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佐々木国務大臣 私も長崎県庁に参り、
総理からも、官房
長官、私、運輸
大臣立ち会いでお願い申し上げた際、私どもの気持ちといたしましては、決して権力でこれを無理やりに抑えつけるというような
意図は毛頭持っておりません、そうじゃなくて、どうぞひとつ現地として、私どもとしてはあらゆる対案を過去一年間で準備しておりますから十分御
検討していただきたい、
検討を依頼したのでございます。受け入れのための
検討、主として安全サイド等の問題を
検討していただきたい、それから現地でまだ受け入れの承諾も得ない、御支持、御理解も得ない間に無理やり青森から「むつ」を佐世保に回して、そしてどうのこうのということは毛頭考えておりませんというお話をいたしまして、したがって、あくまでも御理解を得、御納得を得た上で円満裏にこの問題を
解決したいということが私どもの念願でございます。
知事さんが
総理に、
検討をお願いするのであれば、どうぞひとつ早く
検討材料として、それが完全なのかどうか、あるいは修理点検の具体的なやり方はどうか、そういうデテールにわたる資料を現地に早くお示しくださいという無理からぬお話がございまして、引き続いてまず、県庁並びに市役所のいわば出向官と申しますか担当官の皆様に御理解いただくのが先決でございますから、私どもの
技術あるいは事務のこれに携わった皆様を派遣いたしまして御
説明を申し上げ、次いで向こうの方でもいろいろ
検討するための組織等も今後
整備していきたいというふうな御意向のようでもございますので、先ほどお話ございましたように、一昨日でございました、政務次官を団長にいたしまして、その資料を、正式資料を携行いたしまして、ただいま現地にあいさつかたがた御
説明等に参上しているのでございます。
先ほどのお話でもう
一つ、「むつ」の将来に対して何ら示していないじゃないかというお話がございました。私どもは昨年の上期、夏ころまでかかりまして、
日本の
原子力船政策は一体いままで考えておったとおりでよろしいか、この際もう一遍ひとつ新しい段階に立って再
検討しようじゃないかということで、
原子力委員会の中に
原子力船懇談会、非常に膨大な機構をつくりまして、造船あるいは商船あるいは学界あるいは労組の皆さんを問わず広く御参加をいただきまして、ジャーナリズムの皆さんからも御参加いただいて、非常に真検にこの問題を
検討いたしました。
たまたま去年の六月でございましたか、ニューヨークでフォーラムの主催で
世界の
原子力船世界会議がございまして、わが方からも
出席させました。その資料あるいは討論等を
検討いたしますと、大体十年後くらいには
世界は
原子力船の実用化時代に入るという結論を得ましたので、
世界一の造船国であり、また
世界で有数の海運国であるわが
日本が、そういうときに際して何ら
原子力船に対して知識も持っていない、
技術も持っていない、あるいは入る港湾もない、こういう鎖国
状況で一体いいものだろうかという反省に至りまして、その結果、まず着手としては「むつ」を修理点検して健全なものにして、本来の使命である実験船としてそれを活用し、あらゆる資料を蓄積して、そして十年後に備えようではないかという結論に実は達しました。それで、先ほど申しましたように、大山
委員会といまの懇談会と両結論を中心にいたしまして、修理点検の具体的な計画に入ったわけでございます。
それでは、その十年の間「むつ」以外には、実験船以外には
日本はつくらぬのかという問題でございますけれども、私は、その懇談会の結論では、すぐ第二船をどうというよりは、まず「むつ」を実験船として十分活用して、先ほど申し上げましたように三年修理点検にかかりますし、できてから実際の実験をして遠洋航海等をいたしておりますと、どうしてもこれはまだ四、五年かかりますので、もうやがて十年の月日にも近づいてまいりました。そういう際には、その時点に立って、
民間で第二船をつくるか、あるいは
日本原子力船開発事業団で引き続きつくるか、そういう点は十分ひとつ
検討しようではないか。ただ、
原子力船の
研究だけは、この際「むつ」の実験船を中心にして、国としてこれを民族のために
研究を進めていこうじゃないかというのが私どもの結論でございます。
それから、少し長くなりますけれども、安全の問題でございますが、いま
原子力船「むつ」は青森県陸奥湾で係留されたまま、凍結されたままになっております。したがって、
原子炉は動いておりません。もう一年有半になりますから、わずかの出力上昇試験でございましたので、ほとんどそれによる
放射線、放射能といった問題もございませんで、その冷却に使いました水自体も、飲んでも一向差し支えないじゃないか。もちろんこれは外には出しません。流すなんてことは毛頭ございませんが、別に危険なものでも何でもございません。それから、入っていますのは燃料棒だけでございまして、燃料棒も活動を停止しておるわけですから、別に
放射線がどうという問題はございません。したがって、現在のままで
放射線がどうとか放射能がどうということはあり得ないわけでございまして、したがって、青森県の漁民の皆さんも、母港に一年有半係留されているうちにこれに対して危険を感じるわけでも何でもない。現在はそうなっております。
さて、お話がついて長崎に回航するということが許された場合どうするかといいますと、重油の補助エンジンで回航するのでありますから、別に
原子力とは何の関係もございません。
放射線、放射能、何の関係もございません。向こうへ着きまして、そしてまず船台に揚げて、いままで定期
検査をやっておりませんから、船体の
検査が必要であります。それと同時に、いよいよ茨城県の東海等で十分遮蔽その他の
研究をしましたその成果をもちまして修理にかかるわけでございますけれども、その修理の際も燃料棒を別に抜くわけでもなし、そのままの姿で修理をし、また総点検をするわけでございますから、これはまた
放射線、放射能と何の関係もございません。したがって、修理点検が済むまでは普通の船の修理と考えてもらっても一向差し支えないという感に私どもは立っておりますから、この問題に対する安全の問題は、どうぞひとつ安心していただけませんでしょうかと。
それが済んで健全な姿になって、佐世保港で母港として、自分の方はそのままということになりますと、これは出力上昇試験とか臨界試験とかやりますから、いよいよ
放射線、放射能の問題に入ってきます。しかし私の方は、それは御免こうむるということでありますれば、先ほど申しましたように、別の定係港が仮に決まったといたしますと、そこに重油だきの補助エンジンで出せばいいんですから、これまた別に
放射線と関係ないわけでございまして、そういう
意味でそういう資料を、それから、どこをどういうふうに修理し総点検し、そのためには何ら危険なことはないんですという詳細な点をただいま計画をいたしまして、現地に行っている次第でございます。