○木村国務大臣
国鉄のたび重なる違法
ストに対して、運輸省としてどういうふうな態度で指導をやっておるかという第一点の問題でございますが、
機会ありますごとに私は申し上げておるわけでございます。あくまでも違法
ストでありまして、いかなる理由があるにしろやってはならない違法行為でございます。
それに対しましては、まず、第一に、
国鉄の中の業務遂行の秩序というものが再建にとっても一番大切なことでございますから、秩序を維持するという観点からこれに対して厳正に措置をする。そのためには、
スト行為があるたびごとにその実態を早く把握する。実態を把握して、それに対する厳正な措置をする。また、これだけ赤字を抱えております
国鉄は、一日違法行為があって
列車がとまりますと、恐らく三十億内外の減収になるわけでございます。これらの減収がさらに
国鉄の赤字に加わるわけでございます。かといって、その
国鉄内部の職員の違法行為による
国鉄の減収は、政府の補助金なりあるいは税金なり、あるいは旅客の運賃を増すことによってカバーすべき問題ではないので、これはやはり違法行為を起こした者に対してそれだけの損害は補てんの請求をやるべきである、それを正確にやりなさいということを指導をいたしておるわけでございます。しかし、違法とは言いながら、こういう行為がいままで長年にわたって行われてまいった、その原因もいろいろあると思いますが、それはそれとして、そういった違法行為が行われないように
国鉄労使間の指導、話し合いは十分にやるべきであると思います。
なお、もう一点は、違法行為をやるということのために、旅客の混乱その他を避けるために、あらかじめ当局側が走らすべき
列車もあえて走らせないというようなことがもしあるとすれば、これは考え違いであるので、いかなる混乱があろうとも、
国鉄は旅客、貨物を運ぶということがやはり
責任でございますから、そのために万全の努力をやるべきであるということも指導をいたしておるわけでございます。
それから、第二点の、今回の春闘に関連いたしましてのベースアップの問題でございますが、毎回、
国鉄のみならず、電電等を含めまして、公共企業体のベースアップは公労協として一体の形で政府に迫っておるわけでございますが、今回も同じパターンを繰り返しておるわけでございます。
国鉄の場合につきましては、
昭和四十七年までは財政上その他の理由で回答ができないでまいりましたが、四十八年以降は回答をいたしております。民間のベースアップ等との関連におきまして、公共企業体といえ
ども、その職員にある程度のベースアップはやはり必要であるという大前提はわれわれは十分理解をしておるわけでございます。しかし、五十一年度の
国鉄関係の予算あるいは
国鉄再建の法案、運賃関係法案はいまだに審議もしていただいておりませんし、予算は衆議院は通りましたが、まだ参議院で審議もされていないという
状況のもとで、果たしてどのような態度でこれに対処すべきであるかということは、非常に厳しい問題がそこにあるわけでございます。
われわれといたしましては、関係閣僚協を今週中にも開かれると思いますが、政府全体の問題といたしまして、そこで十分それらの
状況を踏まえながら検討をいたして
結論を出したい、と、かように思っておる次第でございます。