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渡辺証人 ただいまの
お話は全く心外な話でございまして、
全日空は当時、金は要りますけれ
ども、従来、
飛行機は、アメリカの輸出入銀行で応援もしてくれていますし、また国内の銀行でもいろいろ応援してくれていまして、何もやみ金融、そういうようなものを通して資金を調達するような必要は何もなかったわけでございます。したがいまして、
会社としては、だれもそんなことを
考えたことはございません。
ただ、私が、たまたま秘書室とか総務を担当しておりましたところが、多分四十四年の十月の初めごろだったと思いますけれ
ども、築地の警察から
会社あてに照会文書が来まして、
全日空の
大庭社長と長谷村何がしかの名前で三千億を鈴木明良という人に融資を申し込みをした事実があるかどうか、また、これによって被害を受けているかどうか。こういうような文書が来たわけです。それで当時、経理部長がびっくりしまして、経理担当の
専務にも見せ、これもびっくりして私のところへ来た。私もびっくりして、当時の
若狭副
社長に何か
御存じですか、全く知らぬ。そこで
若狭副
社長と私が
大庭さんのところへ行きまして、警察からこういう文書が来ているが、何か
御存じですかと聞きましたら、これは私はこの間、申し込んだ、しかし、これについては途中で話がおかしいので、この話は、もう取り下げにして、円満解決をしたから、何も心配はない、こういう
お話でございました。
それで私は安心していたわけですけれ
ども、そのときに長谷村君に何か、こういうことで知っていることがあるかと聞きましたら、長谷村君が、当時、自分のところに何人か、そういう話が来ました、しかし、自分はいやしくも銀行出身であるから、そういうようなばかな話がどうかということはすぐわかる、だから、二つ三つ話はあったけれ
ども、みんな断りました、それから
大庭さんからこの前やはり御相談を受けたので、そういうばかなことはお
やめなさいと言って、とどめました、したがって、私は何にもこんなこと関係しておりませんという話だったわけでございますが、その後、秘書室長が私のところに来まして、最近、
社長のところへ、えたいのわからぬような人がしょっちゅう会いに来る、それで
社長は、そういうことになりますと、居留守を使ったり、あるいは長谷村君に会えというようなことで、非常に何か困っているような様子だ。それで何か様子がおかしいのだけれ
ども、これはどういうことでしょうかというので、私も重ねて
大庭社長に、あなた、この前、解決したとおっしゃっているけれ
ども、何か御心配あるんじゃないでしょうかと、すると、いや、これはもうみんな解決しているし、まあ、若干問題はあっても、自分がこれは独断でやったことであるから、自分で責任を持って解決するから、まあ、あなた方、何も関係しないでください、こういうような
お話ございました。
ところが、それから幾日かたちまして秘書室長が、いま一人また
社長のところに会いに来ています。これは鈴木という人です。最初この人に
社長は会ったのだけれ
ども、その後この人が来ると
社長は逃げ回っている。どうしましょうかというので私のところに相談に来たわけです。私は、
社長が、いろいろ聞いても何にも言わない。しかし、いろんな人が来て秘書室で困っているということだものですから、当時の経理担当の鈴木
専務と一緒に、その鈴木という人に会いまして、どういうことですかと聞きましたところが、実は
大庭さんと長谷村君から頼まれて三千億を、いろいろ奔走した、ところが自分たち以外にも、いろいろな人にまた話を頼んでいるので、この話は一応御破算になった、しかし今度、自分だけを通して申し込んでくれれば、アメリカの方が金を貸すと言っているので、あと一回申し込みしませんか、こういうような
お話でございました。そこで鈴木
専務と私は、
全日空はそういうような金は必要ない、ほかで都合できるので、そういうような申し込みをする気持ちは全くありませんということで帰ってもらったわけです。
ところが、その後その鈴木何がしかが、あと一人連れまして、またあらわれました。それで、そのときに
全日空はまことにけしからぬ、自分たちに
大庭さんと長谷村君が頼んでおって、自分たちも工作資金をうんと使ったのだ、ところが途中でその話を取り
やめにして、それは借りないのだから、しようがないけれ
ども、その自分たちに断わった後で、また同じようなことをほかに頼んでいる、これはまことにけしからぬという話なので、そんなことを言われても、もう
全日空関係ないと言ったところが、長谷村君を呼んでくれということで、長谷村君を呼んだわけです。それで長谷村君に、君は何にも関係してないという話だったがどうかと聞きましたところが、その鈴木何がしかと、あと一人、一緒に来た者が、そんなインチキなことを言うな、ここに証拠書類があるよというような話をいたしまして、長谷村君が、いや申しわけなかった、実は一回、
大庭さんに言われて書類をつくって出したことがありますということを私に謝りました。それで、その鈴木何がしかと、あと一人来たのは、長谷村君に用があるということで一緒に出ていったわけです。それから長谷村君が帰ってきてから私は怒ったわけです。長谷村君に、君は何にも関係ないと言っている。しかし、さっき、ああいうことでもって人が来たら、そういうことをやったことがある。まことにけしからぬ。やはり
大庭さんが幾ら君にいろいろ言っても、
会社にはいろいろ担当があるのだ、経理担当もあれば、いろんなセクションがあって組織で動いているのだから、やはり大事なことはそれぞれ注意してもらいたい、連絡してもらいたいと言ったら、そんなことは、あなたに言われる筋はないという話でありましたので、私は、何を生意気言うかということで、
会社の組織を無視して仕事をやるようなことは絶対いかぬということを、相当大きな声を上げまして、たしなめたことがございます。
そういうことが何か週刊誌に、私が何か大声上げて、どうした、こうしたというようなことが書いてございますが、全く事実無根で、私が関係したのは大体そこら辺まででございまして、そこのいすに座っておって、秘書室長が心配して相談に来たので聞いてみただけだということでございまして、まことに残念至極であります。