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1976-03-03 第77回国会 衆議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年三月三日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 中川 一郎君   理事 小此木彦三郎君 理事 加藤 六月君    理事 西銘 順治君 理事 増岡 博之君    理事 金瀬 俊雄君 理事 斉藤 正男君    理事 三浦  久君       木部 佳昭君    佐藤 文生君       關谷 勝利君    徳安 實藏君       丹羽喬四郎君    三原 朝雄君       宮崎 茂一君    渡辺美智雄君       太田 一夫君    久保 三郎君       坂本 恭一君    楯 兼次郎君       梅田  勝君    紺野与次郎君       石田幸四郎君    松本 忠助君       河村  勝君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 木村 睦男君  出席政府委員         運輸政務次官  佐藤 守良君         運輸大臣官房審         議官      中村 四郎君         運輸省海運局長 後藤 茂也君         運輸省船舶局長 内田  守君         運輸省船員局長 高橋 全吉君         運輸省港湾局長 竹内 良夫君         運輸省鉄道監督         局長      住田 正二君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 杉浦 喬也君         運輸省自動車局         長       高橋 寿夫君         運輸省航空局長 中村 大造君         海上保安庁長官 薗村 泰彦君  委員外出席者         労働大臣官房国         際労働課長   森  英良君         自治省税務局府         県税課長    宮尾  盤君         日本国有鉄道常         務理事     加賀谷徳治君         日本国有鉄道常         務理事     田口 通夫君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運海運航空及び日本国有鉄道経営に関  する件等運輸行政基本施策)      ————◇—————
  2. 中川一郎

    中川委員長 これより会議を開きます。  陸運海運航空及び日本国有鉄道経営に関する件等について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
  3. 久保三郎

    久保(三)委員 運輸大臣所信表明は広範なお話でありましたが、時間の都合もありますので、重要な問題について二、三お伺いしたいと思います。  一番最初にお伺いするのは、かねてから御苦労なさっておりました国鉄総裁の任命について、前の大蔵事務次官高木氏に御交渉ができて、大体受諾ということだそうでありますが、そのような手はずになっているのでしょうか。
  4. 木村睦男

    木村国務大臣 昨日総理のところへ前の大蔵事務次官高木氏に来てもらいまして、私も立ち会った上で、国鉄総裁を引き受けてほしいという要請をいたしたわけであります。これに対して高木氏からは、国鉄関係の問題については全然何もわからないので、一両日時間をかしてほしい、その後確答をいたしますということできのうはお別れしたわけでありますが、私といたしましては、適任でもございますし、ぜひこの際高木氏が総裁を快諾してもらうことを切に希望をいたしておるようなわけでございます。
  5. 久保三郎

    久保(三)委員 過日の予算委員会一般質問の中で、新しく総裁になられる方についての手前どもの見解を申し述べたのでありますが、時間もありませんから繰り返しはいたしませんが、大体、難局に立っておる国鉄再建でありますが、それだけに、総裁手腕力量というか、そういうものを十分生かさせるという工夫がまず第一に必要だと思うのですね。それには、ともすれば政治的な介入が多過ぎると言われていたいままでのあり方を改める、そのためには政府が万全の協力をする、俗な言葉で言えば、陰になりひなたになってその手腕力量を守ってやるということでないと、だれが引き受けてもこれは大変困難だろうと思うのですね。これについてはどういうふうにお考えであるか、お約束をされるのかどうか。  それから、もう一つは、財政再建労使の問題が国鉄再建の言うならば重要な二つの柱であるというふうにだれもが見ているわけなんです。もっとも、見方、考え方には多少の相違もあると思うのでありますが、帰するところは大体その二点だろうと思うのですね。財政再建についてはこれからこの委員会所要の法案もかかることでありますから、その中で十分審議をすることにいたしますが、特に、労使の問題について、経営手腕というか、そういうものを十分発揮させるのには、総裁たる者所信というか、そういうものを第一に尊重していくということが政府あるいは与党の中にないというとむずかしいのではないかと思うのだが、この点についてはどういうふうに思いますか。  以上、二点について簡単にお答え願います。
  6. 木村睦男

    木村国務大臣 国鉄の現状から考えますと、政治問題といたしましても、いまや最重要な政治問題になっておるわけでございます。その国鉄再建の全責任を負います総裁であるわけでございますので、もとより総裁に全責任を持って再建に当たってもらうわけでございますけれども、今日の国鉄再建には国鉄自体だけの力ではどうにもならない点が多々あることは久保委員の御承知のとおりでございます。国家のためにも、政府はもとより国会におかれましても全面的に応援をしていただきまして、新総裁がその力量を十分に発揮して再建と取り組み得るように、政府側といたしましても十二分の協力をいたすつもりでございます。干渉とか介入とかということではなしに、政府としては大いにこれを支援し、また、必要な援助も与えるという立場で全面的に協力をいたします。総裁も命をかけてこの再建に取り組んでもらうように、昨日も私からも強く要望をしておいたような次第でございます。  なお、再建に当たりましては、お話のとおりに、財政上の再建労使の協調、一体化、つまり、四十三万国鉄全職員に打って一丸となって精神的に使命感を持った再建に邁進してもらうということのかじ取りが総裁としての一つの大きな仕事であるということを私も痛感をいたしております。この点も、昨日、新総裁候補に私からも強くそういうことも説明をし、今後の問題として十分考慮してもらわなければならないということもお願いをしておいたような次第でございまして、全くお話のとおりの考え方で新総裁国鉄再建をやってもらわなければいけない、と、かように私は思っております。われわれといたしましても、その点につきまして十分に協力をするつもりでございます。
  7. 久保三郎

    久保(三)委員 新しい総裁が任命されたらまた所信を伺う機会もあると思うので、以上でこの問題はやめておきます。  次に、航空政策に関してお伺いしたいのでありますが、航空政策というか、ロッキード問題は予算委員会中心にして、現在証人喚問中心調査をしている段階でありまして、日本政治にとっても国家全体にとってもこれは不名誉な話なんであります。この問題の究明はもちろん徹底的にするということで、今後もそれぞれの委員会等でやることだと思うのでありますが、当委員会でも、これはトライスター、いわゆる全日空の新しい機材導入に絡むところの問題でありますから、当然、予算委員会から離れるか、あるいは並行して審議をする必要があると私は思うのであります。  そして、審議の仕方でありますが、残念ながら、たとえばいまの運輸大臣にしても、航空局長あるいはその他の航空関係の役職についている人にしても、いまの人は過去のことは知らないというようなことだらけでありますので、調査段階では、当時の運輸大臣以下関係局長部長課長というような人を本委員会なりに呼んで真相を究明していくことがやはり必要だと私は思うのです。  これから二、三お聞きしますが、航空局長なり運輸大臣はこの前予算一般質問でぼくがやったときの答弁と恐らく同じだろうと思うのでありますが、これでは問題の解明にならぬのでありまして、しかも、運輸大臣責任で問題ができているのでありますから、運輸大臣責任で、航空政策上の成り行きというか、そういうものを徹底的にお調べになっているのが本当だろうと思うのですが、どうも、いままでの国会質疑の中を通してみると、それは私ども関係しない時期の話でありますというような、まあ、言うなら人ごとみたいな立場でおられるのではないかと思うのであります。そういう姿勢では国政の根幹に触れるようなこの問題の解明はもちろんできないと同時に、お互い政治家として、これは過去の問題、過去の責任者の問題ではなくて、現在の問題だと私は思うのです。  そういう意味で、航空政策中心にして、航空企業との間の指導あるいは政策的な介入というものがどういうふうになされたかを徹底的にお調べになっておりますかどうですか。いかがですか。
  8. 木村睦男

    木村国務大臣 航空政策は、長年にわたりますその経過、経緯等、そのときどきの大臣が担当いたしておるわけでございますけれども航空政策といたしましては、運輸省としての一つの一貫した行政であるわけでございますので、現在私が運輸大臣を担当いたしておりますけれども、以前の航空行政推移等についてもできる限りの調査をいたし、また、できる限りのお答えができるようにいろいろと事務当局を督励いたしまして調べておりますので、その限りにおきましては運輸省一体責任として御答弁申し上げたいと思います。
  9. 久保三郎

    久保(三)委員 本日はそれ以外にも問題がありますので細かい質問はできかねますが、言うところの全日空DC10のオプションをしたということ——社長ですね。こういうものがあって、その社長は、言うならば通常のやめ方でなくて異例の辞任をした。その直後にいまの若狭社長になって、今度はロッキード、トライスター機種選定が正式になったという、その移り変わりについて問題が解明されないでいるわけであります。これについて、どういう機種選定するかについては運輸省は関知しないというのでありますが、機種統一というか、機材統一ということを政策中心に据えておかれた運輸省でありますから、いかなる機種統一すべきかということは話があってしかるべきだと私は思うのですが、これは全然ないという。しかも、結果的には三社ともそれぞれ別々な機種を入れているわけですね。先ほど運輸大臣政策を踏襲していますと言ったが、ちっとも踏襲していないで、これはまさに変更されているわけなんですが、これについてはどういうふうに思っていらっしゃるのかが一つ。  それから、もう一つは、四十七年の十月三十日ですかに、全日空は仮契約というか、言うならばオプションをしたのでありますが、その前に、四十七年の七月に箱根日米通商会談があったわけです。その当時の運輸大臣は佐々木さんでありますが、この箱根会談の中で、機種についても恐らくいろいろな話が出たのではないかというふうに言われているわけでありますが、そのころの航空局指導体制というか、そういう政策的なものはどうであったのか。全然素人と言ったら語弊がありますが、その運輸大臣が、機種のどれを、大型を何機入れるなんということは恐らくわかりかねるはずだと私は思うのですが、ところが、大型ジェット機を十機入れましょうというような話をしているわけです。それから、ホノルル会談では、御承知のようにドル減らしということもありまして、これは大型民間機を入れますという話をしています。そういう裏に、全然素人と言っては語弊がありますが、政府の高官と言われる閣僚なり総理大臣が、航空局担当運輸省担当者あるいは航空会社から全然何の話も聞かないでそういう話が出るはずはないのですね。  だから、そういう問題についてたとえば航空会社から話があるとするならば、あるいは航空機製造会社から話があるとするならば、一応それは航空局はつんぼさじきということでありますが、こういう大きな問題を入れるのに、恐らくつんぼさじきではないと思うのです。これは通産省も含めてですよ。ところが、いままでお聞きすると、全然関係していません、わかりませんというお話なんですが、これはいかがなんですか。
  10. 中村大造

    中村(大)政府委員 まず、機種統一の問題でございますけれども、これは必ずしもいわゆるエアバス化大型化の問題が起こって初めて機種統一の問題が出たわけではございません。むしろもっと早くから、いわゆるジェット化というものを実行していくについて、当時はやはり日航が技術的にもいわば先進会社でございますから、そういう意味で、ジェット化の過程について、整備能力あるいはそういう機材有効利用ということから考えてもできる限り機材統一した方がいいのではないかという、こういう航空局としての指導方針があったわけでございます。したがって、それは相当早くからあって、その方針が特に変更されずに、折に触れてそういう考え方を示してきたわけでございます。  確かに、この大型化というものを実行に移す段階、その話が話題に上ってきましたのは四十四年ごろからだと思いますけれども、そういう段階においては、できれば機種統一をした方がいいという考え方はやはりあったわけでございます。当然そのときには、やはりどちらも幹線大型機を入れるということでございますから、同じ路線でやるわけですし、機種統一した方がいいという考え方は依然として残っておったことは確かでございます。しかしながら、その後、たとえば全日空にしてみますと、幹線だけではなくて、いわゆるビームラインと言われるところにも大型機を入れるという可能性が出てまいりましたし、また、そのようなものが可能になるような飛行場というものが整備されてきておるということでございますし、全日空整備力も整備されてきておる。それから、各社それぞれ営業上の見地から、どの機種が最適かという自主的な判断もございます。したがって、運輸省としては、この機種統一、同じものを使うということにこだわる必要性が薄れてきたわけでございます。したがって、機種統一は望ましいけれども、しかし、それにこだわることなく、むしろ両者協力というものが必要であるからよく両者で相談をして決めなさいというふうな指導方針に変わってきた、こういうことでございます。したがって、運輸省としては、そこに何らの政策矛盾はなかったというふうに考えます。  それから、もう一つは、十月三十日に機種が決定された、それ以前に箱根会談等段階においてエアバス何機という話が出たというお話でございますけれども、これはどうも具体的な機種の決定というものとエアバスということとが混同されているのじゃないかというふうに私は思うわけでございまして、当時エアバスという言葉が使われたのは、それはいわゆる大型機というものを総称しておったわけで、強いて区別すれば、ボーイング747のいわゆる大型機と、それからL一〇一一とかDC10というふうなやや中型的なものを区別して、そういうものをエアバスと言っていたような節もございますけれども、これも定かではなくて、とにかく大型機というものを即エアバスというふうな観点でとらえられておった。したがって、エアバス化大型化といいますか、大型機導入ということについては当然運輸省は重大な関心を持っておったわけで、四十五年の閣議了解あるいは四十七年の通達ということで明確にこの方針を打ち出しておったわけでございますから、いつ大型化するかということについて運輸省がノータッチであったということは一回も申し上げていないわけです。  ただ、具体的にどの機種を選ぶかということは運輸省は全くあずかり知らないことでございまして、会社がその命運をかけて自主的に選定をして、その結果を十月三十日に報告を受けたということが、これはもう関係者から聴取いたしました偽りのない事実でございます。
  11. 久保三郎

    久保(三)委員 あなたの御答弁一つ機種統一ということについて、政策というか方針に誤りはないと言うのですが、ちっとも統一されていないので、ただ、ビームラインにも大型機が入るようになりましたからということですが、いま問題になっておるのは、幹線に投入されるところのエアバスの問題なんです。ビームラインではないのですね。ですから、少なくとも機種統一という御方針はあったのであって、それが途中で何らかの理由で消えていったということを私は指摘しているわけでありますが、その理由がちっともわからぬ。いまのお話では私の質問に的確に答えていただけたとは思っていないのであります。  いずれにしても、いまの航空局長だけにお話を聞いてもわかりかねる問題も相当あろうかと思うのです。だから、事態の進展によっては、さっき申し上げたように、当時の航空局長あるいは監理部長といいますか、あるいはその他の方々あるいは当時の運輸大臣、こういう方においでをいただいて問題を解明することがやはり一番いいのじゃないかと私は思うので、そういう要望だけしておいてきょうは先に進みますが、少なくともいま疑問を持たれているのは、機種統一をするという御方針がちっとも統一でなかったということで、一つは、運輸政策の裏側というものが何かそこに見えるわけなんであります。これは非常にデリケートな問題ではないかというふうに私は思っています。  そこで、航空問題から入りましたが、最近の航空問題で日本近距離航空株式会社再建ということがあるわけでありますが、これはもともとは四十九年の三月に、答申もあって、新潟−佐渡、あるいは稚内−利尻、あるいは札幌−中標津、あるいは紋別札幌から奥尻−函館というか、そういうところのいままで不定期航空をやっていたものを定期にして運航させようということで、地方自治体の参加も求めて設立したわけでありますが、開設までの間にかなり日にちがかかっている。それは四十九年三月に近距離航空会社ができたのでありますが、中途で十一月になってから、事故を起こしてかなり経営が困難になった横浜航空というものが、表現は悪いがなだれ込んできて、人の話では、やむを得ず増資をして全額持たせて抱え込んだという話なんですね。いま年間三億とか四億の赤字が出る遠い原因というのは、なだれ込んできた横浜航空の、当時というかいまもそうだそうでありますが、谷古宇産業の持っていたそういう不良のものが災いしているのじゃないか。谷古宇産業というと田中ファミリーということで何かいやな記憶がよみがえるわけですが、そういうものが入ってきている。  しかも、その再建方法として、これは先般新聞で見ますと七割の減資をして、谷古宇産業が持っている株は二〇%くらいあるようでありますが、その二〇%の株を全日空がみんな引き受けて、その後増資してやろうという話のようであります。これは、そういう形をとってみてもこの会社黒字には絶対にならぬということだと思うのですね。そういう絶対に黒字にならぬものをなぜ助成までして——来年は南西航空もありますから幾ら入るかわかりませんが、南西航空と両方含めて一億だそうですから、七千万ぐらいいきますか、そういう助成をしながらこれをやらせるというところに問題があると私は思うのですね。これも航空政策の失敗の一つだろうと私は思うのですよ。  これは初年度から赤字なんでありますが、しかも持っている飛行機は十九人乗りで、スチュワーデスが一人乗ってお客は十八人しか乗れない、いわゆるDHCですね。これをたった三機しか持っていない。そして冬場はお休みということでありますから、これは定期の用をなさないのではないかと私は思うのです。そういう問題について、これは株主総会というか再建対策委員会というか知りませんが、そういうところで一応の再建をやるということになっているようでありますが、航空政策の頼りなさというか、そういうものの一つの見本のように思うわけでありますが、これについてどういうふうに思いますか。  それから、もう一つ、時間もありませんから続けて質問しますが、新しい空港整備五カ年計画が始まるわけでありますが、その中で、たとえば花巻空港の例ですね。これはいまYS11が飛べるだけの余裕はある。これをジェット化そうというので、滑走路の延長ではなくて別なものをつくるということで地元でトラブルが起きている。これに反対する理由の大きなものとして、東北新幹線も間もなく盛岡まで来るということがある。これは二時間半ぐらいですか、そういうことのさなかに花巻空港を拡張してまでどうして大型機を入れなければならぬのか。これは恐らく赤字の運航になるであろうということが理屈として成り立つわけであります。そういうことを考えると、これはだれかに何かに左右されているのではないかというふうに思うのです。  それから、もう一つ。最近、去年の暮れでありますが、科学技術庁の中にある航空技術審議会答申を見ますと、これからはそういう空港に対してはSTOL大型のものをひとつ考えたらいいだろうということです。STOLは短距離の滑走路でいいわけでありまして、百五十人乗り滑走路は大体九百メートルあればいい。そういうものの開発というか導入というものはないがしろにしていて、地元の反対や総合交通体系を乱してもそういうローカル空港の拡張をするというところに大きな矛盾があると私は思うのですが、こういう問題についてどういうふうに思うか。  この三つだけお答えいただきたいと思います。
  12. 中村大造

    中村(大)政府委員 近距離航空設立に至った経緯については先生もすでによく御承知でございますけれども、当時離島辺地の輸送というものが非常に要望が強くて、それを非常に不安定なかっこうで、小規模の事業者不定期というかっこうで行っておった、そういうときにあたかも事故が起こったという、こういう当時の客観情勢でございまして、したがって、この路線を安全なかっこうで維持するためにということで近距離航空という構想ができ上がったことは先生すでに御承知のとおりでございます。そのときにすでに定期航空事業を運航いたしておりますそういう会社お互いに力を合わせまして、その他地方公共団体等協力して新会社をつくったわけでございます。そのときにこういうかっこうによらないで別の方法があったかどうかということにつきましては当時としてもいろいろ議論はされたわけでございますけれども、やはり、責任体制をはっきりさせるために近距離航空設立したわけでございます。  その後横浜航空を合併したということでございますけれども、現在近距離航空が運航いたしております路線の大部分は横浜航空が以前に不定期というかっこうで運航していたわけでございまして、そういうものに使っておった要員とかあるいは施設、あるいは乗員の訓練の実績というふうなものを活用いたしまして新しい会社経営基盤を確立するということが必要だという判断のもとに、その方法としてはいろいろな方法があったでございましょうけれども横浜航空を合併するということになったわけでございます。その場合に非常に不良資産等を引き継いだという御指摘でございますけれども、それはそういうことではございませんので、しかるべき第三者機関が正当な評価をいたしまして、正当な評価でもって合併をいたしておるということで、この点については何ら疑念はないと思います。  ただ、その後の経営は非常に厳しいわけでございまして、大幅な赤字を計上しておるということでございますので、今回、この近距離航空設立について航空審議会指導的な役割りをお果たしいただいた稲葉先生近距離航空社長の依頼を受けていろいろあっせんに尽力してくださって再建案が確立する段階になったということでございまして、この新しい再建会社経営合理化に努めるとともに、政府としても所要助成も講じ、また、その他いろいろな方策を講ずることによって長期的には採算は軌道に乗るように持っていけると考えます。また、そのための最大の努力をすることが現在なし得る最良の方法ではないかと思うのでありまして、いろいろほかに考え方もあろうと思いますけれども、そういう道を進めていくことがやはり最良であるという考え方になっておるわけでございます。  それから、花巻空港でございますけれども、これは新幹線が仮に建設されましても、航空のメリットと鉄道のメリットはおのずから違うわけでございまして、花巻空港がジェット空港としての役割りは当然果たし得るという観点から花巻空港の建設を許可したわけでございます。  それから、STOL大型機が開発されておるということでございますが、これはそういう開発が望ましいということであって、われわれとしてはそういうものが開発されることは非常に望ましいわけでございますけれども、しかしながら、今後の趨勢を考えますと、一機当たりの輸送人員というものは相当多数のものでないと、空港の発着回数等についても限界がございますし、また、採算ベースということを考えますと、中途半端な航空機の活用というものが全面的に図られるかどうかということは疑問があるわけで、それぞれの空港についてそれぞれの適した用途に持っていくということではなかろうかと思います。したがって、あながちそういう計画が無意味とは申しませんけれども、それをもって将来の地方空港ジェット化が不必要であるとか、あるいは滑走路の延長が不必要であるとかいうことは一概には言えないと思います。
  13. 久保三郎

    久保(三)委員 時間が限られておりますので、言いたいことも大変たくさんあると思うのですが、これから簡単に答弁していただきたいです。  お話はなるほど一応の理屈は立ちますが、近距離航空にしても、助成をして今後黒字になるという見込みはありませんよ。それならば、谷古宇産業が持ち株二〇%も持っているのをなぜ全日空が引き受けなければならぬのか。黒字になるというのだったら株主としてとどまったらよさそうなものですが、それがとどまらないというところにも幾つか疑問があるわけですね。だから再建の道は立たない。運輸省答申を受けて、運輸省指導権で近距離航空をつくらしたから何でもかんでもやっていかなければならぬということではどうもおかしいのじゃないかと思うのです。再建の道がなければ、別に再建の道を新しく探すのが本当だと思うのですね。助成もするのですからね。これはいまだかつて沖繩以外にはないのです。そういう助成をしているということにも頭を置いていただきたいと思う。一会社に七千万もやるのですから、そうむざむざと使われたのでは困ると思う。  時間もありませんから航空の問題はその程度でおいて、せっかくよそからもおいででありますから、次には、軽油引取税についてお伺いしたいのです。  いま審議中でありますが、営業用については一五%、二年間は交付金で返すと言ったら語弊があるが、肩がわりして交付金としてやる。これはこれからの話の詰めだと思うのでありますが、これはどういうふうに還元していくのか。個人個人の業者というか、そういう者に還元することは不可能なものだろうと思うのですね。  ついては、いま特にそれぞれの業界が困っている問題が幾つかあるわけですね。たとえば運転資金に困るという場合もある。あるいは、そこで働く者の福利厚生が他の企業に比べると非常に劣悪であるというような問題がある。もう一つは、いままでもたびたび話に出ましたが、たとえば長距離路線トラック運転者の休憩所とか休養施設とか、そういうものをつくるべきであるという話も出ている。言うならば、これはそういうものに基金として運用をしていくということが一番時宜に適しているのではないかというふうに私は思うのですが、これに対してはどういうふうに考えておられるか。自動車局長並びに、税金を取る方と言ったら語弊がありますが、自治省の方からもあわせて簡単に御答弁いただきたい。
  14. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答え申し上げます。  この問題はいま私どもは自治省と協議をしている最中でございますが、税法の改正案が国会を通りますればこういうふうなことでお願いしたいということで折衝しております内容を申し上げますと、一つは交付の方法であります。一つは交付する対象であります。  交付の方法につきましては、各県のトラック及びバスの協会がございますが、この事業者団体を公益法人にいたしまして監督体制をしけるようにした上で、この公益法人に対して県当局から交付するということにしていただきたいと思っております。これは還付ではなくて、あくまでもその地域の中の運輸関係の事業をよくするための交付金という形になると聞いております。助成的な交付金になると聞いておりますので、そのような窓口で受けるようにいま私どもは考えて折衝いたしております。  次に、この使い方でございますけれども、いまの久保先生の御指摘の点につきましては私どもも全く同感でございまして、現在のトラック運送事業あるいはバス事業等の現状に照らしまして、経営の非常にむずかしくなった会社に対して短期的な運転資金を出す、あるいはその地域の中の住民のためにバスターミナル等をつくる助成をする、あるいはトラックターミナルあるいは共同荷役施設等をつくるお金の助成をする、さらには働く人のための福利厚生施設あるいは長距離路線トラックの運転手さんのための休憩施設とか、こういったものにやはり広く活用していきたいと思っておりまして、したがいまして、その方法としては、いまも先生がお示しのように、主として基金方式でいきたいということで考えております。したがいまして、このことは減税の見返りだからということに立って、個々の業者に返すということはいたさないという方向でいま自治省と折衝いたしております。
  15. 宮尾盤

    ○宮尾説明員 今回の軽油引取税の税率の引き上げと関連いたしまして、運賃と物価に及ぼす影響等を配慮いたしまして、別途輸送力の増強とかあるいは運賃の抑制等に資するために、今回、営業用のバス、トラック等につきましての軽油引取税の増収額のおおむね半分程度をめどといたしまして交付金を交付するということにいたしたいと考えておるわけでございます。  その受け皿の問題あるいはその使途の問題等につきましては、趣旨が輸送力の増強とかあるいは物価抑制等に寄与するために使われるんだということでございますので、その点につきましては、運輸省とも千分協議をしながら今後詰めてまいりたいというふうに考えております。
  16. 久保三郎

    久保(三)委員 これから詰めてお話しになるそうでございますが、いまの自動車局長お話だと、各都道府県ごとに公益法人をつくってということであります。これも必要だろうと思うのでありますが、分散するだけではいけない場合があると思うのですね。中央で一応何がしか、割合は別として、全国的な形のそういう公益法人をつくって、いま自動車局長等がお述べになったような目的のために運営していくということが必要だろうと私は思うので、その点も御考慮いただきたいと思います。  次には、労働省からも来ていただいておりますが、これは自動車局長関係というよりは政策関係であります。中村審議官がおいででありますが、いまの交通、ことに公共交通の事業というのは、きのう運輸大臣からもお話があったとおり非常に経営が困難である。あるいは非常に問題が多いのですね。特に、こういう時代になりますと、過疎地におけるところのたとえば路線の休廃止とかいうような問題がある。あるいは地方バスの一元化によるところの問題が出てくる。片方では輸送の近代化ということで、新しい機械あるいはシステムの導入というものによる問題が出てくる。あるいは安全の問題から言って、運転者等の労働条件というか、そういうものにも問題が新しく出てくるわけですね。そういう問題について、いままでの労働基準法を中心にした問題ではカバーしていない面がたくさんあると思うのです。  ついては、たとえばILOの内陸運輸労働委員会での三十七号決議、これは「輸送の調整から生ずる労働問題に関する決議」でありますが、それから五十一号の「路面運送における雇用条件に関する覚書」と、それから七十四号の結論ということで「鉄道及び道路運送における変化する方法及び技術の社会的影響に関する結論」というように、こういう三つの代表的なものがある。これ以外にもあるのでありますが、こういうものについて検討を加える。ILOのこういうものがあるからばかりではなくて、国内の問題として多くの問題がありますし、ILOの決議もあることでありますので、あわせて早急に検討をして国内体制を整える必要があると思うのであります。  ついては、そういうことでお尋ねするのでありますが、こういうものの御検討はいままでなされているかどうか、あるいは今後の体制の整備についていかなるお考えであるのか、これは労働省から先にお聞きした方がよろしゅうございますね。お願いします。
  17. 森英良

    ○森説明員 お答え申し上げます。  先生の御指摘のILOの内陸運委員会におきます結論、決議、覚書等につきましては、御指摘のとおりこれまでいろいろと参考にいたしておりまして、これらは労働省の行政の面で十分参考にさせていただいておるわけであります。  御承知のとおり、覚書等は運輸業に従事する労働者の労働条件等につきまして望ましい方向を示しておるわけでございまして、先生承知のように、基準局におきましても、業者、運転者の問題につきましては、単に労働基準法を遵守するというだけの問題にとどまらず、条件の改善基準を設けておりまして、これによって指導してきておるわけでございます。また、昨年の十一月にも新しい基準を設けまして、それによって労働条件の改善の監督、指導を行っておるわけでございます。  この改善基準の設定に際しましては、これらのILOの覚書等につきましても参考にいたしましてつくったような次第でございます。今後とも行政に際しましては、これらの覚書等の趣旨を十分尊重いたしまして努力してまいるつもりでございます。
  18. 中村四郎

    中村(四)政府委員 ただいまの先生の御指摘のILO関係の決議、覚書、結論等につきましては、私どもの方といたしましてもその内容を検討いたしております。ただ、何分にも昭和二十年代から三十年代にかけての決議等でございまして、報告書というものが別にございますので、これは相当分厚いものでございますが、それをいま取り寄せ、内容を検討いたしております。  総じて申し上げますと、先生御指摘のように公共交通機関の健全な発展を考えていく場合、交通安全の確保の上からも、それからまた適正な交通運輸サービスを提供するという上からいきましても、運輸事業に従事いたしております労働者の方の労働条件の改善ということはやはり重要であるということはもっともなことであります。したがいまして、そういう観点から、労働省の作業の方と相まちまして、私どもの方としてもその内容の検討を進め、その中身を、実施できるものとできないものという分析を行っていきたいと思っております。
  19. 久保三郎

    久保(三)委員 時間もありませんから再質問はやめておきますが、運輸省は検討していると言うし、労働省もいままでもやらぬわけではないと言うのですが、これは古い決議や結論であります。新しいものは一つしかありません。だから、ともすれば古いじゃないかと言うが、中身は至って現代に合っている決議でありますので、できるなら早急に国内体制を整えて、基準というか、そういうものの運びをしてもらいたいというふうに私は思います。  次へ行きますが、もう時間がたくさんございませんので、質問の要綱だけを簡単に申し上げますので、簡単にお答えいただきたいと思います。  一つは、これは自動車局長にお尋ねしたいのですが、地方バスの路線維持の補助ですね。これは大蔵省とのいままでの申し合わせでは五十一年度までというかっこうになると思うのですが、五十二年度以降はどういうふうに考えておられるのか。むしろ、この際これは制度化したらどうだろうか。制度化すべき筋合いのものであって、単年度の予算措置で予算折衝でやっていくということは、一つは、経営の将来に対して見通しがきかぬという問題があるのですね。そういう問題もありますので、これは制度化する考えはないか。  それから、もう一つは、金も出すが口も出すということで、これは当然のようでありますが、地方バス改善五カ年計画というものを出させて、それで毎年度年次達成度の報告をしろということ、これは一応の筋かもしれませんが、余りにも経営の自主性を阻害するような介入の方向はいかがかと思うので、これは一考を要することだと思うのです。むしろ助成金をやるときにこれはチェックするものであって、前からおまえのところはこういうふうにやれなんということは少し行き過ぎではないかと私は思うのであります。そういう二点です。  それから、次は、船員局長にお尋ねしますが、船員の雇用対策基本計画を策定するということで昨日運輸大臣がお述べになっていますが、この骨子はいかなるものであるか。  それから、船員の雇用対策法というか、そういうものを当然制定して、いま一番——いま一番というか、輸送の面では船の方の問題が一番深刻なんですね。そういうことになりますと、どんな中身か知りませんけれども、単なる基本計画というもので措置していくのでは、やはり、長期展望に立ってはなかなかむずかしいのだろうと思うのです。だから、この際、雇用対策法というか、この中身は、雇用安定の問題あるいは雇用保険、あるいは職業訓練というものを含めた対策法というものを当然つくるべきだと思うのだが、これはいかがか。  それから、きのうも質問がありましたが、新しい五カ年計画ですね。これは港湾、空港、鉄道も中へ入りましょうが、あるいは道路も入る。こういうものが全体では大体百兆円というか、その中でいろいろあるわけでありますが、これは整合性を持っているのかどうか。  それから、もう一つは、総合交通体系というか、政策というか、そういうものはまだなんですね。これは見直しですからね。きのうお話があったように、経済計画、国土総合開発計画はいま策定中なんですね。こういうものの策定によって総合交通体系が確立し、その中で初めてそれぞれの投資の計画というものがあるべき筋合いだと私は思うのでありますが、これは何か逆で先行しているように思うのでありますが、この点はどうなのか。これは一点だけ、どなたでもいいからお聞きしたい。  以上をお尋ねしますので、お答えいただきたい。
  20. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答え申し上げます。  御承知のように、地方バスの補助金は十年以上前からやってまいりましたのでありますけれども、地方バス事業及び地域住民の交通状況の現状にかんがみて、五十年度に抜本的な金額の増額をいたしました。前年度二十二億円に対しまして五十年度には五十八億円という、二・六倍というふうな大幅の増額をいたしたわけでありますが、そのときにかなりのところまできめの細かい手当てをいたしました。そのときに、五十年度から五年間ひとついろいろな方法を考えようというふうなことが、私どもが大蔵省と折衝している過程で事実上話も出ましたので、これはもちろん確定的なことじゃございませんけれども、私たちの気持ちといたしましては、五十一年度で切れるのではなくて、五十年度から五年間は少なくとも継続できるというふうに考えております。  ただ、先生の御指摘のように、これを五十二年度から制度化したらどうか、たとえば立法等を用いまして制度化したらどうかという点につきましては、五十二年度予算の要求時期等をめどにいたしまして折衝ないし検討いたしてみたいと思っております。現在のところはまだどちらにするかということを決めておりません。  それから、二番目の経営改善の計画の問題でございますが、これもその五十年度に二・六倍という大幅な増額をいたしましたときに、これだけ大幅な資金をつけるわけでありますので、なるべく資金を有効に使っていただきたいということがあったわけであります。現在、バス事業の内部を見てみますと、経営体によってかなりばらつきがございます。経営努力の濃い薄いがございまして、これは経営者だけでなくて、働く人も含めて一丸となって経営努力をしているところもあるし、その点がまだなかなか鈍いところもあるというふうなことでございまして、やはり、なるべく経営努力をして、できるだけお金を節約した上で必要なお金を補助するという考え方が正しいのじゃないかという形で、私どもは、五年間の間にどういうふうな経営改善をしてくださるのかということを各経営者にお願いいたしまして、経営者の責任において計画を立てていただき、そういったものに従って補助を的確にしていきたいというふうに考えているわけでありまして、したがいまして、この経営改善の中身につきましては、それぞれの企業の内部での創意工夫がございますので、私どもはそこまで深く行政介入をするつもりはありません。  要は、補助金を受ける企業間にアンバランスがないように、貴重なお金が的確に使えるようにということが趣旨でございます。
  21. 高橋全吉

    高橋(全)政府委員 いまの先生の御質問は二点でございますが、来年度船員の雇用基本計画をつくるべく、その骨子は何かという御質問のまず第一点でございますが、実は、船員職業安定法に基づきまして基本計画をつくりたい。それで、実は、御承知のように海上労働の需給基調が非常に変化してまいりましたので、将来にわたって、大体五年計画で、五年先を見通しまして、一体船員はどのくらい必要なのであろうかという、いわゆる雇用の動向と、それから現段階で非常に船員が余っておりますので、その余剰船員対策といたしまして、その再教育というと何が必要なのだろうかというようなこと、あるいは養成規模の見直し等、これを骨子として基本計画の中にうたいたい、このように考えております。  それから、船員の雇用対策法が必要ではないかという第二の問題でございますが、なるほど陸上には現在雇用対策法がございます。雇用対策法と申しますのは四十一年に制定されまして、これは当時といたしましては、第一次産業の労働者が非常に多いというようなことから職業転換を図った法律でございます。したがいまして、その法律の内容といたしましては、現在、船員の関係の雇用関係法律と比べますと大体充足しておりますが、ただ、一つ違いますのは、職業転換のための援助をしてやろうというのが雇用対策法と違っておる点でございまして、これは船員にはございません。したがいまして、いま申し上げました基本計画を立てる段階で何かわれわれもそういうことを考えていきたいと考えております。したがいまして、これは基本計画をつくる段階でいろいろのデータをいま集めておりますけれども、その段階で必要ならばわれわれはそういうことも考慮をいたしたい、このように考えております。
  22. 中村四郎

    中村(四)政府委員 新しい経済計画につきましては、本年の一月に、五十年代前期経済計画概案といたしまして、その大枠が閣議了解されたわけでございます。一方、第三次全国総合開発計画が、これは昭和六十年を目標とする長期計画でございますが、昨年末に、その基本目標と将来社会の展望などを内容といたします概案の中間取りまとめが閣議報告されておるわけであります。  この両者関係でございますが、第三次全国総合開発計画の概案のまとめの中におきまして、計画期間の前半、前期五カ年につきまして、先ほど申し上げました昭和五十年代前期経済計画と相互に十分調整のとれたものとするということがうたわれておるわけであります。そこで、港湾、空港等の整備五カ年計画につきましては、この五十年代前期経済計画概案で、先ほど先生が申された百兆円の全体の公共投資があるわけでありますが、その一環といたしまして、これに即して現在策定作業を進捗さしているという段階でございます。したがって、第三次全国総合開発計画と前期経済計画の、この間の調整を図るという前提で、第三次全国総合開発計画の基本的考えとの調和というものは今後の作業を進めながら図られていくというふうに考えておる次第でございます。
  23. 久保三郎

    久保(三)委員 質問も残しておりますが、時間でありますから、以上で終わります。
  24. 中川一郎

    中川委員長 三浦久君。
  25. 三浦久

    ○三浦委員 大臣にお伺いいたしたいと思います。  私は大臣所信表明をお聞きいたしまして大変驚いたんですが、いま国民が一番関心を持っているロッキード事件については一言も触れられていないわけですね。ロッキード事件というものは運輸行政と全く関係なく発生したものなのかどうか、この問題については運輸行政というものは全く関係がないのかどうか、この点をまずお尋ねいたしたいと思います。
  26. 木村睦男

    木村国務大臣 ただいまいろいろと社会的な大きな問題になっておりますロッキード問題は、ロッキードという航空機の販売に関連してのいろいろな疑惑であるわけでございます。運輸省航空事業を監督しておる官庁でございますから、そういう意味では無関係であるということは言えません。しかし、運輸行政という面から見ますというと、航空機の購入に関連していろいろ疑惑が持たれておるということでございまして、われわれの運輸行政全般の各年度のいろいろな計画あるいは運輸行政の進め方というものを私の所信として昨日申し上げたようなわけでございますので、そういうものの中に入れるべき問題ではないと私は考えております。  航空行政についてはあくまでも厳正にやってまいらなければなりませんし、そういう点では十分注意をいたさなければなりませんし、また、監督も厳重にしなければならないということは当然のことだと思います。
  27. 三浦久

    ○三浦委員 コーチャン証言によると、トライスターの売り込みに関して政府高官に金が渡っているというわけですね。政府高官の名前はまだ明らかになっていませんけれども、常識的に見れば、その政府高官の中には運輸省関係の人がやはり入っているんじゃなかろうかというふうに推測をされるわけですね。運輸行政全般についてそういう強い疑いが国民の中にあるときに、その問題について一言も触れないということは所信表明としてはやはり適切ではなかったんじゃないかというふうに私は考えております。  私は、この問題についてはいろいろ御質問をいたしたいことがありますけれども、きょうは時間がありませんから一つだけお尋ねいたします。  海上保安庁が飛行機を十五機持っていると思いますが、この飛行機の購入先をお尋ねしたいと思います。
  28. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 先生の御指摘のように、航空機は十五機現在持っております。その購入先は、国産のYS11が日本航空機製造株式会社、それからビーチクラフトが伊藤忠商事、それから、そのうちには一部、航空大学校から移管を受けたものが三機あります。それからスカイバンは安宅産業、セスナは野崎産業、計十五機でございます。
  29. 三浦久

    ○三浦委員 現在ある十五機の飛行機のうち、古くなったもので買いかえなければならないものがあると思います。それからまた、新しくふやさなければならない、ふやす必要があるというものもあると思うのですね。その点はいかがですか。
  30. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 古くなって買いかえなければいかぬものも逐次出てくると思いますが、現在のところ、警備救難、交通安全その他の大事な仕事に十五機ではやはり足りませんので、整備強化を図っていくという方向で処理をしております。
  31. 三浦久

    ○三浦委員 最近、飛行機の売り込みが丸紅からあったことはありませんか。
  32. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 昨年の春に丸紅からロッキードの飛行機購入方を申し込んできたという事実はございます。
  33. 三浦久

    ○三浦委員 申し込んできて、海上保安庁としてはどうされましたか。
  34. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 五十年の四月ぐらいの話ですが、丸紅からそういう話がありまして、そこで、五十年の四月の十日に、機種はアメリカのコーストガードが救難機として使っているL100型機というのでございますが、その宣伝のために先方がフィルム、スライドを持ってきまして、それで、私どもの第二会議室という場所でその映写をさせて、私ども関係者が見たということでございます。それで一、二それについて質疑をしたという事実は四月の十日にございます。
  35. 三浦久

    ○三浦委員 その説明会といいますか、映画を見た説明会ですね。これには海上保安庁からはどのような人が出席されましたか。
  36. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 当庁の側としましては、警備救難監、警備救難部長、海上公害課長、救難課長航空管理官その他課員が約十五名ぐらい当時見たという記憶がございます。
  37. 三浦久

    ○三浦委員 警備救難監というのは大変重要な役職の方ですね。これは完全にトップの幹部だというふうに言ってもいいですね。  そうすると、丸紅側からはだれとだれが出席したでしょうか。
  38. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 実は、当時の名刺を保存しておったものによりまして申し上げたいと思いますが、輸送機械部の部長代理の小畠さん、それから輸送機械部の航空機課の課長の加藤さん、それから輸送機械部の航空機課の課長補佐である小池さん、それから外人が、ロッキード・ジョージア・カンパニー、ア・ディビジョン・オブ・ロッキード・エアクラフト・コーポレーションのインターナショナル・セールスのリージョナル・ディレクターのG・B・メスビン・ジュニアという人でございます。
  39. 三浦久

    ○三浦委員 外国人は一人だったですね。
  40. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 名刺によっては一人ということでございます。
  41. 三浦久

    ○三浦委員 そのとき初めてそういう説明会が持たれ、その後接触はないのですか。
  42. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 この説明会の前に、どれくらい前か、私が聞いてきたのは十日くらいというのですが、それは正確かどうかわかりませんけれども、そういう説明をしたいという申し入れがあって、それで四月十日にそういう映写会を催した。それ以後、数ヵ月後にもう一遍丸紅の、多分課長補佐の方だったようですが来られて、説明といいますか、あとのお話があったようですが、結論的に申しますと私どもはこれを購入しておりませんので、経緯はそういうことに私は聞いております。
  43. 三浦久

    ○三浦委員 ここに三月一日に丸紅が予算委員会に提出をした資料があるわけです。翻訳してみたわけですけれども、ここでいまあなたが言われた丸紅の輸送機械・航空部長の加藤という人からロッキードの本社にあてた報告書があるのですね。これによりますと、こう書いてあるのです。「先週あなたとスノー氏を当地にお招きして」云々と書いてあるから、これは外人は二人だったと思いますね。そして、「海上保安庁にたいしてL100についてのブリーフィングを行う機会を得ましたことを大変うれしく思います。ブリーフィングは大成功で、海上保安庁で私たちの接触する」と書いてあって、次にこれは氏名が書いてありますけれども、一応〇〇というふうに言わしていただきますが、「私たちの接触する〇〇氏はそれに大変感謝しております。なぜならば、その会合に多くの重要な人びとが出席したことは、かれが内部で説明するのを非常に容易にするものであったからです。それら重要人物からの反応はこれまでまだありませんが、私たちは今後のどのような展開をもお知らせするでしょう。」となっている。それで、日付は四月の十四日になっておりますね。  そうすると、丸紅の方は、このL100について海上保安庁に買ってもらおうというかなり強い意思を持っていたということが推測できるわけです。そして、折衝に当たっている〇〇氏という人はこの説明会を開いたということについて大変感謝しているというのですが、〇〇氏が感謝することはないと思うのです。そうすると、感謝をしたというのはいろいろな意味にとれます。もちろん、L100というのが大変いい飛行機だから、それを何とかして幹部を説得して購入してもらおうという機会ができたというので喜んだと、素直に考えればそういうふうにも受け取れますね。しかし、また、丸紅というああいう悪徳商法をやっているところですから、折衝している人にいろいろと、いまはやりの言葉で言えばピーナツですが、これが渡っているということも考えられないことではないのです。それで、この商談が成立すれば、折衝に当たった〇〇さんはそういうお金がもらえるというので喜んだというのかもしれません。どっちかわかりませんけれども、そのほかにもあるかもしれませんけれども、いまになってみれば、これはやはり疑いをもって見るのがあたりまえだと思うのですね。  この問題について、海上保安庁はお調べになっておられますか。
  44. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 丸紅からロッキード社へのその報告がどういう判断で、どういう文言で書かれたかということは、実は、その文章もいま先生から初めて私は拝聴しましたのでつまびらかにしませんが、丸紅がロッキードにどういう判断で報告をするということは、これは丸紅側の問題だろうと思います。  それで、〇〇というお話でございますけれども、もし伺えるのだったらまた別途伺ってもいいと思いますけれども、私はただいま拝聴するのが初めてでございますので、それに対しての内部での調査といいますか、そういうことは現在まではまだしていないということでございます。
  45. 三浦久

    ○三浦委員 決してこの書類はにせものでもないのです。丸紅から予算委員会に提出をされたものなんですが、私は、その折衝に当たった人の氏名を公の席で言うのは差し控えたいと思います。それは後でまた海上保安庁の長官の方にお知らせいたしたいと思いますけれども、ひとつ、この際はやはりえりを正して、どんな疑いも持たれないような処置をすることが大事だと私は思いますので、御調査をいただきたいというふうに思います。
  46. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 実は、このL100型機というのは、アメリカのコーストガードを初め、ほかの国でもかなり使っているようでありまして、救難機として性能などはかなり適した飛行機であるということのように私も聞いてもいるのですが、ただ、値段が恐らく四十億ぐらいするというような話でありまして、当庁の予算では、そういう一機に四十億というようなものをつぎ込むわけにはとてもいきません。  五十一年度の予算案を見ていただいてもわかりますように、船艇、航空機を含めて六十億程度ということで、その中で船艇を重点的にして、そのうちの恐らく五十数億は船艇予算ということでありまして、特に、遠距離の救難用については、私どもとして非常に願っておるような航空機の予算は、来年度の予算案でも三億ばかりであって、とてもこういう四十億に手が出る話ではございませんので、いまお話がございましたけれども、わが方でこのL100を手に入れるということは現実の問題としてとてもあり得ないということは、当庁の関係者としては当然初めからわかりますので、そういった心配はないということを私は考えております。
  47. 三浦久

    ○三浦委員 そうであれば、一番最初に話が持ち込まれたときに、いやもうとても予算上だめですと言って断るのが当然だと思うのですね。それを、最高幹部まで含めてずらっと十何人もあなたの方では出席されているわけですね。それから、また、ロッキード側も外人が二人も来ておる。それから、また、丸紅でも幹部が来ているわけですね。こういう経過を見てみますと、やはり買う意思があったのじゃないかというような疑いを私は強く持つのですけれども、そうすると、いまの長官のお話ですと、このL100というのはいまのところは買う意思はないというふうに承ってよろしいですか。
  48. 薗村泰彦

    ○薗村政府委員 そのとおりでございます。とてもこんな四十億の航空機に予算をつぎ込むわけにはいかない。先生の御指摘がございましたように、航空機の老朽度よりも実は船艇の老朽度がもっと進んでおりまして、船で二十五年、艇で二十年というような耐用年数が尽きまして、その代替建造に非常に難渋しているというような状態でございますので、こういうものは買うつもりはございません。  それから、私どもとしては、特に、アメリカのコーストガードなんかがどういう資機材で、どういう船艇で、どういう航空機でコーストガードの仕事をしているかということについては、やはり絶えず興味がございます。したがって、このL100を使ってどういう救難の実情でどういう活動をやっておるかということについては興味がございますので、私どもとしては、スライドもフィルムもそのときにそういう意味で見させていただいても決しておかしくはないということを感じております。
  49. 三浦久

    ○三浦委員 だから、手が出ないものについてこんな大規模な説明会をセットしたというところに、丸紅の何らかのかなり強い働きかけがあったのではないかという疑いを私は持つわけですから、その点は御調査いただきたいと思うのですよ。  次に移りたいと思いますが、昨年のスト権ストに対して、国鉄当局が労働組合に損害賠償の請求をいたしましたね。これは訴訟になっているわけでありますが、私は、これは労使関係というものは生き物だということを全く無視した暴挙だというふうに思っているわけなんです。私は、労使関係の正常化を図るという意味で、即座にこの訴訟の取り下げをするべきだというふうに思います。  お尋ねいたしますが、幾らの損害賠償請求をしたのでしょうか。
  50. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 去る二月の十四日に訴訟手続をとったのですが、その額は二百二億四千八百二十七万八千円でございます。
  51. 三浦久

    ○三浦委員 印紙代は幾ら張ったのですか。
  52. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 印紙代は法定で〇・五%ということになっておりまして、一億百二十四万四千四百円でございます。
  53. 三浦久

    ○三浦委員 一億百二十四万円の印紙を訴状に張ったわけですね。国鉄財政というのはこんなに苦しい、苦しいと言っているのに、一億を超えるような印紙を訴状に張って損害賠償の請求をするということは、これは金のむだ遣いだと私は思うのですよ。  弁護料は幾ら払っておりますか。
  54. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 昨年のスト権ストというのはかなり長期に、八日間にわたりまして、しかも全国的な列車の停廃が起きたという非常に残念な事態だったのでございますが、そのために国民生活に多大な迷惑を及ぼした。それから、また、国鉄にとりましてもかつてない損害をこうむったということでございまして、また、世論の反応も非常に厳しいものがございまして、われわれもいろいろな点を総合的に判断して、これについては放置できないということで、一つはやはり労使関係という問題もあるわけでございますが、法律を守るということのけじめと申しますか、そういったものも非常に重要であるというような判断に基づいてやったわけでございまして、訴訟につきましては、そういった非常にはっきりした違法性を持ったものがございまして……(三浦委員「弁護料は幾らかと聞いておるのです。そういうことは何回も聞いております。」と呼ぶ)この立証も可能であるということで、私どもこれに踏み切っております。  それから、弁護料につきましては、今後の問題でございますので、いまはっきりした数字は申し上げられません。
  55. 三浦久

    ○三浦委員 言えないほどたくさん出したのですか。——こういう暴挙に近いような損害賠償の請求訴訟を起こすなんて、戦後初めてなんです。  こういうことをやって労使関係が正常化すると思っておるのですか。何年ぐらいこの裁判がかかると思っておるのですか。
  56. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 先生御指摘のとおり、いま、国鉄は、財政基盤の確立と申しますか、そういう非常に重大な問題を抱えておる。これにつきましては労使の正常化といったものが大変必要である。そればかりでなく、四十三万の国鉄職員が一丸となってこれに取り組むという考えが必要であるということは、私どもももちろん十分に承知しております。しかし、これはこれでございまして、やはり、法律、秩序を守るということ、けじめはけじめとして、この問題に踏み切らざるを得ないというふうに判断したわけでございまして、これによって特に労使関係がどうのということは、多少影響はあると思いますが、私どもとしては、けじめはけじめとしながらも、正常化を保って、四十三万一丸となっていく努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  57. 三浦久

    ○三浦委員 あなたはずいぶん楽観的な見通しを言っておりますけれども、この前予算委員会で前総裁は、これはもう非常に困難だ、労使関係の正常化が非常に困難になる、だから全力を挙げて協力をお願いしなければならぬ、しかしむずかしいと思います、というようなことを言っているのですよ。そんなに正常化が簡単にいくと思いますか。相手のほっぺたをひっぱたいておいて仲よくしましょうと、そう簡単にはいかないと私は思うのです。  国民に損害を与えたということは間違いないでしょう。しかし、その国民に損害を与えた責任というものは、ストライキ権を奪い、そしてその回復をずっとおくらせてきた政府国鉄当局の責任じゃありませんか。それを労働組合にだけ責任をとらせる。いまあなたは労使が一体となって云々というようなことを言われましたけれども、労働組合にだけあなたたちは責任を追及しているじゃありませんか。あなたたち自身の責任というものはないのですか。どうなんですか。
  58. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 御指摘のとおり、これは長い間の労働問題の歴史からいたしましても安易な道とは考えておりません。しかし、こういう国鉄の事態におきまして、労使協調して財政基盤の確立に努力し、国民の負託にこたえていくという考え方でもって、われわれはとにかく安易な道とは思いませんが、努力してまいらなければならぬというふうに考えておるわけであります。     〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕
  59. 三浦久

    ○三浦委員 私が聞いたのは、国鉄当局の責任はないのですかと聞いているのですよ。労働組合にだけ損害賠償の請求をして、あなたたちはただ安閑としているのですか。何も責任はないのですか。どうなんですか。
  60. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 もちろん、違法ストでございますし、しかも長期にわたって全国的な列車の停廃を伴ったというものでございまして、私どもといたしましても国民に対して大変申しわけないというふうに考えております。また、当時もそういった意味で国民に対して総裁としての意思を表示したわけでございます。
  61. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、責任はないということですか。もう一回答えてください。
  62. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 長期の違法ストが行われたことにつきましては、責任を国民に対して十分感じております。
  63. 三浦久

    ○三浦委員 では、その責任をどうやってとるのですか。労働組合にだけ損害賠償の請求をしているじゃありませんか。あなたたち自身はどういうふうに国民に対して責任をとるのですか。
  64. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 今後国民生活に迷惑をかけるようなそういう事態を引き起こさないように、また、もろもろの関係の御協力を得まして、財政基盤の確立にも前進的にわれわれとしてできるだけ努力してまいりたいと思っております。
  65. 三浦久

    ○三浦委員 それは、国民の足として国鉄再建する、国民のための国鉄にするために国鉄再建するという責任はいつもあるわけですよ。それは国鉄当局にもあれば、労働組合側にもあるわけでしょう。そうでしょう。そんなことは一般的にあることなんです。今度のスト権ストについて、労働組合にだけ損害賠償の請求をして責任をとらせて、国鉄当局はのほほんとしているという、そんなことが一体許されるのですか。——まあいいでしょう。あなたたちの考え方はわかりましたけれども、これはきわめて不当ですよ。  それで、法律的に見てもいろいろな疑問があります。もちろん憲法問題もあります。私たちは、これはもう憲法上の権利ですから奪うことのできない権利だと思っていますけれども、仮に百歩譲って、公労法十七条、十八条が正しいというふうに考えてみても、まだ問題があるのです。  公労法でもってストライキを禁止している。これは何のために禁止しているとあなたは思っていますか。法律用語で言うと法益と言いますけれども、法益は何だと思っていらっしゃいますか。
  66. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 国鉄は、同じ鉄道機関でございますが、私鉄なんかと違いまして、全国的な輸送網を形成しておるということで、国鉄がストライキをやります場合には、全国的な輸送基盤、生活基盤にかなり影響するということだと思います。
  67. 三浦久

    ○三浦委員 どういうふうにお考えですか。
  68. 木村睦男

    木村国務大臣 この問題につきましては、私は三浦さんとは不幸にして非常に見解を異にしておるわけでございます。(三浦委員「法益は何ですかと聞いているのです」と呼ぶ)  その前に一言申し上げないと、そこの御答弁ができぬわけでございますが、違法ストによって国鉄自体が約二百億の減収になった、それを組合に対して損害賠償として請求をした、国鉄が二百億の収支の開きが出てきたという問題になるわけでございます。したがって、国鉄黒字経営のときには利益金でもって二百億ぐらいは埋め合わすことができますけれども、御承知のように、五十一年度は五割も運賃値上げをさせてもらわなきゃ困るというふうな状況のもとで、この二百億というものの赤字をどうやって埋めるかということを考えますと、運賃で負担すれば旅客にこれだけの負担をお願いしなければいかぬ、政府がそれを補てんするということになりますと、税金でございますから、一億の人間から一人から二百円ずつお金をもらって違法ストの損害を国鉄にやって、そして収支のバランスをとらなきゃならぬということになるわけです。それを考えますと、法律に違反してやった行為に対して、国民でも、旅客でも、よってもって起こった損失をなぜ負担するような結末に持っていかなければならないか、国民がこれを納得するかどうかという問題になると思うわけでございます。  いま国鉄当局が申し上げましたが、法律のいい悪いということはそれぞれ人によって違いますが、実定法のもとにおいて社会の秩序が守られておるわけでございます。これに違反して行った行為によって損害をかけ、また、そういう行為を起こしたことに一半の責任が当局側にあるとすれば、その責任を果たす一つ方法としても、この責任は法律を破った側に補てんをしてもらいたいというのがやはり責任をとる一つ方法ではないかと私は考えておるわけでございまして、国鉄責任問題はほかにもございますけれども、これも国民に責任を果たす一つ方法であると、かように認識をしておるわけでございます。
  69. 三浦久

    ○三浦委員 問いに答えないで、別のことばかり言っているのですね。なぜ公労法上ストライキが禁止されているのですか、その法益は何ですかと聞いているのです。
  70. 木村睦男

    木村国務大臣 国鉄の国民に対して提供しております交通による利便の提供という、非常に広範囲な、また大きい問題でございます。これがストライキによって一日でも一瞬でもとめられるということは非常に大きな損害を与えるわけでございますので、これがストライキを禁止しておる法益であると考えております。
  71. 三浦久

    ○三浦委員 そういうことだと思うのですね。私たちは公労法十七条を認めるわけじゃありません。これは憲法違反であります。しかし、一応仮に百歩譲って公労法十七条が合憲だとしても、いわゆる利用者の利便というものを保護するということなんです。いわゆる事業主体である国鉄の事業運営上の利益というものを守るためにストライキを禁止しているのじゃないのです。そもそもストライキというのは、御承知のとおり、民事免責、刑事免責というものがある。そして、公労法上ストライキを禁止した。さあ禁止した、それに対して違反してストライキをやった、その場合にどういう法的な効果が生ずるかということは公労法に書いてある。解雇しかできないと書いてある。そして、また、損害賠償の問題については、いまの法益の観点から言っても、国鉄の事業遂行上の利益を保護しているのじゃないのだから、国鉄がそのストライキをやったことによって損害を受けたとしても、損害賠償の請求なんというものはできないのです。われわれはそう確信をしている。  そういう意味では、憲法問題を抜きにしてもこの請求というのはきわめて不当である、法の趣旨に違反したものだということを私ははっきり申し上げて、即刻取り下げられるように要求したいと思うのですが、いかがですか。
  72. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 結論だけ答えますが、訴訟を取り下げる意思はございません。
  73. 三浦久

    ○三浦委員 そんなことでこの重大な難局を乗り切れると思っておるのですか。私が一番心配するのは、いわゆる政府の基本的な見解の中で、専門懇の意見を尊重するというのがありますね。何を尊重するのかといったら、当事者能力がどうのこうのとか、適当に大臣総理大臣も答えていますけれども、この専門懇の意見書というものの内容はどんなことが書いてあると思いますか。ちょっと拾ってみただけでも、ストライキ権の抑制措置の強化ということが言われていますよ。その中に、いわゆる民事上の損害賠償請求をやりやすくするようにせい、そして無過失賠償責任制を導入しろ、それからまた因果関係も必要なしと言っているのです。これは驚くべき暴論ですよ。ストライキがあって、だれかが損害があったら、もう損害賠償の請求ができるようにしなさいと言うのです。因果関係の立証がむずかしいから損害賠償の請求ができないのだ。それを因果関係の立証も要らないのだと言うのです。こんなめちゃくちゃなことが記載されていますね。因果関係の立証が必要ないと言ったら、ストライキと全く関係のない損害についてまで全部損害賠償に応じなければならないということになるのですよ。  それから、また、繰り返し繰り返しストライキをやったら労働組合の法人格を否認しろ、と、こんなことまで書かれておるでしょう。そして刑事訴追もびしびしやれと言う。いま、公労法では、ストライキをやったからといって刑事訴追はできないようになっていますよ。労組法一条二項の適用があるわけですからね。それを今度は刑事免責もやめてしまえ、刑事訴追をどんどんしろという、こういう労働組合否認、敵視の考え方で一貫して貫かれている。こういう専門懇の意見書を尊重すると言う。そして、尊重して一番最初にやったことがこの専門懇の意見書の中に書かれてある損害賠償の請求じゃありませんか。これはまさにファッショ的な行動だと言わなければならないのです。日本の民主政治にとって、これは非常に重大な危機をはらんでいる問題だと私は危惧せざるを得ないのであります。  こういう専門懇の意見書を尊重するということは即刻やめるべきであるというふうに私は思いますが、大臣、いかがですか。
  74. 木村睦男

    木村国務大臣 専門懇の意見の中には、いま御指摘のようなこともずっと触れておるわけでございますが、これはスト権が認められておるのにストをやった場合にそうせいということではないのでございまして、ストを禁止して、そういう法律が存在しておる中で違法行為があるような場合にはということで、かなり強いトーンで出ておると思うのです。それは、スト禁止によって守らなければならない法益がいかに大きいか、いかにそれが国民生活に大きな影響を与えるかというふうなことが重要視されて、そういう大きな法益を守るために現状ではストを禁止してあるのであるから、その禁止された行為を再び起こさないように、起こした場合には厳重な態度で臨むべきであるという趣旨から恐らく専門懇の答申が書かれておるのであろうとわれわれは解釈しておるわけでございまして、あくまでも守らなければならない法益が非常に大きいわけでございます。  一方、同時に、ストライキ権という問題は一つの労働基本権でもございますから、これの調整を、整合をどこで求めるかということについて、政府としては改めてさらに検討しようということにいまいたしてあるわけでございまして、やはり、現状の法秩序を何が何でも守らなければいかぬということが民主社会あるいは民主政治の基本であるというところから出ておる意見ではないか、と、かように私はくみ取っておるわけでございます。
  75. 三浦久

    ○三浦委員 これは重大な発言だと思いますよ。三木総理大臣も、専門懇の意見は全面的に賛成ではないんだ、政府の見解と違うところもいっぱいあるんだと言っているのですよ。そうすると、あなたは、専門懇のいわゆる争議行為の抑制措置の強化の、いま私が読み上げたところ、それについては賛成なんですか。専門懇の意見に同調なさるのですか。どうなんですか。
  76. 木村睦男

    木村国務大臣 いま私が申し上げましたのは、そこにそう書いてある趣旨はこういう考えであろうというふうに私は受けとめておるのだということを申し上げたわけでございまして、専門懇の意見書に掲げられておりますいろいろな意見の中には、もちろん賛成の部分もありますし、また、どうかな、今後大いに検討しなければいかぬなという問題もいろいろ含んでおるわけでございます。
  77. 三浦久

    ○三浦委員 そしたら、いま言ったように、損害賠償の請求の問題とか、因果関係の立証も要らないとか、それから法人格を否認しろとか、刑事訴追をしろとか、これは法改正が必要ですよ。こういう問題について大臣は支持されるのですか、しないのですか。
  78. 木村睦男

    木村国務大臣 これは非常に大きな問題でございますので、いま私がこれに賛成であるとか反対であるとかいうことについては、まだ検討をいたしておりませんので、十分検討いたした上で私なりの意見は持ちたいと思っております。
  79. 三浦久

    ○三浦委員 検討していないと言いながら、もうすでに損害賠償の請求だけはしているじゃありませんか。結局、専門懇のそういう労働組合を否認するような損害賠償の請求の問題についてはもう着々と——これは戦後初めてなんですから、これは専門懇の意見を尊重してあなたたちがやったというふうにしかわれわれには考えられない。あなたたちは口を開けば労働基本権は尊重します、尊重します、と言うけれども、実際には専門懇の意見をどんどん具体化していく。そうして日本の民主主義を危殆に瀕させているというふうにわれわれは強い危惧を持たざるを得ないのです。  私は最後に国鉄運賃の問題についてお伺いしますけれども、この国鉄運賃の五十一年度の値上げによって〇・五%ぐらいしか物価上昇には寄与しないというふうに大臣はおっしゃっていますね。そのとおりですか。
  80. 木村睦男

    木村国務大臣 その前に、いまの三浦委員お話の中で、損害賠償は専門懇の意見を尊重してやったのであろうという意味お話がございましたが、私はそういうふうには考えておりません。これはもう当然のこととして損害補てんを請求するものであると考えております。  それから、運賃のお話がいまございましたが、先般も予算委員会答弁を申し上げましたように、国鉄の運賃の値上げが物価にどういうふうに響くかということの計算は非常にむずかしいわけですね。そこで、物価関係の企画庁ともいろいろその点については研究もし、検討もしてまいったわけでございます。物価に対する影響というものは、心理的なものもありますし、いろいろな要素があるわけでございますが、きわめて原則的に検討をした場合には、国鉄の運賃は一割上げれば物価に対しては大体〇・一%程度の影響があるであろうという結論を持っておりまして、それを基礎に物価に対する影響等を検討して運賃値上げの判断をしておるわけでございます。
  81. 三浦久

    ○三浦委員 それは計算上の問題だけであって、実際の生活に及ぼす影響というものはそんなものじゃないのです。たとえば東京から小倉まで、現在は新幹線で行きますと八千八百十円だと思います。これが今度値上げになりますと幾らになりますか。
  82. 田口通夫

    ○田口説明員 御説明申し上げます。  一万三千七百円でございます。
  83. 三浦久

    ○三浦委員 ことしだけじゃなくて、来年も上げると言っていますでしょう。来年五〇%上げたら幾らになりますか。
  84. 田口通夫

    ○田口説明員 昨日木村運輸大臣が申されましたように、五十二年度の運賃改定についてはいろいろと要素がございますので、予算編成時に十分検討したいというお言葉がございましたように、われわれは五十一年度の実績を踏まえませんと、できるだけ少ない名目改定率でできるだけ多くの実収を上げるという五十二年度の基本的な改定の具体化ができません。  そこで、そういう前提に立ちまして、まず、実収率を考えないで、現在の運賃、料金をそのままの形で五十二年度五〇%上げたという形で単純計算をいたしますと、約二万円ということでございます。
  85. 三浦久

    ○三浦委員 それは片道なんでしょう。往復じゃないんでしょう。
  86. 田口通夫

    ○田口説明員 片道でございます。
  87. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、来年もまた五〇%上がったら、東京から小倉まで二万円になるわけですね。そうすると、小学生が二人いる家庭で、夫婦とで親子四人が行って帰ってきたら幾らになりますか。
  88. 田口通夫

    ○田口説明員 単純計算いたしますと、片道で夫婦二人で四万円、子供が半額といたしまして二人で二万円、往復で十二万円ということでございます。
  89. 三浦久

    ○三浦委員 そうすると、たとえば東京で働いている人が小倉に帰りたいというような場合に、往復したら十二万円かかるのですよ。たとえば親に不幸があったとか、また、きょうだいが結婚をするとか、そういうときに行って帰ってくれば十二万円もかかるのですよ。これは現在の労働者の生活水準じゃとてもじゃないけれども支払う能力はありませんですよ。こういう厳しい運賃の値上げなんです。決して〇・五%程度の物価上昇に対する寄与率だなんていうふうに甘く見過ごしていられない問題だというふうに私は思うのですが、大臣、どういうふうにお考えですか。
  90. 木村睦男

    木村国務大臣 五〇%の運賃改定の案を御審議いただいておるわけでございますが、私も決して甘い考えでやっておるわけではございません。  ただ、国鉄と言わず、交通事業が健全経営をやっていきますためには、収入の基本はやはり運賃収入でなければならぬわけでございまして、現在の国鉄の経済状況を見ますときに、いままでの過去のいろいろないきさつも十分頭に入れた上で考えますと、この際、運賃の面におきましては五〇%増程度を利用者に負担をいただき、かつまた政府のいろいろな助成なり合理化なりがありますけれども、その程度の負担をしていただかなければ国鉄として健全経営はできないという観点に立っての五〇%値上げの案であるわけでございます。
  91. 三浦久

    ○三浦委員 子供なんかは修学旅行を大変楽しみにしていますけれども、今回値上げになりますと修学旅行の計画すら大幅に変更せざるを得ないようになるわけですよ。  たとえば高校生の場合には、小倉から東京に修学旅行に来ることがほとんどなんです。今度値上げしますと、同じ金額だったらどこまで行かれるのですか。東京までは来られませんね。どの辺まで行かれますか。
  92. 田口通夫

    ○田口説明員 現行の東京までですと、六百キロから先は遠距離逓減になっておりますし、今回の改定でもそのキロ程は変えておりませんので、近距離ほど高くなります。したがいまして、現在の小倉−東京間に匹敵いたします運賃は小倉−京都ということになります。
  93. 三浦久

    ○三浦委員 大体京都までしか行かれないということでしょう。いままで子供が東京に修学旅行に行こうと思ってずっと積み立てをしているわけですが、ところが、運賃が上がった、修学旅行に行こうと思ったら、その金では京都までしか行かれない、京都は大体中学生の修学旅行で行っちゃっているということになると、これは子供のそういう夢まで奪うほど国民生活に大きな影響を与えるものなんですよ。  ですから、昨日も与党の宮崎委員質問をされていましたけれども、二年連続して五〇%ずつ上げるということになると、国民生活に影響が大きいから何とかならぬかと言っている。与党の委員ですらそういうふうに言わざるを得ないほど、この国鉄運賃値上げの国民に及ぼす影響は非常に大きいと言わなければならないと私は思うのです。私は、国鉄の収支のつじつまを合わせるために国民生活を破壊していいというふうには思わないのです。だから、私は、この国鉄運賃の値上げを即刻やめるべきだというふうに思いますが、いかがですか。
  94. 木村睦男

    木村国務大臣 この値上げをやめますと、それにかわる再建案をつくらなければならないわけでございまして、値上げをやめて国鉄をつぶすわけにはまいりません。  そこで、この値上げを仮に三浦委員のおっしゃるようにやめた場合に、では、その約一兆に近い五〇%ですから五、六千億になりますか、それをどこでどう持つかという問題になってくるわけでございまして、そういう点を勘案いたしまして、今回の再建には政府も従来にない過去債務のたな上げをやったり、あるいは内部合理化も大いに国鉄も勉強してやるというふうなことででき上がっておる案でございますので、どこかにしわ寄せをしなければ再建ができないわけでございますが、私たちは、現状ではあの再建案で考えております行き方がまずまず妥当なものではないかと思っております。  もちろん五〇%というのは高うございますけれども、他の物価等に比べます場合には、いままで適時適切の運賃改定ができなかったということのしわ寄せもありましてあれだけの五〇%になったわけでございますが、これはやはり利用者にこれだけ今回は負担してもらわなければならない、と、かように私は思っておるわけでございます。
  95. 三浦久

    ○三浦委員 国鉄再建問題で、どういうふうにしたら再建ができるのかということについては、法案の審議の中でまた十分に意見を闘わせたいと思います。したがってきょうはやめますけれども、しかし、私が具体的な数字でお聞きしただけでも大変な値上げだということはお気づきになっていただいたと思うのですね。  時間がないから質問をやめます。
  96. 増岡博之

    ○増岡委員長代理 この際、午後一時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時二十九分休憩      ————◇—————     午後一時三十一分開議
  97. 中川一郎

    中川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松本忠助君。
  98. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 ロッキード問題と国鉄再建問題を三十分以内に済ませる予定でございますので、御答弁をいただく方は要点を簡明にお述べいただきたいと思うわけでございます。そして、その次に自動車税に関連いたしまして若干の御質問をして、さらには自賠責保障の限度額引き上げの問題と、交通遺児に対する貸付金の問題と、さらに離島の航空路の補助の問題と、最後に外航船舶の建造問題というふうに進めてまいりたいと思っておりますので、お願いをいたしたいと思います。  最初にロッキード問題でございますが、まず最初に大臣にお伺いいたすわけでございますが、トライスター導入に伴いますロッキードの献金事件について、二月の十六日と十七日に第一次証人喚問があり、さらには三月の一日に第二次の証人喚問がございました。しかし、この証人喚問が終わりましたけれども、国民の疑惑はますます深まるばかりでございます。この件は、その真実を明らかにするためには、今後も十分な調査をするとともに、事件の解明をすることが必要だと思います。  そこで、航空業界に起きたこの事件は、担当官庁でございます運輸省にもかかわりがあると思いますので、この事件について、これまでの経過を運輸大臣はどのようなお気持ちで見ておられたか、御所見があれば伺いたいわけであります。
  99. 木村睦男

    木村国務大臣 航空事業はわが国の交通行政にとって非常に大きな重要性を持っておる行政でございますし、また、国民のこれに対する期待も非常に大きいわけでございますが、その航空行政の中で、航空機の購入という事柄に関連いたしましていろいろな疑惑が生じ、いま重大な社会問題になっているということは、航空行政を預かる私といたしましてもまことに残念にたえないところでございます。  航空行政の面におきまして、そういうことがいやしくも航空交通事業の運営の支障にならないように、そしてこれが国民の航空機利用にいささかも影響を与えないように航空行政の万全を期してまいりたいと強く考えておりますと同時に、航空会社に対する行政上の監督はさらに一層厳重にしていかなければならない、と、かように私は考えております。
  100. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで、繰り返すようでありますけれども、この事件の解明というものは国民の疑惑を解くためにも絶対必要だと私は思いますが、大臣としてどのような行動をとられたかについてお伺いをいたしたいわけでございます。  去る二月十八日には、三木総理からもこの点については要請が大臣にあったと思うわけでございますが、この点について大臣はどのような行動をおとりになったか、お答えをいただきたいと思います。
  101. 木村睦男

    木村国務大臣 ロッキード問題の関係閣僚の会議の席上で、総理から、この問題は社会的にも政治的にも国際信用の上からも非常に重大な問題であるので、この疑惑は一刻も早く解明しなければならない、いかなる犠牲を払っても解明しなければならない、関係閣僚の一層の努力を要請するという意味お話があったわけでございますが、運輸省といたしましても、問題が航空会社機種選定に絡む問題でございますので、運輸行政の範囲内におきまして、航空会社機種選定を決定する間の行政面から見ました行政の仕方、あるいはさらには民間航空会社機種選定の経過等を事実問題として聴取いたして今日までまいっておるようなわけでございます。
  102. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いずれにしましても、この機種選定という問題が今度のロッキード問題では大きな問題点として運輸委員会にはあるわけでございます。  そこで、その機種選定という問題をめぐりまして、運輸省介入とか行政指導とかいったことはいままでにあったのか、なかったのか、この点をお答えいただきたいと思います。
  103. 木村睦男

    木村国務大臣 問題の有無の前に、運輸省として権限上機種選定にどの程度関与できるのかという問題がまずあると思いますが、これは日本航空のような政府出資の会社と、純粋の民間企業であります全日空と違うわけでございます。  日本航空の場合には出資会社でございますので、機材の購入ということは、融資の面において、あるいは重要な財産の取得ということになりますので、それぞれの段階で認可であるとか許可であるとかいうふうな行政の手続が要りますから、その段階でチェックもし、指導もするわけでございますけれども、純粋民間機関でございます全日空の場合につきましては、機種の決定をいたすということは、決定をして購入をする前提になるわけでございます。購入してこれを路線に使う場合に、その路線航空輸送力の変更がございますので、事業計画の変更の認可も必要であるわけでございます。その前に、その前提となります機種の決定がありますと、こういうふうに決定をいたしましたという報告を受けることになっておるのでございまして、そういう面で行政上は関係を持っておるわけでございまして、そういった行政指導なり権限の範囲内において機種決定について運輸省は関知をいたしておるということになっておるわけでございます。
  104. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 日航の場合はわかりました。問題は全日空の場合であります。全日空の場合について、機種選定について報告を受けるといま大臣がおっしゃったわけでありますが、その報告を受ける時点というのは一体いつなのかというところが一つ問題になってくるのではなかろうかと私は思うわけです。  そこで、私もその点についていろいろと資料を見てみましたが、三月一日の予算委員会におけるところの、全日空の前社長の大庭さんと現社長の若狭さんとの御両人並んでの対決を見ておりまして、機種決定のいきさつとそれからオプション、いわゆる仮発注と申しますか、製造番号を押さえるというような、そういうことについてとにかく全く相反する証言があったことは大臣も恐らく御存じだろうと思うわけでありまして、どちらかが一方的に虚偽の証言をしているとしか考えられないわけでございます。  そこで、この機種選定作業が終わりました結果について、その間にいろいろな疑惑があって、どうも非常に残念なことでございますけれども、大庭社長の追い出し事件とかいろいろな問題が絡んでいるようでございますので、こういうことを再び起こさないためにも——このオプションを取締役会で決定して機種が決まって、決まった段階オプションをする。全日空の場合そうですね。それが当然だと思うのです。独断でやるとか、あるいは他の常務に話したとか話さないとか、一方は聞いたとか聞かないとかということになるから問題になるのでありまして、やはり、取締役会で機種が決定した時点において会社が独自にオプションをする。それと同時に運輸省に、機種決定をしました、オプションをしましたということを報告するということが現在の航空法の規定の上ではないわけですね。ですから、あくまでこれは全日空としても大変なお金を出して買うわけでございますから、全然話をしないということはないわけでございますけれども、恐らく正式には義務づけはされていないと思うのです。それでこういう点が問題になったのですから、機種決定をし、オプションをした直後に、こういうものを取締役会で決定をいたしました、オプションをいたしましたということを運輸省に報告するということを法律をもってはっきりさせるとか、あるいはまた行政指導で義務づけするとか、そういうことを私は提言したいわけなのです。  御承知とは思いますから、釈迦に説法になると思いますけれども、新機種導入から路線就航までの順序というものは御存じと思いますけれども、自社内で自社の責任においてこの選定作業をする場合、当然、そこには、自分の会社路線あるいは現有の機種、乗員、整備士の問題とか、あるいは経済性、安全性とか、そういうものをいろいろと検討いたしました結果選定作業が終わり、そこで機種の決定をする。しかし、この場合に、先ほども申し上げましたように、航空法上では運輸省に報告する義務づけはされていないわけです。その段階において会社では仮発注をする。これはいろいろと問題になりました。その引き渡しの時期をあらかじめ押さえるという意味、いろいろございますようですが、とにかく仮発注という問題があります。そうなったときに、いよいよあとは仕様を決定して、装備はどうするとか、無線はどうするとか、そうして座席はどうするとかいういろいろなことが決まって見積書の交換があり、そして一機当たりの価格が決まる。そこで契約が締結される。これには当然引き渡しの時期というものが確定されると思います。そして契約書のサインがなされる。  この場合に政府認可がないときには無効となるという一項があるわけですが、これはあくまでも通産省関係の外貨の割り当ての問題に関している。そこで、輸入の割り当てとか輸入の承認というもの、要するに輸入割り当てというのは外貨の問題、輸入承認、機体を輸入するということについて貿易管理令によって通産省の承認をとる。この時点でもまだ正式には運輸省には関係はないわけです。そこで機体が完成する、引き渡しを受ける、いよいよそこで初めて航空機の登録がなされるわけです。この場合に、航空法の規定で、第三条によって国籍の指定を受けて、いわゆるJA何番何番というその番号が入って日本の国籍の飛行機になる。この時点で初めて運輸省との正式のつながりができると申しますか、届け出がなされる。それと同時に、耐空証明が第十条で決定され、さらに百九条によって事業計画の変更がなされる。要するに有償でお客さんを乗せて運んでもよろしいという認可が必要になる。同時に、また、百八条で、どの路線に就航するか、どういうダイヤで飛ぶかというようなこと、空港の状態等等について届けがなされる。こういった順序が必要なわけでございます。  その段階において、先ほどから申し上げておりますように、一番最初の段階で、取締役会で決定した、オプションをした直後にこういたしましたということを正式に運輸省に報告するという義務づけをすれば今度のような問題が起きないのではないかというふうに私は思うわけでございます。運輸省といたしましても、そういう報告が出た場合には、当然安全性の確認というものを第一番目として、その報告を受領するというふうにしてはどうかと思うわけでございますが、この点についての御見解をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  105. 木村睦男

    木村国務大臣 いま松本委員がお使いになっておられますオプションということについて、この間も私は証言を聞いておりましたところが、どうも必ずしもそれは仮発注ではないというふうに証人も言っておりましたので、私もよくわかりませんが、仮発注ということで言いますと、機種を決定をした上で仮発注をすることになりますので、仮発注のときにはもう機種が決定しておりますから、その決定の報告があるわけでございます。  そこで、ちょっと一般的に考えますと、たとえばバス会社でバスのどんな車両を入れるかという段階の場合に、それは企業の一つの自由活動でございますから、行政としてどこまでタッチするのが企業の自由活動との接点になるかということは非常に重要な問題だと思うのですが、今回こういう事件があって、仮に、もし、さらに機種決定より以前にさかのぼって運輸省機種決定のことを知り得て、その機種の売り込みのためにいろいろな疑惑が起きたり、裏でいろいろな動きがあったことが把握できるということができ得るのならば、これはこういう疑惑が起こることがしばしばあって困るというふうな事態には——そこまで行政上干渉するのもやむを得ぬと思いますけれども、果たしてそれ以前にどういうふうに機種を決定したかということを知ることだけでもって、その裏でのそういう忌まわしきいろいろなやりとりまで手を伸ばしてとても調べ得るものではないと私は考えますが、しかし、今回このような大きな問題が起きておるということは現実でございますから、松本委員の御意見も十分参考にさせていただいて、今後考えてみたいと思います。
  106. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私は、そういう面に対して、今回のような問題が再び起こらないためにもぜひこの点はやるべきではなかろうかと思うわけでございますので提案をしたわけでございますので、十分御当局において検討していただきたいと思うわけでございます。  それから、若狭証人が予算委員会におきまして、第一次、第二次の喚問を通じまして尋問の際に述べているところによると、DC10とトライスターを比較してみて、トライスターに決定した理由が二つある。その一つは、DC10が三つの事故を起こしたということが一つです。もう一つは騒音の点がある。こういう点があったのでトライスターにしたのだと、要約すればこういうことを証人は述べていると思います。  そこで、その事故につきましては、決定的な事故だから全日空トライスターにしたということだが、その事故は、全日空の資料によりますと三つでございます。これは全日空から取りました資料でございますが、これによりますと、一九七二年の五月二日にコンチネンタル航空DC10が事故を起こしております。事故の概要は、「パイロットの訓練飛行中に尾部エンヂンの後部が脱落した。」という問題であります。それから、一九七二年七月十二日にアメリカン航空DC10が、「離陸後の上昇中に後部貨物室扉が脱落し、貨物室の上にある客室の床が圧力差により破壊して、下の貨物室に落込んだ。その結果、客室床下を通っているケーブル(尾翼操作及び尾部エンヂン制御用)が切断及び作動を阻害され航空機の操縦を著しく困難にした。」ということ。第三番目の事故が、一九七二年七月の二十七日に、コンチネンタル航空DC10が「上昇中に尾部エンヂンの後部が脱落した。」ということです。断面図参照がここに載っかっておりますが、こういう三つの事故があった。これはくしくも一九七二年の五月−七月で、まことに短期間に続いて発生した事故でございます。こういう事故がございましたので、この事故によって若狭証人はDC10は危険だというふうにお考えになったのではなかろうかと私は思うわけです。  その事故について、当然アメリカにおいて事故調査をしているわけでございますし、その結果は発表されているものと私も思います。また、発表されていなければ若狭証人がそのことを引用するわけはございません。したがいまして、若狭証人は、その発表された事故報告書というものをもとにしてトライスターに決めたわけでございます。そうと思われるわけでございます。  そこで、その報告書がいつアメリカにおいて発表されたかということ、その事故報告書の写しというものは全日空にあるわけでございます。これは当然運輸省にもなければならぬと私は思うのでございますけれども、もし運輸省になければ全日空にはあるわけでございますから、これを取り寄せて、ぜひひとつ資料として明日にも提出をしていただきたい。こういうことでございます。  それから、次に、騒音測定の問題でございますが、これは大阪空港においての調査の結果がございます。これもこの全日空の資料によりますと、「大阪空港における実測」としまして、目的は「在来機種との比較」です。いつやったかというと、在来機種トライスター、これは昭和四十七年七月二十四日、DC10の方は四十七年七月二十五、二十六の両日にわたってやっております。その結果は、「在来機に比較し、約一〇ホーン低い」となっております。その後に、トライスターDC10の騒音レベルの比較といたしまして、「測定条件が非常に異なっていたため、比較し得る程のデーターが得られなかった。」「異なる条件」として、「重量条件使用滑走路 飛行経路 測度条件 その他」というふうになっているわけでございます。そこで、この騒音測定の実施状況、その結果等の資料も全日空にあると私は思うわけでございます。これも取り寄せて資料として提出をしていただきたいと思うわけでございます。  この資料は、すでに若狭証人が二日間にわたる証言の中で、先ほど申し上げましたように、トライスターに決定するについては、いわゆる騒音の問題、それから事故の問題、こういうものがあったからトライスターにしたのだと言っているわけでございますので、当然その資料があり、それを根拠にして若狭証人の発言があったものと私は思うわけでございます。したがいまして、この資料は全日空に当然あるわけだと私は思います。運輸省にもあると思うのでありますけれども、もしなければ、ぜひとも明日中にこの資料は取りそろえて御提出を願いたいと思うわけでございまして、この二点について委員長にもひとつ御要請を願いたいと思います。よろしゅうございましょうか。
  107. 中村大造

    中村(大)政府委員 DC10のこの事故調査報告書は現在手元に来ておりますかどうか、即刻調べまして、もしございますれば御提出を申し上げます。  それから、騒音調査のデータでございますが、これは全日空をして提出せしめるように手配いたします。
  108. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それから、ロッキードの問題について最後に申し上げたいことが一つございますが、大庭、若狭両証人の尋問の結果は全く相反し、対立している点は先ほどから再々申し上げたとおりでございますが、この点について、やはり、当委員会責任において明らかにする必要があるのではなかろうかと思います。  そこで、DC10関係の、三井物産を含めて、当委員会に参考人として大庭、若狭両氏も御出頭してもらって事実をはっきりさせるべきであろうと思いますので、この点についても、委員長理事会において諮っていただきたいということをお願いを申し上げるわけでございます。
  109. 中川一郎

    中川委員長 その点は理事会でお諮りいたします。
  110. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 以上でロッキードの問題を終わりまして、次に、国鉄の問題に移ります。  運輸大臣所信表明を伺いましたけれども、この所信表明の中に大臣が取り上げられているのは、最初の方に大臣だけに関することがありますが、何といっても、まず、第一番目に国鉄再建の問題がございますが、私もそのとおりと思うわけでございます。そういう問題の解決についても、国鉄総裁が一日も早く決定をしていただきたいということは私たちも希望するのでございますが、聞くところによりますと、高木大蔵事務次官の御決定が近いというようなことも聞いております。労使関係を一刻も早く速やかに正常化するためにも国鉄総裁並びに副総裁——今度国鉄総裁がもし高木大蔵事務次官に決まったような場合、国鉄という問題に対して十分認識のある方で、しかもまた労働問題に対してかなりの力を持った方に副総裁に就任していただくことが非常によろしいのではないかと思うものでございますから、私は、この点についてまず最初に大臣に伺っておきたいわけであります。
  111. 木村睦男

    木村国務大臣 昨日総理官邸で、高木前事務次官を招致いたしまして、総理、私立ち合いの上で要請をいたしたわけでございまして、一両日の余裕を与えてほしいということでございますが、高木氏が総裁を引き受けてくれるということに決定いたしますれば、私は、総裁には——もちろん副総裁総裁が決める問題でございますけれども、いま松本委員お話しのような点を十分に配慮して、そういうことの期待できる人を副総裁に選ばれることを私も期待をいたしますし、恐らく総裁もそういう考えだろうと思っております。
  112. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣は、今回の国鉄再建の問題は、財政面の再建のみでなくて人の面からの再建も緊要であるというふうに言われていると思います。大臣のお言葉を借りれば、「責任ある業務遂行体制と厳正な職場規律を確立する」と述べておられますが、そこで、国民の要望するところのサービスの提供と安全な輸送を確保するためにも、国鉄を監督する立場にございます大臣として、何としても一層厳重な監督をしていただきたいと私は思います。  そこで、二月二十四日に鹿児島本線の西方駅において発生した事故がございます。私も国鉄当局から二月二十七日付の報告を取って見ておりますが、大臣も鉄監局長もこの点については十分御承知だと思います。いろいろの質問がございますので、その内容については私は触れませんけれども、こういう事故の発生こそ今回限りで絶無にしてほしいと私は思うわけでございます。責任ある業務遂行の体制をつくり上げ、厳正な職場規律を確立するというふうに大臣も言っておるわけでございますから、国鉄当局に対して厳重な御注意を御願いいたしたい。決して小さな問題として処理すべきではない、やはり重大な問題である、と、このようにこの事故から私には考えられますので、この点について大臣のお答えをいただきたいわけでございます。
  113. 木村睦男

    木村国務大臣 鹿児島線の事故のみならず、最近、新聞でも、従事員の規律の緩み、気分の緩みから起きるところの、国民に対してはまことに恥ずかしい事故がちょいちょい散見できるわけでございますが、お話しのように国鉄再建は、財政再建と、国鉄従業員の心の再建といいますか、精神面の、使命感にあふれた再建の決意と実行、これが両輪となって初めて再建できるものであると私は常々考えておりますので、今回の再建策を進めるにつきましても、その二つの方法を同じような重要さで実行に移してまいりたいと思っております。
  114. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 もう一問、大臣にぜひこの点だけは聞いておいてもらいたい。あとは結構でございます。  要するに、国鉄をどう建て直すかという問題は私どもの重要な政治的な課題でございますし、国鉄が過去のような独占的地位を失ったといっても、わが国の公共交通機関の中では相変わらず中心でございます。支柱でございます。この点は変わりないと思います。国鉄再建の方途と再建の成否が国民生活と経済活動にやはり重大な影響を及ぼすということから当然のことだと思うわけでございますが、今回の国鉄再建要綱には、その策定の経過及びその内容を見る限りにおいて、こうした国鉄の果たす役割り立場に対する認識が欠けた一時的な収支の均衡策だけがあって、国鉄の根本的再建を図ろうとする意図がきわめてあいまいであると言わなければならないと私は思うのです。これは昭和五十一年度に五〇%の大幅な値上げをする、昭和五十一年度及び五十二年度の二カ年間で収支の均衡の回復を図って、以後健全経営を維持するという、余りにも無謀なお話ではないかと私は思うわけでございます。国民生活に与えるきわめて大きな影響があるこの値上げがてこになって、一連の公共料金値上げ案の引き金になるというふうな危険もあるわけでございます。  そこで、国鉄再建要綱の策定の経過について、これだけはぜひ大臣に聞いておきたいわけですが、昨年の十二月三十一日の予算編成終了間際にやっとまとまったものではないかと思うのでありますが、果たしてこれで国鉄再建ができるかどうか疑わしいものだと私は思うのでございます。国鉄再建の長期的展望もなければ、赤字線や貨物対策という赤字要因をどうするかというような具体策もございません。合理化問題という、国鉄経営または労使間にとってまことに重要な問題が、予算関係法案提出期限を前に、その内容が二転、三転変えられているというおかしな状態が起きていると思います。最初五十五年までに一万五千人の人員削減をするという案が自民党の反対に遭うと、数日後に、六十年までに六万五千人を整理すると急変しております。このような重要な問題が簡単に変更されたりすること自体が非常に異常ではないかと私は思うわけです。六万五千人の整理ということは大変な数でございまして、現在の職員からすれば二五%に達する人員でございます。  そこで、再建対策要綱は十二月三十一日の閣議了解のものでございまして、このことは閣議に御出席の大臣はもう十分御承知だと思う。この要綱が基本で「五十一年度国鉄関係助成の概要」が決定し、三千五百九十四億円という具体的な金額が決定して昭和五十一年度の予算が組まれたと私は思うわけでございますが、この対策要綱を拝見しましたところが——これは鉄監局長はお持ちだと思いますからごらんいただきたいが、IIの「国鉄財政再建」の、3の(1)の「経営合理化」というところのイに、「昭和五十五年度までに五万人の要員合理化を行うとともに、要員増は厳に抑制する。」とございます。この「五万人の要員合理化」というのは首切りではないわけでございます。先般、先ほど申し上げましたような五十五年までの一万五千人の人員削減案が一転して六十年までに六万五千人の整理ということになったのは、一体どういうふうにこれが関連しているか、どちらが本当なのか私も理解に苦しむわけでございます。  このような背景の中でまとまったところの国鉄再建対策要綱について、真の国鉄経営の立て直しができるかどうか、この点について非常に疑わしく思いますので、この点について大臣の御所見を伺っておきたいわけでございます。
  115. 木村睦男

    木村国務大臣 昨年暮れの予算編成時の閣議におきまして再建要綱が閣議決定を見たわけでございますが、それまでに、運輸省といたしましても、国鉄再建につきましては長い期間をかけて検討してまいりました。また、一般の学識経験者その他利用者代表という人等を交えました懇談会もつくって意見も聞いてまいりました。また、予算編成の責任政党であります自由民主党、与党におきましても、国鉄問題の調査会のような機関をつくって鋭意検討してまいりました。それらの内容を全部詳細に検討いたしました結果、その骨子をまとめまして、再建案として閣議了解を得たものでございます。  過去二回にわたりまして、十カ年再建計画というものが途中で挫折したという経緯も御承知のとおりでございますが、やはり、長期ということになりますと経済事情の変化その他いろいろな予測しない変化がございまして、長期の計画というものはなかなか遂行できないという過去の実績も考えまして、ここで短期の間に再建の計画を樹立して、そして自立経営ができるようにしていこうということが二カ年で大体自立経営ができるようにということを考えた背景であるわけでございます。  したがいまして、これから御審議をいただきます運賃法並びに日本国有鉄道法等の御審議の中でいろいろとまた御意見を拝聴いたすわけでございますが、あれがわれわれの希望するごとく成立をさせていただきますれば、必ず二年の間に国鉄は自立経営ができるようにわれわれは責任を持ってこれに対処する覚悟でございます。
  116. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 この点は確信を持って大臣がいま答えられましたけれども、私も非常に疑問があると思います。果たして二カ年間で収支均衡のとれた再建が可能なれば問題はないわけでございますし、また、そうなることをわれわれも希望するわけでございますけれども、そのためにはやはり重大な問題が幾つかございますので、この点をひとつ詰めておきたいわけでございます。  そこで、国鉄部長に何点かについて私は聞いておきたいわけでございますが、このお伺いすることについては国鉄部長としても非常にお答えしづらい面がたくさんあるのではないかと思いますが、ただ、問題は提起しておきます。この点についてはまた後から大臣なり鉄監局長なりからお伺いできればと思いますが、とにかくこういう問題です。  合理化という問題は再建の前提条件だと思いますが、それにはやはり労使協力がなくては合理化という問題は図れないと思うわけです。その方法を誤ればかつてのマル生運動が再現するというふうにも考えられます。  そこで、六万五千人の削減という無謀な合理化案が労組に受け入れられると考えるかどうか、また、提出までに労働組合と話し合っているのかどうか、こういう点について国鉄部長として御存じの範囲で結構でございますから、お答えをいただきたい。
  117. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 六万五千人の人間の数字につきましては、これが可能であるかどうかという前に、私どもが検討した結果といたしましては、将来の十年間くらいの国鉄の退職者数あるいは国鉄自身の経営の将来像というものを考えますと、どうしても実人員を減らす以外になかなか成り立つことができないのじゃないかということをしみじみ痛感をしておるわけでございます。そういう意味におきまして、六万五千人の人数自体を具体的に分析をしまして積み上げたものではございませんけれども、十年間のロングランの、長期的な見通しのもとにこうした人員の削減というものがどうしても欠かすことができないというふうに考えたのが私ども一つの大きな目標でございます。  また、組合との関係におきまして事前にそうした点の話があったかどうかにつきましては、私どもじかにそうした接触はございませんし、国鉄自身がその点について組合と話し合ったかどうかにつきましては、そうした事実があるというふうには私どもは聞いておりません。
  118. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 六万五千人の削減ということは首切りですね。非常にむずかしい問題と私は思います。こういう問題について、これからわれわれもこの運輸委員会において十分の審議をしていかなければならないと思うわけでございます。  それから、この点は十分お答えできると思うのでありますが、赤字要因の一つ赤字線の問題がございます。五十一年度の予算に、地方交通線特別交付金として百七十二億円が計上されておりますが、この百七十二億円はどのような意味をもって計上されたのか、また、補助対象にはどのようなものを考えているのかを伺いたいわけでございます。「五十一年度国鉄関係助成の概要」によると、地方交通線特別交付金というのは、「国鉄の地方交通線の運営費の一部について特別交付金を交付する。」というふうに書いてありますが、いかなる根拠によって百七十二億円が算出されたのか、その補助対象は一体何なのか、私どもにはこれは全くつかみ金のような気がするわけでございますけれども、ことし初めて計上されたものでございますのでお伺いしておきたいと思うのでございます。地方交通線から出てくる赤字が一体幾らと算出したのか、その算出された赤字に対して百七十二億円を補助するとするならば、一体その対象線はどこなのか、こういう点についてお伺いをいたしたいわけでございます。
  119. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 地方交通線の問題につきましては、今回の予算の策定に当たりまして非常に議論をいたしたところでございます。地方交通線が赤字の非常に大きなものになっておる、今後の国鉄経営に負担になるという点におきましては明瞭でございますが、これをいかなる形に持っていった方がいいのか、地元の住民の足としての確保の問題もございますので、そうした点につきましてはにわかに結論が出ないということでございまして、今後一年間、この問題について早急に地方公共団体とも連絡をとりながら、十分にその対策を練っていきたいということが前提でございます。  そうした前提のもとに、しかしながら現実におきましては地方交通線の赤字経営上やはり非常に圧迫になるという点も考慮いたしまして今回百七十二億という金額の交付金が予算化されたわけでございますが、その百七十二億の算出といたしましては、いわゆる地方交通線と称せられるもの約九千二百キロを一応対象に考えております。  この対象の路線をさらに分析する必要がございますが、この約半分程度のものが地方の住民とのかかわり合いにおきましていろいろと今後問題になるのではなかろうかということで、この九千二百キロの約二分の一というものを大ざっぱに対象として考えて、さらに、それに対する助成方法といたしましては、過去の実績数値から地方交通線の運営費について計算をいたしました。おおむね一キロ当たりのいわば運営費負担、これは人件費、物件費から運輸収入を差し引いた残りのものを純粋な運営費と考えているわけでございますが、それの単価を出しまして、これに九千二百キロを掛け算し、さらにそれの対象の二分の一、それから補助率として二分の一というようなものを掛け算いたしました結果が百七十二億ということに相なったわけでございます。
  120. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 その九千二百キロということも、われわれが聞いている範囲とはちょっと違ってきているわけですね。一体いつから九千二百キロにしたのか、その辺のところもまことに根拠がないように思うわけです。  それから、単価はいまおっしゃらなかったようでございますけれども、九千二百キロの半分、それに対して単価を掛けたということですが、その運営費の単価というのは幾らですか。
  121. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 五十一年度の予定の数字から割り出したものでございまして、一キロ当たり約九百万円というふうに単価をはじいております。
  122. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 結局、それは一年分ではないわけでしょう。百七十二億ということは十カ月分だけでしょう。そうならなければ筋も合わないと思いますけれども、九百万ということの根拠も、これは私どももそれをそのままストレートに受け入れるわけにもいかぬのでありますけれども、とにかく、この問題はきょうを初めといたしましてこれから十分論議をしなければならない問題だと思いますので、一応お伺いをいたしておきます。  それから合理化促進特別交付金でございますが、これが五十一年度もまた五億円あげてございます。四十八年度以降、大変失礼な言い方でございますけれども、ばかの一つ覚えみたいに毎年五億円を計上しております。もう少し実際に即した数字を計上すべきではないかと思います。予算額と決算額の差額というものは国庫に納付するわけですから適当でいいというふうに思っていらっしゃるのかもしれませんけれども、適当でいいならばもう少し景気のいい数字をあげてもいいじゃないかというふうにも考えられます。乱暴な話でございますけれども、そう思います。  そこで、ちなみに四十六年以降四十九年までの予算額、決算額というものを拾い出してみますと、四十六年は十六億に対して十一億二千八百八十万円、四十七年は十六億に対して六億五千八百六十万円、四十八年は五億円に対して三億五千七百六十万円、四十九年は五億円に対して二億四千九百七十万円。これをトータルいたしますと、四年間で予算額が四十二億、それに対して決算額が二十三億九千四百七十万円というふうになるわけでございます。結局のところ、決算額の二十三億九千四百七十万円というものは五七%しか消化していないというふうに数字としては出てくるわけです。ことしも五億円計上してございますけれども、ことしは営業線の廃止なんというものが一体あるのかないのかといったら、まずないのではなかろうかとわれわれは仄聞するわけでございますが、こういうやりもしないものを計上しておくのが果たしていいのかどうか、こういう点についてはどう思いますか。
  123. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 先生の御指摘のとおり、昭和四十六年にこの制度が発足をいたしましたが、それまでに合理化の一環といたしまして路線の廃止あるいは駅の統廃合ということを続けたわけでございます。そういう合理化の促進という意味合いにおきまして、また、沿線の市町村に対する配慮という点も考慮し、一応の単価を計算した上で金額を毎年計上いたしておるわけでございます。  御指摘のとおり、過去の経過を見ますと、四十六年度が予算額、実行額ともにわりあいに金額が高かったわけでありますが、これが漸減をしておるのが実態でございます。このことはすなわち合理化を怠けておるということではございませんので、いままで路線の廃止なり駅の統廃合をかなりやってきたわけでございますが、その合理化案の住民への受け入れという点におきまして次第に次第に問題が深まってきた。その合理化を実行するに当たりまして、地元住民、沿線住民の了解なしにはやはりできないわけでございますから、そういう点で実行上非常にむずかしい状況に次第次第になってきたということでございまして、これが結局は予算額あるいはそれの実行額という面で次第に落ちてきた基本的な理由かと思います。  今後のあり方といたしまして、この合理化交付金は、いわば合理化地元への了解なり促進という意味におきまして私ども考えてまいりたいと思いますが、全体のあり方につきましてはなお鋭意検討をしたいというふうに考えております。
  124. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 説明を一応お伺いしておきます。  それから、これは大臣国鉄総裁と並べておいて聞きたいと思っておった問題なんでありますけれども、御両所ともいらっしゃいませんので、やむを得ませんから一応あなたのお考えを聞いておきたいと思うのですが、先ほど申し上げましたように地方交通線特別交付金というものがことし百七十二億円出るわけです。こうしていわゆる赤字線に対する補助というものをやるわけです。一方、御承知のようにAB線が三十一線区で、千三百五十三キロの建設のために、予算としては昨年同様に三百五十億計上されておるわけです。こういうふうに一方でははっきりと赤字が出ることが決まっている線の建設をするのに三百五十億かける、一方またこうした特別交付金も出さなければならない、こういうふうな一見非常に矛盾した問題があるわけでございますが、国鉄財政立場から言って、このAB線の建設というものは本当に必要なんだろうか。  いままで再々この問題は言われているわけでございますが、この点について、明らかにことしは地方交通線特別交付金というものが出てきただけに私たちは一層関心を持つわけでございますが、この点についてどのようにお考えになりますか。
  125. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 御指摘のように、国鉄の在来地方交通線の対処の問題と、それを乗り越えまして新線建設を現在行っておるという、この両者の間には非常に密接な関係というよりも非常に矛盾した関係等もございます。こうした問題につきまして、私どもAB線の問題だけを取り上げてこれを議論するわけにいかない。やはり、国鉄の地方交通線のあり方という点全体につきまして基本的に検討をいたしまして、その一環として新線建設の問題を取り上げてまいりたいというふうに考えておりまして、現在のところ、本年度直接どうするかという点につきましてはまだ検討中でございますので、お答えを差し控えたいと思います。
  126. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 一応検討中ということで伺っておきます。  それから、もう一つは、赤字の要因に貨物の問題がございますが、今回の政府再建要綱には、この貨物対策というものはたったの四行で表現がされているわけでございます。具体策については全く明らかにされておりません。しかし、貨物対策は御承知のように対トラックの問題がございまして、非常に慎重に扱う必要があろうと思います。また、これを放てきはできないと思います。  そこで、貨物対策の具体策を欠いたところの国鉄再建要綱というものは国鉄再建策とはなり得ないんだと私は思う。この貨物の問題が一番大事なんだ。これがたったの四行で、具体的には何もこれから出てこない。ただ単にいわゆる再建要綱なるものが出たのだということだけではこれは済まされない問題だと私は思います。そうした点から、この問題は今後法案が審議される段階で当然に十分検討されなければなりませんが、この面についてどのように運輸省としてはお考えになるか、簡単に述べてください。
  127. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 貨物問題は非常に大きな問題であり、また、現在の赤字の非常に大きな部分を占めているという点におきまして、今後十分対策を練らなければいかぬというふうに考えておりますが、再建対策要綱におきまして考えた線といいますのは、従来の総合原価方式によります運賃と収入との関係等におきましてさらにもう少し分析をいたしまして、貨物のあり方としましては、総原価そのものをすべて運賃に転嫁するということがすなわち貨物自身を殺すというような結果にもなかかねないという点から、原価的には貨物の固有の経費というものをつまみ上げまして、この固有経費につきまして運賃及び合理化という両面から考慮すべきではないかと思います。  御承知のように、原価には共通経費と固有経費がございますが、その共通経費部分につきましてはこの際目標から外しまして、貨物固有の経費のみを対象にいたしまして、五年間におきまして運賃と合理化、両面から固有経費を賄い得るような姿に持っていきたいというのが一つの目標でございます。
  128. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 時間もございませんので、もうちょっと国鉄の問題を質問させていただいた後、二、三で終わりにしたいと思います。  いずれにいたしましても、この国有鉄道運賃法と日本国有鉄道法の一部を改正する法律案というものが提案されておりますので、いずれは当運輸委員会で慎重審議がされることとなると思います。そこで、この法律案が衆参両院を通りますまでの間は、現在の日本国有鉄道財政再建促進特別措置法というものがやはり有効でございます。その有効な、いわゆる再建促進特別措置法の第二条にあるように、「昭和五十七年度までにその損益計算において利益が生ずるよう財政の健全性を回復する」ということにその目標を置いておりますが、五十七年までには全くこれはできなかった。できなかったがゆえに、新しい、いわゆる国鉄運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案がここに出てきたわけでございますが、私どもが思いますのに、要するに四十八年から五十七年の間に四回の値上げをするというようなことが現行の再建促進特別措置法にあります。しかし、実際問題としては、われわれはあのときにも言ったわけですが、十年間なんて、そんな長い、しかもその間に四回の値上げなんてとてもじゃないができっこないよということで、もっと二、三年ではっきりするようなものをつくってはどうかというようなことを再々申し上げております。  そういうことで今回は五十一年、五十二年ということでお出しになったことと思うわけでございますが、しかしながら、この提案された新しい、いわゆる運賃値上げ案については、自民党の中ですら通過させないとか反対だとかいうお方もあるように世間では言っております。衆参両院を通過するまでは現行法がやはり生きているわけでございます。そういう意味で、目標達成について、五十一年、五十二年で収支の均衡の回復ができ、以後健全経営を維持することが目標だというふうなことについて非常に確信あるお言葉をさっき大臣は言っていったわけでございますけれども、この中で一番問題になるのが、いわゆる運賃法の制定制度の弾力化という問題があります。弾力化などという非常にユニークなお言葉の表現でございますけれども、簡単に言うならば、これは法定制度をやめるということだと私は思うわけでございます。  しかしながら、国有鉄道運賃法の規定に従って、法律の定めるところによってわれわれは国鉄運賃というものは決めなければならないとかたく決意をいたしておりますし、われわれ野党としましても、私としましても、この方針は今後も堅持していきたいと思っております。そういうところから、現在の運賃法定制度を改めて、その決定方式を変更するということについては私は反対であるという点を申し上げておきたいわけでございます。この点については別に御答弁は要りません。ただ、私どもの考えとして申し上げておきたいわけでございます。  あと、残った時間で若干自動車局長の御答弁だけをいただいておきまして、大変恐縮でございますが、あと航空局長にお伺いする予定でございました離島航空路の問題、海運局長にお伺いする予定の外航船舶の建造の問題は次回に譲りたいと思いますので、ひとつ自動車局長だけお願いをいたしたいと思います。  まず、最初の問題でございますが、自動車税に関連する質問でございますが、御承知のように、先般も本会議で税制改正の趣旨説明がございました。ここの中でいわゆる自動車関係諸税の引き上げが行われるわけでございます。  自動車重量税の引き上げは、一昨年の石油危機や最近の不況などによって経営に非常に苦しんでいるところの中小零細のトラック運送業者にはかなりの負担になるものと思われるわけでございますが、この点について事務当局としては大蔵省と何かの話し合いをしたのかどうか、この点を伺っておきたいわけでございます。
  129. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 お答え申し上げます。  五十一年度の税制問題が議論されました昨年の秋以降におきまして、私どもは数々の点について大蔵省及び自治省の税務当局と折衝をし、要望を重ねたわけでございますが、その幾つかある中の重要な点の一つといたしまして、営業用自動車と自家用自動車について格差をつけるべきであるという主張をいたしたわけでございます。これは一見自家用いじめだというような批判がある点もあるかと思いますけれども、私どもはそういうことから考えたのではございませんで、営業用自動車、自家用自動車のそれぞれにつきまして、いわゆる燃料の消費効率あるいは道路空間というものをどちらの方が節約的に使えるのかというふうな幾つかのファクターを計算いたしまして、それによりますと、明らかに営業用自動車の方がそういう各種の項目につきまして節約的である、国民経済的であるというふうに判断されましたので、その格差に見合う分だけの格差を税制面でも講じてほしいということを要望いたしたわけでございます。  もちろん、運輸交通事業は公共料金ということでその収入は制約されておりますし、片や、人件費を中心といたしましてコストは年々アップしていく。したがって経営状況も決してよくございませんので、そういった現下の経営状況ということも勘案いたしましたけれども、基本的には営業用自動車の社会的な効率性のよさというところに注目いたしまして折衝いたしました。その結果、自動車税、軽自動車税あるいは自動車取得税等につきまして、この自家用自動車と営業用自動車との間の税制上の差別がつけられたわけでございます。
  130. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 とにかく、中小零細トラック業者は非常に反対の意見が強いわけでございます。こういう面について非常に経営難の状態がございますので、経営改善のためにも何らかの施策が必要ではないかというふうに私どもは考えているわけですが、この経営改善について自動車局長としてはどのようにお考えでございますか。
  131. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 中小トラック事業の経営改善につきましては、すでに十数年前からトラック事業の近代化促進という事業をやっております。これは中小企業庁が中心でございますけれども、主な中身は、中小トラック事業が近代化をする場合の資金を低利で貸し付けるということを中小企業庁及び各都道府県の商工部というふうなところが窓口になりまして、陸運当局の指導のもとに進めております。これが年々強化されまして、現在は構造改善事業というものがなされておりまして、数年前よりもさらに強化された助成策を講じております。それが一点。  もう一点は、適時適切な運賃の設定をしていくということでございます。年々上がってまいりますコストに見合いまして、機を失することなく適正な運賃額にするということがやはり大事であると思いまして、それらを中心といたしまして、これからも、全国のトラックの中で大半を占めますところの中小零細トラック事業の前途に対しましては重大な関心を持ってまいるつもりでございます。  特に、最近は不況が深刻化いたしまして、荷動き等も減っております。したがいまして、ただ形式だけ整えば新免を出すということで新規参入をどんどん許しますと、結局共食いになりましてみんなが経営が悪くなるということもございますので、この不況から脱出するまでの間は特に新規参入については慎重に検討するようにということを各陸運局にも話してございます。もちろん、このことは新免シャットアウトということではございませんけれども、地域の需給関係を十分考慮して、地域住民が困らないように、また、中小零細事業者経営が危殆に瀕しないようにというところの総合的な判断を慎重にやるようにということを各陸運局には申しつけておるところであります。
  132. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、あと簡単に答えていただきたいことがございます。交通遺児の貸付金制度の問題です。  これは大臣も一段と一層充実を図ったというふうに言われておりますけれども、前年対比で見ましても、一人当たりにしますと一年でわずかに二万二千円の増額にすぎないわけです。これの詳細の御説明は省きますけれども、結果的にはそうなります。そこで、一時貸付金が七万円が八万円になったということが一つと、それから毎月の貸付金が七万二千円から八万四千円になったわけですから、こちらで一万二千円、合計二万二千円。結局、対象人員が一八八%もふえて八千百五十五人になったということは認めるわけですけれども、最近の物価高からすると、この程度では全く残念だと思うわけです。  そこで、自賠責特会からこれも出ているわけでございますので、資料をいただいて見ますと、四十五年、四十六年は確かに赤でございましたが、四十七年以降は再保険の収入から再保険の支出を引いて、四十七年度では千百二十四億、四十八年度は千二百十億、四十九年度が千五十九億で、当初から累計いたしましても二千四百二十九億も黒字になっているわけでございます。こういう点から考えて、ことしは決まったものならしようがないとしてみても、来年はこの貸付金についても一時金についてももう少し十分な配慮がなされるべきではないかと私は思いますので、この点をもう一つお願いいたしたいと思います。  それから、もう一点は自賠の問題でございます。自賠責の限度額引き上げの問題ですが、このことは御承知のように四十八年の十二月にこれが一千万になり、昨年の七月に千五百万になりました。しかし、最近の交通事故を見ましても、数は非常に減ったけれども大きな事故もあるわけでございます。そういう点から、この自賠責限度額の引き上げということについて、少なくとも五十一年度末、来年の三月末あたりまでには二千万円ぐらいにすることができないか、ぜひこれはしてもらいたい、こういうふうに思いますので、この二点についてお答えをいただいて終わりにいたします。
  133. 高橋寿夫

    高橋(寿)政府委員 第一点についてお答え申し上げます。  自動車事故対策センターが義務教育中の交通遺児に対しまして貸し付けております金額を逐年引き上げてきております。五十一年度予算では、先生お示しのような金額にいたしたわけでございます。この金額に対しまして、一方において、たとえば昨年からことしまでの物価上昇は一割を切るであろうとか、あるいはさらに五十一年度間の物価上昇の政府の目標は八・八%であるとかいう数字を並べまして、この金額で十分だということを私は申し上げるつもりはございません。やはり、こういった悲惨な家庭に対しましてはお金はだぶつくくらいにあった方がいいと思いますけれども、制度からいたしますと、だんだん漸増していくということも一つ方法であると思います。また、こういった社会保障的な給付は他省所管の各種のものがございますが、そういったものとのバランス等のことも政府としてはございますので、その辺のこともございまして今年度は先ほどお示しの金額で予算計上したわけでございますけれども、この点は御趣旨もございますので、来年度、つまり五十二年度のときにはさらにがんばりまして、こういった気の毒な人たちに十分手が差し伸べられるようにいたしたいと思っております。  それから、保険料の引き上げの問題でございますが、現在死亡時に千五百万、これは昨年の七月に上げたばかりでございますけれども、これをさらに引き上げろという声も各方面から出てきているわけであります。このことは一方においては保険会計の収支の問題、それから一方においては最近におきまするところの交通事故に対する裁判実例、さらには最近の物価高等による生活困窮状況等、こういったものを総合的に考えなければなりません。私ども、手厚い被害者保護の点につきましてはやぶさかではございませんけれども、いまのような各種の点を十分総合的に考慮いたしまして、なお大蔵省あるいは保険審議会等にもお諮りいたしまして善処いたしたいと思っております。いまのところ、これを今年度中に上げるとかどうとかという方針はまだ申し上げられませんけれども、できるだけ御趣旨に沿いまして努力はいたしたいと思います。
  134. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 もちろん、自賠責の限度額引き上げの問題は運輸省独断で決めるわけじゃございませんので、関係省庁との十分な協議の上で速やかにこの問題も希望に沿うようにしてもらいたい。このことをお願いいたしまして終わりにいたします。
  135. 中川一郎

    中川委員長 次回は、明後五日開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時三十八分散会