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1976-05-20 第77回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年五月二十日(木曜日)     午前十時二十二分開議  出席委員    委員長 中村 重光君   理事 小宮山重四郎君 理事 田川 誠一君    理事 中村 弘海君 理事 宮崎 茂一君    理事 石野 久男君 理事 八木  昇君    理事 瀬崎 博義君       竹中 修一君    上坂  昇君       嶋崎  譲君    村山 喜一君       山原健二郎君    近江巳記夫君       小宮 武喜君  出席政府委員         経済企画庁長官         官房参事官   柳井 昭司君         科学技術政務次         官       小沢 一郎君         科学技術庁長官         官房長     小山  実君         科学技術庁原子         力局長     山野 正登君         科学技術庁原子         力安全局長   伊原 義徳君  委員外出席者         原子力委員会委         員       吹田 徳雄君         科学技術庁原子         力安全局原子炉         規制課長    松田  泰君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電課長  高橋  宏君         運輸省船舶局首         席船舶検査官  謝敷 宗登君     ————————————— 委員の異動 五月二十日  辞任         補欠選任   堂森 芳夫君     上坂  昇君   原   茂君     村山 喜一君 同日  辞任         補欠選任   上坂  昇君     堂森 芳夫君   村山 喜一君     原   茂君     ————————————— 五月十九日  北海道における国立試験研究機関暖房費等増  額に関する請願(小平忠紹介)(第五八四二  号)  同(多田光雄紹介)(第五八四三号)  同(箕輪登紹介)(第五八四四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法  律案内閣提出第四号)  科学技術振興対策に関する件(原子力安全性  確保に関する問題等)      ————◇—————
  2. 中村重光

    中村委員長 これより会議を開きます。  日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮崎茂一君。
  3. 宮崎茂一

    宮崎委員 この前の十三日に、この委員会におきまして提案理由の御説明がございました、日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案につきまして、政府に質問をしたいと思うのです。  この法律案は、現行の事業団法期限を十カ年間延長しようとするものでございますが、どうして十年間というふうな期限を切って延長するのか、お伺いをいたしたいと思います。きょうは佐々木大臣がお見えになっておりませんが、できればひとつ政務次官から、また、私が質問いたします細かい問題は事務当局から、御答弁をお願いしたいと思います。
  4. 小沢一郎

    小沢(一)政府委員 先生御承知のとおり、わが国における原子力船の第一船であります「むつ」は、昭和四十九年九月、放射線漏れを起こしまして、現在はむつ市の母港に係留されておりまして、わが国原子力船開発は中断されたままの状況にあるわけでございます。  そこで、政府におきましては、この放射線漏れ原因を究明するとともに、今後の原子力船開発の進め方につきまして、広く学識経験者意見を求め、また十分いろいろな検討を行った結果、世界有数造船国であり、また海運国であるこの日本において、自主的な技術によります原子力船開発を進めるためには、どうしても「むつ」の開発を引き続き推進すること。また「むつ」は、技術的に見ましても、全体としてかなりの水準に達しておりまして、適当な改修改善を加えることによりまして所期目的が十分達成し得ることが明らかになったわけでございます。さらに、「むつ」の開発日本原子力船開発事業団中心となって当たりまして、安全性点検改修出力上昇試験実験航海等を行いまして、原子力船建造経験を得る。それとともに、原子力船安全性信頼性等確保するための技術を蓄積する必要がある。このため大体十年間の期間が必要であると、私どもとしては判断したわけでございます。この判断に基づきまして、十年間延長する改正法案の御審議をお願いしておるわけでございます。
  5. 宮崎茂一

    宮崎委員 この事業団法は、昭和四十六年に当初の予定を四年間延長しているという過去の経緯があるわけです。これはどういう理由で四年間ということになったのか、これをお伺いしたいと思います。
  6. 山野正登

    山野政府委員 日本原子力船開発事業団法は、いまおっしゃいましたように、当初、「廃止するものとする」とされておりました期限は、昭和四十七年の三月三十一日までであったわけでございますが、第六十五国会におきまして、その期限を四年間延長しまして、「昭和五十一年三月三十一日まで」というふうに改正されたわけでございますが、この理由といたしましては、当初予定いたしておりました船価が大幅に値上がりいたしまして、計画どおり昭和三十九年度に建造に着手するということができなくなりまして、三年おくれまして四十二年の十一月に建造に着手したわけでございます。その後、四十五年に船体の艤装工事は終了いたしましたが、これに引き続きまして、原子炉艤装工事、燃料の装荷、あるいは出力上昇試験等を経て実験航海をする必要があったわけでございますが、これらをいたしますためには、さらに四年間延長して五十年度末まで計画完遂期間を要するというふうに判断したために、四年間の延長をお願いしたわけでございます。
  7. 宮崎茂一

    宮崎委員 また今回延長しようということでございますが、こういうふうに何回も延長を重ねざるを得なかったという結果になっているわけです。もちろん、原子力船技術開発見通しという問題は、あるいは予測できない問題かもしれません。しかしながら、やはり政府原子力船開発に関する見通しというのが甘かったのじゃないかというふうに私は反省すべきじゃないかと思うのでございますが、この点につきましてどうお考えになるのかという点。  それからもう一つは、たしか臨時船舶建造調整法ですか、船をつくる法律がございますが、これもなかなか見通しができないというので、たしかそういう法律適用期限を当分の間ということにして、どんどん政府の方で必要な時期まで延長するというような組織も実はある。私も正式の名前は知りませんが、たしか臨時船舶建造法だと思いますが、そういうのもございますが、当分の間というふうにしたらどうかと個人的にも思うのですが、この点につきましては、どういうふうにお考えになるのか。  もう一遍申し上げますと、政府見通しは甘かったのじゃないか、それをいまどう反省しているのかという点と、十年とおっしゃるけれども、当分の間としたらどうだろうか。こういう二点について。
  8. 山野正登

    山野政府委員 この事業団法の再度延長をお願いすることになったわけでございますが、何分にもこの原子力船第一船の開発と申しますのは、わが国で初めての経験でございます上に、当時、活用できる資料等も非常に乏しい中で国産の技術をできるだけ活用して進めるというふうなことでございましたので、過去の開発経緯におきましてある程度の試行錯誤というものがあることは、これは私ども率直に認めざるを得ないわけでございますが、先ほど政務次官の方から御答弁申し上げましたとおり、私どもとしましては、やはり海運国造船国ということから考えまして、引き続きこの原子力船というものの開発を進めていくということは、絶対行うべき必須の課題であると考えておりますので、いま御指摘のような過去の経緯というものも十分に反省しながら、今後できるだけ過ちのないように万全を期しながら開発を進めてまいりたいというふうに考えております。  それから、いま御指摘臨時船舶建造調整法の方でございますが、実はこの法律も、具体的にある開発等が終了したら廃止するとか失効するといったふうな趣旨ではございませんで、法律目的を達成したときに効力を失うといったふうなことになっております。
  9. 宮崎茂一

    宮崎委員 十年ですから、またその時点でどういうふうにするのかということを考えられるわけですね。いかがですか。
  10. 山野正登

    山野政府委員 十年間たちました後の扱いにつきましては、できるだけこの十年間に所期目的を達成いたしまして、その時点で得られました技術的成果あるいは人材といったふうなものは、引き続きこれを離散させないで活用する必要があるわけでございますので、その時点で改めてどういう体制で引き続き研究等を進めるのがいいかといったふうなことは検討してまいりたいと考えております。
  11. 宮崎茂一

    宮崎委員 先ほど政務次官答弁の中に、政府は今回のこの事業団法改正につきましていろいろな委員会を設けて検討した、こういうお話がございます。簡単でよろしゅうございますから、大体どういった検討を行ったのか。  それからいま一つは、今回のこの法律改正は、期限だけを延長する、こういうことになっておるのですが、いろいろ検討してみて、期限だけではなくて、そのほかに改正する点はなかったのかどうか。検討結果から見て、それは改正しなくてもいいのかどうか。ただ期限だけ延長しさえすればいいのかどうか。この点についてはどうですか。
  12. 山野正登

    山野政府委員 一昨年の秋に放射線漏れを起こしました後、その原因を調査いたしますために、総理府におきまして、「むつ放射線漏れ問題調査委員会、いわゆる大山委員会というものを開催いたしまして、前後十三回にわたってこの放射線漏れ原因究明等を行っていただいたわけでございます。この技術的な原因究明のみならず、今後の事業団開発体制あり方等を含めて御検討願ったわけでございます。  この委員会の報告におきましては、まず事業団開発体制につきましては、技術的に責任を持つ一貫した開発体制をとる必要があるということ。第二点は経験に裏づけられた高い技術能力を有する組織にするということ。第三点は、技術的な知識が集積、累積されまして、自主技術による開発ができる機能を整備するということ等の必要が指摘されますとともに、行政府におきます指導監督につきましても指摘がございまして、私ども現在この事業団法改正をするに当たりまして、これらを十分に検討しながら進めておるところでございます。  さらに、この事業団あり方とか、あるいは今後「むつ」をいかに扱っていくかというふうな問題につきましては、原子力委員会の中に原子力船懇談会というものを設けまして、いろいろ御検討をお願いしたわけでございまして、この大山委員会並びに原子力船懇談会等提言をベースにいたしまして、私どもといたしましては、事業団組織体制、あるいは私ども行政府体制、また指導あり方といったふうなものに、この提言に沿う改善を加えたつもりでおります。  それから第二点の、事業団法は今回は期限延長だけの改正について御提案申し上げておるわけでございますが、これだけで、ほかの条項についての改正の必要はないのかという点につきましては、現在の日本原子力船開発事業団法は、この目的並びに事業団業務範囲につきましては、かなり広範なものが含まれ得るような表現になっておりますので、現在私どもは、先ほど申し上げました大山委員会なりあるいは原子力船懇談会結論を踏まえて進めてまいりますにつきまして、そういった目的なり業務範囲なりといったほかの条項改正する必要はなかろうと考えております。
  13. 宮崎茂一

    宮崎委員 何か部内の通達とかそういったもので十分できる、改正しなくとも、技術的な問題だろうと思いますが、そういうことについては、この法律はいまのままでもできる、こういうことですね。もう一遍お伺いしたいのですが……。
  14. 山野正登

    山野政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  15. 宮崎茂一

    宮崎委員 きのうもいろいろ参考人の御意見の開陳がございましたが、いままで「むつ」は七十数億という相当な国費を投じた船でございまして、この十年間、いろいろ必要な修理を行って、そして活用したいんだ、十年の間に原子力船として世界にもそう劣らない船に事業団としてはやりたい、こういうふうなお考えのようですが、昨日も、それに対するいろいろな不信と申しますか、最初から出直したらいいじゃないかとか、いろいろなことが出ましたのですが、本当に活用できるのかどうか。私も素人でございますのでよく存じませんけれども、必要な修理をして十年原子力船として十分活用できるのかどうか確かめたいと思いますが、この点はいかがでございますか。
  16. 山野正登

    山野政府委員 「むつ」に必要な修理を行えば今後引き続き活用できるかどうかという点につきましても、先ほど申し上げました放射線漏れ問題調査委員会あるいは原子力船懇談会におきまして、鋭意検討をお願いした次第でございますが、この委員会懇談会結論によりましても、適当な改善を行うことによって十分所期目的を達成し得るというふうに結論されておりますので、私どもといたしましても、この両委員会提言に基づきまして、今後十分に活用して開発を進めてまいりたいと考えております。
  17. 宮崎茂一

    宮崎委員 少し気がかりになるわけですが、昨日は八名の参考人に御意見を聞きまして、その中に、非常に不安だと安全性についていろいろ問題が提起されました。五人の方からは反対の意見も出たわけでございますが、私ども技術的な素人といたしまして、本当に安全なのかどうか。私自身は、これは原爆とは違う、いままで死者も出ないことだし、原子力平和利用原爆とは違うと思いますが、お聞きのように、昨日は原爆に相通ずるものだといったような極端な考え方も、狂信的にというと怒られるかもしれませんが、非常に熱心に言われている。原爆との絡み合いというのですか、そういうようなことが言われているのですが、きのうのお話からいたしましても、本当に安全かどうかという安全性の問題が一番大きな問題だと思うのですね。そしてまた、やはりそういうことを政府としては心がけなければならないのじゃないかと思うのです。非常にくどいようですけれども、本当に安全かどうかということについて御意見をお聞かせいただきたいと思うわけでございます。
  18. 山野正登

    山野政府委員 御指摘のように、一昨年秋の放射線漏れ安全性についての危惧感をなかなか根強いものにしておるということは否み得ないと思いますけれども、今後この開発を進めていくに当たりましては、まず、さきの放射線漏れを貴重な教訓といたしまして、いま御指摘安全性確保ということを最優先にして進めていきたいと考えております。  このために、まず放射線漏れ原因となりました遮蔽改修を行うわけでございますが、当時遮蔽技術につきまして、まだ非常に早々の時期でございましたので、必ずしも十分な知識がなかったわけでございますが、今回におきましては、最新の知見を活用いたしまして所要の実験等も行い、遮蔽の効果を確認しながらこの遮蔽改修を進めてまいりたいと考えております。  それから、さらに、この放射線漏れを起こしましたことに対する遮蔽改修という対応のみならず、大山委員会にも提言されておりますように、この際、原子炉部分中心にした安全性をもう一度確認してみようということで、技術的に全般的な再検討、総点検を行うことにいたしておるわけでございまして、このような遮蔽改修並びに総点検をすることによりまして、安全性は十分確保され得るものと思っております。  なお、私どもといたしましては、指導監督する立場から、科学技術庁運輸省とが相協力して指導監督の実を上げ得ますように、「むつ」の総点検遮蔽改修技術検討委員会というふうな組織を設けまして、その組織の力をもかりながら十分なチェックをしてまいりたいと考えております。
  19. 宮崎茂一

    宮崎委員 「むつ」を佐世保に持っていって、政府改修して検査、点検ですか、そういうことを行うように長崎県と佐世保市に要請をされたわけでございますが、昨日の参考人意見にもございますように、被爆県という関係から、本当は長崎佐世保とは大分違うのですけれども、非常な拒否反応があるわけですね。そしてまた、きのうの漁連会長さんですかのお話によりますと、漁獲高にあるいは魚価に相当な影響があるというようなことで、原子力船安全性に対する不安があるわけですね。この点をもっともっと話し合いというのでしょうか、周知徹底していただいて、これは何もイデオロギーの問題じゃなくて、魚が安全かどうか、そういった科学技術の問題だと思うのですが、そういう点につきまして、きのう参考人意見を聞いた私の感想でございますけれども、もう少し原爆との関連で、あるいは佐世保の住民の方々、特に漁連会長さんもそうですか、PRというとおかしいのですが、政府当局とされましても、一段と力を入れて話し合いということになりましょうか、安全性についてそういう努力をされる必要があるのじゃないかと私は思ったのです。率直にそういうふうに考えたわけですが、この点ひとつ今後どういうふうなことをされるのか、お伺いをいたしたいと思うわけでございます。
  20. 山野正登

    山野政府委員 長崎県が被爆県であり、かつまた水産県であるということ、私どもも重々認識いたしておりまして、そういうことを踏まえながら、安全性の確認というふうなことにつきまして、地元の方々にもわかるようなできるだけ平易な方法でもって、十分に御認識いただくように努力を続けていきたいということはたびたび申し上げておるとおりでございますが、まず第一点の被爆県であるということにつきましては、私ども原子力開発利用を進めるに当たりましては、平和目的に限っておるということは再三申し上げておることでございますので、こういう原子力開発利用を進めるに当たりましての基本的姿勢といったようなものにつきましても、十分御認識をいただきますとともに、具体的な今後の修理作業等に伴う安全性につきましては、直接その衝に当たる事業団に任せることなく、私ども政府立場といたしましても、できるだけ現地に赴きまして、あらゆる機会を通じてお説のような説明を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
  21. 宮崎茂一

    宮崎委員 この原子力の問題につきましては、非常に事柄が素人わかりのしないことでございますから、あらゆる点で政府指導といっていいかどうかわかりませんが、PRといったものが必要じゃないかと思うのです。  私は、原子力船のこととちょっと離れて、同じような原子力の問題で、やはりもっともっと政府PRしなければいかぬのじゃないかということを身近に感じていることが一つございますので、お伺いいたしたいと思うのです。  後で社会党の村山先生が細部にわたってお話しになるということでございますので、私はごく簡単に触れたいと思いますが、鹿児島県に川内というところがございまして、これに九州電力川内原発を設置するということで、この四月に設置許可申請科学技術庁に提出されておると聞いておりますが、これは一体手続として、また今後の過程がどうなるのか。お見通しとしては、許可になるのか、あるいはまた許可になって工事がいつごろから始まるのか、どういうふうなことなのか、安全性について大体どういうふうな審査をおやりになるのか、教えていただきたいと思うのでございます。
  22. 伊原義徳

    伊原政府委員 ただいま先生指摘川内原子力発電所につきましては、九州電力より本年四月十五日付をもちまして、原子炉等規制法に基づきます設置許可申請書が出てまいったわけでございます。これを受けまして、内閣総理大臣といたしましては、その安全性について、原子力委員会への諮問、さらには原子力委員会からその下部機構でございます原子炉安全専門審査会への審査の指示、そういったものをすでに行ったわけでございますが、この九州電力申請書によりますと、工事を開始する予定といたしましては、五十三年の五月ということを考えておるようでございます。それで、この工事を終了いたしまして、いろいろ検査等必要な手順を踏みました後の運転開始が五十八年三月、こういうふうに予定されているようでございます。  私どもといたしましては、この設置許可を受けまして、この許可基準に適合するかどうかということについて、原子力委員会の御意見も尊重いたしまして厳正な審査をする、こういう考えでございます。
  23. 宮崎茂一

    宮崎委員 私の聞いている範囲でございますが、この前どこかの地質学先生がお見えになりまして、岩盤に亀裂があるんだというような話でございます。私もやはり、基礎工事というものは地質の状態と地震というものが一番大きな問題になるんじゃないかと思うわけでございますが、そういったことに対して、地盤審査も慎重にしなければならぬでしょうし、地震がどのくらいの加速度のときまで——絶対にこれは壊れちゃいかぬわけですから、そういうことに対する審査が十分になされるのかどうか、その辺をお伺いいたします。
  24. 伊原義徳

    伊原政府委員 一般論といたしまして、原子炉施設安全審査をいたしますときに、この原子炉施設そのものは非常に重量の重い構築物でございますので、その支持の問題が非常に安全性と関連して重要でございます。そういうことでございますので、先ほど申し上げました安全専門審査会におきましても、地盤関係審査というものは重点項目一つとなっております。  具体的にどういう点を検討するかと申しますと、簡単に申し上げますと、この原子炉施設、特に原子炉を収納しております原子炉建屋、この辺を中心といたしまして、この非常に重量構築物を支持する基礎岩盤が十分な安全性及び地耐力を有しているか否か、これを明確にするということがあるわけでございます。そのためには、安全専門審査会におきまして、地質学耐震工学土木工学など地盤関係に関連いたします各分野の学識経験者専門家十数名の方にこの審査をお願いするか、その結果を総合判断をして安全であるかないかということを確認するということになっておるわけでございます。  具体的に申しまして、川内原子力発電所につきまして、先ほど申し上げましたように、基盤地耐力あるいは基盤安定性ということにつきまして、これは発電所立地条件がそれぞれ異なるわけでございますから、それぞれの立地条件に合わせまして、川内なら川内立地条件に十分合わせまして審査を行うわけでございます。その場合に、特に川内におきましては、地盤についていろいろ問題があるというような御意見もございますので、私どもとしては、これは十分慎重に扱いたいと思っております。  特に、先生指摘耐震設計の問題でございますが、地震原子炉重大事故の引き金とならないように、そういうのが設計基本でございまして、そのために、原子炉施設を安全上の重要度に応じて分類をいたします。おおむね三つに分類をいたしまして、その各々について適切な設計をいたすわけでございますが、特に重大な事故を引き起こす可能性のある施設、たとえば原子炉そのものでございますとか、あるいは周辺公衆への放射線障害を防止する上で必要な施設、こういったものにつきましては、建築基準法に基づく水平震度を三倍いたしまして、さらに鉛直震度も同時に考慮しまして解析を行うということをまずいたしております。さらに、その具体的な立地場所におきます過去の地震データなどから判断いたしまして、将来その敷地周辺に発生すると考えられます地震検討いたしまして、その敷地に最大の影響を及ぼすと考えられます地震度を想定いたしまして、これにさらに余裕を持たせた設計地震度を想定いたしまして、その観点から構築物固有震度特性などを考慮した耐震解析もまたあわせて行う、こういうことで地盤の問題なり耐震設計なりの問題については万遺漏なきを期す、こういう考えで実施いたしております。
  25. 宮崎茂一

    宮崎委員 抽象的な話はそれでいいんでしょうが、この設計というのはどうですか、具体的にもう出てきているのですか。それとも、まだそこまでは具体的な設計は出てきていないのですか。どうなんですか。
  26. 伊原義徳

    伊原政府委員 一般論でございますが、原子炉施設安全審査並びにその後の法律上のいろいろな手続の関係で御説明申し上げますと、最初の設置許可の段階では、耐震設計につきましての基本的な考え方についてのいろいろ資料なり解析結果が出てまいるわけでございますが、具体的な施設の詳細な設計、これにつきましては、設計及び工事方法の認可という次の段階がございまして、その段階でより詳細な審査が行われるわけでございます。  なお、地盤関係の資料につきましては、その最初の設置許可の段階で十分な資料が出てくることになっております。
  27. 宮崎茂一

    宮崎委員 そうすると、地盤関係はもうその詳細な資料が出てきているわけでございますか。
  28. 伊原義徳

    伊原政府委員 かなり詳細な資料をいただいております。
  29. 宮崎茂一

    宮崎委員 私、実は川内川の河口に港をつくろうということで、ずっと前にやったことがあるのです。ところが、あすこは岩がありまして、かたくて掘れないのです。それで私は岩と砂じゃないかと思っていますが、現実にそんなものですか。どうですか。
  30. 伊原義徳

    伊原政府委員 私、先生ほどそちらの関係は専門でございませんので、果たして的確なお答えになるかどうかでございますが、まず、設置者が設置許可申請をいたします前に、相当時間的な余裕をとりまして、現地におきますボーリングなどは十分行い、さらに川内の場合は、たしかその横穴と申しますか、そういうふうな坑道も掘りまして、中からも具体的な地盤の様子を観察できるようにして、その関係の資料も十分整えて申請書が出されておると理解いたしております。
  31. 宮崎茂一

    宮崎委員 まあ私が申し上げたいのは、ひとつ十分に安全審査をしていただきたいということでございます。土木の基礎工学というのは、いまの技術をしてみますと、岩盤に穴があるというならセメント注入もやれますし、あるいはヘドロであればみんなヘドロを取ってしまうとか、あるいはくいを打つとか、工法は幾らでもあるわけですから、極端に言えば、金さえかければどういう基盤でもでき上がるわけです。ですから、その点ひとつ、どうせ九電は企業でございますから、安全性をとかく——そういうことはないと思いますけれども、ひとつ十分に安全になるように御審査をお願いいたしたいということでございます。  その点はそれで結構ですが、それからいま一つは、いま私は、九電の設置許可の概要というのを持って、図面を見ているわけですけれども、相当港もつくることになっております。公有水面埋立法というのは、御存じのように最近では非常にやかましくなりまして、もちろん重要港湾でございますから、地方庁の権限でございますけれども、運輸大臣まで上がってきます。しかし知事が認可することになっておりますが、それにいたしましても、地元市町村長、あるいは最近は隣接の市町村の許可が要ることになっておりますから、非常に公有水面埋立法がきつくなっておるわけでございます。ですから、五十三年の五月着工ということになりますと、もういまからどんどんPRしてお始めにならぬといかぬのではないかと思いますが、これはあるいはあなた方に言うことではないかとも思います。  それから老婆心ながら申し上げますけれども、この地点は東シナ海に直面をいたしました波の非常に強いところでございますから、防波堤の設計その他専門家意見をひとつ十分聞いて、ほかの港よりも安全な港にするように私からもお願いを申し上げたいと思うのであります。何かございましたらお答え願いたいと思います。
  32. 伊原義徳

    伊原政府委員 ただいま先生指摘の点につきまして、私どもも特にこのサイトの特殊性を十分考慮いたしまして、万遺漏ないように審査を進めてまいりたいと思っております。よろしく御指導のほどをお願い申し上げます。
  33. 宮崎茂一

    宮崎委員 私の質問をこれで終わります。
  34. 中村重光

    中村委員長 次は小宮武喜君。
  35. 小宮武喜

    ○小宮委員 昨日、長崎から八名の参考人を呼んでいろいろ意見の供述をやってもらったわけですが、意見を聞きまして科学技術庁としてどのような考えを持たれたのか、まず所見をお聞きしたいと思います。
  36. 小沢一郎

    小沢(一)政府委員 昨日、長崎県の各界各層を代表する皆さんから貴重な御意見をいただいたわけでございます。その中で、私どものこの問題に対する取り組み方、あるいは体制、姿勢の問題についても御指摘がありました。そういう点につきましては、十分われわれも率直に反省し、今後、安全性の問題についても県民の皆さんの十分な御理解を得ることができるように、われわれも最善の努力をしていかなければならない、かように考えております。  ただ、何と言いますか、わが国の今後の将来を考えた場合の原子力の研究開発を推進しなければならないという問題と、先ほど宮崎先生お話にもありましたが、いわゆる兵器としての核の問題と若干混同されて理解されておるような点もあるかと思いますが、そういう点につきましても、私どもとして努力の足りなかった点も多分にあると思います。そういうことを含めまして、昨日の参考人の皆さんの御意見を十分参考にして今後努力してまいりたいと思います。
  37. 小宮武喜

    ○小宮委員 きのうの参考意見の中で、いわゆる修理港として佐世保に要請をしたわけだけれども、それが結局、母港につながってくるのではないかというような意見、あるいは母港を決めて修理港というならまた話はわかるという意見もありましたけれども、あの参考人意見の中で、母港の問題について七カ所ぐらい候補地が挙がっておるやに出ておりましたけれども、それは、場所はどこどこということではなくて、やはり何かそういうふうな候補地として七カ所、科学技術庁あるいは政府として考えられておるということは事実なんですか。
  38. 山野正登

    山野政府委員 新しい定係港につきましては、私どもなりに内部で推進本部といった組織をつくりまして、各種の技術基準を設けていろいろ検討を続けております。  それからまた、一部の地域から誘致の御陳情があったということも、これまた事実でございますが、私どもとしましては、やはりまず修理港を選定して修理をした上で正式にお願いするというふうな段取りを考えておりますので、まだまだしさいに詰めて結論を出すというふうな時点には立ち至っておりません。
  39. 小宮武喜

    ○小宮委員 ここでその名前を挙げろと言っても、非常にデリケートな問題があるからなかなか挙げられないと思いますけれども、しかし、こういった問題、それはこの人たちにやはり納得してもらうためにある程度は考えてやらなければ、たとえば、佐世保修理なら修理だけだ、それで母港はほかにしますならしますというような、はっきりした考え方でも出さない限り、いまの問題はやはり、そういうような候補地として挙がっておるけれども、しかしながら、今後事業団法を存続して、そうして佐世保で十年間も居座るということになれば、それが母港化につながるのじゃないかというような懸念を持っておることも事実です。しかし、その七つの母港化の中に佐世保港が入っておるのかどうか、その点いかがです。これだけは言えるでしょう。
  40. 山野正登

    山野政府委員 この七つと申しますのも、選定基準いかんによっていろいろ変わる数字でございまして、その中に特定の港が入っているか入っていないかというふうなことも遠慮申し上げたいと思いますので、御了承願いたいと思います。
  41. 小宮武喜

    ○小宮委員 それでは、佐世保も母港の候補地の一つの中に入っておるというように理解したいと思いますが、どうですか。
  42. 山野正登

    山野政府委員 現在、正式に新定係港の候補地というものを決めておりませんので、いかなる特定の港も候補地の中に含まれておるというふうなことは言い切れないと思います。したがって、いまはまず修理をいたしまして、それから選定をするということでございますから、新定係港について個々の港いかんということについては、全く白紙であるというふうにお考えいただく方がよろしいかと存じます。
  43. 小宮武喜

    ○小宮委員 いわゆるドックがあってクレーンがあって修理に要する施設があるからということで、修理港として佐世保に要請した。その中には、佐世保市長からこういうふうに安全であれば受け入れてもよろしいという意思表明もあったということが、佐世保修理港として要請をした大きな要因だと思うのです。そうすれば、造船施設がない、いわゆるクレーン設備がない、そういうふうなところも候補地の対象になるというふうに理解していいですか。
  44. 山野正登

    山野政府委員 母港につきましては、現在の青森県むつ市を御想像願えればよろしいかと思いますが、必要な施設といたしましては、岸壁でございますとか、あるいは燃料の貯蔵施設でございますとか、あるいは使用済み燃料の貯蔵施設といったふうなもの、あるいは廃棄物につきましての処理施設といったふうなものが要るわけでございますが、そういう意味で、定係港の方は修理港と違いまして、その場所でドック等を利用した修理を行うといったふうなことを必須条件とは考えていませんので、必ずしも造船所等のある大きな港という必要はないかと思います。
  45. 小宮武喜

    ○小宮委員 きのう漁業関係者の参考人から、過去にも、原潜が入港した、あるいは原子力空母が入港した場合に、非常に魚が売れなくなった、あるいは魚の価格が暴落したというような意見も出ておりましたが、そういう場合は、政府としてはやはり漁業補償に対する考え方はあるわけですか。
  46. 小沢一郎

    小沢(一)政府委員 特に水産県である長崎でその面について御心配なさることはもっともだと思いますが、この原子力船むつ」の点検改修によりましてそういう事態が仮に生じたということになった場合におきましては、どういう形になるかは別といたしまして、私どもとしても当然考えていかなければならないと思います。
  47. 小宮武喜

    ○小宮委員 昨日、山川参考人から、修理に当たって原子炉の上ぶたを開放するということは非常に危険だ、すべきではないというような参考意見が述べられておりましたけれども、皆さん方はいままで、修理に当たっては原子炉は凍結する。制御棒は動かすかもしれませんが、燃料棒は引き出さないということを言っているわけですが、修理に当たって、原子炉の上ぶたを開放して、ほかのかわりのふたを持ってきてかぶせるというようなことは、改修の過程では起きるわけですか。
  48. 山野正登

    山野政府委員 遮蔽工事を行いますにつきまして、何分にも非常にスペースの狭いところで作業をいたすわけでございますので、この作業を効率よく進めますために、上ぶたを一時取り外すといったようなことはございます。その際にも、もちろん上ぶたを取り外したことによりまして環境に影響はないと私ども考えておりますが、この際は仮ぶたをいたしまして、念には念を入れるというふうな方法で行いたいと思っております。
  49. 小宮武喜

    ○小宮委員 もう時間がなくなりますので、先に進めます。  いま申し上げましたように、佐世保修理をする場合、十年間この修理に要する期間が計画されておるわけですが、十年間という期間がどうして必要なのか、その点についてはいかがですか。十年間がどうしても要るのか、その点はいかがですか。
  50. 山野正登

    山野政府委員 いま十年間とおっしゃいましたのは、恐らく今後原子力船むつ」を使って開発を進めていく期間というものをおっしゃったものだと考えますが、修理港におきましては、大体三年間を私ども予定いたしております。  それで、佐世保になるかどうかは別といたしまして、修理港における三年間を含めまして、今後十年間どういうふうな作業をしていくかということでございますが、まず「むつ」の安全性の総点検遮蔽改修のために三年間、それからこれに引き続きます出力上昇試験等に一年間、さらにその後に引き続きます実験航海は、第一次の実験航海といたしまして三年間、それから第二次の実験航海として二年間、最後にこれら成果の取りまとめ、並びにその後における原子力船むつ」の活用方法の検討といったようなことのために一年間、合計十年間を予定いたしておるわけでございます。
  51. 小宮武喜

    ○小宮委員 十年間で具体的にいま言われたような問題があるわけですけれども安全性の総点検改修だけは三年間ですね。あと、出力上昇試験だとか、実験航海だとか、「むつ」の処分だとか、こういうふうになっておるわけですが、この最後の「むつ」の処分等に一年間を要するとなっていますね。この一年間「むつ」の処分というのはどういうふうなことをやるのですか。
  52. 山野正登

    山野政府委員 「むつ」の処分という表現が必ずしも適切でなかったかと思いますが、先ほど申し上げましたように、過去九年間の技術的成果の取りまとめをするということが一つ。それからその後におきます原子力船開発並びに関連する基礎研究の進め方等をどうするかという問題とも絡むわけでございますが、事業団を含めた体制あり方。それからまた、さらに第三点としましては、原子力船むつ」のこの十年間の開発を終了した後における活用の仕方といったふうなものを、この一年間で検討してまいろうということでございます。
  53. 小宮武喜

    ○小宮委員 何も「むつ」を仮に佐世保に置かなくても、そういうふうな検討だったら、事業団でも検討できるわけでしょう。その点がどうもよくわからぬのですよ。しかし、それはそれとして、実験航海のその一、その二というのは、大体どういう実験をその一、その二に分けてやるのですか。これはどういうふうなことですか。
  54. 山野正登

    山野政府委員 先ほど私の御答弁、言葉が足りなかったようでございますが、修理港に今後十年間原子力船むつ」をくぎづけにしたままで、いま申し上げたようなことをすべて進めるという意味では決してございませんで、修理港におきます作業と申しますのは三年間で終了いたしまして、それ以降は、定係港を基地といたしまして行う各種作業でございます。まとめの一年間と申しますのは、お説のとおり、船がどこにあっても別に差し支えないわけでございまして、事業団法をとりあえず十年間延長をお願いしたいと申し上げておるわけでございますが、その十年間の最後でそういうふうな作業をいたしますということでございます。  それから、いま御質問の実験航海の第一次のものは何をするかということでございますが、これはまず低出力上昇試験を岸壁で行いました後、洋上におきまして高出力上昇試験を行うわけでございますが、その後におきまして実験航海その一というのを行うわけでございます。これは操船とか原子炉の運転等についての慣熟、それからいわゆる所期性能の確認、安全性の確認、それから港に出入りいたします出入港の経験を得るための航海を行うといったふうなことを考えております。  それから、実験航海のその二につきましては、いま申し上げましたものに加えまして、さらに原子炉を含めまして、原子力船の信頼性の確認、あるいは将来に備えまして原子力船の安全基準を策定いたしますためのデータを蓄積するための各種の試験といったふうなものを、実験航海の第二次で行いたいというふうに考えております。
  55. 小宮武喜

    ○小宮委員 それでは、確認しますけれども、たとえば修理港で修理する期間は三年だ、三年以降は、定係港、いわゆる母港をそれまでにはっきり見つけて、「むつ」はそこを根拠にして、いわゆる出力上昇試験だとか、あるいは実験航海をやるというふうに確認していいですね。
  56. 山野正登

    山野政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  57. 小宮武喜

    ○小宮委員 私、一番心配になるのは、いわゆる原子力船というのは科学の粋を集めておるわけですから、それは、この前も申し上げましたように、機械設備、いわゆる設備が精巧になればなるほど、これはやはりそれを操作するその人はちょっとしたミスも許されないわけですよ。そうしますと、非常に科学が発達すればするほど、操作する人のミスというのは許されぬわけですから、その意味では、そういうような乗組員に対するいわゆる教育訓練は、どのようにやられるのでしょう。
  58. 山野正登

    山野政府委員 御指摘のとおり、乗員の教育訓練というのは非常に大事な問題でございますので、私どもも、原子力船建造開始当時から要員の教育訓練というものには意を注いでおるつもりでございますが、まず、原子炉プラントを運転いたします機関部の職員の養成訓練につきましては、一つは原研におきます原子炉の研修、それからまた、同じく原研におきますJPDRという原子炉がございますが、これを使用しましての第一種外来研究員としての研修、同じくJPDRを使いました運転訓練課程、さらに同じく原研のPI研修高級課程、あるいは放医研におきます放射線防護の短期課程、そういった各種の教育課程等を、これは全部一人の人間に網羅的にするわけではございませんが、必要に応じましてこれらのうち適当なものを研修させた上で、さらに事業団が「むつ」の事業所に持っております運転訓練のためのシミュレーターを使って所要の訓練を行うといったふうなことをいたしております。  それから一方、操船を担当いたします甲板部を担当する職員につきましては、放医研の放射線防護短期課程、原研のRI研修基礎課程、それから東京原子力産業研究所におきます研修といったふうなものを、これも必要に応じて研修させまして、放射線防護あるいはプラント維持等に必要な訓練というものを行っております。  今後ともこれは非常に大事な問題でございますので、こういう要員の養成訓練ということは積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。
  59. 小宮武喜

    ○小宮委員 それでは、原子力船むつ」に乗り組んでおる人たちは、いまのような教育を施したといっても、大体どれくらいの期間教育しておるのですか。
  60. 山野正登

    山野政府委員 いま申し上げました研修おのおのにつきましてちょっと申し上げますと、原研におきます原子炉研修というのが六ヵ月でございます。それから原研におきますJPDRの第一種外来研修員、これが六ヵ月ないし一年。原研におきますJPDR運転訓練課程、これが六カ月。それから原研におきますRI研修高級課程、これが二カ月。放医研におきます放射線防護短期課程、これが一・五カ月ということでございますので、これらすべてを網羅的に受けるわけではございませんが、大体こういうふうな訓練を受ける期間というのは、平均しまして一年ないし二年くらいというふうに考えております。
  61. 小宮武喜

    ○小宮委員 乗組員の教育ということも非常に重要な問題ですから、それについては、そのくらいの期間で大丈夫かというような気もするわけです。一年半なり二年なり同じものを習熟するのはいいけれども、あるものは一カ月半だとか、あるいはあるものは半年だというようなことによれば、その人たちはそれぞれの専門の教育を受けるわけですが、しかし、そういうような人たちが果たしてそれで大丈夫なのかということになると、これは言うてみれば、五年やっても三年やっても大丈夫かどうかということになればいろいろあるとしても、話によれば、そういうような「むつ」に乗り組む人たちは、何か二年交代だということを私聞いておるわけですが、それは事実ですか。
  62. 山野正登

    山野政府委員 この原子力船開発は、御承知のとおり官民共同でもって進めておりまして、現在、事業団の内部にはかなりの海運会社、造船会社等からの出向職員もいるわけでございますが、そういう出向職員の関係もございまして、平均いたしまして二年程度でこういった者は交代しておるという実情でございます。
  63. 小宮武喜

    ○小宮委員 その二年間でまた新しい人がかわる。したがってその新しい人は、いま言われたような教育課程がまた行われるでしょうけれども、しかし私は、いままでの原子力船にしても原子力発電所にしても、十分なるそういうような技術を習得した人たちが温存されるということになるかもしれませんが、幅が広くはなりますけれども、やはり深く突っ込んでいくために、二年間ぐらいで交代する、また新しい人が教育を受けて二年来る、またかわるというようなことで本当に大丈夫だろうか。これは先ほど申し上げますように、もし操作ミス、ちょっとした人為的なミスによっても大きな事故が発生する。発生したら、それは最近の情勢ではすぐ、原子力船の問題だとか、あるいは原子力発電所の問題に結びつくという非常に大きな問題がありますから、果たして二年ぐらいで交代交代でやるのがいいのかどうか。やるとすればもうちょっと長い期間やる。たとえば五年なら五年にする。それで、その五年間のうちで今度は新しい人を養成するならば、さらに長期間かけて教育をするとか、そういうふうなことを考えなければ、われわれは先ほどから申し上げておりますように、事業団法が十年間になっても、これはあくまでも実験船としての研究成果を踏まえて、そうした人材も温存しておかなければいかぬということを言っておるわけですから、そうした場合に、そういうふうな二年間教育を受けて習熟した人がまた散ってしまう、また新たな人が来るということでは、そういったミスが発生するようなことがありはしないかということを非常に私心配するわけですけれども、二年間ぐらいでかわって大丈夫ですか。
  64. 山野正登

    山野政府委員 先ほど二年間と申し上げましたのは、一応出向職員の契約が通常二年ということでございますが、幹部職員等につきましては、さらに更新をいたしまして四年間あるいは五年間、それからさらに非常に長い例では七、八年間おられる方もおられまして、おっしゃいますように、すべての職員が一度に交代されて新しい者がまた入ってくるといったふうな実情にはしていないつもりでございます。  この原子力船開発の成果というものをできるだけ広く活用していただくというためには、関係の海運会社等の職員にもできるだけ広くそういう教育訓練の場を提供するということも必要であると考えておりますが、一方先生指摘のように、原子力船開発事業団にできるだけ技術を蓄積していくという点につきましても、これまた必要なことでございますので、たとえば本部機構の技術の職員といったふうな者につきましては、これは短期の交代というのは適当でございませんので、できるだけ長期にわたって原子力船開発に従事していただくというふうな方向で考えたいと思っております。先ほど申し上げましたのは、甲板において仕事をする甲板員の方々、あるいは原子炉プラントを運転する運転員の方々などを対象にして御説明しているわけでございます。
  65. 小宮武喜

    ○小宮委員 そういうような特定の管理的な責任者みたいな人は動かぬにしても、実際にこの機械を操作する人が変わるということは、やはり余り好ましいことじゃない。特にそういうような人たちが、各造船会社とか原研なり、いろいろな出向社員みたいな人が集まって寄り合い世帯でやるというのも、あと二年したらぼくは帰るんだとかいうような気持ちになったら、本当にそこまで精魂打ち込んで技術をマスターしようという気持ちになるのかどうか。ややもすれば寄り合い世帯という、あるいは二年という一つ期間によって、本当に打ち込んでやれるかどうかというような問題が、やはり私は一番大きな問題だと思うのですよ。「むつ」問題は、結局、将来の原子力船の実用化時代に備えて、「むつ」を活用して、いわゆる成果の蓄積、人材の養成を図る期間だとわれわれは思っておるわけです、この十年間というものは。したがって、この十年間かけて積み上げた技術的な成果、あるいは人材を離散させないようにわれわれは考えなければ、この前も指摘をしておるように、ちょっとした人格的なミスによって大事故が発生するということも考えられるわけですが、その点についてどのような措置を考えておるのか。私はいま言われたようなことで事足りるというふうには考えておりません。この問題については再検討してもらいたい、こういうふうに考えますが、いかがですか。
  66. 山野正登

    山野政府委員 お説のとおり、官民共同で事を進めるに当たりまして、できるだけあらゆる階層の知見を結集するというメリットの反面、寄り合い世帯的な意味での欠陥というものが出がちになるということは御指摘のとおりだと思いますので、いま御指摘の点も十分私ども頭に置きながら、遺漏のないように進めてまいる努力をしたいと考えております。
  67. 小宮武喜

    ○小宮委員 この放射線漏れが起きるというのは、遮蔽技術の未熟さから来ておるのではないか、こういうふうにも考えられるわけですが、今回の「むつ」の遮蔽改修を行うに当たって、遮蔽技術はどの程度進歩しておるのか、その点ひとつお聞きしたいと思います。
  68. 山野正登

    山野政府委員 御指摘のとおり、「むつ」の開発当初におきましては、遮蔽改修技術について、きわめて重要な問題であるにもかかわらず、当時十分な知見がなかったということは事実でございますが、この点につきましては、今回の遮蔽改修に当たりましては、新しい計算コード、これは二次元輸送計算コードといったふうなものでございますが、こういった新しい技術あるいは最新の核データといったふうなものを使って進めてまいりたいと思っております。  それから、前回は実験も不十分であったというふうなことが大山委員会でも指摘されておりまして、この点、私どもも改めて認識いたしておるところでございますが、この実験につきましては、原研のJRR4を用いた実物大の模擬遮蔽体による遮蔽効果確認実験というものを実施する方向で考えております。  それからまた、そのほか遮蔽材料試験といったふうな関連実験研究を進めるつもりでおりまして、現在までの新しい進んだ技術を取り入れて実験で確認しながら今後の遮蔽改修を進めてまいりたいというふうに考えております。
  69. 小宮武喜

    ○小宮委員 きのうも参考人から指摘されておりましたように、今回の場合は遮蔽改修計画が出ておりますけれども、それは陸上において遮蔽実験をやりますね。これは大山委員会指摘にもあるわけですから。
  70. 山野正登

    山野政府委員 陸上におきまして、先ほど申し上げましたように、JRR4という実験炉を使いまして実験を行います。
  71. 小宮武喜

    ○小宮委員 原子力船開発において、諸外国で放射線漏れを起こした例がどれぐらいありますか。
  72. 山野正登

    山野政府委員 私の承知しておりますところでは、ソ連のレーニン号が出力上昇試験中に放射線漏れを起こした例があると記憶しております。
  73. 小宮武喜

    ○小宮委員 それ一件ですか。
  74. 山野正登

    山野政府委員 原子力船開発します過程におきましての各種の故障というのは、レーニン号のみならず、アメリカのサバンナ号、あるいは西ドイツのオットー・ハーンというふうなものについてもございますが、この「むつ」と非常に似た形の故障というのはレーニン号かと思います。西ドイツのオットー・ハーンにつきましては、実験航海中に蒸気発生器から漏洩いたしました一次冷却水によりまして、二次系の水が汚染されまして、二次系及び補助ボイラーの除染が実施されたというふうな実例もございます。
  75. 小宮武喜

    ○小宮委員 最後に、大気中に自然放射能がどれだけあるのか、それから海中に自然放射能がどれぐらいあるのか、その点ひとつ参考のためにお聞きしておきます。
  76. 伊原義徳

    伊原政府委員 先生の御質問、これはただいまちょっと詳細な数字を持ち合わせておりませんが、一般論といたしまして、自然放射能といたしましては、宇宙線等から来るものと、人体の体内に食物摂取で取り入れられておるものと、それから大地から出てくるもの、こういうものがございまして、それぞれ年間の量にいたしまして約三十ミリレム、二十ミリレム、五十ミリレム程度というのが世界の平均だと承知しております。海水中にも相当量カリウムその他放射性物質が溶け込んでおりまして、その量は、海水の量は莫大でございますので、そういう意味から非常に多量にございます。  なお、そのほかに、大気中の核爆発実験がかつて相当長い間行われたわけでございますが、その結果の放射性降下物が相当量ございまして、まだ大気中に残っておる分もございますし、毎年毎年落ちてきて地上なり海水中にあるというものもあるわけでございます。たとえば最近問題になっておりますセシウム137などで申しますと、これは放射性降下物の成分の一つでございますけれども、水道の水の中に、たとえば〇・〇三とか〇・〇五とかその程度のピコキュリー・パー・リットルという数値が各地において測定されております。
  77. 小宮武喜

    ○小宮委員 日本海あたりも、これはソ連の原子力潜水鑑、アメリカの原子力潜水鑑がうようよしておるわけですけれども、それによっての海中における放射能がふえたというような徴候はないのですか。
  78. 伊原義徳

    伊原政府委員 そういうふうな具体的な情報は得ておりません。
  79. 小宮武喜

    ○小宮委員 時間が来ましたので、質問を終わります。      ————◇—————
  80. 中村重光

    中村委員長 次に、科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村山喜一君。
  81. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、川内原発の問題について、地元の住民が大変心配をいたしております点を中心にしながら、現在の時点における取り組みの状況をまず初めに質問をしてまいりたいと考えているわけでございます。  三月四日に、予算の一般質問で私はこの問題を取り上げまして、担当大臣であります経済企画庁長官の福田さんに、電調審にかけるのはまだ早過ぎる、これはかけるべきでないんじゃないかという意味の質問をしたのでございます。ところが、そのときに福田経済企画庁長官は、これは電調審の決定はイコール起業の許可ではないんだ、だから現実には、電調審を通ったからといって、それは即工事を認可するということではないし、安全審査の確認の第一歩である、出発点であるというようなことを言われまして、そして三月十二日に第六十八回の電調審が開かれたときに、これが付議されたわけでございます。  そこで私は、この第六十八回の電調審はたくさんの閣僚が出席をしたかと思っていろいろ調べてみたのですが、どうも出席をした閣僚は一人しかいなかったという話を聞くのでございますが、当時の電調審の模様について、出席をした閣僚の氏名を発表願いたいと思います。
  82. 柳井昭司

    ○柳井政府委員 ただいま御質問になられました出席状況でございますが、閣僚といたしましては、経済企画庁長官一名、それから長官一名、局長四名、その他でございます。
  83. 村山喜一

    村山(喜)委員 それは閣僚ですか。
  84. 柳井昭司

    ○柳井政府委員 閣僚といたしましては、経済企画庁長官一名でございます。
  85. 村山喜一

    村山(喜)委員 これからは新しい原子力の時代を迎えるんだということで、声高らかに電源開発中心原子力発電を据えながらやっていくんだということを言われながら、三木武夫会長を初め、大平正芳、安倍晋太郎、河本敏夫、竹下登、福田一、小沢辰男、金丸信、以上の閣僚は出席をしないで代理を派遣をして、福田赳夫経済企画庁長官だけが出席をする、こういうような電源開発調整審議会の状況の中で、本当に原子力というものをどういうふうに位置づけながらやるかということについての政府の熱意というものは、国民には架空のものとしてしか受け取られないと私は思うのです。そういうようなことでありますから、具体的な問題を科学的に処理をしなければならないにもかかわらず、ずさんな姿の中で「むつ」のような問題が発生をするのではないだろうかということをまず指摘をしておきたいと思います。  そこで、三月九日に、御承知のように、玄海発電所、これは同じ起業者であります九州電力がつくっております発電所が、二回目の放射能漏れを起こしたわけでございます。  その当時の新聞の記事をずっと拾い上げてみますと、「単純ミスまたか 「何が安全」怒る住民 通報、七時間も遅れる」。内容は、バルブの捜査のミスである、そして放射能漏れは前回の十倍もある、五分間ガスが流出をし、大気中に〇・五キュリーの放射能が漏れた、これは補修中のバルブの締め忘れである、一次冷却水の排気筒から二十三分間漏れたというような記事がずっと出ているわけでございます。  そこで、こういうような非常時協定もほごにして、住民は事故も知らずに八時間もおるというようなミスが続いていく中から、果たして九州電力というのは原子力発電に対する管理能力を持っているのであろうかというふうに疑われるような内容のものであります。さきに巻尺がその中に入っておったということもありますが、その前の年の九月に、試運転の段階でそういうような放射能漏れを起こして、そしてまたこの時点において、三月九日にはこういう事故を起こしている。こういう状態の中の問題が電調審の審議の中ではどのようにして取り上げられたのですか。
  86. 柳井昭司

    ○柳井政府委員 電調審におきましては、安全性の問題につきましては、自後に十分慎重に御検討いただく、こういうふうな考えでおりまして、当日の事故漏れ等につきましては、県からお聞きいたしましたことを当審議会におきまして報告しておる、こういうことでございますが、特に、その審議会におきまして副総理から、原子力発電の立地に関しましては、安全性確保の問題あるいは環境保全に非常に強い関心が地元においてある、こういうことからいたしまして、政府としては、国民の理解と協力を得ながらその円滑な実施を図っていくため、今後とも努力をしていかなければならない。なお、計画に組み入れられた地点の安全性等にかかわる個々の問題につきましては、関係諸法令に基づく各省庁の許認可等の段階でさらに十分な審査をされ、万全の措置をとられるよう要求するというふうなことで要望いたしまして、安全審査の点につきましては、地点決定がございました以後の問題といたしまして、十分慎重に審査をしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  87. 村山喜一

    村山(喜)委員 それは私も聞いております。福田経済企画庁長官が特に発言を求めて、地元の人たちの間では地質の問題について非常に不安感があるので、この問題については特に留意をするようにということで、地元の市長の電報も発表された。なお知事が付帯的な要望事項も文書で出しているものを発表されたということは聞いておりますが、何しろ三月の九日に発生をした同じ九州電力の玄海発電所の問題でございますから、三月十二日の川内原子力発電所の問題に関連をして、それらについて特に発言はなかったのですか。
  88. 柳井昭司

    ○柳井政府委員 非公開の審議会でもございますので、その内容について一々申し上げるというわけにはいかないわけでございますが、安全性の問題といたしましては、地質問題等に係る安全性審査の施行といいますか、そういうような点について委員等から要望があったというふうに記憶しております。
  89. 村山喜一

    村山(喜)委員 言うならば、それは余り問題にならないで、論議されなかったということであります。言葉を濁していらっしゃるようでございますが、そういうふうに受けとめます。  もう経済企画庁は結構でございますから、お帰りいただきたいと思います。  そこで、四月十五日に、原子炉設置許可申請書九州電力が提出をいたしまして、五月十七日にこの審査会の委員会の構成と審査方針を決めるために第百二十三部会が発足をしたと聞いておりますが、この点についてはいかがでございますか。
  90. 伊原義徳

    伊原政府委員 九州電力川内原子力発電所原子炉等設置法に基づきます設置許可申請につきましては、御指摘のとおり本年四月十五日に申請書が提出されまして、これを受けまして、内閣総理大臣から原子力委員会にその設置の許可についての基準の適用につきましての諮問が行われまして、五月十一日には、原子力委員会から原子炉安全専門審査会に対して、その安全性について検討するようにという指示が行われたわけでございます。この指示を受けまして、原子炉安全専門審査会におきましては、五月十七日の第百四十八回審査会におきまして、ただいま御指摘の百二十三部会、これは東京工業大学の青木成文教授が部会長となったわけでございますが、この第百二十三部会が設置されたわけでございます。今後、この申請の案件につきまして鋭意審査を行うという予定にしております。
  91. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、これは秘密でも何でもないだろうと思いますので、審査委員並びに調査委員の氏名と専門分野、それについて発表してください。
  92. 伊原義徳

    伊原政府委員 百二十三部会に関係いたします審査委員並びに専門委員につきましては、審査委員が十名、調査委員が十三名、合計二十三名という形で現在スタートいたしております。  そこで審査委員といたしましては、青木成文・原子炉熱工学、安藤良夫・構造力学、石原豊秀・保健物理、大崎順彦・耐震工学、金井清・耐震工学、木村啓造・金属工学、竹越尹・発電工学、中田正也・原子炉工学、松野久世・地質学、山本荘毅・水文学、以上でございます。  調査委員につきましては、石田泰一・核燃料工学、伊藤公介・地質学、伊藤直次・保健物理・気象、垣見俊弘・地質学、岸田英明・建築学、佐藤一男・電気工学、丹羽義次・土木工学、三神尚・化学、森内和之・放射線物理、森島淳好・核燃料工学、吉川宗浩・地震学、吉田芳和・電気工学、山崎達雄・地質学、こうなっております。
  93. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、これからの予定はどういうようになりますか。
  94. 伊原義徳

    伊原政府委員 本案件につきまして、どういうふうな手順で審査をいたしまして、いつごろそれが終了するかということにつきましては、これは実際に審査をしてみませんと、具体的にいつごろどうなるかということは決まらないわけでございます。逆に申しますと、必要にして十分な審査を行うという前提で実施をするということでございまして、たとえば何カ月ぐらいかかるだろうとかいうことは、本件については申せないわけでございますが、ただ、過去の同種の事案につきましての経験等からいたしますと、やはり幾ら早くとも一年、場合によっては二年近くというふうな、非常に幅のある期間考えられると思います。その間、それぞれ御専門別にそれぞれの重要問題について御検討をいただく、こういうことでございます。
  95. 村山喜一

    村山(喜)委員 私が聞いているのは期間の問題じゃありません。審査方針というのが決まるはずであります。それはいつごろの予定でございますか。
  96. 伊原義徳

    伊原政府委員 来月の初めごろ確定すると考えております。
  97. 村山喜一

    村山(喜)委員 その場合に、グループ別にいろいろ分けて検討される予定でございますか。
  98. 伊原義徳

    伊原政府委員 三つのグループに分けて審査をお願いいたしたいと考えております。
  99. 村山喜一

    村山(喜)委員 その内容はどういうように考えておいでですか。
  100. 松田泰

    ○松田説明員 事務的なことで、私からお答えいたします。  三つのグループと言いますのは、通称Aグループ、Bグループ、Cグループというふうに呼んでおりますが、Aグループにつきましては、いわゆる原子炉の構造そのもの、俗にハードウエアと言っておりますが、機械設備、電気設備等の構造に関する審査を主として受け持ちます。それからBグループにつきましては、放射性物質の排出等による環境への影響中心とした環境関係専門家で構成されております。Cグループは、特に地質地盤関係耐震工学、そういう方面の専門家で、耐震関係設計についての審査をやることになる、そういう構成でございます。
  101. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、審査委員側十名ですが、原子力委員会設置法の第十四条の三に「審査委員三十名以内」という法律事項がございますが、吹田原子力委員はおいでいただいておりますね。そこで、最近原子力発電所がこういうふうにあちらこちらにつくられる、そして住民とのトラブルはますます大きくなっていく。こういう中で、国民の世論調査を調べてみましても、原子力発電の仕組みはわからないというのが大部分。そして一番問題は何かと言えば安全の問題だ。その安全審査を進めるのに当たりまして三十名以内。この法律ができましたのはいつですかね。たしか三十一年ごろ法律は制定されたと思うのです。二十年この方委員の数は変わっていないのでしょう。アメリカの原子力安全委員会ですか、こちらの方のスタッフ等を調べてみると二千人ぐらいおる。その中で特に技術者といいますか、安全審査ができるようなスタッフというのは、五百名は下らないだろうと言われておるやに聞いているのです。ところが、日本の場合には三十名。これは原子力の問題が始まって以来ずっと今日まで二十年間変わらない。こういう状態の中で、国民の期待にこたえるような安全審査ができるというふうにお考えになっていらっしゃるのですか。これについての御所見をいただきたい。
  102. 吹田徳雄

    ○吹田説明員 私も現在の体制では必ずしも十分であるとは思いません。現在の法律が、先生も御承知のように、やはり「三十名」でございますので、その法律を変えない限りは審査委員の数は変えられないのですが、運営上、調査員、先ほど報告がありましたように、同数の三十一名と思いますが、そのほか、これに非常に関連いたしますいろいろな専門部会がございます。  それから、アメリカの方と御比較になられましたが、確かにアメリカの方はNRCで二千人ほどおるようでございますが、その内容は日本の場合と少し違っております。ですから、通産とかそういうところの数がございますので、必ずしも十人あるいは三十人と比較するわけにいきませんが、私も現在のままでは十分ではないと思います。しかし、できるだけのことは現在の法律の中でやっていかねばならないと思っております。それで、ちょうど行政懇の中間報告の取りまとめがございますので、その線にできるだけ沿って運営すべきだと考えておりますが、いま政府の方でそれに沿って検討しておるようでございます。原子力委員会としては、必ずしも十分であるとは思いません。
  103. 村山喜一

    村山(喜)委員 この際、ついでと言ったら失札に当たりますが、確認をしておきたいことがございます。  これは第六十八回国会で、参議院の科学技術特別委員会の席におきまして有沢広巳原子力委員長代理が言われた言葉がございますが、美浜三号の審議について関連をして発言をされた内容であります。  安全審査会の報告を十分に尊重する。疑義がない程度に十分に明らかにした上で安全性の確認をする。「が、それだけで原子力発電所の設置を認可するというふうなことはいたしません。」それは住民の納得がなければだめなんだ。「住民の納得というふうな問題は、一つは、町で申しまするならば町長、それから町議会、その上に県知事、この三者が大体設置について異存がない、まあこういうふうな状況になったときには、地元の大方の納得を得られたものと私どもは推定することにいたしてまいっております。」地元の同意というのはそういうようなことだ。これは電調審にかける場合の地元の同意というのは知事の同意で足りる。こういうことで、われわれは安全審査の段階においてそういうようなチェックがなされることを期待をしておるし、この有沢先生の発言というものは、今日においても、原子力委員会としては変えられたということは聞いておりませんので、そのとおりだというふうに確認しておってよろしゅうございますか。
  104. 伊原義徳

    伊原政府委員 ただいまの有沢先生の御発言、ただいまの時点で私詳細には存じておりませんが、趣旨といたしましては、原子炉の設置に伴いまして、地元の皆様方の御理解、御協力が十分あるということは当然必要でございます。そういう意味におきまして、原子力委員会としてのお考えは現在も変わっておらないと考えております。
  105. 村山喜一

    村山(喜)委員 局長がそういうような確認をしてもしょうがないので、原子力委員会を代表しておいでをいただいております吹田委員にお答えをいただきます。
  106. 吹田徳雄

    ○吹田説明員 私はやはり、日本原子力開発というのは、非常に健全な、つまり国民全体のことを考えて推進すべきであろうと考えます。そういう意味で、その地元の住民の方々はもちろんでございますが、そういう意見を十分入れて考えるべきであろうと思います。事実、川内原子力発電所は、川内市長から原子力委員長あてに要請がございましたので、その点を十分踏まえまして、原子力委員会といたしましては、原子炉安全専門審査会の方にそれを申し送ってございます。
  107. 村山喜一

    村山(喜)委員 確認をしていただければそれで結構です。  そこで私は、次に入ってまいりますが、原子炉等規制法によります設置許可申請内容はどういうふうになっておりますか。内閣総理大臣許可を求める申請の内容については法律に法定化してございまして、特に五号、六号、七号、八号、これについてはどういうような申請書が来ておるかわかりますか。
  108. 伊原義徳

    伊原政府委員 原子炉等規制法第二十三条二項のただいま御指摘の五号から八号までの記載事項等につきまして、概要を御説明申し上げます。  まず、川内原子力発電所の建設に必要といたします工事資金といたしましては約千七百五十一億円と見込まれております。資金の調達は、開銀資金の融資、それから自己資金及び一般借入金、こういうことになっております。  申請された施設の概要を申し上げますと、原子炉の型式はいわゆる加圧水形でございます。熱出力は約二百六十六万キロワット、電気出力で約八十九万キロワットとなっております。  設置される場所は、鹿児島県川内市久見崎町の西部、川内川河口の左岸側、敷地面積が約百三十五万平方メートル、標高約七メートルの平地、こうなっております。  原子炉の本体は敷地中央の海岸側に設置されます。復水器冷却水は、敷地の前面に設けます防波堤、これの内側から取水をいたします。使用後の水は南側の防波堤の外側に放出する、こういう計画になっております。なお、原子炉本体の中心から発電所敷地の境界までの最短距離は約五百六十メートルとなっております。  それから使用いたします燃料は、濃縮度が重量パーセントで平均約二・六%となっております。この低濃縮ウランを使用いたしまして、年間予定使用量が当初約七十二トン、それ以降毎年の平均の取りかえ量が二十四トンとなっております。  次に、原子炉施設工事計画の予定でございますが、申請者といたしましては、工事開始が五十三年五月、運転開始は五十八年三月というふうに予定しております。  使用済み燃料の処分の方法、これは動力炉・核燃料開発事業団において処理するか、または、わが国原子力平和利用の協力のための協定を締結しております国が幾つかございますが、その各国で再処理事業者がございますので、そういうところの再処理事業者に委託して再処理を行うこととしております。  以上でございます。
  109. 村山喜一

    村山(喜)委員 その内容については、これは別に秘密でもないでしょうから、後で文書にして、出されました申請書、それからいまおっしゃいました施行令の六条二項によります資金の調達計画——総額は千七百五十一億ということでわかりました。しかし、その資金をどこから調達をしてどういうふうにやるのか。たとえば社債の発行とかあるいは自己資本、その中で借り入れをどういうふうにするのか、いろいろな調達計画というものがあるはずであります。そういうようなものについてお出しをいただけるかどうか、確認をしておきたいと思います。
  110. 松田泰

    ○松田説明員 申請書並びに添付書類は、現在公開資料室等で公開しておりますので、相当膨大なものでございますが、もちろん何らかの方法でお示しできると思います。  いまお尋ねになりました資金調達計画の問題でございますが、これは添付書類に、開銀資金、自己資金、一般借入金で調達するという表現がございますが、その内訳については特に載っておりません。と申しますのは、これはこの玄海発電所だけのためにこういう調達計画が組まれるのではなくて、あくまでも会社全体としまして、これは常識でございますが、全体の資金調達計画として考えるわけでございます。そういう関係で特にこの分について書きにくい面もございまして、現在のところ、その内訳については申請書に記載されておりません。しかしこれは、規制法に基づきまして許可をする場合の経理的基礎について、当然われわれも審査するわけでございますから、いずれ会社から全体の資金調達計画等については聞く予定でございますが、いまのところその資料はないというのが現状でございます。
  111. 村山喜一

    村山(喜)委員 やはり法令はきちっとさせなければいかぬと思うのです。施行令の六条の二項は原子炉設置許可申請ですが、「許可を受けようとする者は、原子炉の設置に必要な資金の調達計画書」を出さなければならない。だから九電全体の経常的な資金計画を出せということではなくて、「原子炉の設置に必要な資金の調達計画書」を提出しなければならない。ですから、そういうようなずさんなのは、これは所定の様式に沿うた申請書ではない、不備な書類である、こういうふうに私はみなすべきである。だから、この点については、まだ申請が、これから聞かれることもあるというお話でございますので、十分な内容を整えたものにしておいてもらわないと困る。  ということは、時間があれば後ほど私は申し上げようと思っているのですが、いわゆる核燃料の、国際的なウランなり濃縮ウランなり、あるいは加工しましたそういうような資材の値上がりに伴いまして、どうも長期的なものとして安定性がだんだんに損なわれつつある、そういう現状を心配をいたしておりますので、特にそのことについて触れておきたい。  なお、電力料金の値上げの問題との関連もありますので、特にその問題については、われわれ国会の方でも注目をしておるわけでございますから、そのことについては後日提出を願えるかどうか。整ったものとしてあなた方が九電側の方に計画書を出させる。内容的に見て十分検討したものとして出されたら、それをこの特別委員会のこの場に資料として御提出をいただけるかどうかということを確認をしておきたいと思います。
  112. 伊原義徳

    伊原政府委員 御提出する予定で資料を整備いたしたいと思います。
  113. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、次に進んでまいりますが、これは原子力産業会議の資料、ずっとこうして原子力発電所建設のための許認可過程というのを見てまいりますと、電調審の答申を得まして原子炉設置許可申請が出される。同時に、その段階の中で電気工作物変更許可申請というものが出される。さらにまた、準備工事開始のための工事準備が行われる。そういう中から公有水面の埋め立て免許についての手続等がなされるというような許認可の過程の現在の仕組み、こういうものは、この両一年の間にそういうような手続関係が、この安全審査の段階と同時に進められる、そういう過程になっているかどうか、この点についてまず説明を願いたい。
  114. 伊原義徳

    伊原政府委員 原子力発電所は、これは原子力という立場からとらえましての法律上の規制といたしまして、現在申請が出ております原子炉等規制法があるわけでございますが、そのほかに発電所としての観点から、通産省において電気事業法という観点からとらえられるわけでございます。そのほかに、たとえばただいま御指摘の公有水面の埋め立て、こういう工事につきまして、それはまた運輸省と都道府県知事、そういったお立場からのまた法的規制がある。その他、電調審その他いろいろ関係各方面の規制なり手続が並行的に行われるということになっておりまして、そういうすべての手続が満たされて初めて仕事が進む、こういうことでございます。
  115. 村山喜一

    村山(喜)委員 いや、そういうすべての手続が満たされて進んでいきますというのはそのとおりだと思うのですが、この一年間にそういうような準備工事関係のものが予定として考えられておるかどうかということを、これは原子力科学技術庁の方ではなくて、そういうような付帯的な工事等についてはどういうふうにするのだということは、それぞれの所管省の違いがありますから、あなたが答弁をされてもしょうがないわけで、ほかのところから見えておりましたら、お答えいただきたいのです。通産省、来ていませんか。
  116. 高橋宏

    ○高橋説明員 御質問の趣旨は、通産省の手続から見て、何らかその手続以前の準備工事か何かが計画されているか、そういうお尋ねだと思いますが、いま科学技術庁からも御説明ありましたが、通産省の所管をしております電気事業法に基づく法体系で言いますと、規制法に基づきます設置許可が済み、電気事業法八条に基づきます許可が済んだ後、さらに工事計画の認可手続がございます。その手続が済む、すなわち認可がおりてから工事が実施されるわけでございまして、それ以前に通産省として必要な準備工事というものは計画されておりません。
  117. 村山喜一

    村山(喜)委員 じゃ確認をしておきますが、八条審査が始まるのは、原子力委員会安全審査結論が出た後、こういうことになりますね。
  118. 高橋宏

    ○高橋説明員 八条の許可は、その審査の時期といたしましては、原子炉等規制法二十三条に基づきます許可と大体同時並行的に行われます。許可が行われる時点につきましても、従来の慣習で言いますと、相互の連絡を密にいたしまして、大体規制法の許可がおりないうちは事業法の許可もおろさないというシステムで運用いたしております。したがいまして、結論を申し上げますが、八条の設可申請に基づきます審査は、二十三条に基づきます安全審査と時期的には大体並行して行われるわけでございます。
  119. 村山喜一

    村山(喜)委員 その通産省関係はわかりますが、新たに港をつくると、港湾関係、そうして海岸の公有水面の埋め立て、これは知事でありましょうが、そういうような認可申請というものと安全審査との関係はどういうことになりますか。
  120. 伊原義徳

    伊原政府委員 お答えいたします前に、先ほど公有水面埋め立ては運輸省と申し上げましたが、建設省関係の法体系だそうでございます。  それで、安全審査、これは原子力委員会原子炉等規制法に基づく許可をいたします場合に、その許可基準一つであります安全性を確認するということでございまして、その立場からの手続行為と別の法体系での公有水面埋め立て免許、それにつきましては、法体系が別でございます関係上、それぞれ別々の処理が行われる、こういうことになっております。
  121. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこに現地の住民が、政府のやり方あるいは九電側のやり方に対して、非常に危惧を持っている点があるわけです。というのは、福田経済企画庁長官が、電調審を通ったということは安全審査の出発なんだ、特に地質の問題や地盤の問題については地元の住民に非常に大きな危惧があるから慎重に対処するようにという要請をした。ところが地元では、原発推進の知事が、そういう公有水面の埋め立てについては促進をやる、あるいはつけかえ道路とかそういうような道路の関係のもの等については、これは知事の権限でできるとすれば、それを進める。安全審査は慎重に検討されておっても、付帯的な工事が先に進んでいったのでは、それは一つの既成事実をつくり上げて、われわれ住民側をそういうふうな枠の中に入れ込もうとすることになるじゃないか、これでは何のための安全審査かということが問われるわけです。そこら辺のいわゆる各省庁の行政の調節といいますか、連絡調整というものについては、これはやはり原子力発電についての責任を特に安全の面から検討してもらわなければならない原子力委員会並びに科学技術庁が、そういうようなものについての連絡調整をおやりになると思うのですが、政務次官、どうですか。
  122. 小沢一郎

    小沢(一)政府委員 ただいま先生指摘のように、いろいろな事業を行う場合につきましても、各省庁間でばらばらな体制であってはいけないという点につきましては、御指摘のとおりだと思います。ただ、公有水面埋立法につきましては、ただいま局長からもお話ありましたが、いわゆる法体系を完全に異にしておりますし、また地域のいろいろな実情に基づいてこういう事業が行われるということでありまして、免許するしないという点につきましても、その都道府県の知事が権限を持って行うということでありますので、私ども科学技術庁としては、その免許を与えるかどうかということにつきまして、与えるべきとか与えるべきでないとかということを述べる立場にはないのではないかと思いますが、一般的な問題といたしまして、こういう点につきましてはやはり、そういう法的にどうこうという問題とは別に、各省庁行政の連絡調整を行っていかなければならない問題ではないかと思っております。
  123. 村山喜一

    村山(喜)委員 安全審査を十分におやりになるというそのことが、これからの原子力発電所の問題の国民の同意を得るかどうかということにかかる重大な問題でございますだけに、片一方では電力資本の要請にこたえて、それはそれとして行政の権限は別にあるんだからということでおやりになるような、一貫しない政府の政策ではなかろうと私は思っております。そういうような意味から、次のことについて、特に吹田原子力委員もおいでになっておりますし、安全審査がこれから始まろうとする段階にございますから、申し上げておきたいと思います。  というのは、地質の問題でございますが、われわれは一月の末に現地を調査をいたしました。そうして地表調査と、それから横坑の中にも入りまして、その地帯の岩盤調査等もいたしてまいりました。その中で、炉心部の位置として、れき岩であるというところの層についても、それを実際持ち帰りまして、鹿児島大学や、あるいは和光大学の生越教授のところでまた詳細に分析をしてもらいましたが、れき岩だと言いながら実際は砂岩であるというのが現実に出てまいりました。そこで、どうも風化しているところなどが相当あるものですから、深さ四十メートル、五十メートルぐらいのところまで風化しているらしい、ぽろぽろになっている、節理が非常に多いという問題が予見をされましたので、九電の方に要請をいたしまして、ボーリングコアを、特に炉心部を中心にして柱状断面図をひとつ出してもらいたいということで、それも出してもらいました。その内容についても点検をいたしました。果たせるかな、確かに風化が進んでおりますし、断層があるし、節理があるし、そしてそこは地下水が入り、空気が流入をしている。ボーリングのその柱状断面図の中にもそれが出てまいっております。  そういうような状態の中で、五月十二日に地震が発生をいたしました。これは私も気象庁の地震課長に十七日に確認をしてみたのでございますが、五月十二日十三時二十分、上下に震動しまして、震度は、気象庁の気象台があるところしかわかりませんが、そこは九州電力地震計も備えておりますから、そのデータも出してもらいたいと思うのですが、阿久根というところで震度三でございます。これは震源地は北緯三十二・一度、東経百二十九度八分という地帯で、場所は甑島の北の方、深さ二十キロメートルの地帯でございました。断層の生成活動があることを指摘をしておきましたが、まさにそのことがこのごろはっきり出てまいりました。五月十四日にもまた十時二十八分三十秒に震度一、震源地は大体同じところだ。  これが記録によりますと、明治二十七年一月四日、北緯三十一度四分、東経百三十度五分、マグニチュード六の地震が発生をしている。やはりこれも甑島のところでございまして、本土と甑島との海峡がありますが、その海峡の今度は北の方ですが、同じ海峡に沿うて地震が発生をした。  そこで、どうもそういうようなことから三つの大きな断層がある。一つは中生層と古生層の地層上の変化の上から、川内川をはさみまして、久美崎の地層というものと、その対岸にあります月屋山の地層、これは古生層と中生層の地層の差でございます。したがってそこには大きな断層が走っているに違いない。  それからもう一つは、川内川という大きな川が流れておりますが、その中に、川内川に水底断層が——これは破砕帯等が非常に多く見られますので、これも水底断層であることは間違いない。それと、いま申し上げました、いわゆる甑島と対岸、こちらの本土側との間に走っている地帯には仏像線があるんじゃないかということが、前から学者の中で意見が出されておりましたが、これが中央構造線として甑島の沖合いを走っている。今度の地震はそれを裏づけるものではないだろうか、こういうふうに現地の人たちは何時何分何秒にその地震が発生したというのをちゃんと記録をしております。そういうような点から見まして、地質の問題はこれはきわめて重要な問題でございます。  ところが、九電側の方としては、これについてのボーリング調査、海底のボーリング調査はやっていないわけです。というのは、防波堤を出すだけのための調査は、海底の本当に浅いところの調査だけはやりましたが、そういう海峡を走っている大断層等があるかどうかということについては、これは調査をいたしておりません。そこで私の方から、安全審査会の第百二十三部会、これは、ただその基本設計について書面審査をするというだけではなくて、そういうような現実に大きな問題として提起をされている、原子炉をそこに置くことが果たしていいかどうかという基本的な問題に関係がある問題でございますから、それについては、特に安全審査会、原子力委員会の責任において現実に調査をした上で、地質の上から、地盤の上から問題はないという結論を出してもらわなければ住民は納得をしません。それから現地の市長とも会いましたが、知事が公有水面の埋め立ての意見を私に求めてきても、地盤の問題、地質の問題が安全審査会の中ではっきり大丈夫だという結論が出るまでは私は知事の提案には同意をいたしません、このこともはっきり言っております。  ということは、原子炉一般の問題として、いろいろな放射能漏れの問題等がありますが、きょうは時間がありませんので、原子炉一般論としては後に譲ることにいたしまして、地質の問題でこれだけの具体的な問題が指摘をされ、そして現実にはわれわれも横坑に入り、そしてボーリングコアのデータについても検討をし、そしてこれについては問題があるという矢先にそういう地震が発生をした。このことは、明治二十七年の時点においては、当時の科学技術の段階の水準から言えば場所的に少し問題があるかもしれないと言いながら、記録に残っていることをこの前私の質問に対して地震課長答えているのですが、今度の場合は、明確にこのことを裏づけてきているということを一つ考えながら、原子力委員会として、安全審査の中で、そういうようなものについて、特に仏像線の問題等については、ボーリング調査等を何らかの機関にやらせるということを明らかにしてもらいたいと私は思うのですが、その辺についてどういうふうにお考えになるかを承りまして、私の質問を終わらせていただきたいと思うのですが、よろしくお願いします。
  124. 吹田徳雄

    ○吹田説明員 一般的に申しまして、原子炉安全審査会は、その申請者のデータをもとにして、先生のおっしゃるように、結論が簡単に出るものはそれで結論を出しますが、いまのように、最近のそういうデータが不十分であると考えた場合には、審査会はその部会長考えでデータを出させます。しかし、それでも安全性の評価に不十分であるということになりますと、これは審査会長から恐らく原子力委員会の方に、そういう申し出があるんじゃないかと思います。そういうときには原子力委員会は、第三者に依頼して十分安全であるということを確認するまでは、恐らくその審査を続けるものと思います。ですから現在は、そういう点を審査会で十分検討するものと考えております。
  125. 村山喜一

    村山(喜)委員 審査会で十分検討されるものだと考えていらっしゃるあなたの御意思が、そのとおりなることを私たちは期待をしているわけでございまして、もしそれがなされなければ、科学的な処理がなされたとは考えません。そのことは明確に申し上げておきます。  時間が参りましたので、次の資料の要求だけをしておきたいと思います。原子力を準国産エネルギーとして位置づけた理由は「原子力年報」等に記載をしてありますので、それを読んで知っておりますが、次のことについて資料を提出願いたいと思います。  ウランの購入実績と価格、電力料金への影響。それから電力会社の濃縮ウラン購入経路と保有量、一番新しい期末の在庫量の内訳、適当なランニングストックというのはどういう程度のものを考えているのか。使用済み核燃料の貯蔵量と年間の発生量、廃棄物の年間発生量と再処理依頼量。そしてイギリスの公社の輸送途中で鉄道の事故があってひっくり返ったというような問題等もありますが、その場合のいわゆる引受量。それから先ほどの川内原子力発電所の計画書の中に、その廃棄物の問題についてはどうするかという内容を聞いておりましたら、動燃事業団の方にこれを委託をするか、あるいは外国にそういう処理をお願いをするかということになっておるということでございましたので、動燃事業団の再処理施設の操業の見通し。こういうようなものについて資料を提供していただきたい。以上です。よろしいでしょうか、これはエネルギー庁が中心になりますが……。
  126. 高橋宏

    ○高橋説明員 資料を整えまして、後ほど提出いたします。
  127. 村山喜一

    村山(喜)委員 これで終わりますが、原子力委員会が、ああいうふうに「むつ」のような問題が行政の谷間で発生しないようにということで、一つの中間的な答申をお出しになりました。そのことの精神をずっと見ながら私はこの前も、電調審にかける前にそういうような立地条件問題等については、特に地盤地質に問題があるということについては、事前にチェックする方式というものをお考えになったらどうかということの提言もしたのです。しかし、それはいまのたてまえは一応そのままにして、安全審査の段階で特に念を入れてやるということでございましたので、科学技術庁としても、あるいは原子力委員会としても、そのことについては十分国民の声として受けとめていただいて処理を願いたい、このことを要望いたしまして終わります。
  128. 中村重光

    中村委員長 次は上坂昇君。
  129. 上坂昇

    上坂委員 私は初めに、東電の福島第一原発の二、三の問題についてお聞きをしたいというふうに思います。  去る五月六日に、この委員会で石野委員指摘をいたしました東電大熊原発の二号炉の火災事故について、当時科学技術庁には報告がなく、通産省の調査を待って報告をしたいという答弁でございましたが、このことについての御報告をいただきたいというふうに思います。
  130. 伊原義徳

    伊原政府委員 東京電力福島第一発電所二号機におきます火災につきまして、これは石野先生から御質問のございましたとき、私どもはその事実を承知しておりませんでしたので、至急東京電力に事情を聴取いたしました。  その結果を簡単に申し上げますと、四月二日十九時ごろ、二号機タービン建屋一階を巡視中の運転員が、補助系電気室内の北西角の付近で、床を清掃するために使っておりましたぼろきれ、これは油等がしみ込んでおったと思いますが、そのぼろきれがくすぶっておるのを発見いたしまして、直ちに中央制御室へ応援を求め、応援者とともに消火器を使用して消しとめた、これが実態だそうでございます。  この場所はどういうところかということを調べたわけでございますが、補機用の電力線のための開閉器を収納しておる部屋であるということでございまして、一般論として、発電所の火災では制御用ケーブルに火災が及ぶのは非常に問題でございますが、そういう制御用ケーブルは収納されておらなかったということを確認いたしております。     〔委員長退席、石野委員長代理着席〕  当時、二号機は出力約四十万キロワットで運転中でございましたが、この件につきましては、運転に影響がございませんで、引き続き運転をいたしておったわけでございます。  原因といたしましては、当日に、その部屋のはりの一部、上の方のところを溶接修理をしていたという事実が別途ございまして、この溶接の作業の火花が、床に置きっ放してありましたぼろきれに落ちてくすぶった、こう考えられるわけでございます。  なお、これは至急消火できましたが、事後の措置といたしまして、実はそのくすぶったところに隣接して電力ケーブルが通っておったということでございまして、念のため熱の影響を受けたと思われる部分について万全を期して一部の取りかえを実施したということでございます。なお、この電力ケーブルは、取りかえにつきましても、二系統になっておりますために、電源を切りかえまして取りかえ作業をいたした次第でございまして、発電所の運転には影響はなかったということでございます。
  131. 上坂昇

    上坂委員 いまの火災の報告があったのはいつですか。
  132. 伊原義徳

    伊原政府委員 五月十日でございます。
  133. 上坂昇

    上坂委員 火災が起きたのが四月二日で五月十日に報告があった。これが国会で指摘を受けなければ、こうしたものは一切不問に付せられてしまうというようなことについては、どうお考えになりますか。
  134. 伊原義徳

    伊原政府委員 原子炉等規制法に基づく原子力発電所あるいはその他原子力施設一般につきましての事故なり故障なり、そういったものにつきまして、これは、法律、規則に基づきます届け出、報告の義務のありますものと、そうでないものとに分かれるわけでございまして、この程度の火災につきましては、法規上の届け出の義務はないわけでございますが、私どもといたしましては、こういう一見ささいなようなことにつきましても、できる限り実質的に御連絡をいただきたいということで各原子炉設置者を指導してきておるわけでございます。したがいまして、今後はこの程度のものにつきましても至急報告をいただくように、こう考えて対処してまいりたいと思っております。
  135. 上坂昇

    上坂委員 いまタービン室の補助系電気室というふうに言っておりますが、これは、そちらからの資料によりますと、いわゆるメタクラ室と俗に言っている部屋であります。これは電気系統の中枢のものであるというふうに聞いておりますが、そうじゃないのですか。
  136. 伊原義徳

    伊原政府委員 隣の部屋が比較的そういう重要な機器が収納されておった部屋であると承知しております。
  137. 上坂昇

    上坂委員 この部屋は原発ではA管理区域に入っているというふうに言っておりますが、このA管理区域というのはどの程度の管理をするのですか。どういう重要なものを持っているのですか。
  138. 伊原義徳

    伊原政府委員 そのA管理というのは私は直には存じておりませんが、一般的に発電所の管理をいたします場合に、放射性物質という観点からの管理と、それから発電所としての機能という面から見た管理と、いろいろな区分けがあるかと思います。ただ、そこは至急調べまして御報告申し上げたいと思います。
  139. 上坂昇

    上坂委員 その電気室の北西コーナーに置いてあったいわゆるぼろきれというのは、どのくらいの数量なんですか。
  140. 伊原義徳

    伊原政府委員 ビニール袋にぼろきれを入れてあったのが三つばかりあった、こういう報告を受けております。
  141. 上坂昇

    上坂委員 そのうち燃えたのは幾つですか。
  142. 伊原義徳

    伊原政府委員 その燃え方についての詳細は文書上では明記されておりませんが、私どもといたしましては、これがおおむね皆燃えたと考えております。
  143. 上坂昇

    上坂委員 このぼろは床をふいた使用済みのものであるというふうに受け取っていいのですか。
  144. 伊原義徳

    伊原政府委員 その点は確認をいたしておりません。必要でございましたら、確認をいたします。
  145. 上坂昇

    上坂委員 私は、使用済みのもので油がしみているから、火花が散って、その火花を保っていたのじゃないかと思うのですがね。新品でビニールがかかっていると、火花で燃えるというのは、常識的にどういうふうにお考えになりますか。
  146. 伊原義徳

    伊原政府委員 あるいは御指摘のようなことであったかもしれません。
  147. 上坂昇

    上坂委員 使用済みのものは、これはBWRですからね、いわゆる放射能のおそれがないということは言えないので、どこの床を掃除したかどうか、その電気室だけの床を掃除したのか、あるいはタービン室の床を掃除したのか、あっちこっちのやつを集めたのか。ビニール袋というと、おたくの方では大きさは恐らくわからないと思うのですね。だから、かなり大きなものであるとすれば、あっちこっちのやつを全部集めたということになる。集めたということになれば、それは放射能に汚染をされていると見てもいい。そういうものをビニールに単に詰めているだけでほっておいていいのですか。そういう場合は幾日くらいほっておいて差し支えないのですか。
  148. 伊原義徳

    伊原政府委員 一般論といたしまして、原子力施設におきますたとえば床の清掃その他の作業につきましては、放射線のレベルあるいは床などの汚染のレベルに応じまして、その汚染のおそれのないところと、中程度、高いレベル、いろいろございましょう。それに応じまして保安規程その他の規程類に基づきまして区分けをいたしまして、それぞれ処置をいたすわけでございます。  したがいまして、これは私のただいま報告を受けたまでの推定でございますけれども、この区域は放射線のレベルが高いあるいは汚染があるという可能性がほとんどないところと考えられますので、その意味では、放射性物質によって汚染されたものであった可能性は少ないと思います。しかしながら、必要でございましたら、その点につきましても追加して調査いたしたいと思います。
  149. 上坂昇

    上坂委員 溶接の火花が散ったというふうに言われておりますが、溶接する場合には火花が散るのは常識なんです。火花が散らない溶接は見たことがない。重要な工事をやる場合には、とにかく油のしみていたりなんかするようなところでは、大抵カバーをして火花を受けてそれを消す、そういうことをやって溶接をするのが普通なんです。そういうことをやっていないわけですね。これはいわゆる原子力発電所のような非常に重要な施設の場合、安全管理が不十分ではないかと私は思いますが、いかがですか。
  150. 伊原義徳

    伊原政府委員 御指摘のように、そういうおそれがないように配慮することが期待されるわけでございます。
  151. 上坂昇

    上坂委員 これは電気室のはりの一部だと思いますが、これはどこかの下請か請負者が工事をやったと思いますが、これについてはわかりませんか。
  152. 伊原義徳

    伊原政府委員 現在のところ、そこまで詳細な報告は受けておりません。
  153. 上坂昇

    上坂委員 先ほど言いましたいわゆるメタクラ室と言われておるようでありますが、これについてはケーブルを取りかえた、こういうふうに言われております。私たちの聞くところによると、直径十センチのケーブルで五百スケアの電線だ、こういうふうに聞いておるわけであります。この電線は一本でも焼けると緊急停止をしなければならないほど重要なものであるというふうに聞いているのですが、そういうことはわかりますか。
  154. 伊原義徳

    伊原政府委員 私どもの受けております報告では、このケーブルは、御指摘のように、太さが約十センチメートル、三層の電力ケーブルでございまして、一層が百五十平方ミリメートル、こういうものであった。長さは約十五メートル、これを一本取りかえたと聞いております。しかしながら、そのケーブルが燃えることによって緊急停止が必要だというふうなことは承知しておりません。先ほど申し上げましたように、これは二系統、電力系統がございますので、一系統がぐあいが悪くなりますと、切りかえて別の同様の系統でまた電力を供給するというシステムになっております。
  155. 上坂昇

    上坂委員 何を聞いてもどうも余りよくわからなくて困ってしまうのですが、質問に立った以上聞かないわけにいかないのです。  消したと言われますが、だれがどういうふうにして消したのですか。さっき消火器で消したような話ですが、これは何本使ったのですか。
  156. 伊原義徳

    伊原政府委員 私ども承知しておりますところでは、消火器は三本程度で一応くすぶりはおさまったそうでございますが、さらに念を入れて全体で六本使用した、こういうように聞いております。
  157. 上坂昇

    上坂委員 この消火器はどういう種類のものですか。
  158. 伊原義徳

    伊原政府委員 そこはちょっと承知いたしておりません。
  159. 上坂昇

    上坂委員 私の聞いているのは、あわ消火器だ、こう言われておりますが、あわ消火器で消すと、そのあわが吹っ飛んでいってしまって、外部に出た場合はどうなるかという心配も出てくるのです。  で、どうも現地では、二十本以上使っているのじゃないか、こういうふうに言われておりますね。だものですから、ケーブルが燃えたんじゃないかというふうに思うのですが、大体ウエスのくすぶり程度で熱を持って取りかえなければならないような電線の構造になっているわけですか。
  160. 伊原義徳

    伊原政府委員 一般的に電線は絶縁物で被覆をしてありまして、その絶縁物が、どういう絶縁物を使うかにもよるわけでありますけれども一般論として火に弱いということは事実でございます。そのために念を入れて取りかえた、こういうふうに聞いております。
  161. 上坂昇

    上坂委員 これはくすぶって熱を持ったから取りかえたんですか。燃えたから取りかえたんですか。
  162. 伊原義徳

    伊原政府委員 先ほど申しました、ぼろきれのくすぶりで熱の影響があった懸念があるということで取りかえた、こう承知いたしております。
  163. 上坂昇

    上坂委員 そうすると、燃えたものではない、こういうことですね。  で、その修理は幾日ぐらいでやったんですか。一日でやったんですか。
  164. 伊原義徳

    伊原政府委員 全体で約四日ぐらいかかっておるようでございます。
  165. 上坂昇

    上坂委員 三交代やって四日間ぐらいかかったというふうに私も聞いているわけでありますが、これは何メートルぐらい取りかえたのかわかりませんが、かなりの工事のような気がしますが、どうですか。
  166. 松田泰

    ○松田説明員 ちょっと細かい話になりますので、私からお答えいたします。  四日間連日ぶっ通しでやる作業と考えますと、常識的にはかなり大きな工事を予想されるわけです。私どもがその点について聞いた範囲では、ケーブルの取りかえにつきまして四日かかっておりますが、いろいろな準備だとかケーブルを持ってきていろいろやった工事を一応四日にばらまいてありまして、その間ぶっ続けではなく、夜中にやったり、あくる日の昼からやったりということで四日かかっておると聞いております。
  167. 上坂昇

    上坂委員 私は非常に重要な問題を含んでいるというふうに思っているわけでありますが、実はきのう現地の人が東電に行って、このことについて話を聞きに行ったんですよ。そうしたら二時間半も待たせられて、そしてそこに説明に出た人が、大抵のことを知らないと言っているのですよ。この部屋の大きさを知らない、こう言っているわけです。このいまの電気室というのはどのぐらいのスペースを持っているのですか。
  168. 伊原義徳

    伊原政府委員 私どもが入手いたしました図面で見ますと、L字型の構造になっておりまして、全体の面積はちょっとこれから推定できませんので、後で御報告いたしたいと思いますが、幾つかの配電盤が配置されておるような図面になっております。
  169. 上坂昇

    上坂委員 部屋の大きさもわからない。そして、すみの方にぼろが置いてあって、それに火花が散って燃えてくすぶって電線を取りかえなければならないほどの熱がこもった、一体これは常識的にどういうふうに考えますか。私は、かなり大きく燃えたのでなければ、こっちの方に電線があって、そっちの方で燃えているとすれば、いわゆる遠いすみの方、向こうの反対側のすみの方に電線があるとすれば、これはなかなか熱はいかないようなかなり大きな部屋だ。小さな部屋ならば、それはくすぶっても熱がこもって燃えます。そういうことは、単に報告を聞いただけでうのみにしてしまって、全然そういうことを検討しなくてもいいのですか。それで一体指導監督というのができるのですか。
  170. 松田泰

    ○松田説明員 ぼろきれを入れたウエスがありました場所のすぐ返くにケーブルがあったというふうに聞いております。それで、私どもの方としましても、現地の連絡調整官にその後実際の現場を立ち入らせております。
  171. 上坂昇

    上坂委員 実際の現場に調査官を立ち入らしているということになれば、明細がわかっていなければならないでしょう。さっぱりわかっていないじゃないですか。それはいつ立ち入らしたのですか。
  172. 松田泰

    ○松田説明員 正確な日付はいま覚えておりませんが、この報告を受けました二、三日後でございます。
  173. 上坂昇

    上坂委員 報告を受けたのが五月十日でしょう。きょうは何日ですか。
  174. 松田泰

    ○松田説明員 きょうは五月二十日でございますが、いま手元に詳細な報告といいますか、調査官の報告を持っておりませんけれども、いま御指摘の点全体につきまして、われわれの方としましては、非常に大きな火災あるいは安全上重要と考えられる火災であったとか、あるいはそうなり得る可能性があるというふうには考えておりません。
  175. 上坂昇

    上坂委員 原子力発電所の場合の場合は、どんなささいなことでも本当に完全に事故をなくしあるいは故障をなくして、絶対安全というところまで努力をして、そしてなおかつ、安全性というものが確かめられないような突発的なものが起こる可能性も出てくる。そこで念には念を入れてくるというのが、いままでのあなた方の答弁だったのじゃないですか、いついかなる質問に対しても。今度の火災というのは、ぼろきれをほっといて、油がものすごくしみていたら一遍にばあっと燃えちゃうんだよ。カバーもしないで溶接をやらしておいて、火花がすみの方のぼろきれに散って、それを受けてくすぶっていたなんということが常識的に考えられるのかどうか。あなた方の常識では考えられるのですか。
  176. 松田泰

    ○松田説明員 原子力発電所のような建物の中におきまして、火災を起こすような、そういう発生源が全くないわけでございますから、通常の場合、そういう火災が起こることは常識的には考えられません。このように溶接の作業というような人為的なことが行われました場合には、当然十分な管理が行われなければいけないということもわれわれは考えておりますし、その意味におきましては、作業の管理に何らかの手落ちがあったということはわれわれも考えております。もちろん、こういうふうな火災がたまたま補機室のすみで起こったということによって、今回の場合それほど大きな意味を持たないと申し上げましたが、ほかのたとえば重要な場所でこういう作業が行われ、同じような原因で火災が発生したというケースが起こらないということを保証できないわけですから、そういう意味におきましては、作業の火災上の管理というものを徹底してやるように、たとえば所要のマニュアルその他を改めるというようなことは、当然会社としても考えるべきであるし、われわれもそういうふうな指導はしたいというふうに思っております。
  177. 上坂昇

    上坂委員 東電では二年くらい前に表の方でちょっと燃えたことがあるのだ。それについては直ちに消防署に連絡をして、消防署で消したのです。大したことはなかったのですよ。ところが、こういう電気の施設の中で起こっているものについては、一切ふたをしてしまう。しかも熱がこもってそれによって絶縁している電線まで取りかえなければならないような、そういう事故が起きている。それでもどこへも連絡をしない。それで安全でございます。安全でございますと言っても、だれが信用できますか。  それから、ぼくがいま言ったのは、あなた方が常識的に考えて、そっちの方の遠くのすみの方にあったぼろきれに火花が散る、それだったら、溶接をする場合には、油を含んだぼろきれだったら、片づけてから溶接するのがあたりまえでしょう。素人考えでもそうやりますよ、だれがやっても。専門家がやるんです。しかも原子力発電所というところを管理している人たちがいるんです。それをほうっておいてやっているということについて、私は一体どういうふうに考えているのかということを聞いているのですよ。どういうふうに思いますか。
  178. 伊原義徳

    伊原政府委員 管理におきまして、十分な配慮が行われるべきところが十分な配慮が行われておらなかったということで、今後こういうことがないように十分注意をさせたいと思います。
  179. 上坂昇

    上坂委員 これは非常に大変な事故であります。それで私は東電は完全に隠していたと思うのです。というのは、この前の日は福島県の県知事選だった。福島県の県知事というのは、御承知のように原発誘致に対しては異常な情熱を燃やしている人だ。富岡町の第二原発のところでは立会演説があったのです。その次の日はやはり浜通りで立会演説が行われて、選挙の最中だった。だからこれは不問に付したかったのだろうと思う。そればかりではない。もう一つは四月の六日と七日ですか、仙台の通産局で電力料金の値上げの公聴会があったはずなんだ。火事があったなんということになりますと、もう電力値上げは大変なことになってしまう。そこで、そういものを考慮しながら通告しなかったんだと私は考えざるを得ない、こういうふうに考えて、これは常識外れだと思いますか。
  180. 伊原義徳

    伊原政府委員 その辺の事情につきましては、私どもといたしましては、現在、報告を受けたそれにつきまして、いろいろ判断をいたしておるわけでございます。現地の事情については、十分詳しくは承知いたしておりません。
  181. 上坂昇

    上坂委員 この問題については質問をやめますが、一つ要望しておきたいのは、現地の人はこういう形で非常に安全に対する不安を持っているわけです。したがって、現地の人がこうした事故を聞きつけて交渉に行った場合には、東電としても、原発としても、当然懇切丁寧に、あるいは現場を見せるなりなんなりして、きちんと説明をしなければならないと私は思う。そういう義務を持っていると私は思うのです。そういうことを全然やらないで、次長とかなんとかいうのが出てきて、部屋の大きさもわかりません、何もわかりませんというような答え方をして、二時間半も待たして三十分くらいで追い返す、そういうような不誠意な態度をとることでは、ますます不信がつのるばかりである。したがって、こういう場合には十分事故の現場も見せる、それから十分な説明をするというふうな指導をしてもらいたいというふうに思います。その点、そういうふうに通告できますか。
  182. 伊原義徳

    伊原政府委員 先生指摘のように、地元の方方に安全性の問題について御理解をいただくことは、非常に重要な問題でございます。どの程度のことが起こったのかということについて十分な御説明をいたしませんと、かえって誤解を招く、不安に思われるというようなこともあるわけでございます。そういうことでございますので、これは基本的な姿勢といたしまして、地元の方々には十分よく御説明をするということで原子炉設置者として臨んでいくべきであると考えます。
  183. 上坂昇

    上坂委員 それからもう一つ、五月の十日ごろですか、調査員を立ち入らせた。さっぱりその調査員は役に立っていない。何の報告も来ていないじゃないですか。何を立ち入りしたかわからぬじゃないですか。もう一回私と一緒に行くあれがありますか。私はいつでも行きますから、どうですか、調査に行きますか。あしたでもあさってでもいいよ。
  184. 伊原義徳

    伊原政府委員 私どもといたしましては、現在までに受けました報告におきまして、ほぼ大要を承知いたしたわけでございますが、地元の方々の御不安があるという事実は、あるいは事実として否めないかとも思いますけれども、先ほど担当課長からも御説明いたしましたように、非常に大きな問題として扱うことが適当かどうかにつきましては、そこまでの問題であるかどうか、やや疑問に思っております。
  185. 上坂昇

    上坂委員 大きな問題であるか小さな問題かは別にして、大体、調査員から大した報告も来ていないということになれば、判断のしょうがないじゃないですか。私がいま聞いても大きさもわからない。わからないことばかりじゃないですか。不明であります、後で調査しますということだ。だから私は、後で調査するなら、私と一緒に国会でも終わったらだれか行ってください、こう言っているんだ。どうですか。
  186. 伊原義徳

    伊原政府委員 部屋の大きさにつきましては、図面をいただいておりまして、寸法が入っておるんですが、私、目が悪くてちょっとよく見えなかったというようなこともございまして、報告の内容につきましての精査の問題、いろいろ御批判、御意見もあるかと思いますけれども、私どもといたしましては、この程度のものにつきましての調査としては、必要な限度の内容は一応受けておると考えておるわけでございます。     〔石野委員長代理退席、委員長着席〕
  187. 上坂昇

    上坂委員 必要な報告を受けていて、私が聞くとさっぱりわからないんじゃ、どこが必要なんだかわからないじゃないですか。知らないところだけが必要になっている。おかしな結果になっちゃうんですよ。これじゃ結局、私も質問したけれども何にも取るところがなかったということになっちゃう。ばかみたいな質問になっちゃう。これは困るんだね。私が言っているのは、必要がないから行かないということなのか——私は行きたいと思うのですよ。科技庁の方からもひとつ行って、一緒に現地を見たい、調査をしたいと思うのですけれども、その点はどうですか。これは次官にお聞きします。
  188. 伊原義徳

    伊原政府委員 原子力施設の安全上の規制の問題という立場でどの程度に考えるかは別といたしまして、先生が御視察の御希望がございますれば、私どもとしては、そのようにお取り計らいいたしたいと思います。
  189. 上坂昇

    上坂委員 それじゃわかりました。私も日程がとれましたら連絡しますから、ひとつ一緒に行って調査をしてください。  次に移ります。やはり同じ第一原発の問題でありますが、四月の上旬に平塚市で行われました日本化学会で、名大の理学部の古川助教授が指摘をしている問題があります。それは、各地の松葉を各原発ごとに調べたわけでありますが、その場合、福島の原発の場合には非常に高い放射能物質が検出されているわけであります。これは非常に高いというのは、ほかのところと比較してでありますが、マンガン54、それからコバルト60、あるいはセシウム137、これはここに表がありますが、他の地区と比較しますと非常に高いわけであります。この報告について知っておりますか。
  190. 伊原義徳

    伊原政府委員 東電の福島の第一原子力発電所の周辺につきまして、松葉から御指摘のようにコバルト60あるいはマンガン54が検出されたということは、新聞などでも報道されたようでございまして、承知いたしております。
  191. 上坂昇

    上坂委員 コバルト60については、もうこれは御存じのように、自然界ではほとんど検出されていない物質であります。これらが非常にたくさん出ているということについては、大きな問題が含まれていると私は思いますが、この調査の時期に、福島原発では一号炉、二号炉とも炉が動いていたのかどうか、この点について御報告願いたいと思います。これは十月ですね。
  192. 伊原義徳

    伊原政府委員 ただいま御指摘の放射性核種の松葉への蓄積の問題でございますが、これは長期間にわたって蓄積する性格のものでございますので、調査の時点、つまり資料採取の時点におきまして発電所が動いていたかどうかということは、必要ならば調べますけれども、特にその観点からの御調査は必要ではないのではないかと思っております。
  193. 上坂昇

    上坂委員 それはそれとしてそのお答えをいただいておきますが、夫沢というところと、それから大熊町でありますが、細谷地区というのがあります。そこは原発から一キロメートル周辺なんですね。ここでコバルトが二十七・八ピコキュリーも出ているんですね。これは大変な数字になるわけであります。セシウムになりますと百十四になります。これはほかの地域では、たとえば島根を見ますと四ピコキュリー、あるいはセシウム137で七十二ですね。こんなに多く出ているわけです。そのために現地では非常に不安に思っておるわけであります。ところが、県に言わせますと、コバルトとかそういうものは、いままで全然やっていなかったんだ、余り関係がないからそれはやらなくてもいいんだというふうな見解を持っているわけであります。  恐らくいままでも、放射能物質については、コバルトやマンガン等については、これはフィルターに吸収されてしまうからということで、検出をしないという状況があったんじゃないかというふうに思いますが、この点について、一つはこのコバルトがどうして出てきているのか。恐らく排気筒から出てきているんだろう、こういうふうに思いますが、どういう原因で出てきているのかということが第一点。  それから今後コバルトが検出されるとするならば、それについて、これはいわゆるモニターなり何なりの検査の測定の対象にしなければならぬじゃないか、こういうふうに思うわけでありますが、その点について御意見をいただきたいと思います。
  194. 伊原義徳

    伊原政府委員 コバルト60が検知された理由として推定されますのは、御高承のとおりこの核種は、原子炉を構成しております材料が腐触をいたしまして、水の中に溶けて出たような場合に、それが誘導放射能を持つ、そういうふうなことで生成されるのが一般であると承知いたしておりますが、定期検査などいたしました場合に、機器を分解、点検、保守そういったことをやりますときに、多少その際に系統から出てきて、これが換気系を通じて放出されることがある、こういうことかと考えるわけでございます。  そこで、今後コバルト60なりマンガン54が松葉から検出されれば、これを環境放射能調査の対象にすべきかどうかという御質問でございますが、実は先ほど先生の御指摘なさいましたこの数字は非常に微量でございまして、その微量と申します意味は、法令で定めております一般周辺公衆の人体への許容の被曝の線量が年間五百ミリレムとなっておるわけでございます。それから軽水炉発電所につきましては、この法令の数値にかかわりませず、さらにできるだけ放出を減らして線量を減らすということで、線量の目標値として年間の量を五ミリレム、こういう目標値を定めておるというわけでございます。それに比べますとこの数値は非常に微量でございまして、これは仮定でございますけれども、もし松葉を食べるといたしますと——松葉は普通は食べないと思いますが、もし食べるとして安全側で計算をいたしましても、その線量目標値の五ミリレムに比べまして〇・〇〇幾らというふうな数字でございます。したがいまして、これが周辺公衆の方に影響を与えることはないと考えられるわけでございます。そういうふうなことからいたしまして、特に現時点におきまして、松葉の検査と申しますか、そういうものをやる必要はないと考えております。  ただ、一般論といたしまして、原子力施設からの放射性物質の放出というものができるだけ低くあるべきであるということは、まさにそのとおりでございます。特に周辺に影響を与えるようなものがほかにございます。コバルト60よりもより多く放出されておる核種がございますので、そちらの方にむしろ重点を置いて環境放射能対策を立てていくべきであると考えております。
  195. 上坂昇

    上坂委員 時間がありませんから、これはお願いしますが、四月の十日に一号炉の一次冷却水の再循環ポンプの軸封装置が故障して運転を停止したと報道されているわけであります。このことについてずっと質問したかったのですが、時間がありませんから要望いたしますが、これは原発ではこう言っているわけです。ちょっとおかしいと思ったので調べてみたら、取りかえなければならないと思うので消耗部品を取りかえたんだ、こういうふうに言っています。ところが、その消耗部品というのは定期検査のときとかなんか取りかえるのだそうでありますが、この四月十日に取りかえた消耗部品というのは、その前に取りかえたのは一体いつなのか。それからその軸受け装置の消耗部品というのは一体何を指しているのか。それからこうした部品についてはどのくらいの期間を置いて点検をするのか。それから平常で運転をしているときにそういうものを見つけることが一体できるのかどうか。停止をしなければ見つけることができないのかどうか。その点を後で私のところへ報告をしてもらいたいというふうに思います。よろしいですか。
  196. 高橋宏

    ○高橋説明員 後ほど御報告をいたします。
  197. 上坂昇

    上坂委員 質問を終わります。
  198. 中村重光

    中村委員長 次は嶋崎譲君。質問者の持ち時間の関係がありますから、政府側は明快、簡潔に御答弁願います。
  199. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 私は、時間が三十分で非常に短いですから、私も短い質問をしますから、簡潔に答えてください。  能登半島の一番とっぱなの珠洲市というところのいま問題になっておりますいわゆる珠洲原発に関する立地調査に関連しての質問でございます。  この調査は、科学技術庁所管の原子力平和利用研究促進費の中の原子力開発立地調査委託費によって通産省が行っているものですから、科技庁の方は、いまからの質問を聞いておいていただきたいと思います。  さて、現在行われつつある珠洲原発の立地調査の経過と現状、それからそのねらい、簡潔にお答えください。
  200. 高橋宏

    ○高橋説明員 まず経過について御説明いたします。  石川県珠洲市につきましては、昨年の十一月、同市長及び市議会議長から県知事経由で当庁に対しまして、同市において原子力エネルギー基地の開発について関心が高まっている、そういうことがあるので、原子力発電所の立地の可能性について調査してほしいという要請がございました。当庁といたしましては、これを受けまして、去る三月より、いま先生おっしゃいました原子力平和利用促進費により立地調査を実施いたしております。  次に、その現状でございますけれども、三月から調査をいたしておりまして、ただいま大体三本のボーリングが完了して、その試料のいろいろと分析に入っておる段階かと思います。  それから、その調査の性格でございますが、私ども通産省といたしましては、原子力開発が計画的に行われなければいかぬ、それからそういう地域社会に与えるインパクトも大きいというようなこともございまして、昭和三十八年からこの原子力平和利用促進費によりまして全国的な調査を実施いたしております。これはあくまでも、予算規模が年度で大体四百万前後でございまして、一カ地点二百万強というような中身から申し上げましても、いわゆる概要調査でございまして、これをもって各企業の立地のためのガイドラインとする、そういう性格のものでございます。  以上でございます。
  201. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 地元からの要請に基づいて調査に入ったわけですが、ここにもありますように、立地のガイドラインとするものだということと、それから予備的な調査である、こう言ってますね。立地のガイドラインであって予備的調査であるとすれば、国がボーリングを入れて調査を始めたということは、将来ここに原発が建設される可能性というものを含んでいなければ全然調査する意味がないわけですから、それじゃその可能性についてどういう判断に基づいていますか。たとえば海象、気象、水、それから人口の関係地質関係、それらの点について簡潔に答えてください。
  202. 高橋宏

    ○高橋説明員 従来の実績でおわかりになるかと思うのでございますが、昭和三十八年以来三十八カ地点ほどやっておりますが、そのうちで実際に原子力の立地が実現したものは、建設中を含めまして四カ地点でございます。そういう趣旨から言いまして、必ずしもそこに原子力立地が可能であろうという前提での調査とばかりは言い切れないように思われます。これにはいろいろと経過がございまして、図上等で積極的なアプローチをする場合もございますし、それから県、通産局等からの御要望等で調査をするというケースもございますので、必ずしも立地を前提とした調査ということではないと私ども判断いたしております。
  203. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 しかし、今度の調査に関連して、日本工業新聞の三月三日号にこういうことが言われています。「こうした実情から通産省は大規模原子力発電の最終的な立地地点を青森県下北と石川県能登の二地区に定め、この両地区で、長期的な見地から大規模な発電所建設に取り組む必要があるとの判断を固めた」模様であると報道していますが、この報道は正確ですか。正確じゃないですか。
  204. 高橋宏

    ○高橋説明員 原子力の立地につきましては、従来のように、一つの電力会社が自分のテリトリーの中だけでやるという方式が必ずしも適切だとは思っておりません。今後はやはり、安全確保の点から言いましても、あるいは効率的な開発という点から言いましても、あるいは経済性という点から言いましても、そういう共同開発というような形が望ましいという判断を持っております。本地点と申しますかにおきましても、今後この調査の結果にも当然よるわけでございますが、さらに、この国の概査を踏まえて企業がどう判断するか、あるいは地元公共団体がどう判断するか、いろいろございますけれども、そういうようなプロセスを経まして、いま言いましたような地元の理解と協力の上で理想的な開発ができれば、それは非常に望ましいというぐあいには考えております。
  205. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 いまのところは、ここで言っているように、青森の下北と石川県の能登半島の二地区を大型の原子力発電所を持ってくる基地として設定しているという前提はないのですね。
  206. 高橋宏

    ○高橋説明員 現段階ではそのとおりでございます。
  207. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 しかし、今度の調査はもうすでにボーリング調査をやっていますが、最初に調査の地点の地図を提出願いたいと思います。できますね。
  208. 高橋宏

    ○高橋説明員 調査地点と申しますのは珠洲市高屋町地区ということになっておりまして、そのエリアということになっておりますが、そういう地図をお手元にお届けいたします。
  209. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 五月、六月にもう二カ所やることになっていますね。昨年度予算で三月にやって、そして今年度予算で五、六月にあと二カ所という計画になっていますが、その地点は決まっていますか。
  210. 高橋宏

    ○高橋説明員 この珠洲市高屋町の調査でございますが、御説明しましたような調査を実施しておりますが、昨年三月という時点からやりましたし、それから予算上の制約もございましたので、これはこれで完結はできないということで五十一年度に引き続くことを考えておりますが、その他の地点につきましても、そういうこととあわせて今後検討したいと思います。予算の成立がおくれましたので、若干その辺の準備はまだ固まっておらないというのが現状でございます。
  211. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 この新しくやる二カ所も含めて、その地点の地図を提出していただきたいと思います。それはいいですね。  それで今度は、その三月にやったボーリング調査ですね。その調査についてデータを柱状図を含めて提出願いたいと思いますが、いかがですか。
  212. 高橋宏

    ○高橋説明員 わかりました。御提出いたします。この資料は以前からすべて公開いたしておりますので、報告書ができ次第お手元に届けたいと思います。
  213. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 三月のボーリング調査の深さは何メートルですか。
  214. 高橋宏

    ○高橋説明員 私、正確にいま手元にございませんが、三本合わせて約八十メートル程度と了解しております。
  215. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 この調査によりますと、ボーリング調査のほかに気象調査をやると言っていますが、気象調査はいつだれがどこでやるのですか。
  216. 高橋宏

    ○高橋説明員 五十一年度の契約等につきましてはこれからでございますが、私どもの心づもりといたしましては、気象調査は約一年間継続してやる。その実施主体としては気象協会を考えております。
  217. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 気象調査はまだやってなくて、今年度予算でやるんですか。
  218. 高橋宏

    ○高橋説明員 何しろ予算が余りたくさんございませんので、どういうような優先順位でやったらよろしいかということにつきましてなお検討いたしたいと思いますが、気持ちとしましては、これは両方でやはり一体のものかと思いますので、なるべく早く同時に、気象調査の方も早く結論が出るような努力はいたしたいと思っております。
  219. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 いずれその気象協会でやった調査も提出願いたいと思います。  そこで、最初に聞いた質問に答えてないですけれども、そういう気象の調査を将来やりますね。それからボーリングの調査をやる。ボーリングの調査は、先に聞きますが、いつ終わる予定ですか。
  220. 高橋宏

    ○高橋説明員 早ければこの夏くらいまでには報告書が製作できるようにしたいと考えております。
  221. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 じゃ、夏ごろまでにあと二カ所やったとして、そのボーリング調査の結果に基づいて、立地については適否の判断をその段階でするんですか。
  222. 高橋宏

    ○高橋説明員 お答えいたします。  この報告書自体でございますけれども、すでにたくさん報告書が出ておりますが、これは結論としてその立地が適当であるというような判断は実は下しておりません。と申しますのは、先ほどから御説明いたしておりますように、数本と申しますか、そういうようなボーリングなりあるいは地表踏査といったようなことが全部でございまして、なかなかそこまで結論が出ない性格のものでございます。報告書といいますのは、その委託で行った地質調査のデータをそのままそこに記載する、そういう報告書になっておるわけでございます。  これは、先ほどお話しいたしましたように、発電所をつくる主体である企業とか、あるいはその関係のある地元の方々がごらんになって、そこで次のステップに進む。したがって、当然この調査から実際の発電所計画が固まるまでの間に、企業等によります詳細な地質調査あるいは環境調査といったものが必要でございますし、当然でございますけれども、その次には、もしもそれが国の計画として固まるためには、電源開発調整審議会、そういうかなりの道のりと手順を踏んでやるということになります。
  223. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そうしますと、国が大体地質の調査、ボーリング調査を終わりますね。それは一つの客観的なデータ出すわけですね。企業に対してそのデータを当然示すわけでしょう。ですから、それは公表してもらいましょう。それで気象の調査も公表してもらいましょう。それをしてもらうとして、ただ新聞が、たとえば工業新聞であれ、地元の新聞であれ、相当大規模な——工業新聞では当面二百万キロワットと言っておりますが、将来は一千万キロワットの大変膨大な計画だと、こう言っています。こういうように片一方で企業の側は、もうすでに去年の一月ごろから現地視察に次々と電力会社が来ておるわけです。現にそういう動きがある。そして国は予備的な調査だといま言っている。ところが、現地はどうなっているかというと、もう電力会社が予備的にのぞきに来て、国がそういう予備予備の調査であれ調査に入ったということで、現地の珠洲市というのは原発行政一色だと言っていい状況に今日あります。  だから、いまの調査は、将来立地に適しているかどうかの客観的なデータを出す調査なんですから、ここに原子力発電所を持ってくるかどうかの結論は、それでは出ないわけですね。いかがですか。
  224. 高橋宏

    ○高橋説明員 私も、地元の新聞等ときどき拝見するわけでございますが、私は、先ほどから御説明いたしておりますように、珠洲市自体もこの可能性についての調査を国に依頼するという立場でございます。私どもそういうことを受けまして、そういう性格の調査をしておる。したがって、どこの電力会社がどういう規模でこの計画を固めるかというような話はこの次の段階でございまして、現段階ではないわけでございます。軽々しくそういうような記事が出るということについて、私ども非常に不本意に思っております。
  225. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そこで、こういう事実御存じですか。現在ボーリングをやっている個所の全町が——その町は、高屋町の戸数はここにメモがあるんだけれども、時間がないものだから省きますが、全世帯の十八歳以上の人が、このボーリング調査には承諾してないということを、市長にボーリングやっている真っ最中に申し入れているという事実を知っていますか。
  226. 高橋宏

    ○高橋説明員 十分承知いたしておりませんが、ボーリングをするにつきましては、当然市当局と十分連絡の上やっておるわけでございまして、調査の性格がそういう性格でございますし、ぜひ調査は円滑に行われるように私どもは希望しておるところでございます。
  227. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 現地のボーリングやっている調査の承諾をとるときに、ここは御承知のように、みな出かせぎ地帯なんです。ですからだんなさんがいないわけです。そのときにおばあちゃんやら何かの印鑑だけをばっばばっばととって、そして調査にかかったのです。ところが、これは困るということが後で問題になったのですが、その承諾書には、何のための調査かの目的を記入してない書類でもって、印鑑だけとってやったのです。後でこれが、将来原子力発電所が来るかもしれない、いわばそういう可能性を含めての調査であるということがわかって、全町民挙げて市長に承諾してないという申し入れをしていることは、もうすでに地元や読売新聞その他で報道されていますから、その辺の事実をまず確認しておいていただきたい。  それから今度は第二番目に、現地、市は何をやっているかというと、市長を中心にして現在までに延べ二百五十名の人、市の係長、それから漁業関係の人、地域開発協議会のメンバー、そういう人たち、二百五十名の人間が原子力発電所の視察のために動いて、市の予算を五百万使っているわけです。これは四月二十八日の現地の読売に載っております。その五百万円の使途についてばかなことを言っているのですが、助役は、この金はいずれ国と県からもらうことになっておりますのでと答弁をしておりますが、そんなばかなことはないと思いますが、どうですか。非常識だと思いませんか。これは新聞に明確に談話として載っておるのです。
  228. 高橋宏

    ○高橋説明員 いまおっしゃったとおりであるとすれば、適当ではないと思います。
  229. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 正確に言っておきましょう。四月二十八日の読売石川版、読売の新聞記者の質問に珠洲市の助役が答えている内容でございます。そういう現実がある。  それから、最初に市の決定に基づいて県に上申されたこの調査の手続、これも非常に疑問であります。全員協議会で多数で決めましたけれども、正規の市議会の議決を経ていない決議でございます。それに基づいて県に出てきて、この調査が現実に行われている。そういう意味におきまして、今度の調査は予備の予備の調査だとおっしゃいますけれども、現地の市は、原発誘致のための町ぐるみまさに原発行政が始まって、そして市の予算を使ってそういう視察旅行が非常にはでに行われているという現実があるということ。しかも現にボーリング調査をやった地域は、その高屋町全世帯挙げて、工事目的を明らかにしないこの調査には協力できないという署名をもって市長に申し入れが出ているということ。そういう意味で、国の方がやっておる調査を予備の予備の調査だと言っているけれども、現地はすでにそれで原発行政みたいなもので走っている。これが今日の原子力発電所の常に行われている一つの姿だと思う。  そういう意味で通産省としては、調査の問題と、市がそれをどう受けとめるかを切り離す意味において、そういうあり方に対してきちっとした行政指導をすべきだと思いますが、どうですか。
  230. 高橋宏

    ○高橋説明員 非常にむずかしい御質問でございますが、私ども原子力開発はやはり、将来のエネルギー安定供給のためには、安全と環境に十分配慮しながら進めなければならない、そのためには地元の皆様の理解と協力がまず土台になるわけでございまして、そういう意味で国としての広報活動もいろいろとやっておるわけでございますが、別の角度で市、県等の方々が、正しい原子力知識普及という立場でそういう勉強会等をおやりになることは、私どもは大変ありがたいというぐあいに考えております。ただ、それがあくまでも地域の皆様方の理解と協力を得るための一つの素地をつくるための知識の普及、勉強ということでありましょうから、それがいまおっしゃったような誤解を招くような結果になるということは適当ではないということだと思います。
  231. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 勉強会ならいいと言いますが、現地の勉強会はどういうのかというと、自由民主党の地域開発協議会が行っている地域の座談会に市の職員が映画を持っていき、パンフレットを持っていき、そういう形で宣伝活動が行われているのです。政党の座談会に市役所の職員が駆り出されて日常的な活動が行われている。だから、それに使われている費用も、恐らく市が負担していると予測されます。ですから、現在のそういう宣伝活動は、中立であるべき行政がまさに一つの政党のいわば原発推進の座談会に巻き込まれているという事実がありますから、そういう意味で、ボーリング調査の二回目、三回目に当たっては、現地住民との十分なる話し合いなしに取りかかるような軽率なことはしてもらいたくない。そういうことをしていたら、いつまでたっても建ちやせぬのです。だからそういう意味で、この事実を再度調査した上で善処方を要望します。  さて、今度の立地の調査に当たりましてボーリングをなさったが、皆さんボーリングをなさる場合に、ここの立地に一キロ内に断層はありますか。
  232. 高橋宏

    ○高橋説明員 まだボーリングの結果を見ておりませんので、お答えしかねます。
  233. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 どこをやっているかわからぬなんて、おかしいじゃないですか。あなた方がボーリング調査を依頼するなら——もうちゃんといま現に三月に調査したわけでしょう。その域の近所に断層があるかないかということを知らないのですか。
  234. 高橋宏

    ○高橋説明員 御質問の趣旨がちょっとあれでございますが、高屋地区のボーリング個所三ヵ地点については了解しております。そこに断層が明らかにあるかどうかという点につきましては、私は了知しておりません。
  235. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 三キロ以内についても、五キロ以内も知りませんね。
  236. 高橋宏

    ○高橋説明員 私は現在知りません。
  237. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 地図を見ましょう。この地図は工業技術地質調査所、これがこしらえた二十万分の一の能登半島の凸版の地図です。通産省はこれを見てないのですね。——見ていないなら見ていないと答えればいいのだ。
  238. 高橋宏

    ○高橋説明員 私どもは、高屋地区は非常にミクロな地図でやっておりまして、その地図については、詳細私は存じておりません。
  239. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そのミクロの地図も私はいま取り寄せています。この地図で明らかなことは、いま調査している高屋町というのは海岸の断層のど真ん中です。真上だと予測されます。それから半キロもせぬところに幾重にも断層のある地域です。現にこの地域は地すべりで大変問題になっているところです。御存じですか。
  240. 高橋宏

    ○高橋説明員 地すべり地帯、あるいは断層があるかどうかという点につきましては、この調査によりまして十分明らかになっていくと思いますが、一般論としまして、この辺は地すべり地帯という指定等があるという話は一応聞いております。
  241. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 だからおかしいのですよ。通産省が科技庁の所管の予算を使ってその調査をやるに当たって、ここが将来原子力発電所可能性があるかどうか、そういうことの調査に入る前に、果たしてここが適地であるかどうかについての少なくとも最低の判断をしなければ、それは国費のむだ使いです。したがって、ここのように非常に断層が——その断層というのは調べてみなければわかりません。開いているかもしれない。ふさがっているかもしれませんよ。古さも考えなければなりません。そしていつ形成されたか、地盤にどういう変形が今日まで起きたのか、そういうことについてはすでに地質学者は一定程度これは調査してあります。だからそういうものについて、あなたの方で全然事前の予備的な知識なしに、その地区を指定して、そしてボーリング調査をやるということ自身が地元の不信を買うのですよ。そういう意味でこの地域は、立地的に見ても、いまだボーリングする前の予備的調査の必要な地域だと思う。どうですか。
  242. 高橋宏

    ○高橋説明員 調査報告書の中には、そういう一般論と申しますか、従来の地質調査等に基づく所見も恐らく入ってくるかと思います。と同時に、今回調査におきましても、地表踏査等によりまして、そういう点を含めて可能な限り検討されることになるかと思います。
  243. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 それからこの地域の風向きは、大ざっばに見てどう判断しているのですか。さっきおっしゃったように、将来、調査するに当たって、気象を一年を通じて正確にやるでしょう。大ざっぱに見てどんな気象なのか、どういう海象なのかについて判断したことがありますか。専門家意見を聞いたことがありますか。
  244. 高橋宏

    ○高橋説明員 季節風が卓越する時期があるというような話は聞いております。
  245. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 そこから十キロ以内のところに人口三万の珠洲市というところがあります。北風が冬に吹きますと、御承知のように、クリプトン75などは非常に重いですから、風でずっとたれ込めてくるのです。そのために諸外国では、この人口稠密、気象というものと原子力発電所の設置というのは、非常に大きな問題にしていく条件であります。そういう意味では、私の気象の常識でも、非常に不適当な性格を持っているというふうに予測されます。  それからこの地域は、舳倉島にかけて日本海の中で最も魚の豊富なところです。もう福岡からも魚をとりに来ますし、東北からも来るところです。この近海は稚魚と卵の産卵地です。ですから、一千万キロワットもあるようなでかいものを将来計画することがあったら、水にしたって百万キロで大体秒八十トンでしょう。もし一千万といったら八百トンですよ。その水をぐうっと吸い上げれば、塩素をかけるのですから、稚魚や卵はみんな死んでしまいます。しかもここは暖流が流れていて大変な魚の宝庫です。ここは養殖の地点なんです。しかもこの暖流が富山湾に還流している地域です。そのとっぱなに原子力発電所ができたときに、漁業に対するどのような影響があるかということについて、事前に少しの調査もしない。断層についてもよく見ていないですでにボーリング調査を始めているというようなやり方。現地の要望があったから顔を立てるためにやるような調査ならやめた方がいいし、そういう意味で、この調査のやり方は、手続の上から見ても、予備的な調査という観点から見ても——予備の予備予備調査ですよ。事前の調査から見ても、立地調査としてはずさん過ぎると思いませんか。この辺を調査したことがありますか。
  246. 高橋宏

    ○高橋説明員 いま先生が御指摘になりましたことは、原子力の立地を決定する場合に非常に重要な問題であることは、おっしゃるとおりでございます。しかしながら、その中でもやはり地盤問題というのが、原子力の立地について一番重要なファクターになるという趣旨でこの立地調査の予算の実施が行われているというぐあいに私ども了解をいたしております。
  247. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 では最後に。したがって、三月にボーリングはもう現実に行ったのですから、それのデータはいただきます。  では、五月、六月、いま行おうとしている調査に当たって、この地域の調査の仕方について再検討するという意思はありませんか。
  248. 高橋宏

    ○高橋説明員 従来からも、おっしゃったようなことを予算の範囲内で可能な限りやろう、たとえばすでにわかっている知見等は当然報告書の中に組み入れていただくという趣旨でやっておりますので、今後の調査に当たりましても、先生の御趣旨を十分体しながらやっていきたいと考えております。
  249. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 ぼくは、調査をやるなと言っているのではないのです。調査するに当たっては、少なくともこの断層というものの性格について、事前に一定程度の予備的な知識を持つようなことが必要だということ。それから気象や海象についても、全然専門家意見を聞かずに事を処理するのではなくて、そういうものを一定程度聞いて予備知識を持った上で、しかも手続としては、そのボーリングする地域の住民との十分なるコンセンサスをとるまでは仕事にかからないぐらいの構えで話し合いをしていかなければ——大体国の調査というものは、原子力発電所をやるときに全部スタートから行き詰まっちゃうのですよ。そういう意味で、やるなと言っているのじゃなくて、五十一年度予算中にやらなければならないならやっていいが、やるに当たっては、いま私が言ったそういう客観的条件についての予備予備の知識を得ることと、それからその調査に当たっては、地元の了解を得るというところまで指導しつつ行うということを約束できますかと言っているのです。
  250. 高橋宏

    ○高橋説明員 私どもの調査は、委託という形でやっております。(嶋崎委員「委託といったって、通産省がやっているじゃないですか。責任はあなたたちですよ」と呼ぶ)その委託先におきまして、十分そういうことも配慮しつつやるように指導していきたいと思います。
  251. 嶋崎譲

    ○嶋崎委員 これで終わります。
  252. 中村重光

    中村委員長 午後二時四十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時五十六分休憩      ————◇—————     午後二時四十七分開議
  253. 中村重光

    中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。瀬崎博義君。
  254. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 昨日、長崎の地元から八人の参考人見えて、切実な地元の声というものを国政に反映させる努力をされたわけであります。私はできればその場で政務次官の感想をお聞きしたかったのでありますが、残念ながらそれができませんでした。おおむねその発言は小沢政務次官が聞いておられるわけでありますから、政府を代表して、きのう出されました意見に対する政府側の考えなるものを、まずお伺いをしておきたいと思います。
  255. 小沢一郎

    小沢(一)政府委員 昨日、長崎の現地から、地元の各界各層を代表する皆さんに参考人としておいでをいただきまして、非常に貴重な御意見を伺ったわけでございます。その中には、私どもに対するいろいろな指摘、厳しい批判等もあったわけでございますが、私どもといたしましては率直に、参考人の皆さんがおっしゃったような点につきましては、とにかく改革できるものは改革し、反省し、そして今後の原子力行政というものを進めていかなければならないと考えます。  ただ、一般的なことで原子力というものに対する正確な正しい理解が必ずしもなされていないような点もあるような感じもいたします。そういう点は、私どもの責任でもあるかもしれませんが、そういう点につきましては、正しく御理解いただけるように今後ともみずからを律しながら努めてまいりたいと思います。
  256. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ただいま長崎の各界各層の御意見を聞いたというお話がありました。賛否両論があったことは事実であります。しかし、いまの各界各層という言葉の中には、昨日の意見陳述が、決して長崎の片寄った意見、一部の意見ではなく、長崎県民を普遍的に代表する意見である、そういう理解は十分持たれたのでしょうね。その点をはっきりさせておきたいことと、今後とも、出された意見を無視して「むつ」の長崎修理港の押しつけを強行する、そういうことはないということについて、はっきりとした政府の言明を聞いておきたいと思うのです。
  257. 小沢一郎

    小沢(一)政府委員 昨日の参考人の皆さんも、長崎県民を広く代表されている方々の御意見であると思いますし、また私どもとしては、地元の皆さんの御意見考え方を無視して強行して進めるというような気持ちは持っておりません。
  258. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 特に、小沢政務次官は、みずから三月初めに使節団といいますか、よく小沢ミッションと言われますけれども長崎に行っていらっしゃいます。ただ、その小沢政務次官を代表とする使節団は、現地で余り評判がよろしくなかった。現に、たとえば記者会見に被爆者団体を立ち会わせないというふうなことがあって、いろいろと抗議が出たとか、あるいは平和公園を歩いている暇がある政務次官が会わなかったために、そこまで被爆者団体の代表が出向いて直訴したというふうなこともあったのでしょう。そういう点については、改めて昨日の普遍的な意見を聞きながら反省をされておるのかどうか、伺っておきたいと思います。
  259. 小沢一郎

    小沢(一)政府委員 先般、私が団長として参りまして評判がよろしくなかったことは、団長の不徳のいたすところだったと思いますけれども、ただいま先生おっしゃった被爆者の皆さん、あるいは反対の御意見をお持ちの皆さん、そういう皆さんとお会いして話をすることを私は拒否したことはありませんで、長崎でも佐世保におきましても、そういう皆さんとお互いに話し合う機会を設けたことは御了解いただきたいと思います。
  260. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 昨日の参考人の御意見の中には、それぞれ専門家立場からの意見というものもあったわけであります。特に、船に関する権威者が船についての貴重な意見を述べておられましたが、そういうことと関連しながら、運輸省の方に少しお尋ねをしたいと思うのです。  昨年の十二月に、行政管理庁から「原子力行政に関する特別調査結果報告書」というものが出ておることは御存じだと思います。ここに舶用炉を含む原子力船の検査の実施方法についていろいろ報告が出ております。まず、原子炉等規制法基本設計審査の段階に該当するものとして、「船舶安全法では、まずメーカーが運輸大臣に対して船体、機関(舶用炉等)について製造検査の申請を行い、これを受けて」 「製造仕様書等を提出させ、審査の結果適当と認めれば首席船舶検査官名で当該仕様書等は適当と認めるとの文書を交付することとしている」という指摘があるわけであります。このいわゆる規制法で言う基本設計審査に該当する運輸省側の適否の判断、まあ当時適と認められているわけでありますが、これはいつだれの名前で行われたのか答弁を願います。
  261. 謝敷宗登

    ○謝敷説明員 運輸省では、船舶安全法によりまして船の検査をいたしておりますが、船舶の検査に当たりまして、特に原子力船の場合には、炉規制法による設置許可がなされました後、私ども昭和四十三年の四月十日に製造検査が申請されておりまして、それから第一回定期検査が昭和四十四年の六月十六日に申請がなされております。  船舶安全法のたてまえといたしましては、炉規制法の発電炉の検査と違いまして、何分にも海象、気象が激しい環境下における試験でございますので、設計の承認あるいは工事の認可とかいうふうに区切りをつけて私どもは手続をしておりません。それで、製造検査に当たりまして、設計あるいは材料、それから工事の内容、効力試験を続けてまいりますが、前の段階にふぐあいがあれば、前の段階に戻って検査をしていく、こういうのが実態でございます。したがいまして、一般の船舶におきましても、各区切り区切りで製造検査合格証明書、何々の段階において合格したという通知はしておりません。
  262. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 以前にも何遍も国会でお答えいただいているわけですから、もうすでに答えられたことはすべて省いていただいて結構なんです。その上に立って私がお尋ねしているのは、そういうことをちゃんと調べた上で行政管理庁は改めてここに出しているわけでしょう。「まず製造仕様書等を提出させ、審査の結果適当と認めれば首席船舶検査官名で当該仕様書等は適当と認めるとの文書を交付することとしている」と、こうなっているわけなんです。これが炉規制法で言う基本設計審査に該当すると書いてあります。これを出しているのかいないのかということをまず聞いているわけです。はっきり、出しているのか、出していないのかだけ……。
  263. 謝敷宗登

    ○謝敷説明員 製造検査についての合格証明書はまだ出してございません。製造検査中でございますので、出してございません。
  264. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ごまかさないでください。ここには製造仕様書を出させ、当該仕様書を適当と認めるならば認めるとの文書を交付すると、こう言っているのです。この、つまり製造仕様書に対する適当という文書を出したのか、出さないのかと、こう聞いているのです。
  265. 謝敷宗登

    ○謝敷説明員 通常、製造仕様書の段階で適当と認めた場合には、その製造検査の仕様書あるいは図面につきまして、検査の結果適当であると認めて返却をいたします。それが要するに設計の承認という形で出してございます。
  266. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 「むつ」について、それが一体いつだれの名前で出されておりますかと、こういうことなんです。
  267. 謝敷宗登

    ○謝敷説明員 原子力船については、本省が管海官庁となっておりますので、首席検査官以下、本省の検査官が検査を実施し、したがいまして、その都度、図面その他を返却することによって、合格の証明にかえております。
  268. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 したがって、いわゆる基本設計に相当する製造仕様書等に対するあなたの方の、いま言われる承認しての返却はいつ行われているのですか。——大変時間がもったいないですから、出しているのですね。それだけはっきり答えてください。
  269. 謝敷宗登

    ○謝敷説明員 仕様書につきまして検査して、適当であるという旨を確認いたしまして、それを返してございますので、そこで承認済みということになっていると思います。細かい点については、日付その他についてはいま……。
  270. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 後で結構です。  じゃ、その後「むつ」が事故を起こしましたが、起こして以後、まあ適当だといって返却したその製造仕様書等について、何か検討を加えましたか。
  271. 謝敷宗登

    ○謝敷説明員 私どもとしまして、「むつ」の事故後、遮蔽検討委員会のメンバーといたしまして、私が直接科学技術庁の担当者とともにそのメンバーに入っております。それから最近、ちょっと日付を忘れて恐縮でございますが、「むつ」の遮蔽改修計画、それから総点検の計画につきましても同様に、設計の内容を委員会において検討し、私ども検査当局としましても、その内容についてチェックをし、原子力船事業団から図面その他が出てまいりますれば、それをチェックするという形でやっております。
  272. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私はあくまで、ここで行政管理庁の指摘している、船舶安全法上の独自の運輸省の手続をとっているかどうかを聞いているわけなんです。この点はごまかさないではっきり答えてほしいんですね。恐らくいまの説明からすれば、それをやっていないということだと思うのですね。説明のあったのは、検討委員会というふうなものを挙げられただけですから。  同じく行政管理庁の報告によりますと、「製造検査の中で製造工程に応じ必要な設計図面等を提出させ、審査の結果適当と認めれば、その都度首席船舶検査官名で当該設計書は適当と認めるとの文書を交付の上、これに基づいて施工させることとしている」、こう書いているんです。原子炉とかその遮蔽部分について、いっその設計書を出させ、いつ適当と認めたんですか。
  273. 謝敷宗登

    ○謝敷説明員 具体的な日付の点については、ただいま手元に資料を持ってきておりませんので、調査をしてお答え申し上げたいと思います。
  274. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ただ、私が言った原子炉部分とか遮蔽部分、この部分について設計書を出させ、これを承認したという事実はあるんですか。
  275. 謝敷宗登

    ○謝敷説明員 設計の検査をやりますので、設計の前の仕様書、それから設計書は出させて、それを適当と認めて承認をし返すということでございます。
  276. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ところが、やはり遮蔽部分については誤りがあったから放射線漏れが起きました、こうなってくると、その運輸省の承認は間違いであったということになりますね。これははっきり確認しておきたいと思うのです。
  277. 謝敷宗登

    ○謝敷説明員 これは何回も御答弁申し上げておりますが、私どもは、当時の学問の段階におきまして、私どもの省にあります船舶技術研究所の原子力船部が、原子力研究所と共同をして遮蔽実験をやりまして、その結果を参考にしチェックをして、適当と認めたわけでございますが、たまたまその当時におきます計算のコードにまだ学問的に至らない点があって、今回の高速中性子の漏れを引き起こしたということで、当時の漏れの実態と再度の実験と、それからその後におきます解析によりまして実験計画を立てまして、それで、その実験を終わり次第設計に取りかかるということを受けて検査をしてまいった、こう考えております。
  278. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私はそんなことを聞いているのじゃなくて、明確に行政管理庁が指摘している、船舶安全法に基づく手続がきちんと守られているかどうかということを聞いているわけなんですね。したがって、製造工程についてもそれぞれ設計書を出さして、承認した上、製造をやらしているということなんですね。その結果、放射線が漏れたということは、少なくとも遮蔽部分の製造工程については、当時の事情がどうであったにせよ、運輸省の検査は間違いであった。これは何回も国会で説明したと言いますが、あなた方が、みずからのこの承認が間違いであったと言ったことは、一遍もないのですよ。ここに初めて行政管理庁の文書で、こういう工程が踏まれているはずだという指摘があるのです。あなたはそういう手続は踏んだと言いました。そうするとその承認の手続が誤っていたんだ。誤ってなかったら、放射線は漏れないと思うのですね。どうなんですか。そこだけ答えてください。
  279. 謝敷宗登

    ○謝敷説明員 繰り返し申し上げて恐縮でございますが、船の場合には、設計工事という段階だけでその安全性が一〇〇%担保できるということでございませんので、必ず最終的には効力試験をやって確認をしていく。したがいまして、途中の段階で合否の判断をするのでなくて、最後に効力試験をやって確認をしなければならないという性格だと船舶を考えておりますので、そういう手続制度になっております。したがいまして、いま先生指摘の、途中の結果がどうであったか、これについては、たとえば他の一般船舶におきましても、そういう事故、故障あるいはふぐあいが起こりますと、それはさらに設計の手直しから工事の手直しを進めまして、最終的に効力試験をやりまして製造検査の合格といたすわけでございます。
  280. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 最終的な合格が判こをついているとかついてないとか、その適否の判断が正しかったかどうかを私は聞いているのじゃないのですね。少なくとも製造工程に応じたそれぞれの設計書の審査をした、こうおっしゃいました。その結果、効力試験の全部ではないけれども、ちょっとだけやったら事実放射線が漏れた。その時点であなた方の製造工程における審査に誤りがあったということだけは認めますか。ここなんです。
  281. 謝敷宗登

    ○謝敷説明員 私ども審査の結果が事象と違ったという点は認めますが、検査の判断におきまして、私どもとしては当時の知識で最高の知識努力をもちまして検討したわけでございまして、それで一〇〇%確認できたというふうには考えてはおりません。したがいまして、間違いであったかとおっしゃられれば、事実は違っておりました。それを実験し直していくのが私どもの検査のやり方でございます。
  282. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そこで、きのう長崎造船大の船舶の権威者である山川教授は、普通、実用化されている船の場合でも、その製造検査に当たっては、必ず機関とか推進機などは陸上で過酷な条件を与えながら何回もテストを重ねて、そこできちっと合格したものでなければ船に積まない。これは明治以来百年の伝統だ、こういうふうに言われているわけなんです。この山川教授の指摘はお認めになりますね。
  283. 謝敷宗登

    ○謝敷説明員 一般の船舶においては、山川先生がおっしゃっていた趣旨を新聞で拝見いたしましたが、普通そういうやり方をしております。と申しますのは、現在、陸上試運転をやっておりますのは、なるべく海上試運転の時間を短くするという意味もございまして、陸上でできるものはできる限りやるという趣旨で通常船舶は行っております。  ただ、原子力船の場合には、陸上の原子炉と同じ意味での原子炉であると同時に舶用機関でございます。私、先ほどから繰り返して恐縮でございますが、厳しい負荷変動と申しますか、波によるプロペラの回転数なり、あるいは発停進の繰り返し、あるいは振動とか動揺とか、こういったものに耐えなければならぬわけでございますが、これらは実際に実験するには総合的に海上でやるのが一番最適だと考えております。  陸上でやります原子炉の核特性につきまして、しからばどうかということかと考えますが、「むつ」の炉につきましては、炉の型式なりあるいは出力におきまして特殊なものでないということで「陸上炉の実験経験と、それから模型実験によって確認すれば足りる、こういう判断原子力船第一船の開発基本計画が決められたものと考えまして、私どももその線に沿って、海上で二年間諸種の試験を総合的に行うという方針に従ってやってまいったわけであります。
  284. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 この山川教授などの指摘、しかも謝敷検査官が認められたその常道については、やはり行政管理庁も指摘しておりますね。普通は推進機、機関等の「単体ごとに施工の結果について各種の検査を行い、次の工程に進めさせ、後の工程に進んでからでも問題があれば必要に応じ設計図面の審査からやり直し、必要な措置を行わせ、最終的にはその単体が基本設計審査で求められている性能を担保しているかどうかについては効力試験を行い、製造検査の合格の判断を行うという検査業務の実施方法を取っている。」だから、これがまさしくいまの造船界における常道だろうと思うのです。ましてや初めての舶用炉を「むつ」に載せるに当たっては、私はこれ以上のことがなされるのが当然であって、そういう手間を省いたとするならば、根本的にやり方を間違った、こういう反省がなければならないと思うのです。いかがですか。
  285. 謝敷宗登

    ○謝敷説明員 その点につきましては、いま先生の御指摘されました、行政管理庁の通常の船舶の検査のやり方に関連して「むつ」の場合を御説明いたしますと、「むつ」の原子炉部分につきましては、陸上で出力を出すわけにいきませんので、ゼロ出力の状態で臨界実験をやっております。それから、原子炉の特性といたしまして、実際に出力を上げて実験をするというかわりに、たとえば遮蔽等につきましては、「むつ」の原子炉と特性を比較的に似通わせることのできます原研のJRR4を使った遮蔽実験等で、各部分、各部分については、それぞれできるだけの効力試験をやって、積んで総合的にそれの出力を上げる試験を海上で行いたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  286. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それがいずれも「むつ」に積み込むものと同型のもので行われたのであるならば、あなたの言い分もある程度認められるだろうけれども大山委員会指摘しているように、陸上に同型炉をペアで建設すべしという意見もあった、また実験炉あるいは原型炉を経て実用炉に至るべきであるという意見もあった、こういうものが退けられた、こう書いてありますね。この点について、いま運輸省として、やはり普通の船舶がとっている最低その手段はとるべきであったというふうに考えているのか。つまり大山委員会意見があったという指摘、これを妥当と認めているのかどうか。
  287. 謝敷宗登

    ○謝敷説明員 大山委員会でもその問題は議論されましたし、それからその後、「むつ」をどう今後考えていくかということで、原子力委員会原子力船懇談会等でも、その議論が出たかに記憶しております。大山委員会結論といたしまして、そういう指摘がございましたら、少なくとも舶用炉としての特性を実験し、それから舶用炉の完成へ近づけていくためには、「むつ」を改修して海上試験をやって原子力船開発のめどをつけるきずなにしなさい、こういう御指摘結論かと存じておりますし、原子力船懇談会の議論の中でも、私が申し上げましたような趣旨で、総合的な実験船であるので海上において総合的な実験を続けることが妥当である、というような結論原子力船むつ」の遮蔽改修点検計画の基本的な方針を出された、こう考えておりますので、いま先生おっしゃったような方法以外で、たとえば外国で申し上げますと、西独のオットー・ハーンも、これは総合的な動力試験は全部海上で船としてやってございます例もございますので、私ども、十分今回の教訓を生かしまして、遮蔽実験と総点検を確実に励行し、直していけば、所期の「むつ」の原子炉開発、あるいは原子力船開発という目的に沿えるという確信をしております。
  288. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 あくまで私がいま尋ねているのは、行政管理庁が、船舶安全法上の手続その他がきちっと行われているかどうか、その船舶安全法上の責任がどこにあるかという指摘に対する答弁を求めているわけですね。したがって、本来ならば単体ごとに最終的には効力試験までやって、そしてそれが基本設計の性能を満たしているかどうか確認の上承認を与える、こういう手続をとるんだと言っているんでしょう。そういうことから言えば、単体ごと、つまり大きく言って遮蔽部分を含めて原子炉部分と言っていいのか、あるいは狭く原子炉部分遮蔽部分と言っていいのか知りませんが、その遮蔽部分に放射線漏れが起こった、つまり、その部分の単体には明らかに欠陥があった、こういうことがわかった以上、通常のやり方、あるいは法律上の立場からいけば、これは運輸省の責任において、これは不適当という判断をして差し戻さなければならない、そういうことになるのじゃないかと思うのです。こういう処置を運輸省としてとっているかどうか。管理庁と一緒に検討委員会をつくったりなんなり、そういうようなことはそれなりにやったらいいことだろうけれども運輸省独自では、この船舶安全法に拘束されてやるべきことがあるのじゃないか、これをしているのかしてないか、これを聞いているわけであります。
  289. 謝敷宗登

    ○謝敷説明員 安全法上の制度的なお話を申し上げますと、……
  290. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いや、もうそれは何遍も聞いている。
  291. 謝敷宗登

    ○謝敷説明員 陸上の試運転を義務づけております製造検査におきまして、原子力船あるいは潜水設備その他特殊な構造を有する船舶につきましては、検査の準備といいますか、検査のやり方を特別な必要と認める方法で指示することができる、こういうようになっておりまして、私ども先生御高承のとおり、原子炉といいますのは、一遍陸上試運転をやりますと、分解して再検査ということが困難でもございますので、西独の例等も考えて、現在の方法で安全法上検査の準備につきまして特別の指示をしながらやっていけばできると思いますし、それから改修計画が出てきましたら、私どもは当然安全法の担当者としての検査官の立場から検査を実施する、こういうことなんでございます。
  292. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私が言っているのは、少なくとも船舶安全法上の手続を「むつ」にも適合するのが妥当であるという趣旨の行政管理庁の指示があるわけですね。したがって、原子炉の場合ならば、大山委員会指摘するごとく、確かに陸上試験したものを「むつ」に持っていって積むということは困難なので、したがって、同型のものを陸上でちゃんとつくって、つまり二組つくるわけですね。そうしてきちんとした効力試験などもやって、単体に合格書を発行して「むつ」の方の原子炉の始動をやる、こういうのが正しいという指摘がある。こういうふうなことを運輸省としてはやるべきであるのにやらなかった、こういうことは認めているのかということなんです。
  293. 謝敷宗登

    ○謝敷説明員 先ほども説明をいたしましたが、船の場合に一つ……
  294. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 陸上に同型のものをつくるということだけなんです。
  295. 謝敷宗登

    ○謝敷説明員 同型のものでつくりましても……
  296. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 安全法からいったら、それが正しいのじゃないか。
  297. 謝敷宗登

    ○謝敷説明員 安全法から申しまして、先ほど御説明いたしましたように、原子力船、潜水設備等につきましては、特にそのものに適応したやり方で指示をしてやらしてよろしい、こういう制度がございます。
  298. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 にもかかわらず、行政管理庁がこういう指摘をしたということを、どう考えているのかということなんです。
  299. 謝敷宗登

    ○謝敷説明員 行政管理庁がそういう御指摘をいたしましたのは、通常の船舶で、そういうふうに、設計から工事なり、あるいは材料なり、効力試験を繰り返しやるのが船舶安全法のたてまえであるということを御指摘になっておられると、私はそう考えます。
  300. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私はこれはひとつ政府を代表して小沢政務次官に求めたいのですが、少なくとも行政管理庁が指摘したことを全くまだ無視されている、こういうことで検討委員会とかいろいろなもので改修計画を立てて、ごまかそうとするのですね。とにかく、いままでやってきたこと自身に間違いがあったという同じ政府部内の指摘ぐらいは、まじめに受け取ったらどうかと思うのですが、ひとつ大臣にかわって政務次官の責任ある答弁を求めておきたいと思うのです。せっかくこういうものが出てどうするのですか。
  301. 小沢一郎

    小沢(一)政府委員 技術的な問題ですので、その点につきましては、私は専門家でありませんのでよくわかりませんけれども、私といたしましては、とにかく検討委員会においても、こういうことでいいという報告がなされておるわけでありますし、それに基づいていまの改修、総点検をやっておるような次第でございます。
  302. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私は技術的な問題としていま申し上げたんじゃなくて、わざわざ貴重な国費を使って行政管理庁が監査をしたんでしょう。これだけのものを出そうと思ったら相当な労力が要っていると思うのです。この行政管理庁の報告書には、検討委員会改修計画をやればいいなんというようなことをちっとも書いてないですね。今日までやってきた安全審査体制なり手続に問題があるのではないかということを、きわめて控え目な態度で述べてあるわけなんです。この行政管理庁の指摘すら、運輸省としては全然聞く耳を持たぬというふうな話がいま出ましたから、そこで政府として、少なくともこういう指摘、報告をもう少しまじめに検討する姿勢を持ってほしい、こういうことだけは大臣のかわりとして政務次官にきちっと言明してほしい、こういうことを申し上げたわけであります。とにかく運輸省としてそういうことが一切行われていないこと、自分たちの承認したことが事実としてそうなったので、明確にその判断が間違ったと言わないのは、まだまだ責任を回避しているように思うのですが、そういうことでは、ますます私は「むつ」の行方はあやふやなものになるんじゃないかと思うのです。  時間がありませんので、簡単にもう一つだけお聞きしておきたいと思うのです。  それは、この間も一部お聞きして、政府側の答弁ができなかった問題であります。「むつ」の建造費が当初三十六億円と見積もられました。これは原子力委員会原子力船専門部会で三十四億円とはじき出されたものが基礎になっている、これは間違いありませんね。確認しておきたいと思います。
  303. 山野正登

    山野政府委員 御指摘のとおり、本件は三十七年の六月当時、原子力船専門部会で報告しました三十億円ないし三十五億円というものがベースになっているように考えております。
  304. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その原子力船専門部会の構成を、専門学者、それから造船、原子力等の各メーカーあるい緩府機関というふうに分けたら、どういう構成になっていますか。
  305. 山野正登

    山野政府委員 いま資料を出します前に私の記憶で申し上げますが、大体、造船業界、海運業界等の関係業界の専門家に加えまして、大学の先生並びに関係省庁の職員でございます。
  306. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私が持っております名簿から計算しますと、全部で二十一人。このうち造船会社が四、原子力関係のメーカーが五、それから船会社が三、民間団体二、金融機関が三、運輸省が三、学者というのはただ一人、計二十一名です。こうなってまいりますと、これは実質的にはメーカーといいますか、原子力船関係のある産業界の代表の集まりみたいなものだと私は言わざるを得ないと思うのです。この専門部会がいわゆる三十四億円の基礎価格をはじき出したといま原子力局長は答えているんですね。この場合、原子炉部分と船体部分の内訳はどういうふうに見積もっておったのですか。
  307. 山野正登

    山野政府委員 船体部分、原子炉部分ほぼ半々であったと思います。
  308. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そのメーカーの中に、原子力関係を代表して、三菱原子力工業の副社長とか三菱重工の会長とかが入っていますね。こういう人々も、やはりその原子炉の見積価格の算定には加わっているんでしょうね。
  309. 山野正登

    山野政府委員 当時この専門部会でどの程度の見積もり作業をしたかという点につきまして、これは私ども資料を調べたのでございますが、よくわかりません。過去の書類以外の資料等によってみますと、たとえば計画造船のときのトン当たりの建造費といったようなものを参考にいたしましてはじくといったような、きわめてラフな見積もりをしたというふうに聞いております。
  310. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 まあ半々とすれば、船体十七億、原子炉十七億という見積もりが出てくるのでありますが、では、この専門部会に参加しておりました三菱原子力工業が随契で実際に受け取った原子炉の価格は、よく知られているのですが、一遍政府に答えてもらいましょう。
  311. 山野正登

    山野政府委員 船の値段五十六億円のうち二十七億円でございます。
  312. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 政務次官にお尋ねしたいのですが、みずから専門部会に加わってはじき出した見積額が十七億だったと当初言うわけですね。それが実際に仕事を受け取るときには、入札ではだめだ、随意契約にさせて二十七億円にした。一億、二億はね上がったのなら、国民も疑わしいなと思いながら納得するでしょう。ぽんと十億はね上がっているんですね。これは、三菱の知らないところで決めた価格なら、そういうこともあるでしょう。こういうふうないきさつについて、政府として本当に国民の納得のいくような解明をする必要性を感じませんか。これは政務次官の答えることだと思います。
  313. 山野正登

    山野政府委員 ちょっとその前に一言よろしいですか。
  314. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 政務次官、先に答えてください。政府の政治姿勢としてどう思っておるか。
  315. 小沢一郎

    小沢(一)政府委員 その船価の決定についてのいきさつ、私、具体的にはよくわからないのでありますけれども、その当時のいろいろな事情があったのだと思います。先生指摘のように、十七億円が二十七億円と十億円もアップしたという点については、確かに何でこんなにはね上がったのかというような感じを素朴に持つのは当然だと思いますが、ただ、その間の事情については私よく承知しておりませんので、局長から答えさせたいと思います。
  316. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私の時間が過ぎているので、最後にこれも含めて答えてください。  私が聞きたかったのは、さっき原子力局長は、三十四億の見積もりのいろいろな話し合いの経過がわからないと言ったでしょう。それがわからないまま十七億が二十七億にふくれ上がっているんですね。しかもその最初の相談した中に、三菱原子力工業も重工も入っているわけだ。だからどうしても、最初の原子炉だけで十七億、船を合わせて三十四億、こういう見積額をはじいたときの基礎資料を出していただきませんと、十億もはね上がった事情というものは納得できないわけです。そういうことを政府としてちゃんとやってくれますかという決意を聞きたいから、まず政務次官答弁を求めたわけです。余は原子力局長でもいいのです。きちんとした当時の専門部会の見積もりの基礎資料というものを、どんなにいろいろ苦労しても出してくれますか。
  317. 山野正登

    山野政府委員 まず、どうしてこれだけ価格が上がったかということの背景を見てみますと、三十六億円と申しますのは、先ほど申し上げましたとおり、三十七年六月当時に原子力船専門部会が算定した数字でございまして、その後、予算が五十六億円とふくれ上がっておりますが、四十二年でございまして、その間かなり時間的な経過もあるわけでございます。  それから、いま一つ当時のこの三十六億円と申しますのは、その後四十一年に委員会で本件を検討いたしておりますが、そのときの結論では、計画立案当時の資料、情報が不足しておったといったふうなこともございまして、そういうふうなことが重なりまして、このような値上がりの結果になったのではないかと考えております。  それから、当初、会社のメンバー、確かにたくさん入っておりましたけれども、これは将来、契約に持ち込むための金額を決めるいわゆる商議をする場ではないということは、ひとつ御理解いただきたいと思うのでございます。  それから、この三十六億円の算定基礎につきましては、なお私ども資料を調べますが、間違いなくあるかどうかという確約だけはちょっといたしかねます。努力はいたします。
  318. 中村重光

  319. 山原健二郎

    ○山原委員 短い時間ですから、主として核燃料の海上輸送の問題について質問をいたします。  昭和五十年の「放射性物質の輸送に関する技術基準について」が出されまして、これに基づいて、本年三月をめどに関係法令の改正、整備をやると言っておりましたが、現在どうなっておりますか。
  320. 伊原義徳

    伊原政府委員 輸送関係関係法規につきましては、昭和五十年一月二十一日に、原子力委員会といたしまして技術基準を定め、それと同時に、この基準を踏まえまして、関係省庁において速やかに関係法令の整備が図られるべきである、こういう決定がなされております。それを受けまして、科学技術庁といたしましては、運輸省と御連絡をいたしました上で、原子炉等規制法に基づく総理府令の改正について鋭意検討を進めてまいったわけでございます。そのときの見通しでは、三月いっぱいぐらいで何とか総理府令改正にこぎつけられるかと思っておったわけでございますが、その後いろいろ検討すべきことが多々出てまいったこともございまして、いまなお検討中でございます。しかしながら、この問題につきましても、近く所要の改正が加えられるという見通しを得ておりますことを申し上げます。  なお、改正をいたしますにつきましては、関係省庁間での規則等の整合性というのが非常に必要でございます。そういう観点から運輸省との連絡を密にいたしております。
  321. 山原健二郎

    ○山原委員 近くというのはいつですか。
  322. 伊原義徳

    伊原政府委員 これは法律、規則の改正手続でございますので、はっきり確約を申し上げるわけにはまいりませんが、私どもといたしましては、一日も早くと考えております。  なお、この技術基準を含んだ規則の改正でございますので、放射線審議会にお諮りするというふうな手続もございます。そういうことも踏まえまして、一日も早くと考えております。
  323. 山原健二郎

    ○山原委員 海上輸送の問題については、去る予算委員会でわが党の不破哲三議員がかなり詳しく問題を指摘しておるわけでございます。それでいま質問をしているわけですが、近くということ、なるべく早くと言いますが、それでは、愛媛県の伊方原発につきましてこの三月三十一日に安全協定が結ばれているわけです。その安全協定の第四条によりますと、核燃料の搬入、搬出については原則として海上輸送をするということになっております。  そこで、その海上輸送の中身というのは、たとえば船は四電の専用の船を使うのか、あるいは航路はどう通るのか。また安全対策ですね。たとえばあそこは漁港でございますから、燃料の積み揚げとか搬出とかいったときの安全対策については、何らかその具体的な案が出ておるかどうか、伺っておきたいのです。
  324. 謝敷宗登

    ○謝敷説明員 四国電力の伊方発電所の使用済み燃料の海上輸送計画につきましては、私どものところには、まだはっきりした申請者荷送人が決まっておりません関係か、申請なりあるいはお話はございません。
  325. 山原健二郎

    ○山原委員 この伊方原発の核燃料の搬出、搬入というのは、これは原則として海上輸送ということですが、これは瀬戸内海を通るのじゃないですか。いままでそういう答弁じゃなかったですかね。
  326. 謝敷宗登

    ○謝敷説明員 使用済み核燃料の伊方からの海上輸送につきましては、航路といたしましては、瀬戸内あるいは外に出て四国の沖を回るルートがあろうかと思いますが、これらの点につきまして、運輸大臣として、危険物の輸送及び貯蔵の規則によりまして、具体的な指示をするわけでございますが、伊方発電所から具体的な案が出てまいりました場合に、それが危険のないように、包装、容器等々のときに、ルートについても指示する必要があれば指示をしたい、こう考えております。
  327. 山原健二郎

    ○山原委員 すでに伊方原発は、一号炉については、来年の四月営業運転のため、本年の十月に試運転を行うとなっておるわけです。そうしますと、恐らく八月か九月には核燃料が海上輸送で入ってくるという事態が起こるわけでございます。そうすると、先ほどお話のありましたこの基準に基づいての海上輸送についての関係法令の改正といいますか、制定といいますか、整備、それは全く間に合わないわけですね。一体、これはどうするんですか。しかも、現在に至ってもなおかつ四国電力から輸送計画が出ていないというようなことは、これは私ども全く不思議で仕方がありません。どうですか。
  328. 謝敷宗登

    ○謝敷説明員 私どもの承知しておりますところでは、五十二年の四月から運転開始をするということのようでございますが、使用後、使用済み燃料が出てまいりますわけですが、その後半年ぐらい使用済み燃料をプールで冷却しておく期間を見ますと、具体的に輸送が行われますのは、五十三年末から五十四年初めになると考えております。先ほど原子力安全局長から規則の改正云々のお話もございまして、運輸省としましても、海陸の連携輸送等も含めまして検討しておるところですが、海上輸送そのものに関連しましては、現在の危険物輸送貯蔵規則でルートの指示もできる、こう考ております。
  329. 山原健二郎

    ○山原委員 瀬戸内海と言えば、これは大変なところで、しかも瀬戸内海の汚染問題、あるいは船舶の最も錯綜しておるところでございます。その問題について、当然瀬戸内海周辺の住民には大きな関心を持たれておるところでありますが、来年四月の営業運転を前にして試運転が行われるという事態でも、なおかつその計画すら出ていないというようなばかなことがあるんですか。一体どこを通るのか。一番大事な、しかもわが党が予算委員会指摘しておる問題がいまだに放置されて、四国電力に対して一度でもこの計画を出しなさいと言ったことがあるのですか。全くほうられたままで、七月、八月、九月の段階には核燃料が搬入されるという、こういう事態に対して運輸省科学技術庁は全く責任も何も持たないのですか。
  330. 伊原義徳

    伊原政府委員 ただいま先生指摘の新しい核燃料の搬入、これは時期がいつか、私ただいまの時点で確認いたしておりませんが、比較的早い時期であろうかと思います。ただ、衆議院の予算委員会におきまして不破書記局長の御指摘になりましたのは、使用済み燃料の輸送が非常に問題ではなかろうか、こういうお話であったかと私記憶いたしております。それに比べますと、新燃料の輸送につきましては、使用済み燃料ほど安全上の問題は厳しくはない。もちろんこれは手放しでいいということではございませんけれども、そういう実態がございます。  なお、現在の諸法規におきまして、多少の不備はあるいはあるかもしれませんが、私ども現在のところ、十分安全を確保して新燃料の輸送は行えると考えております。
  331. 山原健二郎

    ○山原委員 この使用済み核燃料の問題は五十三年から先だ、それまで冷却するとかなんとか言っておりますけれども、問題は、きわめて重要な部分については、当然、炉が運転を始める、あるいは試運転が行われる前にその計画が発表されるということが、四国やあるいは中国の住民にとって大事なことなのであって、五十三年だから計画が出なくたっていいんだというようなずさんなことで原子力発電所の問題を考えることは、私はできないと思うのです。原子力発電所をつくる、そしてその核燃料の輸送はどうする、どの道を通る、こんなことぐらいは当然提出をさせるべきでしょう。それも提出をされないで、そういう具体的な実態もわからないままに関係法令の整備をするつたって、全く意味がないじゃありませんか。  そういう意味で、時間が来ておりますけれども、いま申し上げておるその点はっきりすべきではないですか。どうですか。こんなことでいいんですか。四国の住民は少なくとも大きな関心を持っています。どうでしょうか。四国電力に対して計画書を出しなさいという要請もしないのですか。
  332. 伊原義徳

    伊原政府委員 使用済み燃料の輸送についての問題としてお答えいたしますが、この使用済み燃料につきましては、やはりその輸送のための容器、キャスクと称しておりますが、これの安全性が非常に問題かと思われますので、その辺につきまして私どもは鋭意安全基準の作成等やっておるわけでございます。  なお、具体的にいつごろどの程度の燃料がどういうルートを通ってという計画につきましては、その実際の運搬が行われる時点より非常に早い時期、たとえば現時点におきましてまだ十分予測することができかねると思いますし、また、それだけの必要も現在の時点ではない、一般的な安全性確保に制度として十分な手を打っていきたい、こう考えております。
  333. 山原健二郎

    ○山原委員 これで終わりますけれども、全計画を示さないで原子炉はすでに活動を開始する、そして後からちびりちびりと出すというようなものじゃないと思うのです。全計画を提出をさせて、それに対して点検を加えていくというのが正しい、また住民の不安に対する誠実なこたえ方だと私は思うのです。そういうことをやらないで、五十三年から先だから構わぬのだと言って、問題のあるこの伊方原発——いままでずいぶんここでも取り上げてまいりましたけれども、しかもその一番——一番とは言いませんが、きわめて重要な部分についてこれが欠落しておるというようなことでは、本当に住民の安全性に対する不安を解消することはできないわけですから、これは政務次官、最後に、四国電力に対してこの海上輸送計画の全貌を提出するように要請する決意があるかどうか、伺っておきたい。
  334. 小沢一郎

    小沢(一)政府委員 先生指摘のように、あらゆる先々の計画をきちんと提出させて、そしてやることが最もいいことなんでありますが、その間の間に合わなかったりいろいろな点もあると思いますので、時期になりましたら、時期を見まして、先生のおっしゃるように提出させるようにいたしたいと思います。
  335. 山原健二郎

    ○山原委員 これで終わります。
  336. 中村重光

  337. 近江巳記夫

    ○近江委員 電気事業連合会、これは中部電力の社長が会長でございますが、この十九日に社長会をやりまして、核燃料サイクルに対する電力業界の考え方と基本方針を了承したということが伝えられておるわけでございます。この中で、ウラン精鉱、濃縮、再処理を民間の担当する分野として挙げておりまして、プルトニウムの保安体制、廃棄物の処理、処分は国の責任で行うということを決めておるわけです。これに対して、科学技術庁としてはどういう見解をお持ちですか。
  338. 山野正登

    山野政府委員 ただいま御指摘の事実は、私も新聞を読んで存じておりますけれども、正式にその内容等についてまだ聞いてはおりません。ただいま原子力委員会とされまして、核燃料サイクル問題懇談会というものを組織しまして、いま御指摘の濃縮、再処理等を含めまして、将来の原子力発電を支えます望ましい核燃料サイクルのあり方というものを具体的に詰めておる段階でございます。  この核燃料サイクル問題懇談会の今後の検討の進め方としまして、産業界なりあるいは関係省庁等から具体的に各種の提言等を求めまして、それをこの懇談会でまとめていこうというふうな方向で進めることを予定しておりまして、ただいま先生が御指摘の新聞記事も、恐らく、産業界におきまして将来この懇談会に持ち込むべき試案のようなものを発表したのではないかと考えております。したがいまして、官民が将来どういう役割りを分担していくかといったふうなことにつきましては、この懇談会の場で十分に審議を重ねていただいた上で、できるだけ早い機会に回答を得たいというふうに考えております。
  339. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうした常に懇談会待ちというようなことになるわけですが、政府自身としてはどういう主体的な考えを持っているのですか。
  340. 山野正登

    山野政府委員 ただいまのところ、まずウラン濃縮につきましては、現在の長計の示すところでは、御承知のように、現在、動燃事業団におきまして濃縮の技術開発を進めておるわけでございますが、この技術開発の成果を生かしましてパイロットプラントをつくりまして、六〇年代のできるだけ早い時期に国内における濃縮工場をつくっていきたい、これが現在の長計のラインでございます。  それから再処理につきましても、これは現在、動燃事業団におきまして年産二百十トン規模の再処理工場のウラン試験を進めておるところでございますが、この実験工場で得られました技術というものを活用しまして、できるだけ早い時期、恐らくこれも六〇年代の早い時期となると思われますけれども、そのときに民間においてこの第二再処理工場の建設されることを期待するというのが現在の長期計画の示しておる方向でございます。  大体そういうふうに考えておりますが、この長期計画自体も、先ほど申し上げました核燃料懇談会結論によりまして、要すればいま一層具体的に方向を示すようにし、また基本方向等についても、必要があれば若干の改変といったふうなこともあろうかと思います。
  341. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、民間はプルトニウムの保安体制、廃棄物の処理、処分は国の責任で行うよう要望する。そうすると、国ではこれは民間でやらせるのだ、こういうことですね。
  342. 山野正登

    山野政府委員 先ほど申し上げましたように、この具体的な中身、つまり国と産業界とはどういう仕事の分担をして建設するか。そしてまた建設しました後、いま御指摘の保安体制等につきまして、国と産業界はどういう分担をするかといったものも含めまして、これは恐らく、先ほど申し上げました懇談会でも非常に緊急の問題と認識しておられますので、早いものにつきましては、この夏までぐらいにはあらましの結論が得られるのではないかと考えております。
  343. 近江巳記夫

    ○近江委員 分担という点については、先ほど申し上げましたように、大きく縦分けしておるわけですね。そうすると、あなたがおっしゃっているのは、そうした廃棄物の処理処分等につきまして、民間と政府とそれの分担を考えておる、こういうことですか。
  344. 山野正登

    山野政府委員 廃棄物の処理処分につきましては、試験的に進めるいわゆる研究開発段階と、将来これが定常的に実行されます段階と区別して考える必要があり、かつまた、この廃棄物の放射能のレベルによりましても、おのずから扱いは変わってこようかと思いますので、しさいに、ここからここまでは国がやり、ここからここまでは民間がやるというふうにはっきり申し上げるわけにはまいりませんが、いま考えられておる方向としましては、低レベルの廃棄物につきましては、五十二年度ぐらいから試験的な海洋投棄を進める。これは第一の目的が将来の安全規制に必要な安全基準の策定というふうなこと等を目途にしておりますので、包括的に申し上げれば、これは国が責任を持って進めることになろうかと思います。低レベルの廃棄物につきましては、海洋処分とも並行いたしまして、一方陸地処分の可能性についても検討が進められると思います。  それから高レベルにつきましては、まだ研究開発段階でございますので、将来のあるべき姿を含めてこれからの検討課題でございます。
  345. 近江巳記夫

    ○近江委員 そこではっきりしたことは、電力業界としては、プルトニウムの保安体制、廃棄物の処理処分は国の責任で行う、それ以外のものは民間でやる。ところが政府の方針としては、そうした処理処分等についても民間と政府が責任を持って分担してやる、こういう考えの違いが出たわけであります。  それから、低レベルを昭和五十二年から海洋投棄するというようなお話ですが、これは本委員会におきましても、私はこの問題を取り上げ、非常に重大な問題であるということで問題提起したわけでございますが、御承知のように、いまもう海の汚染が非常に問題になってきておるわけですね。しかも動物性たん白源として海洋資源に期待するところが非常に大きいわけであります。昭和五十二年といいますと来年でしょう。来年からそういうものを、幾ら低レベルか知らぬけれどもほうっていく。これは重大な問題ですよ。もう来年のことですから、どういう確信を持ってこういうことをさせようとしておるのですか。そこまでおっしゃることにつきましては、私は、安全性に対する相当確実なものがない限り、そういう発言はできないと思うのです。その辺のこともいいかげんにして海洋へ投棄する、これは重大問題ですよ。
  346. 伊原義徳

    伊原政府委員 先生指摘のとおり、低レベルと申しましても、海洋に放射性廃棄物を投棄することについては安全性を十分確認しなければいかぬことは、そのとおりでございます。したがいまして、私どもがただいま考えておりますのは、まず定常的にそういうことをやるということではございませんで、将来そういう定常的な海洋処分をやるための知見と経験を得るための試験的な海洋処分に来年度から着手することにいたしたいということでございます。そのために、御指摘のようにいろいろ安全上の配慮が必要でございまして、これにつきましては、学識経験者を集めまして目下いろいろ御検討もいただいておりますし、それから海外に調査団なども出ております。それの知見も十分踏まえまして、遺漏ないことを期したいと思っております。  なお、海洋投棄につきましては、御高承のとおり、ヨーロッパ諸国におきましては、過去においても相当量の海洋投棄をいたしておりまして、十分その安全性は確認されておるということでございまして、私どもとしても、人を派遣して、それらの経験もいろいろ私どもで活用さしていただくというふうなこともいたしております。そういうことでございますので、万々遺漏ないように十分な配慮をとってまいりたいと考えております。
  347. 近江巳記夫

    ○近江委員 海洋投棄というのは、何メートルぐらいの深さに入れるのですか。
  348. 伊原義徳

    伊原政府委員 いままで私どもが、関係各省庁、研究機関との御協力のもとに、太平洋の適当な地域の調査などもいたしておるわけでございますが、五、六千メートル程度のところを考えるのが適当ではなかろうかというのが現状でございます。
  349. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは五、六千メートルとなりますと、もし一たん投棄してそういう不祥事が出たら、引き揚げることはできるのですか。私はずっと以前に本委員会において質問したことがあるのですが、館山沖へドラムかんを千六百本からほうっているのでしょう。この委員会では、ほうっておりませんと。わが党の議員が参議院で追及したら、やっと白状したわけです。そういうことを隠しておったという事実があったわけですね。今度は試験的にほうるというようなことを言っているのですが、前回でも、千六百本ほうっているのです。来年から始めるのは、年間何本ほうるのですか。
  350. 伊原義徳

    伊原政府委員 ただいまのところ、まだ具体的な計画は確定いたしておりませんけれども、かつての放射性同位元素協会のやった投棄のことを先生指摘かと思いますが、規模においては、それとほぼ似たようなことになろうかと考えております。
  351. 近江巳記夫

    ○近江委員 それと似たような規模ということになると、約二千本近くほうることになるわけですよ。一たん五、六千メートルの海底に沈んでしまうと、揚げることはできませんよ。これは重大な問題です。われわれとしては、これは技術的には私たちは素人でわかりませんけれども、しかるべき学者に見せて安全性を一編確認させないと、これはそんな簡単にほうらすわけにはいきません。したがいまして、委員長政府は安全であるとおっしゃっているわけですから、安全性確認のためにしかるべき資料を出してもらって、われわれはわれわれのサイドでまたいろいろ検討したいと思いますので、資料の提出を要求します。委員長からもひとつそれの確認をお願いしたいと思います。
  352. 伊原義徳

    伊原政府委員 私ども、十分に安全を確保しながらやるようにいろいろ計画を立てておりますので、関係資料はまとまり次第、できるだけ早く御報告申し上げます。
  353. 近江巳記夫

    ○近江委員 まだこれの安全性というものについて国民が非常に疑惑に思っているのですよ。特に、先ほど申し上げたように、海の汚染についてこれ以上いろいろな点で心配が出ることにつきましては、漁民を初めとして、われわれは漁民がとってきた魚を食べるわけですから、そういう心配は本当になくさなければならぬわけです。そういう中でこういうことをやるということにつきましては、そうですか、やりなさいということを言えませんよ。だから、これはよほど慎重にやっていかなければなりませんし、そんな早い時期にやるということにつきましては、これは大きな疑問があります。  そこで、これはひとつ委員長にまたお願いしておきますが、これは全体の問題として、また理事会等でもよく検討していただきますようにお願いしたいと思います。
  354. 中村重光

    中村委員長 御意見のとおり理事会で諮ることにいたします。
  355. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから高レベルについては、それではあなた方は、陸上に保管するという考えですか。
  356. 伊原義徳

    伊原政府委員 高レベルにつきましては、現在のところまだ日本では発生しておりませんが、数年後には動力炉・核燃料開発事業団の再処理工場から出てまいるわけでございます。とりあえずは陸上保管ということにいたしておりまして、タンクに貯蔵いたしまして厳重な配慮のもとに保管をする、しかし長期的には、これはやはり永久処分ということを考えなければいけませんので、固化体にして地質学的な処理をするということは、世界各国でもいろいろ研究が進められております。わが国も研究をいたしておりますが、そういう方向で将来を考えてまいる予定でございます。
  357. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、この廃棄物の処理につきまして、政府はいまどこで研究さして、予算は幾らで、どういう対策をとっているか。
  358. 伊原義徳

    伊原政府委員 ただいま研究をいたしておりますのは、主として日本原子力研究所と動力炉・核燃料開発事業団でございますが、そのほかに、国立試験研究機関なり、あるいは委託費によって民間の能力も活用いたすということにしております。  予算につきましては、昭和五十年度は六億三千六百万円でございますが、五十一年度はこれを倍増いたしまして十三億三千八百万円、こうなっております。
  359. 近江巳記夫

    ○近江委員 このお金の額で私はどうのこうの言うんじゃありませんが、人件費等から見ましても、いままでの原子力開発費のこの膨大な額から比べますと、廃棄物に対する研究開発、これに対する体制なんて余りにも少な過ぎますよ。委託であるとか、そういう中で来年は海へほうる、そんなことしていいんですか。  大体、こういう廃棄物の処理ということは一番大事なことです。安全性の問題、また廃棄物の処理、一番力を入れなければならないことですよ。これを一番手薄にしておいて、外国もやりだしているから一編やってみる、そんなことをやられたのでは、国民はたまったものではありませんよ。ますます原子力に対する不信がふえますよ、そんなことしたら。どうするのですか、今後この廃棄物処理というものについて。
  360. 伊原義徳

    伊原政府委員 原子核分裂エネルギーを利用いたします以上、放射性廃棄物の処理、処分というのは非常に基本的な重要問題であるということは、先生指摘のとおり私どもも十分認識をいたしております。しかもそれが環境に悪影響を与えることなく行うということでございますので、私ども全力を挙げてこの問題に取り組んでおるわけでございます。  金額の面から申しまして、あるいはまだまだいま少しという御指摘もあるかと思いますが、これは非常に長期をかけて、特に高レベル廃棄物につきましては非常に長期間にわたる問題でございまして、これの研究につきましても、技術的めどはついておりますけれども、その実証性につきましてさらに長期間かけ、外国の知見等も十分活用しなければならぬ、こう考えておる次第でございます。  それから試験的な海洋投棄、これは一般の方々にとっては、非常に危ないものであるという御印象があるかと思いますが、私ども考えておりますのは、いきなり大量のものを投入するというようなことを考えておるわけではございませんで、最初は試験でございますから、放射性物質の含まれていないものから始めまして、次第にいろいろ知見を得ながら、たとえば容器から中に入っているものがしみ出すかどうか、あるいはそれを投棄して海底に着いたときに壊れるか壊れないか、そういうふうなところもいろいろ十分な実験をいたしながら進めてまいるという所存でございます。
  361. 近江巳記夫

    ○近江委員 この前、いわゆる外郭団体が館山沖へほうったわけですね。あれと同じレベル、そうすると約千六百本から二千本ぐらいが投棄のそれになるのですか。
  362. 伊原義徳

    伊原政府委員 まだ何本ということを確定しておるわけではございませんで、ただ、それといま一つは、かつて投棄いたしましたものと比べまして、その放射性物質の、たとえばキュリー数であらわします量をどれくらいにするか、これもそう大きなものになることはないと考えております。  いずれにいたしましても、試験的に作業を実施いたしましていろいろな知見を得るということでございますから、環境に影響を与えることは万々ない、こう考えておる次第でございます。
  363. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、海底五、六千メートルと言いますと、地域で言うとどの辺になるのですか。
  364. 伊原義徳

    伊原政府委員 いままで、この海洋投棄、特に低レベルのものの投棄の適当なところはどこにあるかというふうなことで、昭和四十七年度から四十九年度まで三カ年をかけまして、水産庁、海上保安庁、気象庁並びに気象研究所の御協力を得まして、海洋調査をこの関係について実施をいたしてきております。  その結果で申し上げますと、太平洋上で大体二千キロメートル程度本土から離れたところ、その辺を何カ所か、これは漁場でない、漁業に余り影響を与えないというふうなことも配慮いたしまして、また海底の状況等もいろいろ調べまして、この辺が適当であろうというのを数カ地点、調査結果として持っております。
  365. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは海流のかげん等も、いろいろな総合分析ということから考えなければならぬ問題だと思いますが、幾ら計画か知りませんけれども、本当に慎重にやってくださいよ。この前にアイソトープ協会でしたか、あそこがほうったのなんか、あれは無謀ですよ。引き揚げもできない、知らない間にほうってしまっているのですね。それで試験だ、あんなでたらめをさしてはだめですよ。その心づもりについてひとつ聞かしてください。
  366. 伊原義徳

    伊原政府委員 アイソトープ協会がこれを実施いたしましたのは、昭和三十年から四十四年に至る十五カ年間と承知いたしております。この協会が海洋投棄いたしましたときには、法規上の要件は一応満たしておる行為であったわけでございますが、私どもといたしましては、なおその当時の知見が必ずしも十分でないということも配慮いたしまして、この協会を指導いたしまして、その後の投棄は見合わせるように、こういうことにいたしておりまして、かたがたいろいろな調査を並行して実施してきたわけでございます。  そういうことでございますのと、いま一つは、この投棄の結果が環境に何らかの影響を与えておるかどうかにつきましても、その後の一般的な調査で、特に影響が幸いにして出ておらないということも確認いたしております。しかしながら、先生指摘のように、この問題は軽々に扱うべきでないというのはまさに御指摘のとおりでございます。その御指摘も踏まえまして、今後万遺漏なき期したいと考えております。
  367. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほどのこの電気事業連合会の考え方、国が廃棄物処理をするんだ、一番危険な、またやっかいなかすばかりを国にさせるんだ、今後懇談会でのいろいろな論議があるかもしれませんが、自分たちが出した廃棄物を国があと全部やれ、こういう考え方を、幾ら懇談会の話があるにしても、あなた方はそのまま、はいそうですかといま受けるのですか。責任を全然持っていないじゃないですか。
  368. 伊原義徳

    伊原政府委員 先ほどの民間の御意見というのは、ある段階においてある御意見が出るということはあると思うわけでございますが、国と民間との責任の分担ということにつきましては、最終的には、原子力委員会におきまして、どういう分担にすべきかということを御検討いただきまして、その結果を踏まえてということになると考えるわけでございます。原子力委員会としましても、この問題の重要性は十分御認識でございまして、私ども事務局といたしましても、その考え方についていろいろ検討させていただいておるわけでございます。そういうことでございますので、ただ民間がこう言うからそのとおり決めるということではございませんで、国の方針として最も合理的な方針が、原子力委員会の場において十分検討の上決定されると考えております。
  369. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほども申し上げておるように、それはわかるのです、何も決定じゃないということは。だけれども、そういう一番大変な部門を国に任せるんだという考え方ですよ。決定するしないは今後の検討を待たなければならぬわけですが、こういうことについて、政府としては、向こうが言っておるんだから後でまたいろいろ検討したらいいじゃないか、そういうただ単なる安易な姿勢で受け取っておられるのか。こういう廃棄物の処理というものは、官民一体となって総力を挙げて取り組むべき問題である、こう考えるべきかという基本的な考え方を私は聞いておるのですよ。
  370. 伊原義徳

    伊原政府委員 ただいま先生最後に御指摘になりました、官民一体となってこの重要問題を考える、これは基本的な考え方であるかと思います。一般的に申しまして、産業廃棄物につきましては汚染者がその経費を負担するという原則も、だんだん世界的に確立されてきておるということがございますが、また一方、放射性廃棄物で非常に寿命の長いものについて、私企業の寿命を超えるような寿命のものがあるということもまた事実かと思います。この問題につきましては、わが国のみならず、諸外国におきましても非常に大きな問題でございまして、国と民間との分担についてどうするかということについて、各国それぞれの方針がございます。そういう方針につきましても、私ども十分調査をいたしておりますので、そういう諸外国の例も踏まえました上で、最もわが国の実情に合った合理的な責任分担を図るべきであると考えております。
  371. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、汚染者負担の原則によって電力会社も最大の責任を持ってこの問題を考えなければならぬ、これだけははっきりするわけですね、政府が全面的に責任を持つ、こういう電力業界の説に対しては。いかがですか。
  372. 伊原義徳

    伊原政府委員 その辺の基本的な考え方の最終的な決定は、原子力委員会の場において今後検討されるわけでございますが、その汚染者負担の原則と申しますのは、少なくとも必要な経費につきまして、民間企業から発生した廃棄物についてはその経費は民間が負担をするという一般的な原則、これが放射性物質についてもおおむね世界的な傾向のように思われますので、その辺も踏まえまして最終的な決定が行われると思っております。
  373. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは経費的な問題だけじゃないのですよ。いま安全性もはっきり対策もできていない。そういう中で、開発開発政府が計画を立てて、それに乗っかって民間はどんどんやっていくのですよ。電気料金値上げだって、今度三〇%以上に来ていますが、皆膨大な設備投資、金利負担、そういうことで先を見通して電力料金引き上げを図ってこようとしているのです。そういうように大衆には大きな負担をかけてくる。そういう姿勢の中で、一番やっかいなこういう廃棄物の処理を国に全面的におぶさるということになれば、彼らは何も苦しむことはないわけですよ。彼らは実証炉だということでどんどんやっているわけですよ。一番やっかいなところをうんと責任を持たせて、これは大変だということになってきて初めて、原発の開発推進ということについても慎重に確かめつつ本当に前進することになるのです。これは民間もお互いにもっと苦しんでもらわなければいけないですよ。何でこういう部門だけ責任を持つ。それは今後の論議に待たなければなりませんけれども、そういう基本的な考え方だけははっきりとしておきなさいよ、政府は。小沢次官、どうですか。
  374. 小沢一郎

    小沢(一)政府委員 基本的には、汚染者負担といいますか、原因者負担、民間の私企業からそういった廃棄物が出る、その処理は責任を持ってしなければならないということだと思いますが、事はとにかく放射性廃棄物の問題でございますので、国も相当な役割りを分担していかなければならないのではないかと思います。
  375. 近江巳記夫

    ○近江委員 次官は、第一義的には汚染者としての電力業界が責任を持たなければいかぬ、国も足らない部分はしてやらなければいけないということを明確にされたわけですが、山野局長、あなたも同じ意見ですか。
  376. 山野正登

    山野政府委員 基本的には、先ほど安全局長がお答え申し上げましたように、今後の具体的な官民の分担につきましては委員会の場で決定されるわけでございますが、放射性廃棄物につきましては、まだ相当部分研究開発段階でございまして、いまの時点ですぐにしさいに、今後の責任分担あるいは経費分担の中身といったふうなものを申し上げる時点ではないと思いますが、少なくとも民間が、この廃棄物につきまして、政府にあらゆる責任を持ってくるというふうな方向では考えておられないであろうと私も考えております。
  377. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、電力業界が、それは真意はあなたがおっしゃったような気持ちでおられるのか、あるいは全面的に押しつけるのかわかりませんが、仮定として——仮定というようも、むしろこういう要望をするということを言っておることは意思の表明ですから、これについては政府としては、モラルの点において相当な反発を感じ、そういう姿勢はなっていないということをはっきり言えるわけですね。どう分担をするかということは今後の論議に待たなければならぬけれども考え方の根底としてそれだけははっきりしなさい。
  378. 山野正登

    山野政府委員 新聞に報道されております内容が、どこまで産業界の総意をまとめたものを伝えておるかという点につきまして、私どもいささか断定しかねる部分もございますので、いま御指摘の点は、先ほど申し上げましたように、今月の月末にはまた各界の意見を聞く会もございますので、その際には、恐らく正式な産業界の意見というものも持ち込まれると思いますので、その時点でいまの先生の御指摘等も十分に考慮しながら対処をしたいと考えます。
  379. 近江巳記夫

    ○近江委員 どう分担するかということは技術上の問題ですよ。そうでしょう。ぼくが言うているのは、もっと基本的な考え方として、一番やっかいなそんなものを国に責任を押しつける、そういう考え方がいいのかということを聞いているのですよ。国も応援しなければならない面、それはありますよ。そうでしょう。根本的な姿勢ということについて聞いているのです。小沢次官は、いまおっしゃった、そうした廃棄物を出す電力会社が第一義的に責任を持って、政府もさらにまた力を合わせていく、こういう考え方ですね。変わりありませんね。
  380. 小沢一郎

    小沢(一)政府委員 その新聞で報道された問題は、果たしてその企業のサイドの意見をはっきり代表しているかどうかという点については、いま局長が言った点は別にいたしまして、基本的な考え方としては、先ほど私申し上げたことと変わっておりません。
  381. 近江巳記夫

    ○近江委員 やはり小沢さんが言ったのが正論である、私はこのように思います。ひとつ両局長、これから答弁についてもはっきり物を言いなさいよ。  そういうことで、この一番厄介なものを国が責任を持ってくれよ、あとは開発だけやっていくんだ、こんなことをしておりますと大変なことになりますよ。今後ひとつ厳重な安全対策、環境汚染、廃棄物処理、こういうことにつきまして、政府としてはしっかりとした考えを持って対処していただきたいと思うのです。  それから濃縮工場の話がありましたけれども、この濃縮工場につきましては、いわゆる国際共同工場の建設もお考えになっているわけでしょう。これは技術的には確立できているのですか。
  382. 山野正登

    山野政府委員 わが国における将来のこの濃縮につきましては、ただいま動・燃事業団において遠心分離法による濃縮についての技術開発を進めておるわけでございまして、これに引き続きまして、将来国内において再処理工場をつくっていきたいというふうに考えておりますが、それにあわせて、いま御指摘のように、国際共同計画というものも非常に大事ないま一本の柱であるというふうに考えております。そういう意味で、米国との共同計画を初めとしまして、それ以外の国際共同計画の可能性についても、現在いろいろ検討しておるところでございます。
  383. 近江巳記夫

    ○近江委員 いずれにしても技術の充実ということが非常に大事であります。計画ばかり先行して、またそうした安全性等の問題におきまして国民に心配をかけないように、石橋をたたいていってもらいたい、このことを要望しておきます。  それから、きのう八名の参考人から「むつ」問題でいろいろと御意見を聞いたわけでありますが、もう一度お聞きしたいと思うのですが、政府として佐世保をこの修理港としてなぜ選ばれたか、もう一度理由を聞かしてください。
  384. 山野正登

    山野政府委員 これから行います修理作業の内容と申しますのは、遮蔽改修原子炉部分中心にいたしました安全性の総点検でございますので、これらの作業ができます条件をそろえた港ということで選定をしたわけでございますが、その際に、私ども、この修理作業の段階で環境、周辺に放射能による汚染を起こすおそれはないと思っておりますが、なおかつ周辺の方々に安心をしていただくために、しかるべきモニタリング設備がございまして、しかもそれによって過去のデータが蓄積されておることが必要であるというふうに考えまして、先ほど申し上げました大型船舶の修理可能なドック、クレーン設備等のある大型造船所であり、かつ、いま申し上げましたモニタリング設備のあるところということで選定しました結果、佐世保港が最も妥当ではないかというふうに判断したものでございます。
  385. 近江巳記夫

    ○近江委員 いろいろな情報が伝えられておるわけですが、佐世保で受け入れるとした場合、長崎県あるいは佐世保市は、政府に対して具体的にどういう条件を出しているのでしょうか。
  386. 山野正登

    山野政府委員 ただいま長崎県並びに佐世保市につきましては、この修理の内容とか、あるいはこれらを進めるについての安全性確保といったことについて、いろいろと鋭意説明を続けている段階でございまして、いま先生が御質問になりましたような面での先方の要請、要求といったふうなものは、まだ何も参っておりません。
  387. 近江巳記夫

    ○近江委員 たとえば朝日新聞によれば、県当局は六項目出してきている。「漁民対策として、長崎県信漁連に十年償還、金利二%で三十億円を預託、漁業経営安定基金とする。「むつ修理にあたることになる佐世保重工業に対して、護衛艦など防衛庁発注をする。五十一年度末に二億四千万円の累積赤字が見込まれる日赤長崎原爆病院を国立に移管する。佐世保市内に海洋開発原子力研究所を設置する。福岡−長崎間の九州新幹線(佐世保寄りルート)の早期着工。企業進出のめどが立っていない佐世保市の針尾工業団地(百八十万平方メートル)の政府買い上げ」等が出ているのですよ。こういうことは全然根拠のないあれですか。
  388. 山野正登

    山野政府委員 私も、いま先生が読み上げました項目につきましては、新聞で読んでおりますけれども、そういったことについて、地元から何ら要請はございません。したがって、その記事が根拠のあるものかないものかという判断は、私にはできません。
  389. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、この安全性確保しなければならぬとか、いろいろと論議が出てまいりましたが、そういうこと以外の具体的なそういうものは、県からも佐世保市からもないのですね。もう一編確認します。
  390. 山野正登

    山野政府委員 ございません。
  391. 近江巳記夫

    ○近江委員 昨日の参考人の陳述を聞いておりますと、反対の意見というものはきわめて強いわけであります。そこで、そういう意見の開陳があったわけですが、そういう中におきましても、政府としてはあくまでも、佐世保修理港にしていくという考えについて、それを変更するというような意思はないわけでしょうか。
  392. 山野正登

    山野政府委員 昨日の各参考人の御意見につきまして、私どもいろいろと私どもなりに反省するところがございましたが、私どもの率直な印象を申し上げますと、まだ私ども努力不足のせいもございまして、原子力開発利用あるいは原子力船開発といったふうなものの必要性とか、あるいは今回お願いしました修理の内容、またそれを遂行するに際しましての安全の確保といったふうなことにつきまして、まだ十分に御存じになっておられないという感じもいたしますので、この辺、事業団と一緒になりまして、私どもも十分に説明を尽くして御理解を得たいというふうに考えております。
  393. 近江巳記夫

    ○近江委員 「むつ」は、一昨年の出力上昇試験で二十四分動いておったということも聞いておるわけです。そうしますと、この炉内には大量の放射能が蓄積されておるかどうかという問題については、そう大量ではないんじゃないかと推測されるわけですが、今後改修してまた出力試験ということになってまいりますと、たとえばこの炉の出力を一〇〇%にして一年間運転する、あるいは半年間やるとすると、どのくらいの放射能といいますか、それが蓄積されることになるのですか。仮定のことですが、わかるように一度話してください、半年だったらこうだと。
  394. 山野正登

    山野政府委員 出力上昇試験というのは、御説のように一年間続けるつもりでございますが、半年間でどの程度のフィッションプロダクトがたまるかという数字をいま即答できかねますので、後ほど御返事申し上げます。
  395. 伊原義徳

    伊原政府委員 これは先生の御質問に的確にお答えすることにはなりませんが、熱出力一メガワット出すときに、約一グラムのウランが核分裂を起こすということがございます。それで、これは熱出力が三十六メガワットでございまして、運転が半年なり一年なり行われますと、相当量、多分単位にして億の単位のキュリー数——相当量のキュリー数になると思います。いまちょっと話がございましたが、一ワットの熱出力に対して一キュリー程度のものが平衡炉心で考えられるといたしますと、数千万キュリーというものが平衡炉心において蓄積されることになると思われます。もちろん、これは中に発生するわけではございますが、厳にこれが環境中に出ないようにということで万全の措置がとられる、そういうことになっております。
  396. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは、いま初めてそこでざっと計算なさったように私は思うのですが、今回のいわゆる改修計画の中におきまして、当然そういうことは触れておらなければいかぬわけですよ。だからその点、何かちょっと問題になりそうなところは伏せるというような姿勢で、県民、また佐世保の市民も、そのように見るわけです。こういうことをきちっとした改修計画の中で明らかにしていくべきですよ。これは私は一例を挙げただけですが、ほかにもいろいろ明らかにしていくべき点が多々あろうかと思うのです。そういうことは全部やはりきちっと出すべきじゃないですか。
  397. 伊原義徳

    伊原政府委員 これは特に意図を持って隠しておるということではございませんで、計算すればすぐ出てくるものでございます。ただ、すぐに計算をできなかったというのは、大変あれでございますが。  なお、この問題につきまして、それが今度の佐世保修理の問題とは直に関係がない問題ではございますし、また、どなたでも、こういうことは知ろうと思えばいろいろな原子力関係の本にも出ておることでもございますし、私どもとして、今度の修理港問題につきまして、特にこの問題を御説明申し上げる必要はないかと考えておる、こういうことが実情でございます。
  398. 近江巳記夫

    ○近江委員 だれでも計算できると言うけれども、だれでもできませんよ、こういうものは。これは専門家でないと、素人がそんな本を見たくらいでどうなるか。専門家から見れば簡単か知らぬけれども、一般市民はそんな計算できませんよ、これ。また、そういういろいろと知りたいことは山ほどあるわけです。あなた方は、こうしたらこうなりますよというきちっとした資料を出すべきですよ、これは。今後またいろいろ検討されて、明らかにすべきは積極的に明らかにしていく、こういう姿勢こそが私は大事だ、このように思いますので、今後の姿勢について私御注意申し上げておきます。そのようにしていただけますか。
  399. 小沢一郎

    小沢(一)政府委員 ただいまの先生の御指摘で、すぐ答えが得られなかったし、また、そういう資料をそろえておらなかったという点につきましてはおわび申し上げるわけですけれども、ただいま先生の御指摘の点につきましては、佐世保のいわゆる修理点検ということにつきましては関係のないことで、出力上昇試験をして実際に航海したときにという問題でございましたので、それで出しておらなかったのだと思いますが、今後は、そういう点も含めまして、完全になる資料をそろえるようにいたしたいと思います。
  400. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは出力上昇試験修理港とは違うというものか知りませんけれども、しかし、出ていって出力試験をしてまた異常が起きた、その場合また修理港に帰ってこなければ修理できないわけでしょう。そうなってくると、非常に大きな関係性があるわけですから、そういう想定されるいろいろなことにつきまして、すべてを明らかにしていただきたいと思うのです。  時間がありませんから、あと一点だけお聞きしますが、修理港と母港の問題であります。佐世保については、修理港として、また母港にもしたいという考えは、これははっきりしておるわけですか。
  401. 小沢一郎

    小沢(一)政府委員 私どもとしては、佐世保につきましては修理港としてのみ考えておりまして、そういうように要請しておるところでございます。
  402. 近江巳記夫

    ○近江委員 じゃ時間がありませんから、終わります。
  403. 中村重光

    中村委員長 次回は、明二十一日金曜日、正午理事会、午後二時二十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十八分散会