運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1975-12-11 第76回国会 参議院 文教委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十一日(木曜日)    午後一時十一分開会     —————————————    委員異動  十二月十日     辞任         補欠選任      向井 長年君     中沢伊登子君  十二月十一日     辞任         補欠選任      小巻 敏雄君     河田 賢治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         内藤誉三郎君     理 事                 有田 一寿君                 久保田藤麿君                 久保  亘君                 加藤  進君     委 員                 山東 昭子君                 志村 愛子君                 高橋 誉冨君                 中村 登美君                 藤井 丙午君                 宮田  輝君                 秋山 長造君                 粕谷 照美君                 鈴木美枝子君                 宮之原貞光君                 内田 善利君                 山田 徹一君    国務大臣        文 部 大 臣  永井 道雄君    政府委員        文部大臣官房長  井内慶次郎君        文部省初等中等        教育局長     諸沢 正道君        文部省大学局長  佐野文一郎君        文部省体育局長  安養寺重夫君        文部省管理局長  清水 成之君    事務局側        常任委員会専門        員        瀧  嘉衛君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○教育文化及び学術に関する調査  (当面の文教行政に関する件)     —————————————
  2. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  先般、久保君から提出されました主任制度に関する小委員会を設置することの動議につきましては、引き続き、その取り扱いを理事会において協議すること、以上、本日の理事会決定いたしましたので御報告いたします。     —————————————
  3. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 委員異動について申し上げます。本日、小巻敏雄君が委員辞任され、その補欠として河田賢治君が選任されました。     —————————————
  4. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 教育文化及び学術に関する調査中、当面の文教仁政に関する件を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 鈴木美枝子

    鈴木美枝子君 この間、九日、文部大臣の御意見をここで聞いておりまして、文部大臣大臣におなりになって一年でございますね、私は国会に入って四年になります。この四年間委員会文教委員会だけでございます。こちらでの体験を一言申し上げたいのでございますけれども、私の体験から言いますと、強行採決という——私の口から言うと暴力的なやり方がほとんどでございました。たとえば、いま問題になっている主任制でございますけれども、この主任制の大もとになっている中教審答申での教頭法案のときも強行採決。それから人確法のときも強行採決筑波大学法案のときも強行採決、この強行採決をしながら中教審答申を構築していくというあり方。私は管理体制の中で、文部大臣主任問題でいかに対話といっても対話では補われない問題の中教審答申の最後の仕上げのような感じがするのでございます。大臣はここに入って一年間でございますから強行採決御存じない。でも教育者立場として中教審問題に絡めての主任制問題をどうお思いになっておりますか。
  6. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) ただいまの鈴木先生の御質疑にお答え申し上げたいと思います。中教審答申というのは非常に分厚なものであります。したがいまして、その内容に多くのものが含まれております。先生の御指摘のように、その中に含まれた問題に関連をいたしまして制度がつくられていきます過程において強行採決というものが行われたということはきわめて遺憾であります。  なお、私は国民にお約束をいたしまして、そして教育を政争の外に置く、静かな場所にしなければならない、それを任としてこの職につくということを公約したわけでありますから、その公約を履行することができなかったことについて私は国民に対しておわびを申し上げなければならないと考えております。  さて、中教審答申の中で主任制度の問題をどのように考えていくか、これにつきましては、私は実は文部大臣見解というものを表明いたしましたからそこに詳細なものがございますが、実はこの校長教頭という人たちがいまその職にありますけれども、そして先生の御指摘のとおり、教頭制度化する過程において非常に国会においても激しい論戦になった。そして決定においても激しい過程を経たということを承知しております。私は実は主任問題に入る前にそのことを申し上げさしていただきたいのでありますが、さて、その教頭ができましてから、主任問題に先立って、私がこの問題を就任以来検討して一番腑に落ちないことを申し上げます。一番腑に落ちないことは、校長教頭という二人の人がいるんですが、そして実は中教審答申には学校運営には管理というものと指導と両方なければならないと書いてあるんです。ところが、実は教頭ができましてから今日まで、教頭というのは何をするのか。つまり学校授業あるいは児童との接触、そういうふうなことをするのかということは十分論議されていないんです。実態はどうであるかというと、まず、校長先生はほとんど授業はお持ちにならない、まあ朝の訓辞なんかはされますが。そういう姿であります。教頭先生もそれと非常に似たような姿に、全部がそうではないですけれども、似たような姿になっているということが私はこの主任問題の検討の過程でわかったのです。これは実は私は中教審答申の言っている趣旨にも反するものだと思います。校長教頭というのは、そうあるべきものでない。それはいろいろ学校の規律を重んじていく上での仕事があるでしょうけれども、しかし校長とか教頭というのは法学士ではないのでありますからそして教育界のベテランなんであります。でありますから、何といっても重要なことは、その学校の中の教育というものを引っ張っていくというか、先生方意見を生かして引っ張っていく上で仕事をしなければならない。このことを定義しないで、私として提案をしないで主任制度問題に対して見解を述べるべきものではないという結論に到達いたしました。したがいまして、私は今日までの経過、教頭を法制化するに当たっての教頭についての議論の仕方というものが間違っていたのではないか。そして今日までそのことが明らかになっていないのはやはり間違いである。そういう考えです。そのことを先般の私の見解の中にも記しました。そして、それをはっきりさせて主任というものを考えようではないかと、こういう考えでございます。   〔委員長退席理事久保田藤麿君着席〕
  7. 鈴木美枝子

    鈴木美枝子君 私は、いま永井文部大臣のおっしゃったことに大変賛成でございます。私はこの中に入りましてから四年間、強行採決強行採決によって中教審答申の問題を構築化していく中での九日の日に永井文相教育基本法第十条を持ち出してここに曲げることはできないとおっしゃったことを私はノートに書きとめておきました。そしてそのお言葉の中での教育基本法第十条に言われているところの「国民全体に対し直接に責任を負って行くべきだ」というところを強調していらっしゃるんだと私は受け取ったのでございます。その「国民意思教育直結」されていなければいけないというところに教育独自性がある。いままでのように強行採決を強行しながらやってきたのでは対話がなかったわけでございます。国民憲法二十六条において「教育をする義務」と「教育をさせる義務」を、親という言葉は使っていませんが、国民一人ずつを連帯するところの国民という言葉で言われているわけでございます。ですから、永井大臣がおっしゃたように、教育基本法十条と憲法二十六条のこのかみ合いはもう基本として大切なものなのです。国民ももちろんそのことは知った上で、子供を抱えた親たちは悩み、それはもう教育者である先生御存じでございましょう、私も知っております、親の立場で。特に、私の弟は先生でございました。ございましたという過去の言葉で言うのは、死んでしまったからです。八年前に死にましたので、あの教頭法の出てきた前後でございますね。弟は高校先生でした。先生である弟と生徒関係を私は間近に見ておりましたから申し上げますが、これこそは、国民意思直結された教育者意思だと私は思っておりました。死にましたときに生徒が大勢来ました。そして、大勢、二十人以上来ました。六畳一間のアパートにおりました。私は弟の持っている本一切を全部に写真を張って生徒に渡しました。それだけならいいんですけれども、その後八年たっても生徒はお墓参りに来ないときはないのでございます。これは親族との関係じゃございませんね。さっき申しました教育基本法第十条の、国民全体に対し直結されたということが、国民意思と、それから教育というものの直結の中で人間の姿としてはそう出てきているのでございますよ。先生大学先生でいらっしゃるし、そういう体験もお持ちでございましょう。学問についての生徒教育者との交流はございましょう。その関係を切り離していく問題が強行採決によって決められていく。先生対話という言葉でおっしゃいました。けれども、中教審答申の構築された中で、いま対話と言っても間に合わないくらいじゃないかという思いを持ちながら九日の日も座っておりました。その点について、先生はいかがでございましょうか。私は教育者立場でなく国民立場で物を言っております。
  8. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私は、いま鈴木先生が亡くなられた弟さんのことを引用されて、そして、教師と教えられる者との関係について述べられたことについて、全く賛成であります。そこで私は、教育基本法十条のことを申し上げましたが、私の責任はまさに教育行政を行ってまいります上で、国民に対して責任を持っているということです。そしてその場合、何が大事であるかと言いますと、この学校という場、そういう場に政治的な圧力というものがかかってくるような形では教育ができないわけでありますから、それを排除いたしまして、教育行政というものは国民に対して責任を負う、そして、それぞれの学校の場において、もちろん管理というふうなことも必要でしょうが、しかし、たとえば私が大学におりました間、学生を教える立場は、もちろん、私も学部長的なことをいたしましたけれども、管理だけではない。それは規則を守ってくれと言うことはあります。しかしながら、何よりも大事な点は一その当時の学生だった諸君といまでも接触のある人がいますが、それは何から発するかというと、管理という方ではございません。そうではなくて教育的な関係でございます。私はこれを欠いては学校というものはあり得ないものであるというふうに考えております。
  9. 鈴木美枝子

    鈴木美枝子君 永井文部大臣の言う言葉に私は賛成でございます。まあここにも書かれているとおり、アメリカ教育使節団が来たときの報告の中で抜粋されているものでございますが。一番肝心な、重要なことなんでございますので読み上げます。「教師の最善の能力は自由の空気の中においてのみ十分にあらわされるのだ」、これが教師立場でございます。私たち芸術家にとっても自由な立場を持たない限り、管理され、監視されているんじゃ自由というものを、心の中に確保することはできないのでございます。民主主義たてまえと——たてまえという言葉を私、使いたいのは、本当の民主主義であるならば、強行採決——先生のおっしゃるとおりに対話というものが、先生が九日お出しになった主任制度案では遅過ぎると私は思います。委員会に遅く出さなきゃならない原因が、もっと早く出すということができない原因行政の仕組みの中にあると思うのです。それを私は残念だと思います。本質的には先生がいまおっしゃったようなとおりだと、私は信じておりますけれど、九日に先生中教審答申の中の主任制度の位置づけを、「調和のとれた学校運営」という、こういう言葉で言っていることに対して、私は、中教審答申のその枠内における主任制をどうなんだと聞かざるを得なかったのです、先生文教委員会に急にお出しになったから。そこで私は、憲法二十六条の、国民のための、国民が主体であるところの主権の問題についてもう一回考えなきゃならないし、そのことがわからなくなっているんじゃないんですよ、わからなくなっているんじゃなくて、その問題を、その教育を受ける側に対して利益者負担というキャンペーンを張り、利益者負担ということの網の中で憲法二十六条さえも踏みにじっていこうとすることを私は感じているのです。そこで私は、有田先生に申しわけないんでございますけれども、有田先生が九日の日に一時間ばかり質問した、また、先生がお出しになっている教育案が九日の新聞にも出ておりました、自民党文教部会のお出しになりました、この書類を私は読みましたけれど。新聞に発表されたものを読んで驚きました。新聞見出しが、また見出しというものは目が悪くても大きく見えちゃうものですから。「高校改革」「優等生は大学並み卒業証書が二種類あるんだと、自民党文教部会中間まとめ、これは読売新聞でございます。私、有田先生のお出しになったものは読みません。新聞発表を読んだのです。文部大臣はもうお読みになっていらっしゃるでしょうね。文部大臣はどう思っているか知らないですけれど。二十六条においての教育の問題についてですけれど。この中に発表された内容、この焦点について驚いたんです。何が驚いたかというと、有田先生がお書きになった案は読んでおりませんよ。新聞に発表されたものを読ましていただきました。「アメリカ教育使節団の勧告によったもので、必ずしも日本の歴史、風土に根をおろしたものでないとの反省を基調にしている。」、反省という中に括弧づきで「競争原理人間原理であり」と、こう飛び出すように教育されますと、これは動物競争だということは言えるかもしれませんね。動物競争原理を持っているかもしれません。けれど、人間であるがゆえに、そういう動物性を乗り越えたところの哲学や教育文化というものが必要なんだということなんです。だから人間は「競争原理」とは言えないんじゃないか。このものをおつくりになろうとしているときに考慮に入れる必要があるんじゃないか。それからまた、この新聞の中に書かれているその次の「遺伝によってある程度人間能力に差がある以上」、ここでまた驚いたのです、「遺伝」の問題には。人間能力に差があるんじゃないかという、決定的な、人間が生まれたときからの血の問題を言おうとしている。このことは、言葉をかえれば、日本民族は同一な血だという考え方の強調にもなります。その血の問題を遺伝立場で、遺伝というものがどういうふうに使われているんでしょうか、いままで日本人の中に。教科書の中にもあります。たとえば、大学教科書体育の中にあるのです、遺伝という問題が。この間私は、列国議会ヨーロッパへ行きましたときに、オランダ精神科先生に伺ったのです。ヨーロッパにおいては遺伝というものが精神科の研究中にあるかどうかと。ちょっといまの話は飛躍しますけれど、ここに遺伝という言葉が書いてあるので。オランダ精神科の医者はまだ世界じゅうで解明されていないと言う。遺伝ということは裏づけされていないということを言っておりましたよ。それが日本教科書の、大学体育の中に、決定的に「遺伝」という言葉で、精神の病気になった人さえも、社会の外に封じ込めるという封建性がある。これはちょっと教育の問題から飛躍しているようですけれどもね。体育教科書に載っているから言うのです。「遺伝によってある程度人間能力に差がある以上、教育万能論は正しいとはいえない」。これは最初から動物を論議する場合の問題ならいいですね。競争を初めから肯定しているんですから。これは動物の場合ですよ。だけども、人間というものは、ただ競争するものじゃありません。人間の心の中にはいろいろなものがあります。ただ競争だけの一律の問題で言うものじゃありませんし、遺伝ときめつける問題じゃありません。それには、潜在意識の中に日本人の血の問題があるからなんですよ。この同一民族という言い方がたびたび出てきますよね。そして、二千年続いた天皇陛下という言葉が。これは血の問題です。その血の問題を裏づけにしながら、国民全体に対して遺伝という言葉によってきめつけていくことを、私はものすごく恐しいことだと思っております。その点について永井文部大臣からお伺いしたいと思います、教育人間の問題ですから。
  10. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) まず私は、有田議員が書かれましたこの「高等学校制度及び教育内容に関する改革案」に対する文部省立場を申し上げます。  実は、高等学校への進学者の数も非常にふえまして、約九二%であります。そういう状況の中で高等学校教育内容をどういうふうにしていくのか、あるいは制度をどうすべきかということは、これは当然考えるべきことであります。私たちもいまそれに取り組んでおりますが、さて、その問題に取り組んでいく上で、私たちが一番尊重しなければならない、そういう組織は何であるかといいますと、教育課程審議会であります。これは文部省がお願いした諸先生方、今日六十人に及んだ専門家でありますが、この専門家方たちの御討議、昨今中間まとめができましたが、それを承る。そうしてそれを承って、私たち責任を持って内容制度を改めていくんだと考えます。しかし、その過程において教育課程審議会はいろんな人の意見を聞きます。  有田先生に対して大変失礼に当たるかもしれませんが、有田先生のも、これは実は相当長いんでありまして、私は内容を拝読いたしまして力作考えました。力作考えましたけれども、それでは有田先生がお書きになったとおりに私どもはいたしますかというと、そうはまいりません。これは何と言っても、教育課程審議会が各方面の意見を聞くがごとく、そういうものの一つとして承る。しかしながら、わが国における重要な公党の一つの会がお書きになったという意味においては、重要なものとして承りますけれども、しかしながら、物の順序が大事だと。何と言いましても、教育課程審議会意見が先行する。さらにまた、われわれ自身の決定というものが大事だ。そういうものとしてこれを取り扱うという基本原則をまず申し上げておきます。  そこで、この内容でございますが、競争原理、あるいはいま遺伝というふうなお話しがございました。しかし、有田先生のそれは、それぞれのお考えをお持ちの方の名誉を重んずる意味において申し上げるんでありますが、相当長いんです。でございますから、きょうの新聞の私はまとめは、実は読んでおりません。先生のこれの方は読みました。ですから、必ずしもそう簡単にきめつけるようなふうに書かれてはいないということは、有田先生のために申し上げておくべきことだと思います。相当先生もまた時間を持ってお読みいただくといろいろなことが書いてございます。ただし、いまの遺伝のところは確かにそういうふうに書いてあります。これについては有田先生のような見解を持たれる方。他方環境説という、つまりどういうふうな遺伝がありましても、その後の環境や努力によってすべてが決まってくるという、そういう説の人もあります。あるいは他方において、その中間ぐらいなというふうな説もあります。教育課程審議会は、有田先生のこういうお考えを検討する。われわれもまた検討するということになります。こういうお立場というのはあるんです。  それから競争社会の問題でありますが、この点については、私は有田先生競争原理のことだけを書いておられるのではないと思います。競争ということも大事であるけれども、ほかのもちろん、協力連帯というふうなことがあると思いますから、これはあと全体を読んで、十分に判断しなければならない。もちろんその判断の場合も先ほどの原則に基づきまして、教育課程審議会考えていただくことが一つ。その上で私たちがそのお答えを得て考える、こういう順序で進むべきものであると考えております。
  11. 鈴木美枝子

    鈴木美枝子君 私はあと五分でございます。  永井文部大臣はお読みになった。中教審答申管理体制の枠内にこの問題を持ち込んでいく。管理体制の枠内に教育理念というものを持ち込むというのが、有田先生たち自民党文教部会の方の考えだと、私は思っているのでございます。そうしますとそれを別の教育案にとらえることはできないのでございます。ですからよくよく永井文部大臣がおっしゃる話し合いをする。永井文部大臣がここへ一年間入っただけの話し合いじゃ済まされない。昭和二十七年以来中教審が出され、構築された中で、子供昭和二十七年以来その教育を受けてきている。国会内での、私の四年間の強行採決を見ただけでも、それを変えることのできないとしたら、それに対して一つでも抑えようとしてストライキをするのは当然のことじゃないか。国民の一人である私は、憲法二十六条の国民のための国民教育という立場から私は支持せざるを得ない気持ちを持っております。永井文部大臣が、昭和二十七年からの中教審答申を、その対話によって以後変え得ることができないんだったら、私は憲法二十六条の国民のための教育を受ける権利として、その大切な憲法を曲げる見方が生まれてくるでしょう。私の弟もそうなることを反対していたことを、口にこそ出さなかったけれど、よくわかります。憲法を守るためのストライキに参加しましたからよくわかります。  時間が来ました。よろしくどうぞお願いいたします。
  12. 高橋誉冨

    高橋誉冨君 私は、昨日行われましたストの問題について、真っ先にお伺いいたしますが、昨日参加した人員はどのくらいか。それから、その被害を受けた児童生徒学生はどのくらいか、まずお尋ねいたします。
  13. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 初中局長から正確にお答え申し上げます。
  14. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 昨日の日教組等ストにつきまして申し上げますと、現在わかっておりますところでは参加県三十八県、参加校一万九千校、参加教職員数二十五万となっております。
  15. 高橋誉冨

    高橋誉冨君 対象児童数はわかりますか。
  16. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) これにつきましては、正確な数字はいまのところつかんでおりません。
  17. 高橋誉冨

    高橋誉冨君 大臣は、このような二十五万人という教員がストに入り、何百万かの児童生徒被害を受けたと、このストに入った原因は一体何であると把握しているのか、お尋ねいたします。
  18. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 最も重要な原因対話と協調によってわが国教育を静かな場に置くということを公約いたしまして、教育行政に一年当たってまいりました私の力が足りなかったというところにあると考えております。その点、私は、先ほど鈴木委員の御質疑にも答えましたが、私としておわびを申さなければならないことであると考えております。  第二に、重要な原因というのは、これは申すまでもございませんが、わが国教育をめぐりまして、きわめて政治的な影というものが強くのしかかってきた過去というものがあると思います。そういう中で、私は、いまだに政治家でございませんが、率直に申しますと、政界の方々すべてとは申しませんが、革新的な方も、保守的な方もどうも教育のことについて御発言になりますときにはなかなか政治的であるということが率直に言って私のように長く教育界におりました者といたしましてはどうも解しかねる点がございます。これが第二の原因でございます。  第三の点を申しますと、そういう状況の中に、私は日教組というものも置かれているのだと思います。そこで私は、実はこの主任問題につきましては対話でまいりたいというふうに考えまして、日教組に対してもそうでありますが、それだけではなく、すべての教育関係の団体あるいは政界の方々も含めて、そういうふうにしたいと考えましたから、十月段階でいろいろな団体あるいは組織の御意見というものも初等中等局を中心に私は実は予算委員会で多忙だった時期でございますが、意見を各方面に聞くように指示をいたしました。ところがたまたま日教組の場合にはどういうことが起こったかと言いますと、初等中等局の人が案を持ってまいりました。これに絶対反対、そうして、スト突入という形で実は回答が出てきたわけでございます。でございますから、これは対話ができないことになるというので、私は非常に困った事態だと認識をいたしました。そこから実は昨日のストの道がつながっていたように思われます。そこでしかし、第一の原因は私の力が足りなかったことにあるというふうに申し上げたとおりでありますから、私は、そのときスト突入ということを決められましても、すべてがそう運ぶものではないと考えましたから、その後いろいろ努力をいたしました。昨日、ストにいよいよ突入が決まる直前においても槇枝委員長にも私がストを望まないという意向を申し上げ、また、国会においていまや論議も始められている、そういうことも申し上げて、その場においてこれを御検討願いたいということを申し上げたのですが、十月以降の決定を覆すことができないということで、ストに突入ということに決したわけであります。さようなわけでありますから、もう一度繰り返して誤解のないように申し上げますが、第一の理由は、この任務を引き受けますとき約束をいたしました私の力が足りないということであります。
  19. 高橋誉冨

    高橋誉冨君 わかりました。結構です。  直接の原因として主任問題とストの問題どういうふうに考えておりますか。
  20. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) これはやはり先ほど鈴木委員が御質疑になりました点と関連いたします。またその点、鈴木委員が私の見解発表が遅過ぎたんではないかということがありましたが、その点も私はそうではないかという気がいたします。ただ、そこにいろいろとあって、データを集める過程で時間がかかった。それがいまの……
  21. 高橋誉冨

    高橋誉冨君 簡単でいいです。
  22. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 簡単に申しますが、教頭から始るんですが、管理強化あるいは管理阻止という形だけでとらえられた。日教組の方は管理阻止、管理反対という形でとらえている主要なる組織の一つであると思います。そのことが、非常に主任というものの中身について議論をしていくことを困難にしたと、それがストにつながっていったきわめて重要な理由であると考えております。
  23. 高橋誉冨

    高橋誉冨君 この問題で、私はストというのは、とにかく二十五万人の教員が参加し、三百万という子供たち被害に遭っているというのは大変なことだと思うんですよ。こういうことをやるという動機というものが、これはよほどの動機でなくちゃいけない、教員が食うか食えないか、死ぬか生きるかと、こういう際なら、あるいはそういうことも国民は納得すると思うんですよ。ところが、直接の問題は主任に手当をやるかどうか、こういう問題でしょう。自分の仲間が骨を折っている仲間が待遇がよくされて、それがスト原因になるということは、これはもう納得しませんよ。また、管理強化、それに名をかりた管理強化だといっても現在の日本じゅうを見渡しましても、それはなるほど管理の行き過ぎな学校も中にはあるかもしれません。大抵の学校管理不行き届きですよ。だらしのない学校が多いですよ。父兄にしましても、もっとりっぱな管理をされて、整然と学習能率が上がるような学校にしてもらいたいという希望が相当あると思うんですよ。管理というのは、ただ、法的にあなた縛るというけれども、そうじゃないんですよ。法律じゃなくて、学校管理というのは校長なり、教員なりの信頼と、教員と部下と校長の信頼関係、あるいは教員と子供の信頼関係、そういうものの上にしっかりとした管理が成り立つと思うんです。いま管理強化されるからストをやる、これだって国民は納得しないと思うのです。そういうことで、何百万という子供被害に陥れてよろしいかどうか、これはどう考えますか、大臣は。   〔理事久保田藤麿君退席、委員長着席〕
  24. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私はストに反対であります。でありますから、もちろん、子供に犠牲を与えるようなストというものが行われてはならないと考えます。ただ、先生がおっしゃいました管理というものが側面に偏っていないかということですが、これは繰り返しになりますが、私はやっぱり申し上げておきたいことであります。というのは、校長先生は、大体において学校で教えていないのが現在、通常の形であります。まあ訓示とかそういうことはやる。私が調べていく過程で、いろいろ考えたのですが、たとえば、東海大学という大学があります。これは大変なマンモス大学、その学長は授業を持つのです。それに比べてどうして小学校校長はもう少し教育面に接触しないのか、私が管理に偏っているというのはそういうことです。
  25. 高橋誉冨

    高橋誉冨君 それはわかっています。  それで、こういう国民に迷惑をかけ、違法なストをやったことに対してどう処置する考えであるかお伺いします。
  26. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 違法なストに対する措置は、法律に基づく措置が当然行われることであります。他方、それとともに私がどうすべきかという問題は、しかし私はこういうことがありまして、もうそれに対話をやめてしまうというと、そういうことはあってはならないと思います。でありますから、実は本日も槇枝委員長とお目にかかる予定でおりますが、直ちにそちらの方向にも入っていく、そうして私の初めの公約を果たしたいと考えております。
  27. 高橋誉冨

    高橋誉冨君 これは違法ストで困ったものだとお思い思いますが、こういうストを二度と起こさせないための対策というものをどう考えているかお伺いします。
  28. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私は今回しみじみ思いましたことを率直に申し上げます。対策は非常にむずかしいです。なぜむずかしいかというと、まあどうも諸先生のおいでになっているところで申し上げると恐縮ですけれども、なかなかこの政治関係の方は教育について過熱するくせがあると思います。与野党を問わないように思います。これをまずやめていただかないと困ります。それから組合もそういうふうな性格が強いわけです。しかし、普通の学校先生、それから親、それはもちろん政治と教育というものは関係があるということを承知はしていますけれども、そういう激しいことには思っていないのだというのが私の実感であります。私自身、学校で教えておりまして閉口したのです。この学校というものをめぐりまして、このいろいろ政治関係の方が学校だとやかましいことをおっしゃるので閉口してまいりました。だから私は文部大臣を引き受けたのです。  そこで、まず対策を言えと言えば、いまこの具体的な主任制につきましては幾らかおそきに失したということは鈴木委員の御指摘どおりですが、私は見解出したわけでありますから、まず、この見解というものを大いに中身に即して討議をしていただく、これが大事である、かように考えております。
  29. 高橋誉冨

    高橋誉冨君 私は、そういう違法ストをやったために効果があったというふうに考えられることが、これは非常にいけないと思うのですよ。だから、違法ストをやっても、そういう違法ストは効果がないのだということをはっきり知らしめる考えはないかどうか。これは、たとえばいまの主任制の問題も微動だもしない、あなたは自民党に屈したのでもなく、だれに屈したのでもなく私の信念でやった、自分の信念であればこれは微動だもしない、あなたは必ずやる、しかもなるべく早い期間にやる、いまでもその心境に変わりないかどうか。
  30. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私の基本的な考え方というのは、ストの前に書いたものでございます。ストの前に書いたのですからスト関係なく書きました。ストがありましても変わるわけではございません。なおまた、私はストの前に期限はなるべく早くはやりたいです。それはそのとおりです。しかし、これは教育の問題でありますから、期限より手続が大事です。これもストの前に申しました。この考えに変わりはございません。
  31. 高橋誉冨

    高橋誉冨君 もう一つは、過去のストをやったことに対して処分がきわめて厳正でなかったということが考えられるのですが、過去のストに対する処分の状況について、ひとつ簡単でいいから説明してください。
  32. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 初中局長から申し上げます。
  33. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 最近におきますストライキ参加教職員の職務状況は四十八年四月二十七日に行いました午前半日スト、参加者数二十六万二千三百六十六、このうち懲戒処分にいたしましたのが五万四千三百七十二、訓告処分が十二万四千六百十四、また、昨年の四月十一日の一日ストにつきましては参加者数三十二万八千八百四十、懲戒処分七万三千四百九十六、訓告十八万一千九百七十二となっております。
  34. 高橋誉冨

    高橋誉冨君 これは、違法ストをやった人間が処分された人間と処分されない人間が地方の実情ではたくさんあるのですよ。そういう事実知っていますか。
  35. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 御指摘のように、処分につきましては各県の教育委員会が任命権者として実施をいたしますから、県によって時期の遅い、早いあるいは処分をいまだしていないというような状況があることは事実でございます。
  36. 高橋誉冨

    高橋誉冨君 文部省から、初中局長の通牒で、違法ストは処分する、処罰される、だからしないようにという通達を現場の校長は三通も四通も受け取っておるわけですよ。校長は一生懸命になって職員を説得したわけです、ストやらないように、こうなるからと説得したわけですよ。ところが説得したのに全然それは後報告しても何のことはない。校長にしてみれば、校長が言ったことはまるっきりうそじゃないか、校長にしてみれば自分の権威を失墜されたし、校長が職員にうそをついたことになるし、現実に校長が非常に困っているという事実をあなた方、知っていますか。
  37. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 御指摘のように、まず、このストに際しましてはストに参加しないことあるいはストを実施しないことが一番大切なことでありますから、そのために、直接職員の服務を監督する校長先生が非常に苦心を払われておるという事実は、私どもも重々聞いておりますし、よく承知してはおります。
  38. 高橋誉冨

    高橋誉冨君 それで現在、どういう心境か、私は校長や職員とよく話し合いますが、今度のストでも報告をした方がいいか、しないことにするかということで懐疑を持っている校長グループがあります。それからまあやったけれども二十九分として報告しようじゃないかということで、それでやっているところもありますよ。そういう報告がまるっきり、早く言えば虚偽の報告ですよね、教師が違法なストをやり、校長教育委員会が虚偽の報告をしておいて、これで本当の教育ができるか、あなた方、うそをついちゃいけませんよなんて子供に言ったって、自分たちが虚偽の、うその報告をしているんじゃないか。自分たちが違法の法律を破るストをやっているんじゃないかと、これで教育というものが、秩序立ったしっかりした教育が行われると思うかどうか、これは文部大臣に伺います。
  39. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 先ほどから申し上げましたように、私は、もうこの教育というのは静かな場で行わなければいけないのですから、ストが繰り返されたりあるいはストというものが行われるときに、あるところではそれが報告され、他のところでは報告されなかったり、あいまいな状況というものは、教育現場にとって全くふさわしくないものと考えます。さようなことがあってはならないのであります。
  40. 高橋誉冨

    高橋誉冨君 まあどんな学校が今度のストに突入したか、また、どんな教師が突入したか、どうお考えですか。
  41. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) これについては、このスト批准につきましての数字もございますから、そして県別のものもございますし、また、一次のところも三次のところもございますからいろいろ状況は違います。しかしだれが突入したか、またしなかった人はだれか、しなかった方から言うと、日教組のメンバーでない人はしなかったと思います。それからした人は日教組のメンバーで、日教組の方針に従い、また、それぞれの自治体における組合において批准をしたところ、そしてその批准を認めた人は参加したと思います。
  42. 高橋誉冨

    高橋誉冨君 私の見るところでは、大体、学校経営のだらしない学校ストに入っている傾向が非常に多い。学校の中では学級経営なんかのやっぱりだらしのない、学級経営にしっかりした実績を持っていない教員がストに突入している傾向が非常に多い。これははっきり認識していただきたい。  次に、私は、そういう問題から自分のずっと仲間であった教員あるいは自分の部下であった教員、こういうものからずっと考えてきまして、教育は確かに愛情でなくちゃいけない、これは大臣も納得すると思うのですよ。ストをやる教師に本当に愛情があると思うかどうか、かわいい子供がちゃんと勉強に来ている、それをうっちゃらかしてストをやるような教員、これに本当の教育的な愛情があると考えられるかどうか。
  43. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) これは非常にむずかしい問題です。私は繰り返して申し上げますが、ストというものも、これはそれだけで取り上げてなかなか議論しにくい面があるのは、わが国教育が過去において非常に政治的に過熱化したという現実を十分に認識しなければならないということであります。私は、大学にいて私自身別にスト授業を放棄したことはございません。しかし、周囲の先生方を見まして、先生方の中にはストに入られた方もありますが、しかし、それではその先生がもう根本的におかしな人であるかというと、私は顧みて過去の同僚をそうとも考えません。でありますから、これはよほど詳細に考えなければいけないんですが、ですから私はストを許すというんじゃないんですよ、ここは誤解のないようにお願いいたします。何といいましても、日本の過去の長い間の教育をめぐる政治的過熱化というのは、習い性になっている感があるんですが、これをやめなければいけない。これの一番悪い姿で出てきているものが何であるかというと、わが国の過激派の学生というものが国の内外において実に情けない行動をやっているということであります。でありますから、私はこの場において、与野党の方々おいでになりますけれども、しかし、何よりもそういうところにまで来てしまっている日本というものを私たちは認識することが根本的な問題であるというふうに考えておりますから、与野党御議論になります場合にも、与野党のお立場を離れて、私はそういう意味において教育中立の立場において行政を行っておりますものでありますから、先生方もそうした私の考えというものも御配慮の上、御議論を展開していただけますならばまことに幸いであります。
  44. 高橋誉冨

    高橋誉冨君 私は校長ばかり十五、六年やってましたが、その間見ていると、いわゆる組合型の教員というのがいるんですよ。組合型の教員というのは、議論は強いんですよ。口先は達者なんですよ。ところがやることはなっちゃいない場合が多いんですよ。これは組合型の教員といって校長らみんないやがるんですよ。いやがってよその学校へとってもらおうとするんですが、大体レッテル張られちゃうととらないんですよ。だからいい先生だいい先生だといってひょいとわきへやるんですよ。この人がまたいい先生だいい先生だといってひょいとわきへやる。まるでばば抜きのばばみたいになっちゃう状況ですよ。こういう現実があるんですよ。笑えない事実ですよ。いまでも……(「それはどこにあるんだ」と呼ぶ者あり)どこにもあるよ。あんた方認識不足だ。大学やなんか行っているとわからないんだよ。小中学校の事実です。私ゆうべも十人以上の校長らから聞いたんですよ。そしたらあるというんですよ、困っていると。だから、ストをやったけれどもぼくは報告しようか、しまいかと考えていると。何でと言ったら報告すると、あいつはストをやったということになってよその校長らとらなくなると。ところがその教員はストをやりたくないけれども私は仲間がどうしてもやろうというので仲間の義理にはさまれてやらざるを得なくなっていると、よその学校へ行けば私はやらないんだと、こう言っているから、よその学校に行けば確かにやらないまじめな教員になれるのに、発表しちゃうとやれないからこれは報告したらいいかどうか悩んでいるといういんですよ、校長が。そういう現状、そういう事実、これはあなた大学だからわからないかもしれぬけれども、小中学校の具体的な事実はっきりありますよ。
  45. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) ただいま先生の御指摘のように、ストをめぐりまして、これは人間関係でございますし、また、学校というのはある意味においてかなり閉じられた環境の中で、うまくいけば和気あいあい、和気あいあいであるだけに、また衝突いたしますと激しくなると。これはちょうど親子兄弟の関係に似ておりまして、仲よければ離れるときは激しいというようなものでございまして、私は大学でございますから、先生のように小学校での長い経験は積んでおりませんが、大学紛争の荒廃というものが示しますように、なかなか私がおりました東京工業大学も、紛争約一カ年、これはお互いにばり雑言いたしまして情けない職場と相なりました。そういうこともございますから、私は、小中高大を通しましてわが国教育が相当荒廃をいたしております。そしてその極端なる表現、いまのような、われわれ日本人としてまことに残念な事態となって、少数でございますけれども過激なる活動をしている人たちのところにあらわれてきているのであります。先ほどから先生の御発言をめぐってまた両側から激しい言葉の応酬がございますが、まあこういうことをぜひおやめ願いたいというふうに私は申し上げているわけでございますから、その点は了としていただきたい。
  46. 高橋誉冨

    高橋誉冨君 それでは話題を変えますが、教育を静かな場にしたいと、こうよく三木総理も、あなたも言われるんですが、静かな場にしたいなんという、そんななまやさしいことじゃないんじゃないかと思うんですよ。火の用心、こういうあれじゃなくて、火災は起こっちゃっているんだと、どうしてこの火を消しとめるかというのが現段階じゃないか。そういう現実の認識が甘いんじゃないかと思うんですよ。導入したくないなんて、政治の場に。私は、確かに終戦直後食う物もなく着る物もなく、教員のなり手がない、旧制中学出ればもう何でもいいから教員を求めたいと探して歩いた時代があるんですよ。そういう時代の組合闘争というのは私はもっともだと思ったんです。ところが、いま豊かになって今度は、われわれは社会主義社会実現のためよき担い手として青少年を育成するんだと、もうそういうことが政治の場を教育に持ち込んだんじゃないですか。そういうふうな私は認識を大臣どう考えているかお聞きしたい。
  47. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私が教育を静かな場にすると申しておりますのが決して容易でないということは、先ほど申し上げたとおり私は昨日ストを阻止することはできませんでした。かみしめて今日その問題のむずかしさを痛感いたしております。  他方また、先生に御記憶願いたいのは、たまたま私は大臣に就任いたしまして昨日で一年に相なるわけでございます。その間、三度目のストの問題なんでございますが、しかしながら、一回目、二回目はストに至りませんでした。それは私は昨日も申し上げましたように、私自身の力に負うということよりも国民がそれを望む、そうした状況の中でそういうストが残念ながら昨日は起こりましたが、奥野文部大臣の時分に七月にストがあったころから計算をいたしますと約一年半に及びましてわが国に全国的な教育ストが起こらなかったということも、これまた御記憶願いたいことでございまして、そこで昨日の半日だけのことをもって明日を見てはいけない、かといって、長い間起こらなかったということだけを見て油断をしてもいけない、さような事態と思って私は昨晩寝床につきましたが、本日この会に参りますときには、いわば両面を考えてこの会に臨んで先生方に私の立場を申し述べたい、かように考えてけさは参った次第でございます。
  48. 高橋誉冨

    高橋誉冨君 また、話題変えますが、先般、宮之原委員の質問の中で、大臣自民党の番犬ではないか、こう言われたんですよね。それから自民党では逆に、大臣は日教組の番犬ではないかということも耳にするわけですよ。大臣自身は、私は教育の番犬である、こう言うわけですよ。私は、番犬というのは犬ですからね、文部大臣というのはもっと偉いと思ったんですが、番犬だ番犬だと言われてにこにこ笑ってないで、自民党の番犬だと言われたときに、すでに、番犬とは何事か、一国のおれは文部大臣だと、このくらいの気魂があって——またけんかするのきらいだからかもしれないけれども、そのくらいの私は気魄があってほしいんじゃないか。犬は犬ですよ、番犬だ番犬だ、自民党の番犬だ、日教組の番犬だ、教育の番犬だと。  最後に、時間ですから、私ら考えては、学校教育の大きな障害となりがんであるのはやっぱり組合方の教員であると思うんですよ。そういう学校の障害であり、がんであるその一番の元凶と言っちゃ申しわけありませんが、一番の首謀者である槇枝委員長と会談しなかったら文部行政というものがスムーズにいかないような印象を地方の校長らは持っておるんですよ。またトップ会談、またトップ会談、トップ会談流れたからうまくいかない。これで一体、われわれが現場の校長として、じゃ組合員の連中が、校長もわれわれと相談をしろと、自分勝手に校長やるじゃないと、こう言われるというんですね。そういう、私は、あなたが正しいと思ったら、これは枝委員長だろうとどの委員長だろうと、これは呼びつけてもかまわないですよ。しかし、あれではトップ会談でまるで対等の立場ですよ。そうじゃないですよ、一国の文部大臣は。自分はこうだという信念があったらそのとおり——自民党の番犬じゃないと言うんだったら、まして日教組の番犬でもないですから、文部大臣として堂々たる態度で歩んでいただきたい。これを希望いたしまして、私の質問を終わります。
  49. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 この間いろいろ質問申し上げたんですが、きわめてまだ足りない点がございましたので、その後の状況の推移も踏まえてお尋ねをいたしたいと思いますが、ただいまの高橋さんでございますか、発言の中に、ストライキの問題と関連をして、死ぬか生きるかという段階のストライキならわからぬでもないけれども、主任制度という、いわゆる仲間が手当を取るか取らぬか、管理上の問題だという、言うならば、きわめてこの問題を教育上はさしたところの問題じゃないんじゃないだろうかと言わんばかりの角度からの御発言と私は受け取れたんです。大臣、この主任制の問題をそのように簡単に受けとめられておるとは思いませんが、どう考えられておりますか。
  50. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私は、この主任の問題というのは校務分掌の問題を含んでおる。さらに、処遇上の問題もこれに絡んでいるということは、第三次給与改善等との関連で出てまいっておりますから、そうした性格を持っていると考えております。ただし、私と、というよりも、私の指示によって初中局が最初の案を出したときに、初めから反対という形が出てまいりました点につきましては、そうした処遇、校務分掌でありますから十分話し合えるはずであったんでありますが、その態度の表明の仕方は政治的である、かように考えております。
  51. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私は、少なくともこの問題は、教育、特に学校運営の根幹にかかわるきわめて重大な問題だと理解しておるんですよ。単に、ある程度おるところの学校の仲間で、こっちは主任手当はついた、つかないという、つかない層からのあるいはこの問題に対するところの不満が起きているというような問題だとか、それを学校管理の問題だという、簡単にこの問題を見るところに私は問題の本質を見失っている要素があると思うんですよ、端的に言わせてもらうならば。もし大臣がそのような理解に立っておられるとするならば、私はこの問題は大臣のこの問題に対するところの取り組み方についてもきわめて重大な疑義があると思うんですが、重ねてその点に対するところの大臣考え方をお聞きしたい。
  52. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私は、先ほど校務分掌並びに処遇、これは直接的に言って、そういうものだと申し上げました。しかしこれも、私の文部大臣見解を見ていただけばわかりますように、そもそも私はそのタイトルを主任問題についての基本見解としなかったんでございます。「調和のとれた学校運営について」といたしました。その点から申しますと、まさに先生がおっしゃいますように、この主任だけでなくて学校運営全体にかかわってくる。したがって、校長教頭などにも言及をいたしました。さようなものと私は理解をいたしております。
  53. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 先ほど来、また違法スト、違法ストの問題が大分まあ問題になっておるのでありますが、実はこの教員のストライキが違法なのか合憲なのかという問題は、いままでのわが国の司法界でもさまざまな議論のあることは、大臣も御承知のとおりなんです。なるほど四十八年四月二十五日の全農林事件の最高裁の判決を見れば、違法だという判決が出ております。しかし、そのちょうど四年前の四十四年四月二日の都教組最高裁の判決は合憲、いわゆる違法ストというそれは間違いだと、むしろ、ストを禁止しておるところの地公法三十七条が違憲のおそれがあるということさえ指摘をしておる。四年間の間にひっくり返ったというのは、一つのやはり裁判官の構成の問題があるということも周知の事実なんです。事ほどさように、この問題についてはきわめてやはりこの司法界においても議論があるし、たとえば、その四十八年の判決以降も、下級裁判においては無罪のやはり判決も出ておるという状態であるだけに、幾ら違法だ違法だとこう言われてみても、この判決自体にいろんな問題があるという点が、今日のやはりこの問題点の理解の仕方の一つの問題点だということは、やはりお互い理解をしておく必要があると思いますよ。  同時に、この問題は国際舞台の中でもさまざまなことで議論されておることは御承知のとおり。特に十一年前、政府間会議で採択をされましたところのILO・ユネスコの教員の地位に関するところの勧告の中にも、第八十二項にこの問題について肯定的のものがあるんです。しかも、これはILOの委員会なり理事会なりあるいはユネスコ総会においてでもこのことはひとつ認められた。言うならば、このことは、国際的なやはり一つの教員の権利の面として、これは一つの大きな流れを示すものだと言わなければならぬと思う。それだけに私はこの問題を、主任問題と関連して起きたところのこのストライキという問題を、単に違法だどうだという議論だけでは、これは解決つかない問題だと思う。違法だと言われたらしゅんとなってやらないかというとそうじゃない。それは、いま私が申し上げたところの一つの情勢があるからです。それだけに、私はこの問題を議論する場合に大事なことは、なぜストライキが避け得られなかったか、なぜこのストライキに訴えなければならなかったかという、この主任問題の基本的な問題についての合意が得られるところの努力、これこそ私は一番大事じゃないかと思うんですがね、その点いかがなんですか、大臣
  54. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 宮之原先生の最後の点は、主任問題についての合意が得られるかどうかということが一番大事なんではないかというふうに承ったのでございますが、もし私の受け取り方が間違っているといけませんが、そうでございますね——。そうであれは、私はまさにそのとおりだと思います。その主任問題について国民的コンセンサスを得るということが最も大事であると考えております。
  55. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そこで、さらにお尋ねいたしますが、けさの新聞、きのうのいろんな報道を見ますと、山崎さんが政務次官を辞意を表明されたようでございますね。これを大臣はどのように受けとめられておりましょうか。ある報道機関は、大臣の一枚看板である対話と協調路線の補佐の任務を全うできなかったからなんだと、あるまた、新聞は与党の自民党との政務次官としてのパイプ役が務まらなかったからだと、こういうような意味の報道もあるんです。私は、この二つのいずれをとってもきわめて重大だと思うんです。大臣はどのようにこの辞意の表明を受けとめられていますか、まず、大臣のその感じを、所見を承りたい。
  56. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) まず、申し上げたいことは、山崎政務次官が辞意を表明されていることは事実でございますが、私はこれを慰留しているということでございます。この点は最初に明確に申し上げておきたいと思います。  山崎政務次官が辞意を表明されております理由は、まあ私が対話と協調ということの教育の政策で臨みました。山崎政務次官は、実はちょうどこの国会で昨年の十二月に問題になりましたように、これは昨年のことですが、羊の顔をしたオオカミですか、という、そういう日教組というような発言を福岡でなさったのです。そのことが問題になりました。私はそういうことでは対話ができませんから、先ほどから犬とか、いろいろ言葉が出てますけれども、そのときに政務次官に申し上げましたのは、人間でございますから、日教組も政府も自民党も。ですから、余り動物にたとえない方がいいというふうに申しました。私が昨今この犬になりますのも、これ高橋先生がおっしゃいますように、特に番犬などは余りよくございませんから、今後余りああいう言葉は使わないようにいたしましょう。  山崎先生に戻りますと、さようなわけでございますので、申し上げたところ、ずっとこの対話と協調のために非常にりっぱに私を補佐してくださったわけでございます。先生の辞意を表明されました重要な理由は、それで自分は進んでまいりましたけれども、しかし、今回その任務を十分に達成することができなかったので、政務次官として非常にそれは責任を全うし得なかったからという意味合いで、私に辞意を表明されたわけでございます。自民党パイプ役云々のことはございません。
  57. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そうなりますと、私はまことに皮肉な話だと思いますね。いまも大臣がおっしゃったように、昨年はキツネの皮をかぶったオオカミだなんということで、羊ですか、キツネか羊かわかりませんけれども、羊の皮をかぶった云々と、これぐらいにタカ派の象徴だと言われたその彼が、この対話と協調の路線の補佐の任が足りなかったと言ってやめられた。この心情はまことに私はよしとしなきゃならぬと思う。ところが肝心かなめの対話と協調路線のあなたがいまのほほんとされているというのは、これまた、世の中では合点のいかぬ話なんですよね。これ、どう思いますか。私はこれ笑い事では済まされぬと思いますよ。これは受け取り方によっては、あなたに対するところの大変な皮肉ですよ。どう思いますか。
  58. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私は、山崎先生が私にそうおっしゃいましたから、本当は先生がそういうことをおっしゃるようであるならば、私自身がやめなければならないようなことであると、さように申し上げました。にもかかわらず、きょうここに来て、こうして答弁をいたしております。また、ただいま辞意の考えというものを持っておりません。それは何であるかというと、私自身が先ほどから申し上げましたように、ストに入りました一番の原因は何かという高橋先生の御質疑に対して、それは私が公約に沿った政策を十分に遂行し得なかったからであると、かように申し上げましたが、しかし、ストに入りましたからといって、私はこの一回だけで断念する考えではないのです。これは、宮之原先生も御承知のとおり、私も長く教育界におりまして、そうして大臣就任をお引き受け申し上げました際には、容易ならぬことと考えております。したがいまして、容易ならぬことでございますから、できるだけのことはいたしました。その間、粗漏なる点もあったと思いますが、覚悟をいたしてまいって進んでまいりましたから、むしろこの際、一層私は緊張をして、そして、その最初の約束というものを果たすべく努力をしなければならない、かように考えている次第でございます。
  59. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そのあなたの一枚看板である対話と協調の問題ですがね、私は事、主任問題についてなぜそれが成功しなかったか、こういうことについてどのように振り返っておられるか、そこをお聞きしたいんです。もし、それは私は話をしたかったんだけれども相手側が絶対反対だったから、共通の土俵に上らなかったから相手が悪いんだと、こういうようなことであるならば、一体あなたの対話と協調というものの考え方はどういうものか、私はお聞きしたいんですよ。本当に対話と協調なら、徹底的に話し合う、そこで一致点を見つける、あるいは見つけないにしても、とことん話し合って努力をするという、そのことが一番大事だと思いますけれども、どうも幕切れを見ておりますと、新聞の伝えるところ、あるいは私自身が聞いておるところによりますと、日教組からはいわゆるやるやらぬの問題を含めて、もっとじっくり年明けまで話をしたいんだと、もう少し話し合いを続けたいんだという申し入れがあった、最後の方に。それを大臣は、いや私は、やるというところの前提に立たなければお話し合いはもうできません、やりますという形であの最後の日、結末を見たいというふうに理解をいたしております。もしそうだとすれば、対話と協調というのは、自分の敷いたところの路線の上、レールの上を走ってこなければ対話と協調はないのかどうか、一体あなたのおっしゃるところの対話と協調というのはどういうものなのか。そこのところを篤とお聞かせ願いたいんです。
  60. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) ただいま宮之原先生指摘になりましたように、やるかやらないかということを含めて、まあそれ全部やめてしまうということも含めて議論せよという、そういう日教組からの御要望があったということは事実であります。  そこで、対話と協調というのは何であるかということですが、私は実はこの対話と協調というのは、右に揺れ左に揺れということではないと思います。しかしながら、でき得る限り弾力的であるということも大事だと思います。でありますから、二転、三転ずる永井文部大臣と、こうよく新聞に書いてありますが、あれはなかなか事実に沿った報道であるというふうにも私は考え、評価いたしているわけであります。  しかしながら、それでは、この対話と協調というものは、文部大臣はゆらゆら揺れれば対話と協調か、これは対話と協調ではなくて付和雷同の文部大臣でございましょう。  そこで、対話と協調というものには基点がなければならない、つまり一つの基となる点がなければならないのでございます。いわんや、私は、もちろんそれぞれの政党あるいは組合などのお考えというものを重んじます。ですからこうして国会にも来るんですが、行政責任者でございますから、いろいろ資料を調べて、そうして自分の見解というものを示しました。これは十二月六日、世の中に公表したわけでございますから、あの見解というものは、制度を進めていくという前提に基づいて表明したものでございますから、あれもやめることも考えてみたらどうかということになりますと、これは文部大臣は何のために基本的な見解を示したか、きわめて無責任文部大臣ではないかということに相なるわけでありまして、私は、そういう態度をとらないわけでございます。  でございますが、その見解に示されている事柄についていろいろと御議論を願って、そうして、そういうものを修正するということはもちろん大事だと思います。これは先般、宮之原先生にもこの場で申し上げましたように、一例とすれば、たとえば主任の種類の問題、こうした事柄などを含め検討すべきであろう、こう考えておりますが、しかし基点というものは行政責任者として持つべきであると、かように考えておる次第でございます。
  61. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 まあ右に揺れ左に揺れ、二転三転、全くそれはあれですね、私はやっぱり報道機関が指摘するところの弱点はそれは永井さんは持っておったと思いますよ、事この問題についての経緯を見れば。まあそれはしかしやめましょう、やめますが、それは私が、最終的にはそれはおたくは行政権限持っておられるわけですから、最終的には行政府が決定をするということまで否定をするわけじゃない。しかし、きわめて日時的な重要な問題を含んでおるところの段階の中で、あらかじめ二、三日前にもうちゃんと自分たちの方針というものを出しておいて、その路線を認めない限りは対話もないという物の言い方は、これは体裁をつくろったところの問答無用の方式じゃございませんか。世間がある程度納得できるような期間を置いて、いろんな層で、あるいは国会で相当議論をして、それを最終的にあなたが判断をされるというならわかりますよ。しかしどうですか、初めて国会に出されたのは、この間の十日初めてですよ、これは。しかもまだ衆議院では議論を一回もやっていない。それをその二、三日前に、どこから押されたかわかりませんけれども、早々と自分たちの方針を打ち出しておいて、審議をしてください、国民の皆さんの意見を聞きます、いろんな団体の意見を聞きますと、これはポーズだけじゃございませんか。まさにあなたの対話と協調という物の考え方は、自分たちの方針は固定したものを持っておって、ただ、それを後からかっこうをつけておるものだと、こう言われても仕方がないじゃないでしょうかね。こう言いますと、大臣は、いや二カ月前からいろんな議論をさせておりますと、この間の答弁などを聞きますとあるんですが、二カ月前というのはきわめて抽象的な話なんですよ、これ、率直に申し上げて。いわゆる「調和のある学校運営」という物の考え方でも二カ月に示されておるというならわかりますよ。そういう問題については、何ら示さないでおって、いや二カ月前から各層の意見を聞いたのだと、こうおっしゃったって、これは与党の皆さんはいざ知らず、われわれはこれ理解できませんよ、これは世の中では。どうも大臣のおっしゃるところの対話と協調というものには非常な欺瞞性があるような気がしてならぬのですが、違いますか。どうですか。
  62. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私の考えは次のとおりでございます。  まず、宮之原先生指摘になりましたように、二カ月前の案というのは、十二月六日に示しましたほど明確なものでなかったということは御指摘のとおりでございます。  そこで、それからまた、それ以前も含めましていろいろ実態を調べた。そしていろんな方の意見を聞いたということはあります。そうして私は実はあの考えを示しました。考えをなぜ示したかといいますと、大体この主任の問題につきまして伺った過程におきましては、これを是とするもの、それからこれを非とするものという議論が非常に多かった、これは偽らざることであります。ところが、では主任の実態に即してどう考えていくかというのは非常に少なかったわけでございます。自民党の中には省令化を急げというので、その内容の議論はなく、私にそう申されたような団体もございます。日教組の方ではやめなさいというのもございました。そこで私は考えますのに、それでは事態というものを軌道に乗せることはできないと思いましたから、そうしていろいろな方の御意見を聞いた上で、あの文章はですから多岐な問題点にわたっておりますが、こういうふうなものであるという文部大臣見解を出そうとした、こういう意味合いでございまして、私自身の考え方は、いま申し上げたとおり、これはただ、是非ということで出発してはいけないので、実態に即する——最初のところにも書いてございます。そして実態に即して構造全体で考えていくという考え方を示したのでございます。
  63. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 実態に即する云々とおっしゃって、その実態の取り方に、これから論及しますけれども、たくさんあるんですよ。それを文部省だけの実態に即したものでやりましたと言ったって、本当にあなたが対話と協調路線を歩むとするならば、それは納得できませんよ。どうあなたが抗弁をされようと、自分たちの方はレールだけ敷いておって対話と協調と、こう言ったって、これはもう話始まりません。これだけ申し上げておきますよ。現にあなた自体、いろいろなものをたどってみれば、やっぱり二転、三転していますよ、この問題については。たとえば、一つの端的な事例を申し上げましょう。今村前初中局長の私案が出た。その十七日の記者会見では、あなたは、あの私案は検討に値する私案だと、こう発表されておる。それがだんだん、だんだんおかしくなると、今度は十月の十九日には、あれは管理主義的で私の方針に反しますと、こう言っておられる。首ひねられて、そう言っているのだ、新聞見てごらんなさい、帰られて。これは新聞記者諸君もたくさんいますから、あなた言っておるんですよ、これはね。ああいう管理主義はとれませんと、こう言っている。そういうふうにしてあなた背定をし、検討に値するものだと、こう言いながら、今度はそう言われて、今村局長の更送の弁も、やはりそういう誤解を招くんで十月十五日以前の形に戻すんですと、こう言っているんですよ、あれは管理主義的なもので私の意向に合わないからと。これがあなたの言行録ですよ、この問題に対する。それで、国会では十月三十日に、局長もこのことについては私の考え方はわかっておるはずですと、こういう答弁をされながら、十一月になるとそういう答弁をされておる。だから、世の中の受け取り方も——あなた方が二ケ月前に物の考え方を示して、大臣自身二転、三転、こうしておる。それだけに私は、この問題はきわめて重要だから、あなた悩まれたと思う。悩まれただけにそう言われたと思うのですよ、それは。しかしそれならば、いわゆる何を急いで十二月の六日という日に何が何でも私の方針はこれです、これはコンクリートですと、こう出さなきゃならないんですか。それが一体対話と協調という路線から見て、あなたの政治姿勢に非常に疑問を持つのです。  さらに、聞きますが、そんならば今村私案の学年主任、教務主任というものと、文部省から打ち出されているところの教務主任、学年主任とどう違うんですか。同じじゃありませんか。これ説明してくださいよ。
  64. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) ただいまの先生の御指摘、今村私案をめぐっての私の見解が変わったではないか。これはちょっとそういうふうに報道されておりますが、決して、ここにきょうも報道関係の方おられますが、その方たちを非難する意味において言うのではなくて、私の真意を御説明申し上げましょう。  まず私は、今村私案というもの、今村さんの案は私案であると申しました。確かに申しました。その次に、今村私案は管理主義的であって私の意に沿うものでないと、こういうふうにおっしゃいましたが、そういうふうに申したんではないんです。そうではなくて、今村私案は管理主義的にとられているが、それは私の意に沿うものではないということです。これは非常に重要なところです。といいますのは、今村前初中局長と私とも話し合いながら考えてきたわけですが、その場合に実態に即して考えるということはいまと変わりませんでした。しかしながら、私はその過程において今村私案が非常に誤解を招いたということを、それは先生指摘のとおりでありますが、どうしてそうなったかといいますと、実は三部長という言葉を使いました。この知、徳、体、そうすると、いま使われてる言葉主任でございますから、そうすると何かその上に、あるいはそのほかに部長というものを設けるという印象を与えて、それで誤解を生んだというのが私の考え方でございます。でありますから、後に公の場でも申しておりますが、今村前局長御自身も、実は自分の意図するところが十分に理解されず、要するに、事志に反したということでありまして、私の言い方が変わったというふうに報道されておりますが、そのいまの三つのことですね。私案である。  次に、管理主義的であって意に沿わない。そうではなく、管理主義的なものにとられている、これは本意に反する。三番目にそれはおっしゃったとおり誤解されている。  次に、なぜ私が十二月六日、文部大臣見解出したか申し上げましょう。  この種のことは、実は初等中等局長見解というのでもよろしいのです。そういう形で事を進めるということも、大体においては通常の場合そうでございます。しかし、きわめて遺憾でありますが、そういう姿で今村前初中局長に私は非常に残念でありますが、異動をせざるを得なかった。そして、白紙に戻した。私は、いまここに初中局長も座っておられますが、この問題は、私の責任の事項にいたしたいと考えているのでございます。でありますから、あの文章には、初中局長見解でもなく、また文部省見解でもなく、文部大臣見解となっております。それはこの事柄が容易でない。すでに一人の局長が私の行政の進め方が十分でなかったことから不本意なる結果に相なりましたので、文部大臣見解とした次第でございます。
  65. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 まあ、いかにあなたがいままた軌道修正をされようとも、これはかつてあなたもジャーナリストの列におられた方でございますだけに、ぼくは新聞はそう事実と違うことは報道してないと思うんです、これは。むしろあなたの方でそれをいまずっと軌道修正をし、合理化されておるのではないだろうかという気さえしますよ、これ率直に申し上げて。だってあなた、部長と言われようが、主任と言われようが、任務の中身はほとんど同じ意味で書いてあるんですから。世の中の、特に学校関係ではどう違うんだろうかという疑問はいまだに払拭されませんよ、率直に申し上げて。それだけは申し上げておきます。  もう一つお聞きいたしたいのは、十二月九日の朝日の社説をお読みになられたと思うんです。この中で、やっぱりこういうことを言っておりますね。「この件で自民党文教部会の、圧力ともいえる意向が文相および事務当局に重くのしかかっていたことは、教育行政の中立性という観点からも、看過できない問題点である。」と思う云々というのがあるんです。さらに本日の毎日の社説も、「主体性を喪失した文部行政」として、そのようなことが書かれておる。一昨日は確かにここで大臣は、いわゆる三権分立とか教育基本法十条を盾にとられて胸を張った答弁をされておりますけれども、これだけ言論界が指摘をされるということは、顧みて反省しなければならない点が少なくともあったということを意味するんじゃないでしょうか。現に九日の晩から十日の日にかけてのおたくの政務次官室を見てごらんなさいよ。ここにも参加された方いらっしゃるかどうかわからぬけれども、いわゆる文教関係者と言われる方々の、与党の皆さんのあの殺気立ったところのあのかっこう。きょうの朝日新聞を見ますと、今度は社会関係のわれわれは姿見せなかったから逃げたんだと、こう書いてありますけれども、私どもはやっぱり最終判断をされる場合は、それこそ文部省をして静かな場所に置いて、冷静な判断をさせたいという気持ちですよ。ところがどうですかああいう状況は、異常ですよ。いわゆる「全員集合」という何かありますけれども、全くあれみたいなかっこうでね。そういうかっこうをとらせておいてああいう中身が出てきた。しかも、その前の日の大臣の私のところの答弁では、相当物わかりのいい大臣だなと思わせる節のお答えもあった。ところが出てきたところのものはけんもほろろのものなんです。取りつく島のないものなんです。このことと先ほど申し上げた事実関係、さらには報道機関のこの指摘、おたくはこれでもいやそんなことはないが、永井道雄は断固として胸を張ってやっておりますと、世間に言えましょうかね、これ。あなた自身は仮に言えたとしても、少なくともこの問題をめぐってそういう疑惑を与えているということは、私は教育界の不幸だと思うんですよ、これは。口を開けば教育界の、教育の中立性を言いながら、そういうような誤解を、仮に誤解であるにしても招くような雰囲気をつくらせるというあり方、このことについて大臣は一体、どうお考えになりますか。ざっくばらんにひとつお聞かせ願いたいんだ。
  66. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私が高騰先生、あるいはその前に鈴木先生思いますが、その御質疑に対してお答え申し上げましたように、昨日、ストが行われました第一の原因は何であるかというと、これは私が文教行政を進めていく上で、足りないものがあったということを申し上げたのでありますが、それは繰り返し申し上げたいと思います。私は決して私自身がうまくやったんだが、ほかの人たちがどうもわからず屋で困ったということを一度も申し上げたことはございません。そういう考えではありません。たとえば、宮之原先生がどうだとか、あるいは高騰先生がどうだということはございません。第一は私だと思います。  ただ、第二について申し上げさしていただきますならば、これは自民党内閣でございますから、私として十分戒心しなければいけないんですが、それだけに自民党の文教に御意見を持たれる方々がいろいろな意見を表明される。その種のものの中に、たとえば局長を辞任させたらどうかとかという式のものとか、あるいは省令はいついつまで出させるというふうなことが報道されておりましたが、こういうことはあってはならないことであります。これは明確に申し上げておきたい。それを招いたのが私であるということでありますが、事情はかなり複雑であったように考えております。私の免責を求めているのではありませんが、そうではなくて私、第二の原因は、政治的な過熱現象というものもやはりあったと正直に私は感じております。ですから第一の責任は私ですけれども、しかし、政治的過熱現象というものもあったと思います。そこで過去を顧みてどうするか、しっかりせよというお言葉がございますが、まさにそうでありますだけに、今後はより一層、私が文部行政をあずかっていく責任者であるということを明確にしなければなりません。それは国会を尊重するということでありますが、しかしながら、国会を構成されております政党ないしは社会における組織の政治的活動というもののいずれにも左右されずに、私がはっきり文教行政を打ち出していくということでありまして、それは就任のときに考えていたことでありますが、今日、一層厳しさを増していると感じますだけに、その厳しい状況の中で、私はこの文教行政というものの責任者といたしまして、これの独立というものを達成したいと考えます。
  67. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 ぼくはやはりこれからのあなたの行動で明確に示してもらいたいと思いますね。たとえば省令の問題にしても、もう十五日から二十日、遅くとも年内にはあなたに首をつけてさせるんだと豪語しておるところの皆さんも相当いますよ。文相がそういうものにこだわらないという本当のあかしを私はやっぱり今後の行動で示してもらいたいと思う、それならば。そのときまで私はあなたのこの問題に対するところの真意を了解できるかどうかはそれは待ちます。  なお、関連してお聞きいたしますけれども、国会意見を聞くと、こういうことです。それでまあこの間初めて聞かしてもらってありがとうございますというお話だ、それは私は先般来も申し上げてるように、これから何回あるかわかりませんぐらいのきわめて短い国会なんです。しかも、お話を聞きますと衆議院ではまだ一回も議論されてないんだそうですね。いわゆるあなたのおっしゃったところの、期限よりも手続というこの物の考え方が名実ともに生かされるような処置を私はあなたが本当に良心的に行っていただけるかどうかということが今後先ほどの問題とも関連してきわめて大事なことだと思うのです。えてして、期限よりも手続ということは、手続でこうして一、二回やった、あるいは衆議院もあす若干やるでしょう。やったからこれで手続は終わったんだ、だから私は期限よりも手続を重んじました何だという形式論で私は物事を処せられたんではそれこそ、先ほど私が一つの例を挙げたところの期限の問題とも関連しますけれども、それであっては困ると思うのです。本当に国会の議論も踏まえたいとおっしゃるなら、時間を与えてもらいたい。現に私ども参議院の文教委員会としては、ほかのいわゆる野党の四党はだから小委員会でもつくって十分議論させてくれと言うのだけれども、自民党の皆さんうんとおっしゃらないのです。それも一つの思惑があるからですよ。いわゆることしじゅうに何が何でもおたくに首をつけてでも、根っこを押えてでも省令化させるという一つの広言があるからですよ。それだけに私は今後のあなたのこれに対するところの行動にまちたいと思いますけれどもね。本当に文字どおり良心的な立場に立って、——初めて国会に提起されたところの問題で、恐らくほかの先生方もたくさん質問がおありだろうと思うし、議論もしたいと思っていたと思うのです。私自体持ち時間の中では議論し切れないぐらいたくさん問題があるんですよ。それだから文字どおりやはり十分な国会の審議の意向というのを踏まえて参考にしながらこの問題について処置をされるという御意思があるのかどうか、改めてそこらあたりをお聞かせ願いたいと思います。
  68. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) まず第一に、この私の首を押えてでも省令化させるということがございましたが、省令は私の意思によって書くのでございます。したがいまして、首を押えて省令化させることはこれは許されないことであります。そういう発言も私は慎んでいただきたいと考えます。  次に期限よりも手続ということは、私は公言いたしましたことでありますから、そのとおり考えております。  なお、国会においてはどうだと、この国会の議論の進め方については国会の諸先生方がお決めになることでありますから、どういう形でどういう手続ということは私が申し上げるべき筋合いでございません。しかし、私自身の立場から申しますれば期限より手続ということに変わりはございません。
  69. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私は大臣のいまのお言葉を本当に大臣対話と協調のこの路線について若干のつまずきはあったけれども、あくまでも続けたいという御意思であるし、その方向に沿ってこの問題も慎重にやはり各層の意見を踏まえてお考えになっておると理解をしておきたいと思います。  それで時間もありませんので、若干この主任制度の問題の問題点についてお聞きをしておきたいと思う。私は、現実にいま主任というものがあるわけですから、だから、だれも現在あるところの主任を中心にしたところの学校運営という運営のあり方を否定するものはないと思うんです。しかし、問題は、中間指導層という銘打って出されるところのこの主任制なるものが、新聞指摘をしておるように、中間管理層になるところの歯どめがきちんとできるんだろうかどうだろうか、いかに永井さんが理想に燃えられて中間指導層だと、教育指導の面の相談役にさせるということがねらいなんだと、こうおっしゃっても、果たしてそのとおりになるんだろうかどうだろうか、どこにそういう歯どめの保証があるかと、この問題が率直に申し上げて関係者や学校の現場にはやはり疑点として一つ残っておるんです。あるんです、大きな一つの点として。  いま一つは、学校運営の中で一番大切なのは、教職員間の人間関係の良好な状態をつくるということなんですね、教育効果高めるには。いわゆる校長が一般の教員を部下だと、こう思って何でもやれと、そういう命令どおりさせきらぬ校長はだめだという発想の中では今日の学校運営というのはできないんですよ。そういうところで教育効果というのは上がりっこないんですよ。それは戦前の教育の話なんです。だから、戦前の教育界におられて、戦前教育界あるいは戦前から戦後直後におられたところの校長さんの中にはそういう発想の方もおられるかもしれない。しかし、今日一番大事なのは校長であろうと教頭であろうと、その人間関係というものが非常に教育に影響するだけに、一体文部省考えておるところのこの主任制の導入というものが果たして人間関係という学校の中にどういう波紋を投ずるだろうか、従来以上に改善されるんだろうか、よくなるんだろうか、あるいは逆にむしろ疑心暗鬼、断層をつくりはしないか、そこのところの疑点というのが私はこの問題の第二のポイントだと思うのですよ。ここの解明ができれば、結果的にそういうものの手だてがみんなできたというならば、場合によってはそれは文部省の物の考え方もいいことにもなり得ましょう。しかしながら、示されたところの中にはそれへの危惧というものが充満しておるというところに今日この問題点があるんですよ。そこのところをきちんと私は踏まえていただかなきゃならぬと思いますがね。どういう判断をされておりますか。
  70. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 宮之原先生のただいまのこの二つの問いというのは相互に関連していると思います。  まず第一に、私がああいうふうな考え方を出して、それは一つの理想として認めてよろしいが、しかしながら中間指導層というふうにならないで管理的になっていく、歯どめはどこにあるか。歯どめは何よりも私は私の考えが十分に理解されることだと思います。理解されることの一つとして、たとえば、この国会における御討議というものもきわめて大事だと思いますが、そのほかいろいろな方法がございます。今日までのところ文部省の広報活動もいたしておりますし、それから私たちはまた、特に私ですが、いろいろな場でこれを説明するということが非常に大事である、しかも、その説明の場合に、先ほど申し上げましたように、党派的なものでなく、要するに、コンセンサスを得られるという形の理解ができる、これがブレーキの第一だと思います。あとは幾分形式的になることだと思いますが、仮にこの省令というものを書いていく場合にどういう書き方が大事であるかというふうな問題がございます。さらにまた、通達というような方法によって補うこともできます。さらにまた、校長会や教頭会あるいは教育委員長あるいは教育委員会の長の会議における文部省の説明というふうなものもございます。さらに研修会というふうなものもございます。いろいろな方法を総動員して、そして私は政策の実現というものを図らなければならぬと考えております。  第二の、ですからこの制度というものを私が考えているような形で実現していく場合、うまくいかなくなることがあるのではないかということは、いま申し上げたことと関連しているわけでございまして、十分にその意思が徹底しないでまいりますというと、要するに、教務主任というのは結局のところ管理職的な色彩の強いところである。そうすると、それに仮に手当が出るというと一層いわば管理的なものじゃないかというふうになっていくわけでありますが、それだけに私としては、これは専門家としての能力を持っている人をでき得る限り参加させていくように固定化さない方法も工夫する。そういう歯どめを工夫しているわけでございますし、それから繰り返しになりますが、教頭校長のあり方というようなものも提案しているわけでございます。そういういろいろな方法というもの、そしてコンセンサスある理解というものがどのくらい進むかということが、私は先生の、結局のところ、一問、二問のいずれにもかかわってくるところではないか。そうでない場合には、御指摘のような不安というものを醸成するおそれがある、かように考えております。
  71. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 ただ、これは文章で書いたりあるいは校長会、いろんなところで説明したからこれがさあっといくという問題じゃないのですよ。一番の根幹は、日本教育行政の一番特徴になっているところのこの管理主義という、ここのところにあるのですよ。この一番根本の問題を手直ししないでおって、ただ、指導主任だけがそうじゃないものだと、こういうふうな角度で文章化し、そうだと、こう言われたって、これは率直なところ私は実効は一つも上がらないか。逆な傾向、私どもが恐れているところの傾向にしか私はならないのじゃないかということを端的に恐れます。悔いを千載に私は残すことになりはせぬかと思います。頭の上で考えておられるところのそのことと、一体、職場の実態はどうなのかという、ここのところに私は大きなやっぱり断層があるのじゃないかと思いますよ。これは私、「日本教育」というのを見たんですが、これは国立教育会館の中にある——森戸さんですか、だれかが大将の教育会ですね。日本教育会の出しておるところの新聞なんですが、これが主任制問題について座談会をしておるところの記事があるのです。この記事をずうっとこう見てみますと、こういう物の言い方ですよ。これはちょうど今村さんの私案が出された直後の座談会のようですけれども、来ておるところの人は東京の教頭さんとか教務主任さんとか、いろんな教科主任とか、そういう人をみんな集めてやっておるみたいです、小中高の。しかし、これらの中身を拝見いたしますと、いわゆる中教審の言う校内管理組織、また、そういう皆さんですから賛成だと言うのですね。大体、この日本教育会というものが、客観的に見れば大体色がついてくると言われておるぐらいのもんですから、その人々が集めるところのそういう人々ですから、大体何を言おうかということは、これは読まなくてもわかりますけれども、そういう皆さんでさえも、それは肯定をしながらこう言っているのですよ。一体これが実施をされるとなると、他の教師との人間関係に不必要な摩擦を生ずる心配があります。教育の本質面からではなく行政的発想からあるので、よけい教育現場に混乱を起こすのではないでしょうかと思います、そう言う人々さえもずいぶんおる。さらに、これは手痛いところなんだ。自民党文教部会人確法の第三次配分が財政難で円滑にできないから、まずこの主任手当からやるんだという、配分が、もらい分が少ないから、まずそれからやるんだという物の発想だというならば、これは全く逆さな物の考えですねという、手厳しい批判をしておるんですよ、これは。私から言わせれば、あそこにたむろしておられるところの、この日本教育会なるものの構成、しかも皆さん方から見れば、大体これは文部省の言い方に拳拳服膺する側の人々だけの集まりなんですが、そういう人々さえも、このことについて非常な心配点を言っておるのですよね。これのことについて、皆さん御検討される際に、どういうふうにこれをお感じになりますか。
  72. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私、いま先生が読まれた新聞の、その当該の記事は読んでおりませんが、言われたことは二点だと思います。この二点についても繰り返し申し上げたんですが、つまり自民党文教部会というものがあります。私はもちろん自民党文教部会意見も聞くんですが、意見を聞くということと、私がその意見に押されて意思を表明するということは別問題、全く別であります。そこで、その新聞にありますように、自民党文教部会が文教政策を決定するというようなことは、そして、その細部にわたって決めていくということはあり得ないことであります。いわんや、いまの制度というふうなものが私ども文部省にある者の責任であるということは明瞭でありますから、仮にそうしたことが不明確であるということであれば、まさにその新聞指摘しているような問題を生ずるわけであります。この点、先生の言われるとおりであると考えます。  次に、不必要なあつれきを生ずる。この問題は先ほど申し上げたので余りくだくだ繰り返しませんけれども、要するに、私が出しました見解というのは、不必要なあつれきというものを生じないための配慮というものをいたしているわけでございますが、しかし、それについても先ほどいろいろ申し上げましたように、十分コンセンサスを得て、そして御理解をいただくという手続を踏みませんと、まさにその新聞指摘しているような問題が生じるというおそれがございますから、そのおそれが事実とならないように、いろいろ先ほどから申し上げたような方法というものを徹底していかなければならないんだと考えております。
  73. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いや、この記事は何も自民党文教部会が案を出したから悪いと言っていないんです。これ、書いてはないんですよ。私が言うのは、自民党文教部会の、そもそもの主任に手当をつけようという発想は、第三次分が五%で、きわめてこの今日の財源難の中でこれは多く取れないから、とりあえず、その主任手当をつけるものだけでも確保しようじゃないか、こういうことから何が何でも主任手当だという形でこの問題が大きく浮かび上がってきておるから、これは教育のあり方から見て全く逆さな考え方じゃありませんかと、こう痛いところを突いておるんですよ。私は、こういう発想だとすれば大臣も否定されると思うんですが、そうでしょう。どうですか、否定されますか。そのノー、イエスだけおっしゃってください。
  74. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 第三次改善に私どもが予定いたしておりますものは四種類ありまして、そして、そのいずれもが重要であるということは、もう前に申し上げたとおりでありまして、私は第三次改善を取るための手段として主任考えるというような考え方は全く間違いだと思います。
  75. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 関連してお聞きしますが、この給与改善についてのこの間いただいた紙ですよね、これは、どうもこの改善についての見解表明なるものは、「主任に対する処遇のほかに、三種類のものを考えておる。」、「一」、「二」、「三」と。文部省の物の考え方も、普通の文章の常識で言えば主任手当の方が一番大事ですという物の書き方じゃないでしょうか。もし大臣がそうでないとおっしゃるなら、この書き方自体非常に私は疑点があると思いますが、どうなんですか、大臣、これ。普通の文章を読む人から見れば、そうしか思えませんよ。これが本音じゃないですか。どうですか、そこらあたりは。違うなら違うではっきりおっしゃってくださいよ。
  76. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) ただいまの点はつまり主任学校運営のところで論じておりますから、そしてその文書を出して、その文書と一緒にいまのものを出したんです。ほかの三つについては全く言及しておりませんから、そういう形になっているというわけでございます。しかし、主任社会の問題になっているということは疑いない事実ですから、それについては私はこの基本的な考え方を出しましたけれども、そこのところで、「主任——「ほか」となっているのは、いま先生かおっしゃいましたようにこれが一番大事であと三つはどうでもいいと、こういう意味合いではございません。
  77. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それなら私は非常にこれ欲張ったかっこうで世間に対する見出しはなかなかいいですよ。ああこれはみんなだなと思うんだ。一体どこが重点ですか、それなら、この中で。
  78. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 人確法の本来の運びから申しますと、どこが重点かというと、実はすべての先生方の本俸を上げたいということでございまして、それで昨年の私、就任早々この第三次の予算にかかわる部分に出てまいりましたのは五%というので、その段階のすべての先生の五%を考えていきたい、したがいまして何が大事かというと、そこには本俸とか手当という表現になっておりませんが、すべての先生方の給与を上げるというところが一番大事な点だと思います。
  79. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そのすべての先生方の本俸というと、やっぱり本俸を引き上げることが主点だと、重点だと、こういう意味ですね。いや、そうでしたら六月十七日のここでの御答弁と全く一致するんですよ、それだったら。それなら重ねて聞きますがね、こういう財政逼迫の世の中で五%の四百十二億さえ取れるかどうかと言われておるところの時代ですよね。そのときに、仮に満杯出るかあるいは削減されてちょっと残るかわかりませんけれども、出てきたものはまず全体の先生方の給与改善に及ぶような本俸の問題をまずいじくるんだと、いいですか大臣、大事なところですから聞いてくださいよ。こういうふうに理解していいんですね。金が足りなかったんだからそれは後回しして主任手当とかあるいは学校管理職の管理職手当だけをふやしたということにならぬでしょうね。その点をひとつ明確にしておいてください。
  80. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) いまの全部の先生の給与の問題について誤解のないように申し上げておきますが、昨年は五%本俸ということであったわけです。さらにまた、本年度については七%本俸という方向であったわけです。ところがまず来年度の、前の話をいたしますと、本年度四%、三%という形で、これは人事院が手当という新しい勧告をいたしました。そこで、財政状況が非常によくないですから、私たちは全部の先生の待遇が上がっていくことが望ましいと考えております。ただ、本俸というものになるか、それとも手当というものになるか、つまりことしのところですでに手当という新しい方式を人事院が出しましたから、これは私は人事院との今後私たちとの話し合い、そうしたものにも大いによるところがあると思いますけれども、最終的には私たちはもちろん全部の先生の待遇の改善が大事だと思っていますが、しかし、確実に本俸になるかあるいは手当になるかという問題については、これは人事院の決定をまつほかはない。しかし、その四項目の中で何が大事かというならば、すべての先生の給与を上げる、そういうことであるということを申し上げておきます。
  81. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 じゃちょっと聞きますが、みんなの先生方の本俸を上げるということが重点だってあなた六月の十七日にもおっしゃっているんですよね。これは間違いなんですねと聞いているんです。ところがどうもあなたは後がおかしくなっている、御答弁がね。言うなら、いま第二次配分で三%の本俸と四%という手当がつきましたね、けれども筋はあの三%を上げていくというのが本筋でしょう。ただ、大臣がいまおっしゃったところの手当云々というのは、一律にかぶせるところの四%のあの手当のことを、かぶせることを言っているんですかどうですか。そこのところをはっきりおっしゃっておいてくださいよ。
  82. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) そうです。一律かぶせる四%というものが出てきたことを申しております。
  83. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そういたしますと、第二次配分の三%の本俸にあくまでも努力をするけれども、どうしてもできない場合には最低限のこの一律かぶせるところの四%に最大の力点を置くと、こういうふうに理解してよろしゅうございましょうかね。それに〇・一%とか、一%とか、また主任手当に、何か私、新聞で報道するところによると、主任手当なるものは四%なるものを考えていると報道されておるが、そこにもつけるのだと、こうしてみんなどちらにもまんべんなくつけるのだというふうに結果がなったんじゃ、あなたの大きな食言になりますよ、そこをはっきりしておいてください。どうも自民党の文教部長さんの談話を見ますとそのように受け取れませんから。主体性を持つところの文部大臣のひとつ御見解を伺いたい。
  84. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私、繰り返し申しますように、本年度四%という、これは全部にかぶせる手当が人事院の勧告から出ました。したがって、確実に本俸ということを申し上げにくいと言ったのはそれなんです。でありますから、全部にかぶせる、全部にかぶせる手当という方向も人事院から出ることがあり得ますけれども、しかし、私たちはこの四種類を並べたときに、この六月に先生にここで答弁いたしたと思いますが、全部の先生に対する待遇の改善、これを第一眼目にしているということでございます。つまりそこのところを薄めて、そして主任の方をよくするとか、そこのところを薄めて特活の方だけを厚目にするとか、そういうふうな考えではございません。
  85. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 時間がありませんから、これはまた次の機会にもう少しそこのところは話さしてもらいたいし、次は人事院も来てもらって、そこの質問をさせてもらいたいと、これは委員長にも要望申し上げておきたいと思います。  もう一つだけお聞きいたしたいと思います。先ほど申し上げたところの教育指導中心のいわゆる主任だと、こういうことですけれども、私はこの間も指摘しましたけれども、文部省が多く使われているところのいろいろな富山県の資料とか、あるいは国研の資料を見ても、現在の主任というものは管理職の補佐機能としての機能が年齢構成が高ければ高いほどそういう傾向が非常に強いのですよ。それを一体あなたの構想の中でどう考えていくことができるか。私は、これはもう不可能に近いことだと思うのですよね。これは私、大分の高等学校先生方調査をちょっと資料として持っているわけですが、これはことしの六月、大分の高等学校先生方の千六百五名のアンケートをとって調査したところの資料ですがね。大分には現在県の管理規則で部長というのを決めている。生徒部長と教務部長と二つに分けておる。これはずっと文部省の方の物の考え方からいえば、生徒部長というのがこの間、発表されたものの進路指導主事と生活指導主事の二つが入っている、兼ねている。教務部長というのは教務主任に当たるやつですよね。こういうのが出ている。「「部長は校務分掌」であることについてあなたはイ校務分掌であっても部長だけは県発令でよい」と考えますか。「ロ校務分掌は各学校の教職員によって民主的かつ自主的に決定すべきもの」と思いますか。「ハ形骸化された部長制であるのでどちらでもよい」と考えますか。マルを回せというこのアンケートは、校務分掌として県の教育委員会自体が発令をすることには管理体制の強化にしかつながらぬからという理由から九八%の教職員が反対の意思表示をこれは学校現場でやっているのですよ。  さらに、第二の点としてこういうのがある。部長は果たして教育的役割りをやっているとあなたは考えますか、次の問いに答えなさい。「イ教師集団の中に部長が存在することは生徒に対する教育効果があがっている。  ロ部長が教育現場に存在することによって、かえって混乱がおこり教育効果が低下している。  ハ校長教頭の下請けで生徒に対する教育より校長教頭の指示を受けて管理面を具体に考えておる。」これに対しては、いわゆる年代層についても若干の開きはありますけれども、これは全体的に見ますれば、「ハ校長教頭の下請け」的な補佐機能としての役割りを果たしておるというところの答えが、これは六〇%前後来ておるんです。これが、私はやっぱり高等学校一つの県でございますけれども、これは例だと思うんです。ですから、一体あなたの学校に部長制というのは必要ですかと、こういう問いに対しては、六・二%の賛成者以外は、これはやはり反対をしておる。こういう、やはりものもあるんです。したがって私は、もう時間もありませんから多くを申しませんけれども、こういうやはり教育の現場におけるところのこの問題に対するところの反応というのが、必ずしも皆さんが考えられておるような安易なものでないということを指摘したいんですよ。それだけにましてや、いままで校務主任としてあるもの、学校運営としてあるものを、県の教育委員会の発令とか、これは高等学校、そうなりますよね、この論法でいきますと。それから市町村教諭の任命制という、辞令をもらってやるというやり方は、ますますこのことを助長する以外の方法ではないと思うんです、どう大臣が言われようとも。これは富山県のあの調査を見たって、一番金科玉条とされている国研のあれだって、年代層が、先ほど申し上げたように、高けりゃ高いほどそういう傾向を示しているんですから。それでも、いやそうでない、こうさせるんだという方策があるんなら御見解をお聞きしたい。こうすれば、それができるというあれがあるなら聞かしてください。
  86. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) ただいまの問題についてお答え申し上げますが、いまの調査は、六月の千六百五名の大分県高教組調査でございますか。——そこで、任命の方式なとについては、これ、すでに初中局長が一昨日申し上げましたけれども、直接、市町村の教育委員会が任命しているという姿のところもありますが、私たちは、そういうことでなく、むしろ実態に即して、いままで校務分掌で校長が行っているという場合には、校長に委任するという形を考えておりますから、いまの先生の御指摘のことから生じる不安ですね、それにはいま申し上げたように対処をしていく、かように考えております。
  87. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 もう時間がないから、次、またやります。
  88. 久保亘

    久保亘君 文部省の構想や見解については、時間を次の機会にいただいていろいろまた御質問したいと思います。  私は先ほど、高橋委員文部大臣質疑応答の中で、少し考えてみなければならない問題があると思いましたので、ほんの一、二点お尋ねしますから、簡潔にお答えください。  今日の日教組と文部省の対立、教育の現場と行政の対立の激化について、あなたが原因分析を、従来の文部大臣からはなかなか述べられなかった真剣で謙虚にとらえようとする反省を出されている点について、私は深い関心を持っております。しかし、大臣のその認識が一つの評論に終わって、これがあなたの文部大臣としての勇気を裏づけにした実践論としてとらえられない限り、余り意味のないものだと思うんです。  それで、具体的にお尋ねしたいのは、教育に政治的影がのしかかっていた過去がある。政治家でない私には、保革——与野党を問わず、いずれも教育について発言するときは余りに政治的で、解しかねる点がある、こういうことを言われております。また、政治関係の人は教育に対して過熱するくせがある、それをやめてもらわなければならないとも言われました。今度の主任制の問題に関する限り、この過熱したもの、教育について発言するときに余りに政治的で解しかねるもの、これは具体的に文部大臣はどういうふうにとらえてこういう反省を述べられておるのか。何が一体解しかねる問題であり、何が過熱して文部大臣行政に対してそれをあなたが困ったものだと思われたことなのか。  それからもう一つは、この管理強化、管理阻止という立場でとらえ過ぎるという表現をされるときに、管理強化の立場というのは、この主任制の問題をめぐってあなたが行政を遂行されようとするときに、政治的にどんな形で文部大臣に作用しているのか。そのことを具体的にお聞きしたいというのが第一であります。  それから二番目には、教育を政争の外に置きたい、静かな環境教育考えたいというあなたの理想を放棄されないならば、ストライキという一つのこの非常に激しい対立があったけれども、この対立の原因にメスを入れて、その根本を解明することによってこの対立を解きほぐして、あなたの理想を貫こうとされるならば、この主任制の問題に関する限りは、このあなたが見解の第一項で述べられておる問題、主任制度の是非を論ずる前に主任とは何かということについての正しい認識を文部大臣も、また国民の各層も十分に深めなければならない。その原点に立ち返って、この問題について慎重なこれからの文部大臣としての対処の仕方をするということによって、あなたが理想とされているものを貫くことができるのではないか。だから、これらの解決は評論的ではなくより具体的、実践論的でなければならぬと思う。そういう点で大臣見解をお尋ねしておきたいと思います。
  89. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 久保先生のただいまの二問の御質疑に対してお答え申し上げます。  まず第一点、政治的に過熱するというのは、この主任問題に関して具体的に言えばどういうことであるというふうに考えているか。しかも、与野党と私申しました。どういうことであるか。それは、一、二少数例だけ申します。まず、この今村私案が出まして、そして今村さんが日教組に持って行かれて相談があったときに、これ絶対反対、ストということが決まった、これが一例でございます。他方、与党的な方について申しますと、新聞今村さんの辞任を要求するといような声かあった。これは事実ありました。さらにまた、省令化を急がせるというような発言が、そういうことを意味するわけでございます。  次に、評論に終わってはいけない、実践論が大事だと、それはどうするのかということでございます。もちろん、私はいま評論の立場にないんですから、実践しなければいけない。それはいろいろあると思いますが、まず、そもそも私はその文部大臣見解出したということが一つの実践であります。それから、この国会で御論議をいただいておるということも、次の実践であります。繰り返し申しますように、先生おっしゃるように、この項目の一が一番大事なんですから、項目の一をめぐりまして後の二以下ができているわけなんですから、したがいまして、国会の場だけでなく、他の場においても、これはこの間から申し上げておりますが、いろいろ議論を進めていく。だから、私は期限より手続ということを申し上げたんです。それは、ですから繰り返しになりますから省きますけれども、そういう形で十分な納得を広くいただくということが、私は実践論といいますか、実践の基本的な方向と考えております。
  90. 山東昭子

    ○山東昭子君 昭和二十一年に再発足した戦後の学校給食は、経済的に恵まれない児童の救済から栄養不良児童、身体虚弱児童、それらの栄養改善、さらに学童の体位向上という点において大変意義深いものであったと思います。私自身もそのお世話になった一人でございます。  去る九日に行われました学校給食分料審議会において、現在学校給食の主食であるパンと並行して米飯を取り入れることが決定されました。この問題について二、三大臣にお伺いしたいと思います。  まず第一点は、設備改善のための補助金は五十一年度予算にどれくらいの額を計上していらっしゃるのか。また、設置者は米飯給食を実施するに当たり、炊飯施設の増改築などにかなりの費用を要すると思うんでございますけれども、そうした費用の何割ぐらいまで補助をなさる御予定でございましょうか。また、米飯を取り入れた場合、米の計量、洗米あるいは炊飯等にかなりの時間を要すると思いますけれども、そのパンと比して長時間かかる、時間のかかる分だけ調理従業員を増員させるのか。それとも機械によって省力化するのか。もしも前者のような策をおとりになるならば、調理師の確保、あるいは養成といったことまで配慮してらっしゃるんでございましょうか、その辺のところをお伺いしたいと思います。
  91. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) ただいまの山東議員の御質疑に対して、担当の局長から御答弁さしていただきます。
  92. 安養寺重夫

    政府委員安養寺重夫君) お答えいたします。  昭和四十五年ごろから国内の米の需給関係を拝見いたしまして、学校給食に米を使用すべきであるというような意見が多く見えまして、文部省は米飯給食実施のいろんな問題点を明らかにするという意味をもちまして、四十五年から現在まで学校給食で米利用というものの実験をいたしておるわけでございます。たまたま、この実験のお米というものが無償で給与されておったわけでございまして、五十一年度以降、この実験を打ち切りました以降、そういった問題の処理もどうするかというようなことで、この春先以来学校給食に米をどのように取り入れるかという検討を給食分科審議会にお諮りをしてまいったわけでございます。その結論が去る九日の審議会の総会で出たわけでございます。一言で結論を申しますと、在来の実験の成果を踏まえまして、段階的に取り入れることを可とする。これはいろいろ学校の実情、地域の状況等区々でございますので、そういうような考慮をもって米の利用をこれから始めるべきである。それに関連するいろいろな諸問題の御指摘もあったわけでございます。いまお話しいただきました施設、設備等につきましても、今後いろいろと充足を要するわけでございまして、米飯給食を現在行っております学校は四千三百九十三校ございます。そのうち炊飯施設を有している学校は千校程度と思われるわけでございまして、今後、学校給食へ米飯を導入するということになりますと、当然その関連の施設、設備、このまあ増強を必要とするわけでございます。  五十一年度の予算要求に在来の完全給食校をふやすと、また、いろいろ老朽建てかえ等に関連する給食の施設、設備を整備するというような在米流のいわば予算要求もいたしておりますけれども、その中におきまして約四億四千万円程度の米飯導入のための学校食堂あるいは炊飯施設、設備というものの整備に必要と思われる国の補助金の概算要求をいたしております。だんだんにこれから各県の実態、意見等も聴取いたしまして、学校給食にせっかく米を導入いたしまして魅力あり楽しく、おいしいというような方向を促進していただけるように努力をしてまいりたいと思います。  いま一つお話ございました、米飯給食をいたしますと、パンと比べまして大変に手間のかかるものでございまして、そういうような直接間接の手間を整備いたさなければいけません。在来も学校調理師の、まあ給与上の手当につきましては地方交付税の方で措置をいたしております。今後新しい展望に対しましてそれをどのように増強していくかはこれから計数的にも当たらなければならぬと思っておりますが、そういう人たちの、現におります人たちには講習会を実施するとか、日本学校給食会が国の代行機関といたしましていろいろそういう実施の細目にわたる、しかし大変大切なことをやってくれておりますので、そういう点をなおよく指導、強化をいたしたいと、かように存じておるわけであります。
  93. 山東昭子

    ○山東昭子君 それからさらに、一食当たりのお米と小麦粉との栄養面を比較いたしますと、御承知のように、お米はたん白質、ビタミン類が小麦粉よりも劣りますけれども、この栄養面の補充はどうなさるおつもりでしょうか。
  94. 安養寺重夫

    政府委員安養寺重夫君) まあ単純におかずをそのままにするという想定で、パンの原料でございます小麦粉自体と米との栄養上の格差はそれほどでもないと、かように聞いておるわけでございます。しかし、パンにはいろいろ副資材あるいは栄養強化をいたすというようなこともございまして、御指摘のように、そういうようなことをいたしましたあげくは、まあ米飯については多少栄養上のいろんな問題を加味して考えなければならぬということになるようでございます。そういうことでございますので、これはまあおかずの質、内容、こういうものを米飯給食導入とともにいろいろと検討をいたさなくちゃなりません。すでに四十五年度からの米飯給食の実験校におきましてはそういうことも一応のめどを立てております。しかし、まあより新しい給食に取り組むという意味でこういう研究もまたやりたいと思っておるわけでございますが、まあ早速にわれわれといたしましては農林省にもお願いをいたしておりまして、経費をパン給食との均衡を考えるというような意味合いもございまして、お米の大幅値引きをお願いしたいと、それによりましていろんな栄養の点その他について配慮を加えてまいりたいと、かようなことを相談しておるわけであります。
  95. 山東昭子

    ○山東昭子君 いま御答弁で、まあおかずで補うということをおっしゃったわけでございます。しかし、私のところへもいろいろなお母様方から、まあおかずで補うのはいいけれども、一体給食費はどれぐらい値上がりするものなのだろうかと、大変御心配なお問い合わせがあるわけでございますけれども、そうした点はどのくらいでございましょうか、ちょっとお伺いしたいのですが。
  96. 安養寺重夫

    政府委員安養寺重夫君) これもまあ単純に机上の計算なんでございますけれども、小学校児童のお米一食当たり平均で二十五円前後になろうかと思いますが、パンの現行の価格では約二十三円というようなことでございますので、まあ若干高くなる。そのほかにいま申しました栄養の補強というようなこともございますので、やはり割り高になるというようなこともございます。ただ、おかずなどにかける費用はいろんな地域の実態、あるいは実際やるときの工夫等によりまして一概に計数的にどうということが言えないというような事情もございます。そういうこともございますが、傾向としましてはこれ割り高になる。繰り返して申すようで恐縮でございますが、なるがゆえにせっかく学校給食で使いますお米につきましては値引きをして、子供たち、父兄も安心していただけるようにしてもらいたいと、こういう交渉をせっかくやりたいと思っておるわけでございます。   〔委員長退席理事久保田藤麿君着席〕
  97. 山東昭子

    ○山東昭子君 やはり、父兄の方々にとって学校給食というものは大変興味深いものであるわけですから、栄養面の方でもあるいはそうした経費の負担の面についても、ぜひよりよい状態を文部省の方でも御指導いただきたいと存じます。  それから、話は変わりますが、最近、私は自由な教育で有名なある私立の学園を訪ねてみました。その学校では構内に生徒たちだけで交代にクジャクや白鳥の世話をさせ、責任を持たせましたところ、勉強ぎらいで授業も休みがちだった生徒たちが、一変して学校が好きになり、勉強にも興味を持つようになったということでございます。もちろん、比較的人数の少ない学校ではございますけれども、学習内容生徒の不得手なものを得手にさせるというようなことで、きめの細かい指導法を感じさせられました。  ところで、近ごろの子供たちも、そして親御さんも、よい学校に入ろう、そして入れようということで、死にもの狂いの大奮戦でございます。子を持つ親として当然のことと推察いたしますけれども、しかしそれでは、一体よい学校とはどんな学校なのだろうかと首をかしげてしまうわけですけれども、まあ大臣のお考えになるよい学校の定義というものをお聞かせ願いたいんでございますが。
  98. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) ただいま山東先生が御提起になりました問題は、非常に根本的でありますし、広い問題だと思います。ただ、先生が近ごろの子供は上級学校進学ばかり考えていると、そしてまたある学校を訪ねたときに、クジャクの世話とかいろいろやっていて非常に自由な雰囲気だとおっしゃいましたが、私はやはり現在のわが国学校教育というものが、特に小中校にまで非常にゆがめられてまいっておりますのは、先生も御指摘のように過熱した受験体制だと思います。でありますから、過熱した受験体制というものをどのぐらい緩和することができるかということはやはり私たちの最重点政策でなければならないと考えております。それにつきましては、非常にいろんな角度からの政策を進めておりますが、理想的な学校は何かという問いに対するお答えとしましては、そういう受験体制が緩和されていきます中で、いまのクジャクの世話のお言葉がございましたが、やはりそれぞれの子供能力、適性あるいは個性と申しましょうか、そういうものがあるわけです。その能力、適性というものをやはり生かすように、それぞれの先生方がそれぞれの子供を見てよく教育をしていくことができているような学校、これが一番よろしいんだと思います。また特に小中のケースをおあげになりましたが、小中の場合にはこれは義務教育でございますから、したがって、教育の機会均等という原則を堅持しなければなりません。そこで、富んだうちの子供も貧乏なうちの子供もいろいろ来るわけでございますが、しかし、それが家庭の出身などにかかわりなく、また性別にもかかわりなく、お互いに連帯をして、そうしえ平和に協力していくことができる。ですから要約いたしますと、個性、適性、能力を生かすそういう教育と、他方において、どういう出身であろうとも、やはり平和的に連帯をしていくことができる、そういうのが私は最も理想的な学校ではないかと考えております。
  99. 山東昭子

    ○山東昭子君 まあいままでの教育と、そして社会教育と家庭教育という三つの分野で分担をしていたわけでございますね。ところがどうも現在は学校教育に九〇%ぐらいのウエートがかかっているのが実態でございます。そうした中で、ローマのクインティリアスという学者などに言わせますと、学校というものは一生の友達に出会うところである。また第二に、よい教師に出会うところである。そして先生方にとっても運命的に生徒に出会い、そして助力する。そして物事を一人で判断できる人間をつくり、教師より以上に伸びていく人間をつくるところであると言っております。ところがどうも最近見ておりますと、私たちの父母の時代には何でも言い合えるような竹馬の友といったようなものがあったような気がするんですが、どうも先ほど大臣もおっしゃったように、受験戦争のせいか、生徒同志の友情であるとかあるいは先生生徒の間の信頼感、そうしたものがだんだん失われつつあるような気がしてなりません。そこで、大臣がお考えになって、そうして友情であるとかあるいは師弟の信頼感、そうしたものはどのように育てていかなければならないものだろうか、お伺いしたいと思います。
  100. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) これも、この人間の根本にかかわる基本的な問題でございまして、私は本当にこうすれば友情が直ちにうまくできてくるというような名案もないわけですけれども、やはり昔——昔というのは変ですか、高度工業化か進行いたします前には、そもそも新興住宅地域というようなものも余りありませんで、家庭同士も比較的安定した関係を保っていたと思います。昨今は特に大都市地域では人口の移動も多いですから、せっかく来た人がまた去っていくというようなこともございます。さらにまたかなり長くいる人でも、何かにつけて競争関係といいましょうか、そういうものが先に立ってしまう。そこで学校だけではなかなか解決がつかない現在の社会の厄介な問題を抱えていくと考えますけれども、そういう中であっても、私はやはり学校は山東先生言われますように、生涯の友に会う場所あるいは生涯の先生に会う場所、そういうものでなければならないと思います。  まあそれが先ほどの主任の問題にも関連いたしますが、そうであるだけにまあ私なども記憶をいたしておるのでは、私の習いました小学校校長先生というのは非常に教育熱心でおられました。その校長先生のことをいまでも私は非常に強く記憶いたしておりますし、影響を受けたと思いますが、やはりまあ学校先生教育の生きがいといいましょうか、そういうものを持てるように職場をつくること、それからまた理想というものが生まれていくようにしていくこと、先生がそうなりませんと、子供の方だけが友情というふうにはなかなかいきません。それだけにまず先生の中での連帯もございますし、教育熱心になっていく条件をつくり上げていくことが、ひいてはいま山東先生が言われました生涯の友に会うような、そういう学校の場をつくり上げていくのではないかと私は考えておりますが、これは本当に人間基本にかかわる大変な重要な問題でございますから、他のいろいろな角度からもなお考えなければならないことだと考えております。
  101. 山東昭子

    ○山東昭子君 いつぞや、私はある身体障害者の施設を訪問した際に、大変、心の温まるような話を耳にいたしました。それは夏休みを利用したある大学学生たちが、施設で働く人たちが非常に不足しているということを聞き、毎日何人かが交代で障害者たちのお世話をしたそうです。職員の方々も、もちろん無償で一生懸命手伝ってくれる若者に対して大変感激しておられたのを記憶しております。最近の学生の中には、このようなボランティア活動をしている人もたくさんおりますし、懸命に働いてそのお金を学資に充てている人、またまじめに勉強している者もおりますけれども、中には世の中の不幸な人のことも眼中になく、学生運動というものに名をかりて、罪もない人を殺したり、また電車に乗ってもお年寄りや子供を突き飛ばしてでも自分たちがよい席に着こうとしたり、グループになると目に余るような傍若無人な振る舞いをする者もおります。学資が高いとはいえ、アルバイトにしても流行の服や車を買いたいために、余り好ましくない職場でのアルバイトに精を出している者も少なくないと聞いております。大学もマスプロ化していく今日、大臣からそうした大学たちへの御忠告、それからこれからの大学教育というもの、あるいは学生生活というものに対してどのような方針をお持ちなのか、お聞かせ願いたいと思います。   〔理事久保田藤磨君退席、委員長着席〕
  102. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) ただいまの山東先生の、学生に対する忠告という問題でございますが、忠告の前に一つたちとしてしなければならないことを申しますと、過去十年ないしは十五年間に、非常に大学の数もふえました。ふえました学生の数で申しますと、約八割が私立大学でございます。私立大学の中には、実を申しますと、定員が実員の二十倍というようなところも昨年はございましたし、本年も十四倍というようなところがあるわけでございます。これではなかなか学生も勉強していこうとしましても、条件が整いませんから、私は最重点政策の一つといたしまして、そういうふうな条件の悪い大学、結局、私学振興助成ということに相なりますけれども、これはこの国会でお決めいただいたことでございますが、そうした法律を活用いたしまして、そして大学の名に値する大学をやはりつくるように、文教政策を進めていくということが基本だと思います。  ただ、大学学生諸君に言いたいことということですと、いま実はそういうふうに文部省が政策をとって進めてまいりましても、本当に短日月の間に日本大学がよくなるというわけにはいかないと思います。私学の助成というのが始まりましたのは、坂田文部大臣の時期でございますから、私もそれを受け継いでやっているわけですが、相当条件が悪くなっておりますために、短日月には解決しない。学生諸君に望みたいことというのは、よく相撲などで二枚腰というのがあります。一遍に理想が実現できればいいんですが、そうはいかない。そうすると、いまの状況の中でやっぱり耐えていかなきゃならない。そういう粘り強さというものがないと、私はいまの日本ではすぐ絶望してしまう学生諸君になりやすいし、二枚腰、三枚腰、四枚腰であればなおよろしいんですが、もちろん若い人は理想を持っていますけれども、直ちに挫折しない理想ですね。そういうものを持つようにしてほしいと、これは大学学生だけではなく、小中高みんなそうだと思います。また大人もそうでございまして、いまの日本とても簡単によくならないいろいろな問題がありますが、これは粘り強くがんばっていくということが一番大事なのではないかと、私は考えているわけでございます。
  103. 山東昭子

    ○山東昭子君 日本のように大学生が多いと、アメリカのように何か教授が学生五人に一人というような話もちょっと聞いたことがございますけれども、そのような理想像にはなかなか近づかないだろうと思いますけれども、いろいろな角度からぜひ大臣の新しい着想でそうした問題に対処していただきたいと思います。  それから、もう時間がございませんので、最後に大臣のようなお偉い方はいろいろといじめられて大変お気の毒だと思いますけれども、私も永井フアンの一人でございますので、これからは正しい教育というものに対して大いに全力を注いでいただきたいとお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。大変ありがとうございました。
  104. 内田善利

    ○内田善利君 一昨日もまたきょうも質問通告をしておりますので、質問に入りたいと思いますが、その前に、主任制の問題できょうの質問の中から二、三お聞きしたいと思います。  まず第一は、主任とは何かを実態に即して正しく認識することであると。この主任とは何かという問題と必要性ですね。これはこの間の質問から大臣も必要だとそのようにおっしゃっているわけですが、その必要な主任を、また、現在、各学校主任制度が実態として行われていると、これに何か欠陥があるのか。これに欠陥がないのにどうして手当をその人たちだけに上げて、管理職的なものから教育的なものに切りかえるんだと、こういうことなんですが、この間も、この点については質問したわけですけれども、学校においては教育のない管理はないんじゃないかということを私は主張したいんですけれども、管理職的な中間職を教育的な中間職に転換する、あるいは逆転するという言葉大臣は使っておられるようですが、そういった面で、どうしても主任には手当を差し上げて統一、画一化していくということなのか。その辺お伺いしたいと思います。  それからもう一つは、いまの大臣の御心境として、どうしてもこの主任制を早期実現したいと、こういうお考えなのか。私も、もう少し教育現場の主任制内容の問題について、まだ質問したいわけですが、早期実現をしたいといまでも考えておられるのか。この点をお伺いしたいと思います。
  105. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) ただいまの先生の御質疑の第一点でございますが、なぜいま必要で生まれている主任をそのままにしておかないで制度考えたり、さらに給与を考えるか、これが御質疑の第一点と思います。それは、先ほどからの議論の際、私、繰り返して申し上げましたように、先生おっしゃいますように、実際、教育のない管理というものはあってならないと私思うんです。しかし、実際はどうなっているかと言いますと、これはもう先生学校に長く御関係でございまして、私も大臣になりましてから、校長教頭の諸先生との接触の機会がふえました。そうするとどうしても腑に落ちないのは、りっぱな方もたくさんいらっしゃるんですけれども、あんまり教育関係でない仕事をする校長先生がかなりいるという問題があるわけです。これをこのまま、そうしてまた教頭ができた後のいろいろな議論というものを読んでみたんですが、それも大体、校長と同じようなものであるというような形での議論であって、どうもいま先生言われましたように、教育抜きの管理はあり得ないのに、どっちかというといまの校長教頭は、管理の方に傾斜しちゃっているというのが、私の現実認識でございます。そうすると、まだそういう中で、だからそこも是正しなきゃいけない。まだそういう中でやっぱり本当に教育面というものに接触しているのはだれであろう、そう考えると、私は主任であるということを一層強く感じるようになりました。私はこの校長教頭の問題についてまあ文教部会の方とも議論したことがあるのです。そこのところがよくならないと主任というものの問題はなかなか考えにくい。しかし、現状でとにかく教育面というものを担当しているのが主任でございますから、校長教頭の方を改め、さらにまたこの主任というものを、教育面に触れていますから、それを明確にしていく方が私はこれからの日本学校というものが、教育が強化されていく上でよいんじゃないかと、かように考えております。待遇の面なんですが、そういう場合に、ですからまずこの待遇の前に大事なのは役割りの規定だと思います。次に、処遇の問題だと思うのですが、そこでまあ今度主任をいろいろ調べてみると、これも先生が私より詳しく御承知の面もたくさんあるわけですが、やっぱり主任の中で非常にロードの多い人、つまり責任も多い人、種類の役割りがございます。こういう役割りを担っておられる主任には労働の対価といいましょうか、勤労の対価として私はやはり報酬を差し上げるという姿が妥当ではないかと、かように考えた次第でございます。  なるべく早く実現したいかどうかということが二番目の問いでございます。まあ私はそういうふうに考えて、日本学校教育というものがよくなっていく上で、私自身この地位にあります間幾らかでも貢献をしたいと思いますから、まあこの間の基本見解というのは本当に調べて書いたんです。それで、そうしますと、調べて書いてこれ責任持っております以上は、私はもちろん期限よりも手続を重んじますけれども、あんまり長くほっとくべき問題ではない。ほっときますと私はどうしても教育抜きの管理の方に傾斜していくおそれというものが、今日のようにこういろいろ学校が大規模化したりする中ではそういうおそれがあるのではないかと、こう考えているわけでございます。
  106. 内田善利

    ○内田善利君 まあわからないではありませんが、現在の学校では学校管理、経営といいますか、機能は円満に私は機能していると思うのです。そして先生方一人一人の自主性あるいは自立性、そういうものによって主任が決められ、そして学校運営は機能し、秩序も規律も学校の職員室では機能していると、そのように思うのですが、そういうところへそういった手当制度を持っていくということにどうしても疑問を禁じ得ないわけですね。何か欠陥があり、これどうしてもそういうふうにしたい、あるいは先生方の希望がありということであればまた問題は別になってくると思いますが、私も教壇を離れて大分、十年近くたちますので現場の現在の空気はわかりませんが、そういうふうに思うわけでございます。  それからもう一つ聞いておきたいことは、秋山委員の要求資料ですが、これを見ますと、小学校の部では、私よくわかりませんが、学年主任先生が一学級から六学級までの中で一一・九%と非常に少ないわけですね。これはどういうことなのか、答えてください。
  107. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) ただいま御指摘のその小学校の学年主任の設置率の問題ですけれども、この表にありますように、学校の規模別に一学級から六学級、七学級から十二学級というふうになっておりまして、要するに、小学校一年から六年までの全学級数が六学級以下という学校意味でございます。したがいまして、そういう学校では実態がこれでもいろいろありまして、たとえば小学校一年生は二学級だと、それから五、六年生は複式学級になっている、そういうふうなところもあるかもしれませんけれども、そういう学校では学年主任として名づけて置いてあるところはその全体の一一・九%と、こういう意味でございますから、したがいまして、この表で言いますと、十三学級から十八学級までの学級を持つ小学校では学年主任がぐっとふえまして八三・三%、こういうふうになっているという意味でございます。
  108. 内田善利

    ○内田善利君 それではまだ質問をしたい点がございますが、一昨日も、またきょうも通告しておりますので、その問題を質問したいと思います。  まず第一に、学校保健の問題でございますが、四十七年の十二月に保健体育審議会から「児童生徒等の健康の保持増進に関する施策について」という答申が出されておりますね。その中で特に強調されていることは、生活環境の変化によって肥満児傾向が見られ、疾病等で特に注意すべきものとして、心臓、腎臓などの疾病等が指摘されると、こうあります。そして、そうした理解の上に立って健康診断の改善を提言されているが、この提言について文部省としては、もうすでに三年たっているわけですが、どのようにこの児童生徒の健康保持のために健診をなさっておるのか、具体化しておるのか。この点をまずお聞きしたいと思います。
  109. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 体育局長からお答えいたします。
  110. 安養寺重夫

    政府委員安養寺重夫君) 昭和四十七年の十二月に保健体育審議会の答申を受けましていろいろ広範な御指摘をいただいたわけでございますが、翌四十八年の五月に関係の法令等を改正をいたしまして、新しい学校における健康管理なり健診の方法を決めたわけでございます。いまお話の心電図による健診につきましては、以下のようなことをやっておるわけでございます。学校の定期健康診断に新たに心臓の疾患及び異常の有無というような項目を挿入をいたしまして、臨床医学的検査——こう聴いたり、たたいたりすることですが、そういうような検査をやることになっておりますほかに、小学校の第一学年につきましてはエックス線の間接撮影をあわせて行うというようにしたわけでございます。また、特に必要があると認められた場合には心電図その他必要な検査を行うことが望ましいというぐあいにしております。また、健康診断の事後措置というようなことがございまして、必要な医療または検査を健康診断の結果に基づきましてやるように指示をするというふうなことを学校の中で明記したわけでございます。  なお、学校におきます定期健康診断に要する経費につきましては学校側が、設置者が負担すべきものだというような考え方のもとに、地方交付税におきまして必要な経費の積算をいたしておりまして、明年度等もその積算の増額というようなことを自治省とも相談をしておるわけでございます。
  111. 内田善利

    ○内田善利君 肥満児が非常に多くなっているわけですが、ここで私が取り上げたいのは、心臓の検診と尿の検診の問題を取り上げたいと思うのですが、尿検査の実態ですね、これを見ますと、これは昭和四十九年度の学校保健統計調査によるわけですが、小学校も中学校も大体オーダーは〇・幾らと一・幾らのオーダーなんですね。ところが佐賀県の場合、小学校で六・二九%.尿たん白の検出者が。それから中学校の場合は一〇・四二という、非常に〇・幾ら、一・幾らというオーダーから飛び離れて一〇・四二。これに近いのが高知県の四・八四、大分県の五・一一、中学校の場合にはございますが、ほかはほとんど〇・一、〇コンマのオーダーと一・幾らのオーダーなんですが、こういうずれがあるということが一つの問題じゃないかと思うのですが、この点はどういうことなんでしょうか。
  112. 安養寺重夫

    政府委員安養寺重夫君) いま御指摘ございましたように、尿検査も保健体育審議会の答申を得まして自後の改正により新しく検査をする項目に加えたものでございます。四十九年度の、いまお話にございましたような、県によっていろいろの検査の結果のデータがばらついておりますので、そういうようなことにつきまして、これは検査の方法等にもいろいろ問題もあるのではないかというようなことで検討をしておるわけで、たとえて申しますと、尿の検査は、私も余り専門家でなくてよく存じませんけれども、朝一番の尿をとって、それを試験紙法によって尿中のたん白質を検出するというような、比較的簡便な方法があるそうでございまして、そういうような方法もあるということで、こういうことを全部やろうとしたわけでございます。そういうような検査の客体といいますか、そういうようなもののとり方とか、あるいはまた陰性と擬陽性との判定がなかなか一般の人間にはむずかしいこともある。そういうようなことで、このような結果が各県の実態として出たのではないかというぐあいに考えておりますが、いずれ、こういうのも専門家によりましていろいろと解明をし、かつ方法等につきましても、これからだんだんに改善を加えていくというようなことが必要だろうと思っておりまして、われわれとしましても、いろいろ専門家のお集まりございますので、そういうときにこういうような結果をお聞きをしておるということでございます。
  113. 内田善利

    ○内田善利君 こういう実態は、たん白尿の検出ということは非常に重大な問題だと思うのですが、こういうたん白尿が異常に多く出ておる。こういうことは、いまおっしゃったところによりますと、検査方法がずさんだというふうにとっていいのか、あるいは佐賀県とか、あるいはその他二、三ありますが、大分等はこういうふうに異常なのか、もしこんなに異常者が多ければ、その原因は何なのか、この辺はつかんでおられますか。
  114. 安養寺重夫

    政府委員安養寺重夫君) どうも私の口からずさんであったと言うのは、せっかく一生懸命やってくだすっておる人たちに申しわけないんでございますが、いろいろ学校に届けられる検査の客体というもののいろいろな問題もございましょうし、われわれとしましても、結果が結果でございますから、その方面の専門家に御相談をいたしまして、どうすれば本当に正確に調べられるか、いろいろこれは今後改善を要するデータを得たいというぐあいに考えておりまして、今後勉強をさしていただきたいと思っております。
  115. 内田善利

    ○内田善利君 そうしますと、問題は検査方法の問題じゃなくて、こういう結果が問題だと思うんですね。非常によその県に比べて多い。〇・幾ら、一・幾らのオーダーから一〇・幾らという、非常に異常だと思うんですね、一割は尿たん白が検出されているわけですから。これについて保健体育責任者として、どういうふうに手を打ってこられたのか。四十九年のデータでございますから……。
  116. 安養寺重夫

    政府委員安養寺重夫君) 先ほど来、御指摘の佐賀県の検出の数値が最も高いわけでございますが、いま聞きますと、佐賀県では学校薬剤師会にこの仕事をやっていただいたそうでございますが、大変慎重を期して、疑わしいものはことごとくこれはチェックしようというような結果がこういうことにもなっておるようでございますけれども、いずれにせよ、これはいろんな試験紙法等の扱いの問題でもございますし、われわれとしましては一こういう結果がいろいろ、それに限らずばらつきがあるわけでございますから、どのようなことが一番学校の検査として最大限望まれる結果を検出するものかどうか、こういう方法について検討したいと申しているわけでございます。これが病気でどうこうというようなことになりますれば、これは専門のお医者様の方の領域になるわけでございまして、学校の方でそういうようなデータを持ち寄って、いろいろ学校医もございますし、地域の診療機関もございますので、その方に物を申し上げて御相談をするという段階になるわけでございまして、いま聞きますと、厚生省にも、いろいろこういうようなことについて相談をしたいというようなことになっておるわけでございます。
  117. 内田善利

    ○内田善利君 私は非常に手の打ち方が遅いと思いますね。厚生省に相談するにしても直ちにしなけりゃならない問題ではないか。幸いにして、こんな言い方よくありませんが、何か手落ちでこんなに大きくなったと言うんだったらいいと思います。しかし、これが事実一割の中学生が尿たん白が検出されておるということであれば問題であり、その原因も究明していかなけりゃならないのじゃないか、こう思うわけですね。私の聞くところによりますと、先ほどお話しになった試験紙の問題なんですが、こういう検査でいいのかなと、専門家でありませんから、素人のわれわれがそういう判断をするのはむずかしいと思いますけれども、私も試験紙見てみましたけれども、その試験紙を尿に、これも新鮮な尿に入れてと書いてありますが、尿に入れて、その色のぐあいで尿中のPHと、それからブドウ糖が幾らあるか、それからたん白質が幾らあるか、潜血がどうあるか、この四つを同時にテストペーパーで調査するようになっておるわけですね。ところが、これにも書いてありますが、検体は新鮮な尿でなければならないというのに、各学校で尿をとって、採尿して、その採尿した尿を教育委員会に持ってくるのに三、四日かかるそうですね。それから今度は、教育委員会で集めたその検体をある業者に渡して、その業者が二週間か三週間後に検査している。こういうことを聞いたんですが、これはびんについていたんですが、テストペーパーのびんに。これには「新鮮な尿を使用してください。」と、こう書いてあるわけですね。それがその教育委員会に集まるのに三、四日、検査をする業者というのはよくわかりませんが、その業者に行くのに二、三週間、こういうことでは新鮮な尿にはならないし、こういうことをやっていればこういうデータが出てくるかもしれないなと、こういうふうに思ったんですが、こういうことはどうなんでしょう。これは改正する必要はないんでしょうか、どうなんでしょうか。
  118. 安養寺重夫

    政府委員安養寺重夫君) お話にございますように、当時の体育局長からも大変詳細な技術基準の補足的事項について各関係者に通達が出ておりまして、いろいろとこれはもう早速持っていけとか日に当たるところに置いてはいけないとかいろんなことが書いてございますが、実態が先生のお話しのようなことでございますれば、これはせっかく検査をいたしましてもその効率が減るわけでございますので、われわれとしましても、そういうことがあってはならないと思いますので改善を要すると思います。いろいろとまた、こういう関係者の集まる機会あるいは保健体育課長の会議もございますから、私も新米でございますけれども、いろいろとそういう点を聞いて実態を確かめ、いろいろこれから善処すべき点につきましては、そういうことを速やかに、あってはならぬことということで指導していきたいと考えております。
  119. 内田善利

    ○内田善利君 ぜひそうしていただきたいと思いますね。  この検査方法には私は間違いないんじゃないかと思います。こういう方法があると思います。それを実施するその実施の仕方にそういう日にちがかかってしまっていると、こういうことが原因じゃないかなと思うんですが、もしこの方法がそれでもよければこんな問題はこの一割近い尿たん白の検出者、この原因を究明していかなければならないと思いますね。ここまで文部省の方では原因究明までやられるわけですか、厚生省にやっていただくわけですか、この点はどうですか。
  120. 安養寺重夫

    政府委員安養寺重夫君) 医学的にいろいろそういう問題の究明につきましては、どうも学校なり文部省ではちょっとむずかしい仕事のようでございまして、こういうデータを、先ほども申しましたけれどもわが方は得たわけでございますから、それぞれ専門の方にも御意見を伺うということをいたしたいと思いますし、先生のお話しのようにし足りないというような危惧もございますので、これはそのようにいろいろと手おくれになるかもしれませんけれども、いま早速そういうことをやりたいと思います。
  121. 内田善利

    ○内田善利君 もう一つお願いしておきたいことは、検査を実際やるのはだれがやるのかということですね、お医者さんがやっていただけるのか、何か業者ということですが、その業者が私にはわからないんですが、だれが一体その検査をしているのか。
  122. 安養寺重夫

    政府委員安養寺重夫君) 学校には学校医、学校歯科医、学校薬剤師、こういう職制がございますし、養護教諭の先生方もおられるわけでございますし、そういう関係で地方交付税の経費を組んでございますので、学校のそういう関係の方々がおやりになってもいいわけでございますし、学校の方で民間の人たちにお願いする方がいいというふうなことであればそういうことをしてもいいと、このように申して現在実施しておるわけでございます。
  123. 内田善利

    ○内田善利君 それは有資格者とか、資格は問わないわけですね。(「校医さんはそんなことしていられないですよ。一人二十秒ですよ。」と呼ぶ者あり)
  124. 安養寺重夫

    政府委員安養寺重夫君) 特定の資格がなければならぬということではないようでございます。
  125. 内田善利

    ○内田善利君 なれて熟練してくればいいということでしょうと思いますが、いまも隣の先生から話がありましたように、非常に学校の検診というのは、こう言ってはいけませんけれども、口が悪いですけれども、ずさんなんですね。これはひとつぜひ文部省の方でも心がけて実態調査をなさっていただきたい、このように思います。  その次、もう一つは、今度は心臓の方ですけれども、非常に肥満児も多くなってきておるわけですが、この先ほど心臓のことについて少し触れていただいたわけですが、保体審の答申では、先ほどお話がありましたが、「心電図その他必要な検査をあわせ行なうこととする。」と、こうあるわけですね。これは先ほどは、必要であれば心電図の検査をしてもよろしいというふうに答弁があったわけですが、この場合の心電図を作製する場合の費用ですね、これはどのようになっておりますか。
  126. 安養寺重夫

    政府委員安養寺重夫君) 先ほど触れましたように、四十九年度から心臓検診——尿検査なともそうでございますが、新たに取り入れることにしたわけでございまして、心臓検診につきましては、小学校の第一学年においてはエックス線の間接撮影をプラスしてやるというようにいたしまして、全体としまして、さらに特に、必要がある場合というときに申し上げましたような心電図、その他必要な検査をあわせて行うことが望ましいと、かようにしたわけでございます。したがいまして、この心電図等の検査をやりました場合の費用につきましては、現在、交付税の上でも措置をしていないという現状でございます。
  127. 内田善利

    ○内田善利君 国でもう財源がないわけですが、してもよろしいということになっておりますもので、福岡市の場合には、心電図によらなければ本当の児童の心臓病の発見はできないということで心電図の検査を行ったわけですが、これについて費用の問題で混乱しておるようですけれども、この点はどのようになっておりますか。
  128. 安養寺重夫

    政府委員安養寺重夫君) 福岡市の教育委員会が福岡市の医師会と相談をいたしまして、小学校の入学生の全員に対しまして第一次の検診をいたしまして、さらに異常者につきまして第二次検診をやった。その関係で医師会の方から健康保険の適用というようなことで請求をしたわけでございますけれども、関係行政当局から健康診断というものは老人を除いては健保の適用ができないというような回答がございまして、いまこの点が未解決になっておるというように聞いております。
  129. 内田善利

    ○内田善利君 未解決になっておるということでなしに、こういう通達がありますから、学校医の方では心電図で検査されたわけですね。それもほかの都市では、ほとんどが先ほどお話がありましたように、アンケート調査と聴、打診で異常者を発見して、その後悪い人は心電図を見ると、こういうことなんですが、これでは正確に異常者はわからないということで、釜意の医師団による子供のそういった心臓を早く発見して治療していこうという立場から行われたわけですね。ところが、費用の問題で国からは何も出ないということで、こういう問題が起こっているわけですが、そういうことだけでいいんでしょうか。
  130. 安養寺重夫

    政府委員安養寺重夫君) 市の教育委員会の方でもそういうことにつきまして、いろいろ検討をしたようでございまして、ことしは関係の経費がないと、こういうことをするとなれば、明年度はそういうような経費を増額して充当したい、こういうようなことを言っておることは事実のようでございまして、われわれの方の照会に対しても、そういう返答を得たわけでございます。本年のことにつきましては、そういうことで、これはいまのところまだペンディングになっておるということでございます。
  131. 内田善利

    ○内田善利君 文部省としては、どのような対策を講じられるつもりですか、特に予算面においてですね。
  132. 安養寺重夫

    政府委員安養寺重夫君) 文部省としましては、特定の教職員の健康診断、結核の場合の、こういうものに補助金を出すというようなこと以外のものにつきましては、本来設置者がやるべきことである。したがって、設置者が経費を負担すべきものである、こういう観点から交付税の積算にその経費を計上しておるということでございまして、交付税の関係になりますと全国津々浦々、どれもこれもやっておるということでないと、なかなかこれは自治省がこういう計上をしてくれないものですから、われわれの方でも在来のものの増額ということのほかに、こういう新たなものを取り込むというところまでなかなか議論が進みませんで、現在どうするかということになりますと、一応いまのところは文部省もお金もなし、何か現地でいろいろとこういうことがあるということを聞かされておると、多少情けないといえばそういうことになりますが、ちょっと手に負えない状態になっておるわけでございます。
  133. 内田善利

    ○内田善利君 費用の面ではそうかもしれませんが、子供たちの心臓病を守るという立場からいきますと、心電図をやらなければ医師会の方では正確に異常者はつかめないと、いまのアンケートと聴打診だけではつかめないと言っているわけですね。ですから、子供たちの健康を守るという立場からいけば、当然、もう心電図を取り入れて、これに経費を出していくと、そうしてやらない限り、子供たちの健康を守られないと思うんですが、いかがでしょう。
  134. 安養寺重夫

    政府委員安養寺重夫君) 文部省のいたしますことが全国的に、無理のないような、多少努力を含めての話でございますが、そういうことを的確、確実にやると。したがってその経費につきましては、これは全面的に補てんをするようなことをしたい。また、現にそのつもりで努力しているわけでございますけれども、いま御指摘のようなことになりますと、全国一斉にどこでもやれるというような条件がかないませんし、せっかくしたがってやりましたところをやれないところになぞらえるというような、少し消極ではございますけれども、実際、予算を措置いたします立場の議論等々の場面におきましてはなかなかそれがむずかしゅうございまして、早速やったところは結構なことだから全部見ようと、やれないところはぼつぼつだというわけにもまいりませんので、これはこれからどうしようかと、ひとつ思案をさしていただきたいと思います。
  135. 内田善利

    ○内田善利君 やれるところとやれないところということですけれども、これは専門医でなければやれないわけですか。どのお医者さんでもできることじゃないんでしょうか。
  136. 安養寺重夫

    政府委員安養寺重夫君) どうもお言葉を返すようで恐縮でございますが、いろいろ僻地なぞはお医者さんもおりませんですし、養護教諭の先生もなかなか来ていただけないというような環境下でございまして、しかし、これはやはり子供のためにも、父兄の御安心のためにも僻地に巡回医というようなことで、できるだけこぼれのないように手当てをしてやってまいっておるわけでございます。まあ、そういうようなところの全体のバランスから言いまして、大変結構なことではございますけれども、やっていただいて、その全部の経費を、やったところには全部上げるというようなこともいまいたしかねておるという現況をひとつ御了承をいただきたいと思います。
  137. 内田善利

    ○内田善利君 厚生省に呼びかけて、健保でできるようにそれはできないものですか。
  138. 安養寺重夫

    政府委員安養寺重夫君) まあ多少この事件を聞きまして事務的に厚生省の方と、どうにかならぬかというような相談もしておるわけでございますけれども、なかなからちのあかない仕儀になっております。まあこれからまた相談をするということも可能かと思いますけれども、まあそういうことや自分の方でできることは何かというようなことも、改めて検討さしてもらいたいと思います。
  139. 内田善利

    ○内田善利君 まあ学童の問題でございますから、特に心臓病の問題でございますから、こういった子供たちの健康を守るという立場から、ひとつ施策をしていただきたいと、このように要望いたします。  それから、次に学校保健体制について二、三お伺いしたいんですが、特に学校医の報酬ですね、学校医の報酬が地方交付税でまかなわれておるわけですが、この一人七万円というこの基準ですね、この基準は一体どういうことで決められたのか。この金額が妥当なのかどうか、現在ですね、それと学校医というのが名誉職的なものになってはいけないと思いますし、だから名誉職だから報酬はどうでもいいという考え方であってもいけないし、また、医師会のこのような善意を無にしてもいけないと、そのように思うんですが、この点はいかがですか。
  140. 安養寺重夫

    政府委員安養寺重夫君) 交付税に学校医、学校歯科医、学校薬剤師、眼科医、耳鼻咽喉科医等の報酬の計上を、年度は違いますけれどもだんだんにまあして充実をしてきておるわけでございます。まあスタートのときにいろいろな当時の実態があったものと思いまして、現在の七万円というのはそういうものを沿革をたどってこうなっておるということでございまして、これが合理的に何か経済原則にかのうた数字かどうかということにつきましては、そういう根拠を突き詰めることは不可能だと思います。  五十年度で一人年額七万円と、一校当たり二十八万円を計上してまいっておるわけでございますが、四十九年度の調査をいたしましたところ、四十九年度の交付税では一人当たり五万五千円、一学校当たり二十二万円というようなことでありましたところ、小学校では平均十三万六千円、中学校では十四万三千円というのが実態でございます。まあこういうことでもございますけれども、われわれとしましては、いろいろお世話をいただくわけでございますし、だんだんにこの経費の増額を毎年努力をしてまいっておるわけでございます。今後やはりこういうことをしなければならないと思っておりますけれども、まあ学校保健というものがいろいろと保健体育審議会の答申できわめてこう精細に包括的にいろんな問題点を指摘していただいたものですから、その後、関係法令の整備等も加えまして、だんだんにこの問題点の手当てをしてまいっております。まだできていないのは、学校環境衛生基準、これは難物でございまので、引き続いて検討しておりますけれども、これ以外は大なり小なりともかく手当てをさしていただいておるわけでございまして、今後もまだそれを充実しなくちゃならないと思います。そういう中におきまして、学校関係の医療従事の先生方、あるいは保健主事、養護教諭の制度、こういう制度も十二分にいま活用できるような体制にみんなで勉強して持っていきたいと、かように考えておりまして、お医者さんなぞの専門的なお力をこれからもいよいよお借りをしなければならないと思っております。
  141. 内田善利

    ○内田善利君 まあ、この問題は相当考えなければならない問題があると思います。  それから、全国的に学校医の配属のない学校が何%ぐらいありますか。
  142. 安養寺重夫

    政府委員安養寺重夫君) 昭和四十九年度の学校基本調査によりますと、学校医では小学校で九八・三%、中学校で九七・二%の設置率でございます。学校歯科医は小学校で九六・七%、中学校で九四・九%ということになっております。  なお、学校医の配置されていない僻地学校等につきましては、医師、歯科医師等の巡回というような制度を活用いたしまして、健康診断なり健康相談というようなことをやれるように、国が補助金を出すというようなこともしておるわけでございます。
  143. 内田善利

    ○内田善利君 学校衛生の問題はそれで終わります。  次に、大学新卒者の就職の問題をちょっとお聞きしたいと思います。現在非常に不況なわけですが、この大卒者の就職状況はどのようになっておりますか。
  144. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 担当の大学局長からお答えいたします。
  145. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 来春の大学卒業予定者の就職につきましては、いま御指摘のように、例年にない厳しい状況が予想されましたので、ことしの九月に全国の国公私立大学に対しまして、職業指導と就職あっせんについて、従来よりもよりきめ細かい御配慮をお願いいたしますとともに、求人状況等についての調査をお願いいたしまして、現在、実施をしているところでございます。  まず、求人申し込み状況等の調査でございますが、求人活動の開始から一カ月後のことしの九月末、その状況と昨年同期の五月末の状況を比較いたしますと、大学、短大につきましては、求人件数、求人数とも大差がないという、数字の上での結果は出ております。具体的に申し上げますと、大学については求人件数において三%増、求人数において四%減、短期大学は求人件数が二七%増、求人数が一五%増、高等専門学校は求人件数、求人数とも昨年同期よりも約半減いたしております。ただ、その内容を見ますると、昨年に比べまして、大企業の求人が減少をし、中小企業の求人が増加をしている、あるいは求人一件当たりの求人数が減少しているというふうな状況がございます。  ことしの場合は求人活動の開始時期が五月から九月に繰り下げられたというような事情がございまして、今後九月以降、どれだけ求人の伸びが見込めるかというところが問題でございますし、また、このような求人件数、求人数に対して実際に大学生の就職がどのように内定し、決定していくかという点につきましても、さらに調査を必要とすると考えましたので、十一月以降の実際の就職の決定ないし内定の状況につきまして、さらに調査を続行いたしております。現在、十一月末の状況を十二月十日で提出をお願いをいたしておるところでございまして、その集計中でございます。さらに一月末、三月末の状況をそれぞれ報告をいただきまして、その状況を的確に把握をしたいと、そして、それを各大学に御連絡もし、あるいは労働省関係にも御連絡をして、一層雇用の促進を図ってまいりたい、このように考えております。
  146. 内田善利

    ○内田善利君 いまおっしゃったように、リクルートセンターの調査によりますと、全国の上場会社千八百五十六社のうち採用中止を決定したのが約三分の一の五百十一社に上っておる、こういう調査結果が出ているわけですが、こういう状態だけに、大企業はますます一流大学の卒業生だけを採用する、そういう傾向にあるというんですが、その実態はどうなっておりますか。
  147. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) いわゆる有名大学についての指定校制度と申しますか、指定校による採用状況というものは、この調査の上では出てきておりませんが、経済同友会がことしの九月に調査をいたしました結果、これは一部上場の企業の約半数について実施をしたものでございますが、有名大学に限定して指定校の制度をとっておりますものは、事務系職員について一三%、技術系職員について一九%というような状況でございます。
  148. 内田善利

    ○内田善利君 永井文部大臣は、かねてから学閥解消ということをおっしゃって、受験地獄から解放したいと、こう言っておられるわけですが、また三木総理もライフサイクル計画の中で、官公庁、大企業の人材独禁法ということでプランに加えておられるわけですが、ある特定大学からの採用を一定比率に抑えて、そして多くの大学から門戸を開いて、開放して受験させる、そういうふうにすべきであると思うんですが、指定校制度というのを廃止する、そういうお考えはありませんか。
  149. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 実は、この学歴偏重という現象は、これは疑いなくあるわけでございますから、この春先に経済同友会に御依頼いたしまして、五百社以上の大手の会社の調査をお願いいたしました。約半数が回答した結果が九月に発表されたわけでございますが、しかし、それを見ますというと、重要な点が二点あるわけです。  一つは、この採用の時点におきましてやはりどうしても学歴というものが物を言っているということと、今度はもう一つの面は、昇進の方は、実は予想に反しまして国公私の別なくまず実力というふうなものが物を言っている。ですから、昇進とそれからこの採用と別に分けなければいけない。  採用のところが、一番の問題が、いま先生が御指摘になりました指定校でございます。もちろん指定校制度というようなものは、これはもうそういう制度が公にあるわけでもなく、認めるべきものでないと思います。  したがいまして、私たちがいま考えておりますこと、また、あの発表がありました後にも企業にお願い申し上げていることは、やはり公平の原則に基づいて広く求人をしていただいて、そして能力、適性に応じた採用をお願いしたい、こういうことでございます。
  150. 内田善利

    ○内田善利君 確かにいま大臣がおっしゃるように、採用時点のときは、学歴が物を言うし、昇進の場合には、国公私立の区別なく実力で昇進していくと、こういうことですが、そういった意味からも指定校というようなことでなくて、現去マスコミで各社が採用しているように、平等な筆記試験をやった、その結果採用していくという、そういう方式がいいと思うんですけれどもね。現在は、どこどこの大学から何名、どこどこの大学から何名という求人をやっているわけですから、そういうことでなくて、大企業が希望者から平等な試験を行って採用していくと、そういう方式にすべきであると、こう思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
  151. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 最後に先生がおっしゃいました、まあこれは大企業、中小を問わないと思いますけれども、やはり応募する人には、出身学校の別を問わず公平に試験を行なえるように、そういう方向に進んでいくということが必要であることは申すまでもないと思います。  現状におきましては、いろいろ複雑になっていると考えます。それは特定の大学からある種の人数を求めて採用していくという場合、それから特定の大学から相当数の応募者を求めて公平に試験をやっているという場合、さらに第三番目には、そうした試験をやる場合に、その特定の大学だけではなく、広く門戸を開いて併用している場合、それから四番目には全く門戸開放で試験をしている場合、まあこれは調査の結果出てまいりましたわけですが、私たちは理想的な形がその四番目であるというふうに考えております。これはしかし企業種によりましていろいろの問題点もあります。といいますのは、完全に門戸を開放した場合の事務処理の問題をどうするか。つまり非常に応募者の数が増大をいたしまして、そういう事務処理の問題をどうするかというふうな問題も企業側からは提起をされているという事実がございます。したがいまして、そういうこともわれわれとしてなお問題を詰めながら企業にお願いしているというふうにしなければいけないと考えております。ただ、この問題につきましては文部省だけでできませんので、この春先から実は労働省とも連絡の会議を開いてきております。といいますのは、採用のあり方を基本的に考えていきます担当は労働省でございます。また、われわれの方といたしましては、それぞれ各大学に対して就職指導ということをやりながら労働省と連携していく、そういう方法を工夫していかなければならぬ。現実の問題といたしましてわが国大学生の数が非常に多く、そして、その中には短期間に大学の数が増大いたしましたために、いろいろな、先ほど山東先生の御質問のとき触れましたような実員定員の差というような問題もありまして、そういうことから、そういう大学の場合の就職指導等をするかというきわめて具体的な問題など多岐にわたったことでございます。目標は先生が申されましたように、完全な門戸開放で公平な試験ということでございますが、それに運んでいきます過程において労働省などと連絡をしながら文部省として打つべき政策というものを一層詰めていかなければならない。九月段階で幸いに同友会からの報告が出ましたので、かなり問題点が明らかになりましたから、それを踏まえまして、今後理想の状態にどうやって近づけていくか、政策を詰めていくかという問題であります。
  152. 内田善利

    ○内田善利君 時間が参りましたからこれで終わりますが、ことしから九月から採用開始になって、十一月一日から試験解禁とこういうことになったわけですが、そういった関係で、国公立はいいですけれども、私立大学関係で非常に時期がおくれて就職できなくなったという例があるわけですね。それで、この点の労働省との協議、それともう一つは、いまのこういう大学生がだんだん多くなってくるわけですが、この就職、採用の仕方をもう少しオープンにして、職安等を通して採用していくというような方向に持っていくというようなことはどうなんでしょうか。この二点だけお聞きして、私の質問を終わります。
  153. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 御指摘の求人活動開始時期の問題につきましては、ことしは九月に開始をし、十一月に試験ということになっているわけでございます。大学の側も、企業の側もどうもその二カ月の間隔というのはやや長きに過ぎる、できればそこのところは一カ月に詰めた方がいいのではないかという共通の意見がございます。  それからもう一つは、大学の側にはやはり九月の時期をもう少し早められないかという御希望が一般的にございます。企業の方には逆にこの時期をもう少し先に延ばせないか、相反した御要望がございます。これは労働省の中央雇用対策協議会の方で御検討いただくことでございますが、事務的にはいま労働省の方と鋭意協議をいたしておるところでございます。  それから就職あっせんの問題につきましては、御承知のように、現在各大学が職業安定法による無料職業紹介業務として実施をいたしているわけでございます。文部省としては、大学の行う職業指導あるいは就職あっせんにつきましては、これは学生の厚生補導の一つの重要な業務として位置づけておりまして、かねてから各大学に対して援助あるいは助言に努めているところでございます。文部省としては、やはり現在の体制を基本として改善を図っていくという方向がよろしいのではないかと考えております。
  154. 加藤進

    ○加藤進君 今回の永井文部大臣見解表明につきましては、   〔委員長退席理事久保田藤麿君着席〕 いろいろお尋ねしたい点がございますけれども、きょうは人確法の趣旨、精神に照らして見て今回の主任制度導入という問題をどう考え、どう理解したらいいのか、こういう点でお尋ねしたいと思います。  初めに教員給与の問題についてでありますけれども、人確法に基づいて教職員の給与改善が今日までどのような状態で、どの程度まで進められてきたのか、その現状を具体的に数字の上で御説明をいただきたいと思います。
  155. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) ただの点は初中局長から御答弁いたさせます。
  156. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 恐縮でございますが、資料を差し上げておりますので、それでは数字、金額の方はそれをごらんいただきたいと思うんですが、今日までの経緯を申し上げますならば、昭和四十九年の二月二十五日にいわゆる人確法が成立をいたしました。この人確法の趣旨を受けまして、同年の三月十八日に人事院勧告がございました。この人事院勧告によりまして、具体的改善の内容としましては、小中の義務教育学校教員については本俸の九%引き上げるということが行われました。関連いたしまして、高等学校関係の教員については五・六%の引き上げということがあったわけでございます。そういたしまして、この後一般の公務員同様の夏の勧告による給与の引き上げを間にはさみまして、昭和五十年の三月十七日に二次改善の人事院勧告がございました。この際に、具体的中身といたしましては、本俸の三%引き上げと教頭の法制化に伴いますところの特一等級の新設というのがございました。なお、本俸を三%にとどめまして、新たに義務教育等教員特別手当というものが創設されまして、これは本俸の四%に相当するという額とされていたのでございます。したがいまして、この第二次改善におきましては、小中関係では本俸三%、手当四%の計七%。関連いたしまして、高校先生につきましては本俸二・六%、手当三・八%ということで約六・四%の引き上げということが行われましたのが、今日までの経過でございます。
  157. 加藤進

    ○加藤進君 要約してお尋ねいたしますと、人確法に基づく第一次、第二次の給与改定によって本俸の引き上げはそれぞれ前年度に比してどれだけパーセントアップをされたのか。何%のアップがあったのか。この点はきちっとお答えいただきたいと思います。
  158. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) ただいま申しましたように、義務教育関係につきましては第一次改善で九%、第二次改善で三%ということになるわけでございます。
  159. 加藤進

    ○加藤進君 そこで、第七十二国会で私たちをも含めて人確法が制定された際に、教員給与については各党の共同提案によりまして、附則第二項の中で、「特に財政上計画的にその優遇措置を努めるように」と改められました。御承知のとおりであります。その計画的にというのはどの程度の引き上げを行おうと予定されたのか、文部省として御計画になったのか。その点をお聞かせ願いたいと思います。
  160. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) その具体的な計画、目標としては、法律制定当初における俸給を基準としておおむね二五%ということを目標としたわけでございます。
  161. 加藤進

    ○加藤進君 文部省昭和四十七年に、翌年、昭和四十八年度から三カ年計画で給与を五〇%引き上げるということを目標として打ち出されたように私は新聞報道その他を通じて聞いています。これが事実かどうか。  また、人確法制定後の毎年の概算要求を見ましても昭和四十八年度、四十九年度、五十年度と毎年一〇%並みに引き上げが要求されておるように私は見ています。これは事実でしょうか、どうでしょうか。間違いでしょうか。
  162. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 当初の五〇%とおっしゃいました点につきましては、これは一つの案として検討をいたしたことはございますけれども、そういうことを公式の要求としたことはないわけでございます。  ただ、後段の毎年一〇%というのは、これは一つの目標として明らかにしたことは事実でございます。
  163. 加藤進

    ○加藤進君 そうしますと、文部省として、人確法の趣旨に基づいての計画的な給与改善は年々一〇%程度の引き上げを目途として努力すると、こういう私はたてまえが出されたと考えています。ところが、実際行われた状態はどうかと言えば、第一次の場合には一〇%アップ、第二次の場合には七%アップ。ただし、本俸は三%のアップですね。これはきわめて不十分なものであると私は考えますけれども、文部省はこれで十分と考えられるのでしょうか。
  164. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) ただいまの先生の御指摘の点でありますが、たとえば、本年度につきまして七%というのが本俸三%、手当四%になりましたことは、私たちといたしましては決して十分と思っておりません。
  165. 加藤進

    ○加藤進君 私は、そう思われるのが当然だと思います。きわめて不十分である、こういうふうに言わざるを得ないわけでございますけれども、そこでお聞きしたいのは、この人確法が制定されたそもそもの趣旨、そもそもの精神立場に立ち返ってみるなら、文部大臣、改めてここでお聞きしますけれども、一体どういう趣旨によって人確法が制定されたのか、その点の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
  166. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私は、当時文部省にいたわけではありませんが、私の理解するところを申し上げますと、わが国の経済成長期におきまして、一般的には企業の中で働く人たちの給与の上昇というものと比較いたしますと、教員の給与というものはやはり非常に遅滞した、おくれたというか、低い状況に置かれたということは否定できない事実であると思います。そこで、そうした事柄が大学入試というところを見ましても、企業に入っていくような学部というところに応募者が集中していくという事態が生じたというふうに考えます。具体的に申しますと、経済学部あるいは工学部とか、そういうところであります。しかしながら、やはり教育界において一番の力となりますのは、建物でもなく、あるいは内部の設備でもなく、人材である。そういたしますと、わが国の経済成長の過程における教員の給与の停滞状況というものを打破しなければならない。そうすることが、それだけではないと思いますが、そうすることが教育界に人材を確保し得る一つの条件である、かような趣旨に基づくものと理解いたしております。
  167. 加藤進

    ○加藤進君 当時、教職員にすぐれた人材を確保していくためには給与等の待遇の改善が必要であると、裁判官並みにしなくてはならない、こういうことがしばしば言われたわけでございます。そういう趣旨に基づいて教職員が真に教壇において情熱を傾けながら教育を行っていくためにはやはり法を制定して、教職員の給与については一般公務員と比較して必要な優遇措置をとる、それも特に財政上計画的に実施するということをこの法案は明確にうたっておるわけであります。これは言うまでもなく、日本の未来を担う青少年の育成でございますから、全国の先生の給与を引き上げて、心置きなく教育活動に従っていただきたい、こういう私は国民的な念願のあらわれだろうと思います。いろいろ経過はありましたけれども、全会一致でこの法律が制定されたわけでございますが、その点は、私の申し上げたことが間違いないとお思いになりますかどうか、文部大臣に改めてお聞きしたいと思います。
  168. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 加藤先生の言われるとおりの趣旨に基づいてでき上がったものと考えます。
  169. 加藤進

    ○加藤進君 ところが、第三次の給与改善を行うに当たって、今回の大臣見解表明が行われたわけでありますが、その見解によりますと、人確法に基づく第三次給与改善の目標は「調和のとれた学校運営」の一語に尽きる、こう書かれておるわけであります。しかも、これはさらにさまざまな反対を押し切っても主任制度化、管理強化にさらにすりかえられていっておるわけであります。そして、人確法の成立によって全国の先生たちや父母の期待にこたえるような給与改善はまるでされていないというのが現状だと言っていいと思います。大臣はその点について、人確法の趣旨、精神に照らしながら、今日の現状がこれに合致するものと考えておられるのか。その点の反省があるかどうか、私はこの場でしっかりお聞きしておきたいと思います。
  170. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 人確法成立以後、また私が文部大臣に就任いたしましたのは昨年でございますから、当時におきましても、年次ごと一〇%の本俸の引き上げということが要求であったということは事実でございます。しかし実は、七%というところに本年度は落ち着いたわけです。しかし、その場合も本俸でございました。しかし、人事院勧告が出た後は、三%・四%ということに相なりましたから、そうした意味において当初の期待というものが実現されていないということは疑うことはできない事実であります。しかし、その過程においてどうしてこういう状況になったかということを考えますと、私はやはり一番基本的な原因というのはわが国の財政状況の変化、あるいは経済状況全体の変化であったというふうに理解をいたしております。そこで、実は明年度、すなわち五十一年度の目標として掲げましたものも本俸五%でございます。しかし、本年度の財政状況を見ますというと、去年よりも一層苦しい状況にある、これも疑いない事実であります。  そこで、そういう中で一番初めの目的をどのようにして達成していくかということが私に課せられた課題であるというふうに考えます。いま先生がお読みになった第三次改善の目標は、「調和のある学校運営」ということを私が書いておりますのはそのとおりでありますが、しかし、それは現在の経済状況の中で当初目的を達成していく上で私は一つの政策の選択として妥当なものと考えたわけであります。したがいまして、まず、全教員というものの給与を上げていかなければならない。しかし、もう一つの問題は、管理職といわれるこれまでの職につかないで、教諭の立場にいてずうっと仕事をしていく先生、この先生にいわゆる一等級というふうな道を開くべきではないか。さらにまた、特別教育活動を行っている先生、そういう先生に特別教育業務手当、それを考えるべきである。さらに、主任というものは先ほどから議論されたとおりでありますが、当初目的というものを達成いたしていきます上で、昨年から本年への経済状況の変化の中で私どもが考えてきたのは、当初目的をどのようにして実現していくべきかということでありまして、それが給与の問題に関する私の表現になっている、こういう考えでございます。
  171. 加藤進

    ○加藤進君 経済情勢の変化ということは、これは当然考慮されるべきであろうと思われます。しかし、人確法がそもそもあのような経過を経て制定されたというのには、きわめて大きな趣旨、目的が掲げられていたわけであります。その目的とは、繰り返す必要はありませんけれども、優秀な人材を教育界に導入していくためには、まず第一に、待遇の全面的な改善を行わなくてはならぬ、それは本俸のベースアップであるということまで明記されているわけでありました。その点についてはきわめて今日、文部省の努力にもかかわらず十分な実績を上げ得ないということは、これはお認めいただいておるわけでありますが、同時に、現状はそのような給与改善が不十分な状態である、法の示す趣旨にも十分合致しないような状態にあるのにもかかわらず、しかも五段階給与はとりませんと、あの制定当時国会においても明確な附帯決議まで行われておるわけではありますけれども、今回行われて、また、今回行われようとしております今日の主任制度の導入というのは、そういう給与改善を行うべき努力を一方においては捨て去りながら、一方的に主任制度等々の職階的な管理職を導入していこうというような意図がきわめて露骨になってきておるという点から言うなら、これは私は人確法の趣旨、精神にもとるものではないかと考えるわけでございますけれども、その点の大臣見解をお尋ねしたいと思います。
  172. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) ただいまの加藤先生の御指摘でございますが、私たちは本年度の給与について本俸の立場で臨んだわけです。ところが、四%というのは、これは人事院からの勧告の中に出てまいりました。そうして七%が四%、三%に分かれたことは先生の御案内のとおりであります。そこのところを人事院勧告の文章を読みますと、「俸給表により更にこれを大幅に改善することは他の教員その他の職員の給与に強い影響を及ぼすこととなる実情を考慮し、今回は、一部を俸給表の改定で措置し、別に新たに義務教育等教員特別手当を支給することにより、その改善を図ることとした。」、こうなっているわけであります。いわゆる義務教育等教員特別手当が導入されたわけであります。この国会で私も当時人事院総裁と並んでこの問題についての質疑に答えました。これは非常に遺憾であるということを申しました。  そこで、来年度の問題でございます。来年度もそもそもは本俸五%という考えで臨んだのです。しかし、人事院が本年度こういうふうな計画といいますか、勧告をやりました。そこで、来年度の五%というものを確保していきますという場合にどういう方法をとるべきか。これはやはり先ほど申し上げましたように、全教員の本俸ということを眼目としなければならないのですが、しかしそれを本俸でなく、あるいは義務教育等教員特別手当というふうなことをわれわれとして望んでいるわけではもちろんありません。しかし、そういうふうなことがあるとすれば、これは人事院が決定することであります。私たちとしては、そうした方向を望んでいるのではないのでございます。それが基底でございますが、他の三種類のものが含まれているということも御指摘のとおりでありますが、それは私としては決して基本的なベースを放棄したということではございません。これも、その次にあります普通の教諭の方々の一等級ということは附帯決議にもあるわけでございます。そこで、そういうこともやはり要望していくべきではないか、私はかように考えました。また、特別教育活動と主任の問題というのも、これも先ほどの議論の間で私はずいぶん申し上げたつもりでありますが、特に主任についてはそうなんですが、教頭が一等級を、全部ではありませんけれども、いま確保するに至っております。ところが、私はそういう給与の改善というものを行われても、非常に管理的に傾斜してきているということを繰り返し事実として注目すべきではないかということを申したわけです。そこで、目標は教育界に人材を吸収していくということにあるのでありますが、教育界に人材を吸収するということは決して管理的な職に人材を吸収するということではあるまい。やはり教育界に人材を吸収するのは、給与もいいからでありますが、しかし、他方において生きがいのある職場ということです。それがなければだめなのではないか。そういう考え方が私のもし給与との関連で申しますならば、文部大臣見解というものとの関連で給与を考えた理由でございます。
  173. 加藤進

    ○加藤進君 人事院勧告が出たからやむを得ないとか、あるいは経済情勢が今日のような状況に至ったからやむを得ないのかというような議論になれば、これはもう議論の余地そのものがないわけでございますけれども、本来、人確法が求めておるような、教育界にすぐれた人材を結集していこうというならこのような財政上の措置を計画的にやらなくてはならぬ。明確にされておるわけでございますから、そういう立場から見るなら今日きわめて文部省あるいは政府のこの点について、法施行に当たっての努力は不十分であると言わなくてはならぬと私は考えますし、文部大臣もその点は同意見だろうと私は考えます。  しかも、経済情勢の変化ということから言うなら、ますます給与の改善のために、さらにベースアップのために努力しなくてはならぬということにあるわけでありまして、決してこれを切り下げるなどというところに今日の経済情勢に原因を、問題を求めることは正しく私はあり得ないと考えているわけであります。しかも、この点について言うなら、教育に携わるすべての教職員、あるいは子供を持つ父母、それから国民全体についても十分な合意が可能なのでございまして、そういう合意を背景にしながら、文部大臣も積極的にそのために全力投球を行って努力をすべき問題だと思いますが、努力はしたけれどもやむを得なかったというような嘆きではなしに、このような状態まで来した文部省当局あるいは大臣責任に対しては十分それを感じられながら、さらに第三次給与改定等々についてはその面の全教職員に対するベースアップそのものに全力を挙げて取り組まなくちゃならない、私はこう考えますけれども、その点についてはいかがでしょうか改めてお伺いしたいと思います。
  174. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) ただいまの加藤先生の御指摘の点につきまして私、全く同感であります。同じ考えであります。それを文部省として具体的にどのように考えているかということを初中局長から御答弁させます。
  175. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 先ほどお答え申し上げましたように、本俸において一次で九%、二次で三%という引き上げがあったわけでございますが、これを一般の公務員と比較した場合にどのくらい改善されたかということを少し大ざっぱな説明でございますが申し上げますと、小・中学校の教諭の給与水準というものは、第一次改善前は府県で言いますと府県の係長と課長補佐の中間水準、国の俸給表で言いますと行政職の五等級、四等級の中間というくらいのところでございました。これが第一次改善を行いました後におきましては、府県の課長補佐をやや上回る水準、国の俸給表で言えば行政職の四等級の水準ということになりまして、第二次改善後はこれが府県の課長級をやや上回る水準ということになりまして、国の行政職三等級をやや上回ると、こういうような水準になったわけであります。  ついでに校長先生の水準について申し上げますと、同じく第一次改善前は府県の課長補佐と同程度の水準、それが第一改善は飛ばしまして第二次改善後を申し上げますと、府県の部長級を二%から六%程度上回る水準、国の行政職俸給表で言いますと二等級をやや上回る水準と、こういう一とになりまして、もちろんただいま申しましたように、これをもってよしとするわけではございませんけれども、相当の水準に引き上げられたという事実はお認めいただきたいと思うわけでございまして、ただいまのようにいろいろの外的な条件もございますので、今後も努力いたすことは当然でありますけれども、現状このように引き上げが行われてきたということは御理解いただきたいと思います。
  176. 加藤進

    ○加藤進君 そういう文部省側の努力を要請するためにあの法が制定されたわけでございますから、それにある程度の成果を上げていかれるのは、これは至極当然なことでございまして、国民立場あるいは教壇を守る教職員の立場から言うなら、それがまだまだきわめて不十分であるし、法の趣旨、精神から照らしてみても、これは一体、文部省は真に努力をしておると言えるかどうか、こういう問題が提起されておるのが現状だと私は考えています。したがって、繰り返して申し上げますけれども、主任制度についてはいま国民的な合意がなお十分にかちとり得ないような現状でございます。文部省文部大臣見解表明によってその所信の内容が明らかにされてきておるわけでございますけれども、これは国民立場に立って合意にまでこぎつけていくためには、非常な時間と努力を要する問題であることはこれは明らかでございまして、したがって、もしこれを強行するというような考えがおありだとするなら、これは教育を静かな場に置くなどということではなしに、教育界に混乱をさらに助長していくこと以外にはないと私は言わざるを得ないと思うわけでありまして、その点につきましてはきわめて慎重に、文部大臣自身が言われたように、「具体的でかつ冷静な討議を経ます」、この御決意をさらにはっきりお示しいただきたいという点が第一点であります。  同時に、すでに国民的な合意も法制定に基づく趣旨も明確になっておるような教員の給与改善策につきましては、これはもう言うまでもなく、文部大臣がその使命に基づいて大臣の職責をかけても全力を挙げて御努力いただかなくてはならぬ重要な課題だと思いますが、その二点についての大臣の御決意のほどをお伺いしたいと思います。
  177. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 二点とも私は加藤先生の言われるとおりであると考えております。  まず第一点、これは国民の中で私が示しました見解というものについて冷静かつ具体的な御討議を経たい。まあそういうことの願望の結果、幸いこの委員会でも御討議を願っておりますが、さらに、ここだけでなく私は冷静かつ具体的な御討議を願うという考えに変わりはございません。  第二番目の点、すなわち、法の基本的な趣旨というものを重んじなければいけない。これは当然のことでございまして、これを踏みたがえるというようなことであってはならない。その法の基本的な趣旨というものを生かすことが行政立場にありますものの基本的な原則である、私はかように考えております。
  178. 加藤進

    ○加藤進君 わかりました。  法の趣旨、精神にもとるようなことは絶対にやってはならぬ、御決意は当然だと思います。しかし同時に、それは単なる決意だけで終わってはならぬわけでございまして、これを行政の末端に至るまで実践していく、実施していく、そういう責任が私は文部大臣を初めとする文部省のお仕事として当然のことながらかかってきておるということを、この点についてはつけ加えておきたいと思いますが、その点はよろしゅうございますね。
  179. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 先生の仰せられるとおりであると考えております。
  180. 加藤進

    ○加藤進君 そこで、ついきのうの新聞報道によりますと、今度のストの問題について全国的な一斉捜査が行われるやに、いわば新聞その他は問題を出しています。私は、その予測はあり得ることではないかと実は危惧しておるものでございますが、文部大臣ストの問題で大変御苦労をされたわけでございますけれども、大臣も事志とは変わった状況に至っておる現状にもかかわらず、さらに、この上にも強制捜査等々によって教育現場に混乱を来すというようなことについて文部大臣はどのようにお考えになるのでございましょうか。   〔理事久保田藤麿君退席、委員長着席〕 その点について、私は決していま思いついたことを申し上げるわけではなく、予想するような事態のことについてだけ申し上げるわけではございません。それは、先般のストの問題のときにも強制捜査が非常に広範に行われました。中には先生授業中に聞き込みあるいは調査のために拉致されたというような事態さえ起こったわけでございます。子供たちは騒然としたというような、教室の内部にさえ混乱を引き起こすというような状態が現に起こったことを私たち国会において再三指摘をしたわけでございます。こういう状況が起こりかねないような現状に照らしてみて、文部大臣として、このような事態だけは何とかやめさせなくてはならぬという御決意がおありかどうか、そのために関係当局に対して、その面の要請を教育行政責任者としておとりになる御決意があるかどうか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  181. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) ただいまの新聞の報道に基づく先生のいわば見通しと申しましょうか、そのことについて私はまだ何も聞いていないわけでございます。  そこで、教育の現場というものに私は混乱が起こるということを望んでいないのは先ほど申し上げたとおりでございます。しかし、問題は、この種の事柄については警察の判断する立場において行われるわけでございますから、文部省には教育の現場というものを混乱させたくないという希望がございます。しかし他方において、それぞれの官庁の自主的な判断というものもありますが、そうしたことについて私の希望はいま申し上げたとおりでありますが、それは法に照らしてそれぞれの官庁、この場合は警察ですが、警察が判断をするものであると考えます。過去に起こりました場合もそうであったのであろうかと、かように理解している次第でございます。
  182. 加藤進

    ○加藤進君 私が特に申し上げたのは、何も警察当局に文部省立場から介入せよとかなどということまでを申し上げておるわけではございません。しかし、でき得るならば、強制的な一斉捜査などというような方法によらないでほしいと私は念願しております。その点、文部大臣、どうお考えになるのかということと、同時に、もし行われた場合、これはもしでありますから、仮定だということもありましょう。しかし予測されること、予想されることでございまして、予想される場合には、そのように起こり得る事態に対して、やはり文部省としては、教育の現場に混乱をさらに引き起こすようなことのないような手だてを積極的におとりにならなくてはならぬ責任があるのではなかろうか、これが教育を静かな場に置くという趣旨にも合致するのではないかと私は考えるわけでございますけれども、その点の御所見をお伺いしたいと思います。
  183. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 警察当局に法に照らしての判断があるということは先ほど申し上げたとおりであります。しかし、私並びに文部省だけではなく、本内閣の基本的な方針が教育を静かな場に置くということにあることは、これは政府の基本的な方針でありますから、その点は私も繰り返して申し述べるつもりでございます。また、これまでも申し述べてきたとおりであります。
  184. 加藤進

    ○加藤進君 私は、そういう文部大臣の御所見だけを聞いておるわけじゃないのです。起こり得る事態に対して未然にそのような混乱や、あるいは教育界に波紋が及ぶようなことを何とか食いとめてみる、食いとめるために文部省として可能な限りの努力をする、私はこれが文部大臣の姿勢でなくてはならぬと考えます。その点どうでしょうか。
  185. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私は、この問題に対しまして、実はもう昨日ストに入ったとき非常にいろいろな経過があって、そうなったことは遺憾であるということも公に申し述べております。そして、本日も実はこの後、槇枝委員長とお目にかかって、そしてなお対話と協調のそうした基本原則を維持していくという立場で臨んでいるわけでございます。そうしたことは、当然政府部内の各省庁も御承知のはずであります。これを私は繰り返し示していくという態度をきのうもきょうもやっておりますし、また、これからも続けていくわけであります。でありますから、ただ、決意をここで述べるというだけではございません。そうではなくて、私の決意に基づいて、文部省の所管の範囲内におきましてなすべきこと、これを当然実行していくわけでございます。
  186. 加藤進

    ○加藤進君 それでは、捜査等々が行われると予想される場合に、教育現場においてさらに混乱が引き起こされないように努力をする、混乱が引き起こるというような事態については責任文部大臣にある、こういうお考えでございましょうか、改めてお聞きします。
  187. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 先ほど申し上げましたように、まず、ストライキが起こったという原因はどこにあるか。これはいろいろありますが、私は最も大事な点として、就任以来の公約に基づく政策の展開において、私が足りないところがあったから起こったというふうに申し上げました。したがいまして、今後教育界における混乱が起こっていくということは、仮に起こっていくということは私の本旨に反するものでありますから、これは初めに国民の方々に対して私は責任を持って申したことであり、そもそも教育行政はそうした国民の期待に沿うべきものでありますから、混乱が助長されるという場合の責任というのは私にあると、かように考えます。
  188. 加藤進

    ○加藤進君 来年度の文教予算の点についてお尋ねいたします。  伝えられるところによりますと、大蔵省は来年度の文教予算は大幅に圧縮する方針であると言われております。これは、大臣のお耳にも当然入っておることだと思います。しかも、その文教予算の中でも大蔵省のやり玉に上がっておるのは何かというと、まず第一に、高知あるいは佐賀等の医科大学の創設についてはこれを予算措置としては切る。高校増設の補助金も大なたを振るって削る。私学振興費についても同様である。こういうふうに新聞の文字づらをまともに読むとそう受け取れるわけでございますので、私たちは当然のことながら非常な心配をしておるわけであります。不要不急のものを圧縮するということならこれはわかります。国民も理解できると思います。しかし、今日国民がぜひともやってほしいというような高校建設、あるいは私学の振興、それから医科大学の創設、これは文部大臣文部省の公約でございましょう、無医大県をなくするということは公約でございます。こういう公約の一つ一つについて最重点施策を進めていこうという文部省の矢面に立って、さて、大蔵省がこのようなことまかりならぬと言われるような気配が感ぜられるわけでありますけれども、その点の文部省当局の、とりわけ文部大臣の予測と申しますか、感触というものがあると思いますけれども、いかがでございましょうか。
  189. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) ちょっと正確に日を覚えておりませんが、二週間よりもう少し近い日だったかもしれませんが、新聞にいま先生が言われましたような、大蔵省が今年度の文教予算に対して非常に厳しい態度で望むと、これは一紙だけでなく掲載された事実がございます。たまたまその日が閣議の日に当たりましたので、私は大蔵大臣に、まだ私自身が全く聞いていないことでありますから、こうした問題について見解を承りたいと申し上げまして、大蔵大臣は閣議において、この種の新聞の報道というものは、決して大蔵省の方針が決まり、そして責任ある資料が示されているということではない現状でありますから、文部大臣は閣議以前にこれこれしかじかと、先ほどの御発言も出ましたけれども、この閣議の席において、そうした事柄というものは意に介さず——なるべく覚えているとおりに申します。意に介さずに現段階における予算の進行というものを進めていただくように誤解のないように申し上げておきます、というふうに言われました。したがいまして、大蔵省の最高の責任者である大蔵大臣のかような発言については、記者会見でも私は発表いたしました。ただ、現実の問題として、大蔵大臣は確かにそのように言われましたけれども、明年度の予算の状況というものが一般的に申しまして決して容易ならざるものであるということは、私はこれは概算要求の時点においてすでにそうでございまして、一五%をめどとするということでございましたから、それ自体がすでにかなり苦しいことでございます。さらに、その後に歳入欠陥の問題をめぐり、あるいは起債の問題をめぐって国会において経済環境のきわめて深刻な御討議が続けられているという実情は私も熟知いたしております。したがって、そうした状況の中で、忽然として明年度の教育関係、文教関係予算が容易なる事態になるというふうには予想できません。相当深刻なる事態にわれわれは決意を持って対処しなければならない、そのように考えております。
  190. 加藤進

    ○加藤進君 私立大学は言うまでもなく、私学の高校、幼稚園に至るまで授業料あるいは保育料が大幅に引き上げられる、こういうのが現状でございます。そういう中で、あるいは伝えられるように私学振興費は二割くらい削るというようなことが万が一にも起こった場合には、一体事態はどうなるのか、深刻な問題であろうと私は考えておりますし、昨日も武道館におきまして、一万数千名の私立幼稚園の父母あるいは諸先生が集まられて大会が開かれたわけであります。切実な要求がここに結集されておるわけでございまして、そういう要求に基づいて教育を守ろうとすれば、そのような要求を満たしていかなければできないわけでございますから、そういう点について文部大臣のいま言われましたような御決意を一歩も退かない、退かせない、こういうふうにひとつがんばり抜いていただきたい、こういういうふうに思います。さらに、その点を御確認していただきたいと思います。  来年度の最重点予算項目として、高校の増設への国庫補助を挙げられておりますね。大蔵省の方針が伝えられるようであれば、これもまた危うしと言わざるを得ないわけでございますけれども、そのような状況がたとえこようとも、文部省としてあるいは文部大臣としては、この最重点項目の高校増設については方針を堅持してがんばっていくという御決意であるかどうか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  191. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 高校新増設につきましては概算要求に百二億円強を計上いたしております。その詳細につきましては、もし必要であれば管理局長おりますから御説明申し上げますが、私どもは、この概算要求に盛りましたものを確保していくという考えで臨んでいくつもりでございます。
  192. 加藤進

    ○加藤進君 なぜ、私が特に大臣にその所見を改めてお尋ねしたかと言えば、過去二カ年にわたって高校建設費についての補助というのは要求はされたであろうけれども、全部ゼロ回答でしょう。二年間続いておるわけです。しかも、経済情勢は厳しいと言われる、圧縮予算だと言われる、そういう矢面に立ってなおかつ高校建設を確実に文部省方針どおり実行していくということになれば、どうしても国庫補助を大幅に獲得するという決意を持ってもらわなくちゃならぬ。私は、そういう点につきまして、文部省がまさに断固たる決意を持ってこれについては公約について責任を負う、いわばこういう立場でやり抜いていただきたい。重ねてお願いを申し上げますけれども、その点についても間違いございませんね。
  193. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私たちの努力目標は、概算要求というものに計上いたしましたものを実現することにあるということは申し上げたとおりでございます。
  194. 加藤進

    ○加藤進君 最近、中学生の自殺者が相次いで起こっている。その理由は何であるかは多々あるでしょうけれども、その中の最も大きな問題が、希望している高校に入学できないという、こういう原因にあることは文部大臣も十分御承知のとおりだと思います。高校増設に対する国庫補助実現のために全力を挙げようというなら、何をおいても人口急増地域における高校建設のための用地を確保する、こういうことがなければ、これは私は口頭禅に終わらざるを得ないと考えておりますけれども、この点について、文部省は、児童生徒急増市町村公立小中学校の施設特別整備事業費補助金として用地費の補助を昭和四十六年度から昭和五十年度までは実施されてきたわけでございますけれども、これが五十年度にとにかく終わるわけでございまして、来年度から一体どうするのか。こういう問題がありますけれども、来年度以降もその方針に基づいてこの点について実行する、この点について実施いたします、こういうふうに御理解申し上げてよろしゅうございましょうか。
  195. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) ただいま加藤先生が御指摘のように、義務教育関係の用地確保のための財源につきましては、計画どおりにまいりますと本年度で終わるわけでございます。しかし、概算要求にすでに示されておりますとおり、私どもは、本年度で終わらない、そして来年度もこれを要求するという、そうしたことで概算要求に計上している次第でございます。
  196. 加藤進

    ○加藤進君 最後に、これも巷間伝えられるところでございまして、私たちの憂慮する問題でございますけれども、国立大学授業料の大幅な引き上げがいわば世論になってまいっております。これは本当でしょうか。この点、文部省はどういうふうに御判断になっておるんでしょうか。国立大学授業料の値上げについて、あるいはそれが二倍であろう、三倍であろうなどということが言われておるわけでございまして、これもほうっておけば教育に波乱を巻き起こす一つ原因にもなっておるわけでございますから、その点、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  197. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) この問題も、まさに先生が御指摘のとおり、非常に注意を要する問題でございます。新聞等に大蔵省が授業料値上げについて案を持っているということが伝えられておりますが、私たちとしては、まだ一度も公式にそうした要望を受けたことはございません。したがいまして、大蔵省からそうした要望があるわけでもない現段階において、私たちは非常に慎重にこの問題には対処していくべきものであると考えているわけでございます。
  198. 加藤進

    ○加藤進君 大蔵省がもし、国立大学授業料の二倍かあるいは三倍かの値上げをやりなさいと言われた場合、その場合に文部大臣はこれについてどう対処されるのか、断固それはお断りになるのかどうか、その点をはっきりお聞かせ願いたいと思います。
  199. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 大蔵省から仮にそのような提案がありました場合にどうするか、先ほど私は慎重に考えると申しましたが、この問題は、当然国立大学の学長、諸先生方のお考えというものも考えるべきでありますが、私は、この問題を考えていく上では幾つかの要因があると思います。一つは、国民の負担能力というものもあります。諸物価の高騰、インフレーション現象というものもあります。また、負担の公平という問題もございます。さらに、世論の動向というものもございます。さらにまた、国の財政事情というような、非常に多くのものが絡み合っております。そうした絡み合った要因というものをそれぞれ検討し、そして、それが総合的にどのような関連にあるのか、ですから大蔵省がひとつ上げなさいというと、はいそうですかということではございません。私はいまのような諸要因というものを慎重に考えると申しましたのは、いまのような諸要因を総合的に検討する、その上でわれわれは立場を決めなければいけない。こう考えておるわけでございます。
  200. 加藤進

    ○加藤進君 もう時間も参りましたのでこれで終わりますけれども、すると文部大臣は、大蔵省からそのような要望が万が一出された場合には、これにさようでございますかとすぐ受け入れるというつもりはない、しかし、諸般の状況その他を研究しつつある現段階で考えもいま煮詰めつつある。したがって、そういう立場からこの問題については対処していきたい、場合によっては値上げもあり得ると、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  201. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私が申し上げたのは、諸要因の総合的な慎重な検討ということでありますから決定に至っていないと、そしてまた、大蔵省からもそうした要望はない段階である現段階において申し上げられることはそういうことでございます。
  202. 加藤進

    ○加藤進君 そのいわば文部省あるいは文部大臣の御決意なり、あるいは御判断なりが大体確定するという時期はいつごろなんでしょうか。
  203. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) ただいまの問題は、いま予算についての検討が進められているわけでございますから、これが予算折衝の段階に入りました段階までには私として決定をしなければならない、かように考えておるのでございます。
  204. 加藤進

    ○加藤進君 私は、若干の問題についてだけ予算に関連して申し上げたわけでございますけれども、その一つ一つのどれをとってもきわめて厳しい状況下にいわば立たされていると言ってもいいと思います。しかも、これらの対処の仕方によっては日本教育はいずこへ行くかと問われるような事態も起こりかねないと考えています。そういう状況が現に進行しておると見ていいと思います。したがって、私は、文部大臣主任制度の導入にそれほどの熱意を示されるくらいなら、いま申し上げましたような予算措置あるいは教育条件の整備充実のためにさらにさらに努力を傾けていただかなくてはならぬ情勢下にあるのではないか。このことを私は申し上げて質問を終わります。
  205. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 本件に対する質疑は、本日は、この程度にとどめます。  次会の委員会は公報をもってお知らせすることにし、本日は、これをもって散会することにいたします。    午後五時五十五分散会