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1976-05-19 第77回国会 衆議院 運輸委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年五月十九日(水曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 中川 一郎君   理事 小此木彦三郎君 理事 加藤 六月君    理事 増岡 博之君 理事 金瀬 俊雄君    理事 斉藤 正男君       木部 佳昭君    佐藤 孝行君       佐藤 文生君    徳安 實藏君       丹羽喬四郎君    細田 吉藏君       三原 朝雄君    箕輪  登君       渡辺美智雄君    太田 一夫君       久保 三郎君    兒玉 末男君       坂本 恭一君    楯 兼次郎君       梅田  勝君    紺野与次郎君       石田幸四郎君    松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 木村 睦男君  出席政府委員         経済企画政務次         官       林  義郎君         経済企画庁長官         官房参事官   佐々木孝男君         経済企画庁物価         局長      喜多村治雄君         運輸大臣官房審         議官      中村 四郎君         運輸省鉄道監督         局長      住田 正二君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 杉浦 喬也君         運輸省航空局長 中村 大造君  委員外出席者         国土庁計画・調         整局総合交通課         長       相良 英明君         大蔵省主計局主         計官      宍倉 宗夫君         建設省道路局企         画課長     浅井新一郎君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     田口 通夫君         日本国有鉄道常         務理事     高橋 浩二君         日本国有鉄道常         務理事     馬渡 一眞君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団総裁)   篠原 武司君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十九日  辞任         補欠選任   田村  元君     箕輪  登君 同日  辞任         補欠選任   箕輪  登君     田村  元君     ――――――――――――― 五月十八日  老人・障害者のため鉄道施設改善に関する請  願(紺野与次郎紹介)(第五二九〇号)  養蜂振興のため国鉄運賃特別割引に関する請  願(地崎宇三郎紹介)(第五二九一号)  国鉄運賃値上げ反対等に関する請願小林政子  君紹介)(第五四四九号)  国鉄旅客運賃値上げ反対等に関する請願(紺  野与次郎紹介)(第五四五〇号)  国鉄運賃値上げ反対に関する請願(小濱新次  君紹介)(第五四五一号)  同外一件(中路雅弘紹介)(第五四五二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十八日  国鉄夕張線の存続に関する陳情書  (第二七八号)  国鉄相模線輸送力増強に関する陳情書  (第二七九号)  国鉄水戸線、両毛線の直通運転及び全線複線化  促進に関する陳情書  (第二八〇号)  国鉄七尾線、能登線の輸送力増強等に関する陳  情書外十三件  (第二八一号)  地方陸上交通事業維持整備法案等成立促進に  関する陳情書外二十件  (第二八二号)  鉄道軌道事故による被害者救済対策確立に関  する陳情書(第  二八三号)  国鉄運賃値上げ反対に関する陳情書外四件  (  第二八四号)  国鉄運賃値上げ実現に関する陳情書  (第二八五号)  農林畜産物輸送にかかる国鉄貨物運賃軽減等  に関する陳情書  (第二八六号)  宮崎空港拡張整備事業早期着工に関する陳情  書(第二八七号)  岩国、柱島及び柳井、平郡間を離島航路整備法  に基づく航路に指定に関する陳情書  (第二八八号)  大島大橋架橋に伴う航路運送事業者救済対策  に関する陳情書外一件  (第二八九号)  新幹線鉄道振動防止対策に関する陳情書  (第二九〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改  正する法律案内閣提出第一六号)      ――――◇―――――
  2. 中川一郎

    中川委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案について、本日、日本鉄道建設公団総裁篠原武司君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中川一郎

    中川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 中川一郎

    中川委員長 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。兒玉末男君。
  5. 兒玉末男

    兒玉委員 大臣出席されておりませんが、まことに遺憾の意を表明します。  質問に当たりまして、国鉄再建問題の審議に当たりまして、その本質を明らかにするためには、いままでの若干の経過を明らかにする必要がございます。  御承知のとおり、いま国鉄は人間にたとえますならば大変な重症の状態に置かれております。この状態を脱するには、やはり適切な診断とこれに対応する治療が必要かと存じます。  国鉄は過去において、昭和三十二年から五カ年計画を策定し、その間数次にわたる改定を行いました。さらにまた昭和四十四年から十カ年計画が提起されましたが、さらにこれは四十八年に再度手直しをいたしまして、昭和四十八年度を初年度とする国鉄財政再建計画を策定しまして、運賃改定国鉄再建促進法の一部を改正する法案提案しましたが、それは日本列島改造計画を実現するために通信輸送ネットワーク化を目指し、国鉄投資規模を十兆五千億に増大し、その財源を運賃値上げ借り入れと十一万人の国鉄労働者の首切りに求めており、しかも、この計画でも国鉄輸送国民に対するサービス改善されないばかりでなく、本計画最終年度、すなわち昭和五十七年には累積赤字二兆六千億、長期負債十一兆円に達する計画でありました。  十ヵ年計画問題点についても、われわれは本会議並びに当委員会において指摘してまいったわけでございますが、一つは、赤字のよって来った原因とその責任の所在、二つには、公共事業として、国民生活環境生活水準向上のためのよりよい社会化方向を目指し、民主的な経営のもとにおける公共的輸送使命達成目的とした国鉄の位置づけの確認、三つ目には、交通行政についても、トラック輸送過当競争の激化による困難、巨額な国費が投ぜられる道路港湾空港などの整備計画を総合調整し、総合交通体系行政措置を確立するための交通輸送行政の一元化、四つ目には、国鉄経営制度改善対策としましての国鉄経営会議の設置、監査委員会制度改善関連事業国鉄業務外注下請などの工事契約あるいは資材購入について抜本的な検討を行い、経費の節減を図ること、五つには、管理機構簡素化現場第一主義としての能率化を図ること、六つ目には、公労法を撤廃し、スト権を含めた労働基本権を保障し、労使関係改善を図ること、七つ目には、以上の観点から国鉄財政事情の悪化の原因である工事費借り入れによる政策を改め、政府責任において長期負債を解消し、国民国鉄とするよりよい経営上、財政上の制度改革をすること、以上のようなことを提起してまいりました。  以上のような抜本的な改革なくして国鉄再建はできない旨を主張したにもかかわらず、政府自民党はこの十カ年案の強行成立を図りました。しかも、その間におきまして、田中総理、当時の愛知大蔵大臣新谷運輸大臣小坂経企庁長官三木環境庁長官等は、この政府の十カ年計画は絶対不変のものだとして、この実行を約束されました。ところが、経済情勢変化もあったにしても、一年半足らずでこの十カ年計画が凍結をされ、加えましてこの再建計画は完全に破綻し、いまやにっちもさっちもいかない状態に来てしまったのであります。  国鉄再建には、財政的な立ち直り方策労使関係正常化、すなわち当局当事者能力強化労働組合スト権回復などが車の両輪のごとき状態になることを国鉄労使も強調され、世論もそのことを支持してきたのであります。しかるに三木内閣弱体化による主導権の喪失は、この国鉄再建問題がスト権問題にも見られますように次期政権をめぐっての自民党内の派閥構想の具に供され、財政再建基本的方向を土台にして編成されるべき本年度国鉄予算は十二月に閣議了解をされ、国鉄再建要綱としてここに提供されているわけであります。五十一年度と五十二年度の年間で国鉄財政収支均衡を図るために、今年六月から五〇%の値上げを予定し、続いて来年度にも同様の大幅な値上げを予定しているのでございます。  このような策定に当たりまして、過去の十カ年計画の弊害にかんがみ、自民党交通部会におきましても、当初、いまわれわれ社会党指摘してまいりましたような根本的な再建案が考えられ、新聞等でも報道されましたが、いつの間にかその積極的な解決案が引っ込みまして、あの十二月決定の閣議了解による再建要綱に様変わりをしましたことはまことに遺憾と言わざるを得ません。そのねらいは、国民負担増大労働者への犠牲のしわ寄せであることは間違いありません。国鉄経営をここまで追い込んだ責任国鉄当局にあることは言うまでもありませんが、国鉄をそうさせました政府自民党担当官僚責任は重大と言わざるを得ません。  これからの質問の展開に当たり、こういうような視点に立ちましてこれから運輸大臣並びに国鉄当局質問を行うものでございますが、その前に、今般政府が確定しました新経済計画というものが閣議で決定され、すでに新聞等でもその内容が報道されておりますが、この計画は今回の国鉄再建計画とは重要な関連を持つものでございます。たとえば、これから十年間の人員輸送あるいは物流関係国内物資の移動の状況等を含めて、どういうような視点でこの計画が策定されたのか、その関連について一点お伺いしたい。  第二点は、今回の二年にわたる連続五〇%の運賃値上げ国民生活に与える影響はきわめて重大だと指摘せざるを得ないわけでありまするが、物価を担当する経企庁としては、その波及的な効果をどのように理解をされているのか。  この二点について経企庁の御見解をまずお伺いしたいと存じます。
  6. 林義郎

    ○林(義)政府委員 先生のお話の中で二点ほど御指摘があったと思います。  一点は経済計画の問題でございますが、ここに資料を持ってきておりますから、内容は詳しくこれを読んでいただけばいいし、御答弁でそれを全部お話しすることもないと思いますが、この中で考えておりますのは、交通体系は、これは先ほどお話がありましたように相当大きく展望の変更があるだろう、その中で特に国鉄の占める地位というものは大量交通機関としての役割りがますますふえるだろうということでございますから、財政再建問題を片づけるとともに、経営状況サービス水準等を勘案しまして、これから国鉄の占める地位というものは相当大きなものがあるということで、やはり、利用者の選択の問題と相まってこれをやっていかなければならない。大体こういうふうな基本的な考え方でこの中に書いてございます。  それから、もう一つ、第二番目の物価の問題でございますが、特に物価の問題として御指摘のあるのは消費者物価の方だと思います。これにつきましては、今回提案されました案によりますと〇・五%程度だというふうにわれわれの方は試算をしております。
  7. 兒玉末男

    兒玉委員 物価との関連等につきましてはわれわれはまだ多くの異論を持つものでございますが、これは後ほど同僚議員の方から物価との関連についての質問を行いますので、経企庁に関する質問はこれだけにとどめて、次の基本的な点に移りたいと存じます。  今回の再建計画に出してあります内容を見ますと、特に国鉄経営状態財政的にも極端に悪化し、危機的な状態にある。そして、現在、その内容におきましては長期負債が六兆八千二百五十八億、うち財投が四兆九千四百七十一億、自己調達一兆八千六百六十一億、その他百六十二億、それに加えまして累積赤字が三兆一千億と、こういうふうな異常な状態に置かれているわけでございますが、このような状態に立ち至りましたところの原因運輸大臣並びに国鉄当局は一体どのようにお考えになっているのか、この際明らかな御答弁を要求いたします。
  8. 木村睦男

    木村国務大臣 ただいまの兒玉委員からの御質問の前段の御説明にもございましたように、すでに十数年以前から国鉄整備再建計画というものを何回かにわたって推し進めてまいったのでございますが、特に、一番最近では昭和四十八年に十年計画再建計画を立てたわけでございます。ところが、この十カ年計画も二年足らずしてどうしても実行できないという状況に立ち至ったのでございまして、その結果いまお示しのような現状になっておるわけでございますが、それに至った原因についていろいろな点が言えると思うのであります。  まず言えますことは、全体の交通体系というものの推移がかなり変化をしてまいったことで、ことに貨物輸送のごときに至りましては、かつて四〇%内外のシェアを持っておりましたものが年々減りまして一四%に下がった。こういう貨物輸送推移に対して適確に対応できなかったというふうな点もございます。同時に、道路整備あるいはその他の競争交通機関の発達によりまして旅客の面におきましても予想いたしましただけの運輸収入を上げることができなかったということもございます。それから、経費の面におきましても、経営合理化等も詳細の計画を立ててその実施に入ったのでございますけれども、その計画計画どおり進まなかった、合理化近代化というものも十分行われなかったという点もございます。さらに、物価高騰あるいは人件費高騰が予想以上に大きくございまして、経費増大がこれまた計画以上にふえてきた。  そこで、そういう収支のアンバランスを調整するためにたびたび運賃改定を試みたわけでございますけれども、これもそのつど計画いたしました時期に実施できなかった、また、計画いたしました値上げ率というものがそのとおり実施できなかったということで、収入の面におきましても非常にそごを来した。こういう点がそれぞれ要因となって重なり合いまして、今日このような破局的な状況になったわけでございます。  過去の実情につきましてはいま申し上げたようなことでございますが、それらを踏まえて今回再建関係法案の中身をつくりまして御審議をいただくということに相なった次第でございます。
  9. 高木文雄

    高木説明員 ただいま大臣から詳細に分析して御説明がございましたような事情がほとんどすべてであると思いますが、さらにそれに加えますならば、いろいろと労使間の問題等が遺憾ながら十分にいっていなかったということもございまして、全体として国民皆さん利用者皆さんから不信を買うというようなことが起こりました。いわゆる国鉄離れ現象というものが起こっているということも否定できないわけでございまして、私ども現場を預かる者といたしましては、今後そういう点を除去してまいらなければならぬ、それらも赤字が起こりました要因として無視できない、軽視できない問題であるというふうに考えております。
  10. 兒玉末男

    兒玉委員 大臣にお伺いするわけでございますが、いままでるる赤字原因についてお述べになったわけでございますが、では、今回の再建計画におきまして、いままでの経過が示しますように、今日の国民経済情勢というものから分析をし、しかも五〇%という大幅な値上げを二年連続して、果たして所期の目的を達成し得る確信があるのかどうか。少なくとも過去における十カ年計画あるいは三十五年からの五カ年計画は再三にわたり変更されました。しかも、われわれも指摘をしてまいりましたし、あるいは昨年の当運輸委員会において、学識経験者を含めて約二十数項目にわたるところの具体的な提言がなされてまいりましたが、ところが、今回の再建案にはそのものが十分に生かされていない。しかも、わが社会党は、久保部会長を代表とする交通関係提案におきまして、たとえば地方陸上交通事業維持整備法案、あるいは中小民営交通事業者経営基盤強化に関する臨時措置法案、あるいは交通事業における公共割引国庫負担に関する法律案、あるいは中小民営交通事業金融公庫法案など、交通行政全般に関する四つ法案を建設的に提供し、また、党の交通部会としましてもやはり抜本的な対策を提起してきたわけでございますが、そのような広範な国民各層意見を集約したわれわれの対案というものが前国会でも一遍の審議もされない。また、学識経験者提言が積極的に取り入れられないような再建案では、今回の再建案はまた再びもとのもくあみになることを私は指摘せざるを得ません。  そういう点からも、この赤字解消に対するところのもう少し積極的な取り組みと責任体制強化がなければその再建は不可能だと思いますが、再度大臣見解を承りたいと思います。
  11. 木村睦男

    木村国務大臣 先ほど申し上げましたような過去の経験から考えまして、五年とか十年とかいうやや長期にわたります再建計画というものは、今後でも経済推移、変動というものは必ずあるわけでございますから、その間に計画どおり実現できない要因も生まれてくるというふうなことを考えまして、この際は短期間で再建方策を立てることがまず何よりも大事であると基本的には考えたわけでございます。  その間、ただいまお話がございましたように、当委員会におかれましてもいろいろと再建についての御提案もされておられました。それも拝見いたしました。また、政府のみならず与党の中におきましても熱心に再建の諸方策検討をし、その意見も拝見をいたしております。また、私自身も、運輸省の中に、外部のいろいろな各界の方々にお願いをしまして再建問題懇談会をつくりまして、そういう方々の御意見もお聞きいたしました。そういう外部再建に関する意見十分参考にしながら、最終的には御審議をいただいておりますような再建案をつくったのでございますが、二年間で、しかも初年度は五〇%の運賃改定というこの案で果たして再建ができるかというお話でございますが、この案で再建しなければならないと、私はかように固い決意をいたして御提案申し上げておるわけでございまして、まず、五十一年度におきましては運賃改定を五〇%程度いたしまして、交通企業基本でございます運輸収入をもって事業経営をやるという中で、直接経費であります人件費物件費だけがようやく運輸収入で賄い得るという程度でございまして、五〇%というのはいままでには例のない非常に高い値上げ率だという御指摘はあるのでございますけれども、交通事業の実態から見ますと、この程度利用者負担国鉄現状から考えましてぜひお願いしなければならないものだと思っております。  その他の点につきましては、累積赤字の三兆一千億を政府が肩がわりして負担する。また、国鉄全体を路線別に見ましても、黒字になっておりますのはいまわずかに三線くらいでございまして、ほとんどが赤字でございますが、特にその中で収支の比率のバランスがとれていない地方線の一部につきましては補助金を交付いたしましててこ入れをして、将来はこれらの地方線をどういうふうに処理するかということをこの一年の間に考えていこうということであります。  なお、政府並びに利用者からもそれだけの協力をするわけでございますから、国鉄内部におきましては経営合理化等につきましても一層の努力をし、人員の抑制、削減という面もできる限りの努力をしてやっていくという案が今回の再建案でございますが、それに伴いまして、国鉄自体が自主的な当事者能力も持つような仕組みにも今後はしていかなければならないという点も今後は考えていきたいと考えておりまして、それらの点を総合いたしまして強力に実施するということによって現在の再建案を御承認いただけますれば、これは二年間でほとんど再建の見通しは立ち得る、かように私は確信を持っておるわけでございます。
  12. 兒玉末男

    兒玉委員 大臣は十分御理解だと思うわけですけれども、現在、五十年度の数字から言いましても七千二百六十八億の元金利子を返さなければいかぬ。これよりまたふえるわけでございます。それに加えて元金が三千百十七億、利子が四千百五十一億。それで、五十年度の統計で、収入は約四十億そこそこ。その半分を毎日返さなければいけないという計算。しかも、今回の値上げによっても、いままでの運賃値上げの傾向を見てみましても、昭和三十二年、三十四年、四十一年、四十三年、四十五年、四十九年と——五十年十一月は料金のみ二四%値上げをしております。国民大衆へのいわゆる大衆収奪的な運賃値上げをやってきたけれども、いま大臣が言われましたように再建計画は次々に破綻している。それで、運賃値上げへの依存率を高めることで再建が果たしてできるかできないかということは、いま私が申し上げました運賃値上げの例でも明らかに証明をされて  いると思うのですけれども、国からの財政的な負担あるいは長期債務の根本的たな上げというようなことをこの際思い切ってやらなければ、恐らく同じような過ちを繰り返すのじゃないかというふうに私は理解をするわけであります。   いままで関係省から資料もいただきましたし、冒頭にも申し上げましたが、同じ交通関係機関に対する政府のいままでの投資状態を分析しましても、たとえば四十九年の場合の港湾関係の三千四百億は、投資総額に対する補助率が実に九丁六%、空港に対しましては七百七十五億の投資総額で、実に四六・六%、道路整備につきましては二兆八千九百七十億、自治体の負担を加えますと、その補助率は七八%の高率を示しております。ところが、国鉄に対します投資総額に対する補助率は、四十九年の場合で、七千九百一億に対しわずかに一二・三%というお話にならない低率であります。この具体的な数字が示しますように、こういうように国の投資総額に対する補助率が低い状態で、しかも高度の公共性を要求される国鉄経営がうまくいくはずがないと思うが、これらの点については大臣はどのように御理解をされるのか、お伺いしたいと思います。
  13. 木村睦男

    木村国務大臣 たとえば道路とか空港は同じ交通施設ではございますけれども、鉄道事業と比べますと、そこに非常に大きな違いがあるように私は考えるわけでございます。鉄道事業でございますと、経営のもとになります収入運賃収入が主体になるべきである。これが官営であろうと民営であろうと交通事業一つの大原則であろうと思います。  そういうことで、国鉄につきましては、従来とも運賃収入経費を賄うという原則の上に立ちまして政府助成等をやってまいっておりますので、その辺が、いま補助率等をお挙げになりましたように、港湾あるいは空港等と違う点が出てきておると思います。しかし、政府といたしましても必要なものは今後とも補助をしていくつもりでございますが、先ほど申し上げましたように、現在の運賃収入経常経費ぐらいは何としましても賄うようにしなければ交通事業として成り立っていかぬのではないかと考えておるわけでございます。  なお、累積負債が七兆ぐらいございますが、これらの中を分析いたしてみますと、これらの負債には、いわゆる投資に回して、その投資効果も国鉄としては持っておるものもあるわけでございますので、そういうものについては長期にわたって企業として返済すべきである、それから、運賃その他が計画どおりいかなかったために累積した赤字等については政府が相当めんどうを見るべきではないかというふうに、過去の負債というものもいろいろ分析をしてみまして、それによってそれぞれ対策を講じていくという考え方に立っておるわけでございまして、飛行場、道路等との政府補助の態様が違う、また補助率も違うという点は確かに御指摘のとおりでございますが、しかし、国鉄につきましても、政府の助成を理屈の通る範囲内において今後とも十分考えていきたいと思っております。
  14. 兒玉末男

    兒玉委員 国鉄総裁にお伺いをいたしますが、いま大臣がるるお話をされているわけでございますけれども、核心に触れるようなお話がないわけであります。これは後でまた具体的にお聞きしますけれども、実際に運営を担当する国鉄総裁としては、就任してまだ日も浅いわけでございますが、長年大蔵官僚として卓越せる力を発揮されてきた高木さんとして、このパンフレットにも詳細に書いてございますが、この再建要綱で果たして実効ある再建ができるのかどうか、また、このような莫大な借金の元利の返済に収入の半分以上を充てなければいけないというような異常な状態から脱却できるのかどうか、総裁としての忌憚のない御意見をお伺いしたいと思います。
  15. 高木文雄

    高木説明員 現状は御承知のとおり非常にむずかしいことになっております。したがいまして、五十一年度と五十二年度とで完全にうまく立ち直り得るかどうかということについては、今回お願いしております案のように進みますかどうかということもあり、また、五十二年度に具体的にどういうふうに立てていただけるかということもあり、また、さらには、より基本的な問題でありますところの、国鉄の内部におきますところの職員の士気が大いに上がってサービスが向上するかどうかというあたりにも影響がありますので、いま今日の段階で一〇〇%再建が可能でございますと申し上げることはなかなかむずかしいわけでございますが、しかし、今回の措置は過去債務のたな上げということを初めて政府の方でやっていただくということになったわけでありまして、これまでの再建計画と比べれば基本的にその点は違っております。  また、赤字線の問題につきましても、必ずしも万全というわけにはまいりませんが、いままではこれは非常に問題であるということでありまして、今回はごく暫定的なものということではございますが、とにかく赤字線について一種の収支補助の思想の援助をもらうということになっておりますから、それらを考えますと、いままでの再建計画とは基本的に違う内容を持っておると思いますので、政策の問題につきましてはむしろ運輸省を中心にこれからも考えていただきまして、われわれとしましては中で経営をより経営的に運営するように努力をいたし、かつ、職場全体の空気をだんだんと向上させてまいりまして、それによってサービス改善いたしまして、お客様にかわいがってもらうというか、大いに利用していただくという雰囲気をつくっていきたいと思います。  そういたしますれば再建は可能であるというふうに考えているわけでございまして、非常に困難ではございますが、決して不可能ではないというふうに思っております。
  16. 兒玉末男

    兒玉委員 くどいようでございますけれども、大臣にやはりこの赤字対策の問題についてお伺いするわけでございますが、とにかく、道路空港あるいは港湾という関係に対する投資の結果が、非常な自動車産業の発達を通じて、国鉄の輸送分野が過去の独占的な時代から今日の過当競争の時代に入ってきた。加えましてオイルショックの影響等もあり、大変な困難な状態に置かれているわけでございますが、少なくとも七兆円近い膨大な設備投資への借り入れに対して、ここでどうしてもこれ以上の国の債権のたな上げ国からの助成金の増額あるいは出資の増額というような根本的な対策をとらなければ——いま国鉄総裁もここで一〇〇%断言できない旨の御意見がありましたが、これ以上の政府からの助成額の増額ということはどうしてもできなかったのか。当初自民党交通部会が提起をした問題がこのように当初の状態と全くさま変わりに変更されたことについて、その辺の経過については大臣はどのように理解をされているのか、お伺いしたいと思います。
  17. 木村睦男

    木村国務大臣 現在提出をいたしております再建案ができ上がりますまでには、先ほどもちょっと申し上げましたが、各方面のいろいろな御意見も聞きましたし、与党の中における再建に関するいろいろな提案等もございまして、それらも十分考えて政府部内で最終的に検討いたしたわけでございますが、やはり、政府の助成という点から言いますと財政全般的な制約もございますし、また、実際問題といたしまして、ここまで破局になりました原因の非常に大きなものの一つに、いままで運賃収入というものが常にその時点の計画どおりにいかなかったということが非常に大きな理由にもなっておるわけでございますので、この際、運賃値上げは従来にない大幅の値上げにはなりましたけれども、少なくとも五十一年度はこの程度値上げによって国鉄経費負担しなければなるまいというふうに決意したわけでございます。  それにいたしましても、五十一年度の予算はなお五千億ばかりは政府からの借金ということで収支の均衡をとっておるようなわけでございまして、さらにこの五千億の収支の穴を来年度になれば埋めていかなければならないという問題を抱えておるわけでございます。そこで、二年間でこの残りのものも解決をいたしまして、二年たちますれば、それから以後の国鉄の運営は、少なくとも財政的な経済的な運営は大体普通の状態に戻ってやっていけるであろうというふうに考えての上でございます。
  18. 兒玉末男

    兒玉委員 さっきの総裁並びに大臣答弁では、前の再建計画よりも今度はかなり前進している旨の御主張がなされておりますが、裏を返しますならば、これは値上げによって並行的に国民負担もふえてくるということが言えるんじゃないかと思うのです。これは戦後における値上げ率の最高の値上げであります。それならば、国民のための大衆輸送と公共性を持つ国鉄の使命から言っても、本当に十分に国民の期待にこたえるという趣旨に合致しないというふうに私は理解するわけであります。しかも、前半の十カ年計画の途中で運賃値上げが約一年半延期された事実がございます。そのことも今日の財政負担に拍車をかけている一つの理由になっておるわけでございます。  四十九年度の国鉄の監査報告書の中に、イギリスなりドイツなりフランスなり、こういう国の「経営収支と国の助成」という表が百七十一ページに載っておりますが、これによりますと、たとえばイギリス等の場合におきましては非採算線区に対する補助金がある。あるいは一九七二年には物価政策に基づき運賃値上げの抑制が行われ、これによる減収は国によって補償されている。また、ドイツの場合におきましても、踏切の保守あるいは社会的な政策割引に対する補償、設備投資のための利子補給あるいは運賃値上げ提案の拒否に対する補償というように、連邦鉄道なりあるいは国有鉄道に対するところの積極的な補てん策がとられているわけであります。  こういうふうな先進国の例というものについては積極的にわれわれは取り組んでいくべきだと考えるわけでございますが、今回の場合については、そういうふうな助成対策公共割引あるいは非採算線区に対するところの助成というものがどういう形で行われておるのか、また、今度のいわゆる国鉄長期債務の処理に対する提案というものがどういうふうになされているのか、これを含めて大臣の御所見を承りたいと思います。
  19. 木村睦男

    木村国務大臣 詳細は鉄監局長から申し上げますが、外国の鉄道に対する政府の助成についてもいろいろいまお話もございましたし、私の方でも比較検討もいたしたわけでございますが、たとえばイギリスの国鉄にいたしましても、三回にわたって二兆足らずの——一兆七千億ぐらいだったかと思いますが、その程度の助成をしておりますが、今回の国鉄再建につきましては、過去債務の累積赤字のうち二兆五千億は政府が肩がわりをしようというふうなことをやっておる点から考えますと、それほど外国の鉄道と比べて見劣りがしておるものとも考えておりません。  また、公共割引等につきましても御指摘のようなものがまだありますけれども、これは今後さらに検討をいたしたいと思っておりますけれども、国鉄という特殊の地位にあります交通機関でございますから、公共割引的なものを全廃するというわけにもまいりませんし、それなら、公共割引の中身について、一部政府がこれを肩がわりするというふうな問題については、確かに現在でも多少やっておりますが、今後その点は検討すべきものもあると考えておるようなわけでございますが、詳細は鉄監局長から御説明申し上げます。
  20. 住田正二

    ○住田政府委員 先ほど外国との比較の話があったわけでございますが、日本の場合とヨーロッパの国の場合では大きな点で一つ違う点があるわけでございます。  過去債務の問題につきましては、先ほど大臣が申し上げましたように、今回の二兆五千億の過去債務の肩がわりについては、イギリスでこれまで相当な措置をしてやったという措置よりもはるかに大きな額でやっておるわけでございます。  あとフランスとかドイツの場合との比較でございますが、先生も御承知のように、ドイツ、フランスでは——イギリスもそうでございますが、運賃は自由に上げられるというたてまえになっております。ドイツの場合には二〇%という限度がございますけれども、総裁が毎年二〇%までは自由に運賃が上げられるということで、この数年間は上げられるところまですでに上げてきておるという状況でございます。運賃を上げたにもかかわらず他の交通機関との競争関係から国鉄が負けてしまって、そのために大きな赤字になっておるということで、そういう赤字に対する助成金が大半でございます。  それに対しまして、日本の場合には運賃値上げの余地がまだ十分にあるというふうにわれわれは理解をいたしておるわけでございます。したがって、助成をする場合に、今後は運賃値上げができないから、それによって生ずる赤字を国がめんどうを見るという考え方で今回の再建における政府助成をやっているわけではないわけでございます。  今回の再建基本的な考え方は、従来のいろいろな原因で生じた三兆一千億の赤字を今後利用者負担させるということは、負担の公平という面から見てやはり妥当ではないのではないかということで、まず、過去の赤字をきれいにしてしまうということが第一点でございます。そのための措置といたしまして、過去債務の二兆五千四百億円を別勘定に、特定債務整理勘定へ赤字と一緒に移しまして過去債務をきれいにする。赤字の総額が三兆一千億でございますが、国鉄は現在一兆八千億程度の資本金、積立金を持っております。その中で特に一兆一千億を超えます再評価積立金というのがございます。  この再評価積立金は昭和三十年にしたわけでございますが、この再評価をしたことによりまして償却負担が生じて、そのために生じた赤字もあるわけでございますので、当面その再評価積立金の半分の五千六百億を赤字の解消に充てまして、残った二兆五千四百億円というものに相当する債務を赤字と一緒に特別勘定に移して整理をして、それによって過去の赤字は全部きれいにするということを第一段階の措置としてとったわけでございます。  第二段階の措置としましては、五十一年度の場合に何らかの措置をいたしませんと一兆二千億程度赤字になるわけでございまして、そのように国鉄収支バランスというものは非常に崩れておりますので、これを早急に回復し、直していく必要があるということで、五十一年度、五十二年度で運賃値上げをする。そういたしますと一応国鉄赤字というものはなくなる状態になるわけでございます。  しかし、運賃値上げをいたしましても、先ほど申し上げました欧米の例から考えまして、今後自由にどんどん運賃が上げられる状態でないことは明らかでありまして、国鉄財政の健全性を維持するためにはやはり相当の合理化努力というものが要るわけでございます。合理化努力と同時に、国鉄がいかに努力しても償えないような赤字があれば、それはやはり政府としても考えざるを得ない問題があろうかと思います。  そういう問題で大きな問題は地方交通線とか貨物の問題になるわけでございますが、貨物の問題につきましては、五十五年度までに固有経費収支相償うような状態に持っていくということで貨物の赤字旅客の方に負担させることがないようにしたい、そのための合理化努力を今後五年間やるということにいたしておるわけでございます。  それから、地方交通線につきましては、これは地元の方で維持をしてもらいたいという強い要望もあるわけでございますが、一方、国鉄経営にとって大きな負担になっているということも事実でございますので、今後一年あるいは二年の時間をかけて、地方交通線をどうするかということの対策をこれから検討いたしたいと考えておるわけでございます。その一部といたしまして、本年度百七十二億円の地方交通線の運営費補助を出すということにいたしているわけでございますが、この点につきましては、先ほど申し上げました地方交通線をどうするかということの一環でさらに再検討はしたいという考え方を持っております。  それから、公共負担の話が出ておりますが、公共負担の中にはいろいろな負担があるわけでございます。たとえば通勤割引のように、割引制度自体について再検討を要するような制度もございます。また、学割のように、これは純粋な意味で公共負担と言えるものであるかどうかについても疑問の割引もあるわけでございます。しかし、公共負担の中で普通一般に言われております通学割引であるとか、あるいは身障者に対する割引というものについて国の補助が要るのではないかというような問題があると思いますけれども、たとえば通学割引にいたしましても、非常に長い歴史で明治以来やってきている制度でございますが、これは一種の世代問の負担の公平という面から是認される措置でもあるのではないか——われわれの親がわれわれの割引を負担し、われわれがわれわれの子供の割引を負担するということで、世代問の負担の公平という面から見て是認されるわけでございますが、こういうものについて国の補助をやるということは逆に問題も起きてくる。また、身障者割引についても、現在の近代的な社会生活では強者が弱者の費用を負担するということは一般に保険なんかがその典型的な例だと思いますけれども、そういう制度も一般にあるわけでございまして、したがって、そういう強者が弱者の費用を負担するということは現在の社会では当然是認されていい事態でございますが、そういう公共負担があるから直ちに国が補助をしなければいかぬということには結びつかないのではないかと思います。  しかし、いずれにいたしましても、今後国鉄が健全経営を維持する場合においていろいろな負担があるわけでございまして、運賃値上げが非常にむずかしくなったというような場合には、あるいはその段階で検討を要する事項もあろうかと思いますけれども、今回の再建対策要綱の考え方におきましては、五十一年度、五十二年度におきまして収支均衡を回復した以降は、国鉄合理化努力を続ければ、それで大体健全な状態財政を維持できる——工事補助金等はもちろん継続いたしますけれども、特に新たな補助制度を設けなくても国鉄は健全経営が維持できるというように理解いたして今回の対策要綱をつくっているわけでございます。
  21. 兒玉末男

    兒玉委員 公共負担等の問題は後でまたもう少し突っ込んだ御質問をしたいわけでございますが、今日の財政再建という問題についていま鉄監局長からお話がございましたが、今度のいわゆる累積赤字のうちの約二兆五千四百億でございますか、これの長期償還をすることによって、二回の値上げによれば健全経営が可能だというように断言されたわけでございますが、たとえばこれまでの再建計画において、過去債務についての孫利子の補給等というような措置もこの前の十カ年計画の際にとってこられました。そのときにも、本委員会における質問の中では、これだけの補給を行えば絶対に可能だという答弁が議事録を見てもはっきりしておりますが、にもかかわらず、二年足らずで計画が破綻したわけであります。  今回の累積赤字の二兆五千億の三年据え置きの二十二年でございますか、この償還計画を行っても健全経営が果たして可能かどうかということについて私はどうしても危惧の念を抱かざるを得ないわけでありますが、いままでのこのような点から考えても、再度局長確信ある御答弁を求めたいと思います。
  22. 住田正二

    ○住田政府委員 過去債務対策といたしましては、昭和四十四年、四十八年の際には、いま御指摘ありましたように孫利子方式ということでやったわけでございます。今回は完全な意味の肩がわりということではございませんけれども、二兆五千四百億の過去債務を肩がわりする形で処理をいたしているわけでございます。  前回のときと今回のときとでは社会経済情勢も大きく変わっておりますし、また、国鉄財政状態も非常に違ってきているわけでございます。簡単に申し上げますと、前二回の再建計画基本的な考え方は、やはり高度成長ということを前提に再建を考えておったということではなかろうかと思います。それに対しまして今回の再建計画というのは、安定成長、低成長を前提に再建を考えておるという点が大幅に違っているのではないかと思います。  確かに、前二回におきましては、いま兒玉委員から御指摘のように、あの孫利子方式で十分やっていけるということをたびたび申し上げたことは事実でございます。しかし、先ほど来大臣が申し上げておりますような理由で再建計画が挫折したということでございますが、いわゆる高度成長を前提といたしましたあの当時の計画におきましては、十年たって黒字基調になれば、さらにその黒字基調のままに、高度成長のもとに収入もどんどん伸びるだろう、伸びればその収入によって孫利子も返せるという判断をいたしたわけでございますし、一方、四十四年当時はもちろんでございますが、四十八年当時も、十年間における累積赤字の総額というものはそう大きな額ではない——数字をはっきり記憶いたしておりませんが、累積赤字よりも資本金、積立金の額がオーバーしている、したがって、十年後の黒字基調になった段階で減資等の措置をとれば赤字は一切なくなると、そういうような状態を予想しておったわけでございます。  しかし、今回の再建計画に当たりましては、先ほど来数字をお示しいただいておりますように、五十年度末で三兆一千億という膨大な累積赤字が出ているわけでございまして、そういう累積赤字を抱えたまま長期計画をやることは非常にむずかしいということで、先ほども御説明申し上げましたように、今後健全経営をやる場合には運賃収入が基準になるわけでございますが、過去の累積赤字を将来の利用者負担させるということは適当ではないという判断のもとに今回は二兆五千四百億を国が肩がわりをするという措置をとったわけでございまして、先ほど申し上げましたように過去の赤字はこれでなくなるわけでございますから、二回の運賃値上げとその後の国鉄によります合理化努力によって健全経営が維持できるというように確信をいたしているわけでございます。
  23. 兒玉末男

    兒玉委員 経済の政策は百八十度の転換を行って予定の収益が上がらなかったという御説明でございますが、先ほど経企庁からお聞きしましたが、それならば、五十一年度、五十二年度の新経済計画の場合において一体五〇%の値上げに対応するだけの国民の対応能力があるのかどうか。加えて、これが波及する他の交通部門への値上げ問題その他の公共料金の値上げ等が相次いで起きているわけです。五十一年度において大体予定されているのはそのほかに電気料金を含めて約三兆二千億、こういう膨大な公共負担国民大衆一人当たり三万二千円程度になるわけです。  その中にはもちろん国鉄の分も含まれているわけでございますが、二兆五千億の累積赤字の肩がわりが果たして運賃値上げと見合うだけの情勢なのかどうか、その辺について私はどうしても不安でならないわけでありますが、これについては、特に大臣はどういうようなお考えを持っておるのか、再度お伺いしたいと思います。
  24. 木村睦男

    木村国務大臣 先ほど経済企画庁の方からもお話がございましたが、われわれといたしましては、運賃値上げというときには、国民生活にどう響くかということを常に必ず重要視いたすわけでございます。  国鉄運賃の場合は、一割上げますと大体〇・一%ぐらい消費者物価に影響があるという過去の例からそういう計算をいたしておるわけでございますので、この際の五〇%の名目の値上げということはそれからいきますと〇・五%の消費者物価への影響というふうに考えておりまして、この程度国民の生活の中に占める交通費の割合、その中での〇・五%ということにもなるわけでございますから、この程度であれば影響はそう大して大きくはないであろう、このくらいなら忍んでもらえるであろう、と、かようにも考えるわけでございます。  また、二兆五千億の過去の赤字のたな上げの問題にいたしましても、現在の国全体の財政の規模等から考えましていろいろな制約もあることでございますので、それらも考えながら、先ほど鉄監局長が申し上げたような、いままでの赤字を将来の旅客負担をしてもらうということは理屈が合わないというようなことも考えまして、こういう計算をいたして、それを肩がわりをするということにいたしておるわけでございます。  そういうことで一応今回の再建計画をスタートいたしておるわけでございますが、その計画の実施に入ってみまして、これはやはり生き物でございますからそのときどきの影響なりあるいは変化というものもあるわけでございますから、それらは今後の問題として十分考えなければいけないと思っておるわけでございます。
  25. 兒玉末男

    兒玉委員 長期債務については、政府の考えがどうもわれわれの意向に十分対応し得ないというふうな感じを持つわけでありまして、今日の赤字原因というものが、先ほども主張してまいりましたが、少なくとも国の政策的な物価安定対策運賃体系であり、また、自動車の浸透によって国鉄の収益性の高いものが他の交通機関に食われ、加えて過大な工事関係費等の借金が利子を増加させ、さらに加えまして過去の再建計画の破綻があったことであり、それらが最大の根本原因であるという点から指摘するならば、長期債務等についてもまだまだ抜本的な国の助成策が必要だということを私は強く主張しまして、次の点に移りたいと存じます。  御承知のとおり、現在国鉄はたくさんの赤字線区を抱えておりますが、これについて、まず現在の赤字線区の状況と、それから五十年度の赤字線区における赤字の見込みを——もちろんこれは監査報告書で四十九年度は出ておりますが、それがどういうふうな状況に置かれているのか、おわかりでしたら国鉄当局からお伺いしたいと思います。
  26. 馬渡一眞

    ○馬渡説明員 ただいま国鉄で地方交通線と申しております線が九千二百キロでございますが、ただいま先生の御指摘がございました赤字か黒字かという意味で申しますと、幹線の中でも三線区だけが黒字であったというのが四十九年度の実績でございます。その意味におきまして、それぞれが赤字を出しております。御指摘の地方交通線におきましての赤字額といたしましては千八百億ほどの金額でございます。  五十年度につきましては、ただいままだ決算が終了いたしておりませんので四十九年度の数字で申し上げた次第でございます。
  27. 兒玉末男

    兒玉委員 いまの御説明では、九千二百キロベースの場合が約千八百億ということでございますが、監査報告書に一万一千キロベースの場合は二千五百三十一億という数字が出ておりますが、これはどういうことになっているわけでありますか。     〔委員長退席、小此木委員長代理着席〕
  28. 馬渡一眞

    ○馬渡説明員 四十九年度の決算をいたします場合には、先生の御指摘のような一万一千キロの地方交通線の線をもちまして決算をいたしておりまして、その場合は御指摘のように二千五百億の赤字をその線で出しております。  ただいま九千二百キロと申し上げましたのは、今回、五十一年度の予算策定に当たりまして、線区の性格等をもう一度見直しまして、地方交通線に入れるべきは九千二百キロが至当ではないかという検討のもとで、その九千二百キロというものを一応策定いたしました。それに基づきまして四十九年度の数字を見てまいりますと、先ほど申しましたような赤字額がその線区から発生をしておるということでございます。
  29. 兒玉末男

    兒玉委員 政府にお伺いしますが、これは運輸大臣か、あるいは鉄監局長でも結構です。  いま国鉄から説明がありましたように、五十一年度の策定では九千二百キロの場合千八百億の赤字だと言っております。これはお客さんが乗ろうが乗るまいが、収入がふえようがふえまいが運転をしなければいけないという宿命的な立場に置かれているわけですが、この赤字線に対して政府はどのような対策をとろうとされているのか、お伺いいたします。
  30. 住田正二

    ○住田政府委員 ただいま九千二百キロという数字が出ておりますが、九千二百キロといいますのは、国鉄で運ぶよりも道路輸送、自動車で運んだ方が国民経済的に見て有利であるという路線が九千二百キロあるという意味でございます。前の一万一千キロのときも大体そういうような基準で区分をいたしておったわけでございますが、その後の経済情勢等の変化を勘案しまして再検討した結果九千二百キロという数字が出てきているわけでございます。  それで、これはいわゆる地方交通線ということになるわけでございまして、地方交通線をどうするかということについては今回の国鉄再建対策要綱の中で一つの方針を示しているわけでございますが、御承知のとおり、地方交通線につきましては、地元住民の方でいかに赤字になっても維持をしてもらいたいという要求がなかなか強いわけでございます。一方、いまお示しにありましたように一千八百億というような大きな赤字でございまして、国鉄経営に大きな負担になっていることも事実でございます。この両方を勘案しながら今後地方交通線をどうしたらいいかということを検討することになるわけでございます。  地方交通線をどうするかという場合にいろいろな考え方があるわけでございます。廃止をしたらどうかという考え方もございますし、地方公共団体に移譲したらどうかとか、あるいは地方公共団体と違う別の法人に経営をしてもらったらどうかとか、あるいは特別運賃を取ってやってみたらどうかとか——国鉄の現行の運賃は五円十銭でございますけれども、中小私鉄関係では大体十七、八円から二十二、三円、平均して一キロ当たり二十円ぐらいの料金になっております。したがって、五円十銭を仮に二十円にすれば、先ほどお示しにありました千八百億というような赤字は大幅に減ることになりますし、同時に、国鉄と並行しているバスなんかを見ますと、直接国鉄と並行しているところは競争関係がありますので一キロ十二、三円でありますけれども、国鉄と並行していない、直角に奥へ入るというような場合にはそこから三十円になるというようなことで、バスの料金も国鉄に比較すると非常に高いわけでございます。むしろ中小私鉄の方もあるいはバスの方も、国鉄運賃が非常に安いので経営上の圧迫を受けているという苦情をわれわれはよく聞くわけでございます。  そういう点から言いますと、現在の地方交通線の運賃についていまのままでいいかどうかということも検討の余地があるのではないかと思いますが、そういうようないろいろな方法をこれから地元の方等と相談して今後の方針を決めたい。しかし、そういう方針を決めるにいたしましてもなお一年ぐらい検討の時間が必要であるわけでございまして、その当面のつなぎといたしまして今回百七十二億円の運営費補助を出すことにいたしたわけでございます。
  31. 兒玉末男

    兒玉委員 再度運輸省にお伺いしますけれども、今回の再建対策要綱の中で、地方線対策についてはいま局長からお話もありましたが、「地域住民の利便と自立経営上の負担程度とを勘案しつつ、国の積極的な支援のもとに、国鉄責任においてその取扱を検討する」という、わかったようなわからぬようなことが書いてあるわけでございますが、先ほどの国鉄説明では、一万一千キロベースの場合が二千五百億、五十一年度からの九千二百キロベースの場合で千八百二十三億という膨大な赤字があるということです。ところが、今回の予算ではわずかに百七十二億という数字地方線対策費に計上されている。これではまさに焼け石に水と言わざるを得ないわけでございます。これでは、この再建対策要綱の中に書いてあるところの、「地域住民の利便と自立経営上の負担程度とを勘案しつつ、国の積極的な支援のもとに、」云々ということは当たらぬのじゃないかというように私は判断します。それが第一点です。  第二点は、御承知のとおり、このような赤字線の走っている地方におきましても、道路網の整備あるいは都市計画事業の推進ということによりまして、たとえば踏切の立体交差化あるいは市街地の高架問題というようなことで踏切改善に対するところの相当の金額は出ているようであります。私の郷里である吉都線の場合でも約四ヵ所、総額にして二千八百万ぐらいの工事費を投じて踏切の改善を——これは特に関係の陸運局あるいは自動車業界からの強い要請で、それぞれのローカルにおける踏切改善にも莫大な資金投入が要請されているわけでありますが、そういう点等について運輸省当局はどういうような御判断をされているのか。  また、百七十二億という金額は、とてもじゃないが、地方線対策はもういよいよやめてしまえと言わんばかりの金額としか受けとめることができないわけでございますが、これについての御見解を承りたい。
  32. 住田正二

    ○住田政府委員 地方交通線を今後どうするかということについては先ほど御答弁申し上げたとおりでございますが、従来からも前々回からの再建計画から地方交通線の整理の問題がうたわれておったわけでございますが、従来のやり方ですと地方が反対であると言うとにっちもさっちもいかないという現状でございますが、われわれといたしましては、今後地方交通線問題を扱う場合に、単に地元に対して廃止することがいいのか悪いのかという程度の聞き方ではなくて、いろいろな選択案を示してこの中から選んでもらいたいというような方向で解決すべきじゃないかというように考えておるわけでございます。絶対反対だということで一歩も進まないということではおかしいので、やはりいろいろな案があるわけでございますから、先ほど申し上げました運賃を高くすることも地元負担一つの形態であろうと思いますけれども、地元も負担するから維持してもらいたいというような選択があってしかるべきではないか、また、地方公共団体の方も、自分のところで金を出すから維持をしてもらいたいというような選択があっていいのではないかと思うのですが、そういうようないろいろな選択についてこれから地元と話し合いをするわけでございます。  先ほど御指摘がありました百七十二億というのは、確かに数字的には少ない数字であることはそのとおりでございますけれども、先ほど申し上げましたように、中小私鉄を例にとりましても大体平均二十円ぐらいのキロ当たり運賃になっております。その上で赤字が出た場合には国と地方公共団体が赤字の半分ずつを補助するということで現在補助制度を継続いたしているわけでございますが、したがって、先ほど来申し上げているようなそういういろいろな選択に基づいて、今後の地方交通線の処理方針が決まった上で国として援助すべきものは援助する。その援助も、行政的な援助もあれば財政的な援助もあり、いろいろな援助があろうかと思いますけれども、そういうことを決めた上で最終的な処理方針を決めたい。この百七十二億はそれまでのつなぎといいますか、現在地方交通線九千二百キロの運営費のうちの一部を補助するということで助成をいたしておるわけでございます。  それから、二番目の御質問の地方交通線に関する踏切等についての助成でございますが、現在の踏切設備の改善についての助成制度は、都市計画事業でやる場合には大半の金は都市計画事業の施行者の方で負担するたてまえになっております。一部を国鉄あるいは私鉄が負担する。それから、国鉄自体あるいは私鉄自体、鉄道運送事業者自体がやる踏切設備の改善については、国鉄の場合には全額国鉄負担のたてまえでやっております。国鉄が本来の、たとえば七千九百億の投資をやるわけでございますが、その中には安全工事もあれば公害工事もあり、あるいは輸送力増強工事もある。いろいろな工事をやっているわけでございまして、そういう工事全体について国鉄利子負担を軽減するということで工事費補助制度をやっているわけでございます。  私鉄については別の助成をやっておりますが、国鉄については、国鉄の行う投資全体について利子負担を軽減するという観点から助成制度をとっているということでございます。
  33. 兒玉末男

    兒玉委員 ローカル線等の件については後で同僚議員がまだ突っ込んだ質問をすることになっておりますので、ローカル線対策そのものはそれだけにしますが、いま踏切について局長から若干の説明がありましたが、最近、無人踏切なりあるいは一般の踏切でも踏切事故が大変に多発をしているわけであります。そのために、各地域の陸運局等から、県段階でも警報器つきの踏切改善ということにかなりの要請が出されているわけでございますが、このような警報器つき、遮断機つきの踏切の維持には少なくとも相当の金がかかるわけであります。  踏切というのは、国鉄だけの安全性ではなくして、踏切を利用する地域住民あるいは関係の運送業者一般の自家用車にもたらす影響は大きいわけでございますから、踏切の安全施設費には、その維持費に対するある程度の国からの補助制度というものを当然考えてしかるべきではないかと思うわけでありますが、この点、国鉄としては、踏切関係の維持に概算どの程度経費を要しているのか。  あるいはさらにまた運輸省当局としては、このような助成策ということを——立体交差の場合は当然二分の一の負担のようでございますが、私は、維持費ということもきわめて重要なウエートを占めるものかと存じます。特に、これから自動車による交通量がふえますし、毎年のように激増する踏切事故の対策について、これはもちろん安全対策の面でも後ほど同僚議員から御指摘があるわけですが、せっかく踏切問題を取り上げましたので、これらの点について運輸省並びに国鉄当局の御見解を承りたいと思います。
  34. 馬渡一眞

    ○馬渡説明員 保安対策費ということに関しまして、その中に踏切の対策を含めて考えております。毎年、特に最近は百億を超えます金額を踏切対策工事費の中から充てております。また、今年度の予定といたしましては百五十億を超える金額を予定いたしております。  この点につきましては、本当に人命に関する問題でもございますので、ともかくそれだけのものを積極的に進めてまいりたいという姿勢のもとで各地方の指導をいたしておるわけでございます。
  35. 住田正二

    ○住田政府委員 踏切問題というのは国鉄の安全性にとって非常に重要な問題であろうと考えているわけでございますが、先ほども申し上げましたように、国鉄は、踏切の投資は本年度五十一年度で百五十五億程度を予定いたしているようでございますが、全体として七千九百億円の投資を考えているわけでございまして、先ほど来申し上げておりますように、七千九百億円の投資についての利子負担の軽減ということで処理をしたいと思っております。工事の中にいろいろな工事がございまして、踏切については半分助成する、しかし、それでは新幹線なんかのように採算性のある投資については助成する必要がないとか、投資項目によっていろいろな差があるわけでございますので、そういうものを一々取り上げてこれは助成するとかこれは助成しないというような考え方ではなくて、七千九百億円全体の投資による利子負担の軽減という面で今後も考えていきたいと思っているわけでございます。
  36. 兒玉末男

    兒玉委員 先ほども若干触れましたが、国鉄赤字一つ要因として指摘されるものに公共負担あるいは政策割引というものがあるわけでございますが、最近における国鉄の公共負担あるいは政策割引による金額というものはどの程度になっているのか。私の方の資料によりますと、昭和二十四年から昭和四十九年までのこのような金額は約一兆二千八百二十三億円というふうに出ているわけでございますが、国鉄当局としてはどのように把握をされているのか、御説明をいただきたいと思います。
  37. 田口通夫

    ○田口説明員 最近の運賃上の公共負担額を申し上げますと、四十五年度は旅客、貨物、特別新聞雑誌を入れまして五百十五億円でございます。四十六年度は同じく四百九十四億円、四十七年度が四百五十二億円、四十八年度が四百五十三億円、四十九年度が四百四十八億円でございまして、四十五年度から四十九年度の五年間の合計は二千三百六十二億円でございます。  なお、先生がおっしゃいました二十四年から四十九年までの合計額は一兆二千八百二十三億円で御説のとおりでございます。
  38. 兒玉末男

    兒玉委員 運輸大臣並びに鉄監局長にお伺いするわけでございますが、今日の累積赤字なりあるいは長期債務をもたらしました一つ要因として、この公共負担というものをわれわれは除外しては考えられないと思うわけでございます。そういう点から、この公共負担に対するところの金額については、たとえばいま御説明のありましたような新聞あるいは貨物の政策割引とか、あるいは身体障害者、通勤、通学という国の政策上の割引について、それぞれの相当機関が当然補償をしてしかるべきではないかと私たちは考えますし、また、わが党の久保議員が代表者として提起をいたしましたところの、第七十五国会から宙づりになっております公共割引に関する法案等につきましても当然審議を深めながら対応すべきだというふうに理解をするわけですが、公共負担についての運輸省側の御見解を承りたいと思います。
  39. 住田正二

    ○住田政府委員 公共負担につきましては、いま国鉄から御答弁申し上げましたように、昭和二十四年から四十九年までで確かに一兆二千八百億円の負担になっているわけでございます。しかし、こういう公共負担が始まりましたのは最近のことではなくて、通学割引になりますと明治以来続いてきている制度でございます。  公共負担国鉄赤字原因であるということが言われ出したのもつい最近のことでございまして、少なくとも昭和三十九年までの国鉄財政が黒字であった時代において、公共負担のために国鉄経営が非常に困るというような話はなかったわけでありまして、もちろん戦前にもそういうような議論はなかったと思うわけでございます。  本来、国鉄だけではございませんで、郵便とか電話とかあるいはNHKというような公共企業体というのは、もうかる事業あるいはもうからない事業というものを一緒に提供するというところに特色があるのじゃないかと思います。したがってもうからないところを取り上げて助成するというのは本来筋ではないので、やはり、全体としてサービスが提供できるかできないかという点から補助の必要性を検討すべきではないかと思います。公共負担の問題がこのように最近取り上げられましたのはやはり国鉄財政赤字になったということが原因ではないかと思いますが、これに対する助成をする必要があるかどうかということは、このために運賃が非常に高くなって、他の交通機関との競争力を失ってしまうかどうかということで判断すべき問題ではないかと思います。  ただ、中身の問題といたしまして、先ほど御答弁を申し上げたわけでございますが、通学割引の場合には確かに本年度では四百十六億という公共負担になっておりますが、それが直ちに国の補助の対象にすべきものであるかどうかにつきましては、先ほど申し上げましたように、これは明治以来世代者間でずっと負担をし合ってきたという経緯があるわけでございまして、いまここでやめてしまったということになると、現在の世代は昔の世代と違って子供のめんどうを見ないというようなことにもなりかねない。それから身障者割引につきましても、やはり強者が弱者の費用を負担するということで近代の社会生活というものは成り立っているわけでございますから、身障者割引を一般のお客が負担してはいかぬということには直ちにならないのではないかと思います。  補助をする必要があるかどうかということは、先ほど来申し上げましたように、そういう負担によって国鉄の一般の運賃水準が非常に高くなってしまって、そのために競争力を失って赤字になってしまうというような事態になれば、そこで検討の必要があろうかと思いますけれども、現在の公共負担について直ちに国が助成する必要があるということはいまの段階では考えていないわけでございます。
  40. 兒玉末男

    兒玉委員 大蔵省の主計官にお尋ねいたしますが、いまの国の政策割引あるいは公共負担の中には、今日の国鉄の非常な厳しい財政状態から見まして、客観的にも関係の官庁において当然これを負担すべきであるというふうな意見が出ているわけでございますが、大蔵省としてはどういうふうな御見解をお持ちなのか、お伺いしたい。
  41. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 お答え申し上げます。  いわゆる公共負担の問題でございますが、これは先ほど鉄監局長がお答え申し上げておられましたとおりでございまして、かつて鉄道が独占的な地位を持っておって、そういうところから出てくる利益で内部的な補助をいたしておったわけであります。それが最近になりまして全体的な経営が苦しくなったということで公共負担の議論が出てきているわけでございますけれども、それではこの公共負担を取り上げて何らかの財政助成をすべきであるかどうかということにつきますと、直ちにそういうわけにはいかないのではなかろうかと思います。たとえば同じ鉄道でございましても、例をとりますと、学割、通勤割引、それから身障者の割引をいたしておりますのは何も国鉄に限ったことではございませんで、一般の私鉄でも同様なことはやっておるわけであります。そうだとするならば、国鉄には助成をして私鉄には助成をしないという筋道にはならないはずでありまして、一般的な助成をしなければならないというようなことにもなりかねないわけでありまして、これは私鉄に対して補助をいたすということがいいのであろうかどうだろうか、はなはだ疑問であろうかと思っております。  そういうことで、公共負担の問題につきましては、私どもとしては、内部補助でやるといういままでのやり方ができないということであるならば、まずその内部補助の整理を図っていくべきではなかろうか、このように考えております。
  42. 兒玉末男

    兒玉委員 ただいまの御答弁はきわめて官僚的な答弁でありまして、少なくとも国がそういうふうな相当の資金を援助し、しかも経営が苦しい、だから運賃値上げをして国民のふところから金を取るのだという現状において、こういうふうな社会的に見ても客観的に見ても当然行なわれるべき身体障害者あるいは傷痍軍人というような国が援助すべき性格の割引行為については、担当の諸官庁あるいは教育行政における——少なくとも義務教育に参加する人の分については国の機関において保障するのがたてまえじゃないか、政策上としても予算措置としても当然それが筋道が通るのではないかと私は理解するわけですが、その辺の立場から大臣並びに大蔵省の見解を再度お伺いしたいと思います。
  43. 木村睦男

    木村国務大臣 割引の問題は確かに一つの大きな問題であると認識をいたしております。一つは、割引という制度を設けて、それを運賃に加担して、それだけ分は運賃がふえるわけですから、それで利用者から支弁をしてもらうか、あるいは一部を政府が見るか、この問題が一つあるわけでございますが、これにつきましては鉄監局長がいままでも答弁しておりますような、いろいろな公共割引一つの歴史とそれから思想があるわけでございますので、これらを十分検討いたしたいと思います。  それから、もう一つは、現状で行われております割引率ですね。率そのものが果たして適切であるかということは確かにございますので、こういう点は、いまの割引率はどうかという点についてはいろいろな問題を持っておりますから、今後われわれは十分検討いたしたいと思っております。
  44. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 お答えいたします。  ただいまの段階では、国鉄につきまして公共負担という個別の問題を取り上げて助成をするというよりは、むしろ過去の債務のたな上げですとか、工事費補助金ですとか、そういう一般的な形の助成をしていくのが妥当なのではなかろうかと考えております。
  45. 兒玉末男

    兒玉委員 もう一点だけ伺います。  通学割引につきまして、この前、去年の当委員会における参考人意見の中に、私が特に義務教育と言いましたのは、父兄が自分の子供を義務教育の学校にやらぬで勝手に私立の方にやっている者がおる、そういうものまで国鉄で割引のめんどうを見る必要はないのじゃないかと、こういうふうな一つの異色の意見も出されているわけでございますが、そういう点については今後十分御検討していただくということにして、午前中の質問を終わりたいと思います。
  46. 小此木彦三郎

    ○小此木委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十五分休憩      ————◇—————     午後一時三十六分開議
  47. 中川一郎

    中川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。兒玉末男君。
  48. 兒玉末男

    兒玉委員 最初に国鉄の方にお伺いいたしますが、現在まで国鉄経費の中で新幹線なり新線建設なりまたは在来線の複線化、電化を含めての工事資金の比重がきわめて大きいわけでございますが、これについて最近どういうふうな工事資金が投入されているのか、まずお伺いしたいと存じます。
  49. 馬渡一眞

    ○馬渡説明員 工事費の中で、これまで政府からの出資によりまして工事をいたしてまいりましたものがこの最近で四千五百億余りでございまして、全体の五年間の工事費が三兆でございますので、十数%の割合で出資金が充てられております。
  50. 兒玉末男

    兒玉委員 運輸省からの資料によりましても、昭和四十六年から五十年までに国鉄が約三兆二百十一億の工事資金を投入いたしているようでございますが、その中で政府からの出資金なり助成なりの内容を見てみますと、五十年までが約八千五百八十一億、五十一年の予算が七千九百億となっておるようでございます。——失礼しました。五十一年度は国鉄の工事予算の数字でございます。この数字からいたしますと、当初申し上げましたように、他の港湾あるいは空港道路というような部門の比率から見ましても、いま国鉄からお話がございましたが、その比率というものはきわめて低比率でございます。今後の再建の過程におきまして、特に東北新幹線あるいは上越新幹線等は、今後の客貨の趨勢から見てもわれわれ社会党としてもやむを得ないという立場でその新設を容認いたしておるわけでございますが、要するに新しい経済計画等に呼応しながら国鉄が対応し、また現在まで対応してまいりました工事費への投入は莫大な金額になるわけでございます。  こういう点から考えましても、国からの助成がきわめて低いということが明確に証明され、今後の新しい再建計画並びに今後の新経済計画に呼応する上からもこの出資と助成の関係はやはり根本的な改革を必要とするのじゃなかろうかと私は考えるわけでございますが、運輸省当局の御見解を承りたいと存じます。
  51. 住田正二

    ○住田政府委員 国鉄の投資のうち一部を政府出資でこれまで賄ってきているわけでございますが、先生の先ほどの御指摘にありましたのは、道路とか空港には国の税金がたくさん入っていて国鉄には余り入っていないんではないかという御指摘でございますが、国鉄と直接競争関係にあります道路空港と比較した場合に、国鉄の方が利用者負担原則に立っていないということは必ずしも言えないのではないかと思います。  たとえば航空の場合でございますが、五十年度の投資が九百三十九億円でございます。このうち空港使用料だとか燃料税であるとか直接航空の投資に結びつけられている金が六百四十五億円で、六八・七%は利用者負担になっているわけでございます。このほかに一般財源として二百九十四億円の金が入っておりますけれども、同時に、航空の利用者が払っております通行税が二百八十五億円ございまして、通行税が半ばひもつきな形で一般財源として入っている。それを入れますと九百三十九億円の大半は利用者負担しているということになるわけでございます。  道路につきましても、五十年度の事業費全体で二兆六千六百六十九億円で、そのうち揮発油税であるとか石油ガス税であるとか、あるいは軽油引取税とか財等等、いわゆる利用者負担の部分が二兆百六十六億円、七五・六%、これが利用者負担になっているわけでございます。このほかに一般財源から六千五百三億円入っておりますけれども、そのうち従量税に相当する分が千四百十億あるわけでございます。さらには一般財源として、一般の税金として納入しているわけでございますが、自動車関係者は物品税も払っておる。物品税を利用者負担と見るか見ないかは問題であると思いますけれども、そういうものを含みますと道路の場合でも二兆六千六百六十九億の事業費の大半は利用者が持っているということになるかと思います。  それに対しまして国鉄の場合には三一・六%という一般財源からの投入が事業費の中にあるわけでございまして、したがって、道路空港と比較した場合に国鉄の方が非常に不利である、一般会計からの投入部分が非常に少ないということは必ずしも言えないのではないか、むしろ道路空港の場合の方が利用者負担原則に適応しているのではないかというふうに見る方が正しいのではないかと思います。  国鉄の場合にそれでは助成が要らないということではもちろんないわけでございまして、本来国鉄のような運送サービスの提供に対する対価というのは、やはり原価計算をして原価を償うということが原則だろうと思います。したがって、その原価の中には償却等も含まれるのが通常でありますので、そういう運賃によってカバーできる場合には特に国の助成は要らないということになるかと思いますけれども、しかし、一方、国鉄の投資というものは、いま御指摘がありましたように非常に巨額なものでございますし、また、懐妊期間も長いということで、利子負担等がかなりあるわけでございます。したがいまして、運輸省といたしましても、国鉄、鉄建公団に対して、あるいは出資あるいは工事補助金という形で国鉄経営負担が重くならないような措置を講じているわけでございますが、当然にこの部分は出資で賄わなければいかぬというような原則は必ずしもないのではないかというように考えております。
  52. 兒玉末男

    兒玉委員 ただいま局長の御答弁がありましたが、国鉄の場合、工事費によって賄われて形成される資産というものは、これは国の財産として、一般のいわゆる私企業なりこれを利用する立場の関係とはおのずからその本質が異なるものじゃないかというふうに私は考えるわけであります。  なお、また、これは昨年の当委員会において、いわゆる国鉄の基礎施設に対する助成という点についても清水さん、村木さんあるいは角本さん等が指摘をされておりますけれども、特に交通企業の場合には、その交通手段、その主な部分である通路が国鉄の場合は全部企業資本に含まれているので、どの部分を資本と考えどの部分を公共財なり国の財産として考えていくかという分離の問題を考えなければならない地下鉄の建設費私鉄のトンネルなどは公共財としての観点から一般会計からすでに支出されているというふうな指摘がなされており、同時にまた角本氏は、鉄道の下部構造は政府が払い、それ以外の費用は運賃で賄えという主張があるが、道路鉄道と一緒に論議すること自体がいまの社会では間違いだという指摘をされておりまして、その意見は相半ばするものがございますけれども、やはり前者の意見が今日の国鉄の場合においては最も適合するのではないかと私は思う。  そういう点から考える場合に、少なくともこれまでの三兆一千億の赤字、さらに五十一年度の七千九百億という工事資金の調達は、先ほど局長から御答弁がありましたところの約二兆五千億の返済なり償還なり、また今後の長期債務という点から考えましても、ここに国鉄への出資関係を含めて再検討の段階にあり、また出資金額の増加ということは当然の要求じゃないかというふうに私は感ずるわけでございますが、この点、運輸大臣並びに今後の国鉄経営に参加をされる責任者の高木総裁からそれぞれの御見解を承りたいと存じます。
  53. 木村睦男

    木村国務大臣 いま鉄監局長が申しましたように、交通事業でございますから、原価は運賃収入で賄うということが原則ですべての物事を律しておるわけでございますが、国鉄でございますから、財産はすべて国のものである、国民のものであるという点は異論のないところでございますけれども、かといって、だからそういう財産の増加に類するものは全部国の出資によって賄うべきであるということには必ずしもならない問題だろうと思います。要は、そのときの運賃そのものが均衡のとれた運賃であって、しかもそれ以上にいろいろな設備投資等の必要があるというふうなときに、これはやはり国がめんどうを見るということになるわけでございまして、要するに、そのときの国鉄現状を基礎にして考えるべきであろうと思うわけでございます。  現在のところは何といいましても他の交通機関等に比べまして運賃そのものがきわめて低位にあるということは事実でございますので、これを適正な運賃に持っていき、そして国鉄経営の中心をなすところの運賃収入の額というものを想定し、そしてその上に立って国の出資等のシェアなりあるいは負担割合なりということを検討すべきものではないかと考えておるのでございまして、また、出資の方では一方において国の財政上の制約もございますし、やはり、その時代時代によって流動的にその辺は考えていくのが適切ではないか、と、かように考えております。
  54. 高木文雄

    高木説明員 ずっと長い間国鉄は独立採算という言葉のもとにおいて、すべての投資につきましても運営につきましても、独立といいますか、独自でやっていくということで来たわけでございますが、ここ数年来のいろいろな事情からいろいろな形で政府から援助を受けるという形になってきたわけでございますが、今回また改めまして、先ほども申し上げましたように、過去債務のたな上げであるとか建設利息の軽減であるとかということについて援助をしてもらうということになったわけでございまして、ただいま運輸大臣指摘されますようになかなか容易ではありませんけれども、なおかつ多少は運賃は上げましても、まだ他の輸送サービス業と十分競争してやっていかれると思いますので、いまのところ、いま直ちにさらにいろいろと援助を求めるべきかどうかということについては、私も明確にここでお答えすることはできないわけでございます。  ただ、先々の問題といたしましては、そういつまでもどんどん運賃を上げるということはとてもできないわけでもございますし、また、経済状態も変わってまいりましたし、また、長く続いてまいりました輸送面におきますところの独占性というものも実際問題として失われてきておりますから、競争企業とある程度基盤についてバランスをとりながらやらせていただくのでなければなかなかうまくいかないわけで、先ほど道路とか他の交通手段に対する政府の助成とのバランスということを御指摘になりましたけれども、そういう問題も真剣に早急にいろいろと比較検討してみなければならない問題だというふうに考えております。  当面の問題といたしましては、先ほど冒頭のお尋ねにお答えをいたしましたように、過去債務たな上げについて初めてかなりの巨額の援助を受けるわけでございますので、ここのところはそれでまずまずいろいろとやってみたいというふうに考えるわけでございます。
  55. 兒玉末男

    兒玉委員 運輸省の方にお伺いしますけれども、資料によりますと、五十年度までは工事助成金並びに政府出資というものがこの五年間に四千四百七十一億、五十年度は七百億の出資がなされておるわけでございますが、本年はいわゆる二兆五千億の累積赤字の肩がわりということかどうかは知りませんけれども、五十一年度は一銭も出資が計上されていないが、これはどういうような根拠によるものか、御説明願いたいと思います。
  56. 住田正二

    ○住田政府委員 昨年度までといいますか、前回の再建計画では、国鉄が行います工事の金利負担を三分程度までに下げようということで、工事費の一五%は国が出資をする、残った八五%の借入金について三分五厘まで利子補給するということで、国鉄利子負担が三分になるという助成制度を続けてきておったわけでございます。本年から出資をやめて工事費についての利子補給制度だけを継続いたしたわけでございますけれども、これは先般来申し上げております二兆五千四百億の過去債務を肩がわりいたしましたので国鉄の金利負担が大幅に緩和されたわけでございますので、そういう点を考慮して出資を取りやめたということでございます。  先ほど来議論になっておりますが、出資が要るか要らないかということは、やはり国鉄負担が重いか軽いかという問題ではないかと思います。国鉄の工事というのは、過去十年あるいは十五年を見てみますと、ほかの公共投資に比較して相対的に減っているわけでございます。たとえば償却なんかを見ましても、昭和四十年ごろには国鉄経費の中に占める償却の割合が一五%であったわけでございますが、昭和五十年では一〇%に下がっているわけでございます。これはやはり工事に伴う投資が相対的に減ってきているということではないかと思います。また、金利の点につきましても、今回過去債務対策を講じまして、さらに工事補助金を入れますと、国鉄経費における金利負担は大体七・六%ぐらいの率になるわけでございます。私鉄と比較してみますと、私鉄は経費の中に占める償却の比率が一一%ぐらいでございます。それから金利負担は一五%ぐらいでございますので、そういう同じような交通機関の経営状況と比較いたしまして、現在の助成制度であれば十分健全な形でやっていけるというように考えているわけでございます。
  57. 兒玉末男

    兒玉委員 私の持ち時間がもう余りないわけでございますけれども、国鉄の方に——質問内容が前後するようでございますけれども、国鉄当局としては、今回政府が最終的な再建要綱を決めるまでにいろいろな具体的な要求を政府に出したと思うのです。それからまた国鉄労働組合としても、昨年に再建の要綱を提案し、最近では緊急提案として、貨物輸送の問題なり再建に関する具体的な提案をしてまいっております。なおまた要員面におきましても、人件費ということがいつも赤字の大きな要因として指摘をされてくるわけですけれども、少なくとも具体的な当局からの数字なり削減的な処理としてもこの十年間にも三万人近い要員の合理化をしているわけです。それで、政府の言っている合理化問題等は後ほど同僚議員から具体的な質問をするわけでございますけれども、これからの総需要の増大と、同時に業務量というものが、昭和二十四年に公企体に移行されましてから、いわゆる人トンキロによっても少なくとも三倍近い業務量になっているわけです。  こういう点から、再建の将来については、職員の相互信頼に基づく協力関係というものが確立をされなければ今後の再建はどうしても不可能だというように理解をするわけでございまして、特に国鉄当局としては、政府に対しても言うべきことはもう少し堂々と主張するという心構えがなければいけないと思うわけでございます。質問内容は前後しますけれども、この点についてどのようなお考えを主張してまいりましたのか、また、現在における心境はどうなのか、総裁にお伺いしたいと思います。
  58. 高木文雄

    高木説明員 昨年の十二月にお決めいただきました再建対策要綱におきましても、五十五年度までに五万人の合理化を行うということを非常に大きな目標として定められておりまして、一面、要員の増は大体三万五千人くらいのことを考えておりますので、ネットに一万五千人を減らすということを一つの目標値として置いておるわけでございます。  御指摘のようにずいぶん長い間合理化を続けてまいりましたので、それに伴ういろいろなフリクションも起こってきておりますし、組合側とても今日まで立場は違うとは申せいろいろな意味でこういう問題についてかなり積極的に取り組んできたわけでございますが、現実的にはだんだんと窮屈になってまいっておりまして、この合理化問題を進めていきます上にはいままで以上にこれから困難を伴うかと思っております。  しかし、一面におきまして、最近五年間あるいは十年間にわが国の賃金水準が上昇してまいりますに伴いまして、何も国鉄に限らず、どこの経営体におきましても、人件費経営を圧迫する程度は高まっておるわけでございますから、特に私どものように経営状態が悪い場合には、いかにして人件費を少なくするかといいますか、能率的な仕事をしていくかということは経営上ゆるがせにできない問題でございます。したがいまして、今後とも十分に労使の問で話し合いをした上でのことではございますが、そういう基本的なライン、つまり、どうしてもできるだけ少ない人間の数で同じ仕事をするように努力をするということを経営の中では非常に重要な柱として考えていただかなければならない。しかし、さりとてそのために著しい不当の摩擦を生じますと職場が荒廃をいたしますから、そういうことが起こらないように配意しながらでなければならないというふうに考えているわけでございます。
  59. 兒玉末男

    兒玉委員 最後に大臣の決意のほどをお伺いするわけでございます。  私に与えられましたところの財政再建並びに長期債務赤字線、工事経費の出資の関係等についての大体の御見解を聞きましたが、これはもちろん総括的に久保委員からも提案があるかと存じますが、今回の重要な国鉄再建に当たりまして、刷新の基本的な方針として三つの提案を行い、また、財政再建につきましても、特に公共負担制度化を図る問題あるいは政府の助成を拡大する問題として、過去債務の全額たな上げ、さらに政府国鉄地方線区の運行を維持するために、幹線、亜幹線を除く約九千二百キロメートルの地方線区の運営欠損に相当する額を地方線区交付金として交付すべきである、なお、基本的な刷新の方針では、国鉄本来の使命である安全確実な輸送を確保するため、新幹線鉄道網並びに新線建設中心の計画を再検討し、そして在来線の体質の改善を図るべきである、過去債務については当面国の施策において処理をし、今後の財政健全化のために運賃による利用者負担と政策的負担区分を明確にし、経営を民主化すること、省エネルギー、省資源、安全、環境保全の枠組みの中における総合交通体系を確立して、国鉄の分野が有効にできるよう施策の推進を図ること、という、このような具体的な建設的な提案をわれわれはいたしているわけでございますが、これらの件について大臣としては十分に耳を傾け、今後のこの困難な再建の取り組みにわれわれの主張が十分取り入れていかれるように十分な御配慮をされるよう私は強く要望し、最後に大臣の総括的な見解をお聞きして私の質問を終わります。
  60. 木村睦男

    木村国務大臣 今日の国鉄の破局的な状況のよって来る原因につきましてはいろいろ申し述べましたし、また、それについては野党の立場におられる兒玉委員からのいろいろな反論の御開陳もございました。しかし、とにかく、現時点におきましては、これだけの借金を抱えた倒産寸前の国鉄国民のために何とか立ち直らさなければならないということがわれわれの至上命題であるわけでございます。いままでも各方面の御意見も聞き、また、野党の皆さん再建に関する御意見ももちろん聞きながら、政府として責任のある再建案を御審議いただくことにしたわけでございますけれども、私は、まずこの案を通していただきまして、そしてスタートをいたしまして——しかし、それから以後の段階においていろいろとまだ問題を残しておることも事実でございますし、また、いまいろいろと御提示いただきました諸問題も全部解決をしておる問題でもございませんし、また、その中には今後われわれも十分検討をしなければならないと考えておる問題もあるわけでございますから、十分御意見には耳を傾けまして、いずれにいたしましても一刻も早く再建のルールが敷かれますように心からこいねがうものでございまして、この席をかりましてお願いいたしますが、野党の皆さんもどうぞこの趣旨を十分お考えくださいまして御協力をいただきたい、そしてわれわれもまた皆さんの御意見を聞きながら、今後再建の具体策を講ずる上においては十分考慮をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  61. 中川一郎

    中川委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  62. 中川一郎

    中川委員長 では、速記を始めてください。  金瀬俊雄君。
  63. 金瀬俊雄

    金瀬委員 私は、主として昭和五十年十二月三十一日に閣議に了解された「日本国有鉄道再建対策要綱」について大臣にお尋ねいたします。  当日の閣議において、出席した各大臣から運輸大臣に対してどういう問題が指摘されたかをお尋ねいたします。
  64. 木村睦男

    木村国務大臣 当時、五十一年度の予算編成に関連しての国鉄再建についての閣議了解事項を私から説明閣議の席で申し述べたわけでございますが、それについては約三十分くらいの間にいろいろと質疑も出てまいったわけでございます。  どういう質疑が出たかということでございますが、要するに、私が説明を申し上げた国鉄再建案一つ一つにつきましていろいろな質問が出ましたし、また、これで再建ができるかという意味でもいろいろな角度から質疑がございました。どういう質疑かということになりますと、私もいまここで一つ一つ申し上げるあれはございませんが、国鉄の将来を心配し、この再建案によって本当に再建できるかということを憂慮されていろいろな質疑があったのでございます。
  65. 金瀬俊雄

    金瀬委員 十二月三十一日、この日は大みそかでございますが、この閣議がどのくらい時間がかかってどういうことが決定されたかということを総理府の方でしたか、問い合わせてみましたところ、この日は昭和五十一年度一般会計歳入歳出概算について閣議決定された、それから特殊法人の整理合理化について閣議了解された、三番目に日本国有鉄道再建対策要綱が閣議で了承された、所要時間は二十分、と、こういうことを書いてあります。二十分の間にいま大臣が言ったような質疑が行われたとすると、国鉄再建問題だけについて質疑が行われたと考えることができるわけでございますが、いま大臣が言われるような問題点がいろいろ各大臣から質問されたということでございますが、その大臣はだれか、だれがこのことについて質問したか、覚えていますか。
  66. 木村睦男

    木村国務大臣 一つ一つ詳細には覚えておりませんが、国鉄再建に関心の多い閣僚もたくさんおられますので、そういう方々から御質問があったわけでございます。
  67. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、約二十分の間に三つのことが質問されたということでございますので、一つ十分ずっとしても、国有鉄道再建対策要綱については十分程度しか質問がされなかったということになるわけでございますが、その十分間の質問運輸大臣国鉄再建要綱についていろいろ皆さん説明した、ところが皆さん異議なくこれを了承したということでございます。  わずか十分かそこらのことで了承したということは、それがどういう意義を持って、後でどんな効力を持つものであるか、その点についてお伺いをしたいと思います。
  68. 木村睦男

    木村国務大臣 閣議での所要時間はなるほど短いわけでございますが、実は、こういう問題を閣議に出します前にはそれぞれの関係の事務当局の間でその案について説明もいたしておりまして、それぞれ関係のある大臣は事務当局から一応内容等を聞いて理解をしておられるわけでございますので、閣議の席ではごく主要なことに限って質疑が出るというのが普通でございます。  それから、閣議了解ということはどういうことであるかということでございますが、これは私のあれではございませんが、内閣の方に聞き合わせてみましたところが、閣議了解というのは、各国務大臣の所管の事項で特に重要なものについて、内閣部内の統一を図るために閣議の席で与えられる了解である、こういうふうになっております。
  69. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これはたとえばですが、成田空港の問題では何回か閣議了解事項というものが発表されました。と同時に、それが何回も変えられ、了解事項が一つも守られておらないということについても大臣は御存じのはずでございますが、この了解事項ということについて、全然効力がないというふうに考えることもできるわけですが、効果とか意義とか、そういうものがあるかないかということについてもう一度答弁をお願いします。
  70. 木村睦男

    木村国務大臣 たとえば運輸省の所管の事項で重要なことを運輸大臣であります私が閣議で報告をし、了解を求めるわけでございますが、運輸省の所管の事柄でございましても、それをやるためには、運輸省のみならず関係の各省の協力なり援助なりが必要な事項がやはり相当あるわけでございますが、主として閣議了解を求めますのはそういう必要のある重要な事項でございます。そこで閣議了解を得ますというと、それぞれの関係省で、その重要事項の内容運輸大臣責任を持って実現いたします場合に必要な協力等を約束をしてもらえるということにもなるわけでございますので、あくまでも関係各省の協力を得て実現を図るというところに非常に大きな意義があるわけでございます。  したがって、そこで了解を得ました事柄をいよいよ実行に移します場合にまたいろいろな支障が起きて変更せざるを得ない場合も出てまいりますが、あくまでも関係各省の理解を前提に、協力をしていただけるということで了解を求めるわけでございますから、それが無視されるとかあるいは協力を得られなかったというふうな事柄はございません。仮にそういうことがあったとすれば、それはその後の事情でそういう事態が起きたということで、それはまたそのときに改めて協議をいたすということにいたしております。
  71. 金瀬俊雄

    金瀬委員 次に、「再建基本理念」の中に、国鉄役割り総合交通体系の中に位置づけ、総合交通体系国鉄再建を図るということを言っておるわけですが、この案では、国鉄再建達成の基本について、総合交通体系の中ではなくて、国鉄経営体制を改めることだけでこの問題を達成しようとしているということが説明されているわけです。  総合交通体系の中で国鉄再建ということを考えていなくて、国鉄の中の経営体制を刷新するということだけで考えているのはどういうわけかということをお尋ねいたします。
  72. 木村睦男

    木村国務大臣 まず、国鉄役割りということで、わが国の総合交通体系の中において国鉄はいかなる使命を持って今後運営されるべきであるかということは、いわゆる輸送目的、輸送分野という外的ないろいろな要因が主で国鉄役割りというものを総合交通体系の中で見出しておるわけでございます。そういう目的と使命を持っておる国鉄現状再建によって立て直そうということでございますので、再建の問題になりますというと、今度は国鉄の一応内的な問題がほとんど中心になるということでございます。  総合交通体系の中で国鉄役割りを言いながら、再建国鉄経営体制の改善だけではないかとおっしゃるわけでございますけれども、二つはそういうふうな関係にあると理解をしておるわけでございます。
  73. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これは大臣が私の質問をよく理解しないのか、私が頭が悪いために大臣説明がよくわからないのか、私もよくわかりませんが、総合交通体系全体を改めなければ国鉄だけ改めても直らないということを私は言っているわけですよ。ところが、この再建案というのは国鉄再建案だけを出しておるわけですよ。だから、そういうことだけで総合交通体系というものを改めなくて、国鉄経営体制だけを改めて問題がすべて解決するかということを言っておるわけです。
  74. 木村睦男

    木村国務大臣 ここで書いてありますのは、総合交通体系の中で国鉄を一応どういうふうに位置づけて、そしてその上でどういうように再建策を立てていくかということで、その位置づけがここに出ておるわけでございまして、「今後とも都市間旅客輸送、大都市圏旅客輸送及び中長距離・大量貨物輸送について重点的にその役割を果たすべきである」ということで、これが総合交通体系の中で当面国鉄の果たすべき役割りであるということが前提になっておりまして、こういう前提の上に立って国鉄再建をやっていくんだということでございまして、一応これを総合交通体系の中の国鉄役割りということの前提にいたしておるわけでございます。
  75. 金瀬俊雄

    金瀬委員 私の質問内容がよく理解されていないように感じますので、質問を先に進めます。  国鉄を取り囲む社会的な環境が非常な変化をした、そのために現在の国鉄赤字経営になってしまったのではないかということについてどう考えていますか。
  76. 木村睦男

    木村国務大臣 午前中にも申し上げましたように、国鉄赤字経営に陥った理由は非常にたくさんあるわけでございますが、その中の一つに、わが国の輸送体系の変化によって、国鉄がそれに十分対応し得なかったという点も確かにあるということを申し上げたのでございます。  端的に言いますと、貨物輸送の体系がかなり変わってまいったのにもかかわらず、それに適時適応できるような国鉄の対応の仕方が十分でなかったというふうなことも貨物輸送量が非常に減ってきたことの一つの理由であるわけでございますが、そういう意味では、おっしゃるような輸送の全体の体系が変わってきたということも国鉄赤字に陥った一つ原因であるということは否定できないと思います。
  77. 金瀬俊雄

    金瀬委員 私は、非常な環境の変化ということが最大の原因であるというふうに考えておりますが、たとえば道路網の発達によって輸送形態が非常に変化してきたが、これが国鉄に対してどのような影響があったかということについて——建設省の人が来ておるはずでございますので、建設省の方から、道路がどういうふうに国鉄に影響を与えたかということについて御答弁願いたいと思います。
  78. 浅井新一郎

    ○浅井説明員 お答えいたします。  御承知のように、日本の交通体系の発達の過程は、過去百年鉄道が先にずっと伸びてきたわけでございますが、戦後、自動車交通の急速な発展に伴いまして、特にトラック貨物輸送を中心にかなりなシェアの変化がございまして、今日では九〇%を超えるトン数でシェアをトラック輸送が持っておるというような状況で、逐次大きくパターンを変えてきておりますのが実情でございます。
  79. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この問題についてですが、たとえば過疎線へ行ってみますと、国鉄の方は昔のままの路線を使っておる。走っておるのは、最近やっとディーゼルカーが走っているようなところもある。ところが、その横をコンクリートで固めたりっぱな高速道路あるいはアスファルトで固めたりっぱな道路が並行して競合して走っているわけですよ。だから、そういうところは鉄道を使わずにトラックとか乗用車とかバスとかがどんどん運行されているわけですから、経済状況とか環境などが非常に変化している。そういうものが国鉄経営に大きな悪影響を及ぼしているということになるわけですが、国鉄はどう思っていますか。
  80. 田口通夫

    ○田口説明員 確かに、道路整備等によりまして国鉄の貨物自体の受けました影響は四十年代に入りましてからかなり多いと思います。特に、四十七年、四十八年、四十九年は、さらに不況の影響を受けまして激減をいたしております。
  81. 金瀬俊雄

    金瀬委員 大蔵省に質問いたしますが、高木総裁は大蔵省出身でございますので大蔵省にとっては先輩であるわけですが、大蔵大臣から、国鉄に対してどういう方策をとれとか、どういう助成をしろとか、どういう援助をしろとか、そういうことが閣議了解事項を含めて指示があったかどうか、その点について御答弁をお願いいたします。
  82. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 お答えいたします。  大臣の御指示は、国鉄及び運輸省国鉄再建の問題についてはまず第一に必死になって真剣に取り組んで考えていくべきであり、その考えた結果相談があれば、それについて親身になって相談に乗るように、と、こういうような御指示でございます。
  83. 金瀬俊雄

    金瀬委員 国鉄が今日のような破産状態になったことについて、最大の原因は何であるかということについて、大蔵省と国鉄の考え方を聞きたいと思います。
  84. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 最大の原因というお尋ねでございますが、原因は幾つかあるわけであります。そのうち構造的な原因といたしましては、先ほど来お話がございましたように、国鉄は明治以来日本の交通機関の中で覇を誇ってきたわけでありますけれども、その地位が崩れて、道路及び航空その他港湾といいますか、内国海運、これにだんだんその地位を脅かされてきたというところが構造的な原因だろうと思います。  それから、具体的にそれでは何でここまでの状態に立ち至ったのかということになれば、第一回目の再建計画につきましては、人件費が非常に上がったこと、第二回目の再建計画につきましては、運賃改定がおくれ、しかも石油ショックの関係もこれありまして、物件費及び人件費が莫大に上がったということが直接の原因かと思います。
  85. 高木文雄

    高木説明員 いろいろな原因が重なっていると思いますが、一つは、戦前は輸送手段の中でほぼ独占的と言っていいような地位にありましたのが、戦後、自動車にいたしましても航空機にいたしましても非常な展開をいたしてまいりましたのに対して、つまり、そういう競争輸送サービスに対しての対抗手段が必ずしも十分でなかったということがやはり言えるのではないかと思いますし、最近の状況といたしましては、思ったように収入が伸びないで、そして経費は意外にふえるというあたりに問題があるのではないかと思っております。  したがいまして、今後とも国鉄役割りを十分認識しました上で、時代の推移に対応しながらやっていかなければならない。そのためには、いま御指摘になっておりますところの昨年十二月に決定になりました閣議了解の線は最も中心的なテーマをとらえて指摘してくださっておりますので、その線によって御指導いただければ、そして私ども国鉄自体としてはむしろ内部の経営の問題を固めていくことに中心課題を置いてやってまいりますれば、十分立ち直り得るというふうに考えております。
  86. 金瀬俊雄

    金瀬委員 国鉄が一番赤字を出したのはだれが総理大臣のときだったか、それを言ってくれませんか。
  87. 住田正二

    ○住田政府委員 国鉄赤字でございますが、国鉄赤字になりましたのは昭和四十年からでございまして、逐年累増いたしております。一番多いのが昭和五十年度、昨年度が一番多いわけでございます。
  88. 金瀬俊雄

    金瀬委員 昭和四十五年から五十年までが一番赤字が累積して多くなったということの御説明がいまございましたが、財団法人余暇開発センターというところでこういうものを出しておりますが、これを運輸省あるいは大蔵省でもいいですが、だれか知っていますか。
  89. 住田正二

    ○住田政府委員 財団法人余暇開発センターという名前は承知しておりますけれども、そこでいろいろな文書が出ているかもしれませんが、いま先生のお持ちの文書はどういう文書かわかりませんが、まだ見ていないと思います。
  90. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これは前の通産次官がやっているものですよ。そうでしょう。それは知っていますね。それで、ずっと一般国民からとったアンケートが集計されているのですが、その中に、「この五年間の日本の経済政策は間違っていた」「悪政の極は日本列島改造」ということを書いてあるのですよ。こういうことが書かれて、これは朝日新聞にちゃんと出されている。その間、日本の経済政策が一番間違っておったときが国鉄が一番赤字が出たときなんですよ。これに対して国鉄なり大蔵省あるいは経済企画庁はどう思われるか。この政策が世論調査と違って正しかったのかどうか、あるいは間違っておったのかどうか、これを認めるのかどうかということです。認めなければ認めないで結構ですから、その点について質問を申し上げます。
  91. 住田正二

    ○住田政府委員 国鉄赤字が多くなりましたのは、いま御指摘がございましたように昭和四十五年以後特にその額がふえてきたと思います。しかし、昭和四十五年以降の赤字増大といまお話のありました列島改造論とは直接関係のないことでございます。  国鉄赤字原因は、先ほど来大臣からも御説明申し上げておりますように、収入面で運賃値上げの延期等を理由とする落ち込みがひどかったということと、それから経費、特に人件費物件費の値上がりが大きかったということでございまして、列島改造論に基づく国鉄のいろいろな投資の結果が赤字原因になったということではないと思います。
  92. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 ただいま運輸省から御答弁があったとおりだと思います。
  93. 佐々木孝男

    ○佐々木(孝)政府委員 ただいまの運輸省からのお答えのとおりでございますが、何しろ、一番大きなことは、計画が発足いたしまして直ちに石油ショックという非常に大きな経済的な変動が来たことが原因だと考えております。
  94. 金瀬俊雄

    金瀬委員 あなたは石油ショックが原因だというようなことを説明されましたが、石油ショックのことについては、ここにこういうことが載っているのですよ。石油ショックに対する日本政府の対応策は世界じゅうで一番まずかったと言うのです。そういうものに対する対応策、エネルギー対策が非常にまずいと書いてあるのにかかわらず、世界的な石油ショックが最大の原因だということは、国民はそういうふうに理解していないのですね。それに対する対応策が悪かったということをはっきりこれに書いておるけれども、それに対する経済企画庁の考え方をちょっと言ってみてください。
  95. 佐々木孝男

    ○佐々木(孝)政府委員 石油ショックに対する対応の方法についていろいろ御批判はあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、非常に急激に中東戦争の問題から広がってまいりました問題でございまして、その対処の方法が日本経済にとって初めての経験であったということがこのような結果になったものと考えております。
  96. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この統計を見ますと、日本の社会が最も悪い歩み方をしたのは昭和元年から五十年までだということが載っていますが、昭和元年から二十年までと昭和四十六年から五十年までが日本の経済政策とかいろいろな政策が悪かったときだということがはっきり統計に出ていますよ。そうすると、戦争をやっておったときは別として、戦争をやっておらないのにかかわらず、日本の国の経済政策が非常に間違っておったために特に国鉄は非常な影響を受けたということになるわけですが、その最大の影響を受けたのが日本列島改造計画によって高速道路をつくったこと、あるいはその他いろいろな政策が行われたためにインフレになった、そういう政策が国鉄に非常に影響を与えたというわけですから、国鉄そのものが内部的なことでこういう赤字にしたのか、あるいは外からの力が加わって国鉄赤字になったのかどちらかということになれば、どちらの方が多いか、それを答えてくれませんか。
  97. 住田正二

    ○住田政府委員 国鉄赤字というのは、言うまでもなく国鉄がかかった経費に見合う収入がなかったということだろうと思います。そういう収支のアンバランスが起きました理由は先ほど来申し上げておりますようにいろいろあるわけでございまして、その中には外部的な要因もあれば内部的な要因もあると思いますけれども、しかし、どちらが多いかと言えば、先ほど申し上げました収入の面から見ますと、運賃値上げの時期が非常におくれていたとか、あるいは経済的な要因によって主として貨物について輸送量が減退したとか、あるいはオイルショックに伴う人件費物件費高騰があったとかいうようなことで、外部要因の方がどちらかといえば多かったというふうに考えることができると思います。
  98. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、国鉄が今日のような赤字になったのは国鉄の内部が悪かったからだということなんですね。とにかくも、周りの方が悪いから国鉄赤字になったのではなくて、国鉄自身が悪いために赤字になったというお考えですか。
  99. 住田正二

    ○住田政府委員 先ほど御答弁申し上げましたのは、国鉄赤字には外部、内部といろいろ原因があると思いますけれども、どちらかといえば外部要因の方が多かったのではないかということを申し上げたわけでございます。
  100. 金瀬俊雄

    金瀬委員 重ねて聞きますが、そうすると、国鉄の内部ということよりも外側の方からの影響によって国鉄赤字になった、最大の原因は外からの環境の変化によるものであるというふうに考えておるということですね。
  101. 住田正二

    ○住田政府委員 そういうふうに申し上げたのではないので、いろいろ原因があって赤字になってきたわけでございますけれども、外部的な条件もあれば内部的な条件もあるが、どちらかといえば外部的な条件の方が大きいのではないかということで、大きいと申し上げたのは、金額的な意味で申し上げているわけでございます。  国鉄内部についても、たとえば再建計画では、昭和五十三年度までに十一万人の合理化をやるということで合理化を進めることになっておりましたけれども、合理化が予定どおり進んでいないという問題もございますし、他の交通機関との競争が弱くなれば弱くなったで、それに対する対応策を国鉄内部としても当然とるべきであるわけでございますので、国鉄赤字原因外部条件だけであるということではなくて、内部条件によるものもあるわけでございます。  しかし、たとえばこの三年間で申し上げますと、当初の計画では約九千億近い赤字が出る予定になっておりましたのが、三年間で一兆九千億と、予定よりも一兆円以上赤字がふえているわけでございます。  赤字のふえた原因を調べてみますと、収入で減った面と経費でふえた面と両方あるわけでございますが、そういう収入減、経費増を分析していきますと、金額的に見ると外部の条件の方が大きいのではないかということを申し上げているわけでございます。
  102. 金瀬俊雄

    金瀬委員 局長さんは大変率直に物を言わないようでございますが、国鉄の内部の要因国鉄を今日のような状態にした率と外部要因国鉄を今日のような状態にした率から言えば、これは政策の失敗、つまり外部要因の方がはるかに多いと思う。そういうことをはっきりあなたは認めることはできますか。どう思いますか。
  103. 住田正二

    ○住田政府委員 何遍も同じような答弁を繰り返すわけでございますけれども、国鉄赤字原因には外部からの原因によるものと内部的な原因によるものと両方あるわけでございまして、外部的な要因の方が金額的には大きいということは認めざるを得ないと思います。
  104. 金瀬俊雄

    金瀬委員 それでは、次に質問いたしますが、たとえば国の政策の中で国が総合交通体系に対して責任を持つということがあるとすれば、いままで国の政策の中で、道路に対して、港湾に対して、航空に対して、海上交通に対して国がいろいろ助成をしたり援助したりした金額と、それから鉄道が国から受けた助成とか援助とかいう金額と、そういうものに非常に不公平がある。このことについては私どもの斉藤理事が本会議において質問をいたしておりますからすでに御存じと思いますが、それを読み上げてみますと、「政府は、道路整備に十八兆八千七百億円、港湾建設に二兆三千億円、空港にすら五千五百億円の投資を行ったにもかかわらず、国鉄に対しては、わずかに九千八百億円の出資と助成にすぎません。それは道路の二十分の一であり、港湾の二・四分の一であります。やらずぶったくりとは、まさにこのことであります。国鉄財政が破綻してあたりまえではありませんか。」と言って、総理に対して、これに対する総理の見解はどうかということを聞いております。答弁の中で総理はそのことについては触れておりませんが、国鉄なり運輸省なり大蔵省は、この不公平な政府の助成ということについていまどう考えていますか。
  105. 住田正二

    ○住田政府委員 国鉄赤字原因が、国の政策が誤っておったというような御指摘理解いたしているわけでございますが、国の政策が誤っているかどうかという点について、まず、一つ総合交通体系を国が当然やるべきであるというような御理解があるようでございますけれども、総合交通体系というのは本来行政指針的なものでございます。総合交通体系というのは何かと言えば、輸送機関は陸、海、空、陸の場合には自動車、鉄道とあるわけでございますが、それぞれ交通機関には特性といいますか、長所があるわけでございまして、そういう長所を組み合わせて最も効率的な輸送体系に持っていくというのが総合交通体系でございます。  しかし、日本の場合には、市場原理といいますか、自由主義経済体制のもとに経済が運営されているわけでございますので、統制経済のように強制力をもって貨物の流れを規制するということはできないわけでございまして、あくまでも一つの指針的なものにすぎないわけでございます。学者によっては青い鳥にすぎないというようなことを言われる方もおります。したがって、総合交通体系というのは万能なものではなくて、総合交通体系をつくればすべて問題が解決するというものでは決してないと思うわけでございます。ただ、行政に当たって、そういう総合交通体系を描きながらできるだけ効率的な投資をするということは必要であろうかと思います。  先ほど斉藤委員の国会における質問を引用されてのお話がございましたけれども、これは先ほど兒玉委員にも御答弁申し上げわけですが、投資が不公平であるかどうかということの判断でございますけれども、国鉄には一般財源からの投資が少なくて道路や航空には非常に多い、だから不公平であるというお考えだといたしますと、利用者負担という点から見ると、道路の場合には大体九〇%以上のものが道路利用者、すなわち自動車関係者から税金の形で出ている、空港の場合も通行税を含めますと一〇〇%近い金が投資に回っておるということでございますので、決して不公平という話ではないのではないかと思います。
  106. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 お答えいたします。  おっしゃる総合交通体系の議論というのは、いわゆるイコールフッティング議論に基づいたお考えかと思うわけでありますが、昭和四十四年ごろ、第一次の再建計画をつくりますころには確かにそういうような議論もございまして、鉄道に対してもう少し何とか考えられないのかという議論があったわけであります。ただ、問題を詰めてまいりますと、このイコールフッティングは何に基づいてイコールなのかというところがはなはだ問題でございまして、はかります尺度の基準というものがどうもはっきりしなくなってくるわけであります。  いまおっしゃっておられますように、道路には国から出している金が多いぞということでありますが、確かに多いのですけれども、これは先ほど御答弁がありましたように、自動車関係諸税を道路に投入している部分が非常に多うございます。その自動車関係諸税につきましても範囲のとり方が非常にむずかしゅうございますけれども、最大限をとってまいりますと、五十一年度で言えば一〇〇%以上自動車関係諸税の方が道路投資額よりも多いという数字も出てくるというふうなことで、どこまでどういうふうにとっていったらいいのかということがなかなかむずかしゅうございます。  ただ、昭和四十四年以来、航空につきましては着陸料等について次々にふやしてまいりますし、当時はございませんでした空港の特別会計もつくって、その辺のところの経理がはっきりしておるということでございますし、道路関係につきましても、自動車関係諸税が重量税を初めとして揮発油税等の増徴もやってきているというようなことを片方でやっているわけでございます。それに反しまして、鉄道、特に国鉄の場合につきましては税を取るという方ではございませんで、そちらの方はもともと通行税について一部議論があるだけでございますが、その他についてはない。片方、国庫助成の方は当時に比べますと何倍となくふえていっているわけでございまして、私ども、現時点におきましては、イコールフッティングの議論というのは議論をする値打ちが少し乏しいのではなかろうかと考えております。
  107. 金瀬俊雄

    金瀬委員 総合交通体系ということであればお客本位なんですよ。どの乗り物を使っているお客が国の援助を一番受けているかということを基本にしてやらなければならないと思うのですよ。だから、国鉄に乗っているお客はどのくらい国の助成を受けているか、飛行機に乗っているお客はどのくらい国の助成を受けているか、フェリーなり船を利用している人は国の助成をどのくらい受けているか、自動車に乗っている人はどのくらい国の助成を受けているかということになると、細かい計算をしてみれば国鉄に乗っている人が一番受けていないということになるわけで、それが国鉄赤字になった最大の原因なんですよ。そういうことを考えないで、これは数字だけ並べただけではだめだというお考えのようでありますけれども、そういうことが根本的に間違っているのではないか、と、さように私は思っております。  ですから、国鉄総裁は大蔵省にいたのですから、大蔵省にいたときに見た国鉄と、いま国鉄に来てみて、いかに国鉄総合交通体系の中で不遇に置かれているか、不公平な処遇を受けているかということについて感じているかいないか、それを御答弁願います。
  108. 高木文雄

    高木説明員 私は、大蔵省におります当時に国鉄の問題に直接にはタッチしたことはないわけでございますが、中でいろいろ議論がございました。国鉄財政のあり方というようなことについては、率直に申し上げて、前から内部でもいろいろ議論をいたしておりました。  その場合に、何と申しましても明治からの非常に長い問の巨大な経営体としての国鉄というものがみんなの頭に残っておりますものですから、率直に申しまして、いろいろ困っているようだがどうにかやるだろうというような、非常に力強い巨大な組織だという観念がまずありまして、そして明治以来非常に健全に大きな力をもってやってきたわけでございますから、いろいろな御要求が各省各庁からあって、あれもやらなければならぬ、これもやらなければならぬというときに、まあ国鉄は何分長い歴史があり、財産もたくさん持っているし、うまくやっていくだろうというような感じが漠とあったような感じがいたします。それがここまで来ますといよいよどうにもならぬということがはっきりしてきたわけでございますので、今回過去債務のたな上げについてかなりの額の財政支出をして手を差し伸べるという形を政府側がとりましたということは、私が承知しておりますいままでの大蔵省の考え方から見ますとかなり飛躍的な手を打ってもらっているというふうに考えます。  今後どうあるべきかということは、いま先生から御指摘のようにいろいろな問題がございますし、特に、エネルギー問題というものが発生しました後において、もろもろの交通手段をどういうふうに分担を決めていくべきかということを改めて考え直さなければならない時期に来ているのではないか、その意味で国鉄の持つ役割もまた改めて見直していただいてしかるべき分野があるのではないかと思っておりますが、それはもう少し時間をかけさせていただきませんと、私自身の考え方を申し上げるには至っておらないということでございます。
  109. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この問題を掘り下げてまいりますとまだいろいろな議論があると思いますが、これは国鉄を長男、道路の方、自動車で走っている人を次男、それから船で行っている人を三男、飛行機に乗っている人を四男だとすれば、長男は学校を卒業してもう全然めんどうを見なかったと同じです。あと、ほかの方をだんだんと大学院とか博士号を取るまでめんどうを見ちゃって、えらく助成を与えておいて、長男については、このやろう、おまえだけばかじゃないかと小言を言っているのと同じで、それは国鉄に対する不公正というか、公正さということについては国が相当根本的に考えなければこの問題は解決できないのだと私は考えています。総裁は大蔵省から来たわけですから、大蔵省の頭を切りかえるように、まず長男のめんどうをよく見ろということから出発をしてもらわないとこれはなかなかよくならないです。  いまのはたとえば話で質問をしたのですが、その次に、いま大都市に人口が大変集中してきておりますが、これは国の政策で過疎過密がだんだん激しくなってきているわけですから、そうなってまいりますと大都市に交通機関を整備しなければいけないということになるわけです。その場合に、人口が集中することによって設備投資は国鉄が大変請け負わなければならないと私は考えておりますが、設備投資が人口の集中によってどの程度の影響を受けておるかということについて御質問をいたします。
  110. 住田正二

    ○住田政府委員 大都市交通の手段としては、国鉄、私鉄、地下鉄、公共バスといろいろあるわけでございますが、国鉄に関して申し上げますと、昭和四十五年から昭和四十九年までの五年間に大都市交通対策として投資しました金額は総計で二千三百二億でございます。
  111. 金瀬俊雄

    金瀬委員 いまの問題を切りかえて簡単に申し上げますと、いままでたとえば東北の方の過疎地で国鉄を敷く場合に一キロにどのくらい金がかかるといってやった予算と、都市、東京のど真ん中の一番金のかかるところで鉄道を敷く場合にやった予算と比較してみた場合、昔はそう変わらなかったのじゃないかと思うのですよ。ところが、最近人口が東京へ集中するようになってきてから、都市で設備投下する場合にどのぐらい昔との格差があるかということなんですが、わかりますか。たとえば昔は二倍ぐらいで済んだのがいまは十倍になっているとか、三十倍になっているとか、そういう格差はどのくらい開いているか。
  112. 高橋浩二

    ○高橋説明員 お答えいたします。  いまの先生の御質問は、昔なら都市の中には住宅も少なくて比較的閑散地域と同じような状況だった、そういう場合には建設費は一キロ当たりほぼ同じだったんじゃないか、それが最近のように都市に集中して人口が多くなって、しかもかたい建物が非常にある、そこで通勤対策等の鉄道をつくると田舎に比べて非常に金がかかるのじゃないかという御質問かと思いますが、そういう御質問だといたしますと、昔は同じくらいだったのが、ただいまは、地方のたんぼあるいは山の中でつくる線路に比べまして、東京等では、あるいは場合によっては地下にしなくちゃならぬとか、あるいはかたい建物を移転して高架橋をつくらなければならぬというものを総合いたしますと、平均いたしますと、いまでは地方に比べまして大体十倍ぐらいの建設費がかかるというふうに考えております。
  113. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、新規の設備投資費が昔から比べると十倍ぐらい高くなっている。この十倍ぐらい高くなった最大の原因というものは国鉄がしょうべきかどうか。その値段が高くなっているのは国鉄責任があって高くなったならば国鉄がしょうべきだけれども、国鉄責任があることかどうかということについて、これは運輸省経済企画庁と大蔵省に質問いたします。それは国鉄責任があるかどうかということについて答えてください。
  114. 住田正二

    ○住田政府委員 交通事業に限らず、一般企業の場合には、昔から古い施設を持っておって、それから需要の増加に伴って新しい投資をするというやり方をしているわけでございまして、昔つくった施設は非常に安くできたけれども最近つくる施設は非常に高いということは、最近の物価が上がってきている状態ではそういうケースが一般的であるわけでございます。  国鉄の場合にも、同じ大都市交通線で、昔中央線をつくったときの価格と最近複々線化したときの価格というのは大変な開きがあるわけでございますが、そういうものがプールされて国鉄の簿価というものを形成して償却が行われているわけでございます。したがって、そういう償却あるいは金利負担が非常に大きくなって国鉄経営を圧迫しているという場合には何らかの配慮をする必要があるということで、従来は出資と工事補助金の両方をやりまして金利負担あるいは償却負担を減らしており、今後は工事補助金によりまして金利負担を減らしていくという助成を続けることにしているわけでございまして、新しい投資が非常に高いということだけをとらえてやるのではなくて、国鉄の場合にはいろいろな投資をいたしておりますので、そういう投資全体を見て、その金利、償却がどうであるかということを見ながら検討を進めていけば十分ではないかと考えております。
  115. 金瀬俊雄

    金瀬委員 むずかしい理論を言わなくてもいいんだよ。東京なり名古屋なり大阪なり、大都市に人口が集中してきているというのは、大都市の方が生活しやすいから、田舎には仕事がないから出てくるということですね。そうでしょう。そういうことが行われて、そこへやっぱり通勤列車を通さなければいけないし、電車を通さなければいけないということになっているわけだ。その場合に、国鉄工事費が相当高騰してきているのは国鉄責任があるのか、あるいは内閣の方に責任があるのか、どこに責任があるのかということをはっきり言ってくれればいいんだよ。国鉄責任があるなら国鉄責任があると、それはみんな国鉄が悪いんなら国鉄が悪いんだと言ってくださいよ。そうではなくて政府の方が悪いんだというなら政府の方が悪いということをはっきり言ってくださいよ。その値上がったのはみんな国鉄が悪いというんなら国鉄が悪いでいいですよ。どっちかはっきりしてください。     〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕
  116. 住田正二

    ○住田政府委員 工事費高騰した原因政府にあるのか国鉄にあるのかということは非常にむずかしい話だと思いますが、大都市交通線を整備するという責任国鉄にあるわけでございます。
  117. 金瀬俊雄

    金瀬委員 大蔵省が来ているから、大蔵省から……。
  118. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 この問題は、どこが悪いかかしこが悪いかという、いい、悪いで言うべき話ではないんじゃなかろうかと思います。現実の問題として都市の工事費が高い、こういうことではなかろうかと思います。
  119. 高木文雄

    高木説明員 私どもの立場から申しますと、とにかく人口がふえて、それに対応しなければならないというのは、だれが悪いとかいうことは別にして、やはり私どもの役目だと思います。そこが普通の私的機関と違いまして公共機関でございますから、大ぜいの方の通勤に対して、結果として人口がふえて過密になったという状態を目の前にしました場合に、それに対応する対策を立てて少しでも混雑を緩和するということは私どもの役目だと思います。  その場合に、地方で一キロつくりますのと東京で一キロつくりますのでは、経費といいますか、コストがかかるのは事実でございますけれども、さて、その場合にそれでは収入はどうかということになりますと、やはり過密地帯では利用者の方が多いわけでございますから、収入の方も地方と比べてはうんとふえるわけでございまして、そこで、単に経費あるいは投資がよけいかかるから助けていただかないと線路をつくれないかというと必ずしもそうは言えませんので、そこは、収入経費とを対応してみてどういうことになるかということで考えなければならないと思います。  今日まで約十年間、東京を例にとりますと、五方面作戦ということで五つの路線の強化に努めてまいりまして、かなりの事績を挙げてまいったと思いますが、それはまたそれなりにかなりの収入を挙げてきておるわけでございますから、現段階で都市の通勤圏のための増強のために格別の援助をいただかなければならないかどうかということについては今後なお検討いたしますが、現段階ではまだそこまでは考えていないというところでございます。
  120. 金瀬俊雄

    金瀬委員 何となく責任を逃れるような、責任回避的な答弁が大分ありますが、簡単に申し上げますと、田舎で工事やる場合と都会でやる場合の工事費の格差というものは昔もあることはあったと思いますよ。しかし、昔から思うと格差が非常に広がったということも、先ほど答弁があったように事実だと思います。そのことは国鉄責任があることなのか、政府の政策の誤りに責任があることなのかということを質問しているわけですから、これは国鉄責任のないことならばないということをはっきり答弁してもらえばいいわけですが、答弁すると後でまずいことになるというふうな考えか何かわかりませんが、答弁を渋っておるようでございますので、この問題は打ち切ります。  それから、国鉄を取り囲む社会的な環境が非常に変化しておるということで現在の国鉄の問題を考えなければ国鉄の問題はなかなか解決しないのではないか。だから、国鉄の内部の問題だけを整理するとか改革するとか、そういうことで片づけようとしておるいまの考え方については私は非常に疑問を持つわけですが、なぜ総合交通体系全体の中で国鉄の問題を処理しようとしないのか、このことについては大臣から率直な答弁をお願いします。
  121. 木村睦男

    木村国務大臣 国鉄再建問題を処理いたしますときに、全体の社会的な環境の変化あるいは交通全般の環境の変化ということを十分考えなくてはいけないと思います。  総合交通体系の中で国鉄をどう位置づけて今後再建を図るかということは、つまり、いま金瀬委員質問なさったその点を言っておるわけでございまして、これがまずいと、過去にありましたようにそれらに対して適切な対応をすることができなかったということで、そこでまた蹉跌が起こる、こういうことになると思います。
  122. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この閣議了解事項の「再建基本理念」の「国鉄の役割」の中で、国鉄が重点的に果たすべき役割りについて決めておりますが、国鉄が自分の役割りを果たすのになぜ独立採算制でやらなければならないのか、なぜ独立採算制とか自立経営でなければならないのか、その原因を言ってみてください。
  123. 木村睦男

    木村国務大臣 国鉄が独立採算制を指向するという前提になっておりますのは、いまの公共企業体日本国有鉄道という制度ができたそもそもの始まりに、そういうことで日本国有鉄道を運営しようということで公共企業体が生まれたわけでございますので、生まれたときから持っておる使命なのでございます。
  124. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、国鉄はどんな悪政のもとでもどんな環境の変化のもとでも独立採算制でなければならないというふうにお考えかどうか、その点について……。
  125. 木村睦男

    木村国務大臣 いかなる環境の中でも、現在の公共企業体日本国有鉄道はやはり独立採算制を指向していくということにしていかなければいけないと思います。
  126. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうなってまいりますと、政府で考えておるところの、この中にある「わが国の総合交通体系」というのはどういうことなのか、その定義を説明していただきたいと思います。それはどういうことを言っているのか。
  127. 木村睦男

    木村国務大臣 総合交通体系というのは非常にむずかしゅうございますので、どういうふうに説明をすればよろしいか戸惑うわけでございますが、日本という一つの社会における国民の社会生活の中で、交通機関を利用しなければ社会生活は成り立たぬわけでございますが、その利用する交通機関が交通機関の種類によってそれぞれ機能、使命等も違うわけでございます。それらの機能や使命の違いによって国民の利用する度合いから方法から違うわけでございますが、各交通機関が持っておるそういう特色と、これを利用する国民利用者の側との間の調整が常にバランスがとれておるように成り立っていくことによって総合交通体系がりっぱに確立されるものであると、かように私は考えておるわけでございます。したがって、それからいきますと、国鉄の持っております大量性、頻繁性あるいは安全性、そのほかにもいろいろな機能がございますが、それらが国民の求める交通機関の態様とぴったり合ったように利用されるかどうかという位置づけをすることが総合交通体系の中における国有鉄道の位置づけというふうになるのではないかと思います。  非常に稚拙な表現でございますのでおわかりにくいと思いますが、気持ちをお察しいただきたいと思います。
  128. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この文章の中に「都市間旅客輸送」ということが書いてありますが、これはどんなことなのか、具体的に例を挙げて説明願いたいと思います。これは国鉄でも結構ですし、運輸省でも結構です。
  129. 住田正二

    ○住田政府委員 都市間旅客輸送といいますのは、たとえば東京−名古屋あるいは名古屋−大阪、大阪−広島というような都市の問の旅客輸送の意味でございます。
  130. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうなってまいりますと、「大都市圏旅客輸送」の「大都市圏」というのと、この「都市間」というのは別ですな。大都市圏というのはどういうことを言うか、それをお答え願いたい。
  131. 住田正二

    ○住田政府委員 大都市圏旅客輸送というのは、東京とかあるいは名古屋、大阪とか——大阪の場合京阪神といいますか、東京の場合も京浜とか、そういう大都市圏の中の旅客輸送の意味でございます。
  132. 金瀬俊雄

    金瀬委員 では、大都市圏というのはどの範囲を言うのか、東京ではどの範囲で、それから名古屋、大阪ではどの範囲を中心からのキロ数で決めてあるのか、あるいは時間で決めておるのか。何時間以内なのかあるいは何キロなのか、どういうことなのか、これをはっきり言ってください。
  133. 住田正二

    ○住田政府委員 大都市圏の範囲でございますけれども、大体五十キロ圏内くらいを指すと思います。
  134. 金瀬俊雄

    金瀬委員 通勤時間で言うとどのくらいですか。
  135. 住田正二

    ○住田政府委員 通勤時間で計算しますといろいろ変わると思いますけれども、一時間ないし一時間半というところだろうと思います。
  136. 金瀬俊雄

    金瀬委員 いま、大都市への人口集中を回避して、大都市の人口を減少させるような方策について、運輸省あるいは大蔵省、経済企画庁、建設省、国土庁等は考えたことがあるかどうか。
  137. 中村四郎

    中村(四)政府委員 大都市圏の人口の地方分散について運輸省で何か考えたことがあるかというお話でございますが、最近の人口の移動状況を見ますと、地方圏におきましては、地方の中核都市あるいは中枢都市、あるいは県単位で申しますと県庁所在地とかいう都市におきまして人口が増加してきております。大都市に対しても、流入状況は依然として続いておりますが、その流入率は若干鈍化してきておるという状況でございます。  私どもの方としましては、環境整備の一環としての地方都市交通の整備に力を用いていかなければならないと思っております。
  138. 相良英明

    ○相良説明員 国土庁では、現在第三次全国総合開発計画というものを策定作業中でございまして、この作業の一環といたしまして、昨年の十二月に第三次全国総合開発計画の概案の閣議の御了解をいただいたわけでございますが、この中に、昭和六十年を目標年次といたします人口の長期的な定住構想を一応見込みとして出しております。これは実は昭和四十五年をベースといたしまして昭和六十年を見通しておるわけでございますけれども、このやり方に二通りの見通しを出しておりまして、一つは、相当に政策的な努力を払いまして大都市に集中するのを抑制して、そして地方を振興するというタイプと、それからもう一つは、現在のような趨勢で人口が伸びていくという、この二つのタイプに分けて予測を出しております。  それによりますと、一応全国を三大都市圏に——これは東京都とかあるいは大阪府とか、一都二府九県でございますけれども、それを大都市圏と呼びまして、それ以外の県を地方圏と呼んでおるわけでございますが、その場合の人口の全国シェアを見てまいりますと、昭和四十五年現在では三大都市圏では全体の四三・五%、地方圏では全体の五六・五%であったわけでございます。これが昭和六十年を見通しますと、相当に政策努力を払いました大都市集中抑制、地方振興型の構想によりましても、大都市圏の全国シェアは四四・二%になり、そして一方地方圏は五五・八%に若干落ちるという結果になっております。一方、現在の趨勢がそのまま続くというふうに見ますと、三大都市圏におきましては五一・六%、地方圏では四八・四%という結果が出ておりまして、私どもといたしましては、いかにして大都市集中抑制型の人口の定住の構想へ近づけるかということをこれからの検討の課題としておるところでございます。
  139. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 大蔵省といたしましては第一次的にこの問題について取り組む立場にないわけでありますが、各省各省におかれまして、それぞれのお立場におきまして大都市からの地方分散施策について御検討をいただいておるわけでありまして、その検討結果につきまして御協力を申し上げているところであります。
  140. 金瀬俊雄

    金瀬委員 大都市圏へ人口が集中しておる傾向はなかなか直ってこないということが結論だと思いますが、そうなってまいりますと、国鉄が新規の設備をしたり新しい交通線をつくるという場合に、設備費が上がるわけですからいままでより以上に国鉄経営に影響を受けるわけですが、この点については国鉄はあくまでも、そういう国の政治の影響によって人口が集中してきて工事費が上がることまで国鉄ががまんをしてやらなければならないというふうにお考えなのか、あるいは政府に対してこういう点については強力に働きかけるというのか、その点について御答弁願いたいと思います。
  141. 高木文雄

    高木説明員 先ほども申しましたように、経費がかかる面だけでは、助けてもらうというか援助をしてもらうことにはならないので、収支全体を見ていかなければならないと思いますが、私はその点の勉強がまだちょっと足りませんので、ここでのお答えはお許しいただきたいと思います。
  142. 金瀬俊雄

    金瀬委員 それでは、後でこの点については質問することにしまして、先を続けます。  「国鉄の役割」というところに書かれておりますが、「中長距離・大量貨物輸送」というのは具体的に言うとどんなことなのか、御説明いただきたいと思いますが、第一点は、中長距離とは最短どのくらいの距離を言うのか、それから「大量」ということが書かれていますが、大量とはどのくらいで、最も少ないというのはどのくらいの量なのか。
  143. 住田正二

    ○住田政府委員 総合交通体系の中で国鉄の貨物の役割りとして中長距離大量輸送ということが言われているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、総合交通体系というのは、国鉄貨物輸送の特性が最も発揮できる分野はそういうところではないかということで書いてあるわけでございます。  中長距離の定義でございますが、国鉄が輸送しております平均距離というのは大体三百キロぐらいでございますので、「長」の方はそれ以上ということになると思いますが、大体三百キロぐらいではないかと思います。ただ、国鉄貨物輸送の特性から言いまして、大量、定型、低速というのも国鉄貨物輸送に適した貨物でございます。たとえば石灰石をピストン輸送で運ぶというようなケースもあるわけでございまして、そういうような場合には距離はさらに短くなると思います。  それから、貨物の単位でございますが、そこに書いてあります「中長距離・大量貨物輸送」の「大量」という意味はあくまで一列車単位ということでございます。したがって、石炭とか木材とか石灰石というようなものを一列車分で運ぶというのが国鉄貨物輸送に最も適した輸送である。ただ、そういう原材料のような大量輸送と違いまして、一方国鉄はコンテナ輸送もやっておりまして、コンテナの場合には貨物の単位は小さくなってくるわけでございます。
  144. 金瀬俊雄

    金瀬委員 中長距離というのをキロ数で言ってくださいよ。このくらいが中距離でこのくらいは長距離だと……。  それから、大量というのはどの程度のものを大量と言うのか、大量の中は同質の物を大量と言うのか、あるいは送る物が違うわけですから、送る物を含めての大量なのか、それをちょっと説明してください。
  145. 住田正二

    ○住田政府委員 中距離は、先ほど申し上げましたように大体三百キロ以上ということだと思います。長距離は、長いときは千キロ以上になりますけれども、三百キロ以上を含めて中長距離ということになると思います。  それから、輸送量の方でございますが、一列車単位というのは、石灰石のような原材料の場合には一列車全部石灰石とかあるいは石炭ということになると思いますが、一方、コンテナのような場合には、いろいろな製品をコンテナに詰めまして一列車単位で輸送するということでございます。
  146. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この「国鉄の役割」というところに国鉄の本来の使命ということが書いてありますが、本来の使命ということはどんなことなのか、それを国鉄運輸省と両方で答えてください。
  147. 住田正二

    ○住田政府委員 国鉄の使命というのは、運送サービスを提供するというのが国鉄の使命でございます。  国鉄は現在二万二千キロという線路を持って運送サービスを提供しているわけでございますが、その中での主たる任務として、都市問の旅客輸送、大都市圏の旅客輸送、中長距離の貨物輸送というものを主たる役割りとしている以外に、それ以外の地域においても国鉄旅客、貨物の輸送サービスをする、これが国鉄の使命でございます。
  148. 田口通夫

    ○田口説明員 鉄監局長が申されましたように、国鉄は本来の使命は旅客輸送、貨物輸送であります。その中で特に重点的にその役割りを果たすのが都市問旅客輸送、大都市圏旅客輸送及び中長距離大量貨物輸送ということでございまして、特に、旅客、貨物につきましてはこれを重点にサービスのアップに努めたいと考えております。
  149. 金瀬俊雄

    金瀬委員 国鉄の本来の使命というのは、簡単に言えば国民の足を守ることであるというふうに私どもは簡単に理解しておりますが、国鉄の本来の使命というものと、いま説明がございました国鉄が重点的に果たすべき役割りというものとの間にどんな差があるか、それを言ってみてくれませんか。本来の使命と重点的に果たすべき役割りとでどういうふうに差があるか。
  150. 住田正二

    ○住田政府委員 国鉄は、先ほど申し上げましたように二万二千キロの線路を持って旅客、貨物の輸送サービスをやっているわけでございます。その中で主として重点的に果たす役割りは都市間旅客輸送、大都市圏旅客輸送あるいは中長距離の貨物輸送ということになると思います。  かつて国鉄は明治以来独占的な形で経営をしてきたわけでございますが、その独占的な場合には、主たる役割りということではなくて、すべて国鉄の所有する線路を利用する運送サービスについて最終的に国鉄責任を負わなければいかぬわけでございますけれども、特に戦後、道路運送が発達してきたとかあるいは航空運送が発達してきたということによりまして、国鉄がいままで独占的な形態のもとでやっておったサービスの中で自動車輸送にかわってもらうような範囲も出てきているわけでございます。たとえば昔は、近距離の貨物輸送であってもほかに手段がない場合には国鉄が運ばざるを得なかったということでございますけれども、現在は、近距離の貨物輸送についてはトラックが国鉄の昔の役割りを演じているということでございます。  したがって、二万二千キロ全部について運送サービスをいたしておりますけれども、主としてやっているのは先ほど挙げた三つの分野の輸送であるということでございます。
  151. 金瀬俊雄

    金瀬委員 国鉄が本来の使命を達成することが現在の国鉄経営にどのような悪影響を及ぼしておるかということについてお考えがあったら知らせてください。  悪影響というのは、本来の使命を達成するために赤字になっておるということがあると思うのですよ。そのことについてどんな影響があるかということですが、それの説明をお願いします。
  152. 住田正二

    ○住田政府委員 国鉄は全国にわたりまして運送サービスをいたしておりますが、運送サービスの中身は旅客サービスもあれば貨物サービスもあり、いろいろなサービスを提供いたしているわけでございます。  これは国鉄だけではなくて、郵便にいたしましても電話にいたしましても、全国的に公共的なサービスを提供している公共企業体の場合には非常にもうかるところもあればもうからないところもあるが、もうかるところだけが本来の使命であってもうからないところが使命ではないというわけではないわけでございまして、すべてが本来の使命である。したがって、公共企業体の場合には、もうかるところの利潤でもうからないところの赤字を補てんするという内部補助関係で経営を維持するというのが一般的なやり方であるわけです。したがって、国鉄の場合にも赤字の部分があるというのは当然の話ではないかと思います。
  153. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、国鉄の路線にはもうかるところも赤字のところもあるが、もうからないところでも、足を守るということで、本来の使命を達成するためにやらなければならない。そういう場合にもうからないところも政策的にやるということだとすれば、そのもうからないところに対してはもうかる方から金を回すということなんですか。
  154. 住田正二

    ○住田政府委員 国鉄のみならず、公共企業体の場合には、先ほども申し上げましたように、もうかる部門ともうからない部門とがあるわけです。郵便にいたしましても、恐らく都市周辺の郵便というのはもうかって、田舎の方の郵便がもうからない。それをプールして経営している。電話でも同じことではないかと思います。したがって、公共企業体の場合には従来そういう内部補助関係で経営を維持していくということでやってきたわけでございます。ただ、独占力の強い状態ではそういうことができるわけでございますけれども、独占力を失ってきた状態では——特に国鉄の場合でございますけれども、独占力を失ってきますと、他の交通機関との競争関係から運賃が自由に上げられないということになるわけでございます。そういう状態になった場合に赤字分をどうするかということで問題が生じてくるのではないかと思います。  今回の国鉄再建に当たりましては、そういう赤字部門をどういうふうにするかということがやはり今後の一番大きな問題であるわけでございます。大きな赤字部門と申しますのはやはり地方交通線の問題と貨物の問題ではなかろうかと思いますが、貨物の問題につきましては、そこの再建対策要綱に示してありますように、昭和五十五年度までで固有経費についての収支の均衡を図る、そのための徹底的な合理化を行うということにいたしているわけでございます。  一方地方交通線につきましては、これは非常にむずかしい問題でございますが、今後地元との問でいろいろな選択案を考えながら赤字を減らす方向検討いたしたい。その場合に国としても必要な行政上、財政上の支援を与えていくということにいたしているわけでございます。
  155. 金瀬俊雄

    金瀬委員 国鉄赤字路線をつくる場合がございますね。これはつくっても完全に赤字になるということがわかっておりながらつくらなければならない路線が政治路線であると思いますが、その政治路線の計画はいまどのくらいありますか。
  156. 住田正二

    ○住田政府委員 現在鉄道新線をつくっておりますのは国鉄ではなくて鉄建公団でございます。  鉄建公団で現在工事をいたしております路線は三十一線、延べで千三百五十キロメートルでございます。この関係の本年度の建設費予算は三百五十億円を予定いたしております。  いま政治路線というような御指摘がございましたけれども、こういう鉄道新線は、地域住民の福祉のためあるいは地域開発のために、地元住民の要望によりまして、それを検討いたしまして建設いたしているものでございます。
  157. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この千三百五十三キロですか、千三百五十キロですか、私の資料要求によりますと千三百五十三キロになっておりますが、この千三百五十三キロという中にこの線は完全に黒字になるというところがあったら説明してくれませんか。
  158. 住田正二

    ○住田政府委員 現在進めております三十一線につきまして、現在の五円十銭の運賃で黒字になるという路線はございません。
  159. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、この路線の長さは東京−博多問の新幹線よりも二百キロ長いわけですね。いまからおたくの方で赤字であるということがわかりながら建設しようとしておるのは東京−博多間の新幹線よりも二百キロ多いわけだ。それを建設すればするほど赤字になるわけだ。つくらない方がいいことがわかっておってもつくるということはどういうことなのか。赤字になった場合には後で絶対に政府が助成するとか、あるいは国が金を出してやるとか、何かそういう約束があってっくるのかどうなのか。
  160. 住田正二

    ○住田政府委員 三十一線の中には竣工後非常に大きな赤字が出る路線もあれば、そう赤字幅の大きくない路線もあり、いろいろあるわけでございまして、私どもといたしましては、これらの鉄道新線ができた暁において国鉄経営負担になることがないようにいろいろ考えていきたいと思っているわけでございます。  最終的にどうするかということございますが、先ほど申し上げましたように、地方交通線について今後一年間ほど時間をかけていろいろ対策を講じたいと思っておりますが、その一環において処理したいと考えております。  最近、鉄道新線につきまして私どもの方に地元市町村あるいは議会の方が来られましていろいろ陳情を受けるわけでございますが、その際、こういう鉄道新線ができ上がって国鉄経営上の負担になることを皆さんはやはりお考えになっておられるんだろうと思うのですけれども、でき上がったら現在の運賃の三倍でも四倍でもいいから、赤字にならないような高い運賃でもいいからつくってほしいというようなお話も受けておるわけでございます。したがって、そういう御提案一つの考え方ではないかと思っておるわけでございまして、そういうような方法もあわせまして国鉄負担にならないような方向で解決いたしたい、さように考えているわけでございます。
  161. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この千三百五十三キロの赤字ローカル線ですか、三十一線、これは将来国鉄負担にならないような、赤字になった場合は国が助成するような約束があるわけなんですか、それともないのですか。約束がなくてもここが完成したら汽車を走らせますか。約束がなくても電車なりディーゼルカーなりを走らせればもっともっと赤字がふえるわけだけれども、そういう勇気が国鉄にあるのですか。
  162. 住田正二

    ○住田政府委員 いま申し上げましたように、鉄道新線が完成すればもちろん列車を走らせるわけでございますけれども、でき上がりました後で国鉄経営上の負担にならないような措置をいろいろ考えたいと思っております。  先ほど申し上げましたように、地元の方の御提案で、運賃を三倍にも四倍にもして赤字がないようにする方法もあるじゃないかという御提案もあるわけでございまして、そういうような御提案も含めて、先ほど申し上げました地方交通線の今後の取り扱いの中で最終的な方針を決めていきたいと考えております。  ただ、鉄道新線につきましてはできるだけ人を使わなくても済むような合理的な構造になっております。これは全額国が出資して、その出資でやっているわけでございますので、償却、金利負担もないわけでございます。また、運営費につきましてもいま申し上げましたように非常に合理化されておりますので、そう大きな経費はかかりませんので、先ほどお話し申し上げましたような地元からの御提案のあるような線は、大体三倍ないし四倍の運賃であればそう赤字が出ないで済むのではないかというように見ております。
  163. 金瀬俊雄

    金瀬委員 三十一線のうちどこが一番赤字になる可能性があるのか、その線はどこなのかをお答え願いたいと思います。
  164. 住田正二

    ○住田政府委員 現在建設を進めている路線の中で、収支係数の面で一番大きな収支係数となるのは美幸線だと思います。ただ、収支係数が大きくても赤字の絶対額がそれほど大きいということではございませんけれども、収支係数は美幸線が一番大きくなると思います。
  165. 金瀬俊雄

    金瀬委員 たとえば、その路線を建設するために陳情に来ている人たちは、その路線を使うことによって、一般のいま走っている国鉄よりも運賃が三倍も四倍も高くなっても結構だということを約束しているわけですね。さっきの話によるとそういうことですね。
  166. 住田正二

    ○住田政府委員 全部の路線について地元からそういうような御提案があるわけではございませんけれども、やはり、地元としては、地元負担の一環といたしまして、そういうような運賃でもいいからつくってほしいというような申し入れを受けているわけでございます。
  167. 金瀬俊雄

    金瀬委員 その申し入れを守らせるつもりですか。それとも、でき上がったらほかの運賃と同じようにするつもりですか。それはどういうことなんですか。
  168. 住田正二

    ○住田政府委員 その点は、先ほど申し上げましたように、地方交通線について今後どうするかということを今後一年間検討するわけでございますが、その中で方針を決めたいと思っております。もし仮にそういう運賃をとるような場合には法律改正の必要があろうかと思います。
  169. 金瀬俊雄

    金瀬委員 先ほど質問しましたが、その続きでございますが、国鉄がその本来の使命を達成するために必要とする年間の総経費は現在どのくらいですか。
  170. 住田正二

    ○住田政府委員 国鉄が本来の使命を達成するために必要な経費といいますのは、五十一年度に国鉄の予算に計上されております支出が恐らくそれに当たることになると思いますが、五十一年度の支出が二兆七千七十四億円でございます。
  171. 金瀬俊雄

    金瀬委員 それに対して収入はどのくらいございますか。
  172. 住田正二

    ○住田政府委員 現在御提案申し上げております値上げ法案が成立するという前提で、運輸収入が二兆三千五十六億でございます。そのほかに雑収入が八百十八億ございます。
  173. 金瀬俊雄

    金瀬委員 次に、都市問旅客輸送を確保することが現在の国鉄経営にどのような影響を及ぼしてくるかということについて御質問を申し上げます。  これは赤字要因になっているかどうかということをお答え願えれば結構です。
  174. 木村睦男

    木村国務大臣 都市問旅客輸送が一つの使命でございますが、その都市間旅客輸送をやれば赤字原因になるかとおっしゃいますが、いまの国鉄は、山手線と高崎線と新幹線を除きましたら全部赤字でございます。そういう現状でございますので、もちろん都市問輸送も全部赤字だと申し上げても大体間違いない。これが現状でございますので、いま国鉄の掲げておりますいろいろの使命のいずれを達成するにも、いまの運賃のままですとすべて赤字にならざるを得ないという判断になろうかと思います。
  175. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これはお答え願ってから後でまた集約的に質問いたしますので……。  大都市間旅客輸送を確保するために現在国鉄がどんな影響を受けているかということでございますが、これは赤字原因になっておるかどうかという問題ですから、いまのお答えと同じと見てよろしゅうございますかな。
  176. 木村睦男

    木村国務大臣 ちょっと御質問の趣旨が理解しにくかったのですが、現状のままでいきますと都市間交通も赤字になる、こういうことでございます。
  177. 金瀬俊雄

    金瀬委員 中長距離の大量貨物運送を確保することが国鉄経営にどのような影響を及ぼしているかという点について質問いたします。これはやはり赤字ですか。
  178. 住田正二

    ○住田政府委員 昭和四十八年度の国鉄の貨物部門の赤字は三千百八十四億円ございます。  先ほどの都市問旅客輸送でございますが、都市間旅客輸送だけを取り上げた数字はございませんが、いわゆる国鉄の幹線部門の赤字昭和四十九年度で三千八百六億円になっております。この中には貨物も含まれておりますので、旅客だけの赤字ではございません。収支係数が四十九年度で一二六でございます。五十年度にはもう少し悪くなっているかもしれませんが、今回お願いいたしております運賃値上げができますればこの幹線部門の赤字はなくなることになると思います。
  179. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これは後でまとめて質問いたします。  都市問旅客輸送において現在国鉄と競合している他の交通機関というのはどういうものがあるのか。民鉄とか公営交通とかハイタクとかいろいろあると思いますが、それを言ってくれませんか。
  180. 住田正二

    ○住田政府委員 都市間旅客輸送で国鉄と競合しておりますのは航空だけではないかと思います。都市間旅客輸送で……(「長距離バスもあるじゃないか」と呼ぶ者あり)長距離バスもございます。  国鉄の都市問旅客輸送におけるシェアでございますが、関東から近畿を例にとりますと、旅客流動の大体九七%が国鉄になっております。
  181. 金瀬俊雄

    金瀬委員 九七%を国鉄が占めているというわけですね。そうすると、競合するということは、都市問においては必ずしも国鉄にそう悪い影響を与えていない。  それでは、大都市圏の旅客の交通状態はどうなっているかということをお願いいたします。
  182. 住田正二

    ○住田政府委員 大都市圏における旅客輸送のシェアでございますが、国鉄が四〇・五%、私鉄が一七%、路面電車が一%、バスが二六%、ハイヤー、タクシーが七・五%、それから自家用乗用車が二九%ということになっております。(金瀬委員国鉄はどのくらいですか」と呼ぶ)  失礼いたしました。いまの数字はちょっと間違っております。  大都市圏は首都圏と京阪神と中京と三つあるわけでございますが、その三つを全部合わせた数字をまず申し上げますと、私鉄が二六・二%でございます。それから地下鉄が一〇・五%、国鉄が一九%、自動車が四三・六%でございます。  内訳といたしまして、首都圏の場合には私鉄が二三・五%、地下鉄が一一・八%、国鉄が二四・二%、自動車が四〇・二%でございます。それから京阪神の場合には私鉄が三五・一%、地下鉄が八・五%、国鉄が一三・五%、自動車が四一・六%、それから中京の場合には私鉄が一七・五%、地下鉄が八・三%、国鉄が六・二%、自動車が六六・八%でございます。
  183. 金瀬俊雄

    金瀬委員 いまの鉄監局長説明してくださったシェアで、国鉄はその役割りを果たしておると思いますか、どうですか。
  184. 住田正二

    ○住田政府委員 国鉄は大都市圏の旅客輸送の一九%を占めているわけでございまして、国鉄はその役割りを十分果たしていると考えております。
  185. 金瀬俊雄

    金瀬委員 大都市で国鉄は一九%で、本来の使命なり重要な役割りを果たしておるという確信を持っておるわけでございますか。その点について国鉄総裁から伺いたい。
  186. 高木文雄

    高木説明員 ただいまの統計がどういう統計かよくわかりませんが、しかし、最近は、たとえば千葉と東京の問の通勤輸送も大分よくなってきているはずでございますし、中央線も複々線化を漸次進めておりますし、それから湘南地域との湘南電車の、あの系統も改善を加えておりますし、そういうことを通じて都市の交通圏が拡張していくということで住宅事情その他の改善にも役立っていくわけでございますから、そのシェアをどういうふうに見るかという数字の上で、いま一九という数字が示されましたが、その数字以上の意味を持っているのではないかと私は思っております。
  187. 金瀬俊雄

    金瀬委員 国鉄が本来の使命あるいは重要な役割りを果たすということが一九%でいいか悪いかということについては国鉄自身で検討していただきたいと私は思いますが、これをもっと上げるのが本来の務めではないかと思いますが、改善の余地があるとすれば、その方策について御質問を申し上げます。
  188. 高木文雄

    高木説明員 最近十年間ぐらいをとってみまして、国鉄が非常にウエートを置いてまいりました仕事の一つが大都市圏の交通改善でございます。現在では大宮から北の方が大変混雑をしておりますが、これもいささか時間がかかりますが、漸次改善していきたいと思っております。  それから、湘南地域から東京への乗り入れ路線をふやそうとしておりますが、これは一部関係地域住民の方の反対がありますために予定どおり工事が進まないという状況になっておりますけれども、それらのことをなお進めてきたということは、国鉄全体の仕事の中で東京、大阪を中心とする大都市圏の通勤輸送確保のために過去において努力が重ねられてきたということだと思いますし、私といたしましてもそれを進めてまいりたいと思います。と申しますのは、やはり、通勤輸送についての私どもの役割りというものを重く見ているからでございます。
  189. 金瀬俊雄

    金瀬委員 次に、中長距離の大量貨物輸送の問題でございますが、現在国鉄と競合している他の輸送機関と申しますか、トラック業者とか、そういうものがあるかどうか。
  190. 田口通夫

    ○田口説明員 トラックとのシェアを距離別に御説明申し上げます。  百キロ以下の距離でございますとトラックが、もちろん自家用車も入れまして九九%のシェアを持っております。百キロを除きました百一キロ以上の距離でございますと二五%のシェアを国鉄が持っております。二百一キロ以上では三三%のシェアを占めております。三百一キロ以上では三九%のシェアを占めております。  以上でございます。
  191. 金瀬俊雄

    金瀬委員 いま言ったようなシェアで国鉄が重要な貨物運送の役目を果たしておるかどうかという点と、それから、なお改善の余地があるかどうかということ、その点について御質問をします。
  192. 田口通夫

    ○田口説明員 距離的に申し上げますと、中長距離というのが重点的に今後やっていく分野になっておりますけれども、私どもの感触でも、国鉄の貨物の輸送キロが平均約三百キロちょっとでございますので、先ほど申し上げたシェアからいきましても二百キロないし三百キロ以上の段階で国鉄の務めを十分果たしていきたいと思いますが、そのためには、大量貨物あるいは物資別輸送と申しておりますが、大量貨物については従来かなりの設備投資をし、また、コンテナ、フレートライナーにつきましても、基地の整備、列車のスピードアップ、コンテナの改造等種々設備投資をしてまいりましたが、一般貨物につきましても今後それぞれ設備投資をして改善をやっていけばこのシェアの役割りは十分果たし得るというふうに考えております。
  193. 金瀬俊雄

    金瀬委員 国鉄の貨物の料金と一般トラックの料金は、どちらが高くてどちらが安いか御説明願いたいと思います。
  194. 田口通夫

    ○田口説明員 国鉄の貨物と区域トラックあるいは路線トラックとの運賃比較ということでございますが、実を申し上げますと、トラック運賃はタリフ運賃の上下一〇%の弾力を持っておりますし、国鉄の場合は単なる鉄道運賃だけではなしに、両端の通運料金をプラスいたしまして、それとの比較を見なくちゃならないわけでございますが、タリフ運賃だけを標準にいたしまして、タリフがそのままトラック運賃として適用されると前提いたしますと、現在、区域では百五十キロがトラック運賃国鉄プラス通運料金との運賃の境目になっております。
  195. 金瀬俊雄

    金瀬委員 料金の安い国鉄の貨物が高いトラックとの競争に破れてしまってだんだん国鉄の荷物が少なくなった最大の原因は何であるか、御説明願います。
  196. 田口通夫

    ○田口説明員 御説明申し上げます。  国鉄の貨物が非常に停滞いたしました原因を根本的に申し上げますと、まず、産業構造の変化という大きな理由がございまして、昭和三十五年で石炭を四千万トン送っておりましたが、現在は五分の一の八百万トンぐらいに減っておりますし、一方、燃料革命に伴う石油の輸送を一生懸命努力してまいりまして、昭和三十五年では約四百万トン石油を運んでおりましたが、現在は千六百万トン、約四倍運んでおりますけれども、石炭の減送にはとても追いつかないというのが原因でございます。  それから、戦後の重工業の立地が大体臨海部でございまして、特に経営が安定してまいりました昭和三十年以後、臨海工業部の整備港湾整備によりまして内航海運が急激に伸びてきたということが国鉄の貨物の停滞のもう一つ原因でございます。  さらに、トラックとの関係につきましては、どちらかと申しますと鉄道の駅は非常に地価が高うございまして、内陸工業団地をつくるときにはできるだけ道路志向型という形でつくられてまいりましたので、むしろ内陸工業団地の貨物は鉄道を避けてトラックに行ったというような実態でございます。しかしながら、われわれもぼんやりしておったわけではございませんで、コンテナについてはフレートライナーあるいはコンテナ列車等を整備いたしまして極力サービスに努めますと同時に、一方、鉄道輸送に一番適合いたしております石灰石、石炭あるいは石油、セメント等の大量貨物についてはいろいろと努力をいたしまして逐年輸送量を上げてまいったわけでございますが、残念ながら一般貨物につきましては設備投資がそこまで回りませんで、相当のシェアをトラックの方に持っていかれたというのが現実でございます。  なお、トラックとの関係もさることながら、最近は特に経済界の不況及び頻発いたしますスト等の関係あるいは災害等の関係で輸送の安定性を欠いております面も大きな原因一つというふうに考えております。  以上でございます。
  197. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これはある場所で貨物を取り扱っておる人、貨物を発注する方の人に聞いたことですが、普通のトラック屋の方が速く確実に決められた時間に届く、高いとか安いということのほかにトラックの方が非常に便利だ、だから、国鉄は速く確実に決められた時間に届けるということについてはっきりしていないということが貨物を一般トラックにとられた原因であるということを言っておりました。それから、もう一つは、昔は木材が山から来たけれども、近ごろは海から輸入で持ってきますが、国鉄の貨物は港から多くの資材を運ぶようにできていない。山から持ってくるようになっている。たとえば石炭にしてもいままでは山から来たが、いまは石炭は輸入で港へ着きます。そうでしょう。港へ着きますね。鉄なんかも石油などと全部一緒に岸壁に着きますから、港を中心に貨物が動いているのにかかわらず、国鉄の運営形態が山から持ってくるようになっている。材木とか石炭とか全部そうです。だから、昔のままの形態が残っているからなかなかうまくいかないのだというようなことを言っている人がいますが、その点について何か考えたことはありますか。
  198. 田口通夫

    ○田口説明員 いま、国鉄の輸送の設備なり輸送形態なりが山から海へという形態になっていて、海から奥地へという形態にはなっていないという御指摘がございましたが、たとえば石油についてごらんいただきますと、京葉臨海地帯あるいは川崎の臨海地帯あるいは根岸の臨海地帯等から石油は高崎方面の倉賀野、宇都宮あるいは長野、松本へというふうに、列車本数にいたしましても数十本の列車が石油オンリーの形で走っておりまして、山から陸へという型だけの輸送しかやっていないということでは決してないと考えております。
  199. 金瀬俊雄

    金瀬委員 それでは、国鉄役割りとか責任ある経営体制とかいうことはもう終わりましたので、今度は先の方に進みまして、「資産の活用及び処分並びに附帯事業の増収を計画的に推進する。」という要綱がございますが、そのことについて質問いたします。  国鉄では、せんだって新聞を見ますと、資産の活用ということで、汐留駅を整理して民間に払い下げることによって財源を確保するというようなことが出ておりましたけれども、そういうことが実際に行われるのかどうかという点について質問いたします。
  200. 田口通夫

    ○田口説明員 汐留の用地は坪数にいたしまして約十万坪ございます。汐留駅といいますのは現在年間貨物二百万トンの取り扱いをいたしておりまして、大井埠頭にございます東京貨物ターミナル駅とともに東京都の千二百万人の台所を形成いたしておるわけでございます。さらに、そのほかに新聞、雑誌あるいは荷物等、庶民の利用いたしますこれらのものを年間二千四百万個扱っておりまして、今後ともこの機能を果たしていくべき用地であろうというふうに考えておりますし、むしろ山手各駅等の貨物が逆にここへ集まってくるという傾向にあるのじゃなかろうかというふうに考えております。  それで、汐留駅の立体化等につきましてもいろいろ検討いたしておりますが、何しろ国鉄は貨物に限らず旅客その他でいろいろと使命を与えられ、かつ計画も練っておる現在の情勢にかんがみまして、汐留駅の使い方につきましては今後将来計画をさらに練りまして慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
  201. 金瀬俊雄

    金瀬委員 汐留駅というのは貨物駅であるということでございますが、普通の一般の駅のように将来は新しい駅を——第二東京駅と申しますか、そういうものを建設して交通の中心にするというような計画があるというふうに聞いていますが、そういう計画がございますか。
  202. 高橋浩二

    ○高橋説明員 いま田口常務がお答えいたしましたように、ただいま貨物で精いっぱいに利用いたしておりまして——ただ、東京駅だけでは将来東京を中心とした地方との都市問輸送等で手狭になるということも頭の中にはございますので、そういうことを考えながら、あるいは千葉−東京間の通勤対策等とも考えながら、この汐留駅の使い方については慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
  203. 金瀬俊雄

    金瀬委員 国鉄でいま使っておる高架線の下の活用とか駅ビルの利用方法とか、そういうことについては順調にいっておるかどうか、つまり、国鉄経済にある程度寄与しているかどうかという点について御質問いたします。
  204. 高橋浩二

    ○高橋説明員 鉄道運輸収入以外にそういう資産を活用いたしまして、国鉄もいろいろとあらゆる努力をいたしまして収入を上げておりますが、ただいまのところ、高架下の使用料、駅ビルから上がります使用料あるいは広告収入等、昨年度、五十年度で約三百億ほどの収入を上げております。これは五年前に比べまして伸び率も非常によろしいので、非常な効果を上げているというふうに考えております。
  205. 金瀬俊雄

    金瀬委員 最後に——最後というのは、いまのこの問題に引き続いてのこの書類についての最後ですが、国鉄の土木工事の中で最近問題になりました青函トンネルの工事のことについて、将来ああいうトンネルで列車を結ぶことはできないのじゃないかというような話が出ていますが、その後あの事故の始末はどうなったか。
  206. 篠原武司

    篠原参考人 今月の六日、青函トンネルの作業坑で出水事故を起こしまして、皆様に非常に御心配をおかけしましたことを深くおわび申し上げます。  この青函トンネルの出水事故は、当時は四十トンくらい水が出ておりましたが、現在では二十二トンか二十五トンくらいということでございまして、その後ポンプ設備の増強とかいろいろな対策を講じまして、現在の排水能力は七十三トンくらいになっておりますので、十分排水ができる形になりまして、どんどん排水しておりまして、作業坑と鉄の門扉の問を残しまして、今月のあと一週間か十日もすれば全部排水できると思っております。幸い先進導坑が作業坑から比べますと三百メートルも先へ行っておりますので、その辺は地質が非常にいいところでございますので、そちらから注入をいたしまして地盤を固めて出水をとめる予定にしております。そういう段階になりますとその先の仕事もできますので、大したおくれもなしに仕事ができるだろうというふうに考えております。  いろいろ御心配をいただきましたが、そういうようなことで全体としてのおくれはほとんどないだろうというふうに考えております。
  207. 金瀬俊雄

    金瀬委員 それでは、せっかく公団の総裁がおいでになりましたので、今度は総裁に御質問を申し上げます。  成田新幹線の現在の建設の状況はどうなっておるか、御説明願いたいと思います。
  208. 篠原武司

    篠原参考人 成田新幹線につきましては、昭和四十九年の二月に空港ターミナルの工事に着手いたしたのでございますが、その他につきましては地方自治体との協議が難航いたしておりまして、いまだに全面的に着工するという形にはなっておりません。しかし、空港から国鉄の成田線付近までは中心測量が終了しておりまして、現在導水路のつけかえ等につきまして成田市と協議中でございます。  今後環境対策に十分配慮いたしまして、関係者の御理解を得て工事を推進いたしてまいる所存でございます。
  209. 金瀬俊雄

    金瀬委員 航空局長さん、成田空港というのは世界で一番都心から遠い空港であるということが言われていますが、事実ですか。
  210. 中村大造

    中村(大)政府委員 世界一であるかどうか、ちょっと私は資料を持ち合わせておりませんけれども、とにかく六十キロという距離でございますから、世界有数の都心とは離れた空港であろう、こういうふうに思います。
  211. 金瀬俊雄

    金瀬委員 世界一というのは毎日新聞に載っているのですよ。毎日新聞が調査した結果、これは世界で一番都心から遠い空港であるということを発表しておるわけですが、これは将来都心とどういう形で結ぶかということが重大問題になってくるわけです。  成田新幹線の当初の計画から比べますと、たしか総工費が当初の計画では二千億だったと思いますが、いま計算してみますとどのくらいになるのか、計画を御発表願いたいと思います。
  212. 篠原武司

    篠原参考人 五十年度価格で三千七百五十億円でございます。
  213. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、これは許可になったときから比べますと、許可を出すときには二千億ですから、二千億の許可を出すときから思うとわずかの間に倍になっておるが、倍になっておる理由は何ですか。
  214. 篠原武司

    篠原参考人 値上がりは、物価の騰貴とそれから環境対策に非常にお金がかかるようになったこと、そういうようなことによりまして金額が変わってまいりました。
  215. 金瀬俊雄

    金瀬委員 物価が主だと思います。環境対策については昔もいまもそう変わりはないわけですから、物価が上がったことが倍になった理由じゃないかと私は思います。  経済企画庁の長官の話ですと、物価は一年に八・六%とか一〇%以下に抑えていると言っているのですが、国鉄だけが抑え切れなかったわけですか。福田長官の言うことを聞かなかったということになるわけだけれども、そう解釈してよろしいわけですか。
  216. 篠原武司

    篠原参考人 物価は大分上がっておりまして、しかも土地の価格につきましても非常な値上がりをしておりますので、計画当初から比べますと非常に上がっているわけでございます。
  217. 金瀬俊雄

    金瀬委員 計画した当初からいままで何年たっていますか。
  218. 篠原武司

    篠原参考人 計画したときは昭和四十四年だと思いましたが、そういたしますと七年たっておりますから、大分年月はたっております。
  219. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これはあなたの方で長官と相談して話をしてくださいよ。  これは国鉄、鉄建公団だけが倍にはね上がっているわけですが、これでいまの物価が安定していると言うことができるかどうか。あなたの方は特に見積もりがルーズなのか、あるいは経済企画庁長官が言っておることが本当なのか、それはどっちか、相談して、後で書類で結構ですので御答弁を願います。  成田新幹線の場合、特に東京都の各区あるいは千葉県内の、あそこは通るところはみんな市ですから、市が要求しておること、あるいは地元の住民が要求していること、それを全部取り入れて、概略で結構ですが、計算したとすると、工事費はいまどのくらいになりますか。
  220. 篠原武司

    篠原参考人 私どもでは、地下の部分もありますけれども、普通の高架の部分が相当あるのでございますが、地元では騒音その他都市計画の関係から言って地下にしろという要求が非常にございますが、地下にするとまた非常に莫大な金がかかりますので、いまの金以上にかかると思っております。
  221. 金瀬俊雄

    金瀬委員 地下にした場合には相当かかるということですが、建設した場合、建設が終わったらこれは国鉄に返すわけですが、この路線は黒字になる見込みがありますか、それとも大幅に赤字になるのか、その点について御質問いたします。
  222. 篠原武司

    篠原参考人 成田新幹線がいつ完成するか、完成の時期における運賃がどれくいのベースになっているかということははっきりわかりませんが、現在の計画物価値上げを予想しまして、かつ、本年度、来年度のある程度運賃値上げをするという前提で計算いたしまして、六十年までにもちろん完成するということでございますけれども、昭和六十年における収支係数が一三七ぐらいになるという予想をいたしております。
  223. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうすると、国鉄は成田空港のために赤字を覚悟で新幹線をつくっているということを考えることができますが、そう考えてよろしゅうございますか。初めから赤字であるということを考えて成田新幹線をつくっておると考えていいですか。
  224. 篠原武司

    篠原参考人 いま申し上げましたのは昭和六十年ぐらいを予想した数字でございます。しかし、その後成田空港のお客さんがふえるに従いまして輸送需要もふえてまいりますので、その後は黒字に転換いたしますので、昭和六十年の赤字は後になって回収できる、したがって長い目で見れば国鉄経営には負担にはならない、むしろプラスに作用する、そのように考えているわけでございます。
  225. 金瀬俊雄

    金瀬委員 成田新幹線が国鉄にとって将来黒字になるという保証はございません。私は、あくまでも成田新幹線というのは最後まで赤字ではないかと、さように考えております。そう考えた場合に、政府からうんとめんどうを見てもらっている航空輸送——飛行機会社あるいは飛行機に対して政府はうんとめんどうを見ているのですよ。黒字の航空会社に対して赤字国鉄がめんどうを見るというのはどういうわけですか。貧乏人の方が金持ちの方のめんどうを見てやるという考え方ですよ。国鉄の根本的な考え方はどういうことなのか、言ってみてくれませんか。
  226. 住田正二

    ○住田政府委員 先ほど申し上げましたように、昭和六十年の見通しでは収支係数一三七ということでございますけれども、昭和六十三年ぐらいから黒字に転換いたしますので、その先の黒字で十分赤字は回収できるというように考えているわけでございます。したがって、成田新幹線が将来にわたって国鉄負担になるということはないと思います。
  227. 金瀬俊雄

    金瀬委員 いまの新幹線でも大阪と東京の問だけは黒字だということは私もわかりますよ。しかし、博多まで含めた場合に、大阪から先のことを計算した場合、いまの路線が赤字になる分と新幹線でもうかる分を合わせれば大したことはない。そういうことを考えた場合、成田新幹線は非常に赤字になるということがわかるわけですが、それでもあなたの方の商売がたきである航空の方のめんどうを見るということであれば、どんなに貧乏をしてもおれの方が輸送ということについては責任があるからめんどうを見ていくという方向であればそれでもいいわけですが、そういう根本的な考えは、どんな赤字でも政府の命令であり政策だから成田空港をめんどを見るということなんですか。
  228. 住田正二

    ○住田政府委員 先ほど来たびたび申し上げておりますけれども、成田新幹線は、昭和六十年度においては別でございますけれども、その後三、四年すれば黒字に転換できるというように見ておるわけでございます。新幹線といいますか、鉄道事業の場合には懐妊期間が非常に長いわけでございますので、長い目で見れば十分採算はとれる、さように考えているわけでございます。
  229. 金瀬俊雄

    金瀬委員 あなたの言うことを信頼すれば将来必ず黒字になるということでございますので、それを信じたいと思いますが、私は黒字にならないと思う。なぜならば、国鉄がいままで経営をやってきまして赤字に転落した最大の原因は、国の政策、国の考え方によって犠牲になってきたということがわかるわけです。ですから、そういう政策路線については、赤字になった場合はあくまでも国で責任を持たせる。つまり、飛行機の場合は、あの膨大な成田空港というものを国費で全部つくっているわけですから、本当ならこういう路線は空港公団の方から建設費を全部出させるのが本当なんですよ。それを出させることによって国鉄赤字にならずに済むというわけですから、その点を研究してもらいたいと思います。鉄建公団というのは鉄道をつくることができるようになっていますよ。成田空港だって道路鉄道というのは成田空港公団にやらせるべきだというふうに私は考えていましたが、これは決まったことですから……。  それから、もう一つ、今度は中村航空局長質問いたしますが、いまのところでは新幹線の建設が当分見込みがないというふうに地元では考えております。そうなった場合には、仮に成田空港にお客が来るというふうになった場合には交通対策をどういうふうにするかということについて千葉県も地元の成田市も大変不安の念を持っておりますが、そういうことを解決するためにどういうふうに努力しようとしておるか、その点をお話し願いたいと思います。
  230. 中村大造

    中村(大)政府委員 近い将来成田空港が開港になることを期待するわけでございますけれども、新幹線が間に合わないということでございますから、さしあたりは国鉄の在来線、それから京成電鉄、あとは現在完成いたしております道路交通と、当然こういうことになるわけでございます。したがって、そういう輸送機関を用いますれば当分の間は輸送力としては十分賄えるというふうに思っております。  ただ、道路交通の混雑というものについて、開港当初われわれとしてはできる限りきめ細かくこれに対処しなければならないだろうと思っております。特に、いわゆる成田駅と空港との道路交通の問題につきましては、開港を控えましてできる限りきめの細かい対策を警察当局道路管理者等とも、あるいは県当局とも十分協議をいたしまして対処してまいりたいと思います。  いずれにいたしましても、さしあたりの対策と中間的な対策長期的な対策というものをやはり並行してやって、できることから解決してまいりたいと思っております。
  231. 金瀬俊雄

    金瀬委員 在来線、成田線の複線化の計画というのはあるのかどうか。特に、佐倉と成田の間は単線輸送でございますので、成田が開港した場合の一日の輸送量ということを考えますとあれを複線にしなければならないと思いますが、その点についてどういう計画があるかどうか。
  232. 高橋浩二

    ○高橋説明員 成田が開港された場合に、やはり国鉄が総武線と成田線で輸送を受け持たなくちゃならぬというふうに私の方も考えております。佐倉から成田はただいま単線でございますので、この間は空港旅客輸送のふえるのに見合いまして当然複線化を考えていきたいというふうに考えております。
  233. 金瀬俊雄

    金瀬委員 地元ではこういうことを言っています。複線だけではだめだ、成田の在来線を空港の中まで延長してもらいたいということを言っておりますが、その点についてはどうですか。
  234. 住田正二

    ○住田政府委員 地元から、現在新幹線工事でやっておりますところを利用いたしまして在来線を延長してもらいたいという要望が出ていることは事実でございます。この点につきましては、先ほど航空局長から御答弁申し上げましたような空港へのアプローチの方法、それがどの程度いっぱいになるかということや、あるいは成田市内の交通混雑状況というものを検討しながら今後の方針を決めたいと考えております。
  235. 金瀬俊雄

    金瀬委員 民鉄部長がおいでになっておると思いますが、この成田空港の中に京成電鉄の駅がございますが、それは空港の中心部から大分外れておりますが、それを空港の中心部に乗り入れさせるという計画はないかどうか、その点について御質問いたします。
  236. 住田正二

    ○住田政府委員 御指摘のように、京成の成田駅と空港のターミナルの間は離れておるわけでございますが、現在、京成の方ではバスによりまして京成の成田空港の終点駅からターミナルビルまでお客様を運ぶという計画をいたしております。
  237. 金瀬俊雄

    金瀬委員 成田駅の前の広場なりその周辺を整備しなければとてもこの混雑を緩和するわけにはいかないということが地元でよく言われておる言葉ですが、駅周辺を整備する計画はございますか。
  238. 中村大造

    中村(大)政府委員 そのような要望が地元から出ておりまして、これにつきましては、駅前の再開発といいますか、そういう問題との関連がございますので、したがってこれは県当局を通じていろいろ御要望を聞きまして、建設省その他関係省庁と十分協議をいたしまして前向きに検討してまいりたいと思っておりますが、いずれにしてもこれは千葉県の方で御検討いただいて国と協議をするということに相なろうかと思います。
  239. 金瀬俊雄

    金瀬委員 ついでに航空局長にちょっとお願いをしておきますが、羽田空港の埋め立て計画を四十七年ごろ東京都知事にあなたの方から出しております。これはいまの面積の五倍でございます。そういう計画書をこの前の委員会のときに資料として出してほしいということをお願いしておきましたが、まだこれが出てまいりませんが、いつごろいただけますか。
  240. 中村大造

    中村(大)政府委員 御要求の資料は、先日委員会委員会理事会に諮りましてお出しいたしているはずでございます。  先生の御要求の五倍の計画というものはどういうものであるか私はよく存じないわけで、特に、航空局として一つの成案を持って、それを外部に提示したということはいまだかつてございませんので、先生の御指摘のような資料があるかどうか、ちょっと私は存じません。
  241. 金瀬俊雄

    金瀬委員 東京都知事に出した資料ですよ。埋め立て計画をこういうふうにやりたいので協力してくれということでおたくの方で出しておりますよ。それはこの前のロッキードの資料と違いますから、すぐ出してください。
  242. 中村大造

    中村(大)政府委員 四十七年にそのような埋め立て計画について東京都に要望を出したという事実は、私はちょっと確認しておりません。私は存じませんので、後刻よく調査いたします。
  243. 金瀬俊雄

    金瀬委員 それは東京都の方に出して、東京都の方にあるのにあなたの方にないというのはおかしい。この前のロッキードのときの資料と違いますので、隠さずに出してください。  それから、それでは中村局長に引き続いて聞きますが、航空運賃は公共料金なのかどうなのか、それをお聞きしたいと思います。
  244. 中村大造

    中村(大)政府委員 先ほどの御要求の資料についてはよく一度調査いたしまして、その上で、もしあれば提出させていただくということにさせていただきたいと思います。  それから、航空運賃は当然公共料金だと存じております。
  245. 金瀬俊雄

    金瀬委員 そうしますと、国鉄運賃と同じわけですが、公共料金というのはコストによって決定されるのかどうかということを質問いたします。
  246. 住田正二

    ○住田政府委員 運輸省が所管しております料金は、航空、国鉄、私鉄その他いろいろあるわけでございますが、たとえば国鉄につきましては、運賃法で「原価を償うものであること。」ということがはっきり規定されているわけでございます。また、航空につきましても、運賃の認可基準として適正な原価、適正な利潤という基準が示されているわけでございます。
  247. 金瀬俊雄

    金瀬委員 公共料金の決定で、コスト以外の要因があるとすれば何ですか。適正な利潤は結構ですよ。何%とかいうことはあるわけですが、それ以外に何か加算するものがあるとすれば、その点について説明してください。
  248. 住田正二

    ○住田政府委員 国鉄の場合は利潤までは見ておりませんけれども、一般私企業の場合には原価と利潤ということで、それ以外の費用といいますか、そういうものを加算している例はないと思います。
  249. 金瀬俊雄

    金瀬委員 大臣の言うわが国の総合交通体系という中で、国内航空というものと新幹線とはどういう関係があって、どういうふうに位置づけられているのかということを質問申し上げます。
  250. 住田正二

    ○住田政府委員 総合交通体系の中で中長距離の都市間旅客輸送をやるのは国鉄と航空になっているわけでございます。その間の関係といいますか、どちらがどうということはお客さんの選択に任せるというというたてまえになっております。
  251. 金瀬俊雄

    金瀬委員 それでは、東京−大阪間の新幹線の開設によって、東京−名古屋間及び名古屋−大阪間の国内航空はそれぞれどういう影響を受けたか、それはわかりますか。
  252. 住田正二

    ○住田政府委員 新幹線ができる前までは東京−名古屋の航空のお客さんがいたわけでございますけれども、現在はほとんど一日一便程度しか航空の方は輸送されていないと思います。したがって、東京−名古屋のお客さんはほとんど全部新幹線の方に移っているわけでございます。  ただ、一般的に申し上げまして、新幹線と航空との関係でありますが、新幹線の輸送能力と航空の輸送能力とは格段の差がございまして、その意味においてはそれほど大きな競合関係にはないのではないかと思います。
  253. 金瀬俊雄

    金瀬委員 大阪と岡山との間に新幹線が開設されましたが、そのことによって岡山と東京の間の国内航空がどういう影響を受けたか。乗客の数とか便数が変化しておるわけですが、そのことについて具体的に御報告をいただきたいと思います。
  254. 中村大造

    中村(大)政府委員 手元に資料を持ち合わせておりませんので早速調べまして御回答申し上げますけれども、東京−岡山間につきましては、新幹線の開通によって航空は相当な影響を受けたように思います。
  255. 金瀬俊雄

    金瀬委員 岡山と福岡との間に新幹線ができたことによって、東京−福岡間の国内航空、東京−広島間の国内航空、大阪−福岡間の国内航空が全部相当な影響を受けているわけですが、どういう影響を受けたか。便数に相当変化があるわけですが、そのことについて御説明願いたいと思います。
  256. 中村大造

    中村(大)政府委員 いま手元に資料を持っておりませんのでまことに申しわけございませんけれども、東京−福岡間に例をとれば、当然そのために航空の減便はいたしております。便数削減はいたしております。そういうことで、新幹線の開通による影響は東京−大阪ほどではございませんけれども、これは距離によって違いますけれども、東京−福岡間にしてもやはり影響は受けておる、しかし、絶対量で申せば徐々に伸びていく、こういうふうに思います。
  257. 金瀬俊雄

    金瀬委員 航空料金はどのようなコストで決められているか、説明を願います。
  258. 中村大造

    中村(大)政府委員 これはコストと適正な利潤を加味したものを航空運賃として認可いたしておるわけでございまして、コストの中にはいろいろな要素が入っておるということでございます。
  259. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これは空港の使用料、着陸料、航空施設使用料などを加味してあるのかどうか、その点を御質問いたします。
  260. 中村大造

    中村(大)政府委員 空港使用料、航空援助施設利用料等の、いわゆる航空会社が支払うべき諸料金は当然すべてこれをコストとして見ております。
  261. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これはちょっと細かいことになりますが、国鉄なんかだと新幹線の運転士というのは自分のところで養成しているでしょう。だから、養成の金は自分で払っているわけだけれども、飛行機の場合は航空自衛隊からそのまま民間パイロットに採用しちゃうんですね。そういう場合、養成料はただだけれども、そういうものは運賃に計算しているのかどうか。
  262. 中村大造

    中村(大)政府委員 それは、自衛隊で訓練を受けた過程におけるコストというものは確かに運賃には入っておりませんけれども、しかし、そういうでき上がった人を採用しておるわけでございますから、当然高い給与を払うわけでございますから、それは人件費として当然コストに入っております。
  263. 金瀬俊雄

    金瀬委員 でき上がった人を採用しているということだけれども、航空大学と自衛隊を卒業した人を使っておるわけですが、それでは、民間の養成機関から出たパイロットを使う数と自衛隊から養成された者を使う数とは、それが航空三社にどの程度採用されているか、その比率を教えてください。ぐらい、で結構です。
  264. 中村大造

    中村(大)政府委員 これは四十九年度の実績でございますけれども、航空大学校卒業が九十二名、それから防衛庁委託あるいは防衛庁割愛が五十名、それから自社で養成いたしておりますのが八十二名、その他が三十八名でございますが、防衛庁委託あるいは防衛庁割愛というのは四十五年から非常に急激に減少してきておりまして、逆に航空大学校の卒業生の採用がふえてきておる。こういう経過でございます。
  265. 金瀬俊雄

    金瀬委員 これはどなたからでも結構ですが、国から受けておるサービス、援助とかあるいは助成とか、そういうものは航空も国鉄道路も同じようにやってくれておるとすれば国鉄運賃を上げる必要がないのかどうなのか、その点について質問いたします。
  266. 住田正二

    ○住田政府委員 航空に対して国がどの程度援助しているかということにつきましては、先ほど申し上げましたように大半が利用者負担になっているわけでございます。したがって、航空の援助を国がしないといいましても、その金額は大した金額ではないと思います。  一方、国鉄運賃につきましては、本年度五〇%の運賃値上げをお願い申し上げているわけでございますが、五〇%上げましても人件費物件費を賄うに足るだけの額にすぎないわけでございまして、航空がどうあろうとあるいは道路がどうあろうと国鉄運賃値上げはどうしても必要だということでございます。
  267. 金瀬俊雄

    金瀬委員 鉄監局長総合交通体系という言葉があって、その中で体系を構成するいろいろな要素があるわけだが、国鉄とか民鉄とか航空、海運あるいはハイタクとか、いろいろあるわけですね。そういうものがバランスがとれて国から助成を受け、サービスを受けておるということが一番大事なわけだ。そのことによって、本来ですとその要素をいろいろ検討した上で運賃とか料金というものが組み立てられていかなければならないわけだけれども、そういう総合交通体系の中で、国鉄だけが運賃を総合体系の中で決められていずに、国鉄の内部だけで決められているということについて、公正な運賃ではないというふうに私どもは考えるけれども、その点についてはどうですか。
  268. 住田正二

    ○住田政府委員 総合交通体系を構成している輸送機関はたくさんあるわけでございますが、御質問の趣旨は、国鉄以外には非常に大きな助成が行われておって国鉄には助成が余り行われていない、そういうことで国鉄が非常に不利な立場にあるというようなことからの御質問ではないかと思いますが、先ほど総合交通体系関連いたしまして大蔵省の方からイコールフッティング論を申し上げたわけでございますが、現在の各輸送機関に対する国の助成を見まして、国鉄が非常に不利であるということではないわけでございます。本来総合交通体系というのは、そのイコールフッティング論からの修正とか調整というものはあるわけでございますけれども、本来運賃値上げというのは国鉄の内部的な経費をどう賄うかという問題でございますので、国鉄運賃値上げはそれ自体、いまお願いしているような額がどうしても必要だというふうに御理解いただきたいと思います。
  269. 金瀬俊雄

    金瀬委員 この国鉄法案についてはまた改めて質問する時間があると思いますので、きょうはこれでとどめておいて、改めてまた質問いたします。  最後に大臣への質問でございますが、国の福祉政策を国鉄に押しつけている。本来ならば政府でやらなければならないような政策を国鉄に押しつけている。たとえば文部省がやらなければならない学生に対する割引とか、あるいは厚生省がやらなければならないような身体障害者を無料で運ぶとか割引をするとかいうこと、これらは国の目玉の政策なんですが国鉄に押しつけている。そのことによって国鉄赤字になる。そして国鉄だけが赤字赤字だということで非難を浴びる。こういうことは政府として考えなければならないことじゃないかと思います。  そこで、学生に対する割引とか、あるいは厚生省がやらなければならないこととか、あるいは他の省が責任を持つべきこととか、そういうことについてはあくまでも堂々と国鉄は後で要求して、そういう政策の犠牲にならないようにしなければならないと私は考えていますが、その点に対する大臣の考え方を聞きたいのが第一点。  第二点は、先ほど質問いたしましたが、赤字路線ということがはっきりわかっておるのに赤字路線を建設する。そして、その路線が建設の初めからすぐ赤字に転落しておるということについても問題があると思うのですよ。だから、赤字路線を建設する場合には、国鉄に対して後で非難を浴びせないで、あくまでも政府責任を持つとか、建設を促進している人たちが責任を持つとか、そういうことを考慮すべきである、と、さように考えております。  最後に、労使関係についてでございますが、政治がこの労使関係について圧力をかけるということについては慎むべきであるというふうに私どもは考えておりますが、これは国鉄総裁はどう思っておるか、国鉄総裁の考え方を率直に聞きたいと思っております。  第一点、第二点は大臣から、第三点は国鉄総裁から聞きたいと思います。
  270. 木村睦男

    木村国務大臣 割引に対します考え方についてはいろいろ御議論があるわけでございまして、金瀬委員の御意見一つの、いままでもよく言われている御議論でございます。これは鉄監局長から前にもお答え申し上げましたが、いろいろな割引の中でそれぞれまたその態様なり目的も違うわけです。  学割の話が出ましたが、これは世代問格差を負担するというふうな意味合いもあって、長い歴史の中でやってきたことでございますので、理屈は理屈といたしまして、今後これをどうしていくかということは慎重に考えなければならないと思います。学割の場合は、むしろ現在の割引率は余りにもよ過ぎるという言い方が適当かどうか知りませんが、その点が今後検討すべき問題ではないと、かように私は思うものでございます。  それから、一般的な福祉関係の割引ですが、おっしゃるように福祉政策というものは全体を見て福祉政策を講ずるべきであって、個々の行為について割引をするとか政府補助するとかという、どちらを選択するかという問題も福祉政策の根本にあるわけでございます。それともつながる問題でございますので、これらもそういう点を考えながら今後検討をすべき問題だと思います。  それから、赤字路線についてのお話でございますが、国鉄公共性という使命があるわけでございますから、赤字は絶対にやるべきではない、また、やるのが間違っておるという議論にはならないわけでございます。赤字といえども国鉄が必要な場合には使命として経営しなければならない場合があるわけでございます。  その赤字路線を建設さすべきではないという御意見でございますが、これは一方におきましては運賃というものがいま総合原価主義の上に立っておりますので——個々の路線の経営状況に応じて運賃が決められるものであれば、これはまた別の議論になりますが、総合原価主義のもとで現在運賃というものを考えておりますので、これから建設し運営します路線が赤字を当然予想されるというふうな場合にも総合原価の中で消化すべきものでございますが、しかし、赤字の度合いが余りに大きいような場合には、これをただ国鉄の責めに負わせて、そして全国的な利用者負担に任すということはまた一方に問題がございますので、こういう赤字の路線につきましてはただいまでは補助金を出しておりますけれども、これも鉄監局長が申し上げましたように、そういう赤字路線の現状をよく見まして、それのいろいろな処理の方法があるわけでございます。それをここ一、二年来のうちに、そのそれぞれの機能に応じて、いろいろな処理の仕方で、できる限りそういうものは少なくしていくというふうに考えたいと思っております。
  271. 高木文雄

    高木説明員 労使の問題は、たてまえとしては、あくまでも一切を私どもにお任せいただきたいと思うわけでございますが、二つ問題があると思います。  一つは、現行の制度上私どもの方に十分な当事者能力が必ずしも与えられていないということでございまして、給与の問題につきましても御存じのような形の仕組みになっておりますし、特に、現実には毎年の給与は仲裁裁定という過程を経て決められるということになっております。また、給与総額そのものも予算で国会の御審議でお決めいただくというかっこうになっておりますので、その意味でははなはだ真の意味の当事者能力を欠いておる。また、運賃につきましては法定主義でございますので、私どもの方で運賃を決めることができないということになっておりますから、普通の経営者のように、自分で製品の値段を決めるが同時に賃金も決めますというかっこうではないわけでございます。ですから、その意味において、純粋な意味で、私どものところだけで全責任を負って労使間で問題を処理するということが事実問題としてできないような仕組みになっておるということでございますので、基本原則はあくまで経営責任者であります私どものところで受けとめて処理をしたいのでございますが、現実的にはなかなかでき得ない仕組みになっておりますから、これについては今後いろいろと私も勉強をして、必要があれば一部ずつ直していただくということのお願いをしなければならぬかと思っております。  それから、もう一点は、われわれ国鉄の組合の場合には通常の組合とはいささか事情が違いまして、四十三万という非常に数の多い職場でございますし、日本の労働運動の中において国鉄という労働者の集団が事実上日本で一番大きい組織でございますし、いろいろな意味において労働運動全体を指導するといいますか、中心的勢力になるような力を持っております関係で、本来の経済問題を逸脱したいろいろな事柄に首を突っ込むというか、引きずり込まれるというか、どうしてもそういうかっこうになっていく関係がありますので、私どもの処理対象であるべき経済問題以外の問題までもどうしても事実問題として関与せざるを得ない形になっておりますが、そういう問題になりますと、経営者といいますか、責任者といいますか、そういう立場での私の手元では処理できない問題に及ぶわけでございまして、そうなりました場合にさらに政府なりあるいは国会なりという場で決められなければ問題の処理がつかないということになるのも、これまた事実問題として現状ではやむを得ない面があるのではないかと思います。ただ、その境目がきちっとしているかどうかという点はいささか疑問があるわけで、私どもの手元で、労使間で物事を処理するような雰囲気をもう少し育成していくといいますか、醸成していくといいますか、そういう努力を続けてまいりたいと思っております。
  272. 金瀬俊雄

    金瀬委員 運輸大臣に要望しておきますが、先ほど私が申し上げましたのは、定期券の問題とかあるいは福祉対策、身体障害者の問題とか、その割引のことを申し上げましたが、そういう政府の福祉対策ということについては、国鉄がこういうことをやっておるのは政府のかわりにやっておるのだから政府からもう少し助成を出さすべきであるし援助をさすべきであるという考えで私は言っておるわけでございますから、その点を誤解のないように願いたいと思います。  それから、赤字ローカル線の建設ということでございますが、この点については、国鉄でもうかっている路線のもうけを赤字路線の方に回して運賃体系をつくっておるというのがいまの国鉄の方針であるということですね。そうすると、もうかる路線がなければみんな赤字になってしまうということですね。私の言っておるのはそうじゃないのですよ。総合交通体系という中で運賃を決めるべきである、だから、国鉄だけでなくて、港湾の方もあるし、航空の方もあるし、いろいろあって、その全体のバランスの上で国鉄運賃を決めるべきであって、たとえば航空の方は政府補助金が多いということであれば、それとバランスを合わせるように総合交通体系の中で国鉄をもう少しめんどう見なければだめだということでございますので、国鉄の中だけで運賃というものを解決せずに、そういう全体的な視野に立って運賃という問題を今後解決してほしいという要望でございます。  それから、国鉄総裁ですが、国鉄総裁が就任しましたときは、非常に高い姿勢の人が総裁になったなと私は考えておりましたが、ところが、近ごろ新聞を見ますと、労働組合とも大変話し合うし、婦人団体ともいろいろ話し合うし、あなたの姿勢が大変変わってきたと感ずるわけでございます。これから先もどんどん姿勢を変えて、国鉄労働組合とももう少し率直に話し合い、また、婦人団体を初め民主的な団体とも率直に話し合うことによって、今後の国鉄がいかにあるべきかということについて検討していただきたい。特に、政府に向かっては強い態度で説得をして、あなたの考えを率直に生かしていただきたい。そして、特に、労使関係正常化という点については、現場で働く人たちの意見をできる限り率直にくみ入れることによって国鉄再建をしていただきたいと考えております。  総裁に対して私どもは期待しておりますので大いにがんばっていただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  273. 増岡博之

    ○増岡委員長代理 紺野与次郎君。
  274. 紺野与次郎

    ○紺野委員 私はちょうど六時ごろにどうしても行かなければいけない所用がありますので、きょうは大体五時四十分ごろまでには終わらなければいけないと思いますから、あとの時間を次回に延ばすように最初にお願いいたしておきます。  最初に、例の四十八年から続く国鉄再建十カ年計画を決めるときに、これは絶対大丈夫だということであの当時採決されたわけでありますけれども、その当時国民も反対しておったし、十年間に四回運賃値上げするというあの案に対してわれわれ共産党としましては五つの提案を申し上げたのです。それは、第一には、今度の参考人意見にもいろいろ登場してまいりました公費負担ですが、公費負担として国鉄基本建設に対して政府が出資をする割合を増大しなければいけないのではないかということ、それから、過去債務について、今日この問題はよくおわかりだと思いますが、過去債務をいわば年度計画をもって政府が出資の形で解消していくかどうかということで、過去債務の処理の仕方を考えるべきであるということ、三点としては、運賃体系の合理的な再編をしなければならぬということ、四番目は、投資の規模を適正にして——高度成長時代のあの毒気にかかって、狂乱物価的なあの設備投資に夢中になるということじゃなくて、適正な規模を維持すべきであるということ、五番目には、国鉄の民主的な再建ということ、こういうふうな五つの点がどうしても大切だということを言ったわけです。これを採用されずにやった結果が、ごらんのとおりわずか三年間で破綻をしてしまったということになりましたけれども、ところが、今度、ことしと来年の二カ年計画でかわって登場してきたものがやはり二年間で国鉄運賃を二倍にしてしまおうということで、その間に反省らしい反省がないのです。  それで、こういう見通しの大きな誤りということと、国民に迷惑をかけているという点について、政府としての運輸大臣責任の不明について聞きたいのですが、迷惑を国民に何遍もかけており、それが補償されずにまた御破算になるといった不始末をやっている。国鉄現状は本当に全面的な財政の破綻だと思いますが、そういう状態に落ち込んだことに対してどういうふうな反省をしているのか、また、責任をおとりになるのかどうか、この点を最初にお聞きしたいと思います。
  275. 木村睦男

    木村国務大臣 四十八年の十カ年再建計画が二年ぐらいで破綻を来したという点でございますが、いろいろなそれの原因はいままでもたびたび申し上げておるわけでございますが、まず、その中で反省をいたしました点は、五年とか十年とかいう長期計画は、今日のように経済事情がかなり急激に変化するということはどうしてもあり得るわけでございますから、それに対応するように長期計画を十年間あるいは五年前に予測をして立てるということがやはり無理ではなかろうかという反省をいたしておるわけでございます。四十八年の十カ年計画もうまくまいりませんでした原因には、もちろん、経済の目まぐるしい変化物価の騰貴、あるいはそれに伴います物件費の予想以上の値上がりがあり、さらには非常に高い率のベースアップをやらざるを得なかったための人件費の非常な増高というものが経費増の要因として非常に多うございました。これらのことはそこまでは予想はつかなかったわけでございますが、ある程度そういうものが上がるであろうということは当時から予想はしておりました。それに見合うように運賃収入運輸収入の方もバランスをとって上げていこうというので十年間に四回にわたる三年ごとの運賃改定計画いたしたのでございますが、これは国会等で法案が通過するという非常にむずかしい問題もございまして、これが率におきましても、実施の時期におきましても、まず第一回目から予定どおりいかなかった。こういう要因もあるわけでございまして、この点も反省をいたしております。  他の公共料金を見ますとこれほど厳重な制約を受けていない。国鉄につきましても、運輸審議会にも諮問をいたしておりますし、それらのかなり厳重な制約をつけております上に、国会で御審議をいただくということで相当な時間もかかりますし、また、予定が立ちにくいというふうな点がございますので、こういう点も今後は十分検討していかなければならない。ことに、国鉄の総裁に自主性なり当事者能力をもっと強化させて機動的な運営を国鉄の内部だけの権限と責任においてやらせ得るためにも、この運賃が適時適切に上がり得るような方法をできる限りの限度において工夫を講ずることも必要であろうと考えるわけでございます。そういう幾つかの反省をいたしながら、今回の長期にわたる再建では、どうしても途中で予測できなかったところの事情が生じて実現がむずかしいということから、二カ年をかけて一応再建のルートに乗せ得るようにしたいという構想で今回の法案審議をお願いいたしておるようなわけでございます。  われわれといたしましては、そういう過去のいろいろな事柄について強く反省をいたし、また、その経験を将来に生かして二度とかつてのような繰り返しをしないつもりでやっておりますので、今回もこの法案を通過させていただきまして六月一日からぜひ実施したいということですべての計画が成り立っておりますので、どうぞその点も十分御勘案くださいまして御審議をいただきたいと考えておる次第でございます。
  276. 紺野与次郎

    ○紺野委員 反省はある程度したと言っているけれども、責任がどうもどこかにすっ飛んでしまって、やはり無責任内閣だというか、こういうことについて責任を持ってこれをやるぞとか、あるいは具体的な責任のとり方はこうだというような点がどうもはっきりしないのですが、大臣はこういう事態に対して深い責任を感じておりますか。何遍も同じことを繰り返していいとは思わないでしょう。
  277. 木村睦男

    木村国務大臣 ただいま申し上げましたような反省と責任を感じまして、今回の法案の御審議をお願いしているわけでございます。
  278. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それで、どういうふうに活路を開くか、どういうふうに正しい方向を見出すかということを検討するために、最初にどんなぐあいに破綻しておったということをもうちょっと聞きたいために次のような質問をいたします。     〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕  それは、四十八年と四十九年と五十年の三年間にわたって——これははっきりそういう四回にわたる運賃値上げ法案の性格を持っておったわけですが、この計画の中で実際に計画されていたことと実績、実際の変動をあらわす物件費、こういうものが実際はどうだったか、どれだけ計画よりも違っていたか、また、人件費ではどうだったか、それから収入とのいろいろな全体の見合いの結果として、償却後の損益勘定で、四十八年、四十九年、五十年にわたってそれぞれどういう変化があったか、計画どおりいかなかった実態はどういう状況であったか、これをちょっと知らせてもらいたいのです。
  279. 住田正二

    ○住田政府委員 四十八年から五十年までの前回の再建計画と実際とどういうような乖離があったかというような御質問だったかと思いますが、前回の計画では三年間に八千九百十二億円の赤字が出るという見通しのもとに計画を組んでおったわけでございます。実際の赤字が幾らかといいますと、一兆九千五百九十七億円でございますので、差し引き一兆六百八十五億円当初の計画よりも赤字がふえているわけでございます。  それで、計画と比べまして赤字がふえた原因といたしましては、経費がふえたという面と収入が予定どおり入らなかったことと二つの面があるわけでございますが、まず、経費の方で申し上げますと、経費の増が八千四百二十八億円ございます。その中身といたしまして、人件費増が四千四百三十八億円、これだけ計画よりも多くなっているわけでございます。再建計画では毎年一二・三%ベースアップがあるであろうという見通しを立てておったわけでございますが、四十八年で一六・三%、四十九年で二七・六%、五十年で一三・三%ということで、当初の計画を上回りまして、その結果計画よりも四千四百三十八億円人件費がふえているわけでございます。  また、物件費につきましても計画より二千九百十億円ふえております。再建計画では卸売物価消費者物価とも毎年三%上がるだろうという予想で計画をつくっておったわけでございますが、卸売物価については四十八年二二・六、四十九年二三・四、五十年二・二、消費者物価については四十八年一六・一、四十九年二一・八、五十年一〇・六というようなことで、二千九百十億円ふえた。そのほか、こういう赤字のために赤字運転資金を借りて穴埋めをしたわけでございますので、そのための利子負担が七百四十八億ふえております。その他入れまして支出の面では八千四百二十八億円ふえております。  一方、収入の面でございますが、収入の面では二千二百五十七億円減っております。その大きなものは、当初四十八年の四月一日から運賃値上げをする予定でございましたのが四十九年の十月までずれましたので、そのおくれが二千八百三十一億円でございます。したがって、収入減の二千二百五十七億を上回る賃改のおくれというものがあったわけでございます。そのほかに予定どおり貨物が伸びなかったという減収もありますが、一方、先ほど申し上げました赤字運転資金の利子がふえたことに見合いまして助成金を八百八十五億円出したとか、あるいは雑収入の増等がありまして、そういうような減収を埋めまして、差引き二千二百五十七億円の収入となったわけでございまして、この二千二百五十七億円の収入減と支出増の八千四百二十八億円を合わせました一兆六百八十五億円が再建計画との乖離の数字でございます。なお、四十八年から五十年まで三カ年とも償却前で赤字でございます。
  280. 紺野与次郎

    ○紺野委員 その結果、長期借入金の残高ですが、それは利子の点で、約四千百六十九億円の利子を五十年には負担しなければならないということで、実際の計画よりも約八千億円の増額になっているのじゃないですか。
  281. 住田正二

    ○住田政府委員 いま御説明申し上げましたように、当初の計画より一兆円の赤字が出ておりますので、これは赤字運転資金で賄ったわけでございます。しかし、赤字運転資金につきましては、政府の方から国鉄にその利子全額を補給いたしております。したがって、この赤字運転資金に伴う利子負担増というものはなかったわけでございます。
  282. 紺野与次郎

    ○紺野委員 いまの説明によりまして、インフレ政策をとればやっぱりあらゆる計画がそこでそごを来すということがはっきり出て、物件費において約二千九百億ですか、人件費においては四千四百億の増額が出てきたという点から見て、これらの一つの教訓としては、インフレを促進するという政策でない方法をとって国鉄再建の道を探求する必要があるんじゃないか。つまり、同じように今度の二カ年計画の場合にも二年で倍に運賃を上げる。その影響する物価騰貴に対する要因が〇・五%とかなんとか言っているけれども、実際には三月の消費者物価指数が九・八%で、一けた台だ。ところが、四月になったら一〇・二%に、もう二けた台になってしまう。そこにこういう国鉄運賃を初めとする公共料金が次々上がってくる。当然再びインフレ要因というか物価騰貴を促進して、そして国鉄を再び窮地に立てる方法をとることになって、これはやはりどうしても避けなければいけないということになると思うのです。そういう点で、二年連続二倍に上げて、そしてごろ合わせのように二年間の収支の決算を合わせるというだけでは本当の国鉄財政の危機の打開にはならない。かえってまた掘り崩すような方向にいくのじゃないかということなんです。  それで、もう一つ、五十一年度にもしもいままでと同じ計画でやっていくとするとどういう状況になるところであったかということをひとつ明らかにしてもらいたいのです。五十一年度にいままでの計画どおりの方法でやってきているとどういうところまで追い詰められておったのかということをちょっと知らせてもらいたい。
  283. 住田正二

    ○住田政府委員 本年度もし運賃値上げをしないということになりますと一兆二千億程度赤字になる見通しでございます。
  284. 紺野与次郎

    ○紺野委員 それと、工事費とか建設関係を入れた場合にどうなんですか。実際にいろいろの資本勘定というか、どれだけの債務をしなければならないような状況になっておったか。ことしの建設費等々と合わせてみるとどうなりますか。
  285. 住田正二

    ○住田政府委員 質問の御趣旨をちょっと十分に理解していないかもしれませんが、一兆二千億の赤字を埋めるためにはそれだけの赤字運転資金を借りてこなければいかぬわけでございますので、それだけの赤字がふえるということになると思います。当然それだけの債務がふえることになると思います。
  286. 紺野与次郎

    ○紺野委員 工事やその他はその中に入っていますか。
  287. 住田正二

    ○住田政府委員 いま申し上げておりますのは損益の話でございます。工事の方を幾らやるかによって借り入れの金額が決まってくるわけでございますが、一兆二千億の赤字運転資金を借りなければならない状態で工事をするということはきわめてむずかしいのではないかと思います。
  288. 紺野与次郎

    ○紺野委員 だから、そういう点に四年目の窮状が、一方では一兆二千億円の赤字が新しく出てくる。そしてまた、工事をどうしてもやるということになれば、いままでの例から見て八千億見当をやらなければならぬ。そしてまた、鉄道債券やその返済というふうな点を含めて必要な資金調達のためには、われわれの計算ではやはりちょうど二兆三千億ぐらいの莫大な借金をしなければどうにもならぬという、そういうところに追い詰められたというか、そういう状態だったのではないか。だから、そういう点で、赤字三兆一千億の累計に対してこれを政府が肩がわりするというふうに追い込まれたというか、そういう状態になったのではないか。そういう点では、いまあなたが言ったように新しい仕事が全くできないような状態に追い込まれたという状況まで来ておったのじゃないかというふうに思いますが、どうですか。
  289. 住田正二

    ○住田政府委員 単年度で一兆二千億円の赤字を出すということは大変なことでございまして、いまの紺野委員からの御指摘のようにまさしく破産状態にあるというふうに、破産に近い状態にあるというふうに考えることができると思います。特に、今回、過去債務について、二兆五千四百億円の過去債務のたな上げ措置をとったわけでございますが、一般企業の場合に債務のたな上げ措置をとるというのは破産状態にあることを前提にいたしているわけでございまして、そういう措置をとったということはまさしく破産状態にあるというふうにお考えいただいて結構だと思います。
  290. 紺野与次郎

    ○紺野委員 だから、そういう破産状態で何をつかんだということを見ると、累計赤字のたな上げというところに来たということは、つまり、私ども共産党がいままで言ってきましたところの、長期債務はこれを政府の出資でたな上げをするというか、それを解決するという方向をとらなければいけないということを言っていたことが、事実有無を言わさずそこへいかざるを得なかったということで、つかんだものはそれと同じじゃありませんけれども、そういう方向に足を踏み出した。政府も中途半端だけれどもやらざるを得まいというところに追い込まれたと私は思うのですが、この長期債務の総額の中からこの二兆五千億円の肩がわりをした場合に、そのあとの残る長期債務はどうなるのですか。どれだけになるのですか。
  291. 住田正二

    ○住田政府委員 現在持っております長期債務と過去の累積赤字とは別でございまして、破産会社の場合には、まず累積赤字を解消するというのが最初にとる手段だと思うわけですが、その手段といたしまして、二兆五千四百億円の累積赤字に相当する過去債務を別勘定に移したということでございます。その結果六兆八千億ある借入金から二兆五千億をよそへ移しましたので、差し引き四兆三千億の借金が残るわけでございますが、この借金というのは資産に見合っているものでございますので、今後国鉄財政のアンバランスが回復されまして収支とんとんになれば正常な償却も行えるわけでございますので、そういう償却を通じて借入金を返済するということになるわけでございます。
  292. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そこに甘いところがあるのだと思うのですね。赤字の累計の方はそういうふうに政府の肩がわりをしたけれども、ほかのところは大丈夫と言うけれども、それはそこで足踏みしているわけじゃなくて、長期債務は次から次にふえてくるわけで、そういうことでその過去の長期債務の分についても同じように政府の出資で解決をするように、赤字累積をしたと同じように思い切ってそこにいくというふうにできないかどうかということなんですよ。そこまでさらに前進することはできないのか。
  293. 住田正二

    ○住田政府委員 先ほど申し上げましたように、四兆五千億の借入金が残っておりますが、これは資産に見合っているものでございます。その借入金が返せるか返せないかということは必要な収入が得られるかどうかということにかかっているわけでございまして、今回の再建計画では五十一年度、五十二年度を通じまして収支の均衡が回復されて、後、健全財政を維持することができればそういう借入金の返済能力は十分あるというように考えているわけでございます。  先ほど金瀬先生の御質問にお答えしたわけでございますが、国鉄経費における償却率というのは一〇%でございまして、昭和四十年の一五%から比べますと経費における償却負担は減っておりますし、五十一年度の過去債務のたな上げ、工事費補助を勘案いたしました後の経費における利子負担というのは七・六%程度でございまして、一般の企業と比較すればむしろ低い数字でございます。したがって、この二回の運賃値上げを認めていただければそういう借金返済あるいは利子負担についてそう心配する必要はない、かように考えているわけでございます。
  294. 紺野与次郎

    ○紺野委員 もう時間がありませんけれども、そこのところにもう一つ大きな国鉄財政を破綻させたものはやはり借金で、借金でもって新しい建設をやる。基本建設を含めてきのうからいろいろ討議になっておったところの、つまり、基本建設、路床、路盤ですね。それを初めとする基本建設については、当然利子のつかない政府出資によって行うということを導入しないと、結局建設費を借金によって賄うということになると、その利子負担によって、国鉄がせっかくかせいだ利潤が利子としてもうどんどん出てしまってたまらない。そして、経営的には結局赤字に追い込まれてきたという、あのことを繰り返す。だから、そういう点で、この過去債務のいままでまだ残っている問題の処理の問題と、これからの新しい建設のプランというものを何でやるか。同じように基本建設については利子のつかない資本でやるということに思い切って転換するというふうにやらない限りはやはり同じことを繰り返すということだと思うのです。ですから、あなたが言うようにただ運賃だけでごろを合わせるだけではだめで、国鉄の中のメカニズムというか、その仕組みをもっと変えないと同じことが起こってくる。だから、この際われわれが国鉄財政再建を根本的にやろうということでスタートするとすれば、政府のいままでのようなやり方と同じことをまた繰り返すということではわれわれは反対だということなんです。そういうことをやるのではまた同じことを繰り返すことになるということです。  そこで、これからの建設の問題についていろいろ聞きたいわけですが、きょうは、まず、いわゆる設備投資の四十八年、四十九年、五十年と、それからことしと来年ですね。これらの設備投資がどうかということをちょっと知らせてもらいたい。  それから、その中における基本建設の部分ですね。建設費の中で基本建設がどれだけの割合なのかということです。たとえば路盤とか線路とか鉄橋とかトンネルとか駅とか、こういうふうな基本的な建設の部分ですね。これは西ヨーロッパの方ではちょうど、国の財産として道路をつくるようにつくるのです。それは国の財産なのだからということで政府の金で建設していると言われているものであります。それを日本の場合は全部借金でやってきた。そこに大きな問題点があるわけだから、その点について知らせてください。
  295. 住田正二

    ○住田政府委員 四十八年、四十九年、五十年の工事費の額でございますが、四十九年が六千八百四十六億円、五十年が七千二百五十億円、五十一年が七千九百億円の予定でございます。このうち、いわゆる基礎施設といいますか、固定施設と上の動く施設との振り分けというものは非常にむずかしいわけでございますが、上の方の運転部分に当たるものは大体車両ではないかと思いますが、車両の費用といたしまして四十九年は九百四十億、五十年が一千十八億、五十一年は一千三百四十六億を予定いたしております。  細かい分析をしてみませんとちょっとはっきりいたしませんが、これを除いたものが大体基礎施設に当たると考えられると思います。
  296. 紺野与次郎

    ○紺野委員 だから、それで見ると、四十九年度の六千八百億のうち約六千億が基本建設に使われる。五十年度においては約六千五百億が基本建設に使われている。五十一年度は六千六百億がそうだ。そうすると、これは借金とならないで、いわゆる利子を払う必要のない金にもしなるとすれば大変軽くなるのですね。だから、なぜそういうことを思い切ってやらないのか、なぜそういうところに行かないのか、政府の持ち出す出資というものをなぜそこに——学者の皆さん方もきのうみな発言しておりましたが、実際はもうそこに目をつぶって、ただごろ合わせのように運賃国民負担させて、赤字の分は合わせました、しりの方は抜けていますという、そういう形の国鉄状態を続けるということでは、それは一歩や二歩は歩けるかもしれぬが、長期に歩くことはとてもできない、へたばってしまうということですね。だから、ここに非常な中途半端があるということなんです。  この点について高木総裁の御意見を聞きたいが、あなたは大蔵省から金を引っ張って持ってくるのではないかというふうにある人はどうも早手回しに判断してしまうようなこともあったというのですが、あなたはそういうふうに国の金をもっとそういう面において出すべきである。私は中を知っている、内部告発をして、そして金は出せるのだぞというふうにやることができるかどうか、それを聞きたいのです。
  297. 高木文雄

    高木説明員 新しい設備投資をいたします場合に、一般会計から所要資金を出してもらうやり方も、それはあると思います。しかし、金利のかかる金といいますか、借入金をいたしまして、借入金で新しい設備投資をやっていくという方法もあり得るわけでございまして、戦後の日本経済の場合には、普通の民間の企業の場合には設備投資等は大部分を借入金によってきたという実態にあるわけでございます。その場合、特に現在では私どもの利子負担が三・五%程度で済むように利子補給をするということでございますから、その利子補給をした結果で見ますと、負担といたしましては、その差額の三・五%がどうかという問題は残りますけれども、借入金でいたしましてもそれが経営全体にとって圧迫になるということはないと思うわけでございます。  その場合に、無利息の金を一般会計から入れてもらうという形をとる場合と利息のつく金を貸してもらうという場合では、今度は資金量の問題として考えました場合には、一般会計から金を出してもらうということは今度は資金量の面でなかなか困難になりますので、御指摘のような無利息の金といいますか、税金といいますか、それを一般会計から出してもらうということが必ずしも有利かどうかは疑わしいわけでございまして、その点は紺野委員と私はいささか見解を異にいたします。  戦前と違いまして、最近のように短期間に非常に多くの投資をしなければならない実態におきましては、借入金によって短期間に金額の大きい借り入れをいたしまして、そして建設期間を短くして効率的にいった方がむしろ能率的ではないかというふうに考えます。
  298. 紺野与次郎

    ○紺野委員 あなたは大蔵省から金を持ってくるというのは巷間に伝えられたデマであって、あなたはその意思がないということですか。
  299. 高木文雄

    高木説明員 いま建設のために借り入れますものは、資金運用部会計から借りますものと、鉄道債券と、自己調達のものがあるわけでございますが、資金運用部からお借りします分はやはり大蔵大臣の管理のもとにあるわけでございますから、大蔵省からお借りしてくるということでございまして、その意味では多少お役に立つことになろうかと思います。  今回の予算は私が参ります前のことでございますが、これから多少ともお役に立とうかと思います。
  300. 紺野与次郎

    ○紺野委員 もう一つ利子が小さい金だというふうなことだけじゃなくて、やはり借金でなくて出資でやるということはどうですか。これは政府の方に大臣と両方からお聞きしたいけれども、基本建設は国民のための鉄道だから、国の財産になることだから、それにもっと政府が一般会計から出してやろうということにしなければ——自動車はたくさん出していますが、なぜ自動車と汽車との間に差を置くのか。とにかく、出資について意思があるかどうかお聞きしたい。これはお二人からお聞きしたいと思います。
  301. 高木文雄

    高木説明員 自動車の場合は大部分を揮発油税に依存しているわけでございますから、揮発油を消費している自動車の利用者負担に結果的には帰しておるわけでございます。現在、鉄道について何かそういう特別の税金を設けて、そしてそれを原資として借りてくるという方法もあり得るかもしれませんが、しかし、これは結局は利用者にそういう税金を付するということになりますと料金でやるのと同じことでございますので、利用者負担としては同じ結果になるのではないかというふうに思います。  出資を求めてはどうかということは、それは考え方としては十分あり得るわけで、現に、ことしはございませんけれども、去年までは一部出資があったわけでございますから、そういう考え方が大蔵省のサイドにも全くないわけではないと言えるわけでございます。けれども、それが今回なくなりましたのは、一つには過去債務のたな上げのために一般会計から出さなければならぬ負担がふえるということと、もう一つは、一般会計の方が異常な状態になりまして、建設国債と特別国債と合わせて七兆の国債を発行するということになるわけでございますから、国の会計全体で見ますと、国鉄が一般会計から借りれば結局一般の国債の発行額がふえるという形になるわけでございますので、そこらは総合的な財政経済政策としてお考えいただくわけで、私どもといたしましては、こういう一般会計の財政状態のときに、非常に巨額の金を一般会計でなければならない、つまり出資でなければならない、借り入れではいやだというふうな形をとりますと今度は額を削られるということになりますので、そういう危険がありますから、現状から言えばやはり借入金でやって利子を軽減してもらうということが一つのきわめて賢明な方策ではないかというふうに思っております。
  302. 紺野与次郎

    ○紺野委員 大臣の方にお聞きしてきょうの最後の質問にしたいと思いますが、いままでの国鉄に対しての政府の出資額というものは微々たるものなんだけれども、それをいままでどれだけ出したのかということとあわせて、こんなことでいいのかということを答弁してもらいたいと思うのです。
  303. 木村睦男

    木村国務大臣 いままで政府が出資いたしておりますのは四千五百億ぐらいになろうかと思います。  そのくらいでいいのか、今後またもっとふやすべきではないか、特に五十一年度は出資がないではないかといういままでの御意見についてはいろいろあるわけでございますが、先ほど総裁が御答弁申し上げましたような事情のもとに、五十一年度は出資を考えなかったわけでございます。それで、五十一年度は二兆七千億という金でもってとにかく国鉄は舞を舞わなきゃいけない、その二兆七千億の金をどこから出すかという問題に煮詰めていくとなると思うのです。  運賃といい、あるいは出資といい、あるいは借金といい、いろいろあるわけでございますが、出資にいたしましても、これは国民から取った税金を使って出資するわけです。それから運賃利用者からもらった運輸収入で舞を舞うということでございますので、その辺のコンビネーションがどの程度が妥当であるかということ、簡単に言えばそういうところに尽きるのではないかと私は思います。  五十一年度に出資をやりませんでしたのは、先ほど御説明がありましたように、七兆円のうちの累積赤字に相当する分のうちでたな上げを一応したということで出資を見送ったという経緯はあるわけでございます。  そこで、問題になりますのは、こういう運輸事業でございますから、一つの企業としての運営をやりますのにどの程度企業収入に頼ってやるべきであるかということをやはり基本にして考えて、その余のことを出資なりあるいは一時の借金なりということで考えていくということになろうかと思うわけでございまして、五十一年度の予算につきましては、御審議をいただいておるような内容と考え方で提出をいたしておるわけでございますので、問題はその辺のバランスの問題になろうかと思います。
  304. 紺野与次郎

    ○紺野委員 そうすると、来年はそういう方向をとりますか。政府の出資をふやすようなことが望ましいということで努力されますか。そこをちょっと聞かせてください。
  305. 木村睦男

    木村国務大臣 来年のことにつきましては、まず、第一に、二年目の運賃改定をどの程度にやるかということから検討をしていかなければなりません。これにはやはり五十一年の一年間の国鉄経営状況を見た上でないとそのことも明確には決まりませんし、それから出資の問題につきましても、五十二年度の国全体の財政状況も考えなければならない。その中での問題でございますし、そういうことのもろもろの点を勘案いたしました上で来年度再び出資を考えるかどうかということは、その時点で考えてみたいと思っております。
  306. 紺野与次郎

    ○紺野委員 きょうはこれで終わります。この次に時間をゆっくり得まして、だれが借金で喜んでいるのかということについてお聞きしたいと思います。
  307. 中川一郎

    中川委員長 次回は、明後二十一日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十九分散会