運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1975-12-16 第76回国会 参議院 文教委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十六日(火曜日)    午後一時十三分開会     —————————————    委員異動  十二月十五日     辞任         補欠選任      河田 賢治君     小巻 敏雄君  十二月十六日     辞任         補欠選任      中沢伊登子君     向井 長年君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         内藤誉三郎君     理 事                 有田 一寿君                 久保田藤麿君                 久保  亘君                 加藤  進君     委 員                 山東 昭子君                 志村 愛子君                 高橋 誉冨君                 中村 登美君                 藤井 丙午君                 粕谷 照美君                 鈴木美枝子君                 宮之原貞光君                 内田 善利君                 小巻 敏雄君                 向井 長年君    国務大臣        文 部 大 臣  永井 道雄君    政府委員        文部大臣官房長  井内慶次郎君        文部省初等中等        教育局長     諸沢 正道君        文部省体育局長  安養寺重夫君        文部省管理局長  清水 成之君        文化庁長官    安嶋  彌君        文化庁次長    今村 武俊君    事務局側        常任委員会専門        員        瀧  嘉衛君    説明員        行政管理庁行政        監察局監察官   上井 正司君        文部省初等中等        教育局地方課長  浦山 太郎君        厚生省児童家庭        局母子福祉課長  長尾 立子君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○教育文化及び学術に関する調査  (当面の文教行政に関する件)     —————————————
  2. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、中沢伊登子君が委員辞任され、その補欠として向井長年君が選任されました。     —————————————
  3. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 教育文化及び学術に関する調査中、当面の文教行政に関する件を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 有田一寿

    有田一寿君 主任制の問題について若干の質疑を行いたいと思います。  先般、十二月十二日の衆議院文教委員会で、諸沢局長発言をめぐっていろいろまた新たな角度から報じられておりますが、本国会も最終期に近づいておりますので、きょうは率直に大臣あるいは局長の御答弁を願いまして、この問題をはっきりさせたいという気持ちでございます。それにつきまして、最初大臣から主任職務について、そのあり方とはどんなものかということを表明していただきたいと、それを最初一つお願いをします。
  5. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私は十二月六日に「調和のとれた学校運営」についてというものを発表いたしましたが、これは考え方といたしまして、一つは、主任とは何であるかという実態に即して考えていくということでありますが、もう一つは、たとえば四項目にありますように、「今後の方向性実態に即して明らかにしていく」ということであります。  そこで、その考え方と申しますのは、従来、学校運営していく場合に、ともすれば管理主義的になる、あるいは管理主義ととられやすいといった方が正確に聞こえますが、そういう姿で学校運営考え、そして強化とか阻止ということが言われる。しかし、こういうことですと、学校運営というものは行政官庁などときわめて類似なものと考えられるようになってしまう。しかし、学校の場合、何と申しましても重要な目的は教育である。このことをまず忘れてはいけない。そういたしますと、学校運営というものは規律正しく行っていくというような意味合いにおいて管理的な側面はありますが、他方において、教育指導というのが何といっても運営をしていく場合の重要な柱である。そこで、主任というものを実態に即して今後どういうふうに考えていくべきかという場合に、教育指導という方向でいまも活動しておられますが、一層そういう活動というものを強化していくといういわば方向考えたわけでございます。でございますから、具体的に申しますというと、たとえば学年主任というものがあります。一つ学年に幾つかの担任先生がおいでになる。その担任の他の先生方主任というものは、連絡調整に当たって仕事をしていく。そして学年全体、やはりある学年は全くこう規格外れなことをやっておる。それは自発的に非常によいことをやっておれば別ですが、教育方法などについても、他の学級ともう少しお互いに学び合いながらやっていくべきである。そういう角度連絡調整的なことをやりながら指導助言をしていくということが、私は主任という方のなすべきことである。そういう意味合いにおいて、他の場所には「専門的な能力を生かして」ということも書いてございますが、やはり教育者としての専門的な能力を生かして、特にそういうことをなさっていく方が主任であるから、さらに、そういう性格を強化するのがよいであろう、こういう考え方でございます。
  6. 有田一寿

    有田一寿君 先日の衆議院文教委員会での諸沢局長発言は、若干、いまの文部大臣考え方と達っておるように思います。諸沢局長発言は、私が申し上げなくてももうおわかりのことですから、食い違っているように私は思いますが、それについて重ねてこれだけはお尋ねしておかなきゃなりませんが、その食い違い点について大臣にひとつお答えを願いたいと思います。
  7. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 諸沢初中局長と私の考え方が違っているかのごとき印象を与える結果となりましたのは、諸沢局長主任は確かに指導助言をするんだけれども、しかし、指示をする場合もある、こういうことを言われました。そこで、私もその発言をよく検討して考えますと、こういうことは確かにあります。たとえばある学年がどこか山に行く、ところがその山には川があって、そしてかなり危険がある。そういう場合に、その学年主任先生がほかの先生方に、今度行く山はかなり川は案外深くて危険がありますよと。そこで、そういう点は十分注意してください、あらかじめそういう話しをしたとします。ところが山に行ってみると、ある学級担任先生は、泳がしてもいいんじゃないかというような調子なわけですね。そうすると主任はそれはとても危険である。ところがその先生は非常に若くて、自分は仮に四年としていざとなれば私が飛び込めば大丈夫なんですからというようなことでやっているうちに、本当に子供に危険が起こるような状態になったとき、それは「君は絶対にそういうふうにやらないでくれ」というのが、私、そういうつまり指導助言といいましても、子供の危険というふうなものを守るような場合には、やはりベテランである先生というのは、他の先生も本来そうであるべきですが、しかし指導に当たっているわけでありますから、そういう指示を与えるというか、そういう危険というものが自分教育経験上、専門家として考え即座にやはりそういう指示を与えるということが当然だろうと思います。  それを先般の初中局長言葉で言うと、職務命令というふうなことになるんでしょうが、しかし、それは非常にぎすぎすしたと言うと変ですが、法律用語のようになっているんですが、恐らく、私自身も教師でございましたが、どなたでもそういうふうな指示をする場合、いま法律上の職務命令を出しておるというようなことを意識するというようなことではない。そこで、つまりそれを仮に意識するとすればというようなことで初中局長は言われたのだと思いますが、私は、やはり本来の私の趣旨をここで繰り返し申し上げておきたいのは、指導助言というものの責任を持って仕事をしていくのが主任である。そして、そういう指導助言をしていく過程において、いま具体例を一応申し上げましたが、そういう子供の安全を守るというようなときに、これは指示をするということも当然出てくるものというふうに考えております。しかしでき得べくんば、そういうことは一種の極限状況でございまして、これからはどういうことが望ましいかというならば、教育の中身をめぐってあるいは方法をめぐって、そして学級担任の諸先生方主任先生が話し合いながら、そして、自発的になおよい授業ができていく方向活動するという、その方向というものを持つべきであるというのが私の考えでございます。
  8. 有田一寿

    有田一寿君 この諸沢局長発言誤解を招いたというか——私は誤解を招いたと言ってもいいんじゃないかと、あの発言からはそう思うわけですが、こう言っておられるようですね。一つは、主任という立場において、進度内容学校で決めたものからそれないようにしてくれという要請は従来もやっておりますし、今後もやるべきだと思うから、そういう面をとらえて、それが職務上の上司だと言えば、それは言えないことはないと思いますが、むしろ従来、実態において先生方がそういう意識を持たないでやっておられるなら、それをそのまま制度化するという方向考えておるわけです。これは、私はりっぱなことだと思いますが、それからもう一つ山原委員上司という問題について、この主任職務命令を出せるものとして考えているのですかという質問に対して、主任仕事として、一般職務上の上司とその性格がかなり指導的な面が強いから違いますが、必要最小限のことにおいて、やはりその仕事を遂行する上に必要があれば職務命令という形で出すことは出せるというふうに考えておりますと。まことにこれはもう追い詰められた、苦しい——大体否定したいところですけれども、昔の「新学校管理読本」にそういう管理だとかいう言葉があり得るというようなことが載っておる。それで聞かれれば、それを全然否定してしまってもどうかという恐らく配慮もあっただろうと思いますし、職務命令が出せるのですと、こう言ったわけではないんですよね、いまお聞き取りのように。だから、早く言えば職務命令的なものも、時によってはあり得るかもわかりませんがと、こう言っているわけですよ、はっきり言えば。しかし、法律論争は別として、時期が時期ですから、それは新聞社の方はそこをつかまえて書いたんだろうと思うんで、書いた方を悪いとは私は決して申しませんが、書かれた方が悪いと、それは申しますけれども。まあそれについて、要は、突き詰めれば省令化するときにそういうものを入れるか入れないかということで、それを大臣が御答弁になっておるように、管理職として位置づける、職務命令が出せる、そういうことは一切やらずに、いわゆる指導面でこれを終始するということであれば問題じゃないと思う。それをなおかつ野党の皆さんが詰めに詰めて、それでもなお管理面があるんじゃないか、絶対ないと言えるか、あるだろうがというのは、無理に管理的な面を書いてくれということと私は思っちゃうわけです。だから、そこまで追い詰めて、無理にやぶを突っついていないヘビを出させることもなかろうという私は感じなんです。しかし、私がそれを代弁することはないんで、諸沢局長にひとつそこのところをはっきりと表明していただきたいと思います。
  9. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) ただいま有田先生から御指摘がありましたように、先日の衆議院文教委員会における私の発言につきましては、言葉が足りない点もありまして、真意が御理解をしていただけなかった面もあるいはあろうかと思いますので、この際、説明さしていただきますならば、先ほど大臣も言われましたように、現場における教育活動にはいろいろな態様があるわけで、学年単位学校の外へ出て遠足とかキャンプとか、いろいろの行事を行うことはよくあることだと思います。そういう場合に、出発に際して校長先生は、その学年責任者である主任に対しては十分注意してくれよということを恐らく何度も言われると思うんですね。そういう意を体して主任は出かけるわけでありますから、その学校を離れた教育活動の間においては、繰り返し繰り返し担任先生にいろいろ注意をし、指示を与えるということは当然あるわけでありまして、そういう実態法律的に見て職務命令というふうに見るならば、それは見られるだろうという趣旨で私は申し上げたわけでありまして、ただ、その点、そういう法律論を言ったばかりに、何か主任というものを省令化するに際して新たに現状を変更するようなことを考えているんではないかというふうな誤解をいただいたとすれば、それは大変間違いでありますので、その点は御理解をいただきたいと、こう思うわけであります。
  10. 有田一寿

    有田一寿君 まあ、主任と一口に言いますが、内容を一応分けて考えると、教務主任あり、学年主任あり、進路指導主任あり、あるいは生徒指導主任等ありますが、率直に言うと、私は教務主任とその他の主任は若干感じが違うということは、これはへ理屈でなく、実態論としてそういうことはあっておると思うのです。だから議論するときに、進路指導——いままでの主事、この人たち職務権限があってやっているかと言えば、これは即座にそれはないよとお答えになるだろうと思いますが、問題は教務主任の場合であろうと思うのです。これは現実には第三席のようなことに位置づけられておるようです。年齢、経験教養その他いろいろな面から言って、ほぼそういうことが定着しているところが多いと思うんですが、したがって一般が心配するのは、その他の学年主任とかなんかはいいと、しかし、この教務主任について、中間管理職として位置づけて職務命令権を与えるんではないかとおそれていると思いますが、そこを、教務主任の場合といえども指導助言連絡調整等であると言い切ってよろしいですか、諸沢局長からお願いします。
  11. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 先ほどの御質問もございましたが、主任というものを省令化する場合に、その規定の仕方において、主任上司であるとか、あるいは職務命令を出せるとかいうような規定考えておるかというような御質問があったわけでございますが、その点につきましては、私はいまそういうことは考えていないわけでございます。  次に、主任もいろいろあるけれども、規定の仕方は皆同じように考えておるかという御質問でございますが、確かに教務主任仕事と、あるいは進路指導主事といったようなものの仕事かなり違いはございますけれども、しかし、おしなべて主任あるいは主事というような仕事は、その本質において指導助言あるいは連絡調整ということを本態とすべきものと考えますから、規定をつくります場合にも、皆同じような考えのもとに規定を整備したい、こういうふうに考えております。
  12. 有田一寿

    有田一寿君 いま大臣が例を引かれましたので、私も例を一つ引いてお尋ねしてみたいと思いますが、ある小学校、六年生、六クラス、そのときに、いろいろ学年で打ち合わせることはありましょう。それは教科課程進度、修学旅行、運動会その他ずいぶんあると思いますが、仮に三対三に意見が分かれた。何で分かれたかといえば、運動会のときに「川中島」をやるかやらないかということで分かれた。そうすると、その学年主任A先生は、その片一方の三の学級担任兼務であるというとき、これなかなか議論収拾がつかない。そのときに、教頭校長がおられるわけですが、教頭が先に海外主張していた、校長がおったんですが、校長病気で倒れた——極端な例を引きますよ。そのときにこれはどうなるんだと。そうすると、まず一つ考えられますのは、教務主任に、万一おれが病気のときはおまえが、今度運動会も近づいているようだが、もし話がつかぬようなら、何か起こったときはひとつやってくれ、ほかの先生にもそういうことを職員会議で頼んだ。そうするとこれ、委任になるか、それまた認めるか認めないか。要は収拾がつかないような場面があり得ると私は思うんですよ。そのときに学年主任立場教務主任立場——決して職務権限とは申しません、連絡調整指導助言と、これで結構なんですが、どういうふうにこれを処理することになりましょうか。これは大臣にお聞きするのも何か失礼だが、どちらでも、局長でも結構ですが。
  13. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) なかなかむずかしい具体的ケースをお出しになったわけですが、その具体的ケースに沿って考えますと、こういうことになるだろうかと考えるんです。  教頭海外出張をしている、そして校長は病で倒れた。それが、校長が病で倒れた後で教頭海外出張をするというケースがありますね、それから、教頭が先に海外出張をしていて、校長が後で病に倒れる、まず、そうしたケースがあると思います。まずその場合、余りくだくだしくなりますから、私の考え方理解していただく上で申しますと、校長が病で倒れていたと、当然、教頭はそれをかわってするべき仕事ですからすると、ところが、前からの予定で文部省海外旅行の計画に入っていていよいよ自分は行くことになる、その場合は、どういうふうにその教頭はやるべきであるかと言えば、私は、常識的には、もちろん主任にもしっかりやってくれと、自分校長もいないんだからと言うでしょうが、同時に全校先生を当然集めるべきだと思います。そうして、全校先生に、実は非常にいま異常なことになるけれども、せっかくの前からの約束で自分海外一度も見たことないから行くんだと、そこで主任にもそれから全校先生方にも後はしっかりやってくれと、これを職務命令ということでしたら、まあそういうことを教頭はおやりになるかと思います。そこで、その枠の中で、要するに主任——というのは教務主任ですね、この際、非常に重任を負わされるわけですから、全校のまたしかしほかの先生もその事態においては実は重任を負わされているわけです。つまり、校長教頭がいないときに教務主任中心でやってくという、いわば異常な事態でございますから、十分それを理解して、そういうまあケース考えますというと、いつもの指導助言教務主任なんだけれども、この際は二人ともいないんです。ですから特に敬意を払って、そして教務主任意見には十分耳を傾けなければならない、そう教頭も言ったんだからということで、やはり指導助言でありますけれども、しかし平素の指導助言に比べますというと、確かに二人の頭がいないときでございますから、その非常事態という中で指導ということから言いますといつもよりは強い責任を伴った指導、私は具体的にはそういうふうに事態を見て理解しているわけでございます。
  14. 有田一寿

    有田一寿君 まあ私もそうするだろうと思います。  それで、角度を変えて、私も意見を申し述べて−みたいと思いますが、この主任問題の議論というものが非常に微に入り細にうがち、あるいは左から考え右から考えということで、まあ法律論的にもあるいは実態論的にもどうだということで、大変これやかましい、もう考えておると考えるほどわかりにくくなる、まあ私自身正直に——という感じさえするわけですが、このよって来るところは何だというと、みんな口を緘して言いませんけれども、私はこうだと思うんです。戦時規定平時規定というものが、まあ国際法で言えばそういうものがありますが、野党の方が、現場は平和に明るくやっている、またそれが続き得るという前提でぼくは考えての発言が多いと思うんです。ところが、まあ与党と言うと語弊がありますが、まあ一部の人の中には戦時状態を想定して考えておる発想がある。言いかえれば、非常に学校現場が荒れた、あるいはストライキに突入するかしないかという場面、あるいは突入した場面等考えると、先ほどは運動会の例でしたけれども、そういう場合に、やはりその何かここに管理的な者が校長教頭以外におった方がいいのではないかという発想にいく、これも私は一概に否定はできないと思うんです。だから、願わくは、そういう戦時状態のようなことが学校現場で起こらず、平穏にいきさえすれば、そんなにむずかしく議論はしなくてもいいんだろうという感じがいたしまして、そのもとの状態をひとつお互いに、われわれも極力、学校現場正常化といいますか、教育現場らしい現場と申しますか、あるいは大臣がいつも言われる静かなる教育の場といいますか、そういうところに近づける努力をしなければいかぬと。ここで考えますのは、じゃなぜそういうふうにお互いが疑心暗鬼を持つような悲しい状態になったかと。いまさらこれを、いや日教組ストライキを構えるからこうなった、いや政党の方が弾圧を考えるから抵抗上そうなったか、これはどちらがどちらとは言いませんが、ある程度私は教育現場には不信感を生むような面が現在でもまだあるということは否定できないという気がいたします。早く言えば偏向ですね。それをなくすることがどうしても先決だという気がするわけです。ですから、この主任問題は主任問題として私は後で結論的なことをお聞きいたしたいと思いますが、ひとつここに権威ということを考えなきゃならないのではないか。この権威主義はいけません、これは人為的にいろいろつくるのですから。しかし権威とかあるいはオーソリティー、リーダーシップ、こういうものは自然発生的に生まれるものは結構ではなかろうか。そういうことで、それが少し強く物を言ったっていいんだと、制度の裏づけはないけれどもその人の徳だとか経験年数だとか教養からにじみ出るものによってその人の発言が強くなる、また片っ方はそれを快く受け入れるということになることが私は望ましいような気がするわけです。これがいわゆる研修だとか修養だとかいうことによって教育者はそこを目指すべきであろう。その場合に静かなるところということを考えますときに、私はどうしてもこれだけは、こういう例は少ないと思いますけれども、この場で申し上げておきたい。これだけ現場が静かであるかないかという議論になってくると、もうすでにこれは一遍、前に予算委員会のときに出たことでありまして、新聞にも一、二載ったことですから御承知のことと思いますが、私の方のこれは福岡県の昨年の卒業式のときの話だものですから、こういう状態があってはならないという願いを込めて、私ここを簡単ですからちょっと申し上げてみたいと思います。  これは稲築高校というのが嘉穂郡にありまして、そこの卒業生の答辞なんです。「校庭の白梅もひとしお高く香ってくるこのよき日に、県の係官はじめ来賓多数のご臨席のもと、このように盛大な卒業の式典をあげていただき、また、ただいま校長先生の温情あふれるご訓示をはじめ数々のご丁重なお言葉をたまわりまして、卒業生一同身にあまる光栄と存じ、深く感銘いたしております。  しかし、私はこの場を借りて、在校生ならびに、ご父兄の皆様に訴えたいことがあります。それは私たち生徒にとって非常に関係の深い先生方についてです。  進学や就職を目前にひかえた私たちの人生にとって、最も大切な時期に一週間近くも学校を休み、教科書は半分ぐらいしか進んでいない教科があります。こんなことって、あるのでしょうか。そのころ、ちょうど日教組全国大会が開催されていました。大塚先生先生方ストの日に、ストに参加していない先生授業などは受ける必要はないなどと言われましたね。私たちはこの事実をどのように受け止めればよいのでしょうか。  また授業中、中華人民共和国や毛語録のプリントを配ったり、天皇は悪い奴だ、日の丸はきらいだと言っておられた香月先生授業内容にしても、資本主義については一時間しか授業をせず、社会・共産主義については四時間も念入りに授業されました。  それから津野先生授業中に「先生という職業は、聖職ではないんだ。自分たちは労働者である。」と言われましたが、それならば、なぜ生徒をなぐろうとなさるのですか。その時の先生は、単なる教える側と教えられる側、生産者と造られる製品という、そんなお気持だったのです。  労働者が、ただ働けばいいのなら、生徒をなぐるというようなことはなさらないでしょう。そこには生産者と製品以上の何かがあるのではないでしょうか。それは聖職意識というものではないでしょうか。  松山先生。あなたはストの前日の国語の授業の時、国語とはまったく関係のないストに対する自己弁護をなさいましたね。それで、そのことを生徒が指摘すると、クラス担任に、あいつは態度の悪い奴だと言われたと聞いております。先生が、そんな視野の狭いことでよいのでしょうか。  岸田先生、あなたも同じです。  文化祭の前日に、物理部員がステレオコンサートの実験のために間違って君が代を流した時に、血相を変え、息づかいも荒く、部屋にこられ、何のためにこんな曲を流すのかと言われました。  君が代や日の丸がなぜいけないのですか。私たちは、ただそれらを国旗や国家として見ているだけなのです。なぜそれがいけないのですか。それは先生方の偏見ではないのでしょうか。  A先生、B先生先生方授業のあり方を考えてみると、どうしても私たちの目には無気力な教師としか見えません。  いいえ、これらの先生方だけでなく稲築高校には、本当に教育というものを考えていらっしゃる先生方が何人いるのでしょうか。  生徒の受ける大学選択にしても筑波大学などを受けるのなら内申書を書いてやらないとか、防衛大学はどうのこうのと、これが先生の生徒に対する助言なのでしょうか。  先生がどんな思想を持とうと、どんなことをおっしゃろうと、それは自由だとは思います。でも自分の思想を生徒に押しつけるように、さも自分の主義が正しいかのように、お話になるのはどうかと思います。  私たちは真の教育を望んでいます。みにくい利害関係を除いて、教育ということについて、お考えを新たにしていただけないでしょうか。そして、もっと生徒との対話を深めていただきたいのです。  これが稲築高校卒業して行く私たちの願いなのです。  在校生の皆さん。父兄の皆様、現在の稲築高校教育のあり方をもっと見つめてほしいと思います。私にとっては、いまの稲築高校教育方針は間違いとしか思えません。稲築高校の発展と向上のためにも、これから先の先生方教育方針をじっくり見守っていただきたいと思います。これをもって答辞といたします。」  以上なんですが、これは一例だということかも知れませんが、一例じゃなくて十例、百例ということで所々方々聞くわけです。  この主任制につきましても、県名は挙げませんが、非常に教育現場が正しく静かに行われているところでは迷惑かもわかりません、手当をつけることは。ところが、そうでない県におきましては、やはりそういうものが望まれておるという現実があるのです。ですから、ここのところは教育現場正常化することから始める方がいいのかもわかりませんが、これもなかなか時間のかかることですから、今度の主任問題を契機にいろんなチャンス、チャンスにそういう議論をして反省をしていくことは私はいいことだと思う心からいまのこれを御披露したわけでございます。  諸沢局長にお尋ねしますが、今度の第三次給与改善、これは第一には、この前、大臣もおっしゃいましたが、本俸の改定、これが第一だ。そうすると、その同じ本俸でも第二次改善のときのように特別手当をもってしてもよいと。本俸がいいんだけれども、特別手当でも一斉に昇給になるのならよい。それから、その次に優秀な教員の一等級への「わたり」、これが二番目ですね。それから次です、これ。主任手当を仮に出すとした場合、出る見込みが、出るというのは該当させる出し方ですね、お見通しがつきましたでしょうか、どうでしょうか。どういうところでお出しになるか。人事院の方に来ていただけばよかったんですけれども、もう大体折衝しておられるでしょうから、感触があればここで述べていただきたい。  それからその次に、部活動手当、これはいままでは遠征するとか、いろいろそういうときは出ていたんだと思うのですが、それを校内の練習だとか、土曜、日曜になおかつ出てきて部活動をやられる、そういう先生方に手当をつけるというのが趣旨なのですけれども、見通しといいますか、現在の進行状態と言うのですか、言える限度においてひとつます言っていたたきたい。
  15. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) まず、主任の手当の件ですけれども、これは現在人事院といろいろ事務的には話をいたしております。ただ実際には、教員等給与改善研究調査会でも言っておりますように、規定の整備をまって処遇の改善を考えるべきだと、こういうふうに言っておりますから、まず省令を制定するということが必要であります。そこで、その省令に規定される主任が何種類か出てくると思いますけれども、それを全部給与の対象にするかどうか、あるいはその一部にするかというようなこともありましょうし、また、その手当はどういう形で出すのか、どのくらい出すのかということもございましょう。  それらの点については、いま事務的には文部省考え方というものを人事院に申し上げて人事院に検討してもらっておるわけでありますが、いずれにいたしましても、これに手当を出すということは、どういう角度からどういう判断をもってどのくらいの手当を出すかというのは人事院の判断にまつわけでございますので、まだ人事院の的確な感触を得ておりませんので、現在の段階ではこれ以上のことを申し上げられないと、こういうことでございます。  第二点の部活動指導の問題でございますが、御指摘のように、この特殊勤務手当は、現在は教師が生徒を引率して外へ出まして、対外試合等を行う場合に、それが泊を伴う場合あるいは日曜一日八時間以上かかる場合には一日につき幾らという手当を出すということになっておるわけでありますが、現状を見ますと、そのような遠征対外試合でなくても土曜の半日とか、あるいは日曜をつぶして先生がそれぞれのスポーツ活動等について終日指導をする、練習試合の指導をすると、こういうような実態がかなりあるわけでありまして、その勤務の実態は、いま申しました遠征のために外へ連れていくというような場合の勤務と同じように相当骨の折れるものでありますから、同じように手当を出すべきではないかということで、これはかねてから人事院に話をしておりますので、ある程度これは人事院も了承をしてもらっているというふうに私は考えております。ただ、具体的にどういうふうな、どの程度の手当を出すかというようなことはなお詰める必要があると、こういう段階でございます。
  16. 有田一寿

    有田一寿君 重ねて念のためにお聞きしておきますが、主任手当をでは出すというときの手当の性格ですが、これはねぎらい賃といいますか、お世話代というか、そういう意味のものと思ってよろしいですか。
  17. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) ただいま御指摘のように、ねぎらいといいますか、主任になられる方は本来の教員の仕事に付加して主任という仕事をされるわけでありますから、その仕事に対して、まあ現在でいえば、たとえば特殊勤務手当というような形でいまの部活動先生に手当を出しておると、そういうような同じ考え方で出してもらいたいと、考えてもらいたいということで人事院と話をしております。
  18. 有田一寿

    有田一寿君 省令化の意味は、そういうお世話代、ねぎらい代、そういうものを出すために必要であるから省令化をする、それを受けて人事院が勧告をするということになると。言いかえれば、中間管理職をここにつくって、あるいは職務権限的なものを与えるための省令化ではなく、いま私が申し上げ、諸沢局長お答えになったような、そういうまあお世話賃的な手当ということで省令化されるものというふうに思ってよろしいですか。
  19. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 御指摘のとおり、その従来やっておりますことを省令によって定着させる、それによって先生方の、主任の方々の活発な活動を期待し、それに対して手当を出すと、こういう関係に考えておるわけでございます。
  20. 有田一寿

    有田一寿君 そうしますと、聞きにくいことを聞いておきますけれども、上司という言葉、これは地方公務員法三十二条に出てまいりますし、その他の法令にも上司という言葉で一本で処理されておりますが、この上司というのは全く縦の関係において職務命令を出す、そういう権限を持ったものが上司ということで解釈して他は差し支えないんですよ、他の場合は。しかし教育の場合、同じ日本語ですけど、それをこちらで使った場合、その地公法で言っているその同じ内容をここに持ってくるとそぐわないものがあるような気が私はするわけです。それかといって日本語でその上司という以外の、軍隊なら上官ですが、いわゆる上司でもこういう職務命令権もないと、官庁でいう上司でもないと、しかし、諸沢局長が苦しんで答えられたように、まあそういう固有の権限でも何でもないが、単なる自然発生的な権威かと言えば、まあそればかりでもないと、もうちょっといい言葉があれば私は、いままでの法律には出ていませんよ。しかし教育公務員特例法だとか教育の場合はそういうのを使えばいいから、リーダーシップの自然的な裏づけのあるいい意味の言葉ですね。これは大臣は語彙は豊富ですがないものでしょうか。それひとつどうですか、その言葉が非常に災いをしているという感じが私はしているんです。
  21. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 実は言葉のひとり歩きということはよくあるわけです。そして、その言葉に人が使っている間に意味合いがつきますから、そこで、それが一種の固定観念として定着する。そこで、いま有田先生言われましたように、上司というのは大体においては官庁などで使っているときにはなじむ言葉でございます。そういうもので上下関係——しかし主任につきましては、先ほどから初中局長も申し上げましたように、とにかく省令の中にそういう上司とかあるいは職務命令ということばを書かないということは申し上げたとおりでございます。  そうすると、まあ新語を発明せよということですが、そういうことよりも私はやっぱり中身を理解していただくということがこの際非常に必要なのではないだろうか。ですからリーダーシップと、これは日本の法律用語にないですけれども、リーダーシップというのを日本の法律用語に入れるのは大変なことだと思いますが、そういう法律的にどういう新語をつくるかというよりも、やはり主任というのはいま初中局長も言いましたように、特にそういう上司というような文章を入れないわけなんですが、しかし、リーダーシップを持って指導、助言に当たっていくというこの考え方をやはり定着させるようにしていくという、中身の理解ということを心がけていくことのほうが重要であって、何か手品のように一つ新しい言葉を出しますと、それで解けるというようなふうにいまはちょっと考えていないのが私の偽らざる気持ちでございます。
  22. 有田一寿

    有田一寿君 ある本に、「学校経営のための法律常識」、やっぱりこういう表現があるんですが、これも私はこれでも悪くないんだと、これを悪いという人もおるかもわからぬ。私はこういうのは悪くないんだと。例——学校の内部組織上(校務分掌組織上)定められた教務主任学年主任や生活指導部長等は一般職員の上司であるかということが問題になる。この問題は、これらの職員の権限を定めた学校管理規則または校内分掌規程などの規定の仕方如何により判断されるわけであるが、この定め方によっては、一定の事項につき仕事調整をする権限が与えられる場合があり、その調整権限の範囲内では、教務主任の教諭は教務を担当する教諭に対し、学年主任の教諭は学級担任の教諭に対し、それぞれ職務上の上司となりうる場合もあろう。」と、何かこれは私は、こういう表現は、いろいろこの学校教育法関係の書いたの、ほとんど似たような表現になっておるわけなんです。——大臣ごらんならなくてもいいです。それでただ、私が何を言いたいんだと言いますと、たとえば、ここに書いてあるように、この定め方によって、だから今度の場合、省令でそういうことを職務権限があるとかなんとか、そういうものでないんだということで実態に即した書き方をなさっておれば、別に誤解を生むこともないし、諸沢発言が取り上げられることはないと思うんですけれども、法衣の下によろいが隠れているのではないか、ないかという目で見られるから、ふっと何かあるとほら出たというようなふうに世間一般に見られるんだと。だから実際はもうこのとおりでして、「定め方によっては」「職務上の上司となりうる場合もあろう。」と、そのことに関しては。だから、大臣にお聞きしたいのは、そのときの「上司」というのがいまの法律用語で、地公法その他で使われておる「上司」というのをそのまま持ってくると、これに伴う固定観念がありますから、それは違う。そうして、それを翻訳すれば、中間管理職だと翻訳ができるわけです、日本語同士の翻訳が。ここに私は大きな間違いが起こっているんだという気がしますので、まあ私は余りこだわらないでこれはやっていったがいいと、特に諸訳局長はああいう発言があったけれども、あれは先ほど読み上げましたように、本当に窮余の一策、心ならずも、心にあって言ったんじゃなくて、心ならずも言ったという感じが非常に深いわけです。だから、それが誤解を生むからいやだと言えば、あなたは私が間違っていましたとはっきりそれはおわびを言って取り消しておかれるがいい。衆議院で一遍発言したことを取り返しができるかといえば、あの速記を取り消せというんじゃないんですから、参議院の方であの趣旨はこうでしたということを先ほどからるるお述べになったから、たぶん諸先生方もあるいはその他の方も私はおわかりになったと思います。思いますが、重ねてそこのところはこうですということを手短で結構ですけども、諸沢局長は再度、むずかしいことは何にもおっしゃる必要はないが、そこら辺のところをおっしゃっておいていただきたいんです。
  23. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 何か私の考え方諸沢初中局長考え方と違っているような印象に相なったのでございますが、そのことからの問題と思いますが、これは私が文部大臣の見解というものを決して隠していたわけではなくて公表したわけでございます。それが実は基本的な考え方でございます。繰り返しませんが、要するに、教育指導というものをやはり強化すべきであるという認識に立っております。これが基本であって、諸沢初中局長は実はその線に沿って活動しているはずのものでありまして、私から申し上げておきたいことは、前後関係でまたどこが基になっているかといいますと、この点は誤解をいただかないように私の見解が基になっております。そのことだけまず申し上げて、初等局長から発言させていただきます。
  24. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) ただいまの有田先生の御質問に対しまして、私も自分発言についてよく考えてみたわけでありますが、いろいろ現場先生方に聞きますと、たとえば、高等学校教務主任をやっておられるというような方は、やはり毎日の時間割りを調整したりあるいは先生が休めばほかの先生に代替を命じたり、そういうことはあたりまえのこととしてやっておられるようでありまして、それを私がとらえてまあ職務命令だとかというようなふうに言いましたことは、あるいは非常に実態を変えるかのごとき印象を与えたのではないかというふうに考えるわけでありまして、私はあくまでも現実をそのままますます伸ばしていただいて指導面を強化していただきたいということを念願しておる点につきましては、ただいま大臣が申されたとおりでございます。
  25. 有田一寿

    有田一寿君 ではひとつ、願わくは、大臣局長意見はいまお聞きする限りでこれは一致しているわけでして、省令案文をつくり、それを省令化する場合に、いまここでおっしゃいましたように、中間管理職的なものとして位置づけず、職務権限を与えるということでなく、手当を付与するんだという目的をもってひとつ取り扱っていただきたい。私もそれに、そういうやり方に賛成でございますので、それを申し添えまして、多少時間はありますが、これで終わります。ありがとうございました。
  26. 久保亘

    久保亘君 いま、私は衆議院の十二日の諸沢局長答弁をめぐっての質疑応答を聞いておりまして、文部省としてもかなり苦慮されてどういうふうにここのところを逃げ切るかということでずいぶんと努力をされたような答弁とお聞きいたしました。しかし、その中身は全く禅問答でありまして、そのことによって私どもは問題をぼやかしちゃいかぬと思うのです。だから私はいまの問題についてはっきりしたお答えをいただきたいと思うのです。  最初に、十二日の衆議院文教委員会において諸沢初中局長発言をされたということで報道されておりますその要旨は、主任職務上の上司と言えないことはないし、必要があれば職務命令も出せる、こういう意味にまとめられる答弁をされたと言われておりますが、いろいろその解釈を加える必要はありません。こういうふうに受け取ることのできる発言をなすったと解して、これからいろいろ御質問していいかどうか、その点をまずお伺いしておきます。
  27. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 先ほどもちょっとお話に出ましたけれども、いまの前段の、職務上の上司だと言えば、それは言えないことはないと思いますけれども、と言いましたことにつきましては、どういう面をとらえてそう言ったかということをやはり御理解いただかなければいけないと思うのですが、その前段に申しましたことは、やはり主任という立場においてお互い進度をもう少し早めてくれとかあるいは教育内容学校で決めました方針に沿うようにしてくれという要請は従来もやっておりますし、今後もやるべきだと思いますから、そういう面をとらえて、それが職務上の上司だと言えばそれは言えないことはないと思いますと、こう言っているわけでございますから、その点は御理解いただきたいと思います。  次に、その職務命令を発することができるかどうかという点でありますが、その点につきましては、主任仕事として一般職務上の上司とその性格がかなり指導面が強うございますから違いますけれども、必要最小限のことにおいてやはりその仕事を遂行する上で必要があれば職務命令という形で出すことは出せるというふうに考えておりますということで、制約ある、前提のある発言だということを申し上げておきます。
  28. 久保亘

    久保亘君 わかりました。  それで、要約すれば、いま私が申し上げました局長発言は、大体まあそういうふうにまとめられても仕方がない、そういうふうに思いますが、こういうことになってまいりますと、大臣にお尋ねしたいのです。職務命令というのは、職務権限に基づかずには出せない。私は、やっぱり法律を余りロマンチックに解釈してはいかぬと思うのです。法律というのは、ひとりできちっと物事を決めていく尺度なんです。だからそれをいろいろと自分で勝手な解釈を加えて、こうなんです、ああなんですと言って、いや実はこういう場合にはあるんですと言ってはいけないんで、職務命令という以上は、職務命令職務権限に基づいて発するものであるという原則はきっちりしていると思うんですが、この点は大臣もそのようにお考えになりますか。
  29. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) ですから、この場合には、私は職務権限は何であるかといえば指導助言職務権限というふうに考えます、主任の。ですからそれが主任職務権限でございますから、大体は命令というふうな言葉がなじまないものだ、これも繰り返し申し上げたことであります。
  30. 久保亘

    久保亘君 いや、その指導上の職務権限であれ、管理上の職務権限であれ、あなたの文相見解にも出ておりますように、校長教頭管理指導の二面性ということを書いているでしょう。この二面性というのは分離できないでしょう、学校では。簡単にそんなに分離できないでしょう。指導上の問題だと解釈されても、その指導上の担当者が一定の職務権限を持ち、職務命令を出せる上司であるという考え方に立てば、その縦の軸から管理の側面を完全に取り除くことができますか。私はできないと思いますよ。それが完全にできるならどうしてできるのか。管理上のいかなる職務権限も持たない者がどうして職務命令上司として発することができるのか。このことは明確にしておかなきゃならぬことだと思うんですよ。どうですか。
  31. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 久保先生のただいまの御質問に対して、職務命令を明確に出すのは校長教頭だと思います。そして、校長教頭職務命令を出す相手方というのは、これは主任だけに出しているわけでないわけです。そうでなくて全校先生に出している。そこで、その全校先生に出して、主任の役割り、権限と申しますか、それを明らかにしている。でありますから、ただいま先生がおっしゃったように、校長、それから教頭主任と、こういう姿の私はいわゆる管理のラインにはないということを申し上げたのは、主任には指導助言をやってもらう、そしてほかの関連した先生方にはその主任指導助言というものに十分耳を傾けてほしいということでありますから、私は管理と確かに指導助言というのは完全には切り離せない。完全には切り離せない形で学校の中にありますけれども、しかし、それがそれぞれの人のところで管理指導助言というものが常に重なり合っているという必要はないんだと思います。要するに、校長教頭のところで明らかに重なり合っておりますけれども、しかし、校長教頭はその権限に基づいて全校先生方に対して、主任はこういうことをやっている、その主任考えというものは尊重してほしいとほかの先生に言うわけでありますから、全校のすべての教職員について管理指導の面が校長教頭の場合のように重なり合っていなければならないという、そういう構造ではないと理解いたしております。
  32. 久保亘

    久保亘君 ということは、主任自分主任としての判断に基づいて他の教職員に対して職務命令を発するということはできないということですね。
  33. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私は、職務命令校長教頭の方針が決めていくと、そういうふうに理解しているわけです。
  34. 久保亘

    久保亘君 そうすると、校長教頭が出す職務命令をその上司としての主任が他の教職員に対して伝達するということですか。
  35. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) また具体的なケースに戻すのは決してごまかすためではなくて事実問題として考えるんですが、たとえば、教務主任というのが事実重みを持って活動しております学校学級数が多いところだと思います。そこで、そういうところほど実は校長教頭で全部のことができませんから教頭が相当仕事をいたしております。その非常にクラス数の多いところの教務主任がいろいろ自分が担当しているまあ仮に分校があるといたしましょう。そこでいろいろ活動をするというような場合、一つ一つ指導助言活動が常に校長教頭職務命令の代行であるというふうには考えません。そうではない。それはやはり指導助言であります。しからば、そこに校長教頭職務命令はどのように作用しているかというならば、これはもうその客観的事態の中で明らかに校長教頭がいわゆる教育指導などのことが全部に手が届くようにできないわけです。それはもう全校先生理解している。そこで、この学校ではこの部面については某々主任教育指導いわゆる助言指導に当たってもらう、そこで、ほかの先生方はそれを十分に尊重して仕事をしてくれる、こういう方向、そしてこういう内容構造と私は理解しているわけです。ですから職務命令の権限を持って毎日教務主任校長教頭にかわって教育指導するんではなくて、いわゆる管理の権能を働かす、そういうものでないかというふうに理解しております。
  36. 久保亘

    久保亘君 現状の認識などについてもずいぶん大臣局長は認識が正しくないと、私はこう思う。なぜかといいますと、私は学校に現におりまして、教務の仕事もやってまいりましたからちゃんと承知しているんです。教務主任立場にある者が授業のかわりを命ずるということはないんですよ。その場合には、他の教職員に相談し、了解を受けて授業の時間割りを組むということであって、その間にいわゆるいかなる解釈をとっても職務命令理解できるものは現状として存在していないんです。ところが、衆議院で答えられた言い方によれば教務主任なら教務主任としての立場において必要があれば職務命令を出すこともできる、こういうような意味に解せられる発言をされているわけでありますから、もし主任職務命令を発する権限は本来的に存在しないものであるというならば、私はその点については、有田さんも言われたようにはっきり衆議院における答弁は間違って受け取られたというか、あるいは自分発言が不明確でわからなかったんであって、主任には職務命令を発する権限はない、こういうことを明確にしなければ、文部大臣がこれまで予算委員会文教委員会あるいは文相見解で述べられてきたこととどうしても私は矛盾すると思いますよ。制度というのは、あなた方の善意やあなた方の認識で動くんじゃありませんよ。法律や制度というのは一たんできますと、これはもっと冷たい物差しとして、この法律や制度というのは動いていくようになるんです。そのときに、私はそうじゃなかったんだ、せいぜい私が言っておったのは、遠足のときにここに川がありましてというような話でその職務命令というものを解釈することは、現実にそんな問題じゃないと私は思っている。だから、もしやっぱり文部省としてこの主任問題に対する説明、見解に不統一があるならば、まとめてそのことはこういう見解なんです。それで、もし文相見解がもとなんですから私の見解で理解してくださいと言われるんならば、文相見解に基づけば局長発言はこれは行き過ぎであります、必ずしも正しい発言になっておりませんから誤っておる部分を訂正いたします、私はこういうふうにすっきりやってもらわないと論議を進められないと思うんですよ。そうするとやっぱり文部省は、いつか自民党の質問でも言われましたように、指導とか何とか、きょうは大臣は語彙が豊富だから何とかいい言葉を出せと言われたけれども、この前は語彙が豊富だからと言って本来管理的な性格を持っているものを指導とか何とか言ってごまかす必要はないと言われた。だから、そういう点については、私はもっと文部省は虚心坦懐に、こういう問題についてはきちんとしないと、現場のこの問題に対する疑問や混乱を増幅していくばっかりだと思いますよ。だから職務命令の問題、上司という考え方、この問題については、局長発言を取り消す意思がないと言われるならば、そのことをはっきりしていただきたい。しかし、この問題については、衆議院における発言についてはいろいろと誤解も招くし、また、厳密な法律用語としての解釈に従えば適切でないということならば、そのことをはっきりしていただきたいと思うんです。取り消さないということならば、大臣の見解との矛盾を私どもはもっと明確にしてもらわなければ困ると思うんです。
  37. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 私がその職務命令を出せるという、ぎりぎりのところでありますけれども答弁いたしました趣旨は、言ってみれば、久保先生現場実態を知らないと、こうおっしゃられるわけでありますが、あるいはそういう御指摘のとおりであるかと思いますが、純粋に法律論とした場合には、校長教頭教務主任というふうに存在するわけでありますから、その校長がだれにその仕事を委任するかということは教頭には限らないと思うわけですね。そういう意味で、私は職務命令が出せるというふうに申し上げたわけでありますが、職務命令というのは一体何だと、仕事を任せるというのとは違うのかと言えば、そこのところに最終的に命令をする権限まで与えられているかどうかということだろうと思うんであります。そこで、いまの御指摘ではその点がはっきりしないと困るということでございますが、ただいまも大臣が説明いたしましたように、直接命令をするんではないのだと、教務主任は。こう大臣も言っておられるわけでありますから、私の趣旨もそれと同じことでございまして、ただ、説明として、それがあるいはいま先生のおっしゃったように十分尽くされていないとすれば、それは御理解をいただきたいと思うわけでございます。趣旨大臣の御発言のとおりてございます。
  38. 久保亘

    久保亘君 そうすると、命令をする者と命令を受け取る側との関係というのに主任一般の教師との関係があるんですか、ないんですか。それをはっきりしてもらいたい。上司ということにも関係してくる。いまの話を聞いておりますというと、命令を出せるのは校長である。校長がこの命令を、たとえば私が校長で内藤さんが教務主任だとすれば、私がその命令を内藤さんを通して、久保田さんに伝えるということはこれできると、こういうような意味で言われるのですね。それは内藤さんが久保田さんに対して出される職務命令ではないと私は思うんですよ。そうすると、やっぱり主任職務命令権というのはない、命令を発する職務上の権限は有しない、こういうことは明確にしておかないとおかしくなるんじゃないですか。
  39. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) いま久保先生が三人の人を指して言われた関係がまさにそうだと思います。
  40. 久保亘

    久保亘君 そうすると、やっぱり衆議院で、必要な場合には主任職務命令を出せると言われたことは、厳密に職務命令という法律上の解釈に立てばこれは誤りであった、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  41. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 確かにその点は言葉が足りませんで、先ほど有田先生がおっしゃいましたように、言ってみれば職務命令的なものというふうに説明すべきであったかと思います。
  42. 久保亘

    久保亘君 これは明確にしておいた方がいいと思うんですよ。そういうふうに言われると相当議論せにゃなりませんし、そして、そういう微妙な表現が使われて、法律上の用語として使われていくということになれば、私たちは提案をしております小委員会をつくって、そういう面について詳細にやってみないと、この問題の議論は進められないと思うんです。だから私は、主任職務命令権を持たないということがはっきりしたんだから、それならば、主任が、職務命令的であれ何であれ、そういう上司の関係という立場に立って命令を発したり、命令を行わせたりすることはあり得ない、そうでなければ文相見解は成り立たない、それからいままで国会において、文部大臣主任性格についてこういうものだと述べてこられたことと一致しない、こう思うんです。だから、そこの点ははっきりしてもらいたい。職務命令主任の権限において職務権限として発せられることはない。もし、衆議院発言を参議院で取り消すということができないというなら、それはそれで結構です。参議院において明確な答弁としてやっていただきたいのは、職務権限に基づく職務命令主任が教職員に対して発することはできない、このことを確認していいかどうか、そのことを大臣お答えいただきたい。
  43. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  44. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 速記を起こして。
  45. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) まあ諸沢初中局長と私あるいはその他関係の文部省における職員が協力して事に当たってきておりますということをまず申し上げたいと思います。  そこで、基本的な理解というものが違わないというところから、私が先ほど有田先生の御質疑に対して答えたのでございますが、しかしながら、なお、久保先生の御指摘のように一層明確に、この職務命令というのはだれが出すのかということでございますから明確に申し上げますが、職務命令校長ないしは教頭が出すのだと思います。そして、主任指導助言に当たる、そういうことであります。で、主任——先ほど有田先生が言われましたように、校長教頭もいないというような場合があります。そういう場合には、校長ないし教頭に言われたもので自分自身から発する職務命令でない。当然校長から教頭に発するものをいわば実行していかざるを得ない、そういう状況はある。しかし、どこから発するかと言いますならば、それは校長ないしは教頭であるということは明確にいたしておくべきだと考えます。
  46. 久保亘

    久保亘君 そうすれば、あなたのお考えによれば、主任というのはそのローテーションでできるだけ多くの教職員に経験させたいというような見解も述べておられるんですが、そういう意味のことを言われておりますね、文相見解の中にじゃなくて談話みたいな形で。だから、そういうようなことを考え合わせれば、なおさらのこと、主任と教職員との関係は上司という関係で理解するものではない、こういうふうに理解してよろしいわけですね。
  47. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) そうです。上司という関係でない。それは特に有田先生が先ほど言われたとおり、上司という言葉が一種の意味合いを持って定着いたしておりますから、そういうものでありません。  それからローテーションということを言われましたが、私はどこにもローテーションということを書いていないのでございます。それは非常に注意をして書いたつもりであります。というのは、「でき得る限り多くの先生がその専門的な能力を生かして」というふうに書いてございます。といいますのは、やはり人それぞれそれこそ適性というものがあると思います。そして教員の場合、一番の重要な適性は、教員として仕事をしていく専門的適性ないしは能力だと思います。ただその中で、主任というものにいろんな種類がありますが、それにローテーションというのは普通自動的にぐるぐる回すというふうにとる、そういう意味合いがありますから、私はそれでありますとやはりある種の主任に向かない人もあるわけでありますからその言葉を避けました。そしてでき得る限り多くの先生にその専門的な能力を生かしてついていただく、かように書いているわけでございますので、その点、また誤解のないように念のため申し上げます。
  48. 久保亘

    久保亘君 まあ、いまの衆議院文教委員会における局長発言の問題については、大体その考え方がはっきりしてきましたから、私どもは、文部大臣として主任職務上の上司考えたりあるいは職務権限職務命令を発することのできる立場にある者という者ではない、こういうふうな正式な判断をここでお述べになったものだと理解をいたします。  それで、そういうことがなぜ出てくるか。これはやっぱり私は、文部省自身ができるならば、中間管理職としての位置づけをしたいのだけれども、どうもこのことに対して余り世論も現場文部省の思うとおりに動いてこない。そのことに対するあなた方の方の一つの焦りがありまして、とにかく、そういう管理職という面を薄めに薄めてわからぬようにしておいて主任制度というもので制度化することによって、そしてやがてこれは次第にエスカレートして最初にねらいとした方向へ、中教審がねらっていた方向へ誘導できるものだというような考え方を持っておられるのじゃないか。そういうような発想がやっぱり、先ほど衣の下のよろいと言われたけれども、もう衣の下のよろいではなくて、衣をそれこそすそからまくり上げて出てきておられるんじゃないかと、こういうような感じがしてならぬわけです。  そういうことでありますから、これらの問題については、そういう問題のよって来る原因にどうしてもやっぱり、文相見解で述べられている主任制度の是非を論ずる前に、主任とは一体何であるか、その実態を正しく認識することが必要である。そこにおいてまだ文部省自身が相当に突き詰めて分析し検討してみられなければならない問題が、きょうの私どもが議論をいたしました問題一つをとって見てもあるのではないか、こういう感じがするんですが、その点については、文部大臣は私のいまの感じに御回意いただけませんか。
  49. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) まず文部大臣見解というのは法衣をつくって、そして実はその下によろいを隠しているという考えで書いたものではないということを申し上げておきます。全くそうではありません。私の認識は、もうそこに書いてございますが、わが国の学校運営におきまして教育活動というものが、学校の目的は教育なんでありますから、盛んになっていくことが望ましい。したがって、主任というものを——私実は主任だけを取り上げない、学校運営という形で取り上げ、そして実は校長教頭のことにまで論及をいたしまして書いているわけでありますから、意図はいわばオブラートに包んで実は中身をわからないようにするという意図でないということは御理解いただきたいと考える次第でございます。その点は明確に申し上げますし、また、私は文部大臣の見解として、これを公表したわけでございますから、その公表したものの責任というものは私にございます。  なおかつ、もう一つつけ加えておきますならば、しかし、これを国会の場で御討議いただいているわけでありますから、先般来申し上げましたように、これは一つの基点でございます。基の点であるという意味で私はどうでもいいというような形で出したのではない。しかしながら、いろいろそれをめぐる問題点については御検討願うという考えで臨みました、こういうことである。これは申し上げているとおりが私の意図であるということを明確に申し上げておきたいと思います。
  50. 久保亘

    久保亘君 いま主任問題について内容にわたっていろいろ御質問をしようと思っているやさきに衆議院における局長の、いま議論をいたしましたような発言がありましたために、その問題を私はきょうはただすことに時間をとったわけでありますが、先ほど有田委員質問に答えて、この主任手当というのはねぎらい代、お世話賃だ、こういうような意味に同意をされ、そして特殊勤務手当に類するもののような御説明がありました。そういうことになってまいりますと、給与法上の問題を私どもはたださなければならぬと思っておりますし、その給与法上いかなる法律の解釈、位置づけができるのか、それらの問題も出てまいります。この主任問題の制度化に当たって、手当を伴う制度化ということについては相当多くの綿密に検討してみなければならない問題が大変多いと考えております。また、きょうは時間がありませんので、次の機会にそれらの点について御質問をいたしたいと思いますから、願わくは、これらの問題についてきちっとした、説明がよくわかるような答弁をしていただきたい、こう考えております。  それからきょうは、体育局長見えていますか、——私、出席をお願いいたしておりましたのは、時間があれば、昭和四十九年度の決算の検査について会計検査院が特に項を設けて日本武道館について指摘をいたしました。この指摘に先だって、昨年、私は日本武道館の運営について質問し、そのことについて大臣の方では十分検討を加えて報告をすると言われておったんでありますが、そのままになっておりまして、それが一年以上経過いたしましたときに、会計検査院から次の年度もさらに指摘を受けまして、会計検査院の指摘事項として私どもに報告されております。したがいまして、この日本武道館の運営について体育局長の御報告を求めたいと思っておりましたけれども、きょうは時間がありません。大変御出席をいただきまして申しわけありませんでしたけれども、そういうことでございます。次の機会にこの問題についてもひとつ御答弁を用意をして御出席をいただきたいと思います。
  51. 鈴木美枝子

    鈴木美枝子君 文部大臣、関連で一言だけ。この間私は、弟が学校先生で、そして亡くなってしまったけれども、生徒に慕われて、そしてストにも参加した、これで話を打ち切ったんでございますけれども、私は専門じゃございませんけど、主任制度について一言だけ。先ほどから衣の下からちょろちょろ後からよろいが出てくるのじゃないか、その出てきそうなものを私の感じ方で一度伺っておきたいと思います。  たとえば、これはちょっと飛躍いたしますけれども、デモのときに私なんかよく見たり感じたりしているんですけれども、ゴボウ抜きということございますね。これは見ても、やられている人でも直截なものを持っている。これは敵か味方かというものを持っております。たとえば主任の手当、手当という金を与える。そして中間管理という立場だ。上司の命令を聞くか聞かないかという立場を論議されたんですけれども、法律をつくられたときに、先ほど久保先生もおっしゃったように、その冷たいという、法律だけを言えば冷たいけれども、大臣大臣をおやめになるときがあるのであって、いないときに文部省立場から言うと、主任を教師の中から適当な人とおっしゃいましたね。それを回転していく形の中で、先ほど言いました警察のゴボウ抜きじゃございませんけれども、教師をばらばらにしていく作用を生み出すということを文部省は大変科学的に、心理的に考えたものを背後につかみながら、大臣文部省はやがては、いや永久に一緒でしょうけれども、大臣じゃなくなるときのことは必ずあるわけで、大臣はそのことは御承知でございますか。大変飛躍した例でございますけれども、ゴボウ抜きの件について、教師が心理的にばらばらにされていく要素をすごく科学的に考えているなと私考えちゃったんです。その点について、いま大臣をやっていらっしゃるときに、その細かい心理的なものを答弁してください。
  52. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 文部省の心理的なものと言いましても、まず私は、私自身が書きました文意を申し上げるほかないと思います。ゴボウ抜きというのは、むしろ固定化して、そして校長先生なり何なりが必ず固定した人にはだれかを引っ張ってくる。これはゴボウ抜きになると思います。しかし私が書きましたとおり、でき得る限りこの専門的な能力のある人がついてくる。その職というか、役割りについてくれるというわけでありますから、これはいまちょっと先生のおっしゃいましたように、ゴボウ抜きとは違って、大ぜいつくわけでありますから私はゴボウ抜き的なものでない。  それから次に、これは主任の決め方に関係があると思うのです。つまりわれわれ調べますというと、学校によっては、なるほど校長先生自分だけで決めているところもあります。それから学校によりましては職員室でいろいろ議論をして、そして校長先生も参加して、その意見を参酌して決めていくというところもあるわけです。私は、いま実態に即してということで改善をしていくということでありますから、現段階におきましては、そういうふうに学校でいろんなやり方をしているわけなんですね。それはそれぞれの学校のいろいろ特殊的な事情などによってそうなっているのだと思いますから、それにはさしあたって手をつける考え方がないのです。つまりゴボウ抜きというのは、校長だけに集中して一つのポストであれば、これは非常にゴボウ抜きということになりますね。しかし職員室で相談をして、校長先生もそれを参酌して決める、これはわりにゴボウ抜きということは、そもそも非常にありにくいわけでみんなで相談しているわけです。しかし最終決定は校長さんだ。また、そういう責任というものは校長さんが持たなけりゃいけませんから持つ。しかし同時に、大ぜいの人にでき得る限りついてもらうと言うんですから、私がこれを書きました趣旨はそのままに御理解願いたいんでありますが、私はそういうふうにしてゴボウ抜き的に構造をつくろうということを科学的に考えるというのではない考えでございます。
  53. 向井長年

    向井長年君 短時間でございますので、文部大臣に端的に答弁を願いたいと思いますが、私は不勉強でよくわからない。いま、なぜこの主任制度の問題について、言うならば、一方ではその職に携わっている先生方日教組の皆さんが違法ストまでかけて闘うんだという体制を持っておられる。非常に重大な決意のもとに反対されておると思うんですよね。また、文部当局は、どうやら何が何でもこれを制度化するんだという方向がとられておると思う。まことにこれは、私は解釈に苦しむわけです。なぜそういう状態であるのか。いいものであればつくっていいではないか、いけなければこれはやめるべきである、そういう立場に私は立っておるわけであります。そこで文部大臣、なぜこの制度化が緊急な要件であるのかどうか、この点をまず聞きたいんです。ということは、少なくともその任に当たっている方々は必要だ、あるいはまたこれは必要ではない、こういう論がいまなっておると思いますが、国民は知らないんですよ。十分理解されていないんですよ、現在それくらい重要なものであるかどうかということを。そういう中で、なぜ文部当局は急いで制度化をしようとするのか、これが私にはわからない。この点について、大臣は制度化を急いでやろうとするのか、やるとするならばどういう理由でこれはやらなければならぬのか、こういう、言うならば総括的な問題について、まずお聞きしたいと思います。
  54. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私は考えた末に書いたんですから、できるだけ早いのがいいと思いますが、いま向井先生おっしゃいましたように、これも繰り返し言っているんですけれども、期限より手続ということを申しております。その考えも変わりございません。といいますのは、まさに先生がおっしゃいますように、これは広く理解を得なければいけませんし、そして文部行政というものは学校に対して非常に重要な責任があると思いますが、より広くは国民の負託にこたえるものでなければいけませんから、私はそういう意味合いにおいて期限より手続ということを申しているのでございます。日教組の方で絶対反対ストということが起こりましたが、この点につきましては、ですから、私も繰り返し申し上げましたように、いま現在、国会におきましてもこういう御討議がいただけるわけでございますから、ストというふうな形ではなく、そういう方法に訴えるのでなく、私も期限より手続という考えであり、国会の各党の諸先生方が御論議いただいているところにむしろいろいろな意見を反映していただいて、そして議論をしていただくというのがいつわらざる私の願いでございます。では、なぜこの主任というふうなものを私が文部大臣見解で出したかということです。これは実は運びとして必ずしも望ましい形態でなかったということは、私もここで申し上げておきます。というのは、そもそも前初中局長も非常に骨を折られたのでありますけれども、骨を折られた段階におきまして遺憾ながらこれは私の運びにも至らぬところがあったと考えておりますが、なかなか話の内容にいかない、そういう時期というものが数カ月実は続きました。そこで十二月六日の文部大臣見解というのがより早かった方がよろしいじゃないかという御意見も各方面から聞かれますことについては、さようだと思っております。では、なぜそれが大事かということは、これは前々から考えてきたんですが、私はこの文部大臣の基本見解、これ本当にその意味で先生に全く賛成なんですが、なかなかまだ国民に広まっていないんです。参議院のこの会が一番よく中身を議論していただいた場所の一つであるというふうに私は正直なところ理解をいたしております。ですから、中身を読んでいただくと御理解いただけるはずでありますが、私は、どう考えましてもわが国の学校運営の中で、これは先生専門的でないとおっしゃいましたけれども、常識的な話なんですが、まあいろんな対立があります。その対立に政治的色彩というものを感じてしまう、そういう場面があるということ、これを否定なさる方も少ないと思います。そうすると、その問題は大体学校運営でいうと、しっかり管理していこうと、いやああいうふうに管理されちゃかなわないという、そういう何か場に学校はなるわけですね。しかし、私は学校というのは教育をする場だと思います。そこで、教育をする場というものを強化していかなければいけない。これを強化していく上で考えましたのが実は主任だけでなくほかのものも入っていますが、私はですから「調和のとれた学校運営」ということで校長教頭先生方に対する御要望も記しているわけでございますが、要するに簡単に申しますと、管理の問題というのは一つの組織でございますから大事だと思うんです。しかし、何といっても学校というのは教育の場なんですから、その教育の場という方の仕事を明確にして強化していくということが将来ともにわが国の学校教育のためによろしいんではないか、かように考え意見を表明したわけでございます。
  55. 向井長年

    向井長年君 大臣答弁簡単にしてください、私二十分しかないというんだから答弁長ければ私質問できなくなっちゃうんで、時間は守りたいと思いますから。  いま若干説明をされましたけれども、これは確かに政治的色彩云々言われますが、現にこれ政治的色彩の問題としていま論議がこう何と申しますか、対立しておると思うんですよ。あなたは教育の中立を叫んで三木総理から招請を受けて文部行政に当たられたと思うんですよ。そうなれば、私はまだまだ必要であるかないかわからぬと、反対もあるんだし、国民は知らないんだし、そういう問題を急いでいま急にやらなければ日本の教育がもう全部壊れてしまうという状態では私はないと思うんです。今日までやはり各学校では円満に、あるいは若干の意見の相違があっても続けられてきておるわけでしょう。それをことしになって早急にひとつ主任制度を制度化する、こういうかっこうで何だか急いでいるような感じがいたしますが、これはやはりあなたの教育の中立性から考えて、国会でもやはり賛成、反対があるでしょう。私は、これはどうも自民党さん、政府も急いでやろうという動きが顕著になっておると思う。また、これをやらしちゃいかぬというやはり携わっておる方々のいわゆる強い意見もある。こういう中でやはりこれは十分国民とともに理解される、国民の子弟を預かっている教育でございますから、あなたの就任された当時の教育の中立と、こういう立場で十分掘り下げて、そして検討の中から、いいものであればつくったらいいし、皆が大多数が賛成すればつくったらいいし、あるいは反対すればこれはやめたらいい、これが本来の私は教育の中立じゃないか、こういう感じがするわけです。だから急ぐことはないのではないか、こういう感じを持って、その間に私たちも十分国民の意見も聞き、あるいはまた勉強もして文部当局に進言をしたいと思います。確かに教育の場の問題であり、大臣が言われたように学校教育管理の必要、調和のとれた管理の必要ということは私も認めますよ、これはね。しかし、そのために無理をしてこれがまずくなれば何にもならぬでしょう、目的を達しないんだから。そういう点から、私はよくわからぬけれども、現在の対立方向をもっと理解できる状態の中で実現をすべきだということを総括的に大臣意見を聞いたわけです。したがって、この教頭職の問題でもそうだった、われわれは賛成しましたけれども当時やっぱり反論があった。しかしいまは消化されておりますよ、これ現在。しかも、この間の人確法ですか、こういう中においても給与制度の問題として、まあ五段階はとらない、四段階でいこう、こういう形で附帯決議までつけられてあるわけですから、そういう問題も無視してやるわけにいかぬのではないか、これもやはり消化しなければならぬ。そこらにやはり一つの大きな観点を持って大臣は判断を願いたい。文部当局もそういう形で行政に当たっていただきたいという感じがしますが、この点どうでしょう。
  56. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 短くということですので短く申し上げますが、私が期限より手続と申し上げておるのは全く同じ趣旨でありまして、そして私は確かに現在対立があるということを十分認識しております。ですから私自身に、それはそういうふうな姿でなく十分手続を重んじて本当にコンセンサスを得るような形で私は実現していくことが望ましいと考えますから、別に、自民党内閣には違いありませんけれども、この問題は文部省の問題として、また、私自身が判断すべきものとして責任を持ってやりたい、かように考えております。
  57. 向井長年

    向井長年君 そこで大臣は、この主任の問題についての位置づけですね、これについて先般答弁され、発表されておりますが、こういうことを言われておりますね、具体的の役割りは校内の規律を重んじ校長教頭の方針に従って活動し補佐する、第一番。第二番目は、関係教員の参画を得て意見をまとめてこれを指導する、このまず二点である、こう言われておるわけです。これはあれですか、アメリカでいえば各企業でとられているコーディネーターみたいなものですか。いろいろ各課、部がありますね。そういう中で一つの企業を推進するために調整をとり、あるいは若干指導をしやっていくんですよね。これはコーディネーターといって日本でも若干採用されておる企業がございますが、学校で言うそれのようなものですか、これは。どうなんですか。
  58. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) なかなかいまのアメリカの工場のコーディネーターというもの、ちょっとイメージ浮かばないんですが、もしも誤解を招くと困るのですが、教育指導の面におけるコーディネーター的な性格を持っている。しかし同時に、その文章のところにありますようにリーダー的な性格も持っておる、そういうふうなものと理解をしております。
  59. 向井長年

    向井長年君 アメリカのコーディネーターというのは、これは指導性持っていますよ。やはり調整もし、指導もし、そしてその基本線に基づいて推進しておる大きな役目を持っておるのです。したがって私は、この大臣の二点を挙げられたことは大体これに当てはまるんじゃないか、こういう感じがしたのでいまお聞きした次第です。まあそんなものですね。しかし、これは実際その任に当たる人はある程度の責任と、あるいはその企業に対する大きなやはり重みをなしておるんですよ。だから学校でもやはり主任となれば、校長があり教頭があり、主任となれば、その重みを持って人格的にも、そしてまた教育方針なりすべてに対してある程度の指導性を発揮できなければならぬわけでしょう。指導性をとろうとするならば、一つの職制としてある程度の命令権と申しますか、執行が必要になってくるんじゃありませんか、そうでしょう。じゃ校長の言うがまま、そのまま伝達するだけというわけじゃないでしょう。みずからやはり判断し、その中でその人は一つ指導性と命令系統と申しますか、こういうことを持つということになれば、やっぱり局長が言われたような中間管理職になるんじゃないですか。これは私はなると思いますよ。ならぬと幾ら弁解しようと、なるんじゃないかと思う。
  60. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) そこはちょっと先生とですから私と意見が違うわけですが、つまり、いま工場のことをおっしゃいました。工場はやっぱりずいぶん効率性とかそういうようなものを考えるんであって……
  61. 向井長年

    向井長年君 工場じゃない、企業ですよ。
  62. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) まあ企業の場合はやっぱり効率性というようなものが非常に大事なんだと思います。学校ももちろんある意味での効率ということは考えるでしょうが、それよりやはり一番大事なのは、いろんな子供がいるわけですから、そのいろんな子供能力、適性に合わせて、そしてそれぞれの子供が伸びていくようにするというところに、やはりどうしても企業と性格が違うところが私はあると考えております。  そこで、そういう場で、まあ学校というのはいまずいぶん大きくなったのがありますけれども、私は教頭校長というのが職務命令を出す、そのほかにまた職務命令を出す係の人がいるということは、どうも必要ないんではないかという考えでございます、いま命令ということについて申しますと。しかし、むしろどちらかと言うと、そういう教育の場でありますから、いろんな子供がいる、そのいろんな子供のことを見抜いて、適性、能力をよく育てていく指導の中心というものは強まっていった方がよろしい。ですから、ちょっとそこのところは先生の初めのお話を伺っていて、コーディネーターという言葉のところは賛成したんですけれども、しかし、企業と大体同じような角度考えるのにそもそもちょっと反対しているのです。そこはどうしても学校というのはそういうところではないというのが私の認識でございます。
  63. 向井長年

    向井長年君 ここで大臣が二番目に言っておるように、校長教頭の方針に従って活動し、補佐するということでしょう。だからこれは、教頭って何ですか、教頭もやはり校長を補佐しておるでしょう、職制ですね、一つの。これは一段おりた同じかっこうじゃないですか。若干薄いかしらぬけれども、制度化した場合においては、この人のやはり主任としての責任体制が生まれる。この責任体制は、校長なり教頭に対する責任体制というまあ形になると思うんですよね。したがって、これは教頭もそうではないか、校長に対する責任体制ですよね、職制として。だから教頭に対して、あるいは校長に対して主任は職制の上においては責任体制を持つということですよね。だからこれはやっぱりその下にある中間的な管理職であると局長言われたのは正しいんじゃないの。それを打ち消すという方が私はおかしいと思うんですよ。いいことだったら大胆率直にそう言えばいいじゃないか。運営上そうなってくるとするならば、必要だ。いまの主任というのはそうではなくて、学校学校で、相互に理解し合って主任制を持って円満にこれが進められておる。これは私はそういうものではないと思いますよね。しかし、制度化し、しかも給与改善までして手当までつけたとなれば、一つの職制ですよね、完全な。この職制となれば、やはり責任体制が生まれる。この責任体制は、校長教頭に対する責任であり、学校運営に対する責任になってくる。これは完全なやっぱり中間管理職の面から脱しないと思いますよ、幾らどう否定されるとも。この点、どうでしょう。
  64. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) そこがちょっと先生と認識が違うんです。本当に違うんです。つまり、いま工場のことをおっしゃいましたが、それよりその文章に即して言いますと、いま先生がお読みになった「校内の規律を重んじ」と最初に書いてある。これは校内の規律というのは、もちろん校長教頭も重んじます。それから主任も重んじるし、全校先生も、それからまた子供も重んじるんだと思います。そしてそういう全体の管理責任を持っている人はだれであるか、これは校長だと私は理解しているわけです。それを補佐する人はだれか、これは教頭であると理解している。それでは校長とか教頭というのは、そういう全体の管理、規律正しく暮らすということだけをやっていたらいいかというと、そうではないと私は理解しています。大体、校長とか教頭というのは、そこの学校では一番ベテランの教育者だと思います。そこで、それが二番目のところにかかってくるんですが、ですからやはり私は、そのほかのところに「校風」ということも書いてありますが、やはりある先生校長になられますと、いろいろ地域のことを考えたり、あるいはその先生の風格というものもありましょうが、こういうふうな教育をやりたい。しかし、その場合に、自分が独走するのではまずいわけですから、全校先生方が、やはりそれを本当に支持する、そういう意味において、権力的ということではなく、先ほどどなたかのお言葉にありましたが、おのずからなる権威と申しますか、それも押しつけではなく生まれるものでなければいいものにならない。そういう校長さんや教頭さんの方針をやはり助けるわけですね。しかし、ある意味において、中間的に違いない。その管理である。その場合に、ほかの先生たちがたくさんいらっしゃいますから、そのほかの先生たち意見というものを反映して、そして自分自分仕事のところをまとめていきますが、しかし校長さんとか教頭さんに、いまこういう意見先生が多いのだと。やはり接触の密度が高いですから、そういうことも言われて、そして全校が自発的な意思で一つの校風というものをつくり上げていく。でありますから、まあ中間管理層といいますのは、通俗に理解されておりますのは、要するに、校長さんや教頭さんが秩序正しいお仕事をやっていく、それをさらに三番目に受けとめまして、その仕事をやっていくのがいわゆる管理ではないかというふうに私は理解して、そういうものをとっていないんです。ですから、そういう意味での中間管理層ではない。これはもう実は春先から何回も管理主義というものをとらないと言ってきているのはそういう意味です。学校にふさわしい姿の構造をつくりたいということでございます。
  65. 向井長年

    向井長年君 もう時間がございませんので、最後に質疑しますが、いま大臣が答えられましたけれどもね。私はいま大臣が言われたことそのものがアメリカで言うコーディネーターですよ。これはどういうことかと言うと、たくさん先生方がおられる、そういう意見も吸い上げて、上にも持っていかなけりゃならぬ、また文部当局なり、それぞれのいわゆる当局からの一つの方針というものも消化するために、中で皆さんといろいろと協議しなけりゃならぬ、こういうこと持っておるんでしょう。両方持っておるんでしょう。これをコーディネーターと言うんです。これは一つの職制なんです。だからあなた、職制と言わずに言うが、そういうことが私は学校においてのコーディネーターだと私は解釈しますがね。いま言われたとおりです。同じだと思うんですよ。しかしそれが円満にやれる状態のためには、みんなが理解しなきゃならぬということ。私は、よければ職制であっていい、場合によっちゃ管理職であっていいと思う。理解されないからいけない、今日までね。そういうことをやはり十分討議をし、そしてやはり理解を求めていくならばいいけれども、まだそんな状態じゃないでしょう。国民は知らない、日教組は全面的に反対だ、文部当局は強引にもやるのだと。これは、あなたの意思に反することですね。教育という立場から考えて、いわゆるイデオロギー的にあるいは政党のいわゆる一つの主張だけがこういうかっこうでやっておることは望ましくない。それをあなたがやはり正しい方向に結論づけるということが私は責務だと思う。そういう意味におきまして、いま幸い社会党から小委員会を持って十分ひとつ検討しようではないかという意見がこの委員会に出ておるようでございますから、私たちはそれに賛同して、今後もっと掘り下げて、そしてこれはやはり時間をかけて、いいものならつくり上げよう、これはいけないんだったらやめてもらおうではないかと、こういう形で大いにやりたいと思います。それで、大臣もその旨を十分ひとつ理解いただいて、今後これに取り組んでいただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。   〔委員長退席、理事久保田藤麿君着席〕
  66. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 いまの主任制度の問題については、わが社会党の方から小委員会を開いて、とにかくゆっくりと研究をしようということになっておりますから、私はそのことについて、各会派も同調されておりますので、ぜひそういう態度でやっていただきたいということをまず第一にお願いし、実はそれに入る前に、一人のもと女教師としてやっぱり意見をちょっと申し述べたいというふうに思うわけです。  大臣が期限よりも手続だと、こうおっしゃったことに全面的に賛成をするわけですが、それはこの主任制度が発表されたときに、現場の婦人教師から非常にたくさんの反応が私のところに電話あるいは手紙で参りました。それはほとんどといっていいくらい現場実態が、この中で主任というものが制度化され、手当が出されて手当をもらう人ともらわない人が出た場合には一体どういうふうになるんだろうという不安を訴えている手紙だったわけです。これをもらったときに、私はちょうどタイムマシンに十七年前に内藤委員長に入っていただいて帰っていただく、そうしますと、ちょうど昭和三十三年で勤評当時だったわけです。この勤評当時に教育長や教育委員会を呼んで文部省が説明をしたときにはだれも反対がなかった、皆さん賛成だったと、こうおっしゃっているわけなんですけれども、私、当時新潟におりまして、某師範学校の同窓会が当時の花形役者でありました内藤初中局長に記念講演をお願いした。そのときには勤評についての反対意見はほとんどと言っていいくらい出されなかったということを覚えているわけですが、その後で女教員会が初中局長に宿に来ていただきましていろいろと座談を持ったわけですが、そのときにもう校長さん、教頭さん、指導主事という、そういう婦人教師が大変な権限を持っている初中局長に対して猛然と勤評についての反論をされたことを、私は当時県教組の婦人部長としてちょっと見ていなさいと言われたので参加をしていたんですけれども、大変なものだということをしみじみ思いました。それは一体何かと言えば、やっぱり現場実態から勤評というものが婦人教師に対してどのように差別を与え、大変な状況に陥れていくかということを身をもって感じているから話が出ていったんだというふうに思いまして、ぜひその意味では、現場女教師の話を聞いていただきたいということをお願いしているわけです。特にこの制度についてのアンケートがいろいろ出されて朝日新聞に福島恒春さんという方がそのうちの一人として答えを出しておられました。福島さんという方は御存じのとおりの方ですから私は何も申し上げませんけれども、賛成をしている、最後のところに、やっぱりこれができていったら人事異動が困難になるんではないかということを発表しておられますね。たとえば、私の県もそうですけれども、岩手県あたりは学校が谷から谷で、この谷からその次の谷はもとの平場へ出ていって入っていかなければならないという大変な僻地にいるわけで、そういう僻地にも子供がいるから教師は赴任をしなきゃならない、転任をしなければならないという状況がある。だから岩手の婦人教師は夫と別れ、子供と別れ、三年に一遍は僻地へ行ってくるけれども、もう一遍いかなければならない。多い人は三回行くわけですから、三十年勤めたとすると、そのうちの十年間は家族と離れて僻地で子供たち教育に当たらなければならないという、こういう実態がある。何も知らない人はそんなにして夫や子供を置いて僻地に赴任する女教師が夫婦別れしたんだってさなんて、とんでもない流言を飛ばすようなそういう状況の中でがんばっているわけですよ。そうすると、ある学校に行ったときには主任の手当が出る、別の学校に行ったときには出ないなんというようなことであっては、やっぱり非常に困難な問題が出てくるんじゃないだろうかという気持ちがしないわけてもありませんし、いま大変授業離れしている先生がいっぱいいらっしゃるわけですね。校長さんや教頭さんになったら授業を持たないのがあたりまえだみたいなことのほかに、教務主任授業をうんと減らしていくというのもありますし、それと同時に、学校指導体制や管理体制が非常に強まっていって、指導体制の中でも充て指導主事といって学校の中に籍を置くわけですけれども、全然学校に出てこないで、月給だけをもらいに来る先生がいらっしゃるわけです。それは学校職員録というのをごらんになれば何々中学校というのは物すごくたくさんいるけれども、実質には先生はその学校には来ていないという先生がたくさんいるわけですが、そういう私は指導する先生がふえるということが悪いとは言いませんけれども、そういう先生をふやすと同時に、やっぱり子供たち教育を直接に見ていく教師をふやしていくという、そういう体制があわせてとられなければならないわけですが、何かそういう授業を持たない先生になるということが非常にすばらしいことのように思われていく中で主任制度が出ていく。それがやはり出世コースにつながるんじゃないかという現場の気持ちをやはり払拭させていくためにも、本当に学校で討論が巻き起こるような、そういう対策というものを文部省としてはやっていただきたいというふうに思いますし、またあわせて、専科の先生がいらっしゃるのですが、その専科の先生学年主任にもほとんどならないかもしれない、あるいは教務主任にもならないかもしれない。それは一体どうなるだろうとか、養護教諭はもう絶対に学年主任にはなれないというふうにあきらめている。それから教務主任にもなれないだろうという、こういうあきらめもあるわけですし、朝から晩までことこと忙しく学校で給食をやっている給食主任なんというものは、本当に教務主任も大変かもしれないけれども、私だってそれ以上にもっと大変な仕事をしているというふうに思っているわけですね。そういう人たちは一体どうなるのかなんということだって全然議論がなされないわけですし、私どももつい先日、大臣の所信表明をいただいたわけですから、そういう意味での手続というものをうんと重視してやっていただきたいということを要望いたします。  私は、きょうは先日出されました行政管理庁の「幼児の保育及び教育に関する行政監察結果に基づく勧告」というものに触れて、保育所と幼稚園というものがどのように今後あるべきかという観点に立っての御意見を、大臣の御答弁をあるいは文部省考え方質問したいというふうに思っているわけです。  長い間、婦人労働者として保育所運動あるいは婦人教師が長く働き続けるためにもということで育児休暇の法律制定について取り組んでまいりました私として、そうしてまた教師として、幼年教育が非常に重要だからということで、幼稚園教育のことについてもみんなと一緒に研究をしてきた一人として、今回の行政管理庁の勧告というものを見ますときに大変うれしいという気持ちが一つと、一体この真意というものはどこにあるのだろうかという気持ちがしないわけにはいかないわけです。行政管理庁、きょうは上井さんが来ていらっしゃるわけですが、この種の勧告は、行管としては初めてなんですか、いかがなものでしょう。
  67. 上井正司

    説明員(上井正司君) 保育所に関しましては、大分以前に運営監察的な監察をやったことがございますが、幼稚園、保育所を通ずるような問題につきまして今回が最初でございます。
  68. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 保育所に関して出されているということはわかりました。  それでは、保育所に関して出されている「地方監察結果概要報告書」三十九年九月のものですね。これと、今回のものとの関連で同じなのか、違っているのかということについてお伺いします。
  69. 上井正司

    説明員(上井正司君) 何分昔のことで私もよく存じませんけれども、保育所の運営監察をやりました時期は、当庁の行政監察としましては比較的また行政の姿を正す、個々の行政のそれぞれのたとえば、そのときの保育所の考え方としますれば、厚生省のお決めになったことが実地に行われているかどうかといったような観点からの見方が強かったということであります。最近はそうではございませんで、それぞれの省庁の基本方針についていろいろと申し上げるような風潮に変わってまいりましたので、今回は、そういう運営監察的な要素というものは第二義的なものでございまして、むしろ、幼児全体を通じて文部省と厚生省の行政のあり方をどうするかという点について考えておるわけであります。
  70. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 そうしますと、ちょっとお伺いしたいのは、行管庁の勧告というのは一体どういう権限を持つんですか。たとえば、三十九年ののは保育所の実態について、いわゆる機構のとおりに行われているかどうかということについての監察結果だったというふうに思っている。今回はそれが二義的であって、そして文部省、厚生省の幼児教育についてのあり方はどうあるべきかということが前提になっているというふうにおっしゃいましたね。勧告の権限というのは一体どういう力を持っているんですか、お伺いしたいと思います。
  71. 上井正司

    説明員(上井正司君) ちょっと私先ほど言葉が足りませんでしたけれども、行政管理庁の勧告は、行政管理庁設置法に基づくものでございまして、行政監察局が各省庁の行政の実施状況を監察いたしまして、その結果改善すべき事項について勧告をする。それについて特にその勧告を受けてどうするかという規定は、何分行政管理庁は行政管理庁について決められていることにしか書いてございませんので、本当に申しわけございません。
  72. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 さっぱりわからぬですよ。もっと、じゃ具体的にお伺いします。  三十九年九月のこれは監察結果を報告したものであると。そして、その報告は、要は保育所がどうも幼稚園化していてけしからぬという公的な非難だったというふうに思いますけれども、それはどうですか。
  73. 上井正司

    説明員(上井正司君) 勧告をいたしましたという点では前回と今回と変わりはございません。いわゆる前回も保育所の運営につきましては厚生省に対して勧告を申し上げたわけです。
  74. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 それでは、その前回と今回と勧告が違わないということについて、そのとおりだというふうに理解をしたとすれば、大分行管庁の幼児教育に対する姿勢が、三十九年と言えば十一年前ですから、十一年前とはずいぶん違っていると理解していいですか。さっきあなたは大分昔の話ですからと言いますから、なるほど十年一昔ですからね。本当に昔の話だから、十年間の間に大きく考えが変わってきたというふうに理解していいですか。
  75. 上井正司

    説明員(上井正司君) 三十九年当時で申しますと、たとえば五歳の子供さんが保育所、幼稚園に入っておられる率が現在の半分ぐらいでございます。したがいまして、当時はまだ幼稚園と保育所に関しましてはまだ個々に問題意識を持って監察してもよろしかったと思います。今回の監察の時点になりますといいますと、五歳児ではすでに九〇%近くの方が両方の施設に入っております。したがいまして、幼稚園、保育所を通じて幼児の保育及び教育を通じた問題として認識している。その分だけ私どもの考え方が広がってきたとお考えいただいて結構でございます。
  76. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 大臣ちょっといらっしゃらないんであれなんですけれども、厚生省にお伺いしますけれども、そういう勧告を受ける前から出されているんだというふうに思いますけれども、昭和三十八年の十月に幼稚園と保育所について厚生省と文部省の間で指導文書が出されていますね、通知が。その点は、今回の勧告の中身と考えあわせてどのように考えていらっしゃるかということをお伺いしたいと思います。
  77. 長尾立子

    説明員(長尾立子君) お答え申し上げます。  三十八年に出ております通牒は、先生御案内の私どもの局長文部省局長と連名で出しましたものてございまして、幼稚園は本来幼児の教育のために設置された施設でございますに対しまして、保育所はお母さんが働いていらっしゃるというような理由で日中お子様の保育ができないというような保育に欠けるお子様をお預かりして、現実の保育の内容といたしましては、対象年齢がダブっておりますので、現実の内容はほぼ同じのものになるかと思いますけれども、それぞれ目的を異にしているものであるので、それぞれがお互いの機能を十分に果たすように調整し合って指導を強化していこうと、こういう趣旨でございます。そういう意味では、今回の行管からいただきました勧告は、本来両省がそういう形で指導してきたものが十分生かされていないという御指摘であろうというふうに理解しております。
  78. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 厚生省の方ではそういうふうに判断をしていらっしゃると、文部省の方はいかがですか。
  79. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 御指摘のように、その三十八年の通知は両省の担当局長名をもって出したわけでありますから、内容を実現しようというその考え方におきましては、それぞれの立場はございますけれども、同じであるわけでありまして、私どもとしましては、やはり保育所はその本来の目的に従って必要とする子供さんを入れていただく、われわれの方は普通の幼児教育を必要とする子供についてできるだけその機会が多く与えられるように施設の整備その他を努力すると、こういうことでやってきたわけでございます。
  80. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 この十九ページの後段の方にこういうふうに書いてありますよね。文部省初中局長あるいは厚生省児童局長連名の通知が出されていたが云々として、「有効な改善措置は講じられていない。」と、こういうふうに指摘していますね。いまの厚生省と文部省答弁を聞かれて、行管としてはそういう態度がやっぱり問題だったんじゃないかというふうにお考えになりませんか。あるいは、基本的にそれほど指摘しなければならなかったという原因は一体どこにあるというふうにお考えですか。
  81. 上井正司

    説明員(上井正司君) むずかしい御質問ですが、やはり特に保育所は別としまして、幼稚園につきましては文部省と設置者との関係というものがそれほど厳しい監督関係がございませんことが一つございますのと、それから幼稚園と保育所はそれぞれ行政目的が全く違う点もございますけれども、この前のページの方に書いてございますように、特に市町村長さんが設置者になる場合は特別だと思いますけれども、設置者にとって経済的負担が非常に大きく違う、財政負担が違うという点もございますので、必ずしも両省の方針が方針どおりに設置者の方が動くとは限らないといった問題もあろうかと存じます。ただし、そういった傾向に対して、文部、厚生両省が三十八年の共同通達以後適宜にそういう協議の機会をお持ちにならなかったために、そういう傾向がわかっておっても、そのために今後どういった手段を講じたらいいかということについて何もできなかったというふうに考えざるを得ないと思います。
  82. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 文部省にお伺いしますけれども、三十八年に連名の通知を出してから、いまの行管庁のおっしゃるように、打ち合わせがなされていなかったということをお認めになりますか。これは怠慢だというふうにお考えになりませんか、もしそういうことであったとしたならば。
  83. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 文部省としましては、その通知を出しました後も、現実には厚生省と連絡しながらその整備に努めてきたわけでございますが、具体的には四十六年ですか、厚生省と共同で幼稚園についての全国的な調査を行いまして、その結果に基づいて四十七年から五十七年までの間に四、五歳の希望する園児を全部入れるための幼稚園の整備計画ということを計画を立てまして、今日まで努力をしておるわけでございます。ただ、いま行管からも御指摘がありましたように、幼稚園の設置者は個々の市町村でございますから、財政問題その他もありまして、必ずしも計画どおりに現在幼稚園がふえているという状況ではございません。
  84. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私は、国民の側からこう考えてみますと、幼稚園と保育所の問題が非常に混迷をしているということを考えて見ますと、その混迷している現状をつくり出してきたものは一体だれなんだろうかという疑問に突き当たってくるというふうに思うんですよ。そうすると、それはどうも幼稚園は文部省、保育所は厚生省と、そういうなわ張りが一つの問題になっているんじゃないんだろうかという疑問が率直にあるというふうに思います。  それからまあ幼保二元化の制度、これは行政のための幼保二元化の制度であって差別があるなという大変な批判が出ているというふうに思うわけですよ。それで行管庁が指摘するように、保育所の幼稚園化というこの問題点は、私は国民がやっぱり保育というのはこういうふうにあってもらいたい、幼児教育はこういうふうにあってもらいたいという、そういう国民的なニードを認めた市町村長の英知がやっぱり保育所が幼稚園化しているんだというふうに考えていっていいんじゃないんだろうかというふうに思うわけです。だから、そういうことを前提として認めてくださるのであれば、行管庁がおっしゃる勧告について、文部省と厚生省が話し合いをするということは、これは意義があるというふうに思いますけれども、やっぱり文部省文部省、厚生省は厚生省なんだという態度を崩さない限りは、行管庁の御指摘というのは、私は意味がない。だからさっきこの勧告というのは、どれだけの権限を持つものなのかということをお伺いした一つの理由なんですが、いかがですか。ちょっと言うことがはっきりしませんか。
  85. 上井正司

    説明員(上井正司君) ちょっと御質問趣旨がよくのみ込めないんですが、それぞれ幼稚園、保育所、行政目的が違いますので、主管官庁を異にするというのは、私これやむを得ないことじゃないかと思います。その限りにおきまして、やはり同じ年ごろの子供さんを預かっている似たような施設でございますから、必要な限度で協力を行うというのが行政のあるべき姿だと思います。
  86. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私は行管庁がそんな姿勢で監察をし、勧告をしたって意味ないんだろうというふうに思うんですよ。やられていることを見て、そうして言っていることの基本がどこにあるかということがわからないで勧告をしたって本当に意味ないというふうに思うんですよ。同じ日本の子供たちですよ。未来の日本を担っていく子供たちが、その保育所行政と文部行政の間に立ってどっちにしたらいいんだろうかなんという、こういうことを親が悩むようじゃ困るというふうに思うんですよ。だから大臣、私お伺いしますけれども、そういう幼年教育をどのようにしていったら本当にいいんだろうというふうにお考えですか。
  87. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 幼保一元化の問題は、これは昭和の初期からあるというふうに私、理解しておりますが、まあ現実においては、先生御指摘のように、文部省と厚生省に所管が分かれて今日に至っていることは周知のとおりであります。  そこで、実際的にこの問題をどういうふうにしていったらいいかということですが、私はやはり今日までも確かに共同の通達を出したりあるいは協議をしてきておりますけれども、まず最初に必要なことは、それだけでも達成すべき目的というものはなお先にあるわけですから、いままでよりもさらに密に幼稚園、保育所の関係について、直ちにそれをどちらかの役所に吸収してしまうということは事実上きわめて困難であると思いますが、もう少しやはりこの問題については、従来以上に厚生省と文部省との間で幼保の関係というものについて詰めていって、そして主体は何といっても子供でございますから、その子供の保育という点では、母親にかわってやるという、そういう違う面も含まれておりますが、教育という面につきましては、少なくももっと一貫した方向というものが出てくるのが望ましいのであると、かように考えております。
  88. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 もう一度行管庁にお伺いしますけれども、勧告の基本的な姿勢の中に、私は保育所と幼稚園がともに憲法二十六条による教育を受ける権利を幼児に保障しようという、こういう姿勢があるのかどうなのかということをお伺いしたいと思うんです。
  89. 上井正司

    説明員(上井正司君) 勧告の中に書いてございますように、もともと現在でも保育所で幼稚園に準ずる教育を行うということは両省の協力関係として出ているわけでございます。したがいまして、現在幼稚園、保育所に分かれておりますのは、それぞれその子供さんの置かれた境遇なり施設の行政目的が違いますので、それについては現在の幼稚園をどうするか、保育所をどうするかということまで含めて両省でお話し合いをいただくような勧告になっておりますけれども、さしあたっては、現在の幼稚園、保育所を通じて幼稚園教育ないしはそれに非常に近いものは行われているというふうに判断しております。
  90. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私は、どうもそういうことでは困るというふうに思います。もうちょっと真剣に、行管庁は本当に日本の子供たちの幼年教育をどのように保障してやるかという観点に立って、文部省の管轄をしている幼稚園はどのようになっているのが現実であるか、それから厚生省の管轄している保育所はどのようであるか、そして将来はこういうふうにやっていくべきだという観点に立ってきちんと勧告をしていただきたいというふうに思うわけです。そういう基本姿勢がなければ、ここの報告書の中にあるプロジェクトというんですか、合同した機構でもってその問題を討議しましょうたってそれぞれのなわ張りでこうやっていきますよなんということだけを話し合うような機関であっては、本当に憲法に保障された子供たちの養育、教育というものは保障されないというふうに思いますから、ぜひそういうふうにお願いをしたいというふうに思います。  それはなぜかといいますと、児童福祉法というのは戦後間もなくできたわけでして、いまの時勢から考えてみますと、実態に合わない部分というのが非常にたくさんあるからなんです。国民の要求は大きく変わっていますのに、それに対して文部省や厚生省がそれに対応でき切れないでいるというところがいまの問題点じゃなかろうかという考え方に立つわけです。たとえば婦人労働の実情を見てみますと、戦後間もなかったころの婦人労働に比べていまでは女子労働力の人口が千九百九十六万人ですから約二千万人が労働力人口となっている。そして、その女子労働力人口の中で、配偶者関係別に構成を調べたものが労働省から出されておりますけれども、有配偶者が六三%です。未婚者が二六%、離死別が一一%ですから大変な数の家庭婦人というものが働いているわけです。そういう家庭婦人たち自分子供をどのように教育してもらいたいか、自分が働いている間に子供をどのように守ってもらいたいかという要求というのは非常にたくさんあるというふうに思います。その人たちの中にも大変高学歴化が進んでおりますから社会参加の意識が非常に高まっている。それから出生児の数が大変少なくなっておりますから育児期間が短縮をしている。それから家庭用電気器具機械なんかが普及しておりますのである程度余裕ができている。それから生活水準が上昇して物価高あるいは老後の不安からどうしても収入を得る必要があるというので働いているわけですから、この人たちの働く条件を保障することがやっぱり保育所でなければならない。ところがその働いている婦人にしてみても、お隣さんの子供は幼稚園で学校教育に従って教育を受けている。私の子供はそういうことが幼稚園化していっていけないんだなんという勧告を受けると、何か差別を受けているような感じがしないわけでもないと、こういう意見を非常に出しておりますので、ぜひとも、行管庁は文部省と厚生省のいわゆるプロジェクトチームというんですか、合同の何かをやりなさいという勧告をしているんですけれども、そういう機構ができるかできないかということを監督する必要というんですか、監督をする力というんですか、そういうところまでの権限はいかがなんですか。
  91. 上井正司

    説明員(上井正司君) 先ほど申し上げましたように、当庁の監察につきましては、その後のフォローについては規定がございまして、私どもとしましては、この勧告を申し上げた後は必ず回答をいただきますし、その後の改善状況についても事実上のフォローはしております。したがいまして、もしこの監察の結果の両者の協議が進行しないというようなことがありますれば、再び監察を行うなり、あるいは何らかの手段でそれを担保することはできると考えております。
  92. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 総合的な協議機関を行管庁としてもまた見ていただくと、こういう御返事と理解してよろしいわけですね。
  93. 上井正司

    説明員(上井正司君) 特別の行政機関を設けるという御趣旨ですと、そこまで私ども考えておりませんので、これはあくまで協議の場を設けるというような表現になっておりますので、ちょっと違うかと思います。
  94. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 協議の場を設けるというだけで機関ではないわけですね。そうしますと、非常に弱いものになるというふうに考えているわけですが、そんなことはありませんか。
  95. 上井正司

    説明員(上井正司君) 私、監察局から参りましたので行政機構の方は管理局の所管でございますけれども、あるいはちょっと超えているかと思いますけれども、行政と申しますのは、そういう省際行政的なものにつきましては、必ずしもその省際問題が起こりましたときに、新しい行政機関をつくって対応する。そういう例も幾つかございますけれども、それが最も能率的であるとも限りませんので、それぞれの状況に応じまして、もし両者の協議の場での協議の過程で、特別の行政機関を設けて検討しなければならぬというような状況が起こりましたら、それはまたそのとき改めて行政管理庁の機構審査の部局の方で審査をいたすと思います。今回の勧告におきましてはそこまで予想してございません。現実に省際問題につきまして、そういう単なる協議会的な運営でうまくいきました例は、たとえば通関関連行政でございますけれども、必ずしも特別行政機関をつくることが最も解決の近道であるというふうには私ども考えておりません。
  96. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 行管庁のおっしゃること、私は一〇〇%わかったわけではありませんけれども、私たちも何もすぐ児童庁を設けなさいとか、あるいは幼年教育何とかを設けなさいと、こういうことを言っているわけではないんですよ。とにかく、あなたがおっしゃるように、協議機関の場を設けるというわけですから、協議の場を設けなさいという勧告をしているというんですから、文部省はそういうことを積極的にやっていくという態度をお持ちか、厚生省はお持ちかということについてお伺いをしたいというふうに思います。  それとあわせて、私は行管庁にお伺いをしたいんですけれども、勤労婦人福祉法というのができましたね。それから、雇用保険法ができてきて、あの中で企業の中で託児所をつくる場合には、それに対してお金を補助するというのが出てますね。託児所がものすごく飛躍的に伸びているわけですよね。そうしますと、あなたの方の幼児の保育に当たるというのは、厚生省管轄と文部省管轄だけではなくて、いまやもはや託児所という労働省管轄もやっぱり入っているというふうに思いますけれども、その辺のところの監察はなさって勧告をなさらなかったという理由は、一体、何かということについてお伺いいたします。
  97. 上井正司

    説明員(上井正司君) 事業所内保育所につきましては、勧告の中で触れてございます。勧告の二十六ページ以降に触れてございますが、これは考え方が二つございまして、実は、あるいは先生のお考えと違うかも存じませんけれども、私としましては、子供さんはやはり親御さんが働くから、必ず特定の施設に預かるべきものとも考えられない面があるかと思うんです。したがいまして、たとえば、事業所が保育所を設けて——、託児所とおっしゃいましたけれども、一応厚生省の分類、保育所的なそういう表現をとっておりましたけれども、ここでは事業所内保育所という表現とりましたが、事業所が保育所を設けまして、そこに子持ちの婦人を雇い入れるということにつきましては、一面の見方からしますと、確かにそういう保育所施設があって、母親の働く場を提供するという点でよいというお考えもあるかと思いますけれども、逆に言いますと、子供さんを育てているべき母親を、そういう保育所をつくってまで働かせる必要があるのかという御批判も一部にあるわけです。したがいまして、事業所内保育所につきましては、あくまで今回の勧告としましては、厚生省所管の保育所の行政の周辺部分というふうに考えて触れたわけです。
  98. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 厚生省と文部省考え方を伺います、協議の場を設けることについて。
  99. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) この問題についての行政管理庁の御提案は、文部省で言えば、中央教育審議会、厚生省で言えば中央児童福祉審議会といったような、これらに関連する問題を審議した審議会の委員の方々がそれらの審議経験を踏まえて両省で協議会等を設けてそういう方々にメンバーへ入っていただくならば、事態の進展に役立つのではないかというような、こういうような御提案と思いますので、私どもは厚生省とよく御相談をいたしまして、そういう方向で検討するように努力をいたしたいと、かように思います。
  100. 長尾立子

    説明員(長尾立子君) 私どもといたしましても、行管から御指摘がございました線に沿いまして努力をいたしたいと考えておるところでございます。文部省との事務的な連絡調整につきましては、従来から私どもなりに努力をいたしてきたつもりでございますし、今後とも努力をいたしたいと思います。行管から御指摘がございましたような学識経験者からなる協議の場を設けるということにつきましては、私ども中央児童福祉審議会の中に保育部会という保育所を専門に御議論いただきます場があるわけでございますが、保育部会の方から今回の行管の勧告というものを契機に、保育所問題についてのもう一度検討をやりたいという御意見もございまして、中央児童福祉審議会の御検討をいただくということも考えておりますが、両省の関係審議会の委員からなりますこういった協議の場を設けるということにつきましては、私どももそういう線で協議の場を設ける方向で努力さしていただきたいと思っております。
  101. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 ぜひお願いをしたいのは、その場所に労働省の関係も加えていただきたいというふうに思いますし、それからぜひ働く婦人の代表も入れていただきたい。母親の願いというものが、きちんと報告の中に入るような条件というものも、いろいろな場所でつくっていただきたいというお願いをしたいというふうに思います。  ちょっとお伺いをしたい点は、少しずつ部分的になりますけれども、五ページに指摘されておりますが、整備計画の場所がありますね、異なった調査結果を用いているではないか、文部省と、厚生省が。それで計画を立てているのではないかという指摘と、具体性がない、地域ごとの。そういう指摘もしております。それから三番目に、両省間の調整がないという指摘をしておりますけれども、そういう面についての厚生省と文部省の来年度に対する決意ということになりましょうか、お述べいただきたいというふうに思います。
  102. 長尾立子

    説明員(長尾立子君) 保育所の施設の整備計画でございますが、これは社会福祉施設全体の整備計画を昭和四十六年度を初年度といたします社会福祉施設緊急整備五カ年計画というのを策定いたしておりまして、これが昭和五十年度という、本年度が最終年度であったわけでございます。その行管の勧告にもございますように、本年度までに、この計画の中で私どもが目標として掲げました数字は達成できたわけでございますが、現在、先生からもお話ございましたような、働く婦人の増加でございますとか、保育所に対します希望、大変多いというふうに承知いたしておるわけでございまして、来年度、現在の私どもが考えております水準を上回る形で整備を行いたいと、こういうような予算要求をいたしておるわけでございます。御承知のように、保育所の整備費につきましては、社会福祉施設整備費の中に一括になっておるわけでございますが、本年度三百五十億という額でございますが、来年度におきましては、これを七十億ふやしまして、四百二十億という形の予算要求をいたしておるわけでございます。
  103. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私がもう一つお伺いしたいのは、そういうことと同時に、地域ごとに大変なアンバランスがあるということが指摘されているわけですから、それについてもやっぱり厚生省としては、こういうふうに考え文部省としては、こういうふうに考えるという御答弁をいただきたいというふうに思います。
  104. 長尾立子

    説明員(長尾立子君) この問題につきましては、行管からの御指摘は、都道府県段階におきます施設の計画、または市町村段階におきます施設の計画が、それぞれ幼稚園、保育所両施設についての調整が大変とれてないという御指摘でございます。この点につきましては、私ども施設計画の面で指導をいたしますと同時に、私ども現実に保育所の整備費を配分いたします段階で、保育所の未設置の市町村がございますし、また私どもが持っております整備目標というものに達していない市町村が多うございますが、こういったものに優先的に国庫補助をするという形で努力をしてまいりたいと思っております。
  105. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 先ほど申し上げましたこの昭和四十七年からの十カ年計画というものは、実態調査をしたその基礎において立てたものでありまして、その計画の基本になった考え方は、五十七年までの五歳児の就園率は七〇・五%、四歳児は六八・一%、三歳児は一七・一%、こういうふうな目標を置きまして、なお、同年齢の幼児のうち要保育幼児、つまり保育所に入る幼児を二六・七%、それから心身の障害等のために特殊教育の対象になろうと思われるお子さんが二・八%、そういう数字で各市町村ごとに考えた場合に、どれだけ十年間に幼稚園をつくればよろしいかという計画を出していただきまして、それをもとにして、十年間の全国の整備計画というものを立てたわけでございますから、そういう意味では一応保育所と幼稚園のそれぞれの役割りを制度に即して考えた上の計画ということが申し上げられようかと思うのであります。ただ、現状におきましては先ほども申し上げましたように、財政事情その他もございますから、必ずしも計画どおりに施設の整備が進んでいない、そういうところもあるというふうに御理解をいただきたいと思います。  なお、今後の幼稚園整備のための計画について何か持っているかという御質問ございましたが、その点につきましては、来年度におきまして幼児教育に関する総合的な実態調査というものをもう一回やってみまして、幼稚園、保育所における教育活動や諸条件の実態調査といったようなものも調べてみたい、こういうふうに考えております。
  106. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 文部省考え方はわかりました。  五歳児で幼稚園に入れる層と、それから保育所に入れる層と、特別の保育所をつくって入れようと、それで全員をとにかく保育をしようという考え方だということはわかりましたけれども、では、なぜ全員を保育所と幼稚園と、そしてまた文部省考えているのは幼児学校なんというのもありますね、中教審答申に基づいて百何校ですか。そういうふうに同じ五歳児を差別をするような方針を出していらっしゃるのですかということなんです。
  107. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) それは差別ではなくて、現在の幼児を対象にする教育というものが、学校教育の制度から言えば幼稚園になるわけでございますけれども、一方、一つの社会福祉施設として保育に欠ける幼児を預かるところの保育所という制度があるわけでございまして、それにはやはり現実に親が保育できない子供さんを預かるということで、たまたまその該当年齢が一緒になるわけでございますから、そこで当然それぞれの趣旨に従って教育するという、三十八年の通達もそういう趣旨でできておるわけでありますから、まさに従来のその考え方に即してやっておるわけでございます。
  108. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 三十八年の通達に即してというのはわかりました。しかし、保育に欠けるという概念が三十八年ごろの概念と十二年たった昭和五十年の概念でいいものかどうなのかという点では、私は文部省とやっぱり考え方を異にするわけですよ。特にそれば父母の実態に立ってみますと、文部省のこの考えているものをもっと大幅に上回って大きな要求があるから、保育所の幼稚園化、つまり保育園というものの実態が進んでいるのじゃないかということを考えますので、ぜひとも行管庁の指摘に従いまして、厚生、労働、そして文部の三省が一致して、子供たちの幼年教育を受ける権利というものを保障するような条件というものをつくっていただきたいというふうに思って、この点についての質疑は終わります。  それから、もう少し時間がありますから、大臣に育児休業のことについてお伺いをいたしたいというふうに思います。  先国会で育児休業法がようやく成立をいたしました。もう十年も運動を続けてきた私にとってみますと、感無量のものがあるわけですが、これ、ようやく法律制定になりましたけれども、何かちっとも前進をしていないのじゃないか、具体的に動いていないのじゃないかという、こういう焦りが現場の婦人教師、特にいま妊娠中の者、これから産もうかどうしようかという人たちにとっては焦りになって出ているわけです。その点についての文部省の具体的な動き、特に主任制度の問題なんか大臣名でもって人事院に勧告をお願いするぐらいなんですから、これだってやっぱり無給とありますけれども、何らかの給与を期待して、という附帯決議もあることですので、どのように運動なさったかということについてお伺いしたいと思います。
  109. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 初中局長から、具体的に文部省がいま考えておりますことを申し上げます。
  110. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) この法律は五十一年の四月一日から施行ということでございまして、それに向かっていま私どもはいろいろ準備をしておるわけでありますが、一つには、その附則の二項におきまして、本則では育児休業の効果としては給与を支給しないことになっておりますけれども、附則の二項では、「当分の間、この法律の目的の達成に資するため、育児休業の許可を受けた女子教育公務員等に対し、法律又はこれを基準として定める条例の定めるところにより、必要な給付を行うことができる。」ということで、私どもが聞いておりますところでは、この法律の立案、審議の過程におきましても、どのような給付をするのかしないのかというのが一つの大きな問題点であったわけでございます。そしてできました法律が、このように附則において給付をすると。まあそうなりますと、現実には具体的給付が何であるかということが決まりませんと、この制度そのものをどういうふうに運営していくかということもはっきり申し上げられないということもございまして、実は人事院にはかねてからできるだけ早い機会にこの給付の内容について勧告を出していただきたい、こういうことをお願いをしておる、こういう段階でございます。
  111. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 文部省としてやられたことは、その人事院に勧告を出してほしいというお願いをしたということだけですか。それから、勧告を出してもらいたいということについて、たとえばどのくらいというような希望だってある程度話し合いがなければならないというふうに思いますが、もう一切、人事院任せという態度での勧告のお願いですか。それと、もう少しやられたことがあるのじゃないかと思いますが、いかがですか。
  112. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 一つは、現実に四月から動き出した場合に、当然これを補充する臨時的任用の教員を必要とするわけでございますから、その点につきましては、各県に連絡いたしまして、必要な教員の確保等について準備をしていただくというようなことは連絡してございます。  なお、その手当の中身——給付と書いてございますが、給付の中身はどのくらいかというようなことにつきましては、これは具体的に人事院が判断をして決めていただく性質のものでございますので、私どもの方から幾らぐらいというようなことは申し上げていないという現状でございます。
  113. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 それでは調査実態、結局調査をしなければ、必要な教員の数というのは確保できないわけですよね。調査をなさっていると思いますけれども、新聞で見た限りでは非常にアンバランスがあると、県ごとに。その実態について一体なぜそんなアンバランスが出たのかということについての分析をお伺いしたいというふうに思います。
  114. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 実態を調べ、その出産予定者の希望というようなものを集計いたしてみますと、大体、三二%の方がこの休業をとりたいという希望を持っているように出ております。ただその場合、県や地域によって多少希望者の率が違っておるという事実もあるようでございますが、それは、推測いたしますに、要するに核家族の家庭あるいはめんどうを見てくださる人がいる家庭、そういうもののばらつきといいますか、そういうようなこともありまして、地域によって多少状況が違ってくるんではなかろうかと、こういうふうに考えております。
  115. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私は必ずしもそういうふうにばかりはとらないわけです。調査するときの物の言い方でずいぶん変わっているわけですね。この間も報告を受けましたけれども、大変厳しい調子で言われて自分の希望を出す場合と、正確に法律趣旨を話して自分の希望を出す場合とではずいぶん違っているというふうに思いますので、その辺の正確なデータというものを私はもう一遍取り直すようにお願いをしたいというふうに思います。  それとあわせて、ただでもなかなか、ことしは不況ですから教員になり手があるかもしれませんが、ただでもなかなか採れない実態があるわけですね。お産で休んで十六週間の休暇あるいは十二週間の産休というのがありますね。それだってなかなかかわり手がなくて、鐘や太鼓で探して回るわけでしょう。探して回って見つかる方はとてもいいけれども、手を挙げたときに校長さんは、もうおれも一生懸命やったけれども、どうにもならないから、あなたも探しておいでと、具体的にこういうことを言われるわけですね。校長に言われたことが職務命令であるかどうかは別といたしましてね。こんなことはもう教育委員会の責任だというふうに思うんですが、一年と産前休暇を合わせますと相当期間必要になるわけですが、大都市あたりでそういう人たちの補充が見通しがつくような報告があるのか、あるいは山間僻地になりますと、新任の先生だって行っただけで驚いて帰ってくるようなところに、そういう人たちが行くというような条件があるのかどうなのか、そういうことになりますと、やっぱりある程度プールをしてきちんとした身分の産休補助教員、育児休業補助教員みたいな人たちを用意しておく必要もあるんじゃないかというふうに思うものですから、その辺のところの情勢をお伺いしたいと思います。
  116. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 県によっていろいろ希望者の率が違うという点はいろいろの見方ができるかと思いますが、一つには、やはりまだ給付の内容が決まらないということも、御本人にとって考えを決める一つの決め手になるんじゃなかろうかという気もいたすわけでございますが、なお、その補充教員の採用につきましては、おっしゃるとおり、せっかく制度ができましても、現実に先生がいないということであっては、これは困るわけでございますから、その点につきましては、先ほども申しましたように、あらかじめ十分県において対策を考えておいてもらいたいと、こういうふうに言っております。
  117. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 じゃ、具体的に言えば、四月一日から休みたいという人たちがいるわけですから、早くそれを決めていただかなければ困るわけですよね。もっと具体的に言いますと、国でばっかり決まりましても、まだ各県段階にはその確定という条件があるわけですから、その辺に至るまでの間には、人事院の勧告というのはいつごろまでに出されれば、四月一日から本当にとりたい人がとれるようになるというふうにお思いですか。
  118. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 具体的段取りとしては、人事院勧告があれば勧告に基づいて政府は法律を出しまして、それを国会で御審議願うということでございますから、勧告が出た段階でそのとおり法律にして、それが通ればそうなるんだという、一応そういう前提で仕事を進めるということに——仕事を進めると申しますか、関係者に御連絡をするというようなことでやってまいることになろうかと思います。
  119. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 ちょっとおかしいんですよね。国家公務員である人たちはそれでいいかもしれませんけれども、地方公務員は各県の条例が決まらなければだめなんでしょう。そうすると県議会に間に合わなければ該当しないということになりませんか。
  120. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) でありますから、県の方には、国家公務員の場合には大体こういうふうになる予定だということを御連絡申し上げれば、県は県の段階において、それぞれ条例案を準備して県議会にかける。国が発足すると同時に、地方自治体も同じような趣旨で条例を運用させると、こういうことになるわけでございます。
  121. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 わかりました。
  122. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 関連して一問だけ聞いておきますけれども、先ほど来この問題についての質疑を聞いていますと、ばかに文部省は消極的ですね、この問題については。主任手当はごつい元気があるんだけれども、これはもともとの発足は文教関係の問題として発足しているんですから、もう少し文部省が積極的に、たとえばこの手当の勧告の問題にしても、こういうものにしてもらいたいぐらいの熱意はぼくは示されてしかるべきだと思うんです。それをお話をお聞きすると、すべてが人事院がやりますからわかりません、人事院待ちですと、これではどんなもんだろうかね。なるほどそれは最終的には人事院の勧告ですけれども。ちょうど、文部省が積極的であるならば、三月の七日の例の主任手当の問題について、こういう主任手当にしてもらいたいということぐらい言ったんですから、少なくともまたこの育児休業の問題に対して出されるところの勧告はこういう中身であってもらいたいと、こういう意思表示があってしかるべきじゃないですか。大臣どんなもんでしょうかね。ここらあたりはきわめて私は話を聞いておって消極的だと思いますよ。大体その勧告の中身がいままでの議論の中から見れば給与上の延長上のものなのか、あるいは別のたとえば雇用促進法みたいな奨励金なるものなのか、実はそこのところもまだあいまいだったんですよ、これをつくったときにはね。しかし、これはみんなの意のあるところから附帯決議にも給与上の一部にすることということになっている。したがって、皆さんが本当にその附帯決議を尊重する、さらにまた、この問題が持って生まれたところの経緯というものを十分承知であるならば、漠然としたわからないものからさらに一歩進めて、これはやはり給与の延長上のものとして処置をされたい、しかも中身のものは本俸の幾らとするのか、あるいは特別手当として出せるものにするのか、そこらあたりはもうおたくの方が積極的に人事院に物を言っていいんじゃないですか。けれども、初中局長の話を聞いておると全くよそごとみたいな話なんです。それはすべて人事院様がやるんだ、最終決定はなるほど人事院がやるでしょうけれども、事少なくとも文部省は、こういう形のものにしてもらいたいというぐらいの私は、やはりいま申し上げたところの経緯あるいはおおよそのこの意のあるところということから考えれば、そこまで一歩進めてしかるべき問題だと思うんですよ。どうなんですか、大臣。ぼくはもう大臣から直接聞きたいんですね。恐らくこれは勧告は年明ける問題だと思いますけれども、こういう問題にも熱意を示したときに、本当に文部省は教員の一人一人のことも考えておるということになるんですよ。ほかのことは一生懸命だけれども、肝心かなめのこのことはどうもあいまいだということでは、ちょっと私は解しかねるんですが、いかがなものでしょう。
  123. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 大臣答弁の前にちょっと。  いまの宮之原委員意見とあわせて、これ育児休業法になりましたけれども、休暇というものがこの参議院の文教委員会の中で問題になります前に、文部省の方で資料をつくって討議をされたことがあったはずです。それは私、当時現場におりましたけれども、昭和三十四、五年ごろだと思いますが、その討議でものすごく教育委員会側も一生懸命にやりましたし、校長会、教頭会が大変この育児休業に熱心にされまして、いつもストライキやるななんというときだけは教員組合に来る校長会なんかが、教員組合に育児休業の資料をくれなんと言って来るくらい、大変燃えていた時代があるんです。私はなぜこんなに校長さん方が一生懸命になるんだろうと、当時不思議に思いましたけれども、ここへ出てきてようやくわかりました。地方課が出している本の中に、この育児休業の制度が、まず討議をされた最初のあれは、池田総理大臣がある学校へ行ったら現場の女教師から育児休業についての訴えを直接聞いたと、それでどうだろうとこう文部省に言ったんで、文部省の方では一生懸命になって研究をしたということが載っているわけですよ。そのコピーありますから、もしあれだったら証拠に出してもよろしいんですけれども、そういう観点に立ちますと、いま、三木総理にとは申しませんけれども、三木総理の申し子であります永井文部大臣が積極的にこの法律をやっぱり早く出していこうと、勧告も出させようと、こういう態度をおとりになることが非常に大事なことだというふうに思いますので、それを要望しまして、答弁をお待ちしたいと思います。
  124. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) これは私はいまの池田総理大臣の経緯は存じませんでしたが、いまの問題につきましては、文部省としても、積極的に人事院と話していくべき事柄であると考えております。  それで、なおそれにつきまして、初中局長から追加答弁をいたしたいと思います。
  125. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 決して私どもも消極的というわけではないのですけれども、ただいま御指摘がありましたように、この給付というものを幾らぐらいにするかというようなことは、先ほどの主任問題の際の主任手当の際にも申し上げましたように、私どもの方は、やはりその給与、給付というものは公務員の給与関係ということで、人事院が全体的に判断し、決定をするというようなことになっておりますので、ただ、こちらから幾らぐらいにしてほしいというようなことは従来もやっていないわけでございます。もちろん、具体的な話し合いの段階で、それはいろいろ意見は出ますけれども、それはこちらがある一つの金額を持って話をするというふうなものではない。そういうやり方をしておりますので、その点はひとつ御了承いただきたいと思うわけでございます。
  126. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 ちょっとすいません。何も私は——よく質問を聞いてくださいよ、金を幾らに要求しておるかと聞いておるんじゃないのよ。そのたてまえのやつを聞いておるんですよ。それさえも文部省は人事院に要求するところのあれないと言うんですか。何も私は四%にしなさい、五%にしなさいという要求をしなさいと言っているんじゃないですよ。局長、聞いておいてもらいたいんだけれども、よく質問聞いておってくださいよ。額幾らにせいという話じゃないんだよ。問題は、法律上の条文上は給与の延長線上のものなのか。それとも雇用促進法みたいな、奨励金法みたいなものなのかということさえもこの法令の中では法文上は不明確なんですよ。けれども、両院におけるところの附帯決議、いままでの経緯から見れば、給与の延長線上のものとして要求しようじゃないか、そうしましょうということになっているんです。それであるならば、文部省は少なくとも給与の延長線上のものにしてもらわなけりゃ困りますよと、これは最低限ですよ。そこくらいの物言いをしてもらわなければ話始まったものじゃないと言うんですよ。しかも、延長線上のものとするならば、本俸の幾らぐらいという物の言い方もあるだろうし、特別手当という物の言い方もあるんですよね。だから、そこらあたりのものはどの程度物を言っておるんですかと聞いておるんですよ。  お見受けをするところ、どうも局長、自信がなさそうだけれども、それは地方課長にかわって言ってもらってもいいんですよ。
  127. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 私、この法律の制定の経緯のとき担当いたしておりませんでしたので、的確な御答弁ができなくて恐縮でございますが、御指摘のように附帯決議として、その給付は本俸であることを期待し、ということがあるわけでございますから、それで当然国会の決議としてそういう意思表示が——まことに恐縮でございますが、私その辺の詳しい事情を承知しておりませんので、地方課長から答弁さしていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  128. 浦山太郎

    説明員(浦山太郎君) 先生御指摘のとおり、給付は本俸であることを期待し、ということで附帯決議がなされておるわけでございますが、法律制定の際に、この法律の本則の上で無給の原則というのが明定をされておりまして、それを附則におきまして「この法律の目的の達成に資するため、」に「必要な給付を行うことができる。」と、こういう形になっておりまして、その給付の内容をどのようなものとして考えるかということは、従来の経緯からかなり困難な内容を含むものというように思っておるわけでございまして、その点につきましては、かなり慎重な配慮を必要とするというように考えておるわけでございます。
  129. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私は関連ですから多くは言えませんけれどもちょっと聞いてくださいよ。  あなた方にこの法律解釈を私は迫っておるんじゃないんですよ、いいですか。これはもう与野党含めて、これが物になったところの経緯があるわけなんです。無給としなければぐあいが悪いと、しかし、あの附則の第二番のところがみそなんだということで、この文教委員会がそれぞれ一致をして、そしてその方向に行っておるということは、あなた一番知っておるんですよ。それであるならば、一番中心にならなけりゃならぬところの文部省としては、法文上はこうなっているけれども、附則のここがみそなんだから、人事院にこうしてもらいたいという物を言ってしかるべきじゃございませんかと言っているのです、何回も。それもすべて人事院任せでありますということでは、余りにも情けない話じゃございませんかと私は聞いておるんですよ、これ。大臣、本当にこの問題を物にし、しかもみんなの期待するところのものにしていこうとするならば、その附則のところがみそなんですから、それを実現するように皆さんはやっていただくのが筋じゃないでしょうか。もちろん最終決定は、それは勧告に任さなければなりませんけれどもね、どうも私はいまの話聞いて、肝心かなめの初中局がそういう態度ではこれは情けないですよ。正直のところ、おたくの方は、例の主任手当の問題を非公式にうんと詰めておるじゃないですか、人事院と何回も。そういう問題は一生懸命詰めておりながら、肝心かなめの法律として歩き出したところの問題について、一番教職員が福音を受けるところのこの問題についてすべて人事院任せというのは、ちょっとこれは腑に落ちない話じゃないかと言っているんですよ。当時の経緯を考えてごらんなさいよ。いかに初中局長が当時担当でないと言ったって、文部省の皆さんであるならば、それは十分承知のはずなんです。だから私は、法律上どうなっていますかということを皆さんに追及する気持はさらさらないんです。ただ、その趣旨に沿って、どの程度積極的に皆さんは働きかけておられますかと、これをお聞きしておるんですから、そこを答えていただけばいいんですよ。そして、もう少しまた積極的にやってもらいたいということを言いたいんですよね。そこ、大臣、どうなんですか、これはもう法文の解釈じゃないんですから、姿勢の問題なんだから。
  130. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 宮之原先生の積極的にこの問題に取り組めという御趣旨は十分承りました。私も、そういう角度考えてまいりたいと思いますが、現状を申し上げますと、人事院が現在実態調査を行っているということでありますので、その実態調査ができるだけ早く出てくるよう、そしてそういうものを下敷きにして進めていくように、まず、その努力をいたしたいと考えております。
  131. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 まあいいですよ、関連質問ですから多くは言いませんけれども。これは、大臣、少しやってもらわにゃいけませんよ。こういうものをやったときに初めてやはりぼくらの味方になってくれるという現場にあれがわくんですよ。
  132. 内田善利

    ○内田善利君 私も主任制問題をもう一度質問したいと思いますが、有田委員並びに久保委員質問を通して聞いておりましたことをまず確認したいと思いますが、最終的には、結論として職務命令校長教頭が出すものである、主任指導助言に当たると、こういうふうに大臣お答えになったわけですが、この点、諸沢局長、異論はありませんね。
  133. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 大臣お答えになられたとおりであります。
  134. 内田善利

    ○内田善利君 主任について文部省では実態調査はされておると思いますが、完了されておりますね。
  135. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 先般も申し上げましたように、調査をいたしておるわけであります。
  136. 内田善利

    ○内田善利君 この教務主任仕事はどのように把握されておりますか。
  137. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 教務主任職務内容といたしまして、小学校六十八校、中学校六十八校、高等学校七十七校を対象に調査をいたしましたが、約二十五ほど事項が挙がっておりますが、その中で比較的多いものを申し上げますと、教育課程の編成に関すること、年間指導計画(学校行事等の企画運営に関すること)、授業管理(時間割りの総合的調整に関すること)、教材、補助教材等に関することといったようなものが比較的多い内容になっております。
  138. 内田善利

    ○内田善利君 教頭任命制に切りかえられまして、いままで教壇に立っていた教頭が教壇から離れた授業時間数、これ幾らになっていますか。
  139. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 先生の御質問の意味がちょっとはっきりしませんけれども、要するに、教頭になられて授業時間数がどれだけ減ったかということでございましょうか。ちょっとそういう調査はございません。
  140. 内田善利

    ○内田善利君 私、どうしてこういうことを聞くかといいますと、たとえば、教務主任が手当を受けるようになりますと、その教務主任のもとで働いている先生方がいまおっしゃったような、あるいはそれ以外の係がそれぞれおるわけです。そういった先生方がいままでは非常に協力的に自分たちがやってもらう教務主任でありますから、相当一緒になって教務主任仕事をしているわけですが、手当がつくことによってやはり自分授業の方に、子供の方に目がいって、手当をもらう教務主任の方には目がいくようになるかならないか、その辺わかりませんが、そうなりますと、いわゆる手当をいただく教務主任は非常に仕事がふえてくると思うんです。そうしますと、教壇から離れなきゃならないんじゃないか。ある程度教務主任あるいは学年主任あるいは進路指導主任等が決まってまいりますと、手当を受けるそういう主任が決まってまいりますと、相当数教壇の方から私は仕事内容によって離れていくんじゃないかと、そういう心配があるわけですが、その点の調査はどのようになさっていますか。
  141. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) これは先般お話し申し上げました小中高等学校実態についてまず見ますと、教務主任先生方は、ほかの主任先生方よりも若干週当たり担当時間数が少ないことは実情でございます。たとえば教務主任、小学校について言えば教務主任は週当たり担当時数二十一・五時間、生徒指導主任二十九・一時間、学年主任二十八・一時間、保健主任二十四・三時間ということで若干負担は減っておりますけれども、私どもは、さっき大臣の方針の中にもあるように、どの主任を受け持つ場合にも主任は引き続き教員として相当の時間数の授業を担当すべきである、要するに、教員としての校務活動はやはりできるだけ従来と同じようにやるようにという、こういう指導でまいりました。そうしますと、先生がおっしゃったように、実態においても教務主任という仕事が付加されるわけでありますから、やはりそれは付加された仕事に対して手当を差し上げる。そして、そのことは決して単なるローテーションではありませんけれども、常に固定するのではなくて有能な方々がその専門的能力を生かして適当な時期にまたかわって引き受けられる。こういうことにしていただきたいと思うわけでありますから、給与のためにこの主任制度というものが本来と変わった、ひずんだ形にならないと考えておりますが、そうなくてはならないと思うわけでございます。
  142. 内田善利

    ○内田善利君 そうなくてはならないと思いますが、もう一つお聞きしたいことは、若い先生教務主任になっておられる先生が多いわけです。多いというか、あの先生教務主任に適当じゃないかということで教務主任になっていただいている、あるいは進路指導先生方も若い先生がなっておる例があるわけですが、この手当制度が発足しますとそういう若い先生方はなかなか今度は寄与ができなくなるんじゃないかと思いますが、その点はどのようにお考えですか。
  143. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) もちろん若くて有能な先生でありますれば学校内の他の教員の信望もあり、そういう方をお願いするということも当然あり得ようと思うのであります。またあってよろしいわけでございますが、ただ、いまの実態を見てみますと、教務主任の平均年齢というものは小学校で四十六・三歳、この年齢は他の主任に比べますと数歳年長になっておるわけでありまして、一般的に言えば、やはり単なる年齢差ということではなくして相当の経験を積んで高い能力と識見を持たれた方が現実には主任になっておることが多いという実態ではなかろうかというふうに判断するわけでございます。
  144. 内田善利

    ○内田善利君 通例としては、そういうふうになると思いますけれども、中にはそういった適職の先生がおられるわけですね。三十になったばかりの先生で進路指導部長をしてしっかりやっておられると、そういう例もあるわけですが、そういったことがだんだんできなくなってくるのじゃないかと、この辺を恐れるわけですが、この点はいかがですか。
  145. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) その点はいまも申し上げましたように、そもそも主任というのがそれぞれの分野において専門性を伸ばし、より学校教育活動を活発にならしめるという趣旨でございますから、その趣旨を十分理解していただくならば、それぞれの学校において年齢にかかわりなく有能な方はそういうポストにつかれるものと私は考えるわけでございます。
  146. 内田善利

    ○内田善利君 それから手続の問題ですが、最初主任の任命ですね、これは各県ごとに学校管理規則の改正が行われて任命されていくものと思いますが、最初の任命のときに混乱が起きないかと心配するのですが、この点はいかがですか。どのような手続がされるわけですか。
  147. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) この点はいつかもお話し申し上げたかと思うんでありますが、要するに、主任を置くということをまず文部省令に基準として決める。その文部省令の基準に応じて各県市町村においてそれぞれの学校管理規則を改正しまして、学校にこれこれの主任を置くということを入れ、そして、その主任教育委員会が任命するのかあるいは学校校長に委任して校長が任命するのかということは、それぞれの市町村のこれまでの実状に即して各地方団体において判断していただけばよろしいと考えておるわけでありますから、格段に新しく任命の方法が変わるというわけではないと思いますので、そこに混乱は起きないであろうというふうに考えるわけでございます。
  148. 内田善利

    ○内田善利君 それから、先ほど手当の問題が論議されたわけですが、来年度の予算の中に第三次給与改善のために来年度予算で四百五十三億円を要求されておるわけですね。その内容は、文部大臣がおっしゃっているわけですが、第三次の給与改善は四種類あって、主任だけの問題ではなくて、一番大切なのは全体の先生の本俸を上げることだと、第二は、長く勤めて役づきにならない先生の給与を一等級に格上げすること、第三は特別教育活動、クラブ活動に対する手当、四番目に主任の問題があると、私の職を賭しても蔵相と予算折衝をしなければならないと、このようにおっしゃっているわけですが、実は主任制度のための予算はこのうちごく一部だと、このように言われているんですが、大体どのくらいの手当を考えておられるのか。それから、教育活動とクラブ活動に対する手当、これもどのくらいの手当を考えておられるのかお聞きしたいと思います。
  149. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) ただいま手当の内容をどう考えるかということを初中局長答弁いたします前に、先生の読まれたのは新聞からでございますか。ちょっと訂正さしていただきたいのは、一はそのとおりです。それから二がそのとおり。第三、四、つまりクラブ活動主任というのは別にどちらを上というふうには考えにくい。つまり三、四という、そこまで厳密に一番主任が低いというふうに言ったつもりはない。その論拠を申しますと、一は、人確法によって決まっておることですから当然だと。それから二は、附帯決議にございますことでありますし、さらにまた、いわゆる五段階給与にしないということがございますが、一般の教諭の方々が一等級になるということは五段階給与というような方向と逆になる、そういう意味合いにおいて、附帯決議とその点から二と申し上げたわけです。主任とそれからクラブ活動につきましては特に順位をつけていないので、ちょっとそこのところを補足させていただきます。  内容については初中局長から御答弁いたします。
  150. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) まず、本俸あるいは義務教育教員等特別手当をどれだけ引き上げるかというその幅の問題は、やはり人事院の判断にまたないと、具体的に検討しても計算の意味がないわけでございますから、その点はまだ人事院の的確な考え方は出ておりませんので申し上げられないわけであります。そういたしますと、いまの四百五十億と申しましても、その本俸ないしは手当の引き上げ分というのが金額的にも一番多いと予想されるわけでありますが、その辺が決まらないことでありますし、また主任手当につきましても、省令化するものとしていま考えておるのは四つの手当という、主任ということでございますが、それをそのまま制度化するか、あるいはもう少し加えるかというような検討も一つあるわけでございますから、それをさらに超えて、それらのうちどれを主任手当の対象にするかということは、まだ人事院も容易に判断しがたいというようなことでございまして、そういう意味で端的に申し上げますならば、いまの四つの事項を対象にしたいということで人事院に申し入れまして、資料等も提供いたしておりますけれども、現段階ではどの部分を幾らというようなことはまだ決まっていないと、こういうことでございます。
  151. 内田善利

    ○内田善利君 教頭の法制化のときには管理職手当、こういうことで論議したわけですが、永井文部大臣になって一等級、一部の教頭が一等級の中に入れるようになったわけですが、そういうふうに給与の中に繰り込まれたわけですね。手当も最初主任手当ということですけれども、これはそういう給与体系の中に入らないという保証は何もないわけですが、これはどうですか。
  152. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私は繰り返し入らないということを申しておりますし、それからまあこれはすべて議事録に残っていることだと思います。そういう重みは私は議事録にあるというふうに了解いたしているわけでございます。
  153. 内田善利

    ○内田善利君 いままでは校長、教諭、助教諭の三段階の給与があったわけですが、それが特一等級というのができまして、いま四段階になっているわけですね。だんだんこういうふうなことで学校教育現場に階級制が出てくる、そういったことになりますと、やはり中教審路線のとおりになってきたなという感じがするわけですが、先ほど教育基本法を見ておりましたら、第六条の二ですね、「法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であって、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならない。このためには、教員の身分は尊重され、その待遇の適正が、期せられなければならない。」ということで、私どもは教員を使命職として位置づけておるこの教育基本法の指定精神を尊重しているわけですが、これとだんだん矛盾するようなことが起こってきているんじゃないかと、こう思うんですけれども、どのようにお考えですか。
  154. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) いまの六条の精神は、全体の奉仕者ということで、私は教育を使命職というふうに先生の党が言っておられることも承知しておりますが、他方には、聖職という人もありあるいは全体に奉仕する専門家だと、私自身もかように認識しているわけでございます。いまの給与特一、それから一等級という問題でありますが、それにつきましても、国会の附帯決議で教諭の中から一等級も出てくるという道を開くべきだ、私たちも、そう考えるわけでありますから、これは教諭の中にも教頭になられなくても、やはり一等級の方が出てくるという意味で、教諭と教頭がそういう意味では同列に並ぶという部分も一方にあらわれるということであります。したがいまして、私はもちろん、全体の奉仕者という教員の基本的な性格を最も重んじるべきだと思いますが、その方向とそれからいま私どもが今後の給与のあり方について議論をいたしておりますこと、議論といいますか、考えさせていただいておりますこととに基本的な矛盾というものはないのである。というのは、やはり一つ学校があれば教頭校長という方々が責任を持たれる、そこは非常に重要だと思いますし、それから助教諭、教諭のところもこれはある程度の別があるということは認め得ることではないだろうか。問題は、ですからさらに上級教諭ですか、そういう式のものを設ければ、これはもう非常に複雑なことになるのだと思いますが、そういう方向を目指しているのではないという考えでございます。
  155. 内田善利

    ○内田善利君 主任は上級教諭を目指しているものではないと、こういうことですね。  それともう一つお聞きをしたいのは、現在、教頭になるための試験が行われているわけですが、この教頭試験を受ける基準といいますか、資格といいますか、これはどうなっておりますか。
  156. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 試験を受ける資格という場合に、まず、その教頭になり得る資格というのが何かということがあるわけでございまして、学校教育法の施行規則では、教頭の資格は、免許法による各相当学校の教諭の一級免許状を有し、かつ五年以上教育に関する職にあったこととする、一級免許状プラス五年の経験というのが教頭になる資格でございますから、県においては、そういう資格のある人でさらに現場の実施指導等を考えて適宜この経験年数をどのぐらいにするかというようなことで試験をやっておるというのが実情でございます。
  157. 内田善利

    ○内田善利君 東京都では五年以上が十年以上になっておりますね。そして年齢が四十歳以上と、こういうふうになっておりますが、非常に何といいますか、ゆるやかといいますか、だれでも十年以上、四十歳以上になれば教頭になれると、こういうことだと思いますが、これが先ほどの大臣意見にもありましたように、教頭試験を受けるときに主任経験ということがその基準にならないかどうかという問題ですが、これはいかがですか。
  158. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 私は理論的といいますか、理屈から言いましても教頭さんは必ず何か主任をやらなければ教頭になれないのかどうかということを考えますと、事実問題として有能な方は何らかの形で恐らく教頭になる前に主任経験されると思いますけれども、条件として主任経験したことというようなことは規定するべきものではなかろうというふうに考えるわけでございます。
  159. 内田善利

    ○内田善利君 それともう一つは、省令化されて管理規則も決まって主任が任命になるということになりますと、どういう基準で、非常に教務主任の場合は、教務的なそういう手腕にすぐれておるというようなことになると思うんですが、それを判断するものですね、どういう物差しで判断していくのか、だれが判断していくのか、この点はどうなりましょうか。
  160. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) やはり、そういう学校内においてどの先生が一番教務主任としてやっていただくのに適任かということを一番よく知っておられるのはやはり校長先生だと思うわけでございます。したがって、校長先生はそういう点についてはもちろん学校内のいろいろの先生方意見も聞きながらやはり校長が判断をして、そしてそれを教育委員会に報告するなり内申するなりということで主任をお願いするというのが一番適当な形だろうと思っております。
  161. 内田善利

    ○内田善利君 そこが問題だと思うんですけれども、いままでは先生方で民主的に、今度はどの先生になっていただこうということで主任が決まり、そしてそれに協力した態勢できているわけですが、今度は校長が任命するということになりますと、やっぱり職員室内に不協和音ができてくるんじゃないかと、そういう心配があるわけですね。いわゆるヒラメ教諭ということになって上ばっかり見て子供たちに向かないでこっちへ向いてくるということが起こり得るんじゃないか。いままではお互いに決めてうまくいっていたものが、そういう校長任命ということになりますとごますり教諭といいますか、上の方ばっかり見て子供からどんどん離れていく、そういうことになりかねないと思うんです。子供たちは、親が仲がいいと、両親の空気がいいと子供もすくすく育ちますけれども、よく親を見ていますから、学校でもやっぱり先生ほど尊敬する先生はいないという立場から先生をよく見ているわけですが、だんだん職員室内のそういう暗い空気といいますか、そういう空気はよく見てとっていくというようになれば、学校経営というのがうまくいかないのではないか、このように思うんですが、この点はどのようにお考えですか。
  162. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) これは運用上の問題でありまして、私は先生が言われるようなおそれもあると思います。そこで、いまの御注意のような点は私たちとして肝に銘じて、聞くだけでなく、またわれわれとして自治体の教育委員会に対して指導助言を行う場合にも、こういう点を非常に明確にしていくことが必要だと思います。現状もちろん校長が任命される場合にも、校長先生が全く独断専行して全然学校全体のことを顧みないで教務主任をお決めになるということは実際少なくて、職員の、先生方の御意見を伺ったりしているというふうに私も理解いたしておりますが、やはりそういう慣行といいますかは非常に大事でございまして、この制度ができることによって、先ほど先生がおっしゃいますように、子供の方より上の方を向く先生ができるというようなことになってはまことに願っていることと反するわけでありますから、先ほどからのような御注意の点というものを、どのように、われわれの文部省指導助言の中に盛り込んでいくかということは十分配慮いたさなければならないと考えております。
  163. 内田善利

    ○内田善利君 それと、先ほどの有田委員の御質問の中にあったんですが、運動会のときに校長教頭がいなくなった場合、これは現場ではそう心配することはないと思うんですね。大体、運動会の前にはそれぞれ役割りが決まりまして、種目の選定の係もできますし、そういうことで「川中島」をやるかやらないか等は、そういう役割りのところで行われるわけですから、これは心配ないと私は思うんですが、やはり管理的な立場考えれば校長はいない、教頭はいない、どうするかということになってくると思うんですが、民主的に運営されている以上は、そういう心配はなくなってくるわけですね。そういうことがすべての場合に言えるわけですね。そういう現在の空気が壊れないように、私は政治的なあるいはイデオロギー的な、そういう立場でこの主任問題は一つ考えておりません。学校運営がうまくいくようにという考えで、現在の職員室の中の空気が、主任制が省令化されることによって壊れることのないようにという立場からいろいろ質問しているわけですが、ひとつ、そういう点は十分検討していただいた上でやっていただきたいと、そう思うわけです。幸いにして本委員会で小委員会をという考えでございますので、十分検討をした上、また国民の世論もよく検討された上、決めていただいて、急ぎ過ぎて失敗しないようにしていただきたい。このように思うわけですが、いかがでしょうか。
  164. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私の記憶に誤りがございませんければ、先般、先生学校によっていろいろ実態が千差万別のところがある、そこで画一化というふうなものをもたらさないようにということもおっしゃったように思っております。私は、きょうのお話といい、それから先般のお話といい、要するに、この制度が現在ある学校の現状よりもなお教育指導というものを強めていく上に役立ちたいという考えでございますので、いろいろ御注意の点、これは十分私たちとして配慮すべきことであると考えております。  さらに、最後に、やはり期限よりも手続であるということについての御確認がございましたが、これは繰り返し申し上げますように、私のその点についての考えは同じでございます。   〔理事久保田藤麿君退席、委員長着席〕
  165. 加藤進

    ○加藤進君 私も主任制度の問題について質問いたします。  若干さかのぼりますが、昨年の二月、人確法の審議の際に、私は教務主任学年主任など、上級教諭を新設して五段階給与を目指すものではないか、こう文部大臣質問いたしました。当時の大臣は奥野文部大臣でございますが、そのような考えは全然持っていませんと、こう答弁されたわけであります。  そこで、確めておきたいのでございますけれども、永井文部大臣もまた、人確法の趣旨は、教務主任学年主任などの上級教諭を新設するためのものではない。こういう御見解に立っておられるのかどうか、まずお尋ねいたします。
  166. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 人確法の趣旨は、いま先生がおっしゃいますように、やはり学校を魅力ある場としてすぐれた人材を学校に迎える、それが人確法の趣旨であると考えております。
  167. 加藤進

    ○加藤進君 しかも、人確法は財政上の措置をとるということを明記してあると思いますが、その点はいかがでございましょうか。
  168. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 先生の御指摘のとおりと考えます。
  169. 加藤進

    ○加藤進君 第三次の給与改善というのは、その内容で今度文部省考えておられるような制度の省令化ということを義務づけているものかどうか、この給与改善を行う、給与改善を受けるためには、今度のような文部省主任制度をどうしても創設しなくてはならぬ、こういう義務が課せられてきておるのかどうか、そうでないのかどうか。
  170. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 義務が課せられているのでないと思います。
  171. 加藤進

    ○加藤進君 そうしますと、第三次給与改善というものを受けるために、必ずしも今回のような文部省主任制度創設導入ということはなくても済むと、こういうふうに理解していいですね。
  172. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 省令化を義務化して、そして第三次給与改善というものが行われるのでないことは、これは先生の先般の御質問に答えて申し上げましたように、最も重要なのは全教員の教与の改善を目指すことでございますし、第二番目には、先ほども申しましたように教諭の方の一等級、教頭と同等の待遇を図ることでございます。したがいまして、そうしたものはいま主任に関連いたしまして省令化のお話が起こっていることと全く別個のことでございます。そして第三次給与改善にわれわれ臨み得るわけでありますから、そのような関連において私たちは省令というものを理解しているわけでございます。
  173. 加藤進

    ○加藤進君 人確法の趣旨も、そのような制度改革ということを特別義務づけてはいない、財政上、人材を確保できるような措置をとりなさいということを明確にしている。第三次給与改善も、また文部省のいま考えておられるような省令化を義務づけるものではないんだということになりますと、今度の省令化の根拠法になるものは一体どういう法律なんでしょうか。
  174. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 省令の根拠になりますものは、法律的に申しますと学校教育法だと思いますが、つまり文部省としては、やはり学校の制度運営というものを常に改善していくということが大事な仕事でございます。そうすると、それは人確法の精神と全く無関係なものであるかというと、それは私が先般も申し上げましたように、「調和ある学校運営」についてということが第三次給与改善で考えるべきことだということで申し上げましたが、そもそも人確法というのは、私はやはり学校というものがよい仕事の場になるといいますか、当然教育の。そして、そこにすぐれた人材を集めてくるということでございますから、そういう関連で望ましいあるいは調和のある学校運営というものをそこに入れたわけでございます。そのような観念において理解いたしておりますが、省令化それ自体の法的根拠ということになりますと、それは学校教育法というふうに考えております。
  175. 加藤進

    ○加藤進君 私は、委員長にお願いいたしますが、いま文部大臣は、この省令化の根拠になるものは学校教育法であると、こうおっしゃいました。したがって、今後の審議に当たりましても、どのように学校教育法が今度の省令化についての根拠になり得るものであるかどうか、その関係はどうであるかということの資料をひとつ委員会に出していただきたいと思います。
  176. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) ただいま大臣の御説明いたしました趣旨は、学校における主任制度を省令化する、その省令というのは何かと言えば学校教育法の施行規則でありますから、そういう意味で省令化の根拠は学校教育法であるというふうに申し上げたのでございまして、その点は、先生の御質問趣旨がちょっと私にもよくわからないのですけれども、そういう意味での根拠ということでございます。
  177. 加藤進

    ○加藤進君 まだ——大臣の見解はお聞きしておりますけれども、しかし省令化の具体的内容は存じておりません。しかし、いま根拠は学校教育法にあるとおっしゃっておるわけでございますから、いま考えておられ、構想されておられる主任制度の創設と学校教育法との関係について資料を御提出願いたい、こういうふうにお願いしておるわけでございます。よろしゅうございますか。
  178. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  179. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 速記を起こして。
  180. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 現在、その学校教育法の施行規則には、たとえば保健主事とか進路指導主事とかというような主任に当たるような職といいますか、職務の根拠規定がございますが、いまの主任の問題を省令化する場合にはそれと同じように考えてよろしいかと思うわけであります。  ところで、いまのあります保健主事とか進路指導主事学校教育法の施行規則に規定する根拠は何条かと言いますと、学校教育法の第三条に「学校を設置しようとする者は、学校の種類に応じ、監督庁の定める設備、編制その他に関する設置基準に従い、これを設置しなければならない。」、つまり、主任というようなものは学校の編制に当たるわけでございますから、その根拠規定によって省令を規定する、こういうことでございます。
  181. 加藤進

    ○加藤進君 その点は保留しておきます。  先ほどの御答弁によりますと、学校における職務命令の出せるのは校長教頭だけである、こうおっしゃいました。主任にはそのような職務権限はございませんという御答弁ですね。そこで、主任というものの任務は、校長教頭の出す職務命令に基づいて指導助言を行うものである、こういうふうに理解してよろしゅうございましょうか。
  182. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 先生の御質問の意味をいま考えていたわけですけれども、やはり一つ学校におきましては校長教頭職務命令によって指導助言仕事主任が遂行することになるんだと考えます。
  183. 加藤進

    ○加藤進君 私が特にこの点をお尋ねをしたのは、職務命令にもいろいろあります。そしてまた、その適用の範囲や限度もいろいろあると思うんですね。そこで、いま言われる主任は、省令化されるであろう主任はどのような意味でも職務命令は出し得ないものである、一般的な意味で全校一般化されるような職務命令は言うまでもなく、たとえば、一学年に関する職務命令を出すというようなことや、あるいは体育という特定の領域についての職務命令を出すということもできない、こういうふうに明確に理解してよろしいかどうか、このことをお尋ねしておるわけであります。
  184. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 先ほど申し上げましたように、主任職務命令を出すというふうには私ば考えていないわけでございます。
  185. 加藤進

    ○加藤進君 そうすると、主任というのはいわゆる上司ではない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  186. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) いま先生いわゆるというふうにおっしゃいましたけれども、いわゆる上司でない、そのいわゆるというのは、先ほどから議論がたくさんありましたが、そういう上司でないということだと思います。
  187. 加藤進

    ○加藤進君 私が特にいわゆるという言葉を使ったのは何も意図的なものではございません。いわゆるでなくて正確に上司と言っていいはずのものでありまして、これはよく皆さんのお使いいただく「新学校管理読本」の二百四十五ページ、二百四十六ページにわたるものでございます。「上司だから職務命令を発せられるというよりも職務命令を発せられるような職務を持っているから上司なのである、」三段論法をもってすれば職務命令が出せないような者は上司ではない、こういうことですね。  続いて、「これを学校に即して考えてみると、ある教職員の職務について総括し、指揮する職務を校務分掌上与えられている職員がいれば、その者がその教職員にとって職務上の上司となるわけである。」、こう書いてあります。その意味の職務上、「ある教職員の職務について総括し、指揮する職務」というのは、校務分掌上与えられているという点ではこれは校長及び教頭を指すものである、こういうふうに明確にしてよろしゅうございましょうか。
  188. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私はこの本の読者でないのでありますけれども。しかし、いま先生がおっしゃいましたその部分を見ておりますが、私が申し上げております意味は、学校職務命令を出して統括していくという人が上司である、それは校長教頭であるということになると思うわけでございます。
  189. 加藤進

    ○加藤進君 私は何も怪しげなところから出典を出しておるわけじゃございませんね。これは研究会と言いますけれども、ここで責任を持って編集されておるのは文部省地方課法令研究会別府哲氏、わかるでしょう。それから「改訂にあたって」は文部省地方課法令研究会の鈴木勲地方課長でございます。そこで、私は聞いているわけなんです。そこに、いま言われたように職務命令を出すのは校長教頭に限るということでありますと、これはきわめて不明確ないわば記述であるというふうにもとれるわけですけれども、なお続いて、こう書いてあります。「したがって、学年主任とか教務主任も、」——いいですか、「学年主任とか教務主任も、職務の与え方にもよるが、一般的には当該学年仕事に関しては、あるいは教務に関しては一般の教職員に対して上司立場に立つと考えてよいであろう。」と書いてあります。間違いですね。間違いということなら、私たち文部省は現在このような説はとりませんというふうにはっきり言われて、こういうものは本来もう文部省から訂正して、むしろこれは廃棄処分にするかなんかしていただかなくてはならぬものじゃないでしょうか。いいですか、これで。この記述で、いいとおっしゃるならおっしゃるで、いまの文部省見解は違うじゃないかと言わざるを得ない。
  190. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私の考えは、このいま先生がお読みになりました説と違うのです。私の考え方は……
  191. 加藤進

    ○加藤進君 違いますね。
  192. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) はい、ただこれは法例研究会で出しておるものでございますから、私の理解文部大臣見解です。
  193. 加藤進

    ○加藤進君 それが正確に文部省の正式見解であるということだけいま確認しておきます。  恐らくこの主任制度が実施される段階では各学校長は非常に困ると思うんですね。数の多い主任の中から特定の主任を選んでこれを教育長に内申しなくちゃならぬ、こういう問題が出るわけであります。この場合に、従来の主任はもはや主任というに値しないものになっていて、新しい任命された主任だけがいわゆる主任なんですね。その新たに任命された主任の特別の権限、従来の主任と異なる特別の権限あるいは任務というのは何だと、そのことをお聞きしたい。
  194. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 文部省令の段階では、従来お話してまいりましたように、いまのところ四つの主任を基準として考えるということでございますが、これを受ける市町村の教育委員会が管理規則の中に規定する場合に、基準としてそこに四つの主任を置くものとすると仮に書くとすれば、その四つは置くでしょうけれども、そのほかについても給食主任であるとか保健主任であるとかいうようなことは、それぞれの教育委員会において必要であると判断すれば同じように置くわけでございますから、その意味においては、その主任性格が特に違って規定されるということは私はないと思っております。
  195. 加藤進

    ○加藤進君 そうしますと、具体的にいま挙げましたように、ある学年に五つのクラスがある。したがって、各クラスに学級主任がいる、その中で、いわゆる主任をとにかく選んで教育委員会に内申して任命を受けなくちゃならぬ、こういうことになりますね。そうした場合に任命を受けた新たなる主任、任命された主任はいままでの主任との間に何にも違いはないんですか。
  196. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) ただいまその学級主任教育委員会に内申して任命させると、その場合、教員委員会名は市町村教育委員会の意味だろうと思いますけれども、そうおっしゃいましたが、それは市町村の教育委員会が任命するという管理規則の規定の仕方をすればそうなるであろうということでありまして、そういう学年主任については校長に任命をお任せしますという管理規則をつくればそれは校長限りで任命するわけでございますから、それは再々申し上げますように、地域の実態やこれまでの実情を考えて個々の教育委員会が判断しまして、どういう形で任命するかを決めていただければよろしい、こういうふうに思うわけでございます。
  197. 加藤進

    ○加藤進君 そうしますと、あるときには教育委員会が任命し、ときには校長がみずから任命する、こういう形になるわけですね。そこで、一番困るのが校長だと思うんです。私は何も校長さんのすべての意見を聞いたわけではございませんけれども、私の聞いた範囲におきましても、あるいは新聞のいろいろな声の中でも、この校長の悩みと申しますか、新しい主任制度ができたならば一体教育現場はどういうふうになるのかというさまざまな疑問や問題が出てきておることは、恐らくこれは調査された文部省当局もよく御存じだろうと思いますね。私は、ここに十二月十四日の毎日新聞の投書、これを出しておられる方は元中学校校長です。どう言っておられるかというと、中学校校長をやっていたという「私でさえ今回の制度化には反対である。主任制学校により多少の差はあるが、どの学校でも現に民主的に行われている。」そうですね。「主任になった先生仕事については、全職員が校務分掌で軽重のないよう、分担し合っている。」ところが、「主任にだけ手当を出すなんておかしなことになる。」というような率直な疑惑が出ております。これは当然な私は疑惑だと思います。  また、十二月十五日の朝日新聞「先週の声から」という欄がございますが、ここに、読みますと、「永井文相が打ち出した教育主任制度構想については圧倒的に反対論が多い。」、こう書いてあります。こういう状態文部大臣は率直にお認めなさるのかどうか御認識いただいておるのかどうか、その点をまずお聞きしたいと思います。
  198. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私はいまの記事も読んでおりますから認識をいたしております。ただ申し上げたいことは、本委員会は全くそういう意味で特別でございますが、実に詳細にこの主任についての私の考え方というものについて御討議をいただいておりますが、まだ事実上は私が書きましたものが一般の方々の目に触れていないというのが実情でございまして、そのことから十分に御理解をいただいていないというふうに私は考えている次第でございます。したがいましてそういう意味におきまして、本委員会でそうしていただいておりますように、これは文部広報だけが一応全文を載せましたのですが、今後努力をいたしまして、やはり十分御理解いただけるように運び、そうしていまありますような御疑問に対して答えなければいけないと思っております。
  199. 加藤進

    ○加藤進君 私は、そういう文部大臣の御見解も御見解として聞いておきます。しかし、教育というものほどいわば先生の間のチームワークの必要なものはないと思うのです。そのチームワークが、たとえば五学級主任の間で一人が特別任命を受けた、給与を受ける、こういう状態になったときに、果たしてそのチームワークが維持できるかどうか、非常な困難な事態を私たちは全国的に考えてみなくてはならぬ問題だと思います。そういう問題についてわれわれいわば教育に携わる者にとっては、教育に波紋を拡大させないような具体的な謙虚なやはり態度による措置が必要である、こういう点につきまして私は特にこの主任制問題につきまして、まだ約十時間とちょっとしか国会における審議はしておりませんけれども、ぜひとも私は国会におきましても現場の教師の率直な悩みや問題をぜひ生き生きとここに反映さしていただいて、国会において今後とも十分に私は審議を続けさしていただかなくてはならぬ、こういうふうに考えますけれども、まず文部大臣の御所見をお尋ねいたします。
  200. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) これもどうも繰り返しになりますのですが、私は手続が大事であるということを申しておりますから、いまの社会一般の御理解というふうなことについて大いに努力しなければならないと思っております。ただ、国会の手続をどうするかという問題について、私は行政の立場におりますから、それは私自身がどうこう申し上げる筋合いのものではないというふうに考えます。
  201. 加藤進

    ○加藤進君 これは、この問題についての最後の要望も含めて申し上げたいわけでございますけれども、文部大臣は常に、国会の審議は尊重しますと、時期よりも手続が大事でございます、こういういわば真意を吐露されたわけでございますが、私たちは、この省令化というような行政措置、これにはまだまだいろいろな問題点を持っています。これは十分に論議しなくてはならぬわけでございまして、その一つ一つを十分に審議しつつ、お互いの合意が可能ならば合意をわれわれ自身の活動によって、闘いによってつくり出していく、こういうことが国会においても私は党派を超えて必要だと考えております。そういう手続を十分とった後でなければ省令化というような行政措置をとるつもりばない、そこまでじっとがまんして待とうというくらいのお気持ちがあるかどうか。最後にその点をお聞きしておきます。
  202. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) いまの問題については三点あると思います。  まず、国会の御審議を尊重すべきであるということは、これは申すまでもないことでございます。私は繰り返しその点も申し上げております。第二番目に、手続が重要であるということは、国会はもとよりでございますが、そのほかのものも含むということでございます。第三番目の点は、省令化の責任というものは行政官庁責任をもって行われる。そうした三つの点が先生の御質疑に関連して生まれてくると考えております。
  203. 加藤進

    ○加藤進君 では、あとの若干の時間をいただきまして、ひとつ、きょうも請願の予備審査を行いましたが、その中で私たちが問題にした請願の問題を御質問申し上げたい。  これはもう再三にわたって文部省文化庁にも請願が、あるいは陳情が参っておる問題でございますけれども、全国子ども劇場、おやこ劇場に対する文化庁助成金に関する請願というのでございます。この問題についてどのような予備審査が行われたかということは詳しく申し上げません。しかし、各党とも、この中の趣旨である「全国子ども劇場、おやこ劇場に対して、大幅な助成金を交付されたい。」という趣旨理解できると、支持していただきました。ただ、その後段に至りまして若干異論が出たわけでございまして、これはついに保留となりました。私は、保留となったからといって、文部省やあるいは文化庁が、この問題についてはもうわれわれの取り上げるべき問題じゃないというふうに考えていただいては困ると思うわけであります。  その一つは、私は去る国会におきまして、この点についての助成方を特に永井文部大臣に懇切にお願いを申し上げました。そのときの御答弁文部大臣も御存じのとおりでございまして、「子ども劇場の重要性を認め、助成については時間をもらって勉強したい、その場合前向きに検討する、」こういうふうにおっしゃっておられるわけでございます。私は、その点で、恐らくこの問題についてまじめな御検討を文部省内において、あるいは文化庁の中においていただいたと思っておりますので、その後どのように検討され、どのような措置をとられる方針なのかをお聞きしたいと思います。
  204. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 青少年にすぐれた芸術を鑑賞する機会を多く与えるということが大切なことは、先般の御質問にも出ておったとおりでございます。文化庁といたしましては、そうした趣旨を実現いたしますために、主催事業といたしまして、音楽、バレー、オーケストラ、児童演劇、合唱の五種目につきまして、こども芸術劇場の名のもとに地方に巡回公演を行いまして好評を得ておるわけでございます。来年度におきましても、御指摘のような趣旨もございまして、さらに、この事業を拡充をしたいということで予算要求もいたしておるような次第でございます。ただ、その後、「全国子ども劇場・おやこ劇場連絡会」から補助金についての御要請もございまして、その内容も検討いたしておるところでございますが、御要請の内容を拝見をいたしますと、連絡会が全国の連絡会議をやる、あるいは全国大会をやる、こういうことで、経費の種目といたしましては旅費、宿泊費、日当、会場費といったようないわゆる管理費が内容でございます。そうした御要請でございますと、芸術文化の振興という趣旨から申しまして必ずしも補助金になじまないという面もございまして、引き続き検討をさせていただきたいということでございます。
  205. 加藤進

    ○加藤進君 この請願書には全国十七万の署名が寄せられておりますし、またこれは、自民党を初めとする各党の皆さんの御賛同を得まして、国会議員としても二百二十九名の議員の御署名あるいは紹介議員になっていただいておるという現状でございます。ぜひとも、このことも十分に御考慮ただきまして、この件の助成方について従来のお約束どおり前向きにひとつ御検討を賜りたいということをまず心からお願いをしておきます。  加えて、先ほども文化庁長官の御説明にもございましたけれども、子ども芸術劇場については相当大幅な助成を今度の予算の中でも要求しておると、こういうお話がございました。私の聞くところによりましても、今年度は一億三千万円であるものを一億七千五百万円までとにかく要求する、こういう意欲的、積極的な姿勢が見られるわけでございまして、その点につきましては私は決してこれに反対するものではございません、結構だと思います。しかし、文化庁あるいは文部省が現在の子ども劇場運動なるものをどのように理解しておられるかということになりますと、全国的な現状をながめてみて、若干危惧の念に駆られるわけでございます。その細かい点は私は申し上げませんけれども、各都道府県におきまして公演回数にきわめて大きなアンバランスがあります。ある市では年に二回も行われておるのに、あるところでは二年も三年も実施されておらないというようなところがあります。また、収容人数から言っても、小学校の五年生、六年生に限定されたり、市の中心部の学校だけにしか見せないなどというようなことがいまだに行われておるわけでございます。もちろん、それにはそれなりの実情があるでしょうけれども、同じ学校でなくもっと広い地において開催していただきたい。できないものかどうか。子供に見せたかったが対象から外されてとうとう見ることができなかったなどという、いわば嘆きや不満の声も出ておるわけであります。非常に限られておるということです。そういう点を考えてみるならば、子ども劇場あるいはおやこ劇場の運動というのは全国非常に広範囲に行われています。そしてこれは、単に鑑賞的な運動ばかりでなく、子供のスポーツ運動、体育等々を含めて、子供たちの健やかな成長と新しいいわば子供たちにとっての文化的な素養をつけていくために非常な大きな役割りを果たしておる、私は、そう見るべきだと考えておりますし、そういう趣旨が御理解いただいておるからこそ二百二十九名もの国会議員の御賛同を賜っておる運動ではないか、こういうふうに考えておりますので、その点につきましては、子ども劇場運動にだけこれだけ力を尽くしておるから、また、いろいろその内容や運動について問題があるからということだけに終わらないで、ぜひとも、子供たちの将来のために必要なことならば、あくまで文部省文化庁がそのための助成の努力を払っていこう、これは一に運動に参加しておられる父母や子供たちの問題だけではなしに、全国民の、将来を担う国民の大きな芽生えと発展の、成長のやっぱり大きな運動である、これまた私はこの前の質問におきましても再三文部大臣にも申し上げたわけでございまして、その点の御理解を賜ったわけでございますが、ぜひともそういう文部大臣趣旨に照らしまして文化庁長官もひとつこの点につきまして抜本的な御努力を賜りたい、このことを心からお願いして、その点についての御決意をお聞かせいただきまして私の質問を終わりたいと思います。
  206. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 先ほども申し上げましたように、青少年にすぐれた芸術に触れる機会を少しでも多く与えるということは御指摘のとおりでございます。ただ、その方法の問題でございますが、私どもは、先ほど申し上げましたように、子ども劇場というものを拡充してまいりたい、こういう方法に当面力点を置いていきたいということでございます。まあ、繰り返しになりますけれども、子供に芸術を普及するということの必要性につきましては全く同感でございます。ただ、連絡会から具体的に御要望のある事柄を検討いたしますと、先ほども申し上げましたように管理費でございます。まあ、例を申しますと、文部省は年来私学助成には大いに努力をいたしておるわけでございますが、私学の相互の全国大会を開くといったような事柄に対しましては、これは補助金としてはなじみがたいということで、そういう補助金を支出していないわけでございます。ですから事柄の趣旨がいいか悪いかということと、具体的な事業内容についてこれを補助金の対象にするかしないかということは、これはまた、別個の問題として考えてまいりたいということでございます。
  207. 加藤進

    ○加藤進君 その点につきまして一言だけ補足いたしますと、あの八百万円という金額を具体的に出されたり、それは大会を開催するあるいは大会の運営費に充てるための八百万円だということまでいとも具体的に出されたということなんでございますけれども、それにはそれなりの理由があるんです。その理由の最大の問題は、それが文部省文化庁から出たということでございまして、私たちもその話も聞きました。こんな形で助成をお願いしてもなかなか筋が通りにくいじゃないか、この点なら社会教育のほうの窓口になるんじゃないかというようなことを申し上げましたら、実はお願いに行ったときにそういう趣旨で社会教育の窓口なら出してもらえるかもしれないというようなことが文化庁あるいは文部省の内部で言われたんでございまして、言われたために、それならといってお母さんたちはその趣旨を書いて請願をされたわけでございまして、私は決してこのような方法を唯一の方法とし、あるいは唯一の目標としてお願いしているわけではない。その点を私は特にここで訴えたいわけでございまして、きょうのこの請願の予備審査につきましても、前段の大幅な助成をお願いしたいという趣旨にはわれわれは十分に賛成だ。しかしそのあとの問題については、できれば削るか括弧の中に入れたらどうかというような配慮まで行われたわけでございますが、そういういきさつがここには存在するし、相手は何も法令もあるいは窓口も十分に御存じのない母親の皆さんの自主的な運動であって、それは文部省の側から言うと、この趣旨では困ると言われるなら、困るならばではもっといい方法はこうではなかろうかと、ひとつ手を引いて教えていただくような御努力も私は賜る必要があるのではないかと、これを私は文部大臣あるいは文化庁にお願いし、最後に文部大臣もう一言この点につきましての御決意のほどをお聞かせ願いたい。
  208. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 私も文化庁に参りまして期間が短いのでございますが、ただいま御指摘のように事前に文部省文化庁なりあるいは社会局がこうした内容で要請されてはどうかという御指導をいたしたということは私は聞いておりません。むしろ、まあ事務的に申しますならば、事前に何らの御連絡なくこうした内容を突然お持ちになったということでございます。むしろ、どうした方法が適当かというようなことについてさらに関係の方々からよくお話を伺いました上で結論と申しますか、お互いに検討すべき問題であろうと思います。
  209. 加藤進

    ○加藤進君 はい、よろしくお願いします。  終わります。
  210. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時三十四分散会      —————・—————