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1976-07-06 第77回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年七月六日(火曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 中村 重光君    理事 中村 弘海君 理事 前田 正男君    理事 宮崎 茂一君 理事 石野 久男君    理事 瀬崎 博義君       松永  光君    山崎  拓君       嶋崎  譲君    塚田 庄平君       山原健二郎君    近江巳記夫君       小宮 武喜君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      佐々木義武君  委員外出席者         原子力委員会委         員       井上 五郎君         科学技術庁長官         官房長     小山  実君         科学技術庁原子         力局長     山野 正登君         科学技術庁原子         力安全局長   伊原 義徳君         農林省農蚕園芸         局肥料機械課長 北條健次郎君         資源エネルギー         庁長官官房原子         力産業課長   山本 幸助君         資源エネルギー         庁公益事業部業         務課長     篠島 義明君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電課長  高橋  宏君         労働省労働基準         局補償課長   溝辺 秀郎君         労働省労働基準         局安全衛生部労         働衛生課長   宮野 美宏君         参  考  人         (宇宙開発事業         団理事長)   島  秀雄君         参  考  人         (宇宙開発事業         団システム計画         部長)     山口 弘一君         参  考  人         (宇宙開発事業         団参事)    平井 正一君         参  考  人         (日本原子力船         開発事業団理事         長)      島居辰次郎君         参  考  人         (日本原子力船         開発事業団専務         理事)     倉本 昌昭君         参  考  人         (動力炉・核燃         料開発事業団副         理事長)    瀬川 正男君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 六月二十五日  辞任         補欠選任   田川 誠一君     松永  光君 七月六日  辞任         補欠選任   渡辺 紘三君     山崎  拓君   原   茂君     塚田 庄平君 同日  辞任         補欠選任   山崎  拓君     渡辺 紘三君   塚田 庄平君     原   茂君 同日  理事田川誠一君六月二十五日委員辞任につき、  その補欠として佐藤文生君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  科学技術振興対策に関する件(宇宙開発原子  力船むつ使用済核燃料の再処理及び原子力の  安全性確保に関する問題)      ————◇—————
  2. 中村重光

    中村委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  宇宙開発に関する問題調査のため、本日、宇宙開発事業団理事長島秀雄君、同システム計画部長山口弘一君及び参事平井正一君、以上三名の方々に参考人として御出席を願っております。  また、原子力船むつ」に関する問題調査のため、日本原子力船開発事業団理事長島居辰次郎君及び同専務理事倉本昌昭君、並びに使用済み核燃料の再処理に関する問題調査のため、動力炉・核燃料開発事業団理事長瀬川正男君に、それぞれ参考人として後ほど御出席を願うことになっております。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。前田正男君。
  3. 前田正男

    前田(正)委員 宇宙開発について六月十日の委員会で要求いたしました資料の配付がありましたけれども、このロケット開発項目別年度別実績表のほかに、さらにこの際、実はきょう質問したいと思っておるのですけれども、時間がないようなので、あるいは時間切れになると困りますので、一応先に資料要求としてお願いをいたしまして、きょう時間があれば質問しますが、なければその資料もとにしてこの次の委員会質問いたしたいと思います。  それは、Nロケットの一号、二号、三号、ずっといま六号の一段まで予算がついておるようですけれども、そのおのおの、Nの各号の使命、それから打ち上げの地名、その目的、こういうことを年度別にわたって実績と今後の要望金額をひとつ書いてもらいたい。すなわち、一号は何年と何年と何年に幾ら予算がついたか、二号は何年と何年に予算がついたか、それを年度別に集計した場合には幾らになるかという、そういう表を資料として提出をしていただきたいと思います。時間があれば、そのうちの一部、使命目的についてはきょう質問をいたしたいと思っておるわけでございます。  そこで、この資料の中に一つ追加したものがあるんじゃないかと思うのです。この資料の「ロケット関係担当役員及び部長」という表をいただいておるのですけれども、この表の中でちょっと私がおかしく思っておりますのは、Nロケット設計開発のところで竹中さんが四十五年から五十一年までずっとやっておるように書いてありますが、そうじゃないんじゃないか。Nロケット開発のうち、エンジン開発グループ総括開発部長さんは四十七年から五十一年までは佃泰三さんがやっておられたのじゃないか。宇宙開発事業団役員職員名簿にも書いてございます。そして定年で五十一年四月におやめになったということでありまして、その間竹中さんは試験用ロケットをやっておられたのではないか。これが抜けておるのじゃないかと思うのですが、これをひとつ訂正して、その実際を出していただきたい。これもひとり資料として訂正して御提出を願いたいし、その佃さんが大学を出てから勤めておられましたところ、それからどういう仕事をしておられたか、それから事業団いつお入りになったのか、それで何をやられたのか。この職員名簿にはNロケットエンジン開発グループ総括開発部員ということで書いてございますけれども、その辺をひと訂正してお出し願いたい、こういうふうに思っておるわけでございます。  次に、この資料に基づいて私が質問をいたしました最初の問題はQシステムのことでございますけれども、これを見ますとQのロケットというのは、四ページ目のところに書いてございますように、実機製作に至らなかった、設計試作システム担当で終わった、こういうふうに書いてあるわけです。したがって、それが実機製作に至らなかったということに対しては、この間にシステム担当された高田理事黒田部長ロケット開発、その後続いてシステムロケット開発をQを担当されておった方がまたやっておられる。こういうことは人事としては適切ではなかったのではないか。やはりQの問題がありまして、それがうまくいかない場合は、この責任を明らかにしていくというのが人事としては公平じゃないかと思いますけれども、その後続いてそのときのQの責任者にあった高田理事黒田さんがそのままシステム設計担当された。そういうやり方人事としてはいいのかどうか、ひとつ理事長の御意見を承らしていただきたいと思います。
  4. 島秀雄

    島参考人 いまQロケット宇宙ロケットについてのお話がございましたけれども、私ども宇宙開発事業団仕事をお引き受けしたときに、すでに相当段階まで調べが進んでおりまして、そしてその方向に向かうようになっておりましたのを途中で変えたということは、いまお話がありましたとおりでございます。すなわち、宇宙開発事業団ができます前からそういうふうに決まっておったものでございます。それが宇宙開発事業団ができまして、果たしてそこに考えられているようなぐあいに完成し得るものかどうかということを宇宙開発事業団としては最初仕事として検討したわけでございます。そして昭和四十七年にそれによって最初の打ち上げが行われるような計画になっておるということは、もう宇宙開発事業団ができましたときに目の前にその年が迫っておりまして、仕事進展状態と比較してみましてとても完成の見込みがないということを見つけまして、どうしてQ並びにN——Qというのは、そこに盛られておりましたように、Nによりまして本格的な衛星を打ち上げるための踏み台のようなもの、Qで得られましたところを用いましてNに進むのだ、Nが本式なんだというふうに読めるような計画になっておりました。だから、その踏み台本物とを考え合わせまして、そしてどうしたら本物に早くいけるかということを一生懸命考えたわけでございます。そして、それを考え仕事をいまのお話システム計画部などを使いまして私がみずから一生懸命やったわけでございます。素人ではあります、ロケットその他についてそれまでそういう仕事をしたことはございませんが、しかし、仕事をどういうふうにまとめていくかということについては幾らかの経験がございますし、できるものと自分でも思いまして、できるだけの力をそこに注いだのでございます。  そういうことで、昔のQの計画をした責任者というわけではございませんので、先ほどのお話はそのように御理解いただきたいと思います。
  5. 前田正男

    前田(正)委員 Qの計画ということでありますが、四十四年、四十五年と、この表に出ておりますとおりに金を出しておられる。そのときに担当した理事部長なんですから、責任があるのではないかと私は思いますけれども、それをNに切りかえていくのに、引き継ぎの関係で多少のことは、すぐその場でやめろというわけにはいかないでしょうけれども、そういう方が続いてまたNの開発担当していく、こういう人事一つ甘さがあるのではないかと私は思っておるのであります。いまのお話のとおり、Qは間に合わないのではないかということで計画を中止されたようですけれども、そのときに四十四年に現に金は支出されている。理事部長担当されて支出しているわけですから、なかったことではない、現実にあったことだと思います。そういう宇宙開発やり方というものは、もっと人事について責任を明らかにしていく必要があると思います。  そこで、さらにこの際私はお聞きしたいのですが、本年二月に打ち上げられました電離層衛星、これは打ち上げは成功されてまことに御同慶の至りでありましたけれども、打ち上げられてから一ヵ月ぐらいで故障になって、現在それがむずかしいという状態です。これは何が原因であったか、どこに問題点があるのか、これをこの際明らかにしていただきたいと思うのでありますけれども、これは次回の委員会に、原因、見込み、そういったことについて資料として御提出を願いたい。それについてもっと詳しく私の方からも質問をしていくつもりでございますけれども、どうもいままでこういうことはうやむやになっている傾向がありますから、この際私は明らかにしていきたい。  宇宙開発は、前回委員会で申し上げましたとおり、多額の血税を使って国家、国民のためにやるわけでありますから、余り楽に物事を考えていくというのは誤りじゃないかと思います。私が聞いた範囲で正確度がどうかわかりませんけれども、東大の宇宙開発の実験におきましても、失敗したときは責任者が交代したという事実があるというふうに聞いておるのでありますけれども、この際、この問題について責任を明らかにして、責任者が交代される、そういう必要があると思いますけれども、いずれ資料をもらって詳しくは検討いたしますが、そういう責任を明らかにする必要があるかどうか、こういうことについて理事長のお考えをお聞きしたいと思います。
  6. 島秀雄

    島参考人 ただいまのことし二月に打ち上げました電離層観測衛星計画につきましてふぐあいが起こりましたことは、まことに多額の国費を使いながら、申しわけないことだと思っております。  これは、衛星とそれを打ち上げることと二色あるわけでございますが、打ち上げることの方につきましては、非常な成功でございます。私ども開発関係している者といたしまして、開発成果につきましては、失敗も含めた相当のばらつきを覚悟しなければいけないものと心得ておりますが、それが幸いにして、非常にいい成績をおさめました。現に衛星天体望遠鏡によりまして観測いたしますと、予定どおり軌道を周回いたしておりまして、またみずからが自転をしつつ回っております。しかし、せっかくそういうのでありますが、それがうまく働かなくなりました。  これはただいま私どもの方でも早速調査委員会対策委員会というものを内部に設置いたしまして、さしあたってどうすればいいかということ、それは回復する方法があるかどうかというようなことを考えることも含めましてのさしあたっての問題と、それから本来的な調査をすることと、二色の委員会をつくりまして、鋭意進めてまいりました。そして、逐次宇宙開発委員会、またその下部機構であります技術部会及び同部会の第一分科会などに御報告申し上げております。近くそちらでそれをもとにお調べがまとまりまして、発表になるだろうというふうに私どもは承っております。その上で、私ども考えておりますことと、また、どのようにお考えになるかということを参酌いたしまして、いまおっしゃいましたような責任の問題という種々のことを考えてみたいと思っております。  私は、私どもの方の衛星関係している人は、日本における衛星関係におきましては最もよくやる人たちの集まりだと思っております。そしてまた、それたちがみんな誠意をもってやっておったものだと考えております。ただ、衛星というのは、地面にありますときは一塊の金物にすぎません。それが軌道に上がりまして初めて衛星でございますが、私ども本当に軌道に上がって衛星になるというものを行いましたのは、わずか二つ目でございます。まことに申しわけないことでございますが、そういう初めてに近いようなものでございますので、経験足らずで、いろいろ考えましたことの中に、考え足らずがあったり思い違いがあったりしたのだろうと思います。しかし、それを考えたり思ったりした人たちというのは、事業団においては無論のこと最も適切な人間がそれに当たっておったのでございますし、最も能力のある人間が当たったのでございますし、また、日本においてそういう経験を持っている人間というのは大変少ないのでございますから、私どもはそういう人たちがこういう苦い経験を積んだということで、さらにこれから先の幾つもやっていかなくちゃいけない衛星を間違いなくもっと行き届いてやっていってくれるということにしていきたいものだと私は思っております。
  7. 前田正男

    前田(正)委員 その調査の経過とか、あるいは原因とか、いろいろなことについては、またひとつ次回に、一月後ぐらいに委員会があるようでございますから、その間に資料をいただきまして私も検討させていただいて、意見を述べさせていただきますけれども、これは必ずしも衛星はかりとも言えないのじゃないか。打ち上げの振動と衛星との間の関連問題もあるのじゃないか、打ち上げはともかくロケットの方は全部うまくいっているとばかりも言えないのじゃないかと思いますから、それはひとつ調査の結果をお聞かせ願うことといたしまして、いずれにいたしましても、今後この宇宙開発というものはできるだけ永久に続けてやってもらわなければならぬと思いますので、当然こういう問題が起こりました場合には反省をして責任を明らかにして、そして次の問題に取り組んでいって失敗のないようにしていくということが税金を使う事業として当然のことだと考えられるわけでございます。そういう点について、宇宙開発そのものについてお互いに将来の発展と成功考えてひとつ責任を持った仕事をしていく必要があるのじゃないか、こう思うわけであります。  次に、この前の質問でも明らかにしたどおり、ロケット業者別契約及びその実績について資料をお願いいたしまして手元にいただいておるわけでございますけれども、私が前回にも申しましたとおり、システム及び設計担当役員あるいは部長の勤めておられましたところの関連業界グループが、各段関連でもシステム関連でも両方のグループを合わせますと、電機も合わせますといずれも七〇%前後というようなことでありまして、これではまことに公平に各グループを育てるということになっていないではないか。先発グループが多少よけいとるということはわかりますけれども、過半数を上回る七〇%前後のものをやっておられるということでは大変おかしいと私は思うわけでございます。これはやはり公平にグループを育てていただかなければならぬと思うのでございますけれども、これから一番金を使っていくNあるいはN改一、こういう配分について公平に各グループを育てるというようにしなければならぬと思うのであります。N改一の表をちょっと見せてもらいましたところ、これはまだ四十九年、五十年ごく少額出ておりますだけですから比率はそう多くないように見えますけれども、いまのNのやり方でそのまま伸ばしていきますと、これまた同じく各段、システム関連ともに七〇%前後になっていくのじゃないか、こういうふうなことでございまして、この表を見たらおわかりのとおり三菱グループ石川グループ日産グループ、その他のグループと四つのグループが大体あるわけですけれども、あるいはその他の中にも実は下請のような形の人がおって、その他のグループのパーセンテージは各グループの中に入っていくのじゃないかとは思いますが、ひとつもう少しく公平な考え方でN、N改一、今後のロケット開発については業者別に育てていくようにする必要があると私は考えますけれども理事長はどういうふうにお考えになっておるか、お聞かせ願いたいと思います。
  8. 島秀雄

    島参考人 私ども、先ほどの衛星の問題でも特に今度の風害を通じましてひしひしと感じましたことは、私どもは少しでもより能力の高いものを使わなくちゃいけないという段階なんだなということでございます。私どもは無論いろいろなことを考えます。しかし私どもはいま、先ほども大いに責任を持ってやれとおっしゃいましたけれども、本当に責任を持って上げなくちゃいけないのだということを始終考えております。だから二つ何かの仕事をするときの候補者がありましたときに、乙の候補者ができないというものではない、必ずできるのだろう、できるということを決して疑うものではない。けれども、ここに一日の長があるとしたら私どもはその一日の長すらとらなければならないような厳しいときだと私は思っております。  ところで、宇宙開発仕事というものは何もロケットだけではございません。これを打ち上げる仕事もございますれば、これを打ち上げるために使いますいろいろな道具立て、それがたくさんございます。私ども筑波におきまして大きな試験設備を持っております。これなども日本にはむろんいままでなかったものでありますし、世界的にも非常に数少ないようなものを持っております。こういうものにつきましても、これをつくるのもその宇宙開発事業の中の一つだと考えております。種子島におきましてロケットを打ち上げます大きな発射台がございます。二千七百トンもありますようなここら辺の建物よりも大きなものであります。それがしかも揺るぎないような状態で百メートル以上も後ろに後退しなければいけないようなムーバブルなものであります、これはずいぶん高いものでございます。それからまた、ロケットエンジンを試験するというような大きな仕掛けがございます。そういうものみんなを含めて初めて宇宙開発事業団仕事というのができるのであります。そういうのを含めまして、日本の各方面にそれぞれの能力を最大に生かしてお願いしていくということで、仕事量のできるだけ公平なる分配というような種々のこともございますが、同時に先ほど申しましたように、またそういうことだけを先に立てて、ただほうり出したようにして公入札でいいんだというようなわけにいくしろものではないのでありまして、私どもこっちの方がちょっとでもいいと思ったらそっちをとらなければいけない状態だと思うのであります。だから現にこれはNロケットの第一段エンジンでございますが、このエンジンにつきましては三菱がソールエージェンシーとしてソーデルタの全体を引き受けるようなかっこうに契約にはなっておりますが、それをこれは石川島播磨重工業で十分できるのだ、またこういう種類のことは得手ではないかということで石川島につくってもらっているようなそういう配分を試みておるわけです。だから、それぞれあっちこっち分解してみたり、総合的に考えてこれはどこが適しているだろうかということを詳細に考えまして配分考え、そしてもちろんそこにはお値段のことも十分なコントロールをしながら相談をして、話にならないような種類のものはちゃんとした理由がつけられないようなことのないようによく考えまして仕事をしているつもりでございます。何しろ開発のことでございますから、しかも期限を切って高いお金を使ってやっていくのでございますから、お話しのように、私として十分な責任がとれるという考え方から配分考えております。もちろん同じような資格のある、能力のあるところにつきましては、これは公正なる入札をして、公正と申しますか同資格入札をいたしまして決めておるという例もたくさんございます。
  9. 前田正男

    前田(正)委員 時間がありませんので、ひとつ簡単にお願いしたいのですが、各部門を歩くということは、私は一番初めのこの前のときにも申し上げた。私は、実はアポロの打ち上げも見てきたわけですから、どれだけ大きな規模でやっているか、各部門があるかということはよく知っておるわけです。ですから、私は時間があれば宇宙開発全体について次々とやりますけれども、時間がないから、先に問題になっておるところからお話しした。しかも、ロケットの問題の中におきましてもいろいろ問題がありますけれども、その中で一番世間から問題が出ているのは、大多数の注文しておられるそのところの出身の方が担当役員部長をしておる、こういうことで、いろいろ批判があるから、そこから私は質問しているわけです。何も別にそれだけ、ほかのことがあることを知らないで私はやっているわけではありません。  また、いま理事長お話しのように、一部のものを石川島に分けた、こういうお話ですけれども、それなら私が言ったように、一一八Fを、二段をNに入れてやれば二段は石川島に行っておったではないですか。そんな勝手なことを言われたって、現実に皆さんが言われておることを私たちは知っているからそういう質問をしているわけじゃないですか。そして、これはみんな自分でやっているようなことを言っておるが、みんな技術導入をやっておるわけでしょう。戦前から日本メーカーとアメリカのメーカーとの間は関係があるわけです。そのメーカー関係を入れまぜたりして、Nの一段を分解したりして、二段はそのまま三菱にやらせる、これはそういうふうなやり方をしておるのじゃないですか。私は、そういうことを理事長が言うから、いま少し突っ込んでお話ししたのですけれども、余りそういうことを突っ込んで話しても、与党の立場だからと思って私はなるべく抽象的な話をしてきているわけですけれども、しかしそんなことで時間を費やしてもこれはあれですから、またいろいろと反論があるなら、私からももっと詳しく幾らでも反論いたします。私自身もある程度ロケットの問題は勉強してきて調べておるし、また現地にも行って調べておりますから、どれだけの規模でロケット開発というものは進んでいるか、宇宙開発が進んでいるかということはよく知っておりますからいたしますけれども、いま私がとらえておるのは、業界出身の方のところへ過半数の、しかも多数のものが片寄って行っているのではないかという問題なんです。しかし、それについて理事長は公平にやっているのだ、こう言うけれども、それでは皆さん、立場を変えてこの際申し上げますけれども、この関係担当理事の方は、発足当時に、なるほど経験の方が少ないから来てもらう、それはいいかもわかりませんけれども関連業界出身の方が発足してからずっといつまでも担当しなければならぬことはないじゃないですか。日本の国にロケット関係人間が、それは少ないことは少ないですけれども、学者の方も東大でもやっておられますし、研究者の人もおられる、またすでに四十四年からやっておるのですから、部内からだって引き上げられる方があるじゃないですか。われわれが常識から見てもおかしいくらいに配分されているところの業界の出身の方はどうしていつまでも担当役員をしていなければならぬのですか。この担当役員をひとつかわってもらったらどうですか。公平にやっておると理事長は言うなら、担当役員をかわってもらったらどうですか。理事長はどう考えておられるのですか。
  10. 島秀雄

    島参考人 私どもは、宇宙開発をする仕事がそんなに息の短い仕事だと思っていないのです。もう目の前に衛星打ち上げを控えまして、敵前で馬を乗りかえるような仕事をしてうまく行くと私は思っておらないのです。それは私の責任をとるところでございます。  それで、私はそういうことを申し上げて、第一期の任期が終了されましたとき、それは私も含めてでありますし、副理事長もそうでございますし、いまお話しになっておりました高田理事もそうでございますが、伺いを立てて御承認を得て再任をさせていただいたわけでございます。
  11. 前田正男

    前田(正)委員 理事長のいま言っておることと違っておるじゃないですか。あなたが提出されたロケット関係担当役員部長についてはどうですか。息の長いことをやっていると言うが、松浦理事高田理事が交代しているじゃないですか。それから部長だって、黒田部長山口君に交代しておるじゃないですか。さっき話したとおり、ロケット関連だって竹中さんと佃さんは交代しておる。あなた、息の長いことで、交代しないでやるのだと言っても、そうじゃないじゃないですか。現実に出された表はかわっておるじゃないですか。これはやはりこれだけのいろいろな批評があるのですから、常識上、一番注文を受けに行っている担当の方は、それは当初にはいろいろと御協力願って、開発についてお世話を願う、それはありがたいですけれども、民間の、注文している先の人がいつまでも担当理事でおるということはおかしいじゃないですか。おかしいと理事長考えないですか。こうやって、あなたの言われたのと違うように、現実に人が交代しているじゃないですか。どうして交代できないのですか。
  12. 島秀雄

    島参考人 私ども理事部長とは違っておると思います。理事というのは、担当はいたしておりますが、同時に私のブレーンとしての仕事をしてくれているのだと思っております。私は、もっと私の思っているようにしたいということでございましたら、ブレーン的色彩をもっともっと強くしたいというところでございます。ただいろいろな仕事がいっぱいあるものでございますから、その中から何かと多少の色をつけて仕事をしてもらっているのです。  そういうことでございまして、しかもいまお話しになりましたところは内部での交代でございます。たとえばそこにおりますいまの山口君のシステム部長はかわりました。これは二回の打ち上げが済んだので、それまでかえようと思っていたのをずっとがまんをしてきて、二回の打ち上げが済んだから、三度目の打ち上げまでの間に約一年時間があるから、その時間の間の早いときに、かねて思っているところの異動をして、次までの間になれてくれるようにというふうに考えたわけです。本来から言えば、私はもっとかえずに行きたいところぐらいなんでございますが、そうも行かないものですから、こういうことをしたという程度でございます。
  13. 前田正男

    前田(正)委員 現に担当理事がかわっておるじゃないですか。この表を見ると、副理事長理事担当役員がかわっておるじゃないですか。私は何も部内から引き上げたらいかぬと言っているのじゃない。部内から引き上げられてもいいじゃないですか。あるいは部内の中でほかにも理事がおられるでしょう。かわられたらいいじゃないですか。しかし、部内で適任者がいないというなら、学界の人も、研究者の人も、日本ロケット開発経験者は少ないといえどもあるわけですから、入れたらいいし、現にあなたは入れかえておられるのだから、私はこういうふうに——本人のためにもならぬじゃないですか、本人が一生懸命になってやっておるのに、その人の出身のところへ、この表でおわかりのとおり七〇%以上の予算がいっておる。とかくのうわさが立って、本人としても何のために努力したかわからぬじゃないですか。これは本当に、私は適正な人事をひとつやってもらいたいと思いますけれども、そのことで時間がもうありませんから、申し合わせの時間ですから、ひとつ私がさっきお願いしましたとおり、本当はきょうはNの問題について、その一号、二号、三号、この予算が今度いよいよ五十二年度の予算要求をされるわけですから、概算要求の問題につきまして、一体六号、七号、そういうようなものが必要性があるのかどうか、N改一とその目的がだぶってきているのじゃないか、また予算としても金額としても、NとN改一の予算が重複してきてこれから予算をとるのも非常にむずかしい、それではNの将来はどうするか、六号で打ち切るのか、六号も要らないのじゃないか、こういうような問題もこれから出てくると思うのですね。だからひとつNの一号、二号、三号、各号の年度別予算N改一の年度別予算実績、それからこれからの見積もりをひとつ出していただきまして、どれだけその予算的なピークが重なってくるのか、場合によってはNの六号はやめて、そして実際的の打ち上げの要望のあるN改一に予算の充実をしていく、そしてNの百三十キロぐらいの打ち上げというものは四号、五号で打ち切りまして、実際に将来百三十キロぐらいの打ち上げの要望が出てきたときにまたNの製作を再開していく、こういうふうな、金額の制限もあるのですから、そういうこともひとつ考えなければならぬ。いままで私たちもその予算の要求、概算要求その他についても余り突っ込んだ話をしておりませんでしたけれども、この機会にひとつ、概算要求の時期ですから私は突っ込んだ質問をさしてもらいたいと思いますが、もう時間が参りましたので、次回、資料をいただきましてから質問させていただきたいと思います。  きょうはこれで終わります。
  14. 中村重光

    中村委員長 次に石野久男君。
  15. 石野久男

    ○石野委員 私は、去る六月二十二日から三日、佐世保港を視察しまして、原子力船むつ」の問題について地元の意見等を聞いてまいりました。それらのことに関連して、政府や事業団あるいは、運輸省等にお聞きしたいのです。  地元の方々には賛成者も反対者もいましたが、反対する多くの人々の意見は、主として、政府は原子力船むつ」はこれはもう佐世保に入港することを前提にしてやっているじゃないかということ、あるいはまた佐世保を修理港から母港にしようという考え方でやっているじゃないか、そういう意図のもとに非常に悪質な宣伝工作をやっているのではないか、たとえば下敷きを配ったり、ボールペンなどを配ったりして、まさに買収工作と同じようなことをやっているじゃないか、こういうような意見がございました。また、修理港を佐世保にするということについて、原子力船むつ」が安全なら何も佐世保に持ってこなくったっていいじゃないか、どこでもやれるというのなら特にこの船をつくったところで修理をしたらいいじゃないか、こういう意見もあった。それからまた、被爆県を逆なでするようなことをなぜやるのだ、こういうような意見もありました。それからなお、全体としてこの反対者は、舶用原子炉そのものについての安全性に不安を持っているということが一般に言われている。そして、修理をするというのだが、特に原子炉を動かさないで修理が完了するということが言えるのかというような、こういう意見などがあったのです。  賛成する多くの人の意見は、佐世保はいま仕事がなくて困っているので、何とかひとつ仕事をもらいたいということなんです。同時に、それは政府のエネルギー政策にも協力できるということだから、大体そういうことでございました。  そこで、時間が非常に短い私の持ち時間ですから、端的なお尋ねをしますが、これは前にもお聞きしましたが、現場でもいろいろやはり疑問を持っておりますので、まず、事業団及び科学技術庁あるいは原子力委員会等は、原子力船むつ」の修理ということについて大体どういうことを考えておるのか、船についてと炉について。このことを最初に明確にしていただきたい。これは事業団でもどちらでもよろしゅうございますが、あるいは運輸省でもよろしゅうございます。
  16. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 この修理点検問題に関しましては、石野さんも御存じのように、去年日本のこの道では一番詳しいと思う海事の達人の皆さんに御参集いただきまして、十分技術的に検討を加えた結果できたものでございますので、その内容に関しましては局長の方から具体的に説明申し上げさせます。
  17. 山野正登

    ○山野説明員 原子力船むつ」の修理につきましては、御承知のとおり大山委員会の報告を受けまして、その後私どもと運輸省の方でつくりました遮蔽改修並びに総点検の技術検討委員会にも諮りまして、この計画の内容を決めたものでございますが、現在佐世保港にお願いしょうと考えております修理内容と申しますのは、まず遮蔽の改修工事が一点でございます。それから第二点としまして、これも大山委員会で指摘されておるわけでございますが、遮蔽の改修のみならず、この際安全性に大きな関係のあると思われる重要なプラント機器について総点検をすべきであるということが指摘されておりますので、これを受けまして、原子炉プラント機器を中心とした安全性の総点検、これが第二点でございます。それから第三点といたしまして、「むつ」はこの船底等船舶としての検査というのが現在大湊港においては十分実施し得ませんので、この船底等の点検を含めました船舶としての検査というのが第三点でございまして、以上のような内容を今後修理港において行いたいというふうに考えております。
  18. 石野久男

    ○石野委員 わかりました。  船底等その船舶についてのことはここでは私はもう、別な機会にまたお尋ねしますが、その第一点の遮蔽の改修、それから安全性についての総点検、特に、この遮蔽の改修の修理完了という状況はどういうときにその修理完了ということが言えると考えておりますか。
  19. 山野正登

    ○山野説明員 修理の完了という言葉の意味でございますが、具体的な修理工事が済むという趣旨で申し上げれば、現在予定いたしております三年間のうちに、修理港において先ほど申し上げたような点検なり修理改造といったふうなことを行うわけでございます。そこで、この工事自体は修理港において済むというふうに考えております。  それから、いまおっしゃいます修理の完了という意味が、単なる工事の終了にとどまらず、当初計画いたしました所期の目的を達成しておるかどうかという確認までを含めた修理の完了という御趣旨でございますれば、これは工事を完了しました後、新しく決めらるべき母港におきまして、低出力の上昇試験あるいは高出力の上昇試験といったふうなことを行ってまいるわけでございますが、こういった将来の出力上昇試験段階における成果の確認といったふうなことまでをやりまして、計画どおり修理が完了したということが確認された時点が御説の修理の完了の時点というふうに考えるべきかと思います。
  20. 石野久男

    ○石野委員 現場でも、特に長崎の知事などもそうでしたし、その他の諸君、特に反対している方々の中にはやはり、原子炉を動かさないで修理の完了なんてわかるのかい、こういう意見が強うございました。いまお話しのように、この工事は修理港でやれる、その工事が本当に目的の意図どおりに完了しているかどうかという、いわゆる完了試験といいますか、とにかく工事を頼んだんですから、引き取り試験、そういうふうなものはいまのお話だと母港でやられるそうでございますけれども、それまでは結局修理工事は完了したことにならないと思うのですが、そういうふうに見てよろしゅうございますか。
  21. 山野正登

    ○山野説明員 先ほど申し上げましたとおり、この計画した所期の目的を達成したかどうかということを確認する時点までということでございますれば、お説のとおりでございます。
  22. 石野久男

    ○石野委員 そこのところが、非常に現場でも心配しているわけだし、それから私どもも非常に心配するのですが、工事を請け負わせる工事人との契約の問題で、工事をお願いしたときの代金の支払いというものが行われると思いますけれども、そういう確認ができなかった場合の支払い、あるいは支払い契約といいますか、工事契約といいますか、それは事業団はどういうふうに事業を引き受けてくださる人との間にやるつもりでおられますか、ひとつその点を教えていただきたい。
  23. 島居辰次郎

    ○島居参考人 契約はもちろんまだやっておりませんし、今後の契約の内容については篤と検討いたさなければならぬかと思っております。  そこで、契約にも御存じのようにいろいろ民間に型がございますので、たとえば着手したときに少し出すとかいろいろございますので、その点今後ネゴシエーションになりますが、今後の問題に残しておきたいと思っております。
  24. 石野久男

    ○石野委員 事業団にお尋ねしますが、私、前にも聞いたと思いますけれども、「むつ」にああいう事故が起きましたけれども、あの「むつ」の船並びに炉に対する——ああいう事故に結局なってしまったんですが、あれをつくった人々には、ほとんど免責されておって、弁償も何もないんだろうと思うのです。あれはどういうふうになっておったんですか、その当時の事情は。
  25. 島居辰次郎

    ○島居参考人 あれは、契約の中に補償条項がございまして、補償することにはなっておりましたが、なかなか完成いたしませんので、補償条項も  一時延ばしたこともございますが、その期限も切れましたので、いまとなりましては、補償条項の期限も切れたような次第でございます。
  26. 石野久男

    ○石野委員 「むつ」についての国家支出は全体で  いままでどのくらいになっておりますか。
  27. 島居辰次郎

    ○島居参考人 大体百五十億であります。
  28. 石野久男

    ○石野委員 「むつ」は百五十億の支出をして現在動きもとれないであのとおりになっておる。それを修理しなければならない。われわれも税金をこれだけかけて遊ばせておくことはもったいないから、修理するそのこと自体について問題はありましても、それはのっけからだめだということは考えておりません。ただし、その修理が、あれだけの事故を起こしておるのだから、今度修理する場所で、しかも炉はわずかであるけれども稼働しましたので、若干ではあっても放射能を含んでおるというようなこともありまして、現地住民はそういうことから非常に不安に感じておる。佐世保はすでに原爆の被爆県でもありまして、ことさらにそういうことについて考え方が厳しいものがあると思いますけれども、いま工事をさせて、そして最終的には母港でその修理の完了が具体的に目的どおり、設計どおりできておるかどうか、意図どおりに達成されておるかどうか見なければならない時期が不明確であるとすると、契約するに当たっても、ちょうど原子力船むつ」と同じように、また期限切れのようなことになってしまったらいけませんので、補償の問題とかなんかについては、これは年限を切るということは非常にむずかしいのじゃないだろうかなというふうに私は思いますけれども、そういう点は理事長はどういうふうにやっていくつもりでありますか。
  29. 島居辰次郎

    ○島居参考人 契約は、いま申しましたように今後の問題でございますが、御趣旨のほども篤と含めまして、できるだけ、言えば注文者の方に有利に取り運ぶのがこっちの方の注文でございますが、そういうふうにやりたいと思っておりますが、しかし、民間の契約はやはり期限もございますので、その点、今後のいろいろネゴシエーションの問題になるかと思います。
  30. 石野久男

    ○石野委員 さきにも申しましたように、現場では修理港が即母港になるのではないだろうかという心配をしております。ただいまお話を承りますと、修理した船は母港で出力試験あるいは上昇試験等をやって、修理が目的どおりできているかどうかを確認したいのだ、こういうお話でございますが、科学技術庁は、この母港の問題については、その修理をして、修理工事が終わった、それから実際にそれを検収して受け取る間の期間がどのくらいあったら母港へ持っていけるというふうに現在考えておるのですか。
  31. 山野正登

    ○山野説明員 いま先生の御質問の趣旨、私、正確にとらえていないかと思いますが、今後母港選定をどういうスケジュールで考えておるかという御質問かと思いまして、それについてお答えいたしますが、ただいま御承知のように佐世保港に修理港として受け入れていただくよう検討方をお願いしておるところでございますので、現在はその問題の解決に全力を傾注いたしておりまして、この修理港受け入れ問題が済みましたら、早急におっしゃいます母港選定作業に入りたいというふうに考えております。  修理港における修理期間は三年間でございますので、その間に母港を選定しました上、必要な施設等を設備するということは十分可能ではないかというふうに考えております。
  32. 石野久男

    ○石野委員 修理期間が三年間だから、その間に母港の選定は可能であるだろうというようなことで現地の方々を理解させ得るというふうにお考えになっていると、政府の見方はちょっと現地の方々の感覚を十分つかんでいないのではないだろうか、こういうように私は思いますけれども、これは長官の問題になると思うし、主としてそういう県民のこれに対する考え方の問題をどうつかむかということだろうと思うのですが、現地の反対しておる方々、特に県漁連の日高さんなどは、「むつ」は政治的運命であり人為的運命であるから、これは組織を挙げて阻止をする、こういうような強い発言がございました。私は、こういうような発言、そうして多くの人々の発言を聞いて、いまのような科学技術庁の物の考え方じゃ、とてもこれは現地の方々は納得しないだろうと思いますね。私の感じでは、母港の問題がしっかり決まるまでは、恐らくこの船をあそこへ入れるということはとても困難じゃないかというように思いますよ。これは一つの感覚の相違かどうか知れませんが、長官はどういうふうに考えておりますか。
  33. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 私、今度ドイツへ参りまして、「オットー・ハーン」をよく見せてもらいましたが、向こうでは日本の「むつ」の問題もよく知っておりまして、技術の問題というよりはむしろ政治的な問題だというふうに見ておったようでございます。したがって、いまいみじくも石野さん同じような発言でございますが、しかし、私どもは何といってもその根本にある修理、点検が安全であるということをまず地元の皆さんに御理解いただくというのが先決だと思いまして、ただいま一生懸命それに努力しておるわけでありまして、これをはなから、そういう問題はどうでもいいので、政治的に解決するということでありますと、お話のようなことになると思います。しかし、努めてそういう政治的な問題として取り上げるんじゃなしに、やはり安全なものは安全だという御理解をいただいて、安全なものであるならばこういうふうにしてひとつお手伝いしようじゃないか、こういうふうに持っていきたいのが私の願いでございますので、なるべく政治的な話し合いじゃなしに、技術的な御理解をいただいてそして問題を解決したい、こういうふうな考えでございます。
  34. 石野久男

    ○石野委員 政治的な問題でなく技術的に解決しようとすると、母港ができるまでは検収ができないんでしょう、いまのお話では。
  35. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 出力上昇試験とかといったようなのは母港でやるということは先ほどお話しのとおりでございます。したがって、修理、点検がこれで可能だ、十分だという受け入れ契約上、また実際にそれを出力試験するまでもなしにここで大丈夫だというところで修理、点検の使命を終わりまして、それから実際の出力上昇試験は母港でやる、こういう趣旨でございます。
  36. 石野久男

    ○石野委員 そこが歯どめが決まれば問題がもっと厳しくなる。そうなると今度は契約の内容は、もうそこで修理、点検が終わった段階事業者に対しての支払いをやっちゃうというつもりですね。
  37. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 それは契約の内容でございますから、相手方とどういうふうな取り組みをするか、これからだというふうに理事長もおっしゃるとおりだと思います。
  38. 石野久男

    ○石野委員 私はさきに、「むつ」の問題で百五十億の金かまるまるいまのところは——確かに物はあるんだからいいですけれども、使い物にならないでおるわけですよ。これは実験段階で、実験用のものにしたんだ、いまはそう言いますけれども、あの当時は実験ではなくてもう原子力船は技術的にはすべて解決している、問題なのは経済的な問題だけだということを、前の理事長は何遍も繰り返して言っておったのです。そういうことで全国行脚して国民を、いまの言葉で言えばたぶらかしてきた。事実はそうじゃない。経済的な問題よりも技術的な問題で、出力わずかに二%というようなところでああいう事故が出たという、実に惨めな状態になっていても、これをつくった人たちには何の弁済も弁償も取ることはない、補償もさせないでおるのですね。  いままた修理事業は——点検作業はそれで終わりだ。実験をしてそれがだめだということが出たときには、契約の内容だから後でまたどうというより、その前にどういう契約をさせるつもりでおるのですか。その実験をしたときに、事故があったときには全部取り戻すとかなんとかということはきちっと入れるというようなことなんですか、どうですか。まず契約の問題からひとつお願いしたい。
  39. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 同じことを繰り返してもしようがないのですけれども、それはそのときに交渉をして相手のあることですから決めるというだけの話で、もし御希望があるならば、契約のときはこういう条項を入れなさいとかというふうに御指示をあらかじめいただければ、それをまた心してやります。
  40. 石野久男

    ○石野委員 契約の内容はそのときだということになると、これはもう本当に国民の立場からすると、膨大な金をかけて、しかも現場の人たちは非常に不安を感じておるけれども強引にやる、そしてそれは工事が完成したかどうかは何年先になるか知らぬけれども、母港ができるまで実験はできない、こういう不安定なことであれば、現場の人たちは、結局修理港を即母港というような考え方を持っているのではないかという、そういう考え方につながっていきますよ。だから現場の人たちがもう体を張ってでも、こういう状態もと原子力船むつ」を入れるということは困る、青い海ときれいな魚を確保したいんだ、こういうような言葉どおりになってきます。  私は現場を見ましてしみじみと感じますことは、政府は修理、修理と言いますけれども、修理はしても点検のめどがつかない。場所も時も全然めどがつかないようなものを修理を急いでみてもだめなんじゃないか。とにかく仕事をさせて、それを検収して受けとめることができないような仕事をなぜさせるんだ。そこをちっとも問題の解決しないで修理修理と言うようなことは、これはとても一般の人を理解させないし、また工事をやったって、工事をやった人だけが金をもらうけれども、できたものが使えるか使えないかわからないような、そんなむだな金をいま科学技術庁は出すというようなことを考えておったのでは、余りにも納税者をばかにしたことになるんじゃないですか。これはどうするんですか、原子力委員会はそういう問題をどういうふうに見ているんですか。
  41. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 私は原子力委員長でありますから、お答えします。  同じ議論を繰り返すだけでありまして、石野さんはこれは現地の意見と言いますけれども、現地のどこの意見なものやら。そうじゃなくて、石野さん自体の意見だというのであれば、どうぞひとつ、そういう場合にはむしろ契約の内容にはこういう点を注意してもらうべきじゃないかというふうな御指示をいただけば大変ありがたいということを申し上げているわけであります。
  42. 石野久男

    ○石野委員 私の意見というよりも、いまのような事態が十分わかっておったら、それならば政府はあるいは長官は、このような場合に国民の理解を取りつけるために契約はどういうふうにするというような考え方の一端でも示してごらんなさい。
  43. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 先ほど申しましたように、契約は実際修理港等が決まりまして、これからいよいよ修理に入るというときに業者の選定等やるわけでございまして、いまからやる業者も決まらぬのに契約がどうだこうだと言うことは、これはまた私自体としても契約の当事者でもございませんし、これはやはり責任者である事業団理事長さんが、そういう場合には十分皆様の御注意も意に体して、そして誤りない契約を結ぶことにしますという御答弁でございますので、いまの段階はそれでいいんじゃないかと私は思っております。
  44. 石野久男

    ○石野委員 「むつ」の問題については二つの問題がある。一つは、これに国民の税金が最初から終わりまでかかっているということが一つ。もう一つは安全性の問題がある。二つあるわけですよ。その安全性の問題は技術的な側面で解決するんですが、金の問題については実験船だから、それはどぶだめに金をつぎ込んでも将来のためにいいんだという一つ考え等もありますけれども、今度は修理なんですよね。修理をやるけれども、修理はやったが実験をする場所がないんだ。完了試験でそれを検収して受け取るという場所もなければ時もまだわかっていない、こういうようなことでは、これはとても私も含めて現場だけじゃない、国民がこういうやり方については納得しないだろうということを私は申し上げておるんですよ。  私は大体わかりました。こういうことは私の判断よりも国民が判断するんだし、現場でいろいろ不安を持っている人々がそういう問題について持っておる感じを私がお聞きしたわけですから、それを受けとめるのはそれぞれの人によって違うと思います。きょうは、その修理完了時のなには母港でやる、佐世保ではやらないということだけを一応確認しておきたいと思いますが、そういう私の確認でよろしゅうございますか。
  45. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 修理、点検が決まりましてから母港の選定に入るというので、母港はどこにするかということはただいまのところは白紙でございます。
  46. 石野久男

    ○石野委員 じゃ、よろしゅうございます。
  47. 中村重光

    中村委員長 次に嶋崎譲君。
  48. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 先般この委員会で、石川県の能登半島のとっぱなの珠洲原発の設置計画について御質問を申し上げましたが、きょうは珠洲市の原発設置計画に関連して原発行政について二、三お尋ねをしたいと思います。  前回質問でお約束しました、昨年度の予算で三月に行いました珠洲市高屋町のボーリングについてのデータはでき上がっておりますか。
  49. 山野正登

    ○山野説明員 いま先生御指摘の問題は、通産省が事前調査として行っておる調査の内容かと存じますが、私ども科学技術庁の方はまだその結果等について承っておりません。
  50. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 通産省は来ていないの。
  51. 中村重光

    中村委員長 いま来ました。
  52. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 前回のこの委員会での質問の例の珠洲市の高屋町の通産省で委託しているボーリング調査、あの三本のボーリング調査のデータは届いておりますか。
  53. 高橋宏

    ○高橋説明員 前回御説明いたしましたように、この原子力立地地点調査は、ボーリング調査、それから電気探査、それから詳細な踏査というのがワンセットになっております。たまたま予算関係でボーリングだけが先行して、昨年度委託費ということで実施いたしまして、その部分についての報告書はできております。
  54. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 柱状図もつくってありますか。
  55. 高橋宏

    ○高橋説明員 三本のボーリングにつきましての柱状図、それからその所見ができております。
  56. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 その資料はお約束のとおり提出を願います。
  57. 高橋宏

    ○高橋説明員 先ほどお話しいたしましたように、委託調査の全体は、ボーリング、それから電気探査、地表踏査とワンセットになったものでございますので、この報告書はその一部ということで、完成はいたしておりませんが、その部分についての報告書はございますので、後日先生のところにお持ちいたします。
  58. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 今年度の予算で、あと二カ所についての地点は確定いたしましたか。
  59. 高橋宏

    ○高橋説明員 本年度調査でございますけれども、引き続き高屋地区についての先ほどお話しいたしました残りの調査を進めるということが一つと、それからもう一ヵ地点、地元のお話もございますので、やりたいと考えておりますが、それらにつきましては現在地点につきまして検討中でございます。
  60. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そうすると、あと高屋町でもう一回。あと二ヵ所というのは、高屋町以外の三崎とかそういうところではなくて、高屋町でもう一度やるのですか。それはまた三本ですか。
  61. 高橋宏

    ○高橋説明員 高屋地区につきましては、電気探査、それから地表踏査でございます。それから、もう一ヵ地点ほど、地元のお話もございますので、話が調えばやりたいというぐあいに考えております。ですから、合計二つということに相なります。
  62. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 高屋町での電気探査の調査に当たって、高屋町地区の住民全体が反対、拒否の決議をしているのを御存じですか。
  63. 高橋宏

    ○高橋説明員 地元の調査が円滑にいきますように市を通じていろいろと地元とのお話をお願いいたしておりますが、高屋地区におきます電気探査につきましていろいろ地元で反対の意向もあるということは、私、伺っております。
  64. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そうしますと、高屋町の方は電気探査を中心とした調査で、そしてもう一ヵ所はまだ三崎地区とかいう地区が決まっていないというふうな段階でございますか。
  65. 高橋宏

    ○高橋説明員 高屋地区の電気探査につきましては、ちょうど田植えが始ってもう稲ができておるというような段階にもあるようでございますし、それから、いま先生からお話を伺いましたように、反対というようなこともあるやに聞いておりますので、その辺を勘案して今後の方針を決めたいと思っております。  それから、もう一ヵ地点につきましては、いま三崎地区とおっしゃいましたけれども、この辺も一つの今後の地点の候補にはなり得ると思いますけれども、現段階はまだ最終的に決定し、かつ委託をするという段階ではございません。
  66. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 先般の委員会でも確認をいたしましたけれども、現在のボーリング調査は、珠洲市に将来原子力発電所を持ってくるかどうかということではなくて、それ以前の段階のガイドライン的な性格の調査であって、この調査に基づいて後まだいろいろな、より精密な海象、気象、それから水その他地質の調査をもっとやるということが必要なわけで、現在の段階では原子力発電所を珠洲市に持ってくるという前提での調査ではないということを御確認いただいていますが、そうですね。
  67. 高橋宏

    ○高橋説明員 前回御説明いたしましたように、本地点につきましては、珠洲市からの、地域開発一つのてことして原子力開発はどうだろうか、そのための調査をしてほしい、そういうような御要望に対して行っておるわけでございますが、この調査は、いま先生お話しされましたように、ガイドラインという意味のものでございまして、これを一つの参考データとして実際に発電所の立地に当たります電気事業者がさらに詳細な精査をいたしまして、その後で最終的な立地の可否、可能性というものが決定する、そういう手順を踏むものでございます。  先ほど御説明いたしました三本のボーリングの結果だけから申しますと、地盤の支持力の目安になりますN値という数字がございますけれども、それを見ますと、基盤の強さとしては通常の原子力立地について十分な強度を持っているというようなデータは、現段階で出ております。
  68. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 それはデータを見せていただいて、また私の方でも判断さしていただきます。  そこで、科学技術庁の方にお尋ねしますが、原子力文化振興財団ですね。これの性格、それから組織、それから目的、それから資金、それについて、時間が短いですから簡潔に御説明ください。
  69. 山野正登

    ○山野説明員 日本原子力文化振興財団と申しますのは、広く一般に原子力の平和利用に関する知識の普及、啓発を積極的に行い、その認識を高め、もって明るい文化社会の形成に寄与するということを目的として設立されております。  事業規模といたしましては、私の記憶では、昭和五十年度の事業規模は約三億七千万円程度であったと存じております。
  70. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 これは公益法人ですね。
  71. 山野正登

    ○山野説明員 公益法人でございます。
  72. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 昨年度、科学技術庁からいただいたデータで、「関係各機関における原子力広報関係費一覧表」というのをいただいております。この「原子力広報関係費一覧表」の中に、「日本原子力文化振興財団」というのがありまして、それには昨年度は三億八千四百七十一万、今年度の予算としては四億七千二百七十九万ということになっておりますが、これは間違いございませんね。
  73. 山野正登

    ○山野説明員 間違いないと存じます。
  74. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 もう一つお尋ねしますが、今度は「原子力関係普及・啓発予算」という原子力局の調査課から出ておるデータがございます。これによりますと、日本原子力文化振興財団は五十年度は六千三百三十四万円という支出になっております。  そこで、お尋ねしますが、この原子力関係普及啓発の予算とその原子力広報関係費というそれぞれの概念はどういう考え方ですか。
  75. 山野正登

    ○山野説明員 言葉は違う言葉を使っておりますが、目的は同じ目的だと存じております。
  76. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そうしますと、昨年度の場合ならば広報関係費の三億八千四百七十一万円のうち原子力普及啓発の予算が六千三百三十四万円、その内部はそういう確認でよろしいのですか。
  77. 山野正登

    ○山野説明員 いまおっしゃいます三億七千万円と申しますのは、文化振興財団の予算規模で間違いないと存じますが、六千三百万円と申しますのは文化振興財団ではなくて、政府予算の一部を言っておられるのじゃないでしょうか。
  78. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 つまり、科学技術庁が日本原子力文化振興財団に普及啓発費として科学技術庁の方から回して行った金がこの六千三百三十四万円という意味ですか。
  79. 山野正登

    ○山野説明員 日本原子力文化振興財団の事業経費に直接国から支弁した経費はございません。
  80. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そうすると間接になるんだと思いますが、この資料は何ですか。科学技術庁原子調査課でいただいた四十五年から五十年度までの「原子力関係普及・啓発予算」といって、そして「日本原子力文化振興財団」という項目があって、そして毎年度記入されて、昨年度は六千三百三十四万円ということになっている。これはどういうお金ですか。どういう経路でどういうふうに流れたお金ですか。
  81. 山野正登

    ○山野説明員 恐らくお手持ちの資料は政府並びに政府に関係の深い機関の広報活動の予算規模はどうなっているかというものを一覧表としてまとめたものだと考えます。
  82. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 つまり、原子力文化振興財団が、総経費はさっき言った三億何ぼですが、そういう中で原子力関係の普及啓発というふうに項目を立ててみると、原子力問題に対して普及啓発をやるのにほぼこのぐらいの金が使われているという意味の財団の金額、そういう意味ですか。
  83. 山野正登

    ○山野説明員 そのように御理解いただいて結構と思います。
  84. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 ではお尋ねしますが、この日本原子力文化振興財団は、地方自治体に原子力のPR用として寄付金を出しているところがございますか。
  85. 山野正登

    ○山野説明員 文化振興財団の寄付行為——事業の内容を見ますと、地方自治体その他各種団体の原子力平和利用に関する啓発普及活動に対する協力という項がございまして、これによりまして地方公共団体等に協力をした例はございます。
  86. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 その予算の総額は昨年度幾らですか。
  87. 山野正登

    ○山野説明員 これは五十年度の収支計算書に基づくものでございますが、決算上から見ますと約千七百万円ばかりのものを出しております。
  88. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 それの各自治体に出た細目はわかりますか。
  89. 山野正登

    ○山野説明員 この千七百万円の内訳、ただいま手元に持っておりませんので、もし御入用であれば後ほどお届けいたします。
  90. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 要するに、この文化振興財団は科技庁と通産省の共管ですね。
  91. 山野正登

    ○山野説明員 内閣総理大臣と通産大臣の共同認可団体でございます。
  92. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そうしますと事業計画、決算報告、そういうものはできておりますね。
  93. 山野正登

    ○山野説明員 毎年度報告が参っております。
  94. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 五十年度のその報告書の資料提出をお願いします。ついでに五十一年度の計画も含めて。
  95. 山野正登

    ○山野説明員 五十年度の報告は提出できると存じます。それから五十一年度につきましては、事業計画等を御提出できると思います。
  96. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 じゃその資料を後でまた参考にさしていただきます。  そこで、お尋ねしますが、そうしますと、いままでこの文化振興財団は幾つかの市町村に、原子力発電所誘致のPR用のいわば補助金を出しているということですね。初めてあるところに出したということはございませんね。
  97. 山野正登

    ○山野説明員 この文化振興財団の行っております活動というものは、あくまでも普及啓発の活動でございまして、特に原発の立地を誘致するという目的でやっておるものではございません。  それからいま一つ、地方公共団体に出した例というのはいろいろあると思います。
  98. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 まあ誘致ではありませんがね。  そこで、先ほど通産に質問してはっきりしたことは、現在珠洲市の高屋町、それから今後三崎でも行われるのではないかと予想されますが、現在行われているボーリング調査というのは、昨年の珠洲市のこれは全員協議会の決定に基づいて、市が県を通じて誘致のための調査を要求する、お願いをする文書が上がりまして、それに基づいて通産省がボーリング調査に入ったわけです。そのボーリング調査は現在の段階ではまだ海のものとも山のものともつかない立地の条件の予備予備調査みたいな段階でございます。そういう段階ですから、ここに原子力発電所ができるかできないかは今後ずっと先の話だと思います。ところが、昨年度五十年度の珠洲市の予算に、ことしの六月の予算の報告書を見ますと、そこには昨年度五百万円の寄付金がありまして、そしてそのお金は収入として五百万が入っていて、そして支出としては総務管理費という形でこれが支出されていることが六月の議会で報告になっております。珠洲市に昨年五百万出たということは御存じですか。
  99. 山野正登

    ○山野説明員 五十年度に珠洲市長から文化振興財団に非常に強い御要望がありまして、それにこたえまして総事業費六百万円の事業に対して五百万円の協力金を出したということを承知しております。
  100. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 五十一年度には一千五百万の予算を計上しているのは御存じですか。寄付金をもらってやる……
  101. 山野正登

    ○山野説明員 珠洲市において五十一年度さらに引き続き千五百万円ばかりの協力をお願いしたいという要望が来ておるということは聞いております。
  102. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 しかし、五十一年度の補正で一千五百万の寄付が明細されて書かれて、そして総務管理費として支出する、その中身はより詳細に説明がありまして、そのお金は地域開発調査費という名目で一千五百万が支出されることになっておるのは御存じですか。
  103. 山野正登

    ○山野説明員 そのことは存じません。存じませんが、あくまでも文化振興財団の支出いたします金と申しますのは、先ほど申し上げましたように普及啓発活動につながるものでなければいかぬということでございますので、いまお示しの内容がどうかということは、しさいに検討しなければ、補助の対象として適格かどうかということは判断しかねると思います。
  104. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そうすると、この計上してあるものは、内容いかんによっては変更があり得るのですか、寄付は。
  105. 山野正登

    ○山野説明員 いま先生おっしゃいましたのは珠洲市の五十一年度の予算でございますね。これは、私どもちょっと珠洲市の予算の内容については承知いたしておりませんので、御質問の趣旨が、そういうふうに市の予算に計上してあっても、それに文化振興財団がこたえない場合があるかという御質問と理解いたしますが、それは十分ございます。
  106. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 わかりました。そうしますと、一応予算を組んでみたが、内容いかんによっては支出があり得ないこともあり得るということですね。
  107. 山野正登

    ○山野説明員 そのとおりでございます。
  108. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 この支出に当たりまして、いまお聞きしました普及啓発活動というのの中身は何ですか。
  109. 山野正登

    ○山野説明員 私、いま手元に五十年度に行いました珠洲市への五百万円の助成の事業内容を持っておりますが、それを見ますと、いろいろ項目がございますが、大きなものを申し上げますと、市役所の原子力スタッフの養成、これは今後市役所が職員研修とかあるいは地区ごとの座談会等に臨むために職員を教育しようという趣旨のものでございます。それから市の広報誌によるPR、これは各戸ごとに配布されます広報誌に記事を記載して、原子力の正しい理解を深めようという趣旨でございます。あと原子力座談会と映画会とかあるいは講演会の実施、さらに原子力施設の視察、勉強会といったふうなものが盛り込まれております。
  110. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 いまの昨年度の五百万の使途について、市役所の職員の研修ですね。そういうものとか広報だとか言っていますが、今年度五十一年度予算になりまして、珠洲市では地域開発調査費という形で一千五百万の文化振興財団から寄付していただいたものを前提にしまして市が条例をつくっているのは御存じですか。
  111. 山野正登

    ○山野説明員 その件は存じません。
  112. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 この条例は、一千五百万全額がそれに相当するかどうかわかりませんが、原子力に関する正しい認識と理解を深めるために、原子力発電所への視察費という形で今年度から一年間、つまり四月から来年の三月までですね、かなり大規模な計画が条例としてうたわれております。その中にはどう書いているかというと、「視察地は原則として福井県敦賀・若狭湾周辺とする。」福井の原発調査。そして「珠洲市に三ヵ月以上住所を有し、おおむね二十歳以上の方によって組織された団体などであること。」つまり、市民の中で二十人のグループをつくって視察に行くと市に届け出ますと、その人たちが視察に行ってよろしいというふうに市は判断するかどうか。二十歳以上の人間が二十名ずつグループをつくって、そして申請すればいいのです。そして、視察の期間は原則として二日間、助成期間は本年の四月から来年の三月まで、助成対象経費は交通の費用、宿泊費用、それは食事費をもちろん含む、その他の費用などで、「これらの経費のうち全部助成か一部助成かの選定は市長が行う。」こうありますね。こういう五つの条文から成った条例でございます。  ここで皆さんにお聞きしたいのは、珠洲の原子力発電所を将来誘致するか否かということについては、現段階でまだ全然未確定だ。一千五百万も寄付をもらって、それも実際入ってくるかどうかわかりませんが、こういう内容のもので使途するということについて、一千五百万円の支出は、先ほど言う市の普及啓発活動として考えられるかどうか。どう思いますか。
  113. 山野正登

    ○山野説明員 まずお断りしておきたいのは、先ほども申し上げましたように、この文化振興財団の行います普及啓発活動は、立地、誘致の地点を選んで、その地点を重点的に助成していくという姿勢ではないわけでございまして、広く国民一般の理解を求めるという見地から、当該地がそういう誘致の地点であろうとなかろうと、そういうふうなことに無関係に協力をしてまいるということにしておるわけでございます。  それから、いまお示しの、市の条例そのものが、その条例で示されておる事業内容が妥当かどうかということは、これは文化振興財団が協力するということについて妥当かどうかという観点からお答えいたしますが、その内容、つまり先ほどおっしゃいましたように五十一年度に千五百万円の協力を要請しておるということでございますので、その内容をしさいに検討して決定されると思いますが、これはあくまでも当該事業年度の全体の事業規模をにらみながら、かつまたこの財団の事業目的考えながら、理事会が判断する問題でございまして、いまおっしゃいました市の条例だけでもって私に判断せよとおっしゃるのは、いささか無理ではないかと思います。
  114. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そこで、一千五百万の支出について、珠洲市の方では、もう寄付金をもらえるという前提で予算を組んでいるわけね。ですから、もう話はいっている。その一千五百万の支出について、この文化財団で正規の機関で決定して支出を決めているかどうか、その当時のそういう決定の議事録があれば議事録を提出できますか。
  115. 山野正登

    ○山野説明員 私の承知しております範囲内では、文化振興財団の五十一年度の事業計画はまだ案の段階だと存じておりまして、まだ正式に決定されておりません。
  116. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 では、まだこれは一方的な判断で予算が組まれている、こう判断できるわけですね。  そこで、先ほどの説明によりますと、最初の前段の説明ですと、将来その地に原子力発電所が来るか来ないか関係なしに、言われた表現で言えば関係なしに、原子力問題についての普及という観点からして助成することがあり得るというわけですね。  では、原子力発電所が将来に問題にならないような地域で、その行政に対して寄付金を出したことはありますか。
  117. 山野正登

    ○山野説明員 原子力立地問題と関係なしにということを私、強調いたしましたのは、あくまでも原子力開発利用の推進というものは国民的なコンセンサスがベースとしてぜひ必要であるという観点から、そういう普及活動も必要であるということで申し上げておるわけでございまして、過去にどういう地点が原発に全く関係がないかという基準がまたむずかしい話ですが、あったかどうかという事実はいま私覚えておりませんが、少なくともこの文化振興財団の事業目的から申しますと、十分にあり得る話だと存じております。
  118. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 では、具体的な事実があるかどうか、過去の報告書を調べ提出を願いたいと思います。
  119. 山野正登

    ○山野説明員 よく具体的な事実を調べまして御報告いたします。
  120. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 ところが、現地の珠洲市に「会報せいわ」という機関誌が出ております。当地の自由民主党の機関誌でございます。この機関誌に「原子力施設等視察研修に助成」と書いて「我国では初めて」と書いているのは、これは正確ではありませんね。
  121. 山野正登

    ○山野説明員 その辺、できますればその資料をちょうだいしましてよく調べませんと、何とも申し上げかねると思います。
  122. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 しかし、さっきの話では文化振興財団が寄付しているのは市町村一つじゃないと言っているのですから。そうでしょう、幾つかあったのでしょう。先ほどの説明、ずっといままでの経過で説明しているのだから。そうすれば、全国で初めて珠洲市に落としたということではないはずですね。そういうことになるんじゃないですか。
  123. 山野正登

    ○山野説明員 多分珠洲市が初めてじゃないと思います。
  124. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 市長はしかしこう言っております。市長はこの間の六月の議会で、同財団は一種の半官半民の団体であって、市の原発立地予備調査が行政サイドで行われ、このような補助が行われたのは全国初めてであり、市は財政的にも苦しいので同財団に助成を頼み、五十年度五百万、今年度一千数百万の予算を計上したのであります、こう答えております。つまり、国は原発の立地調査について、いままでは普通ボーリング調査というのは県段階最初はやっておるのが常識なわけですね。今度は通産省が予備調査をやったわけですから、そういう意味で国がその予備調査に乗り出してくれている、そういう意味ではきわめて新しいケースだ、初めてのケースだという認識なんです。事実どうか、これは通産にまた聞きますが、したがってそういう状態だから、そういう初めてのケースであるがゆえに、この文化振興財団の金が寄付金という形で珠洲市に昨年度五百万、今年度一千五百万という金が出たのは全国初のケースでございます。そう答えているのは、これは正確じゃありませんね。
  125. 山野正登

    ○山野説明員 まず文化振興財団が半官半民であるというのは明らかに間違いでございます。これはあくまでも公益法人でございます。  それから、初めてかどうかという問題でございますが、何をもって初めてと言うかどうかということ、これは協力の内容が、たとえば講演会を開いて協力をするとか、あるいはパンフレットを送って協力をするとか、あるいはある事業予算に対して補助を行って協力をするとか、いろいろ態様があろうかと思いますが、その中の恐らくある形での協力というものは珠洲市が初めてだというふうな御趣旨でそういう発言があるのではないかと思いますが、その辺はよく調べてみます。
  126. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 昨年度の報告書と今年度の事業計画予算計画ですね、そういうものの資料を見せていただけばまた後で再質問させていただきます。  もう一つ、通産に聞きますが、国が立地の予備調査を、委託してやったにせよ、いままで普通県がやってきたのを国が、通産が乗り出したかっこうでやったのは珠洲のこれが初めてですか。
  127. 高橋宏

    ○高橋説明員 この国の調査でございますが、実は昭和三十八年から原子力平和委託費でやっておりまして、そういう意味ではその一環でございまして、特別のものではございません。ただ、実施先に委託するわけでございますけれども、その委託先として従来県に委託をする、県に実施していただくというケースがほとんどだったわけです。それから、本件は日本工業立地センターに委託したわけでございますけれども、この例は前例としては二、三ございます。そういう意味では、従来の原子力発電立地調査というものと変わりはございません。
  128. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 もう時間がありませんから、最後に、科学技術庁の方で御検討いただきたい問題は、たとえばいま高屋で、実際に昨年度予算でボーリング調査をやったのですね。そのボーリング調査をやったときに、高屋町の住民には何のための調査をするか目的なしに、あそこはみんな出かせぎに出ているところですから、おじいちゃんとおばあちゃんと奥さんしかいないわけですね、それで印鑑をぱっぱっぱっぱっととってやっちゃったわけですよ。そのために非常に現地住民にしこりを残して、今度二度目にやろうとしている電気調査ができないという状態で、現地住民が拒否の決議をしているわけです。そういう現実があるということ。  それから、いま市が財団からそういう寄付金をもらってやっているPRが、住民をグループごとに組織して——五人組みたいなものですな。グループごとに組織して、原発視察旅行をやって、そして原子力発電の安全性やその必要性を強調することは別に悪いことじゃないにしても、行政サイドで住民を逆に組織して、そしてそのお金で旅行をさせる、そういう形で強力に原発誘致の運動が進められているわけです。ところが、実際はまだ立地の予備予備調査段階であって、将来どうなるかもわからない、そういう段階で行政がそこから金をもらって、グループを組織しては調査をやっている。  他方、どうなっているかというと、能登半島全体の漁業協同組合は、この原発の立地調査並びに原発設置について全体の反対運動が盛り上がってきております。数日前に、能登地区の単協だけじゃもうだめというので、外浦の方から奥能登、それから内浦、全部挙げて原発反対の漁民の組織がそういう形で動き始めているわけであります。ですから、片や住民との話し合いが十分に行われないで、ボーリング調査すらうまくいかない、そしてまたその他の予備調査すら行われないというような現状の段階で、能登全体の漁民が一方で反対していくという、そういう中でいまの将来原発を誘致するかどうかという諸問題がこれから動き出そうとしているわけであります。  したがって、市当局が将来原子力発電所を設置するために住民のコンセンサスを得るために努力をすることは悪くはないが、しかし同時に、下から住民運動を組織してそれと対抗していくかっこうの動きが始まれば、逆に原子力行政というものがスムーズに住民のコンセンサスを得られない、そういう条件をつくってしまうと私は思うのです。そういう意味で、現在の段階で、たとえば県であれ、またはいま通産が委託した何とかセンターですね、そういう予備予備調査段階、そういう段階のときに当該市町村の行政に対して文化振興財団が寄付をやっていくというような例は今日まであったのだろうかなかったのだろうか。その点いかがですか。
  129. 山野正登

    ○山野説明員 文化振興財団の協力というのは、非常にくどいようでございますが、こういう立地の予備調査、事前調査とは何ら関係なしに行っておるということは先ほど申し上げたとおりでございまして、そういう観点から過去の事例を調べたことはございませんので、その点もひとつ調べてみなければわからないと思います。
  130. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 それで、通産と科技庁とで相互に連絡してみて、いままでのような予備予備調査段階で地方自治体に文化振興財団からそういう形の寄付がおりたケースがあるかないかということを調査して、それも御報告願いたいと思います。いいですか。
  131. 山野正登

    ○山野説明員 調査して御報告します。
  132. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 これで終わりますが、最後に長官に一つ意見をお聞かせ願いたいと思います。  日本のエネルギー政策というような観点からして、原子力エネルギーというものが今後どういうふうに需要が拡大するかというような、そういう点については私もわからぬわけじゃございません。しかし、今日これだけ原子力の問題をめぐって動き出していないというか、計画がうまくいかない、そういう一つの要因は、地方自治体が企業の下請と化し、そしてある意味ではこの文化振興財団の金で珠洲市を買い取るという、表現は余りよくないけれども、そういう印象でもって自治体がとっととっとと前に走っちゃう、そのために住民のコンセンサスを得ることなしに事態が進行していくというようなことが行われていたんじゃ、いまの国の計画そのものはいつもそこらじゆうでがたがたひっかかっちまうとぼくは判断するのです。ですから、今日の段階で、まだ予備予備調査段階で、私は、地質学の専門家を入れて調査したのでは、恐らく、柱状図を見せてもらいますけれども意見が違いやしないかと思いますが、その点はまた再度資料に基づいて判断をいたしますが、そういう予備予備調査的な段階で、もう現地の市町村、自治体が、過疎対策ではあるにせよ、財団から金をもらって、そして住民をPR用に組織していくというような、自治体を二分していくような、そういう市を挙げての原発行政みたいなものが行われるというようなことは、地方自治の民主主義という観点からも問題があるように思うし、同時に、日本原子力行政というものを考えたときに、もっと慎重な配慮が要るのではないかと私は思います。最後にその点についての長官の御意見を聞きたいと思います。
  133. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 そのものずばりの返答にならないかもしれませんけれども、わが国とはフランスあたりは一番よく事情が似ているのでありますけれども、ドイツでもそうでございましたが、一体こういう原子力発電や何かに対して反対がある政党があるのかと言ったら、どこにもないですね。むしろ奨励してやっているという状況で、まことにうらやましい次第だと思いました。わが国の原子力風土がこういうふうになってしまったことは大変実は不幸なことで、できれば早くこういう不幸な事態を直したいという念願に私どもは燃えているわけでございまして、したがいまして、いまお話しのように、できますれば住民も自治体も一緒になって、喜んで、もちろん政党の皆さんも日本の将来を考えまして御協力いただければこれほどありがたいことはないと存ずる次第でございまして、いまそのもの自体の状況は、もう少し私も現状を認識しませんと軽々に判断できませんので、一般的な答弁をいたして終わりたいと存じます。
  134. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 これで終わりますが、そんなのんきなことを言っているからいつまでたったってだめなんですよ。だから、阻止することを言っているんじゃなくて、もっとそういう原子力行政を進めるための手だてについて慎重でなければだめだとぼくは思うのです。だから、挙げて熱心にそれは必要だという議論はわからぬわけじゃない。努力しなければならぬでしょう。しかし、そのときに、押しかけ女房みたいに、住民の意思のコンセンサスを得る努力をどういうふうにしていくかということについて努力なしに、一方的にそういう住民を組織してPR用に動員していくような形、しかも遊興飲食、そこへ行って宴会をやって、そしてお金を使っていくようなやり方をしている。御承知のように日本の土地というものは大変保守的なところです。社会党や革新が一人もいないところですから、奄美大島並みのところですから、そういうところだけに純朴な住民なんですから、その純朴な住民が相互にこういう問題についてなかなか判断しかねているときですから、漁民全体のああいう反対というのはちょっとよそにもまれな姿を持っているだけに、必要だということと、それから住民も一体になって協力をしていただきたいという願望はわかるけれども、その手だてについてはもっと慎重な原子力行政の配慮が要るということを今回は申し上げて、あとまた資料をいただいた段階で再度いろいろ議論さしていただきたいと思います。きょうは終わりたいと思います。      ————◇—————
  135. 中村重光

    中村委員長 この際、理事補欠選任についてお諮りいたします。  理事田川誠一君が去る六月二十五日委員辞任されましたので、理事が一名欠員となっております。この補欠選任を行いたいと思いますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 中村重光

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、理事佐藤文生君を指名いたします。  午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時五十六分休憩      ————◇—————     午後二時三分開議
  137. 中村重光

    中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。塚田庄平君。
  138. 塚田庄平

    塚田委員 私は、この場合主として核燃料の再処理工場の問題につきまして、以下若干質問したいと思います。  御承知のとおり、再処理工場というのは核燃料サイクルのかなめ石、そう俗に言われておりますとおり、原子力発電はいま政府並びに資本の計画ではどんどんと推し進めていく計画になっておりますが、それに伴って再処理工場の拡大、炉の拡大等、これは切っても切れない関係で拡大されていくという計画が民間あるいは政府ベースにおいてもそれぞれ示されております。  そこで、端的に、現在東海村で第一再処理工場が試験段階に入っておりますが、この東海村の第一再処理工場の操業見通し等につきまして、まず御答弁をいただきたいと思います。
  139. 山野正登

    ○山野説明員 動燃で行っております再処理工場につきましては、四十九年に工場完成を見ました後、現在ウラン試験を続行しておるところでございます。当初の予定で申し上げますと、ウラン試験をことしの春ぐらいまでに終了しまして、秋以降ホット試験に入り、五十二年度の四月ぐらいから本格操業に入るというふうな予定でおったのでございますが、ウラン試験の過程におきまして若干のトラブルが起こりまして、これを現在手直し中でございまして、ウラン試験は現在かなりおくれております。いまのところ大体半年程度おくれておるというふうに考えられますけれども、今後どの時点で本格操業に移り得るかどうかということは、いま進めておりますウラン試験が終了しました時点で明確な見通しができるというふうに考えております。
  140. 塚田庄平

    塚田委員 時間がないので端的にずばりずばりと質問しますから、答弁もそういうことでお願いをいたします。  いまのところ、将来見通しがない、当面六ヵ月おくれておるということなんですが、若干のトラブルがあって六ヵ月おくれた、その若干のトラブルの主なものをちょっと話してください。
  141. 瀬川正男

    瀬川参考人 ただいま御質問のウランテストの途中におけるいろいろなトラブルに関しましては、件数はかなり多うございましたが、いわゆる単純な修理ということのほかに、修理のついでに将来のことを考慮してむしろ改良を加えた方がいいというような意味の手直しもかなり含まれておるわけでございまして、私どもの見解では、再処理工程のメーンプロセスにおきましては、特に致命的な故障個所はなかったというふうに考えておりますが、ただ、最終段階における回収ウランの精製並びにプルトニウムの精製のこの精製工程におきましては、蒸発かんとかあるいは脱硝塔、この二つは、現在修理並びに改良にかなりの時間をかけつつある状況でございますが、それはあくまで最終段階の精製工程におけるトラブルでございまして、メーンプロセスはむしろ小さなトラブルが非常に数多くあったというふうに考えております。
  142. 塚田庄平

    塚田委員 メーンプロセスについては小さなトラブルがたくさんあった。それで、いまちらっと大したトラブルじゃないと言われたが、プルトニウムの溶液蒸発がまから若干漏洩が認められたわけですね。あなた方の出した資料によりますと、五十年十一月七日、プルトニウム溶液蒸発かんからの溶液の漏洩等が認められていまの答弁があったと思うのです。  そこで、私は、再処理工場の中でプルトニウムの漏洩といいますか、試験段階であろうとこれが認められるということは、これは致命的な——もしこれが実際プルトニウムでも入っていたんであれば、これは大変な事態に発展する。いわば試験の根幹がここで大きな障害にぶつかった。こういう事態が今後も起こり得るということになれば——これはまあ起こり得るということは大変なことでありますが、したがって、一生懸命やっているのであろうが、これ一つとりましても第一処理工場のいまの六ヵ月のおくれなどというものはまだまだ甘い考えで、いわばこの第一処理工場というのはこれからの恐らく皆さん方が構想しておる二、三のいわば先駆的なあるいはまたある意味では模範的な処理工場の建設ということだろうと思うのだが、のっけからこういうことでは一体先行きどうなるのかという国民の不安等も原子力発電建設とあわせて国民は大きくこの建設に不安を持っておる、持つ、これは当然だと思うのだが、一体この事故をどう考えておるのか。その認識の仕方をはっきりしていただきたいと思う。
  143. 瀬川正男

    瀬川参考人 私が先ほど大したトラブルじゃないと申し上げましたのは、先ほど申し上げましたように主工程におけるトラブルは致命的なものはなかった。ただ、最終の精製工程においてはかなり私どもが時間をかけて修理しなければならないものがあるという意味におきましてプルトニウム蒸発かんの例を申し上げたわけでありますが、御承知のようにプルトニウムの精製設備におきまして、プルトニウムが漏洩するということは確かに重大なことでありますが、私どもは仮にプルトニウム蒸発かんから漏れても、それを遮蔽している、厚さが一・五メートルのコンクリートの遮蔽の部屋になっておるわけですが、われわれはそれをセルと呼んでおりますが、このセルに閉じ込めてそのままの形で除染するという対策を十分考えておりますので、プルトニウム蒸発かんから仮に漏れることがありましても、環境には絶対御迷惑はおかけしないようにというふうに考えておりますし、また、私どもの将来の対策としては、プルトニウム蒸発かんが一時的に運転からはずされる場合でも、将来再処理工場の主工程はプルトニウム蒸発かんを除いて暫定的運転が十分可能であるように現在対策を考えておる次第でございます。
  144. 塚田庄平

    塚田委員 いまそういう答弁がありましたが、たとえばこのウラン試験の開始に当たって動燃の理事長はこういうことを言いました。これは昨年の八月二十五日です。「いま事業団がウラン試験にはいる準備は技術的にも、管理的にも充分できたと確信している。従業員諸子は、我々を信頼し、安心してこれに取り組まれることを望む次第である。」まさに胸を張って大きく従業員に呼びかけたわけです。これが八月の二十五日。一月足らずのうちに、これは九月の二十日です、汚染、被曝事故が従業員二名について起きたことは、これはたしか同僚議員の中からも指摘されていた事実だと思いますが、どうですか。
  145. 瀬川正男

    瀬川参考人 ウランテスト開始後、ただいま御指摘のようなトラブルがございましたが、私どもはウランテストそのものが完璧に、いま御指摘のあったようにどんなトラブルも絶対起こり得ないのだというふうには考え……(塚田委員「さっき絶対ないと言ったじゃないか」と呼ぶ)それは絶対起こらない方が望ましいわけですが、要するに、私どもとしてはないことを期待しておるわけでございますが、やはり試運転というものは若干のトラブルを見出しながらそれを修理し、また改善の方法を考えていくというのが試験の目的でございますし、また、その試験のためにわざわざ天然ウランを用いて試験する。また、天然ウランを用いる試験運転によりまして、従業員の訓練とかあるいはなれ方というものもだんだんさらに増加させていくというふうに、試験運転そのものが天然ウランを使ってそういう趣旨のもとに行われておったわけでございます。私ども考えは以上のようであります。
  146. 塚田庄平

    塚田委員 先ほど絶対そういうことは将来において起こり得ない、こういう言葉を使ったので、私はいま一例を出してあなたの見解を承ったわけです。  そこで、いまの答弁を聞きますと、そういういろいろな欠陥、それを繰り返しながら試験をしていく、つまり是正をしていく、そういう中で完成を期すという意味だろうと思います、絶対というのは。しかし、いま処理工場の状態を見ますと、すでにプルトニウムについていま言ったような遮蔽物がそのほかにあるから大丈夫だ、こう言われますけれども、それさえも一体いつどうなるかわからぬという状態の中で、たしか動燃が第一処理工場を引き受けてやる、つまり国の事業としてやるという考えの中には、先駆的な、いわばここで完全な物を完成するという意図が十分含まれていたと思うのです。しかし、いま聞いた範囲あるいは起きている事象の限りにおいては、まだまだこの再処理工場というのはいわば民間等に政府の手から離れてゆだねたり、その他事業体にゆだねるというような、そういうことは絶対に考えられない、これこそ絶対に考えられない段階だ、こう思いますが、一体そちらはどう考えておりますか。
  147. 瀬川正男

    瀬川参考人 ただいまの御質問はなかなかむずかしい問題でございますが、私どもは確かに動燃事業団としまして日本最初の、しばしばパイロットプラント的であるという言葉を私どもは申し上げますが、そういう性格の再処理工場を建設し、またその試運転をしておる過程におきまして、まだまだ確かに再処理技術というものはいろいろ改良せねばならぬところがあるというふうには考えておりますが、それはやはり技術の向上という意味におきましてそう感ずるのでありまして、いわゆる環境に対する危険性が再処理工場というものはかなりあるんじゃないかということにつきましては、私どもは建設前の設計並びにそれに対する安全審査、また試験運転の経過等を見まして、環境に対する迷惑を与えるという意味の安全性につきましては十分善処し得るというふうに感じておる次第でございます。
  148. 塚田庄平

    塚田委員 時間もないのですが、私は端的に言って、動燃のいまの段階でしかも二百十トン、恐らく再処理工場としてはいわばパイロットプラント、まさにそのとおりだと思うのですね。にもかかわらず、いま全国に準備中、予定のものを入れまして二十八基、膨大な原子力発電を全国につくろうとしておるのですよ。そういう中で処理工場のパイロットプラントそのものが大きな支障にぶつかっておるということになれば、裏から言えば、もう原子力発電そのものに対してはっきりと見直す、つまり他の燃料にサイクルを変えていく、こういうことを真剣に考えなければ、いまの再処理技術の段階では非常に不安だ。つまり、安全性というものは国民のコンセンサスは得られない。これは私の意見です。  さて次に、そういう中にあって一体第二再処理工場の建設プランというのはどうなっておるか、この際、端的に御答弁を願いたいと思います。
  149. 山野正登

    ○山野説明員 動燃の再処理工場に続きます第二再処理工場につきましては、現在原子力委員会の中に核燃料サイクル問題懇談会という場を設けまして、その場で今後具体的に進めていく方法というものを検討いたしております。
  150. 塚田庄平

    塚田委員 すでに第二については、原子力委員会あるいは懇談会かと思いましたが、民間に委託することが望ましいという結論が出ておると、こう記憶しておりますが、どうですか。
  151. 山野正登

    ○山野説明員 先ほど申し上げました核燃料サイクル問題懇談会の場におきまして、民間側の意見といたしまして、第二再処理工場は民間、これは民間と申しますのは、電力業界が中心で化学工業界等が協力という形になろうかと思いますが、民間が中心になって進めていくという意見が出されております。
  152. 塚田庄平

    塚田委員 そうじゃなくて、「原子力年報」というのは知っていますね。この年次報告、これはおたくで責任を持って出しておる年次報告でしょう。その中で「原子力委員会は、第二再処理工場以降については、」つまりこれは第三も含むのでしょうね。「民間に期待するとの方針」を明確にした、こう出ておるじゃないですか。
  153. 山野正登

    ○山野説明員 私はサイクル懇談会の検討状況から申し上げたので大変失礼いたしましたが、お説のとおり、四十七年の長期計画におきまして、第二再処理工者は民間に期待するという表現がございます。
  154. 塚田庄平

    塚田委員 その場合の一応事業体決定、これはまあ民間に期待するということなんだろうけれども、サイト決定あるいは建設開始あるいはまた操業、そういう日程については一応そちらに準備があるはずなんですが、発表していただきたいと思う。
  155. 山野正登

    ○山野説明員 四十七年に策定されました長期計画におきましては、そういう基本的な方向を示しただけにとどまっておりまして、その際具体的な建設計画、サイトの選定といったふうなものは何ら決められておりません。それからまた、現在検討中の燃料サイクル懇談会の場におきましても、いまおっしゃいますような今後の事業主体をどうするか、どういう建設計画でいくか、またサイトの選定はどうするかというのはすべて今後の問題として残されております。
  156. 塚田庄平

    塚田委員 だんだん時間がなくなってまいりますが、どうしてそう逃げるのですか。ここに昭和五十一年五月、ついこの間ですね、資源エネルギー庁、核燃料研究委員会、総合部会、この三者で一応「再処理事業と事業計画」というのが出ています。その計画の中で八七年に第二工場は操業開始になっておるじゃないですか。これは一体どういうことなんですか、いまの答弁とは。
  157. 山野正登

    ○山野説明員 私の理解では、いまおっしゃいました件は、通産省のエネルギー調査会の中の核燃料研究会という組織がケーススタディーとしてそういったふうな検討をまとめられたものであると考えておりまして、何ら通産省とされても正式にそういう方向で決定されたというものではないというふうに考えております。
  158. 塚田庄平

    塚田委員 じゃ通産省いますか。
  159. 山本幸助

    ○山本説明員 ただいまの山野局長の御答弁に補足させていただきますが、ただいま先生のお示しになりました資料は、通産省の中に通産省の資源エネルギー庁長官の諮問機関としてつくられた研究会がございまして、核燃料研究会というのがございまして、そこに総合部会を設けまして、昨年の十月から具体的にわが国の核燃料サイクル全体の事業二十年間ということでチャートを描いてみょうということで研究した成果を発表したものでございますが、その内容につきましては一応私的な諮問委員会の研究成果ということでまとめてあります。この成果につきましては、先ほどの原子力委員会の核燃料問題懇談会等に報告いたしまして今後の検討の御参考にしていただくということで発表いたしております。
  160. 塚田庄平

    塚田委員 そういうでたらめな答弁をしないではっきり言ったらどうですか。これは資源エネルギー庁でしょう。三者合体でこれはやったのでしょう。八七年、これがくしくも、これは同じように五月の二十五日、経団連、原子力産業会議、これが一応メモをつくっております。このメモの末尾に、これは案でありますが、グランドスケジュールというのがありまして、第二処理工場はちょうどこれと同じ八七年に操業ということになっている。これは偶然の一致ですか。答弁してください。
  161. 山本幸助

    ○山本説明員 お答えいたします。  まず初めの方につきましては、その資料の刷り方が大変悪くて申しわけありませんけれども、三者ということでなくて、資源エネルギー庁、そこにつくられた核燃料委員会の総合部会という趣旨でございます。  それから後ほどの御質問につきましては、私ども研究ということで約半年間四十数名の実務家、学者先生等と検討いたしましたので、その成果につきましては経団連あるいは原子力産業会議等々にも御報告いたしております。
  162. 塚田庄平

    塚田委員 それでは、ここに出ておる付表では、はっきり言いますと第二処理工場は年間千五百トンの処理、おたくの資料によりますれば千二百トンの処理、三百トンの違いのあるのは操業日数の違いでしょう。つまり一日五トンというのには変わりないわけです。いま第一処理工場でやっておる約七倍、これが第二処理工場で処理される。この点もぴたり一致しております。いいですね。それから逆算されましてサイト決定五十四年、そして五十一年、本年です、政府並びに民間に期待するというのですから、期待された民間は、この五月の二十五日——正確に申しますとこれは二つあります。一つは九電力、正確に言うと十電力社長会議でしょう。連合会と言ったらいいですか、電気事業連合会、ここで出しておる見解、それから経団連あるいは産業会議で出しておる見解。いろいろと細部にわたるものと抽象的にやっておるものとの違いはありますけれども、いずれにせよ民間で引き受ける、そして政府に対して一定の助成、法律改正を含めて求めております。こうしますと、先ほど政府ベースの計画と民間ベースの計画とは——政府ベースというよりもむしろ通産省ベースの計画とぴたり一致する。そして技術的には、先ほど言ったとおり、第一処理工場、これはプルトニウムについてさえいろいろ問題がある。いわば資本と通産省、民間がぐっと先行して、技術の面ははるかに後ろについておくれている。こういうやり方の中で、いま第二、第三再処理工場が云々され、そして原子力発電の拡大というか、二十八基に及ぶ、日本国じゅう原子力だらけになるというような計画が推進されておる。これはまさに資本主導型というか、あるいは通産省主導型というか、こういう情勢の中で国民が不安を持つのは無理ないでしょう。だんだん時間もなくなってまいりましたから、まずこの点について御答弁を願いたいと思います。
  163. 山野正登

    ○山野説明員 第二再処理工場を建設するに際しまして、動燃の行っております第一再処理工場の建設の経験なり、あるいは運転の経験というものは十分に第二再処理工場にトランスファーする必要がもちろんあるわけでございまして、そういう意味で、現在進めております動燃の再処理工場、安全を第一といたしましてぜひ抑制をしまして、その技術を活用して第二再処理工場に移っていくということでございまして、現在進めております再処理工場の成否のいかんにかかわらずということではないと考えております。
  164. 塚田庄平

    塚田委員 ここで通産関係の答弁を求めたいところですが、時間がありません。そういう情勢の中で、率直に言うと、全国で特に貧乏な農漁民を中心にしてなりわいが営まれておる、そういう地域、自治体の一、二から、この処理工場の何たるかも知らずに、ただ工場が行った場合にはこういう助成金、こういう補助金、あるいはこういう補償というような声の中で、農業を捨て、あるいは漁業を捨て、自治体ががたがたになるという端緒が私の知る限りでは二、三見受けられる。もっと端的に言いますと、私は北海道の奥尻という島にこの間行ってまいりました。これで大騒ぎですよ。そこには何回か大学の先生あるいはまた電力会社——もっとも、第二処理工場というの電力がやる、民間がやるということはほぼコンセンサスを得ておりますから。そういう中でてんやわんやの大騒ぎで、そういうところは、だんだんと農業や漁業に対する飽きといいますか、この際原子力でも何でもいいわ、おれは島を捨てて都会へ行くんだというような気分の中で、まさに自治体は壊滅です。私が言ったとおり第一でさえそうなんですから一いま政府は、第一について何年、何十年かかろうと、やったものですから、すでに原子力発電所というものはあります、その処理については万全を期す。しかし、そのほか第二、第三については、これが十分な確信を持ったものになる、つまり、よくてもさらに十年なりあるいは十五年なり見定めた上で第二に取りつくということでなければならぬと思うのです。私どもは、そういう意味において、この際、はっきりと通産並びに動燃の方から意見の表明をもらいたい。
  165. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 見てきたばかりで御報告申し上げるのは大変恐縮ですけれども、私はいまの委員の御発言とは若干見解を異にしておりまして、フランスのマルクールでは再処理工場でプルトニウムをつくり、そのプルトニウムを使いましてフェニックスという実証炉、この次にはすぐスーパーフェニックスという実用炉をつくります。七五%の操業率で何の異常もなしに操業しております。できましたプルトニウムはそういうふうにしますが、もう一方の高レベルの廃棄物等はガラス固化の技術が完成いたしまして、何ら心配なしに進めております。ローヌ川という大きな川のすぐそばでやっておりますが、別に何の問題も起きておりません。  そういう状況もございますので、お説のように、これがまだ技術も何もできませんという、何でもそういうきめつけ方でなくて、もう少し冷静に、一緒にこういう問題をどう処理したらいいかというふうにお取り上げ願えれば私は大変ありがたいと存じます。
  166. 塚田庄平

    塚田委員 長官からそういう答弁があったので、あえて反論します。  いま技術の方から話があったとおり、日本の場合は、プルトニウムについても漏洩が認められておる。囲いはあると言いますけれども、とにかく漏ってはならぬところから漏っておるのです。したがって、私の言うのは、そういう日本の現状あるいは安全性に対する不安、こういうものを、きちっと国民がその目、その耳あるいははだで確認できるような——プルトニウムの方程式を言ったって、そんなのは国民はわかるはずないですから。その辺のところをきちっと踏んまえない限り、第二、第三とどんどん進めていくことは、これはいたずらに国民を惑わすものであり、またそういうことに乗っていろいろな、率直に言うと、恐らく午前中に同僚の嶋崎君から話があったのだろうと思うのだが、政府の金を使いながら誘致運動に拍車をかけるというような事態等も出てきておるのですよ。まことにけしからぬ。まずやるべきことをやりなさい。あなたはフランスのことしか言っていないのですが、日本の現状というのは、さっき言ったとおりなんです。この点、もう一遍答弁してください。
  167. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 日本の方も御承知のように動燃というものをつくりまして、そして慎重に、実験設備をつくりまして、ただいまその実験の過程でございまして、なせ実験するのかと——何回もいろいろな種類でだんだん高度の実験を進めているわけですが、それは使用済み燃料を実際に処理する場合に間違えないようにということで丹念にいま実験しているのでございますから、その実験の過程をあげつらうのもまたおかしいのでございまして、それなら実験なんか要らぬはずでございますから、国としては非常に慎重に実験を進め、完成した暁にはそういう技術も踏まえ、同時にまた、フランスのように完成した技術もございますから、そういう点も加味しつつ、国民の御心配のないように今後進めよう、こういう慎重な構えで進めておるわけでございまして、私はどうもおしかりをこうむる理由はないように感じますが……。
  168. 塚田庄平

    塚田委員 しかっているのじゃないのですよ。  それでは最後に、私の質問を終わるのですが、いま動燃が一生懸命やっておる、なおかつ欠陥が出る中で、第二、第三については、まあ第三のことはまだ具体的にはなっておりませんが、大体民間でやる、期待する。民間はそれを受けて五月二十五日、正式には社長会議が十九日、民間でやるから国はこういう措置をしなさい、法律はこういうようにしなさい、こう要請をしておりますが、それについては、いま長官は、これからまだまだ完成を期して研究をすると言っているのですから、試験をすると言っているのですから、そういう情勢を見て対処していくということが一つ。したがって、第二再処理工場の誘致とか、あるいはそれに対するサイトとかなんというのは、これは全然いま考えておらないということを明確にひとつ答弁してください。
  169. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 誤解があるようで大変恐縮なんですけれども、大分前に決めました原子力委員会の長期計画ではそうなっております。ただし、それではそのまま実行に移しているかというと、そうはいきませんので、いま電力会社等で原子力発電から出てきます使用済み燃料は、日本だけでは処理できませんから、主としてヨーロッパの方にすでに御依頼も申し上げ、また今後も御依頼を進めております。  しかし、それだけでいいのか、おかしいじゃないか、やはり日本日本でやるべきじゃないかという御議論は何も与党側からだけでもございません。これは国民であれば、原子力発電所をやるからには、その後始末は日本でも当然やるべきじゃないか、こういう御議論が強うございますから、わが方としては、それでは第二工場をどうするか、第二工場というのは、これはいますぐつくるわけではございませんです。これは完成するまでに相当時間がかかると私は思います。したがいまして、その形態はあるいは民営ということになるかもしれません。しかし、ではこのむずかしい、危険なプルトニウムというものを手放しに、普通の会社のように民間が思うままにやってくださいと言えますかというと、そんなことは全然考えていないのでありまして、それはそれで、プルトニウムに対するコントロールというものをどうするかといった点は、おのずから問題が別でございますから、そういう点は混同せずに御解釈いただければ大変ありがたいと思います。
  170. 塚田庄平

    塚田委員 それでは、あとはいずれ他の私どもの同僚にやってもらいまして、私の質問はこれで終わることにします。
  171. 中村重光

  172. 山原健二郎

    ○山原委員 核燃料の輸送の問題について質問します。  特に、愛媛県伊方原発の核燃料輸送問題ですが、五月の上旬に三菱原子燃料東海製作所が、ウラン燃料の輸送問題について、山口県の港湾課に徳山港の使用についての打診をいたしておりますが、現在この問題はどういうふうになっておるか、最初に簡単に経過を伺いたいのです。
  173. 伊原義徳

    ○伊原説明員 四国電力伊方原子力発電所一号機は来年四月に運転を開始する、そういう予定でことしの十一月に臨界にいたす計画でございます。そのために、いま新しい燃料を、三菱原子燃料株式会社で製作いたしましたものを陸路山口県まで運びまして、徳山港から海上輸送をいたしまして伊方の発電所の岸壁に着ける、こういう予定で関係方面に御説明中でございます。山口県といたしましては、この問題につきまして科学技術庁の方に、特にその燃料輸送の安全性についてどういう問題があるかというふうなお問い合わせもございますので、私どもといたしましては、この輸送が安全に行われるということの御説明を申し上げておる段階でございます。
  174. 山原健二郎

    ○山原委員 山口県の方にはそういう状態だと聞きますが、愛媛県の方に対してはどういう状態でしょうか。
  175. 伊原義徳

    ○伊原説明員 山口県の方が御了解を得られまして具体的に輸送の実態が固まりました段階で、愛媛県の方には当然正式にまた御説明申し上げることになるかと思います。
  176. 山原健二郎

    ○山原委員 そうすると、現在は愛媛県の方には何もしていないという状態ですか。
  177. 伊原義徳

    ○伊原説明員 これは四国電力株式会社が愛媛県に御説明申し上げる性質のものであるわけでございますが、私ども承知いたしておりますところでは、まだ正式の説明はされていないと承知いたしております。
  178. 山原健二郎

    ○山原委員 徳山から愛媛県の伊方に搬入をするということですから、当然その計画、これは愛媛県へも山口県と同じように通知をするといいますか、そういう正式の手続をとるべき問題ではないでしょうか。
  179. 伊原義徳

    ○伊原説明員 必要な時期に当然会社がそういう手続をとると考えております。
  180. 山原健二郎

    ○山原委員 そうすると、山口県の方の了承を得ておいて、それから愛媛県の方の了承を得る、こういうやり方ですか。
  181. 伊原義徳

    ○伊原説明員 そういうふうに理解いたしております。
  182. 山原健二郎

    ○山原委員 それが政府としての、科学技術庁としての指導のやり方でしょうか。
  183. 伊原義徳

    ○伊原説明員 本件につきましては科学技術庁が特に積極的に電力会社に地元の折衝について指導しておるということではございませんで、随時進捗状況が報告される、こういうのが実態でございます。
  184. 山原健二郎

    ○山原委員 愛媛県と伊方町と四国電力の間に結ばれました伊方原子力発電所周辺の安全確保及び環境保全に関する協定書、これを見ますと、事前に輸送計画については県、町に知らせるというふうになっておると思います。一番肝心の愛媛県側にいまだに何らの打診といいますか、公式な話もないということで、片一方では山口県の方の了解を得るというこういうやり方、非常におかしいと思うのです。しかも山口県の方へ言っているのは、これは四国電力がやっているわけじゃなくて——こういうことになるのでしょうか。三菱原子燃料が山口県の方へ了解を求めて、そして伊方の方の愛媛県の方には四国電力が了解を求める、こういうやり方ですか。
  185. 伊原義徳

    ○伊原説明員 先生御指摘のとおりの手続と申しますか、説明で仕事が進んでおると理解しております。
  186. 山原健二郎

    ○山原委員 この前も海上輸送の問題、核燃料の輸送問題について私は質問したのですけれども、この伊方原子力発電所というのは四国電力がやっているわけですね。当然四国電力が輸送経路についても責任を持ってやるべきものではないのでしょうか。一方では別の者がやって、一方では四国電力がやるという、そんなばらばらの形で各県に対する折衝が続けられているのでしょうか。
  187. 伊原義徳

    ○伊原説明員 原則といたしまして、新燃料の輸送につきましては、燃料加工業者の責任で輸送するという考え方になっております。ただ、最後に受け入れますのが四国電力の岸壁でございますので、それと、地元との関係ということで、愛媛県との折衝は四国電力がいたすのが実体的であるという判断で仕事が進められておると承知いたしております。
  188. 山原健二郎

    ○山原委員 いままで私の聞きましたところでは、関連業者についても四国電力が責任を持つことになっておるというふうに聞いています。そんなことないのですか。じゃ、四国電力は伊方の自分のつくった埠頭へ着けることだけのことであって、後どういうふう経路を通ってこようが、それは全部四国電力の責任の範疇には入らないというふうな解決ですか。
  189. 伊原義徳

    ○伊原説明員 この責任という考え方、いろいろあるかと思います。実体的にはもちろんどういう経路を通って新燃料が運ばれるかということについて四国電力も十分承知しておるとは思いますが、たとえば原子力損害賠償法、この法律の考え方から申しますと、加工業者に輸送の責任があるという整理になっておるわけでございます。
  190. 山原健二郎

    ○山原委員 そうしますと、現在は新しい燃料の搬入問題でありますけれども、今後使用済み燃料の問題についても、四国電力はいわば伊方の周辺だけのことであって、後はどういうふうな経路で送っていくとかいう輸送計画についてはほとんど責任がないということになるのでしょうか。
  191. 伊原義徳

    ○伊原説明員 ただいま問題になっております新燃料と違いまして、使用済み燃料は逆にと申しますか、今度は送り出します原子炉設置者の責任になって輸送が行われるという整理になっております。
  192. 山原健二郎

    ○山原委員 この徳山というのは、これから固定的に徳山を大体搬入の場合には使用するという計画でしょうか。
  193. 伊原義徳

    ○伊原説明員 三菱側の計画では、最初の初期装荷燃料の輸送の後、毎年引き続き燃料の補給が必要でございますので、引き続き徳山港を使用いたしたいという希望であると承知いたしております。
  194. 山原健二郎

    ○山原委員 そうすると、徳山としては、今回だけの輸送に対して港使用を許可するということだけでなくて、これを契機として今後徳山経由で送るということを覚悟した上での許可というものが行われなければならぬわけですね。
  195. 伊原義徳

    ○伊原説明員 手続上は、その都度港湾管理者である県の御許可をいただくということになるわけでございます。
  196. 山原健二郎

    ○山原委員 実はきょう私は、これは七月六日現在ですが、愛媛県の方へ問い合わせてみたのです。愛媛県としては、いわば輸送計画については何ら知らされていないというのが実情です。いつどういう経路で愛媛県側の伊方に搬入をされるのかということについては現在全く知らないという状態です。しかも、電力側の発表は六月に輸送するという計画で発表されておる。これを見て愛媛県側は全くいいかげんなことをしてもらっては困るということがきょう電話で来たわけですが、そういう状態にあるわけですね。肝心の県にも全く知らしていない、輸送計画も報告をしていないというやり方で、一方では山口の方は納得をさすとか、全体として非常に出たとこ勝負といいますか、切れ切れに各県に話をしていくというような、そんなことではだめだと私は思うのですよ。本当に計画性を持って、こういう経路で運ぶんだ、これに対して、たとえば愛媛県なら愛媛県の環境安全の専門委員会もあるわけですから、それにきちんとかけるとかいうようなことをしないで、一方の搬出の港は決定する——搬出の港を決定するということは航路も決まるということでしょう。そういうことをどうして四国電力は両方に対してきちんとやらないのですか。
  197. 伊原義徳

    ○伊原説明員 計画が最終的に決まった段階で、当然県の方に会社から説明がなされるものと考えております。
  198. 山原健二郎

    ○山原委員 そうすると、伊方に搬入するのはいつごろですか。どういうふうに科学技術庁の方はつかんでいますか。     〔委員長退席、石野委員長代理着席〕
  199. 伊原義徳

    ○伊原説明員 運輸省の関係諸法規に基づきます許可あるいは県の了承、そういったものが得られ次第輸送を開始するという計画だと聞いております。
  200. 山原健二郎

    ○山原委員 現在の状況、山口県、愛媛県の審査の状況などを加味いたしまして、大体いつごろ四国電力はこの核燃料の搬入ができるというふうに予想されておりますか。
  201. 伊原義徳

    ○伊原説明員 その詳細は、私ども最近の状況を把握はいたしておりませんが、燃料の装荷を開始する予定は十月ごろと聞いております。
  202. 山原健二郎

    ○山原委員 六月に搬入をするんだとかいうようなことが四国電力側を通じてほかほか新聞に出て、初めて当該の県の責任者が知るというような、こういうやり方は私は正しくないと思うのですま。そういった点で、愛媛県にもいま申しましたように環境安全管理委員会の専門部会もあるわけですから、当然そういう正式のルートを通じてあらかじめその安全性の問題についても住民が納得できるような体制をとって進めるのが至当なやり方だと思います。そういう意味では、全く行政的な指導も何もせずにもう四国電力側に任せきりというふうに受け取ってよろしいのですか。
  203. 伊原義徳

    ○伊原説明員 ただいまのところ、特に現在の仕事の進め方がおかしいということはないと私ども考えておりますが、もしその業務の進行にいろいろそごを来すようなことがあれば、必要に応じまして、私どもがまた関係方面に対して行政指導と申しますか、そういう勧告などを行うことももちろんあり得ると思います。
  204. 山原健二郎

    ○山原委員 いまのお話で、大体十月ごろに搬入をするという予想を持っておられるということがわかりましたが、現在、私が先ほど言いましたようなことで、新聞などには出る、そして当該県は知らないというようなことから、またその地域における反対運動というものも起こっているわけですね。それで、わざわざ事態を紛糾さすようなことをやっているのが、いまの四国電力の伊方原発に関するやり方だと思うのです。そういうことについて、いま言われましたように、もっと住民に対しても、安全性の問題についてはいろいろ危惧の念を持っておられる面もあるわけですから、そういった点をちゃんと公式どおり手だてを講じていくという行政指導は当然に必要だと私は思うのです。もう一度その点について伺っておきたいのです。
  205. 伊原義徳

    ○伊原説明員 一般論といたしまして、新燃料の輸送の安全性につきましては、もちろんこれは輸送物としては危険物という扱いにはなっておりますけれども、臨界に達するような輸送方法はとらないということが輸送の技術上の基準で決まっております。御承知のとおり、新しい燃料は放射性も非常に弱いわけでございますし、そういう意味でも安全性について特に問題があるということではないかと思われます。もちろん私どもといたしましては、運輸省とも十分連絡をとりまして、念には念を入れて安全性の確保は十分やるわけでございますが、一般論といたしましては、それほど皆様方が御心配になるような性質のものではないわけでございます。その点をつけ加えさせていただきます。
  206. 山原健二郎

    ○山原委員 新燃料について危険なものではないということはいままで言われておるわけでございますけれども、この協定にもありますように、輸送計画については事前に知らすと協定を結んでいるわけです。そして、この安全性についての危惧があればそれを解いていくというふうな努力もやらなければいけない、誠意を持ってやっていくんだと協定書の中にもちゃんと書いてあるわけですよ。やはり協定書を守るということでなければぐあいが悪いと思います。しかも御承知のように、瀬戸内海のあの地域というのは、この間も事故が起こりまして、フェリーボートが沈むという事件も発生しています。これからますます、決して安全な地域ではないわけです。そういった面から見まして、地元の人がいろいろ危惧を持って反対運動をされるのも私はわかると思うのです。そういうことについても、そういうものをきちんと整理をしていくというやり方でなければ、ますます紛糾を大きくしていくものだというふうに考えていますので、これ以上きょうはやりませんけれども、もうちょっと民主的な体制というものをとる必要があるということを申し上げておきたいのであります。  次に、今回各電力会社が電力料金の値上げをするという問題が起こっております。  そこで、四国電力の場合、二八・二四%の値上げ案を通産省に申請をいたしておると思います。四国電力は過去二年前に七一%の値上げをいたしておりまして、そして今回が三回目の値上げであります。倍になるわけです。しかも四国電力の黒字といえば、九億五千万円の黒字があります。これは繰り越しがあるというので、それでも四億の黒字が出ているわけです。これは四国電力自体が認めているわけであります。株配当も八分をやっています。こういう中で二八・二四%という数字がどうして出てきたのか。これらの四国電力側の値上げについての基礎数字も見せていただきましたけれども、どうにも納得いかないという状態です。この計算の基礎について、一つは点検をする必要があるんじゃないかということと、もう一つは、今回の値上げについて原子力関係の投資その他、この基礎の計算の中にどれぐらい加えられておるかお伺いしたいのです。——それじゃ、通産省の方は後で伺いますが、とにかくそういう状態です。これを聞かないと次の質問が出ないのですが、大体予想して質問をいたしますけれども、農林省はお見えになっていると思いますが、実は今度の値上げによりましてものすごく四国住民の生活に大きな影響が出てまいります。  その一例として、これは通産省へもお聞きしたいのですけれどもおりませんので、この農業用電力、これが私の計算によりますと、昭和三十五年に四国で二千八百万キロワットでありましたが、これが昭和四十九年には二億八百万キロワットという数字が出ております。実に七・四三倍という、農業関係者の電気の使用量が大変大きく伸びているわけです。全国平均で見ますと、大体この間三・三八倍です。伸び率が第二位でありますところの東京電力の場合が四・四一倍となっております。そうしますと、七・四三倍という農業用電力を使っている四国の農業事情というのはかなり特殊なものがあるように思いますが、その点、最初に農林省の方へ伺っておきたいのです。
  207. 北條健次郎

    ○北條説明員 ただいまお尋ねの電力の使用量でございますが、これは農事用ばかりでなく、農業用に広く使われた電力全体を指していらっしゃるのだと思います。御存じのように、最近は農業におきましても各種の機械あるいは施設等が導入されまして、特に灌漑排水用でございますとかあるいは稲の収穫、調製用、そのほか四国等には特に多いと思いますけれども、施設園芸あるいはまた畜産関係等で相当電力の使用量がふえておる、こういうことであろうかというふうに承知しております。
  208. 山原健二郎

    ○山原委員 一例を挙げますと、これは高知県の土佐市というところのイグサ栽培農家の実例でございます。イグサを一ヘクタールつくっておる場合の電気料金が、現行では九万七千三百八十五円という数字が出てまいります。これは基本料金あるいは電力料金、税金も含められておるわけです。それが今回の改定料金によりますと、新しく契約をした場合には十三万五千八百四十七円という数字になるわけでございます。これを農事用の電気として適用いたしますと、現行でも九万七千三百八十五円が二万六千六百十三円で済むわけです。それから改定をされました後の十三万五千八百四十七円が三万三千九百十七円となるわけでございます。ところが、御承知のように農事用料金適用が現在わずかに一七・六九%であります。これは、九つの電力会社の中で四国電力の適用率が最も低いわけです。同時に、農事用料金も一番高いという状態が出ております。そこで、現在脱穀とか灌漑のみに適用がなされておりますけれども、現在の農業の形態というのは園芸、イチゴあるいはその他お茶、イグサにしましても、ほとんど電気を使うという、こういう状態になっているわけでございます。  現在、日本の農業をどう考えるかという問題が大きな課題になっていますが、一方では原子力発電所に対する設備投資、しかも、四国電力の社長は四国を原子力発電所の銀座にしてみせる、こういう構想を持って、そういったものも含めた予想の上につくられた電気料金の値上げ、そういう値上げの犠牲をこういう農業関係者あるいは一般の住民が受けるという結果になるんじゃないかということを考えます。  現在、農事用の電気にしましても、かつて脱穀、灌漑にのみ適用された時代とかなり情勢は変わっておるという段階で、これに対しては特別な措置を講ずるとか、あるいは実態を綿密に調査をするとかいうようなことを当然しなければならぬ段階を迎えておると思うのです。その点について農林省の見解を伺いたいと思います。
  209. 北條健次郎

    ○北條説明員 農事用電力の関係についてでございますが、私どもは農家の立場、つまり需要側の立場といたしまして、従来から農事用電力につきましては料金を極力大幅な値上げにならないように、またその適用範囲等につきましても通産省と密接な連絡をとりながら対処してまいったわけでございますが、なお最近の農業の情勢の変化は、先生の御指摘のとおりでございます。それで、私どもは電力の使用状況につきましては、毎年一度、農業用の電力の使用状況等について調査をいたしておりますが、なお特殊な問題等がございますれば、その都度ケース・バイ・ケースで考えていきたいというふうに考えております。
  210. 山原健二郎

    ○山原委員 通産省お見えになりましたか。——まだですね。それじゃ、通産省の見解も伺いたいのですが、ちょっと残しておきまして、科学技術庁にもう一つ問題を伺いたいと思います。  それは、徳島県蒲生田岬に原子力発電所をつくるということで、六月九日に四国電力の山口社長が徳島市内におきまして記者会見をいたしまして、六月中に県、市に対し環境調査を申し入れると発表し、蒲生田岬を最優先すると言っております。そして、用地は二百五十万平米の用地買収、これはすでに買収に入っておると聞きます。建設費は三千六百億、そして規模は百万キロワット二基、五十五年四月に着工して六十年に運転を開始するというふうに述べられておりますが、この事実を御承知でしょうか。
  211. 山野正登

    ○山野説明員 四国電力が阿南市に原子力発電所を立地しようという動きがあるということは新聞報道でも承知しておりましたし、またいま御指摘の、六月十五日に四国電力から徳島県と阿南市へ環境調査の申し入れをしたということにつきましても会社の方から話を聞いて存じておりますけれども、建設される将来の原子力発電所の規模とかあるいは建設の予定、建設計画といったふうなものの内容についてはまだ何ら報告を受けておりません。
  212. 山原健二郎

    ○山原委員 こういう場合、もうすでにこの用地の買収も始まっておりますし、そういう中でこの用地地域における三十戸の方たちはこれに対して絶対反対という状態、しかも現地へ行ってみますと、関係者立入禁止という、こういう札がかかっておるというふうな状態で、またまたここでも四国電力のいわば恣意的な場所の設定によって大きな紛糾が起こる、という状態が出てくるわけです。そして、現在では徳島県の由岐、牟岐、海南、海部などの漁業協同組合が正式に反対を表明いたしておるわけでございます。そして同時に、いままで関係のなかった紀伊水道における温排水の問題も次第に大きな問題となろうといたしておるわけであります。徳島県、高知県の漁業関係者も重大な関心を持っているわけであります。これは計画書というものがすでに提出をされている、あるいは青写真が科学技術庁の方へほぼ出ておるのではないかというふうに聞いておるわけですが、その点はいかがでしょうか。
  213. 山野正登

    ○山野説明員 私どもの方には青写真とか計画書というようなものは出されておりません。今後、この問題がどの時点で私どもの方に正式に参るかということを考えてみますと、恐らくこの環境調査が済みました後、電調審におきまして電源立地の基本計画が決まり、それに組み入れられました後に安全審査ということで私どもの方に申し込まれてくるというふうに考えております。
  214. 山原健二郎

    ○山原委員 これは単なるうわさではなくしてかなり広範に知られておる問題として、たとえば徳島新聞なんかにも出ておりますが、この蒲生田岬の原子力発電所は関西電力も出資をして、そして電気を関電に売るというような計画もとに進められておるというふうに私は聞いているわけであります。関西電力としては原発の設置が大変困難な状態に置かれておるので、四国電力と合資をしてやっていく、こういう方向にいま向かっておるのではないかと言われておるのでございますが、今度の計画の中に関西電力と共同出資をして行われるというような話があるかどうか、科学技術庁は御承知でしょうか。
  215. 山野正登

    ○山野説明員 関西電力との共同開発の話というのは何も聞いておりません。
  216. 山原健二郎

    ○山原委員 こういう点については、科学技術庁としては先ほども言われたようにお話はお聞きになっているわけですから、しかも社長は蒲生田岬を最優先する、こう言ってかなり具体的な構想も発表しておる段階でございますから、そういう計画があるのかどうかというようなことを四国電力に対してお聞きする意思は持っておりませんか。
  217. 山野正登

    ○山野説明員 先日、六月十五日に現地にそういう申し入れをしたという報告がありました時点では、そのような話はしておられませんでしたが、事実かどうか至急確認してみたいと思います。
  218. 山原健二郎

    ○山原委員 あと時間がありませんが、通産省にお聞きしたいのは、私はちょっと説明しましたので、ここで繰り返すことは省略します。  今回の四国電力の二八・二四%という電気料値上げの申請につきましてお伺いをしておるわけですが、四国電力はすでに前年七一%の値上げをいたしております。そして私が四国電力の本社に参りまして重役と話をしまして、すでに二回も上げておるのだから、しかもそのときにはしばらく上げませんと言っておった、だから上げるのを中止しなさいという話し合いを二時間にわたって持ったときです。四国電力の副社長は、他の会社が値上げをしましても、わが会社はしばらくは値上げをすることを見合わせます、一番先に延ばすようにいたしたい、こういうようにまじめな顔をして私に答えてくれたのです。帰ってみますと二八・二四%という値上げ、今度の値上げ申請会社の中でも最も高いパーセントを示しておるわけですね。しかもこういう二年間に倍にもなるという値上げ案、これについて通産省はどういうふうにお考えになっていますか。
  219. 篠島義明

    ○篠島説明員 申請につきましては、現在ヒヤリング及び査定を始めておるところでございまして、まだその申請率が妥当なものかどうか、ここで具体的に申し上げる時期にはございませんが、出してまいります事前にいろいろある程度の話を聞いております段階では、ほかの電力会社、今回出てまいりました東京、中部あるいは中国等と比べて、特に経営的に余裕があるというふうにはわれわれは受けとめておりません。したがって、最終的にどういう結論が出るかは別として、この時期における申請が役所として非常に不都合であるというふうには考えておりません。
  220. 山原健二郎

    ○山原委員 四国電力が困っておるという実態はないわけです。先ほども言いましたように、黒字九億五千万という数字を四国電力側も認めているわけですね。そして過去二回も値上げをして、また三回目の値上げをする。私はこれはまさに便乗値上げだと思うのです。そして、その基礎になる部分もなかなか解明することはできない。また大変中身が不明確である、こういう状態でございます。  そこで、一つは、この基礎の中に原子力関係のものがどれほど算定をされておるかということが一つです。  第二点は、先ほど農林省の方にもお伺いしましたが、四国における農事用電力の量はもう七・数倍という数に上っております。そして今回の電気料値上げが、四国の住民はもとより農業関係者にとって重大な影響を与えるという数字を先ほど示したわけですが、これについて、農事用の電気として通産省として枠の拡大、適用の範囲の拡大、あるいは現在の実態の調査、そういうことをやられる意思があるかどうか伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  221. 篠島義明

    ○篠島説明員 最初の、原子力関係の申請の中に含まれておる数字でございますが、これは伊方一号の関係の資本費、減価償却と事業報酬ですが、これが百二十七億円。それから核燃料の、これは事業報酬の中に同じく入っておりますが、これは伊方一号以外伊方二号等の分も含めまして二十八億円入っております。  それから、農事用の電力料金の運用についてでございますが、これは過去非常に長い歴史的な経緯がございまして、われわれの基本的な考え方としては、原価主義の電気料金については非常に厳しい適用をしておるわけですが、その中では、過去の水力が非常に多かった時代の実績を踏まえて、農事用については枠を積極的には広げない、あるいは政策的に料金を下げるということもやらない。ただアップ率については、ほかの需要種別の料金の値上げ率と大体見合うような形で農事用電力の料金を決めるということでいままでやってきておりまして、今回先発四社についての考え方も、やはりここで新しく政策的なファクターを加味した運用なり料金率の決め方なりはしないということでやっております。したがいまして、四国電力につきましても、農事用の電力については原則的には同じような考え方でやりたいというふうに考えております。
  222. 山原健二郎

    ○山原委員 最後に、福祉電力料金とか暫定料金制とかいうような政策上の加味がなされている段階で新たに現在どういう実態になっておるかということを調査する意思もないというお考えでしょうか。農林省の方はそう言わなかったのです。どうでしょう。
  223. 篠島義明

    ○篠島説明員 実態につきましては、具体的に引き上げ率をほかの需要種別と同じ程度にやるといたしましても、原単位が具体的にどうなっておるかというような実態との関係で、レートを開く場合にはいろいろ考慮すべき要素がございますので、そこら辺のところを押さえるためには、実態は当然把握した上でということでございますので、必要に応じて調査をすることも考えております。
  224. 山原健二郎

    ○山原委員 終わります。
  225. 石野久男

    ○石野委員長代理 瀬崎博義君。
  226. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 昭和四十六年に解体をした住友原子力工業の臨界実験装置の一部であったステンレス棒から、コバルト60が表面線量で〇・二ミリレントゲン・パー・アワー検出をされたことは、この前の本委員会で指摘をいたしました。  この炉心の支持枠でありましたステンレス棒はもとは六本あったわけでありますが、そのうち四本は立山精機の倉庫で発見をされたわけです。残りの二本は一体どうなっておったわけですか。
  227. 伊原義徳

    ○伊原説明員 私どもが事情聴取をいたしましたところでは、一本はすでにスクラップとして溶解されておるということでございます。他の一本につきましては、立山精機がその棒を加工いたしまして自分の得意先の設備の部品として納入しておるようでございますが、詳細はなお調査中でございます。
  228. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 溶解はどこで溶解をしたのかということと、それから立山精機が加工して売った得意先ですね。長さ二メートルで直径が五センチほどある、しかも重量も相当あって値段も高いものですが、これがすぐに見つからないということはないと私は思うのですね。重ねてひとつお聞きをしたいと思います。
  229. 伊原義徳

    ○伊原説明員 スクラップ処理日本冶金において行われたということでございます。  それから加工いたしました部品の納入先につきましては、目下調査中でございます。
  230. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 スクラップとして出した方が、これも独占大企業でありますところの住友原子力工業、受けてこれを溶かした方もやはり大企業の日本冶金です。この両者のどこかで、溶解する前に改めてコバルト60の汚染があるかないかチェックはしているのですか。
  231. 伊原義徳

    ○伊原説明員 しておらないと思います。
  232. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 結局そのような危険性を持ったものが溶かされて、何かにいま使われておるわけですね。また行方不明の一本については、これも加工されてどこかに販売されている。まだその行方がわからない。きわめてこれは重大だと思うのですね。この間の指摘からこれで約一ヵ月たつわけであります。  じゃその他の炉心部分、つまり放射化されているかもしれない部分、汚染のひどい部分等は大体どういう廃棄処分がされたのですか。
  233. 伊原義徳

    ○伊原説明員 先日測定にかかりました一本、これは特に炉心に一番近い位置にありましたために放射化されたということ……(瀬崎委員「他の炉心部分はどこへ行ったかと聞いている」と呼ぶ)他の炉心部分はバックグラウンドと同程度ということでございますので、通常の廃棄物として処理されておると承知いたしております。
  234. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 科学技術庁は前の委員会のときに、放射化されたステンレス棒も含めて、いまのお話のように一般産業廃棄物として処分したということを言っておられるわけなんです。もちろんここでは時間もありませんし、別に専門的な論争をするつもりはありませんが、その道の専門家の話によりますと、本来法律が定義しております放射性同位元素はその濃度において〇・〇〇二マイクロキューリー・パー・グラム、数量、つまり全体量において一マイクロキュリーとなっております。これは厳密に計算すると、問題のステンレス棒は当然この定義にひっかかってくる、したがって一般産業廃棄物として処分できる筋合いのものではない、こういうことなのでありますが、科学技術庁はこの点の検討についてどう考えているのですか。
  235. 伊原義徳

    ○伊原説明員 私どもの試算によりますと、この支持枠の持っております放射能、これがコバルト60によるものであると仮定をいたしまして計算をいたしますと、電離放射線障害防止規則に定めておりますアイソトープの定義よりも下のもの、以下のものである、こういうことのようでございます。したがいまして、安全性という観点からは非常な問題になるというものではないわけでございますけれども、しかし、今後の原子炉の解体の先例にもなることでもございますので、慎重に対処いたしたいと考えております。
  236. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これは当然専門家の検討にまたなければ科学的な結論は出せないと思うのです。科学技術庁の試算によれば下回るようだ、こういうお話ですから、その科学技術庁の試算なるものを後日資料としてぜひ出してもらいたい。われわれはそれを学者に見てもらって、これを上回ると言う人もあるわけでありますから、正しい結論をひとつ出したいと思う。事はこれは法律に反するかどうかということになりますから。  さて次は、もう前回認められたこのずさんであった立会測定の問題でありますが、科学技術庁の四十六年一月二十九日から三十日にかけての第一回検査立会報告書によりますと、「二月一日から解体を開始する臨界実験装置は炉心内構造物および制御棒、燃料をとり出して作業準備を行なっており、アルファ線サーべーメーターにより表面汚染をチェックした結果、規制値十のマイナス五乗マイクロキュリー・パー・平方メートル」以下で「除染作業は良好に行なわれている。」こう報告しているわけですね。これは科技庁の方が二名出ていって報告しております。果たしてこのアルファ線サーベーメーターでコバルト60というものは検出されるのですか。
  237. 伊原義徳

    ○伊原説明員 検出はされません。ただ、そのときの考え方は、誘導放射能よりも汚染のチェックの方が重要である、こういう判断であったかと思います。
  238. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうなってくると、ただ単に見逃したとかなんとかいうのではなくて、初めからコバルト60をはかる意思が立ち会った科技庁側になかった、ステンレス棒が放射化されているとはちっとも思っていなかった、まことに非科学的な科学技術庁の実態をさらけ出していると思うのですね。  続いて科技庁の三月二十二日の第二回検査立会報告書を見ますと、住友原子力工業の相当数の測定個所のうち、わずかに二十四ヵ所についてのみ抜き取り検査をしたことになっていますね。この場合は、GMサーべーメーターを使っているわけでありますが、これも専門家の話を聞きますと、つまり住友原子力工業がまずチェックしているわけです。もう一遍科技庁が、二十四ヵ所にしろ抜き取りチェックをしている。こういう二重チェックをして、いまから五年前ですと、半減期の関係から今回検出された数値の約二倍、〇・四ミリレントゲン・パー・アワーの線量になるわけでありますが、この測定ができなかったなどとはどう見ても考えられない、こういうことなのであります。科学技術庁としてこのような専門家の指摘に対して、コバルト60を二回目においてははかれる条件を持ちながら見逃した原因をどう考えているのですか。
  239. 伊原義徳

    ○伊原説明員 臨界実験装置は、一般論といたしまして非常に出力が低い、いわばゼロ出力のものでもございますし、誘導放射能を帯びるという可能性は非常に少ないわけでございますが、そういうこともございまして、抜き取りの検査をいたしますときに残念ながら測定にかからなかった。と申しますのは、実態といたしまして、非常に膨大な部分の中でわずかに一本の支持枠の、しかも中心の部分という非常に限られた部分が一ヵ所だけ多少バックグラウンドより高かったということでございまして、現在の時点で考えますときに、いま少し綿密にやるべきであったかという感じもいたしますが、事実はそのときには見つからなかったということでございます。
  240. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それでは、いまあなたの答弁からいけば、この六本あるステンレス棒のうちの一本の、かつ限られた部分だけなので発見できなかったということになりますと、他のステンレス棒ないし他の部分についてはかってあったということを前提にしておるようでありますけれども、その根拠はどこにあるのですか。
  241. 伊原義徳

    ○伊原説明員 一番炉心に近い部分のものが今回ひっかかったわけでありまして、それ以外の場所のものにつきましていろいろな計算をいたしまして、その結果、誘導放射能の帯びる可能性が非常に低い、二けたぐらい低いものであるというような試算もございます。そういうことでございますので、現在見つかっております一本以外のものはそれよりも非常に低い、まずバックグラウンドレベルのものであろうと推察される次第でございます。
  242. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 詭弁ですよ。全体六本ですね。一本は放射化されておった。二本はいまのところその放射化のされた測定結果は出てない。あと二本、これはわからないのでしょう、どこに行ったのか。測定しないままもうすでに現在なくなっている。確率から見たっておかしいじゃないですか。これは独断ですよ、あなたの。住友原子力の測定は二十四カ所どころじゃなくて、それの数十倍やっているわけなんです。だから特に危険の多いステンレス棒などは当然その道の人ならやっていると思うのですが、こうなってまいりますと、果たしてそれが正しかったかどうか疑わしくなってくるじゃありませんか、局長の論理からいきますと。あなた方はいま現在、住友のやった測定結果を一体信頼しているのですか疑っているのですか、どっちですか。
  243. 伊原義徳

    ○伊原説明員 一般的な測定結果としては、臨界実験装置の部品の誘導放射能はほとんどバックグラウンドレベルであるということかと思いますので、一般的な測定については特に問題はなかったと思いますが、ごく一部についての見逃しがあったのはやや残念でございます。
  244. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 やや残念ぐらいで済みますか。二回目の検査立会報告書の付属文書には、住友原子力作製の解体に関する立会検査記録というものが付されております。ここには「別紙の〇印の箇所及び切断した炉心タンク等について汚染の検査を行ない自然計数と同じ程度であることを確認していただきました」こう書いてあるのですね。これでは科学技術庁がわざわざ立ち会って住友のそのずさんであったかもしれない測定にお墨つきを与えてしまう結果になっていると思うのですよ。しかも、第一回目の検査立ち会いを二人派遣し、この第二回目のときは一人しか派遣してない。確かに残念な結果を生み出した住友も住友だけれども、それ以上に科技庁自身が原子炉の解体を全く軽く扱っておった、この動かしがたい証明になっていると私は思うのですね。こういう点について、一体科技庁自身十分反省しているのかどうか、改めて聞いておきたいと思うのです。
  245. 伊原義徳

    ○伊原説明員 先ほども御説明申し上げましたように、このコバルト60の誘導放射能は、それが放射性同位元素として扱われる場合の法の限度よりも低い、少ないものであるということでもございますので、一般へ安全上の影響というものは実体上はないと考えられるわけでございますけれども、やはり原子炉の解体というものが今後も出てまいり、その一つの例として、今後より厳密な検査を行うべきであると考えておる次第でございます。
  246. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その四十五年十二月に住友が出しております原子炉解体届では「炉心タンク、その他の構造物」、の中にステンレス棒も入るんですね、「が放射化されていない」こう書いているんです。そうしますと、この届けに書かれている「放射化されていない」というのは、今日から見れば科学的には事実に反している、こういうことになるんじゃないかと思うのです。したがって、その届けのときに科技庁は、これは誤りがあると指摘していなければいかぬと思うのですが、その責任は一体どうなるんですか。
  247. 伊原義徳

    ○伊原説明員 もしその届けを受け取りました時点において誘導放射能が測定されておりますれば、そういう指摘は当然にいたしたかと思いますが、そのときには残念ながら測定にかからなかったということでございます。
  248. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 測定するかしないかはいまのところ法的には義務づけられていないんでしょう。義務づけられているのは解体者の届けだけであります。したがって、まずその届けを見て、科技庁が科学技術庁らしく専門的に記載事項に誤りがあるのかないのか判断すべきだと思うのですが、まずそこの判断が正しかったのかどうかということを私は聞いているんですよ。普通は書類審査でいいわけじゃないですか。はっきりしなさい、責任を。
  249. 伊原義徳

    ○伊原説明員 一般的に臨界実験装置について……
  250. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 一般的じゃない。この届けを受けた科技庁はどう判断したのだということだ。
  251. 伊原義徳

    ○伊原説明員 届けと現場での立ち会いによる抜き取り検査というものの両方でもって判断をした、こういうことでございます。
  252. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうしますと、届けそのものの「放射化されていない」という住友の言い分について科技庁は結局チェックをようしなかった、見逃した、こういうことなんですね。
  253. 伊原義徳

    ○伊原説明員 結果的にはそのとおりでございます。
  254. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そういうことをはっきりと反省しないで、あれこれ逃げ口上を言うのはやめなさい。  そこで。聞くところによれば、立山精機へ原研が、ラジウムとか今回のコバルト60などの調査といいますか検査といいますか、こういうことの費用として数百万円の請求をしたと聞くわけであります。これには大分立山精機も面食らっているようでありますけれども、そこで聞きたいのは、まず第一に、こんなことを言ったら立山精機には失礼かもしれないけれども、もし相手に支払い能力がないような場合だったら調査はやらないのか、こういうふうな疑問が一つ起きます。これに答えてほしいこと。  それから第二には、原研が検査をしてその代償を請求する、つまりこれは原研対立山の取引というかっこうになっているわけです。こんな扱い方をするのが一体正しいのか、筋違いではないかという感じもするのです。  そして第三に、このような放射能汚染の調査その他は本来政府自身の責任ではないか、したがって、費用をどうするかその他についても、当然これは政府がその責任を持って折衝するんならする。そうしなかったら、もしほかにこういうことが出てきても、相手が金が払えないような企業とか、あるいはまた相手が企業でないような場合、その測定はやらないというようなことになりかねませんね。はっきりしておいていただきたいと思います。
  255. 伊原義徳

    ○伊原説明員 原子力研究所での廃棄は警察の指示に従ったものであると承知いたしております。  それから、なお一般論といたしましては、やはり発生者負担の原則で、汚染物の除染についての費用は発生者が負担すべきものであると考えます。
  256. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 発生者が負担するのはいいとしても、その交渉を原研に任すことがいいのかどうか、それを聞いているわけです。
  257. 伊原義徳

    ○伊原説明員 原研と立山精機との間にどういうふうな話し合いが行われておるかは承知いたしておりませんが……。
  258. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 この場合、科技庁の責任はどうなっているのか。
  259. 伊原義徳

    ○伊原説明員 科学技術庁の責任と申しますのは、これはラジウムの汚染につきまして許可なしに持っておったということでございますので、法律上の規制の外であったということになっております。
  260. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 じゃ、法律上の規制の外にあるものは、たとえそこらに危険な放射性物質が散らかっておろうと監督官庁である科技庁はあずかり知らぬというのがあなたの論法ですね。ひどい話だと思いますよ。  そこで、時間の関係もありますので、きわめて類似したずさんな科学行政を示すもう一つの事件がありますから、その方へ私は移っていきたいと思います。また後でその問題はただしましょう。  これは昭和四十五年の十一月に原電の敦賀発電所において原電の下請であったビル代行の労働者の重大な被曝事故が発生しております。これはついせんだって敦賀の市会で明らかにされて、関西の方では新聞等にもいろいろと報道されておりました。すでに明らかになっておる範囲では、被曝者の一人である村居国雄さん、原子炉建屋二階のフロアの除染作業中にポケット線量計の最高値二百ミリレムを振り切る被曝を受けた。そこで直ちに救急車で市内の木村病院に運ばれた。こういう経過ですね。ここまでは大体明らかになっております。  以下、いろいろと疑惑のある問題を質問したいわけであります。  原電側は初め敦賀の市会に対して、フィルムバッジの集積線量が五百ミリレムであったので、年間許容線量以下だから問題ない、こう報告したわけですが、後、村居さん本人がフィルムバッジをつけていなかったと申し出たことから、原電側は村居さんのっけていたポケット線量計の数値と当日の作業場所、作業時間から推定して五百ミリレムを割り出したと、こう報告をし直したわけですね。  そこで、全くわれわれとして合点がいかないのは、こんな重大な問題についてなぜ最初でたらめな報告をしたのか、そうしてこれが訂正された経過は一体どうなっているのか、このことを聞きたいと思います。
  261. 伊原義徳

    ○伊原説明員 フィルムバッジの件に限って御説明申し上げますが、この村居氏は……。
  262. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いやいや、報告を言いかえた経過を。
  263. 伊原義徳

    ○伊原説明員 言いかえたということであるかどうか、私どもが承知いたしておりますところでは、ポケット線量計の振り切れということに対しまして、原子力発電株式会社側では空間線量の推定を事後に行って三百ミリないし四百ミリという推定をしたわけでございますが、ビル代行の方は別途フィルムバッジを後からその作業室に入れまして、作業した推定時間だけ置いて、それでどの程度の被曝があったかという推定をしたということでございます。  ただ、推定をいたしまして三百九十ミリという結果が出たそうでございますが、それを原子力発電会社に報告をいたしましたときの趣旨が不徹底であったために、あるいは原子力発電会社では村居氏が最初からつけておったフィルムバッジの線量指示がそうであったというふうに受け取ったかとも思われるわけでございますが、実態は後でフィルムバッジを入れて推定に資したということであります。  なお、これは原子力発電会社が測定いたしました空間線量測定とほぼ合っておるわけでございます。
  264. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そこで問題は、この村居さんは原子炉建屋二階の一体どこでどんな作業をして被曝をしたのですか。
  265. 伊原義徳

    ○伊原説明員 村居氏外三名が原子炉建屋の原子炉冷却系熱交換器室の除染作業を行ったわけでございます。これは洗剤を流しまして床を洗ってそれをウエスでふき取る、こういう作業でございますが、そのときに特別立ち入り制限区域であります原子炉冷却材浄化系フィルタースラッジポンプ及びタンク室、こちらの方も誤って除染作業をした。その後者の方が非常に空間線量が高いために三百九十ミリと推定される被曝を、約一時間半の作業でその程度の被曝があった、こういうことに承知いたしております。
  266. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その問題の廃樹脂タンクのある部屋は特別立ち入り制限区域だと言われる。こうした場所に立ち入るについては、どういう手続が正規には必要になってくるのですか。
  267. 伊原義徳

    ○伊原説明員 作業の指示を文書で行うというのが原則でございます。ただ私ども調査では、このときは便法として文書指示がなかったというふうに聞いております。それから、施錠をすべきところがこの際施錠が行われておらなかった、こういうことであります。
  268. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そういうことになってくると、これは規制法から見て、事業者側はどういう責任があるわけですか。
  269. 伊原義徳

    ○伊原説明員 保安規程並びにそれを補足いたします所内規程等の規定に必ずしも正確に合致した作業の監督が行われていなかったということのようでございますが、これは第一回目の定期検査で十分なれていなかったということもあったようでございますが、その後事態は改善されております。さらに従業員の教育につきましても改善を図っておるわけでございます。
  270. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その第一回目の定期検査だからと言うけれども、一年間運転した後のことなんでしょう。聞くところによれば、かぎはなかったようだけれども、ドアには何か目張りがしてあったということも聞くわけです。それから、この平面図で見る限り、一般管理区域で、本来除染に当たるべき作業現場を通過してでないとこの奥の方の部屋に入れないですね。自分仕事するところを通り越して、わざわざ目張りのしている、そんな危険な部屋へ間違って入るだろうか、こういう疑問がどうしたって残りますよ。しかも事前の教育云々以前の問題として、村居さん初めの他の二人は全くずぶの素人ですね。臨時の人です。一人だけビル代行の職員らしき人がついておった。こういうのにだれも原電側の職員がついていない。こういうふうなことがただ単に多少の手落ちがあったで済むものかどうか。原電は、今回だけじゃなしに、従来も指摘されるようなこういう事故を起こしているわけなんですね。われわれとしては、むしろ村居さん本人の言っていることを信用したくなるわけですね。私も七月三日本人に会っております。本人の申し立てでは、誤って入ったのではなくて、ここへ入って仕事せいと言われてやったんだ、こう言っているわけですね。また、そうでなかったら、いま言ったような事情からわざわざそんな汚染のひどい廃樹脂タンク室に入ったりしないと私は思うんですね。あなた自身説明していて、これはおかしいなと思いませんか。
  271. 伊原義徳

    ○伊原説明員 私どもが承知いたしておりますところは、予定された作業場以外のところの除染もあわせた行った、こういうふうに聞いております。
  272. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そういうところの除染を、局長の説明では一時間半ほどしたことになるのだけれども、その間だれも気づかなかったのも、これまたおかしいですね。四人ともでしょう。特にあと二人の人々なんですが、この人などは前田建設の下請の水谷建設のまた下請の高島組に雇われて、実はATRの建設作業の現場におった。ところが突如として、人数が足らなかったのでしょう。原子炉の除染作業の方に回ってくれと言われて、それがビル代行の下請だったと結果的に知ったというのですね。このATRの建設現場から回された二人は、いずれも六十歳を超えている方であります。したがって、もともとこんな放射線の仕事をするようなつもりもなければ意思もないという人を、何の教育どころか、何の前ぶれなしに中へ入れているわけでしょう。こんな便宜的な下請労働者の使い方が一体原子力発電所であっていいんでしょうか。
  273. 伊原義徳

    ○伊原説明員 原子力発電所の作業者の管理につきましては、常時放射線下にある作業をいたしますいわゆる従事者に対する規制と、それから臨時的に立ち入る者とでやや規制上の差がございます。この村居氏の場合は、後者の、臨時に立ち入って除染作業をする、こういうことで、したがいまして、許容線量につきましても、従事者の年間五ミリに対して一・五ミリというふうな規制があるわけでございます。ただいま御指摘の、非従業者につきましても十分な教育をすべきであるということは、御指摘のとおりかと思います。
  274. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 十分どころか、その人たち仕事に行こうとしているところがどんな場所かの説明すらないわけです。こんなものが果たして原子力発電所の運転をする資格を持っているのかどうか。今回の場合で言うなら原電、ビル代行、このことを私は聞いているのですよ。全くむちゃくちゃだと思いませんか。
  275. 伊原義徳

    ○伊原説明員 失礼いたしました。先ほど五ミリと申しましたのは五レムでございます。五レムと一・五レムでございます。  なお、原子力発電会社につきましては、下請従事者の作業につきまして監督を十分改善するということで、私ども引き続き指導をいたしておるわけでございます。
  276. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 具体的にやってもらわなければいかぬのですが、いま言いました下請の高島組経営者と、それからビル代行の敦賀の出張所長というのがきょうだいだという話ですね。現在も所長はかわっていないようです。こんなところからきわめて便宜的な、労働者をモルモット扱いするようなことが起こってくるのじゃないか。だから、法律に照らしてどうとか、規則に照らしてどうとかいう前に、一般的に道義的な問題として、きちっと一遍科学技術庁、なぜこういうことになったのか調べて、それぞれの責任をやっぱりとらせる必要があると思うのです。この点どうですか。
  277. 伊原義徳

    ○伊原説明員 当時の作業の監督が不十分であったということは御指摘のとおりでございますが、法律で定めております規制の範囲内での被曝でもございますので、その面からは特に法律上どうこうということはないかと存じます。
  278. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いや、監督が不行き届きじゃなくて、少なくとも最小限必要な指導も監督も全くない状態で労働者が出入りしておった。しかも、そういう原子炉の建屋の中に入る特例な装置が必要なのに、そういうことも抜きにして、人のフィルムバッジをちょっとつけさせて入れる、こういうふうなことが便宜的に行われておった。こういうことについて科学技術庁がもっと厳しい立場で望まなくちゃいけない、こういうことも私は言っているわけなんです。  時間が大変限られるので残念なんですが、そこで問題は、そういうふうなずさんな、超ずさんな管理状態もとで労働者が被曝している。この労働者の安全や健康を守る上で、これはひとつ労働省の方に聞きたいわけですが、いま大体聞いておられたような状態もとでこれが起こっておるわけなんです。まあ労働安全衛生法などをそこに引用する必要はさらさらないと私は思うのですが、こういう立場から見て、この原電のやり方に一体労働省はどういう見解を持っていますか。
  279. 宮野美宏

    ○宮野説明員 電離放射線の許容量を超えます異常な被曝事故が起きました場合には、法令によりまして三月間に受けた線量が三レムを超えたものに対しまして医師の診察または処置を受けさせるような監督、指導をしていることでございます。
  280. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いや、起きたらでは遅いわけでしょう。やはり労働者の安全だとか健康を守るというのは、起きないようにすることが必要なんですね。いまのようなずさんな管理をやっていると起こりますよ。そういう点について、まあ現にだれが見たかてきわめてひどい状態で労働者を使っておったビル代行と原電ですね。こういう状態の中で起こった被曝について、当然のことながらその被曝した労働者についてやはり何らかの処置を現在政府としてとるか、または現在の法制上とれなかったら、それらの事業者の方にそれなりの誠意ある処置をとらせるか、そういうことが労働省の責任としてあると思うのですね。この点について何をやっているかを聞きたいと思います。
  281. 宮野美宏

    ○宮野説明員 当初、敦賀の労働基準監督署の方に情報として、これは報告義務はございませんけれども、情報としましてこういう事故があったという連絡がありましたので、署といたしましては、立ち入り関係についての指導をより適切にやるようにというふうに指導をいたしたわけであります。それからまた、そのときには、会社としまして直ちに異常を訴えた労働者につきまして病院の診察を受けさせたところが、それは異常がないというようなことでございました。それからまた、数年後の四十九年に大阪の大学での、本人の希望の結果、そこの病院での診察の結果も異常がないということでございまして、私どもも定期の健康診断その他につきましては、今後も監督、指導について強力に進めてまいりたいと、こう考えております。
  282. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 一つはさっき言いましたように、村居さん自身は四十何歳かの方だけれども、あとの二人は六十歳を超えているような人でしょう。本来こういう中高年齢者に対してはそれなりに特別に就業に当たって配慮しなければいかぬというのが労働安全衛生法などの精神ですよね。ちゃんと法文にもあると思うのです。それがまさにその逆で、ほかの仕事で行ったのに、その一番危険なところへ何も知らずにやられているというふうな事態が起こっているわけでしょう。明らかにこれは経営者に責任があると私は思うのですよ。  そういうふうな中で起こって、いまあなたは本人の希望で阪大へ行ったと言われたけれども、確かにその診断書ここにありますね。しかし、この重松という先生自身は必ずしも本人の希望ではなくて、むしろビル代行と原電が、この先生のところへ行くのだったら費用は会社の方で持ちましょうというふうな形で行っているらしい。したがって、今日なお本人は被曝が原因ではないかということでいろいろ健康の不調を訴えていらっしゃるわけですね。なかなかやはりその点では本人自身も疑惑は解けないし、かつ体はずっと不調だということで、日々本当に深刻な心配続きになっているわけです。現にそういうふうな本人の状態であるにかかわらず、これに何らの救済措置もされないというふうなことは、これは結局いいかげんな労働者の使い方をした事業者が得をして労働者が犠牲になる、それを見逃すことになると思うのですね。したがって、少なくとも本人が希望するような形の精密検査がさらに受けられるように、こういうことができてしかるべきだと私は思うのです。この重松先生の診断書が出る前にも、できれば何か脊髄液か何か取って白血球を検査するようなこともさらにすればいいんだけれども、また数十万金が要るなというふうな話もあったそうです。しかし、もうこれ以上はということでストップになっているわけです。だから、やはりそういう処置が今後可能になるように、これは本来そのことが労働省の使命ですから、考えるべきだし、考えているやにも聞くのですが、この点はどうですか。
  283. 宮野美宏

    ○宮野説明員 現在この日本原子力発電株式会社の敦賀発電所からの報告が敦賀労働基準監督署に参っておるわけですけれども、それの事実確認をいたしておりますので、今後その事実確認を待って措置をとりたいというふうに考えております。
  284. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 事実確認を待ってだけれども、しかし、一応本人がどうしてもすっきりしない、いつまでもやはり非常に精神的にはまいっていらっしゃるように私も見受けた。そのためにどうしても精密検査が必要だというふうな場合には、それなりの行政措置または行政指導で本人の希望を受け入れる、こういう可能性があるということと受け取っていいわけですね。
  285. 宮野美宏

    ○宮野説明員 事実確認を待ってと申しましたけれども、それは必ずしも先生おっしゃるようなことではありませんで、労働者の不安をどう解決するかというようなことが残るかと思いますが、それにつきましては、病院における健康診断結果がいずれも異常がないというようなことでありますので、担当の医師の方から正しい内容の説明なりを受けさせるというようなことが必要ではなかろうか、そういうような中で、またそういう教育なり健康相談というものが大事ではないかというふうに考えております。
  286. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いやいや私が聞いているのは、過去の、地元の病院とかあるいは現在出ている阪大の診断書について、いろいろと専門のお医者さんもまた疑問を呈しているし、診断に当たった人自身ができればもう少し十分なことをやった方がいいのだけれどもということもおっしゃっているわけですね。ただ、それが現在の物理的な条件からできない事態で、本人さんは非常に心配されている、こういったことが続くわけですね。それを何らか解決する必要があるのではないか。だから、まあ補償とかなんとかいうふうな問題を私はいま言っているのではなくて、まずとにかくもう少し丁寧な精密検査などが受けられるようなことを労働省の方で考えるべきではないかということを私、尋ねているわけなんですね。  これは何か基準局の医療班の方で、労災の疑いのある場合、地方の労働基準監督署の署長の同意のもとに労災認定をするかどうかの検診の費用を出すような制度を何か通達のような形でやりたい、そういう検討もしているように聞いているわけなんですが、こういうことが実際に行われるならば、また救済の道も開けるのじゃないかと思うのですね。だから、そういう見通し等も聞いておきたいのです。
  287. 溝辺秀郎

    ○溝辺説明員 先生いまお話しの問題は、いわゆる診断サービスという形でいま私ども検討しているものだと思います。職業性疾病が非常に最近問題になっておりますので、職業性の疾病ではないかということの疑いを持っている人たち、この人たちに現在監督署に置いております職業病相談室に相談に来てもらって、その相談室にまあお医者も置いておりますので、そのお医者が必要ありと認めたときに、国の費用で検診といいますか専門医の診断をしてもらうという制度を現在検討中でございます。
  288. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いつごろからそれは発足するのですか。
  289. 溝辺秀郎

    ○溝辺説明員 現在、通達の検討中でございますので、数ヵ月のうちには通達ができると思っておりますけれども……。
  290. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 では最後に大臣に総括して聞いておきたいのです。  最初の住友原子力工業に至っては、問題のステンレス棒の二本がまだはっきりとどうなっているのかわからない。一本はまあ溶かしちゃったということのようであります。当時の立ち会いが非常にずさんであったということだけはもう認められているとおりなんですね。したがって、今日に至るまでほかにも同様の解体処分された研究炉や臨界実験装置はあると思うのです。こういうものに対して一体どのような処置をとって、似たような危険を防止しようとされるのか、これが一つ。  もう一つは、いま労働省の方ではやや前向きな検討を、つまり労働者が自分の健康に疑いを持って精密検査等をしたい場合に、相談室へ行って必要ありと認められれば検診が受けられるような制度が発足しそうでありますが、その以前に、いまの原電のような、あるいはビル代行のような状態を改めることが、私、先決問題だと思うのですね。しかもビル代行については、このような臨時雇いを次から次から雇い入れて、十分な教育もなしにどんどん中へ入れるということはいまだに改まっていないようです。こういう点について、一遍ビル代行そのものを科学技術庁が立入検査するぐらいのことがあってしかるべきだと思うのですが、そういう点について大臣の見解を聞いて、時間を超えておりますから終わりたいと思います。
  291. 伊原義徳

    ○伊原説明員 住友の臨界実験装置以外にも五つの類似のケースがございます。それにつきまして十分実情調査をいたしましたが、汚染された物が一般産業廃棄物というふうなことで処置されたことはございません。  それからビル代行につきましては、科学技術庁と直接の法関係にございませんので、原子炉設置者を通じまして十分その指導をさせたいと考えております。
  292. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 原子炉等が不要になって、それを処分する際にどうするかという問題のようですが、これはこの前にもお答え申し上げましたように、いまの法規ではまだ十分取り締まりできるような法規になっていないように私、承知しておりますので、今後十分過ちのないように行政措置等で法律の改正ができるまでは進みたいと思います。  それからいまの患者の話ですが、これは労務管理の問題に関連する問題でございますので、労働省さんの方から御答弁があったようでございますから、私の方もそれに……(瀬崎委員事業者側について」と呼ぶ)事業者側につきましては、そういう問題があったということを注意をするという要があるかと存じますけれども、要すればその件ばかりでないということでありますれば、注意するものは注意をして改めたい、こういうふうに考えます。
  293. 石野久男

    ○石野委員長代理 近江巳記夫君。
  294. 近江巳記夫

    ○近江委員 私は、きょうは限られた時間でございますので、主に二点についてお伺いしたいと思います。  一つは公聴会の問題であります。一つは「むつ」のいわゆる遮蔽改修の計画並びに実験につきまして非常に大きな疑惑点があります。こうした二つの問題につきまして主として御質問したい、このように考えております。  まず第一点の公聴会の問題でございますが、福島に続きまして新潟の公聴会につきまして地元県知事が断った、こういうようなことで新しい段階に立ち至ったわけでありますが、この問題につきまして、まず総括的に御報告をお聞きしたいと思います。
  295. 伊原義徳

    ○伊原説明員 東京電力の柏崎・刈羽原子が発電所原子炉設置許可申請が昨年なされまして、現在原子力委員会の安全専門審査会で審査を行っておりますが、一方原子力委員会といたしましては地元の生の声を十分聞きたいということで、本年八月、新潟におきまして公聴会を開催をいたしたい、こういう希望を新潟県側に示しまして協力方お願いいたしたわけでございます。県も基本的には協力をするという姿勢でいろいろ地元の関係団体等とも折衝されたわけでございますが、六月十六日の原子力委員会から県知事に対しての公聴会開催に関する協力要請に対しまして、六月十八日に県知事から原子力委員会に対しての回答がございまして、地元情勢を踏まえて考えた結果、非常に反対の声も強くてなかなか平穏裏に開催することがむずかしい、こういう実態があるということで、なおこれを強行いたしますと不測の事態にもなりかねないということで、開催を取りやめる方向で検討してほしい、こういう回答があったわけでございます。原子力委員会といたしましては、この公聴会はぜひ実施いたしたいと考えて鋭意準備しておりましたところでもございますし、非常に残念ではございましたが、やはり地元県知事の御協力というのがないことには実施は実質上不可能でございます。そういうこともございまして開催の断念を残念ながらせざるを得なかった。ただし、やはり地元の声を聞くということば非常に必要でございますので、別途書面によりまして地元の御意見をお聞きしたいということで、目下その手配をいたしておるわけでございます。具体的には七月五日に官報でその手順を公示いたしております。
  296. 近江巳記夫

    ○近江委員 地元に非常に反対の声が強くて不測の事態を恐れた、こういうことで、開催は見合わしてほしい、これを受けてやらないということになったわけですが、なぜこういう地元における反対というのは強い、このように見ているのですか。科学技術庁としては当然、なぜそれじゃそこまでの強い反対があったのか、公聴会に対する不信があったのか、この点の分析はいたしましたか。どういうように受けとめておりますか。
  297. 伊原義徳

    ○伊原説明員 端的に申しますと、公聴会というものに対する理解、私どもといたしましては、原子炉の安全審査の際に地元の声を十分反映したいという趣旨での公聴会を開きたいということで考えた次第でございますが、地元の方々の中には、そういう性格の公聴会ではなくて公開討論会的なものを、しかも時間を限らずに七日でも十日でも続けて、最後に住民投票によって原子炉施設を設置するかしないかを決めるべきである、こういうふうな非常に別の観点からの御意見がございまして、私どもといたしましては、かりての福島の公聴会の経験にかんがみ、さらにこれを改善するための努力もいたしたわけでございますけれども、最終的にはどうしても意見が合わなかったということかと存じます。  なお、なぜそういう強い反対があるかということにつきまして、いろいろこれは地元特有の事情もあるかと思いますが、一つには地盤の問題というのが前からいろいろ議論になっておるということは私ども承知いたしております。
  298. 近江巳記夫

    ○近江委員 この地盤の問題はさることながら、いわゆる安全審査の段階で公聴会をやっても、結局はこの決定を、言うならば政府としてはした上で、一応形式的に聞くんだというような根強い不信があるわけでしょう。原子力委員会としていわゆる公聴会を開くという場合において、一つは大型化あるいは新型炉あるいは集中化、あるいは県知事の要請、こういう点から見ていきますと、大型化という点になってきますと、今日いわゆる百十万キロワットあるいは八十万キロワット、これは世界最大級、これはもうすでに建設をやってきているわけですよ、大飯の発電所にしてもしかるべきでありますし。そういうことで、大型化というところにはかかってこない。特にBWRあるいはPWR、この二つの型式という点からいけば、新型という点からいきましても、これはほぼ固定しているわけでしょう。集中化ということになってきますと、これは何基以上が集中化になるんですか。先ほど申し上げたこの二つの問題というのは、これもすでに現段階においてはこれは条件として当てはまらぬわけでしょう。集中化というこは何基以上が集中化というのですか。
  299. 伊原義徳

    ○伊原説明員 何基以上ということを、特に現時点で明確に決めておるわけではございませんが、少なくとも今回の場合は最初の一基目でございますので、その集中化には該当しないと考えられるわけでございます。
  300. 近江巳記夫

    ○近江委員 この後は県知事の要請。その県知事の要請がかかってきたということですね。こういうような条件をいろいろ見てまいりますと、今後それじゃこの公聴会というのは開けませんよ、こういうようなやり方をやっていますと。福島の反省を踏まえて確かに内容の点については一歩前進なさっておるという点もわからないことはないわけです。しかし、そういう小手先の中身で動かしてどうのこうのということでは今後解決できませんですよ。あくまでも今後、政府のこの計画を見ておりますと、昭和六十年四千九百万キロワットというような膨大ないわゆる原発建設を進めていくことになっているわけですね。そうなってきますと、当然この住民の理解と協力ということは非常に必要なことでありますし、特にアメリカのカリフォルニアの投票を見ましても、こういう日本のように原爆の経験のない国でも三分の一が反対しておるというような実情であるわけですね。そういう地元の理解と協力を得るという点におきまして、これは公聴会というのは絶対やらなければならない問題です。ですから、ここでなぜ今回だめになったかということを深刻に踏まえないと、皆さん方は現体制、やり方の中におけるそういう受けとめ方をやっておるわけですね。ですから、たとえば電調審にかける前においていわゆる公聴会を開く、また安全審査体制の段階においてもやっていくとか、やはりその時期、そういうこともこれは大いに関係してくるわけです。いまこれはいわゆる安全審査会の段階でこれをやるわけですよ。ここに大きな不満があるわけです。先ほどの地盤の問題、これは環境問題であるとか安全審査にかかるわけですけれども、そういうような問題になってくる場合においては当然電調審にかける前にこれはやるべきですよ。そうなってくると、性格的には原子力委員会だけでは非常に無理だという場合においては政府主催というような、いわゆるそういう形にも今後考えていかなければならぬわけです。その開催時期という問題について、私がいま申し上げた点について政府はどう考えますか。
  301. 伊原義徳

    ○伊原説明員 ただいまの先生の御指摘は大変貴重な御意見でございまして、私どもといたしましても、現在の考え方の公聴会のほかにもっと幅広く考えまして、実施主体、実施時期等も幅広く考えるべきであろう、こういう考えがございます。特に現在原子力行政懇談会でこの問題をいろいろ御検討いただいておりますが、先生御指摘のように電調審前に開いたらどうかとか、あるいは開係行政機関が幅広く参加すべきであるとか、いろいろ御意見が出ております。私どもといたしましては、この行政懇談会の最終答申を得ました上でさらに幅広い考え方を採用してまいりたいと考えております。
  302. 近江巳記夫

    ○近江委員 この懇談会からそれは確かにいろいろな考えが出るでしょうけれども、政府は、いま局長が御答弁になったのは、そういう考えも持っておるという基本的な点についてお話があったわけですが、私はいま具体的にこの電調審の前であるとかあるいは電力会社がその以前に開催するとか、あるいは県段階で開くとか、そういう懇談会がもちろん意見は出すにしても、政府としてもやっぱり改革案を詰めないとまずいと思うのですよ。だから懇談会から出してくるのとあわせていろいろとまた検討すればいいのです。もう少し具体的に政府自体はどういう考えを持っておるのですか。懇談会の意見をただ待つというだけじゃなくして、もっと具体的にどのように考えているのですか。
  303. 伊原義徳

    ○伊原説明員 私どもといたしましては、ただいまのような公聴会のほかに、たとえば専門家によるシンポジウムというふうなものも開催を検討しておるわけでございますし、さらに時期につきましても、先生御指摘のように電調審前なりあるいはその他適当な時期、実施主体につきましてもいろいろな実施主体がそれぞれ多少性格を異にするこの種の会合を開くということで、ただ一回限りでないいろいろな種類のものを何回も開くということでますますこの関係の地元問題についての解決の一助ということに資してまいりたいと考えております。
  304. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでこの公聴会というもの自体がこれは法律の裏づけがないわけですね。アメリカなんか位置づけているわけですよ。この点については今後どうお考えになるのですか。そこまで公聴会が大事だとお考えになるなら、何らかのそういう位置づけというものが大事になってきますね。
  305. 伊原義徳

    ○伊原説明員 法的位置づけを与えるのがよいか与えないで実質的に数多く開く方がよいのか、その辺につきましては、先ほど申し上げました行政懇談会でもいろいろな意見が出ております。したがいまして、その辺の御意見がまとまりましたところで十分その御意見を尊重して考えたいと考えております。
  306. 近江巳記夫

    ○近江委員 この新潟の点につきましては、意見聴取を実施する、この意見聴取だけで終わりですか。どういうように後考えておるのですか。
  307. 伊原義徳

    ○伊原説明員 提出されました意見につきましては、できるだけ早期に検討状況の中間報告をまずいたしたいと思います。  それからさらに、意見の検討結果につきましては、設置の許可の前提でありますこの許可の基準についての答申を原子力委員会から内閣総理大臣にいたします時点でこの答申を公表すると同時に、意見の検討結果も公表いたしたいと考えております。
  308. 近江巳記夫

    ○近江委員 今後意見聴取してくるからどういう意見が出てくるかわからぬわけですけれども、いまおっしゃったその点であれば、一回だけの聴取ですね。いま地元は、それではあるけれども、混乱しておるかもしれないけれども、今後さらにまた地元と折衝もして公聴会を開くというような意思を持っておられるわけですか。
  309. 伊原義徳

    ○伊原説明員 ただいまのところ現在の文書による意見の聴取ということで考えております。
  310. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは地元住民の理解と協力を得るという点におきまして、これだけで後は考えてないということでは、これはもう非常に私は将来大きな問題を残すことになると思うのです。その点政府としては十分に詰めをなさって、今後の行き方ということについて私は検討すべきだと思うのです。この点どうですか。
  311. 伊原義徳

    ○伊原説明員 御指摘のとおり、十分幅広く検討してまいりたいと思います。
  312. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから先ほど局長、中央シンポジウムもやるんだというお話がありましたけれども、これはいつも聞いておりますが、これはどうなっておりますか。
  313. 山野正登

    ○山野説明員 シンポジウムにつきましては、前回、先生にあらまし御説明申し上げましたが、要するに現在原子力委員会日本学術会議に協力を求めまして進めようとしておりましたやさきに、学術会議の内部にこのシンポジウムというものを公聴会との関連におきまして中央公聴会と位置づけるといったふうな誤解が一部にあるというふうなことで行き悩んでおったわけでございます。最近の情勢としまして、ただいま説明のございましたように、公聴会そのものが実施不可能になったというふうな情勢の変化がございましたので、再度学術会議の方に話をいたしまして、新しい事態のもとでなおかっ協力は困難かどうかということを確認したいと思っておるところでございます。これで学術会議の方が協力できるということであれば、学術会議と協力して進めるということにいたしますし、なおかつ学術会議が協力不可能であるというふうな場合には、かわるべき手段というものを考えざるを得ないというふうに考えております。
  314. 近江巳記夫

    ○近江委員 いずれにしても、この柏崎の公聴会が実施できなくなったということ、これは本当に大変な問題ですよ。それは結局、わが国の原子力行政というものに対する国民の大きな不信というものがこういうかっこうで出てきておるわけですね。だから本当にこれを反省して、この公聴会というものをそこまで重視なさるなら、これは今後やはり本当に実のある、受け入れられる、そういう公聴会というものをやっていかなければならぬと思うのです。いま、電調審の前に開くとか、そういう点を今後検討したいということをおっしゃっていますから、いま結論は出ないと思いますから、重複しますので避けたいと思いますが、いずれにしてもこの公聴会が開けなくなったということを痛切に反省してもらわなければならぬ。もう重大な問題であるし、国民不信というものはそういうことで出てきておるわけです。まとめてひとつ大臣の感想をお聞きしたいと思うのです。どう考えておられるか。
  315. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 公聴会をなぜやらなければいかぬかという趣旨等は先ほど来いろいろお話ございましたので……。ただ、このたびは正真正銘、私どもが長い間かかりまして何とか不幸な事態を起こさないで、言うなれば流血の惨等を起こすような、そういう公聴会でなしに、円満裏に地元の意見を聞けるようにしたいものだということで腐心したのですけれども、先ほどお話ございましたように、どうもそういうなまやさしい事態じゃないんだということで、それをしも押して公聴会をやるということが一体その本旨にかなうだろうか。私はがんじょうですから、こん棒でぶん殴られてもいいと思ったのですけれども委員の皆様まで行って流血の惨にさらしてということは私は忍びなかったのです。ですから、これはこの際は知事さんのおっしゃるように、それでは私は残念だけれども別の手段で、十分でないかもしらぬけれども意見を聞くように次善の策を講じようじゃないかということで、ただいまの段階になったわけですが、さらばと言って、近江先生のおっしゃるように、それじゃ今後少しでもそういうことになればという御指摘がございまして、やはりいろいろ工夫もございましょう。たとえば海外では、民間の技術の権威と申しますか、検査制度、ロイドのようなもの、ドイツでもいろいろありまして、アメリカでもしかり、何も公聴会でやるのでなくていいわけでございますから、そういうコンサルタントが出まして、それでディスカスして一つの地元の意見の上達ということにもなるわけでございまして、不幸日本はまだそこまで実は行っておりません。あるいは開催の時期等もいろいろ工夫が必要かと存じます。そういう点も合わせまして、このたびの事態を反省しつつ今後の改善策を考えてみたいと思っています。
  316. 近江巳記夫

    ○近江委員 本来こういう公聴会というものはそんな強行すべきものじゃないわけですね、これは。そういう点からいきまして、いま大臣もおっしゃったように、開催の時期であるとか主催者の問題であるとか、これはやはり根本的にお考えになって、そして局長が電調審の前にでもできるような方向で考えたいということをおっしゃっていますし、これはひとつ真剣に考えていただきたい、このように思います。  次にお聞きしたいのは、いわゆる「むつ」の遮蔽実験の計画並びに実験の問題でございますが、今回原研のJRR4を用いて行ったわけですが、この遮蔽モックアップ実験の目的は何ですか。時間がありませんから簡潔にお答えください。
  317. 山野正登

    ○山野説明員 「むつ」の遮蔽を改修するに当たりまして、この改修の設計をする際に使用いたします計算コードの信頼性を確認するということと、さらに今後追加されます遮蔽体の遮蔽効果を確認するというのが今回のモックアップ実験の目的でございます。
  318. 近江巳記夫

    ○近江委員 この実験計画を作成したメンバーはだれですか。名前まで正確に言うてください。
  319. 山野正登

    ○山野説明員 今回の計画の立案に当たりましては、日本原子力船開発事業団のみならず、広く船舶技研、それから日本原子力研究所といったふうな広い範囲の衆知を集めてつくりましたものでございまして、原船事業団が原案をつくりました後、原船事業団の中に技術的な問題を諮問いたしますために技術委員会というものを設けておりますが、その遮蔽専門部会下部機構でございます遮蔽実験ワーキンググループというところで十分に詰めました上、これを私どもと運輸省で組織いたしております遮蔽改修総点検技術検討委員会にもお諮りして決めたものでございます。  それで、この遮蔽実験ワーキンググループのメンバーを申し上げますと、この主査を務めておりますのは船舶技術研究所東海支所長の布施さんでございます。それから委員といたしましては、敬称を省略しますが、東京大学工学部の秋山、三菱原子力工業の大久保、三井造船の金森、川崎重工業の田中、日本原子力事業の中井、東京大学の中村、船舶技研の三浦、原研の宮坂、それから事業団の壼阪、以上の諸氏でございます。
  320. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま名前をおっしゃったわけですけれども、この計画作成に携わられたメンバーの中で、実際に遮蔽実験の経験のある人はだれですか。
  321. 山野正登

    ○山野説明員 今回のこのワーキンググループのメンバーの中で見ますと、船研の布施さん、それから原研の宮坂さんといった方々が遮蔽の専門家でございまして、なおかつこの九人のうち七人までが前回のモックアップ実験にも参加した人たちでございます。
  322. 近江巳記夫

    ○近江委員 この布施さんは船舶技研の東海支所長ですね。この人は実験からは長い間離れているわけですよ。宮坂さんにしても、大体この人は計算屋ですよ。実験をやってない人でしょう。しかもこの中で十年以上遮蔽実験に携わった人はだれですか。いますか。
  323. 山野正登

    ○山野説明員 原研の宮坂室長は十年以上の御経験があると考えております。
  324. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほど申し上げたように計算屋ですよ。屋ということはいかぬけれども、この人は計算が専門の人でしまう。実験ばそうやってない。こういういわゆる専門家という人が果たして何人おられるかということです。日本国じゅうに遮蔽実験をできる人というのはいないのですか、実際。この「むつ」問題というのは日本原子力行政というものの全般が問われている象徴的な事件ですよ。この改修計画に当たってはそれだけの経験のある人も入ってもらって、最高のものを立案し、実際に実験しなければいけないのですよ。私は何もこの人たちをばかにしたりそういう気持ちで申し上げているのじゃないのです。やはりこれだけの計画に当たり実験をしていくためには、最高のそれだけの実務に携わっているスタッフを充てなければならぬでしょう。日本に何人いるのですか。こういういわゆる実際に実験に携わってないメン八一の方々で——何もその人たちの権威を私はどうのこうの言っているのじゃないのです。政府はこういう人たち計画をさせてそれでよしとしているのですか。遮蔽専門家、実験をしている人は日本に何人いるのですか。
  325. 山野正登

    ○山野説明員 遮蔽の専門家が日本に何名いるかという御質問には即答しかねますけれども、原研の遮蔽研究室員四名のうち三名まではこれに参加いたしておりますし、それから布施さん並びに宮坂さんと申しますのは、日本でこの分野におきましては最高の権威の方だと考えております。それから、それ以外の方々につきましても、先生御指摘のようにできるだけ経験のある最高の権威者の方々を集めようという事業団の配慮で集められたというふうに考えております。
  326. 近江巳記夫

    ○近江委員 私は個人的にけちつける気持ちは毛頭ありませんが、しかし先ほど申し上げたような、携わっているとはおっしゃっても、やはりその中でまた専門分野があるわけですよ。十年以上ということを私申し上げたら、あなた宮坂さん、この人一人だけでしょう、挙げたのは。それで、それだけの専門の人を集めるというなら大学とか研究所等には話はしなかったのですか。
  327. 山野正登

    ○山野説明員 先ほどワーキンググループのメンバーを申し上げましたが、この中で大学関係の方々が東京大学の秋山さん、それから同じく東京大学の中村さん、大学の方からも御参加を願っております。
  328. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは、東京大学はそれだけ有名なところでもありますから選ばれたということもわかりますけれども、もっと幅広く、大学だって非常に権威のあるところもたくさんあるわけですし、研究所も。そういう呼びかけが非常に浅いですよ。今回のこの計画について第三者チェックをしたのですか、どうしたのですか。
  329. 山野正登

    ○山野説明員 先ほど申し上げました総点検・改修技術検討委員会の場で検討しておるわけでございまして、この委員会が第三者の役目を果たしておるというふうに考えております。
  330. 近江巳記夫

    ○近江委員 それが第三者とあなた方はまあ思っておられるわけですね。しかし、もっと国民が納得できるような、さらに充実したそういう機関でやはりこれはチェックすべきですよ。  それでは、そこで検討されて、その計画に対してどういう話が出たのですか。
  331. 山野正登

    ○山野説明員 事業団がワーキンググループに相談して立案されました改修計画案というものが妥当であるという結論が出ております。
  332. 近江巳記夫

    ○近江委員 妥当であるという、結論はそうかもしれませんが、どういうような主な意見があったのですか。そんな簡単に妥当であったという——もう少し中身を言ってください。
  333. 山野正登

    ○山野説明員 主として検討委員会におきましては、実験の内容並びにその実験を進めます方法といったふうなことにつきましてしさいに検討が行われております。今後はこの検討委員会で了承されました方法で進めていく各段階におきまして、この成果等を含めてこの委員会で再び検討が行われるという手順になっております。
  334. 近江巳記夫

    ○近江委員 この遮蔽専門部会というのはほかにどういうメンバーがいるのですか。全部おっしゃってごらんなさい。
  335. 山野正登

    ○山野説明員 名前を全部申し上げますと、部会長は東京大学の安藤教授でございます。以下敬称を省略さしていただきますが、副部会長は京都大学の兵藤、同じく副部会長としまして船舶技研の中田、委員といたしまして原研の宮坂、川崎重工の田中、日本鋼管の梅田、三井造船の金森、石川島播磨重工業の吉田、三菱原子力工業の大久保、船舶技研の布施、日立製作所の北爪、日立造船の山田、以上の諸氏でございます。
  336. 近江巳記夫

    ○近江委員 いまおっしゃたメンバーの中で、十年以上この遮蔽の専門家というのはだれですか。
  337. 山野正登

    ○山野説明員 委員の中の宮坂氏と布施氏でございます。
  338. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは結局、その計画を立て専門部会に出した、言うならこの人たちはいわゆる当事者でしょう。専門家というのは、そうすると第三者チェックといっても、結局計画を立てた主力はこの二人でしょう。この二人の人がまた専門部会でやっているわけでしょう。どうなんですか。
  339. 山野正登

    ○山野説明員 ただいま少し話が混同しておるかもしれませんが、ただいま申し上げました専門部会のメンバーと申しますのは、原子力船事業団の技術委員会の遮蔽専門部会委員の名簿を申し上げたわけでございますが、これに加えまして総点検・改修技術検討委員会委員のメンバーを御紹介いたしますと、委員長は東京大学の安藤教授でございますが、委員としまして東京大学の平田、船舶技研の植田、日本海事協会の浅野、神戸商船大学の黒沢、東京大学の都甲、原研の鳥飼、東京工業大学の高島、日本原子力発電の板倉、船舶技研の中田、日本原子力研究所の宮坂、関西電力の檜木、それから東京水産大学の吉田、あとは関係省庁の職員が入っております。
  340. 近江巳記夫

    ○近江委員 いずれにしてもこの人たちは遮蔽実験というものについての十分な経験者じゃないでしょう。そういうところでそういうメンバーが携わって計画をつくり、またそこで第三者チェックだということでチェックしている。だから今回の計画並びに実験というものは、「むつ」が放射線漏れを起こした、とにかく遮蔽だけをやればいいんだ、非常にあわただしい計画であり、実験をやっているわけですよ。この計画はいつからいつまでの間に作成したのですか。
  341. 山野正登

    ○山野説明員 この計画事業団におきます立案と申しますのは、五十年の十月の末から十二月の初めまでの期間に立案いたしております。
  342. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは常識で考えても短期間過ぎるでしょう。十分な検討がなされたと政府は胸を張って答えられますか。この期間についてどう考えているのですか。どうですか。
  343. 山野正登

    ○山野説明員 準備といたしましては、ただいま申し上げました一ヵ月強の期間に加えまして、事前に相当の準備期間があったかと思いますが、この作成作業だけで終了したものではございませんで、それ以後、先ほど申し上げました技術検討委員会の審議を経るまでに相当の期間の検討というものがあったわけでございまして、一ヵ月ですべてのものが作成されたというものではございません。
  344. 近江巳記夫

    ○近江委員 その準備期間であるとかそういう期間をひっつけて、時間をかけておった、あと審査も入ったというようなことで糊塗していますが、実際にこんな短期間で計画をやっているわけですよ。なぜこんなに政府は急ぐ必要があるのですか。国民に本当に理解と安心を与えるためには徹底した計画の立案でなければならぬわけでしょう。これは非常に拙速ですよ。当然こういう計画という段階になってくるとあらかじめいろいろな計算をやっておくことが必要なんですね。十分にこれをやっていますか。
  345. 山野正登

    ○山野説明員 先ほどの答弁ちょっと補足しますと、作業には六月ぐらいから入っておりまして、それ以来やっておるわけでございます。それから十分な検討もしないままに急いで決めたのではないかという御質問でございますが、これは私どもは拙速でいこうとは全然考えていないのはもちろんでございまして、十分な検討をした結果決めたというふうに考えております。
  346. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうしますと、このモックアップ試験の試験体を発注してから予備計算をしておる、こういう状態であったということを聞いておるのですよ。あなたがいまおっしゃった、いわゆるいろいろな十分な検査をしておるという話からすると、こういう試験体を発注してから予備計算をしなければならぬ、そんなばかなことがありますか。拙速ではないとおっしゃっておるけれども、この一事を見てもはっきりしておるじゃありませんか、この点は。そんなあたふたとやるようなことで十分な実験ができますか。事実を答えなさいよ。
  347. 山野正登

    ○山野説明員 事業団におきます準備作業の内容でございますが、五十年の三月からすでに計算には着手いたしておりまして、その後、先ほど申し上げましたように、六月から改修の概案づくりにがかったわけでございます。その後十月までの間にこの計画の内容というものを決めまして、十一月に正式な作業をしたということでございまして、私の感じでは十分な時間をとってやっておるというふうに考えております。
  348. 近江巳記夫

    ○近江委員 それじゃモックアップの試験体を発注してから予備計算をしたというのはうそですか。事業団も来ておられるなら、理事長も来られておるのでしょう。答弁しなさいよ、主体者じゃありませんか。
  349. 倉本昌昭

    倉本参考人 この遮蔽改修に当たりましては、昨年の三月ごろから予備計算と申しますか、いわゆる圧力容器と一次遮蔽体との間のストリーミングの問題、それからさらに、一次冷却系統の配管の貫通部分でございますとか、底部からの中性子の上下方向への流れでありますとか、そういうことについての解析計算を実施いたしまして、その結果を踏まえながら改修計画案というものを一応計画をしてまいったわけでございます。具体的な計画案につきましては、大体六月ごろにはこの案が固まってまいりまして、それとこれが固まった段階で、さらにこれを、二案ほどございましたので、これを一つの案にしほるというような作業をその後続けてまいりまして、大体九月ごろには一つの案にしほることができたわけであります。  それで、これにつきまして具体的な遮蔽実験というものをどういうぐあいにやったらよかろうかということについての実験計画というものを進めてまいりました。それでこの供試体の発注というものを大体十月の初めにやっておりますが、この段階で予備解析というものを実施いたしておるわけでございます。それで、これは実際の実験のデータをとった上で実際の本解析に入るわけでございますが、これはJRR4の方の線源等を一応考慮に入れました形での予備解析というものを供試体を製作しておる過程において実施をいたしたわけでございます。それが終わった段階で、ことしの二月から実験に入ったということでございます。
  350. 近江巳記夫

    ○近江委員 言うなら、こういう計算というのは、こういうことをきちっとやってから発注するということはできなかったのですか。何で並行してやったのですか。
  351. 倉本昌昭

    倉本参考人 実際の計算等につきましては、その以前に大まかなものについての計算はやっておるわけでございますが、供試体発注の時点において、仕様等も固まった段階で、それについて実験をやるための準備として予備解析を行ったわけでございます。
  352. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま答弁あったように、発注してからそういう計算をやったということは事実なんですよ。こういうことをきちっとやって、それから発注をしていくというのが一つの手だてですよ。これでいかに急いでおったかということがわかりますし、しかもいろいろ検討しておるメンバーというのは、いま申し上げたように名前をおっしゃった人も実験には離れておる。こういう点でいま非常に不安が出てきておるわけです。原子力事業団、それから原研、船舶技術の三者の共同研究が望ましいというのはどういう理由からやったんですか。
  353. 山野正登

    ○山野説明員 この三者の持っております能力を最大限に活用して、協力してもらうという考えで共同研究としたのでございますが、まず原子力船事業団は、先ほど来申し上げております計画の立案、それから実験用機器の準備等を含めて、この実験実施の総括並びに調整を図るという立場でございます。それから原研は、実験に用います炉でありますJRR4の整備運転及び実験データの解析といったことに主力を置き、船舶技研は供試体に対する照射作業の指導ということに重点を置くということで協力をいたしております。
  354. 近江巳記夫

    ○近江委員 それぞれの役割りを決めておられたということはわかりますが、共同研究という以上、それぞれが同じ技術レベルの立場が必要だと私は思うのです。今回のモックアップ実験で原子力事業団から派遣された人はどういうメンバーですか。その名前を言ってください。
  355. 倉本昌昭

    倉本参考人 原船団からはその総括といたしましては小山内技術部長、それから実験のグループといたしましては宮越第二課長、それからあと原船団の方から四名、竹本、古田、壼阪、岩男という技術二課のメンバーでございます。
  356. 近江巳記夫

    ○近江委員 この人たちは遮蔽実験の経験があるんですか。どのくらい遮蔽実験に携わっておるのですか。
  357. 倉本昌昭

    倉本参考人 遮蔽につきましては、宮越課長等も過去におきましても実際研究等もやっておりました。この実験自身につきましては、実験グループとして船研の布施氏の指導のもとに実施を行ったということでございます。
  358. 近江巳記夫

    ○近江委員 いまあなたがおっしゃった宮越さんですか、技術課長、これは日立造船から出向していますね。この人はもう途中で帰ってしまったでしょう。どうなんですか。
  359. 倉本昌昭

    倉本参考人 現在のところでは一応出向期間は二年ということでございますけれども、私どもとしてはできればこの遮蔽の改修が終わるまではがんばってもらいたい、こういうぐあいに考えておるところでございます。
  360. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、まだがんばっているのですか、この人は。またあとのメンバーはどうですか。
  361. 倉本昌昭

    倉本参考人 現在も活躍中でございます。
  362. 近江巳記夫

    ○近江委員 あとのその技術第二課のメンバーは全員残ってやっていますか、メンバー交代なく。
  363. 倉本昌昭

    倉本参考人 技術二課は全員まだおります。
  364. 近江巳記夫

    ○近江委員 あなたの答弁を信用するしかないわけですが、一時帰ったということはないですか。後でまたあなた方が要請して来てもらった、そういうことはなかったですか。
  365. 倉本昌昭

    倉本参考人 ただいまのお答えの中で一点だけ、古田と申しますのは出力試験中だけ来ておりまして、現在は、つい最近帰っております。その他はそういうことはございません。
  366. 近江巳記夫

    ○近江委員 この古田という人がどれだけの専門家か私は知りませんけれども、少なくともこれだけの改修実験をするわけでしょう。これは事業団が主体なんですよ。なぜ責任を持ってしっかりがんばらせないのですか。こういうところに事業団の無責任さが出ているわけです。大体この事業団の技術第一課四名、第二課五名でしょう。ドイツのGKSSを見ますと、科学者が八十三名、技術者は二百三十六名ですよ。あなた方は第一課、第二課合わせて九名じゃないですか。しかもほとんどそういう経験がない人。事業団がオンリーで人員の拡充にしても何にしてもなかなかできにくい、そういう体制にあることは私も承知しておりますけれども、しかし、この派遣なさっているメンバーにおいても、それだけの深い専門家というものはいてないわけですね。結局原研であるとか船舶技研に何とか技術力をかろう、そして信用度を高めておいて、とにかく国民が遮蔽において、心配しているのだからやってしまおう、こういう作業進行といいますか、そちらの方ばかりに頭が行っているわけです。石橋をたたいて真剣に計画から間違いのないものをやっていこう、日本最高のそういう専門家も集めてやっていこう、そういう姿勢が欠けておるわけですよ。いまのようなあなた方のこういう研究体制で一貫した十分なものができると考えているのですか。どう考えていますか。
  367. 倉本昌昭

    倉本参考人 この遮蔽改修に当たりましては、私ども一先生が御指摘になられましたように、確かに事業団の技術の陣容は少のうございますけれども、この体制をもって外部の協力をいかにして仰ぐかということにつきましては私どもとしてできるだけの努力をいたしまして、私どもの方の技術委員会の下の遮蔽専門部会、さらにその中で遮蔽実験グループといいますところに経験並びに知識の豊かな方々に御参画願いまして、この解析の計算はもちろんのこと、実験の計画さらにその改修の設計に当たりまして、材料及び構造さらには遮蔽効果の計算等につきましても、私どもといたしましては現在日本において遮蔽改修の問題について得られる知識は十分吸収をし、この実験も非常に成功を得たし、現在解析中でございますけれども、私どもとしてはその成果は非常に期待し得るものが得られるであろうというぐあいに現在大いに自信を持っておるところでございます。
  368. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま指摘しましたように、きわめてこれは貧弱な計画でありまた実験でもあるわけです。ただ国民に遮蔽実験をしたというような事実だけを押しつけていく、こういう原子力事業団の態度は私はきわめて問題があると思うのです。昨年五月に出されましたいわゆる大山報告というものが非常に無視されているように私は思うのです。大山報告におきましては、「むつ」の放射線漏れは単に遮蔽設計上のミスだけで片づく問題ではなく、炉心を含めて他の部分の信頼性にも疑問を投ずるものである。ところが、いまやっておりますのは遮蔽のことばかりでしょう。また、そういう原子力事業団の態度に対して、監督の立場にある政府はやすやすとして認めておるわけです。政府自身きわめて無責任であると思うのです。この点についてはどう考えておりますか。
  369. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 段々のお説を伺いましたが、私は脇に落ちません。もし作業の内容がどうである、こういう点が内容的に欠点があるという御指摘であれば十分お答えできますけれども、そうでなくて、ただあわてたとかスタッフが足らぬとかという御議論で内容自体まで触れるということに対しては、せっかくの近江さんの御指摘でございますけれども、私どうもいただきかねると思います。どうぞ願わくば私どもとしてはベストを尽くしたつもりでございますので、内容的にこことここがおかしいじゃないかということがございましたら、御指摘いただければ幸いだと存じます。
  370. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま大臣が非常に憤慨して答弁をやったのですが、私はいま一例を申し上げたように発注をしてから予備計算をやっているのですよ。それが事実じゃないですか。私は事実から申し上げておるのですよ。何もそんなただ抽象的なことだけ言っていませんよ。しかも日立から出向している人は実験に入ってから帰っているのですよ。だから、そういう点は素直にお認めになるのがあたりまえと違いますか。
  371. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 そういうことは私もよくわかりませんけれども、しかし、少なくともこの問題に関しましては世界環視の問題でもあり、ひとり日本のみの問題でもございませんので、いままでの苦い経験にかんがみまして海外の新しいやり方等も参照にし、私どもとしては日本では最大だと思われる日立に御助力いただきまして進めたことでございまして、お説のようにあわてて結論を出せなんということは私一遍も指示したことはございません。これは慎重の上にも慎重ということで、事業団でやりました結論のみをとるわけでなしに、何段にも分けて丹念に検討させたつもりでございまして、いま御指摘のモックアップの設備が計算と前後したということがどういうことなのか、私には実は詳しい技術的な理解はできませんけれども、しかし、それはそれなりに十分技術者としては、それではどこが間違っているのかという点の御指摘があれば反論ができるようにできていると私は確信しております。
  372. 近江巳記夫

    ○近江委員 この「むつ」の原子炉は現在の基準で安全審査をすると通らないと言う専門家もいるわけですね。この大山報告書を見ましても「念のため、「むつ」の原子炉部分について全面的に技術的再検討を行い、必要な改善・改修をすること。」こういうことにもなっているのですね。こういうような専門家の声もあるわけです。この安全審査を、改修したらもう一度やり直すという意思はありますか、どうですか。
  373. 山野正登

    ○山野説明員 私どもがただいま進めておりますのは、遮蔽の改修だけではないわけでございまして、大山委員会の御指摘にも十分こたえるべく安全性に非常に関係の深い重要なプラント機器等については安全性の総点検をいたしまして、必要な場合には所要の補修を行うということで考えております。  それで、今年度から基本設計に入るところでございますが、これができ上がりました時点で恐らくは原子炉の設置変更の許可申請というふうなことになろうかと思いますが、その時点でお説のような安全審査を受けることになろうかと思います。
  374. 近江巳記夫

    ○近江委員 じゃ、もう時間がありませんから終わりますが、これは私たちはただ欠陥を見つけてどうだこうだと言っているだけじゃないのですね。いわゆる「むつ」が今日原子力行政の象徴として国民の大きな注目を浴びているわけです。二度とそういう失敗をさせたくない、石橋をたたいて渡ってもらいたい、こういう気持ちから言っているのですよ。だから、それは真剣にひとつ受けとめてもらって、真剣なまた慎重な審査の上において今後ひとつ進んでいただきたい、このことを特に申し上げておきます。  以上で終わります。      ————◇—————
  375. 石野久男

    ○石野委員長代理 この際、お諮りいたします。  先般、青森、長崎及び鹿児島の各県に委員を派遣し、科学技術の実情について調査を行ったのでありますが、派遣委員より調査報告が文書で提出されております。  本調査報告を参考のため、本日の会議録の末尾に参照として掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  376. 石野久男

    ○石野委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————     〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————
  377. 石野久男

    ○石野委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十八分散会      ————◇—————