格に、会計検査院においても一部始終詳細に調査をしてもらって、今後絶対にこういうことのないように、総理府の方もそのつもりでやっていただかないと、これは困ると思うのです。  ひとつその点について、最後に会計検査院と総理府から御所見を承って、ちょうど時間も参りますので、はっきりとした御回答をいただいておきたいと思います。
  108. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院長 お話を承っておりますと、いろいろと疑問の点があるようでございますので、厳重検査を施行したいと考えております。
  109. 森喜朗

    ○森(喜)政府委員 お答え申し上げます。  総理府といたしましては、従来から日本学術会議の自主的な運営を期待いたしておりまして、健全な運営をいたしてくれるものと期待をいたしておったわけでございます。ただいま先生から御指摘をいただきました点も含めまして、いろいろと問題があるように聞いておりますので、幸い学術会議の中にも改革構想委員会等で内部の検討をいたしておるようでございますから、さらに一段とその改革構想を進めるように督励をいたしてまいりたいと思いますし、総理府といたしましても、ただいま先生から御指摘をいただきました点も十分調査をいたしますし、また監督もしっかりとやってまいりたい、このように思っておりますので、お答えを申し上げておきたいと思います。
  110. 高田富之

    ○高田委員 これで終わります。
  111. 村山達雄

    村山委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時十三分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  112. 村山達雄

    村山委員長 休憩前に引き続き会議開きます。  質疑を続行いたします。庄司幸助君。
  113. 庄司幸助

    ○庄司委員 昭和四十五年度と四十六年度の防衛庁の川崎重工並びに日本航空工業会、これあての委託研究の内容についてお伺いしたいと思います。  最初会計検査院にお伺いいたしますが、昭和四十五年度の「次期対潜機の調査研究(その1)」契約相手先は川崎重工でありますが、この契約金額、それから(その2)は日本航空工業会ですが、この契約金額ですね。それから昭和四十六年度の予算で同じく「次期対潜機の技術調査研究」これは川崎重工です。この契約金額ですね。それと、この調査研究について、いわゆる有効な研究費であったのかどうか、国費のむだ遣いではなかったのかどうか。これはロッキードの関係で、P3Cの関係でいわゆる白紙還元問題が出ておりますので、その点でどのような御調査をなすったのか、それについて、まず伺っておきます。
  114. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 お答えいたします。  四十五年度の委託費の契約でございますが、先生お示しのように、川崎重工業株式会社と四十五年七月九日契約を締結いたしまして、契約の内容は「次期対潜機の調査研究(その1)」というものでございます。その委託金額は千九百十八万円でございます。それから(その2)といたしまして、日本航空工業会と委託契約を締結していますが、四十五年十月三十一日でございまして、その金額は二百三十万円になっております。これが四十五年度の委託研究の項目と、それから委託先、委託金額でございます。  四十六年度は、同じく「次期対潜機の技術調査研究」ということで、川崎重工業株式会社と四十六年九月九日締結いたしまして、委託金額は二億八千九百二十万四千円という金額になっております。  それで先生御質問の第二点でございますが、この委託費はむだ遣いになっていないかというような御趣旨の御質問だと思いますけれども、これは次期対潜機の要求される諸元だとか性能だとかいうものの基礎的な研究をいたしまして、それを基礎にいたしまして、それとともに日本独自の開発によってそれを取得するか、それとも他から導入するかというような比較研究をいたすための基礎的な資料を得るための研究というものでございます。  委託費の成果でございますが、川崎重工との間の四十五年度のものにつきましては、四十五年十一月二十五日に完了いたしまして、その成果を得ています。それから日本航空工業会につきましては、四十六年二月二十七日にその成果を得ています。  それから四十六年度のものにつきましては、川崎重工業株式会社から四十七年三月三十一日に、その成果を得ていまして、調査研究の途中の段階でありますけれども、それはまたそれなりに、空力研究であるとか、あるいは電子情報処理装置などの研究でありまして、基礎的なデーターが得られたということで、一応の成果があったわけであります。そして、また、この成果を国防会議の専門家会議に提示いたしまして、その会議判断の重要な資料として使用されておりますので、私どもといたしましては、委託の成果並びに成果の利用というものは一応行われている、こういうふうに考えております。
  115. 庄司幸助

    ○庄司委員 昭和四十五年、それから四十六年度、この予算が執行された時点では国防会議の専門家会議というものは存在したのかどうか、これをひとつ……。
  116. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 お答えいたします。  存在していません。
  117. 庄司幸助

    ○庄司委員 存在していないものについて、予想もされないものについて、専門家会議に提起して判断の資料を得たから成果があったというのは、ちょっとおかしいんじゃないかと思うのですが、その点どうなんですか。
  118. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 成果の第一点でございますが、次期対潜機の基礎的な諸元であるとか、あるいは性能であるとかの基礎的な技術的研究というものを実はやっておりますので、それはそれなりに、一般的な技術資料として委託費の成果はあったということが一つの成果でございます。  それから専門家会議は、委託費を出す段階におきまして、そういうものはなかったわけでございますけれども、結果的に専門家会議に供して、そういう判断の資料に使ったという意味で、一応の成果の利用があったと考えてもいいのではないか、こういうふうに考えます。
  119. 庄司幸助

    ○庄司委員 それはちょっとおかしいのですね。四十五年、四十六年、これは専門家会議の存在はなかった。なかったものに報告するということを前提にして研究が進められたなどということは、およそ意味のないことなんですね。だから、それを成果があったんだという第二の理由になさるということは、これは後から見た結果であって、たとえば四十五年度の会計検査をなさる場合は、恐らく四十七年か八年ごろでしょうから、そのころは専門家会議の存在がなかったわけです。なかったものについて成果があったんだというのは、これはおかしいと思うので、これは取り消してしかるべきだろうと思うのですが、どうですか。
  120. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 専門家会議の利用に供するために委託研究を始めた、そういう意味で申し上げたのでは実はないのでございまして、委託研究の成果を専門家会議判断の資料に結果的に供するようなことになった、そういう意味で成果品は生かされる結果になっておるのではないかというのが、一つの利用の形態であったと思いますが……。
  121. 庄司幸助

    ○庄司委員 ですから、それはいまの時点から見れば、会計検査院がロッキード問題が起きてから、またこの問題について検査をなすったということを伺っていますから、その時点から見れば、そういう結果というものは、まあある程度判断できるだろうと思いますけれども、四十五年度、四十六年度の会計検査ですね、これをなさる時点では、当然にこの委託研究費の目的、防衛庁が委託研究費を出した目的に沿って成果があったかないかということが判断の基礎に会計検査院がなさるのが当然だと私は思うのです。そうでしょう。
  122. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 先生御指摘のとおりであるわけでございます。次期対潜機の取得のための委託研究ということで実は始まったわけで、それには次期対潜機のイメージとしての諸元であるとか、あるいは諸性能というものの基礎的な研究と、それからこれを国産にするか導入にするかというような選択の問題として委託研究がなされておるというようなことでございましたわけであります。それで……。
  123. 庄司幸助

    ○庄司委員 まあそれはいいですわ、わかりましたから。だから、これは専門家会議の問題は後から出てきた問題で、それは研究目的から言えば、当初はなかったのだ、これは明確なんです。  それで、ひとつ本論に入りますが、これは会計検査院からちょうだいした資料ですが、四十五年度の分についてこの川崎重工に研究を委託した内容、「次期対潜機の調査研究(その1)」それによりますと「次期対潜機の形状、重量、性能。」それから「民間機との共用。外国機のデータ。開発と導入との比較等の技術資料作成のための研究。」である、そうやって千九百十八万円が執行された、こうなっておりますが、まず最初、形式の問題から伺いますが、この契約書とそれから契約の内容ですね、これは会計検査院のお手元にあるのかどうか。また、ないとしてもお調べになったのかどうか。それから川崎重工から報告された報告書、これがこの委託された目的と合致するのかどうか。これはお調べになっていますか。
  124. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 契約書並びにその内容につきましては、計算証明規則によって当然私どもの方に出していますし、持っております。そして、検査でございますから、その内容につきましては詳細検討いたしました。  それから第二点の成果品でございますが、これは検査の上では詳細に検討はいたしました。そのもの自体は、私どもの手元には出てきておりませんが、実地検査の際に成果品につきまして十分検討は済ませております。
  125. 庄司幸助

    ○庄司委員 それでお伺いしたいのは、この四十五年度の調査研究(その1)ですね、これが川崎重工に求めたこの研究の対象といいますか、あるいは後から出てきたこの成果などを見て、この時期に防衛庁として、この次期対潜機が国産化の意図をもって研究がなされたのか、この研究を委託したのか、あるいは一般的な条件といいますか、そういった一般的なものだったのか、その辺ですね、この昭和四十五年当時の検査をなすって、依頼した調査項目と、それに基づいて上がってきた成果、これを比較してみて、そういった国産化の意図といいますか、あるいはイメージといいますか、そういうものが防衛庁にあったのかないのか、その辺お伺いしたいと思います。
  126. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 国産であるか導入であるかという種類の問題は、多分に意図の問題であろうかと思います。聞くところによりますと、防衛庁としては国産化の方向に熱望しておったという話は聞いておりますが、国の予算としては、大蔵省その他の関係で国産ということで予算がついたものではないというふうに聞いております。  それで、私ども検査を通じまして、調査委託費の成果を通じまして、それが国産であるか、国産を目指しておるものであるかどうかということについても一応の調査はしたわけでございますが、次期対潜機の一般的な基礎的資料の研究というものでありまして、それ自体としては国産を意味するかどうかということは、とても判断できるような性質のものではないように検査担当者の方から聞いております。
  127. 庄司幸助

    ○庄司委員 それじゃ防衛庁の装備局長さんいらしていると思いますが、防衛庁として、いま会計検査院側のお話だと、国産化の方向を熱望しておられたようだという御説明ですが、あなたの方はどうだったのか、それをひとつ。
  128. 江口裕通

    ○江口政府委員 ただいま御指摘の防衛庁の考え方でございますが、対潜活動を行います場合に、対潜機の存在というものは当然のことながら、きわめて必要でございます。従来、防衛庁といたしましては、P2Jという飛行機を持っておりまして、これはアメリカから供与を受けましたP2V7を改造いたしました飛行機でございますが、百機程度保有しておるわけでございますが、それが四十五年度当時といたしましても、将来P2Jの減衰と申しますか、だんだん勢力が落ちてくる。それから、その前に、先ほど申しましたP2V7自体がすでに減勢の途上にあったわけでございまして、先行き長い目で見れば、P2J自体も五十七年ごろから減衰をしてまいるという状態に対潜機の方はございました。  それから一方、潜水艦の性能向上というものは当時からすでに顕著になってまいりました。特に原潜関係の性能向上がきわめて顕著になってまいりました。したがいまして、こういうものに対処いたしますためには、新しい探知機器あるいは総合的情報処理装置というものを搭載いたしておりまして、かつ広域の同時監視能力あるいは迅速正確な目標の位置局限能力、それから対潜攻撃機能等というものを充足いたしておりますような飛行機がほしいという気持ちを非常に強く持っておりました。そのために、すでに四十三年ごろから海上自衛隊等のいわゆるOR作業というものを通じまして、ぼつぼつ勉強はしておったわけでございますが、四十五年度には、先ほど先生の御指摘になりましたような、将来開発等に入ります場合に必要な基礎調査と申しますか、開発をいたします場合にはどういった性能、重量等のものを要求するかというような、いわゆるイメージをつくりますための調査研究という費用を大蔵省に要求いたしました。これについては、額は削減されておりますけれども、一応所期の金額予算はいただいたわけでございます。  ただ、四十六年度になりますと、いささか事情が違っておりますが、いまの御指摘は四十五年度でございますので、一応そういうことで、その点においては防衛庁と大蔵省との間は大体その方向に進んでおった。つまり開発ではございません、基礎調査研究ということにおいて方向は、その当時においては一応合っておった、かように考えております。
  129. 庄司幸助

    ○庄司委員 いま四十三年ごろからぼつぼつ必要性が痛感されて、四十五年、このころは将来開発する場合のイメージをつくる調査研究という表現ですが、開発するという意味は国産で開発するという意味ですか。
  130. 江口裕通

    ○江口政府委員 全体として申しますれば、国産ということを前提として考えておりました。ただ、細かい点になりますが、エンジン部分につきましては、導入ということは当然考えざるを得ないという状況でございました。しかし、考え方としては、でき得べくんば国産に持っていきたいという考え方を持っておりました。
  131. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうすると、防衛庁にもう一遍伺いますが、四十六年度の委託研究、これはお話だと、何か大蔵との関係で若干食い違いがあったというお話ですが、あなたの方としてはどうだったのか。つまり四十五年度の基礎調査を経て四十六年度で要求なすったわけです。予算もついたわけです。同時に執行もしたわけです。四十六年度については、あなたの研究を委託して得られた確信、いわゆる国産化の方向の確信、これが得られたのかどうか、これをひとつ……。
  132. 江口裕通

    ○江口政府委員 予算経緯で申し上げますと、先ほど申しましたように、四十五年度につきましては、技術調査研究委託費という基礎調査予算を要求いたしました。同じくこれについて基礎調査予算を研究委託費ということで受けたわけです。それから四十六年度につきましては、一応こういった成果に基づきまして、基本設計にぼつぼつ入れるであろうという考え方を持っておりまして、予算といたしましては、概算要求の際に、次期対潜機設計研究委託費という予算を概算要求で要求いたしております。この額は約十九億円でございます。しかしながら結果においては、御指摘のように大蔵当局との間に意見の統一ができませんで、結局でき上がった予算は四十五年度と同様の性格の技術調査研究委託費という形に相なっておるわけでございます。
  133. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうすると、防衛庁としては四十五年度、この研究の成果に基づいて、四十六年度の要求は、基本設計つまり国産で開発する基本設計に入れるという考え方があったということになりますね。
  134. 江口裕通

    ○江口政府委員 お答え申し上げます。  一応基本設計という段階に入り得るという考え方は持っておったということでございます。
  135. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうすると、今度四十七年度、概算要求をおたくが約二十億円近く大蔵省になすっております。それがいろいろな経緯を経て六億八千万円余、これが認められたわけですが、この四十七年度の概算要求に当たってのおたくの基本的な立場ですね、これはどのような立場だったのか、つまりいよいよ国産で開発に踏み切るという立場だったのかどうか、それをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  136. 江口裕通

    ○江口政府委員 御理解をいただくために経緯を若干申し上げたいと思いますが、四十五年度は、先ほど申し上げましたように、委託調査研究をいただきまして、イメージをつくることにしたわけでございます。それから四十六年度は、先ほど会計検査院からも御説明のありましたように、一応電子情報処理装置を中心といたしまして、そういったもの、これは何分日本においては未開拓の分野でございまして、経験が乏しい分野でございますので、これについて勉強いたしました。それから同時に、こういった対潜機の特徴といたしまして、高空あるいは低空において自由自在に動き得るものであるということで、特に高速域において必要な羽の問題でございますとか、それから低速域において必要な高揚力装置と言っております。いわゆるフラップでございますが、そういったものをややしっかり勉強したわけでございます。  そういうことで相当の知識を得ましたので、四十七年度におきましては、やはりこの段階になれば、ぼつぼつ基本設計に当然入っていいのだという考え方を防衛庁としては持っておったわけでございます。ただ、結果におきましては、この際におきましてもやはり委託調査になった、こういうことでございます。
  137. 庄司幸助

    ○庄司委員 それで四十六年度で、これは会計検査院にお伺いしますか、四十六年度の次期対潜機の技術調査研究委託、川崎重工二億八千九百二十万四千円ですね、これですと「四十五年度の研究に基づく技術的基礎資料を得るための調査試験研究等」となって、空力関係試験、これはさっき装備局長がおっしゃったですね、高度の高い場合と低い場合の問題とかいろいろあるだろうと思いますが、それと電子情報処理装置試験ですね、この二つになっていますが、それぞれこれは研究費ですから、この分は何ぼ、この分は何ぼとあるだろうと思いますが、それぞれ何ぼずつだったのか、ちょっとお知らせ願いたいと思います。
  138. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 空力関係試験では一億四千五百万、電子情報処理装置関係の試験費では一億四百万でございます。端数は切っております。
  139. 庄司幸助

    ○庄司委員 大体金の面からいくと、空力関係の方に比較的多くいっていたわけですね。そうすると、機体の面では相当進んでいたなと思われるわけです。電子情報処理装置の方は、これはいろいろあるだろうとは思いますけれども。だからこれからすると、先ほどの装備局長のお話なんかも伺って、防衛庁としては——私は決して対潜哨戒機を進めろとかなんとかいう立場ではございませんから、これは誤解のないように申し上げておきますが、ただ客観的な事実とすれば、防衛庁としては、大体四十六年度の研究で機体などについては、もう大体確信を得た。あとは電子情報処理装置の方はどうかわかりませんけれども、これも一億以上の研究費を出したわけですから、相当の成果かあったんだろうと思うのです。——ちょっと戻りますけれども、四十五年に外国機のデータの研究をなすっておりますが、この四十五年、四十六年のころ、P3Cというロッキードの対潜哨戒機、これは存在していたのかどうか。これは装備局長からお伺いしたいと思います。
  140. 江口裕通

    ○江口政府委員 四十三年当時には、P3Cは一応存在しておったと思います。ただ、これはリリースをされない、当時それからいま御指摘の四十五、六年ごろにおいても、まだリリースはされないという状態でございます。一応存在はいたしました。
  141. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうすると、P3Cについても外国機との比較研究、これはリリースされてないという飛行機についても、いろんな諸元とか性能とか、これは比較研究なすったのですか。
  142. 江口裕通

    ○江口政府委員 ちょっと失礼でございますが、先生いまおっしゃったのは、何年当時のお話でございますか。
  143. 庄司幸助

    ○庄司委員 四十五年、六年のころです。
  144. 江口裕通

    ○江口政府委員 この当時は、やはりリリースされないという問題がございましたので、性能の比較等はその前の、P3Cの前のP2Vというのを対象にしてやっておるわけでございます。
  145. 庄司幸助

    ○庄司委員 P3Cがリリースされたというのは何年ですか。
  146. 江口裕通

    ○江口政府委員 これは正式にと申し上げてよろしいかと思いますが、時間的には四十八年の七月でございます。具体的にはこの際、四十八年には調査団を出すという問題がございました。専門家会議関係で調査団等を出すという問題がございまして、その前に各国にいろんな事情の照会を公館ルートでやっております。それに対する答えといたしまして、リリースはできるということが向こうから言ってこられた、こういうことに相なっております。
  147. 庄司幸助

    ○庄司委員 何でこういうことを聞くかというと、P3Cの開発は相当おくれていて、たまたま日本の防衛庁が対潜哨戒機の研究開発をやっているというのを聞いて、あわてて乗り込んできた。でまあ、ああいういろんな経過があったんだと、ぼくらは思っているわけです。それで、これを聞いたわけですが、とにかく四十八年七月以前には、このP3Cというものは防衛庁の研究対象にはなかった。P2何とかと言いましたが、そういうものがあったんだということ。  それでもう一つ伺っておきますが、この昭和四十五年当時ですね、あるいは六年、固まってきたころ、あるいは四十七年の概算要求をなさるころ、このころ防衛庁として考えていた次期対潜哨戒機、国産、これの諸元ですけれども一つだけでいいんです。この航続時間ですね、これは何時間ぐらいを想定していたのか、これを一つお答え願いたいと思います。
  148. 江口裕通

    ○江口政府委員 俗称PXLと言っておりますが、そのときの諸元の一つとして、たとえば滞空時間でございますが、六、七時間程度のものは考えておりました。
  149. 庄司幸助

    ○庄司委員 P3Cの滞空時間は何時間ですか。
  150. 江口裕通

    ○江口政府委員 一応マル秘の資料でございますが、十時間程度のものであろうかと思っております。
  151. 庄司幸助

    ○庄司委員 そこで、これは重要な問題だと思うのですが、日本の防衛庁、これが自主的な研究開発をやる場合ですね、おおむね六、七時間の航続時間でたくさんだ、こういうふうに考えていた。これがおおむね十時間ぐらいのP3Cが割り込んでくるということになると、これは何らかのやはり日本の防衛庁が必要としていないような性能、これまでロッキード社によって必要以上のものが割り込んでくるということに、これはなると私は思うのです。だから、ここにやはり日本の防衛の自主性の問題が問われている問題じゃないか、こういうふうに思うのです。  その点で、例の昭和四十七年十月九日のいわゆる白紙還元の問題というのが、いよいよ疑問が増してくるわけです。その点でこの研究費の性格というものを、いままでのいろんなお答えから判断すると、防衛庁としては、国産化にやはり自信を持って進めていた。その点、いまでもその確信は変わっていないのかどうか。それから諸元のうちの一つである六、七時間の航続時間、これで十分だと考えておられるのかどうか、この辺お答え願いたいと思います。
  152. 江口裕通

    ○江口政府委員 いささか誤解が生ずるといけませんのでコメントさせていただきますが、先ほどP3Cの十時間程度の問題を申し上げましたけれども、これはやってみなければわかりませんが、日本の滑走路でスタートいたします場合に、十時間ということはガソリンを相当積まなければなりませんので、果たして日本の滑走路で積めるガソリンの量で、この程度の能力が出るかどうかということは、まだ若干疑問がございまして、そういう意味で、われわれの方としては六、七時間でも十分大丈夫である、このように考えておったわけでございます。ちょっとその点だけ補足いたします。  それから現在の考え方といたしましては、いろいろな問題がございます。P3Cの問題もございますし、いろいろな問題がございますので、例の四十七年の十月のこの問題の論議が一応白紙還元になり、輸入を含めて検討するという段階になってまいりまして、特に何を選択するかということにつきましては、技術的な面あるいは財政的な面を含めてよく検討しろという御趣旨の御答申もいただいておりますので、そういった問題を含めて、いま鋭意検討しておるという段階でございます。
  153. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうすると、坂田防衛庁長官が二月十一日に、これは長官いないのであれですけれども長官談話が発表されました。  その要旨は、国防会議の開かれる前日、つまり四十七年十月八日に至り、支援戦闘機の国産については異論はないが、次期対潜機及び早期警戒機についての国産化を前提とした研究開発は従来の主張どおり認めがたい旨の大蔵省の意向が防衛庁に伝えられた、防衛庁は支援戦闘機の国産が認められれば、次期対潜機及び早期警戒機に関する大蔵省の申し入れはやむを得ないものとした。  こういう談話が発表されておりますが、その点で装備局としては、依然としてあなた方が開発を進めてこられた国産化、これが正しいと確信していらっしゃるのかどうか、その点ひとつお答え願います。
  154. 江口裕通

    ○江口政府委員 非常にむずかしい御質問でございますが、装備局と申しますよりも防衛庁と申した方がよろしいと思いますが、四十五年、四十七年、その当時を通じまして、一応開発というものはやりたいという気持ちを防衛庁としては持っておったわけでございます。ただ、これはいわゆる財政当局との間におきまして、先ほど申しましたような立場の違いがございまして、しかしながら引き続きそういう気持ちは一応持ち続けておったわけでございますが、四次防の策定されます、特に主要項目の策定されます四十七年の十月に、先ほどのような了解事項が出ておりまして、これ以降は一応その線に沿いまして再検討して進めたい、このように考えておるわけでございます。
  155. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは会計検査院長に伺いますが、いまのやりとりを聞いておられて、この当初の研究目的、つまり予算執行に当たっての研究目的、これは依然として装備局は持っておられたようですが、それが発展していったわけですね。これは四十六年、七年の概算要求ですが、発展していった。しかし、これかいわゆる政策の決定——これはいままでの話は主として大蔵省のようですが、私は別なところにあると思いますが、そういうことによって変わった方向に移ってしまう。せいぜい専門家会議の資料として幾らか役に立つという程度ですが、当初の研究目的からいけば、この予算の執行はむだだった、何らかの政治力でむだにされてしまった、こういうふうに考えざるを得ないのですが、その点いわゆる予算のむだ遣いの問題を検査しておられる検査院としてどう御判断なさるのか、これをお伺いしたいのです。
  156. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院長 四十五年、四十六年の御指摘予算の使用の結果、その内容をいろいろ分析さしておりましたけれども、新規に対潜哨戒機を発注する、あるいは国内生産する、要するに獲得するという場合には、やはり相当程度の基礎研究というものは、これはして、これだけの対潜哨戒機が欲しいのだという、そういう結論はやはり出さなければいかぬと思うのです。そのための基礎研究というものは、いずれにしても必要なものだと思うのです。それでわれわれが四十五年度、四十六年度の検査の結果を見た段階においては、おっしゃるような、全部むだ遣いというところまでは、私の方としては断じかねるというのが検査の結果でございます。
  157. 庄司幸助

    ○庄司委員 ですから、これが国産化につながったとすれば、これは当初の目的どおりになって、むだのない執行だったということになると思うのです。それがもしP3Cに変わってしまったとすれば、これはやはり当初の研究目的から大きく外れていった予算執行になる、こういうふうに私は考えるわけです。  何遍もお断りしますが、われわれは対潜哨戒機が必要でどうのこうのとは言っておりません。そういう点で予算の執行に当たって、防衛庁当局と大蔵省が四十五年度にあたっては大体一致した考え予算をつけた、執行した、こういう関係ですが、四十六年度になると予算はつけたが、一方は国産化で開発を進めるための意図でもって研究していく、片一方の方は、いやそうではない、一般的な基礎研究だということで予算を若干削減していく。そして四十七年度になると、ますますわけがわからなくなってしまうのですね。ですから大蔵省と防衛庁が同床異夢だ、同じところに寝ていながら別な夢を見ているというかっこうになるわけですね。そういう事例というのは余りないだろうと思いますけれども、今後やはり相当注意を要する事項だろうと思うのですね。  私は、きょうは形式論だけ申し上げておきますが、その辺、今後の検査に当たっても、やはり留意される必要があるのではないかと思うのです。その辺、簡単にお答え願いたいと思います。
  158. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院長 もっともな御疑問でございますので、今後の検査に当たりましては、なおお説のようなことを頭に置きながら注意して検査してまいります。
  159. 庄司幸助

    ○庄司委員 それで私は、前にもF104であるとか、104Jであるとか、あるいはF4EJであるとか、航空機を相当外国から買っております。そのままそっくり買ったのもあるだろうし、ライセンス生産の場合もあるだろうし、いろいろあるだろうと思いますが、こういった外国の、私は主として防衛庁の外国産品の購入に当たってのいわゆる適正な価格かどうかの算定の問題ですね、これは問題があるのだろうと思うのですが、防衛庁に最初に伺っておきますが、ああいう外国産の飛行機、まあ飛行機だけでもいいです。こういうものを商社を通して輸入なさる場合、これの原価計算、適正な価格であるかどうか、それをどうやってお調べになっているのか、これをひとつ伺っておきます。
  160. 江口裕通

    ○江口政府委員 一応、防衛庁の方としまして物資を調達いたします場合には、二つの方式をとっておるわけでございます。一つは市場価格の存在するものにつきまして、たとえば燃料でございますが、これは市場価格、それからそうでないものにつきましては原価計算というやり方をやります。ただ、しかしながら輸入の場合は一応市場価格方式という形をとっておりまして、具体的には品代、輸入手数料及び販売直接費という計算項目により計算しまして、予定価格を積算いたしております。  問題は、その品代でございますけれども、これは言うなれば輸入業者の購入原価ということに相なるわけでございます。先生先ほど御指摘の商社というので考えますと、一応輸入業者ということになるわけでございます。これにつきましては、まず向うのメーカーから入れるわけでございますので、メーカーのクォーテーションと称しておりますが、建て値、言い値と申しますか、クォーテーションに記載されております外国メーカー側の見積もり価格がございますので、これを過去の実績、あるいは類似品の価格等に基づいて検査いたしまして、そして防衛庁と輸入業者との価格を決定しておるということでございます。これが調達をいたします際に、事前チェックという考え方でやっておるわけでございます。  それからさらに、それによって購入いたしました場合の事後チェックといたしましては、その後いわゆる送り状、インボイスというものがございます。  それからさらに、外国為替の決済に関する銀行決済証明書というようなものがございますので、これと照合いたしまして、さらに送金の事実を確認するという手続をとっております。  これが一般のルールでございます。  ただ、先ほど先生の御指摘になりました、たとえば104でございますとかF4とか、いわゆる主要装備品の場合でございますと、いわゆるライセンス生産という形になっております。この場合には防衛庁は、たとえばF4の例でございますと三菱重工が主なメジャーになっておりますので、その三菱重工との間に発注契約をいたすわけでございます。そして三菱重工は、たとえば機体なら機体のうちの必要な部品につきまして、相手方のマクダネル・ダグラスというようなところと契約をするわけでございます。これは購入契約です。この際に、先ほど御指摘になりました商社が、表には出ませんけれども、一応輸入手続をかわって代行するということで入ります。したがって、この場合は商社ではございませんで、メーカーについて先ほど申しましたいろいろなチェックを行う、かようになっておるわけでございます。
  161. 庄司幸助

    ○庄司委員 その点で問題は品代なんですよ。手数料、これは当然輸入商社は取るでしょうから、ただ手数料の中に児玉のような手数料もあるわけですが、これはひとつ後で論じましょう。この品代について、正確にいわゆる原価を捕捉できるということは、これはもう外国製品の場合は至難のわざだ、メーカーのクォーテーション、建て直でともかくそれを調べるしかないのだ。その点で私は会計検査院長にひとつ伺っておきたいのですが、この間もアメリカへ参りまして、アメリカの会計検査院で伺ってきたことですが、これはまあ会計検査院の組織ではないのですが、アメリカの会計検査院の院長が議長を兼任している原価計算基準委員会というのがあるのですね。これは十万ドルを超える国防関係の随意契約の価格交渉や管理及び価格の確定において、主契約者及び下請契約者が守らなければならない原価計算基準検討して制定する、こういう基準を一生懸命研究して制定している部局が議会にあるわけですね。  これはアメリカの議会の機関だと私は伺ってきましたが、ただ同時に会計検査院長が議長を兼任している。だから、その点でアメリカの会計検査院は、いわゆる原価計算についても非常に豊富な知識を持っているだろうと思うのです。日本の検査院ももちろん持っているだろうとは思いますが、外国の防衛生産品、これについては、いまの御説明のようにわかりにくい仕掛けになっている。その辺ですね、今後のロッキードの問題、これはトライスターの場合なんか輸銀の関係もありますが、輸銀がいわゆる貸し付けをした金額が妥当であったのかどうかの基礎に、いわゆるPXLも含めて、三十億前後の賄賂がなされたとチャーチ委員会でコーチャン副会長が明言しているわけですから、こういう賄賂の分まで負担されたのではかなわぬわけです。だからその点で正確な原価計算ですね、これをやはり外国製品についても把握する必要が日本の会計検査院にもあるのだと私は思うのです。  その点で、これは検査院長に提案をするわけですが、こういうアメリカの製品を構入する場合は、アメリカの検査院で資料を持っているケースがあるわけですね。ただ、アメリカの検査院は日本の検査院と違って国会の付属機関ですかち、若干ルートの違いはあるだろうと思いますが、これは決算委員会においても努力すべき事項だろうと思いますけれども、これは委員長も聞いておいてもらいたいのですが、やはりこういう連絡を密にして、ロッキードの製品あるいはマクダネル・ダグラス社の製品、こういったものについて正確な原価を把握するという努力をなさるべきだろうと思うのです。その点、これは外交ルートを通さなくてはならない問題もあるだろうとは思いますけれども検査院長のお考えをひとつ述べていただきたいと思うのです。
  162. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院長 まあ貴重な御意見を承りまして感謝はするわけですけれども、いまお話しの委員会、これはうちの法令集で調べてみましたのですが、おっしゃるように国会の付属機関で、検査院長というのは、たまたまその議長になっているというだけで、国会の全く一機関というあれになっておりますので……。  それともう一つは、この委員会はいわゆる原価計算の原則、これも抽象的な原則をつくるというのが使命でございまして、一々の原価を把握するという仕事を使命としておるところではないという事情にございます。  そんな関係で、そちらの方からの資料というものは、さしあたり、私のいまの原価計算を把握するという意味では、これは余り参考にならないというふうに感じますし、もう一つは、仮に原価計算がよくわかったといたしましても、原価計算というのは、これは非常な企業秘密なのですね。それで、ある意味においては国益に反するような資料を表に出してくれということは、こちらに相当の理由がないと、言うのがどうかなという感じがするのであります。たとえばこのたびの収賄事件のような、日本帝国——失言いたしました、日本国にとっても非常に重要な問題であるから知らしてくれ、こういうのとちょっと事態が違うのじゃないか。私たちとしては、もちろん原価計算の把握ということは本当にのどから手が出るほど欲しいのです。これは私たちだけでなく、防衛庁自体もそうだろうと思うのです。それで、現在やっておりますのは、在外公館を通じて、向こうのいわゆる市況調査と申しますか、そういったものを頼んで資料として届けてもらって、それと比較してみるとか、そういう努力をしておるということでございまして、いま先生御指示の、向こうの委員会に要求するということについては、ちょっと私、消極的でございます。
  163. 庄司幸助

    ○庄司委員 これで終わりますけれども、私は、ちょっとやはり検査院長と違うのです。つまり、たとえばチャーチ委員会が上院の機関として、ああいうものでいろいろ調査なすっている。それからプロキシマイヤー委員会がやはりやっている。向こうの会計検査院に参りましたら、やはり原価の問題ですね、賄賂が相当流れた、この賄賂のツケがアメリカ国民に回ってくるのじゃないかというような観点から調査しているわけです。  これは、あなたはしなくも失言されて、言葉じりつかまえるわけじゃないのですが、日本の検査院は、やはり天皇の会計検査院の時代からの、まあ一つの独立性を持っているわけですが、天皇の会計検査院だったのが戦後独立した。で、国会の機関でもないわけですが、向こうは国会の機関として会計検査院がある。しかし、会計検査院同士の国際交流はやられているはずです。それから、アメリカの会計検査院には国際局もあるわけですね。その点で、国際的な交流、資料の交流なり、これは否定しない問題なのですね。だから、その点何らかの方法が、考えれば出てくるのじゃないか。向こうは賄賂の問題でやはり調べて、資料提出要請をこのロッキードにしているわけですね。これは私、調べてきました。ただ、いまだに提出されていない。六十日たてば、委員会の判断で強制提出命令に切りかえることもできるんだ、こういう話をしているのですが、ひとつこれは会計検査院会計検査院同士でそういう努力をやって、国際的に適正な原価の把握ですね、お互いに援助し合うということなら、恐らくアメリカの検査院長だって趣旨には賛同されると思うのです。その点の努力をやってもらいたいということが一つなのです。  それから、これは委員長、私は向こうの議会の付属の機関のことをいま論じているわけですが、われわれもやはりこの決算委員会立場からいって、まあ政府間交渉で資料の取り決めも結んでいろいろやっておりますが、この事態の解明のため、せっかくこの院の機関である会計検査院がアメリカには存在するわけですから、その辺の資料を提供してもらうというようなことについて、われわれ決算委員立場からも、やはりひとつ努力する必要があるのじゃないか、こう思うのです。  そういう点、私も結論は得ておりませんが、その辺ひとつ、日本の会計検査院長を責めるだけでなくて、われわれ委員会の努力もやはりやるべきじゃないか、こう思っているのですが、こういった点について、いずれ理事会ででもひとつ話し合っていただきたい、かように考えるのですが、ひとつ会計検査院長委員長の御答弁をちょうだいして、私の質問を終わりたいと思います。
  164. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院長 アメリカの会計検査院との交流につきましては、これはたとえばいろんな規則ができたときに、どういう規則をつくったかというような資料、あるいは今回のロッキードについては、向こうでロッキード社の経理検査をやりまして、財務検査と申しますか、その財務報告なんかはありますので、そういったものをくれというような関係では、友好関係を保ってやってきておる次第でございます。  今後とも、そういう友好関係は維持していきたいというふうに存じておりますが、いまお話のありました原価計算という非常に際どい問題になりますと、この点は私なおひとつ研究させていただきたい、こう存じます。
  165. 村山達雄

    村山委員長 いま庄司委員から御発言のありました点につきましては、理事会で一遍相談したいと思います。
  166. 庄司幸助

    ○庄司委員 終わります。
  167. 村山達雄

  168. 坂井弘一

    坂井委員 ロッキード事件に関係して、防衛庁並びに日本輸出入銀行に御出席いただいておりますので、具体的な問題につきまして順次お尋ねをしていきたいと思いますが、同時に会計検査院からも、それぞれの私が示します、あるいは質疑の中で出てまいりますその内容につきまして、検査の状況及び会計検査院としての見解をあわせお示しいただきたいと思います。  最初に、防衛庁に関する問題でございますが、御承知のとおり、防衛庁が通常航空機、つまりこの場合軍用機でございますからF104JあるいはまたP2V等を、ライセンス生産によりまして購入する、その場合は三井物産あるいは丸紅、あるいはまた三菱重工等々介在いたします。エンジン部門につきましては石川島播磨重工業、あるいは電子機器等につきましては国内電子機器メーカー等々によりまして、その購入までのルート等もかなり複雑なようであります。  この問題はさておきまして、今回私が指摘いたします問題は、防衛庁の航空機に関します補用部品の購入という点に限ってお尋ねをしてまいりたいと思います。  そこでまず、防衛庁が通常外国メーカーから防衛庁の軍用機の補用部品を購入する場合のルート及びこの代理業務を担当いたします商社につきまして、あらまし御説明をいただきたいと思います。
  169. 江口裕通

    ○江口政府委員 補用部品と申しますのは修理、交換等の部品でございますが、これは一応過去の実績等を見まして毎年計画的に購入いたしております。もちろん、この中には国産品と外国品がございまして、いま御指摘の点は外国品でございますけれども、大体全体の数で申しますと非国産化率が二〇%程度でございまして、いわゆる補用部品の外国購入は大体所要部品の二割程度というふうにお考えいただきたいと思います。その場合に、買い方としては二通りございまして、一つは防衛庁みずから調達いたします場合と、もう一つは、たとえばいま御指摘の104あるいはP2J等につきましては、それぞれの日本のメーカーでございます。三菱でありますとかあるいは川崎重工というところが購入をする、こういう二通りの場合がございます。  それで、川重等のいわゆるメーカーの購入いたします場合は、先ほど庄司先生のときにも申し上げましたように、一応メーカー間のコントラクトをいたしまして、そして商社が代行するという輸入代行をいたします、こういう形に相なっております。  それから防衛庁が直接購入いたします場合には、いわゆる商社を向こうの相手方のソールエージェントでございます商社等を——必ずしもソールエージェントとは限りませんけれども、たとえばソールエージェントを通じまして購入する、かようなルートに相なっておるわけでございます。
  170. 坂井弘一

    坂井委員 それではこの際、商社等を通じて補用部品を外国メーカーから防衛庁が購入する場合に限ってお尋ねをしてまいりたいと思います。さらに、その商社を丸紅に限定してお尋ねをいたしたいと思いますが、その場合に、防衛庁と丸紅の間には、いわゆる輸入売買契約によって、この購入がなされるということになりますか。
  171. 江口裕通

    ○江口政府委員 これは二つのルートになるわけでございますが、一つは、防衛庁と丸紅の間におきまして輸入品の売買契約ということをいたすわけでございます。それから丸紅は相手方との、たとえばロッキードとの間に輸入契約というのをいたすわけでございます。
  172. 坂井弘一

    坂井委員 わかりました。  では、防衛庁はロッキード社の航空機、今度はロッキード社に限って一般論としてお尋ねしておきたいと思いますが、ロッキード社の航空機及び補用部品を購入されるようになったのは、いつからでございましょうか。同時に、この航空機を機種別に何機購入され、あるいは補用部品は、これまた年度別に金額で幾ら購入されてきたか、御説明いただきたいと思います。
  173. 江口裕通

    ○江口政府委員 ロッキード社関係の航空機補用部品といたしましては、F104、これはJとDと両方ございます。それからT33、それからP2V7あるいはP2Jというようなものが対象航空機でございまして、これにつきましては、それぞれその発注になりました時期が、104については昭和三十六年度、それから104DJにつきましては三十七年度、それからT33につきましては昭和二十九年度でございます。それからP2V7につきましては三十年度、それからP2Jは四十四年度ということで、この時期は大体量産機あるいはMAPの導入機が入ってきたときでございます。そのときから調達が始まっておる、かように相なるわけでございます。  それで、ただいま御質問のございました数字でございますけれども、これは実は大変申しわけないのでございますが、私どもの方に必ずしも当時の古い資料がございません。現在一応規則によりまして保有しております資料は過去五年間の資料でございます。と同時に、機種別に当たりますということは、共通部品が非常にたくさんございますので、どの部品がどの飛行機ということには、なかなか仕分けが困難でございますので、若干お許しをいただきまして、調本関係の数字を申し上げさせていただきたいと思いますが、調本で丸紅を通じロッキードから購入いたしました補用部品の実績は、やや細かくなりますが、昭和四十五年度に一億九千九百万円、それから四十六年度二億四千四百万円、四十七年度一億五千六百万円、四十八年度一億二千八百万円、四十九年度一億三百万円ということでございまして、合計約八億三千万円という数字に相なるわけでございます。
  174. 坂井弘一

    坂井委員 補用部品につきましては、四十五年度から金額的にいまお示しをいただきました。  一点だけお伺いしておきますが、四十四年以前の分については、金額でいまお示しはいただけませんか。できないならできないだけで結構であります。  なお、F104J、これにつきましては機数で三十五年二百機と四十年三十機、P2Vにつきましては三十三年度で四十二機、三十七年度は六機、T33Aにつきましては三十年度に九十七機、三十一年度に八十三機、三十二年度には三十機という機数が私の手元に資料としてございます。いまお答えにはならなかったのでございますが、そういう数字をつかんでおりますので、念のため、これがもし間違いであるならば御指摘だけしておいていただきたいと思います。ただ、これは本論ではございません。お答えだけいただきまして、次の質問に移りたいと思います。
  175. 江口裕通

    ○江口政府委員 まず最初の四十四年度以前の数字でございますが、大変申しわけございませんけれども、資料の関係で現在ちょっと不可能でございます。  それから航空機の機数でございますが、いま先生の御指摘いただきました数字であると思います。
  176. 坂井弘一

    坂井委員 了解をいたしました。  それでは、防衛庁が外国メーカーから輸入によりまして調達をいたします補用部品に限りましてお尋ねをしたいと思いますが、その購入いたします価格の算定基準に関します法的根拠、つまり、いかなる法律に基づいて購入をしているかにつきまして御説明をいただきたいと思います。
  177. 江口裕通

    ○江口政府委員 補用部品を含みます輸入品の購入につきましては、昭和三十七年の防衛庁訓令第三十五号「調達物品等の予定価格の算定基準に関する訓令」がございまして、これの輸入品に関する算定基準といたしまして二十三条、二十四条の規定がございます。  これはいろいろ書いてございますので、ごく大要を申し上げますと、先ほども申し上げましたように、輸入の場合には二通りの方式があると申し上げましたが、原価計算方式と市場価格方式と二つございますが、一応後者の市場価格方式に基づきまして品代、輸入手数料及び販売直接費の計算項目によって計算いたしまして予定価格を算定いたします。この予定価格を算定いたしまして、これに基づいて商社と商議いたしまして購入するわけでございますが、先ほど申しましたように品代につきましては、輸入業者からの購入価格でございますが、これについては、まずクォーテーションに記載されております外国メーカー側の見積価格を、過去の実績とかあるいは類似品の価格等に基づいて審査をいたしまして防衛庁と輸入業者との間の価格を決定いたしておる、こういう形でございます。
  178. 坂井弘一

    坂井委員 念のためにお伺いしておきたいと思います。二十三条でいいますところの三つの項目、つまり品代、輸入手数料及び販売直接費、この三項、これが二十四条の「輸入品の計算価格は、前条に掲げる計算項目の合計額をもって構成するものとする。」つまり、購入価格は二十三条に示しますところの三つの項目の合計額である、こう理解してよろしゅうございましょうか。
  179. 江口裕通

    ○江口政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  180. 坂井弘一

    坂井委員 では具体的な問題として提起したいと思いますが、ロッキード社が丸紅の間で一九五八年、つまり昭和三十三年でありますが、八月一日に代理店として本契約を締結をいたしております。それ以降、何回かにわたってこの契約が改定されてまいっております。今回ロッキード事件が起こります以前に、すでに防衛庁はこのような契約があるということを知っておったかどうか、及びこの契約の内容についても熟知されておったかどうかについて伺いたいと思います。
  181. 江口裕通

    ○江口政府委員 ロッキード社と丸紅との間の昭和三十三年以降の契約でございますが、遺憾ながら防衛庁といたしましては、実態を把握いたしておりませんでした。
  182. 坂井弘一

    坂井委員 それでは会計検査院に伺いますが、会計検査院は、通常防衛庁の支出につきましては国の会計でございますから、検査をされることは当然でございます。毎年されてきております。そこで、防衛庁が購入するこうした軍用機の補用部品等の価格が適正に購入されているかどうかについては、当然検査の対象といたしまして検査を厳正に行っているはずであります。適正な価格であるかどうかにつきましては、前段申し上げました、あるいは防衛庁からお答えのございました、いわゆる庁訓、訓令第三十五号に基づきますところの先ほどの購入算定基準に合致しているかどうか、これを基礎に置きまして検査されたはずでございますが、その際に、当然いわゆるロッキード社と丸紅間における契約内容等をつかまないで、その検査をするわけにはまいらない。したがって、そうした契約書につきましては、会計検査院は当然防衛庁に対して提示を求められたと思いますが、そのようなことがおありであったかどうか。  いま私は、なぜその必要があるかということを、私の考えなりにあらまし申し上げたわけでございますが、さらに具体的に、会計検査院は、もしそのような契約の内容あるいは契約書について防衛庁に提示を求められたとするならば、それはいつされたのか、及び何の目的をもってされたのかについて、明確にしていただきたいと思います。
  183. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 輸入部品の価格について厳正なる検査をする必要がありますので、ロッキード社と丸紅との間の取引関係というものについても、実はわれわれは重大な関心を持ってきたわけであります。  それで、先生のお申し越しのことでございますが、ロッキード社と丸紅との間の契約関係につきましては、検査上提示を求めてきましたが、過去におきましては残念ながら、そういうものを入手することができませんでしたが、ごく最近、総代理店契約につきまして契約書なるものをいただいております。
  184. 坂井弘一

    坂井委員 会計検査院は防衛庁に対して契約書の提示を求めたけれども、残念ながら提示をしていただけなかったということです。その際、防衛庁は会計検査院に対して、なぜ提出できないのか、その理由をどのように言われたのでしょうか、会計検査院から伺いたいと思います。
  185. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 お答えします。  一つは商取引上の秘密であるということ、それから防衛庁と丸紅との取引ということに着目すれば、丸紅とロッキード社との取引関係というのは、いわば第三者的な取引ということになりますから、一応そういう関係の書類がとりにくいというような回答をいただいてきております。
  186. 坂井弘一

    坂井委員 それでは防衛庁に伺いますが、防衛庁は、ロッキード社と丸紅の間において当然あるべき契約書をお示しいただきたいということは、当然要求されたと思います。もしその要求もなかったというのならば、なかったで結構でありますが、要求されたと私は思います。されたならば、したんだ、その場合に丸紅はいかなる理由をもって、この契約書の提出を拒否したのか、どう言ったのかということについて、防衛庁から明確にお答えをいただきたいと思います。
  187. 江口裕通

    ○江口政府委員 一般的に、防衛庁か商社を経由いたしまして品物を入れます場合には、特に輸入の場合でございますが、契約に先立ちまして、代理権を有する商社に対しまして、販売権もしくはそういった代理権を持っておるということを証明する証明書のようなものの提示を一応求めておるわけでございます。防衛庁といたしましても、従来から商社に対して契約を極力見せてもらいたいということを申してきております。おりますが、先ほども会計検査院からお話のありましたように、これは企業上の秘密と申しますか、そういうものに属するものであるので御容赦をいただきたい、あるいはこれは単に防衛庁との関係だけではございませんで、丸紅とほかの国内の企業というものとの関係にもわたる部分が当然あるわけでございます。当然触れるわけでございますので、そういった意味の企業の秘密ということも含めまして御容赦をいただきたい、こういう回答をいただいておったわけでございます。
  188. 坂井弘一

    坂井委員 私は、後で付帯的な問題を、非常に重要な内容を含んでおりますことを、きょうは指摘をいたしたいと思いますので、きわめて慎重に言葉を選びながら実はお尋ねをいたしておるつもりでございます。  そこで、重ねて防衛庁に伺いますが、丸紅に対して提出を求めた、しかし、丸紅は企業秘密に属するという理由をもってそれを拒んだ、それならばいたし方はございませんと、安易に、防衛庁は提出されないでも仕方がないとされたのか、いや、それでは困るのだ、それがありませんと、防衛庁が丸紅を通じましてロッキード社から購入するその購入価格が適正であるかどうかという判断ができないではありませんか、企業秘密だと言って、その契約をお出しにならないということになりますと、われわれは、つまり防衛庁は、購入価格が適正であるかどうかを判断する基礎的な資料として、それが欠けますと判断できません、したがって、どうにかそれを出してもらいたいということを強く要請されたのかどうかという点について、さらに明らかにお答えをいただきたいと思います。
  189. 江口裕通

    ○江口政府委員 要請はいたしたのでございますが、遺憾ながら入手できないという状態でござ  いました。
  190. 坂井弘一

    坂井委員 では、大変恐縮ではございますけれども会計検査院に重ねて伺います。  まず、そのような理由をもって防衛庁は入手できないのだ、会計検査院立場からすればどうでしょうか。そうですか、それはやむを得ませんねということでもって今日まで、私は恐らく十数年に及ぶと思いますが、これを黙視してきたということでしょうか。それとも、何回かにわたって防衛庁に対して、それでは困ります、会計検査院として厳正なる会計検査のために、それはどうしても必要でございますというように強く要請されたのでしょうか。その辺のいきさつについて、ひとつさらに明らかにしていただきたいと思います。
  191. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 先ほども申し述べましたように、この種のものにつきまして重要な関心を私どもとしては持ってきておるわけでございます。それで、毎年の検査の席でその種のものの提示を強力に要請してきたわけでありますが、結果的には企業秘密その他のことで丸紅自体が出してくれないというようなことでずっときております。しかし、最近入手はいたしております。
  192. 坂井弘一

    坂井委員 会計検査院としては強く要請したという、いまお答えでございます。当然のことだろうと思います。つまり、この契約がありませんと、会計検査院としては厳正な検査ができ得ない。これは確かに必須の検査の基礎になり得る書類、資料であった、そう判断をいたします。  そこで、具体的に申しますが、私は、なぜ防衛庁に代理店契約書の入手に関係して今回この質問をするかと申しますと、ロッキード事件の真相究明という立場からお尋ねをしていることはもちろんではございますが、いまから指摘いたします問題につきましては、確かに非常に大きな疑惑と同時に、単なる疑惑ではなくして、具体的な事実の行為としてここに問題があるということを、これから指摘をいたします。  その中で、なぜこのようなことが行われてきたのかという経緯等につきましても、この際明らかにしてまいりませんと、われわれ国民の血税によりますところの防衛庁の支出が、今回指摘されておりますロッキード社の不正な工作資金、それに心ならずも加担をするような結果に終わった、そういうことになっておるとするならば、事はきわめて重大であります。したがって、そういう観点から具体的に申し上げたいと思います。  コンペンセーションレート、つまり報酬金の実態につきまして、以下明確にしてまいりたいと思いますが、まず一九六六年、つまり昭和四十一年でありますが、十月七日に契約されておりますところのLAIL契約第四〇一一号、その内容につきまして、いまはお知りだと思います。思いますが、今回のロッキード事件が起こります以前に、防衛庁はこの契約及び内容については、お知りではなかったと思いますが、いかがですか。まず知っておったか知らないか、今回の事件の以前であります。
  193. 江口裕通

    ○江口政府委員 遺憾ながら、最近入手するまでは存じませんでした。
  194. 坂井弘一

    坂井委員 それでは、このLAIL契約第四〇一一号の中にコンペンセーションレート、つまり報酬率、こういうふうにありますけれども、その八項につきまして、事件以前には防衛庁は当然お知りではなかったと思います。その内容も知らなかったと思います。そうであれば、知らなかったなら知らなかった、いま知ったならば知った、それだけのお答えの範囲で結構です。内容に触れなくても結構でございますから、簡単にお答えをいただきたいと思います。
  195. 江口裕通

    ○江口政府委員 以前にはもちろん知りませんでした。ただ、いま現在は契約書の写しを入手しておりますので、それを見ておるわけでございます。
  196. 坂井弘一

    坂井委員 それでは、その内容につきまして、いま知っておるということでございますから、私の方から申し上げたい。  一九六九年十一月十四日付の丸紅の前専務大久保氏からロッキード社のエリオット氏にあてました一枚の手紙がございます。いわゆる大久保レポートの一部であります。  これを読みます。「LAIL(ロッキードインターナショナル会社)四〇一一の契約書、修正番号3 報酬金の削減に関して 一九六九年十一月十三日にあなたの東京事務所で行った会議に関してでありますが、アリソンT63A、モデル250C18のガスタービンエンジン、パーツ、アクセサリー、コンポーネンツ、それらは修正事項3に関係して、この手紙をもって、上記の部品が三菱重工に、あなた方を通じて売られる場合は、三%から二分の一の一・五%に報酬金のレートを下げるようにという貴社の要求に同意いたします。(本日付十一月十四日)しかしながら、上記に関する販売が、われわれによって防衛庁との間にプライベートコントラクトによってなされた場合は適用されない「レートの削減」と明確にしておきたい。」という内容であります。御承知でしょうか。
  197. 江口裕通

    ○江口政府委員 現在は承知しております。
  198. 坂井弘一

    坂井委員 では、この手紙の中に「プライベートコントラクトによってなされた場合」つまり丸紅が防衛庁に対してプライベートコントラクトになされる、販売される、納入される場合、この場合のプライベートコントラクト、これはどういうことを意味するのでしょうか。どう解していらっしゃいますか。
  199. 江口裕通

    ○江口政府委員 この契約自体は私どもと丸紅との契約ではございませんで、言うなれば丸紅とLAIとの契約でございます。したがって契約の中身、あるいは文書の中身等の正式の解釈権というものは、われわれにはよくわからないわけでございますけれども、推定するところ、防衛庁が丸紅から購入いたしますところの購入契約を指しておる可能性が非常に多いと考えられるわけでございます。
  200. 坂井弘一

    坂井委員 いま私が示しました資料はいわゆる大久保レポート、レター、手紙であります。これの根拠になりました契約をこの際申し上げておきたいと思いますが、「LAIL契約四〇一一号改正二号 付属書類A一九六六年十月七日改正二号報酬率(コンペンセーションレート)」この第八項は、「アリソンT63A5、 モデル250C18ガスタービンエンジン及び領域内で売られるそのようなタービンエンジンのための部品、アクセサリー及びコンポーネンツについては、代理人は船積み費用と該販売価格についての払い戻しを除くFOBバーバンク、カリフォルニア、USAのLAILにより受け取られる純販売価格の三%に等しい額を受け取る。」こういう契約に基づきまして、先ほどのような大久保レポートがエリオットとの間に交換された。  その際、従来この契約に基づきまして三%の手数料を丸紅に払っておったけれども、三菱重工を通ずる場合には、それを折半して一・五%ずつにしてもらいたい、こういう要請に対しては、丸紅側はこれを了承する。ただし大久保さんは、その際にエリオットに対しまして、私方が、つまり丸紅がきわめてプライベートコントラクトに、これは秘密にと訳しますか、あるいは私的にと訳しますか、あるいは個別にと訳しますか、これは当事者に聞いてみないと、いかんともいま判断しがたいところでありますが、これはきわめて不可解な言い方だと思います。プライベートコントラクトに防衛庁に納入する場合においては、三%はまるまるいただきますよ、こういう内容であります。  そこで、防衛庁にそのような形で納入された場合、いま申しましたような形、つまり丸紅が三菱重工を通じないで防衛庁に納入した場合には三%いただきます。一方三菱重工を通じた場合には  一・五%でこれはやむを得ません、こういう取り決めがあるわけでございますが、このことに対しまして防衛庁は、これは妥当なものであると判断されたか、これはきわめておかしいものであると判断されたか、そのいずれでしょうか。
  201. 江口裕通

    ○江口政府委員 非常にむずかしい問題でございまして、私どもこの事実を了知いたしました際に、これをどのように考えるかということで非常に苦慮いたしたわけでございますが、端的に申しまして、これは二つの側面を持っておると思います。一つは、この事実はなぜこういうことになったのだろうかという問題が第一点でございます。それから第二点は、われわれが調達をする品物の値段に、これがどのように反映をするだろうかという問題でございます。  それで前の問題につきましては、これは具体的にその後私どもの方で調査をいたしましたところ、先ほど先生御指摘の丸紅からこの手紙の後で購入いたしました補用部品の額でございますが、大体三件の契約になっておりまして、四十四年に二件、四十五年に一件、丸紅から購入いたしております。アリソンエンジンというものを買っております。これが全部合わせまして二千万円程度のものでございます。  こういうものを防衛庁としては買っておったわけでございますが、一方問題の三菱重工の方にも、どういうことになっておったかということを私どもの方も問い合わせをいたしたわけでございます。そういたしますと三菱重工の方では、当時は丸紅ではございませんで三菱商事を通じて買っておるということでございます。しかも、これは四十四年の九月に——従来LAIから買っておりましたのは、四十三年も三菱商事を通じて買っておるわけでございます。そして四十四年になりますと、いささか複雑になりますか、豪州のホーカーデハビランドという会社がアリソンの販売権を持ちまして、それが三菱商事を通じて三菱重工に品物が入っておるということでございます。  言うなれば、丸紅は本件に対しては何ら実際の働きをしておらぬという実態にあったのではないかと推定されるわけでございます。そういうことで恐らくこの手紙も、これは私ども当時の事情がよくわかりませんので推定のしようがございませんのですが、恐らくそういった事情が背景になりまして、ロッキードの方から丸紅に支払うコンペンセーションのレートを下げろという問題が起きておったのではないか。これはあくまで一つの推定でございますので、決して確定的なことではございません。もちろん丸紅の当事者が一番よく知っておられるわけでございますから、本当なら丸紅のお話をよく聞いた上で申し上げるべきだと思いますので、これはあくまで推定ということでお聞き取りいただきたいと思いますが、そういういきさつがどうも背後にあったのではないかというふうに一つ推察されるわけでございます。  それから第二の問題として値段の問題でございますが、これはそういうことで、三菱重工の方には私どもの買っておりましたものに見合うような品物が、物は同じでございましてもないわけでございます。ですから、この値段がどういうことであったかというのは、実は現在チェックができないわけでございますが、ただ問題は、では最終的にわれわれがどのような値段で物を買ったか、こういうことになろうかと思いますが、代理店手数料、つまり丸紅がLAIからもらいますコンペンセーションというものは、私どもの方の調達価格の中には当然ながら入れておりません。輸入代理店手数料ということで、私どもが輸入代行者として頼みますときには、その意味において頼みますけれども、要するに丸紅がロッキードの、あるいはLAIの代理店ということで、そういった代理店活動に伴ってロッキードから取るものについては、当然のことでございますが、私どもの方から払う金の中には入れておらぬわけでございます。  ただ、そういうことは、何らかの形でこの品代の中に入っておることではないかという御指摘であろうかと思いますが、そういったコンペンセーションの支払いが一体ロッキードのどの費目から出ておるかということは、私どももなかなかつかめないわけでございますが、品代は、一応われわれの方としては事前にチェックして買っておりますので、そういうことでこの契約を行ったというふうに解釈しておるわけでございます。
  202. 坂井弘一

    坂井委員 防衛庁さん、大変勝手な解釈じゃありませんか。丸紅さんにずいぶん御遠慮したようなそんな言い方をしたら、本当に何だかおかしくなりますよ。  私は端的に申しましょう。輸入物品に対する庁訓があるんですね。三つの項目があるんだ。その合計額かと言ったら、そうだ。ところが、あなた方は全然知らなかったのです、丸紅とロッキード社間において、そのような契約があるということを。知らなければならぬものを知ろうとしたのだけれども、向こうは出さないと言って、あえて今日までそれの提出を求めなかった。会計検査院も、そのことに対しては、厳重に防衛庁に対してなぜ出さないのか、なぜ取らないのかということを強く要請されてきたのです。今度の事件が起こって初めて出てきたのです。出てきた内容に、あなた方がいままで知らなかったところで、丸紅とロッキード社間において報酬金が支払われておった。そういう関係があった。そういう関係があったということをいま知った段階でも、防衛庁は、何らわれわれの物品購入には、この庁訓に基づいて問題はございません、それは丸紅さんか勝手にロッキードからもらったんでしょう、それは丸紅さんの勝手でございます。そんなことはわれわれの一切関知しないところでございます。こうおっしゃるのですか。それとも、少なくともそのようなものが出てきたということについては、疑問なしとしないという立場をとられるのか、どちらですかということをお尋ねしておる。  いまあなたの説明を聞けば、非常に御都合主義で、こういうことでもよろしいんでございますと言わんばかりの答弁ですから、私はきわめて不満であります。明確にしていただきたい。
  203. 江口裕通

    ○江口政府委員 いま申し上げましたのは、防衛庁が輸入代理店手数料というもので払いますものは、いまのロッキードから丸紅のコミッションとは違っておりますので、一義的な支払いといたしましては、防衛庁はそういうものは知っておらぬ、これは当然のことでございます。  問題は、先生の御指摘は、そういうものがロッキードから丸紅にあった以上、三%という金があった以上、そのものが他の、つまり三菱重工等に比べて値段的に高く売られてきておったのではないか、こういう御指摘ではないかと思うわけでございますが、実は率直に申しまして、私どもそういう疑問を持たないわけではございません。問題は、その値段でございますが、したがいまして、そのいきさつというものは私どもも十分よくこれからも実態を調査してやってみたいと思っております。また、丸紅にも聞きたいと思っておりますけれども、遺憾ながら私どもの手持ちにありますデータに関する限りは、どうもチェックのいたし方がないという状態を、いま申し上げたわけでございます。それはほかの第三者との納入価格との間のチェックのいたし方がないという問題を一つ申し上げたわけでございます。  それから丸紅とロッキードとの間の勘定関係がどうなっておるかということにつきましては、これはどうも私どもはなはだ申しわけないところでございますが、まだ、いま調査ができない。ですから、これは何らかの形で丸紅にもよく聞いてみたいと考えておりますが、いまの段階ではわからない。はたして載っておったか載っておらないかが実はわからない。そのおそれは確かに御指摘のようにないわけではございませんので、そういうことは十分疑問を持っておりますけれども、いまの段階ではまだ調査ができない、こういうことを申し上げた次第でございます。
  204. 坂井弘一

    坂井委員 会計検査院の見解を伺います前に、実はいまのような契約に関しまして、なおいま申しましたLAIL契約第四〇一一号、その契約の七年後、つまり一九七三年五月十五日に、香港にありますところのLAISAと丸紅との間で、LAISA六〇六九号の代理店契約の付属Aとして報酬レートの締結をしておる。これを見ますと五%、こういうことになっておるわけですね。そういういままであなた方が知らなかったところで、このような報酬率あるいは報酬金につきまして契約が交わされておった。そしてまた、これに基づいて恐らく支払われたであろう、丸紅が受け取ったであろうということは想像にかたくないわけでありますけれども、そのことに関しまして、いまの防衛庁のお答えも踏まえまして会計検査院としては、こういう実態を率直にどうごらんになっていらっしゃるのかについて伺いたいわけであります。  私は、少なくとも今日まで防衛庁が購入をしてまいりました物品の適正なる購入価格であろうと思われたもののほかに、この報酬金があったということだけは否めない事実であろうと思います。これが丸紅の手に入っておるのか、あるいは防衛庁が肩がわりして支払ったのかというような点についても深い疑問を持つわけでございますが、会計検査院検査をされたその結果、それをどうごらんになっていらっしゃるかについて、この際ひとつ率直にお答えをいただきたいと思います。
  205. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 結論的に申しますと、ただいま調査中でございまして、まだ結論らしきものに到達はしていません。と言うのも、商慣習その他を調べる必要もございますし、いま手元にある資料はロッキード社と丸紅との間の契約だけでございまして、そのほかの商社と外国商社との取引関係については資料が全然ないのでございます。そういう次第で結論に到達していないわけでありますが、いまLAISAとロッキードとの間の六〇六九という代理店契約がございます。  その契約の第一条によりますと、「「代理店」は、次の各号について「LAISA」を補助するための、「対象地域」における」これは日本の場合は日本のことでございますが、「「LAISA」の唯一かつ独占的代理店となるものとする。」というような規定がございます。  この規定を受けて第三条に、「「代理店」は、この契約の第一条及び第二条」第二条はようございますが、「第一条及び第二条に規定する製品及び役務の市場及び販売見込の開発並びに購入者に対する販売に最善の努力を払わなければならない。」というような規定がございます。  そうしまして第六条に、「代理店としての行為及び代理店の資格において行う役務に対して、「代理店」は、この契約第一条及び第二条に規定する販売及び契約に関し、この契約に添付されている明細書別紙A「報酬率」に従って決定される金額を受けることができる。」というような代理店契約がございます。  こういう契約からしますと、ごく一般的に言えば、市場開拓等の——単に代理業務ということではなくて、市場開拓等のかなり広範な役務、任務も背負っておりますので、それに対する総代理店としての対価といたしまして、ロッキード社と丸紅との間にこのようなコンペンセーションの事由があったということではないかというふうに考えることが一面できるわけであります。しかしそうではありますけれども、こういうものはいずれ原価計算の上で品代に反映するわけでありますが、その反映の仕方がどういう形でなされておるかということを調べる必要もありますし、それから別に防衛庁が丸紅に対して輸入手数料を支払っておるというような関係もございますので、品代と輸入手数料との関連におきまして、コンペンセーションというものがどういう性格を持つかということを今後なおほかの商取引を考え合わせた上で検討してまいりたい、こういうふうに思っております。
  206. 坂井弘一

    坂井委員 会計検査院の御答弁、了としますが、よくお考えください。なぜ丸紅がこの契約を出さなかったかということなんです。つまり出したら、ぐあいが悪いから出さなかったまでの話なんです。いまのようなことが続々と出てくるじゃありませんか。あなた方は、こういう契約があるということは知らなかったのでしょう。最初からこういう契約がございますけれどもと言ってきたら、そのままああ、そうか、そのことは無視いたしましょう、そしていまのような形で購入しましょうということになりますか、ならぬでしょう、それを私は言っているわけなんです。  ですから、この問題につきましては、事は軽い問題ではない。会計検査院も非常に重要視してこの検査をされるであろう、そう私は思っております。またそう期待もしております。同時に丸紅のこの問題を究明するためには、他の商社との防衛庁の購入する場合の関係等につきましても検査しなければ、これが内容的にどういう問題を持つかということについて明らかにすることはできないでしょう。したがって、そうした他の商社等についてもこの際、会計検査院が直接的な検査の権限は持たないまでも、今回の丸紅とロッキード社間の報酬金、この問題から当然防衛庁に対しても、他の商社の場合、どういう購入の仕方をしているか等々について、いまいろいろと事情を聞かれ検査をされていると思いますが、これは徹底してなさいますか、会計検査院、いかがですか。大したことないんだ、それまでの話だということなのか、非常に重要視して、これから会計検査院として厳正に、そして徹底的にこの問題につきましては検査をするという決意と、今後の具体的な方針をお持ちなのかどうかにつきまして一点伺っておきたいと思います。
  207. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 先ほどから何度も申し上げていますように、この種の問題については重大な関心を実は払ってきておるわけでありまして、まだ解明できない問題がいろいろございますから、解明すべく努力を重ねていきたい、こういうふうに考えております。
  208. 坂井弘一

    坂井委員 時間が迫っておりまして、輸銀にもおいでいただいておりますので、この問題は結論的に一問伺いまして、終わりたいと思います。  つまり、この報酬金そのものが原価計算に反映しているということです。これは一切関係していないというのではなくて、必ず何らかの形で反映をしておるということでありますので、ノーチェックのままこれを見過ごしてしまいますと、たとえばどんなに高い価格で購入しておったとしても、これはわからない。手っ取り早くいいますと、そういうことに相なるわけであります。したがって、そういうことになりますと、これは会計検査の上からいきましても、またこういう国費の支出行為からいたしましても、当然重大な問題だということになるわけでありますから、そういう点について重ねて一言会計検査院から御答弁をいただきまして、輸銀の問題につきまして簡単に触れたいと思います。
  209. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院長 いままで承ったいろいろなことは、まことに重大なことと考えております。したがって今後とも厳重なる検査を施行していく所存でございます。
  210. 坂井弘一

    坂井委員 なお、われわれの方でもいろいろ調査をいたしておりますので、そうしたさらに具体的な内容等につきましては、場を改めてお尋ねをいたしたいと思います。  そこで、時間が参っておりますので、輸銀の方をはしょってお尋ねをいたしますが、例の全日空のトライスター購入の際に輸銀法が改正されまして、一次、二次、二回に分かれまして、第一次は六機分、次は四機分につきまして輸銀の融資がされるわけでありますが、この十機分につきましては、輸銀の融資は八〇%、全日空の自己資金は二〇%ということでございますが、この融資のあり方そのものについても非常に問題があろうと私は思いますが、きょうはそれを述べる時間がございません。それはそれといたしまして、この融資の際に融資の申し込みのあり方、これもつぶさに全日空から資料として、実は私の方がちょうだいいたしました。ずいぶんこんなことでいいのかなというようなものでございまして、これも具体的には場を改めて触れたいと思います。  これは借り入れ申込書であります。こういう申し込みによってなされておる。あるいはまた輸入許可書、ここにございますこういう許可によっております。細部につきましてはいろいろ問題があるようでございますが、それは本日はさておきまして、融資申し込みをいたしました。そしてその融資申し込みに対しまして承諾をした額、それから実際の貸出額というものが違う。なぜ違うのだろうかと思いまして調べてまいりますと、実はその後で全日空がロッキード社に対して盛んに値引きをお願いしているわけです。値引きしろ、それに応じましてロッキード社は値引きをしておる。したがって当初輸銀に対して、これが八〇%でございますといって申し出た借り入れの申し出額と、またそれをそのとおり承諾しました、それは八〇%に相当するものですから、承諾をいたしましょうといって承諾をしたのだが、その後値引きがどんどんどんどん行われておる。そういうことをキャッチされまして、そうならばその値引き分は実際融資額から差し引きしますよといって融資をした。これが今回の融資のあらましであります。そのとおりでございましょうか。
  211. 林大造

    ○林説明員 お答え申し上げます。  融資の承諾をいたしまして貸し付けを約束いたしました金額と実際の貸し付けが違います理由はいろいろございまして、その一つの大きい理由は、為替レートが融資実行の時期に想定していたのと違うという点もございますが、そのほかにいろいろな価格調整が行われまして、先生御指摘のとおり、実際の貸付額は融資承諾額よりかなり減額したものに相なっております。
  212. 坂井弘一

    坂井委員 時間がございませんので、この内容について触れるわけにはまいりませんが、これまた非常におもしろい値引きの仕方をしているようですね。こんなことが果たして、たとえば他の航空会社が航空機を購入する場合、同じようなことが行われておるのでしょうか。このような値引きの方法というものは、いま私が調べた範囲においてはついぞございませんが、会計検査院もいろいろお調べになったようでございますが、こういう値引きは、よく言えば大変特徴のあると言いましょうか、悪く言えばこういうような値引きの中で、今度のような黒い工作資金を生むという素地があるのではないかと疑いたくなるようなものをはらんでいるのではないかと私は思うのですが、会計検査院、いかがでしょう。
  213. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 ただいまの航空機輸入についての売買取引上の値引きの問題でございますが、確かにトライスターの場合には、いろいろな項目での値引きが行われております。これは一つの取引でありますので、双方の間でこのような折衝があるものである、このように聞いておりますけれども、ただこの全日空の場合ほど顕著であるかどうかという点については、他の例については余り見当たらない、このように聞いております。
  214. 坂井弘一

    坂井委員 時間が参っておりますので一問で終わりたいと思いますが、確かにこの融資につきましては、政策判断が先行したということは、先刻指摘されているとおりでありまして、それに従いまして輸銀は融資をせざるを得ない、しなければならない、こういう立場になったということでございますから、この際、輸銀に対して私はとやかく申し上げることが実は本論ではございません。むしろ、なぜそのような政治判断、政策判断というものが優先されたかというところに今度の事件の一番大きな根本がある。しかし、そのことを具体化していくのがこの融資のあり方でございますので、そうした意味で、いま一言だけ実はこの値引きについて触れたわけであります。細かい内容につきましては、これまた場を改めて質疑の中で明らかにしていきたい、こう思いますが、一言だけ会計検査院から実はお答えをいただきたいことがございます。  前にも私お尋ねをしているわけでございますが、この際会計検査院が輸銀及び全日空に対しまして検査をされておりますが、このトライスターの購入に関しますところの購入資金の経理につきまして、この価格の内容、二つ目には値引きの経過、三つ目には契約の状況、四つ目には全日空の支払い状況、五つ目にはインボイスの確認、六つ目には航空機の登録の状況、七つ目には外国への送金状況、八つ目には清算状況、この八つの項目につきまして、それぞれ検査を進められていると思います。いま申し上げました八つの項目につきまして、会計検査院から文書でもって御回答をいただけるでしょうか、お願いをいたしたいと思います。
  215. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 いま先生がお挙げになりました項目の中で、たとえば価格についての検査、これは要するに購入価格が妥当であるかどうかという点でございますが、これについては引き続き現在まだ調査を続行中でございますので、これは例外といたしまして、ほかの点につきましては私ども確認をいたしておりますので、お手元にお届けいたしたいと思います。
  216. 坂井弘一

    坂井委員 よろしくお願いいたします。  終わります。
  217. 村山達雄

    村山委員長 森下元晴君。
  218. 森下元晴

    ○森下委員 私は、会計検査院だけに質問または所見をお伺いしたいと思います。  初めに、会計検査院検査活動の成果は、検査報告によってわれわれに明らかにされるわけでございますが、これを見ると、会計検査院は個々の会計経理の当否を追及することと、不適正な経理について是正改善を図ることに努力を傾注しているような印象を受けます。  近代国家の社会経済の構造は、国家機関の積極的な行政活動によって支えられているようになっており、それに伴って国の財政支出は膨大なものとなる一方であり、しかも近年における科学技術の急速な進歩は、この傾向を一層顕著なものとしております。このような情勢のもとにおきまして、国民は国の個々の収入支出のよしあしのみにとどまらず、財政支出の効果にも深い関心を持つようになっている実情であります。会計検査院は、この面での検査ではどのような対策を講じているのか、院長の所見を承りたいと思います。
  219. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院長 会計検査院といたしましては、御指摘のように個々の不当事項指摘すること、これはもちろん院法で決められました本来の使命でございまして、これを放てきするわけにはいきませんが、これのみにとどまらず、端的に言いますと、百万、二百万の出来形不足を指摘して、それでいい、そういうような態度ではいけないので、やはり国の金が総合的に見て有効適切に使われているかどうかということは、もちろんこれは判断しなければならない事態でございますので、私ども幹部といたしまして、そういう面からの検査に努力するように部下を督励しておる次第でございますし、現に審議室の方で、たとえば離島振興というような一つのプロジェクトチームをつくりまして、離島振興を総合的に見て、果たしてうまくいっているかどうかというようなことを専門的に見るチームを普通一般の検査局とは別に持って、見たりさせたりしております。  それからまた、いままでの検査報告でも、たとえば草地の造成等に相当金が出ておりますが、せっかくつくっても、その後がさっぱり利用されない、あるいはほったらかしになっておるというような事態がございまして、そういうむだな事態が発生しないように考えるべきではないかということを申したりして、本院としても極力努力しているところでございますが、なお先生の御指摘もありましたので一層努力いたしたい、こういうふうに存じます。
  220. 森下元晴

    ○森下委員 予算の効率的な使用をチェックする、これが会計検査院の大きな目的であるように思っております。ミクロの問題だけではなしに、マクロ的な意味でも十二分な御検査をお願いしたいと思います。  次に、日本国有鉄道のストは毎年やっておるようでございますけれども昭和五十年度の旅客、貨物の運輸収入で、ストによる減収額は約二百六十億円に達している。そう言われておりますけれども、一般的には単なる減収として取り扱われているようでございます。会計経理上の処理問題として会計検査院検査した場合は、収入面で損失を生じたこととなると思われますけれども、これに対する御所見、また会計検査報告には何らかの方法で明記すべきであると思いますけれども、いかがでございましょうか。簡明にお答え願いたいと思います。
  221. 柴崎敏郎

    ○柴崎会計検査院説明員 所管局長でございますので、私からお答えしたいと思いますが、おっしゃるとおり国鉄のストによる減収、これは非常に巨額なものになっております。しかも、その発生した原因が、国鉄の業務運営にかかわる事柄から発しているというような点などを踏まえまして、私どもといたしましても、これについては会計経理上の問題として、やはり取り上げるべきであろう、このように考えております。  ただ、御承知のとおり、この減収金額の確定につきましては、これは大変複雑ないろいろな要素がございますので、それの計算事務、調査事務等に相当の手間暇もかかることでございます。さればといって、いいかげんな数字でこれを検査報告等に取り上げるということも、私どもの方としましては問題でございますので、できる限りこれを努力をいたして、計数を固めるという向きで努力をいたしたいと思いますが、そういう線でひとつ検討させていただきたい、このように考えております。
  222. 森下元晴

    ○森下委員 こういう問題でも積極的に取り組んでいただくように要望いたしまして、私の質問は終わります。
  223. 村山達雄

    村山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十一分散会