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1975-12-13 第76回国会 参議院 本会議 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十三日(土曜日)    午前十時十一分開議     —————————————議事日程 第十三号   昭和五十年十二月十三日    午前十時開議  第一 大蔵委員長桧垣徳太郎解任決議案(大   塚喬君外三名発議)(前会の続)  第二 酒税法の一部を改正する法律案内閣提   出、衆議院送付)(前会の続)  第三 製造たばこ定価法の一部を改正する法律   案(内閣提出衆議院送付)(前会の続)  第四 昭和五十年度における道路整備費財源   の特例等に関する法律案内閣提出衆議院   送付)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  一、日程第一より第三まで      ——————————
  2. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) これより会議を開きます。  日程第一 大蔵委員長桧垣徳太郎解任決議案大塚喬君外三名発議)を前会に引き続き議題といたします。  土屋義彦君外一名から、成規賛成者を得て、  質疑終局動議が提出されました。(「反対反対」と呼ぶ者あり)  これより本動議採決をいたします。  表決は記名投票をもって行います。本動議賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名点呼〕    〔投票執行
  3. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) 投票漏れはございませんか。——投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖
  4. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) これより開票いたします。投票参事に計算させます。議場開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  5. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数        二百三十三票   白色票          百二十四票   青色票            百九票  よって、質疑は終局することに決しました。(拍手)      ——————————   〔参照〕  賛成者白色票氏名     百二十四名       宮田  輝君    寺下 岩蔵君       平井 卓志君    吉田  実君       中西 一郎君    山本茂一郎君       山内 一郎君    久保田藤麿君       木内 四郎君    佐多 宗二君       最上  進君    望月 邦夫君       森下  泰君    梶木 又三君       藤川 一秋君    福岡日出麿君       鳩山威一郎君    秦野  章君       夏目 忠雄君    林  ゆう君       安孫子藤吉君    青井 政美君       有田 一寿君    井上 吉夫君       石破 二朗君    中村 登美君       松岡 克由君    藤井 丙午君       桧垣徳太郎君    原 文兵衛君       中村 禎二君    高橋 邦雄君       細川 護煕君    宮崎 正雄君       林田悠紀夫君    佐藤  隆君       菅野 儀作君    石本  茂君       中山 太郎君    小林 国司君       寺本 廣作君    柳田桃太郎君       内藤誉三郎君    玉置 和郎君       高橋雄之助君    楠  正俊君       岩動 道行君    西村 尚治君       鍋島 直紹君    新谷寅三郎君       上原 正吉君    郡  祐一君       青木 一男君    徳永 正利君       小川 半次君    八木 一郎君       丸茂 重貞君    塩見 俊二君       志村 愛子君    河本嘉久蔵君       嶋崎  均君    棚辺 四郎君       中村 太郎君    戸塚 進也君       高橋 誉冨君    坂野 重信君       斎藤栄三郎君    山東 昭子君       糸山英太郎君    岩男 頴一君       岩上 妙子君    遠藤  要君       大島 友治君    大鷹 淑子君       斎藤 十朗君    古賀雷四郎君       黒住 忠行君    川野 辺静君       金井 元彦君    今泉 正二君       土屋 義彦君    山崎 竜男君       上田  稔君    初村滝一郎君       長田 裕二君    久次米健太郎君       鈴木 省吾君    世耕 政隆君       江藤  智君    藤田 正明君       大森 久司君    岡本  悟君       平泉  渉君    橘直  治君       町村 金五君    加藤 武徳君       安井  謙君    剱木 亨弘君       吉武 恵市君    増原 恵吉君       神田  博君    伊藤 五郎君       鹿島 俊雄君    大谷藤之助君       小笠 公韶君    亘  四郎君       橋本 繁蔵君    佐藤 信二君       亀井 久興君    岡田  広君       上條 勝久君    稲嶺 一郎君       矢野  登君    安田 隆明君       山崎 五郎君    高田 浩運君       増田  盛君    二木 謙吾君       源田  実君    熊谷太三郎君       植木 光教君    木村 睦男君       温水 三郎君    福井  勇君     —————————————  反対者青色票氏名      百九名       太田 淳夫君    矢原 秀男君       野末 陳平君    喜屋武眞榮君       相沢 武彦君    塩出 啓典君       青島 幸男君    市川 房枝君       柄谷 道一君    内田 善利君       峯山 昭範君    桑名 義治君       三治 重信君    上林繁次郎君       阿部 憲一君    三木 忠雄君       藤原 房雄君    栗林 卓司君       黒柳  明君    矢追 秀彦君       原田  立君    田代富士男君       藤井 恒男君    木島 則夫君       鈴木 一弘君    宮崎 正義君       中村 利次君    田渕 哲也君       二宮 文造君    白木義一郎君       小平 芳平君    多田 省吾君       中尾 辰義君    福間 知之君       矢田部 理君    案納  勝君       久保  亘君    青木 薪次君       野田  哲君    対馬 孝且君       秦   豊君    浜本 万三君       赤桐  操君    大塚  喬君       小山 一平君    片岡 勝治君       田  英夫君    宮之原貞光君       鈴木美枝子君    神沢  浄君       前川  旦君    竹田 現照君       山崎  昇君    村田 秀三君       小野  明君    野口 忠夫君       栗原 俊夫君    茜ケ久保重光君       瀬谷 英行君    森  勝治君       戸叶  武君    田中寿美子君       竹田 四郎君    戸田 菊雄君       森中 守義君    志苫  裕君       森下 昭司君    近藤 忠孝君       山中 郁子君    粕谷 照美君       片山 甚市君    目黒今朝次郎君       橋本  敦君    安武 洋子君       内藤  功君    辻  一彦君       小巻 敏雄君    神谷信之助君       小谷  守君    工藤 良平君       上田  哲君    和田 静夫君       松本 英一君    小笠原貞子君       立木  洋君    沓脱タケ子君       鈴木  力君    中村 波男君       川村 清一君    杉山善太郎君       沢田 政治君    加藤  進君       渡辺  武君    塚田 大願君       安永 英雄君    吉田忠三郎君       松永 忠二君    小柳  勇君       須藤 五郎君    岩間 正男君       星野  力君    阿具根 登君       野々山一三君    中村 英男君       秋山 長造君    藤田  進君       河田 賢治君    上田耕一郎君       春日 正一君      ——————————
  6. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) 討論の通告がございます。順次発言を許します。戸塚進也君。    〔戸塚進也登壇拍手
  7. 戸塚進也

    戸塚進也君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております大蔵委員長桧垣徳太郎解任決議案に対し、強く反対の意を表し、討論を行うものであります。(拍手)  申すまでもなく桧垣大蔵委員長は、わが国財政金融のかつてない多難な情勢下に、昨四十九年十二月衆望を担って委員長に就任されまして以来、前国会並びに本臨時国会を通じ一貫して対話と協調の精神を貫き、大蔵委員会の公正円満な運営を目指して日夜を問わず最善の努力を尽くされ、かつてその例を見ないほど頻繁に理事会または理事懇談会を開催し、もっぱら話し合いによる少数意見の尊重と寛容の精神をもって委員会運営に当たられたのであります。  また、大蔵委員長桧垣徳太郎君は、豊かなる政治経験と識見に加え、温厚にして人間味あふれる申し分のない人格者であるとともに、正義を守り国を安泰に導くためには、あえてその身をなげうっても貢献されるという確固たる信念の持ち主であり、不屈の魂をもって今日わが国経済が直面している未曾有の難局打開に取り組んでいる姿には、良識あるすべての議員の大いなる尊敬と感謝の念を一身に集めておることは御承知のとおりであります。(拍手)  私は、去る通常国会における公職選挙法特別委員長中西一郎解任決議案反対討論に際し、中西委員長は十年に一人出るか出ないかの名委員長と申し上げましたが、桧垣委員長中西君にまさるとも劣らないわが党のエースと申しても過言でない名委員長でありまして、このような一点の非の打ちどころのない大蔵委員長をやり玉に上げて、虚偽だとか文書偽造などといういわれのない誹謗や攻撃的言辞をもって解任を唱えるごときは、この重大な時局に当たり、たとえ政治的立場を異にするとは申せ、私どもの全く理解に苦しむところであり、提案者良識政治感覚を疑わざるを得ず、まことに遺憾に思う次第であります。(拍手)  さて、提案者の述べられた本決議案における解任理由についてでありますが、第一に、去る十一月十三日の大蔵委員会における酒、たばこ歳入法案趣旨説明の経緯であります。  御承知のように、本法案は、前日の十一月十二日の本会議において平穏裏趣旨説明質疑が行われました上に、折しも大蔵大臣ランブイエ会議に出席されることとなっておりました関係上、本会議散会後直ちに理事懇談会を開会し、翌十三日も終日理事懇談会を続行して、会期末も迫り慎重審議のためにも、委員会に付託された同法案趣旨説明が円満かつ速やかに行われるよう精力的に話し合ったのでありますが、ついに野党側の了解が得られず、大蔵大臣国際会議出席日程上、飛行機の出発を三時間前にして、万やむを得ず趣旨説明が行われたのでありまして、委員長のとられた判断は当を得たものと断言いたすものであります。(拍手)  第二に、十一月二十日の酒、たばこ歳入法案採決についてであります。  そもそもこの二法案は、前国会におきまして、衆議院大蔵委員会と本会議慎重審議の上、いずれも円満に通過いたしたものでありまして、本院におきましても委員会質疑はもちろん、現地調査のほか公聴会物価対策特別委員会との連合審査会を開会して、審議日数十日間、審議時間は実に四十九時間を超えるというまれに見る慎重審議をいたした法案であります。しかるところ、去る十一月十八日及び二十日の両日における委員会審議は、ともに一部野党審議引き延ばしとも思われる質疑中断や、政府資料提出に関して長時間中断され、しかも最後定例日であったので、万々やむを得ずわが党委員より質疑終局、直ちに採決に入る動議が提出されたのを受けて、委員長として全く合法的に採決を行い、当然の職務を遂行されたのでありまして、非難されるべき点は一寸一分たりとも存在しないことをこの議場を通じて議員諸君に明らかにいたすものであります。(拍手)  率直に申し上げて、酒やたばこ値上がりを喜ぶ者はありません。しかし、今日のような、戦前戦後を通じて経験したこともないような国家的財政危機の中でも福祉社会の建設を目指して前進しなければならないとするならば、何らかの形で適正な財源を確保しなければならないことは論をまちません。しかも、私どもの時代に国家財政が大赤字となれば、その負担は当然私たちの孫子の代に及ぶのでありまして、とうてい容認できないところであります。大蔵委員長桧垣徳太郎君は、国や地方自治体の財政を守り抜くという大局的見地に立って、だれにも喜ばれない恨まれ役を一手に背負って勇敢に対処されたのでありまして、その姿はイエス・キリストを思い起こすような、(拍手)まさに今日の政治家のかがみであると存ずるのであります。今回とられたりっぱな行動は、わが国議会史上の一ページに歴史的な快挙として後世に語り継がれるものと確信いたしております。  私は、最後に、野党諸君にお願いいたしたいことがございます。それは今臨時国会を通じつくづく感じたのでありますが、どうか次期通常国会からは、たとえ法案のよしあしは別として、国会は言論の府でありますから、どうか審議すべき定例日には、委員会なり本会議を開いて十分な議論を尽くしていただきたい。中でも予算関連法案は最優先審議を尽くしていただきたいのであります。党利党略のためや、提案された法案が気に入らないからといって、委員会や本会議の開会にすら応じないなどということは、みずからをして議会制民主主義を否定してかかるものであります。(拍手)私が一般大衆に接してはだで感ずることは、このままの状態が続けば、国民国会に対する信頼は薄れるばかりであり、特に参議院存在価値すら疑われようとしていることを私たちは謙虚に反省し、次期国会よりは、真に良識の府としての本領を発揮し、審議すべき日には十分な審議を尽くし、民主主義政治の原則を貫いていただくならば、必ずや本院に対する国民信頼も大きく高まるばかりでなく、ただいま上程されている桧垣委員長解任決議案などという不幸な事態は必ず避けられるものと確信いたすものであります。  以上、諸般の角度から意見を申し述べてまいりましたが、結論的に桧垣大蔵委員長解任に足るただの一点の理由も存在しないのでありまして、本決議案は、単なる党利党略と、いわれのない言いがかりにすぎないことを明らかにいたしますとともに、何とぞ党派を超えて、かかる不当な解任決議案は圧倒的多数をもって否決とされますよう心よりお願いをいたしまして、私の反対討論といたします。(拍手)     —————————————
  8. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) 森下昭司君。    〔森下昭司登壇拍手
  9. 森下昭司

    森下昭司君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案されております大蔵委員長桧垣徳太郎君の解任決議案に対し、国民の圧倒的多数の声を背景に賛成討論を行うものであります。(拍手)  言うまでもなく、国会国民主権のもと国権の最高機関であり、その審議は慎重かつ論議を深め、国民の前に問題点を明らかにする責務を負っているのであります。今国会大蔵委員会任務はまことに重大であります。わが国財政金融税制等国民生活全般にわたって重大な影響を及ぼす経済問題の根幹を審議する委員会であることは申すまでもなく、ことに自民党政府による大企業優先高度経済成長政策が完全に破綻したのであります。この高度成長が引き起こした悪性インフレの阻止、社会的不公正の是正を図り、不況下で塗炭の苦しみを強いられている国民生活を守るべき今後の日本経済をどうしていくべきなのか。また、当面の緊急課題として、政府経済政策の失敗による戦後最大不況から国民生活優先する景気対策をいかに実施するのか、今国会大蔵委員会には国民の熱い期待と鋭く厳しい注視が向けられているのであります。  しかるに桧垣徳太郎君は率先して審議を尽くし国民の前に問題点を明らかにすべき委員長という重要な立場にあるにもかかわらず、政府自民党の酒、たばこ値上げ法案を単独強行採決しようとするファッショ的暴挙の意を体し、いや政府自民党によるこの議会制民主主義徹底的破壊役割りをこそみずからの任務と心得、率先して強行採決という暴挙の先導的な役割りを果たしたのであります。委員長たる者、常に国会法四十八条並びに参議院規則に明記されているように、公正、中立の立場から「委員会議事を整理し、秩序を保持」し、民主的運営最大努力を払うべきものであります。多数党の横暴を排し、国民信頼を得て議会制民主主義形骸化を防ぐという参議院改革の重大な使命を帯びているのであります。ところが、何を曲解したのでありましょうか、桧垣徳太郎君は、自民党のかいらい、単なるロボットとなるべき地位にみずからを落としめて恥ずかしとしない軽挙盲動をみずからが断行したのであります。その国民に背を向けた政治家としての無節操さ、私は国会に同じく籍を置き、国民責任を持つ者として激しい憤りを覚え、また深く悲しみとするものであります。  先ほど、自民党戸塚君は、桧垣徳太郎君を自民党エースと言われました。このような議会制民主主義を破壊する委員長エースと呼ばざるを得ない自民党感覚と人材の不足を憂えざるを得ないのであります。また、大蔵委員会におきましては、適切に処理されたかのごとく言われたのでありますが、強行採決は明らかであり、会議録が事実を証明しているのであります。さらに、非難される理由一寸一分もないと言われまするが、これはまことに盗人たけだけしいと言わざるを得ないのであります。したがって、桧垣徳太郎君がもはや大蔵委員長の任にたえ得ないのは明らかでありますが、私は、十一月二十日の強行採決の時点のみを見て申し上げているのではありません。すでにあなたは、酒、たばこ値上げ法案に限っても、さきの通常国会前科をつくっております。七月一日、値上げ法案自民党単独強行採決を許し、その後いささかの良心の苛責に駆られたのでありましょうか、その愚かしさを陳謝をいたしておられるのであります。しかし、その舌の根も乾かぬうちに、これまた今国会十一月十三日、委員会審議強行を図る自民党のしり馬に乗って、自民党単独による委員会を開催、わずか二分間で趣旨説明を終わらせるという暴挙を行わしめているのであります。そのときも後に陳謝をしております。しかし、それが本心から出たものでなく、またみずからの責任を自覚したものでないのは余りにも明白であります。その証左に、十一月二十日、わが党議員質問の途中、強引に審議打ち切り強行採決を行ったのであります。あなたこそ、まさしく議会制民主主義破壊前科三犯の累犯者であり、このような無責任きわまる人物を大蔵委員長の重責にとどめおくことは、わが国憲政史上に恥ずべき汚点を重ねるのみならず、国民にとって最大の不幸であると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)  このような桧垣委員長の主宰する大蔵委員会において、国民自民党政府の悪政によりみずからの生活を破壊されている深刻な不況下にあって、酒、たばこ値上げの根拠と理由が一体どれだけ国民の前に明らかになったのでありましょうか。全くないのであります。それどころか、政府自民党の隠された政治的意図がますます明らかになったのであります。御承知のとおり、酒に関する税率の引き上げは酒の価格に含まれる税の増収を目的としております。また、専売公社たばこ専売事業赤字でも何でありません。それどころか黒字であり、莫大な益金を生み出しているにもかかわらず、今回行おうとする約五〇%のたばこ値上げ益金率の大幅な引き上げをねらっているのであります。国民負担犠牲において大企業奉仕財源確保をねらったものであります。  そして、酒、たばこ間接税でありますが、この二つの間接税引き上げることが、今後間接税の枠の拡大にレールを敷き、悪税の最たるものである付加価値税の創設へとつながっていく地ならしをしていくという危険な意図が隠されているのであります。のみならず、これをステップとして、公共料金主導型の値上げを次々に行おうとしているのは顕著であります。その徴候がすでに出ております。国鉄運賃の九〇%の値上げを初めとして、電信電話料金の法外な引き上げ、私鉄、バス運賃値上げ等、まさにメジロ押しであり、それらがすべて受益者負担の名目でいずれも大幅に値上げされようとしているのであります。  さらに、最近の石油価格標準額の設定によるナフサ、C重油などの値上げによって、関連する石油化学工業製品を初め、電力、ガス料金、鉄鋼などの値上がりはもはや避け得られないのが現状なのであります。かてて加えて、通産省の強力な行政指導による減産が各業界ごとに行われているため、たとえば中小企業ポリエチレン加工業者への供給原料は高騰しつつあり、中小企業者国民犠牲の上に大企業奉仕の新価格体系なるものがつくられつつあるのであります。  酒、たばこ値上げ法案は、このような新価格体系公共料金値上げの突破口を開くべく、その先鞭をつけようとしているのであります。  しかも、酒やたばこの税が逆累進課税の性格を持ち、今回の値上げが低所得者層負担を一層重くし、社会的不公平の拡大を図ることは目に見えておりまするし、国民生活をいかに守るべきか、その対策を真剣に求められている大蔵委員会において審議を無視した強行採決を認めてしまうことは、本来の任務を完全に放棄したことになるのであります。参議院改革という崇高な使命をこそ果たすべき、議長とともに院の重要な職責にある常任委員長国民を裏切り、議会制民主主義破壊首謀的役割りを果たし、その趣旨を全く履き違えて、何らの責任もとり得ず、たび重なる過ちを犯し続けてきた動かしがたい事実を顧みたとき、もはや桧垣徳太郎君は大蔵委員長解任のほかにないことを納得されるべきである。私はそれを強く求めて、委員長解任決議案に対し賛成の意を表明し、賛成討論を終わるものであります。(拍手)     —————————————
  10. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) 峯山昭範君。    〔峯山昭範登壇拍手
  11. 峯山昭範

    峯山昭範君 私は、公明党を代表して、ただいま提案されております参議院大蔵委員長桧垣徳太郎君の解任決議案に対し、賛成討論を行うものであります。  御承知のとおり、去る十一月二十日、参議院大蔵委員会におきまして、酒税法の一部を改正する法律案並び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案、すなわち酒、たばこ値上げ法案審議中、突如として質疑打ち切り強行採決を行ったことは、良識の府である参議院のとるべき姿でないことは明瞭であります。この暴挙は、国民を愚弄する思い上がった政治姿勢以外の何物でもありません。  大蔵委員長桧垣徳太郎君は、去る十一月十三日、野党反対にもかかわらず、自民党単独大蔵委員会を開会し、前述の二法案趣旨説明強行したものであります。さらに、十一月二十日には、国民生活に重大な影響を与える両法案については各党の質疑を十分に行うという申し合わせで審議に入ったわけでありますが、公明党を初め共産、民社、二院クラブの各会派は一名の質問すらしていないのに、質疑打ち切り強行されたことはまことに遺憾千万であり、桧垣委員長責任は重大であります。委員長として、質疑が十分に尽くされた上で採決を行うことが当然の職務であるのに、逆に質疑を打ち切ったことは許しがたき行為であります。また、議会運営のルールを破り、たび重なる暴挙議会制民主主義を踏みにじったことに対し、厳重に抗議するものであります。  これについては、公明党は河野議長に対し、大蔵委員会値上げ法案を差し戻すことを強く申し入れたのであります。この政府自民党のみずからの都合のために強行採決も辞さない姿こそ、国民に一層の政治不信を助長し、良識の府である本院の権威を失墜せしめたものであります。  すなわち、酒、たばこ値上げはまさしく逆累進性の強い間接税であり、その結果は国民大衆を犠牲にした安易な財源対策以外の何物でもないのであります。現今の日本の社会は、不況と物価高が併存する中で、国民生活は、政府統計にも明らかなように苦しく、しかも社会的不公正はますます拡大し、一向に是正されておりません。そればかりか、今年度に至っては、低所得者ほど将来の生活不安に備えて消費を切り詰め、健康を害しながらも自衛手段に訴えざるを得ないのであります。また、大半の国民生活赤字家計であり、政治に対する憤りと不信はいよいよつのるばかりであります。このような時期に酒、たばこ値上げ法案強行採決した暴挙は、国民の名において断じて許せないことであります。  このことは、三木内閣の公約である「社会的不公正の是正」をみずから放棄したものであります。インフレによる所得や資産等の格差拡大による社会的不公正の是正は、大企業の法人課税や租税特別措置等々の現行の不公正税制を抜本的に改革すべきであります。それにもかかわらず、歳入欠陥の責任を大衆課税に転嫁して、負担の強化という犠牲国民に強いることは、筋違いもはなはだしいのであります。また、この値上げは、他の物価に及ぼす影響はきわめて大きく、ただでさえ上昇機運にある諸物価にはずみをつけ、政府主導型の物価高を再現するのは必至であります。具体的に、たばこ愛好者だけ見ても、現在約三千五百万人もおります。このように国民生活に密接な酒、たばこ値上げ法案を安易に強行成立せしめた委員長桧垣徳太郎君の無見識な政治姿勢を疑わざるを得ないのであります。  大蔵委員会の果たす役割りは重かつ大であります。国民の租税を初めとする経済全般に関する審議を行うところでもありましょう。まして、長は円滑な審議議事の進行を取り計らっていかなければならないことは周知のとおりであります。にもかかわらず、大蔵委員会における委員長桧垣徳太郎君のとった行動は、まさしく国民生活をさらに悪化させる要因となるものであります。  以上述べたごとく、私は、議会制民主主義の破壊と国民生活をさらに困窮せしめる今回の酒、たばこ値上げ法案強行した委員長桧垣徳太郎君の解任決議案賛成し、討論を終わります。(拍手)      ——————————
  12. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) 土屋義彦君外一名から、成規賛成者を得て、  討論終局の動議が提出されました。  これより本動議採決をいたします。  表決は記名投票をもって行います。本動議賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票願います。  議場閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名点呼〕    〔投票執行〕    〔「おかしいじゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言するもの多し〕
  13. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) 氏名点呼中、野々山一三君の次に中村波男君と申しましたのは、中村英男君の誤りにつき訂正いたします。    〔投票執行
  14. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) 投票漏れはございませんか。——投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖
  15. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) これより開票いたします。投票参事に計算させます。議場開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕    〔副議長退席、議長着席〕
  16. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数        二百二十六票   白色票          百二十一票   青色票            百五票  よって、討論は終局することに決しました。      ——————————   〔参照〕  賛成者白色票氏名     百二十一名       宮田  輝君    寺下 岩蔵君       平井 卓志君    吉田  実君       中西 一郎君    山本茂一郎君       山内 一郎君    久保田藤麿君       木内 四郎君    佐多 宗二君       最上  進君    望月 邦夫君       森下  泰君    梶木 又三君       藤川 一秋君    福岡日出麿君       鳩山威一郎君    秦野  章君       夏目 忠雄君    林  ゆう君       安孫子藤吉君    青井 政美君       有田 一寿君    井上 吉夫君       石破 二朗君    中村 登美君       松岡 克由君    藤井 丙午君       桧垣徳太郎君    原 文兵衛君       中村 禎二君    高橋 邦雄君       細川 護煕君    宮崎 正雄君       林田悠紀夫君    佐藤  隆君       菅野 儀作君    石本  茂君       中山 太郎君    小林 国司君       寺本 廣作君    柳田桃太郎君       玉置 和郎君    高橋雄之助君       楠  正俊君    岩動 道行君       西村 尚治君    鍋島 直紹君       新谷寅三郎君    上原 正吉君       郡  祐一君    青木 一男君       徳永 正利君    小川 半次君       八木 一郎君    丸茂 重貞君       志村 愛子君    河本嘉久蔵君       嶋崎  均君    棚辺 四郎君       中村 太郎君    戸塚 進也君       高橋 誉冨君    坂野 重信君       斎藤栄三郎君    山東 昭子君       糸山英太郎君    岩男 頴一君       岩上 妙子君    遠藤  要君       大島 友治君    大鷹 淑子君       斎藤 十朗君    古賀雷四郎君       黒住 忠行君    川野 辺静君       金井 元彦君    今泉 正二君       土屋 義彦君    山崎 竜男君       上田  稔君    初村滝一郎君       長田 裕二君    久次米健太郎君       鈴木 省吾君    世耕 政隆君       江藤  智君    大森 久司君       岡本  悟君    平泉  渉君       橘直  治君    町村 金五君       加藤 武徳君    安井  謙君       剱木 亨弘君    吉武 恵市君       増原 恵吉君    神田  博君       伊藤 五郎君    鹿島 俊雄君       大谷藤之助君    小笠 公韶君       亘  四郎君    橋本 繁蔵君       佐藤 信二君    亀井 久興君       岡田  広君    上條 勝久君       稲嶺 一郎君    矢野  登君       安田 隆明君    山崎 五郎君       高田 浩運君    増田  盛君       二木 謙吾君    源田  実君       熊谷太三郎君    植木 光教君       木村 睦男君    温水 三郎君       福井  勇君     —————————————  反対者青色票氏名      百五名       太田 淳夫君    矢原 秀男君       野末 陳平君    喜屋武眞榮君       下村  泰君    相沢 武彦君       塩出 啓典君    青島 幸男君       市川 房枝君    柄谷 道一君       内田 善利君    峯山 昭範君       桑名 義治君    三治 重信君       上林繁次郎君    阿部 憲一君       三木 忠雄君    藤原 房雄君       黒柳  明君    矢追 秀彦君       原田  立君    田代富士男君       藤井 恒男君    鈴木 一弘君       宮崎 正義君    中村 利次君       田渕 哲也君    白木義一郎君       小平 芳平君    多田 省吾君       中尾 辰義君    福間 知之君       矢田部 理君    案納  勝君       久保  亘君    青木 薪次君       野田  哲君    対馬 孝且君       秦   豊君    浜本 万三君       赤桐  操君    大塚  喬君       小山 一平君    片岡 勝治君       田  英夫君    宮之原貞光君       鈴木美枝子君    神沢  浄君       前川  旦君    竹田 現照君       山崎  昇君    村田 秀三君       小野  明君    野口 忠夫君       栗原 俊夫君    茜ケ久保重光君       瀬谷 英行君    森  勝治君       戸叶  武君    田中寿美子君       竹田 四郎君    森中 守義君       志苫  裕君    森下 昭司君       近藤 忠孝君    山中 郁子君       粕谷 照美君    片山 甚市君       目黒今朝次郎君    橋本  敦君       安武 洋子君    内藤  功君       辻  一彦君    小巻 敏雄君       神谷信之助君    小谷  守君       工藤 良平君    上田  哲君       和田 静夫君    松本 英一君       小笠原貞子君    立木  洋君       沓脱タケ子君    鈴木  力君       中村 波男君    川村 清一君       杉山善太郎君    沢田 政治君       加藤  進君    渡辺  武君       塚田 大願君    安永 英雄君       吉田忠三郎君    松永 忠二君       小柳  勇君    須藤 五郎君       岩間 正男君    星野  力君       野々山一三君    中村 英男君       秋山 長造君    藤田  進君       河田 賢治君    上田耕一郎君       春日 正一君      ——————————
  17. 河野謙三

    議長(河野謙三君) これより大蔵委員長桧垣徳太郎解任決議案採決をいたします。  表決は記名投票をもって行います。本案に賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票願います。  議場閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名点呼〕    〔投票執行
  18. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 投票漏れはございませんか。——投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖
  19. 河野謙三

    議長(河野謙三君) これより開票いたします。投票参事に計算させます。議場開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  20. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数        二百三十五票   白色票           百十一票   青色票          百二十四票  よって、大蔵委員長桧垣徳太郎解任決議案は否決されました。(拍手)      ——————————   〔参照〕  賛成者白色票氏名      百十一名       太田 淳夫君    矢原 秀男君       野末 陳平君    喜屋武眞榮君       下村  泰君    相沢 武彦君       塩出 啓典君    青島 幸男君       市川 房枝君    柄谷 道一君       内田 善利君    峯山 昭範君       桑名 義治君    三治 重信君       上林繁次郎君    阿部 憲一君       三木 忠雄君    藤原 房雄君       黒柳  明君    矢追 秀彦君       原田  立君    田代富士男君       藤井 恒男君    木島 則夫君       鈴木 一弘君    宮崎 正義君       柏原 ヤス君    中村 利次君       田渕 哲也君    二宮 文造君       白木義一郎君    小平 芳平君       多田 省吾君    向井 長年君       福間 知之君    矢田部 理君       案納  勝君    久保  亘君       青木 薪次君    野田  哲君       対馬 孝且君    秦   豊君       浜本 万三君    赤桐  操君       大塚  喬君    小山 一平君       片岡 勝治君    田  英夫君       宮之原貞光君    鈴木美枝子君       神沢  浄君    前川  旦君       竹田 現照君    山崎  昇君       村田 秀三君    小野  明君       野口 忠夫君    栗原 俊夫君       茜ケ久保重光君    瀬谷 英行君       森  勝治君    戸叶  武君       田中寿美子君    竹田 四郎君       戸田 菊雄君    森中 守義君       志苫  裕君    森下 昭司君       近藤 忠孝君    山中 郁子君       粕谷 照美君    片山 甚市君       目黒今朝次郎君    橋本  敦君       安武 洋子君    内藤  功君       寺田 熊雄君    辻  一彦君       小巻 敏雄君    神谷信之助君       小谷  守君    工藤 良平君       上田  哲君    和田 静夫君       松本 英一君    小笠原貞子君       立木  洋君    沓脱タケ子君       鈴木  力君    中村 波男君       川村 清一君    杉山善太郎君       沢田 政治君    加藤  進君       渡辺  武君    塚田 大願君       安永 英雄君    吉田忠三郎君       松永 忠二君    小柳  勇君       須藤 五郎君    岩間 正男君       星野  力君    阿具根 登君       野々山一三君    中村 英男君       秋山 長造君    藤田  進君       河田 賢治君    上田耕一郎君       春日 正一君     —————————————  反対者青色票氏名      百二十四名       宮田  輝君    寺下 岩蔵君       平井 卓志君    吉田  実君       中西 一郎君    山本茂一郎君       山内 一郎君    久保田藤麿君       前田佳都男君    木内 四郎君       佐多 宗二君    最上  進君       望月 邦夫君    森下  泰君       梶木 又三君    藤川 一秋君       福岡日出麿君    鳩山威一郎君       秦野  章君    夏目 忠雄君       林  ゆう君    安孫子藤吉君       青井 政美君    有田 一寿君       井上 吉夫君    石破 二朗君       中村 登美君    松岡 克由君       藤井 丙午君    原 文兵衛君       中村 禎二君    高橋 邦雄君       細川 護煕君    宮崎 正雄君       林田悠紀夫君    佐藤  隆君       菅野 儀作君    石本  茂君       中山 太郎君    小林 国司君       寺本 廣作君    柳田桃太郎君       内藤誉三郎君    玉置 和郎君       高橋雄之助君    楠  正俊君       岩動 道行君    西村 尚治君       鍋島 直紹君    新谷寅三郎君       上原 正吉君    郡  祐一君       青木 一男君    徳永 正利君       小川 半次君    八木 一郎君       丸茂 重貞君    塩見 俊二君       志村 愛子君    河本嘉久蔵君       嶋崎  均君    棚辺 四郎君       中村 太郎君    戸塚 進也君       高橋 誉冨君    坂野 重信君       斎藤栄三郎君    山東 昭子君       糸山英太郎君    岩男 頴一君       岩上 妙子君    遠藤  要君       大島 友治君    大鷹 淑子君       斎藤 十朗君    古賀雷四郎君       黒住 忠行君    川野 辺静君       金井 元彦君    今泉 正二君       土屋 義彦君    山崎 竜男君       上田  稔君    初村滝一郎君       長田 裕二君    久次米健太郎君       鈴木 省吾君    世耕 政隆君       江藤  智君    藤田 正明君       大森 久司君    岡本  悟君       平泉  渉君    橘直  治君       町村 金五君    加藤 武徳君       安井  謙君    剱木 亨弘君       吉武 恵市君    増原 恵吉君       神田  博君    伊藤 五郎君       鹿島 俊雄君    大谷藤之助君       小笠 公韶君    亘  四郎君       橋本 繁蔵君    佐藤 信二君       亀井 久興君    岡田  広君       上條 勝久君    稲嶺 一郎君       矢野  登君    安田 隆明君       山崎 五郎君    高田 浩運君       増田  盛君    二木 謙吾君       源田  実君    熊谷太三郎君       植木 光教君    木村 睦男君       温水 三郎君    福井  勇君      ——————————
  21. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 日程第二 酒税法の一部を改正する法律案  日程第三 製造たばこ定価法の一部を改正する法律案   (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上両案を前会に引き続き、一括して議題といたします。  これより委員長の報告を求めます。大蔵委員長桧垣徳太郎君。    〔桧垣徳太郎登壇拍手
  22. 桧垣徳太郎

    桧垣徳太郎君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  初めに、二法律案の概要を申し上げます。  現行の酒税の税率及びたばこの定価は昭和四十三年以来据え置かれており、最近におけるこれらの税負担が相当程度低下しているので、その調整を行うとともに財政収入の確保を図ろうとするものであります。  まず、酒税法の一部を改正する法律案は、酒類に対する従量税率を、清酒特級、ビール、ウイスキー特級等については約二二%、清酒一級については約一五%それぞれ引き上げるとともに、酒税の納期限の延長、戻し入れ控除の適用範囲の拡大等、所要の整備合理化を図ろうとするものであります。  次に、製造たばこ定価法の一部を改正する法律案は、製造たばこの種類別、等級別最高価格を紙巻きたばこについて十本当たり十円ないし二十円引き上げる等の改正を行うこととし、これにより小売定価は平均四八%引き上げられることとなります。  この二法律案は、御承知のとおり、前国会におきまして、衆議院通過後、本院の本会議において未了となったものであります。  前国会の本委員会においては、京都及び浜松にそれぞれ委員派遣を行うほか、公聴会を開会し、さらに物価等対策特別委員会連合審査会を開会するなど約四十九時間にも及ぶ審査を行いました。  今国会におきましても、本会議において二法律案趣旨説明の聴取とともに、質疑が行われました。  委員会におきましては、飲酒及び喫煙と健康との関係、酒類とたばこの製造原価等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録により御承知願います。  次いで、質疑打ち切り、直ちに討論採決に入ることの動議が上條委員より提出され、本動議採決は可否同数となり、委員長これを決し、可決いたしました。  討論なく、直ちに二法律案採決に入りましたところ、いずれも可否同数となりましたので、委員長これを決し、二法律案はいずれも原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手)      ——————————
  23. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 安永英雄君から、賛成者を得て、  両案を大蔵委員会に再付託することの動議が提出されました。  これより本動議採決をいたします。  表決は記名投票をもって行います。本動議賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票願います。  議場閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名点呼〕    〔投票執行
  24. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 投票漏れはございませんか。——投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖
  25. 河野謙三

    議長(河野謙三君) これより開票いたします。投票参事に計算させます。議場開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  26. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数        二百三十八票   白色票           百十三票   青色票          百二十五票  よって、本動議は否決されました。(拍手)      ——————————   〔参照〕  賛成者白色票氏名      百十三名       太田 淳夫君    矢原 秀男君       野末 陳平君    喜屋武眞榮君       下村  泰君    相沢 武彦君       塩出 啓典君    青島 幸男君       市川 房枝君    柄谷 道一君       内田 善利君    峯山 昭範君       桑名 義治君    三治 重信君       上林繁次郎君    阿部 憲一君       三木 忠雄君    藤原 房雄君       栗林 卓司君    黒柳  明君       矢追 秀彦君    原田  立君       田代富士男君    藤井 恒男君       木島 則夫君    鈴木 一弘君       宮崎 正義君    柏原 ヤス君       中村 利次君    田渕 哲也君       二宮 文造君    白木義一郎君       小平 芳平君    多田 省吾君       中尾 辰義君    向井 長年君       福間 知之君    矢田部 理君       案納  勝君    久保  亘君       青木 薪次君    野田  哲君       対馬 孝且君    秦   豊君       浜本 万三君    赤桐  操君       大塚  喬君    小山 一平君       片岡 勝治君    田  英夫君       宮之原貞光君    鈴木美枝子君       神沢  浄君    前川  旦君       竹田 現照君    山崎  昇君       村田 秀三君    小野  明君       野口 忠夫君    栗原 俊夫君       茜ケ久保重光君    瀬谷 英行君       森  勝治君    戸叶  武君       田中寿美子君    竹田 四郎君       戸田 菊雄君    森中 守義君       志苫  裕君    森下 昭司君       近藤 忠孝君    山中 郁子君       粕谷 照美君    片山 甚市君       目黒今朝次郎君    橋本  敦君       安武 洋子君    内藤  功君       寺田 熊雄君    辻  一彦君       小巻 敏雄君    神谷信之助君       小谷  守君    工藤 良平君       上田  哲君    和田 静夫君       松本 英一君    小笠原貞子君       立木  洋君    沓脱タケ子君       鈴木  力君    中村 波男君       川村 清一君    杉山善太郎君       沢田 政治君    加藤  進君       渡辺  武君    塚田 大願君       安永 英雄君    吉田忠三郎君       松永 忠二君    小柳  勇君       須藤 五郎君    岩間 正男君       星野  力君    阿具根 登君       野々山一三君    中村 英男君       秋山 長造君    藤田  進君       河田 賢治君    上田耕一郎君       春日 正一君     —————————————  反対者青色票氏名     百二十五名       宮田  輝君    寺下 岩蔵君       平井 卓志君    吉田  実君       中西 一郎君    山本茂一郎君       山内 一郎君    久保田藤麿君       前田佳都男君    木内 四郎君       佐多 宗二君    最上  進君       望月 邦夫君    森下  泰君       梶木 又三君    藤川 一秋君       福岡日出麿君    鳩山威一郎君       秦野  章君    夏目 忠雄君       林  ゆう君    安孫子藤吉君       青井 政美君    有田 一寿君       井上 吉夫君    石破 二朗君       中村 登美君    松岡 克由君       藤井 丙午君    桧垣徳太郎君       原 文兵衛君    中村 禎二君       高橋 邦雄君    細川 護煕君       宮崎 正雄君    林田悠紀夫君       佐藤  隆君    菅野 儀作君       石本  茂君    中山 太郎君       小林 国司君    寺本 廣作君       柳田桃太郎君    内藤誉三郎君       玉置 和郎君    高橋雄之助君       楠  正俊君    岩動 道行君       西村 尚治君    鍋島 直紹君       新谷寅三郎君    上原 正吉君       郡  祐一君    青木 一男君       徳永 正利君    小川 半次君       八木 一郎君    丸茂 重貞君       塩見 俊二君    志村 愛子君       河本嘉久蔵君    嶋崎  均君       棚辺 四郎君    中村 太郎君       戸塚 進也君    高橋 誉冨君       坂野 重信君    斎藤栄三郎君       山東 昭子君    糸山英太郎君       岩男 頴一君    岩上 妙子君       遠藤  要君    大島 友治君       大鷹 淑子君    斎藤 十朗君       古賀雷四郎君    黒住 忠行君       川野 辺静君    金井 元彦君       今泉 正二君    土屋 義彦君       山崎 竜男君    上田  稔君       初村滝一郎君    長田 裕二君       久次米健太郎君    鈴木 省吾君       世耕 政隆君    江藤  智君       藤田 正明君    大森 久司君       岡本  悟君    平泉  渉君       橘直  治君    町村 金五君       加藤 武徳君    安井  謙君       剱木 亨弘君    吉武 恵市君       増原 恵吉君    神田  博君       伊藤 五郎君    鹿島 俊雄君       大谷藤之助君    小笠 公韶君       亘  四郎君    橋本 繁蔵君       佐藤 信二君    亀井 久興君       岡田  広君    上條 勝久君       稲嶺 一郎君    矢野  登君       安田 隆明君    山崎 五郎君       高田 浩運君    増田  盛君       二木 謙吾君    源田  実君       熊谷太三郎君    植木 光教君       木村 睦男君    温水 三郎君       福井  勇君      ——————————
  27. 河野謙三

    議長(河野謙三君) これにて午後零時四十分まで休憩いたします。    午前十一時四十一分休憩      ——————————    午後零時四十八分開議
  28. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。寺田熊雄君。    〔寺田熊雄君登壇拍手
  29. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 私は日本社会党を代表して、ただいま上程せられております酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案に関し、総理並びに関係大臣に対し質問をいたします。  政府・与党は、大蔵委員長桧垣徳太郎君に迫り、去る昭和五十年十一月十三日、野党議員に出席のいとまを与えずして大蔵委員会を開会し、右二法案に関する大蔵大臣趣旨説明強行いたしました。まことに乱暴きわまる処置と言わねばなりません。次いで、桧垣委員長自民党議員と気脈を通じ、昭和五十年十一月二十日の大蔵委員会において野党議員質疑を強引に打ち切り強行採決の挙に出たのであります。これは前国会の終末、七月一日に、野党議員欠席のまま自民党議員がこの両法案の単独採決をあえてしたのと同様、議会制民主主義を踏みにじる暴挙と言わねばなりません。  先刻、桧垣委員長解任決議案が否決せられたとはいえ、かかる乱暴なる措置が、反対党の参加と討議を前提とする議会制民主主義に反することは言うまでもなく、総理の看板とする対話と協調の方針に抵触するものと考えますが、これに対する総理の御見解はどうか、まずもってお伺いをいたしたいのであります。  また、桧垣委員長自身はみずからのとれるこのような処置をどのように考えておられるのか、著しく国会の権威と信用を傷つけるものと考えるがどうか、率直にして深刻なる反省の弁を期待してお尋ねをするものであります。  次にお尋ねしたいのは、本二法案を社会的公正の見地から見た場合の評価の問題であります。  およそ税負担の公正は社会的公正の基本的なものであります。今回の酒、たばこ値上げについて、政府はそれが財政上の要請によるものであることを説くのでありますが、それが逆進性の強い大衆課税の増徴であることは明らかであります。われわれは、従来よりしばしば、かかる大衆課税によって税の増収を図ることなく、まずもって悪名高い租税特別措置の廃止や大法人に対する課税の強化などにより増収を図るべきことを主張してまいりました。昨今、政府はようやく重い腰を上げ、租税特別措置の部分的手直しを始めるかに見えるのでありますが、遅きに失したとはいえ、過ちを改めんとすることに対してはわれわれもそれなりの評価を惜しむものではありません。これについて政府は来年度そのいかなる部分を是正せんとするのか、目下、税制調査会に諮問しつつあることはよく承知しておるのでありますが、そのゆえに答弁をあいまいにすることは許されません。ことに、すでに新聞紙上に報道せられております各種準備金及び特別償却制度の廃止及び縮小を目指す大蔵省案に対しては財界が猛反撃を開始したと伝えられるのでありますが、政府はよくこの財界の反撃を撃退する決意ありや否や、総理並びに大蔵大臣の決意のほどをお伺いするものであります。  ことに、総理は、得意の笑顔をつくりながら片方の手で財界に対し政治献金を求めておるのでありますが、それにもかかわらず、他方の手で財界の猛反撃を払いのけることができるかどうか、多分の危惧なきを得ないのであります。これに対し総理はどのような作戦をもって臨まんとするのか、それをお伺いしたいのであります。  また、悪名高い租税特別措置の中でもとりわけ不公正の典型とせられる医師の社会保険診療報酬の課税の特例の是正は、酒税の引き上げによって得られる以上の税の増収をもたらすものであります。これにつきましては、大平大蔵大臣は過ぐる十月二十日の本会議、三木総理は過ぐる十一月五日の予算委員会において、それぞれ次回の診療報酬の改定の行われた段階で是正措置をとりたいと述べておられます。ところが、これに対しても医師会の強力な反対が予想せられる。否、この反対行動はすでに開始せられておるのでありますが、総理並びに大蔵大臣は、この医師会の反対運動をよく撃退し得る自信をお持ちであるかどうか、この際明確にしていただきたいのであります。  次に、厚生大臣は、この社会保険診療報酬の改定をいつまでに実現することを考えておられるのか、また、その実現の自信をお持ちなのかどうかについて明確にお答えをいただきたいのであります。  次に、総理は、昭和五十年三月二十八日の大蔵委員会において、交際費課税は強化する方向で進む旨を述べておられますが、昭和五十一年度にこれを具体化するおつもりがあるかどうか、明確にお答えをいただきたいのであります。  わが国企業の交際費総額は、昭和四十八年度において一兆六千億円を超え、防衛費をはるかに上回る額に達しておるのであります。一日に七百七十万円平均の交際費を支出する大企業すらあり、これは世界の驚異となっておるのであります。経済企画庁は昭和五十年度国民生活白書において、国民生活意識が大量消費より節約へ大きく変貌しつつあることを強調し、これを評価しておられるのでありますが、福田経済企画庁長官は、この交際費課税についてはどのような御所感をお持ちでいらっしゃるのか、現在以上に強化すべきものと考えておられるのかどうかをお伺いいたしたいと存じます。  次に、法人に対して受取配当の益金不算入と配当軽課制度とのダブル適用を認め、さらに株主に対して所得税の配当控除を認めているわが税制は、大法人や大資産家に対して著しく有利な処遇をなす不公平税制の最たるものであります。これは、法人の実体を投資家たる株主個人の集合体と考え、その法人格は単なる法的技術たる擬制にすぎないとする古めかしい法人擬制説を根拠とするものでありますが、今日の法人は、大法人になればなるほど個人株主の地位は弱く、大法人たる大株主によって支配せられている、実情であります。そして、その株主たる法人の大株主もまた法人であります。しかも、これらの法人は、大法人になればなるほど資本と経営とが分離し、およそ力の弱い個人株主などの意思とは無関係に、社会的実在として独自の社会的、経済的活動を営んでおります。その端的な実例が、個人たる株主の意思などとは全く無関係に自民党になされる巨額の政治献金でありまして、この道理は、旧八幡製鉄株式会社の政治献金事件に関する昭和四十五年六月二十四日の最高裁大法廷判決に示されておるのであります。すなわち、この判決は、「会社は、一定の営利事業を営むととを本来の目的とするものであるから、会社の活動の重点が、定款所定の目的を遂行する上に直接必要な行動に存することは、いうまでもないところである。しかし、会社は、他面において、自然人と等しく国家、地方公共団体、地域社会その他の構成単位たる社会的実在なのであるから、それとしての社会的作用を負担せざるを得ないのであって、ある行為が一見、定款所定の目的とかかわりがないものであるとしても、会社に、社会通念上、期待ないし要請されるものである限り、その期待ないし要請に答えることは、会社の当然になしうるところである」云々と、それが社会的実在であるとする法人実在説の立場から政治献金を是認していることは明らかであります。政府も財界も、従来からこの判例をもって法人の政治献金の妥当性の根拠とするものでありますが、政治献金をもらう場合には法人実在説をとり、他方、税金を取り立てる場合には法人擬制説をとって大法人に手心を加えるという政府の態度は、首尾一貫せず、不公正の極致と言うべきであります。よって政府は、すべからく法人実在説の立場をとり、法人の受取配当益金不算入や配当軽課制度、あるいは配当控除制度の改廃に踏み切るべきであります。法人の受取配当の益金不算入制度の廃止のみによるも、年間千二百億円という酒税の引き上げによる税収を上回る税収が予想せられるのでありますから、これなくして酒税の引き上げを求めるのは、本末転倒もはなはだしいと考えるが、これに対する総理並びに大蔵大臣の御所見はいかん、お伺いをいたすものであります。  大平大蔵大臣は、去る四月二十二日の衆議院大蔵、物特両委員会連合審査会において、「われわれは歳入を確保するには鬼のごとく強くならなければいけません」と答弁しておられるのでありますが、それは、以上に述べた大法人や大資産家、または社会的強者に対する課税態度においてこそしかるべきでありまして、酒税の引き上げたばこ値上げのごとく、直接一般国民のふところにパイプを差し入れ、その血と汗の結晶を吸い取る大衆課税においてしかくすべきものではないと考えるがいかがでしょうか。大臣の鬼のごとくあらんと欲するのは、そのいずれの面においてのことなりや承りたいのであります。  総理もまた、そのスローガンとする社会的公正の確保を国民に約束せられた以上、歳入欠陥を補う道を逆進性の強い大衆課税の増徴に求むべきではなく、大法人や大資産家ないし社会的強者に対して厳しく強い態度をとってする課税に求むべきであると考えますが、いまそのような処置に出る決意ありや否や、率直にお答えをいただきたいのであります。  次に、週休二日制の問題が、酒、たばこ値上げ審議に伴い衆議院及び本院の大蔵委員会において論議せられ、大平大蔵大臣は、この問題を関係閣僚懇談会に提案し、その、実現に努力する旨を約束しておられるのであります。その後、内閣においては、関係各省庁連絡会議と第一ないし第五部会を設置して討議を求める一方、週休二日制の実現を阻む法規定の一つである銀行法第十八条の改正につき、金融制度調査会において審議中と聞いておりますが、関係各省庁連絡会議及び各部会の討議につきましては官房長官に、金融制度調査会の審議につきましては大蔵大臣に、その進行状況及びいつごろをめどにその結論を出そうとしておられるのかを報告していただきたいのであります。  また、その実現は、その推進役である金融機関にありまして労使双方がこれを希望するとともに、わが国が勤労者の生活向上の面で、国際社会において先進諸国と肩を並べるに至ることを意味するのでありますから、わが国民が余りにもあくせくと働き、ゆとりと安らぎのある生活に乏しいことにかんがみ、豊かで潤いのある文化生活を目指してライフサイクル計画を唱道せられました三木総理としては、当然情熱を傾けてその実現に当たらるべきものと考えますが、総理は、その実現に努力せられる御意思がおありかどうか、また、週休二日制をライフサイクル実行計画中にお入れになるお考えがおありかどうかを伺いたいと存じます。  第四にお尋ねいたしたいのは、公共企業体労働者のスト権の問題であります。  この問題は、昭和二十三年の公共企業体等労働関係法の制定に始まるのでありますが、以来、公企体労働者は、憲法第二十八条によって保障せられた罷業権を不法に奪われたとして、その回復を求めて闘い続け、昭和四十八年四月、交通ゼネストを計画いたしました。時の田中角榮総理大臣は、このゼネストを避けるため、共闘委員会との間に七項目の合意を遂げておられます。その合意の中心は、労働基本権問題については、第三次公制審において、今日の実情に即して速やかなる結論が出されることを期待するとともに、答申が出された場合はこれを尊重するという点にあったことは言うまでもありません。そして労働者側は、政府のこの合意を信じてストを中止いたしました。この公制審の答申は、八年の歳月を費やしてつくられたもので、その年の九月三日に田中前総理に対してなされておるのであります。その内容が、スト権回復について非とするもの、国民生活への影響の少ないものについてのみこれを認むべきとするもの及び条件つき是認論との三論併記でありましたことは周知の事実であります。政府は、この答申のなされました時点で、いずれかに決断して問題の解決に当たるべきであったのであります。しかるに、政府はその決断をなさず、昭和四十九年四月に至り、労働側が戦後最大規模のストライキをもって政府に迫るや、さらに労働側と五項目の了解事項を取り交わしたのであります。  この五項目の了解事項の第一は、政府が内閣官房長官を長とする関係閣僚協議会を設置することとしたのは、労働基本権問題を真剣に検討する姿勢であることを確認するというものである。第二は、この協議会においては、三公社五現業等の争議権等及び当事者能力強化の問題の解決に努力するというものでありました。そして、政府が、この結論について、昭和五十年秋ごろまでに結論を出すよう努力すると約束したことは各位の御存じのところであります。労働側は、この政府の約束を信じてストライキを終息せしめたのでありました。それは政府がスト権の問題で前向きに取り組むと信じたからでありまして、しかく信ずるのは、その前年の七項目の合意や五項目の了解事項、並びに政府がこれによってストライキの中止を求めた経緯などからして当然と言わなければなりません。  本年に入って後も、政府国会においてスト権の付与を迫る野党議員質問に対し、スト、処分、スト、処分の悪循環は今春闘限りでやめにいたしたいと総理及び労働大臣の口を通じて言明をいたしておるのであります。  前述の経緯よりして、国民がこの総理や労働大臣の答弁をもって、スト権の付与について前向きの答弁と理解するのは当然ではないでしょうか。しかるに、政府やその代弁者らは、その後、この答弁は公労協がストライキをしないことを求めたものであると、まるで正反対の意味のごとく強弁をしておるのでありまして、国民を欺くことはなはだしく、破廉恥なること言語に絶するものと言わなければなりません。(拍手)これこそ、不正直なる政治家の模範として長く歴史にとどめられるに違いありません。  しかも政府は、専門委員懇談会なるものを閣僚協議会に付置して時代に逆行する結論を導かしめ、それに責任を押しつけたばかりか、それをもとにさらに検討することとしておるのでありますから、七項目の合意や五項目の了解事項によって結論を出すことを約束したその約束の履行なるものは、結局検討するという結論を出したにすぎないことになります。これは何らの意味をなしません。単に事態の解決を引き延ばすための手段にすぎなかったことが明らかであります。  総理、あなたはしばしば、自分は正直であり、約束は守ると言われる。しかし、事、スト権問題に関しては、あなたの出処進退は、自民党のタカ派によってがんじがらめにされたためか、完全に自主性を喪失した醜い限りと言うほかはありません。それがみずから「議会の子」と称する者のすることでございましょうか。もうごまかしはやめていただきたい。そしてこの際、あなたの真意は、スト権付与について前向きに行動せんとするものなのか、それともタカ派に迎合して総理のいすを失うまで灰色のままでごまかして通そうとするものなのか、この際はっきりと答弁していただきたいのであります。そうでなくして、依然としてあいまいもこたる答弁ですり抜けようとするのは、国会審議を形骸だけのものにしてしまうのであります。それでは、あなた方が労働者側に対して、元来スト権問題は国会の問題だから、ストはやめて国会の場で論議しようじゃないかと言ったことは、一片のごまかしとなってしまうのではないでしょうか。  これに関連して官房長官にもお尋ねをいたしたいのであります。専門懇の委員が、それぞれの分野においてかなりの専門的知識を持っておられることは事実といたしましても、いずれも労働問題の専門家とは言えず、しかも、そのほとんどが古き時代感覚の当局寄りの意識を持つ人々であることは疑いありません。政府は、今後もこの問題の解決に当たっては、関係閣僚協議会に何らかの諮問機関を付置せしめるつもりなのかどうか。また、諮問機関の委員の選任はどのような基準で行うつもりであるかを明らかにしていただきたいのであります。  次は、酒税の引き上げについてでありますが、われわれはこの問題の審議に当たり、まずもって、清酒、ビール、ウイスキー、ブランデー、ワインなどについてその原価を知りたいと考えてこれを当局にただしたのであります。と申しますのは、たとえば、ウイスキー特級七百二十ミリリットル、一千六百五十円の中身の原価はせいぜい七十円前後であると言う専門家もおるのでありまして、何ゆえにそれに対してさらに今回百四十九円二十五銭の税の引き上げを行わねばならないかという疑問が当然に生ずるからでありまして、それはひとりウイスキーのみならず、今回税を引き上げんとする酒類全体に係る疑問なのであります。しかるに、政府は企業秘密に藉口してこれを明らかにすることを拒み、わずかに秘密理事会に対する資料の提出を約束したにとどまるのでありまして、本両法案審議に役立つものでないことは余りにも明らかであります。この問題は、独禁法上の原価公表の規定に関連いたしまして、国民の注目を浴びたことでもありますが、常に公益と衝突するものであり、政府自民党は、企業秘密は国民全体の利益に係る重要法案についての国会審議権にも立ちまさる法益であるとするのでありまして、遺憾この上もありません。われわれは、この問題について審議を尽くし、国民の前にこの問題の真相を明らかにするためにも、ぜひとも政府がこの際、全員の前に酒類の原価について報告せられんことを強く要求するものであります。  私の質問事項は多岐にわたり、まだ多々ございますが、ひとまず、以上の問題について政府の答弁を求め、さらに再質問の機会を得たいと存じます。(拍手)    〔国務大臣三木武夫君登壇拍手
  30. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 寺田君の御質問にお答えをいたします。  この酒、たばこ法案は、自民党の単独採決によって、私の言う「対話と協調」の姿勢を破ったではないかという御質問でございますが、私は、「対話と協調」の姿勢というものは、三木内閣の続く限りこれを変えることはありません。しかし、「対話と協調」ということは、結局、与野党の間に適当なやはり妥協がなければ国会運営はできるものではありません。そういうことから考えてみますると、この酒、たばこの二法案は、前国会衆議院で二十五時間、参議院で五十時間に及ぶ審議を尽くして、衆議院で二回にわたって議決をされている。しかも、今年度の予算の中には、すでにやはり予算の中に計上されておるわけでございます。予算は成立しても、その裏づけの法案、裏づけの財源というものが、ここにまだ酒、たばこ法案国会において可決をされてないというものでございます。したがって、「対話と協調」というのは、もう幾ら、いつまでたっても決着がつかぬということでは、これはもう議会というものは運営する方法はありません。だから、ある国々によっては、法案審議に対して審議の期間というものを限定する国さえある。幾ら待っても決着がつかぬということでは、年じゅう国会を開いても国会は決着がつきませんから、ある限度においては、やはり国政に対して責任を持っておる与党として、そして法案の通過を図らなければならぬ場合がある。そうでなければいつまでたっても決着がつかぬということは、議会制民主主義の本旨から考えて私は好ましくないと考えて、自民党が横暴をしておるとは思わないわけでございます。  それから、いろいろ税制面で社会的不公正という点がお話がございましたが、われわれは不公正税制というものに対しては、各種の租税特別措置法についても従来にも増して一層負担の公平の観点から見直しを行う必要があると考えて、五十一年度の税制改正でも全面的に見直しを行うため目下検討を進めているところでございます。いろいろ各種の準備金、特別償却制度などについても税制調査会の意見も聞くなど、鋭意検討を進めておる次第でございます。  また、社会保険診療報酬課税の特例の是正について御質問がございましたが、この問題は長い経緯もある問題でございまして、国民全体の納得のいくように対処したいと思っておりますが、次回の診療報酬決定と同時に改正を実施したいという政府の基本方針は変わらないものでございます。  それから次に、交際費の課税について政府の方針を御質問になりましたが、従来から政府は交際費の課税は強化するという方針に変わりはございません。来年度の税制においてもどのようにこれを強化するかということについては検討をいたしておるところでございます。  また、法人の法人擬制説、法人実在説という法律論からいろいろ御議論がございましたが、これは政府はそういう法律論によって左右されるというのではなく、配当に対して法人税と所得税とをどう課税するかというこの調整のあり方の問題としてこれを検討いたしておる次第でございます。すなわち、一遍法人税を課税したその所得に再び法人税や所得税をどう課税するかというその税の調整のあり方の問題としてこれを検討いたしたいと考えておる次第でございます。  また、週休二日制については、国民的な合意が得られるよう、そういうことに気を配りながら今後推進してまいりたいと考えております。  また、ライフサイクル計画については、これはぜひとも実現をしたい。何分にもその内容は多岐にわたっておりますので、内閣にも生涯設計計画検討連絡会議を設け、また、自民党においても目下検討を進めておる次第でございます。  スト権の問題についていろいろお話がございましたが、政府は今後結論を出すに至るまでには、昭和四十八年、四十九年の春闘や公制審の答申など、経緯というものも十分に踏まえ、また今回の専門懇の意見書などもこれを十分に踏まえて、政府としてのこの労働基本権の問題に対する結論を出したいと考えておる次第でございます。  これは私は「議会の子」と言われ、みずから称しながら、今回のストに対する態度はけしからぬという御非難でございましたが、私は、やはり議会の子であるという私の立場から考えて、議会制民主主義というものは守り抜きたいということでございます。したがって、スト権の問題というものは、ストライキの圧力によってこれを決断すべき性質のものではないのでございます。国会において、これは公労法の改正の問題に伴うものでございますから、国会において法律の改正を伴うことを外部の大衆的圧力によって三木総理決断せよということは、議会制民主主義の根幹に触れると思って、私はこういうことに対しては回答をいたさなかったわけでございます。(拍手)スト権のストの処分、またこれに対するストというこの悪循環は断ち切って、日本の労使関係を健全な軌道に乗せたい、これはもう私の変わらない考えでございます。そのためには労働組合においても法律を守る。現行の法律は自分は気に入らぬから守らぬということでは、これはやはりいつまでたっても労使関係というものは健全になりませんから、気に入らない法律法律を改正する。改正がされない場合は法律を守るということが前提になければ、労使関係というものはなかなか健全にはまいらない。(拍手)そういうことで、やはり法律は守る。目的のためには手段を選ぶ。手段もまた合法的な態度によって、そしてその改正を行う。大衆的な圧力によって、国会で決定すべきことを圧力によって変えるというような、目的のために手段を選ばぬという方法はとらない、こういうことが前提にないと、なかなか労使関係の健全化というものは図られない、こう私は考える次第でございます。(拍手)    〔国務大臣大平正芳君登壇拍手
  31. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 社会的不公正是正という見地から今回の値上げをどう評価するかという観点からの御質疑でございました。あらまし総理大臣からお答えがございましたが、若干私から補足を申し上げたいと思います。  第一は、租税特別措置の見直しでございますが、今日の租税特別措置は、数え方によっていろいろございますけれども、百八十ぐらいあるわけでございまして、交際費の問題も含めまして、七千九百六十億ばかりがいま軽減されておるわけでございます。今日の財政難の状況にかんがみまして、この全面的な洗い直しにつきまして、ただいま税制調査会に御審議を願っておりますところでございます。もとより、それぞれの政策的措置でございまするので、いろいろな異論が各界から出ておりますことは御指摘のとおりでございます。政府といたしましては、それぞれのアイテムにつきまして、個別具体的にその是非につきまして対応してまいりたいと考えておるわけでございます。  それから交際費課税でございますけれども、これは何回か強化してまいりまして、損金不算入割合を七五%まで引き上げてまいったわけでございますが、今回の見直しにおきましても、さらに強化の余地がないかということにつきまして検討いたしておるところでございます。  配当に対する問題につきましては、いま総理大臣がお答えになられたとおり私どもも考えておるわけでございます。総じてこういう不公正に対しましては鬼のような気持ちで対処せなけりゃならぬと考えております。(「どちらに対してですか」と呼ぶ者あり)不公正に対してであります。それはどういう階層であれ、不公正に対しては戦っていかなければならぬと決意いたしております。  それから週休二日制でございますが、これは寺田さん御指摘のように、金融制度調査会に銀行法の改正問題の一環として御審議を願っておるわけでございます。まだ金融機関の週休二日制自体を、それだけを孤立した問題として御検討いただいておるわけじゃございません。銀行法の改正の一環として御審議を願いたいという諮問をいたしておるわけでございます。いつまでに結論を期待しておるかということでございますが、これは社会、経済に与える影響もきわめて大きい問題でございまするし、銀行法自体が長く手をつけていなかった問題でございますので、多くの問題点をはらんでおりまするので、急いで結論を期待するわけにはまいらないと考えておりまして、相当な期間をかけて充実した御審議を願いたいというように求めておるところでございます。  それから最後に、酒類の原価につきましての御質疑でございました。これは申すまでもなく企業の秘密でございまするので、公開を政府の手でいたすべきでないという態度をかたくなにとってまいりましたことは御指摘のとおりでございます。お互いが守っていかなければならぬ自由社会のこれはモラルでございまするので、政府もこの点は守ってまいらなければならぬと決意いたしております。ただ、法案の御審議に当たりまして、必要な限度におきまして、御審議のために原価——銘柄別の原価ではなくて、グループ別の原価というようなものにつきまして、御要望にこたえて御審議の資に供しておるわけでございます。銘柄別の原価につきましては、さような趣旨で、私どもは企業の秘密を侵すわけにはまいらぬという態度は御了承賜りたいと思います。(拍手)    〔国務大臣田中正巳君登壇拍手
  32. 田中正巳

    ○国務大臣(田中正巳君) 御承知のとおり、報酬改定のためには中医協の答申を得ることが必要であります。ただいままでのところ、関係当事者の間の合意が得られず延び延びになっておりますが、なるべく速やかに中医協の再開ができるよう懸命の努力中であり、目下微妙な段階に来ているものと考えております。したがって、ただいまのところ、診療報酬改定の告示の時期について申し上げ得る段階にまでは参っておりませんが、本件はできるだけ早く決着を見るようにいたさなければならぬと思っております。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫君登壇拍手
  33. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 五十年度の国民生活白書によれば、消費時代から省資源、省エネルギー時代に入っておる、こういう観点から企業交際費に対する課税を強化すべきではないか、こういう御所見を交えての質問でございますが、交際費課税につきましては、御承知のように、もうしばしば損金不算入割合を拡大してきておるわけでありまして、かなりのところまで来ておるわけでございまするけれども、御所見の御趣旨はよく私も理解できますので、税制調査会の意見も聞きまして善処する、こういうことにすべきである、かように考えます。(拍手)    〔国務大臣井出一太郎登壇拍手
  34. 井出一太郎

    ○国務大臣(井出一太郎君) お答えいたします。  週休二日制等につきましては、御指摘のとおり、昭和四十七年の秋に関係閣僚懇談会が設置をされまして、そのもとに翌年事務レベルの関係省庁連絡会議が設けられたような次第でございます。  そこで、この連絡会議は第一部会から第五部会まであるのでございまして、その中の第一部会が非現業の公務員の関係、第五部会が金融機関関係、これが一番中心になって鋭意検討を続けてきておるのでございますが、まだ現段階におきましては進行中の問題でございますから、結論ないしは時期等につきましてその内容を申し上げられるというところまでまだいっておりません。  それから第二点は、公企体関係の専門委員懇談会、これについてお触れになったわけでありますが、これは昭和四十九年の四月十日、五月十日、この二回にわたって閣議決定がなされまして、そのもとに専門委員懇談会というものが設けられて、これは公制審の答申を尊重しつつ、そうして三公社五現業等に関するあるべき性格あるしは労働基本権の問題等につきまして、長いこと、一年半近くずっと検討をしてまいりましたわけでございまして、これは私どもは、長い間の苦心による意見書でございますから、これを尊重しなければならぬ立場でありまするし、かつまた、この専門委員懇談会が何らかの結論を出すために政府との間の脈絡がどうかというふうなことも言われましたが、決してさようなことはない、非常な高い見識の皆さんによって推進をされたわけでございます。  それから政府の出しました基本方針、五項目ございますが、これについて今後何らかの機関を設けて検討するかどうかと、こういうお問いでございますが、これは現在閣僚協議会がまだ存置してございます。したがいまして、近くこれに諮りまして、今後どういう方向でやってまいるかということを早いところ話を詰めまして、そしてこの基本方針を推進するための努力をいたしたい、かように存じておるような次第でございます。(拍手)    〔桧垣徳太郎登壇拍手
  35. 桧垣徳太郎

    桧垣徳太郎君 寺田君にお答えをいたします。  御質問の要旨は、大蔵委員長の反省と心境を聞きたいということでございました。  去る十一月二十日の大蔵委員会における議事の処理は適法であり、やむを得なかったという考え方に変わりはございません。しかし、事実上御承知のような混乱状態を生じるという事態は、委員会運営責任者として遺憾に存じております。私としては、今後委員会の円滑かつ充実した審議を図るため、委員各位の御理解と御協力を得て、公正な運営を行い、国会の権威と信用を保持するよう努力をいたしたいと考えております。(拍手)      ——————————
  36. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) 寺田熊雄君外一名から、賛成者を得て、  本日の本会議に酒類の原価に関する資料を提出することを要求する動議が提出されました。  これより、本動議採決をいたします。  表決は記名投票をもって行います。本動議賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名点呼〕    〔投票執行〕    〔「ミスが多過ぎる」「投票やり直しだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
  37. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) ただいまの投票に際し、温水三郎君が氏名点呼の前に投票をされましたが、かかることのないよう厳重に注意いたします。投票に際しては、氏名点呼に応じて行うよう要望いたします。  投票漏れはこざいませんか。——投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖
  38. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) これより開票いたします。投票参事に計算させます。議場開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  39. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数        二百二十九票   白色票            百六票   青色票          百二十三票  よって、本動議は否決されました。(拍手)      ——————————   〔参照〕  賛成者白色票氏名      百六名       太田 淳夫君    矢原 秀男君       相沢 武彦君    塩出 啓典君       青島 幸男君    柄谷 道一君       内田 善利君    峯山 昭範君       桑名 義治君    上林繁次郎君       阿部 憲一君    三木 忠雄君       藤原 房雄君    黒柳  明君       矢追 秀彦君    原田  立君       田代富士男君    藤井 恒男君       木島 則夫君    鈴木 一弘君       山田 徹一君    宮崎 正義君       柏原 ヤス君    中村 利次君       田渕 哲也君    二宮 文造君       白木義一郎君    小平 芳平君       多田 省吾君    中尾 辰義君       向井 長年君    福間 知之君       矢田部 理君    案納  勝君       青木 薪次君    野田  哲君       対馬 孝且君    秦   豊君       浜本 万三君    赤桐  操君       大塚  喬君    小山 一平君       片岡 勝治君    田  英夫君       宮之原貞光君    鈴木美枝子君       神沢  浄君    前川  旦君       竹田 現照君    山崎  昇君       村田 秀三君    小野  明君       野口 忠夫君    栗原 俊夫君       茜ケ久保重光君    瀬谷 英行君       森  勝治君    戸叶  武君       田中寿美子君    竹田 四郎君       戸田 菊雄君    森中 守義君       志苫  裕君    森下 昭司君       近藤 忠孝君    山中 郁子君       粕谷 照美君    片山 甚市君       目黒今朝次郎君    橋本  敦君       安武 洋子君    内藤  功君       寺田 熊雄君    辻  一彦君       小巻 敏雄君    神谷信之助君       小谷  守君    工藤 良平君       上田  哲君    和田 静夫君       松本 英一君    小笠原貞子君       立木  洋君    沓脱タケ子君       鈴木  力君    中村 波男君       川村 清一君    杉山善太郎君       沢田 政治君    加藤  進君       塚田 大願君    安永 英雄君       鶴園 哲夫君    松永 忠二君       小柳  勇君    須藤 五郎君       岩間 正男君    星野  力君       阿具根 登君    野々山一三君       中村 英男君    秋山 長造君       藤田  進君    河田 賢治君       上田耕一郎君    春日 正一君     —————————————  反対者青色票氏名      百二十三名       宮田  輝君    寺下 岩蔵君       平井 卓志君    吉田  実君       中西 一郎君    山本茂一郎君       山内 一郎君    久保田藤麿君       木内 四郎君    佐多 宗二君       最上  進君    望月 邦夫君       森下  泰君    梶木 又三君       藤川 一秋君    福岡日出麿君       鳩山威一郎君    秦野  章君       夏目 忠雄君    林  ゆう君       安孫子藤吉君    青井 政美君       有田 一寿君    井上 吉夫君       石破 二朗君    中村 登美君       松岡 克由君    藤井 丙午君       桧垣徳太郎君    原 文兵衛君       中村 禎二君    高橋 邦雄君       細川 護煕君    宮崎 正雄君       林田悠紀夫君    佐藤  隆君       菅野 儀作君    石本  茂君       中山 太郎君    小林 国司君       寺本 廣作君    柳田桃太郎君       内藤誉三郎君    玉置 和郎君       高橋雄之助君    楠  正俊君       岩動 道行君    西村 尚治君       鍋島 直紹君    新谷寅三郎君       上原 正吉君    郡  祐一君       青木 一男君    徳永 正利君       小川 半次君    八木 一郎君       丸茂 重貞君    塩見 俊二君       志村 愛子君    河本嘉久蔵君       嶋崎  均君    棚辺 四郎君       中村 太郎君    戸塚 進也君       高橋 誉冨君    坂野 重信君       斎藤栄三郎君    山東 昭子君       糸山英太郎君    岩男 頴一君       岩上 妙子君    遠藤  要君       大島 友治君    大鷹 淑子君       斎藤 十朗君    古賀雷四郎君       黒住 忠行君    川野 辺静君       金井 元彦君    今泉 正二君       土屋 義彦君    山崎 竜男君       上田  稔君    初村滝一郎君       長田 裕二君    久次米健太郎君       鈴木 省吾君    世耕 政隆君       江藤  智君    藤田 正明君       大森 久司君    岡本  悟君       平泉  渉君    橘直  治君       町村 金五君    加藤 武徳君       安井  謙君    剱木 亨弘君       吉武 恵市君    増原 恵吉君       神田  博君    鹿島 俊雄君       大谷藤之助君    小笠 公韶君       亘  四郎君    橋本 繁蔵君       佐藤 信二君    亀井 久興君       岡田  広君    上條 勝久君       稲嶺 一郎君    矢野  登君       安田 隆明君    山崎 五郎君       高田 浩運君    増田  盛君       二木 謙吾君    源田  実君       熊谷太三郎君    植木 光教君       木村 睦男君    温水 三郎君       福井  勇君      ——————————
  40. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) 寺田熊雄君。    〔寺田熊雄君登壇拍手
  41. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 ただいまの総理の御答弁を伺いますと、このスト権の問題で各諮問委員会等の意見を尊重して検討してまいるというような御答弁でございますけれども、前向きに検討するのか、それとも後ろ向きに検討するのか、その辺のところをさらに明確にお答えをいただきたいと存じます。それでなければ、結局ストライキをやめて国会審議に問題を移せと言われた政府の御主張は全く意味をなさない単なるごまかしにすぎないことになると存じます。  なお、総理は、口を開けば違法のストライキと言われますけれども、労働者が最高裁判所でも説の分かれるような憲法上の問題に関して確信を持ってストライキをするのと、政治家が前言を翻してごまかすようなうそをつくのとどっちが罪が深いでしょうか。私は、総理が労働者に対して法を守れと言われるならば、それより以前に総理が、自分の一たび議会で言明した御主張を覆さずに正直にそれを守られること、そのことの方がより大切であると存じます。(拍手)  なお、総理が最も民主的な国家として自賛しておられるアメリカ合衆国の人権宣言を御存じだと思いますけれども、あの人権宣言においてすら、政府が不当に国民の基本的人権を侵害する場合には、国民は立って実力でその政府を転覆する反抗権を認めていることは御存じでございましょう。まして、政治家がうそを言って国民を欺くような状態の場合には、国民が立ってその基本的人権を守ろうとするのはきわめて当然の行動と言わなければなりません。(拍手)  なお、大平大蔵大臣の御答弁を伺いますと、大平大蔵大臣は、衆議院大蔵委員会において、週休二日制の問題は、銀行法第十八条の改正に関連して、たしかこれを二年間の期間をお与えいただきたいと言われたように記憶しておりますが、いかがでしょうか。いま大蔵大臣は期間を限れないとおっしゃったけれども衆議院における大蔵委員会の御答弁と相反する御答弁ではないでしょうか。さらに明確な御答弁を求める次第であります。  次に私は、公労協労働者のスト権の問題に関連してお尋ねをいたします。  これに関連いたしまして、第三次公務員制度審議会の答申も、三公社五現業の経営形態のあり方につきまして検討の必要を指摘してはおります。今回の関係閣僚協議会の専門懇意見書はさらに一歩を進めまして、たばこや工業用アルコール専売事業の民営化や分割などの具体的方策さえも勧告する勢いを示しておるのであります。しかしながら、スト権の問題は他のいかなる問題にも優先して憲法問題なのであります。何となれば、憲法第二十八条は勤労者の団結権、団体行動権を何らの制約なくして保障しておるのでありますから、これを制限したり剥奪したりするためには、必然に他の憲法規定にその根拠を求めなければならぬことは自明の理であります。  総理の先般の社会労働委員会における答弁によりますと、政府はその根拠を憲法第十二条に求め、公共の福祉との調和を図る上で制約を免れないとする見解を示すのであります。この公共の福祉について最高裁判所は、昭和四十一年十月の全逓中郵事件の判決において、これを「国民生活全体の利益」と説明しております。また、昭和四十八年四月の全農林警職法事件の判決におきましては、これを「勤労者たる地位にあるすべての者を包摂した国民全体の共同の利益を指す」と説明しておるのであります。ところが、たとえば専売公社における従業員のストライキがたばこの生産を一時的にストップしたといたしましても、現実には多くのストックもあることであり、何ら国民生活共同の利益を損なうものでないことは明らかであります。されば、山形地方裁判所は、昭和四十七年十一月二十七日になした判決におきまして、専売公社職員のストライキに関しては、公労法第十七条の規定は、憲法第二十八条に違反し無効であるとして、ストライキをなせる職員に対して科せる一切の懲戒処分を無効と判示しているのであります。この判決をもっていたしましても、今回の専門懇の意見書が、ストライキ権を付与する以上、専売事業を民営化しなければならぬとした見解がいかに憲法秩序を無視した近視眼的なものであるかが了解せられるのであります。  ところが、ここに一層奇怪なのは、この民営化に関する三木総理の見解であります。総理は、去る十一月五日の予算委員会におきまして、私が、公共企業体労働者のスト権付与の交換条件として民営論を持ち出すのは論外であるとして総理の御見解をただしたのに対して「公共企業体の経営形態、いろいろ議論があるわけです。それは当事者能力というような面からもそういうものが出てくるわけですが、政府は民営移管は考えておりません。」と、明確にストライキに関連して民営移管の意思のないことを表明しておられるのであります。これはよもや総理はお忘れでないと存じます。しかるに、その後総理は去る十一月十二日の本会議においては、わが党の辻議員のこの点に関する質問に対して若干後退せるごとき答弁をなし、さらに、専門懇の意見書の提出せられた後には、これを尊重する意思を表明し、去る十二月九日の社会労働委員会における答弁では、この件に関して何とも言えないという趣旨の、一層の後退を示す答弁をなしておられるのであります。およそ国民の重要なる権利に関する総理の答弁や見解がこのように目まぐるしく変化したり矛盾したりするのでは、国民政治に対して信頼を持つことができなくなるでありましょう。また、国会の論議そのものが全く権威を失うに至るでありましょう。そのような悲しむべき事態を招くことが、「議会の子」と自称する総理の好まれるところであるのでありましょうか。総理、あなたはこの際、十一月五日、予算委員会において公共企業体労働者に対するスト権の付与について、「政府は民営移管は考えておりません。」と答えられたその答弁を現在でも維持しておられるのか、それともそれを変節改論せんとせられるのか。もしも変節改論するというのであれば、その理由について明確なお答えを願いたいのであります。  次に、本日の新聞紙の報ずるところによりますと、政府は本二法案の実施についての発表をなさっておられるように承るのでありますが、いまだ本二法案審議が終わらない現在の時点においてそのような意図を御発表になるのは、著しくこれに反する。国民の神経を逆なでし、国会審議権を軽視する著しく不謹慎な措置と考えるが、どうでありましょうか。これに対する大蔵大臣の弁明を承りたいのであります。  まだ時間がございますので、以上の点について御答弁を願って、さらに質問を続けたいと存じます。(拍手)    〔国務大臣三木武夫君登壇拍手
  42. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 最初に、寺田君は私の姿勢について、基本権問題について前向きか後ろ向きかというお話でございました。私はどうも後ろへ向かって歩くのを得ておらない。私は常に私の政治は前へ向かって歩きたいと思っております。ただしかし、その前というのが、寺田君の言われる前というのはどういうことを意味するのか。私はこの問題に対して前とか後ろとかいうんでなくして、国民の納得のいくような正しい解決をしたいと考えておる次第でございます。  それから、政治家に限らず、だれでもこれはうそを言ってはいけないわけです。もう人間の社会生活のルールのこれは基礎になるわけですから、したがって、常に正直であることは当然でございます。しかし、一方において、もし法律に対して、実力でもって、法律があっても、その目的を達したことが、それをそういうことを認めるということになれば、法治主義というものはこれは成り立たないわけであります。したがって、人の立場によってこの法律は悪い法律だと思う法律があるでしょう。しかし、それならばその法律を改正しなければいけないわけです。改正の前に自分の立場から判断して、この法律は悪い法律だから守らなくてもいいということが認められるならば、これはもう法治主義もあるいはまた議会制民主主義というものも維持できるものではないと思いますから、私は、悪法であると思っても実力によって法律を破る行為は認めるわけにはいかないわけでございます。  それから民営への移管についてでございますが、私はいま個々の公共企業体について、これを具体的に民営に移すべきだというふうに考えていないんです、私自身は。しかし、世間には、いまの公共企業体あるいは五現業などに対して、全部いまの企業形態で置いていいかどうかということに対して相当な疑問が投げかけられておるわけです。国民の中にもこの経営形態というものはもう一遍検討し直すべきでないかという意見も多いので、私は、今度当事者能力もこれは強化しなければならぬことは言うまでもないわけですから、当事者能力を強化しなければ、もうストライキというものは最後最後の手段ですから、当事者が交渉能力を持たなければ、交渉もやらない前にストをするというようなことはこれは邪道であります。そういうことでありますから、やはり当事者能力の強化ということと企業形態とは関連を持っておりますから、十分検討をしてもらいたいと思っております。私が現在この企業を皆民営に移したいという具体的な考え方を持ってないことは事実でございます。しかし、そういう議論もございますから、今後十分な検討をしていただきたいと思っておる次第でございます。  お答えをいたします。(拍手)    〔国務大臣大平正芳君登壇拍手
  43. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 金融制度調査会に銀行法の改正の審議をお願いするにつきまして、二ヵ年以内というような期限を付しておるわけではございませんので、そういうことを私は申し上げた覚えはございません。ただ、銀行法自体が大変な改正でございまするので、仰せのように、みっちり御審議をいただくには少なくとも二ヵ年ぐらいの期間は必要ではなかろうかと考えております。  それから第二点でございますが、ただいま御審議をいただいておりまする二法案が成立いたしました暁、いつ実施するかということでございますが、これにつきまして政府は、まだいつ実施するかということは決めておりません。成立させていただきました暁におきまして一時、準備の状況、諸般の事情を考慮いたしまして、行政府として最善の日を選びたいと考えております。(拍手
  44. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) 寺田熊雄君。    〔寺田熊雄君登壇拍手
  45. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 第七番目の質問といたしまして、酒類を筆頭とする食品の分野における大企業製品と国民の健康の問題についてお尋ねをいたします。  これら企業製品の原料中にさまざまな化学物質の含まれておることは社会的に顕著な事実であります。また、それら化学物質の中には国民の健康に悪影響のあるものがありますことも過去幾多の実例の示すところであります。ところが、これに対する政府の措置は、有吉佐和子氏の小説「複合汚染」に興味深く指摘せられておりますように、ほとんど無為無策と言わざるを得ず、国民の生命と健康を守るという政府の基本的任務をおろそかにするものであるばかりか、かえって企業秘密の保護という名目に隠れ、営利のために手段を選ばぬ大企業の代弁者たる観さえもあるのであります。総理、あなたは、このような大切な問題を弱い立場の官僚や大臣にゆだねてはなりません。あなた御自身が、国民の生命と健康を守るため、異常な決意をもってこの問題に取り組み、すべての食品企業に対し、その製品の含有物の公開を命じ、国民が安堵してみずからの選択せる食品を摂取することができるよう有効な措置を講ずべきであると考えるのでありますが、いかがでしょうか。総理並びに厚生大臣のこの点に関する見解をお伺いする次第でございます。  なお、この際、特に最近論議の的となっておるいわゆるアル中の問題につきましても総理の注意を喚起いたしたいのであります。今日のアルコール消費量の増大を支えているものには、いわば勤労者の抑圧されたやりきれなさがあるのでありまして、それはまさに政治の貧困の反映であると言っても過言ではありません。政府は酒の税を取るばかりが能ではありません。飲酒のもたらす社会的な諸問題について国民に警告し、健全な飲酒ついての関心を喚起するような活動を強めるべきではないか。政府にこの点に関する抱負や施策があるならば、この際、明確にしていただきたいのであります。  最後に、国民がこのたびの酒、たばこ値上げ反対するゆえんのものは、一つには、冒頭に述べました税制面における社会的不公正の存在によるものでありますが、いま一つは、本年に入って物価がやや鎮静を見たとはいえ、昨年わが国の消費者物価指数の歴年上昇率が二四・五%と、他の資本主義国家のそれに比し著しく高く、国民に対して生活上多大の苦しみを与えたこと、並びに公共料金引き上げが今後における物価高騰の引き金になるおそれがあるためであります。  ことに、今回のたばこ値上げは低所得者層ほど大きくその影響を受け、恵まれざる大衆のささやかな生活の喜びをも奪う結果となるのであります。したがって、低所得者層に対するせめてもの贈り物として政府は新規の百円たばこを製造する意図はないか。社会的弱者に対する何らの配慮をも行わないような画一的値上げは社会的不公正是正に逆行する政治ではないだろうかと考えるのであります。  以上に関する総理並びに関係大臣のお考えをお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣三木武夫君登壇拍手
  46. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 寺田君の食品に対しての安全性というものに触れて、このことは政府の行政の中できわめて基本的な問題の一つでございます。したがって、厚生省においてはこの問題に対して細心の注意をいたしておるわけでございますが、詳細は厚生大臣からお答えいたすことにいたします。(拍手)    〔国務大臣田中正巳君登壇拍手
  47. 田中正巳

    ○国務大臣(田中正巳君) 食品安全行政の要諦は、国民の健康、生命と近代生活の調和点をどこに求めるかということだと思われますが、国民がこの問題について非常に関心の深いことを踏まえて細心かつ真摯に対処する所存であります。  また、酒類に用いられていた添加物のうち、保存料、防腐剤のサリチル酸は本年七月二十五日付をもって使用禁止の措置をとったところでありまして、ただいまのお酒にはサリチル酸は入っておりません。しかし、現在、酒類に使用されておる添加物といたしましては、酸味料、たとえばコハク酸とか乳酸等がございますが、さらにグルタミン酸ナトリウム等の調味料と両方が入っておりますが、このうち乳酸については、光学異性体において設けられた区別に基づいて、L体のものは問題がないのですが、D体のものについては嬰児、まあWHOの報告ではペリー・ヤング・インファントとか書いておりますが、この嬰児において代謝性の点についてやや問題があると言われておりますが、大人については心配がないものと報告されております。したがいまして、大人が酒を摂取する場合においては添加物においての害はないものというふうに考えております。(拍手)    〔国務大臣大平正芳君登壇拍手
  48. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 酒のような致酔飲料と犯罪とか衛生との関連につきましての御指摘でございました。  幸いにいたしまして、わが国は酒造業、製造から販売の段階まで政府の厳重な監督下に置いておるわけでございまして、製造石数、品質等につきましても厳重な規制を加えておるわけでございまするので、酒類行政全体を通じまして、これが社会悪の増幅につながることのないように配慮してまいらなければならぬと考えております。  それから第二の御質問の、百円たばこという銘柄をつくり出すつもりはないかという御指摘でございます。この問題は、百円のたばこでございますが、これは全体の紙巻きたばこの平均原価を割るたばこになるわけでございまして、全体、財政事情から申しまして大変困難であると思いますし、また、原料事情から見ましても、技術的にもいろいろ困難がございますので、ただいま政府はこれを考慮をいたしておりません。(拍手)      ——————————
  49. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) 安永英雄君から、賛成者を得て、  両案の審議に資するため、議員派遣を行うこととし、派遣地、派遣期間及び派遣議員議長に一任することの動議が提出されました。  これより本動議採決をいたします。  表決は記名投票をもって行います。本動議賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名点呼〕    〔投票執行
  50. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) 投票漏れはございませんか。——投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖
  51. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) これより開票いたします。投票参事に計算させます。議場開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  52. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数        二百二十四票   白色票             百票   青色票          百二十四票  よって、本動議は否決されました。      ——————————   〔参照〕  賛成者白色票氏名      百名       太田 淳夫君    矢原 秀男君       野末 陳平君    喜屋武眞榮君       相沢 武彦君    塩出 啓典君       青島 幸男君    内田 善利君       桑名 義治君    三治 重信君       上林繁次郎君    阿部 憲一君       三木 忠雄君    藤原 房雄君       黒柳  明君    矢追 秀彦君       原田  立君    田代富士男君       藤井 恒男君    木島 則夫君       鈴木 一弘君    山田 徹一君       宮崎 正義君    柏原 ヤス君       田渕 哲也君    二宮 文造君       白木義一郎君    小平 芳平君       多田 省吾君    中尾 辰義君       向井 長年君    福間 知之君       矢田部 理君    案納  勝君       久保  亘君    青木 薪次君       野田  哲君    対馬 孝且君       秦   豊君    浜本 万三君       小山 一平君    片岡 勝治君       田  英夫君    宮之原貞光君       鈴木美枝子君    神沢  浄君       山崎  昇君    村田 秀三君       野口 忠夫君    栗原 俊夫君       瀬谷 英行君    森  勝治君       戸叶  武君    田中寿美子君       竹田 四郎君    戸田 菊雄君       森中 守義君    志苫  裕君       森下 昭司君    山中 郁子君       粕谷 照美君    片山 甚市君       目黒今朝次郎君    橋本  敦君       安武 洋子君    内藤  功君       寺田 熊雄君    佐々木静子君       辻  一彦君    小巻 敏雄君       神谷信之助君    小谷  守君       上田  哲君    和田 静夫君       松本 英一君    小笠原貞子君       立木  洋君    沓脱タケ子君       鈴木  力君    中村 波男君       川村 清一君    杉山善太郎君       沢田 政治君    加藤  進君       渡辺  武君    塚田 大願君       安永 英雄君    鶴園 哲夫君       松永 忠二君    小柳  勇君       須藤 五郎君    岩間 正男君       星野  力君    阿具根 登君       野々山一三君    中村 英男君       秋山 長造君    藤田  進君       河田 賢治君    春日 正一君     —————————————  反対者青色票氏名      百二十四名       宮田  輝君    寺下 岩蔵君       平井 卓志君    吉田  実君       中西 一郎君    山本茂一郎君       山内 一郎君    久保田藤麿君       木内 四郎君    佐多 宗二君       最上  進君    望月 邦夫君       森下  泰君    梶木 又三君       藤川 一秋君    福岡日出麿君       鳩山威一郎君    秦野  章君       夏目 忠雄君    林  ゆう君       安孫子藤吉君    青井 政美君       有田 一寿君    井上 吉夫君       石破 二朗君    中村 登美君       松岡 克由君    藤井 丙午君       桧垣徳太郎君    原 文兵衛君       中村 禎二君    高橋 邦雄君       細川 護煕君    宮崎 正雄君       林田悠紀夫君    佐藤  隆君       菅野 儀作君    石本  茂君       中山 太郎君    小林 国司君       寺本 廣作君    柳田桃太郎君       内藤誉三郎君    玉置 和郎君       高橋雄之助君    楠  正俊君       岩動 道行君    西村 尚治君       鍋島 直紹君    新谷寅三郎君       上原 正吉君    郡  祐一君       青木 一男君    徳永 正利君       小川 半次君    八木 一郎君       丸茂 重貞君    塩見 俊二君       志村 愛子君    河本嘉久蔵君       嶋崎  均君    棚辺 四郎君       中村 太郎君    戸塚 進也君       高橋 誉冨君    坂野 重信君       斎藤栄三郎君    山東 昭子君       糸山英太郎君    岩男 頴一君       岩上 妙子君    遠藤  要君       大島 友治君    大鷹 淑子君       斎藤 十朗君    古賀雷四郎君       黒住 忠行君    川野 辺静君       金井 元彦君    今泉 正二君       土屋 義彦君    山崎 竜男君       上田  稔君    初村滝一郎君       長田 裕二君    久次米健太郎君       鈴木 省吾君    世耕 政隆君       江藤  智君    藤田 正明君       大森 久司君    岡本  悟君       平泉  渉君    橘直  治君       町村 金五君    加藤 武徳君       安井  謙君    剱木 亨弘君       吉武 恵市君    増原 恵吉君       神田  博君    伊藤 五郎君       鹿島 俊雄君    大谷藤之助君       小笠 公韶君    亘  四郎君       橋本 繁蔵君    佐藤 信二君       亀井 久興君    岡田  広君       上條 勝久君    稲嶺 一郎君       矢野  登君    安田 隆明君       山崎 五郎君    高田 浩運君       増田  盛君    二木 謙吾君       源田  実君    熊谷太三郎君       植木 光教君    木村 睦男君       温水 三郎君    福井  勇君      ——————————
  53. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) これにて午後三時まで休憩いたします。    午後二時四十分休憩      ——————————    午後三時七分開議
  54. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案に対する質疑を続けます。野田哲君。    〔野田哲君登壇拍手
  55. 野田哲

    ○野田哲君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案について、数点にわたって質問を行います。  三木総理並びに大平大蔵大臣に対して、酒、たばこ法案の内容に入る前に、きわめて重要な問題についてまずその見解を求めたいと思います。  先ほど寺田議員も指摘をいたしたところでありますけれども、本日の読売新聞朝刊の報道によると、政府並びに大蔵当局は、酒の値上げについては十二月十六日、たばこ値上げについては十二月十七日にもこれを施行するとの方針であることを報じています。この態度は議会軽視もはなはだしいと断ぜざるを得ません。現に、いま酒、たばこ法案については、ただいま国会審議を行っている最中であります。その内容はどのようになるかは結論が出ていないのであります。それにもかかわらず、その施行日を法案審議終了前にすでに決定し、これを公表するとは一体いかなることでありますか。議会審議に対するはなはだしい侮辱であると同時に、消費者に対しては買い占めを政府みずからがあおり立てる行為であり、私たちは絶対に容認することはできません。厳重な抗議を表明するとともに、総理並びに大蔵大臣がこのことについてどのような見解を持っておられるか、明快なる答弁を求めるものであります。  次に、ただいま議題となりました酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案について、三木総理並びに関係閣僚に対して数点にわたって質問を行います。  まず第一に、この二法案の今日までの取り扱いについて、政府並びに与党の最高責任者である三木総理に対して、その基本姿勢について見解を承りたいと思います。  三木総理、あなたはちょうど一年前に総理に就任した際、その三十数年に及ぶ議員活動から、みずからを「議会の子」と称し、その政治姿勢については「対話と協調」を基本とすること、議会制民主主義を守ることを事あるごとに強調されています。三木内閣発足以来一年間、あなたの総理・総裁としての政治姿勢を見るとき、一年前にあなたが国民に約束された「対話と協調」は単なる言葉の虚飾にすぎず、その実態は歴代総理・総裁にまさるとも劣らない専横そのものであると断ぜざるを得ないのであります。そのことについて具体的な例を挙げて政府・与党の総理・総裁としての明確な見解を承りたいと思うのであります。  すなわち、ただいま議題となっている酒、たばこに関する二法案は、前七十五国会において全野党反対によって廃案になったものであります。多くの国民は、この措置に対して大きな共感を寄せ、拍手喝采を送ったのであります。にもかかわらず、政府は再度この法案を本臨時国会に提案し、しかも、桧垣大蔵委員長は前国会に引き続いて再度強行採決を行い、加えて大蔵委員会における大平大蔵大臣趣旨説明についても、野党不在の中で一方的に強行されているのであります。  このように、国民生活に大きな影響をもたらす酒、たばこの二法案については強行に次ぐ強行を行い、一方、経済の民主化、物価の安定を図るための独占禁止法の改正については、前国会において全会一致をもって衆議院を通過しているにもかかわらず、これについては再提出を行わないのみか、今後の提案の約束さえも言を左右にして明確にしない態度に対しては、大きな不信と疑惑の念を抱かざるを得ないのであります。三木総理がその発足に当たって強調した「対話と協調」という政治姿勢は、単なる言葉の虚飾であったのか、あるいは自由民主党の体制に押し流されて、その政治の基本姿勢さえも変えざるを得なかったのか、総理の明快な所信を伺いたいのであります。  次に、三木総理並びに大平大蔵大臣に対し、具体的な数点にわたって質問を行い、これに対する見解を求めます。  その第一点は、日本専売公社の経営形態と公社職員の労働基本権について伺います。去る十二月一日、政府は、三公社五現業等のストライキ権問題について政府声明を発表いたしました。この政府声明の第二項において、いわゆる「専門委員懇談会の意見書の趣旨を尊重し」とうたっておりますが、この専門委員懇談会の意見書においては、たばこ専売事業の経営形態について、専売公社を分割し、民営に移管することを提起しているのであります。しかし、専売公社の経営形態のあり方については、今日まで各種の諮問機関等で長年にわたって討議、検討が行われており、その代表的なものを挙げると、昭和三十九年九月の臨時行政調査会が行った答申、さらに昭和四十三年十一月二十一日の財政制度審議会が行った報告、これらの関係法令に基づいて設置された機関の答申や報告は、そのいずれも、現行の公社制度による経営形態を存続させることを基本にしてそれぞれ改善すべき点を指摘しているのであります。加えて、臨時行政調査会の答申は、現行経営形態のもとで、専売事業に働く労働者に対する争議権の付与を提示をしているのであります。専門委員懇談会の答申にある日本専売公社の分割、民営移管という趣旨とは、その経営形態について真っ向から対立する内容になっているが、三木総理並びに大平大蔵大臣は、これらの相対立する意見、答申、報告に対してどのような立場をとろうとされているのか、まずその点についてそれぞれ明確な答弁を求めるものであります。  あわせて、専売公社が公共企業体等関係閣僚協議会専門委員懇談会に対して、経営形態についての基本的な考え方、経営形態の諸問題、当事者能力の問題としての予算制度、給与総額制度、特別給与、たばこ定価の決定方式、専売納付金制度、労使関係の現状等について、本法案審議にとってきわめて重要な問題点について何回か説明資料を提出されていると聞き及んでいるのであります。これを本法案審議の資料として提出されるよう求めるものであります。  第二は、たばこの原料政策の今後の展開について大蔵大臣、農林大臣にその所信を伺いたいと思います。たばこの主原料である葉たばこの国内自給率は現在約七〇%と聞き及んでおりますが、今後の原料政策として、国内自給率と国外への依存度の割合をどのように考えておられるのか。また、その原料の安定的かつ経済的確保のために、国内自給率の維持についてどのような施策がとられているか、それぞれ所見を伺いたいと思います。  特に、国内自給率を安定的に維持していくためには、葉たばこ耕作者に対する積極的な施策が強く望まれているところでありますが、現在の農林省の施策としては、葉たばこ作付農地の造成改良、育苗施設、乾燥施設、農業機械の導入等に対する資金の貸し付けにとどまっており、実質的な施策の大半は、専売公社並びに耕作地の所在する自治体からの補助金、助成金に依存している実態であります。国際情勢が流動的な今日、原料の安定的確保のために、国内耕作者に対する積極的な施策が求められており、これに対する両大臣の見解を伺いたいと思います。  次に、日本専売公社の五ヵ年を単位に進められているいわゆる長期計画、中期計画等のあり方について大蔵大臣にその見解を求めるものであります。  日本専売公社は、昭和四十三年十一月に「これからのたばこ事業」と題する新長期計画を策定し、それに基づいて四十四年から四十八年までの五ヵ年間を第一次中期計画、引き続いて四十九年以降の第二次中期計画へと引き継がれています。これらの長期計画及び第一次、第二次中期計画は、ともに高度経済成長政策を基本に策定されたものであります。今日経済の高成長から低成長へと経済政策が大きく転換した現在、その長期計画、中期計画についても当然大幅な見直しが必要になっているのではないでしょうか。特に不況とインフレーションが同時に進行するいわゆるスタグフレーションによって喫煙者の圧倒的多数を占める勤労国民の実質賃金の低下傾向が続いている現状では、たばこの需給計画についても当然見直しを必要とするのではないでしょうか。加えて、もし今回提案をされている大幅値上げ強行された場合、その消費量は専門家の推定によると大幅に減少し、現在の消費量に復元するまでには三年ないし五年を要するであろうと言われています。その場合のしわ寄せはもろに専売の労働者と葉たばこの耕作者及び小売店に及ぶのではないかと懸念をされるのであります。これに対する専売公社の経営の長期計画、中期計画の見直し、今後の需給の見通し、関係労働者の雇用の安定、耕作者に対する保護政策等について大蔵大臣の所見を伺いたいのであります。  次に、たばこ価格形成方式について伺います。言うまでもなく、たばこの販売は一〇〇%のシェアを持った完全な独占事業であります。そうして、たばこは今日の国民生活にとっては単なる嗜好品というよりも生活必需品と言ってもいい状態で普及をしているのであります。それだけに専売事業には強い公共性と民主的運営が強く求められるのであります。それにもかかわらず、たばこの販売価格価格については何らの具体的な価格形成方式が確立されていないのであります。ハイライトの八十円を百二十円にする、あるいはセブンスター百円を百五十円にする客観的な妥当性を持った価格形成方式は何ら確立していないと思うのであります。もしあるとするならば、それは専売事業が戦時中は戦費の調達のためにたばこ専売事業として多くの役割りを担い、戦後はまた新たな立場に立った専売納付金という形で政府の御用金調達の役割りを担わされ、その資金需要に見合って価格が形成されてきたということではないでしょうか。いま提案されているたばこ価格についても、もし具体的な価格の形成方式があるとするならばそれを具体的に示してもらいたいし、あわせてたばこ価格形成はどうあるべきかについて、将来の方式について見解を承りたいのであります。  さらに、大平大蔵大臣及び福田自治大臣に対し、今後の税制のあり方について伺いたいと思います。大蔵省及び自治省は、去る十一月二十五日に開催された税制調査会に対して昭和五十一年度税制改正について全検討項目を提示し、政府としての構想を明らかにしたと伝えられています。その検討項目として大蔵省及び自治省が挙げたのは、第一項は所得税、住民税、第二は自動車関係諸税、第三は租税特別措置等、第四は会社臨時特別税、第五は事業税、第六は固定資産税、第七は事業所税、第八は広告費課税、ギャンブル課税、第九その他、このような項目になっています。伝えられているところによると、今回の税制改正の構想の特徴は、不公平課税として悪名高い租税特別措置に対して見せかけだけの部分的な手直しを行い、現行の税制に対する国民の抵抗感をやわらげることによって新たな税への布石を打つことにあると言われています。すなわち、それは税制度の中で最後の新税と言われている付加価値税を導入するための道を開く中期戦略だと言われていることであります。大蔵省及び自治省は、昭和五十一年度以降の税制改正について具体的にどのような構想を示したのか、両大臣からその内容を明らかにしてもらいたいと思うのであります。  あわせて、去る十一月二十五日の税制調査会に対する構想の提示については検討項目だけを文書で提示し、それに対するコメントはすべて口頭をもって行われたと伝えられております。したがって、当日の税制調査会の議事録を資料として本法案の審査のために提出されるよう求めるものであります。  次に、たばこ消費税制度導入の動向について、これに対する大蔵大臣の見解を伺います。専売公社の第二次中期計画において、あるいはまた税制調査会、財政審議会等においてたばこ消費税制度導入の構想が打ち出されています。その意図するところは、専売益金率の低下傾向に対する歯どめを行う、物価の上昇や原価の増大によりたばこの税負担率が下がっていく形で「意図せざる減税」が進行するので、これを防止する、地方たばこ消費税が従価制度になっているために原価の上昇がそのまま国庫納付金の率の低下につながるのでこれを防止する、等の理由が挙げられています。  しかし、これらの議論には、国民生活を圧迫する多くの問題点があることを指摘せざるを得ません。すなわち、この制度導入は直ちに消費者への負担となってはね返るとともに、生産原価の低減を無理強いすることによって耕作農家への経営の圧迫、小売店に対する販売促進の押しつけ、小売手数料の切り下げ、専売労働者に対する合理化の強化となってあらわれることは明らかであります。しかも、たばこの消費に伴う著しい税負担の逆進性を考えるとき、たばこ消費税制度の導入に対しては大きな疑問点を指摘をせざるを得ないのであります。大平大蔵大臣は、これらの多くの問題点を持ったたばこ消費税制度の導入の議論に対して現在どのような見解を持っておられるのかその見解を伺うものであります。  次に、原料葉たばこの海外産地開発のあり方について、総理並びに大蔵大臣の見解を伺います。原料葉たばこの自給率確保に対する見解を先に求めたところでありますが、現在、専売公社は海外原料の定安的確保の必要性ということで、インドネシア、インド、ブラジル等の諸地域に海外産地の形成を進めています。たばこの品質を維持していくために一定の外国産原料葉たばこの必要性を否定するものではありませんが、単なる原料の輸入ということではなく、海外における産地形成ということになると、開発途上国における日本の企業の進出が多くの現地住民の反発を受けて国際問題にも発展しかねない経過があるだけに、特に慎重な配慮がなされなければならないと思います。また、今後海外産地に多くを依存することは、かつて国内で産出する貴重な石炭をスクラップにしてエネルギー資源の大部分を中近東からの石油に依存した中で、産油国の政策の直撃を受けて国民生活に大きな恐慌を来した生々しい苦い経験を持っています。国民の日常生活にとって欠くことのできない必需品とも言えるたばこについても、その原料の国内生産をスクラップにして、必要以上に海外での産地形成を求めることは特に慎重でなければならないと考えます。さらにまた、海外での原料葉たばこの産地形成が進められているアジア諸国、すなわちイシド、インドネシア、フィリピン等の開発途上国は、人口の急速な増加に対して食糧の供給が追いつかないという実情を持った国々であります。これらの国々で最も求めているのは、日本から進出した葉たばこの産地形成よりも、食糧の自給率を高めることであり、そのための技術援助あるいは経済援助であるはずであります。このような国情にある国々に葉たばこの産地形成を求めることは、低廉な地価と低廉な賃金を求めての私企業の利潤追求第一主義と軌を一にする海外進出と見られてもやむを得ないのではないでしょうか。  以上の原料葉たばこの海外産地開発に関する諸点について、総理並びに大蔵大臣の見解を求めるとともに、専売公社が進めている海外産地開発についての現状と見通しについての関係資料の提出を求めるものであります。  次に、福田経済企画庁長官に対し、今回政府意図している酒税法の一部改正、製造たばこ定価法の一部改正による酒、たばこ値上げの消費者物価指数への影響について伺います。福田経済企画庁長官は、本年度の物価対策として、本年度末、すなわち昭和五十一年三月の消費者物価指数を前年同月比で九・九%以下の上昇に抑えることを三木内閣の重点課題として何回も約束をされています。そして今回審議している酒、たばこ値上げによる消費者物価指数への影響について、九・九%の中に年度当初から見込み済みであるから、九・九%の公約は酒、たばこ値上げによって修正する必要がないということを今春以来の審議の中で強調をされています。すでに九・九%の中に年度当初から酒、たばこ値上げのはね返り部分が見込み済みであるとするならば、逆に年度当初から予定されていた酒、たばこの大幅値上げが今日まで私たち努力によってすでに三・四半期実現を見ていないのであるから、その物価の九・九%という上昇率の公約は、この段階ではさらに低く修正をされなければならないのではないでしょうか。日本専売公社の資料によると、たばこ値上げ分だけで消費者物価指数への影響は〇・六%と示されています。これに酒の値上げ分の影響を加えると、今日までそれが実現をしていないのでありますから、この政府が年度当初に約束をされてきた九・九%の問題は、当然この段階で修正をされるべきではないかと思うのでありますけれども、これについて福田経済企画庁長官はどのような見解を持っておられるか、その見解を求めるものであります。  以上、私は数点にわたって、この二法案に関する問題点、疑問点、あわせて、法案審議中にもかかわらず、すでに政府がその施行日を内定をし、公表をしておることについての問題点について、それぞれ総理大臣、大蔵大臣並びに各関係大臣の明快なる回答を求め、とりあえず私の質問をここで終わらせていただきます。(拍手)   .〔国務大臣三木武夫君登壇拍手
  56. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 野田君にお答えをいたします。  二法の実施時期についてでございますが、これは政府は決定をいたしておらないわけです。したがって、これを新聞で発表をするようなことはあり得ないわけでございます。二法が成立後、実施の進捗状態なども勘案して、一番最善と考えるときに実施したいと考えております。  第二は独禁法でございますが、これは御承知のように、衆議院において全会一致で通過いたしましたが、参議院においてはこれは審議しないままに廃案となったわけでございます。この臨時国会は問題をしばったわけでございますから、経済の運営の基本に関する独禁法は通常国会の問題にいたしたいと、自民党において再調整中でございます。  第三の、「対話と協調」ということに酒、たばこ二法の取り扱いは反するではないかという御意見でございますが、私は、この議会政治本来のあり方は対話と協調以外にないと。対決によって議会政治というものは円満に運営できるとは思ってない。したがって、これはやはり私の政治姿勢であるばかりでなしに、議会の運営に対して共同の責任を分担してもらわなければならぬ野党の各位においても、この精神議会制民主主義を健全に発達さすためにお持ちを願わなければならぬわけでございます。私だけが、私の方が、私の政府の側だけが対話と協調と申しましても、やはり相手のあることですから、皆さんが、野党の各位も共通の土俵にやはり上がっていただかなければ対話と協調の実は上がらないわけでございます。この酒、たばこは、この問題はもう衆議院においても二回すでに可決をされ、今年度の予算においては計上されておるわけであります。予算は成立しておるのであります。予算の成立の裏づけのこの酒、たばこ、いわゆる裏づけの財政の方に関連する法案が、これが可決されないということでは、これは政府としては責任が果たし得ないわけでございますから、したがって、この問題については衆議院においても二十時間、参議院においては五十時間審議したわけでございます。もうこの間、この前の通常国会におきましても、数時間あったら可決をされたような状態にあったわけでございますから、したがって、どうしてもこの問題は片づけなければならぬ。これは財政のたてまえから言ってもそうでございます。そういうことで、しかし、会期はある。限られた会期にこれはやはり御審議を願わなければならぬので、「対話と協調、対話と協調」と言って、会期のある議会をいつまでもいつまでもこの問題に対して決着をつけないというわけにはまいらぬわけです。責任を持っておる政府としてはそうはいかないわけでございますから、ときに、どうしてもなかなか気にいらぬ法案というものは、審議というものに対して簡単に応じないという態度であれば、限度があるわけですから、自民党強行採決する場合もやむを得ないと考えるわけでございます。「対話と協調」に反すると私は思ってない。この姿勢は私は崩さないつもりでございます。  また、葉たばこの件につきましては、これは海外産の葉たばこについては大蔵大臣からお答えをいたします。  また、専売のいわゆるたばこの民営移管については、これはこの間の専門懇の意見書にも、まあ公権力に関するものは民営移管というわけにはいかぬが、しかし、製造、販売というようなことはやはり民営ということも検討すべきでないかというような意見があったと思いますが、この問題については、当事者能力とも勘案して、今後十分に検討すべき課題だと思っておるわけでございます。私自身が民営にしようという具体的な見解を今日抱いておるわけではございません。  以上お答えをいたします。(拍手)    〔国務大臣大平正芳君登壇拍手
  57. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 二法の実施時期につきましては総理からお話がございました。総理が仰せられたとおり、政府としてまだ決めておりませんので、決めていないものを発表のしようもないわけでございます。成立の暁、諸般の事情を考えまして最善の日を選びたいと考えております。  第二の御質問専売公社の経営形態の問題でございますが、過去の政府審議会におきましても民営に触れられた経緯もあるわけでございます。しかし、今般のいわゆる専門懇の御意見もございましたが、政府の決まりました方針に従いまして今後検討を続けていかなければならぬと考えております。  それから、原料葉たばこ確保の問題でございます。この問題は申すまでもなく国内葉の確保に重点を置いて考えておることは申すまでもございません。ただ香味料でございますとか、低ニコチンの緩和料でございますとか、そういったものは国内で生産ができませんので、海外から仰がなければなりませんし、国内葉が不足する部分につきましてはやむなく海外からの供給に期待しなければならぬと考えております。で、国内葉の自給力の向上につきましては、野田さんも言われましたとおり、価格政策を適正にしてまいることが第一であると思いますが、なお原料選別の簡素化でございますとか、各種の機械化の促進でございますとか、苗床の大型化でございますとか、そういう近代化を進めまして、自給力の向上、原価の低減に努めなければならぬと考えております。  次に、専売公社の第一次、第二次中期計画というものは、内外の社会経済情勢が一変したので見直すべきじゃないかという御指摘でございまして、仰せのとおり私も心得ております。したがって、目下のところ、このいわゆる中期計画案なるものは専売公社内部の一応の検討資料としてあるわけでございまして、今後の内外の経済状況の変化、定価改定後の市場の状況等の行方を見定めた上で固めてまいらなければならぬと考えております。  それから、今後のたばこの市況の推移を予測することはなかなか困難ではございますけれども、野田さんの仰せの雇用の安定につきましては、たばこ政策の推進に当たりまして常に留意してまいらなければならぬことは当然と心得ております。  それから、価格形成の方式が定まっていないじゃないかという御指摘でございます。たばこの定価は、御承知のようにたばこ自体の原価と販売のマージンと地方たばこ消費税と専売納付金と、そして公社自体の内部留保金から形成いたしておるわけでございます。この価格の形成に当たりましては、一般の消費物資の価格形成と異にいたしまして、財政専売を担うところの商品としての特性を持っておりますことは御理解いただけると思うのでございまして、中央、地方の財政にどのように寄与してまいるかということもあわせてこの価格形成に当たらなければならぬと考えておりまして、今度の改定におきましても、異常に落ち込んでまいりましたこの財政寄与を若干もとに復元さしていただきたいという趣旨から考えられたものであることを御理解いただきたいと思います。  それから、租税の見直しの問題についての御質疑でございました。政府といたしましては、来年度大きな増税をもくろんでいるわけではございませんで、まず租税特別措置の見直しを彫り深くやらなければならぬと考えまして、税制調査会には御検討を願っておるわけでございます。同時に、税制調査会には基礎問題小委員会を設けていただきまして、租税負担率がどうあるべきかという点の御検討をお願いしているわけでございます。その内容が明らかでないということの御指摘でございますが、御案内のように、税制調査会の議事は秘密になっておるわけでございまするので、自由な御討議を確保する意味におきまして、議事録も公開しないということは御承知をいただきたいと思うのでございます。しかし、こういう基礎的な地ならしをして、次の税制改正に当たって付加価値税というものを考えておるのではないかという御指摘でございますけれども、ただいまそういう検討をいたしておるということでございまして、直ちにこれが付加価値税につながるものと、こう考えておるわけではございません。  それから、消費税の問題についての御質問でございました。これは税調からもあるいは財政審議会からも、消費税制度に切りかえるべきじゃないかという御答申をいただいておるわけでございますけれども、野田さんも御承知のように、関係業界の方々の十分の理解がまだ得られておりませんし、中央、地方の財源の配分につきましてもいろいろ問題がございまして、私といたしましては当分現行の制度でやってまいりまして、この問題につきましてはなお慎重な検討が要るのではないかと考えております。  それから最後に、原料葉たばこの海外産地の開発の問題でございました。これにつきまして、現地の政治、経済事情等との関連におきまして大変御心配でございました。私も同様、現地の国民感情を逆なでするようなことがあっては御指摘のように大変だと思うのでございまして、現地の政治、経済事情というものは十分配慮の上でこの計画が進められておるわけでございまして、現在まで特に問題があるとは承知いたしていないのでございます。若干の原料を今後とも長く海外に仰がなければなりませんので、ある程度海外産地の形成というのは考えなければなりませんけれども、仰せのとおり、海外の政治、経済事情には十分の、周到な配慮を加えて実行してまいるつもりでございます。(拍手)    〔国務大臣安倍晋太郎登壇拍手
  58. 安倍晋太郎

    ○国務大臣(安倍晋太郎君) 葉たばこ生産に関する指導対策につきましては、農林省といたしましては、地域特産物としてのたばこ作の重要性にかんがみまして、特産物生産団地育成事業、農業構造改善事業等によりまして、その生産性の向上を図っておるところであります。また、個々の農家が葉たばこ生産の合理化、近代化を行う場合にも、農業近代化資金等の制度資金の融通措置を講じておるところでございます。今後とも日本専売公社との連携を緊密にいたしまして、生産農家の経営安定のために尽くしてまいりたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣福田一君登壇拍手
  59. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。  御案内のように、経済は安定成長に入ってまいりまして、自然増収はなかなか大きく期待できませんのでありますが、地方自治体の方では、財政需要はまだまだふえるという意味合いにおいていろいろと要望がございます。自治省といたしましても、国税、地方税を今後根本的に見直す必要があるということはわかっておりますが、明年度はその地ならしの時と考えておりますので、既存税制の見直しを中心として増収を図ってまいりたいと考えておるのであります。  なお、税制調査会には、この意味で住民税における課税最低限のあり方と均等割りの引き上げ、事業税における外形標準課税の導入、自動車関係諸税の引き上げ、固定資産税の負担の適正化、事業所税の課税団体の範囲の拡大、租税特別措置の整理合理化、ギャンブル税等について審議をお願いしております。  なお、この付加価値税の問題についのて御質問でございますが、まあ地方におきましては法人事業税の収入が著しく不安定になっておりますので、その課税標準に売り上げ金額とか総資本とか付加価値などをつけ加えてはどうかと、そういうものを取り入れてはどうかという強い要望があることは事実であります。しかし、事業税に外形標準を導入するということと一般消費税としての付加価値税を創設するということは、これは別の問題でございまして、この点については大蔵大臣がお答えしたと同様に考えておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫君登壇拍手
  60. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 酒、たばこ値上げが現在まで据え置きになってきておるわけです。そこで、年度末、政府の消費者物価上昇率の目標九・九%は、これを修正すべきじゃないか、そういうような御意見ですが、これは、もし年度末まで酒、たばこ値上げは行われないと、こういうことであればまさにそのとおりでありまして、私どもはそれは修正します。ところが、私どもはそんな、年度末までこれが、値上げが行われないという状況であるというふうな判断はいたしておりません。必ず国会の御承認を得ましてこの値上げは年度内には実現されると、そういうふうに思っております。したがいまして、この九・九%という年度末における目標、これは修正はいたしませんです。元来、九・九%目標というのは、年度末における前年同期における物価水準との比較なんですから、年度内、その一年間においていかなる時点におきまして引き上げが行われましても、これはもう九・九%に影響がある問題でありまして、現実の問題として、たばこ、酒、この値上げ国会が年度内には承認してくださるということを確信いたしております。(拍手
  61. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 野田哲君。    〔野田哲君登壇拍手
  62. 野田哲

    ○野田哲君 重ねて、まず第一に、三木総理並びに大平大蔵大臣に対して質問を行いたいと思います。  それは、冒頭に質問をいたしました、政府はすでに酒、たばこ値上げの施行日まで内定をし、その手続をすでに進めようとしている。この点についてあずかり知らないというような意味の答弁があったわけでありますけれども、現に、新聞トップで大きく報道されており、宮中との手続についても準備が進められている、こういうふうに報道をされているわけであります。このことについて再度明確にしておきたいのは、政府はあずかり知らないということであるならば、十六、十七日に、それぞれ酒、たばこ値上げの予定がされておる、このことは全く根拠のないことである、こういうふうに明確にできますかどうか。この点を再度見解を求めたいと思います。  次に、総理並びに大蔵大臣に再度質問をいたしたいことは、専売公社の経営形態について政府はどう考えているかという点について、先ほどの説明を受けたわけでありますけれども、きわめてあいまいであり、不明確であります。すでに申し上げているように、閣僚協専門委員懇談会は、その意見書の中で明確に、たばこ専売事業については事業を分割して、競争条件を整備して民営に移管すべし、こういう意見が大きく提示をされているのであります。この趣旨はきわめて重要であり、私どもは強い反対意見を持つものでありますが、現に専門懇が意見書として提出をされており、政府は十二月一日に、この趣旨を尊重するという声明をしているのであります。しかし、その一方において、何回も私がいろいろな場で指摘をしたように、臨時行政調査会や財政制度審議会では、日本専売公社の経営形態を維持存続させる立場に立っての改革意見を答申しているのであります。しかも、臨時行政調査会の答申は、現在の経営形態のもとで争議権を付与する方向を提示をしているのであります。しかも、これらの臨時行政調査会や財政制度審議会は法律に基づいて設置をされ、法律に基づいての答申、勧告を行っているのであります。政府はこれらの意見のうち、どの意見を取り入れるのか。現行経営形態を維持存続させる中で必要な改革を行っていく道をとるのか、あるいは専門懇の意見書を尊重しようというのであれば、当然民営移管という道をとることになるわけでありますが、この二つの一つ、二者択一ということではありませんか。もし、近日、将来民営に移管するということであれば、ただいま審議している製造たばこ価格形成についても、葉たばこ耕作者に対する政策についても、新たな角度に立っての審議が必要になってくるだけに、この点については明確に、現行経営形態の存続という立場をとるのか、民営移管という方向をとるのか、総理と大蔵大臣の具体的な答弁を求めたいと思うのであります。  次に、福田自治大臣に対して、たばこ地方消費税制度について伺いたいと思います。たばこ地方消費税制度は、今日の地方財政の窮迫の中で、地方財政の運用上大きなウエートを占めていると思います。いま地方自治体に行ってみますと、「たばこは自分の町で買いましょう」、こういうスローガンを掲げて町民に呼びかけて、このたばこ地方消費税の財源確保に涙ぐましい努力を続けているのであります。このことは自治大臣も十分御承知のことであろうと思うのです。もし、たばこ専売事業が将来、専門懇の意見書のように競争原理を導入した民営移管ということになった場合には、現行の地方財政制度は大きな穴があくことになるわけであります。その面からの見直しというものも当然必要になってくると思うのであります。そういう点をも含めて、自治大臣がこのたばこ消費税制度について将来民営移管とあわせてどのような考え方をお持ちになっているか、この点についてもあわせて伺いたいと思うのであります。  最後に、桧垣大蔵委員長に対して質問を行います。あなたは、先ほど大蔵委員長解任すべきであるという決議案を上程をされ、野党各派からそのとってこられた今日までの措置について厳しく指摘をされたところであります。解任決議案については、あなたの所属する自由民主党所属議員によって辛うじて助けられて解任を免かれたとはいうものの、あなたに対する野党各派の信頼は決して回復したものではないのであります。むしろ提案者大塚喬君の説明を聞けば聞くほど、酒、たばこ法案の取り扱いに対する不当性は明らかになってきたと言わなければなりません。あなたを擁護する戸塚進也君は、あなたをイエス・キリストのような人格者であるとほめたたえておりますけれども、この議場の中でその言葉どおり受け取った方々は恐らく一人もいないと思うのであります。残念ながら、あなたは引き続いて大蔵委員長の職責を務めることになったわけでありますが、あなたが今回の不信感を解消する道は、戸塚進也君の美辞麗句によって解消されるものではなくて、今回の野党各派の指摘を厳しく反省をして、最も公平かつ民主的に大蔵委員会運営を行うこと、これにかかっていると思うのであります。このことについて今後の大蔵委員会運営についての桧垣委員長の所信を承りたいと思うのであります。(拍手)    〔国務大臣三木武夫君登壇拍手
  63. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 野田君にお答えをいたします。  政府は、たばこ事業を民営にするという方針を決めておるものではございません。そういう方針をいま持っておるものではございません。しかし、たばこの民営論というものは、専門懇に限らず、吉田内閣以来からそういう論が相当にあったわけでございます。また一方においては、現在の企業形態でよろしいという意見も野田君御指摘のようにあったわけでございまして、今後はこの問題を当事者能力ともあわせて十分慎重な検討を加えたいと考えておるわけでございます。政府がそういう方針を持っておるわけではないわけでございます。(拍手)    〔国務大臣大平正芳君登壇拍手
  64. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 実施時期の問題、再度御質問でございました。政府は決めておりませんので、発表するはずもないと先ほどお答えいたしたばかりでございます。決めておりませんので、何日にするかと、また何日にしないかということをいま私がお答えできる筋合いのものではございません。ただ、野田議員から、十六日、十七日という問題について、今日本会議場で御質疑がありました事実は、私、当面の責任者といたしまして十分承っておくつもりでございます。  それから、民営問題でございまするけれども、現在御審議をいただいておりまする法案は、公社制度を前提として考えたものでございまして、民営問題は今後検討をすべき問題でございますけれども、今日御提案申し上げておりまする法案とは一応関係がないと政府は考えております。(拍手)    〔国務大臣福田一君登壇拍手
  65. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。  たばこ消費税が地方自治体の非常に大きな財源であることは御指摘のとおりでございますが、これは消費税がこのまま存続する形をとります限りは、民営になろうと、このままの形であろうと、影響を受けることはないと考えております。しかし、そのような問題が具体化するようなことがありました場合には、私としては十分慎重に対処してまいりたいと思います。(拍手)    〔桧垣徳太郎登壇拍手
  66. 桧垣徳太郎

    桧垣徳太郎君 野田君にお答えをいたします。  大蔵委員長として、今後の委員会運営の心がけについて答えよということでございますが、先ほども寺田君の御質問にお答え申し上げましたとおり、委員各位の御信頼にこたえますためには、与野党を問わず、当を得た御批判につきましては、私も十分耳を傾けていきたいと存じます。今後私としては、委員会の円滑かつ充実した審議を図るために、委員各位の御理解と御協力を得て公正な運営を行う所存でございます。(拍手
  67. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 答弁の補足があります。大平大蔵大臣。    〔国務大臣大平正芳君登壇拍手
  68. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) この二法の実施期日についての御質疑に対して、改めて御答弁申し上げます。  まず第一に、政府はこの実施期日をまだ決めるに至っていないわけでございます。したがいまして、伝えられる新聞報道は根拠のない報道であると言わざるを得ないと思います。(拍手)      ——————————
  69. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 安永英雄君から、賛成者を得て、  たばこ価格に関し、本日、証人として日本専売公社総裁の出頭を求めることの動議が提出されました。  これより本動議採決をいたします。  表決は記名投票をもって行います。本動議賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名点呼〕    〔投票執行
  70. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 投票漏れはございませんか。——投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖
  71. 河野謙三

    議長(河野謙三君) これより開票いたします。投票参事に計算させます。議場開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  72. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数        二百三十七票   白色票           百十二票   青色票          百二十五票  よって、本動議は否決されました。(拍手)      ——————————   〔参照〕  賛成者白色票氏名      百十二名       太田 淳夫君    矢原 秀男君       野末 陳平君    喜屋武眞榮君       下村  泰君    相沢 武彦君       塩出 啓典君    青島 幸男君       柄谷 道一君    内田 善利君       峯山 昭範君    桑名 義治君       上林繁次郎君    阿部 憲一君       三木 忠雄君    藤原 房雄君       栗林 卓司君    黒柳  明君       矢追 秀彦君    原田  立君       田代富士男君    藤井 恒男君       木島 則夫君    鈴木 一弘君       山田 徹一君    宮崎 正義君       中村 利次君    田渕 哲也君       二宮 文造君    白木義一郎君       小平 芳平君    多田 省吾君       中尾 辰義君    向井 長年君       福間 知之君    矢田部 理君       案納  勝君    久保  亘君       青木 薪次君    野田  哲君       対馬 孝且君    秦   豊君       浜本 万三君    赤桐  操君       大塚  喬君    小山 一平君       片岡 勝治君    田  英夫君       宮之原貞光君    鈴木美枝子君       神沢  浄君    前川  旦君       竹田 現照君    山崎  昇君       村田 秀三君    小野  明君       野口 忠夫君    栗原 俊夫君       茜ケ久保重光君    瀬谷 英行君       森  勝治君    戸叶  武君       田中寿美子君    竹田 四郎君       戸田 菊雄君    森中 守義君       志苫  裕君    森下 昭司君       山中 郁子君    粕谷 照美君       片山 甚市君    目黒今朝次郎君       橋本  敦君    安武 洋子君       内藤  功君    寺田 熊雄君       佐々木静子君    辻  一彦君       小巻 敏雄君    神谷信之助君       小谷  守君    工藤 良平君       上田  哲君    和田 静夫君       松本 英一君    小笠原貞子君       立木  洋君    沓脱タケ子君       鈴木  力君    中村 波男君       川村 清一君    杉山善太郎君       沢田 政治君    加藤  進君       渡辺  武君    塚田 大願君       安永 英雄君    吉田忠三郎君       鶴園 哲夫君    松永 忠二君       小柳  勇君    須藤 五郎君       岩間 正男君    星野  力君       阿具根 登君    野々山一三君       中村 英男君    秋山 長造君       藤田  進君    河田 賢治君       上田耕一郎君    春日 正一君     —————————————  反対者青色票氏名      百二十五名       宮田  輝君    寺下 岩蔵君       平井 卓志君    吉田  実君       中西 一郎君    山本茂一郎君       山内 一郎君    久保田藤麿君       前田佳都男君    木内 四郎君       佐多 宗二君    最上  進君       望月 邦夫君    森下  泰君       梶木 又三君    藤川 一秋君       福岡日出麿君    鳩山威一郎君       秦野  章君    夏目 忠雄君       林  ゆう君    安孫子藤吉君       青井 政美君    有田 一寿君       井上 吉夫君    石破 二朗君       中村 登美君    松岡 克由君       藤井 丙午君    桧垣徳太郎君       原 文兵衛君    中村 禎二君       高橋 邦雄君    細川 護煕君       宮崎 正雄君    林田悠紀夫君       佐藤  隆君    菅野 儀作君       石本  茂君    中山 太郎君       小林 国司君    寺本 廣作君       柳田桃太郎君    内藤誉三郎君       玉置 和郎君    高橋雄之助君       楠  正俊君    岩動 道行君       西村 尚治君    鍋島 直紹君       新谷寅三郎君    上原 正吉君       郡  祐一君    青木 一男君       徳永 正利君    小川 半次君       八木 一郎君    丸茂 重貞君       塩見 俊二君    志村 愛子君       河本嘉久蔵君    嶋崎  均君       棚辺 四郎君    中村 太郎君       戸塚 進也君    高橋 誉冨君       坂野 重信君    斎藤栄三郎君       山東 昭子君    糸山英太郎君       岩男 頴一君    岩上 妙子君       遠藤  要君    大島 友治君       大鷹 淑子君    斎藤 十朗君       古賀雷四郎君    黒住 忠行君       川野 辺静君    金井 元彦君       今泉 正二君    土屋 義彦君       山崎 竜男君    上田  稔君       初村滝一郎君    長田 裕二君       久次米健太郎君    鈴木 省吾君       世耕 政隆君    江藤  智君       藤田 正明君    大森 久司君       岡本  悟君    平泉  渉君       橘直  治君    町村 金五君       加藤 武徳君    安井  謙君       剱木 亨弘君    吉武 恵市君       増原 恵吉君    神田  博君       伊藤 五郎君    鹿島 俊雄君       大谷藤之助君    小笠 公韶君       亘  四郎君    橋本 繁蔵君       佐藤 信二君    亀井 久興君       岡田  広君    上條 勝久君       稲嶺 一郎君    矢野  登君       安田 隆明君    山崎 五郎君       高田 浩運君    増田  盛君       二木 謙吾君    源田  実君       熊谷太三郎君    植木 光教君       木村 睦男君    温水 三郎君       福井  勇君      ——————————
  73. 河野謙三

    議長(河野謙三君) これにて十分間休憩いたします。    午後四時二十八分休憩      ——————————    午後四時四十五分開議
  74. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  両案に対する質疑を続けます。矢追秀彦君。    〔矢追秀彦君登壇拍手
  75. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案に対し、総理並びに関係閣僚に質問をいたすものであります。  法律案質疑に入ります前に、混迷した国会運営責任について、三木総理に、この際はっきりと所信を伺いたいのであります。  本来、国会における法律案審議は、各委員会において十分にルールに従って行われるべきであります。しかしながら、自民党議会制民主主義の根幹である慎重審議を全く無視し、たび重なる強行採決を行い、しかも、去る十一月二十日の大蔵委員会において、私がいまから質問をしようとする寸前に、質疑打ち切り動議が自由民主党から出され、そして混乱の中に強行採決なるものが、実際は採決が行われなかったにもかかわらず、行われ、そしてこのような本会議補足質問という形をとらざるを得ないように追い込まれたのであります。この自民党国民無視の節度のなさに、私は強い憤りと民主主義の危機を覚えるのであります。  三木総理は、昨年十二月十四日の所信表明で、「国民の心を施政の根幹に据え、力の対決でなく対話と協調で進む」、また先国会終了後の記者会見でも、「野党との協調と対話の方針は貫く」と述べ、みずからもって議会の子を吹聴してまいりました。しかし、いまや三木内閣は、「対話と協調」の仮面を完全にかなぐり捨て、反国民性、欺瞞性を完全に国民の前にさらけ出したのであります。第七十六臨時国会だけを見ても、わずか三ヵ月の間に、参議院大蔵委員会を初め、衆参両院において、すでに都合八回にもわたる強行採決、ごり押しの暴挙を行うという前代未聞の独断的議会運営を行っていることからも、このことは明白であります。国民の声を無視し、議会制民主主義を破壊し、数の論理だけの国会運営を行う三木内閣に、すでに国民信頼は全くと言ってよいほどなくなっていることは、二三%を初めとする報道機関の三木内閣の支持率の調査結果を見ても明らかであります。まず総理は、この異常に多い強行採決責任をどのように考えているのか、明確に御答弁を願いたいのであります。  また、本院は、参議院改革について、院の権威を守り、国民の期待にこたえるべく、参議院問題懇談会が設置され、そして「参議院の改革に関する意見書」が出され、また、各政党からは「参議院運営の改革に関する意見書」、これが提出をされ、われわれは参議院の改革にまじめに取り組み、一歩一歩前進への努力をしてきたつもりであります。しかるに、このようなじみちな努力を全く顧みず、良識の府の権威を一挙に葬り去る数々の強行採決自民党が一方的に行ってきたことを国民は何と見るでしょうか。このすべての責任は、自民党の総裁である三木総理、あなたにあります。総理の参議院改革への取り組みについて、この際所信を伺いたいのであります。  また、最近におきましては、いわゆる保革伯仲時代に入ってからも、自民党はなおも本院において重要法案についてはすべて委員会強行採決を行い、そして、本日のように本会議補足質問という手段を用いて、強硬に反国民法案の成立を図ってまいりました。防衛二法、教頭法、筑波大学法がそれであります。このようにして、こういった委員会強行採決、そして本会議補足質問という。パターンは、これこそ強行採決に再び道を開くやり方であります。これでは議会制民主主義が破壊されるとともに、国民国会に対する不信感を助長するばかりであります。しかも、総理は先ほども強行採決はやむを得ないと、このようにまだこの強行採決を是認し、これからもこういうやり方をやるのだと言わんばかりの姿勢を示しておられます。何らの私は反省の一かけらもない、まさしく「対話と協調」はそれこそうそ偽りであったと断ぜざるを得ないのであります。今後強行採決などという反民主主義的な手段は用いないことを総理はこの場で明言をすべきであると思いますが、いかがでございますか。  さらに、先ほど申し上げましたように、三木内閣は国民の信を失っているのであります。国民の信を失った内閣は即座に解散をし国民の審判を受けるべきと思いますが、再三解散については否定的な言葉を述べてまいられましたが、この際改めて総理の解散に関する所信をお伺いしたいのであります。  それでは具体的な質問に入ります。  初めに、財政、経済問題について伺います。現在の経済運営に課せられた第一の課題は、インフレと不況に悩む日本経済をどう克服するかであります。戦後最大の経済危機と言われるように、物価は依然として一〇%以上の高水準を示し、不況のどろ沼化は、東京商工リサーチの調査によりますと、中小企業の倒産は十一月に千三百件を超え、負債総額は二千四百六十二億円という記録を示しております。いま国民は、これからの日本経済がどのような方向へ行くのか全くわからず、国民生活の将来に非常に不安を感じているのであります。現在、総理のもとで新経済計画が策定されつつあると伺っております。これは、転換期にある日本経済の動向を見定めるために、また、三木内閣の経済運営路線の方向をはかるためにも、きわめて注目すべきものでありますので、二、三お伺いをいたします。  まず第一は、安定成長時代への転換期にある現在、当然高度経済成長路線の洗い直しをすべきときでありますが、具体的な方策を伺いたいのであります。  第二は、安定成長期の経済成長率を総理はどのぐらいであるとお考えになっているのか伺いたい。  第三に、安定成長期の経済運営としては、大企業優先の枠を脱却して、国民生活優先の税財政構造にすべきであると思いますが、総理の考えを伺いたい。  第四に、総理の主張しておられるライフサイクル計画は、新経済計画の中においてどのように具体化されるのか伺いたい。聞くところによりますと、経済企画庁としては、この長期計画の中には総理の考えておるライフサイクル計画を入れるのは反対であると、このように伺っておりますが、経済企画庁長官の考え方をはっきりとこの際お伺いをしたいのであります。とともに、厚生大臣に対してもこの問題についてお伺いをしたいと思います。  第五に、新経済計画の中において公共料金をどのように位置づけられるのか、法定主義の問題が最近新聞紙上等に出てきておりますが、この問題も含めてお伺いをしたいのであります。  次に、五十一年度予算編成方針についてお伺いをしたいと思います。当面の不況、インフレという二重のどろ沼を脱出するために、五十一年度予算編成は国民生活を守ることを最優先とすべきことは論をまちません。  そこで、まず第一に、来年度もまた赤字国債を発行すると大蔵大臣委員会で答弁をしております。しかし、安易な国債の発行は、財政政策をゆがめるとともにインフレにも拍車をかけることは明らかであり、国民生活に与える影響は多大であります。来年度における国債発行額とその依存率はどのぐらいにするお考えか。新聞報道によりますと、国債発行額は七兆円、依存率は二九%台と言われておりますが、この点について明確に御答弁を願いたいと思います。また、インフレとの関連をどのように考えておられるのかお伺いをしたいのであります。  第二に、政府は四次にわたる不況対策を実施しましたが、それは大企業優先不況対策であり、中小企業に対しては全くと言ってよいほどその効果が出てきておりません。このことについては、通産省も四次にわたる不況対策の効果のなさを認めております。この責任対策について伺いたい。  加えて、五十一年度経済見通しは成長率、実質五・五%、名目一二・五%、消費者物価上昇率八・七%、卸売物価上昇率五・四%にする方針であると新聞紙上等ではすでに伝えられておりますが、これをもとにした予算編成方針で、物価抑制と景気回復の調和が十分にとれるものであるのかどうか、その点について総理、大蔵大臣並びに経済企画庁長官の所見をお伺いしたいのであります。ことに、実質五・五%という成長率、そして本年度の終わりには成長率は二・二%になろうという見通しの中で、こういった景気刺激の中で、先ほど述べた中小企業対策が果たして十分なのかどうか、通産大臣の御所見をお伺いしたいのであります。  第三に、新聞報道によりますと、財政難のため福祉切り捨て論が頭を持ち上げつつあるようであります。しかし、これはとんでもない考え違いであり、国民生活無視もはなはだしいのであります。この不況インフレで一番苦しんでいるのはだれか。総理もよく御存じのことと思います。このようなときにこそ、福祉について前向きに取り組むべきであります。総理並びに大蔵、厚生両大臣の答弁をお願いいたします。  第四に、保険料、国鉄運賃、電信電話料など、公共料金メジロ押しの予算への組み込みを意図されているようでありますが、政府が目標としていると言われる物価上昇率八・七%台にこれを抑制するということと矛盾をしないのかどうか。特に、来年度物価目標を預金金利並みにしたいという前々からの経企庁長官の方針からすれば大きな変更になるのかどうか、この点もあわせてお伺いしたいのであります。  以上、簡単に来年度予算編成方針について伺いましたが、現在、政府自民党の考えている予算編成方針、つまり、高福祉高負担論をかざして国民負担と引きかえに福祉を考え、その一方で景気浮揚という理由で大企業優先の大型公共事業に重点的に予算をつける。このような方針では大企業、高額所得者はますます強く、社会的弱者はますます弱くなり、所得格差、不公平はますます増大する一方であることを知らなくてはなりません。予算編成に当たり、総理並びに大蔵大臣の再考を強く促したいのであります。  次に税制問題に移ります。  初めに税制度に対する政府の基本的な考え方、将来の方向性について伺います。  間接税の増税である酒、たばこ値上げは、所得の高低に関係なく同様に税負担を強いられるのであります。税制度において最も重要なことは公平であることはいまさら言うまでもありません。しかし、間接税の増加はこの税負担の公平に逆行するものであります。ところが政府は、わが国はヨーロッパ等に比較して間接税の占める割合が少な過ぎるという単純な発想で間接税の増加を図ろうとしている意向のようであります。しかし、ヨーロッパと社会基盤の異なるわが国にはなじまない大衆課税であり、税収をふやすことに目を奪われて、国民生活を圧迫する間接税の増強はすべきではありません。将来の展望も含めて、総理、大蔵大臣間接税に対する考え方を伺いたい。特に付加価値税については、導入の検討段階を過ぎ、五十二年度より実施するとも言われておりますが、その点どのような方針なのか、明快な答弁をお願いいたします。  次に、昭和三十六年十二月の「税制調査会答申及びその審議の内容と説明」では、主要間接税の所得階層別負担の実態が詳細に示されております。その後、このような調査は全くされておらないようでありますが、その理由として大蔵省は、間接税の課税実態の究明は実質的に困難であり、できないと言っておりますが、全く納得できるものではありません。昭和三十六年の税制調査会でできたものがどうして現在できないのか、それとも、昭和三十六年度のこの調査は全く信用できないものなのか、その点について明快なる答弁をお願いいたします。  さらに、今後安定経済成長時代ということから間接税強化の方針であり、さらに付加価値税導入も取りざたされている現在、ぜひとも主要間接税の所得階層別負担の実態調査を行うべきであると思いますが、総理、大蔵大臣のお考え方をお伺いします。  次に、五十一年度税制改正について伺います。来年度も、さきに述べたように、数多くの公共料金値上げメジロ押しに予定されております。これにつれて他の物価が再び上昇することは明らかであり、国民生活は危機に瀕しております。このようなときに所得税減税をしないというのは、実質的には増税となり、庶民の生活はますます圧迫されるのであります。少なくともインフレで最も生活を圧迫されている低所得者層に対する物価調整減税は、政府の責務としても絶対に実施すべきであると思いますが、総理、大蔵大臣の所見を伺いたいのであります。ことに、これは経済企画庁で強く主張されておると聞きますので、経企庁長官の御意見並びに、難色を示していると言われておる大蔵大臣の御所見を特にお伺いしたいのであります。特に、自民党から五千億円の負の所得税の構想が打ち出されておりますが、これについても所見をお伺いいたします。  さらに、国の税収を増加するものであれば、まず租税特別措置を中心とした大企業優遇税制や医師優遇税制、さらにまた交際費課税こそこの際改めるべきであって、国民大衆に対する増税に求めるのは本末転倒もはなはだしいのであります。この点も含めて、五十一年度税制改正に対する総理、大蔵大臣の所信をお伺いいたします。  次に、酒税法の一部改正案についてお伺いいたします。  第一に、政府は酒税の税負担率が低下していることを理由に酒税の引き上げを図ろうとしておられますが、酒税の九七・五%を占める清酒、ビール、ウイスキーの中で、今回の値上げ対象品の税負担率は現在でも二五%ないし四一%となっております。また、酒税収入も年々増加し、昭和四十九年度は七千七百二十八億円でありました。他の間接税と比較しても増税の余地はないと思いますが、御所見を承りたい。  第二は、先ほども議論が出ておりました原価についてであります。前国会で本法案が廃案になった際の清酒、ビールの小売価格は、清酒一・八リットルびん詰め特級で千五百七十円、同一級で千百八十円、またビール六百三十三ミリリットルの大びんが百六十円でありました。しかし現在、清酒特級は千六百八十円、同一級千二百八十円、ビールは百八十円とそれぞれ値上げになっております。この値上げ理由がはなはだ不明確なのであります。特にビールにつきましては、前国会衆議院大蔵委員会において当時の国税庁磯辺次長は、「ビール業界は販売量により企業格差が非常に大きい。したがって、コストにかなり影響してくる」と答弁されております。しかし、現実の小売価格は一律百八十円となっております。清酒一・八リットルびん詰め特級、一級の値上げ前と値上げ後の価格構成、及びビール六百三十三ミリリットル詰めの値上げ前と値上げ後のメーカー別価格構成を明らかにしていただきたい。  さらに、改正案によると、増税額は、清酒特級一・八リットル当たり百十四円四十八銭、同一級で四十六円九十八銭、ビール六百三十三ミリリットルで十四円九十四銭となっております。この改正案が実施されると、再値上げや端数切り上げ、便乗値上げが懸念されるわけでありますが、業界に対しどのような指導をなさっているのか、具体的にお答えを承りたいと思います。  第三に、ウイスキー及びビールの表示問題についてお伺いします。御承知のように、現在清酒には原材料、アルコール、製造年月日の表示がなされております。また、ビールの表示については、去る六月二十四日、二十六日の両日、本院大蔵委員会において私がこの問題について質問をいたしました。それに対して、大蔵省よりの指導によって、八月より各社順次製造年月旬の表示がなされました。年月日についてはまだ実施されておりません。しかし、原材料についての表示は、これまたいまだなされていないのであります。さらに、ウイスキーについてはアルコール含有量のみで、製造年月日、原材料の表示が一切ありません。通常われわれ国民は、ウイスキーというものは水、アルコール、モルトからでき上がっていると思っておりました。しかし、実際はカラメル、タール、香料等の添加物が入っているのであります。また、ビールについても麦芽、ホップ、水のほかにコーンスターチ、米なども含まれているのであります。また、ウイスキーについては、宣伝等を見ますと、やはり古いものが非常によいとされておるにもかかわらず、これまた製造年月日が入っていないという非常に矛盾が現在行われているのであります。このように、一般に認識されているものと違った内容である限り、消費者保護の立場から言っても、原材料の表示とその構成比は当然なされるべきであると思いますが、いかがお考えか、お伺いします。さらにまた、ウイスキーの製造年月日、またビールのかんビールあるいは中、小びんについては、まだ製造年月日が入れられておりませんが、その点について今後の対策をお伺いしたいと思います。  次に、酒類のアルコール含有量表示についてでありますが、度数、パーセントと、メーカーや種別により表示方法がまちまちなため、消費者はとまどっております。どちらもアルコール含有量をあらわす単位であるなら、統一した方がよろしいのではないでしょうか、それとも統一することに何か不都合があるのではないでしょうか、明快にお答えをいただきたい。  次に、製造たばこ定価法一部改正案についてお伺いいたします。  初めに、たばこ定価値上げ理由として、大蔵省、専売公社は、たばこ製造原価の上昇とたばこ消費に対する税負担率の減少を挙げておられます。それでは一体、前回値上げをされた昭和四十三年と現在とを比較して原価は幾ら上昇したのですか。銘柄別にたばこ一箱当たりの価格構成を国民の前に明らかにしていただきたい。  第二は、今回の値上げ理由として、たばこ事業益金率の低下を挙げておられます。すなわち、昭和四十九年度のただこ事業益金率は五四・三%となり、昭和五十年度には定価改定がなければ四六・五%と大幅に落ち込んでしまうと言っておられる。そして益金率は、諸外国の例から見ても六〇%の確保はぜひ必要であると主張されております。果たして専売公社赤字なのでしょうか。とんでもない。大幅な黒字なのであります。よしんば、本法案が仮に可決されたとしても益金率は幾らになるのでありましょうか。一、二年後にまたぞろ益金率六〇%の確保ということで値上げのもくろみを持っているのではないでしょうか。それとも、値上げ理由の中から、益金率の低下ということを除外なさるのか。納得のいく明快な答弁をお願いするものであります。  第三は、昭和四十三年十一月策定の専売公社長期経営計画についてであります。その中で、安くてうまいたばこづくりを目指すとうたっておられますが、今回の定価改定を行うに際し、その計画は取り下げられたのか、一部改定なら、どこをどのように改定されたのか、明確にしていただきたいのであります。  第四は、昨年二月に作成された第二次中期経営計画素案と健康との関連についてお伺いしたい。その計画素案では、「消費基盤の高度化と潜在需要の開拓を進める」と言っておられますが、「潜在需要の開拓」とは具体的にどのようなことなのか、明確にお答えいただきたい。  さらに、昨年十二月九日より十四日までジュネーブで開催された「喫煙とその健康に及ぼす影響」に関するWHOの専門委員会が発表した白書は、たばこを吸わない人々、特に児童や胎児に他人の煙がいかに悪影響を及ぼすかを訴えております。そして、「数多くの国で実施された疫学的な調査の結果をみると、喫煙は、肺がん、慢性気管支炎、肺気しゅ、心筋こうそく、閉塞性末梢血管障害などの重要な原因である」と結論づけております。また、ハーバート大学のリトル、マガンシー両博士、ケネディ女史らの報告によりますと、「たばこに含まれる少量の放射性ポロニウムが肺がんを引き起こす」と研究結果が明らかにされております。その報告について国立がんセンターの平山疫学部長は、「この研究は喫煙者に肺がんの危険率が高いという疫学調査の結果を生物学的に証明したものとして大きな意義がある」と言っておられます。このように、喫煙は国民の健康に甚大な悪影響を及ぼすのは明らかであります。にもかかわらず、潜在需要の開拓を進めるということはどういうことか、お伺いしたい。むしろ、すべての宣伝、広告を取りやめ、タール、ニコチン、一酸化炭素の発生量の少ないたばこの研究開発に取り組むのが公社のあるべき姿ではないでしょうか。国家財源調達のために国民の健康を売り渡すようなことは断じて許されないと思いますが、いかがでしょうか。  第五に、専売公社の財務関係についてお伺いします。公社には昭和四十八年度で九百十五億円の長期借入金がありますが、まず、この借入金の使用目的と借入先及び利息は幾らなのか、明らかにしていただきたいと思います。  また、公社の資産増加額は四十五年百七十億円、四十六年二百二十八億円、四十七年二百五十九億円、四十八年三百五十八億円となっておりますが、四十九年度には一躍三・六倍の千三百十五億円となったのはどういうことなのか。葉たばこ買い入れ価格が三倍になったわけではないし、理解に苦しむところであります。具体的に御説明願います。公社の資料によりますと、昭和四十九年度の長期借入金は二千四百五十億円、五十年度三千五百十億円、五十二年度には七千六百六十億円になる見込みを立てておられますが、その積算根拠が明らかでありません。納得のいく説明をお願いします。  第六に、たばこ耕作者に関する質問に移ります。わが国たばこ消費量は、喫煙人口の増加もあり、年々ふえ続けていることはデータで明らかであります。しかし、それを供給する側の葉たばこの耕作面積、耕作農家の数は激減しております。たとえば、昭和四十三年に二十六万人いた耕作者が五年後の四十八年には十三万人と半減しており、その後も減少しております。また、耕作面積も四十三年の減反政策後毎年五%程度ずつ減少してきております。公社の泉現総裁も委員会において、「ここ二、三年需要の増大に対して生産がふえない。需要量に生産が追いつかないのが現状です」と答弁しております。政府、公社にすれば、消費量がふえることは収入の増加につながるのですから、さぞ喜ばしいことでしょう。しかし、世界的に見ても葉たばこは足らなくなっており、価格は上昇の傾向にあるようです。国産の葉たばこの生産を増加しないと、輸入をますます増加せざるを得なくなります。公社は現在三〇%程度を輸入しているとのことですが、将来の見通しとして、政府は一体公社をして何%程度まで輸入品に頼らせるのでしょうか。また、国内産葉たばこの生産量確保のためどのような施策を施しているのか伺いたいのであります。  さらに、国内産葉たばこの生産減少の理由は、生産に非常に多くの時間と労働を要することが大きな原因ではないかと思います。真夏の一番暑いときに収穫作業を行い、収穫が終われば、あの大きな葉を傷つけないように乾燥させる。それから葉を等級別に選別する。それは大変な重労働であります。しかも、夏も冬もなく、一年じゅうたばこにかかり切りにならざるを得ないのであります。また、大型農具を入れて他の農業のようにマスプロ化していくことも非常にむずかしく、すべて手で作業を行っていくしかないのであります。ところが、これは四十八年のデータでありますが、家族労働報酬を他の農作物と一日当たりで比較してみますと、水稲は四千八十四円、バレイショ六千二百七十九円、リンゴ三千六十五円ですが、たばこは二千五百五十九円と非常に低い労働報酬にしかならないのであります。労働はきついが収入は少ないのでは生産者が減少するのも当然と言えます。政府は今回のたばこ値上げに際して、国への納付金をふやすだけではなく、生産者へも回すべきであります。同じ政府の買い上げが、米が高くてたばこが安いのでは不合理であります。葉たばこの買い付け額を米並みにすべきであると思いますが、答弁を願います。  第七に、専売公社退職者の関連会社再就職についてお伺いします。私の調査によりますと、昭和四十五年より四十九年までのわずか四年半の間に、三十九名もの多くの方が公社の関連会社へ再就職しておられます。そのうち専売公社退職後二ヵ月以内の人が七四%、さらにその六九%は退職と同時に公社と密接な関係にある関連会社、すなわち公社指定会社への再就職なのであります。国家公務員については、国家公務員法第百三条第二項において無原則、無定見な再就職は認められていないのであります。しかし、公社の再就職については全く野放しという状態なのであります。専売公社は指定業者制をとっているため、取引を望む業者があっても、指定を受けなければ公社と取引できないことになっております。このように多くの退職者が、それも退職後すぐに、密接な利害関係のある関連会社に再就職し、重要なポストにつき、公社との結びつきをより密接にしているということは非常に遺憾であります。この点について総理、大蔵大臣の御所見をお伺いしたいのであります。  次に、スト権問題についてお伺いをいたします。総理は、スト−処分−ストという悪循環は断ち切るべきであると言っておられます。また私は、政府が三公社五現業の労働者に、条件つきにせよ、スト権を付与する方向で検討されていたようにお見受けをしておりました。しかも、三公社の総裁は国会で条件つきスト権付与を表明されたのであります。しかし、去る十二月一日の政府声明では、そのことには全くお触れになりませんでした。これは三木総理のリーダーシップの欠如といわれております。ことに、公社総裁は大蔵大臣の任命であります。大蔵大臣として、政府声明と、そして総裁の表明との矛盾、食い違いについてどうお考えになっておるか、その点についてはっきりとお伺いしたいと思います。  また、スト権問題について、専売公社たばこ製造部門について、民営化を含めた非公社化の方向を検討されているような新聞報道がございますが、こういった点についてどのようにお考えになっておるのか。特に総理は、十一月五日の本院予算委員会では民営移管は考えておりませんと言いながら、十二月九日の本院社労委員会におけるわが党の小平委員の質問に対して、「民営移管論者ではなく、考え方も変わっていない」と言いながら、「世間には民営論もあり、重要な問題なので十分検討してほしい」という微妙な食い違いをにおわすような発言をされておりますが、総理は今後これに対しどのように対処されるのかお伺いをしたい。  最後に、二法案についてはいまだ不明瞭な疑問点が数多くあり、答弁の内容によっては再質問をしたいと思います。総理並びに関係閣僚の国民に納得のいくような明快な答弁をお願いし、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣三木武夫君登壇拍手
  76. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 矢追君の御質問にお答えをいたします。  矢追君は、今日を議会制民主主義の危機である、その招いた責任ということでございましたが、議会制民主主義を健全に発展させていくためには、与党ばかりでできることではないのでございます。野党も共同の責任を負わなければならぬということでございます。そういう意味からして、やはり与野党の関係というものが、健全な妥協というものが国会において私は要ると思う。自分の気に入らぬ法案というものはとことんまで反対ということになりますと、どうしてもやはり議会政治というものが円滑には運営されにくくなるわけでございます。だから、反対反対でいいのですけれども、ある程度の審議が済めばこれは採決するということでなければ、いつまでたっても決着がつかないということでは、議会制民主主義というものは、こういう激動の時期に国民の期待にこたえることができない結果になりますから、どうか今後、対話と協調を基本とした議会制民主主義の健全な発展のために、われわれも単独採決のようなことをしないで済ませたいのです。しかし、どうしてもある時期には決着をつけなければなりませんから、やむを得ずそういう場合があるわけでございますが、どうか野党の協力も得て、日本の議会制民主主義の健全な発展を図りたいと心から願っておるものでございます。  第二の、参議院の改革に対して私の姿勢を聞きたいということでございましたが、参議院は、河野議長を中心にして各党の意見をも交えながら改革の意欲を示されていることに敬意を表するものであります。しかし、国民参議院に対する期待は、衆議院と同じである参議院ではなくして、衆議院では政党間の対立が激しくなりがちでありますから、もう少し参議院はそういう政党間の対立を超えて、大所高所から良識の府であることを国民は期待をしておると思うわけでございます。議会政治のお手本になるような参議院というものにするために、どうか今後とも河野議長を中心とした参議院改革が実を結ぶことを期待をするものでございます。  また、すぐに解散をして国民の審判を受けるべきだということでございましたが、矢追君御承知のように、衆議院の任期は来年十二月で切れるわけでありますから、どうしても解散は行わなければならぬわけでございますが、いまはこういう不況からの脱出ということが一番の問題になっておりますから、この時期に解散は考えておりませんが、いずれ解散は行わなければならぬことは当然でございます。  新経済計画については、副総理からお答えをいたすことにいたします。  また、ライフサイクル計画というものについて、これはどのように具体化するかということでございましたが、生涯のあらゆる段階で安心して生きがいを追求する社会のシステムということは、これからの日本が目指さなければならぬ福祉社会の一つの方向だと思います。したがって、具体的な内容については、これをどのように取り上げていくかということは、経済審議会において検討を進めておるところでございます。  次に、間接税のことについて私の見解を求められましたが、わが国は、世界の中でアメリカを除いて日本ぐらいこの間接税というものの比重の少ない国はないわけで、二六・五%だったと思うのですが、欧州を見ましても、フランスは六五・三%という、これが一番多いんですが、大抵の西欧諸国は五〇%程度の間接税に依存しておるわけでございます。間接税はいろいろ直接税に比較してすぐれておる点もあるわけで、税体系の全体として、どちらにも偏し過ぎることは適当でないという考えを持っておるわけでございます。日本はどうも直接税に少し偏り過ぎているのではないか。間接税についても今後税体系の中において適当な地位を維持するように配慮していくことが必要である。一概に、間接税というものはこれはいけないというふうには考えないで、むしろ直接税との、何かこう均衡をとることが税体系としてはいいのではないかという意見を持っておるものでございます。  また、付加価値税の導入についての御質問でございましたが、どうもいまのような直接税で大幅な自然増収というものはこれから期待することは困難であります。また一方において、各種の財政的な需要というものはふえることが予想できますので、やはり先ほど申したように、間接税ということについては検討を始めなければならぬわけでございまして、西欧諸国は付加価値税をほとんど全部の国が導入をしておるわけで、いろいろな国情もございますから、この付加価値税については税制調査会で十分な審議をお願いをしたいと思っておるものでございます。  また、家計費調査の中に占める所得階層別の実態調査ということでございますが、これは家計調査はサンプル数が少ないので、なかなかほかに適当な資料がないのでむずかしい問題ではございますが、今後研究をしてみたいと思うわけでございます。  それから、五十一年度の税制改革に当たって租税特別措置を中心とした税制は改むべきではないかというお考えを述べられましたが、われわれも租税特別措置については全面的に見直しをしてみたいということで目下検討中でございます。  次に、スト権の問題についてでございますが、この問題は国民生活にも重大な影響を与えるものであって、鉄道にしても郵便にしても生活の基盤を形成するものでありますから、そういう点でこの問題は、これはただ一時しのぎのものでなくして、今回は根本的にこの問題にメスを入れたい、そうして結論を出したいと考えておる次第でございます。したがって、当事者能力というものを強化するために、もう経営形態にも触れてこれは十分掘り下げて検討をいたしたいと思っておるわけでございます。しかし、政府たばこを民営に移したいという意見をすでに決めておるものではないわけでございます。これはいままで申したとおりでございます。したがって、この問題については野党の各党の御協力も得て、もうストと処分の悪循環はぜひとも断ち切らなければいかぬ、日本の労働組合運動というものをもう少し労使の信頼の上に健全なものに打ち立てなければならぬという決意のもとに、政府はおざなりでなしに、この問題に根本的メスを入れようとしておるものでございます。  お答えをいたします。(拍手)    〔国務大臣大平正芳君登壇拍手
  77. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 第一の御質問は、昭和五十一年度の予算編成に関してでございます。赤字公債の額と依存率についてのお尋ねでございますけれども、御案内のように、ただいま予算編成の最中でございまして、幾らの公債を出さなければならないか、したがってまた、その依存率がどの程度になりますか、具体的にお答えできる段階ではございません。けれども、私ども感覚といたしましては、五十一年度にわたりまして相当多額の国債で、依存率も依然として高い財政にならざるを得ないと考えておるわけでございます。そしてこれがインフレにつながりはしないかという御心配でございますが、今日のように需給のギャップが大変大きい段階におきましては、この赤字公債の発行による予算の編成が直ちにインフレにつながるものとは考えておりません。  この予算編成に当たりまして福祉切り捨て論があるではないかという御懸念でございます。私ども福祉重視の考え方は、財政が困難な状況におきましても、みじんも変わっていないつもりでございます。しかしながら、福祉政策といえども聖域ではないわけでございまして、むだのない福祉政策の実施という点に、実のある実施という点に重点を置いた予算の編成をいたしたいものと考えております。  公共料金につきましては、これまた政府部内で目下いろいろ相談をいたしておるところでございます。一般的な方針といたしましては、可能な限り受益者に御負担をいただくことを原則とし、物価政策が許す範囲内におきまして、公共料金の改定すべきものありとすれば改定が望ましいと考えております。  それから次に、税制の問題でございます。基本的な考え方といたしましては、矢追さんの言われたとおり、公正の原則を貫かなければならぬと考えております。したがいまして、五十一年度の税制改正に当たりましては、もう一度現行税制を根底から見直すという作業にとりかかっておりますことはたびたび申し上げておるとおりでございます。その場合に間接税をどう評価するかと、そして付加価値税についてどう考えているかということでございました。私ども来年度は租税特別措置を中心といたしました現行税制の見直しに重点を置くつもりでございまして、新しい税目を起こすというようなことは目下考えていないわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、今日の財政状況から判断いたしますと、近い将来におきまして、増税を国民と御相談しなければならない時期が近い将来にあり得るのではないかと思うのでございます。その場合に直接税を考えるべきか、あるいは間接税を考えるべきかということは、非常に重大な選択の問題になってこようかと思うのでございまして、そういう意味におきまして、いま税制調査会には、まずその前提といたしまして、租税負担率はどの程度あってしかるべきかという基本問題につきましての御検討をいただいておるわけでございまして、間接税をどのようにして取り上げていくかというようなことまでまだ政府の検討は進んでいないわけでございます。したがって、当然のことといたしまして付加価値税を採用するというようなことはいまのところ考えておりません。  所得階層別の間接税負担の状況、その調査を急ぐべきでないかということでございます。家計費の中における消費の態様をベースにいたしまして今日までいろいろ考えてまいったわけでございますけれども、家計調査はサンプルが余りに乏しゅうございまして、矢追さんのおっしゃるように、これはやはりもっと調査を充実しなければならないのではないかと考えております。  それから、物価調整減税についてどう考えるかということでございますが、二兆円減税の結果、今日標準家族におきまして百八十三万円という非課税限度が設定されておりますことは御案内のとおりでございまして、当面の経済、財政の状況から判断いたしまして、いましばらくこの水準においてがまんしていただくということを政府が仮に国民にお願いいたしましても、私は無理なお願いではないのではないかと考えておりまして、いま政府といたしまして物価調整減税を取り上げるつもりはありません。  マイナス所得税についてどう考えるかということでございます。この問題は、今日のわれわれの社会保障は、御案内のように低所得者でございますとか、あるいは身体障害者でございますとか、母子家庭でございますとか、いろいろ個別、具体の事情に即しての社会保障制度が綿密に編まれておるわけでございますが、この負の所得税というのは、そういう個別的な事情を捨象いたしました大胆な構想なんでございます。また、これを実行している国もございませんし、仮にこれを実行をいたしまするということになりますと、いままで税で捕捉していなかった全国民の所得というものを行政が捕捉しなければならぬという大事業になるわけでございまして、検討することにやぶさかではございませんけれども、とうていこの大問題についていまわれわれのまとまった意見を申し上げられるような段階ではございません。  それから、租税特別措置の検討でございますけれども、これはたびたび申し上げておりますように、けさほどもお話を申し上げましたように、目下全面的な検討をお願いいたしておるところでございます。仰せになるように、公正ということを中心といたしまして、もう一度不公正な面がまだ残っていやしないかという点につきまして鋭意検討をいたしまして、御期待にこたえなければならぬと考えております。  それから、酒税の負担の問題でございますが、これはたびたび本院でも御説明いたしておりまするように、四十三年から今日に至るまで酒税の改定をいたさなかったわけでございます。酒税の大部分は御案内のように従量税でございますので、その間たとえば消費者物価が一・七倍になっておるわけでございますけれども、酒税はそのまま据え置かれておるわけでございます。したがって、意図せざる減税が行われておるわけでございますので、この際負担の調整をやらしていただきたいということでございますが、増徴の御承認をいただきましても、四十三年当時の負担に比較いたしまして決して高くなっていないわけでございますし、諸外国と比較いたしましても決して私は高くないという確信を持っておりますので、御理解を得たいと思うのでございます。  それから、ビールの値上げについてのお話がございましたけれども、これはアサヒビールは五十年三月に値上げになりました。サッポロは五十年四月、サントリーとキリンは五十年七月に値上げいたしております。値上げの必要性は、石油ショックを背景とする原材料の値上がりと人件費等のコストアップによるものでございまして、企業格差のあることも事実でございますけれども、そのために値上げするのでは決してないことを御理解いただきたいと思います。シェアの大きい会社は値上げをできるだけおくらしてまいりましたことも評価していただきたいと思うのでございます。  それから次に、表示の問題についての御指摘がございまして、ビールにつきましては、大びん以外の製造時期の表示は今後の検討に待つこととしたいと思います。ウイスキーにつきましては、度数も高いし、製造時期が古いものが品質として悪いということでは決してないので、製造年月の表示をすることは目下考えていないのであります。  それから原価でございますが、たばこの原価について次に御質疑がありまして、これは銘柄別の原価につきましては、専売国と言わず非専売国と言わず世界的に秘密になっておりますので、秘密にさしていただいておるわけでございますが、製品の十本当たりの原価を申し上げますと、四十三年九円三銭でございましたけれども、五十年は、十五円七十五銭になると、一七四%になると、そういう値上げになってコストアップになっておりますことを御報告申し上げます。  それから益金率でございますが、この値上げを御承認いただきまして、五十年には五一・四%の益金になるわけでございます。五十一年度は、これを平年度化いたしますと五六%の値上げになるわけでございます。これは六〇%に達しませんけれども、これを御承認いただきますならば、次の値上げをできるだけ先に延ばしてまいる努力をいたしたいと考えております。  それから値上げ理由は、申すまでもなく原価の高騰、それから先ほど申しました負担の調整、これもたばこの場合も従量税でございますので、負担の調整をやらしていただくことと、適正な益金の確保という意味で最小限度の改定を考えておるところでございます。  それから国民健康の問題、それから国民の要望にどのようにこたえるか、宣伝等の問題についてもお触れになられたわけでございます。私どもといたしましては、製品の研究と開発を通じて、多様化した国民の要望に適確にこたえていかなければならぬと考えておりますけれども、同時に、矢追さん御指摘のように、喫煙の健康に及ぼす影響というものを十分考えて、製品の開発、研究につきましては、その観点を鋭意入れてまいりたいと考えております。  それから、専売公社の借入金についての御質疑がございました。昭和四十八年度の長期借入金の内容を申し上げますと、それは御指摘のように九百十五億円でございます。資金運用部から九百五億円、農林中央金庫から十億円でございまして、これは長期借入金として普通の金利で借り入れておるわけでございます。その使用先は、国内葉たばこの買い入れ価格の大幅な上昇に伴う買い入れ資金、それから輸入葉たばこの買い入れ価格の上昇に伴いまして金の必要を生じまして、八百八十九億円使わしていただいております。固定資産は百七十三億円、新工場への投資でございます。それから定価改定を控えての仮需要に対処するための在庫を用意しなければなりませんので、百三十一億円をそれに充当いたしております。それから別途、塩の収納価格の大幅な上昇にこたえて、四十九億円塩会計で使っておる状況でございます。で、五十年度の三千五百十億円でございますとか、五十二年度の七千六百六十億円というのは、定価改定を実施しなかった場合にどうなるかという一つの試算を試みたものでございまして、実際は、原価の高騰がございますと、もう少し多くなるかと思いますけれども、現在の価格で一応計算いたしますと、御指摘のような金額になると御承知を願いたいと思います。  それから耕作者対策でございます。仰せのように、わが国の国内葉たばこの自給力を強めてまいるということは急務でございます。今日七四%ばかり国内の葉たばこを使用いたしておりますけれども、この趨勢でまいりますと、年々若干減ってまいるという傾向にございますことを憂えておるわけでございます。したがって、今朝も御報告申し上げましたように、極力近代化政策を推進いたしまして国内の自給力を高めてまいるように努力してまいらにゃいかぬと思っております。しかし、矢追さんも御指摘のように、この葉たばこの耕作というのは労働集約的なものでございまして、労働力を主体にいたしたものでございます。したがって、非常な過酷な労働をお願いいたしておりますことは御指摘のとおりでございます。しかも、それに対して報うところが十分でないじゃないかという御指摘でございます。特に米に比べて少ないじゃないかという御指摘でございますが、毎年毎年そういう観点から私どももこの労働力の評価につきましては改善を加えてきておるわけでございますが、今後もそういう観点から逐次改善してまいりたいと考えております。  それから、退職者について、公社をやめた方々が公社の指定会社に再就職するということについての御指摘がございました。公社につきましては、公務員と違いまして退職後の就職について規制はございません。しかし、規制が法律上ないからといって、この退職者の就職に政府が無関心であってはならないことは御指摘のとおりでございます。したがって、公社に関係いたしました指定会社の選択に当たりましては、厳正にその経験、信用、能力等を公正に判断いたしまして、適当な指定をするように心得ていかなければならぬと思います。  それから最後に、この間のいわゆる専門懇の公社に対する経営形態に対する意見と公社の総裁の意見が違っておるではないかという御指摘でございます。仰せのとおり、総裁の意見と専門懇の意見とは軒輊するところがあるようでございます。私の方といたしましては、政府の方針に従いましてこの経営形態の今後の検討を進めなければならぬわけでございます。公社の総裁は管理責任を持っておる最高の立場におるわけでございます。公社の総裁の意見というものは十分その検討に当たりまして参考にすべきものと考えております。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫君登壇拍手
  78. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) まず新しい経済計画をつくるに当たりまして、この高度成長路線を完全に洗い直しをせよ、そういうことが必要と思うが、具体的に答えよと、こういうお話でございます。まあ世の中が変わってきましたので、経済政策の基調はこれはもう完全に変更する必要がある、さように考えます。その第一は成長の高さ、これはいままでは先進諸国の二倍以上の速度で走ってきたわけでございまするけれども、まあこれからは大体先進諸国の中で高い成長率の国、そのグループの水準をにらみながら、わが国はそれらとつり合いをとった成長をすべきものであると、かように考えます。また、成長の内容につきましては、これはいままでは何といいましても成長の成果を次の成長につぎ込む、つまり成長中心の考え方でございましたが、これからは成長中心から生活中心へ転換と、こういうことを基本としてやっていきたいと、かように考えます。  次に、ライフサイクル構想に企画庁は反対とのうわさを聞くがどうかと、こういうお話でありますが、それはうわさでありまして、真実ではございませんです。ライフサイクルというのは、これは人生の各段階におきまして、その段階ごとに適当なシステムによりまして生きがいを追求していくと、そういう手法の開発ということを考えておるわけでございますが、まさにこれは社会施策の中心的な考え方はそのとおりでなければならぬと、こういうふうに考えます。ただ、まだ具体的な案件として内容が確定しておるわけではございませんものですから、これを具体的に経済計画に取り入れるというまだ段階に来ておらないのであります。この考え方の基本といたしましては、まさにそうあるべきである、そういうふうに考えまして、具体的の問題の追求を今後進めたいと、かように考えております。  それから、新しい経済計画の中で公共料金をどういうふうに位置づけるかと、こういうお尋ねでございますが、まあ公共料金につきましては、しばしば申し上げておるとおり、これは政府が介入して決定する料金でありますので、この狂乱以後の物価の情勢等から見まして、この原油価格の、輸入価格引き上げに伴いまするところの改定ですね、これをしなかったものが多いわけです。また、し足りなかったものがあるわけであります。そういうものにつきましては、これは今後改定及行わなきゃならぬ。しかし、その改定の幅でありますとか、その時期でありますとか、これは他の経済政策とにらみ合わせまして慎重に対処しなけりゃならぬ、こういうふうに考えております。  それから次に、五十一年度は一体、いまいろいろ新聞等に報道されておるが、あのような内容の予算、あのような経済見通しのもとで、経済の安定といいますか、物価の安定とそれから景気の回復、これは両々を達成できるか、こういうようなお尋ねでございますが、それはもうぜひしなけりゃならぬと、私は前々から今回のこの石油ショック、これによる打撃は非常に甚大であってその調整に三ヵ年を要すると、こういうふうに申してきておるわけでございまするけれども、その三ヵ年の最後の年が五十一年度になるわけでありまして、五十一年度中には何とかしてインフレなき成長、これを実現してみたいと、かように考えております。  それから最後でございますが、将来、付加価値税を採用する考えかどうか、また付加価値税自体についての所見いかんと、こういうことでございますが、これは、付加価値税は数年前からわが国におきましても議論をされてきておるんです。ただ私は、これは特に物価が不安定な時期にこれを採用することは妥当でないと、そういう考え方を持ち続けてきておるわけであります。したがって、五十一年というような、まあ調整過程の段階におきましてこれを採用すると、これは、私は考えられないことであると、こういうふうに思います。しかし、この経済、物価が安定したその時点におきまして、とにかく今日のこの財政赤字というようなものを考えてみるときに、いろいろの赤字解消の方策を考えなきゃならぬ、その中の一つの検討項目として、これは重要なものになってくるであろうということは、私は今日意識しておりますが、将来の問題であるというふうに御理解願います。(拍手)    〔国務大臣田中正巳君登壇拍手
  79. 田中正巳

    ○国務大臣(田中正巳君) 不況インフレ時においては国民の中に困窮者が増加をいたしますので、社会保障施策の実施については、十分な配慮をいたさなければならないことは仰せのとおりだろうと思います。なかんずく、たとえば世帯更生資金や母子福祉資金の資金需要の量の増大、生活被保護者の増加等の社会事象について十分留意をする必要があることは申すまでもないところであります。しかしながら、社会保障には、経済動向のいかんにかかわらず、国民の現在及び将来の不安をなくするという近代国家的政策要請、さらには国民人口の老齢化等の社会事情の変化等に応じて、経済がどうあろうとも進めなければならない半面があることも御承知のとおりであります。ところで、不況、低成長下では、社会保障費の増額計上に実際問題として困難を来すこともまた否定ができませんので、今後は社会保障の充実を図るためには、単に従来路線を延長するという安易な考え方だけでは対処し切れない面が出てくるだろうと思いますので、各施策の優先度の選択をいたしたり、国民負担のあり方等、幅広い観点からの特段の工夫、努力が必要となってまいると思いますし、こうした努力の上に総体的な社会保障水準の向上に努めなければならないというふうに考えております。  次に、ライフサイクルについて、私どもの考え方についてお尋ねがありました。ライフサイクル計画は、その理念において、現下の社会情勢の分析、政策要請の把握等に多くの貴重な意見があることは事実でございます。しかし、各論においては、さらに種々検討をいたし、掘り下げていかなければならないものがあるというふうに私どもは思っております。新しい経済計画に合わせて、今後の社会保障のあり方について検討いたさなければなりませんが、その際、ライフサイクル計画で提言された考え方については、貴重な参考資料としてこれを踏まえてやっていきたいというふうに思っております。(拍手)    〔国務大臣河本敏夫君登壇拍手
  80. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 中小企業についての御質問でございますが、現在の不況のために中小企業は非常に大きな、かつまた深刻な打撃を受けております。そこで、今月初めの閣議におきまして、資金の面から不足を来さないように、政府資金、民間資金とも格段の配慮を払っていくということを閣議で決定をしたわけでございます。  それからなお、不況が相当長期間続いておりますので、担保切れ等の企業が出ております。そこで、担保の見直し等につきまして先月関係金融機関に指示をしたところでございます。また、先ほど来この返済猶予、ケース・バイ・ケースで返済猶予を見ていく、こういうこと等もすでに実施しておりますので、まず金融面では私は現在万全の策が講ぜられておると、かように理解をいたしております。  次に、仕事の面でありますけれども不況から仕事がなくて非常に困っておるわけでありますが、そこで、官公需の約三三%をいま中小企業に回しておりますけれども、先般各省庁に対しまして、それ以上中小企業に仕事を回すように格段の配慮を要請をしたところでございます。  なお、来年度におきましても中小企業対策を最重点施策と考えまして、金融面では貸付規模の拡大、それから特に小規模企業が大変困っておられますので、それに対する融資の格段の増額、さらにまた高度化事業を従前以上に進めますほか、事業の転換ということに対しては特別の配慮を払っていくように施策を講ずるつもりでございます。(拍手
  81. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 答弁の補足があります。大平大蔵大臣。    〔国務大臣大平正芳君登壇拍手
  82. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 酒類の原材料及び級別につきましては、酒税法におきまして具体的に規定されておるところでございます。したがいまして、原材料の使用量についてまで表示させるときは、国内の酒類市場で非常に激しい競争を行っておる輸入のウイスキーにつきましても表示をさせなければならぬことになりますが、輸入のウイスキーにつきましてはそれを保証することが困難でございますし、また、ウイスキーについての原材料等の表示は国際的にもその例が見られないところでございますので、せっかくの御指摘でございますが、直ちにお約束いたしかねますが、なお、御指摘もございますので検討をしてみたいと思います。  それから度数とパーセンテージは——酒類のアルコール含有量の表示の問題でございますけれども、度数とパーセンテージはいずれも同じ単位のものでございまして、その認識が消費者の間にも定着して、混乱を来しておるとは政府の方は考えておりませんけれども、しかし、矢追さんは、消費者は戸惑っている向きがあるじゃないかということでございますが、この点も御指摘がございまするので、なお検討さしていただきたいと思います。(拍手)      ——————————
  83. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 矢追秀彦君外一名から、賛成者を得て、  本日の本会議たばこの原価に関する資料を提出することを要求する動議が提出されました。  これより本動議採決いたします。  表決は記名投票をもって行います。本動議賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名点呼〕    〔投票執行
  84. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 投票漏れはございませんか。——投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖
  85. 河野謙三

    議長(河野謙三君) これより開票いたします。投票参事に計算させます。議場開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  86. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         二百四十票   白色票           百十五票   青色票          百二十五票  よって、本動議は否決されました。(拍手)      ——————————   〔参照〕  賛成者白色票氏名      百十五名       太田 淳夫君    矢原 秀男君       野末 陳平君    喜屋武眞榮君       下村  泰君    相沢 武彦君       塩出 啓典君    市川 房枝君       柄谷 道一君    内田 善利君       峯山 昭範君    桑名 義治君       三治 重信君    上林繁次郎君       阿部 憲一君    三木 忠雄君       藤原 房雄君    栗林 卓司君       黒柳  明君    矢追 秀彦君       原田  立君    田代富士男君       藤井 恒男君    木島 則夫君       鈴木 一弘君    山田 徹一君       宮崎 正義君    中村 利次君       田渕 哲也君    二宮 文造君       白木義一郎君    小平 芳平君       多田 省吾君    中尾 辰義君       向井 長年君    福間 知之君       矢田部 理君    案納  勝君       久保  亘君    青木 薪次君       野田  哲君    対馬 孝且君       秦   豊君    浜本 万三君       赤桐  操君    大塚  喬君       小山 一平君    片岡 勝治君       田  英夫君    宮之原貞光君       鈴木美枝子君    神沢  浄君       前川  旦君    竹田 現照君       山崎  昇君    村田 秀三君       小野  明君    野口 忠夫君       栗原 俊夫君    茜ケ久保重光君       瀬谷 英行君    森  勝治君       戸叶  武君    田中寿美子君       竹田 四郎君    戸田 菊雄君       森中 守義君    志苫  裕君       森下 昭司君    近藤 忠孝君       山中 郁子君    粕谷 照美君       片山 甚市君    目黒今朝次郎君       橋本  敦君    安武 洋子君       内藤  功君    寺田 熊雄君       佐々木静子君    辻  一彦君       小巻 敏雄君    神谷信之助君       小谷  守君    工藤 良平君       上田  哲君    和田 静夫君       松本 英一君    小笠原貞子君       立木  洋君    沓脱タケ子君       鈴木  力君    中村 波男君       川村 清一君    杉山善太郎君       沢田 政治君    加藤  進君       渡辺  武君    塚田 大願君       安永 英雄君    吉田忠三郎君       鶴園 哲夫君    松永 忠二君       小柳  勇君    須藤 五郎君       岩間 正男君    星野  力君       阿具根 登君    野々山一三君       中村 英男君    秋山 長造君       藤田  進君    河田 賢治君       野坂 參三君    上田耕一郎君       春日 正一君     —————————————  反対者青色票氏名      百二十五名       宮田  輝君    寺下 岩蔵君       平井 卓志君    吉田  実君       中西 一郎君    山本茂一郎君       山内 一郎君    久保田藤麿君       前田佳都男君    木内 四郎君       佐多 宗二君    最上  進君       望月 邦夫君    森下  泰君       梶木 又三君    藤川 一秋君       福岡日出麿君    鳩山威一郎君       秦野  章君    夏目 忠雄君       林  ゆう君    安孫子藤吉君       青井 政美君    有田 一寿君       井上 吉夫君    石破 二朗君       中村 登美君    松岡 克由君       藤井 丙午君    桧垣徳太郎君       原 文兵衛君    中村 禎二君       高橋 邦雄君    細川 護煕君       宮崎 正雄君    林田悠紀夫君       佐藤  隆君    菅野 儀作君       石本  茂君    中山 太郎君       小林 国司君    寺本 廣作君       柳田桃太郎君    内藤誉三郎君       玉置 和郎君    高橋雄之助君       楠  正俊君    岩動 道行君       西村 尚治君    鍋島 直紹君       新谷寅三郎君    上原 正吉君       郡  祐一君    青木 一男君       徳永 正利君    小川 半次君       八木 一郎君    丸茂 重貞君       塩見 俊二君    志村 愛子君       河本嘉久蔵君    嶋崎  均君       棚辺 四郎君    中村 太郎君       戸塚 進也君    高橋 誉冨君       坂野 重信君    斎藤栄三郎君       山東 昭子君    糸山英太郎君       岩男 頴一君    岩上 妙子君       遠藤  要君    大島 友治君       大鷹 淑子君    斎藤 十朗君       古賀雷四郎君    黒住 忠行君       川野 辺静君    金井 元彦君       今泉 正二君    土屋 義彦君       山崎 竜男君    上田  稔君       初村滝一郎君    長田 裕二君       久次米健太郎君    鈴木 省吾君       世耕 政隆君    江藤  智君       藤田 正明君    大森 久司君       岡本  悟君    平泉  渉君       橘直  治君    町村 金五君       加藤 武徳君    安井  謙君       剱木 亨弘君    吉武 恵市君       増原 恵吉君    神田  博君       伊藤 五郎君    鹿島 俊雄君       大谷藤之助君    小笠 公韶君       亘  四郎君    橋本 繁蔵君       佐藤 信二君    亀井 久興君       岡田  広君    上條 勝久君       稲嶺 一郎君    矢野  登君       安田 隆明君    山崎 五郎君       高田 浩運君    増田  盛君       二木 謙吾君    源田  実君       熊谷太三郎君    植木 光教君       木村 睦男君    温水 三郎君       福井  勇君      ——————————
  87. 河野謙三

    議長(河野謙三君) これにて午後七時二十分まで休憩いたします。    午後六時二十二分休憩      ——————————    午後七時二十七分開議
  88. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  両案に対する質疑を続けます。近藤忠孝君。    〔近藤忠孝君登壇拍手
  89. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま議題となりました酒税法の一部を改正する法律案並び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。  右二法案は、大蔵委員会において桧垣徳太郎君並びに自民党委員の暴挙によって、社会党委員のわずか五時間弱の質疑だけで打ち切り、可決したとされているものであり、審議はほとんど尽くさ、れていないのであります。  私は二回にわたって質問の機会を奪われました。ついに委員会においては一度も発言ができなかったのであります。わが党の渡辺委員を初め他党の多くの委員も同様であります。したがって私は、右二法案の内容についての質問に入る前に、桧垣徳太郎君に委員会審議がどうであったか、この点についてお聞きいたします。  桧垣徳太郎君は十一月二十日議長あてに審査報告書を提出しております。この審査報告書作成の過程で桧垣君は、委員部職員に対し、当日の議事を次のように進めたと報告しているのであります。すなわち、  〔上條委員〕  ただいま審査中の閣法一号、二号両案に対する質疑打ち切り、直ちに討論採決に入ることの動議を提案いたします。〔委員長〕上條君の動議賛成の方、挙手願います。(自民党議員十二名挙手)可否同数と認め、委員長はこれを可と決定いたします。討論に入ります。発言がないので、採決に入ります。二案に賛成の方挙手願います。(自民党議員十二名挙手)可否同数と認め、委員長は可決すべきものと決定しました。報告書の作成は委員長に一任ください。本日はこれにて散会いたします。  とのことでありますが、桧垣君、果たしてこのような報告を委員部にしたこと、これは事実でしょうか、お伺いいたします。  しかし、この報告内容が事実と全く相違することはだれの目にも明らかであります。当日は自民党上條委員が「委員長」と叫んで挙手した以外には議事は何一つ行われていないのであります。委員長は出席委員に一体何を諮ったというのでしょうか。委員長席の直前にいたわが党の渡辺議員を初めだれも委員長発言を聞き取っていないのであります。また、右報告によると、「可否同数につき委員長はこれを可決すべきものと決定した」というのでありますが、一体、だれが挙手により賛成の意思表示をしたというのでしょうか。委員長はこれをどうして確認したというのでしょうか。私はこのとき、自民党委員さえも立ち上がる者、座って挙手をする者、座ったまま何もしない者など、その行為はさまざまであったことをはっきりとこの目で確認しております。一体、桧垣君は何を諮ったのか。そのときこの私はどうしておったのか。立っておったのか、座っておったのか。また、「討論について発言がない」と言っておりますけれども、何をもってそう判断したのか。一体、このとき桧垣君の目に映ったのは何であったのか。との私があなたの目に入ったかどうか、ありのままに答弁されたい。何も諮らずに、何も確認できない状況のもとでは、議決は不存在であります。これを可決されたと強弁するのは、国会議員質疑討論など国民から負託された当然の権利行使を奪ったものであり、議会制民主主義の基本に対する侵害だとは考えませんか。答弁を求めます。  さらに、昨日来本会議場において、壇上で水をぶちまけた者、氏名点呼の前に投票した者に対し、議長から厳重な注意がありました。国会会議とは、それほどにも厳粛なものであります。これに比較し、桧垣君がとり続けてきた強行開会、強行採決、さらに野党議員をだまし続けてきた行為、特に虚偽の審査報告書提出など、罪の重さはどれほどか、表現のしようがありません。まして一片の瑕疵もなかったという答弁に至っては言語道断であります。国の最高機関として、手続を尊重し、これを重視するのは最低の要件であります。桧垣徳太郎君、あなたは、二つの厳重注意処分行為と比較してみずからの行為をどう思うのか、見解を求めます。  次に、大蔵大臣質問いたします。  私は、すでに十一月十八日、文書をもって三十項目に及ぶ資料要求をいたしました。いずれも酒、たばこ値上げ法案審議に必要なものでありますが、うち七点の提出があった以外、いまだに私の手元に届いておりません。大蔵大臣、一体なぜ提出できないのか、その一つ一つについてその理由を明らかにすることを要求いたします。私が要求した資料は、第一に、たばこに含まれる有毒物や喫煙の健康に関する研究の問題など、国民の命と健康に直接かかわる問題、第二に、たばこの品質悪化と原価問題など、今回の値上げの必要があるかどうかに直接関係する資料、第三に、公社が喫煙者を高価格たばこに誘導するなど、公社の営利本位の態度、それが二重の値上げとなって国民生活に大きな影響を及ぼすという問題、第四に、小売店のマージンや価格改定に伴う自動販売機への補償問題など、二十数万人に及ぶ小売店の営業に直接かかわる問題、第五に、圧倒的多数を占める酒造中小メーカーの経営に関する問題であり、いずれも酒、たばこ値上げ法案審議に欠かせないものであります。私はこの資料をさらに十九点に整理いたしました。昨日、政府に再度提出の要求をいたしました。この資料の提出とこれに基づく質疑なしにはこの二法案審議はとうてい尽くせたとは申せません。大蔵大臣、右十九項目について今日まで提出していない理由を具体的に、詳細に説明することを強く要求いたします。私の質問はこの資料に基づいて行うものでありますので、以下の質問は大臣の答弁の後にいたします。(拍手)    〔国務大臣大平正芳君登壇
  90. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 近藤委員から御要求がございました酒、たばこ関係の資料につきましては、当然のことながら、国会審議に必要な資料の提出につきましては、最大限の努力を払いまして提出可能なものはすべて提出済みでございます。未提出のものにつきましては、まず要求資料に該当する資料そのものが存在しないもの、それから企業秘密として公開することが適当でないもの、それから専売公社の部内検討資料でございまして、外部に提出することが適当でないもの、それからさらに、研究途上のものでありましてまだ国際的特許権の関連から公開できないもの等でございますので、そういったものは遺憾ながら提出することはいたしておりません。(拍手)    〔桧垣徳太郎登壇拍手
  91. 桧垣徳太郎

    桧垣徳太郎君 近藤君にお答えいたします。  第一の御質問は、十一月二十日の大蔵委員会の経過についての御質問でございました。詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じますが、概要だけを御報告を申し上げます。  まず、理事会を開催いたしました後、午前十時三十六分委員会を開会いたしました。酒、たばこ法案議題とし、社会党寺田熊雄君の質問に入りました。この間、同党吉田忠三郎君、辻一彦君、野々山一三君が関連質問を行いまして、午前零時八分休憩をいたしました。休憩中理事会を開会、午後二時九分委員会を再開いたしました。酒、たばこ法案審議を続行することとし、大塚喬君の関連質問の後、寺田君が質問を継続をいたしました。寺田君の質問に対する主税局長の答弁が終わったところで、二時三十二分上條勝久君から両案に対する質疑打ち切り討論採決に入ることの動議が提出され、委員長は上條君の動議を諮り、可否同数と認め、これを可とすることに決し、討論に入りましたが、別に発言もなく、採決を行い、可否同数と認められましたので、これを可決すべきものと決しました。続いて審査報告書の作成は委員長に一任願いたいと発言をいたしました上、散会を宣した次第であります。  次に、大蔵委員会においては議決が存在しなかったのではないかということでありますが、十一月二十日の大蔵委員会では、混乱状態こそございましたけれども委員長は上條委員の動議に基づき適法に採決を行ったのでございまして、議決の結果は明白であります。  なお、大蔵委員長の提出した審査報告書は虚偽のものではないかというお話でございましたが、議長に提出いたしました審査報告書は、委員長の職能に基づき事実に即して作成し提出しました正式の報告書でございます。(拍手
  92. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) 近藤忠孝君。    〔近藤忠孝君登壇拍手
  93. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 ただいまの桧垣徳太郎君の答弁を聞きました。いまなお桧垣君は大蔵委員長の資格がないことをみずから自白いたしました。まず、うそを言っております。質問に答えておりません。私がお尋ねいたしましたのは、桧垣君の目に入ったのは一体具体的にどんな事実なのか、これが私の質問であります。再度お答えいただきたいと思います。  さらに、大蔵大臣のただいまの答弁は全く納得できません。私は具体的に一つ一つ提出できない理由を聞いたのでありますけれども、何ら答えておりません。  大蔵大臣たばこの中に含まれている有毒物にはどのようなものがあるか御存じでしょうか。公社はニコチン、タールの含有量については発表することにし、いままで何回も発表したと言っております。しかし、実際の生データは隠しているのであります。  私の要求した資料第二番目、一九六九年専売公社中央研究所発行「研究報告特集(T)低ニコチン・低タールタバコ」という資料がそれであります。大蔵大臣、この資料をなぜ隠さなければならないのでしょうか、理由を明快に答弁されたいと思います。公社はニコチン、タールの含有量しか発表しておりませんが、たばこの中にはほかにも発ガン性物質やその他の有毒物が含有されております。公社においてもそれについての調査研究がなされているのであります。私の資料要求第一の「製造たばこ銘柄別含有毒物成分」という資料がそれであります。外国ではこのような資料は発表しているのであります。この資料の提出を求めます。答弁されたい。これは国民の命や健康に直接かかわる問題であります。これにはほおかぶりをして、値上げだけすることは断じて許せません。公社は利益を上げ、納付金を納めることだけがその仕事ではありません。国民の健康保持も重要な責務であります。政府は、国民を不安に陥れるから私の要求資料は出せないと答えるかもしれません。しかし、国民にとっては、隠されてやみからやみに葬られる方がよほど不安ではないでしょうか。有毒物が含まれていることを発見した場合には、直ちに人体への影響やこれを除去する方法について全力を挙げて対処するのが政府専売公社の責務であります。日本人の知恵を集めるためには公表する必要があります。科学の進歩と真の国民の健康のためにも、事実は事実として公表すべきであります。大蔵大臣並びに厚生大臣の所見を伺います。  さらに、私が要求しております資料は、健康問題にとどまらず、値上げの必要性があるのかどうかに直接かかわるものであり、その資料がいまだに提出されていないのであります。大蔵大臣、最近ハイライトはうまくないとか、新しい銘柄のものは軽いとか、こう言う人がふえている事実を御存じでしょうか。いままで売上高第一を誇っておりましたハイライトが本年七月には第一位の座を譲ったのは、こんなところに原因があると思いませんか。実際にハイライトの原料の重さが減っており、量が減っているのであります。昭和四十年から四十九年までに一本当たり一割ほどの量が減っている、この事実が事実かどうか、御答弁をされたい。私の資料要求第四の「昭和四十九年度たばこ製造作業実績表」、この資料を見れば明らかであると思います。この資料は秘密にすべきものではないと思います。提出を求めます。原料の量を落とし、品質を落として製造原価を低くしながら、値段は五〇%も値上げするというのでは、国民は納得いたしません。しかも、どれだけ品質を落としたのか隠そうとしているのであります。大蔵大臣としてこんなことを許してよいと思うのかどうか、率直な見解を賜りたいと思います。  私は、資料要求第五から第八で、原価を明らかにするために銘柄別製造原価、公社の監査報告書などの資料の提出を求めてまいりました。公社や大蔵省は、人件費や葉たばこ値上がり理由に今回の値上げ法案を提出したと説明しております。しかし一方では、品質を落とすことによる製造原価の低下もあるのであります。実際の製造原価を明らかにしなくては、国民も、そして国会も、値上げの必要性があるのかどうか判断できないではありませんか。私は第七十五国会において、公社が値上げ後も国民に高価格たばこを吸わせるよう研究をしている事実とか、未喫煙の婦人層を喫煙者にさせて喫煙人口をふやそうとしている事実を具体的に指摘いたしました。これは二重の値上げと言うべきものであり、国民生活を無視した営利主義が先行していると考えざるを得ないのであります。  私が要求いたしました資料第九、専売公社企画開発本部作成「今後の商品計画」、資料第十「専売公社昭和五十年度事業運営方針、営業方針、たばこ販売計画」、これに記載されている事実は、このことの動かぬ証拠であります。大蔵大臣は、公社のこの営利主義的なやり方についてどうお考えでしょうか。見解をお尋ねすると同時に、この資料の提出を求めるものであります。  資料要求第十一、第十二、これは二十数万人に及ぶたばこ小売業者の営業に直接重大なかかわりを持つものであります。  以上、私は、私が要求した資料の一部についてその必要性とこの提出を拒む理由のないことを具体的に明らかにいたしました。私が具体的に指摘いたしました諸点に対する明快な答弁と、私のこの意見を聞いた現在の段階での資料提出についての大蔵大臣の見解を求めます。  私の酒、たばこ値上げ法案の内容にわたっての質問は、以上についての答弁を得た上で行うものであります。(拍手)    〔国務大臣大平正芳君登壇拍手
  94. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 御要求の製造たばこ銘柄別含有有毒物成分表でございますが、これは、こういう成分表をいま技術的に専売公社はまだ持っておりません。  それから、一九六九年専売公社中央研究所の発行に係る「研究報告特集(T)低ニコチン・低タールタバコ」でございますが、これは先ほど申しましたように、研究者間の部内研究資料でございますので、提出することは適当でないと判断したためであります。  それから、製造たばこの銘柄別製造原価でございますが、これはたびたび申し上げておりますように、企業の秘密でございまして、提出することは適当でないと判断いたしました。  それから、専売公社企画開発本部の本年二月六日に決めた「今後の商品計画」でございますが、これは先ほど申し上げましたように、内部検討資料にすぎないもので、国会に提出すべき性質のものではないと判断いたしております。  それから、資料十一、十二でございますが、これにつきましては、十一にいうところの専売公社と全国たばこ販売協会との間で交わしたたばこ値上げに係る自動販売機改作費とマージンをめぐる問題についての妥結文書の写しということでございますが、該当する文書はございません。  それから十二の、製造たばこ値上げ案廃案に伴う自動販売機改作、買いかえ、その他たばこ小売店に対する迷惑料の支払い基準、公社支社別予算額及び支払い額の御要求でございますけれども、これは公社の営業上の秘密でございまして、外部に提出することは適当でないと判断いたしております。(拍手)    〔国務大臣田中正巳君登壇拍手
  95. 田中正巳

    ○国務大臣(田中正巳君) たばこの人体への影響については、成分との関係についてはいろいろの諸説がございますが、学問的に結論を得たものがあるとは聞いておりません。ただ、疫学的には、WHOより一九七四年事務総長報告及び同年専門委員会報告が提出されており、これによりますると、すべての死亡、特に肺がん、あるいは狭心症、心筋梗塞等の虚血性心疾患、出産児体重の低下等に与える影響が指摘されております。また、わが国においても、がんセンターのがんの疫学的研究において、平山班長から、肺がんは喫煙者は非喫煙者の三・六倍発生するという中間報告が出されておるがごとく、喫煙本数が余りに多ければ健康に悪影響があることが報告されております。(拍手)    〔桧垣徳太郎登壇拍手
  96. 桧垣徳太郎

    桧垣徳太郎君 近藤君にお答えをいたします。  近藤君の姿を見たか、どうしておったか言えということでございますが、当日与党委員十二名、野党委員、近藤君を含めまして十二名の方が出席しておられたことは確認をいたしております。ただ、委員長としては、議案処理のために必要な委員会全般の事情を確認すれば足りるわけでございまして、近藤君を初め二十四人の委員の方々のお一人お一人の挙動を一切覚えているというわけにはまいりませんので、御了承を得たいと存じます。(拍手
  97. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) 答弁の補足があります。大平大蔵大臣。    〔国務大臣大平正芳君登壇
  98. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 私は、四つのカテゴリーに分けまして総括的にお答えいたしまして、そのうち特に近藤議員が挙げられた項目についてお答えいたしたつもりでございます。けれども、全体について項目別に答えろという御要求でございますので、いままで答えていないアイテムにつきましてお答えいたします。  第四の昭和四十九年度たばこ製造作業実績表でございます。これは申すまでもなく製造原価にかかわるものでございますので、企業秘密といたしまして、提出することは差し控えさせていただきます。  それから第六号、昭和四十八年度日本専売公社監査報告書の欠落ページでございます。これも同様、企業秘密といたしまして、提出することを遠慮させていただきます。  それから第七号、製造たばこ輸出商社への卸価格、卸数量と輸出商社名別銘柄別輸出量、過去五ヵ年、年別にという御要求でございますが、公表することによりまして商取引上公社の不利益となるおそれがございますので、遠慮をさせていただきます。  八号でございますが、製造たばこの輸出先国別銘柄別輸出量及び輸出単価について過去五ヵ年間、年別にという御要求でございます。国際競争の面及び単価は企業秘密として御遠慮させていただきます。  それから専売公社企画開発本部が本年の二月六日に決めた商品計画でございますが、それは先ほどお答え申しましたように、内部検討資料といたしまして、外部に提出することは適当でないと判断したものでございます。  十号でございますが、専売公社昭和五十年度事業運営方針、同営業方針、同たばこ販売計画でございます。これは、事業運営方針は提出済みと承知いたしております。他は内部の事務資料でございまして、外部に提出することは不適当と考えます。  第十三号、都道府県別……清酒の方は、もう一緒に……。都道府県別清酒消費中、地酒消費割合を過去十ヵ年、年別にという御要求でございます。当方にはそういう統計がございません。  それから第十四号でございますが、大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律に規定する大型店舗に対する酒類小売販売業免許付与基準を明記した大蔵省または国税庁の文書の御要求でございます。「酒類販売業免許等取扱要領」通達は提出済みと承知いたしております。大型店舗等の免許付与はこの通達で運用いたしております。  十五号のビールの製造原価の内訳別金額、十六号、ウイスキーの製造原価の内訳別金額、ブランデーの製造原価の内訳別金額、ワインの製造原価の内訳別金額、十五号から十八号に至る御要求でございますが、酒類の製造原価は、申すまでもなく企業の秘密にわたる事項でございますので、提出は差し控えさせていただきます。  最後に十九号、法人税法第八十一条に規定されておりまする欠損金の繰り戻しによる還付請求額と還付金について過去五ヵ年、年度別、資本階級別に提出しろという御要求でございます。法人税の欠損繰り戻しによる還付金額、過去五年間の処理額は提出済みと承知いたしております。資本金階級別及び欠損繰り戻しによる還付金の請求額は資料がございませんので、遺憾ながら提出いたしかねます。(拍手
  99. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) 近藤忠孝君。(拍手、発言する者多く、議場騒然)近藤忠孝君、登壇を命じます。——近藤君、御登壇の上、質疑を続けてください。    〔近藤忠孝君登壇拍手
  100. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 ただいまの大平大蔵大臣の答弁は全く納得できません。たとえば原価に関するものであり企業秘密だと言った、私の資料要求第四、昭和四十九年度たばこ製造作業実績表、ここには金額は一つも書いてありません。たばこの重みなんです。たばこの重みが十年間に一割も減って、中身は軽くなっている。その資料がどうして原価に関する問題なんですか。どうして企業秘密なんですか。私は大変不満であります。これが財政金融をつかさどる大蔵大臣かと思うと、不安と怒りが沸き起こってまいります。しかし、資料未提出の問題につきましては質問を留保いたしまして、酒、たばこ値上げ法案の内容に関連して、以下具体的にお伺いいたします。  まず第一に、物価との関係についてであります。  政府は、酒やたばこは嗜好品であり選択性があるなどと述べています。しかし、総理府の家計調査でも明らかなように、一般国民は毎月の家計支出の中で米代とほとんど同額を酒、たばこに支払っているのが実情ではありませんか。国税庁でさえ「私たちの税金」という本の中で、「酒、たばこは私たちの日常生活の中に深く溶け込んでいる」と述べております。酒、たばこの値段が上がれば、他の家計支出を削らなければならないというのが国民の家計の実情ではありませんか。  三木総理は、一年前に、「社会的不公正の是正」「弱者救済」と大仰に登場したのでありますが、あなたがこの一年間執拗に追求してきたのがこの酒、たばこ値上げ法案なのであります。あなたの言う「社会的不公正の是正」、「弱者救済」という言葉の中身は社会的不公正を拡大し、弱者を泣かせる、言いかえれば、貧乏人は酒もたばこもやめてしまえというふうにしかとれないのでありますけれども、三木総理の真摯な答弁を求めます。  さらに、三木内閣は、酒、たばこを突破口に、公共料金全般にわたって大幅な引き上げを公言してはばかりません。こうした中で政府自民党は、酒、たばこ値上げ法案暴挙に次ぐ暴挙でごり押ししているのであります。なぜに酒、たばこ値上げをかくも急ぐのか。それは、今後控えている公共料金値上げを来年以降続々と行っていこうとする、国民生活を顧みない態度のあらわれとしか思えませんが、総理並びに大蔵大臣の明快な答弁を求めます。  さらにまた、三木内閣は、不況対策を口実に常軌を逸したと思えるほどの手厚い行政指導を通じてまで大企業製品の価格引き上げています。しかし、激しい物価値上がりのため、国民の消費支出が落ちたまま回復せず、これが不況の克服を困難にしていることは、四次にわたる政府不況対策が一向に功を奏せず、いま第五次不況対策を要求する財界の動きが大きくなっていることでも明らかではありませんか。不況克服のためにも物価の引き下げこそが最も緊急な課題なのであります。福田副総理は経済白書の冒頭で、「今回の不況はインフレが招いたものであり、したがって物価安定がなければ回復することはできない」「ここで安易な値上げに走っては不況からの回復はかえっておくれることになります」と述べております。三木内閣が進めている公共料金、大企業製品大幅引き上げの道は、この福田副総理の発言と完全に逆行するものだと考えますが、総理の明快な答弁を求めるものであります。  第二に、政府は、酒、たばこは「七年間諸物価、所得水準が上がったが、据え置きのままになっているので、実質的な税負担が相当程度低下している」などと述べております。しかし、政府国民の担税力についてどのように理解しているのか。いま国民は、戦後最大不況とインフレのもとで、かつてない苦しい生活を強いられております。国民生活白書によっても、昭和四十九年の全国勤労者世帯の実質消費支出は前年に比べ第一分位でマイナス一七・一%、第二分位でマイナス九・一%、第三分位でマイナス六・七%、第四分位でマイナス四・九%と軒並み低下し、ひとり第五分位だけがプラス二二・九%と大幅に上昇しているのであります。この数字は、低所得者ほど困難な状況に追い込まれていることを示しているのであります。さらに、昭和五十年については、勤労者の実質賃金は五月から七月にかけて三ヵ月間連続して前年同月より低下している状態ではありませんか。  さらに、総理府統計局の家計調査報告によっても、昭和四十九年の時点で、自動車関係費、理容衛生費、家具什器、文房具などを大幅に節約し、低所得者に至っては生活必需品まで消費を抑えているという姿まで見られるのであります。  これらの事実は、現在の勤労者の世帯の大部分がインフレと不況のもとで急速に担税力を失っており、酒税二二%、たばこ平均四八%の増税を負担する能力がとうていないことを示していると思いますがどうか、御答弁いただきたい。特に、逆進性の強い酒、たばこの税金が、現在特別に苦しい生活を余儀なくされている低所得者にさらに苦しみを与えるととは明らかではありませんか。酒、たばこの増税は担税力のないところに課税することになり、また酒、たばこは逆進性が強いことから見て、私は税制の基本に反するものであると考えますが、大蔵大臣の答弁を求めるものであります。  第三に伺いたいのは、政府が酒、たばこを突破口に自動車関係諸税や物品税等間接税の増税を計画している点についてであります。  総理は、日本の間接税は世界の中で一番低いと述べ、酒、たばこを初めとする間接税の増税は当然のように述べておりますが、住宅を初め環境施設や社会保障が日本より格段に進んでいるヨーロッパの先進諸国の特性を抜きにして、それ自体意味のない直接税と間接税の比率だけを取り出して比較するのは正しくありません。また、労働者の賃金の上昇率と消費者物価の上昇率を比較してみても、日本の労働者の実質賃金の伸び率は欧米諸国の伸び率より低いのが実情であります。特に、消費者物価の上昇率が欧米諸国と比べて異常に高い日本で、この上間接税を大幅に引き上げることが、国民生活を一層危機に陥れることは明らかではありませんか。  さらに、政府は、五十二年度以降の付加価値税の新設を前提に、大企業優遇税制については若干の手直しをして形を整えつつ所得税の実質増税を図るほか、住民税の大幅増税に踏み出そうとしておりますが、総理、あなたはそれでもなお日本国民はヨーロッパ先進諸国民より経済的に恵まれていると言えるのでありましょうか、お伺いいたします。  第四に伺いたいのは、財源は酒、たばこ値上げによってではなく、担税力のある大企業、大資産家に求めるべきだという点であります。わが党は、酒、たばこ値上げにかわる財源といたしまして、資本金十億円以上の大企業に対しては法人税法第八十一条に規定しております法人税の還付請求権を停止することを内容とした租税特別措置法の一部改正案を本院に提案しております。この制度と利用状況を全面的に把握することは重要なことであります。そこで、私は大蔵省に対し、法人税法第八十一条に規定されている欠損金の繰り戻しによる還付請求額と還付金の額について、過去五年間にわたり資本金階級別にどの程度であったか、この場で報告することを求めるものであります。  さらにわが党は、大資産家優遇の利子・配当所得に対する源泉分離選択課税の税率を当面五〇%に引き上げることを内容とする租税特別措置法の一部改正法案を本院に提案しておりますし、また同じく有価証券取引税の増税法案も提案しております。政府自民党大蔵委員会での今回の暴挙によってこれらの法案をも葬ろうとしていることは、その大企業、大資産家奉仕の政治姿勢のためではありませんか。政府はなぜこれらの提案を受け入れようとしないのか、具体的にその理由を明らかにすることを要求いたします。  第五に伺いたいのは、政府のこうした国民からの収奪政策は、専売公社もまた実行しているという点であります。たばこ値上げは平均四八%でありますが、実質的にはそれ以上の内容になるのであります。すでにハイライトの品質悪化については指摘いたしましたが、シートたばこや緩和刻みの導入も同じく品質悪化につながっております。この結果、四十九年度について言えば約七十億円のコストダウンをもたらしているではありませんか。国民にこのような品質を下げたたばこを吸わせ、コストダウンをしている一方で価格を上げるのは全く不当であります。製造たばこ定価法第一条及び第二条では、それぞれの級別に一定の特色と品位を保つべきことを規定しておりますが、この規定に違反すると思います。これは違法かつ国民犠牲にした営利主義ではありませんか。答弁を求めます。  もう一つは、公社は、今日セブンスターとチェリーの売上量が四十三年のハイライト売り上げ最高時に迫ろうとしている高価格たばこの喫煙誘導の成功例の経験と教訓に学んで、今度はセブンスターとチェリー喫煙者をH四−一、H四−二という記号の百七十円たばこに誘導しようとしていることであります。第七十五国会で私のこの点の指摘に対して公社は、喫煙者の需要にかかっているので、そのようなことは仮に計画しても成功しないと弁解いたしました。一方では、新製品たばこ開発プロジェクト・チームをつくり、さらに公社幹部は、公社編集の新聞紙上などで高級たばこ販売に並み並みならぬ決意を披瀝しているのであります。事実は私の指摘したとおりであります。大臣、この公社幹部の言動を納得できるように説明していただきたいのであります。この公社の販売政策は、今回のたばこ値上げ案が消費量の多い銘柄品ほど値上げ幅を大きくしている点と軌を一にするものであり、二重の値上げであります。喫煙者を犠牲にした営利主義であり、公社にあるまじきやり方ではありませんか。大蔵大臣の見解を求めます。  さらに、公社の「今後の商品計画について」なる内部資料によりますと、未喫煙の婦人を喫煙者にして喫煙者層をふやすべくメンソール製品の婦人向けたばこの開発、販売に意欲を燃やしているのであります。母体保護の見地よりも財政専売の立場優先されてはなりません。大蔵大臣、こういう公社の営業方針を是認するのかどうか、お伺いいたします。同時に、厚生大臣、たばこの婦人に与える影響について、今日の学術的研究の到達点を明らかにしていただきたいと思うのであります。  第六に、たばこ値上げたばこ小売店への影響についてお伺いいたします。  専売公社の経営は、今日まで小売店の努力に依存してきたにもかかわらず、今回の値上げで小売店に多大の犠牲を強いようとしているのであります。今回の値上げで需要が減退することは公社もすでに認めているところでありますが、にもかかわらず公社は、たばこ小売店の販売手数料が増額になるとして現行マージン率を引き下げようとする動きがあります。これは小売業者に大きな犠牲を強いることになりませんか。いまマージン率の引き上げは全国のたばこ小売店の一致した切実な要求でありますが、大蔵大臣は、圧倒的多数の零細な小売店の立場に立って、少なくとも現行一〇%のマージン率を維持すべきではありませんか。また、たばこ値上げに伴う自動販売機の改造あるいは買いかえにかかわるたばこ小売店の損害補償について大蔵大臣は、専売公社と業者の間で話がついており問題はない旨述べております。しかし、小売業者が自動販売機改造等による損害の賠償請求権を放棄するような権限はだれにも与えていないのであります。大蔵大臣は一体何を根拠にそう主張するのでありますか、それはだれとだれの間で話がついたのですか、明らかな無権代理ではありませんか。専売公社と全国たばこ販売協会との間で交わしたたばこ値上げに係る自動販売機改作費とマージンをめぐる問題についての妥結文書があるならば、その内容をここで明らかにしていただきたい。しかし、その妥結文書は全国のたばこ小売店を拘束するものではないと思います。もし拘束するというのなら、無権代理でないという法的根拠を明確にしていただきたいのであります。しかし私は、それではたばこ小売店は決して納得しないと思うのであります。自動販売機の改造でもその経費回収には少なくとも二ヵ月は要するのであります。公社は、自動販売機の購入を積極的に勧めながら、たばこ値上げに当たっては、自動販売機改造費回収のため、利益ゼロであってもがまんしろと言うのでしょうか。  また、公社では、この問題でたばこ小売店の不満や怒りをやわらげるため、最近、小売店に迷惑料と称して、電卓やデジタル時計などを配りました。その額は十億円に及んでおりますが、このようなこそくなやり方はやめるべきではありませんか。また、この配布には不明朗な点があります。迷惑料の支払い基準、公社支社別予算額及び支払い額を資料として提出していただきたいのであります。私は、やはり小売店の自動販売機改作または買いかえによる損害に対し、一定の基準を定めて補償するのが本筋であると思います。大蔵大臣の明快な答弁を求めるものであります。  最後に、酒類メーカーの問題であります。  酒税の引き上げによって一番打撃を受けるのは、ビールやウイスキーの市場進出によって消費の停滞している清酒メーカーであります。酒税引き上げは清酒の需要減退に拍車をかけ、酒米を初めとする原材料等のコストアップと相まって、一層深刻な経営危機を招くことは明らかであります。中でもとりわけ深刻なのは、清酒メーカー約三千二百社中九九・数%を占める資本金一億円未満の中小企業メーカーであります。この中小メーカーはその半数以上が現在でも赤字ないし赤字すれすれの経営状況でありますから、酒税引き上げによる影響は一層深刻なのであります。このような状態をつくり出した原因は何か、答弁を求めます。   私は、これは企業努力の多寡ではなく、大蔵省、国税庁が中小企業近代化促進法に基づく構造改善事業を中心に、酒税保全のみの行政指導を強めてきた結果だと思うのであります。清酒大手メーカーのシェアを拡大し、清酒中小メーカーの約半数を大手メーカーへの従属的おけ売り型企業に転落させ、一方では、大手中心の味の均一化によって、わが国の風土から生まれ、長い歴史と伝統によって培われてまいりました特色ある地酒が失われつつある現実を招くに至ったこの責任は、主として大蔵省にあります。いま清酒業界では、大蔵省には酒税行政はあっても酒類産業行政がないという批判が続出しております。現行酒税法にも、補完法である酒団法にも、酒税確保の目的とそれに付随すること以外何の目的規定もないこと、国税の執行機関である国税庁が酒類の生産、販売、価格の決定に至るまで担当していること、さらに財政金融問題をつかさどる大蔵大臣が酒類行政の全般にわたって勧告や命令ができることになっている。こういう点にそもそもの根本原因があると思うのでありますが、いかがですか。それぞれの地方での伝統と特色ある清酒の育成と清酒中小メーカーの自主的発展のために酒税法、酒団法の抜本的改正が必要ではありませんか。  また、清酒中小メーカーを初め、酒類中小メーカーの保護育成のため、酒税の種類別、規模別段階課税を検討すべきではありませんか。大蔵大臣の明快な答弁を求めます。  私の質問は以上でありますが、終わりに臨んで一言申し上げたいのは、国民生活に重大な影響を及ばす酒、たばこ値上げ法案がこのような形で審議が進められ、やがて終了されようとしていることは、私のとうてい納得できないところであります。私の質問や資料要求に対する答弁を見ても、審議が尽くされていないことは明らかであります。委員会への差し戻しを求めます。国民も、自民党政府が両法案審議過程において余すところなく露呈いたしました議会制民主主義じゅうりんと国民生活侵害の政治姿勢に対し、厳しい審判を下すであろうことを申し述べまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣三木武夫君登壇拍手
  101. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 近藤君にお答えをいたします。  この酒の値上げは低所得者に対して酒を飲むなというような非常に冷酷なことになるというような意味の御発言ございましたが、酒にしても、たばこにしても、七年間据え置いたわけでございますから、諸物価に比較をいたしまして税の負担率が非常に低下したので、その低下の一部を回復したいというのが今回の値上げでございます。しかし、二級酒であるとか、しょうちゅうとかいうものは据え置きまして、大衆品に対しては配慮を加えた次第でございます。  また、公共料金とか、あるいはまた大企業製品の大幅値上げをやめよという趣旨の御質問がございましたが、公共料金というものは、やはり受益者がその受ける便益の程度に応じてその費用を負担するということが公平な方法である、こう考えるわけです。そうでなければ、その便益を受けない人にも一様に負担するよりかは、その便益を受ける人が便益の程度に応じて負担する方がより公平だという考え方でございます。したがって、物価の安定等も勘案しながら公共料金に対しても必要に応じて是正せざるを得ないわけでございます。  また、大企業製品は、卸売物価を近藤君ごらんになっても世界で一番低い一%程度の値上がりでありますから、世界で一番低い水準でございます。今日のような物資の需給が緩和している時期でございますので、価格形成はできるだけ市場にゆだねて、政府価格の形成に介入しない考えでございます。  また、間接税についていろいろお話がございました。近藤君の言われるように、いろいろ税体系はその国のいろんな国内の条件、事情等も勘案することは当然でございますが、わが国は何分にも直接税の系統——直接税七三・五%というので、間接税はわずかに二六・五%でございまして、これはイギリスでは間接税の比率は四二・四%、西ドイツは四七・六%、フランスは六五・三%というふうに非常に間接税のウエートは高いわけです。このとおり日本をいたそうというわけではございませんが、やはり直接税、間接税というものは、もう少し、余り偏らないことが税体系としてはよいのではないか。そういう角度から間接税については検討を加えたいと思っておる次第でございます。そういう意味において付加価値税などについても税制調査会において十分今後慎重に審議をしてまいりたいと考える次第でございます。  また近藤君は、酒、たばこ値上げをやめて財源を大企業、大資本に求めるべきだというような意味の発言でございましたが、御承知のように、大企業といっても三分の一くらいは赤字経営をしておるというような状態で、したがって、雇用の問題もございますし、いま大企業に、酒、たばこ値上げをやめて、増税をするということが適当だとは考えていないわけでございます。  他の御質問に対しては大蔵大臣その他からお答えをいたすことにいたします。(拍手)    〔国務大臣大平正芳君登壇拍手
  102. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 酒、たばこ値上げを急ぐ理由についてでございますけれども、これはすでに総理大臣からもお話がございましたように、予算化いたしておる重要な歳入でございますので、お認めをいただきまして、一日も早く成立させていただきたいと念願しておるわけでございます。  この不況下におきまして、国民に増税に果たして担税力があるかということでございますが、四十三年度から七年間据え置きまして、今日の状況を見てみますと、家計費の中に占める酒でございますとか、たばこの消費の比重ははるかに落ちておるわけでございまして、この程度の調整をお願いいたしましても、決して不当な要求ではないと私は考えております。  それから、このかわり財源といたしまして、税の還付請求権の問題が、還付をやめろという問題がございまして、これについての計数を求められておるわけでございますが、昭和四十五年、六十五億四千五百万円でございます。四十六年が二百二十四億でございます。四十七年が二百五十四億、四十八年が百三十一億、四十九年が五百二十三億でございますが、このうち資本金別の御要求でございましたけれども、そういう資料がございませんで、調査課所管と税務署所管の区別でお聞き取りをいただきたいと思いますが、四十五年、調査課所管は二十九億三千六百万、税務署所管が三十六億でございます。四十六年、前者が百二十一億、後者が百二億。四十七年は前者が百四十億、後者が百十三億。四十八年は前者が五十一億、後者が七十九億でございます。四十九年は前者が二百八十四億、後者が二百三十九億となっております。  それから、酒、たばこ値上げなどやめまして、大企業、大資産家のキャピタルゲイン等の課税で補うべきではないかという御意見でございます。近藤さんの属する政党からはたびたびそういう御意見を伺っておるわけでございます。で、私ども、たとえば土地の再評価にいたしましても、たびたび本院で御説明申し上げておりますとおり、これは未実現の利益に課税するものでございますので、土地再評価にいたしましても、それは自然、低率にならざるを得ないわけでございます。もし低率でこれを課税いたしますと、これが転売された場合におきましては、かえって現在の課税よりも少ない、課税率が軽減されるという結果が生ずることはたびたび申し上げたとおりでございます。もしこれを高目に税率を設定いたしますと、土地——固定資産税等との問題が起こるばかりでなく、今日のような不況のときに法人税をさらに重課する結果に相なりまして、雇用その他の問題が生じかねないことを懸念いたすものでございます。  それから、租税特別措置の問題につきましては、利子、配当の源泉分離選択税率は五十年度二五%から三〇%に引き上げさせていただいたわけでございます。これを一挙に総合課税に移行するということには種々の問題がございまして、にわかにまだ賛成いたしかねるわけでございます。  それから、有価証券取引税につきましては、先般倍に税率を上げたわけでございますので、今日の状況から見まして、直ちにこれを改正する意図政府は持っておりません。これも流通税でございまして、収益課税でないことに御着目をいただきたいと思うのであります。  それから、専売公社の営利主義的な経営についての御指摘があり御批判があったわけでございます。私は、専売公社も消費者の嗜好を察知いたしまして、そのニードに対しまして適切に対応する用意がなければならぬと思うわけでございますが、専売公社は営利会社でございませんで、近藤さんが仰せられるように、収益を第一に心得て運営を考えるような指導はいたしていないつもりでございます。  それから、小売店の問題でございますが、小売店におきましては定価改定に伴いまして自動販売機の改作経費を負担する等の経費増もございますが、たばこ小売価格の上昇に伴いましてマージンの増加もございますので、非常に困るのではないかという御指摘は当たらないものと考えております。現行のマージン率は諸外国との比較におきましても決して低い水準のものとは考えておりませんし、今後とも現行水準を維持してまいりたいと考えております。  マージン率の決定につきましては、専売公社と全国たばこ販売協会との間で決定することとなっておりますが、このやり方、ただいままでのところ特に問題はないものと思っております。  なお、公社と全国たばこ販売協会との間の妥結文書をというお尋ねでございますけれども、先ほどお答えいたしましたように、そういう文書はございません。  それから、公社の小売店に対する迷惑料でございますけれども、これは公社の営業上の秘密でございまして、外部に公表することは私は適当でないと思っております。  それから、自動販売機の改作費につきましては、当初全国たばこ販売協会から専売公社に対しまして補償するよう要求がございましたけれども、定価改定後の小売マージン率の調整におきまして折衝いたしてマージン率が決定したことに伴い、改作費の要求が取り下げられたという経緯があるので、問題はないものと承知いたしております。  それから、清酒、とりわけ地酒の問題につきまして御指摘がございました。清酒メーカーは中小企業が大部分でございまして、体質がもともと脆弱な上、近年における酒類の消費構造の変化によりまして清酒全体が伸び悩み、一部業者が苦しい経営状態になっておりますことはよく承知いたしております。これらの業者の経営の安定を図って、近藤さんの言われる伝統と誇りを守ってまいりますためには、構造改革等諸般の施策を講じなければなりませんし、そういうラインでただいま施策を進めておるところでございまして、今後も鋭意気をつけてまいりたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣田中正巳君登壇拍手
  103. 田中正巳

    ○国務大臣(田中正巳君) たばこの人体への影響についてのWHO及びわが国のそれについて、疫学的なリサーチについては先ほど御答弁申し上げたのですが、女性の場合は一般的に体質上やや影響を受けやすいものと考えられますが、女性独特の問題といたしましては、さきに述べた出産児体重の低下と妊娠出産に関する影響が指摘されるものと考えられます。(拍手)     —————————————
  104. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) 栗林卓司君。    〔栗林卓司君登壇拍手〕    〔「答弁漏れがある」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
  105. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) 栗林君、質疑を続けてください。
  106. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 私は、民社党を代表して、ただいま議題となりました酒税法及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案について、総理並びに大蔵大臣にお伺いをします。  三木内閣が発足以来ほぼ一年が経過いたしました。国会としてこの一年間を振り返ってみると、実りのない不毛の一年間だったと言わざるを得ません。その中にあって、国会の正常な運営を阻害し、健全な機能の発揮を求める国民の願いの前に立ちはだかったものがこの酒、たばこ法案であります。強行採決をし、廃案となり、再び再提出され、再び強行採決され、担当大臣及び当該委員会委員長の問責、解任の争いを重ねたあげくの果ての審議であります。この法案が一月三十一日に衆議院に提出されて以来今日まで実に三百十八日間であります。この過程を振り返り、政府としてどのように反省されているのか、まず総理に伺いたいと思います。  総理はたびたび、議会制民主主義とは与野党の話し合いであり、反対と決めたら最後まで反対、廃案の闘いというのは間違っていると主張されてきたと思います。この点に関して異論はありません。しかし、この三百十八日間を振り返って、果たして話し合いを前進させるための努力政府がしてきたとお考えになりますか。  酒、たばこ値上げ法案衆議院に提出される前日の一月三十日、昭和四十八年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案国会に提出されました。長たらしい名前の法律であります。事務的な処理のように聞こえる法案ですから、総理はとうてい覚えておられないと思います。この法案の内容を簡単に申し上げると、決算をしてみたらお金が予想以上に余った、本来ならその半分を国債の償還に充てなければならないのが法律の規定だが、国債の償還に半分持っていかれるのはもったいないから、その割合を減らして、ことしたくさん使わせてほしいという内容でありました。赤字国債の償還に四苦八苦し、剰余金の全額を償還財源に充てようとしているいま現在に比べると、まさに隔世の感のするところであります。しかし、とにかくこうした雰囲気が酒、たばこ値上げ法案が初めて国会に提出された当時の状況でありました。渋いことでは名の高い政府でさえ、春の賃金上昇率を一七%強と踏んだのであります。そしてもし物事がそのとおり進んでいたとしたら、酒、たばこをのむ人が応分の負担をしてくれないかという政府の主張も説得力がないわけではなかったのであります。  先ほどの長たらしい名前の法律案は、三月十四日に参議院で可決されました。これに先立って、われわれが、「いまや歳入欠陥の予想される経済情勢である、決算をしたら金が余ったから使ってしまおうということで済むのか」と質問をしたときに、大蔵大臣のお答えは、「実はそのような経済情勢のことは全く念頭に置かずにつくった法案でした」と、率直な答弁でございました。以来三百十八日、いまやわれわれは、打って変わって、何と二兆円を超える赤字国債の処理に頭を痛めております。これほどの激しい変化にもかかわらず、酒、たばこ値上げ法案が郵便料金の値上げ法案とあわせて微動もせずに生き長らえているということは信じがたいと言わざるを得ません。仮に百歩譲って考えるとしても、この法案に対する政府の説明が、一月三十一日の時点でも十二月十三日のきょうでも、その基本において全く変化がないというのは一体どういうことでありますか。一月三十一日当時のほのぼのムードと、いまやがらり変わって、家計も赤字、企業も赤字であります。しかるに、政府の説明は一貫して変わることなく、これを一言で要約すれば、「税金が足りないからよこせ」、これだけであります。一体、これで審議になりますか。いま野党が求めているものは、経済情勢の激しい変化に対する政府の対応と、その中における増税問題の的確な位置づけであります。それを明らかに示すことなしに、与野党間で話し合いが進展するとお考えになりますか。総理としての御所見を承りたいと思います。  この三百十八日間を、国民立場として、庶民の立場として振り返ってみると、こんなに無残な三百十八日間もなかったと思います。一体、何度買いだめに走らされたことか、そして何度たばこをかびさせたことか。総理にお尋ねをします。酒税にしても、製造たばこの定価の問題にしても、提案権は政府にあります。その政府が、国民が買いだめに走らざるを得ないような大幅な上げ幅を設定することが正しい政治のあり方と言えるでありましょうか。もともと酒、たばこの税とは人間の弱みにつけ込んだ税制であります。それを買いだめに走らなければならないほど大幅に引き上げるということは、家庭の平和をも乱すものとお考えになりませんか。前国会公聴会において、たしか山梨県からだったと記憶しておりますが、公述人として出席された家庭の主婦の方がこう言われておりました。「値上がりをしたからといって、のむ量を減らせとは主人には言えません。家計のやりくりはいたしますが、しかし、値上がりはこれが最後なのでしょうか。それとも、これからもあるのでしょうか」。その言葉を思い出しながら、値上げ幅に対する政治的配慮の問題について総理の所見を求めたいと思います。  続いて、大蔵大臣にお尋ねします。  これまで政府が繰り返してきた主張の中に、「小売価格に占める税の割合、すなわち負担率で見ると、酒の税もたばこの税も七年間に大幅に低くなってしまった。今回の増税はこの負担率の低下を調整しようとするものである」という説明でありました。しかし現在、酒にせよ、たばこにせよ、税制の中心は従量税、すなわち、値段はどうであろうと、税金は物の量に従ってかけるという方法であり、したがって、値段が上がれば税金の割合が減ってあたりまえという仕組みであります。この仕組みを決めたのは、ほかならぬ政府であります。それがここに来て、税の負担率が下がるのはおかしい、七年間のツケを返せと言われたのでは、国民はうろたえるしか仕方がないのではありませんか。物の量に応じて税金をかけるのは従量税、値段にスライドして税をかけるのが、価格に従うという意味で従価税と言うのだそうであります。しかし、値段に比べて税金の負担率が下がるのが気に入らないのなら、なぜ最初から従価税にしないのでありますか。その方が七年間のツケをまとめて要求されるよりもはるかにましであります。しかも、問題なのは、制度として従量税をとりながら、政府の期待としては従価税である点にあります。このことは、いつの日か再び酒、たばこの増税に国民が直面するということであります。百歩も二百歩も譲りながら政府立場に立って考えた場合、そしてまた、先ほど述べた値上げ幅の持つ政治的意味合いを考えた場合、大体七年間もほうっておいたことに最大の問題があると言わなければなりません。七年間もほうっておけたのなら、八年間ほうっておいてなぜ悪いか、そういう私の質問に対し、公聴会に出席された政府税制調査会の先生の御答弁は決して明快ではありませんでした。もっとも、あれほど自然増収が出たのですから、酒、たばこ税の修正をしたくてもできなかった、そういう趣旨の御答弁ではあったわけですから、巨額な自然増収を使いまくってきた政府の態度と思い合わせて、きわめて明快に問題点を指摘されたのかもしれません。しかし、いずれにしても、問題は今後であります。これからも物価の上昇に見合って定期的に増税をされますか。またそのたびに一年にわたって国会を空白にしないために、どのような配慮をしようとされるのか、お伺いをしたいと思います。  続いて総理にお尋ねをします。  先ほど御紹介した公聴会における主婦の公述人の方が痛切に訴えられたのは、こういうことでございました。「家庭の主婦として一番困るのは、個々の物価の値上がりではありません。それよりも将来の見通しです。ある品物がこれから上がるらしいといううわさを聞いただけで家計簿が狂ってまいります。個々の値上がりはないにこしたことはありませんが、きょうの問題よりも、これからの見通しについて、早目にはっきりと教えてもらった方が家計を預かるものとしては助かるんです」と言われておりました。まことにもっともな御意見だと思います。  もっとも、個々の価格について将来の確実な見通しを求められても、統制経済でない以上、政府としては立ち往生せざるを得ません。そこで物価の上昇率の目標をパーセントで示すにとどめ、各論に立ち入ることを避けてきたのがこれまでの政府立場だったと思います。しかし、物価政策といえども、総論と各論があるはずであります。その各論に立ち入ることが政府として本当に不可能なのか、努力と工夫の余地が全くないのか。政府は物価上昇率の目標を示していると言われるかもしれませんが、それはいわば総論の見出しであります。パーセントの数字を眺めただけでは、政府が構想している総論さえわれわれは読み取ることができません。このことが、酒、たばこ値上げが物価に及ぼす影響について議論が空回りしてきた大きな原因であったと思います。  これからの物価対策を考えると、第一に、卸売物価の上昇が消費者物価に波及する度合いをいかに低くするか。これは、中小企業を守りながら流通をいかに合理化していくかという、古くて新しい問題であります。第二に、生産部門における生産性向上の努力を通じて卸売物価を引き下げる条件をつくり、やむを得ざる値上げとならしながら、平均的物価水準の安定をどのように図っていくかであります。第三には公共料金の問題、第四には税制と物価との関連の問題などであろうと思います。そのいずれも政府の具体的施策と結びついた問題であります。そうである以上、政府は物価政策の各論に勇敢に踏み込み、政策と効果の展望を明らかにする義務があるのではありませんか。政府はたびたび、物価政策の総論の問題として新価格体系への移行の必要性を主張してきました。しかし、それを主張するなら、同時に各論を明らかにすべきであります。それなしに、いたずらに新価格体系移行論を打ち上げることは、生産性向上の努力もせず、怠慢な経営の結果を物価に転嫁する動きに口実を与えるばかりか、家庭の主婦を不安と混乱に追いやることになるのではありませんか。  OECDの経済報告は、今日における不況対策の中心は個人消費であり、その核心となるものは心理的要素であると主張しております。この意味からも、いわゆる新価格体系移行論と今後の物価政策の各論の見通しをお尋ねしておきたいと思います。  次に、前国会で廃棄となった酒、たばこ法案を再び国会に提出した理由について大蔵大臣にお伺いをしたいと思います。  この問題について政府はこれまで、「五十年度の歳出を賄う財源としてすでに歳入予算に組み込み済みのものである、すでに成立している予算の裏づけとなっている法案であるという意味で、まずその早期成立を図ることが必要だ」と強調してまいりました。しかし、この主張が正しいとすると、国会では予算案が通ってしまえば、歳入関係法案については自動的に承認する義務がある、修正することも許されないということになるのでありましようか。  近来、長きにわたって政府は予算案の修正に応じたことはありません。修正に応ずることは政権政党のこけんにかかわると言わぬばかりに原案どおり押し切ってまいりました。そして予算案が通ってしまえば、関係する歳入法案について一切手を触れてはいけないと言われるのなら、国会の存在も野党の存在も要らないということになりませんか。それくらいなら、政府は歳入法案国会へ提出しなければよろしいのであります。恐らくそうした気持ちも強いのかもしれません。それにもかかわらず政府国会に提出してくる本当の理由は、憲法三十条「國民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」、憲法八十四条「あらたに租税を課し、又は現行の租税を變更するには、法律又は法律の定める條件によることを必要とする。」という憲法の規定であります。歳入法案とは、憲法三十条、八十四条にかかわる法案という意味であります。このように考えてくると、予算が通ったのだから歳入法案も通せという理屈の立て方はどこか基本的なところで間違っているのではありませんか。しかも、歳入法案は、一度国会で通ってしまえば、次の機会に改正がされない限り、永続的に国民の義務を構成していくものであります。単に五十年度予算とだけかかわり合っている問題ではありません。その歳入法案である酒、たばこ値上げ法案に対し国会は廃案という処理をいたしました。したがって、政府としては国会の処理を尊重し、予算を減額補正する義務があったのではありませんか。しかし、それをせずに重ねて同じ法案を提出してきたということは、政府として国会に対し拒否権を発動したという意味にほかなりません。しかし、日本国憲法は、政府がそのような態度をとることを全く予定しておりません。そこで規定しているのは、憲法四十一条における国権の最高機関としての国会の地位の明示であり、八十三条による国会中心の財政主義であります。もっとも政府は、そのような小理屈よりも、不況の実態を見詰めてほしいと言うかもしれません。景気刺激型の予算が求められているときに、減額補正など考えられないと主張されるかもしれません。そこで予算の運用上の問題として、酒、たばこ値上げ法案が廃案になったことが自動的に歳出予算の削減に結びつくのかどうかという角度から重ねて伺いたいと思います。  昭和五十年度予算で見込んだ酒、たばこの増税額は三千五百七十億円であります。したがって、廃案の結果、歳入総額の面でもきっかり三千五百七十億円の歳入不足が出るかといえば、決してそうではありません。歳入予算はしょせんは見積もりでありますから、当たり外れが当然あります。そして、赤字決算を許さない財政法のたてまえから、見積もりはかた目かた目にしてきたのが従来からの例であります。したがって、年度末には数千億円の剰余金が出るのが通例であります。二兆円を超える赤字公債の発行に当たり償還計画を求められながら、わりあいに政府が平然としているのも、今後も剰余金が相当の額で発生することを知っているからであります。このこととあわせて考えれば、酒、たばこ値上げ法案不成立に伴う歳入の減少三千五百七十億円は、いわば誤差の範囲内であります。歳出を自動的に削減する必要性は大きなものではなかったのではありませんか。それにもかかわらず、政府がこの法案の成立にこうまで固執した理由は何か。その一つは、言葉を選ばずに言えば、歳入予算の組み間違いであります。すなわち、仮に景気が悪化せず、政府の予想どおりの増税が入ったとしても、なお八千百四十億円の歳入不足を出さざるを得ないという基本的な欠陥を抱えた歳入予算であったことであります。その原因は、前年度の歳入の見込み違いであったと言われております。この意味で、今年度の歳入予算は、酒、たばこ値上げ法案の成立、不成立にかかわらず、景気動向のいかんにかかわらず、赤字予算であることを運命づけられた予算であったと言わなければなりません。政府はこの点について、責任の所在とあわせて問題点国民の前に明らかにすべきでありました。そして、間違いは間違いとして予算を修正すべきではなかったのではありませんか。  次に、値上げ、すなわち増税の適否について幾つかの点をお尋ねしたいと思います。  最初に総理にお伺いします。  今回のたばこ値上げ理由として、原料代の値上がりとあわせて人件費の上昇が挙げられております。ところで総理は、人件費が上がったのなら値上げもやむを得ないという立場をおとりになるのでございますか。申し上げるまでもなく、物価の安定を求める立場から言えば、賃金上昇率は生産性の平均的上昇率の枠内にとめるべきだというのが正しい態度だと言われております、言いかえれば、人件費の上昇を価格に転嫁してはいけないということであります。そして、その立場に立って民間を指導すべき政府が、おひざ元の公共企業体については人件費上昇の価格転嫁を認めるというのはどういうわけでありますか。民間の場合、たとえばことしの一−三月で見ると、卸売物価は前期比で二・八%下がっております。その内訳を見ると、人件費の面では一・九%の値上げ要因であります。これに対し需給関係の面では四・一%の価格引き下げ要因となっております。すなわち、人件費を考えれば一・九%値上げをしなければ採算がとれないが、需要が冷え切っているので逆に値段を二・八%下げなければいけなかったということであります。このような状況のもとでも民間部門が歯を食いしばってがんばってきたことが物価鎮静化の大きな要因であったと思います。これに対し公共企業の場合には、なぜ賃金上昇が値上げを正当化する理由になるのでありますか。社会的公平という観点からも政治の基本に触れる問題だと思いますので、総理の見解をお尋ねしておきます。  次に、大蔵大臣にお伺いをします。  たばこ値上げをするとして、いま専売公社の経営は赤字でございますか、黒字でございますか。至って愚問でありますが、単純明快な説明を伺っておりませんので、この際お伺いをしておきたいと思います。これまで納付金率を六〇%としたいという説明は何度も伺いました。その数字は単に政府専売公社の間の申し合わせであり、いわば経営努力を求めるための指標のように思えるだけに、本当の性格がよく理解できません。もし政府が納付金率六〇%の確保に強い期待を持っているのなら、公社経営のいかんにかかわらず義務的納付金率として取り立て、だれの目から見ても公社の経営が赤字であることを明らかにしたらいかがですか。国民の理解を得るためにも、専売公社の経営を引き締まったものにするためにも、その方が得策だと思いますが、御所見を伺います。  続いて、専売公社の経営について二、三の点をお尋ねしておきます。  昭和四十九年度の日本専売公社損益計算書を見ると、販売費として四百十六億円が計上してあります。しかし、たばこ事業は文字どおりに専売であります。したがって、国民としては専売公社からたばこを買うしか仕方がないのですから、これほど楽な商売はありません。それなのになぜ年間四百十六億円もの販売費が必要なのでありますか。年間の売り上げ総利益が四百五十三億円でありますから、ほぼ利益の額に匹敵する販売費をつぎ込んでいる勘定であります。理由を聞くと、一つ目は運賃、二つ目は販売員の人件費が大きいということでありました。たばこの小売店に届ければ済む仕事なのに、なぜ販売員を置くのかと聞きますと、国民の皆さんになるべく高いたばこをのんでもらいたい、公社の営業成績を高めたいというのであります。しかし、われわれは好きなたばこがのめればよいのであって、高いたばこをのもうが、安いたばこをのもうが公社の知ったことではありません。しかも、高いたばこをのんでもらいたいと言いますが、今回のたばこ値上げについて、国民生活への影響を訴えたら、それなら安いたばこにかえればよいと言ったのはどこのだれでありますか。販売費四百十六億円といえば、たばこのみ一人当たりにして千円強であります。われわれがそのような費用まで負担しなければならないいわれは全くありません。  次に、補償金及び交付金という項目を見ると、年間六十七億円の費用が計上されております。内容を聞くと、葉たばこ耕作者がたとえば乾燥小屋をつくる場合に補助金として支給しているのが多いという説明でありました。しかし、乾燥小屋にせよ、何にせよ、耕作者の資産であります。実情に照らして援助の必要があるというのなら、補助金ではなくて貸付金にするのが本来の姿ではありませんか。消費者の負担で個人の資産をふやしていくやり方が正しいのかどうか。特に大幅な値上げに迫られているほど経営が困難だと主張している専売公社のとるべき態度かどうか、お伺いをしておきます。  さらに損益計算書を見ると、診療諸費として四十七億円が計上してあります。聞いてみると、専売公社の持っている病院、診療施設等の費用だそうであります。企業内福祉施設として病院、診療所は今後もより充実した内容を求めていくべきでありましょう。しかし、ここで問題となるのは、そこでかかった費用の全部を一般管理販売費で処理しておかしいと思わない感覚であります。たばこは、自分の企業に診療施設もないようなたくさんの中小企業労働者がのんでいるものであります。その人たち負担で公社の経営も成り立っているのに、専売なるがゆえに診療諸費まで負担させてもかまわないのでありましょうか。診療施設にかかわる収支は、それ自体で相償うよう努力すべきであります。  以上、思いつくままに指摘してまいりましたが、これを通じて、親方日の丸主義につかり切った経営態度を感じたと申し上げたらひが目でありましょうか。大蔵大臣の御意見を伺いたいと思います。  次に、酒税の問題についてお尋ねをします。  この酒税法の一部改正案が成立した場合、当然増税となるわけですが、その増税額がそのまま価格に上乗せされることについて、政府は当然のこととして疑問を感じていないようであります。もちろん理屈はそののとおりであります。しかし、今日の厳しい需給ギャップのもとで、税金が上がったからといって、そっくり価格に転嫁できる産業がどれだけありましょうか。一部は価格に転嫁しながら、相当部分は企業内の合理化努力で吸収しているのが一般産業界の姿であります。われわれは、今日民間部門がこれほどつらい状況にあるときに、なぜ酒、たばこ値上げをするのかと訴えてまいりました。しかし、その主張がついに理解されなかったということは、増税分をそっくり価格に転嫁できるものと信じて疑わない頭脳構造と相通ずるものがあると思います。同時にこのことは、政府と酒類業界の特殊な関係を雄弁に物語っていると言わざるを得ません。しかし、そのように政府、特に大蔵省とぴったりくっついてきたことが酒類業界にとって本当に幸福だったか疑問であります。なぜなら大蔵省としての酒類業界に対する最大の関心は酒税の保全であります。酒造業界に対する政策も、酒税の確保、保全と最もなじみやすい政策、すなわち現状の維持、温存型の政策たらざるを得ません。このことが酒造業界に対し十年一日のごとき気風を養い、今日新しい産業組織を背景に登場したビール、ウイスキー類に対して競争力を奪ってきたのではありませんか。今日の産業社会において求められるものは、日々の進歩であって、決して現状保全の態度ではありません。この意味で、産業政策の問題と酒税の確保、保全の問題が本来基本的に異なった発想を必要とする仕事であるにもかかわらず、大蔵省が一括して所管していることに問題があるのではありませんか。  一方、酒造業は日本の伝統の産業であります。そしてこれを守るということは、単に国内でビール、ウイスキー類に対する防戦に追われるだけでなく、広く世界に販路を求めて、いかに拡大していくかという課題をも含んだ問題だと思います。麦が生んだビールのごとく、米づくりとともにはぐくまれてきた清酒も、世界の酒としての地位を求めて努力すべきであります。そして、この仕事を酒税の保全という性格の違った仕事とあわせ受け持つことが適当なのかどうか、酒造業に対する政策の展望とあわせて大蔵大臣に伺います。  次に、酒税の増税実施の時期についていろいろの報道がなされておりますが、念のために問題点を指摘し、慎重な配慮を求めておきたいと思います。  現在、年末の激しい商売の真っただ中にあることは申すまでもありません。酒税を上げ、価格に転嫁するとなると、同じ銘柄で安い酒と高い酒が一時期市場に混在することになると思います。安い税率の酒を仕入れて高い税率の価格で売ることも可能となりましょう。そしてこの弊害を厳格に排除しようと思えば、年末の繁忙期にあって、混乱は耐えがたいものとなるでありましょう。また年末取引の中心であるお歳暮を考えてみると、法人関係の大口取引はほぼ一段落し、これからは個人を中心にした小口の取引であります。また生産者の面から見ると、法人関係の大口取引に手も出せなかった中小メーカーがやっとかせぎどきを迎えるわけであります。したがって、もし仮に政府が増税の年内実施をもくろんだとしたら、それは結局、法人関係の需要には安い酒、個人の需要、すなわち庶民向けには高い酒、中小メーカーには増税と需要減退のダブルパンチという事態を生み出すと思いますが、いかがでしょうか。いずれにしても、時期を画して一斉の増税、一斉の値上げ国民にとって迷惑であります。しかも、その移行期において社会的不公正を助長する例が見られるのもいつものことであります。この問題を回避するには、従量税から従価税への改定を進めることが本当だと思いますし、特にたばこについては消費税への移行を真剣に検討すべきだと思います。御所見を承りたいと思います。  ところで、年の暮れまでもう二週間足らずであります。町を歩いてみると、歳末大安売りの旗がひらめいております。しかし、温かいお正月をと願いながら、年末一時金は、親方日の丸のところは別として、決して温かいものではありません。有効求人倍率は政府の期待を裏切って低落し、失業者は百万人を超えております。政府は口を開けば、一日増税がおくれれば三億円の損だと言いますが、一日に三億円取られる国民のことを考えたことがありますか。政府の資料によると、西ドイツ政府は一九七七年から酒、たばこの税を上げることを決めたそうであります。だから日本政府もやってよいというつもりかもしれません。しかし、それは全く違います。西独政府が決めた実施時期は一九七七年、すなわちいまから二年後であります。二年も後のことをいまから決めたということは……
  107. 前田佳都男

    ○副議長前田佳都男君) 栗林君、時間が超過しております。簡単に願います。
  108. 栗林卓司

    ○栗林卓司君(続) それまでに景気対策を徹底的にやり、財政の思い切った見直しをしながら、二年後には酒、たばこの増税をしても国民の理解が得られるような環境をつくりますという西独政府の決意のあらわれではありませんか。こうした政治がなぜ日本で期待できないのか、まことに残念であります。すでに時間が参っておりますので、多くを申し上げるゆとりがございません。(「最後までやれ」と呼ぶ者あり)いや時間は時間です。  最後に、いろいろ申し上げたいことも多々ありますが、時間は時間だと思います。したがって、ここで質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣三木武夫君登壇拍手
  109. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 栗林君の御質問にお答えをいたします。副総理もいないようですから、私からかわって、副総理に対する御質問も私からお答えをいたします。  第一問は、廃案、再提出、強行採決という経過に対して、政府は反省すべきではないかという点でございましたが、政府としても、この法案は御承知のように今年度の予算、成立をした予算にも計上をされておるわけですから、これの裏づけの法案でございますので、ぜひともこの両院において御可決を願いたいということで、これを今回も再提出したわけでございます。  また、内容については、特にその内容を変えなければならぬ大きな変化が起こっていないわけでございますから、そのまま提出いたしたのでございます。  強行採決という点は、われわれも好むところではございませんが、国会にはやはり一つの決まりをつけなければいかぬわけであります。会期もございますし、したがって、できるだけわれわれとしてもそういう方法によらないで御審議を願いたいと思うわけでございますが、必ずしも国会運営がわれわれの考え方のように進まない場合がございまして、強行採決をしなければ問題の決着がつかぬと、こういう場合にやむを得ずとる手段であって、これが正常な方法だとは考えていないわけでございます。しかし、場合によればそういう場合があり得るということでございます。  また、値上げ幅は適当かどうかという御質問でございましたが、栗林君の言われるように、毎年小幅に一つの値上げをして、なるべく一遍に値上げ幅を大きくしない方がいいのではないかという意味の御意見があったと思いますが、私もさように思うんですけれども、どうも値上げというものは、国会においても、なかなか値上げというものを、今年を振り返ってみても、この酒、たばこということによって国会がずいぶんと、まあ一年を通じてこの問題が大きな問題であったわけでございますから、したがって、この酒、たばこも七ヵ年間据え置いたわけですから、したがって、今回の値上げがある程度の幅を持たざるを得なかったのでございますが、今後この値上げというものについては、栗林君の言われるようなこともこれは考えなければならぬ点だと思います。  また、副総理に対して、新価格体系国民の家計に不安感を与えるのではないかというお話でございましたが、まあ一つの、この石油にしても四倍も上がったわけですから、それは一つのコストの中に、それだけの燃料というものに対してコストが高くなるわけでございますから、それを企業の中に吸収することは困難でございます。どこの国でもそういう石油の値上がりに伴って新しい価格の体系というものができておる。また、公共料金のごときも、いつまでも低いにこしたことはないんですけれども、もう経費も償わぬようになる場合もございますので、ときに適正な公共料金に返らなけりゃならぬ、そういうことが起こる場合があり得るのでございまして、したがって、新しい価格の体系というものが必要になるわけでございますが、こういうことが家計に対して非常な不安を与えるということには、私はそういうふうには考えていないわけでございます。上げるにしても、ちゃんとした、公共料金については国会の御審議を願いますし、また、一つの市場における商品については、需給の事態も反映して市場で決められるわけでございまして、これがにわかに家計に対して不安感を与えるようなものではないと思うわけでございます。  次に、公共企業体の場合に賃金値上げを、何か公共企業体の場合は民間に比べて賃金の上昇が値上げを正当化する理由になるかというような意味の御質問がございましたが、これはやはり公共企業体の場合におきましても、酒、たばこにしても七ヵ年も据え置いたわけですから、税負担率というものが非常に低下した——五八%ぐらいのものが四六%になったわけでございましたので、その一部を回復しようということが値上げでございまして、公共企業体の賃金の値上げを正当化するものになるとは考えていないわけでございます。  次に、副総理に対して、値上げ不況対策に合致しないのではないかというお話でございましたが、この酒、たばこ値上げというものが、家計の消費支出の割合というものはそんなに大きくないわけで、酒は一・四%、たばこは〇・六%で、この割合が比較的小さいわけですから、酒、たばこ値上げをするということによって消費需要一般を抑制するというような結果を招くとは私は考えておらないわけでございます。  それからまた最後に、私に対して、財政法の特例は酒、たばこ法案の成立の手段に使ったというようなお話でございましたが、そういうことではないわけでございまして、この法案は、栗林君も御承知のごとく、前回も数時間あったらもう通っておったと私は思うんです。衆議院においても、参議院でも五十時間ぐらい御審議を願ったわけでございましたので、これは予算に計上された裏づけの財源でもありますので、これはぜひこの国会においてお認めを願いたいということで、もう最初からこのことはこの国会で処理をしようということでございますので、この酒、たばこ法案成立の手段に財政特例法案を使ったというような、そういう意図は全然ないわけでございます。  お答えをいたします。(拍手)    〔国務大臣大平正芳君登壇拍手
  110. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 第一の問題は、従量税か従価税かという問題でございます。  今回の経験にかんがみて、酒税を従価税にすることも一案かと思われるという趣旨の御質問でございました。従価税制度移行につきましては、税制調査会より従来から望ましい旨の答申を受けておりますけれども、現行の制度にもまたメリットもございますので、われわれといたしましては、今後とも検討を重ねていかなければならぬ課題だと思っておりますが、直ちに従価税に移す考えはないのでございます。ただ、七年間も公定料金なるがゆえに据え置いておったわけでございますけれども、小刻みでお願いするという方法も今後考えなければならない一案かと思います。  それから、歳入法案国会との関係についてのお尋ねでございます。歳出につきましては、国会によって歳出権が付与されるわけでございますけれども、歳入はそれによって政府が義務づけられるわけじゃございませんけれども、歳入、歳出の整合性を保つことは財政処理の上から必要と存じますので、歳入関係法案は予算と一緒に提出いたしまして御審議を願っておるような次第でございまして、今後もこの整合性を維持することにつきましては十分心してまいらなければならぬと考えております。  専売公社は黒字か赤字かという端的な御質問でございました。専売公社は、五十年度の益金率は、このままおきますと、四六・五%の大幅な低下になるわけでございます。それでも黒字に間違いございませんけれども財政専売といたしまして六〇%程度、益金ないし地方のたばこ消費税を期待いたしておるわけでございますけれども、そういう観点から申しますと、若干の調整をさしていただく必要を感じまして、今回の御提案を申し上げた次第でございます。  四百十六億円の販売費についての御質問でございました。これは栗林さんが御指摘のように、配送経費でございますとか、職員の人件費でございますとか、販売施設維持費でございますか、そういったものが主でございます。広告宣伝費というようなものは四億円にすぎないわけでございまして、事業遂行上最小必要限度に計上をいたしておるものと承知いたしております。  専売病院の経営についての御注意がございました。専売公社におきましても、職員の健康の維持、増進のための施設といたしまして医療機関を持っておりますことは御指摘のとおりでございます。その経営につきましては、今後とも御指摘のラインに沿いまして極力指導してまいりたいと考えております。    〔副議長退席、議長着席〕  酒税の増税分を自動的に価格に上積みする理由についてのお尋ねでございました。これは間接税でございまして、最終的に消費者に前転転嫁されることを期待いたしておるのが間接税のたてまえでございまして、酒税においても変わりはないわけでございまして、もしそれが前転して転嫁されないというようなことでございまするならば、その間接税自体が機能しないことになると思うんでございますけれども、私ども今回の改定はそういう懸念はないものと考えております。  それから、この二法の施行日の問題につきましての重ねての御質問でございまして、この点につきましては、先ほどこの席におきまして御答弁申し上げたとおり、成立の段階におきまして、政府として最善の日を決めさしていただきたいと思いますが、とりわけ酒類につきまして、年末年始の需給が緊張する事態につきましての御指摘がございましたが、その点は十分承っておきたいと思います。  それから、酒造業についての免許制度が酒造業の発展のくびきになりはしないか、産業政策として十分考えなければならない問題、産業行政として考えなければならない問題を包含していはしないかという御指摘でございました。この酒造業に対する免許制は、申すまでもなく、酒税という大量の歳入の保全を主たる目的といたしておるわけでございまして、太政官時代から大蔵省が酒造業につきましての産業行政を担当することになったわけでございます。しかしながら、御指摘のように、そのことが酒類の構造改善、体質の強化を阻むことになっては申しわけないのでございまして、御注意の線に沿いまして、今後とも業界の体質の強化につきましては十分注意してまいりたいと考える次第でございます。  消費税制度の導入につきましては、これはそれなりのメリットがありまするし、各種調査会からも、審議会からも採択方の要請を受けておるわけでございますけれども、先ほど野田さんにもお答え申し上げましたように、専売関係の関係業界からの理解と支持がまだ十分得られていないような経緯もございまして、今後諸般の状況を見ながら検討を進めてまいることにいたしたいと思います。  最後に、近藤議員に補足して、大変恐縮でございますけれども、シートたばこのことにつきまして答弁させていただきたいと思います。シートたばこと緩和剤の導入は、原料処理技術の向上を示すものでありますとともに、最近喫煙者の嗜好がニコチンの含有量の低いマイルドなたばこを愛好する傾向にあることにも適合した新技術であると言えると思います。各銘柄とも定価法で定めるとおりの級別品質を具備しておることはもちろん、専売公社における産地指導の充実、原料処理技術の開発等の施策によりまして、製品の品質の向上は近年著しく高まっておるものと承知いたしております。したがって、製造たばこ定価法に反するような事実は全くないものと考えております。(拍手)     —————————————
  111. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 野末陳平君。    〔野末陳平君登壇拍手
  112. 野末陳平

    ○野末陳平君 私は、第二院クラブを代表し、両案について反対立場から若干の質問をいたします。時間が二十分しかありませんので、主にたばこの問題にしぼりますが、私はこの問題を消費者のサイドに立って考えてみました。  反対理由の第一は、値上げの根拠が実にあいまいであるということです。専売公社は、先ほどの大蔵大臣の答えにもありましたとおり、赤字ではありません。益金率が落ちただけのことです。益金があるということは黒字ですから、黒字ではあるが、利益が減ってきたんだ、減った利益をもとの線に戻してくれと、これが政府値上げの言い分です。いまの世の中にこんなうまい殿様商売がありますか。大体、黒字なのになぜ値上げをしなければならないのかという単純な理由が消費者には全くわからないと思うのです。これはどこに問題があるかと言いますと、いまの専売納付金の制度に問題があると思います。益金のうち地方消費税は、これははっきりしていますから、売り上げとともに税額もふえていくのですが、納付金については、政府みずから「意図せざる減税」と言うようにこれは実質的には税金です。税金であれば、税率、税額など税の仕組みというものが消費者にはわからなきゃならない。ところが、それが全くわからないで、年度の決算によって左右されるというあいまいな性格のものとなっている、この納付金が。そのために、今度の定価法改正にしても、増税なのか、つまり、税の問題として考えるべきなのか、それとも赤字問題、つまり、コストないしは価格の問題として受けとめるべきであるのか、それすらもはっきりしない始末です。こんなことでどうしてたばこ値上げが消費者の納得を得られるか、私は非常に疑問に思います。  そこで大蔵大臣質問します。仮に今度の値上げが成立して六〇%の線まで益金率引き上げられたとして、またコスト上昇によって益金率は低下していくことは明らかです。低下すればまた政府値上げをすぐ口にする。一体、いつごろ益金率がまた五〇を割りそうになっているか、その辺をいつごろと予想しているのか、まず第一。そしてその場合に、質問の二は、いまの専売納付金の制度をそのままにしておくのかどうか。私は消費税の移行がいいのではないかと思っています。確かに消費税制度、いろいろ問題はあるとは思いますけれども、しかし、いまの専売納付金の制度をそのままにしておくよりも、やはり税調の言うように、税の部分を明確にするということが税の民主化という立場からも必要であると、そういう意味で消費税制度に移行すべきだ。政府は消費税制度の確立を真剣に検討しているのかどうか、それを伺っておきます。先ほどの答えでもありましたが、もう一度お願いします。  さて、反対理由の第二は、各銘柄の値上げ率の根拠がこれまた実にいいかげんであるということです。値上げ率は一級、二級が五〇%、三級がやや低くなっていまして、政府の説明によれば、下級品については、これは大衆品だからその値上げ幅に政策的配慮を加えて低率に抑えたと、こういうことを強調しておりますが、ここに疑問があるんです。専売公社のデータを見る限り、必ずしもバットとか、「しんせい」などのような下級品が低所得者のみに吸われているわけではありません。いわゆるたばこの好みは所得とさして関係がないということも言えます。ですから、下級品の値上げ率を低く抑えたということは大して効果がないことで、いわば値上げ率を上げても大して税収にならないという、単純なずるい計算から低く抑えたんだと私は思います。むしろ、ここで値上げ率をばらばらにしたことで別の不公平が生ずることを私は重視したいと思います。具体的な例を挙げますと、セブンスターなどの一級品とバットなどの三級品のコストを比較しますと、一箱当たり約十円の違いがあります。これは専売公社国会に提出したわずかな資料に明らかなわけですが、原価がたった十円の差しかないのに、今回の値上げ案によれば、小売価格はセブンスターが百五十円で、バットが四十円という、小売価格の差が百十円になってしまう。原価が違わないのにどうしてこんなに価格が違い過ぎるようなことになっているのか、私はここが問題だと思うんです。  さらに、バットと「しんせい」などは値上げをしてもなお赤字だと言う。赤字たばこというのは、税の負担をしていないたばこです。平たく言えば、バットを吸う人は税金を払っていないで、セブンスターやハイライトを吸う人は半分以上を税金に持っていかれるという奇妙な結果となっています。しかも、たばこの売れ行き状況を見ますと、セブンスターとかチェリー、ハイライトなどの一、二級品が八割以上を占めている。この事実を一体どう解釈したらいいでしょうか。すなわち、これはセブンスター、ハイライトなど一、二級品の消費者がバットなど三級品の税金を肩がわりしていることになり、さらに問題なのは、ここが大事なことですが、そのためにセブンスターなどは不当に高くなっているのではないかと思われることです。本来、コストを中心に考えれば、もっと安い定価で売られてもしかるべきものです。今度の値上げ案にしても、値上げを据え置いたところで採算がとれる、そういうものだと、セブンスターについて。そこで私は、政府が三級品の値上げ率だけを低く抑えたことは、別の意味の大きな不公平、税負担の不公平を生み、また同時に、原価と価格の決め方について余りにも無原則であるというこの矛盾を露呈していると、この点を強調しておきたいと思います。  そこで大蔵大臣質問しますが、赤字銘柄の場合は適正な改定を行って、まず赤字を解消して、税負担が普通にできるような価格にすべきだと思うが、どうでしょうか。赤字のまま製造を続けるというならば、その飛ばっちりを受ける一、二級品についても、やはりこれは値上げを五〇%などというものにしないで、ぐっと低くするか、あるいは据え置きにしたっていいではないかと、そういうふうに考える。それが税の公平というものではないかと考える。大臣はどうお考えですか。今回の値上げ案は、このように値上げ率一つとってみても、まことにずさんで矛盾がある。余りにもどんぶり勘定的である。ですから、私はとうてい賛成できません。  反対理由の三について言いますと、製造たばこ定価法のあいまいさについて政府が真剣に検討していないということです。現在、たばこの定価は製造たばこ定価法に基づいて決定されることになっていますが、一番肝心な税金部分についての表現が、適正な財政収入という余りに抽象的な言葉で規定されています。私に言わせれば、これが諸悪の根源だ。つまり、「適正な」というのは一体どのくらいなのか。政府は六〇%と言う。六〇%が適正かどうか、だれもこれを証明することができないようなあいまいな決め方。この「適正な」という表現は、これを現実のたばこに当てはめれば、さっき例に挙げましたバットとかしんせいは適正な財政収入を上げていないわけですから、これは定価のつけ方そのものに問題がある、間違っているということになります。製造たばこ定価法から言えば、これは一体どう考えたらいいんでしょう。一方、セブンスターとかハイライトのように半分以上が税負担になっている銘柄は、これは適正どころか、不適正な財政収入をもたらしている。ですから、不適正な財政収入をもたらしているようなもの、これまたたばこ定価法に照らし合わせてみれば非常におかしなものである。強いて言うなら違法たばこではないか。ですから、私は適正な財政収入というあいまいな抽象的表現に基づいてたばこの定価を決めるということがそもそも間違っているのでないかと思うのです。  そこで総理大臣にお聞きします。  製造たばこ定価法の抽象的表現をまず改めるべきです。適正な財政収入というような言葉はもういけません。そして価格群ごとに具体的な税率を設定し、その税率の範囲内における個々のたばこの定価改定に関しては、原価を中心に価格が適正であるか否かを審議する何らかの公的機関のようなものを設置しなきゃいかぬ。その上で大蔵大臣の認可決定にするというすっきりした仕組みにした方が私はいいのではないかと思う。この構想について総理大臣の御意見をお聞きしたいと思います。  総理大臣にもう一つ質問します。  それは公共料金の決め方についてです。いまわれわれはたばこ値上げを問題にしていますが、たばこ以上に公共性の高い米とか、電気とか、ガスとか、私鉄、これらは担当大臣の認可で決定されることになっていますが、これは何か割り切れないものを感じる国民が多いのではないかと思うんです。私鉄などは値上げ認可と引きかえに政治献金があったという話も聞きました。公共性の高い料金の値上げがこのような取引で安易に決められていいと思っている人はいないと思います。たばこの場合は、専売事業とはいえ、嗜好品ですから、厳密には公共料金とは言えないでしょう。しかし、そのたばこ国会で決めるならば、私鉄の値上げだって国会で決めなければどうも心情的にすっきりしないと、国民の大多数はそう思うんじゃないかと思うんです。ましてや、政治献金が裏に動いているということを知れば腹が立つ。そこで総理、この際あらゆる公共料金の、あるいはそれに準じたものの値上げについて、その決定方式については抜本的に検討してその改善を図る必要があると私は考えるんです。総理の御意見をお聞かせ願いたいと思います。  反対理由の第四は、政府や公社は値上げに熱心なくせに、消費者サービスを常になおざりにしているという点です。値上げで直接迷惑を受け、打撃をこうむるのは言うまでもなく愛煙家です。そしてまた愛飲家ですから、大蔵省及び専売公社はもっと消費者サービスを積極的、意欲的に充実させなければ、本来値上げを口にする資格がないというものです。特に専売公社の経営姿勢について言いますと、セブンスターの品切れで代表されるような、需給面における独善性が常に目立っている。専売事業というものにあぐらをかいている印象がぬぐえないんですが、それならば、いっそ専売制をやめて民営にした方がもっと安くて品質のいいたばこが期待できるのではないかとたばこの消費者は思っていると思います。  そこで消費者サービスについて大蔵大臣にお聞きします。消費者対策の充実、公社経営の能率化などの観点から、専売公社を民営にすべきであるという考え方がありまして、先ほどから質問に何度も出ました。大蔵大臣のお答えも断片的に聞きましたが、やはりいずれは民営にすべきが本当ではないかと私は思いますので、改めて質問します。  その次、今後のコスト上昇はやはりある程度予想されます。今後のコスト上昇をできるだけ抑え、消費者に安くてうまいたばこを供給するために、品質がよく、しかも値段の安い輸入葉の使用を高めるべきだという考え方が一部にありますが、これについては大蔵大臣はどうお考えでしょうか。  その次、消費者対策充実の一環として、先ほども質問に出ましたが、喫煙と健康に関する研究の一層の充実強化、吸いがら対策を初めとする環境美化対策の充実などをさらに本格的に図るべきだと思うが、その点についての用意はありますか。  最後に、総理と大蔵大臣、本当の消費者サービスというのは、言うまでもなく、今回の値上げを断念することであるのはわかり切ったことです。やさしそうな三木さんと仏のような大平さんがまさか値上げのような、鬼のようなことを決断するとは思えませんが、何が何でもあくまで値上げを断行して国民を苦しめようというならば、重ねて値上げ法案の撤回を再度求めて私の質問を終わりたいと思います。(拍手)    〔国務大臣三木武夫君登壇拍手
  113. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 野末君の御質問にお答えをいたします。  野末君は、製造たばこ定価法の抽象的な、適正な財政収入という表現をやめて、何か価格群ごとに具体的な税率を設定して、その税率の範囲内での改定であれば、審議会などの公的な機関で審議して、大蔵大臣が認可決定するような制度にしてはどうかというようなお話であったと思いますが、御提案は傾聴に値すべきだと思います。いますぐに私がこの御提案に対して即答はいたしかねますが、今後研究をさしていただきたいと思います。  第二の御質問は、この酒、たばこなどは国会審議にかける一方、私鉄の値上げについては大臣の認可というのは、制度的な矛盾があるではないかということでございます。また、公共料金の決定方式については再検討をする必要があるのではないかという御質問だと思いますが、国の独占に属するような事業の専売価格や事業料金は税金に準ずるものでありますので、法律または国会の議決に基づいて定められておるわけでございます。しかし、私鉄の運賃は民間事業の料金であり、国の独占に関する事業ではございませんので、政府の認可事業としておるわけでございます。とにかく、まあ事業の性格、形態の相違によって、こういう法定主義かあるいは審議会かということを決められておるわけでございまして、こういうふうに、公共料金の決定方式というものは私は大問題だと思います。野末君の御提案のように、これは今後検討すべき課題であると考えておりますので、今後公共料金の決定方法というものについては十分検討をいたしたいと思います。  最後に、この値上げ法案を断念すべきではないかというような御意見でございましたが、野末君も御承知のように、どこの国でも——先ごろ私はヨーロッパにも参って、ランブイエなんかに参っても、もうそれは西独でもフランスでもイギリスでも、この九月に同じようにやっているんです。どうしてもやはり酒、たばこというものは一つの消費税的なものでありますから、どの国でもやっぱり重要な財源として取り扱っておるわけでございます。そういう意味で、これを断念する考えはございません。    〔国務大臣大平正芳君登壇拍手
  114. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 今後のたばこの再値上げ問題につきまして展望を尋ねられたわけでございますが、今後の値上げにつきましては、極力企業努力によりまして原価を吸収してまいりまして、値上げの時期はできるだけ将来に引き延ばすように努力したいと思います。  それから納付金制度を改めて消費税制度に切りかえるべきであるという御主張でございます。仰せのような趣旨で、税制調査会も財政制度審議会も消費税制度に移行すべきであるという御答申をすでにいただいているわけでございますけれども、専売事業の関係業界の理解がまだ十分得られない経緯がございますので、消費税制度の趣旨を生かしながら、これにかわるものといたしまして、暫定的に納付金制度を実施いたしておるわけでございますが、御指摘の点につきましては、なお鋭意検討を続けてまいりたいと考えております。  それから、今回の値上げのやり方につきまして、赤字銘柄、それから二級品、一級品というようなものについて格差を設け過ぎておる、やはりコストを中心にして合理的に考えるべきでないかという御意見でございます。そういう合理的な方法は傾聴に値する御意見と思いますけれども、低所得者対策等政策的な要請もまた一面御理解をいただきたいものと思うのでございまして、今後市場の推移等を見ながら、その取り扱いについてはなお検討を進めてまいりたいとも思います。  専売公社を民営に移すべきだと思うがどうかということでございますが、この問題につきましては、すでに各種の審議会でも触れられておりまするし、先般のいわゆる専門懇の御意見にもこれに関連した御意見があったわけでございます。政府が決められました基本方針に従って検討を進めてまいるつもりでおります。  それから、輸入葉の使用を進めて、安価なたばこの供給を考えるべきでないかということでございます。私どもといたしましては、できるだけ国内葉を中心にやりたいわけでございますが、これが高くなりますと、野末さんの御指摘のように、不合理を抱えたことになりまするので、先ほども申しましたように、極力近代化を図りまして、国内葉の価格の低廉化に努めてまいることによって御指摘のような不合理性を解消していく努力を続けてまいりたいと思うのでございます。  喫煙と健康に関する研究の一層の充実につきましては、スモーキンギ・クリーン・キャンペーンを通じまして御指摘の趣旨を極力生かしてまいるつもりでおります。(拍手
  115. 河野謙三

    議長(河野謙三君) これにて質疑は終局いたしました。     —————————————
  116. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 両案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。矢田部理君。    〔矢田部理君登壇拍手
  117. 矢田部理

    ○矢田部理君 私は、日本社会党を代表して、酒税法の一部を改正する法律案製造たばこ定価法の一部を改正する法律案に、国民とともに強く反対する立場から討論を行います。(拍手)  まず、酒、たばこ値上げ法案は、過ぐる通常国会で廃案になりました。廃案になったことの意味は、会期末で時間切れであったとか、自民党の戦術ミスであったというような単純なものではなく、値上げ法案国民の名において明確に拒否されたということであります。(拍手)その値上げ法案を全く同じ内容でわずか二ヵ月後に再度国会に提案してきたことは、国民国会に対する侮辱であり、重大な挑戦と言わざるを得ません。しかも、本臨時国会に提案すること自体が不当であるところに、補正予算や生活関連法案よりも優先課題としてこれを先行させ、委員会における趣旨説明強行した上、審議半ばにして、自民党強行採決によって押し切った暴挙は、議会制民主主義を破壊するものとして断じて許すことができません。  そこで、わが党が酒、たばこ値上げ法案に徹底して反対している理由を明らかにしておきたいと思います。  それは第一に、酒、たばこ値上げに合理的な根拠がないということであります。大蔵大臣値上げの主な理由として、税負担の低下を挙げております。ところが、ここ十年間の酒、たばこによる税負担の状況を見てみますと、毎年おおむね着実に伸びてきています。酒税は十年前に比べますと約二・五倍、たばこは地方消費税が何と三・四倍、納付金が二倍強と、いずれも増加しているのであります。その結果、昭和四十九年には酒税八千四百億、専売益金は七千億という膨大な金額に上り、税負担低下論は根拠に乏しいものと言わなければなりません。  政府はまた、四十三年以来たばこ等の値段を据え置いたとも述べていますが、それは名目だけのことで、実際は安いたばこを品薄にして店頭に置かず、高い値段の新製品の販売を重点にして、事実上増益、増税を図ってきたことも見逃すわけにはいかないのであります。  しかも、驚くべきことには、専売は超黒字産業なんです。昨年民間最大の利益を上げている松下電器のそれは八百七十億でありますが、専売益金は、さきに述べたごとく、実に七千億にも上ります。本来、公共料金については、赤字でも国民生活や物価の観点から抑制しなければならないはずでありますのに、どうして国民生活犠牲にしてまで超黒字のたばこ値上げをする必要があるのか、全く理解に苦しむのであります。  そこで、政府値上げの二番目の理由として補強してきましたのが、不況−歳入欠陥−財源確保の必要性ということでした。ところで、大変奇妙なのはこの第二の理由であります。政府として酒、たばこ値上げを決めたのは昨年十二月二十八日の閣議であります。歳入欠陥を明らかにしたのはことしの通常国会以後のことでありますから、だれが見ても時期が合わず、歳入欠陥値上げ論は後からつけた口実にすぎず、このような口実を接ぎ木したことは、言ってみれば、税負担低下論の弱さを政府自身自白したものにほかなりません。  しかも、国民生活犠牲にしてまで強引に値上げをした結果、歳入欠陥の穴埋めにどれほど役に立つというのでしょうか。約四兆円の歳入欠陥に対し、値上げ強行しても、せいぜい九百億、わずか二%の補てんしかできないのであります。  これらの点から見て、政府の言う値上げ理由は全く根拠も説得力もなく、不可解、非常識と言うほかはありません。  値上げ反対する第二の理由は、国民生活と物価に対する影響の深刻さであります。  いま国民は、インフレと不況の同時進行で、失業、倒産、生活苦、老後不安などの恐怖におびえています。そこへ酒税二二%、たばこ四八%という大幅な値上げ強行することになれば、勤労者のささやかな楽しみすら奪うことになりかねないのです。とりわけたばこについては、経済企画庁の委託調査でも明らかなように、公共料金の中でも医療費、消費者米価などと並んで家計への響きが強いものとされています。しかも、酒、たばこは逆進性の強い間接税の大幅増税でありますから、低所得者層生活に対する圧力がより深刻になることも必定で、税負担の不公正拡大は一層過酷なものとなってくるはずであります。加えて、酒、たばこを水先案内にして、郵便、電話料、国鉄、さらには消費者麦価など、メジロ押し公共料金の大幅なアップが予定されていて、国民生活は手ひどい打撃を受けようといたしております。  ここで物価に対する響きを指摘しておきたいと思いますが、三木内閣は年度末物価一けた公約を繰り返し強調してきました。もとより、物価を一けたにしたからといって、預金金利をはるかに上回っているのでありますから、政府の物価政策は成功したなどと言われるしろものではありませんが、酒、たばこを初めとする一連の公共料金値上げ政策は、この物価一けた公約にすら赤信号がつき始めていることを政府は厳しく反省すべきだと考えます。すなわち、本年四月から十月までに消費者物価指数は総理府の統計によってもすでに六・五%も上昇しており、その上、酒、たばこ等一連の公共料金値上げが不当にも強行されますと、それらの上昇分は一・二%と見積もられており、十一月より明年三月までの五ヵ月間の残りを二%以内に抑える保証はどこにもないのであります。元来、公共料金は、政府の物価に対する直接的な政策志向を端的に表現するものでありますだけに、その波及効果も大きく、公共料金の大幅値上げは、物価抑制を第一義としてきた三木内閣の物価政策の欺瞞性を決定的なものにしています。  以上の指摘から明らかなように、まさに酒、たばこ値上げ二法は、根拠もなしに国民生活と物価に深刻な影響を与え、勤労国民犠牲負担の上に、大企業の景気浮揚のための財源確保を目指す悪法で、断じて認めるわけにはまいりません。  したがって、わが党は一貫して酒、たばこ値上げ反対をし、国民とともに闘ってまいりましたが、同時に、政府の失政によって生じた歳入欠陥ではあるにせよ、その補てんのために具体的で積極的は提言を行い、政府にその実行を迫ってきています。それは大企業優遇の租税特別措置法の改廃であり、交際費や金融機関の貸し倒れ引当金等に対する課税を強化するなどして、大企業に奉仕する不公正税制を改革し、そこから財源を確保すべしとするきわめて現実的で実行可能な提案であります。その意味で三木総理、大平大蔵大臣最後の選択と決断が求められています。大企業奉仕財源確保のため国民犠牲負担を求めてあくまで値上げ強行するのか、わが党の提案にこたえて、大企業に対する優遇措置の撤廃と増税に踏み切り、酒、たばこ値上げ二法を撤回し、国民生活を守るのかであります。しかし、しょせん大企業優先自民党の土壌から誕生し、とみに右傾化の色を濃くしていった三木内閣に後者の道を求めることは、それ自体至難のわざであります。言葉づらでは対話と協調を求めてやまなかった三木政治の一年が、実は議会制民主主義を壊し、対決と強行のそれであったことを国民は確かな目で見きわめています。インフレも不況も克服できず、饒舌ではあるが無能、無節操で、大企業には目を細めるが国民には冷酷な政府であることを国民は知っています。まさにそのことが三木内閣の支持率を短期間に急速に下降させた何よりのあかしであります。  国民は酒、たばこ値上げ強行に対し、三木内閣と自民党にさらに大きな反撃を開始するに違いありません。そのことを厳重に警告しながら、わが党は酒、たばこの大幅値上げ二法に対し国民とともに絶対に認めることはできないことを重ねて強調いたしまして、反対討論を終わります。(拍手)     —————————————
  118. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 鳩山威一郎君。    〔鳩山威一郎登壇拍手
  119. 鳩山威一郎

    鳩山威一郎君 ただいま議題となりました酒税法及び製造たばこ定価法の両改正案につきまして、私は、自由民主党を代表して、賛成意見を表明いたします。(拍手)  石油危機に端を発した異常な物価騰貴は、このところとみに鎮静してまいりまして、十月の消費者物価は、対前年同月比九・六%と二年半ぶりに一けたの水準となっております。しかしながら、激しいインフレ抑制措置は、他方において戦後最大不況局面を招来し、高水準の倒産と失業の増大を来しております。このような景気の停滞は当然財政にも反映するのでありまして、五十年度予算の執行に当たり、法人税等の直接税を中心とし、大幅な歳入不足が生ずることは必至であります。政府がこのような厳しい財政難の中にあっても、財政に期待される役割りを敢然と果たすこととし、このためにあえて特例公債の発行に踏み切ったことはまことにやむを得ない措置であると言わざるを得ないのであります。  しかしながら、特例公債はどこまでも臨時非常の際にのみ許される例外的な措置でありまして、その発行を安易な態度で行うことは許されません。政府が、特例公債の発行に踏み切るに当たり、一般行政経費について従来にない厳しい節減を行い、あるいは歳入面におきまして、金融機関等の貸し倒れ準備金についてその繰り入れ限度を引き下げたことも、当然のこととは言え、評価できるのであります。そして酒、たばこ法案成立の必要性はこのような財政事情の間にあっておのずから明らかであると思うのであります。酒、たばこ法改正案による増収分は、五十年度の財政運営に当たり、歳出の裏づけ財源として、当初からこれを予定していたものであります。また、財源難はひとり国だけではありません。今日、都道府県、市町村の財政はまさに危機的とさえ言われております。たばこ益金の約半分と酒税の三二%は地方に配分されるものでありますから、全国の知事、市町村長は、革新首長を含めて両法案の成立を首を長くして待っておるのであります。  そもそも、酒税及びたばこ定価の引き上げは、これらが実に七年間の長きにわたって据え置かれ、そのため、その間の所得、物価水準等の推移に伴い、税負担が相対的に低下しており、したがって、これの一部なりとも回復しようとするものであって、その本質は単純な増税と言うべきものではなく、必要最小限度の調整と言うべきものであります。酒やたばこは、どこの国でもこれを財政物資として高率の税を課し、国家財政の重要な財源としているのであります。最近でも、イギリス、西ドイツ、フランスなどの諸国が、折からの財政対策として、酒、たばこの増税に動いていることが伝えられているのであります。しかも、われわれがここに注意したい点は、わが国の酒税及びたばこ価格の水準が、これらの国の増税前の水準と比べてもなお、かなり低いというところにあるのであります。  また、酒、たばこ値上げによる物価や家計への影響につきましては、消費者物価で見て、酒で〇・一%、たばこで〇・六%程度と言われているわけでありまして、今回の改正が七年ぶりの引き上げであることをあわせ考えれば、この程度はやむを得ないものと考えられるわけであります。しかも、今回の両改正案におきまして、清酒の二級酒やウイスキー類二級を初めとするいわゆる大衆酒を増税対象から除外するとともに、低価格たばこについて引き上げ幅をできる限り抑えていることは適切な配慮と申すべきであります。  このように見てくると、今回の酒税、たばこ定価の引き上げについては、現在見るような野党の激しい反対は全く当たらないことがわかるのであります。(拍手)このことは、前国会における衆議院二十五時間、参議院四十九時間に及ぶ委員会審議によって、野党諸君にとってもすでに十分明らかになっているところと信ずるのであります。しかるに野党諸君は、今国会におきましても依然として審議拒否の態度を変えず、二ヵ月半以上の期間を空費したのであります。この野党のかたくなな態度のよって来るところは、公共料金凍結政策にあると想像されるのでありますけれども、物価対策として公共料金を凍結すべしというのは一つの考え方であると思います。しかし、これは大分古い考え方であります。すでに六年も前にOECDにおきましては、経済学者を動員しまして、インフレ下における経済政策を検討したのであります。その結論として、公共料金を長期に凍結することは経済に不当なひずみを与えて不適当であると指摘しているのであります。経済学者であるいわゆる革新知事が、最近ようやくこのことに気がついて、公共料金据え置き政策を百八十度転換したことをもってもこの道理は明らかであります。良識の府と言われる参議院は、この際公共料金問題を政争の具にすることをやめる決意をすべきであると思うのであります。  最後に一言、大蔵大臣に要望を申し上げます。  酒税の増税にしましても、たばこ値上げにいたしましても、財源の確保について第一線で苦労する者は民間の業者であります。販売定価の改定にも人手を要し、また自動販売機の改修も自己負担で行う等、業者に多くの負担がかかるにもかかわらず、政府の政策に協力する態度をとっておるのであります。酒類の生産から販売に至る業界、あるいは葉たばこ生産農民とたばこ販売業界は、そのほとんどが中小零細業者であり、ここに働く人々は、一般の公務員はもとよりサラリーマンに比しても、給与その他の待遇の面におきましてきわめて劣っている実情は御承知のことと思います。違法なスト権ストが行われたときに、これらの人々はどういう気持ちであのストを見ていたかを考えますときに、心が痛むのであります。どうか大蔵大臣、ストどころではないこれらの業界に働く人々の気持ちをおくみ取りくださって、適切な施策を進めていただきたいのであります。  また、本改正案が成立の暁におきましては、その実施時期を選ばれるに当たりまして、これらの業界の日常の業務に混乱の生じないよう、かつ、国民世論の動向も十分に御勘案の上、決定されますよう要望いたす次第であります。  以上の要望を申し上げ、私は両法案について賛成意見を表明して討論を終わります。(拍手)     —————————————
  120. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 相沢武彦君。    〔相沢武彦君登壇拍手
  121. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっております酒税法並びにたばこ定価法改正案に対して、反対討論を行います。  今国会は、三木首相みずからインフレ、不況克服国会と銘打ったように、不況を打開し、インフレから国民生活を守り、国の財政を抜本的に改革するためのものであったはずであります。しかるに政府は、この国民の期待にこたえるための誠意を少しも見せず、かえって悪法である酒、たばこ値上げ法案をごり押ししているのであります。  言うまでもなく、この両値上げ法案は、前国会において政府自民党があらゆる手段を尽くしたにもかかわらず廃案となったものであります。みずからを議会の子であると吹聴している三木総理であるならば、国会において廃案となったという事実を見詰め、国民がこの値上げ法案に対して絶対反対であるという審判を下したものとして、率直にこれを認め、従っていくべきでないですか。しかるに三木内閣は、再度この値上げ法案を提出してきたのであります。  専売公社が大幅な赤字というならともかく、昭和四十九年度だけで七千二百二十三億円もの利益を上げており、その益金率は実に五六・二%にもなっております。今回また四八%の値上げを行えばさらに高い利益率になるのであります。この七年間で確かに原材料費、人件費等のコストは上昇しているとは思いますが、専売公社では次々と定価の高い新種たばこを発売して、国民により高い価格たばこを買わせ、高収益と増税を保ってきたではありませんか。  酒税についても、昭和四十三年度五千七十九億円、四十五年度六千百三十六億円、四十九年度は八千百五十億円と著しい伸びを示しているのであります。政府は、「今回の値上げは一級酒以上で、それ以下のものについては据え置きであるので、低所得者への負担はさせない」と言っておりますが、この意味を逆に考えるならば、貧乏人は二級酒以下を飲めと言うのでありましょうか。かつてある総理大臣は、「貧乏人は麦を食え」と言って国民の反発を買いましたが、今回の酒税引き上げ政府は、これと全く共通するようなことを国民に対して言おうとしているのでありましょうか。  いずれにしても、このような実績から見てきて、酒二三%、たばこ四八%の大幅値上げ国民大衆に向かって押しつける理由は何ら見当たらないのであります。  三木内閣は、総需要抑制の緩和と不況対策の実施のタイミングの誤りにより、不況をより深刻化させ、それによって三兆八千億円以上の巨額な歳入欠陥をつくり上げてしまいましたが、三木内閣はこの経済政策の失敗に対し、直ちに責任をとるか、あるいは解散をして国民に信を問うことこそ必要であるべきところなのに、税制調査会にも諮らず、専売事業審議会でも十分に討議されないまま、みずからの失政のツケを値上げ法案として国民に転嫁するなどとは、全く言語道断であると言わざるを得ません。  さらに、この両値上げ法案に対して政府は税負担の適正化という名目もつけているようであります。昭和四十八年、四十九年の異常インフレの中で、国民の資産及び所得の格差の拡大は、持てる者と持たざる者の間に大変な差をつけました。このような格差を少しでもなくするために税の適正化を行おうとするのであれば、大企業の法人課税や租税特別措置等、現行の不公正税制を抜本的に改革を行うのが筋道であります。それを所得の低い人ほど負担の重くなる酒、たばこ値上げは、逆累進性の強い間接税の強化であり、所得再配分機能を阻害するものであります。真に公平な税制の確立をいまこそなすべきであろうと思うのでございます。このような国民大衆の犠牲を踏み台にした安易な財政対策は、インフレ再燃の引き金になりかねません。  政府は、口を開けばインフレは鎮静化したと誇大に宣伝しておりますが、物価の趨勢はいまなお予断を許さないところであります。この酒、たばこ値上げが消費者物価指数に及ぼす影響を過小評価しているようでありますが、他の物価値上げに与える心理的影響を考慮に入れれば、事態は数字で割り切れるような安易なものではありません。  加えて、今後、郵便料金、国鉄、私鉄、ガス、電気、電報、電話など、国民生活にとって切り離せない公共料金値上げメジロ押しに並んでおります。このような値上げ攻勢と考え合せると、公共料金主導型の物価上昇になることは明らかではありませんか。  これらの条件を考え合せるならば、政府が公約した物価安定をみずからが破るような値上げ法案は、当然廃案にすべきであります。  さらに自民党は、この酒、たばこ値上げ法案を強引に成立させるために、九月二十六日、衆議院議運委員会において委員会付託を強行したのを皮切りに、何と四度にわたる強行採決を行い、また、参議院大蔵委員会での強行、この値上げ法案を成立させるための国会会期大幅延長の強行決定を行うなど、議会無視の暴挙を連発したことは、まさに議会制民主主義の破壊であり、このような国民に対する重大な裏切り行為は、断じて許すことができないものであります。  これまでにも自民党は数々の強行採決を行ってまいりましたが、その暴挙を行う自信の裏づけは、幾らこのようなことをしても国民自民党政府を支持してくれるなどという思い上がりにあるのでありましょう。しかし、そのような考え方は全く国民の意思に反する錯覚であり、ナンセンスであります。今日、議会制民主主義を破壊する自民党暴挙国民の厳しい批判は高まり、ある新聞社が十月に発表した世論調査によると、三木内閣の支持率はわずか二三%にすぎないということでありました。七七%の国民はもはや三木内閣の政治姿勢やその政策を支持していないという冷厳な事実をよくよく認識し、深刻な不況に苦しむ国民にこれ以上追い打ちをかけるようなことは断じて行ってはならないと思うのでございます。  以上、理由を申し上げ、この酒、たばこ値上げ法案に強く反対して私の討論を終わります。(拍手)     —————————————
  122. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 渡辺武君。    〔渡辺武君登壇拍手
  123. 渡辺武

    ○渡辺武君 私は、日本共産党を代表して、酒税法の一部改正法案及び製造たばこ定価法の一部改正法案に対し、反対討論を行います。  反対理由を述べる前に、私は、去る十一月二十日の大蔵委員会における自民党暴挙とその後の事態について、怒りをもって触れないわけにはいきません。桧垣大蔵委員長は、審査報告書の中で、この両法案が「国会法五十条後段の規定に基づき可決すべきものと議決した」と述べております。しかし、当日の委員会が混乱の極に達して、どのような議事採決も行われなかったことは、会議録でさえ「聴取不能」と記録していることからも明白であります。それにもかかわらず虚偽の審査報告書を提出した大蔵委員長と、この審査報告書を適法なものとして両法案の本会議処理をいま強行している河野議長は、国会の要職にありながら政府自民党と一体となって議会制民主主義をみずから破壊するものと言わなければなりません。特に、三木内閣と自民党が、国民の強い反対によって前国会で廃案となったこの両法案を本国会冒頭に提出して、衆参両院を通じ、強行採決に次ぐ強行採決など、まさに暴力的な国会通過を図ってきたことは、その政治路線がきわめて反動的、反国民的なものであることを改めて示すものであります。  さて、この汚物にまみれた両法案反対する理由の第一は、酒、たばこ値上げ国民の暮らしに打撃を与えるとともに、今後予定されている一連の公共料金値上げの突破口となり、物価の全般的上昇の引き金となるからであります。  いま、インフレと不況のもとで国民の大多数が消費の切り詰めに追い込まれ、特に低所得者が生活必需品さえ切り詰める極端な苦しさにあることは、政府国民生活白書でさえ指摘せざるを得なかったところであります。酒、たばこは嗜好品ではあるが、国民生活に深く溶け込んでいるものであります。その大幅な値上げが酒、たばこの消費を減退させるだけではなく、国民の家計をさらに悪化させ、健康、教育、教養文化など、他の必要な支出までも切り詰めざるを得なくさせるおそれのあることは、われわれの生活の実態が示すところであります。また、酒、たばこ値上げは、現在政府が予定している国鉄運賃、電報電話料金、消費者麦価、国立大学授業料などの大幅値上げの突破口となるものであります。政府はいま、高度成長政策の破綻によってみずから招いた財政危機を国民犠牲によって解決しようとして、赤字公債発行によるインフレ政策、増税、さらには受益者負担を口実とした公共料金の大幅引き上げ公共料金制度の根本的な改悪を企てております。このために、本年度で七千億円もの黒字を上げているたばこと九千億円もの税収を上げている酒の値段まで引き上げようとしております。断じて許すことはできません。(拍手)  反対する理由の第二は、この両法案が、担税力を失っている国民の現状を無視し、不当な増税を行うものであって、担税力のあるところに課税すべしとする税制の原則に反するからであります。  政府は、七年間も酒税の税率とたばこの定価を据え置いたので、小売価格に占める税金の比率と、財政収入に占める酒税及び専売納付金の比率が低下していると述べております。しかし、これこそ国民生活の苦しい実態を無視し、国税収入のための大衆収奪しか考えない態度と言わなければなりません。それどころか、国民不況とインフレのもとで消費を極端に切り詰めざるを得ないことは、もはやこれ以上税金の負担は困難であることを示しているのではないでしょうか。いま国民には、増税ではなく、減税こそが緊急に必要であります。この現状を無視して、特に逆進性の強い酒、たばこの税金を大幅に引き上げようとすることは、課税すべからざるところに課税するものであり、税制の基本に反するものであり、しかも、値上げによる税収を挙げて大企業の不況対策のために使うことは、断じて許すことができないものであります。(拍手)  反対する理由の第三は、大企業、大資産家に対する特権的減免税の一部を是正し、その財源をもってすれば、酒、たばこ値上げはせずに済むのにもかかわらず、政府はそれさえも行おうとしないからであります。  酒、たばこ値上げによる増収は、十一月実施の場合で酒税五百五十億円、たばこ専売納付金で一千三百億円、合計千八百五十億円でありますが、わが党がすでに本院に提案している有価証券取引税法の一部改正法案及び租税特別措置法の一部改正法案だけで、十一月実施で合計約三千億円の増収となるのであります。これだけでも酒、たばこ値上げはしないでも済むのであります。わが党が財源まで示して提案を行っているのにもかかわらず、これを受け入れようともしない三木内閣の政治姿勢は、まさに財界、大資産家本位そのものだと言わなければなりません。(拍手)  反対する理由の第四は、今回の酒、たばこ値上げを契機に、政府たばこ小売業者及び清酒中小メーカー等に大きな犠牲を強要しようとしているからであります。  大蔵省及び専売公社は、たばこ小売定価改定による小売店の増収を理由に、もともと低いマージン率を引き下げ、また、公社は、たばこ自動販売機を小売店に推薦しておきながら、定価改定により使用不能となる自動販売機の買いかえ、改修に係る損害を補償しようともしていないのであります。  また、酒の値上げは、清酒の消費減退を一層促進させ、その九九%が資本金一億円未満の中小企業で、現にその半数以上が赤字を抱えている清酒中小メーカーの経営を一層悪化させることは明らかであります。とりわけ大手清酒メーカーにおけ売りを余儀なくされている中小メーカーの立場は深刻であり、買いたたきと過剰在庫、生産制限など、経営の存立さえ脅かされているのであります。しかるに政府は、酒税だけを確保すれば事足りるとして、かえって清酒中小メーカーの整理淘汰、企業合同などを推し進めようとしているのであります。地場産業であり、また日本伝来の特色ある清酒の味を守り続けた清酒中小メーカーを国民酒の担い手として保護育成しようとしない政府の態度は全く不当であります。  酒、たばこ値上げは以上述べたすべての点からしても不当かつ不法なものであることは明らかであります。徹底した審議のためにわが党などの行った法案大蔵委員会差し戻しの要求を踏みにじり、このような法案をいま強行成立させようとしている三木内閣と自民党に対し、国民がしかるべき審判を下すであろうことは必然であります。  私は、このことを強く指摘して反対討論を終わります。(拍手)     —————————————
  124. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 藤井恒男君。    〔藤井恒男君登壇拍手
  125. 藤井恒男

    藤井恒男君 私は、民社党を代表し、ただいま議題となりました酒税法及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案に対し、反対討論を行います。  私は、この年末に当たり、これまでの国会の現状を見るとき、ことしほど国民政治に対する期待を裏切った国会はないと思います。  ちょうど一年前、三木総理が登場し、対話と協調の政治、社会的公平の確保を述べられたとき、国民は少なからず三木総理に期待したと思います。にもかかわらず、三木内閣は、時がたつにつれその硬直した姿勢を示し、政策面においてもその場限りの無責任な態度をとり続けてきました。その典型的な例がこの酒、たばこ値上げ法案であります。  すでにわが党同僚議員が先ほど指摘したように、酒、たばこ値上げ法案は前国会で廃案になったものであり、同種法案を再提出されようとするならば、前国会で廃案になった理由を深く反省し、再び国会審議にたえ得るものに内容の抜本的改革を行うことが政府としての当然の責務であります。しかるに総理は、前国会で廃案になったものと全く同じ法案を再び提案したのでありますが、これは全く国会審議を軽視し、無視するものであると言わざるを得ません。ことしの国会開会日は実に二百九十一日にも上っておりますが、その半分近くがこの酒、たばこ値上げ法案成立のために費やされていることは、国民立場から見ましても全く納得できるものではなく、国民政治不信をますます助長するものであると言わざるを得ません。  次に、私が本法案反対する理由は、これらの値上げによって公共料金主導型物価上昇が定着することを恐れるからであります。すでに七月時点での消費者物価上昇率は対前年同月比で一二%でありますが、公共料金の上昇率は実に一七・九%にまでなっております。他方、工業製品の上昇率は、需要の停滞と相まって六・五%にしかすぎません。これは明らかに現在の物価上昇の原因が公共料金値上げにあることを如実に物語っているのであります。これら公共料金を抑制するならば、わが国の物価上昇率は、政府の目標とする年度末九・九%を七ないし八%台まで下げられることが可能でありましょう。このことによる物価の抑制は、現在の異常に停滞した消費者需要を正常な状態に戻し、景気対策の面でも思い切った措置を講ずることが可能になると思います。にもかかわらず、現時点においてなお酒、たばこ値上げ強行しようとすることは、公共料金主導型、物価上昇をますます助長するどころか、現在の異常に停滞した消費需要をますます低下させ、景気回復を一層おくらせることになります。三木内閣は酒、たばこ値上げによる今年度のわずかな歳入補てんと景気回復にあらゆる努力を傾注することとどちらに重点を置いているのか。酒、たばこ値上げに固執する政府の態度は、まさに木を見て森を見ない本末転倒もはなはだしいと言わなければなりません。翻って、一歩政府立場に立つとしても、酒、たばこ値上げによる歳入増加は、すでに生じている四兆円近い歳入不足に対していかなる意味があるのか不明であります。大蔵大臣は、このような歳入不足が生じているがため値上げに御理解をいただきたいと答弁されているのでありますが、その前に大蔵大臣国民に示すべき点が幾つかあります。  第一は、このような巨額の歳入欠陥をもたらした政府政治責任を明確にすることであります。  第二は、この歳入欠陥から生じた異常な財政運営について今後いかなる方策によって正常な状態に戻そうとされるのか、財政再建計画を示すことであります。  これら二点について政府責任もとりません。財政再建計画もわかりません。ただただ国民の皆さんの犠牲によってわずかでも歳入増加を図りたいというのでは、一体だれが納得できることでありましょうか。無責任もはなはだしいと言わなければなりません。  さらに問題にすべきは、政府の歳入増徴対策が一般庶民増税に偏重していることであります。酒、たばこ値上げは言うに及ばず、来年度政府がねらっております自動車関係諸税の増税、さらには付加価値税構想など、いずれも一般庶民の犠牲において増税を図ろうとしていることは断じてわれわれの容認できないところであります。  三木総理は、社会的公平の確保を図ることが重要な課題であると言われましたが、税制面においてこの立場を貫くのであれば、わが党がことしの組み替え予算案で示した利子・配当の優遇制度など租税特別措置の抜本的改廃、交際費課税の強化、富裕税の新設、高額所得者の累進税率の強化などの対策を講ずることが先決と言わなければなりません。これらの対策を放置し、大衆課税の増税を図ることは、政府自民党の大企業中心、金持ち偏重の政治を露呈したものと言わなければなりません。  この政府生活軽視の政治のため、庶民のささやかな楽しみである酒、たばこ値上がりし、近づく正月も暗い気持ちで迎えなければならない国民の不満の声を代弁いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手
  126. 河野謙三

    議長(河野謙三君) これにて討論は終局いたしました。  これより両案を一括して採決いたします。  表決は記名投票をもって行います。両案に賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票願います。  議場閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名点呼〕    〔投票執行
  127. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 投票漏れはございませんか。——投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖
  128. 河野謙三

    議長(河野謙三君) これより開票いたします。投票参事に計算させます。議場開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  129. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数        二百四十三票   白色票          百二十五票   青色票           百十八票  よって、酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案は可決されました。(拍手)      ——————————   〔参照〕  賛成者白色票氏名      百二十五名       宮田  輝君    寺下 岩蔵君       平井 卓志君    吉田  実君       中西 一郎君    山本茂一郎君       山内 一郎君    久保田藤麿君       前田佳都男君    木内 四郎君       佐多 宗二君    最上  進君       望月 邦夫君    森下  泰君       梶木 又三君    藤川 一秋君       福岡日出麿君    鳩山威一郎君       秦野  章君    夏目 忠雄君       林  ゆう君    安孫子藤吉君       青井 政美君    有田 一寿君       井上 吉夫君    石破 二朗君       中村 登美君    松岡 克由君       藤井 丙午君    桧垣徳太郎君       原 文兵衛君    中村 禎二君       高橋 邦雄君    細川 護煕君       宮崎 正雄君    林田悠紀夫君       佐藤  隆君    菅野 儀作君       石本  茂君    中山 太郎君       小林 国司君    寺本 廣作君       柳田桃太郎君    内藤誉三郎君       玉置 和郎君    高橋雄之助君       楠  正俊君    岩動 道行君       西村 尚治君    鍋島 直紹君       新谷寅三郎君    上原 正吉君       郡  祐一君    青木 一男君       徳永 正利君    小川 半次君       八木 一郎君    丸茂 重貞君       塩見 俊二君    志村 愛子君       河本嘉久蔵君    嶋崎  均君       棚辺 四郎君    中村 太郎君       戸塚 進也君    高橋 誉冨君       坂野 重信君    斎藤栄三郎君       山東 昭子君    糸山英太郎君       岩男 頴一君    岩上 妙子君       遠藤  要君    大島 友治君       大鷹 淑子君    斎藤 十朗君       古賀雷四郎君    黒住 忠行君       川野 辺静君    金井 元彦君       今泉 正二君    土屋 義彦君       山崎 竜男君    上田  稔君       初村滝一郎君    長田 裕二君       久次米健太郎君    鈴木 省吾君       世耕 政隆君    江藤  智君       藤田 正明君    大森 久司君       岡本  悟君    平泉  渉君       橘直  治君    町村 金五君       加藤 武徳君    安井  謙君       剱木 亨弘君    吉武 恵市君       増原 恵吉君    神田  博君       伊藤 五郎君    鹿島 俊雄君       大谷藤之助君    小笠 公韶君       亘  四郎君    橋本 繁蔵君       佐藤 信二君    亀井 久興君       岡田  広君    上條 勝久君       稲嶺 一郎君    矢野  登君       安田 隆明君    山崎 五郎君       高田 浩運君    増田  盛君       二木 謙吾君    源田  実君       熊谷太三郎君    植木 光教君       木村 睦男君    温水 三郎君       福井  勇君     —————————————  反対者青色票氏名      百十八名       太田 淳夫君    矢原 秀男君       野末 陳平君    喜屋武眞榮君       下村  泰君    相沢 武彦君       塩出 啓典君    青島 幸男君       市川 房枝君    柄谷 道一君       内田 善利君    峯山 昭範君       桑名 義治君    三治 重信君       上林繁次郎君    阿部 憲一君       三木 忠雄君    藤原 房雄君       和田 春生君    栗林 卓司君       黒柳  明君    矢追 秀彦君       原田  立君    田代富士男君       藤井 恒男君    木島 則夫君       鈴木 一弘君    山田 徹一君       宮崎 正義君    柏原 ヤス君       中村 利次君    田渕 哲也君       二宮 文造君    白木義一郎君       小平 芳平君    多田 省吾君       中尾 辰義君    向井 長年君       福間 知之君    矢田部 理君       案納  勝君    久保  亘君       青木 薪次君    野田  哲君       対馬 孝且君    秦   豊君       浜本 万三君    赤桐  操君       大塚  喬君    小山 一平君       片岡 勝治君    田  英夫君       宮之原貞光君    鈴木美枝子君       神沢  浄君    前川  旦君       竹田 現照君    山崎  昇君       村田 秀三君    小野  明君       野口 忠夫君    栗原 俊夫君       茜ケ久保重光君    瀬谷 英行君       森  勝治君    戸叶  武君       田中寿美子君    竹田 四郎君       戸田 菊雄君    森中 守義君       志苫  裕君    森下 昭司君       近藤 忠孝君    山中 郁子君       粕谷 照美君    片山 甚市君       目黒今朝次郎君    橋本  敦君       安武 洋子君    内藤  功君       寺田 熊雄君    佐々木静子君       辻  一彦君    小巻 敏雄君       神谷信之助君    小谷  守君       工藤 良平君    上田  哲君       和田 静夫君    松本 英一君       小笠原貞子君    立木  洋君       沓脱タケ子君    鈴木  力君       中村 波男君    川村 清一君       杉山善太郎君    沢田 政治君       加藤  進君    渡辺  武君       塚田 大願君    安永 英雄君       吉田忠三郎君    鶴園 哲夫君       松永 忠二君    小柳  勇君       須藤 五郎君    岩間 正男君       星野  力君    阿具根 登君       野々山一三君    中村 英男君       秋山 長造君    藤田  進君       河田 賢治君    野坂 參三君       上田耕一郎君    春日 正一君      ——————————
  130. 河野謙三

    議長(河野謙三君) 本日はこれにて延会することとし、次会は来る十五日午前十時より開会いたします。  これにて延会いたします。    午後十一時九分延会