○伊達
政府委員 先ほど開かれましたニューヨーク会期におきまして、
大陸だながさらにジュネーブ会期に引き続いて議論されているわけでございます。各国の主張は、基本的には従来より表明されていた
考え方に沿っていろいろなされたわけでございますが、大別いたしまして、沿岸国の管轄権の及ぶ
大陸だなの範囲を、深さでございますとか海底地形に
関係なく、最大限二百海里までの海底であるという距離基準をとる説と、それから
大陸だなの自然の延長の外縁にまで沿岸国の管轄権が及ぶという自然の延長論の
考え方がなされたわけでございます。二百海里以遠にまで自然の延長が続いている場合には、どこまで及ぶのかということについても、自然の延長論に基づいた議論がなされております。
わが国の主張といたしましては、
大陸だなの範囲は二百海里までであるという距離基準の主張は当初から引き続いて行ってきたところでございますけれ
ども、今度のニューヨーク会期におきます議論の過程を通じまして、
大陸だなの範囲を二百海里に限定することなく、これを超えて
大陸だなが存在する場合には、その外側の縁、外縁まで沿岸国が管轄権を有するという主張がますます勢力を増しているという状況でございまして、新しい海洋法
条約にこの
考え方が取り入れられる公算が大きくなったものと見られております。
なお、単一草案のもとの案でございますが、つまり前回のジュネーブででき上がった案でございますが、そこでは自然の延長論の
考え方に立って、
大陸だなの範囲は
大陸だなの外縁までといたしまして、外縁が二百海里未満で終わる場合にはその範囲を二百海里までとするというような規定が置かれておりましたが、今度の単一草案の改定版におきましても、この原案が維持されている。したがいまして、全体としてこれを評価いたしますと、自然の延長論が十分な支持を得ているというふうに認められるわけでございまして、この点はアギラール第二
委員長が改定版の序文でみずから述べているところでございます。
大陸だなの問題に関しまして、この日韓
大陸だなの
共同開発協定との関連で、海洋法
会議を待てばどういうことになるのであるか、従来は海洋法
会議を待っていると損ではないかという議論がなされていたのであるが、そうとも言えないのではないかという
お尋ねでございますが、私
どもの
考え方といたしましては、ただいまも申し上げましたとおり、自然の延長論というものが大方の賛同を得て勢力を強くしているという
関係にございますので、海洋法
会議を待っておってどうなるかということは非常に推論の域を出ないわけで、いま現在議論をされているわけでございますけれ
ども、必ずしも
日本に有利な結論は出てこないのではないか。さらに申しますれば、相対する二国間に横たわる
大陸だなの
境界画定というものに関しましては、どこの地形にも当てはまるような単一ないしは単一でないにしても二、三の原則、これはどこの地形に当てはめても通用するようなものが国際法として新しい海洋法に取り入れられるということは、実際問題として不可能なことであって、現在の
大陸だなの区画に関する新しい改定版の七十一条でございますが、それを読んでみましても、五八年の海洋法
会議の区画の規定と同じようにかなり抽象的なものでございまして、これがあるからといって直ちに日韓間の問題は解決はしない。つまり、結局は
関係国間の合意による、そしてその際には公平を旨として、しかも必要な場合には、関連する事項も十分考慮に入れた上で、中間線または等距離線で合意によって定めろというような話になるのでございまして、海洋法
会議を待っていて
日本側が有利になると
考えることは非常な楽観論である、このように私
どもは
考えている次第でございます。