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1975-12-24 第76回国会 参議院 本会議 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月二十四日(水曜日)    午後四時四十八分開議     —————————————議事日程 第十九号   昭和五十年十二月二十四日    午前十時開議  第一 昭和二十四年五月以前の簡易生命保険契   約に関する特別措置法案内閣提出衆議院   送付)  第二 郵便貯金法の一部を改正する法律案(内   閣提出衆議院送付)  第三 簡易生命保険法の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)  第四 昭和五十年度公債発行特例に関す   る法律案内閣提出衆議院送付)  第五 大気汚染による健康被害者の救済と公害   防止に関する請願  第六 カモシカの被害対策に関する請願(二   件)  第七 診療放射線技師放射線取扱主任者の資   格付与に関する請願  第八 インフレ物価抑制に関する請願(五   件)  第九 公共料金をはじめ諸物価値上げ反対に関   する請願(十三件)  第一〇 郵便物遅配解消に関する請願(二   件)  第一一 第三種郵便料金五倍をはじめとする郵   便料金値上げ反対に関する請願(二件)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  一、内閣総理大臣三木武夫問責決議案(阿具   根登君外三名発議)(委員会審査省略要求事   件)  一、日程第一より第四まで  一、国家公務員等の任命に関する件  一、日程第五より第一一まで  一、自動車重量税等引上げ回避に関する請願   外四十三件の請願  一、委員会審査及び調査を閉会中も継続する   の件      —————・—————
  2. 河野謙三

    議長河野謙三君) これより会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  阿具根登君外三名発議に係る内閣総理大臣三木武夫問責決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加して、これを議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 河野謙三

    議長河野謙三君) 御異議ないと認めます。よって、本決議案議題といたします。  これより発議者趣旨説明を求めます。阿具根登君。    〔阿具根登登壇拍手
  4. 阿具根登

    ○阿具根登君 私は、日本社会党公明党日本共産党及び第二院クラブ喜屋武眞榮君を代表いたしまして、ただいま議題となりました内閣総理大臣三木武夫問責決議案提案理由説明をいたします。(拍手)  最初に、問責決議案の主文を読み上げます。    内閣総理大臣三木武夫問責決議案   本院は、内閣総理大臣三木武夫君を問責す  る。   右決議する。    理 由  一、「対話協調」の政治公約した三木内閣総理大臣が、公共料金値上げ法案公債発行特例に関する法案などの審議に当って、強行採決につぐ強行採決で、総理自ら否定した「力の対決による政治」を行なっていることは、議会制民主主義を破壊するものである。  二、三木内閣総理大臣は、口でインフレ克服基本的経済政策転換、不公正の是正をとなえながら、その行なうところは、依然として大企業中心経済成長政策であり、インフレを再燃させ、深刻な不況を招いて、失業者中小企業破産倒産を激増させ、日本経済危機的状況に陥れている。とくに、大企業の横暴を抑える独禁法改正案の再提出財界の圧力で断念したことは、公約違反のはなはだしいものである。  三、金権政治こそ日本政治腐敗根源であるとしてきた三木内閣総理大臣の下で、財界から自民党への政治献金が大規模に再開されようとしていることは、国民をあざむくものであり、総理自ら日本政治腐敗根源を温存しようとするものである。  四、三木内閣総理大臣は、地方自治重要性をときながら、自らの経済政策失敗はたな上げして、財政硬直化理由に、地方自治体攻撃に終始し、中央集権官治行政を強めている。  五、三木内閣総理大臣は、善隣友好外交をとなえながら、日中平和友好条約締結消極的態度を示し、安保条約強化と自衛隊の増強を図り、韓国とのゆ着を強め、朝鮮民主主義人民共和国敵視政策をとり、朝鮮の自主的、平和的統一を阻害してきた。  六、三木内閣総理大臣は、口に民主主義をときながら、スト権問題主任制度問題に明らかなように、憲法教育基本法に反した労働行政教育行政強行しつつある。    以上のように、三木総理大臣は、公約に反し、数々の憲法違反、平和と民主主義国民生活破壊反動政治を推し進めてきた。    これが、内閣総理大臣三木武夫君を問責する理由である。(拍手)  次に、問責決議案提案いたしました趣旨につきまして説明いたします。  三木総理は、総理就任以来一年余の期間が経過しておるのでありますが、その間国民への公約は何一つ果たしていないのであります。この問責決議案提案は、三木内閣内外政策失敗政治姿勢に対する国民の激しい怒りと峻厳な罪状の告発であると受けとめていただきたいのであります。  今日国民は、インフレ不況のあらしの中で生活のため必死の戦いを続けているのでありますが、国民がいま一番望んでおるのは、百の公約より一つの実行であります。  三木さんは、首相就任してから、名言録に記録されるような公約を数多く行ってきました。いわく「対話協調政治」「不公正の是正」あるいは「金権政治こそ日本政治腐敗根源」「不況インフレ克服安定成長経済回復を行う」等々であります。しかし、その公約は今日まで何一つ実行されていないのであります。  私は、三木さんが首相就任直後にこの壇上からヤマブキ内閣にならないようにと警告を発したものでございますが、そのとき三木さんは両手を広げて、こんな大きな実を実らしてみせると、ゼスチュア入りで答弁をいたしました。しかし、実力のない三木さんは、私の杞憂のとおり、今日、本物になってしまったのであります。それ以上に、不況倒産の中で赤字国債による大きなインフレの種をまいておるのであります。  さらに、三木総理は、クリーン三木を表看板にして、金権政治の追放による政界浄化を唱えて登場したのでありますが、就任して一年もたたないうちに、自民党の百億円に上る借金のたな上げを行うとともに、企業献金の再開を積極的に進め、大企業との癒着を強めてきたのであります。また、田中金脈問題にいたしましても、その責任を、みずからが副総理であったことにはほおかむりして、国会においてその全貌を明らかにすることもせず、結末をつけずうやむやに処理しようとしておるのであります。三木首相姿勢は終始優柔不断であり、この姿勢国民生活危機に陥れていると言っても差し支えないのであります。  また三木総理は、本年一月の施政方針で、「三十八年間、ただ民主政治と国際平和とを念願して、この道一筋に生きてきた議会人として」日本国民のため、民主政治のため全力を挙げると、みずからを「議会の子」として宣伝し、「対話協調政治」を唱えて、ことさらに民主主義者ポーズをとってきたのであります。しかしながら、国民が強く反対する公共料金値上げ法案は、前の国会野党の強い反対審議未了になったにもかかわらず、この国会でさらに提案し、単独審議強行採決を何回となく繰り返し、国会運営混乱させながら強引に成立を図ってきたのであります。それでも日程が足らぬということで会期を百六日にも延長し、通算二百九十六日ものいまだかつてない長期日程にしたのであります。これが何で「議会の子」なのでしょうか。また、何が「対話協調」でありましょうか。いまや、対決強行であり、言うこととやることはまるっきり反対だと言われるのであります。  しかも、国民がその成立を強く求め願っておる独禁法改正については、先国会において衆議院段階では与野党一致で修正可決し、参議院では時間切れ廃案になったものを、今回は自民党内の調整を理由提案しないという姿勢であります。これは明らかに党利党略による議会軽視であり、議会制民主主義の名においても断じて許すことのできない態度であります。(拍手)  次に、三木総理は、就任早々からインフレ抑制安定成長経済回復を行うと国民に約束しながら、総需要抑制勤労国民生活圧迫し、インフレ物価高をもたらし、月千三百件以上の中小企業倒産を引き起こし、地方財政危機の中で、地域住民福祉の向上や地方公務員人件費支払いも事欠くという事態を招いておるのであります。  こうした経済政策失敗見通し誤りについて、三木首相が日ごろ口にしておる政治的態度からするならば、その不明を謝して速やかに総理の座をおりるべきであると考えるのであります。(拍手国民の切実な要求は、勤労国民中心に下から国民全体の購買力をつけ、消費需要をふやし、それをてこにして下から景気回復を図るべきであるというものであり、野党が強く要求しているところであります。しかし、三木内閣は、所得税減税もやらず、赤字国債に依存する景気対策をとり、財特法を引き金にして、次の通常国会にはさらに七兆円余の赤字国債国民に押しつけようとしておることは断じて許せないのであります。(拍手)  また、三木総理は、「教育は政争の外に置く」と公約しながら、主任制度省令化によって教育に対する権力支配を強めているのであります。このような三木内閣政治姿勢はまさに反動政治姿勢であります。これを反動政治姿勢と呼ばずに何と呼ぶことができるでしょうか。  三木総理が今後引き続いて政権担当をしようとするならば、いまだ総理としてあなたは国民からの信頼を得ていないのであり、当然に解散、総選挙を行うべきであります。われわれもそれを強く要望してきたところでありますが、総理にはそれを断行する力すらないのであります。ここにも政治責任を問う理由があります。  また、今秋、日本全土で大きな問題となった公労協スト権を付与する問題についても、国民の大部分はスト権スト後の世論調査においても明らかなように、与えるべきとの結論が出ておりますことは御案内のとおりでございます。田中首相以来、今秋を区切ってスト権付与をすべきであるにもかかわらず、閣僚協専門委員懇談会責任を転嫁し、期日をおくらせ公約に違反し、あえて八日間のストに突入させた政治的責任はきわめて大と言わざるを得ないものであります。(拍手)このときも、三木さんはさるぐつわをはめられて、みこしに乗っておるだけだと言われたことは御存じでしょう。これは三木さんにとっても不幸でしょう。しかし、国民にとってもきわめて不幸なことでございます。  ここで三木総理に思い起こしていただきたいのであります。私は、本年一月二十八日の本会議場において「三木さんは党内野党的立場にあり、岸内閣では警職法のごり押し佐藤内閣では総裁の多選、田中内閣では金権政治を批判して大臣の職を去ったときに、いつも前向きの発言のようであるが、いつも事後であり、後の祭りであった」ということを指摘して、あなたの政治姿勢に大きな危惧を感じることを強調してきました。三木総理は、約束が実行できず、公約が果たせないならば、いま直ちに退陣すべきであります。過去に三たび大臣をやめたことを思い起こし、いまこそ発揮すべきときであります。単に自己保身のために総理の座にしがみついておることは、国民のために大きな不幸なことであり、また議会制民主主義を危なくするものであります。  さらに、三木内閣は、善隣友好外交を唱えながら、日中平和友好条約締結にきわめて消極的な態度を示しているだけでなく、日米首脳会談においては、韓国条項の再確認、日米安保条約の拡大、日米韓軍事同盟体制強化等世界とアジアの平和に逆行する危険な外交政策をとり始めているのであります。ことに、外交における三木首相総論民主主義各論反動という姿勢は、ランブイエにおける先進国首脳会議にも見られるのであります。  このように、主体性なき無責任三木内閣総理大臣問責決議に対し、全野党こぞって賛成をいただいておりますが、与党の諸君の中にも、ポーズだけの三木総理言行不一致の今日までの態度には強い御批判のあることと思います。ここに参議院の権威を守るためにも、本決議案に勇気をもって賛成していただくよう要請いたしまして、私の提案趣旨説明を終わります。(拍手
  5. 河野謙三

    議長河野謙三君) 本案に対し、討論の通告があります。順次発言を許します。西村尚治君。    〔西村尚治登壇拍手
  6. 西村尚治

    西村尚治君 私は、自由民主党を代表して、ただいま上程されました三木内閣総理大臣問責決議案に対し、反対討論を行うものでございます。(拍手)  衆議院における内閣不信任案は、政府議会解散権に対応する重大案件であります。参議院における内閣問責決議案は、この不信任案に相応するものでありますから、それだけに、これが提出に当たっては、国民も納得できるような重大な政治的理由がなければならぬと考えるのであります。そのために、衆議院において内閣不信任案提出されましても、参議院総理問責決議案提出されることはめったになく、今日までその事例はわずか二回にすぎないのであります。ただいま提案趣旨説明を聞きましたが、本案提出するほどの重大な理由がありとはとうてい考えられませんで、この時期に何ゆえ突如としてこれを提案されたのか理解に苦しむのであります。恐らく世人の目には、審議引き延ばしのための党利党略によるものとしか映らないと思うのでありまして、良識の府たる本院としては、むしろ本案の撤回を願いたいと望むのであります。(拍手)以上が問責決議案に対する反対の第一の理由であります。  さて、昨年十二月、三木内閣発足当時、わが国経済はいまだかつて経験したことのない複雑にして困難な局面に立っておりました。一昨年の石油危機契機としてインフレの波が世界各国を襲い、それを克服する過程において不況が起こったわけであります。わが国もその例外でなく、インフレ不況とが併存するという異常な状況下にあったのであります。そして、この景気の浮揚と物価の安定という二律背反的な二つの要請を同時に満たさなければならぬというきわめてむずかしい立場に置かれていたのでありますが、政府は精魂を傾けてこの難局の打開に当たってきた結果、その成果はかなり見るべきものがあると考えます。  すなわち、物価は昨年二月のピーク時において卸売物価が三七%、消費者物価が二六%と異常な高騰を見たことは御承知のとおりでありまするが、厳しい総需要抑制策によりまして、五十年度未には卸売物価で五・八%、消費者物価で九・九%程度にとどめる見通しがついて、消費者物価はすでに十月その達成を見たのであります。石油危機の後の狂乱物価をここまで鎮静させたということは、政府施策の適切であったことの何よりの証拠でありまして、このことは国際社会においても高く評価されておるのであります。(拍手)  このような物価安定の傾向を踏まえて、政府景気回復と雇用の安定を図るために、今日まで四次にわたって財政金融両面から積極的な不況対策を実施してまいりました。その結果、景気は徐々に回復の兆しが見え、今後の積極的施策と相まって、経済の立ち直りはほぼ順調に進むものと期待されるに至ったのであります。  さらに、こうしたインフレ不況のもとでの転換期にあって、しわ寄せで苦しむ人がないようにとの配慮から、社会的公正と福祉の充実に総理はとりわけ努力されてきました。すなわち、本年度予算では福祉年金の六割アップを初めとして、各種年金給付の改善や重度心障害者原爆被爆者などに対するきめ細かい配慮がなされまして、弱者対策総理が並み並みならぬ意欲を示されたことは評価さるべきだと思います。さらにまた、前国会におきまして、かねての懸案でありました公職選挙法政治資金規正法改正を図ったことも特筆すべきことでありまして、このように見てまいりまするとき、三木総理公約を着実に実施してきていることは明らかだと言わなければなりません。これが決議案反対する第二の理由であります。  次に、ただいまの説明によりますると、総理はその標榜した「対話協調」の姿勢を捨てて、力による対決を迫っているということでありまするが、これは自己の非をたなに上げて故意に相手をけなそうとする言いがかりとしか考えられないのであります。総理並びに与党は、常に「対話協調」を旨としながら、国会審議を軌道に乗せるべく、忍耐強く努力を続けてきたことは何人も否定するはずがないと思います。にもかかわらず、その努力野党の硬直した姿勢のために実を結ぶことが少なかったのであります。  三木内閣発足以来、通常国会臨時国会ともかなり長期にわたったのでありまするが、そのうち実質審議を行った日がきわめて少なかったことによってもそのことはわかるのであります。今回の臨時国会を例にとれば、その会期百六日間のうち、本会議並びに委員会を持った日はわずか三十七日にすぎなかったのであります。残余の日数のうちで、日曜、祭日を差し引きましても、実に五十九日というもの、すなわち会期の過半数が何ら審議らしい審議をなされないまま過ぎたのであります。しかも、その中でいたずらなる審議引き延ばしのために空転した日がかなり多かったことを残念に思うものであります。(拍手)  およそ議員としては、与党であると野党であるとを問わず、提案された案件についてはまず誠実に審議を尽くす、その上で多数決の原理にのっとって可否を決する、これが議会制民主主義のルールだと思うのでありまするが、野党の皆さんは、反対案件については初めから断固反対、断固阻止を唱えて、審議に入ろうとしないことが多いのであります。そのかたくなな姿勢対話協調を拒んできたのであります。そのことが国会を空転させる原因となっていることは、まことに遺憾と言わなければなりません。三木総理は決して対話協調姿勢を変えたのではなく、むしろそれが一向に受け付けられないところに問題があるのであります。これが本決議案反対する第三の理由であります。  最後に、公労協に対するスト権の問題があります。スト権勤労者のための労働基本権一つであるにかかわらず、総理がこれを尊重しないのはけしからぬというのであります。しかし、労働基本権スト権といえども、絶対のものではありません。あくまで公共福祉との調和が前提にならなくてはならぬと思うのであります。その公共福祉を無視し、国民に迷惑をかけ、しかも、法を犯して実力スト権を獲得せんとする態度は、決して許さるべきものではありません。(拍手)法を守ることは議会制民主主義基本であります。三木総理は、公労協の力の圧迫に屈することなく、法治国家としての法秩序を説き、スト権の問題は国民負託を受けた国会において審議し決定すべきものであるとの所信を貫いたことは、けだし当然のことであります。この総理の筋を通した毅然たる態度は広く国民の支持と信頼を得たものと確信するのであります。(拍手)  これが反対理由の第四でありますが、以上をもちまして、三木内閣総理大臣問責決議案に対する反対討論を終わります。(拍手)     —————————————
  7. 河野謙三

    議長河野謙三君) 森中守義君。    〔森中守義登壇拍手
  8. 森中守義

    森中守義君 私は、ただいま議題に供された三木内閣問責決議案に対し、日本社会党を代表して賛成討論を行うものであります。(拍手)  三木内閣発足して一年、この間、この内閣は一体いかなる政策を実行し、国民負託にこたえたでありましょうか。遺憾ながら、多くの国民は、実りなき三木内閣にむなしさと憤りに燃えているのであります。そのゆえをもって、全野党賛成のもとに、日本社会党公明党日本共産党及び二院クラブ喜屋武眞榮君が内閣問責決議案共同提出に至ったのは、三木内閣失政とその責任を明らかにするとともに、政治の本道を求める本院の使命と責務において、けだし当然のことであります。  問責賛成する第一の理由は、その政治姿勢に重大なる欠陥があるということであります。  総理就任に際し五つの公約、すなわち党の近代化インフレ不況克服国民との意思の疎通、国際協調対話協調による国会運営を示し、かたい決意で実現を図りたいと言明いたしました。その時点での総理に寄する国民期待は、田中金脈退陣の後でもあっただけに、田中内閣よりは大きいものがありました。ところが、わずか一年にしてその公約後退に次ぐ後退、何一つ見るべきものはございません。そして、いまや国民期待を完全に裏切ってしまったのであります。  もちろん私といえども、公約が即座に実現するものとは思いません。しかし問題は、総理公約はいわば国家の指標であり、その実現のための積極的姿勢がより具体的に国民の前に前進するものとして映し出されるものでなければなりません。また、一国の総理は、いやしくもみずからの政治信念に基づき、その政策の遂行に当たっては勇気ある英断をもって臨み、その成否についてはみずからの責任をとる、この姿勢を貫いてこそ為政の名に値するものであります。しかし、三木内閣にはその姿勢の片りんすらありません。その根源を求むれば、指導力ゼロ、統制力ゼロ、極度の右傾化への加速等々、総論あって各論なく、ポーズあって中身なく、力なき総理であることに尽きるのであります。よって、責任を問われるのも当然の理であり、この問責契機にその進退を決すべきであります。  問責賛成する第二の理由は、内政における失政についてであります。  まず、議会運営について見るならば、昨年末の通常国会からいまの臨時国会に至る会期は、通算二百九十六日、まさに史上最高長期間記録をつくり上げました。しかもこの間、総理の看板だった「対話協調」をかなぐり捨てて、問答無用とばかり会期の延長を強引に強行し、必要以上の無用な混乱混乱を重ねたのであります。しかも、その目的は、酒、たばこ郵便値上げ法案ごり押しにしたいためのものであり、そして、ついに国民の家計に耐えがたい圧迫を加えることになったのであります。さらにいま、国民に巨大な借金を背負わせる財政特例法を強制して赤字国債発行への道を開こうとしております。  また、あれほど総理が執念を燃やし、全党一致独禁法は、ついに自民党への抑えがきかず、出さずじまいになったのであります。一年前とは打って変わって、財界との癒着をだんだんと深め、金権政治の承継をたくらんでいるではありませんか。その無定見、無原則、無節操、無力さは評するに言葉もございません。  内政の重大な失政は、何といっても経済政策であります。高成長政策の行き詰まりから計画性のない急激な低成長への転換は、わが国経済混乱とどろ沼に陥れ、不況深刻化による完全失業者はいまや百三万人に達し、中小企業倒産の激増、実質的所得政策による賃金の抑圧など、依然として大企業本位経済政策強行によって国民生活をついに窮乏化へ追いやりながら、その見通し誤りに何らの反省もなく、重大な政治責任をとろうとしないのは絶対に許せません。  また、経済政策失敗は直ちに財政面に連動し、財政は破局的な様相となってあらわれました。本年度は実に四兆円に上る歳入欠陥を惹起せしめ、これを赤字公債によって穴埋めしようとしており、この結果、歳入の二六・三%、すなわち四分の一を超える額を借金によって賄おうという異常な事態をつくり出しました。のみならず、来年度予算公債依存度三〇%を超えなければ編成不可能であるというところまで追い詰められております。このような事態は、昭和七年、経済恐慌をもたらした高橋是清蔵相財政破局の状態に酷似しており、言うまでもなく戦後においては初めてであります。  わが党は、このような局面において一日も早く財政危機から脱却するため、今後の財政運営のあり方を明示した中期財政計画策定政府に強く要求したにもかかわらず、赤字公債償還のための財源計画すら示し得ないのが実情であります。そして、ただ数の暴力をもって酒、たばこ郵便値上げを初め、間接税、あらゆる公共料金の引き上げを計略し、大衆減税の実施もできず、福祉政策の大幅な後退を余儀なくし、いたずらに国民負担の増加によって当面の財政を糊塗する政策は許せません。  さらに、経済政策失敗地方財政にも深刻な打撃を与えており、地域住民生活環境に重大な影響をもたらしています。このまま推移すれば、地方自治は崩壊の一途をたどることは明らかであり、三木内閣内政責任に帰するところ、これまたはかり知れません。  三木総理は、私の目は国民の方に向いていると述べては、いかにも対話協調がすべてであるポーズをとったのでありますが、その姿勢が端的に破られたのが三公社五現業に対するスト権問題に対する姿勢であります。すなわち、十二月一日の政府声明は自民党の圧力にがんじがらめに縛られ、みずから当事者能力を放棄し、十年以前の状態に後退したことは、わが国労働政策の歴史に大きな禍根を残しました。労働基本権たるスト権の付与は、すでに昭和三十九年、法定機関である臨時行政調査会の答申において、争議権を与える方向で検討すべしとの結論が出ていることを初め、経営責任者である三公社総裁が条件つき付与論を表明し、また、国民も理解ある態度を示している現在、もはやスト権付与は時代の趨勢であるはずでありますのに、その意見を全く無視し、一方的に対決姿勢をもって臨んだ三木総理は糾弾さるべきであります。スト、処分、スト、処分の悪循環を断ち切ると公言したのは、人ならぬ総理自身ではありませんか。しょせんは、三木総理がみずからの政権温存のための延命策として、苦肉の策と見るのは見過ぎでありましょうか。  問責賛成する第三の理由は、三木内閣外交問題の失政であります。  その最も顕著なものは、日中平和友好条約締結に対する三木内閣姿勢であります。田中日中国交回復後三年を経た今日、いまだに共同声明で約束した平和友好条約を締結することができない外交責任は余りにも重大であります。三木総理は、口では「覇権条項について共同声明から後退することは許されない」とみえを切りながら、みずからは優柔不断の姿勢に終始し、中国側に共同声明からの後退を印象づけ、いたずらに締結をおくらせていることはまことに遺憾であります。歴代内閣外交政策を意識しての功名心と対ソ関係との板ばさみに遭い、ぶざまな外交交渉に明け暮れている三木内閣には、もはや平和友好条約を締結する資格はございません。  第二の問題は、対韓外交失政についてであります。  金大中事件は、わが国に対する覆うべくもない主権の侵害であるにもかかわらず、これをうやむやにして決着をつけたとし、あまつさえ金東雲に対するわが国警察当局の捜査継続の意志を、韓国側の一片の口上書によって退け、主権国家としてわが国の尊厳を犠牲にしたことは、わが国外交に取り返しのつかない汚点を残しました。  また、三木総理は、いわゆる新韓国条項について「北側にも目を向け、朝鮮半島全体の平和と安定を考えるという広い視野に立つもの」と自負しておりますが、これは米側の要求に屈し、日米、米韓の軍事同盟の強化により朝鮮半島の緊張を無用に刺激し、アメリカのアジア政策に追随することを余儀なくしたものであって、三木外交のぬぐい得ない失態であります。  以上、私は三木内閣問責理由として、政治姿勢内政外交の諸点につき指摘をいたしましたが、その根底にあるものは大企業優先、国民不在の政治であり、田中金権政治から一歩も踏み出していないということであります。  いまや進むもならず退くもならず、みずから指導力と当事者能力を失った三木内閣は、もはや国民負託にこたえる能力全くなしと判断をいたします。政権維持に恋々とし、国民不在の政治が続くことは、国と国民にとって最大の悲劇であります。三木総理、あなたを待つものは自滅の日であります。私はあえて申し上げる。自滅の日を待つのはあなたのとるべき道ではありません。あなたの選択は、解散か、しからずんば退陣かであります。二つの道のいずれをとるもよし、三木総理の名誉のために重ねて決意を促し、私の賛成討論を終わります。(拍手)     —————————————
  9. 河野謙三

    議長河野謙三君) 原田立君。    〔原田立君登壇拍手
  10. 原田立

    ○原田立君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました内閣総理大臣三木武夫問責決議案に対して、賛成討論を行うものであります。(拍手)  昨年十二月、前田中内閣の後を継ぎ、三木内閣は「対話協調」「クリーン政治」を表看板に、議会制民主主義の確立と国民立場に立った政治実現に向かって出発したのであります。しかし、一年を経過した今日、その表看板は色あせたのみならず、従来の政府自民党の体質である対決強行国民生活無視、大企業優先の政治姿勢を露骨に示してきたのであります。内閣発足当初、国民に耳ざわりのよい公約は単なるリップサービスにすぎず、また、一見政策実行に熱意を示す姿勢は単なる国民向けのポーズであり、終始一貫トリックの三木に徹した無責任政治を露呈してきたのであります。  マスコミの世論調査によっても、国民三木内閣の支持率が下降線の一途をたどり、不支持が支持率を大幅に上回っている点を指摘しております。しかも、三木内閣発足一年後の支持率は戦後の歴代内閣の中で最低となっている事実を見逃すことができないのであります。このことは明らかに三木内閣発足時における国民期待と現実の三木政治に対する失望の落差がはなはだしいことを物語っております。  わが党は、三木内閣の本質は、国民不在、金権政治の温存、財界癒着体質の域を出るものでないと当初より主張しておりました。それはまた三木内閣に対する警告でもありました。しかし、三木内閣姿勢を問う意味から先国会において四つの踏み絵を提示したのであります。ところが、そのことごとくに背を向けるのみならず、国民政治活動と言論、表現の自由を不当に禁止した公選法の改悪、政治資金規正法の改悪の強行を初め、大企業擁護のためには国民の生命、健康、生活すら犠牲にしてはばからないとする自民党政治の反国民的体質を示したのであります。しかも、この危険な体質は今国会に入るやますます露骨となり、酒、たばこ郵便等の値上げ法案強行採決、さらには二度に及ぶ会期延長の強行を企てるなど、問答無用の暴挙を次々と繰り返し、政府自民党による国会私物化の実態を国民の前にさらけ出したのであります。インフレ不況に苦しむ国民生活を守ることを忘れ、国民への背信行為を繰り返す三木内閣をこれ以上存続させることは、国民生活議会制民主主義を擁護する立場から断じて容認できないのであります。(拍手)  以下、具体的に国民期待を裏切った三木内閣の反国民態度を指摘しつつ、内閣総理大臣三木武夫問責決議案賛成する理由を申し述べるものであります。  その第一は、国会運営の暴挙の繰り返しであります。今国会は混迷国会、視界ゼロ国会などと言われてきましたが、私に言わせれば、政府自民党による議会政治じゅうりん国会といっても過言ではありません。すなわち、今国会の焦点はインフレ不況克服にあるにもかかわらず、値上げ法案を優先的に成立させるため、政府自民党は次々とだまし討ち的に議会制民主主義を破壊する暴挙を繰り返し、国民政治不信を増大させたのであります。しかも、見過ごしにできないことは、三木さん、議会政治を守る、野党を尊重すると語った三木総理自身が、仙台における記者会見で強行採決を言明したことであります。「議会の子」を自認する総理自身が議会制民主主義を破壊することは、狂気のさた以外何物でもないと言わざるを得ないのであります。それとも二重人格的実像がつぶさに露呈されたと言うべきでありましょうか。  第二の理由は、三木内閣が迷彩路線をもって政権の延長策にきゅうきゅうとし、国民期待を裏切り、大企業財界に迎合しようとする姿勢を一段と強めていることであります。独占禁止法改正問題は三木総理公約第一号であり、総理自身成立に執念を燃やすと公言してはばからなかったのであります。ところが、自民党の党内の一部における強い抵抗に遭うや、前国会衆議院において全会一致で修正可決した総意を踏みにじり、今国会提出を見送り、あまつさえ修正可決した条文そのままの野党共同の改正案には見向きもしないという大企業本位、反国民的な態度を示しているのであります。  また、大企業政治献金に対する総理態度も看過できないところであります。一年前には、「企業から多額の政治献金を受ければ企業の代弁者となりやすい」と企業献金の危険性を国民の前に指摘し、論説していた姿勢はいずこに捨て去ってしまったのでありましょうか。そして最近の国会答弁で三木総理は、「自民党の主義主張に賛同しての企業献金は、これはいい、あれは悪いの区別なく受け付ける」とおくめんもなく述べております。金権政治の打破を掲げて登場したクリーン三木の信念は一体どこに行ったのでありましょうか。信なき言論は煙のごとしと言いますが、三木内閣にかけた国民期待は失望、不信に変わり、総理の詭弁によって憤りも頂点に達しようとしているのであります。  第三には、三木内閣経済政策失敗にほおかむりするばかりでなく、安易な赤字国債発行によって国民に新たなる負担を強い、その一方で大企業優遇、弱者犠牲の不況対策を推し進めようとしていることであります。三木総理がいかに強弁しようとも、失業者が百万人もの多きに上り、史上最高企業倒産の増加が続いている現状は、経済政策失敗によるものであることは自明の理であります。総理は、大筋において失敗していなかったと居直っていますが、その居直りこそ内閣支持率急落の原因であることを知るべきでありましょう。私は、重大な時局における経済政策失敗三木内閣にとって致命的失敗であり、その政治責任の重大性を総理が痛感するならば、みずから総辞職してしかるべきであると思います。  また、不況克服に当たっては国民生活関連の公共投資を優先し、落ち込んだ個人需要を喚起するために所得減税をし、国民生活の足元からの不況対策を講じ、同時に社会保障生活者に対する救済措置をとらなければならないにもかかわらず、三木内閣は、高速道路建設など大型プロジェクト中心の産業基盤造成に重点を置く高度成長期と同じパターンをとっているのであります。大企業本位の高度経済成長路線の延長線でしか不況対策を講ずることのできない三木内閣は、大企業財界の代弁者としか言いようがありません。このような国民生活無視の三木内閣責任は重大であります。  第四には、公共企業体労働者のスト権問題に関する三木内閣の時代逆行の姿勢であります。三木政権はスト権付与について完全にリーダーシップを失い、前向きの姿勢を示さず、後ろ向きのあいまいな態度をとり続け、政府声明では労働基本権確立への労働者の願いを全く無視し、基本的人権の尊重に逆行的姿勢をとったのであります。  第五には、自主平和外交を放棄し、対米追随外交強化していることであります。総理は、訪米により日米安保体制の堅持を確約するとともに、韓国条項を再確認し、日米韓三国軍事同盟体制の強化を図り、平和日本を危険な道に進ませようとしています。特に、有事の際における日米防衛分担を明確にするという理由で、安保条約の解釈の拡大をしようとする姿勢は対米追従そのものであり、断じて許せないところであります。  また、日中平和友好条約に対する消極的姿勢も断じて許せません。  一方、核拡散防止条約の国会批准は総理公約一つであるにもかかわらず、積極的態度をとらず、平和国家としてのわが国の国際的評価を損なったのであります。  このように当面する外交課題を放置し、何ら具体的な方策を提示しない三木内閣責任はきわめて重大であります。  以上、数点にわたって理由を申し述べましたが、このように反国民政治の道を開いた総理大臣三木武夫君の暴挙は、八十五年の憲政史上一大汚点になることは明々白々であります。(拍手)いまとるべき道は、ただ潔く総理大臣の席を辞することであり、それでこそ国民へのせめてもの償いであろうと判断されるのであります。  したがいまして、内閣総理大臣三木武夫君の問責決議案に対して心より賛意を表明して私の討論を終わります。(拍手)     —————————————
  11. 河野謙三

    議長河野謙三君) 上田耕一郎君。    〔上田耕一郎君登壇拍手
  12. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君 私は、日本共産党を代表して、ただいま提案されました内閣総理大臣三木武夫問責決議案賛成討論を行うものであります。(拍手)  昨年十二月、金権、金脈政治に対する国民的糾弾の中で退陣した田中内閣の後を引き継ぎ三木内閣発足して一年が経過しました。この一年間を振り返ってみるとき、三木内閣が使命としたものが田中金脈のもみ消しであり、自民党反動政治の立て直しにすぎなかったことはすでに明らかであります。一切の耳ざわりのよい公約は、ただ国民の不満と怒りをそらし、野党勢力の分断を図るためのものでしかありませんでした。そしていま三木内閣は、最近の事態が端的に示しているように、わが国を取り巻く重大な国民危機を一層反動的、反国民的な方向で乗り切ることを策し、「対話協調」もかなぐり捨てて、超タカ派的強硬路線に転じているではありませんか。  わが党は、さきの通常国会三木内閣不信任案衆議院提出し、その反動的本質を徹底的に糾弾してきましたが、その後の五ヵ月間、三木内閣わが国の進路をきわめて危険な方向に導く政府であることはますます明白になっております。  私が三木総理問責決議案賛成する第一の理由は、三木内閣財界の代理人としての政治的本質をむき出しにしていることにあります。三木内閣は、全政党が一致した独禁法改正案の今国会提出財界の意向に沿ってたな上げしたのを初め、政治献金再開と引きかえに大企業本位不況対策を約束し、実行してきたのであります。昨日経団連評議員会に三木総理ら三閣僚が出席し、政府財界の一体化を強調したことについて、きょうの多くの新聞も「献金御礼」「財界サービス」と書いているではありませんか。一体どこに首相公約した社会的不公正の是正があるでしょうか。  さらに三木内閣は、今国会で酒、たばこ郵便料金値上げ三法を押し通し、それを突破口に、来年度予算案の編成の中で国鉄、電報、電話、国立大学授業料、社会保険料など公共料金の一斉大幅値上げ、さらに石油製品、電力、鉄鋼など大企業製品その他、津波のような物価値上げ攻勢を開始しようとしております。一体どこに物価抑制があるでしょうか。  その一方、政府失政がもたらした歳入欠陥を口実に、今年度五兆五千億円に続き、来年度七兆円余にも上る国債の発行を計画、国民には大増税を押しつけ、これを財源に再び大企業本位財界本位の景気浮揚政策を全面的に展開しようとしております。  このように三木内閣自民党は、インフレと戦後最大最長の不況に苦しむ国民要求には背を向けて、財界、大企業べったりの本質をいよいよむき出しにしてきているのであります。自民党の百億円余の借金の穴埋めから選挙資金まで財界に一切まる抱えでめんどう見てもらって、そのお返しに国の財政や金融を大企業につかみ取らせる、これは田中内閣にまさるとも劣らない金権政治そのものではありませんか。まさに羊頭のかわりにクリーン三木を掲げ、狗肉のかわりに田中亜流を売るたぐいと断ぜざるを得ません。(拍手)  賛成の第二の理由は、三木内閣がアメリカ帝国主義の代理人としての姿を浮き彫りにし、日本の平和と安全を危うくしていることであります。  三木内閣は、世界史的な事件であったインドシナ三国人民の勝利により、平和と民族自決を目指す新しいアジアが生まれつつあるにもかかわらず、アメリカ帝国主義のアジア侵略、アジア支配の共犯者としての役割りを進んで担っていこうとしております。フォード政権の危険な核先制使用宣言を支持して恥じなかった三木総理は、八月の日米首脳会談では新韓国条項を確認し、日米韓軍事一体化の推進に踏み切りました。坂田・シュレジンジャー会談では日米共同作戦体制づくりを公然と開始し、来春には日米軍事協議機関が設置されようとしております。  その一方、三木総理は、わが国に対する重大な主権侵害である金大中事件を免罪し、九月には日韓定期閣僚会議強行して韓国のファッショ政権へのてこ入れ、国連総会では朝鮮の自主的、平和的統一を阻害、南北分断を固定化する一連の反動的方向を追求してきたのであります。こうして三木内閣は、日本をアメリカのアジア戦略の主柱とした新太平洋ドクトリンに追随して、日米韓軍事同盟を一層強化し、アジアの平和と民族自決に矛先を向ける第一線基地の役割りを受け持つという危険な道を歩んでいるのであります。三木内閣外交路線は歴代自民党政府の中でも最悪のものであり、平和と中立の道を求めている圧倒的多数の国民要求に真っ向から敵対したものと言わなければなりません。(拍手)  賛成の第三の理由は、三木内閣財界とアメリカ帝国主義の要求する政策を一層確実に保障するために、民主主義に対する挑戦をさらに本格化し、日本型ファシズムヘの道を開こうとしていることであります。  今国会自民党は、本会議強行開会を含めるならば、実に九回にもわたって強行採決を行いました。これは歴代の自民党内閣、あるいはごり押し田中内閣にも劣らない力と党略による議会運営であり、憲法に保障された議会制民主主義の大原則を根底から危機に陥れるものであります。(拍手首相は、口を開けば「議会生活三十八年」とか「議会の子」とか自称しております。しかし三木総理、あなたに議会制民主主義を口にする資格はありません。あなたには「議会の子」どころか「財界の子」の名がふさわしく、議会にとってはまさに不肖の子なのであります。(拍手)  事態は重大であります。スト権問題で三木内閣は、田中内閣の約束さえ踏みにじって、憲法で保障された官公労働者のスト権を真っ向から否認し、治安対策的姿勢をむき出しにしました。  小中高校の主任制度化の動きは、教育基本法を踏みにじった自民党の干渉に屈し、国民教育反動化を一層推し進めようとする許しがたい攻撃であります。(拍手)  そして公選法のファッショ的改悪、政治資金規正法の改悪に引き続いて小選挙区制のたくらみが進行していることは、三木内閣がまさに自民党反動政治を立て直し、独裁の強化を準備する内閣であるという事実を浮き彫りにしています。(拍手田中内閣当時と形こそ違え、小選挙区制は国会を全く形骸化し、自民党の永久政権に道を開こうとするものであって、それは日本型ファシズムといわれる危険な反憲法的体制への道であり、わが党は断固としてこの策謀を糾弾するものであります。(拍手)  三木内閣のこれ以上の継続は国民生活を一層脅かし、政治的、経済的、道徳的危機のさらなる進行をもたらすだけであります。世論調査にも見るように、国民の多数もすでに三木内閣を支持しておりません。国民の利益のために三木総理がなし得るただ一つのこととして、わが党は三木内閣の即時退陣を要求するものであります。(拍手
  13. 河野謙三

    議長河野謙三君) 上田君、上田君、上田君、上田君。
  14. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君(続) この討論を終わるに当たり強調したいことは、三木総理に対する問責自民党政治そのものに対する問責にほかならないということであります。
  15. 河野謙三

    議長河野謙三君) 上田君。
  16. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君(続) 国民危機の進行をここまで激化させた元凶は、歴代の自民党政府であり、自民党政治そのものであるからであります。
  17. 河野謙三

    議長河野謙三君) 上田君、上田君、聞こえませんか。
  18. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君(続) 私は、いまこそ真の国民本位の政治国民生活を守る……
  19. 河野謙三

    議長河野謙三君) 上田君、聞こえませんか。
  20. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君(続) 革新政治自民党政治に取ってかわらなければならないと確信するものであります。(拍手)  このことを最後に強調し、三木総理問責決議案に対する私の賛成討論を終わるものであります。(拍手
  21. 河野謙三

    議長河野謙三君) 上田君。
  22. 上田耕一郎

    ○上田耕一郎君(続) 延びましたか。
  23. 河野謙三

    議長河野謙三君) 延びましたじゃありませんよ、あんた。(拍手、「今度は時間守るぞ」「時間を守らない共産党」と呼ぶ者あり)     —————————————
  24. 河野謙三

    議長河野謙三君) 柄谷道一君。    〔柄谷道一君登壇拍手
  25. 柄谷道一

    ○柄谷道一君 私は、民社党を代表して、ただいま提案されました内閣総理大臣三木武夫君に対する問責決議案に対し、問責決議案という重要な性格にかんがみ、その理由を慎重に検討した結果、外交、防衛問題やスト権問題について他の野党と見解を異にするため共同提案者とはなりませんでしたが、行政全般にわたる失政問責に値するものであり、ここにその責任を追及して賛成討論を行うものであります。(拍手)  前田中内閣金権政治によって国民各層から強い批判を受け、政治不信を買いながら退陣した後、三木さん、あなたはクリーンを買われ、「対話協調政治」を売り物にして、昨年十二月九日三木内閣発足させました。新首班のもとに新しい内閣発足すると、その支持率も非常に高まるのが通例であります。特に三木さんの持つクリーンな印象が国民に受けられ、みずからも議会の子と言われるごとく、その長い議会生活から発揮されるかもしれない三木政治国民期待をかけたと思うのであります。それがどうでありましょうか。発足時に四十数%もあった支持率が、わずか一年にして現在二十数%台まで急速に低下したこと自体、これは歴代自民党内閣の中でも異例に近いのであります。それにも増して注目すべきは、政治への無関心、政治不信の層が実に二六%にも達している事実であります。なぜこのようになったのか。これはわが国議会政治立場から冷厳かつ深く検討されるべきであります。  私が本提案賛成する第一の理由は、政治基本姿勢にかかわる問題であります。議会制民主主義を何よりも大切にする、その擁護、発展、定着のためには生命すらかける、そのためみずからの言動に責任を持ち、責任の所在を明らかにし、身処出退を明確にして国民政治に対する信頼を深める、また議会運営に当たっては多数決の原則と少数意見尊重を調和させる、そうした理念と基本姿勢こそ「議会の子」「対話協調」という言葉の持つ意味だと信ずるのであります。  総理は、本臨時国会の所信表明の中で「今日の重大時局を乗り切るためには、過去にとらわれない創造的発想と実行が求められる」と訴えて、「国会も政党も民主主義議会主義を守り抜こう」と強調されました。まことにその言はよしであります。  しかし、現実の姿はどうでありましょうか。不況対策や補正予算案の準備も整わないまま臨時国会の召集を強行し、わが党初め野党の最小限の補正予算修正要求に対し、政府原案を固執して一歩も譲らず、酒、たばこ値上げ法案については世論や野党の主張を無視して強行採決を繰り返し、わが党議員が値上げ三法や財政特例法審議に当たりきわめて建設的かつ現実的提言を行っているにかかわらず、これに対して誠実かつ弾力的姿勢をとらず、経済見通し歳入予測を誤ったことに対する政治的責任をあいまいにし、クアラルンプール事件で、それが人命尊重のための緊急避難的措置であったとはいえ、法治国家政府が法を破った事実に対しては責任をとらないなど、歴代内閣と寸分違わぬ無責任さと硬直した運営を繰り返し、与野党の対立をみずから深める政治強行してきたのであります。それが「議会の子」でありましょうか。「対話協調政治」を一体どこから感じ取れというのですか。それがあなたの言う「創造的発想と実行」という中身なのですか。国民政治に対する期待を裏切り、かえって政治への不信を高めた、そのことに対し、三木さんは議会制民主主義を守り抜くためにも筋を通し、みずからの信念を貫いて総理の職を辞すべきであります。  第二は、さきの通常国会において、かねてからの公約であった独禁法改正について、財界及び与党の一部に強い反対があるにもかかわらず、あなたはあえて社会的不公正是正のため政府改正案を提出され、国会審議の道を開く勇断をされました。当時、三木総理のこの決断を歓迎したのは、単に野党、マスコミだけでなく、国民全体と言っても過言ではありません。それが衆議院において全会一致の採決がなされたのに、参議院では、与党みずからが反対の方針で臨んできたのをそのまま放置し、総裁、総理として積極的な指導力を発揮されず、むしろ反対の動きに同調するがごとき態度をとったのは、政党責任の上に成り立つ議会政治の本義に反するとともに、あなた自身の指導力の欠如を示すものではないでしょうか。このような例は、単に独禁法改正だけではありません。核防条約の未承認においてしかり、日中平和友好の未締結、そして税制その他における社会的不公正の是正が雲散霧消しつつあることなど多数に及ぶのであります。  このように指導力に欠けた総理大臣が、実行の裏づけのないアイデアを国民に語りかけるとすれば、三木総理自身はよいとしても、結実を見ることができない国民にとっては、漠然とした期待が大きいだけにかえって失望を高めるのであります。こうした意味で国民がより不幸とならないためにも、三木総理の退陣が望ましいと言わざるを得ません。  第三に問責すべき点は、経済政策の大きな失敗であります。  三木内閣発足当時は、確かに異常インフレが進み、その鎮静対策が急務であったことは否定しません。しかし、同時に深刻化しつつあった不況に対する配慮、対策に欠如していたことも事実であります。しかも「経済については副総理に、財政については大蔵大臣に一任する」という総理大臣態度は、一見謙虚にも見えるのでありますが、政府の方針、対策の決定にはどうしても時間がかかり、時宜を失する弊を生ずる結果となることは否めません。特にインフレ不況が併存するスタグフレーション下において、インフレマインド、不況マインドと言われるように、多分に経済心理が作用する微妙な経済実体があるとき、時宜にかなった政府の決断が大きな影響を与えるのでありますが、三木内閣のとった不況対策が常に遅く、常に小幅で適切さを欠いたものであったことからも明らかにこの弊を証明していると思うのであります。  三木さん、あなた自身も御承知のように、経済財政政策の適切な運営なくして、いかに福祉を高めるといっても、それは不可能であります。それを副総理や大蔵大臣に任せるというのであれば、三木政治の主体はいずこにありやと問わざるを得ません。政策総覧に欠ける総理大臣をいただく国民の不安感は、やがてより大きな不安感へと拡大するものであります。企業倒産、雇用の不安を招き、日本経済危機をもたらした三木総理は、いまこそ政治的責任を感じて退陣すべきであります。  第四は、公共企業体等のスト権ストの問題であります。  今次ストライキが公労法に違反する違法ストライキであり、また立法府の機能に属する問題を力で解決しようとする政治ストであり、さらには国民の被害を人質とした反国民的行為であったことは明らかであります。(拍手三木総理が、この無法な力に屈せず、法の遵守をすべての前提とする基本方針を明確にしたことは、当然のこととはいえ、評価するものであります。(拍手)  しかし、評価すべきはその一事のみであって、総理就任以来無策のままいたずらに日を過ごし、ストライキ突入後も解決を遷延して違法状態を長引かせ、全国の交通を麻痺させるなど、政治の無力を暴露して国民に甚大な被害をこうむらせた責めは決して免がれるものではありません。  最後に糾弾いたしたいのは、内政における失敗、不人気を挽回するため、外交で点数をかせごうとする政治姿勢であります。八月訪米においては、日米間の友好関係が基調として何らの変化がない状況であるにもかかわらず、「創造的な国際的対話の確立」あるいは「四つの誓い」といったように、誇大なアピールをもって、いかにも現実的に大きな成果があったごとき印象を与えようとしたこと。あるいはランブイエ会談に臨むに当たり、国論の成熟に努力すべきであったにもかかわらず、場当たりで、しかも官僚に肉づけさせた方針をにわかにつくって出かけ、それを多大の評価と成果を上げたごとくアピールするなどは、まさに外威をかりて内政に向かう好ましからざる政治姿勢そのものと言うべきであり、こうしたことから国民期待するものは生まれるものではありません。
  26. 河野謙三

    議長河野謙三君) 柄谷君、時間が大分経過しました。簡単に願います。
  27. 柄谷道一

    ○柄谷道一君(続) 三木さん、三木さんは、やはり野におけレンゲソウ、しょせん野に咲くべきあなたが総理というバラになったところにあなた自身の悲劇があり、大輪の花が開かずして、とげのみを残す結果になったのではありませんか。三木総理に速やかに野に下ることを強く求めて、決議案に対する賛成討論を終わるものであります。(拍手)     —————————————
  28. 河野謙三

    議長河野謙三君) 青島幸男君。    〔青島幸男君登壇拍手
  29. 青島幸男

    ○青島幸男君 私は、第二院クラブを代表いたしまして、ただいま議題となりました三木総理問責決議案に対し、賛成討論を行うものであります。(拍手)  賛成の第一の理由は、金権政治排除を唱えて総理の座についた三木総理であるにかかわらず、金権政治の芽を摘むどころか、再び金権政治の横行を許す風潮をつくってきているところにあります。  昨年夏の参議院選挙以来、国民の世論は、企業ぐるみの選挙、膨大な企業政治献金により行われる政治の実態に鋭い批判を浴びせてまいりました。総理自身も、そうした世論にこたえて田中内閣を去り、企業からの政治献金によって行われる政治のあり方は誤りであると厳しく田中内閣を批判されたことは、まだわれわれの記憶に新しいところであります。  ところが、就任以来三木総理はこの問題に対し、みずからの所信を貫く方向をとられたでありましょうか。総理就任前は、企業政治献金は悪であり、政治献金は個人の善意の拠出金によるものでなければならないという持論であったのに、総理就任後は著しく後退して、企業からの政治献金は悪ではないというふうに変わってまいりました。そして、それは言葉だけではなく、あらゆる企業に対する政治献金再開の要請という行為で実行に移されることになったのであります。総理は、献金を受けたからといって企業との間に何らやましい関係は存在しない、させないと、再三再四弁明しておられました。しかし国民世論は、そうした総理の弁明を少しも信じてはおりません。献金を受ける側と献金をする企業との間に明白な癒着関係があることをほのめかす事実が次々に明らかになってくるからであります。本年八月、銀行業界が政治献金再開を決めたすぐ後には、大衆の願望を踏みにじる預金金利引き下げが、国民大衆に聴聞の機会すら与えられずに、政府企業代表のみで決定されたのであります。(拍手)  また本年十二月、物価高騰に苦しむ国民の声をよそに私鉄運賃の値上げが決定されました。不思議なことには、その二、三日後、私鉄協会の自民党に対する献金が発表されているのであります。こうした事実を目の当たりにした国民は、政治がだれのために、何の力で動かされているかをはっきり知ったのであります。政治献金という名の賄賂にも等しい金が政治を動かし、(拍手)その政治は献金をする企業のために行われるということを国民は明白に知ったのであります。(拍手国民世論の望むところとは逆に、こうした財界からの献金を積極的に受け入れようとするいまの三木内閣姿勢は、議会制民主主義を破壊させることにほかならず、厳しく糾弾されねばならないと私は信ずるものであります。(拍手)  第二に挙げたい理由は、相次ぐ強行採決によって議会制民主主義を無視したことであります。「対話協調」の政治三木内閣公約ではなかったでしょうか。民主政治とは、まどろこしいけれども、あらゆる努力の中で合意を得る政治であることは明白な事実であります。ところが、この一年間、三木内閣は、公共料金値上げ財政特例法案などの審議に当たって、国民の強い反対と疑義を残したまま、数を頼んでの強行採決により合意の芽を摘んでしまったのであります。これは力の政治であり、総理公約された「対話協調」の政治とは全く逆の方向に向くものでありまして、民主政治の理念とは全く反するものであります。そして、このような力の政治議会制民主主義を踏みにじり、破壊するものと言わざるを得ず、この点でも総理は大きな責任をとらざるを得ないと私は考えるものであります。  第三の理由は、財界の圧力に屈して独禁法改正の再提出を断念したことであります。大企業の横暴を抑える独禁法改正は、こと数年来国民の強い要望であります。わが国は自由主義経済下にあるとはいえ、適切な経済秩序が保たれなくては民主政治は行われません。そのため独禁法経済憲法とも言われるべきものでありましょう。ところが、現在の独禁法経済憲法と言うには余りにも不備であり、その改正国民の間にひとしく要望されていたのであります。であるからこそ、先の国会では、参議院でこそ時間切れのため廃案となりましたが、衆議院では全会一致で通過したのであります。あらゆる人が賛成しながら、時間切れという物理的条件でのみ廃案となった独禁法改正案は、今国会で真っ先に上程されるのが理の当然といわれるはずであります。ところが、三木内閣は、財界から政治献金再開をほのめかされて強迫されたためか、ついに再提案を行うことをしなかったのであります。この事実は、国民の願いを踏みにじり、財界にのみ目を向けた三木内閣国民に対する背信行為と指摘せざるを得ません。この点においても三木総理国民に対して責任をとる必要があると私はかたく信ずるものであります。  第四には、スト権問題、主任制問題等に見られるように、憲法教育基本法に反した非民主主義労働行政教育行政を推進していることであります。  言うまでもなく、労働者のスト権は、その基本権として憲法国民に保障しているものであります。その基本的権利が占領下という特別な状態のもとで剥奪されることになったことは、皆様御承知のとおりでありまして、そのときは「これは国辱的なことである。日本が独立したときは直ちにもとへ戻されねばならぬ」と発言したのは、当時、総理が党首をしておられた国民協同党の代議士であったと私は聞いております。となれば、当然三木総理は労働者の基本的権利としてのスト権を認める立場に立っておられるはずであります。また、先日のスト権奪還ストでは、国民の大多数が労働基本権としてスト権は与えられるべきものであると考えられていたことは明らかであります。それにもかかわらず、あたりまえのことが決断できず、ストの解決をいたずらにおくらせ、国民に多大の迷惑を与えたのみならず、スト権労働基本権として認める声明すら発表できなかった、このことは憲法を踏みにじる態度であります。(拍手)  また、主任制度問題にいたしましても、教師相互に主任を決めるきわめて民主的な現行のあり方を否定し、中間管理職として主任を設定しようという態度は、横の連携が必要な教育の場に縦の関係をつくり上げようとするものであります。教師相互がお互いの立場を尊重し、主任を決め、もろもろの事に当たる現行のあり方は、これ自体、子供たちへの民主主義に対する実践的な教育となっているのであります。(拍手)それを破壊に導く主任管理職制は民主主義教育をも破壊するものとして指弾されねばならないと私は考えます。  以上述べましたように、三木内閣発足以来数数の公約を踏みにじり、国民生活経済的、文化的圧迫を加えてまいりました。そしてまた、議会制民主主義を口では擁護すると言いながら、実はそれを破壊する政治をいままで推し進めてきたわけであります。その罪はまことに重く、問責されるに十分であると私は考えるものであります。  三木総理、このゆえをもって三木総理問責決議案に私は賛成をいたしまして、討論を終わる次第であります。(拍手
  30. 河野謙三

    議長河野謙三君) これにて討論は終局いたしました。  これより内閣総理大臣三木武夫問責決議案の採決をいたします。  表決は記名投票をもって行います。本案賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  31. 河野謙三

    議長河野謙三君) 投票漏れはございませんか——。投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖〕
  32. 河野謙三

    議長河野謙三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  33. 河野謙三

    議長河野謙三君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数        二百四十四票   白色票           百十七票   青色票          百二十七票  よって、内閣総理大臣三木武夫問責決議案は否決されました。(拍手)      —————・—————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      百十七名       太田 淳夫君    矢原 秀男君       野末 陳平君    喜屋武眞榮君       下村  泰君    相沢 武彦君       塩出 啓典君    青島 幸男君       市川 房枝君    柄谷 道一君       内田 善利君    峯山 昭範君       桑名 義治君    三治 重信君       上林繁次郎君    阿部 憲一君       三木 忠雄君    藤原 房雄君       和田 春生君    栗林 卓司君       黒柳  明君    矢追 秀彦君       原田  立君    田代富士男君       藤井 恒男君    木島 則夫君       鈴木 一弘君    山田 徹一君       宮崎 正義君    柏原 ヤス君       中村 利次君    田渕 哲也君       二宮 文造君    白木義一郎君       小平 芳平君    多田 省吾君       中尾 辰義君    向井 長年君       福間 知之君    矢田部 理君       案納  勝君    久保  亘君       青木 薪次君    野田  哲君       対馬 孝且君    秦   豊君       浜本 万三君    赤桐  操君       大塚  喬君    小山 一平君       片岡 勝治君    田  英夫君       宮之原貞光君    鈴木美枝子君       神沢  浄君    前川  旦君       竹田 現照君    山崎  昇君       村田 秀三君    小野  明君       野口 忠夫君    栗原 俊夫君       茜ケ久保重光君    瀬谷 英行君       森  勝治君    戸叶  武君       田中寿美子君    竹田 四郎君       戸田 菊雄君    森中 守義君       志苫  裕君    森下 昭司君       近藤 忠孝君    山中 郁子君       粕谷 照美君    片山 甚市君       目黒今朝次郎君    橋本  敦君       安武 洋子君    内藤  功君       寺田 熊雄君    佐々木静子君       辻  一彦君    小巻 敏雄君       神谷信之助君    小谷  守君       工藤 良平君    上田  哲君       和田 静夫君    松本 英一君       小笠原貞子君    立木  洋君       沓脱タケ子君    鈴木  力君       中村 波男君    川村 清一君       杉山善太郎君    沢田 政治君       加藤  進君    塚田 大願君       安永 英雄君    吉田忠三郎君       鶴園 哲夫君    松永 忠二君       小柳  勇君    須藤 五郎君       岩間 正男君    星野  力君       阿具根 登君    野々山一三君       中村 英男君    秋山 長造君       加瀬  完君    河田 賢治君       野坂 參三君    上田耕一郎君       春日 正一君     —————————————  反対者(青色票)氏名     百二十七名       宮田  輝君    寺下 岩蔵君       平井 卓志君    吉田  実君       中西 一郎君    山本茂一郎君       山内 一郎君    久保田藤麿君       前田佳都男君    木内 四郎君       佐多 宗二君    最上  進君       望月 邦夫君    森下  泰君       梶木 又三君    藤川 一秋君       福岡日出麿君    鳩山威一郎君       秦野  章君    夏目 忠雄君       永野 嚴雄君    林  ゆう君       安孫子藤吉君    青井 政美君       有田 一寿君    井上 吉夫君       石破 二朗君    中村 登美君       松岡 克由君    藤井 丙午君       桧垣徳太郎君    原 文兵衛君       中村 禎二君    高橋 邦雄君       細川 護煕君    宮崎 正雄君       林田悠紀夫君    佐藤  隆君       菅野 儀作君    石本  茂君       中山 太郎君    小林 国司君       寺本 廣作君    柳田桃太郎君       内藤誉三郎君    玉置 和郎君       高橋雄之助君    楠  正俊君       岩動 道行君    西村 尚治君       鍋島 直紹君    新谷寅三郎君       上原 正吉君    郡  祐一君       青木 一男君    徳永 正利君       小川 半次君    八木 一郎君       丸茂 重貞君    塩見 俊二君       志村 愛子君    片山 正英君       河本嘉久蔵君    嶋崎  均君       棚辺 四郎君    中村 太郎君       戸塚 進也君    高橋 誉冨君       坂野 重信君    斎藤栄三郎君       山東 昭子君    糸山英太郎君       岩男 頴一君    岩上 妙子君       遠藤  要君    大島 友治君       大鷹 淑子君    斎藤 十朗君       古賀雷四郎君    黒住 忠行君       川野 辺静君    金井 元彦君       今泉 正二君    土屋 義彦君       山崎 竜男君    上田  稔君       初村滝一郎君    長田 裕二君       久次米健太郎君    鈴木 省吾君       世耕 政隆君    江藤  智君       藤田 正明君    大森 久司君       岡本  悟君    平泉  渉君       橘直  治君    町村 金五君       加藤 武徳君    安井  謙君       剱木 亨弘君    吉武 恵市君       増原 恵吉君    神田  博君       伊藤 五郎君    鹿島 俊雄君       大谷藤之助君    小笠 公韶君       亘  四郎君    橋本 繁蔵君       佐藤 信二君    亀井 久興君       岡田  広君    上條 勝久君       稲嶺 一郎君    矢野  登君       安田 隆明君    山崎 五郎君       高田 浩運君    増田  盛君       二木 謙吾君    源田  実君       熊谷太三郎君    植木 光教君       木村 睦男君    温水 三郎君       福井  勇君      —————・—————
  34. 河野謙三

    議長河野謙三君) これにて午後七時三十分まで休憩いたします。    午後六時二十六分休憩      —————・—————    午後八時十八分開議
  35. 前田佳都男

    ○副議長(前田佳都男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  日程第一 昭和二十四年五月以前の簡易生命保険契約に関する特別措置法案  日程第二 郵便貯金法の一部を改正する法律案  日程第三 簡易生命保険法の一部を改正する法律案   (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上三案を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長竹田現照君。    〔竹田現照君登壇拍手
  36. 竹田現照

    ○竹田現照君 ただいま議題となりました三法案について、逓信委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  まず、昭和二十四年五月以前の簡易生命保険契約に関する特別措置法案は、事業運営の効率化と加入者の利便を図るため、昭和二十四年五月以前に効力が発生した保険契約について、一定の期間内に保険契約者からの申し出により保険契約を消滅させ、保険金の支払いにかえて一時金を支給する特別措置を講じようとするものであります。  次に、簡易生命保険法の一部を改正する法律案は、保険金の最高制限額を、現行の五百万円から、定期保険及び特別養老保険に限り、八百万円に引き上げることなどを内容とするものであります。  次に、郵便貯金法の一部を改正する法律案は、郵便貯金の預金者貸付の限度額を、現行の二十万円から三十万円に引き上げようとするものであります。  本委員会におきましては、以上三法案を一括して審査に入り、国民福祉増進を目的とする郵便貯金の金利のあり方、少額簡易生命保険契約整理にあたっての加入者保護の不十分さ、簡易生命保険におけるインフレ対応策、郵便貯金及び簡易生命保険の募集の適正化などについて熱心な質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終局し、討論に入りましたところ、別に発言もなく、三法案につきそれぞれ採決の結果、いずれも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、簡易生命保険法改正案に対しましては、四項目にわたる附帯決議が付されました。  以上御報告いたします。(拍手
  37. 前田佳都男

    ○副議長(前田佳都男君) これより採決をいたします。  まず、郵便貯金法の一部を改正する法律案及び簡易生命保険法の一部を改正する法律案を一括して採決いたします。  両案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  38. 前田佳都男

    ○副議長(前田佳都男君) 総員起立と認めます。よって、両案は全会一致をもって可決されました。      —————・—————
  39. 前田佳都男

    ○副議長(前田佳都男君) 次に、昭和二十四年五月以前の簡易生命保険契約に関する特別措置法案の採決をいたします。  本案賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  40. 前田佳都男

    ○副議長(前田佳都男君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)      —————・—————
  41. 前田佳都男

    ○副議長(前田佳都男君) 日程第四 昭和五十年度公債発行特例に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長桧垣徳太郎君。    〔桧垣徳太郎君登壇拍手
  42. 桧垣徳太郎

    ○桧垣徳太郎君 ただいま議題となりました昭和五十年度公債発行特例に関する法律案について、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、景気の停滞等により、昭和五十年度の補正予算において見込まれる租税収入及び専売納付金の減少を補うため、財政法第四条第一項ただし書きの規定によるいわゆる建設公債のほか、予算をもって、国会の議決を経た金額の範囲内で、特例公債発行できることとする等の措置を講じようとするものであります。  委員会におきましては、償還財源計画の具体化、国債発行の歯どめのあり方、昭和五十一年度以降の財政再建の展望、国債増発に伴うクラウディング・アウトの対応策、日銀の買いオペレーションとインフレとの関係等について質疑が行われたほか、参考人の意見を聴取いたしましたが、詳細は会議録に譲ります。  質疑終局について、委員長これを諮りましたところ、日本社会党公明党日本共産党より、それぞれ異議申し立ての発言がありましたので、これについて採決の結果、多数をもって質疑は終局したものと決しました。  次いで討論に入りましたところ、日本社会党を代表して辻一彦委員より、公明党を代表して鈴木一弘委員より、日本共産党を代表して近藤忠孝委員より、民社党を代表して栗林卓司委員より、それぞれ反対、自由民主党を代表して藤川一秋委員より賛成する旨の意見が述べられました。  討論を終わり、本案について採決の結果、可否同数となりましたので、委員長これを決し、本案は原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  43. 前田佳都男

    ○副議長(前田佳都男君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。辻一彦君。    〔辻一彦君登壇拍手
  44. 辻一彦

    ○辻一彦君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております昭和五十年度公債発行特例に関する法律案に対し、反対討論を行うものであります。  政府は、歴代内閣経済政策失敗がもたらしたスタグフレーションの深刻化によって、中小企業倒産の激増、百万人を超す完全失業者の発生、そして労働者の実質賃金の引き下げを余儀なくさせるなど、いまや、まさに日本経済危機的状況に追い込み、国民生活窮乏化させようといたしております。経済政策失敗は、当然のことながら、財政面において破局的な様相となってあらわれ、本年度において、一般会計では四兆円を超える歳入欠陥を露呈する結果となったのであります。本案は、その四兆円の赤字のうち二兆二千九百億円という巨額を、財政運営基本法である財政法が厳に禁止している赤字国債をもって穴埋めするため、あえて財政法の特例によってこれを発行しようとするものであります。  反対理由を述べる前に、本法案のごとく、国民の将来にわたり大きな負担をかける重要法案にもかかわらず、審議の期間がきわめて短かったことははなはだ遺憾であります。国会法に規定する公聴会も時間的に開くことができず、参考人の意見聴取のみに終わり、また、関係委員会との連合審査も開くに至らなかったこと、さらに、わが党委員の半数の質問者を残し質疑を打ち切ったことは、議員の審議権をも否定するものであり、議会制民主主義の上からも断じて容認できないところであります。  まず第一に、政府日本経済見通し不況対策を誤っておると思います。狂乱物価は過剰流動性によるものであり、大商社、大企業の買い占め売り惜しみによる供給不足が原因であったにもかかわらず、政府はこれを需要超過によるものとみなして極端な需要抑制策強行し、その解除の時期をすら、本年の春闘におけるベースアップ抑制のために意図的に遅延をさせ、これが不況長期化、深刻化の根本原因を形成したことは、今日だれでも認めるところであります。そして現在、賃金所得の伸び悩みによる消費支出の長期の停滞が不況をますます長引かせ、企業活動の不振を招いて、大幅の税収不足をもたらしておるのであります。すなわち、日本経済見通し誤り政策不況により膨大な税収不足、歳入欠陥をもたらしたにもかかわらず、政府はその責任を何ら反省することなく、安易に赤字国債に依存している点こそ、反対の第一の理由であります。  また、理由の第二は、特例法さえ制定すれば、現行法が禁止をしているいかなる事項であっても安易にこれを行うことができるとする政府態度についてであります。  前国会において政府は、国債の償還財源とするための決算上の剰余金繰り入れの比率を二分の一以上とする財政法の規定を、五十年度の一般財源が不足するため、五分の一に縮小する財政法の特例法案提出しております。そして一年を経ずして、今度は全額を減債基金に繰り入れることを表明しております。さらにまた、今回は赤字国債発行のための特例法案提出したのでありますが、このように健全財政を維持するための財政法の精神をないがしろにし、特例法案を場当たり的に乱発する政府態度は、健全財政運営の意図を放棄するものと断ぜざるを得ないのであります。  反対理由の第三は、赤字国債が将来にわたって負担を負わしめ、今後の財政運営に重大な影響をもたらすものであるにもかかわらずず、発行に当たって、その将来計画が何ら提示をされていないことであります。赤字国債発行は、今年度の国債発行額五兆四千八百億を加えると、五十年度末の国債残高は十五兆円を超え、国民一人当たりの借金は十四万円にもなるのであります。五十年のみならず、ここ二、三年に、特に五十一年度は七兆円を超える国債発行のうち、赤字国債は四兆円に近い額が発行されると予測をされております。このように考えるならば、十年後にとにかく現金で全部返すというだけの償還計画を認めるわけにはいかないのは当然であります。したがって、われわれは、赤字国債発行のための特例法を提案するならば、同時に中期的な財政政策国民の前に明らかにすべきだということを強く主張しておるのであります。しかしながら、政府はわれわれの要求に対して、言を左右にしてこれに応じないばかりか、赤字国債償還のための財源計画すら示そうとしないのであります。当然のことでありますが、国債は将来の国民の税によって償還され、利子は償還されるまでの期間、引き続いて国民の税によって支払われるものであります。その財源計画を提示し、さらに将来の全体的な財政計画を明示して国民の承認を得ることは政府の最低限の責務であり、これさえ果たしていない政府姿勢は、断じて私は許すことができないと思うのであります。  反対理由の第四は、野方図な国債発行は、中小企業への融資や住宅ローンを締め出す一方、日銀の買いオペレーションを余儀なくして、適正な成長通貨の供給水準を超えたマネーサプライをもたらし、再び過剰流動性、インフレを招く危険をはらんでいると思うわけであります。政府は、財政が節度をもって運営され、金融政策運営よろしきを得れば公債インフレは生じないと強弁しております。しかし、巨額の赤字公債発行し、歳入の四分の一以上を公債に依存するという、国際的にもその類例を見ない財政状態にありながら、なお今後の政府に節度ある財政運営期待できるでありましょうか。現在の物価は、あの狂乱物価の状況をともかく脱し得たとはいえ、なお、定期預金の金利を大幅に上回わる上昇が続いております。特に、今後は公共料金の軒並みの引き上げに遭い、物価上昇の気運は高まりつつあります。  政府が、本案による赤字公債発行をきっかけとして安易な公債依存政策を続けていく限り、狂乱物価の再現と財政の終局的な破壊、そして国民大衆の負担の激増をもたらすであろうことを強く私は警告をするものであります。  反対理由の第五は、歳入欠陥補てんの方法として、赤字国債発行によらずとも、ほかに正当な、かつ適切な手段が存在するということであります。  わが社会党は、従来より、租税特別措置による大企業、高所得層、高資産階層への特権的減免税を根本的に廃止をし、大企業が保有する莫大な土地の再評価を行うことによって税収を確保するという、社会的不公正是正の見地から財源対策を主張してまいりました。しかしながら、これまで明らかにされた来年度以降の租税政策の方向は、われわれが考えていた福祉志向のものとは正反対に、酒、たばこの増税に続く間接税一般の増徴や公共料金の引き上げ等、大衆負担の増加を意図した旧態依然たる産業優先、国民不在の方向であります。特権的減免税を廃止する等、税制の根本的改革はもとより、既得権化しております冬眠機関への補助金の抜本的整理を行わずして巨額の赤字国債を累積をしていくことは、財政を極度に硬直化させるだけではなく、国民大衆の税負担をますます増大せしめることにほかならず、国民がこれを認めることができないのは当然であります。  私は、この機会にわが社会党の具体的な税制改正案を提示をし、政府態度を厳しく追及したいと思います。  改正の第一は、課税所得一千万円以上の高額所得者に対し、一〇%の付加税を課することであります。課税対象者は約三十万人に上り、その増税額は千五百億円が確保できるのであります。  第二には、利子・配当所得課税の特別措置を廃止することであり、中でも配当所得者は、夫婦子供二人の家族であれば、五十年度は四百五万円まで所得税はかからないのでありまして、この不公正をなくするならば、五百億円の増収を図ることができます。  第三には、法人税制を改革をし、法人利潤税的な観点から、法人税率に超過累進税率を採用すべきであります。中小零細法人には二八%の軽減税率を設け、所得額に応じて三七%、四二%、所得十億円以上には四七%の税率を適用すべきであります。あの落ち込んだ昭和五十年度補正後予算の法人税収を土台に計算しても、約七千億円は確保することができます。  第四には、法人税制の改革に伴って、法人配当軽課措置を廃止すべきであります。昭和四十八年度の軽課税率適用所得は一兆五千億円を超えており、千七百億円は増収が可能であります。  第五には、法人間の受取配当益金不算入制度を廃止することであります。現行制度でも受取配当の一部は益金に算入され、課税の対象になっていますが、これを全額益金にすべきであります。一歩譲って控除負債利子分を損金に認めても、四十八年度の益金算入増加額は二千九百億に及ぶもので、これを課税すれば千二百億円の増収を得ることができます。  第六には、法人関係の租税特別措置を全廃することであります。公害防止準備金、価格変動準備金は企業の内部留保のために使われておりますが、本来の政策目的とかけ離れてしまっていることは衆目の今日認めるところであります。法人関係の租税特別措置は中小零細企業も恩恵をこうむっていると言いますが、この際、企業課税のあり方を再検討するためにも、特別減免税は原則的廃止を実行すべきであります。これによって正十年度水準では三千億円の増収を見込めるはずであります。  第七には、交際費課税の強化であり、もともと特別措置で課税するものではありませんが、五十年度では三千二百五十億円の増収が見込まれております。しかし、四十八年度の法人交際費支出一兆六千五百億円のうち、課税の対象となっているのは三一・三%にすぎないのであって、これを五〇%まで課税対象にすれば千三百億程度の税収は可能であります。  第八には、貸し倒れ引当金の引当率を引き下げることであります。金融保険会社の引当率を千分の五に下げ、その他の業種の引当率を現行率から一律二〇%圧縮すれば、四十八年度水準で三千三百億円の増収が可能になります。  第九には、低成長経済に対応して、減価償却資産の耐用年数を一五%延長することであります。四十八年度企業の減価償却費は七兆四千七百二十三億円であります。償却期間を一五%延ばせば九千七百五十億円の利益増加となり、法人税収は四千億円増を見込むことができます。  第十は、最後でありますが、有価証券取引税を二倍程度に引き上げ、四十八年度に一兆円を超えた広告宣伝費に対して一千億円を課税していくならば、これまた税収はふえていくことは確実であります。  以上の税制改正を実施すれば、二兆五千億円を超える税収増加を見込むことは十分に可能であります。加えて、いまこそ、インフレ経済で巨額の含み益を有している土地の含み益課税を実施すべきであります。土地価格の時価の七割程度まで再評価をするならばその含み益は約百兆円に上るでありましよう。これに対して一五%の税率を掛けるならば十五兆円の税額となり、五年間均等で分納しても年間三兆円となり、国が八〇%、地方が二〇%の配分を行えば、国は二兆四千億円の税収が得られるのであります。これらの税制改正を実施するならば、所得税減税のための財源を確保することもできます。少なくも特例法による赤字国債発行の必要はなくなるはずであります。  政府の来年度税制改正の方針は、わが党が指摘したこのような方向は一切考慮されていないのであり、まさに三木内閣、大平財政は不公平拡大、格差増大の国民収奪の税・財政運営と言わねばなりません。  以上、私は本赤字国債特例法案に対して、具体的対策を示しながら反対理由を述べてまいりましたが、今後わが社会党は、政府経済政策財政政策、租税政策に対し厳しい批判を展開し、あわせてわが党政策実現を目指して闘う決意をいま一度ここに明らかにして、私の反対討論を終わりたいと思います。(拍手)     —————————————
  45. 前田佳都男

    ○副議長(前田佳都男君) 藤川一秋君。    〔藤川一秋君登壇拍手
  46. 藤川一秋

    ○藤川一秋君 私は、ただいま上程されております昭和五十年度公債発行特例に関する法律案に、自由民主党を代表いたしまして賛成の意思を表明するものであります。(拍手)  一昨年来の世界経済混乱は、わが国を含む世界各国努力によりましてようやく収束に向かいつつありますが、一方、経済活動の停滞、それを反映した財政運営が各国共通の困難な問題として生じてまいっております。  わが国財政も、昭和五十年度において三兆数千億に及ぶ多額の税収欠陥の発生が見込まれる状況にあるわけであります。このことは、申すまでもなく財政運営上の重大問題であります。  財政体質の健全化を図るためには、かかる事態に対しては歳出を削減するか、あるいは増税をもって対処する以外にはないのであります。しかし、現在のわが国経済は残念ながら、これらの対策を直ちにとれる状況にないわけであります。このような経済の実情に対応するために財政金融各般にわたりまして逐次適切な対策を講じておられる政府に対しまして、私はその並み並みならぬ努力を多とするものであります。そして現在の状況の中で、可能な限りの歳入歳出の見直しを行いつつ、税収の不足を補い、今日のわが国経済、社会に必要な財政の水準を維持する目的で政府提案されました昭和五十年度公債発行特例に関する法律案につきましては、やむを得ざる調整措置として賛成の意を表明するものであります。(拍手)この特例公債法案成立によりまして、予算執行の裏づけとなる財源が確保されることになり、過日成立いたしました景気対策を柱とする補正予算はもちろんのこと、昭和五十年度予算全体の円滑な執行が可能となるわけであります。  これに対し、一部に、この公債発行が直ちにインフレを招くという議論がありますが、今日のデフレギャップの大きさを考えると、私はそのような心配は当たらないと考える次第であります。  また、自由民主党政府の高度経済成長政策が間違いであったかのごとき論議もありますが、戦中、戦後の物資欠乏の時代がいかに悲惨であったかを考えますと、経済の豊かさを求めたのは国民の総意であり、何も一党に偏した政策であったわけではありません。また、その成果は国民各階層がひとしく享受し得たわけでありまして、たとえばテレビの普及率は九一・四%、洗たく機のそれは九七・八%に達し、電話についても四人に一人の割合で普及しているわけであります。新幹線、高速自動車道の発達も含め、国民生活に与えた便益ははかり知れないものがあります。わが国経済大国として先進国の仲間入りができましたのも、この高度成長に基づく経済力に負うところが大であったと言っても過言ではないでありましょう。(拍手)  ここ一両年、政府経済の指針を総需要抑制安定成長路線に切りかえざるを得なくなりましたが、これは石油問題を含めた主として国際的要因によるものでありまして、政府自民党のとってきた経済路線に誤りがあったわけではないと確信いたします。むしろこの機会をとらえ、安定路線によって国民経済の体質改善に努め、基盤を強化できるならば、災いを転じて福となすことができると思うのであります。また、私は、日本国民の英知と勤勉さは必ずこの目的を達成し、危機を乗り越えることができると信ずるものであります。  すでに政府はこのための諸施策を次々と打ち出しておられますが、ただいま提案されておりますこの法案も、こうした経済政策の一環であると理解いたしております。ところで、この法律に基づいて発行される特例公債は、財政法第四条に基づいて発行される公債とは異なり、税収の不足を補うために発行される臨時特例公債であります。この点を考えて政府は、その償還については、その全額を満期までに現金償還し、これを借りかえない旨明らかにしておられます。私は、このことは、財政状況の苦しいもとにあってこれを立て直さんとする政府財政節度を表明するものとして評価するとともに、その実現のための着実な努力の必要を痛感するものであります。しかし、現在の財政状況を考えるときに何もかも財政に、つまり国に依存しようとするような風潮は厳しく見直さなければなりません。今日の財政水準を保つためには、国民全体がそれ相応の負担をしなければならないことを十分に認識する必要があります。財政支出の増加による受益のみを求め、負担はこれを避けて、いたずらに次代の人に転嫁することは厳に戒めなければならないことを強く感ずる次第であります。  明年度財政運営に当たっては、まず本年度の税収の落ち込みを取り戻すためにも、経済回復を図る財政運営に心がけることを第一の眼目に置くべきであります。そして大蔵大臣も言われているように、そのような枠組みの中においても、できる限り財政全般にわたる洗い直しを行い、五十二年度においては本格的な財政再建の目途を立てることがぜひとも必要と考えるところであります。  以上、私は現在の財政経済の状況、そしてこれからの展望を踏まえつつ、今回の昭和五十年度公債発行特例に関する法律案につきましては、今日の事態に対処する適切な措置として賛成の意を表明するものであります。(拍手)     —————————————
  47. 前田佳都男

    ○副議長(前田佳都男君) 矢追秀彦君。   〔矢追秀彦君登壇拍手
  48. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっております昭和五十年度公債発行特例に関する法律案に対して、反対討論を行います。(拍手)  まず、本法律案反対理由を述べます前に、今国会における三木内閣国民無視の政治姿勢について一言申し上げます。すなわち、政府自民党は、衆議院大蔵委員会における本法律案を初め、今国会において都合八回もの強行採決を行い、本案審議に当たっても、わが党委員の質疑を残したまま質疑を打ち切り、史上かつてない非民主的な国会運営を行ったのであります。昨年十二月、「対話協調」をうたい文句に登場した三木内閣は、その本質を国民の前に暴露するのに一年も要しなかったのであります。国民政治不信を助長し、議会制民主主義を破壊し、そして経済運営誤り国民不況に苦しませた三木内閣責任は重大であり、断じて許すことはできません。  現在、わが国財政政府自民党経済政策失敗により重大な危機に来ていることは周知の事実であります。巨額の歳入欠陥に象徴される不況は、百万人にも上る人々から職を奪い、企業倒産は戦後最大の規模となっており、国民生活に莫大な被害を及ぼしております。このようなときにこそ、総理の言う「対話協調」を第一に、不況にあえぐ国民の声を国政に反映するのが政治家の責務であります。ところが三木内閣は、国会運営同様、経済運営においても国民の声を無視し、失政責任国民に押しつけようとしているのであります。それは五十一年度予算の編成方針に如実にあらわれているのであります。  この不況期には、住宅、生活環境、福祉施設等、生活福祉関係予算に重点を置く不況対策を進め、さらに所得税減税を実施して個人消費支出の向上を目指すべきであります。ところが政府は、福祉は高負担、所得減税は実施せず、租税特別措置はほぼ従前どおり、そして会社臨時特別税の廃止を初め、近い将来インフレを促進する付加価値税の導入をもくろむなど、国民生活擁護と全く逆の施策を行おうとしているのであります。  また、来年度は七兆円を超える国債発行が予定されており、多額の国債の増発は国民へのツケであり、結局将来国民が負担するのであります。政府歳入不足を安易に国債や福祉等の縮小に求めるのではなく、まず租税特別措置や各種引当金等、大企業への陰の補助金なるものを改廃すべきであります。これが政府失政に対する国民への最小限度の誠意であると思いますが、勇断をもって実行することを期待します。  以下、赤字国債発行特例法案に対する反対理由を述べます。  反対理由の第一は、国家財政憲法とも言うべき財政法の精神を大きくゆがめているということであります。財政法第四条は原則として国債発行を禁止しており、ただし書きとして建設国債の発行を認めているのみで、わが国財政法のたてまえではあくまで健全財政主義であり、赤字国債発行は認めていないのであります。しかも、この建設国債にしても、昭和四十一年度から毎年大量に発行され、現在では償還分を差し引いた残り累計額は十兆八千億円に達しており、先進資本主義諸国の中でも予算に占める国債依存率はずば抜けて多いのであります。昭和四十九年度の国債依存率は米国一・三%、西ドイツ七・七%に比し、わが国は一一・三%となっております。五十年度当初予算では建設国債発行額を対前年度比千六百億円に減額し、依存率を一けたにしたことを節度ある国債政策と自画自賛したのは、ほかならぬ大平大蔵大臣でありました。その大臣のもとで、財政経済政策失敗によって赤字国債発行を含む五兆四千八百億円もの国債を発行し、依存率二六。三%というまさに国債にのまれた財政破綻を来したのであります。こうした国債依存率の増大につながる国債の増発は、当然インフレ財政硬直化深刻化させ、国民生活圧迫するものとなり、断じて許すことはできません。  反対理由の第二は、財政法の年度独立の原則を破るものであるということです。特例法第二条に規定した五十年度予算執行が終了した出納整理期間中にも特例国債が発行でき、これが五十年度歳入として取り扱われることになっておりますが、これは歳入だけは十四ヵ月の予算を組むという単年度主義の原則を破るものであります。特例法といえども財政運営憲法である財政法に違反してよいということにはなりません。これは財政法十一条の年度区分の原則と十二条の年度独立の原則を否定するものであることは明らかであり、この点に関して再三委員会で取り上げられておりますが、納得のゆく答弁がついに得られなかったのであります。赤字国債発行のために財政憲法の大原則を否定することは将来の財政紊乱の原因ともなり、断じて許すことはできないのであります。  反対理由の第三は、償還計画のずさんさであります。わが党は当初より、償還計画こそが国債発行の歯どめであり、これを国民の前に明らかにせよと強く主張してきました。しかるに、本特例法並びに五十年度補正予算の償還計画表がずさんきわまりないものであることは大蔵大臣が一番よく知っておると思います。政府国会提出した赤字国債の償還計画及び財源は借りかえなしの十年で、国債整理基金特別会計、剰余金、予算繰り入れなどで行おうとしております。しかし、この計画はあいまいであり、著しく具体性を欠くものであります。すなわち、国債整理基金特別会計の繰入額が発行額の百分の一・六であることから、その実質繰入額は十年間で三千六百六十四億円にしかならず、剰余金も今後の経済動向からしてほとんど期待できないことは大蔵大臣委員会で明快に答弁しております。この償還計画について委員会で追及しましたが、いまもって全く不明瞭のままであります。十一月七日の本院予算委員会において、百分の一・六というのは妥当かという私の質問に対し大蔵大臣は、あれは建設公債に関連して出てきた数字と思う。六十年間の消却期間をたてまえとした率と思う。特例公債に当てはまる率としては妥当とは考えないという趣旨の答弁をしているのであります。にもかかわらず、いまだ繰入率を変更したという答弁はなかったのであります。また、国が借金する段階では建設国債、特例国債を分け、特例国債は臨時非常の処置であるという政府の主張は、償還段階では完全に消えているのであります。政府立場を貫くためには、当然発行から償還までの国債管理は両国債を厳格に区別すべきであります。そしてその実情を毎年度予算、決算で国会国民に報告するのが政府の責務であります。このように償還計画が将来の展望を欠き、あいまいのまま赤字国債発行することは、とめどもない財政硬直化財政破綻への道を開くことになり、ひいては国民に新たな負担と犠牲を強制することになり、断じて許すことはできないのであります。  反対理由の第四は、国債発行のもたらすインフレについてであります。政府は、今回の補正予算赤字国債を含め三兆四千八百億円に及ぶ国債のうち、三兆六百億円を市中消化することを打ち出しております。財政法で市中消化の原則を掲げている手前、当然のことでありますが、実際は空洞化され、市中消化と言っても名ばかりで、発行後一年以上たったものは結局日銀の買いオペの対象となり、通貨供給量の増大につながるのであります。これは、ただでさえ一連の公共料金値上げに加えて、インフレに一層拍車をかけることは必至であり、国民生活に重大なる影響を与えるのであります。また、安易な市中消化は、民間金融の中でも中小零細企業やマイホーム建設資金を圧迫することは明らかであります。大蔵大臣の諮問機関である財政制度審議会でさえも、「昭和五十一年度予算編成方針に関する建議」の中で「安易な公債発行財政の硬直化や民間資金需要圧迫を招くおそれがある」と指摘しているのであります。このように国民生活に二重三重の被害をもたらす不健全な市中消化を促進する赤字国債発行は容認できません。  最後に、政府は来年度以降も赤字国債発行は避けられないと明言しております。試算によれば、五年後の昭和五十五年には歳出規模と歳入規模の差は二十兆円を超えるという数字も出されております。さきにも述べたとおり、わが国財政法のたてまえはあくまで健全財政主義であり、国民に負担を強いる赤字国債にのみ込まれた財政を指向しているのではありません。わが党は、かねてより再三再四国民生活を優先する財政運営の実施など経済政策転換要求してきたのであります。今日のわが国経済不況長期化、深刻化によってきわめて憂慮しなければならない事態に直面しているのであります。政府の四次にわたる景気対策にもかかわらず、鉱工業生産指数は相変わらず前年同月比でマイナスを続け、中小企業倒産失業者はともに激増し、国民の不安はつのるばかりであります。また、消費者物価も依然として一〇%近い上昇を続け、国民生活圧迫しております。これは歴代自民党内閣の産業優先、国民生活犠牲の高度経済成長政策の破綻と、その上に、三木内閣国民生活切り捨ての総需要抑制政策失敗財界の意向をうのみにした大型プロジェクトなどの大企業に偏った景気対策誤りが原因であることは明らかであります。しかし、政府はみずからの失政責任にはほおかむりをして、安易な赤字国債発行公共料金値上げ福祉の切り捨てという国民生活の犠牲のもとに財政危機を乗り切ろうとしているのであり、このような安易な姿勢は断じて許すことはできないのであります。政府は一日も早く健全な財政に戻す方途と努力を早急に国民の前に明らかにする責務があります。  わが党の主張する五十一年度予算編成方針並びに税制改正案を政府が勇断をもって取り上げ、国民本位の財政運営転換し、よって国民生活を守るべきであることを強く主張して、私の反対討論を終わります。(拍手)     —————————————
  49. 前田佳都男

    ○副議長(前田佳都男君) 神谷信之助君。    〔神谷信之助君登壇拍手
  50. 神谷信之助

    ○神谷信之助君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十年度公債発行特例に関する法律案について、反対立場を表明し、討論を行うものであります。(拍手)  わが党は、本法案重要性にかんがみ、一貫してその徹底審議と公聴会開催を主張してまいりました。しかるに自民党は、衆議院はもちろん、参議院でも国会法を無視し、    〔副議長退席、議長着席〕 また、わが党の参議院規則第六十一条に基づく文書申し入れをもついに無視したのであります。事はきわめて重大であります。国会法第五十一条第二項は、総予算及び重要な歳入法案については、公聴会を開かなければならないと明確に規定し、国会が主権者たる国民の意見を直接聞くことを義務づけているのであります。本法案が二兆三千億円にも及ぶ重要な歳入法案であることは明白であります。この場合の公聴会の開催は任意規定ではなく、義務規定であります。国会法で義務づけられた公聴会を参考人招致で代行したり、時間がないからというような理由で踏みにじることはできないのであります。  先般のスト権問題のとき、憲法違反の悪法でさえ、悪法も法なりと言い、日ごろ声を大にして法律を守れと言う自民党が、これほど明白に国会法の規定をじゅうりんしてはばからない事実は、まことに重大であります。(拍手)これを許すことは、法を制定し、法を守るべき国会がみずからその責務を放棄することであります。もし会期中にどうしても法律どおりの公聴会がやれないのであれば、当然審議未了の扱いとすべきであって、このような違法な措置には断固反対するのであります。(拍手)  次に、本法案の内容について反対理由を明らかにするものであります。  第一は、この赤字公債発行財政法第四条を踏みにじるものであり、また、この条項が政府に義務づけている健全財政主義の歯どめをなくして、とめどない財政危機に道をあけるものだということであります。財政法第四条は、「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。」として、公債発行を原則として認めず、発行する場合も建設公債に特定しております。財政法で認められていない赤字公債発行によってこの健全財政主義のとめ金を外すことがとめどない財政膨張と財政破綻に道を開くことは、戦後最初の赤字公債発行が行われた昭和四十年以来、すでに十五兆円に上る建設公債発行と大企業奉仕の放漫財政とが今日の惨たんたる財政危機を引き起こしたことを見れば明らかであります。しかも、当時の大蔵大臣であった福田副総理は、わが党渡辺議員の質問に対して、公債発行の必要はなくても、うるさい議論があれば困るから発行した、こう答えた。財政節度を完全に無視していることを隠そうともしないありさまであります。予算委員会でも、このまま進めば、昭和五十五年度には公債発行高十四兆二千億、公債依存度実に三三・七%、公債残高七十兆二百億に達することが明らかになり、さらに、来年度七兆円を超える発行見込み額自体、すでにこの予測を上回る可能性を示しているのであります。これは赤字公債の恒常的な発行の道であり、とめどない財政破綻の道であります。  第二の理由は、公債の大量発行インフレを一層激しくし、国民生活を大破綻に追い込むからであります。政府は市中消化を徹底させれば大丈夫などと述べています。これもまた国民をごまかすものと言わねばなりません。市中消化なるものは、発行一年後の公債が日銀の買いオペの対象となり、通貨乱発の要因となること、また、市中消化のために大蔵省証券が乱発され、さらに日銀による大規模な信用膨張政策がとられていることなど、インフレ要因であるごとはだれも否定することはできません。これは日銀引き受けによる公債発行を禁止した財政法第五条の精神を事実上踏みにじるものであります。  また政府は、経済のバランスがとれているからインフレにはならないなどと述べています。まさしく珍論奇論と言わねばなりません。今年度財政公債依存率の異常な規模、国債残高の増加、これによる財政インフレを主な原因とする通貨供給の急増が今日の不況下のインフレという異常事態を生むに至っていることは、今日の事態が証明しているところであります。  第三の理由は、大量の公債発行国民にとって耐えがたい重税と公共料金の引き上げという国民大収奪の道であるからであります。参議院大蔵委員会で岩波一寛参考人は質問に答えて、「公債残高が七十兆円に達するとすれば、よほどのインフレになるか、歴史的な増税にならざるを得ない」と述べています。すでに政府は、財政危機を口実にして、先般の酒、たばこ郵便料金値上げのみならず、電報、電話料金、国鉄運賃など一連の公共料金の大幅引き上げや、五十二年度から悪名高い付加価値税実施の計画を進めるとともに、高福祉高負担と称して老人医療費の有料化、各種年金の掛金アップなどを計画していますが、これこそ国民に対する大収奪への新たな第一歩を踏み出したものと言わざるを得ません。断じて容認することはできないのであります。  第四の理由は、この赤字公債財政法四条三項が規定している償還計画さえ立てていないからであります。償還計画について政府は、毎年一・六%の定率繰り入れと剰余金及び財政繰り入れをするとしか答弁しておりません。しかし、今日の経済情勢と赤字公債発行という状況のもとで、剰余金及び財政繰り入れの見通しの立たないことはだれの目にも明らかであります。そもそも一・六%の定率繰り入れは、建設公債の場合の公共資産の償却期間六十年に見合ったものであり、その裏づけのない赤字公債の場合には十年償還が確実に可能な計画が示されなければなりません。いかに政府が強弁しようとも、償還の保証と見通しのない乱暴な赤字公債発行であり、国民の犠牲を増大する危険性を持ったものと言わざるを得ないのであります。  最後に、私は、いまこそ大企業、大資産家に対するあらゆる特権的減免税措置を廃止し、真の公平税制を実行に移すことによってこそ財源を生み出すべきことと、国民本位の財政運営への転換を強く主張するものであります。  わが党は、財政危機打開のために何よりも大企業優遇の公共事業費や補助金、軍事費や新植民地主義的な対外援助費など不急不要の支出を徹底的に削ること、また、歳入確保のために大企業に臨時非課税積立金増加税を課すこと、還付請求権を大企業には当分の間停止をするとと、利子・配当所得の分離選択課税制度の廃止を目指すこと、有価証券取引税の税率を大幅に引き上げることなどを提案をしてまいりました。これを断行するならば、亡国的な赤字国債の大量発行は全く必要のないことであり、さらに国民生活向上にこれを振り向けることさえできるのであります。(拍手)  しかるに政府は、今後の財政運営基本としてインフレと重税、公共料金と社会保険料の全面的引き上げ、地方財政圧迫など、国民の犠牲をさらに強めながら、赤字公債などによって得た財源を、本年度はもちろん、来年度はさらに大量に大型公共事業に投資するという従来の高度成長財政運営を依然として続けているのであります。まさにこれは亡国の政治と言わなければなりません。  私は、このような大企業奉仕の財政運営をわが党の主張する国民本位の財政運営転換しない限り、今日の財政危機克服の道はないことを厳しく指摘をし、重ねて本法案審議未了、廃案とすべきことを要求をして、私の反対討論を終わります。(拍手)     —————————————
  51. 河野謙三

    議長河野謙三君) 三治重信君。    〔三治重信君登壇拍手
  52. 三治重信

    ○三治重信君 ただいま議題となりました昭和五十年度公債発行特例に関する法律案について、民社党を代表して、反対討論を行うものであります。  第一に、この臨時国会不況克服対策を中心としなければなりませんのに、政府は酒、たばこ値上げに執着をして、国会の空白を招き、景気回復をおくらせたことであります。本公債法案は、昭和四十年度の補正予算のときと全く同様に、五十年度のこの補正予算においても歳入不足のみを補う処置として提案されたものであります。歳入欠陥の柱が法人税及び所得税であれば、景気対策として財政金融措置が早期に打たれなければなりません。わが党は昨年十月に、不況対策として住宅の大量建設と木材製品や繊維製品の滞貨の凍結、中小企業融資枠の拡大等、直ちに政府がとるべき対策を要請したところでありますが、一顧だにされませんでした。政府は、本年に入ってから、補正予算を含めて四次にわたる不況対策を大々的にPRしておりますが、打つ手が後手後手に回りさっぱり効き目が出ません。五十年度の酒、たばこ値上げによる一千億の増収は、政府の不手際によるこの景気回復のおくれによって、法人税や所得税の数千億円の減収と引きかえになったと予想されるのであります。古いことわざにあります「一文惜しみの銭失い」とはまさに政府が今回とった態度であります。政府が約束した下半期六%の経済成長率は、下半期の半ばを過ぎんとする今日、政府不況対策中心とも言うべき本公債法案の結末がつくというスローモーぶりを考えますと、まさに絵にかいたもちとなりつつあります。  第二に、本公債法案は、歳入不足を建設公債とあわせて当初予算を補うにすぎないきわめて消極的なものであって、不況のどん底をさらにこれ以上沈下せしめない歯どめの役目を果たすにすぎないということであります。  租税の構成が直接税中心のため、深刻な不況を原因とする四兆円に及ぶ歳入不足を招いたのでありますが、当初予算の穴埋めのみならず、GNPの需給ギャップを埋める有効需要創出のための財政支出とか所得税減税を実行すべきであります。景気回復対策を財投にのみ頼っている現状では、財政を生かして経済を殺すと、こう言わざるを得ないのであります。また景気回復対策は、財政や財投資金の量はもちろんでありますが、冷え切った経済に活を入れ、消費者や経営者が将来の不安にかられて積極的に行動しようとしない心理的要因を解消しなければなりません。政府国民が自信を抱けるような処置をとるべきであります。  OECD、すなわち経済開発機構の報告によりますと、今回の不況は全世界的な不況であって、先進国平均で今年のGNPはマイナス二・二五%、明五十一年はプラス四・二五%と、経済成長率はマイナスからプラスとなり、アメリカを先頭に景気回復は著しいものと見通されております。しかしながら、失業者が千五百万人にも達しており、減少する見込みがないと言われております。わが国においても、不況長期化に伴って雇用指数は年間六%もの大幅減少を示しております。また失業者が公式統計で百万人を超え、実質百五十万人となり、来年にはさらに増加するであろうと予想されるごとく、雇用不安に陥っております。インフレによる預貯金の目減りに対し裁判に訴えるほど腹を立てた勤労者が、景気対策のための公定歩合一%の引き下げに対応する預貯金の利子を同率引き下げられ、それをがまんしておりますのに、銀行等金融機関は貸出金利を本当に下げておりますか。公債引き受けによる利潤低下をカバーするのに利用されてしまいませんか。公共投資に加えるに、失業防止のために特例融資を考えること、早期に公定歩合のさらに引き下げ、預金準備率の引き下げ等、多面的な浮揚策の実施を考えるべきであります。  第三に、不況長期化に伴い、赤字公債は五十一年度も続けざるを得ない深刻な事態に当面しようとしていることであります。明年度当初予算案では、公債七兆二千億円のうち赤字公債は三兆八千億円と増加するとともに、予算の中に国債の占める割合は、本年の二六・三%をはるかに超える三〇%にもなることであります。高度経済成長時代には、GNPの伸び率を上回る租税収入の伸びという、いわば打ち出の小づちが機能したのでありますが、安定成長時代には、これまでのような自然増収は期待できませんことが判明したのであります。これからの財政金融は早急に考え方を新たにすべきではないでしょうか。公債発行インフレに通ずるという懸念がございます。過去において戦費を賄う公債、放漫財政による公債等、インフレに通じた悪例が余りにも多いからであります。しかし、赤字公債はすべて不健全だという財政に対する余りにも硬直的な考え方にも問題がないとは言えません。民主主義的近代国家では、景気変動に対応する、特に不況克服のためには、国家が民間の企業や個人が苦しんで沈滞しているときに財政による活を入れることは当然の責務であります。むしろ積極的に従来の民間資金中心から財政及び財投中心の資金の流れに変えること、資金が官民にどういう割合で配分されるか等、資金計画、すなわちマネーフローを明らかにする必要があります。そして民間資金対策やインフレに対処する諸施策をとらなければならないのであります。従来の金融が銀行から直接企業の借り入れという銀行中心から公社債市場、いわゆる資本市場育成に努め、個人や官民の投資機関に喜んで購入されるよう公債消化対策を新しく検討されなければなりません。  第四に、財政は高度経済成長になれて総花的な歳出予算となってはおりませんか。安定経済体制下における福祉国家予算はいかにあるべきか。新体制をつくるべきであります。社会保障支出は不況であるから大幅に削減し、景気回復すれば拡大する、こういう性質のものではありません。社会保障支出は、それが安定的に支出されることによりまして景気の下支えという景気調整機能をも持つものであります。西欧先進国が百年余の長い期間を経て老年層の比重が高い現在の構成に移ったのに比べまして、一億一千万人余の日本人は、その人口構成の老齢化がいまから四十年の間に急速に進むという人口要因の圧迫があります。老齢者に対する所得保障、医療費等が大幅に増加する要因を持っておるのであります。したがって、生産中心の総花的補助金制度や行財政のむだ排除にメスをふるうことが必要だと考えます。歳出予算にも新しい見地に立って洗い直し、大なたを加えることを要望せざるを得ません。  公債は、現在の人が利益し、負債を後代子孫に残す無責任体制だという議論があります。公債収入を社会保障にすべて使用するということは、まさにその議論に的中するのであります。したがって私は、社会保障費用は一般財源や社会保険料で収支均衡を保つことが原則だと信じます。公債は赤字、建設のいずれも国家政府国民に対する借入金であります。償還計画が要求されるのは当然であります。政府の償還計画表だけでははなはだ不十分であります。したがって政府は、公債政策に対する理解と信頼の確保、財政の膨脹ないし公債残高の累増に対する歯どめ、財政負担の平準化及び公債の市場維持対策等々、国債にまつわる諸問題に積極的な取り組みが必要でございます。  最後に、本法案のごとく当該年度の赤字を後から補てんするという処理ではなくて、財政長期的、計画的に国民経済の変動に対処し得るよう現行の財政法の改正を強く求めて、反対討論を終わります。(拍手
  53. 河野謙三

    議長河野謙三君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決をいたします。  表決は記名投票をもって行います。本案賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  54. 河野謙三

    議長河野謙三君) 投票漏れはございませんか。——投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖〕
  55. 河野謙三

    議長河野謙三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  56. 河野謙三

    議長河野謙三君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数        二百四十二票   白色票          百二十六票   青色票           百十六票  よって、昭和五十年度公債発行特例に関する法律案は可決されました。(拍手)      —————・—————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      百二十六名       宮田  輝君    寺下 岩蔵君       平井 卓志君    吉田  実君       中西 一郎君    山本茂一郎君       山内 一郎君    久保田藤麿君       前田佳都男君    木内 四郎君       佐多 宗二君    最上  進君       望月 邦夫君    森下  泰君       梶木 又三君    藤川 一秋君       福岡日出麿君    鳩山威一郎君       秦野  章君    夏目 忠雄君       永野 嚴雄君    林  ゆう君       安孫子藤吉君    青井 政美君       有田 一寿君    井上 吉夫君       石破 二朗君    中村 登美君       松岡 克由君    藤井 丙午君       桧垣徳太郎君    原 文兵衛君       中村 禎二君    高橋 邦雄君       細川 護煕君    宮崎 正雄君       林田悠紀夫君    佐藤  隆君       菅野 儀作君    石本  茂君       中山 太郎君    小林 国司君       寺本 廣作君    柳田桃太郎君       玉置 和郎君    高橋雄之助君       楠  正俊君    岩動 道行君       西村 尚治君    鍋島 直紹君       新谷寅三郎君    上原 正吉君       郡  祐一君    青木 一男君       徳永 正利君    小川 半次君       八木 一郎君    丸茂 重貞君       塩見 俊二君    志村 愛子君       片山 正英君    河本嘉久蔵君       嶋崎  均君    棚辺 四郎君       中村 太郎君    戸塚 進也君       高橋 誉冨君    坂野 重信君       斎藤栄三郎君    山東 昭子君       糸山英太郎君    岩男 頴一君       岩上 妙子君    遠藤  要君       大島 友治君    大鷹 淑子君       斎藤 十朗君    古賀雷四郎君       黒住 忠行君    川野 辺静君       金井 元彦君    今泉 正二君       土屋 義彦君    山崎 竜男君       上田  稔君    初村滝一郎君       長田 裕二君    久次米健太郎君       鈴木 省吾君    世耕 政隆君       江藤  智君    藤田 正明君       大森 久司君    岡本  悟君       平泉  渉君    橘直  治君       町村 金五君    加藤 武徳君       安井  謙君    剱木 亨弘君       吉武 恵市君    増原 恵吉君       神田  博君    伊藤 五郎君       鹿島 俊雄君    大谷藤之助君       小笠 公韶君    亘  四郎君       橋本 繁蔵君    佐藤 信二君       亀井 久興君    岡田  広君       上條 勝久君    稲嶺 一郎君       矢野  登君    安田 隆明君       山崎 五郎君    高田 浩運君       増田  盛君    二木 謙吾君       源田  実君    熊谷太三郎君       植木 光教君    木村 睦男君       温水 三郎君    福井  勇君     —————————————  反対者(青色票)氏名      百十六名       太田 淳夫君    矢原 秀男君       野末 陳平君    喜屋武眞榮君       下村  泰君    相沢 武彦君       塩出 啓典君    青島 幸男君       市川 房枝君    柄谷 道一君       内田 善利君    峯山 昭範君       桑名 義治君    三治 重信君       上林繁次郎君    阿部 憲一君       三木 忠雄君    藤原 房雄君       和田 春生君    栗林 卓司君       黒柳  明君    矢追 秀彦君       原田  立君    田代富士男君       藤井 恒男君    木島 則夫君       鈴木 一弘君    山田 徹一君       宮崎 正義君    柏原 ヤス君       中村 利次君    田渕 哲也君       二宮 文造君    白木義一郎君       小平 芳平君    中尾 辰義君       向井 長年君    福間 知之君       矢田部 理君    案納  勝君       久保  亘君    青木 薪次君       野田  哲君    対馬 孝且君       秦   豊君    浜本 万三君       赤桐  操君    大塚  喬君       小山 一平君    片岡 勝治君       田  英夫君    宮之原貞光君       鈴木美枝子君    神沢  浄君       前川  旦君    竹田 現照君       山崎  昇君    村田 秀三君       小野  明君    野口 忠夫君       栗原 俊夫君    茜ケ久保重光君       瀬谷 英行君    森  勝治君       戸叶  武君    田中寿美子君       竹田 四郎君    戸田 菊雄君       森中 守義君    志苫  裕君       森下 昭司君    近藤 忠孝君       山中 郁子君    粕谷 照美君       片山 甚市君    目黒今朝次郎君       橋本  敦君    安武 洋子君       内藤  功君    寺田 熊雄君       佐々木静子君    辻  一彦君       小巻 敏雄君    神谷信之助君       小谷  守君    工藤 良平君       上田  哲君    和田 静夫君       松本 英一君    小笠原貞子君       立木  洋君    沓脱タケ子君       鈴木  力君    中村 波男君       川村 清一君    杉山善太郎君       沢田 政治君    加藤  進君       塚田 大願君    安永 英雄君       吉田忠三郎君    鶴園 哲夫君       松永 忠二君    小柳  勇君       須藤 五郎君    岩間 正男君       星野  力君    阿具根 登君       野々山一三君    中村 英男君       秋山 長造君    加瀬  完君       河田 賢治君    野坂 參三君       上田耕一郎君    春日 正一君      —————・—————
  57. 河野謙三

    議長河野謙三君) この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。  内閣から、原子力委員会委員に吹田徳雄君を、  公正取引委員会委員に青山春樹君を、  公安審査委員会委員に岡村二一君を、  中央社会保険医療協議会委員に高橋勝好君を、  電波監理審議会委員に阪本捷房君、八藤東禧君を、  日本放送協会経営委員会委員に大来佐武郎君、河原由郎君、工藤信一良君、新里善福君、春野鶴子君を、  日本電信電話公社経営委員会委員に小佐野賢治君、細川隆元君を、  労働保険審査会委員に伊集院兼和君、及川冨士雄君を任命したことについて、それぞれ本院の承認または同意を求めてまいりました。  また、内閣から、原子力委員会委員に御園生圭輔君を、  科学技術会議議員に芦原義重君、黒川眞武君、米澤滋君を、  国家公安委員会委員に田實渉君を、  公害健康被害補償不服審査会委員に近藤功君、鈴木一男君を、  中央更生保護審査会委員に菊池省三君、守田直君を、  社会保険審査会委員に岡本和夫君、小西宏君を、  中央社会保険医療協議会委員に伊藤善市君、高橋正雄君を、  漁港審議会委員に松田惣之助君を、  運輸審議会委員に津田實君を、  労働保険審査会委員に柳澤三男君を任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。  まず、日本電信電話公社経営委員会委員のうち、小佐野賢治君の任命について採決をいたします。(「反対反対」と呼ぶ者あり)  表決は記名投票をもって行います。内閣申し出のとおり、これを承認することに賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  58. 河野謙三

    議長河野謙三君) 投票漏れはございませんか。——投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖〕
  59. 河野謙三

    議長河野謙三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  60. 河野謙三

    議長河野謙三君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数        二百四十三票   白色票          百二十七票   青色票           百十六票  よって、小佐野賢治君の任命を承認することに決しました。(拍手)      —————・—————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      百二十七名       宮田  輝君    寺下 岩蔵君       平井 卓志君    吉田  実君       中西 一郎君    山本茂一郎君       山内 一郎君    久保田藤麿君       前田佳都男君    木内 四郎君       佐多 宗二君    最上  進君       望月 邦夫君    森下  泰君       梶木 又三君    藤川 一秋君       福岡日出麿君    鳩山威一郎君       秦野  章君    夏目 忠雄君       永野 嚴雄君    林  ゆう君       安孫子藤吉君    青井 政美君       有田 一寿君    井上 吉夫君       石破 二朗君    中村 登美君       松岡 克由君    藤井 丙午君       桧垣徳太郎君    原 文兵衛君       中村 禎二君    高橋 邦雄君       細川 護煕君    宮崎 正雄君       林田悠紀夫君    佐藤  隆君       菅野 儀作君    石本  茂君       中山 太郎君    小林 国司君       寺本 廣作君    柳田桃太郎君       内藤誉三郎君    玉置 和郎君       高橋雄之助君    楠  正俊君       岩動 道行君    西村 尚治君       鍋島 直紹君    新谷寅三郎君       上原 正吉君    郡  祐一君       青木 一男君    徳永 正利君       小川 半次君    八木 一郎君       丸茂 重貞君    塩見 俊二君       志村 愛子君    片山 正英君       河本嘉久蔵君    嶋崎  均君       棚辺 四郎君    中村 太郎君       戸塚 進也君    高橋 誉冨君       坂野 重信君    斎藤栄三郎君       山東 昭子君    糸山英太郎君       岩男 頴一君    岩上 妙子君       遠藤  要君    大島 友治君       大鷹 淑子君    斎藤 十朗君       古賀雷四郎君    黒住 忠行君       川野 辺静君    金井 元彦君       今泉 正二君    土屋 義彦君       山崎 竜男君    上田  稔君       初村滝一郎君    長田 裕二君       久次米健太郎君    鈴木 省吾君       世耕 政隆君    江藤  智君       藤田 正明君    大森 久司君       岡本  悟君    平泉  渉君       橘直  治君    町村 金五君       加藤 武徳君    安井  謙君       剱木 亨弘君    吉武 恵市君       増原 恵吉君    神田  博君       伊藤 五郎君    鹿島 俊雄君       大谷藤之助君    小笠 公韶君       亘  四郎君    橋本 繁蔵君       佐藤 信二君    亀井 久興君       岡田  広君    上條 勝久君       稲嶺 一郎君    矢野  登君       安田 隆明君    山崎 五郎君       高田 浩運君    増田  盛君       二木 謙吾君    源田  実君       熊谷太三郎君    植木 光教君       木村 睦男君    温水 三郎君       福井  勇君     —————————————  反対者(青色票)氏名      百十六名       太田 淳夫君    矢原 秀男君       野末 陳平君    喜屋武眞榮君       下村  泰君    相沢 武彦君       塩出 啓典君    青島 幸男君       市川 房枝君    柄谷 道一君       内田 善利君    峯山 昭範君       桑名 義治君    三治 重信君       上林繁次郎君    阿部 憲一君       三木 忠雄君    藤原 房雄君       和田 春生君    栗林 卓司君       黒柳  明君    矢追 秀彦君       原田  立君    田代富士男君       藤井 恒男君    木島 則夫君       鈴木 一弘君    山田 徹一君       宮崎 正義君    柏原 ヤス君       中村 利次君    田渕 哲也君       二宮 文造君    白木義一郎君       小平 芳平君    中尾 辰義君       向井 長年君    福間 知之君       矢田部 理君    案納  勝君       久保  亘君    青木 薪次君       野田  哲君    対馬 孝且君       秦   豊君    浜本 万三君       赤桐  操君    大塚  喬君       小山 一平君    片岡 勝治君       田  英夫君    宮之原貞光君       鈴木美枝子君    神沢  浄君       前川  旦君    竹田 現照君       山崎  昇君    村田 秀三君       小野  明君    野口 忠夫君       栗原 俊夫君    茜ケ久保重光君       瀬谷 英行君    森  勝治君       戸叶  武君    田中寿美子君       竹田 四郎君    戸田 菊雄君       森中 守義君    志苫  裕君       森下 昭司君    近藤 忠孝君       山中 郁子君    粕谷 照美君       片山 甚市君    目黒今朝次郎君       橋本  敦君    安武 洋子君       内藤  功君    寺田 熊雄君       佐々木静子君    辻  一彦君       小巻 敏雄君    神谷信之助君       小谷  守君    工藤 良平君       上田  哲君    和田 静夫君       松本 英一君    小笠原貞子君       立木  洋君    沓脱タケ子君       鈴木  力君    中村 波男君       川村 清一君    杉山善太郎君       沢田 政治君    加藤  進君       塚田 大願君    安永 英雄君       吉田忠三郎君    鶴園 哲夫君       松永 忠二君    小柳  勇君       須藤 五郎君    岩間 正男君       星野  力君    阿具根 登君       野々山一三君    中村 英男君       秋山 長造君    加瀬  完君       河田 賢治君    野坂 參三君       上田耕一郎君    春日 正一君      —————・—————
  61. 河野謙三

    議長河野謙三君) 次に、公正取引委員会委員、公安審査委員会委員、電波監理審議会委員、科学技術会議議員、国家公安委員会委員、運輸審議会委員、日本放送協会経営委員会委員のうち大来佐武郎君、日本電信電話公社経営委員会委員のうち細川隆元君、中央更生保護審査会委員のうち守田直君、中央社会保障医療協議会委員のうち伊藤善市君の任命について採決をいたします。  内閣申し出のとおり、いずれも承認または同意することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  62. 河野謙三

    議長河野謙三君) 過半数と認めます。よって、いずれも承認または同意することに決しました。      —————・—————
  63. 河野謙三

    議長河野謙三君) 次に、社会保険審査会委員、日本放送協会経営委員会委員のうち新里善福君、春野鶴子君、労働保険審査会委員のうち伊集院兼和君、柳澤三男君、中央更生保護審査会委員のうち菊池省三君、中央社会保険医療協議会委員のうち高橋正雄君の任命について採決をいたします。  内閣申し出のとおり、いずれも同意または承認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  64. 河野謙三

    議長河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、全会一致をもっていずれも同意または承認することに決しました。      —————・—————
  65. 河野謙三

    議長河野謙三君) 次に、原子力委員会委員、公害健康被害補償不服審査会委員、漁港審議会委員、中央社会保険医療協議会委員のうち高橋勝好君、日本放送協会経営委員会委員のうち河原由郎君、工藤信一良君、労働保険審査会委員のうち及川冨士雄君の任命について採決をいたします。  内閣申し出のとおり、いずれも承認または同意することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  66. 河野謙三

    議長河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、全会一致をもっていずれも承認または同意することに決しました。      —————・—————
  67. 河野謙三

    議長河野謙三君) 日程第五より第一一までの請願及び本日、大蔵委員長から報告書が提出されました自動車重量税等引上げ回避に関する請願外四十三件の請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 河野謙三

    議長河野謙三君) 御異議ないと認めます。
  69. 河野謙三

    議長河野謙三君) これらの請願は、各委員長報告を省略して、各委員会決定のとおり採択することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 河野謙三

    議長河野謙三君) 御異議ないと認めます。      —————・—————
  71. 河野謙三

    議長河野謙三君) この際、委員会審査及び調査を閉会中も継続するの件についてお諮りいたします。
  72. 河野謙三

    議長河野謙三君) 本件は、各委員長要求のとおり決することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 河野謙三

    議長河野謙三君) 御異議ないと認めます。よって、本件は各委員長要求のとおり決しました。      —————・—————
  74. 河野謙三

    議長河野謙三君) この際、一言ごあいさつを申し上げます。  今国会長期間にわたりましたが、この間、皆様方の終始御熱心なる審議と御協力により、本院の使命を果たすことができましたことは、議長として深く感謝しておるところであります。  とりわけ、各会派それぞれのお立場、御主張はありましても、本院の使命達成のために各位より常に格段の御配慮をいただきましたことにつきましては、参議院の改革を念願する議長といたしまして、心から敬意を表する次第であります。(拍手)  内外の情勢はいよいよ多端の折から、皆様には一層の御自愛の上新しい年を迎えられ、ますます御活躍あらんことをお祈りいたします。  これにて散会いたします。    午後九時五十九分散会