○土井
委員 いまの
防衛庁長官の御発言からいたしますと、やはり
アメリカの国防のあり方の一環として核配備の問題も出てくるし、それから核軍備をこれからどういうふうに増強していくか、あるいは縮小していくかというふうな問題もかかわってくるわけでありますから、そういう点からすると、
アメリカの核配備に対して当
条約の名において、強く
日本としては
アメリカに物を言う、国連の場所においてそれをチェックするというふうなことはできにくい、どうも消極的になっていくのではなかろうかというふうな節が読まれるのであります。このことについては抽象論を展開していても始まりませんから、具体的に踏み絵になる問題を取り上げてひとつきょうは質問をさせていただきたいと思います。
これはもう何回もこのことに対して触れ、また何回もこのことに対して御答弁をいただきながら、しかし杳として具体的に中身がつかめない問題であります。それは、例の海洋法
会議の推移にまつと言われ続けてまいりました領海の問題であります。領海十二海里になりますと現在公海の部分が領海になる。海峡における軍艦、タンカーの航行をどうするかというふうな問題がさしずめ具体的になって、実はこのことに対しての質問に対して御答弁がずいぶん今日まで詰められてまいった部面があります。このことで順を追ってひとつ申し上げてみたいと思うのであります。
ちょうど昭和四十三年の四月に領海
条約の
批准を求めました
国会で、当時の
外務大臣でありました
三木首相が、公海から公海に抜けるために領海を通航する核艦船は核持ち込みに該当しないというふうな答弁をされていたのを訂正されまして、
核兵器を常備している軍艦の航行は無害とは考えないという答弁に変わったわけであります。
〔
水野委員長代理退席、羽田野
委員長代理着席〕
御
承知のとおり現在三海里ですから、
わが国の大部分の海峡というのは公海部分になっておりますが、
わが国が領海十二海里になった場合、領海内に含まれる海峡というのは一体どれくらいあるかということをお尋ねしたところ、昨年の四月二十八日現在で外務省資料によると七十二水路というのが出てきたわけであります。ただし国際海峡の定義はまだ未確定ではありますけれ
ども、しかしこの七十二水路の大部分は国際海峡には該当しないだろうと一応考えられる。そこで問題としてひっかかってくるのはさしずめ宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡、現在の
政策のままで領海十二海里にした場合に、
アメリカの核積載艦船が太平洋から
日本海に出る航路としては対馬海峡の東水道のみになってくるわけであります。ここが問題。こういうことになってまいりますと、先ほど来
防衛庁長官が言われる
アメリカの防衛体制あるいは
アメリカの国防状況ということににらみ合わせて、
日本も安保
条約体制下で一貫した態度をとらなければいけないわけでありますから、
安全保障の面から考えてまいりますと不安が残るわけであります。しかしこのことは防衛庁に尋ねてみた場合、恐らくは、丸山防衛
局長が先ごろ、領海拡張によって防衛の責任区域はふえるけれ
ども、特別な手当てをする必要はないというふうな御答弁、また、
アメリカの核艦船が
日本海に自由に出入りできなくても、軍事的な分析をすると
日本の防衛に余り影響はないというふうな御答弁のままであるであろうと思います。しかし、このことはあくまで防衛庁の見解でございまして、これは先ほどの
外務大臣の御答弁の中から申し上げるわけではありませんけれ
ども、
政府の意思である、そこから引き出される
政策であるというわけではなかろうと思うのです。あくまで防衛庁見解だろうと思う。そういうことからすると、十二海里宣言をもし
日本がした場合、それと同時に、非核三原則のこの
関係というのは
政府部内でどうなるかということがやはりひっかかってくる。このことをお尋ねしますと、現在検討中であるというふうな御答弁を昨年の十二月十日の当外務
委員会で前
条約局長の松永
条約局長からいただいているわけであります。しかしその節、前松永
条約局長とされては、内閣が判断すべき問題であるというふうなことをつけ加えて申されながら、外務省としては、海洋法
会議でとってきた
わが国の態度と矛盾することがあってはならないというふうに述べられて、場合によったら非核三原則の変更もあり得るような御答弁をその節されているわけであります。このことは、
わが国が領海十二海里を一方的に宣言をした場合でも、国際海峡の自由航行権を認めることを示したものだというふうに思われるわけでありますけれ
ども、この領海十二海里というふうになった場合、国際海峡という問題に対応するとき、この核は持ち込ませないというふうな問題か具体的にはどういう措置で保障できるのか、そこのところを、何回もであるようでありますけれ
ども、もう一たびこの席を通じて明確に御答弁をひとつお願いしたいと思います。いかがですか。