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1976-03-02 第77回国会 衆議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年三月二日(火曜日)     午前十時十七分開議  出席委員    委員長 村山 達雄君    理事 中尾  宏君 理事 森下 元晴君    理事 久保田鶴松君 理事 原   茂君    理事 庄司 幸助君       石田 博英君    宇都宮徳馬君      橋本登美三郎君    高田 富之君       藤田 高敏君    田代 文久君       坂井 弘一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      佐々木義武君  出席政府委員         科学審議官   半澤 治雄君         科学技術庁長官         官房会計課長  石田  徳君         科学技術庁研究         調整局長    大澤 弘之君         科学技術庁振興         局長      福永  博君         科学技術庁原子         力局長     山野 正登君         科学技術庁原子         力安全局長   伊原 義徳君  委員外出席者         科学技術庁航空         宇宙技術研究所         長       山内 正男君         文部省学術国際         局審議官    犬丸  直君         通商産業省機械         情報産業局次長 井川  博君         会計検査院事務         総局第一局長  田代 忠博君         参  考  人         (新技術開発事         業団理事長)  武安 義光君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団副         理事長)    瀬川 正男君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団東         海事業所処理         建設所長)   中島健太郎君         決算委員会調査         室長      東   哲君     ————————————— 委員の異動 二月十二日  辞任         補欠選任   田代 文久君     金子 満広君 同月十六日  辞任         補欠選任   坂井 弘一君     矢野 絢也君 同月十七日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     坂井 弘一君 同月二十三日  辞任         補欠選任   金子 満広君     田代 文久君 同月二十六日  辞任         補欠選任   坂井 弘一君     矢野絢也君 同日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     坂井 弘一君 三月一日  辞任         補欠選任   庄司 幸助君     林  百郎君 同日  辞任         補欠選任   林  百郎君     庄司 幸助君 同月二日  理事庄司幸助君同月一日委員辞任につき、その  補欠として庄司幸助君が理事に当選した。     ————————————— 二月十日  昭和五十年度一般会計予備費使用  総調書及び各省庁所管使用調書  (その1)  昭和五十年度特別会計予備費使用  総調書及び各省庁所管使用調書  (その1)  昭和五十年度特別会計予算総則第  十一条に基づく経費増額調書及  び各省庁所管経費増額調書(そ (承諾を求  の1)             めるの件)  昭和五十年度一般会計国庫債務負担行為調書  (その1) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  参考人出頭要求に関する件  昭和四十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十八年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十八年度政府関係機関決算書  昭和四十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十八年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管科学技術庁)〕      ————◇—————
  2. 村山達雄

    村山委員長 これより会議を開きます。  この際、理事補欠選任についてお諮りいたします。  理事庄司幸助君が委員辞任されましたので、理事が一名欠員となっております。これよりその補欠選任を行いたいと存じますが、これは先例によりまして、委員長において指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 村山達雄

    村山委員長 御異議なしと認めます。よって、庄司幸助君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  4. 村山達雄

    村山委員長 次に、昭和四十八年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管科学技術庁について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として新技術開発事業団理事長武安義光君、動力炉・核燃料開発事業団理事長瀬川正男君及び動力炉・核燃料開発事業団東海事業所処理建設所所長中島健太郎君の御出席を願い、その意見聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 村山達雄

    村山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの意見聴取委員質疑により行いたいと存じますので、さよう御了承願います。     —————————————
  6. 村山達雄

  7. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 科学技術庁昭和四十八年度決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和四十八年度の当初歳出予算額は一千八十二億七千三百二十七万円余でありましたが、これに予算補正追加額十一億五千九百九十七万円余、予算補正修正減少額十三億三千百二十四万円余、予算移しかえ増加額五千七百五十八万円余、予算移しかえ減少額十六億五千二百六十四万円余、前年度からの繰越額二億一千七百二十九万円余、予備費使用額八億八千六百八十八万円余を増減いたしますと、昭和四十八年度歳出予算現額は一千七十六億一千百十二万円余となります。この予算現額に対し、支出済歳出額一千五十六億三千七百三十七万円余、翌年度への繰越額十一億三千三百九十四万円余、不用額八億三千九百八十万円余となっております。  次に、支出済歳出額の主なる費途につきまして、その大略を御説明申し上げます。  第一に、原子力関係経費といたしまして六百十三億三千六百十七万円余を支出いたしました。これは、動力炉・核燃料開発事業団における高速増殖炉及び新型転換炉開発核燃料開発ウラン資源の探鉱並びに使用済み核燃料処理施設建設日本原子力研究所における各種原子力関連試験研究及び各種原子炉運転日本原子力船開発事業団における原子力船「むつ」の出力試験実施準備及び定係港設備整備放射線医学総合研究所における放射線による障害防止及び放射線医学的利用に関する調査研究民間企業等に対する原子力に関する試験研究委託等原子力平和利用促進を図るために支出したものであります。  第二に、宇宙開発関係経費といたしまして三百億八千八百五十六万円余を支出いたしました。これは、宇宙開発事業団におけるロケット及び人工衛星開発並びにロケット打ち上げ施設等整備航空宇宙技術研究所におけるロケット等に関する基礎的、先行的試験研究及びこれらに関連する研究設備整備のほか、種子島周辺漁業対策事業助成等のために支出したものであります。  第三に、海洋開発関係経費といたしまして九億四千九百八十万円余を支出いたしました。これは、海洋科学技術センターにおける海洋工学潜水技術等に関する試験研究実施潜水訓練及び潜水技術に関する研究並びに海洋開発機器高圧実験に必要な共用施設建設、国が同センターに委託して行った海中作業基地による海中実験等のために支出したものであります。  第四に、試験研究機関関係経費といたしまして、当庁の付属試験研究機関のうち航空宇宙技術研究所金属材料技術研究所国立防災科学技術センター及び無機材質研究所における各種試験研究実施及びこれに関連する研究施設整備並びに運営に必要な経費として五十億五百五十一万円余を支出いたしました。  最後に、重要総合研究の推進を図るための特別研究促進調整費研究公務員等資質向上のための海外及び国内留学経費、理化学研究所日本科学技術情報センター及び新技術開発事業団事業を行うための政府出資金及び補助金科学技術庁一般行政費等経費として八十二億五千七百三十一万円余を支出いたしました。  以上簡単でありますが、昭和四十八年度の決算概要を御説明申し上げました。  よろしくご審議のほど、お願いいたします。
  8. 村山達雄

  9. 田代忠博

    田代会計検査院説明員 昭和四十八年度科学技術庁決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、是正改善処置を要求したもの一件でございます。  これは、委託事業により取得した物品管理に関するものであります。  科学技術庁では、原子力平和利用研究等試験研究民間団体等に委託して実施しているわけでありますが、その実施の過程で、受託者が取得した機械器具類は、委託事業の完了後、その所有権を国に移転させることにしております。そして、これらの物品については、所有権が移転した後も、利用処分を決定するまでの間、受託者に引き続き保管させておりますが、これらの物品保管状況を調査いたしましたところ、受託者が国に無断で使用していたり、受託者が貸し付けまたは払い下げを希望していたのに、そのまま保管させているなど、国の物品管理が適切でないと認められましたものが五十九点、一億三千百四十一万円の多額に上っておりました。さらに、これらの物品を含めて、現在受託者に保管させている物品の中には、国の試験研究機関等で活用できると認められるものも見受けられております。  このような状況から見まして、速やかにこの種物品の実情を把握し、適正な運用を図るとともに、今後同様の事態が再発しないよう是正改善処置を要求いたしたわけでございます。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  10. 村山達雄

    村山委員長 これにて説明聴取を終わります。     —————————————
  11. 村山達雄

    村山委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。森下元晴君。
  12. 森下元晴

    森下委員 私は原子力発電問題について、短時間でございますけれども、お尋ねをしたいと思います。  一番初めに、実はこういうことが新聞に載っておりましたので確認したいと思います。有沢巳原子力産業会議会長がこういうふうに言っております。「いまにして思えば、軽水炉技術的に完成されたものと考え、民間に任せる政策を立て、実行に移した私自身認識は間違っておった。」こういう文が出ておりましたけれども、これはそのとおりでございましょうかどうか。
  13. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 有沢先生がどういう席上でそういうふうにおっしゃったか存じ上げませんけれども、軽水炉を導入するに際しましては、実用炉としてアメリカ電力会社使用し、したがってまた採算も、それに見合うというふうな角度で、基本設計的に見て安全という審査さえできれば、これは導入してもいいのじゃなかろうかというので、電力会社主体になりまして、いままでわが国原子力発電の主力をなしてきたわけでございますが、その間実際に運転いたしますと、重大事故は起きませんけれども、小さい故障は相当程度発生しておりますので、そういう点から考えて、もう少しいわば工学的な面の検討が必要じゃなかったかという反省をしたのじゃなかろうか、その意味だと私解釈いたしております。
  14. 森下元晴

    森下委員 過去の原子力エネルギーに取り組む行政方向が、むしろ軽水炉よりも核融合とか高速増殖炉、その方向にかなり重点が指向されておったことは事実でございます。  昭和四十三年一月の世界運転中の原子力発電容量総計で一千万キロワットでございました。そのうちで五〇%がガス炉であるし、軽水炉に至っては三〇%であった。ここらのデータから、私はその方針が誤ったのじゃないかと思うのです。それが七年後の昭和五十年の世界発電炉運転状況を見ました場合には、建設計画中のものを含めまして、総計が約四億キロワットを超えております。そのうちで最高は軽水炉発電でございまして、実に八六%にはね上がっておる。三〇%の七年前の実績が、八六%まで軽水炉による発電が占めておる。そして、重水炉とか高速増殖炉は、合わせてわずか七%にすぎない、こういう実態でございます。  そういうことで、過去におきまして、原子力開発のために支出した約六千億に近い金のうちで、残念ながら軽水炉に入れた金が三百億くらいである、こういうことを考えました場合に、わが国の非常に重大なエネルギーの未来を担う原子力に対する従来の考え方また方針、これがかなり誤っておったと私は思います。それに対して私は、現在の日本の当面しております不況問題、まあ不況エネルギーがどれだけ関係あるかということになるわけでございますけれども、過去の石油使用量経済成長を見ますと、ちょうど比例しております。大体石油使用量が一二%程度で上昇いたしました。使用量がふえました。と同じようにやはり経済成長率も一二%ずつふえておる。ということは、五年で倍、倍になっていったわけなのです。オイルショック以来、石油使用横ばいまたは減っております。と同じように、非常にGNPの下降また横ばいということが現在の不況をかもし出しておるというようなことを考えました場合に、石油が上がって、将来はやはり原子力発電によるエネルギーを求めなくてはいけない、資源のないわが国としては、やはり世界の大勢に従って軽水炉発電にその焦点を求めなくてはいけない、こういうことになると私は思うのです。やはり国民の幸せは、景気をどうしていくか、生活をどうしていくかということに尽きると思います。  そういう意味で、やはり軽水炉開発——わが国技術は非常にあらゆる分野で進んでおりますけれども、残念ながら見通しの甘かったという点が非常に国費むだ遣いに通じておるのじゃなかろうか、過去のことは別にして、将来の世界の情勢を考えました場合に、私は、軽水炉発電というものをこの際見直していただきたい、このように実は思うのです。日本と同じ時期に発足した西ドイツなんかは、もうすでにブラジルに、いわゆる輸出産業として、軽水炉というものを大量に輸出しておる。そしてアメリカが驚いておる。こういうような、すでに原子力また原子炉というものは、安全ということはもちろん考えなくてはいけませんけれども、航空機と同じように将来の輸出産業の花形になるべき性格のものである、このように実は考えております。  そこで、もう時間が実はないので、大臣最後お尋ねをしたいと思いますけれども、要は原子力平和利用次代エネルギーの大きな担い手である。これは先ほど申しましたけれども、しかも国民生活の保障につながっておる。しかしながら、いまだに研究検討事項が多くて、環境問題また安全問題等いろいろな障害ももちろんございます。この際、こういう障害を乗り切って推進するためには、かなり国の責任を明確にしていく。それと、行政合理化、また国費投入増額等、かなり思い切った、ただ科学技術という範囲だけではなくして、やはりわが国の将来の経済の繁栄、また輸出産業の増大、こういう面まで担当しておるということを認識されまして、思い切った抜本的な処理をお願い申し上げたいと私は思うわけでございます。  大臣の御所見を最後にお願いして、質問を終わりたいと思います。
  15. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 ただいまの日本原子力開発の主としてエネルギー部門発電部門に関連しての御質問でございますが、私どもは、いわば今後十カ年、十五カ年等を主とした対策と、さらにそれから先の二十一世紀に至るようないわば中期計画と、二十一世紀に入ってから何を主体にすべきかというふうな長期計画等を、エネルギー資源のない日本でございますから、勘案いたしまして、ただいま政策を進めてございます。  一番長い長期の問題としては、核融合でございまして、これはお話のように、二十一世紀の初頭でなければ発電という段階には入らぬと思いますし、それからいま開発途上にありますファストブリーダーとか、あるいは多目的の高温ガス炉といったものは、これは中期計画として、ただいま独自に日本の力で開発を進めておるのでございます。  それはそれとして、各国でも非常な力を注ぎまして開発しつつございますので、わが国もこれにおくれぬように開発を進めるのは、エネルギー資源のない日本として当然でございますが、いま問題になっております軽水炉、現在の発電に使います軽水炉に関しましては、決してなおざりにするどころじゃなしに、わが国発電のほとんど全部が、ただいまはこの軽水炉でございまして、今後十カ年間で四千九百万キロワット発電しようというその内容軽水炉でございます。フランス、イタリア等で、一切発電は油はまかりならぬ、原子力発電という、それも軽水炉でございます。ドイツ、アメリカ等もしかりでございますし、ソ連あるいはソ連圏原子力発電軽水炉でございます。したがって世界は挙げて原子力発電の現実は軽水炉であることは間違いございません。  したがって、この問題に対してわが国が、研究等が力が薄いという御非難は、あるいは全面的に否定するわけにはまいりませんけれども、しかし、この軽水炉の中で一番問題になっておりますのは、一つは安全問題、一つ健全性の問題、いかに健全な機械装置にするかという問題、三番目は標準化改良型等をどうするかという問題に私は分かれると思います。  一番前段で申しました安全問題に関しましては、御承知のように、原子力研究所で核安全の問題に関しまして、遅まきではございましたけれども、数年さきから非常なスピードでただいま研究を進め、大変な成果を上げつつございます。  二段目の、いま一番問題になっておりますのは、その核安全の問題よりもむしろ材料工学とかあるいは機械工学的な面からする故障が多発しているじゃないかという非難でございまして、これは各国等では余り問題にせぬ点でも、わが国では、特に安全、大きい安全につながることでありますれば、事前にこれをチェックしようというので、非常に慎重に構えまして、ちょっとの放射線が漏れましても、これを停止して丹念にその原因を検討し、その改修にかかるというふうな安全第一主義でやっておりますので、故障が起き、またその修理、点検等手間取っておるわけでございまして、いわば安全の問題というよりは操業度あるいは採算等に関しまして、いまの状態ではおかしいじゃないかという議論の方が実は主になるのじゃなかろうかと思います。  したがいまして最近、原子力工学試験センターでございますか、つくりまして、特にそういう面の研究に十分力を注ぎたいということで、ただいま研究所を発足させてございます。ただ、その研究所が発足するまで、それでは、発電会社もあるいはメーカーも、この問題に対してほとんど無関心だったかと申しますと、決してそんなことはございませんので、特に例を挙げますと、島根県の国産炉、これは軽水炉でございますが、これに見られますように、ほとんど無事故で、非常な高率の操業度をただいま続けております。  最後改良型あるいは標準化問題等に関しましても、ただいま鋭意検討中でございまして、私は、この問題に関する解決は、そう時間を手間取らずにわが国でも解決の途に向かい得るというふうに実は確信しておるわけでございます。
  16. 森下元晴

    森下委員 二、三分時間がございますので、意見だけを申し上げて、質問を終わりたいと思います。  いまの大臣の御発言で、前向きでやる。よろしくお願いしたいと思います。  御承知のように、核拡散防止条約批准を早急に迫られております。かなり進んだ空気にあるようでございますけれども、この条約というものは非常に不平等条約である、ソ連アメリカ世界でいわゆる核というものを独占していこう、そして他の国には、平和利用についてもこの二国が絶対にチェックしていこう、こういう意図が私はかなり見られるように思います。  日本発電所でも、あちこちで故障が続出しております。その内容を見てみますと、アメリカ軽水炉発電故障があると、途端に日本発電所でも発電停止、こういうふうに、非常にアメリカ発電に直結したような、また、その査察等にしても、日本技術が非常に乏しいものですから、外国の査察にゆだねなくてはいけない。もちろん、日本は三原則の問題とかいろいろと核に対しては、これの戦争利用というようなものには非常に神経を使いまして、世界じゅうどこから見ても日本は核武装しない、こういう認識がございます。また、われわれ自身もそういう決議までしておるわけでございます。それが、平和利用の面まで世界じゅうからチェックせられまして、そして産業的に萎縮するようなことではいけないと思います。  造船においては世界の半分、また自動車とかその他日本から優秀な新しい近代的な製品が世界の市場に出回っておりますけれども、航空産業原子力産業につきましては非常におくれておるという現状からしても、核拡散防止条約に見られるような、二大国がこれを永久に独占していこうという意図をわれわれはよく洞察して、この条約等批准にも慎重でなくてはいけない、私はこういうことを最後に申し上げまして、質問を終わります。
  17. 村山達雄

  18. 原茂

    ○原(茂)委員 最初に、大臣に通告はしていない問題ですが、ひとつお伺いしたいのです。  きのう三木総理が、国防会議拡充強化をするというのをニュースで知らされたのですが、いま国防会議メンバーというのは、総理以下五人の大臣メンバーになっているのですね。国防会議メンバーは御存じですね。ロッキードじゃないけれども、国防会議の主要な問題の討議をしようというときに、科学技術を抜いてわが国国防会議を論ぜられること自体が、非常に不見識なんじゃないかという感じがするのです。  その意味では、科学技術庁長官が、たとえば技術開発なり科学技術そのものを推進する大きなテーマの一つには公害もあるだろうし、いろいろ汚染との取り組みもあるだろうし、単に国防というものが兵器なり、あるいは人員の量の問題等を論議するのでなくて、真の国防という限りは、科学技術の面からするいろいろな国民大衆への影響が常に整理整とんされていくような科学技術的な配慮がないと、本当の国防というものは成り立たないというような観点から言いますと、端的に言いますと、科学技術庁長官がこの国防会議メンバーに入らないような国防会議というものはおかしいのじゃないだろうかというふうに、きのうニュースを聞きながら感じたのですが、長官どう思いますか。
  19. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 何年前でございますか、そういう配慮もございまして、国防会議議員懇談会というものができまして、議員で新しくいまの国防会議委員のほかに加わりましたのは、通産大臣科学技術庁長官、あるいは官房長官等がその議員懇談会に追加されまして、正規の国防会議委員ではございませんけれども、もちろん私は表決権はございませんが、議員懇談会という形式で、国防会議で決定する前にいろいろ審議する機会がございます。
  20. 原茂

    ○原(茂)委員 現在もその国防会議議員懇談会というものがあるのですか。
  21. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 たしか中曽根先生科学技術庁長官の当時に加入したと思いますけれども、ただいまも入っておりまして、私が長官になりましてから、たしか三回くらい出席してございます。
  22. 原茂

    ○原(茂)委員 そうすると、今度三木さんが国防会議を強化したいというのは、従来の正式メンバーのほかに、少なくとも科学技術庁長官などがすでに懇談会のメンバーとして入っておるのですから、正式メンバーに入れようという意思のあらわれと見ていいでしょうか。
  23. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私は、どうも総理の意向はまだよくわかりませんけれども、ただ、参議院等の議論では、逆に科学技術庁長官が入ること自体がおかしいのじゃないかという議論もございまして、なかなかそこら辺の判断がむずかしいところではないかと思います。
  24. 原茂

    ○原(茂)委員 私は、科学技術庁長官がこのメンバーに入ることの方が——何かこういうことをわれわれが言うと、国防上の社会党員としての見解が疑われるおそれもあるのだそうですか、しかし国防会議が現に存在する以上は、科学技術を抜きにした国防会議というものを論議することの方がおかしいのではないか、思想的な立場その他は別ですが、そういう感じがしますので、三木さんの拡充強化をするという意思の中に、科学技術庁長官が正式メンバーに入るようになるのかなあということをふと思ったわけですが、いまの長官の答弁ですと、まだ総理との話もできていないようだし、意向も知らないということで、これに対する意思あるいは御意見等はいまお持ちになっていない、こういうことになるわけですね。
  25. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 そのとおりでございます。
  26. 原茂

    ○原(茂)委員 その問題は、きのうのニュースを見まして十分に検討に値する問題ではないかというふうに思いますので、長官にもその意見のあることを腹に置きながら、ひとつ検討をしていただくようにお願いをしておきます。  最初に、新技術開発事業団の問題から先にお伺いをしていきたいと思うのです。  この問題の中にいろいろお伺いしてみたいという問題もあるわけですが、時間の都合でその全部をというわけにまいりません。ひとつきょうは参考人としておいでになっていただいておりますから、あわせて御答弁をちょうだいしたいと思うのですが、国有新技術の調査という項目があるのですね。四十七年末で二千六百七十件実用新案権が確立しているわけであります。そのうち企業などで実施化されているものが約二百三十八件、全体の約八・九%、これが四十八年度の実績なんですが、この八・九%程度しか、せっかく国費を使いながらやってきたものが実施化されていない。いないものが九十何%あるということになるのですが、これはこんな調子のものでよろしいのでしょうか、どうでしょうか。何かずいぶんむだにされているんじゃないかなという感じがしますので、この点の説明をまず第一に伺います。
  27. 福永博

    ○福永政府委員 ただいまの先生の特許権等数千件、それに比べて実施化されたのは非常に少ないじゃないか、こういう御質問かと存じます。  私ども新技術開発事業団としましては、ただいまのところ新しい技術の発掘、それを企業化に持っていくというところを受け持っているわけでございますけれども、ただいま先生の御指摘は特許の全件数であろうかと存じます。私どもただいまのところ対象にいたしておりますのは、国立研でありますとか大学でございますとか、そういったいわば国有特許ないしはそれに準ずるようなものを中心に発掘を進めてまいっております。年間委託開発とあっせんと両方いたしておりますけれども、国全体の特許の件数から見ると、その割合はまだ少ないのではないかということでございます。
  28. 原茂

    ○原(茂)委員 私の言った二千六百七十件というのは、国立の試験研究機関などで生まれた特許権実用新案権ですよ。その中の八・九%しか実用化されていないのですが、もう一度……。
  29. 福永博

    ○福永政府委員 大変失礼いたしました。二千五百件と申しますのは、国が保有する特許権及び実用新案権でございます。これが実施されておりますのが百七十七件ということでございまして、確かに少ないのでございます。しかし国有特許といいますのは、非常に基本的な部門が多いわけでございます。それからこれを企業化に結びつけていくというところには、この基本的な特許の成果を評価いたしまして、企業化に結びつくであろうと思うようなものを選択していくわけでございますから、私ども努力はいたしておりますけれども、どうしてもそういう企業化への道を開くということを考えてまいりますと、こういう結果になっておりますが、今後とも努力いたしたいと思っております。
  30. 原茂

    ○原(茂)委員 私がなぜこれを発言したかといいますと、こういう種類の国有の特許なり実用新案というものが二千六百のうち二百三十幾つしか実用化されていない。もちろん特殊の国有特許あるいは実用新案はあるに違いないのですが、残りを一般に公開をするといいますか、非常に見やすく利用しやすいという、年一回特別に何かその種の配慮をして、広く関心のある者あるいは関係機関にこれが周知徹底できるような方法をとらないと、こういうことになるのではないかと思いますし、特殊の人間だけが最初からある研究機関と関連をして開発を進めてきた、そのために、やがてその人間、その関係者が利用するときまでずっと死んだままで利用されないという部類のものが大分あるのじゃないかという感じがするので、やはり特殊のものであろうとなかろうと、そんなことをこちらが配慮するのじゃなくて、広く国民大衆が希望があり、また熱意があり、それだけの力を持つ者なら、利用したいという意思表示をし、利用ができるような、いわゆる非常にオープンにこの国有特許あるいは実用新案権が生かされるような配慮というのが特段に行われない限り、こんな調子でずっと行くのじゃないだろうかという感じがするのです。そういうことを配慮すべきではないか。そういうことを言いたいために、この質問をしたわけです。
  31. 福永博

    ○福永政府委員 国立研等で発生いたしました特許あるいは実用新案、こういうものがいわば死蔵されているのではないか、こういう御質問でございますが、これを国立研等はもちろん機関誌等で発表はいたしております。しかし、これを実用化に結びつける、あるいは企業化に結びつける、こういう役目がまさに新技術開発事業団の仕事でございます。そこで、私どもは、新技術開発事業団としましては、この国立研等で発表されましたのを待っているだけではなくて、事業団の方から担当の者を派遣いたしまして積極的に調査し、企業化に結びつくようなものを発掘していくというようなことを定期的にいたしております。
  32. 原茂

    ○原(茂)委員 あなた方が出ていって、どこかへ結びつけようという努力だけに終わらないで、事業団の仕事として広くこれを周知徹底せしめるという、ある意味では広告業務になりますが、そういうことをもっと進んでやるべきではないかというのが一つなんです。  それに対するお考えと、それからもう一つ、その場合に国内だけに限定しているのじゃないかという感じがするのですが、いまロイアルティーを取るとかいろいろなことで外貨を取ることも大事ですし、ある意味では原子力に関してすら公開の原則でやっているくらいですから、したがって国際的にもこれが広く活用されて世界全体に裨益するならいいという立場もあわせて、国際的な、その種のものを同じ方向、同じ考えによって求めていくようなこともすべきではないだろうかというように考えるので、その二点について、ぜひそうするという方向検討なり答弁がほしいと思って聞いているわけです。
  33. 福永博

    ○福永政府委員 私どもが努力しておりますところは先ほどお答えしたとおりでございますけれども、先生の御指摘のような方向は全くごもっともでございます。私どもとしましても、現在積極的に探しましたものの説明会を開くといったようなこともやっておりますけれども、さらに強化してまいりたいと思います。  それから海外にもこの業務の対象を広げたらいいのではないか、ごもっともでございまして、私どももそういう線で、あっせん業務をわずかではございますけれども海外にも進めておりまして、多少の成果が出てまいりつつあるところでございます。
  34. 原茂

    ○原(茂)委員 それはぜひひとつ積極的にそういう方向でお進めをいただきたいと思います。  それから、この問題プロパーでは、ひとつまた科技特の方でいろいろお伺いするように問題を残しておきたいと思いますが、宮城県の新しい技術開発に関して、アワビの養殖に関する開発をされたわけですが、三年一カ月やりました結果、これは不成功だという認定を四十二年にいたしまして、その認定をしたそのあと、一番最初に開発をした人——組合じゃないようですが、にこれが無償で貸与されて今日に至っているようですが、先にその経過を簡単に御説明をいただきたい。
  35. 福永博

    ○福永政府委員 ただいま先生の御質問の点は、三十九年から四十二年にかけまして実施いたしました開発課題でございまして、アワビの人工養殖をテーマとしたものでございます。この新しい技術の所有者はかき研究所というところでございます。しかしながら、新技術開発事業団から受託いたしましたのは宮城県漁連でございます。この間約三年ぐらい研究を続けたわけでございますけれども、当初この研究者の方がいわば研究室ベースでやっておられたものを、実際に海に持っていきまして、まあ稚貝を育てるわけでございますけれども、こういう実験をやってみましたところ、予想外のいろいろの技術的な困難が生じまして、なかなかこの成果の見通しも得られないということで、四十二年の四月に不成功という認定をしたわけでございます。  ただし、この不成功の認定をいたしますにつきましては、新技術開発事業団の中に開発審議会というものがございますが、ここで御審議願ったわけでございます。そうしましたところ、この審議会の御意見としては、この時点では本委託研究は不成功と認定せざるを得ないけれども、なかなか興味のあるデータもとられておるし、もう一度基礎的な研究に戻って研究を進めていけば先行き期待できるのではなかろうか、そのために関係方面も協力するように、こういうような御答申をいただいたわけでございます。  この審議会の御答申を受けまして、新技術開発事業団理事会におきまして、不成功の決定はいたしましたけれども、ただいまの審議会の御趣旨を体しまして、この研究を、基礎的な研究に戻ってさらに続けよう、幸いこの原発明者でありますところが自費で研究を継続したい、こういう希望もございます。そこで、この取得しました物件は、本来ならば事業団に無償で譲渡を受けまして処分するところでございますけれども、こういう研究のために特別に設置したものでもございますし、それから研究者もそういうことで基礎研究を続けて先行きを努力したい、こういうことでございますので、ともに協力しながらこの技術を育てていく、こういう趣旨で、現在までのところ無償でその施設等をお貸ししておる、こういう状況でございます。
  36. 原茂

    ○原(茂)委員 事業団開設以来、こういうことは初めてのケースですね。
  37. 福永博

    ○福永政府委員 不成功という例は他にもございますけれども、こういうふうに無償で貸与しておるという件につきましては、初めてのケースでございます。
  38. 原茂

    ○原(茂)委員 これは皆さんの方が専門だからよくわかるのですが、業務方法書の第十七条第一項、以下ずっとこういう問題に対する規定があるわけですね。そこで「現情のままでは引き取りが困難なものについては、事業団は、財産の譲渡に代えて不成功の認定の日現在における時価を基準として事業団が評価した額に相当する金額を納付させるものとする。」ということになっているのを基準にいまのような処置をとられたわけですね、これを基準として。そうですね。  私は無償じゃいけないということを言おうとしているのじゃない。無償で貸与しない場合には、何がしかの時価に算定した価格で入ってくるはずのものですよね。それが一銭も入らないままに、これを無償で貸与をした。無償で貸与をすることがあっても、ものによってはいいと思う。審議会のそういう決定もあるのですから、先を期待して無償で貸与することもあっていいと思うのですが、やはり事業団である限り、理事長なら理事長といいますか、事業団の審議機関から、ある種の答申を受けたというので、無償にして無期限に貸与していいとか悪いとかということが、やはり方法書の第何条第何項かにそういうことがうたわれていて、この条項を適用して、この場合は無償で貸与したんだ、こう言えるような、いわゆる方法書の内容を改めるとか、追加増補するとか、何とかしないと、個人が——いわゆる理事長かあるいはどなたか知りませんよ、科技庁の局長なりが相談を受けるかどうか知りませんが、判定をして、しかもこれ無期限ですからね。いつ成功するかわからない。とにかく何百万でも入ってくるはずのものが、一銭も入らないで、これを無償で貸与するんだということが、ずっと話を聞いていると、もっともだなという感じがするのだが、やはりそのことが規定でぴしっとできるような状態に、いわゆる方法書その他の内容を改めるとかしておかないと、個人の裁量でこういうことができるというと、まあロッキードまでいかなくても、何かしらいろいろなことが起きてきたし、起きる原因にもなるという意味で、何とかしなければいけないのじゃありませんかと言いたいわけですが、どうですか。
  39. 福永博

    ○福永政府委員 業務方法書に定められておりますことは、私先ほどお答え申し上げましたことでございますし、また先生ただいまの御意見のとおりでございます。確かに業務方法書では、こういった場合、無償で貸与してよいという根拠はございません。そういった点におきましては、業務方法書等関係規則を検討してみたいと思っております。  ただ実際にこの貸借の契約をいたしますにつきましては、契約書を取り交わしておりまして、このかき研究所の方に、この物件を運営するについて必要な経費の負担でありますとか、善良な管理者の注意をもって管理をするといったような条項を盛り込みました規定を定めております。それで、この契約書は四十二年の十一月からでございますけれども、毎年一年契約といたしまして、一年ごとに更新する、こういうような契約書をもってやっております。
  40. 原茂

    ○原(茂)委員 あとの説明、実はもう知っていて質問しているのですが、契約書がきちっとしているからいいんだよという意味じゃないでしょうね。私の言っているのはわかっているのでしょうね。
  41. 福永博

    ○福永政府委員 私、最初の方で申し上げましたように、規定類等の整備検討してみたいと思います。
  42. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、これにも関連して、先ほど会計検査院の指摘にありましたように、国の物品管理が適切でないと認められたものが五十九点一億三千百四十一万円の多額に上っておりまして「さらに、これらの物品を含めて、現在受託者に保管させている物品の中には、国の」云々という会計検査院の指摘がございました。内訳を見ると、なるほどずいぶんあります。コンピューターほか三十一点だとか、分光光電光度計ほか十点とか、金額にして確かに八千万なり二千万というような、合計がいま言った合計になる。これも取るべきものは取る、廃棄処分なら廃棄処分にする、何とかということをきちっとやってないよという指摘を会計検査院から受けたと思うのです。これは今後どうするつもりですか、この科学技術庁本庁の問題は。どういうふうに処置をしますか。
  43. 石田徳

    石田政府委員 指摘を受けましたのは四十九年の三月でございました。その後会計検査院の指摘の方針に従いまして処理いたしました。現在のところ残っておりますものは、昨年の十二月三十一日現在で八十二件になりまして、それ以外のものは管理がえ、売り払い、あるいは有償貸し付け等の処分をいたしました。八十二件につきましても、目下売約済みと申しますか、希望者が大分出ておりますので、近々のうちにはほとんど全部を処理する予定にいたしております。
  44. 原茂

    ○原(茂)委員 これも同じような問題ですから、正確に処理をして、この種の、何かこうだれかが知らないうちに得をしたような感じにさせないようなことを、この際特に注意をしていただく必要がある、こう思います。  それから次に、この間の二十九日のNロケットの発射が成功いたしまして、今度は「うめ」という名前をくっつけたそうですけれども、これについて二、三お伺いをしておきたいのですが、その前に東大が打ち上げたのが、この間三段目の点火をさせないで落ちたわけですが、その原因と反省点というようなものをひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。
  45. 犬丸直

    ○犬丸説明員 先般の東大の第四号科学衛星が失敗いたしまして、まことに多額な国費を使ったこの実験が失敗いたしましたこと、大変遺憾に存じております。ただ、関係者の学者の方々は大変御熱心に進められて、結果、こういうことになりましたので、やはり新しいことを始めます際には、いろいろな必ずしも直線的には進まないということがあるのだということを理解しておりますので、そういう点でひとつ御容赦いただきたいと思います。  ただ、その原因につきましては、これははっきり究明いたしまして、今後二度とこういうことのないようにということで、関係者の中で委員会をつくりまして精密に調べております。ただいままでに判明いたしましたところによりますと、幸いにその原因は、それほど致命的なと申しますか、そういったものではありませんで、姿勢制御装置がございます。打ち上げましたときに七十五度の角度で上げ、それから二段目のときに五十度、それから最後に水平に打ち出す、実際にはちょっと俯角でございますけれども、そういう装置を中に内蔵しておりまして、その角度指令を出す電波の何かの間違いで、二段目のときにすでにもう水平になってしまった、そのためにおりてしまったもので、その後の三段目への点火を中止いたしまして、そのまま海へ落としたということになるわけでございます。  なぜそういうことが起こったのかということにつきまして、いま精密に調べておりますけれども、原因はそこの局所だけだということが判明いたしましたもので、今後の衛星計画には大きな変更なしに進めていけるのではなかろうか、こういう見通しを持っております。
  46. 原茂

    ○原(茂)委員 犬丸さんにもう一度その点でお伺いしたいのですが、このロケットは全体的には国産というたてまえですが、相当の部分をアメリカならアメリカの部品なり技術を導入しているということがあるとすれば、何割ぐらいが外部の技術であり、何割ぐらいが国産なんでしょうか。
  47. 犬丸直

    ○犬丸説明員 この東大ロケットはほとんど全部と言っていいぐらい国産技術開発いたしました。初めからもうペンシルロケットのころから全く独自に進めようということで進めてまいりまして、もちろん細かい部品、詳細に調べますれば多少輸入品等もあろうかと思いますけれども、これはちょっといま私詳しく存じておりませんけれども、ほとんど一〇〇%国産だと思っております。
  48. 原茂

    ○原(茂)委員 そうしますと、今後はNロケット二号機が、あるいは一号機ももちろん成功したから一〇〇%成功したわけになるのですが、素人の私どもが考えると、アメリカのほとんど技術が入っている今度の二号機の成功、それと国産で大部分をやろうとしたものとの技術の差が出てきたんだというふうに端的に理解してよろしゅうございますか。
  49. 犬丸直

    ○犬丸説明員 東大が開発してまいりましたロケットと、それから宇宙開発事業団の方で開発しておられます人工衛星とは、目的が大変違いまして、東大の方はあくまでも科学衛星ということが中心でございまして、ペイロードも六十八キロでございますか、六、七十キロという小さなものでございます。そして宇宙空間の研究ということが重点になっておりますので、それから東大の場合は技術そのものが固形燃料を使うロケットでございます。宇宙開発事業団の場合には液推ロケットを使っておるというふうなことで、系統が違いますので、必ずしもそこに日米の技術の差があらわれたというふうには考えておりません。
  50. 原茂

    ○原(茂)委員 私は、今度の成功した二号機といえども科学衛星だ、ちっとも科学衛星と変わらないじゃないかという、これは素人だから乱暴な考えを持っていますが、何も実験衛星と科学衛星と区別した、その科学衛星の一種だと、この程度のものは見ていいのではないかとすら考えているから、そういう言葉の上で違いがあるという点では理解できないのですけれども、もっと端的に聞きたいのは、東大が将来は国産でどこまでも貫いていこうという——もちろん目的が違うから、どうしてもそれでやるのだという方針でいくのか、あるいは万が一この次不成功に終わるようなことがあれば、どこかをまた外国産で補てんをしていくというようなことができるのか、そういう考えになることがあるのかどうかを、それをお伺いしておきます。
  51. 犬丸直

    ○犬丸説明員 わが国の宇宙開発の全体計画につきましては、総理府に置かれております宇宙開発委員会で総合的にわが国の戦略を、何と申しますか、方策を策定しておられます。その中に沿いまして東大の宇宙ロケットもその一翼を担っておるわけでございます。それで東大のロケットの場合には、一応いまやっておりますミュー3C型のロケット、これが信頼性を確立するまでは、とにかく東大でおやりなさいというところまで御了承をいただいております。それから先につきましては、まだ御了承をいただいておりません。将来はこれを開発事業団の方でおやりいただいているものとどういうふうに絡ませていくかということが、今後の課題となっております。それでございますので、どこまでもこれは東大がいまのロケットを先へ先へと進めていく、こういうことにはなっておりません。将来はその辺をよく総合的に考えていこうということになっております。
  52. 原茂

    ○原(茂)委員 これは大臣にお答えいただきたいのだけれども、こういう東大の場合でも何回かやっているうちに三回、四回、最近成功していますし、今度は不幸にして不成功に終わったのですが、非常に大きな可能性があるということは間違いないわけですね。だから期待はできるのですが、これも私のような素人が大胆なことを言うのですが、この種の開発をしようとするときには、最も理想的な外部の技術があり、あるいは固形燃料を使った、外部に成功している例がもしあるというときには、外部のその技術、外部の材料、外部のものを使いながら、同時に、いま東大のねらっているほとんど純国産という線でいくという二本立てでやっていく研究をさせないと、本当の研究の成果というものを早くつかむのにむずかしいのではないだろうか。国内でやらなくても、外国でやっている例を、データを見ているからわかるのだということなんでしょうか。そのデータさえ十分に検討すれば、外国の例を検討すれば、同時に日本で二つやってみる必要はないのだという自信がおありなのかどうなのかを、基本方針としてどう考えているのかお伺いしたい、それが一つ。  それから、今回のNロケットのISSを載せた二号機が成功した。一段、三段とも全部アメリカ製、二段が日米混血ということになるのですが、これを今度は逆の立場で国産化へ向けて技術開発をやっていこうというような考えはありませんか。
  53. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 実は前段の問題は、特に大変デリケートな問題でございまして、誤った答弁はできませんので、担当局長から御説明をさせます。
  54. 大澤弘之

    ○大澤政府委員 お答え申し上げます。  自主技術と、それから外国から有効なものを入れるべきところは入れて、組み合わせながらだんだん育てていくというような先生のお話は、宇宙開発事業団のロケット開発につきましては、そういう方針で少しずつ自主技術をつけていくということに努力をいたしております。と申しますのは、先生御高承のとおり、ロケット技術と申しますのは、特に日本が対象といたしておりますのはアメリカでございますが、非常に格差が大きゅうございまして、やはりそれにできるだけ早く追いついていこうというためには、自主技術、自主技術ということだけで進むということでは、なかなか時間もかかり、大変なことだということで、先生ここで先ほどお話しのような形で宇宙開発事業団は進めております。  それから後段の、それではどのくらいかというような感じでございますが、ここに私ども宇宙開発事業団の今度二十九日に上げましたNロケットということでの国産化率というものを一応はじいてございますが、第一号機当初は三五%から、これは勘定の仕方がいろいろあるものでございますから幅があるのでございますけれども、大体三五%ぐらいが日本で製作をされたお金ということになっておりますが、これを二号、三号というふうに五%ぐらいずつ上げてまいりまして、五号機の段階では五〇%ぐらいのところまで持っていきたいということで進めております。  なお、それは日本の製作費でございまして、技術の導入もしておりますので、その導入費は別にまた払っておるというようなことでございますので、どんどん自主開発で国産化を進めてまいりたいのでございますけれども、そんな事情でやっておるわけでございます。
  55. 原茂

    ○原(茂)委員 アメリカ技術がこの種の技術としては非常に優秀で、とにかく国際的にも先鞭をつけて幾つか上がっているわけで、成功していますが、その一番確実な技術がつくり上げられた原因というのは、やはり指摘されているようにデータバンクの確立、その活用というのが徹底的に行われたところに非常な成功をおさめた原因があると思うのです。  やはりわが国もデータバンクをどこが推進するかといったら、私は科学技術庁以外にないのじゃないかと思うのですが、やる、やるということになっていながら、ちっともまとまってできていない。いまのような東大、あるいは今回の宇宙研の成功、いろんなこともあるでしょうが、やはりアメリカの例を見るまでもなく、ある種の基礎研究といいますか、この種の技術は基礎的な研究というものが非常に大事なんで、最もすそ野の広い、いわゆる全世界的な、全国的なデータを、大変なことですが、やはりコンピューターを駆使して、その中から実験したと同じような貴重なデータというものを抽出して、これを集約していくようなデータバンクに対する力をいま思い切って入れていかないと、ずいぶんむだが出るのではないかという感じがするのですが、データバンクを口には言われていながら、いまだに確たる機関としてでき上がらず、それが大きな成果を上げるまでに至っていない日本の現状を考えたときには、これに早急に手をつけて国家的な強い力でデータバンクの設立とその利用方を考えていかないことには、どうも国費のむだと言っては——むだがあって当然ですから、研究はいいのですが、成果を有効に上げていこうというのにはほど遠いのではないかという考えがしますが、データバンクに関する考え方を、できるなら大臣が考えているならお聞かせいただきたいと思う。
  56. 大澤弘之

    ○大澤政府委員 先生御指摘のとおりと思っております。  宇宙開発事業団では、現在自主技術をこれから先伸ばしていこうということのためにデータの積み上げはいたしたのでございますけれども、先生御指摘のような、むしろ外に向かってこれを開くようなデータバンクということにつきましては、今後の情勢を見まして、つくる方向で進めていきたいと思っておりますが、現在まだその段階でございます。
  57. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣、いまお聞きのとおりなんで、大臣はもちろんこの方をずっと古くから手がけた方ですから、ある意味では専門家と言える立場にあるのですが、このデータバンクは、いまのように部内では積み上げ方式でやっているのだと言っても、これは当然やらなければできないからやるのだけれども、思い切ったアメリカ式のデータバーンクが日本にできるように、長官としても強い決意で実施するという、あるいはその意欲を示しながら部内に対して指導的な、ひとつ意識的な力を示していただかないと、いつまでも一局や一研究所がやりたい、やりたいと言ったままで一日でも半日でも過ごしていることは、非常にもったいないじゃないかと思うし、これは非常な決意で長官が、ならば手柄に大至急に確固たるものをつくるというようなことをしないといけないのではないか。単なるロケットばかりの問題ではないわけですから、ぜひひとつそういう方向で決意をもって実施に移していただかないと、まずいなという感じがしましたので、これを言いたいので実はこの問題についてお伺いをしたわけですから、長官の決意をひとつ示していただきたいと思います。
  58. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 これは大変重要であるのみならず、貴重な御意見でございまして、お説のように今後前進すべく真剣に研究してみたいと思います。
  59. 原茂

    ○原(茂)委員 それからわが国のこの種のいろいろな研究開発の問題に関していろいろ問題点が指摘されて各方面から論議が起きているわけですが、いまの国立研究機関の研究のあり方というものに一工夫加えるとか再検討するとかしないといけないという問題もあるのではないかというふうに考えますが、現在行われているような、端的に言いますと学者が、研究者が自主的に、自分の気ままと言っては恐縮ですが、研究をしている、それに国の費用が使われているというのが国立研究機関内における研究の実態になっている。実態はその方に近い。やはりある程度目的研究というものをぴちっと方向を示しながら研究をしていくような形に、大まかに言うなら改めていかないといけないときが来ているのではないか。効率的な研究という意味ではそういう考え方を強く取り入れて、これから国立研究機関内における研究のあり方を是正していく必要があるのではないだろうかという考えがしますが、この点はどうですか。
  60. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 ただいまは御承知のように経費の見積もり調整ということでその線を基本にいたしまして、特に特別研究等目的のはっきりしたものは、あるいは何々が来年度、あるいは今年度重要なテーマかといったような点をそれぞれ予算編成の前に示しまして、その線に沿うて重要な研究を進めるようにという指導をしておるわけでございますけれども、御承知のように原子力経費の配分計画まで科学技術庁が持っておりますから、大変強力に進め得るわけでございますけれども、その他全般の研究の部分に関しましては、経費の見積もり調整という、いわば指導方針を示すのが現在のたてまえになっておりますので、それほど強力に予算でどうというわけにまいりません。  しかしお説のように、いままでのままでよろしいかといいますと、油の問題以来、あるいは安定経済等の現状、あるいは公害問題等いろいろ考えますと、科学技術の振興が非常に強く叫ばれておる現在でございますので、従来のままで、あるいは従来の惰性のままでよろしいかといいますと、私はそれではいかぬのじゃないか。この際研究のあり方等は、特に国の研究機関でございますから、もう少し創意工夫をこらして実際にいまの時運に沿い得るような行き方をとるべきではないかと思っております。
  61. 原茂

    ○原(茂)委員 おっしゃるとおりだと思いますし、御理解があるようですが、もう一度重ねて申し上げておくと、経常研究というものを徹底的に改める、そして目的研究にしぼっていくというようなことを基本的な思想として貫いていくような方向転換をさせないといけないのではないかという考えがある。それが一つ。  もう一つは、通産省、科学技術庁——科学技術庁は金属で何だかんだ、通産省は何だかんだというような縦割りがそのまま、これは日本行政の最大の欠陥なんですが、縦割り行政各省庁ごとに行われている。これは横の連携ができることにはなっているのですが、非常に非効率的な連携があるだけであって、有機的に、国家的に一元化された有効な作用をしないという点が、大きな国立研究機関を考えたときの二つ目のむだだろうと私は思う。その意味では、大臣もそういう認識がおありのようですからお願いをしておきますが、大至急に国立研究機関における経常研究に徹底的なメスを入れる、そして目的研究に思い切ってしぼっていく。同時に各省庁ごとの縦割りと行政というものを、一元的に連携がとれるような総合的な研究の成果の集約機関ができるようにする。それが有効に利用される機関ともなり得るような、そういった一元的な機関の構成を考えるということを、これは長官はこの方の一番ベテランだと私は思っておりますので、ぜひひとつ今後の行政の中における研究開発という問題で、新しいテーマとして取り組んでいただくように、この機会にお願いをしておきたいと思いますが、いかがですか。
  62. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 そのとおりだと思いますので、その方向で努力いたします。
  63. 原茂

    ○原(茂)委員 前に経団連が、少なくとも国民所得の三%ぐらいはこの種の研究開発につぎ込んでもらいたい。しかし現状では、なかなかそこまでいかない。いまの経済の実態等からいくと、希望するところとは逆にだんだん民間研究開発というものはしぼんでいく。したがって、その分だけどんどん思い切って、本来三%までまだいっていないのだけれども、せめて三%を目途にした国のそういう大きな目的を持った推進をしてもらわないと、いまの経済の状態からいくと、どんどん民間研究というものはしぼんでいくのだから、その穴埋めをぜひ国の方でやってもらいたいものだという意思表示がありましたね。  これは当然だと思うので、その三%が急に実現するとは思いませんが、現在のところ約二・一七%くらいですが、それを三%に近づけるその一歩手前で、いま民間研究開発というものがどんどんしぼんでいく分だけは、せめて穴埋めをするという意欲的な姿勢で、この技術あるいは研究開発というようなものの指導的な役割りを科学技術庁が果たすようにしていただかないと、ことしだって実際には景気はよくなりませんよ。去年が悪くて、ことしはよくなるなんて言っていますが、とてもじゃありませんが、企業全体から見たら、よくなるなどという状態には、ことしもならぬと私は思うし、ぐっとしぼんでいくという危険があると思うので、それにかわる意欲的な姿勢を、やはり科学技術を指導する担当官庁としてお持ちいただかないと、相当の期間むだになってしまうだろうと思うので、この面の思い切った意欲を示した指導を、しかも予算の裏づけを含めてやっていただかなければいけないのじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
  64. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 御承知のように、現在は二・一五くらいで、五号答申でございますか、科学技術会議で出しました三%にはほど遠い状況であることは御指摘のとおりでございます。何とかその線に近づけたいということで努力はしておるのでございますけれども、なかなかむずかしい問題でございまして、特にこれは私見でございますけれども、アメリカ等のような資本が自己資本中心で蓄積が豊富だというところでは、寄付財団といったようなものが中心になりまして研究をどんどん進め、あるいはシンクタンク等のああいう新しい機関も非常に整備しておるようなところと違いまして、日本では、民間の資力だけでは、とうてい目的を達せられないわけでございまして、さればといって、いわば研究は最大の投資だという戦後よく言われましたこのテーマは、いまでもその必要は増しこそすれ減っておらぬわけでございますから、やはりこういう財政的に非常にむずかしい状況下にあっても、国といたしまして、特に日本のような、その必要性が大いにあるにもかかわらず、民間のそういう情勢等は必ずしも列強並みではないという事態におきましては、やはり国自体がもっと力を入れて、そうしてそれに近づけていくというのが一番正しい方向だと思いますので、そのために一体どういう方策が必要なのか、いろいろやり方があると思います。税の問題とか、あるいは特別会計をどうするとか、いろいろやり方があると思いますけれども、そういう面等も大きい研究課題の一つかと思っております。
  65. 原茂

    ○原(茂)委員 次は、シートピア計画をちょっとお伺いしたいのですが、五十年度で一応百メートルの実験も済んで終わりという、目的を果たすことになるわけですが、百メートルで、あれは終わるのでしょうか。やはり潜水技術の実用化を目指したという意味でいうと、百メートルでは中途半端で、しかもその利用とか総合研究という立場では、さっきの縦割り行政が災いしておるかどうか、われわれ素人が見ても、もっと有効にああいったものの研究利用というものがあってしかるべきだと思うが、それができていないという不満もありますが、百メートルで終わったのでは意味がないので、今後のシートピア計画として何かお考えを持っておるかどうかをひとつお伺いしたい。  抽象的に言ってもしようがないでしょうが、仄聞するのに、二百五十メートルぐらいが次の目標として考えられるというのですが、であるとすれば何年計画で、どういう状態で、予算もどの程度見込んでやろうとするのかも、時間がありませんから端的に説明をいただきたい。
  66. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 御承知のように、ただいま百メートルの実験が成功したわけでございますけれども、それはそれとして、その実験を基礎にして浅海におけるいろいろな実験は今後進めねばなりませんが、同時に少なくとも大陸だなの今後の開発に相応するような、言うなれば三百メートルくらいの深さまでの趨勢研究というものは、当然今後私は進めらるべきだと思いまして、ただいまその計画を画策中のようでございますので、担当局長から詳細御報告申し上げたいと存じます。
  67. 大澤弘之

    ○大澤政府委員 大臣いまお話がございました三百メートルの潜水作業システムの確立を目指しまして、科学技術庁では百メートルの経験を生かしまして、向こう五年間で三百メートルの潜水システムを完成いたしたい、こういう計画を立てております。  それからもう一つは、百メートルは海洋科学技術センターというところで行ったわけでございますが、この技術の実用化ということにつきましても、もう少しシステムをちゃんとしまして、つまりたとえばアクアノートが回復をするまでにかなりの時間をかけて、あれはやったわけでございますけれども、もう少しその時間を短縮することができるのではないか、それが短縮されますと、実用ということには非常に便利になるというようなこともございますので、動物等を使ったりしながら時間の短縮ということについても開発を進めていきたい、こういう二つの目標を大体五年間で、いまのお金で私どものつもりでは五十億ぐらいの研究開発を進めていきたい、こう考えておるわけでございます。
  68. 原茂

    ○原(茂)委員 続いて核融合の問題をちょっとお伺いして終わりますが、現在、日本で国際的にもこの面における技術開発が、ある面で評価されるまでになりましたプラズマの問題ですが、これが将来、いかにも第三の火、クリーンでというような宣伝がされておりますために、核融合炉ができれば大変なエネルギーが、しかも海中の無限の資源によってできていくのだというような感じだけが、うまくさらっと流されておるのですが、私は、いままでの研究の成果その他のことはある程度頭に入っていますし、こまかいことはわかりませんが、ですから、その経過をお伺いしようというのではない。  そうでなくて、核融合というもの自体がやがて国際的にも成功をする段階がいつか来る。日本でも成功をしたといった段階が来たときの、三重水素の汚染というきわめて危険な処理の問題をどうしていくのか。あるいはまたヘリウム等を考えたときに、アメリカに偏在しておる。アメリカがその提供を拒否した場合には、世界的に核融合発電というものはストップするというようなこともあるし、たとえばある容量の核融合炉をつくったという想定をしましても、相当広大な土地が必要になってくる。これを最初に動かそうとするときには、たとえば二十万キロワットの原子炉三本くらいのものを一ぺん突っ込まない限り、これが始動しない。一体そういうことができるのだろうか。  こういうような問題を考えてくると、いままでの原子力発電でもそうでしたけれども、一体それが周辺にどういうような悪い影響を与えるのか、あるいはそれが効率的に利用されようとするときの住民環境は一体どうなるのだとか、あるいはその前にまた安全性だとか廃棄物の処理の問題とか温排水の問題でございますとかということが、いまだに完全には検討がし尽くされないままに原子力発電が先行したというようなことからくる大変たくさんの貴重な反省点が現にあるし、それに対処するのに非常に困難をしておるというようなことを考えますと、原子力発電そのものを考えた場合と同じように、この核融合というものを実際に実用化したときに何が起きるかを、それは未知数ばかりでしょうが、徹頭徹尾検討を十分に行って、それに対していま想像できる範囲でこういうふうにやっていくのだ、こうすればよいのだというようなことを、いま私が例に四つ申し上げました将来に対する懸念がある。まだ十幾つの懸念が私ども素人でもわかるのですが、それに対してはこうするのだというような研究が盛んに行われていないと、原子力発電と同じ轍を何十年後にまた踏む。  そういう轍をまた踏んではいけない、こういうように思うので、その面に関する研究なり思い切った取り組みを行っていかないと、原子力発電でこりた大衆が、核融合という、ただすらっと第三の火である何であると言われていいように思っていますが、貴重な経験を積んでおる大衆ですから、国民大衆の側から大きな危惧がすぐ近い将来出てくるだろう。それに的確な答えが出ないと、いま何千億という大きな金を使って核融合に関する成果を求めていっても、技術開発されたが、実際には実施できないということの危険の方が多いのじゃないかという気がします。こういうものに対する配慮というものは相当されていないといけないと思いますが、この点の検討なり研究というものに対して、しかも骨組みをつくって組織的にやっているのか、やろうとしているのか、どうお考えになっておるのかを、逆の立場できょうはお伺いします。
  69. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 自主開発をしております新型炉、すなわちファストブリーダーとか高温ガス炉あるいはATRとかいったものは、自分で開発しているわけですから、その安全サイドに対する問題も研究の中心問題でございまして、繰り返し繰り返し、この問題の研究は進めつつ開発をしておるのでございますから、軽水炉のように向こうでできたものを、そのまま輸入するというのとは大分わけが違うと思います。核融合の場合も前者の場合でございまして、自分みずからの手で開発しつつございます。  したがって四十八年、四十九年ごろまでは核融合懇談会というものがございまして、その中の技術分科会でございますか、伏見教授が首班になりまして、いまお話のございましたようなあらゆる問題点等は丹念に研究しておると思っております。特にいまお話のございましたトリチウム等は一体どうなのか、あるいはヘリウムの獲得等はどういうことなのかとか、試掘の問題等もいろいろ御指摘のように今後大きい問題になってくると思いますけれども、いままでずっと研究いたしまして、去年の暮れに大学の研究と、原子力研究所あるいは理研等で進めます研究等全部総合いたしまして、国として総合的にこの問題は進めようということで、核融合会議というものを原子力委員会の中につくりまして、お話しのように自分の手で開発していくわけでございますから、いま御指摘がございましたような問題は、自分自体で解決しながら、それを見きわめた上で実際の実用というところに進むべきだと思いまして、決してそれ自体がクリーンだというふうな安易な気持ちで問題を進めてないと私は承知しておりますが、詳しい個別的なディテールに関する問題は、担当局長から御説明申し上げたいと思います。
  70. 山野正登

    ○山野政府委員 ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、この核融合のプラスインパクト、マイナスインパクトにつきましては、いま御説明のありました各種懇談会あるいは核融合会議といった場で研究の進展に応じながらアセスメントをいたしまして、進めておるところでございます。先ほど先生が御指摘になりました、たとえばトリチウムが漏れないかといったふうな問題等につきましても、まだ現在の段階ではきわめてラフな状況でございますけれども、たとえば一例として申し上げれば、現在の知見における核融合炉の設計によりますれば、このトリチウムの漏洩は、大体一日当たり十キュリー程度と想定されておりまして、五十メートルないし百メートルのスタックから放出いたします場合には、環境に放出いたします線量といたしましては、大体年間に一ミリレム程度といったふうな検討も行われております。  こういうふうに、将来にわたってのこのマイナス面の検討というのは、たとえばいま一つ例示を申し上げれば、ヘリウム資源の問題でございますが、これにつきましても、先生御指摘のように、もちろん有限なものでございまして、ただいまのところ米国等を中心にしました地下資源に頼っておるのみでございますが、これも空気中からのヘリウムの採取ということも将来技術的に可能になり得る問題でございますし、またこのヘリウムによります冷却にかえまして、水素による冷却といったふうな面での技術開発ということもあり得ることでございますので、そういったふうなもろもろの点につきまして、先ほども御答弁のございました各種の懇談会あるいは核融合会議等におきまして、環境の専門家等も加えながら、しさいに検討を進めておるところでございます。
  71. 原茂

    ○原(茂)委員 これで終わりますので、最後大臣にお答えをいただきたい。  核融合を考えたときに、いまの原子力というものは、つなぎの役目をするのだ、核融合によってやがて取ってかわるのだ、いわゆる安定したエネルギー源をここに求めるのだ、終点は核融合だというような考えで原子力をつなぎに考えていくという考え方があっては大変危険だと思うので、私はこの面に関する大臣の考えをひとつお伺いしたいのです。  それからもう一つ最後にお伺いしたいのは、やはり原子力委員会のもとでやることは差し支えないのですが、核融合に関する限りは、独自の核融合研究所というようなものをぴしっとつくって、ここで総合的な研究開発を行うように、独立研究機関をつくるべきではないかという考えがしますが、いかがですか。
  72. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 後段の面からまず御説明申し上げますが、私も実は原子力委員会でも独立した研究所をつくるべきじゃないかという主張をしたこともございますけれども、各委員の皆様の御意見では、先ほど申しましたように、大学と原子力研究所等、それぞれ様式の違いました開発をしておるわけでございまして、そういう点を総合する意味で、現在の段階では、その研究者の皆さんが集まって、そうして会議という形式で意見交換をしつつ、だんだん問題を詰めていったらどうだろうという御意見で、去年の暮れ、先ほど御説明申し上げましたように、核融合会議をつくりまして、ただいま進めつつございます。行く行くはそういう研究所というものは必要かと存じますけれども、その前段として、いまの原子力研究所で行っております核融合研究を、ちょうどアイソトープの研究を切り離したと申しますか、ブランチにしたように、ああいう形態をひとつ踏んで、その上でという実は考慮もございまして、そういう点もあわせてただいま研究中でございます。  それから前段の、いまの軽水炉から核融合まで、したがってまた核融合が完成に近づけば軽水炉はいいんじゃないかという御議論は、私ども決してそういうように考えておりません。先ほども御説明申し上げたように、軽水炉そのものの改善、標準化と、さらに効率を上げる研究も必要でございましょうし、また、軽水炉自体の使用済み燃料から再処理をしてプルトニウムを取って、そのプルトニウムを、いわば純国産的なエネルギーでございますから、これを使いまして、あるいはみずからファストブリーダーでさらに効率的な増殖した意味のプルトニウムをつくって、それを燃料にしていくという非常に重要な研究もただいま進めておりますし、また、多目的高温ガス炉などで千度以上の熱が取り出せるようになりますと、だんだんこれに工夫をこらしてまいりますれば、多目的に使うのみならず、主として水から水素を取り出して、水素経済という段階までもこれを利用しようじゃないかというふうに、核融合に至る前段階におきまして、軽水炉そのものの改善のみならず、いま申しましたように、ファストブリーダーとか、あるいは水素経済に備えるような多目的高温ガス炉といったような研究も進めてございますので、それこれあわして、私は総合的に問題を処理していくべきだというふうにただいま考えてございます。
  73. 原茂

    ○原(茂)委員 終わります。
  74. 村山達雄

  75. 庄司幸助

    庄司委員 私は、きょう最初、いわゆる航空宇宙技術研究所、ここで研究なすっている航空機関係の研究の問題についてお伺いしたいと思うのです。  日本の航空機製造、特に民間機の場合でありますが、これについて言いますと、いまの国際的な状況から言えば、非常に立ちおくれがあって、一九八〇年、八五年を目指すいわゆる開発については、なかなか見通しがないと言われております。そういう点で、共同開発というのは当然これは考えられることでありますけれども、しかし、わが国の自主性の問題、これが非常に大事な問題だろうと思うのです。  なぜ私が自主性の問題を強調するかというと、それは今度のロッキードの疑獄問題を見ましても、やはり航空機産業、これとああいう多国籍企業の悪質なやり方、政府高官までも買収するようなやり方、こういう問題が絡んでくるわけですね。これはひとり日本だけではなくて、もうスウェーデンにしろ、西ドイツにしろ、イタリアにしろ、世界各国が絡んだ大疑獄事件になっているわけです。そういう点で、航空機開発技術的な協力の問題、こういう問題がもし起こったとすれば、これもって大変だし、また、そういうおそれも、ああいうロッキードのやり方から見ると、単なる杞憂ではないだろうと思うのです。そういう点での自主性の問題が非常に私は大事だと思うのですが、その点で、まず具体的な問題から伺ってまいりますが、最初通産省の関係にお伺いします。  YXの開発について、通産省は大体どういう機種を開発しようとしているのか。民間輸送機開発協会のパンフレットを見ますと、二百人から二百四十人くらいの、中型といいますか、大型とは言えないだろうと思いますが、こういうものを一つの目標にしているような節もあるわけですが、大体通産として、どういう方向を目指しておられるのか。  それからもう一つは、これもロッキード問題で妙な話が出ておるわけですが、これは通産とかかわり合いがありますので、まず聞いておきますが、コーチャン社長が時の通産大臣の田中さんを訪問した。ところが、きのうの鬼証人の証言によりますと、何か通産省内に方々電話をかけて、やっと探し当てたのが官房長だ、それでアポイントメントを取りつけてコーチャンとその他が行った、こういう証言をしております。一方では、田中前総理の秘書の方が、いやこれは通産のアポイントメントで行ったんだ、これは何か機械情報産業局とかなんとかという言葉が出ておりましたが、その辺と直接アポイントメントがあったんだというような話もあるし、私どもの参議院議員の橋本さんがコーチャンと会って聞いたら、丸紅からアポイントメントをとってもらった、こう言われておりますが、その辺のアポイントメントの取りつけ方、これは通産はどうだったのか、これをひとつまずお伺いしておきます。
  76. 井川博

    ○井川説明員 御質問の第一点は、現在開発しようとしております民間航空輸送機の自主性の問題でございます。  先生お話しのように、YS11に次ぎますわが国民間旅客輸送機といたしまして、YX計画というのを進めてまいっておるわけでございますが、これは大体二百人から二百四十人乗り、航続距離にいたしまして千五百から二千七百ノーチカルマイルというふうな長さ、また、エンジンも騒音が低くて低燃費のものということで、わが国に十分使えるような中短距離輸送機というものを頭に置いておるわけでございますが、これもお話のございましたように、最近の国際的な趨勢といたしまして、航空機の開発では国際共同開発、大変多額の開発資金が要りますために、一国だけではなしに、数カ国集まってやろうという考え方がございます。  わが国におきましては、いまお話のございました民間輸送機開発協会を設立いたしまして、相手国といたしましては、ボーイング社を選んでおるわけでございます。ただ、ボーイング社のほかにイタリアのアリタリア社、現段階では日本、イタリア両国が加わりまして、三カ国で共同開発をやっていこうではないかという相談が進みつつあるということでございます。  実はこの点につきましては、四十八年以来そういう方向で進んでまいっているわけでございますが、国際的な航空事情が、不況のために、航空会社の将来機需要というものが未確定であるというふうな点もあって、延び延びになっておるわけでございますけれども、五十一年の半ばくらいまでには、この共同開発にめどをつけたいということで、現在鋭意交渉中でございます。  したがいまして、その正確な中身はまだ決まっておりませんけれども、お話の自主性につきましては、もともとYXがわが国内の航空事情に適応するようにということでございますし、他面、国際共同開発をいたしますけれども、わが国の航空機技術の向上ということが一大眼目でございますので、ボーイング社の交渉におきましては、当然開発面においてわが国としての自主性が十分保てるよう現在いろいろな話し合いを進めている、こういう段階でございます。  それから第二点の、当時の田中通産大臣をロッキード社のコーチャン社長が訪れた場合に、どういうふうなアプローチがあったかということでございますけれども、四十七年当時のことでございまして、現在記録が残っておりません。表敬訪問があったということがわかっておるわけでございますが、それがどういうアプローチがあったのか、私たちもいろいろな話が来ておりますので、調査をいたしている段階でございますが、どういう段取りで、どういうかっこうで参ったのか、現在のところ明らかになっていない次第でございますので、御了承をお願いしたいと思います。
  77. 庄司幸助

    庄司委員 いま調査中だというお話でございましたが、これは大事な問題ですから、ぜひ調査を急がれて、御報告をお願いしたいと思います。  それでは本論に入りますが、このYX開発の問題について航技研、航空宇宙技術研究所、これはどんなかかわり合いを持って、あるいはどんな研究の共同とか、そういう問題で、このかかわり合いがどういうふうにつけられているのか、その辺ひとつ御説明願いたいと思います。
  78. 大澤弘之

    ○大澤政府委員 お答えいたします。  航空宇宙技術研究所は、御高承のとおり航空宇宙関係の技術につきまして広い部門を持っております。空気力学の問題から、エンジンの問題から、飛行特性の問題から、あらゆる部門をそろえておるわけでございますが、YXの開発につきましては、先ほど通産省の方からお話がございました民間輸送機開発協会というところが担当いたしておりますので、航空宇宙技術研究所の関係は、その協会からの委託に応じまして新しい航空機の開発に必要な試験研究を行っておりますし、また、同開発協会に対しまして関連設備の供用を行っております。
  79. 庄司幸助

    庄司委員 それで航技研としては、このYXについてどんな機種を目指して関心がおありなのか。つまり、YXそのものに相当の重点を置いて研究をされておられるのかどうか、その辺ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  80. 山内正男

    ○山内説明員 お答えいたします。  YXに関連いたしまして、ただいま研究調整局長から御説明がありましたとおり、民間輸送機開発協会からの委託に応じまして、主として空気力学的の性能をはっきりさせていこう、よりよい空気力学的性能を出す航空機の形状、主として主翼の問題でございますけれども、それの方の研究を推進しております。  それで、これは必ずしもYX直接の関連ではございませんで、今後わが国でつくり出されていきます。ジェット輸送機に対して、なるべく遷音速特性のよろしい翼型をどのようにしてつくっていったらいいのかというような問題に取り組んで、研究を進めておりますけれども、こういう研究の推進の段階におきましても、YXに対して提供し得るデータを極力提供していこうという心構えで、現在研究を進めておるわけでございます。
  81. 庄司幸助

    庄司委員 そうしますと、YX関係では主翼、空気力学的な性能の委託研究といいますか、こういうものを受けておられる。これは委託研究なんですか、それとも設備の貸し付けなのか、その辺どうなんですか。
  82. 山内正男

    ○山内説明員 これは両方ございます。それで、委託研究という場合と設備貸し付けという場合は、どういうような使い分けをしておりますかといいますと、YX協会の方におきましてある形を決めて、これの風洞試験を行いたいという場合につきましては、これは受託試験研究という形で風洞試験を行っておるわけでございます。  それから、われわれの方でまだ具体的な翼型というような形が決まっていないで、何種類かの翼型のうちで、どういうものがいいであろうかというような、いわば研究段階に相当するもの、こういうようなものは、われわれの方で知恵を出しながら研究を進め、これを委託研究というような形で引き受けておると言ったらよろしいかと思います。
  83. 庄司幸助

    庄司委員 ボーイングですね、何か風洞実験が、これは設備貸与かどうかわかりませんけれども、ボーイングの試作品、この下請実験をやっておられることはないのですか。
  84. 山内正男

    ○山内説明員 いまの御質問、ちょっとよく聞き取れないところがございましたので、もう一回、恐れ入りますが……。
  85. 庄司幸助

    庄司委員 つまり、先ほどの通産省の御説明だと、ボーイング、これと共同開発をやるという協定ができたというわけですが、このボーイングといわゆる協会が共同開発方向を進めるというわけですから、当然にボーイングとこの協会の間で取り決められた試験研究が、航技研の方にも入ってくる可能性があると思うのですけれども、その点でこのボーイングの関連の試験研究をやられておりますかどうかという質問です。
  86. 山内正男

    ○山内説明員 ボーイング関連の試験研究と申されますと、どういう内容であるか、ちょっとよくわからないのでございますが……。
  87. 庄司幸助

    庄司委員 たとえばいま風洞実験をやっておられますね。これは今度のおたくの概算要求を見ても、「遷音速風洞」、これは「設備貸付」。「研究題目」は「YX風洞試験」となっております。「契約及び貸付の相手方」は「民間輸送機開発協会」だ。これは予算の面での金額は四千二百万、そのうち振興法適用による減額が二千百万で、歳入見込みが二千百万だ、こういう大蔵省の資料がありますが、それで、この遷音風洞実験、遷音速風洞の設備貸与、これは何かボーイングの標準模型でやられているというお話でありますが、その点どうでしょうか。
  88. 山内正男

    ○山内説明員 これはボーイングの方にも風洞がございますし、それからわが国におきましては航技研に遷音速風洞がございます。そこで、両方の風洞の特性が違っていたのでは比較するときに非常に困りますので、ひとつ共通した模型によって両方の風洞特性の比較を行っておく必要があるということがございました。それで、そういう比較試験のために一つの標準模型の試験を行いますのに、民間輸送機開発協会からの依頼を受けて試験をしたことはございます。
  89. 庄司幸助

    庄司委員 それで、私、その点で、自主性の問題で一つ心配なわけですが、これは通産の方に伺いますが、ヨーロッパでは、コンコルドにしても、いわゆるEC諸国が共同開発する、そういう傾向がほとんどですね。アメリカの航空機メーカーの参画はない、こういう特徴がありますが、日本の場合はアメリカのボーイングとアリタリア、これはイタリアはちょっと入っていますが、何か自主的な研究をやろうとすると、非常にアメリカ側からの妨害があるというふうな話を聞いているんです。  こういうことが事実だとしますと、ヨーロッパ各国ではアメリカは締め出しを食っている。しかし日本の場合は、わりと入りやすいというかっこうで、ヨーロッパから締め出されたこの共同開発を、日本に力こぶを入れて割り込んでくるといいますか、そういう心配があるわけですね。前のロッキード、グラマン戦のあのFX問題の非常に大きな問題もありますし、今度のトライスターやPXLの問題もあるわけです。  ですから、こういうアメリカの航空機メーカーのやり方というのは、このあくどさにおいては、もはや日本国民で知らない者はいないだろう。その点で日本の自主的な研究開発が、やはりあの手口から見ますと、このアメリカの航空機メーカーによって相当撹乱されるといいますか、そういう心配があるんですが、その辺、通産の方でつかんでいらっしゃらないだろうとは思いますけれども、ひとつつかんでおられる範囲でもいいし、それから今後の方向として、どうやってああいうあくどい手口を排除していくか、この辺お聞かせ願いたいと思います。
  90. 井川博

    ○井川説明員 お話がございましたけれども、私たちの考え方、認識は少し違っておりまして、現在YX計画、ボーイングとアリタリアでやっておるわけでございますが、ヨーロッパから締め出されたということではなくて、むしろアリタリアのほかヨーロッパが今後入ってくる可能性もあるということを聞いておるわけでございます。  それからもう一つ、同時にヨーロッパの地域内でこれと同じような中距離の民間輸送機開発計画があるために、たとえばイギリスであるとかフランスであるとかが、むしろ自分の方の計画を進めようとしているという動きも聞いておるわけでございまして、ボーイングの7X7計画がヨーロッパから締め出されたために日本へ来たというのは、これは私たちはそうは考えていないわけでございます。  それからもう一つ研究開発についての自主性という点につきましては、まさに先生おっしゃるとおりでございまして、われわれもこの点を今度のYX計画でそうした研究開発上の成果というものをきわめて大きく一つの、一大眼目にしているわけでございます。先ほどお話のございました航空技術研究所への委託云々というのも、実はわが国のそうした技術がボーイングと実際上共同開発に移った場合にでも十分対抗できるようにというふうなことで現在準備段階として勉強している、こういうふうにお考えをいただきたいと思うわけでございまして、われわれが実際上開発いたします場合にも、単純に下請的な一部の生産ということでは、これは余り意味はございません。むしろその開発自体その技術を高めていくところに目標があるわけでございます。そのために、先生先ほど協定が締結されたとおっしゃいましたが、実はその協定を締結を目指して現在検討中でございまして、締結はまだ先でございますが、それまでの間に、わが国がまだアメリカとは懸隔のあるそうした技術について懸命にいろいろ検討している、そのために委託実験その他をやっておるというのが現状でございますので、この点御了承いただきたいと思います。
  91. 庄司幸助

    庄司委員 協定の問題は、これはあるいは覚書が取り交わされたということかもしれません。たしか、何かこの記録を見ますと、パンフレットを見ますと書いてありましたが、私が心配するのは、ロッキードのコーチャン社長がYX問題で、いわゆるこの技術的な協力なり、こういうものをしたいという申し入れをしたんだ、申し入れといいますか話をしたんだ。これはきのうの鬼証人が証言している話なんです。そうすると、ボーイングがいいとは私は言いませんけれども、ロッキードのあのような物すごいあくどい手口ですね、これがすでに、やはり日本側の受けとめ方はどうであったにしろ、彼はやはりそういう意図をもって田中通産大臣に接触を図ったということが明確なわけですよ。ボーイングにしたって、やはり同じ航空機メーカーでありますから、相当強い関心を持っているだろうと思うのです。  ですから、その点でこの日本側の自主性ですね、これはいまから今度の教訓を踏まえても、非常にやはり大事な問題になる。その点ひとつ長官長官の腹構えのほどを伺っておきたいのです。この日本の航空機開発の自主性をどうやって確保していくのか、その点ひとつお答え願います。
  92. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私は、航空関係は全然無関係でございまして、その面に対する私の考えと申しましても、いまここでどうというわけにはいきませんけれども、お説のように、日本科学技術はややもいたしますと自主開発がおくれがちでございますので、その面に力を入れなければいかぬという点に関しましては、一般論といたしまして賛成でございます。
  93. 庄司幸助

    庄司委員 一般論としては賛成だと——ですから、具体の問題であなたの所管の航技研で、私は何も疑っているわけでございませんから、誤解のないようにしてもらいたいのですが、こういうアメリカの航空機会社との共同開発が行われるわけですから、その点やはり具体の問題となってくるだろうと思うのです。その点でひとつ長官、航空機の技術開発予算もつけているわけですから、ぜひ強い関心を持っていただきたいと思います。これは要望だけしておきます。  次は、STOLの問題、これでちょっとお伺いしますが、航技研のいろんな書類を拝見しますと、STOLの研究もなすっていらしたと思います。それからVTOLの研究も宮城県の角田でやっておりますが、このSTOLですね、これについては一体航技研側としては、どういう位置づけをもって開発されているのか。それからYXとの関係で、YX計画の中にSTOLが入る方向なのか。あるいは先ほど通産省の方がおっしゃったような二百人乗りないし二百四十人乗りの方向だけが方向として航技研で考えておられるのか。その辺ひとつ答えていただきます。
  94. 大澤弘之

    ○大澤政府委員 お答えいたします。  STOLの研究につきましては、先生御存じのように科学技術庁に航空技術審議会というのがございまして、そこが昭和五十年の十二月に、わが国に適したSTOLの輸送システムの具体的な推進方策ということで建議をいたしておりますが、これは一九八〇年代の中ごろにわが国の航空輸送の重要課題を解決する有力な方策であると考えられまして、関係行政機関の緊密な連絡のもとに研究開発を進める必要があると考える、こういうものでございます。  そこで私どもの方としては、この建議に基づきまして、五十年度からSTOL輸送機の中核的な技術となります空力特性、空気力学特性の研究航空宇宙技術研究所で始めてまいっておる、こういうことでございますが、いまもお話にございました航空宇宙技術研究所におきましては、その前からVTOLの研究ということをいたしてきておりまして、このVTOLの研究がSTOLの研究に非常に有効につながっていくものと考えております。そんなことでSTOLの研究開発航空宇宙技術研究所では進めていきたい、こういうことでございます。  なお、YXにつきましてのほかの構想というようなことでございますが、私どもの方といたしましては、ほかの構想というようなことは現在の段階では何も考えておりません。
  95. 庄司幸助

    庄司委員 VTOLは、これはどちらかと言えば軍用機の範疇に入るんじゃないかと思うのです。いま日本の現実が要求しているのは、あのとおり騒音問題あるいは土地問題で空港の拡張やらあるいは空港の新設、これが非常に困難になってきた状況です。そうしますと、日本の国内幹線ですね、この辺をSTOLでつなぐ、これはやはり当面の重点として考える必要があるんじゃないかと思うのです。  たとえば百人乗りぐらいのSTOLで滑走距離が非常に短い。騒音も少ない。もちろんこのためには単なるエンジンその他だけじゃなくて、いま局長さんがおっしゃったような空気力学的な問題も非常に大事ですから、それはそれとして研究する必要はあると思いますが、いわゆるジェット旅客機、中型、大型、これはもう日本は完全に立ちおくれていますから、いまからやろうといったって、逆立ちしたって追い抜くことはできないだろうと思うのですが、この日本の現実から考えると、STOLの問題というのは、やはり重点を置く必要があるんじゃないか、当面。もちろん日本の優秀な科学者はいっぱいいますから、研究を積み重ねれば普通旅客機の問題でも追い抜く可能性は十分あると私も思いますが、しかし、当面は、一九八〇年、八五年、この辺を目指すなら、やはりこのSTOLの問題に重点を置いて考える必要があるんじゃないか、こう思うのですが、その辺どういうお考えなのか。  もう一つ。したがって、航技研の場合も、いわゆる国際共同研究の一翼として風洞なんか貸したり何かしておりますが、それはSTOLにもあるいは関係あるかもしれませんが、そのような頭、STOL重点だという頭が航技研あたりにもおありなのかどうかですね。もうVTOLだ、STOしだ、何だ、かんだと平均的に並べ立てて予算がやられていく。もちろん航空機ですから、エンジンもあれば、翼もあれば、胴体もあればいろいろあります。しかし機種の問題に限れば、やはりいわゆる二百人乗りの問題かあるいはSTOLの問題かという立て方が一つあると思うのですね。その辺どう位置づけて今後やられるのか、ひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
  96. 大澤弘之

    ○大澤政府委員 私、ただいまこの前にお答えいたしました航空技術審議会の答申、これはただいま先生が述べられましたような、日本の空港の環境条件ということを考えた場合に、STOLということが八〇年代の中ごろには大変有力な日本の輸送の一翼を担うものになるだろうという考えによりましてSTOLの研究開発を進めていくべきだ、こういう建議が出たわけでございますし、それに基づきまして科学技術庁では、五十年から航空宇宙技術研究所でSTOLについての、とりあえずはまず空気力学特性の研究というところから出発をいたしました、こういうことでございまして、この建議に従って航空宇宙技術研究所では今後STOLの研究に力を入れてまいることになろうと思っておるわけでございます。
  97. 庄司幸助

    庄司委員 それから、先ほどちょっと所長さんには御理解願えなかったようでありますが、どうも最近の傾向としてボーイング社のいわゆる試作品、これの下請的な実験がやられているんじゃないかという話もあるんですが、その辺はひとつおわかりにならなければ、お調べになって後で御報告いただきたいと思うのですが、おわかりならお話し願いたいと思うのです。
  98. 山内正男

    ○山内説明員 ただいまのお話のボーイングの下請的な試験というようなものにつきましては、私ども、民間輸送機開発協会から依頼を受けた覚えはございません。まだ現在同協会から依頼を受けて試験をいたしておりますものは、あくまでもYX関連の勉強の段階としてのいろいろの風洞試験だけでございます。
  99. 庄司幸助

    庄司委員 この問題で最後長官、ひとつSTOLの問題、これはあなた、航空機は余り研究していらっしゃらないとお答えになっておりますが、いまのやりとりを聞いてどのような方向づけをなさるか、現在の段階での心境をお聞かせ願いたいと思います。
  100. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 VTOL、STOL等の問題は、日本のいまの飛行場の問題等を考えてみますと、あるいは将来を考えてみますと、これは日本的な、地勢学的な意味から言いましても、ぜひとも必要な問題でございますから、航空宇宙研といたしましては、特に力を入れて今後とも進めていきたいというふうに考えております。
  101. 庄司幸助

    庄司委員 それでは、いわゆる軽水炉の安全性の問題に移らせてもらいます。  先ほど同僚委員からこの論議がございましたが、私は一点だけにしぼって御質問したいと思います。  これは、一月三十日の予算委員会でわが党の不破議員質問いたしましたが、その中で、死の灰の問題であるとか、あるいは安全審査の常勤のスタッフが非常に足りない問題であるとか、あるいは使用済み核燃料の再処理、これも確実な見通しがない、あるいは運搬の問題でも、キャスクの問題が非常に危険性があるというような点を指摘したわけです。  そこでお伺いしたいのは、電源開発特別会計、これで五十年度から原子力発電の安全実証試験、これが行われることになったわけですが、従来軽水炉は実証炉であるという説明をされてきたわけですが、これは先ほどの質問の中でも有沢会長の発言を引用されております。これは実証炉として完成されたものと考えて民間に任せたのは間違いだったという御説のようでありますが、私が伺いたいのは、実証炉である、それから安全だ、これは非常に地元住民にPRされているわけです。口が酸っぱくなるくらい安全だ安全だ安全だ、こう言われてきたのですが、住民の不安はなかなか解消しません。実証炉でありながら、なぜ安全実証試験、これをおやりになるのか。  これは、予算を見ますと、電源開発特別会計予算のうち原子力発電安全等対策費、その中で実証試験について言うならば、四十九年度は予算的にゼロです。それから五十年度が十七億円ですね。この特別予算の六三%を占めております。それから五十一年度予算を見ますと、七十一億三千百万円、八〇%、言うならばこの特別会計の予算のほとんどが安全実証試験、こうなっているわけです。その点、なぜこういう予算が組まれているのか。もう実証されたはずの軽水炉が、いまから安全実証試験をやるという理由、これをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  102. 山野正登

    ○山野政府委員 先生御指摘のとおり、この電源特会の中には、安全性実証試験が、五十一年度の政府予算原案で約七十一億円組まれておりますけれども、これは、ただいまのところ、軽水炉につきましては、私どもの認識といたしましては、安全性あるいは実効性等につきまして、すでに従来の研究開発の成果といたしまして、確立された範疇に属する技術的問題であるというふうに考えておるのでございますが、しかし、ただいま先生御指摘のように、そういったふうな広報啓発活動を活発にいたしましても、なおかつ一般大衆の漠然とした原子力発電に対する不安感というものは払拭し得ないわけでございますので、今後原子力発電の立地促進を進めてまいります観点から、できるだけ実物に近い大きさでこの安全性につきまして実証試験をいたしまして、確かに安全であるという認識国民一般、特に地域住民の方々に御理解いただきたいという趣旨で、このような予算を計上しておる次第でございます。
  103. 庄司幸助

    庄司委員 そうしますと、住民の漠然とした不安感を取り除くために七十一億円の予算をつけた、それからできるだけ実物に近いような形態で行いたい——じゃあ伺いますが、耐震試験ですね、地震の試験、これは、何千万トンあるか何百万トンあるかわかりませんが、あの原子力発電所全体にかかわるような大きなものをつくって、おやりになるのですか。
  104. 山野正登

    ○山野政府委員 できるだけ実物に近いと申し上げましたのは、たとえば、例示で申し上げますと、配管の信頼性実証試験等におきましては、実物大の十分の一程度の規模から始めまして二分の一程度の規模まで、また、ただいま先生御指摘の耐震信頼性の試験につきましては、これはただいま通産省の方で御検討中であると承っておりますけれども、現在のところは、大きさにしまして十五メートル平方の振動台で、約一千トンの最大積載重量であり、最大加振力が二千六百トン・重といったふうなものを御検討中であると聞いております。  もちろん、御指摘のように、非常に大きな原子力発電所、発電炉全体を振動台に載せてやるということは不可能でございますが、技術的にあるいは経費面で、できるだけ小規模ではなく、実物に近づける方向で大きなもので実証試験をしようという趣旨でございます。
  105. 庄司幸助

    庄司委員 この実証試験ですが、中身を見てみますと、格納容器スプレー効果実証試験、配管信頼性実証試験、大型再冠水効果実証試験、蒸気発生器細管信頼性実証試験——これは例のピンホールの問題ですね。それから、バルブ信頼性実証試験。福島の原発が、バルブを締め忘れたとかなんとかいって、放射能を含んだ水を外へ出しました。核燃料信頼性実証試験、それからいまの耐震信頼性実証試験、こういうものを二十六億近くの予算を組んでおやりになるわけですが、これはただ単なる住民の不安を解消するための試験だと、それじゃまるでこれは住民の不安を静めるための精神安定剤、LSDみたいなものじゃないですか。実証済みで安全なものなら、こういうものは要らないはずなんです。  しかし、私は安全でないと思うから、こういう研究をなさることは大いにやらなくちゃならないと思います。こういうものをおやりになってから、本当に実証されて、これはいまやっている発電所、これまでとめてしまえとは私もあえて言いかねますが、これをやって、完全に確信を持った段階で新しい原発の推進なり、あるいは推進予定を進めるなり、これが本当の科学的な態度だと私は思うのです。住民に精神安定剤を飲ませたり、LSDを飲ませたりするような態度というのは、きわめて非科学的な態度だろうと思うのです。その辺ひとつ最後長官からお答え願って、私は少なくとも、いま宮城県の女川あるいは建設を進めようとしているそういう全国各地のやはり住民の不安、これに十分こたえられるような科学的な安全性ですね、これを確認されてから、いま建設中のものや、あるいは予定地のものを進められることが、私は、科学技術庁長官、科学性の由来だろうと思うのですが、その点最後にお伺いしまして、私の質問を終わります。
  106. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 原子炉原子力発電の安全性の問題は、私は、これは少し大胆な発言かとも思いますけれども、二つに分けて考えておりまして、いわゆる第三者に対して危害を与え、あるいは環境を汚染するといったような、いわゆる大事故というものは、これは起こり得ない。米国のAECのラスムッセン報告、長年かかって結論づけましたラスムッセン報告を見ましても、そういうことはあり得ないという。また、原子炉そのものは、小さい故障がそういう大事故につながらないように、あらゆる系統を単独的にあるいは緻密に、機械あるいは手動で、いざというような場合あらゆる点を考慮し、また、一たんそういうことがあっても外に出ないように、御承知のように機重にも防護いたしまして、つくってあるものですから、そういうことはないわけでございますけれども、しかし、ないと思いますが、確率は非常に少ないものでございます。何億分の一というようなことで、いままでのものじゃ一番確率の少ないというのがラスムッセン報告になっております。  しかし、実際には、小さい故障が起きて、いまお話がございましたように、ピンホール等ございまして放射線が出ることがございますから、その場合には早期発見で、すぐ発見できますので、海外におきましては、場合によってはそういうものはネグってそのまま運転することがあるそうでございますけれども、日本はそういうことは許しません。すぐその場で炉をとめまして、そしてこれの修理にかかります。  したがって、そういう故障、いわば、だんだんいままで故障がいろいろ出ましたので、炉をとめてその原因を究明いたしてまいりますと、むしろ核安全の問題というよりは、材料とかあるいは機械等の工学的な面から来る故障が多いようでございまして、それに対する配慮は、いままでは大変足らなかったんじゃないかということで、その面さえ解決すれば、私は、軽水炉は十分操業度におきましても採算におきましても、実用炉としてりっぱに各国同様進み得るんじゃないかと思うものですから、特にその工学的な面の対策を急ぐのがいまの一番急務でありまして、発電会社あるいはメーカーを問わず、特にこれを担当しております通産省等が、先ほど申しましたように原子力工学試験センターというものまでつくりまして、主としてこのいま最大の問題になっておりますその解決に取り組みつつある状況でございまして、その一助としてお話しのような試験も、これは必要でございますから、それをあわせてやっていくんだと私は了解しております。  したがって、いわゆる核安全の問題そのものと御理解くださらないで、それとは一応切り離した問題として、工学的な意味でいろいろ故障が起こるものですから、そういうものをこの際、根絶したいということが、その試験の趣旨だと私は思います。したがいましてこの問題は、決して長い間かかって解決をする問題ではなくて、先ほども御説明もございましたように、ドイツはみずからそういうものを解決して、マメリカと違った独自の軽水炉運転しておるわけでございまして、私どもの前原子力局長が最近ドイツへ参りまして、つぶさに見てまいりました。もうほとんど一〇〇%操業のようでございまして、大変うらやましい次第でございます。遅まきではございますけれども日本も、決してそういう大事故という問題ではなくて、操業度その他を高めるという意味からいきまして、この軽水炉のいわば健全性と申しますか、そういうものを確保する意味で、ただいま国を挙げてこの問題に取り組んでおる最中でございます。そういうふうに御理解いただけば大変ありがたいと存じます。
  107. 庄司幸助

    庄司委員 終わりますが、最後に私は長官に……。  大変大事な問題であります。いま工学的な欠陥だと、だから事故じゃないんだと、この考え方は、私は間違いだと思うのです。工学的な欠陥が放射能漏れにつながるわけです。実際漏れています。その点で私は、時間もありませんから、少なくともいま建設中あるいは建設予定のものは、その安全性の実証が確認されてから、ひとつ着手してもらいたい。このことを強く要望して、私の発言を終わります。
  108. 村山達雄

  109. 坂井弘一

    坂井委員 わが国原子力発電建設計画は、昭和六十年度四千九百万キロワットを目標にしまして着々建設が進められておるようであります。問題は、この安全性の見地から見まして、今日なお数多くの技術的な課題が存在をしておる、このことが全国各地におきます反原発運動のあるいは心理的な根拠になっておるということもまた否めないことだと私は思います。そこで佐々木科学技術庁長官、ただいまも原子力の安全性という見地からるるお述べになったようでございますが、最初に一点お伺いしたいことがございます。  先般、アメリカにおきますゼネラルエレクトリック社、GE社でございますが、ここの技術担当の三人の幹部が、原子力発電所の原子炉の安全性ということから、原子炉の安全性には非常に大きな疑問がある、こういうきわめてまじめな技術上の立場からこれを分析した勇気ある発言、そして内部告発、辞表をたたきつけた、こういうことであります。長官は、このことについて御存じでしょうか。
  110. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 その情報は受けております。受けておりますが、そのやめました原因の詳細につきましては、ただいま調査中でございまして、その理由が詳細に判明しますれば、それに対する見解も述べ得るわけでございますけれども、ただいまの段階では、お話の程度しか私どもわかっておりません。
  111. 坂井弘一

    坂井委員 GE社の設計ないし建設作業に携わりました、いまの辞表を出しましたこの三人がどういうことを言っておりますかというと、原子炉の設計上の不備があるということ、つまり、これは複雑な核燃料サイクルから起きるところの運転中の人為的なミス、これは避けがたいのではないか、したがって、安全性については多分に疑問があるということ、結論的には、核制御は十分効果を発揮していない、こう結論づけまして、辞表を出したということであります。  一体、いま日本で用いられておりますところのGE社製の原子炉運転中のもの、それから建設中のもの、その現状につきまして、概略御説明いただきたいと思います。
  112. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 お答えいたします。  現在、日本で、大きく分けましてBWRとPWRと二つの型が軽水炉として使われていることは御高承のとおりであります。そのうちBWRにつきましては、GE社が設計及び建設を行ったものといたしまして、運転中のものが三基、日本原子力発電株式会社の敦賀発電所、東京電力株式会社の福島第一原子力発電所一号機、二号機、合計三基でございます。それから建設中のものが、日本原子力発電株式会社東海第二発電所、それと東京電力株式会社福島第一原子力発電所六号機、合わせて二基でございます。  それから、GE社が設計をいたしまして、日本のメーカーが技術のライセンスを取りまして建設を行う、日本のメーカーの責任で建設を行うというものにつきまして、運転中のものが中国電力株式会社の島根原子力発電所、それ一基でございます。それから建設中のものが、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の三号機、四号機、五号機、中部電力株式会社浜岡原子力発電所の一号機、東京電力株式会社福島第二原子力発電所の一号機、東北電力株式会社女川原子力発電所と六基、こういうふうになっております。  以上でございます。
  113. 坂井弘一

    坂井委員 長官、いま御説明のとおり、運転中、建設中のもの、GE社製の分に限ってみまして、あるわけでございますが、冒頭申し上げましたように、安全性に大変大きな疑問がある。担当技師であります幹部の三人がやめた。それかいますでに建設され、あるいは建設中のものが我が国にもあるわけでございますけれども、そうなってまいりますと、これはわが国科学技術をもって、この安全性にはいささかの懸念もないというようなことには相ならぬ。つくられたのが米国のGE社、GE社の技術を上回る技術がわが方にあり、かつまたこの安全性に対してわが国の実情に見合うそのような技術が加味されて、しかる上で安全性は全きを得たというのならば、それはそれなりの根拠を示していただきたいと思うし、よしまたそうでないとするならば、これは安全性の面から非常に疑わしいし、危険性が大きい、こう言わざるを得ないと私は思うわけでありますが、長官どうお考えになりますか。
  114. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 軽水炉発電炉としてただいま建設中のものまで合わせますと、たしか五百基近く世界であるはずでございます。何も日本ばかり特別のものを使っておるわけではなくて、ソ連でもソ連圏でも同じものを使っておるわけでございます。さらに海のものまで合わせますと、もっとたくさんあるわけでございますが、さっき申しましたように、炉害と申しますか、第三者の住民その他に損害を与えたとかあるいは環境を汚染したというような事故は、いまだかつて一遍もございません。  ただ、さっきからくどく申しますように、ピンホールが出て、そして何千本の細管の中の一本の、しかもたった一点から放射線が出てきたということになりますと、それをすぐとめまして直しますけれども、日本は、そういう意味では非常に神経質なほど厳重に、私どもはこれに対する警戒と申しますか注意と申しますか、慎重に対処してございます。  いまお話しのように、三人の技師の方がおやめになったというだけで、世界全体が——特に何遍も申し上げるようでありますけれども油の問題以来、フランスあるいはイタリア等では全部油の発電をやめさせまして、今後発電軽水炉に切りかえろ、ただいま切りかえて建設中です。ドイツはほぼ半数、アメリカに至っては二億数千万キロをこれで十年間でやろう、こういうわけでございます。日本も同じように、ただいま軽水炉建設中でございます。ソ連もどのくらいか、つまびらかにはわかりませんけれども、きょうの新聞などによりますと、五千万キロワットを軽水炉発電しておるというようなことで、特に日本軽水炉は、向こうでも輸入したいなんていって、ただいま折衝中のようでございますが、要するに言いたいのは、そういう軽水炉発電関係は世界を挙げてただいま建設中でございます。  したがって、お説のようなことだけで、原因を究明しないで、どうのこうの言うのは、少し問題としては早過ぎるのじゃないか。冒頭申しましたように、その危険だと称する技術的な根拠等が恐らく十分明らかになるでありましょうから、それをよく検討した上で対処してしかるべきものじゃなかろうかと私は考えておるわけでございます。
  115. 坂井弘一

    坂井委員 GE社の三人の技術幹部がやめた、イコールGE社製の原子炉は欠陥炉である、したがって、やめなさいというような暴論を私は申し上げているつもりはないわけであります。  ただ問題は、少なくとも非常に安全性に疑いがある、制御装置等についても、これは非常に危険である、こういう指摘がなされているわけであります。わが方では耐震構造等に改良を加えるから大丈夫だ、こういうようなことを業界筋では言っておるようであります。このような物の考え方というものは、原子炉の安全性という見地から見た場合に非常に甘いのではないか、そこに危険が存在するのではないかということを実は私は指摘しているわけであります。  したがって、これは早速にGE社に対してこの辺のいきさつ、先ほど長官も御答弁の中にありましたが、どういう点について技術的な面から指摘がなされておるのか、検討議題になっておるのかというようなところを細かく、まず問い合わせの上つかまれまして、その上でいまの運転中のもの、建設中のものに対して具体的な手だてをしなければならぬ。そのことについて、どういま対策を講じようとされておるのかということを、私はむしろ問題として聞いているわけであります。これに対する御回答をひとつお願いいたします。
  116. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 お答えいたします前に、先ほどの原子炉一つ、第三のカテゴリーを落としておりまして、申しわけございません。追加させていただきます。  日本で設計もし建設も行っておるものといたしまして中部電力の浜岡原子力発電所二号機がございます。これを追加させていただきます。  ただいま先生御指摘の点につきまして、私どもは米国からの情報をいろいろいま調査中でございます。事の詳細はおいおい入ってまいると思いますが、一般的に申しまして、この三人の技術者がいろいろ申しておること、それはおおむね、いままでのGE社で問題点を意識し検討しておったものである、その大部分は技術的にも解決がついておる、一部のものについても近く見通しがつく、こういうたぐいのものであるというふうな概括的な情報は得ております。詳細は、今後引き続き情報入手に努めておる次第でございます。  一般的に申しまして、原子炉の安全性につきましては、先ほど大臣からの御答弁もございましたように、個々の部品と申しますかコンポーネントと申しますか、それにつきまして多少の故障があったのは事実でございますけれども、これは設計自身にかなりの余裕がとってある、それからいわゆる多重防護と申しますか、一つのシステムがだめでも、ほかのシステムでその欠陥をカバーする、こういうふうなシステムになっております。そういうことでございますので、システム全体としての安全性は確保されておる、こういうことかと思うわけでございます。しかし、それで楽観をしておるということではございませんので、逐次情報が入りますにつれまして、日本の側としても、もし何か対応すべきことがあれば、それに即して十分な対応をとってまいりたい、こう考えております。
  117. 坂井弘一

    坂井委員 情報の入手の仕方でありますとか調査の方法等においても一考される必要があると私は思いますよ。会社側が、GE社が、わが社のものは悪いものでございますと言おうはずがないわけであります。調べましたところが、大丈夫でありますと言うのに違いない。つまり私が言うのは、この三人の技術者の発言というのはきわめて勇気ある発言であろうし、技術者という立場から科学的に物事を分析もし、その上で得た結論として安全性に疑問ありとこう言っているわけでありますから、この辺のところに焦点を当てて、むしろこれはよくその内容等をわが方が入手をして、それをわが国原子力発電所、原子力安全行政技術的な問題等に生かしていかなければならないのではないか、こういうことでございますので、そういう趣旨で申し上げているわけでありますから、どうかそういう点を十分心得てお願いをいたしたいと思います。  原子力船「むつ」の問題でございますが、「放射線漏れ問題調査報告書」いわゆる大山委員会のレポートが出ました。この中で「当面問題となっている原子力第一船の遮蔽について、原子炉安全専門審査会で審査を担当したのは、環境専門の委員主体とするグループであった。同グループには放射線防護についての専門家は含まれたが、遮蔽設計の専門家と評価された人はいなかった点を指摘しなければならない。」こういう報告があるわけであります。遮蔽設計の専門家がいなかった点を指摘しなければならない、この指摘に対して科学技術庁はいかなる見解をお持ちでしょうか。
  118. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 お答え申し上げます。  「むつ」の安全審査原子力委員会の安全専門審査会で実施いたしました折には、先生御指摘のとおり遮蔽設計についての、それの御専門の方がおられなかったということは事実でございます。そこで、どういうわけで遮蔽の専門家がおられなかったかということでございますけれども、実はこれは安全審査という仕事の性格ということを御説明申し上げたいと思いますが、安全審査において一番重点を置いて審査をいたしますのは、遮蔽設計の基準となる線量率、どの辺の線量率に遮蔽の結果抑えるのが妥当であるかというその線量率、それの妥当性、それではそういう線量率を果たして実際に現在の技術水準でもって実現できるかどうか、そういうところを御審査いただくわけであります。  実際の詳細な遮蔽設計につきましては、原子炉とかその周りにございますいろいろ蒸気発生器への配管とか格納容器、そういった全体の構造の幾何学的な形状、寸法、配管が決まりませんと、最終的な遮蔽の設計ができないわけでございます。これは安全審査の次に続きます設計及び工事方法の認可という段階で行われるわけでございますので、原子炉等規制法におきましても、設計、工事方法認可の段階で詳細な遮蔽計算書を提出するということを義務づけておる、その段階で遮蔽効果を最終的に計算でチェックするというやり方になっておるわけでございます。  そこで安全審査の段階におきましては、遮蔽についてのそれだけの御専門の方はおられなかったわけでございますけれども、先ほどの安全審査の性格から申しまして保健物理の専門家及び原子炉工学の専門家、こういう方々に御参加いただきまして、その御判断をいただいております。したがいまして、基本設計についての審査は十分行われたというふうに考えておるわけでございます。  しかしながら、私ども現在反省しておりますのは、事はそういうことでございますけれども、特に原子力船につきまして、この遮蔽の問題というのは非常に重要な問題である、これはまた事実でございます。そういうことでございますので、私どもといたしましては、その後遮蔽の専門家の御意見も十分適当な段階でお伺いしなければいけない、こういうふうに考えておりますので、特に原子力船の遮蔽につきまして「むつ」総点検改修技術検討委員会、ここに遮蔽の専門家に御参加いただきまして、安全審査以降の段階に十分対処いたしたい、こういうふうに考えております。
  119. 坂井弘一

    坂井委員 私なんかこうした原子力技術的なことについてはずぶの素人なんです。ただここで、大山レポートで指摘される遮蔽について専門的な人がおらない。原子力と言えば直ちに頭に浮かぶのは、だれしもやはり放射能を遮蔽しなければいかない。その遮蔽の専門家がグループの中にいない。これはもう安全面に対する技術上の配慮が全くゼロに等しいと言われてもいたし方がないのではないかという気が実はしてならないわけであります。したがって、そういう面についても、いまお答えございましたけれども、やはりこの安全性という見地から見ますと、まだまだきわめて身近なところでそれが確認されておらない、安全に対する体制なり技術的な考究がされていない、こう言わざるを得ないと思いますので、そうした点、今後の安全性という面に生かしていくような非常に積極的な姿勢で取り組んでいかなければならぬと思いますので、意見として申し上げておきたいと思います。  それで、実はこの「むつ」の事故がありましてから、「原子力船「むつ」の定係港入港及び定係港の撤去に関する合意協定書」、御承知のとおりでありますが、政府代表自由民主党総務会長鈴木善幸さんが当たられました。青森県漁連会長杉山四郎氏、青森県知事、それからむつ市長さんとの間で合意協定が四十九年の十月十四日に結ばれております。この中で第I項の2に、「原子力船「むつ」の定係港入港後の取扱いに関しては、入港後六カ月以内に新定係港を決定するとともに、入港後二年六カ月以内に定係港の撤去を完了することを目途として、昭和四十九年十一月一日からその撤去の作業を開始する。」これははっきりしていることでございますけれども、これが今日なおそのままになってきておる。まだ決定を見ておらないわけであります。これはむつの住民を全く無視したことではないかということになると思いますけれども、この辺の経過、これをどうするか、簡単にひとつお答えいただきたい。
  120. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 昨年の四月何日が、半ばころだったと思いますが、その半カ年の日に当たりまして、その日までに第二定係港を決める約束になっておりました。したがって、科学技術庁、私当時就任したばかりでございましたが、その約束を忠実に履行いたしたいと思いまして、政務次官を首班にしてワーキンググループをつくりまして、日本のあらゆる港、候補地を漏れなく実は机上的に調査をいたしまして、だんだん適格条件の備わったところをしぼっておりました。そうこうしている間に先ほどお話がございました大山委員会の答申も出ましてごらんになったと思いますが、「むつ」は修理点検が可能であり、それを済ませば、りっぱな実験船として使い得る、また使うべきだ、こういう答申になっております。  そこで、定係港として「むつ」を受け入れる側の住民の立場に立って私ども考えてみますと、そうであるならば、いま負傷している「むつ」を傷のまま持ってこないで、修理点検をしまして健全な姿にして、ひとつ定係港に回してくれませんか、そうすれば私どもも考えます、こういうのが受ける側に立っての偽らざる心情だと私は思いますし、事実そうでございました。  したがって申し合わせはそうでございますが、むしろこの際、青森県との約束がございますけれども、問題のポイントは、「むつ」というハードウエアそのものを約束どおり移すのが一番根本かと存じましたので、むしろ修理点検を先に出して、そして健全なものとして、その上で定係港にこれを回すというのが一番しかるべき方法じゃなかろうかと存じまして、青森県側にもその由を通報し、約束どおりにはならぬけれども、しかし修理点検を先に出しまして、その上で定係港を決めますから、それでよろしいかと言ったら、その方が円満に片づくのであれば、二度と青森のような問題を繰り返さないという意味においてむしろそれを望みます、約束とは違うけれども、どうぞ円満におさめるように取り計らってもらいたいというのが知事のお考えでございました。  したがいまして、事後私どもは修理点検をどうするか、そのもの自体が安全にできるかどうか、その検討に実はかかりました。その結果、二重、三重に実は検討いたしまして、修理点検は安全にできますよということになりましたので、しからば修理点検にはどういう要件が必要か、母港と定係港と修理点検港とは、おのずからファンクションが違いますから、どういう要素を備えておればしかるべきかという点から、いろいろ修理点検の港を調べておりましたところ、佐世保の方が、自分の方としては、修理点検ということであり、それが安全であるということであれば、修理点検を佐世保も考慮してもよろしい、港湾の管理者である市長さんがそういう御意向であるように承りましたので、それではというので、いろいろ取り調べました結果、これは大変適地中の適地でございますので、まずそれでは先に修理点検にひとつ着手して船を健全な姿にしてしまおうじゃないか、そして修理点検には三年ぐらいいまのところかかりますから、その間に第二の定係港をひとつ設定して、そして青森県との約束に間違いないようにしようではないかということで、佐世保港に修理点検港として受け入れてもらえないかということで、総理も私も知事さん、市長さんにお願いいたしまして、ただいませっかく安全性等の説明に現地へ参っておる最中でございます。
  121. 坂井弘一

    坂井委員 「むつ」の修理点検港として佐世保港を選ばれた経緯を言いますと、この間二月の十日に、三木総理が佐世保市に協力の依頼をされております。きょうでございますか、現地で長崎県知事あるいは佐世保市長に安全性についての説明をするために政務次官が長崎県の方に出向かれておる、コミッションをするというようなことも漏れ聞いておるわけであります。  いずれにいたしましても、いま長官から御説明ありましたが、いま佐世保の市民が、住民が非常にこの「むつ」を点検修理港として佐世保に迎えることについては強い反対がございます。反対の理由というものは、やはりこの「むつ」の修理の方法あるいは将来計画、これがはっきりしていないじゃないか、そういう具体策がないままに、とにもかくにもむつ港から佐世保港に原子力船「むつ」を修理点検のためにといって迎え入れるわけにはまいらない、まあこういうことのようであります。しかしながら、辻市長はどうやらこの要請を受けて帰ってきたということで、またけんけんがくがく。したがって、住民の多くの人たちが辻市長に対して、このような政府要請は突っ返しなさい、われわれは受けるわけにはいかないというようなことで抗議をしておる。こういう事態の中で果たして原子力船「むつ」が、一体修理港としてあるいは定係港として、これがうまく落ちつくかどうか、実ははなはだ心配するわけであります。  いま私申しましたようなことが大方の住民の反対の理由、つまり修理方法とか将来計画について具体策が示されないということでございますが、それについては具体的に納得のしてもらえるようなものを、方法をいま準備されていらっしゃるのかどうかについて一点伺っておきたいと思います。
  122. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私も長崎県庁に参り、総理からも、官房長官、私、運輸大臣立ち会いでお願い申し上げた際、私どもの気持ちといたしましては、決して権力でこれを無理やりに抑えつけるというような意図は毛頭持っておりません、そうじゃなくて、どうぞひとつ現地として、私どもとしてはあらゆる対案を過去一年間で準備しておりますから十分御検討していただきたい、検討を依頼したのでございます。受け入れのための検討、主として安全サイド等の問題を検討していただきたい、それから現地でまだ受け入れの承諾も得ない、御支持、御理解も得ない間に無理やり青森から「むつ」を佐世保に回して、そしてどうのこうのということは毛頭考えておりませんというお話をいたしまして、したがって、あくまでも御理解を得、御納得を得た上で円満裏にこの問題を解決したいということが私どもの念願でございます。  知事さんが総理に、検討をお願いするのであれば、どうぞひとつ早く検討材料として、それが完全なのかどうか、あるいは修理点検の具体的なやり方はどうか、そういうデテールにわたる資料を現地に早くお示しくださいという無理からぬお話がございまして、引き続いてまず、県庁並びに市役所のいわば出向官と申しますか担当官の皆様に御理解いただくのが先決でございますから、私どもの技術あるいは事務のこれに携わった皆様を派遣いたしまして御説明を申し上げ、次いで向こうの方でもいろいろ検討するための組織等も今後整備していきたいというふうな御意向のようでもございますので、先ほどお話ございましたように、一昨日でございました、政務次官を団長にいたしまして、その資料を、正式資料を携行いたしまして、ただいま現地にあいさつかたがた御説明等に参上しているのでございます。  先ほどのお話でもう一つ、「むつ」の将来に対して何ら示していないじゃないかというお話がございました。私どもは昨年の上期、夏ころまでかかりまして、日本原子力船政策は一体いままで考えておったとおりでよろしいか、この際もう一遍ひとつ新しい段階に立って再検討しようじゃないかということで、原子力委員会の中に原子力船懇談会、非常に膨大な機構をつくりまして、造船あるいは商船あるいは学界あるいは労組の皆さんを問わず広く御参加をいただきまして、ジャーナリズムの皆さんからも御参加いただいて、非常に真検にこの問題を検討いたしました。  たまたま去年の六月でございましたか、ニューヨークでフォーラムの主催で世界原子力船世界会議がございまして、わが方からも出席させました。その資料あるいは討論等を検討いたしますと、大体十年後くらいには世界原子力船の実用化時代に入るという結論を得ましたので、世界一の造船国であり、また世界で有数の海運国であるわが日本が、そういうときに際して何ら原子力船に対して知識も持っていない、技術も持っていない、あるいは入る港湾もない、こういう鎖国状況で一体いいものだろうかという反省に至りまして、その結果、まず着手としては「むつ」を修理点検して健全なものにして、本来の使命である実験船としてそれを活用し、あらゆる資料を蓄積して、そして十年後に備えようではないかという結論に実は達しました。それで、先ほど申しましたように、大山委員会といまの懇談会と両結論を中心にいたしまして、修理点検の具体的な計画に入ったわけでございます。  それでは、その十年の間「むつ」以外には、実験船以外には日本はつくらぬのかという問題でございますけれども、私は、その懇談会の結論では、すぐ第二船をどうというよりは、まず「むつ」を実験船として十分活用して、先ほど申し上げましたように三年修理点検にかかりますし、できてから実際の実験をして遠洋航海等をいたしておりますと、どうしてもこれはまだ四、五年かかりますので、もうやがて十年の月日にも近づいてまいりました。そういう際には、その時点に立って、民間で第二船をつくるか、あるいは日本原子力船開発事業団で引き続きつくるか、そういう点は十分ひとつ検討しようではないか。ただ、原子力船研究だけは、この際「むつ」の実験船を中心にして、国としてこれを民族のために研究を進めていこうじゃないかというのが私どもの結論でございます。  それから、少し長くなりますけれども、安全の問題でございますが、いま原子力船「むつ」は青森県陸奥湾で係留されたまま、凍結されたままになっております。したがって、原子炉は動いておりません。もう一年有半になりますから、わずかの出力上昇試験でございましたので、ほとんどそれによる放射線、放射能といった問題もございませんで、その冷却に使いました水自体も、飲んでも一向差し支えないじゃないか。もちろんこれは外には出しません。流すなんてことは毛頭ございませんが、別に危険なものでも何でもございません。それから、入っていますのは燃料棒だけでございまして、燃料棒も活動を停止しておるわけですから、別に放射線がどうという問題はございません。したがって、現在のままで放射線がどうとか放射能がどうということはあり得ないわけでございまして、したがって、青森県の漁民の皆さんも、母港に一年有半係留されているうちにこれに対して危険を感じるわけでも何でもない。現在はそうなっております。  さて、お話がついて長崎に回航するということが許された場合どうするかといいますと、重油の補助エンジンで回航するのでありますから、別に原子力とは何の関係もございません。放射線、放射能、何の関係もございません。向こうへ着きまして、そしてまず船台に揚げて、いままで定期検査をやっておりませんから、船体の検査が必要であります。それと同時に、いよいよ茨城県の東海等で十分遮蔽その他の研究をしましたその成果をもちまして修理にかかるわけでございますけれども、その修理の際も燃料棒を別に抜くわけでもなし、そのままの姿で修理をし、また総点検をするわけでございますから、これはまた放射線、放射能と何の関係もございません。したがって、修理点検が済むまでは普通の船の修理と考えてもらっても一向差し支えないという感に私どもは立っておりますから、この問題に対する安全の問題は、どうぞひとつ安心していただけませんでしょうかと。  それが済んで健全な姿になって、佐世保港で母港として、自分の方はそのままということになりますと、これは出力上昇試験とか臨界試験とかやりますから、いよいよ放射線、放射能の問題に入ってきます。しかし私の方は、それは御免こうむるということでありますれば、先ほど申しましたように、別の定係港が仮に決まったといたしますと、そこに重油だきの補助エンジンで出せばいいんですから、これまた別に放射線と関係ないわけでございまして、そういう意味でそういう資料を、それから、どこをどういうふうに修理し総点検し、そのためには何ら危険なことはないんですという詳細な点をただいま計画をいたしまして、現地に行っている次第でございます。
  123. 坂井弘一

    坂井委員 いずれにしましても、事実の上から見ましても、この原子力行政における安全の規制面、これには重大な欠陥を持っておるということが原子力船「むつ」によって暴露されたといいますか、その欠陥が目の前にあらわれたわけでありますので、したがって、安全規制面ということについては、これはやはり再考をする中で絶対的な安全ということを求めて、いかにこれから技術的にも改良を加えて、その全きを期するかということを第一にやはり考えていかなければならぬ。どこに移してどうするかこうするかということ、その前提となるべきものは、いま私が申し上げた安全性の全きこと、ここに一つ主眼を置かれて早急にひとつ対策を立てられるように特に要請をしておきたいと思います。  そこで、この原子力に関係いたしまして動燃の核燃料処理工場の問題に少し触れておきたいと思います。  申し上げるまでもなく、この使用済みの核燃料、これにも一トン当たり百万ないし二百万キュリーという膨大な放射能が含まれておる。したがって、この使用済み核燃料を用います、処理いたしますところの再処理工場、これは平常運転時におきましても通常の原子力発電所の数十基分に相当する放射能を環境に放出をいたしまして、非常に汚染度が高い。同時にまた、大量のプルトニウムあるいは核分裂生成物を蓄積する。そのために、この原子力の環境安全の問題のかぎを握る非常に重要な施設である、こう言われるわけであります。また、この使用済み核燃料の再処理という仕事自体が、原子力利用の過程の中で核燃料サイクルの中心となる。とりわけ資源に乏しい日本のことでありますから、この再処理ということは、ぜひともやらなければいけない。  こういうことを踏まえまして、さてしからば動燃再処理工場、この安全性についてはいかんということになるわけでございますけれども、これがまたなかなか問題が多いようでございまして、御承知のとおり、現在ウラン試験を実施いたしておる段階であります。この次にはホット試験を経ましていよいよ稼働する、運転開始というスケジュールになるわけですけれども、いまウラン試験の実施中におきましても、もう事故が頻発をしておる。一体何回起きたのか、その原因はということまでになりますと、とても時間がないように思います。  私の方から申しましても、五十年の九月二十日には手指の汚染をした。五十年の九月二十五日にもまた起こっておりますね、くつ底の汚染。それから五十年の十一月七日には、プルトニウム溶液蒸発かんから溶液が漏洩しておる。同じく十一月十八日には、リワーク系の溶媒受槽からこの溶液が溢流した。それから十二月十三日、十四日、これは脱硝工程におけるウラン溶液の漏洩等々、頻発するわけであります。最初の九月から十二月まで三カ月余りの間に七回事故が起こっておる。一体こういう状態で操業が開始されたならばどうなるんだろうか、非常に心配であります。  特に最初の九月の二十日に起きた手指の汚染の事故、これがまた一体こんなことでいいのか。これは報告書等もございますが、汚染を受けた本人は、サンプルの色が薄ければ放射能汚染のおそれはないと教えられていた。ですから溶液が手についたときも、硝酸による皮膚の損傷だけを気にしまして手を洗った。それだけで終わってしまっておった。後、このハンド・フット・モニターにかけてみますと針がばんと振れた、そこで初めて放射能汚染のあることに気がついた、こういうことであります。このときに、分析課長それから放射線管理課長、現場のそうしたれっきとした専門家がふろに入ってもよろしい、こう言った。手をされいに洗っておけと。こんなことでは、放射能に対する人体上の安全管理についても、これはもう全く無に等しいのではないか、あきれて物が言えぬというようなことを学者、専門家が指摘をしております。  そういう事故が頻発するという中で、この動燃再処理工場に配属されておる人たちを見ますと、年代別に見まして、年齢構成から見まして若い人が非常に多いわけでございますけれども、たとえばという例で申しますが、お答えいただきたいと思いますけれども、十八歳から二十歳、これは全体のパーセントからいって、比率からいってどのくらいになりますか。
  124. 瀬川正男

    瀬川参考人 再処理工場の人員構成につきましては、いま先生の御指摘されたような年齢別の分け方とか、あるいは放射能取り扱いに関する経験年数別の分け方とか、いろいろございますが、年齢別の分け方でいきますと、十九歳から二十五歳までの間が大体二七%を占める、高等学校を出まして二、三年というところが、若い人の中にかなり多いということが実態であります。  一応年齢構成の点だけお答え申し上げておきます。
  125. 坂井弘一

    坂井委員 結構です。  これを見ますと、いまお答えのとおりだろうと思います。十八歳から二十歳が三十五歳以下の五〇%、半分を占めておるということ、これは私、若いから悪いと申し上げるのでは決してない。つまり、いまお答えのありましたように、高校を卒業してすぐにここへ入ってくる、むしろ問題は教育だと思うのですね。そういう点について、職場におきましても非常に強い要請がある。こういう技術的な教育、養成、それにはやはり一番力を入れなければならぬのではないか。同時にまた、こういう現場のことでありますから、基幹要員としての技術的な幹部の配属等についても十分意を用いていかなければならぬのではないか、幾つかそういう問題が指摘されるわけでございますので、そういう点についても、ひとつ万全を期していただきたいということをこの際、特にお願いしておきたいと思うのです。  なお、この再処理工場に用いられておりますところの機器あるいは機械、これがもし事故を起こした、欠陥を生じた、そういう場合の保証は一体どうなるのかという点が大変心配になるわけであります。たとえば先ほどの原子力船「むつ」の場合におきましても、契約上の保証につきましてはもう期限が過ぎておる、したがって道義的な責任しかそこには存在しない、こういうことでうやむやになってしまうというような心配が非常にあるわけでありますけれども、動燃の場合、こういう保証につきましては十分検討されておりますか。
  126. 瀬川正男

    瀬川参考人 ただいまの御質問にお答えする前に、先ほどちょっと私、数字を間違えまして、動燃事業団の比率を申し上げまして、二七%と申し上げたのですが、二十五歳までの年齢は、工場自体でいきますとやはり四〇%になります。どうもとんだ見当違いをいたしまして……。  それから再処理工場における機械の保証につきましては、ほぼ納入後、と言いますよりは、工場の建設が終わりまして、試運転に取りかかりまして、試運転に入って以後十三カ月間というものを保証期間として一応定めてございます。  また、御承知のように、再処理工場と申しますのは、フランスのサンゴバンと日本日本揮発油という会社と、二社のジョイントで建設をやりましたので、このジョイントに対しまして私どもは契約をしておるわけでありますが、その契約におきましては、工場全体の処理能力とかあるいは製品の純度等につきましての保証を求めておるわけでございます。で、その保証も、詳しく申し上げますと、その保証、ギャランティーの内容によりまして、相手側の義務が少しずつ違っておるわけでございますが、ギャランティーの価と食い違う場合には、全建設費の大体三%に当たる金額で相手側が修理を行うというような考え方が、大ざっぱに申し上げるとそういう筋になっておるわけでございます。
  127. 坂井弘一

    坂井委員 時間が迫っておりますので、一点だけお伺いして終わりたいと思いますが、つまり原子力発電所よりもさらにこの動燃再処理工場、これは危険性が実は非常に高い、したがって安全審査につきましても十分な体制がなされなければならぬ。ところが、原発あるいは原子力船「むつ」、この安全審査体制は、私は欠陥体制だとこう言わざるを得ないわけでございます。そういう欠陥がいろいろ指摘される、そういう中で、動燃再処理工場についての安全性というのは一体どうなのかということになりますと、再処理安全専門部会、ここでは基本設計の審査、これを行っておるようでありますけれども、詳細設計あるいは竣工検査までその安全審査ができるのかどうかという点について一点。  いま一点は、この原子炉には原子炉主任技術者という制度がございますね。そういう制度がございまして、法律的にも技術的責任を果たす、こういうことが定められているようでありますけれども、再処理工場には、このような主任技術者の制度はございますか。  この二点について簡明にお伺いいたしまして、終わりたいと思います。
  128. 瀬川正男

    瀬川参考人 主任の点は、また後で申し上げたいと思いますが、再処理工場の安全性につきましては、ただいま先生の御指摘のように、安全審査で本当に安全性が保たれるかどうかというような御疑念は、私はこれはごもっともなことだと思いまして、私どもの考え方は、やはり再処理工場の最大の特徴は、試運転というものをいかに慎重にやるかということに一番配慮すべきじゃないかというふうに私は考えているわけでございます。  したがいまして、一昨年の秋にほぼ四年間かけて工事が終わったのでございますが、その当時は試験運転は十三カ月ぐらいあればいい——先ほど機器の保証は十三カ月と言ったのもそんな辺から考えたわけでございますが、いずれにしても試験運転は十三カ月ぐらいというふうに考えておったわけでございますが、その後再処理工場等に対する世界じゅうの情勢とか、あるいは私ども自身が将来の再処理技術はこういうふうに改良を加えていきたいとかいうふうないろいろな点も考慮いたしまして、現状では最初の十三カ月の試験運転というのを、少なくとも二年ぐらいはかけるというようなかっこうで現在進めておるわけでございます。  先ほどの御質問の主任の点につきましては、中島再処理建設所長からお答えさしたいと思います。
  129. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 お答え申し上げます。  再処理施設の安全性の責任を持ちます者といたしましては、原子炉等規制法第五十一条の規定に基づきまして核燃料取扱主任者という者を選任いたすことになっておりますが、これは厳正な国家試験を経てその資格を得るものであります。そういう非常に経験もあり、学識もある方を動燃事業団として選任をいたすわけでございます。  それからなお、安全審査につきましては、原子力委員会に再処理施設安全審査専門部会というものが設けられておりまして、最初の段階の安全審査、さらには法律に基づく設計、工事方法認可の段階、そういった全段階につきまして、この専門部会において十分御検討をいただいておりますので、私どもといたしましては審査の体制は十分整っておる、こういうふうに考えております。
  130. 坂井弘一

    坂井委員 終わります。
  131. 村山達雄

    村山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これには散会します。     午後二時三分散会