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村山(喜)
委員 安全審査を十分におやりになるというそのことが、これからの
原子力発電所の問題の国民の同意を得るかどうかということにかかる重大な問題でございますだけに、片一方では電力資本の要請にこたえて、それはそれとして行政の権限は別にあるんだからということでおやりになるような、一貫しない
政府の政策ではなかろうと私は思っております。そういうような意味から、次のことについて、特に吹田
原子力委員もおいでになっておりますし、
安全審査がこれから始まろうとする段階にございますから、申し上げておきたいと思います。
というのは、
地質の問題でございますが、われわれは一月の末に現地を調査をいたしました。そうして地表調査と、それから横坑の中にも入りまして、その地帯の
岩盤調査等もいたしてまいりました。その中で、炉心部の位置として、れき岩であるというところの層についても、それを実際持ち帰りまして、鹿児島大学や、あるいは和光大学の生越教授のところでまた詳細に分析をしてもらいましたが、れき岩だと言いながら実際は砂岩であるというのが現実に出てまいりました。そこで、どうも風化しているところなどが相当あるものですから、深さ四十メートル、五十メートルぐらいのところまで風化しているらしい、ぽろぽろになっている、節理が非常に多いという問題が予見をされましたので、九電の方に要請をいたしまして、ボーリングコアを、特に炉心部を
中心にして柱状断面図をひとつ出してもらいたいということで、それも出してもらいました。その内容についても
点検をいたしました。果たせるかな、確かに風化が進んでおりますし、断層があるし、節理があるし、そしてそこは地下水が入り、空気が流入をしている。ボーリングのその柱状断面図の中にもそれが出てまいっております。
そういうような状態の中で、五月十二日に
地震が発生をいたしました。これは私も気象庁の
地震課長に十七日に確認をしてみたのでございますが、五月十二日十三時二十分、上下に震動しまして、震度は、気象庁の気象台があるところしかわかりませんが、そこは
九州電力は
地震計も備えておりますから、そのデータも出してもらいたいと思うのですが、阿久根というところで震度三でございます。これは震源地は北緯三十二・一度、東経百二十九度八分という地帯で、場所は甑島の北の方、深さ二十キロメートルの地帯でございました。断層の生成活動があることを
指摘をしておきましたが、まさにそのことがこのごろはっきり出てまいりました。五月十四日にもまた十時二十八分三十秒に震度一、震源地は大体同じところだ。
これが記録によりますと、明治二十七年一月四日、北緯三十一度四分、東経百三十度五分、マグニチュード六の
地震が発生をしている。やはりこれも甑島のところでございまして、本土と甑島との海峡がありますが、その海峡の今度は北の方ですが、同じ海峡に沿うて
地震が発生をした。
そこで、どうもそういうようなことから三つの大きな断層がある。
一つは中生層と古生層の地層上の変化の上から、
川内川をはさみまして、久美崎の地層というものと、その対岸にあります月屋山の地層、これは古生層と中生層の地層の差でございます。したがってそこには大きな断層が走っているに違いない。
それからもう
一つは、
川内川という大きな川が流れておりますが、その中に、
川内川に水底断層が——これは破砕帯等が非常に多く見られますので、これも水底断層であることは間違いない。それと、いま申し上げました、いわゆる甑島と対岸、こちらの本土側との間に走っている地帯には仏像線があるんじゃないかということが、前から学者の中で
意見が出されておりましたが、これが中央構造線として甑島の沖合いを走っている。今度の
地震はそれを裏づけるものではないだろうか、こういうふうに現地の人たちは何時何分何秒にその
地震が発生したというのをちゃんと記録をしております。そういうような点から見まして、
地質の問題はこれはきわめて重要な問題でございます。
ところが、九電側の方としては、これについてのボーリング調査、海底のボーリング調査はやっていないわけです。というのは、防波堤を出すだけのための調査は、海底の本当に浅いところの調査だけはやりましたが、そういう海峡を走っている大断層等があるかどうかということについては、これは調査をいたしておりません。そこで私の方から、
安全審査会の第百二十三部会、これは、ただその
基本設計について書面
審査をするというだけではなくて、そういうような現実に大きな問題として提起をされている、
原子炉をそこに置くことが果たしていいかどうかという
基本的な問題に
関係がある問題でございますから、それについては、特に
安全審査会、
原子力委員会の責任において現実に調査をした上で、
地質の上から、
地盤の上から問題はないという
結論を出してもらわなければ住民は納得をしません。それから現地の市長とも会いましたが、知事が公有水面の埋め立ての
意見を私に求めてきても、
地盤の問題、
地質の問題が
安全審査会の中ではっきり大丈夫だという
結論が出るまでは私は知事の提案には同意をいたしません、このこともはっきり言っております。
ということは、
原子炉一般の問題として、いろいろな放射能漏れの
問題等がありますが、きょうは時間がありませんので、
原子炉一般論としては後に譲ることにいたしまして、
地質の問題でこれだけの具体的な問題が
指摘をされ、そして現実にはわれわれも横坑に入り、そしてボーリングコアのデータについても
検討をし、そしてこれについては問題があるという矢先にそういう
地震が発生をした。このことは、明治二十七年の
時点においては、当時の
科学技術の段階の水準から言えば場所的に少し問題があるかもしれないと言いながら、記録に残っていることをこの前私の質問に対して
地震課長答えているのですが、今度の場合は、明確にこのことを裏づけてきているということを
一つ考えながら、
原子力委員会として、
安全審査の中で、そういうようなものについて、特に仏像線の
問題等については、ボーリング調査等を何らかの機関にやらせるということを明らかにしてもらいたいと私は思うのですが、その辺についてどういうふうにお
考えになるかを承りまして、私の質問を終わらせていただきたいと思うのですが、よろしくお願いします。