○朝田
証人 先ほど申し上げましたように、
昭和四十三年の暮れから
ダグラス、
ロッキード両
航空機メーカーからプロポーザル、条件提示がございまして、それに基づいて私どもは選定作業に移っておりました。ただいまお尋ねの件につきましては、運輸省の指示に基づいて選定をいたしたものではございません。私どもの独自の事業計画に基づいて選定をいたしておったわけでございます。
その背景といたしまして、世界じゅうにこういう大量輸送時代というものが到来をいたしまして、新しい
機種のワイドボデージェットというものが出現をいたしてまいりまして、私どももそういう新
機種に取り組んでいかなければならぬ、将来の
長期計画からいっても、日本の空港事情からいいましても、非常に過密
状態にございますので、そういう新しい
機種と取り組んでいかなければならぬ、こういうことで、四十四年の当初から検討をいたしておりました。
四十四年の七月だったと記憶いたしますが、これがいわゆる白紙還元ということで中止をいたしました。その背景といたしましては、ちょうど
ロッキード一〇一一と
DC10というものがプロポーザルに出てまいりました。その後六月に至りまして、ボーイングのSR−ショートレンジ、こういう
機種が新しく登場をしてプロポーザルが七月にありました。たしかそういうふうに記憶いたしておりますが、六月ごろに説明がありまして、七月ごろに、間際になってそういうものがあらわれてまいりました。私どもは乗員の養成計画からいっても、あるいは空港の過密
状態からいってもなるべく大きなキャパシティーを持った
航空機を導入してまいらなければならない。乗員の養成も一朝一夕にはまいりませんので、そういう
意味からして、ことにそういう
機種を選定する場合におきましても、安全性、技術性、経済性、そういったものはもちろんでありますけれども、わが社が運営いたしておりまする路線構造に従ってそういうものを考えていかなければならない。したがって私どもは、国内線と同様に国際線を運営しておるわけでございますから、国際線と国内線とが併用できるような長距離型の
航空機を選定する必要がある。そこで、先ほど申し上げましたように、ボーイングのSRという、これはジャンボジェットと俗称されておりますところのボーイング747のショートレンジのタイプでございますが、全く同じ
飛行機と考えてよろしいのでありまして、国内用に使います場合には離発着回数が非常に多くなりますから足回りを強化する、あるいは翼のつけ根を強化する、こういうことで、機体本体はジャンボジェット747と同様のものでございますが、こういうものがあらわれてまいりました。これはなかなか私どもも魅力のある
機種である。ところが、プロポーザルの有効期限を一月延ばし一月延ばしをしておりましたのでございますが、これはメーカーにむしろこちらが頼んで延ばしてもらっておった。ところが、こういうものが出現してまいりますと、いろいろ問題がございます。乗員の養成の問題もございますし、また運営しておる路線に適格する機材の選定というようなことが短期間に決められない。こういうようなことで、私どもはもっと時間をかけてやるべきだ。四十四年でございますから、当初は四十七年に導入を考えておりましたが、四十四年の四月ごろに、四十八年に延ばそう、四十八年にしますと時間的に余裕もございますし、急いで決める必要もない。その当時の状況はいま申し上げたとおりでございますが、そこに松尾
社長が、いまこういうものを決めるのは妥当な時期ではない、白紙還元をして、有効期限を一寸刻みに延ばしておったのをここでピリオドを打つということで、
理由はおっしゃらなかったのでございますが、一応次の機会に追って指示あるまでこれは白紙還元する、こういうことを
常務会で指示をされまして、私ども役員もそれを了承した、こういうことが経緯でございます。