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1976-05-12 第77回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年五月十二日(水曜日)     午後一時二十九分開議  出席委員    委員長 中村 重光君   理事 小宮山重四郎君 理事 田川 誠一君    理事 中村 弘海君 理事 前田 正男君    理事 宮崎 茂一君 理事 石野 久男君    理事 八木  昇君 理事 瀬崎 博義君       木野 晴夫君    竹中 修一君       藤本 孝雄君    森山 欽司君       山原健二郎君    近江巳記夫君       小宮 武喜君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      佐々木義武君  出席政府委員         科学審議官   半澤 治雄君         科学技術庁長官         官房長     小山  実君         科学技術庁原子         力局長     山野 正登君         科学技術庁原子         力安全局長   伊原 義徳君  委員外出席者         科学技術庁長官         官房参事官   石渡 鷹雄君         資源エネルギー         庁公益事業部水         力課長     和田 万里君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電課長  高橋  宏君     ————————————— 五月六日  日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法  律案内閣提出第四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件(科学技術振興の  基本施策)      ————◇—————
  2. 中村弘海

    中村委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  科学技術振興基本施策について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石野久男君。
  3. 石野久男

    石野委員 先般の委員会で私は福島原発火災事故のことについてお聞きしました。科学技術庁から安全局長さんの御答弁をいただいたのですが、二つほど当局側からの御意見を聞いておきたいと思います。  まず第一点は、火災事故のあったことは事実だということがはっきりしたわけですが、こういう事故について、会社側から科学技術庁の方にも連絡がないし、通産省とか町当局などにも全然連絡がなかったということについて、こういうことでは地域住民との約束事とも違うし、安全性に対して東電が非常に軽視しているという一つの証左だ、こういうふうに思いますが、この点をどういうふうに考えられるかということが一つ。  いま一つは、ほろ布に溶接の火花が散ってくすぶったのだ、こういうことでございますけれども、それにしても、パワーセンターから補助用電力線が出ておる、当該電力線四百八十ボルト用のものを別電源に切りかえてプラント運転をしたということの理由で、念のために、熱の影響を受けたと思われる部分については、万全を期して一部の取りかえを実施した、こういう報告でございますから、単なるぼや程度電線の取りかえなどということはちょっと考えられない。少なくとも電線の一部を取りかえたという事実があるということは、やはりこの火災相当程度大きかったものと予想しなければいけません。それにもかかわらず、これは軽微なものだというようなことについて腑に落ちぬものがございます。きょうの新聞などによりますと、毎日新聞さんの方では、電気ケーブル直径十センチのもの約十五メーター使用不能になったというような記事も出ておりますので、これは、私が先般申し上げたことと大体符合し、同時にまた、安全局の方から御答弁をいただきました内容の中に、取りかえをしたということも出ておること等あわせ考えますと、やはりある程度事故があったことを予想せざるを得ない、こういう問題についてこれからもっと厳しく追及しなければならぬ、こう思います。  私は、きょうは時間がございませんので、理事会申し合わせの時間がございますから、この二つの点についてどういうふうに処置なさっておるかという御答弁だけいただきまして、他日またこの問題の追及をしたいと思います。けれども、とにかく安全性を軽視しているという問題は容易ならぬことであるし、この点について局長並びに大臣の所信だけを聞いておきたいと思います。
  4. 伊原義徳

    伊原政府委員 先日の石野先生の御示唆によりまして、至急東京電力に事実の有無を確認いたしたわけでございますが、その結果、福島第一原子力発電所号炉におきまして、四月二日十九時ごろ、二号機タービン建屋の一階でぼろきれが燃えたという事実があったということでございます。それにつきまして、先生の御指摘の点、二点のうち、後の方から先に申し上げさしていただきますが、火災の大きさについてでございますが、私どもが受けました報告では、ぼろきれをビニール袋に入れてその床の上に置いてあった、それが燃えたということでございますので、会社側見解といたしましては、施設が燃えたということではなくてぼろきれが燃えた、こういう説明をいたしておるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、その結果、電力線が熱の影響を受けたおそれがあるということで約十五メーターにわたって取りかえた。これは、運転中に切りかえをいたしまして取りかえたということのようでございますが、いずれにいたしましても、発電所における火災は好ましいことではございません。そういうことで、私どもといたしましても、今後原子力施設における火災については、発生の防止並びに発生いたしましたときの適切な措置というものについて、今後さらに十分指導監督してまいりたいと考えております。  それから最初の御指摘事故報告がなかったのではないかという点でございますが、この点につきましては、先日もお答え申し上げたかと思いますが、私どもといたしましては、原子力施設の安全問題というものは非常に重要な問題でございますので、法律規則のたてまえはたてまえといたしまして、軽微な事故でありましても、科学技術庁並び通産省には連絡をするということを従来とも指導してまいっておるわけでございます。  ちなみに法律上の扱いから申しますと、この程度のものは、事故届の必要がないという程度のものであると考えられるわけでございます。なお、通産省電気事業法関係も、同一の見解だと聞いております。しかし、それはそれといたしまして、こういう問題につきましては、遅滞なく私どもに御連絡をいただけるように、今後も指導してまいりたいと考えております。
  5. 石野久男

    石野委員 いまの御答弁では私は納得しないのです。少なくとも、ぼろきれが燃えたくらいで十五メーターにわたって十センチ径の電線を取りかえなければならぬということになりますと、熱影響があったろうというくらいのものじゃなかろうと思うのです。これはやはり事実を調べてみないとわかりませんので、どうも東電報告というのは、皆さんが現場でその実情を見ての答弁なのか、ただ書類上の連絡でいまの答弁をしておるのか、この点ははっきりしませんが、いずれにしましても、これはいま一度われわれも現場を見ないと、この答弁だけでは納得しません。理事会申し合わせの時間の関係がありますので、私はこの問題はいまの答弁だけでは納得しませんので、いずれ理事会等に諮って現場を一度見せてもらうということをしたい、このように思っております。  それから、これは局長からのいまの答弁はありますけれども、少なくとも本体には影響はないというにしましても、十五メーターもの電線の取りかえをしなければならぬという事実は軽視できないと思うのです。軽いものじゃないと思うのです。そういうような事故が起きているのに報告がないということは、これは厳に戒めなくてはならぬし、監督官庁としては、これをほうりっ放してはいけないのじゃないかと思いますが、一応大臣の所見だけは聞いておきたいと思います。
  6. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 周到な注意で作業を今後とも進めるようによく申し渡しておきます。
  7. 石野久男

    石野委員 これは後で理事会で、一応現場を視察するというようなことなどをまた議してもらいたいと思いますので、委員長にひとつそのことだけ理解をいただきたいと思います。
  8. 中村弘海

    中村委員長 わかりました。  次に八木昇君。
  9. 八木昇

    八木委員 「むつ」問題について若干質問をいたします。  陸奥湾でさえもと言えば若干語弊があるかもしれませんが、母港はもちろん修理港もだめだったものが、佐世保でどうしてできようかと私は思っておるのです。     〔委員長退席石野委員長代理着席佐世保長崎県で日本一の水産県でございますし、それからいわゆる被爆県でございますし、狭い土地に人口稠密地帯でございます。そしてまた原潜問題でもめにもめたところでもあるわけでございます。佐世保に持っていこうということについては、政治的な判断としても、きわめて甘いし軽率であると私は思っております。  そこで、いろいろ伺いたいのですが、前回石野委員から質問がありました事業団法の有効無効の問題について、これはもちろんいずれ委員会として、法制局やあるいは学者意見を聞く機会を持ちたいと思っておるので、そういう提案をしたいと思っておるのですが、この際、なお二、三だけ確かめておきたいと思います。  現在の法律は、本年の「三月三十一日までに廃止するものとする。」こういうことになっておるわけなんですが、すでに三月三十一日を過ぎたわけでございます。今日ただいまこの法律は三月三十一日以前と全く同様の効力を持っておる、こういうふうに政府としてはお考えなんでございましょうか。
  10. 山野正登

    山野政府委員 この法律につきましては、ただいま御指摘のように「昭和五十一年三月三十一日までに廃止するものとする。」となっておるわけでございますが、この「廃止するものとする。」という表現を使ってございますゆえんのものは、いわゆる限時法のように、その時期が来れば当然に失効するという趣旨でこの文言が使ってあるのではないと私ども考えております。したがいまして、この時期にこの法律を失効させるためには、この法案廃止させる法案を、国会におきまして御審議の上成立させる必要があると考えておる次第でございまして、現時点、つまり五十一年三月三十一日を過ぎた現時点においても、廃止法立法化されていないという情勢から考えまして、法的に十分存在しておると考えております。
  11. 八木昇

    八木委員 私が質問しました点は、三月三十一日以前と全く同様の効力を持っておる、こういう御理解でございましょうか。
  12. 山野正登

    山野政府委員 法律的には全く同様と申し上げてよろしいかと存じますが、いま先生の御指摘が、三月三十一日以前、以後の両方を比較いたしまして、事業団の行う作業範囲はどうかという御趣旨かと思いますが、そういう点につきましては、現在、立法府におきまして、今後どの程度存続させるか、あるいは廃止させるかという意思決定をしておられない現状から判断いたしますれば、新しい開発業務をどんどん進めていくといったふうなことは妥当ではないのではないかと考えております。
  13. 八木昇

    八木委員 どうもいろんなことを後でつけ加えられるので、かえってよくわかったようなわからぬようなことで、法律論としてはさっぱりわからぬのです。法律的には全く同様の効力を有するということですな。
  14. 山野正登

    山野政府委員 御理解をいただきますために、別の法律の先例をちょっと申し上げますと……。
  15. 八木昇

    八木委員 そういうのはいいから、ぼくの質問に答えてもらいたい。
  16. 山野正登

    山野政府委員 法律的には事業団法は有効でございますので、その事業団法によって設立されております日本原子力船開発事業団というものも法的に存在するということでございます。それから作業範囲につきましては、いま申し上げましたように考えております。
  17. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 ちょっと補足しますが、この法律は「三月三十一日まで」云々とございまして、それまでに廃止するのであれば廃止法律を出しなさい、存続するのであれば存続法律を出しなさい。そのときの判断が十年前ではわからぬので、そのときになったらそういうはっきりした措置をとりなさい、こういうことでございますので、私ども遅滞なくこの法律存続しますという別法を出してあるわけでございますから、別法を出してあるというその事実を全然ネグって、その客観的な事実ば別にしておいて、この法律だけで議論するのはちょっといかがかと思います。しかし、純法律的に言いますと、そういう法の立法趣旨に従いまして私ども出してあるわけでございますから、その法律立法として存続するのだというふうに考えております。
  18. 八木昇

    八木委員 ちょっとくどいようですが、いまの大臣の御答弁はそれなりに承っておきますが、先ほどの局長答弁のような解釈であるならば、仮に今度の国会でいまの延長法案廃案になるというようなことがあっても、あるいは継続審議、そういうことがあっても、何ら当面政府としては支障はない、こういうことでしょうか。
  19. 山野正登

    山野政府委員 これから御審議いただくでございましょう延長法案継続審議になった場合、あるいは廃案になった場合という状況考えました場合におきましても、先ほど申し上げましたように、廃止法案が成立しない限りにおいては有効であろうかと考えております。
  20. 八木昇

    八木委員 一応見解だけを承っておきたいと思って質問をしましたので、いまの点はその程度にいたしますが、もうちょっと具体的に確かめておきたいと思います。  四月十九日に佐世保市の議会がございまして、そこに科学技術庁原子力船開発対策室長石渡さんが出席をして、このことについて答弁をしております。三月三十一日以降は新たな開発業務を積極的にすることはできないが、遮蔽改修基本設計など五十一年度の業務は遂行できる、こういう解釈での答弁があっております。  そこで、新たな開発業務という意味理解できないのです。それで、本年度の計画になっておりますところの遮蔽とか改修準備作業等々は新たな開発業務ではないのですから、結局、事業団が行う仕事の中に、新たなる開発業務とか、そうでない開発業務とかということを、どこでどういうふうに分けるのですか、この事業団法の中で説明をしてください。
  21. 山野正登

    山野政府委員 石渡参事官答弁に関連しての御質問については、私、先ほど申し上げましたように、立法府におきまして、本法の存続について意思決定をしておられないという状況考えました場合に、将来長期にわたりましてこの事業団存続するということを前提にした新しい開発をどんどん進めることは適当でないだろうということを申し上げたのは先ほどのとおりでございますが、これはたとえば、新しい型の舶用原子炉開発をするとか、あるいは原子力船第二船の開発計画を進めるといったふうなことは、当然にこの新たな開発といったふうなことに入ろうかと思っております。  この改正法が成立するまでにどの程度仕事ができるかということでございますが、これにつきましては、従来日本原子力船開発事業団が進めてまいりました開発業務成果につきまして、これを維持管理するといったふうな仕事は当然にできると考えております。そういう意味におきまして、ただいま佐世保がもしこの修理港として受け入れを応諾していただきました場合に、同地におきまして予定しております作業と申しますのは、まさにこの維持管理業務ということで十分に読めるというふうに私ども判断いたしておりまして、そういう趣旨から石渡参事官も、現地におきまして御指摘のような答弁をしたものと考えております。
  22. 八木昇

    八木委員 どうもいまの答弁は納得できないんです。それで、これは法制局学者を将来委員会に呼んでそのときに聞きたい。それのときのための参考のため質問をしておるのです。  大体、この事業団法長期存続、それを前提にした開発業務というのはできない、こうおっしゃるんですね。そうすると、ことしやろうとしておる仕事は、長期存続前提にする仕事じゃないですか。あなた、ことしから三年かけてこの点検をやり、そうして改修をする。そうして遮蔽装置というのを新たに追加して施す。それがため準備作業、これが三年かかる。それから今度はテストを始める。ですから、ことしやろうとしておる仕事、それについております予算十九億というものは、長期存続前提にした仕事でしょう。違いますか。
  23. 山野正登

    山野政府委員 ただいま長期存続前提とした仕事というふうにおっしゃいます意味を正確に判断しかねますが、私の申し上げておりますのは、本年度いたしますたとえば遮蔽改修についての基本設計でございますとか、あるいは原子炉周り安全性関係の深い使用機器点検でございますとか、あるいはドックに入りまして船体のチェックをするといったふうなことはすべて、従来行いました開発業務成果についての取りまとめ、あるいは成果についての評価といったふうな理解ができるわけでございまして、そういう意味で、たとえ長期開発前提にしてというふうな視点に立ちましての理解をしなくとも、従来の成果維持管理という範囲判断いたしましても、十分読めるというふうに申し上げておるわけでございます。
  24. 八木昇

    八木委員 どうもそう読めないですな。ことしの予算書に書いてあるのは、「むつ」の総点検をする費用、それから遮蔽改修準備作業予算、こういうことになっているわけですね。いまの御答弁からいきますと、維持管理という仕事はできる。で、この「むつ」をぼろぼろにしてしまうというわけにいかぬだろうから、それを維持し管理する、それから現実に従業員、職員がおるのですから、それに月給を払うとか、そういう維持管理仕事はできる、そういう意味ですか。さっぱり答弁がわからない。
  25. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 御承知のように「むつ」は実験船でございます。したがって、実験の途上で放射線等故障が起きた場合に、その故障等の原因を究明し、それをまた修理点検するということは当然の話でありまして、本来の業務であることは間違いないと存じます。
  26. 八木昇

    八木委員 それでもよくわからないのですが、一応政府側態度だけは承っておきました。  そこで、政府の話では、この佐世保修理港にするんだということでございますが、この点を伺いたいと思います。  各方面でずいぶん抵抗があって、反対の運動も活発に行われておる。長崎県漁連では、大々的な予行演習をやりまして、もしこれが入港を強行されるという場合には実力で阻止するというので、大変な漁船を動員して、そうしてすでに予行演習を終わっております。  そこで、大臣にお伺いをいたしますが、強行はできないと思うのですが、その点どういうお考えでございましょうか。関係方面了解を得てやりたいという御答弁であろうと思うのだけれども、では、その場合関係方面というのは、どこどこを指して考えておられるのか、その点を伺います。
  27. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 八木さんもよく御承知のように、私ども修理点検計画をじみちに丹念に追いまして、その間は絶対に放射線が出るわけでもなし、安全以外何ものでもないというふうに判断しておるわけでございますが、それを現地の方によく御説明申し上げ、御理解いただく前に、御承知のように、去年の秋でございますか、ああいう問題が起きたわけでございますけれども、私ども考えでは、恐らくはこの安全問題に対して、まだこちらの方もはっきりした説明もしていませんし、御理解いただかないままああいうことになったのじゃないか。したがって、正式に県、市に検討をお願いして、県、市の方ではまた、そういう技術的な、科学的な問題は、権威ある方面でひとつわかりいいように責任を持ってやってくださいというお話でございますので、私どもも御承知のように出向きまして、ただいま御説明をさしておる最中でございます。だんだんそういう御理解が深まっていきますれば、自然ああいう船団を組んで阻止するとかいうようなことはなくて、だんだんそうでない方向に向かっていくのではないか。また、そうしなければいけませんし、そういう方向に持っていくようにせっかく努力中でございますので、まだ去年の御説明も済まない現状が今後もなお永久に続くだろうというふうには実は考えておりませんし、また、そうあってはいけないものというふうに実は期待しております。
  28. 八木昇

    八木委員 具体的に伺いますけれども長崎県、佐世保市はもちろん、佐世保周辺の町村、県漁連佐世保周辺のすべての単位漁協、さらに被爆者団体、それから反対市民団体もございますが、それらすべてとの了解なしに強行することはありませんか。
  29. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 行政措置の問題としては、県、市当局判断によるのが一番私どもとしては筋だと思いますけれども、県、市が判断する際に、そういう点を考慮しないで受け入れるとか受け入れないとかいうことを言うはずがないのでございまして、そういう点、私ども安全性の御理解をいただくいわば説得と呼応いたしましてだんだん御理解いただければ、いままで反対の人でもそういうことであればいいじゃないかというふうに、先ほど申しましたように、なってくるのじゃないか。そういう時点を踏まえまして県、市では判断するでございましょうから、決して県、市は、そういう現地実情を無視してまで回答するわけはないと思いますので、県、市で回答を出してくださるときには、当然そういう点も十分考えた上で判断してくださるのではないかというふうに私は考えておるわけでございます。
  30. 八木昇

    八木委員 いまの御答弁は、直接間接は別として、実施するとすればそれらの関係団体等了解を得て行うんだという御答弁だと聞いたのですが、それがためには、これだけ疑惑に包まれており、心配されておる問題ですから、やはり一切の資料を公然と明らかにするという政府態度がなくてはならぬと思うのです。それがためには、さきの大山委員会はもちろんのこと、遮蔽小委員会、あるいは「むつ」総点検改修技術検討委員会等政府から提出された一切の資料、それからそれらの委員会討議議事録、こういうものを全部公表する必要がある。今回までの間に二回、何か政府態度説明がなされておるようですけれども、従来のパンフレットに述べられておる程度のものであって、ああいうものでは全然問題にならないという現地の反応はおわかりのとおりなんで、そういう一切の資料を公開する用意がございましょうか。  それと関連いたしまして、長崎県が独自の安全専門審議会というものを設け、そうして二十一項目質問書政府に出しておりますね。それに対する回答を五月初旬ごろまでにはするという科学技術庁態度だと承っておりますが、すでにその回答をなされたのかどうか、そして、それに付帯して一切の資料と一切の討議議事録を明らかにしませんと、この長崎県の審議会それ自体が疑惑を持たれます。関係団体との間に話がつきません。その辺のところについての科学技術庁態度を明快にこの際表明しておいてもらいたい。
  31. 山野正登

    山野政府委員 ただいま御指摘の「むつ放射線漏れ問題調査委員会あるいは原子力委員会におきます原子力船懇談会、さらに「むつ」総点検改修技術検討委員会、あるいはまた御指摘の二十一項目についての質問書に対する回答、こういったふうなものの最終的な結論と申しますのは、御承知のとおりすべて公表しておりますし、また公表するつもりでおります。  それから、御指摘のように、この議事経過作業経過等もすべて出すべきではないかという点でございますが、これはできるだけ、そういった委員会等におきましては、各委員自由濶達な御意見の御披露というものを期待しておるものでございまして、これをすべて出してしまうということは考えておりません。  また、二十一項目回答書につきましても、これはただいま原案がほぼでき上がりまして、あとは印刷に付する業務が残っておるだけでございまして、これはもちろん公表いたしますが、この原案をつくります作業の段階で、私どものスタッフがいろいろ集めた資料あるいは作業した資料といったふうなものを公にするということは、これは物理的にもかなりむずかしいのではないかと考えております。  もちろん、先生方が御審議等に必要な資料であって御要求があれば、できる限り提示いたしまして、御検討の用に供したいとは考えております。
  32. 八木昇

    八木委員 結局、それらの委員会が出した結論、それから政府の出した結論、これはかくかくしかじかで安全でございます。これについてはこのように配慮して今後やりますなんということを百言ってみたところで、それはもう納得しないということは、これまでの実績で明らかでしょう。ですから、あなた、資料を出さなければ問題にならないのですよ。あなたたち政府が出した結論でもって、どんなに長々しい文章で回答しようとも。だからそれは資料を出すべきじゃないですか。  それで、原発の発電所の場合、たとえば地質なら地質の問題が問題になっておる。九州で言えば鹿児島川内原発。ボーリング結果やその他の一切の資料を電力会社は出しましたよ。柱状図から何から全部、膨大なものです。東京電力が出した場合にはボール箱いっぱいの資料です。出すべきじゃないですか。
  33. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 現地からいままで私どもに参りましたのは、いまの何カ条でございましたかの質問状とか、あるいはいろいろ参りまして、むしろ逆にもっとわかりいいものを出してもらいたいという要求こそあれ、さらに詳細なものを出さなければわからないという希望は、実はございませんでした。ですから、今度は県なり市なりで実際検討をお始めになるようでございますから、その際そういう詳細な資料が必要であれば、できるだけ出すのにやぶさかでございません。出します。  ただ、こちらの委員会等検討した議論の議事録なんというものはないわけですから、だれがどう言った、だれがどう言ったというところまでは、それは私はなかなかむずかしいと思いますよ。そうでなくて、技術的にこういう点はこうだというわからぬ点がございますれば、それはできるだけの資料は公開するに決してやぶさかでございません。
  34. 八木昇

    八木委員 ところで、いま科学技術庁の方は、佐世保にお願いをしておるのは点検修理をするだけなんだ、この佐世保で臨界に達することはない、ましてや佐世保港内で上昇試験なんというものは一切やらないんだ、こういうふうにおっしゃっておるのですが、非常に当面を糊塗する言い方であって、とうてい現地やその他は、そのようには受け取っていない。  この点に関連して質問をいたしたいのですけれども修理だけだというならば、母港、定係港というのは別の個所に設けるのですね。
  35. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 御承知のように、母港を決めようとして去年はかかったのは、よく御存じのはずです。ところが、母港を先に決めるよりは、やはり母港を誘致する方の側に立ってみれば、修理点検をして、そうして健全な体にして、安全なものだということにしてひとつ持ってきてくれませんかという希望があることは、これはやむを得ぬ事柄だと思いまして、したがって私どもは、むしろ母港を決める前にまず修理点検の港を決めまして、そこで修理点検を始めますと、そして三年もあるわけでございますから、その間に修理点検が実際に進んでいって、予定どおり修理点検が進んでいくその過程において、母港を受け入れる個所が、志望者がいろいろあるわけでございますから、そういう点も考慮して最適地を決めたらいいんじゃないか、こういうふうに実は考えております。
  36. 八木昇

    八木委員 母港を受け入れるところが簡単にあるなら、問題はこれほど紛糾しない。これだけ問題にもならないのですけれども、母港が決まらないでしょう。それで、あなたが青森で約束をしたのは、もうずっと早く母港は決めるという約束をしておる。ところが決まらないでしょう。簡単に母港を受け入れるところが決まるとはだれも考えていない。簡単に決まらない、それだけに問題があるわけですね。ですから、かくかくしかじかこういう経緯を経て、そして母港はどこそこに決まった、しかしそこに母港を建設するためにはこれだけの年数が要る、ドックもつくらなければいかぬ、クレーンも取りつけなければいかぬ、だからその間修理だけをお願いする、いま行われておる話はこういう話じゃないわけですよ。だから問題があるわけです。  しかも先ほどの局長答弁では、本年度やるのはその維持管理だけだ、こうおっしゃる。維持管理だけならばどこでだってできる。むつででも維持管理をしているわけでしょう。母港を決めるのが先決じゃないですか。おっしゃるとおりに、母港はほかのところに必ず設定するというお考えならば、そうでなければだれも納得しません。ごまかしておるとしか考えません。いかがですか。
  37. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 鶏と卵の関係になりますのでまことにまずいのでございますけれども経過を話しますと、おっしゃるとおり、また青森での約束どおり、母港の選定を先にいたしました。ところが、受ける方はそう受け取らないのです。(八木委員「それは受け取りませんよ。受け取らないのが当然です」と呼ぶ)いや待ってくださいよ。立って言ってくださいよ。座ったままじゃ困りますよ。  それは、どうして受け取らないかといいますと、健全な姿にしてくだされば安心して私どもは受けられますと、こういうのが大方の世論だと私は思うのです。したがって、いろいろ考えてみますと、青森の約束はああいう約束だったけれども修理点検をしっかりして健全な船体にして、内容にして、そして母港に受け取ってもらいたいということであれば、受ける方も、それではということになりはせぬだろうか、こういうことで、まず修理点検を先にやろう、その方が理屈に合うじゃないかということで、青森の方にもお話ししたところ、いやごもっともだ、それで結構ですから、その修理点検を先にして、そして約束どおりおおむね二年半ぐらいまでには新しいところへ移してもらいたい、こういうお話でございましたので、私どもといたしましては、修理点検をそれでは先にしようということで、青森側にもよく御了解を得た上でこういう処置をとっておるのであります。それを今度は、あなたのように、まず母港を決めろでは、また同じことを繰り返さなければならない。ですから、それではいつまでたってもやめろというだけの話で、そうではなしに、やはり修理点検を先にして、そしてりっぱな船にして、その上で、その過程において母港というものを決めていけばいいじゃないか、こういうことでございます。
  38. 八木昇

    八木委員 それはあなたは全く手前勝手なお考えなんでして、鶏と卵の関係じゃとても受け入れの話はつかないですよ、そのままでは。  青森漁連政府がお約束になった事柄は二項目。申すまでもありませんが、五十年の四月十四日をめどに新母港を決める。もうそれから一年たっておる。昭和五十年四月十四日をめどとした。それから一年さらにたっている。新母港が決まらないじゃないですか。それからもう一項目は、さらに二年後、昭和五十二年四月十四日までに「むつ」を移転させる。これが二つ目の約束だったわけです。母港は簡単に決まらないというのはだれでも知っておる。母港を決めないで、鶏と卵の関係にぼやかしておいて、修理港だけだと幾ら言ってみたところで、それは善意としては修理港だけにしようと、そしてまた文書上の約束をしても、その約束が実際に実施不可能という前例が、この青森漁連との協定でこのとおりに、実際できないという実績があるわけですから。ですから、修理港だけでございます。母港にはいたしませんというような約束をしたって、母港が決まらないと、一たん来た「むつ」は、佐世保から今度はまたそこで動けなくなる。それをみんなだれしも知っておる。だから、母港の問題と切り離しては、だれが考えたって、これは話し合いはつかない、こう考えるのが常識じゃありませんか。普通の頭じゃありませんか。どうでしょうか。
  39. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私ども逆に考えたんでありまして、お説のとおりやってみたんです。同じことを繰り返すだけで恐縮でございますけれども、同じ質問でございますから、もう一遍繰り返しますが、青森との約束どおりやろうと思いまして、まず母港の選択にかかったことは御承知のとおりで、去年の四月ころまで一生懸命やりました。ところが、受ける方の側に立ちますと、くどいようですけれども修理点検をして、そしてきずものじゃなくてりっぱな体になりましたというところで、ひとつお嫁さんにしてよこしてくださいという、こういう希望は無理からぬ希望だと思います。それでは全然青森との話し合いをけってやったかというと、そうじゃないのでありまして、くどいようですけれども、三回目繰り返しますが、青森の知事さんなり関係の皆さんによく御了解いただいて、こういうわけでございますから、まず修理点検仕事と申しますか、工作に入りますよということで、向こうも、それはやむを得ぬでしょう。問題は、むしろ本体をどうするかという問題ですから、それは約束どおり二年有半後にまで移してくださいということになっておりますので、それはひとつぜひその約束どおり果たしましょうということで、修理点検を去年は一生懸命にかかりました。ですから、決して私どもは順逆違えたんじゃなくて、むしろその方が順じゃないか。青森であの際決めました方が実際には適合しないので、ということはその後に事実の経過としてわかってきましたので、青森側の方も御了解していただいたというふうに実は解釈しておるわけでございます。
  40. 八木昇

    八木委員 それは、青森は一日も早く出ていってもらいたいという立場ですから、青森との話は何とかつくのは当然だと思います。しかし今度は、おまえのところに持っていくぞと政府考えておる、こういうことになったそこの側の立場で物を考えると、いまのようなことでは、それは話し合いはつかない、そう私は考えるし、また現地でも、現にみんなそう思っておるわけです。またそれは当然だと私は思うのでございます。  ところで、修理だけだ、こうおっしゃるのですけれども、上昇試験はどこでやるのですか。
  41. 山野正登

    山野政府委員 出力上昇試験につきましては、修理が完了しました後に、その時点で決まっておると考えられます定係港において行うことを考えております。
  42. 八木昇

    八木委員 この前「むつ」がやったように、洋上テストというのをいきなりやるということは考えてないのですね。
  43. 山野正登

    山野政府委員 出力上昇試験の進め方につきましては、現在のところ、低出力につきましては岸壁においてやり、高出力については洋上において行うというふうに考えております。
  44. 八木昇

    八木委員 この修理は三年で終わるのでしょう。
  45. 山野正登

    山野政府委員 ただいまのところ三年で終わると考えております。
  46. 八木昇

    八木委員 まだ母港も決まっていなくて、新しくどこかに決まると仮定して上昇テストをやる。そこに、三年以内でぴしゃっとそういったテストができる設備も完備し、一切の話し合いもつき、そうして一切のものがそのときに完備しておる、こういうことが断定できますか。
  47. 山野正登

    山野政府委員 修理港が決定いたしますと、直ちに私どもは、将来できますであろう安全な原子力船というものを説明いたしまして、定係港の選定作業を進め、三年後までに出力上昇試験が可能な設備といったふうなものは取りそろえるつもりでおります。
  48. 八木昇

    八木委員 常識的に考えて、その修理港に当てられておる地域の人たちが、そういうような態度で納得しましょうか。
  49. 山野正登

    山野政府委員 修理港と定係港というのは、あくまでも区別して考えておりまして、いま御指摘の出力上昇試験と申しますのは、修理が完了した後に行われるわけでございまして、修理に着手しましてまる三年間あるわけでございますので、先ほど申し上げました準備をいたしますには、十分時間的余裕はあると考えております。
  50. 八木昇

    八木委員 母港についての話し合いをすでに心組みをしており、そうしてどこと話し合いをしようというような計画がありましょうか。
  51. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 いろいろ希望の個所はございますけれども、先ほど来申しましたように、あくまでも私どもといたしましては、修理点検をまずして、そうして安心して受け入れるように状態を整備してから実際の交渉に入ろうと思っていますので、いまは母港に関する交渉は一切しておりません。
  52. 八木昇

    八木委員 そこで、実際に非常に無理なことをやろうとしておるので、オーソドックスにはなかなかいかぬという状況になっており、その意味で、科学技術庁が、また政府全体としても、非常に苦慮しておると私どもは見ておるのです。  そこで、地元の新聞では「「むつ」受け入れのために迷惑料か」という大きな見出しで載っておるのですが、オーソドックスにいけないのでからめ手から金を出す、いわば非常に露骨な表現で言えば金でつるという形が出ておる、そういうふうに私ども考えざるを得ないのです。また長崎県知事は、見返り要求というようなことをしたということを県議会で認めておる。一つ長崎新幹線の早期着工、それから長崎県有の針尾島工業団地の政府買い上げ、それから漁業補償、これについて新聞は「迷惑料」という見出しで大きく報道をしておりますが、そういう要求をしたということを知事は県議会で認めております。そういうものを出すのですか。
  53. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 それは県なり市なりからいろいろ御要望が出てまいりますれば、それに沿って、理屈に合うものかどうか、そういう点も検討しなければいけませんけれども、まだ正式にそういう話を聞いておりませんので何とも申し上げられませんが、しかしながら、先ほど来あなたが指摘しているように、長崎県の特殊な事情もございますので、そういう点も加味しつつ、県民の皆さまのためになることでありますれば、これは時期を早めて政府として実施するといったような処置は、あるいは構ずる必要があるんじゃなかろうかというような感じもいたします。
  54. 八木昇

    八木委員 それは佐世保修理することだけのために出すのですか。
  55. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 ですから、まだ具体的な要求はありませんので、検討はしておりません。
  56. 八木昇

    八木委員 知事がそういった趣旨の要望をしたのでしょう。
  57. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私どもは正式に受けておりません。
  58. 八木昇

    八木委員 議会ではそういう答弁をしておるのです。そういう要求をしたことを認めておるのですけれども、まあ、それはいいといたしまして、それじゃ伺いますが、修理港として佐世保に受け入れてもらうために相当な見返りを出す。そうしますと、どこかに母港が決まりますね。将来決まることがあり得るかもしれない。私は簡単に決まらないと思うけれども。その場合にも見返りを出しますか。この場合の見返りはもっと大きいでしょう。
  59. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 見返りということで、いかにも何か前提条件みたいなお話をしておりますけれども、まだ母港も決まっておるわけじゃございませんし、修理港に関するいろいろな施設その他の御要求もはっきり伺っておりませんので、いまのところは、具体的にどうという御返事はないのでありまして、お答えできないのであります。
  60. 八木昇

    八木委員 いや、先ほどの御答弁で、何らかのことは考えなければいかぬだろう。私が指摘したような、そういう水産県なんだからということをおっしゃったわけだから、何らかのものをお出しになるお考えだという答弁だと聞いたわけですが、そうしますと、今度は母港を設けるという場合には、もっと莫大なものを出さなければならぬ、そういうふうに二重にお出しになるお考えですか。
  61. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 まだ母港がどうのこうのというところまでいっておりませんので、別に、いまあなたのおっしゃるように、何とか料というものは考えておりません。
  62. 八木昇

    八木委員 そこは平行線なんですが、母港のどうのこうのを考えないでは、それはもう全然無責任だというのが私の質問趣旨でございますから、私が聞いた点だけからいきましても、非常に無理なことを、事実上実現不可能なことを政府がやろうとしているというふうに改めて私は認識をしたわけでございます。  ところで、「むつ」そのものについてでございますが、この「むつ」の炉そのもの、あるいは蒸気発生器、こういったものについては絶対に欠陥はない、そういうお考えでございましょうか。
  63. 山野正登

    山野政府委員 今後「むつ」につきまして行います総点検改修作業と申しますものの内容は、いわゆる大山委員会の御指摘、あるいは原子力船懇談会の御指摘に従いまして、四十九年の秋に放射線漏れを起こしました遮蔽の欠陥につきまして、これを改修するということに加えまして、原子炉を中心にいたしまして、全体的な安全性の総点検をしようということでございまして、現在のところ、はっきり欠陥があり改修すべきであるとされておりますのは、遮蔽部分のみでございます。そこで、この総点検につきまして、今後、点検を進めました段階で特に修理すべきところが出れば、その時点で必要な作業をするということになろうかと考えております。
  64. 八木昇

    八木委員 そこで、ちょっと振り返って過去のことをこの際ただしておきたいのですけれども、「むつ」の原子炉は、これは三菱の製造でございますが、同じ三菱が、当初はコンパッション・エンジニアリング、その後はウエスチングハウスの設計、それからまた技術提携に基づいて美浜一号炉、美浜二号炉、これをつくっておるわけです。美浜一号炉や二号炉をつくったと同じ三菱がこれをつくっておるわけですね。「むつ」の原子炉にしても、蒸気発生器やその他、この美浜一、二号はいわゆる欠陥炉として、特にもうほとんど使い物にならないという状況にあることは御承知のとおりでございます。それで、美浜一号を製造したのは何年何月のころであり、二号炉をつくったのは何年何月のころであり、そうして「むつ」の原子炉をつくったのは何年の何月ごろであったか、それはいまわかりませんか。大体同じころだとぼくは思うのです。
  65. 伊原義徳

    伊原政府委員 いまちょっと資料を調べておりますが、先生指摘が、それほど時期的に違ってはいないという御指摘でございますれば、おおむねそのような時期であったかと思います。
  66. 八木昇

    八木委員 そうしますと、美浜一号炉や二号炉、特に美浜の場合には——ほかのところでも、事故故障かという表現の違いはありますけれども、まあ故障でも構わないとぼくは思いますけれども、たびたび故障もしくば事故を起こしておる。それは蒸気発生器、細管の部分が多かったのですが、ほかの部分もいろいろ起きておる。そういうことを考えますると、「むつ」の場合も起こり得ますね。
  67. 山野正登

    山野政府委員 御指摘の美浜炉につきまして、ちょっと先ほどの御質問に返りますが、建設開始時点でございますが、美浜一号炉は四十二年の八月、二号炉は四十三年十二月、「むつ」の舶用炉につきましては四十五年ということになっております。  そこで、ただいまの御質問の美浜炉における先般の蒸気発生器の細管における漏洩のトラブルでございますが、「むつ」について考えますと、改善措置といたしまして、水質管理のボラタイル処理もすでにきいておりますことが一つ。いま一つは、御承知のように、「むつ」の場合には美浜炉と違いまして、これは運転試験がきわめて短うございますので、私どもの予想では、恐らく「むつ」には蒸気発生器、細管にいまのところ損傷はないであろう考えておりますけれども、先ほど申し上げました総点検の一環といたしまして、この舶用炉の細管につきましても点検をいたします。これは探傷試験ということで行う予定にいたしております。
  68. 八木昇

    八木委員 「むつ」の場合には、舶用炉でございますから危険度はより高い、常識的にそう私ども考えておるのです。  そこで、いまの薬品の問題ですが、美浜一、二号は燐酸ソーダを使っていた。それをヒドラジンにかえたから大丈夫だとその後言ってきたのですが、また事故が続いて起こる。それで高浜の場合には、初めちょっとだけ燐酸ソーダを使ったけれども、後ずっとヒドラジンだから絶対に事故は起こらないということを繰り返し政府は言ってきたのです。ところが起きた。そういう事実はよく御承知だと思います。でありますから、薬品の問題じゃないとぼくは思うのですが、どうですか。そういうように結論は出ておるのですか。出ていないでしょうが。
  69. 伊原義徳

    伊原政府委員 ただいま先生指摘の高浜原子力発電所の蒸気発生器の減肉現象につきましては、通産省の発電技術顧問会におきましてこの関係検討会が開かれて、いろいろな御検討をいただいておるわけでございますけれども、その検討会の御見解といたしましては、高浜の蒸気発生器につきまして、当初約三千時間ぐらい試運転期間において燐酸ソーダを使用した期間があった。先日減肉現象が見られたときに十分解析をいたしました結果、当初の三千時間程度のときに発生したと考えられます減肉現象が、その後水処理方式を変えましたことによりまして、進行が停止をしておるという現象が見られております。つまり水処理方式切りかえ後は腐食が進行しておりませんで、その上にスケールがかぶっておる、こういう状態であることが、抜管試験と申しますか、実際に減肉をいたしました管を引き抜いて顕微鏡検査その他をいろいろやりました結果、判明いたしております。したがいまして、水処理方式を変えることによって減肉現象はなくなった、進行が停止したと私ども理解しております。
  70. 八木昇

    八木委員 遮蔽装置だけに問題があるのではなくて、可能性としては大いにこの炉自体に未解明の部分というものがまだたくさんある。ましてや舶用炉ということになってくるとさらにそうだ、こういうふうに私ども考えておるわけです。  それで、「むつ」の場合、ほんのわずかの出力だけでストリーミング現象というものが発見された。それで遮蔽装置だけに問題があるかのごとく言っておるのですが、この「むつ」の経験の中から根本的な反省はありませんか。やはり、おかの上でまず実験をして、あるいは試験をして、それから次に岸壁、そうして次に洋上、これが当然オーソドックスなやり方であるし、どこの国でもそうやったと私は思うのですけれども、そういう深刻な反省の中から、いまのような原則に戻るという考えはありませんか。
  71. 山野正登

    山野政府委員 放射線漏れのトラブルについての反省と申しますのは、私ども十分に深く反省しておるつもりでございまして、大山委員会におきまして、技術的な原因、あるいは事業団の体制上の問題、あるいは監督上の問題につきまして数々の指摘がございますが、私どもはこれを真剣に受けとめまして、今後行政そのほかに反映していこうと考えております。  原子炉についてさらに深く検討すべきではないかという点は、まさに御指摘のとおりでございまして、現在のところ、放射線漏れにつきましては、総点検改修技術検討委員会におきましては、遮蔽の改善で足りるという判断になっておるわけでございますが、それに加えまして、先ほど申し上げましたように、安全上重要な部分につきましては総点検をしようということでございまして、さらにその中では、かつての設計思想というものが十分に「むつ」に具現化されておるかどうか。あるいはさらに事故解析等につきましては、新しい思想に基づいてもう一度やり直してみようということでございまして、御指摘のとおり、私どもは、先般のトラブルについての反省というものは、十分にいたしながら今後の計画を立てておるつもりでございます。
  72. 八木昇

    八木委員 時間があと十三、四分だと思いますので、あと二、三は羅列的に質問をして終わりたいと思うのですけれども、ある新聞の座談会で、海洋協会の理事をしておられる柳原良平という方、この方はイラストレーターでもございますけれども、「むつ漂流」というような著書等もある方で相当権威のある方ですから、一流新聞の座談会に出ておられるのですけれども、その方がその中で発言をしておられます。その記事をそのままぼくはここに書き写したのですが、こう言っています。「高速中性子という予想外の問題が出たわけだが、設計だけでなく、原子炉の構造を根本的に考え直さねばならない。まず陸上で、つぎに岸壁で動かす。そして、安全性を実証して港外に出す」べきであると言い切っております。このような見解は笑うべき見解であるというお考えでしょうか。
  73. 山野正登

    山野政府委員 御指摘のように、原子炉そのものを陸上に持ち出しまして実験をするというのは、技術的にはそれでよろしいかと存じますけれども、実際問題としまして、現在原子力船むつ」から塔載舶用炉を取り出すということは不可能でございます。  そこで私どもは、現物についての実験にかえまして、原研にございます炉を使いまして実験を進めながらソフトの計画を進めるというふうな方向でやっておるわけでございまして、先ほど柳原さんの論文をお読みになりましたけれども、その趣旨そのものに異論はございませんけれども、進め方につきましては、私どもは私どもなりにこの検討委員会の評価を受けながら実験というものを重視して進めておるつもりでございます。
  74. 八木昇

    八木委員 試運転を「むつ」は一昨年やったわけですよね。試運転だから、放射能が漏れてみたり故障してみたりということは、不完全なものですから当然あり得ることなんですね。試運転をやって、欠陥や故障個所、問題点を明らかにして、そうしてそれぞれの段階で修理して、またテストをする、それはもう当然だと思うのですけれども、そのようなお考えではないのですか。試運転だから漏れたり故障したりは当然である、不完全なものをそれぞれの段階で修理する、そのための試験なんだからということを柳原氏は言っておるわけです。  それで、この座談会の中で倉本事業団理事は、原子炉に関しては絶対に故障は起こり得ないと言い切っておるけれども、独断もはなはだしい。その点どうですか。
  75. 山野正登

    山野政府委員 ただいまお読みになりました関係者の発言の内容につきましては、当人でございませんので真意をはかりかねますけれども、先ほどおっしゃいました欠陥があった場合には、これを修理しながら前進していくというのは、全くそのとおりであると考えております。  と申しますのは、これは開発業務でございますので、ある程度の試行錯誤といったふうなものはやむを得ないものであろうかと考えます。ただ、もちろんそういうものが全くないことが望ましいわけでございまして、私どもの姿勢といたしましては、できるだけそういう事態にならないように万全の配慮を払いながら進めていく、そういう姿勢が必要であろうかと考えております。
  76. 八木昇

    八木委員 この座談会ですが、私が持っておりますのは西日本新聞の座談会で、柳原氏と倉本氏と、それから放射線漏れ問題調査委員長の大山さん、この三人の座談会の記事なんです。それで、大山さんはどう言っておるかというと、一昨年九月一日のは事故ではなく故障みたいなものである。この見解については若干私は違いますけれども故障みたいなものである、あのような故障は当然出てくる、こう大山さん自身が言っております。将来もこういうことはたびたび出てくることであるというふうに考えるのですけれども、もう一度念を押しますが、あなたたちもそのように考えておられますか。
  77. 山野正登

    山野政府委員 当然に出てくる……。
  78. 八木昇

    八木委員 当然出てくるという言葉は、彼はそのままそう言っていますから。
  79. 山野正登

    山野政府委員 当然にたびたび出てくるという、この当然あるいはたびたびということの意味が非常に問題だと考えますけれども、先ほど申し上げましたように、できるだけそういったふうなことは少なくするという努力がまず基本姿勢として必要かと思います。  それから、事は開発に属することでございますので、絶対にないということはもちろん言えないわけでございまして、不幸にしてそういう事態になった場合には、これを完全なものに修理をする。その際に私ども非常に大切であると考えておりますのは、作業員を含めまして周辺には絶対に悪い影響を与えないという配慮が必要でございまして、そういう姿勢で進めていく限りにおいては、ただいまの発言もうなずけると思います。
  80. 八木昇

    八木委員 最後に二点だけ伺って、終わります。  日本の新聞でも、三月ごろでございましたか、相当大きく報道されていますので御承知のとおりでございますが、フランスの国立科学センター、CNRSというのが結論を出した。どういう結論であるかというと、ウエスチングハウス社の加圧水型原子炉はまだ実験段階である、まだ満足すべき対応策が入手できていない、原子炉の蒸気発生器と炉の圧力容器、いずれも応力や安全係数についての配慮がなく、技術的実用性の見地からだけで開発されているという見解の結論をまとめたということが大きく報道されております。  科学技術庁でございますから、フランスのこの方面とも接触を保ち、あるいはいろんな書物や書類等々によってこれらの問題について研究、検討をしておられるでしょうか。そして、このようなフランス国立科学センターの見解について、どういう見解を日本の科学技術庁としては持っておられるでしょうか。これは参考までに承っておきたいと思います。  それからもう一点は、これは現地の新聞で報道されておるのですが、原子炉の改修工事も修理港でやる、そういう計画だそうですね。で倉本さんは、炉自体には確信を持っているということをこの座談会で言い切っておるのですけれども、それとの関連において、改修工事はどういうことをやろう考えておられるのか。この二点を最後に承っておきたいと思います。
  81. 伊原義徳

    伊原政府委員 フランスのCNRSの報告書につきましては、私どもも在京フランス大使館を通じていろいろ調査をしておりますが、現在までに私どもとして承知いたしておりますのは、御承知のとおりフランスの原子力開発の中心は、フランスの原子力委員会と申しますか、CEAと称する機関でございまして、CNRSは直に原子力開発に関与しておる機関ではないと承知いたしております。なお、このCNRSの全体の意見ではなくて、研究者の有志の方々がある御意見を取りまとめられた、こういうふうに聞いております。なお、この詳細につきましては、フランス大使館を通じまして、必要に応じて検討してまいりたいと考えております。
  82. 山野正登

    山野政府委員 御質問の第二点の原子炉の改修工事についてでございますが、ただいまはっきり修理すべき欠陥というのは遮蔽だけでございますので、遮蔽改修をするのはもちろん間違いのないことでございますが、それ以外の分につきましては、先ほど来申し上げておりますとおり、安全性についての総点検をいたします。この総点検の結果、もし原子炉プラント機器にふぐあいな個所がございますれば、その部分についての補修工事といったことをやることになろうかと思いますが、現在のところ、現時点でそういうところが具体的にあるかという御質問については、不明でございます。
  83. 八木昇

    八木委員 これで終わりますが、参考までに。私は去年の七月の末に、実は私どもの所属党の科学技術調査団としてソ連に行ったのです。それで原子力発電所も二カ所実は見てきたのです。それから原子力委員会とも会談をしたのですけれども、日本の原子力発電所における蒸気発生器細管の事故、それのみならず詳しく先方も状況を知っておりましたのですが、どうも自分たちも、いろんなことを聞いておるだけで断定はできないのだけれども、やはり構造上の欠陥があるのではないかという疑問を提起しておりました。まだまだ原子力発電所、原子力の平和利用に関しましては、日本の技術においてはいろいろな多くの問題を持っているということを改めて指摘しておきたいと思います。  一応、きょうの質問はこれで終わります。
  84. 石野久男

    石野委員長代理 瀬崎博義君。
  85. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私は、まず最初に、欠陥原子力船むつ」をつくり出した政府の欠陥原子力行政について、政府自身根本的な反省とか検討をすることなしに、それをたな上げして、ただただ原子力船むつ」を佐世保長崎に押しつける策動を、しかもそのやり方が既成事実の積み重ねという形で強行されていることに強く抗議をして、質問をしたいと思います。  まず、「むつ」の修理港問題について、あるいは母港問題について、長崎県民はもちろんのこと、国民の持っている素朴な質問を提起したいと思うのです。それは、青森において危険だ、問題があるということで追い出された「むつ」を、長崎においては危険がなく、問題なく受けられるべきである、この論理はどう見ても国民の理解に苦しむところなんです。あなた方にそれがおわかりにならないのだろうか、この点であります。もしも「むつ」が青森において危険であり問題があるというのなら、これは佐世保においても同じことだと思います。もし佐世保において安全であり問題がないというのなら、これは青森に置いておいても安全であり問題はないはずなんです。この点についての国民が納得のできるような政府答弁をまず長官に求めたいと思います。最も基本だから長官から。     〔石野委員長代理退席、委員長着席〕
  86. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 これは再三いままでお話し申し上げたと存じますが、先ほどの答弁とダブリますけれども、要するに、ただいまああいう故障が起きて、そのまま出力上昇した場合にはやはり放射線が漏れることは間違いございません。したがいまして、この放射線の漏れの原因を究明し、遮蔽等を近代化して、そして再び放射線が漏れないように修理することが必要である。同時に総点検をいたしまして、そして炉の安全性に対してさらに、要するに丹念な検討を加えて、これであればという健全な姿にしようじゃないかというのが趣旨でございます。  その修理点検等をするに際しまして、青森のむつ港で修理点検ができますかというと、まず修理点検に必要な施設むつ湾にはございませんので、したがいまして、そういうものの整備しておるところで修理点検をいたしたいというのが根本でございまして、したがって、修理点検をいたしますれば、青森であろうと、あるいは佐世保であろうと、安全なことには変わりございません。
  87. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その論理でいくならば、じゃ、修理点検が終わればもとの青森に戻すということになりますね。そうなんですか。
  88. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 それは、青森との約束がございまして、二年有半まではほかの母港に持っていってもらいたいという話し合いができているわけですから、修理点検ができて健全な姿になった場合には、母港をその間に探しまして、そちらに開港するということにしております。
  89. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その青森における話し合いのもとは、結局、青森の漁民、住民が「むつ」の安全性には信頼が置けない、問題だということで、出ていってくれ、こういうことになったんじゃないですか。それを佐世保承知しろと、同じ日本国民にそういう違った態度政府としてとるのはおかしいと思うのですね。これが国民の理解を得られるでしょうか。
  90. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 青森でも、いまの炉をとめておる現在、危ないというようなことは一つもございません。動かしていないのですから。それをそのまま、重油で、第二エンジンで、補助エンジンで回航してくるのですから、別にこれは危なくも何でもない。原子力と関係ないものでありますから。それは修理をして、修理するためには、青森ではできませんから、修理できる個所へ行って修理させてください、修理が済んで船自体が健全になった場合には、青森の方ではああいう事件の後でございますので、政府との話し合いができておりますから、それでは、ほかで希望の個所があれば、そちらに回すように努力しましょうと、こういうようになっているわけでございます。
  91. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 あくまでも国民が求めている問いに答えようとしないから、じゃ長官の答弁をもとに質問してみましょう。  もし、修理するために青森は不適なんだ、適当なところはどこかという論理でいけば、この原子力船むつ」をつくったところが一番「むつ」のことをよく承知しているのです、だれが考えたって。だから、石川島播磨へ持っていくとか、あるいは三菱重工へ持っていくとか、こういうことが妥当な方法ではないかと思うのですね。なぜ東京湾あるいは神戸ではいけないのですか。
  92. 山野正登

    山野政府委員 私ども原子力船むつ」の修理港を選ぶにつきまして、二つの大きな要件を考えたわけでございます。一つは、いま先生指摘のとおり、こういう大型船舶の修理能力のある造船所があるということ。いま一つは、その地に周辺環境の放射能を測定するためのモニタリング設備が設置されておって、過去相当量のデータの蓄積のあるところという二つの条件で選定したわけでございます。  この第二の条件につきましては、私どもは、「むつ」は原子炉を停止したままで修理をするつもりでおりますので、万々放射能等が外部に漏れるということはないものと考えておるわけでございますが、やはり一般の方々に十分に安全性を納得し御確認をいただくためには、そういったような設備がある方が望ましいと考えて、その条件も付加した次第でございます。したがいまして、そういう設備のないところというのは修理港としては適当ではないのではないかと考えております。
  93. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 このモニタリングポストの感度がどういうものであるかは、あの分析研問題のデータ捏造事件のときに十分明らかになっているはずのことなんですね。もともとクローズドシステムを採用している「むつ」などの場合で、あのモニタリングポストごときものに感知されるような放射能漏れがあったら、またあり得るとするならば、これはそもそもお話にならないわけでしょう。そんな「むつ」は研究用にも何用にも役立たないですよ。こういう点が一つと、もしモニタリングポストがそういう性能のものにせよ、あることが国民の安心感を誘う一つの方法だというなら、東京湾の入口だって横須賀にちゃんとモニタリングポストがあるじゃないですか。詭弁にしかならないのですよ、あなた方の答弁は。  この国会をさかのぼっていきますと、よもや長官は忘れていらっしゃらないと思うのです。なぜ佐世保考えたのか、地元のありがたいおぼしめしがあるからだ、こう言ったでしょう。私は国民をだますのもほどほどにしておけと言いたい。今度新しくつくられた長崎県民向けのこのパンフレットについても、なぜ佐世保修理港に適するかと、いま言ったような内容のことが書いてある。あなたたちの真意、地元のありがたいおぼしめしがあったからだということだけが、ここに書いてないのですね。こういうことからそもそも大きな不信がなお拡大されていくのだということをまず申し上げておきたい。  結局「むつ」の安全性に関する国民的合意というのは何かということになるのですが、これは本当に真剣に考えないといけないと思うのですよ。確かに、自然的条件とかあるいは設備条件、そういうことがいろいろあるでしょうが、それの優先条件として、とにもかくにも心情的には日本国中どこでも「むつ」は受け入れてもらえるのだ、こういう条件をつくり出すことが、私は「むつ」の安全性に関する国民的合意だと思うのですよ。この点についての努力をなおざりにして、どこか特定のところに何とか押し込もう、これは私は本末転倒だ、このように考えます。  特に、佐世保修理港に適している、適していると言うけれども、その判断の中に、自然的条件、設備条件以外に、長崎被爆県である、この一番大事な点が入っているのかどうかお尋ねしたいのです。  また、米原子力潜水艦などが入港する港で、過去にも放射能問題で魚価が大変低落した。すでにお話が出ましたね。漁民が大打撃を受けたという実績もあるわけです。だからわれわれは、政府佐世保長崎に「むつ」を押しつけようとする態度をさらさら是認するものじゃありませんけれども、あえて長崎県に頼んでみようかというなら、他の地域に比べて十倍、二十倍の配慮がなければならないと私は思うのです。  ところが、二月でしたか三月の初めか、小沢ミッションというのですか、政務次官が乗り込んだときはどうだったか。記者会見に被爆者団体を立ち会わせないとか、あるいは平和公園を歩いていた政務次官に被爆者団体の事務局長が直訴してやっと記者会見が実現したとか、こういう状態でしょう。本当に先ほど言った長崎県に対する十倍、二十倍の配慮があるのかどうか、この点を聞きたいと思います。
  94. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 お話のように、原子力船も同じ軽水炉でありますから、ソ連でもドイツでもアメリカでも、国民に歓迎されながら理解と協力を得て運航しておることは御承知のとおりでございます。したがいまして、日本もそうありたいものだ。日本の将来を考えますと、海運国でもあり世界一の造船国でありますから、そういう日本の国柄、日本の原子力風土がそうありたいものだと念願しているのは御承知のとおりでございます。ただ、残念ながら、なかなか御理解がいただけませんで、たとえばレーニン号等におきましては、ああいう放射線漏れがいろいろあったそうでございますけれども、それぞれ修理をして運航しているようでございます。ところが日本ではなかなかそうはいかない。  しかし、さればといって、この日本の原子力政策というものを放棄するかといいますと、ほかに何があるやということになりますと、資源としては御承知のように日本はございません。少しゆっくりではございますけれども、どうしても国民の御理解を得て協力を賜っていくという以外に日本の生きる道はなかろうというふうにかたく信じるものでございますから、できるだけひとつ——それぞれの御批判があることはよくわかります。わかりますが、しかし、だんだん御理解をいただいて、そして御協力をいただくというのが、私どもの忍耐強い一つの努力を必要とするものじゃなかろうかと覚悟してございます。  それから、お話のように、長崎県は被爆県だというその事情の考慮なしに云々ということでは、私ども決してございません。ただ、発電炉にいたしましても、あるいは船舶炉にいたしましても、これが爆弾のように爆発してどうのという、そういうことは、技術的に見ましても、科学的に見ましてもあり得ようがございませんし、また、将来戦事的にこの原子力を利用するということは、さらさら考えてございません。これは原子力基本法でも示しているところでございます。したがいまして、原子力といいますと、すぐ戦事あるいは爆発的なイメージを持たれるのは、これはまあやむを得ないとは存じますけれども、しかし、それとこれとは違うんですという点を、やはりこの際よく御理解いただくように努力するのが、これまた私どもの務めじゃなかろうか。  それから、もう一つは、ああいう大変魚のとれるところでございますから、それに対する配慮がなかったかということ。これは何遍も御指摘申し上げますように、修理点検の間というものは、放射線漏れも何もございません。魚にどう、海を汚染というようなことはあり得ようがないのでございます。ですから、長崎県は母港にしては困るという議論が出てきますれば、それは三年なら三年の間にほかのところを探す方がベターでありましょうし、そういう点は、これからいろいろ検討していけば結構でなかろうかと思っています。
  95. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 結局、いま長官も認められたように、本来ならば、原子力開発そのものが安全なんだという国民的理解がある上に立って初めて、長崎県でどうかひとつ引き受けてくれませんか、こういう話になる性質のものなんですね。国民が全然理解を示していない、不信を持ったままのときに、一番条件の悪い長崎に「むつ」を押しつけようというんですから、これはもうどだい無理なことをしているのですね。  その無理なことをしている実例でひとつお答えをいただきたいと思うのですよ。ここ最近の科学技術庁長崎県への押しかけぶりですね、これを私は一遍見てみたいと思うのですよ。  二月七日には長官自身が行かれている。それから三月の初めに評判の悪かった小沢政務次官御一行が行かれた。この後三月二十三日ごろから、今度は石渡参事官を総指揮官として、まさに押すな押すなの盛況になってきたわけでしょう。三月二十三日から五月十二日までのわずか五十一日間に、一体何人の科学技術庁の役人が長崎市、佐世保市に押しかけていったか。延べ二百三人ですよ。この人たちが一日の切れ目もなしにこの長崎佐世保に出かけているのですね。まさしく異常としか言いようがないと思うのです。政府に数ある役所の中で、こんな出張の仕方をしているところが一体あるかどうか、一遍聞きたいと思うのです。  この出張は二つのグループに分かれますね。一つは、石渡参事官みずからが指揮者となって、通常の数日間の出張になっているグループと、もう一つは、出張とはいいながら、事実上向こうにもう常駐してしまっているグループとあるわけです。まず、その石渡参事官みずから乗り込んでいる通常の出張グループについて伺いたい。  二回行っていますね、参事官。一回目が三月二十三日から二十七日までの五日間。このときは五名ですね。二回目が六名ないし八名。これは若干途中で変動があるのです。四月十六日から四月二十三日まで八日間。合わせれば二週間ですね。これだけ大ぜいの人数が、月の半分も長崎へ一体何しに行ったんだとお尋ねしたら、こういうことです。第一回目のときは、長崎県、市、佐世保市当局及びそれぞれの議会代表者との接触、それから原潜事業団との現地打ち合わせ、事務所の借り上げ交渉、こういうことであったというわけです。第二回目のときには、オフィスの進展状況の視察、正式にできたパンフレットを持参する——まあ子供の使いですね。四月十九日には、佐世保市の全員協議会に出席。二十日、西海町全員協議会に出席。二十一日、川棚町議会、総務委員会の勉強会に出た。こういうことなんですね、報告のあったスケジュールは。これでは、どう見たってこれだけの人数が半月出張した日程は埋まらないのです。では一体残りは何をなさっていたのですかと問い詰めたら、私初めてのことだから長崎観光もさせていただきました、こういうことでしょう。この重大な「むつ」問題のお使いに行った人が観光とは一体何ですか。  改めて参事官に、一体何の目的で、これだけの人数がこれだけの期間、長崎佐世保に出向いたのか。また、私がいま言ったスケジュールに間違いがあるのか、一遍聞きたいです。石渡参事官に私は聞いていますから……。
  96. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私から、一番初めの前提に対して疑問を持っておりますので……。  国民が全部この原子力問題に対して不信、不満あるいは不信用でございますという御発言でございますけれども、これは私は必ずしもそうは考えておりません。それであれば、いままで十数年、二十年近く原子力というものが日本で定着していくわけがございません。それは必ずしも、政府に対する満幅の信頼があり、また原子力発電その他が完璧であるとは申していませんけれども、あなたの言うように、国民全部がだめなんですと、こういう言い方は少しオーバーじゃないでしょうか。(瀬崎委員「全部とは言ってないですよ、国民的合意がないということです」と呼ぶ)私はそういうふうに解釈します。  それから、いまの長崎の問題は……(瀬崎委員「それは石渡参事官に聞いているのです、行った本人から説明してください」と呼ぶ)いいですよ、まず聞いてください、民主主義でございますから。人の発言を余り封じないで、ひとつ謙虚さを持ってもらいたいと思います。私どもゆっくり聞きますから。  それは、私ども長崎に参りまして、私もお願いし、また来ていただいてお願いもし、その後繰り返し参りました。それはどういうことかと申しますと、長崎県も佐世保市でも、実はこういう科学技術的な問題の安全性等を説明するといっても、自分の方ではなかなか、漁民の皆さまとかあるいは市民の皆さまに説明するのに、その用意もまだございませんので、ついてはどうぞその道の専門家である科学技術庁が中心になりまして、あるいは事業団とか、あるいは他の関係官庁の皆さんが来て、そうしてひとつ説明をしていただけませんか、説得していただけませんか、自分の方としては、地元でそれに協力することにやぶさかではないけれども、自分の方に任しきりで、そちらで頼むと言われても、これはなかなかそうはまいりませんという、これはもっともな話だと思います。したがいまして、私どもはお願いをして、そのお願いは、主として現在の段階では、この改装する原子力船むつ」は修理点検の間は放射線問題その他危険なことは心配ございませんよという点を説明するのがやはり任務でございまして、県、市でも、それを期待し望んでいるわけでございますから、それをお話のように、何で行くんだ、何でそんなことするんだということになりますと、はなから議論が違いますので、私どもはむしろ、あなたの言うように、まだ理解の得ていない国民の皆さんに少しでも理解を深めようという大変謙虚な気持ちで行っているわけでございまして、何か悪いことでもすれば別でございますけれども、そういう非難はどうも少しいただけないような感じがいたしますけれども……。
  97. 石渡鷹雄

    石渡説明員 ただいま先生の御指摘になりました日程については、そのとおりでございます。  次に、どのような用務を行ったかということでございますが、三月の下旬に参りましたときには、当方科学技術庁といたしまして、現地に、佐世保長崎連絡室を設けて、今後連絡を密にさしていただきたいということを申し上げに参ったのが主な任務でございます。したがいまして、県の副知事あるいは佐世保市の関係の方々、あるいはその議会関係の方々にごあいさつをするというのが主な任務でございました。  それから、第二回目に出かけましたときには、たまたま先生も御指摘になったわけでございますが、佐世保市あるいはその周辺の町での説明を求められましたので、その説明出席説明申し上げるというのが主な任務でございました。それにあわせまして、その私ども連絡室を設けるための合同庁舎の借り上げの話がなかなかうまく進んでおりませんでしたので、その促進方も兼ねた次第でございます。
  98. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 あなた方は、押しつけに行ったのじゃない、理解を求めに行ったのだと言うのです。それは理解を求めに行ったことにしましょう。そこで具体的に、じゃ何日どこへ行ったのか、何日だれに会ったのか、このようにお尋ねしていったら、いまのような話が出てきたんです。その出張の日にちを埋めていったのですが、埋まりきらないわけなんですよ。第一、いつも三名、四名常駐している上へ、第一回は五日間、第二回は八日間、五、六人から十人近い方が行っているのでしょう。何をしているんだということになりますよ。そうしたら、実は知らない土地でもあるから観光旅行だ、こういうお話なんだ。だから、どこを観光してきたのですか、こう聞いているのです。そう言ったでしょう、あなた。
  99. 石渡鷹雄

    石渡説明員 観光旅行と申し上げたつもりはございません。
  100. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 言葉として言ったじゃないですか。
  101. 石渡鷹雄

    石渡説明員 私はたまたまコースでも、佐世保長崎間、車で一時間半ほどございまして、なかなか風光のいいところでございますということと、それから私、初めてでございましたので、原爆の跡の記念館と、それからこれは観光ではございませんが、原爆病院を訪問したということでございます。
  102. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私もこの間、すでに二回佐世保長崎に行っております。われわれも、別にあなた方に連絡して行ったわけじゃないけれども、不思議にもわれわれの動きをちゃんとよく承知していらっしゃる。と同じように、われわれだって、現地へ行けばいやおうなしに、あれだけ大勢の人が動いたら、一体いつどこへ行ったか耳に入ってまいりますよ。  そこでお聞きしたいのですが、あなた方がおっしゃった訪問先以外に、たとえば現地の警察署へ寄られたとか、あるいは何か中央病院にまで訪問されたというふうなことを私は聞いたわけなんです。これもあなたの言う観光地なんだろうか、私はこういう不思議の念に打たれているわけなんです。こういう事実があったのですか。また、こういうところも、いまあなたの言う観光コースに入っておったわけですか。
  103. 石渡鷹雄

    石渡説明員 警察につきましては両方訪問しております。
  104. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 何しに行ったのですか。
  105. 石渡鷹雄

    石渡説明員 三月の初めに小沢政務次官一行がお邪魔いたしましたときに、その前に若干のトラブルがあったそうでございまして、いろいろ連絡を密にしてくれるようにということでございましたので、日程を連絡に参ったわけでございます。
  106. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 病院はどうなんですか。ぼくはそう聞いたが……。
  107. 石渡鷹雄

    石渡説明員 佐世保市に着いて中央病院というところを訪問いたしました。これは私だけだったと存じます。その趣旨は、佐世保市の抱えているいろいろな問題の中に、その市の病院の問題があるということを伺っておりましたので、どんなところか一度拝見しておこうという趣旨でございました。なお、それは後になってわかったのでございますが、私の勘違いでございまして、財政的に問題ありとされた病院は別のところであったようでございます。
  108. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうすると、私が現地で伝え聞いたことはやはり事実なんですね。あなたが私にはそういうことを正式に報告してくれなかったわけですね。だとすると、何か中村弘海代議士の事務所にもお邪魔されていろいろ知恵を授かっておられたようだということも、向こうでちょっと聞いたのですが、そういうことも事実ですか。それもおたくの観光旅行だったの。
  109. 石渡鷹雄

    石渡説明員 そういうものは一切観光旅行ではございません。先ほども申し上げましたように、佐世保市並びにその関係先生方にごあいさつをしたという、その一環でございます。
  110. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 何か御質問趣旨は私よくわかりませんけれども、私が長でございますので、何か非がありましたら御叱責いただければ、私が責任を持ってお答えするなり、あるいは措置をいたしますけれども、やはり人間でございますから、御承知のように、ちゃんと待ってましたと機動的に回れる出張じゃございませんので、それはやはり少しゆとりを持ってやっていきませんと、きょう一日何をしておったのだというところまで責めていくというのは、少しどうかと思いますが、どういう御趣旨でしょうか、もし何でしたら御趣旨を聞かしてもらいたいのですけれども……。
  111. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 率直にこれだけの長い出張期間のスケジュールをわれわれに報告してもらえれば、私はこういうことをあえてこの委員会質問する必要はないわけなんです。何ぼ聞いても、先ほどの答弁以上のものはなかったわけですね。ただし、私はたまたま現地へ行っておったから、政府関係者が警察へ出入りしているとか、あるいは病院にも行ったらしいとか、あるいは与党であるから当然かもしれませんが、そういう現地事務所にも行っているのじゃないか、そういうことを佐世保で聞いたわけです。答えてもらえないから、仕方がないので委員会で問う。  特に地元では、皆さんこういうふうにおっしゃっているわけですよ。何とかして本丸辻市長を攻め落としたい、そのためには、辻市長に近い人々、つまり出丸をまず陥落させる必要があるのじゃないか、そういう工作をしているのじゃないかという疑惑があるわけです。そういうことをすればするほど不信を増幅するのじゃないかと私は思う。先ほど長官が言われたように、ちゃんと正々堂々地元の理解を得に行っているのなら、そういうことを聞かれたときに、こういうところへこういう用事で行ったのだと言えばいいと思うのですね。隠密行動的なことはかえって不信を招く、そういうことは今後慎しまれたいという意味もあって私は言っているわけです。長崎県民のことを考えているというなら、もうちょっと考えているらしい動きをするべきではないかと思いますね。
  112. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 別に答弁じゃないのですけれども、私も心臓が弱い方で、まして役人の皆さんは、議員のおえらい方に一々何時何分どこへ行った、どこへ行くんだと行動を尋問されたのでは、やめて帰ってくる以外にしょうがないのでありまして、大変おえらい人の質問ですから……。しかし、そういう行政的な非があれば、これは幾らでもおしかりをこうむりますけれども、しかし、現状でいって、毎日きりきり走り回るほど、現地の方が、さあ私のところに来て説明しなさい、さあ私のところへ来て幻灯をやってくださいというふうには、まだできておらぬのでございまして、そういうための下工作にいま行っているのでございますから、そこら辺は少し温かい気持ちで見ていただければ実は大変ありがたいと存じます。
  113. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 本当に温かい気持ちで科技庁のやることを見守ろうと思えば、長崎へ出ていっていまこういうことをするよりも、もっと東京でやらなければならないことがたくさんあると思うのですよ。そういう意味で言っているわけです。  この間にも、先ほど言いましたように、少ないときでも佐世保長崎に一名ずつ、計二名ですね。多いときになりますと六名ぐらい、常駐タイプの出張があるわけなんです。またこれが一体何の用事で行っているんだろうという疑問にならざるを得ぬわけですよ。  私がその点で、どういうふうな任務で行ったのかと聞けば、ちゃんとこういう文書を出してくれました。ところが、これで見ますと、まず第一の用件は「長崎県及び佐世保市当局との連絡、打合せ」となっているのですが、これは結局、石渡参事官が行かれたときに皆やっているわけなんです。第二点は「佐世保市議会及び近隣市町村議会への説明」。これも石渡参事官が行かれたときに皆やっているわけです。三つ目は「漁業団体、商工団体等各種団体への説明」となっている。漁業団体は、この間、説明はゼロだそうです。商工団体というのは二回だけなんです。各種団体というのは、報道機関の勉強会に山路さんが一回だけ出向いた、こういうのですね。四点目は「一般市民等来訪者に対する説明」、これは数えるほどだそうです。五番目が「各種現地情勢の調査検討」、これだけの人数が五十日間おらなければならないほど、現地情勢はそう変わるわけじゃないと思う。六番目に「日本原子力船開発事業団連絡事務所に対する支援、協力」というのですが、これはやるつもりがなかったというのです。  そうして結局、常駐をしなければならない用事というのが見当たらないわけでしょう。これも石渡参事官などの説明によれば、長期の出張に及んでくるので給料も運んでいかなくちゃならない、その都度資料も持っていかなくちゃならない、こういう説明なんですが、それほど科学技術庁は、金が余り人が余り、また時間が余っているんだろうか、こういう疑問を持たざるを得ないのです。  こういうことが、率直に言って長崎の人々から見て、一体科技庁は何をしているんだろう、こういうふうな空気になってばね返っているように思うのです。これは、現地に行かれた参事官あたり、一番よく感じていらっしゃるんじゃないかと思うのです。あれだけ現地に行かれて、長崎の空気をどのように受け取っていますか、石渡参事官
  114. 石渡鷹雄

    石渡説明員 まず、出張者の数の問題でございますが、特に本件に直に関係があると思わなかったものですから資料として差し上げませんでしたけれども、やはり、長期の出張者が毎日出勤するところという、いわゆるオフィスを設定したいというのが大きな一つの目的になっておりまして、そのために今日までその関連の人間が必要であったということが、常時最低二名あるいはそれ以上という大きな一つの要因になっているということを一つ申し上げたいと存じます。  それから、第二の点で、当庁の人間が現地に張りついていることについてでございますが、このゆえんのものは、去る三月初頭に小沢政務次官を長とするミッションが参りましたときに、少なくとも、PR、現地に対する安全性説明等は国が責任を持ってやるという体制を示してもらいたいという、県ないしは市の強い御要望があったわけでございまして、その御要望に沿うべく体制を整えるというお答えをしたわけでございます。  しかしながら、先ほど来、それでは具体的にどうであったのかということにつきまして、先生の御指摘もあったわけでございますが、われわれといたしましては、数多くの御要望がどんどん出てくるかもしれないということで体制を整えておったわけでございますが、現地の進展の状況は、今日までのところ、思ったほどでもなかったというのが実態であるかと考えております。
  115. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 しかも、その中でさらに混乱を招くような発言もあったのですが、第二回目の佐世保の全員協議会のときに、こういう発言をされたと聞くのです。修理港即母港ではない、感触として佐世保に母港を依頼するのはむずかしいと思う、技術的に煮詰めた全国七カ所の候補地には入っていない。こういうことでしたね。これは恐らく佐世保が母港にはならないであろうということを強調する善意から全国七カ所というものを引き合いに出されたのだと思う。しかし、そういう意味で七カ所を引き合いに出した以上は、この七カ所が一体どこであるのか。技術的には煮詰められたものであっても、果たしてまた地元の住民が受け入れてくれるかどうかは、佐世保の人々にとって重大な関心事だと思う。こういう点で、ここまではっきり言った以上は、科学技術庁としても、この七カ所を明言する必要があると思う。一体、どこどこですか。
  116. 山野正登

    山野政府委員 ただいま御指摘の七つの候補地でございますが、これは私どもの方に各地から各種の陳情がございますし、また、私どもは私どもなりに一つの基準をもって、過去、その定係港につきましての選定作業というのは進めておったわけでございますが、個々の具体的な名前につきましては、今後修理が進みます段階において新しい定係港を選ぶわけでございますから、その作業に差し支えることも懸念されますので、個々の名前を申し上げるのは御容赦願いたいと存じております。
  117. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 科技庁の方で去年技術的にいろいろ煮詰められた。これは今日にも引き継ぎ生きているという話なんですね。だから重大だと思うのです。  そこで、科技庁が検討したという母港の候補地、これが和歌山の由良浜、愛媛の八幡浜のすぐ近所にある地大島、大分県津久見市の鳩浦、熊本県の三角町、鹿児島県の坊津町野間崎、同じく鹿児島県の甑島、宮崎日南市の祇園崎、これで七つです。この七カ所なのかどうか、答弁を願いたいと思います。
  118. 山野正登

    山野政府委員 先ほど御答弁申し上げました趣旨によりまして確認できませんので、あしからず御了解を賜りたいと思います。
  119. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いま私が読み上げた七カ所を否定するのですか。それとも肯定するのですか。どちらですか。
  120. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 調査というのはどういう意味か知りません。それからまた、そのデータをどこから持ってきたか知りませんけれども、私の記憶では、ずいぶん関係のないところを言っているような感じがいたします。
  121. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それじゃ、否定をするというわけですね。
  122. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 そうです。
  123. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それならそれで政府は、こういう場所だということを具体的に挙げないと、否定にならないと思うのです、われわれだって全く根拠なしにこれを挙げているわけじゃないのだから。
  124. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 挙げますと、明くる日には反対の電報の山でございますから、ですからそういう点は、やはりさっきも申しましたように、いろいろ大きい問題の起きる、あるいは政治問題等になりがちな問題でございますから、私どもといたしましては、どこが候補地だとか、どこからいま御希望を申し入れられているとかいったようなことは、一切公表しないということにしてございます。
  125. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それでは、私が先ほど、長崎にこういう形で押すな押すなということよりも、もっとやるべきことがあるんじゃないかと申し上げたことの一つ質問したいと思うのです。  この新しくできました、先ほど引用したパンフレット、長崎県民向けによれば、「原子炉の出力上昇試験から現在に至るまで定期的に一次冷却水中の放射性物質の測定が行われておりますが、その結果放射性物質の濃度は自然の水と変りはありません。」とか、「燃料体のまわりを取り巻く一次冷却水の水質管理が厳しく行われるため、問題となるような被覆管の腐食が生じる恐れはありません。」さらには「次冷却水の放射能濃度も飲料水と同じ程度にとどまっています。」と述べているわけなんですが、このようにパンフレットで述べる以上は、一次冷却水の核種分析はちゃんと行っているのでしょうね。どうですか。
  126. 山野正登

    山野政府委員 行っております。
  127. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 科技庁も事業団もやっているようですね。一体いつどこで——一回じゃないですね。いついつ、どこどこでこの核種分析をやったのか、答えてください。
  128. 山野正登

    山野政府委員 ただいま手元に関係資料を持ち合わせておりませんので、後日御説明を申し上げます。
  129. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 すぐ電話ででも問い合わせて調べていただけませんか。この私の質問の終わるまでにわかると思うのですね。恐らくやっている人ならわかっているはずなんです。その分析結果の特徴について説明してください。
  130. 山野正登

    山野政府委員 ただいま御指摘の点も含めまして、至急資料を取り寄せます。
  131. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それじゃ後で資料が届き次第合図をしてもらえば、質問いたしましょう。  次は、「むつ」そのものに向けられている国民のいろいろな疑問、あるいは疑惑、あるいはその将来性等々に触れたいと思うのです。  例の大山委員会報告書の中で、「「むつ」は、わが国における原子力第一船であるが、舶用炉あるいは原子力船そのものについての技術開発上、この第一船をいかに位置づけるのかについて、必ずしも十分明確でなかったことをまず指摘しなければならない。」と、わが国での初めての原子力船開発に取り組む国の方針、責任が全く不明確であったことを明言しているわけです。御存じと思います。そもそも出発点から間違っているんだ、平たく言えばこういうことだと思うのですが、「むつ」建造に取りかかる歴史的な過程の中で、政府並びに科技庁が、この大山委員会指摘についてどのような反省をしているのか、伺っておきたいと思います。
  132. 山野正登

    山野政府委員 大山委員会におきましては、大きく分けまして三つの御指摘があろうかと思います。  一つはこの放射線漏れを起こすに至りました技術的要因は何であったかという解析、第二点は日本原子力船開発事業団の体制、体質についての評価、第三点は監督する立場にございます行政府についての意見、この三点についての御指摘があったと記憶しております。
  133. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その指摘はわれわれもわかっているわけなんです。その中で、そもそも基本方針そのものがなきに等しいという指摘が、私が読み上げたところなんです。これについて、今日政府側としてはどういう反省をしていますか、こう聞いているのです。
  134. 山野正登

    山野政府委員 ただいま御指摘の点は、たとえば原子力船開発を進めます場合におきまして、長期的な原子力船開発の中における第一船の位置づけというものについての考え方等についての部分であろうと思うのでございますが、私どもはまず、この第一船は実験船という位置づけをして考えておったわけでございますが、この実験船を進めるにつきまして、当初海洋の観測船ということで計画を進めたわけでございます。後日これが、船価等の関係によりまして特殊貨物運搬船というふうに変わったというふうな事態を指摘されて、大山委員会では先生指摘のような表現もあったかと思うのでございますが、これがたとえ特殊貨物船に船種は変わりましても、実験船であるという位置づけには変わりがなかったと存じますけれども、今後こういったような開発途上におきます路線の変更といったようなことにつきまして、もっと幅広い長期的な見通し等も加えまして検討していく姿勢が必要である、そういうふうな御指摘であろうかと思いまして、非常に貴重な御意見であると考えております。
  135. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 貴重な御意見だけれども政府自身の出発点が間違ったとはおっしゃいませんね。  この大山報告指摘から見れば、日本の原子力船建造の歴史の流れの始まりは、昭和三十年にできた原子力船調査会だとしておりますね。これは三年後に改組されて社団法人日本原子力船研究協会になった。こういった組織がわが国の原子力船建造の歴史の中でどういう位置を占めたと政府考えているのか。また、これらの機関が調査研究したことは、その後の原船の建造計画にどう関係し継承されたのか、この点について答弁を求めます。
  136. 山野正登

    山野政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、このような組織で検討されました成果というものは、日本原子力船事業団に十分引き継ぐべきでございますし、当時はそういうふうに配慮されまして、引き継ぐ努力はいたしたと考えております。
  137. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 原子力船調査会、つまり出発点になった組織ですね。これの主要構成メンバーはどういうところであったのかということ、その維持経費は何によって賄われておったのかということ、その事務所は一体どこにあったのかということ、答弁をお願いします。
  138. 山野正登

    山野政府委員 その関係資料、ただいま手元にございませんので、至急取り寄せて御説明申します。
  139. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私がきょうこの原子力船建造の歴史についてお尋ねすることは通告をしてあったはずなんです。しかも、長崎の人々はもちろんのこと、国民全体も改めて今日、このような欠陥原子力船の生まれてきた歴史的経過を知りたいと願っているわけですね。また、少なくとも政府の担当者なら、こういう重要な出発点になった組織の構成とか、あるいはその経費がどうなっておったのか、こういうことは、調べるまでもなく頭になくちゃいけないのじゃないでしょうか。そんなことはもう遠いかなたのこと、どうでもいいことと言うのですか。
  140. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 たしか私がまだ原子力局長をしていたころだと思いますから、いまから二十一年くらい前のことでございます。したがいまして、いま事務当局の方では資料なしでは御答弁できないと思いますので、資料を取り寄せているそうでございますから、それによって正確にお答え申し上げたいと思います。
  141. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それじゃそれを待ちましょう。しかし、そういうものがなければ答えられないということ自身が、大問題だと私は思いますね。ほとんど今日まで、自分たちのやった後というものを振り返っていない、反省していない、そういうことのあかしだと思うのです。  当時、原子力委員会等では、日本において原子力船の実用化は時期尚早、こういう意見が強くあったと大山報告指摘していますね。当時の原子力委員会の主流をなした意見というのはどういうことだったのですか。これ、科技庁どうかしていると思うのですよ。大山委員会報告というものは、大体、科技庁が説明したり、科技庁が出した資料に基づいて、つくられているはずなんですね。そういうふうに安仁屋審議官がこの場で説明したと思います。そのもとの科技庁が説明がつかないというのは、一体どういうことか。そのようにきわめて消極的だった原子力委員会が、早急に開発に着手すべきである、このように意見が変わったきっかけは一体何かということなんですね。わかりますか。つまり、民間主導で原子力船調査会などがつくられておったころには、原子力委員会はこの開発に消極的だったんですよ。そう大山委員会は書いている。それが三十六年ごろからにわかに急速な開発方針に切りかわるわけです。その間のいきさつといいますか、その要因となったものを尋ねているわけです。
  142. 山野正登

    山野政府委員 ただいま手元には三十八年七月の委員会決定がございまして、これは御指摘の、今後原子力船開発を進めていくにつきまして基本方針と大綱を決定いたしておりますが、その前にさかのぼりまして、委員会が消極的姿勢であったものが積極的姿勢に変わったという分につきましては、資料がございませんので、ただいま調査をいたしてみます。
  143. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 結局、一連の歴史が示しているところは、政府、国に明確な原子力船開発の方針があった上で「むつ」建造がずっと進んでいったのではなくて、民間の造船会社、原子力メーカーなどが主導でこの開発の下敷きをまずつくった。そして原産会議、これがその推進のため原子力船調査団というものを海外に派遣した。この報告書を境にして、にわかに原子力委員会政府の方針も開発に積極的に変わっていったんだ、こういう経過が示されているわけですね。  こういう点で、そもそも今日このような「むつ」の事態が発生するもとは、出発点にあると思うのです。政府が、学者や専門家の意見を十分に聞き、明確な方針というものを打ち立てて、その上に乗ってやっているのなら、私はこういう失敗はしないと思うのです。結局、民間に引きずられて政府の方針が開発に転換していった、こういうことじゃないですか。これは長官は御存じでしょう。
  144. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 古い話でありますので、当時の原子力船開発事業団法審議する際の議事録を見ますれば、恐らくはっきりその当時の話が出てくると思いますが、私の感じでは、要するに当時は、アメリカのサバンナあるいはソ連のレーニン号がはや運転しておったと思います。また、軍用にはたくさんあったわけですけれども、わが方は軍用はつくる意思はありませんから、そういうことは考えておらなかったのですけれども、しかし、やはり何といっても一つの大きい原因は、日本は世界一の造船国である、明治以来ここまでとにかく先達が築き上げてきたこの世界的な造船界、海運界におけるポスト、地位というものを後世のために生かしていきたいものだ。一方、原子力船の方も、全然世界で何もなければ別ですけれども、実際に運用もし、また各国で計画もあるやにも承知しているときでもございますから、やはり日本としては、基礎的な研究を自分の手でこの際進めるべきではないかということで、実験船ということにして、そしてたしか私の感じでは、輸入炉にするか、あるいは国産炉にするかということが、一番大変な問題だったような感じがいたします。しかし、いま申しましたようなことで、とにかく最大の技術国、造船国でありますから、自分の手でそれをひとつ成し遂げようと、大変雄大な希望で出発したものではなかろうかと私は解釈しております。
  145. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いま長官が話している内容というのは、開発ということに切りかえられた後の話であって、それ以前は、やはり私がさっき説明したように、国家事業として明確な方針を政府がちゃんといろいろ煮詰めた上で出発したものではなかった、民間が先に出発して政府を引きずり込んだ、こういうふうな経過を大体昭和三十八年ごろまでの経過が示しているわけですね。だから私は、そもそも原子力船開発の基本方針を決めるに当たって民間主導型であったということが、一つ今日の反省点としてあると思うのです。これは今後の問題についてよほど考えなければならぬ問題で、ここで国が責任を持つ方針と体制をきちっとしないと誤りを繰り返す、こういうことを言いたいわけですね。  同じようなことが、この建造計画のところにも発揮されておるわけです。当初三十九年三月に決定された原子力第一船建造予算が三十六億円であったことはよく知られております。これは一体どういう手順、どういう根拠で決められたものか。ここらは長官よく御存じだと思います。説明してください。
  146. 山野正登

    山野政府委員 ただいま御指摘の船価につきましては、当初、予定船価を三十六億円を見込んでおったわけでございますが、これが結果的には五十六億円に上昇したわけでございます。この理由としては……
  147. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いや、ちょっと待ってください。私はそのはね上がったことを聞いているんじゃなくて、その三十六億の予算自身がどういう根拠とどういう手順で生まれたかと、こう聞いておるのです。
  148. 山野正登

    山野政府委員 昭和三十六年の四月に設置されました原子力船の専門部会が六月に報告書を出しておりまして、その報告の中で、船価は三十億円ないし三十五億円と推定されるというのがございますが、このときの基礎資料を用いまして、三十六億円の積み上げをしたものと考えております。
  149. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その根拠を私は聞いたわけなんです。なぜそういうふうにはじき出されたか。この点については明確ではないけれども昭和四十六年三月十一日の当委員会で有沢原子力委員長代理が説明しておられますね。「第一船の建造を決定するにあたりましては、やはり懇談会といいましょうか」——これはいま言われた専門部会のことです。第一船を建造するについて、「大体の経費の見積もりもしていただきました。」「私はたしか三十四億だったかと思います。」この懇談会、専門部会の中には「メーカーの方々も入っているわけです。」「私ども予算では、もう少しかかるだろうというので一割くらいふやして三十八億の見積もりをいたしまして、」結局、大蔵省の査定が三十六億におさまりました、こういう説明ですね。ところが三十六億ではだれも引き受け手がない。メーカーがちゃんと専門部会に入ってこの船価見積もりに参加しておきながら、そのメーカーが手前どものはじき出した見積もりをけ飛ばす、これは一体何事かということを、きわめてえんきょくな表現ですが、こう有沢さんが言っていますよ。懇談会の数字をそのまま信用したことはまことに不手際だ、ばかをみた、こういうことですね。こういう点についても、政府はきちっとその当時のいきさつを調べて、国民に説明ができるようにしておかなければいかぬのじゃないですか。なぜ、メーカー自身も参加して見積もりをつくっておきながら、その見積もりをメーカー自身がけったのか。おかしいですね。長官、その間の事情は全然御存じありませんか。
  150. 山野正登

    山野政府委員 当時の検討状況というのは、これは私は記録を直接見たわけではございませんが、関係者の話を聞きましたところでは、情報がかなり不足をいたしておりまして、使いましたデータに正確さを欠いたといったふうな事情があったようでございまして、そういう点はもちろん今後十分に反省すべき点であろうかと思います。  それからいまの、メーカーがメンバーに加わっていたにもかかわらず、この見積もり数字を納得しなかったという点につきましては、これは見積もりをしました時点と実際のネゴシエーションの時点というのは、時点に差があったということが一つと、それからいま一つは、これは技術的な内容等についての検討会の席上でございまして、こういったネゴシエーション等をする席ではないわけでございますので、理屈としましては、必ずしも、メーカーが参加しておったのでその見積もり数字そのままでもって納得しなければならない、といった義務関係は生じてこないかと存じます。
  151. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それはお役所的説明としては成り立つけれども、国民としては、何としてもこの間のいきさつが不明朗である。不明朗なまま、今度はさきに読みました五十四億円にはね上がってしまうわけですね。このはね上がり方がまた問題でしょう。先ほど少し説明されかけたけれども、私どもも、その間の事情については、それなりの調査もしております。  この点について、出てくる人がどうも気がかりな人ばかり出てくるのだけれども、四十年三月四日のこれまた当委員会で、現在自民党幹事長の中曽根康弘委員がこういう質問をしているのです。「どういう事情で入札者、応札者がいないのかよくわかりませんが、私らの想像するところでは、あのような新しい開発をやるという場合には非常に不安定な要素が多いので、通常の会計手続によっては計算の基礎もできないし、思わざる負担もかかってくるというおそれから応札者が出ないのだろうと思う。」したがって、「原子力委員会あるいは科学技術庁としては、何らかの新しい措置をやる必要があるのではないか。おそらく会計法によっても、随意契約というものは必ずしも不可能ではないと思う。」と述べている。私が調べた範囲では、入札が不調に終わった理由はわからぬけれども、しかし今後は入札以外の方法をとれ、随意契約だってやれるではないか、こういうことを公式に提起したのは、この中曽根発言が一番最初だろうと思うのです。こういう点では、この発言はきわめて注目に値すると思うのです。後引き続いて中曽根氏は、「事務当局としても検討をしておく必要がある」と、指示だか質問だか、こういうことを述べていますね。これを受けた科学技術庁が、ではどんな検討をしたのか、これをお聞きしたいと思います。
  152. 山野正登

    山野政府委員 まず、応札者がなかったということの原因につきまして、二つ考えられようかと思います。  一つは、予定価格が契約するに足る価格かどうかという点。いま一つは、当時舶用炉のきわめて初期の段階におきまして、そういうものに造船会社が船体と舶用炉と一体として責任を持ち得るかどうかという点の判断、そういったふうなこともあったのかと存じます。そこで一つは、この契約方式につきまして、船と舶用炉とを一体で契約するか、あるいは両者を分離して分離契約をすべきであるか。それからまたメーカーの選定につきましても、これは応札者がないということでございますので、何とか実験船をスタートさせますためには、しかるべく関係業界の協力をお願いする必要があるわけでございますので、その辺の進め方につきまして検討しました結果、当時の造船工業会にそのあっせん方を依頼したというふうに聞いております。
  153. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私が聞きたいのは、中曽根氏が、随意契約等、入札以外の方法を検討しろ、こういうふうに質問しているわけですね、これを受けて科技庁はどういう検討をしたのか、これの説明がなければ、入札制度が随契に切りかわった事情がわからないじゃないですか。わからなかったらわからないでもいいですよ。
  154. 山野正登

    山野政府委員 ただいまの御質問は、国会での御指摘に対してどうしたかということかと存じますが、先ほど来御説明を申し上げておりますのは、当時の科学技術庁並び日本原子力船開発事業団は、それとは別個に判断をして、先ほど申し上げましたような手順によりまして事を進めるというふうに考えたということでございます。
  155. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 すでにこのとき、やはり有沢氏が中曽根委員答弁しているわけです。それによりますと、「この間、愛知長官」——もう故人でありますから言いませんけれども、出てくる人が本当に気がかりなんですね。「愛知長官と懇談をいたしましたときにも、まさに中曽根委員が御質問になった問題が指摘されたわけでございまして、ですから、その点につきましては、これから研究をしようというふうにわれわれの間では話し合っておるところでございます。」つまり研究しておると言っておるわけです。だから、少なくとも入札で努力していったのか、していったけれどもだめだったのか、入札を簡単に放棄して随契の方法で一切の作業を進めていったのか、またそういう指示がどこから出ておったのかということが、当然われわれとしては疑問点として残ってくるわけですね。そういうところをはっきりしてほしいということなんですよ。普通なら入札になるはずです。
  156. 山野正登

    山野政府委員 最初の入札が不調に終わりました後に、若干の仕様の変更をいたしまして再度入札をしたわけでございますが、この二回の入札が両方とも不調であったということを踏まえまして、先ほども申し上げましたように、造船工業会にあっせんを依頼して随契に移ったということでございます。
  157. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 しかしそれは、こういう過去の国会での公式の質疑応答から見る限り、そうではなくて、もう早くも四十年三月の委員会で中曽根氏が随意契約等の方式を提起し、それに答えた有沢氏が、愛知長官とそのような随契方式について実は相談をしているのだと言っているわけでしょう。だから、あなたが言っている、とことん入札で詰めていって、仕方がないから随意契約なんだということではなしに、形式的には入札という方法をとるけれども、早くからそれにかわる方法の検討に入っておったということが、こういうことで裏づけられているのじゃないか。この点について十分納得のいく説明がないと、非常に誤解を受けるわけですね。つまり、こういう契約問題でも民間主導で、結局政府は引きずられていったのではないか、こういう疑問をわれわれは今日残さざるを得ないのであります。特にロッキード問題なんか起こってくると、登場人物が登場人物だけに、よけいいろいろな疑惑もわいてくる。こういう点で、きょうは時間の関係もありますので、後日改めてこの問題も質問しますから、よく調べておいていただきたいと思うのです。結局こういう形で、造船会社や原子炉メーカーの要求するだけといいますか、かかっただけの費用を払ってやれ、こんな形に切りかわってしまったということが、過去の記録から大体わかると私は思う。  同じようなことが、今度、船種、船型の変更にも疑問として出ておるわけですね。先ほども八木委員質問されたように、当初六千三百トンの海洋観測船として計画されたものが、四十二年には八千トンの特殊貨物船に切りかわった。この計画変更は、どういう手続、検討方法、理由によって行われたものか。時間も余りなくなってきておるので、ごく簡単に答えてほしいと思うのです。
  158. 山野正登

    山野政府委員 先ほど来申し上げておりますように、船価につきまして大幅な上昇がございましたので、科学技術庁といたしましても、国費の負担を少しでも軽減するという方向検討しました結果、特殊貨物船等にすることによりまして、運般による収入面ということも考え、この海洋観測船を特殊貨物船というふうに船種の変更をしたわけでございます。ただこれは、海洋観測船を特殊貨物船に変えはいたしましたが、実験船という趣旨についてはもちろん変わっていないわけでございます。
  159. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 実験船としての性格は変わってない、そうはっきりと言い切れますか。本来望むべくはどうであったんですか。
  160. 山野正登

    山野政府委員 原子力船むつ」と申しますものは、あくまでも、長期的な日本の原子力船開発というものを考えました場合に、長期ビジョンの中における第一船という意味でございまして、船種のいかんを問わず実験船であるということについては、全然変わっていないと考えております。
  161. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いつからそんなふうに話が変わったのか、私はまた理解に苦しむのですが、四十六年三月の有沢原子力委員長代理の答弁を見ておりますと、こう言っておりますね。「海洋観測船とするならば、国がこれを保有し、運航して利用することができるだろう、こういう考え方であった」、つまり原子力委員会としては、なるべく国が直接保有できる研究船をつくって、そうして実際日本における最初の原子力船開発をやりたかったとはっきり述べていますね。それが特殊運搬船という実用船に変わったについては、「船価も非常に高くなるということになりますと、」「幾らかでも収入をあげ得るような船をつくったほうがいいじゃないかというふうな考え方」が入ってきて、特殊な貨物を運搬する船に変更された、こう言っていますよ。だから、本当に研究開発するという方針が不動のものであったならば、このような、値段が上がったからということで、実用船、収入を上げ得る船と、こう言っているのでしょう、こんなふうに変わるはずはなかったと思うのです。だから、大もとの方針がいいかげんだったから、簡単に経済的な理由で実用船に変わっていった、これが本来の筋で、あなたが言っていることは粉飾じゃないかと思うのですね。だから、過ちは過ちではっきりと認めて国民に発表する。この船種、船型の変更が一つは今日の間違いのもとになっている、こういうことを認めるのか認めないのか、ここをはっきりしてほしいと思うのです。
  162. 山野正登

    山野政府委員 ただいまの船種が引き続き実験船であったという点でございますが、四十二年三月の原子力第一船開発基本計画というものについての原子力委員会決定の改訂におきましても、船種といたしましては原子動力実験船ということになっております。これはもちろん、私がいま申し上げております特殊貨物船ということを船種としまして、原子動力実験船、特殊貨物運搬及び乗員訓練に利用できるものということでございますので、実験船という点については変わっていないと考えております。
  163. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 では、その貨物としては、何を予定しておったのですか。
  164. 山野正登

    山野政府委員 当時考えておりましたのは、特殊貨物といたしましては、核燃料あるいは使用済み燃料といったふうなものが入ろうかと思っております。
  165. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それごらんなさい。使用済み核燃料などというものの運搬は、あらゆる物質の運搬の中で最も危険なものじゃないですか。こういうものを運ぶ船では、石川島にしたって、こんな厄介なものは自分の手で引き受けかねるといって入札を辞退した。おまけに契約を船炉分離でやったというふうなむずかしい船に当てはめている。これは明らかに実用できる船だという見込みのもとにやっておったことを示すのじゃないですか。あくまで実験船だと言い張ろうと思うなら、もう少し無難な荷物を積んで動く船になっておったはずでしょう。どうですか。
  166. 山野正登

    山野政府委員 ただいまの、核燃料等を搭載するのは危険ではないか、実験船でそういうふうなものを運搬するのは妥当でないのではないかという御指摘でございますが、これは、かかるものを積みます場合に、十分に安全対策をとるということによって安全を担保すべき問題でございまして、これが実験船であるかないかということによって左右される問題ではないのではないかというふうに考えます。
  167. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そういうふうな考え方だから、なかなか国民の理解も得られないのだろうと思いますね。去年の六月十八日、石川島播磨の永野副社長がここの席に来てこう言っているでしょう。「われわれ石川島には、船炉一体、全部をやる能力はありません。」とはっきり言い切っているじゃないですか。世界でも一流クラスに属する石川島播磨にその能力なしと言っているような原子力船を、事業団がやれるわけがないんですよ。そういう船に使用済み核燃料を積んでいくなんていうことは、まさにこれは気違いに刃物を持たしているようなことになるんじゃないですか、国民の感じから言うならば。そうして安全審査その他がきわめて不十分である。私たちは、一連の経過はそういうことを物語っており、こういうことをいま政府が謙虚になって反省し、国民の前に、いま申し上げましたような疑惑について一遍明らかにする、こういうことが、長崎へどんどん押しかけていくことよりも大事なことじゃないか。科学技術庁の職員の方々も、その方がやりがいを感じられるんじゃないか、こう思うのですがね。  そこで、先ほど残されました質問になるわけなんですね。  一つは、原子力船調査会がどういうメンバーによって構成され、それはどういうことによって維持経費が賄われ、また、その事務所はどういうところにあったのか、こういう問題です。
  168. 山野正登

    山野政府委員 御指摘資料につきましては、現在調査中でございますので、後日先生のお手元にお届けするようにしたいと考えております。
  169. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私どもが調べた範囲では、この調査会の事務所が、笹川良一会長の主宰するところの船舶振興会の建物に置いてあった。また、その維持経費の大部分がこの船舶振興会の金で賄われておったということも聞いておるわけです。これはぜひひとつ政府でも、調べればわかることですから、調査してほしい。  もう一つ、この船舶振興会とのくされ縁というか、これは事業団に引き継がれますね。御存じだと思います。大体この事業団に資金不足が起こったとき、これを応援したのが笹川良一会長の率いる船舶振興会であった、こういう事実があったかどうかだけひとつ確認しておきたいと思うのです。  これはある雑誌に甘利昂一氏という人が書いているのですが、資金不足が五億円できた。「かねてよりこのことを予想し、万一の場合は笹川船舶振興会会長にお願いしょうと早々連絡未定で話を通じておいたが、これが救いの神になろうとは予想だにしていなかった。」こういうふうに書いているのですね。その早くから笹川氏に頼んでおいたということがここで明らかにされているのですが、一体いつ、だれが笹川氏にこんな交渉をするよう指示したのか、このことがやはりここで、国民から見れば一つの大きな問題になると思うのです。また初めから、いざというときにはこういうところへ救いの神を頼もうかということに政府の姿勢がなっておったとしたら、これは重大問題だと思うのですね。その間の事情を説明してほしいと思うのです。
  170. 山野正登

    山野政府委員 日本原子力船開発事業団に対する民間出資は総計で二十一億円ございますが、これは出資金並びに補助金すべての合計額で申し上げておりますが、この二十一億の中に船舶振興会からの拠出金があるということは御指摘のとおりでございますが、いま御質問の、だれが、いつ、どういうふうなアクションをしたかということにつきましては、これはちょっと調査をいたしませんと即答しかねることだと思います。
  171. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それじゃそれも必ず調査して報告書を出してください。  それから最後に残りました問題は、「むつ」の一次冷却水の核種分析ですね、いつ、どこで科技庁、事業団がそれぞれやったのか、答弁してください。
  172. 山野正登

    山野政府委員 先ほど申し上げました資料と一緒に調査してお届けするようにいたします。
  173. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これは確かに重大な問題なんで、私はこればかりは後でというわけにいかないと思うのです。すぐにわかるはずです、われわれだって大体予測がついているのですから。その中に重大な結果が出ているので、その特徴ぐらいは担当官だったらわかっているはずです。じゃ、その分析結果の中にどういう特徴があらわれておったのか、これはここで答えてください。
  174. 山野正登

    山野政府委員 特徴という点につきましても、資料をよくしさいに検討いたしませんと、御答弁を申し上げかねると考えます。
  175. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その核種分析したデータの中に、たとえ微量とはいえセシウム137の存在はあったんですか、なかったんですか。これがわからぬようでは科技庁は務まりませんよ。どうですか。
  176. 山野正登

    山野政府委員 その点も含めまして、後日御回答申し上げます。
  177. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 冗談じゃないですよ。これがあるとないとで大変な問題なんだ。あったかなかったか、もし局長の耳に届いていなかったとしたら、これは大変な問題です。はっきりしてください。たとえ微量でもセシウム137の存在がこの分析結果に出ておったのか、出ていなかったのか。数字は聞きません。その存否だけただしましょう。これはぜひ答えさせてください、わかっているんですから。
  178. 山野正登

    山野政府委員 引き続き同様な答弁で恐れ入りますが、よく調査をいたしまして回答をさせていただきます。
  179. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これは委員長も注意していただきたいんですね。核種分析というのは、一次冷却水の中にどのような放射性物質があるのかどうかということを確める上では、なくてはならない分析ですね。だから科技庁は、この結果に対してはきわめて注目しているはずなんです。その測定をしていることだけは、いま発言がありました。しておって、その結果を、改めて調査しなければ答えられませんというような、こんな不思議な話はないわけです。私が聞いているのは、その中のただ一点、セシウム137が表に出ておったのか、出ていなかったのか、それだけを聞いているんですから、答えさせていただきたいと思います。
  180. 中村弘海

    中村委員長 大臣質問者の要求は当然だと思うのだが、どうですか。
  181. 山野正登

    山野政府委員 ただいま手元に資料がないわけでございますので、調査の上回答するということで御了承をお願いしたいと思います。
  182. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 繰り返して言いますけれども、たとえ微量でもセシウム137があるということになれば、科技庁全体が問題にして、一遍そこで調査しているはずの問題なんです。もし局長が知らないほどこれをほっておるというのなら、「むつ」を安全だとか安全でないとか言える資格は全然ないですよ。と言うのは、もしもセシウム137が一次冷却水の中にたとえ微量でも存在したとするならば、これは人工的にしか生まれてこない核種でありますから、当然のことながらあの「むつ」の原子炉の燃料棒から出てきたとしか考えられないんですよ。ところが燃料棒の周囲には被覆管がかぶっている。普通はそういうものが漏れて出てくるはずはない。したがって、この被覆管に何らかの損傷あるいは小さい穴でもあいておって、微量のセシウムが一次冷却水に流れたのではないか、もしセシウムが存在しておったらこういうことになるわけだ。先ほど私が紹介したこのパンフレットの内容は全部うそになるわけです。こういう重大な内容について事国会で答えない、こんなばかなことがありますか。もし、いまに至るも、そういうことについて調査してみなければわからないと言うのなら、このパンフレットを全部一遍回収しなさい。ちゃんとさっき紹介したでしょう。ここには「一次冷却水中の放射性物質の測定が行われておりますが」と書いてある。その結果について答えられないのに、安全だとか安全でないとか言えないでしょう。燃料棒に問題がないと書いてあるのだけれども、問題がないと言い切れないのですよ。どっちかにしてください。これはもう技術的にはっきりする問題ですから。
  183. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 おわかりのようでございますから、どうぞ言ってください。私どもまだわからぬと言うんですから。教えていただきたいと思います、詳しく。
  184. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 冗談じゃないですよ。だから私は、セシウム137の存在が認められたのか、認められてなかったのか、これは事実なんだから答えなさいと言っているんです。いま資料を取りに行く、資料がないなんて、そんなばかなことがありますか、測定しているんだから。
  185. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 あなたにそう大きいことを言われる首尾はないのでありまして、私の方はまだわからぬと言っているのでありますから、あなたがわかっているのであれば、どういう経路でどういうふうにわかっているんだ、だれが知っているんだと明確におっしゃってもらった方がいいのじゃないでしょうか。
  186. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それじゃもう少しまじめに答えてほしいのですよ。測定した結果にセシウム137があるのかないのかわからないと言うのなら、このパンフレットのように、一次冷却水の測定をしました、異常はありませんでした、燃料棒は問題ないのですと書けないはずなんですよ。ところが書いてあるのです。書いてある以上は、核種分析の結果についてちゃんと何らかの判定を科技庁が下しているに違いない。私の言っていることは無理でしょうか。
  187. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 ですから、私の方はまだ調査してもわからぬと言っているのですから、あなたの方で確かだと言うのであれば、確かな証拠を、何年何月にだれに聞いたとか、あるいは自分で調査したとか、そう言うからにはあるでしょうから、お示しいただいたらと、こう私申しているのです。
  188. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これを分析し測定しているのは、科学技術庁であり事業団なんですよ。あなた方が当事者なのです。それは、重大な問題ですから、われわれはわれわれなりにいろいろとわれわれなりの勉強はしますよ。あなた方が発表しないから、われわれの方からわれわれの持っている疑惑を提起したわけです。答えられないなら答えられないでいいんですよ。そうだとするなら、こういう国民向けのパンフレットに、一次冷却水を調査しましたが問題はありません、特に核燃料棒には何ら異常はありませんと書けないのです。セシウムが出ておったら異常があるわけだ。だから、あるかないかというのは、このパンフレットをつくる前提になる問題ですから、もし調査してみなければわからないと言うのならこういうパンフレットは回収してほしい。もしちゃんと調査結果を確認しているのなら、国会ですから、ちゃんとその結果を発表してほしい。どちらかにしていただきた
  189. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私は責任大臣でございますが、聞いておりません。また部下の皆さんも、いまのところは調査、問い合わせてもはっきりしておらぬと言うのですから、答えぬと言うのじゃなくて、調査の結果があればお示ししますのでお待ちくださいと言っているわけです。いまこの場でどうと言ってみてもしようがないのじゃないでしょうか。もしあなたの方で私の方に、これこれの人間に調査した結果こういうことが出ているとか、あるいは皆さんの党で調べましたらこういう結果が出たとか、そういう典拠がはっきりしたら、むしろお示しくだされば、私どもそれに関してまた調査いたします。
  190. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私はそんなことを言っているのじゃないのですよ。分析したデータ、結果はあなたらの手元にあるわけなんだから、それをここへ取り寄せて発表してくれたら、それでいいわけなんだ。すぐにできることをしないとおっしゃるから、ますますもってこれは疑わざるを得ないじゃないですか。  セシウム137がもしあったときにはどうなるかは、もうあなた方の方がよく知っているわけだ。ここには「燃料体のまわりを取り巻く一次冷却水の水質管理が厳しく行われるため、問題となるような被覆管の腐食が生じるおそれはありません。」こう断定しているのでしょう。本当に被覆管の腐食がなかったらセシウム137が一次冷却水に漏れてくることはあり得ないのです。ところが、あなたたちが答えられないということは、やはり分析の結果に、たとえ微量とはいえセシウム137の存在が確認されているのではないか、こうなってきますがな。これは非常に大事な点ですよ。だから、もし今後調査してみなければわからないのなら、それはよろしい。そのかわり、このすべてのデータを全部出してほしいと思います。そうしてそういうデータが出てくるまで、少なくとも長崎の県民等に対してこういう安全PRは一切やめてもらいたい、できないはずなのですから。このことだけはっきり申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  191. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 一方的にただきめつけてこう言われるのは、実は大変困りますので、もし事情がおわかりでしたら、だれからどういうふうにとはっきりおっしゃっていただく方が親切じゃないでしょうか。
  192. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 くどいですね。自分たちがしていることを、私たちは、国会報告しなさい、こう言っているのですよ。私自身が分析したものでも測定したものでもないですよ。国会質問されて、答えないのか答えられないからか知りませんが、これが問題なんです。わからないならわからないでいいから、安全PRをするなと言っている。
  193. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 まだ聞いていません。
  194. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ちゃんと報告してください。
  195. 中村弘海

    中村委員長 次は、山原健二郎君。
  196. 山原健二郎

    ○山原委員 愛媛県の伊方原発と、今回高知県の吉野川上流にできようとしております本川揚水発電所計画とは、関係がありますかどうか、通産省の方に伺いたいのであります。
  197. 和田万里

    ○和田説明員 お答えをいたします。  揚水発電所原子力発電所とが関係があるかという御質問でございますが、揚水発電所並びに原子力発電所をともにつくりまして、電力の供給力を決めますときには、計画の時点の需要に見合う形で、これに対しまして約八ないし一〇%の予備力があるように供給力を定めるわけでございます。また、供給種別を張りつける場合には、ベースには主として原子力、火力あるいは一般水力を張りつけまして、ピーク部分には貯水池式発電所、さらに一番ピークの上の方の部分には揚水発電所を張りつけて、全体として適正な供給力を確保できるようにするわけでございます。
  198. 山原健二郎

    ○山原委員 揚水発電所原子力発電所がばらばらに計画をされて、それがいつの間にかつながっておるという例として、いま申し上げました伊方原発と、そして吉野川上流にできますところの、上池を稲村ダム、下池を大橋ダムとするこの揚水発電との関係は、四国電力側は関係を持っておりますと言っておりますが、通産省としては、それを確認しておられますか。
  199. 和田万里

    ○和田説明員 関係があるといたしますと恐らくその意味は、そのときに会社の説明する者がどういうことを申し上げたかちょっとわかりませんが、恐らく揚水発電所の揚水原資として原子力発電所の電力を利用するであろうという意味ではないかと思います。
  200. 山原健二郎

    ○山原委員 この上池の貯水量を今回突然二百万トン上乗せをいたしました。そして二百万トン上乗せをしないときに六十万キロワットの揚水発電を行うという計画が発表されておるわけですが、二百万トン上乗せをしたために、九十万キロワットの電力を発生することができるということでございますが、この計画は、六十万キロワットでこれからもいく計画であるかどうか、伺っておきたいのであります。
  201. 和田万里

    ○和田説明員 本川揚水発電所につきましては、出力は六十万キロワットでございます。
  202. 山原健二郎

    ○山原委員 では、どうして二百万トンの上積みをしたか、おわかりでしょうか。
  203. 和田万里

    ○和田説明員 本川揚水発電所は四国電力最初の純揚水式発電所でございます。一般的に純揚水式発電所運転時間といいますものは、これに深夜水を揚げますために、揚水をするための電力の原資の方から制約がございまして、深夜八時間を揚水いたしまして昼間六時間程度運転するというようなことが一般的ではございますけれども、本川揚水発電所の場合には、最初のただ一カ所の揚水発電所でございますので、休日等の余裕のあるときに揚水をしておけば、六時間運転した後におきましても、なお事故等の緊急時のために供給の予備力として役立つわけでございます。したがいまして、たまたま上池の方に余裕があるところから、計算上では本川揚水発電所の使用水量は百四十トンでございますので、たまたま十時間程度の容量が確保されるということになったわけでございます。
  204. 山原健二郎

    ○山原委員 では、九十万キロワットの能力を持ちながら、将来にわたって六十万キロワットでいくということには変更はないのでしょうか。
  205. 和田万里

    ○和田説明員 六十万キロワットから九十万キロワットに変更する計画はございません。
  206. 山原健二郎

    ○山原委員 この揚水発電によりまして、河川の汚濁あるいは災害の問題は、心配がないと判断をされておりますか。
  207. 和田万里

    ○和田説明員 本川揚水発電所の下池は、吉野川本流筋の既設の大橋貯水池を利用するわけでございます。かなり経過しております貯水池でございますので、揚水発電所ができまして水の上げ下げをいたしますと、貯水池の攪拌による水質の問題が起こる可能性がございますので、この程度、あるいはその対策等については、慎重に検討するよう四国電力あてに指示をいたしております。
  208. 山原健二郎

    ○山原委員 揚水発電というのが突然出てきましたのが昭和四十五年五月十三日でございます。それまでは揚水発電の問題は出ていないわけでありますが、ここで実は、早明浦ダムの建設に伴いまして高知分水の問題が出ておったのでありますが、これが突然変更がありまして、そして最初は鏡川にあります鏡ダムを下池とする揚水発電所の問題が出てまいりました。これが確認書でマル秘文書であります。  このマル秘文書には、県知事と四国電力株式会社社長大内三郎、立会人といたしまして、自由民主党政務調査会四国地方開発委員長高見三郎、同じく元委員長廣瀬正雄、建設省建設技監古賀雷四郎、この三名が立ち会いとなっておるのであります。そしてこれによりますと、こういう覚書になっております。「県は、鏡ダムを下池とする揚水発電所運転に支障のないよう鏡ダムを運用するとともに、揚水発電にともなう地元対策が生じたときは、四電と協議して解決するものとする。」次は「確認書第二項の都市用水事業の分担は、おおむね二十六億円」、これは四十四年度の単価でありますが、「を目途に関係方面に要請するものとし、その国庫補助金の確保に努めるものとする。四、地蔵寺発電所の建設を取止めることにともなう地元対策は、県において処理するものとする。五、共同事業および揚水発電事業の円滑な推進をはかるため県は、用地取得、補償問題、工事用道路並びにその他の施設整備などについて全面的な協力を行なうものとする。」こういう覚書が出たわけでございます。そしてその後に覚書に付帯をいたしまして、「四国電力株式会社は確認書第一項の事業に関連して、吉野川高知分水事業において、高知県および高知市が将来水資源開発公団に義務づけられる負担金を肩替りするものとする。その具体的方法については、後日別途協議する。」ということで、国会議員あるいは大臣を歴任をした方たちが加わりまして、知事と株式会社との間にこういう覚書並びに了解事項がつくられておるわけであります。  ここで初めて揚水問題が出てまいりました。一方は四国電力は伊方原発建設計画を立ておるときです。県民には何もわかりません。伊方の方はがたがた進んでいるわけですけれども、揚水発電が原子力発電所関係をしてこのような形で出てくる。企業と県知事と、しかもいわば政府の高官と言いましょうか、そういうものと国会議員とが加わったこの暗黙の覚書が出てきました。これは県議会においても大問題になったわけでありますけれども、これがいま、伊方原発とこの揚水は鏡揚水が今度はまた変更になりまして、先ほど言いましたところの吉野川上流に揚水発電をつくるということに変更していくわけです。そしてそれが原子力発電と関係を持っている。全く県民が知らない間にこのような暗黙の覚書が交換をされて、そしてそれが何年かたった後に関係があるということがわかってくる、こういう行政が行われておるということに対して、私はきょうはもうこれは暴露するだけでおきますけれども通産省、知っておられますか。
  209. 和田万里

    ○和田説明員 本川揚水発電所計画されました経緯につきましては、四国電力の系統全体が急速に大きくなってまいりまして、これに対しますピーク供給力の確保につきましては、在来型の貯水池式発電所等も考えられるわけでございますけれども、四国の地形そのほかの関係によりまして、数十万キロワットオーダーのピーク発電所はなかなか計画が困難でございますので、揚水発電所の適地につきまして、かねてからいろいろ調査をしてまいりましたところ、四国のちょうど中央部にありまして、しかも既設の貯水池が利用できるというようなことから、本川揚水発電所が最初の揚水発電所として計画されることになったわけでございます。
  210. 山原健二郎

    ○山原委員 去る昨年八月の台風五号、六号によりまして、この吉野川上流の、大森、長沢、大橋、稲村の水が流れ込んでくる早明浦ダムです。現在はもちろん揚水発電は行われておりませんから上池もないわけですが、この災害によりまして、重大な被害が早明浦ダム下流に引き起こされたわけであります。その災害時の安全性あるいは河川の汚濁というものが、まだ明確にわかっていません。住民はそれに対して非常な危惧の念を持っております。  ところが、一方ではもう揚水発電の計画は着々と進められ、しかも二百万トンの上乗せが行われるということになってくると、全く住民に対するだまし討ちではないかという疑問が生じてくるわけでございますが、これらの河川の汚濁やあるいは災害の問題についての対策としては、どのようなことが検討されておるか、まず伺っておきたいのであります。
  211. 和田万里

    ○和田説明員 純揚水発電所運転をいたします、つまり発電をいたしますときには、下流側の下池に空虚容量が必要でございます。といいますのは、下池の水位が必要な分だけ下がっている必要があるわけでございます。したがいまして、洪水時等で下池の水位が上がっております場合には、揚水発電所運転はその分だけ制約を受けるわけでございます。したがいまして、かなりの規模の洪水によりまして下池が満水の状態でありますれば、当然揚水発電所運転できないことになります。  河川の汚濁につきましては、揚水発電所自体といたしましては、特有の現象はないわけでございますが、先ほど申し上げましたように、下池はできましてからかなり経過をしておりますので、その間に貯水池の底部の方にたまっている泥質が、水の攪拌等によりまして浮き上がってくるというようなことも考えられますので、これについてはどのような現象が起こるか、貯水池の地形あるいは水位の変動状況、沈でんしております粒子の性質、揚水発電所運転状況、そのほかいろいろ総合的に検討いたしまして、慎重に対策も含めまして検討するように指示しているわけでございます。
  212. 山原健二郎

    ○山原委員 アメリカよりの濃縮ウランの譲渡契約が、関西電力と四国電力との共同で百万キロワット契約が行われておると言いますが、これは事実でしょうか。
  213. 山野正登

    山野政府委員 ただいまの濃縮ウランの譲渡契約でございますが、日米原子力協定に基づきまして、わが国の電力会社と米国のERDAとの間におきまして、各電力会社並びに各炉ごとに、約五千百万キロワット分の原子力発電所に必要な濃縮役務契約をただいま締結いたしておるわけでございますが、昨年の八月以降、条件つきの契約分八基につきまして、譲渡契約により無条件契約とした事実はございますけれども、御指摘のように、関電、四国電力が共同で契約を結んだという事実はございません。
  214. 山原健二郎

    ○山原委員 時間がありませんので、最後に、高知県佐賀に四国電力の巨大な原子力発電所をつくるという計画がありました。これは計画、内容もひそかにつくられておりまして、これが暴露されておるわけですが、この佐賀原発については、すでに設立を中止するという声も聞かれておりますが、この点について通産省はどのような把握をしておられますか。
  215. 高橋宏

    ○高橋説明員 お答えいたします。  佐賀町の原子力発電計画というお尋ねでございましたが、私どもまだ具体的にそのような計画は聞いておりませんので、現段階では中身につきまして存じておりません。
  216. 山原健二郎

    ○山原委員 全く聞いていないということは、したがって全く調査もしていないということなんですね。
  217. 高橋宏

    ○高橋説明員 調査もいたしておりません。
  218. 山原健二郎

    ○山原委員 先ほど言いましたような揚水発電と原子力発電所の関連というのは、率直に言って県民は全く知らなかったわけですね。一方は愛媛県でつくられておる原子力発電所です。一方は高知県の山間部において計画をされ、しばしば変更されてきたもの。それが最近になって、関係がある、こういう御発言もいまあったわけでございますから、こういう点で、そういうことが特に秘密のうちに覚書が交わされるというような事態が起こっているわけですね。こういうことは全くあってはならないことだと私は考えます。原子力問題が、こういう問題があるからますます大きな疑惑に包まれているわけでございますので、そういう点では、私どもはこの問題については、きょうはもう時間がないわけですから、ただいまの答弁に基づいて、これからも次の機会を得て質問をいたしたいと思いますので、そのことを申し上げておいて、質問を終わります。
  219. 中村弘海

  220. 近江巳記夫

    ○近江委員 初めに「むつ」問題についてちょっとお伺いしたいと思いますが、政府としましては、佐世保修理港といたしまして正式要請をされたわけであります。その後、連絡事務所の設置であるとか、政府関係者が現地に乗り込んでおられるわけでございますが、現地におきましても非常に反対運動が高まってきております。こういう中におきまして、反対の輪というものがますます広がっておりますし、また声も高まってきておる、こういうふうにわれわれは見ておるわけでございますが、そうした反対の声も輪も拡大していく中で、政府といたしましては、あくまでもこの佐世保修理港として要請をしていくお考えであるかどうか、その基本的な考え方、姿勢についてお伺いしたいと思います。
  221. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私どもは、先ほども説明申し上げましたように、この修理点検は安全である、もう放射線そのものには関係ないんですという御説明を方々にいたしますれば、必ず御理解いただけるという気持ちでございますので、現地に出向きまして安全性説明を一生懸命しているわけでございますが、大分現地の方でも、安全性に関しましては御理解を深めつつあるやに聞き及んでおります。したがいまして、反対運動がどんどん燃え盛っているというふうには実は聞いてございません。だんだん御理解いただけば必ずや受け入れていただけるものというふうに考えて、これを進めております。
  222. 近江巳記夫

    ○近江委員 われわれの耳にしておりますのは、先ほど申し上げましたように、反対の輪が非常に拡大してきておる。声も高くなってきておる。これは政府がおとりになっているそういう見解とは異にしているわけでございますが、そこで、あくまでも説得を続け、この佐世保修理港にしたい、こう思っておられるわけですか。
  223. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 現在の段階では、修理点検佐世保でお願いしたいということで、粘り強く御説明して御理解をいただけるようにいたしたいと思います。
  224. 近江巳記夫

    ○近江委員 政府としましては、責森県むつ関係もあるでしょうし、最終段階としてどこまでの期間をその交渉期間と考えておられるわけですか。
  225. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 別に期間ということはないのですが、ただ、青森との話し合いで、原子力船むつ」は、おおむね二年半ということになっておりますけれども、その間に第二母港なりに移転させてもらいたいという話し合いになっておりますので、おそくとも二年半ぐらいまでには大体移転を完了したいというふうに実は考えておるわけでございます。
  226. 近江巳記夫

    ○近江委員 この二年半というのは、完全に移転終了の期間ですね。そうなってきますと、実際に受け入れであるとかいろいろなことになってきますと、その期日というのはもっと短縮されてくると思います。そういう期間を考えますと、この佐世保につきましては、最終の交渉期間というのはいつまでというか、大体どのぐらいのめどをつけておられるわけですか。
  227. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 いま申しましたように、撤去の期間が二年半でございますから、来年の何月になりますか、その時点までには、できるだけあの約束を守りまして、むつから出たいというふうに考えております。
  228. 近江巳記夫

    ○近江委員 今後こうした市民の反対の声がますます高くなってくる、今後の進展がそういう方向になってくる、こうした場合、やはり地元の了解が得られない、こういう場合は断念なさるわけですね。そうして第二の修理港と、こういうようにお考えですか。また第二の修理港としては、どこをお考えになっていますか。
  229. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私どもは、第二の修理港なんていうことはゆめゆめ考えてございません。説明してまいりますれば、安全なものでございますからい必ず御理解いただくというふうに考えまして、粘り強く御理解いただくように努力してみたいと存じております。
  230. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうしますと、来年の三月ごろというようなことをいまおっしゃったわけですが、その時点で反対がますます強い、こういう場合、第二の修理港考えておられない、こういう場合、そういう声が高まっておる中であっても強行して搬入をする、こういうことですか。
  231. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 御理解をいただくように努力していくわけでございますから、そういう事態は起こらないだろうという想定で、また、それを希望いたしましてただいま工作しているだけでございまして、その時点でどういうふうになるか、そういうことはいまから実は考えてございません。
  232. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、あくまでこの佐世保に焦点を定めて、そしてこの地元の説得に当たっていく、こういう姿勢でいくわけですね。しかし、そういう姿勢は姿勢として、そういう地元の了解が得られないという場合、これは政府としては、最悪の場面ということを考えておかなければいかぬわけですね、むつ市との約束もございますし。そういう場合、どういう腹づもりをなさっているわけですか。
  233. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 そういうことはゆめゆめ考えておりませんし、また、地元が非常に反対が強く、受け入れできないという知事さんあるいは市長さん等の判断でございますれば、その時点に立って問題を考えるよりしようがないと思います。
  234. 近江巳記夫

    ○近江委員 政府としていわゆる搬入をするとお決めになるその状況というのは、どういうところを、政府としては確信をもってこれで地元の説得に当たれた、こういうふうにお考えになっているのですか。
  235. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 先ほどもお話がございましたように、安全性を含め知事あるいは佐世保の市長さんに検討をお願いしているわけでございますから、その検討の結果はまだ参っておりません。いま安全性の問題を自分たちとしては技術的、科学的に説明をするというまだ準備がございませんので、中央から来てひとつ御説明くださいということでございますから、先ほどお話がございましたけれども、私どもから現地へ参りまして、ただいま理解を得るためにいろいろ説明会等を開いている最中でございまして、それがまだ始まったばかりでございますので、これから県でもあるいは市でも、いろいろそういう機会等も設けまして、説得と申しますか、協力してくださるだろうと思いますので、その結果を待ちたいというふうに考えております。
  236. 近江巳記夫

    ○近江委員 政府としてあくまで地元の説得に当たっていく、そうなってきますと、ここがそういう決定を下したという確認を持って判断されると思うのですが、たとえば県議会あるいは市議会、あるいは住民団体等については、どういう判断をなさっているわけですか。
  237. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 原則としては、私ども自体が、地元の住民の皆様なり、あるいは県議会、市議会にどうというのは、これはやはり筋じゃございませんで、県当局なり市当局が、そういう県会なり市会あるいは地元の諸団体等の御理解を深めるための努力をしてくださいまして、その結果よろしいということであれば、よろしいという返事が来るでありましょうし、また、そういうよろしいと言って返事をもらえることを期待して、ただいま検討をお願いしているという段階でございます。
  238. 近江巳記夫

    ○近江委員 特に長崎県は被爆地でもございますし、あくまでも、そうした強行の姿勢とか、そういうことをなさらないようにしていただきたいし、また、私たちが聞いておる段階におきましては、反対であるという声が圧倒的であるということも聞いておりますので、政府としては、この点、強行等をすることのないように強く要望いたしておきます。  それから、「むつ」にこの原子力問題は非常に象徴されておるわけでございますけれども、根本的に、政府のそうした安全性に対する姿勢、そういうものに対する不信感といいますか、不安感といいますか、こういうものが国民の間に非常に高まってきておると思うのです。  それで、抜本的な改革をしたいということは長官もいつもおっしゃっておられるわけでございます。いままで本委員会におきましても、懇談会の中間答申なり答申を待って、そして速やかにそれを実行していきたいということを常におっしゃっておられたわけですが、昨年末、原子力行政懇談会が中間報告を提出しているわけです。政府としては、一月二十二日に関係各省庁の連絡会議を発足さしておられるわけでございますが、少なくともあれだけの長期間をかけ、有沢氏を座長としまして出てきたこの中間答申であります。この中間答申については、大臣としてはどのように受けとめておられるわけですか。
  239. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 去年の暮れの中間答申は、御承知のように、基本方針と申しますか、方針的な指摘でございまして、具体的な肉づけまでは実は入っておりません。といって、いわば総理の直属機関として出されました結論でもございますので、五十二年になりますか、したがってその予算の提出等は、大体この八月末には出さなければいけませんので、八月の概算予算を出すころまでには、もう少し連絡会議等で固めまして、法案形式等で進みたい。せめて原子力委員会と原子力規制委員会と分けて、しかも検査、審査の一貫性と申しますか、そういう点が保てるような体制だけは、ぜひひとつ来年の予算で、あるいは行政管理庁と申しますか、そういうところとも交渉を進めて、実現に向かっていきたいというふうにただいま考えております。
  240. 近江巳記夫

    ○近江委員 この八月の概算要求に、現在の原子力委員会と原子力安全委員会、これは中間答申にも出ておりますが、それを縦分けをして、また責任体制の一貫体制がとれるようにしていく。これは中間答申にも出ておりますように、一歩前進であると、われわれとしましても評価できるわけですが、事実そのことを実行してもらいたいと思っております。  そうなってきますと、運営の問題等、今後それが発足したとしましても、非常に多くの問題があろうかと思うのです。たとえばこの委員会二分化案につきまして、長官から、来年度予算ではこれを実現していくというお話がいまあったわけでございますが、その行動自体ですべてが出ておるかと思いますが、機能の調整といいますか、その辺の問題についてどのようにお考えですか。
  241. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 大変むずかしい問題でありまして、たとえば規制委員会の権能、ファンクションはどういうふうにするか。安全の研究一つとってみましても、安全の研究というのは根本問題でございますから、原子力委員会で進めることにして、原子力規制委員会の方は、個別的な炉の安全性に関する審査、検査というふうにしていくのか、それとも炉の安全、原子力の安全そのものの研究まで規制委員会に持っていくかといったような問題は、実は非常に大きい問題でございまして、そういう点ではずいぶん有沢機関でも議論がされた由でございますが、できますれば、いまの原子力委員会でもう少しそういう点を詰めまして、その他いろいろあるようでございますので、そういう点ももう少し詰めて、発足に当たっては誤りないようにいたしたいというふうに実は考えております。
  242. 近江巳記夫

    ○近江委員 それができたとしますと、原子力安全委員会によるダブルチェツクという問題があるわけですが、いままでこの原子力委員会というものは、御承知のように諮問機関にとどまっておるわけですね。そうしますと、結局は各省庁、特に科学技術庁ですが、省庁の言いなりになってしまう。そういう点で、もっと行政的な権限のある委員会にしていくべきじゃないか、この意見は非常に強いわけでありますが、これについては、長官はどのようにお考えですか。
  243. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 行政委員会にするか、諮問委員会にするか、法律的にはどちらかに解釈して割り切らなければいかぬのですけれども、実際の権能としてはと申しますか、ファンクションとしては、その中間的な行き方等もいろいろ考えられるわけでございます。いまの原子力委員会の権能などは、まさしく本質的には諮問委員会でありますけれども、実質的には行政委員会と変わりないような権能を持っているのじゃないかというような感じがいたします。そこら辺は大変実は微妙なところでございまして、有沢答申では両方とも諮問委員会というふうになっておると記憶しておりますが、しかし、それだけでよろしいか、同じ諮問委員会であってももう少し工夫の仕方があるのではないかという点も考えまして、一たん決めますとなかなか大変なことでございますから、今後なるべく誤りないようにいたしたいということで研究を進めております。
  244. 近江巳記夫

    ○近江委員 この中間答申を見てまいりますと、安全審査あるいは許認可行政のあり方につきまして「行政の一貫化」を図れ。さらに、「実用段階に達した発電所等事業に関するものは通産省、船については運輸省、研究開発段階にあるもの及び研究施設については科学技術庁がそれぞれ一貫して担当する方式が適当である。」こういう提言があるわけです。これについては、各省庁のなわ張り争いということがいま盛んに言われているわけですが、いま長官としては、どのようにお考えになっておられますか。
  245. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 実用化の段階とは何ぞやというのは、いろいろ吟味してまいりますとむずかしい問題点もございますし、燃料サイクルまで含めて実用化あるいは研究化ということになりますと、なかなかむずかしい問題がたくさん出てくると思います。  しかし私は、根本的に考えまして、有沢答申のような行き方というものはこれは是認すべきだと思いますが、ただ、原子力は石炭とかあるいは油とかいう燃料といささか異なって——いささかどころじゃなくて、大変根本的に異なっているゆえんのものは、やはり原子力はいわばもろ刃の剣でございまして、それを発電とかあるいは原子力船等に使うその機能自体が安全かどうかという工学的な面だけじゃなくて、国家安全的な面で平和にも利用するというケースが一番根本でありましょうし、いま大変問題になっているフィジカルプロテクション等に対して、ばらばらでこれをやったのでは大変なことになりますので、そういう点をどうしていくか。あるいはそれにちなんで、さっきも申しましたように、プルトニウムとか濃縮ウランとか、あるいは高レベルの廃棄物とかというものこそは、一体どうするのだという問題まで入ってきますと、どうも許認可まで全部ばらばらにしてしまうという行き方は、たとえ実用化段階に達したとしても、私は、国の将来を考えますと大変実は疑問を持っている一人でございまして、できますれば、やはり許認可というものは総理大臣が持っておって、そうして検査、審査の実際は各省でやっても結構ですけれども、最終的な責任というものはやはり内閣にあるのだというはっきりした態度を持っていくのが、将来の日本の国民のために大変重要なことじゃないかと実は考えております。
  246. 近江巳記夫

    ○近江委員 別に科学技術庁に限ったことじゃありませんけれども、いずれにしても、行政のなわ張り争い、セクト争いというものがよく取りざたされているわけです。あくまでも国民の立場に立って、単なるそういうセクト争いで変なものにならないように、そこはひとついま申し上げた原点を忘れずにやっていただきたいと思うのです。  こういうことを実行していくということになってまいりますと、少なくとも法案も提出をしなければならぬわけです。八月概算要求ということになってきますと、臨時国会にお出しになるのか、あるいは次の通常国会にお出しになるのか、それはどのようにお考えですか。
  247. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 法案化するためのいまの作業状況がどの程度まで進捗しているか、私、実は最近は余り詳しく聞いていませんので、いまここで確実に、概算予算を出すときには法律の問題まで全部完成してというふうに言い切れるかどうか、大変疑問でございます。  ただしかし、やはり原子力局を科学技術庁一つつくるのにも、まるまる一年以上現実にかかったわけでございまして、まして原子力委員会二つに割ってなんということになりますと、基本法そのものにもかかわる問題にもなってきますから、大変な問題だと思います。したがいまして、これはよほどやはり慎重に、政府といたしましても理論武装もし、それからあらゆる点を考慮してやっていく必要があると思いますので、希望といたしまして、私の感じとしてはそうしたいのでありますけれども、いろいろまた異論も出てきますと、あるいはもう少し延びるということになるかもしれません。
  248. 近江巳記夫

    ○近江委員 長官の御答弁で、来年はこれを発足させたいということになってきますと、当然通常国会、あるいはまたその前の臨時国会にということになりますが、そういうスケジュールでいきたい、こういう強い希望はお持ちなんですね。もう一度確認しておきますが。
  249. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 そのとおりでございます。
  250. 近江巳記夫

    ○近江委員 原子力行政のそうした改革という問題はずっと叫ばれてきたことでございまして、何もいま言われたわけではないわけですね。ですから、そうした煮詰めをし、実現していくまで時間がないとかというような問題は、私は当てはまらないと思うのです。ずっとこれだけ叫ばれてきたことでございますし、国民のそうした期待にこたえるためにも、安全体制を重点としたこうした行政改革というものは、ひとつ意欲的に、大胆に、速やかにやっていただきたいということを申し上げておきます。  それから次に、事故の問題についてお伺いしたいと思いますが、本委員会におきましても出ましたけれども、東京電力の福島第一原子力発電所二号機のタービン室内で火災が発生した事件であります。この問題につきましては、一つは、いつ報告を受けられたか、またいつ発生したか。今回の事故につきましては、東電側によりますと、原子炉の事故ではなく火災でもない、通報連絡の対象外というようなことを言っておるようでございますが、科学技術庁としては、その問題についてはどのように受けとめておられるかという問題でございます。  こうした事故でアメリカ等の例を見てまいりますと、一九七五年三月二十二日、アラバマ州のブラウンズフェリー原子力発電所で、一技術者が原子炉の空気漏れの個所を探すために使用したろうそくの火が原因で大火災が起きているわけです。原子炉の十二の安全設備のうち七つが火災にやられてしまった。結局、原子炉と直接関係のない作業からこのように大事故が発生しているわけですね。  こういう点におきまして、どういうささいなものであっても、原子力施設等のすべてのこうした事故というものは報告をすべきである、このように思うのですが、見解をひとつお聞きしたいと思います。
  251. 伊原義徳

    伊原政府委員 福島第一原子力発電所二号機につきましては、先ほどもちょっと御報告申し上げましたが、四月二日十九時ごろ発生したと聞いております。  なお、これが正式に法律、規則に基づく報告の対象になるかどうかという点につきましては、軽微なものでございますので  軽微というのはいろいろ見方があるかと思いますが、私どもといたしましては、現在まで報告を受けましたところでは、法規に基づく正式の報告が必要なものとは考えておりません。  なお、通商産業省の方でも、電気事業法関係での報告の体系がございますが、その関係からも、これが法規に基づく報告の対象になっているということではないというふうに承知をいたしております。  しかしながら、先生が御指摘のように、たとえば米国のブラウンズフェリーの火災の場合、これはかなり大きな問題であったことは事実でございます。この問題につきましては、私どもも米国からNRCの特別検討グループの調査報告も入手しておりまして、わが国においてこのようなことがないように、いろいろ別途手は打っておるわけでございます。  なお、この報告につきましては、科学技術庁といたしましては、法規に基づく事故報告の段階に達しないものでありましても、現状におきましては、実質上科学技術庁報告をしていただくように電気事業者等を指導しておるわけでございます。以前からそういうふうな指導もしておりますので、この種のものにつきましても、今後は報告を自主的に受けることにいたしたいと考えております。
  252. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは私も、法律を全部調べてみましたけれども、原子炉の設置、運転等に関する規則の「報告の徴収」、第二十八条でありますが、この第五項におきまして「軽微なものを除く」とありますが、この「軽微なものを除く」というその軽微というのは、どういう基準で軽微という判断をするのですか。これは幾らでも逃げられるわけですよ。どうですか。
  253. 伊原義徳

    伊原政府委員 ただいま御指摘のございました原子炉の設置、運転規則二十八条五項、この関係でございますが、原子炉施設故障につきまして、これはいろいろな問題がだんだん経験を積むに従って分類され、基準化されてくる。したがってその段階で、いかなる故障が軽微であるかというふうなことも、整理されてくると思うわけでございますが、現在は、いずれにいたしましても、事故と認定されないような故障につきましても科学技術庁に速報してもらう、こういうことで、先ほど申し上げましたように、指導してきておるわけでございます。その中身を私どもが聞きました中で、これは規則に基づく報告をすべきであるか、あるいはそこまで至らないかということを実態上の判断をいたしております。一口に申しまして、原子力発電所運転に重大な影響を与えるか与えないかというのがこの判断の基準になるわけでございまして、今後さらに、御指摘の点も踏まえまして、この扱いがより明確になるようにしてまいりたいと考えております。
  254. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほど私はこういうアメリカの例を話したわけですが、これは、全然機械とは関係ない、空気漏れの個所を探すためろうそくに火をつけた、それで見ている間に火災が起きた。そういうように、原子力施設の一見関係がないように思うそうした事故というものが、もういわゆる大事故につながってくるわけです。したがって、その施設内におけるそうした事故というものについては、すべて報告させる必要があるわけですよ。  アメリカの場合も、ちょっと調べてみましたけれども、アメリカでは現在稼働中の動力炉は六十基ですね。日本の場合は十二基、現在建設中が十二基、建設準備中が四基。そこで、米国のNRCに毎週報告されるトラブルの数が一週間で二十を超えている、年間では約千四百件に達しているという。わが国では年間十件ですよ。だから、あなた方は、「軽微なものを除く」というこの法律のもとにおいて、全部その軽微なものという判断で消されているわけですよ。  だれだって、そうした事故なり、そうした自分の不始末のことについては、公にはしたくはないものです。それはわかりますけれども、しかし、これは国民の安全という問題にとりまして、きわめて重大な問題であるわけです。それが「軽微なものを除く」という、こういうような条項によって、すべてがこのようにアメリカと比較して消されている、こういう事実は放置できませんよ。法律がこうなっておるから軽微なものは全部報告しない。これは改正する必要がありますよ。改正についてどのようにお考えですか。
  255. 伊原義徳

    伊原政府委員 軽微であるかないかの判断、さらにはすべていかなる事柄も報告させるべきではないか、こういう御指摘でございますが、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、軽微であるなしの判断を原子炉設置者がする前に、起こりましたことは実質上報告してもらうようにしております。先生が御指摘になりました件数は、その中の一部でございまして、法律上正式に報告の必要があるものの件数であるかと存じますが、そのほかにも実質的にいろいろ報告は受けておるわけでございます。ただ、法律上の義務として余りに多数の案件をすべて正式の報告にすべきかどうかということにつきましては、法の効果的な運用という観点から申しましても、いろいろ検討しなければいけないこともあるかと思われます。  いま一つ、原子炉等規制法の立場のほかに、電気事業法の立場としての体系もございますし、その両者のバランスと申しますか、そういった問題もあるかと思います。  しかし、先生の御指摘のように、一見軽微であると思われておるようなところから大きな事故に発展する可能性、そういったことも、ブラウンスフェリーの例を見ましてもあり得るわけでございます。そういう御指摘も十分踏まえまして、今後さらにこの制度の充実を図りまして、いささかも安全性について大きな影響がないように、監督を厳重にしてまいりたいと考えております。
  256. 近江巳記夫

    ○近江委員 自主的に報告しているということをおっしゃっておりますが、たとえばタービン室の火災、これは東電福島は四十日間隠し通しておるのですよ。不都合なことは報告しないのですよ。こんないいかげんな条項で放置しておったら、幾らでもそういう経微なものを除くと——基準だって、そんないいかげんなことで、事故を幾ら掌握しようとしたってできませんよ。一切のことを報告させればいいじゃないですか。掌握をして監督をしていくという上において、そういう細かいことが一番大事と違いますか。なぜやらないのですか。電力側から困るということを言われて、政府当局は甘いべったりの姿勢でおるからそうなるのですよ。全部報告しなさいとなぜ言えないのですか。これだけ原子力の安全性ということが叫ばれておるんじゃないですか。報告の手間とか、そういうことぐらいは何でもないことですよ。全部のことを報告させて行政当局は掌握をしていく、そして事大事に至らない間に、そういうことからいろいろなことを察知して指示もできるじゃないですか。いまのやり方は間違っておりますよ。こういう条項をなくして、全部報告させるように直しなさい。これはそんな中途半端なことじゃだめですよ。できるだけ報告を受けるようにしております——報告してないじゃないですか、これだって。東海村の地下タンクからのいわゆる水漏れ事件だってそうでしょう。十年前にも七千トンもの水が漏れておった。これだって、全然報告なしですよ。今回の事件だってそうじゃないですか。こういう報告があれば、地下水のモニター技術ができていない、これを確立せよとすぐに指示をしてさせることもできるんじゃないですか。  今日、日本の原子力行政に対する不信というものは、そこにあるのですよ。あなた方が、幾ら充実するとかなんとか言ったって、一つ一つのそういった詰めをやっていないのです。口では、安心してもらうような体制をつくりますとかなんとか言っていますが、一つ一つの詰めをしないで、どうして行政が充実しますか。これを変えなさいよ。このまま放置しておるところに、いろいろなそういう隠れた事故が発生するのです。国民の不信と不安を取り除くためには、すべてのそういう事故等を報告させなさい。そのように体制を変えるべきです。どうですか。
  257. 伊原義徳

    伊原政府委員 先生指摘の点は幾つかに分かれるかと思いますが、まず、実質的な報告を受けておるというにもかかわらず、実質的な報告を受けておらなかったではないか、こういう御指摘一つございます。これは私どもとしては、はなはだ残念でございますが、現に福島の件につきましては、石野先生から先回御質問をいただきまして、私ども調査をいたしまして、初めて私ども承知した、これは事実でございます。  それからいま一つは、実質的に報告を受けておるというだけでは適当でないので、法律、規則を変えて、原子力施設で起こったあらゆる現象を報告させるということにすべきではないか、こういう御指摘であるかと思いますが、これにつきましては、安全確保の基本的な考え方として、どこまでを法律において決めるべきかということについて、常識的なある限度はやはりあり得るものだと思っております。したがいまして、あらゆるものを正式に文書でもってすべて報告すべきかどうかということにつきましては、ほかの規制の制度とのバランス等もございますので、その辺も考えました上で検討をさせていただきたいと考えております。  それから、なお御指摘のございました原子力研究所の動力試験炉の水漏れ問題でございますが、これは九年か十年ぐらい前のことだと想定されるわけでございますが、相当量の水漏れがあったようであるということが、最近になって原子力研究所の発表でわかったわけでございます。なお、原子力研究所といたしまして、なぜそのときに報告をしなかったかということでございますが、放射性物質の濃度が非常に低いということであったので、つまり、法規に定めるレベル以下であったと解されたので、報告をしなかったという考え方のようでございます。しかしながら、私どもといたしましては、これは相当な量の水の漏洩でございますので、九年、十年前の時点において報告がされてしかるべきであった、こう現時点において考えております。そこで、私どもといたしましては、今後こういうことが絶対にないようにということで、原子力研究所に対しまして、その当時の状況を至急調査して報告するように、今後かかる事態を繰り返すことがないようにということで、厳重に文書をもって注意をしたところでございます。
  258. 近江巳記夫

    ○近江委員 あなた方は、そういうへまなことを、今後また続けようとなさっているんですか。その十年前のときに報告がないから、四月三日にこういう事故がまた起きているんじゃないですか。しかも、原研ではそういう判断をしている、科学技術庁では出すべきであったと言う。だからそのこと自体が、いま申し上げたように、「軽微なものは除く」というような、そんなあいまいな基準で放置しているからそういうことが起きるんですよ。これだけ国民が不安に思い、原子力行政については不信感を持っているわけですから、すべてのことを報告させたらいいじゃないですか。それはどこに矛盾があるんですか。そんなことぐらいがなぜできないのですか。電力会社に言いつけることができないのですか。
  259. 伊原義徳

    伊原政府委員 ただいま先生の御指摘の点でございますが、あらゆる現象をすべて報告するということが適当であるかどうか、これはやはりいろいろ議論のあり得るところだと思うわけでございます。むしろ先生指摘の御趣旨は、「軽微なものを除く」という「軽微」というのは何だ、そこがわからぬ、そこがはっきりしないからそこでごまかされる可能性があるのではないか、こういう御指摘かとも存じます。そういう御指摘でございましたら、これはまことに御指摘のとおりでございますので、私どもといたしましては、「軽微」というのは具体的にはどういうものを指すのかということにつきまして、今後はっきりと基準を定めると申しますか、いろいろな点につきましてその辺を明確化してまいることによりまして、先生の御指摘のようなことがないようにいたしたい、こう考える次第でございます。
  260. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは早急にやりなさいよ。いままでいろいろなところで事故があった、それを隠しておった。もう国民はそれを聞くと、自主、民主、公開という三原則がありながら一体何をやっているんだ、そういう不信感が出てくる。不安感が生まれてくる。     〔中村委員長退席、石野委員長代理着席〕 根本は、科学技術庁のつくっておるこういう法律の、こういうところがあいまいだ。電力会社自体も、隠そう隠そうという姿勢がいままであった。この法律条項がいいかげんである、あいまいである、何の基準も示していない、そういう基本姿勢と相まって、いままでひた隠しに隠されてきたのです。これは早急に改正しなさいよ。こんなことを放置しておいたらだめですよ。これは基準というよりも、すべてのそういうような事故なり何なりは報告さすべきです。そうすれば、政府だって事前にいろいろなことが予想され、手を打てるじゃないですか。そのことがひいては、国民がこれだけ心配しておる安全性という問題に対して、こたえていく道になるのと違いますか。なぜあなた方は、電力会社に対してそれを言えないのですか。そんな報告の手間ぐらい知れていますよ。どうですか。
  261. 伊原義徳

    伊原政府委員 いろいろ御指摘ございました点、非常に重要な問題も含んでおりますので、私どもといたしましても、今後とも十分指導をいたしまして、原子炉設置者が一見ささいと思うようなものでありましても、実質的に報告をとるということは続けてやりたいと考えております。御指摘のように、いまの時点におきましては、何か事故を隠しておるのではないかというふうに見られますことが最もよくないことでございまして、むしろ、こういうことがあった、ああいうことがあったというふうなことは、設置者側としても積極的に出しまして、しかしそれはこういう意味のものである、この程度影響のものであるということを十分PRすることが適当かと考えます。
  262. 近江巳記夫

    ○近江委員 そんな逃げ道を残さすようなことをしたらだめですよ。国民のこの不安感、また安全性疑惑を持っているわけですから。だから、それを全部掌握して政府が指導していく、直さしていく、そういう姿勢がなかったらどうしますか、これ。そんなあいまいなことを残しておれば、都合の悪いことはできるだけ隠す、言われたときには、法律条項はそうなっておりませんからわれわれはこのように判断しました、それで逃げれるのですよ。これは早急に長官を中心にひとつ検討されて、その基準を設けるといまおっしゃったわけですが、そんな基準を設けるよりも、すべて報告しろと法律でいくのが一番強いのですよ。自主的にまかすなんて中途半端なことでは、あなた、安全局長として全部ここの条項で責任を問われてきますよ、これから。どうも電力会社に対する姿勢というのははっきりしないですな。長官、どうですか、この問題。
  263. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 十年前のことでもございますし、私も事柄の本質がよくわからぬのでございますが、しかし、事故に対する対処方法を得るためには、やはり細大漏らさずの細というのはどの程度か、マッチ一本すっても細なのかということになりますと、これは問題ですけれども、しかし、お説のことはわからぬわけではございませんので、御趣旨に沿えるように前向きで検討させたいと思います。
  264. 近江巳記夫

    ○近江委員 長官はいま、御趣旨に沿えるように今後やっていくということを言われたわけですから、今後を見ております。  それで局長さん、それなら「軽微のものは除く」ということで、これはいままで基準は何もなかったわけですか。いままでどういうようにあなた方は考えていたのですか。
  265. 伊原義徳

    伊原政府委員 非常に明確に何々の基準ということで刷り物になって内外に公表されているというものは、現在の時点においてはございませんが、私ども現に、連絡を受けましてそれを仕分けをいたしますときに、たとえば計画停止というふうなことをいたしまして、どういうふぐあいがあったということが非常にはっきりしておって停止をして、しかもこれがすぐに運転がまたできるというふうなもの、つまり実質的に原子炉の運転状況影響がほとんどないと解されるもの。それからいま一つは、定期検査を行っておりまして、その段階で発見されたものであって、しかも大規模な修理工事は必要でない、少しの時間と手当てをもって修理ができる、こういったものについては「軽微なもの」というふうに扱っております。
  266. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま申し上げたことを十分ひとつ長官中心に検討していただいて、こうした「軽微なもの」を削除するとか、明確な基準なりをその第一段階としてつくるとか、そうした問題個所の手直しについては、早急にひとつやっていただきたい、このことを特に要望しておきます。  これは、ひとつ委員長さんもよく頭に置いていただきまして、今後また委員長からも、その点を理事の皆さんに諮っていただきまして、速やかに推進していただきますようお取り計らいをよろしくお願いしたいと思います。  次に、公聴会の問題を聞いてみたいと思うのです。  シンポジウムの問題は、本委員会におきまして私が何回も質問しておりますが、中央においてはシンポジウムをやる、これはできれば昨年においてやりたい、このように科学技術庁はおっしゃったのですね。それが延び延びになって、年度内には何とかやるということだったのですが、これはやったのですか。どうなっているのですかね、これは。
  267. 山野正登

    山野政府委員 御指摘の原子力シンポジウムにつきましては、原子力委員会を中心にいたしまして、昨年九月以降、鋭意開催する方向で、日本学術会議の協力を得まして、検討を進めてまいったものでございます。で、かなり具体的に、テーマを何にするか、日程等どうするかというところまで詰めておりましたのでございますが、最近に至りまして、日本学術会議の内部におきまして御事情あるようでございまして、早急な開催が、日本学術会議との協力という形においては、かなりむずかしいといった状況になっております。  ただ、原子力委員会といたしましては、この御指摘のシンポジウムは、原子力につきましての理解をいただく上で、科学者、専門家が科学的な立場、学術的な立場から十分に御討論をいただく場としましてぜひ開催したいと考えておりまして、極端な場合、たとえ学術会議との共催ということが不可能な場合でも、何らかの方法でできるだけ早い機会に開催するという方向考えております。
  268. 近江巳記夫

    ○近江委員 中央のシンポジウムは、それぞれ原子力施設の設置される予定地で行われる公聴会、これとは明らかに連動しておりませんね。確認しておきますが、どうなんですか、その考え方は。
  269. 山野正登

    山野政府委員 全く別なものであると考えております。つまり、原子力シンポジウムは、ただいま申し上げましたように、科学的な立場から専門家の科学者、技術者等に研究討論をしていただく場というふうに考えておりますし、公聴会の方は、昭和四十八年の原子力委員会の決定に基づくものでございまして、安全審査の一環として、その地元の特殊事情等を地域住民の方々から聴取して、これを安全審査に反映していくという趣旨で開催されるものでございまして、全く別の性格でございます。
  270. 近江巳記夫

    ○近江委員 学術会議といろいろ交渉なさっているということでありますが、どういう点が問題になっているのですか。
  271. 山野正登

    山野政府委員 これは私ども新聞等で若干の情報を得ておりますけれども、直接学術会議の方からまだお申し出がございませんので、詳しいことはわかっておりません。
  272. 近江巳記夫

    ○近江委員 新聞等から情報を得ておる——それはニュースソースはどこでもいいですが、しかし、少なくとも政府としては交渉しているわけでしょう。あなた方がじかに当たってみて、どういうことで政府がこの委員会において、いままで、昨年末までにやる、あるいは年度内にやる、いま行き詰まっております——なぜ行き詰まっているのですかということを聞いているのです。あなた方、交渉してきて、そんな無責任な言い方ありますか。当事者じゃないですか、あなた方は。
  273. 半澤治雄

    ○半澤政府委員 お答えいたしますが、確かに先生指摘のとおり、私自身、年度末までには開くとお答えした記憶がございます。それは、いま御指摘のように、問題になっておりますのは、公聴会とシンポジウムとの関係がはっきりしないじゃないか、こういう疑問を、私ども誤解と思うのでございますけれども、学術会議側が言っております。これは当初からそういう問題がございまして、実は昨年の暮れに、単に言い合うだけではいかぬ、これは交渉と申しますよりも、連絡会議というのをつくりまして、会議の中でいろいろ御相談しておりましたから、その会議の中で、単に口頭ではなくて、それならば公聴会とシンポジウムというものの性格を記録にとどめようということで、記録にもはっきり残しまして、私どもはその問題は解決したものと理解して、先ほど申し上げましたように、この一月には、三月某日に開く、テーマはこうするというところまで実は合意を得たつもりでおったわけでございます。  しかしながら、この後、学術会議におきましては、さらにもうひとつ公聴会とシンポジウムとの関係が明らかではない、つまり公聴会の先駆け的な意味で中央シンポジウムとは言っておるけれども、これは中央公聴会ではないのかという御疑問を提示されまして、その御疑問がなかなか永解しない。私どもは、強い御疑問があるとすれば、学術会議の方から正式に照会していただいていいと思っておったわけでありますけれども、その後、学術会議の内部でいろいろ御疑問があるようでございますので、直接ストレートに話し合う機会すらなかなか持てないという実情になっている、これが事実関係でございます。
  274. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、そういう行き詰まった状態において、政府としては今後どうするんですか。ただ、こうですと状況報告だけして済ますのですか。どう考えているのですか。
  275. 山野正登

    山野政府委員 先ほど申し上げましたように、極力、当初の方針どおり日本学術会議等の協力を得て進めるという方向で、最大限の努力をいたしますが、たとえ最悪の場合、学術会議と共同でできないという場合におきましても、違う方法によってこのシンポジウムはできるだけ早い機会に開くという方向で進めてまいりたいと考えております。
  276. 近江巳記夫

    ○近江委員 違う方法とはどういう方法ですか。
  277. 山野正登

    山野政府委員 ただいまは、日本学術会議の方からシンポジウムに参加すべき科学者、専門家という方々を派遣していただこうと考えておったわけでございますが、違う方法と申します場合には、日本学術会議以外の団体等から御推薦をお願いするといったようなことになろうかと思います。
  278. 近江巳記夫

    ○近江委員 その辺は学術会議とも話し合っているわけですか。
  279. 山野正登

    山野政府委員 ただいま申し上げましたように、現在は学術会議とやるという当初の方針で、なお最善の努力を尽くしたいという段階でございまして、ほかの団体にアプローチをするといったふうなことはいたしておりません。
  280. 近江巳記夫

    ○近江委員 学術会議は、御承知のように、これは法律に基づいて設立されているわけですね。ですから、やはりあくまでもそうした話し合いをして、国民の目から見まして、出ておられる技術者なり学者の人から公上平にそれぞれの意見をもらう、こういうシンポジウムにしなければ、学術会議が応じないから官製のお手盛りの都合のいい人ばかり集めてシンポジウムをやる、これではますます不信感が高まりますよ。なぜ同じテーブルにつかないか。  地方公聴会と中央シンポジウム、その中央シンポジウムが中央公聴会のようにとられているというお話がありましたけれども、根本は政府の原子力行政に対する不信なんです。この不信が強いからこそテーブルにつけないわけです。あなた方が、原子力行政をきちっとやっていけば、そういう体制を組んでいけば、そうした問題もスムーズにいく。そしてお互いに意見を公換することもできるんじゃないか。根本は、政府がやっておる原子力行政というのはいかにずさんで国民に不信感があるか、これはその象徴ですよ。だから、前の質問にも入るわけですが、国民が安心感の持てるそういう体制を早くつくりなさいよ。粘り強いそうした話し合いをやっていくべきです。それは何回交渉しても、こうだからこの辺で見切りせよ、そんなシンポジウムじゃだめですよ。だれが見ても、なるほどなと言えるような充実したシンポジウムをやりなさいよ。  それから、この地方の公聴会、これは福島公聴会等を見ましても、何回も私申し上げておりますが、結局一方的にしかも短時間で打ち切ってしまう。この公聴会のあり方について本委員会で何回も私は言っておりますが、どういう改善を考えたのですか。柏崎原発なんかも差し迫っているわけですが、どういうように改革していくのですか。その点をひとつお答えください。
  281. 伊原義徳

    伊原政府委員 公聴会につきましては、福島での御意見をも踏まえまして、あのときは単なる言いっ放しというような印象が非常にあったというようにも聞いておりますので、できる限り対話方式を取り入れたい。関係者も、その場におきまして、御意見に対しての説明なり見解の表明をするというふうなことも加える、そういうことで考えたいと思っております。
  282. 近江巳記夫

    ○近江委員 対話形式にするということは、これは一歩前進ですよ。だけれども、発言時間であるとか、たとえば、公聴会を一日や二日で終わらす、これではなかなか話もできませんから、公聴会をもっと長い期間とるとか、あるいは第一回公聴会、第二回公聴会、第三回公聴会、そういうようにやっていくのか。もっと具体的に、何回もこの問題は言っておるわけですから、政府としてはこういう前向きのことを具体的に考えていますということを言わなければ、何回質問したって同じようなことじゃ前進がないじゃないですか。どのように具体的に考えているのですか。
  283. 伊原義徳

    伊原政府委員 先ほど申しましたように、対話方式を取り入れるというふうなことになりますと、やはりいままでに比べまして開催日数も延びざるを得ないというふうなことがあるかと思います。ただ、これは地元の受け入れの様態もございますので、地元の御意見とも十分すり合わせをいたしまして、効果的な実行可能な範囲内において、十分御意見を伺えるように、いままでよりも格段の改善ができるように努力いたしたいと考えております。
  284. 近江巳記夫

    ○近江委員 対話形式というのは、先ほど申し上げたように、これは評価しますよ。だけれども、もっと具体的に詰めをやりなさいよ。そんな抽象的な気持ちだけでは進まぬわけですから。それを特に申し上げておきます。  それで、この中央シンポジウムというのは、非常に学術会議とも難航しておるという事情はわかったわけですが、いつごろ今度開きたいと思うのですが、そういう山を乗り越えて。
  285. 山野正登

    山野政府委員 先ほど申し上げましたとおり、かなり具体的に検討は進めておりますので、日本学術会議内部におきまして、先ほど審議官の方で申し上げました疑惑等が氷解しました段階には、早急に開き得るものと考えております。
  286. 近江巳記夫

    ○近江委員 いずれにしても、先ほど申し上げたように、こうした問題はすべて原子力行政のそうした不信感から来ておるわけですから、一日も早く行政を充実をしていただきたいということを申し上げておきます。  それから政府は、現在の軽水炉は実用炉であるというようなことをよくおっしゃっておるわけですが、御承知のように、こうした原発の建設等も非常に進んでおるわけですが、この稼働率あるいは設備利用率というのを私調べてみたわけですが、驚くべきことに、これは年度ごとにもう非常に下がっておりますね。あなたの方でデータがあったら一遍言うてください。私の方もありますから。
  287. 高橋宏

    ○高橋説明員 お答えいたします。  この稼働率と申しますのは、実際に動いた時間をその間の暦時間数で割った稼働率でございますが、四十八年度が六七・三%、四十九年度が五五・七%、五十年度四八・四%となっております。特に一昨年及び昨年は、一部の原子力発電所が、臨時点検等のため、あるいは故障などによりまして、とまったことがございまして、稼働率が非常に低下したということがございましたことは、御指摘のとおりでございます。  最近の様子をちょっと申し上げますと、こういうトラブルに対します措置も、昨年末に大体終わりまして、本年一月以降の稼働率は、一月ないし三月の平均でございますが、六八・六%、四月は七〇・九%でございます。向上してまいっております。いずれにしましても、御指摘のとおりに稼働率が低いということは全体の信頼性の問題になりますので、私どもとしましても、こういう実績、経験を踏まえまして、機器の改良をいたしましたり、あるいは標準化をするという手段によりまして、一層この稼働率の向上に努めてまいりたいと考えております。
  288. 近江巳記夫

    ○近江委員 私は何も稼働率を進めよなんて言うてませんよ。安全性ということを考えたら、心配があればとめればいいのですよ。そんな稼働率を上げるために心配な点もほっておいて進めるという、もしもそういうような姿勢があったら大変ですよ。  要するに、あなたはいま四十八年からおっしゃったけれども、数値が合っていますから、私の以前の数値も合っているのじゃないかと思いますが、四十七年度は六九・八、四十六年は七六・五、四十五年は八〇・九ですよ。年々このように下がってきておる。これは実用炉じゃないわけですよ。しかも数多くの事故がその上に隠されておる。報告をしてこない。こういう中で相当な無理をしながら動かしておる。こういうような状態の原発というものを今後計画に沿ってどんどん開発だけやって、それでいいものかどうかという問題ですよ。安定なんて全然していませんよ、これは。いかにいまの原発というものが故障事故が多いかということを、数字で示しているじゃないですか。これを言ったからといって、今後無理に動かしたりしたらだめですよ。むしろ一層点検をさして、安全な運転をさせなければいけませんよ。こういうような状態の原子炉というものは、これは実用炉ですか。どういう見解政府は持っていますか。
  289. 高橋宏

    ○高橋説明員 御存じのように、現在すでに世界では百六十四基、六千八百万キロワットの原子力発電所が動いています。そのうち約八割が私ども日本で採用しております軽水炉でございます。御指摘のように、稼働率等において所期の計画値を下回っている例もまだございますが、私どもは、こういうような現状につきましては、この経験と技術の蓄積によりまして、徐々にこの計画的な稼働率を——安全性はもちろんでございますけれども、それを踏まえた上での所期の性能と申しますか、そういうものも確立していくものというぐあいに考えておりまして、いろいろな対策をとっておるところでございます。  私どもは、御指摘のございましたトラブルによる停止等につきまして、これは放射能安全というようなものに基本的に問題があることではございません。バルブだとか微少なクラックが炉内のコンテナの中で起こるというようなことでございます。いわゆる工学的な処置が可能なものというぐあいに考えておりまして、実用性については十分その価値を認めて、その上でなおかついろいろな性能なり安全性を高めていく、そういうような立場で進めるべきか、そういうぐあいに考えておるところでございます。
  290. 近江巳記夫

    ○近江委員 こうした状態を見てみますと、現在の軽水炉というものはいかに問題が多いかということを私は示しておると思うのです。国民がこれだけの不信感を持っておるわけでございまして、そういう中でやみくもにいわゆる原発推進を進めていくという姿勢というものは非常に問題だと私は思うのです。  この四月十二日のニューズウイーク誌にガリンスキーNRC委員が、われわれは原子力委員会が六〇年代にやらなかったことの代償をいまなお支払っている、われわれは数年前に当然実施されていなければならなかった安全実験をいま実施している、こういう発言をしているんですね。アメリカでも、そのように完全な総点検をして、そうした実験をやっているわけですね。ですから、いまのような開発推進体制を強力に展開しておるという日本の姿勢というのは、これは問題ですね。いまこそ、こうした安全研究、そういうところに全力を注ぐときじゃないか、私はこのように思うわけです。どう思いますか、いまそのことについて。
  291. 高橋宏

    ○高橋説明員 御指摘の点、私どもも十分了解するところでございまして、特にわが国の原子力開発は、御存じのように、米国からの導入技術をもとにしまして建設を進めてきた。一方、十年間の経験を踏まえて考えてみますと、先ほどお話のございましたような、いろいろふぐあいな点も経験としてわかってきたわけでございまして、さらに大きな安全実証試験ということもやらなくちゃいかぬし、あるいは導入技術からの脱却を図りまして、自主技術による改良というものもやらなくちゃいかぬ点が多々あるということをベースにいたしまして、私ども通産省としましても、現在の軽水炉は、当分の間、世界の、あるいは日本の原子力発電の中核となるべき炉だと考えておりますが、この炉の安全性、信頼性の向上に自主技術をもとにしたアプローチをすべきであるということで、せっかく委員会等を開きまして検討しているところでございます。
  292. 近江巳記夫

    ○近江委員 こうした結果というものがすべてを物語っておると思うのですが、いずれにしても、いまのような、巨大な百万キロワットクラスのもの、まだまだ信頼感のない原発を推進していくということは、大いに問題がある。政府としては、もっと安全対策に力を入れ、ブレーキをかけるべきじゃないかということを特に申し上げておきます。  それから、きょうは通産省も来られているわけですから、通産省として核燃料サイクルの確立を目指すということで、二十年行動計画、二兆四千億を投入して二十年後には一億三千万キロワットを確保する、こういうような計画を出しておられるわけですが、これは科学技術庁は十分相談しているんですか。
  293. 山野正登

    山野政府委員 燃料サイクルにつきましては、ただいま原子力委員会の中に燃料サイクル懇談会というものを組織いたしまして、今後の長期的な核燃料サイクルの体制確立についての具体的な施策につきまして検討を進めておるところでございますが、この懇談会の席上には、科学技術庁のみならず、通産省、運輸省、外務省等、関係省庁の職員も網羅されておりまして、これら関係の行政府において行うべき将来施策というものも、まとめて検討するということになっております。  そこで、いま御指摘通産省における御検討でございますが、当然にこの御検討成果といいますものも、いま申し上げました懇談会の場に持ち込まれまして、総合的な評価、判断が行われると考えております。通産省の方からは、従来よく連絡をいただいております。
  294. 近江巳記夫

    ○近江委員 この原発でも、これだけいろいろな事故が起きているわけですね。動燃の東海村でやっておるケースにつきましても、本委員会におきましても、たびたび問題になっておるわけです。まだ非常に技術が完成されてない。そういう中で原発がどんどん推進されていくというようなもので、英国やフランスだけに頼んでおるというわけにいかないというような背景、そういうことで皆さんは、再処理工場の建設、また第二再処理工場の大型のものをつくろう。その技術がまだまだ確立されていないのにどんどん原発を推進していくから、そういうような状態になるわけでしょう。なぜもっと石橋をたたいて渡るような方式をとらないのですか。いまの動燃の技術、あれでいいのですか。しょっちゅう事故を起こしておるじゃないですか。こんな計画ばかりぼんぼん立てて、一つも、安全対策であるとか、そういう問題がついていってないじゃないですか。そういう現状についてはどういう反省をしていますか。
  295. 山野正登

    山野政府委員 御指摘の動燃の再処理工場でございますが、昨年のウラン試験以来トラブルが発生しておるということは事実でございまして、現在、安全性を第一に考えながらこの修復を行っておるということでございますが、今後第二再処理工場等を建設するにつきましては、この動燃の現在の再処理工場の建設技術、これはかなりな部分導入技術にたよっておるわけではございますが、この建設技術あるいは運転の経験といった技術をできるだけうまく第二再処理工場につないでいくという努力が必要かと思います。そういうふうなことも含めまして、具体的にどうしたらよろしいかということを、先ほど申し上げました懇談会の場等で検討しておるところでございます。
  296. 近江巳記夫

    ○近江委員 動燃の東海村におきます再処理工場が、技術が未熟ということで非常に事故が続発しておる。そういう中でこの第二工場を建設していこうという計画を皆さん方は持っておられるわけです。かなり立地調査等も具体的にやっておるというようなことも聞くわけですが、地点であるとか、規模であるとか、そういうことはもう具体的に考えておられるのですか。
  297. 山野正登

    山野政府委員 ただいま、この第二再処理工場についての調査と申しますものは、産業界がつくっております濃縮・再処理準備会、通常ERGと俗称しておりますが、そこにおいて検討を進めておるわけでございます。現在はもちろん、具体的なこのフィジビリティスタディとか、あるいは所要資金といったものについての各種の詰めというようなことをすると同時に、建設地点等についても調査を進めておるわけでございますが、まだ具体的に地名等を申し上げるような段階にまでは至っておりません。
  298. 近江巳記夫

    ○近江委員 この通産省が出した構想等は膨大なものですね。こういう計画ばかりやって、肝心の足元を固めることができてないということを私は申し上げたいわけです。この点、政府として、ただ開発開発ということだけでいっておりますと、もう大変な大事故等が起こる、私はそういう心配をするわけです。そういう点で本当に政府としては慎重に万全の安全対策をとってやっていくべきである。これはいつも申し上げておるわけですが、大臣としましては、いまいろいろお聞きになっておられてどう思いますか。
  299. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 この前、新聞に出ておりましたいまのお話でございますけれども、これは通産の方としても、まだ別にオーソライズしたものとも見えませんし、いわば作業中の資料じゃなかろうかと思います。したがって、それ自体どうこうというまだ段階でないわけでございまして、政府の決定した意思でも何でもないのでございますから、これからの検討にまたなければいけませんが、御注意のほども踏まえまして、慎重に問題を進めたいと思います。  ただ、燃料サイクルの問題が、今後日本の原子力開発上最重要な問題になっていくことは、もう御承知のとおりでございまして、この問題を進めるに当たって、プルトニウム等はどれほど必要なものであるかといったようなことがわかりませんと、再処理工場なり、あるいは高レベルの廃棄物なり、あるいは濃縮ウランの生産なりというものの目安が出てまいりませんので、決して、いまお話のように、何年にどのくらいの量の発電というものが出たからといって、すぐしゃにむにそこまでいくというものじゃないのでありまして、やはり、そういう何か目安がなくちゃ具体的な検討に入っていけないという、いわば前提条件でございますので、そういう案を立てたと思いますが、決してまだその案自体が政府の最終的な決定でも何でもございませんということを申し上げたいのでございます。  それから、安全の問題を中心に今後進めるべきだという点はお説のとおりでありまして、軽水炉の安全の問題のみならず、プルトニウムなり、あるいは高レベルの廃棄物なりの安全性をどう確保していくかということが一番重要な問題になってまいりますので、これもあわせて進めてまいりたい、こう思っております。
  300. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう時間がありませんから、あと一問で終わりますが、御承知のように、今日大体百万キロワットになってきているわけですね。これを一基つくりますと、大体五、六億ドルから十億ドル。円換算でいきますと二千億円から三千億円。日本の場合はほとんどウエスチングハウスとGEですね。両社はもう売り込みにしのぎを削っているわけです。ところが、聞くところによりますとウエスチングハウスは、約二百基の受注があったのが、不況であるとかいろいろなことで百三十基ほどキャンセル状態になっている。大変な状態にいま入ろうとしておる。こうした背景を考えますと、日本の原発というのはもうほとんどがウエスチングハウスかGEということになってきますと、それだけ大量にキャンセルが出てくれば、やはり海外に対して売り込みが行われるわけですが、日本としてこれだけどんどん原発の開発をやっていく背景として、そういう売り込みに押されて開発を進めていく、そういうことはないと思うわけですけれども、ちょっとお聞きしておきますが、そういうことはありませんか。
  301. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 御承知のように、自主技術の養成を、わが国としましては、特にいまお話のありました軽水炉に関しましては、ずいぶん進めております。ただ、先ほども通産側から御説明がございましたように、自主技術の確立をしていく上において、材料等のいわば工学的な面に対する安全というサイドからの研究が少し足らなかったという点は、あるいはお話のとおりかも存じません。しかし、それもただいま、国全体としましては、大変な馬力でこの検討、研究を進めつつある最中でございますので、これも私はそう長い間かからぬと思います。そういたしますと、ほとんど一〇〇%に近い自主技術で原子炉の製作というものもできていくというように思いますので、必ずしも、いまおっしゃったように、今後未来永劫、GEなりウエスチングのお世話にならなければ日本の原子力開発は進まないということじゃなかろうと私は解釈しております。
  302. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういうようなことを背景にして、電力会社がどんどんと開発申請を出してくる、こういうようなことはありませんか。この場合、大臣でなくてもよろしいけれども、そういう動きはどうなんですか。
  303. 高橋宏

    ○高橋説明員 御質問趣旨が、たとえばGE、ウエスチングが仕事が暇になったので輸出圧力がかかるということ、そのために日本が原子力開発を進めておる、そういう事実はないかというお尋ねだと思いますが、私はそういう事実は全くないと思います。
  304. 近江巳記夫

    ○近江委員 ロッキードの問題で非常にいまこうした政治不信が高まっておるわけであります。この航空機の輸入等と比べましても、けた違いにやはり原発の場合は大きいわけですね。ですから、そういう点におきまして、まあまあそういうことはないということをおっしゃっているわけですが、そう信じたいと思いますが、いずれにしても、そういう疑問が出るほど急ピッチで各電力会社がほとんど発電所は原発を推進をしようとしておる。安全性や環境破壊、環境汚染をなおざりにして、そちらに対する力の入れ方を抜いて、そして開発推進をしようという、こういう姿勢、これは疑問に感じられるわけです。そういうことのないように、何回も申し上げておりますが、そうした基本的な安全対策なり環境汚染の問題等に対して、ひとつ十分な力を入れていただいて進んでもらいたい、このように思うわけです。  きょうは相当長時間になっておりますので、まだあと若干ございますが、一応これで終わりたいと思います。
  305. 石野久男

    石野委員長代理 次回は、明十三日木曜日、午前十時理事会、十時十五分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十三分散会